主人「お、おう」
メイド「それは承諾という意味でよろしいのですね!?」
主人「いや…」
メイド「そんなぁ!私の心をもてあそんだ上にお捨てになるなんて!」
主人「弄んでもないし捨ててもないぞ」
メイド「よよよ…こんな年増などご主人様はお嫌いですよね…」
主人「三十路だっけ」
メイド「まだ二十台です!」
主人「アラサーか」
メイド「アラサーじゃないです!」
主人「メイドさん、アラサーはアラウンドサーティの略だよ」
メイド「アラウンドじゃありません!!」
主人「あれ?じゃあちょっと執事さんに頼んでこの屋敷の使用人名簿を…」
メイド「に、にじゅう…ゴニョゴニョ…デス」
主人「それはアラウンド」
メイド「きぃーっ!!」
主人「外見からは年齢が分かりにくいんだよね、全然変わらないから」
メイド「そ、それって…」
主人「まあいいや、それでどうして俺なの」
メイド「そ、そろそろ、結婚、したいかなぁーって…」
主人「彼氏いたでしょ」
メイド「六年前からいないです!」
主人「僕が小学校のときだから…メイドさん高校生だっけ?あの時彼氏できたーって舞い上がってたじゃん」
メイド「そ、そんなに喜んでません!」
主人「僕が泣きたくなるくらい喜んでたよ」
メイド「…?」
主人「で、その彼氏とはなんで別れたの」
メイド「六年前に分かれたのとは別の人です」
主人「聞きたくなかった」
メイド「その…高校デビューして、彼氏作ったんですけど…」
メイド「その人、ポイ捨て…してて、それで冷めて…」
主人「真面目だね」
メイド「でなければこんな事になってませんわ」
主人「こんな事?メイドさん、僕に求婚することはこんな事なの…?」
メイド「細かい人は嫌われますわ」
主人「いやいや」
ピピピピ・・・
主人「おっと、もう行かないと」
主人「…つづき、後で聞かせてもらうからね」
メイド「はい…」
主人「それじゃ」
メイド「はい、行ってらっしゃいませご主人様」
メイド「あっ」
主人「ん?」
メイド「はやく戻ってきてくださいね、ご主人様」ニコッ
主人「…まったく、そういうところが…まったく…」バタン
主人「ごちそうさま」
メイド「いかがでしたか?」
主人「今日も美味しかったよ」
メイド「本当ですか?女子力アップのために練習したかいがありましたわ」
主人「女子力って言葉がすでにアラサーくさい」
メイド「……」ズーン
主人「いやごめん本当ごめん」
主人「メイドさんの料理は昔から変わらないよ」
メイド「それは、昔から美味しかったと?」
主人「ああ。今も昔も、ずっと美味しかった」
主人「女子力とか関係なく」
メイド「ありがとう、ございます」
主人「さ、それでその後高校生活はどうなったの」
メイド「高校生のうちは彼氏作らない!とか言って適当な同好会に…」
主人「もしかして彼氏持ちは滅びろとか言ってなかった?」
メイド「…ええ」
主人「うっわ!」
メイド「!?」
主人「うっわ!うっわ!元彼氏持ちが!?その顔で言うの!?」
メイド「褒めてるのかけなしてるのかどっちなんですか!?」
メイド「褒めてるのかけなしてるのかどっちなんですか!?」
主人「絶対嫌われてただろ」
メイド「ええ、まあ…」
主人「嫌味にも程があるな…」
メイド「そういう性格なのがいい!とか言って告白してくる生徒もおりましたわ」
主人「そりゃ可愛けりゃほっとかないだろうな」
メイド「か、可愛いだなんて」
主人「昔は、ね」
メイド「ひどいです」シクシク
主人「嘘泣きはやめようか?それで?」
メイド「僕だけは分かってあげる、的な態度が伝わってきたので断りましたわ」
主人「きっついなぁ」
メイド「3人くらいおりましたわ」
主人「それも知りたくなかった」
メイド「というわけでご主人様!私と結婚してください」
主人「なんで」
メイド「ご主人様だけは私のことを分かってくださるから、ですわ!」
主人「メイドさんの男性遍歴をついさっきまで知らなかったんだけど」
メイド「こ、これから…きっと分かっていただけます!」
主人「はぁ…わかったよ、とりあえず洗いざらい吐いてもらおう」
主人「大学行ってただろ大学、そこではどうだったんだ」
主人「学生のうちなら相手の年収とか関係ないでしょ」
メイド「ええ、まぁ……」
メイド「大学ではおとなしめの格好をするとおとなしい人にもてると聞きました」
主人「それで髪の毛を…えっと、なんだっけ、なんとかパーマにするのやめたんだな」
メイド「気づいてらしたんですか?」
主人「まあね」
メイド「……そうですか」
メイド「……ふふ」
メイド「んんっ…それで、狙い通り大人しそうな彼氏ができました」
主人「おお、よかったね」
メイド「でも!あの人半年していきなりホテル行きたいとか言い出して!」
主人「そりゃ普通だろ」
メイド「婚前交渉なんてもっての外ですわ!」
主人「中世か!」
メイド「手を繋ぐ以上は将来を誓い合った人でないと」
主人「いったい何処の時代に暮らしてるの?メイドさん」
メイド「現代です!」
主人「わかっとるわ!」
メイド「でも、メールは一日二桁送ってましたから、愛情は伝わっていたはずです!」
主人「何?じゃあメイドさんは手までしか許さず、そのくせメールだけはしつこく送りつけてたわけ?」
メイド「はい!」
主人「かわいそうに…」
メイド「悲しいことに、彼氏のほうから別れを切り出されましたわ」
メイド「『美人だけど遊ばれているようにしか思えない』って…」
主人「かわいそうに…」
メイド「かわいそう?ご主人様は私の純潔が守られていた事をかわいそうと仰るのですか?」
主人「あーはいはい細かい人は嫌われる細かい人は嫌われる」
メイド「ふんっ!」
主人「アラサーがふんっとか言わないでくださいよ」
メイド「……」シクシク
主人「それでどうなったの?流石にそこまで行けば婚前交渉禁止とかやめようと思うでしょ」
メイド「はい…えっぐ、ぐすっ…づぎ、つぎの彼氏は…ひっく、応じてあげようど…おも、思って…」ポロポロ
メイド「でも、次の人ばおぐ、奥で、奥手っずぎでっ、自然じょ…じぜんっ、消滅…しちゃっで…」ポロポロ
メイド「その次をさがそ、ざがそうがどっ、がんばっだんです」ポロポロ
主人「…失敗したんだな」
メイド「…選り好み、してました」ポロポロ
主人「え?」
メイド「…選り好み!じでまじだ!!!!」ウェーン
メイド「だって!ヒック、グスッ初めての人と!エグッ結婚したかったんだもん!グスッ」ウェーン
主人「昔の少女漫画か!」
メイド「いいじゃないですか!私はこんなに綺麗なんだがらあ!」
主人「お、おう……」
主人「ま、まあ変に謙遜しないのはいい事だな……」
主人「で、そんなに選り好みするのにどうしてポンポン付き合うんだ?」
メイド「だって!そうしなきゃ結婚できないんだもん!」ウェーン
主人「…高校生のときからそんなこと考えてたの?」
メイド「将来は!立派なお嫁さんになるのが夢だったんだもん!」ウェーン
主人「……」
主人「相手は誰でも良かったの?」
メイド「やだぁ!立派な人じゃないとやだぁ!」ウェーン
主人「めんどくせぇ…」
メイド「でも!ご主人様お金持ちだし!お金持ちだし!何よりお金持ちだし!」
主人「親がね」
メイド「それに…結構、好きだし…」ボソボソ
主人「…卑怯者」
主人「はあ・・・昔は可愛かったんだよ、メイドさん」カタカタ
主人「まあ今もあんまり変わらないけどさ…むしろ綺麗になってるけどさ」カタカタ
『En colonne, couvrez!』
主人「恋をすると綺麗になるってやつかね、結構ショックだよなあ…」カタカタ
『Coude a coude a droite, alignement!!』
主人「でもスペック高いんだよな、あの人」
主人「料理掃除洗濯家事全般できるし綺麗だし全然劣化しないし」
『Fixe!!』
主人「・・・あれ?やばいかも」
『Rompez les rangs!』
主人「あと笑顔がいい」ターン
『Portez… Armes!』
主人「まずいなあ、非常にまずい」
主人「そうだよ、メイドさんの料理スキルとか家事スキルを見せれば完璧じゃん」
主人「どうして見せなかったの?」
メイド「だって・・・私、住み込みですから」
主人「え?だってメイドさんの実家がここの近くに」
メイド「ここが私のお家ですので!!」
主人「なら相手の家でもいいじゃん」
メイド「そんな!そんな事したらなし崩し的になりますわ!」
主人「喜んでいいのか悪いのか…」
メイド「ですからご主人様!養ってください!」
主人「まあ、確かにそれだけスキルがあれば養われる側だろうなあ」
メイド「やった!」
主人「年甲斐もなく飛び跳ねないでくださいよ」
メイド「・・・・・・」ズーン
主人「冗談ですごめんなさい」
主人『で、そんな感じなんですよ』
『はー、まったく貴殿もメイドさんメイドさん飽きないでござるな』
主人『それ以外の話もしてますよ』
『まったく!そんな話を聞かされるこっちの身にもなってくだされ』
『貴殿に同じ帝国軍人として聞こう、実際悪い気はしないというか、好きなのでござろう?』
主人『そんなことは・・・ない・・・はずです』
『腸詰め食いとイワンの馬鹿めを大陸軍の総力を持って叩き潰すのとどちらが好きかな?』
主人『……』
『我らの兵士が好きなのは?』
主人『玉ねぎに塩をかけたやつ』
『で、実際のところは?』
主人『……Je ne parlerai qu'en pr??sence de mon avocatJe ne parlerai qu'en pr??sence de mon avocat』
『おやおや、辞書の例文を読み上げて逃げるのはいけませんぞ』
『しかし綺麗なのであらば世の中の男どもが放っておくわけないでござる』
『恋人ができててしかるべきではございませぬかな』
主人『ええ、それは理解しているのですが』
『我らがナポレオンも年上のジョセフィーヌと結婚したのですぞ、これからはルネッサンスよりもさらに頭を新しくするべきではござらぬか』
主人『……』
『おっと!少々演説が過ぎたようでござるな…しかし同胞よ、貴殿の直感に従うべきであると拙者は思うのでござる』
『ああ、余計なお世話であれば謝りまする…くっ、早とちりをしてしまったようでござるな!失敬!ドビュッシー』
主人『……閣下、ドビュッシーは三世よりも後ですよ』
メイド「ご主人様の許婚?」
使用人「そうよ、もう破談したらしいけどね」
メイド「そうですか・・・」ホッ
使用人「あんた、なんでホッとしてるのよ」
メイド「だって私のご主人様が・・・」
使用人「過保護ねえ」
メイド「どういう事ですか!」バンッ
主人「うぉ!?なんだいきなり」
メイド「許婚だなんて!」
主人「決めたのは親だけどな」
メイド「で、でも!黙っていたのはひどいです!」
主人「メイドさんだって俺に彼氏が居たのを教えてくれなかったでしょ?」
メイド「そ、それはその・・・」
主人「ま、結局縁談は破談になったんだ、何もやましいところはないぞ」
メイド「ち、ちなみにどうして破談に?」
主人「結構前から決まってたらしいんだけどね、相手に将来を誓った恋人が居たらしくてね」
メイド「ご主人様は、その、お嫌ではないのですか?」
主人「嫌?何が?だってわざわざ二人の仲を引き裂く必要もないだろ」
主人「それにお互い何人か付き合った相手も居たわけだしね」
主人「お互いの親が酔っ払った口約束で決めたうえに忘れてたらしい」
主人「まー本当に重要な約束だったらどっちの親も子供が付き合いだした時点で止めてたはずだし」
メイド「何人か・・・付き合った・・・?それ、どういうことですか?」
主人「あっやべ」
主人「そりゃ、僕にも彼女はいた」
メイド「私に教えてくださっても・・・」
主人「君だって教えてくれなかっただろ!」
メイド「それは・・・」
主人「メイドさんが僕に教える義務がないように、僕にも教える義務はないよ」
メイド「・・・そうですね、ごめんなさい」
主人「うーん、でもどうして僕、あの時メイドさんに黙ってたんだろ?」
主人「そりゃ教える義務はないけど、小さいころからずっと僕の面倒を見てくれてたわけだしなあ」
主人「メイドさんが僕に黙ってたから?いや、黙ってたわけではないか・・・」
主人「悔しかったのかね」
『それは嫉妬でござるな!』
『ジュテームでござる!ジュテームでござる!』
主人『そんな高尚なものでは…』
『舶来の単語が高尚と思い込んではいけませぬぞ!貴殿のように昔の人間も嫉妬に身を焦がしたのでござるよ、重いものから軽いものまで』
主人『では、自分はどうすれば』
『んんwww貴殿はもはや幼年学校の小僧ではないのでござるからしてwww』
『Vive la patrie!』ドビュッシー
主人「……だんだん聞くのが辛くなってきたぞ」
メイド「ご主人様にすべてをお話しするのは私の義務ですわ」
メイド「以前、ご主人様は私がまったく変わっていないと仰いましたね」
主人「そうだな」
メイド「でも、自分のことはわたしが一番わかっております・・・特に外見については」
メイド「外見はどんどん変わっていくのに、私の中身だけが取り残されていくのです」
メイド「ご主人様もほかの使用人の方もやさしいし、生活に不満も不安もないし、ここはとても居心地がいい場所です」
メイド「でも外見は・・・ふふ、ご主人様がお優しいのか鈍感なのかは分かりませんが、ほら、現に私のお肌は」
主人「もういい」
メイド「・・・・・・」
主人「メイドさんは底抜けに明るいのに落ち着いたところがあって、それで笑顔がすごく良くて、それがいいんだ」
主人「綺麗な人は綺麗な年のとり方をするって聞いたから、メイドさんだってきっときれいに年をとるはずだ」
主人「そうでなくても・・・その、僕が綺麗に、年をとらせてみせるから」
メイド「年をとらせてみせるって…喜んでいいのやら・・・」
メイド「・・・・・・でも、ありがとうございます」
メイド「綺麗に年を重ねられるようにがんばります!」
主人「・・・ああ」
メイド「で、『綺麗な』あなたのメイドがその後どういう生活をしていたか興味ありませんか?」
主人「ま、まあな」
メイド「大学出て、それで女子力を身につけようと思いました」
主人「ふむふむ」
メイド「ネイルアートとかヨガは独りよがりだと聞いてやめました!」
主人「ほうほう」
メイド「大企業の社長とかと知り合いになれるんじゃないかと思って都内の料理教室に通いました!」
主人「・・・・・・」ドンビキ
メイド「ご主人様だってサークルを女の子がいるかいないかで決めてましたよね?お見通しですよ!」
主人「・・・続けて」
メイド「おばあさんとおじいさんだけでしたわ!」
主人「・・・・・・」ホッ
メイド「お友達になりましたわ!」
主人「すげえコミュ力」
主人「じゃあ料理教室はあきらめた訳か」
主人「それ以外には?」
メイド「めんどくさくなってやめましたわ」
主人「え?」
メイド「だから!結婚相手探すのがめんどくさくなったんです!!!」ガタン
メイド「料理教室のお友達にも人生は長いって諭されたし・・・」
メイド「相手は直感で分かるって・・・」チラチラ
主人「・・・・・・」
メイド「あ!目を逸らした!」
主人「うるさい!」
メイド「今度はご主人様の番ですわ」
主人「そう言われても何を話せばいいのやら」
メイド「・・・ちなみに、今まで何人と?」
主人「・・・人並みってことにしておいてくれ」
メイド「むうーっ」
主人「・・・メイドさんに彼氏ができた腹いせに付き合ったのが一人、そのあと一人」
主人「それだけだ、それだけ」
メイド「え?小学生で?」
主人「さすがにそこまでませてない」
メイド「ん、腹いせ、とは?」
主人「・・・初恋、だったんだよ」
メイド「え?どなたがですか?」
主人「だからメイドさんがだよ!」
メイド「えっ・・・えっと・・・そのっ・・・」
主人「あーもう恥ずかしい・・・」
主人「結局腹いせは腹いせだったし、長くは続かなかったけどね」
メイド「・・・・・・」
メイド「あれは、一過性のものだと思ってました」
主人「何が?」
メイド「ほら、昔ご主人様がちっちゃかったころメイドさんだいすきーだい
主人「忘れてくれ」
主人「はあ、あの時はアピールしてたつもりだったんだよ」
メイド「それは申し訳ありません・・・ですが」
メイド「・・・仮に大学生のご主人様が小学生の私に大好きって言われたとして、どうします?」
主人「それはもちろん付きあ
メイド「・・・・・・」ジトッ
主人「・・・冗談だよ、確かに子供の考えることだ、って思うのは仕方ないな」
メイド「そういう事ですわ」
メイド「でも、確かにかなり心を動かされたことは事実です」
メイド「だってご主人様を受け入れれば将来安泰だし浮気も多分しないし将来安泰だし」
主人「・・・・・・」
メイド「で、でも!流石に年齢差が大きすぎます!」
メイド「だってご主人様が社会人になったとき私の年齢は・・・・・・!」
メイド「わたしの年齢は・・・・・・」
メイド「・・・・・・」ズーン
主人「はあ・・・わかってたよ、歳が離れてるのは」
主人「それでも本気だったんだ」
メイド「本気だったのはいつまで、ですか?」
主人「彼女できるまでかな、いや、それよりも後かな・・・」
主人「初彼女の時もやっぱりどこかで本気になれなかったんだ」
主人「本気で向き合えないのは失礼だと思って関係が深くなる前に分かれちゃった」
メイド「真面目ですわね」
主人「そうじゃなかったら・・・って、前にもこのやり取りしたぞ」
主人「まあ、いまいち本気じゃなかったのはあっちも同じなんじゃないかな、自然消滅だし全然揉めなかったし」
メイド「しかし、これで私とご主人様は相思相愛だったというわけですね!」
主人「それはどうだろうな・・・?」
主人「で、メイドさんは本当に僕のこと好きなの?」
メイド「もちろんですわ」
主人「本当に?」ジッ
メイド「本当です」ジッ
主人「……」ジーッ
メイド「うぅ・・・」プイッ
主人「目をそらしたな」
メイド「違います、これはその、恥ずかしいから・・・」
主人「子供のころ、相手の目を見ただけで考えてることが分かればいいなと思ってた」ジーッ
メイド「ごしゅじん、さまは、私が何を考えているか分かりますか?」
主人「いや、さっぱり」
メイド「分かってしまったら、その、きっと私、すごく恥ずかしいです」
主人「そうか」
主人「はあ・・・子供のころの思いがやっと叶ったと思ったら」
主人「メイドさんはアラサーだし彼氏いたし」
メイド「あ、アラサーは関係ないです!」
主人「僕も彼女いたし・・・・・・はあ・・・・・・」
主人「結局、どうして僕に彼氏が居たことを教えてくれなかったの?」
主人「まあ確かに使用人たちには話してたみたいだけど」
主人「メイドさんに彼氏ができた後も、それを知るまで…僕、好き好き言いまくってたよね?その時教えてくれてもいいだろうに」
メイド「それは・・・その・・・」
主人「諦めさせたいならその場で言えばよかっただろ」
メイド「そ、その、えっと、あの時は言いたくなかったんです」
メイド「どうしてでしょう・・・やっぱり、私もご主人様のことが・・・」
主人「あの年齢差でそれはちょっとなぁ」
メイド「だってご主人様あの時大人びてたし時々どきっとするような事おっしゃるし」
主人「・・・ショタコン?」
メイド「あのままだったら完全にそうなってましたわ」
主人「……」
メイド「だってご主人様ちっちゃかったんだもん!今でもちっちゃいんだもん!」
主人「誰がチビだ!」
メイド「私とそんな変わらないんですもの!」
主人「……否定できないのがつらい」
メイド「……だから、間違えが起こる前に私もご主人様から離れようと思っておりました」
メイド「家柄も違いますし、ご主人様もメイド離れすべきでしたから」
主人「余計なお世話だな、まったく」
メイド「……ごめんなさいご主人様、私、ひとつ嘘をつきました」
主人「どこ?」
メイド「相手を探すのに飽きたのではなくて、やっぱりご主人様を諦めきれなかったのです」
メイド「悩み続けていたらここまで来てしまいました」
メイド「だからご主人様、私と…」
主人「……いいよ」
メイド「そうですか…そうですよね、やっぱりダメ……え?」
主人「恥ずかしいから二度も言わせないでくれ」
メイド「どう、して?」
主人「やっぱり僕も諦められなかったみたいだ」
主人「それにな、やっぱりメイドさんはスペック高い断る理由もない」
メイド「……」ジッ
主人「……」
主人「嘘をついてるように見える?」
メイド「いえ…」
メイド「…………」ギュ
主人「本当は抱き締めたいんだけどこれだと…抱き締められてるみたいだな」
メイド「……」ナデナデ
主人「おい子供扱いするな」
メイド「……ふふっ」ナデナデ
主人「あーもう好きにしてくれ」
メイド「そうします」ナデナデ
主人「……」ソッ
メイド「わ、ご主人様の手、暖かいです」スリスリ
メイド「でも突然どうしたのですか?私の頬が何か…」スリスリ
主人「うん、すべすべしてるな」
メイド「これを維持するのは大変でしたわ!夜遊びはできないし冷やさなきゃいけないし」スリスリ
メイド「でもそれもこれもご主人様のためですから」スリスリ
主人「またそうやって……ああもう」
メイド「嬉しいですか?ほら、目を合わせてくださいね」ニコニコ
主人「合わせられないのが悔しいな」フイッ
主人「それにしても…その外見なら僕よりももっと良さそうな奴が寄って来そうだけど」
メイド「うーん、確かに話しかけられる事はあるのですが」
主人「……」
メイド「嫉妬してくださるのですか?」
主人「……うるさい」
主人「三高だっけ?学歴はまあいいとして、高収入かはわからないし、高身長じゃないぞ」
メイド「収入は愛でカバーですわ!」
主人「前と言ってること違うじゃねーか!」
メイド「ご両親から『あいつはどっかの関連会社に放り込んでおくから大丈夫』と聞いておりますので大丈夫です!」
主人「いつの間にそんなに仲良くなったの!?」
主人「くそ、絶対普通に就職してやる…」
メイド「身長は…………」
主人「せめて目線を上げるふりをしてくれ」
メイド「そうですね、こうやって…」
メイド「ほら、同じ目線になれるのですから、それが一番嬉しいのです」
メイド「ん……」コトッ
メイド「ご主人様の肩に寄り掛かれますしね」
主人「ヘッドドレスは外してくれ、くすぐったいから」
メイド「もう、素直に喜べばいいのに」
主人「喜んでない」
メイド「本当に?」
主人「……はい、嬉しいです」
メイド「でもやっぱり一番大事なのは…」
メイド「その人が、私を大切にしてくださるかです」ギューッ
主人「ヘッドドレスが胸に当たって痛いんだけど」
メイド「いいのですか?外したら直接ご主人様の胸の音が聞こえてしまいますが」
主人「……やっぱりそのままで」
メイド「はい、お望みとあれば」クスクス
主人「三高だけじゃなくて大事にもしてほしいの?」
メイド「私はわがままですから」クスクス
主人「他にもあるのか」
メイド「いいえ、もう十分ですわ」
メイド「…………」ギュッ
主人「昔とは逆だな」
主人「以前は僕がメイドさんの胸に顔を埋めてたから」
メイド「愛する人の胸が一番落ち着くのですよ、ご主人様」
主人「そうなのかな」
主人「そうなのかな」
メイド「あ、ひとつありました、わがまま」ジッ
主人「何?」フイッ
メイド「ふふ、私の目を見てくださいね?」
主人「……」
メイド「ご主人様」
主人「どうした」
メイド「ごしゅじん、さま……」ギュウウ
主人「聞いてるよ」ナデナデ
メイド「……」フーッ
メイド「……」ガバッ
メイド「ご主人様、結婚してください!」
主人「俺から言いたかった」
メイド「ふふ、目を見れば分かります」
主人「……」
メイド「……」
主人「そうだね」
メイド「そうですわ」
主人「……」
メイド「……」
メイド「ふふふ」ギュ
メイド「ご主人様?一番大切なのは、私を大切にしてくださるかですよ?」
主人「ああ、大切にする」
メイド「ずーっと大切にしてくださいね」スリスリ
メイド「…………ごしゅじんさま」ニコニコ
主人「年齢も自覚したほうがいいな」
メイド「えっ!?酷いですわ!」
おわり
Termes nets maid N??anmoins cas pr??f??r?? de sessha bien www avec www oops-un-marguerite www sessha ou "Kitakore" Il est soi-disant question Kitakore droite Oufu www, plut??t que la femme de m??nage comme une sous-culture, car l'histoire Vous pouvez louez m??nage comme une m??taphore de Moe bien www mauvais, d??sol??, d??sol?? maniaque www connaissances avec www w Dopufo le www j'ai sur I est l'impact de www Fran??ois Darlan et c'est mignon bien simplement parce que il ya peu excentrique qui est www sessha vous voulez voir connaisseur comme le wwww Fokanupou www sessha cette litt??rature de la www Emma je n'est donc vous comme un personnage qui mais il a fallu plus de la syphilis du gamelan et la Ligne Maginot www Andr?? Maginot Il est une fa??on de regarder moins une ??tape comme moi www Le www Kopo ~ o ne Gozara en connaisseur
あとがき
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