オドロキ「たった一つの真実みぬく!」(47)

※この話はSSです。実在の人物・団体・作品とは一切関係ありません。

「…はあ…はあ…」

「やってしまった…殺してしまった」

「…くそっ! なんでぼくがこんなことに!」

「逃げなきゃ…捕まってしまう…」

…ガチャ!

「警察だ!」

「あっ、お…お巡りさん!」

「これは…君! 現行犯で逮捕する!」

「えっ…」

「さぁ、一緒に来てもらおう…」

「…円谷光彦!!」

                                            _,.-''''ヽ
                                        ___,.-''    /
          ゝ                        ______,.--'''''    __,ノ
        丶 ヾヽ                      __/     ___,.--''''
        ヾ '''  ヽ                  ,.,./''       \
        /     l          _____________,.-'            l
       l    __  :l  __ ________,.-' ヽ 、                   )
      ヽ   ( l ノ''' ''        \\                /
       ヽ  '''              \\         , イ   /
        :l                  \\_,-‐二‐-,_//ヘ-'''''
     _,.-'''               __   /'''''>  く´_`//、
     /             _,.---'''''''' ''''''''' //'`ヽ    l´ ヽヽ
 __ --ノ            /          l l   ,!    l、 .l l
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  __/∠_ニ二,,,,,, =/ /=/ ム! .) フ ';;) )ノ く1  / /  `_/ /
  l/ゝ------/  / / レ‐''''し''.レ''´と‐'´ヽ__,) ∠,/   )/
             ~できたぞ新一!光彦君を逆転死刑にするSSじゃ~

9月12日 午前 12時18分
地方裁判所 第4法廷

ザワザワザワ…

カン!

サイバンチョ「それでは、これより円谷光彦の法廷を開廷します」

オドロキ「弁護側、準備完了していますッ!」

サイバンチョ「ウム、よろしい。いい声ですな」

オドロキ(しばらく仕事が入っていなかったから、今日は久しぶりの法廷だ)

サイバンチョ「さて、検察側は…」

ユガミ「………」

サイバンチョ「………ユガミ検事も、準備完了しているようですな」

オドロキ(よりにもよってユガミ検事が担当かよ…)

人物ファイル

・夕神 迅(28)
今回の事件の担当検事。ロリコン特有の喋り方をする。
オレには厳しいが希月さんには激甘。
肩に「ギン」と言う名前の鷹を留まらせている。

サイバンチョ「えーと…それではユガミ検事、冒頭弁論を…」

ユガミ「………………」

サイバンチョ「あの…ユガミ検事…」

ユガミ「……………」

サイバンチョ「そ、それでは私が行わせていただきます」

オドロキ(無言の圧力に負けてるぞ…)

サイバンチョ「えーと…被害者の名前は毛利小五郎…おお、知っていますぞ。『眠りの小五郎』ですな」

ナルホド「裁判長ですら知ってるのか…有名な人なんだね」

オドロキ「成歩堂さん…(すらって)」

サイバンチョ「そして、容疑者は円谷光彦。帝丹小学校の…ム…?」

ユガミ「オイ、ジイサン」

オドロキ(お…口を開いた)

サイバンチョ「は、はい。なんですかな?」

ユガミ「おめえさんの仕事は事件のあらましについて説明すること…違うかい?」

オドロキ(それはあんたの仕事だろ!)

ユガミ「無駄なことを考えてねェで…とっとと進めなァ!」

サイバンチョ「…そうですな。わかりました」

オドロキ(わかっちゃったよ裁判長!)

サイバンチョ「容疑者は円谷光彦。帝丹小学校の1年生ですな」

人物ファイル

・成歩堂 龍一(34)
オレが勤める成歩堂法律事務所の所長。
いつの間にかオレの師匠ということになっていた。

・毛利 小五郎(故人)
今回の事件の被害者。享年37歳。
「眠りの小五郎」という異名を持つ、有名な探偵だった。
酒と競馬が何より好きな駄目人間。

・円谷 光彦(6)
今回の事件の被告人。そばかす顔が印象的。
小学生にしては博識。現行犯で逮捕された。

ユガミ「探偵と小学生…接点がよく見えねェなァ」

サイバンチョ「被害者の毛利氏は、知人の子供を預かっているようです。被告はその子の友達と」

サイバンチョ「その関係で、以前から被告と被害者は交流があったようです」

ユガミ「なるほどねェ。それで、どうしてそいつが捕まったンだ?」

サイバンチョ「どうやら…現行犯のようですな。容疑者は犯行直後、駆けつけてきた警察にそのまま逮捕されたみたいです」

オドロキ(なんだか、引っかかるな…)

オドロキ(警察が来るのが早すぎる。仮に光彦君がやったとしても、そんなすぐに捕まるものか?)

ユガミ「オイ、裁判長」

サイバンチョ「えっ…! な、なんですかなユガミ検事…?」

ユガミ「相変わらずの熱弁っぷりだなァ。聞き惚れるぜ」

サイバンチョ「ほっほっほ。私もなかなか冒頭弁論の役目が板についてきましたかな」

オドロキ(いや、ついたら駄目だろ!!)

ナルホド「本当に相変わらずだな…」

ユガミ「ヘッ。しかし現行犯たァ…つまり、犯行をその場で抑えられてるンだろ?」

サイバウチョ「まぁ…そういうことになりますね」

ユガミ「それならもう、疑う余地もねェ。審理の必要もないンじゃァないのかい」

オドロキ「え」

サイバンチョ「フム…それもそうですな」

カン!

サイバンチョ「それでは、被告人への判決を…」

オドロキ「待った!!」

オドロキ「ちょ…ちょっ、ちょ…ちょっと待ってください!」

サイバンチョ「なんですかね? 私はこの後裁判官の皆でゴルフコンペの予定が入ってるのですが…」

ナルホド「なんでこの人はいつも裁判の後に予定を入れるんだろう…」

ユガミ「ハッ…いいじゃねェか裁判長」

ユガミ「若いモンのワガママを聞いてやるのも年長者の務めだろうぜ」

サイバンチョ「まぁ…それもそうですね。では弁護人が納得するまで、審理を続けることにしましょうか」

ユガミ「ありがたく思いなァ、泥の字」

オドロキ(なんでオレがワガママ言ってるみたいになってるんだ…)

サイバンチョ「フム…しかし、被告人は少年。どうやって大の大人である被害者を殺害したのですかな?」

ユガミ「それはすぐに明らかになるだろうぜ」

ユガミ「最初の証人だ! 入りなァ!!」

タカギ「………」

サイバンチョ「証人。名前と職業をお願いします」

タカギ「あ、はい! 僕…私の名前は高木渉。職業は刑事です」

・高木渉(26)
今回の事件の担当刑事。
なんとなく頼りない印象を受ける。

タカギ「………」

サイバンチョ「証人、どうかしましたか?」

タカギ「あ、はいっ! こうして法廷に立つのは初めてで…少し緊張しております」

サイバンチョ「ほっほ。そう固くならずともいいですよ。リラックス、リラックス」

オドロキ(学校入試の面接かよ…)

ユガミ「とりあえず、事件のあらましを説明してくんなァ」

タカギ「はい、では被告人を逮捕するまでの流れを説明したいと思います」

証言
~逮捕~

証言中…

タカギ「我々が通報を受け駆けつけた時には、残念ながら、被害者は既に息を引き取った後でした」

タカギ「被害者は頭蓋骨が陥没しており、死因は頭部への打撲であると判断されています」

タカギ「遺体の傍には被告が立っていたので、我々はすぐさま確保しました」

タカギ「被害者はひどく抵抗したようで、現場はかなり荒らされておりました」

タカギ「その中に、血の付いたガラスの灰皿の破片が落ちていました。これが凶器で間違いないでしょう」

サイバンチョ「なるほど。現場に立っていて、さらに凶器まで落ちていたと…これは決定的と言えるのではないでしょうか」

オドロキ(く…)

タカギ「これが凶器とされている灰皿です。破片の状態ですが」

タカギ「いくつかに被害者の血痕や、被告人の指紋が検出されています」

サイバンチョ「受理します」

証拠品「ガラスの破片」をポケットに突っ込んだ。

・ガラスの破片
現場に落ちていた凶器の破片。被害者の血が付着。
またいくつかの欠片から被告人の指紋が検出された。

ユガミ「ついでに、コイツが被害者の解剖記録だ。死因は頭部への殴打で間違いないらしいぜ」

サイバンチョ「フム…これも受理しましょう」

証拠品「被害者の解剖記録」をポケットに突っ込んだ。

・毛利小五郎の解剖記録
死亡時刻は9月11日の13時から16時の間。
頭部が陥没しており、殴打により死亡したと思われる。
首に針で刺したような痕跡がある。

オドロキ(ん?)

オドロキ「この『針で刺した痕跡』というのはなんでしょうか?」

タカギ「それは…我々にもわかりませんでした」

オドロキ「わからない?」

タカギ「ええ、現場からは刺せるような針は落ちていませんでしたし…」

オドロキ「異議あり!!」

オドロキ「現場に落ちてなくても、どこかに隠したということもありえます! 例えば…机にあったものを戻したとか!」

タカギ「あ、はい。我々もそう思い、現場の事務所の物を徹底的に調べました。ですが、そのいずれにも血痕もなく、ルミノール反応も出ていません」

オドロキ「む…」

ユガミ「人体に針を刺しゃァ血が付く…そいつァ自然の摂理だ」

ユガミ「なら、針が凶器でねェことは疑いようがねェ」

オドロキ「犯人が持ち込み、持ち去ったという可能性も…」

ユガミ「異議あり!!」

ユガミ「そうかいそうかい、本当の凶器が別にあったと…おめえさんはそう言うのかい…」

ユガミ「だったらそいつを持ってきやがれってンだ! 証拠もなしに憶測で語るンじゃねェぞマヌケがァ!!」

オドロキ「んがっ…!」

タカギ「一応、付近にいた人達の持ち物検査や、金属探知器を使った捜査も行いましたが…どこからも、凶器と思われる針は出てきませんでした」

オドロキ(て、徹底してるな…)

ナルホド「現時点では、この線での犯行はなさそうだね。それに…」

ナルホド「仮に針が出てきたとしても、それが光彦君の無実を立証できるものになるとは限らない。深追いは危険だ」

オドロキ「あ! そうか…」

ナルホド「いざとなったら考えるとしても…今は記憶の片隅に止めておく程度でいいだろうね」

サイバンチョ「では弁護人。尋問を…大丈夫でしょうか?」

オドロキ「は、はい! 大丈夫です!」

オドロキ(不安はある…けど、前に進むしかない!)

タカギ『我々が通報を受け駆けつけた時には、残念ながら、被害者は既に息を引き取った後でした』

オドロキ「待った!」

オドロキ「通報というのは?」

タカギ「はい、遺体発見前に女の方から通報がありまして。それを聞いて現場に駆けつけました」

オドロキ「どこからの通報だったんですか?」

タカギ「どこ? そこまではなんとも…」

オドロキ「現場からではないですか? 探偵事務所なら、電話くらい置いてありますし」

タカギ「いえ、少なくとも現場ではなかったと思いますね」

オドロキ「その根拠は?」

タカギ「その女性の証言がありますし、それに…」

タカギ「大きな音が聞こえませんでしたから。現場の荒れっぷりを見ると、あのタイミングでの通報ならそれなりに音が出てないとおかしいんですよ」

ユガミ「事務所はドンパチやってる最中だ。そこで電話したンなら、音が聞こえるのが自然だわなァ」

オドロキ(現場の外からの通報…やっぱり、妙だな…)

タカギ『被害者は頭蓋骨が陥没しており、死因は頭部への打撲であると判断されています』

オドロキ「死因は、本当に頭部への打撃で間違いないのですか!」

タカギ「断言はできませんけど…そうである可能性はかなり高いですね」

オドロキ「何故ですか?」

タカギ「遺体にはまだ体温が残っていましたからね」

タカギ「別の方法で殺してから、もう一度…というのはあまり合理的じゃないかと」

オドロキ(なるほど、駆けつける直前まではまだ息があったのかもしれないな…)

ユガミ「警察が自分をお縄にしようと向かってるのも知らずに、被告人は相当はしゃいでたみたいだなァ」

タカギ『遺体の傍には被告が立っていたので、我々はすぐさま確保しました』

オドロキ「現場には被告人以外に、誰かいませんでしたか?」

タカギ「いえ。被告と被害者の遺体以外は見つかりませんでしたね」

オドロキ「被告を確保している間に誰かが現場から逃げ出した、というのは?」

タカギ「数人で駆けつけましたし、入り口にも見張りがいました。他の人影は見ていません」

オドロキ「どこかに隠れていた、という可能性はありませんか?」

タカギ「ないです。事務所の中は徹底的に調べましたからね」

タカギ「小学生一人隠れる場所はありませんでしたよ、断言します!」

オドロキ(き、気合い入ってるなぁ…)

ユガミ「と、まぁ他には誰もいなかったらしいぜ?」

サイバンチョ「フム。現場には被害者と被告人だけ、ですか…」

オドロキ(く…)

タカギ『被害者はひどく抵抗したようで、現場はかなり荒らされておりました』

オドロキ「被害者が抵抗?」

タカギ「はい。現場の状態は被害者が抵抗した事によるものだと警察では考えています」

オドロキ「それは何故でしょうか?」

タカギ「被告人の身長では届かないような場所も荒らされていましたから。被害者の手によるものかと」

オドロキ「うーん…大の大人が、子供相手にそんなに抵抗しますかね?」

ユガミ「泥の字。おめえさん、刃物を持ったヤツに追いかけられた事はあンのかい?」

オドロキ「へ? う、うーん…どうだったかな…」

ユガミ「ヘッ、あるわけがねェよなァ。自分の命が狙われてンのに、抵抗せずのほほんとしてるようなら…」

ユガミ「おめえさんはとっくに死体になってるだろうぜ!」

オドロキ「く…!」

ナルホド「駄目だろう、オドロキくん。ちゃんと逃げなきゃ」

オドロキ「オレだって、命が狙われてたらそりゃ抵抗くらいしますって!」

タカギ『その中に、血の付いたガラスの灰皿の破片が落ちていました。これが凶器で間違いないでしょう』

オドロキ「本当に、間違いないのですか!」

タカギ「死体や現場の状況からもまず間違いないと思われますが…」

ダンッ!!

オドロキ「よく考えてみてください! 灰皿が凶器と言うのはありえないことなのです!」

タカギ「え? どういうことですか?」

オドロキ「ガラスの灰皿と言えば、結構な重さがあります。大人でも片手で持ち上げるのは精一杯…」

オドロキ「小学生の被告が軽々と使えるものではないんじゃないですか!」

タカギ「そ、それは確かに…」

オドロキ「頭部への打撃! 小さな子供が大人の頭にそう簡単にぶつけられるものでしょうか?」

オドロキ「ましてや、被害者は抵抗もしていた! それなのに、攻撃を加えるのは非常に困難であると言えます!」ビシッ!

タカギ「…!!」

オドロキ(フフ、ぐうの音も出ないみたいだな)

オドロキ「弁護側は、そもそも被告人には灰皿を使用した犯行など不可能であると主張…」

ユガミ「異議あり!!」

オドロキ「な、なんですか、ユガミ検事…」

ユガミ「おめえさん、さっきから不可能だのなんだの言ってるが…」

ユガミ「凶器には被害者の血が…そして被告人の指紋がついてるンだ」

ユガミ「こいつを見りゃァ実際に何が起きたなんて、それこそ小学生でもわかるぜ?」

オドロキ「う。し、しかし…」

ユガミ「できるかどうかだと? 実際にできてンのならそれ以上の証拠はいらねェだろうがァ!」

オドロキ「ぐ、ぐう…」

ユガミ「証人、こいつらは重箱の隅を突っつくようなことで飯食ってる連中だ」

ユガミ「そんな連中の言うことをいちいち真に受けるンじゃねェぜ!」

タカギ「は、はぁ…」

ナルホド「くそ…否定できない…」

オドロキ「否定してくださいよ!」

サイバンチョ「弁護人。まだ何か質問はありますか?」

オドロキ「えーと…証人、通報を受けた時間と現場に到着した時間は?」

タカギ「通報に受けたのは15時の…半頃ですかね。それからすぐ出動し、30分後には現場に到着しました」

オドロキ「そこで、被告人と遺体を発見したわけですね」

タカギ「ええ、その通りです」

オドロキ(通報を受けたのが15:30、到着したのは16:00…解剖記録の死亡時刻はそれでか)

ナルホド「僕からもいいですか?」

オドロキ「ナルホドさん?」

タカギ「はい、どうぞ」

ナルホド「現場には、本当に他に誰もいなかったんですか?」

タカギ「ええ。被害者と被告だけです」

ナルホド「通報した人は?」

タカギ「現場の周囲にはいませんでしたね。後で接触することはできましたけど」

ナルホド「なるほど」

ナルホド「まだ、気になる事はあるけど…今引き出せる情報はこれくらいかな」

オドロキ(この人の証言だけじゃ、これが精一杯か…)

オドロキ(とりあえず、発言を整理しておこう)

証拠品「高木刑事の証言」をポケットに突っ込んだ。

・高木刑事の証言
1:高木刑事は15:30に通報を受け、すぐさま現場に向かった。
2:到着時刻は16:00。その頃には被害者はもう既に亡くなっていた。
3:現場には被害者と被告人以外、誰もいなかった。
4:現場はひどく荒らされていた。事件当時、被害者が暴れたのが原因と思われる。
5:そのため、通報は物音のない外からだと判断した。

サイバンチョ「弁護人の尋問はこれで終了させてもらってもいいですかな」

オドロキ「はい、とりあえずは」

ユガミ「………」

オドロキ(ユガミ検事、静かだな…)

カン!

サイバンチョ「それでは、これで高木刑事の証言を終わらせていただきます。ありがとうございました」

タカギ「はい、また何かありましたらどうぞ呼んでください」

サイバンチョ「フム。事件のあらましについては大体理解できました」

オドロキ「しかし、この事件は…まだまだ不可解な点が多いように思われます。例えば…」

ユガミ「外からなのに通報が早すぎる、ってこととか…か?」

オドロキ(…!)

ユガミ「焦るンじゃねェぜ泥の字。そいつはこれから明らかにしていくからよォ」

サイバンチョ「では、ユガミ検事…」

ユガミ「ああ。検察側は次の証人…警察に通報を行った女を連れてきてるぜ」

サイバンチョ「ほほ、用意がよろしいですな」

ユガミ「入りなァ!」

ラン「………」

サイバンチョ「立派なツノ…弁護人の親戚ですかな?」

オドロキ「ツノだけで人を判断しないでください!」

ユガミ「証人。名前を職業を言いな」

ラン「は、はい。毛利蘭…高校生です」

サイバンチョ「毛利…と言いますと被害者の…」

ユガミ「ああ。証人は被害者、毛利小五郎の一人娘だ」

オドロキ(娘…!)

人物ファイル

・毛利 蘭(16)
被害者の娘。高校2年生。
毛利探偵事務所で暮らしている。

ラン「お父さん…父は、いつもぐうたらしてて、母にも逃げられるし…あまりいい父親ではありませんでした」

ラン「でも、最近は探偵として立派に仕事をこなすようになって…私も、そんな父を凄いなって思ってたんです!」

ラン「なのに…なのに、どうしてこんなことに…!」

ユガミ「そいつは、辛かったなァ…」

ラン「私…! 犯人を許せません! なんとしても死刑にしてください…!」キッ

ミツヒコ「うっ…ら、蘭さん…」

オドロキ(依頼人の光彦くんだ。いたのか…)

サイバンチョ「フム。私も犯人はなんとしても死刑にせねばなるまいと思えてきます」

オドロキ(裁判長が言っていい言葉じゃない!)

ユガミ「安心しなァ。この裁判が終われば…」

ユガミ「そこの犯人は死刑台に立ってるだろうからよォ」

オドロキ「! ユガミ検事! 被告の事を犯人呼ばわりは…」

ユガミ「おっと、すまねェなァ。まだ犯人と呼ぶにゃ早かったか」

ユガミ「だがまァ…それもあと少しの辛抱だろうがよォ」

オドロキ「なに?」

ユガミ「証人。おめえさんはありのままを話してくれりゃいい、洗いざらい吐いちまいなァ」

ラン「は、はい!」

ユガミ「泥の字ィ」

オドロキ「!」

ユガミ「気になってる事があるンだろ? 好きなだけ突っ込むといいぜ」

オドロキ(ユガミ検事のこの自信…一体、なんなんだ…?)

サイバンチョ「弁護人、証人に何か聞きたい事は?」

オドロキ「あ、はい。では…」

オドロキ「毛利さんが、警察への通報を行ったんですよね?」

ラン「ええ。突然のことだったので、細かくは覚えていないですけど…」

ユガミ「ショックな出来事だ。無理もねェな」

オドロキ「では、あなたは事件当時、現場にいたんですね?」

ラン「いえ」

オドロキ「え」

ラン「私、その時は友達とショッピングをしていましたから」

オドロキ「待った!!」

オドロキ「ちょ、ちょっと待ってください! ショッピングをしていた!?」

オドロキ「だったら、なんで事件の通報なんてことができたんですかッ!」

ラン「それは…現場から連絡があったからです」

オドロキ「げ…現場から連絡…? もしかして、切羽詰まった被害者から…」

ラン「い、いえ…父ではありません」

オドロキ「は…!? じゃあなんでその人はわざわざ…直接通報すればいいんじゃ…」

ユガミ「…埒があかねェな」

オドロキ「うぅ…」

ユガミ「もう、詳しく証言してもらえばはっきりするだろうぜ」

サイバンチョ「フム。それは私も気になりますな」

オドロキ「…そうですね。証言して頂けますか?」

ラン「はい、わかりました」

証言
~私が通報した理由~

ラン「あれは、私が園子と一緒にショッピングを楽しんでいた時のことでした」

ラン「コナン君…事務所に住んでいる子から、電話がかかってきたんです」

ラン「コナン君はとても慌てていました。『おっちゃんが殺される!』と…」

ラン「最初は、いたずらかと思いました。でも…」

ラン「電話の向こうから、ドア越しのお父さんの悲鳴が聞こえてきたんです!」

ラン「私はすぐに警察に通報しました。もっと早くに連絡できていれば…」

オドロキ「コナン君…? 事務所に住んでいると言いましたが」

ラン「はい。知り合いの…親戚の子で、訳あってうちで預かっているんです」

人物ファイル

・江戸川 コナン(6)
小学1年生。少年探偵団の一員。
毛利探偵事務所で暮らしている。

サイバンチョ「相手は子供ですか。通報しても、イタズラと思われても無理はありませんね」

オドロキ(うーん…? そうなのか…?)

ユガミ「どっちにしろ、頭が回らず不自然じゃねェな」

オドロキ(まぁ、そうだよな…考えすぎかな)

オドロキ「えーと、連絡が来たんですね?」

ラン「ええ。そうですね15時の半頃でした」

オドロキ「その、連絡を受けた携帯電話は持ってきてありますか?」

ラン「はい、これです」スッ

サイバンチョ「これは…」

ユガミ「…なんだァ? この板ッキレは…」

オドロキ「え、知らないんですか?」

ナルホド「オドロキくん」

オドロキ(オレが説明するのか!?)

オドロキ「えーと、これは、今ちまたで大流行している新型携帯電話…スマートフォンです」

ユガミ「ほォ、これがか…」

サイバンチョ「私はわかっていますぞ。この前、マゴに買ってあげましてな」

サイバンチョ「どうやら最近では『ガラケー』なる種類もあるようで…」

ユガミ「まぁ…とにかくだ。おめえさんはこいつで通報したんだな?」

ラン「は、はい…」

証拠品「スマートフォン」をポケットに突っ込んだ。

・スマートフォン
最新機種の携帯電話。毛利蘭はこれで警察に通報した。
待ち受け画面には男と一緒の姿が写っている。

オドロキ「あの…その携帯、ちょっと見せてもらえますか?」

ユガミ「内容については報告資料を用意してある」

オドロキ「スマートフォンのことを知らなかったのに?」

ユガミ「着信履歴やリダイヤルを見ても不審な点はないぜ」ピラッ

オドロキ(無視された…)

ユガミ「15:21に例のコナン君から電話。15:27に110番に通報してるな」

オドロキ「…その資料、ちょっと見せてもらえますか?」

ユガミ「なんだァ泥の字ィ。そんなに証人のプライベートが気になるのかい?」

オドロキ「は? 違いますよ! オレはただ気になっただけで…」

ユガミ「ほほう…気になると来たかァ」

サイバンチョ「いけませんぞ、弁護人! 証人が同じようにツノを持つ、しかも美人だからと言って口説いたりするのは!」

オドロキ「だから違うって…」

ラン「あの…ごめんなさい、私好きな人がいるので…」

オドロキ(しかもフラれた…)

ナルホド「ドンマイ、オドロキくん。男はフラれて強くなるんだ」

オドロキ(フォロー入れられた…)

ユガミ「他に不審な点はねェって言っただろうが。なんなら隅々まで調べたって構わねェよ」

オドロキ「いえ、もういいです…」

サイバンチョ「好きな人…とは、この携帯の待ち受け画面の少年ですかな?」

ラン「は、はい。新一って言うんですけど」

オドロキ(答えなくていいだろ!)

サイバンチョ「新一…おお、知っていますぞ! 高校生探偵の工藤新一君ですか!」

オドロキ「え?」

ナルホド「へぇ…彼女、あの工藤探偵の恋人さんなのか」

オドロキ「え、え?」

ユガミ「俺もこっちに戻ってきてから耳にしたことくらいはある。現在捜索中らしいな」

オドロキ「捜索中…行方不明なんですか?」

ラン「新一は生きてます! 時々、連絡も入るし…」

人物ファイル

・工藤 新一(17)
毛利 蘭の恋人らしい。
天才高校生探偵として有名だったが、現在は行方不明。

サイバンチョ「行方不明の高校生探偵…むぅ、何かキケンな香りがしますぞ!」

ユガミ「まぁ今回の事件には関係ねェな」

オドロキ「あのー…そろそろ尋問させてもらってもいいですか…?」

>>18の最初の『尋問開始』、>>18-22の『尋問中…』、>>33の『証言中…』入れ忘れた…まぁいいや

あと>>19-22に『オドロキ「待った!」』も うへぇ

~尋問開始~

尋問中…

ラン『あれは、私が園子と一緒にショッピングを楽しんでいた時のことでした』

オドロキ「待った!」

オドロキ「園子さんというのは?」

ラン「私の高校の友人です」

オドロキ「なるほど。ショッピングはどこまで?」

ラン「その日は、隣町の杯戸町に、電車で行きました」

オドロキ「そうですか…隣町まで、何を買いに?」

ユガミ「異議あり!!」

ユガミ「泥の字ィ。さっきからプライベートなことばかりにツッコミ入れやがって…」

オドロキ「え…いや、そんなつもりは…)

ユガミ「しつこい男は嫌われるぜ?」

サイバンチョ「そうですぞ。オトコは引き際がカンジンですからな」

オドロキ「は、はい…すみませんでした…」

尋問中…

ラン『コナン君…事務所に住んでいる子から、電話がかかってきたんです』

オドロキ「待った!」

オドロキ「コナン君は、預かっている子とのことですが」

ラン「ええ。知人が預かっていたのですが、一人暮らしだったので何かと大変みたいで」

オドロキ「なるほど。でも、確か父子家庭でしたよね。そちらでも大変だったのでは?」

ラン「大丈夫ですよ。コナン君、とってもいい子で手がかからないんです」

オドロキ「そうですか…やはり、あなたにとっては弟のような…」

ユガミ「異議あり!!」

ユガミ「泥の字ィ。いい加減にしやがれ、プライベートなことばかりよォ…」

オドロキ「え…いや、そんなつもりは…」

ユガミ「さっさと諦めやがれってんだァ!」

サイバンチョ「そうですぞ。オトコは引き際がカンジンですからな!」

ナルホド「オドロキくん。もう彼女のことは忘れるんだ」

オドロキ「は、はい…すみませんでした…」

尋問中…

ラン『コナン君はとても慌てていました。『おっちゃんが殺される!』と…』

オドロキ「待った!」

オドロキ「おっちゃん…というのは、被害者の…」

ラン「はい。コナン君は父のことをそう呼んでいましたから…」

オドロキ「彼は、直接警察に連絡はしなかったのですか?」

ラン「いえ。私に連絡する前に、もう通報はしていたみたいです。でも…」

ラン「『ボクみたいな子供の言うことじゃ、信用してくれない』と…」

オドロキ「…通報は、したんですね」

ラン「ええ。結構、頭のいい子ですから」

オドロキ(なんだ? 慌てていたって割には案外冷静じゃないか…)

ラン「今回はイタズラで済まされたみたいですけど、よく通報していたので。抵抗はなかったんだと思います」

オドロキ「よく通報するって…」

ユガミ「毛利小五郎はよく警察から依頼もされていた探偵だからなァ。そういうことに関わる機会が多かったんだろ」

尋問中…

ラン『最初は、いたずらかと思いました。でも…』

オドロキ「待った!」

オドロキ「よくイタズラをするような子なんですか?」

ラン「えーと…まぁ、そうですね。よくわからない機械をいじったりしてますし…」

ラン「それに、いつも友達と一緒になって遊んでいますから」

オドロキ「友達…とは被告人…光彦君ですか?」

ラン「まぁ、そこのも友達の一人ですね。コナン君は小学校で少年探偵団というグループを作っており、そこに所属しているんです」

オドロキ(少年探偵団か…話は光彦君から聞いてある)

オドロキ(光彦君達が作った…まぁ、遊び仲間みたいなもんだったな)

オドロキ(そういえば、確か…審理の前に、光彦君からバッジを受け取っていたっけ)

オドロキ(左側には探偵らしくシャーロック・ホームズのシルエット、右側には「少年探偵団」を意味するDETECTIVE BOYSの文字…)

オドロキ(そしてその略称であるDBのディティールが用いられている)

オドロキ(左上には、アンテナがついている)

オドロキ(トランシーバー…通信機が内蔵されていて、バッジを持っている人同士で連絡が取れるそうだ)

オドロキ(誰が作ったのかは知らないけど、最近のオモチャは凝ってるなぁ…)

オドロキ「当日も、少年探偵団で集まっていたんですか?」

ラン「そうですね。みんなで、事務所に遊びに来ていたそうです」

オドロキ「みんな? コナン君と光彦君だけでなく、みんなで事務所に?」

ラン「はい。私はその場にいたわけではないので、伝え聞きですけど」

オドロキ(少年探偵団は全員で遊びに来ていた、か…)

証拠品「探偵バッジ」をポケットに突っ込んだ。

・探偵バッジ
光彦やコナン達が所属する少年探偵団の団員の証。
トランシーバーが内蔵されている。
少年探偵団は事件当日、全員で探偵事務所に遊びに来ていた。

ラン「その時も、何か遊びでもしているのかと思ってました。でも…」

>>34
>ユガミ「どっちにしろ、頭が回らず不自然じゃねェな」

ユガミ「どっちにしろ、そこまで頭が回らず姉ちゃんに電話したと考えりゃ不自然じゃねェな」

の間違い

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