銀時「エロゲーを作ろう」 (47)
――?
銀魂「って事なんだけど、ヨロシク」
新八「マズくないですかね、銀さん?要はアレでしょ?僕はよく知りませんが」
新八「――体験版で散々シナリオが痛い痛い言われたにも関わらず、実売2万本を超えたかと思えば」
新八「シナリオの出来以前にイベント絵が35枚(フルプライス)で投げ売り状態」
新八「『JKS35』、『絵フォルダ無』とネタにされ続けているアレですよね?」
銀時「ぱっつぁん詳しいよね?俺以上に知ってるもんね?」
新八「ってか裸マントパッチ入れるんだったら、もう力入れるべき所があんじゃねーの?的な」
新八「『こだわるの、そこォォ!?』って、予約で買った人全員思ってますって」
銀時「まぁそうなんだけどな。つーかでも逆に考えろよ、『売り切ったら、勝つ』って」
銀時「名義なんてあってねぇよなモンだし、名前変えて点々とすりゃボロい商売じゃね」
新八「……あぁ、だから神楽ちゃん居ないんですね。未成年は拙いし――って、僕も18歳未満なんですけど」
銀時「男はな、産まれた時からオッサンなんだよ。成人してんだよ」
新八「すいません銀さん、ちょっと意味分からないんですけど」
銀時「あれだよ、『エルフだから108歳、成人してます』的な」
新八「いえまぁ江戸時代は15で元服ですから、合ってるような気がしますけど」
新八「でも僕らだけでどうにか出来るんですか?素人のおっさん二人でどうしろと」
銀時「心配ない。今日はアドバイザーを連れてきた。どうぞ!」
学問主任「違うよね?俺ゲストじゃないよね?」
学年主任「つーか君ら何で来てんの?ここ小学校だからね?」
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――小学校 昼休み
学年主任「何か校長「『あ、坂田君ら来てるよ』って呼ばれたんだけどさ、何?」
学年主任「俺いい加減君らの関わり合いになりたくないんだけど」
学年主任「明らかに黒歴史っつーか、なんでやっちゃったんだろ的な」
銀時「いやでもよハ――主任さんよぉ?俺らに相談出来る奴って他にはいねーんだよ」
学年主任「今明らかに言い間違いじゃない間違しなかった?不自然じゃないかな?」
学年主任「あと主任じゃねーからな?公立も私立もそんなシステムねーよ」
銀時「不自然つったら校長のふなっしーに比べれば……」
学年主任「校長のふなっしーってどういう事?奇声を上げて飛び跳ねるって意味?」
学年主任「それとも内部には別の人がイリュージョンしてるよ、って皮肉?」
新八「……すいません、なんか。僕ら他に頼れる人いなくって」
学年主任「限度ってものがあるよね?態度ってものもあるし。なんで平日の昼間に訪ねてくるの?」
学年主任「俺一応、対外的な信用っつーもんがあるから、弁えよう?なぁ?」
銀時「職場じゃ『DOUBLE(※日本のブラック・ミュージックの最高峰)とEGO-WRAPPIN'(※ジャズ中堅の雄)聞きます』つっときながら」
銀時「打ち上げのカラオケで歌うのは同じ双子の『a・chi-a・chi(※代表作・魔神英雄伝ワタル)』とリトバス熱唱するくせにな!」
学年主任「待とうか坂田君!その発言は鍵っ子を敵に回さないかなっ!?俺はジャズも聴くけどアニソン・エロゲソンも聞くだけだから!」
学年主任「あとFREELY TOMORROW(※初音ミク)とかも歌うし!別に隠してる訳じゃないから!」
学年主任「てか同じ悩みを抱えてる隠れヲタは結構居る筈だ!」
銀時「同僚にカミングアウトしてないっての、アレじゃね?テメェでも内心どうかって思ってんじゃねぇの?」
学年主任「いや別に言わないよね?同僚って別に友達でもサークル仲間でない付き合いだから、言う必要ないもんね?」
銀時「――で、主任さんよぉ。どうだい?手手伝ってくれる気になったか?」
学年主任「……いやあの、手伝うって何を?つーか職場まで押しかけるって借金取りかヤクザの所行だからね」
新八「銀さんがこないだフェミニストの人と呑んだらしいんですよ」
学年主任「はぁ」
新八「『最近なんかボロい商売ねぇか?』って話になって」
学年主任「まぁ、お酒の席ではある話だよね」
新八「『じゃエロゲ作ろっか!』と」
学年主任「業界と人生ナメてるよね?」
新八「やっぱり素人が作るって危険なんですか?借金抱えて路頭に迷うとか、嫌ですからね、僕は」
学年主任「あー、良く聞きますね。その手の話」
学年主任「一作目出して、その後の消息が分からないメーカーは多々ありますし」
学年主任「結構老舗でも気がついたらマイナーぐらいまで落ち込んでいたり」
学年主任「中にはスタッフが資金持ってトンズラ(※RococoWorks)したとか、社長が出社拒否(※FILM-SOFTWARE)してブランド一つ潰れてたり」
新八「ってそもそもの疑問なんですけど、儲かるんですか?」
学年主任「モノによる、とだけ。なんつーか、ぶっちゃけますと紙芝居に声と音楽つけたゲームですからね」
新八「表出ろコラ?リトバスは青春なんだからな!」
学年主任「代打バース」
新八「あ、おはようこざい――まさか!?」
学年主任「仲間、ですよ」
新八「主任さん!」
学年主任「違うっつってんだろ」
銀時「おいヲタクども気持ち悪い盛り上がり止めて貰えるか?こっちはメシの種かかってんだよ、必死なんだよ」
学年主任「黙れロメオ。あんたの時計台のシーンで何人号泣したと思ってんだ!」
新八「あのシーンはルナリアさんの名演技も加えて、凄い事に……」
銀時「おい、そういうのは止めようぜ?誰も得をしないんだから、お互い痛くもないハラの探り合いは」
学年主任「おや、定春君?今日は居ないんですか?」
銀時「だからやめろっつってんだろ!くぎゅと一緒でコンシューマー版にしか出てねぇんだよ!」
銀時「高橋美佳○目当てで藍蘭島とかDフラグの青円盤買う奴だって居るんだからな!」
学年主任「答えられる範囲であればお答えしますが――ただし!私は業界の中の人でないので、全部個人の妄想ですけど」
銀時「つーかさ、結局儲かるの?儲からねぇの?」
学年主任「ぶっちゃけピンキリです。大手や老舗か出した『大作』が大コケする場合もありますし」
学年主任「逆にスタッフ全員、誰も名前も知れないメーカーが躍り出るケースもあります」
学年主任「まぁ重要視されるのが順番に、原画・シナリオ・声優・音楽、と言われていますね」
学年主任「ちなみに音楽は大抵度外視されますし、シナリオは『ジャンルも含めて』という言葉が付く場合が多いですか」
銀時「どゆこと?何か、一点特化してりゃ売れねぇの?」
学年主任「それは勿論あります。有名な絵師さん引っ張ってきたり、某声優さんとそっくりさんが出ると跳ね上がったり」
銀時「あぁウチの――」
学年主任「大人になれ、な?それ誰も得しないばかりか、全員アレなんですからね?」
学年主任「最近少ねーけど、あんま騒がれて卒業した演者さん、何人も居んだからな?」
新八「でもですね。実際には他のメーカーも考えるのは一緒じゃないですか?」
学年主任「仰るとおりです。つかそれら定番を用意してもコケる時はコケます」
学年主任「さっき新八君が言ってたような、原画家買い――ぶっちゃけ、ゲームじゃ無く原画さん目当てで買うゲームですら、ポシャりますから」
新八「あれはですね、まぁその『豪華なイラスト集』の用途すら満たしていない、って言いますか」
銀魂「当たるとデケぇが、逆に外すと痛ぇか。おい、何とかしろ新八」
新八「僕に言われても」
学年主任「いきなり新規参入は非常に難しいと思います。それだけのスタッフを集められるのであれば、まだしも」
銀時「あぁ?絵書ける奴と話作れる奴、あとゲーム仕立てに出来る奴が居ればいーんじゃねぇの?」
銀時「他は兼業だっても構わねぇだろうし」
学年主任「ですね。老舗の中にはシナリオライター兼スクリプト兼社長と原画家の二人でやってるメーカーもあります」
学年主任「ライター兼プログラマーで有名な方は『真剣で私に恋しなさい』のタカヒロさん、『処女ボク』の嵩夜あやさんとか、でしょうか」
学年主任「ライター兼デバッカーであれば竹井十日さんも。まぁデバッカーはテストプレイだけなので、誰でも出来るっちゃ出来ますが」
学年主任「でも殆どはある程度自前のスタッフで揃え、他は全て外注になります」
銀時「何でまた?絵と脚本、紙芝居作れりゃ終りじゃねぇの?」
学年主任「えっと、まず原画家とグラッフィッカーさんのお仕事は微妙に違います。なんて言えばいいんでしょうかね」
学年主任「まず原画家さんの作業は絵を描きます。イベントで幼女をアレしていたり、イベントで幼女をパンチラしていたり」
新八「すいません、出禁喰らうから言動には気をつけて?な?」
学年主任「それに色を塗ったりするのがグラフィッカーです。原画家さんが兼業でする場合もありますが――ここで問題が一つ」
学年主任「新八君、君が買ったゲームの中で『原画家さんの手書きイラスト見ると上手いのに、どうしてゲームになるとショボッ!?』」
学年主任「しかも『立ち絵とイベント絵別人じゃね?』みたいなの」
新八「ありますねー、そういう地雷」
銀時「ぱっつぁん?お前さっき成人がどうっつってなかったっけか?」
学年主任「どれとは言いませんけど、ゲーム絵にするとキツい方、結構居ますよね-。でもアレの原因は『ドット数』なんですよ」
銀時「ドット?ドット絵のドット?」
学年主任「ピクセルでも良いですけど。例えば『×』の絵があったとしましょう。これを9ドットで表わすと――」
■□■
□■□
■□■
学年主任「――と、なります」
銀時「ギッザギザじゃねぇか」
新八「てかこれバッテンに見えませんもんね」
学年主任「あー、良い事言いましたね。そうですね、ギッザギザで見えませんもんね、あまりにも、荒くて」
学年主任「ゲームの画面って大体、横800~1260、縦600~1024前後が一番多いフォーマットです」
学年主任「でもね、実際の原画は結構大きい紙に書くんですよ。そうした方が細部が潰れにくいからですね」
学年主任「繊細なタッチの方であればある程、ある程度のキャンバスの広さを必要としますから」
新八「分かります!」
学年主任「ちなみにA4を300ppiでドット換算すると横3508、縦2480(※GIMP換算、解像度を上げれば天井無し)」
銀時「約3倍、あぁいや原画が3分の1にまで小さくなんのか」
学年主任「特に立ち絵――日常シーンで多用される絵は『透明色』との兼ね合いで、超苦労します」
学年主任「髪の毛わっさーってなってる筈のキャラが、イベント以外では妙に広がってないのもその影響」
銀時「透明色ってなんだ?」
新八「合成写真を作る時、人の周りを切り抜いて貼り付けたりしますよね?」
銀時「あー、さっちゃんにやられたな、主に俺だけが」
新八「ゲームでもそれを機械的にほぼ常時してるんですけど、最初から『特定の色は読み込まない』って設定してまして」
学年主任「ラップに絵を描いて、それを切り貼りして紙芝居戟をしてるような感じです。そのラップ部分が『透明色』だと」
学年主任「最近は『中間色』みたいに、わざとボカし処理を加えて曖昧にするエンジンを組む所もあったりします」
学年主任「……ま、そこら辺の『違和感』とか、『ギッザギザ』をキレイに抑えるグラフィッカーさんは少ないんですよ。ある意味原画家さんよりも希少」
学年主任「ましてやフリーの方は少なく、特定のメーカー専属もよくある話」
銀時「ふーん?大変なんだな」
銀時「あぁでも絵がダメだったら、話頑張れば良くね?『純粋に物語を楽しみたい人へ!』つっとけば、原画減らしても文句言ってこねぇだろ」
新八「発想が汚いです、銀さん」
学年主任「あー、まぁ?確かに否定はしませんよ?新興メーカーさんの中には、『絵が普通でシナリオスッゲー面白ぇ!』ってのが結構ありますからね」
学年主任「でもねー……そっちはそっちで問題がですね」
銀時「んだよ。はっきりしねぇなぁ」
学年主任「ライターさん、実力あったら別にエロゲーで出なくてもいいですよね?」
学年主任「最初から出版社行って本書くなり、そっちで売れますから」
銀時「あー……」
学年主任「ぶっちゃけ昨今のラノベブームで、エロゲーライターさんが青田買い状態に、えぇ」
学年主任「しかも最近はちょっと売れると、自分から企画持って出版社に持ち込みかける方が……」
新八「それは、何と言ったらいいのか。困りますよね」
学年主任「いやぁ?まぁ?良いと思うんですよね、個人的にはね?」
学年主任「万人から認められる商売では無いので、まだラノベ作家の方が、えぇ」
新八「ラノベもラノベで認知度は低いですよ」
銀時「なんつったっけ、さっきのJKS35ももしかして?」
学年主任「販売前、スタッフ見た人間は『誰コイツ?何書いたん?』と」
学年主任「個人的には決して嫌いじゃ無いですが、グランドルートのダルタニヤンで『え!?歳いくつ!?』と突っ込んだのは悪い思い出」
学年主任「繰り返しますが、決して嫌いじゃ無いですよ?けどギャグを入れていけない所で入れたり、イベント絵を入れなきゃいけない所で入れない」
学年主任「今のユーザーさんが怒って当然。しかも業界大手なんだから余計に」
学年主任「……いやまぁ、そんなこんなでラノベ全盛期と言われていますが、最も割を食っているのがエロゲ業界な訳です」
学年主任「ちなみに今のはシナリオライターさんだけでなく、原画家さんにも同じ事が言えますからね」
学年主任「少し有名になったら漫画家かラノベのレーターデビュー。で、大抵連載持つとハードスケジュールで体調と絵が崩したり」
新八「……なんかもう嫌になりますよね。ってかやっぱり止めません?」
銀時「いやいやまだ諦めるのは早いぜ!そうじゃねぇよ、もっと頭を使うんだ」
新八「って言うと?」
銀時「個人じゃなくて会社として売るんだよ。何か適当な出版社とタイアップすりゃいい」
銀時「こっちは本で特集組んで貰う代わりに、グッズとかの販売を任せっとかな?」
新八「成程……流石銀さん、いけます!それなら弱小メーカーでも何とかなりますよ!」
学年主任「――これはフイクションなんですが、つーかここに書かれてあるのは徹頭徹尾個人の妄想なんだけど」
学年主任「昔々、とあるゲーム?アニメ?が出版社と組んだんですね」
学年主任「主導は出版社で、雑誌で特集して人気を高めよう、的な。今も良くありますけど」
学年主任「最初はキレイだけど無名のイラストレーターさんだったんで、そんなに盛り上がらなかったんですって」
学年主任「アンケートで最下位が続き、打ち切ろうとか言われてまして、出版社的にもお荷物だったんですが」
学年主任「それが段々と続けていく中、人気が少しずつ上がってきて。売れないアイドルを応援するみたいな気持ちなんですかね?」
学年主任「コアなファンが出来て、一般のユーザーにも認知されて」
学年主任「ゲーム?いやアニメでしたっけ?とにかく、その第一弾は成功!商業的にもトータルで大幅な黒字になったんだそうです」
学年主任「このまま2作目行っとく?みたいな」
銀時「良い話じゃねぇかよ」
学年主任「で、その担当の方がコミケに行ったんですよ。原画のレーターさんが本出したので」
学年主任「内緒で差し入れ持って、お礼を言いに」
新八「良い話じゃないですか。ねぇ?」
学年主任「――で、その会場で担当が見ちゃったんですよね。その人の同人誌的なの」
学年主任「いやまぁ、同人誌と言いますか、こうイラスト集みたいな?編集部にも内緒で勝手に出してる、的なアレですよね」
学年主任「ま、まぁまぁ?仕方が無いっかな!とか思ったらしいんですけど、ね。内容がねー」
学年主任「ヒロインがね、ア×顔ダブルピースをキメてたんですって」
新八「……」
学年主任「それがねー。他の方が勝手にするのは良いんですけど、公式のレーターさんが勝手にやらかして大問題になりまして」
学年主任「そこの編集長は『せめて三輪差しは止めてあげて!?ダブルでいいじゃない!』と」
銀時「この編集長ノリノリである」
学年主任「……いやまぁ、ぶっちゃけアレなんですけど。そういうキャラの著作権は、基本出版社にあるんですよね」
学年主任「勿論最初からそれ以外の所で書けないような契約もしてますし」
学年主任「レーターさんのがまだ、ソフトな奴だったら見なかった事に出来たんですが」
学年主任「出版社へ『あれ欲しいんですけど、再販いつですか?』って大量メールが来た時点でアウトー」
学年主任「以上の事から、一部の出版社は無名のレーターさん起用のハードルを異様に高めています」
新八「……ちょっと興味ありますね、どんだけ酷いの書いたんだが」
学年主任「人づてに聞いた噂で、真偽の程が分かりませんけどね。ってか全部嘘なんですが」
学年主任「『あ?そういや人気あったのに、あの雑誌のあの企画突然無くなったよな?』ってのも、たまにありますし……」
銀時「ありそうな話だよな」
学年主任「だもんで余程腕がずば抜けていない限り、ぽっと出の新人がタイアップを狙うのは難しいかと」
学年主任「信頼は実績へ対して下されるもんだからねぇ」
新八「だからエロゲー業界で『実績』を上げた人達が、スカウトされてんですね」
学年主任「ほぼ即戦力ですしねー。新人さん育てるよりも安上がりだって聞きますよ」
新八「い、いやでもいいじゃないですか!好きだったライターさんが小説家になって、ラノベで活躍するのは良い事ですよね!?」
銀時「だからエロゲー作るっつってんだろ」
学年主任「……ラノベの出版社契約って、どうなってるか分かります?」
新八「え?」
銀時「雇用契約か?だったら社員扱いなんじゃねぇの?」
銀時「連載してる間は月々幾ら、って感じで」
学年主任「期間です。契約社員と一緒」
銀時「……マジか?」
学年主任「あぁこれは全部嘘なんだけど、つーか何一つ本当の話じゃないんですけども」
学年主任「最初は『一年に何冊本出して、トータルで○○部行ったら契約更新、しなかったら打ち切り』なんですよ」
学年主任「単行本の印税は別、他の出版社は知りませんが」
新八「で、でもそんなもんじゃないですかね?競争は今一番厳しいでしょうから!」
新八「レーベルが幾つも乱立しますしねっ!」
学年主任「ぶっちゃけピンキリらしいですし、あんまり参考にもならないでしょうけど」
学年主任「でもまだ作家さんが、自分のアイディアで書きたいもの書いて力及ばず、なら諦めもつくんでしょうがね」
新八「違うんですか?」
学年主任「ラノベの内容でも色々あるでしょうが、『うわ、これ売れると思ってんの?』的なのありますよね」
学年主任「『テンプレ過ぎるし、このレーベル神祖多すぎ!』みたいなの」
新八「そりゃ定番だと思いますけど……まぁ」
新八「基本、第一巻では『主人公がヒロインに襲撃される→何かの力を得る』」
新八「「『イジメっこ撃退→調子に乗る→主人公と同じ力を手に入れたイジメっこ現る』」
新八「『主人公ボコられてヒロインがエロインにされそうになる→主人公覚醒』」
新八「こんな流れが多いですよね?でもこれ、ある意味お約束の範囲じゃないでしょうかね」
学年主任「……まずね。企画書みたいなのを出すんですよ。どんな世界観で、主人公これこれで、ヒロインがどうこうというのを編集に」
学年主任「オッケー貰ったら書き始めるんですが……新八君、競馬場のテキ屋って知ってます?」
新八「テキ……?なんですか、それ?」
銀時「『次のレースは○番が来る』って教えてくれる予想屋のオッサンだわな。ただし前金じゃなくて結果報酬の」
新八「当たらないとお金は受け取らない?それだったら良心的なような」
銀時「違うんだよぱっつぁん。テキ屋は『客全員に別々の事言ってんだ』よ」
新八「……はい?」
学年主任「ある客には『1番が勝つ』、次の客には『2番が勝つ』、その後は『3番が勝つ』っていう風にです」
新八「あー……そうすれば誰かは当たりますもんね」
銀時「つーか当たるんだったらテメー一人で買ってんだよ。ロトとかの予想屋もその手口だぜ」
学年主任「ついでに言えばムラサキババアを筆頭とする、自称経済学者もそんな感じですかね」
学年主任「『日本経済は今年破綻する!』と、ここ十年毎年言ってたり」
学年主任「ちょい前まで『BRICs、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカは絶好調だ!』みたいな風潮あったじゃないですか?」
学年主任「んでも実際にブラジルを筆頭にご覧の有様状態。持ち上げていた学者は知らんぷり」
学年主任「『アベノミクスは終りだ!』って今まで10回ぐらい言って、全部外してるムラサキババア居ますが、そりゃいつも言ってればいつか当たる」
学年主任「……あーうん、良い機会だから言うけど、たまーに投資家が『○○は終りデース!』とか言うじゃん?」
学年主任「その逆に『○○市場は素晴らしいデース!』っても言いますが、あれポジショントーク、俗に『嵌め込み』なんですよね」
学年主任「投資家って言うのは投資銀行――投機を目的とした銀行から資産の運用を託されてる場合が多いんです」
学年主任「まぁ規模のデカい証券会社だと思って下さい」
学年主任「で、彼らは株の売買で利益を得ています。安く買って高く売る、これが基本ですね。全てじゃないですが」
学年主任「んで、ここでおかしいとは思いません?株が絶好調だったり、景気が良かったりするって話」
学年主任「『絶対に儲かるんだったら、その情報は自分達だけで回す』んですよ。じゃないと利益が目減りしますから」
学年主任「可能性としては二つ、その情報が『誰でも知っているような”チープ”な情報』」
学年主任「各国の財務省では国際収支が毎月発表されているんですよ。例えば海外へ幾ら送金したとか、海外からの借金は幾らあるとか」
学年主任「前年同月比より幾ら幾らであれば、景気の良し悪しの指針の一つになれます――が、これ調べようと思えば誰だって調べられます」
学年主任「つまり『当たり前の事を当たり前に言って素人さんを騙す』手口」
学年主任「たまーに『株が暴落すれば日本は終りだ!』みたいな経済学者出て来ますけど」
学年主任「それ『心臓が止まれば死ぬだろう!』並の事しか言ってませんからね」
学年主任「いつ、どこで、どんな原因で、とかそういう分析を一世出さず、出せず」
学年主任「ぶっちゃけ坂田君も今言ってたみたいに、テキ屋と同じ」
学年主任「危ない危ない言ってりゃ、いつかは当たる”だろう”と」
学年主任「二つ目は彼らも株を運用している訳で、可能な限り安く買いたい、そして高く売りたい」
学年主任「だから『自分達は持っている株を高く売り抜けるために、○○は絶好調だ!』と嘘を吐いて株価を上げようとする」
学年主任「同じように『自分達は欲しい株を安く買えるように、○○はダメだ!』と嘘を吐いて株価を下げようとする』」
学年主任「投資家みたいな世界で一番信用出来ない人種が、わざわざ人様へお得な情報教えるんだっーの」
学年主任「経済学者も大体同じ。経済の先が読めるんだったら、投資家として大成してるわな」
新八「……テキ屋は分かりましたけど、それとラノベとどんな関係が――まさか!?」
学年主任「編集もある作家にはSF書かせて、別の作家にはファンタジー書かせると」
学年主任「当たれば万々歳、外れればはい残念サヨウナラ、と」
学年主任「それぞれの作家さんの得意なジャンルへ割り振る――みたいな事は言ってますけどね」
学年主任「またあっちも商売ですから。『テンプレ的な展開入れとけば売れるんだろう』って編集も結構居ます」
学年主任「てか、常識的な話。作家になれるぐらい文章書いている人達が、素人が『テンプレ多杉www』と判断するのを、良しとする訳もない」
学年主任「そもそも編集が売れる・売れない作品を選別できるんだったら、最初から全て売れる系統の話を書かせられる筈ですから」
銀時「そっちもバクチだよなぁ」
学年主任「商売ですからね、どっちとも」
学年主任「しょーもない話書かされて、ヒロインに幼馴染みと金髪ツインテとフェミニスト要員を揃えさせられるぐらいにテンプレな話、結構あるでしょう?」
新八「フェミニストじゃないですけどね。ペド向けですよね」
学年主任「まぁまぁここでエロゲーの話になってくるんですが、あれも『ゲームの方向性』がありますよね?」
学年主任「王道的な恋愛モノか、オークが出るモノか、フェミニストが喜びそうなモノか」
新八「後ろ二つに市民権はないですよね?ある意味同種族ですけど」
学年主任「『このキャラ要るか!?』みたいなの。制作の支持で取り敢えず入れといたのはいいけど、人気は全然ないみたいな」
学年主任「そういった『縛り』がない――ほら、良くファンディスクでヒロインに抜擢されるような、濃いキャラ居ますよね?」
学年主任「アレも大体は『最初、ライターさんの構想ではヒロインだったんだけど、泣く泣く脇キャラに降格させられた』ってのが結構、はい」
学年主任「その反対に『コイツヒロインの一人なのに物語の根幹と全然関係ねー!?』ってのも」
新八「あー、言われてみればそういう不自然なキャラ居ますよね」
新八「一周目クリアして、ある程度のオチが分かった後、その子のルートに入ってみたら関係ない話を展開していたりと」
新八「SFモノの筈が、幼馴染みルートだけ三角関係に突入して訳分からない事になった話も」
学年主任「ライターさんが分業制になっていますから、その影響もあるんでしょうがね」
学年主任「あと同人誌やってる人なら分かるでしょうけど、在庫管理もなくちゃいけませんから」
学年主任「知り合いの上司が印刷屋さんに騙されて、100部ハケるかどうか怪しいのに、1000部刷ってご覧の有様に」
学年主任「ウチのアパートに数百部、数年前から積んでる状態です」
新八「それ古紙回収に出した方が良いんじゃ……?」
学年主任「どうしてもやりたい場合は、同人ゲームでダウンロード販売から始めるのが、一番真っ当な方法だと思います」
学年主任「現物抱えたりしませんし、違法ダウンロードはバグ仕込んでバージョンアップで対応出来ますから」
銀時「同人つったって売れんのかよ?」
学年主任「そればっかりは運次第としか。先も言ったように原画家さんの一点特化で売れる場合もありますし、逆に失敗もします」
学年主任「……ただ個人的な感想ですが、某鴨川ジムのオーナーさんが仰ってたように」
学年主任「『努力した者が必ず成功するとは限らない。しかし成功した者は必ず努力している』の言葉の通り」
学年主任「片手間で書いた小説、片手間で作ったゲームが売れるのはほぼ絶対に有り得ない」
学年主任「例えばおバカキャラで売ってる芸能人も、構成作家の書いた脚本を丸暗記してナンボですから、勉強が出来ない訳ではないでしょう」
学年主任「ある程度成功してしまうと、世間様とのギャップに耐えきれず、政治的な発言をして無知を晒してしまう芸人さんとか居ますがね」
銀時「そうだよぱっつぁん、人生一発逆転なんて甘い考え持っちゃいけねぇだろ」
新八「最初に楽して儲けよう、的なの言ったの銀さんですよね?」
学年主任「んー……まぁでもそんなに悲観する事もないと思いますよ」
銀時「散々業界批判としてそれ言うか?」
学年主任「あぁいやそうじゃなく。えっと『定番』、あるじゃないですか?キャラ的にも、みたいなの」
新八「幼馴染み、金髪ツインテール、ロリキャラ、みたいなのですか?」
学年主任「でも、定番は繰り返してる内に飽きられてくるんですよ。どうやったって」
学年主任「なんて言うんですかね、こう、四次元殺法コンピのコピペでこんなん↓があります」
r ‐、
| ○ | r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧l☆│∧ 良い子の諸君!
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、 l
|ヽ ~~⌒γ ⌒ ) r'⌒ `!´ `⌒) よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ ⌒~~ / 「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' | 大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ
│ /───| | |/ | l ト、 | 王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は
| irー-、 ー ,} | / i 作れないぞ!
| / `X´ ヽ / 入 |
学年主任「結局、読むのも遊ぶのも一般人ですから、感性が近い人間が作った方が良い――と、いう『意見』もあります」
銀時「待て待て、それだったらニートが作ったゲームがものっそい売れるっつー結論になんねぇか?」
学年主任「逆に聞きますけど、過去の作家さん達は『ものっそい本を読んで』いますよね?それがゲームになっただけですから」
新八「暴論に聞こえますけどねー」
学年主任「勿論、物語を作るのにでも、ゲーム以外でも経験値を得られますからね。あくまで例えに過ぎませんが」
学年主任「また思った事をそのまま文章に出来る、ってのも慣れが必要ですし、何とも言えません」
学年主任「『ユーザー』としての意見を熟知している新八君であれば、『あのシステム、要らなくね?』みたいなのありますよね?話の流れでも良いですけど」
学年主任「そこら辺を上手くやれば、チャンスはあると思います」
新八「僕達が不満に思った点を改善する、みたいな感じで?」
学年主任「ある程度は定番を抑えた上、借金せずにやってみるのは良いと思いますよ」
銀時「……そうか、分かったぜ!」
学年主任「お役に立てて良かったです」
銀時「で、今からちっと制作予算増やしてくっから、金貸してくんない?」
学年主任「だから借金すんなっつってるでしょうが」
――数日後
銀時「作ってみた」
学年主任「早っ!?つーか小学校の昼休みに持って来るようなブツじゃない!」
新八「姉上のダークマターもどうぞ」
学年主任「死ねっってんのか?これどう見ても人の食いもので許される黒さじゃねぇよな?あ?」
銀時「いやだからアドバイザーである主任さんに見て欲しくってだな」
学年主任「この短期間で作ったのはスゲーけどさ、だから別に持ってこなくっても」
銀時「取り敢えず企画書と簡単な仮組み作ってきた」
学年主任「……素人意見で良かったら良いんだけどさ。えっと、何々――?」
学年主任「『主人公はうだつの上がらない警察官、しかし裏では悪人をばっさばっさ斬る……』?」
銀時「俺らどうやっても絵とか詳しくないし、鯱が書いてくれるっつーけど、あんま人任せにするのも良くねぇ」
新八「だからシナリオを面白くする事で、ユーザーの支持を得ようと思ったんです!」
学年主任「ふーん?いいじゃない、真っ当な発想だし」
学年主任「なんかこう、とても悪いフラグ抱えてる気もするけど、まぁそれで?」
銀時「でもただ斬るだけじゃなく、そこは少年漫画の王道を取り入れてみた」
銀時「強い的にはクロス的なものを着て戦う感じで!」
学年主任「クロス……?あぁ聖闘士星矢の。つーかATOK2014で一発で変換出来てビビったけどさ」
学年主任「仮面ライダーも気がつけば定番になってんもんね」
新八「よくある定番ものと違って、戦闘描写も含めたノベルチックな方面で攻めたいと思います」
学年主任「……あぁ真面目に考えてんだね。いいよ、それだったら応援しようって気になるもの」
学年主任「でもさ、さっきからスッゲー気になってんだけどさ。企画書のタイトルにある、多分ゲームの名前なんだよね?」
学年主任「これ、良かったら声を出して読んで貰えないかな?」
『装甲悪鬼八正』
銀時「『そうこうあっきパチまさ』」
学年主任「パクりじゃねぇか!?ニトロプラスの有名な鬱ゲー&陰惨ゲーのな!」
学年主任「グラフィックと戦闘描写とエグいグロい容赦ないと三拍子揃いすぎたシナリオは、一回やっとくべきだけども!」
銀時「え、そうなん?気づかなかったたー、俺超分かんなかったわー」
学年主任「つーかパクるにしてももっと他にあっただろ!?俺、このゲーム予備知識無しでやって、二週間ぐらい鬱になったんだぞ!」
新八「えぇまぁ、中尉さんなんかトラウマ量産機ですもんね」
学年主任「精神的にはアイタタタ!的なキワモノ揃いの中ですら、頭飛び抜けてアレなのは中尉さんだからね」
学年主任「なんつーか物理的に『どういう事!?』みたいな!ファンディスクでも『なんであぁなったの?』って謎は解明されてないし!」
学年主任「そりゃ屋敷の人らビビるわ!てかまぁ手段はどうあれ俺は獅子咆に共感してるし!」
銀時「……まぁ待て待てハゲ王子」
学年主任「違うよね?それ確かどっかの天人ノバカ王子の事だよね?」
学年主任「つーかテメー、こっちが善意で見てるのにハゲってどういう事?」
銀時「ウダウダ言ってんじゃねぇよ!タイトルがどうした!?」
銀時「大切なのはなぁ、中身だ、中身!少しぐらい他と被ってるからって、それがどうしたってんだ!」
学年主任「何かテンションで誤魔化そうとしてのバレッバレだけどさ。そのタイトルが酷似してるっつー話だろ」
学年主任「……まぁ、確かに言ってる事は間違いじゃないけどね」
学年主任「『ナニコレ?』みたいなゲームであっても、いざ体験版やったら面白いってのはあるし」
新八「逆に銃騎士みたいなのもありますよねっ!」
学年主任「あれなぁ……体験版やってりゃ地雷だって分かるだろうに、どうして買う人居るの……?」
学年主任「ま、まぁまぁとにかくパイロット版あるの?あるんだったら、やってみようじゃない」
学年主任「タイトルの名前被りだって、パープルソフトウェアの『あると』とオービット(※CLOVER)の『きると』が誤差三ヶ月で出た例だってあるし!」
学年主任「もしかしたら全然別かもしんないじゃない、うんっ」
学年主任「えっと……あぁノーパソで起動するんだ」 ピッ
――鬼に逢うては鬼を斬る
――仏に逢うては仏を斬る
――ツルギの理ここにあり――
――善悪相殺
――装甲悪鬼 八正
学年主任「ダメだよね?まずタイトル画面へ入るまで、オリジナルの部分が『八』しかないんだけど」
銀時「まぁまぁやってみろよ。本編はスゲーから」
銀時「なんつってもフルボイスだしな!」
学年主任「そうなの?まぁ、それもウリっちゃウリになるか」
新八「暇そうな知り合いに声をかけてみたら、みんな意外にノリノリで」
学年主任「あー、坂田君たち対人関係は幅広いもんね。良い事だよ」
――プロローグ
男A『あーぁ、ちぃと飲み過ぎちまったよ。いかんね、こりゃ』
男B『だぁなぁ、酒でも飲んでないとやってらんないっつーの』
男B『六波羅だかなんだか知らねぇが、俺達は日本人だっつーの!』
男A『そーだよ!何が――』
トンッ
?『……』
男A『あぁ?何だお前?道の真ん中に立ってんじゃねぇぞコラ、あぁ?』
男B『よしなって!今のはこっちが悪ぃだろ』
?『……』
男B『悪ぃね、お武家様。それじゃごめんなすっ――』
ザシュッ……!
男B『あ、が……?』
男A『おぉぅい!何寝てんだよぅ、ここはテメーの汚い長屋じゃねーんだぞ、あ?』
男A『――てかお前何やってんの?つーか何やってんの?』
男A『首と胴がお別れしてんだけど、何かのギャグ?あはっ、あはははは――』
グシャアアッ……!
男A『あばっ、ばばばばば!?』
男A『テメ……なに、を……?』
?『天に朧月、地に血袋』
?『……下郎の血でも剣に映える、か』
学年主任「……いいじゃない。これだよ、これ!こういう展開!」
学年主任「ラノベじゃまぁまぁ見る話だけど、導入としちゃいいんじゃないかな!」
銀時「だろ?俺の言った通りだって」
学年主任「いやごめん、ぶっちゃけ何かしょーもないネタでも仕込んでるのかって疑ってた」
新八「まぁまだ序盤ですけどね」
学年主任「いやまぁこの調子でいけば、まぁまぁ予想は出来るし」
学年主任「『犯人誰なんだろう!?』みたいなので引っ張りつつ、主人公に感情移入させるんでしょ?」
学年主任「『あ、この人が犯人なの!?』みたいな度肝を抜くビックリがあるんだよねー、それだったらいいかも」
銀時「そいつぁゲームを進めてからお楽しみって事で」
学年主任「そっかー、じゃ続けるね」
――翌日 警察署
近藤『――クソ!一体どうなってやがる?!見回りの隊士は何やってんだ!』
沖田『……すいやせん近藤さん。昨日は土方さんの当番だったんですが』
沖田『朝まで駆け回ってたんで、今ぁ眠ってる筈でさぁ』
近藤『そうか……トシの当番だったか』
沖田『へぇ、何故か土方さんが当番の夜にばっか、決まって辻斬りの奴が出やがるなんて!』
沖田『まるで辻斬りが土方さんみてーじゃないですかぃ!そんな事ぁ有り得ねぇですけど!』
近藤『そうだな!まるでトシが犯人っぽいけど、そんな事がある筈ないよな!』
学年主任「……あの、坂田君?会話、ちょっとぎこちなくないかな?」
学年主任「なんつーか不自然って言うか、ね。うん」
銀時「あぁ部長の頭髪よりかナチュラルじゃねーかなぁ?」
学年主任「坂田君、そろそろ校長狙うの止めよう?サッカーのギリシャ代表張りにマーク激しいよね?」
学年主任「確かにアレはナチュラルってよりかは、コーディネーターだけど、触れる必要ないじゃない?」
学年主任「こないだ資料でSEEDの円盤借りて見直したんだけどさ」
学年主任「明らかに『コイツの両親、どうして顔のコーディネイトはしてあげなかったの?虐待?』的なオッサン出てくるけど、まぁそれは関係ないじゃない」
新八「アデス艦長の悪口は止めてください!立派な軍人だったじゃないですか!」
学年主任「非武装地帯のコロニーに突貫、大破させるなんて軍人以前の大失態じゃねぇか」
学年主任「挙げ句、アークエンジェルに固執してダガー量産されてるし」
学年主任「そもそも中立謳って片方に味方するのは当たり前の話、そっちを外交で押さえられなかった時点でザフトの失敗だっつーの」
学年主任「後々の事考えると、ヘリオポリス墜とした『名声』がブルーコスモスの正当性を裏付けた訳で」
学年主任「戦争は『国際的紛争を解決する手段の一つ』であり、外交政策や平和条約とそんなに変わりはないんだし」
銀時「それはそうと主任のケンプファー・アメイジングがだな」
学年主任「つけてねーよ、つーかアレだったらゲルググ行って欲しかったよ!」
学年主任「シャアシリーズの在庫ハケさすのに出したと思ったら、次からは人気のモデルに乗り換えるってどういう事?」
学年主任「……いやだから、そういう話じゃなくって」
学年主任「伏線にしたって、これあからさますぎないかな?つーか、別に警察の人らに言わせる必要なくないかな?」
学年主任「確かにこの、土方さん?って人が犯人だとしても、そこは主人公が調べている内に判明する、みたいなさ」
銀時「何言ってんだよ。主人公出てるじゃねぇか」
学年主任「え、そうなの?もしかしてこの二人のどっちかが、って事?」
銀時「まぁいいからやってみろよ」
学年主任「……やるけどさ、ここまで来ると逆に面白いし」
近藤『お、トシ!もう疲れは取れたのか?』
沖田『の、割には顔色悪いようですかぃ』
土方『……ククク、何言ってんだ総悟。俺はいつもこんな感じだろ?』
沖田『ですよねぇ。土方さんが人斬った日は快調そうですし』
土方『クク、分かってるじゃないか!』
学年主任「……ごめん、帰って貰えないかな?」
銀時「何がだよ!?この完璧なシナリオのどこが悪いっつーんだよ!?」
新八「そうですよ!別に僕らは新撰組の皆さんに悪意とか全然ないですし!」
学年主任「……あのさ、これってさ、ゲームの体裁を取ったネガキャンじゃないよね?」
学年主任「明らかにおまわりさんに喧嘩売ってる気がするんだけど、気のせいかな?」
銀時「大丈夫だっつーのに。この後ちゃんと見せ場はあるから!」
銀時「ゲームする奴がスカっとするようなの、なっ?」
学年主任「スカっとっていうか、俺スッゲーモヤっとしてるんだけど……まぁいいや」
土方『……ゴリに逢うてはゴリを斬り』
土方『ドSに逢うてはドSを斬る……!』
土方『V字カットの理にここにある――!』
ピカーン
近藤『トシ……まさか、お前だったのか!?お前が犯人だなんて!』
沖田『目を覚ましてくだせぇトシ!』
土方『何でお前もトシつってんの?』
土方『てかV字カットの理って何?これ何の話なんだよ?』
土方『何か近藤さんの知り合いの頼みだからやってっけど、これマジで何に使うんだ?』
学年主任「登場人物がツッコミ入れ始めちゃった!?」
銀時「な?斬新だろ?」
学年主任「フリーダムすぎるだろ!?メタにも程があるよ!」
学年主任「い、いや……これは、まぁ、新しいっちゃ新しいのか……?」
学年主任「所謂『第四の壁』破り……アメコミの『デッドプール』ってヴィランが大人気で、スピンオフのゲームとか出てるし」
新八「あぁ多分銀さんは深く考えてないですから、気にしない方が良いですよ?」
学年主任「だよね!分かってたけどさ!」
銀時「まだまだ。俺達の戦いはこれからだぜ!」
学年主任「坂田君それ死亡フラグ」
土方『……まぁそんなこんなでアレコレあって、だ』
土方『――通り魔事件は俺の犯行だったんだよ!』
近藤・沖田『な、なんだってー』
近藤『どうしてだ、トシ!?お前はそんな!そんな事するような奴じゃ無かった筈だ!』
沖田『そうですぜぃ!土方さんはちんかすだけど、そこまでちんかすじゃなかったですぜ!』
土方『近藤さん、総悟……』
土方『……なぁ総悟、お前の台詞そんなんだっけ?俺の台本と違ってんだけど』
沖田『アドリブでさぁ!』
土方『そっかー、アドリブかぁ。じゃあしょうがないよな――」
土方『――アレ?もしかして俺ナメられてねぇかな?』
?『――そこまでだ!』
近藤『だ、誰だっ!?』
?『名乗る程の者では無い!』
土方『あぁ悪ぃ万事屋。いまちっと取り込んでっから後にして』
銀時(?)『いいよ面倒臭ぇ。さっさと終わらせっから』
土方『あぁ?そりゃテメーの都合だろうが。どうしてこっちが合わせてやんなきゃいけねぇんだ?』
銀時『おぉ悪いな。税金ドロボーにゃ良い暇潰しかなって思ったんだが、余計な世話だったか?』
土方『……んだと無職ニート侍が!俺達のどこが税金ドロボーだってんだ!言ってみろ!』
銀時『うるせぇな!新撰組はキャバ嬢をストーキングするゴリラを飼ってるって有名だろうが!』
土方『近藤さあぁぁぁぁぁんっ!?あんたまだそんなんやってんのかよ!?』
近藤『仕方があるまい!この近藤勲、愛に生きる男よ!』
銀時『あ、ごめんな?ゴリラ飼ってるんじゃなくって、むしろそのゴリラがお前らの本体だよな?』
銀時『もう名前変えれば良いじゃん。ゴリ撰組とか、新撰ゴリラとかぴったりだよ』
土方『ゴリ撰組って何?何か昭和のジャニーズっぽいよね?』
土方『あと新撰ゴリラって「新鮮果実!」みたいなフレーズと間違われないかな?』
銀時『じゃもうゴリラ・ゴリラ・ゴリラとかいんじゃね?』
土方『それもう100%ゴリラだよね?余す所なくゴリラ入ってるもんね?』
沖田『いえ土方さんだけちんかすで』
ちんかす『何で俺限定?どうせだったら全員でゴリラでいいじゃない!』
ちんかす『って台本の名前ちんかすになってる!?』
学年主任「……あのさぁ、坂田君ちょっと良いかな?」
銀時「ん?」
学年主任「この体験版、完成してないよね?」
学年主任「てか何となく撮った音声にデタラメにテキストつけただけよな?あ?」
銀時「おっと次でクラマックスだぜ!」
銀時『――鬼に逢うては鬼を斬る』
銀時『――仏に逢うては仏を斬る』
銀時『剣の理ここにあり――!』
ピキーン
銀時『装甲悪鬼八正、推参……!』
土方『……』
銀時『推参ッッッッッ!』
土方『いや、聞こえてる。違う、そうじゃなくて』
銀時『んだよ脚本通りやれよ』
土方『いやそうじゃなくって、お前それ何やってんの?』
銀時『あ?劔冑(ツルギ)まとったに決まってんだろうが!』
土方『違うよな?それ、ツルギじゃなくて、新八のメガネだよね?』
銀時『ん、あぁだから。新八の本体と合体する事によって、八正に変身出来る的な?』
土方『薄っぺらっ!?つーか名前がパチモン臭っ!』
土方『やってる事ウルトラセブ○じゃねーか!』
銀時『いいんだよ!最近の仮面ライダーも果物と合体するんだから!』
土方『つーかさ、台本読んだんだけど、これ「善悪相殺」の呪いがかかってるって設定なんだよな?』
土方『俺斬るのはいいが、お前その後どうするんだ?お前の大事なモンぶっ壊す必要あんだぞ?』
銀時『結野アナのフィギュアをだな』
土方『フザケんな!そんなもんで俺の命が釣り合う訳ねぇだろ!』
銀時『そりゃこっちの台詞だよ!テメーのしみったれたションベンみてーなタマ、結野アナと釣り合う訳ねーだろ!』
土方『誰がしみったれてんだって!?あぁ!?』
沖田『あ、ちんかすさんの足下にションベンしてる犬が』
土方『沖田君は俺の背中撃つの止めて貰えるかな?俺達仲間だよね?仲間だったよね?』
銀時『あ、ちんかんすさんの足下に野グソしているゴリラが』
土方『オイ!誰かこのドSコンビを何とかしてくれ!金なら払うから!』
土方『つーかここにゴリラなんて居る筈ねーだろ』
近藤『ウホッ?』
土方『近藤さん何やってんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
学年主任「大惨事だよね?控えめに言っても駄目過ぎるよな?」
新八「……えぇまぁ、今回はプログラムのテスト――音声とテキストが同期するか、って事なんでここで終わりましたけど」
学年主任「てかまず、君らはテキストを書こう?投げやりじゃなくて、きちんとしたのを」
学年主任「斬新だけで売ろうとしても、普通は頭イタタな人だと思われてスルーされるだけだからね?」
新八「いやあの、徹夜明けのハイテンションって言うか?原稿書いてても、途中からもうどうでも良くなって」
新八「『あぁもう面倒臭ぇー!もうどっなったっていいから出しちめー!』的な」
学年主任「……あー……あるよね、何かテキトーにやったら意外と受けが良い、みたいなの」
新八「だもんで、ここは一つ笑って済ませて貰えば、はい」
学年主任「……いや、笑うも何も、作るのは君らだからいいんですけどね」
学年主任「プレイし終わった後の『時間って貴重なんだよなぁ』って有り難みを思い知るから、ある意味アリなのかも……?」
新八「どうしました?」
学年主任「いやあの、まだ続いてる……?」
――善悪相殺
――善を以て悪を成し、悪を以て善を成す――
――即ち、悪鬼八正――!
――志村家
新八「あれ?僕の家ですね、これ。つーか僕の部屋ですけど」
学年主任「へ-、寺門さんグッズ以外はまともな――て、坂田君と土方さん、映ってるよね」
新八「えぇ、何やってんでしょうね」
銀時『――寺門通フィギュアをぉぉぉぉぉっ』
銀時『うっえっからっ、ドーーーーーーーンっ!!!』 グシュッアッ!
新八「何やってんのオォォォォォォッ!?それ僕の命ィィィィィ!?」
学年主任「あ、土方さんも」
土方『――ながされて藍蘭島のま○姉さんフィギュアをぉぉぉぉぉっ』
土方『うっえっからっ、ドーーーーーーーーーンッ!!!』 グシャッ!
新八「ちょっ!?土方さんまで何やってんのォォォォォォッ!?」
新八「関係ないでしょぉぉぉぉぉがっ!僕メガネしか出てないし!」
学年主任「あー、多分アレじゃないかな?」
学年主任「『善悪相殺』だもんで、取り敢えず大事なもの壊しとけ、みたいな?」
新八「銀さん!聞いてないですよ僕――あ、あれ?居ないな……?」
学年主任「あ、さっきコッソリ出てったみたい」
新八「あのニート侍が!何やってんの!」
学年主任「あ、まだ何かメッセージ出てる」
復讐は――何も生まない
戦いの果てにあるもの、それはきっと更なる戦いに過ぎないだろう
だからこそ復讐の連鎖を今こそ断ち切るんだ!
新八「銀、さん……」
学年主任「新八君騙されないで!?なんかそれっぽい事言ってるけど、要は『ムシャクシャしてやった』ってだけだからね!」
沖田『――でぃーフラグの桜フィギュアを――』
沖田『うっえっからっ、ドーーーーーーーーーーンっ!!!』 グシャアァァッ!
新八「殺してやる!あいつら全員ぶっ殺してやるからな!」
学年主任「てか君、寺門通ファンなんだよね?何か高橋美佳○さんのおっかけみたいになってないかな?」
学年主任「気持ちは痛い程分かるんだけど――って、もう行っちゃったか」
学年主任「……つか、こんなんでゲーム作れんの……?」
――数日後
校長「あ、先生。お友達の方がいらしてますよ?」
学年主任「また!?またあいつら来やがったんですか?」
校長「まぁまぁ。元同僚ですし、あまり邪険にするのも」
学年主任「……まぁ、そうですけど」
校長「応接間に居ますから」
学年主任「はぁ」
――応接間
桂「ずっとスタンバってました」
学年主任「お前もう帰れよォォォォォ!?」
桂「やっぱり俺は湊斗殿とキャラが被っているのがダメなんですか!?堅物天然キャラは二人も要らないんですかっ!」
学年主任「違げぇぇぇぇぇぇよ!どっちも天然だけど、お前は悲壮さが欠片もねぇぇぇぇぇっ!」
エリザベス【マクドナルドのWC出場国ハンバーガーで、日本がメンチカツってバカにしてんのか?あ?】
学年主任「エリザベス君、『ハンバーグのクズ肉を再利用してカツにしたんじゃね?』とか言うの良くないと思うよ?」
桂「ブラジルっぽい料理のアレンジで良いのに、アボカドバーガーから迷走が続いてるよねー」
エリザベス【ビッグブレックファスト見て、「え?残飯?」みたいな】
学年主任「だからもォ帰ればァァァァァァァァァァァァァッ!」
-終-
※続かないよ?
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