佐藤「合宿不参加組の話」(79)

―江藤宅―
江藤「はぁ……何でクラスが大変なことになってる時でも夏休みの宿題がきっちり出るんだろう」

佐藤「そうだね」カリカリ

江藤「量も結構多いしさ」

佐藤「そうだね」カリカリ

江藤「おーい佐藤、聞いてる?」

佐藤「そうだね」カリカリ

江藤「ちょっと休憩しようか」

佐藤「さっきしたばっかりでしょ」カリカリ

江藤「聞いてるのかよ!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375040104

佐藤「愚痴ってないで手を動かそうよ」カリカリ

江藤「休憩なしで続けても効率が悪いだけだって」

佐藤「30分前に休憩したじゃない」カリカリ

江藤「なんか暑くて集中できない。クーラーの効きが悪いのかも」

佐藤「いや、かもってあんたの家でしょ。自分で何とかすれば」カリカリ

江藤「えーと……飲み物を持ってくるから休憩しよう」

佐藤「はぁ……そんなに休憩したいなら休憩しよっか」

江藤「やった。じゃあ適当に持ってくるね」

佐藤「……」

佐藤(江藤の奴、あんな感じだけどやっぱりまだ綾野さんのことは気にしてるのかな。仲良かったんだし)

佐藤(でも、やっぱりこういうことは触れない方がいいよね)

佐藤(現象関係のことも触れない方がいいかな)

江藤「おまたせ。カルピス持って来たよ」

佐藤「ありがとう」

江藤「有田や渡辺は今頃合宿で元気にやってるかな」

佐藤(あんたから触れるのか!)

江藤「ん?どうしたの佐藤?」

佐藤「あーえーと……何でもない」

江藤「あ、もしかして私に気を遣って現象絡みのことにはなるべく話さないようにしようと思ってた?」

佐藤「えーと……うん(鋭いな……)」

江藤「気を使いすぎだって」

佐藤「でも……」

江藤「そりゃ、綾野のことはショックだよ。それ以外のことも。現象が続いてる以上、終わったこともこれからのことも考えることだらけなのは確かかな」

江藤「けど、ずっと暗い感じでばかりいるのも何だかなって思うじゃん。それに、タブーっぽい感じで気を遣いすぎる方がいい気がしないって」

佐藤「……そうだね」

江藤「渡辺って前は合宿行く気がなさそうだったよね。何で急に行く気になったんだろう?」

佐藤「色々考えてやっぱり行くことにしたんだって。詳しくは私も知らない」

江藤「ふーん。まあ、有田もいるし大丈夫か」

佐藤「そういえば、有田は何で参加したのか聞いてる?」

江藤「有田は顔が広いからなぁ。多分、小椋ちゃんか柿沼さんあたりの付き合いでじゃないかな」

佐藤「あー有田って友達多いもんね」

江藤「二人とも元気でやってるといいな」

佐藤「合宿なんていかにも何か起きそうだからね。本当に無事であって欲しいよ」

佐藤「……私も行けば良かったかなってちょっと後悔してる」

江藤「今更言っても仕方ないって。それに合宿に行ってない私達の方こそ危ないかもよ」

佐藤「確かに……小椋さんのお兄さんみたいに家にいても危ないってこともあるしね」

江藤「でも、有田は何となく大丈夫そう」

佐藤「確かに有田に何かがあるのをあまり想像できないかな」

江藤「有田って結構運がいいよね」

佐藤「そういえば、あいつこの前自販機で当たりを出してた」

江藤「えー、いいなぁ」

佐藤「有田って何気にスペック高いよね。見た目いいし、運もいいし、頭もそこそこいいし、友達も多いし」

江藤「佐藤は友達少ないよね」

佐藤「えっ、何で突然私に精神攻撃を仕掛けてきたの?」

佐藤「私だって別に少なくは……江藤に有田に渡辺に……」

佐藤「……」

佐藤「藤巻、多々良さん、中島さん、小椋さん、柿沼さん、金木さん、松井さん……この辺は全部友達の友達か」

佐藤「あれ……私ってもしかして友達少ない?」

江藤「佐藤って私が藤巻達と話してる時とか大抵黙ってるしね」

佐藤「いや、何を話していいのか分かんないし……」

江藤「まあ、そんな佐藤のために藤巻と多々良ちゃんと中島さんも呼んでるんだけどね」

佐藤「えっ、いつ来るの?」

江藤「今日の昼」

佐藤「いや、聞いてないんだけど」

江藤「そりゃ言ってないからね」

佐藤「……」

佐藤「帰っていい?」

江藤「ダメ」

佐藤「気まずいんだけど」

江藤「なら、これを機に藤巻達と仲良くなろう」

佐藤「せめて先に言っておいてよ……」

江藤「佐藤と勉強する約束を入れてたのを忘れてて、藤巻達とも約束を入れちゃってさ」

江藤「あっ、でも、藤巻達は佐藤がいることを知ってるから」

佐藤「じゃあ私にも先に教えておいてよ」

江藤「先に教えたら断りそうじゃん」

佐藤「うーん……まあ否定は出来ないか」

江藤「でしょ。だから、言わないでおいたの」

佐藤「まあ、あんたの言い分は分かったけどさ……」

江藤「けど?」

佐藤「とりあえず、一発殴らせて」

江藤「え!?何で!?」

佐藤「むしろ心当たりしかないと思うんだけど」

江藤「ごめん、ごめんって!!」

佐藤「うん、謝っても構わず殴るけどね」

江藤「今うちのクラスあんな感じなんだから殴ったら死ぬかもしれないって!!」

佐藤「このくらいなら大丈夫でしょ」

江藤「ごめん、ごめん!!あ、そうだ。さっき佐藤は友達が少ないっていったけど、佐藤って何気にモテてるんだよ!!」

佐藤「へ?」

江藤「佐藤って意外と男子に人気あるんだよ」

佐藤「私なんて地味な方だと思うけど。モテるとしたら赤沢さんとか多々良さんとかじゃないの?」

江藤「ザーさんと多々良ちゃん?確かにその二人もモテてるけど、佐藤もモテてる方だよ」

佐藤「ぷっ。ザーさんって何よ」

江藤「えっ、アカザーさんだからザーさん」

佐藤「何それ、ふふっ」

江藤(あ、何かツボにはまったらしい)

佐藤「ザーさんって、くくっ」

江藤(何とか気を逸らすことが出来たかな)

佐藤「で、私がモテてる方だって結局どういうことなの?」

江藤「(あっ、やっぱり気になるんだ)男子が話してるのを聞いたんだ」

江藤「佐藤って顔いいし、背も高いし、それと……」

佐藤「それと?」

江藤「( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!」

佐藤「やっぱり殴ろうか」

江藤「いや!!男子が言ってたんだって!!」

佐藤「今言ったのは江藤だけどね」

ゴンッ

―江藤宅までの道―
藤巻「暑い……」

多々良「暑いね」

藤巻「幸子、ちょっと顔色が悪いけど大丈夫か?」

中島「えっ?うん、大丈夫」

多々良「無理しちゃ駄目だよ」

藤巻「あっ、コンビニあるしちょっと寄って行こうか」

多々良「そうだね」

中島「ごめん、迷惑かけて……」

藤巻「いいって。どの道、昼飯も買いたかったところだし」

―コンビニ―
藤巻「あー涼しい」

多々良「幸子ちゃん、大丈夫?」

中島「うん、少し楽になった」

藤巻「あっ、水野に米村」

水野「藤巻、それに多々良さんと中島さんも」

藤巻「お前らどうしたんだこんな所で?」

水野「図書館に宿題しに行く前に立ち読みしてんだよ」

米村「多々良さん達もどこかへ出かける途中?」

多々良「うん。悠ちゃんの家に行ってるところ」

藤巻「……」

藤巻「……米村ちょっと」

米村「何だよ」

藤巻「お前って恵のことが好きなん?」ヒソヒソ

米村「なっ……えっ、その……多々良さんのことが嫌いな男子なんていねーよ」ヒソヒソ

藤巻「恵ってそんなに人気があるのか?」ヒソヒソ

米村「可愛いし性格もいいんだから好きにならないわけがないだろ。3組の女神だよ女神」ヒソヒソ

藤巻「神扱いかよ。じゃあ、私は男子の中でどんな風に言われてるんだ?」ヒソヒソ

米村「藤巻?男みたいで話しやすい」ヒソヒソ

藤巻「誉めてんのか貶してんのか分かんねえな」ゲシッ

米村「痛!!脛を蹴るなよ!!」

水野「中島さんどうかしたの?」

多々良「暑さにやられちゃったみたい」

中島「ちょっと気分が悪いくらいだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

水野「タオルかその代わりになりそうなものは持ってない?それを濡らして首にあてておくといいよ。それと、スポーツドリンクを買っていった方がいいよ」

中島「心配してくれてありがとう」

多々良「水野君優しいんだね」

水野「いや、そんな」

藤巻「水野が恵達といい雰囲気になってるな」ヒソヒソ

米村「……」

米村「そろそろ行くぞ水野!」

水野「おう」

水野「?米村何か怒ってないか?」

米村「怒ってねえよ!」

多々良「米村君どうかしたの?」

藤巻「さあどうしたんだろうな」ククッ

中島「ん?藤巻何かおかしいことでもあったの?」

藤巻「いや、何でもない」

―江藤宅―
佐藤「そういえばさあ」

江藤「うん」

佐藤「中島さんってもうその……久保寺先生の件は大丈夫なの?」

江藤「ん、うーん、まあ完全に大丈夫かと言われると……」

佐藤「久保寺先生の件で一番ショックを受けたのって多分中島さんでしょ。私もまだ引きずってるくらいだから、中島さんはもっと引きずってるんじゃないかな」

江藤「んー私があの件以降直接会ったのは2回しかないから、伝聞が多くなるけどさ」

江藤「最初はやっぱり外にも出れないくらいひどい状態だったみたい。でも、藤巻や多々良ちゃん、有田なんかが支えてたおかげか今は結構回復してるんだって」

江藤「私が見た限りでも、1回目に会った時よりは2回目に会った時の方がずっと良くなってるかな」

江藤「まあ、中島さんに関しては、下手な気遣いも口に出すのも良くないと思うから、普通にしてればいいんじゃないかな」

佐藤「普通に……か」

佐藤「はぁ……」

江藤「どうしたの?」

佐藤「あんた達って偉いなと思って」

江藤「偉いって何が?」

佐藤「あんた達も大分精神的に来てるはずなのに、そうやって人のことを思いやれてて偉いなと思って」

江藤「佐藤だってさっき私に気を遣ってたじゃん」

佐藤「そんなの全然大したことじゃないから」

佐藤「私なんて自分のことばかりで、人に何も出来てないよ」

佐藤「私さ、実は藤巻のことちょっと苦手なんだ」

江藤「うん、気付いてた。佐藤って大人しいから、藤巻の見た目とかちょっと荒いところとか苦手なんでしょ」

佐藤「うん」

佐藤「でも、藤巻って実際はすごくいい奴じゃん。さっきの江藤の話もだけど、普段から結構周りのことを気にかけてるし」

佐藤「それを苦手だと思ってる私の方がずっと嫌な奴だなって」

江藤「あーもう、そんなに卑屈にならないでよ」

佐藤「ごめん」

江藤「いつまでも卑屈でいるんならおっぱい揉むよ」

佐藤「それをやったら殴るから」

佐藤「……」

江藤「……」

江藤「あっ、窓の外に」

佐藤「えっ、何?」クルッ

もみっ

佐藤「!?」

江藤「やっぱり、佐藤のおっぱい大きいな。私にもちょっと分けろ」モミモミ

佐藤「揉んだら殴るって言ったよね?」

江藤「元気づけようと思って。この揉み心地何か癖になってきた」モミモミ

ゴンッ

江藤「元気づけようとしただけなのに……」

佐藤「だからってセクハラはないでしょ!」

江藤「セクハラじゃなくて慰めようとしたんだって、色んな意味で」

佐藤「もう一発殴っとこうか?」

江藤「やめて、次辺りで本当に死にそう」

佐藤「はぁ……まあ、慰めようとしてくれてありがとう」

江藤「お礼に揉ませて」

佐藤「そんなに殴られたいの?」

佐藤「そろそろお昼時か」

江藤「朝茹でたそうめんがあるけど食べる?」

佐藤「ありがとう、食べる」

江藤「じゃあ持ってくるね」


佐藤(……)

佐藤(さっきのセクハラも本当に元気づけるつもりでやったんだろうなぁ。江藤っていい奴だよなぁやっぱり)

佐藤(またちょっと自己嫌悪……いけないいけない、こんなことを思ってたらまた卑屈になるなって言われそう)

江藤「おまたせ。持って来たよ」

佐藤「藤巻達っていつ来るの?」

江藤「んーもうすぐ来ると思うよ」

江藤「そういえば佐藤ってさ」

佐藤「何?」

江藤「そんなに親しいわけでもないのに藤巻のことは呼び捨てなんだね」

佐藤「あー何か藤巻は藤巻って感じだからさぁ」

江藤「確かに藤巻は藤巻って感じかも」

佐藤「だから何となく呼び捨てにも抵抗がなくてさ」

江藤「多々良ちゃんはちゃんって感じだよね」

佐藤「いや、多々良さんはさんでしょ」

江藤「えー絶対にちゃんだって」

佐藤「何だろう。何か多々良さんって触っちゃいけない綺麗なものみたいなイメージだから、気軽にちゃん付けで呼ぶキャラクターじゃないと思うんだけど」

江藤「そんなことないって。多々良ちゃん結構可愛いところのある子だよ。結構抜けてるし」

佐藤「へー意外」

江藤「じゃあ、中島さんはさん?ちゃん?」

佐藤「さん」

江藤「だよねー」

江藤「渡辺珊はさんって感じだよね。渡辺珊さん」

佐藤「それを渡辺の目の前で言ってみ」

江藤「佐藤の比じゃないくらい強く殴られるからやだ。佐藤はなんだかんだ言いながら手加減してくれてるし」

江藤「佐藤はちゃんって感じだよね」

佐藤「そうかな?」

江藤「佐藤って結構可愛い所あるからさぁ。おっぱいとか」

佐藤「何なの?そんなに殴られたいの?」

江藤「そうそう。そんな感じの反応をするから可愛い、痛っ!」ゴンッ

江藤「私はさんかなちゃんかな」

佐藤「君」

江藤「君!?」

佐藤「この前美術部の人に望月君と間違えられてた江藤君」

江藤「それは望月君が女っぽいんだって!!」

佐藤「江藤が男っぽいのかもしれないよ」

江藤「いやいや、私水着になったらすごいよ」

佐藤「小椋さんとかよりはあるけど、そこまであるかと言われると……」

江藤「どこ見て言ってるの!?さっきまでの仕返し!?」

江藤「実際、私はそこまで小さくないと思うけどなぁ。佐藤が大きいだけだよ」

佐藤「言っておいて難だけど私もそう思う」

江藤「うちのクラスだと、佐藤も言ってたけど小椋ちゃんは本当に小さいよね」

佐藤「小椋さんは身長もあんまりないしね。見崎さんとどっちが低いんだろう」

江藤「どうだろう。同じくらいだからなぁ。そういえば、佐藤って見崎さんの前の席だけど話したことあるの?」

佐藤「ないかな、基本的にいないものだったから。いないものが解除されたのもアレの後だから話す機会もなかったしさ」

江藤「見崎さん、佐藤の身長が高いから、黒板が見えにくいとか思ってたかもね。可哀想な見崎さん!」

佐藤「えー、それって私のせいなの」

江藤「考えてみると、佐藤の席って後ろが見崎さんで前が知り合いの有田で横が男子だから、新しい友達を作りにくい席ではあるよね」

佐藤「確かに、あの席だとほとんど有田とばかり話してる気がする」

江藤「もっと積極的にならないと!周りの男子に話しかけるとか」

佐藤「別に話さないわけじゃないけど……」

江藤「もっと……(積極的にそのおっぱいを使っていかないと)」

佐藤「もっと何?」

江藤「もっと……大胆にならないと(このくらいのニュアンスにしておこう)」

佐藤「私昔からこんなんだからなぁ……」

江藤「せめて眠そうな顔してるのくらいはなんとかしたほうがいいかもね」

佐藤「えっ?私って眠そうな顔してるの?」

江藤「してるしてる。今だってしてる」

佐藤「全然眠くないんだけど」

江藤「もっと目をぱっちりと開いてみたら」

佐藤「えーと……こう?」

江藤「……もっと開けない?」

佐藤「こう?」

江藤「あ、うん……」

佐藤「結構開いてるつもりなんだけどなぁ」

江藤「そのままの佐藤でいいんだよ」

佐藤「何その釈然としない感じ」

江藤「無理しなくていいんだよ。自然体が一番」

佐藤「なんか腹立つなぁ」

ピンポーン

江藤「あっ、来たみたい」


藤巻「お邪魔します、おっ、佐藤久しぶり」

多々良「お邪魔します」

中島「お邪魔します」

佐藤「お、お邪魔してます」

藤巻「この部屋ちょっと暑くないか?」

江藤「なんかクーラーの調子が悪いんだよね。扇風機持ってこようか?」

藤巻「頼む。幸子が熱にあてられたみたいだから」

江藤「大変だ。何か冷やせるものも持ってくるよ」

佐藤「えーと、中島さん大丈夫?」

中島「大丈夫大丈夫。藤巻は大袈裟に言ってるけど少しやられただけだから……」

多々良「具合悪いんだから無理しちゃ駄目だよ」

藤巻「そうそう、熱中症を甘く見てたら大変なことになるぞ」

佐藤「……」

佐藤(気まずい。早く帰って来て江藤)

藤巻「佐藤は最近何してた?」

佐藤「えっ?えーと、宿題して江藤達と遊んでたかな」

藤巻「宿題どのくらい進んだ?私あんまり進んでないから写させてくれない?」

佐藤「多々良さん達は見せてくれないの?」

藤巻「分からない所を教えてはくれるんだけど、宿題は自分でやるものとか言って写させてくれないんだよ」

多々良「佐藤さん、奈緒美ちゃんに写させたら駄目だよ」

藤巻「こんな感じでさぁ」

佐藤「私もどちらかというと多々良さんに同意かな」

藤巻「えー見せてくれてもいいじゃん」

多々良「奈緒美ちゃん、もう宿題教えないよ?」

藤巻「さ、佐藤に見せてもらうから」

佐藤「私も見せないよ」

藤巻「ごめんなさい……」

多々良「うん、よろしい」

佐藤(力関係が……)

藤巻「佐藤と話すのってすごく久しぶりな気がする」

佐藤「そうだね」

藤巻「私が悠と話してる時には大抵佐藤は黙ってるからな。もっと構ってくれよー」

佐藤「あ、あはは……ごめん……」

藤巻「悠が私達との約束と佐藤との約束を間違えて同じ日に入れたって聞いて、せっかくの機会だから普段一緒に遊ばない佐藤とも遊ぼうと思ってそのままにしておいてもらったんだ」

佐藤「うん、今日江藤から聞いた」

多々良「えっ?今日聞いたの?」

佐藤「あーその……そのことを聞いたら私が約束をキャンセルすると思ったんだって」

藤巻「あはは、なるほどな」

藤巻「佐藤って実は私のこと苦手だろ」

佐藤「えっ、いや、そんなこと……」

藤巻「いいっていいって。恵や幸子と話す時と私と話す時じゃ全然感じが違うから、隠さなくっても分かるって」

藤巻「それに、幸子も最初はそんな感じだったから」

佐藤「中島さんも?」

中島「うん。最初は多々良と一緒にいるちっこくてウザい黒いのだと思ってた」

藤巻「そこまでひどいイメージを持たれてたのか、ちょっとへこんだ」

佐藤「わ、私はそこまでのことは思ってないから……(中島さん意外と口が悪い)」

中島「別に今はそんなこと思ってないからへこまなくていいよ。藤巻には色々と世話になって感謝してるくらいだから」

藤巻「過去の話でももう少しオブラートに包んでくれよ……」

藤巻「まあとにかく、佐藤と似たタイプの幸子がそんな感じだったから、佐藤にも苦手意識を持たれてるのは見れば分かった」

佐藤「うっ……ごめん……」

藤巻「いいっていいって。そんなに気にしてないから」

佐藤「そんなに……?」

藤巻「私が悠に話しかけた時、佐藤が嫌そうにしてたのにはちょっと傷ついた」

佐藤「ほんとごめん……」

佐藤「でも、私も昔ほど藤巻に苦手意識を持ってるわけじゃないから。藤巻が実はすごくいい奴だってのは見てたら分かってきたし」

藤巻「おお、それは良かった。私の天使っぷりが佐藤にも伝わってたのか」

中島「こんなにちっこくて黒い天使がいるかな……」

藤巻「おーい。何気にひどい言葉が飛んできたぞー」

多々良「ふふっ。奈緒美ちゃんって本当にいい人だよね。いつも周りのことを考えてるもんね」

藤巻「いや、いつもとか言われるとちょっと自信がなくなるが……何か恵にいい人って言われると、そんなことない自分はまだまだだって気になって来るな」

藤巻「そういえば、恵は最初から私に苦手意識を持ってる風がなかったよな」

多々良「そうだね。最初から特に嫌と思うこともなく付き合っていけてたね」

中島「色黒いアホの子と色白いお嬢様とで相性が良かったんじゃないの」

藤巻「何か今日はコメントが辛辣だな」

中島「食器が出てるけど、佐藤さん達のお昼はそうめんだったの?」

佐藤「うん。あっ、片づけておかないと」

藤巻「私達も昼飯にするか」

多々良「そうだね」

中島「うん」

佐藤「机の上の食器をどかすからちょっと待ってて」

藤巻「幸子はその体調で食べれるのか?」

中島「みんな大袈裟に言いすぎだって。本当にちょっと熱にあてられたくらいなのに」

佐藤(藤巻はカツ丼とサラダ、多々良さんはサンドイッチ、中島さんは割子そば)

佐藤「性格が出てるなぁ」

藤巻「えっ、何が?」

佐藤「いや、3人が食べてるものに性格が出てるなと思って(声に出てた)」

藤巻「ん?そうか?」

中島「藤巻は確かにがっつり食べそうな感じがする」

藤巻「えー、何かそのイメージは嫌だ」

中島「実際にがっつり食べながら言われても」

藤巻「このくらい普通だろ」

江藤「おまたせ。あっ、3人ともお昼まだだったんだ。言ってくれたら朝茹でたそうめんを出したのに」

佐藤「どんだけ茹でたの……」

藤巻「あるんなら欲しい。恵と幸子はどうする?」

多々良「私はこれだけでいいかな」

中島「私もこれだけで充分。がっつり食べるイメージは嫌って言いながらよく食べるなぁ」

藤巻「い、いいだろ別に。というわけで頼む」

江藤「了解。佐藤はおかわりいる?」

佐藤「私もそんなに入らないからいい」

江藤「おまたせ」

佐藤「……二人分持って来たってことはまさか江藤も食べるの?」

江藤「そうだよ。ちょっと小腹がすいてきたから」

佐藤「さっき食べたばかりなのに早いなぁ……」

江藤「はい、藤巻」

藤巻「サンキュー」

江藤「ズルズル」

藤巻「ズルズル」

佐藤&中島(よく食べるなぁ)

多々良「佐藤さん」

佐藤「何?」

多々良「お昼と一緒にプリンも買ってきたんだけど食べる?」

佐藤「私が貰っていいの?」

多々良「いいよ。そのために買って来たんだもん」

佐藤「えっ、ありがとう。じゃあいただこうかな」

多々良「はいどうぞ」

佐藤「いただきます」

江藤「あ、そうだ。多々良さん、多々良ちゃん?」

多々良「どうしたの?」

藤巻「何だいきなり」

江藤「さっき佐藤と話してたんだけどさ。多々良ちゃんって、イメージ的にはさん付けの方があってる?ちゃん付けの方があってる?」

藤巻「そういうことか。うーん、ちゃんかな」

中島「さん……いや、ちゃんかな」

江藤「ほらね!!」

佐藤「何そのドヤ顔。えー、私少数派なんだ」

中島「さんかなって気もするけどどちらかと言えばちゃんかな」

江藤「じゃあ、中島さんは?」

藤巻「さん」

多々良「ちゃん」

江藤「私と佐藤もさん派だから3対1」

多々良「今度は私が少数派かぁ」

藤巻「恵は親しい奴のことを大体ちゃん付けしてるしな」

江藤「じゃあ、藤巻は?」

中島「藤巻」

多々良「ちゃん」

江藤「私と佐藤も藤巻だから3対……」

藤巻「いや、ちょっと待て!!」

江藤「どうしたの?」

藤巻「さんかちゃんかじゃないのか!?」

江藤「そんなこと言われても藤巻は藤巻って感じだからなぁ」

中島「藤巻は藤巻って感じしかしないよね」

藤巻「何だよ藤巻って感じって!!」

藤巻「そういえば、佐藤も多々良さん、中島さんって読んでるのに、私だけずっと藤巻って呼び捨てにしてるな」

佐藤「えっ、あー、えーと……藤巻は藤巻って感じだから」

藤巻「藤巻って感じって何だよマジで……」

多々良「わ、私はちゃんってイメージだと思ってるよ」

藤巻「そりゃ、恵はそうだろうな……」

江藤「藤巻藤巻藤巻」

中島「藤巻」

佐藤「……藤巻」

藤巻「連呼するな!!」

江藤「じゃあ、佐藤は?私はちゃんだと思う」

藤巻「佐藤?……ちゃん?」

多々良「ちゃん」

中島「さんかな……あっ、やっぱりちゃんで」」

佐藤「中島さん……今他の人の回答を聞いて答えを変えたよね?」

中島「さあ?何のこと?」

江藤「満場一致。というわけで今度から佐藤のことは佐藤ちゃんまたは和江ちゃんと呼んであげよう」

藤巻「和江ちゃん」

多々良「か、和江ちゃん」

中島「佐藤ちゃん」

佐藤「あの……恥ずかしいんだけど」

江藤「いいじゃないですか、佐藤ちゃん」

佐藤「あんたは普通に呼べよ江藤君」

江藤「君言うなし!!」

藤巻「そういえば、江藤がこの前美術部の奴に望月と間違われてたよな」

江藤「だからそれは望月君が女っぽいせいなんだって!!」

多々良「悠ちゃんが男装、望月君が女装をすれば意外と似合うかも」

江藤「多々良ちゃん……さらっととんでもないことを言わないで下さい……」

藤巻「男装江藤滅茶苦茶似合ってそうだな」

中島「男装の麗人だね」

佐藤「江藤、今度服買いに行く?」

中島「江藤と望月君で制服を入れ替えるとか」

江藤「真面目に検討しないで下さい」

藤巻「水泳部らしく男物の水着を着てみるとか」

江藤「……まさか上半身裸とか言わないよね?」

藤巻「え?違うのか?」

江藤「もうただの変態じゃん!!」

江藤「上半身裸ならむしろ巨乳の佐藤がやればいいんだよ!」

佐藤「えっ?何?また殴られたいの?」

江藤「まあ待て、話せばわかる。あっ、佐藤って胸も大きいけど身長も大きいよね。佐藤と多々良ちゃんってどっちが大きいの?」

多々良「胸の話?身長の話?」

江藤「胸の話はゲンコツが飛んでくるからやめてください」

佐藤「えーと、前に測った時は168cmだったかな」

多々良「私は167cmだったと思う」

江藤「若干佐藤の方が大きいんだ」

江藤「ところで、藤巻は身長何cmあるの?」

藤巻「身長の話を私に振るな……」

江藤「えー教えてよー」

藤巻「いーやーだー!!」

中島「153cm」

藤巻「ちょっ!!」

江藤「あー、やっぱり低いなぁ」

藤巻「何で言うんだよ!!」

中島「減るものでもないし」

藤巻「私の心がすり減るんだよ!!」

中島「別に上手いこと言わなくていいから」

藤巻「何なの?何で今日はそんなに手厳しいの?」

藤巻「てゆーか、私が低いんじゃなくてうちのクラスの連中が高すぎるんだって!!何で160cm越えがゴロゴロいるんだよ!!」

中島「うちのクラスの身長ワーストって藤巻かな?」

佐藤「小椋さん、柿沼さん、見崎さんあたりも低いかな」

江藤「小椋ちゃんは確か152cmだったと思う」

多々良「柿沼さんは154cmだったかな」

中島「じゃあ、今のところ藤巻はワースト2か」

佐藤「見た感じ見崎さんは柿沼さんよりも低いと思う」

江藤「見崎さんがどこに入るかで藤巻の順位が変わって来るな」

藤巻「私の話を聞けー!!そのワースト談義をやめろー!!」

藤巻「ゲームでもするか?」

江藤「そうだね。藤巻コントローラー持って来てくれた?」

藤巻「持って来たぞ。ソフトもゴールデンアイを持って来た」

佐藤(えっ、クラスでリアルに人が死にまくってる中何故そのチョイス)

中島「5人いるから最初に誰がやるかじゃんけんで決める?」

多々良「そうだね」

佐藤(あっ、誰もツッコまない。久保寺事件でひどい目にあった中島さんすら平然としてる)

佐藤(やっぱり気にしすぎなのかな私)

江藤(佐藤の奴また色々と考えてるな。あえて気にしないことも大事なんだって)

チョキ:佐藤、多々良、中島、藤巻  パー:江藤

江藤「私の64なのに……」

佐藤「まさか江藤だけ負けて一発で決まるなんて……」

藤巻「江藤江藤」

江藤「何?」

藤巻「じゃんけんほい」

藤巻:グー 江藤:チョキ

藤巻「お前ってそんなにじゃんけん弱かったっけ……」

江藤「今日は多分調子が悪いんだよ……」

中島「ビリの人が待ってる人と交替するってことでいいかな」

多々良「それでいいと思う」

江藤「さっさとまーけーろー」

佐藤「うるさい」

藤巻「黙れ」

江藤「何て仕打ちだ」

佐藤「何となく多々良さんや中島さんってゲームをあまりやらなさそうなだと思ってた」

中島「いや、結構やるよ」

多々良「私もやる方かな」

佐藤「へー、意外」

中島「……」ダダダ

佐藤(怖い怖い!中島さんがすごい勢いで突撃してくる。しかも、上手いからこっちの弾が全然当たらない)

佐藤「あっ、死んだ」テレッテテー

佐藤(武器を取らないと)

中島「……」ダダダ

佐藤(中島さんがもう突っ込んできた!)

佐藤「ちょっ待っまだ武器を持ってな……」

中島「……」ダダダ

佐藤「……」テレッテテー

藤巻(おっ、アイテムだ)ドカーン

藤巻「誰だよアイテムに爆弾しかけたの!!」テレッテテー

多々良「ごめんね、奈緒美ちゃん」

藤巻「恵かよ。嫌な所に仕掛けるなぁ」ドカーンテレッテテー

藤巻「復活した瞬間爆殺された……」

多々良「ごめんね。それも私」

藤巻「くそっ!恵に一矢報いてやる」

藤巻「見つけた」ドカーン

藤巻「……」テレッテテー

中島「……」ダダダ

佐藤「中島さんやめ……」テレッテテー

藤巻「トイレに立てこもるな恵!!」ドカーンテレッテテー

多々良「ごめんね」

江藤「……」

江藤「上手い下手がはっきり出てるなぁ」

藤巻「下手って言うな!!」ドカーンテレッテテー

江藤「藤巻の方が佐藤よりも多く死んでるかな」

out→藤巻、in→江藤

江藤「考えなしに突っ込みまくるから……」

藤巻「あ、あんなに仕掛ける方が悪い」

多々良「ごめんね、奈緒美ちゃん。勝負だから」

江藤「多々良ちゃんっていつも爆弾魔プレイになるよね」

佐藤「無言で突撃して殺しに来る中島さんがすごく怖かった……」

中島「え?私そんなことになってた?」

佐藤「気づいてなかったの?」

中島「集中してたから自分がどんな風に見えてるかなんてこと気にしてなかった」

江藤「よーし、私が藤巻の仇を取ってやろう」

中島「……」ダダダ

江藤「と思ったら中島さんが突っ込んできた。まずは中島さんからだ」

佐藤(中島さんは江藤の方に行ったみたいだから、私は多々良さんを攻めようか)

佐藤(なるべく多々良さんの画面を見てないとどこに仕掛けたのか分からなくなりそう)

江藤「もー中々当たらないなぁ!」ダダダ

中島「……」

佐藤(江藤も下手なわけじゃないけど劣勢だなぁ。おっと、自分の画面を見てないと)

佐藤(さっきあの扉に仕掛けてたっけ。撃って壊しておこう)ドカーン

多々良「あっ、壊されちゃった」

江藤「あーもー、やられたー」テレッテテー

江藤「うわっ!中島さんがもう襲撃してきた!」

佐藤(中島さんは普通に上手いだけじゃなくて、復活してすぐに狙ってくるからやりづいらいんだよね……)

江藤「こうなったらチョップで応戦してやる!」

佐藤(この先の通路にも仕掛けてたっけ、これも壊しておかないと)ドカーン

佐藤(今回の多々良さんは立てこもってないけど、むしろこっちの方がやりづいらいなぁ)ドカーン

佐藤「えっ、嘘?ここにも仕掛けてたっけ?」テレッテテー

多々良「うん」

佐藤「しっかり見てたつもりだったんだけどなぁ……」

佐藤(爆弾地獄を越えて、多々良さんを何回か倒したのはいいけど結局3位か。私より上手いはずの江藤は中島さんにやられまくって最下位)

佐藤(その後、何回かやって、藤巻は毎回毎回多々良さんの爆弾地獄に無策で突っ込むか、中島さんの襲撃を食らうかで最下位)

佐藤(私も中島さんの襲撃のせいで何回か最下位に。一度だけ江藤が善戦して多々良さんが最下位に)

佐藤(そして、皆疲れたから現在休憩中)

佐藤「中島さんゲーム上手いんだね」

中島「そうかな?」

多々良「うぅ……目が痛い」

藤巻「結構長いことやってたからな」

江藤「皆はどのくらい宿題終わった?私は2分の1くらい」

佐藤「3分の2くらい」

中島「私も3分の2くらいかな」

多々良「えーと、4分の3くらいかな」

藤巻「5分の1くらい」

佐藤「藤巻……多々良さん達に教えてもらってるんでしょ?」

藤巻「教えてもらってるけど写させてくれないから中々進まないんだよ」

藤巻「恵ー幸子ーこのままじゃやばい気がするから写させてくれよー」

多々良「駄目♪」

中島「嫌だ」

佐藤「私も教えるのを手伝うから今から少しでも進める?」

藤巻「パス。ゲームやったら疲れた」

佐藤「そんなんだから宿題が進んでないんじゃないの……」

藤巻「そんなことねーよ!」

中島「そうそう。アホだから進んでないんだって」

藤巻「ほんと何で今日はそんなに辛辣なんだ」

多々良「でも、そろそろペースアップして進めた方がいいと思うよ」

藤巻「まだまだ夏休みはあるんだから大丈夫だって」

佐藤「藤巻ってさ」

藤巻「何だ?」

佐藤「絶対に夏休みの終わりの方で終わらない宿題に苦しんだことがあるでしょ」

藤巻「なっ!そんなこと……何で知ってんだよ」

佐藤「さっきの発言を聞いてればそりゃね……」

藤巻「こ、今年こそは大丈夫だから」

佐藤「今年こそはって……もしかして毎年そんなことになってるの?」

藤巻「うっ……それは……」

藤巻「恵、幸子、和江ちゃん本当に誰でもいいから写させてくれ。悠でもいいから」

江藤「私はついで扱いか!」

多々良「写すのは駄目。和江ちゃんの言う通り今からちょっとでも進めておこうよ」

中島「佐藤ちゃんも協力してくれるらしいからさ」

佐藤(佐藤ちゃんor和江ちゃんが定着してる……)

江藤「今年もになってもいいのかー」

佐藤「藤巻、どうする?」

藤巻「分かった、やります……」

藤巻「疲れたーもう今日はやめでいいだろー」

中島「もうこんな時間か。まあ、藤巻にしては結構頑張って宿題やってた方かな」

多々良「遅くなると心配するからそろそろ帰ろうか」

藤巻「そうだな」

佐藤「私もそろそろ帰ろうかな」

江藤「藤巻ーコントローラーとソフトを忘れてるー」

藤巻「おっと、いけないいけない」

佐藤「じゃあまたね、江藤」

―病院―
江藤「おーす、渡辺」

渡辺「何だあんたらか」

有田「何だってひどいなぁ」

佐藤「はいこれ。渡辺がいつも読んでる音楽雑誌」

渡辺「おっ、気がきくじゃん。はぁ……病院じゃベースも弾けないからストレス溜まるわ」

佐藤「入院長引きそうなの?」

渡辺「いや、大したことないから来週には退院できそう」

江藤「良かったじゃん」

有田「その時は退院祝いをやろうよ」

渡辺「あーりーたー」

有田「えっ、何?」

渡辺「あんた爆風に飛ばされたって聞いたけど何でそんなにぴんぴんしてるの」

有田「何でって言われても……」

佐藤「有田の強運には本当に驚かされたわ。火事の屋敷から爆風に飛ばされて脱出できて、その時の怪我もかすり傷と多少の打ち身程度だって言うんだもの」

江藤「その強運にあやかりたいねぇ」

有田「大変だったんだからからかわないでよ」

渡辺「同じように大変な目に遭った私がこれだから、やっぱりすごいよあんたの運は」

江藤「とりあえず拝んでおこうか」

有田「もー」

渡辺「……本当に現象は止まったんだよね」

佐藤「そのはずだけど……」

渡辺「はぁ……未だに信じられないや」

佐藤「私も同感。また誰か死ぬんじゃないかと思ってちょっと不安だな」

有田&江藤&佐藤&渡辺「……」

江藤「まあ、何かあっても有田の側にいれば大丈夫だって」

有田「私お守り扱い!?」

渡辺「ふふっ。むしろ有田に運を吸い取られるかもね」

有田「えー、ひどい言われようだなぁ」

佐藤「……」

渡辺「どうした佐藤?」

佐藤「……罪悪感なのかな。生き残ったことにちょっと申し訳ないって気持ちも感じてるんだ」

渡辺「あんたが悪いんじゃないんだから、あんたが申し訳なく思うのはお門違いだって」

渡辺「……罪悪感ねぇ。まあ、合宿の時に暴走して危うく人を[ピーーー]ところだった私は持っておくべきか」

有田「……」

佐藤「有田に聞いたよ。でも、その状況なら私だって……」

渡辺「理由が何であれやったことは変わらないからね。けじめを付けるため……としてはあまりにも足りないけど、自分のしでかしたことくらいは忘れないでいるさ」

渡辺「まあ、自己満足のためでもあるけどね」

渡辺「ただ、佐藤。皆の死に関係ないあんたが申し訳ないとか何とか思うのは、むしろ死んだ連中に失礼だからやめときな」

佐藤「……」

渡辺「そういえば、あんたらは私達が合宿に行ってる間何やってたんだ?」

佐藤「ごめん……皆が大変な時に江藤達と遊んでた」

渡辺「そんなことで謝んなって。私だって合宿に行ってなかったらそんなもんだったと思うよ」

渡辺「……ん?江藤、達?」

佐藤「藤巻と多々良さんと中島さんとも一緒に遊んでたんだよ」

渡辺「へー、佐藤が私達以外とねぇ……」

佐藤「ねえ、江藤にも言われたんだけどさ、私ってそんなに友達が少ないと思われてるの?」

渡辺「うん」

有田「うん」

江藤「私が佐藤との約束と藤巻達との約束を同じ日に入れちゃってさ。せっかくだからと思って」

渡辺「へー、あんた中々面白いことするじゃん」

佐藤「約束を同じ日に入れたのまでは、普通にミスらしいけどね」

渡辺「せっかくそんなことになってたのなら、藤巻達も私の退院祝いに呼んでくれよ」

江藤「お、いいね」

有田「それなら、柿沼ちゃんも呼んであげようよ」

渡辺「まあ、せっかくだから派手にやってくれよ」


終わり

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