ネネ「しんちゃん…あたし、しんちゃんが好きなの」(20)

駄作ですが、昔書いていたものの別verです。

幼い頃から、人気者で
面白くて、楽しくて変態で
年上好きの女好き・・・・・。
それでも、みんな
みんな、あなたが大好きだった。



―――あたしも。



「しんちゃん、あたしね
あたし、・・・・・・


しんちゃんが好きよ?」




狂おしいほどに、好きよ
スキヨスキヨスキヨ・・・・?
好きなのよ、シンチャン?

……言ってしまった。
言ってしまった。
言ってしまったわ!

思っていた以上に、恥ずかしくなる。
でも、彼の奥の瞳に魅入られる。

頬が暑い。
高校を卒業して、しんちゃんはグッと
身長も伸びて大人っぽくなった。
グリグリいがぐり頭も、今や髪の毛は伸びて、青少年。
そんな、しんちゃんを周りの女の子たちが放っておくわけもなく、
しんちゃんの周りには、女の子たちが沢山いた。


・・でも。

しんちゃんは誰とも付き合わなかった。
誰の告白にも、応じなかった。

そうなの。誰も、付き合わなかった。
あたしだけは特別だった。



・・・そう、特別なのよ、
私は。


だって、あたしは、かすかべ防衛隊のマドンナだもの。
あたしは、しんちゃんを、誰よりも傍で見てきたんだから。
すっと、ずっと・・・




ね?
ねぇ、あたしのことを…好きだよね?
しんちゃん…。

長い長い、間をおいて、
しんちゃんはニッと元気よく笑った。


「改まって、どうしたんだゾ!


オラも、ネネちゃんを好きに決まってるゾ!
なんたって、かすかべ防衛隊の仲間だもん」


え・・・・?



「・・どういう、こと・・?」



・・・・・そっち?
そっちの意味に捉えるの・・・?
あたしの、好きとは、一緒じゃ、ないの?


「オラ、ネネちゃんと友達になれて良かったゾ」



そう、微笑む彼の眼差しは
あたしが期待していたものじゃなくて。

「しんさまぁ!」
「お、ちょっと待ってて、あい。
すぐに行くから」



・・・・あたしには、見せない
彼の笑顔。守るような手、
あたしが、期待していて、欲しかった暖かい眼差し。



・・・ねえ、それは、ずっと、あたしだけのものだったでしょう?
あたしだけの、ものだったじゃないの?




ねえ・・・・?
・・・・・・・・・ねえ?

ドスッ。
ドスッ。
ドスッ。



鈍い音が、室内に鳴り響く。
もう、何時間経ったのだろうか。
暗闇のそこでは、何も見えない。


「ネネちゃん・・・」


いつの間にかやってきていた、おにぎりが震えている。
こいつも、見かけはおにぎり頭ではなくなったものの、
弱虫なところは変わっていない。
おにぎり頭と呼ばれることに、コンプレックスでもあったのだろう。
いまや、茶髪にロングのチャラ男へと進化した。
中身は変わらずとも、見かけは大変身。


そのいがぐり頭をなつかしく思うとともに、
なぜだろうか。
少しだけ、あのころに戻りたいと思った。

「もう、やめようよ・・・こんなこと」
「こんなことって、・・・・・なにがぁ? 

うるさいわよ、おにぎり!」


そういうや否や、おにぎりは泣き出した。
ほんっと! 見かけだけね・・・・。
あたしは、ため息をつく。


「泣くんじゃないわよ!!
ほんと、泣き虫なのは変わってないわね! 
まったく!!」



仕方がないので、ハンカチを渡すと
「ありがとう、ネネちゃん」と震える手で、
彼は、ハンカチを受け取る。
そして、彼は、あたしを強く引き寄せた。



「ネネちゃんは、可愛い!
そして、ネネちゃんは優しくて強くてカッコイイんだよ!

ぼくは、ずっとそんなネネちゃんを見てたんだ!!」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら
顔を真っ赤にさせて、鼻息を荒くして
力説するマサオくんに、思わず苦笑いをした。
女の子に、カッコイイって・・・・・どゆこと?
意味分からない。


「ぼくは、ネネちゃんが好きだ!
だからもう、こんなネネちゃんを見るのは
たえられない!

やめてネネちゃん!!!
しんちゃんを解放してあげてネネちゃん!」









「却・下よ」



泣きそうな、元おにぎり頭を思い出して
あたしは、思わずニタリと笑う。




そして、あたしの髪の毛と同じように
赤く染まった、あたしだけが、見ている彼を、
見て、あたしは、包丁を突き刺した。




「ね・・ねね、ちゃん・・」
「・・・・うる、さいわよ、
おにぎり頭」



(おにぎり頭のくせに、言うじゃない)



あんたを好きになれば、良かったかしら?
泣き喚く顔が、昔から全然変わってない。
ドジでマヌケで泣き虫で、女の子扱いも下手くそだし、
見かけだけチャラ男だけど、




いつも真っ直ぐだった。
それでも、少しだけ、
ほんの少しだけ。
さっきまでの憎しみでいっぱいだった心が楽になっている、
あたしがいた。





(ああ・・・今日のママのご飯は
なんだったのかしら・・・・)





もう、なにも、見えない。




「ネネちゃん。おらも、ネネちゃんが大好きだぞ」
「じゃあ、あの子の好きはなんなのよ」
「あたしは、マドンナよ! かすかべ防衛隊のマドンナなのよ!!」
「あたしが愛されないわけがないじゃない!」
「あたしが、みんなから愛されないなんておかしいわ!」
「ネネちゃん・・!」
「あたしは、ずっとみてたのよ! ずっとずっとずっとずっと
ねえ、しんちゃん。だから、あたしだけを見て?」 


ドスドスドスッッ!!



「あたしも、あなただけしか見ないから


永遠に、ね?」

久しぶりにクレしんSSでした。
ほんとは、かわいいあいちゃんを書きたいのですが
なかなか思いつきません。

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