魔王「何故だろう。姫に逆らえる気がしない」(305)

魔王が書きたいだけの人です。
読んでくれる人いたらありがとうございます。
妄想・爆走・命掛けです。投下スピード遅いのは勘弁してください。
↓からはじめます。

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魔王「何故だろう。姫に逆らえる気がしない」
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<瘴気の森>

魔王「うーん、散歩にでただけで迷えるとか、この森は危険じゃないか?」キョロキョロ


魔王「少し伐採しなきゃだめかな…でもこの鬱蒼とした感じは保持したいしな」スタスタ

魔王「まぁ、いざとなれば術で城に帰れるけどね。現地調査って大事だよね」スタスタ


魔王「…? あれ、誰かの気配がする…?」ピク

魔王「こっちかな…なんだろう。魔物じゃなさそうだ」ガサガサ

……

?「サムイトオモウカラサムイ、アツイトオモエバアツイ」ガクガクブルブル


魔王(へんなもの見つけちゃったな…)

………
……

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<魔王城 玄関ロビー>


魔王「と、いうわけで。森の中で人間を見つけたので、連れてかえってきたんだけどさ」


従者「は? 瘴気の森に人間なんておるわけないやろ。魔物ちゃうん?」

魔王「少なくとも見た目は人間だよ。ほら、このとおり…」ヒョイ


?「」ブラーン


従者「金色の長髪、華奢な白腕、そして森歩きには到底不釣合いなドレス…」

魔王「うん。これぞまさにオヒメサマって感じだよね。オヒメサマなら人間だよね」


従者(あかん。とんでもないもん拾ってきおった)


・・・・・・・・・・・


従者「なぁ魔王はん。コレ、なんで殺してんのや…。外交めちゃくちゃになるやん」ハァ

魔王「殺すとか物騒な。しないよそんなこと」

従者「魔王のくせに物騒て。…ほなら最初から死んどったんかいな。南無南無」

魔王「誤解してないか?」

従者「は?」

魔王「俺は連れて帰ってきたんだ、持ち運んだわけじゃない」

従者「…ほな、これは…」

魔王「生きている、と言ってるんだけど」


?「」ブラーン


従者(…これで生きてるとか余計怖いわ)

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<魔王城 玉座>


?「…あ」パチ

?「?」キョロキョロ


魔王「ああ、気がついた?」


魔王「目が醒めてよかった。君、瘴気の森に倒れてたんだ。どうしたの?」

?「あ…そうでした。おなかがすいて歩けなくなったんですよね、私」ポン

魔王「瘴気にやられたわけじゃなかったのか、逆にすごいね君」

従者「どこぞの国民的パンアニメのうさぎちゃん的な立ち往生やな」

?「妙に寒くて、マッチでもこすろうかとおもったくらいです」

魔王「マッチをこすっても出てくるのは幻だし、その幻は完全に死亡フラグだけどね」


?「ところで、ここはどこでしょう?」

魔王「……魔王城」

?「魔王城…魔王の、お城? …玉座に座ってるってことは…もしやあなたは…」

魔王(騒ぐかな。面倒くさいのは嫌いなんだけど。うるさかったら斬っちゃえばいいか)クス

?「あ…私…」

魔王「……どうか、した?」ニヤ

?「……」ゾクッ…

魔王(なかなかいい顔をする。そそるね)

?「そんな、いきなり。…どうしたら。そうだ、こういう時は…」

魔王「……こういう、時は?」

?「こういうときは…」


?「『こんにちは! 私は姫です。あなたは魔王ですか?』!」

魔王「うん、そうだね! 俺は魔王で君が姫だね、それは予想通りだよ!」


魔王「…でも、うん。なんていうか…爽やかに予想を裏切ってくれたね」ハァ

姫「え? 何か裏切りましたか?」キョトン


魔王「中1の教科書の英文例並みの会話文だったよ。内容は割とシビア」

姫「すみません。相手に名前を聞く前に、自分が先に名乗るのが礼儀と習ったので…」

魔王「突っ込みたいのはそこじゃないんだけど、まぁいいよ」


魔王「……あそこで泣き騒がれたら、君を斬ろうと思ってたし。そんな謝らないで」

姫「そうでしたか、斬られなくてよかったです!」ニッコリ

従者(なんや、このチグハグ感…違和感ハンパないんオレだけか?)


魔王「それで、姫はさ。 瘴気の森で何してたの?」

姫「あ、そうでした。私はあなたを調教するためにきました!」

魔王「……え」

従者「…調教…やと…?」


魔王「…ちょ、調教…どうしよう従者。俺、調教されちゃうらしい…」ドキドキ

従者「あー…今度は単語をうっかり間違って入力した翻訳文みたいやな」

姫「どこか違いましたかね?」

従者「んー…違うとしたら、なんやろ」


従者「あ。わかった。『調伏』の間違いやろ? ちょい似てるもんな」

姫「あ、それですね! すみません、よく言葉を間違うもので」


魔王「なんだ…びっくりした。いやまぁちょっと残念な気も…」

従者「あほか、小娘に調教される魔王てなんやねん」

魔王「はっ、つい! 衝撃のあまり本音が漏れた!?」

従者「本音とかアホか。そもそも魔王はんにMっ気なんかあらへんやろ?」

魔王「最近とあるSSで、S奴隷って言葉を見てね」

従者「S…奴隷?」

魔王「Mの為に自らセッティングしてイジめてあげるS。ご奉仕S状態」


魔王「なんかそれから、調教って言葉に敏感で仕方ないんだよね」

従者「知らんわ! つか変態やんか! あと魔王がSSとか見んなや!」

魔王「なんか純粋なSって飽きるんだよね、魔王ってだけで大体みんな従ってくるし」

従者「聞けや」


魔王「それじゃ調教しがいがないっていうかね。やっぱ普通は逆らう子を屈服させてこそだと」

従者「せやからってMに走る魔王がおるかいな」

魔王「奴隷って言っても、Mじゃないんだよ。第一に俺、やっぱ服従させたいし」ニヤ

従者「あんさん、ほんま変なとこばっか魔王やわー」

魔王「でもさすがに俺に逆らう子はいないし、プレイ程度じゃ飽きるよね」

従者「本気で抵抗するのを従わせたいって、完全な性犯罪者やで」

魔王「うん、魔王だしね」


魔王「その点でS奴隷は、Mを喜ばせるためにSを極めてくっていう矛盾がいいよね。新しいと思う」

従者「だめやな、何言ってはるんか俺にはわからん…」

魔王「魔王に屈服するMなら結構いそうだし、実現の可能性はまだあるかと」


魔王「ついでにこのS奴隷って言葉が素敵だよね。なんか想像だけでいろいろ掻き立てられるって言うか」

従者「そうか? なんやわかりにくい言葉やん」


魔王「奴隷がご主人様に従いつつ、サディスティックな本能を解放することでご主人様を喜ばせてあげる」

魔王「奴隷でありつつ、相互支配の服従関係。危険なほどに揺れる天秤に、いつ・どう堕とすかは自分次第」

魔王「…下剋上的な背徳感すら抱く支配を予感させる、素敵な言葉だ」キッパリ


従者「いやいやいや! 魔王が下剋上に燃えるとか、おかしいやろ! 何かんがえてんの!」

魔王「自分が気持ちよく支配されるために、奴隷を支配して喜ぶM」

魔王「ご主人様を誠心誠意イジメ尽くして喜ばせながらも、どこまでも深く精神を支配する俺…」

魔王「これはやばい! 俺のS心と想像力がたぎる! 絶対実現したい!」

従者「…魔王はん、一回病院いこか…」ハァ


姫「あのー…?」

魔王「しまった! 君がいたのを忘れてた!」

従者「あかんで、こんな小娘の前で何を話しとんのや…セクハラやんか完全に」

姫「今の話はなんでしょうか?」

従者「…ワイは知らん、ほんまに」


魔王「あー…」コホン

魔王「ウサギとカメはかけっこ勝負をしたけど、あれはウサギがカメに勝たせてやって、喜ぶカメをほくそえんで見ていたんだよ、という話でね」ヒョウヒョウ

姫「あ! その話は知ってますよ!」

魔王「うんうん、君が素直な純粋な子で助かったよ。俺の好みでは無いけどね」

姫「…確かそれ、夜伽話ですよね?」

魔王「『お伽噺』だよ! 夜伽話ってただの性経験談だよね! それともほんとは理解した上で言ってるのかな!?」

姫「す、すみません、また間違えたみたいです」


従者「…なぁ、別にいいんやけど、姫はんは魔王を調伏しにきたんちゃうんか?」

姫「そうでした。では、はじめましょーか!」

魔王「よーし、やってみろーふはははー(棒) …で、いいかな?」

姫「なかなかいいと思います!」



姫「いきますよっ、えいっ!」パンチ

ポスッ…
魔王「………」


魔王「なんてストレートすぎる攻撃手段。ここで魔法でも剣でもなく、素手のパンチがくるとは」

従者「右ストレートやしね」

魔王「はっ! もしやなかなか高度なボケだったのか!?」


魔王「って…いやいや。姫、実際問題、せめて剣とかないの?」

姫「尖端恐怖症なんです、私。他にもいろいろあって、長物の武器もちょっと…」

従者「他のいろいろってなんやねん」

姫「棒状のモノを突き出されると、それに抗うよりも咥えちゃう体質なんです」

魔王「なんとびっくり。思わず突き出しちゃいそうだよ」ドキドキ

姫「咥えてよければどうぞ!」

魔王「うん、ちょっと軽すぎて気分が乗らないかな」


魔王「…でもそれはつまり、アレだよね? 姫なのにいいの?」

姫「はい。小さい頃からポッキーやうまい棒でほれほれとやられて焦らされたせいか、見た瞬間に奪うようになりました」

魔王「……」

従者「あーよく、ちーちゃい子にやる奴おるなぁ」ウンウン

魔王「…君は語彙もだけど言い方も考えよう。まぁ考えた所でもうソレしか思い付かないけどね」


姫「治らないんですよ、自覚していないので。なかなか困った事にもなりますし」

魔王「自覚しないでよく言い回せるね」

姫「大き目の問題が起きるたびに、よく言われますね」


魔王「それに引っ掛かって暴走した奴がいるのか、是非きいてみたいな」

姫「行進の兵に槍の柄を突き出されて思わずそれをくわえたら、兵が翌日に処罰を受けて消えました…」

魔王「国は面子を大切にするものだよね。処置としては正しいけど、情けないから軽く言いふらさないでいてあげて?」


魔王「ところで君は女騎士だったかな」

姫「姫ですよ?」

魔王「不思議発見だね」

今日はここで中断します。
こんな感じで、まったりのんびり随時投下の予定です。
よろしくおねがいします。完結まで200レス程度の本文量です。

早速のレスありがとうございます
前作と世界観が同じなので新シリーズというにはアレですが…前作魔王様とは魔王の代が違う感じです

これ一本で読めるという意味であれば新作ですね
手元にあるものを再編して投下してるだけなのでサクサク進められるかと思います。短め


姫「あ…でも、すみません。やっぱり調伏はまってください…」モジモジ

魔王「パンチならいつでも好きにどうぞって感じだけど、どうしたの?」

姫「緊縛してたのでトイレにいきたくなりました!」

魔王「『緊張』だね! やめて誤解されるから! 俺は汚れ系のSはやらないんだ!」

従者(こいつらほんまお似合いやな…)


姫「すみません…でもあの、トイレをお借りしてもいいですか?」

魔王「あー。トイレどこだったかな?」

従者「魔王はんはトイレいかへんからな。魔物用しかないで?」

姫「便利で羨ましいですねー、魔王って」

魔王「魔王の利便を排泄で評価されたのは初めてだよ」


姫「うう…。魔物用で構いませんのでお借りしていいでしょうか?」モジモジ

魔王「従者、教えてあげて」

従者「んなら廊下でて右、どんつきまでいけばわかるとおもうで」

姫「マン突き?」

従者「どんつきや、あほ。仮にも姫やろあんさん…引くわー」

魔王「つきあたりのことだよ、ホラ行って来い」ハァ

姫「……」ジー

魔王「どうした」

姫「あ、いえ。なんでもないです!」


姫「とにかく急いで行ってきますね!」

従者「ほいほいごゆっくり」


姫「…来ちゃ、ダメですよ?」

従者「行くかアホ。魔王と一緒にすんなや」

魔王「俺だってそんな趣味は無いって」

タタタ…チラ

従者「ん? なんや?」

姫「絶対来ちゃダメですよー!」

従者「行かへんゆーとるやろが…」

チラチラ…
姫「来ちゃダメだからねー!!」

従者「あかん! あんだけ言われたら行きとーなる…ッ!! 見たいわけちゃうのにッ!」ムズムズ

魔王「彼女はいろいろと危なっかしいね。帰りは送っていこう」ハァ

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<帝王国 帝王の間>

帝王「魔王…殿?」


魔王「はい、魔王です。…帝王様とお会いするのは初めてですね」


帝王「な、なぜ魔王が…外交交渉ですら、書面のみで決して外には出ないと聞いていたが!」

魔王「ああ。全部書面ですませておくと、いざというとき従者に任せられるので便利ですからね」

帝王「っ、では コレまでの魔国との外交交渉も…」

魔王「一応、やり取りの様子には目を通してますよ?」


魔王「帝王様は、このあたりの他の王侯と比較にならないほど賢そうでしたので、お会いしても構わないかと」ニヤ

帝王「…光栄ですな。魔国との外交を狙う諸国だらけの中、こうして直接お話できるなど…」

魔王「あまり言いふらさないでくださいね。帝王がやっかまれて攫われたり、殺されたりするかもしれませんし」

帝王「あ、ああ。その通りだな。しかしその、何故そこまでして我が国に…」


魔王「ああ。娘さんがウチの領地内で迷子になっていたのでお連れしました」

姫「ただいまです、お父様」

帝王「ああ姫。おかえりー、…じゃない! 魔王殿の希少性が! ワシの暗殺の危機が!」

魔王「普段慎重な人でも、なんでもない理由だと軽く動いたりしますよね」


帝王「いやしかし流石に…本当にそんなことで、わざわざ来るとは思えませんな。…あぁ、なんというか…」チラ

帝王国兵「…」ザザッ チャキ…

魔王「ああ。本当に送迎にきただけですので、あまりそう構えずにいただいて」

帝王「全力武装の用意だったんですが『いやいやお構いなく』くらいのノリでいわれてしまいましたな」

魔王「それくらいでしたら、実際に足つぼマッサージされる程度の痛みですので」

帝王「また表現が軽いですな!」


帝王「あー…。しかし実際、姫ならば誰かに送り届けさせれば済む話では。わざわざ魔王殿自らがこちらにおいでになった理由は…?」

魔王「いえ、一言だけ…どうしても直接言わせていただきたくて」ジロ

帝王「………」ゴクリ


魔王「娘さんは外に出さない方がいいと思います。男にとって鴨ネギもいいとこですね。寧ろ卑劣な罠です!」キッパリ

帝王「いつか誰かに言われるとおもってたが、まさか魔王殿とは!」

魔王「うちの従者が、危うく姫の罠にハマるところでしたよ。俺もですが」

帝王「何があったのか、なんとなく察してしまうのが嫌ですな・・・」ハァ


帝王「兵達、武装を解け。魔王殿に対してなんの意味もないようだ」

帝王国兵「…しかし」

帝王「いかな人物であろうと、姫を助けてくれた恩人に剣を向けるわけには行かぬ。むしろ歓待の用意をすべきだ」

帝王国兵「…はっ」

侍女「…それでは魔王様、よろしければこちらへ。お食事とお酒などをご用意させていただきます」


魔王「…本当に、帝王様は賢こい方ですね。お会いできてよかったです」クス

帝王「難しい考えが苦手なだけですわい」ニヤ

姫「?」

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<帝王国 大食堂 歓待の宴の準備>

帝王「まずは…なにやら迷惑をかけてしまったことを詫びさせていただきたい」

魔王「いえ、楽しかったですよ。あとは城に閉じ込めて置いてくだされば、俺からは何も」

帝王「ああ、そうしよう。…だが、コレを城に置いておいても風紀が乱れてこまってるのでな、頭が痛い」ハァ

姫「え? 王妃が乱れて困る?」キョトン


小間使い達…「え…王妃って? 后様…?」ザワザワ… ザワザワ…


帝王「口頭の筈の会話を漢字で間違えるんじゃない! 后への酷い風評被害が広がる前に箝口令を!」

帝王国兵「はっ!!」 バタバタバタ…


魔王「…なるほど、よくわかりました。これでは乱れますね、主に規律と信頼と秩序が」

帝王「あー、お前たち。準備はそれくらいでよいから、人払いをしてくれ」

侍女「かしこまりました」


魔王「有能そうな侍女をお持ちですね。…いっそ姫の替え玉にしてしまっては?」クス

帝王「公の場でのお飾りにする時は、すでにそうしているよ」

魔王「oh… 本気で問題児の姫なんですね」

姫「侍女さんにはお世話になっています」


帝王「本当に、このまま替え玉を立てておいて、本物はいっそ魔王さんに預けたいくらいでしてね」

帝王「最近はコレがいるだけで血圧が上がったまま降りてこないのだよ」ハァ

魔王「彼女が変態とはいえ、仮にも年頃の姫を気安くお預かりするわけにはいきませんよ」

帝王「魔王がすごく常識人でびっくりするわい」

魔王「いえ、そんなことは。特殊な性癖の持ち主という点では俺も変質者ですので同類ですし」

帝王「謙遜かと思いきや暴露だった」


帝王「まぁ男同士なら気安くそのネタで楽しめるのだが、さすがに魔王さん相手にの…」

魔王「では、俺が手土産に持参したこちらで一杯呑みましょうか。酒の席なら無礼講ですよ」

帝王「ありがたい。頂戴させていただこう」

ドン ドンドンドン ガチャン

帝王「…手土産にしては、随分もってきたのう」

キュ、キュキュ。…トクトクトク
魔王「酒は美味いので好物なのですよ。 …どうぞ」

帝王「これはどうも。ではワシからも注がさせてくだされ」トクトクトク…


魔王「では。姫の無事の帰城あたりでも、乾杯しておきましょう」カンパイ

帝王「くはは。そりゃあいいですな、遠慮なく呑めそうですわい」カンパイ

・・・・・・・・・・


帝王「いや、すっかり楽しませてもらった。しかしすごい酒の名だのう」

魔王「ああ、これですか? 一番のお気に入りなんです」

帝王「『魔王』 『天誅』。 …これは自虐ネタですかな?」

魔王「いえ、自虐するなら『100年の孤独』を持ち込みますよ」

帝王「ほう、何故ですか」

魔王「俺の性癖を理解してくれる嫁は100年まっても現れなかったので」

帝王「若く見えるのに100歳越えとは。いくつになったら魔王が落ち着く年なのか見えないわい」


魔王「寿命がよくわかんないんですよね。短くて30年、長くて2000年と幅広くて」

帝王「に、2000年はすごいの」

魔王「3万年前から変わらぬ謎の生態がウリなのです」

帝王「自虐ネタにしてはわかりにくいですが、魔の頂点がゴキブリみたいな言い方はやめなされ」

魔王「似たようなものですね、どちらも女性に悲鳴をあげさせるだけの簡単なお仕事です」

帝王「ツッコミませんよ」


帝王「ちなみに魔王殿は何代目なのですかな」

魔王「はい、俺は38代目魔王です」

帝王「老舗旅館もびっくりの代数だった。魔王がそんなにいるなんて」

魔王「いえ、死んで復活したらそこでまた一代とカウントしてますので実際人数はそれほどでは」

帝王「適当なんだね意外と」

魔王「魔王は、子を産むと魂をそのまま移譲するのですよ。子というより分身みたいなものですね。性格に差が出るくらいで、元々の魂はどの魔王も同じなのです」

魔王「なので、産んでおきながら移譲の際に子の肉体を奪う魔王もいるのでややこしくて」

帝王「さすがは魔王、ようやく人外感がしてきましたな」

魔王「そうだ。せっかくなので、3万年前から続く伝統の技をお見せしましょう」

帝王「言い方1つでなんだか職人に見えてくる不思議」

魔王「えい」パチン
モワモワモワ・・・シュワ・・・カタン、

帝王「…茶碗?」

魔王「ふむ、椀の形は良いですが、碧の出がいまいち」パリーン

帝王「本当に職人だった!」


魔王「すみません、何か魔王の特技で記念品を創ろうと思ったのですが」

帝王「いやいやお気遣いだけで」

魔王「魔物詰め合わせなら失敗はないんですが、あまり気安いものでは失礼ですよね」

帝王「もっと違うところに気を遣うべきかと! 魔物呼び出されたらたまらんよ!」

魔王「ですが性癖の合う嫁が居ないので魔王も俺で終わりですし。魔物にもプレミアつくかもしれませんよ?」

帝王「…魔物や茶碗のプレミアよりも世界恐慌が性癖で左右される事のが興味深いが」

魔王「しまった、割らずに『魔王が王に手渡そうとした椀』として保管しておけば売れたかもしれない」

帝王「……いや、やはりあなたとはこれからも是非仲良くさせていただきたく。もう一杯どうぞ」

魔王「ほう。金儲けにも興味が? ちなみに世界恐慌の終焉と、性癖と金儲けのうち、どちらがいいです?」

帝王「もちろん性癖と、『そこに必要な金』の作り方ですな」

ギュッ

姫「…なんだかお父様も魔王も輝いていますねー。仲良しは素敵です!」

・・・・・・・・・・・・・


魔王「…ああ、やはり旨いですね、『天誅』。切らさないように買い込んでおきましょう」

帝王「天誅すら呑み込むとは魔王さんは強いですな、心臓が」

魔王「王である以上、鍛えられますよね。部下のスキャンダルとか酷いですから」

帝王「王として裁量下すのに、必要以上に書類が揃えられたりするんだよねー」

魔王「歴代魔王の裁量一覧のようなものがあるんですが、それもひどいのです」

帝王「ほう、ではオススメをひとつ教えてくだされ」


魔王「3代目魔王のころでしたか。封印の水晶から抜けでた堕天使が連続強姦で逮捕されましてね」

帝王「既にアウトな罪状ですな」

魔王「被害者がゴーレムとミノタウルスとケンタウルスなど屈強揃い」

帝王「堕天使のイメージが『鷹村守』になりましたぞ」

魔王「自白の余罪で神と魔王と勇者も被害者に入れられ、魔族総出で再封印されたそうです」

帝王「神様がレイプ被害者は酷い…」


帝王「というか、勇者は実在したんですな。そんな資料があったとは」

魔王「あの資料をよんで心底冷えたら、心臓が冬毛に生え換わりまして。ついでに資料を燃やして暖をとりましたよ」

帝王「元々生えてはいたんだね羨ましいよ。でも貴重な資料なのでは?」

魔王「…かれこれ2000年近くも勇者がいない原因とか書かれた唯一の資料でしたね」

帝王「伝説を伝説にしたわけですな」


魔王「あー…まぁ、勇者の死因が哀れだったので本望じゃないかと」

帝王「ちなみに勇者はどのように亡くなられてるのです?」

魔王「1800年ほど前に、魔王がうっかり魔力暴走に巻き込んで以来、出てこないそうです」

帝王「魔王は自重すべきだとおもうんじゃ、いろいろと」


カラン…
魔王「っと、すみません。持ち込んだ酒では少なすぎたようですね」

帝王「ああ、ワシもかなり呑むからな。どれワシからも出そう」

ドン
つ『100年の孤独』

魔王「…ここで出してくるとは大分帝王様もS気がお強い」

帝王「先程の話でワシの心臓にも毛が生えたようだ」

魔王「あの娘さんがいればきっと近い内に冬毛になれますよ」クス

帝王「うむ。だがまぁコレは嫌味ではなくての。これも天誅同様に呑み干してはいかがかと?」

魔王「…お気遣いありがとうございます」ペコリ


帝王「ほれ姫、魔王さんについで差し上げなさい」

姫「はい! ふつつかものですがよろしくお願いします、魔王!」

魔王「……」

帝王「…なんと。まさか呑み干す前から嫁が現れるとは」

魔王「あなたの娘さんです、反応おかしいですよ」


帝王「さて、なんのつもりやら」

魔王「さては、注いでさしあげなさいを 『嫁いでさしあげなさい』、と間違いましたね」ハァ

姫「違いましたか?」キョトン

魔王「違わないといったら嫁に来る気なのか君は。もちろん違いm

姫「嫁に行きます!」

魔王「……」

帝王「…あぁ、また血圧が。冬毛はまだ生えていないのに」

魔王「さすがに俺も血流がおかしいですね。不覚です」ドキドキ


姫「魔王は好きです、私が何をいっても動じないし」

魔王「まぁ伊達に100年生きてないからね」

姫「動じる時はしっかり突っ込んでくれるのがキモチイイです」

魔王「ごめん、さすがに君の親の前だと思うといたたまれないからその発言はやめようか」


姫「あと…アレが意外に楽しかったですね」

帝王「アレとは?」

姫「ほらあの、ギャグボールみたいな」

魔王「まってまって!? 俺はまだ何もしてないよね! 何と間違えたのかな!?」

帝王「まだって所に突っ込みたいですが誤解ならば先に解きましょう。ギャグボール…笑い玉とか?」

魔王「煙玉じゃないんですから、なんですかそれは!」

姫「あ、煙玉。それです。モワモワしてお茶碗でてきたやつです」

魔王「2段階で間違われると流石に読み取れないよ! いろいろ駄目な間違いだよ!」


姫「魔王が好きなのもダメなことでしたか?」

魔王「…っ」


姫「…魔王、好きです。私を食べてください」

魔王「うん、なんか飛躍したね! …さすがにこれは、心拍数が危険領域に入りそうだ」


姫「? 魔物は人を食べるんじゃないのですか?」

魔王「そっちか! いやでも物理的に食べてくれっていうのもかなり危険な発想だから!!」

帝王「…すまん、ワシは医療班を呼ぶよ。魔王さん、それは言い出したら聞かない。欲しかったら連れていってくれ」

魔王「話が最初に戻りましたね! 体よく預けに出さないでください!」

帝王「月一で里帰りしてくれたら充分だから。魔王さんの人柄はわかったつもりだよ」


魔王「はぁ。まってください、あまりに適当な。彼女は国の後継者じゃないのですか」

帝王「…元々、ソレに継がせたら滅びる国だし」

魔王「激しく同意してしまう俺が間違ってるのかな、と思えてきた」


帝王「この子の旦那に期待するしかないが、統治経験豊富な魔王さんならなんとかなるじゃろ?」

魔王「なんと。容易で平和な世界征服が目の前に」

帝王「win winならぬ、win winw winですな」

魔王「ここまできても、もはや何かアレ的なものの動作音に聞こえる俺が哀しい…ああもう」

姫「どんなものの動作音なんでしょう? 魔王、私も見たいです。聞かせてください」

魔王「使わないから! 使うけど! 使わせないで!」

姫「??」


姫「…魔王、私が嫌いですか?」ジリッ

魔王「いや、なんというか…」

姫「好きですか?」グイッ

魔王「ああ、その…」


姫「好きですか…」ハァ・・・

魔王「答えてないし、なんでそこで残念そうなの! やっぱり罠か!」

姫「いえ、マリッジブルーを演出してみたのです」

魔王「もう嫁ぐ気なんだねー、俺の意見は無視ですかそうですか」

姫「…『奴隷としてご主人様に下剋上したい』というので、ご主人様らしくしてみたら好かれるのかと…」

魔王「っ…。 ちゃんと聞いてたのか…」

姫「はい。最初に、魔王が笑ったのを見たときから好きでした」


魔王「最初から…? いや、ていうか最初に俺が笑ったのって、君を斬ろうとした時じゃないか」

姫「そうですね。なんかゾクゾクしました…。でも、俺の好みじゃないといわれたのはショックでした」

魔王「あー…まぁ、今となっては 素直で純粋とか思っていないけどさ」

姫「私も、魔王相手など、一時のまぐわいかとも思いましたが」

魔王「一時の間違いなんだろうけど、この場合は意味が同じだから訂正は不要かな!」


姫「それで、魔王。どうしましょうか?」

魔王「うん、なにが?」

姫「私を食べてみますか?」

魔王「……っ」

姫「答えないのなら、無理に食べさせますよ。ご主人様らしく」

魔王「…口に手とか突っ込む気だね」

姫「よくわかりましたね?」


魔王「……あぁ、もう」

魔王「そうだね。食べてよいのなら頂こうかな。でも…」

姫「でも、なんですか?」

魔王「残念ながら、俺には食人の性癖はないよ」ギュッ パチン!
ブン・・・  

パッ

帝王「消えた…。しかし、なんだかんだ行っても連れていくとは。魔王様も男だのう」
クハハハ…

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というわけで、今日はここらへんまでで中断します。
すみません、前半で従者や帝王の1人称がブレまくってましたね。
以後、気をつけます。

うは、姫が強すぎて負ける気がしないwww
新作おっつ
また楽しみにしてるよ!

>>44  魔王VS姫とかww
今回短めなんで、サクっとがんばります!

というわけで、作業片手間なんで遅いですが↓から投下していきます


<半年後 魔王城 執務室>

魔王「ああもう。帝王国に出入りしてるのがバレたせいで、書面じゃ逃げられなくなった…」ハァ・・・


姫「月に1、2回の里帰りとはいえ、さすがに半年繰り返すと噂が立つものですねぇ」

魔王「…あれだけ慎重に転移してるのだから、悪意ある奴が内通者を通じて探ったとしか思えないけどね」

姫「内通者…帝王国にですか?」

魔王「まぁ、人の口に戸はたてられないからね。内通者自体は悪意がないのかもしれないし」

姫「そういうものですか…」

魔王「魔国が一国に肩入れしてると思われると、いろいろ不都合だし仕方ない…王侯会議とか面倒臭くて嫌なんだけどね」

姫「魔王も、王様なんでしたね、そういえば」

魔王「…なんだと思ってたの」

姫「世界経済とかに無縁の君主。無法地帯の魔物の頂点?」

魔王「昔の話だよ。これだけ乱立して国が興るのも歴史上珍しいけど、こうなると外交の必要もでてくるさ…先代はテンパってたなぁ」


魔王「しかし、どうするかな。俺のいない間、姫はここにいる? 会議は帝王城だけど、一緒に城にもどる?」

姫「お父様も会議に出られてしまうので、つまらないです。魔王のそばにいたいです」

魔王「さすがに帝王国の姫が魔王といるのまでバレたらまずいから、それはダメかな」

姫「うー。眼鏡と帽子じゃ誤魔化せないですかね」

魔王「うん、余計に目立つよね。なんでそこまでしてついてきたいの?」

姫「お仕事モードの魔王はいつもと違う雰囲気でカッコいいです。近くで見ていたいだけですよ?」

魔王「……………ありがと」ボソ


魔王「まぁ、もしかしたら役に立つかな…。わかった、変身魔法をかけてあげるから俺から離れないようにね」

姫「はいっ! ありがとうございます、魔王!」

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<帝王国 帝王城 近隣諸国・王侯会議場>

カツカツカツ… ギィ…
魔王「…これは、既に皆様お揃いで…。もしや、お待たせしましたか」

ザワザワ…

帝王「いや、まだ時間前ですな。魔王殿に会いたくて、皆早く集まりすぎたようでの」

魔王「…お初にお目にかかります、近隣諸国の王侯達」

小国王「ああ、魔王殿。お待ちしてました…と、そちらの御令嬢は?」

魔王「これは失礼、彼女は妻みたいなものでね」

美女(姫)「……」ペコリ


弱国王「ほう。これはなんと美しい御仁…絵画の女神のようなお姿ではありませんか!」

魔王「そうですかね、ありがとうございます」

小国王「独り身と聞いていましたので、我が国で一番の美しい娘を紹介したかったのですが。これは敵いませんな」

弱国王「うちで考えていた姫も、これでは霞んでしまいますな、はっはっは」

魔王(やはりね。連れてきて正解だった…あやうく面倒な見合いまでさせられるとこだ。政治臭い美人などごめんだよ)


魔王「…留守をさせられなかったので、同席させていただきたいのですが」

小国王「いやいや、会議室に華が咲きますな、歓迎いたしますぞ」

魔王「それはよかった。静かにするように言ってあります。ご迷惑はかけないようにしますよ」


?「魔王殿になら迷惑を被りたい所ですがねぇ…」


魔王「…貴方は…?」

貴族「失礼。僕はここの帝王国で財政担当をしている貴族と申します…。お見知りおきを…ふふ」

魔王「…俺がトラブルでも起こして排斥されればよいのに、とお考えなのですか?」

貴族「いえいえ…。恩でも借りでも作って交渉材料にしたい所ですからねぇ…それだけの意味ですよ、ふふ」

魔王(嫌な笑い方をする。だがこいつは面倒そうだな、一応目をつけとくか…)


弱国王「さ、さぁ。会議をはじめましょうか。魔王殿は初めてですから、今日の主役は間違いないですよ」

魔王「…お手柔らかにお願いします」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小国王「…でありますので、魔王殿のその素晴らしい統治力を是非とも諸外国に披露する機会として…」

魔王「……」


魔王(結局は、全員で俺におねだりをしてるだけか。何が会議だ…やはり出席すべきではなかった)

帝王「………ハァ…」チラ

魔王(帝王様も呆れてるな。内心では『こんな阿呆に付き合わせてすまない』とか思ってるのだろう)クス


小国王「あ、えー…。つ、つまり魔王殿の指揮能力の高さを見込んで、相互警護あるいは交換警護という形で…」


魔王(つまり、こいつらは俺に
『うちだけには攻めこんでくれるな』『軍事力として魔物を派遣してほしい』『仲良くして、他国への牽制をしたい…』
と言いたい訳か)

魔王(何故、俺がそんなことをすると思えるのか。表に出たからといってこれまでと態度を変えるはずもあるまい…)

魔王(くだらない。やはり帝王様だけが特別に賢い人間だったか)ハァ・・・


姫「(魔王…魔王)」ツンツン

魔王「……ん?」

姫「(…とてもつまらないです。やっぱり、出ててもいいですか?)」コソ

魔王「(…俺の妻と言ってしまったからね。立場もあるし、安全性を見てもいまはやめるべきだ)」ボソ

魔王「(俺との交渉手段のために間違いなく誘拐される。これで暇をつぶしてて)」スッ・・・

姫「(…紙束と、ペンですか?)」コソ

魔王「(席について出来ることなんて少ないからね。絵でも字でもなんでも書いてるといい)」ボソ

姫「(んー…わかりました!)」

魔王「(いい子だ)」ナデナデ


諸侯達(真剣な会議中に、いきなりいちゃつきやがって…くそ、人間を馬鹿にしてるのか…ッ!)

帝王「あー…続けるぞ。次は中王国の意見を聞かせてもらおうか…」

魔王(俺も、落書きでもしていた方がまだ有意義だな)ハァ・・・

・・・・・・・・・

隣国王「…そもそも、帝王国と魔国と我が国は領地が接しているので、他国よりも比較的好条件で貿易などの…」


姫「(…魔王、できました)」コソ

魔王「(あぁ。なに書いたの?)」ボソ

姫「(SSです。魔王、前に読むっていってたので)」コソ

魔王「(へえ…文才なんてあるのか。どれどれ)」ペラペラ・・・


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
魔王「さて。今日はどこから食べようかな」クス

姫「魔王の、好きなところから…でも、残したら怒ります」

魔王「決めた。…怒る姫を、食べたい」

姫「難しいですね? どうやって怒らせるつもりです?」

魔王「全部つまんで、食べ残ししまくるよ」クス

姫「や… 魔王、そんなのは駄目です」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

魔王「……!」ガタンッ

ペイッ、バシーッ!!


弱国王「ま、魔王殿。どうなされました、何か落としましたが…」カサ チラ

中国王「汚れたりしてないといいですなぁ」チラ

小国王「拾って差し上げなくては…おっと手が」チラ


姫「……魔王?」

魔王「姫……な、何かな、今のは…?」プルプル

姫「ファンタジー風にかいてみたSSですよ?」

魔王「本当に『夜伽話』を創り出さないで!?」

姫「お伽噺ですよ、魔王」

魔王「うん、普通に昨夜の会話だよね!? やめて、記録に残すのは!」

ザワザワ・・・
諸侯達「…あ、あんな美女と…こんな…!?」ゴクリ

魔王「はっ! なにげに全員回し読みしてる!? 何この強制公開! ツッコんだ俺が悪いの!?」


姫「さすがに突っ込むシーンは自粛してますよー。朝チュンです!」

魔王「些細な気遣いをありがとう!いっそ書けよ、中途半端が一番恥ずかしいから!!」

姫「ぅ。…か、書いたら褒めてくれますか…?//」

魔王「うーん…いや、これは地文入りで書かせて、朗読コースでお仕置きだね」

姫「それはさすがに恥ずかしいですっ!いろんな意味で!」

魔王「それと同等の辱しめを、俺は今まさに受けてるけどね」

姫「…もし、褒めてくれるなら頑張れるかもしれないですよ…?」

魔王「……それは、出来次第かな」クス

諸侯達(リア充魔王とかマジで爆ぜろ!!)

魔王「しまった!諸侯達がいたの忘れてた!」

帝王「……ハァ…」ガックリ

姫「?」

-------------------

今日はここで中断します。あんま進まなくてすみません

訂正
>>51->>54  ○美女(姫) ×姫 ですね。
見逃しが多すぎて反省

姫が世界の危機を呼ぶww負けるな魔王!!堪えろ魔王!!

圧倒的じゃないか我が姫は!www
がんばれ魔王、もっと変態S度を上げ…ても勝てる気がしねえ

姫の強さが半端ないな
職場で読んでニヤニヤしちゃったじゃないか
危険すぎる!

>>57-59 ありがとうございます。姫強いですね。いや、これ魔王が弱いんじゃ…ww
>>61 仕事してくれwwwお前も罠にかかる気かww
>>60 夜道では魔王にお気をつけくださいw

魔王「…我が姫、かー」
姫「魔王、どうしました?」
魔王「うん、>>60が君を『我が姫』って言ってるの聞いたら、俺にも独占欲があるのを実感してしまった」
姫「…私は魔王のものじゃないです。やめてください」
魔王「」グサ
姫「…魔王?」
魔王「うん、ごめん。なんか自惚れてた。姫の罠にハマりまくってたみたいだ…」ハァ
姫「はい。ヤキモチなんて魔王らしくないこと許しません。魔王が私のものなんですから」
魔王「そっちか! ていうか、また罠にはめる気だね!?」
姫「魔王を罠にかけたりしたくないです」
魔王「…………なんで?」
姫「…罠に捕まって食べられる役は、私がいいです」
魔王「…魔王が獲物を狩るのに、罠なんて使わないけどね」クス
姫「ぁぅ// これは補導の危機ですか…?」
魔王「『捕食』だね! やめて青少年育成法的なの意識しちゃうから! 姫を食べれなくなる!」
姫「残念です。食べてくれないならもう寝ます。おやすみさない魔王」スタスタ
魔王「待って?! 食べる! 食べるよ、魔王に人間の法とか関係ないし!」
ギィ…バタン
魔王「ああもう、どこから罠だったんだコレ! 罠の匠か!! 仕掛けた>>60出てこい!」

相変わらず貰ったレス内容で小ネタ書くのが楽しいだけです。すみません。
↓から本文投下します


<帝王国 帝王城 姫の自室>

魔王「本当にひどい目に会った。また罠だよ…地雷タイプだね、触れたら終わりみたいな」

美女(姫)「す、すみません。悪気はなかったのですが…」

魔王「うん、それが一番問題だね。休憩をもらえてよかったよ」

美女(姫)「すごくつまらない会議でした。魔王、全然しゃべらないですし…」

魔王「この隙に君を城に置いてきた事にするから、しばらく自分の部屋で大人しくしてて。『変身解除』」
シュワワワ…

姫「あ、戻っちゃいました…。美人さんも悪くなかったですよ? 魔王的にはどうでしたか?」

魔王「あんな一般的な美観に合わせた外観、俺の好みじゃない。そのままの君の方が余程可愛いよ」

姫「う//」

魔王「何?」

姫「ぁぅ…可愛いって…今…//」

魔王「あ。…駄目だな、慣れないことしすぎて気を抜くと素が出すぎる」

姫「魔王って、さては天然タワシですね?」

魔王「『タラシ』だね。って違うから!珍しく一般用品かと思いきや貶められたよ!」


魔王「ほら、夕方に迎えにくるから好きにしてて。俺は会議に戻るから」クル

姫「はい。…いってらっしゃい、魔王☆」フリフリ

魔王(『いってきまーす!』って言いたくなる! でも言ったら魔王の尊厳を貶める! 堕ちるな俺!)スタスタ

・・・・・・・・

カリカリ・・・パタン
姫「ふぅ……書けました! 再現率100%、完璧です!」

姫「……これ、18金ってやつですかね? 確かに魔王との思い出まで輝いているようです!」エヘン


姫「さて。 …魔王は忙しそうなので、夕方までお散歩でもしにいきましょう。侍女さんいますかー!」

シーン

姫「…あ。侍女さんはお父様が会議にでてるから、代理で玉座にいるのでした…」ショボン

姫「んー… 一人でも、大丈夫ですかね? 今日は一般の方の出入りは無いはずですし」

姫「さっそくいきましょう、夕方には戻らないといけないですし」クル

スタタタタ…

------------------

姫……タワシ……うるしはら……うっ…頭がっ
……!!

おはようございます支援


<帝王国 帝王城 中庭>

姫「久しぶりですね、城を歩くのも」テクテク

姫「歌でも、歌いましょう。歌は好きです…えっと ♪消える飛行機雲~ 僕たちは見送った~」

ガサッ

姫「!」ビク

…ガサガサ…
貴族「……これは」


貴族「ふふ…聞き覚えのある声が、おかしな歌を歌っているとおもったら…。 …帝王国の、姫様ですね?」

姫「? はい…。あ、あなたは確か、貴族様ですね?」

貴族「……お会いしたのは初めてですがねぇ…よく御存知で」

姫(さっきから、ずっと魔王のことばかり見ていましたから。…魔王が好きなのかな?)


貴族「まぁ、構いませんがねぇ。…それよりも、姫様にこんなところで会えるとは。ふふ、一目でわかりましたよ」

姫「?」

貴族「最近、なにやら姫の偽者ばかり表にでていますのでねぇ…本物は居ないのかとおもってました」

姫「……!」

貴族「ふふ。どうして偽者と知っているのか、という顔ですねぇ。見ればわかりますよ、僕にはねぇ」ククク…

貴族「てっきり、どこぞの国の臣下と勝手に駆け落ちでもして結婚したのかと勘ぐっていましたが…違いましたか?」

姫「……私は、未婚者です…。駆け落ちなどしていません」

貴族「してくれたらよかったんですがねぇ…期待はずれですよ」ハァ

姫「…?」


貴族「まぁ、こうして二人きりになれるとは考えもしませんでしたからね。これは僥倖です」ガシッ!

姫「?! 離してっ」

クイ・・・
貴族「ああ、ほんとうに同じなんですねぇ……。気色悪い」ボソ

姫「!?」


貴族「まぁ、いいです。 僕の好みじゃないからって棄てるのは、もったいなさすぎますしねぇ」

貴族「ふふ…ほんの少し、姫を傷物にしてしまえば…国の名誉のためにも僕と結婚することになりますねぇ」

姫「! やめ…私はもうッ」

ピタ
貴族「…おや? 既に誰かのものでしたか? 隠れてコソコソ留守がちなのは知ってるんですよ…ふふ」

姫「………っ」

貴族「容易に結婚のできぬ相手。教えていただけたら、こちらで別の継承者を用意して…姫様はその方と結ばれることもできますよ?」

姫「別の、継承者…? 私以外に、帝王家の血を引く方が…?」

貴族「ふふ…興味があるということは、やはり相手が居るのですかね…」

姫「! …私にそのような相手はいません。勘違いです」

貴族「それならそれで」グイ…


貴族「ふふ、わかりますよね? 未来の女帝が、臣民に傷物にされたなど…」

姫「やめてください! 人を呼びますよ!!」

貴族「言えるものなら。僕の名誉より、国の大スキャンダルのほうが重いですよね…?」

姫「!?」


貴族「大丈夫ですよ、僕は貴方程度の女じゃ興奮できないのでね。少し剥いて証拠写真でも取ればよいでしょう…既成事実ってやつですよ」

貴族「ふふ…まどろっこしい事をせずにすんでよかった…王位は…これで僕の物だ」
グ・・・

姫「やめっ…!



魔王「! そこで何をしている!」

貴族「……っ、魔王!?」

魔王「……貴族…自国の姫に、なんのつもりだ?」

貴族「………」

魔王「ハイエナめ。目障りだ、消え失せろ」


貴族「魔王……? 何故、魔王が姫を庇う…? 外交にも他国にも不干渉だったはず…」

魔王「…姫、こちらへ」

姫「は、はい…」

貴族「…はは、そうか。魔王がこの国に現れるようになったのは、そういうことか…!」


魔王「何を。確かに俺は魔王だが、か弱い女性が絡まれているのを助けるのがそんなにおかしいか?」ニヤ

貴族「…チッ。ふふ、だが尻尾はつかみました…。暴いてやりましょう…まだ、奥の手は残してる」

魔王「意味がわからんな。その狡猾すぎる野心に免じて大事にはしないでやろう、いますぐ去れ」

貴族「くく… その余裕、いまに後悔しますよ、きっとねぇ…」クル

スタスタスタスタ…


魔王「…」

姫「…」


魔王「はぁ。 …姫。無事?」

姫「は…はい。魔王、どうしてここに…?」

魔王「俺が会議室にもどったらあの貴族がいなかった。俺の所在を探って何か画策してると踏んで、逆に探してたんだ」

魔王「でも、まさか姫に目をつけているとはね。あとであいつとの話を聞かせてくr  姫「魔王」」

魔王「………うん、何かな?」

姫「魔王。結婚、したいです」

魔王「…………は?」


姫「未婚では、また王位狙いで変な奴がでてくるかもしれません。私の替え玉をしている侍女さんも危ないし…」

魔王「姫、それは」

姫「それに!!」

姫「それに…私は魔王の妻だって、胸を張って言えなかったのが…すごく悔しかったです…」ポロポロ

魔王「…ごめん」

魔王「でも…、正式な魔王の后なんて、わざわざなるようなもんじゃないから。それはできない…」

姫「どうして…?」

魔王「…魔王の后っていうのは、契約なんだ。その儀は生半可じゃない、君みたいなただの人間では耐えられない痛みを伴う」

魔王「過去に、儀によって次々に后候補を亡くした魔王がいるくらい…危険で強い呪縛。魔王の后はそれに囚われるんだ」

姫「私…頑張れますよ?」

魔王「知ってるでしょ、痛いのや苦しいのは、俺の性癖に合わないんだ」クス


姫「私は…魔王の妻にはなれないのですか?」

魔王「大丈夫。君は姫のままで、俺の嫁だと思っているから。だから、どうかそのままでいて」

姫「…お願いくらいじゃ、聞き分けられません」

魔王「………っ」


魔王「…君は俺のモノだから、わがまま言うな。俺の命令が聞けない?」

姫「…命令なら、聞かないわけにいかないですね」ニコ・・・

魔王「うん。姫の為なら、俺はなんだって命令して強制するからね」クス

姫「それも『S奴隷』ですか?」

魔王「んー…」


魔王「あ。そういえばSS書けた?」

姫「ぅ。書けましたが…ほんとにアレを読むんですか…?」

魔王「無理にでも読ませる。やっぱりご主人様をいぢめて気持ちよくさせなきゃS奴隷とは言えない!」キッパリ

姫「そうでした。私は妻以前に、魔王のご主人様でした」クス

魔王「うん、そうだよ。だから、姫はそのままでいいんだ」クス

姫「…今日は、もう魔王の側にいます。また変身魔法をかけてください」

魔王「いや、もう帰ろう。帝王様には、書面で充分に事足りると伝えておけばいいしね」

姫「はい。…さっきの人には、もう会いたくないです…」

魔王「…」ナデナデ

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・
--------------------

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

<1年後 帝王城 帝王の間>

バタバタ…
姫「ただいま、お父様! 今月も戻しました!」ニコ

帝王「ああ、姫。 戻りましただね、うんおかえり」

姫「いえ、戻しました!」ニコニコ

帝王「は?」

姫「つわりです、赤ちゃんです! 魔王の赤ちゃんです!」ニヘラー


帝王「…ま、魔王さん…?」チラ

魔王「すみません、迂闊でした。…安全日といわれて、つい」

帝王「策士な娘が怖い!!」

魔王「罠は罠ですが、どうやら排卵日と安全日と逆の意味で捉えていたらしく」

帝王「うーむ…どうしたら『安全』とおもえるのかが気になるな」

魔王「『出されたものが安全に着床できる日だから安全日』だと思ったらしいです」ハァ…

帝王「さすがにその発想はなかった」


魔王「俺も随分慣れてきたと思っていたらドカンとやられました。本当に申し訳ない」

帝王「いや、魔王さんは悪くないよね。逆に同じ男として同情するわ」

姫「お父様。私ね、赤ちゃん産むのに、魔王城に定住したいです」

帝王「いやだがそれは…この国が」

姫「部屋には可愛いドレッサーを東に、ベビーベッドが西向きでベッドは中央の南の壁につけて置きたいです」

帝王「そこまで決めてるともう今更何を要求してるのかわからない!」


魔王「…すみません、1年かけても治せませんでした」

帝王「ああ…まぁ、帝王国の治安はすごくよくなったんだがね」

姫「痴漢?」

魔王「痴漢が良くなるってマイナスなのかプラスなのか思わず考え込むからやめてくれないかな」

姫「また聞き間違いました」

魔王「うん、わかってるよ。大丈夫」ナデナデ


帝王「…魔王さん、治すどころか姫用に調教された気配が…」

魔王「はっ!! まさか本当に調教しにきてたとは!」

姫「いえ、私は調伏するつもりでいきましたよ?」

魔王「俺を夫とおもうなら、今は訂正しないで欲しかったかな」ポンポン
姫「わかりました、間違いは間違いのままでいいんですね、安心して間違えていきます」

魔王「…いま俺は自分の発言の間違いを悔やんでるけどね」

帝王「ああ…まぁよい。今まで通りみたいなものだ、行くがよい。魔王さん宜しく頼むよ」

魔王「よろしくやってしまった結果なので、これからは頑張らないようにします」

帝王「うーむ…親としてこれ以上はツッコみにくい」

姫「??」

-----------------

今日はここまでで一度中断します。もしかしたらまだ投下するかも。

>>65
俺は毛なら薄めが好きです。
なので、タワシとうるしはらで 「動物のお医者さん」を先に思い出しました。
俺、まだまだ健全だったww
さすがにちょっと考えましたが、うるし原で合ってますかねwww

タワシはともかく、↓から投下をはじめます


<魔王城 執務室>

魔王「さて。姫のために何か贈りものをしようかな、何がいいとおもう?」

従者「誰にゆーてんねん…」

魔王「従者だよ、他に誰が居るの」

従者「ワイはこの山積みの書類仕事でいそがしいんや! どーでもいいこと聞かんとって」


従者「つかほんま、魔王も仕事しーや」

魔王「嫌だよ。なんで今更、公務なんか…」

従者「姫さん来てから、ほんっまにサボりぐせついたな魔王!! 部屋にこもんなや!」

魔王「王侯会議に出たじゃないか」

従者「途中でブッチしてきたやんけ」

魔王「糞みたいな会議だったし、意味がなかったからね…嫌なこともあったし」

従者「ああもう、今まで人間並みに真面目に仕事してたんがおかしかったんやろか…」ハァ


魔王「魔王って、本来はそういうものだよ。今は姫をイジめるのが一番楽しいし、魔王の本領は発揮してるよ」

従者「ワイにはイチャラブしてるようにしか見えへんがな」

魔王「部屋の中ではおもいっきり魔王だけどね」

従者「うっさいわ! 世界に向けて魔王らしくしーや!!」

魔王「こんな外交までやってるような魔王に今更何を…。世界征服とか、一回世界壊すしかないじゃん・・・」ハァ

従者「壊せばいいやん。大昔みたいに、魔王が世界を支配しぃや」

魔王「それは駄目。先代が温厚だったおかげで、この数百年で文化はよく発展したんだ」

魔王「この世界は面白いから壊したくない。SS読めなくなる」

従者「SSに世界が救われてるんかいな! あほちゃうか! どんだけ低俗な魔王や!」


魔王「ああもう、わかったよ…。少しなら仕事するから、先に何か姫への贈り物を考えてよ」

従者「つかなんやねん、贈り物て」

魔王「妊婦に何を贈るべきか、それが問題だ」ウーン


従者「ああ…出産祝いのつもりか? まだ早いんやないか?」

魔王「初産だしね、なんでも祝いたい気分なんだ」

従者「あの姫さんが子供ねぇ…子供が子供産むようなもんやないか…」

魔王「魔王にとって、子供産むのって結構な大事なんだけどね。…できちゃったとか、本当に迂闊だった」

従者「ああ…生まれたら、瘴気と魔力を分けなあかんのか」

魔王「そう。 まぁ最初は微々たる物だけど、今のうちにいろいろやっとかないとね」

従者「…しゃーないな。協力したるわ」


従者「まぁそやな、それやったら花とかでいいんちゃう?」

魔王「一説には花粉などはあまりよくないと」

従者「あー、ほならリラクゼーション的な何かはどうや?」

魔王「ふむ、たとえば?」

従者「マッサージ機とか、アロマとか、温泉の類とか」

魔王「妊婦はおやめくださいと注意書が」


従者「~~~ッ! ああっ、妊婦難しぃな!!」

魔王「簡単だったら悩まないよ」

従者「せや、音楽はあかんか?」

魔王「音楽。いいね、胎教に聞かせたりするらしいし」

従者「んならワイが、適当にCDでも買うてくるか?」

魔王「それだと予算的に低すぎないかと」

従者「…まぁ、安いのは確かやけど…どんだけ予算組んどるん?」

魔王「これくらい」ソッ・・・

電卓:ちーん♪

従者(・・・国家予算の二桁パーセント出すなや!! マジでシバいたろ!!)
バシーン!!

魔王「!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


従者「あー…。まぁこのへんにしといたろ」

魔王「あまりにひどい。どっからハリセンなんて出したの、それも鋼鉄だよねソレ」

従者「いや、ワイもほんまに使ったのは初めてやけどな。なんかやっぱコレかなと」

魔王「はぁ。まったく…しかしどうしようかな。音楽は悪くないとおもったけど」

従者「この予算が本気なら、もう楽団作れるやろ」

魔王「楽団か。いいな、俺が団員を創れば手作り感もでるし」

従者「なんや、手作り感て?」

魔王「これに書いてある」スッ


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従者「………胡散臭いわボケ!」バシー!!


魔王「酷いな、魔王の本なのに。わざわざ隣国まで行って買ったんだよ、それ」

従者「わざわざもなにも、変身して転移しただけやろ、すぐやんか!!」

魔王「む。従者には来世でキングスライムになる呪いをかけてやる」

従者「どんな呪いや! んなもんあるかい! アホ魔王!」

魔王「……男を組み敷いて悶えさせるだけの役割のキングスライムに呪いを変更しておこう」

従者「地味に嫌やわそんなん…精神攻撃は勘弁してや…」ズーン


魔王「では、決まったところでさっそく創ろう」パチン
モワモワ・・・

従者「あーあ…楽団ホンマに創るんかいな…まぁ、予算かからんでいいけどな」

バシュ! バシュシュシュ!!

人型魔物A「どうも、ヴァイオリン担当です!」
人型魔物B「こんにちは、チェロです」
人型魔物C「うぃーっす、ハープでーす」
人型魔物D「コントラバスが、でかすぎます!」


魔王「よし、ちゃんと楽器も作れた! これは自信作!」グッ

従者「創生術は歴代魔王の中でもほんま巧いよな、魔王…しかしこんなアホな魔物創った魔王はいないで…」ガックリ


魔王「世の中には才能の無駄遣いという言葉もあるよね」

従者「なぁ、ほんまに魔王らしくしよーや…」

魔王「お祝いだし、名前をつけよう。何がイイかな」ウキウキ

従者(あかん、魔王がロマンチストになっとる。赤ちゃんドリームに見事はまっとるな…)ハァ

魔王「よし。 『歓び』のチェロ、『楽しみ』のコントラバス、『幸せ』のハープ、…それから、『祝福』のヴァイオリンだ」

従者「…まぁ、あの姫さんに贈るならエエか。意外にまともな名前つけおったしな、やればできるやん魔王」

魔王「従者も、姫には相当弱いよね」クス

従者(はっ! ワイまで姫に操られてる!? 何が『祝福』や、魔王として全くダメやんけ!)


-----------------


<魔王城 姫の自室>

トントン…
魔王「姫、入るよ」

姫「! 魔王。どうしましたか?」

魔王「うん。君に贈りものがあるんだけど…どうかな」

姫「わぁ…なんでしょう?」

魔王「おーい、入ってこい」

ゾロゾロ

姫「…魔物さん、ですか? 4人も…」

魔王「ふふふ、なんだと思う? 練習もしてきたんだけど」

姫「はい、わかりました! こういうの、聞いたことあります!」

魔王「お。ボケなかったね、よかった。じゃあ早速紹介するよ、彼等は…」

姫「『四天王』ですよね!!」キッパリ!


魔王「え………… は?」

姫「赤ちゃんの護衛には最適ですね。ありがとうございます、魔王!」

魔王「あ、いや。これは」

姫「魔王が、こんなに気が利くなんてしらなかったです…、惚れ直してしまいました!」ニコ

魔王(どうしよう、『4弦楽団』だとか今さら言えない! 魔王として『四天王』のが余程正解すぎる!)

姫「練習もしてくれたなら、早速見せてほしいですね!」

魔王「あ、うん。じゃなくて、その…。な、何を見せてほしいか確認してもいい?」

姫「決めポーズじゃないんですか?」

魔王「それか! っていうか、だとしても四天王は戦隊ヒーローじゃないからね!?」

姫「出産祝いには早いけど、きっと赤ちゃんのいい友達になりますね! 兄弟ですかね?」

魔王「あー…うん」ポリポリ

姫「産まれたらみんなで決めポーズの練習もしましょうね!」ニコニコ

魔王(次期魔王の四天王がとんでもないことになった! 胎児に罠を掛けるとか容赦ない…ま、いいか。俺じゃないし)クス

--------------------


<さらに半年後 魔王城 姫の自室>

魔王「…もうすぐ生まれそうだね。身体は大丈夫?」

姫「はい。大丈夫です。…でも、ずっと城の中にいてつまらないですね」

魔王「うーん…これだけ目立つと、帝王城にも戻れないしね」


姫「そういえば、しばらく帰ってないですね。お父様は元気でしょうか?」

魔王「あー…元気だよ。あの貴族とやらもなんかコソコソしてるみたいだし、俺はたまに会ってる」

姫「貴族…。帝王国の、もう一人の継承者っていってましたよね…誰なんでしょう」

魔王「さすがに国家的な問題だし、そこは触れてないけど…やっぱ、必要な情報なのかな」


魔王「…こっそり、いってみようか。帝王様だけで会うなら問題ないだろうし。久しぶりに酒で呑み明かすのも悪くない」

姫「…んー最近、魔王に全然遊んでもらってないし、それもいいですけれど…」


姫「ね、魔王?」

魔王「うん、何かな?」

姫「酒で呑み明かすより…、今は、アレが欲しいです…。…いますぐ…出してください」

魔王「うん、ごめん! 今すぐ出したくなったものあるけど、きっと違うよね! 何かな!」ドキドキ

姫「その…玉の、中に…」

魔王「まって! まってね! 2段階で攻めるのはまってね! 妊娠してからちょっと余裕ないんだ!」

魔王「それはどんな玉かな!? 柔らかい玉に入ってるヤツを出して欲しいと期待していいのかな?!」

姫「いえ、固いです。きらきらしてて。中にお父様が映るやつです。 お父様は、やっぱり見るくらいで充分ですよー」

魔王「『水晶玉』だねコンチクショウ! 酷い罠だよ! 先走ってへんなもの出さなくてよかったよ!」

姫「変な魔王です。早く出してください」ジー

魔王「うん、ごめん。すぐに出すよ。ああもう、どうしてこうなったんだろう。俺、魔王なのに」ハァ

姫「私の奴隷になりたかったんじゃないですか?」

魔王「すごい発言だね!? さすが生粋の女王様! でも俺は奴隷の立場からの下剋上がしたかっただけだからね!!」

姫「はい、魔王の下剋上を楽しみにしています。私を『どこまでも深く支配』してください」クス

魔王「…………いい度胸だ、ご主人様」クス


魔王「さて…水晶玉っと」カタン

姫「お父様、何してますかねー?」

魔王「勝手に覗き見るのは申し訳ないな…あまり個人的な事をしていないといいんだけれど」

姫「いいんですよ、私のお父様なんですから」

魔王「まぁ、姫がそういうのなら」パチン
パァァァ…

~~~<水晶>~~~~~

帝王「ああ…また、今月の報告書か…」

侍女「はい。貴族様より、届いております」

帝王「嫌がらせを兼ねた、存在アピールか…まったく、なんでこのような…」

侍女「…先代貴族様は非常に優秀な人格者でいらっしゃいました。急逝されたのは仕方ありません」

帝王「だがあんな息子が引き継ぐなど…本当にどうしたものか。それで、姉姫のほうは…どのような様子なのだ?」

侍女「相変わらず、ですね。お屋敷のお部屋で、読書や裁縫などを楽しんでいる、と」

帝王「…『それしか与えていない』の間違いだろうに。ああ、姉姫や…許してくれ」

~~~~~~~~~~~


魔王「バッチリ個人的なことをしている最中を目撃してしまった…」ガックリ


姫「…今の話、なんでしょう。貴族と…『姉姫』?」

魔王「…姉? そういえば、姫に姉なんていたの?」

姫「はじめて知りました。もしかして、その姉というのがもう一人の継承者なんでしょうか…」

魔王「多分ね。…でも、何故貴族の所にいるのだろう…?」

姫「うーん…やっぱり、お父様に会ってみましょうか」

魔王「うん。…この間の貴族の件といい、やはり帝王様と話しておいたほうがいいかもしれない」

姫「では、行きましょうか!」

魔王「駄目、連れて行かない。姫は、今日はお留守番してて…俺だけで話がしたい」

姫「つまらないです…」

魔王「会えるようなら、帝王様にお願いしてみるから」ナデナデ

姫「はい…お願いします」

魔王「ん。じゃぁいってくる」パチン
ブン… パッ

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<翌日 魔王城 姫の自室>

魔王「帝王様に、少しだけ話しが聞けたよ」

姫「あの、姉姫っていうのはどんな方なんですか? 私の姉ですか?」

魔王「…双子の姉だそうだ。出生直後、忌み子として処分されるはずだった、ね」

姫「忌み子…処分、って」

魔王「当時、帝王様の右腕として活躍していた貴族の父…先代貴族に引き取られて育てられたそうだよ」

姫「…隠し子ってやつですか?」

魔王「隠してるのは隠してるけど、違うかな!! きちんと后様の子だからね!? 『忌み子』だってば!」

姫「すみません。それで、私はその方には会えるのでしょうか?」

魔王「…帝王様は『関知できない』そうだ。ただ、姫がお忍びで単身会いに行く分には…おそらく、可能だろうと」

姫「! 会いたいです!」

魔王「あの貴族の元にいるんだ。できれば、もう少し慎重に偵察してから行きたいのだけれど…」


姫「今すぐ会いたいです! 御姉様とか、憧れの代名詞です!」

魔王「うん、ごめん。先入観なのはわかってるけど、君が言うと『御姉様』すら卑猥に聞こえるから呼び方は考えようか」

姫「おかしな魔王です…。今日は間違ってないはずなのに…」ションボリ

魔王「あぁっ…落ち込まないで、ごめん。今すぐ連れていってあげるから!」

姫「本当ですか! 今すぐイキたいです! 一緒にイキましょう!」

魔王「いま明らかに変なとこにアクセントつけたよね、遊ばれてるかな俺?!」

姫「遊びたくても、遊んでくれないじゃないですか…」

魔王「まぁ、妊娠中で苦しそうだから控えてるだけで、やれば出来るんだけどね。お腹の中身は魔王だし」

姫「…あ…じゃあ、行く前に…アレ、して行きますか…?」モジモジ

魔王「……………しようか」クス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<貴族の屋敷に向かう道中 馬車>

ガタガタガタ… ヒヒーン…
魔王「あぁ…また騙されたよ…罠に引っ掛かった…何回目だろう」ガックリ


姫「あの流れで、えっちしようとするとか…逆に何を考えてるんですか?」

魔王「普通だよ! そっちの流れだったよ! なんで『アレ』で変身魔法なんだよ!」

姫「常識で考えてください。魔王が貴族の屋敷に行って、会わせてもらえるとおもいますか?」

魔王「う。…だからって、なんで俺が変身魔法で、自分を七変化させなきゃならないのかな?」

姫「? 魔王、遊んでくれるっていいましたよね? せっかくなら、似合ってバレない容貌にすべきですから試しました」

魔王「ああもう、俺が悪かったよ」ハァ


魔王「…っと、ここだね。 俺、ちゃんと人間に見える?」

姫「いかにも臣民って感じです。早くいつもの、格好よくて魅惑的な魔王に戻って欲しいです」

魔王「ああもうこれだからやめられないんだろうね俺は!!」

姫「誉めるのもだめですか?」

魔王「………黙秘」

姫「む。黙秘なんて許しません。今夜は部屋でまっててください。いっぱいします」

魔王「奉仕とみせかけて説教とかだよねきっと。うんわかってる。もう罠にはかからないよ、お断りだね!」

姫「違いますよ。魔王の素敵なとこをいっぱい褒めて話すんです」

魔王「逆トラップか! 断っちゃったよ!」

魔王「……いやまぁ、それなら無理にでも実行すればいいからいいかな。なんか楽しそうで想像が膨らむね」

姫「中身はいつもの魔王にもどりました♪」

魔王「うん、でもなんか楽しそうなことがいっぱい思いついて止まらない…。欲求不満かな、俺」ハァ


<帝王国 貴族の屋敷>

ガタガタ・・・ ギィ…
臣民(魔王)「…失礼します、こちらは貴族様の御屋敷ですよね?」

門兵「何者だ!」

姫「この陰嚢が目に入らぬか!」

門兵「えっ…」

臣民(魔王)「わぁぁぁぁぁぁぁぁ! 『印籠』だよ! なに出すつもりだ! 無いだろう! 狙ってたな!!」

門兵「ふ、不審者…だよな?」

臣民(魔王)「いや、帝王国の姫様とその従者です! …失礼しました」コホン


姫「(従者?)」コソ

臣民(魔王)「(そういうことにしておいて。俺のことはバらさないように)」コソコソ


門兵「…帝王国の…姫様、ですと?」

臣民(魔王)「…お忍びにて、姫様は貴族様にお伺いしたいことがある、とお伝えいただきたい」

門兵「…貴族様に聞いてくる、待たれよ」


臣民(魔王)「…うまくいくかな? あ、絶対俺の側を離れないでね、貴族と二人きりにはさせないように…って、聞いてる?」

姫「魔王、魔王。…もっかいして?」

臣民(魔王)「うん。いいけど、何を?」

姫「耳。コソコソッて…なんかキモチイイです」

臣民(魔王)「………………。 ごめん、早く帰りたくなるからやめてね」

姫「……? わざわざ会いに来たところなのに、変な魔王」

臣民(魔王)「天然系のMって、ある種Sにも共通するんだね。勉強になるよ」


スタタタタ…
門兵「…貴族様の許可がおりた。用向きは察したとの事だ。まずは謁見を」

臣民(魔王)「…ちっ。帝王気取りか、狸め」ボソッ


姫「……やっぱりこういうキツイ魔王が一番カッコいいのに、なんで普段は夜だけなんだろう」ボソ

臣民(魔王)「……何か、言った?」

姫「魔王、だいすきです。キツめにしてください、今すぐ…」コソ

臣民(魔王)「げふっ!?」バタンッ

姫「!?」

門兵「……何もない所で倒れるとは、従者殿は器用ですなぁ…」


臣民(魔王)(……ああもう…今日は罠の大売出しだ。…姉姫に会えるからテンション高いのか)プルプル

姫「あぅ…。間違えたみたいですね…」

臣民(魔王)「……何をどう間違ったのかすらわからない…」ハァ・・・

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中断します。
「夜の魔王と姫」を描写するべきか悩んでるので、ちょっと投下おくれるかもです。

魔王パパの魔王パパが頑張っちゃうお話しだったのか……

>>101 >.>102
もはやどれが魔王で、どの魔王がナニで、パパが誰なのかわからないww
どっからつっこめばいいんだww

というわけで、魔王が誰かバレてきたみたいなので加速投下します。
連投は気をつけますが、誤字脱字、名前欄のミスがあったらご容赦ください

↓からはじめます


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・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・

<帝王国 貴族の屋敷 姉姫の自室>


姉姫「…はじめまして姫様」

姫「貴方が…『姉姫』様…?」

姉姫「…はい。忌み子にて、こちらに匿われて密かに隠れ生きており…申し訳ありまs

姫「すごい! さすが双子、同じ顔です! にらめっこしましょう!」

姉姫「ん、でした……?」

臣民(魔王)「すみません、話を斜め240度で解釈すると思ってください。あなたの非は皆無です」

姉姫「…裏読みしてもだめなんですね。破天荒さはきいていましたが」


姫「御姉様と呼んでいいですか!」

臣民(魔王)「ごめん!俺の精神衛生的にやめようって言ったよね!」

姉姫「え、ええと…。あの、お好きに呼んでくださいませ…」

臣民(魔王)「援護射撃はご遠慮ください、撃ち落とされるのは俺なので」

姉姫「え? そ、それはどういう…」

臣民(魔王)「ああ、いや。…あまりここで立ち入ったことを話すのは、ちょっと。貴族様に聞かれてしまうと…」


姉姫「…この部屋は、完全防音で…他の部屋からもかなり離れております」

姉姫「貴族様は、私を忌々しいものと考えておられるので…直接的な関わりを避けておられます」

臣民(魔王)「…では、あなたは普段は一人きりでここに? 何か緊急の場合はどうするのです」

姉姫「日に3度、召使の方が食事を運んでくださいますので、その時に。簡易バスルームも部屋にありますので…」

臣民(魔王)「この部屋に…軟禁されているのか」

姉姫「…忌み子ですので、隠れて生きていけるだけで充分でございます」

臣民(魔王)「………まぁ、予想はしてたけどね」ハァ


臣民(魔王)「先程、貴族…様に、謁見をしてきましたよ」

姉姫「…はい」

臣民(魔王)「ある程度わかっていたので、本当はいろいろ言いたかったですがね。…貴女の為にも口は出せません」

姉姫「……ありがとうございます」

臣民(魔王)「ひとつだけ、確認させていただいても?」

姉姫「は、はい。なんでしょうか」

臣民(魔王)「……過去に、なにがしかの種類の暴力行為を受けたことは?」

姉姫「…ありません。ただ、ここにいるだけです。手が触れることなど、一度とてありませんでした」

臣民(魔王)「…わかりました」クル

臣民(魔王)「貴族様に、定期的にこちらに通う許可を頂いてきます」

姉姫「! それはっ」

臣民(魔王)「誤解しないでください。彼女と同じ容姿の方が、豚に閉じ込められているのが嫌なだけです。一種の監視ですよ」


姉姫「ですが、それは」

臣民(魔王)「…すぐに戻りますよ。一度、失礼します」
スタスタ… ギィ バタン

姉姫「…あ」

姫「お姉さま? 大丈夫ですよ、それに私はこれからも会いにきたいです!」

姉姫「…姫様は、とてもお優しいのですね」

姫「それより! お姉さまのお部屋、見せてもらっていいですか?」

姉姫「はい。ご自由にご覧ください」ニコ

姫「わぁ…♪ あ、すごい! 専門学の本に…手芸用品に…ふわぁ、これなんでしょう!」

姉姫「姫様は、とても活発で、明るいのですね。見ていると私まで元気が出そうです」

姫「そうですかね? では一緒に遊びましょう!」

・・・・・・・・・・・・・

トントン… ガチャ
臣民(魔王)「失礼。戻りました…制約つきですが、姫の来訪許可を頂いてきましたよ」

姉姫「…そんな…。 あの、お気持ちは、とても嬉しく思います…ですが」


姉姫「…ですがやはり…忌み子に関わるなど、よくない事です。…どうかお忘れくださいませ」

臣民(魔王)「………見られていないのならいいかな」ボソ

姉姫「…?」

臣民(魔王)「…自己紹介が遅れましたね」パチン
シュゥゥゥ…

姉姫「…お姿が…!?」


魔王「俺は魔王。絶望に寄り添う者。…忌むべきは貴女より俺ですよ」クク

姉姫「な…『魔王』…?」


姫「魔王!」

魔王「姫、大丈夫。ここでなr

姫「やっぱりそっちのがカッコイイです!!」ドーン!

魔王「う゛」ゴキュ

姉姫「!?」


魔王「」チーン


姫「……すみません、今のはうっかりです…」ショボン

姉姫(私はどこに注目するべきなんでしょうか!?)


・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・


姉姫「…大丈夫ですか?」

魔王「お恥ずかしい。本当に恥ずかしいです、もはや恥ではなく屈辱です、本当に」プルプル


姉姫「…そのような事は。むしろ、抱えられたビーナス像ごと突撃されて、無事な事を誇るべきです」

魔王「どうりでやたら重厚感のある一撃だと思いました…… って!」

魔王「なんでそんなの持ってたの姫!!」

姫「ここに置いてありました!」

魔王「だからって持ち上げないで!! 重くないの!?」


姫「魔王しってますか? ビーナスって海に投げた男性器に寄ってきた泡から産まれたらしいです」

姉姫「……!//」

魔王「…姫しってる? その男性器って、えっち中に息子に鎌で斬られて海に棄てられたんだよ」

姉姫「……!?!?//」

姫「また負けました…連敗続きですね」ショボン


魔王「雑学クイズで負けるわけない。だてに100年生きてないよ」クス

姉姫「クイズだったんですか!?」

魔王「しまった! ついいつもの癖で、姫の遊びに乗ってしまった…御前ですみません」

姫「おかげで、お説教はうまくかわせました!」

魔王「うん、せっかくの策なら最後まで本音は隠そうね」ナデナデ


姉姫「……それは遊び…なんですか?」

魔王「一般的な遊びではないですがね」ハァ


魔王「1度言い負かしたら、姫が繰り返してくるようになって…、以後は夜限定の遊びになりましたよ」

姫「昼でもいいじゃないですか?」

魔王「君の出してくる雑学が、昼に向かないんだよね! どこでそういう情報手に入れてるの!!」

姫「侍女さんの持ってる本とか、ゲームとか、いろいろです。侍女さんの部屋で待機することが多かったので」

魔王「あんな立派な子にそんな趣味が!? 侍女が大元だったのか!!」


姉姫「…あの」

魔王「あ。すみません。なんだか姫につられて、俺まで騒いでますね」


姉姫「いえ。とても楽しそうで、羨ましく思いました…あの、よければ私も参加しても…?」

魔王「え、姉姫様がですか?」

姉姫「迷惑、でしょうか。…私は、これまで誰かと遊んだ事がないので…」

魔王「おっと…それはそうか。じゃぁ是非、参加してもらおうかな」クス

姫「お姉さま、やりましょうやりましょう! 昼でも解禁です!」

魔王「いや、昼向きの雑学でいいですから」ハァ

姉姫「その…どうすればよいでしょうか」

魔王「…じゃあ、ビーナス関連で相手の知らない事を言ってください。相手が知らない事を言えたら、貴方の勝ちです」


姉姫「ビーナスですか…」ウーン

姉姫「あ。絵画のビーナスのモデルになった女性は、シモネッタという方だと言われてますがご存じですか?」

魔王「…シモネッタ…」

姫「…下ネタ…」

姉姫「!? し、シモネッタです!//」

魔王「姉姫様まで…夜のネタをだしてくるとは。遺伝なのか…?」

姉姫「違います!//」

魔王「まぁ、いいです。このクイズゲームで初めて俺が負けましたよ」クスクス

魔王「そうですね、何か賞品を贈りましょう…何がいいですか?」

姉姫「いえ、私は何も…」

魔王「『魔王に勝った記念』なんて2000年は奉られて、いい金になるのに」ボソッ

姉姫「!?」


姫「あ。魔王、魔王」ツンツン

魔王「うん、何かな?」

姫「賞品は後回しです。後ろ向いててください、30分程」

魔王「うん、それはいじめだよね! ちょっと悲しいな!」

姫「ちがいますよ。着替えるので、見ないで欲しいのです」

魔王「ああ。これは失礼」クル

魔王「…って、なんで着替え?」


<お姉さま、これ来てみてくださいー持ってきたのです モゾモゾ
<ひゃっ、ま、まってください…そこに魔王さまがっ
<振り向きません、大丈夫ですよー
<やぅ!? じ、じぶんでできます! 脱がせちゃだめですっ
<おねーさま、肌白いですねー
<外に出たことありませんからっ!! ひゃ!
<恥骨がセクシーです!
<それは鎖骨です! 場所が違っ、まってくださいっ


魔王「…ああ見たい…。やっぱり、いじめじゃないか…」ズーン

・・・・・・・・・


姫「魔王、振り向いてみてくださいー」ワクワク

魔王「もういいの? …いや、よくないと嬉しいんだけど」

姫「はい。新しいゲームです! その名も、『どっちがどっちでSHOW』!」

魔王「ゲーム?」…クル


?「……」

?「……」


魔王「うわ…すごい。衣装とか髪型を揃えると…本当に区別がつかないね」


?「……」ニコニコ

?「……//」


魔王「うん、まぁどっちがどっちかはバレバレだけど。こっちが姫だね」ナデナデ


姫「どうしてわかっちゃったんですか!?」

魔王「黙っていても、姉姫様のほうが、おしとやかでお姫さまらしいのが明白だから」キッパリ

姫「ひどいですよ魔王!?」

姉姫「そうですよ、魔王様。私など、とても姫様と比べられるような人間ではありません」クス

魔王「いえ、貴女の方が姫様らしいです。忌み子を取り違えたとしか思えません」キッパリ

姉姫「そ、そのようなことは…」

魔王「…しかしさすがに双子ですね。雰囲気以外はよく似ていらっしゃる」

姉姫「ふふ。姫様の方がよほどかわいらしいです」チラ


姫「……次は容姿と雰囲気を隠して…夜、魔王のベッドにこっそりお姉さまいれたら気付くでしょうか…?」ボソボソ


魔王「…言動意外についてなら、可愛らしさも否定しませんがね」ハァ


姉姫「…ですが、少し意外でした」

魔王「何がですか?」


姉姫「姫様についてお話の魔王様のお顔…とても『魔王』だとは思えなくて」

魔王「あー。確かに俺は魔王らしくないとよく言われますよ。人間に感化されすぎてるようで、格好つかないと」

姉姫「いえ、魔王様は凛々しくあらせられますよ。そうではなく…」


姉姫「あまりに、姫様の事をいとおしそうに見つめ、幸せそうに笑われるので」クス


魔王「あ……。これは、まいったな」クス

魔王「…姫の腹には、俺の子がいてね。動き回ることもできないし、よかったらまたこの部屋に遊びに来てもいいかな」

姉姫「はい、喜んで。今日は人生で初めての…楽しくにぎやかな1日でした」


姉姫「私は常に、ここにいます。どのような時でも、お二人を歓迎いたします」

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・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

<1年後 帝王国 貴族の屋敷>

ブン…パッ
スタッ スタ、スタン
姫「お姉さま! 遊びに来ました!」

姉姫「! 姫様、魔王様。 ようこそいらっしゃいました」ニコ


魔王「うーん…貴族を通すのが面倒だからって、いきなり女性の部屋に転移するのはやっぱりなぁ…」

姫「ちゃんと、私が水晶でお姉さまの様子を確認してるからいいじゃないですか」

魔王「前々回、姉姫様が入浴してるのを確認したクセに、急いで俺に転移させたよね!?」

姫「お姉さまとお風呂に入りたかっただけですよ?」

魔王「正直、あれは拷問だった」


?「…ハァ」

姫「? …どうして後ろに隠れているのです?」

?「…また、あねひめさまが はだかになるところだと こまるから」

姉姫「……あ、もしや幼魔王様でしたか。そ、その事はお忘れください//」


姉姫「……それにしても少し見なかっただけですのに…お、大きくなりましたね…」

魔王「ああ…まぁ、成体化までは早いんだ。1年近くあれば、魔王の子なら人の5歳くらいにはなるかな」

姫「幼魔王ちゃん、お姉さまにご挨拶は?」

幼魔王「あねひめさま。おげんきそうで なによりです」ペコリ

姉姫「……(どうしましょう。すごく可愛いです!)」


姫「今日は何して遊びましょうか! トランプもってきましたよ!」

幼魔王「ははうえは、さいしょから トランプするつもりですね」

魔王「幼魔王がツッコんでくれるようになって、楽になったなー」シミジミ

姉姫「……」クス

・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・

<さらに1年後 帝王国 貴族の屋敷 姉姫の自室>

ギィ…バタン
臣民(魔王)「あぁ…疲れた。なんで1時間もあの貴族に謁見してなきゃいけないんだ…」

姫「おかえりなさい、魔王。私たちは先にお姉さまと遊んでいましたよ!」

臣民(魔王)「うん。代わりに俺が、姫についていろいろ聞かれたけどね。やっぱ何か企んでるな、あれは」

姫「企む…ですか? 何を聞かれたのです?」

臣民(魔王)「最近の姫の動向とか…。替え玉の侍女のことだけ話しておいたけど、のらりくらりと引っ掛けようとしてくる」

姫「…何がしたいのでしょう?」

臣民(魔王)「帝王様ともいろいろ話してるけど、目立った行動が掴めなくて、正直わからない…『何もない』としか言えない状況」

姫「本当に、何もないのでは?」

臣民(魔王)「…そうは、思えないんだけどね」パチン
モワモワモワ…


魔王「とにかく、疲れたよ。俺は少し休憩させてもらいたい」ドサッ

幼魔王「父上。…休憩もよいですが、そろそろ昼食にしましょう」

姫「あ。そうですねー。たくさん遊んだら、お腹もすきましたね」

姉姫「そういえば、姫様の好きなものはなんでしょうか?」

姫「そうですねぇ…お稲荷さんの、ぷにぷに感と、それをもみしだくのが好きです! 来る前にもしてきましたよ!」

魔王「」ブハァァァ!

魔王「ちょ、姫! ばらs//」


姫「魔王? どうしました?」

つ昼食用のいなり寿司

魔王「~~っ、いまのは俺が悪かった!! けど流れからしてすごく納得いかない!」

姫「? なんのことですか?」ジー

魔王「うん、ごめん。お願いだから今は追及しないでくれないかな…」ドヨン

姉姫「……//」

幼魔王「ハァ…」


・・・・・・・・・・・・・・・

姫「ごちそーさまでした! 幼魔王ちゃん、変身して、一緒に外で腹ごなしに遊びましょう!」ニコニコ

幼魔王「何をするのです」

姫「かくれんぼしましょう!」

幼魔王「…転移術をつかえばすぐに見つけられるので嫌です」

姫「じゃあ…おいかけっこ?」

幼魔王「…普通に歩くだけでも、母上は俺より遅いでしょう」

姫「んーじゃあ、縄縛り!」

幼魔王「………」

姫「決まりですね!」ニコ

幼魔王「ハァ…」パチン 
モワモワ…

幼臣民(幼魔王)「何故、俺が縄跳びなんて…」ブツブツ
テクテク…


魔王「…すごいな。いつの間にか息子に、自動翻訳機能がついてる…」


姉姫「姫様は…なんというか、相変わらず大変ですね//」

魔王「息子のほうが、大人びているからね…あれはどうなんだろう」ウーン


姉姫「幼魔王様の成長ぶりは、すでに人で言うところの15歳くらいでしょうか」

魔王「うん、それくらいかもね。このあと、成体化の儀を行う予定だから」

姉姫「成体化の儀、ですか?」

魔王「人で言う、成人式のようなものだよ」

姉姫「そうですか…まだ、生まれて2年ほどですのに…あっという間なのですね」

魔王「…あれでも、将来の魔王だからね。必要な事はさせておかないと」

姉姫「幼魔王様の新たな門出を、お祝い申し上げます」

魔王「…姉がまともすぎて、いろいろ人生の選択を間違えた感が半端ない」

姉姫「ふふ」


姉姫「これからは、私の分まで姫様をよろしくお願いいたします」

魔王「…気づいていたのですか」

姉姫「いえ…姫様から聞きました。こちらにくるのも最後になるから、と」


姉姫「昼食の…手料理の持参など、初めてで驚きましたが。稲荷寿司、とても美味しかったです」

魔王「うん、俺がせっかくタイミングを見計らってたのに、あっさりばらしたんだね姫は。予想の範疇なのが切ないな」


姉姫「…幼魔王様の成長と共に、魔王様はその魔力と瘴気を分け与えられていると聞きました」

魔王「魔王は魂ごと、後継に移譲するからね。成体化の儀では、大部分を移譲する」

魔王「もちろん俺が死なない程度に残してはおくけど、こうして国を出ると人間と変わらない程度になってしまうんだ」

姉姫「…そう、だったのですか」


魔王「そうなれば…姫を連れて転移することも…変装用の変身術も使えなくなる」

魔王「…城を出るのも、身を守る手段がない以上…難しくなるね」

姉姫「…幼魔王様では、まだいろいろと実経験不足で代わりにはなれないでしょう。仕方のない事ですよ」


魔王「姉姫様…頼みがあるんだけれど、いいかな」

姉姫「私に出来ることがあれば、なんなりと」ニコ

魔王「言葉通りに甘えていいのかな。それは本心かい? 社交辞令は必要ないよ」

姉姫「魔王様のおかげで、姫様はとても楽しそうに幸せそうに生きています」

姉姫「…魔王様のおかげで、私も姫様と会えるようになったのです」

魔王「……」

姉姫「魔王様には感謝しきれない程によくしていただきました。ですから、出来ることがあれば何でもします」


魔王「…ありがとう。では、息子を君に頼みたい。これは俺と姫の二人からの頼みだよ」

姉姫「…幼魔王様を、ですか? …それはどのような意味でしょう」

魔王「息子は、君の事が好きなようだから、このまま会えなくなるのは可哀想でね」クス

姉姫「……。それは、幼魔王様が仰ったのですか?」

魔王「いや。勘かな」


姉姫「…もし、幼魔王様が…私にそのように本心から仰っていただける時があれば」

姉姫「…その時は、私は全力で応えるとお約束できます」ニコ


魔王「君にその気がなければいいんだよ?」

姉姫「ふふ。そんなこと、あるわけないじゃないですか」

姉姫「…ですが、幼くとも将来の魔王様ですから。望まぬことを押し付けるわけに参りません」

魔王「…君ならば、きっと最高の后にもなれるかもしれない。楽しみだ」

姉姫「それを、幼魔王様が望まれれば…とだけ」


魔王「うーん。ほんとに、君の爪を姫に飲ませてみてもいい?」

姉姫「『お姉さまに変身できる薬じゃないんですか! 騙しましたね!?』とか騒ぎますよ?」クスクス

魔王「…やめておこう。何をされても謝りたくなるし、余計な謝罪は減らしたい」

姉姫「魔王なのに?」

魔王「魔王だから、かな。…あまりに清く美しいものには弱いんだ、きっと」


姉姫「ふふ。…いままで、ありがとうございました。…魔王様」

魔王「こちらこそ感謝する」

姉姫「私は何もしておりませんよ?」

魔王「……」


魔王「君が“ココ”に来てくれなければ…きっと、姫に会えていなかったから」

姉姫「…忌み子は私です。姫様の方がココにきていたかもしれない、なんて…有り得ないですよ」クス

魔王「いや、俺は結構本気で、忌み子は取り間違えたんだと思ってるけどね。確信できるよ」

姉姫「そ、そうですか?」

魔王「でも…君が姫だったら、魔王調伏なんてしにこなかったろうし。姫がココにいたら…」

姉姫「…いくら姫様でも、部屋からは出られないでしょうね。貴族様は大変厳しく、私を隠しておいでですから…」

魔王「…うん。姫が直接会いに来たから…貴族の野心故に、君に会わせてもらえただけだ。以降の接触もなるべく避けてるしね」

姉姫「……」


魔王「すまない…君にとって、不自由な人生だったろうから、こんなことを言われては腹をたてるだろうね…」

姉姫「いえ。確かに不自由もありましたが…」

姉姫「ですが、それのおかげで実の妹と魔王様に幸福の機会を贈れたのなら…こんなに生き甲斐のある人生はありません」ニッコリ

魔王「…ありがとう」


魔王「さっきの話だが…俺達は来れないが、息子一人ならば来れるだろう。自身だけならば身も守りやすい」

魔王「今しばらく、あいつを貴方の側に居させてやってくれないか?」

姉姫「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

魔王「うん。じゃぁ、頼んだよ。厳しくしてやってくれていいから」クス


<やっほー! やっほー!


魔王「…あれ? なんだか外で騒いでるな…どうかしたかな?」

姉姫「窓を開けてくだされば、見えるかと。私は…窓には近付けませんので、お願いいたします」

魔王「うん」パチン
モワモワ…


臣民(魔王)「よいしょっと」

ガチャ・・・バタン

臣民(魔王)「はいはい。どうかした?」

姫「いつまで二人きりでいるつもりですかー? 性交を深めちゃいやですよー!」ブンブン

臣民(魔王)「『親交』だね! 深めるのは親交だからね!? 姉妹丼とか俺どんだけディープなんだよ! 深めすぎだよ! ちょっと期待しちゃうよ!?」

姉姫「……//」

臣民(魔王)「はっ! つい本心が!」

姉姫「…あの…//」

臣民(魔王)「いや、あの。ちょ、姫! 姫つかまえてくるからっ」

臣民(魔王)「おーい、幼臣民! こっちきて姉姫様のとこについてあげて!」

幼臣民(幼魔王)「父上、交代が遅すぎます…俺は疲れました」

臣民(魔王)「ご、ごめん。いますぐ代わる…!」
バタバタバタ・・・バタン

姉姫「くす。慌てて走る魔王の姿というのは、なかなか貴重なのでしょうね」


ブン・・・パッ
スタ
幼臣民(幼魔王)「姉姫様。来ました」パチン
シュゥゥゥ・・・

姉姫「幼魔王様…。 ふふ、ありがとうございます」

幼魔王「はぁ…。母上の相手は疲れます」

姉姫「姫様は…本当に活発な方ですからね」クス


幼魔王「…しばらくここに居させてくださいませんか。話相手くらいにはなれると思いますので」

姉姫「もちろんです。…ですが姫様などと呼んだり、そのように畏まらないで下さいませんか?」

幼魔王「…ですが」

姉姫「次期魔王ともいう方に…そのように振る舞われては、私はどうしたらよいのか悩んでしまいそうなのです」

幼魔王「そうですか…。姉姫様を悩ませたくはないで…ないな」

姉姫「クスクス…幼魔王様の方が遥かに身分が高いのです。どうぞ使用人にするような振る舞いをなさってください」

幼魔王「母上の姉に、そのようにするわけにはいきません。ですが善処はしようと思いま……思う」


姉姫「……」

幼魔王「…ちっ」

姉姫「クスクス…」

幼魔王「笑わないでください…」ハァ・・・

姉姫「あぁ、もう本当に。私の回りにあなた達がいてくれるだけで、私はとても幸せなのです…どうしたら伝わりますか?」


幼魔王「…ですが、母上も、父上ももう来れないと聞いています。俺が大きくなりすぎたから…」

姫「よいのですよ。私はあの二人の子である幼魔王様の成長を、一番に嬉しく思っているのですから」ニコ


幼魔王「姉姫様と母上を…ようやく出逢えた姉妹を、俺は引き裂いてしまったのですか?」

姫「…いいえ。幼魔王様は、出逢いです。私は、幼魔王様に出逢えた事はとても幸せなことだと感じています…」

幼魔王「ですが…」

姫「ふふ。また言葉が戻っていらっしゃいますよ?」

幼魔王「あ」


姉姫「ふふ。幼魔王様は大変に可愛らしくあらせられますね」

幼魔王「姉姫様に子供扱いされるのは、すごく嫌で…嫌だ!」ムン

姉姫「クスクス」

幼魔王「む。なんだ。これでもまだ子供扱いするつもりか?」

姉姫「子供でよいのです。幼魔王様は気など遣わずに、ありのままでいらっしゃってください」ニコ

幼魔王「…っ」


幼魔王「…ハァ・・・」


幼魔王「…姉姫。俺はおかしいのだろうか。このままでは、母上の姉である貴方を…愛してしまいそうだ」

姉姫「…光栄で身がちぎれそうです。ですが幼魔王様は、まだ幼くあらせられます。私などに想いを寄せるのは、母親像を重ねているだけかと…」

幼魔王「ちっ。また歳を盾にされるとは」

姉姫「くすくす。まだ、お産まれになって2年と少しです。仕方ありませんよ」

幼魔王「そのようにはっきり断られては手が出せないではないか!」

姉姫「………え」


姉姫「…あ、あの。手を出すとは…?」

幼魔王「…あ。これは、つい、本心が漏れすぎて…」

姉姫「ほ、本心なのですか…//」

幼魔王「う……」


幼魔王「…忘れて欲しい。今、ドツボにはまって落ち込んでいるので…なんかもう…」ズーン

姉姫「幼魔王様は、とても魔王様に似ていらっしゃいますね…//」

幼魔王「わかってるから言わないでくれ。以後、気を付ける…」ハァ・・・


姉姫「…以後も、来てくださるのですか?」

幼魔王「…姉姫さえよければ。俺は…あなたの側にいたい」

姉姫「とても嬉しいです。いつでも、幼魔王様のおいでをお待ちしています」

幼魔王「……姉姫」

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・・・・・・

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<数日後 魔王城 玉座>

魔王「さて。準備はいいね…幼魔王。成体化の儀を行うよ」

幼魔王「はい、父上」


魔王「畏まらなくていい。ただ少しだけリラックスして。突然魔力が昂るから、興奮することもあるかもしれない」

幼魔王「……はい」スッ・・・

魔王「うん。そのまま立ってて。胸に手を、当てるよ」

スッ・・・ピタ

魔王「なるべくゆっくり入れるけど…、痛みが強すぎたり、苦しすぎたりしたら言うんだよ」

幼魔王「苦しいのですか?」

魔王「魔力攻撃と変わらない。でも、受け入れて」

幼魔王「…わかりました」


姫「魔王…私はどうしていたらいいですか?」

魔王「…ああ。幼魔王が痛がるかもしれないし、あまり見せたくないな…。別の部屋に行っててくれる?」

姫「…ですけど」チラ

幼魔王「…母上、俺は大丈夫ですから。出ていて下さい」

姫「んー…わかりました!」

姫「では、幼魔王ちゃんに成体の儀の完了祝いを用意しておきます! お料理でもしましょうか!」

魔王「ああ、それなら宝物庫にでもいくといい。姫がいいと思う物を選んであげて」

姫「宝物庫ですか? 行ったこと無いですね?」

魔王「従者に案内を頼みなよ、分からないことがあれば聞くといい」

姫「はいっ! わかりました!」
テテテテ・・・


幼魔王「父上…。 宝物庫の物を出して、よいのですか? 貴重な物だと聞いていますが」

魔王「あそこにはいい剣とか魔具が揃ってる。どれを選ぼうと、きっとお前の役に立つよ。受け取りなさい」クス

幼魔王「ありがとうございます」

魔王「いいよ。どうせいつかはお前のものだ」

幼魔王「……そう言われると、複雑です」

魔王「まぁまぁ。…じゃあ、はじめるよ」

スッ・・・

ピタ

幼魔王「……はい。はじめてください」


魔王「『譲移』!」ブォン…


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・・・・・・・・
・・・・

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<魔王城 執務室>

姫「従者さんいますかー?」


従者「…ん? 姫さんやないか、どうした。幼魔王の成体の儀は終わったんか?」

姫「追い出されちゃいました…」

従者「ああ…。せやな、見ぃひん方がええわ」

姫「そんなに怖いものなのですか?」

従者「幼魔王は魔力値高そうやし、平気やとは思うけど…」

姫「魔力値?」

従者「魔王はあれでかなりの力もっとるからなぁ。全部じゃなくとも、溢れてもおかしゅうないわ」

姫「…? 溢れるとどうなるのですか?」

従者「暴走するやろな」

姫「暴走?!」

従者「大丈夫やて。魔王は器用やし、うまいこと調整しながらやるやろ」

姫「…器用ですかね…」


従者「あー。あの魔王に馴れたらわからんか」

従者「普通、あそこまで魔力や瘴気を使いこなす魔王はおらへんで。あいつは天才やな」

姫「そうなんですか?」

従者「そや。創生術とかは歴代でもズバ抜けて巧いしな。楽器みたいな繊細な機能をもつ外観なんか普通つくれんよ」

姫「あ、だからいつも、ブルブルちゃんとかグルグルちゃんとかも、ポンポン出せるんですね…」ハァ

従者「……なんやその、ブルブルちゃんて」

姫「小さいスライムです…可愛いくせに、かなり凶悪なんですよ、アレ…。何度泣かされたか//」

従者(部屋で何してんのやコイツら! 魔王は才能を無駄遣いしすぎや!)


従者「ああもう…そないな話はええわ。姫さんは何しにきてん、ワイに用か?」

姫「あ、そうでした。魔王のいない内に、オタカラを狙いにきました」

従者「え…………ワイの?」

姫「? 魔王に宝物庫にあるって聞いたので、案内してほしいです」

従者「せやろうな」ハァ・・・


従者「あかんで、姫さん。ワイやなかったら、あっちゅーまに喰われてんで」ポンポン

姫「すみません…また、間違いましたか?」

従者「えーよ、別に。変なことゆーて堪忍な」

姫「くす。従者さんも、魔王みたいにすぐ謝りますね」

従者「せやなぁ。姫さん見てると謝りたくなんのや。…自分、カーシモラルが原型やし、この先なんかやらかすんかもな」

姫「カー…?」

従者「ワイの外観の話や。過去や未来を知ってるとかいう悪魔。魔王はそのイメージでつくったゆーてたで」


姫「悪魔! なんかオシャレですね!」

従者「ほんま感覚おかしいんちゃうか…せやけどまぁ、うれしぃわ。ありがとーな」ポンポン

姫「私、感覚おかしいですか? 未来を知る悪魔って、普通にかっこいいですよ?」 

従者「……ああ、おかしいのはワイやな。あかんあかん」

姫「?」

従者「気にしんとき。魔王がいる限り姫さんは大丈夫や」ポンポン

姫「…やっぱり、魔王の言うとおり私は『生粋の女王様』なんですかね? 謝らせる才能?」

従者「女王様て…。魔王、ほんまにMに堕ちたんか…?」

姫「いえ、相変わらず酷いSです…//」

従者「……ほなら、正しくは『女帝』やろ。魔王まで間違えとるやないか。あほな事いっとると置いてくで」スタスタ

姫「あっ、待ってくださいー!」スタタタ・・・

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<魔王城宝物庫>

ギィィィ… バターン…
姫「わぁっ……これはっ」


姫「…禍々しいです!」ガーン!

従者「魔王城の宝物庫やしな」ウンウン


姫「金ぴかみたいの想像してました…」

従者「金銀財宝とかか? こんなとこにあらへん、金は全部、執務室や」

姫「金庫とかじゃないんですか?」

従者「金なんて、人間との交易でやり取りする以外につかわへんしな」

姫「無いんですか、お金?」

従者「………多分、見たら腰ぬかすくらいあるなぁ」

姫「ふぇ?!」

従者「はぁ…魔王もこの100年は、かっちり仕事してたっちゅーこっちゃ。すっかり人間くさくなってもーて…」


姫「人間は、臭いですか? 私も臭いですかね?」クンクン

従者「ぶっちゃけ姫さんはいい匂いしすぎやね、せやしあんま寄らんとって」

姫「…誉められたか、嫌われたかわからないですよ?」

従者「嫌いなわけないやろ。…好きやで」

姫「う//」

従者「あほ。何赤くなっとんのや…魔王に言いつけるで。あとワイも調子のる」

姫「はぅ…//」

従者「冗談やって、姫さんは娘みたいなもんや。ほれ、適当な宝、探してきーや」

姫「あ、そうですね!では探してきます!!」
スタタタ・・・


従者「………まぁ、魔王が幸せなんが、ワイにとっちゃ一番やからな。しゃーない……」ボソ

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・


姫「お待たせしました!」

従者「えらい時間かかったな。何にしたん?」

姫「剣とかもいいけど、母としてはあまり物騒な物は嫌ですし…コレにしました!」キラン

従者「………………いや、それ…」

姫「ちゃんと取扱説明書がついてるみたいですよ! 新人の幼魔王ちゃんにぴったりです!」

従者「……まぁ、生体の儀の後なら、ええか…」ポリポリ

姫「?」

従者「幼魔王の部屋の枕元に置いとき。まぁ使うやろから」ニヤーリ

姫「な、なんかすごいワルい顔してますよ?」

従者「こーゆーのは最初が肝心やからな…魔王みたいになったら困るさかい、躾といたろ」フッフッフ

姫「…? じゃあ、置いてきますね」
スタタタ・・・

従者「南無参」ナムナム

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・・・・・・・・・・
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<夜 魔王城 魔王の自室>

魔王「んー。しかし、何事もなく儀が終わってよかったよ」

姫「従者さんが、暴走することもあるっていってましたが…元気いっぱいって感じでしたね、幼魔王ちゃん」クス

魔王「才能までは見えないけど、純粋な魔力量がかなり高いね。強い魔王になれるよ、あいつは」


姫「そういえば、魔力で昂るって、どんな感じなんですか?」

魔王「……それはもう、『元気いっぱい』って感じ。今頃、寝れなくてモゾモゾしてるかもね」クス

姫「じゃぁ、プレゼントはもう見ましたかね!」

魔王「きっとね」


魔王「……ところで、姫?」

姫「?」

魔王「頑張った俺にも、プレゼントくれないかな」

姫「いいですけど…、今は用意してないですよ?」

魔王「大丈夫。『こういうの』は、俺が用意するから」パチン
モワモワ・・・

バシュン!!

姫「あぅ!」ギチッ…

魔王「まずは、ラッピングのリボンから」クス

姫「う…縛りすぎ、です。きついですよ、魔王…。それに、ラッピングは、最後にするものです…」ギチリ…

魔王「中身はもうあるじゃないか。ああ、それから包装紙も大事だよね」パチン
モワモワ・・・

バシュ

姫「っ、……やっ、服が!!」

魔王「最大限に露出してみました。このチラリズム文化は至高だよね」


姫「やぁ・・・」モジ

魔王「そうそう、動いてくれるとよく見える」クス

姫「う」ピタ

魔王「…うーん…もうちょい、かな」パチン
モワモワ・・・

バシュ

姫「!? むぅぅっ!んんっ」ギチ

魔王「口輪と首輪。これはなかなか扇情的。今日はこんな感じでいいかな?」

姫「むぅぅ~~っ、むぅぅ!!」モゾモゾ

魔王「気に入ってくれたようで何よりだ…」クスクス


魔王「よし! とりあえず恒例のアレから行こうか。今日は特別な日だから出血大サービスで」パチン
モワモワ

バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、!! 

桃スライム×7「「「ピピィ♪」」」プルン

姫「!? むぅぅ! むぅっ!! むぅ~~っ!」ジタバタ


魔王「なんと。いつものとそっくりなスライム作って驚かそうとしたのに、無意識に本物をつくってしまった」

魔王「もはや魔王の術の殿堂入りだな、コレ…これからはいつでも簡単に創れるかも」クスクス

姫「むぅぅっ!! んんんん! むぅっむううう!」

魔王「さてさて。なにか抗議しているようだけれど……聞こえないね」スッ

ツンツン…
桃スライム×7「「「ピイッ!!」」」ブルブルブルブル

魔王「よし、行け!」

姫「~~~~っ!?」ビクッ


・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・


姫「む・・・ぅ。んんんっ、むぅっ…」ビク、ビク…

魔王「うーん…やっぱり、口輪は声が聞こえなくてつまらないかな…」スッ・・・

カチャ

姫「っぷは…。あっやっ…、魔王、もうっコレ、やめてくださっ、んんっ!」ビクン!

魔王「うん。俺も、偽物いっぱいの中から、本物はどーれだってするつもりだったんだけどね」クス

魔王「せっかく、いっぱい創ったから…仕方ないよね? それとももっと欲しい?」

姫「やぅっ…! はぁっ…も、だめぇっ…//」ポロ


魔王「あれ、もう泣いちゃった?」

姫「やめ、んんっ…やめて、くださっ…あぁっ!!」ポロポロ

魔王「可愛い。やっぱ泣いて懇願する姫が一番可愛い。大好きだよ」ナデナデ

姫「や! だ、めぇ、撫でちゃ…やめなさっ…ぁあんっ!!」

魔王「それ…俺に、命令してるの?」クス


姫「~っ、ふぁぁっ!! こんな、のっ! やめてくださっ、お願、おねがいだからっ、もっと普通にっ、あ、あああっ!」ポロポロ

魔王「残念。今日は俺、疲れてるから…貰うだけはもらうけど『あげるつもり』はないんだよね」ナデナデ

姫「~~~っ、やぁぁっ、あぁっ、んんんっ!?」

魔王「いいプレゼントになった。子守唄をありがとう。おかげでぐっすり眠れそうだよ、姫」クス


<うわ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?


魔王「………は?」

姫「ふぁぁっ…も…やぁ…!//」ビクン!

魔王「…いや、今の明らかに姫じゃない悲鳴だったよね…?」


<とま、とまれ! とまれふざけんなぁぁぁぁ!!


魔王「…幼魔王…? あいつ何やってんだ?」


魔王「…仕方ないな。姫、ほら。 一回止めてあげる」ヒョイ

桃スライム「ピィ…」ジワァ


姫「ふ、ぁぁ…//」ポー

魔王「姫、幼魔王が叫んでる。なにかした?」

姫「ん…プレゼント…まくらもとに…おいて、あげ、ましたぁ…」クテン

魔王「何をあげた?」

姫「きれーな…ちいさい…すいしょう…です」パタリ

魔王「……………小さい…水晶…?」ナデナデ

魔王「………」ナデナデ


魔王「………!! 封印の水晶かっ!?」ガバッ

姫「…」クタ・・・

魔王「~~っ、幼魔王、無事だろうな!?」パチン
ブン・・・・・・パッ

----------------


<魔王城・幼魔王の自室>

ブン・・・パッ
スタッ
魔王「幼魔王! 無事か!?」


幼魔王「!! 父上!? ちょ、これはっ違!」

淫魔「新しい魔王ちゃん、とってもかわいい☆ 美味しすぎてやめられない止まらない♪」ジュポ、ジュポ…

幼魔王「ぅあっ!?」


魔王「………ああ…息子が、大人の階段を… 登りまくってる」ハァ・・・


幼魔王「冗談いうくらいなら出てってください!!」

淫魔「怒ると元気になる、不思議な蛇口に大満足♪ ふぁぁ、もっと奥にぃ~☆」


幼魔王「~~~~~っ!! このクソ淫魔め、止まれ! いい加減にしないと消すぞっ!」イライラ

淫魔「いやぁん☆ いいから早く か・け・てっ♪」グィ

幼魔王「ぅあっ!? ~~~~~っ!!」

淫魔「ふぁぁ☆ 溢れ出ちゃう♪ もーいっかい☆」


幼魔王「……ああああああもう我慢ならん! 父上、それ貸せ!」ガタン、ガチャ!

魔王「あっ、俺の剣……」


幼魔王「このクソが、ブラックホールみたいに吸うな!!」チャキン

淫魔「ちょっとくらい枯れてもハンドル捻れば~…♪」ムニュ、グイ

幼魔王「~~っ!?  や!め!ろ!!!」ザクー-!!

淫魔「あんっ! いいとこだったのにぃぃぃ…」シュパァァ

幼魔王「…はぁ…はぁ……はぁ…」

・・・・・・・・・。


幼魔王「き、消えた…? 斬った手ごたえが…ない?」ハァ…ハァ…

魔王「よかったな…ちゃんと『絶対命令』に『やめろ』を設定してたんだな、おまえ。無事に再封印されたんだよ」

幼魔王「~~~っ」プルプル


魔王「あー…なるほど。取説よんで、頭から順に実行したのか…まぁ、淫魔って聞いたら試したくなるよね」パラパラ

魔王「でもこういうのは一回全部、最後まで読んでからやるのが一番……って」

幼魔王「父…上…」ユラリ

魔王「幼、魔王…?」ゾク


幼魔王「……なんなんだアレは!? どーいうつもりだ、ふざけんな!?」イライラ

魔王「おまえ、キャラかわってるぞ…?!」


幼魔王「父上!! …説明してくれるんでしょうね!?」ギロ

魔王(やばい。なんか俺より魔王らしいかも)ハハ・・・


幼魔王「早く答えてください!!」イライラ

魔王「あ、あれは……魔王に代々伝わる封印の水晶で…伝説級の”連続強姦”の犯人が封印されてる…」

幼魔王「……な」プチ

魔王「大昔、魔族総出でようやく捕まえてから、解放時に設定する絶対命令以外聞かないし、後はひたすらヤりまくるだけの堕天使だ…」ハァ・・・


幼魔王「…なんで…そんな危険なもんを…俺によこしたんですか…っ!?」イラ

魔王「姫が『きれーな水晶』って言ってたから、知らないで宝物庫から持ってきちゃったんだろうなー」

魔王「息子にまで罠かけるなんて、ほんと困った姫だよね」クス

幼魔王「」プチ


魔王「気にすんなって! 俺もアレの経験あるけど、似たような感じだったし!」

幼魔王「」イラ

魔王「魔力で昂ぶってるトコに、枕元に淫魔の召還法おかれたらそりゃ呼ぶよね! しょうがない! うん!」

幼魔王「」イライラ

魔王「まぁ、すっきりしたとこで、おやすみ! いい夢みろよ幼魔王!!」フリフリ

幼魔王「」プッチン


幼魔王「…まず……そんなもんを…」ブルブルブル

幼魔王「宝物庫にいれといていいと思ってんのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バシュァァァァァァァァァァッ!!!!!

魔王「魔力解放!? やばっ、筆下ろしで初の親子喧嘩とか…うわぁぁぁッ!!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

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<翌日 魔王城 玉座>

魔王「死ぬかと思った…」ハァ

幼魔王「父上の自業自得です。母上についての責任は全て取ってください」フン

魔王「……姫には怒らないんだ、幼魔王」

幼魔王「知らなかったのなら仕方ないです。手の届く場所に保管した父上の責任です」

姫「? 何があったのです?」

幼魔王「……」フイ

魔王「幼魔王は大人になったんだよ、うん」

幼魔王「」チャキ

魔王「まって!? ごめんって、俺の剣抜かないで!?」

幼魔王「……この剣は代わりに貰っておきます!」スチャ


従者(うんうん、魔王らしぃ子になってくれはって、ワイも一安心やわ)←真犯人

姫「よくわかりませんが…魔王と幼魔王が、なんだか仲良くなってて嬉しいです!」ニコニコ←実行犯

幼魔王「……ハァ…」


幼魔王「…俺は、姉姫の所にいってきます…」

魔王「ヤりなおし?」クス

幼魔王「次は斬りますよ」チャキ

魔王「うん、ごめん! いってらっしゃい、姉姫によろしくね!」

幼魔王「…チッ」パチン
ブン・・・パッ

魔王「し、舌打ちしていきやがった…今までどんだけ本性隠してたんだ、あいつ…」

姫「なんか、かっこよくなりましたね? 成体の儀ってすごいですねー!」

従者「魔王なんかより、よっぽど真っ黒いオーラ放っとるもんなぁ」


魔王「…まぁ魔国の将来は安泰かな…幼魔王も、色々な意味で大人になったし、いっか」ハァ・・・

----------------------


<帝王国 貴族の屋敷 姉姫の自室>

ブン・・・パッ

スタン・・・
幼魔王「……邪魔をする」

姉姫「幼魔王様…ようこそいらっしゃいました」

幼魔王「…はぁ。しばらく居させてくれ」

姉姫「……どうかなさいましたか? 何か、雰囲気も少し変わられたような…」

幼魔王(童貞奪われたショックでなげやりになって逃げてきたとか言えない)ハァ・・・


姉姫「? お茶をいれますね」

幼魔王「茶はいらない。それより、姉姫…」ギュ

姉姫「ひゃ//」


姉姫「ど、どうなさったのですか、幼魔王様…? 何かいつもとご様子が…」

幼魔王「嫌な事があっただけだ。こうしていたい」

姉姫「…あ。もしかして…成体の儀…ですか?」

幼魔王「いや。それは無事に終わった」

姉姫「それは、おめでとうございます…。幼魔王様も大人となられたのですね」

幼魔王「」ビクッ

姉姫「?」


幼魔王「…はぁ。その話題はもういい」ギュ-

姉姫「……ぁ//」

幼魔王「姉姫。やはり貴女がいい」

姉姫「…幼魔王様…それは」

幼魔王「間違ってるのはわかっている。それでも、貴女に会わずにいられない」


姉姫「……私に会いにこられるのは…私の身の上を案じての事。その気持ちは、きっと憐憫ではないかと思います…」

幼魔王「そんな感情はない」

姉姫「魔王は、憐れみをもたないと?」

魔王「…不憫さ、というものを理解しないわけではないが……どちらかといえば…」


魔王(不憫を絵に書いたような様子には、同情より興奮するとかいえない…)ギュウ

姉姫「…幼魔王様…?」

魔王(そうか。アレと同じなんだ。魔力で昂って昂って抑圧するのが限界な時に一気に解放されるのはヤバかった)ツツー

姉姫「あ、あのっ、ちょ、手が…上がっ//」

魔王(姉姫もこれだけ抑圧されてるならば、解放されたらたまらないだろうな)ムニ

姉姫「ひゃぅ!?//」

魔王(いや、やっぱりどうせなら自分の手で抑圧したい…って、いきなり性癖おかしいな…どうすればいいのか)プニン
ハァ・・・

姉姫「!? 幼魔王様っ!?!?//」


幼魔王「あ」ムニュ-

姉姫「~~~っ//」ナミダメ


幼魔王「!?!?」パッ

姉姫「ぅぅ…//」

幼魔王(本当にどうすればいいんだ! 何してんだ俺!)


姉姫「ぅ…その…憐憫でないのは…わかりましたので…今はまだっ//」

幼魔王「…すまない。俺がどうかしてた、考え事をしていたら…無意識に触れてしまったんだ」


姉姫「え? 『無意識』?」

幼魔王「…『今はまだ』?」


姉姫「……っ// も、申し訳ありませんっ、何か勘違いをしてしまいましたっ//」

幼魔王「あ、いや…」


姉姫「……//」

幼魔王「……」


姉姫「あの…っ//」

幼魔王「……いつか、でいい」

姉姫「…え?」

幼魔王「いつか、俺のものにする。決めた。口に出したことは必ずやり遂げる。覚悟だけしていてほしい」

姉姫「……幼魔王様…」

幼魔王「…今日は本当におかしいみたいだ。帰るよ」

姉姫「…はい。私はいつでもここで、幼魔王様のお越しをお待ちしています」

幼魔王「………ああ」パチン
ブン・・・パッ

・・・・・・・・。

姉姫「私は…いつか、そんな日がくることを…期待しても良いのでしょうか。…幼魔王様…」

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・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・

<成体の儀より更に1年後 帝王城 帝王の間>

魔王「…やられましたね」

帝王「……魔王さん。この過ち…どうしたら償えるのだろうか。…どう罰せられればよい?」

魔王「………」


ガチャ、ギィ・・・・・・
姫「…魔王、どうしたのです?…お父様も…城の、この騒ぎは何ですか?」

魔王「……。帝王国より、魔王討伐軍が派兵されることになる…間もないだろう」

姫「…え?」


帝王「……ワシのせいなのだ…」

魔王「いえ。帝王様は、この国の王としての賢い選択をしただけですよ。…あんな癌があるなど…普通なら、どうしようもない」

姫「…あの? それは…どういう…?」


魔王「…帝王国は、魔国に…声明を出すことになる。恐らく、同時出兵だな」

帝王「魔王さん、やはりここは…っ」

魔王「いいんです」

魔王「…声明の内容は『魔王により連れ去られた、帝王国・正統後継の姫を奪還すべく魔王討伐を成さんとする』ってトコでいいですかね」

姫「そんな! 私は連れ去られてなんか…!」

魔王「いやまぁ実際、連れ去ったのは連れ去ったんだしね、うん」

姫「父上…なんで、そんな、魔王を…裏切るなんて」


帝王「……魔王さん…やはり、ワシが…!」

魔王「やめてください。…姫。これは帝王様のせいじゃないんだ。…俺が悪いんだよ」ナデナデ

魔王「…これ以上、ここにいるわけには行かないな…。見付かれば最期、余計な犠牲が増えすぎる…」

帝王「魔王さんっ!」

魔王「……。筋書き通りいきましょう、帝王様。姫は連れて帰ります」

帝王「……だがそれではっ」

魔王「姫。幼魔王の所に急ごう…俺たちを城に転移させなくちゃ」グイ

帝王「待ってくだされ!」

魔王「……。帝王様は、間違ってないはずです…これまでの全てに、感謝します」クル

ギィ・・・ バタン


帝王「………ああっ…すまない…すまない、魔王さん…っ」

-------------------


<魔王城 魔王の自室>

ブン・・・

スタッ スタスタ…
幼魔王「…着きました」

魔王「……ああ。部屋に下がっていろ。後で呼ぶ」

幼魔王「……父上?」

魔王「説明してる暇がない。緊急事態なんだ、すぐに呼ぶから戻っててくれ」

幼魔王「…」コクリ パチン
ブン… パッ


魔王「……」

姫「魔王、どういう事ですか!説明してください!」

魔王「……ハァ…」

姫「魔王!」


魔王「……。あの貴族が、姫の不在の証拠…それも、姫と俺の関係を示す証拠を手にしたんだ」


魔王「帝王に…議会の場で『魔国の魔王に姫君を宛がい、親子関係を成立させ…』」

魔王「『諸国へ恐怖政治を行おうとしている証拠』として大々的に突き付けたそうだ。内部告発を装ってね」


姫「恐怖政治!? そんなの嘘じゃないですか!」

魔王「…隠れて俺と深い繋がりを持っていたのが多くの人間に知られた以上…『充分に可能』であるだけで既に威圧行為なんだよ」

姫「…じゃあ、政治的な干渉はないと言えば…。魔王は他国の政治に不干渉なんですよね!?」

魔王「……『魔王と政治的な繋がりはない。姫は確かに魔王の所にいるが、それは企みによるものではない』」

魔王「帝王様も散々に説得したようだね」


姫「…だめだったの…?」

魔王「…あの貴族。口だけかと思っていたが、頭もかなり回るらしいな」ハァ…


魔王「『帝王国の政略に関係なく…婚儀も行わずに魔国にいるならば』

魔王「『魔王は、我が主君であり女帝になるべき姫君を連れ去り、辱しめた張本人であるからして…討伐すべきである』」

魔王「…そう、場を持っていかれたそうだ。明らかに貴族を煽る輩がいたらしいし、仲間だろうね」


姫「あ…だって…それは!」

魔王「嫁に出したと言えば、恐怖政治の濡れ衣で帝王国は諸国から滅多打ちにあい、民の全てまで捲き込んで虐げられ…」

魔王「出したわけではないと言えば、魔王から凌辱をうける姫を救済するために俺が討たれる」


魔王「……第一継承の姫。さすがに、手を出した俺が悪いからね。後者の筋書きを薦めたよ」

姫「だって…お父様だって、いっておいでって言ったのに…」

魔王「……替え玉がいたから。あとは要所要所で姫を出して、実際は議会まかせにする予定だった」

魔王「…君は未婚の女帝として君臨するシナリオだったんだ」


姫「…その計画で…私が死んだ後の後継は…?」

魔王「後継不在の死亡ならば、議会権限で新王をたてられるらしい」

魔王「亡くなった帝王の在位中、最も貢献した奴を、身分を問わず養子扱いにするんだ」

魔王「全ての臣下のモチベーションもあがるし、身分差別をせず有用な人材を登用でき、国の永続運用に回せる…」

魔王「素晴らしい法だね。やはり帝王国は人間にしては立派な国だ。…あそこだけは、棄てられないな」


姫「じゃあ!私は死んだことにして侍女さんを姫にしてあげます!」

魔王「侍女はもういない」

姫「………え?」

魔王「…酷い拷問を受けた死体が見つかって、秘密裏に埋葬された。侍女はそれから『行方不明』だ」

姫「…な」

魔王「……死体は判別のつかないほど酷い状態だったが、魔力痕跡があった」

魔王「恐らく、健気に拷問に耐えたのだろうな。それでも吐かない侍女に業を煮やし、なんらかの魔法によって侍女の脳をいじり…」

魔王「……今回の証拠を手に入れ、証拠を隠滅した…という所だろう。まず貴族の手の者の仕業だな」


姫「…っ、そんな! 侍女さんが…! 侍女さんがっ!!」ガクガク

魔王「…ごめん。俺と帝王様がいながら…気が付かなかった。完全に不意をついた一夜の犯行だったんだ…いや、言い訳だな」

姫「…っ!」

魔王「その直後、貴族から打診があったらしい。アレを見せられたんだ、確信的な脅迫だよ。俺も帝王様から相談を受けた」

姫「…相談って…相談って何!?侍女さんを殺してまで何をしたかったの!」

魔王「…第一継承の姫を降ろし…貴族の元にいる姉姫を王位に立たせろと。それが貴族の要求だった」

姫「お姉様が、本物の姫に…?」

魔王「……ああ。もちろん断ったけど」

姫「っ、それでいい! 今からでもそうしてください! 侍女さんが殺されたなんて、もう嫌です!」

姫「要求を飲めば、そうすれば、みんなで仲良く暮らせるようになるんですよね!?」


魔王「…それは、できないかな。…俺も、帝王様もね」

姫「どうしてですか!? お姉様ならきっと政治だって私より…!」


魔王「姉姫様は貴族に『飼われて』いる」

姫「!」


魔王「…ごめん。こんな言い方は俺も嫌だけどね。間違いなく事実なんだ」

魔王「姉姫様に政権が回れば…今度は飾りつけられて前面にだされ、実権は貴族の物になる」

魔王「…あの貴族の事だ。姉姫様には一生婿を取らせず、政治や外交や国益の為に、姉姫様をあちらこちらにあてがい続けるくらいはするだろうな」

姫「あてがう…?」


魔王「……慰み物として、娼婦以下にまで堕として利用するんだ…」

魔王「王候だけでなく、時には情報料がわりに盗賊まがいの下棧な奴等にも回すかもね」

姫「そんなのだめです!!」

魔王「わかってる。俺だって姉姫様に間違ってもそんな事させられない。…幼魔王の為にもね」


魔王「…帝王様は賢い方だし、情に厚い…」

魔王「忌み子とはいえ実子をそのような目に会わせられないのは当然だ」


姫「…私が、大人しく国に帰れば…みんな、助かりますか…?」

魔王「…いまさら姫だけそっと国に帰しても…『魔王に操られている姫』として処刑される可能性が高いね」


魔王「はぁ…しばらく大人しくしてたと思いきや、完全に貴族にやられたな。かなり深い部分まで手が回された形跡があった」

魔王「…人間らしい、澱みきった野心と策謀だよ。短命の癖に何年かけるんだか。魔王としては、魔物に代えて腹心にしたいくらいだね」

魔王「うん。あれならきっと世界征服は捗るだろうな…出来るのは最悪の世界だろうけど」

姫「そんな、冗談を言ってる場合では…っ!」


魔王「…まぁね。この件には明らかに複数の人間が関わってる」

魔王「今あいつを殺しても、他の誰かが同じようにしてしまうだろうし、どちらにしろ戦争自体は収まらないし」


姫「…魔王…これから、どうなるのですか…?」

魔王「…まぁつまり…」ナデナデ


魔王「…子を産み、あとは消えるだけの俺を討ち、姫を連れ戻して勢いで王位に立たせてしまうことが…俺から見ても一番の策だ」

姫「魔王、殺されちゃうんですか!? はやく逃げなくちゃ!」

魔王「それは最悪な策だよ。俺が逃げれば、姫はそれこそ影で操られているとされて容易に暗殺されるし、姉姫に政権が回る」

魔王「…この後継者争いと戦争は、避けられるはずがないんだ。既に、筋書きが書かれてしまっている…最初から、策は出しきられているんだ」

姫「魔王…っ」


魔王「…はぁ。まぁ最初からトラブルは予感してたんだ」ポンポン

姫「魔王、私のせい? 私が、魔王調伏なんかにきたから。だからほんとにこんな…」

魔王「…いいんだよ、姫」

姫「よくないです!」


魔王「帝王様は、幼魔王の事については一切触れていない。逃がしてくれるんだろう。貴族にもバレていないみたいだ」クス

魔王「笑っちゃうね。とんだ間抜けだ、俺も貴族も。…あれだけ貴族の屋敷に通っていたのに、お互いに気付かないなんて」

姫「……魔王」


魔王「…帝王様には最初に話していたからね。覚えていてくれたのだろう。魔王はその魂を、子に移すという話を…」

魔王「俺は死んでも、間違いなく幼魔王の中に入るんだ。大丈夫だよ」

姫「でも…幼魔王ちゃんはは幼魔王ちゃんだよ。魔王じゃない!」

魔王「魔王は、魔王だよ。姫」ナデナデ

魔王「…俺が死ねば、あいつが『魔王』なんだ」


姫「…私、説得する! 操られてなんかないって!」

魔王「無理だ。君が言えば言うほど、操られていると思われるだけだ」

姫「じゃあ! 討伐軍なんか倒しちゃう!」

魔王「君の国の兵だ。この城にいる限り、兵を打ち…疲弊させるくらいは簡単だけれど」

魔王「それをすれば国は結局衰退する。痩せこけた国で責任を取らされ、殺されるのはやはり帝王だ」

姫「~~~っ!」ポロ・・・

魔王「…」ナデナデ

魔王「…今の君の涙で、確信したよ。俺には…討てない。他の選択肢は選べない。『そんなこと』では姫を泣かせたくない」

姫「っ!」グィ

姫「泣いてないです!」

魔王「うん、ありがとう。まぁ…俺が姫を泣かせるのは大好きなんだけどね」クス


スッ・・・

魔王「幼魔王!  聞こえているか! 今すぐ来い!」

姫「…魔王?」

魔王「……」

ブン・・・
パッ

幼魔王「父上。 もう、いいのですか」

魔王「やるべきことがきまった」

幼魔王「やるべきこと…?」


幼魔王「今すぐ姉姫の所に行け。貴族による策謀で、政治工作に使われようとしている」

幼魔王「なっ!」


魔王「魔王の子であることはなんとしても隠し、人に扮したまま姉姫を守り抜け…何が、あってもだ」

幼魔王「…」コクン

魔王「状況が落ち着いたら、帝王様の元へ。…きっと、おまえの知りたい事を教えてくれる」

幼魔王「…?」

魔王「行け!」

幼魔王「っ」
ブン・・・・・ パッ

・・・・・・。

魔王「あいつ…なかなか、いい顔をするようになったね」クス

姫「…魔王…」

魔王「その目で見つめられると…何故だろう。姫に逆らえる気がしない」ナデナデ

魔王「どうやっても、赦しを乞いたくなるんだ。なんでかな」

姫「赦しなんて…私の方が…乞わなければならないのに…っ」ポロポロ


魔王「…………っ」パチン
モワモワモワ・・・

姫「!」

パシュッ・・・
姫「…? 緊縛…?」ポロポロ

魔王「うん、『拘束』だね。似たようなものだけどちょっと趣旨が違うから今は間違わないで欲しかったかな」ヨイショ

ポス・・・
魔王「はい。俺のベッドの上。何気にここが一番安全に作られてるの知ってた?」クス

姫「……魔王?安全って…何するつもりなんですか…?」ポロポロ


魔王「…うん。ああ、でも…そうやって拘束されてベッドに居られると、やっぱり俺のS心がくすぐられるなぁ」

魔王「そんなに泣いてると、本当に堪らないね。堪えられないかも。…やっぱり姫は俺にだけ泣かされてなくちゃ」クス

姫「…? するの?」

魔王「いままさに討伐軍に攻められているこの状況でできるほど、特殊な性癖は持ち合わせてないかな! できる奴は完全な変態だよね!」


魔王「…ハァ。そうじゃなくてね」クイ

姫「ん…」

魔王「ほら、あれだよ」チュ・・・

姫「むにゅ…」チュー・・・

魔王「…」チュ・・・パ

姫「…?」


魔王「……御主人様への、下剋上をする時がきたみたいでね」ニヤ

クルッ・・・スタスタ・・・

姫「魔王!?」

魔王「囚われのお姫様は定石だしね」クク

姫「魔王! やめて、何するつもりなんですか!」ギシッ

魔王「いいね、姫。そうやって本気で抵抗されると気が昂ってくる」クク

姫「魔王!」ジッ


魔王「………っ。 うん、ごめん。 本当に…ごめん、姫」


魔王「でも…ここまできても、俺は…」

魔王「――――………。」


ギィィ・・・バタン!!

姫「魔王…」


姫「…魔王、魔王っ!」

姫「…そんなの…そんなの…っ」ポロポロ・・・


姫「魔王…っ」ポロポロ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・

------------------

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・


一陣の突風が吹き荒れて…全てを払い尽くしていく。

焼き尽くすような、怒りと嘲笑を含んだ……あまりに重苦しく鋭い熱風。

それが、世界を揺らす。

暴風が、歓喜に満ちた笑い声に聞こえる。
世界を撫で付ける、魔王の嘲笑。
世界中に恐怖を敷き詰め、煽り、どのような野心家をも絶望させてしまうような笑い声。


風に吹き飛ばされたはずの雲は、熱気を放つ大地によってまた暗雲を広げて…

強く、雨を降らせる。

けして癒すためではなく…その全てを覆い尽くす為の、黒い雨。
全てを魔王の意のままに変える雨。
それが、人の精神を揺さぶりながら、強く吹き付けている。


厚い石造りの城内にいて、雨に降られてもなお感じる熱。
身を焦がすようなそれも、私には心地よくすら感じられた。

最期の、体温。
最期の、調教。

風が鳴りやむと、城中…国中、世界中からたくさんの光が飛び散るのが見えてきた。

赤紫、青紫…淡く輝く光の粒が世界中から天に昇っていく。

魔物の、魂。
人の、魂。


少しだけ大きな光の粒が飛んできて、そっと私を撫でて行く。

消える直前に『堪忍な…』と一言、聞こえた気がして…
赦しを乞うのは、私の役目だと伝えて見送る。

そのあと…私を拘束していた瘴気の環を残し、光の粒は姿を消した。


私の全て…精神の奥深くまで、全てを奪って…魔王は居なくなってしまった。


こんなに、今すぐ魔王が欲しいのに。
どうしたらいいのだろう。


…決まってる。
魔王の事だけを想い、涙を溢れさせて、赦しを乞うだけ。

いつもみたいに。
魔王が満足するまで、泣かされながら、赦しを乞う。
いつだって、そんな夜を過ごしてきたから。


魔王の言葉だけが、頭の中に浮かんでいる。
もう…それしか、でてこない…。


―――――『俺は、君の全てを支配せずには終われない』


意識が遠退く。
熱を奪われる。
心地よい深淵に飲まれていく。

私の全てが奪われるのを感じたから、安心して身を委ねた。

大好きだと言ってくれたから…魔王に泣かされ続けたい。
今は、泣かされることだけが…魔王を感じられる唯一の方法だから…。

また、私は間違えていますか、魔王……?


-------------------

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エピローグ
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父上が、俺の中に…
魂に収まったのには、すぐに気が付いた。

魔王の瘴気、魔王の魔力。
その全てを世界に撒き散らして、俺に収まったから。

貴族の屋敷は半壊以上だった。
姉姫を守るために俺が防護したから、それで済んだ。

周辺諸国への影響は甚大で、
時を置くこともなく経済の全てが機能を停止するのは目に見えた。

姉姫を倒壊寸前の貴族の屋敷から連れ出し、
街の外れに小屋を創り、安全だけ確保した。

俺が城に戻った時には…、数えきれないほどの帝王国軍で溢れていた。
負傷者がほとんどのようだったが…よく、生きたと思う。
生かされたのか。

この世界の滅亡に、見逃された者がいたなんて。
ああ…そういえば、父上はとても器用だったな。


俺はそんな事を考えながら、しばらく立ちすくむしかできなかった。
そうしていると…祖父君が近付いてきて、俺を父上の部屋に連れていってくれた。

兵が俺の事を訪ねてきたが、
帝王は『姫の他にも捉えられていた子がいたようでな』とだけ答えた。

その時ようやく、
自分がいまだに人の姿に変身したままだった事に気が付いたのは情けないだろうか。


母上は、父上の拘束に囚われ、父上のベッドの上で静かに泣いていた。
呼び出された聖職者によって拘束を解かれても、
なお涙を流すだけの母上を見て、兵達はあまりの様子に同情したようだ。

帝王と俺を残し、母上を連れ立つ事も無く、兵達は部屋から立ち去っていった。
帝王が何やら母上に話しかけていたが、俺はあまりよく聞いていなかった。
いつも笑ってばかりで、笑顔が張り付いているような母上が…そこにいなかったから。


その後、帝王は俺に母上の偽物を創るように言った。
魔王になったばかりの俺はまだ創る術を使いこなせず…動かない、母上の人形しか創れなかった。

帝王はそれを見て『罪は、必ず罪人の手に収まるのだな』と呟き…人形を、優しく抱いて連れ帰っていった。


しばらくして、帝王国では小さな葬式が催された。
帝王国の正統継承者の葬儀と聞いた。

一年間の荼毘。
その間、帝王国も貴族も行事を慎み、様々な決め事は後回しにされることになった。

いや、決めるに至るだけの機能をもたなかっただけかもしれない。
何しろ、世界は壊滅状態だ。
帝王国だけが、なんとか主要機関を残して持ちこたえていたにすぎない。


世界は、その容貌をかえるだろう。


俺はその間、ずっと父上の部屋で涙を流すだけの人形を見ていた。
声をかけても、刺激を与えても、食事や排泄を促しても…涙を流す他はまったく動かないソレ。
人間としてあるべき機能を全て放棄したソレは、まさしく糸の切られた操り人形としか言えなかった。

正しい操り手にしか支配を許さない。そんな人形。

涙が枯れると、母上は日も置かずに亡くなった。
俺はそこでようやく、母上が今まで生きていた事を知ったほどだった。

最期まで…笑顔を見せてはくれなかった。あの日創った人形と同じだった。


俺はそのあと、帝王の下を訪ね…様々な話を聞いた。

帝王国の帝王に事のなりゆきを説明されたが…とても納得のいくものではなかった。
泣いて頭を下げる帝王が、全て凶事の原因だったと説明されても、信じがたい。
だが、真実はいまとなっては唯一帝王しか知らない。

それしか残された事実がなかった。
真実はわからないまま、無理やりに押し付けられた。


帝王にはそれ以来会っていない。会いたくない。
俺は落ち着かない胸中を宥めるために、姉姫の元に通い続けた。

健在だった頃の母と、同じ容貌をした姉姫。
時々、その面影に囚われてしまう事もあったが…
雰囲気も話し方も、何もかも違うからこそ、俺は素直に彼女を愛することができた。

彼女がいなければ俺は生きていけなかったのだと思う。
彼女への愛だけが、俺を支えていたのだと思う。


魔王の、魂。
確かに継がれるはずの、父上の記憶が呼び起こせない。

移譲が上手く成されなかったのかもしれないが、恐らくは、故意。
器用な父上ならば、そんなことも可能なのかもしれない。


父上は、記憶の中の母上までも独占するつもりなのだろう。
母上との出会いの記憶。母上を愛した記憶。
その全てを、魂にすら継がせないというのだろう。

それとも、警告なのだろうか。
『人間と魔王の恋など、不可能だ』という。
人間を愛するなど、あってはいけない事なのだと…。
知ってはいけない事なのだと…。

だが

父上は…今は、俺の中で静かに眠っているから。
母上の面影が、愛する人に残っているから。

母と、母の愛した幸せな思い出の残滓だけは、まだここに残されているから。

これが過ちだとしても、
俺はいつまでもこれを手離せないだろう。

-------------------
魔王「何故か、姫に逆らえる気がしない」 おわり


最後悲しいね…

というわけで、加速投下終了です。
読んでくださった方がいたら、ありがとうございました!


このスレはここから俺の雑談場になります(おい

いや、でも鬱展開で本当にすみませんでした。
前作を読んでオチを覚えてる方も時間とらせてすみませんでした。

批判・感想・ツッコミ・要望・苦情
もしありましたらなんなりと投げつけていってください。
ドMではないですが、喜びます。

改めて 読んでいただいてありがとうございました。

>>191 
びっくりするくらいのリアルタイムで読んでくれてる方が居たとは。
ありがとうございます。

まぁ、ちょっと鬱展開になってしまいましたね。
でも、当人達は幸せだったと思いますよ? 駄目ですかね

初志貫徹、望んだことをやり遂げたので。
彼はきっちり「天才的な、絶望に寄り添う魔王」でした。

そしてドSです



いつもスレタイと締めの表記が微妙に違うのはわざと?

>>193
こちらこそありがとうございます。
最後のあたりでリアルタイムだと気が付きました…これて良かった…!

別れはいつか来るものだからね…幸せな時があればそれで…それで…(´;ω;`)

>>194 ビクッ
すみません、それは単なるミスです!キッパリ

というか、作成段階の仮題がそのままうっかり投稿されてるんです…。
前作の時は スレタイ普通なのに「変態魔王編 おわり」とか投下しちゃったし…
最後の最後で、毎回ツメが甘いんです…反省しなくては。

作成中の仮題はかなり違うので…
一度寄せて書いちゃうと、本編で代えたこと忘れてそのまま。

ぶっちゃけ、毎回間違えてるとか気付きませんでしたぁッ!!
そこまで見てくれてることに感謝感激しますッ!

>>195
?『(あ、なんかカワイイ泣き声がきこえた気がする)』
幼魔王「!? なんかいま魂の声が!?」ビク

…あれ?なんか泣いちゃったんだけど

>>198
ああ、それは間違いなく魔王に泣かされてますよ(意味が違う

実はこの作品は、前作より先に書かれていました。
プロットはこちらが一番先、完成は前作2部の後くらい。
最終的に多少の手直し入れていますが…

とあるまとめサイトで、1部終了時に先代魔王について知りたかったとリクをもらい、前作完結前に書き上げたものなのです。

なのでこの作中で姫が姉姫につくった稲荷寿司を
前作で特別な思いを込めて作る人がいます。
前作に実は従者が一行でています。
前作では創りえない桃スライムが発生しています。
前作で、今作魔王によく似た笑い方をする人に惹かれてしまう人がいます。
そして、魔王が姫に逆らえない理由は2部のあたりに原因があります(同時執筆してたので)。

完全に自己満足の補完ですが、思いつく人は41代魔王の下僕になってあげてくださいww

もし

あ。先代魔王とか自分で書いちゃった…orz

前作読んでない人で、もしこれからと思っていたらすみません…
相互互換だからネタバレ気をつけようと思った矢先に。
はい、前作は幼魔王のその後の話でした…まぁいいか…さかのぼる奴はいないだろ…

投下終わると気が抜けすぎる…反省。
何かと余計にしゃべりすぎる俺に、話し好きの女の子プリーズ

うあああああああ胸が痛い
すっげぇ切ないよ……
なんかもう言葉もないよ、何言っていいのかわかんねぇー

>>201
幼魔王「>>201、おまえが胸を痛めてどうする……」ハァ
幼魔王「…………それにどんなに痛がろうと、おまえじゃ姉姫には慰めてもらえんぞ。あれは俺だから…」
トコトコ…キィ…
姉姫「幼魔王様…こちらで、何を…?」ヒョコ

姉姫「! まぁ…大丈夫ですか、>>201さん…?」
姉姫「妹の為に、それほどに思ってくださるなんて…ありがとうございます…」ペコリ

幼魔王「………(なるほど、これが独占欲か)」チャキ

しっかり下克上していったな…極悪非道のS魔王め…こっちまで泣かされたわ!!
乙でした!

しかしまさかの桃色プルプル直伝w

>>202で何か誤解があったような気がするのでちょっと補足とか
あ、>>201です。あと感想長文スイマセン、と先に謝っておきます
それから、作者さんへ乙と面白かった!と言い忘れてました……

姫様の悲しみようが可哀想だったっていうのは確かにあるんですが、
彼女が魔王への愛情に殉じて逝ったっていうのは
ある意味、本人としては満足だったというか、哀れむのも違うような気がして…

それよりも遺された者達が辛いよなーと思うと
その中でも年若い幼魔王様が母親の姿をどう思ったのかとか
あー姉姫様が傍にいてくれて良かったなー幸せになってくれよーというかっ
今日一日ずっともやもやと、もやもやと……

あ、前作から幼魔王様のファンなので、剣を抜かないでクダサイ
幼魔王様と姉姫様がらぶらぶしてるのを見てニヤニヤしてたいだけですから
(長文削ろうと努力したんですが、減らしてコレですよ。本当にスイマセン)

>>203 
男なら下剋上って言葉は惹かれるとおもうんだよね
前作で直伝桃色ブルブルを使ってみたかった…と、本気で思っている俺もいる。

実は前作の3部でエロやりすぎたから、今回からは自重しようと思ってたんだぜ!!
でもどうしても、普段から泣かされてる姫のシーンが必要だったから書いちゃったぜ!
うっかり濃厚に書きすぎて、大幅に削ったんだぜ!
というわけで、極悪非道の天才鬼畜ドS大魔王は、魂に封印されました…。

乙ありでした!

>>204 長文気にしないよー?
もうこのスレは>>192から先は俺の雑談場にしちゃったし(ぉぃ
だが乙は貰っておく!(キリッ

幼魔王と姉姫の前作からのファン・・感激しちゃうわー。
んじゃもうこんな感じで行こう

【番外編】 俺「終わったスレでぶっちゃけトーク!」←待て

【以下、前作でのネタバレ含みます。ご容赦ください】

幼魔王は第39代目魔王なのでちょっと使い分けに以降39代と呼びますね。

あー。もう>>204さんが、ちゃんと見てほしいところに注目してくれてて嬉しいです。
はい、そのあたりは一番気をつけてました。

39代は母親が泣きながら死んだので、
前作ではメイドが泣くと極端に反応したり、対応が弱くなったり
慰めたりしてるはずです。数百年も母の面影をしょってるんですねー。

あと、1部エピローグの魔王の日記で 記憶を失った姉姫の事を
「無邪気にはしゃぐ姫(姉姫)は愛しいが、辛い。どうにもならない」と書いてます。
母親に似た振る舞いで笑われるのも、やっぱり思い出して辛かったんでしょうねー。

ですが。

前作第一部終了際…姫ちゃんに斬られた後に実はいろいろ言ってるのです。
レス番号でいうと188くらいのところから。暇があれば再チェックしてみてくださいw

ちなみに39代は、母親の事を前作では、日記でも口頭でも后と呼ぶようになります。
婚姻しなかったから正式には后じゃないんだけどね。でも嫁だからいいよね。

ところでもう一個、前作を見てくれてた人なら気付いているだろう事がある!
それなのに何故誰もつっこまないのか。

まぁこのSS完了時点で俺が何がいいたいかっていうと…。

前作で、散々
トラウマメーカーだの ロリコンだの 犯罪者だの変態だの言われた39代目は
実際は トラウマだらけのマザコン気味の、おねーさま好きのオマセなエロガキさんだったわけですよ!!
そしてメイドちゃんが実はどちらかというとショタ寄りだったっていう!!
前作後日談の「39代を可愛がりたい」ってのは結構本音だったんだよね!
この、俺なりのどんでん返しにだれか気付いてくれただろうか!?

というわけで、ニヤニヤ見てると余計に39代に斬られますよww
ご注意くださーいww

?「斬る」チャキ

ズバッ!!

俺「グハッ!?」

俺「」チーン

ありがとう

前作kwsk

男はみんなマザコンの気があるってご先祖様が言ってたんだぜ
(水晶の中にいる誰かが言いそうな気がした)

>>207の再チェックいってきました!
娘を失った上に、その責を飲み込んだお祖父ちゃんも辛いなぁ、と思います
そうだよなぁ、やっぱり納得とか出来るわけないよなぁ……
そういえば、読み直していて四天王でほんわかしました
この二代は四天王の作り方がアレすぎやしませんかwww

でも、トラウマメーカーで変態なのは譲れない事実だと思います
おや?誰か来たようd(ry

>>211
>>1の名前でぐぐるか
魔王「姫を愛している。俺と共にあれ」 で検索すれば出てくるよ

>>210
ありがとうとか言われちゃうと、俺が泣くからって…ゆってるのに…うぅ
ハッ! さてはおまえが現代の魔王か!!(違


>>210
うぉ!? 遡ろうとする方が居た…すんませんネタバレやってて!!
すっかり打ち上げ気分でしたぁっ! ありがとうございますっ!

過去ログ倉庫の、第一部のURL置いていきます
魔王「姫を愛している。俺と共にあれ」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1393348360.html)

前作は3篇構成×3部作なので、番外含めて計12編の長編ですが
よろしければ見てやってください。

今気付いたけど、第一部のスレタイと、本編でのタイトル表記が結構違う!!
そうか、スレタイ長すぎてスレ立てられなかったんだっけ…
修正してから投下しとけよ、俺…orz

まあ、こういうところでの投下はあれが初だったしな…
許してくれ、いろいろと…

コメント欄みてもらえば、次編のスレタイあるので
そのスレタイで過去ログ倉庫検索してくださいです
3部全部あわせると、本文量でレス数900くらいあるのでご注意ください。

>>211宛てです。 間違えた。

>>212
そういえばあの駄天使(誤字ではない)、世界的な史実だと
「アダムの前妻」とか「人類の祖先」とか言われる割に香ばしいキャラで
書き手には本当に美味しすぎるんですよ。マジで。

ストーリーにあわせて書いたキャラというわけではなく
キャラがあってこそ、このストーリーになったともいえます。
なのであいつは無敵です。裏設定は以前番外で晒したとおり。

ちなみに史実でのキャラが好きといえば、次点は従者。
カーシモラルが原型と本編でも書いたけど、カーシモラルとは
正式にはグラシャ=ラボラスって名前らしい。
ラスボスって誤読して以来、好きな悪魔です(そんな理由かい

正体が犬なんですよ、こいつ。羽根付きマルチーズらしい。可愛すぎるだろ。
人間に変身すると、学者風のオッサンらしい。美味しすぎるだろ。
過去と未来を知り、人文知識を語り、殺戮の達人らしい。おまえもチートだろ!

牙があるから言葉がしゃべりにくい、という史実に基づき、
俺としては異例の「標準語をしゃべらない訛ったキャラ」になりました。
関西人の方、エセ関西弁ですみません。
一応、俺も大阪・京都に一時期住んでたんで許してください。

とまぁ、ぶっちゃけ従者で一本書けるくらい、裏設定のあるキャラなんですよね。
まぁ、裏設定といえば天神もかなりありますので、やっぱいつかはそっち先に書くかな。

追記:
>>212

前作への誘導サンクス。
でも俺の名前で「ググる」と、花畑牧場ばっかり出てきちゃうよ…www

四天王ね、あれね。
39代の方の4人組は最初の登場は100%ノリだったんだけど、意外に気に入っちゃって。

あいつらの脳内設定は異常に多いんだよね。
わざわざアイツらのために後日談を一個あけたくらいだし。

「後日談は基本、今度書きたいものへの伏線」とだけ言っとく。
あの時はまとまってなかったけど、今ならもうまとめられるかな。

でも… いや…いつかその時に言うよ… ハァ。

魔王様、ドSだししゃーないわなwww

ちなみに「S奴隷という造語がでてくるSS」は
実際にこのSS深夜VIPで他の作者さんが書いてて感銘を受けたものです。
この魔王にジャストにハマりすぎたので勝手に言葉を使わせてもらいました。はい。

桃スライムもうちょっと活躍させて欲しい(女性19歳)

>>227
あー! 騙されてる!絶対騙されてるよ俺!
でも頑張って桃スライムも次作にだすよ!出せるのか!?
エロシーンも書…え、書くのか…あいつらで…?


ああ…まぁせっかくなので予告をしていきます…無茶振りこわすぎる…ガクガクブルブル

次作は
賢者「根暗な遊び人と」遊び人「メンヘラ賢者でパーティを…?」(仮題)
になる予定です

まだやっとプロットできたばっかで内容は2割も出来てないけどね
…39代魔王時代のパラレル話になりますね
単品の新作です。アイツが出演します。5月までには出したい

ちなみに今、酉をつけずに一本エロを投下中な俺ですよ
見つけた方は現在プロット作製段階の次々作、

天神「僕が天国にイカせてあげる」女「…は」(仮題)

のパラレル話になりますね、はい

いつも何本も平行執筆する癖をどうにかしたい

書きたいだけじゃ駄目ですか

よく考えると、いつも2本先を先にかいてから戻ってる
なんだこの 3歩進んで2歩下がる感


まぁいいや
投下中のエロ話がおわり次第、次作を投下します

スレ落ちしてなければここで案内だしますのでよろしくお願いします

酉つけわすれた

今度はsage忘れた!
ああああもうグダグタ…



もう消えるわ…ハァ

多分投下中のエロとやらが分かったかもしれない
次作も楽しみだ

>>232

ひぃぃぃぃっ
3時間足らずで絞りこんだ!?
接続先かえてIDバレしないように始めたのに何故わかる!?


次作はがんばってます
すごく楽しく書いてます
楽しすぎて空が飛べそうです
ありがとうな、また読んでくださいー!

(´・ω・`)じゃなくてに(´;ω;`)だったし。二回押しちゃったし…。すみません

>>236
もしかして>>195かな?
リアルタイム読者の

それはともかく貴女のドジっぷりに俺との相性のよさを感じました!
あと初々しい女の子の匂いがイイと思います!
作者こんなんでごめんね!

スレが行方不明だったのはなんだろうね?
単に100番以下に落ちて埋もってたかな?
うっかりageた俺、超GJだ、うん

ここだったら『魔王』とか『姫』みたいに、スレタイの一部でもいいから
覚えといてスレッド検索かけると探しやすいよー
顔文字使用を見ると、もしかしてスマホかケータイからなのかな

前作は既に保管庫はいってるから…
あれ、ケータイからでも保管庫のSSって読めるんだっけな…?
まぁ読めなかったらまた聞いてみてね(ニッコリ)

ああ、はい
オンナノコらしきレスへの極端な対応差についてクレーム受け付けます

あとウザいって言わないでね、自覚はちゃんとあるんだ俺…(ドンヨリ
このスレは雑談場にしてやってるだけだから許してくれ

セクハラ魔王を書いてる俺が、セクハラしないわけがない

魔王好きが結構いてくれて嬉しいので
せっかくなのでこんな与太話をひとつ

SS書くとき 作業用BGMを掛けるんですが
キャラに合わせて選曲し、聞きながらキャラを書いていくので
もはや俺の中のイメージソングです

好きな曲やアーティストなのでよかったら聞いてみてください。ステマです

前作
39代魔王(1部) タユタ/RADWIMPS
39代魔王(3部) 魔法鏡/RADWIMPS
先代勇者(2部) 忘れた
騎士王(3部) ハンマーソング/bump of chicken
騎士人格(3部) laugh maker/bump of chicken

今作
38代魔王 金色のカペラ/ACIDMAN

オンナノコは、いろいろ鳴らすので適当です


堕天使リリス がちゃがちゃキュートふぃぎゅ@めいと/PCゲームソング

台詞回しからしてかなり引用多いです、はい
毎回>>1に書いてる 「妄想爆走命がけ」はコレです、ほんっとすみませんでした
オンナノコはググらないでください

思い出した

先代勇者(2部) MAGIC/Hawaiian6

そんでまた酉を入れ忘れる、と…ハァ

あー
駄目だ、最近ずっと投下中のエロオンリーを書いてるから 頭おかしいわ
ごめんな、親切に対して変なこと言って





うん
ひかないで

やっぱり携帯で書くとかったるかった職場だったから仕方なかったが

>>260のつづき
エロ本自体の視点は多分男女が違うだけであんまり変わらないと思うけど
(しかも男性向けで女性視点とか、もう女性向けでも出せたよこれみたいなのあるけど)
男の場合は、エロい視覚情報でも興奮することができるけど、
女の場合は、自分の妄想の中に取り込んでからじゃないと興奮できない、とか。
だから、ひとりでするときに目を閉じてることが多いとかなんとか

視点の主を自分と入れ替えて(同一視か?)、頭の中で補完してるんだと思われる
だから、女向けの場合、その状況下で何を思っているのかの描写が重要かも?

>>264
仕事中にあんがとな。俺は今日、仕事休みだったけどww
週末、出なきゃいけないのがブルー…(ハァ

なるほど、うん、わかる気はする
女の立場で思うことも書くって言うなら、今回のあの書き方は間違ってなかったかな
よくあるエロSSの
女「おっぱいらめぇぇぇ!感じちゃうのぉぉ!」みたいなのってヒかない?
僅かでもそれに陥るのが嫌で、会話形式エロは避けがちなんだよね

でもその、
いざ事に及んだときの「つっこまれたい気持ち」は
イチャラブしてるときなんかよりすごいエロいんだろうなって思う
そんなの絶対、男なら知りたいと思うはずだし、書きたい
そうか、だからみんなエロシーンで女に喋らせようとするのか

ちょっと本気でどうにかしてくる
なんか間違って、いろいろドン引きさせたらごめんね
あと最後に叫ばせて

ああもうエロSSとか楽しいけどキツい!
注力してるとほんとおかしくなりそう!
エロいことばっか考えてて実生活ほんとどーすんだよ!!
高校生か!!

>>270
勿論です。どーぞ貰ってやってください
ちなみに着ている服は学士服のつもりです
アカデミック・ドレスっていうらしいですねー(知らなかった

>>272
ああ、やっぱり君だったか
SS読んでるよ。がんばってるね
長短編を書き連ねるやり方とか、オリジナリティがあってすごくいいと思ったな

あー…それで。
勝手な推測だけど、俺よりかなり若そうだと思ったから一応言わせてね?

俺、この深夜VIPはずっとROMだったし、それでもそう長く居るわけじゃないけど
俺のこの「馴れ合いまくりのやり方」は
安価とか二次創作でもないジャンルではかなり浮いてると自覚してるんだ

正直、読者の好き嫌いがはっきり分かれるリスキーなやり方だと思ってる
大部分に嫌われるのを覚悟の上で、一部分に深入りしたくなったからね

自惚れかも知れないけど、どうも君は俺のSSだけじゃなく
そういう俺自身のやり方にまで影響を受けてる気がしてね

いやまあそれこそ深入りさせるって意味では、確かに俺の望んだことではあるんだけど、
どうも若いオンナノコと意識しちゃうとちょっと犯罪的な意識のが先に芽生え…じゃなくて!
とにかく! 俺のせいで君を「予期せぬ不本意なリスク」に巻き込む事が心配なんだよ


初投下作品って聞いてるし、「君自身の考え」と「ストーリー」だけは大切にして欲しい
読者として、君の全力のSSを楽しみにしてるよ



ああもう なんか俺 本当に駄目だな、オイ
どーすんだこれ 俺自身が香ばしすぎて既にサムいんだけど

↑ 長短編って長いのか短いのかどっちなんだ 超短編だよコンチクショウ
とりあえず話を変えよう もはや俺というものがよくわからない


あ、オンナノコのキモチを勉強してきました(謎
今日は無理だから明日書き溜める。投下までできるかなー

つかさ 「正直、やりすぎだ」と思う人がいたら言ってね
ドンビキさせる前には自粛するから
NTRだの鬼畜だの なんで層の狭いとこに向かうんだろうね俺は

>>281
何わくわくしながら、セクハラ企んでるんですか
捕まりますよ!?
捕まったらSSの続きが!

携帯壊れるのって地味にショック大きいですよね
えーと、元気だしてください

>>281
げんきだすです!(魔王の魔王の右の魔王)

>>283
俺がセクハラ思考をやめるとか、そんなつまらんSSになっても読みたいのか!

…って、いやいや。落ち着け俺
普通にも書けるだろうよ、多分。書けるよね、書け…あれ?
…うん、エロ要素を抜いたSSは今後の課題にいれておきます(ネタすら思い付かなかった


>>284
おまえwww
本当にそれでいいのかwww

…はっ!確かに一番「待たされてる部分」だった!!
あああ、こんなんで説得力を感じるとか…うう

仕事おわったー!
4月は楽だー!来月は地獄だー!

で。
なつかしー!!知ってる人いて超うれしー!
爆れつの女の子は、ティラかショコラかどっちかだ!いいよな、でも眼鏡の方が好きだった!!

GS美神とか…俺、完全版で漫画もってるし
シティハンターは今でも主題歌iPodにいれてるし
さては同世代だなおまえwww

スレイヤーズはアニメで見てたよ!ドラまたとか懐かしいww
時々ある、リナとガウリィのデレがいいんだよwww

俺はあの時代だと 「ゴクドー君漫遊記」とか…
…ああ記憶が遠い…作者や作品が出てこない…

そうか。あの頃は、作者の名前とか気にしてなかったんだわ
多分読めてなかったトコや漢字もあったんだろうなー…もったいない

でも何故かいきなりビデオ借りてまでGガンダムにハマりまくったという謎のパターン

魔術師オーフェンか!
OPだかEDだか つんく系じゃなかったっけ?
あー!キャラの名前がでてこないっ!
あのオーフェンについてくる少年少女がまたいい味だしてんだよな!

なつかしいいいい!
オーフェンのあの陰しょいまくりな感じとか好きだった!

中村うさぎも好きだったなー
でもあの人、メディアに露出しすぎなんだよwwww
あとなんだろ。ジャンプ系の漫画ならいくつか出てくるけど、小説タイトルおもいだせねぇぇぇ



喰らえ!必殺ぅぅぅ シャァァイニングっフィンガァァァァァァ!!!!


ああ俺、関さん好きだわ(笑)

ああいう 馬鹿みたいな熱いヒーロー大好きだわ
最近はないのかな?

うん、ごめん

いま現行投下の奴の書き溜めが ついに終わりに向かったからね
あと少しがんばる

なんか安心したらテンションあがったんだー

投下できる時間があるかどうかは不明だけど、
日付代わってその日の内に完結できたらいいなと思います、はい

いろいろ参考にしようと、週末は仕事以外でよそでエロSS読んできた


そしたら自分のエロが 書けなくなってるのに気がついた


本末転倒もいいところだ

現行投下中のSS、完投しました
俺、エロメインのSSは向いてない気がするんだ 疲れた


さてさて。
本腰いれて、次作をすすめましょうかね
次作は 性的に安全なお話です、多分

……あれ? 俺の安全基準がわかんない

ごめん

雑談スレ化は ここまでにします!!

俺に付き合ってお話してくれたみんな、ありがとうねー!!

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