勇者「超冒険氷河期ってやつか。」(338)

一応ドラクエとか参考にしてるけど、
違う所とかもあるから。んじゃ開始。


<とある城・玉座の間>

王様「それで、お主は何故勇者になりたいのじゃ?」

若者「はい。魔王を倒し、世界を救う為です。」

爺「しかし、魔王を倒して、本当に世界が平和になるのかね?近隣国は魔物のせいで戦争が出来ないとぼやいとる様だが。」

若者「えっ、そ、それは……」

王様「もうよい下がれ。お主の様な中途半端な若造を我が国の勇者には出来ん。去れ。」

若者「クッ…失礼します……」

王様「うむ…どいつもこいつも腑抜けとる。我が国の勇者として冒険させるには情けない若造共ばかりじゃ。」

爺「ええ。仰る通りでございます。陛下。」

兵士「申し上げます!」

爺「なんじゃ。申してみよ。」

兵士「勇者選抜面接を受けに来たと言う若者が入城許可を求めているのですが…」

爺「なんじゃと?受付は一時間前に終わっとるぞ。」


兵士「それがその若者は、一時間ずらしてきた。勇者になってやるから入れろと申しておりまして…」

王様「はん!そのような無礼者、はよう切り捨てい。」

兵士「それが…斬ろうとした兵士が殴られて気絶してしまいまして。」

爺「その小僧は捕らえたのか?」

兵士「捕縛しようとした兵士と乱闘騒ぎを起こしております。背中の剣を抜かず、素手で。」


爺「陛下。如何致しましょう。」

王様「騒ぎを民に知られて騒がれるのもつまらん。入れてしまえ。」

爺「曲者かも知れませんぞ!?」

王様「曲者ならば門番相手に素手で殴り合う様な真似はせんじゃろう。」

爺「むぅ…」

王様「それに、それほどの腕があるならば門番をその場で切り捨て、中に入れば良い。」

爺「た、確かに…で、ではその若者を玉座の間に…」

兵士「はっ!」


勇者「よう、ジジイ。勇者になりに来てやったぜ。」

王様「ほう…」

爺「無礼な!この小僧め!斬れ!斬れぃ!」

王様「待て。」

爺「しかし…!」

王様「儂は今、お主に待て、と言った。」

爺「は、ははーっ!」ペコリ サッ

勇者「喋って、良いか?」

王様「申して見るが良い。」

勇者「率直に言うぞ。」


勇者「俺をこの国の勇者として雇え。」

王様「……何故じゃ?」

勇者「俺が魔王を殺してやるからだ。その代わり、お前らは俺に資金等の援助をしろ。」

王様「…お主が魔王を殺すのか?」

勇者「ああ。俺は魔王を殺す。お前たちは資金援助をする代わりに魔王討伐を果たした勇者を送り出した伝説の国として歴史にその名を残せる。」

王様「ほぉう。じゃが小僧。儂はお主の身分も何もかもを知らんぞ。そもそもお主は本当に魔王を殺せるのか?口だけのホラ吹きではないのか?」

勇者「おっと、悪いなジジイ。履歴書だ。」つ履歴書

王様「うむ、確かにどれどれ...」


爺「ふむ……こ、コレはぁ!!?」ビクゥッ

王様「上級武器取扱い、甲・乙・丙種全て取得。特級魔獣テイマー技術士、人身掌握・心理分析技術上一級、天剣虎牙流免許皆伝、法蔵院槍術免許皆伝。」

勇者「どうだ。これで良いだろ。」


爺「これらを……全て取得したと…?…………嘘じゃ!偽りじゃ!偽物じゃ!」

勇者「なんなら試して見る?俺の腕前?一応魔王クラス以外ならテイム出来るけど。」

王様「それよりこの天剣虎牙流とはなんじゃ?」

勇者「虎牙一刀流は知ってるだろ?有名だよな。それの上級剣術だよ。」

爺「そんなもの聞いた事がないわ!」

勇者「だろうな。一刀流の師範と互角かそれ以上の実力が無いと習えねぇし。」

王様「何処がどう違うか等はどうでも良い。実際に見せてみよ。」

勇者「あいよ。木製の剣と槍一本ずつ用意しな。相手の武器はなんでも良いぜ。」

王様「用心棒を呼べ。今頃自室に籠って寝とる筈じゃ。」

側近「ハッ!」


用心棒「なんだい、ジイさん。まだ勤務時間にゃなってねぇぞ」アクビ-

王様「この者は天剣虎牙流とやらの免許皆伝だそうじゃ。こやつに勝てば今月の給金は0を一つ増やしてやろう。」

用心棒「へぇ…天剣虎牙流の…光栄だねぇ…こんな所で会えるなんて。」

勇者「どうも。」

用心棒「0一つ増やすなんてジイさんも太っ腹だねぇ。」

勇者「簡単じゃないぜ?」

用心棒「分かってるさ。」


兵士長「時間無制限!互いのどちらかが気を失うか降参するかで勝負を決める!構え!」

用心棒「一気に行くぜ?」サッ
勇者「……」サッ

兵士長「はじめぇ!」

用心棒「せぃ!」ツキ

勇者「…」サッ

用心棒(ここで左手に抱え持ちしてる槍で突く気だな?)

勇者「ふっ!」ツキー

用心棒(そして俺が避けた所を剣で迎え打つ…が!)ガン

勇者「受け止めてたか……」

用心棒(こうしてかわした直後に剣を剣で受け止めて、流せば…懐に入り込める!!)

勇者「……」スバッ

用心棒「うおあっ!」(しまった!?足払いか!?)ドテ


勇者「…うぉらぁ!…」ブン

用心棒「ぐっ…!」ゴッ

勇者(逆の手で受け止めたか……)スッ

用心棒「参った、降参だ。」

爺「何を言うか!まだお主は戦えるであろう!クビに…」

勇者「ジジイ。コイツは充分戦ったぜ。なんせ腕の骨折れるまでやったんだからよ。」

用心棒「やっぱバレてるか。」ムクリ

勇者「当たり前だ。」

王様「恐らくは腕で木刀を受け止めた時じゃろう。」

勇者「ああ。…折れてなきゃ反撃出来ただろうがな。」

用心棒「してもアンタにゃ敵わないさ。」

王様「おい。誰ぞこの者を神官の所まで運んでやれ。」


王様「それにしても中々の戦いじゃったのう。」

勇者「どうも。んじゃ、勇者として認めてもらえるかい?」

王様「うぬ。ところで天剣虎牙流は体術も含めとるのか?」

勇者「ああ。それに俺が我流の片手槍術を併せて使ってるわけ。人間相手の時はね。」

爺「魔物との戦いでは?」

勇者「剣だけかな。たまに槍も使ってるけど、同時に使うのは人間相手の時だけ。」

爺「……」

王様「さて、お主は我が国のエリート、キャリア組の勇者として迎え入れよう!」

爺(キャリア組とは言っても今まで一人も居なかったんだけどね。)

勇者「んじゃ、装備を整えるだけの資金と、馬車。それに、仲間も紹介してもらおうかな。」

王様「良かろう。資金は今すぐ用意させる。馬車と仲間は明日の朝に紹介しよう。」

勇者「了解。」

王様「それと明日の朝まで暇じゃろう。パブで少しこれで呑んでこい。」スッ

勇者「……充分な金だな。余ったら装備資金に回させて貰う。」パラパラ


兵士「こちらです。」

勇者「はいよ。……たったの20000Gか。」

爺「なんじゃと!?」

王様「充分だと思ったが?」

勇者「この国の国民、30000人は居る。俺が魔王を殺すのに国民1人1Gも払ってねぇ。これの何処が充分なんだ?」

王様「勇者はお主一人では無い。エリートキャリアはお主一人でも、下級勇者はごまんと居るのじゃ。」

勇者「へぃへぃ。んじゃパブで姉ちゃんの尻でも拝みに行きますかね。」スタスタ


爺「よろしいのですか?」

王様「腕は確かなようじゃからのう。」

爺「本当に使えましょうか?」

王様「少なくともお主がコネで勇者に成らせた無能の甥よりはな。」

爺「お、お見通しでしたか……」

王様「我が目を誤魔化せると思うたか。」

爺「……」

王様「まあ良い。お主は親父殿と儂、二代に渡って仕えてきた忠臣と、言うことに成っとるようじゃからのう。」


<パブ・Butterfly>
カランカラン
勇者「邪魔するぜ。」

ママ「あら、随分と可愛らしいお客さんだねぇ。」

勇者「そりゃどうも。キャリア勇者とやらに認められたんで、その記念に飲もうと思ってな。」

女1「キャリア勇者って…超一流の冒険者って事!?」

女2「すごーい!!お客さん、お酌させて!こっち!このテーブルよ!」

勇者「どうも。」ストン

女3「飲み物は何にします?」

勇者「ウィスキー辺り、行っとくか。ストレートで。」

女3「え!?ストレートで良いの!?」

女1「お酒強いのねぇ…アッチも強いのかしら?」ニヤニヤ

勇者「…知りたいか?」ニヤリ

女2「教えて欲しいわ。たっぷりと、ね。」

女3「二人とも先走り過ぎ。まずは冒険のお話とかして欲しいな。」

勇者「そんなんで良いのか?それじゃまずは…………………」


[翌朝]<宿屋・勇者自室>

勇者「飲み過ぎたか…少し頭がボーッとする…」ムクリ

女1「スーッ,スーッ...」ゴロン

女3「…………」ムニャムニャ

勇者「…………………………夢だな。うん。もう一眠りするか。」ゴロン

宿屋主人「失礼致します。昨夜はお楽しみでしたね。」ガチャ

勇者「………………………………」ゴロン

主人「国王陛下がお呼びです。城に来いとのお達しですが。」

勇者「クソッ!」ガバッ

女1「………」
女3「スー,スー...」

勇者「……………」ゴロン

*2時間後
<城・玉座の間>

勇者「遅くなったな。」

爺「遅い!勇者が城の参上に2時間遅れる等…」

王様「お主の仲間が見つかったぞ。」

勇者「どうも。」

王様「入れ。」

怪しい格好の女「失礼致します。」

勇者「随分と活きの良い仲間だな。」

王様「この者はただの召喚士じゃ。」

勇者「あっそ。んじゃもっとマトモな国王様召喚してもらえば。」

王様「これは一本取られたのう。」

勇者「んで、何を召喚してもらうんだ?」


王様「勇者じゃ。」

勇者「うん。正常な王様を召喚してもらえ。」

爺「黙っておればなんと無礼な!」

王様「まあ待て。勇者と言っても普通の勇者ではない。伝説の歴代勇者の一人、第五の勇者じゃ。」

勇者「モンスターテイムが得意な事で有名だったっけか。」

王様「まあ正確には勇者はその息子なのじゃがな。」

勇者「まあ、良いや。さっさと召喚しちゃって。」

召喚士「畏まりました。」


召喚士「…」カプリ ペッ

勇者「…?」

召喚士「ラミパス・ラミパス・ルルルルル…ラミパス・ラミパス・ルルルルル…」

勇者「早くも雲行きが怪しく成ってきたな。てか、それ予言用じゃね?」

召喚士「…キエエェェェィ!!!!」バコン

爺「ヒッ」ビクリ

勇者(相変わらず小物感が半端ない爺だ。)


勇者「第五の勇者…召喚出来た…のか?」

???「いやー!召喚して貰えてMKE(マジ光栄)っすね!嬉しウィッシュ!!」シャキン

勇者「うん。これ、第五の勇者じゃなくてDAIGOの勇者だろ。」

王様「不服か?」

勇者「ったりめーだ。このハゲ!やり直させろ!」

召喚士「召喚は年に五回しか出来ませんが…」

勇者「後何回残ってんの?」

召喚士「二回、ですね。」

勇者「ふーん。んじゃとっとと第五の勇者出しちゃって。」

DAIGO「俺何すればいいんすかね?」

勇者「とりあえず歌っとけ。」


召喚士「ラミパス(ry」

勇者(一回召喚失敗して、なんで同じ呪文で召喚するかね…)

召喚士「キエエェェェィ!!」

爺「ウッ!」ビクッ

勇者(お前も毎度ビックリしてんじゃねー。)

???「はっ。」

勇者「うぉ!?」

王様「勇者の剣が…ひとりでに抜けた!?魔法か!?」

???「いいえ、”メンタリズムです”」ドヤァ

勇者「また第五じゃなくてDAIGOか。しつけえんだよ。お腹一杯だわこっちはもう。」

召喚士「やり直しですか?」

勇者「ったりめーだバカ。こんなの連れていって冒険なんて出来るか。」

召喚士「畏まりました。」


召喚士「ラミパス(ry」

勇者「え、お前学習能力0?脳ミソ腐ってんの?同じ呪文で二度も違うDAIGO召喚してんだろーが!」

召喚士「喝!!」バシン

爺「ヒェッ」ビク

勇者「もう突っ込まんぞ。」

???「………」

勇者「アンタが第五の勇者か?」

???「いかにも僕が第五の勇者、フィフスだよ。」

勇者「魔王を殺す。力を貸せ。」

フィフス「やっぱり魔王居るのか。…命令形なのは気になるけど、魔王を放っておく訳にも行かないし、手伝おうか。」

召喚士「では、私はこれにて。」スタスタ


王様「後二人仲間を加えるぞ。」

勇者「この際マトモな奴なら多少弱くても構わんぞ。」

王様「一人は元盗賊の武闘家、もう一人は元遊び人の賢者じゃ。」

勇者「元遊び人の賢者…」

爺「しかし、残念ながら、男です。」

勇者「男の方が面倒な事が無くて良い。」

王様「武闘家の方は女じゃがのぅ。」

勇者「武闘家ならまだマシだろうな。」

王様「入れ。」

賢者「ちゃーっす☆」バン

武闘家「……」スタスタ

勇者「随分と個性的なのが集まったな。」

賢者「えーっ?そうっすかぁ??俺はそんな感じしないけどなぁー?」

勇者「語尾を伸ばすな。なんかイラつく。」

武闘家「同感だ。」


勇者「えーと、まず元盗賊の女武闘家。」

武闘家「……」

勇者「俺のパーティーに入るの?」

武闘家「はい。」

勇者「なんで?」

武闘家「己を鍛えるのには強い敵と戦うのに限りますから。」

勇者「魔王と戦って己を鍛えたい、と。」

武闘家「はい。」

勇者「話したくなければ良いけど、なんで盗賊やってたの?」

武闘家「私は闇の世界で強者たちと戦いたいと思いましたが、一般の武闘家ではそういった荒くれ者達とかかわり合いになる事すら無かったのです。」

勇者「それで、盗賊に転身した?」

武闘家「はい。」

勇者(つまりは武闘家→盗賊→武闘家か…)


勇者「お前は賢者?」

賢者「チャオっす☆賢者でーす!元遊び人で、上級魔法全部覚えてまーす!得物は弓でーす!」チャラチャラ

勇者「あー、お前は良いわ。なんか、メンドそう。」

賢者「ちょっとそりゃないッスよ兄貴~!!」

勇者「兄貴じゃねえから。はい、分かったら家帰って寝とけ。」

賢者「もう勘弁してくださいよ~。騙せるカモももうこの町には居ないんッスよ~!」

勇者「何?お前詐欺でもやってたの?」

賢者「ヒモやってました!」

勇者「うん帰れ。すぐ帰れ。今帰れ。」

賢者「いや、でも、俺マジで使えますよ~?上級呪文と粗方のサポートは出来ますし。」

勇者「リレミトは?」

武闘家「唱えられます。元盗賊なので。」

賢者「で、でも俺ルーラ使えるしぃ…」

勇者「奇遇だな。俺もだ。」

賢者「」


賢者「んじゃ、邪魔しないんで、付いていくだけ!ちょっと手伝って、それでも使えなかったらもう諦めますんで!」

勇者「だってさ、どうするよ?」

武闘家「私はこのような軽薄な男は嫌いです。」

賢者「……」ザクリ

勇者「…ん…ま、一応お供位はさせてやるか。それで使えなかったら…」

武闘家「捨てていっかくうさぎの餌にでもしましょう。」

賢者「いやいやいや、それは流石にあまりにあんまりでしょうがよ。」


勇者「よし。取り敢えず出発は3日後。それまでに準備整えとけ。俺とフィフスは宿屋の606号室に居るから。」

武闘家「はい。」

賢者「了解~っす!」

王様「話は済んだか?」

勇者「ああ。3日後に出発する。」

爺「なんと呑気な…」

勇者「勇者任せで何も行動せず城で王にゴマすりながらのんびり暮らしてるアンタよかマシだぜ。」

武闘家「……クスッ……」

賢者「プッ…クッ…ククク…」プルプル

爺「ぬ…おお……貴様ら…」

王様「全て事実じゃな。」

勇者「じゃ、俺らはこれで。」スタスタ


勇者「あー、疲れた疲れた。あんのクソ爺め。」バタン

賢者「言い返せ無くなった時のあの爺さんの顔!」ケケケ

武闘家「少しだけ気分が晴れました。」フフ

門番「お疲れ様でした!」

勇者「あーはいはい。御苦労様。頑張ってね。」

門番「身に余るお言葉であります!!」

武闘家「では、我々はこれにて。」

門番「旅の、ご無事を御祈りしております!」

賢者「3日後なんだけどね。」

門番「は?」

勇者「いや、なんでもないんだ。忘れてくれ。お勤め御苦労さん。」


盗賊(女)「アイツが新しく来た勇者か…」

盗賊「随分とエリート様な様じゃないか…」

盗賊「あの腰に付けてる巾着には間違いなく金貨がたっぷり…」

盗賊「さっさとギって酒場で良いヤツ飲もうっと…」テテテテ


盗賊「……」スタスタ

勇者「あーあ、今日もパブ行っちゃおっかな~?」テクテク

賢者「え、それってもしかして…?」トテトテ

勇者「奢りじゃねーぞ。」テクテク

盗賊(今だ…!!)スタスタ ドンッ

勇者「随分と…」ガシッ
勇者「手癖が悪いんだな。」グイッ

盗賊「!?」
武闘家「!!」
賢者「??」

盗賊「なっ!?」

武闘家「貴女…それは勇者様の巾着袋!」

賢者「兄貴から財布ギろうってか…」


盗賊「クッ……」ギリギリ

勇者「………」グイイッ

盗賊「あああ!」

勇者「……………」ニヤリ グイグイ

盗賊「うううう!!」

武闘家(勇者様ってもしかして…)

賢者(若干サディスト入ってる感じ……?)


勇者「俺から財布取るなんて百年早えよ。」パッ

盗賊「くっ…うぅ…」ウルウル
盗賊「くそ……!!」ダッ

賢者「あーあ、女の子泣かせちゃった。」

武闘家「あれはあの娘が悪いわ。縛って城に連行されるよりは良いでしょ。」


勇者「まだまだだな…」ゴソゴソ

賢者「兄貴?どしたんすか?」

勇者「いや、なんでもない。俺は宿屋に戻るが、お前らはどうする?」

武闘家「私も戻ります。」

賢者「ん~。俺はイイ娘探してナンパでもしてきまーす。」

武闘家「相変わらず賢さを微塵も感じさせない賢者様ですこと。」

勇者「ナンパでもレイプでも好きにしてもらっても結構だが、出発に支障はきたすなよ。」

賢者「了解ッス!流石兄貴、わかってるぅ~!」ビシリ


盗賊「くっそ…!!クソクソクソ!!畜生!!」ジダンダ ジダンダ

盗賊「……疲れた…」
盗賊「…酒場で適当に呑もう……」

<バー[jack]>

盗賊「そういえば今いくら持ってたっけ。300G位はあったかな……」ゴソゴソ
盗賊「…?…」ゴソゴソ

盗賊「……!?」ゴソ
盗賊「……無い……一体なんで…?」ゴソゴソゴソゴソ

回想

勇者「……」ドンッ

回想終了

盗賊「まさか…アイツ……殺す!!」


盗賊「おい!キャリア組に入った勇者ってのはどこに居る!?」

マスター「…さあ…?恐らく宿屋では…?」キュッキュッ

盗賊「殺す殺す殺す殺す殺す……」ブツブツ ダッ

マスター「……なんと物騒な……」キュッキュッ

??「マスター、タンブラァなんか磨いてないでイイ女の子紹介してよ~。」

マスター「タンブラァなんかとか言うな。それと、ここは旅の仲間を紹介する酒場だ。そういう出会いが欲しけりゃ他を当たれ。」

賢者「厳しい事言うなって。ウチのパーティー女一人でさぁ、しかも性格キツいんだよ~。」

マスター「……………………」


<宿屋・勇者自室>

盗賊「オラァ!!」バコン

勇者「お、そろそろ来る頃だと思ってたぜ。あと、扉は蹴破っちゃ駄目だからね。」

盗賊「さっさとアタシの財布返せ!!」ガッ

勇者「ちょ、胸倉掴むなよ、苦しいから。」

盗賊「どこにやったんだ貴様、早く返せ!アタシのサ・イ・フ!」ユッサユッサ

勇者「ああ、あの龍の刺繍が入った渋い財布?ここにあるけど。」ジャラン

盗賊「返さんかいいぃっ!!」スッ

勇者「おっと。」ヒョイ

盗賊「ぬっ!」スッ

勇者「ほい。」ヒョイ

盗賊「んあっ!」サッ

勇者「よいっと。」ヒョイ

盗賊「ううっ…」ギロッ ウルウル


賢者「兄貴ー、女の子もう一人パーティーに増やしま…」ガチャ

盗賊「ヒック…グスグス…ウウ…」

勇者「もう泣くなって…ほら、これ。君のお金、財布だよ?」

盗賊「…グスン…ヒック…」

勇者「なあ、一旦落ち着こう?な?」

賢者(女の子が兄貴の部屋、しかもベッドのすぐそばで泣いてて、兄貴はお金渡すから泣くなとか言ってる…これは…)
賢者(俺はここに居ちゃマズいな…失礼しました…)ガチャ


<宿屋・武闘家自室>

コンコン

武闘家「誰ですか?」

賢者「俺だよ、俺、賢者。」

武闘家「入りなさい。ただし、変な真似をすれば貴方の腕を鉤爪で切り落とします。」

賢者「お邪魔しまっす。うお、女の子の匂い。」ガチャ スンスン

武闘家「何の用ですか?」イラッ

賢者「あ、そうだった。さっき兄貴の部屋行ったらさ…」

武闘家「?」

賢者「かくかくしかじか…」

武闘家「…な、そ、それはまさか…」

賢者「だろ?そう思うだろ?して女の子めっちゃ可愛いの。」

武闘家「わ、私は今まで武一辺倒で来た女です。私の考えが浅いだけかも知れません。」

賢者「いや、でも俺一応賢者だし、考えられる可能性としたらやっぱり…」

武闘家「とと、とりあえずフィフスさんを呼びましょう…」


フィフス「……うーん…」

賢者「どうっすかね…?兄貴はやっぱりあの娘を……」

フィフス「ヤってるな、多分。ガッツリ喰われてるわ。」

武闘家「ああ…一体どうすれば…」オロオロ

フィフス「とりあえず、勇者の部屋行こう。」

賢者「同感ッスね。…兄貴……」


<再び勇者自室>

フィフス「ゆ、勇者?ちょっと話が……」

盗賊「…ウウウ…グスリ…グスグス…殺してやる……」チャキン

勇者「ダメだって!!ダメダメ!俺今何も装備してないから!!」

フィフス(勇者?何処に居るんだ!?それに何も装備してないって!?)

賢者「兄貴今何も装備してないんだって…」ヒソヒソ

武闘家「ああ…一体どうすれば…」オロオロ

フィフス「仕方ない…突入するぞ…武闘家君は女の子を、賢者君は僕と勇者を押さえてくれ。」ヒソヒソ

賢者「りょ、了解ッス…」

武闘家「……」コクコク


盗賊「…ヒック……ウウ…」

武闘家「大人しくして!」ガシッ

勇者「ええ!?武闘家!?た、助かっ…」

賢者「兄貴!すいません!」ガッシリ

フィフス「勇者!君のした事は最低だぞ!!」

勇者「え!?なんで知ってんの!?てか、そんな酷いかな!?からかっただけなのに!?」

武闘家「やっぱりヤってたんだ…」

賢者「酷いに決まってるじゃないッスか…兄貴…見損ないましたよ…」

フィフス「からかっただけだと!彼女はあんなにも泣いてるじゃないか!!」


武闘家「辛かったわね…もう大丈夫よ…」

盗賊「もう大丈夫。落ち着いたし。アタシ、泣き虫だからさ…大袈裟に泣いちゃうんだ…」

武闘家「全然大袈裟なんかじゃないわよ…ごめんなさいね…私達がもっと早く駆けつけてれば…」

盗賊「いや、大したことないよ。ちょっと感情昂ったら泣いちゃうんだ、アタシ。」

武闘家「でも、これで貴女はこれからの人生でキズモノって呼ばれるかも知れないのよ?」

盗賊「は?」

武闘家「え?」

勇者「ああ、大体分かってきたわ。お前ら何か勘違いしてんぞ。」

フィフス「アッハッハ!僕はこれで失礼するよー!妻が家で待ってるんだー!」ダダダッ

勇者「逃がすか!」ガシッ


フィフス「グエッ!」

勇者「おい、テメエら、そこに正座しろや。あ、君は良いよ。」

盗賊「はい…」

賢者「……」スッ

武闘家「……」スッ

フィフス「……」ダッ

勇者「いい加減諦めろや!」グイッ

フィフス「グウゥ!」バタリ


勇者「ほぉう…つまり、お前らは俺がこの娘を犯したと、そう考えたんだ…」

賢者「……」ボコボコ

フィフス「………」ボロボロ

盗賊「て言うか、結局誰が悪いの?」

武闘家「……賢者さんですね。」

フィフス「ああ。そうだな。」

賢者「ちょちょちょちょちょ!!おかっしいでしょぉ!?」


フィフス「君が変な解釈をして僕らに話したからこうなったんだ。」

武闘家「そうですよ。私は冷静に考えてましたから。」

賢者「酷え!二人とも最終的に俺のせいにするのかよぉ!?」

勇者「もういい。メンドくさい。」

盗賊「あ、財布返して。」

勇者「はいよ。」スッ

盗賊「ふぅん…アンタら、いつ出発すんの?」

賢者「3日後だけど…?」

盗賊「面白そうだからアタシも付いてくわ!」

武闘家「言うと思いました。」

フィフス「どうする?勇者。」


勇者「んな藪から棒に言われてもなぁ…」

盗賊「良いでしょ!?ねえ!」

勇者「一人戦士とか雇いたかったんだけどな…キョニュウの…」

賢者「今兄貴巨乳のって言いました?」

勇者「言ってないよ?」

武闘家「言いました。」

フィフス「言ったね。」

盗賊「アタシだって少しはあるもん!」バン

勇者「いや全然ペッタン娘だわ。」ヘラヘラ

盗賊「……」チャキン サクリ

勇者「……」ドバー

賢者「ベホイミ。」

勇者「サンキュ。」ジュワアァ


盗賊「……」チャキン

勇者「いや、もう勘弁して?」

盗賊「入れてくれる?」

勇者「うーん…どうする?」

賢者「いや、俺に聞かれても…」

勇者「ペッタン娘の盗賊と、ボインボインの戦士か僧侶。」

賢者「居るんスか?」

勇者「パブで居たんだよ。で、どっちも美人。」

賢者「バインバインの僧侶。僧侶さん連れてきましょ。ね?」

フィフス「聞こえてるけど?」

勇者「お前もペッタンペッタンよりかはボインのが良いだろ?」

フィフス「いや、僕には妻が居るしなぁ…」

勇者「ボインだぞ?戦闘中走ってる時ずっとポヨンポヨンだぞ?」

フィフス「……巨乳の戦士で。」ハァハァ


フィフス「戦士!」

賢者「僧侶!」

武闘家「やかましいわ。」スパスパスパパッ

フィフス「ぎゃああ!」ブシャアアア

賢者「背中から噴水があああ!!」ブシュウウゥ

盗賊「ホイミ。」スイーン

フィフス「ホッ。」ピタリ

賢者「ホイミ。」ジュワアァ


勇者「まあその、なんだ。もう、盗賊で良いな?」

フィフス「……」

賢者「……」

勇者「巨乳がよけりゃ旅先のおっぱいパブでも、ソープでも行けば良いんだからよ。」

フィフス「それもそうだな。」

盗賊「おい、アンタ既婚者じゃなかったか?」

賢者「まあ、巨乳が全てじゃないしな。」

勇者「それに、武闘家ちゃんも結構あるような気が……」モミモミ


<教会>

神父「おお神よ!この者に、貴方の加護があらん事を!!」

勇者「ええと……」

賢者「覚えてます?」

勇者「ああ。僅かに感触が残って…」

武闘家「……」チャキン

勇者「いや、何でもない。宿屋に戻ろうか。」

フィフス「なんだって急に武闘家君の胸なんて揉んだんだね?」

盗賊「どうせアレだろ、そこにあったからとか何とか。」

勇者「いや、なんか気付いたら手が伸びてた。」

武闘家「……不潔……」ジト


<宿屋・勇者自室>

勇者「いや、まさか殺されるとは思わなかったけどね。」

武闘家「女としての防衛本能が働いたのでしょうか。」

賢者「武一辺倒で来たとか言ってる割にはパイモミなんかで怒るんだな…」

武闘家「あ?」ニコリ

賢者「ってフィフスさんが言ってた。」

フィフス「ほえっ!?」

盗賊「よしなよ、見苦しい。」

勇者「盗賊は揉んだらどんなリアクション取るのかな……」

賢者「さぁ…」

勇者「まあ、揉むほども無いよな!」ハッハッハ

フィフス「同じ事考えてた!」ケラケラ

盗賊「もう一回教会行くかい?」チャキン

フィフス「すいませんでした。」


勇者「さて、そろそろ部屋戻っとけ。俺ももうそろそろ…」

武闘家「お休みになるんですか?」

勇者「いや、パブで飲んでくる。」

賢者「お供します!」

フィフス「右に同じく!」

勇者「お供は結構だが、支払いは別だからな。」

フィフス「チェッ…」

賢者「ケチ…」

盗賊「アタシもカジノでも行ってこよっかな~?」

武闘家「私は部屋に戻って寝ます。お先に。」


<パブ・Butterfly>

勇者「邪魔するぜ。」カランコロン

女1「あら、勇者様じゃない。」ニコリ

勇者「……」フイッ

女3「照れてるのかしら?可愛い。」フフン

勇者「ここ、座るぞ。」ドカッ

賢者「兄貴、何かあったんスか?」ストン

フィフス「よいしょっと。」ストッ

女2「お飲み物は?」

賢者「なんかテキトーにカクテルかなんか作って。」

フィフス「僕も。」

女1「勇者様はウィスキーね。ところで、ソコの僕ちゃん達はどちら様?」

賢者(ぼ、僕ちゃん…)

フィフス「彼の仲間だよ。3日後に出発するんだ。」

女3「良いなぁ。私も勇者様と一緒に行きたーい。」


勇者「……」(別の店にすれば良かったかな…なんか気まずい…)ゴクゴク

フィフス「え、ちょ、それストレートじゃないの?」

賢者「え?烏龍茶じゃないの?」

勇者「プハッ!!……」ゴクゴク

賢者「え、まだ行っちゃう!?」ギョッ

勇者「ハァ!」ドン

フィフス「自棄酒にも似た感じの雰囲気が勇者から漂ってるよ…」

女3「相変わらず良い呑みっぷり。」

女1「ほれぼれしちゃう。」

勇者「うるせえ。さっさと注げ、ほら。」

女1「はいはい。」トクトク

賢者「あーあ、もう回っちゃってる。」

フィフス「一気に行ったとは言え、随分早く回るんだな…」


*2時間後

勇者「足りねえな。ボトル、三本持ってこい!」

女3「はいはい。」

ママ「はいよ、ボトルのカケサン。」

フィフス「カケサン?」

賢者「×3ってこと。」

フィフス「あーはいはい。」

勇者「………」ガシッ ゴクゴク

フィフス「ボトルごと行っちゃってる…」

賢者「あれ、死にますよ。多分。」

フィフス「死んだら巨乳の僧侶か戦士足して僕らだけで行けば良いのさ。」チビチビ

賢者「そうッスね。」


賢者「そんじゃ、俺そろそろカジノ行って来ます!」

勇者「あ~?お前お供すんじゃねえのかよ~!?あん?」ウィー

賢者「いや、盗賊ちゃんがカジノでボロってたらヤバいんで。」

勇者「ケッ、何処にでもいっちまえよ、薄情もんが~!!」ヒック

賢者「スンマセン!」カランコロン

女2「ああいう子、結構嫌いじゃなかったんだけど、残念。」

勇者「俺が居ますよ!勇者様が居ますよー!?」

女2「悪酔いした男は嫌いなの。」

勇者「悪酔いしても○○○(自主規制)は強いんだぜ~!!」ヒック

女3「知ってる~!!」

フィフス「やれやれ……早く朝にならないかな……」


<カジノ・Gold>

盗賊「ああクソ!このオンボロスロットが!」バコン

スロット「」バキン チーン

黒服長「おい、あの女、壊したぞ、取り押さえろ!」

黒服1「……」ダダダダ

黒服2「……大人しくしてください。」ガシッ

盗賊「クソッ!離しな!!」ジタバタ

賢者「マヌーサ!!」

黒服長「むふにゃ?」

黒服1「ふにぇー…」

黒服2「むにょにょ…」

盗賊「アンタ…賢者!」

賢者「逃げるッスよ!盗賊ちゃん!」ガシッ ダッ

盗賊(あ…手が……)


<裏路地>

賢者「ここまで来れば大丈夫だよな……」

盗賊「なんか…その…ありがと……」

賢者「ああいうカジノの機械は弁償させる為にあえて壊れやすく作ってるんだ。」

盗賊「じゃあ、蹴り一発でスロットが逝ったのは…」

賢者「店側としては想定内、と言うよりは計画通り、って感じかな。」

盗賊「知らなかった……」

賢者「もう蹴ったりしちゃダメッスよ?普通に回してても壊れる事あるんだから。」

盗賊「うん。迷惑かけたね。」

賢者「今度一緒に行くッスよ!スロット、教えてあげるから!」

盗賊「うん!」


賢者「それじゃ、どっか呑みに行こっか!」

盗賊「アンタ、もう入ってるだろ?顔ちょっと赤いよ?」

賢者「へへ、バレちゃったか。」

盗賊「バレバレだよ。ま、迷惑掛けたし、今夜は付き合うよ。」

賢者「それじゃ何処行こうか?出来れば静かなバーが良いんだけど。」

盗賊「しょうがないね。良い店知ってるから、行こうか。」

[翌朝]
朝!それは始まりの象徴ッ!ある者にとっては恋、愛の始まりッ!
またあるものにとっては二日酔いの始まりでッあるッ!!
<宿屋>

フィフス「くぅ…頭が痛い……そういえば勇者は無事こっちに着いたんだっけ?」

<勇者自室>

フィフス「勇者?入るよ?」コンコン ガチャ

勇者「オゥヴォオオロロォォォ……!!」ゲロロロロロロロロロロ

フィフス「おぉ勇者よ!二日酔いになってしまうとはなんと情けない!!」

武闘家「勇者様!賢者と盗賊さんが!」バン

勇者「オロロロオォォ!!」ゲロロロロロロロロロロ

武闘家「」


フィフス「これは無視しといて良いよ。それで、どうしたの?」

武闘家「いや、こんな吐瀉物の世界地図を無視しろと言われても……賢者と盗賊さんが……朝帰り…しかも二人で!!」

フィフス「……いやー、ハハハ!武闘家君は冗談を言うタイプでは無いと思ってたからね!意表を突かれたよ!」

武闘家「いや、嘘や冗談じゃないんです!ホントです!」

フィフス「ハァッハッハ!!…………マジで?」

武闘家「マジ!大マジです!」

フィフス「……夢だなうん勇者がこんなえげつない程ゲロってしかも賢者君と盗賊君が二人で朝帰りなんて夢以外の何者でもあるはずが無い今部屋に戻って寝ればまた昨日と全く同じ日常が…」

武闘家「フィフスさん!落ち着いて!冷静に!」


賢者「ただいま戻りました~♪」

盗賊「……」ダキッ

フィフス「夢じゃない……盗賊君が賢者君の腕にくっついてる……現実だ…」

勇者「ふぅ…どうした?お前ら?」スッキリ

武闘家「吐いてスッキリしたようですね。」

フィフス「賢者君と盗賊君が朝帰りしたんだよ。二人くっついて。」

賢者「へへっ。」

盗賊「///」

勇者「あー、おー…うん。」

武闘家「リアクション薄くないですか?」

勇者「いやー、若い内は色んな事があるからね。」

フィフス「君もまだ結構若いと思うが……」


勇者「それよりそろそろ出てってくんない?着替えたいし。俺まだトランクス一丁なんだが?」

武闘家「……ハッ!?……///」タタタ

フィフス「いやー、彼女結構ウブな所あるよねー。」

勇者「良いから出てけ、お前ら三人。今着替えるっつってんだろ。」

賢者「そんじゃ、俺らは下で朝飯食って来ますかね。」

フィフス「勇者も、レストランの時間に間に合わなくて朝食食いっぱぐれたりしないようにね。」

勇者「俺も着替えたらすぐ行くよ。」


<宿屋・レストラン>

勇者「あー、そういやバイキング形式だっけか。」

盗賊「あんまり人居ないんだね。」

賢者「遅い時間だからっしょ。もう10時近いよ?」

勇者「とりあえず席確保するか。」

武闘家「テラスに五角形のテーブルを見つけました。そこで食べましょう。」

フィフス「流石武闘家君、仕事が速いねえ。」


賢者「うお!良い景色ィ!」

フィフス「爽やかな朝だねぇ。」(少し頭が痛いけど…)

盗賊「賢者、適当にご飯、持ってくるよ?」

賢者「あ、サンキュー!サラダのドレッシングは玉葱の奴でヨロシク!」

勇者「良いねぇ。飯盛ってきてくれる女が居るってのは、羨ましい。」

フィフス「僕らも取りに行こうか。」

勇者「ああ。」

フィフス「それにしても君、寝癖くらい直しなよ、勇者らしくない。」

賢者「部屋戻ったら俺がセットしますよ?バリバリにキマってる奴!」

勇者「要らねえよ。俺は普段通りのクラシックショートで良いの。さて、行くか。」スクッ

武闘家「あ、あの、勇者様!わ、私ご飯持ってきます!」

勇者「ん?いや別に良いよ?あんな事言ったからって気を使わなくても。」

武闘家「いえ、取ってきます!」


勇者「いや、別に…」

武闘家「いえ、私が取ってきたいんです!」

勇者「あ、そ、そう…んじゃ、頼むわ…」

武闘家「はい!」タタタタ

賢者「フフフフフフ……」ニヤニヤ

勇者「ニヤニヤしてんじゃねえ。」ペシン

フィフス「取ってこよう……ハァ……フローラ……」トボトボ

賢者(えっ!?)

勇者(ビアンカじゃないんだ……)


盗賊「はいよ。」コトン

賢者「サンキュ…おぉ!温泉卵がある!」

盗賊「好きなの?」

賢者「実は大好きなんだよ!温泉卵!」ガツガツ

盗賊「じゃ、アタシのもあげる。」ヒョイ

賢者「えっ!良いのか?」

盗賊「食べたけりゃ、また持ってくれば良いしね。」

賢者「サンキュ!」ガツガツ

フィフス「口調もそうだが、食いっぷりも賢者っぽく無いよな…」ハハ

武闘家「勇者様、持ってきました。」コトリ

勇者「ああ、ありがとう。悪いな。」

武闘家「いえ、大した事では……」

*朝食終了

賢者「食った食った!」フー

盗賊「良い食べっぷりだったね。」

勇者「結構美味かったな、レストランの料理。」

武闘家「はい、宿屋のレストランなので、どうなのかとも思いましたが…」

フィフス「料理長が凄い職人っぽい感じの人だったよ。」

賢者「こだわりあったりするんスかね…」

勇者「さて、部屋戻るか。」

フィフス「そうだね。」

武闘家「そろそろ準備しとかないと…」

盗賊「あ、アタシもだ。」

賢者「俺、もう終わってるし、手伝うッスよ!」

盗賊「ありがとう。助かるよ。」


フィフス「僕は道具とか殆ど無いし、武器の調子見たら、温泉行ってこようかな。」

勇者「俺は、用意出来てるし…どうすっかな…寝るか…そうだ。」

フィフス「?」

勇者「武闘家、お前の用意、手伝ってやるよ。」

武闘家「え!?い、いえ、ひ、一人で充分です…」

勇者「そういうなよ。飯持ってきて貰ったし、お礼がしたいんだよ。」

武闘家「そ、そういう事なら……」


<武闘家自室>

勇者「まず何すれば良いかな?」

武闘家「ええと、衣服類をまず鞄に積めて頂けますか?」

勇者「了解。武闘家は何すんの?」

武闘家「私は武器類、本、資格取得の為の参考書等を片付けます。」

勇者「うーい。適当に畳んで積めれば良いんだろ?」

武闘家「ええ。お願いします。」

勇者(てか、これ、役割が普通に逆なんじゃないか?まあいっか。)サッサッサ

*数十分後

勇者「武闘家ー?」サッサッサ

武闘家「はい~?」サッサッサ

勇者「これどう畳んだら良いのかわかんねえんだけど~?」

武闘家「何ですか?」クルリ

勇者「流石にわかんねえわ。」つ下着

武闘家「あ…す、すいません!///」バッ

勇者「いや、良いんだけどさ。役割逆にした方が良いんじゃない?」

武闘家「そ、そうですよね!ごめんなさい!私、武闘家だからあまり気が回らなくて!」

勇者「いや、別に良いよ。ていうか、武闘家は充分気が回ると思うよ?」

武闘家「いえ、そ、そんなこと…!」


フィフス(勇者を呼ぼうかと思ったのに、イチャついてて入れない…)

勇者「武闘家ー?鉤爪の刃研、終わったぞ~。」

武闘家「ありがとうございます。こちらも終わりました。」

勇者「下着も?」

武闘家「止めてください!」

勇者「へいへい。そんじゃ、俺は部屋戻るかな。」

武闘家「あ、勇者様!」

勇者「?」

武闘家「その…少し、お茶でも飲んで行きませんか?」


勇者「…あー、んじゃ、ちょっとだけ貰おうかな。」

フィフス(もう後で良いや。○○○(自主規制)でもなんでもしてろや)ケッ スタスタ

武闘家「今お茶淹れますね。」

勇者「あいよ。」


勇者「なんか手伝う事ある?」

武闘家「いえ、勇者様は座ってて下さい。」

勇者「もしかして、媚薬とか睡眠薬とか盛っちゃう気?」

武闘家「睡眠薬等使わず眠らせて差し上げましょうか?永久に。」ニコリ

勇者「大人しく座ってます。」ストン

武闘家「全く……」

<盗賊自室>

賢者「これどうするー?」

盗賊「あ、それ後で纏めて売るから袋に入れといて。」

賢者「あいよ。」

盗賊「これとこれは鞄に入れてっと。装備品と服は終わったね。後は道具類か…」

賢者「流石盗賊、色んな鍵やら薬やらが沢山…」

盗賊「最近は殆ど使って無いよ。」


賢者「盗みとかやってないって事?」

盗賊「いや、盗みは嫌という程やってたよ。勇者にやったようにね。返り討ちにあってたけど。」

賢者「じゃあ、壊れたって事?」

盗賊「最近の金持ちの家は鍵が複雑に成って来ててね。使えなくなっちゃったんだ。」

賢者「金持ちから盗んでたの?」

盗賊「悪い金持ちからね。能力無い癖にコネ使って成った役人や勇者みたいな。」

賢者「義賊って奴?」

盗賊「そう言えば聞こえは良いけどね。家や部屋に潜り込んでは盗んで…」

賢者「貧しい人達に配ってた…んだろ?」

盗賊「うん。でも、一部はアタシらも受け取ってたんだ。結局はただの盗人さ。」


賢者「んな事無いッスよ。助けられた人達も一杯居たハズだし。」

盗賊「でも、金品を受け取った人達は翌朝には捕まってた。盗みの罪で。」

賢者「え……」

盗賊「結局、何の意味も無かった。貧乏人は牢に入り、金持ちは益々儲ける……」

賢者「意味が無いハズ無いッスよ……」

盗賊「そして金持ちは家や金庫の鍵を強化した。盗むのは難しくなって、アタシらはスリ位しか出来なくなった。」

賢者「………」

盗賊「金持ちの革で出来た高級な財布を盗むのに慣れてきたころだったよ。盗みの疑いで捕まった連中が殺されたのは。」

賢者「…………」

盗賊「盗みを働いただけで首を跳ねられて死罪。しかも無実。盗んだのはアタシなのに……」

賢者「……………」

盗賊「アタシが殺したんだよ。あの人達を……」

賢者「違う。」

盗賊「違わない。捕まった人達は皆罪を認めたんだよ。無実の罪を。本当はアタシがやったのに。」


賢者「それは善かれと思って……」

盗賊「盗んだ金品の一部はアタシも受け取ってた。」

賢者「…………………」

盗賊「処刑は国王が諸外国に赴いて外国王との会談に行ってた時にひっそりと行われた。」

賢者「……………………」

盗賊「ひっそりと行う割に処刑は全国民の前で行われた。」

賢者「………………………」

盗賊「金持ちの国民が見つめる中、貧乏人は皆殺された。ギロチンで。」

賢者「…………………………」

盗賊「同じ位の年の娘の首が足元に飛んで来た時には…」

賢者「もう止せよ!」ガバッ

盗賊「………………」


賢者「仕方無かったんだろ?どうしようも無かったんだよ……」ギュッ

盗賊「私は人を……」

賢者「殺したのはこの国だ。お前じゃない……!」ギュゥ

盗賊「抱きしめ無いでよ…!こんな薄汚い体……」ドン

賢者「汚くなんてない。」

盗賊「返り血で穢れてるんだ……この髪も胸も、腹も脚も。手に関しては金貨の匂いまで染み付いてさ…」クスリ

賢者「そんなわけない。」ギュゥ

盗賊「………証明して見せてよ。」


フィフス(部屋に戻って剣磨ぎでもしようかと思ったら隣の部屋でなんか凄い事が起こってたでござる……)

フィフス(え、いや、重いんだが?話が重いんだが?)

フィフス(いつも「チャオっす★」とか言ってる賢者君がいつになくシリアスモードなんですが!?)

フィフス(あーあ、賢者が盗賊押し倒した。もう見てらんない。帰りたい。元の世界に。)

フィフス(なんだって急に召喚されてこんな昼ドラみたいな展開見なきゃなんないんでしょうか?)

フィフス(しかも時間的には一日二日位しか経ってねえよ。どんだけお前ら仲良く成ってんだ。メンヘラか。)

フィフス(僕らの目的は魔王倒す事でしょうが!何やってんだドイツもこいつもイチャコライチャコラ……)

フィフス(RPGじゃなくてギャルゲー、もしくはエロゲーだろうが!)


フィフス(そもそもまだ昼前だよ。なんつー時間帯になんつー事してんの。)

フィフス(あーやだ。もーやだ。なんだってこんな状況に…)

フィフス(よし。僕は何も見ていないし、聞いていない。)

フィフス(僕はこれから部屋に戻って剣磨ぎをするんだ。)

フィフス(何しろ僕達は魔王を倒しに行くんだから。うん。)

フィフス(よし、自己暗示はこんな感じで良いだろ。部屋に戻ろう。)スタスタ


<再び武闘家自室>

武闘家「そういえば、勇者様の武器って何て言うんですか?」

勇者「あ、この背中の奴?」

武闘家「はい。装飾も立派で素敵な剣なので気になってしまいました。」

勇者「確か、隼の剣・独って言ったかな。」

武闘家「独?改ではないのですか?」

勇者「ああ。無印と改がメジャーだよな。改を更に強めたのが続その次が新。それとは別の製法で編み出されたのがこの独ってわけ。」

武闘家「切れ味はどんな感じなのでしょうか?」

勇者「ロトの剣をベースにして創ってるからかなり良いハズだぞ。」

武闘家「伝説の剣を!?」

勇者「ああ。ていうかお前武器に詳しいの?」

武闘家「実は結構武器って好きで……」

勇者「集めたりしてるの?」

武闘家「いえ、そこまではしてないのですが。」

勇者「へー。」


武闘家「しかし、それほどの魔剣とも言える代物をどうやって手に入れたのですか?」

勇者「…魔王の城から、盗み出した。」ケケケケ

武闘家「え?」

勇者「魔王の城っつっても先代のな。実際は住み着いた魔物と山賊がシノギ削り合うだけのダンジョンだったよ。」

武闘家「どうやって見つけたのですか?」

勇者「実は全くの偶然。山賊共の助っ人で雑魚狩りしてたら見つけてね。」

武闘家「それは…」

勇者「びっくりしたさ。真っ黒の宝箱なんて初めてみた。」

武闘家「山賊共にはバレなかったのですか?」

勇者「目の前で開けたしバレたよ。すぐ眠って貰ったけどな。」

武闘家「して、その山賊共は?」

勇者「今は牢の中だろうな。俺通報したし。」


武闘家「聞けば東方に珍しい形の剣があるそうです。」

勇者「へぇ。どんな?」

武闘家「刀身がとても細くわずかに湾曲していて、刃が片方にしか付いていないそうです。」

勇者「もしかして、カタナの事?」

武闘家「ご存知でしたか。」

勇者「これだろ。ホレ。」ヒョイ つカタナ

武闘家「え!?」

勇者「これ、巧く使えないからやるよ。」

武闘家「え、良いんですか!?」

勇者「おう。武闘家のお前なら巧くやれんだろ。あ、それ刃が繊細で刃零れしやすいから気ぃ付けろよ。」

武闘家「はい!凄い…!」カチャン


武闘家「これは…しなやかな刀身、シンプルな柄に傷一つない鍔、そして巻き付く様に龍が描かれた鞘!…美しい……」

勇者「お、おう…喜んで貰えて何よりだ……」

武闘家「しかし、私はこの武器の使い方が分かりません……」

勇者「取説あるよ。ほら。」

武闘家「あるんだ……」

勇者「一本打って貰った時に鍛冶屋の姉ちゃんがくれたんだ。」

武闘家「鍛冶屋の、姉ちゃん……?」ピクリ

勇者「ああ。たまたま仲良くなってな。一本打ってくれたんだ。」


武闘家「たまたま仲良く成ったんですか……」

勇者「おう。何だよ?」

武闘家「別に…たまたまなんでしょう?」

勇者「そうだって。だからなんだってば。」

武闘家「さーって、説明書、っと。ふむふむ……」

勇者「んだよ…ったく。」

武闘家「紅茶、二杯目いかがですか?」

勇者「あー、いや、良い。そろそろ部屋に戻るわ。」

武闘家「分かりました。」

勇者「紅茶、旨かったぜ。」

武闘家「それは良かったです。」ニコリ

*事後
<盗賊自室>

盗賊「ねえ。」

賢者「ん?」

盗賊「なんでアタシを抱いたの?」

賢者「証明しろ、って言われたから。」

盗賊「メンドくさそうな女って思わなかったの?」

賢者「……ああいう話する奴ってさ、大抵自分に酔った顔とか話し方すんだよね。」

盗賊「そう……」(アタシもしてたのかな……)

賢者「私って可哀想、だから抱いて、みたいな。自己憐憫ってヤツ?」

盗賊「…………」

賢者「でも、アンタにはそれがなかった。完全に罪に呪われて、自分を壊しそうな感じだった。」

盗賊「………………」

賢者「だから、俺が綺麗にしてやれんのかなー?みたいな感じで。殆ど俺のエゴだよ。」

盗賊「じゃあ同じ事同じ風に言われたら皆抱くの?」


賢者「な訳ねえじゃん。アンタだったからだよ。」

盗賊「本当に?」

賢者「ああ。つーか、結局は俺がただヤりたかっただけなのかも。」ハハハ

盗賊「……バーカ…………」ギュッ

賢者「うん。」ギュウ

盗賊「バカ。」ギュゥ

賢者「うん。」ギュウゥ

盗賊「バカな男……」ギュッ

賢者「……うん。」ギュウ


賢者「ところで、もう昼過ぎって知ってた?」

盗賊「嘘!?道理でお腹空くと思った。」

賢者「飯食いに行く?」

盗賊「……まだ、この中に居たい。」

賢者「あ、そう。じゃ、俺は飯食いに……」スタッ

盗賊「おどれはバカか。」ガッシリ

賢者「……どうしても?」

盗賊「うん。」

賢者「どうしても?」

盗賊「うん。」

賢者「わかっ……」

勇者「うぉーい。飯食いに行かねえかー?」コンコン

賢者「」


勇者「盗賊?入るぞー?」ガチャ

盗賊「え、ちょ、ま!?」

勇者「おま、これ……準備は出来てるけど……」

賢者「兄貴、これ違うんすよ、これは…」

勇者「いいよ。もう。これ臭いで分かるもん。」

盗賊「」

勇者「んじゃ俺、武闘家と飯行くから。」

賢者「あ、了解ッス。」

勇者「あんま真っ昼間から盛ってんなよ~。」バタン


<宿屋廊下>

武闘家「賢者と盗賊さんは?」

勇者「部屋で仲良くギシギシアンアンやってたよ。」

武闘家「な……」

勇者「昼間っから何やってんだか。」

武闘家「ど、どこでお昼食べましょう?」

勇者「レストランで良いだろ。あんま腹減ってねえけど。」

武闘家「では行きましょうか。」


<宿屋・レストラン>

勇者「昼はオーダー制なんだな。」

武闘家「そうみたいですね。」

従業員「御注文は?」

勇者「えーっと、サンドイッチ3つと、アイスティー。」

武闘家「私もサンドイッチで。」

従業員「お一つで?」

武闘家「ええ。それとカフェオレを。」

従業員「畏まりました。」ササッ


従業員「サンドイッチ4つ、アイスティーとカフェオレになります。」コトッ

勇者「どーも。」

従業員「では、ごゆっくりと。」サササ

武闘家「結構大きいサンドイッチですね…」

勇者「3つ頼んだのは失敗だったな…」

武闘家「そうかもしれませんね。」

勇者「それよりこのアイスティー、薄いんだが…」

武闘家「そんなにですか?」

勇者「ちょっと飲んでみ?」

武闘家(え…え!?勇者様の飲んだアイスティーを…私が!?)「は、はい…」チビチビ


勇者「な?薄いだろ?」

武闘家「え、ええ…」(な、何の味もしていない……)

勇者「はやいとこ食っちまおうか。」

武闘家「そ、そうですね……」


*昼食終了

勇者「ふー、食った食った。やっぱ結構量あったな。」

武闘家「はい。一つでも中々お腹がキツくなりました。」

勇者「それにしても、あのアイスティーはひでぇ薄さだったな…」

武闘家「え?ええ…」

勇者「カフェオレはどうだった?」

武闘家「カフェオレの方は普通でした。もう少し砂糖を入れても良かったですね。」

勇者「もう一回武闘家の部屋でお茶飲んでって良いか?口がおかしくなっちまってな。」

武闘家「勿論!でも、その代わりに…」

勇者「?」


武闘家「茶葉を買いに行くの、付いてきて頂けますか?」

勇者「おう。そんなんで良いのか?」

武闘家「はい。」

勇者「良し、分かった。んじゃ、はやいとこ戻ろうぜ。口直ししてぇわ。」

武闘家「急がずとも、紅茶は逃げませんわ。」ウフフ


<武闘家自室>

勇者「やっぱ武闘家の淹れる紅茶は美味いわ。濃いのに、渋くない。」カチャリ

武闘家「そこまでお気に召しましたか?」

勇者「ああ。毎日飲みてえ位だ。」

武闘家「ならば、毎朝お淹れしましょう。」

勇者「いやいや、旅先では難しいんじゃない?流石に。」

武闘家「賢者はヒャド系呪文とメラ系呪文を使えるようですので。」

勇者「あー、でもそれ賢者のMP…」

武闘家「賢者には頑張って頂きましょう。」ニコリ

勇者「ハハハハハ……」ヒキツリ


武闘家「あら、色々話している間にかなり時間が経ってしまったようです。」

勇者「外暗いな。今は……6時か。」

武闘家「そろそろレストランに行きましょうか?」

勇者「そうだな。賢者と盗賊も呼ばねえとな。」

武闘家「あ、でも、その……」

勇者「大丈夫だよ。流石にこの時間帯までヤっては居ないだろ。腰が使い物にならなくなる。」

武闘家「そ、そうですよね……」

勇者「でもま、一応俺が呼びに行ってくるわ。」


<盗賊自室>

勇者「盗賊ー?賢者ー?居るかー?」コンコン

賢者「やっべ兄貴来た!」

盗賊「早く服来て!」

賢者「おう、うっ!?」ゴキン

盗賊「け、賢者!?」

賢者「こ、腰が……ヤバいかも……」ビクンビクン

盗賊「ちょ、はぁ!?」

勇者「おーい!お前らまさか、まだよろしくヤってんのか?猿じゃねえんだから、いい加減…」

盗賊「ちょ、今着替え中!入らないで!!」

勇者「おおう…ソイツぁ失礼しました、っと。」


盗賊「さ、今の内に服着て。」

賢者「む、無理…上半身、動かない……」ウルウル

盗賊「あー、もう!手ぇ上げて!」

賢者「わ、悪ぃ…」バンザイ

盗賊「はい。で、足上げて!」

賢者「お、おう…」

盗賊(今パンツの端からチラッとなんか見えた…)「はい、後はコート羽織って。」

賢者「おう。サンキュ……」


盗賊「いつまでベッドに腰掛けてんの。立っ……立て、ない…の?」

賢者「ハハハ……」コクン

盗賊「ハハハじゃないでしょ!」

勇者「おい、まだか?着替えとか言って本当はまだお掃除○○○(自主規制)とかヤってんじゃねえだろうな!?」

盗賊「ヤってない!賢者が腰おかしくして立てないの!」

勇者「はああああぁぁぁぁ!!?ヤり過ぎだわこのバカ!猿かマジで!」ガヂャン

賢者「あ、兄貴すんません…肩貸して貰って良いッスか?」

勇者「……あーもう!」


<宿屋廊下>

武闘家「…!勇者…様?どうしたんですか肩のソイツ。」

賢者「ヤり過ぎて腰痛めちゃった。」

武闘家「バカじゃないの。て言うかそれ、アンタの回復呪文効かないの?」

盗賊「回復…呪文…?」

賢者「あ…」

勇者「賢者より頭が回る武闘家とか、傑作だな」ケラケラ

盗賊「ほ、ホイミ!」パッ

賢者「あー、効くぅ…」ジュワアァ


フィフス「あ、ゴメン遅れちゃった。んじゃ、ご飯食べに行こっか。」

武闘家「全く人騒がせな…」ブツブツ

勇者「お前ホントにアホな!」ケケケ

賢者「仕方ないじゃないッスかぁ…パニックだったんすよ、パニック。」

勇者「賢者がパニック、ねぇ…で、どうだった?盗賊のは。気持ち良かった?」

賢者「ええそりゃ。絶品別嬪デラベッピン。しまりが最高で…」

盗賊「……」バキ ドカッ ズドン スパッ シュキン ゴッ

賢者「」ドクドク バタン

勇者「あー、盗賊?賢者は肉弾職じゃないからそんな叩き過ぎると…」

賢者「べ、ベホマ…」ジュワワアアァァ

盗賊「ホンット、バカ……」スタスタスタスタ

賢者「痛ぇ……」ズキズキ


フィフス「…………………………僕が剣を磨いでいる間に一体何が起こってたのだろう……」

勇者「まあ、色々な事がな。」

フィフス「エロエロな事?」

勇者「そ。エロエロな事。」

フィフス「勇者も武闘家ちゃんと色々とエロエロな事を…?」

武闘家「おい、五番目のバカ?」ニコ

フィフス「いや、なんでもない!さあ、ご飯を食べに行こう!!」ダダダッ


<宿屋・レストラン>

勇者「ああ…あんま食欲沸かねえな。」

武闘家「バイキング制ですし、適当にお酒だけお飲みになればよろしいのでは?」

勇者「そうだな。ツマミ代わりにステーキでも食うか。」

武闘家「では私、持って来ます。」トテテ

勇者「サンキュ。んじゃワインかなんか頼もうかな。」

賢者「俺シャンパンにしよっかな。」

盗賊「アタシも。」

賢者「一緒に飲もっか?」


従業員「及びでしょうか?」

勇者「えっと、赤ワイン一本と、シャンパン一本。あ、グラス一つ多くね。」

フィフス「あ、あと僕ビール!」

勇者「って事でビール一つ。」

従業員「畏まりました。赤ワイン、シャンパン一本ずつ、ビール一つ。グラス一つ追加ですね。」

勇者「おう。んじゃよろしく。」

従業員「畏まりました。」サササァ


武闘家「ステーキ持って来ました。」

勇者「おう。サンキュ。あれ、武闘家は食わねえの?」

武闘家「ええ。私、お肉ってあんまり苦手で…」

勇者「えー、なんで?」

武闘家「焼いた肉って、固くて、噛みきれなくて…」

勇者「そうかな…」モグモグ
勇者「いや、これは大丈夫だと思うぞ。ミディアムレアっぽい。」

武闘家「ミディアムレア…?」

勇者「うん。ま、深く考えずに口開けてみろって。はい、アーン。」

武闘家「は、はい…///」アーン

フィフス(チックショッオオオオオ!!コイツらイチャイチャしやがって!自慢の妻を置いて来た僕への当て付けか!)


武闘家「…ん…」モグモグ

勇者「どうだ?」

武闘家「…んぐ…」ゴクン

勇者「……」ワクワク

武闘家「美味しいです。」ニコッ

勇者「だろ?肉って焼きすぎると固くなるけど、こうやって程よくすれば美味いんだよ。」

武闘家「はい。ありがとうございます、勇者様。」ニコッ

勇者「おう。んじゃ、お礼にといっちゃなんだが、酒に付き合ってくれるか。」

武闘家「ええ。勿論。今宵は朝まで…」

勇者「え?」

武闘家「なんでもありません!」プイッ

フィフス(ぬあああああああああ!!!!)ガンガンガンガンガンガンガン

賢者「フィフスさん!?落ち着いて!どうしたんスか!?」


フィフス「ハア…ハア……」クタァ

勇者「疲れてるのか…?コイツ…」

武闘家「さ、さあ…?」

盗賊「はい、アーン。」

賢者「アーン。」パクリ

盗賊「これ、一回やってみたかったんだよね。」クスリ

賢者「んじゃ、こっちも、アーン。」

盗賊「アーン。」パクリ

フィフス(ああ…レックス…タバサ…父さんは元気でやってるからね…)グスン

武闘家「グラス一つ追加で。」

従業員「畏まりました。ところで、そちらのお客様は…?」

フィフス「うわああん!!」ゴクゴク

勇者「自棄酒だから、ほっといて良いよ。」

従業員「左様でございますか。」サササッ


勇者「乾杯。」

武闘家「乾杯。」

勇者「明後日出発か…」

武闘家「そうですね。」

勇者「明日は出発前日で城に出向いたりしなきゃなんねえし、実質のんびり出来るのは今日までか。」

武闘家「そうなりますね。」

勇者「こうして宿屋の三階から夜景観ながら酒飲めんのも今日までか。」

武闘家「まあ、しばらくは無理でしょうね。」

勇者「何日後、何ヵ月後になるかわかんねえけどさ……」

武闘家「?」

勇者「魔王を倒して、この国にまた戻ってきたら、お前とこのワインが飲みたい。」


勇者「次の日にどうのこうのとか考えずにさ、二人でグラス傾けて。」

武闘家「ええ。魔王を倒して。祝勝会の宴の後に、二人っきりで。」

勇者「付き合ってくれるか?」

武闘家「ええ。必ず。だから、途中で死んだらダメですよ?」

勇者「死んでも賢者や神官が生き返らせてくれるさ。」

武闘家「それでも、途中で心折れて、勇者を止めてしまってはダメですよ?」

勇者「分かってるさ。俺は絶対に魔王を殺さないといけないんだ…」


武闘家(今の言い方…)「魔王と何かあったんですか?」

勇者「いや、良いんだ。何でもない。少し、酔ってるな、俺。」

武闘家「勇者様?」

勇者「悪い。部屋に戻る。丁度ワインも空けたしな。」

武闘家「もう少し、喋りましょう?私は勇者様の事、知りたいです。」

勇者「いや、今の俺は余計な事を口走っちまいそうなんだ。寝かせてくれ。」

武闘家「……」


武闘家「私、部屋に戻りますね。」

フィフス「う、うん。もう良いのかい?」

武闘家「はい。」

フィフス「じゃあ僕も部屋に戻ろうかな。君達はどうする?」

賢者「もう少し飲んでから戻りまーす。」

盗賊「賢者~。もっと飲みなさいよー。今日は寝かせないわよ~!」

賢者「勘弁してくれよ、俺腰が本調子じゃ…」

盗賊「回復掛ければ良いんでしょぉ~?」

賢者「お前、飲み過ぎだぞ。かなり酔ってるだろ。」

盗賊「うるさーい!」

フィフス「やれやれ…」


フィフス(結局賢者君達はその後朝まで愛し合い、城の参上に遅れて武闘家君に大目玉を食らった。)

フィフス(勇者はこれからの旅の計画を立てて直ぐ寝たそうだ。てかそういうのは事前に立てとけ。)

フィフス(武闘家君は勇者君の事が頭から離れず、悶々としてたようだ。若いって良いなぁ。)

フィフス(その間僕はずっと剣磨ぎをしていた。心が洗われるんだよ、剣磨ぎって。)

フィフス(そして夜が明けた!)

>>129ヤッベ、勇者に君付けしちゃった。脳内修正ヨロシコ。
第五の勇者は勇者に君付けはしないからね。


勇者「よーし、お前ら。これから出発前最後のミーテング始めるからな。」

賢者「ミーティング、ね。それと、最後も何もミーティングなんて今日が初めてッスよね。」

勇者「はいそこー。ガタガタ煩ーい。お前こそ出発前日の夜位”コレ”は控えろ。」スポスポ

武闘家「手で輪っかを作って人差し指を抜き差ししないで下さい。卑猥です。」

賢者「てか、なんで知ってるんスか?」

勇者「ヴァカかお前は。隣の部屋でギシギシアンアンやってたら筒抜けなんだよ。」

フィフス「うんうん。」

武闘家「そうなんですか?」

勇者「武闘家は一部屋間空いてるから分かんないだろうがな。めっちゃ煩いよ。」

盗賊「今度からは声少し抑えるよ。」

フィフス「そういう問題じゃないんだけどな…」


勇者「はい。賢者と盗賊の暑い熱い夜の話はそこまで。ミーテング始めるからな。」

武闘家「ミーティングって何を…?」

勇者「ああ、いやまあ、殆どが連絡だ。まず一つ目。テントが二つ支給されました。」

フィフス「へー。これで野宿に困らないね。」

勇者「んで、事前に俺が用意してたテントと合わせて三つ。」

武闘家「ああ。それなら…」

盗賊「アタシと賢者、勇者と武闘家、フィフスのペアで良いね。」

フィフス「……………は??」ポカン

勇者「異議なーし。」

武闘家「同じく。異議はありません。」

賢者「盗賊と二人で、テント…」ムラッ


フィフス「いやいや待て!待てよ!」

勇者「なんだ?まさか一人でテントで寝れないなんてほざくんじゃねえだろうな。」

フィフス「そうじゃねえだろう!!」

武闘家「何か御不満でも?」

フィフス「いや、なんで男女でペア組んでんだバカか!○○○(自主規制)推奨してるようなもんだろ!」

盗賊「いや、見張り番するときとか、同性ペアより異性ペアの方がテンションあがるかなと思って。」

勇者「別にそっちの事は考えていないと思うぞ。」

武闘家「フィフスさん…ドン引きです。」

賢者(皆ふしだらな事考えてたんじゃないの…?俺は考えてたけど。)


フィフス「じゃ、じゃあ!僕が見張り番するときは誰と組むんだよ!」

勇者「そりゃ…なあ?」

賢者「なんつうか…分かりきってますよね…」ハハハ

武闘家「説明は不要と考えて居ましたが…」

盗賊「全く……」

フィフス「なんだよ!僕は誰と組むんだよ!」

勇者「一人だろ。」

フィフス「僕最近こういう役回りばっかり!!」


勇者「んじゃ二つ目~。出発したあとに向かう先。まあ、目的地の話だ。」

賢者「うぃーッス。」

フィフス「フローラ…ああフローラ…私を導いてくれ…」

勇者「はーい無視して行くぞー。目的地は魔の塔だ。」

盗賊(フィフスって歴戦の勇者なのになんであんな軽い扱いなんだろう…?)

賢者「魔の塔ってなんの魔物っていうか、なんの”魔”なんッスか?」

勇者「それが謎なんだよ。魔王直下四天王の一角を担ってる奴が仕切ってるってのは分かってんだけどなー。」

盗賊「そこに行く目的は?」

勇者「今回の目的は装備する事で体のリミッターを解除する剣、純潔の魔剣。通称、イノセントソードを手に入れる事にある。」


賢者「剣って、結局兄貴が装備しちゃうんでしょ?俺らが行く意味あります?」

勇者「それらは純潔って言うだけあって人間にしか装備出来ない。だが、その危険度故に魔物共によって厳重に保管されている。」

盗賊「その場所が魔の塔…」

賢者「でも、結局は剣でしょ?なんか特別な効果があっても所詮は。」

勇者「いや、正直イノセントは他の武器とは一線を画している。」

賢者「具体的には?」

武闘家「攻撃全てが会心の一撃になるのよ。」


賢者「え」

盗賊「嘘…」

勇者「んだから、言っただろうが。装備者の体のリミッターを解除する剣って。」

武闘家「因みに二刀流等をした場合、イノセントじゃない剣で攻撃しても会心らしいわ。」

賢者「パねえな…ソイツは…」

盗賊「驚きだね…」

勇者「はい、続いて三つ目。てかフィフス、いい加減シャキッとしろよ。」


勇者「これからの戦闘の方針について。」

武闘家「はい。」

勇者「基本的にパーティーは四人まで。それが常識だな。」

賢者「そうッスね。」

勇者「俺はその常識をぶっ壊す。」

盗賊「え」

勇者「戦闘時は全員馬車から出て全員で戦闘。前衛は俺と武闘家、時々盗賊。」

盗賊「了解。」

勇者「フィフスは変則的だが、基本後衛で魔法を。MP切れたら前出てドラゴンの杖で殴って。その際は盗賊が後衛。」

盗賊「それ以外の時はアタシは前衛か、または…」

武闘家「中衛ね。」

賢者「ガンダム~。」チャキン

勇者「それはちゅうえい。」


勇者「賢者は常に後衛。お前前出ても何もする事ねえから。」

賢者「うぃーッス。」

フィフス「僕はどういう呪文を使えば良い?」

勇者「お前への注文は一行だけ。補助は要らない、回復も要らない、パルプンテ唱えたら殺す。」

フィフス「了解~。」

武闘家「勇者様は常に前衛なのですか?」

勇者「基本前でやりたいけど、場合によっちゃ下がる事もあるかな。」

武闘家「わかりました。」


勇者「他に質問ー?」

武闘家「ありません。」

賢者「ないッスー。」

フィフス「無いね。」

盗賊「無いかな。」

勇者「よし、んじゃ、馬車が外で待ってっから、荷物持ってすぐ出るぞ。」


<王国正門前>

勇者「よし。あの馬車だな。」

武闘家「馬が…八頭!?」

勇者「まさかあんなデカイとは思わなかったがな。」

賢者「荷物積んで全員乗っても全速力で走れそうッスね。」

盗賊「馭者<ぎょしゃ>が居ないねぇ。」

フィフス「僕が走らせるよ。これでも一応馬の扱いは慣れてるんだ。」

勇者「んじゃ、よろしく頼むわ。」


フィフス「でも、椅子が二つある辺り、多分馭者が二人必要だね。」

盗賊「だったらアタシがやるよ。やり方は一応わかるから。」

フィフス「助かるよ。」

勇者「うっし、荷物全部積んだ。んじゃ、乗り込めー。」

賢者「車輪が左右三つずつだもんなぁ。」ハハハ

武闘家「大きな馬車で良かったです。」

勇者「そもそも馬一頭の馬車で世界中駆け回ろうって考えがおかしいんだよ。」

フィフス「……」


勇者「おーし、んじゃ、出発!」

フィフス「よぅし!」ピシャン

盗賊「せいっ!」ピシリ

馬達「ヒヒヒーン!!」バガラバガラ


勇者「あん?このデケエカブトムシみてえな荷物、誰のだ?」

賢者「あ、それ俺のギターッス。」

武闘家「ぎたー?」

賢者「楽器の一つ。丁度良いから弾き語りでもやろうかな。」

勇者「出来るのか?」

賢者「ガキの頃からやってるんで。」

勇者「馬車の中、中々退屈だからな。楽しませてくれよ。」

賢者「了解ッス!」


賢者「たった今君達に映る俺は♪とても苦しそうに見えるかも知れない♪」

賢者「それでもどうか殺さないでくれ♪本当に、目を閉じてしまうまで♪」ジャンジャンジャンジャジャジャン

賢者「どうやらツケが回って来たようだ♪あるもの全て好きにすれば良い♪」ジャカジャカジャンジャカ

勇者「……普通に上手いな…」

武闘家「普通に弾き語りで食べて行けそうなものですが……」

フィフス「心無しか、馬達も楽しそうに走っているように見えるよ。」

盗賊「アタシにもそう見えるよ。」

賢者「月に♪海に♪痛み♪何よりもあぁ♪あなたに会いたい♪」ジャカジャカジャカジャカジャン

……………………………………………………

*夕方

賢者「兄貴、流石にこれ以上は喉が…」

勇者「盗賊、賢者にホイミ掛けれる?」

盗賊「はいよ。ホイミ」パッ

賢者「もうレパートリーも切れてきた…」ジュワアァ

勇者「お。ここらで止めるか。フィフス、盗賊。馬停めて。」

フィフス「はーい。」ピタン

盗賊「はい、ストップ。」ピッタ


勇者「今夜はここで野宿だな。」スタッ

武闘家「薪等も用意しなければなりませんね。」ストッ

賢者「俺、採ってきます。」ストン

盗賊「アタシも。」シュタッ

勇者「二人仲良く行くのは結構だが、青姦とかは止めとけよ。」

武闘家「では私達はテントを建てましょうか。」

勇者「おう。簡単に建てられる奴だから、数分で一つ作れると思うぞ。」


フィフス「僕はどうすれば良い?」

勇者「ええと、近くの川で水採ってきてくれ。出来るだけ沢山。」テキパキ

フィフス「了解。」タタタッ

武闘家「…っと…これで一つ出来ましたね。」テキパキ

勇者「よし。他の二つもササッと建てるぞ。」テキパキ

武闘家「了解です。」テキパキ


勇者「よし、全部建てたな。」

武闘家「二人ならあっという間ですね。」

賢者「兄貴、薪持ってきました!」

盗賊「これって沢山持つと重いんだな…」

勇者「お前ら本当に青姦とかやってねえだろうな?」クンクン

武闘家「臭いを嗅がない。」

賢者「いや、やってないッスよ。盗賊はシたがってましたけど。」

盗賊「はあああ!?」

賢者「いやなんか、めっちゃ誘ってきて…」

盗賊「黙れそれ以上喋るな…!!」グググ

賢者「く、首…クビ…ィ…」ピクピク


フィフス「水持ってきたよ~。」タプンタプン

勇者「おう。お疲れ様。」

武闘家「もう夜ですね。月明かりだけでは暗いので火でも灯しましょうか。」

勇者「各テント内に篝火灯す場所があるから、上手く火点けろよ。」

フィフス「わかった。」

武闘家「水は、三つのテントの中心に置いておきましょう。」


勇者「あーもう眠い。俺もう寝袋の中入るから~。」

賢者「もう寝るんスか!?」

勇者「いや、中入って暖まるだけ。」

盗賊「ウチらもテントに入ろうか。」

武闘家(今の盗賊エッチな事考えてる目をしてた……)

勇者「あー、寒い寒い。早いとこ寝袋入って篝火当たりてえな~。」

フィフス「これは…………僕が寝ずの番をしなきゃいけないパターンだ……」


<勇者・武闘家テント内>

勇者「あー、寒い寒い。メラ。」シュボッ

武闘家「もうお休みになるんですか?」

勇者「いやもうなんか疲れちゃって。」

武闘家「ではご飯を食べてからお休みになっては?今お作りしますよ?」

勇者「ああ。じゃ、頼むわ。腹も減ってんだ。」

武闘家「わかりました。」ニコッ


武闘家「勇者様。」グツグツ

勇者「んー?」ゴロゴロ

武闘家「何故勇者様は魔王を倒したいと思ったのですか?」コトコト

勇者「…あー、それ、気になる?」ピタリ

武闘家「はい。」グツグツ

勇者「ちょっと面白くない話になるんだけど?」

武闘家「構いません。」ジュージュー

勇者「んじゃ、話しちゃおっかな。」


勇者「実はさ、単なる復讐の旅だったりするんだよね。」ハハハ

武闘家「復讐…?」マゼマゼ

勇者「うん。両親をね、殺されたの。」

武闘家「え…」

勇者「目の前でね。変なオッサンが現れたと思うと、次の瞬間母親は蝋人形みたいになってた。」

武闘家「……」

勇者「魔王のオッサンが言ったんだよ。お前はこの娘の子か?って。」

武闘家「………」

勇者「yesって言ったら殺されると思ったんだけどさ。首を縦に振った。そしたらアイツ、そうか。とだけ言って消えたんだよ。」

武闘家「……お、お父上は?」

勇者「死んでたよ。いつの間にか。怖くて母親の死体ほったらかしで家まで走って、ドア開けたら赤い父親が玄関に転がってんだもん。腰抜かしたよ。」

武闘家「……………」


勇者「村の中にある洞窟の入り口で母親が、家の玄関で父親が殺された。」

武闘家「………………」

勇者「小さい村だから葬儀も何も無くて、死体はただ燃やすだけ。体に油撒いて、火ぃ点けて。」

武闘家「…………………」

勇者「ずっと考えてたんだ。なんで俺生きてんだろうって。父親も母親も死んだのに。」

武闘家「…………スープ、出来ました。」コトリ

勇者「サンキュ。んで、死のうとして父親の形見だった剣を持った時にさ。」

武闘家「復讐を決意した、と?」

勇者「うん。思いの外剣が重くて。こんなに重い剣ならこれで魔王殺せんじゃね?って思って。」

武闘家「そんな大きな剣を?」

勇者「いや、普通の奴。ガキには重かったのさ。それで、どうせ死ぬなら魔王を殺してから死のう。途中で死んだらそれでも良いやって思って。」

武闘家「あんなに沢山資格を持ってたのは子供の頃から…」

勇者「勉強と修行ばっかしてたからだね。」ケラケラ


武闘家「今もその気持ちは変わってませんか?」

勇者「いや、大分変わったよ。正直、魔王を殺したら、金を沢山貰えるだろうし、遊びまくってから死のうって。」

武闘家「それは……」

勇者「それと、魔王を殺すまで、俺は死なないって。殺すまで何度でも生き返ってやる、って。」

武闘家「……」

勇者「今は、お前とまた酒が呑みたいな。って。そんな事ばっかり考えてる。」ハハハ

武闘家「………絶対、魔王を倒しましょう。」

勇者「……ああ。」


勇者「って、スープ冷めかけてるじゃん。ヤバっ。」ズズズズー

武闘家「おかわりもありますよ?」フフフ

勇者「おかわり。」

武闘家「はっやっ。」

勇者「あまりに美味かったんで、つい。」ニヤッ

武闘家「おかわり、どうぞ。」フフフ

勇者「サンキュ。あー、暖まる。」ズズズ


勇者「うしっ。ごちそうさん。」

武闘家「もう、いいんですか?」

勇者「ああ。スープ、美味かった。」

武闘家「では、もうお休みになられるんですか。」

勇者「ああ。腹ごしらえも済んだしな。」

武闘家「じゃあ、私ももう寝ます。」

勇者「そうか。」

武闘家「もし、よろしければ一緒に……」

勇者「?」

武闘家「い、いえ。なんでも、ありません…///」


*翌朝

勇者「お、五番。おはようさん。」

フィフス「おはよう。よく眠れたかい?」ニコニコニコニコニコニコニコニコ

勇者「あー、いや、悪かったよ。お前一人に寝ずの番やらせたのは。」

フィフス「まあ、良いけどさ。…それで、昨日結局武闘家君とはどこまで行ったんだい?」

勇者「えっと、俺が魔王を殺す理由話したよ。」

フィフス「それで?」

勇者「そっから、飯食って、寝た。」

フィフス「え、寝袋入ってからは?」

勇者「いや、寝たって。」

フィフス「なんでだよ!なんでヤらないんだよ!チャンスじゃん!」

勇者「いや、そんな焦る事も…」

フィフス「おかしいだろ!男女二人で同じテント入って!一夜過ごして何も無いなんて!!」


勇者「いや、言っても俺勇者よ?」

フィフス「おう。」

勇者「チャラ男の賢者とかと違って女とヤったりなんてしたのがバレたらスキャンダルよ?」

フィフス「う、うむ…」

勇者「勇者ってのも割りと看板家業じゃん?」

フィフス「とか言ってるけど盗賊君の財布スッたりとかしてたじゃん。」

勇者「バッカお前、アレは盗賊の方から吹っ掛けて来たからだよ。」

フィフス「向こうがやってきたから?」

勇者「おう。やられたらやり返す!」

勇者・フィフス「倍返しだ!!」キリッ

盗賊「やかましいわ。」ドカッ


盗賊「朝っぱらからテントの前でギャアギャア煩いよ。」

勇者「昨夜はお楽しみでしたね。」ニコッ

盗賊「殺すぞ。」

賢者「ぉはよーござぃまーす。」フワァ-ア

フィフス「昨夜はお楽しみでしたね。」ニコッ

賢者「ええ。大分楽しみましたわ。」ニヘラ

盗賊「…」バコッ

賢者「痛っ。」


盗賊「ったく、発情期かっつーの……」プンプン

勇者「オメーも大概だわ。」

フィフス「ホントにね。」

武闘家「おはようございます。皆さんお早いですね。」

勇者「おう。どっかのお嬢さんの寝相が悪くてな。蹴られて目が覚めちまった。」

武闘家「え!?」

フィフス「マジで?」

勇者「おう。隣の寝袋で寝てんのに脚だけ出してさ。鳩尾に強烈なの食らったわ。」

武闘家「す、すみません…」オロオロ

勇者「で、どんな夢見てたん?」

賢者「魔王を蹴り殺す夢とか!」ケケケ

盗賊「エッチな夢とか?」

賢者「それはお前だろ。」

盗賊「…」ドスッ

賢者「おぅふ…」


勇者「はいはい。武闘家のエッチな夢の話はそこまで!」パンパン

武闘家「いや私そんな夢見てないんですけど。」

勇者「はいはいはい。武闘家の魔王に陵辱される夢の話はそこまで!」パンパン

武闘家「止めてください。そんな願望無いんで。」

フィフス「えっ!?」

勇者「マジで!?」

賢者「うっそ。」

武闘家「なんでそんな{え?無いの?}みたいな空気になってるんですか。ありません。私にそんな趣味は。」

盗賊「へー。意外。」

武闘家「なんで”意外”なの。私は別にそれっぽい発言とかした事無いでしょ。」


勇者「うーっし。んじゃテントとか片付けんぞ~。」

武闘家「あ、もう私の夢の件は良いんですね。いや、別にこれ以上弄って欲しくも無いけど。」

フィフス「僕は馬車の準備をしてくるよ。」

盗賊「アタシも。」

賢者「んじゃ俺m…」

勇者「お前はテントの片付けだヴァカ。」ガシリ

*数分後

勇者「よし、準備OK。後は馬車に荷物詰め込んで、だな。」

武闘家「そういえば、まだ魔物相手にこれを使ってないのですが。」カチャ

勇者「あー、俺のあげた刀?多分武闘家だし、使えると思うよー。」

武闘家「はい。それで、試し斬りがしたいのですが。」

勇者「お、おま、バカヤロー!俺を斬るなんて…」

武闘家「変な勘違いをしないで下さい。私はそんな属性持ちでは有りません。」

勇者「あ、良かった…」

武闘家「一度モンスターと戦ってから出発しても良いですか?」

勇者「ああ。良いよ。馬車は足が早すぎてモンスターが絡んで来れねえからな。」ハハハ


レッドワーウルフがあらわれた!

勇者「おやおや、お誂え向きに。」

武闘家「私一人でやらせてください。」

勇者「勿論。こんな中級、二人で殺る事もねえだろ。」

賢者「あ、俺が読書&うたた寝をしてる間にモンスターが!」

勇者「手ぇ出すなよ。武闘家がワーウルフの解体ショーやっから。」

武闘家「変な事言わないで下さい!」チャキリ シュイン


ワーウルフ「ウガゥ!」バッ
ワーウルフはぶとうかにいきおいよくとびかかった!

武闘家「所詮は中級か。」サッ スパン
しかしぶとうかはこうげきをよけた!
ぶとうかのカウンター!

ワーウルフ「グル…ァ…」バタン
ワーウルフはたおれた。

ぶとうかはかいたいショーにせいこうした!
ぶとうかのせいぶつをころすことへのかいかんが58あがった!


勇者「テレレレッテッテッテー!武闘家は殺人鬼になった!」

賢者「wwwwwwwww」ゲラゲラ

武闘家「タチの悪いナレーションを入れるな!」バキリ

勇者「おぼらっ!?」ドテン

武闘家「全くもう……」

勇者「時々キレると言葉遣いが変わる武闘家…好きだぜ…」

武闘家「フン!」ドスッ

勇者「ミゾオチッ!?」ズドン

盗賊「馬車の準備出…来……た………けど……?」

フィフス「本当に君達は元気だな。」

賢者「あー、んじゃ、馬車に乗り込みましょうか。」


<馬車内>

勇者「うっし、このペースなら明後日の昼頃には着くな。」

賢者「早っ!?」

勇者「そりゃこの超特急馬車だからな。てか、これ時速何キロだよ。」

武闘家「戦車と同等かそれ以上の大きさですもんね。」

賢者「それを八頭の馬が牽引か…」

武闘家「まあ、100km/sは下らないでしょう。」

勇者「いやいくら何でも速すぎだわ。最早ワープじゃねえか。100km/hだろ。」


賢者「ここに来て武闘家ちゃんの天然属性が炸裂!」ケラケラ

武闘家「う、うるさい!」カァァアァァ

勇者「え~只今山道を秒速100kmで移動中~。賢者~弾き語り~どうぞ~。」キリッ

フィフス「クッ…クククク…」プルプル

盗賊「ブフォォ!!」

賢者「それじゃ始めまーす!」ゲラゲラ ジャンジャン

武闘家(くううぅぅぅっ!!恥ずかしすぎて死にたい…!)


フィフス(その後武闘家君への弄りはしばらく続いた。)

フィフス(しかし武闘家君が羞恥のあまり泣き出した為、皆は弄りを止めた。)

フィフス(勇者はもうちょっと武闘家君を虐めたかったみたいだ…サドっ気は相変わらずだね。)

フィフス(空気を変える為に賢者君が弾き語りをやってくれて本当に助かったよ。)

フィフス(賢者君の喉がキツくなってきた所で勇者が馬車を止めてそこで野宿をする事になった。)

フィフス(街の宿屋で寝たいとも思うけど、そんなあちこちに街や城もない。)

フィフス(その日は賢者君と盗賊君が寝ずの番を引き受けてくれた。)

フィフス(そして夜が明けた!)


*三日後

<魔の塔・入口>

賢者「着いた~!!」

勇者「三日もかかっちまったな。」

武闘家「ええ。ですが、問題無いでしょう。」

フィフス「それよりこの塔の外観……」

勇者「ああ。想像と違ったな。」

盗賊「ホテルみたいだね。」


勇者「いいか、お前ら。外観はこんなラブホチックでも、中身は魔物の弁当箱だからな。」

フィフス「分かってるよ。で、具体的な作戦とか無い?」

賢者「ガンガンいこうぜ!」

盗賊「アホ。」ペチン

勇者「まず中に入ったら賢者がイオグランデ。お前弓使うけど、MP回復アイテムは99個持ってるから。」

賢者「MP気にせずぶちかませ、と。」

勇者「そう言うこと。残りは俺と武闘家が掃討。次のフロアへの突入をフィフスと盗賊が図る。」

フィフス「鍵開けとかは盗賊君の専売特許だからね。僕は護衛役と言った所かな。」

盗賊「よろしくね。」


勇者「俺が合図したら賢者と武闘家が突入、良いな。」

武闘家「了解です。」

賢者「ウィッス。」

フィフス「辺りに見張りとかは居ないんだね。人っこ一人居ないや。」

盗賊「どうやらこの塔、見たところ階層がハッキリ別れてる奴みたいだ。」

勇者「何階まである?」

盗賊「多く見積もって七階位までかな。」

勇者「よし、賢者。最大七階イオグランデ連射だ。」

賢者「つれーなー。」ハハハ


勇者「よし、行くぞ………突入!!」

武闘家「ハッ!」ヒュォ ズドン

賢者「とっつにゅー。」ササササ

フィフス「ドア蹴破らんでも……」

賢者「はああああ……イオグランデ!」バアァァアン

勇者「よし、第二波、続け!」ダダダダ

武闘家「はい!」タッタッタ

フィフス「さて…んじゃ僕らも…」

盗賊「ぼちぼち行きますか…」


武闘家「ハァッ!」ズバァ

おおドラキー「キキャァ!」バタリ

勇者「てやぁ!」ブンブン

オーク「ぐぅおおお…!」スパスパ バタン

盗賊「うん…成る程…よし!いつでも開けられるよ!」

賢者「呪文連射ってキツイんだよね…」ゴクゴク

勇者「開けてくれ!」

盗賊「はいよ!」カチャリ ガチャ

賢者「イオグランデぇ!」バアァァアン

魔物「ッギャアアアアアアッッ!!」バタバタンバタバタバタン

さまようよろい「!」

武闘家「やあああああ!!」ドカ

さまようよろい「」


勇者「よし、第二フロアーも制圧したな。どんどん行くぞ。」

武闘家「はい!」

盗賊「うーん…」カチャ

賢者「どうしたッスか。」

盗賊「なんかさっきから鍵が簡単に開きすぎてる気が…」

フィフス「そりゃ魔物しか住んで無いからねぇ…」

盗賊「確かにかしこさの低い魔物でも開けられる様にしてるだけかも知れないけど…」

勇者「まあまあ。五、六階位まではモブしか居ねえだろうし、このペースで進めば良い。」

フィフス「でも、なんか罠とか有ったら…」

勇者「そんときゃ俺が何とかするさ。なんてったって俺はエリートキャリアの勇者なんだぜ?」

武闘家(自分に自信がある男性ってなんか…素敵…)


<五階>

武闘家「フッ!」ドカッ

賢者「ッしゃあ!イオグラン…デ?」バ...ピタ

勇者「おいおい何やってやがる。中に全裸の姉ちゃんでも居んのか。」

賢者「いや、半裸の姉ちゃんが。」

盗賊「は?」

フィフス「こんな所まで来て冗談言ってる場あ…い…るよ半裸の姉ちゃん!」ピカーン!

勇者「ウソウソ!ドコドコ!俺にも見せろバカヤロー!」ズイィッ

武闘家「少しは緊張感を持ちなさい!」グイッ


半裸の姉ちゃん「……」

勇者「おお…露出度高ぇ…まさしく半裸…!」グッ

賢者「ね、ねえ、君、名前は?」

半裸の姉ちゃん「…ヴァンピア。」

勇者(変わった名前だな……)

賢者「へー、ヴァンピアちゃんか。…」

盗賊(あ、コイツナンパのテンションになってる。)ムカッ

フィフス「き、君は何故ここに居るのかな?」

ヴァンピア「……あの方に仕えて居るから。」


フィフス「あの方…って?」

ヴァンピア「…魔王様。」

勇者「……」
武闘家「…!」
フィフス「!!」
盗賊「!!」
賢者「??」

フィフス「魔王がここに居るのか!?」

ヴァンピア「ええ。でも、貴方達が考えている魔王とは違う。貴方達の言ってる魔王とは私達の言う魔神様の事。私の仕えている魔王様はその直属の部下。」

武闘家「魔王直下四天王……」

ヴァンピア「ええ、そう。」

勇者「お喋りはここまでだ。姉ちゃん。俺達は上へ行きてえ。上にはアンタの仕えてる魔王様とやらが居るんだろ?」

ヴァンピア「ええ。そうなるわね。」

勇者「通して貰えるか?」

ヴァンピア「それは…出来ないわね。」ギラン

フィフス「!?」(目つきが変わった!?)

ヴァンピア「あの方の手を煩わせる訳には行かない。悪いけど、貴方達はここで私に抱かれて…終わるの!!」バッ


勇者「チッ!」(クソが!)ガキン

ヴァンピア「……」ズザァァア

武闘家「勇者様!」

勇者「大丈夫だ。」

ヴァンピア「ふっ!」バ

勇者(コイツの爪…なんでこんな硬くて鋭いんだ!?炭素でも混ぜてやがんのか!?)ガキィッ

フィフス「捌{ハッ}!」ドコン

ヴァンピア「ッ!レディのうなじを後ろから殴るなんて…酷いおと…こ。」バタン

フィフス「先を急ごう。」

勇者「お前、相手女なのに容赦ねえな。」

フィフス「敵にまで紳士的になんてやってられるもんか。」


<六階・最終フロアー>

勇者「中の様子はどうだ?」

盗賊「それが…」

フィフス「ベッドの軋む音と女のあえぎ声が半端ないよ。」

賢者「お楽しみの最中らしいッスね。」

勇者「構うもんか。入るぞ。」ドグォッ


???「誰か来たようだね。ドアを蹴破った音がしたし、御客様では無いようだね。」ギシギシ

勇者「テメエが魔王か。」

?魔王「いかにも。僕が魔王直下四天王の一人だ。」ギシギシ

フィフス(なんかおかしな会話に聞こえる…)

女「あああ!く、ああ!ゆ、勇者様!!」

?魔王「君の勇者は逃げたんだよ?君を置いて、ね。」ギシギシ

女「あ、ああああアアアア亜亜亜亜!!」ビクンビクン

武闘家「ちょっと…」

勇者「なんか事情はよく分からんが人前であんなん見せんで欲しい。」


女「誰か…助ケ…テ……」ドロリ

女「…グチュリ

女「グチュグチュ

女ドロドロ

オングニュグニュ

オグニュリ

クチュン


勇者「…………」

フィフス(何が起こった…?)

盗賊(気持ち悪い…)

賢者(女がイッて…そしたら女が…溶けた…?)

武闘家(そしてそのままあの男の腹に吸い込まれて行った…)

勇者「…オイ。テメエ、その女に何をした?」

?魔王「もう女どころか人間でも無いんだけどね。」

勇者「何をしたかって聞いてんだが?」

?魔王「見て大体分からない?彼女から力を吸いとったんだよ。」


勇者「力を吸い取るって、あの一連の行為でか?」

?魔王「ああ。僕は人間や生物の穴から生命力等の力を奪う事が出来るんだ。」

勇者「……」

?魔王「勿論、身体に力を入れてたら生命力を奪えないから、だから一度絶頂にイカせる必要があったんだ。」

勇者「…つまり、イカせた相手から力を奪い取ると?」

?魔王「そういう事になるね。僕、説明苦手なんだけど、理解が早くて助かるなあ。」

武闘家「どういう事…ですか?」

勇者「簡単な話だったよ。アイツは淫魔。淫魔王だ。」

淫魔王「その通り。」

フィフス「それでここも、淫魔の塔か…」


淫魔王「後、補足すると、穴から生命力を奪うけど、自分で穴を開けて吸っても良いんだ。」

勇者「首筋に噛みついて血を吸う連中もお前らの仲間か。」

淫魔王「仲間、と言うよりは部下、かな。硬派な連中だよ。折角女を犯して力を得られるのに、それをしないでただ純粋に力を求めてるんだから。」

武闘家「…クズめ…」

賢者「って事はヴァンピアちゃんも?」

勇者「淫魔の一種なんだろうな。女はどうするんだろう?首筋に噛みつくしかないのか。」

淫魔王「いや、メスの淫魔は男性を無理やり押し倒して…」

勇者「ストップ。もういい。もうやめろ。」


フィフス「さっきの女は何処かから誘拐してきたのか?」

淫魔王「まさか。そこらの力のない女を犯して力を奪ったって効率悪いじゃないか。」

フィフス「じゃあ今のは誰だよ。」

淫魔王「遠い遠い時代から召喚したお姫様さ。天空の勇者の仲間だった武闘家で力が強くてね。精神から崩す必要があったよ。やり方、聞きたい?」

フィフス「……」

淫魔王「あ、聞きたい?じゃあ聞かせてあげる。彼女にはね、勇者に見捨てられたって言う催眠を掛けたんだ。僕に負けた勇者がその娘を置いて逃げ帰ったっていう催眠をね。」


淫魔王「その催眠を掛けた時の彼女の顔は美しかったよ…絶望して、助けを求める目。」

勇者「…よく喋るな。」

淫魔王「そうして精神を崩れた彼女を押さえつけて犯す快感と言ったら!」ククク

武闘家「……」ギュッ

淫魔王「フィニッシュは君達も見ただろう?あの素晴らしいラストシーンを。」

盗賊「……ああ。最悪の気分だったよ。」

淫魔王「そうして彼女を吸収したせいかね、筋肉がついてるような気がしてね。どうかな?」


賢者「………………」

淫魔王「そしてこ…」

賢者「ドルマドン。」バアァァアン

淫魔王「うわあっ!?」ドン

賢者「ベラベラと良く動く口だな。ええ?その舌、火ぃ着ければよく燃えるんと違うか?」

淫魔王「いきなり酷いな…」

賢者「気分悪ぃ事ダラダラとだらしねえ面で喋りやがって気色悪ぃ、死ねや。イオグランデ。」バアァァアン

勇者「落ち着け、賢者。闇雲に攻撃しても…」

淫魔王「……随分と気が早いんだな。そんなにそっちがその気なら…遊んでやるよ。」シュバッ

盗賊「危ない!」

賢者「ぐはあっ!」ドズッ


盗賊「賢者!」

淫魔王「君も邪魔をするのか。」シュバッ

盗賊「うあああ!」ドオォン

武闘家「クッ…」チャキン

勇者「待て、武闘家。刀じゃ対応出来ない。鉤爪だ。」

武闘家「は、はい。」

淫魔王「ハアアァッ!!」シュバッ ドス

フィフス「うぐぅっ!」(恐ろしいスピード…そしてこの一撃の重さ…)ガン


淫魔王「次は勇者、君だ。さあ、お手並み拝見と行こうじゃないか。」シュバアァッ

勇者「クッ」サッ

淫魔王「甘い!」シャッ

武闘家「勇者様!」ガバッ ドスリ

勇者「武闘家!?」

武闘家「ガハッ!」バタン

勇者「わざわざ庇う事ねえだろうに…下がってろ、お前ら。」

盗賊「え?」

勇者「コイツは俺がやる。お前たちは待ってろ。」


淫魔王「ハハハ、そりゃあ君、あのお姫様を吸い取る前なら出来たかも知れないけどね、今は無理だよ。彼女を犯し、力を奪う事で僕の攻撃力は2倍、防御力は1.5倍になったんだ。」

勇者「やってみなきゃ、解らんさ。それに、こういうノリって最終的に勇者側が勝つパターンだろ?」チャキン カチャ

淫魔王(槍と剣を同時に…?)「さあ、どうだろうね。」スッ

勇者「ヘッ。」スッ

淫魔王「トリャッ!」シュバッ

勇者(また突進してきた…これはかわすよりは捌くか受け止めるかの方が良いだろうな……)ガキン

淫魔王(槍と剣なんておかしな武器の組み合わせで掻き回そうたって!)ズバッ

勇者(コイツ…爪で!)キン

淫魔王(まだだ!もう一発!)ドカッ

勇者「ゴハッ!」(あの体勢から…蹴りだと……)ドサリ


淫魔王「さあ、お遊びは終わりだ。」キリキリ

勇者「殺すか?」

淫魔王「そうだね…いや、君は結構強いし、吸収しようかな。身体に穴開けて。」

勇者「そうか…い!」シュパァ

淫魔王「!!」(投げナイフ…?)

勇者「…」ニヤリ サササッ

淫魔王「!?待っ…ぐわああぁっ!!」(ナイフが…なんだこれは!?)

勇者「どうだ?テメエには結構効くだろう?聖水にたっぷり浸して錆びさせた勇者様印の投げナイフは。」

淫魔王「おおおおおお!!」ズブリ

勇者「つぉりゃ!!」ザク

淫魔王「ぬうおお!!」

勇者「もういっちょ!」ブンブン

淫魔王「ぐわあああああ!!」ズババァッ

勇者(よし、これで勝て…)

淫魔王「なんちゃって!」ニヤアァッ


勇者「は?」

淫魔王「てぃっ!」ドカッ

勇者「うおっ!?」ドン

淫魔王「一回やってみたかったんだよね、コレ。」ボキッ

勇者「や、槍を…」(あっさりと折った……)

淫魔王「全く、あんなお粗末な不意討ちで僕を倒せる訳ないじゃないか。」

勇者「……」

淫魔王「あ、もしかして今作戦考えたりしてる?」

勇者「さあな。」

淫魔王「余裕ぶってるけど、作戦は詰まりに詰まった作戦だろうねぇ。一か八かでマダンテ!とか。」ハッハッハ

勇者(マズい…読まれてたか…)

淫魔王「おやおや、図星ぃ?」


勇者(分かってても止められるかどうかは別だ!)「マダンテ!!」

淫魔王「……」ニヤアァッ
淫魔王「マホカンタ。」

勇者「…チッ。」(クソが…)

淫魔王「終わりだよ。」ニコッ


勇者「グゥッ!」ヒュゥドオォォォオン
勇者「クソ…」ガクリ

淫魔王「まだ辛うじて息はあるようだね。それじゃ、そろそろ吸収させて貰おうか…」

武闘家「待て!」

淫魔王「なんだ君達、まだ居たの?それで、何?邪魔をする気?君達が僕に勝てるとでも?」

フィフス「……」

盗賊「……」

賢者「…ベホマ。」

勇者「クッおお…」ジュワアァ


武闘家(このまま戦っても勝ち目はない…)

武闘家(勇者様、それに皆を救う方法は……)

淫魔王「フフフ……」ツカツカ

盗賊「クッ…」チャキン

フィフス「……」グッ

賢者「………」チャキリ

武闘家(これしか…無い…)

武闘家「リレミト。」

勇者「!?」フワフワ

賢者「え…」フワフワ

盗賊「何これ!?」フワフワ

フィフス「やめろ武闘家君。何を考えてる。」フワフワ

武闘家「貴方達は生き延びて。勇者様。」

勇者「バカな真似はやめろ…今ならまだ解除出来る筈だ……」フワフワ

武闘家「さようなら。勇者様。」パーン

<魔の塔前>

勇者「……」

賢者「は…?」

盗賊「一体…?」

フィフス「武闘家君が僕らにリレミトを掛けて逃がしたんだよ。」

勇者「……」ガチャガチャ
勇者「……」(開かない…)ガチャガチャ

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

勇者「……」

フィフス「塔の周りにもバリアが張ってある……内部への侵入は不可能だ……」

盗賊「これが…あの変態淫魔の力…?」

<魔の塔前>

勇者「……」

賢者「は…?」

盗賊「一体…?」

フィフス「武闘家君が僕らにリレミトを掛けて逃がしたんだよ。」

勇者「……」ガチャガチャ
勇者「……」(開かない…)ガチャガチャ

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

勇者「……」

フィフス「塔の周りにもバリアが張ってある……内部への侵入は不可能だ……」

盗賊「これが…あの変態淫魔の力…?」

やっべ連射しちゃった。


賢者「待って下さいよ。なんで武闘家ちゃんがいないんすか!?」

フィフス「……自分の身を差し出せば皆を逃がせる……そう思って、自分にマホカンタを掛けてリレミトを撃ったんだ…」
フィフス「マホカンタの鏡で跳ね返り続けた結果武闘家君に掛かる分のリレミトは消失……」

盗賊「じゃああのパーンって言う音は……」

フィフス「呪文の反射消滅の音……」


勇者「…………………………」

勇者「…」ドカッ

ドカッ ガン ズガッ ガキン ドン ガン ドカン バコン ドズン バゴリ

勇者「…………」ドカッドカッドカッドカッドカッ

勇者「ぅ……うおああああああああああああ!!!」ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン

勇者「があああああああああああああ!!」ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

勇者「ぬぅあああああああああああ!!」バアァァアンバアァァアンバアァァアンバアァァアンバアァァアンバアァァアン


魔物「……」ウヨウヨ

賢者「お、音に釣られて魔物達が……」

フィフス「ゆ、勇者!」

勇者「ああああああああああああああああああああああ!!」ズバァ

ミノタウロス「ギャアアアア!!」

勇者「おゥごあああああアアアアアアアアア!!!」ザクッザクッザクッザクッザクッザクッザクッザクッ

ミノタウロス「」グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ

勇者「あああ!!ああああ!!!!アアアアアアアアアア!!!!!!」ザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグザグ

ミノタウロス「」グチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ


賢者「うっ……」

盗賊「オエエエエエ!」ビチャビチャ

フィフス(魔物があんな肉片になってもまだ……)

勇者「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ

ミ  ウ ス「」グジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュグジュ

フィフス(勇者が発する狂気があまりにも強すぎて現れた魔物達が引いて…いや、逃げて行く……)

フィフス(狂気に当てられてるのは魔物だけじゃないか……)

賢者「あ…ああ……」ガクガク

盗賊「うあああええぇぇ!!」ビチャビチャ


勇者「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」ギロッ

ゴブリン「ぐ、うううぅぅ………」ダダダッ

勇者「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」ダダダダダ

ゴブリン「ううぅぅぅ……」

勇者「……………」ガシッ

フィフス(…ゴブリンの頭?…を…掴んだ……?)

勇者「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」グググググ

ゴブリン「ぎ、ギギギギィ…ぎ、ギギャアアアアア!」

勇者「死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死」ブチュリ

フィフス「うっ……」フイッ

賢者「あ……ああああ………」

盗賊「ハァ、ハァ、ハァ……うっ!オオオェェェ!」ビチャリ


勇者「…………………」フラフラ...バタリ

フィフス「勇者!」

賢者「ハッ…!?」

盗賊「ううぅ…気持ち…悪い……」クラクラ

フィフス「済まない。賢者君、盗賊君、立てるかい?」

賢者「は、はい…」スッ

盗賊「何とか……」スッ

フィフス「賢者君、勇者を運ぶのを手伝ってくれ。」

賢者「はい。…こ、これは……」

ミ  ウ ス「」
 ブリン「」

フィフス「見るな…勇者を運ぶ事だけに専念しろ。」

賢者「は、はい……」


フィフス「何とか馬車まで運べたな……」

賢者「大丈夫ッスか?」

盗賊「平気。ちょっと吐き気がするだけ。」

フィフス「盗賊君が回復でき次第ここから脱出、近くの町に行く。」

賢者「武闘家ちゃんは…?」

フィフス「……現時点で救出は不可能だ。塔全体にはバリアが張られているし、恐らく内部にもまた魔物が居る。消耗している僕らが今行っても損害を増やすだけだ……」

賢者「武闘家を…置いて、逃げる…?」

フィフス「……逃げる訳じゃない。必ず助ける。だが今は無理だ…勇者はこのザマで、僕らもまだ回復しきってない。賢者君、君はあといくらMPがある?」

賢者「俺…24しかない…?」

フィフス「あの空間に居る間、恐らくMPがジワジワと減っていってたのだと思う。そして、その中で君は最上級呪文を連発した。」

賢者「…………」


フィフス「分かったらここは撤退だ。馬を出すよ。」

盗賊「……………」

賢者「……………」


<魔の塔内部>

淫魔王「君も不思議な事をするねぇ。一人で勝てる訳無いのに。そんなにあの勇者が大事だったのかな?」

武闘家「……」

淫魔王「さて、手早く終わらせようか。痛い目を見たく無ければ……」

武闘家「フフフ…」

淫魔王「?」

武闘家「今更抵抗なんてしないわ。私の身体、好きにすれば良いでしょう?」ニヤッ

淫魔王「……抵抗しない、と言うことかな?」

武闘家「ええ。しないと思うわ。」ニヤニヤ

淫魔王(何を考えてる…?自棄になったのか?それとも何か策があるのか…?或いはただのハッタリか…?)

武闘家「あら、襲わないの?それとも、抵抗されるのが怖いのかしら?」フフフ

淫魔王(…………)「いやあ、もう既に一人吸収して疲れてしまってねぇ。君の身体を頂くのは、明日の夜にするよ。」


武闘家「淫魔の王様なのに、ソッチは弱いの?」クスクス

淫魔王「ハッハッハ!では、下僕に君の部屋を用意させるよ。」

武闘家「あら、有り難う。レディには優しいのね。」

淫魔王「光栄だよ。」


淫魔王(一々挑発的な事を言ってきたり、やはり何か考えがあるのか…?やはり今すぐ吸収するのは危険だな。やはりしばらく様子を見て反抗する気を削ぎきってから吸い取るのが安全だ。)キッ

武闘家(上手く騙せた…バカな奴。僅かなMPも尽きてHPも半分を切ってる私に作戦なんてあるわけないのに。)キッ


淫魔A「こちらが貴女の自室となります。」

武闘家「ありがとう。それで、貴方が私のお世話係なの?」

淫魔A「魔王様からはそのように仰せ遣って居ります。」

武闘家「そう。これから、よろしくね。」

淫魔A「は、はあ…よろしくお願い致します。」


<馬車>

勇者「…!」パチッ

賢者「兄貴!目、覚めましたか…?」オソルオソル

勇者「あ…俺は……武闘家を……」

賢者「今は馬車の中ッス。もうすぐニュアの町に着きます。」

勇者「ニュアの町に行って…どうするんだ……?」

フィフス「とにかく体勢を立て直す。今の僕達では淫魔王には勝てない。」

勇者「武闘家が吸収されるかも知れないんだぞ……」

フィフス「そんな事は分かっている。けど、どうしようもない。盗賊君と賢者君は完全に力不足、僕と勇者は技不足だ。」

勇者「技不足…?」

盗賊「フィフス。」

フィフス「ああ。もうニュアの町に着く。」


<ニュアの町>

フィフス「まずは宿屋へ行って部屋を取る。それで良いね、勇者。」

勇者「ああ……」

賢者(……フィフスさんと兄貴は技不足、つまり持っている力を引き出す技術がまだ足りない………一方俺と盗賊は力不足、つまりレベル自体が低いって事だ……)

盗賊(武闘家は今もあの下衆の辱しめに耐えているんだ……アタシ達の力が足りないばかりに……無理矢理旅に付いてきて足手まといになって……何やってるんだアタシは……)


<宿屋>

女将「はいよ、じゃあ二日滞在ね。ごゆっくり!」

フィフス「はい。皆の部屋の鍵。隣だから、何かあったらすぐ来てね。僕は666号室だから。」ジャラッ

勇者「…………」パシッ スタスタスタ

賢者「俺は…町の外で少し、風に当たってきます。」

盗賊「…アタシも。」

フィフス「良いけど、あまり遠くへ行きすぎるなよ。」


<宿屋・勇者自室>

勇者(これは結局、武闘家を置き去りにして逃げて来た事になるのか……)

勇者(ククク…何がエリートキャリア勇者だよ。お勉強ばっか出来て、何にも救えてねえじゃねえか。)

勇者(女一人助けられないで……情けねぇ…………)

勇者(今頃アイツは淫魔の陵辱に必死に耐えてるんだろう……)

勇者(頭の中で俺や仲間と過ごしてきた日々を思い出して、涙を流しながら……)

勇者(それに比べて俺は何をやっている…?)

勇者(のうのうと生き延び、町に逃げ込み、宿屋のベッドに腰掛けのんびりと休んでいるじゃないか。)

勇者(なんつーザマだよ。しかもやられた相手は魔王じゃねえ。魔王の部下の一人。)

勇者(こんなんでどうやって魔王を倒す。魔王の部下相手に五人で挑んでアッサリと跪かされて……)

勇者(あまつさえ、仲間の一人置き去りにして逃げ帰ってきました、ってか?)

勇者「……ハッハッハ…ハァハハハハハハハ!!!」


<フィフス自室>

フィフス(僕は何をやっているんだ…?)

フィフス(決めたじゃないか。最初に。魔王を倒すにはまだまだ力不足なメンバーを、僕が導くって。)

フィフス(それなのに…忘れていた。平和ボケしていた。始まりの町であまりにも遊び過ぎていた…)

フィフス(これじゃ駄目じゃないか。偉そうに第五の勇者なんて言われて。)

フィフス(皆を導くどころか今仲間の一人は敵に捕らわれている。)

フィフス(こんなんじゃ駄目だ、絶対に。僕が皆を導く。そしてこの世界の魔王も倒す。)

フィフス(それが僕に与えられた、僕の使命なんだから。)


賢者(俺があの時キレて呪文連射なんてしなければ、陣形が崩れることは無かった…)バアァァアン

賢者(俺が冷静さを失ってフォーメーションを崩したばかりに負けたんだ……)バアァァアン

賢者(冷静に五人で戦って居れば勝てない相手では無かったはずだ…!!)バアァァアン

賢者(俺は何だ…?賢者だぞ……パーティーのブレーンで無ければならないんだ…)バアァァアン

賢者(今まで何をやっていた…?呪文書を読んだ事が一度でもあったか?)バアァァアン

賢者(女に狂って毎日腰を振る日々だったじゃないか……)バアァァアン

賢者(バカが……!こんなんで兄貴と魔王を倒せる訳がない…!)バアァァアン

賢者(現状を変えなければ……!!)


盗賊(情けない……)

盗賊(アタシは勇者が淫魔と一対一で戦うのを見てる事しか出来なかった…)

盗賊(結果勇者は負け、アタシ達は淫魔に手も足も出なかった。)

盗賊(同じ女でも武闘家は違かった。どうすれば皆を生かせるかを考え自分の身体を捨てた……)

盗賊(その時アタシの頭の中には恐怖しかなかった。仲間の為に身体を棄てるなんて、考える事も出来なかった……)

盗賊(力不足。フィフスの言う通りだ。アタシは今まで遊んでいただけなのだから。)

盗賊(金を盗んで、酒を飲んで、男に狂って……)

盗賊(その結果がこれだ。おふざけで仲間入りして、皆の足を引っ張っている。)

盗賊(仲間になった以上、引き返す事は出来ない……)

盗賊(そうなれば、アタシに残された生き残る方法は強くなる事しかない。)

盗賊(………さあ、休憩は終わりだ。狩りを再開しよう。)


勇者「……」(邪気の気配……)

??「うぅわー!賊だ!蛮賊が現れた!」

フィフス「!?蛮賊だと!?」

蛮賊「ヒャァッハッハアッ!」

勇者「…随分と世紀末なテンションの賊じゃねえか。」

住人「何やってる衛兵!戦え!奴らを取り押さえるんだよ!その為にお前らは居るんだろうが!」

衛兵「し、しかし…」

蛮賊「やってみろ!俺達は毎日命懸けで生きてきた人間だぞ?平和な街の中で酒を飲みながら仕事をしているお前らに俺達を取り押さえられるのかぁ!?」

衛兵「……」

賊長「安心しな。アンタらとわざわざ殴り合うつもりはねえ。ほぉんの少し住民達から酒と食料、金貨を失敬したらさっさとずらかるからよぉ!」

衛兵「……」


勇者「あらよっと。」バッ シュタッ

蛮賊A「なんだテメエは!」

勇者「…くぁあー。」アクビ

蛮賊B「!?」

勇者「あのさ、俺今気分悪いわけ。解る?だから出来るだけ静かにしてほしいんだけど。」

賊長(なんだあの優男は…?)

蛮賊A「なんだぁ!?エラそうに!俺達ぁこれから…」

勇者「気分悪いっつってんだろ。ギャアギャア騒ぐんじゃねえ。」スパッ

蛮賊A「っぐ、ギャアアアア!!」ジタバタ

フィフス(やはり塔の時以来、勇者は少し残虐になっている…止める人間が必要だ……)シュタッ

蛮賊B「なんだお前は!お前もコイツの仲間か!?」

フィフス「まあ、そうだね。」


賊長「お前さん達、俺達の邪魔をする気か?」

勇者「別に。邪魔がしてえ訳じゃねえよ。ただ静かにしてほしいんだ。だから、静かに略奪をしろって事。」

フィフス「いや、多分それ無理。」

賊長「俺らも人だ。無駄な損害は出したくねえ。コイツみてえな、な。」ゲシッ

蛮賊A「」

賊長「アンタらは腕が立ちそうだ。だから少しの間耳を塞いでてくれ。そうすりゃいつの間にか俺達は消えてるからよ。」

フィフス「なんでアンタらの勝手な都合でこっちが気を利かせなきゃなんないんだ。」

勇者「もううるせえから。さっさと失せろ。蛮賊の癖して下手な交渉なんてしやがって。」イライラ

賊長「交渉決裂って奴だな。……なら仕方ねえ。」ゾワァッ

勇者(…ほう。コイツ、意外と出来るな。ついさっき思いついた技の実験台にでもなってもらおうか。)

フィフス「勇者!」

勇者「お前は周りの雑魚を片付けろ。俺はコイツを殺る。」


賊長「確かにアンタは腕が立ちそうだが、俺に勝てるかな?」

勇者「………」(師匠がやってたように…確かこうだ…剣にドルマドンを乗せるようにして……)ブゥゥン

賊長(フォースエンチャントか!?コイツ…)

勇者(やっとコイツ実力差が解ったみてえだな。だが、遅すぎる。)ズバァ

賊長「」グラグラ バタ

勇者「……ケッ。」

蛮賊D「お、親父がやられた…」

蛮賊F「親父殿が勝てねえ相手に俺らが勝てるはずねえ!」ダダッ

蛮賊C「に、逃げろおぉぉ!」ダダダ

蛮賊E「ヒィィエエェェェ!!」ダダダダ


フィフス「結局僕の出番は無いじゃないか。」

勇者「いや、あれは牽制だ。雑魚共の注意がお前に向けばそれで良かった。」

フィフス「まあ、良いけど。」(勇者、一応は立ち直ったみたいだな。良かった。)

住人「あ、アンタら…あ、ありがとう……」

勇者「別にいーよ。俺が気にいらなくて〆ただけだし。」

住人「な、何かお礼をさせてくれ!」

フィフス「そ、それじゃ、大筒を一台貰っても言いかな?」

住人「お安いご用だが…何に使うんだ?」

フィフス「まあ。色々。」

住人「ふーん。まあ、良いさ。他には?」

勇者「無い。死体の処理位かな。」

住人「それは勿論、なぁ。」

*数時間後

勇者「お前らは、街の外に”風に当たりに”言ってくると、俺に言ったな?」

賢者「はい。」

盗賊「言った。」

勇者「俺の見る限りお前らは一ダンジョン潜って来た位に傷だらけなんだが?」

賢者「ええ。まあ。」

盗賊「色々あって。」

勇者「それらの生傷は一体どんな台風に当たったら出来るんだ?俺に教えてくれ。」

賢者「いや、えっーと…」


フィフス「まあまあ、良いじゃない。結局無事に帰って来たんだし。」

賢者「そ、そうッスよ…」ホッ

盗賊「…」コクコク

フィフス「して、その様子だと覚悟は出来て、吹っ切れたんだね?」

賢者「はい。」

盗賊「うん。」

勇者「………出発は明日の朝、早朝だ。朝日が上る前に塔を襲撃する。」

賢者「了解ッス。」

盗賊「解った。」

フィフス「よし。もう暗くなってきたし、自分の部屋に戻ろう。」

*夜

<魔の塔>

淫魔王(結局あの女は何も仕掛けて来なかったな……)

淫魔王(何を企んでいるんだ…?それともやはりハッタリなのか…)

淫魔王(いや、罠だとしても大して脅威ではない。いざとなればその場で押さえつけて犯せば良いだけだ。)

淫魔王「ヴァンピア。」パチン

ヴァンピア「お呼びでしょうか。」

淫魔王「あの、武闘家の女を呼んでくれ。そろそろ吸収する。」

ヴァンピア「畏まりました。」サッ


ヴァンピア「…ただいま戻りました。」シュタッ

淫魔王「彼女は?」

ヴァンピア「世話見の話だと…その……月の障りだそうで……」

淫魔王「ああ。生理か。」

ヴァンピア「は、はい……」

淫魔王(……)「なら仕方ない。明日の夜にしよう。」

ヴァンピア「ではその様に世話見の者に伝えてきます。」サッ


淫魔「おい。魔王様の相手が明日の夜に延期になったそうだ。」

武闘家「そう。貴方が助けてくれたお陰ね。」

淫魔「………」

武闘家「ありがとう。」チュッ

淫魔「……」

武闘家「ここから逃がしてくれればもっと大きなお礼が出来るんだけど…」

淫魔「……」

武闘家「まあ、それは流石に無理よね。」

淫魔「じゃあな。」スタスタ

武闘家(上手くたらしこめた……少しの間頬に口を密着させるだけで良いんだから、簡単ね。)

武闘家(どうせ死ぬにしても、足掻きに足掻いてから死んでやる……)

武闘家「………勇者様…………………」ボソッ


*深夜

淫魔王「なあ。彼女に会わせてくれないか?少し話がしたくなったんだ。」

淫魔「聞いてきます。」

淫魔王「……」

*数分後
淫魔「お腹が痛いから無理、だそうです。」

淫魔王「会話位出来るだろう。」

淫魔「いやしかし…」

淫魔王「そもそも彼女は奴隷の様な物だ。拒否権等ない。」

淫魔「いえ、魔王様…」

淫魔王「さては、人間ごときにたらしこまれたな、貴様。」

淫魔「は?いや…」

淫魔王「バカが。」スパッ

淫魔「ぐああぁぁぁ…」バタン


淫魔王「入るよ。」ドカッ

武闘家「あら、ドアは開けるものであって蹴破るものでは無くてよ。」

淫魔王「……いやー、それにしても、君には見事にしてやられたよ。まさか全て時間稼ぎだったとはねぇ。」

武闘家「あら、何の事?」

淫魔王「とぼけなくて良い。あの世話見の者もたらしこんだんだろう?」

武闘家「………あら、じゃあアイツ、死んだのね。」

淫魔王「ああ。殺したよ。」

武闘家「そう。」


淫魔王「よくもこの僕にこんな舐めた真似をしてくれたものだね。」

武闘家「別に。騙される方が悪いんじゃ無くて?」

淫魔王「どうやら君には陵辱と吸収だけでは足りないようだ。」

武闘家「……」

淫魔王「ジワジワと苦痛を与える。荒縄で縛り、鞭で打ち、傷だらけにした上で犯す。」

武闘家「……」

淫魔王「前の女にやったように優しく丁寧にはヤらないよ。」

武闘家「……」

淫魔王「奴隷を犯すように、奴隷{キミ}を犯す。」ニヤリ

武闘家「なら、まずは、抵抗させて貰う…わっ!」チャキリ ブン


武闘家「……ッ…!」ギチギチ

淫魔王「良い様になったよ。君の様な生意気な女は縛って屈服するに限る。」

武闘家「随分と紳士的なのね。」フイッ

淫魔王「いつまでそんな態度で居られるかな?さあ、まずは、約束通り、鞭の味を君の体に教え込んであげよう。」

武闘家「……好きに、すれば。」

淫魔王「フンッ!」ピシャン

武闘家「ああああっ!」ビクッ

淫魔王「フフン…良い声を出す…そらぁっ!」ゾクゾク ピシャリ

武闘家「あ!う……」


*2時間後

淫魔王「フフ…そろそろ僕に屈服して命乞いをする頃かな?」

武闘家「ハッ…!坊やは随分と妄想が好きなのね……でも、妄想と現実は違うのよ?」

淫魔王「そうか…ならそろそろ新しい鞭にしようか。」ゴソゴソ

武闘家「好きにすれば?」

淫魔王「これは、今まで使っていたのは殺傷力の低い鞭。けど今度は違う。これは相手を傷つけ、殺すための鞭。」

武闘家「……」(…マズイ…)

淫魔王「ハアァァァァッ!!!」ビシャアァァン

武闘家「あ…が……!」ブル...ブル...

淫魔王「フフ…痛みで声すら出せない…か。良いね。期待通りの威力だ。てぃやっ!」ビシィイィィン

武闘家「ッゲホッ!」

淫魔王「フフフ…まだ夜は長い…たっぷりと、楽しもう。」ニヤァァ


淫魔王「どうだ?効いてきたかな?凄いだろぅ。本当に痛い鞭って言うのはね、皮膚の感覚すら潰すんだよ。だから、打たれた後残るのは僅かな痺れだけ。でも、その内感覚が戻ってくる。そう、時間差で痛みが襲ってくるんだ。」

武闘家「……ッ……」

淫魔王「なあ、今僕に許しを請えば、吸収を止めはしないが、鞭で虐めるのは勘弁してあげよう。どうだい?」

武闘家「まさか…冗談でしょ?誰もアンタに許しを請うたりなんてしないわよ。」

淫魔王「……そうか。」ブチッブチッ

武闘家(縄を…解いた…?)ドサッ

淫魔王「人間の女は腹を強く打つと、子宮と言うのが死んで、子を産めなくなるんだってね。」

武闘家「だから…何?」

淫魔王「まずは君の腹を蹴り上げ子を産めなくする。そして乳房を切り取り女としての特徴を奪う。そして、肌に辱しめの言葉をナイフで刻み込み、裸の状態で近くの街の前に持って行く。そして、人々の好奇の目に晒され、生きる気力を無くした所で、君を頂こう。」ニヤアァァア

武闘家「…な…」ゾワァッ

淫魔王「フフフ…まずは蹴り一発目からだ!」


武闘家(コイツ…狂ってる!)

武闘家(別に誰にこの体を捧げる訳でも無いけど……)

武闘家(自分の体をそんな風にされたくはない……)ブルブル

淫魔王「ハッハ!ようやく恐怖に震え始めたねぇ!!だがもう遅い!もう止まらん!」グワッ


                  ドオオォォォォオオン


淫魔王「何だ?」クルッ

トテカントテトテカンカンカントテトテトテトテ

勇者「よぉ。久し振り。」

賢者「いやぁ。兄貴も無茶苦茶しますね。大筒で上の壁に穴開けて梯子で侵入するなんて。」

盗賊「良く六階まで届く梯子なんて作ったもんだよ。しかも折り畳みだし。」

フィフス「さて、淫魔王。覚悟した方が良い。」

淫魔王「フフフ…バカが!わざわざ女一人犠牲にして逃げたのに、戻ってくるとは!」


淫魔王「良いよ…相手をしてあげようじゃないか!そして勝ち、お前らを纏めて吸収する!!」

盗賊「やってみな!」ダダダッ ズバッ スパッ シュン

淫魔王(この女…前より攻撃の速度も反応の速度も上がっている…!)サッ サッ ヒュン

賢者「続けて行くぜ!ドルマドン!」バアァァアン

淫魔王(!?しまっ…)ドオォォオン

フィフス「まだまだだ!」ダッダッ バッ ズバアッ

淫魔王(コイツら…個々の能力は元より…連携能力まで上がっている!?たったの2日で何をした!?)

勇者「大丈夫か!?武闘家!」ガバッ

武闘家「だ、大丈夫…です…」

勇者「べ、ベホマ。」

武闘家「あ、ありがとうございます。」ジュワァァア

勇者「待っててくれ。すぐ、終わらせてくるから。」ナデナデ

武闘家「…はい…………」


勇者「よし、もう良いぞ。三人とも。」

フィフス「ああ。」サッ

賢者「んじゃ。」サッ

盗賊「ケリはアンタが着けるって事で。」サッ

淫魔王「バカが!!相変わらず人間は学習能力が無いな!一対一で一度負けてると言うのに!」

勇者「数日前の俺とは違うぜ。」ニヤァ

淫魔王「ハッハッハ!お前たちは反応速度、攻撃力、連携能力が少し上がっただけだろ!結局個人の能力では僕には勝てない!!そんな事も…!」

勇者「……ベラベラと喋る必要はない。強くなったかどうかは試してみればすぐ分かる事だ。」

淫魔王「上等……!やってやる!」

勇者「テアッ!」バッ

淫魔王「ヌゥンッ!」ガキン

勇者「……」ギリギリ

淫魔王「……」キリキリ


淫魔王「…………」ガクッ

勇者「勝負あったな。」チャキ

淫魔王「何故だ…何故…」

勇者「…さあな。元々の素質じゃねえの?以前の俺がたまたまエンチャントを習得できて無かった。それだけだろ。」

淫魔王「それを習得できてさえ居れば僕に勝てた…と、言いたいのか…?」

勇者「そういう事だな。…さ、ついでに純潔の魔剣、頂いてくぜ。」

フィフス(いや、ついでにって、元々ここに来た理由って魔剣じゃ……)

淫魔王「……奥に…奥にある壁の向こう側に…隠してある。」

勇者「あっそ。んじゃ、勝手に持ってくわ。」

淫魔王「待って…くれ。」

勇者「なんだよ。まだ何かあるのか。」

淫魔王「下に…ヴァンピアが居る……」

勇者「知ってる。」

淫魔王「だから、アイツを仲間にしてやって欲しい。アイツは俺の命令が無きゃ生きようとしない。だから、この紙を……」

勇者「分かった。あの女に渡そう。」


フィフス「あの娘を、仲間にするのかい?」

勇者「悪い奴じゃ無さそうだしな。アイツが嫌がったらほっとけば良い話だ。」

賢者「あの、剣取ってくるんすよね?武闘家ちゃんどうします?」

勇者「いや、すぐ戻ってくるから、お前らそこで待ってろ。

フィフス「分かった。」


勇者「さぁて、魔剣、魔剣、イノセントっと。有った。アレだな。」

勇者「宝箱を開けるとそこには…」ガチャリ

勇者「………………参ったな…」


盗賊「お、勇者帰ってきた。」

賢者「おー、兄貴!ありました!?」

勇者「いや、あったには有ったんだが…」

フィフス「?見せてくれ。」

勇者「そら。」ドスン

武闘家「…これって……」

盗賊「……岩の、十字架…?」

勇者「鞘は普通にあったよ。」

フィフス「これは…どうすれば…?」

勇者「まあ、見た感じ、削って中身を出すってのは不可能だから…」

賢者「なんかにぶつけるか、これを戦闘で使うかして岩を砕くか、ッスね。」

勇者「むぅん……」


盗賊「これ、中に魔剣が入ってる事は確かなの?」

勇者「ああ。そういう”匂い”が微かに匂う。まあ、あんな大層な宝箱に入ってた位だしな。」

フィフス「まあ。ひとまずそれは置いといて、馬車に戻らないかい?」

勇者「そうだな。あと、あの吸血鬼の女。」

武闘家「本当に仲間にするのですか?」

賢者「色気ムンムンでしたよね。」グフフフ

盗賊「……」ムッ

勇者「仲間は多い方が良い。アイツが来たいってんなら連れてく。来たくないなら放っておく。」

フィフス「うん。それで良いんじゃ無いかな。」


ヴァンピア「!貴方…いつぞやの勇者様ね。」

勇者「どーも。アンタの主君、俺が殺したから。」

ヴァンピア「そう。」

勇者「驚かないんだな。」

ヴァンピア「驚く方が少ないわ。魔界では人間と戦って死ぬのはしょっちゅうだから。」

勇者「激情に任せて俺に掴み掛かって来たりしないのか。」

ヴァンピア「しないわ。」

勇者「……俺が憎く無いのか。」

ヴァンピア「憎いわ。」

勇者「そうか。これ、アイツから渡してくれって頼まれた物だ。」スッ

ヴァンピア「……」スッ


淫魔王(手紙)「ヴァンピア。君は聡い女性だ。あの勇者が真の実力の一部でも覚醒させれば、僕に勝ち目が無い事等とうに分かっていただろう。」

淫魔王(手紙)「そして僕はあの武闘家の女を捕らえた。すぐ吸収すればいいものを、のんびり時間を掛けて吸収しようとしてる姿は、君から見れば凄まじく焦れったかっただろう。」

淫魔王(手紙)「何せ、僕はいつあの勇者に殺されてもおかしくなかったのだから。」

淫魔王(手紙)「君は僕を殺した勇者を憎むだろう。そして君はアッサリと殺された僕を憎むだろう。そして、主君を守れなかった自分を憎むだろう。」

淫魔王(手紙)「だが、どうか死なないで欲しい。自分で命を絶たないで欲しい。」

淫魔王(手紙)「そして、勇者を助けてやって欲しい。」

淫魔王(手紙)「君は自らを殺した人間を助けろと命じる僕に疑問を抱き、憎む相手を助けろと残酷な事を言う僕を軽蔑するだろう。」


淫魔王(手紙)「僕は彼に斬られた時、彼に惹かれたんだ。」

淫魔王(手紙)「女性に助けられ、助けてくれたその女性を助ける。愛され愛されるその姿に。」

淫魔王(手紙)「愛する女性を傷付けた相手を憎んでいる事を感じさせず、ただ愛する女性を助けたいと言う心を感じさせる太刀筋。」

淫魔王(手紙)「それら全てが、女性を辱しめ、汚し続けた僕には無かった物だった。僕は彼を心底羨み、尊敬した。」

淫魔王(手紙)「彼を守りたいと思った。だけどそれは叶わない。」

淫魔王(手紙)「これは僕の生の中で最後の願いだ。命令じゃない。だから、無理に従う必要はない。」

淫魔王(手紙)「彼を憎んだままでも構わない。僕を憎んでいても仕方無いと思う。」

淫魔王(手紙)「けれど、少しでも僕を慕う心がまだあったなら、僕の代わりに彼を助けてやって欲しい。そして、僕の分も生きて欲しい。」

淫魔王(手紙)「僕は君を愛していた。だけど、言えなかった。吸収する相手にならいくらでも軽く愛の言葉が言えるのに、君を前にすると、全く経験の無い少年の様に言葉が出てこなかった。許して欲しい。だが。」

淫魔王「僕は君を今も、愛している。」


勇者「で、どうする?」

ヴァンピア「貴方達に付いてくよ……」

フィフス「付いて来たくないなら良い。嫌なのに来ても足を引っ張るだけだ。勇者が憎いんだろ?」

ヴァンピア「ええ。憎いわ。」

フィフス「なら……」

ヴァンピア「ついてくわ。」

賢者「え?」

ヴァンピア「勇者、私は貴方が憎い。あの方を殺した貴方が憎い。」

勇者「ああ。そうだろうな。」

ヴァンピア「私は貴方を殺す。」

武闘家「…!」バッ

勇者「良いよ、武闘家。」


ヴァンピア「でも、今貴方に飛びかかっても殺せない。」

盗賊「………」

ヴァンピア「旅に付いていって、いずれ、貴方が隙を見せた時、殺すわ。」

武闘家「………」ギロリ

ヴァンピア「………」ジー

勇者「それで良いんだな?」

ヴァンピア「ええ。」

勇者「よろしく。」

ヴァンピア「……よろしく。」


ヴァンピア(ああ…何故か涙が出そう…)フフ

ヴァンピア(淫魔王様、私は貴方の為に、生きて行きます。)


淫魔王(ああ、ヴァンピア。どうか泣かないでくれ。)

淫魔王(この先どんなに悲しい事があっても、前だけを向いていて欲しい。)

淫魔王(どうか、そのままの、君で居て欲しい。)

淫魔王(悲しませてしまって済まない。もう少し、もう少しだけ、一緒に居たかった……)

淫魔王(もう、戻れない、君の微笑みを見る事も叶わないんだな。)

淫魔王(悲しむ事はない。僕の居ない世界でも、進む先には必ず君を愛するものが現れる。)

淫魔王(僕も君をいつまでも見守って居たい。だけど、もう大丈夫。)

淫魔王(君のその手を、待ってる人が居るから……顔を上げて。)

淫魔王(ありがとう。さようなら。)

<馬車>

勇者「とにかく、これでやっと一息つけるな。」

賢者「アレ、盗賊は?」

フィフス「さっき武闘家君を連れていってたよ。」

ヴァンピア「?二人でレベル上げかしら?」

フィフス「いや、恐らくお説教みたいなもんだろうね。女としての。」

賢者「ああ。」

勇者「なんとなく、わかるな。」

<森の中・入口前木陰>

武闘家「何かしら?盗賊さん。」

盗賊「ああ。一応アンタと今回の事について話しときたかったんだ。」

武闘家「?」

盗賊「率直に聞くけど……なんであんな事したんだい?」

武闘家「皆をリレミトで外に出した事?」

盗賊「ああ、それもそうだけど、それより、アンタが自分にマホカンタを掛けた事だよ。問題は。」


武闘家「あの時は無我夢中だったから……」

盗賊「アタシもビビって何も出来なかったし、偉そうな事は言えない。アンタ程経験を積んでる人間なら、自分だけは大丈夫、なんて言う何の根拠もない幻想を抱いてた訳じゃないだろうし。どうなるか分かってた上であんな事をしたんだろう?」

武闘家「そう、ね。」

盗賊「アンタ……もっと自分を大事にした方が良いよ。アタシが言えた事じゃ無いけどさ。」

武闘家「……」

盗賊「アンタが居なくなる事で悲しむ人だって居るだろう?」

武闘家「………」

盗賊「……説教みたいな真似して悪かったね。戻ろうか。」

武闘家「ええ。」


フィフス「そうだ、勇者。」

勇者「ん~?」

フィフス「僕も君と話したい事があるんだが……」

勇者「ああ。どうぞ。」

フィフス「いや、出来れば二人で話したい。良いかな?」

勇者「なんだ、お前もか。俺は説教されるような事はしてねえぞ。」

フィフス「説教とは、ちょっと違うかな。」

勇者「…………ま、とりあえず、場所移動するか。お前ら、もうすぐ武闘家と盗賊戻ってくるから。留守番よろしく。」

賢者「了解ッス。」

ヴァンピア「命令しないでくれる?」

<魔の塔・裏口前>

勇者「んで、なんだ?話って。」

フィフス「ああ。僕は数日間、君の行動を見ていたんだ。」

勇者「ああ。」

フィフス「そして、所々、人間を越えていたり、人間性を疑うような場面を見た。」

勇者「ほう。」

フィフス「まず、酒の強さ。クラブでウィスキーをストレートで何本も空けて、しかも翌日、多少の頭痛しかない、と言うのは異常だ。酒が強いなんてレベルじゃない。」

勇者「………」

フィフス「次に異常な回復力。賢者君や盗賊君の出すホイミが、君にはべホイミ級の威力に上がっている。」

勇者「………」

フィフス「それと、激昂した時の行動。武闘家君にリレミトで弾かれた時、君は我を失い、狂気の沙汰に走った。魔物が肉片になるまでバラバラにしたりね。その時の記憶、あるかい。」

勇者「……さあな。」

フィフス「僕は魔物を飼い慣らして、仲間にしたりもしてきた。だから、魔物を見慣れている。」

勇者「………」

フィフス「君は、魔物の血が入った人間だろう。」


勇者「ああ。そうだよ。父親は人間の血が半分入った魔物。母親は教会で働く純血の人間で、シスターだった。」

フィフス「つまりは、クォーターか。」

勇者「そうなるのかな。よく知らんが。父親は魔界の幹部だった。魔王のお気に入りで、重要な仕事を上手くこなし、褒美を貰い、それを売った金で母親と俺を養っていた。」

フィフス「魔王はそれを…」

勇者「知らなかった。それがバレて父親と母親は殺された。」

フィフス「何故君は殺されなかったんだ?」

勇者「さあな。俺自身、目の前で母親が殺されて死を覚悟してたんだが、何故か魔王は俺を殺さなかった。ニヤリと笑ってどっかに行ったよ。」

フィフス「……」

勇者「もう良いだろ?戻ろうぜ。こんな話、面白くも何ともねえ。」


<馬車>

勇者「よし、そろそろ出発するぞ。」

賢者「うぃーッス。」

勇者「まずはシェタの町で馬を一頭足す。一人増えたんでな。」

武闘家「あーあ。一人増えたせいで、良い迷惑ね。」ジトー

ヴァンピア「筋肉達磨みたいにゴツい女のせいで、一人分重たいのかもね。」ジー

フィフス「ハーッハッハ!!は、はい、しゅっぱーつ!!」ピシッ

盗賊「全く…先が思いやられるね……」ピシャン


<シェタの町>

賢者「着~いた~!」

勇者「ここに数日滞在した後、ヴェタの町、アルヴェアの町を経由して、魔王の領域に入るからな。」

盗賊「賢者、宿行こう?」

賢者「え、いきなり?」

盗賊「良いから早く!」

フィフス「楽しそうだな……」

勇者「俺も少し宿で少し休むかな。」

武闘家「では私もそうします。」

フィフス「いや待て待て。君は馬を買いに行くんだろ。」

勇者「あー。……後で良いだろ?」

フィフス「駄目だ。僕は外でレベル上げも兼ねて金を稼いでくるから。」

ヴァンピア「それ、楽しそうね。私もご一緒させて頂いて、良いかしら?」

フィフス「構わないよ。」


<シェタ商会>

勇者「おい。馬を一頭買いたいんだが。」

会長「ああ。どうもどうも。旅の方ですな。馬を御所望ですか。」

武闘家「ええ。金はいくらでもありますので、強くて速い馬を。」

会長「ああ。でしたらこちらの魔騎馬がよろしいかと。」

勇者「牧場?随分と牧歌的な名前の馬だな。」

会長「いえ、魔騎馬です。魔界の植物、水で育った馬でして。見た目がいやに厳ついですが、能力的には普通の馬の比ではありません。」

勇者「ほぅ。んじゃ、ソイツを買おうか。いくらだ。」

会長「50000G程。」

武闘家「……」

勇者「おい爺。ナメてんじゃねえぞ。今馬車に繋いでる馬だって一頭2000Gはしねえぞ。お前の売る魔騎馬とやらは俺の馬の二十五倍以上の働きをするのか。」

会長「し、失礼しました。7000G。7000Gで結構です。」

勇者「それで良い。老い先短い命、削りたくなきゃ全うな商売をする事だ。」


<町の外>

フィフス(剣は久しぶり…!)「火炎斬!」ズヴァッ

トロル「ごぉぉお……」バタン

ヴァンピア「あら、やるわね。…love addiction.」

レッドグール「オオォォォォォォォォォォ...」ドロリ

フィフス「君の技は…見たことも聞いた事も無いな。」

ヴァンピア「当たり前でしょ。私は人間じゃないのよ。」

フィフス「でも、僕は魔物を仲間にしたりもしてきた。けど、君が使うような技は見た事がない。」

ヴァンピア「貴方が仲間にしてたのは所謂量産型の魔物。この世にごまんといる奴らよ。私はこの世に一人。だから、私と同じ技を使う奴は殆ど居ないわ。」

フィフス「何人かは居るのかい?」

ヴァンピア「師匠だったり、姉妹兄弟だったりね。」


<シェタ市場>

勇者「この町の市場は活気があるな。こんなに人が集まってるのは中々見ないぞ。」

武闘家「勇者様、いつぞやの約束、覚えていますか?」

勇者「当たり前だろ。んじゃ、茶葉、買いに行くか。」

武闘家「ええ。沢山買いましょうか。」

勇者「砂糖とかも買っとくか。後お湯を入れる水筒とかも買っておかないとな。」

武闘家「それと……」

勇者「ん?」

武闘家「その後、服を見に行きたいのですが……」

勇者「ああ。俺も行こうか。」

武闘家「はい。それと…服を選んで頂いてもよろしいですか?」

勇者「俺で良いなら、選ぼう。」

武闘家「ありがとうございます!」


<シェタの町近辺・洞窟内>

ヴァンピア「ちょっと……二人だけでこんな所に来てなんのつもり?まさか……」

フィフス「ああ。この洞窟でたっぷりと金と宝を集める。」

ヴァンピア「………そ、そう。それなら、それで良いの。」

フィフス「?」

ヴァンピア「い、良いから進むわよ。」

フィフス「まさか、僕がこの洞窟でいかがわしい事をするとでも考えてたんじゃないだろうね?」

ヴァンピア「さあね。早く進みましょう。」

フィフス(女と言えども淫魔は淫魔か…全く……)ハァ


武闘家「どう…でしょうか…?」

勇者「ああ。素敵だよ。色もお前に合ってる。ただ……」

武闘家「ただ、なんですか?」

勇者「もうちょい……露出度高めの方が俺としては良いかな。」

武闘家「な……///ふ、ふざけないで下さい!」

勇者「あー、悪い悪い。ついつい本音が出ちゃった。ドピュッと。」

武闘家「もう!」プイッ

勇者(あー、やべ。超可愛い。もうちょいセクハラしちゃお。)


*一時間後

勇者「ねえ…まだ買うの?」ズッシリ

武闘家「ええ。次はアクセサリーです。」

勇者「嘘だろ……荷物持ちなんてやるんじゃ無かった……この荷物俺の防具より重いじゃねえか……」ヨロヨロ

武闘家「さあさあ!勇者様早く!」タッタッタ

勇者「ああ……今行くから…ちょっと待って……」ヨロリ


*二時間後

勇者「やっと全部の荷物馬車に積み終わった……」ゼェゼェ

武闘家「ちょっと買いすぎました?」

勇者「う~ん?ちょっと所の騒ぎじゃないな~?どう考えても買いすぎだな~?凄いな~この荷物の山~。倉庫?ねえこの馬車倉庫?」

武闘家「あ、そうだ!塔で手に入れた新しい剣、試し斬りしてみましょうよ!」

勇者「人の話を聞けえぇ!!」クワッ

武闘家「良いじゃないですか。食材とかも入ってるんだし。これで暫く遠征には困りませんよ。」

勇者「なんなら魔王の城まで間に合うかもな。この量。」

武闘家「はいはい。もう良いから試し斬りに行きましょう!」

勇者「そういや武器好きだったもんな……ていうか武闘家いつになくテンション高いね?」


勇者「おっ、彼処に俺達のタイミングを見計らったかの様にはぐれゴブリンが!」

武闘家「頑張って!勇者様!」

勇者「君は戦闘に参加しないんだね。」

武闘家「そりゃそうですよ。今回の戦闘はその剣の威力を試す為の戦闘なんですから。」

勇者「威力を試すも何も、全部会心なんだけど……な!」ダダダッ ズバン

はぐれゴブリン「…ア?」カキン

武闘家「……え?」

勇者「……は?」

勇者「の、ノーダメなんだけど。」

武闘家「かわされたんですか?」

勇者「いや確かに当たりましたけど。」

武闘家「え……?」


はぐれゴブリン「ウホオォウホホォ!!」バコッ

勇者「うおっ!?」ガキン

武闘家「勇者様!?」

勇者「コイツ…マジでヤバい……コイツ………」ググググ


勇者「コイツ……半端なく…弱い!!」ガシッ ブン

はぐれゴブリン「ウハアァア!!」ドカン

武闘家「投げ技は大ダメージ…」

勇者「じゃあなんでさっきの攻撃は効かなかったんだ…?」

武闘家「まさか……」

勇者「いや、それしか考えられん……この剣、壊れてる。」


勇者「壊れてる、というか魔力が封印されてるか、無くなってるんだな。」

武闘家「一体どうすれば……」

勇者「封印を解くか、魔力を注ぎ込むか。」

武闘家「どちらも方法がわかりませんね……」

勇者「こういう時こそ賢者の出番だ。」

武闘家「役に立ちますか?アイツ。投げ槍になってません?」

勇者「ソンナコトナイヨ,ウン」

武闘家「……」ジー

勇者「ま、今頃宿で盗賊と猿みてえにヤってんだろ。暇なら働かせてやる。」


<宿・賢者の部屋>

勇者「賢者ー!お前に仕事ー!」ガチャッ

賢者「うおっ!?」ガバッ

盗賊「ひぇっ!?」ガバッ

勇者「おー。やっぱお楽しみナウだったか。あのさ、この剣装備して攻撃しても会心出ないんだよね。」

賢者「いや、あの、着替えてからでも…」

勇者「それどころかダメージすら入らないんだよ。それで……」

賢者「いや今裸なんで!勘弁して下さい兄貴!」

勇者「分かったよ。ったく。武闘家ー?」

武闘家「はい。どうですか?」ヒョイッ

勇者「きがえるまで待てだって。」

武闘家「やっぱりシてたんですね……」


賢者「うーん……」ジーーー

勇者「どうだ?やっぱ封印されてるのか?それとも、魔力が朽ちてんのか。」

賢者「いやー、正直、分かんないッス!」ニヘラ

武闘家「分かんないじゃないだろ!仕事しろよ!」

賢者「いや、見て?この柄のちょい上にくぼみっぽいのがあるっしょ?」

盗賊「?これ?」

賢者「そうそう。これに宝玉かなんか埋め込む事で魔力が解放されるのか、それともこのくぼみが封印の証なのか、あるいはここに印が描いてあって、それが消えたいあら魔力が朽ちたのか。さっぱり分かんないのよ。」

勇者「チッ、使えねえんじゃ捨てるしかねえか?」

武闘家「そうですね。私チャラ男嫌いですし。」

勇者「いや剣の話。賢者は捨てないであげて。」


<洞窟>

フィフス「唸れ!ドラゴンの杖よ!」ドォォォォオ

グリーンオーク「ガアァァァァン!」バタリ

ヴァンピア「ハアァァァァン!」ビクビクゥ

フィフス「当たってないのにリアクションを取らんで良い!それも変なリアクションを!」

ヴァンピア「どう?興奮した?」ニタリ

フィフス「はいはい。戦闘終わったんだから先進むぞー。」フイッ

ヴァンピア「つまんなーい…」(今の表情…何処かで…?)スタスタ

ド カ ッ

ヴァンピア「痛ッ…!」ドテッ

フィフス「どうした?」

ヴァンピア「何かにつまずいて……!」(これは!?)

フィフス「宝箱!?何故こんな所に!?」

ヴァンピア「知らないわよ。とにかく開けてみましょう。」ガチャ


フィフス「待っ…バカ!もしミミックだっ…………ミミックじゃないね……」

ヴァンピア「バカにしないで。魔物だったら感覚で解るのよ。」

フィフス「そういや君も魔族だったね。」

ヴァンピア「あまりに美人過ぎて魔物だった事を忘れてた?」

フィフス「さーて、宝箱の中身は~?」ゴソゴソ

ヴァンピア「ちょっと。いくらなんでも無視は無いんじゃない?」(誰?この感覚…誰に似てるの…?)

フィフス「………」

ヴァンピア「フィフス?」


フィフス「これは……」

ヴァンピア「えっと……時戻しの薬?何それ?」

フィフス「これは……若返りの…薬だよ。」

ヴァンピア「へー、凄いわね。」

フィフス「ああ。これは恐らく掛ければ掛けただけ若返らせれるんだ。」

ヴァンピア「それ魔神にドバドバーって掛ければ魔神を生まれる前の状態に戻せるんじゃない?」

フィフス「生まれる前?」

ヴァンピア「精子と卵子。」プッ

フィフス「とにかく、これは宿に持って帰ろう。勇者ならきっと良い使い方を考えてくれるはずだ。」


<宿>

勇者「何?凄い薬?」

賢者「何々?惚れ薬とか媚薬とか?」

盗賊「……」ジロリ

賢者「いや、冗談だけど。」

ヴァンピア「これはなんと、魔神を精子と卵子に出来る薬なの。」

勇者「ほう、そうか。よし賢者、武闘家。図書館でコイツに関する文献を調べるぞ。」つ剣

武闘家「はい。」

賢者「こびりついてる石が魔力を邪魔してるんじゃねえかな……」ブツブツ

フィフス「待て!待て!待って!待ってください!!」


フィフス「これは!そういうんじゃないから!」

勇者「んじゃどういうのなんだ?何もかもわかんねえんだが?」

フィフス「これは時戻しの薬といって!物質を以前の状態に巻き戻す薬なんだ!」

勇者「へー、それなら売れば良い金になるな。若返りの薬なんて女は死に物狂いで求……」
勇者「………」ジーーー

薬(巻き戻しますぜ!ええ!はい!)

勇者「………」ジーーー

純潔の魔剣「」

勇者「貸せ。」パシッ

フィフス「あっ!」

勇者「一滴一滴垂らしてくか。」ピチュン ピチュン


ピキリ...パキン...ドロォ...カチカチカチ...

勇者「石が溶けていく……」

フィフス「驚く程に石が無くなっていくな…僕が研いでも殆ど削れなかったのに……」

勇者「うん。めんどくせえ。」ドバァ

賢者「ええええええ!!うっそおおぉおお!!」
フィフス「何してるんだバカ!」ガシッ

勇者「もう全部剣に掛けたよ。」

ヴァンピア「それって剣無くなっちゃうんじゃない?存在する前に状態が戻って。」

勇者「そら。」つ純潔の魔剣

フィフス「全く剣が傷ついてない…?」

勇者「伝説の魔剣なら大丈夫だろ。普通に。」

武闘家「何か根拠がおありだったのですか?」

勇者「ノリ。」

盗賊「危なっ。」


勇者「まずは握ってみないとな。ってうおぉおぉ!?」グイッ ズォオオォオ

武闘家「凄い……剣から急に闘気が…!」

盗賊「勇者がハリーポッターみたいに!」

勇者「誰がハリーポッターや。」

ヴァンピア「とにかく、これで多分その剣は使えるんでしょ?」

フィフス「そうだね。良かったな、勇者。」スッ

勇者「何だ、その長さ15cm程の木の棒は。ハリポタの杖のつもりか。」

フィフス「アバダケダブラ!」ビシッ

勇者「やかましいわ。殺すぞ。」

フィフス「死ぬのは貴様だポッター!」

勇者「誰なんだお前は。そしてしつけえ。」ドカッ

フィフス「あうっ。」


勇者「さて、そろそろ晩飯の時間だよな。食前の運動に剣の威力、試してくるわ。」

武闘家「お供します。」
フィフス「僕も行くよ。」
賢者「俺も行きまっす。」

ヴァンピア「楽しそうね。私もご一緒させてもらうわ。」

盗賊「賢者が行くならアタシも。」

勇者「ヴァカかお前らは。全員で行ってどうすんだ。」

ヴァンピア「良いじゃない。見るだけ見るだけ。邪魔はしないから。」

勇者「あー、もう分かった分かった。好きにしろ。」スタスタ


<草原>

グリーンオークがあらわれた!
はぐれメタルがあらわれた!
ミミックがあらわれた!

勇者「よぅし、これなら作戦は簡単だな?俺がまず最初にはぐれメタルを殺って、盗賊がミミックからアイテムを盗む。後は事後処理だ。オークからはオスくせえ毛皮位しか取れねえから盗む必要はねえぞ。」

グリーンオーク「(´:ω:`)」

ヴァンピア「盗賊ちゃん?ちょっとオークからオス臭い毛皮って奴、盗んで来てくれない?」

盗賊「なんでアタシがそんな事しなきゃなんないのさ!冗談じゃないよ。」

ヴァンピア「チェッ。」

武闘家「私も盗むが使えるのでミミックに行きます。」

勇者「お、そういや盗賊経験ありか。んじゃ頼むわ。」

ヴァンピア「武闘家さん?」

武闘家「やです。」

ヴァンピア「」


勇者「食らいやがれ!」
#会心の一撃

はぐれメタル「ギャピイイイイイイイイイイイイイイ!!」グチャリ

勇者「手応えあり、だな。」

盗賊「お宝いただき!」スパッ
#盗む=成功・獲得物=王者の冠

武闘家「続けて頂きます!」スパッ
#盗む=成功・獲得物=ミミックの膓[はらわた]

武闘家「」クラクラ バタン

フィフス「武闘家君!しっかりしろ!」ユサユサ

ヴァンピア「はあああ!PLAY!」ズバズバァッ

グリーンオーク「アヒイイイイイイ!!」ガクリ
#ドロップ=雄臭い毛皮

ヴァンピア「よし…!」グッ

勇者「ヴァンピアはなんでオスくせえ毛皮ゲットしただけでガッツポーズしてんだ?」

盗賊「淫魔だから。」

賢者「メンヘラだから。って、何もしてないのに戦闘終わっちゃった。」

荒らしが全く構われてなくてワロタw

>>297
基本的に、障らぬバカに祟りなし、っていうスタンスなんだけど、
構ってあげた方が良い?確かに可哀想な奴だし、
構ってやれってんならそうするけど。


勇者「とりあえず剣の効果が入ってんのは確認出来たが……」

フィフス「うん。」

勇者「どうなってるんだ?こりゃ。武闘家はミミックの膓握って気絶してるし、ヴァンピアはオークの毛皮握って興奮してるし。ウチのパーティーってこんな爆裂的だったっけ?」

賢者「イオグランデ級ッスよね!」ケラケラ

勇者「笑ってる場合か役立たず。今から飯行くって時に内臓握って気絶してる女がパーティー内に居るってお前。」

盗賊「目覚まして食事行って、料理で出てきた肉とか見てまた倒れそうだよね。」

フィフス「レバーとか、ハツとか、ミノとかね。」


勇者「とにかく宿に戻る。お前ら先行ってろ。俺は武闘家を宿に置いてから行く。」

賢者「了解ッス~!メシメシ……」ワクワク

フィフス「それじゃ行こっか。」

勇者「よっこらせっと。」ダキッ

盗賊「おっ、お姫様だっこ。」

勇者「別に良いだろ。悪いか。」

賢者「イイネッ!」

勇者「やかましいわ。横山剣かお前は。」

剣者「俺の話を聞けぇ~♪」

勇者「うるせえな。お前が俺の話を聞け。」


勇者「んじゃ、俺もう戻るから。」スタスタ

フィフス「いってらっしゃい~。」

ヴァンピア「眠ってる武闘家さんを介抱するふりして襲っちゃダメよ~!」

勇者「しねえよ。睡姦は趣味じゃねえんだよ。目開けて恥ずかしがってんのを見ながらヤるのが良いんだろうが。」

フィフス「いや否定の仕方がおかしいだろ。お前の性癖で否定するんじゃ無くて倫理で否定しろよ。」

勇者「んじゃな~。」

フィフス「俺の!俺の!俺の話を聞けぇ~!!」



何故自演しているのか

>>302お前よく気づいたな。俺も今気づいてビックリだわ。
誰だよ>>297は。怖すぎだろ。俺その時間ずっとギター弾いてたぞ。


<宿・武闘家自室>

勇者「やっとたどり着いたか。えーと、ベッド、ベッド…あった。よいしょ。」

武闘家「ハッ。」パチッ

勇者「おお。目覚めたか。もうちょい早くに起きて欲しかったかな。」

武闘家「勇者様!?何故ここに!?いや、待ってください私はその…あのまだ心の準備が出来てないというか、いきなりベッドと言うのは……」

勇者「なんかちょっと、ってか大分デカイ勘違いをしてるな。俺はそんなつもりはないから。」

武闘家「へ?」

勇者「戦闘中お前がぶっ倒れたからここまで運んで来たの。」

武闘家「あ!そういえば私!ミミックの膓…を…掴ん……」クラクラ コテッ

勇者「あー……」


*二十分後

武闘家「ハッ。」パチッ

勇者「おー、やっと起きたか。丁度こっちも本読み終わった所だぜ。」パタン

武闘家「勇者様、お食事は…?」

勇者「ん?まだ。」

武闘家「え、もしかして私の為に…?」

勇者「んー、ああ、まあな。」

武闘家「す、すいません……」ショボン

勇者「いや、別に良いよ。んで、飯、食えそうか?」

武闘家「なんか、頭がクラクラするので……」

勇者「あー、それ多分気絶した時に頭も打ったな。」


武闘家「なので、少し休もうと思います。」

勇者「そうだな。それが良い。俺は……」

武闘家「……」ジー

勇者「飯に……」

武闘家「………」ジー

勇者「……俺、ここに居た方が良い?」

武闘家「少し、ここに居てほしいです。」

勇者「…分かった。」


武闘家「それで…その……」

勇者「ん?」

武闘家「一緒に居て欲しいんです…隣に…///」

勇者「ん、ああ。分かった。」ストン

武闘家「その…隣の椅子じゃなくて…」

勇者「え?べ、ベッド?」

武闘家「はい……///」

勇者「あー…うん。良いけど…良いの?」

武闘家「……」コクン

勇者「分かった。んじゃ、コートとか脱ぐから待って。」

武闘家「は、はい……」


勇者(シャツ&ジーンズ)「うっし。んじゃ…本当に?」

武闘家「はい…その…どうぞ……」

勇者「どうぞって…うーん………?」スルッ

武闘家「……///」(勇者様が入って来た…///)カァァァ

勇者「……」(うーん……これ、どうすりゃ良いんだ…?)

武闘家「あの……手を……握って頂けますか……?」

勇者「あ、ああ。」ギュッ


武闘家「……」(こうすれば男性は来てくれるって本に書いてあったけど…本当にこれで良いの?)

勇者(これ…ヤれば良いのか?って武闘家に限ってそういう誘い方はしないだろ…ヴァンピアとかじゃあるまいし……)

武闘家(勇者様全然こっち向かないし、反応してないし…シたくないのかな…?)

勇者(なんだ…寂しいのか…?いや俺マジでどうすりゃ良いの?腹減ってきたし…)

武闘家「勇者様…その、こっちを…向いて頂けませんか?」

勇者「え、あ、うん。分かった。」クルッ


武闘家(……どう言う事?ベッドに二人で入っているのに……シないの?勇者様……)

勇者(…………)

武闘家(聞いてみた方が良いのかな?)「ゆ、勇者様?」

勇者「…………」

武闘家「ゆ、勇者様?」

勇者様「………Zzz.........」スピー

武闘家「う…嘘…?」


<レストラン>

賢者「兄貴遅いッスね~。」ムグムグ

フィフス「武闘家君、気絶して倒れたからな。頭打って脳震盪気味なのかもしれない。」

ヴァンピア「心配し過ぎじゃない?今頃二人でしっぽりヤってるに違いないわよ。」

フィフス「そんなわけあるか。武闘家君は君達と違って女性としての貞操観念が強いからな。」

ヴァンピア「ちょっと、それどういう意味かしら?」

盗賊「”達”って何?”達”って。」

フィフス「大体君達は女性なのに言動に慎みが無いんだ。特にヴァンピア。」

ヴァンピア「いや私淫魔だし。」

フィフス「開き直るな。」

ヴァンピア「大体余計なお世話よ。私がどんな言動をしようと私の勝手よ。この奥手カマトトヘタレ妄想男。」

フィフス「なっ…!」

ヴァンピア「女に夢見すぎなのよ。今時慎みって……」


フィフス「何を!」

ヴァンピア「どんなに見た目が清楚で慎ましい立ち居振舞いの女でも頭の中では皆凄い事考えてんのよ。それこそ淫魔みたいな、ね。」

フィフス「そんな事ないから!中には夫に従順で、おしとやかで大人しい、いやらしい事なんて考えただけで赤面する女性だって居るから!」

ヴァンピア「そういう女程、頭の中ではスッゴい事考えてるのよね~。」

フィフス「何ィ!?」

盗賊「ちょっとアンタら飲み過ぎ。ワインどんだけ飲んでんの。」

賢者(帰りたい……)


フィフス「君が変態で淫乱だからって世の女性全員がそうと言う訳では無い!」

ヴァンピア「レディに向かって失礼ね!人を発情期の雌犬みたいに言わないでくれる!?」

フィフス「だって私淫魔だし。って自分でさっき言ってただろ!」

ヴァンピア「うるさいわね!この童貞!」

フィフス「童貞ちゃうわ!こちとら子持ちじゃボケィ!」

ヴァンピア「妄想がチェリーだって言ってるのよ!この童貞!」

フィフス「まだ言うか!清楚な女性を求めて何が悪い!」

ヴァンピア「清楚な女なんて居ないのよ!居もしない者を求めてるから童貞って言われんのよ童貞!」

賢者(帰りたい……)


従業員「お、お客様…その、そういった単語を大声で言われると他のお客様の迷惑になりますので……」

フィフス「やかましいわこの童貞!」
ヴァンピア「黙りなさいこの童貞!」

従業員「」

賢者(帰りたい……)


<宿>

勇者「ッ!」パチッ

武闘家「…………」スー スー

勇者(そうか…俺は確か武闘家に一緒に寝て欲しいって言われて……)
勇者(あれ?なんで俺は武闘家とヤってないんだ?話の流れ的にヤらないか?普通。)
勇者(あ、そっか。ヤる前に寝ちゃったんだ。…ってそれはなんでだ?そんな疲れる様な事は……)
勇者(ああ、あの剣だ。純潔の魔剣は使用時にかなり体力を使うって話だったな。)
勇者(そろそろ飯行くか…?)チラッ

武闘家「………」スピー

勇者「もう一回寝るか。」ギュッ


賢者(結局フィフスさんとヴァンピアさんは童貞と淫乱と貞操と慎みについてずぅっと語りあっていた。店中に響き渡るようなデカイ声で。)

賢者(付き合いきれなくなった俺と盗賊は宿に戻り飲んだり話したり、色々した。)

賢者(翌朝目が覚めた俺はとりあえず兄貴と武闘家ちゃんの様子が気になったので兄貴の部屋へ行った。が兄貴は居なかった。)

賢者(それもその筈。武闘家ちゃんの部屋で二人仲良く手を繋いで寝てたのだから。)

賢者(二人の様子を見る限り、そういう事はヤってなかった。なんでやねん。普通ヤるでしょ。いつヤるの?今でしょ!)

賢者(武闘家ちゃんはひどく複雑そうな顔をしていたが、兄貴はいつも通りだった。)

賢者(その頃盗賊は二日酔いのフィフスさんとヴァンピアちゃんを覚醒させようと頑張っていたようだ。)

賢者(今にも吐きそうな顔をしながらもフィフスさんは晴れやかな表情で、)

フィフス「淫乱ビッチ最高……!」

賢者(と呟いたそうだ。妻子持ちで有名な第五の勇者にヴァンピアちゃんが何をしたかは知らない。知りたくはない。知ってはいけない。)

賢者(そして今。)


勇者「さーて、そろそろ飯行きてえんだが……」

武闘家「……」モンモン

盗賊「……」スッキリ

賢者「……」スッキリ

ヴァンピア「……」スッキリ

フィフス「……」ゲッソリ

勇者「一人だけかなりキツい状態だな。お前どんだけ飲んだの?俺昨日飯食ってないから腹減ってんだけど。」

フィフス「あ、ああ…スマン……」ゲッソリ

勇者「いやホントヤバいじゃんお前。何?薬でもやったの?覚醒剤とか。目に見えて痩せてんだけど……?」

フィフス「大丈夫、大丈夫……」グズグズ

勇者「ほらー、鼻グズグズ言ってるー。もうやってんじゃん。ASKAじゃん。もう。どうせ部屋ガサ入れしたら証拠一杯出てくんだろー?」

フィフス「今から…一緒に…これから一緒に…殴りに行こうか……?」

勇者「いやそんなゲッソリとした状態でそんなネタ言われても笑えねえわ。お前を殴ってやろうか?」


勇者「お前昨日、何してたの?」

フィフス「淫乱ビッチと…楽しく…セ」
勇者「おーし、んじゃお前らー、朝飯行くぞー。」スタスタスタスタスタスタ

賢者「うぃーッス。」タタタ

武闘家「………」モンモン スタスタ

盗賊「アンタ何かしたんでしょ?」ヒソヒソ

ヴァンピア「さあ…ね。」ヒソヒソ ニヤリ

フィフス「ああ…僕も行くから……」ヨロヨロ


<レストラン>

従業員「ごゆっくり、どうぞ。」スタタタタタ

勇者「店員、いやになんかよそよそしくね?」

盗賊「え、え?そうかしら?」

賢者「気のせいじゃないッスかぁ?」アセアセ

勇者「いや絶対おかしかったって、対応。なあ?」

武闘家「え、あ、はい……」ボー

勇者(武闘家まで様子おかしいし……昨日の夜俺が寝てる間になんかあったのか……?)

ヴァンピア(武闘家さん…なんか様子おかしいわね……後で話でもしようかしら。)


勇者「ふぅ…全員食い終わったな?んじゃ、宿戻るぞー。」

賢者「うぃーッス。」

フィフス「ああ。」キリッ

勇者「お前、もうなんか、その、抜けた感じ?もうスッキリな感じ?」

フィフス「ああ。」スッキリ

勇者「………ちなみにお前の女のタイプは?」

フィフス「淫乱ビッチ。」キリッ

勇者「あ、そっちは抜けて無いんだ。」

盗賊「んじゃ、戻ろうか。」

ヴァンピア「待って、盗賊ちゃん。」

盗賊「?」

ヴァンピア「武闘家さんも。」

武闘家「は、はい。」

ヴァンピア「ちょっと話さない?宿で。誰の部屋でも良いけど。」


<宿・ヴァンピアの部屋>

ヴァンピア「それで……さ。」

武闘家「はい。」(なんか変な匂いがする……)

ヴァンピア「武闘家さん、なんか今日様子おかしいわよね。」

武闘家「そう…ですか?」

盗賊「おかしいね。おかしい。」(昨日ナニしたの?この部屋異常にイカ臭いんだけど。)

ヴァンピア「やっぱり…なんか有ったんでしょ?勇者と。」

武闘家「なんか有ったというか…むしろ何も無かったと言うか…」

盗賊「?」

武闘家「実は…かくかくしかじか……」


<勇者の部屋>

勇者「何だ?話って。」

フィフス「武闘家君の話だ。」

賢者「あ~。確かに今朝は様子が変だったッスね~。」

フィフス「あれは何か有ったとしか考えられないだろう。明らかに様子がおかしかった。」

勇者「お前も大概だったろうが。」

フィフス「で、僕は勇者、君に原因があると思うんだが…?」

賢者「一緒に寝てましたしね。何をしたんすか?」

勇者「いや、何もしてねえよ。ホント。マジで。かくかくしかじか……」


賢者「え…で、何もしないで、寝た。だけ?」

勇者「おう。」

フィフス「それ……武闘家君、シたがってたんじゃない?多分。」

勇者「おう。」

賢者「なんでヤんなかったんすか!?」ガシッ

勇者「離さんかい。…いやだってさ、もしそういうつもりじゃなかったら、困るじゃん?」

フィフス「うわぁ…」

賢者「兄貴……今の兄貴は、去勢されたライオンッスよ……」

勇者「誰が去勢されたライオンや。大体、そうやって自分に都合の良い考え方しかしないと言うのは……」

フィフス「いやー、でも武闘家君、かなりショックだったんじゃない?必死に誘っても相手にされなかった訳だから。」

勇者「…………………」ガーン


<ヴァンピアの部屋>

ヴァンピア「へぇ…」

盗賊「つまり……誘ったのにシなかった、って事?」

武闘家「はい…」ショボン

ヴァンピア「それは…」

盗賊「アンタ、大事にされてるんだね。」

武闘家「え?」

盗賊「だって、一緒に一つのベッドで寝て、しかも手まで握ったんでしょ?それで我慢するのは、男としてはかなりキツイはずだよ?けど、それを勇者は抑え込んで我慢して、理性を保った。アンタにとってはもどかしかったかも知れないけど、勇者はそれだけアンタの事を大事に思ってるって事さ。」

武闘家「そ、そうなんだ……」

ヴァンピア「中々、良い男をモノにしたじゃない?」

武闘家「………………///」


<勇者の部屋>

勇者「お、俺!どうすりゃ良いんだ!?」

フィフス「とにかく、武闘家君は今自分の魅力が0だと思っているだろうからそこを何とかしろ。」

勇者「何とかって!?どうすんの!?」

フィフス(コイツこう言う時ホント打たれ弱いな…)「とにかく話に行け!この去勢されたライオンが!」

賢者「タマ取り返しに行きましょう。」

勇者「あああ!もう!」ダダッ

賢者「レッツゴーED!イケイケゴーゴー!」

フィフス「奴のタマをもぎ取れぇ!」

賢者「レッツゴーED!イケイケゴーゴー!」

フィフス「愛も夢もそんなに要らない!」

勇者「タマを下さあぁぁぁぁぁぁあい!!」ダダダダダ


<ヴァンピアの部屋>

武闘家「私!勇者様の所行ってきます!」

ヴァンピア「行って、どうすんの?」

武闘家「分からないけど、行きます!」

ヴァンピア「それで良いわ。いってらっしゃい。」ニコッ

武闘家「はい。」タタタッ


<宿・廊下>

勇者「武闘家!」

武闘家「勇者様!」

勇者「えっと、その、昨日の事なんだけど。その、ゴメン。俺……」

武闘家「良いんです。もう分かりました。私の事、大切に思っててくれたんですよね。」

勇者「お、おう。」(ん?これ、もしかして、ラッキーな感じ?)

武闘家「でも、私は…優しいばかりなのは、嫌かな~?」

勇者「…分かった。ゴメン。」

武闘家「はい。」クスッ

勇者「それで、喉が渇いてんだが…ちょっと紅茶でも淹れてくれねえか?俺の部屋で。」

武闘家「ええ、分かりました。」ニコリ


賢者「なんで紅茶云々とか言い出したんすかね?」ヒソヒソ

フィフス「バカだな君は。紅茶なんて言い訳に決まってるだろ。ヤるんだよ。ソッコーで。」ヒソヒソ

賢者「え?でも武闘家ちゃんは…」ヒソヒソ

フィフス「武闘家君も分かってるさ。」ヒソヒソ

賢者「お互いヤる気満々な訳ッスか。」ヒソヒソ


*事後
<勇者の部屋>

勇者「まだ…痛いか?」

武闘家「はい…少し。」

勇者「いや、悪かったな。その……知らなかったから。」(処女だったとはね……)

武闘家「いえ。あえて言わなかったんです。変に気を使われても嫌だったので。」

勇者「んー……」(やっべ、なんかよく判らんが恥ずかしい。)

武闘家「あの、紅茶、淹れて来ますね。」

勇者「ん?ああ。頼む。」


フィフス「賢者君…?」

賢者「なんすか?」

フィフス「もう、コトは終わってたね。」

賢者「そうッスね。」

フィフス「なんか、つまんないね。」

賢者「こうやってドアから聞き耳立ててるのがッスか?」

フィフス「うん。」

ヴァンピア「アンタ達、良い趣味ね。よろしい感じになってるカップルの部屋に聞き耳立てるなんて。」ピタッ

盗賊「とか言ってなんでアンタ一緒になって聞き耳立ててんのさ。」

ヴァンピア「ダメだとは言って無いでしょ?」

盗賊「呆れた。もう好きにすれば。」


フィフス「て言うか、武闘家君、勘違いをしてるよな。」

ヴァンピア「?」

賢者「そうッスよね。なんか大事に思われてた様に考えてるみたいっすけど……」

フィフス「ああ。実際、チキってただけだからな。ビビって。」

ヴァンピア「え?」

賢者「え?あ!」

フィフス「ん?もしかして…」

ヴァンピア「へー、そう言う事だったんだ…ちょっとあのバカ勇者の事見直したのにな…」

賢者「………って言うのは冗談で、兄貴は本当は武闘家ちゃんを大事に…」
ヴァンピア「黙れチャラ男。」バキッ

賢者「ヘブンリー!」バタリ


盗賊「ちょっとアンタら、カップル(しかも事後)の部屋の前で騒いでんじゃないよ。」

ヴァンピア「だって勇者がかくかくしかじか……」

盗賊「………なるほど…………」ビキビキビキ

フィフス「あ、そうだ僕剣研ぎしなきゃ。部屋戻ろ!」スー...ダダッ

賢者「え、ちょ…お、俺もなんかしなきゃ部屋も…」スー
盗賊「はいはい。」ガシッ

ヴァンピア「あなたも、逃がさないわよ。」ガシッ

フィフス「いや、剣…」

盗賊「ちょっとアタシらのやり場のない怒りの処理、手伝ってくれる?」

賢者「ことわ…」
盗賊「…」ドムッ

賢者「」クタァ

ヴァンピア「んじゃ、部屋に連れてくわよ。」

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