卜部「謎の彼氏X」(55)


この世に
SEXというものが存在することをはじめて知った少女は_

誰もがこう思うに違いない
自分がそれを初体験する相手は
いったい どんな男性なのだろうか __と





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謎の彼氏

ジリリリリリリリリリ

椿「…ん…。」

ジリリリリリリリリリ…カチッ

椿「…ふァ……変な夢…」


陽平「おはよう明子…母さんは?」

椿「おはよう!お母さんは仕事に行っちゃったよ。もう朝ご飯できてるから早く食べてね。」

私、椿 明子。
自分で言ってて悲しくなるけど、成績、運動神経も並の普通の女の子…だと思う。
でも、最近は若いころのお母さんに似て綺麗になったって言われる!
…お母さんからだけどね。

陽平「ねむ…い…」

ぼたぼた

椿「お兄ちゃん!こぼれてるこぼれてる!」

陽平「…ん?あッ!?やべッ!」

べたぁ~

椿「あー…なにやってんのよ…ぼんやりしてたら会社に遅刻しちゃうよ?…もう」フキフキ

陽平「ごめん明子…」

お父さんは小さい頃に亡くなっちゃって、今はお母さんとお兄ちゃんの三人暮らし。
二人とも働いてるから私が家事を全般的にやってます。
お母さんはまだしも、お兄ちゃんはちょっと抜けてる所もあるから、私が支えてあげないと!

陽平「行ってきまーす」

椿「お兄ちゃん!ゴミ捨てて行ってね!」

陽平「分かってるよ。」

椿「さて、私も学校行かないと!」

~学校~

椿「今日は雨降らないよ?」

上野「ちが~う、これはゴルフのため~。」

先生「おはよう!」ガラッ

日直「きりーつ!」ガタッ

先生「あー、そのままでいいから聞いてくれ!今日からこのクラスに入ることになった転校生を紹介する。」カキカキ

先生「キミ!入りなさい。」

転校生「……。」スタスタスタ…

先生「名前は、卜部 真 君だ」

卜部「…。」…スタスタ、キュッ!

椿「…男の子…。」

先生「じゃあ、卜部!クラスの皆に、何か一言!」

卜部「………よろしく。」

先生「…ホントに一言だなぁ~まぁいい!皆、よろしくやってくれ!…え~と椿!手を上げて!」

椿「はい。」スッ

先生「彼女の隣の席が空いてるだろ?そこに座ってくれ。」

卜部「…はい。」

転校生が私の隣…。
ちょっと不思議な雰囲気のする人だけど、仲良くなれたらいいな。

椿「あ、あのっ」

卜部「…?」

椿「私、椿 明子。何か分からない事があったら、なんでも聞いてね。」ニコ

卜部「…あぁ。」

前髪が長いから表情が分からないけど…緊張してるのかな?
無愛想に見えちゃう…。

~昼休み~

上野「お、相変わらず美味しそうな弁当だねぇ!」

椿「毎朝作ってたら上手くなるよ。」

上野「私には無理だな…」

この背の高い女の子は上野 公。
一年生からの私の親友。ちょっと男勝りで、スタイルがいいから男の子からも人気。

上野「もぐもぐ…めしうま…」

椿「…。」チラッ

卜部「…」Zzz…

授業が終わった途端、机に突っ伏して…お昼ご飯食べないのかな?

椿「…あ。」

男子s「「「うーらべっ!」」」

卜部「Zzz…ん……あぁ…?」ムクリ

男子A「卜部!昼飯一緒に食おうぜ!」

男子K「お前、体格イイけど、前の高校で部活何やってたの?」

男子B「お前の話、色々聞かせてくれよ!同じクラスなんだし!」

やっぱり転校生だし、皆気になるよね。
クラスに馴染めば、卜部君がどんな人なのかも分かるし…。

男子A「なっ!卜部!」

卜部「ごめん。」

男子s「「「えっ?」」」

卜部「今、すごく眠いんだ。声かけないでくれ。」

椿「ぇ…!?」

男子s「「「え~!?」」」

…卜部君は見た目以上に、変わった人だった。
そして…それをクラスの皆に決定づける事件がこの後の5時限目の授業の時に…起こる_

男子D「…Zzz」

女子H「ふわぁ…」

椿「…。」ウトウト

「ふっ…くくく!」

椿「…ん?」

卜部「くっ…ふふふ…。」

笑って…る…?

卜部「ぷはっ…あはっ…!!」

ちょ、ちょっと!今は授業中よ!?

卜部「あははははは…ッ!」ガタン!

女子C「え!?」

先生「な!なんだ!?」

卜部「あっはっはっ…!!」ゴロン

何でこの人…いきなり笑い転げてるの!?

『…卜部真は……』

ん?何か…声が…?

卜部「ふははははッ!」

先生「おい卜部!一体どうしたんだ!?」

卜部「ふはっ…す、すいません。」

『お前の初めての…………だ。』

………え…?


卜部「…ははっ…今個人的にすごくおかしな事が起きまして…笑うのが我慢できなくて…」

何…今の………誰なの…?

先生「個人的に…おかしな事!?」

卜部「いえ、くふっ…非常に個人的な事なんで…説明はできないんですけど…。」

気のせい…かしら?

先生「…とにかく!授業中にいきなり爆笑するのはやめてくれんか!」

卜部「あっ…全くその通りですね!以後、気をつけます。」フフッ

この一件から…卜部真は転校初日から

変な奴

のレッテルを貼られた。

卜部「…Zzz」

椿「また寝てる…。」

その後も休み時間はほとんど机で寝ていて…
次第にクラスの皆は、卜部君を敬遠するようになった…。

そんなある日の放課後…

椿「いっけない!お弁当箱忘れちゃった!教室に戻らないと…」

~教室~

椿「ん?…誰かいる…」

卜部「…。」Zzz…

卜部君、まだ寝てる…

椿「はぁ…しょうがないわね。」

誰もいない教室に一人で残すのも可哀想だし、起こしてあげよう。

椿「卜部君!もう下校時間よ!起きて!」

卜部「…」スースー

…結構ぐっすり寝てるわね。

椿「卜部君!起きてよ!」トントン

卜部「…ん…」ムクリ

やっと起きた…全く世話のやけ…

卜部「ん……なに?」

椿「あ…。」

卜部君って……けっこう…

卜部「なに?」

椿「はっ…!いや!あの、もう下校時間過ぎてるから…帰った方が…。」

口からよだれを垂らしてるのも…また…

卜部「あぁ、もうそんな時間か。」ガタン

椿「……。」ポー

卜部「…。」スタスタ

椿「…あ!卜部君、待って!」

寝ぼけて、よだれに気づいてないみたいね。

卜部「…あ?」

椿「口によだれ、ついたままよ?……拭いてあげる」フキフキ

卜部「ん…!」ドキッ

卜部君、可愛いところあるわね。
そういえば、カバンの中にたしかお茶が…あった!

椿「あと、口の中カラカラでしょ?ゴソゴソ…私の飲みかけだけど、ハイ。」

卜部「…ゴクゴク…ありがとう。」

椿「どういたしまして。」

卜部「…」スタスタ…ガラピシャッ!

椿「…あ、これって、卜部君と間接キス…///。」

そういえば、私のハンカチには卜部君のよだれが…

椿「…クンクン…」

良いにおい…

椿「……ペロッ」

甘い…

椿「……は!私ってば、何うっかり よだれを舐めてるの!?か、帰ろう!!」

~夜~

椿「あ~今日も疲れた…。」ゴロン

目を閉じて、今日の放課後のことを思い出す。

椿「はぁ…」

今日 初めて卜部君の素顔見ちゃったな…
普段は、長い前髪で顔の半分が隠れてるし…
けっこう…いや…かなりかっこ良かったな…

椿「…だからと言って、よだれを舐めるのは…変態過ぎるよね…私…。」

その晩、私は夢を見た。
見知らぬ男の子に手を引かれて
どこなのか知らない、奇妙な街へ行き_

?「一緒に、踊ろうよ!」

椿「え!でも私…踊りなんて…」

卜部「大丈夫。俺が教えてあげるから!」ニコ

椿「……うん!」

でも実は、その子は卜部君で!

二人で楽しく踊ってる夢__

椿「…ん。」ムクッ

そしてその夢は、目を覚ました後も鮮明に覚えていて_

陽平「じゃ、気をつけてな。」

椿「うん、お兄ちゃんも仕事頑張ってね。」

何日経っても、私の頭の中で薄れることはなかった_

それから、何日か経ったある日。

椿「おはよう、公。」

上野「おっす椿。そういえば昨日、ベーコンを生でさ…」

椿「またその話?この前も聞いたわよ。」チラ

上野「え~そうだっけ?」

椿(今日は卜部君…休みなんだ。)

卜部君も風邪とか引くんだなとその時は思ってたんだけど…

~5日後~

椿(え?今日も休み?)

男子S「何かずっと卜部の奴、休んでるよな」

男子E「地球の環境に馴染めなかったんじゃない?」

男子X「んな訳…ありそうだな。」

上野「最近、インフルエンザとか流行ってるっけ?」

椿「病弱そうな人には見えないよね。」

それにしても休み過ぎだ。
一週間前の放課後のことや夢のこともあり、気になった私は、担任の先生に聞いてみることにした。

先生「卜部か?どうやら風邪をこじらせて、熱が下がらないらしいんだ。」

椿「そうなんですか…」

先生「今度、中間テストもあるし、連絡したい事もあるからな…早く治るといいんだが…」

今考えても、この日の私は少しおかしかったと思う。

椿「先生!」

先生「ど、どうした?いきなり大声なんか出して?」

椿「卜部君の家って、どこなんですか?私、プリント渡してきます!」

何故か、卜部君に会わなきゃいけない…
そんな気がしたのだ。

放課後、私は先生に卜部君の家を教えてもらい、学校のプリントを持ち、お見舞いにリンゴを買って行った。

~卜部宅~

椿「ここね…。」ピンポーン

そういえば、卜部君の親ってどんな人なんだろ…やっぱり変わってるのかな?それとも意外と普通だったりして…

インターホン「はい」

椿「あ、こんにちは!私、卜部君と同じクラスの椿といいます!
先生から頼まれたプリントを持って来ました!」

インターホン「…今出ます。」

誰だろう?こもった声をしてるから誰か分からない…お父さん?
ていうか、普通だったらプリントとか渡しておくって言われて…
これじゃ卜部君に会えないじゃない!

椿「何か…会わなきゃいけない理由を考えなきゃ…」ブツブツ

ガチャ。

椿「あ…!」

卜部「…ごほ…待ってたよ。どうぞ。」

風邪なのに卜部君がでてきた…!親はいないのかな?
それより待ってたって…?先生が連絡したのかな?

椿「お邪魔します。卜部君、家の人は…」

卜部「…今は二人とも仕事でいないよ。」

椿「そうなんだ…ごめんね、風邪で苦しいのに、押しかけちゃって…」

卜部「イイよ別に。」

卜部君らしい無愛想な態度だけど、風邪引いてるからか、弱々しい。

卜部「…俺も話したい事があるから、部屋に来てくれないか?」

椿「え?…う、うん。」

卜部君からの話って…何?
まさかこ、告白!?そういえばご両親もいないみたいだし…いや!考え過ぎか…。

卜部「はい、椅子。」

椿「…あ、ありがとう…。」

ここが卜部君の部屋…何か思ってたより普通…ちょっと殺風景…かな?

椿「……身体の調子はどう?」

卜部「…熱が下がらなくて、ずっと身体がだるい。」

椿「そ、そうなんだ。病院では、なんて言われたの?」

卜部「…は?」

椿「えっとだから…お医者さんからどんな診断を…」

卜部「…病院なんか、行くわけないじゃないか。」

…意味が分からない。

椿「え…?な、なんで?一週間も熱が下がらないんでしょ?風邪じゃなくて、何か病気だったら…」

卜部「それは大丈夫。原因ならもう、分かってるから。」

な…何言ってるの?卜部君は…?

椿「…あのね卜部君。自分の身体の事なんだから、ふざけてないでちゃんと…」

卜部「ふざけてなんかいない。俺の病気は…」

椿「だから…!」

卜部「椿、お前が原因だ。」

え……?

椿「わ、私が…原因?」

あきらかに卜部君はおかしい事を言ってるのに…私は心を見透かされた気がしてドキッとしてしまった。

卜部「2週間くらい前…椿が俺を起こした時…」

~~~~~~

椿『あと、口の中カラカラでしょ?ゴソゴソ…私の飲みかけだけど、ハイ。』

卜部『…ゴクゴク…ありがとう。』

椿『どういたしまして。』

~~~~~~

卜部「…間接キス…しただろ?」

いきなり何を言い出すの卜部君は!?
もう訳が分からないのと恥ずかしさで頭が混乱してきた…

椿「…あ…う、うん…そうだけど、それと何の関係が…」

卜部「椿、ちょっと俺の額をさわってくれないか?」

前髪を手でかきあげ、素顔の卜部君と目が合う。

椿「わ、分かった。」

もうどうにでもなれ…
半ばヤケになった私は言われた通り、卜部君の額に手を当てる。

椿「あつっ!?う、卜部君!大丈夫なの!?」

あまりの熱さにびっくりした私は大声をだしてしまった。その瞬間…!

卜部君「…。」シュンッ!

椿「…んっ!?」パクッ

口の中に…卜部君の人差し指が!!

椿「ぷはぁっ!い、いきなり何すんのよ!!」

卜部「…。」ヌラァ…

卜部君の指に私のよだれが…
な、なんか恥かし…

卜部「んっ。」パクッ

椿「なっ……///」

ちゅぱちゅぱ…と、卜部君は指をしゃぶっている…
私のよだれが着いた指を!!

卜部「……椿のよだれって…甘いんだな。」

椿「…うぅ…///」

な、なにが…『甘いんだな』…よ!!
正直、あまりの羞恥に卜部君に手を上げたいくらいだが…何故か今は卜部君が気になって仕方がなくなってきた。

卜部「…椿、また俺の額をさわってくれ。」

椿「ま、まさか…」

恐る恐る、手を触れる。

椿「やっぱり…!熱くない!」

卜部「ありがとう椿。身体も軽いし、いつも通りになったよ。」

椿「な…なんで!?」

卜部「あの日、俺は間接的に椿のよだれを取り入れ、身体に吸収したのに…
今までずっと取り入れなかったから、禁断症状が生じてたんだ。」
椿「禁断…症状?」

卜部「だから今、もう一度椿のよだれを舐めて、治った…!」

椿「ちょっと待って!そんな話、おかしいじゃない!私のよだれを舐めたからって、卜部君が病気になるなんて!!」

卜部「…そうなんだから、仕方が無いだろ。」

椿「じゃあ…ということはつまり…私のよだれには、禁断症状を引き起こすような…何か、特殊な成分か…
細菌とかが含まれてるってこと!?」

卜部「…は?」

椿「ど、どうなのよっ!?」

卜部「…ぷ…く…ははっ…」

口に手を当て震えてる…この感じまさか…

卜部「あっはっはっはっ!!ふははは…ッ!」

椿「やっぱり…」

またあの時みたいに笑い始めた…

卜部「椿。俺がかかっていた病気に、特殊な成分とか細菌は関係ない。」

椿「…じゃあ、一体…」

卜部「つまり、俺がかかっていた病気は…」

椿「…。」ゴクリ…

何故か緊張する。

卜部「ただの…」

髪の隙間から、卜部君と目が合う。

卜部「恋の病だ。」

椿「…ッ!?」ドクン!

卜部「椿のよだれが特別な訳じゃない。もう一度、好きな女の子のよだれを舐めたい!ただのその気持ちが、禁断症状の原因…!」

椿「好きな…女の子…!?」

卜部「机で寝ていた俺を起こしてくれた時、椿は自分のハンカチで俺の口を…微笑みながら拭いてくれた。」

椿「あ、あの時の事…?」

卜部「あの時、椿の表情と優しさに触れた俺は…

…椿の事を、好きになったんだ。」

え…なんなの…私、告白されたの?
なんで卜部君はこんな真剣な顔で…もうわけが分からない!!

椿「あ……!!わ、私!もう帰るね!明日また学校で!…///」ダッダッダッ…

もう恥ずかしくて、卜部君の顔を見ていられない!
私は逃げるように卜部君の家から出て行った。

卜部「…椿、何か忘れて行ったな。」

ビニール袋を拾い上げる。

卜部「…これは…リンゴ…お見舞いに買ってきてくれたのか。」

シャクッ。

卜部「…甘い。」

__翌日、卜部君は学校に復帰した。

先生「ここで、この方程式を…」

椿「…。」チラッ

卜部「……。」カチカチッ

学校の中では今までどおり、卜部君と口をきくことはほぼない…ていうか、あんな事言われた後だからその方が嬉しいけど…

椿(あまり実感湧かないけど、私…卜部君に、好きって言われたんだよね…。)

私は…どうなんだろう…
確かに、卜部君は素顔がカッコいい…何か気になる存在ではあったけど…良く分からない。
よし…!

~放課後~

卜部「…。」スタスタ…

あ…来た!

卜部「…!……椿…。」

椿「卜部君!途中まで一緒にかえろ!」

卜部「…俺を待っていたのか?」

椿「うん!…///」

私は卜部君のこと全然知らない。
だから、毎日一緒に帰って、卜部君とのコミュニケーションを
増やせば、自分の卜部君に対する気持ちが分かるかもしれない。

だけど…

椿「…今日の数学の授業、難しかったよね。」スタスタ

卜部「…そうかな。」スタスタ

椿「卜部君は何か部活とかやらないの?」スタスタ

卜部「興味がない。」スタスタ

は…話が広がらない!
でも一応…コミュニケーションとれているのかな?
そして私には、もう一つ目的がある。

卜部「椿。俺、家こっちだから、また明日…」

椿「待って!」

卜部「…なに?」

うぅ…///恥ずかしいけどやるしかない…!
これは卜部君のために仕方が無いことなんだから!

椿「…ん…」

ちゅく…

自分の指を咥える。そして…

ちゅ……

椿「……はい///」

よだれの着いた指を、卜部君に差し出す。

卜部「…いいのか?」

椿「…だって…舐めないとまた、あの時みたいに禁断症状が出ちゃうんでしょ?
もう、卜部君の苦しそうな顔、見たくないの…///。」

卜部「…椿…。」

椿「お願い。恥ずかしいから早く舐めて…///」

卜部「…分かった。」

ぱくっ。
ちゅぱ…ちゅぱ…れろぉ…

椿「…んっ!…///」ゾクゾク

なにこれ…やばい…
指を舐められてるだけなのに…すごく気持ちいい…!
癖になりそう…。

椿「…ちゃんと舐めた?」

卜部「…うん、ありがとう。」

椿「じゃ、また明日。」スタスタ

卜部「うん…。」

くるっ

椿「卜部君!」

卜部「…?」

椿「明後日も!これからもずっとよ!」

卜部「…!…またな、椿!」

卜部君…あんな明るい大きな声…だせるんだ…。

椿「うん!」ニコ

それから、私達のこの日課は毎日続いた。
最初は恥ずかしかったけど、日課を放課後に毎日繰り返していくうちに慣れてきて…
気が付けば、私は卜部君と一緒に帰ること、日課をすることが楽しみになっていた。
授業中も、その事が気になってしかたがない。
…というより、私は……卜部君自身が気になってしかたがない。

そして 私は久しぶりにまた
あの夢を見た
知らない街で
卜部君と私が踊っている夢

その夢から目覚めた私はその日の放課後に卜部君に…あの時の返事をしようと
決意した。

~帰り道~

卜部「…椿、また明日。」スタスタ

椿「…待って!」

卜部「…?」

椿「…私!今日卜部君に…伝えたい事があるの!!」

卜部「…伝えてくれ。」

椿「えっと…この前卜部君の家にお見舞いに言った時…私に…す、好きだって!…言ったよね?」

卜部「うん、言ったよ。俺は椿が好きだ。」

うぅ…///
どうして卜部君はこういう事を躊躇なく言えるのかしら…///

椿「そ、それで!私、まだ…卜部君に…私の気持ちを伝えてないじゃない?」

卜部「…そうだな。」

椿「だから、私も今日…返事を言うわ!」

…もう、迷いはない。
私は自分の財布から一枚の写真を取り出した。

椿「卜部君、この写真を見て!」

卜部君と付き合う前に、私なりのけじめをつけなければならない。

卜部君「…これは?」

椿「カッコいい人でしょ?」

卜部「………これが…何?」

椿「この男の子は…私が中学生の頃に片思いしていた人なの!」

卜部「…。」

椿「中学の3年間、ずっと片思いをしていて…その人の事が忘れられず、中学校の体育祭で隠し撮りしたこの写真を……
高校生になっても財布に入れて時々眺めたりしていたの!」

もう、あの人の事は…忘れる。

椿「でもあの日…卜部君に好きだって言われて…正直、この人のことも想ってたから…私は今まで、何事もなかったかのように
振る舞って逃げていたけど…卜部君と何度も一緒に帰っているうちに…決心がついたわ!」

私はそう言って、卜部君から写真をとりあげ…

ビリビリに破り捨てた!!

椿「私が今好きなのは__卜部君なの!……もう昔の思い出はいらない!」

今は…
卜部君しか…見えない…!

椿「今日から私は!卜部君の彼女になるんだからっ!!」

卜部「……」

椿「……///。」

つ、ついに言っちゃった~///
我ながらすごくクサイこと言ったな……自分を褒めたい…。

卜部「……ごふっ!」ボタボタ…

う、卜部君が吐いた!?

椿「ど、どうしたの卜部君!!大丈夫!?」

卜部「つ…椿がいきなりそんな大胆な告白するから…俺、すごく嬉しいことが起こると…口から大量によだれが溢れ出るんだ。」

意味が分からない…けど…

椿「…えっ!?な…なんで!?」

卜部「…?…なんでって言われても、…俺はそういう人間だから…。」

まぁ…卜部君らしい…かな?
あ…

椿「…卜部君、また口からよだれが垂れてるよ。」フキフキ

卜部「ん…ありがとう。」

今日から私だけが、卜部君のよだれを拭う係りね…

卜部「なぁ椿…」

椿「ん…?」フキフキ

卜部「椿って…処女?」

椿「えっ」

せ、セクハラー!

卜部「処女じゃ…ないのか?」ジワッ

なに涙目になってんのよ!私が経験あるように見えるの!?

椿「しょ、処女に決まってるでしょッ!!」

卜部「そうか…よかった…!」パアァァァ

初めて笑顔を見たかもしれない…

卜部「俺も、童貞なんだ…。」

そうですか…
まぁ、私も嬉しいけどね…。

卜部「なぁ、椿。転校初日、俺が授業中に大笑いしたの覚えてる?」

椿「…うん、良く覚えてるけど?」

卜部「俺、あの時『誰か』の声が聞こえてきて……その声があまりにおかしかったから大笑いしたんだ。」

……そういえば…!

椿「…『誰か』の声…?…その『誰か』って…誰なの?」

卜部「…俺にもよく分からない。ただ、はっきりと声が、俺の頭の中で聞こえたんだよ。」

……あれは…気のせいじゃなかったの…!?

卜部「授業中、なにげなく隣の席の椿を見ていた時に…」

椿「…まさか……。」

卜部「その声は、こう言ったんだ。」

『椿 明子はお前の生まれて初めてのSEXの相手となる女だ』

『卜部 真はお前の生まれて初めてのSEXの相手となる男だ』

卜部「___って…。」

椿「卜部君…。」

卜部「…?」

椿「実は、私も…その声が聞こえたのよ……。」

卜部「……!!…そうなんだ…。なら俺と椿が…」

こんな事…こんな偶然って…ありえるの…?

卜部「恋人同士になるのは、運命だったんだな。」

椿「……そう…だね。」

卜部「さて…もう帰らなきゃな。椿、また明日。」スタスタ

運命か…謎の多い運命もあるのね…。

椿「……卜部君!!」

卜部「…?」

椿「今日から私は___卜部君の彼女だよ!」

卜部「……俺も今日から、椿の彼氏だ!!」


その日
私に生まれて初めての彼氏ができた
名前を__

卜部 真

__と言う。

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