女「のじゃロリサキュバスキタコレ―――ッ!!」サキュバス「」 (129)

―――――淫魔界

そこは、様々な淫魔が暮らす世界。

インキュバス、サキュバス、エンプーサ、リリン、仙狸……

人間界に降り立ち、人の精気を吸うことで生き続けてきた彼らは

人類とは異なる生態系を作り出していた。

彼らが生を受けた当初、全く秩序立っていなかった彼らの社会は

時代の経過とともに変化していき

よりスマートに、より効率よく人間から精気を搾り取るためのしくみを作り出していた。

一、必要以上の搾取を行わない

一、自らが管轄するエリアの外に居る人間から搾取しない

一、自らが搾取対象とする性的嗜好を持つ人間以外から搾取しない

の3つを基本原則とし、それによって精気の安定供給が確保された結果

淫魔界には、争いも、貧富の差も無く

淫魔たちは極めて平和な毎日を享受することができるようになったのであった」



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『――というのが今までの振り返りですね』

『それでは、これからの淫魔界について、サキュバス総代の~氏と』
『インキュバス総代の~氏をゲストに招いて、考えていきたいと思いま』ブツッ


サキュバス(以降はサキと表記)「……はぁ、つまらんのう」
       「儂が初めて人間界に行く大事な日だというに碌なテレビ番組一つやっておらんとは」

サキ「あのようなことは耳が腐り落ちるほどに聞いたぞ……全く」


サキ母「サキー!」

サキ「! はい、母上。サキはここに」

サキ母「……サキ、今日は初めて、人間界に降り立つ日ですね」
    「準備は済ませましたか?」

サキ「勿論です、母上」
   「着替えも、トラベル用の洗面セットも、保険証も持ちました」

サキ母「携帯の充電器は忘れてはいませんか?」

サキ「――あっ!」

サキ母「忘れずに持っていくのですよ、携帯は私や、あの人と連絡が取れる唯一の手段なのですから」
    「もっとも、使うことなく、円滑に事を運ぶことができればそれが一番には違いありませんが」

サキ「は、はい」

サキ母「……サキ」

サキ「はい」

サキ母「母は、この日のためにお前を立派なサキュバスとして育てたつもりです」

サキ母「我々サキュバス、特に搾取対象を女性とするサキュバスの需要は」
    「人間界の、同性愛を許容するという風潮が広まるに伴って高まっています」

サキ母「とはいえ、依然人間の中には同性愛を受け入れられない多くの者が存在しています」
    「同性愛を許容する女性の存在は、精気の安定供給が可能となったこの淫魔界においても、やはり重要な資源」

サキ母「ここで、お前が立派に淫魔としての役割を果たすことは」
    「我々一族の穏やかな未来に直結するといっても過言ではありません」

サキ母「必ず、性交……じゃなくて、成功して、立派になって帰ってくるのですよ」

サキ「分かりました、母上」

サキ母「……それと」
    「今回貴女の搾取対象となる女性は、あの人がお前の好みを聞いて、選んだ者です」

サキ母「きっと、サキュバスとしての本能を抑えきれなくなるような、味、体躯の持ち主でしょう」
    「それでも」

サキ「搾取しすぎない、ですよね、母上」

サキ母「……ふふ、言うまでもなかったことでしたね」
    「ですが、念のため……ということで、心に刻んでおくこと。いいですね」

サキ「はい!」

―――――淫魔界と人間界を繋ぐ、門の前

サキ「……っと」
   「では、行ってまいります。母上」

サキ母「ええ、いってらっしゃい、サキ」

サキ母「病気や、ケガのすることがないように」
    「十分気を付けて生活するのですよ」

サキ「はい、母上から貰ったこの体、傷つけぬよう心がけて参ります!」


門番「門を開けるぞォ~ッ!」


サキ母「サキ、人間界でのルールは守るのですよ」
    「それと挨拶もしっかり……」

サキ「わかっております、母上! 心配ご無用ですのじゃ」


ギギィ――――――――――――ッ
―――――――――
――――――


サキ母「……あぁ」

サキ母「行ってしまった」

サキ母「……」

サキ母「ふふ、私が初めて人間界に行って」
    「あの人に会った時のことを……思い出すわね」

サキ母「私を送り出すとき、母上も……同じ気持ちだったのかしらね」
    「子どもが成長するのは、本当に早いものだわ」

サキ母「……本当に」

――――――――――人間界・深夜

サキ「う、うぅん……イタタ」ガサッ

サキ「まさか、あちらから人間界に来て」
   「最初に現れる場所が空中とは」

サキ「下が茂みだったから大したことはなかったとはいえ……あまりよくない出だしじゃ」
   「あの門番め、おかしなところをスポーン地点としおってからに……次会ったときには、覚えていろ」

サキ「……さて」キョロキョロ

サキ「鄙びた場所じゃのう」
   「同じような家ばかりが並んでおるではないか」

サキ「搾取対象を探すのはなかなか時間がかかりそうじゃ……」
   「まぁ、探すついでに、人間界観光とでもしゃれこもうかのう」

犬「ワンワンワンワンッ!!」ガシャガシャンッ

サキ「きゃあ!」

犬「グルルル」

サキ「ひっ……さ、さっさとターゲットのいる家をさ、探すことにしよう」
   「ここっ、こんな夜道にか弱い乙女一人とは、ぶ、物騒すぎる……」

――――――――――

『――次の、丁字路、左、です』ピローン♪

サキ「ふんふん、こっちか」
   「いやあ、ナビ機能は便利じゃのう」

サキ「ケイタイに地図アプリを入れといてよかったわい」
   「昔は目的の家まで行くのに紙媒体を使っておったというのじゃから、ご苦労なことじゃな」

サキ「~♪」

『――目的地、周辺です。音声案内を、終了します』

サキ「って、おい! なんじゃ! もう案内を終了するのか!」
   「どの家がターゲットの家なんじゃ!」

サキ「表札を一つ一つ見て探せというか!」
   「まったく……ほんと、気のきかん奴じゃ!」

サキ「……はぁ、仕方ない、虱潰しに探すとするかn」

表札「ここ」

サキ「……」
   「あ、ここかぁ」

サキ「……なんじゃ、ちっちゃい家じゃのう」
   「本当に儂好みの女が住んでいるのかぁ?」

サキ「まぁ、よい。実際に会えばわかることじゃからな」
   「さて、どこから家の中に入ろうかのう」

サキ「……」キョロ

サキ「犬はいない……な、よし」

サキ「あ、そういえば」
   「二階建ての家に住む人間は、2階に寝室を据えると聞いたことがあるな!」

サキ「では2階から入るとするか」


サキ「ふふ、羽は便利じゃ」
   「2階の窓からでも難なく入ることができる」ガラガラッ

サキ「羽を持っていないというのだから、人間とはつくづく不便よ」
   「くくく……」

サキ「あ」

サキ「淫魔界から人間界に来るとき、羽を使って飛んでいれば痛い目を見ずに済んだんじゃ」

サキ「……」

サキ「過ぎたことは、どうしようもない! 次にイかせばよいのじゃ! うん……」

サキ「よし、家の中に入ってこれたぞ!」
   「さて、ターゲットはどこに……」

女「スゥ」

サキ「……」
   「順調過ぎる流れじゃ、最初を除いて」

サキ「ここまで強運な自分が怖い」
   「やはり儂はサキュバスとしての才能に満ち溢れているに違いないぞ!」

サキ「ふふ、ふふふふっ」
   「母上、サキは必ず、故郷に錦を飾りますぞ!」


サキ「さて、早速じゃが」

サキ「この者の精気を」

サキ「いただこうとするかのう……ふふっ」


サキ「……そういえば、新品な人間の精気を吸うときは」
   「第一印象……ファーストコンタクトが大事なんじゃったな」

サキ「そいじゃあ、メジャーに」
   「布団の上にまたがる方法をとってみようかの……よいしょ」ガサ

女「……ん?」パチッ

サキ「……あ」

サキ「……」

女「……」

サキ(どうした? これは、起きたのか?)
   (相手は無言じゃが……目は開いている)

サキ(どうする? とりあえず名乗るか?)
   (いや、もし、ただ寝ぼけているだけだとしたら、儂は独り言を言っているだけにすぎないんじゃないか?)

女「……」スッ

サキ(眼鏡をかけたぞ)
   (なんじゃ、よく見ればかなりの美人……精悍で美味そうな顔をしておる)

サキ(いや、そんなことを考えて居る時ではない!)
   (眼鏡をかけたということは、十中八九起きていると考えるべきじゃろう)

サキ(ならば、儂が取る行動は一つ)

サキ「……こほん」
   「に、人間の女」

女「……」

サキ「儂はサキュバスのサキじゃ。今宵は、お主の精気をもら……いただきに参った」
   「儂が直々に、お主の精を吸いに来たことをありがたく思うがよい」

女「……サキュバス?」

サキ「そう、サキュバスじゃ。人間であるお主も聞いたことがあるじゃろう?」
   「淫魔の一種……人間の精気を吸い、生きる種族」

女「……今日は、何しに」

サキ「だから、精気を吸いに来たって言っておろう」
   「まぁ、今日だけではなく……しばらく滞在することになるが」

女「貴女が?」

サキ「儂以外に誰がいるというのじゃ」

女「……あ」

サキ「……?」

女「あ……あっ」ガクガク

サキ「……! ふふ」
   「やっと自分が置かれている状況が呑み込めたようじゃな」

女「あああ……あぁ!」ガクガクガクガク

サキ「そんなに怯えるでない」
   「お前を殺そうとしているのではないのだから」

サキ「数日間……数週間の間」
   「お前の精気を吸わせてもらおうというだけの」

女「のっ」

サキ「こと……の?」

女「のじゃ……のじゃロリっ」



女「のじゃロリサキュバス、キタコレェ―――――――ッ!!」

サキ「ひいっ!」ビクゥ

今日はここまでにしときます
今後、ゆっくりやっていきます
暇つぶし程度に見ていただけたら嬉しいです

女「いやー毎晩毎晩、超美人なサキュバスか」
 「超絶かわいいサキュバスに襲われたりしないかな~なんて考えてたけど」

女「まさかそれらの妄想を超えるほど可愛い“のじゃロリ”が来るとは想定外だわ……!」

サキ「可愛っ……」ドキッ

サキ「お、おぬし、あのサキュバスが真夜中に突然やって来たというのに」
   「怖かったり、怯えたり、そういうのはないのか……?」

女「怖い? 怯える?」
 「何それ美味しいの!? むしろ大歓迎だよぉ!」

女「えっ、てかこれ夢? 現実?」
 「ちょっとほっぺたつねってもらえる?」

サキ「」ギュッ

女「あっ、いひゃい! いひゃい!」
 「ってことは……現実です! はい、おめでとう!」

サキ「」

女「うはぁ~……! どうする、どうするよぉ! 私ぃ!」
 「あ、違うか! これからどうかされちゃうのかぁ~! はぁん、胸あつぅ!」

サキ「」

女「よっしゃ、どっからでもかかってきなさいっ!」
 「私はいつでも準備万端だから! ヘイ、ヘ~イ!」

サキ(どうしよう)

サキ(こいつ怖い)ガクガク

女「……?」
 「ど、どうしたの、震えてるけど」

サキ「へっ? い、いや……」

サキ(どうしよう、母上)
   (もう帰りたい人間怖い)

女「それに、何もしてこない……」
 「具合悪いの?」スッ

サキ「ひゃ!」
   (い、いきなり額に触られたっ!)

サキ「ぐ、具合など悪くないわっ!」

女「え……じゃあ、何? 君はサキュバスなんだよね?」
 「あれ? 私のことをカラッカラにするまで快楽づけにするんだよね? いや、むしろしてもらわないと困るよ」

サキ「いやそれはその、こっちのルールとして禁止されてて」

女「――ッ!」
 「わかった、分かっちゃいましたよ私」

女「これは、“誘い受け”って感じですねぇ?」

サキ「は?」

女「そんじゃあ、私からぁ……遠慮なくぅ!」ジリジリ

サキ「ひっ……」

女「いただきまぁ~~すッ!!」ガバッ

サキ「や、やぁぁ~~!!」ドスッ

女「ぁグぁッ!」

サキ「――っ!」
   「……あ」

女「み、みぞおちに……マジ蹴りって」
 「……ひ、ひどいよサキュバスたん」

サキ「わ、悪い……」

サキ(……ん?)

サキ「じゃ、じゃない! いきなり襲ってきたおぬしが悪いんじゃろうが!」

女「みっ、未遂ですぅー! まだ襲ってはいないですぅー!」
 「君だっていきなり襲ってきたでしょお! 私が寝てる布団の上にまたがるとかいう萌えるシチュエーションで~!」

サキ「あれはサキュバスなりの常とう手段なんじゃ!」

女「サキュバスならサキュバスらしく早く襲ってよ! いつまでたっても襲わないからこっちから行ったんだよ!?」
 「私待ちきれないよ!」

サキ「あああ~~っ!!」
   「もう! そんなに襲ってもらいたいのなら、一旦落ちつけぇ~~っ!」

女「はい」

サキ「よし」

サキ「……こほん」
   「いいか、人間!」

サキ「物事には順序がある」
   「吸精も、例外ではない」

サキ「交わる前に、儂とお主で取引契約を交わさねばならんのじゃ」

女「契約?」

サキ「そう、今となっては、淫魔の世界でもそういった面倒な手続きが必要なんじゃ」
   「そのおかげで儂らは高度に秩序だった社会を作り上げることが可能になっているのじゃ」

女「へぇ~……私は、もっと君たちが自由気ままに人間から精気を吸い取ってるのかと思ってた」
 「で、その契約内容ってのは何?」

サキ「至極単純明快じゃ」
   「儂ら淫魔が、人間の精気を吸う。代わりに、人間にはこの上ない快楽を与える」

女「なにそれすごい魅力的」
 「ちなみにどれくらい精気を吸い取られるわけ?」

サキ「人間の生命に支障をきたさない程度じゃ。 100mを全速力で5回走るくらい」

女「え、それ結構きつくない?」

サキ「別に一気にその分の精気を吸い取るわけではない」
   「体液にちょっとずつしみ込ませて、吸い取るのじゃ」

女「うわっ、それすごいエロっ」
 「っていうか君みたいな可愛くて小っちゃい子がそんなことを言っているのかと思うとすごい昂る」

サキ「……」

女「あ、ごめんなさいおとなしくしてます」

サキ「で」
   「契約を交わすか否か……」

サキ「聞くまでもないとは思うが……聞くことがルールじゃからな」

サキ「……汝、我との契約を受け入れるか?」

女「もち!」

サキ「……」

女「……はい」

サキ「さすれば、誓いの口づけをもって、契りとなさん」

女「よっしゃ来い! ンーッ」

サキ「……はン」チュ

女「って、マウス・トゥ・マウスじゃないのかよっ! 首って」
 「……あッ」ビクッ

サキ「……ぁぇ」ペロッ

女「ひっ、熱……!」

サキ「ちょっとの間じゃ、我慢していろ」

女「ぅ……む、無理だって」
 「だって、もう下の方が洪水状t」

サキ「もうなんかいやじゃお前」
   「……ァぐっ」カプッ

女「ひゃぁん♪」

サキ「……ん」
   「ぷはっ、終いじゃ」

女「おぉ~、上手上手」

サキ「お主この契約初めて受けたのにうまいとか下手とかわからんじゃろ……」

女「ばれたぁ?」
 「……というか、なんで私がこの契約初めて受けたってことが分かるの?」

女「もしかしたら、もうほかの淫魔と契約してるかもしれないじゃん」

サキ「一度、淫魔と契約を交わした人間には刻印があるのじゃ」
   「お前の首筋に口づけをしたのは、その印を刻むため」

サキ「印がある人間とは、契約をしてはいけないという決まりになっておる」

女「へぇ、うまくできてるね」
 「でも、契約とか、毎回スムーズにいくわけでもないんじゃないの?」

サキ「最初から、ある程度契約できそうな人間に目星をつけておくのじゃ」
   「そのこともあってか、スムーズに事を運ぶことができる確率は80%ほどらしい」

サキ「契約がうまくいかないこともあるそうじゃが……その時には」
   「魅了(チャーム)の魔法を使うことが許されておる」

女「魅了の魔法……使われると全身が性感帯になっちゃったりしちゃうんですか……?」

サキ「力の入れ具合によっては可能じゃ」
   「まぁ、そこまでして契約を行うような淫魔は今の時代いな」

女「魅了の魔法、フルパワーでかけて! お願いっ♪」

サキ「……」

女「……ま! それは(半分)冗談として!」

女「契約も済んだことだしさ、ね? してみよっ?」

サキ「なんでお前の方が乗り気なんじゃろ……」
   「といいつつ儂も腹が減ってきたのは事実」

サキ「そろそろ事に及ぶとするか」

女「よっ、待ってましたぁ!」

サキ「……なんかもう、ほんとやりづらいのじゃ!」

女「ねぇねぇ、どっちがせめる? ねぇ!」

サキ「儂に決まっておろうが! サキュバスじゃぞ!」
   「人間はおとなしく蹂躙されていればよいのじゃ!」

女「はいっ! わかりました!」

サキ「……全く」

サキ「……ん」
   (まずは、抱き着く)ギュッ

女「おー……ふ」

サキ(次に、体に手を這わせる)
   (最初はどこがいいんじゃったか……耳じゃったかな)スルッ

女「っ……はぁ」

サキ(お、なかなか反応が良いぞ)
   (耳で正解みたいじゃな)サワサワ

女「……ン」

サキ(で、次は……)
   (首から……胸にかけて)スルスル

女「ふぁ……んん」

サキ(初めてにしてはなかなか手際がいいかもしれぬ)
   (ふふん、余裕じゃな)

サキ(それにしても胸のデカいヤツじゃ)
   (母上ほどではないが……魅力的ではある)フニュフニュ

女「ァ……」

サキ「……ふむ」

サキ(このまま、下を弄ぶのも手っ取り早くていいのじゃろうが)
   (サキュバスとしてのプライドもある)

サキ(ここは、一つ)
   (淫魔としての能力に長けている部分を見せるのも悪くない)

サキ(くく、味わったことの無い感覚を味わわせてやろうぞ……♪)

サキ「……フフフ」

女「……おっ? どした……んぐっ!」
 (キスきたこれッ!)

サキ「んァ、ぁん、ぐ」

女(さ、最初からべろちゅーとは、さすが淫魔っ)
 (やることなすこと淫らだなぁ!)

女「ん、はふ……んッ」
 (正直、小っちゃい舌がたまらんとです……)

女(どっちかといえば、ロリっこより美人なお姉さんがタイプかと思っていたけど)
 (そうでもないのかもしれないわ……)

サキ「ぷぁ……んふふ」

女「ふぁ……ふふ、サキちゃんお上手……」

サキ「あたりまえじゃろう、サキュバスじゃぞ?」
   「……ってかサキちゃんってなんじゃ、なれなれしい」

女「えー、じゃあなんて呼べば……っぐぁ!?」ドクンッ
 (あ、あれ……何、この……感覚)

サキ「……お? ふふ、早速効いてきたみたいじゃな」

女「はっ……ハッ……」ドキドキドキ
 (や、やば、体が、熱い)

女(全身が、ピリピリしてくるし)
 (頭がぼーっとしてくる……マジかー……)

女「も、もしかして、コレが魅了?」

サキ「これは魅了ではない」
   「儂の唾液に、ほんのちょっと魔力を込めただけじゃ」

サキ「身体を強く発情させるような、魔力をな……くふふ」

女「へ、へぇー……はぁッ……」
 「ちょっと魔力を……込められただけで、こんな風になるんじゃ……」

女「……魅了をフルパワー……ぁっ」
 「フルパワーで、かけられたら、どうなるのかな……ふうっ……ぁぁ」

サキ「お主が得意そうな軽口は、間違いなく叩けなくなるじゃろうな」
   「ちゃんと言葉も発することができない……ただただ快楽を享受するだけの生き物に成り下がってしまうかもしれんのう♪」スルッ

女「ひぃッッッ! ……く、くぅ~~……!」
 「はっ、はっ……あはは、それは……た、楽しみかもねっ!」

女(う、うわぁ、マジやばい)
 (ただ、手を這わされただけなのに)

女(内側からひっくり返っちゃいそうな……感覚が……)

サキ「くく……」
   (なんじゃ、最初はただの変人かと思っていたが、かなり楽しめそうな奴じゃ)

サキ(儂の初めての契約相手としては、不足無し……むしろ大当たりかもしれんのう)

サキ(母上には、搾り取りすぎるな、と言われているが……)
   (こいつが望んでいるのじゃ、少しくらい大目に吸っても、かまわんじゃろ)

サキ「さぁ……宴はまだ、始まったばかりじゃぞ?」

今日はここまでにしときます

女「はっ、はぁ、ハァ、ひぃ」

サキ「クス……だらしない奴よ」
   「ついさっきまでの余裕は何処へいったのじゃ?」

サキ「こんなにもだらしなく涎をこぼしおって……んぅ」チュル

女「んくぁぁっ……! ひ、ひっ」
 (い、いやいや、そ、そこって、ほっぺた、だよね!?)

女(ふ、フツー、ほっぺたぺろぺろされただけで……気持ちよくなりますかって……)
 (え、エロ同人みたいに……なってんじゃん)

サキ「ぷぁ……ふふ、なかなかに美味いものじゃな、新鮮な精気は」
  「病み付きになってしまいそうじゃ……♪」

サキ「儂は、もっと濃いのが欲しいぞ?」
   「はンッ……チュ」

女「んふっ! ふぁぅ、ぁ、ぁぅっ」ビクッ
 (な、なんだこれぇ……さっきのチューと全然……違)

サキ「ん、んふ、もっろ……ほひぃ」チュゥ
   「んん~~っぁぅ」カプッ

女「ぁ、ぁぇっ、ふぁ、ァグ、ぁ」ガクッ
 (やっば……なんも……考えられな――)

サキ(クックックッ……こやつめ、早速快楽のとりことなっておるではないか)
   (さすが、儂じゃ。さすが母上の娘じゃ!)

サキ(やはり人間なぞおそるるにたら)
   「ん……んっ……?」

女「ん、ンッ、んぅ、ぁぅ」

サキ「ぁ、ぁぇ」
   (な、なんじゃ、こ、こいつっ)

サキ(突然、舌の動きが……は、はげしく)
   「ふ、ふぁ……ぁ、ぁんぐッ」

女「ん、んチュ……はふ……」ペロ

サキ「ふぁ、ふぇっ……ァぐ」ビクッ
   (はげしく、ねちっこく、なって、きておる……)

女「ぷぁ……」

サキ「ふ、ふぁっ……は、はぁ、はぁ……?」
   (いったい、何がおこっとるんじゃ……?)

女「サキちゃぁん……」

サキ「え……ひゃっ!」バサッ
   「わ、儂の、服を脱がせてどうするつもりじゃ!」

女「ひゃぁ~! ロリっこのちっぱいだぁ……」
 「かわいすぎぃ……はふっ」パクッ

サキ「きっ……!」ビクッ

女「ん、んぅ~、ちゅ、チュゥ……」

サキ「く、くぁ……! や、やめっ……ひきっ!」
   (ま、まさか、こやつ)

サキ(理性というタガが外れたことによって……)
   (本能が露わになってしまったのか……!)

サキ(し、しかもその本能……)
   (気持ちよくなりたい、という欲よりも)

女「可愛い声ぇ……♪ もっと聞きたいよぉ~♪」ペロペロ

サキ「ふぁぁぁ……♪」
   (気持ちよくさせたい、の方が上回ってる、パターンのやつじゃ……!)

――――――――――

MC『――では、最近の人間たちの本能的なニーズも変わってきていると?』

インキュバス総代『えぇ、最近は、単純に気持ちよさを欲する人間と』
           『気持ちよくさせたい、相手を支配したい、という欲望が上回る人間の両方が存在する傾向にあります』

サキュバス総代『ワタクシなんか大変だったわぁ?』
          『セックスのたびに相手が“気持ちいいか?”“痛くないか?”って聞いてくるの』

サキュバス総代『ワタクシってほら、相手を一方的に気持ちよくさせることが、好きじゃない?』

MC『そうなんですか?』

サキュバス総代『そりゃ、淫魔の中にもね? お互いに気持ち良くなりたいとか』
          『愛のあるセックスじゃなきゃ嫌ぁん♪ っていう子もいるかもしれないけどぉ』

サキュバス総代『ワタクシみたいな、Sっぽい子にとっては、ちょ~っと面倒な世の中になったかなぁ、って思うわけよぉ』

インキュバス総代『そうですか? 私も結構Sだと思いますが』
           『美しい女性が私を気持ちよくさせようと頑張る姿、好きですよ』

サキュバス総代『あ、そう』

インキュバス総代『……っと、そろそろあの子と待ち合わせをしているのだった』
           『申し訳ありませんが、そろそろ人間界に行かせていただきますね』

MC『え、いや、まだ番組の途中』

サキュバス総代『あ、ワタクシもそろそろ用事があるから、失礼するわねェ』

MC『あ、いや、その』

MC『えー……』

――――――――――

サキ(ってな感じじゃった)
   (……なんか毎回似たような番組ばっかりやっておるな、あのテレビ局は)

女「はぁ、ハァ、ロリっこサキュバスの柔肌さいこぉ……はむ」カプッ

サキ「きぁっ! ん、んぅ……!」
   (なんてのんきなこと考えている場合じゃあなかったわい……っ!)

女「……ん、んふ」ペロペロ
 「ぷは」

女「……」
 「うーん、なぁんか物足りないよぉ……あっ」

サキ(な、なんとかして再び儂のターンに戻さねば!)
   (これは、ひ、ひじょ~に不味い事態じゃっ!)

女「えへへ……ごかいちょぉ~!」ガバッ

サキ「……えっ? ひぁぁぁ!!」
   「な、なにするんじゃぁ!」

女「きゃぁ~♪ サキちゃんの大事なところが丸見えっ!」
  「すっごぉく、キレーだねぇ……」

サキ「や、やめっ、見るなっ!!」ジタバタ

女「ふ、ふぁあッ……! じ、ジタバタされても気持ちいいぃ……!」
 「ので、私もお返しに、気持ちよくしてあげるねぇ……?」

サキ「や、やめろ、やめろッ!」

女「やだ~♪」サワッ

サキ「くィっ……! あ、ぅ」ビクン

女「きゃぁぁぁぁ~♪ 内腿すべすべぇ……!」
 「しかも内腿触っただけなのに反応良すぎるってぇ~♪」サワサワ

サキ「ぁ、ぅっ、ん~……!」
   「や、やめろぅ……!」

女「嫌で~す♪ 据え膳喰わぬは武士の恥~♪」
 「てなわけでいただきまぁす……ん」チュッ

サキ「くゃっ! ん、んぅ~……!」
   「おぬしっ……! どこに口着けとるんじゃぁ……!」

女「えぇ~? サキュバスである君がそんなこと言うのぉ?」
 「それはちょっと、ん……おかしいと思う……ぁぇ」ペロ

サキ「ひ、ひっ……くぁ」

女「はふ、ちゅ、ちゅッ」
 「どんどん、大事なトコに近づけちゃうよォ……?」ペロッ

サキ「ぁ、だぇっ、だぇじゃぁ」

女「んん~~? きこえなぁ、いっ!」チュプッ

サキ「~~~~~~ッッッ!?」ビクビクッ

サキ(び、ビリビリって……からだの、中に、なんじゃ……え?)

女「んふ……」

サキ「は、はひ……はっ」ビク

女「ういういひぃ、はんおうあぇ……?(初々しい反応だね)」
 「もひはひへ……はひえへ?(もしかして初めて?)」

サキ「ぁ、ぁ」
   「ぇっ……ぁ、やめ、口、動かすのを……やめ」ビクッ

女「もひ、ほうあっはあ(もしそうだったら)」
 「すっおふ、うえひぃ(すっごく嬉しい)」

サキ「ひっ、は、あ、やめろぉ……」

女「んぁ」レロッ

サキ「くひぃぃっ……! ぁ、ん~!」ゾクゾクッ
   (ざ、ざらざらっ……!)

女「ぁぇ、ぅ」レロレロ
 「ん~、んぅ」チュゥ

サキ「ぁ、ぁ、ぁっ、ぁぅ」

女「ぅふ、おいひ……」
 「あは……んん~~っ」レロレロッ

サキ「あぁあ~~……!」ビクビクビクッ

サキ「ゃ、やめ、もう、やめじゃぁっ」
  (く、くる……っ! は、初めての、感覚がぁ……!)

女「お、いっひゃいぉ……? (イっちゃいそう?)」

女「なぁ(なら)」
 「ほほぁえ(ココだね)」レロ

サキ「んきゃぁ!」ビクン

女「んん~」
 「やっふぁ、ほほぁふぁふふぁふぇお、ふぃんぁんふぁんぁえ(やっぱ、ここはサキュバスでも敏感なんだね)」

女「んん~~……」レロ、レロ

サキ「ゃ、ゃぁ、やめっ、ひ、ぁがッ……!」
   「やめろぉ~~! いやじゃぁ……!!」ゾクゾクッ

サキ(わ、儂がっ)

女「ぷぁ」
 「……と、ど、め♪」

女「ぁ、んッ」クニッ

サキ「きひィ―――――っぃぃぃッ!!」ビクン,ビクン

サキ(儂が先に、イかせたかったのに――)

サキ「――ぁ――ぁッ」ガク、ガクッ

サキ「ぁぅ」ガクンッ

サキ(あそこが……ジンジン……する……)
   (力が……入らんのじゃ……)

サキ(頭……ぼーっとして)

サキ(この……体)
   (儂の体じゃ……無いみたいじゃ……)

サキ「は……はぁ」

サキ「こんな……はずじゃ……」

サキ(儂の初陣……)

サキ(こんなはずでは……なかった……)

サキ「うっ……ひぐっ……」

サキ「こんなはずじゃなかったのにぃ~……うぇぇぇぇん」



女「」スヤァ

サキ「ひくっ、ぐすっ」

サキ「く、悔しいよぉ……!」

サキ「わ、わしがっ……一方的に弄ぶ予定じゃったのにぃ」

サキ「うぁ~~ん」


―――――5分後


サキ「スン……ぐ、ひぐ」
   (次は、絶対に)


―――――10分後


サキ「……グス」
   (この女を……快楽づけに)


―――――15分後


サキ「ふァ……ん」ウツラ
   (して……)

サキ「……んぅ」ウツラ...

サキ「……」

サキは、ゆっくりとシャットアウトしていく意識の中で

いろいろなことがあって、疲れ切ったからだが

この憎たらしい人間の女の、普段使用しているベッドに

どろりと溶け込むような感覚を覚えながら

次こそは自分が一方的に嬌声をあげさせてやるのだという

サキュバスとしてのプライドから来る思いを

心に強く抱いたのであった。


しかし、たぶん、その願いは叶わない。

なぜなら彼女の母親は、バリネコなのだ。

今日も、彼女の母親は、愛する女性、サキのもう一人の母に抱かれに行く。


血筋は争えないのだ。

それを知らずに、少女は眠る。

少女の性なる戦いは、もうしばらく、続く。

今はこでしおま

ピピピ...ピピピ...ピピピ...

女「ん、んんぅ~」
 「目覚まし……うるさ」

女「ふぁぁ……」
 「……」ポケー

女(体痛ぁ)
 (……あれ、そういえば昨日って)

女「あ……」チラッ

サキ「ん……ぅ」

女(やっぱ、夢じゃなかったんだ)
 (あの時、サキちゃんに魔力を注がれて……それで)

女(……)

女(あっれ――! そのあと、すごい楽しいことしてたはずなのによく思い出せないっ!)
 (なんかこの記憶ってすごく大事で忘れてたらめちゃくちゃもったいないようなことのような)

女「……ハッ!?」

女(いや、今日そういえば平日だったっ! 大学行かなきゃやべー!)

女(サキちゃんを起こさないようにそっと……そっとね)ソロソロ

サキ「……ふぁ」

女「……」

――――――――――

サキ「……ん、んん……」モゾ

サキ「……」

サキ「……ぁふ」
   「……」 

サキ「……ん~?」

サキ「ここ、どこじゃったっけ」

サキ「……」

サキ「はっ!」
   (ここは、あ、あの女の家じゃったっ!)

サキ(一方的に辱めを受けた後)
   (いつの間にか眠ってしもうたのか……!)

サキ「あっ、あやつはっ!?」キョロキョロ

サキ「おい! どこにおるんじゃっ!」
   「人間っ!」バタバタ

―――――リビング

サキ「まさか、儂の復讐に恐れをなして逃げたかっ!?」バタバタッ

サキ「勝ち逃げは許さ……」

サキ「……お?」
   「書置きか?」

女『おはよお~サキちゃん?』
 『よく眠れたかな~?』

女『私、大学に行かなきゃいけないから、お留守番お願いね♪』
 『たぶん17時くらいには帰ってくると思うよ♪ ちゅっちゅ♪』

サキ「……ダイガク」

女『朝ご飯作っておいたから、ちゃんと食べてね!』
 『キッチンにおいてあるから、必要ならレンジで温めて』

サキ「……」
   「焼き魚と、スープか?」

女『あ、あと、庭先に荷物が置いてあったんだけど、サキちゃんのかな?』
 『一応家の中に入れておいたから確認してください』

サキ「あっ、忘れておった」
   「……何も取られてないか?」

女『最後に、何かあったらこの電話番号にかけてね! 家の電話使っていいから』
 『それじゃ、改めて、留守番お願いします』

サキ「……」

女『PS.留守番お願いね! っていうのは、暗に逃げちゃだめだよ!』
 『ってことを言ってるんだからね♪ そこらへんよろ~?』

サキ「」ゾクッ
   「だっ、誰が逃げるかぁ!!」

サキ「わ、儂が負けたまま食い下がるわけがないじゃろ……」
   「あんなことをされて、黙って逃げる腰抜けではない」

サキ「……甘く見すぎじゃ……人間め」

サキ「……」

サキ「……焼き魚を食うてやろう」


チーン♪


サキ(ふん、食い物で儂を釣ろうという魂胆なのかもしれんが)
   (精気を吸い始めてからは、食い物は正直必要ではない)

サキ(今となってはただの嗜好品に成り下がっている)
   (それに、儂は母上の超絶美味な料理を毎日のように食べておった)

サキ(あの変人めが作った料理などたかが知れておるわ)
   「……はぐっ」

サキ「……」モグモグ

サキ「……」ゴクン

サキ「……」

サキ「……おいしい」ボソ

――――――――――

サキ(くぅ、なんか気に食わん)
   (あやつ、ただの変態ロリコン女のくせに)

サキ(顔、胸、テクニック、料理の腕、気遣い)
   (無駄にスペックが高い)

サキ(……ま、まぁ、セックスの技術はあれであるのかどうなのかはわからんが)
   (儂……は、初めてじゃし……)

サキ(……)

サキ(……ぅぅ)カァァ

サキ「く、くそっ!」
   「今日は手っ取り早く、魅了を使って堕としてやるわっ!」

サキ「……」

サキ「……くぅ~!!」ジタバタ

サキ(早く帰ってこい! 早く帰ってこい!!)
   (玄関でむちゃくちゃにしてくれる~~!!)

――――――――――1600、大学

女「はぁ~今日も疲れたぁ」

後輩「あっ、せんぱぁい!」

女「お、後輩じゃん、今ゼミ終わり?」

後輩「はい! 教授の手伝いしてたらこんな時間になっちゃいました」

女「え~? 大変だったねぇ、お疲れ様」
 「あの教授は人遣い荒いからね~」ナデナデ

後輩「え、えへへぇ……」
   「あ、そうそう、先輩、今日夜あいてます!?」

後輩「いいお店が見つかったんで、行ってみませんか?」

女「え? かわいい子いるお店?」

後輩「もう! 先輩ってば、いいお店の基準それしかないんですか?」
   「お酒が美味しいお店です!」

女「あはは、(半分)冗談冗談」
 「んー、是非とも行きたいんだけど、今日は家に帰んなきゃいけないんだよにー……」

後輩「え……」

女「ごめんね? また今度、機会があれば誘ってよ」
 「その時は、おごるからさ?」

後輩「は、はい……わかりました」

女「じゃ、また明日ね」チュ

後輩「ひゃっ……!」
   「……は、はいぃ」カァァ

女(……今は、16時か)
 (帰り、スーパーに寄って、食材買って帰ろっと)

女(サキちゃん、ちゃんと良い子にして待ってるかな♪)

―――――1650、家、玄関

サキ「……」

サキ「……ふぁぁ~……」

サキ「ふ……」

サキ「……まだか」

サキ「儂を待たせおって」
   「今日こそは大目に精気を頂いてやるぞ……くそ」


ガチャッ


サキ「!」

女「ただいま~」

サキ「や、やっときたなっ! 人間っ!」
   「早速じゃが、昨日のカリを返させて」

女「あぁぁぁあ~~♪ サキちゃぁん♪」ギュゥー

サキ「ひゃあ!」

女「玄関先で待っててくれたのぉ~? 私超うれし~♪」

サキ「ち、ちがっ、待ってたわけでは!」

女「お~? ツンデレかぁ~?」
 「なんにせよ、ちゃんと留守番しててくれたみたいで、よかった♪」

サキ「あのような醜態をさらされたまま、退けるかっ!」

女(やべぇそれ覚えてねぇ醜態ってどんなんだマジ気になるわ私なにやったんだよマジ)

サキ「早速、今日の分を始めるz 女「っと、その前にっ」

サキ「……なんじゃ」

女「コ・レ♪」

――――――――――

サキ「んん~~」イライラ
  「おい、まだか!」

女「はいはい、もうちょっと待ってね~」
 「もうすぐ出来上がるから」

サキ「全く、帰ってくるまで待たせたうえ」
   「今度は料理を作るから待っててじゃと? さらに待たせるとは、いったい何さまじゃ」ブツブツ

女「はい、完成~♪」

サキ「やっとできたか……さっさと食べて吸精」

女「私特製のハンバーグと、ポテトサラダだよ」

サキ「はんばーぐ……!」

女「」ニヤニヤ

サキ「……」
   「はっ!」

女「ハンバーグ好き?」

サキ「ふん! 別段好きではないわ!」
   「……嫌いでもないが」

女「あ、そぉ~♪」 

女「それじゃあ、召し上がれ」

サキ「……」
   「……いただきます」

女(いただきますって、ちゃんと言うのね)
 「あ、ナイフとフォーク使う?」

サキ「要らん、儂は箸派じゃ」

女「あら、サキュバスって西洋のイメージなんだけど」

サキ「儂の家は和風なのじゃ」
   「今のサキュバスは自分の管轄する地域に存在する文化の中で生活するのじゃ」

サキ「まぁ、それ以前に儂の母君は」
   「って、そんなことはどうでもよい! さっさと飯を食べてヤるぞ!」

女(食欲より性欲が勝るょぅι゛ょとかマジ私得私も君を食べたい)
 「まぁまぁ、そんな焦らなくても私は逃げないからさ」

女「早く感想聞かせて?」

サキ「ふん!」
   「……ぁぐ」

女「ねぇ、どうかな?」

サキ「……」

サキ「……おいひぃ」

女「おうふ」
 (一瞬顔が緩むのがすっごい可愛かったんですけどーもうマジ結婚したい)

サキ「……」

サキ「おいしい!」

女(なんで二回言ったんだろマジ天使悪魔なのに天使)

サキ「……んぐんぐ」

女「ねぇ、サキちゃん」

サキ「なんじゃ」
   「あとサキちゃんというのをやめるのじゃ」

女「ねえサキたん」

サキ「……」

女「いくつか聞きたいことがあるんだけど、いーい?」

サキ「良くない」
   「……と、言ってやってもよいのじゃが」

サキ「……ハンバーグに免じて、聞いてやろう」

女(ほんと、ハンバーグ好きなのね)
 「じゃあ、まず一つ目ね」

女「サキたんはなぜ私のところに来たの?」

サキ「……簡潔に言えば、儂の母君が、お主を儂の初めての契約相手にふさわしい人間として、選んだからじゃ」
   「現代のサキュバスは、たいてい15、6歳前後で初めて人間界に降り立ち、人間と契約を結ぶ」

サキ「淫魔界の上の者たちが、淫魔たちの持つ条件とマッチングする人間を見つけ出して」
   「それを基に、淫魔たちは契約をすることが多いのじゃが」

サキ「場合によっては、家の者が、自らの娘や息子の契約相手を選ぶこともあるのじゃ」

女「え……じゃあ私はサキたんの親公認ってこと?」

サキ「なんか言い方がアレじゃが、まぁ……間違いでは、ないのか?」

女「マジか……」
 「結婚する? 私たち」

サキ「い・や・じゃ!」

女「ちぇ……まぁ、今はいいや」

サキ「今は?」

女「次の質問! サキたんってどんなサキュバス?」

サキ「儂は、人間の女を対象に吸精を行うサキュバスじゃ」
   「儂だけではない、儂の家は代々そうじゃ」

サキ「今は淫魔それぞれが、それぞれ異なる役割を担っておる」
   「同じサキュバスでも、男を相手に吸精する者もいれば」

サキ「儂らのように、女を相手に吸精する者もいる」
   「役割分担をして、より効率よく、安定して吸精を行おうという考えじゃな」

女「おぉ……じゃあ、サキたんのお母様も女の子を対象に吸精を行うサキュバスなんだ?」

サキ「まぁ、母上はそうじゃな」
   「母君はサキュバスではないが」

女「……」

女「ん? 母上はサキュバスで、母君はサキュバスじゃないって」
 「……どういう意味?」

サキ「そのままの意味じゃ」

女「いや、うん……えっとね」
 「つまり、サキたんのお母様は、2人いるってこと?」

サキ「そうじゃ」

女「……どちらか一方は、もともと男性だったとか?」

サキ「なんでそうなる」

女「いや、だって、あれー……」

サキ「……はぁ」
   「会って2日目のやつに説明するのは気が引けるが」

サキ「もう後あと聞かれるのも面倒じゃ」
   「特別に儂の両親のことを教えてやろう」

サキ「儂の母君は、日本人じゃ」

女「え、そうなの」

サキ「うむ、儂の母上の、契約相手でもある」
   「……昔は、人間の女を一方的に孕ませたり」

サキ「男の子どもを一方的に孕んだりすることが多かったようじゃが」
   「今は、一方的な関係はほとんどない」

サキ「契約した相手と、そのまま契りを交わすことが殆どなのじゃ」
   「儂らのように、女を対象とするサキュバスは、そのまま女と契りを交わすし」

サキ「男を対象とするインキュバスは、そのまま男と契りを交わす」
   「……自らが対象とする性別以外の人間と」

サキ「ましてや、淫魔同士で契りを交わすことはまず、ないじゃろうな」

女「……はー」
 「えっ、待って、それじゃあ」

女「やっぱり私とサキたんが結婚するってことじゃん!」

サキ「ぜっ、たい! 嫌じゃ!」
   「契約相手は、別に一人とは限らんからな!」

女「ダメダメっ! だって印を首元に刻まれた人って、もうほかのサキュバスとは契約できないんでしょ?」
 「ということは、サキたんに捨てられたら私、もう一生サキュバスと結婚できないじゃん! そんなの嫌ぁぁぁ!!」

サキ「なんでおぬしはそんなにサキュバスにこだわるのじゃ! ほかの女でよかろう!」
   「女が好きなんじゃったら、別に人間でも構わんじゃろう!?」

女「人間の女の子も良いけど、サキュバスってエロいじゃん?」
 「それに確実に可愛いし! 目の前のサキたんがいい例よね……」

サキ「かわっ……」カァ

女(可愛いっていうたび照れるサキたんマジたまらん)
 (うっはぁおへそペロペロしてぇ~~)

女「あ……女の子を対象とするサキュバスって」
 「どうやって子ども作るの? やっぱふたなるの?」

サキ「次から次へと質問をするな……ってか“ふたなる”ってなんじゃ」
   「もうハンバーグ食べ終わったぞ」

女「明後日もハンバーグにしてあげるから」

サキ「し、仕方ない奴じゃ……」
   「実は、女を対象に吸精を行うサキュバスも、さらに」

サキ「陰茎が生えている者、生えていない者という2つに分けられるのじゃ」
   「陰茎が生えていないサキュバスが、陰茎を意図的にはやすことはできぬ」

サキ「逆に言えば、陰茎が生えているサキュバスは、陰茎を消し去ることができぬのじゃ」
   「……陰茎が生えているサキュバスが子どもを作る場合は、まぁ、ご想像の通りじゃ」

サキ「陰茎が生えていないサキュバスの子どもの作り方は……」

サキ「……」

女「ん? どうしたの? 言いにくいことなの」

サキ「あ……いや。実は、儂もよくわからんのじゃ」
   「母上に聞いたら、“その時になったらわかる”と言われた」

サキ「ちなみに、儂を孕んだのは母上じゃ」

女「そうなんだ……」

サキ「というか、なぜ子作りについて聞くのじゃ?」

女「いや、将来のことを考えたら、聞いておいた方がいいかなと」

サキ「将来……あ」
   「……何度も言うが、儂はお主と契るつもりはない!!」

女「いけずぅ~」

サキ「さて、もう良いじゃろう」
   「ハンバーグも美味いが、やはり精気を一度味わうと、ハンバーグだけでは物足りん」

サキ「早く事に及ぼうぞ」

女「待ってっ、最後の質問!」

サキ「まだあるのか……!」

女「チーズ乗っけるから! ハンバーグにチーズ乗っけるから!」

サキ「!」パァ
   「ハッ……早く言え」

女「……あのさ」


女「魅了の魔法って、どんな風にかけるのかな?」


サキ「……なぜそんなことを聞くのじゃ」

女「んー、なんというか、心の準備? しておきたいというか」

サキ「……くひひっ、やはり、なんだかんだと言っていても」
   「やはり、恐ろしいか?」

女「あはは、全身性感帯はやっぱ覚悟なしじゃ怖いよ」
 「きっと、経験したことない感覚だろうしさぁ」

サキ「ふふ、魅了はな」

サキ「魔法をかける相手の目を見つめる、ただそれだけじゃ」

女「サキたんと目を合わせたら、魔法にかかっちゃうわけ?」

サキ「うむ」
   「目を合わせたら問答無用に魔法にかかるぞ」

サキ「誰であろうと、な」


女「ふぅん」

女「……なるほど、ネ」ニヤリ


サキ「これで答えになったか?」

女「うん、バッチリ! はぁ、質問解消したよ!」
 「これですっきりしたー」

サキ「それじゃあ、早速」

女「その前に、お風呂と、歯磨き、ね?」
 「虫歯になったら大変でしょ♪」

サキ「……」

サキ「……グスン」

今日こましとす

女の名前決めたいと思います
名前が女のままだとサキが女のことを呼べなくて、結構不自由なのですね
“こんな名前がいいんじゃない”ってのがあれば言っていただけると嬉しいです
かしこ

いろいろ案を出していただきましてありがとうございます
∞票を頂いたものも2つほどありますが、ココは「ユリ」といたします

――――――――――脱衣所

サキ(最初はとても順調じゃったのに)
   (あの女せいでさんざんじゃ……)ヌギヌギ

サキ(母君め、あの女を儂の最初の契約者として選ぶとは、一体何を考えておられる……)
   (……ハッ)

サキ(そうか! 最初の契約者を厄介な者にすることで)
   (次からの契約をよりスムーズにしようという魂胆じゃな!)

女「お邪魔しま~す♪」 

サキ(なるほどやはり、母君は儂のことを思ってくれておるようじゃ!)
   (そうということが分かれば、期待に応えるほかあるまい)

サキ「ククク……」

女「~♪」ヌギヌギ

サキ「……」

サキ「ってお主何さらっと入ってきておるんじゃ!」
   「これから儂が風呂に入るというに!」

女「え、一緒に入ろうと思って」

サキ「なっ……!」
   「なんでお主と入らねばならぬのじゃ!」

女「なんでサキちゃんとはいっちゃダメなのじゃ?」

サキ「」イラッ

女「まぁ、いいじゃないの!」
 「どうせ夜だって裸になるんだし、見られて困るもの何もないし」

女「これからしょっちゅう一緒にお風呂に入るんだし」
 「裸のお付き合いってことだし」

サキ「……うぐぐ」
   「も、もういいっ……勝手にしろ!」

女「はぁい♪」

女「髪も体もくまなく洗ってあげるからね!」

サキ「必要ない!」

女「えぇ~」

サキ「なんでそこで“意外~”みたいな顔するんじゃ!」

サキ「……まったく」
   「おい」

ユリ「私の名前は“おい”じゃなくて、ユリだよ?」
  「今更の自己紹介になっちゃったけど」

サキ「……」
   「シャンプーとコンディショナーはどれじゃ」

ユリ「……」

サキ「……くっ」
   「おい、ユリ!」

ユリ「はいはい♪ シャンプーとコンディショナーね?」

サキ「ほんっとうにめんどくさい女じゃのう……」

ユリ「はい、それじゃあお湯かけますよ~」ザバー

サキ「……っきゃぁ! な、なんでそうなるんじゃ!」

ユリ「シャンプーとコンディショナーがどれなのか教えるのより早いかなーと思って!」ワシャワシャ

サキ「なっ、んなわけないじゃろう! お主の手は必要ないと言っておろうが!」

ユリ「おっと、暴れると泡が目に入っちゃうよ?」

サキ「うっ……!」
   「……」ギュ

ユリ(泡が怖くて目をギュってしちゃうサキちゃんまじかわ)

サキ「し、仕方ない奴じゃ。 今日だけは特別に洗わせてやる」

ユリ「ありがと、サキちゃん……ちゃ~んと、丁寧に洗ってあげるからね」

サキ「そんなこと当たり前じゃ!」

ユリ「……サキちゃんの髪の毛、すごくきれい」ワシャワシャ
   「結構長いのに、ちゃんと手入れされてるね」

サキ「! ……当たり前じゃろう」フフン
   「髪は女の命じゃ。 母上にも母君にも、大事にしろと何度も言われてきた」

ユリ「ふふ、そっか」

サキ「お主は、髪は伸ばさぬのか」

ユリ「サキちゃんほどは伸ばさないかな~、お手入れも大変だし」
  「何をするにしても、髪が長いと邪魔って思っちゃう人だからさ」

サキ「もったいないのう」
   「お主なら長髪も似合うじゃろうに」

ユリ「おやぁ? サキちゃんもしかして私のこと褒めてくれてるの?」

サキ「……あ」
   「べ、別に褒めてなどないわ!」

ユリ「はいはい♪ じゃあ、頭流すよ~」

サキ「……」ギュ

ユリ「」ジッ

サキ「……」ギュー

ユリ「」

サキ「早う流さぬか!」

ユリ「あ、ごめん、目をギュってしてるのがあまりにも可愛かったもんで」

サキ「……」カァ

ユリ(何度見ても照れるサキちゃんは可愛いし飽きませんわぁ……)

ザバァー


サキ「ふぅ、さっぱりじゃ」

ユリ「よし、じゃあ次は身体ね」

サキ「うむ」
   「じゃない! おぬしまさか儂の身体まで洗うつもりか!?」

ユリ「そうですけど何か!?」

サキ「なんでちょっと逆切れ口調なんじゃ!?」

ユリ「まぁまぁまぁまぁ! 遠慮なさらずに」

サキ「嫌じゃ! 身体は嫌じゃ!」
   「なんかものすごい嫌な予感がする!」

ユリ「いや、本当に大丈夫だから!」

サキ「儂が大丈夫じゃない!」

ユリ「マジ、仏様みたいな心でやるから!」
  「悟りを開いたお坊さんのような心でやるから! 真っさらな心で洗うから!」

サキ「うるさい! 真っピンクのくせに!」
   「身体洗い終わった後、仏に顔向けできるといえるのか!?」

ユリ「……」

サキ「それみたことか」

ユリ「……ケチ」

サキ「なんとでも言え」

ユリ「じゃあチュー一回してくれたら我慢する」

サキ「一回? それで本当に我慢するのか」

ユリ「うん! ……多分」ボソ

サキ「……今何か言ったか?」

ユリ「何も言ってないよ! ないない!」
  「……キスは、抵抗ないんだ?」

サキ「抵抗がないわけではない」
   「ただ、精気を吸い取ることができるからな」

ユリ「あ、そっかぁ」
   「良いこと聞いた……心の中にメモしておこっと」

サキ「なんだか余計なことを言ってしまった気がするぞ……」

サキ「まあ、よい。なんにせよ、身体を洗われるよかマシじゃ」
   「ほれ、顔を近づけてみい」

ユリ「は~い……んッ」

サキ「ぅゅ……んっ、ふ」チュ

ユリ(ん~、やっぱ相変わらず舌小っちゃいな~)

サキ「はふ……んン」チュル

ユリ(なんだろう、自分の舌が、飲み込まれるような)
   (溶け合ってしまうような、そんな感覚がするのよね)

サキ「ん~、ぁぇぅ、ぅん」チュク

ユリ(これも、サキュバスだからなのかな)
  (はぁ、身体の芯がぞくぞくする……堪んない)ゾクッ

サキ「ぷぁ……フフ、終いじゃ」

ユリ「ふぁ……サキちゃんて、ほんと上手いよね」
  「経験者?」

サキ「母上と母君としかしたことはない」

ユリ「こ、こんな情熱的なのを……!?」

サキ「なわけないじゃろう!」

ユリ「……はぁ、経験者じゃなくってこんな風なキスができるってことは」
  「やっぱり遺伝子レベルで組み込まれてるんだろうな~、サキュバスとしての能力が」

サキ「まぁ、それはそうかもしれんのう」
   「ほれ、もう満足じゃろう」

サキ「さっさと風呂を上がるぞ」
   「中途半端に精気を吸ったから、余計に腹が減った」

ユリ「はいはい、了解で~す」
   (そういえばそうだよね)

ユリ(身体を洗うついでにサキちゃんを堪能しちゃおうと思ってたけど)
   (この後存分に楽しむ時間があるんだよね)

ユリ「……ンフフッ」

サキ「……っ!?」ゾクッ

――――――――――寝室


ユリ「……っと、よし」
  「髪、乾いたよ」

サキ「ふむ、ご苦労であった」
   「……身体はともかくじゃ、よくよく考えれば髪は長いし、手入れも大変じゃから」

サキ「洗髪と、髪を乾かすのだけは毎日やらせてやってもよいぞ? フフ」

ユリ「マジか! ついでにペロペロしても良いんか!?」

サキ「そんなことは一言も言ってないのに」

ユリ「ってかゴメン、もうすでに髪の毛ペロペロしちゃった」

サキ「――ッ!?」バッ

ユリ「冗・談☆」

サキ「……」

ユリ「あん、そんな怖い顔しないでよぉ~♪」

サキ「……んもう! こんな茶番はよいのじゃ!」
   「さっさとヤるぞ!」

ユリ「おっ、ヤる気マンマンですねぇ~」

サキ「当たり前じゃ! 昨日のカリは、今日、返させてもらう!」

ユリ(だからマジ昨日の私何したんだよ~!)
   (あの流れ、絶対サキちゃんに一方的にネチネチと責められるパターンだったじゃん)

ユリ(くそう……覚えていないなんて、もったいなさすぎる)
   (サキちゃんの発言から考えるに、あの後私がサキちゃんのことを責めてたんだよねぇ)

サキ「さて、そういえば……魅了の魔法はどうするのじゃ?」

ユリ「ん~、そうだね」
   「一度、半分くらいの力でかけてみてくれない?」

サキ「ふふ、怖気づいたようじゃな」

ユリ(きっと、感じるサキちゃんの姿はとてつもなくかわいかったんだろうなぁ)
  (見たい、是非とも、はっきりと目に焼き付けたい)

ユリ(トロトロに溶けてしまいそうな、サキちゃんの顔……見てみたい)

サキ「まぁ、良い」
   「壊れてしまっては、それはそれで問題じゃからな」

サキ「確かに、まずは様子見、というのが利口かも知れぬ」

ユリ(……覚えていないなら)

サキ「それじゃあ、今日は、半分の力で」
   「……おぬしに魅了をかけてくれようぞ」スッ

ユリ(今日、また、新しく記憶すれば良いよね!)

サキ「……魅了(チャーム)っ!」

ユリ「ごめんね、サキちゃんっ!」バッ

サキ「……ッ!?」

サキ「なっ、こ、これは」
   「手鏡……じゃとっ!?」

ユリ「……えへっ♪」

ユリ(……私はあの時、サキちゃんに魅了の魔法に関する質問をした)
  (魅了の魔法は、相手の目を見つめることで、効果を発揮する)

ユリ(しかも、目を合わせてしまえば、誰であろうと、問答無用で魔法がかかると言っていた)
   (私はそこからヒントを得て……ある仮説を立てた)

ユリ(問答無用で、誰にでも魅了をかけることができるのであれば)
   (それは、魔法を使う本人にも、効果があるのではないか、ということ)

ユリ(上手くいけば、サキちゃんを全身性感帯状態にできるのではないかということを!)
   (そこで私は、こっそりとハンドミラーを隠し持つことにした)

ユリ(サキちゃんが私に魅了の魔法をかける時に、鏡を取り出す!)
  (サキちゃんが自分の目を見つめる!)

ユリ(サキちゃんが魅了の魔法にかかる! 私は魅了にかかったサキちゃんを心行くまで堪能する)
   (……なんて完璧な計画っ!)

ユリ(そしていま!)
   (その計画を実行し、上手くサキちゃんが自分の目を見つめるに至った!)

ユリ(さぁ、次はサキちゃんが魅了の魔法にかかる番だよ!)
   (……)

ユリ(って、そんなうまいこと行かないよねー)
   (私知ってるよ……何もかもが思い通りに行くわけないってこと)

ユリ(っていうか今考え直すと、なんて下種な計画なのかしらこれは……)
  (可愛い女の子には“基本”優しくするという私の信条に背く計画じゃないの……止め止め)

ユリ「……って、びっくりした?」
   「目を開けたら、目の前にいたのは何と自分でしたー的な!」

ユリ「あはは! ごめん、サキちゃん、怒らな」


サキ「……はっ……はぁっ」

ユリ「いで……って」

ユリ「あれっ」

今日ここす

サキ「ん……んっ、ぁう」ビクッ

ユリ(顔がめっちゃ紅潮してるし)
   (すごい息が荒くなってるんだけど)

サキ「き、貴様……この、っは……魅了の魔法の弱点……知っておったなッ」

ユリ「い、いや、知ってたわけじゃないよ!」
  「ただ、見つめた相手を問答無用でって言ってたから……もしかしたらって」

ユリ「あ、まさか、本当にサキちゃん自身が、自分の魔法にかかるとは思ってなかったよ!?」

サキ「う、ぐぅっ……ふぅ、ふぅ」ゾクゾクッ
   「み、魅了の……魔法はっ」

サキ「儂らが使える……ん、っ、ま、魔法の中でも……特に強力なんじゃ」
   「一方で、弱点がある……はぁ、はぁ」

サキ「何かに、遮られると……じ、自分に魔法が跳ね返って……来るんじゃ」

ユリ「え? そ、そうなんだ」
  「まぁ、確かに……見つめただけで相手の身体を敏感にするってのはちょっと、チートくさいし……妥当な気がするけど」

ユリ「じゃあ、手鏡の意味は何もなかったってこと?」

サキ「遮る物によって……魔法の反射率が変わる……」
   「手で遮られたところで、自分自身に魔法はほとんど帰ってこん……」

サキ「しかし、鏡は……魔法をそのままの力で……反射するのじゃ……」
   「だから……半分の力でかけた魅了の魔法が……」

サキ「減衰することなく……自分に戻って、来てしまったのじゃ」

ユリ「なるほど!」
   「……ってか、大丈夫?」

ユリ「すごい、顔真っ赤だけど」

サキ「大丈夫なわけないじゃろぅぅぐぅっ……!」ビクッ
   「……ッはっ、はっ……」

サキ「それに、貴様っ……儂の魔法を……反射した張本人のくせにっ」
   「大丈夫などと……どの口がっ……」

ユリ「それは申し訳ないと思ってるよ!」ハァハァ

サキ「うそつけっ……!」

ユリ「確かにサキちゃんがハァハァしてるのを見て興奮してはいるけど!」

サキ(堂々と言うことじゃないじゃろ……あぁ、身体が熱い……)

ユリ「私なりに信条っていうものがあるのよ!」
  「可愛い子には、基本優しくっていう信条が!」

サキ「下心ッ……見え見えじゃ……」

ユリ「下心がないわけないでしょっ!」
  「優しくして置きながら“下心ないです~”っていう風な態度をとる人間は信用できませんし!」

サキ(うわぁ)

ユリ「とにかくさ! サキちゃんが苦しそうにしているのを見て」
  「私が何もしないってわけにはいかないじゃない」

ユリ「……どうすれば、魅了の魔法は解けるの」

サキ「……ひっ、一晩……経てば……魔法は解けるっ」
   「たぶん……ぁ、ぁぅ」

ユリ「時間の経過でしか、魔法は解けないの……」

サキ「あ、ふ、ふっ……ふぅ」コクッ

ユリ「そう……」

サキ「はー、はーっ」

サキ(ま、まずいのじゃ……あたまが……ぼーっとする)
   (シーツに肌がこすれるたび……体の奥が締め付けられる……)

サキ(魅了の魔法が……こんなにひどいものじゃとは……)
   (……思っても、居なかった……)

サキ(く、苦しい……)

サキ「う、うぅ……!」

サキ(そ、それに……さっきから……何度も)
   (イく直前の、ゾクゾクとする感覚が……押し寄せてくる……)

サキ「はっ、はひっ……!」
   「……ぅ、ぅぅ~~……!!」ブルブルッ

サキ(それなのにっ……)
   (最後までいかぬから……余計に……辛いっ……!)


ユリ「……」


ユリ「……」サワッ

サキ「んぎッ……!!」ビクッ

サキ「な、なんじゃっ……! い、いきなり……んぁぁ……!」
   「しゃわっ……さわるなぁ……!」

ユリ「サキちゃん……多分だけどさ」
   「さっきから、イくの我慢してない?」

サキ「なっ……な、何を言うとるんじゃ……は、はっ」
   「我慢なぞ……して……」

サキ「……っっ……くぅぅ……!!」
   「ぁ、ぁぁ~~……っ」ギュッ
 
ユリ「ほら、今みたいに」
   「さっきから、何度もシーツをギュってしてるんだもん」

ユリ「絶対我慢してるよね?」

サキ「……ぅ、く……」

ユリ「……私ね、さっきからずっと考えてたのよ」

サキ「……?」

ユリ「魅了の魔法をかけてほしいと言っておきながら……」
  「本当にできるとはわかってなかったとはいえ」

ユリ「サキちゃんに魅了の魔法を跳ね返してしまったこと」
  「結果として、サキちゃんを苦しめてしまったということ」

ユリ「それに対して、どう責任を取ればいいのかって……」

サキ「……お、お主……は……んっ! んん……」

サキ(こんな風に、しおらしくなる……こいつは初めて見た)
   (本当に……申し訳なく思って……)

ユリ「だから私考えました……」

ユリ「今からサキちゃんのことを気持ちよくします」

サキ「……」

サキ「は?」

ユリ「たぶんイきたいのにイけないから苦しいんだと思うの!」
  「快感を抑えているから苦しいんだと思うの!」

ユリ「サキちゃんを苦しめている私には、それらから解放してあげる責任があると思うの!!」

サキ「い、いや……ぅっ!!」
   「ぃぃ……~~ッ!!」

ユリ「ほら、今の! 絶対、我慢してるから辛いんだよ!」
  「我慢せずに、快楽を享受したら! 苦しくなんてないよ!」

ユリ「だから私の手で気持ち良くしてあげる!」ハァハァ

サキ「それ、ぜったひィ……! お、お前がヤりたい……だけじゃろっ……!」

ユリ「そんなこと……っ!」
  「……いや、否定はしませんけどぉ……」

サキ「少しは否定するそぶりを……ッ! は、はひ……」ブルブルッ

ユリ「ま、とりあえず私に任せて任せて♪」

サキ「い、いやっ……! やめr」

ユリ「はい、まずはちゅー♪」チュッ

サキ「ん……ッ!」ビクビクッ
   「ぁ、ぁふっ! ん、んんぁぇッ!」

サキ(な、なんじゃこれっ……! 先刻とは……くらべ、ものにぃ)

ユリ「ん、ん……んっ」
  「……はふ……」チュルチュル

サキ「ぁ、ぁ……んァ……!」ゾクゾクッ

ユリ(ふふ、ちゅーしただけで力がすっと抜けちゃった)
   (顔もすっかり……とろけちゃってるし)

ユリ(このまま、一回くらいイかせちゃおっかな)サワッ

サキ「ん~~ッ!」ビクンッ

ユリ「……んふ♪」
  (胸触っただけでこれだもんね)

ユリ(さて、サキちゃんは一晩で何回くらいイっちゃうのかな?)サワサワ
   (……先っちょも)クニッ

サキ「ぷぁ、ぁっ、ぁ、ぁぁ~~~~ッ……!!」

ユリ「ふぁ……フフ」
  「まずはおっぱいだけでいっか~い」

ユリ「すっごい、エッチな顔してるよ、サキちゃん」
   「可愛い♪」

サキ「ひゃ、んゃめろぉ……」ビクッ
   「……い、うなぁ」ビク

ユリ「んふふ~♪」
   (そんな顔でやめろだなんて言われても、可愛いだけだってば♪)

サキ「はっ……はっ……はぁっ」

サキ「……ぅ、ぅ~……」ムズムズッ

ユリ「サキちゃん、まだまだもの足りないでしょ?」

サキ「!」

ユリ「大丈夫、まだまだシてあげるから……♪」
  「じゃあ、次はね……」

ユリ「……あ」

ユリ「ここかな?」サワッ

サキ「んぅ~~っ!?」ゾゾゾッ

ユリ「お風呂に入ってた時から、ずっと気になってたんだよねぇ~」
   「この、しっぽ♪」

サキ「ぁ、ゃめっ……!」

ユリ「やっぱりサキュバスにもついてるんだね……」
  「触ってみると、作りものじゃなくて……命が通ってるんだって分かるね」ススッ

サキ「ふぁ……! ぁぁぁ……!」

ユリ「創作ものだとよく、尻尾が弱点……性感帯だったりするけど」
  「実際はどうなのかな~って」サワサワッ

サキ「んんん~~!!」ブルブルッ

ユリ「あ、こらっ」
  「口を手で押さえないの」

ユリ「声も、我慢しないで出した方がいいよ?」
  「今よりもっと、気持ちよくなれるんだから」

サキ「ぁ……!」
   「ゃだっ……!」

ユリ「えいっ」ギュッ

サキ「あッ!! あ、あっ」ビク
   「ゃらっ、ぃぎっ、たらぁ」

ユリ「ふふ、握ったらダメ~?」
  「口ではそう言ってるけど、身体はどうかな? 聞いてみないとね♪」ギュッ、ギュ

サキ「~~~~~~ッ♪」ゾクゾクゾクゾクッ

ユリ「ふふ、やっぱり、身体の方が正直みたいだね?」クス

ユリ「根もとから、こういう風に……」ススッ

サキ「ぁ、ぁぁ――」

ユリ「撫で上げちゃったら……」スルスル

サキ「――」

ユリ「……気持ち良すぎちゃうかな~」スッ

サキ「――ッぁっ」
   「ぁ、ぁ……♪」クッ、クンッ

ユリ「ふふ、どう?」
  「さっきよりも、ずっと苦しくないでしょ?」

サキ「ぅ……」

ユリ「もっと、力を抜いて?」
  「……気持ちよさに、身を任せるの」ナデ

サキ「……~」

ユリ「大丈夫、何にも、怖くないから」

サキ「……ぅん」

―――――

サキ「は……はぁ……」

ユリ「ふふ、次は、ココ、ね」クチュ

サキ「……ぁンッ!」ビクッ

ユリ「すごい、びしょびしょ」

サキ「……ぃ、ぃうなっ……」カァァ

ユリ「ごめんごめん」
   「私の手で、舌で、こんなに感じてくれてるんだ~って思うとさ、嬉しくなっちゃって♪」

サキ「……ん」

ユリ「……ふふ、じゃあ、サキちゃん」
  「指、動かすね」クチッ

サキ「ふァ……!!」ビクッ

ユリ(撫でただけなのに、身体が弓なりになっちゃって……)
   (あぁ、もう……)

サキ「……ぁ、ぁっ!」

ユリ(形にそって、撫でてみたり)クニッ

サキ「あ、あっ」

ユリ(軽く開いてみたり)クチュッ

サキ「ひゃん! ……ぁ」

ユリ(クリトリスをせめてみたり……)クチクチッ

サキ「う、うぅ~~……!!」ビクビクッ

サキ「ぅ、ぁっ……!」グイッ

ユリ「おっと……!?」

サキ「ん、んん~~……!」グッ

ユリ(ま、まさかっ……!)
   (サキちゃんから、私の指に押し付けてくるなんて)

サキ「ふぁぁ……!」

ユリ(……ぅっ)
   (これ、扇情的すぎ……っ)ゾク

ユリ「……サキちゃん」
  「そろそろ、指、挿れていい?」

サキ「あっ……ぅ、ぅ……」
   「……ん」コクリ

ユリ「そう? じゃあ……」クチュ

サキ「あっ……!」

ユリ「……ん?」

サキ「……は……ふっ」
   「……はじめて……じゃから……」

サキ「……ゆっくり……」

ユリ(えっ、はじめて?)
   (昨日は、指は入れてなかったんだ……)

ユリ(ってことは、今日みたいに、指でなぜる感じだったのかな……)
   (ふふ、なんにせよ、サキちゃんの初めてを頂けるのは、恐悦至極)

ユリ(傷つけないように、丁寧に、いきますか……)

ユリ「じゃ、いくよ……?」

サキ「ん……」

ユリ「……力抜いててね」クチュ

サキ「ひっ……ぎっ……!」ゾクゾクッ
   「ふ、ふぅー……」

ユリ「そうそう、息を吐いて」
   「……うッ」ブルッ

ユリ(指を早速締め付けてくるんですけど……)
  (うわっ……やば……!)

ユリ(指が絡め取られるみたい……!)
   (エロっ……)

サキ「は、はぁっ……ぁぁぁ……♪」

ユリ(それに早速色っぽい声が出ちゃってるし)
   (サキュバスって、性質上、性に対する感受性が高いのかな……)

ユリ「……っと」ツプッ

サキ「――――ッ」ビクッ

ユリ「はい、指一本、入っちゃった……」
  「……サキちゃんの中、せまっこくてすっごくエッチい」

サキ「ふ、ふぁ……ぃわない……で」

ユリ「……動かすよ」クチュッ

サキ「あぁぁ~~ッ……!」ビクビクッ

ユリ(さて、サキちゃんの一番弱いところはどこかな……)クチュクチュ

サキ「あっ、あっ……!」

ユリ「……ん」クチュッ

サキ「んきッ……ぁっ!!」ビクンッ

ユリ(ここかぁ……ふふ)
   (場所が分かれば……)クチュクチュッ

サキ「ん、んぅぅ……! ぃ、ゃぁ……!!」
   「しょこっ……! ゃぁ……!」

ユリ「ふふふ、気持ちいいでしょ」
   「……まだまだ気持ちよくなるよ?」クニュッ

サキ「~~ぅぅ~~ッ~~……!?」

サキ「ぁ、ァァ、ぁぁぁ~~く、くる……!」

ユリ「イきそう?」
  「じゃあ、もうちょっと激」

サキ「ぁ、ぁっ!」ギュッ

ユリ「んむっっ!?」
  (さ、サキちゃんから、抱き着いてきた……!?)

サキ「ゆ、ゆりぃ……! ぁ、ぁぁ~~」グ...グイッ

サキ「あぁぁっぁあぁぁぁ~~~~~~ッッッ♪」ビクンビクンッ

サキ「~~ッ、~~ッッぁはっ」クンッ...クン

サキ「ぁ、ぁぁ……♪」...クンッ

サキ「……ぁ、ぁぁ……」

サキ「……ふぁ」クテッ

サキ「……は……」


ユリ「……っ」

ユリ(う、うわっ……)クラァ

ユリ(さ、最後の……)


ユリ(……ま、マジで……可愛すぎでしょ……)

ユリ(……あぁ、もう)

ユリ(……魅了の魔法)

ユリ(私にもちゃんとかかってるじゃん……)

きょうこま

――――――――――朝

サキ「……ぅ、ぅん……」モゾ

サキ「……」

サキ「ふ、ぁ~……」
   「……ぁふ」

サキ(朝か……)
   

サキ(……昨日、儂は……)

サキ「……」カァ

サキ(……お、おかしくなっていたようじゃっ)
   (こいつが……)

ユリ「……ん~」スヤァ

サキ(こいつが、儂の魅了の魔法を跳ね返したせいで……)

サキ(ほんと、散々な……夜じゃった)
   (……本当に)

サキ「……」

サキ(しかし……)
   (何故じゃろう……)

サキ(一方的に、されることが……苦痛ではなかった)
   (……むしろ、幸せとまで、感じてしまった)

サキ(儂の気持ちが……満たされていくような、感じが……あった)

ユリ「う、うぅん……」モゾッ

サキ「!」

――――――――――

ユリ「……ふぁ~……」
  「んっ、んん~~~~!」

ユリ「っはぁ……朝だー」
  (はぁ……昨晩はとても充実したものだった)

ユリ(サキちゃんの可愛いところ……見られたし)
   (それに、なんといっても最後……)

ユリ「……」

ユリ「……えへっ」カァァ

ユリ(うっはぁ……! 思い出しただけでもきゅんきゅんするぅ……!)
  (これは確実にサキちゃんに恋しちゃってますよぉ~!)

ユリ「ぅぁぁ~~♪」
  「……ぁっ!?」

ユリ「さ、サキちゃんが……」
  「と、となっ、隣にっ」

ドタドタドタドタッ!

サキ「っ!?」

バタンッ!

ユリ「あ、あっ……! サキちゃん!」

サキ「なっ、何事じゃ……騒々し ユリ「サキちゃぁ~~~~ん!!」ギュゥー

サキ「ななっ……!」カァァァ

サキ「なんじゃいきなりっ……! だ、抱き着いたりしてっ」

ユリ「だ、だって、だってぇ……!」
   「起きたとき、隣にいなかったから……!」

ユリ「き、昨日のこともあって、どこかに行っちゃったのかなって、思ってっ」グズッ

サキ「……き、昨日」カァ
   「べ、別に、顔を洗いに、来ていただけじゃっ」

サキ「なんか……その、頭が、あれじゃ! ぼーっとしてたから……さっぱりしたかったのじゃ!」

ユリ「そ、そっかっ……よかったぁ……」

サキ「……」

サキ「んっ」チュッ

ユリ「……んっ!?」

サキ「ふ……」
   「……お、お主は儂の、契約相手なのじゃ」

サキ「何も言わずに、勝手に帰るような真似はせん……」
   「どこかに行ったりも……するつもりはない」

ユリ「……さ、サキちゃん……?」

サキ「……」フイッ

ユリ「……さ」
  「サキちゃぁ~~ん♪」ギュゥゥ

サキ「ぅ、ぅぐぅ……!」
   「苦しいぃ……!」

ユリ「愛してるぅ~~~~♪」

サキ「あ、愛っ……!?」カァッ

ユリ「んちゅっちゅ~~♪」

サキ「わ、やめっ、ぷぁ」
   「やめろぉ~~……!」

――――――――――

ユリ(……その日から、サキちゃんは)
  (だんだんと変わっていきました)

ユリ(私のこと、お前とか、お主とか、と呼んでいたのに)
   (いつの間にやら)


サキ「……ユリ」


ユリ(なんて、名前で呼んでくれるようになって)
   (サキちゃん、と私が呼んでも。 嫌な顔一つせず)


サキ「なんじゃ?」


ユリ(と、答えてくれるようになっていました)

ユリ(私の作る料理に対しても、褒めてくれるようになったり)
   (何かあるたびに、キスをせがんで来たりするようになりました)

ユリ(私が、サキちゃんにディープなキスをしてあげると)
   (とびきり満足そうな顔をして、ご機嫌になるのです)

ユリ(まぁ、そんな顔をするのは一瞬で)
   (照れ隠しをするかのように、私に毒を吐くのは)

ユリ(今でも変わっていないのですが……)

ユリ(セックスの方も……サキちゃんはますます積極的になっていきました)

ユリ(なされるがままというのにも、ちょっとずつ抵抗感がなくなってきたようで)
  (私が、優しく愛撫してあげると)

ユリ(体を震わせて、悦んでくれるのです)
ユリ(毎回私は、その姿を見て、どうしようもない幸せを感じていました)

ユリ(……って、もはやどっちがサキュバスなのかわからないですね)

ユリ(そのことを思ってか、どうなのかわからないのですが)
   (最近は、私のことを積極的に気持ちよくしようと)

ユリ(いろいろなところにキスをしたり、舌で撫ぜたり)
   (慎重な手つきで、私の大事なところに触れたりしてくれます)

ユリ(サキュバスだからでしょうか。場数を踏んでいないというのに)
   (私のキモチイイ所を的確に責めてきます)

ユリ(えぇ、それはもう、何度もイかされましたとも)
   (翌日に支障が出るくらい、されたこともありました)

ユリ(勿論、やられっぱなしも女がすたる! っていうことで)
  (そんな時には、倍返し!)

ユリ(そうなるともう、ただただ意地の張り合いで)
   (朝になるまで何度も何度もイかせ、イかされ……)

ユリ(最後はお互い満身創痍となって)
   (朝から、昼過ぎまで眠ったりしました……)

ユリ(あ、勿論、大学に行く用事がない日だけですよ!? そういうことがあったのは)
   (……一応、大学では比較的真面目な学生で通っているはずです……多分)

ユリ(まぁ、ともかく)

ユリ(私と、サキちゃんはお互いに満たし満たしあう関係になっていました)

ユリ(これは、1か月を待たずして)

ユリ(両親を紹介するパターンがある奴や……!)

ユリ(こんまま結婚一直線や!)


サキ「……ユリ」
   「お主、またよからぬことを考えているのではないじゃろうな」

ユリ「えっ……や、やだなあ!」
   「そんなことないよぉ~~?」

サキ「ふふ、甘いぞ?」
   「お主がよからぬことを考えて居る時の顔くらい、すぐわかるのじゃからな」

サキ「まぁ、よい」
   「すぐにその顔を、悦楽に浸っているようなみっともないものにしてやろうぞ……♪」

ユリ「えっ、ちょ、たんまっ! いま、イったばっかしじゃん……!」
   「あっ」


ユリ(まぁ、別に結婚しなくても)
   (今のままで十分満足してるし……いいかも、ね)

――――――――――

――――――――――大学

ユリ「~♪」

ユリ(今日はサキちゃんカレーが食べたいって言ってたな~♪)
  (カレールーあったっけ、玉ねぎと人参……も、あったはず)

ユリ(お肉とジャガイモを買っていこっと♪)

教授「おっ、ユリ君」

ユリ「あっ、教授!」
  「お疲れ様で~す♪」

教授「お疲れ様」
   「……なんだか、最近は前にもましてテンションが高いね」クス

ユリ「えへへ~、分かりますぅ?」

教授「好きな人でもできた?」

ユリ「あっ、教授そういうこと聞くのって、セクハラですよ~?」

教授「おや、そうだったっけ……それは困ったな」
   「今日すでに何人かの女の子に聞いちゃったんだけど」

ユリ「おっきいおっぱいが付いていても、女の子になんでも聞いていいって訳じゃないんですから」
  「気をつけなきゃだめですよ? おっぱい教授!」

教授「……君も人のこと言えないんじゃない?」

ユリ「ま、でも……そうですね~」
  「好きな子っていうか……大好きな子はいます」

教授「お、言うね」

ユリ「最初、出会ったときは、まぁ、驚くことも多かったんですけどね」

ユリ「いろんなことを経験していくうちに、その子の魅力がどんどん分かってきて」
   「それに伴って、毎日がどんどん幸せになってきてますっ!」

ユリ「テンションも、高くなるってもんですよ!」

教授「ふふ、そっかそっか……」

ユリ「……っと、そろそろスーパーのタイムセールが始まっちゃう!」
   「今日、ウチカレーなんですよぉ……♪」

ユリ「家で愛しの彼女が待ってるんで、そろそろ失礼しますね!」

教授「はいはい……引き留めて悪かったね」
   「まぁ、彼女にとびきりおいしいカレーでも、ご馳走してあげて」

ユリ「はいは~い♪」

教授「……」

ユリ「あ、そうそう!」

教授「おっ、びっくりした」
   「……なに? 課題でも出し忘れてた?」

ユリ「違いますよ!」
   「私の可愛い後輩たちのこと、あんまりこき使わないようにしてくださいね!」

教授「あはは……そういうつもりはないんだけどな~」
   「まぁ、善処するよ」

ユリ「お願いしますね!」
   「じゃ、今度こそ、さよなら!」

教授「はい、気を付けてね……」

教授「……」

教授「ふふ、そっか」



教授「もしもし?」

教授「私だよ」

教授「……今、例の彼女と話していたんだ」

教授「うん……二人とも、なんだかんだで、うまくやっているみたいだ」

教授「やっぱり、私の見立ては間違っていなかったみたいだ」

教授「私も、安心したよ」

教授「……うん」

教授「そうだね、これからのことは、彼女達自身に任せよう」

教授「……あははっ」


教授「そうだね、次……帰ってくる時が楽しみだね」



ユリ「ただいまっ! サキちゃ~ん♪」ムギュッ

サキ「わっ! 帰って来て早々ひっつくなぁ!」
   

おしまい。


本当は後輩とサキの奪い合いとか、サキとユリのデートとかいろいろ考えていたのですが

そういうことやっていたらどんどん長くなると思いました。これ以上長くなると、間違いなくグダります。

そいで今回、ちょうどキリが良いところだったのでこういう形で幕引きといたしました。

次のSSも、サキュバス(悪魔、妖怪、モンスター系?)×女で考えています。エロ分は少なくなると思います。

版権系でも、なんかいろいろ考えています。

目に止まった時、暇つぶし程度に見ていただけたなら、それほど嬉しいことはありません。

拙文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

お疲れ様でした。

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