――― トゥアハー・デ・ダナン ―――
ウィーン
宗介「大佐殿、失礼します」ビシッ
テッサ「相良軍曹、お忙しい中すいません」
宗介「いえ、大佐殿の召集とあれば例えヘルマジスタンに居ようとも駆けつけます」
テッサ「ウフフ、相良軍曹の様な方がいて助かります」
宗介「恐縮でありますマム」
テッサ「実は、相良軍曹をお呼びしたのには訳があるんです」
宗介「任務…で、ありますか?」
テッサ「まぁ、そうなのだけれど……相良軍曹、ISを動かしたというのは本当かしら」
宗介「肯定であります。前の作戦にて、テロリストの基地から回収した物を自分が触れたところ起動しました」
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テッサ「相良軍曹は、ISについて知っていますか?」
宗介「はッ、基本的な事は……」
テッサ「ISは、女性にしか扱う事が出来ない特殊な兵器です。そのせいで、女尊男卑なんて風潮が世界に広まってしまうほど……」
宗介「ですが、我々ミスリルには不要な物であります。兵器としての定義から逸脱し、テロリストも未だにASを使用する事も多い」
テッサ「そうですね。私も、相良軍曹と同意見です。量産性が乏しく、使用者が限定される兵器には疑問を覚えます。それでも、実際に各国軍事部門はASからISへの移行を計っています。そして、ISの存在が戦争の抑止力になっている……それほど強力な兵器なんです」
宗介「…………」
テッサ「もちろん、デメリットもあります。各国が、ASの開発・量産から手を引いたせいでASの開発・量産を行っていた人達が職を失いテロリストに拐われてテロに使うASを作らされているなんて事もありますし、ASを横流ししている某国の例もあります」
テッサ「ISは、私達ミスリルにとって頭痛の種でもあるんですよね……」
宗介「あの、大佐殿……そのISと自分の任務に何か関係が……?」
テッサ「あ、話が逸れてしまいましたね。強力な兵器でもあるISですが、相良軍曹の言うように兵器としてはまだまだ改善点がある。とくに、使用者が限られるというのは兵器にとって重大な欠陥と言って良い。だから、色んな組織が躍起になってその改善点をどうにかしようと画策しています」
宗介「なるほど、つまり男でISを起動させた自分が狙われる可能性があるという事ですね」
テッサ「ええ、そうです。ですが、相良軍曹はミスリルにいる限り安全です。私達が全力で守りますもの」
宗介「自分も新兵ではありません。テロリストに遅れをとる事はないでしょう」
テッサ「ウフフ、頼もしいですね。ですが、相良軍曹の様に安全を約束された立場ではない人もいるんです」
宗介「つまり、護衛任務という事でありましょうか?」
テッサ「察しが良くて助かります。相良軍曹には、とある少年を護衛していただきたいんです」
宗介「了解しましたマム。装備Bの使用許可を願います」
テッサ「いえ、ASは使用せず、単独任務でお願いしたいの」
宗介「単独任務でありますか?」
テッサ「チームでの作戦行動がほぼ不可能で、かなり限定的な状況になると思うので……引き受けてくれますか?」
宗介「肯定であります。自分は、プロフェッショナルであります」
テッサ「相良軍曹、ありがとうございます。出来る限りのバックアップはしますが、難しい任務になると思います。常時、不測の自体に備えて行動してください」
宗介「了解しましたマムッ!」ビシッ
テッサ「では、カリーニン少佐から詳細なブリーフィングを受けてください」
宗介「失礼します!」スタスタ
ウィーン
テッサ「……ふぅ」
テッサ(相良さんが、ISを起動させたのを見計らった様にリークされたとある少年IS適性者とその少年を狙うテロリストの情報……)
テッサ(どうにも引っ掛かるけれど、調査に進展がない以上はこうするしかない。相良さんには、厄介な任務を押し付けちゃったかな……)
テッサ(IS学園……女性しかいない学園……)
テッサ「今は、私に出来る事をやりましょう。力を尽くせば相良さんも楽になるはずだわ」
ウィーン
マデューカス「お呼びでしょうかテスタロッサ艦長」
テッサ「マデューカスさん、待ってました。実は、少し協力をお願いしたいんですけど……」
―――
――
―
――― IS学園 ―――
一夏「織斑一夏です!」
山田「…………え?それだけですか?」
一夏「そうですけど?」
山田「え、あ、そうですか……」
千冬「まったく……自己紹介なのだからもっと話す事があるだろう……」
山田「えっと、じゃあ、次の方」
宗介「はッ!!」
千冬(あれが、一夏以外にISを起動させた男か……。入学試験の成績は中の上。教官との戦闘も特に目立ったところはなく、可もなく不可もなく。ここまで、器用に平均値とは)
宗介「相良宗介軍曹であります!!」ビシッ
山田・千冬「「へ!?」」
一夏「……軍曹?」
「軍曹ー?なにそれ?」
「オタクってヤツじゃない?」
「羽柴筑前守秀吉みたいなノリでしょ?」
宗介「あ、いえ、忘れてください。相良宗介であります」
「はいはーい!質問良いですかー?」
山田「え、あの、えっと……」
千冬「……はぁ」コクッ
山田「じゃ、じゃあ、あまり騒がしくならない様にね?」
「織斑くん、織斑先生の弟って本当?」
一夏「あ、うん」
「キャーすごーい」
「じゃあ、強いって事だよねー」
「はいはーい!相良くんの趣味はなんですか?」
宗介「釣りと読書であります」
「どんな本を読むんですかー?」
宗介「面に、軍事関連の書物を読みます。AS全巻やマンスリーアームスレイヴ、ソルジャーオブフォーチュンなどは購読しておりますし、日本の月刊 SDFなどは大衆向けに発刊されておりながら自衛隊に関して情報が事細かに記載されており良く出来ていると思います。また、IS学園に入学するにあたりIS関連の書物も取り寄せて読もうかと……」
シーン
宗介「……忘れてください」
一夏(なんか、相良って面白いヤツだな)
山田「あ、えっと、もう質問は無いようなので二人とも席についてください」
一夏「はい」
宗介「はッ!」
一夏「隣の席だな。よろしくな!宗介って……呼んで良いか?」
宗介「かまわない」
一夏「それじゃ改めて……よろしくな宗介!いやー男が俺一人だと思って不安だったんだよ。宗介が居て正直安心した」
宗介「そうか」
箒「…………」チラッチラッ
宗介(あの女、織斑一夏を見ているな……怪しい)
~ 休み時間 ~
一夏「あ~疲れた~!宗介、購買いって見ようぜ!!」ガタッ
宗介「了解した」
一夏「おう!」スタスタ
箒「……おい」ガタッ
一夏「ん?」
宗介「くッ、やはりか!」
箒「お前、織斑いち」
グィ バタンッ チャキッ
箒「い、痛ッ!相良ッ!!いきなり何をする!?」
宗介「動くな。動けばお前の頭を撃ち抜く事になる」
「え、なになに?」
「なんか相良くんが、篠ノ之さんを組伏せてるの!」
「キャー大胆!!」
一夏「お、おい、宗介?」
宗介「答えろ。なぜ、織斑一夏をチラチラ見ていた」ゴリッ
箒「そ、それは……」
宗介「織斑一夏の命を狙っていたのか?」
箒「な、なぜ私が一夏の命を狙わなければならないんだ!!」
山田「な、何事ですか!?」
「山田先生、相良くんが……」
宗介「では、なぜだ。10秒の猶予をやる。答えろッ!」ゴリッ
箒「ちょ、い、痛い!!」
一夏「そ、宗介、やめろって!」
宗介「10、9、8、7……」
箒「わ、私が一夏と幼なじみだからだッ!!」
宗介「……本当か?」ゴリッ
箒「い、痛い!本当だ!!なぜ、嘘をつかねばならん」
宗介「織斑、本当か?」
一夏「あ、いや、顔見てないから分かんない……」
宗介「織斑は知らないと言っている。嘘は自分のためにならんぞ」チャキッ
箒「か、顔を見せればわかるッ!本当だ!!」
宗介「……どうだ?」グィ
箒「い、痛いと言ってるだろう!髪を引っ張るなッ!!」
一夏「ほ、箒!?宗介!こいつ、本当に俺の幼なじみだよ!!」
宗介「…………」
箒「く、くそ……いったいなんなんだ……」
宗介「人間とは間違える生き物だ。今回は、良い教訓になった」キリッ
千冬「教訓で済むか!」バキッ
宗介「……!?」ドンガラガッシャン
一夏「そ、宗介ーー!?」
千冬「山田先生が急に助けを請いに来て何事かと来てみれば……相良、お前は何をやっている!!」
一夏「そ、宗介大丈夫か!?」
宗介「問題ない」ムクッ
千冬「説明しろ相良ッ!!」
宗介「はッ!ホームルームの折、篠ノ之が織斑に怪しい視線を向けておりましたのでてっきり織斑に危害を加える機会を計っているものと思い制圧した次第であります!!」ビシッ
千冬「そんな訳がないだろうが!ここは、世界一安全なIS学園だぞ!!」
宗介「教官、お言葉ですが、どのような事にも絶対などと言う事はなく、何事に対しても万全をきすのがプロフェッショナルかと」
千冬「戯れ事は良い!!」
宗介「イエス、マムッ!!」ビシッ
千冬「相良ァ!お前は職員室に来いッ!!」
宗介「イエス、マムッ!!」ビシッ
千冬「それはやめろ!私は先生で、お前の上官ではないッ!」
宗介「了解しましたッ!」ビシッ
千冬「他の者も野次馬をしていないでさっさと席に着けッ!!」
一夏「ち、千冬ねぇ……」
ゴンッ
一夏「痛っ!?」
千冬「この場では先生と呼べ」
一夏「す、すいません先生……あ、あの、宗介も悪気があったわけじゃないと思うからあんまり叱らないでやってくれませんか?」
千冬「ふぅ、考慮しよう。来い、相良ァ!!」ズルズル
宗介「はッ!了解であります!!」
――― 職員室 ―――
千冬「まったく……入学早々、問題を起こしおって……」
宗介「恐縮であります!」ビシッ
千冬「お前は……第一、なんで学園内にこんな玩具を持ち込んでいるッ!」
宗介「教官、それは玩具ではなくベレッタM92であります!」
千冬「銃の種類を聞いてるんじゃない!なぜ、持ち込んでいるかと聞いているんだッ!!入学の際の持ち物検査をお前は受けていないのか」
宗介「受けましたが?」
千冬「じゃあ、なぜ!!」
宗介「担当教官と銃器談義に花が咲き、持ち込みを許可された次第であります!」ビシッ
千冬「その教官は誰だァーー!!」
Y田『ヘックシッ!』ズビズビ
千冬「……はぁ、もう良い。お前はちゃんと篠ノ之に謝っておけ」
宗介「了解しましたッ!!」ビシッ
千冬「お前には、まだ聞きたい事がある。お前の情報を確認していたのだが、どうにも得心がいかない点がいくつかある」
宗介「…………」
千冬「まず、お前の養父の名……ソリッド・スネークとは本名か?」
宗介「肯定であります」
千冬「……にわかには信じられんが、嘘をついてる様子はないか。次、お前は中学の時分は転校を繰り返していたようだが何処にいた」
宗介「アフガン、レバノン、イラク、ヘルマジスタン」
千冬「それは冗談ではないだろうな?本当なんだな?」
宗介「肯定であります!」
千冬(養父が海洋貿易の仕事をしているらしいから海外を転々としていただろう事は察せられるが、こうも中東ばかりに行くものなのか?しかも、どこも紛争地帯……)
宗介「織斑教官?」
千冬「ああ、すまない。分かった。下がって良い。ちゃんと篠ノ之に謝っておけよ?」
宗介「イエス、マムッ!失礼します」スタスタ
千冬「相良宗介……」
千冬「ヤツはどうにも気になる……」
千冬「立ち居振舞い、言動が他の生徒とは違いすぎる。いや、個性と言ってしまえばそれまでだが……だとしたら
、この入学時の妙に平均値な成績は逆に無個性。まるで、目立たない様にしてる様な……それなら今回の様な目立つ行動はしないか……」
千冬「篠ノ之を危険人物と誤解して制圧したのも紛争地帯を転々としているうちに身に付いた防衛本能とも言えなくはないだろうが……何故、一夏を守るためと言った?言い訳か?」
千冬「いや、その前に篠ノ之は剣道の有段者。いくら相手が男子とは言え、そう簡単に組伏せられるものか?」
千冬「……私の考え過ぎか?」
ガラッ
山田「織斑先生!相良くんが、織斑くんを脅かそうとした生徒を投げ飛ばしましたッ!!」
千冬「相良ァーー!!」ガタッ
今日はこんな感じです。
予想外のレスの多さにビックリです
千冬さんがツッコミ&ヒロイン(?)ポジで箒がツン、一夏がデレという感じで千鳥成分を分割してます
>>1の技量だと千鳥の良さを引き出せそうにないんで……
林水会長閣下は生兵法は怪我のもとってな感じで避けました。大好きなキャラなんすけどね
ってな感じで、期待に沿えるかわかりませんが頑張ります
予想外のレスの多さにビックリです
千冬さんがツッコミ&ヒロイン(?)ポジで箒がツン、一夏がデレという感じで千鳥成分を分割してます
>>1の技量だと千鳥の良さを引き出せそうにないんで……
林水会長閣下は生兵法は怪我のもとってな感じで避けました。大好きなキャラなんすけどね
ってな感じで、期待に沿えるかわかりませんが頑張ります
~ 昼休み ~
箒「い、一夏!」
一夏「ん、箒か。なに?」
箒「ひ、久しぶりに会ったのだから話さないか?」
一夏「おう、いいよ。学食行くか」
箒「あ、ああ!」
一夏「しかし、久しぶりだなぁ。まさか、箒に会うなんて」
箒「それはこっちのセリフだ。まさか、IS学園で一夏と会うとは思わなかった」
一夏「ま、そうだよな。誰も男の俺にIS適性があるなんて思わないもんな」
箒「でも、一夏に会えて良かった。お前は、変わらないな。いや、背がだいぶ伸びたか」
一夏「箒は、変わったな。前よりずっと可愛くなったよ」
箒「……か、可愛い///」
一夏「ん?どうした?」
――― 学食 ―――
一夏「あっち座ろうか」
箒「ああ」
一夏「あ、宗介!おーい、宗介!!」
箒「……げッ」
一夏「宗介も一緒で良いか?」
箒「……あ、ああ」
一夏「こっちこっち!随分、千冬ねぇに絞られたみたいだな」
宗介「肯定だ」
一夏「千冬ねぇは厳しいからなぁ……」
宗介「しかし、熱心な方だ。織斑教官が担当教官で俺達は幸せかもしれん」
一夏「ははは、幸せは大袈裟じゃないか?」
箒(相良のヤツ、なぜこんなに一夏に馴れ馴れしいんだ!?というか一夏も一夏だ!幼なじみに久しぶりにあったのだからもう少し気を使ってくれても……)
一夏「そう言えば、宗介って前は海外に居たんだよな?」
宗介「肯定だ」
一夏「なんて国に居たんだ?」
箒(別に相良の事なんか興味ない。それよりも私と話をしてくれ……一夏……)
宗介「アフガンに居た」
一夏「アフガンってアフガニスタン?」
箒(一夏はなんで私にあんな事したヤツを平気で許しているんだ?相良も謝罪もせず、のうのうと私の前に良く顔を出せたものだな!)
宗介「肯定だ」
一夏「へぇ、アフガニスタンか。どんな場所だった?」
宗介「……悲惨だった」
一夏「悲惨って?」
宗介「……テロなどは日常茶飯事。外に出るのにも顔を隠し、銃器を携帯せねば己の命が危うい。放置されたテロ犠牲者の遺体からは腐臭が漂い、耐性がない者などは一時間もいる事は出来ない。俺もいくつか戦場を見てきたつもりだったが、あの場所は少し異様だった」
一夏「……宗介はそんな大変な場所にいたのか……なんか、ごめんな」
宗介「なぜ、謝罪する」
一夏「あ、いや、なんか気安く聞いてさ……宗介に嫌な事を思い出させちゃったかなって……」
箒「…………」
宗介「かまわない。確かに悲惨な状況ではあったが、そこに住む人達は前を向き懸命に生きていた。寧ろ俺は、そんな人達がいることを知ることが出来て良かったと思っている」
一夏「宗介って凄いヤツだな……俺ならきっとそんな風には受け止められないよ……」
宗介「受け止め方は人それぞれだ。どう、受け止めようとかまわない。そう言う現実があるという事を知るこそ事こそ大事なんだ」
一夏「そうだな……俺、宗介からそう言う話を聞けて良かったよ!」
宗介「織斑一夏、お前は良いヤツだ」
一夏「宗介もな!俺達、良い友達になれそうだ!!」
箒「…………」ガタッ
一夏「箒?」
箒「……ちょ、ちょっと花を摘みに」スタスタ
箒「な、なぜ、あんな話をする!まるで私の器が小さいみたいではないか!!」
箒「……はぁ」
宗介「篠ノ之」
箒「ふぁっ!?さ、相良か?どうした」
宗介「あんな事をしてすまなかった」
箒「え、あ、ああ……」
宗介「勘違いとは言え、軽卒だった。今後はあの様な事がない様に善処する。すまない」
箒「……いや、いいんだ。お前に、勘違いをさせてしまった私にも非があると思う。だから、許す」
宗介「助かる。俺は、先に教室に行く」スタスタ
箒「あ、ああ……」
一夏「宗介、良いヤツだよな」
箒「い、一夏!?」
一夏「宗介も悪気があったわけじゃないと思うんだ。俺からも謝るから許してやってくれ」
箒「な、なぜ、頭を下げる!?私は、もう相良を許したよ……(あんな話を聞いて許さないわけにはいかないだろ……はぁ)」
ちょっと所用で中断
~ 放課後 ~
一夏「宗介と部屋一緒だってよ!」
宗介「そうだな」
一夏「なんかワクワクするな!友達の家に泊まりに行く時みたいだ。あ、この部屋だぞ」
宗介「待て、織斑!」
一夏「ん、どうした?」
宗介「やはり、誰かいる……織斑、下がっていろ」
一夏「え?お、おう」
カチャ ピンッ コロコロ
一夏「何を入れたんだ?」
ボフンッ
一夏「け、煙が出てきたぞ!?」
宗介「スモークグレネードだ」
カ,カジカ ニ,ニゲナキャ
宗介「……出てくるぞ」
一夏「……え!?」
ガチャ
「ゲホッ、ゲホッ……い、いったい何が!?」
グイッ バタンッ チャキッ
「い、痛ッ!な、なんなんだ!?」
宗介「俺達の部屋に忍び込んで何をしていた。答えろ」
「も、もしかして、相良か!?」
宗介「なぜ、俺の名を知っている」
一夏「……あー、宗介。お前が取り押さえる人……箒だ」
宗介「なに?」グイッ
箒「か、髪を引っ張るなと言っているだろ!!」
宗介「…………」
一夏「あは、あははは……」
宗介「……すまん」
箒「許さん!!」バコンッ
―――
――
―
~ 翌日 ~
一夏「宗介、昨日は散々だったな。箒に殴られるし千冬ねぇには殴られたあと説教されるし」
宗介「…………」
一夏「まぁ、気にすんなよ。失敗は誰でもあるしさ」
宗介「……すまん」
一夏「別に謝んなくて良いって!でも、宗介ってなんであんなに武器いっぱい持ってるんだ?千冬ねぇに持ってる玩具全部出せって言われた時、次々と出てきたじゃん」
宗介「それは……」
一夏「あ、言いたくないなら言わなくて良いよ。何となく分かるし……危険な場所に居たからあれくらいの備えするのは当たり前なんだよな……」
宗介「あ、ああ……」
一夏「宗介、IS学園は安全な場所なんだからそんなに気を張らなくて良いんだぜ?」
宗介「了解した」
一夏「あ、箒、おはよう」
箒「一夏か。おはよう」
宗介「篠ノ之、昨日はすまなかった」
箒「……ふんッ」プイッ
一夏「おい、箒!」
宗介「織斑、かまわん。二度と篠ノ之には迷惑をかけないと約束した矢先のあれだ。明らかに俺の過失だ」
一夏「でもさ……」
?「ちょっとお二方、よろしくて?」
一夏「ん?」
宗介「なんの用だ」
?「まぁ!なんですのその態度!!私に話しかけられたのですから、それ相応の態度をとるのが当たり前ではなくて!?」クドクド
宗介(こいつの声、どこか既視感を覚える……)
一夏(あー、なんかめんどくさいなぁ)
?「お二方、聞いてますの!?」
一夏「え、うん、聞いてる聞いてる」
宗介「すまないが、君は誰だ」
?「あなた方、私の事を知らないのですか!?」
宗介「織斑、知ってるか?」
一夏「え、えっと……セシ、セシリー?」
セシリア「セシリア・オルコットですわ!イギリス代表候補生で専用機持ちの私の事を知らないなんて愚かな事この上ないですわね」
宗介「織斑、代表候補生とはなんだ?」
一夏「え、えっと……その国のIS適性者の代表って事だと思うけど……」
宗介「なるほど……では、専用機持ちとはなんだ?専用機とはワンオフ機という事か?」
セシリア「あなた方、私の話をお聞きなさい!!」
箒「……はぁ」
セシリア「篠ノ之さん、何か文句でもあるのですか!?」
箒「オルコット、そこの天然二人に何を言おうと無駄だ。それより、早く席に着かんと織斑先生に叱られるぞ」
セシリア「ふんッ、確かに愚かなお二方とお話した所で何の得にもなりませんわね」
宗介「彼女は、なぜあんなに怒っているんだ?」
一夏「さぁ……でも、ちょっとカチンと来たな」
宗介「そうか?」
一夏「だって、愚かとか言われてたんだぜ?カチンと来ないのか!?」
千冬「確かに、既に私の授業が始まっているのに堂々と大声で会話されるとカチンと来るな」
一夏「ゲッ!?千冬ねぇ!」
千冬「さっさと席に着かんか!馬鹿者!!」ゴツンゴツン
一夏「」プスプス
宗介「」プスプス
千冬「さて、授業に入る前に再来週行われるクラス対抗戦の代表を決めたいんだが……」
宗介「織斑教官!」ガタッ
千冬「なんだ、相良」
宗介「クラス対抗戦とは何の事でしょうか」
千冬「同学年で代表を決めて優劣を競うんだ。代表になったものは謂わばクラスの長として生徒会活動等にも参加してもらう事になる」
宗介「なるほど、指揮官を決めるという事か……」
千冬「間違ってはいないが……まぁ、良い。それで、自薦他薦を問わず」
「はいはい!織斑くんが良いと思います!!」
「自分は、相良軍曹が良いと思うであります!!」
千冬「まったく……私の話を遮るな……いや、良いんだが……他にないか?なければ」
セシリア「ちょっとお待ちになってくださいませんか!?なぜ、男性であるお二方を推挙なされたのですか!一年間、全校に恥を晒す事になりましてよ!!」
一夏「ちょっと待てよ!なんで、男がクラス代表になれば恥になるんだよ!!」
セシリア「ISとは本来、女性が扱う物ですわ。男性の様な野蛮な者が扱って良いものではありませんわ」
一夏「なんだよ!その理屈はおかしいだろ!!」
セシリア「第一、後進国の愚かなお猿さんごときがISを扱うって事自体、由々しき事態だと思いますが?」
バンッ
箒「おい、オルコット!そこまで言う必要はないだろ!!」
セシリア「あら?事実ではなくって?」
一夏「あったまきた!!」
千冬「おい、お前ら落ち着かんか!」
ワーギャーワーギャー
千冬「おい、貴様らッ!いい加減にしないと」
ズドンッ
一・セシ・箒「「「!?」」」
宗介「3人とも落ち着け」
箒「だ、だが……」
宗介「上官の制止もきかず、下士官同士で口論を続けるならば除隊されても仕方ないぞ。それでも良いのか?」
セシリア「な、なんですの?お、お、脅しなら……」
宗介「脅しではない。事実だ」
一夏「わ、悪い宗介。ちょっと熱くなっちまった……」
宗介「謝るなら織斑教官にだ」
一・セシ・箒「「「織斑先生、すいませんでした」」」
宗介「教官、ここは自分の顔に免じて許していただけませんか」
千冬「ああ、許そう……だがな、相良……」
宗介「懲罰なら致し方ありません。慎んで受けるように自分から3人に……」
メキャッ ドンガラガッシャン
一夏「宗介ッ!?」
千冬「教室内、というか学内で発砲する奴がいるか!怪我をしたらどうするつもりだ!!」
宗介「」ムクッ
一夏「そ、宗介、大丈夫か?」
宗介「問題ない」
一夏「お前、タフだな……」
千冬「第一なんだそれは!おもちゃではなかったのか!?というか、平然と発砲するなんてどういう神経してる!!」
宗介「本物であります。自分は、プロフェッショナルでありますから周りに危害が及ばぬよう空砲にしてから発砲しました」
千冬「そうか、なら良い……とでも言うか馬鹿者が!!」
キーンコーンカーンコーン
千冬「くそッ……代表の事だが、1週間後に織斑と相良、織斑の3人で模擬戦を行い、その結果で決める。それで良いな?」
一夏「は、はい」
セシリア「か、かまいませんわ」
宗介「了解しました」ビシッ
千冬「相良ッ!お前は私と共に職員室に来い!!たっっっっぷり説教しやる」
宗介「アイ、マムッ!!」ビシッ
一夏「そ、宗介、生きて帰れるかな……」
―――
――
―
今日はこんな感じで
セシリアがみんな大好きテッサちゃんと中の人が同じで思い出したけど、宗介とシャルは某虚淵原作のノイタミナアニメで主人公とヒロインですな
さらに与太話だが、千鳥の友達の恭子ちゃんはカワイイ
>>65
キーンコーンカーンコーン
千冬「くそッ……代表の事だが、1週間後に織斑と相良、オルコットの3人で模擬戦を行い、その結果で決める。それで良いな?」
一夏「は、はい」
セシリア「か、かまいませんわ」
宗介「了解しました」ビシッ
千冬「相良ッ!お前は私と共に職員室に来い!!たっっっっぷり説教しやる」
宗介「アイ、マムッ!!」ビシッ
一夏「そ、宗介、生きて帰れるかな……」
―――
――
―
ポカやった。ポカやりすぎた by佐々木健介
いや、マジですいません。
部屋の件は、素で描写入れ忘れました。
セシリア編というか模擬戦の件は書ききってるんで、あとで何らかの形でフォロー入れときます。すいません。
出掛ける用事があるんで、早いけどちょっとだけ投下します。
時は来た。それだけだ。 by橋本真也
一夏「宗介、大丈夫だったか?」
宗介「問題ない」
一夏「お前ってタフだよな……」
宗介「そうか?新兵の訓練はもっと過酷だぞ?この程度ならば、優しいものだ」
一夏「そ、そうなのか?まぁ、いいや。なぁ、訓練機を見に行かないか?セシリアは専用機持ってるから良いけど、俺達は訓練機で模擬戦やるだろ?だから、ちゃんとチェックして備えておいた方が良いと思うんだ」
宗介「そうだな。良い判断だ」
一夏「うし!山田先生にお願いして手続きして貰ってるんだ。早速、行こうぜ!!」
宗介「了解した」
山田「あ、お二人!こっちですよ」
一夏「あ、山田先生ありがとうございます!!」
宗介「山田教官、御苦労様です!!」ビシッ
山田「い、いえ!え、えっと、これが訓練機の打鉄とラファール・リヴァイヴになります。打鉄のメイン武装はブレード1本で、ラファール・リヴァイヴは汎用性の高い仕様になっています。オルコットさんのブルー・ティアーズは、遠距離戦に高い効果を発揮する武装なので打鉄では不利になるかと……」
一夏「そっかぁ……でも、素人の俺に銃なんて使えるかなぁ……」
宗介「付け焼き刃で、どうにかなるほど実戦は甘くない。織斑、確かお前は幼少時に何か格闘技をやっていたと聞いたが」
一夏「格闘技ってか、剣道をやってたけど……」
宗介「ならば、打鉄を選択するべきだろう」
一夏「でも、セシリアのISは遠距離戦用なんだろ?」
宗介「先ほども言った通り実戦は付け焼き刃で通用するほど甘くない。確かに、遠距離戦用の機体を相手に白兵戦用の武器しかないのはディスアドバンテージだが、そこは戦術次第で覆せなくはないだろう。山田教官、戦場はどう言った場所なのでしょうか」
山田「え、えっと、アリーナで行います。広いフィールドではないので、距離を詰めさえすれば打鉄でも戦えない事はないですが、遮蔽物がないのでやはり厳しい戦いになるかと……」
宗介「トラップの使用は可能でしょうか?」
山田「い、いえ、模擬戦当日までアリーナへの立ち入りは許可できませんので、トラップ等の設置は……というか……トラップの使用自体許可できません」
宗介「では、武装の追加は?」
山田「それは構いませんが、用意出来るものにも限りがありますよ?」
宗介「ふむ……」
一夏「や、やっぱり厳しいかな……ちくしょう……あんなに言われて黙ってやられるしかないのかよ……」
宗介「織斑、諦めるな。限られた条件ではあるが勝率をあげる事はできる」
一夏「ほ、本当か?」
宗介「肯定だ。俺は、プロフェッショナルだからな。取り敢えず、今やる事は訓練を重ねる事だ。戦術や機体の方は来週までに、俺が思案してどうにかしてみよう」
一夏「なんか、宗介が言うならなんとかなりそうな気がしてきた!」
山田(青少年が1つの目標に向けて手を取り合い、邁進する。素晴らしいです!興奮します!願わくば抱き合って下さい!!)
千冬「一夏、ここに居たのか。ちょうど良い」
一夏「あれ?ちふ……織斑先生?」
千冬「お前に用があって探していたんだ。喜べ!お前に専用機が届いてるぞ」
一夏「……え?」
宗介「…………」
山田「お、織斑先生、あんまりです……」
千冬「ん?何がだ?」
一夏「そ、宗介ごめんな?出鼻挫くみたいな感じになってごめんな?」
宗介「……問題ない」
千冬「あ、なんだ……その……良く分からんがすまん……」
一夏「と、取り敢えず訓練しよう訓練!宗介が言った通り訓練しなきゃ例え専用機使ってても勝てねぇからな!!」
宗介「そうだな。だが、訓練は明日からだ。無闇に訓練したところで、意味はない。メニューを考えておこう」
一夏「分かった」
宗介「織斑は先に私室に戻っていてくれ。俺は少しやる事がある」
一夏「おう、じゃあ先に行ってるな!」タッタッタッ
千冬「……相良、偉く的確な進言を一夏にしたらしいじゃないか」
宗介「恐縮であります」
千冬「相良、お前は普通ではない……確信を持ったわけではないが、色々と訝しい点が多いんだ……ただ、それは些細な点で……」
宗介「……織斑教官、何をおっしゃりたいのですか?」
千冬「うむ……単刀直入に聞く……お前は何者だ?何のために一夏に接触した」
宗介「IS学園1年1組、相良宗介。織斑一夏とは……友人と言える関係性と認識しております」
千冬「そう簡単に真実は答えないか……まぁ、良い。確かに、一時期は情報の上では無個性が主張していたから訝しんでいたが、今の私のお前への認識は問題児だ。そんな疑念はとうに薄れていたさ。何かしようと言う輩が、こんなに目立つなんて素人も良いところだしな」
宗介「……うっ」
千冬「今は、ただの手間のかかる生徒と認識しておいてやる。しっかり励め」
宗介「了解しました!」ビシッ
千冬「ところで……何か用があるんじゃないのか?」
宗介「はッ!追加武装の許可を願います!!」
千冬「分かった。明日、追加できる武装のリストを渡すからそれにチェックを入れて提出しろ」
宗介「了解しました!!」ビシッ
千冬「もう用はないか?」
宗介「以上であります!」
千冬「では、私室に戻れ。格納庫は閉めねばならん」
宗介「イエス、マムッ!!」
千冬「それはやめろと言っただろう……」
――― 学園寮 ―――
コンコン
箒『誰だ?』
宗介「相良だ」
ウィーン
箒「なんだ」
宗介「協力してほしい」
箒「協力?お前にか?」
宗介「いや、織斑にだ」
箒「一夏に?」
宗介「来週の模擬戦、恐らく厳しい戦いになる。俺が戦術を組み立てるが、それだけでは勝つ事は難しい。織斑の訓練の手助けをしてほしいんだ。頼む」
箒「良いだろう」
宗介「本当か?」
箒「何を驚いた顔をしている」
宗介「てっきり君に嫌われてると思っていたから断られると……」
箒「……協力するのはお前じゃなくて一夏だ。勘違いするな。私は、お前を許してはいない」
宗介「それで構わん。助かる。明日の放課後、武道場に足を運んでくれ」
箒「分かった」
宗介「時間をとらせて悪かった」スタスタ
箒「悪い奴……ではないよな……」
―――
――
―
今日は、こんな感じです。
短くすんません……
次は、月曜日の夜に更新します。
~ 翌日の放課後 ~
宗介「すまない。待たせたな」
一夏「いや、全然……って、なんで箒が?」
箒「相良にお前の稽古をつけてほしいと頼まれたんだ。それに、私もオルコットの口振りは鼻持ちならんしな」
一夏「そうか。ありがとう箒!お前が稽古つけてくれるって言うなら百人力だよ!!」
箒「……あ、ああ///」
一夏「宗介もありがとうな!」
宗介「構わん。では、ブリーフィングを始めるぞ」
一夏「ああ、頼む」
宗介「セシリア・オルコット、イギリス代表候補生で専用機持ちだ。奴のブルー・ティアーズは射撃を主体にした遠距離戦特化の機体と言えるだろう。主力武装は巨大特殊レーザーライフルにビット兵器……これは独立して可動する兵器で6基搭載してある。4基はレーザー、2基はミサイル」
一夏「……すげぇな……刀1本の白式とは反対に武器のオンパレードだ」
箒「いや、その前によく対戦相手の情報を手に入れられたな……」
宗介「職員室に侵入してデータを手に入れた。織斑教官の眼を掻い潜りさえすれば雑作もない」
箒(こいつ……実は凄い奴なのか?)
一夏「なぁ、やっぱり白兵戦に持ち込むのは無理なんじゃ……」
宗介「確かに、多彩な武装を前に打鉄では分が悪すぎたが、今や織斑も専用機持ちだ。織斑の機体は、根本的な性能だけで言えばオルコットの機体より高い。十分に対処できると俺は考える」
一夏「そうなのか…?」
宗介「それでも、やはりディスアドバンテージが消えたわけではない。そこで、オルコットの性格を利用する」
箒「心理戦というわけか」
宗介「肯定だ。俺は専門家ではないが、実戦でのポテンシャルは、精神的な状況に左右される事がある」
一夏「でも、どうやって利用するんだ?」
宗介「先ほども言ったが、俺は専門家ではない。だが、いろは程度は知っているつもりでいる。まず、オルコットの性格をお前達との口論の内容から察するに、自尊心が強いが、自制心は弱い」
箒「挑発に乗りやすいって事か?」
宗介「肯定だ」
一夏「煽って怒らせれば良いんだな!!」
宗介「肯定だ。戦況をつぶさに観察し、どの様な状態でも戦術が生きるように幾つか挑発のやり方を考える必要がある。ただ、織斑の機体はエネルギーの燃費が悪い様だから短期決戦が望ましいな」
一夏「すげぇ……完璧な作戦じゃねぇか!宗介、すげぇよ!!」
箒「ああ、確かに驚いた……まさか、相良がここまで緻密な策を立てるとは正直思えなかった……」
宗介「いや、完璧な事などない。戦術を論じたところで、それは机上の空論でしかない。戦場は、刻々と状況がかわるものだ。その都度、戦術を変えて対応する必要があるだろう。長々と講釈したが、織斑に課す訓練の主題は、どの様な状況にも適応する柔軟さと様々な戦術にも対応できる様に身体能力の底上げだ。前者は、俺が受け持つ」
箒「後者は私が受け持てば良いんだな?」
宗介「肯定だ」
宗介「ブリーフィングは以上だ。限定されたこの状況で建てれる対策は、恐らくもうないだろう。さっそく訓練を始めよう。篠ノ之、頼む。俺は諸用で外す」スタスタ
一夏「むむむ……」
箒「一夏、どうした。鍛練を始めるぞ」
一夏「あ、ああ……」
箒「何を考えてたんだ?」
一夏「いや、宗介が俺のために色々と考えてくれて舞い上がって忘れてたんだけど……宗介もセシリアと戦うんだよな……あいつ、俺の事に手一杯で自分の事にまで手が回らずに負けたら……って考えたら申し訳なく感じて……」
箒「目前の問題を自力で解決出来ぬくせに他人の心配とは大した余裕だな!その驕り、私が正してやる!!」
一夏「な、なんだと!?よし、やってやる!!」
箒(なんだか相良が羨ましく感じるな……一夏にここまで慕われるなんて……いや、私は私ができる事で一夏の助けになるんだ!)
――― 格納庫 ―――
宗介「…………」ガチャガチャ
千冬「熱心だな」
宗介「織斑教官!」バッ
千冬「畏まるな。作業を続けろ」
宗介「はッ!!」ビシッ
千冬「一夏に、色々と世話を焼いてくれているそうだな」
宗介「いえ、自分は……」ガチャガチャ
千冬「すまんな。本来なら姉である私がしなきゃいけない事なのだろうが……立場上、一夏だけを贔屓するわけにはいかないんだ」
宗介「仕方がない事です」
千冬「……仕方がない、か」
宗介「…………」ガチャガチャ
千冬「今回は特別にお前がやった事は不問にしてやる」
宗介「……うっ」
千冬「ふふ、さすがの私でも気付くのに時間がかかった。お前は大した奴だよ」
宗介「恐縮であります」ガチャガチャ
千冬「だが、二度とするなよ?あと、睡眠は適度にとれ。隈が出てるぞ」スタスタ
宗介「はッ!!」ビシッ
千冬(ふふ、色々な面で気になる行動をとる奴だ……相良宗介、面白い奴だな)
―――
――
―
~ 翌週 ~
一夏「訓練はみっちりした。宗介が考えてくれた作戦も頭に入ってる……よし!!」
箒「一夏なら大丈夫だ。お前は剣のみならず心までこの1週間で研ぎ澄まされた。絶対に勝てる!」
一夏「ああ、やってやるぜ」
千冬「準備は出来ているようだな」
一夏「千冬ねぇ!」
千冬「織斑先生と呼べと言っているだろう!」ゴツン
一夏「痛ッ……すいません、織斑先生」
千冬「まったく……さぁ、初陣だ。覚悟は出来てるか?」
一夏「もちろん!」
千冬「よし、行ってこい!!」
一夏「おう!!」バシュッ
箒「そう言えば……織斑先生、相良は?」
千冬「…………」クイッ
箒「え!?あいつ、どういう事だ!」
一夏「ふぅ、不思議な感覚だな。緊張してんのに頭が冴えてる」
バシュゥゥゥ
一夏「来たか!」
一夏「あ、あれは、ラファール・リヴァイヴ!そ、宗介か!?」
宗介「実戦は久しぶりだな」
一夏『そ、宗介!どういう事だよ!!』
宗介「敵に通信を入れるとは迂闊だな。それだけで、お前の不利になる事もあるぞ」
一夏『な、なんでセシリアじゃなくて宗介が相手なんだよ!!』
宗介「前哨戦とでも思え。負けるつもりはないがな」ブツン
一夏「く、くそッ!!」
ズドンズドンズドン
一夏「じ、実弾!?」キュイン
宗介「……避けたか」バシュッ
ズドンズドンズドン
一夏「くッ!」キュインキュイン
宗介「やはり、性能では奴の機体が格段上だな」ピンッ ボフンッ
一夏「これは、スモークグレネード!?だけど、ハイパーセンサーの前じゃ……そこッ!!」ギュンッ
ドカンッ
一夏「うわッ!?」
千冬「ふむ、相良め。頭が堅いようでなかなか面白い攻めかたをする」
箒「お、織斑先生!なんで、一夏と相良が戦ってるんですか!?」
千冬「おかしな事を言うな?相良もクラス代表の候補生だぞ?」
箒「で、ですが!!」
千冬「安心しろ。あれは、卒業試験みたいなものだ」
箒「卒業試験?」
千冬「まったく、スパルタだな。鬼軍曹、と言ったところか」
箒(なんで、千冬さんは嬉しそうに笑ってるんだ?)
千冬「不器用な奴でもあるがな。もっと上手いやり方もあるだろうに……ふふ」
一夏「囮の爆弾!?じゃあ、宗介は?」
宗介「もらった」ズザザザ
一夏「下!?」
ズドンズドンズドン
一夏「くそッ!回避が間に合わない……だったら!!」バシュッ
宗介「突っ込んで来たか!!」
一夏「おりゃああああ!!」ズバッ
『試合終了』
一夏「ハァ…ハァハァ…」
宗介「無茶苦茶な奴だ。回避が間に合わないからと特攻するとはな……プロフェッショナルならばとらない愚策だ。戦場でのセオリーも無視している」
一夏「ごめん……」
宗介「冷静さを欠いた行動だ。俺が言った事が頭に入ってないらしい。訓練の成果すら疑う。まったく理解できんな」
一夏「……そうだな」
宗介「だが、俺の予測を完全に上回った戦術だ。お前は、兵士としては疑問が浮かぶが間違いなく強者だ。オルコットに勝てよ」スタスタ
一夏「お、おう!勝つぞ!!宗介が手を貸してくれたんだ!絶対に勝つからな!!」
宗介「……ふぅ」
セシリア「…………」
宗介「オルコットか」
セシリア「わざと……負けましたの?」
宗介「いや、最後まで本気でやった」
セシリア「嘘ですわ!専用機でもないのに、入学試験の教官との模擬戦での私と同じ様な動きをしてる方が負けるはずありませんもの!!」
宗介「それはつまり、織斑一夏は少なくとも入学試験時のお前を上回る実力という事だろう」
セシリア「そ、そんな事が……」
宗介「とにかく俺は負けた。言うならば戦死者だ。語る言葉はない」スタスタ
セシリア「織斑さんの訓練を手伝ったそうですわね!いったい何をなさったの!?」
宗介「機密事項だ」
セシリア「…………」
宗介「だが、アドバイスはしてやる」
セシリア「……え?」
宗介「隙を見せるな、気迫を見せろ。以上だ」スタスタ
セシリア「……気迫……ですか」
千冬「取り敢えず良くやったと言っておく」
宗介「恐縮であります!!」ビシッ
千冬「だが、彼処までやられると教師の立つ瀬がなくなる。あまり、私たちの仕事を奪わんでくれ」
宗介「いえ、そのような事は……」
千冬「皮肉だよ。気にするな。ところで、どうしてそこまで一夏に手を貸そうと思った?」
宗介「……正直、自分でも良くわかりません。ただ、少しアドバイスしようと思ったらズルズルと」
千冬「なるほどな……ふふ、なるほど……」
宗介「織斑教官?」
千冬「……いや、なんでもない。さぁ、一夏とオルコットの試合が始まるぞ。お前の教え子の成長を見届けよう」
宗介「はッ!!」ビシッ
これほど活き活きとした千冬姉は初めて見たな
バシュゥゥゥ
一夏(多分、宗介が俺と戦った理由は……)
セシリア『織斑さん』
一夏「セシリア、なんだ?」
セシリア『あなたに対する非礼、お詫びしますわ』
一夏「え!?」
セシリア『だからと言って負けるつもりもありません。全力で叩き潰して差し上げますわ!!』
一夏「お、おう!俺だって負けねぇ!!」
『試合開始』
セシリア「隙を見せるな、気迫を見せろ……ふふ、良いですわ。なら、最初から全力です。ブルー・ティアーズ!!」
一夏「あれが、宗介の言っていたビット兵器か!」ギュンッ
セシリア「そこです!」
一夏「確かに、オールレンジ攻撃は厄介だな。避けるので精一杯だ」キュインキュインキュイン
セシリア「なかなか良い動きをしますわね」
一夏「だけど、予想外の事はない。宗介の情報通り、4基のビットでのレーザー攻撃……これなら!」ギュインッ ズバッ
セシリア「1基潰された!?でも、まだ残っていましてよ!!」
一夏「不規則な動きだけど、冷静に対処すれば……2基目!!」ギュインッ ズバッ
セシリア「くっ、なら!!」バシュッ
一夏「ミサイルの方か!これも情報通り!!対策は出来てる」ギュインッギュインッ
セシリア「私の攻撃に適応している!?まるで、私の事を……ふふ、相良さんですか」
一夏「3基目、4基目!!」ズバッ ズバッ
箒「凄い!一夏の奴、冷静に対処している!!」
千冬「前のお前との戦いの成果が出ているな相良」
宗介「……ですが、まだ油断は出来ません」
箒「さっきの?どういう事ですか?」
千冬「いくら訓練をしたとして、些細な事で戦況を覆される事があるのが戦いの常……だから、相良は一夏に実戦経験を積ませたんだ」
箒「実戦経験?」
千冬「訓練と実戦では、まるで違う。訓練を積まねば戦術通りに動く事は出来ないが、実戦で訓練通りに出来るかと言えば違う。セオリーと違う事が起きるのは往々にしてあるからな。そこで、経験が生きる。実戦で経験を積んでいれば、戦術に誤差が出たとしても対処できるからな。まぁ、要は勝負感と度胸をつけさせたという事さ」
箒「相良はそこまで考えていたのか……」
千冬「まぁ、普通は模擬戦形式で訓練をしていれば身に付いていく。しかし、こいつは大方作戦の漏洩が云々とかそんな理由でセオリー通りの動きをするような訓練だけをしていたんだろう。だから、格上の自分との対戦経て経験を積ませる事にしたというところか。……不器用というか強引というか」
宗介「時間がありませんでしたので、致し方ありませんでした」ビシッ
千冬「まぁ、一夏が、相良の手解きで訓練をしている一方でオルコットもそれなりに準備をしていたはずだ」
宗介「あとは、織斑がどこまで自分の戦術を貫き通せるかにかかっているでしょう」
箒「端から見ていてもこれだけ壮絶なんだ。本人達は、私の想像を絶する領域に立っているんだろうな……」
千冬「そうだな。だが、そろそろ終わりだろう」
宗介「織斑が、決めるか……それとも……」
箒「見た感じでは、一夏が優勢の様だが……」
宗介「追い詰められた獣は、時に予想外に強力な牙を剥く」
千冬「そうだな」
箒(千冬さんはおろか相良まで……一夏とオルコットも私の知らない領域に足を踏み入れつつある。置いていかれてるのは、私だけか……)
千冬「まぁ、一夏が、相良の手解きで訓練をしている一方でオルコットもそれなりに準備をしていたはずだ」
宗介「あとは、織斑がどこまで自分の戦術を貫き通せるかにかかっているでしょう」
箒「端から見ていてもこれだけ壮絶なんだ。本人達は、私の想像を絶する領域に立っているんだろうな……」
千冬「そうだな。だが、そろそろ終わりだろう」
宗介「織斑が、決めるか……それとも……」
箒「見た感じでは、一夏が優勢の様だが……」
宗介「追い詰められた獣は、時に予想外に強力な牙を剥く」
千冬「そうだな」
箒(千冬さんはおろか相良まで……一夏とオルコットも私の知らない領域に足を踏み入れつつある。置いていかれてるのは、私だけか……)
一夏(残っているビットはあと1基……恐らく、あのビットがセシリアの自慢の武器だろう。それを俺が悉く潰してきたから相当、頭に来ているはず。そろそろ、決め時か。深読みし過ぎて、思ったより時間がかかっちまったな……)チャキッ
セシリア(ブルー・ティアーズを悉く潰されて、残った武装はブルー・ティアーズ1基とスターライトmkⅡのみ……いや、あと1つありましたわね……ですが……)
一夏『セシリア、悪いがこの勝負もらったわ。専用機持ちつっても案外、大した事ねぇのな?』
セシリア「な!?私を……ブルー・ティアーズを……侮辱しますか!織斑一夏、あなただけには絶対に負けないと今!決めましたわ!!」
一夏『ああ、そうかい。精々、悪あがきしな』
セシリア「沈みなさい!!」バシュンッ
一夏(ビットに比べたら大分、見切りやすい!挑発にのって動きも単純だ。よし、決める)
セシリア「そこですわ!!」バシュンッ
一夏「零落白夜!」ギュウィィィン
セシリア「な!?ビームがブレードに防がれて」
一夏「おりゃああああああああ!!」
セシリア(くっ、為す術が!!)
《隙を見せるな、気迫を見せろ》
セシリア(そうですわ!気迫を、私の気迫を見せます!!)
一夏「おりゃああああああああ!!」
セシリア「インターセプター!!」
ガキンッ
『試合終了』
一夏「ハァハァ…ハァ……エネルギー切れ、か……」
セシリア「ハァ、ハァハァ……まさか、私がインターセプターを使うなんて……」
千冬『2人とも良くやった。近年まれに見る素晴らしい試合だった。勝者は、セシリア・オルコットだ。』
一夏「……セシリア、良い戦いだったよ。さっきは、嘗めた事を言って悪かったな」
セシリア「……いえ、私こそ改めてあなたや相良さん、篠ノ之さんに言った無礼な言葉を撤回し、謝罪しますわ」
一夏「ふぅ……疲れたぁ……」
箒「一夏!!」タッタッタッ
一夏「箒、悪い。せっかく稽古つけてもらったのに負けちまった……」
箒「なぜ、謝る!私からみればほぼお前の勝ちだ!!」
宗介「いや、織斑、完全にお前の負けだ」
箒「相良!そんな事を言う必要はないだろう!!エネルギー切れさえなければ完全に」
一夏「いや、完全に俺の負けさ。白式はエネルギーの燃費が悪いから出来るだけ早く決着をつけろって宗介に言われたのに時間掛けすぎちまった……それに最後の一太刀を浴びせる前に気を抜いて、セシリアがショートソード出したのに驚いて本当に一瞬、躊躇しちまった」
宗介「分かってるなら良い。戦場ならば、敗北は死に直結する。だが、今回は模擬戦だ。その幸運に感謝して、より一層励む事だな」
箒「相良、もうちょっと労っても良いだろう!!」
一夏「箒、良いんだ……」
宗介「…………」スタスタ
千冬「まったく……お前の鬼軍曹っぷりはなんだ……まるで、昔見た映画みたいじゃないか」
宗介「織斑教官」
千冬「まぁ、一夏より悔しそうな様子だから心までは鬼軍曹になりきれてない様だがな」
宗介「…………」
千冬「礼を言おう。一夏を彼処まで鍛えてくれてありがとう」
宗介「いえ、俺は何も……」
千冬「謙遜するな。お前がいなければ一夏の奴は、見るに耐えん試合をしていたはずだ。お前が訓練をつけつくれたお陰で、専用機持ちに恥じない試合をしてくれた。見ていた、私の血を滾らせるくらい良い試合をな」
宗介「恐縮であります」
千冬「お前は、つくづく気になる奴だ。目立たない成績のくせに、入学当日から問題ばかり起こしたかと思えば、一流の教官をやってみせる。まだ、何者か言うつもりはないか?」
宗介「…………」
千冬「いや、言いたくないなら良いさ。それに、言うことでお前が学園に居づらくなるなら困る。お前みたいな面白い生徒は手放したくない。私も、もうお前に問うのはやめよう。とにかくお疲れ様。ゆっくり休め」
宗介「はッ!!」ビシッ
千冬(手放したくない、か……)クスクス
――― セシリア側控え室 ―――
セシリア「……ハァ」
セシリア(インターセプターを咄嗟に出して防いだと思ったのに折れていた……)
セシリア(つまり、エネルギー切れにさえならなければ私の負けでしたわ……)
セシリア「悔しいですわ……勝ったはずなのに……」
セシリア「……ふぅ」
セシリア(相良さんのあの言葉がなければ私は完全に諦めていた……でも、なぜ相良さんは私にあの様な言葉を?)
ウィーン
宗介「オルコットか」
セシリア「さ、相良さん!?」
宗介「良い試合だった。改善すべき点はあるが、君も織斑も良い兵士になるだろう」
セシリア「あ、ありがとうございます」
宗介「ではな」
セシリア「お、お待ちになって!?」
宗介「なんだ?」
セシリア「な、なぜ、私にアドバイスをしてくださったのですか!?敵に塩を送ったという事ですか?」
宗介「違う。織斑を訓練するのに君の情報が必要だったから調べたが、君には素晴らしい素質を感じた。だからこそ、アドバイスを送る気になっただけだ」
セシリア「そうなのですか……あ、あの、織斑さんではなく、相良さんならば私に勝てましたか?」
宗介「それは、どういう意味だ?」
セシリア「単純な興味ですわ。私は、試合には勝ちましたが、勝負には負けだと感じています。もし、織斑さんとではなくあなたと戦っていたら私は……」
宗介「断定はしないが、恐らく俺が勝つ。ビット攻撃は厄介だが、操作している間は他の兵器と連携を取れないというのはこちらからすれば大きなチャンスだ。そのチャンスを利用し、隙をつくように行動すれば勝利できるだろう」
セシリア「……そうですか」
宗介「指摘する点はいくらでもあるが、それも戦術次第でカバーできる。最後の織斑からの攻撃に怯まず、ショートソードを出したガッツがあれば弱点を改善する事は容易いだろう。君は、素晴らしい兵士になる素質がある」
セシリア「ほ、本当ですか?」
宗介「肯定だ。この学園の生徒でなければ、うちの(ミスリルの新兵訓練)キャンプに連れていって紹介したいくらいだ」
セシリア「なッ!?そ、そんなご家族に紹介だなんて///」カァァ
宗介「それくらい君は魅力的だと言う事だ」
セシリア「そ、そんなお世辞は……」
宗介「俺は、同僚に固い奴だと良く言われる。世辞を言うほど気はきかん」キリッ
セシリア「あぅ……///」
宗介「俺は、戻って今回のデータを纏めねばいかん。それではな」スタスタ
セシリア(相良宗介さん……媚びへつらう様子もなく真っ直ぐ私に意見を述べてくれる……何より、あの鋭く澄んだ目……素敵ですわ///)
―――
――
―
今日はこんな感じで。
宗介は絶対、年上にモテるタイプに違いない。
俺の頭の中で、宗介と千冬姉の会話のあとに
千冬姉(惚れてまうやろ~)が自然に付く
セシリアの(惚れてますわよ)付きそうだな
~ 翌日 ~
一夏「おはよう」
箒「一夏、おはよう!体調はどうだ?」
一夏「さすがに疲れはとれたけど、ちょっと寝不足でな」
箒「寝不足?」
一夏「宗介と昨日の模擬戦のデータを見てシュミレーションをしていたんだ。今後のためにさ」
箒「相良!あまり一夏に無理させるな!!」
一夏「いや、俺が宗介に頼んだんだよ。悔しかったからな」
宗介「データを洗ってみて織斑の癖や弱点が明確にできた。今後の訓練では、そこを改善する事に重きを置けば織斑は更に成長するだろう」
箒「そ、そうか……」
セシリア「ごきげんよう」
一夏「おう、セシリアおはよう」
セシリア「あら、織斑さんおはようございます。隈が出来ていますが、ちゃんと睡眠はとれましたの?」
一夏「んや、ちょっと夜更かししたんだ。セシリアに負けたのが悔しくてさ」
セシリア「そうですか……あの、その勝負の事なんですが……」
千冬「お前ら、席につけー!」
一夏「あ、SHRはじまるぞ」
セシリア「え、あ、はい」
千冬「まず、織斑にオルコット、昨日はご苦労だったな。良い試合をみせてもらった」
一夏「負けちまったけど、良い経験になりました」
千冬「それは良い事だ。敗北から知る事もあるだろう。オルコットはどうだ?」
セシリア「私も織斑さんと同じですわ。そして、私が如何に傲慢だったかも思い知りました。それを恥じて、織斑さんと篠ノ之さんに謝罪します。さ…そ、宗介さんにも///」
山田「おやおやおやおやおや?」ニヤニヤ
千冬「うむ、激闘を経て精神まで成長させたか。良い傾向だな。それで、だ。クラス代表はセシリアに決まったわけだが……」
セシリア「あ、あの、それについてですが、私はクラス代表の資格を辞退して織斑さんにお譲りしますわ」
千冬「ほう?それはどういう心変わりだ?」
セシリア「あの、模擬戦で私がまだまだ未熟だと言う事を知りました。ですから、1から鍛え直す必要があると考えたのです」
千冬「それを言うなら負けた織斑こそ鍛え直す必要があるんじゃないのか?」
セシリア「いえ、織斑さんとの模擬戦は、まさに私が試合に勝って勝負に負けたと言っても過言ではありません。私より、断然織斑さんの方が代表に相応しいポテンシャルだと思います」
千冬「ふむ……織斑、お前はどうだ?」
一夏「え、俺は……」
宗介「受けろ織斑」
箒「そうだ。オルコットが彼処まで言っているんだ。それに、聞かなければ話が平行線になりそうだぞ?」
一夏「……分かりました。クラス代表になります!!」
千冬「分かった。クラス代表戦は、昨日の模擬戦より激しい戦いになるだろうが、怯まず訓練に励め。SHRは以上だ」スタスタ
一夏「セシリア、よかったのか?」
セシリア「ええ、もちろんですわ。私は、今のままクラス代表になるなんて我慢できませんの」
一夏「分かった。ならお前の分まで俺、頑張るぜ。こうなったら、また訓練だな!宗介、頼んでも良いかな?」
宗介「了解した。尽力しよう」
セシリア「さ、相良さんと訓練するんですか……?」
宗介「オルコットも参加するか?君のブルーティアーズの性能に興味がある」
セシリア「よ、よろしいのですか!?」
宗介「構わんぞ。織斑も良いか?」
一夏「ああ、もちろんだぜ」
セシリア「あ、ありがとうございます!そ、それで相良さん……」
宗介「なんだ?」
セシリア「そ、そ、そ、宗介さんとお呼びしてもよろしいですか?///」
宗介「構わんぞ」
セシリア「ありがとうございます///私の事もセシリアとお呼びください///」
宗介「了解した」
箒「…………」
一夏「なぁ、箒にも引き続き稽古の相手頼んで良いか?」
箒「わ、私なんかで良いのか?専用機持ちではないし、相良の様に専門的なアドバイスはできないぞ?」シュン
一夏「なに、言ってんだよ!俺の白式は武装が刀しかないんだ。箒との稽古が必要なんだよ」ガシッ
箒「い、一夏///分かった、引き受けよう」
一夏「よっしゃ!」
千冬(ふふ、相良と一夏を中心に良い流れが生まれつつあるな。このまま、良い雰囲気のままである事を願いたいが……)
―――
――
―
――― 某国・某所 ―――
?「遅いぞ!」
?「これはこれは、衰退した国家の秘密機関のお偉方じゃないですかぁ」
?「貴様!!」
?「よせ」
?「おお、図星ついちゃったかなぁ?んん?」
?「中国人が意気がるなよ!!」
バァン
?「おいおい、俺がどうして中国人に見えるんだ?ええ?」
?「よ、よせ!悪かった」
?「やっぱり話すなら上の方じゃないとねぇ。それで、ちゃんと用意出来てますかな?」
?「ああ、これだ」
?「クックックッ、あんたらも大変だねぇ。ISなんてもんが開発されちまったもんだから、世界情勢が一気に変わってファシズム上等のいじめっこから周辺国に小突かれるいじめられっこだもんなぁ?」
?「ぐっ……返す言葉もない……だからこそ背に腹は代えられんのだ」
?「一応、安い・早いが売りなんでねぇ。良い仕事しますよ」
?「必ず成功させろよ!ガウルン」スタスタ
ガウルン「去り際だけ強気になっちゃって、むかつくなぁ」
?「ダメだよガーくん♪」
ガウルン「へっ、殺らねぇよ。まだ、バイト代入ってねぇからなぁ」スタスタ
?「嘘つきーー」
バァン
ガウルン「君ぃ、たかがビジネスパートナーのくせに気安いねぇ?殺しちゃうぞ?」
?「む、ガーくんには殺せないよーだ!」
ガウルン「例のアレ、スタンバイしてんだろ?科学者風情が戦争屋出し抜けると思っちゃダメだよー」スタスタ
?「……あれぇ?あたし人選間違っちゃったかなぁ」
?「一応、念には念をいれとこーっと……」
とりあえずここで一区切りです。
鈴&シャル編の書き溜めがまだ終わっとらんのです……
本当にすまぬ
書き溜めが終わったらここか別スレ立てて投稿するよ
酉つけました。
鈴&シャル編はもうちょっとお待たせしちゃうと思うんで、申し訳程度の小ネタをどうぞ。
~ 番外編っていうか小ネタ ~
『洒落にならない一撃必殺』
箒「覚悟は良いか相良!!」
宗介「いつでも来ると良い」
一夏「なぁ、セシリア。箒が宗介に挑む様になってこれで何回目だ?」
セシリア「さぁ、数えてませんわ。いつも宗介さんが勝っているのに篠ノ之さんも往生際が悪いですわね」
一夏「宗介相手にルール無用!とか言っちゃダメだよな……っていうかなんで箒は宗介に突っ掛かってるんだっけ?」
―――
――
―
コンコン
箒『一夏、いるか?』
箒『……いないのか?』
箒『開きっぱなしとは無用心ではないか……まったく……』
箒『まったく、服を脱ぎっぱなしにして……』
カチッ
箒『カチッ?』
ボフン
箒『ギャーーー!目が染みるぅぅぅぅ!!』
宗介『最近、俺の衣服が漁られる事案が発生していたからトラップを設置していたのだが、君だったのか』シュコーシュコー
箒『な、なんだと!?わ、私は、一夏に用があっただけで……』
宗介『言い訳はらしくないぞ』シュコーシュコー
箒『ご、誤解だと言って……うぐっ、息が』コヒュー
宗介『そのガスは、呼吸器官に異常をきたす成分を配合している。息をするのも辛いはずだ』シュコーシュコー
箒『な、なぜ、そんな物を!?というか……私は……』コヒューコヒュー
宗介『安心しろ。然るべき治療をすれば命に別状はない』
箒『誤解だと……くそっ……息が……』コヒューコヒュー
宗介『反省する事だな。テロリストには譲歩しないのが鉄則だが、今回だけは織斑の幼馴染みという事で見逃してやる』
箒『お、おのれ……相良……恨みはらさでおくべきかーー!!』バタンッ
宗介『医務室に運んで置いてやろう。せめてもの慈悲だ』シュコーシュコー
セシリア『まったく、宗介さんったら衣服は小まめに洗濯しなければいけませんのに……まぁ、私が洗濯してあげましたけれど♪おや?宗介さんの部屋に誰か……』サッ
―――
――
―
箒「今日という今日は、お前を正々堂々と叩き潰してやる!!」
宗介「御託は良い。さっさと来い」
一夏「わっかんねぇなぁ……」
セシリア「そうですわねぇ……」←犯人
箒「チェストオオオオオ!!」
ガシャコン
箒「え!?」
ズドンッ
箒「うぎゃ!?」
宗介「俺の勝ちだな」
一夏「宗介!ショットガンはやりすぎだって!!」
宗介「安心しろ。弾は訓練用のゴム弾だ」
一夏「あ、なら良いか」
箒「良くなーーーい!死ぬほど痛かったぞ!?というか私は竹刀なのになんでお前は銃なんだ!!お前も竹刀を持てーー!!」
宗介「君が武器はなんでも良いと言うから……」
セシリア「そうですわ!そうですわ!!」
箒「うるさーーーい!なんで私の方が正しいのにいつも私の立場がないんだ!!」
一夏「まぁまぁ、箒落ち着けって」
宗介「やれやれ、君に合わせてやったぞ?」
箒「なんで仕方ないみたいな顔をしているんだ!」
一夏「ほら、早く終わらせないと昼飯食う時間なくなるぞ」
セシリア「そうですわ。せっかく、私が宗介さんのためにサンドウィッチを作って来ましたのに」←元凶
箒「むぐっ!ちくしょおおおおおお!!」
ポイッ
箒「え、あ?ば、爆弾!?」パシッ
バシーンッ
宗介「俺の勝ちだな」
キーンコーンカーンコーン
一夏「あーあ、昼休み終わっちまった……」
セシリア「宗介さんとの優雅な昼下がりが……」
箒「うわぁぁぁぁぁん!あんまりだぁぁぁぁぁ」ポロポロ
一夏「ほ、箒?泣くなよー!」
箒「だってぇぇぇぇぇ」ポロポロ
一夏「ああ、もう……よしよし」ナデナデ
宗介「悔しければ鍛える事だ。新兵の時分はみなそうやって訓練に励むものだ」キリッ
セシリア「なんて含蓄のある御言葉///」
宗介「しかし、昼食をとれずに午後の訓練に挑むのは効率的ではないな……コッペパン食べたかった……」
セシリア「あ、でしたら!私が、私が作ってきたサンドウィッチをお食べになってください」ガサゴソ
宗介「良いのか?」
セシリア「もちろんですわ!宗介さんのために作ったのですから///」
宗介「ではいただこう」ムシャリ モシャモシャ
箒「無様なところをみせてすまなかった……」
一夏「あ、宗介だけなんか食ってずるいぞ!!」
宗介「…………」モシャモシャ
セシリア「い、いかがですか?」
宗介「…………」バタンッ
一夏「そ、宗介!?」
宗介「」ブクブクブクブク
一夏「宗介が泡吹いて倒れたーー!!」
箒「や、やったーー!!私の一撃が今になって効いてきたに違いない!!」
一夏「いやいや、当てる前に倒されてただろ!?というかなんでいきなり倒れたんだ?」
セシリア「ど、どうしましょう!?」
一夏「千冬ねぇに散々殴られてもケロリとしてた宗介が倒れるなんて……と、とにかく水を飲ませてみるか!?」
コポコポコポッ
宗介「おのれぇぇぇぇストライクぅぅぅ」ムクッ バタンッ
一夏「わぁぁぁぁ!なんか叫んでまた倒れたぁぁぁぁぁ!!」
箒「ふっふっふっ、この必殺技を石破天驚剣と名付けよう」
一夏「ちょっと箒は黙ってろ!!」
箒「あぅ」シュン
セシリア「お医者様を……お医者様を呼ばなければーー!!」アタフタ
一夏「セシリアも落ち着け!!」
宗介「この状態で落ち着けとかムリだろJK」ムクッ バタンッ
一夏「なんか世界線が交わり始めてるーーー!!」
ワーギャーワーギャー
このあと、宗介は丸一日原因不明の昏睡状態が続いたらしい。
おわり
またてたな!(豪炎寺感)
いや、本当に時間かかって申し訳ないです。
じゃあ、投稿します。
――― IS学園 ―――
『こちら、コードネーム・ワンサマー配置についたぜ』
『こちら、コードネーム・C2配置につきましたわ』
宗介「よし、任務に変更はない。直前のブリーフィング通り、俺が職員室に突入して撹乱する。セシリアは退路の確保、織斑は例の物を回収して即離脱だ。織斑教官が帰還するまで146秒、我々の命はこの146秒にかかっている。諸君、覚悟は良いか?」
『もちろんだぜ!』
『私は、あなたのために命を擲つ覚悟など当に出来ていますわ!』
宗介「よし、作戦開始だ!!」
セシリア「…………」ササッ
宗介「…………」ササッ
一夏「…………」ササッ
セシリア「…………」コクッ
宗介「…………」クイ
一夏「…………」コクッ
バンッ
宗介「全員、その場に伏せろ」ズドンズドン
山田「ひッ!な、何事ですか!?」
宗介「1歩でも動くな!動いたら即刻射殺するッ!!」
山田「ひぃぃぃぃ!」
一夏「…………」ササッ コクッ
宗介「…………」コクッ ピンッ
コロコロ
山田「ん?」
ピカッ
山田「目が、目がああああ!!」
一夏「よっしゃ!作戦成功!!こんなに上手くいくなんて思わなかったぜ」タッタッタッ
セシリア「成功して当たり前ですわ!なんたって宗介さんが考えた作戦ですもの!!」タッタッタッ
宗介「二人とも!まだ、安心はできないぞ!!帰還次第、俺達の課題をすり替えなけれ、ば」
スパァン ドンガラガッシャン
宗介「織斑ーーー!!」
千冬「貴様らの浅はかな作戦なんぞ筒抜けだ」
宗介「ど、どういう事だ……」
千冬「山田先生に無線機を渡し、何か問題があった場合、即座にコールするように段取りしておいた。相良、お前さえ抑えられれば小童共の制圧は容易いぞ」
セシリア「織斑さん!しっかりなさって!!」ユサユサ
一夏「へへへ……俺、もうダメみたいだ……もし、無事で帰れたら箒に伝えてほしい……入寮の時に、部屋を間違えてたのは……お前の方だったんだぜって……」ガクッ
セシリア「織斑さん!織斑さーーん!!」
宗介「くっ!セシリア、逃げろ!!」
セシリア「そ、宗介さんはどうするんですか!?」
宗介「抜かったのは指揮官である俺だ……だから、責任は俺がとる。お前は……君だけは……生きて帰れ!!」
セシリア「イヤ、イヤですわ!!」
宗介「ダメだ!退路は必ず俺が確保する!!逃げろッ!!」
セシリア「絶対にイヤです!私は、あなたと共に生きて、あなたと共に死ぬと決めたのですわ!!」
宗介「ダメだ!これは上官命令だ!!」
スパァン ドンガラガッシャン
千冬「茶番が長い!!」
セシリア「いやあああああ!宗介さーーーん」
スパァン
宗介「…………」ボロボロ
一夏「…………」ボロボロ
セシリア「…………」ボロボロ
箒「何をやっているんだお前たちは……」
一夏「訓練のやりすぎで課題が間に合わなかったんだよ……」
セシリア「ですから、提出にはダミーのノートを出して後で課題を奪取し、すり替える作戦だったのですわ」
宗介「織斑教官さえ抑えられれば上手くいくと思ったが、俺の詰めが甘かった……」
千冬「ふんッ、私を出し抜こうなんぞ100年早いわ!!」
箒「あの、織斑先生はなんでハリセンを?」
千冬「格納庫の見回りをしていたら偶然見つけてな。あまりにも手にしっくり来たものだから、対相良武装として使う事にした。生徒を殴るのは私も忍びないため手加減してしまうが、これなら心も痛まん」
箒「織斑先生、なんか楽しんでませんか?」
千冬「いやぁ、これが存外スカッとするもんでな」スパァン
ドンガラガッシャン
一夏「宗介!?」
宗介「織斑教官、今のはなぜ?」ムクッ
千冬「今のは手が滑った。すまん」
箒「あいつ、本当にタフだな……」
セシリア「タフな男性は素敵ですわ///」
千冬「訓練に励むのは良いが、勉強を疎かにしていては意味がない。文武両道を心がけろ」
宗・一・セ「「「はッ!!」」」ビシッ
箒「一夏とオルコットが相良に毒され始めたな……」
千冬「模擬戦が近いのだから私に言えば1日くらいなら課題の提出は待ってやる。だから、今回の様な事は2度とするなよ?」
宗介「了解しました!」ビシッ
一夏「どうせなら課題無しにしてくれた方が助かるんだけどな……」ヒソヒソ
セシリア「そうですわね……宗介さんと訓練できるのは喜ばしい事ですが……」ヒソヒソ
一夏「超スパルタだもんな……宗介……俺、昨日なんか『そんな事もできないのか蛆虫』って怒鳴られたよ……」ヒソヒソ
千冬「ふふふ、相良、二人をよろしく頼むぞ」
宗介「アイ、マムッ!!」ビシッ
―――
――
―
――― 食堂 ―――
一夏「うう……頭が痛い……」
箒「授業で寝るから千冬さんからゲンコツを食らうんだ。馬鹿者」
セシリア「授業で寝るのは良いとは言えませんが、気持ちは分かりますわ。私も、なかなか疲れがとれませんもの」
箒「相良の訓練はそんなに厳しいのか?」
一夏「正直、宗介が千冬ねぇより怖く思えるほどだよ……」
箒「そ、そんなにか……」
セシリア「でも、愛を感じますわ」
一夏「そうだよな。いつも、訓練終わった後に飲み物奢ってくれるし、分かりやすく俺らのデータを纏めてくれるんだ」
セシリア「動きが良くなってくると誉めてくれますし、その時の優しい眼差しが///」ポッ
箒(私も一夏との稽古の後に飲み物でも差し入れるか)
箒「そんなに過酷な訓練をしているなら代表戦はもらったものじゃないか?」
一夏「いや、そうは上手くいかないだろうなぁ……」
セシリア「そうですわね。なんでも2組の代表が代わったそうです」
箒「そう言えば転入生が来たらしいな……そいつに代わったのか……」
一夏「ああ、どういう戦術をとってくるかわかんねぇし油断は出来ねぇな」
セシリア「宗介さんが、可能な限り情報収集してくださるそうです。頼りになる方ですわ///」ポッ
箒「だが、専用機持ちはうちと4組だけだ。訓練機で専用機と渡り合う相良の様な凄腕はなかなかいないだろ」
?「その情報、古いよ!!」
ズドン
?「ひゃっ!?え、なに、銃声?」ビクッ
一夏「宗介だな」
セシリア「宗介さんですわね」
箒「あの馬鹿は何をやっているんだ……」
コッペパンヲヨウキュウスル
サガラァー スパァン ドンガラガッシャン
箒「相変わらず千冬さんの一撃はすさまじいなぁ……」
ムクッ イタイデスオリムラキョウカン
一夏「その一撃をくらって無傷だもんな……宗介……俺も訓練してたらあんなにタフになるかな?」
セシリア「タフな男性は素敵ですわ///」ポッ
?「ちょっと!なに、無視しちゃってくれてんのよ一夏ァ!!」
箒「ん?こいつは誰だ?というか、一夏と知り合いなのか!?」
一夏「ん?ああ、こいつは……」
宗介「鳳鈴音、中国代表候補生、身長150㎝、中学二年時まで織斑と同じ学区の中学校に通っていたらしいな。篠ノ之と同様に幼馴染みという事になる」モシャモシャ
鈴「え、こいつ、なに!?」
一夏「相良宗介、俺の友達で同じクラス。んで、こっちの金髪の子がセシリア・オルコット。まぁ、戦友かな?んで、こいつが篠ノ之箒、昔話したファースト幼馴染み」
箒「ファースト幼馴染みとはなんだ!?」
鈴「へぇ、よろしく!あたしは……って、だいたいこっちの無愛想なヤツが言った通りかな」
セシリア「宗介さんが無愛想ですって?聞き捨てなりませんわね!!」
宗介「セシリア、あまり気をたてるな。常に冷静沈着である事が、良い兵士の条件だ。君は、すぐ感情に流される」モシャモシャ
セシリア「申し訳ありません……」シュン
鈴(ふーん、セシリアとか言う方は一夏狙いじゃないんだ……)
一夏「なぁ、鈴。情報が古いってどういう事だ?」
鈴「それはねぇ……」
宗介「専用機持ちらしいな。燃費と安定性をコンセプトにおいて設計された第三世代ISだ。武装は、大型の青竜刀が二振りと衝撃砲を搭載している。衝撃砲は厄介な代物だぞ……空間に圧力をかけて砲身をつくり、衝撃を打ち出す……謂わば、不可視の砲弾が発射されると言うものだ。おまけに、拡散タイプと貫通タイプで撃ち分けられるらしい」モシャモシャ
鈴「え、ちょ、なんでそんなに知ってるのよ!あんた何者!?」
箒「気にするな鳳……そいつはそう言うヤツなんだ……」
一夏「あ、宗介、俺の飲み差しだけど水飲むか?」
宗介「すまない。貰おう」ゴクゴクッ
箒・鈴(あ、一夏と間接キス……羨ましい!!)
セシリア「そ、宗介さん///わ、わ、わ、私の飲み差しで良かったら是非飲んでください!!」
宗介「いや、もういい」モシャモシャ
セシリア「……そうですか」シュン
一夏「で、鈴はなんか用事があったんじゃないのか?」
鈴「え、あ、宣戦布告に来たんだけど……なんか、もういいや……」
一夏「宣戦布告ねぇ……なぁ、鈴、対戦相手が俺らの前に姿を現すなんて迂闊だぜ?」ニヤッ
セシリア「そうですわね。織斑さんは、代表候補生なので何もいたしませんが、そうでない者が鳳さんの暗殺を企てる事も……」ニヤッ
鈴「……え!?」
宗介「ありえないことではないな」チャキッ
鈴「ひゃっ!?ひゃーー!!」タッタッタッ
箒「……はぁ、確実に毒され始めたな」
一夏「アハハ……鈴にはちょっと悪い事しちゃったな」
宗介「情報戦を制す者が戦場を制す。仕方ない処置だ」モシャモシャ
一夏「そうだな」
セシリア「そうですわね」
箒「どこが仕方ないんだ!二人も納得するな!!」
宗介「篠ノ之はなぜそんなに怒ってるんだ?」モシャモシャ
一夏「さぁ?」
セシリア「理解できませんわ」
箒「くぅ、ハリセンが欲しい……」
宗介「まぁ、良い。放課後から対鳳戦の訓練を開始する。遅れるなよ」
一夏「分かった!!」
セシリア「了解ですわ」ビシッ
箒「うぐぐ、ハリセン作るか……」
―――
――
―
~ 放課後 ~
宗介「よし、今日はここまでにしよう」
一夏「うはぁ……疲れたぁ……」
セシリア「私……動けませんわ……」
宗介「織斑、動きが大分良くなってきた。だが、あと1秒は短縮できるはずだ。次は、目標を認識してからのワンアクションをどう速やかに行えるかを意識して動け。まだ、一瞬の逡巡が見える」
一夏「分かった!」
宗介「セシリアは、射撃が上手くなったな。ブルーティアーズを避ける事は難しくなってきた。だが、まだまだブルーティアーズから他武装へのスイッチが甘いのと射撃のさいに硬直しがちだ。もう少し、臨場感をもった訓練をして改善するように訓練の内容を少し変更する。大丈夫か?」
セシリア「かまいませんわ!宗介さんの訓練ならやり抜いて見せますわ!!」
宗介「良い返事だ。では、各自片付けをして解散。明日に疲労を残さぬようにしっかり休め」スタスタ
一夏「なぁ、セシリア」
セシリア「どうしました?」
一夏「宗介って、訓練が終わるとすぐにどっか行くけどなにしてんのかな?」
セシリア「恐らく、私達の訓練のデータを纏めているんじゃありませんか?」
一夏「そうかな?」
セシリア「きっと、そうですわ」
一夏(宗介が良いヤツなのは分かってるし、俺らのために訓練してくれてるのも有り難い。だけど、宗介って秘密主義って言うか、俺らに何か隠してる様な気がする……それがちょっと……寂しいな)
セシリア「織斑さん?」
一夏「ん?なんだ?」
セシリア「もう、片付けは終わりましてよ?」
一夏「お、おう、じゃあ行くか」
宗介「こちら認識番号B-3128、ウルズ7。応答願う」
?『ウルズ7か。定時連絡ご苦労』
宗介「はッ、任務状況ですが、特に変化はありません。事前に送ったデータ通りであります」
カリーニン『確認した。順調な様だな』
宗介「肯定であります。平穏そのものであります」
カリーニン『そうだと良いが……』
宗介「どういう事ですか?」
カリーニン『未だ調査中ではあるが、某国の秘密機関のトップがとある男と接触したという情報がはいった』
宗介「とある男……」
カリーニン『断片的の情報でしかないが、一応お前には伝えておく。その男とは……ガウルンだ』
宗介「な!?そ、そんなはずは!あの男は死んだはずでは……」
カリーニン『お前もあの男がどういう男か知っているだろう。残忍、狡猾、そして誰よりもタフだ。ヤツだとしても不思議ではない』
宗介「……ガウルンがIS学園を……織斑一夏を狙っていると?」
カリーニン『断定するにはまだまだ情報が足りないが……用心に越したことはない。今からは、さらに厳重な警戒を心がけろ』
宗介「了解しました!」
カリーニン『こちらからは以上だ。新たな情報が入り次第、そちらに送ろう』
宗介「了解しました。引き続き、任務を続行します」
カリーニン『そうそう、来週辺り……大佐殿よりプレゼントがある。期待しておけ。交信は以上だ』ブツン
宗介「プレゼント?いや、それよりも……」
ガサッ
宗介「誰だ」チャキッ
千冬「さすがに鋭いな。私だよ。そう、怖い顔をするな」
宗介「失礼しました」
千冬「何をしていた?」
宗介「……少し、野暮用で」
千冬「そうか。なぁ、相良……学園生活は楽しんでいるか?」
宗介「楽しむ?」
千冬「私は、お前にこそ学園生活を楽しんでもらいたい。最近、なんだかそう思う様になった。人には事情と言うものがあるが、そんなものは忘れて学友や戦友と笑いあう事がお前達くらいの年齢には必要だと思うんだ……」
宗介「理解しかねます……」
千冬「……そうか。そう言われてしまうと私の力不足を感じるよ」
宗介「あ、いえ、自分はそう言うつもりでは……」
千冬「ふふ、気にするな。相良、お前は孤立無援ではない。それだけは、忘れないでほしい」
宗介「了解しました」
千冬「ふふ、お前を見ていると不思議な気持ちになるな。こんなヤツは初めてだよ」クシャクシャ
宗介「は、はい?」
千冬「さ、もう休め。もう、消灯時間だが見逃してやる」
宗介「イエス、マムッ!」スタスタ
千冬(相良、お前が一瞬見せたあの顔は、お前には到底似合わない顔だったぞ?それが、本当のお前ではないだろう?)
―――
――
―
~ 翌日 ~
山田「今日は、我がクラスに新しいお友達を紹介しますよー自己紹介どうぞー」
?「はい!シャルル・デュノアです。みなさん、よろしくお願いします」
「キャーイケメンきたー!」
「中性的なタイプですな!こりゃ捗りまっせ!!」
「自分は軍曹殿、一筋であります」
山田「み、みなさん、静かに!えっと、デュノアくんは……織斑くんの」
宗介「山田教官!」
山田「さ、相良くん?どうしました?」
宗介「自分の前の席が空いています。そこが良いかと」
セシリア「え!?」
山田「あ、あの、そこは既にオルコットさんが……」
宗介「セシリア、自分の隣の席に移れ。これは上官命令だ」
セシリア「自分の隣に来いだなんて///」ポッ
一夏「宗介?」
山田「えっと、デュノアくんはそれで良いですか?」
シャル「ええ、良いですよ?」
山田「じゃあ、相良くんの前の席に移動してください」
シャル「はい」
一夏「なぁ、宗介。いきなりどうしたんだ?」
宗介「気にするな気紛れだ」
シャル「あ、よろしくね?えっと……」
一夏「俺は、織斑一夏!んで、こっちが相良宗介で、セシリア・オルコット。んで、篠ノ之箒」
シャル「よろしくね?」
一夏「おう!」
セシリア「よろしくお願いしますわ」
箒「よろしく」
宗介(シャルル・デュノア……俺はこいつについての情報はまだ手にいれていない。鳳の情報は、2日ほど前には既に職員室にデータがあった。つまり、急の転入という事だ。ガウルンの息のかかった者の可能性もあるし、監視するべきか……警戒するに越したことはないな)
セシリア「宗介さん?」
一夏(宗介のヤツ、怖い顔してる……こんな顔見るの初めてだ……どうしたんだ?)チラッ
シャル「…………」
~ 休み時間 ~
シャル「ねぇ、一夏って呼んで良いかな?」
一夏「おう!」
シャル「相良くんも宗介って呼んで良い?まさか、僕以外にIS適正者の男の子がいるなんて思ってなくてさ。嬉しいんだ!!あ、僕の事はシャルって呼ん」
宗介「……デュノア、なぜ、お前はこの時期に転入してきた」
シャル「え?あ、お父さんの仕事の都合で」
宗介「お前の父はIS開発を行っているデュノア社とは関係があるのか?」
シャル「えっと……」
宗介「デュノア社は、IS開発では世界シェア第三位らしいが近頃は業績不振らしいな。もし、お前がデュノア社の関係の者ならば、織斑よりも名が知れ渡って業績不振などにならんと思うが?大会社に男のIS適正者がいるという大きな広告塔になるだろうからな」
一夏「そ、宗介!」
宗介「どうなんだ?答えろ」
シャル「そんな、急に質問攻めされても……」ウルウル
宗介「答えに窮するか。やましい理由でもあるのか?」
箒「相良、いい加減にしろ!デュノアが困っているだろうが!!」
宗介「困る?何を困る事がある。俺は、普通の質問をしているだけだが?」
箒「普通の質問だと?尋問紛いの質問をしといてよくそんな事が言えるな!!」
セシリア「ちょ、ちょっとお二方!落ち着いてください」
一夏「そうだ。落ち着けって!」
宗介「俺は落ち着いている」
一夏「本当にそうか?なんか今日の宗介は変だぞ?さっきだって、なんか怖い顔をしてた。あんな怖い顔は、宗介に似合わねぇよ……」
宗介「それは俺の事を知らないだけだろう」
一夏「……宗介」
宗介「すまない……少し、気がたっていたようだ……頭を冷してくる」スタスタ
セシリア「宗介さん、いきなりどうしたのでしょう……朝から少し、考え事をしていたようですが……」
一夏「わかんない……」
シャル「なんかごめんね……僕のせいだよね……」
箒「気にするな。明らかに相良が悪いんだ」
一夏「本当は、すごく良いヤツなんだよ。面倒見も良いし、天然なところもあるけど真面目で……」
セシリア「宗介さん……」
シャル「……もしかして」ボソッ
箒「デュノア、どうしたんだ?」
シャル「ううん、なんでもないよ?ただ、宗介に嫌われるのは嫌だなって……」
―――
――
―
今回はこんな感じです
スパロボにダークソウルと時間泥棒なゲームが重なって嬉しいですね
こんなSSを書いてるせいかフルメタ勢をめちゃくちゃ贔屓して使ってます
~ 数日後 ~
宗介「シャルル・デュノア……職員室のデータに間違いはないな。推測通り、デュノア社に関係のある人間の様だ」
宗介「データとして確実に存在するのに、なぜヤツは俺が質問した時に言い淀んだのだ?なぜ、デュノア社は今になって織斑以外の男のIS適正者を学園に寄越した?」
宗介「経営戦略という事か?しかし、織斑という特殊な人間が存在するという事実が発覚する前にデュノアの存在を知らしめた方が、会社にとっても利益があるのではないか?」
宗介「やはり……デュノア社とガウルンは繋がっていて、デュノアはガウルンの息がかかったスパイかテロリストと言う事か……」
宗介「くそっ、情報が少ない。取り敢えず、しばらくは織斑の行動を制限した方が良いだろう。専用機での訓練を中断させるか……」
サッ
宗介「誰だ」チャキッ
セシリア「わ、私です。あ、あの、訓練の時間なのですが……」
宗介「わかった。行こう」スタスタ
セシリア「は、はい……」
一夏「あ、宗介!!」
宗介「すまない。待たせた」
一夏「いや、別に良いよ。それより、ちょっと頼みたい事があるんだけど……」
シャル「ぼ、僕も訓練に混ぜてもらえないかな?」
宗介「織斑、なぜデュノアがいる」
一夏「宗介と訓練してるって言ったら参加したいって言うから……」
宗介「君は、情報漏洩の有無を考えなかったのか?」
一夏「え……?」
宗介「君は男でISの適正がある特殊な人間だ。おまけに専用機持ちでもある。各国諜報機関や産業スパイ、軍事関係者、テロリスト、そんな人間達が君の情報を欲していると考えた事はないのか?」
一夏「え、いや、そんな事は考えた事が……いや、でも、それとこれとは関係ないだろ!?ま、まさかシャルがそんな連中と同じ類いの人間で、俺を狙ってるとでも言いたいのか?」
宗介「そう言う可能性があるという話だ」
一夏「そ、そんな事はあり得ないだろ!だってここはIS学園で……」
宗介「それがどうした。どれだけ強固な軍事施設でもミサイル1つで吹き飛ぶぞ。絶対な事などない」
一夏「ちょっと待てよ!宗介、何か誤解してるって!!シャルはそんな事する様なヤツじゃない」
宗介「最近、会ったばかりなのになぜそう言える」
一夏「宗介こそなんでシャルを疑うんだよ!!」
宗介「時期がおかしい。なぜ、君より後に男のIS適正者が、しかもデュノア社社長の息子という肩書きをもった人間が現れた!」
一夏「え!?そ、そうなのか?シャル」
シャル「……うん……そうだよ……僕はデュノア社の社長の息子」
一夏「で、でも、それがどうしたって言うんだよ!!」
宗介「業績不振のIS世界シェア第三位の大企業の社長の子息にISの適正があるならば、もっと早くに公表して広告塔にした方が自社のためになるはずなのにそう言った動きもなく存在を隠し続けていた。大企業の息子なのだから様々な危険を考慮して秘匿していた事も考えられるが、だとしたらもっと早くにIS学園に入学させて然るべきじゃないのか?」
一夏「そ、それは……」
セシリア「宗介さん、落ち着いてください!な、なぜ、織斑さんと口論しなければならないのですか!!」
宗介「だが、デュノアは君より後に転入という形で入ってきた。まるで、君の存在を認知した上で君との接触を計り、君の情報及び機体の情報を収集して利用するために潜入してきたみたいだと思わないか?」
一夏「……思わない。思わねぇよ!!」
宗介「なぜ、君は……それだけならばまだ良いが、危険なテロリストの息がかかった人間かもしれないんだぞ!」
一夏「なんだよそれ……なんだよ……宗介は俺にその可能性を言ってどうしたいんだよ!!」
宗介「守るために決まっている!俺は、君を護衛するためにこの学園に来たんだからな!!」
一夏「……え?」
セシリア「そ、宗介さん……それは……どういう」
宗介「……俺は、ただの学生じゃない。本当は、傭兵だ」
一夏「そ、そんな冗談は……」
宗介「冗談ではない。詳細を言う事はできないが、事実だ」
一夏「なんだよそれ……俺は、宗介を友達だと……」
宗介「俺にとっては君は護衛対象でしかない」
一夏「ふざけんな!俺は、守られる必要なんかねぇよ!!」
宗介「ふざけてるのはどっちだ!もっと自分の立場を鑑みろ!!訳のわからない薬を投与されて、廃人になるまでモルモットにされたいのか!?」
シャル「もうやめてよ二人とも!!」
一夏「……俺、宗介の事がわかんねぇよ」
宗介「君は、俺の何を知っていると言うんだ」
シャル「もう、やめてってば……お願いだよ……僕が悪かったからぁ」ポロポロ
セシリア「デュノアさん……」
宗介「……今日は、訓練は無しだ」
一夏「勝手にしろよ……」
宗介「…………」スタスタ
セシリア「宗介さん!!」
一夏「セシリア、あんなヤツの事は放っておけよ」
セシリア「……織斑さん」
シャル「ごめんなさい……一夏、ごめんなさい……宗介、ごめんなさい」ポロポロ
一夏「くそッ……」ガンッ
―――
――
―
~ 翌日 ~
箒「おはよう」
セシリア「……おはよう……ございます」
箒「オルコット、どうした?元気がないようだが……」
セシリア「私は別に……ただ、宗介さんと織斑さんが……」
箒「相良と一夏が?」
一夏「セシリア……やめてくれ……」
セシリア「すいません……」
箒「おい、一夏、相良と何があったんだ!」
一夏「話したくない」
箒「なんだと?」
一夏「話したくないって言ったんだ……放っておいてくれ……」
箒「それはできんな。私は、お前の幼馴染みとして話を聞く権利がある」
一夏「幼馴染みねぇ……本当にそう思ってんのかよ……」
セシリア「ちょっと、織斑さん!その発言はあんまりですわ」
一夏「だってそうだろ?友達だと思ってても、結局は他人なんだ。俺の独りよがりかもしれねぇじゃん!!」
バチンッ
箒「相良と何があったか知らないが、お前がそんな腑抜けだとは知らなかったな。ガッカリだ」
一夏「…………」ガタッ
セシリア「織斑さん!?」
一夏「…………」スタスタ
箒「くそ……一夏のヤツ、私の気も知らないで……」ウルウル
セシリア(私は……こんなの見たくありませんわ……宗介さん、織斑さん……)
――― 屋上 ―――
一夏「……はぁ」
ガチャ
鈴「あれ?一夏じゃん」
一夏「鈴?なにやってんだ?」
鈴「授業がダルいからサボり……ってのは半分嘘、本当は教室からあんたがショボくれた顔して歩いていくのが見えて着けてきたの」
一夏「……へぇ」
鈴「どうしたの?話してみ?」
一夏「……言いたくねぇ」
鈴「なら、良いや」
一夏「……え!?」
鈴「え!?って、言いたくないんでしょ?だったら聞かない」
一夏「え、あ、まぁ……」
鈴「話したいの?」
一夏「…………」
鈴「ほら、言いたくないんじゃん」
一夏「……宗介と喧嘩したんだ」
鈴「そんな事でショボくれてんの?」
一夏「うるさいな……俺だって、それくらいじゃ……いや、落ち込むには落ち込むけど……」
鈴「じゃあ、あんたがショボくれてる原因はなによ」
一夏「宗介が色々、誤解しててさ……それは違うって俺が言ったら喧嘩になって……それで、色々言い合って……宗介の事がわかんねぇよって言ったら、君は俺の何を知ってるんだってさ……俺は、宗介の事を友達だと……親友だとすら思ってたのに宗介はそう思ってなかったみたいで……」
鈴「あんた……あの根暗と付き合ってるわけ!?」
一夏「はぁ?なんだよそれ!!」
鈴「だって、話だけ聞くとまるで女友達と遊んでたら浮気現場だと誤解されて喧嘩したカップルみたいじゃん」
一夏「全然、違うから!かすってもいないし!!」
鈴「ごめんごめん、茶化しただけ」クスクス
一夏「……こっちは、真剣に話してるってのに」
鈴「要は、あんたの片思いだと知ってショックだってわけね」
一夏「いや、それはなんか違う気が……ただ、俺は宗介の事を信頼してたし、慕ってて……その思いを無碍にされた気がして」
鈴「女々しいわねぇ」
一夏「はぁ?」
鈴「そんなん関係ないじゃん。あんたがアイツの事を知って様が知ってなかろうが、今までに積み重ねた縁ってのは確かにあるんだよ?」
一夏「で、でも、宗介はそんな風には……」
鈴「あのね?中国語では、別れの時にサイツェンって言うの。漢字で書けば再会ね。初めて会った人だろうが、家族だろうが、そう言うの。なんでか分かる?」
一夏「また、会える様にって事……だろ?」
鈴「そう!そう言う思いを込めるって事は、1度だけの縁だろうが、家族の縁だろうが、縁は縁でそれはかけがえのないものだから大事って事!!日本語でも似たような意味で一期一会って言葉があんでしょうが!あんたとあの根暗は1度だけの縁じゃなくて短い間とは言え、確かに縁を築いて来たんでしょ?それを、たった1度の拒絶の言葉で萎えて、ショボくれてんのが女々しいって言ってんのよ」
鈴「そんな確かな物があるんだから相手がどう思おうが関係ないじゃない!知らないなら知っていきなさいよ!!男の子なんだから、そんなん知るか!俺はお前の友達だ!!今は知らなくてもこれから知っていくって言って納得するまで、相手に分からせるまで殴り合うくらいやんなさいよ。それが友情ってヤツでしょうが」
一夏「そ、それ、極論じゃね?」
鈴「極論でも、情けない顔してるよりはずっとましよ」
一夏「確かに……確かにな……知らないなら知っていけば良いし、宗介が俺を友達だと思ってなくても俺が思ってれば宗介もそう思ってくれる様になるかもしれないもんな……1度、縁を結んだんだから簡単に関係なくなるわけじゃないもんな」
鈴「あたしが言いたいのはそう言う事よ」
一夏「うわぁ、ショボくれてた自分が急に恥ずかしくなってきた……」
鈴「で、どうすんの?仲直りすんの?」
一夏「いや、まだしない。まずは、誤解を解いて、俺は宗介の友達だって認めさせてから仲直りする」
鈴「方法は考えてんの?」
一夏「クラス代表戦で優勝する。宗介が考えた戦術でじゃなくて、俺が考えた戦術で!それで、宗介に俺の力を認めさせる!!」
鈴「うーん、まどろっこしくない?そんな事より殴り愛を……」
一夏「宗介はそう言うタイプじゃないと思うんだよな……殴ったら、気は済んだか?って言って去っていきそう……」
鈴「確かに、そんな気するわ……」
一夏「まぁ、上手くいかなくても諦めねぇよ。アイツは俺の友達だからさ」
鈴「まぁ、良いんじゃない?でも、その作戦は上手くいかないわよ」
一夏「なんでだよ!」
鈴「クラス代表戦は、あたしが優勝するからよ!」ドヤァ
一夏「いや、悪いが俺が勝たせてもらうぜ!」
鈴「無理よ!」
一夏「いーや、無理じゃないね」
鈴「アハハ、クラス代表戦が楽しみね!」
一夏「泣いて謝ったって許してやんねぇからな!!」
鈴「望むところよ!!」
―――
――
―
今日はこんな感じです。
フルメタのOP・EDは良曲揃いで、大好きですわ
君に吹く風とそれが愛でしょうは春にピッタリですね
――― 格納庫 ―――
宗介「…………」ガチャガチャ
千冬「熱心な事だ……と言いたいところだが、授業をサボるのはいただけんな」
宗介「授業で学ぶ様な事は、学園に来る前に全て頭に叩き込みました」
千冬「だとしても、授業に出なければならん。お前は、学生なんだからな」
宗介「自分は、学生ではありません」
千冬「この学園にいる以上、どの様な身分で、どの様な事情があれど、お前は私の生徒で学生だ」
宗介「…………」ガチャガチャ
千冬「この前……デュノアが転入してくる前日の夜だ。あの時のお前は、どんな理由か知らないが私や一夏達がいる日常から遥かにかけ離れた顔をしていた」
宗介「…………」ガチャガチャ
千冬「私は、あの顔を見た事がある。昔、テレビのニュース番組で見た紛争地帯へ向かう兵士達の表情に似ているんだ。緩慢な動きで這い寄ってくる死の恐怖に抗いながら、大切な物を守るための覚悟を楔として自分を冷たい兵器だと言い聞かせているような乾いた表情……」
宗介「…………」
千冬「悲しい……とてつもなく悲しい表情……あの表情は、お前にはまったく似合わなかった。相良、お前はきっと銃を持って良い人間ではないんだろう」
ガタンッ
宗介「自分は、プロフェッショナルであります。マガジンに銃弾を装填し、引き金を引き、爆撃と仲間達の悲鳴の中を渡り歩く兵士です。それが自分の生き方です」
ギュッ
千冬「そんな澄んだ目をしたヤツが、そんな事を言うな……怯えるな……気負うな……お前は、この学園にいる誰よりも手を差し伸べて良いんだ……」
宗介「教官のおっしゃる事は理解しかねます」
千冬「相良……いや、宗介……私を、一夏を、この学園に来て出来た仲間を頼れ。何を気負っているか分からんが、必ず助けになる」
宗介「……考えておきます。失礼します」ビシッ
スタスタ
千冬「……私は、アイツの立場になってやる事はできないんだろうな。こんな悔しいなんてな」
宗介(なぜだ……なぜだ……みんな、なぜ俺を奇異な存在だと言う!俺は、何も間違っていないはずだ!不測の事態に備える事の何が悪い!疑わしい存在を疑う事の何が悪い!!兵士である事の何が悪いんだ!!!)スタスタ
宗介「……くそ、ガウルンの名を聞いてからケチが着きっぱなしだ」ガンッ
シャル「そ、宗介……」
宗介「……なんだ!!」
シャル「」ビクッ
宗介「デュノアか。邪魔になりそうな俺を排除にでもきたか」チャキッ
シャル「ち、違うんだ……お願いだから……僕の話を聞いて……」ウルウル
宗介「…………」
シャル「お願いだよ……」ポロポロ
宗介「……分かった」
シャル「ありがとう……ありがとう……」ポロポロ
シャル「…………」
宗介「早く用件を話せ」
シャル「まず、僕のせいで一夏と喧嘩させてごめんね……」
宗介「…………」
シャル「宗介……君の言う事は大体あってる……僕は、宗介の考える通り一夏の情報と専用機のデータを盗む様に言われてIS学園に来たんだ……」
宗介「そうか」
シャル「うん……だけど、僕は男じゃない……」
宗介「やはり、か」
シャル「それも気付いてたの?」
宗介「そう言う可能性も考えていた」
シャル「宗介はスゴいね……僕は、本当は女……僕は、デュノア社の社長の実子ではあるけど、愛人との間に出来た子なんだ。お母さんは僕を愛してくれたけど、お父さんはそんな僕を良しとしてくれなくて……」
宗介「世間体を気にしたという事か。同情はするが、理解できない事もない。大企業にとって世間からの心証は生命線だからな」
シャル「僕もそれは理解してたつもりだし、お母さんがいれば十分だったんだ。だけど、お母さんが死んで……僕の居場所がなくなった……そんな時に、たまたまIS適性が高い事が発覚して……」
宗介「兵器開発に利用されたという事か……」
シャル「うん……仕方なかった……居場所がない事があんなに寂しいとは思わなくて……すがれるものにはすがりたかった……だから、お父さんの命令を聞いてIS学園にも潜入した。だけど、それは初日で宗介に見破られて……それでも僕は構わず調査を続けようと思ってた」
シャル「だけど、できなくなっちゃった。宗介は、僕が転入してから一人でいるようになったみたいだから知らないと思うけど、一夏は、僕に宗介の話をよくしてくれたんだよ?宗介はどんなヤツだとか宗介とこんな事をしたとか……セシリアもそう……とても仲が良くて、宗介を慕ってる事が分かったよ。それで言うんだ『宗介は悪いヤツじゃないんだ。誤解してるだけなんだよ。だから、嫌わないでやってくれ』って……僕は、罪悪感でいっぱいになった……僕が、一夏達の輪に入ったから宗介は孤立して、一夏達は一緒にいたい人といれなくなって……」
シャル「僕は、自分が嫌って逃げた状況を誰かに強いろうとしていたんだ……そんなの嫌だよ……そんなのしたくないよ……だから、僕は手を引いてIS学園を去るよ……」ポロポロ
宗介「……甘えるな」
シャル「……え?」グスン
宗介「甘えるな!自ら引き受けた任務を易々と放棄するな!!命令は絶対だ。死んでも完遂するという覚悟がなくて任務が達成できるか!?出来るわけがない」
シャル「え、ちょ、ちょっと待って!?」
宗介「そんな基本的な事すら分からないお前はアマチュア以下だ!ナメクジの方がつかえるかもしれんな!!」
シャル「……そ、宗介!どういう事?」
宗介「つまり、悔しかったらデュノア社の社長から受けた任務を続けてみろ!俺を、欺き、巧みにこなしてみせろ!!俺は、それを防ぎ、邪魔し、最後には君を尋問して、バックグラウンドに控えてる組織すらも瓦解せしめてみせよう!!その結果、捕らえられている哀れな深窓の少女を解き放つという事もあるかもなッッ!!」
シャル「そ、宗介ぇぇぇぇ」ポロポロ
宗介「俺は、これからも君を監視し、疑わしい行動をすれば制する。しっかりやれ」
シャル「わかったよぉ!僕、頑張るぅぅぅ」ポロポロ
宗介「……君に、礼を言う。これで、危険なテロリストが起こすであろう行動の選択肢を多少は絞る事ができた。君がヤツとは関わりのない事を知れただけで、今の俺には有り難い」
シャル「なんで信じてくれる気になったの?」ゴシゴシ
宗介「俺は素人じゃない。君のそれが演技かそうでないかくらい判断できる」
シャル「宗介って本当に凄いんだね?ねぇ、危険なテロリストって本当に来るの?」
宗介「とある情報筋からの情報だ。不確かだが、可能性は高い。俺は、これからそのテロリストのテロを防げるように動くつもりだ」
シャル「ね、ねぇ、宗介って何者?」
宗介「認識番号B-3128、相良宗介軍曹。コールサインはウルズ7だ!」キリッ
シャル「は、はぅ///……ね、ねぇ、一夏と仲直りするよね?」
宗介「そうだな。事が終わり次第謝ろう」
シャル「悪い会社に捕まってる女の子も救ってくれるの!?」
宗介「救出作戦は、考えてある!任せろ。何度も言ってある通り、俺はプロフェッショナルだ!!」
シャル「その女の子の名前はね!シャルロットって言うんだ!!」
宗介「覚えておこう!シャルロット、良い名だ!!」タッタッタッ
―――
――
―
~クラス代表戦・当日 ~
箒「一夏、コンディションは大丈夫か?あれから、訓練は私との稽古しかしてないそうだが……」
一夏「大丈夫!必ず勝つ!!んで、宗介と仲直りするんだ」
箒「そうか……」
一夏「箒、改めて謝る。あんな事、言ってごめんな?」
箒「もう、気にしてないさ」
セシリア「織斑さん……宗介さん見当たりませんでしたわ……」
一夏「セシリア、気にすんなって。アイツの事だから、きっとどっかに隠れて双眼鏡でこっちを覗いてんだよ」
セシリア「そう、ですわよね……きっとそうですわ!」
シャル「一夏!!」
一夏「シャル?」
シャル「この試合が終わったら君に言いたい事があるんだ。聞いてくれる?」
一夏「おう!ただし、時間かかるぞ?今日、優勝するからな」バシュッ
シャル「うん!」
箒「……ま、まさか」ビクビク
シャル(宗介、やっぱり僕の任務は失敗になりそうだよ。宗介が、阻止しちゃうんだ。それで、一人ぼっちの女の子は救われるんだ)
「今日のクラス代表戦、1組の例の男の子でるんだって!!」
「マジで?じゃあ、しっかり見とかないと!!」
ドンッ
「キャッ!ちょ、ちょっと!!」
?「んん?」
「ひッッ!?」
?「お嬢ちゃあん!ぶつかったら謝るのが筋じゃないかなぁ?」
「す、すいません!!」
?「やれやれ、最近の娘は教育がなってないなぁ?そんな悪い娘は……おじさんが殺しちゃうよぉ?」
「ひ、ひぃぃぃぃ」
?「クックックッ、冗談だよ」スタスタ
「だ、大丈夫!?」
「う、うん、怖かったけど……」
「あんな男の人、うちの学園に居たっけなぁ?」
「誰かの親じゃないかな?」
ガウルン(さぁて、ぬるま湯に浸かったアホなガキ共を教育してやらないとなァ?)クスクス
―――
――
―
――― トゥアハー・デ・ダナン ―――
ウィーン
マオ「メリッサ・マオ曹長、クルツ・ウェーバー軍曹参りました!!」
テッサ「メリッサ、ウェーバーさん、お忙しい中わざわざ来ていただいてありがとうございます」
クルツ「そーりゃ、我等が女神のためなら地雷源からでも飛んでくるでしょ♪」
マオ「こら、クルツ!仮にも上官の前なんだから軽口は慎みな」
テッサ「か、仮にもってどういう事ですかメリッサ!!」ムスッ
マオ「これは、失礼しました大佐殿!」
テッサ「……ふふッ、こう言う会話も久しぶりですね」
クルツ「宗介がいない事のしわ寄せがチームを組んでた俺達に来てたからねぇ……ちょーキツいっての」
テッサ「実は、その相良軍曹のためにお二人に働いて欲しいの」
マオ「宗介のため?」
クルツ「アイツ、ハーレム学園でなんかしやがったのか?」
テッサ「そう言うわけではないのだけれど……カリーニン少佐、例の物を」ピッ
マオ「で、任務の内容は?」
ウィーン
テッサ「あ、カリーニンさんありがとうございます。お手数かけてすいません……」
カリーニン「いえ」
マオ「……なるほど、そう言う事ね」
カリーニン「簡単な任務だ。これを相良軍曹のもとに届ければいい。ただしM9で、だ」
クルツ「こりゃ、しんどい事になりそうだな……」
カリーニン「20分で準備しろ。既に、装備等の手配はしてある」
マオ「10分で十分であります」
カリーニン「では、10分だ」
マオ・クルツ「「イエッサー!!」」ビシッ
クルツ『まったく、あのムッツリ軍曹の世話のかかるこって』
マオ『あら?そのわりには嬉しそうじゃない?』
クルツ『俺は、ハーレム学園に行くのが嬉しいんだよ。姐さんこそ、張り切ってるみたいじゃんか』
マオ『そう見える?』
クルツ『見えるな』
マオ『じゃあ、そうなんじゃない?』
クルツ『……まぁ、俺もだけどさ』
「マオ、クルツ、そろそろ出すぞ!喋ってて舌噛んでも知らねぇからな」
マオ『了解』
クルツ『了解!姐さんの3秒後にでる』
「ああ、そうだクルツ」
クルツ『なんだ?』
「宗介に、借りた20ドルもうちょっと貸しといてって伝えてくれ」
クルツ『あ、そういやお前、俺からも……』
マオ『メリッサ・マオ曹長でる!!』
クルツ『あ、くそ!覚えてろよ!!クルツ・ウェーバー軍曹でる!!』
テッサ「……お二人には厳しい任務を任せてしまったかしら」
カリーニン「支援及び増援は期待できず、極めて戦い難い戦場です。難しい任務と言えるでしょう」
テッサ「……そうですよね」
カリーニン「ですが、メリッサ・マオ曹長、クルツ・ウェーバー軍曹、そして、相良宗介軍曹のチームは、ミスリルの中でもかなり優秀なチームと言えるでしょう。大佐殿の人選に間違いはありません」
テッサ「でも、ガウルンと言う人はとっても危険な人なのでしょう?」
カリーニン「確かに、ガウルンは世界でも屈指の危険なテロリストです。ですが、相良軍曹は過去にヤツと何度も戦い、撃退に成功しています。寧ろ、ガウルンは自らの不運を呪う事になるでしょう」
テッサ「ふふ、カリーニン少佐は相良さんの事を買っているのですね」
カリーニン「相良宗介という男は自分の知り得る中でもトップクラスのプロフェッショナルですから」
テッサ「私も、メリッサとウェーバーさん……そして、相良さんを信じます!」
カリーニン「必ず、ご期待に沿う戦果を残す事でしょう」
―――
――
―
ワーワー
宗介「試合が始まったか」
宗介(カリーニン少佐から、ガウルンの情報はほぼ確実だと報せが入っている。ガウルンの性格を考えればこのクラス代表戦の日を選んで行動を起こす可能性が高い)
宗介「施設を爆破し、混乱に乗じて織斑の身柄を抑えるつもりか?いや、織斑もISを装備しているしそれは難しいだろう……」
宗介「くそっ、俺は馬鹿だ。ガウルンの名に怯んで無駄な時間を過ごしていた。もっと慎重に情報を収集していれば、デュノアがガウルンの手の者ではない事はもっと早くに分かっただろうし、もっと多くの対策を立てれていただろう」
宗介「いや、後悔はアマチュアのする事だ。俺はプロフェッショナルだ。ならば、限られた時間でも完璧に任務をこなしてみせる。だから、考えろ!俺がガウルンならどう動く」
宗介(織斑は試合中……ガウルンにISの適性はない。となると、織斑が無力になった瞬間を狙って奇襲をかけるだろう。つまり、既にガウルンは潜入しており織斑の試合終了後を狙う……)
宗介(いや、違う!ガウルンはもっと狡猾で残忍な男だ。試合終了直後、織斑がまだアリーナに立っているところを狙って動くはずだ。そして、恐らく観客の生徒すらも人質として利用する事も考えられる)
宗介「ガウルンは、観客席に既に潜んでいるはずだ!」タッタッタッ
一夏「くっ、衝撃砲が厄介だな!見えないってだけでここまで避けれないのかよ!!」バシュウウウウ
鈴「一夏!逃げてるだけじゃ勝てないよ!!」
一夏「なんとか反撃の糸口を見つけないと……くそっ、シールドエネルギーが残り少ない……これ以上の被弾は出来ないから一撃で決めるしかねぇ!!」ギュンッ
鈴「お?ついにやる気になったみたいね!」
一夏「鈴は、照準して砲弾を撃てば良い。そして、その砲弾は俺には見えないから当たっちまう。そうか!だったらッ!!おりゃあああ」ズガンッ
鈴「か、刀を地面に突き刺した?自棄!?って言うかなんてパワーよ!粉塵が舞い上がって」
ギュンッ
鈴「しまったッ!それが狙いか!!」
一夏「見えない相手には照準は合わせらんねぇだろッ!!もらったああああ」
宗介「どこだ……観客席にいるのは間違いないはずだ……どこに……」
ガウルン「さぁて、そろそろ頃合いかな……」
宗介「この声は……ガウルン!そこか!!」
ガウルン「んー?」
宗介「そこを動くな!」チャキッ
ガウルン「おい……おいおいおいおいおい!お前、カシムじゃねぇか!!」
宗介「お前が、織斑一夏をどうにかしようと画策してる情報は既に掴んでいる!何をしようと無駄だ!!」
ガウルン「懐かしいなぁ!!イワンは元気か?ええ、カシムよぉ」
宗介「黙れ!」
ガウルン「なるほど、あのガキのおっかねぇ姉ちゃんがお守りかと思ってたが、お前がお守りについてたってわけだ!嬉しいねぇ!!」
宗介「お前を拘束する!」
ガウルン「拘束?拘束するって?違う、違うだろカシム。平和ボケでもしたか?俺は殺さないと止まらないのはしってんだろぉぉぉ」
ドガァン
宗介「な、なんだ!?」
鈴「キャッ!?」
一夏「天井に穴が!」
鈴「あれは、IS!?」
一夏「鈴、あのIS攻撃してくる気だ!!」
鈴「え?」
ズガンッ
一夏「鈴ッ!くそっ、いったいなんなんだよ!!」ギュンッ
鈴「く、くそっ、ISが強制的に解除された!一夏、気をつけて!!1発でも攻撃くらうとヤバいよ」
一夏「シールド・エネルギーが心許ないってのに!!」
山田「織斑先生!」
千冬「分かってる!今すぐ、上級生から人員を募って生徒の非難と制圧部隊を結成しろ!!」
セシリア「織斑先生!私も出ますわ!!」
シャル「僕も!!」
千冬「お前らなら……分かった頼」
ズドンッ
千冬「……な、なぜ、ASが!?」
宗介「サベージ!?」
ガウルン「因みに銃口は、こっちに向けられるんだよなぁ」
宗介「やはり、人質を……ASまで利用して!!」
ガウルン「困ったなぁ?困ったよなカシムぅぅぅ!」
宗介「ガウルン!!」
ガシャン
ガウルン「おっと!これは所謂、動くなってヤツだ。さっさと、武器を捨てな」
宗介「…………ッ」ガチャンガチャンガチャン
ガウルン「んー?カシム、お前もしかしてIS操縦できんの?」
宗介「それがどうした!」
ガウルン「クックックックッ、アーハッハッハッハッ!傑作だ。傑作だよカシム!お前がISってたまかよ!おべべ着て喜ぶお嬢ちゃんじゃねぇだろうが」
宗介(くそッ、サベージのくせに邪魔だ!織斑の動きも悪い。恐らく、エネルギーの残量が少ないんだろう……なんとかしてガウルンを退けて織斑を助けに行かなければ……考えろ。どうする!)
ガウルン「さぁて、そろそろあのガキのおいたもおしまいみたいだし、誘拐して帰るとするよ。じゃあな、カシム」スタスタ
宗介「待てッ!ガウルンッ!!」
ジャキンッ
宗介「……くっ」
千冬「くそ、ASが観客席を狙ってて動く事ができん……」
セシリア「織斑先生!観客席に宗介さんが!!」
千冬「なんだと!?なぜ、ヤツがそんな所に……」
シャル「テロリストだ……」
千冬「なに?どういう事だ!!」
シャル「宗介、危険なテロリストから一夏を守るために動くって……」
セシリア「そ、そう言えば、宗介さん織斑さんを護衛するためにIS学園に来たと……」
千冬「そう言う事だったのか……」
セシリア「ど、どうしましょう!?」
?『狙い撃つぜ!!』
ズガンッ
千冬「なに!?敵、ASの銃が破壊されただと?」
山田「織斑先生!新しい、ASが!!」
千冬「なに?いつの間に現れた!!」
シャル「ちょっと待って?宗介と何か話してる!!」
?『よう、久しぶりだな宗介』
セシリア「そ、宗介さんの名前を!?」
千冬「相良の仲間か!」
ズガンッ
宗介「この銃だけを狙った精密な狙撃とふざけた台詞……まさか」
ドシンッ ドシンッ
マオ『ふぅ、空自とすれ違った時はハラハラしたっつの』
クルツ『よう、元気にしてたか宗介』
宗介「マオとクルツか!そうか、大佐殿が……だが、これでガウルンを追える。マオ、クルツ!!」
クルツ『わーってるっての!サベージは俺らがやるからお前はガウルンを追え!!』
マオ『その前に、テッサからのプレゼント受け取りな!』
ドスンッ プシュゥゥゥ
宗介「小型のASに見えるが……もしかして、ISか!?」
カリーニン『相良軍曹、緊急時を予測して手短に説明する。これは君の専用ISで《アーバレスト》と言う。全てがASに限りなく近付けて開発されており、ECSはもちろん、武装もASの技術を応用している。高度なAIも登載されており、君のために開発された特別な機体だ。尚、高価な機体なので出来るだけ破損させないように。では、幸運を祈る』
宗介「アーバレスト……よし!」
ガシャンッ
《音声認証登録開始、登録認識番号と姓名、階級を登録してください》
宗介「相良宗介軍曹、B-3128」
《登録完了。命令をどうぞ相良軍曹》
宗介「フィッティング、モード4調整開始。バイラテラル角3,5」
《ラジャー、フィッティング及びモード4調整開始……完了。BMSA3,5設定完了》
宗介「お前のコールサインはなんだ」
《アルです。軍曹》
宗介「よし、アル!俺の友人を救いに行くぞ!!」
《ラジャー》
今日はこんな感じです。
ASは強化外骨格的な概念なんですよね
そう言う意味ではISに近いのかも?
一夏「くそっ!シールドエネルギーが!!」
バシュッ
一夏「ちぃ、なんだってんだよ!!」ズバッ
バシュッバシュッ
一夏「ぐあっ!?」
一夏「くそっ……一機は撃墜したけど、まだ残ってる……」
鈴「一夏ッ!」
一夏「鈴、早く逃げろ!」
鈴「あんただってISが強制解除されて生身じゃない!敵だってまだ……」
一夏「俺がどうにかするから!お前だけでも逃げろって!!」
鈴「嫌よ!!」
ガウルン「クックックックッ、青春ってヤツ?お熱いねぇ」スタスタ
一夏「だ、誰だお前!!」
ガウルン「ああん?ちょっと、君さ、口の聞き方に気をつけたら?」チャキッ
一夏「うっ……」
鈴「一夏ァァ!!」
ガウルン「おっと、お嬢ちゃん動いちゃダメだろ?」バンッ
鈴「キャッ」
一夏「よせっ!やめろ!!」
ガウルン「やめろ?やめてくださいだろ?やめないけど」バンッバンッバンッ
鈴「た、助けて……助けて……」ブルブル
一夏「お前の狙いはなんなんだよ!!」
ガウルン「察しの悪いガキだなぁ……君だよ君ィィ!」
一夏「お、俺!?」
ガウルン「君、自分の価値分かってる?君を実験のモルモットにしたい輩がいっぱいいるんだよ」
一夏「お、俺を……」
ガウルン「だから、大人しく捕まれって」
一夏「誰が、お前なんかに……」
バンッバンッバンッ
鈴「や、やめて……」
ガウルン「おいおい、頭の悪いガキは嫌いだなぁ……仕方ないから、この嬢ちゃんぶっ殺して……」
一夏「わ、分かった!言う事、聞くから!!」
ガウルン「それで……」
宗介「ガウルンンンンン!!」
ガウルン「おいおい、それはなんだよ!お仲間から新しいオモチャでも受け取ったのか?カシムぅぅぅ」
ギュンッ
宗介「どけッ、木偶の坊!!」ズドンッズドンッズドンッ
ズザァァァァ
一夏「そ、宗介なのか?」
宗介『肯定だ。待たせたな、一夏!』
一夏「そ、宗介ッ!!」
ガウルン「カシム、やっぱりお前は最高だよ!嬉しいぜ!また、お前と殺し合いが出来てよぉ」
宗介「ガウルン、抵抗は無駄だ」ジャキンッ
ガウルン「無駄かなぁぁ?わかんねぇよ?」
一夏「あ、あいつもISを!?」
宗介「ちッ、奥の手か……」
ガウルン『俺は、新しいおべべ着て喜ぶタイプなんだよ』
宗介『一夏、君は鳳を連れて逃げろ。俺が援護する』
一夏「大丈夫なのか、宗介」
宗介『当たり前だ。それに、俺の友人に危害を加えようとしたこいつを排除しなければ気がすまん』
一夏「そ、宗介ぇぇぇ」ウルウル
宗介『行けッ!』
一夏「おうッ!行くぞ鈴!!」タッタッタッ
鈴「うんッ!!」タッタッタッ
ガウルン『それは許せないなぁ!!』
ガシッ
宗介『それは、こっちの台詞だ!』
ガウルン『おい、カシム!お前、ぬるま湯につかって腑抜けちまったのか?友情ごっこなんかするんじゃねぇよ!!』
宗介『友情ごっこではない!お前こそ、気安いんだよ!!』
ガンッ
宗介「お前の負けだ!!」ズドンッズドンッ
ガウルン「効かないねぇ」ギュゥゥン
宗介「なに!?確実に当たったはず!!」
ガウルン「返すぜ、カシム!!」
宗介「うぐっっ!?」ズザザザザ
ガウルン「これで、終わりとか悲しい事、言うなよカシム」
宗介「ガウルンッ!!」バシュッ
―――
――
―
一夏「千冬ねぇ!!」
千冬「一夏、無事だったのか!」
一夏「宗介が、助けてくれたんだ!」
千冬「では、あの銀色のISと戦っている白いヤツは相良か!!」
セシリア「やっぱり、宗介さんは頼りになる方ですわ///」
シャル「当たり前だよ!だって、宗介はプロフェッショナルだもん」
セシリア「そうですわね」
シャル「ハァァ、宗介カッコイイなぁ///」
セシリア「……は?」イラッ
箒(相良め……あいつ、既にデュノアをたらしこんでいたのか……)
一夏「千冬ねぇ、宗介に援軍を!!」
千冬「いや、それは得策じゃない……相良と銀色のISとの戦いは非常に高レベルだ。下手に手助けをすれば、相良の足手まといになる」
一夏「見守るしかない、か……」
千冬「相良の勝利を祈ってよう」
セシリア「宗介さんなら大丈夫ですわ。なんたって、私の軍曹殿ですから///」
シャル「は?」イラッ
箒(こっちでも一戦起きそうだな……)
一夏「行けッ宗介!そんなヤツ、ぶっ飛ばしちまえ!!」
―――
――
―
宗介(なんだアレは……銃撃が弾かれる。それだけじゃない。あの攻撃はなんだ!?指向性の地雷か何かか?)
ガウルン「どうした!カシム!!」ズドンッ
宗介「ちッ、アル!ヤツの武装はなんだ!!」バシュッ
《ラムダドライバだと予想されます》
宗介「ラムダドライバ?なんだ、それは!指向性の地雷か?」
《ネガティブ。返答不能》
宗介「ちッッ、こちらにあの攻撃に対抗する武装は装備されているか?」
《ラムダドライバが登載されております》
宗介「よし、では発動しろ!」
《ラジャー。ラムダドライバ発動》
ガウルン「カシム、腕が落ちたか?」ズドンッ
宗介「うがっ!?」ズザァァァァ
宗介「どうしたアル!なぜ、発動しない!!」
《発動はしております》
宗介「では、なぜ!」
《返答不能》
ガウルン「おいおい、俺を悲しませるなよカシム!!」ズドンッズドンッ
宗介「うがっ!?」ドシンッ
《シールドエネルギー40%まで低下》
宗介「くそッ!俺は、二度も失態をおかすのか……」
『怯えるな……気負うな……お前は、この学園にいる誰よりも手を差し伸べて良いんだ……』
宗介(そうだ……怯えるな……気負うな。俺は、孤立無縁ではない。セシリア、デュノア、織斑教官、マオ、クルツ、カリーニン少佐、テスタロッサ大佐……そして、友人の織斑一夏がいるッッ!!)ギュゥゥン
ガウルン『終わりにしようぜカシム』
宗介『ああ、こちらもそのつもりだ』
ガウルン「楽しかったぜ!」
宗介「行くぞアル!ラムダドライバだ!!」
《ラジャー》
宗介「この学園の平和を乱すな!!」
ガウルン「カアアアシィィィィィィムゥゥゥゥ」ギュオオオオ
宗介「ガァァウルンンンンンンンンン!!」ギュオオオオ
―――
――
―
ドシンッ ドシンッ ギュオン ガシンッ
クルツ「大丈夫か、宗介!」シュタッ
宗介「問題ない。ただ、ガウルンは取り逃がしてしまった。俺の失態だ」
マオ「あんだけの爆発で逃げてみせるなんて厄介ね」
宗介「しかし、収穫はあった。ヤツにもISの適性があったという事実、警戒を強めなければいけないが、対策も取りやすくなった。それに、恐らくヤツには協力者がいる。ISに精通した人間だ。襲撃してきたISの残骸を見てみろ」
マオ「これ、無人機?」
宗介「肯定だ。ISを無人で起動させるのは不可能だと言われてきた。だが、そのテクノロジーは現に存在している。無名の科学者が、これだけのテクノロジーを保持してるとは考えにくい。自ずと人物は限られてくるだろう」
クルツ「色々と面倒な事になったな……お前がハーレムを楽しむ事難しくなったぞ?ざまぁみろ」
宗介「ハーレム?なんの事だ?」
クルツ「すっとぼけんなよムッツリ軍曹殿」
宗介「お前の言ってる事は理解できん」
マオ「クルツも大概軽薄たけど、あんたもなかなかに朴念仁だよね……」
宗介「これは貶されてるのか?」
クルツ「お前の場合、まったくもってその通りだからなぁ……」
宗介「ふむ、俺は朴念仁なのか」
マオ「ぷっ、あんたのその糞真面目な感じなんだか懐かしいわ」クスクス
クルツ「お前は本当に変わんねぇなぁ」クスクス
マオ「本当にねぇ。ちょっと安心したわ」
セシリア「い、一夏さん、話しかけてくださいまし!」コソコソ
シャル「そ、そうだよ一夏!」コソコソ
一夏「な、なんか俺達じゃ入り込めない雰囲気を感じてさ……て、ていうかなんで俺なんだよ……」コソコソ
箒「何をやってるんだ……お前達は……」
鈴「ってか、あんた居たの?」
箒「ずっと、居たんだがな……なぜか無視されていた……」シュン
千冬「すまない。少し、良いだろうか?」
一夏「あ、千冬ねぇ」コソコソ
宗介「織斑教官!」ビシッ
千冬「相良、畏まるな。むしろ、私がお前に敬意を払うべきだ」
宗介「いえ、その様な事は」
マオ「宗介、この人は?」
宗介「織斑千冬教官、俺のクラスの担任だ」
クルツ「ま、マジで!?こんな綺麗なお姉さんがかよ!!」
マオ「メリッサ・マオ曹長よ。宗介がいつも世話になってるわね。あ、堅苦しいのは苦手だから、砕けた態度なのは許してね?」
千冬「こちらこそ。あなた達には、本当に感謝している」
クルツ「クルツ・ウェーバー軍曹、クルツくんって呼んでくれても良いですよ?ところで、夜景はお好きですか?夜景の見える素敵なレストランが……」
マオ「クルツ!」
千冬「ははは……申し訳ないが、私は糞真面目な男が好みなので、遠慮させてもらいます」
クルツ「え!?」
マオ「あら!?やるじゃない宗介!」
宗介「ん?なんの事だ?」
千冬「相良、気にするな」
宗介「了解であります!ところで、織斑達は……」
千冬「一夏達ならあそこでコソコソしているぞ?」クイッ
一夏「や、やべっ、見つかった!」コソコソ
セシリア「ど、どうしましょう!?」コソコソ
シャル「で、出ていく?」コソコソ
箒「というか、コソコソする必要がどこにある……」
鈴「確かに」
千冬「お前達!マオ曹長とウェーバー軍曹に例くらい言わんか!!」
一夏「え、あ、うん……」スタスタ
宗介「マオ、クルツ、紹介しよう。俺の友人の織斑一夏とセシリア・オルコット、シャルル・デュノアに篠ノ之箒と鳳鈴音だ」
一夏「友人!?そ、宗介良いのか?俺、お前の友達って事で良いのか?」
宗介「何を言っている。当たり前だ」
一夏「宗介!お、お、俺……嬉しいぞ」ウルウル
セシリア・シャル(友人……なんか、複雑……)
マオ「宗介がいつも世話になってるわね。あいつ、戦争しか知らないから色々と手取り足取り教えてあげてね?」
セシリア・シャル「「了解しました!」」ムフー
クルツ「じゃあ、俺は手取り足取り教えるって事で……良いかな?ジャパニーズガール」
箒「ひッ!?」
宗介「織斑教官、あなたの言った通りでした。俺は、怯えていた様です。ガウルンに、友人を失ってしまうかもしれないという仮想に……未熟を恥じる限りです」
千冬「確かに、お前は兵士としては未熟なのかもしれない。だが、お前のその人間味溢れるところが私は好きだ。それに、今のお前ならそう言う弱点などものともしないだろう?」
宗介「肯定です」
千冬「私は、お前に謝らねばならんな……お前の生き方を否定する様な事を言ってしまった。すまなかった」
宗介「いえ、あなたの言葉がなければ自分は、ガウルンに勝てなかったでしょう」
千冬「ははは、なかなか可愛いげのある事を言うじゃないか」ワシャワシャ
一夏「宗介……」
宗介「織斑、君の事を護衛対象としか認識していないという言葉は俺の誤りだった。許してほしい」
一夏「俺も宗介に色々と言っちまったからおあいこだ!これからも友達だよな?」
宗介「肯定だ」
千冬(相良宗介、お前は一夏のためにも学園のためにも居なくてはならん存在になった。私のためにも……な)ニコッ
―――
――
―
――― トゥアハー・デ・ダナン ―――
テッサ「……取り敢えず、片付いた様ですね」
マデューカス「今回は、相良軍曹の手柄と言うべきでしょう。そろそろ、相良軍曹を学園から呼び戻しても良いのでは?」
テッサ「それはできません。まだまだ、織斑一夏の価値が消えたわけではない。今回の様な事は起きないとおもいますが、それでも十分な警戒は必要だと思います。それに、ガウルンは……」
カリーニン「恐らく生きているでしょう。さすがに、ヤツも当分は動けないとおもいますが、ヤツを野放しにするのは得策ではありません」
テッサ「そうですね。そう言う事です。マデューカス中佐」
マデューカス「理解しました。では、任務の続行を申し渡しましょう」
テッサ「それが良いでしょう。それに、相良さんに恨まれたくないですもの……」
テッサ「はぁ……」
カリーニン「…………」チラッ
マデューカス「……おほん!」
テッサ「マデューカスさん、どうしました?」
マデューカス「カリーニン少佐、確か2週間後にトゥアハー・デ・ダナンはメリダ島のミスリル本部に物資補給及び整備のために帰投する予定だったな」
カリーニン「ええ、大佐殿には立ち会いをして頂かねばなりませんが、それでもスケジュール的には56時間程の余裕ができる予定です」
テッサ「どうしたんですか?二人とも」
マデューカス「どうでしょう艦長。この際、その余暇を利用して相良軍曹の任務の視察を行うというのは……」
テッサ「ふふ、それは良い考えですよ!!やっぱり心配ですものね♪」
マデューカス「そうです」
カリーニン(宗介、腹をくくっておけ。お前の戦場は死地になるかもしれんぞ……)
―――
――
―
~ 数日後 ~
シャル「宗介、おまたせ」
宗介「呼び出してすまないな。これを」カサッ
シャル「え、これは?」
宗介「君は、明日からシャルル・デュノアではなくシャルロット・デュノアだ」
シャル「じゃ、じゃあ!!」
宗介「少々、手荒い事をしたが問題はないだろう。放課後にでも織斑教官に書類を提出すれば任務は完了だ」
シャル「宗介……ありがとう……ありがとう」ポロポロ
宗介「君にいらない疑いをかけ、傷つけた御詫びだ。俺に礼を言う必要はない」
シャル「ううん、言わせてほしい。宗介、本当にありがとう!」
宗介「いや、しかし……」
一夏「素直にシャルの言葉、受け取っとけよ。感謝の気持ちに良いも悪いもないんだし」
宗介「一夏?……そうだな。そうしよう」
一夏「しかし、宗介にゃかなわねぇなぁ……シャルがスパイだっての見破ってたなんてよ」
宗介「な、なぜ、知ってるんだ?」
シャル「僕が話したんだ。一夏やセシリアを騙すなんて出来なかったし、それに、僕の任務は宗介の手によって失敗するって言うのは目に見えてたからね」
宗介「そうか……なら、良いんだ」
一夏「なぁ、宗介。デュノア社にどんな脅しかけたんだ?お前の会社爆破するぞとか?2~3日、お前が居なかったのはデュノア社に行ってたからなんだろ?」
宗介「それは秘密だ」
一夏「えぇ~教えろよ~」
宗介「君達、一般人には到底理解できん方法をつかった。とだけ、言っておく」
一夏「気になるなぁー!シャルも気になるだろ?」
シャル「別に気にならないよ?僕は、見事に《私》を救出してくれたどっかの軍曹殿の勇姿で胸がいっぱいだからそんな事を考える暇がないんだ///」ニヤニヤ
一夏「ははッ、なら仕方ないな。でも、俺は気になるぞ!」
宗介「俺の口は固いぞ」キリッ
一夏「言えよ宗介ーー!!」
宗介「断る」シュタッ
一夏「あ、逃げた!待てよーー!!」ダッ
シャル「あ、二人とも!廊下走ったら織斑先生に……」
スパァン スパァン
おわり
本編はこんな感じです。
突っ込み所満載で申し訳ない……
番外編と言うか小ネタを2つほど用意してるんで、今日は1つ投稿します
――― 番外編と言うか小ネタ ―――
『甘酸っぱい二律背反』
千冬「…………」イライラ
山田「あ、あの、織斑先生?」
千冬「なんだ!」
山田「ひッッ」ビクッ
千冬「え、あ、すまん……なんだ?」
山田「あ、あの、来週の訓練カリキュラムの事で職員会議を……」
千冬「ああ、そうだったな」
山田「じゃあ、私は準備があるので先に行きますね?」
千冬「分かった」
山田(すごくイライラしてるみたいだけど……生理かな?)
千冬(なぜ、私はこんな事で葛藤しなければならないんだ……まったく……)
―――
――
―
千冬『相良ァーー!!』スパァン
ドンガラガッシャン
シャル『うわッ!?改めて見ると織斑先生の宗介への突っ込みは凄いね……宗介、大丈夫かな?』
セシリア『宗介さんは、そこら辺にいる柔な男性とは違いましてよ』ドヤァ
箒『なぜ、お前が自慢気なんだ』
鈴『本当に大丈夫なの?全然、起きてこないけど』
一夏『確かに、いつもなら直ぐにムクって起きるんだけどな……』
千冬『相良?おい、相良!?』
宗介『…………』グッタリ
一夏『お、おい!宗介!?』
シャル『宗介!!』
セシリア『す、すごい高熱ですわ!!』ピトッ
シャル『ちょっとセシリア!なんで、おでことおでこをくっつける必要があるのさ!!』ムスッ
セシリア『あら、熱を計るなら額と額を合わせるのが一番の方法でしてよ?』
シャル『くっつけ過ぎだよー!!僕も宗介のおでこにおでこくっつけたいーー!!』
箒『いや、その前に早く医務室に連れていかないか……』
一夏『死ぬなーー宗介ーーー!!』
鈴『いやいや、恐らくそいつは病気くらいじゃ死なないから』
千冬『相良の様子は!?』
一夏『風邪だってさ。今は、セシリアとシャルが看病してる。ってか、看病するって聞かなくて……』
箒『疲労と寝不足が重なってるけど、少し休めば大丈夫だそうです』
鈴『聞いたら3日寝てないとか……馬鹿の極みだわ……』
千冬『まったく……睡眠はちゃんと取れと口をすっぱくして言っただろうに……』
一夏『あのテロ事件のすぐ後、フランス行ったり、帰ってきてすぐに俺らの訓練を見たりしてたからな……宗介に無茶させちゃったな……』
箒『い、一夏が落ち込む事はないぞ!』
鈴『そうよ。後でジャンプでも持っていって見舞いしてあげなさいよ。アタシも着いていってあげるから』
一夏『そうだな!そうする』
箒『わ、私もついでに着いていってやる!!』
一夏『お、おう』
鈴『…………』チッ
千冬『まったく……相良のヤツ……』
―――
――
―
~ 職員会議中 ~
千冬(相良が風邪で寝込んで2日か……オルコットとデュノアは、相変わらず看病してる様だし、一夏もちょくちょく様子を見に行ってる様だな)
千冬(私も様子を見に行った方が良いのか?いや、私は相良の保護者ではなく教師なんだしそこまでする必要はないか……だが、先日の件で相良には恩があるのだから見舞いくらいしても罰は当たらんよな……というか、私はなぜこんな事で葛藤しているんだ?)
山田「織斑先生?」
千冬「なんだ!相良の容態が悪化したのか!?」ガタッ
山田「え、いや、アリーナの破損が酷いので今後のアリーナでの訓練の先送りの話なんですけど……」
千冬「うっ……すまん///」
山田「会議はここまでにしましょうか。織斑先生、相良くんにこの専用機の申請書を持っていって貰えません?」
千冬「え、ああ、かまわんが……」
山田「ついでに、お見舞いしてあげてください。相良くんの様子が気になるみたいですし」
千冬「わ、私はそう言うわけでは……」
――― 医務室前 ―――
千冬「……ふぅ」
千冬「私は、何を緊張しているんだ?」
ウィーン
宗介「織斑教官?」
千冬「相良!?もう、起き上がって大丈夫なのか?」
宗介「はッ、問題ありません!ご迷惑おかけしました!!」フラッ
千冬「馬鹿者!まだ、ふらついてるじゃないか……熱もまだあるようだし……まだ寝ていろ」
宗介「し、しかし」
千冬「上官命令だ!!」
宗介「了解しました……」
千冬「さぁ、ベッドに戻れ」
宗介「アイ、マム……」フラフラ
千冬「まったく……本当に、お前は手間がかかる生徒だな……」
宗介「申し訳ありません……」
千冬「あ、いや、お前を責めているわけではないんだ!その、私の……」
宗介「教官の?」
千冬「いや、気にするな……寝ろ……」
宗介「はい」
千冬「つい、この間まで問題児だと思っていたのに、今じゃ学園と一夏を守った英雄だ。しかも、あのミスリルの傭兵で、元AS乗りだそうじゃないか。まったく、お前を見ていると驚かされる事ばかりだ」
宗介「…………」ウトウト
千冬「そんな目まぐるしい状況に一夏やオルコットやデュノアに篠ノ之や鳳まで巻き込んで、お前はどんどん進んでいく。目が離せんよ……」
宗介「…………」スースー
千冬「お前みたいな生徒を持つのは初めてだよ……無意味な葛藤までして……複雑な感情まで抱いて……まるで、色恋に悩んでるみたいじゃないか……って、寝てるのか」
宗介「……イエス……マム」ムニャムニャ
千冬「ふふ、寝てる時まで……お前、案外まつ毛が長いんだな?寝顔も可愛いもんじゃないか」ナデナデ
千冬「やっぱり、お前は銃を持って良い側の人間じゃない……いつか、いつか、私がその事に気付かせてやれれば良いな……その時まで、私はお前を手放してやらんからな?なんてな♪」クスクス
コソコソ
一夏「えへ、宗介をお義兄さんって呼ぶのかぁ!悪くないなぁ……」ニヤニヤ
鈴「あんた、その顔気持ち悪いよ」
箒「……ぐぅ、相良が小舅になるのか?」ギリッ
シャル「織斑先生がライバル?」ギリッ
セシリア「不潔ですわ!教師と生徒だなんて許されませんわ!!」クワッ
一夏「セシリア!恋愛に年齢差や立場なんて関係ないんだぜ!!」キリッ
箒「一夏カッコイイぞ!」
鈴「確かに、めちゃくちゃ良い顔ね」
シャル「そ、そんな事ないよ!先生が生徒に手を出したら犯罪だよ!!シビュラシステムとドミネーターが黙っていないよ!!」
セシリア「良い事をおっしゃいましたわ!!」
ワーギャーワーギャー
千冬「あいつら……///」ギリッ
宗介「う……少佐殿……その、ボルシチは……」
おわり
――― 番外編というか小ネタ ―――
『侮りがたい三連星』
『我々は、黒い三連星と名乗る国際テロリストである。突然だが、我々の主義主張に則り御社を襲撃する事とする。真実はなく、許される事などない。以上だ』
秘書「いかがなさいますか?」
シャル父「まったくふざけた声明だ。どうせ、クビをきられた社員の腹いせか何かだろう。放っておけ。それより、シャルの任務状況はどうだ?」
秘書「報告が途絶えています」
シャル父「つかえんガキめ……」
バチンッ
シャル父「何事だ!?」
秘書「停電の様ですが……」
シャル父「ちッ」
秘書「すぐに自家発電に切り替わりますよ」
――― 10分後 ―――
シャル父「まだ自家発電に切り替わらんのか!!」
秘書「おかしいですね……ん?警備室から?」プルルル
『……だ……はや……さい!!』
秘書「ど、どうしたんだ!?お、おい!!」
シャル父「何事だ?」
秘書「いえ……警備室からなんですが……」
『うがぁ!?』
秘書「お、おい!状況を説明しろ!!」
『ハローハロー、こちら黒い三連星。応答どうぞ』
秘書「な、なんだと!?」
『あなたは、デュノア社長か?」
シャル父「何が起きてる!説明しろ!!」
秘書「犯行声明を送ってきたテロリストからです!!」
シャル父「なにぃ!?」
『あなたはデュノア社長じゃないのか?ならば、変わってもらおうか』
秘書「社長、変われと……」
シャル父「分かった……」ピッ
『デュノア社長か?』
シャル父「そうだ。何が目的だ?」
『声音が随分落ち着いているな?卑劣で冷血な男と聞いていたが、認識を改めなければいけないかね?』
シャル父「そうだな。それで、何が目的かと聞いている」
『まぁ、待ちたまえ。少し、話でもしようじゃないか』
シャル父「貴様、私をおちょくっているのか!こちらが、その気になればフランスIS部隊を送り込む事も可能だぞ?」
『それは脅し……かな?』
シャル父「そうだ」
『アハハハハハ、片腹が痛いとはこの事だな。我々がISを装備せずに天下のデュノア社を襲撃してるとでも思っているのかね?』
シャル父「な、なに!?」
『そう言えば、我々の目的を知りたがっていた様だね?教えてあげよう。とある事を約束して欲しいのだよ』
シャル父「金か!?」
『違う違う。我々を志もなく、金に溺れる下賤なブルジョワジーと一緒にしないで貰いたい。その約束は、直接あって口頭で伝えるとしよう。230秒後にそちらにつくはずだ。それでは、230秒後にまた会おう』ブツン
シャル父「ちッッ!今すぐフランス軍に連絡してIS部隊を」
バリンッ バシュッ
秘書「ひッ!?」
シャル父「そ、狙撃!な、なんて精密な!!」
秘書「ひゃあああああ!!」タッタッタッタッ
シャル父「ど、どこに行くつもりだ!逃げるな!!」
ガチャ バタンッ
シャル父「な、おい!なぜ、外から電子ロックがかかっている!!あけろ!!」ガチャガチャ ドンドン
ズドンッ
シャル父「うわぁっ!?な、何事だ!なぜいきなり壁に穴が……」
ガシャンガシャンガシャン
シャル父「な、なんだ!なんの音だ!だ、誰か!!」ドンドンドンドン
『騒ぐな』ジャキン
シャル父「ひッ!?」
『2~3質問に答えて貰う。それから、我々の要求に答えてもらう。了解したなら頷け』
シャル父「わ、分かった!!」
『頷けといった』ジャコン
シャル父「」コクコクコク
『お前には、娘がいたな?名をシャルロット・デュノアで間違いないか?』
シャル父「」コクコクコク
『では次だ。貴様は、シャルロット・デュノアにIS適性があるのを知ってIS開発に利用したな?』
シャル父「そ、それは!?」
『頷けと言った。これは、2度目の忠告だ。3度目はない』グリッ
シャル父「」コクコクコク
『では、最後の質問だ。シャルロット・デュノアを男装させてIS学園に潜入させたのは男性適性者の織斑一夏がIS学園に入学したから、その情報を探らせるためだな?』
シャル父「」コクコクコク
『だが、時期が解せない。織斑一夏入学の情報をもっと早くに手に入れていたはずだ。なぜ、早急に動かなかった。喋る事を許そう。答えろ』
シャル父「お、織斑一夏の専用機の情報が入っていなかったし、もう一人のIS男性適性者の情報も不足していたからタイミングを計っていたんだ!」
『なるほど、だいたい分かった。それでは我々の要求を伝える』
シャル父「な、なんだ!」
『現在、シャルロット・デュノアの戸籍を男性としてIS学園で就学させているが、その情報の変更と今後のデュノア社からの武装及び備品の配給、生活の保護を約束しろ』
シャル父「なに!?」
『どうなんだ?』ジャコン
シャル父「や、約束する!約束する!!」
『約束を反故にする事は許さん。そのために……そうだな。自社株の80%をシャルロット・デュノアに譲与しろ』
シャル父「そ、そんな!出来ない!!」
『では、遺書に変えるか?』
シャル父「……分かった。書く」
シャル父「これで……良いか……?」カサッ
『確認した。それでは、我々は撤退する。くれぐれもこの誓約書が遺書に変わらない様に心掛ける事だ。我々は常にお前を監視しているぞ』
シャル父「くそっ……お前は何者なんだ!なぜ、姿を現さない!!」
『それには答えられん。代わりというわけではないが置き土産をしてやろう。安心しろ。爆発物の類いではない。それではな』カタッ
シャル父「これは……USB?」
ガシャンガシャン
―――
――
―
「ガッハッハッ、お姉さんいける口だねぇ」
?「あったり前よ!こちとら海兵隊の男共を飲み負かせて来たんだから!!」グビグビ
ガシャンガシャンガシャン
?「お、帰ってきたわね。朴念仁」
「おーおー、お嬢様の王子様のご帰還だ!!」
パチパチパチパチ
?「撤退するぞ。デュノア社社員一同の協力に感謝する!!」ビシッ
秘書「シャルロットお嬢様のためって言われたら協力しないわけにはいかないですよ」
「シャルロットお嬢様は俺らのアイドルだからよ」
?「作戦の成功にはあなた方の協力なくしては出来なかった。デュノアにはよろしく伝えておく」
?『おいおい、俺を忘れてねぇか?って言うか姐さん、侵入した後は酒盛りしてただけじゃねぇかよ!』
?「うっさいなーあんたは狙撃だけしてりゃ良いのよ」
?『うわっ!姐さんひっでー!』
ワッハッハッハッハッ
―――
――
―
シャル「ねぇ、宗介」
宗介「なんだ?」
シャル「先日、お父さんから電話があったんだけどテロリストに襲撃されたって言ってたんだ」
宗介「そうか。それは、心配だな」
シャル「それがね?なんか僕に対する待遇の改善要求とかして、次いでに置き土産をして去っていったんだって!それで、その置き土産が斬新なIS兵器のデータとかが入っててそれのおかげで業績の向上が見込めそうって喜んでたんだ。宗介なにか知らない?」ニコニコ
宗介「知らんな。だが、そのテロリスト……なかなか侮れんようだ」
シャル「多分だけど、そのテロリストはとっても優しくてカッコイイと思うんだ///」
宗介「どうだろうな?だが、そのテロリストはプロフェッショナルな3人組に違いないだろう」
シャル「もうっ!宗介ぇ大ッッ好」
セシリア「させませんわ!!」バッ
シャル「ちょっと!セシリア邪魔しないでよ!!って言うかどっから出てきたのさ」
ワーギャーワーギャー
宗介(些細な事だが、黒い三連星とはなんだ?後でクルツに聞いてみるか……)
おわり
おまけは以上です
ラウラ編も書き溜めしてからの投稿になりますんで、お待たせする事になります。すいません。
ソロモンよ!私は帰ってきた!!
お待たせしてすいません。
やっとこさ書き溜めが終わりました。
今回はなかなかの難産だったと言うか……
言い分けはすまい。不測の事態があれば、詰腹切って詫びをいれる所存
それでは始めます
――― IS学園・生徒会室 ―――
千冬「今回のテロリストによるIS学園への介入は由々しき事態である。そこで、IS学園生徒会によって今後の警備体制見直しについての議論をと思ったのだが」
「警備体制の見直し……今回のケースは特殊過ぎます。事前情報は一切無く、ASまで使用されたとあってはいくら生徒会と言えども対処は困難です。そこは教員に動いて貰わなければ」
千冬「……その事については、我々教員の力不足だと素直に認める。IS学園の警備体制及び生徒の自主性と言う建前に甘えすぎていた。すまない。だが、今回の様な事を2度と起こさないためにも……」
?「あのー、もしかして今回の様な事が起きる可能性がまだあるんですか?超危険なテロリストがIS学園に介入してくる可能性が」
千冬「ないとは言いきれん……」
?「だったら、受けに回る事を考えずに原因を排除した方が良いんじゃないですかー?」
千冬「原因とは一夏の事を言っているのか?」
?「そうそうー♪あ、でも、ミスリルの傭兵さんが護衛についてるから安心なのかー」
千冬「な!?更識!なぜ、お前がその事を」
楯無「ちょっと調べれば分かる事ですよ♪あ、秘密でした?」
千冬「秘密と言うわけではないが……」
楯無「まぁ、確かに今回の様なテロリストの介入は頂けないですし、警備体制の見直し等は要検討だと私も思ってましたけど、その前に正体不明の外部組織から新入生が入学した頃から介入されていた事実が生徒会の動きを制限してる事も分かってくださいよ。ほら、機密情報とかの漏洩とかありますし♪」
千冬「そうだな……我々教員も体制を見直して迅速な対処ができる様に努めよう……それで、警備体制の件なのだが」
ウィーン
宗介「失礼します!1年1組、クラス代表代理の相良宗介であります!!」ビシッ
千冬「さ、相良!?な、なぜ、お前が?と言うかクラス代表代理とは」
宗介「我々、1組には各組のクラス代表と遜色ない人材が揃っているのでクラス代表の任を分担する事にしました。一夏は1組のクラス代表として代表戦に、セシリアは代表補佐、デュノアは技術部門、自分は代表代理としてクラス代表権限及び責務の代理執行を受け持った次第であります!」ビシッ
楯無(あれがミスリルの……私の預かり知らないところで色々やられると困るんだよね……)
千冬「なるほど、確かにオルコットやデュノアの成績や専用機持ちという事を考えればただ遊ばせておくのも勿体ないな……」
楯無「あのーそんな事より、今は生徒会の会議をやっていて生徒会役員以外がほいほい来られても困るんだよねー♪」
宗介「会長閣下!発言を許可して頂いてもよろしいでしょうか!!」
楯無「え、私?う、うん、良いけど……」
宗介「クラス代表とは各クラスの委員長を兼ねると聞きました。そして、各クラスは生徒会に帰属しているとも……つまり、クラス代表代理としてクラス代表の権限及び責務を代行している自分も末端とは言え生徒会においての発言件はあるかと」
千冬「……ぷっ」クスクス
楯無「……屁理屈と言いたいところだけど、確かにその通りだよ。で、そのクラス代表代理殿は何しに来たのかな?」
宗介「はッ!今後のIS学園警備体制について幾つかの案を進言しに来た次第であります」ビシッ
楯無「へぇ……じゃあ、聞いてみよっか?ミスリルの傭兵さんのアイディア」
―――
――
―
千冬「まったく……お前は突飛な事をしでかすな……」
宗介「恐縮であります」ビシッ
千冬「しかも、お前の案はどれも学園には相応しくない物だった」
宗介「し、しかし、どれも機材を破格で仕入れる事が出来て、学園予算内でも実現可能な物かと……」
千冬「私達は、軍事基地を作りたいわけではないんだ。赤外線センサーで感知したらレーザーを照射して対象を丸焦げにするなど許可できるわけないだろ?まぁ、お前の気持ちだけは受け取っておくよ」
宗介「了解しました」シュン
千冬(こいつ犬みたいだな……凛々しい顔しながら尻尾で機嫌の良し悪しを表現する柴犬みたいだ……ちょっと、可愛いな)ニヤニヤ
宗介「教官?」
千冬「あ、いや、別に犬みたいで愛らしいとは思ってないからな?」
宗介「犬?」
千冬「あ、えっと、とにかく、お前の案は許可できん。だが、程度を抑えれば採用しても良い案は幾つかあった。生徒会とともに議論を重ねて検討してみよう。お前は生徒でもあるが、プロフェッショナルでもあるんだし意見を無碍にするには勿体ないからな」
宗介「恐縮であります!!」ビシッ
千冬(尻尾振ってるのが見える様だな……な、撫でて良いだろうか……)
楯無「相良くんだっけ?ちょっと良いかな?」
宗介「会長閣下?」
宗介「教官、失礼します!」
千冬「相良、ちょっと待て」
宗介「なんでしょう?」
千冬「更識楯無には気をつけろ。どうもお前や一夏に良い印象をもってないらしい。ヤツは、一筋縄ではいかんぞ」
宗介「心得ております。抜かりはありません」キリッ
千冬「ふふ、そうか。確かに、プロフェッショナルのお前を心配をするだけ無駄だったな」
宗介「いいえ、御忠告感謝いたします。それでは、また後程」ビシッ
千冬(更識楯無……ヤツは今回の事で相当プライドに傷がついていると聞く……おくびにも出さんがな……大局を見ずに浅慮な判断で強引な手段を取らねば良いが……)
宗介「会長閣下、なんでしょうか」
楯無「うん、ちょっと話があるの。ついてきて」
宗介「了解であります!」ビシッ
――― 空き教室 ―――
楯無「ここなら良いかな?盗聴の心配も無さそうだし」
宗介「会長閣下、話というのはガウルンの事でしょうか?」
楯無「さっすが!察しが良いじゃん♪話が早くて助かるなーー」
宗介「情報源の事なら明かすことはできません」
楯無「そんな事くらい分かってるよー私も素人じゃないんだぞっ?でも、君のバックグラウンドを調べればいくらでも予測がつくけどねー♪」
宗介「…………」
楯無「ミスリル相手じゃ、たかが極東の暗部ごときが相手になるわけないもん。それに、あのアンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニンさんが居たんじゃ対抗しようなんて気も起きないよー」
宗介「…………」
楯無「ふふ、舌先じゃ私の方が上だね。まぁ、君が私の事を色々知ってる様に私も君の事、色々知ってるんだよ?それに、私はロシア代表候補生だから元ロシア軍の人間の情報くらいわけなく手に入るんだよ?」
宗介「それで、ガウルンの何が知りたいのでしょうか?自分もヤツについては知ってる事が限られますが」
楯無「私だって、指を咥えて君の活躍を見てたわけじゃない。色々と調べたよ。まず、今回の襲撃は某国の依頼によるものだった。あ、その某国がどこかは明かせないよ?だって、ミスリルに目をつけられちゃオチオチ夜も寝られないもんねー♪(まぁ、私も某国がどこかなんて分からなかったんだけどさ……)」
宗介「……会長閣下は今回のガウルンの襲撃は本来の目的ではない可能性を示唆しておられるんですね?」
楯無「……本当に嫌味なくらい察しが良いね。せっかく考えてた前置きが無駄になっちゃったー私の名誉挽回のチャンスだったのにー」
宗介「自分の場合は勘でしかありません。ガウルンと戦ってみて不審に思う事が幾つかありました。ヤツは、狡猾で残忍、その上、自らが起こした火種は石に齧り付いてでも炎へとする様な執念深さがあります。しかし、今回の襲撃はヤツにしては執念深さがなかった」
楯無「自らもISを装備できるのにも関わらず、詰めの織斑くんの身柄奪取にさえISを展開せずに済まそうとした……とか?」
宗介「肯定です。奥の手と考えれば不思議ではありませんが、ヤツの策にしては型にはまり過ぎな気がします。ヤツならば、我々の予想もつかない策を用意していても不思議ではありません。つまり、今回のヤツは本腰ではなかったという可能性が考えられるでしょう」
楯無「恐らく……あくまでも私の推測だけど……某国からの依頼で織斑くんの身柄奪取する云々はブラフだと思うんだよね……いや、確かに某国からそう言う依頼を受けたんだろうけど、ガウルンがそう言う事になる様に仕向けたかどうかしたんだと思う」
宗介「ヤツの真意を知るためには、ヤツに無人機を貸し与え、専用のISまでも提供した協力者の存在を調べる事が先決でしょう」
楯無「そうだねー……ただ、IS技術で突飛な事をする人物って言ったら一人しか思い浮かばないんだけど……そうなると厄介だなぁ」
宗介「篠ノ之束博士……」
楯無「もう、そこまで調べちゃったんだー」
宗介「IS関連で、あそこまでのテクノロジーを保持してる人物は限られます。自然と辿り着く人物かと」
楯無「まぁ、そうだよねー……ガウルンほどとは言わないけど、あの人もなかなかに厄介だからなぁ。篠ノ之束とガウルンが手を組んでるとなると相当な用心をしなきゃだなー」
宗介「ですが、自分と会長閣下が居れば遅れをとる事はまずないはずです」キリッ
楯無「ぷっ、アハハハハ!その自信はどっから出てくんのよー♪相手は、超超危険なテロリストとIS開発の第一人者なんだよ?篠ノ之束博士なんか白騎士事件の首謀者なんて説もあるし」クスクス
宗介「自分も会長閣下もプロフェッショナルであります。更に言えば、織斑一夏をはじめとする専用機持ちのIS適性者が協力すれば十分に対処可能です」
楯無「織斑くんまで戦力に入れてるわけ?彼って狙われる立場でしょ」
宗介「自分の友人は、決して弱くありません。事実、ガウルン襲撃の際には無人機ISを一機撃墜しています。自分は、織斑一夏の戦力は要になると考えています」
楯無「ふーん……信用してるんだ……」
宗介「肯定です」
楯無「そっか……あ、引き留めてごめんねー♪もう、行って良いよー」
宗介「了解しました。失礼します」スタスタ
楯無「情報を聞き出すだけ聞き出したら、いちゃもんつけて学園から追い出しちゃおうと思ったのにな……」
楯無「なんか、知らないうちにペース握られちゃった♪計算かなー?いや、あの子はそう言うタイプじゃないよねー」
楯無「ふふ、相良宗介ねー……なかなかに面白い子見つけちゃった♪唾つけちゃおっかなぁ♪」クスクス
―――
――
―
今日はこんな感じです。
明日は、色々と忙がしいので次の更新は月曜日の夜に
揚げ足取りのようで申し訳ないが楯無は代表候補生ではなく代表だったはず
――― 某所 ―――
束「あちゃーやっぱりISにラムダ・ドライバは無理があったのかなぁ?がーくん様に作った擬似コアとは言えここまで壊れちゃうとは」
ガウルン「ばーか、だったらラムダ・ドライバに耐え得るコアを作れよ。壊れる玩具なんざ乗ってたらカシムと遊べねぇだろうが」
束「がーくん亭主関白ー!そんな無茶言わないでくれるー?第一ラムダ・ドライバみたいなブラック・テクノロジーを積もうなんて考えからしてぶっ飛んでるからー」
ガウルン「カシムのには乗ってんだろうが!文句言わないでやれよ。お前のおべべで遊ぶ必要はねぇんだぞ?」
束「私のISをおべべなんて言わないでくれるー?と言うか!!この白いのは殆どISじゃないからー」
ガウルン「自称・天才は流石だねぇ。やることなすこと中途半端で、ガキの癇癪と大差ねぇ。俺は、ガキは嫌いなんだよなぁ」
束「むー!M9ガーンズバックの設計思想をコンセプトにして組み上げたであろうこれは殆どASなの!!解析してみたらバリアーも絶対防御も作動してないみたいだし、恐らくシールド・エネルギーを他所に回してる」
束「それに、他のISより一回り大きいのを見るとマッスルパッケージも使用してるみたいだし、 他のASより小さくした分、敏捷性は格段に上がってるけど操縦者の負担が半端ないだろうからBMSAを設定しなきゃいけないだろうなぁ……と言うか、稼働時間から察するにコアとパラジウムリアクターを同調させるとかとんでもない事をやってる可能性だってあるし」
ガウルン「つまりなんだよ」
束「つまり!これは、私が開発したISを悉く虚仮にしてる機体なの!まるで、初めからISなんて信用してないみたいなコンセプトで出来た機体なの!!だからラムダ・ドライバなんて載せてもピンピンしてるの」
ガウルン「で?」
束「私は、こんなのISだって認めない」
ドンッ
ガウルン「お嬢ちゃぁん、いつまでもガキの気分でいられちゃ困るんだよなぁ……俺は別に、ISなんて乗らなくてもASで目的を果たしても良いんだぜぇ?」
束「ぐっ……いっくんを……で、でも……そんな事したら……」ジタバタ
ガウルン「最悪、首から下が無くなっても頭だけありゃ良いんだよ。こっちにゃそう言う準備も出来てんだからよぉ」
束「わ、分かった……な、なんとか……し、てみるから……」ジタバタ
ガウルン「分かりゃ良いんだよ。それに、カシムと遊べないのは寂しいからよぉ」ドサッ
束「で、でも……ちゃんと……ISにするからね」ゲホッゲホッ
ガウルン「頑固だねぇ?まぁ、良いや。じゃあ、暇潰しにEU内でも国内でも肩身狭い思いをしてるゲルマンのジジイ共をけしかけておくかな……クックックッ、カシムに退屈させたら可哀想だもんなぁ」
束(カシムって子可哀想……まぁ、良いや……私は早く紅椿を完成させないと……いつまでも言いなりだ……)
―――
――
―
――― IS学園 ―――
宗介「…………」ピクッ
一夏「宗介、どうしたんだ?」
宗介「いや、なんでもない。少し、悪寒と言うか寒気が……」
一夏「風邪か?ちゃんとベッドで寝ないからだぞ!いい加減、ベッドの下で寝るの止めろって」
宗介「しかし、敵に侵入された時に、のうのうとベッドの上に寝ていたのでは不用心過ぎる」
一夏「そんなもんなのか?じゃあ、俺も今日からベッドの下で寝ようかなぁ」
箒「馬鹿者、そんな事をするな。相良はそう言う訓練しているから平気なのであって、お前は間違ってもそう言う変態の道に足を踏み入れるな。それこそ風邪をひくぞ」
一夏「変態って……確かに異様な光景だけど、理に適ってるっちゃ適ってるんじゃないか?それに、宗介の事をもっと知るために同じ体験をするのも良いんじゃないかと」
箒「とにかく!相良の真似をするな!!お前は真っ当な人間になれ」スタスタ
宗介「一夏、俺は篠ノ之に嫌われているんだろうか?」
一夏「うーん、嫌ってるって言うより嫉妬じゃないか?ほら、ちょっと前まで専用機持ちは俺とセシリアだけだったけど今じゃシャルもいるし、宗介も専用機持ちになったから嫉妬してんだよ」
宗介「そうか」
一夏「別に専用機持ってようが持ってないが、関係ねぇと思うんだけどなぁ……実際、宗介は訓練機のラファール・リヴァイブで俺やセシリアの訓練相手を余裕でこなしてたし」
宗介「確かに、専用機と訓練機ではスペックは大きく違うが、機体のスペックの差は武装と戦術で覆す事ができる。然るべき準備さえすれば、M6でM9を倒す事も出来るからな」
一夏「あ、そう言えば宗介の専用機のアーバレストってISよりASに近いんだろ?」
宗介「肯定だ。ISの利点を幾つか犠牲にしているが、それでも俺からすれば断然扱いやすくて助かる。どうも、ISの操縦法は俺の肌には合わんらしい」
一夏「あんだけ使いこなしてたのにかよ……でも、アーバレストはロボットって感じでカッコいいよなぁ!なぁ、次の訓練の前に見に行っても良いか?どうせ、次は飛行訓練でIS必要になるんだし」
宗介「そうだな……よし、行こう」
一夏「やったね!!」
シャル「ねぇ、セシリア。一夏ってもしかして……」コソコソ
セシリア「そ、そんな!仮にそうだとして、幾ら織斑さんでも許せませんわ」コソコソ
鈴「その前に、このストーカーみたいな事やめなさいよ」
――― 格納庫 ―――
一夏「おー!やっぱり、アーバレストはかっけぇなぁ!!ハイロボに出てきてもおかしくねぇよ」
宗介「ハイロボ?なんだそれは」
一夏「宗介、ハイパーロボット戦線知らねぇの!?」
宗介「肯定だ。戦術書か?」
一夏「ゲームだよ!ロボットアニメの夢の共演を実現させたゲームなんだぜ!!知らないのはもったいねぇって!後で、一緒にプレイしようぜ。宗介も絶対に気に入るからさ」
宗介「了解した」
シャル「同じ部屋だからって一夏ばっかり宗介と遊ぶのズルいよ!!」コソコソ
セシリア「後で、正式に抗議しましょう!徹底的に戦う事も辞さないレベルの事案ですわ」コソコソ
鈴「いや、この状況じゃあんたらの方が訴えられても仕方ないんだけど?」
一夏「そう言えば、なんでアーバレストは待機モードがロボットの形のままなんだ?」
宗介「うむ、先程も言ったがアーバレストはISと言うよりASに近いらしい。山田教官との分析の結果、コアと一部の構造を除けば殆どASだ。そのせいだと考える」
一夏「へぇ、殆どASか……どうやって乗るんだ?」
宗介「うむ、アル待機モード解除」
《ラジャー》
一夏「うお、喋った!?」
宗介「アーバレストは高度AIを搭載している。この点もどちらかと言えばASの特徴が強い」プシュゥウ
一夏「おお!本当にコックピットみたいだな!!」キラキラ
宗介「そうだな。これも、俺のための配慮らしい。ただ、ISの直感的な操縦法と比べると扱いが難しい。バイラテラル角の設定やAIの補佐、熟練した操縦技術が求められる」
一夏「スペックを高くした分、操縦はシビアなんだな。AS乗りの宗介だから操縦できるISって事か」
宗介「肯定だ。他にも、シールド・エネルギーを他に回してるせいでバリアー等の防御システムは働かんから被弾は出来るだけ避けなければならん。そう言う意味ではピーキーな機体でもある」
一夏「カッコいいけど、難しい機体だな……なぁ、訓練前にちょっと模擬戦みたいな事やらないか?アーバレストの動き見てみたい!!」
宗介「アリーナの使用許可を申請してないぞ?」
一夏「どうせ、次の飛行訓練でアリーナ使うんだしそこ使えば良いよ。千冬ねぇは俺がとやかく言えば怒られるけど宗介が言えば許してくれるだろうし」
宗介「ふむ……」
シャル「そう言う事なら!」
セシリア「私たちも交ぜてくれませんこと?」
鈴「やっほー」
一夏「あれ?お前らいつの間にきたの?」
シャル「僕は宗介が行くところなら何処にでも現れるよ!」ドヤッ
セシリア「同じくですわ」ドヤッ
鈴「ストーカーを告白してる様なもんね。あ、アタシは次の授業が自習になって暇だったから暇潰し」
一夏「ふーん、まぁ、いいや。じゃあ、やろうぜ。なぁ、宗介いいだろ?」
宗介「……分かった。良いだろう。但し、手加減はせんぞ?」
一夏「望むところだ!!」
シャル「ビシバシ来てよ!」
セシリア「バッチコイですわ!」
鈴「二人が言うと別の意味に聞こえるわね」
今日は取り敢えずこんな感じで
>>566
す、済まぬ。確認せず予測変換でぶち込んでしまったでござる。
与太話ですが、ガウルンとGUNGRAVEのブラッド・ウォーは同じ田中正彦さんが声優なんですね
気になる人はGUNGRAVEを見るといいよ(ステマ)
――― アリーナ ―――
シャル「あれが、宗介のアーバレスト……武装はOTOメララ社の散弾砲だね。僕とセシリアはインファイトに気を付けなきゃ……」
セシリア「シンプルな機体ですが、私たちのISより一回り大きいせいか威圧感がありますわね……」
一夏「大きいせいだけじゃねぇよ……あれは、宗介からの威圧感だ。アーバレストがASに近いから訓練機で俺らの相手をしていた宗介じゃなくて、本当の戦場にいた頃の宗介に限りなく近いんだ」ゴクリ
宗介『3人とも準備は良いか?』
一夏『構わねぇぜ!!』
シャル『こっちも!』
セシリア『いつでも構いませんわ!』
宗介『では、行くぞ。アル、ECS不可視モード作動』シュゥゥゥ
《ラジャー》
一夏「消えた!?」
セシリア「そ、そんな!?ハイパーセンサーでも探知出来ませんわ!」
シャル『み、みんな、気を付けて!これはECSだよ!!』
セシリア『ECS?なんですのそれは!?』
ズドンッ
セシリア「キャッ!?」
一夏「セシリア!?」
シャル『ASに搭載されてる機能!要は光学迷彩だよ!!気を付けなきゃすぐにやられちゃう』
一夏『光学迷彩!?そんなもん、どうやって対処すれば良いんだよ!!』
ズドンッ
一夏「うわっ!?」
宗介『どうした。こちらは、バリアーが無いから君らの中で誰かが攻撃をヒットさせれば終わりだぞ?』
シャル「くそっ!だったら、弾幕を張って!!」
ズガガガガガ
宗介(弾幕を張ってターゲットを視認させないつもりか……状況判断能力と適応力はシャルがずば抜けてるか)
宗介『シャルロット、やはり君は賢いな』
シャル『えへへ///そうかな?』デレデレ
宗介『だが、まだ甘い』ドシンッ
シャル「そこ!」カチッカチッ
宗介「残弾の把握を怠るな。戦場では予備弾倉の有無で勝敗が決する事もある」
シャル「え、うそ!?弾が!!」
ズドンッ
一夏「シャルがやられた!?くそっ!!」ギュンッ
セシリア『織斑さん!下がってくださいませ!!』ビュンッビュンッ
宗介「セシリアのビット攻撃か」ギュンッ
セシリア「そこですわ!ブルー・ティアーズ!!」
宗介「一基、隠してたか。セシリアも機転が利く様になってきたな」ダンッ
セシリア「な!?ブルー・ティアーズを蹴って回避した」
ズドンッ
宗介『良いアイディアだ。他の武装と連携が取れないという弱点を上手く補ったな。だが、まだまだ甘い』
セシリア「ハァ、完敗ですわ。でも……宗介さんに誉められました///」
宗介『さぁ、あとはお前だけだぞ』
一夏「流石、宗介だぜ。だけど、俺だって成長してんだ!行くぜ!!」ギュンッ
宗介「来い、一夏」ジャコンッ
箒「……一夏は強くなったな」
鈴「あれ?あんた居たの?」
箒「ああ、打鉄の調整をしていた」
鈴「ふーん……確かに、一夏は強くなったわね。まぁ、あの根暗軍曹のお陰って考えるとなんかしゃくだけどね」
箒「……相良は、それほどのものなのか?確かに、実戦経験の差という物もあるだろうが千冬さんに比べるとそれほど凄いとは思えない。なぜ、一夏は相良の背中を追う様な事をする」
鈴「あの根暗が、一生懸命だからでしょ」
箒「一生懸命?」
鈴「アイツ、一夏の護衛のために来たんでしょ?そのために色々やってるんだなぁとか色々やろうとしてるんだなぁって、事情を知ったら何となくそう見える様になったじゃん」
箒「……そう、か」
鈴「一生懸命考えて、一生懸命動いて、失敗して、落ち込んで、そう言う所が表情からじゃなくて、雰囲気から伝わってくんのよ。そう言うの分かったら、悪いヤツじゃないんだなって思うし、好意を抱くもんじゃない?そんで、一夏って熱血バカで年寄りみたいな考え方するからそう言う不器用な所がとても好ましく思って、尊敬すらしてると思うのよね」
箒「凰は、一夏の事が良く分かっているんだな……」
鈴「いやいやいや、あの2バカは全人類でも分かりやすいバカだと思うわよ?まぁ、素直とも言えるけどね」
箒「……だけど、それは同じ専用機持ちだから……同じ舞台に立ってるから……余裕があるから分かる事だ」
鈴「はぁ?それ、関係ないでしょ?」
箒「だって、そうだろ?傍らに居るのと離れているんじゃ相手に対する印象も変わって来るものじゃないか。当然、知る事も限られてくる」
鈴「なに言ってんの?人と人との関係なんて、そんな物で変わるもんじゃないでしょ」
箒「それは……余裕がある者だから言える言葉だ。私は、専用機持ちではない。つまり、一夏の何にもなれないんだ」
鈴「なに拗ねてんの?苛々するんだけど」
箒「お前達とは考え方が違うんだ」スタスタ
鈴「そんなん当たり前じゃん。と言うか、専用機持ちか否かで優劣がつくわけないのに……なんか、あの態度は釈然としないなぁ……一応、一夏に教えてあげようかな」
一夏「そこっ!」ギュンッ
宗介「遅い」バシュッ
一夏「ちッ、敏捷性が半端ねぇ……あんな動きで攻撃されたら手も足も出ないままやられちまう……」
宗介(一夏、腹を立てるな。冷静に状況を判断し、戦術を組み立てろ。君は強くなる必要があるはずだ)
一夏「シールドエネルギーを犠牲に突っ込むか……向こうはバリアーがないわけだし……いや、それは読まれてるだろうし、そうした所で避けられるのがオチか」
ズドンッ
一夏「うわっ!?」
宗介「戦場で考え事とは余裕だな?」
一夏「くそッ……銃があればそれで牽制して動きを封じる事が……ん?待てよ……」
宗介「そろそろ、訓練の時間だ。終りにするぞ」ギュンッ
一夏「おらッ!」ブォン
宗介「唯一の武装を放棄した?いや、投擲か?」バシュッ
一夏「そこぉぉぉぉぉ!!」
宗介「加速して特攻してきただと?自棄とは感心しないな」
一夏「なんてな」ギュンッ
宗介「なに!?そうか、武装を投擲したのは牽制のためで、次いでに俺に回避をさせる事で隙を作ったのか。加速は特攻に見せかけて武装を取りに行くため……そして、武装を取り奇襲とする。やるじゃないか!」
一夏「宗介、もらったぜ!」
宗介「まだだ!」
ズドンッ
一夏「うわっ!?」
宗介「なに?」
?「ちッ、殺り損ねたか」バシュッ
宗介『一夏、大丈夫か!?』
一夏『ああ、問題ないけど、シールド・エネルギーが切れちまった。何が起きたんだ?』
宗介『浸入者だ!黒いISが浸入している様だ!俺は、ヤツを追う。君は織斑教官に報告しろ』
一夏『分かった!宗介、気をつけろよ!!』
宗介『了解した!!』バシュッ
シャル「一夏!?どうしたの?」
セシリア「宗介さんの物ではない攻撃だった様ですが」
一夏「浸入者らしい。千冬ねぇに知らせないと」
千冬「お前ら、授業のベルも鳴ってないのに熱心だな」
シャル「織斑先生!浸入者です!!」
千冬「なに!?それは本当か」
一夏「うん!俺を狙って攻撃したみたいだ。宗介が追跡するって」
千冬「またしてもか!授業は中止だ!!オルコットは生徒会長の更識楯無を呼んで来い。デュノアは山田先生に状況報告して、授業中止の旨を伝えろ」
シャル「分かりました」
セシリア「相良さんは大丈夫でしょうか……また、前の危険なテロリストの可能性も……」
千冬「その可能性は考え難い。ガウルンは相良が相当な痛手を与えたはずだ。もし、そうだとしたら今度は私が相良を命に変えても守る」
一夏「千冬ねぇはそんなに宗介の事を……俺、宗介をお義兄さんって呼ぶ練習しないとな」ニヤニヤ
スパァン
千冬「ば、馬鹿者!」カァァ
―――
――
―
宗介「織斑教官」
千冬「戻ったか。すまない……また、お前に面倒をかけてしまった」
宗介「いえ、これも自分の任務ですので。それに、対象は取り逃がしてしまいました……」
千冬「アーバレストのレーダーやセンサー等にも引っ掛からなかったのか?」
宗介「いえ、センサーを索敵モードに変えたところ引っ掛かったのですが罠にかかってしまい足止めされた隙にセンサーの範囲外に逃げられてしまいました」
千冬「罠?どんな罠だ?」
宗介「AIの分析によれば慣性を停止させて対象の動きを止める物だと」
千冬「なに!?」
宗介「教官、心当たりが?」
千冬「……相良、余裕があればで構わない。私の頼みを聞いてくれないだろうか?」
宗介「頼み?」
千冬「……こいつの面倒を見てほしい」カサッ
宗介「その書類は」
千冬「IS学園への転入届けだ。ラウラ・ボーデヴィッヒ……ドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼの部隊長を勤める人間でもある。私が、ドイツにIS操縦の教官として呼ばれた時に教えた謂わば教え子なんだ」
宗介「……ドイツ軍がIS学園に介入してきたという事は、IS学園の機密事項を狙っての事と言う訳ですか?」
千冬「上の狙いはそう言う事なんだろうが、こいつの……ラウラの狙いは違うだろう……」
宗介「一夏ですか?」
千冬「恐らく……ただの私怨だろうがな。そこら辺は込み入った事情があるんだが……」
宗介「織斑一夏を狙うと言うのなら自分の敵です。どの様な事情があろうとその事実さえ分かっていれば些末な事です。問題ありません」チャキ
千冬「いや、それはやめてほしい。できれば、一夏やデュノア、オルコットにしている様に面倒を見てやってほしいんだ。本当は私がやるべき事なのだろうが……私の言葉は届かない。上辺だけの言葉は届いたとしてな……」
――― 一夏と宗介の部屋 ―――
千冬『アイツはどことなくお前に似ているんだ。だから、お前の言葉なら届くかもしれない』
宗介「教官は自分に、何を伝えろと言うんだ?」
ガチャ
一夏「お、宗介帰ってたのか。シャワー浴びろよ。んで、ハイロボしようぜ」
宗介「ふむ」
一夏「宗介?おーい」
宗介「一夏、ひとつ聞くが俺はどういう人間だ?」
一夏「ん?急にどうしたんだ?」
宗介「いや、少しな……良ければ君の俺に対する印象を教えてほしい」
一夏「うーん……不器用なヤツかな?」
宗介「不器用?」
一夏「うん。こうすればもっと楽なのにとか、なんでそこで力入れるかなーとか思う事が良くある」
宗介「不器用……か」
一夏「でも、俺は宗介のそう言う所が好きだし尊敬すらしてるんだぜ?だって、宗介は逃げねぇもん。一生懸命やって、絶対に手を抜かない。自業自得なくせに、それにすらも全力で向き合ってさ。俺なら無理だな……どっかで手を抜いたり諦めたりするかも」
宗介「つまり、俺は朴念仁ということか?」
一夏「朴念仁?なんだそれ?」
宗介「マオが、俺の同僚がお前は朴念仁だと」
一夏「んー……朴念仁がどういう意味か分かんないからなぁ。まぁ、糞真面目とかそんな感じじゃないか?」
宗介「糞真面目か。なるほど、それなら理解できる。クルツにも良く言われた」
一夏「なぁ、俺も聞いて良いか?」
宗介「なんだ?」
一夏「宗介ってミスリル?ではどういう生活してたんだ?友達ってマオさんとウェーバーさんの他に居たのか?そう言えば兄弟とか居ないのか?」
宗介「ふむ、俺に肉親と呼べる人間はいない。親兄弟はいないんだ」
一夏「あ、ごめん……そうなのか……」
宗介「気にするな。その代わり、信頼のおける掛け替えの無い同僚や仲間がたくさん出来た。マオ、クルツ、カリーニン少佐、大佐殿、アフガンの部族の人間や中東ゲリラ勢力、そして、君やセシリアやシャルロット、凰や篠ノ之、織斑教官もそうだ。俺は恵まれている」
一夏「宗介ぇぇぇ」ウルウル
宗介「なぜ、泣いているんだ?」
一夏「へへ、嬉しくてさ。なぁ、もっと聞かせてくれよ!」
―――
――
―
~ 翌日 ~
千冬「今日は、転入生を紹介する。だが、あまり騒がない様に!では、入れ」
スタスタ
ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「眼帯?って言うかちっちゃくない?」
「でも、目付き鋭いね……」
ラウラ「貴様らと馴れ合う気はない。私は既にドイツ軍IS配備特殊部隊に身をおいている。貴様らの様なレベルの低い連中と訓練をするだけ無駄だと思っている。だから、気安く話し掛けてくれるな」
千冬「ラウラ!なんだ、その発言は!!」
「何あれ感じ悪ーい!」
「でも、軍属だってよ……?」
「軍曹殿を侮辱したな!絶対に許さないであります!!」
セシリア「まぁ!なんて傲慢な方ですの!?」
シャル「さすがの僕もちょっとカチンと来たよ!!」
宗介(あれがラウラ・ボーデヴィッヒか……本当にドイツ軍の下士官か?傲慢さは慢心を引き出し油断をさせる。仮にも部隊長ともあろう立場の人間があの様な言葉を吐くとは……理解できん)
スタスタ
ラウラ「特にお前だ。織斑一夏」
一夏「へ?」
千冬「ラウラ!!」
ラウラ「貴様の様に府抜けた者が……教官を……」ギリッ
ブンッ
宗介「やめておけ」ガシッ
ラウラ「なに!?なんだ貴様!」
宗介「相良宗介、織斑一夏の友人だ」
ラウラ「お前がもう一人の男のIS適性者とやらか」
宗介「肯定だ」
ラウラ「なぜ、私の邪魔をする。くだらない友情ごっことやらか?」
宗介「友情ごっこではない。俺は、織斑一夏を戦友とまで思っている。だが、それだけではない。些末な諍いで部隊の和を乱せば作戦行動での連携の際に乱れが生まれ、部隊全体を危険に晒す事もありえる。俺は、それを危惧して制止しているだけだ」
ラウラ「……くっ」バッ
セシリア「さすが宗介さんですわ///」
シャル「宗介カッコイイ~///」
「さすが軍曹殿であります!一生ついていくであります!!」ビシッ
一夏(教官って千冬ねぇの事か?もしかして千冬ねぇがドイツに居た時の……だとしたら……)
千冬「ラウラ、相良の言う通りだ。わざわざクラスの和を乱す様な真似をするな」
ラウラ「……了解しました」
千冬「相良、ありがとう」
宗介「いえ、自分はなにも」ビシッ
ラウラ「……ちッ」
千冬「ラウラ、早く席につけ」
ラウラ「……はい」
スタスタ
ラウラ「私は、お前を許さん。覚えておけ」
一夏「…………」
宗介「一夏、大丈夫か?」
一夏「え!?あ、うん、大丈夫大丈夫!!」
宗介「ならば良い」
一夏(もし、アイツが怒ってる理由が俺の予想通りだとしたら……俺のせいだよな……)
宗介(一夏、何か心当たりがある様だな。些末な事情かと思ったが、知らなければ教官からの任務が困難になりそうだな。探っておくか)
―――
――
―
~ 昼休み ~
宗介「一夏」
一夏「宗介?」
宗介「君に尋ねたい事がある。君は、ラウラ・ボーデヴィッヒが言った事に少なからず心当たりがあるな?それを教えてほしい」
一夏「え、まぁ、隠すほどの事じゃないから別に良いけど、急にどうしたんだ?」
宗介「ラウラ・ボーデヴィッヒは君に敵意を持っている。あそこまで堂々していたのでは、諜報活動も何もあったものではないだろうからあくまでも私怨なのだろうが、友人に敵意を向けられては俺も穏やかではいられん。だが、シャルロットの時の様な失態は犯したくない。そこで君に詳しい事情を聞き、問題の解決をしようと考えた」
一夏「アハハ、なるほど、ね。やっぱり宗介って不器用だな。そこまで話さなくてもはぐらかして聞けば良いのにさ」
宗介「俺は朴念仁だからな」
一夏「それ、調べたけどあんま良い言葉じゃないぞ?」
宗介「そうなのか」
一夏「アハハ、そうだよ。まぁ、それは置いといて……宗介って無力感とか感じた事ある?」
宗介「ある」
一夏「え?マジで?」
宗介「肯定だ。たくさんの戦友の死を見た。その度に自分の無力さを嘆いた」
一夏「良く考えれば宗介って普通のヤツよりもどうしようもない状況とかに立ち会ってるんだもんな……そう考えれば俺のはちっぽけな気がしてきたわ……」
宗介「君もあるのか」
一夏「うん……無力感……と言うか自分の弱さに辟易したって所かな……俺さ、誘拐された事があるんだ」
宗介「なに?」
一夏「その頃は、IS適性があるなんて分かってなかったからそれが原因じゃなくて、目的は……千冬ねぇ」
宗介「織斑教官の弟である君を人質にとって何かしらの交渉で優位に立とうとしたと言う事か?」
一夏「違う違う。もっと、なっさけない話。千冬ねぇがブリュンヒルデって呼ばれてるのは宗介も知ってるだろ?」
宗介「ISの競技大会で優勝すれば得られる称号だそうだな。……なるほど、そう言う事か」
一夏「千冬ねぇは1回目のモンド・グロッソで優勝してその称号を手にいれた。それで、周りがビビったんだろうな……2回目の時に俺が誘拐されて、千冬ねぇは俺を助けたために2連覇を逃したってわけだ」
宗介「なるほど。それで、それとラウラ・ボーデヴィッヒと何か関係が?」
一夏「その時に、千冬ねぇの手助けをしたのが千冬ねぇがIS操縦の教官として出向してたドイツ軍らしいんだ。多分、ラウラは千冬ねぇが2連覇出来なかった原因である俺を恨んでる」
宗介「……ふむ」
一夏「俺と千冬ねぇは両親に捨てられててさ。俺は、千冬ねぇに育てられて来たんだけど、なんかそれが申し訳なくて……出来るだけ千冬ねぇに迷惑かけたくないってのにそんな事で千冬ねぇにめちゃくちゃ迷惑かけて……もっと、自分が強かったら……守られるんじゃなくて、千冬ねぇを守れるくらい強かったらって考えたら自分の無力さとか弱さに辟易して」
宗介「……君は弱くないぞ?」
一夏「え!?」
宗介「君は弱くない」
一夏「いやいやいや!だって、俺いつまでたっても訓練の時に宗介に蛆虫って言われるし、宗介に勝った事ないし、今も過去の事を思い返してウジウジしてるし」
宗介「君は、セシリアとの模擬戦の時に俺に勝っているだろう。正直、あの戦術の突飛さには肝を冷した」
一夏「いや、そうだけど……」
宗介「それに、君はシャルロットの時に彼女を庇った。人を疑う事は容易いが、人を信じる事は難しい。それを、君はさも当たり前の様にやってのけた。それもある種の強さだと俺は考える」
一夏「それは、俺が鈍くてシャルがスパイだって見抜けなかっただけって言うか……」
宗介「凰を守るために無人機ISに挑んだ。それに、何よりも俺の訓練に弱音を上げずついてきている。新兵の時分なら必ず泣き言を吐くものだがな」
一夏「確かにキツいもんな……」
宗介「俺は精神論者ではないが、君の心は強いと言えるだろう。少なくとも君が無力感を感じた頃よりは格段に強くなってるはずだ。心を鍛えると言うのは兵士がもっとも苦心して行う訓練だ。なのに、君は意図せず心の強さを手にいれた。つまり、君は兵士としてとても高純度の素質を備えてると言える。誇って良い」
一夏「宗介のそう言うところズルいよなぁ……かっこよすぎるよ……」ウルウル
宗介「俺は思うまま言ったまでだ。他意はない」
一夏「それがカッコイイんだっての!」
宗介「良くわからん」
一夏「へへ、ありがとな宗介」
宗介「取り敢えず、事情は分かった。問題は、ラウラ・ボーデヴィッヒだな……」
一夏「それは、どうしようもないよな。事実、俺のせいなわけだし」
宗介「正直、俺は彼女に対して腹が立っている。とても、軍人の思考とは思えん。逆恨みも良いところだ。そう言う人間が、いずれ上官殺しなどやるものだ」
一夏「そ、そうなのか?」
宗介「そうだ。どの様な事情があるにしろ、そう言う人間は矯正してやらねばならないだろう。俺はお人好しではないのでな」
一夏「い、一体どうするってんだ?」
宗介「簡単だ。タッグトーナメントで完膚なきまでに叩いて潰す。気分は、さながら二次大戦中の英米攻撃機のパイロットだ。地獄の果てまで追い回し、骨の髄まで分からせてやろう」
一夏「そ、宗介、なんか悪い顔してるな……」
宗介「これは、戦争だ。一心不乱のな」
一夏「こ、こんな宗介初めてだな……」
宗介「一六○○にブリフィーングを行う。遅れるなよ」
一夏「お、おう」
宗介「返事はイエッサーだ!なんだ、その府抜けた返事は!!」
一夏「イ、イエッサー!!」ビシッ
―――
――
―
今日はこんな感じで
~ 放課後 ~
シャル「あれ?宗介と一夏は?」
セシリア「なんでも、ブリフィーングをなさるとかでいらっしゃらないみたいですわ」
シャル「へー……なんか……最近、一夏って宗介にベッタリだね」
セシリア「デュノアさんも感じていらっしゃいましたか……怪しいと思いませんか?」
シャル「ま、まさか……姉弟揃ってって事!?」
セシリア「じ、実は……先日、職員室の山田先生のデスクで不穏な本を見つけてしまったのです……」
シャル「ふ、不穏な本って!?」
セシリア「く、口に出すのも憚れるのですが……そ、その、殿方同士が……The Scientistと言いますかLet There Be Loveと言いますかcreepと言いますか……」
シャル「な、なんとなく分かったよ……って言うかcreepを例えに出すのやめてよ……その曲が使われてた映画、僕大好きなんだよ……同じ名前の女優さんが出ててさ……って言うか山田先生……」
セシリア「そ、宗介さんはそんな事ありませんわよね!?」
シャル「あ、当たり前だよ!だって、宗介は僕を救ってくれた王子様なんだもん///」ポッ
セシリア「いやいやいや、宗介さんは王子様なんて軟弱なものじゃありませんわ。宗介さんは雄々しいんですの///」ポッ
シャル「はッ?」
セシリア「あの時の宗介さんの眼差しは正しく漢、あのまま宗介さんの胸に飛び込んでいたらさぞ幸せだった事でしょうに……」クネクネ
シャル「む、あの時の宗介はかっこ良かったなぁー……君は俺が救ってやる!ってさぁ!!ほっぺにちゅー(嘘)しちゃったし!!」
セシリア「はッ?わ、私なんか、セシリアは美しい!君の写真を持って戦場で疲弊した心を癒せればどんなに良いだろうと言われましたわ(嘘)」
シャル「宗介はそんなキザったらしい事は言わないよ!嘘つき!!」
セシリア「あら、あなたこそ嘘つきじゃありませんこと!?」
シャル「……こうなったら、まずは僕達のどっちが宗介に相応しいか決めるしかないね」
セシリア「賛成ですわ……白黒はっきりつけましょう……ISで!!」
シャル「セシリア、遅かれ早かれ僕達はこうなる運命だったんだね」
セシリア「悲しい運命ですわね……ですが、容赦はいたしませんわ!!」
シャル「行くよ!!」ギュオン
セシリア「行きますわよ!!」ギュオン
ドガンッ
シャル「なに!?」
セシリア「なんですの!?」
ラウラ「織斑一夏がいると思ってきたが、いないのか……」
シャル「ラウラ・ボーデヴィッヒ!?」
ラウラ「ふん、フランス人とイギリス人か。邪魔だ」
セシリア「あなた!いきなり攻撃して何様ですの!?」
シャル「そうだよ!一言謝っても良いじゃないかな?」
ラウラ「なぜ、私が謝らなければならん。貴様らの様な雑魚が、どうなろうと私には関係ないからな」
鈴「ふーん、言うじゃん転校生」
シャル「鈴?なんで居るの?」
鈴「タッグトーナメントが近いから訓練しようと思って来たの。そしたら、あんたらが面白い口論始めたから隠れて見てたってわけ」
ラウラ「ふん、雑魚が増えたか」
鈴「あんたがどんだけのもんか知らないけど、友達が攻撃されて黙ってられるほど、アタシは甘くないわよ」
ラウラ「お前ら中国人は机と椅子以外なんでも食べるそうだな?そこのフランス人とイギリス人は予備の食料か何かか?」
鈴「なんですって!?」ギリッ
ラウラ「イギリス人は止めておけ。奴等の食い物は人間の食い物じゃない。いくら中国人と言えども腹を壊すぞ?」
セシリア「あ、あなた、良くも私の母国を馬鹿にしてくださいましたわね!!」ギリッ
ラウラ「まぁ、あの男IS適性者……サガラとか言ったか?あのジャパニーズ・モンキーよりは白人な分マシか」
セシリア・シャル「「プッチーーン」」
シャル「もう頭に来た!けっちょんけっちょんにしてジャパニーズ土下座させてFacebookにあげてやる!!」
セシリア「私達の宗介さんを侮辱するなんて命しらずですわね?全裸にひん剥いてアキハバラに投げ捨てて差し上げますわ!!」
ラウラ「ふん、来い雑魚共。アマチュアとプロフェッショナルの違いを教えてやる」
―――
――
―
一夏「なに!?セシリアとシャルと鈴がラウラに負けた!?」
「こ、肯定であります!織斑教官から言伝てを預かったので探していたところ一六三○にアリーナで発見し、ボロボロだったので事情を聞いたところ訓練中に介入されて……」
宗介「なるほど……それで、3人はどこにいる」
「ほ、保健室でありますサー!!」ビシッ
一夏「い、行こうぜ宗介!!」
宗介「ああ、そうしよう。情報提供感謝する」ビシッ
「じ、自分は、軍曹殿と会話できただけ光栄であります!サー!!」ウルウル
一夏「宗介、早く!!」
宗介「落ち着け一夏」
一夏「落ち着いてられっかよ!!」タッタッタッ
――― 保健室 ―――
一夏「シャル!鈴!セシリア!」
スパァン
千冬「声が大きいぞ馬鹿者」
宗介「教官、3人の容態は?」
千冬「容態も何も元気そのものだ。ただ、ISは修理せねばならん。タッグトーナメント出場は無理だろう」
一夏「鈴!」
鈴「なによ……うるさいわね……」
ギュッ
一夏「良かった……怪我なくて良かった……」
鈴「ちょ、ちょっと一夏///」
宗介「ラウラ・ボーデヴィッヒ。少し、行動が目に余ります」
千冬「すまん……だが、本当はあんなヤツではないんだ……ただ」
宗介「調べましたが、歪んでしまったのは教官のせいではありません。彼女の弱さに起因します。あの歪みは即刻正さねばならないでしょう」
千冬「さすがに調べたか……私では正せなかったよ……むしろ、私に依存させてしまった……情けない限りだ」
宗介「いえ、もはや彼女自身の問題でしょう。教官は出来る限りの事をやったと思います。彼女に必要なのは、彼女を擁護する同調者ではありません」
千冬「私は、お前に迷惑ばかりかけているな……」
宗介「問題ありません。自分は、教官がいなければガウルンに負けていました。教官ほど、教育者として長けた人間を自分は知りません。素晴らしい女性です」ビシッ
千冬「え、あ、えっと……ありがとう///」
宗介「セシリア、シャルロット」
セシリア「宗介さん……」グスッ
シャル「宗介……ごめん……宗介を馬鹿にされたのに……負けちゃった」グスッ
宗介「情けない限りだ。俺の訓練を受けていながらおめおめと逃げ帰るとはな」
セシリア「……すいません」ポロポロ
シャル「うぅ……ごめんなさい……」ポロポロ
宗介「だが、俺は君たちの情けなさ以上に、可愛い教え子をいたぶられた事が相当頭に来ている。君たちは黙ってタッグトーナメントを観戦する事だ。俺と一夏が君たちの敵を見事に討ってみせよう」
シャル「宗介ぇぇぇぇ」ギュッ
セシリア「宗介さぁぁぁぁん」ギュッ
一夏「宗介、俺、宗介がラウラを叩いて潰すって言った時、正直そこまでしなくてもって思った」スタスタ
宗介「そうか」スタスタ
一夏「でも、今はそう思ってねぇ。めちゃくちゃ頭に来てる。俺を狙うなら良いけどクラスメイトのシャルやセシリア、関係ない鈴の訓練してるところを襲撃して、ISを壊すくらい攻撃するなんて許せねぇ!!」スタスタ
宗介「ならば、どうする」スタスタ
一夏「これを宣戦布告と受け取って、ラウラ・ボーデヴィッヒをタッグトーナメントで叩いて潰す」スタスタ
宗介「よろしい、ならば戦争だ」スタスタ
一夏「ああ、戦争だ!」スタスタ
宗介「明日、一七○○より対ラウラ・ボーデヴィッヒ戦に向けて訓練を行う。ドイツ人をジャーマンポテトにしてやろう」スタスタ
一夏「ああ、ザワークラウト添えてやるぜ!」スタスタ
―――
――
―
――― 格納庫 ―――
箒「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」
ラウラ「誰だ貴様」
箒「篠ノ之箒だ。お前とクラスメイトの」
ラウラ「ふん、知らん。雑魚の顔など覚えようなどと思えんからな」
箒「ざ、雑魚……」
ラウラ「で、なんの用だ」
箒「タッグトーナメントで……私とタッグを組んで欲しいんだ」
ラウラ「なぜだ」
箒「私は、強くなりたい。そのために、自分の力を確認したいんだ。私のレベルはどの程度なのかと、な。そのために専用機持ちの面々と戦いたいんだ」
ラウラ「ならば、私でなくとも良いだろう」
箒「それは……お前が、オルコット達に勝ったからだ。専用機持ち3人を相手に勝つなど尋常な腕ではない。そんなお前の戦いを間近で見ていられたら私も参考になるだろうと……」
ラウラ「仲間がやられていたのを見てて助けに入ろうとすら思わなかったのか」
箒「…………っ」
ラウラ「第一、なぜ強くなりたい」
箒「……私は独りになりたくない」
ラウラ「……どういう事だ?」
箒「私に家族はいない。いや、正確には散り散りになってしまった。独りは辛いものだ……私は政府保護プログラムのせいで各地を転々としてしみじみ思った……だから、IS学園で一夏と再会できた時は嬉しかったんだ。だが、一夏は相良と出会ってしまい私など見向きすらしない。オルコットやデュノアも相良と出会い、面付きが変わった。まるで、相良を中心に円ができた様に周りは私を取り残して変わっていく……」
ラウラ「…………」
箒「3人は相良の影響からか強くなった。一夏なんて見違えるくらい強く……そして、気付いた。私は、あの円から弾き出されてしまったのではないか?とな。だから、強くなりたい。強くなって私も居るのだと気づいてほしい……」
ラウラ「貴様、そんな理屈で強くなりたいとは笑わせるな。実にくだらん」
箒「な、なに?」
ラウラ「結局は、織斑一夏を独占したいというところだろう?色恋に現を抜かす様な輩が強くなりたいとほざくとはさすが安寧に浸った弱小国の人間は言う事が違うな」
箒「違う!私は、自分のあり方を示すために強くなる事で」
ラウラ「詭弁など聴く耳は持たない。だが、貴様の提案は受けてやる。精々、盾くらいには使えそうだからな」
箒「私の話を聞け!!」
ラウラ「自分のエゴのために、強くなりたいという理由を体の良い言い訳に使ってるヤツの言葉など、聞く気にならん!!」
箒「では、お前はなんのために一夏を狙う!さぞ、ご立派な理由があるんだろうな!?」
ラウラ「私は……強かった織斑教官を取り戻して欲しい……そのために、汚点である織斑一夏を叩き潰す!!」
箒「それだって、エゴではないか!!」
ラウラ「エゴじゃない!貴様に何がわかる!!」
箒「お前こそ、私の何がわかる!」
ラウラ「貴様の事など理解しようとも思えんな!」
箒「くっ……もう良い……これ以上は堂々巡りだ。今回のタッグ、あくまでも真摯な思いで提案したが、気が変わった。私は、お前を利用する」
ラウラ「ふん……私は端からそのつもりだ」
箒「だが、ひとつ忠告してやる。お前は、一夏に届かないだろう。相良が、必ずお前の前に立ち塞がるだろうからな……」スタスタ
ラウラ「サガラ……私を止めたアイツか……ならば、そのサガラを下してから織斑一夏を叩き潰してやる!」
―――
――
―
今日はこんな感じで
ちょくちょくミスっちゃってるなぁ……
本当に申し訳ない
――― タッグトーナメント当日 ―――
『勝者、織斑一夏・相良宗介ペア!』
ワアアアアアア
「織斑くんと相良くん強すぎーー!」
「相良くんが牽制して、織斑くんが飛び込む。避けても相良くんがリカバーに入るし、あの二人のコンビネーション隙無さすぎだよ~」
「軍曹殿の勇姿は血沸き肉踊るであります!!」ムフー
箒「一夏のヤツまた強くなった……私は……置いていかれてしまうのか?」
一夏「ちッ、トーナメントなんて焦れったいぜ。早く、ラウラのヤツを……」ギリッ
宗介「焦るな一夏。冷静さを失えば足下を掬われるぞ」
一夏「ああ、そうだな。地獄の訓練を潜り抜けたんだ。やってやるだけだ」
鈴「一夏!すごいじゃんアンタ!!快勝に次ぐ快勝じゃない」
一夏「今日の俺は負ける気しねぇよ。鈴のため……セシリアとシャルのために俺は必ず勝つ」
鈴「本当は私の手でリベンジしたかったけど、仕方ないわね。アンタに任せるからね?」
一夏「ああ、必ずラウラのヤツをジャーマンポテトのザワークラウト添えにしてやる!!」
鈴「いや、それはよくわかんないわ」
千冬「相良……」
宗介「織斑教官?」
千冬「ラウラの事……大丈夫なのか?一夏のヤツ、ラウラに相当頭に来てるみたいだ。互いに憎み合う様な事にはならんのか?」
宗介「そうなったとしても何ら不思議はないでしょう。自分もそうなっても構わないと言う思いで一夏を煽りました」
千冬「……ラウラは救いがたいほど歪んだのか」
宗介「いえ、彼女は純粋なままです。だが、やり口があまりに幼稚で短絡的だ。とても、訓練された兵士とは思えません。故に、自分と一夏で正します」
千冬「戦いを通して分かり合う事もあるという事か……」
宗介「肯定です。彼女は教官を崇拝している。その教官の言葉が届かないというのなら、自分が出来る事はこれくらいでしょう。ですが、心配は無用です。教官の教え子ならば、必ず真意に気付くはずですから」
千冬「しかし、一夏の怒りは収まるだろうか?ラウラが改心したとして、不和のままという事には……」
宗介「織斑一夏は愚かではありません。それに、自分の友人であり、貴女の弟は強い。強い人間はえてして器が大きいものです」
千冬「……ふふ、まるで相良が教官で私が訓練生だな。相良、ラウラを導いてやってくれ」
宗介「了解しました」ビシッ
シャル「宗介、一夏!決勝の相手、決まったよ!!」
一夏「相手は誰だ?ラウラか!?」
セシリア「ええ……ですが……」
宗介「どうしたセシリア」
シャル「一夏、落ち着いてね?ラウラのパートナーが……箒なんだ……」
一夏「なんだと!?」
宗介「やはり、あの二人が勝ち上がっていたか」
一夏「宗介、知ってたのか?」
宗介「偵察は基本だからな。だが、我々の脅威ではない。連携をしようとせず、互いに己の力のみを頼りとした戦いだ。ラウラ・ボーデヴィッヒさえ潰してしまえば、勝ちは揺るがないだろう」
一夏「……そうか」
鈴「一夏……大丈夫……?」
一夏「ああ、問題ねぇ。箒が敵に回ったってんなら箒にも勝ってやるだけさ」
鈴「あのさ……」
一夏「なんだ?」
宗介「一夏、行くぞ」
一夏「ああ!鈴、用がないなら行くぞ?必ず勝って帰ってくるからな」
鈴「あ、うん……(アイツが変だった……なんて、今さら言ったって意味ないか。それと、一夏の敵に回った理由が関係あるとは限らないしね)」
―――
――
―
――― ラウラ・箒側控え室 ―――
ラウラ「やっと織斑一夏とサガラと戦えるな……やっと、私の目的が果たせる……」
箒(一夏に私の力を示す……そして、私も居るのだと気づいてもらうんだ……そのために一夏と相対する様にもっていく!!)
ラウラ「貴様、次は私の足を引っ張るなよ」
箒「お前こそ、私の邪魔をするなよ」
ラウラ「ほざけ」
コンコン
千冬「少し良いか?」
ラウラ「教官!?来てくださったのですか!」
千冬「お前に伝えたい事があるんだ」
ラウラ「アドバイス……ですか?」
千冬「どうだろうな……お前には余計な言葉と思われてるかもしれない……だが、私はお前に伝えなければならん」
ラウラ「なんでしょう?」
千冬「これから戦う相手は、お前がなるかもしれなかった可能性のひとつだ。しっかり感じとれ、相良宗介という人間を……そうすればお前は本当に必要な事に気付けるかもしれん」
ラウラ「教官?なぜ、そんなヤツの事を!?」
千冬「私は、ヤツに頼んだんだ。お前の歪みを正してくれとな。アイツとお前の境遇は似てる……だが、相良宗介とラウラ・ボーデヴィッヒは決定的に違う。お前にはその違いに気づいて欲しいんだ。そうすれば、お前は変われるだろう」
ラウラ「…………」ギリッ
千冬「そろそろ時間だ。健闘を祈る」
ラウラ「篠ノ之箒……サガラには手を出すな……私が殺る」
箒「一夏は良いのか?」
ラウラ「織斑一夏よりも先に、ヤツを潰さねばならん!ヤツは……教官を誑かした……あんな、教官の顔を私は知らない……」ギリッ
箒「良いだろう。相良のアーバレストは私とは相性が悪いしな」
ラウラ「忌々しい……私は、軍人だ!あんな極東の学生ごときに負けるわけがない。必ず、潰してやる」
箒(よし、これで一夏と戦える!必ず一夏に私の強さを見せてやるんだ!!)
ラウラ「行くぞ」
―――
――
―
~ 決勝戦 ~
宗介『一夏、落ち着いているか?』
一夏『ああ、頭は冴えてるぜ』
宗介『ならば良い。ラウラ・ボーデヴィッヒは強い。精神状態でのハンデがあったとは言え、セシリアとシャルロット、凰を相手にして勝って見せたほどだ。油断は大敵だぞ』
一夏『分かってる』
宗介『だが、我々のコンビネーションをもってすれば勝てない相手ではない。ヤツの慣性停止結界は一対一ではほぼ無敵だろうが、それでも有効範囲の狭さと複数相手では効果は発揮しないというネックがある。そこで、俺が開戦直ぐに急襲し、ヤツを釘付けにする。その隙にお前が叩け』
一夏『了解した。宗介、必ず勝ってみんなの敵とろうぜ』
宗介『当たり前だ。それとな……篠ノ之にはきっと悪気はない。恨んでやるなよ』
一夏『分かってるって。俺はアイツの幼馴染みだぜ?箒のヤツは優しいからラウラに同情してタッグ組んだんだ。だからって、手加減はしねぇさ』
宗介『君の強さには感心するな。始まるぞ!』
ラウラ『行くぞ』
箒『ああ!』
宗介「アル、ECS不可視モード作動」
《ラジャー》
ラウラ「なに、消えただと!?」
箒「ちッ、相良の光学迷彩だ!ほとんどのヤツはあれで知らぬ間にやられたぞ!!」
一夏「見えない相手に気をとられてどうすんだよ!!」ギュンッ
ラウラ『くそッ!おいッ、あの馬鹿を阻め!!』
箒「勝手なヤツめッ!一夏ァァァ!!」
一夏「退けッ!」ギュインッ
箒「は、速い!?だが」ガキンッ
一夏『ちッ、宗介!!』
宗介『分かってる』ズドンッ
ラウラ「くっ!?完全に分断されたか!!」
宗介・一夏「「さぁ、開戦だ!!」」
今日はこんな感じです
一夏「おらッ!」ガキンッ
箒「くっ、なんて重い斬撃だ!」ガキンッ
一夏「そこだ!」ギュンッギュインッ
ガキンッ
箒「だが、太刀筋が荒いぞ!!」
一夏「ちッ、さすがに箒相手じゃ上手くいかねぇか……」
箒「次は、私からいかせてもらう」ブンッ
一夏『宗介、こっちはもう少し時間がかかる』
宗介『カバーに入るか?』
一夏『んや、問題ねぇ!!』
宗介『了解した』
一夏「ちまちまやってる暇はねぇんだ!」
箒「私は、簡単に負ける訳にはいかん!!」
一夏「ECSは連携あり気だ……それに、向こうには動きを止めるアレがある……なら」ギュイン
箒「一夏!!」ブンッ
一夏「お前の相手は後だ!!」ガキンッ
箒「な、私の剣が弾かれた!?」
一夏「ラウラ!!」
ラウラ「ちぃ!使えんやつめ!せめて、足止めくらいしろぉ」
一夏「もらったぁ!!」ブンッ
ラウラ「やられるかッ!!」ギュイン
宗介「そこだ」ズドン
ラウラ「くそッ、厄介なヤツめ!!」
箒「一夏!私から目を逸らすな!!」ギュイン
箒「一夏ァァ!!」ブンッ
一夏「またかよ!」ギュイン
箒『待て!逃げるな一夏!!』
一夏『聞けねぇなぁ』ギュイン
箒『私から逃げるな臆病者!お前は、相良の金魚の糞か!!』
一夏『なんだと?』ピタッ
箒『頼む……私と戦ってくれ!私を置いてくな!!』
一夏『いつ、俺がお前を置いていったんだよ!』
箒『置いていってるだろ!』
一夏『わっけわかんねぇ……俺は、ラウラを倒さなきゃなんねぇんだ!宗介が俺を強いと言ってくれた!!俺を護衛するために来たのにただ守るだけじゃなく友人として強くなれるように訓練にも付き合ってくれてる!!応えてぇんだよ……俺を友人として認めてくれつつあるアイツの気持ちにさ』
箒『相良相良と!私の思いには気付かないくせに!!』ギュイン
一夏「箒のヤツ……」
宗介『一夏、篠ノ之の相手をしろ。今は敵を分断した方が良い。それに、君は彼女を知り尽くしてるだろう』
一夏『……わかった!速攻で終わらせる!!』ギュイン
ガキンッ
箒「ハァハァ、荒い太刀筋だがいなすだけで体力を持っていかれる……打鉄ではかするだけでも危ない……」
一夏「……さすがに箒だ。訓練した俺の斬撃をここまでいなされるなんてな」
箒「だが、剣術ではまだまだ私が上だ。それを分からせて、私の強さを認めさせてやる!!」ギュンッ
一夏「箒との稽古は暫くしてなかったもんな……また、稽古をつけてもらわなきゃな……だけど、これは俺にとっちゃ試合じゃなくて戦争だ!戦争に勝てるように宗介と鍛えたんだよ!もう、無力感なんて懲り懲りだ!!」ギュインッ
ガキンッ
箒「いなした時に生まれる一瞬の隙……そこだ!」
一夏「剣だけが武器じゃねぇんだよ!」ギュンッ
箒「剣を捨てて瞬間加速で私の斬撃を潜り抜けた!?」
一夏「宗介印の手榴弾だ!」ピンッ
ドカンッ
箒「くっ、姑息な!」
一夏「卑怯かも知れないけど、これが戦場なんだ!」ギュイン ブンッ
ガキンッ
箒「く、受けきれない!?」
ズバッ
一夏「ショボくれんのも……拗ねるのも……アマチュアのやる事だ。IS学園に入ったんだ。いつまでもアマチュアじゃいられねぇだろ」
ズドンッ
ラウラ「くっ、なんだあの光学迷彩は!あんな高度な技術があるなど私は知らんぞ!!」
宗介「アル、敵の通信周波数を検索して繋げろ」
《ラジャー、検索開始……通信可能です》
宗介『聞こえるかラウラ・ボーデヴィッヒ』
ラウラ『なぜ、通信を!?動揺させるつもりか!!』
宗介『違う……自己紹介をしていなかったのでな。俺は認識番号B-3128、相良宗介軍曹。ミスリル所属だ』
ラウラ『ミスリル……そうか。貴様、TOY BOXの人間だったのか!!』
宗介『外の人間はデ・ダナンをそう呼んでいるんだったな。まぁ、それはどうでも良い。同じ軍人として忠告する』
ラウラ『忠告だと!?』
宗介『多くの成果を望む人間に、先はない』
ラウラ『なんだと?私は、ただ教官の汚点を消そうと』
宗介『お前は、織斑教官との関係性とその中にある自分の存在の肯定。織斑一夏の排除による実績と多くを望んではいないか?』
ラウラ『黙れ!貴様が何を知ってる!!』
宗介『知らんな。だが、軍人としてはあまりにも幼稚で短絡的なお前の思考に我慢が出来なかった。だから、新兵訓練を思い出させてやる』
ズドンッ
ラウラ「くっ、私は負ける訳にはいかんのだ!」
セシリア「す、すごい!宗介さんと織斑さんが圧倒してますわ!!」
シャル「僕達にも秘密で特訓してたからね!宗介がすごいのは分かってたけど、一夏もめちゃくちゃ強くなってるよ!!」
鈴「一夏のヤツ、逞しくなってたからね。相良のヤツも悪影響だけじゃないみたいね」
千冬(確かに、相良と一夏のタッグがおしている。互いの役割を理解しての行動や配慮、単純に操縦だけを見ても圧倒的だ。だが、何故だろう……嫌な予感がする。ラウラからではなく、別のところからのプレッシャーの様な……)
シャル「織斑先生……怖い顔してどうしたんですか?」
千冬「いや……すまんが、3人のうちの誰か山田先生と更識楯無を呼んできてもらえないか?」
セシリア「では、私が……しかし、いきなりどうしたんですの?」
千冬「いや、私の杞憂ならば良いんだが……」
ラウラ「そこッ!」ビシュン
宗介「さすがに、特殊部隊の隊長を務めるだけはある。予測でも良い狙いをつけるな。だが、もう終わりだ。アル、ECSを解除」
《ラジャー、ECS解除》
ラウラ「やっと姿を現したか!!」
宗介「お前の負けだ」
一夏「ラウラァァァァァァ!!」ギュオオオン
ラウラ「織斑一夏!?アイツめ足止めも満足に出来んのか!!」
一夏「おりゃあああああ!!」
ラウラ「馬鹿め!AICが……」
ズドンッズドンッ
ラウラ「援護射撃!?厄介なヤツめ!」ギュンッ
ズバッ
ラウラ「ぐあっ」
一夏「ちッ、仕留め損なった!宗介!!」
宗介「任せろ」ギュンッ
ラウラ(私は……負けるのか……?いやだ……負けたくない……)
《無理無理、お嬢ちゃんじゃ無理だっての》
ラウラ(なんだこれは……お前は誰だ!?)
《んなことはどうでも良いんだよ。早く俺に明け渡せよ。じゃねぇと捨てちまうぞ?》
ラウラ(嫌だ……それは嫌だ!!)
《だったら早く受け入れろ》
ラウラ(だが……それでは……)
《ちんたらやってちゃダメだよーこう言うのは思いきりでやんなきゃよぉ。じゃねぇと用済みで捨てちまうぞ?》
ラウラ(……分かった……私に、奴等を倒せる力をくれ!!)
《そうだよ。それだよ!面白くしよぉぜぇぇ!!》
ズドンッ
宗介「ヒットした。これで、終わり」
キュイイイイン ズガンッ
宗介「なに!?」ズザザザ
宗介「い、今のはラムダ・ドライバか!?アル!!」
《ネガティブ》
宗介「では、なんだ!!」
《データにありません。回答不能》
一夏『宗介!ラウラの様子が!!』
宗介『なんだ、あの現象は』
一夏『わかんねぇ……だけど、厄介な気がする……』
ラウラ(?)「カ、カシ……カシム……カシムゥゥゥゥ!!」
宗介「あれは、ガウルンのIS!?ヤツめ何か細工をしたのか!!」
一夏「この野郎!!」ギュインッ
宗介「待て!不用意に近付くな!!」
ラウラ(?)「カシム、カシム、カシム!!」キュイイイイン
ズドンッ
一夏「ぐあっ」ズザザザ
シャル「何あれ!?ラウラのISが変身した!!」
鈴「あ、あれは、あのいかれたテロリストの……」
千冬「ドイツ軍め!!なんてものを……」
セシリア「織斑先生、連れてきましたわ!!」
山田「織斑先生、何事ですか?」
千冬「山田先生!今すぐ、来賓と生徒の避難を!!」
山田「わ、分かりました!!」
楯無「あれは……VTシステム!?で、でも、なんでガウルンのISの姿に?」
千冬「ガウルンが何か細工をしたのだろう……ちッ、ドイツ軍の老頭児共め……」ギリッ
セシリア「あ、あの、VTシステムとは?」
楯無「ヴァルキリー・トレースシステム。モンド・グロッソの優勝者の戦闘データをもとに、その戦闘方法を再現・実行するものね」
千冬「だが、操縦者に多大な負担を強いる。故に、条約でも使用を禁止され、各企業でも計画が凍結された代物だ。それをドイツ軍が秘密裏に保持し、ガウルンの手によって何らかの細工をされたらしい。恐らくラウラも知らなかったのだろう」
楯無「厄介ね……ガウルンの動きをトレースしたのなら打つ手はあるけど……もし、ガウルンのISの機能までトレースしてたのなら……」
鈴「どういう事?」
楯無「ガウルンのISには特殊な装置が積まれてて、その装置のせいでISでは攻撃が効かないし、ISのバリアーを突き抜けるような危険な攻撃をされてしまう」
セシリア「そ、そんな!?それでは宗介さんが……」
シャル「た、大変だよ!助けにいかないと!!」
楯無「いえ、それは大丈夫。相良くんのアーバレストには同じ装置が積まれてるはず……つまり、あのISに勝てるのは相良くんだけってわけ」
シャル「あ、そうなんだ……」
セシリア「だったら大丈夫ですわね」
楯無「あ、あれ?で、でも!!みたいな反応が来ると思ってたんだけど……」
千冬「ふふ、私もその点は心配してないさ。なんたってアイツは」
セシリア・シャル「「プロフェッショナル(ですから)(だから)」」
楯無「ぷっ、アハハハ、なに?その一体感。って言うか私より頼られてるってどういうことーー」
鈴「相良は大丈夫なのは良いけど、一夏はどうなの?」
千冬「見てる限り、相良が上手く指揮をとっている。心配はないだろう。それよりもラウラ……」
千冬「頼むぞ。相良……」
宗介『一夏、不用意な攻撃はよせ。返されるぞ』ギュインッ
一夏『分かった!って言うか避けるので精一杯だっての!!』ギュンッギュインッ
ラウラ(?)「カシムゥゥゥゥ!!」
宗介「アル、本当にあれはラムダ・ドライバではないんだな?」
《肯定》
宗介「では、擬似的なものか若しくは類似した何かか。待てよ……ならば、一夏でも攻撃できるかもしれん……」
一夏「ちくしょーー!カシムってなんだよ!!」ズバッ
ラウラ(?)「ゥゥゥゥ……カシム、カシム、カシムゥゥゥゥ!!」
宗介「ラムダ・ドライバらしきものの発動は感じられない。あれは、バリアーか?では、一夏の攻撃も通じるか。では、俺が攻撃した時のあの現象は……」
キュイイイイン ズドンッ
一夏「うわっ!?あぶねぇ……ちッ、なんだよ!その攻撃は」
宗介「そうか!ならば……」ギュインッ
宗介『一夏!君のワンオフアビリティーで特攻してくれないか』
一夏『え!?別に構わねぇけど……』
宗介『君の力が必要だ!頼んだぞ!!』ギュインッ
一夏「えへへ、よっしゃあ!やってやらぁ!!」
宗介「ラムダ・ドライバでないのなら俺がラムダ・ドライバを発動すれば中のラウラ・ボーデヴィッヒもろともあのISを消し飛ばしてしまうかもしれん。だが、あれがもし、バリアーに攻撃を加えた時に発動するタイプの機能だとすれば一夏のワンオフアビリティーで……」
一夏「行くぜ!零落白夜!!」ギュオオオン
ラウラ(?)「カシムゥゥゥゥ!!」
一夏「カシムってなんだって言ってんだよおおおおおお!!」ズガンッ
一夏「おりゃあああああああああ!!」
ラウラ(?)「おおおおおおおおおおおおおおおおおお」
キュウウウウウン
一夏「ハァハァ、もう……燃費悪いなぁ……」
ラウラ(?)「カ、カシ、カシム……カシム!!」
一夏「へッ、とんだ執念だな……だけどよ……無駄なあがきだぜ!!」
ギュンッ
宗介「カシムカシムと馴れ馴れしいんだよ!!」ズドンッズドンッズドンッ
ラウラ(?)「カ、カ、カ、カシム……」プシュウウウ
ラウラ「…………」ドサッ
箒「完敗か……」ギリッ
『勝者、相良・織斑ペア!!』
―――
――
―
今日はこんな感じで
――― 保健室 ―――
ラウラ「…………」パチッ
千冬「起きたか」
ラウラ「きょ……うかん……?」
千冬「丸1日寝ていたんだ。大分、すっきりしただろう?」
ラウラ「私は……負けたん……ですね」
千冬「ああ、完敗だな。相良と一夏のコンビネーションは近年希に見るほど高レベルだった。あれが相手では、生徒会の面々でも勝つのは難しいだろう」
ラウラ「……そうですか」
千冬「なんだ?もっと、憎まれ口を叩くのかと思ったが」
ラウラ「いえ、なんだか……すっきりしたと言うか……何かが小削ぎ落とされたと言うか……不思議な感覚です。あまり悔しくない」
千冬「お前は、過去の恩讐に振り回され、本当の自分を見失っていたんだ。本当のお前は相良の様に実直で純粋なヤツのはずなんだ」
ラウラ「私が……アイツの様に……?」
千冬「相良もお前も本当は銃を持って良い人間ではないはずだ」
ラウラ「で、では、なぜ……アイツは……強いのでしょう」
千冬「本当はアイツもそんなに強くないのかもな……私も本当のところは良く分からん。私と一緒にこの学園でヤツの秘密を暴いてやるか」ニコッ
ラウラ「教官は……アイツの事が好きなのですか?」
千冬「な!?ば、馬鹿者!私は教師でアイツは生徒だぞ!!そ、そ、そんなわけが……」
ラウラ「しかし、教官はアイツの話をする時、とても優しい顔をします。織斑一夏の話をする時とは別の……」
千冬「……放っておけないだけだよ」
ラウラ「そう……ですか……」
千冬「まだ、疲れてる様だ。もう少し休め」
ラウラ「はい……」
千冬「……ふふ」
ラウラ「相良……宗介……」スヤスヤ
千冬「ふぅ、取り敢えずなんとかなったか……今回は一夏の功績も大きいか?一夏と相良もどんどん仲良くなっているようだし……う、うちに誘ってゆ、夕飯でも……」
―――
――
―
~ 翌日 ~
ラウラ「ん……」
宗介「起きたか」モシャモシャ
ラウラ「相良?」
宗介「腹が減ってはいないか?コッペパンとレーションしかないが」モシャモシャ
ラウラ「大丈夫だ……」
宗介「そうか」モシャモシャ
ラウラ「なぁ、私を尋問しに来たのだろう?」
宗介「肯定だ」モシャモシャ
ラウラ「ならば、無駄だ。教官から聞いたが、私はVTシステムの事もガウルンの事も知らん」
宗介「その事はこちらで大体の事は調べた。君に聞きたいのは別の事だ」モシャモシャ
ラウラ「何だ?ミスリルの人間なら私の事も調べたのだろう?私は……出来損ないの……モルモットだ……何にも知らないんだ」
宗介「違うな。君は、素晴らしい技術を持っている。兵士としては未熟だが、決してモルモットではない。それに俺が聞きたいのは、そう言う事ではない」モシャモシャ
ラウラ「では、なんだ?」
宗介「昨年、ドイツ軍は野戦演習でティーガーⅠを使ったと知り合いから聞いたのだがそれは本当か?」ゴックン
ラウラ「え!?」
ラウラ「あ、いや、私はその演習に参加してないから分からないな……」
宗介「そうか……友人も実際に見たわけではないと言っていたから真偽は定かではないが、本当なら是非とも見たかったな」
ラウラ「本当にそれを聞きに来たのか!?私は、お前の仲間を襲撃し、あまつさえ織斑一夏を……」
宗介「確かに、その事実はいかんともし難い。俺も多少なりとも頭に来たしな。だが、それは初回の襲撃を未然に防げなかった俺にも責はある。それでイーブンだ」
ラウラ「そんな事で済むのか?私がお前の立場なら、私を殺すだろう……」
宗介「戦場での出来事ならば、俺もそうする。だが、生憎とここは学園だ。それは許されんし、織斑教官が良しとしないだろう。それに、学園とは失態を犯しても許される場だ。己の過ちを認め、誠意を持って行動すれば良い」
ラウラ「私に……それが出来るだろうか……私は弱い人間だ……」
宗介「後悔はアマチュアがする事だ。プロフェッショナルは、反省はするが後悔は絶対にしない。反省は、己を前に進ませるが、後悔は歩みを送らせる。それを肝に命じると良い」
ラウラ「反省か……」
宗介「今後、ドイツ軍ないし、VTシステムに関わった外部勢力から君とコンタクトを取ろうと言う動きがあるかもしれん」
ラウラ「私は……消されるのか……」
宗介「だが、君の身柄の安全は俺が保証する。君は、この学園で己の弱さと過ちを見つめ直し、兵士として鍛え直すと良い」
ラウラ「お前が……私を守ってくれるのか……?」
宗介「肯定だ。あまり俺を見くびらない方が良い。俺は、朴念仁だからな」キリッ
ラウラ「はぅ///」ドキンッ
宗介「それでは、俺はそろそろ失礼する。やる事があるのでな」
ラウラ「なぁ……織斑一夏とあの3人に謝っておいてくれないか……?」
宗介「君が謝れば良いだろう」
ラウラ「私とは……口も聞きたくないだろうから……」
宗介「その心配はない」
ウィーン
一夏「よ、起きたかラウラ」
ラウラ「お、織斑一夏!?」
一夏「ま、色々あったけど、互いに全力でぶつかり合ったし恨みっこなしって事で!それに、お前の過去……宗介から聞いた……あ、同情したってわけじゃねぇぞ?ただ、なんつーかな……」
シャル「もう、一夏邪魔だよ!」ドンッ
セシリア「男性ならハッキリ物をおっしゃったらどうですの?宗介さんの様に!!」
一夏「酷い扱いだ……」
鈴「よしよし」ナデナデ
ラウラ「お前ら……」
シャル「あ、別に許したわけじゃないよ?」
セシリア「そうですわ。宗介さんの言葉がなかったら、お見舞いなんて来ませんでした」
ラウラ「アイツの言葉?」
シャル「過ちを許せとは言わない。だが、過ちを起こさせた彼女の事情を知ってからどうするか判断しても良いのではないか?って……それで判断したんだ」
セシリア「友達として受け入れる事は直ぐにはできませんが……貴女をライバルとしてなら受け入れる事ができますわ。なので、取り合えずライバルと言う事で」
鈴「そう言う事」
ラウラ「……うぅ……すまなかった……ごめんなさい」ポロポロ
一夏「これで、一件落着か。なぁ、そうす……あれ、いない……まったく、ズルいヤツだぜ」ニヤニヤ
シャル「なに、ニヤニヤしてんの?ひくよ……」
セシリア「邪な事でも考えているんですわ……」
一夏「しどい……」
鈴「よしよし」ナデナデ
ラウラ「フフフ……」
―――
――
―
~ 数日後 ~
宗介「コッペパンを要求する!」ズドンッ
スパァン
千冬「いい加減、普通に買う事を覚えんか」
宗介「し、しかし、この混雑では……コッペパンが売り切れる可能性も……」ムクッ
一夏「確かにな。俺も、ピタパンが無くなったらショックだ……」
鈴「いやいや、コッペパンが無くなる事なんてまず無いし。ってか、ピタパンって何よ」
一夏「え!?鈴、ピタパンしらねぇの!こう、ドラえ○んのポケットみたいな形で焼きそば詰めて食うと美味いピタパンだぜ?」
鈴「知らんわ」
シャル「ピタパン、僕も好きだよ」モシャモシャ
セシリア「ローストチキンを挟むと美味ですわ」モシャモシャ
宗介「ピタパンは合理的な食べ物だぞ」モシャモシャ
鈴「いや、コッペパン食いながら言うな。ってか、なんでアタシだけが仲間外れみたいに言ってんのよ」
一夏「そんな事より、千冬ねぇラウラは?」
鈴「そんな事ってなんだ一夏ァ!」
千冬「ラウラは、ドイツに戻っていたが今日復学するはずだ」
「嫁えええええええ!!」
一夏「お!!ラウラ」
シャル「嫁って?」
セシリア「まさか、ボーデヴィッヒさんは女性にSHE MAKES MEですの!?」
シャル「セシリア、UKバンドの曲で例えるのやめたら?」
ラウラ「嫁えええええええ!!」ズドドドド
宗介「む?」グイ バタンッ
一夏「おー久しぶりに宗介の制圧を見たな」
千冬「相変わらず見事な手際だな」
ラウラ「い、痛いぞ!嫁」
宗介「すまん。癖でな」パッ
ラウラ「えへへ、これが嫁の愛の示し方なのだな!!」
シャル「む、セシリア!」
セシリア「ええ、危険ですわ!!」
ラウラ「では、私も愛を示すぞ!ちゅー」
シャル「宗介、だめええええ!!」
セシリア「やめてくださいましー!!」
グイ バタンッ
ラウラ「い、痛いぞ嫁」
宗介「すまん。首を狙ってきたと思ってな」
鈴「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」ゴロゴロ
一夏「うわっ、鈴のヤツすっげぇ笑ってる」
鈴「け、傑作だわ!キスされそうになって相手を組伏せるなんて」ケタケタ
千冬(相良がアレで良かった……)
一夏「千冬ねぇ?」
千冬「ん、いや、えっと、キスなどけしからん!そう言うのはちゃんと正しい順序を踏んでからだな……」
一夏「いや、なんにも言ってないけど?」ニヤニヤ
シャル「ちょっとラウラ!宗介が嫁ってどういう事!?」サッ
セシリア「事と次第では許しません事よ!!」
ラウラ「うむ、私はソースケを嫁にすると決めたのだ。日本では、自分が惚れた相手を嫁と呼ぶのだろう?」
シャル・セシリア「「」」プチンッ
宗介「そうなのか?」モシャモシャ
一夏「いや、かなり歪んだ知識だな」モシャモシャ
ラウラ「だから、ソースケを私の嫁にするのだ!同じ軍人だしな」ドヤッ
シャル「良いよ……分かった……なら……」ゴゴゴゴ
セシリア「戦争ですわ!見敵必殺ですわ!!」ゴゴゴゴ
ラウラ「ふふふ……私に勝てるかな?悪いが、私は嫁に一生お前を守るとプロポーズを受けてるぞ」
シャル・セシリア「「嘘を言うな!」」
一夏「言ったのか?」モシャモシャ
宗介「覚えてない」モシャモシャ
鈴「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、どんだけ朴念仁だよ」ゴロゴロ
千冬「頭が痛くなってきた……」
――― 番外編というか小ネタ ―――
『インフィニット・ストラトス?ふもっふ』
一夏「宗介、また寝不足か?」
宗介「この学園の警備体制を見直してたんだ。全生徒がISを装備出来て、有事の際は戦闘可能とは言えあまりにもセキュリティが甘すぎる」
一夏「まぁ、確かにガウルンみたいな危険なテロリストに簡単に忍び込まれちまったしな……だからって、宗介が考えなくても良いんじゃないか?」
宗介「そうは行かない。俺はプロフェッショナルでスペシャリストだ。現状に甘んじるわけにはいかん」
一夏「そう言うもんなのか?」
宗介「そうだ。それに、ISは戦闘可能時間が短い。シールドエネルギーが切れてしまえばどうにもできん。セキュリティの強化は急務だ」
一夏「なるほどな。でも、よくある軍事基地みたいには出来ないんじゃないか?学園にも予算があるだろうし、IS学園は戦争でもする気だ!みたいな噂をたてられた困るだろ」
宗介「そこが問題だ。そこで、低予算かつカモフラージュ出来て、汎用性が高い装備が欲しいと考えていたんだ」
一夏「まぁ、それは後で考えようぜ。俺も役に立つかわかんないけど一緒に考えるからさ」
宗介「出来るだけ多くの意見が欲しい。おれでは考えつかん斬新な意見が出るかもしれんから君が手伝ってくれるのは助かる」
一夏「シャルとラウラにも声かけようぜ。シャルは兵器関連に詳しいし、ラウラも一応軍人だしな。でも今は、この倉庫片付けねぇと……」
宗介「すまん……」
一夏「ラウラが潜んでて、それを知らない宗介が発煙弾を放り込んでからの銃撃戦……まるで、市街戦後だな……あははは」ガサゴソ
宗介「訓練用のゴム弾を入れたと思っていたが、まさか実弾が入っていたとは……」ガサゴソ
一夏「まぁ、俺達はまだ軽い方の罰だぜ。ラウラなんか30㎏の装備担いでうさぎ跳びで校内一周だもんな……」ガサゴソ
宗介「新兵の頃を思い出すな。あれをやればガッツがつく」ガサゴソ
一夏「マジかよ……」ガサゴソ
宗介「ん、なんだこれは?」
一夏「ああ、ぼん太くんのキグルミだな」
宗介「ぼん太くん?」
一夏「子供に人気のキャラクターだよ。きっと、学園祭の時かなんかに使ったんだろうぜ」
宗介「そうか……ぼん太くん……」
一夏「どうした?」
宗介「……使えるな」
一夏「え?」
―――
――
―
――― アリーナ ―――
ラウラ「嫁はどこだ一夏!」
一夏「すぐ来るよ」
ラウラ「私は、嫁がいないのなら帰るぞ!嫁を要求する!!」ズドン
一夏「すぐ来るから落ち着けって……」
ラウラ「嫁えええええええ」ゴロゴロ
シャル「ラウラ、そんな子供みたいに駄々こねたら宗介に嫌われるよ!」
ラウラ「む、そうか……」シュン
一夏「そう言えば箒は?」
セシリア「さぁ?凰さんに頼みましたが……」
鈴「ダメダメ、誘ったけどうんともすんとも言わないわ」
一夏「アイツ、なにしてんだ?」
鈴「さぁ?」
ピョコタンピョコタンピョコタン
シャル「ん?ぼ、ぼん太くん!?」
一夏「お、来たみたいだな」
ぼん太くん「ふもっふ!」
一夏「やっぱりそこは直らなかったのか……」
ぼん太くん「ふもふもっふ……」
一夏「原因はなんだろうな……」
シャル「い、一夏がぼん太くんと会話してる……」ドンビキ
セシリア「なんですの!この可愛いもふもふした生き物は!!」キラキラ
鈴「嫌な予感がするわ……」
ラウラ「嫁ーーー!!」ギュッ
ぼん太くん「ふも、ふもっふ」
シャル・セシリア「「は!?」」
鈴「やっぱり……」
ぼん太くん「ふもふも、ふもっふ!」
一夏「ああ、そうだな。えっと、これはぼん太くんもとい警備用パワードスーツだ。ちなみに、中は宗介な」
ぼん太くん「ふもっふ!」ビシッ
シャル「え、本当!?」
一夏「うん」
セシリア(可愛いもふもふ+凛々しい宗介さん=最強!)ハァハァ
ラウラ「嫁もふもふだなーーもふもふな嫁だなーー♪」ギュッ
シャル「もふもふな宗介……ダメだ……顔がにやける……」ニヤニヤ
ぼん太くん「ふもっふ!ふもふも、ふんもっふ」
一夏「え、あ、そうだな。説明すっか」
鈴「いやいや、なんでふもふも言ってるだけなのにわかんのよ。ホンヤクコンニャクでも食べてんの?」
一夏「さぁ?」
シャル・セシリア「「分からないのが悔しい……」」
ラウラ「私も分かるぞ!愛があるからな!!」フフン
シャル・セシリア「「ぐぬぬぬ」」
ボン太くん「ふも、ふもふもふも、ふもっふ、ふもっふふもっふ、ふもふもふんもっふ」
一夏「えっと、これは学園のセキュリティの甘さを危惧して俺が開発した警備用パワードスーツだ」
ボン太くん「ふもっふふもっふ、ふもふもふんもっふ、ふもっふふもふも」
一夏「有事の際は学園の全生徒がISを装備して戦闘を行えるが、ISの戦闘時間は決して長くないし、専用機と訓練機では戦力の差が出て統制のとれた行動が取りにくい」
ボン太くん「ふもふもふも、ふもっふふもふも、ふんもっふふもふもふもっふふもっふ」
一夏「そこで、このボン太くんの出番だ。このボン太くんはASの技術を応用しているため長期的な戦闘も可能であり、汎用性も高い」
ボン太くん「ふもっふふもっふ、ふんもっふ。ふもふも、ふもっふふもふもふもっふ、ふんもっふふんもっふふも」
一夏「さらに、理論上では各自専用機には及ばないが、第二世代ISの戦闘力を遥かに凌駕するポテンシャルを発揮できるはずだ。よって、戦力の均一化をはかれる」
ボン太くん「ふもっふふもふも、ふもっふ」
一夏「えっと、だが未だ……」
鈴「ひとついい?」
ボン太くん「ふもっふ?ふもっふふもふも」
一夏「なんだ?質問なら後にしてくれ」
鈴「質問じゃない。そのふもふもしたしゃべり方どうにかなんないの?ってかそれ脱いだ方が早くない!?」
ボン太くん「ふもっふ……ふもふも、ふもっふ」ヤレヤレ
鈴「すっごい腹立つ!!」
一夏「まぁ、快適性とかそう言うのの実験も兼ねて着てるんだよ。あと、なんか音声システム?に重要な問題があってふもふもしたしゃべり方にしかなんないんだと」
鈴「ふん、欠陥品じゃない」
ボン太くん「ふもっふ、ふもふも」
一夏「未だ開発中だ。完成したわけじゃない」
ボン太くん「ふもっふ、ふもっふふもっふふもふもふんもっふふも」
一夏「そこで、君達にデータ取得のために協力してほしい」
シャル「協力ってなにすれば良いの?」
ボン太くん「ふもっふ、ふもふもふもっふ。ふもふもふんもっふ、ふもっふ」
一夏「模擬戦闘形式で戦ってくれれば良い。シャルロットは、デバイスでデータを確認して誤差の修正や記録を頼む」
シャル「わかった」
セシリア「宗介さんに協力するのはまったくもって構いませんが……私にはその愛くるしい姿に攻撃する残酷さはありませんわ」ペタン
ラウラ「セシリア……その気持ちは分かるぞ……だが、嫁のひいては学園のためだ……やるしかあるまい」
鈴「ボッコボコにしてふもふも言えなくしてやんよ」
ボン太くん「ふもっふふもふも、ふもっふ?」
一夏「言っておくが、なめてかかると痛い目みるぞ?」
鈴「あんたこそ、アタシたちをなめない事ね!!」
鈴「やってやらぁ!!」
セシリア「宗介さんのためです!私、頑張りますわ!!」
ラウラ「私……この戦いが終わったら……嫁と結婚するんだ……」
鈴「あんた!なに死亡フラグ建ててんのよ!!」
ラウラ「戦いの前はこう言うのだと習ったぞ?」
鈴「誰によ!って言うか負けは許さないからね!!最近、学園内で相良攻め一夏受けとか不埒な噂がたってんだから、ここらで相良のヤツを叩いて一夏から引き離さないと」
ラウラ「知ってるぞ!やおいというヤツだな?しかし、山田先生が一夏の方が攻めだと言ってたぞ?で、何を攻めて何を守るんだ?」
鈴「ナニよ!」
セシリア「やっぱり織斑さんは宗介さんを……それは許されませんわ!」
一夏「お、おーい……はじめて良い……?」
鈴「さっさとはじめなさいよ!!」
一夏「は、はーい!シャルも準備良いか?」
シャル「うん、準備OKだよ(このデータをうちの会社に持ち込んで宗介を囲う。そして、宗介をデュノア社社長に推薦しあわよくば結婚……ぐふふふ)」ニタニタ
一夏(うわぁ、すっげぇ悪い顔してる……)
ボン太くん「ふもっふ!」
一夏「OK、わかった。じゃあ、試合開始!!」
鈴「人の恋路を邪魔する奴はァ!馬に蹴られて地獄に堕ちろぉぉ!!」ギュイン
ズガンズガンズガンズガン
一夏「鈴のヤツ張り切ってんなぁ」
ボン太くん「ふもっふ」ポヨンッ
鈴「な、あの攻撃を掻い潜ったってわけ!?」
セシリア「私におまかせ……」
ボン太くん「ふも!!」ジャコン
セシリア「愛らしすぎですわ///」
ボン太くん「ふもっふ!!」ズドン
一夏「あーあ、セシリアやられちまった……」
ラウラ「私に任せろ!」
ボン太くん「ふも!?」
ラウラ「宗介、聞こえるか?宗介。返事はしなくてもいい。ただ、聞いてくれればいい。織斑教官は、逝ってしまったよ。全て自分が悪かったって、言い残してね。でも、そんな事はもういいんだ。いいんだよ。それともその事で私がお前を責めるって、思っているのか?なあ、私たちはこの1年間何をしてきたんだ。私達のこの1年間は何だったんだ。まだ何も答えなんか出てないじゃないか。(中略)なあ、宗介、決勝の朝、私は言ったよな。優勝したら、お前に聞いてほしい事があるって。私は戦うことしか出来ない不器用な女だ。だから、こんな風にしか言えない。私は、お前が、お前が、お前が好きだー、お前が欲しいぃぃーー宗介えええええええ」
ボン太くん「ふもっふ」ズドンズドンズドン
ラウラ「痛い痛い痛いぃぃぃぃ!」
一夏「勝手に千冬ねぇ殺すなよ。ってか、なんだよその恥ずかしい告白……」
鈴「どいつもこいつもふざけんじゃないわよ!真面目にやれっての!!」ギュイン
ズガン
ボン太くん「ふも!?」ポヨンッポヨンッポヨンッ
シュタッ
ボン太くん「ふも……」ジャコン
鈴「別にあんたの事は嫌いじゃないわよ?ただね……アタシは一夏の方が好きなの。あの三バカがあんたにぞっこんな様に私は一夏にぞっこんってわけ!一夏にアタシの作ったエビチリ食べてほしいし、一夏と一緒に遊んだりしたいのよ……なのに一夏ときたらソースケソースケソースケソースケソースケ!!うんざりよ!!ここであんたを倒してアタシは!!」
ボン太くん「ふもっふ」ズドンズドンズドン
鈴「まだ話の途中だってのーー!!」
ボン太くん「ふもふも、ふもっふ」キリッ
一夏「これで終わりかな?終了ーー」
ボン太くん「ふもっふふもふも」ピョコタンピョコタンピョコタン
一夏「シャワー浴びてくるって?わかった。じゃあ、食堂に集合な」
シャル「」ピクッ
一夏「シャル、データ録れてるか?」
シャル「え、あ、うん、とれて……あちゃーインターフェースの数値化がちょっと甘いかなーこりゃ機体から直接とるしかないなー」
一夏「ん?じゃあ、宗介に戻ってきて……」
シャル「仕方ないなー僕が直接とってくるしかないよねー!じゃあ、とぅっとぅるー♪」シュバッ
一夏「え、あ……なんで、カメラもってたんだろ……」
鈴「くぅ……ボン太くんごときに……」グスン
セシリア「デュノアさんはどこですの?」
一夏「え、なんかデータの数値化が甘いって宗介を追ってったけど……」
セシリア「宗介さんはどちらに?」
一夏「シャワー浴びに……」
ラウラ「まずいぞ!シャルロットのヤツ、嫁のシャワーを覗く気だ!!」
一夏「ま、まさかぁ……だってよ、シャルなんだぜ?」
セシリア「関係ありませんわ。私だって、出来るなら見たいですもの」
ラウラ「私は、一度失敗してる」ドヤァ
鈴「いやいや、アタシを無視しないでよ」
一夏「まずいぞ!シャルのヤツ、宗介に殺されるかも!!」
セシリア「さ、さすがにそれは……」
ラウラ「私の時はドアを開けた瞬間、煙幕弾で視界をやられナイフを突きつけられた。見事な手際だった」
一夏「シャルを追えーー!!」
セシリア「抜け駆けは許しませんわーー!!」
ラウラ「リベンジだーー!!」
鈴「こうして人は孤独になるのね……というか、一夏のヤツちゃんとアタシの告白聞いてたのかな?」グスン
―――
――
―
~ 数日後 ~
「織斑先生、おはようございます」
千冬「ああ、おはよう。授業におくれるなよ」
「はーい」
千冬「最近、騒動続きだったからこう言う日常は心が休まるな。相良も問題を起こすことが減ったし、良い傾向だな」スタスタスタ
ピョコタンピョコタンピョコタン
ボン太くん「ふもっふ」ビシッ
千冬「ああ、ふもっふ」
ボン太くん「ふもっふ、ふもふも」ピョコタンピョコタンピョコタン
千冬「ふふ、ボン太くんは今日もキッチリしてるな。良い事だ」スタスタスタ
千冬「……ちょっと待てえええええええ!!」
ボン太くん「ふも?」
千冬「な、な、なんでボン太くんがこの学園を平然と闊歩してるんだ!というか、お前は誰だ!!」
ボン太くん「ふも、ふもっふふもっふ」ビシッ
千冬「相良ァ!?なんで、お前がそんなものを着ているんだ!!」
ボン太くん「ふもっふふもふもふんもっふ」
千冬「警備用のパワードスーツだと!?」
ボン太くん「ふもっふふもふもふんもっふ」
千冬「学園の警備体制を危惧してって……なんでよりにもよってボン太くんなんだ……」
ボン太くん「ふもっふ……?」シュン
千冬「ふわっ!?」キュン
ボン太くん「ふも?」
千冬「な、なんでもない!取り敢えずそれは脱げ!!いくらなんでも周りに示しがつかんだろう」
ボン太くん「ふも……」プシュッ
千冬「ボン太くんが機械音で開くのは偉いシュールだな……」
宗介「良いアイデアだと思ったのですが……」
千冬「いや、お前の気持ちは嬉しいんだが……」
山田「織斑先生!大変です!!ア、アリーナにボン太くんの大群が」
千冬「な、なんだと!?」
――― アリーナ ―――
ボン太くんmk2「ふーもふもふもふもっふもー」
ボン太くん「「「ふーもふもふもふもっふもー」」」
ボン太くんmk2「ふもっふもっ!」
ボン太くん「「「ふもっふもっ!」」」
千冬「ボン太くんがランニングしてるだと!?」
山田「シュールですね……」パシャッパシャッ
宗介「集合!!」
ボン太くんmk2「ふもー!!」
ピョコタンピョコタンピョコタン
ボン太くんmk2「ふもっふ!!」ビシッ
ボン太くん「「「ふもっふ」」」ビシッ
千冬「ボン太くんがこれだけいると威圧的が……というかそこの眼帯してるボン太くんはもしかしなくてもラウラだろ!!」
宗介「肯定であります。彼女にはボン太くん部隊の隊長を任せました」
スパァン
千冬「お前ら軍人が学園を変な色に染めるんじゃない!!」
宗介「恐縮であります!!」ビシッ
ボン太くんmk2「ふもっふ!!」ビシッ
千冬「第一これだけのボン太くんをどうやって揃えたんだ!!」
宗介「はッ、デュノア社の全面バックアップであります。シャルロット」
シャル「いやぁ、実際に生産ラインに乗せるまで苦労しましたよー!まぁ、これも将来宗介と一緒に会社を経営していくための花嫁修業だと思えばなんてことはないですけどね」ドヤァ
スパァン
千冬「デュノア社を私物化するなッ!!」
宗介「テストパイロットに一夏と凰を起用し、オルコット家のコネクションを頼った結果、爆発的に業績を伸ばしました。今やデュノア社はボン太くんシェアNo.1の企業です」
千冬「……もうついていけん」ハァ
ドカァン
千冬「な、何事だ!?」
『我々はこだわりのある革命家の集いである!突然だが、女尊男卑を助長するこのIS学園の存在はまことに遺憾であり、我々としても看過する訳にはいかないので破壊の限りをつくし生徒たちにはポニーテールを強要させてもらうので悪しからず』
千冬「なんだ!あの馬鹿丸出しのテロリストは!!」
楯無「ここで生徒会の出番ね!!」ギュイン
千冬「更識!?」
ズドン
楯無「キャーー」ドサッ クテン
『こちらにはASの備えもあるので悪しからず』
千冬「仮にも学園最強だろう!しっかりしろ……」
宗介「諸君!聞いてくれ!!」
ボン太くん「「「ふもっ!!」」」
宗介「我々は、この学園の一生徒に過ぎない。だが、ISという強力な兵器を扱う以上、アマチュアのままいるわけにもいかんだろう。ならばどうする!!」
ボン太くんmk2「ふもっふ!!」
宗介「そうだ!プロフェッショナルに撤し、学園が危機に陥った際には可及的速やか且つ冷静に事に当たる必要がある!!そして、今がその学園の危機だ!!諸君、我々はなんだ?」
ボン太くん「「「ふもっふ!!」」」
宗介「そうだ!では、どうする!!」
ボン太くん「「「ふもっふふもっふーー!!」」」
宗介「よしっ!それでは、我々はこれより実戦を開始する!!」
Uボン太くん「ふもっ!!」
サイコボン太くん「ふもっ!!」
宗介「一夏とセシリアか!よしっ、各員部隊長及び二人の指揮のもと制圧を開始しろ!」
ボン太くん「「「ふもっふーーー!!」」」
千冬「もう、ダメだ……」
宗介「教官、安心してください。彼らは優秀です」キリッ
千冬「相良ァ!!」スパァン
『ひぃぃぃぃぃぃ!?』
ボン太くん「ふもーーー」
―――
――
―
この事件は、IS学園ボン太くん部隊の八面六臂の活躍により無事に終息した。
だけど、あんまりにあんまりだって事で千冬ねぇからの懇願により、ボン太くん部隊は解体されてしまう。
しばらくは宗介も少し落ち込んだけど、SWATやネイビーシールズにグリーンベレー、チ○ック・ノリスとスティ○ブン・セガール、エク○ペンダブルズまでもが装備として導入したとの報せが入って元気を取り戻した。
ちなみに、デュノア社の業績回復に多大なる貢献をした宗介は、しつこくシャルとの結婚をすすめられてるらしく、ラウラとセシリアが必死で阻止している。
ちゃっかり千冬ねぇも裏で暗躍して阻止しているらしい。千冬ねぇも良い加減認めたら良いのに……。
まぁ、そんなこんなでボン太くん騒動は一応終結しました。
千冬「一夏のヤツ!反省文くらい真面目に書かないかまったく……」
ポテッ
千冬「ん?」
ぬいぐるみボン太くん「ふもっふ」
千冬「ふむ」ジー
ぬいぐるみボン太「ふもー」
千冬「…………」ギュッ
山田「」パシャッパシャッ
千冬「はっ!?山田先生!!」
山田「私は何も見てませんよ」シュバッ
千冬「ま、待て!」シュバッ
おわり
VTシステム研究の妨害及び施設の破壊のためにドイツへ向かった宗介だが、そこでとある組織のIS学園急襲の情報を知る。
――― 亡国機業 ―――
突如、名前の上がった組織の情報にガウルンの罠だと疑う宗介だったが、トゥアハー・デ・ダナン艦長テレサ・テスタロッサは攻勢に出る事を選択する。
一方で、IS学園でも不穏な影が篠ノ之箒に忍び寄っていた。
奔走する宗介、戸惑う一夏、暴走するヒロイン達とほくそ笑むガウルン。
様々な思惑と感情が交錯する。
次回、『わらうファジー・ファニー・バニー』
ラウラ「私と嫁の新婚生活レディィィゴォォォォォ!!」
シャル「犯罪係数オーバー300。刑事課登録執行官・任意執行対象です。セーフティーを解除します(レ○プ目)」
一夏「今度はここが戦場になるのか……」
こんな感じですいません
ちょっとずつですが書き溜めてますので
お待たせしているのに優しい言葉をいただけるとは嬉しくてモチベーションがあがりました
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