学長「では、感応石を使って、新入生の専攻属性を調べましょう。」(1000)

~講堂~

学長「生徒並びに保護者の皆さま、本校へのご入学、まことにおめでとうございます。」

学長「小中高と魔法の学習を重ね、さらに学を深めんとする者を、我々は歓迎します。」

学長「魔法学部の新入生は、早速ですが、専攻属性を調べましょう。」

学長「自分の属性をよく理解し、有意義な4年間になることを心から願います。」

副学「では、これから、新入生60名には、順に登壇し、感応石に触れてもらいます。」

副学「火・風・地・水・光・闇。潜在的な資質、個性によって属性は決まります。」

副学「では、最初の生徒は、壇上へ。」


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~掲示板前~

風男「よぅ、はじめまして!!」

水男「はじめまして。」

風男「さっき、入学式で隣だったよな。俺は、風男。専攻属性は、風だ。よろしく。」

水男「よ、よろしく。俺は、水男。専攻属性は、水だよ。」

風男「だったな。それにしても、珍しいなぁ。男で水かよ。」

水男「年に何人かは、いるらしいよ。女性で闇、とか。」

風男「まぁ、性格や才能によって決まるもんだから、色々あって当然か。」

水男「女っぽい性格だと思われそうで複雑だなぁ。」

風男「高校時代は水が得意だったとかじゃないのか?」

水男「いや、極端に秀でていたわけじゃないよ……特別頑張ったわけでもないし。」

風男「ふーん……ところで、水男の出身は?」

水男「田舎だよ。北の、弓の里。」

風男「へぇ。俺は、生まれも育ちも、この、剣の街なんだ。」

水男「それじゃあ、ずっと地元の」

光女「あーっ、いたいた! こんなとこで何してんのよ。」

風男「あ、光女。」

光女「あ、じゃないわよ。学食で待ってるって言ってたでしょ……あれ、そちらは?」

風男「水男。俺らと同じ、新入生。水属性だとさ。」

水男「よろしく、えーっと……光女さん。」

光女「よろしくね。あと、呼び捨てでいいよ、私も、君の事、水男って呼ぶから。」

風男「こういう奴だけど、仲良くしてくれ。ちなみに属性は、光だ。」

水男「それにしても、誰も来ないね。」

風男「掲示板を見てから帰るように言われてたのにな。」

光女「すぐでなくてもいい、とも言ってたでしょ。みんな帰り際に見るのよ。」

風男「そうか? 早速気が合うな、俺達。」

水男「はは、そうかもね。」

光女「そもそも入学式が11時からってのがダメよねー。ご飯食べに行きましょっ!」

~学食~

風男「おぉー、食堂が広い。」

光女「全学生で1000人くらいだっけ。魔法学部以外にもあるからね。」

風男「そうだっけ?」

水男「人文学部、教育学部、生命農学部、医学部、それに魔法学部だね。」

風男「物知りだなぁ、お前。」

光女「あんたが自分以外のことに無頓着すぎるのよ。」

水男「そういえば、二人は随分仲がいいように見えるけど、どういう関係?」

光女「恋人関係。」

水男「あ、そうなんだ。道理で……」

風男「うーん、まぁ、幼馴染からの惰性と言うか、慣性と言うか……」

水男「お似合いだと思うよ。」

光女「あー、嬉しいこと言ってくれるぅ。水男って、いい人ね。モテそう!」

水男「う~ん……………………いや、モテたことって、ないなぁ。」

風男「真面目なやつだなぁ、そんなちゃんと考えなくても。」

水男「真面目すぎってよく言われるよ。」

光女「なんか、純粋そうな感じよね。そういうの、いいと思うな。」

水男「はは、ありがと。」

光女「さーて、何食べよっかなぁ!」

風男「食べ過ぎて太らないようにな……水男はどうする?」

水男「えーと……引越しの時に魔力消耗したから、補給できるものがいいな。」

風男「んじゃ、一緒にみそラーメンでも食うかっ。」

風男「ふーっ、食った食ったっ。」

光女「さて、ここで取り出したるは大学シラバス!」

水男「シラバス……講義一覧、だっけ。」

光女「履修する講義を決めなくちゃならないからね……どうしよっかなー。」

風男「自分で授業選ぶってのも面倒だよな、しかし。」

水男「いいんじゃないかな、こういう方が面白くって。」

光女「そうそう。自分に必要な講義だけ選んで取ればいいんでしょ?」

風男「卒業に向けて単位を稼がなきゃならんから、そういうわけにもいかないんだよ。」

光女「う……そうか。」

風男「まぁ、1年生はほとんど必修科目ばかりみたいだから、悩む必要もなさそうだが。」

水男「必修科目は……魔法の歴史、魔法と法律、幻獣学、あとは……」

光女「なんか、高校の時にやったようなことばっかりねー。」

水男「大学ならではの講義っていうのは、自分の専攻くらいだね。」

風男「でも、これって、時間割上、1コマと5コマしかない日も出来るよな。」

光女「うーん、自宅が遠い私にとっては面倒だわ~。」

水男「二人とも暇だったら、俺のアパートで時間つぶしたらいいよ。」

風男「おいおい、いきなりそんな風に言われたら、ほんとに甘えるぞ?」

水男「構わないよ、どうせ他に来る人もいないし、これも何かの縁だから。」

光女「ほんとにいい人ねー。じゃあ、ほんとにお邪魔しちゃおっかな。」

水男「あ、でも光女だけ来るってのは無しね。」

光女「なんで?」

水男「一応、俺も男だし。それに女性と一部屋にいたら、間が持たないよ。」

光女「ほんと真面目というか純粋というか……地属性でもいけそうね。」

水男「はは、言えてるかも。中学校の通知票にもおとなしいって書かれてたし。」

風男「さて、腹ごしらえもしたし、あらためて掲示板、見に行くか。」

光女「さっき見てたんじゃないの?」

水男「いや、行ってすぐ二人で話しちゃってたから、見てないんだ。」

風男「てことで。」

~掲示板前~

水男「ん?」

風男「どうした?」

光女「なにそれ……お財布?」

水男「誰かが落としたみたいだ……【魔力探知】」

風男「おっ、さっそく魔法か。お手並み拝見っ。」

光女「光の波動……『明らかにする』事象を、光の魔力で具現化してるのね。」

風男「探知魔法は、普通、光属性だろ。」

光女「そうとは限らないわ。」

風男「俺は、ぱっと思いつかないんだけど。」

光女「風で『辿る』でも出来るんじゃない?」

風男「おぉ、そうかそうか。」

光女「……感応石って、本当に機能してるのかしら。」

水男「よし、顔は分かった。ちょっと、探してみるよ。」

光女「顔まではっきり見えるの?」

水男「見える時と見えない時があるけどね。たぶん、魔力の相性だと思う。」

光女「うーん、それじゃ、私と同じくらいか。負けられないなぁ。」

風男「で、どうだ?」

水男「え~と……」

光女「どんな人?」

水男「黒のショートカットで、おとなしめの、かわいい感じの女性なんだけど……」

風男「かわいい子、かわいい子……あれは?」

水男「……あ、そうだ。たぶん。」

光女「聞いてみましょ。」

水男「あの。」

地女「はい?」

水男「これ、落としませんでしたか。」

地女「あっ、そうですっ! ありがとうございます。」

光女「あれ、君も1年生よね。」

地女「はい、そうです。」

風男「よく覚えてるな。」

光女「まぁね。私達も、1年生なの。私、光女。」

風男「俺は風男で、こっちは水男。よろしく。」

地女「よ、よろしくお願いします。」

水男「俺の時もそうだったけど、二人は初対面でも普通に話せて、すごいよなぁ。」

光女「まぁ、この明るさゆえに光属性、って感じ?」

風男「俺はなんで風属性?」

光女「無頓着さゆえでしょ。」

水男「はは、爽やかさゆえ、じゃないかな。」

風男「おっ、いい奴だなぁ、やっぱり。そういえば、えーっと……?」

地女「あ、地女、って言います。地属性専攻です、よろしくお願いし」

光女「よろしくっ。……お願いしますは、カタいって!」

地女「よ、よろしく。」

風男「相変わらず、押しが強いな、お前は。」

地女「あれ、ペアリング……お二人は、恋人なんですか?」

光女「じーっ……」

地女「ふ、ふたりは、つきあってるん……の?」

光女「合格っ!」

風男「ああ、幼馴染でさ。付き合い始めたのは、高校からかな。」

地女「へぇ……なんだか、お似合いで…だね。」

光女「うーん、まだカタいけど、かわいいから許しちゃおう。」

風男「あれ、そういやさっき、水男も地女の顔を探知してかわいいとか言ってたな。」

水男「そ、そういうことは言わなくていいって!」

光女「顔真っ赤よ、水男っ。」

地女「……」

光女「あらら、こっちもだったわ。」

風男「確かに相性よさそうだな。」

水男「風男っ!」

風男「さて、掲示板はーっと……。」

光女「どれどれ……新入生については、図書はすぐに買うこと、だって。どうする?」

水男「え、俺? そうだな、これからすぐ買いに行こうかな。」

風男「さすが真面目くん。」

光女「あ、どうせなら、地女も一緒に行かない?」

地女「え、でも……」

光女「あ、他に予定あった?」

地女「ううん、まだ知り合いも全然いないから。でも、いいの?」

光女「これも何かの縁! でしょ、水男?」

水男「そうだね。それじゃあ、みんなで行こうか。」

光女「あ、でも、運命のお二人の邪魔にならないかしら?」

水男「な、何言ってるんだ、いきなり……でも、どこで買う?」

地女「学生会館の中で買える、って書いてあるけど……」

風男「せっかくだから、街の書店に買いに行こうぜ。」

続けるんだ

てっきりグリフィンドーーーールのスレかと…


続けろください

今日はここまでです。

>>20 >>21
レスありがとうございます。
近々、また投下します。

いいね、乙

>>23

レスありがとうございます。
たいへん励みになります。

投下します。

~書店~

風男「『幻獣学の基礎』は……」

水男「あっちだね。」

光女「『六属性理論入門~属性の可能性』。」

水男「こっち。」

地女「えと、『魔法と法律』は……」

水男「そっちだ。」

風男「……待て待て。お前、この本屋初めてじゃないだろ。」

水男「初めてだってば。」

光女「どこに何があるか、把握してるじゃない。」

水男「大体、どの本屋も置き方って決まってるでしょ。」

地女「頭いいんだね。」

風男「……よし、ここらでカミングアウトしとこうぜ。」

水男「何を?」

風男「高校を卒業する時の、全国一斉魔法試験の点数。」

光女「筆記? それとも生成魔法? それとも操作魔法?」

風男「全部。俺は、筆記が58、生成が66、操作が77だ。」

光女「私は……筆記が70、生成が76、操作が65だったかな。」

風男「げ……お前、生成76もとったっけ!? 昔、苦手だったじゃん!!」

光女「さんざん練習したもん。さ、地女は?」

地女「えと……筆記が77で、生成が85、操作が、えと、57……」

風男「生成85!? 80点代なんて、都市伝説かと思ってた……水男は?」

水男「筆記が96、生成が72、操作が77だよ。」

光女「……は?」

風男「筆記が、なんだって?」

水男「だから、96……」

地女「すごい……」

風男「今後、レポート課題が出たら、水男の家に集合な。」

光女「異議なしっ。」

地女「異議なぁし。」

水男「だ、だってあくまで高校の点数だろ? 大学でも同じようにいくとは……」

風男「ほう、お前は大学で知り合ったばかりの友人を見捨てるのか?」

水男「ぐ……」

~水男のアパート~

水男「で、なぜ俺の家に直行なのかな?」

風男「あの流れなら、家を見てみようになるだろ。」

水男「だからって……」

風男「あれ、いつでも来ていいって言わなかったっけ。」

光女「いきなり女の子の部屋ってわけにも、ねー?」

地女「ご、ごめんね?」

水男「いいんだけどさ……」

風男「さーて、エロ本はどこかな~?」

水男「さ、探すなって!!」

風男「お、なんて健全な反応!! これは探すしかないっ!!」

水男「やめろってば! ほら、飲み物出すから手伝ってくれっ。」

風男「はいよーっと。」

光女「ねぇ、地女?」

地女「なに?」

光女「水男って、いい人ね?」

地女「そうだね。」

光女「ああいうの、タイプ?」

地女「た、タイプとかは、あんまり、ないかなぁ?」

光女「ふ~ん……」

地女「な、なに?」

光女「そういえば、水属性と地属性って、相性よかったよな~って。」

地女「そっ、そう言われてるけど……水男くんとは、今日会ったばかりだし……」

光女「あれれ、今のは属性の話であって、別に水男個人の話はしてないけど?」

地女「も、もうっ!!」

風男「おっ、なんか盛り上がってるじゃん。ガールズトーク?」

光女「女のひみつ~……あっ、おいしそうなジュース。中身は?」

風男「水男汁。」

水男「そういう言い方するなって……魔法で作ったんだよ。」

地女「生成魔法?」

水男「水の生成は結構得意なんだ。」

風男「あ、その話題、ちょっと掘り下げようぜ。一番得意な魔法!」

光女「あ~、面白いかも。私は光の生成魔法、特に照明っ!」

風男「それってお前が最初に覚えた魔法だろ?」

光女「いいじゃない、得意なんだから。風男は?」

風男「俺は操作の方が得意だなぁ。特に、突風。夏にもってこい!!」

地女「どうして?」

光女「……スカートの子が増えるからでしょ。水男は?」

水男「俺は、やっぱり生成魔法かなぁ。」

地女「私も、生成魔法。やっぱり、地属性が得意。」

光女「地属性の生成魔法って、いろいろあるけど……特には?」

地女「えと……【花生成】!」

光女「キレー!!」

風男「おぉ~!! なんていう花?」

水男「あ、一番困る質問。」

地女「ね。」

風男「なんで?」

光女「……生成魔法はコピー以外にも、心の具体化が出来るでしょ。」

風男「あ、そーだった、そーだった。」

光女「はぁ……ほんと推薦入試制度って見直した方がいいと思うわ。」

水男「でも、そう考えると、キレイな花が作れるっていうのは、すごいことかもな。」

光女「あ、口説いてる?」

水男「ち、違うって……」

光女「でも、地女って可愛いよね?」

水男「……」

風男「沈黙は肯定の証明! よかったな、地女っ。」

地女「そ、そんな……」

光女「また赤くなっちゃって! なんだか今時珍しい若者たちね~。」

水男「と、とにかく、得意な魔法イコール専攻属性って感じだな。」

風男「んじゃ、次は全員で魔法を見せ合ってさ……」

光女「あらら、もうこんな時間ね。」

風男「ちょっと遊びすぎたな、部屋も散らかっちまったし。」

水男「生成魔法で竜巻なんかつくるからだろ……」

地女「ご、ごめんね。」

水男「あ、いや、地女に言ってるわけじゃなくって……」

風男「記念すべき出会いの日なんだから、細かいこと気にするなって、地女っ!」

光女「あんたのせいでしょっ。」

風男「わかってるよ。んじゃ、今度、学食で一品おごる! で、許せ!」

光女「ごちそうさま。」

風男「え? いや、水男だけだろ?」

光女「あ~あ、そんなこと言っていいの? 地女泣いちゃうぞ?」

地女「な、泣かないよっ。」

水男「まぁ、ご飯に付き合ってもらえるのは、実際助かるよ。」

光女「自炊しないの?」

水男「した方がいいのは分かってるけど、料理はちょっと苦手で。夜も学食に頼りそう。」

風男「地女は料理するのか?」

地女「私は、まぁまぁ、かな?」

風男「だ、そうだ。」

水男「だっ、だからなんだよ。」

光女「それで、今日の晩ご飯はどうするの?」

地女「学食に行ってみようかなって思ってた。」

風男「あ、まだ行ってないのか。」

地女「うん、お昼はアパートに戻って、掲示板見なきゃって思いだしたから……」

光女「意外と抜けてるっぽいわね~。じゃ、みんなで行く?」

水男「あれ、ふたりは帰らなくて大丈夫なのか?」

風男「平気平気。高校時代から、二人で出歩きまくってたからな。」

光女「あ、でも二人っきりにした方がいい?」

水男「さ、全員で行こうか。」

~学食~

水男「俺、タイラントワームの肉って久しぶりに食べるなぁ。」

風男「えっ!! 普通はこの肉じゃないのか?」

地女「あっ、私も、あんまり食べた事無いの。槍の街にはあまりなくって……」

水男「あれ、槍の街? 俺、弓の里の生まれなんだ。」

地女「わぁ、近いね。私も、弓の里行ったことあるよ。お父さんが弓の里出身で……」

水男「どのへん?」

地女「弦の盆地の方。」

水男「弦の盆地! 俺、よくそっちの方で遊んだよ。」

地女「矢尻の池とか?」

水男「そうそう。 尾羽公園って知ってる?」

地女「懐かし~! 私、小さい時にあそこの滑り台で落ちちゃって。」

水男「あぁ、あの月の滑り台。 あれってさ、風魔法で全部作ったらしいよ。」

地女「えっ? あんな形してるのに、土魔法じゃないの?」

水男「あの流線型を作るために、風で削って……」

風男「は、はいっていけねぇ……」

光女「うーん、これが大学名物と言われる同郷トークね……」

風男「……ごほん。」

水男「あ、ごめんごめん、つい懐かしくて……」

光女「なんか、ちょっとうらやましいわー。そういう出会いって。」

地女「でも、明日からすぐ専攻の講義も始まるから、出会いがたくさんあるよ。」

風男「そうだよな~、どんな人がいるんだろうな。大体、10人か?」

水男「まぁ、結構似たような人が集まるかもしれないな。」

光女「じゃ、そろそろ帰りますかぁ。」

風男「あ、忘れてた。通信魔法の回路作っておこうぜ。」

光女「風男は大体応じないじゃないの。」

水男「はは。」

地女「じゃあ、私の回路から……」

~水クラス【講義:水魔法実践】~

水教「ふむ、今年の1年生は4人か……ま、いつも通りじゃの。」

水男(少ないな。それに、男は俺だけかぁ。先生も、年配の女性だし……)

水教「まずは、自己紹介でもしてもらおうかの。」

水男「あ、はい……水男です。よろしくお願いします。」

水教「男で水属性とは珍しいの。さては、同性愛者じゃろ。」

水男「ちっ、違います。」

水教「ふむ、まぁ、何かしら変わったところがあるんじゃろうの。はい、次。」

水嬢「水嬢と申します、先生。よろしくお願い致しますわ。」

水教「育ちはよさそうじゃが、性格は悪そうじゃの。」

水嬢「なっ……!!」

水教「はい、次、そこのでかいの。」

水大「……水大です。先生、ちょっと失礼すぎるわさ。」

水教「自分だと分かったのなら、自覚はあるんじゃろ。これも授業の一環じゃて。次。」

水女「水女です。よろしくお願いします。」

水教「……おぉ、どこかで見たと思ったら、お主、推薦入試じゃな?」

水女「そうです。私も、先生のことははっきりと覚えています。」

水教「媚を売っても単位は買えんぞ。」

水男(うーん、おもしろい先生だなぁ。大学ってこんな先生ばかりなのか?)

水教「既に分かっておるとは思うが、水は流動的なものを操る魔法じゃ。」

水教「流す、漂わせる、冷やす、癒すなどは、あくまで基本に過ぎぬ。」

水教「たゆたうもの、うつろうもの。それら自体を操るのが水の真髄じゃ。」

水教「だが、それらに触れることには大きな危険がはらんでおる。」

水教「まず、自分自身が確固たる存在として定まっていなければいかんのでな。」

水教「精神的に不安定な時期の、君達学生が扱うにはもっとも危険な属性とも言える。」

水教「水嬢くん、先ほどから心によどみが広がっておるようじゃの。」

水教「水大くんは、不平不満を心中で渦巻かせておる。」

水教「水女くんは、緊張か。高い向上心や競争心も見えるのう。健全じゃ。」

水女「なぜ、そのようなことが?」

水教「心もまた、うつろうもの。だから、水魔法の範疇じゃ。」

水教「最近研究されているこの心理魔法も、別の講義で学んでもらうことになる。」

水教「……にしても、水男くんは変わっとるの。ワシに感心しとるとは。なぜかな?」

水男「いえ、高校の授業とは違う切り口で、面白くて。」

水教「君は、多少は見込みがあるようじゃな。」

水嬢「……ちっ。」

水教「とにかく、気持ちが弱ければ水に飲まれる。」

水教「自己を確立し、自己を実現させること。これが水魔法の起点であり終点じゃ。」

水教「では、まずは全員の腕前を見させてもらおうかの。」

今日はここまでにしとうございます。

授業が始まるところまで行こうとしたら、少し長めの投下になってしまいました。

読んで下さっている方、本当にありがとうございます。

では、また。

夜寝る前にする妄想に似てる
右腕が疼くわ

闇と火のキャラも出してくれるよな?

1です。
いろいろなレスありがとうございます。

>>53
きっとこの手の妄想はいろいろな方がしているのではないかと思います。

>>54
えーと。

投下します。

~廊下~

水嬢「ちょっと、よろしいかしら。」

水男「えと……水嬢さん。」

水嬢「あら、覚えがよろしいのね。そんなことよりも……」

水男「?」

水嬢「あまり、調子に乗らないでくださいね。」

水男「は?」

水嬢「先生に見込まれているような節がありましたから。」

水男「なぜ、それがいけないんです。」

水嬢「水女様が男の水魔法使いに負けたなどと、経歴に泥がついては困ります。」

水男「水女、さま? それに、経歴って、なんのことです。」

水大「あの方は、尊い方なのよのさ。」

水男「水大さん……どういうことなのか、ちゃんと説明してもらえませんか。」

水嬢「水女様は、国立魔法研究所の所長様のご息女なのです。」

水嬢「小さいころからずっと、高い魔力を秘め、ご活躍なされてきましたわ。」

水嬢「そして、大学に入ってからも、すぐに学生委員として立候補なされましたわ。」

水男「学生委員?」

水大「中高の生徒会役員のようなものだわさ。学生の自治運動の要なのよのさ。」

水男「すごいな……」

水嬢「そうですわ。だから、あなたのような人間とはものが違うんですの。」

水大「そして私達は、そんな水女様に害が及ばないためにいるわさ。」

水男「俺は別に、彼女を害しようだなんて考えていませんよ。」

水男「授業中も、あなた方の邪魔になるようなことはしていませんし。」

水嬢「それでも、今後あなたに魔が差さないとも限らないでしょう。」

水大「誓うわさ、水女様の邪魔をしないと。」

水男「……」

水嬢「生意気な顔ですわね。」

水大「最初が肝心。体で分かってもらった方が早いわさっ!」

水女「……あなたたち?」

水嬢「あら、水女様っ!」

水女「そこで、何をしているの?」

水大「なんでもないわさ。ちょっと、自己紹介してたのよさ。」

水女「そんな雰囲気には見えなかったけれど……水男くん、だったわよね。」

水男「ええ。」

水女「お互い、敬語はやめにしない? これから、よろしくね。」

水男「こちらこそ、よろしく。」

水女「……あなたたち、大学に来てまで、私につきまとわないでね。」

水女「誰の力を借りなくても、私は私の力だけでやっていけるんだから。」

水嬢「あら、私達は、水女様を応援しているだけですわ。」

水大「高校からも、これからも、ずっとつき従う所存だわさ。」

水男「……?」

水女「とにかく、よけいなことはしないでね……それじゃあね、水男くん。」

~学食~

水男「……っていう先生だったよ。」

地女「その後は?」

水男「一通りやらされたよ。生成魔法に操作魔法……」

風男「っはー、属性によってこれほど先生が違うとはなぁ。」

水男「でも、俺はけっこう好きになれそうだよ。」

風男「にしても、その二人はいったいなんなんだ? 顔が見てみてえなぁ。」

水男「……」

風男「なんだよ…………あそこの三人組か?」

水男「ワンピースの人が水嬢、ジャージが水大。向かい側が水女。」

風男「なるほど……水嬢ってのは、確かにお嬢様、って感じだな。」

光女「水大って子は……あれは性格の悪さが顔に出てるって感じねー。」

地女「あ、あんまり見たら失礼だよ。でも、水女さんは、優等生!っていう雰囲気……」

水男「で、みんなのクラスは?」

地女「地属性は、すごく優しい女の先生だったよ。ほんとに、地属性っていう感じ。」

水男「人数は、どれくらい?」

地女「20人くらい。毎年、これくらいみたいだよ。」

風男「俺んとこは10人ちょいかな。先生は……うん、風属性だな。どう見ても。」

水男「どういうこと?」

風男「なんていうか……自由なんだよ。講義も30分で終わったし。」

光女「3分の1じゃないの……うちは規定の90分過ぎたのに。」

地女「光属性の先生は、やっぱり女の先生?」

光女「若くてきれいで、出来る女!ってな感じ。でも、結婚してないわね、あれは。」

光教「あら、言ってくれるじゃないの。」

光女「きゃあ!?」

光教「どーもー、光教です。はじめまして。」

光女「なななな、なんでこちらに!?」

光教「あら、学食は学生以外が利用してもいいのよぉ?」

光女「そりゃそうですけど……そうじゃなくて、どうして私達のところに?」

光教「あなたが自己紹介で彼氏の話なんかするからでしょ。気になるじゃないの。」

風男「お前なぁ……」

光女「いや~、どうせなら楽しい話題を作ろうかと……」

光教「ふーん……確かに、いい男ね。察しの通り独身なんだけど、今夜どうかしら?」

風男「い、いや、急に言われても。」

光教「冗談よ。さて、光女さんは、レポート課題ね。今日の講義のまとめ、A4で1枚。」

光女「え~~~~!!」

光教「光属性専攻たる者、陰口なんていけないのよ~? じゃね!」

地女「……なんか、圧倒されちゃった。」

風男「なぁ、水男。」

水男「何?」

風男「……すげぇ胸だったな。」

水男「……否定はしない。」

地女「む……」

光女「……水男っ!」

水男「は、はいっ!?」

光女「水男宅集合で、いい……?」

風男「レポート1枚で泣きつくなよな……」

~大講義室【講義:魔法基礎理論(オムニバス)】~

闇教「小学生でも知っているように、魔法とは、意志の具現化です。」

闇教「それを実現するのが、我々人類の体を構成する6つの属性の力ですね。」

闇教「念じた事象と体内の魔力を、言葉によって結びつけ、現象を念ずる。」

闇教「さて、高校まではあまり学ばない、破壊の魔法について説明しましょう。」

闇教「本の36ページに、挿絵がありますね。それが魔法の反動による腕の喪失です。」

水男「っつ~~……」

地女「どうしたの?」

水男「昔から、映像魔法なんかでこういうの見ると、感覚がなくなるんだ。」

光女「感受性が高いのねー。」

地女「あ、インク切らしちゃった……水男くん、もらっていい?」

水男「あぁ、いいよ。【生成魔法】」

風男「横着なやつだな、なんでも生成するなよ。」

水男「買えば高くつくだろ? 腹は減るけどさ。」

光女「それにしても、専攻以外の講義は、みんなで一緒に受けられて良いわね。」

水男「まぁ、それはいいんだけど……」

学A「でさぁ、あの女と来たら!!」

学B「ぎゃははは!」

風男「るっせぇなぁ……講義中だっつーの。」

光女「火クラスの連中か……いかにも、って感じよねー。」

闇教「損傷や破壊を目的とした魔法は、ほとんどの場合対価が必要になり……」

学A「最高の具合だったぜ、ほんと」

学B「今度貸してくれよ!」

闇教「……いいかげんに」

水女「静かにして!!」

風男「ま」

光女「さ」

地女「か」

水男「の、展開。」

闇教「……」

水女「馬鹿話がしたいなら、食堂か家でやりなさい。迷惑だわっ!!」

闇教「……そこの学生の言うとおりだ。君たちは、退室しなさい。」

学A「ちっ……」

学B「行こうぜ……」

水嬢「さっすが水女様っ!!」

水大「素敵だわさ……」

地女「……」

光女「どしたの?」

地女「ちょ、ちょっとびっくりしちゃった。」

闇教「では、本日はここまでとします。」

風男「ふぃーっ、90分は集中力がもたないな……あれ、水男、何してんだ?」

水男「最後に先生が言ってた内容をメモしてるんだ……もうちょっと待って。」

光女「は~、真面目くんねー。」

地女「すごい勉強家……高校の時から、ずっとそうなの?」

水男「いや、大学生ってそういうものだっていうイメージがあって。」

風男「そうか? どっちかというと遊びまくるっていうイメージがあるけど。」

水男「う~ん……でも、学ぶイメージを最初からもってれば、やる気が出るだろ?」

光女「そういうものでもないんじゃない?」

地女「水男くんの専攻って、たぶんそういう部分から来てるのかもね。」

風男「どういうこと?」

地女「液体って、容器によって形が変わるから。イメージに自分をあてはめてるんだね。」

光女「なるほどねー、一理あるかも。」

風男「にしても、あの女、すごかったな。」

水男「俺と同じ水属性とは思えないよ。あれなら、火なんじゃないか。」

光女「洪水なんじゃない? ああいうことの後って、友達でも気まずいのよねー。」

地女「あれ、水男くん、次ってたしか……」

水男「…………水クラス。」

風男「ご愁傷様。」

~水クラス【講義:水魔法特論】~

水教「さて、この講義では、心理魔法について学んでもらうことになるのじゃが……」

水教「使いこなせるようになってもらいたいとは思っておらん。」

水大「なんでだわさ?」

水教「誰にでも扱える魔法ではないからじゃ。」

水嬢「水女様に、無理な魔法なんてありえませんわ。」

水教「ま、やってみれば分かるわい。それぞれ、幻獣の檻の前に立ちなさい。」

水男「グリフォンか……」

水男(昔、中学校ではぐれグリフォンを飼ってたっけなぁ。)

水教「世間一般に知られておるように、グリフォンは誇り高く、芸はせぬ。」

水教「それを可能にするのが、水じゃ。」

水教「さて、水嬢くん。そもそも、なぜ、水魔法には心理魔法が扱えるのかの?」

水嬢「え? え~っと……水大、どうして?」

水大「さ、さぁ?」

水女「心はうつろうものだからです。水の魔力は、うつろうものを操ります。」

水教「うむ、ちゃんと頭に入っておるのぅ。」

水嬢「さすがですわ、水女様……」

水大「でも、やり方なんて、一度も習ったことはないわさ。」

水教「それはそうじゃ、最近になって研究されておる分野じゃからの。」

水教「理屈を言おうかの。まずは相手の魔力の流れを感じ取る。」

水教「そして、自分の水の魔力を、相手の魔力に『同調』させるのじゃ。」

水教「うまくいけば、意識が一体になるかのような感覚を覚えるじゃろう。」

水教「あとは指示をするだけ。では、やってみせよう……【意識操作】!」

グリ「キュウーン……」

水嬢「グリフォンが、犬みたいにお座りしましたわ……」

水教「簡単じゃろう? 要は、相手の意識を液体として認識できるかどうかじゃ。」

水教「だが、どんなに修行してもそれも出来ない者も多い。ま、ものはためしじゃ。」

水教「では、やって見なさい。相手の精神を、液体と見なして探知するのじゃ。」

水男「さて、と……【意識操作】!」

グリ「グルルルッ!!」

水男(気が立ってるな……この意識を、液体として捉えると……)

水男(見えてきた……波、かな? 感情の波って言うもんな……)

水男「この波に、逆らわないで……同調して……」

水男(自分の意識の揺れと、グリフォンの意識の揺れ、リズムを合わせて……)

グリ「グル~~~……」

水男(ゆらゆら……次第に、のんびりした波になって……)

水男(ゆらゆら……そして、凪になって……波が、止まって……)

水教「こりゃ。」

水男「は、はいっ!?」

水教「眠らせてどうする。」

水男「え……あ、あれ?」

グリ「すーっ、すーっ……」

水大「ぷっ……!!」

水嬢「ほっほっほ、所詮男の水魔法使いには無理かしらね、ねぇ水女様?」

水女「……っ!!」

水嬢「どうなされたのです?」

水教「水女くんには、分かっておるようだの、彼の凄さが。」

水大「どういうことだわさ。」

水教「芸をさせるためには、自意識をちょっといじるだけでいいんじゃ。」

水教「しかし、眠らせるとなると、自意識を完全に服従させなくてはならぬ。」

水教「時間をかけたとは言え、完全に眠らせるとは……」

水教「心理魔法の資質は、属性とは異なる何かとも言われておる。」

水教「水男くんには、その何かがあるのかもしれんのぅ。」

水男「はぁ……でも、心理魔法が出来たとして、役に立つんですか?」

水教「まぁ、犯罪に使えぬこともないが、心の病を治療するのにも使われるのぅ。」

水女「……」

今日はここまでです。

読んで頂いている方、ありがとうございます。

~学食~

地女「隣、いい?」

水男「もちろんいいよ。」

風男「隣、いいかしらん?」

光女「もちろんいいぜっ!」

水男「……なんだよ。」

風男「そんなに怒るなよ、仲良しさんの真似しただけだろっ……前、お邪魔するぜぃ。」

光女「入学してから二カ月で、随分仲良くなったじゃない?」

地女「そ、そんなことないよ?」

風男「結構ふたりで飯食ってるだろ? 実は目撃情報が……」

水女「隣、いいかしら。」

水男「水女……い、いいよ。」

水女「……」

地女「……」

光女「……修羅場?」

風男「まさか……そういや、顔は知ってたが、話すのは初めてだな。よろしく。」

水女「よろしく。」

水男「あの二人は?」

水女「……誤解しないで欲しいんだけれど、好きで一緒にいるわけではないの。」

水男「そういえば、付きまとわないで、とか言ってたっけ。」

水女「高校の時、彼女たちが街で男の人達に絡まれている時、助けたことがあったの。」

水女「それから、私の事を調べては、勝手に私のためだと言っておかしなことばかり。」

水男「なるほど……それで、あんな風に。」

光女「崇拝されてるのね。それにしても、父親が国魔研の所長? すごいわよね。」

風男「高校はどこなんだ?」

水女「鎧の都女子魔法高校よ。」

光女「がっ、ガイジョ!?……国内有数のお嬢様学校じゃない。しかも、超難関校。」

水男「しかも、推薦って言ってたっけ。」

地女「そこで推薦もらうって……すごーい。同じ推薦でも風男とはレベルが違うわね。」

風男「俺も頑張ってたんですけどね……やっぱり、生徒会長とか?」

水女「ええ。」

風男「才女ってやつだなぁ。あのタンカの切り方にも納得だ。」

水女「そんなにいいものじゃないわ。親のいいなりになってただけ。」

水女「父にも常にトップで居続けろと言われて、同級生からも期待されて……」

水女「もう、うんざり。だから、親元を離れて、誰もいない地方の大学を選んだの。」

光女「お父さんに、はっきり言ったら? 迷惑だー、って。」

水女「怖くてとても言えないわ。地方の大学に行きたいって言う時も、本当に怖くて。」

風男「まぁ、ずっと期待に応えられてるわけだから、それはそれですごいわな。」

水女「でも、その私にも出来ない魔法が、あなたには出来た。」

風男「どういうことか、説明してくれよ?」

水男「え~っと…………ということがあって。」

光女「心理魔法ね~……水男は出来るタイプとは思ってたけど、ここまでとは。」

水男「生成と操作は、はっきり言ってついていくのがやっとだけどね。」

水女「でも、私、出来ないことって、初めてなの。だから、あなたに興味がある。」

水男「きょ、興味って……」

水女「資質の鍵を知りたいのよ。次の講義、一緒に受けさせてくれないかしら?」

地女「……」

水男「みんな、いいかな?」

光女「もちろん!」

水女「ありがとう。あ、箸を忘れたから、取ってくるわ。」

光女「絵になる子ねー。」

風男「胸も大きいしな。」

光女「あんた、そればっかりね……」

地女「……」

光女「どしたの?」

地女「う、ううん、なんでもないっ!」

~武道場【講義:魔法実践基礎】~

地女「はい、ジュース。」

水男「お、ありがと……しかし、大学でも体育があるなんてなぁ。」

地女「水男くんはまだいいよ、私なんて運動音痴だから……」

風男「へっへー、俺の勝ち越しだったなっ!」

光女「も、もともと運動神経はあんたのほうがあるから、仕方ないじゃないっ。」

風男「それにしても……」

水女「なに?」

風男「いや、勉強も出来て運動も出来て、美人で……すごいよな。」

光女「出来ないこと、ないの?」

水女「うーん……」

水女「……」

水女「…………」

水女「……………………」

風男「ない、ということで。」

地女「すごいなぁ……」

水男「高校の時は、何部だったんだ?」

水女「魔法演奏部で、部長だったわ。」

水男「魔法演奏って?」

光女「魔法で楽器を一斉に操る、最近都市部で流行ってるスタイルね。」

地女「一人オーケストラとも言うよね。」

水男「なんか、難しそうだな……」

水女「慣れればそうでもないわよ。」

風男「にしたって、勉強、運動、芸術と……ほんと、完璧人間だな。」

火教「さぁっ、そろそろ休憩は終わりだっ!!」

火教「魔法を使うためには精神の鍛練を! そして精神は肉体の奴隷にすぎん!!」

火教「さぁっ、若者たちよっ! 肉体を鍛えるぞぉっ!!」

水女「……このノリには、慣れそうにないけど。」

水男「同感。」

今回の投下はここまでです。

レスはすべて励みになっています。ありがとうございます。

いいssみっけた
まだまだ世界を広げて欲しい

>>101
いいレスみっけた
まだまだ読み続けて欲しい


1です。

乙、の一言だけで投下の意欲がわきます。

少ししたらまた投下します。

~夕方、大学近くの商店街~

地女「あっ、水男くんっ。」

水男「あれ、奇遇だなぁ。買い物?」

地女「うん、食材の買い出し。野菜は生成してもおいしくないし……」

水男「分かる分かる。お互い、一人暮らしは大変だよなぁ……料理、得意?」

地女「う~ん……普通?」

水男「……献立、相談してもいい?」

地女「お役に立てたら光栄です。」

水男「ちなみに、地女は、今日は何作る予定?」

地女「コカトリスの煮込みと、バジリスクのスープ。」

水男「作り方は?」

地女「生成魔法で球鍋を作って、中に具材を入れて、煮込んで終わり。」

水男「随分簡単だな。」

地女「球鍋、便利だよ。熱の通りがよくて。火属性は苦手だから、一工夫してるの。」

水男「なるほどなぁ……俺も、それにしてみようかな。さんきゅ。」

地女「いえいえ。あ、どうせなら、一緒に買い物する?」

水男「あれ、終わったんじゃないの?」

地女「これも何かの縁、でしょ?」

水男「はは……そういえば、地クラスってどんなことしてるの?」

地女「え~と……今は、建築魔法。この間は、コボルトの小屋を作ったよ。」

水男「難しい?」

地女「私、生成魔法は得意だから、今はついていけてる。」

水男「風男は生成魔法、苦手なんだってな。」

地女「聞いた聞いた。万能な魔法使いなんて……水女さんくらい?」

水男「あ~……でも、俺はああいう人はちょっと苦手だなぁ。」

地女「どうして?」

水男「なんていうか……強すぎ?」

地女「あはは、分かる分かる。……そっか、苦手なんだ。」

水男「どうかした?」

地女「なんでもないっ。」

~水クラス【講義:水魔法特論】~

水教「では、今日は人間の心理を読み取ってみようかの。では、ペアになって。」

水女「水男くん、私と組みましょう。」

水男「ああ、いいよ。」

水嬢「なんであなたとなんか……」

水大「こっちのセリフよのさ。」

水教「グリフォンの時と同じじゃ。相手の意識を液体と捉えなさい。」

水教「ただし、人間の心理は獣とは違って極めて複雑じゃ。」

水教「もっとも強い感情のみ、感じ取ることができるじゃろう。」

水男「そんな魔法を学んで、プライバシーの侵害になりませんか?」

水教「そこまで詳しくは見ることが出来んじゃろうし、見られる側は魔力を感じる。」

水教「だから、くれぐれも悪用せんようにの。」

水大「【読心魔法】……何も見えないわさ。性格が悪すぎるせいだわさ。」

水嬢「【読心魔法】……あなたこそ、どす黒いかたまりしか見えませんわ。」

水大「なにさっ!」

水嬢「なんですのっ!」

水教「まったく、水の魔法は精神の安定が絶対条件と言っとるじゃろうが……」

水女「【読心魔法】……あら、水男くん……これって、好意?」

水男「【読心魔法】……ん?」

水女「でも……なるほど、具体的な像は何も見えないわね。」

水男「……? なんだろう、これ……家族?」

水女「……?」

水男「……この感情は、恐怖?」

水女「!!」

水男「これは……順位表か?」

水女「やめてっ!!」

水男「ごっ、ごめん。」

水教「……本日の講義はここまでにしようかの。水男くん、ちょっといいかの?」

水男「は、はい……」

水教「みな、行ったようだの……さて、何を見た?」

水男「はい……水女さんの、過去、のような映像でした。」

水教「記憶を視覚でとらえられたのか……それはおそらく、トラウマじゃろう。」

水男「トラウマ? でも、先生は、もっとも強い感情のみが読みとれるって。」

水教「普通は、じゃ。君は、わしが思ったよりも素質があるようじゃ。」

水教「わしの仮説では、心理魔法の資質は感受性や共感能力そのものだと考えておる。」

水教「心当たりはないかね。」

水男「……少しだけ、あります。」

水教「共感能力が高いがために、人間の深層や傷までも覗いてしまえるのじゃろう。」

水教「本来はそれらの感性は、子ども時代に置き忘れてくるものじゃが……」

水教「しかし、ちょっと心配じゃな。」

水男「どうしてですか。」

水教「心理魔法は最近研究が始まったばかりじゃが、すでに犯罪にも利用されておる。」

水男「俺は、そんな人間じゃありませんよ。」

水教「今は、じゃ……人間、どのように変化するか、分からんのでの。」

水教「そして、精神に作用する魔法は痕跡が残らん。恐ろしい魔法じゃよ。」

水男「……はぁ。」

水教「……君には、少し補習を受けてもらおうかの。」

水男「補習?」

水教「感情を制御する術、そして、自分の才能を良い方向に使う方法を知ってもらう。」

水男「何故ですか。」

水教「危険だからじゃ。」

~学食~

地女「難しい顔してる。」

水男「そ、そんなことないよ。」

地女「何か、悩んでるの?」

水男「ちょっと。」

地女「聞いても、いい?」

水男「……水教先生に、危険だって言われたんだ。」

地女「どうして?」

水男「心理魔法の才能があるから、危険だって。」

地女「どういうこと? そもそも、水男くんが危険には、見えないけど。」

水男「はは、俺もそう思うよ。何かする度胸なんてないし。」

地女「その、心理魔法って水属性と風属性だけだよね。どんな魔法なの?」

水男「水の場合は、強い感情を読み取ったり、感情を操作したり出来る魔法みたいだ。」

水男「本当は強い感情しか見えないらしいけど、俺は記憶も見えるみたいで……」

地女「悪用するのが危険、ってことね。……なんだか、怖そう。」

水男「悪用するつもりなんか無いよ。遊びで使うくらい?」

地女「あはは。 でも、ちょっと、やってみてほしいな。」

水男「ちょっと、やってみる?」

地女「……お願いしていい?」

水男「内緒でね……【読心魔法】。」

地女「あ、確かに魔力の干渉は感じ取れるね……どんな風に見えるの?」

水男「最初に、カラフルな海みたいなものが見えるんだ……それで……」

地女「次は? 何が見えるの?」

水男「えーっと……お父さんに、怒られてる?」

地女「そ、そんなものまで見えるの?」

水男「ちゃんとまだ制御出来なくて……これは、時計、かな?」

地女「あ、それ、高校で門限破って怒られた時だ。」

水男「コントロールが難しいな……これは……あれ、俺?」

地女「あっ! ストップ、ストップ!!」

水男「はは、やっぱり使いこなせないや。直前の記憶が出てくるなんて……」

地女「そ、そうだね……」

風男「うぃっす!」

光女「あれ、何? 告白でもしてた?」

水男「こ、こんなところでするわけないだろ。」

光女「こんなところじゃなかったら、するんだ?」

水男「そ、そういう意味じゃなくて……」

風男「まぁ、それにしたって、地女、顔、真っ赤だぞ。」

地女「え、そ、そうかな? 暑いからかな、もう、夏だしねっ。」

光女「あっ、そうだ! もうすぐ夏の魔法祭よねっ!!」

水男「夏の魔法祭?」

風男「この街は魔法祭ってのが、夏と冬にあってだな。」

光女「どちらも盛大に騒ぐんだけど、会場がなんと、この大学なのっ!」

地女「どんなお祭り?」

光女「ん~、まぁ、何でもあり、かな?」

風男「出店も多いし、イベントも盛りだくさん。みんなで騒ぐにはもってこいだ!」

水男「いつも思うんだけど、二人きりでいたいってこと、ないのか?」

風男「ん~……まぁ、昔から二人だった、ってこともあるし……」

光女「二人っきりってのも、あんまり好きじゃないんだ、私たち。」

風男「やることはやってるから、大丈夫!!」

光女「よけいなこと言わないでよっ!」

風男「ってぇ!」

地女「あははっ。」

水男「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな。」

光女「けってーい!!」

今日はここまでです。

レスを下さっている方、その全てが励みになっています。

ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。

1です。

投下が不定期で申し訳ありません。

投下します。

~大講義室【講義:魔法基礎理論(オムニバス)】~

光教「それじゃ、3人1組になってちょうだい。」

光教「……なんて言うと、なかよしが集まるからね。私が決めるわ。【照明魔法】」

水男「……黄色い光?」

地女「私は赤だ。これって……」

光教「同じ色の人がグループよ。たまには新しい出会いを楽しみましょうか。」

水女「あら。新しい出会いじゃなかったわね。」

水男「そうだね。」

火男「あれ、ふたりは知り合いかい?よろしくなっ……で、何するんだっけ?」

水男「合成魔法。課題は選択制か……どれにする?」

水女「どうせなら、難しいものに挑戦しましょう……油の生成にしましょうか。」

火男「油ぁ? どうすりゃいいんだぁ?」

水男「俺が基礎を生成するから、火男くんが燃える要素を付け足して……」

水女「私が、バランスを取るわ。」

水男「属性の調律は風属性だけど、大丈夫?」

水女「私、苦手な属性って無いから。」

火男「すげぇなぁ……んじゃ、やってみようぜ。」

水男「【液体生成】!」

火男「【要素付随】!」

水女「魔力調整…………」

水男「……よし、どうだろ?」

光教「おっ、君たちは仕事が早いわね……ふむ、これなら上出来ね。」

水男(地女は……風男と一緒になったのか。)

地女「【避雷針生成】!」

風男「【雷雲生成】!」

学生「【落雷】っ!……あっ。」

地女「つぅっ!!」

学生「ご、ごめん!」

風男「大丈夫かよ?」

地女「うん、雷自体が強くはなかったから……」

光教「あらら、やけどしてるわ。【治療魔法】!」

地女「ありがとうございます。」

学生「やっぱり、俺は光属性の魔法はうまくいかないな……」

地女「そんなことないよ。次は、雷を火属性として捉えてみたら?」

光教「いいこと言うわね~。同じ事象をつくるのに、属性にとらわれちゃだめよ。」

光教「私の治療魔法も、水の癒しではなくて、光の再現として具現化してるからね。」

水女「……水男くん、次、行っていいかしら?」

火男「ぼーっとすんなよな。」

水男「あ、ごめん。それじゃ、次は……」

~学食~

光女「あれ、あそこにいるの、水女じゃない?」

風男「お~、わかりやすくナンパされてるな。」

地女「露骨に嫌そうな顔してるけど……」

風男「助けてやるか……おーい、お待たせ!」

火男「なんだよ、先客があったのか。」

火友「行こうぜ。」

水女「あら、あなたたち。」

光女「大丈夫?」

水女「ええ、ありがとう。大丈夫、慣れてるから。」

風男「言ってみたいねー、ナンパには慣れてる!」

光女「あんたはどっちかと言えばする方でしょーが。でも、水女は高根の花って感じ?」

地女「もてそうだよね。」

水女「でも私、恋人っていたことないの。」

光女「あれ、意外~。」

水女「高校が女子校だったっていうこともあるし……」

水嬢「あぁ、水女様、こんなところにいらしたんですの?」

水大「一緒にご飯を……あら、なにさ、あんたたち。」

水女「……こういう風になることが多くて。」

風男「う~ん、もてすぎるのも大変なんだな。よかったな、水男。」

水男「どうせもてないよ、俺はっ。」

水女「そうでもないんじゃないかしら?」

風男「おっ、意味深発言!」

地女「……」

水嬢「たまにはお一人ではなく、私達と一緒に昼食をとってくださいませんか?」

水女「はぁ……分かったわ。それじゃあね。」

風男「俺らはどうする?」

光女「たまには、恋人らしくデートでもします?」

水男「いつも邪魔しちゃってるから、たまには二人で出掛けたら?」

地女「そうそう。」

光女「う~ん……ま、いっか。じゃ、二人も頑張ってね。」

水男「何を?」

風男「俺達が二人になるってことは、お前らも二人になるってことだろ。」

地女「あ……」

光女「じゃね~!」

水男「……」

地女「……」

水男「そ、そういえば、この間の講義のやけど、大丈夫だった?」

地女「見てたの?」

水男「な、なんとなくね。」

地女「ふーん……うん、大丈夫。」

水男「……」

地女「……」

水男「何か、食べに行く?」

地女「ふふ、ナンパ?」

水男「う~ん、それもありかな。」

地女「じゃあ、ちょっと付き合ってもらっていい? 行きたいお店があるから。」

水男「もちろん。」

~喫茶店~

水男「ここ? 新しいね。」

地女「うん、先週出来たばかりなんだって。」

主人「いらっしゃいませ。カウンターへどうぞ。」

水男「何にする?」

地女「うんと……オススメのデザートがあるって聞いたんですけど。」

主人「今、ぼくが推しているのは、パフェですね。マジックパフェ。」

地女「あ、じゃあそれで。」

水男「俺は、コーヒーお願いします。」

主人「かしこまりました。」

地女「甘いもの、苦手だった?」

水男「そんなことないよ。ただ、パフェってなんか恥ずかしくない?」

地女「あ~、お父さんも言ってた。男はパフェなんか食べないって。」

水男「お父さん、怖そうな顔してたもんね。」

地女「ほんと、怖くて怖くて……門限破ったら、とんでもなかったもん。」

水男「心配だからでしょ。」

地女「そうなんだけど、厳格というか昔気質というか……」

水男「どんな部分が?」

地女「彼氏は禁止!! って何回言われたか、わからないもん。」

水男「へ、へぇ……」

主人「お待たせしました、どうぞ。」

地女「わぁ……この丸いのって、なんですか?」

主人「マジックグミです。触れた者の感情が色になって表れます。どうぞ。」

地女「……黄色。」

主人「黄色は喜びや幸福の象徴、あるいは落ち着きの無さ、ですね。」

水男「落ち着かない?」

地女「え、いや、う~んと……初めてのお店だからかな? 水男も触ってみて。」

水男「……俺も、黄色だ。」

地女「でも、ちょっとかげってるね?」

主人「かげりは、失望を表しますね。先ほどのお父さんの話で、怖くなったのでは?」

水男「その通りで……」

地女「き、気にしなくていいってば、私は私だから!」

主人「はは、二人とも黄色、というのが素敵ですね。なかなかいませんよ。」

地女「そうなんですか?」

主人「恋人同士でも、同じ色というのは少ないですから。」

水男「ふーん……そういえば、このグミって、どうやって生成してるんですか?」

主人「秘密です。」

~水クラス【講義:水魔法実践】~

水教「さて、特論ではちとケチが付いたからの、今日はちょっと面白い魔法でいこう。」

水男「あ、そうだった……この間は、ごめん。」

水女「気にしないで。別に、見てやろうと思っていたわけじゃないでしょ。」

水男「そうなんだけど……」

水教「今回は、操作魔法じゃ。」

水嬢「あら、随分難易度が下がりましたわね。」

水教「当然、ただ水を流してもつまらん。今日は、水を固定してもらう。」

水大「そんなの、みんな高校でもやってきてるじゃないのさ……」

水教「このようにの……【操作魔法】!」

水男「くっ、空中に……」

水女「浮かんでいる!?」

水教「これは、コツが分かればすぐに出来る。さて、やってみなさい。」

水教(ふーむ、毎年、みな、これには苦戦するのぅ。)

水女「……っ!!」

水教(ふむふむ、水女くんはあと一歩というところか。確かに優秀じゃ。)

水男「……」

水教(水男くんは、心理魔法以外はそれほどでもなさそうじゃの。)

水嬢「!?」

水大「!?」

水教「……あの二人はセンスが感じられんの。」

水女「……こ、これでどうですか、先生。」

水教「ほーっ、大したもんじゃ!!」

水女「ふぅ……」

水男「……っ。」

水女「え……?」

水嬢「こ、凍ってる……?」

水教「こいつは、たまげたわい……」

水大「氷の生成って、国家試験の項目じゃない!」

水男「……!? あれ!?」

水女「溶けた……」

水教「厳密には生成したわけではないが……しかし、驚かされるわい。」

水教「なかなか面白い素質をもっておるようじゃの。」

水男「水のまま浮かばせられないと思ったので、先に固めようと思っただけなんですが。」

水教「それでもそうそうは出来んよ。」

水女「すごい……でも、負けないわ。」

水嬢「……っ。」

水教「そうじゃ、今日あたりから例のやつを始めようかの。」

水男「は、はい。」

水女「……?」

今日はここまでにします。

次の投下まで、少し時間が開くかも知れません。

読んで頂いている方は、今しばらくお待ち下さい。

これ最初の専攻属性決めるのにそこまで意味はなかったってことでおk?

「そこまで」な
だって一応他属性も使えるみたいだし要は使い方なんだろ?
むしろ魔法の内容が重要っぽいからさ

一番適性があるものに割り振ったりしたんじゃねえの

専攻ってゼミだろ
そんで他属性といっしょにやってるのは般教みたいなもんじゃね

きっと一番得意だったり潜在的に最も才能のある属性に振り分けられるんじゃない?
風属性でも努力や才能次第で水を扱えるとか

>>156のわかり易い例えで専攻属性がゼミだったとして
大学っていきなりゼミ決めるの?

ごめんねこのSSにケチつけてるわけじゃないんだ
真面目に読んで単純に疑問に思っただけだ誤解しないでくれ

>>159
1専攻1ゼミの少人数の専攻なら自動

>>1によると魔法学部は新入生60名だそうだから
6属性で平均10名、1専攻1ゼミの可能性は大
水は4人だけみたいだな

普通の大学はもっと人数多いから1専攻1ゼミになることが少ないし
1年生からゼミに参加しないような学部が大半

これが最後のレスにします なんていえばいいんだろこの気持ち

他の学問があるにもかかわらず主人公たちは「魔法学部」を自ら選んだわけでしょ。
小中高もずっと魔法学んできたわけだ。その過程で自分の得手不得手も理解してるっぽい。
で、入学した途端「お前の属性はこれだ!」って他人に決められてるのが驚いたというかもし自分ならショックだなって

読んでると生成魔法とか『明らかにする』魔法もアイデア次第では色んな属性でできるみたいなこと書いてあったから
なおさら属性そのものに意味なくね?と思ったの 

変な例えかもしれないけど
民法を特に学びたいと思って法学部入ったらいきなり教授にお前は「刑法」のゼミ入れって言われて
ふた開けてみると他の人に「いやこれ刑法じゃなくもて民法の知識でも解決できるよ。応用だって」とか言われてるのと
同じじゃない?

~番外編~

風男「なんでこんな朝っぱらから学食に呼び出しなんだよ……」

光女「>>152 のレスから、いろいろ考察が続いてるから、答えなきゃならないでしょ。」

風男「文章の読み方なんて人それぞれなんだから、好きに読んでもらったらいいじゃん。」

光女「そりゃそうなんだけどさぁ。」

風男「書き手の意図と違う読み方をしたからって、誤読とは言わんだろうし。」

水男「でも、設定はあるのに物語中で語られない、という要素があるのも事実だよね。」

地女「これから登場するっていうこともあるんじゃない?」

光女「それが際どいところね……」

水男「確かに、書きためてある分に答えが含まれている、というレスもあるね。」

風男「どうする?」

地女「物語の展開に支障が無い範囲で、答えたらダメかな。」

光女「ま、読んでくれてる人達への感謝ってことで!」



風男「>>152 にあるけど、実際、専攻の意味ってあんのかね。」

地女「地専攻の中にはいるよ、本当は水がよかったのに、って言ってる人。」

光女「そういう意味では、>>163 の『ショック』はあるみたいね。」

水男「俺も、まさか自分が水属性とは思ってなかったからなぁ。」

光女「ま、そのへんは>>155 の通りね。感応石が決めてるわけだから。」

風男「あれも眉唾だけどな。結局、専攻って必要なのかね。」

水男「一応、6属性それぞれに特性があるから、研究としてはあった方がいいと思う。」

光女「日常生活では>>154 にあるように、要は使い方だけどね。大切なのは応用。」

地女「3年生くらいになれば、もっと属性の特性がはっきりするかも知れないね。」



地女「>>158 の『努力や才能次第で~』っていうのは、その通りだね。」

風男「人によるけどな。水女みたいになんでもかんでも出来るのはおかしい。」

水女「通りがかりにそんなこと言われるなんて、心外だわ。」

風男「わ、悪い悪い……でも、実際なんでもかんでも出来るんだろ。」

水女「すんなり習得できた魔法もあるけど、そうでない魔法もあったわ。」

水男「>>158 にある『潜在的な才能』っていうのが関わっているのかもな。」

光女「その話でいくと、>>161 であるように、水が4人だけってのは不思議ねー。」

水男「例年、水属性は少ないらしいよ。闇も少ないらしいけど。」

風男「はぁ、俺も女の子だらけの属性に行きたかったなぁ……」



風男「>>156 の般教ってなんだ?」

光女「一般教養じゃないの?」

水男「多くの場合、義務教育課程までで学ぶ知識っていうことになるかな。」

風男「んじゃ、とりあえず6属性の生成と操作ができればいいんだな。」

水男「それプラス、漢字や計算や歴史的知識や……」

地女「……風男くん、顔色悪いよ?」

風男「お、おう……ということで、勉強が苦手だった人は俺を応援してくれるはずだな。」

光女「感情移入してくれるのは嬉しいとして、風男の応援はいるかなぁ……」

何故か早起きをしてしまい、やれやれと思いながらスレをチェックしたら、
たくさんのレス。にやけてしまいました。

1です。
作品について作者が説明するのもどうかと思いながら、
レスをいただいていることへの感謝と、
読みながらリアルタイムで作者に色々聞くというのも一興かなぁという思いとで、
急遽、番外編を書いた次第です。
説明出来てない部分が多いですが、おまけということでお願いします。

(続き)

色々な角度からのレスがあって、大変ありがたく思っています。
会話に出てこなかったレスも、すべて読ませて頂いています。
批判批評を含めたすべてのレスが、書き手にとっては励みになります。
今後ともよろしくお願いします。

なんてお人好し
地か水かもしくは光だなwwww

>>181
感応石に触れるより、官能石に触れたいですね。



上の部分は忘れて下さい。

1です。

もう少ししたら、投下します。

~夕方~

水教「よし、本日の補習はここまでにするかの。」

水男「俺は、まだ平気です。」

水教「わしが疲れたんじゃ。心理魔法は、魔力の消耗が激しくての。」

水男「あ、すみません……」

水教「それにしても、覚えが早いわい。あと心配なのは、心じゃな。」

水男「はぁ……」

水教「ところで、大学へは、何を目的として入学したのかね?」

水男「単純に、魔法というものを、もっと知りたかったんです。」

水教「それだけかね?」

水男「…………すみません。」

水教「知的好奇心…………純粋でよいが、危ういのう。ひとつ、昔話をしてやろう。」

水教「昔、極めて優秀な地属性の学生がおった。」

水教「学生は何に対しても貪欲で、専攻以外の属性もすすんで習得していった。」

水教「学生には、仲間がいた。極めて優秀な、水属性の学生じゃった。」

水教「二人は互いに惹かれあった。お互いにではなく、お互いの能力に。」

水教「若さとは恐ろしいもんじゃ、好奇心に任せて平気で禁忌に踏み込む。」

水教「二人が踏み込んだ禁忌は、魔法生命の生成じゃった。」

水教「一人が地属性で人形を生成し、一人が水属性で心を宿そうと考えた。」

水男「でも、魔法生命の生成は、法律で……」

水教「禁止されておる。だが、探せば、その手の本はごろごろ置いてある。」

水教「そして、ふたりは、魔法生命の生成に成功した。」

水教「……地属性の学生を、犠牲にしてな。」

水教「人形に入り込んだのは……地属性の学生の心じゃった。」

水男「心の生成は、出来なかったのですか?」

水教「君も知っているように、心がゆらいでは水の魔法は使いこなせぬ。」

水教「禁忌を犯しているという自覚が、水属性の学生の混乱を招いたのじゃなぁ。」

水教「生成ではなく、近くにある心を流す、操作魔法をしてしまったのじゃ。」

水教「悲惨じゃった。心が人形に流れ込み、地属性の学生の体は空になった。」

水教「そして、心を失った肉体からは魔力が消え、人形も朽ちた。学生の心とともに。」

水教「…………悔やんでも、悔やみきれんよ。」

水男「それって……」

水教「わしの、失敗談じゃ。」

水男「その、地属性の学生の体は、どうなったんです?」

水教「心を失ったまま、体も死んでしまったよ。心こそが、生きる力じゃからな。」

水男「……どうして、俺にその話を。」

水教「水の危うさを、知ってほしかったからじゃ。分かって、もらえたかの?」

水男「は、はい……」

水教「幸か不幸か、わしは罪には問われなかった。証拠がなかったためにの。」

水教「知りたい、という気持ちは強い。だが、同時に危うい。」

水教「君のように、欲求に応じる能力が備わっていれば、なおさらじゃ。」

水教「心は強く、優しくあらねばならん……では、また来週の。」

~廊下~

水女「ちょっと、いいかしら?」

水男「おわぁっ!!……み、水女?」

水女「そんなに驚かなくても……怖がりなの?」

水男「だ、誰もいないと思うだろ、こんな時間なんだから……」

水女「その、こんな時間まで、あなたは何をしていたの?」

水男「あーっと……心理魔法の補習を、少々。」

水女「なぜ、水男くんだけ?」

水男「い、いろいろあって。」

水女「ふぅん……どんなことをしたの?」

水男「今日は、自分の感情のコントロールばっかりだよ。」

水女「詳しく聞かせてくれないかしら。」

水教「ならん。」

水男「先生。」

水教「水女くん、心配しなくても君は十分優秀じゃよ。彼とはベクトルが違うだけじゃ。」

水女「……」

水教「君は生成も操作も、極めて高い資質をもっておるよ。わしが保証する。」

水女「心理魔法も、使えるようになりたいんです。」

水教「それなりには使えるようになるわい。」

水女「でも……」

水教「少なくとも、水男くんへの対抗意識が強い内は、同等の心理魔法は使えんよ。」

水女「!」

水男「対抗意識?」

水教「水女くん、水父所長の娘だそうじゃな。」

水女「父を、知っているんですか。」

水教「有名人じゃからな。さぞ、厳しく教育されたじゃろう。」

水女「……」

水教「他者と競い、他者に勝つことを目的として魔法を教わってきたはずじゃ。」

水教「競うこと自体は悪いことではない。しかし……」

水教「しかし、競うことの目的は、勝つことではない。高め合うことじゃ。」

水教「……水男くんの水属性への適正が、自分より高いように思える。」

水教「そこに、悔しさや焦りを感じておる……違うかの?」

水女「……そういう気持ちが、ないとは言えません。」

水男「でも、俺から見れば、水女の方が優秀です。」

水教「そこじゃよ。そういうことを、心から発言できる。純粋であるがゆえに。」

水教「だからこそ君は、心理魔法を使いこなせる。」

水教「水女くん、何度も言うが、君は十分優秀じゃ。」

水教「しかし、誰かと比べるのではなく、自分に何が出来るかを考えることじゃ。」

水教「勝ち負けなぞにこだわっている内は、水の魔法は使いこなせぬぞ。」

水女「分かっているつもりです……」

水教「あ、男くん、言い忘れておったが、心理魔法は悪戯に人に教えてはならんぞ。」

水教「誰にでも使えるものではないが、寝た子を起こす必要もない。」

水男「はい……」

水教「それほど研究が進んでいるわけでもないでな。」

水男「……ごめん、先生もこう言われているし……」

水女「気にしないで。理解はしているから……でも……」

水男「?」

水女「やっぱり、他の人に出来て私に出来ないっていうのは、悔しいの。」

水男「……」

水女「私、絶対、心理魔法も出来るようになってみせるから。」

水教「ほっほっほ、いい笑い方じゃ。その調子じゃよ。」

今日はここまでにします。

実は最初の投下の時点で終わる寸前まで書きためていたのですが、
読み返している内に思い返し、書き直しています。
それ以外のこともあいまって、投下のテンポが悪くなるかも知れませんが、
必ず彼らの物語は完結させますので、お付き合い頂ければと思います。

ここまで読んで頂いた方、ありがとうございました。

~図書館~

地女「あ……」

水女「あら、地女さん。」

地女「こんにちは。」

水女「奇遇ね、あなたも勉強?」

地女「うん。建築魔法のレポートがあって、資料が足りなくて……」

水女「建築魔法……それも、面白そうね。」

地女「……あれ、それ、心理魔法の本?」

水女「えぇ……やっぱり、他の人に出来て私に出来ないのは、悔しいから。」

地女「水男って、水クラスでは、すごいの?」

水女「そうね……心理魔法に限って言えば、すごいと思うわ。」

地女「……水女さんより?」

水女「……答えにくい質問ね。これで答えになる?」

地女「ごめんなさい……」

水女「そんなに構えないで。誰もとって食べたりしないから。」

地女「ご、ごめんなさい。講義室で怒ってる印象が、いまだに強くて……」

水女「あれか……なんだか恥ずかしいわね。でも、水と地は相性がいいはずだから。」

地女「そ、そうだよね。私、ちょっと人見知りで……」

水女「その割には、水男くんとはしっかり仲がいいわよね?」

地女「う、うん。なんでか分からないけど。」

水女「彼の事、好きなの?」

地女「えっ!?」

水女「……ふぅん。」

地女「そ、そういう水女さんこそ、どうなの?」

水女「強いて言えば……ライバル、って感じかしら。」

地女「そうなんだ……」

水女「ふふ、それじゃね。」

地女「……ちょっとは仲良くなれたかな?」

地女「さて……あ、あれ?」

地女「……レポート用紙、切らしちゃってたんだ。」

~学生会館~

地女「え~と……」

光女「やっほ!」

地女「あ、光女。」

光女「買い物? 一緒に何か食べる? 水男と一緒じゃないの?」

地女「え、えと、レポート用紙を買いに来て、今、金欠で無駄遣い出来なくて……」

地女「って、どうして水男くんが出てくるの?」

光女「だって、よく一緒にいるじゃない。」

地女「た、たまたまだよ。」

光女「まだ付き合ってないの?」

地女「まだ、って……」

光女「水女にとられちゃうかもよー?」

地女「そもそも、わ、わたしのものじゃないもん。それに……」

光女「?」

地女「水女さんは、ライバルとしか思ってないみたいだし。」

光女「ライバル? そんな話したの?」

地女「ついさっき。水男のことどう思ってるの、って聞いたら。」

光女「ライバル、って答えたの?」

地女「うん。」

光女「……それって、誰のライバル?」

地女「えっ?」

光女「水男とライバルなんじゃなくて、地女と恋のライバルって意味じゃない?」

地女「え……」

光女「あはは、冗談冗談っ! そんなに真剣な顔しないでってば。」

地女「も、もぅ……」

地女「……」

光女「ありゃ、余計なこと言っちゃったわ……」

~水男のアパート~

風男「そう言えば、水男って、サークル入った?」

水男「入ってないし、入るつもりもないんだけど。風男は?」

風男「風動車サークル。」

水男「へぇ……面白いのか?」

風男「まぁまぁかな。実際に運転するのはかなり面白いよ。」

水男「やっぱり、生成は苦手なのか。」

風男「それもあるけど、チームで車を作る時に、火男がいるんだよな。」

水男「あ~……講義で同じグループだったことがあったかな。どんな人なんだ?」

風男「女ったらしですぐふざけるしよ。そういや、あいつも鎧の都出身なんだってな。」

水男「じゃあ、水女のことは知ってたのか?」

風男「らしいな。他の学校でも、かなり有名だったみたいだ。」

水男「じゃあ、前に見たのはナンパじゃなくて、ただ話してただけか。」

風男「いや、ありゃナンパっぽいな。取り巻きがいない時をねらったんだろ。」

水男「まぁ、あのふたりがいたら面倒くさそうだ。」

風男「その通り。有名だったのは、どちらかというと取り巻きの方だったらしい。」

水男「あのふたりが?」

風男「高校の時から、犯罪スレスレだったみたいだぜ。」

水男「例えば?」

風男「生徒会長選の対立候補の家に不審火、とか。」

水男「……水女は、どう考えてるんだろうな。」

風男「おいおい、地女から乗り換えたのか?」

水男「真面目な話だよ。俺も、何かされかねないんだから。」

風男「うーん、まぁ、何度も何度もやめるように言い続けていたらしいけどな。」

水男「それでも、やめなかったのか?」

風男「私達のお体を察して心配して下さってるのね、という発想になるらしい。」

水男「なんだそりゃ。」

風男「狂信者だよな、まるっきり。水男、急に後ろから刺されたりしてな。」

水男「おどかすなよ……」

風男「冗談だよ、冗談。」

水男「閑話休題。そろそろ、本題に入ったらどうだ?」

風男「風と水の合成について、レポートが出たわけだが……」

水男「急に来たから、変だと思ったよ……」

今回はここまでです。

~学食~

光女「そういえばさぁ、水男と水女の共通点ってなんなんだろうね?」

水男「水属性?」

光女「そうじゃなくて、その前提。なんでふたりが水属性なのかなーって。」

地女「得意な魔力の問題じゃない?」

風男「いや、俺も風が専攻だけど、火の方が得意だったからなぁ。」

光女「ふたりは、性格的にも、随分違う気がするんだけど……」

水男「いや、俺を見られても、俺にも分からないよ。」

水教「では、わしが答えようかの。」

水男「先生。」

水教「ほっほっほ、たまたま通りかかったら面白そうな話だったのでのう。」

水男「先生は、理由を御存じなのですか。」

水教「あくまでも、予測じゃがの。感応石も万能無欠じゃありゃせんし。」

風男「予測でもいいんで、教えてもらえませんかね。」

水教「水女くんが水専攻になったのは、そのゆらぎのためじゃろう。」

光女「ゆらぎ?」

水教「父親に厳しく指導され、反発心があるが、尊敬もしている。」

水教「また、優等生であることに窮屈さを感じながら、プライドも感じている。」

水男「そんなこと、俺達が聞いていいんですか。」

水教「まぁ、気にするでない。さて、水男くんは、ゆらぎはまったくない。」

水男「なんか、俺がアホみたいですね。」

水教「水女くんが波とすれば、水男くんは、にごりのない水のようなものじゃな。」

光女「一口に水といっても、色々なんですね。」

水教「それはそうじゃ、わしだって二人とはまったく違うじゃろう。」

地女「そうですね。」

水教「大切なのは属性に囚われることではなく、よく理解することじゃよ。」

水教「さて、ラーメンでも食べるかのう。」

水男「……水女って、ラーメン好きなのかな?」

風男「そういや、食べてるところはよく見るな。」

水男「意外と、そんな程度だったりしてな。」

風男「今の話、全部無視じゃねーか。」

水男「だって、水嬢と水大と共通点があるとは考えたくないだろ。」

光女「確かに……でもまぁ、水教先生の考えが正しければ、何かあるのよねー。」

風男「純粋……にごりがないってことは、逆にいえば染まりやすいってことか。」

光女「あー……分かった。それだわ。」

地女「どういうこと?」

光女「惚れたら一直線ってことよ。水嬢と水大は、水女に一直線。」

水男「俺は?」

光女「そりゃもう、地女に」

風男「一直線!!」

水男「……」

光女「ほら、染まりやすいでしょ?」

地女「……」

風男「この仮説は駄目だ。正解なら、水専攻が5人だったはずだからな。」

ほんの少しですが、投下させて頂きました。

レスを下さっている方々もそうでない方も、

読んで下さっている方みなさん、ありがとうございます。

では、また。

~水クラス【講義名:水魔法実践】~

水教「さて、前から言っていたように、今日は試験じゃ。」

水教「魔法祭で浮かれる前に、しっかりと反省してもらうぞえ。」

水嬢「はぁ……嫌味な先生ですわ。」

水教「聞こえとるぞ、性悪!……さて、では、筆記からじゃ。」

(30分後)

水教「ほい、そこまで。次は、生成魔法じゃ。」

(30分後)

水教「最後は、操作魔法じゃ。」

(30分後)

水教「はい、そこまでじゃ。」

水嬢「はぁ、終わりましたわ……」

水大「どっちの意味だわさ?」

水嬢「どちらの意味でも、ですわ。」

水教「では、さっそく採点を発表するぞい。」

水男「え、みんなの前で発表するんですか。」

水教「水の魔法使いがこれしきのことで動揺するでないわ。では、水嬢くんから。」

水嬢「……」

水教「筆記が33、生成が30、操作が39じゃな。」

水大「ぷっ、それが高校の点数だったら、大学なんて到底無理だわさ。」

水教「お主も笑いごとではないぞ。筆記32、生成が32、操作が31じゃぞ。」

水嬢「……口ほどにもありませんわね。」

水教「では、お待ちかねの上位2人じゃが、どちらからがいいかの?」

水女「私から、お願いできますか。」

水教「ふむ、まぁどちらでもいいがの。筆記93、生成85、操作87じゃ。」

水男「すごいな……」

水嬢「う~ん、さすがですわ!」

水教「さて、水男じゃが、筆記が80、生成73、操作73じゃ。」

水大「ということは……合計は265と223ね。」

水嬢「水女様の圧勝ですわっ!!」

水教「まぁ、二人とも、総合点としては文句なしでA評価になるじゃろうな。」

水教「さて、午後の特論では、心理魔法のテストを行うでな。おつかれさん。」

水嬢「ほっほっほ、やっぱり男には水魔法は難しいようですわね!!」

水大「水女様はやっぱり優秀だわさっ。」

水男「筆記80か……高校の時みたいにはいかないなぁ。」

水女「ふぅ……少し、安心したわ。どうせ心理魔法は、敵わないだろうし。」

水嬢「そんなことありませんわ、水女様が図書館でお勉強した成果が出ますわっ!」

水女「どうしてそんなこと知っているの? ついてこないでって、言ったわよね。」

水嬢「え、あ、それは……」

水大「たっ、たまたまだわさ。私達もそれなりに図書館に行っているのよさっ。」

水女「やっぱり、つけてたのね……水男くん。」

水男「なに?」

水女「お昼、どうするの?」

水男「友達と、学食に行くよ。」

水女「いつもの3人? それ、私も一緒に行っていいかしら。」

水嬢「なっ……水女様、私達と食事に」

水女「いい加減にして!」

水大「み、水女様?」

水女「高校でも何度も言ったけど、貴方達の行動は、私のためになんてなってないの。」

水女「彼もすごく優秀だわ。それでいいじゃない。けなす必要がどこにあるのよ。」

水女「私も負けないくらい努力しなくちゃって思えるもの。」

水女「私に偶像だけを求めて、自分たちではなにもしない。その、結果は?」

水嬢「そ、それは……」

水女「本当にもう、変なつきまとい方をしないで。ただの、同級生として扱って頂戴。」

水嬢「……」

水女「行きましょう。」

水男「……いいのか?」

水女「いいのよ、これで。せいせいするわ。」

水大「……水嬢、大丈夫?」

水嬢「……あの男のせいよ。」

水大「えっ?」

水嬢「あの、水男なんて人間のせいで、水女様が毒されてしまったのよっ。」

水大「た、たしかに、水男と関わるようになってから、変わったわさ……」

水嬢「絶対、後悔させてやるんだから……」

~学食~

水女「ということで、これから一緒にご飯食べていいかしら?」

光女「断る理由がないわよ、ね?」

風男「そうそう、友達は多い方がいいって。」

水男「地女も、いいかな?」

地女「え、う、うん、もちろん。」

風男「にしても、結構危ない方々なんじゃないの、その二人? 大丈夫か?」

水女「まぁ、噂は私も聞いているけど……本当にもう、うんざりなの。」

光女「そんなにひどかったの?」

水女「心当たりのない謝罪をされることは多々あったわ。」

風男「わぉ……俺も気を付けるかな。」

光女「いや、それ言ったら、危険なのは水男じゃない。」

地女「仲、いいもんね……」

水男「あまりおどかさないでくれよ。」

水女「そうよね、水男くんは怖がりだから。」

風男「えっ、そうなのか?」

光女「意外ー!」

地女「……」

水男「いや、そういうわけじゃないけど……とにかく、早く食べてしまおう。」

風男「ま、俺達も午後に試験を控えてる身だからな。」

光女「あれ、そういえば、午前の試験はどうだったの?」

風男「さっ、早く食べようぜっ。」

光女「……留年しないでよ、ほんとにもぅ……」

~水クラス【講義:水魔法特論】~

水教「さて、心理魔法の試験は、すべて実技で行う。」

水教「グリフォンのコントロールを、時間内でどれほど行えるかじゃ。」

水教「いかに早く、いかに正確に、いかに様々なことをさせるかで採点する。」

水教「では……くじで、順番を決めようかの。」

水大「……私からだわさ。」

(20分後)

水教「ふーむ、まずまずじゃな。では、次は、水嬢くんじゃな。」

水嬢「私も、遊んでいたわけではありませんのよ。」

(20分後)

水大「私よりも、芸の数が少なかったわさ!」

水嬢「ふ、ふん。量よりも質ですわ。」

水教「ふむ……では、次は、水女くんじゃ。」

(20分後)

水女「ふぅ……」

水嬢「水女様が、私たちと……いや、私たちよりも……」

水大「何かの間違いだわさ……」

水教「さて、いよいよ君の番じゃな。」

水男「はい。それじゃ、やります。【意識操作】」

水男「あれ……これは……」

水男「……よし、俺はこれでいいです。」

水嬢「はあ?」

水大「短すぎるわさ。そもそも、何も芸してないわさ。所詮はこの程度よのさ!」

水女「……?」

水教「【読心魔法】……ほっほっほ、なるほどのぅ。」

水大「なんだわさ?」

水教「3人とも、グリフォンに何をさせたか、覚えておるかね。」

水大「お手、はばたき、ふせ、いななき、爪研ぎだわさ。」

水嬢「お手に、お辞儀、まばたき、ですわね。」

水女「ブレス、威嚇です。」

水教「水嬢くん、水女くんの魔法を見て、どう思ったかね。」

水嬢「いっ、いつも通り素晴らしい魔法だと思いましたわっ。」

水女「予想していたより、出来が悪かったんでしょう? 驚いていたものね。」

水嬢「うっ……」

水教「実は、それは仕方のないことなんじゃ。先の方が、有利なんじゃよ。」

水大「なぜだわさ?」

水教「心理魔法は痕跡こそ残らんが、対象への負担は大きい。」

水教「特にストレスは強くかかり、精神的に不安定になるのじゃ。」

水女「【読心魔法】そういうことか……私の、負けね。」

水大「なぜ?」

水教「水男は、最後に、これまでの魔法のストレスを、取り除いたんじゃよ。」

水女「さんざん芸をさせられて、グリフォンは自覚が無いとしても興奮してる。」

水女「だから、だんだん魔法をかけにくい状態になっていっていたんだわ。」

水大「それじゃ、そもそも不公平な試験ってことよのさ。」

水教「ちゃんとそこまで考えて採点はするつもりじゃったわい。しかし……」

水嬢「なんですの?」

水教「これまでに、こんな試験の受け方をする学生はおらんかったからの。」

水男「習ったことを、実践すべきだと思ったので……」

水教「まぁ、悪い点数にはせんわい。楽しませてもらったでの。」

水女「やっぱり、心理魔法は私の負けね。」

水嬢「てっ、点数は水女様の勝ちでしょう!?」

水大「そうだわさ、より多くの芸をさせたほうが勝ちなんだから。」

水女「試合に勝って、勝負に負けたってところよ。」

水嬢「う……。」

水女「そもそも心理魔法は、心への負担を考えれば、短い方がいいんだもの。」

水女「水男くん、勉強になったわ。」

水男「いや、負けるのが怖くて逃げただけだよ。」

水教「さて、今日も、補習は夕方からじゃ。遅れないようにの。」

水男「はい。」

水嬢(補習……そういえば、前にもそんなようなことを言ってましたわね?)

~学食~

光女「おつかれさまーっ!」

地女「ずいぶんご機嫌だね。」

風男「試験でかなりいい結果だったんだと……はぁ。」

水男「だいぶ、景気が悪そうだな。」

風男「いまいち集中できなくてな~……単位を落としてしまいそうだ。」

地女「水男くんは、どうだったの?」

水女「きっと歴代最高評価ね。」

光女「あれ、水女も一緒かぁ。最近、仲いいんじゃない?」

水女「切磋琢磨するに足る相手だから。」

地女「……」

風男「はぁ、いいなぁ、順風満帆なやつは……」

水嬢「あっ、見つけましたわ、水男っ!!」

水男「な、なに?」

水大「あんた、許されるとおもってるわさ?」

水男「なにが。」

水大「聞けば、あんた、授業外で先生から補習を受けてたそうじゃないのよさ。」

水嬢「卑怯ですわ。水女様に勝つために、そんなことまでするなんてっ!」

水女「待って、私もそのことは知っていたけど……」

水嬢「水女様、分かっております。お優しいあなたのことです……」

水嬢「こんな男でも、慈悲の心でその不正を許して差し上げたのでしょう。」

水大「ふん、水女様ほど優秀な人の裏をかくなんて、なにかあると思ったわさ。」

光女「ちょっとちょっと、さっきから聞いてれば、何言いがかりつけてんのよ。」

水大「なんだわさ、あんた。」

光女「二人の友達よ。ふたりとも納得済みみたいなんだから、いいじゃないの。」

水嬢「いきなりしゃしゃり出てきて、なんですの。友達ぶって、この不細工。」

光女「なっ……っ!」

風男「おいおい、そりゃ聞き捨てならねーな。」

水大「あんたはなんだわさ。」

風男「そこの美人の彼氏だよ、不細工2名。」

水大「……あぁ、あなた、風専攻の風男よのさ。落ちこぼれって聞いてるわさ。」

風男「んだとぉ……!」

水女「あなたたち、いい加減に……」

水嬢「よろしいんですの、水女様。あなたの名誉のためならば、争いもいといません。」

水嬢「水女様、あなたはお父上の高貴な血を引き、かつ、すでに優秀な人間です。」

水嬢「私達は、あなたのような人間になることを目指して日々頑張っているのですわ。」

水嬢「お救い下さった日に悟りました、私はあなたを守るために生まれてきたのだと。」

水嬢「この水男など、あなたの栄光ある人生においてはただの石に過ぎませんわ。」

水嬢「大体、補習なんて本当に受けていたのか、あやしいものですわ。」

水嬢「水属性の男ですもの、大方、老婆がお好きだという変わったご趣味……」

今回の投下はここまでです。

読んで下さっている方、ありがとうございます。

では、また。

副学「学長、早速出願希望者がいるようですよ。」

学長「おぉ、感心感心。この国の未来を担う魔法使い達よ。」

水教「しかし、送り先の住所を魔法で検索しなければならんことをわかっとらんの。」

光教「毎年のことですよ、宛名だけ書かれた封書が届くのは。」

闇教「検索魔法を使えることは、受験の最低条件ですからな。」

学長「ふむ……一応、通信魔法の回路も、事務のものは常にオープンなのだが。」

光教「まぁ、そういう問題ではないんでしょうね。」

闇教「地域によっては、魔法教育に力を入れていないところもありますからな。」

水教「ペーパーだけやっとる学生に来られても困るわい。」

光教「ま、とりあえずは、今年の1年生をちゃんと鍛えましょ?」

1です。

いろいろな角度のレスありがとうございます。とても励みになります。

本編投下します。

地女「【硬直魔法】っ!」

水嬢「!!………」

風男「……口だけを硬直? はじめて見た……」

地女「もう、聞きたくない。」

光女「地女……」

地女「水男は、ずるをするような人じゃない。」

水大「裏で先生に会いに行ってたのは事実だわさっ。」

地女「み、水男は、先生の指示に従って訓練を受けてただけだもんっ!!」

地女「そっ、それに、何も知らないくせに、みんなを馬鹿にしないでよっ!!」

地女「風男くんは、いっつもみんなに気を遣って動いてくれる素敵な人だよ。」

地女「光女だって、優しくて明るくて、誰にでも好かれる素敵な人だよ。」

風男「あ、やべぇ……俺、結構感動してる。」

光女「なんか、妹の成長を見る姉の心境だわ……」

地女「み、水男くんは……立派な人だもの。不正なんて、するはずないっ!」

地女「私の大切な友達を、バカにしないでっ!!」

水女「……私も、地女さんと同じ意見だわ。」

水大「え……?」

水女「私の友達をバカにしないで。あなた方は、私からずっと友達を取りあげてきた。」

水女「高校からずっとよ!!」

水女「ようやく、大学で楽しく過ごせるかと思ったら、あなた方がついてきて……」

水女「本当にわたしのことを思うなら、私に……」

水女「私たちに、つきまとわないで。」

風男「ったく……あれで同じ大学生かと思うと、悲しくなるぜ。」

光女「あんたが陰で同じこと言われていないことを祈るわ……」

水男「なんか、みんな、ごめん。」

風男「お前が悪いわけじゃないって。」

光女「むしろ、地女の意外な一面が見れてラッキーって感じ?」

地女「あ、あれは、その……」

水男「嬉しかったよ。ありがとう。」

地女「う、うんっ。」

光女「それにしても、あの水嬢って子、ちょっと異常じゃない?」

風男「陶酔というか妄信というか、ただ助けられたってだけであんなになるか?」

水男「……にごりのない水って、そういうことなんだ、きっと。」

地女「前に、水教先生が言っていた話?」

水男「いわゆる夢見がちな少女ってやつが、完全無欠な同性に出逢ったら……」

水女「別に、私は完全無欠と言うわけじゃないわ。」

水男「水嬢からすれば、そういう風に見えたんだろう。それで、ハマって。」

光女「まぁ確かに、女の子って、モデルを見つけたがるものかも。」

風男「おっそろしいな~、女ってのは……」

光女「……こっちを見ないでよ、女ってだけにひとくくりにされても困るってば。」

水女「何にしても、ちょっと、心配だわ。」

光女「何が?」

水女「報復。あの人たち、本当に何をするか分からないから……」

光女「まぁでも、されるとしたら……」

風男「……」

地女「……」

水女「……」

水男「俺か……」

風男「あの二人からすれば、お前が一番の元凶ってコトになっていそうだからなぁ。」

水女「見当違いも甚だしいわ。」

水男「ま、まぁ、この話はここまでにしよう。これから補習もあるし。」

~水クラス~

水教「ふむ……そろそろ、補習の必要もなくなってきたの。」

水男「自分では、そんなに成長した気もしないんですが。」

水教「大切なのは心じゃ。それを、今日の試験で見せてもらったからのう。」

水男「はぁ……」

水教「それに、いつまでも拘束しては、君の恋人に悪いじゃろ。」

水男「恋人?」

水教「地女くんと言ったかの。違うのかえ?」

水男「べ、べつに、そういう関係では……」

水教「補習の度に彼女への好意が強まっとるから、そうかと思ったぞえ。」

水男「そう言われましても……」

水教「まさに老婆心じゃが、気持ちは伝えられる時に伝える方がええよ。」

水男「でも俺、どうも口が下手で。友達に口がうまいやつがいるんですが。」

水教「ほほ、若いのう。伝える手段は言葉だけとは限らぬわい。」

水教「失ってからでは、遅いからの。機会があれば、伝えることをおすすめするよ。」

水男「もしかして……以前話された、地属性の学生って……男性、ですか。」

水教「はて……何十年も前の話じゃからの。」

水男「……あ、そうだ。先生、最後にひとつ、質問してもいいですか。」

水教「なんじゃ?」

水男「以前、純粋さゆえに心理魔法が使える、というような話をされましたよね。」

水教「うむ。」

水男「水嬢さんも、かなり純粋さをもっているのではないかと思ったのですが。」

~夏の魔法祭・午前~

地女「あの後は、何も問題なかったの?」

水男「特に因縁をつけられることもなかったよ。いい雰囲気でもなかったけど。」

風男「あの勝手な考え方はどうにかなってほしいがなぁ。」

光女「んっとに……思い出しても腹が立ってくるわっ!」

風男「まぁまぁ。せっかくのお祭なんだからさ。」

光女「あんたは、そんなにでもないの?」

風男「んー、まぁ人間いろいろだからなぁ。特に若い内は、ケンカもするだろ。」

水男「随分大人に見えるなあ。」

水女「ちょっと見直しちゃったわ。」

風男「要は自分がどう思うかが問題だろ? 俺にとってはこいつは美人ってことさ。」

光女「ば、ばかね、もう。」

地女「ふふっ。」

水女「あ、そろそろ私、行かなくちゃ。」

光女「あれ、何かあるの?」

水女「学生委員の仕事。」

風男「出来る女は大変だねー。」

水女「猫の手よ……あ、でも、まだ手伝ってくれる人を探してるって言ってたわね。」

光女「そんなに人手が足りないの?」

水女「生成魔法が得意な人が、特に……そうだ、水男くん、来られないかしら?」

地女「……」

水男「え、俺?……いや、遠慮しておくよ。勝手も分からないし。」

水女「そっか……残念ね。気が向いたら、本部に顔を出してちょうだい。それじゃ。」

光女「珍しいわね、水男が誰かの頼みを断るなんて。」

水男「うん、ちょっとね。」

今回の投下はここまでです。

読んで下さっている方、ありがとうございます。


魔法+学園モノいいよな



好きだ

水嬢「あら、>>272さん、ありがとうございます。好きだなんて嬉しいですわ。」

水大「いや、私に対してだと思うわさ。好かれるべきキャラ第1位だわさ。」

光女「なーに言ってんの、ヒロインの私に対してに決まってるでしょ。」

水女「え、ヒロインって私じゃないの?」

地女「え、えと……>>272さんが男性とは限らないし……」

光教「バカねぇ、美貌と能力を兼ね備えて異彩を放つ私こそが、真のヒロインよ。」

水教「その理屈ならワシじゃろうが。」

グリ「グリフォン的には、>>272は人物評ではなく作品評だと思います。」



読み流してやってください。
>>271さんもですが、投下終了からレスまでが早く、驚きました。
読んで頂いて、ありがとうございます。

専攻属性が変わることってあるの?
某魔法小説の守護霊見たいに



時代が進んで魔法の理論が発展して行ったら六属性じゃなくなる可能性もあるな(というか過去にそうでなかった可能性も)
教科書の編纂者が大変だな

~番外編~

光女「>>276ってことなんですけど。」

光教「なんだか、番外編用のキャラみたいで嫌なんだけど。」

光女「出番があるだけいいじゃないですか。」

光教「まぁね。専攻の転科は、基本的にはないわね。」

光女「前例は?」

光教「うーん、なんせ感応石の決定だからねー。あ、でも。」

光女「あるんですか?」

光教「属性の教授とあまりにも合わなければ、認められるかも?」

光女「ふむふむ。」

光教「でも、同じ属性なのにまったく性格が合わないってコトもないはずだけどね。」

光女「ふーむ? 水専攻の4人は怪しいような?」

光教「はい、それじゃ次の質問は?」

光女「ノリノリじゃないですか……」

光教「あ、言い忘れたけど>>276の『某魔法小説』は、ちょっと分からないの。許してね。」

~番外編~

光女「>>277 属性の種類についてですね。」

光教「ちょっと、これは闇教先生が講義で話されているはずよ。」

光女「でも、人体を構成するのが6属性ってだけで、他に無いとは限りませんよね。」

光教「まぁね。実際、それ以外の属性の可能性を示す研究も多々あるわ。」

光女「例えば?」

光教「残念、そこまではお応えできないわ。」

光女「本編に絡んでくるから?」

光教「必然性があれば、出てくるかもね。」

光女「そんな玉虫色な……」

水教「設定としては考えてあるみたいだけど、出てくるかしらね?」

どうも、番外編を書くのが楽しくなってきた1です。

次から本編の投下です。

風男「なぁ、早速だけど、なんか食わないか?」

光女「焼きそば、お好み焼き、クラーケン焼き……ん~、迷っちゃう!」

水男「じゃあ、ペアで買い物して、30分後に、学食集合でどうかな?」

地女「あ、面白いねっ。」

風男「ふっ、うまくデートの形にしたな、水男?」

水男「そ、そういうわけじゃないけど……」

光女「照れなさんなって! じゃあ、あとでねっ。」

地女「……す、すごい人だかりだね。」

水男「……」

地女「あっ……」

水男「は、はぐれたら困るからさ。」

地女「……うんっ。」

~学食~

光女「ふっふっふ~、私見ちゃったんだぁ……二人、手をつないでたっ!」

水男「はぐれたら困るから。」

地女「ねっ。」

光女「あ、あれ?」

風男「う~ん、光女の負けだな。」

光女「つまんないの~……それより見てよ、これ! ヒポグリフまん!!」

風男「面白いよな、これ! 中の肉が、まだ動いてるんだぜ。」

地女「ちょ、ちょっと怖くない?」

水男「普通のでいいって、普通ので……」

光女「じゃあ、二人は何買って来たのよ?」

水男「マンドラゴラそば。」

地女「マンドラゴラピザ。」

風男「待て待て……マンドラゴラって屈指のゲテモノじゃねぇか。薬だろ?」

水男「え、地元じゃ普通に食べてたんだけど……」

地女「ね。」

風男「大体、マンドラゴラって、どこ食うんだよ。」

地女「おいしいのは、やっぱり顔かなぁ……」

光女「いただきっ!!」

水男「あっ、ひとつしかないのに!!」

~夏の魔法祭・午後~

光女「あれ、水女じゃない。本部で、なにしてんの?」

水女「落し物が多くて、探知魔法しっぱなしで……」

風男「大丈夫かよ?」

水女「お腹が空いたわ……」

地女「あ、これ……食べる?」

水女「……なに?」

水男「マンドラゴラピザ。」

水女「……えーと、あとで時間見つけて何か買うから、大丈夫。」

風男「自然な反応だ。」

光女「学生委員おすすめのブースはないの?」

水女「おすすめ? 教育学部棟で、魔法演奏のコンサートがあるらしいけど。」

水男「あ、それ行ってみたいな。見たことないんだ。」

地女「それじゃ、行ってみる?」

風男「うーん、他には?」

水女「どんなのがいいか、教えてもらった方が早いかも。」

光女「バザーみたいなものはないの?」

水女「あれ、まだ行ってないの? 医学部棟で、大規模にやってるわ。」

風男「よし、俺達はそっちに行ってみるか。」

光女「また別行動だけど、いいわよね。」

地女「どうぞ、ごゆっくり。」

水男「水女、大丈夫か?」

水女「なんとかならないこともないわ。楽しんで来て。」

~夏の魔法祭・夜~

光女「結局、水女は終日忙しそうだったわね~。」

水男「冬の魔法祭のときは、みんなで手伝ってあげてもいいかもしれないな。」

地女「そうだね。」

風男「さて、それじゃ、そろそろ帰るとするか。」

光女「水男、送り狼になっちゃだめよ?」

水男「はいはい。」

地女「ふたりとも、気を付けてね。」

水男「……」

地女「……」

地女「花火、すごかったね。」

水男「そうだな~、田舎じゃ花火なんてほとんど見られないから、感動したよ。」

地女「火属性専攻の卒業生が、寄贈してるんだって。」

水男「へぇ……火属性も、面白そうだな。」

地女「でも、水男は水属性でよかったよね。」

水男「なんで?」

地女「え……や、優しいから、イメージに合ってるじゃない。」

水男「そう言われたからには、ちゃんと家まで送らなくっちゃな。」

地女「え、うん……ありがとう。」

水男「言いそびれてたけど、浴衣、似合ってるね。」

地女「あっ……ありがとう。」

水男「……」

地女「……あ。」

水男「……はぐれは、しないけどさ。」

地女「うんっ。」

~地女のアパート~

水男「ここ?」

地女「うん、送ってくれて、ありがと。」

水男「じゃあ、バイバイ。」

地女「バイバイ……あっ、ちょっと待って。」

水男「?」

地女「【疲労回復】」

水男「地属性の、治癒魔法かぁ……すごい効き目。」

地女「送ってくれたお礼っ。」

水男「……地女、あのさ。」

地女「なぁに?」

水男「……」

地女「……」

水男「……」

地女「……」

水男「……おやすみ。ゆっくり休んでな。」

地女「うん……おやすみ。ありがと。」



水男「……はぁ。」

~水クラス【講義名:水魔法特論】~

水教「さて、魔法祭も終わり、そろそろ夏休みじゃ。そこで、プレゼントがある。」

水嬢「猛烈に嫌な予感がしますわ……」

水教「各専攻の講義は通年科目じゃから、後期も同じ内容じゃ。そこで……」

水大「どうせ、宿題だわさ……」

水教「その通り。課題は、新しい魔法の開発じゃ。」

水女「新しい魔法の開発? そんなこと、できるんですか。」

水男「水女が一番出来そうな気がするけど……」

水教「まぁ、難しいのはわかっとる。さて、1年生の諸君に、大事な連絡をしよう。」

水嬢「なんですの?」

水教「この学校には、合成魔法コンクールというものがある。」

水大「合成魔法コンクール?」

水教「うむ。3人1組で、再現性・実用性が高い魔法を合成するというコンクールじゃ。」

水嬢「なぜ、それが大事な連絡なんですの?」

水教「このコンクールに出場する場合は、課題は免除とする。」

水男「どうしてそんな話に?」

水教「わしがコンクールの主催者の一人だと言うことが最大の理由じゃな。」

水女「参加するだけで、課題が免除になるんですか?」

水教「まぁ、個人でやるか、複数人でやるかという違いがあるだけじゃし。」

水教「実際、単一属性で真新しいものは難しいからのう。」

水女「つまり、少しでも参加者を増やしたいということね。」

水教「そういうことじゃな。」

水嬢「3人1組というのが際どいですわね……」

水教「あ、ちなみに。」

水大「なんだわさ?」

水教「水嬢くんと水大くんについては、このままでいくと単位を落とすので、頑張ること。」

水嬢「ええっ!?」

水大「まずいわさ……」

水教「本当に新しい魔法が出来たら、それだけで単位をくれてやるわい。」

水大「とんでもないことになったわさ……」

水嬢「困りましたわね……」

水男「……」

水女「……あら、何書いてるの?」

水男「アイディア。」

水女「なーにが、『水女が一番出来そうな気がする』、よ。」

水男「ちょ、ちょっと閃いたんだよ。」

水嬢「……ちっ。」

水教「では、他に質問が無ければ、これで終わりとしよう。」

今日の投下はここまでにします。

乙の一言だけでも、レスをして下さっている方、ありがとうございます。

創作と投下の励みになります。

では、また。

水嬢「水女様。」

水女「……なに?」

水嬢「そんなに毛嫌いしないで欲しいですわ。お願いがあるんですの。」

水女「お願い?」

水嬢「みなさんのお集まりに、私達二人もご一緒させていただけないでしょうか。」

水女「みなさんの、って……」

水男「……みなさん?」

水大「これまでの非礼は、水に流して欲しいわさ。」

水嬢「私達の今の学力では、単位を落としかねませんわ。」

水大「新しい魔法をつくって、単位を安定させたいのよさ。」

水女「……それで、どうして私達の話になるの。」

水嬢「合成魔法のコンクールに出るなら、水属性だけではダメですわ。」

水男「確かに……この4人の中でチームを組んでも、仕方がないな。」

水嬢「その通りですわ、さすが水男。」

水男「でも、他に知り合いがいるような話もしてなかったか?」

水嬢「残念ながら、それほど仲がいい人もいないのですわ。」

水大「ど、どうですか、水女様。」

水女「駄目。」

水男「お、おいおい……」

水女「……敬語をやめてくれるなら、私は構わないわ。」

水嬢「水女さ……ん!」

水女「はぁ……とりあえず、みんなに聞いてみましょう。」

~学食~

風男「いんじゃね?」

水男「かるっ。」

風男「まぁ、風属性の人間だからな~。過ぎた事は気にしないさ。」

光女「私もいっかなー、別に。風男がそう言うなら。」

水嬢「助かりますわっ!!」

地女「……」

水男「地女は?」

地女「水男がいいなら、いいよ。でも、みんなの悪口は、もう言わないでね。」

水嬢「ええ、約束しますわ。本当に、申し訳ありませんわ。」

水大「許してもらって、助かるわさっ!!」

水女「でも、問題は残ってるわよ。」

光女「人数、ね。」

水女「ええ。風男、光女、地女、水男、水嬢、水大、私。7人だと、余るわ。」

地女「私が抜ける?」

光女「ところが、これを見たらそうは言えないわよ。」

地女「……ポスター?」

光女「副賞のとこ。」

地女「……賞金? しかも、すごい額……」

風男「こりゃ、学生にとってはたまらねぇなぁ。地女、出ないんだっけ?」

地女「うぅ……」

水男「しかも、学年ごとで対抗戦なのか。なんだか、いけそうだな。」

水女「私も親離れのためにも、賞金は欲しいわね……」

水嬢「では、決まりですわ! あと二人入れて、3チームで頑張りましょう!!」

光女「当てはあるの?」

水嬢「あ、ありませんわ……」

風男「俺、当てがなくはないかな。」

光女「誰? 高校の同級生はいないし……」

風男「火男と、闇男。」

水男「あぁ、火男は同じサークルって言ってたっけ。」

風男「女ったらしだから、このメンツなら飛びついてくるだろ。」

光女「その、闇男って人は?」

風男「闇男も、同じサークルなんだ。ちょっと、変わった奴だけどな。」

地女「さすが風男くんだね、人望に厚い。」

風男「まぁなぁ。」

水女「それじゃ、夏休みに向けて計画でも……」

水嬢「それについては、私から提案がございますわっ!!」

水大「心して聞くわさ。」

風男「なんだよ。」

水嬢「私の父が所有している別荘で、合宿をいたしましょう!!」

水女「そういえば、あなたの家ってすごいって聞いたことがあるわ。」

水嬢「父は長者番付の常連ですから。」

光女「でも、どうして合宿?」

水嬢「皆さまへのせめてものお礼ですわ。こちらの頼みを快く聞いて下さるのだもの。」

地女「だけど、わざわざ別荘でなんて……」

風男「普通に大学に集まってやりゃあいいだろう。」

光女「そうよね、遠くでやったからいいことがあるとは限らないし。」

水嬢「……怪鳥ルフの巣のスープは絶品ですわよ。」

風男「な、なんだって……」

水嬢「大蛇ウロボロスのステーキなんて、どうかしら……」

光女「ご、ごくり……」

水嬢「ピクシーの涙入りのゼリーの甘さと言ったら……」

地女「……み、みんな、お言葉に甘えたらどうかなぁ?」

水女「なんだか色々と邪なものを感じるけど……水嬢、本当にいいの?」

水嬢「もちろんですわ。では、細かい日程ですけれど……」

~空き地~

水男「なぁ、本当に俺が行く必要あるのか?」

風男「まぁまぁ、俺だけが話しても、嘘だと思われそうだろ。」

水男「普段、何を言ってるんだよ……」

風男「おいーっす。」

風先「おぉ、風男。久しぶりじゃん。」

風男「いろいろ忙しかったんで。というか、先輩方もテストあったんじゃ?」

水先「4年生にもなると、テストをやる講義なんてほとんどないわよ。」

風男「へ~、やっぱ大学は1年生での頑張りが肝ってことか……あ、こいつ友達です。」

水男「こんちわ。」

水先「あ、さては水男くん?」

風男「知ってるんすか?」

水先「私も水専攻だからね。先生から、噂は聞いてるよ。」

水男「噂?」

水先「心理魔法に適性がある期待の新人、って。」

風男「いいなぁ、優秀な奴はそういう噂があって。」

闇先「風男も十分頑張ってるだろ。俺なんて就職が決まらなくってさぁ……。」

火先「闇属性は、本当、就職口が少ないよな……」

火男「火属性はどうなんすか?」

火先「俺達はまぁ、大丈夫だなぁ。生成も操作も、重宝されるから。」

水男「あ、火男、久しぶり。」

火男「おぉ、久しぶりだなあ。あん時の講義以来じゃん。」

水先「知り合い?」

火男「顔は知ってるっす。いつも彼女と一緒にいるもんな。」

水男「い、いや、彼女っていうわけじゃないんですけど……」

火男「あ、そうなの?」

風男「目撃されてるもんだなぁ。」

火男「俺も彼女欲しいな~。」

火先「火属性はモテそうでモテないからな。」

闇先「恋人よりも仕事だよ、大切なのは。」

火先「でも、火男みたいにいまだに童貞ってのはかわいそうだぜ。」

水先「え、そうなの?」

火男「う……」

水先「どれどれ……【読心魔法】!」

火男「かっ、かんべんっす!」

水先「あらま……本当だったのね。」

風男「よくナンパしてるのに?」

火男「るせぇ……」

水男「水先さんは、心理魔法を使いこなせるんですね。」

水先「いえ、嘘か本当か知るってだけね。君の方が優秀だと思うわ。」

風男「んじゃ、水男も風動車、乗ってみるか?」

水男「え、いや、そういう話に来たんじゃないだろ。」

水先「あ、さては合成魔法コンクールでしょ?」

風男「なんで分かるんすか?」

水先「水専攻の学生は、必ず通る道だからね。仲間探し?」

火男「なんすか、そのコンクールって?」

風男「あのな、かくかくしかじかで……」

火男「ほほ~、そりゃ面白そうだな。」

火先「結構倍率高いから、大変だけどな。他の学部もかなりエントリーするし。」

闇先「水男くんだっけ? に比べると、火男の能力じゃ足りないんじゃない?」

火男「うぐ……で、でもそれを言ったら風男だって、そう変わらないっすよ。」

風男「ま、否定はしないけど。とにかく、頭数が欲しいってのが本音だよ。」

水男「属性的にも、火属性の知り合いがいないんだ。力を貸してくれないか。」

火男「……そこまで言うなら仕方が無いな!」

水女「明らかに女目当てだけど、大丈夫?」

火男「うわ、バレバレ?」

風男「その辺はご自由にどうぞ。光女になんかしたらぶっとばすけど。」

火男「はいはい……あれ、でも俺が入って8人じゃん。どうすんだ?」

風男「あ、そうそう、それで闇男も誘おうと思って来たんだけど……」

闇男「やぁ。」

闇先「あれ、いつからいたんだ?」

闇男「風動車の中にいましたよ。なんだか出るタイミングが無くて。」

風男「んじゃ、話は聞いてたんだよな。どうする?」

闇男「是非参加させてもらえるかな。」

火男「女目当てで?」

闇男「まさか。こういうことが無ければ、他属性について深く学べないからね。」

水男「確かに、言われてみるとそうだな……よろしく。」

風男「うーん、やっぱり優秀な人間同士、惹かれあうものなのか……」

火男「俺達が仲いいのと同じだな!」

風男「しっしっ。」

今日はここまでです。

読んで下さっている方々、ありがとうございます。

1です。
レス下さった方、ありがとうございます。
特に、展開予想タイプのレスは個人的に大好物です。

では、投下します。

~別荘~

水嬢「さ、ここですわ。」
地女「……」

光女「……」

水女「……」

風男「女性陣の目が点になってるな。」

水大「女の子はお城に憧れるものだわさ。ま、私はここには来慣れてるのよさ。」

水男「それにしても、この国に似つかわしくないお城の姿だな。」

水嬢「わたくしの趣味ですわ。」

火男「おいおい、対して交流なかったのに、いきなり厄介になっていいのかよ。」

水嬢「ええ、皆さまのお力添えを期待してのことですもの。」

闇男「なかなか、プレッシャーだね。」

水嬢「当然ですわ。素晴らしい合成魔法を作って、単位を獲得するのですわ!!」

水女「そうだわ、その合成魔法のチームはどうするの?」

風男「そこは俺にまかせてもらおうか。」

光女「どうすんの?」

風男「風は気ままなもの、運任せのくじ引き!」

水嬢「お待ちになって、それで水属性が3人固まったら意味がありませんわ。」

闇男「それはないと思うよ。」

水嬢「なぜそんなことが言えますの?」

闇男「9人を3つのグループに分ける場合の、特定の4人が同一になる確率。」

水女「分母が9C3で、分子が4C3、で合ってる?」

闇男「そうだね。答えは、21分の1になる。高い確率とは言えないと思うね。」

水男「今の計算、暗算でやったのか。」

闇男「まぁ。でも、先に発想した風男の方がすごいと思うよ。」

風男「は、はは、任せとけって。」

光女「絶対テキトーでしょ……」

確率の計算って↑ので合ってましたかね?
数学の頭は使っていないと錆びていくというのがよく分かります。
間違ってたら、脳内変換するなり、フィルターかけるなり、
「1wwwwwバカスwwwww」するなりして下さい。

光女「で、結局あんたと一緒になるわけね。」

水女「二人のお邪魔をしてるみたいで気が引けるわ。」

風男「いや~、両手に花とはこのことだな!」

火男「うんうん、両手に花というのは素晴らしいことだ!」

地女「よ、よろしくね。」

水大「なんとも心配なチームだわさ。」

水嬢「こういう場合はなんて言うのかしら? 両手に……?」

闇男「花ではないね。何だろう?」

水男「まぁ、なににしても、これからよろしく。それで、これからどうする?」

水嬢「滞在期間は1週間もあるのですから、1日目くらいはゆっくりしてくださいな。」

~テラス~

光女「ねぇねぇ、そこの湖って泳いでもいいの?」

水嬢「特に危険はありませんし、なにより私有地ですから構いませんわ。」

風男「み、湖が私有地って、そんな馬鹿な……」

地女「でも、水着なんて持ってきてないよ?」

水嬢「ご心配なく、客人用の水着でもドレスでもなんでもありますわ。」

水女「本当にお金持ちなのね。」

火男「あるところにはある、ってのはよく言うけどなぁ。」

闇男「男性用もあるのかい?」

水嬢「当然ですわ。早速、行ってみます?」

水大「天気もいいし、夏休みを満喫するわさっ。」

地女「……」

光女「地女、どしたの?」

地女「え、だって、恥ずかしくない?」

水女「水に入ってしまえば何も見えないわ、行きましょう!」

風男「うーん、さすが水属性。水が好きなんだろうなぁ。」

火男「しかし、風男、本当に感謝するぜ。こんな天国みたいな夏休みになるとは……」

闇男「彼女たちなら、目の保養になるね。」

火男「あれ、なんだよお前、女目当てではないとか言ってたくせに。」

闇男「目的ではないけど、まぁ、僕も男だからね。」

風男「さ、免疫のなさそうな水男くん、しっかり頑張るんだぞ。」

水男「何をどう頑張るんだよ。」

火男「いやいや、頑張ろうぜ! 彼女持ちは風男しかいないから、勝負の夏だぜ。」

風男「だそうだ。」

水男「いや、目的はあくまでも合成魔法の開発で……なぁ、闇男。」

闇男「ん? まぁ、女性と仲良くした方が、頑張り甲斐があるとは思うよ。」

水男「闇男まで……」

闇男「特に、水女なんて、容姿端麗成績優秀で、非の打ち所がないじゃないか。」

火男「うー、俺は一回ナンパ目的で声かけてるから、気まずいな。」

風男「まぁ、水着姿を堪能してから狙いを定めてもいいんじゃないか? な、水男。」

水男「だから、なんで俺にふるかな……」

~湖岸~

光女「お待たせ~!」

火男「お~~~!!」

光女「わぉ、素直な反応! どう、風男?」

風男「似合ってるね~、別のところも反応s」

光女「どぉよ、水男?」

水男「ど、どうって言われても……」

光女「あはははは、思った通りのうぶな反応ね~、かわいいかわいい!」

水女「魔法を扱っている時とは別人みたいね、水男くん。」

水嬢「まったく、水女様に追随する魔法使いだとは思えませんわ。」

水男「……地女がいないけど、どうしたんだ?」

光女「も~、相変わらず一途なんだから。そんなに彼女の水着を見たいの?」

水男「ちっ、違うって。」

水女「彼女なら、途中で帽子を取りに引き返したわ。すぐに来ると思うけど。」

光女「安心した?」

火男「おいおい、なんだよ、やっぱり二人はできてんの?」

光女「ま~……どうなの?」

風男「え~と……どう?」

水女「え? …………どうなの?」

地女「へ? なんの話?」

水男「夕飯はなんだろうねって話!」

地女「あっ……準備運動もしないで飛び込んじゃった。なにかあったの?」

光女「い~え~。」

風男「よっしゃ、俺も一泳ぎすっかな!」

火男「俺もっ!!」

水嬢「あなたは行きませんの?」

闇男「泳ぐ前の準備運動は大切だからね。」

水大「マイペースな男だわさ。」

地女「あ、待って。闇男くん、背中、赤いけど……」

闇男「ああ、これ? 小学校の時、授業で怪我をしてね。」

光女「痛くないの?」

闇男「見た目は痛そうでしょ。実際は全然。ただの痣だよ。それじゃ、お先に。」

光女「にしても……水大、あんた、でかいわね~。」

水大「身長に見合ってるってだけだわさ。」

水嬢「……どうせ私は背も胸も小さいですわ。」

水女「小さいというほどでもないと思うわよ。」

水嬢「水女様ぁっ!!」

水女「そ、そんな目を潤ませられても……」

光女「うーん、スタイルはそこそこ自信があったんだけどなぁ。」

地女「光女は十分きれいだと思うなぁ。」

光女「水女を見た後に鏡を見るのが怖いわねー。」

水女「みんな同じようなものでしょ? さ、私は何しようかな。」

地女「泳ぐんじゃないの?」

水女「あの中で泳げる?」

風男「【突風生成】!!」

水男「おっと、【水柱生成】!」

闇男「じゃあ、僕も……【暗闇生成】」

火男「うおっ、見えねぇ!! なにやってんだ、闇男っ!」

闇男「ここで【竜巻生成】!」

火男「く、暗闇から水しぶきがっ!! このテロリストめ、【照明生成】っ!!」

地女「……無理だね。」

光女「も~、みんな子どもね~。」

水女「男の子って感じね。」

光女「よし、邪魔してやろう!【水流操作】!!」

水男「ん? 渦巻きが……」

風男「おいっ、光女、なにしやがるっ!!」

光女「あーら、せっかくだから盛り上げようと思って。」

水女「それじゃ、私も……【水球生成】さーて、どこに落とそうかしら?」

火男「お、おいおい……でかすぎないか。」

闇男「【隠蔽魔法】」

風男「あっ、隠れやがった! こうなったら全員入りやがれっ!【気流操作】!」

地女「わっ、わっ!!」

風男「はい、着水~。おーい、水嬢、水大、お前らも早く入れよー!」

水嬢「今、行きますわー!」

水大「……すっかり仲良くなってるわさ。」

水嬢「えぇ、私たちも含めて、そうでなくては困りますわ。」

水大「どういうことよのさ。」

水嬢「人の心はうつろうもの。水の魔法使いはうつろうものを操る。そうでしょう?」

水大「???」

水嬢「分からずともよいですわ。」

水大「何を企んでるわさ……下手に何かすれば水女様が……」

水嬢「えぇ。だから、何も致しませんわ……今はね。」

水大「???」

水嬢「心配なさらずとも大丈夫ですわ。水女様は必ず幸せに致しますから。」

今日の投下はここまで。書いていて飽きない学生達です。

ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。

では、また。

>>331
>9人を3つのグループに分けるときの特定の4人が一緒になる確率
9人を3つのグループに分けると3人になって4人にはならないから0%

9人を3つのグループに分けるときの特定の3人が一緒になる確率は適当に樹形図を書いたら74分の1になったけど・・・

>>350-353

1です。ありがとうございます。
話の本筋にはそれほど関わらない部分ではあるのですが、
こういう部分が間違っていると、気になって読む気が失せる、
という方もいると思ったので……大変、気持ちが助かりました。

ありがとうございました。

>>1

この世界なら火で温度変化させて風を操ったり、水を取り除いたり色々出来そう

1です。

>>355-359
世界観について、いろいろと想像して下さってありがとうございます。
科学技術が進化しなかったら、代わりは……という思いがスタートでした。
みなさんに、様々なことを思い描いて頂ければ、書き手冥利に尽きます。

もう少ししたら、本編投下します。

~食堂~

水男「ふーっ、食べた食べた……」

地女「珍しいね、そんなに食べるなんて。」

水男「食べたことがないものばっかりだったから、つい。」

光女「普通に食べようとしたら、とんでもない金額ね、きっと。」

水女「水嬢、本当にお金はいいの?」

風男「今更請求されても、多分支払えない額だぜ。」

水嬢「いりませんわ。あくまでも友人としてお招きしているだけですもの。」

火男「なぁなぁ、それはともかく、席替えしねぇ?」

水大「なんでだわさ。」

火男「長~い食卓で、ってのも豪華でいいけどさ、合成のチームで食べようや。」

水嬢「小さな円卓にします?」

地女「あ、えと……どうして?」

火男「飯食いながら合成魔法の話も出来るだろうしさぁ。」

闇男「男の僕が隣にいるのが不服だそうだ。」

火男「ば、バラすんじゃねぇよ。」

風男「まぁ、一理あるかもな。」

水大「私は構わないわさ。」

光女「私は……」

地女「……」

光女「私も、構わないかな。ね、地女。」

地女「え、あ、うん……」

水女「水男くんも、それでいい?」

水男「1週間しかないからね、それくらいでいいかもしれないな。」

執事「お嬢様、食後の紅茶はいかがいたしますか。」

水嬢「皆様にお出しして頂戴。それじゃ、客間の方へ行きましょう。」

地女「……」

光女「怒った?」

地女「な、なんのこと?」

光女「本当は、チームで食べるより、全員で食べたかったんでしょ。離れちゃうモンね。」

地女「う、ううん、そんなことないよ。」

光女「別に、二人を応援してないわけじゃないんだけどさ。」

地女「お、応援なんて……」

光女「でも、この1週間でそれなりに合成魔法をつくるなら、呼吸が必要でしょ。」

地女「うん、分かってる。」

光女「それに、嫌な時に嫌って言えないと、付き合ってからダメになっちゃうよ?」

地女「……」

光女「ああいう場面で言うのは勇気がいるけど、地女も強くならなくちゃね。」

地女「うん……」

~翌朝・書庫~

水嬢「あら、お早いんですのね。」

水男「ああ、おはよう。こんなに本があるのに、読まないのは損だからさ。」

水女「同感。」

水嬢「あら、水女様まで……仲がよろしいんですのね。」

水女「一緒に来たわけじゃないわよ、彼の方が先。さすがよね。」

水嬢「水女様は、本当に水男のことを評価なさっているのですわね。」

水女「評価なんて、上から見ているつもりはないけれど……」

闇男「やぁ、お邪魔していいかな。」

水嬢「あら、この書庫がこんなに賑わうのは初めてじゃないかしら。」

闇男「ちょっと、水男に用があってね。いいかい?」

水男「俺に?」

闇男「あぁ、それと、水嬢さんも。」

水女「それじゃ、私が出ることにするわ。」

闇男「いや、僕はそんなつもりじゃなかったんだが。」

水女「合成魔法の話し合いでしょ? 秘密の方がいいわ。あ、水嬢。」

水嬢「はい?」

水女「何冊か、借りていっていいかしら?」

水嬢「なんなら、差し上げますわ。誰も使っていない書庫ですもの。」

水女「ありがとう。それじゃ、お互い頑張りましょうね。」

水男「それで、話って?」

闇男「心理魔法について、詳しく教えてくれないか。」

水嬢「心理魔法?」

闇男「コンクールで重要なのは、目新しさだ。そして、心理魔法は最新の研究分野。」

水嬢「利用しない手はない、ということですわね。」

水男「でも、危険視されてもいる。コンクールで使っていいものだろうか。」

闇男「そのへんも、知識がなければ分からないからね。」

水嬢「なるほど……でも、その様子なら、理屈は分かっているのでは?」

闇男「なんとなく、だ。それに、水先先輩が、君の才能が高いと言っていただろう。」

水男「ああ、そう言えば……でも、俺に出来る心理魔法は、今のところ…………くらい。」

水嬢「わたくしも…………くらいですわ。」

闇男「なるほど。人によって違いすぎるのは、コンクールではダメだな。」

水男「再現性の高さも、評価項目だったっけ。」

闇男「そう。そこに闇魔法のテイストも加えて、か……」

水嬢「闇魔法……わたくし、あまりお世話になったことがありませんわ。」

水男「事象としては、隠す、包む、広める、覆う……だったっけ。」

闇男「そんなところかな。実際、自然現象として闇というものはないからね。」

水嬢「これは?」

闇男「それは影だ。闇というのは、光が『ない』ということなんだよ。」

水男「そう言われると、闇の生成魔法ってあまり見ないな……」

闇男「そう。でも、だからこそ、可能性を秘めているとも言える。」

水男「なんだかちょっと面白くなってきたな。頼りにしてるよ、闇の専門家。」

闇男「はは、僕も闇について学んでまだ数ヶ月だけどね。」

水嬢「それじゃあ、朝食をとりながら、少しアイディアを出し合ってみましょうか。」

~広間~

水嬢「肉がない?」

執事「申し訳ありません。先程の朝食で、ほぼ使い切ってしまいました。」

水嬢「困りましたわね……備蓄は?」

執事「肉の類はないのです。思いの外、皆様が食べられまして……」

火男「……お前が食べ過ぎなんだよ。」

風男「……それ言ったら。」

水男「……でも。」

闇男「……いやいや、女性陣も結構食べてたって。」

水嬢「業者が届けに来るのではないの?」

執事「そこが問題なのです。何か事故があったらしく、運搬に来ないのです。」

水嬢「では、確かめに行けばよいでしょう。」

執事「私どもは、旦那様よりここを離れてはいけないと仰せつかっております。」

水嬢「はぁ、そうでしたわね……」

水男「俺が買いに行ってくるよ。」

光女「あら、行動的じゃん。」

水男「肉がない食卓を囲むわけにもいかないだろう。」

水大「水男のポイントアップだわさ。」

火男「待て待て、それなら俺が……」

光女「二番煎じは格好悪いわよー。」

火男「うぐっ。」

地女「一人だと、何かあったときに危ないよ。」

水嬢「そうですわね……」

地女「だから……」

風男「くじで買い出し組を決めよーっ!!」

火男「水男も入れて、男女ひとりずつ選出しようぜ!」

地女「あう……」

光女「地女、どんまい……」

~商店街~

水女「せっかくのチャンスなのに、地女さんじゃなくてごめんなさいね。」

水男「な、なんだよ、急に。」

水女「本当は、二人で来たかったんじゃないかと思って。」

水男「そんなことないよ。」

水女「なんだか、合宿に来てから全然二人でいられていないみたいだし。」

水男「仕方ないよ、合成魔法が目的だし、というかそういう関係じゃないし……」

水女「まぁ、そうね。でも、合成以外にも、豪勢な食事も目的よね。」

水男「……」

水女「……ごめんなさい、私って、冗談下手ね。」

水男「あ、いや、俺も、うまく返せなくて。口がもっとうまければと思うよ。」

水女「そういう部分が魅力になることも、あるんじゃないかしら。」

水男「そうかな……あれ?」

水女「あれは……ナンパ、にしては雰囲気が悪いわね。」

水男「女性の方はおびえてるな……って、水女?」

男A「なぁ、頼むって。一回だけでいいからさ。」

男B「どうせそういう目的で来てるんでしょ?」

女A「ち、違います……」

女B「高校の友達と、旅行なんです……」

男A「だからさ、ここらで大人の階段をさぁ。」

水女「ちょっと。」

男A「おっ、なんだい、あんたも一緒に遊びたいのかな?」

今日はここまでです。

ここまで読んで下さっている方、ありがとうございます。

レス下さっている方、たいへん励みになります、本当にありがとうございます。

では。

男B「へへ、すぐそこに俺たちの寝床があるんだけどさ?」

水女「遠慮します……【温度低下】!」

男A「くくくくちが、ひひ、ひえちまって……」

男B「ててえ、てめ……」

水女「これ以上彼女達を恐がらせるようなら、それでは済まないわよ。」

男A「ちちち、ちくひょう!」

水女「……」

水男「お見事。」

水女「ああいうの、どうにも放っておけなくて……あなたたち、大丈夫?」

女A「は、はい……」

水女「気をつけてね。」

女A「この近くの湖がすごくきれいだって聞いて、見に来たんですけど。」

水男「ああ、それならあっちの方に……」

女B「ありがとうございました、あの、お名前は?」

水女「あ、そういうのは苦手なの。通りがかっただけだし。それじゃあね。」

水男「鮮やかだなぁ。水嬢たちが入れ込むのも、すこし分かるような気がするよ。」

水女「よしてよ、水男くんまで……」

闇男「やぁ。」

水男「闇男。結局来たのか。」

闇男「僕も個人的に買い物があってね。後から来たんだ。」

水女「そうね、考えてみれば、みんなで来れば良かったのよね。」

闇男「ああ、そうかもね。それにしても見せてもらったよ。かわいそうに。」

水女「どういうこと?」

闇男「男の方。彼らはああいう目的でここに来ているだろうからね。」

水女「女の子達が傷ついてもいい、って聞こえるわ。」

闇男「それは君の正義。彼らには、彼らの正義がある。どちらが正しいかは分からない。」

水女「納得しかねるわ。」

闇男「はは、ごめん。こういうことを言う僕が正しいという根拠もないからね。」

水女「……」

闇男「それじゃ、僕は買い物してくる。二人のデートを邪魔してごめんよ。」

水女「……不思議な人。」

水男「……そうだね。」

水女「今の話、どう思う?」

水男「うーん……とりあえず、女の子達が困っていたのは確かだから、助けるべきだ。」

水女「そうよね……闇男くん、私はちょっと苦手かも。」

水男「頭は相当よさそうだけど。」

水女「チーム、うまくいってるの?」

水男「まずまず。それじゃ、買い出し、早く終わらせよう。」

~広間~

火男「なぁ、確認するけどさ、お前って、地女と付き合ってはいないんだよな?」

水男「……付き合ってないよ。」

火男「んじゃ、あの子は今フリーなんだな。」

水男「なんでそんなことを聞くんだ?」

火男「いや、お前と水女が出かけてから、ずっと暗いから変だと思ったんだよ。」

水男「……」

火男「でもま、気のせいだったみたいだな。んじゃ、俺も動き始めるかな~。」

闇男「動く?」

火男「だってさ、あの子、いいじゃん。けっこうタイプなんだわ。」

闇男「まぁ、確かにかわいいよね。」

風男「おいおい、闇男がそんなこというなんて、珍しいな。」

火男「なぁ、地女ちゃん。」

地女「なぁに?」

火男「地属性の魔法について、ちょっと詳しく教えてくれない?」

地女「いいけど……急に、どうして?」

火男「合成魔法って言っても、俺って知識がないからさ……」

地女「そんなことないよ。私も、そんなに出来るほうじゃないから……」

火男「それじゃ、向こうの部屋で勉強しようぜ。」

地女「せっかくだから、みんなでしたほうがいいよね。水大さん。」

水大「なんだわさ。」

地女「火男くんが、みんなで勉強会しないかって。」

水大「お、賛成だわさ。なんてったって、単位がかかってるわさ。」

風男「……おい、水男。」

水男「なに。」

風男「わかりやすく不機嫌になってんじゃねーよ。」

水男「な、なってない。」

風男「まぁとにかく、しっかりやれよ。」

闇男「水男くんは、地女さんのことが好きなのかい?」

水男「ん? いや、まぁ……」

闇男「ふーん……積極的な女性と、消極的な女性なら、どっちがいい?」

水男「いきなりだな……まぁ、でも……うーん……」

闇男「水のゆらぎと火の勢い。女性はどちらを好むんだろうね。」

風男「また分かったような分からないようなこといいやがって。」

水男「また?」

風男「サークルの時も、黒白のはっきりしないことばっか言うからさ。」

闇男「そういう性分なのさ。」

水男「水のゆらぎ、か……ゆらぎとは、違うんだよなぁ。」

風男「ん? なんか言ったか?」

水男「いや、なんでも。よし、俺たちも合成を始めよう。」

~林~

水男「俺たちのチームの最大の強みは、水属性が二人いるってことだな。」

水嬢「まぁ、普通は合成魔法といえば、3種の属性を考えますわね。」

水男「そして、俺たちは二人とも心理魔法を使える。」

水嬢「まぁ……私の方は、それなりに、ですけど。」

闇男「では、心に働きかける魔法で、実用的なものを考えてみようか。」

~談話室~

火男「で、地女って、高校の時は何部だったの?」

地女「え、えと……それって、合成魔法に関係ある?」

水大「ないわさ。」

火男「あ、そうだよねー。んじゃ、苦手な食べ物とか?」

水大「だから……」

~庭~

光女「で、どうする、水女?」

風男「で、どうする、水女?」

水女「きれいにハモったわね。」

光女「だって、どう考えてもこのチームのブレインは水女でしょ?」

風男「応援するぜ!」

~広間~

風男「よぅ。」

水男「風男。どうだった、合成。」

風男「いや~、水女ってやっぱすごいわ。どんどん発想するんだもんよ。」

水男「そうか……負けられないな。」

風男「はは、なんかすっかりライバルだな。」

水男「そうかな。」

風男「ところで、いいのか?」

水男「何が。」

風男「……ま、俺がどうのこうの言う話でもないけどさ。」

水男「……」

風男「まぁおせっかいを承知で言うけど、やっぱ男がはっきりしないとダメだぜ。」

水男「経験談か?」

風男「まぁな。幼馴染みから恋人になるったら、そりゃ大変だったからな。」

光女「なーに恥ずかしい話してんのよ。」

風男「いいだろ、減るモンでもないし。」

光女「私が恥ずかしいの。」

水男「じゃあ、ひとつだけ。風男が、告白したのか?」

風男「ま、な。」

光女「ほら、もう違う話題にしてよね。あ、風男、ちょっと話したいことがあるんだけど。」

水男「はは、じゃあ、俺は行くよ。」

風男「おぅ、悪いな。どうすんだ?」

水男「ちょっと、散歩。」

光女「あ、散歩するなら、東側の林が遊歩道になってたわよ。」

風男「……よくそんなこと知ってたな?」

光女「ふふ。」

風男「なんだよ?」

光女「べっつにー。ただ、私は友達を大切にするタイプだってことよ。」

風男「?」

~遊歩道~

水男「あ。」

地女「あ、水男……どうしたの。」

水男「ちょっと、散歩。そっちこそ、どうしたの。」

地女「私も、散歩。」

水男「……」

地女「……」

水男「……」

地女「なんか、久しぶりな気がするね。」

水男「久しぶり?」

地女「こうやって、ふたりで話すの。」

水男「合宿に来てからは、一度もなかったもんな。」

地女「チーム、一緒だったらよかったのにね。」

水男「仕方ないよ、みんなで賛成した決め方だったから。」

地女「……」

水男「なにかあった?」

地女「ううん。」

水男「そっか。」

地女「そっちは、どんな感じ?」

水男「心理魔法を活かそう、っていう話にはなってるけど、具体的には……」

地女「そうなんだ……あ。」

水男「どうした?」

地女「サンダルの留め具が……」

水男「ありゃ……【修復魔法】」

地女「……ありがと。」

水男「いえいえ。」

地女「……聞いてもいい?」

水男「なに?」

地女「水女さんと買い物に行った時、遅かったみたいだけど、何かあった?」

水男「いや……水女が、ナンパされてる女の子を助けたくらいかな。」

地女「へぇ……すごいね。かっこよかった?」

水男「すごいなぁ、とは思ったよ。」

地女「……」

水男「……他にも、質問があるように見えるけど。」

地女「……じゃあ、相談。男の人に強く迫られたら、どうしたらいいと思う?」

水男「えっ……」

地女「……」

水男「す、好きなら応じればいいし、そうじゃないなら断ればいいんじゃないかな。」

地女「断るのが苦手な人は、どうしたらいいのかな。」

水男「……それは……」

地女「ごめん、水男に相談するようなコトじゃないよね、ごめんね。」

水男「あ、いや……」

地女「そろそろ戻ろっか。」

~廊下~

光女「あ、水嬢、ちょっといい?」

水嬢「なんですの?」

光女「キッチンって、使ってもいい?」

水嬢「構いませんわ。でも、何に使うんですの?」

光女「クッキーでも焼こうかなー、と思ってさ。」

水嬢「言えば、作らせますわよ?」

光女「食べたいっていうよりも、作りたいのよ。」

水嬢「ああ、そういうことですの。どうぞ、好きに使ってくださいな。」

光女「へへ、ありがとっ。」

水女「あら、光女。何かするの?」

光女「お菓子作り。趣味なんだ。」

水女「へぇ……一緒にやってもいいかしら?」

光女「いいよ。好きなの?」

水女「あまり作ったことがないから、教えてもらいたいわ。」

光女「水嬢も来る?」

水嬢「私は遠慮しておきますわ。」

光女「あ、そっちのボールとってくれる?」

水女「これ?」

光女「ベーキングパウダーは……」

水女「【探知魔法】……こっちね。」

光女「光を……【照明生成】……あ、あったあった。」

水女「これを撹拌すればいいの?」

光女「そうね、魔法でやっちゃうけど。【液体撹拌】」

水女「手際いいのね。」

光女「そりゃ、趣味ですから。」

水女「彼にも、よく作ってあげてるの?」

光女「というか、あいつのリクエストに応えようとしたのがスタートかな。」

水女「ほんとに、好きなのね。」

光女「あはは、なんか照れくさいけどね。」

水女「……」

光女「それで? 私に、何を聞きたいわけ?」

水女「……お菓子の作り方?」

光女「水男もそうだけど、水専攻の学生はウソが下手よねー。」

水女「そうかしら。」

光女「お菓子の作り方、あらかた知ってるみたいじゃない。」

水女「……鋭いのね。」

光女「えっへん。」

水女「……笑わないで欲しいんだけど、聞いてくれる?」

光女「友達に何をおっしゃいますやら。」

水女「好きになった人が、ふり向いてくれないのが分かっていたら、どうする?」

光女「うーん……状況によるんじゃない?」

水女「それで、その彼が好きな人って言うのが、自分の友達だったら?」

光女「まぁ、普通は身を引いてあきらめる、かもね。」

水女「そうよね……」

光女「たしかに、水男は地女にぞっこんっぽいからなぁ。」

水女「だ、誰も彼のこととは言ってないわ。」

光女「あはは、分かりやすいわねー。」

水女「……地女さんって、本当、かわいいものね。」

光女「向こうは向こうで、水女に負けてると思ってるけどね。」

水女「そ、そうなの?」

光女「そうなの。こないだ二人で買い出しに行ってから、ずいぶん気にしてるもの。」

水女「そうなんだ……」

光女「それにしても、水男がこんなにモテるとはね~、モテ期ってやつかしら。」

水女「今まではどうだったのかしら。」

光女「ぜーんぜんだったみたいよ。」

水女「へぇ……」

光女「自分の適性が発揮されて、自信がついて、内面が魅力的になってるのね。」

水女「す、すごく分析してるのね。」

光女「私も昔、そうだったからね。自信が人を成長させるって、私は思う。」

水女「ふーん……それじゃあ、私ももう一頑張りしてみようかしら。」

光女「……地女を応援するつもりだったけど、水女にも頑張って欲しくなってきたなぁ。」

水女「私のことは気にしないで。どっちつかずって、よくないと思うから。」

光女「そうなんだけどさ……どっちにもつきたい。」

水女「地女さんには、応援するって言ったんでしょう? それなら悪いわ。」

光女「うーん……でも、水女の応援もする、って言っても、あの子は怒らないと思うな。」

水女「どうして? 友達だったら応援してよ、って思うんじゃない?」

光女「そういう子じゃないと思うよ。ああ見えて、根性あるし。」

水女「それは、そうかも知れないけど。でも、せっかくの友達だから、争いたくないの。」

光女「違う違う、それは違うよ。友達だから、正々堂々争わなきゃ。」

水女「そういうものかしら。」

光女「決めた、やっぱり私、水女の応援もする。ちゃんと、地女にも言う。」

水女「え、ちょっと、私は別に……」

光女「駄目駄目、ふられるにしても頑張ってから振られた方がいいよ。」

水女「……なんだか、光女って強引ね。」

光女「隠し事が嫌なの。なんでも表だって動いた方が、気持ちいいよ。」

水女「ふふ、なんだか、あなたに言われるとそんな気がしてくるわ。」

光女「あんまり相談に乗れてないかな? 参考になりましたかしらん?」

水女「ええ、すごく。ありがとう。」

光女「お、そろそろ焼き上がるわね。つまみぐい、する?」

水女「もちろん。」

1です。
投下が長くなってしまいました。すみません。
400を越えていますね。
パートスレにしないようにはしたいところですが、どうかお付き合い下さればと思います。

読んで下さっている方、ありがとうございます。

では、また。

>>414
早く切り上げるような辞め方はしないでくれよ
>>1が満足するような終わり方なら短編でも構わないし何スレにもわたる超大作になっても構わない

ただできれば永く読んでいたい

>>416

最後の一文に泣けました。
物語を途中で投げ出したりしないことは、約束いたします。

では、本編投下。

~テラス~

地女「は、話って……?」

水女「ごめんなさい、急に呼び出したりなんかして。」

光女「ごめんごめん、話の発端は私なんだ。」

地女「……な、なにか、悪い話?」

光女「えっと……二人とも、水男のこと、好きよね?」

地女「……」

水女「……」

光女「沈黙は肯定の証明、と言うことで。それでね……」

光女「私、二人とも、応援するから。」

地女「ど、どういうこと?」

光女「最初は地女を応援しようと思ってたんだけど、水女と話してたら……」

光女「なんか、どっちにも頑張ってほしくなっちゃって。」

地女「な、なんだぁ、そんな話かぁ。」

水女「?」

地女「だって、深刻そうな顔だったから、てっきり……」

光女「てっきり?」

地女「友達やめよう、とか、そんな話かと思って……」

光女「ちょ、ちょっと、泣かないでよ!」

地女「ご、ごめん。でも、何か嫌われるようなことしたんじゃないかと思って……」

水女「ごめんなさい、私が余計なことを言ったせいで、なんかこじれちゃって……」

地女「ううん。でも、なんか、本当に友達になった気がするね。」

光女「ほら、言った通りでしょ? こういう子なんだって。」

水女「そうね。負けちゃうと思うけど、お互い、頑張りましょうね。」

地女「う、うん、よろしく。わ、私も頑張るから。」

光女「さて、ここに来て、地女の手助けを1回しちゃってるから、次は……」

地女「あ、それを聞いたらフェアじゃないよね。じゃあ、私、行くね。」

水女「……なんだか、彼女の友達でよかった、って思うわ。」

光女「私も。勝負がついても、ちゃんと親友でいてよね?」

水女「それは大丈夫、水と地って相性がいいから。」

光女「それならよかった。ま、恋は女を成長させるっていうからさ!」

~広間~

水嬢「やれやれですわ、4日間使って、どのチームも輪郭すら出来ていないだなんて。」

闇男「どうにも、発想が出てこないんだよね。」

光女「同感。新しい魔法と言われても……」

火男「思いついたと思ったら、すでにある魔法だった、とかな。」

風男「初日に遊びまくったのが懐かしくなってくるな。」

水大「言わないで欲しいわさ、恥ずかしくなってくるよのさ。」

水男「よし、気分転換をしよう!」

光女「あら、珍しい。真面目なキミが、急にそんなことを。」

水男「はは、受験の時も煮詰まったらこんな風にしてたからさ。」

風男「ま、確かに缶詰で勉強しまくるってのも大学生らしからぬことだわな。」

闇男「それで、何をする?」

水男「この間、俺と水女は買い出しに行ったけど、みんなは行かなかったろう。」

水嬢「ああ、出かけるのはいいかもしれませんわ。」

水大「そういえば、すぐそこに観光名所がごろごろあるわさ。」

地女「どんなところがあるの?」

水嬢「水晶の洞窟、金剛石の塔、黒曜石の教会、その他諸々ですわ。」

水女「面白そうね。」

風男「んじゃ、メンツはどうする?」

地女「あ、たまには」

火男「チームで行こうぜ。」

水男「……」

風男「反応早いな。」

火男「地女ちゃんと行きたいんでねー。」

地女「え……?」

水大「私は?」

火男「わ、分かってるって。」

水女「……確かに、同じ時間を共有するのも大切かもね。」

水嬢「では、今日はチームそれぞれ羽を伸ばしてくるとしましょう。」

水男「さ、俺たちはどこにいく? 水晶の教会?」

闇男「水晶は洞窟で、教会は黒曜石じゃなかった?」

~水晶の洞窟~

光女「は~、きれいね~。」

風男「お、しかも音が反響して……」

水女「すごくいい響き方。天然のコンサートホールね。」

光女「……(~歌~)」

水女「上手……」

風男「(~歌~)」

水女「あら、キレイにハモっちゃって……じゃあ、私も、(~歌~)」

光女「あはは、なんかバッチリね。」

風男「魔法は合成出来ないけど、声なら合成できるじゃん。」

水女「あはは、本当ね。」

光女「あれ、待てよ……」

水女「どうしたの?」

光女「これ、魔法に応用できない?」

風男「歌を?」

光女「風で『広げる』、光で『明るくする』、水の魔力でそれを心に働き掛けられない?」

水女「何に対して魔法をかけるの。」

光女「歌よ。歌いながら、その音に魔力って込められないかしら。」

水女「心に働き掛ける歌ってこと? 聞いたことないわ……」

風男「聞いたことがないから出来ない、とは限らないぜ。」

水女「それはそうだけど……」

風男「やるかやらないかを考えるより、やると決めたことをどうやって為すか、だ。」

光女「いいこと言うじゃん。」

水女「分かったわ、それじゃ、帰ったら早速合わせてみましょう。」

風男「いやいや、せっかくだからちょっと試していこうぜ。」

~金剛石の塔~

水大「ダイアモンドがちりばめられた塔は、世界中でここだけだわさ。」

火男「こりゃ、すげぇ……」

地女「……」

水大「水男と一緒に来たかったなぁ、とか思ってるわさ?」

地女「お、思ってないよ。」

水大「地女はすぐに顔に出るわさ。」

火男「はは、そういうところもかわいいよなぁ。」

地女「か、かわいいって……」

火男「まだ、付き合ってはいないんだって?」

地女「う、うん……」

火男「んじゃ、俺にもチャンスはあるはずだよな。」

水大「ちょっとちょっと、そういう話は二人の時にするわさ。」

地女「そ、それにしても、すごいね。ここだけ、時間が止まっているみたい。」

火男「時間を止める魔法がかかってる、とかな。」

水大「時間と空間に直接働きかける魔法は人間には無理だわさ。」

火男「分かってるよ、小学生でもそれくらい知ってらぁ。」

地女「でも、本当に、きれい……魔法はかかっていないのかな。」

水大「えーと、何々……何らかの魔法がかけられた痕跡はある、らしいわさ。」

火男「なんらかの、ねぇ。どんな?」

水大「おそらく、汚れや傷を無効化する魔法、とあるわさ。」

火男「これだけの規模の建物に、かよ。すげぇ魔法だな。」

地女「……それ、私たちで、解明してみようか。」

水大「何のために?」

地女「単独属性で、そんなに複雑な効果は発揮できないでしょ。なら……」

火男「合成、か。」

水大「そしてそれをそのまま、コンクールに?」

地女「ダメかな……」

火男「賛成。このまま何もネタが無いよりは、挑戦してみる方がいいだろ。」

水大「長年の謎を解明できれば、優勝も狙えるかもしれないわさ……」

地女「よし、まずはこの建物の資料から当たってみようか。」

~黒曜石の教会~

水嬢「ここに来るのは随分久しぶりですわ。」

闇男「荘厳な建物だね……色のせいか、威圧感がある。」

水嬢「……あ、そうですわ。」

闇男「ん?」

水嬢「水男、あなた、最後の講義の時、アイディアがどうとか言ってませんでした?」

水男「ああ……いや、でも、あれは使えないと思うよ。」

水嬢「タイミングから言って、合成魔法のことでしょう?」

闇男「なんだ、実はちゃっかり考えてたのかい。」

水男「合成魔法には違いないんだけど、水と地が前提なんだよ。」

水嬢「なるほど……」

闇男「ちなみに、どんな魔法を想定してたんだい?」

水男「イメージとしては、癒しの力を高められないかと思っていたんだ。」

闇男「具体的には?」

水男「精神的なリラックス、筋緊張の緩和、あたりかな。」

水嬢「別に、地属性でなくても、水属性と水属性でもいけますわ。」

水男「言われてみれば、そうかもしれないな。」

水嬢「どうにも、合宿に来てから頭の回転が鈍いんじゃありませんこと?」

闇男「まぁ、それはともかく、癒しの力を使うというのは可能性のひとつだね。」

水男「でも、水と癒しは定番だろう。もう、散々開発されているんじゃないか。」

水嬢「闇属性。」

闇男「……闇属性の力を、癒しに応用するって?」

水嬢「ちょっと言ってみただけですわ。」

闇男「想像がつかないな……」

水男「でも、発想としては新しいんじゃないか。」

闇男「半歩前進、ってところかな。」

水嬢「下手の考え休むに似たり、ですわ。まずはそれもやってみましょう。」

水男「闇男、闇属性の魔法について、ざっとおさらいしてくれないか。」

闇男「そうだな、まずは……」

今回の投下はここまでです。
読んで下さっている方、ありがとうございます。
なるべく、読み手がのめり込める世界を描きたいものです。

では、また。

~食堂~

執事「食事の用意が出来ました。それと……」

水嬢「……なるほどね。怪我は?」

執事「なかったようです。」

水嬢「わかったわ、御苦労様。」

執事「では、ごゆっくりどうぞ。」

水嬢「なんだか、それぞれのチームが収穫を得たようですわね。」

闇男「そのようだね、明るい表情になってる。お手柄だね、水男。」

水男「俺が?」

闇男「出かけようと口火を切ったのは君だったろう。」

水男「そうだっけ。でも、明日から、本格的に合成の練習が出来るんじゃないか。」

水嬢「ですが、皆さまに注意を呼び掛ける必要がありますわ。」

水男「注意?」

水嬢「この間、運搬が遅れた事があったでしょう。」

水男「ああ、あの買い出しの。」

水嬢「どうやら、あれはヘルハウンドの群れに襲われたらしいですわ。」

闇男「ヘルハウンド? こんなところに、生息しているのかい?」

水嬢「湖岸の森はほとんど人間が手をつけていませんもの。」

闇男「それは……なんとも、険呑だね。」

水男「食事の後にでも、みんなに伝えた方がいいな。」

闇男「そうするとしよう。ところで、今日の夕飯はなんだい?」

水嬢「ワイバーンを使ったコースだそうですわ。」

水嬢「というわけで、夜は外には出ない方がよさそうですわ。」

水女「ヘルハウンド……たしか、群れをなして狩りをするのよね。」

火男「おー、こわ……この城は大丈夫なのかよ。」

水嬢「執事たちはそれぞれ、てだれの魔法使いですもの。そこは大丈夫。」

水大「むしろ怖いのは城の中だったりして。」

水嬢「余計なこと言わないでいただけます?」

闇男「幽霊が出るとか、そういう類の話かい?」

水嬢「ええ、まぁ。」

風男「最終日に肝試しをしましょう、って話の流れだな。」

水男「……」

火男「おいおい、水男、大丈夫かぁ?」

水男「だ、大丈夫だよ。」

火男「へへ……」

地女「見た人がいるの?」

水嬢「まぁ……たくさんですわね。私も含めて。」

水女「どんな?」

水嬢「純白のドレスを着た女性ですわ。」

執事「もともと、ここは結婚式場として使われてもいた場所ですから。」

風男「く~、夏らしい感じでいいねぇ。」

光女「幽霊って、肉体がなくなっても魔力だけが残った状態なんだっけ?」

闇男「そういう説もあるね。ただ、それだと6属性理論から外れちゃうんだよ。」

水大「どういうことだわさ。」

水男「内臓や血液に、それぞれ属性の魔力が宿っているから、肉体が朽ちれば……」

闇男「魔力も朽ちるはず、というわけさ。」

地女「……なんか、怖くなってきちゃった。」

光女「トイレについていってあげようか?」

地女「も、もう!……い、いざとなったらね。」

水嬢「なんだか、ヘルハウンドよりもおばけの話になってしまいましたわね。」

火男「まぁ、残り半分、何か起こるくらいで面白いって。」

風男「んじゃ、夜は自由時間ってことにしようぜ。お勉強は、また明日!」

~夜・寝室~

水男「……駄目だ、変に目が冴えて……」

水男「火男と闇男はぐっすりだな……風男は、トイレか?」

水男「……」

水男「食堂で、水でも飲んでくるか……」

水男「【照明生成】……もうちょっと明るく……よし、こんなもんかな。」

水男「ん……? 応接室から声……でも、誰も使ってないんじゃ……」

水男「執事さんたちはとっくに寝てるよな。じゃあ、誰が……」

水大(むしろ怖いのは、城の中だったりして。)

水男「……」

水男「ま、窓の鍵だけ、確認しよう。」



水男(あれ、この声……風男と、光女か?)

光女「ちょ、誰か来たらどうするのよ。」

風男「誰も来ないって、こんな時間にこんなところになんて……」

光女「だからって……ん……」

風男「……やめるか?」

光女「ずるい……」

風男「ここ来てキスすらしてないんだから、ちょっとくらい、さ。」

光女「キスで終わらせないくせに……」

風男「そりゃま、健全な男の子ですから。」

光女「もう……」

水男(っとと……お邪魔しました……)



水男「ふーっ……ま、付き合ってるんだから、当たり前だよな。」

水男「……」

水嬢「何してますの?」

水男「!! …………」

水嬢「? ……なに、静かにしろって……きゃ、ちょっと!」

~食堂~

水嬢「まったくもう、なんですの? 火男とやらはともかく、あなたがそんな……」

水男「ちょ、ちょっと、誤解だ。来賓室に、ちょっとさ。」

水嬢「……あぁ、なるほど。」

水男「そういうこと。」

水嬢「でも、いいんですの? 地女さんを火男にとられて。」

水男「は?」

水嬢「だって、応接室に……」

水男「いや、応接室にいたのは風男と光女だよ。」

水嬢「あぁ、なるほど。てっきり、火男が地女さんに迫っているのかと。」

水男「……」

水嬢「それほど大事なんですの、あの地女さんという女性が?」

水男「……よく、分からない。」

水嬢「なんですの、それは。夏の魔法祭でも一緒にいたのに?」

水男「そういう水嬢は、どうしてあんなに水女に執着しているんだ。」

水嬢「……まぁ、合成魔法のチームのよしみですから、話してあげますわ。」

水嬢「私、小学校と中学校で、大いにいじめられていましたの。」

水男「え……」

水嬢「お金持ちで能力が並程度、というのは、周りからは滑稽でしょうから。」

水嬢「自分にもっと魔法の才能があれば、と日々夢見ていましたわ。」

水男「……」

水嬢「水女様に助けてもらった時、私は昔のクラスメイトに襲われていたんですの。」

水男「昔のクラスメイトに……?」

水嬢「男というものに本当に嫌気が差しましたわ。」

水男「……」

水嬢「それと同時に、水女様に恋をしたのかもしれませんわね。」

水男「こ、恋……?」

水嬢「自分で言っていて、確証はありませんわ。尊敬なのか、感謝なのか……」

水男「その、どれにもあてはまるのかもな。」

水嬢「ええ。そして私は、決心しましたの。」

水男「水女に、ついていこうって?」

水嬢「いいえ。水女様を、幸せにしようって……他者の幸せを願うのは、恋でしょう。」

水男「……かもね。水大も、同じようなものなのか?」

水嬢「さぁ……ただ、彼女は、水女様と仲良くなりたい、とはよく言っていましたわ。」

水男「水嬢とは、違うな。」

水嬢「ええ。私はあの方のためにありたい。だから、邪魔をする人間が、私は……」

地女「だ、だれか、いるの……………あっ。」

水男「地女……どうしたんだ、こんな時間に。」

水嬢「それはお互い様ですわ。わたしは喉が渇いたから、紅茶を飲みに来たんですもの。」

水男「あ、そうだ、俺もそもそも何か飲みたいと思って……」

地女「……お、お邪魔しました……」

水男「ちょ、ちょっと、何か勘違いしてるって!」

水嬢「お待ちになって、地女さん。私達、本当に偶然ですわ。」

地女「べ、別に何も気にしてなんて……」

水嬢「あら、そうですの? では、私はこれを取りにきただけですから。」

水男「お茶っぱ?」

水嬢「ええ、容器も水も魔法で生成すればいいだけですから。」

水男「あっ。」

地女「あっ。」

水嬢「そんなことも考えつかないなんて……寝起きにしても鈍すぎますわね。」

水男「面目ない……」

水嬢「お互い、気持ちが疲れているのでは? それでは、おやすみなさい。」

地女「せ、せっかくだから、ここで飲んで行かない?」

今日はここまでです。

読んで下さっている方々、本当にありがとうございます。

飽きずに書き続けられるのは皆さんのおかげです。

水男「そうだね。」

地女「何にする?」

水男「何がある?」

地女「えーっと……ちょっと、多すぎて分からないや。」

水男「俺もよく分からないしな……アールグレイってなかったっけ。」

地女「……ごめんなさい、高くて手が届きません。」

水男「はは、値段もそうなんだろうけどね……よっと。」

地女「……」

水男「ん?」

地女「う、ううん、水男って、背が高かったんだなーって。」

水男「そうかな……風男の方が高いんじゃないか。」

地女「うーん、どうだろ……えと、カップは……」

水男「確か、このへんに……ほら、あったあった。」

地女「じゃあ、あとは魔法で……」

水男「【熱湯生成】」

地女「ありがと。」

水男「いえいえ。」

地女「……はい、どうぞ。」

水男「ありがと。」

地女「いえいえ。テーブルに行く?」

水男「いや、立ったままでいいや……あ、あのさ。」

地女「なに?」

水男「さっき水嬢といたのは、本当に偶然だから。」

地女「うん。でも、どうしてそんなに否定するの?」

水男「え。」

地女「何か……理由があるの?」

水男「え、いや、それは……」

闇男(水のゆらぎと火の勢い。女性はどちらを好むんだろうね。)

水男「……」

地女「それは……?」

水男「それは……俺、実は……」

地女「……」

??「アォォォーーン!!」

水男「!!」

地女「!!」

水男「……ヘルハウンド、か? 今の声だと、かなり近いような……」

地女「水男くん……」

水男「ん……  !!  ごごご、ごめん、とっさに……」

地女「う、ううん、ちょっと強く抱きしめられたから、びっくりしただけ。」

水男「それにしても、今の声、この近くにいるみたいだった。」

地女「大丈夫かな……」

水男「1階の戸締りだけ確認したほうがいいかな。地女は、先に上に……」

地女「……」

水男「……一緒に、来てくれるか?」

地女「うんっ。」

~広間~

水男「ここは大丈夫そうだな。」

地女「昼間あれだけにぎやかだから、静まり返ってると、なんだか……」

水男「ちょ、ちょっとな。」

地女「1階は、あとどこがあるんだっけ。」

水男「確か、遊技場、礼拝堂、貯蔵庫、だったかな。」

地女「礼拝堂……確か、おばけって……」

水男「か、考えないようにしよう。」

~遊技場~

水男「ここも大丈夫だな。」

地女「明日、みんなとここで遊ぶっていうのもいいかもしれないね。」

水男「ヘルハウンド騒ぎが解決しないと、外には出にくいからなぁ。」

地女「でも私、運動苦手だからな……」

水男「ま、それは明日の話だ。次に行こう。」

~貯蔵庫~

水男「ここも、なんともない、かな?」

地女「あっ……」

水男「ど、どうした?」

地女「……あれって、冷凍室、だよね。」

水男「そうだな。」

地女「あの中にあるのって、お肉じゃない?」

水男「……ほんとだ。」

地女「備蓄されてないって言ってなかった?」

水男「忘れてたのかな……もしくは、あの後に大量に仕入れたとか?」

地女「あ、それはありそうだね。」

水男「さ、ここもなんともなさそうだし、次に行こう。」

~礼拝堂~

地女「きれいな場所……」

水男「もともと、結婚式が開かれてたんだもんなぁ……」

地女「掃除はずっとしてあるんだね。」

水男「水嬢の結婚式も、ここでやるのかな。まぁ、問題は場所より相手か。」

地女「誰かいるのかなぁ。」

水男「いないんじゃない。」

地女「断言したらかわいそうだよ。」

水男「だってさ、彼女は水女に……!」

地女「き、聞こえた?」

水男「聞こえた……」

地女「……」

水男「……」

地女「……」

水男「風、かな……【照明生成】!」

地女「……何も、異常はなさそうだね。」

水男「それじゃ、部屋に戻ろうか。」

地女「うん……」

~応接室・前~

水男「あ……」

地女「な、なに?」

水男「あ、いや、ちょっと。」

水男「……ほっ。」

地女「どうしたの?」

水男「なんでもないよ。なんか、ふたりで先に肝試ししちゃったな。」

地女「あはは、そうだね。」

水男「あ、あのさ。」

地女「なに?」

水男「前に、遊歩道でばったり会った時があったろ。」

地女「あ、うん。光女に勧められて……」

水男「あ、そうだったのか……それはともかく、これからさ、その……」

地女「?」

水男「あと、少しの間だけだけど、毎朝、一緒に散歩しないか?」

地女「え……」

水男「……だ、だめかな。」

地女「う、ううん! じゃ、じゃあ、おやすみっ。」

水男「あ……」

水男「……」



水男「が、頑張った方だよな。」

~翌朝・広間~

火男「なぁなぁ、風男、ちょっといいか。」

風男「なんだ、女ったらし。」

火男「その女ったらしの俺が割と本気で惚れてるんだが……」

風男「地女か?」

火男「おう、あの子、本当にいい子なんだよ。」

風男「なんか、お前のキャラと違うよな。なんかあったのか?」

火男「いや、惚れるのに理由ってないって。ただ、ただな……」

風男「なんだよ、指さして……ああ、水男と一緒にいるな。」

火男「昨日までより、なんか、雰囲気よくねぇか?」

風男「ん~……まぁ、もともとあんな感じだよ。ここに来てからちょっと離れてたけど。」

火男「さ、さては昨晩、二人であんなことやそんなことを……」

闇男「おばけの話も出てたのに、そんなことする人間がいるはずないだろう。」

火男「闇男……お前、いつもいきなりだな。」

闇男「たぶん闇属性の素養は存在感の薄さ……風男、どうかした?」

風男「いいいいいい、いや、なんでもない。」

闇男「ま、確かにあの二人はいい感じだね。でも……」

火男「でも?」

闇男「僕はてっきり、水女とくっつくのかと思ってたんだけどなぁ。」

風男「まぁ、一緒に買い出しに行ったりしてるからなぁ。」

火男「待てよ……それだよ。水男と水女がくっつくとするだろ。」

風男「ふむふむ。」

火男「仮に地女ちゃんが水男のことを好きだとしても、そうなったらあきらめるはず。」

闇男「ふむふむ。」

火男「そして傷ついた彼女の元に現れる俺!!……どうだっ!?」

風男「よっしゃ、素晴らしい作戦だ! それで行こう!!」

火男「よーっし、さぁ、みんな、飯にしようぜぇ~!」

闇男「……うまく行かないの分かってて言ったでしょ?」

風男「まぁな。そもそも、前提が成立しないと思ってるからな。」

闇男「水女さんかい?……魅力的だと思うんだけどね。」

風男「なんかお前さん、最初っから水女推しだよな。まさか……?」

闇男「まさか。さ、朝食だよ。」

風男「うーん、わからんやつ。でもまぁ、水女の気持ちってのは……」

(一方その頃)

水女「……」

水嬢「どうなさいましたの、水女様。」

水女「……」

水嬢「水女様?」

水女「え、ああ……なに?」

水嬢「元気がないようですけれど、どこか具合でも?」

水女「え、いえ、なんでもないわ。」

光女「水男と地女、なにかあったみたいね。」

水女「光女。」

光女「おはよ。なんか、雰囲気いいもんね、あの二人。」

水嬢「昨晩、一緒に紅茶を飲んだみたいですけれど。」

光女「よく知ってるわね、そんなこと。」

水嬢「わたしもその場に居合わせましたから。」

光女「うーん、やっぱり片方にだけ協力しちゃってるのがまずいよなぁ……」

水嬢「?」

光女「よし、じゃあ、こんなのどう……ごにょごにょごにょ。」

水女「で、でも、それって、不正……」

水嬢「あら、いいじゃありませんか。」

水女「水嬢まで。」

水嬢「望むもののためなら手段を選ばない、ということも時には必要ですわ。」

光女「あらら、思いがけない協力者ね。」

火男「よーっし、さぁ、みんな、飯にしようぜぇ~!」

光女「それじゃ、このことは、また後でね。」

今回の投下はここまでです。
今週末から来週末にかけて、わけあって投下出来なくなりますので、
平日はなんとか投下したいと思います。

ここまで読んで下さっている方、お付き合い頂いてありがとうございます。
では、また。

だれかが死んで肉にされてはいってるとか

1です。

>>493-494
さすがにここからミステリーにはならないのですが、
面白そうですね。

>>477 の続き

地女「でも……あの中の肉って、なんのお肉なんだろうね?」

水男「それは……」



A.普通の肉じゃないかな。
B.肉と見せかけて、魚じゃないかな。
C.ちょっと、見てみようか。

⇒C.
水男「ちょっと、見てみようか。」

地女「怒られないかな。」

水男「大丈夫、大丈夫……」

地女「きゃっ。」

水男「いきなり転がってくるなんて……随分適当な入れ方だな。」

地女「……み、水男、これ……」

水男「ん?」

地女「か、髪の毛、じゃない?」

水男「……そ、そんな……これって……水大っ!」

地女「うっ……おえぇっ………」

水男「ぐっ……」

地女「……ど、どうしよう……?」



A.とにかく、みんなを起こしに行こう。
B.まだ犯人がいるかも知れないから、様子を見よう。
C.いい加減本編を投下しよう。

⇒C.
 1「そろそろ本編を投下しようか。」

水男「そうだな。」

地女「そうだね。」

~昼・書庫~

火男「それっぽい本、あったかぁ?」

水大「う~ん……時間に働き掛ける魔法の本はあるけど、内容が難しすぎて……」

火男「ま、どうせ結論としては無理でした、だろうしな。」

地女「……あ、これ、あの塔についての本だ。」

水大「なんて書いてあるわさ。」

地女「もともと、あの塔は時間を操る魔法についての研究施設で……」

地女「えーと……生物の時間を止めることは、出来なかった。」

火男「なんで?」

地女「そこまでは、記録が残ってないみたい。」

水大「続きは?」

地女「物質の時間を止めることは、出来た。」

地女「ただし、それが一時的なものか、恒久的なものかは、分からない。」

火男「そりゃそうだ、実際に時間が経たなきゃわからんわな。」

水大「具体的な方法は書いてないわさ?」

地女「……そこまでは、書いてない。でも、関連の書籍はあるみたい。」

火男「よし、次はそれを探してみようぜ。」

水大「金剛石の塔に関する書籍を、とにかく集めてみるわさ。」

地女「これと……これと……」

火男「一応、これもかな……」

水大「……これは違うわさ……」

火男「なぁ、そろそろ一息つかねぇ?」

水大「賛成だわさ。」

地女「そろそろお昼ご飯だもんね……二人は、先に食堂に行ってて。」

水大「それじゃ、お言葉に甘えるわさ。」

地女「……」

火男「なぁ。」

地女「わっ、な、なに?」

火男「なんで、そんなに頑張ってんだ?」

地女「なんで、って……コンクールに向けて、頑張るため?」

火男「いや、頑張るのって、手段じゃん。目的は何なのかなーってさ。」

地女「目的は……水大さんと、水嬢さんの単位じゃない?」

火男「そりゃ、彼女らの目的はそうだろうけどさ。地女ちゃんの目的は?」

地女「えーと…………」

火男「やっぱり、水男が関係してんの?」

地女「え? いや、それは……関係無い、と思う。でも、よく分からないや。」

火男「ふぅん……」

地女「でも、どうして急にそんなこと聞くの?」

火男「地女ちゃんに興味がある、って答えで納得してもらえるか?」

地女「え?」

火男「ま、彼氏候補にはしといてくれよ。」

地女「え、あ、ちょ…………か、彼氏候補……って……」

地女「……でも、私が火男くんを選んだら、水女さんは……」

地女「……」

地女「そっちの方が、いいのかな……」

~夕方・湖岸~

光女「……」

水女「…………どう?」

風男「……いや、駄目だな。魔力の干渉を感じない。」

水女「駄目か……水男くんだったら、すぐに出来たかもしれないけど……」

風男「もう日が暮れてきたな……」

光女「水女も、心理魔法は結構出来るようになったんでしょ?」

水女「一部ね。別属性の魔力を通して感情に働きかけるなんて、方法が分からないわ。」

風男「水男ねぇ……あいつ、そんなに出来る方なのか?」

水女「私が練習しなければ出来なかったことを、水男くんは感覚的に出来ていたわ。」

光女「は~、典型的な天才タイプかしら。」

風男「でも、操作やら生成やらは水女の方がいいわけだからなぁ。」

光女「職人タイプ、って感じ?」

水女「それにしても、ごめんなさい。私がもう少しうまく出来ればいいんだけど……」

風男「んなことないって。駄目なら別の方法を考えたらいいんだし。」

光女「それに、歌に魔力を込めるのと、感情の操作は同時には無理でしょ、きっと。」

水女「水教先生のレベルだったら、出来るかもしれないけどね。」

光女「そもそも、風にも心理魔法があるんだから、水女だけの責任じゃないわよ。」

水女「……ところで、風クラスでは、心理魔法は学んでるの?」

風男「さわりだけな。人の感情を、風の集合体としてとらえる、ってやつ。」

水女「私達とはスタートが違うわね……水属性では、液体としてとらえたわ。」

光女「風の集合体って、竜巻とか、台風とか?」

風男「そこなんだわ、問題は。それが、人によって見え方が違うんだと。」

光女「風男は、どんな風に見えたの?」

風男「見えなかったの。」

光女「あ、なるほど……」

風男「言っとくけど、俺も含めて1年生は誰も見えなかったんだからな。」

水女「風として捉えることが出来た場合、次のステップは?」

風男「え~と……感情を、色として視認できるのが一番いいって言われたかな。」

光女「あ~、いつだったか地女がマジックグミってのを教えてくれたっけ。」

水女「感情を、色で、か……ねぇ、風男くん、ちょっといい?」

風男「はいはい、どうぞ。心理魔法の実験ね。」

水女「光女、明るくする、っていう事象を意識して、魔力を込めて。」

光女「え? うん……」

水女「【心理操作】……」

風男「お……おいおい、なんか楽しくなってきたぞ。」

水女「……うん、コツが分かったわ。」

光女「やっぱり、すごいのね。風の心理魔法まで出来るなんて。」

水女「うーん……正確には、風と水の合成、っていう感じなの。」

光女「どういうこと?」

水女「捉え方は液体としてなんだけど、風が吹いて波立ちながら色づくような……」

風男「ははーん。なるほどね。」

光女「なによ……あ、夕日?」

風男「あんな感じ?」

水女「そうそう、あんな感じ。外で練習していたから、無意識に出来たのかも。」

風男「それにしても、一人で合成しちゃってるのがすげぇな。」

水女「あとは、今の魔力を、ちゃんと歌に込められるかどうかね。」

光女「じゃあ、明日からは調整ね。なんか、けっこういけそうじゃない?」

水女「出来ない私に付き合ってくれた、二人のおかげだわ。」

風男「はは、なんかいいチームになってきたじゃん。さ、帰ろうぜ。」

~夜・食堂~

闇男「闇属性、切るかい?」

水嬢「言いたくありませんけど、それが妥当な気がしますわ。」

水男「うーん……でも、せっかく専攻の学生がいるのに……」

水嬢「でも、散々試しましたわよ。でも、癒しとは結びつきませんわ。」

闇男「そもそも、闇というのは光の否定だからね。魔力を打ち消すのが本懐だから……」

水男「でもなぁ……」

執事「お待たせいたしました、ヒドラのステーキでございます。」

水男「ヒドラって、毒があるんじゃ?」

水嬢「調理の仕方で毒は消せるそうですわ。かなりおいしいですわよ。」

闇男「高級品だそうだね。」

水男「へぇ……ん? 毒を、消す……それって、闇の魔力でやってるんですか?」

執事「その通りです。消す、という事象は闇属性の基本ですから。」

水男「時間はかかるものなんですか?」

執事「料理は下準備が命ですから、時間はかかってもよいのです。」

水男「それだ! それを、癒しの魔法に取り入れればいいんだ。」

水嬢「毒を消すのと、傷を癒すのと?」

闇男「合成する意味が無いよ。順番にかければいいだけの話だ。」

水男「いや、違う……待て、待て、何かつかめそうな気がするんだ……」

水嬢「とにかく、食べないと、冷めますわよ。」

闇男「魔法で温め直せばいいじゃないか。」

水嬢「冷める前に食べるのが正しい味わい方ですわ。」

水男「それ!!」

風男「おーい、声でかいぞー。」

水男「ご、ごめん……でも、それだよ。予防だ。」

闇男「予防?」

水男「前もって癒しの魔法をかけておいて、その魔力を隠しておくんだ。」

闇男「それで?」

水男「なにかあっても、怪我をしたところが瞬時に治る。」

水嬢「実用性がありませんわ。後から魔法をかけるのと、何が違いますの?」

闇男「……傷跡だ。」

水嬢「そう言えば、あなた……」

闇男「僕の背中の傷も、治療が早ければ消えていたそうだから。」

水男「保険の魔法、ってところかな。」

闇男「発想は悪くないと思うけど……試すかい?」

水男「危険は、危険だな……でも、やろう。」

水嬢「実演するということ?……大丈夫ですの?」

闇男「そもそも、合成魔法については、発端は君たちだと思うんだが。」

水嬢「私は誰かにケガをさせてまで、単位が欲しいとは思っていませんわ。」

水男「でも、魔法を前もってかけておけるのなら、大発見だよ。」

闇男「僕は僕のためにも、この魔法を成功させたい。」

水男「俺も、同じ意見だ。成功すれば、いろいろと役に立つと思うし。」

水嬢「……分かりましたわ。ですが、具体的に、どうやって練習しますの。」

水男「まずは、魔力の干渉を二重に感じられるかどうかを試してみよう。」

水嬢「それで、感じられたら?」

水男「……実際に、怪我してみるしかないだろうね。」

水嬢「それは、例えば植物相手でも出来ると思いますわ。でも、その先は?」

闇男「……水男、すまないけど。」

水男「うん、分かってる。」

水嬢「ちょっと、なにが済まないのか、説明して下さらない?」

闇男「基本的に、魔法は、自分にかける場合は強くはかからない。」

水男「そう。それで、どちらかがやられ役にならなくちゃいけない。」

闇男「まさか、貴女に怪我をさせるわけにはいかないだろう。」

水嬢「……でも、発端はわたくしですわ。」

水男「でも、発案したのは俺だから。明日から3日間、頑張ろう。」

闇男「やる時は、人がいないところでやろう。あまり、見せられるものじゃない。」

かまいたちの夜(SFC)が好きだった1です。

今回の投下はここまでです。
本編以外のお遊び投下がありましたが、お間違えのないようによろしくお願いします。

ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。

~翌日・森~

闇男「よっ。」

水男「……すごいな。」

水嬢「ええ。折れたはずの枝が、すぐに元の姿に戻りますわ。」

水男「植物の実験はバッチリだな。さて、次は……」

闇男「動物、か……」

水嬢「……」

水男「さ、さすがに緊張するな。」

水嬢「い、いきなり切断魔法なんて使わないでくださいね。」

闇男「そんなことはしないよ。それじゃ……」

水嬢「【治癒魔法】……」

闇男「【魔力隠蔽】」

水男「……魔力の干渉は、感じる。しかも、ちゃんと入り混じってる感じだ。」

水嬢「それで、どうしますの?」

闇男「水男……」

水男「木に、ぶつけてみよう……っ!!」

水嬢「ちょっ……!!」

闇男「いきなりそんなに強く……!!」

水男「……い、痛い。」

水嬢「……あれ、どこをぶつけたんですの?」

闇男「……もう、はっきりしないね。治っているようだ。」

水男「問題があるな。痛みは、消えない。」

水嬢「魔力を隠すのと同様に、痛みは消せませんの?」

闇男「それは……どうだろう。痛みを消す魔法はあるけれど……」

水男「やってみよう。」

闇男「大丈夫かい?」

水男「やるなら、突き詰めてやったほうがいいよ。」

闇男「わかった……【痛覚消失】」

水男「うん……つねっても、なんともない。」

水嬢「【治癒魔法】」

闇男「【魔力隠蔽】」

水男「うーん……」

闇男「どうだい?」

水男「よくわからない……でも、自分でやるにはちょっと怖いな。」

闇男「まぁ、それはそうだろうね。」

水嬢「誰だって好きこのんでケガをしようとは思いませんもの。」

水男「でも、やってみなくちゃ分からないから……【切断魔法】」

闇男「水男っ!」

水嬢「っ……」

水男「……痛みが、全然ない。大丈夫だ。」

闇男「でも、それ、治ってないんじゃないか?」

水男「え? うわっ!! 腕が……」

闇男「血が、すごい勢いだぞ……」

水嬢「【治癒魔法】!!」

水男「……?」

闇男「治ってないぞ?」

水嬢「ご、ごめんなさい、失敗……?」

水男「【治癒魔法】」

闇男「ど、どうしてだろう?……【治癒魔法】っ!」

水嬢「……駄目ですわ。」

水男「……癒しの魔力に対して、闇の魔力が強すぎるのか? 水が機能してない。」

水嬢「冷静に分析してる場合じゃないでしょう!」

闇男「まずいぞ、僕の痛覚消失の魔法の効果が切れたら……」

水嬢「だ、誰か呼んできますわ!」

闇男「僕は残って、何度か魔法をかけ直すよ。」



闇男「どう、痛むかい?」

水男「いや、闇男のおかげで痛みはまるでないよ。」

闇男「でも、血がすごい。このままじゃ、危ないぞ。」

水男「ちょっと、やりすぎたな……」

闇男「すまない……せめて、原因が分かれば……」

水男「いや、仕方ないよ……そうだ、合成で、治癒出来ないかな?」

闇男「ああ、確かに……よし、やってみよう……【治癒魔法】」

水男「【治癒魔法】……駄目か。」

闇男「何か、他の原因があるのかもしれないな。」

水男「何か、って……」

ヘル「グゥルルルル……」

水男「……」

闇男「……なんてことだ。」

ヘル「ギャウッ、ギャウッ!!」

水男「1,2,3……5頭か。まずいな……」

闇男「【暗闇生成】!!」

ヘル「グルッ!?」

闇男「走れるかい?」

水男「魔法が切れるまでは!」

~森~

闇男「まずいな、追って来てる。」

水男「……戦うしかない。」

闇男「……よし。【痛覚消失】」

水男「ありがとう。」

闇男「破壊の魔法は使うな、反動が来る。」

水男「分かってるよ。【水球生成】……これを操作して、ノックアウトさせよう。」

闇男「よし、僕も……【水球生成】」

水男「……ちなみに、ケンカの経験は?」

闇男「……ない。恥ずかしながら。」

水男「奇遇だな……俺もなんだ。」

ヘル「ガルルルル!!」

水男「……増えてない?」

闇男「そうだね……でも、やるしかないよ。」

~広間~

風男「そういう危険なことするなら、先に言っとけよ!!」

光女「ちょっと、詳しい場所を聞かないで行ってどうすんのっ!!」

水女「森に着く前に探知魔法を使うわっ!!」

地女「行こうっ!!」

水嬢「……」

水大「早く行くわさ。」

水嬢「ええ。」

火男「俺も行くって!!」

~森~

闇男「【水球生成】っ、【操作魔法】!!」

水男「はぁっ、はぁっ…」

闇男「大丈夫かい?」

水男「だ、だんだん痛くなってきた……」

闇男「意識は?」

水男「……だ、大丈夫……」

闇男「……」

ヘル「グルルッ!!」

闇男「【水球生成】っ、【操作魔法】……【操作魔法】っ!!……まずい。」

水男「魔力切れ……」

ヘル「ガウッ!!」

地女「【土壁生成】っ!!」

光女「【照射魔法】っ!!」

風男「【突風生成】っ!!」

水女「【水球操作】っ!!」

ヘル「ギャフゥンッッッ!!」

水男「み、みんな……」

闇男「よ、よかった……」

水嬢「ヘ、ヘルハウンド……間一髪でしたわね。」

火男「おいおい、10匹以上いるぜ。こいつら、全部KOしたのかよ。」

水大「大したもんだわさ……」

地女「水男……【治癒魔法】っ!!」

水男「……あ、あれ? 効いた……」

闇男「治った……?」

水男「かかっている魔力が、消えたから、かな……」

風男「いやいや、愛だろ、愛。」

光女「ふざけたこと言ってないで……どう、痛む?」

水男「あ、いや、大丈夫。みんな、来てくれてありがとう。」

水女「あなたたちの合成魔法、危険すぎると思うわ。」

水男「いや、ちょっとやりすぎたっていうだけだよ。」

水女「そんなこと言ったって、現にこうして危ない目にあってるわけだし……」

水男「大丈夫だよ。」

闇男「もっと、目標を落として合成しよう。ちょっと、見通しが甘かった。」

水男「いや、このままやろう。少しくらい怪我したって、別に……」

水女「次もこれで済むとは限らないでしょう。」

水男「大丈夫だって。もしなにかあっても、その時はまた地女にパパッと……」

地女「!!」

水男「つぅっ!!」

一同「!!」

光女「ナイスビンタ……」

地女「……」

火男「あ、おいっ!」

風男「……水男、今のはお前が悪い。」

光女「あの子、どれだけ心配して走ってきたか……ちょっとは気持ち、考えなよ。」

水男「…………うん。」

水女「……」

~夕食・食堂~

火男「……」

水大「……」

地女「……」

風男「……」

水女「……」

光女「……」

水嬢「……」

闇男「……」

水男「……」

執事「……」

~広間~

風男「どうする? この雰囲気。」

光女「どうする、ったって……どうにかしなくちゃ。」

風男「……まず、水男が謝らなくちゃな。」

光女「問題は、その場所とタイミングよねー。」

風男「あと2日か……タイミング、待ってられないぜ?」

光女「……」

闇男「お邪魔するよ。」

風男「闇男。」

闇男「あの二人のことなら、多分大丈夫だよ。」

風男「なんで、んなこと言えるんだよ?」

闇男「今朝も、二人で仲良く散歩してたから。」

風男「今朝、も?」

闇男「僕も早起きだからね。示し合わせて会ってるような感じだったよ。」

光女「……じゃあ、そこで、二人がなんとか出来る?」

風男「……やめやめ。俺たちは保護者じゃないんだ、二人に任せようぜ。」

闇男「僕もそう思う。巡り合わせだからね。うまくいくのも、そうでないのも。」

光女「はぁ、信じるしかないわねー。ギスギスがなくなってくれればいいけど。」

風男「ところで、お前ら、合成魔法どうするんだよ。」

闇男「それは……ちょっと、僕に考えがある。」

光女「何? ここまで来て、隠さないでよね。」

闇男「……水嬢さん、ちょっと来てくれる?」

水嬢「? なんですの。」

闇男「合成魔法なんだけど、物質に限定したらどうかな。」

水嬢「生物ではなくて、ということですわね。でも、それではあなたが言っていた……」

闇男「それはこの際、仕方がないさ。水の魔力が強ければ、今回のような失敗もない。」

光女「まぁ、そういうことなら、心配なさそうね。」

風男「なぁ、コンクールに出るライバル同士だからって、隠してたけどさぁ……」

光女「そうね、もっとオープンにしてもいいかもね。」

水嬢「それに関しては、私たちのチームは何も言えませんわね。」

風男「ってことで、みんなで合成魔法の経過を発表しないか。」

光女「ライバルだけど、一緒に頑張ってきた仲間なんだし、さ。」

水女「私は構わないわ。」

光女「水女っ。」

水女「そもそも、隠すほどのことでもないと思うしね。」

水嬢「水女様がそう言うのなら、私も異論ありませんわ。」

水大「私も、右に同じだわさ。」

闇男「僕も。今回の件で、迷惑かけたし。まぁ、もう知られちゃったけどね。」

水男「俺も……問題ないよ。」

火男「俺は、えーっと……」

地女「私も、そうするべきだと思う。何かあってからじゃ、遅いもん。」

水男「……」

火男「はい、俺も、賛成で。」

風男「んじゃ、決まりな。俺たちは…………」

火男「歌、ねぇ。」

闇男「面白いね。それで、音声に魔力は付随させられたのかい?」

水女「ええ。ちょっと、アレンジを加えてね。」

水男「すごいな……心理魔法として、新しい分野なんじゃないか。」

光女「水女が、水男に負けないように頑張りたいんだってさ。」

風男「んで、そっちは?」

地女「私たちは……」

光女「時間を止める魔法、か。出来れば優勝間違いなしかも?」

闇男「規模によるだろうけどね。」

水大「でも、理論が全然出来てないから、実際は無理かもしれないわさ。」

水女「……こんなの、どうかしら。ねぇ、水男くん、ちょっといい?」

水男「ん?」

水女「地女さんも。」

地女「?」

水女「私が……するから、水男くんが……」

地女「私は?」

水女「その状態の物体に対して……」

水男「なるほど……」

風男「意見を出し合う、ってのも、考えてみればありだったんだよな。」

光女「なんか、勝手にチーム対抗にしちゃったもんね。」

水女「それじゃ、やってみましょう。水嬢、そこの壺、貸して頂戴。」

執事「そ、それは今から200年前の……」

水嬢「はい、どうぞ。」

水女「それじゃあ……【加熱魔法】」

執事「!」

水男「【冷却魔法】」

執事「!!」

地女「【硬直魔法】」

執事「!?」

風男「……硬直魔法? 物体に?」

水女「まぁ、見てて…・・・えいっ。」

執事「だだだ、暖炉の中にっ!?」

光女「……割れない? それどころか……」

水女「……よっ、と……」

火男「ピカピカのままだ。」

闇男「分かった。」

水女「はい、そこの君。」

闇男「はい、先生。」

風男「そのくだり、必要か?」

闇男「分子の運動そのものを拮抗させて、その状態を硬直させたんだと思います。」

水女「正解っ!!」

火男「キャラ変わってるぞ……」

水女「ちょっと、場を和ませようと思ったんだけど……ダメだったかしら。」

水大「いやいや、面白かったわさ。でも、なぜいきなりなのよのさ?」

水女「……だって、友達がケンカしてるのって、嫌じゃない。」

水男「!」

地女「!」

水女「ごめん、おせっかいだと思ったんだけど。」

地女「う、ううん、こっちこそ、ごめん。しかも、アイディアまで出してくれて……」

水女「合成魔法がちゃんと出来るっていうことは、もう大丈夫っていうことよね。」

水男「……かな。」

光女「全然、心配するまでも無かったわね。」

闇男「雨降って地固まる、ってね。」

水大「二人の属性そのままの言葉だわさっ。」

風男「さぁ、明日は合成魔法の最終確認をして、肝試しもしちゃおうぜっ!」

水嬢「……」

1です。

本編以外の部分も読んで下さっている方がいるようで、とても嬉しく思います。
テンションが上がって投下がちょっと長くなりましたが、許して下さい。

今回はここまでです。

1です。

投下が長いと片手間に読むには面倒だろうなぁ、との考えだったのですが、
そうでもなかったようで安心しました。
レス下さったみなさん、ありがとうございます。

では、次から本編です。

~翌朝・テラス~

風男「……」

光女「おはよ。珍しいじゃん、早起きなんて。」

風男「ん、まぁ、ちょっとな。」

光女「二人が気になる?」

風男「……なんか、複雑だよな。関係が。」

光女「周りが、ね。あの二人はあの二人でいいんだけど、水女がね。」

風男「火男は火男で本気っぽいしなぁ。」

光女「あ、そうなの?」

風男「らしい……おっ。」

光女「水男……あ、地女も、来たね。ほんとに、約束してるのね。」

風男「んじゃ、俺らは引っ込もうぜ。これじゃ出歯亀だ。」

光女「そうね……」



~広間~

水女「あら、おはよう。二人とも、早いのね。」

光女「おはよ。水女、昨日は頑張ったわね。」

水女「え? ああ……思い出すとちょっと恥ずかしいから、言わないで。」

風男「でもさ、いいのかよ?」

水女「何が?」

風男「いや、ほら……二人が仲違いしてる方が、都合がいいんじゃないかって。」

光女「……一理あるけど、それはやめてほしいかな。」

水女「私も、それは嫌だわ。なんていうか……地女さんも、大切な友達だから。」

光女「水女……」

水女「そ、そろそろ朝食ね。先に行ってるわ。」

風男「……なんか、切ないな。」

光女「高校時代は、友達もあまりいなかったって言ってたっけ。」

風男「お前だったら、どっちとる?」

光女「え? ……わかんない、でもたぶん、恋をとっちゃうかな。」

風男「ふーん……さ、俺達も行くか。」

~食堂~

水男「ふーっ、食べた食べた。」

闇男「で、どうだったの。」

水男「あ、ええと……おかげさまで。」

水嬢「まぁ、合成魔法に支障が無ければわたくしは何も言いませんわ。」

火男「調子、大丈夫か?」

地女「うん、なんともないよ。ありがとう。」

火男「……」

水大「昨日水女様が見せてくれた合成を、今日はやってみるわさ。」

執事「……」

地女「お、お城のものは使わないでおこうね。」

風男「……んん! なぁ、二人とも、ちょっと、やってみないか。」

水女「やってみるって……何を?」

風男「【拡大魔法】……(~歌~)」

光女「……あぁ、いいかもね。それじゃ……【照射魔法】……(~歌~)」

水女「あ、そういうこと……【心理操作】(~歌~)」

地女「……すごい。」

闇男「なるほど、歌そのものに魔力を……すごい合成だ。」

水嬢「水女様、美しい歌声ですわ……」

水大「うーん、なんかやる気になってきたわさ!」

火男「よっしゃ、それじゃあ、最後の特訓に行こうぜ!」

~夜・食堂~

風男「さて、いよいよ明日で最終日……ということでっ!」

火男「肝試し大会~~っ!!」

水嬢「それじゃ、わたくしから説明しますわ。」

水大「水嬢が絡んでるわさ?」

水嬢「というよりも、わたくしのプロデュースですわ。」

風男「水嬢は、今更肝試しするのもつまらないんだとさ。」

水嬢「男女のバランスとやらが大切なんでしょう?」

火男「……はい。」

水嬢「男女ペアで、城内を回ってきてもらいますわ。はい、これ。」

水男「……これは?」

水嬢「地図ですわ。全員、課題は違いますから、ペアで二つ探してきてください。」

水女「な、なんか、用意周到すぎない?」

水嬢「実は、お父様のご友人もよくこういうことをなさるそうで。」

執事「ええ。そういったものは、随時準備されているのでございます。」

水嬢「ということで、ペアを決定しますわ。このくじを引いてくださいな。」

光女「……」

水嬢「……」

火男「んじゃ、俺から……男のくじはこっちだな……赤だ。」

闇男「黄色。」

風男「緑、かな。」

水男「青。」

光女「んじゃ、失礼して……ほい、赤。」

地女「えーっと……黄色。」

水大「緑だわさ。」

水女「青ね。」

光女「……」

水嬢「……」

風男「何にやにやしてんだ?」

光女「え? いやいや、なんでもないわよん。」

風男「?」

水嬢「では、10分おきに各組スタートということにいたしましょう。」

~廊下~

水男「……」

水女「クスッ。」

水男「な、なんだ?」

水女「テストの時よりも、緊張してるんじゃない?」

水男「そ、それは……テストは、別に怖くはないから。」

水女「ねぇ、ちょっと話しながら行かない? 気が紛れるし。」

水男「ああ、そうだな……」

水女「さっきの話だけど、私は、テストが怖くて怖くて仕方なかったわ。」

水男「お父さんが、厳しい人なんだっけ。」

水女「えぇ。1位以外は認めない人。」

水男「そりゃ……つらいね。」

水女「勉強はつらくはなかったわ……友達が出来ないのが、つらかった。」

水男「競い合う仲間とか、励まし合う仲間とか、いなかったのか?」

水女「周りはみんな、負けられない相手、だったもの。」

水男「そうか……」

水女「だから、こんな肝試しだとかお泊まりだなんて、夢みたいだったの。」

水男「俺も、こんなの初めてだよ。」

水女「……ねぇ、話題を変えてもいい?」

水男「うん?」

水女「朝、地女さんと散歩しながら、どんな話をしたの?」

水男「え? えーっと……謝ったよ。」

水女「合成魔法の?」

水男「そう。勝手なことを言って、ごめん、って。」

水女「彼女は、なんて?」

水男「……叩いてごめん、って。」

水女「それだけ?」

水男「……いや。でも、ちょっと、言えない。」

水女「そっか……」

水男「でも、どうしてそんなこと聞くんだ?」

水女「……二人とも、私にとっては大切な友達だもの。」

水男「……」

水女「ふふ、なんか、らしくないわね。ちょっとかっこつけすぎかしら。」

水男「いや、そんなことないよ。俺も、みんな大切な友達だから。」

水女「……」

水男「な、なんだよ?」

水女「いいえ。あ、私の課題、そこの部屋の花瓶だわ。」

~食堂~

火男「ほんとに見たんだって!!」

水嬢「はいはい、わかりましたわ。」

火男「なぁ、出たよな!?」

光女「うーん、今思うと気のせいだったような……」

火男「だぁ~~、なんだそりゃ!」

水男「あれ、俺達が最後か。」

闇男「おかえり。どうだった?」

水男「どうだった、っても……怖かったよ。」

風男「ははは、そこはなんともなかった、って答えるところだろ!」

地女「ふふ、水男くんらしいね。」

水女「それで、彼は何を騒いでるの?」

水大「ドレスの女を見た、って言い張ってるわさ。」

水男「どこで?」

水嬢「上のホールだそうですわ。」

火男「ほんとなんだって!」

光女「月明かりの加減かなぁ……怖い感じじゃなかったし。」

水嬢「……一応言いますけど、ドレスの女性は出るところが決まっていますの。」

地女「れ、礼拝堂?」

水嬢「あら、よく分かりましたわね。最初は声が聞こえますのよ、いつも。」

地女「……」

水男「……」

風男「なんだよ、青ざめた顔して。」

水男「い、いや、なんでも。」

闇男「さて、これでお開きかな?」

火男「いやいやいやいや!! まだこれがあるだろ!」

水女「これって……花火?」

光女「へぇ、用意周到じゃない。」

闇男「素材を買ってきたのは僕だけどね。」

水女「あぁ、あの時の買い物って?」

闇男「そういうこと。せっかくだから、と思ってね。」

水嬢「それじゃあ、前の広場でやりましょうか。」

~広場~

光女「おっす。」

水女「お疲れ様。」

光女「どうだった?」

水女「よかったわ。」

光女「え! じゃあ、もしかして……」

水女「うん。あきらめることにした。」

光女「……どゆこと?」

水女「……地女さんが、あの時彼を叩いたのは……愛情、みたいなものよね。」

光女「う~ん……まぁ、そこまでのものでもないかもしれないけど。」

水女「私の気持ちとは、ああ、違うなぁ、って思ったの。」

水女「私はきっと、本当に、ライバルを求めてたんだわ。」

水女「あとは……競い合える仲間、とか、笑い合える仲間、とか。」

水女「私は水男くんが好きだけど、同じように地女さんも好き。」

水女「もちろん、風男くんも、光女もね。」

光女「泣かせるわね。」

水女「光女と同じ気持ち。友達を、応援したいの。」

水女「……それにほら、初恋は実らない、っていうじゃない。」

光女「結局、恋なの? 友情なの? どっちなの?」

水女「ふふ……わからないっ!」

光女「あっ……」

風男「おいっ、光女! ねずみ花火を人に向かって投げるんじゃねぇっ!!」

光女「わっ、私じゃないわよっ!!」

水女「あははははっ!!」

風男「んにゃろ~、水女かっ!!」

水大「盛り上がってるわさ……あれ、地女さんと火男がいないわさ。」

闇男「さっき、城に入って行ったよ。」

水大「水男と水嬢は?」

闇男「そっちにいるよ。」

水大「この暗いのに、見えてるよのさ?」

闇男「魔法でね。」

水大「それにしても、水女様、楽しそうでよかったわさ。」

水男「なんか、雰囲気変わったよな。」

水嬢「ええ。昔とは、全然違いますわ。」

水男「春から見ても違うよ。」

水嬢「……」

水男「どうしたんだ?」

闇男「変化には、良い変化と悪い変化があるものだからね。周りはとまどうものさ。」

水大「水女様が笑っていられるのなら、それはきっと良い変化だわさ。」

水嬢「見方の問題、ですわね。」

闇男「ん? なにか言ったかい?」

水嬢「いいえ、なんでも。」

水大「さ、水男、次はあのでかい花火に火をつけるわさっ!」

水男「な、なんて俺が……」

闇男「そういえば、水嬢さん、ひとつ聞いていいかい?」

水嬢「なんですの?」

闇男「肝試しの最中、地女さんが備蓄用の肉類を見たと言っていたんだよね。」

水嬢「……それが、何か?」

闇男「あの買い出しって、必要だったのかなぁ、と思ってね。」

水嬢「…………地女さんがそれを見たのは、いつのことですの?」

闇男「その買い出しの後だね。」

水嬢「おそらく、執事達が仕入れたのだと思いますわ。」

闇男「なるほどね……」

水嬢「よろしいかしら。」

闇男「あと、ひとつだけ。」

水嬢「まだ、ありますの?」

闇男「細かいことが気になる方なんだ。ここって、観光地として有名かい?」

水嬢「さぁ……そんなこと、分かりませんわ。」

闇男「そうか……ありがとう、参考になったよ。」

水嬢「……」

~広間~

火男「なぁ、答え、決めてきてくれたか。」

地女「……うん。今日、答えるって約束だったもんね。」

火男「ああ。肝試し、一緒になれなくて本当に残念だったよ。」

地女「……あ、あのね。」

火男「楽しい合宿だったよなー、なんか気持ちよかった。」

地女「……火男くん。」

火男「合成魔法もうまく出来たし、コンクールが楽しみだよなぁ。」

地女「火男くん、聞いて。」

火男「お、おう……」

地女「……お付き合いは、出来ません。」

火男「そ、そっか……そっか。」

地女「ごめんなさい……」

火男「あのさ……俺にさ、好きって言われて、どう思った?」

地女「え?……嬉しかったよ。それは、本当に。嬉しかった。」

火男「そっか……俺さ、本気だったんだぜ。」

地女「うん……ありがとう。」

火男「……でもまぁ、まだ、あきらめねぇから。」

地女「……」

火男「んじゃ、みんなのところに戻ろうぜ。」

地女「うん……」

~翌朝・遊歩道~

地女「昨日は、楽しかったね。」

水男「ああ、ほんと。合宿の間、ずっと楽しかったよ。」

地女「うん……いろいろ、思い出が出来た。」

水男「水嬢には感謝だな。」

地女「そうだね……彼女のこと、誤解してたと思う。」

水男「……でさ、昨日の朝に、言ったことなんだけど。」

地女「うん。」

水男「約束、してもらえるかな?」

地女「……うん。」

水男「ほんと?」

地女「うん。でも……」

水男「でも?」

地女「ううん、やっぱりいい。お互い、コンクール頑張ろうね。」

水男「もちろん。必ず、入賞するよ。」

地女「無理したら、怒るからね。」

水男「はいはい。」

地女「むっ……」

水男「わ、分かりました……」

~広間~

水男「おや。」

水女「あら。」

水嬢「まぁ。」

水大「水専攻が集合だわさ。奇遇だわさ。」

水女「みんな、今になって帰り支度しているものね。」

水嬢「まったく、困ったものですわ。」

水男「そういえば、水女、風の心理魔法を応用したんだって?」

水女「ええ。風男くんに聞いた?」

水男「水女のすごさについて語られたよ。もう分かってるって答えた。」

水大「うんうん、水女様はやっぱり素晴らしいわさ。」

水嬢「それにしても、心理魔法は、本当に色々なやり方があるんですのね。」

水女「おそらく、人によってやりやすい方法が違うのだと思うわ。」

水男「なるほどなぁ……属性で分けられないものなのかもしれないな。」

水大「ということは、私や水嬢も、自分のやり方が分かれば?」

水女「当然、出来ると思うわ。そもそも、二人とも、それなりには出来てたじゃない。」

水男「4年生で、嘘かどうか確かめるだけなら出来る、っていう人がいたな。」

水大「得手、不得手があるってことだわさ。」

水女「ねぇ、二人とも、夏休み中に少し練習してみない?」

水嬢「水女様から、お誘いがあるなんてっ!!」

水女「そ、そんなに驚かなくても……ここを使わせてもらったお礼もあるし。」

水大「でも、水女様は、私達のことが嫌だったのでは?」

水女「前は前、今は今でしょう?」

水男「合宿中、まるっきり友達だったじゃないか。」

水女「それに、心理魔法が出来るようになれば、単位の心配もないし。」

水嬢「わ、わたくし達のことをそんなに心配して下さるなんて……」

水女「な、泣かないでよ。なんだか私まで……」

地女「おまたせー。」

光女「いや~、地女が思いのほか……あれ、どうしたの?」

水嬢「……」

水女「あ、いや、これは……」

光女「女二人の涙…………修羅場?」

水男「ちっ、違うって!!」

第2部、完ッッ!!



……と、いうことで、第2部「夏編」終わりです。
最初のプロットでは夏編で終わる予定だったのですが、
書いている内に登場人物達が脳内で動き回るようになってしまい、
それに付き合っていたら、書きためている方で秋編が終わろうとしています。
冬編まで行き、1年が終わって切りよく終了になる感じですので、お付き合い頂ければと思います。

次回の投下は、早くても8月20日になると思います。
それでは、ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。良い盆を。

~学食~

風男「天高く馬肥ゆる秋、ってねぇ……」

光女「なにをしみじみしながら焼き芋食べてんのよ。」

風男「お、来たか。」

水女「待ちくたびれちゃったわよ。」

光女「口元にお芋付けて何が待ちくたびれちゃった、よ!」

水女「あら……【洗浄魔法】……どう?」

光女「どう、じゃないっての。かわいいしたり顔しちゃって。」

風男「おいおい、魔力の無駄遣いするなよ。いよいよ明日なんだからな。」

光女「再現性はバッチリ、実用性は……どうだろ?」

水女「それは大丈夫。ほら、見て。」

風男「ん?」

水女「合成魔法の説明文よ。提出する決まりだったでしょ?」

光女「えーっと……なるほど、そっか。病院や、職場ね。」

水女「歌以外にも応用して、気分を高揚させる効果を発現させられたら、有用だわ。」

風男「なるほどね……売り込むってのも、大事な要素だわな。」

火男「売り込み方なら負けてないもんねー、地女ちゃん!」

風男「ありゃりゃ、結局全員集まってきちゃったよ。」

地女「ち、近いよ。」

火男「あきらめないって言ったっしょ?」

水大「なんの話をしてるわさ……ともかく、私達もそれなりだわさ。」

風男「おっ、水女様の宣伝に勝てるってかい?」

水大「水女様には悪いけど、勝っちゃうかもしれないわさ。」

水嬢「……」

水男「なんか、水大も変わったんじゃないか。」

光女「そうね、なんか、危なっかしさがなくなってような感じ。」

風男「はい、全チーム集合~。」

水大「夏休みで、私も色々思うところがあったわさ。」

光女「例えば?」

水大「水女様……いえ、水女を目標に、女を磨くことにしたわさ。」

水女「水大……」

水大「水女が私達を友達だと言ってくれてるわさ。様はおかしいわさ。」

光女「へぇ、あれからもいろいろあったのね~。」

水男「水嬢は……」

水嬢「わっ、わたくしは水女さ・ま、のためにこれからも頑張りますわ。」

水女「まぁ、でもあなたも変わってきてると思うから、嬉しいけどね。」

水男「心理魔法は?」

水女「えぇ。二人とも、心理魔法のコツをつかんでくれたわ。」

水男「すごいじゃないか。」

風男「教え方もうまいんだろうな~、水女。いやいや、惚れちゃいそうだ。」

光女「ああっ、さよなら、風男っ! 私は水男くんと付き合うわっ!」

水男「はいはい、ごちそうさま。」

水女「それで、みんな、合成魔法は完璧なの?」

風男「俺達はもう、問題なし。合宿でも、やってみせたろ?」

光女「地女たちは?」

地女「私達も、失敗しなくなったよ。ただ……」

光女「ただ?」

地女「時間を止める、っていう触れ込みが、どうなのかな、って。」

火男「だから~、何回も言ったじゃん、宣伝文句が大切だって!」

水大「こればっかりは、賭けだわさ。誇大広告ととられるかも。」

闇男「数百年が経過しないと、真偽が分からないからね……どうかな。」

風男「あ、そういや、闇男達はどうしたんだ? 結局。」

闇男「実は、あれから色々と実験してね。」

地女「!!」

水男「ち、違うって、危険なことはしてないよ。」

闇男「僕たちは、身の回りにあるものに魔法をかけながら生活をしていたんだ。」

光女「でも、魔力が切れちゃうんじゃない?」

闇男「その実験もかねて、さ。僕たちの魔力で1週間はもつらしかった。」

水男「失敗もなくなったしね。」

地女「ほっ……」

風男「へへ、なんか、俺達だけで入賞を独占できそうじゃね?」

光女「そんなに甘くはないと思うけど、でも、みんな、頑張ろうねっ!」

~講堂・合成魔法コンクール・午前~

水教「え~、今年も、こんなにも多くの出場者がいて嬉しく思うぞい。」

水男「せ、先生……主催者ど真ん中だったんですね……」

水教「審査は、例年通り、3、2、1、4の順番で行う。」

水教「各学年、発表の時間は5分以内とし、危険な魔法については即中止してもらう。」

水教「特に、破壊に属する魔法は法律でも強く禁じられておるので、そのつもりで。」

風男「なぁなぁ、これって全チーム分見てなくちゃならないのか?」

水女「いえ、そうではないみたいよ。会場は、出入り自由みたい。」

光女「上級生の合成魔法なんて、下手に見ない方がいいかもね。」

水男「そういえば、俺達の魔法が先に発表された場合は、どうなるんだろう。」

闇男「ちゃんと要項に書いてあったよ……ほら、ここ。」

水男「……なるほど、魔法の質の高さで決定するのか。」

水嬢「まぁ、3人1組ですし、いきなりまねをしようとしても無理ですわね。」

火男「俺達は午後からか。どうする?」

地女「えと……水男は、どうする?」

水男「俺は、少し見てるよ。興味があるから。」

地女「じゃあ、私も見てようかな。」

火男「う~……」

風男「やめとけやめとけ、寝るのがオチだ。ほら行くぞ。」

火男「う~……しかし……でもなぁ……」

闇男「そういえば、君達、サークルに顔出してないだろ。」

風男「え、なんかあったっけ?」

闇男「あっちはあっちで、大会が近いだろう。先輩方が気にしてたよ。」

風男「ありゃ……仕方ねぇ、火男、ちょっと顔出してこようぜ。」

火男「……はいよ。」

光女「私達はどうする?」

水女「私は、学食で休んでようかしら。みんなも、行かない?」

水大「水女のことだから、ここで勉強とかいうと思ったわさ。」

水女「今の内に甘いものでも食べて、魔力を補給しておくわ。」

水嬢「では、わたくしたちも。」

光女「それじゃね、二人とも。」

地女「うん、またあとで。」

今回の投下はここまでです。

そういえば第1部春編の終わりが不明瞭でしたが、>>322で終わっています。
ですので、1シーズン1200レスくらいでしょうか。
いやいや、だからといって39スレまでいって子どもの話にはならないと思いますが……

わけあって、投下が不定期になりそうですが、なんとかお付き合い下さればと思います。

では、また。

1です。

支援レスありがとうございました、そしてお待たせしました。

今日からまた投下します。

~学食~

光女「それにしても、水女って、ほんとにいい女ね~。」

水女「よしてってば。」

水大「いきなり何を言うだわさ。」

光女「……言ってもいい?」

水女「う~ん……まぁ、陰で言われるよりは、いいかな。」

光女「実は、水男とこうで……地女がああで……水女はそうで……」

水大「ううぅっ……かっこよすぎるわさ!」

水女「あ、あれ? 水大?」

水大「やっぱり私、水女を目標に生きて行くわさ!」

水女「……」

光女「ありゃりゃ。」

水嬢「……水女様は、本当にそれでいいんですの?」

水女「水嬢?」

水嬢「本当に、納得が出来ているんですの?」

水女「……ええ。あの二人に、仲良くしてほしいと、思ってるわ。」

水嬢「そういうことではありませんわ!」

光女「ちょ、ちょっと……」

水嬢「そんな日蔭の女のような……それが、水女様の選択なはずありませんわ!」

水女「だから、これが私の……」

水嬢「欲しいと思ったものなら、是が非でも手にいれなくてはならないでしょう!」

光女「……つまり?」

水嬢「地女さんが優秀な女性なのは認めますわ。ですが……」

水女「ですが?」

水嬢「彼女よりも、貴女はさらに優秀なのですわ。だから、私は……」

水大「なんだわさ?」

水嬢「……わざと、水男と時間を共有するように仕向けたのですわ。」

光女「だから、肝試しの時に、賛成したのね?」

水嬢「少なくとも、地女さんとは一緒にさせられないと思ったのですわ。」

水女「……」

水嬢「時には手段を選ばなくてよいと、私はちゃんと申し上げましたわ。」

光女「ねぇ、水嬢。水女に、どうあってほしいの?」

水嬢「水女様という人間なら、欲しいものは魔法でも男でもなんでも……」

光女「それは、誰が望んでる姿なの?」

水嬢「……え?」

光女「それは……水嬢、あなたがなりたい像なんじゃないの?」

水嬢「そ、そんなことは……そんなことはありませんわ。」

水女「……ねぇ、水嬢、私、」

光女「ちょっと待って、いい機会だと思うから。」

水女「光女……」

光女「水嬢、自分の理想像を水女に見出して、それで満足してない?」

水嬢「そ、そんなことはありませんわっ!!」

光女「水女が、自分の理想像から外れたことで、イライラしてない?」

水嬢「何を、何を根拠にっ!!」

光女「水嬢。水女は変わったわ。水大も。あなたは、どう?」

水嬢「わ、わたくしが……なんですって?」

光女「水女とあなたは、違う。あなたは……何者に、なりたいの?」

水嬢「……わ、私は……水女様の、幸せを、願って……」

光女「それじゃあ、水女が何を望んでいるのか、ちゃんと考えなくっちゃ……」

風男「おいーっす!!」

火男「待て待て、なんか、空気が違う。」

闇男「……お邪魔だったかい?」

水女「そんなことは……水嬢、大丈夫?」

水嬢「……だ、大丈夫ですわ。ちょっと、お花を摘んでまいりますわ。」

風男「……どした?」

光女「う~ん……私が、いけなかったかも。タイミング考えればよかったな。」

風男「いじめたのか?」

光女「いじめたなんて……うん、いじめか、あれは。」

水女「……そんなことはないと思うけど……」

光女「ううん、言いすぎた。駄目だ、ちゃんと謝らなきゃ……」

水女「……ねぇ、水大。様子、見てきてあげて。」

水大「わ、分かったわさ。」

闇男「僕も行くよ。チームメイトだし。あ、中には入らないけど。」

風男「当たり前だろ、何言ってんだ。」

火男「中? だって、花摘みに行ったんだろ? 外じゃん。」

光女「トイレよ、トイレ。」

風男「はい、バカ発言~。」

火男「う、うるせっ!!」

闇男「さて、行く前に、簡単に顛末を教えてもらえるかな。」

~会館内~

水大「……大丈夫わさ?」

水嬢「ええ。なんともありませんわ。」

水大「そうは見えないわさ。」

水嬢「なんでもないって、言ってるでしょう。」

水大「……水女の幸せって、なんだわさ?」

水嬢「そんなこと……決まっていますわ。」

水大「なんだわさ。」

水嬢「栄光の道を、歩むことですわ。」

水大「水嬢……」

水嬢「私、決めましたわ。」

水大「誰かを傷つけるような考えは、やめてほしいわさ。」

水嬢「なんですって?」

水大「水女は、それは、絶対に臨んでいないわさ。」

水嬢「……それは、見方の問題ですわ。」

水大「……水嬢、そんな様子で、魔法は合成出来るわさ?」

水嬢「それは問題ありませんわ。癒しなんて、水の基礎中の基礎ですもの。」

闇男「それじゃ、ちょっと見せてもらおうかな。」

水嬢「闇男。なんですの、その手の傷は。」

闇男「今、自分で魔法で切った。」

水嬢「な……何を馬鹿な!」

闇男「精神状態が魔法に影響するのは、どの属性も一緒だ。さぁ。」

水嬢「【治癒魔法】」

闇男「お見事。たいしたものじゃないか。」

水嬢「当然ですわ……迷いなど、ありませんもの。」

闇男「さすが、闇属性の魔法もすぐに習得しただけのことはあるね。」

水大「そうだったわさ?」

水嬢「ええ、合宿中に。闇男に、教えていただいたのですわ。」

闇男「ところで……少しだけ、聞かせてもらったけど。」

水大「今の話?」

闇男「さっきの話も。確かに正義は人によって違うけど、でも……」

水嬢「なんですの。」

闇男「……人として、していいことと、許されないことは、あるよ。」

水嬢「あら、私にお説教かしら。」

闇男「君は、目的の為なら平気で嘘をつくみたいだからね。」

水嬢「何を根拠に?」

闇男「あの夏、買い出しのことだ。ずっと引っかかっていたんだ。」

水嬢「……」

闇男「備蓄用の肉がないなんて、嘘だったんだろう。二人を行かせるための狂言だ。」

水大「え……?」

闇男「普通に考えて、別荘に食糧の貯えが無いなんておかしいと思わないか?」

水大「た、たしかに……」

闇男「僕は花火の物を買いに行く以上に、違和感があったから行ったんだ。」

水嬢「……あなたはもう、お見通しのようですわね。」

闇男「あの時の男女も、君の差し金だっていうことなら、お見通しだ。」

水嬢「大したものですわ、あなた。」

闇男「……コンクールは、ちゃんとやってくれるだろうね。」

水嬢「ええ、もちろん。さ、行きましょう。」

水大「……闇男、合成魔法、大丈夫だわさ?」

闇男「……分からない。ただ、水男を傷つけるような真似はしないと思うけど……」

今回はここまでです。

次回から、いよいよ彼らのコンクールが始まります。

コンクールという響きが、なんだか若いですね。

コンクールなめてんのか

1です。

>>643
学生のコンクールというと、合唱コンクールを想起してしまいました。
短慮でした、申し訳ありません。

ちょっとだけ投下します。

~講堂・午後・合成魔法コンクール~

水教「さて、1年生の合成魔法もいよいよ残り3チームじゃな。では、次の組。」

水女「そういえば、どうして私達が最後の方なのかしら。」

光女「こいつがエントリーをずっと忘れてたから。」

風男「いや~、水嬢と水大に頼まれてたのをすっかり忘れててな。」

水教「なんじゃ、緊張感がないチームじゃと思ったら、水女くんか。」

水女「こんにちは、先生。」

水教「……おや、よい夏だったようじゃの。随分と大人の女の顔になったもんじゃ。」

水女「恋をすれば女は成長するそうですから。」

光女「や、やっぱり恋だったんじゃないの。」

風男「言ってる場合か。ほら、やるぜ。」

水女「え~……私達の魔法は、すべての人に喜びを届ける魔法です。」

水女「会場の皆さんの緊張感や不安も、少し、やわらぐかもしれません。」

水女「風と光、そして水の心理魔法を合成します。」

会場「心理魔法……?」

会場「……はじめてなんじゃないか……」

風男「よし……行くぜ。」

水教「……では、次の組じゃ。」

水大「こんにちはだわさ、先生。」

水教「おぉ、水大くん。それと、君はたしか、地女くんじゃったな。」

地女「あ、はい。お久しぶりです。」

水教「さて、はじめてもらおうかの。」

地女「えと……わ、私達は、時間を止める魔法について研究してきました。」

会場「ハハ……」

会場「無理無理……」

水大「ちょ、ちょっと空気が悪いわさ……」

地女「そ、それで、属性は……」

会場「このチームの優勝は無いな……」

会場「実際に出来てたら、新聞に載るだろ……」

火男「はいはい、ここにツボがありまぁす!!」

地女「火男くん?」

火男「任せとけって。 時間を止める、つまり壊れない、汚れない、傷つかない。」

火男「さ、疑う人は、実際に割ろうとやってみてくれよ。じゃあ、行くぜ?」

水男「火男、やるなぁ。」

闇男「お祭り好きな男だからね、いきいきしてる。」

水嬢「……」

闇男「大丈夫かい、水嬢。」

水男「緊張してるのか?」

水嬢「いえ、そうではありませんわ。さ、行きましょう。」

水教「では、次が最後の組じゃ……おっと、君達じゃったか。」

水男「ども。」

水教「水男くんか……先に心理魔法を出されて残念じゃったの。」

水男「でも、俺達、心理魔法ではないんです。」

水教「ほう?」

水嬢「さ、やりますわよ。」

闇男「僕達が合成する魔法は、おそらく魔法の概念を大きく変える魔法です。」

水男「大きく出たな……」

闇男「宣伝文句だから、いいんだよ。治癒魔法はいつも、事後にかけられるものです。」

闇男「また、痛みは痛みとして残り、治癒魔法は万能とは言えませんでした。」

闇男「しかしです。痛みを消し、また、瞬時に治癒できるとすればどうでしょうか。」

風男「はぁ、やっぱりな……」

光女「自分たちで、やってみせるつもりね。」

地女「だ、だって、この間は、物に限定したって……」

水女「多分、日常生活で試していたというのは、自分達に対してだったんだわ。」

地女「……」

光女「怒ってる、怒ってる。」

風男「さ、これで結果が出せなかったら、今日が水男の命日だぜ。」

~講堂~

水女「お疲れ様、水嬢。」

水嬢「ええ、水女様も、お疲れ様でした。」

光女「水男、傷は本当にないの?」

水男「ああ、全然。散々、練習したからね。」

光女「あ~、そうなの。でも、もう1回かけといたほうがいいわよ、その合成。」

水男「え、なんで……」

地女「【硬直魔法】」

水男「……」

地女「……」

風男「はい、連行された~。」

火男「……ちぇっ。」

闇男「どうしたんだ、コンクールの結果はまだ結果は出てないだろう。」

火男「出てるんだよ、とっくに。」

闇男「?」

水大「さ、あとは4年生の発表が終われば、結果発表だわさ。」

水女「さ、先輩方のお手並み拝見と行きましょう。」

今日はここまでです。

レスして下さっている方、ありがとうございます。

書きたい展開がふたつあり、決めあぐねていますが、

必ず完結はさせますので、気長にお付き合い下さい。

~空き教室~

地女「【硬直解除】」

水男「……」

地女「無理しない、って言ってたのに。」

水男「無理は、してない。」

地女「危ないこともしない、って言った。」

水男「それは……仕方なかったんだ。」

地女「……どうして?」

水男「入賞したら、付き合ってくれるって約束だから。」

地女「それは……そうだけど……」

水男「だ、だから……自分から言い出して、入賞しなかったら、情けないし……」

地女「……しなきゃよかった、そんな約束。」

水男「え……それって、どういう……」

地女「……」

水男「! 地女……?」

地女「入賞しなかったら、付き合えないみたいなんだもん……」

水男「地女……」

地女「……入賞、してたらいいね。」

水男「うん……」

~講堂~

風男「おかえり。」

水男「ただいま……あれ、4年生は?」

光女「もう終わったわよ。そっちの話は済んだ?」

地女「うん。」

火男「……」

水女「あ、閉会式が始まるわ。」

水教「さて、学生の諸君、大変お疲れさまじゃったの。」

水教「今年の出場者は、過去最大の人数じゃった。」

水教「しかも、どの組も創意工夫にあふれ、どの審査員も常に驚かされた。」

水教「若い時でなければ、挑戦は出来ん。」

水教「それは、精神的なことだけではなく、物理的に、そうなってゆくのじゃ。」

水教「知を得られる場で、魔法の新たな可能性を追究した諸君。」

水教「たとえ入賞しなかったとしても、これまでの努力は糧となる。」

水教「これを終わりではなく、始まりとすることじゃ。」

水教「では、君達の始まりを祝して、入賞者を発表しよう。」

水教「3年生の部…………」

水教「2年生の部…………」

水教「1年生の部。第3位は…………」



~学食~

風男「それじゃ、みんなで……カンパーイッッ!!」

一同「かんぱーいっ!!」

風男「いやぁ~、悪いね悪いね、優勝させてもらっちゃって!!」

水大「やっぱり、そのチームは強すぎたわさっ。」

光女「えっへっへ~!」

水嬢「実際には、水女様のご活躍だと思いますわ。」

光女「えっへっへ~……その通りだわね。」

水女「そんなことないわ。二人が協力してくれなければ、発想も出来なかったもの。」

火男「あ~あ、入賞しなかったのは俺達だけかぁ。」

地女「仕方ないよ、やっぱり検証できないっていうことが大きすぎたもの。」

闇男「その点、僕たちはその場で証明できる魔法だったからね。」

水教「おっ、やはりここにおったか。」

水男「先生。」

水教「わしの専攻の学生ということで、いろいろと愚痴を言われたわい。」

水女「そんな。先生は、何もしてないのに。」

水教「ほっほっほ、冗談じゃよ。しかし、4人ともよく頑張ったの。」

水大「単位確定だわさ!?」

水教「ほほ、それは当然じゃよ。じゃが、後期の講義はちゃんと出るんじゃぞ。」

水大「も、もちろんだわさ~!」

光女「よかったね、4人とも。」

水嬢「ええ、そうですわね……」

水教「それにしても、水男くんと水嬢くんがチームで出るとは、驚いたのう。」

水男「くじびきで、決まったんです。」

水教「ふむ……君達は近しい部分があるからのう。合成はしやすかったじゃろう。」

風男「近しい……水男と水嬢が? 正反対にも見えますけど。」

闇男「でも、そういえば、二人の魔力があわないということはなかったなぁ。」

光女「単純に、同じ属性だからって言うことじゃないの?」

水教「まぁ、そう単純な話ではないんじゃよ。」

火男「何やら難しいんだな。」

水教「合成魔法は本来難しいもんじゃ。ま、今年はその内容にも、驚かされたがの。」

風男「一番驚かされた人がここにいますけどね!」

地女「も、もう! その話はいいってば!」

風男「闇男が水男に切断魔法をかけようとした瞬間の、地女の悲鳴ったら……」

地女「だ、だ、だって、本当にぶつけるのかと思ったんだもん……」

水教「まぁ、あのパフォーマンスがやりすぎということで、銀賞じゃからの。」

闇男「え……」

水嬢「じゃあ、あれがなければ……?」

水教「おっと、言わなくていいことを言ってしまったわい。ではの。」

光女「……絶対、あれを言いに来たわ、あの先生。」

水男「ま、まぁ、変わった人だから。」

水女「さて、と……それじゃあ、私はそろそろ帰るわね。」

風男「おっ、もうこんな時間だな。んじゃ、次は居酒屋で……」

水男「未成年だろ、俺達。」

風男「ぐっ、真面目なやつ……」

闇男「それじゃあ、ここでお開きだね。明日からまた講義の始まりだ。」

火男「そういうこと言うなよ……」

地女「み、水男。」

水男「ん?」

地女「い、一緒に、帰らない?」

水男「え、あ、うん。」

風男「なーに二人でこそこそやってんだ?」

水男「な、なんでもないよ。」

水大「さ、それじゃ、また明日~だわさ~。」



水嬢「火男さん、ちょっとよろしいかしら。」

火男「ん? 俺?」

~地女のアパート前~

地女「よかったね、銀賞。」

水男「水嬢と闇男のおかげだよ。」

地女「水男も、おつかれさま。」

水男「それで、さ……」

地女「うん……」

水男「ちょ、ちょっと待って……ふーっ。」

地女「……」

水男「あらためて、俺と、付き合って下さい。」

地女「よ、よろしくお願いします。」

水男「……」

地女「……」

水男「ぷっ。」

地女「あははははっ。」

水男「なんか、かたっくるしいな。」

地女「そうだね、なんだか、息苦しくなっちゃうね。」

水男「……これから、よろしくね。」

地女「うん。あ……」

水男「?」

地女「あ、あがって、いく?」

水男「え! ……い、いや、やめておくよ。もう、夜も遅いし。」

地女「そ、そうだよね、今日は疲れちゃったしね。」

水男「あ、でも……明日、午前の講義ないよな?」

地女「うん。」

水男「俺のアパートに、遊びに来ない?」

地女「……変なことしない?」

水男「し、しないよ。」

地女「ふふ、冗談。うん、いいよ。」

水男「じゃあ……おやすみ。」

地女「うん、おやすみ。」

地女「……ふふっ。お呼ばれしちゃったぁ。」

水嬢「地女さん。」

地女「きゃあっ!?」

水嬢「そんなに驚かなくても……」

地女「み、水嬢さん……ど、どうしたの、こんなところで。」

水嬢「いえ……ちょっと、あなたに相談があるのですわ。」

地女「相談……?」

水嬢「ええ。ちょっと、大きな声では言えないので、入れていただいても?」

地女「あ、うん、散らかってるけど……ん?」

水嬢「……なにか?」

地女「ううん、何か物音がしたような……」

水嬢「夜が遅いので、動物ですわ、きっと。」

1です。

今回はここまでです。

秋は涼しくて過ごしやすいですが、天気が変わりやすいのが難点ですね。

~地女のアパート~

地女「ご、ごめんなさい、お客さん用の物って用意してなくって……」

水嬢「いいえ……かわいらしい部屋ですわね。」

地女「えへへ、ありがと。」

水嬢「……先ほど、水男が出て行ったようでしたけど、何かありましたの?」

地女「え? えっと……そ、それはまた今度、話すよ。それで……」

水嬢「ええ、そうでしたわね。相談というのは、水女様のことですわ。」

地女「うん……?」

水嬢「あなた、水女様が水男のことを好いていたのは、ご存知でしたか?」

地女「う、うん……それで、お互い頑張ろうね、って話をしたけど……」

水嬢「私は、あなたと水男との関係についてどうこう言うつもりはありませんの。」

地女「うん……?」

水嬢「ただ、水女様に、本来の……本来の水女様に戻ってほしいのですわ。」

地女「本来の?」

水嬢「ええ。必要な物はすべて備えてある、完全無欠な女性。そんな姿。」

地女「……だ、だけど、それは高校生だったからじゃないのかな。」

水嬢「と、言いますと?」

地女「大学って、自分だけの道を見つけて進む場所だから、完全ではいられないし。」

水嬢「そのまま進める人もいると思いますの。」

地女「か、環境によって、人って変わるものだと思うし……」

水嬢「例えば?」

地女「おとなしい人が、積極的になったり、短気な人が、優しくなったり……」

水嬢「なるほど……でも、すべての変化が常に良いものだとは限りませんわ。」

地女「そ、それは……そうだけど……」

水嬢「分かってほしいとは言いませんわ。ですが……」

地女「?」

水嬢「私にとっては、水女様がそういう人間であることが重要なのですわ。」

地女「どういうこと?」

水嬢「恋人が欲しいと望んだのなら、それをかなえていただかなくては困るのですわ。」

地女「そ、それを話されて、私はどうしたらいいの?」

水嬢「そうですわ、そうですわね。ここからが重要なんですの。」

水嬢「水女様が水男のことを好いている。これはどうしようもありませんわ。」

水嬢「つまり、あなたが水男のことをあきらめてくれればいいのですわ。」

地女「そ、そんな……そんなの、無理だよ!」

水嬢「いえ、可能ですわ。」

地女「ど、どうしてそんなこと言えるの?」

水嬢「あなたが、彼といることに耐えられなくなるからですわ。」

地女「……なにをするつもりなの。」

水嬢「……」

地女「? ……と、とにかく、もう帰って下さい!」

水嬢「ええ、言われなくても帰りますわ……私はね。【解除魔法】」

火男「……」

地女「え……え? ……火男くん?」

火男「……」

水嬢「有意義な夏でしたわ。単位も、闇の魔法も、心理魔法も、手に入れましたわ。」

火男「……」

水嬢「私と一緒にアパートに入ったことに、気付かなかったでしょう?」

地女「や、闇の魔法で、火男くんを隠して? ……か、彼に、な、なにをしたの?」

水嬢「……私、どうやら人の心を操作する魔法が向いているようですの。」

地女「え……」

火男「……」

水嬢「特に、感情を逆なですれば、行動も操りやすいみたいで。」

地女「きゃあっ!!」

火男「……」

地女「ひ、火男くんっ!! ……や、やめてっ!!」

水嬢「では、言われた通り、私はおいとましますわ。」

地女「ひっ……ま、待って!!」

水嬢「ごゆっくり……」

~掲示板前~

水男「風男。」

風男「おう。」

水男「ごめん、急に呼び出して……」

風男「いいよいいよ。んで、どうかしたのか?」

水男「地女、見なかったか。」

風男「地女? いや……見てないけど。というよりも、講義なかったんじゃ?」

水男「会う約束をしてたんだけど、来なかったんだ。」

風男「お前な、いくら彼女が来ないからってそんなに焦らなくても……」

水男「通信魔法にも、反応しないんだ。」

風男「ふむ……結構抜けてるからな、寝坊でもしてるんじゃねーの。」

水男「……」

風男「なんだよ?」

水男「いや、なにか、嫌な予感がするんだ。」

風男「珍しいな、お前がそんなこと言うの。」

光女「おいーっす! 何暗い顔してるの、幸せが逃げちゃうよ?」

水男「光女。と、水女。」

光女「ちょっと二人で掲示版見に来たんだけどさ。」

水女「……何かあったの?」

風男「地女と、連絡とれないんだと。」

水女「地女さんと? でも、二人とも、今日は講義が無いって言ってなかった?」

水男「それで、午前に会う約束もしてたんだけど、通信魔法も駄目で……」

風男「ちょい待て、その前にはっきりさせとこう。」

光女「何を?」

風男「お前さっき、『彼女』って言葉、すんなり受け入れたな。」

水男「……付き合うことになったんだ、俺達。」

光女「え~っ!!」

水女「合宿から?」

水男「いや……昨日から。」

水女「そう……おめでとう、お似合いだと思うわ。」

光女「……頑張っちゃって。」

水女「なぁに?」

光女「なぁんでも。」

水男「でも、それなのに……」

風男「確かに、そりゃなおさら変だな。付き合って、翌日に音信不通?」

光女「とりあえず、あの子のうちに行ってみる?」

1です。

今日の投下はここまでです。では、また。

~番外編~

主人「あれ、珍しいですね、お一人でいらっしゃるなんて。」

光教「私がいつも若い男を連れ込んでるみたく言わないでよ。」

主人「違いましたか?」

光教「違わないけど。でも私、人のものには手を出したりしないわよ。」

主人「そういえば、光教先生、NTRという言葉にいくつかの拒絶反応が出てるみたいですよ。」

光教「『ネトラレ』ねぇ。まぁ、不思議と言えば不思議な嗜好よね。」

主人「光教先生は、そういうご趣味はないんですか。」

光教「まぁ、この>>1 は、自分で書く作品はハッピーエンドにするのが基本だから。」

主人「あ、そうなんですか。」

光教「自分が読み手の時は鬱展開も好きな割に、自分では書きたくないんですって。不思議よね。」

主人「しかし、三角関係を基礎にした恋愛譚は、全員が幸せにはならないのでは?」

光教「そこまでは、知らないわ。まぁ、とにかく気楽に付き合ってあげましょ。」

主人「ちなみに、僕のことを忘れた人は、春編を読み返して下さいね。喫茶店の人間です。」

狩人「剣士さんっ。」

剣士「ん? なぁに?」

狩人「ちょ、ちょっと買い物に付き合ってもらえませんか。」

剣士「え? いいけど……ボクも、あまりこの街詳しくないよ。」

狩人「え、あれ? そうなんですか、てっきりここの出身なのかと。」

剣士「ううん、ここにはたまたま立ち寄っただけ、っていうか……」

1です。

すみません、投下ミスりました。

気にしないで下さい。

本編投下します。

~掲示板前~

水男「風男。」

風男「おう。」

水男「ごめん、急に呼び出して……」

風男「いいよいいよ。んで、どうかしたのか?」

水男「地女、見なかったか。」

風男「地女? いや……見てないけど。というよりも、講義なかったんじゃ?」

水男「会う約束をしてたんだけど、来なかったんだ。」

風男「お前な、いくら彼女が来ないからってそんなに焦らなくても……」

水男「通信魔法にも、反応しないんだ。」

風男「ふむ……結構抜けてるからな、寝坊でもしてるんじゃねーの。」

水男「……」

風男「なんだよ?」

水男「いや、なにか、嫌な予感がするんだ。」

風男「珍しいな、お前がそんなこと言うの。」

光女「おいーっす! 何暗い顔してるの、幸せが逃げちゃうよ?」

水男「光女。と、水女。」

光女「ちょっと二人で掲示板見に来たんだけどさ。」

水女「……何かあったの?」

風男「地女と、連絡とれないんだと。」

水女「地女さんと? でも、二人とも、今日は講義が無いって言ってなかった?」

水男「それで、午前に会う約束もしてたんだけど、通信魔法も駄目で……」

風男「ちょい待て、その前にはっきりさせとこう。」

光女「何を?」

風男「お前さっき、『彼女』って言葉、すんなり受け入れたな。」

水男「……付き合うことになったんだ、俺達。」

光女「え~っ!!」

水女「合宿から?」

水男「いや……昨日から。」

水女「そう……おめでとう、お似合いだと思うわ。」

光女「……頑張っちゃって。」

水女「なぁに?」

光女「なぁんでも。」

水男「でも、それなのに……」

風男「確かに、そりゃなおさら変だな。付き合って、翌日に音信不通?」

光女「とりあえず、あの子のうちに行ってみる?」

~地女のアパート~

光女「地女~?」

(…)

風男「お~い?」

(…)

水男「地女、いるのか?」

(…)

光女「留守かしら。」

水女「……【感知魔法】」

水男「感知魔法?」

風男「五感を飛躍的に高める風の魔法さ。」

光女「風属性ならあんたが使いなさいよ……で、何が分かるわけ?」

水女「中の様子とか……やっぱり、中にいるみたい。音がするから。」

光女「どしたのかしら。地女~~~。」

地女「……みんな?」

水男「地女。ごめん、急に来たりして。ただ、連絡が付かないから、心配で。」

地女「……ごめんなさい、今は……ちょっと、具合が悪くって。」

水女「!!」

光女「……どうかした?」

水女「あ、えと……地女さん、それじゃ、夕方、学食で待ってるから。」

水男「え、いや」

水女「……しっ。」

水男「……?」

地女「……」

水女「私達は、とりあえず、学食に行きましょう。」

~学食~

風男「明らかに様子がおかしかったな~。」

光女「おかしかったのは、水女もでしょ。何が聞こえたの?」

水女「えと……」

水男「?」

水女「あの……」

光女「何よ、らしくないわね。」

水女「…………男性の、声、だと思う。」

水男「!?」

光女「……唐突すぎるわよ、水女。」

水女「ごめんなさい、私もそう思うわ。だけど、あれは……」

風男「全然理解が追い付かないな。昨日から水男と付き合うことになって……」

風男「それで、朝になったら他の男と一緒だって?」

水女「……そうね、意味が分からないわ。だけど、あの声は、たぶん……」

水男「たぶん?」

水女「たぶん……火男くん……だと、思う」

水男「……意味が分からない……」

風男「なぁ、水女。どういう声だったんだ?」

水女「それが……なんていうか、いびきというか、寝息というか……」

光女「……ねぇ、なんだか考えれば考えるほど嫌な事ばかり思いつくわ。」

水女「……」

風男「なぁ、地女のことが心配なのは心配だけど、もう時間が……」

光女「講義か……さぼっちゃう?」

水男「いや、そこはちゃんとやろう。」

光女「……私は、きみの為に言ってるんだけどね。」

水男「大丈夫。」

水女「……本当に?」

水男「ああ。それに、水クラスだし、なんとかなるさ。」

~水クラス【講義:水魔法実践】~

水教「さて、合成魔法コンクールは、お疲れ様じゃったの。」

水教「休みボケはなさそうじゃが、今日は、生成魔法で遊んでみるとしよう。」

水教「ただ水をつくってもつまらんから……水人形をつくってもらう。」

水嬢「なんですの、それは?」

水教「水の人形じゃよ。」

水大「【人形生成】……これで、終わりだわさ?」

水教「それではつまらんじゃろ。だから、動かしてみるとしよう。」

水大「魔法生物は、犯罪だわさ。」

水教「そこまで高等なものは作れぬわい。まずは、歩かせてみなさい。」

水女「【人形生成】……歩け。」

水教「さすがは水女くんじゃの。上出来じゃ。」

水大「歩けっ。」

水教「ちとぎこちないが、合格。」

水嬢「【人形生成】……歩きなさいっ。」

水教「四つん這いでは合格点はやれんのう。」

水男「【人形生成】……歩け。」

水教「……着色はせんでええぞ。なんで虹色なんじゃ。」

水男「はぁ……【人形生成】!」

水教「……足が4本もあるんじゃ。」

水男「【人形生成】!!……あれ……」

水教「なんじゃ、スランプか? 魔力が練れておらんわい。」

水男「……?」

水嬢「……」

水大「スランプだわさ? 水男にしては、珍しい失敗ばかりだわさ。」

水女「……」

水教「ふむ……まぁ、ええわい。次の課題は……」

水教「では、今日はここまで。各自、しっかり復習するようにの。」

水女「大丈夫?」

水男「……はは、困ったね。」

水大「元気出すわさ。誰だって、うまくいかない時ってあるわさ!」

水男「水大……ああ、ありがとう。」

光女「やっほ、迎えに来たよ!」

風男「……どうした?珍しく授業で失敗したのか?」

水男「まぁね。」

光女「どれくらい。」

水男「90分間ずっと。」

風男「おぉ……そりゃ深刻だな。」

水教「水男君、大丈夫かね?」

水男「先生……すみません、なんだか集中できなくて。」

水教「まぁ、前にも言ったように、君は純粋じゃから、そういうこともある。」

水教「しっかり休みなさい。心には休息がなによりの栄養じゃ。」

水男「はい……」

光女「さっき、地女に通信魔法が通じたわ。」

水男「どうだった?」

光女「……やっぱり今日は、外に出られそうにないって。」

水男「……」

水嬢「どうかなさいましたの?」

風男「ああ、いや……ちょっと、地女が体壊したみたいでさ。」

水嬢「あら……それは大変ですわね。疲れが出たのではありませんの。」

水大「……心配だわさ。」

水嬢「水男は大丈夫ですの? そのことが原因でスランプに?」

水男「……かもね。」

水嬢「あら……水女様に負けないように、頑張らなければね。水大、行きましょう。」

水大「ん、分かったわさ。」

光女「……?」

風男「どうした?」

光女「いや、今、なんか違和感が……ううん、気のせいかも。」

水女「これから、どうするの?」

水男「……なぁ、風男。火男と、連絡は取れないのか?」

風男「通信魔法の回路は知ってるけど……」

光女「ちょっと、やってみてよ。とにかく、少しでも安心したい。」

風男「そうだな……【通信魔法】……」

水男「……」

水女「……」

光女「……」

風男「だめだな、応答無し。」

光女「そっか……地女から話を聞くまで、待つしかないかな。」

水男「……」

水女「水男くん、大丈夫よ。おかしなことが、起きるはずないわ。絶対。」

水男「水女……」

水女「私が魔法を使っておいて、変な話だけど、勘違いかもしれないし……」

風男「水女が魔法で失敗するとは、ちょっと考えられないけどな。」

光女「ちょ、ちょっと! せっかく水女が……」

風男「けど、な。地女が、いきなり男連れ込むのも、考えられないだろ?」

光女「あ、そっか……そう言われてみれば、そうね。」

水男「何も、なければいいんだけど……」

水女「水男くん……」

風男「……よし、こうしてても腐るだけだ。俺、サークル行ってくるわ。」

光女「うん……そうね、私も、一旦帰ることにする。」

水女「水男くん、大丈夫?」

水男「うん、大丈夫。地女を、信じてるよ。」

水女「今日は、帰った方がいいわ。疲れた顔してる。」

水男「そうだな……あとでまた、通信してみるよ。」

水女「ええ。それじゃ、気をつけてね。」

今日はここまでです。

いろいろなレスがありますね。
正直NTRは大好物ですが、
自分が作ったキャラクターは幸せにしたいという思いもあり。

どうか最後まで読んで頂きたいなぁと思います。

今のところ言えるのは、
光教は当分独身だということくらいです。
誰かもらってやってください。

では、また。

>>725
まさかあっちもあんたが書いていたのかよ
おつ

~空き地~

風男「うぃっす。」

闇男「あれ、今日は休むとか言ってなかった?」

風男「ちょっと、事情が変わってな。先輩方は?」

闇男「ゼミだって。休み明けは忙しくなるみたいだよ。」

風男「そか。大会も近いのに、大変だな。」

闇男「僕達でなんとかしなくちゃね。」

風男「……なぁ、闇男、ちょっと変な質問していいか。」

闇男「ん?」

風男「昨夜、最後に火男見たの、いつだ?」

闇男「取り調べかい?」

風男「だから、変な質問って言ったろ。」

闇男「いつって……学食出るところしか見てないよ。」

風男「そうだよなぁ。」

闇男「何か事件でも?」

風男「ん、いや、まぁ、な。」

闇男「……ちょっと、真剣に思い出してみようか……」

風男「……」

闇男「気のせいかも、っていう前置きをしておくけど、いいかい。」

風男「おう。」

闇男「水嬢さんと、一緒だった、かも。」

風男「水嬢と?」

闇男「う~ん、強く聞かれると自信がないけど……」

風男「ふ~ん……水嬢とね。」

闇男「……ついでに、水嬢さんに関して、君には言っておこうかな。」

風男「なんだ?」

闇男「まぁ、君に、というよりも、君の周りに関係してきそうだから。」

風男「だから、なんだよ。」

闇男「水嬢さんは、何かを決心しているようだった。」

風男「なんでそんなこと分かるんだよ。」

闇男「ほら、君の彼女が水嬢さんを問い詰めた時、僕も上に行ったろ?」

風男「あぁ、そういやそんなこともあったな。」

闇男「そこで、彼女、水女さんのために何かをする、というようなことを言ってた。」

風男「……何かって?」

闇男「さぁ?」

風男「さぁ、って……」

闇男「ただ……」

風男「?」

闇男「ああいうタイプは……つまり、思い込みが激しい人間は、危ないからね。」

風男「経験談か? そういやお前、結構、水嬢のことを気にかけてるよな。」

闇男「……誰かのために無茶をする、っていうのは、僕にも覚えがあるからね。」

風男「似たような経験がありそうだな?」

闇男「さぁ……ただ、自分が正しいと思いこんでる人間は、何でもするってこと。」

風男「貴重な意見ありがとさん。さて、俺は何をしたらいいんだ?」

闇男「とりあえず、風動車の走行テストに付き合ってもらおうかな。」

~学食~

水大「お待たせだわさ。」

水女「ごめんね、いきなり呼び出したりなんかして。」

水大「いやいや、水女の為なら、たとえ火の中水の中だわさ。」

水女「ふふ、ありがと。ちょっと、聞きたいことがあるんだけど。」

水大「なんだわさ?」

水女「火男くんと地女さんって、合宿中、どんな感じだったの?」

水大「いきなりだわさ。」

水女「ごめんなさい、ただちょっと、気になって。」

水大「どうしてそんなことを?」

水女「え~と……」

水女「……」

水女「…………」

水女「………………火男くんのことが、気になるから。」

水大「絶対嘘だわさ。」

水女「う……」

水大「なんだか、水女って、完璧人間ではないのよさ。」

水女「それはそうよ、私は自分が完璧だなんて思ったことないわ。」

水大「ま、それはそれで水女のかわいさだと思うわさ。」

水女「ちょっと複雑だわ。」

水大「ふふ……で、どうして二人の関係なんか聞くわさ?」

水女「……ほら、私は水男くんのことが好きなわけじゃない?」

水大「ふむふむ。」

水女「その彼が地女さんを選んだとして、彼女が二股なんかしてたら……」

水大「ふむふむ。」

水女「私の、女としてのプライドが傷つくわけで……」

水大「ふむふむ。」

水女「……ダメかしら?」

水大「とにかく、何か言いにくい事情があるっていうのは伝わるわさ。」

水女「……ごめんなさい、隠すようなものの言い方って、失礼よね。」

水大「でも、そんな時に私を頼ってくれたのは嬉しいわさ。答えるわさ。」

水女「ありがとう……水大。」

水大「火男はかなり積極的にアプローチしてたわさ。」

水女「そんなに?」

水大「大きい声では言えないけど、しっかり告白もしてるわさ。」

水女「えっ!? が、合宿中に?」

水大「そうだわさ。私、たまたまその近くにいたせいで、聞こえてしまったわさ。」

水女「……尾行?」

水大「その時は本当にたまたまだったわさ。火男が、最後の夜に答えをくれ、って。」

水女「最後の夜に……」

水大「水女が、潔く身を引いた美しい夜には、もうひとつのドラマがあったわけだわさ。」

水女「わ、わたしのことはいいから……でも、そうだったのね。でも……」

水大「なんだわさ?」

水女「ねぇ、私はよくわからないんだけど、ふられた異性に、何度もアプローチする?」

水大「う~ん……私なら、するわさ。」

水女「それでも駄目だったら?」

水大「う~ん……あきらめるわさ。」

水女「そうよね、普通はあきらめるわよね……」

水大「はは~ん、読めたわさ! 水女、地女に相談されてるわさ?」

水女「え?」

水大「火男から強くせまられて、地女困ってるわさ。それで水女に!」

水女「え~っと……」

水大「ところが水女も恋愛経験がないものだから、アドバイス出来ずに、私に!」

水女「……」

水大「私もまだまだ捨てたもんじゃないわさ、もっと女を上げるわさ~。」

水女「と、とにかく、色々教えてくれてありがとう、水大。」

水大「いえいえ、おやすい御用だわさ。」

~翌朝、水女のアパート~

光女「お邪魔しま~す……はぁ、出来る女の部屋って感じね~……」

水女「そこの座イス使って。ちょっと待ってて、今、お茶入れるから。」

光女「いえいえ、おかまいなく。」

水女「はい、生成魔法だけど。」

光女「どもども……で、話って?」

水女「水大から、…………という話を聞いたの。」

光女「ふむ。」

水女「どう思う?」

光女「どう思う、ったって……あの子の性格を考えると、ちゃんと断ったんじゃない?」

水女「私も、そう思う。言うことは、ちゃんと言う人だから。」

光女「一度ふった相手を、部屋に……私は、入れないなぁ。」

水女「ものすごくお願いされたら?」

光女「水女だったら、入れる?」

水女「……たぶん、断るわ。」

光女「それが女の子の考え方だと思うわ。何されるかわからないもん。」

水女「まぁ、何かされても魔法で抵抗できると思うけど。」

光女「そりゃ水女くらいの魔力があればね。」

水女「やっぱり、火男くんの声だと思ったのは、気のせいだったのかしら。」

光女「本当にそう思う?」

水女「……ううん、ごめんなさい。ほぼ確実だと思うわ。」

光女「う~ん、分からないわね。とりあえず、男連中と合流しますか。」

水女「込み入った話になりそうだから、ここに呼んだら?」

光女「男なのに、入れちゃっていいの?」

水女「だって、ふたりとも彼女がいるもの。」

光女「ま、ね。それにどうこうできる男達でもないか。」

風男「お邪魔しま~す……お~、これぞ女の子の部屋!!」

光女「悪かったわね、うちは女っ気のない部屋で。」

風男「いやいや、ぬいぐるみだらけで片付いていないのも女っぽくはあるぜ?」

水男「お、お邪魔します。」

水女「どうしたの、水男くん。ぎこちない歩き方して。」

風男「すいませんね~、なんせ、初めて女の子の部屋に入るもんで。」

水女「あ……そういえば、私も初めて男の人が来たわ。」

風男「初めて同士ってことだね~。」

光女「……あ、ねぇ、水女。今は私が先に来てたからいいとして……」

水女「?」

光女「例えば、いきなり水男が家に来たら、いれる?」

水女「え? ……いれない、と思うわ。」

風男「まぁ、男からしたら、入れてもらったらその先を考えちゃうな。」

水男「……地女は、どうして火男を中に入れたんだろう……」

風男「だから、さっきも言ったろ。通信が出来なかったからって諦めるなっての。」

水男「あ、諦めてるわけじゃない、ただ……理由を知りたいんだ。」

光女「……ちょっと、無理やりにでも入っちゃおうか。」

風男「おいおい、いいのかよ。」

水女「でも、このままだとらちが明かないと思うわ、私も。」

風男「……その前に、一人、話を聞きに行ってみないか。」

光女「誰によ?」

風男「水嬢。闇男から聞いたんだが、火男と一緒だったかも、しれないらしい。」

水女「……それじゃあ、手分けしましょう。私と、風男くんは水嬢に。」

光女「私と水男が、地女に?」

水女「ええ。水男くんは、やっぱり彼女のところにいったほうがいいと思うわ。」

風男「待て待て、もしも、もしもだぜ? もしも……そうだったら?」

水男「……俺は、行かない方がいいかも。」

水女「水男くん……そうね、魔法も使えないくらいだから、よほど疲れてるのよ。」

水男「ごめん、ちょっと、家に帰って休むよ。」

光女「うん……そっか、それがいいかもね。」

風男「何か進展があったら、すぐに連絡するからな。」

水男「うん、よろしく……」

光女「……」

風男「大丈夫か、あいつ。」

水女「早く、解決してあげましょう。」

1です。
>>756 両方でレスしてくださってありがとうございます、たいへん励みになります。ほんと。

他にもレスくださっている方、ありがとうございます。
ついつい連日投下してしまいたくなりますね。

ちょいと(水男が)苦しい展開ですが、なんとかお付き合い頂ければと思います。

では、また。

>>1

今の話が嫌なやつは、展開を促すより
ある程度更新されてから一気に読めばいいだけだろ
更新が多い分には俺も嬉しいけど、
無理に早く終わるよう言うのはどうかと思うぞ

1です。

真相がどうだったのかが分かるところまでは、
少し急ぎ足で投下したいと思います。

「このまま1週間ほど放置すれば、
 レスがたくさんもらえそうだぜ、へっへっへ」

という邪な考えが97%くらいあるのですが、
>>790 のような優しい読み手もいるので、
楽しく読んでもらえることを念頭に頑張りたいと思います。

前ふりが長くなりました。では、投下します。

~学食~

水嬢「お会いしてませんわ。」

水女「そう……」

水嬢「でも、どうして火男さんのことをわたくしに聞くのです?」

水女「あ、それは……」

風男「あいつ、サークルに顔出しに来ないんだわ。」

水嬢「それで?」

風男「んで、一応知り合い全員に聞いて回ってるってわけだ。」

水嬢「なるほど……でも、存じ上げませんわ。」

風男「ふ~ん……」

水女「そう、ありがとう。」

水嬢「水女様。」

水女「なに?」

水嬢「この前の授業で水男が魔法を失敗してましたわね。」

水女「ええ……それが、どうかした?」

水嬢「私や水大ではアドバイス出来ませんので、してあげてくださいな。」

水女「ええ……?」

風男「んじゃ、水女、次行こうぜ。」

風男「……どうだった?」

水女「嘘をついている、と思うわ。」

風男「言った通り、感知魔法と心理魔法を合成させれば、嘘も看破できたろ?」

水女「風男くんって……すごかったのね。」

風男「はは、もっと言ってくれ。自分で使えりゃ言うことなしなんだけどな。」

水女「それにしても、最後の彼女の言葉、おかしくなかった?」

風男「水男にアドバイスしてくれって?」

水女「あんなこと、いう人だったかしら……」

風男「変わったんだろ。というよりも、やっぱり水女を応援してくれてるとか。」

水女「そうなのかしら……」

~地女のアパート~

光女「地女~。」

地女「光女……あ、あの、私……」

光女「……【開放魔法】」

地女「……」

光女「入っていい?」

地女「……」

光女「入るね?」

地女「あ、うん……」

地女「……」

光女「ふーっ。あのさ、とりあえず、おめでと。」

地女「えっ?」

光女「二人、付き合うことになったんでしょ?」

地女「え、あ……うん。」

光女「ねぇ、地女、単刀直入に聞くね?」

地女「……うん。」

光女「何があったの?」

地女「あ、あの……わ、わた、わたし…………」

光女「……【照明魔法】」

地女「……?」

光女「ちょっとだけ、部屋の明かりを強くして、青みをつけたの。」

地女「言われてみれば……」

光女「落ち着いたでしょ?」

地女「う、うん……」

光女「ゆっくりでいいから、教えて。コンクールの夜に、何があったのか。」

地女「……水男くんが、帰って……水嬢さんが来たの。」

光女「うん。」

地女「それで、火男くんも、部屋に入って来てて……」

光女「入って来てて? 水嬢と一緒に入ったんじゃなくて?」

地女「闇魔法で、姿を隠してた、みたいで。」

光女「うん……二人は、それからどうしたの?」

地女「水嬢さんは……水男と、水女を、くっつけたかったみたい……水女のために。」

光女「……」

地女「それで、私に……ひ、火男くん、が……」

地女「……っ……!」

光女「地女っ! 過呼吸か……【治癒魔法】」

地女「あ、ありがと……」

光女「……はい、はんかち。」

地女「え?」

光女「涙。」

地女「あ……」

光女「……しゃべりにくいこと?」

地女「……それが、よく、わからないの。」

光女「よくわからない?」

地女「水嬢さんが出て行って……火男くんに押し倒されて……」

光女「……大丈夫?」

地女「うん……それで、私、必死に抵抗しようとしたの。そしたら……」

光女「そしたら?」

地女「……朝だったの。」

光女「え?」

地女「……」

光女「……」

地女「変、だよね……」

光女「変、だね……」

地女「あ、あのね、光女。」

光女「何?」

地女「あの……処女かどうかって、魔法で確認できるのかな?」

光女「ぶっ……ご、ごめん、噴き出す所じゃないよね、えっと……」

地女「……」

光女「あ、あのさ、気持ちは分からなくもないけど、覚えてないってことはないと思う。」

地女「どうして?」

光女「ど、どうして、って……そりゃ……最初って、結構痛いからさ。」

地女「……」

光女「魔法で昏睡状態だったのなら分からないけど、それにしたって……」

地女「どうしたらいいんだろ……私。水男くんに、どうしたらいい?」

光女「あー、ほらほら、泣かないの。」

地女「だって……」

光女「あれ、そういえば、結局火男はどうしたの?」

地女「私が目を覚ました時は床で寝ていて……私がお手洗いから戻ったら……」

光女「いなくなってた?」

地女「うん……」

光女「う~ん……ちょっと、水女サマにも推理してほしいところね……」

地女「ま、まだ水男には……」

光女「分かった。とりあえず、待っててね。」

地女「うん。」

~水女のアパート~

光女「どう思う?」

風男「ん~……わからん!」

光女「あんたじゃなくて。」

水女「……多分、こういうことじゃないかしら。光女、覚醒魔法は使える?」

光女「目を覚まさせるやつ? 出来るけど……」

水女「風男くん、ごめんね?」

風男「へ?」

水女「【意識操作】【昏睡魔法】!」

風男「……zzz」

光女「えっと、水女?」

水女「zzzzzz」

光女「どういうこと?……【覚醒魔法】」

水女「ん……」

風男「ふあ~っ……」

光女「おはよ、二人とも。それで、どういうことなの?」

水女「あくまで仮説だけど、魔力が暴走して、これと同じようなことになったんだわ。」

風男「待てよ、昏睡って心理魔法の要素あるだろ。地女は心理魔法なんて出来ないだろ?」

水女「だから、暴走。本で、似たような事例を見た事があるの。」

光女「どんな?」

水女「私が知っているのは、小さな子供がハイドラゴンを気絶させたっていう話。」

風男「上位のドラゴンを? そんなの世界大会のレベルだろ。」

水女「それが、キャンプ中に襲われたときに、一瞬で、だそうよ。」

光女「すごい話ね。」

水女「ただ……」

光女「ただ?」

水女「魔力の暴走は、何が起きるか分からないの。破壊の魔法の可能性もある。」

風男「ふむふむ……それで?」

水女「その子の場合も、3年以上気を失ったままだったそうよ。」

光女「ハイドラゴンを気絶させるくらいもんね、反動もそれなりってことか。」

水女「誰かを強制的に昏睡させるっていうのは、破壊に該当するみたい。今みたいに。」

光女「なるほど、それで二人仲良く朝までぐっすり、かぁ……」

風男「可能性としては、どれくらいなんだ?」

水女「高いと思うわ。話を聞いている限りでは。」

光女「ちょっと、地女のこと、疑ってるの?」

風男「最悪のことも考えた方がいいだろ。水男のためにも。」

光女「つまり、その……レイプが?」

風男「素直にやられちゃいました、なんて言わないだろ。」

光女「そんなこと言ったら、確認のしようなんてないでしょ!」

水女「……心理魔法を応用すれば、記憶をたどって確認することが出来るかも。」

光女「そういえば、以前、水男が似たようなことしたって?」

水女「彼は制御は出来ていなかったようだけれど……先生に、聞いてみるわ。」

風男「水男には、まだちょっと伏せておこうぜ。」

光女「そうね……でも、そっちはそっちで確認するとして……」

風男「あぁ、水嬢をとっちめなきゃならんな。」

水女「3人で行きましょう。私も、もう、容赦しないわ。」

光女「……こわ。」

今日はここまでです。

うがった見方をすれば、まだ怪しいかも知れませんが、
NTRをメインに書きたい物語ではないので、アレルギーの方は安心して下さい。

「水女は、水嬢以上にとんでもない女」という今は無き初期設定が懐かしくなってきます。
彼女にはこの先、また活躍してもらいます。

では、また。

お久しぶりです。
いろいろと忙しかったため、投下も出来ずにいました。

読み手の方も、話を忘れてしまったと思いますが、投下します。

~空き地~

水男「家にいたって、落ち着くはずない。確か、このへんに……あ、いた。」

闇男「水男?」

水男「闇男。」

闇男「どうしたんだい。」

水男「……火男、来てないか?」

闇男「風男も、何やら彼を探していたけど……見てないよ。」

水男「そっか……」

闇男「何の用か知らないけど、そんなに重要だったら、探知魔法を使えばいいじゃないか。」

水男「何か、火男の持ち物があるのか?」

闇男「そりゃあね……ほら、確かこの筆、彼のものだ。」

水男「……【探知魔法】」

闇男「どうだい?」

水男「だめだ、全然魔法にならない。魔力を練れてない……」

闇男「?」

水男「はは、スランプらしくてさ。」

闇男「まぁ、そういうこともあるだろうね……【探知魔法】」

水男「闇男。」

闇男「チームメイトだからね……え~と、これは……鞘の丘、かな。」

水男「鞘の丘?」

闇男「ここから、ずっと……ほら、あそこに高い木があるだろう?」

水男「え~と……ああ、あれ?」

闇男「そう。よくわからないけど、その下にいるみたいだ。」

水男「……闇男、ありがとう。」

闇男「いえいえ……ところで、そのスランプって、水嬢さんが絡んでる?」

水男「いや……関係無いと思うよ。」

闇男「そう、か……」

水男「どうかしたのか?」

闇男「風男にも言ったんだけど、彼女、水女さんのことで何かやろうとしていたから。」

水男「何か……」

闇男「水女さんに関わるということは、おそらく君も関わると思うから。気をつけて。」

水男「あ、うん……ありがとう。それじゃ。」

闇男「水男!」

水男「ん?」

闇男「なんだか顔色が悪いけど、大丈夫かい?」

水男「ああ、大丈夫。頭はハッキリしてるよ。」

闇男「そうか……それじゃ。」

水男「ああ。」

闇男「……さて。」

~学食~

水女「……来ないわね。」

光女「確かに、来るって言ったんでしょ?」

水女「ええ……時間も、ちゃんと伝えたわ。」

風男「やれやれだな……話が進まないぜ。」

水教「おや、今日はいつもより少ないのぅ。」

水女「先生。」

水教「なんじゃ、深刻そうな顔をして。」

光女「あ、そうだ。水女、せっかくだから、聞いてみたら?」

水女「そうね……先生、以前、水男くんが私の記憶をのぞいたのを覚えていますか。」

水教「おぉ、まだ補習を受ける前じゃの。覚えておるとも。」

水女「ああいうことは、私にも出来ますか?」

水教「……なぜじゃ。」

水女「使えるように、なりたいんです。」

水教「……」

水女「……?」

水教「変わったの。以前、同じセリフを言った時は、まったく違う目をしとった。」

水女「……」

水教「変わるもんじゃなぁ……お父上とは違う。優しい瞳じゃ。」

水教「今の君なら、出来るじゃろうな。何に使うか知らんが、まぁ大丈夫じゃろう。」

光女「水女……すごいじゃない!」

水女「……みんなのおかげだわ。人と関わることで、人って成長するんだわ。」

風男「まぁ、これもひとえに俺の……」

光女「調子にのらないの。」

水教「まぁ、くれぐれも心理魔法の多用はせぬようにの。」

風男「そういえば、どうして心理魔法は危険なんです?」

水教「なんじゃ、風属性なのに聞いておらんのか。」

風男「誰も実用まではたどりつかなかったもんで。」

水教「人の心は不可解なものじゃからな。下手にさわることなかれ、じゃ。」

光女「質問していいです?」

水教「なんじゃね?」

光女「下手に触れたら、どうなるんですか?」

水教「過ぎた好奇心は身を滅ぼすぞえ?」

水女「先生、私も、お聞きしたいです。」

水教「ふむ……あくまでも、こういう前例があった、という話じゃが。」

水教「廃人になったケースがある。」

風男「はいじん?」

水教「心理魔法を無理にかけようとした術者自身が、人形のようになったと。」

水女「……やはり、危険な魔法なんですね。」

水教「そりゃそうじゃ、心なんてものは不可解なもんじゃからのう。」

風男「人形のように、って、必ずそうなるんすか?」

水教「いや、かけようとした魔法の反動じゃろうと言われておる。よって……」

水女「私が、記憶をたどる魔法を無理にかけようとすれば……」

光女「廃人!?」

水教「いや、そこまでいかんじゃろ。何か記憶をなくすくらいのはずじゃ。」

光女「それじゃ、あの子のところに行きましょ。協力してもらえば、大丈夫のはず。」

~少し前・空き地~

闇男「やぁ。」

水嬢「なんですの、いきなり呼び出したりなんかして。私、これから……」

闇男「水女さんのところにいく?」

水嬢「どうして分かりましたの?」

闇男「やめておいたほうがいいんじゃない?」

水嬢「……なぜですの。」

闇男「君が火男を利用したのが、全部ばれちゃうよ。」

水嬢「なっ、なぜあなたがそのことを……っ!!」

闇男「……彼を利用して、自分の目的を達成させるのは、やりすぎだ。」

水嬢「……」

闇男「正義は人によって違う。だけど、していいことと、そうでないことがある。」

水嬢「私にとっては水女様がすべてなのですわ、誰がなんと言おうと!!」

闇男「……それで傷ついた人がいるじゃないか。」

水嬢「地女さんは、必要な犠牲ですわ。」

闇男「他にもいるだろう。」

水嬢「火男? 彼は幸せだったはずですわ、好きな女性と体を重ねたんですもの。」

闇男「……そうか、そういうことか。火男を操って、地女さんを襲わせたのか……」

水嬢「え……?」

闇男「確証はなかったよ、はっきり言って。」

水嬢「だ、騙しましたわね!!」

闇男「風男と水男が、血相変えて僕のところに来た。ただ事じゃない。」

水嬢「なっ……」

闇男「君が一枚かんでいることが分かった。だから、カマをかけたんだよ。」

水嬢「……っ!!」

闇男「逃げちゃったか……さて、まずは……風男に伝えるか……もしもし?」

風男「あいよ。どうした?」

闇男「話したいことがあるんだけど……」

~学食~

闇男「というのが、全貌のようだね。」

光女「……思わぬところから助け舟が来たわね。」

風男「あとは、実際に火男と地女が、やっちまったかどうかだな。」

光女「そんな言い方、やめてよね。」

水女「地女さんに、記憶を見せてもらいましょう。」

光女「それにしても、よくここまで明らかに出来たわね~。」

闇男「細かい所が気になる性格だからね。色々考えてたんだよ。」

水女「少し、あなたのこと、誤解してたわ。」

闇男「いやいや、僕が変な奴だっていうのは間違いないからね。」

~鞘の丘~

火男「……」

水男「火男。」

火男「……水男?」

水男「こんなところで、何してるんだ?」

火男「そりゃ、お互い様だろ。」

水男「……聞きたいことがある。」

火男「俺も、お前に聞きたいことがあるわ。」

水男「こっちが先だ。地女に、何をしたんだ。」

火男「何を……? 逆だろ、あの女が俺に何をしたのかが問題なんだよ!」

水男「なんだって?」

火男「コンクールの夜の記憶が、俺には全然、ねぇ。」

水男「……?」

火男「それで、朝起きたら、地女のアパートにいたんだ。」

水男「っ!!」

火男「おっと、待てよ! 暴力反対!!」

水男「このっ……!!」

火男「それで、俺はあわてて家を出たんだよ、怖かったんでな。」

水男「怖かっただって……彼女の方が、よっぽどっ!!」

火男「最後まで聞きやがれってんだ……見ろ、これ!!」

水男「……?」

火男「手だよ、手ぇ!! 火傷して、ただれちまってらぁっ!!」

水男「どういうことだ……」

火男「地女がやったに違いないんだよぉっ!!」

水男「……そんなことをする人じゃないっ!」

火男「ちっ……なんだってんだ、畜生っ!!」

水男「いい加減にしろ、俺の話を……」

火男「畜生っ、畜生っ、イライラがおさまらねぇっ!! 畜生っっ!!」

水男「火男……!?」

火男「あああぁぁぁぁっっ!!!」

水男「お、おいっ!!」

火男「ああぁぁぁぁあっっ!!」

水男「火……体から、火がっ!!」

火男「ひっ……」

水男「【水生成】……だ、駄目だ、魔法にならないっ。」

火男「うわぁぁぁぁぁっ!!」

水男「火男、っ!!」

火男「あああぁぁぁぁぁっ!!」

水男「っ!!」

火男「……」

水男「火が消えた……なんなんだ、いったい……」

水男「ひどい怪我だ……でも、いったいどうしたら……」

~地女のアパート~

水女「……」

地女「……」

風男「どうだ?」

光女「しっ。」

水女「……」

地女「……あ。」

闇男「魔力の干渉が、切れた?」

水女「ふう……すごく疲れる魔法だわ、一方的に見るのは無理ね。」

風男「どういうことだ?」

水女「地女さんが、見せようと意識してくれてるから、見える、という感じなの。」

光女「それで、結果は?」

水女「……残念だけど。」

光女「そんな……」

風男「……本当かよ。」

闇男「……」

水女「水男くんへの気持ちは、とても敵いそうにないわ。」

光女「水女っ!!」

水女「ご、ごめんごめん。だって、本当にすごいんだもの。」

風男「でも、そんな冗談を言うってことは……」

水女「ええ。大丈夫、安心して。」

地女「じゃ、じゃあ……」

水女「まず間違いなく、何もされてないわ。二人とも、ずっと寝ていただけのはず。」

光女「それじゃ、水女の推理で大あたりってことか。」

風男「待て待て、ちょっと整理しようぜ。まず、水嬢が火男に心理魔法、か。」

闇男「そして地女さんのアパートに押しかけて、襲わせた。」

光女「ところが地女の魔力が暴走して、二人とも爆睡。」

水女「そして朝になって……あれ、火男くんは、いつ、いなくなったの?」

地女「それが、分からないの。気がついたら、いなかったから。」

闇男「それについては、水男くんが聞きに行っているはずだよ。」

風男「は?」

闇男「え、だって、手分けして聞きこみをしていたんじゃないのかい?」

水女「違うわ、彼には家で休んでるようにって。彼、どうしたの。」

闇男「火男を探していたから、探知魔法で……」

風男「馬鹿な真似してなきゃいいが……【通信魔法】!!」

風男「……おい、水男っ、今どこだ!?」

水男「……」

風男「通じない……闇男っ、場所は!?」

闇男「鞘の丘。急いだ方がいいかもしれないね。」

光女「行きましょうっ!!」

水女「でも、ここからあそこまではかなり距離があるわ。」

風男「空き地だ、そこにある風動車で行く!!」

1です。

今回の投下はここまでです。

書きため分では、秋編も終わるところなので、近い内に、また。

~鞘の丘~

風男「水男っ!! と、火男っ……か?」

水男「み、みんな……」

水女「……!! 火男くん!?」

光女「ちょっと、大丈夫!? ……意識がないっ。【治癒魔法】!!」

闇男「【治癒魔法】!!」

火男「う……」

水女「全身やけどだわ、まだ足りない。【治癒魔法】」

風男「【治癒魔法】……と、【修復魔法】、で服も元通り、と。」

水男「……」

風男「水男、お前なぁ……早合点して、いくらなんでもやりすぎだぜ。」

水男「いや、いや、違うんだ。大体、今は魔法が使えないから。」

水女「そうよね……大体、人を傷つける魔法を使ったら、反動があるはずだわ。」

光女「何があったか、説明して?」

水男「うん……でも、風男の言うことも合ってる。問い詰めてやろうとはしたから。」

光女「意外な一面だわ、こりゃ。」

闇男「それで、何がどうなれば、火男が全身にやけどを負うんだい?」

水男「……火男は、明らかにおかしかった。」

光女「おかしかった?」

水男「いや、俺が強く問い詰めたからかもしれないけど……」

地女「水男……」

水男「地女!?」

地女「ご、ごめんね……心配、させちゃって……」

水男「地女……」

光女「そっちの説明が先かな。結論から言うと、何もなし。純潔。」

水男「そっか……そっか。よかった……」

地女「水男くん……み、みんな見てるよ……」

水女「もう、せめて私がいないところでやってよね。」

地女「あ、ご、ごめんなさい……」

水女「ふふ、冗談。」

風男「さて、これで一件落着……じゃねぇぞ。」

闇男「火男がおかしかった、というのを、詳しく話してくれないかな。」

水男「あ、ああ……なんだか、感情をコントロール出来てないような、そんな……」

光女「感情を?」

水男「……手に、ひどい火傷があって、地女にされたと言っていた。」

水男「それで、話しながらいきなり火だるまになったんだ。本当に。」

水男「水を生成して消そうとしたんだけど、無理だった。魔力が練れなくて……」

風男「まぁ、火男の意識が戻ってから、ゆっくり話を聞くとして……」

光女「あとは、水嬢ね。」

風男「闇男が問い詰めて、どこに行ったんだろうな?」

闇男「さぁ……」

地女「水大さんは? もしかしたら、彼女のところに行ったかも。」

水女「通信してみましょう。」

地女「あ、私が。【通信魔法】……あ、もしもし?」

水大「なんだわさ~、地女。恋の相談だわさ?」

地女「え、え~っと……」

水女「……」

地女「ちょっと、水嬢さんを探してるんだけど、知らない?」

水大「水嬢? ……いや、知らないわさ。」

地女「そっか……ありがとう。」

水大「いえいえ、お安い御用だわさ。」

地女「……何も知らないみたい。」

水女「……」

光女「水女、顔が怖いよ。美人が台無し。」

水女「だって……許せないわ、あまりにも自分勝手で……」

風男「結果オーライとは言わないけどさ、とりあえず、最悪の事態ではなかったじゃん。」

水男「みんな……本当に、ありがとう。」

光女「なんのなんの。それにしても、あんた達、似た者カップルね~。」

水男「?」

地女「?」

光女「怒ると直情的な行動をとるんだもん。怖い怖い。」

~病院~

風男「よぅ、調子はどうだ?」

火男「悪いよ、すこぶる。」

風男「魔法、制御できないって?」

火男「あぁ……原因不明だとさ。」

風男「よりによって、火の魔力だけ制御できなくなるとはなぁ。」

火男「へへ、専攻なのにな……まいるわ、ほんと。」

風男「でも多分、もう大丈夫だぜ。」

火男「?」

水男「火男。」

火男「水男……」

水男「……火傷は、もう大丈夫か?」

火男「おぅ、怪我の方は大丈夫だ。あのさ……」

水男「ん?」

火男「悪かったな。地女ちゃんの家に、あがりこんで。」

水男「もう気にしないでくれ。水嬢に操られていただけなんだし。」

火男「俺にそういう欲求があったから、利用されたって話はしたろ?」

水男「それでも、心理魔法を悪用する人間が悪いに決まってる。」

風男「はいはい、その手の話は平行線。そのために来たんじゃないだろ?」

水男「ああ、そうだった……火男、これから心理魔法をかける。」

火男「心理魔法? なんのために?」

水男「水教先生に許可をもらって、高度な魔法を調べてたんだ。」

風男「トラウマを癒す魔法、だっけ?」

火男「トラウマ?」

水男「心の傷。たぶん、水嬢の無理な心理魔法が心に負荷をかけて、魔力を乱してる。」

風男「だから、そのトラウマを取り除いてみよう、って話さ。」

水男「出来事そのものを忘却させるのは、反動があるから無理だ。でも……」

火男「トラウマは、消せるのか?」

水男「いや、心を見てみないと分からない。でも、うまくいけば。」

火男「魔力を制御できるようになるかも?」

風男「そういうこと。」

火男「まじかよ……」

水男「よし、やってみる……【心理操作】」

火男「……」

風男「……」

水男「……」

火男「……ど、どうだ?」

水男「……よし。心の波は安定した。穴みたいな部分も、ふさいでみたよ。」

火男「でもよ、心が安定したって、魔法が使えなくちゃ……」

水男「魔力の不安定さは、心の不安定さが原因だったはず。たぶん、もう大丈夫だ。」

風男「ちょっと、部屋の温度をあげてくれよ。もう秋だから、肌寒いし。」

火男「お、おう……【温度上昇】」

水男「……うん、バッチリだ。」

風男「よっしゃ、これで完治だな!! おい、みんな、入っていいぜ!!」

光女「おっめでと~!! 【照明魔法】~~!!」

闇男「【楽器操作】」

水女「【心理操作】」

地女「水男、おつかれさま。」

水男「うん、ありがとう。」

水大「こらこら、病人の前でいちゃつくんじゃないわさ。」

火男「みんな……わざわざ来てくれたのか。」

光女「当たり前でしょ~、友達なんだから。」

火男「へへ、でも地女ちゃんまで来てくれるとは思わなかったぜ。」

地女「うん……なんていうか、私も悪い所があったと思うし。」

水女「魔力の暴走はどうしようもないわ。悪いのは、水嬢よ。」

火男「そうだ、あの女っ……!! それで、見つかったのかよ?」

水大「それが……」

火男「いないのか?」

水男「どこにも。アパートにもいない。水教先生も、知らないそうだ。」

水女「大学で見たと言う人もいないわ。」

闇男「いつまでも隠れてはいられないよ。その内出てくるさ。」

火男「探知魔法は?」

闇男「それについては、申し訳ないと言うしかない。」

火男「なんでだよ。」

水女「闇男くんが、そういった魔法を遮断する魔法を教えたらしいの。」

闇男「夏休みに、闇魔法についていろいろ教えた時にね。覆水盆に返らずだよね。」

風男「自分で言うなよな……」

火男「でもまぁ、それは言っても仕方のないことだろ。」

風男「さぁさぁ、辛気臭いのはやめにしようや。」

光女「そうそう、幸せが逃げちゃうからさ。後日、退院祝いでもしましょ。」

水女「それじゃあ、今日は解散ね。」

~病院玄関~

水女「地女さん、ちょっと、水男くん借りていい?」

地女「え、えっと……」

水女「大丈夫、とったりしないから。」

水男「ここじゃまずいのか?」

水女「ふたりきりで話したいの……」

地女「!!」

水女「冗談、冗談。」

光女「水女って、地はこういうキャラなの?」

水大「私に聞かれても困るわさ。でも、かなりのおちゃめさんだと思うわさ。」

水男「じゃあ、待っててくれるか。」

地女「うん、そこのベンチで待ってる。」

闇男「じゃ、僕は帰るよ。お疲れ様。」

風男「俺達も帰ろうぜ。」

光女「そうね。」

水男「それで、話って?」

水女「正直に教えて。あの夜、なぜ一人で、鞘の丘に行ったの。」

水男「それは……火男に、話を聞こうと思って。」

水女「嘘。」

水男「……」

水女「魔法を使わなくても、分かるわ。今のは嘘。」

水男「……具体的には、決まってなかった。ただ……」

水女「ただでは済まさないつもりだった?」

水男「……」

水女「あのね、水男くん、聞いてほしいことがあるの。」

水男「?」

水女「水嬢のことは、私も許せないわ。必ず罪を償ってほしいと思ってる。」

水男「……」

水女「でも、感情的に彼女を罰するのは、やめて。」

水男「俺はそんなことしないよ。」

水女「以前、先生が言ってたわ。あなたと水嬢には、近いところがあるって。」

水男「先生が、そんなことを……」

水女「感情に任せて行動すれば、必ず魔法は自分に害をもたらすわよ。」

水男「……俺が、水嬢に何かをするって?」

水女「しないの?」

水男「……どうして、俺にそんな話を?」

水女「水男くんが、危険な目に合わないために。」

水男「? ……どうして。」

水女「私、あなたのことが、好きだから。」

水男「!」

水女「勘違いしないでね、地女さんとのことは、応援してる。」

水男「あ、えっと……」

水女「私、地女さんのことも好きなの。だから、二人のための、忠告。」

水男「……ありがとう、でいいのかな。」

水女「どういたしまして。帰りの道中、気をつけてね。それじゃ。」

地女「……終わったの?」

水男「うん。」

地女「聞いてもいい話?」

水男「うん。水女が、本当にかっこいい人だっていう話だから。」

あたらしい作品の構想がふくらみ、手が止まっていました。申し訳ないです。

みすてずに待っている方がいることに感謝です。

ん、それでは投下します。

~学食~

水女「音沙汰なし、かぁ。」

水大「面目ないわさ。」

水女「……こんなことって、ある?」

水大「講義も全部欠席、アパートにもいない、となると……」

水女「実家?」

水大「私もそう思ったわさ。でも、連絡がつかないのよさ。」

水女「ミステリーね……あなたはどう思う?」

闇男「僕は……そうだな、僕は、なぜこの中にいるのかという疑問の方が強いね。」

水女「それは仕方無いわよ、だって……」

闇男「だって?」

水女「あなたが一番暇そうだもの。」

闇男「暇そうって……」

水大「奇しくも、合成魔法の時に3人ともバラバラだった3人だわさ。」

水女「あ、そうね。それで、どう思う?」

闇男「う~ん……3つ、かな。」

水大「何が?」

闇男「考えられることが。一つ目は、逃亡。」

水女「私も最初にそれを考えたけれど、潜伏する場所がないわ。」

闇男「二つ目は、事故。」

水大「事故?」

闇男「例えばだけど、逃亡中に風動車にひかれて搬送されて治療中、とかね。」

水女「それなら、少なくとも水教先生の耳には入っていると思うわ。」

闇男「そうだね。それで、その水教先生が、三つ目だ。」

水大「どういうことだわさ?」

闇男「1か2の仮説が当たっているんだけど、事情があって水教先生が言わない。」

水女「もしくは、私達には言えない?」

闇男「かもね。とにかく、1週間も連絡が取れないんじゃ、事件だよ。」

水女「……最初はこらしめてやろうとも思ったけど、さすがに心配になるわね。」

水大「どうするわさ、二人とも?」

闇男「え、ちょ、僕ってまだ関わるのかい?」

水女「乗りかかった船でしょ?」

闇男「いや、そうだけど……」

水大「水嬢に理解を示しておきながら、見捨てるわさ?」

闇男「いや、あの……そうだ、他のみんなは?」

水女「それぞれ、ペアで動いてはいるみたいよ。火男くんはリハビリ中でしょ?」

闇男「やれやれ……それじゃあ、それらしい事件がないか、聞き込みでもしてみようか。」

~空き地~

闇男「こんちは。」

闇先「おぉ、今日は早いじゃん。」

闇男「ちょっと、事情がありまして。」

火先「……闇男、お前、まさか、そっちのふたりは……」

風先「か、か・の・じょ?」

闇男「違います。先輩方、最近、風動車がらみの事故なんてありました?」

風先「事故? いや……どうだったかな。」

火先「事件なんて、火男の魔法暴発事件くらいだろ、そりゃ。」

水先「笑いごとじゃないでしょうが……あれ、あなたたち?」

水大「こんにちはだわさ、先輩。」

水先「あ、やっぱり水専攻の子よね。見覚えあると思ったのよ。」

火先「水属性って、縦割りの動きが少ないんだっけか。」

水先「少ないというより、全然無いわね。水教先生が、そういうこだわりみたい。」

水女「先輩方が誰も単位を落とさないから、重ならないのだと言われました。」

水先「あ、それはあるかも。いいこというわね~、えっと……?」

水女「水女です。」

水大「水大だわさ。」

火先「……」

水先「どしたの?」

火先「か、かわいい……」

水女「はい?」

火先「いやいやいやいや、なんでもない!」

風先「分かりやすいやつ……あ、そういえば。」

闇男「何か、ありました?」

風先「少し前に、幻獣舎が壊れたって噂がなかったか?」

水先「あ~、あったあった。ちょうど1週間くらい前じゃない?」

闇男「それって、火男が事故ったのと、同じ日ですか?」

火先「確か……いや、もうちょい後だ。続くなぁ、なんて言ってたからな。」

闇先「あの日結構騒ぎになったんだよな。なんでお前ら、知らないんだよ。」

水大「火男の病院に行っている時だわさ?」

水女「でも、タイミングが、よすぎると思わない?」

闇男「そうだね……」

火先「水女ちゃん、だっけ? なにか力になれることがあれば、聞いてくれよ?」

水女「その事故の詳細って、分かりますか?」

火先「え、え~っと……」

風先「総合学科の掲示板に張り出されていたと思うよ。」

闇男「……どう思う?」

水女「まだ、なんとも……」

水先「何かあったの?」

水大「いえいえ、ちょっと好奇心だわさ。」

闇男「それじゃ、いったんおいとましますね。」

闇先「おぅ、またなー。」

風先「火先、俺の勝ちだったな。」

火先「くっそー……」

~掲示板前~

闇男「あった、まだ残ってる。」

水大「なになに……幻獣舎の騒動は収束しました。これだけだわさ?」

闇男「どんな騒動だったかまでは、なにも分からないね。」

水女「ちょっと、先生方に聞いてみない?」

光女「水女っ。」

水女「光女、何してるの、こんなところで。」

光女「こっちのセリフ、っていいたいとこだけど、多分同じことしてるわ。」

水女「……これ?」

光女「これ。水嬢でしょ?」

水女「かな、と思ってたところ。」

光女「水女たちが直接連絡とろうと動いてたのは知ってたから、私達も調べてたんだ。」

風男「この事件、かなり変だぜ。」

闇男「風男。」

風男「これな、詳細を知ってる学生が一人もいねぇんだ。」

闇男「どうして分かる?」

風男「全学部、全学年、全専攻に聞いたから。」

水女「ど、どうやって?」

光女「こいつ、本当に顔が広いの。」

闇男「すごいな、浮気もし放題じゃないか。」

風男「そうそう、女友達も山のよ……」

光女「……次やったら、って言ったわよね?」

風男「じょ、冗談だって……おい、闇男っ!!」

闇男「さて、学生が誰も知らないというのはおかしいね……」

風男「おいっ!!」

水女「学生が知らないのなら、先生方に当たるしかないんじゃない?」

水大「水教先生に当たるってことよのさ?」

水女「……」

水大「……」

光女「何よ、二人とも黙っちゃって。」

水大「知ってても、絶対口を割らない気がするわさ。」

水女「同感。口が軽そうな先生に心当たりない?」

光女「……」

風男「……」

闇男「ふたりとも、明らかに自分の所の先生方を想像してるね。」

水女「あなたのところは?」

闇男「無理だと思うな。」

水女「どうして?」

闇男「研究所の場所が非公開だからさ。」

~光魔法研究室~

光教「それで、口の軽そうな私の所に来たってわけね。」

光女「いや、まぁ……そうなんですけど。」

光教「ところでさぁ、聞きたいんだけど……どうして水嬢ちゃんの行方を知りたいの?」

水女「どうして、って……」

水大「聞きたいことがあるから?」

光教「火男くん、だっけ? 彼を巻き込んだ事故については、実はもう知ってたの。」

光女「そうなんですか?」

光教「詳しくは話せないんだけど、私達大学側は、魔法事故への危機管理は強くてね。」

光教「大学構内で起きた魔法による事故については、把握できるようにしてあるの。」

水女「合成魔法の一種ですか?」

光教「そこまでは教えられないわ。ま、構内の平和維持の一環とだけ。」

光女「知らなかった……」

光教「で、さっきの質問の答えは?」

水女「……」

光教「火男くんは治り、地女さんも無事だった。一件落着じゃない?」

水女「そんなことありません、水嬢が……」

光教「水嬢が、どうなれば、一件落着なの?」

水女「それは……」

闇男「僕たちの感情は差し置いて、そのままにしておけることではないのでは?」

光教「……賢い子ね。そういう目をする男の子、嫌いじゃないわ。」

闇男「平和維持だというのであれば、暴走した学生を野放しにはできませんよね。」

光教「そうね。」

闇男「では、やはり先生方は、彼女の居場所を知っている?」

光教「そこで最初の質問に戻っちゃうのよ。知っていて、教えて、それでどうなるの?」

水大「……」

水女「……」

光教「問い詰める? 復讐する? 裁く? ちょっとどれも許可できないわねー。」

水大「友達だから、知りたいっていうのは?」

光教「友達だったら、信じて連絡を待ちなさいな。」

水大「う……」

光教「正直に言っちゃうと、水嬢さんの場所は知ってる、けど、教えられない。」

水女「平和維持、ですか。」

光教「ええ……ごめんなさいね、あなたたちの気持ちも分かるんだけど。」

闇男「仮に、僕たちが彼女の居場所を探して突きとめたら、どうなります?」

光教「分からないわ。」

光女「なんでですか?」

光教「ああ、分からないっていうのは、突き止められない、っていう意味ね。」

水女「……お時間を割いていただいて、ありがとうございました。」

光教「いえいえ。」



光教「……」

光教「もしもし? 水教先生ですか?」

今回の投下はここまでです。

気長に待って下さっている方、ありがとうございます。

来れないなら来れないって書けよ

>>917
1です、申し訳ないです。
次の投下はクリスマス前になると思います。
なるべく早く投下できるよう頑張ります。

~番外編~

主人「はい、もしもし?」

光教「あれ、間違っちゃった。水教先生に連絡したかったのに。」

主人「なんだ、間違いでしたか。来店のご予約かと。」

光教「最近行ってないものね~。」

主人「お忙しいようですね。」

光教「学生がトラブル起こすのは、いつの時代も一緒ね~。」

主人「そういうのが楽しいから、やめられないのでしょう?」

光教「まぁね。知らないからこそ学問は楽しめるからね。」

主人「それはそうと、困ってる若者がいるようですよ。」

光教「ROM、ね。Read Only Member の略だっけ。」

主人「読むに徹する、ということですね。」

光教「だから、ROMっとけ、っていうのは、何も言わずに読め、ということね。」

主人「まぁ、そんなことより……」

光教「何よ?」

主人「本編の投下を待ってる人がいるのに、番外編投下はどうなのかなぁ、と。」

光教「……し、質問に答えるのも、大学の指導者たる義務でしょ!」

1です。
本編は少しずつ書いていますので、次の投下まで今しばらくお待ち下さい。
レスは楽しく読ませて頂いています、ありがとうございます。

1です。
クリスマス前の投下と言いましたが、
諸事情により投下します。

~学食~

光女「大学が水嬢の場所を把握していて、でも、それは学生には言えない、かぁ……」

闇男「それじゃ、解散ということで。」

風男「そだな……正直、そんなにこだわらなくてもいい気がするわ。」

光女「……どうしてよ。」

風男「光教先生の言う通り、水嬢がいないこと以外は元通りだろ。」

光女「彼女はどうなってもいいって?」

風男「見つけて何かするってのも、どうなってもいいってことだろう。」

光女「違うわよ、私はただ、みんなに謝らせなきゃって……」

闇男「悪いことをしたら謝るっていうのは、よくいうことだけど……」

水大「けど、なんだわさ?」

闇男「謝罪に、いつも意味があるとは、僕は思わない。」

水女「どういうこと?」

闇男「謝って、反省して、それで何年後かにまた過ちを犯したら、どうする。」

水女「それは分からないけど、ひとつのことに対して責任を果たすことが必要でしょう。」

闇男「謝罪は責任を果たすことにはならないよ。二度としないという行動こそが責任だ。」

水女「……」

闇男「それに、現実的に、大学教授の保護下にある人間を探すなんて無理だよ。」

水大「それは言えてるわさ……大学の教授達って、並大抵じゃないわさ。」

光女「でもさ……水嬢を探すのをあきらめるにしたって、疑問が残るわよ。」

水女「なぜ、保護して、秘密にする必要があるのか。」

光女「そうそう……って、私のセリフとらないでよっ。」

水女「心理魔法で他者を操った……逮捕なら分かるけど、どうして保護なのかしら。」

風男「そりゃ、あれだろ。大学の、ち……違う宝剣?」

闇男「治外法権ね。」

風男「それそれ。」

光女「それにしたって、このまま終わったら納得いかないでしょ!」

風男「あのよ、こう言ったらなんだが、俺達は当事者ではないんだぜ。」

光女「なんでよ。」

風男「実際、水嬢のせいで被害にあったのは、水男と地女、それに火男だろ。」

光女「そりゃそうだけどさ……」

水女「……解散にしましょう。」

光女「水女まで。」

水女「ごめん。でも、風男くんのいうことがもっともだと思うから。」

水女「彼女の行方を追い続ける限り……水男くんも、地女も、火男くんも、引きずるわ。」

光女「……そういう考え方もあるけどさ……」

風男「よし、じゃあ、決まりだな。水嬢については、考えないようにしようぜ。」

闇男「そうだね。事態が落ち着いたら、真相を聞く機会があるかもしれないし。」

~光女のアパート~

光女「……って感じで、水男も地女も、同じ答えだったわ。」

水女「同じことが起きなければそれでいい、かぁ……当事者が一番冷静ね。」

光女「そうね。まぁ、もう考えたくもないのかもね……」

水女「……」

光女「寂しい?」

水女「え?」

光女「もともと4人しかいない専攻が、3人になっちゃったわけでしょ。」

水女「ああ……そうね、そう考えると、寂しいかもしれないわ。」

光女「そう考えると? じゃあ、どう考えてたのよ。」

水女「あ、ううん、そのことは全然考えてなくて。やっぱり、腑に落ちないから。」

光女「水嬢が保護される理由?」

水女「ええ。」

光女「あの場では優等生だったくせに。」

水女「捜すべきではないとは思ってるわ。でも、考えるのは自由でしょう。」

光女「うまいこと言って……例えば、莫大な権力と財力でもみ消したとか?」

水女「彼女の家なら、ありえなくもないわね。」

光女「でも、水教先生って、そういうのを嫌いそうじゃない?」

水女「そうね、それは……そうだと思うわ。」

光女「あ、でもちょっと待てよ~……次の講義で、何か説明あるんじゃない?」

水女「どうして?」

光女「水嬢が休学だとかなんとか、何かしら先生が話してくれないかしら。」

水女「それは……話したとしても、全ては話さないんじゃない?」

光女「私もそう思う。でも、全ては話さない、ってことは、一部は話すってことじゃん。」

水女「そう、ね……そういう見方も出来るわね。」

光女「さっきも言ったけど、3人になっちゃうわけで、色々不都合もあるだろうしさ。」

水女「確かに、ペアをふたつ作って、という授業は出来なくなるわね。」

光女「ま、ってことで、この話は終わり。」

水女「? 他に何かあった?」

光女「あんたのことよ、あんたの。潔く身をひいたのはいいけどさ。」

水女「え~と……つまり?」

光女「私が心配してるのは、水女のこと。」

水女「私が? どうして?」

光女「失恋モードになって落ち込んでたら、おいしいものでも、と思ったけど。」

水女「あ、落ち込んでる落ち込んでる!」

光女「うそつけっ!」

~水クラス【講義:水魔法特論】~

水大「おはようだわさっ、水女!」

水女「おはよ、水大。 あら、水男くんも一緒だったのね。」

水男「ああ、講義室の入り口でばったり。」

水女「ああ、道理で……」

水男「どうかした?」

水女「玄関で地女さんに会ったから。そこまで一緒だったのね。」

水大「ベタベタしすぎだわさ。」

水男「ち、違うって、彼女も講義が……」

水女「ふふ、いいじゃない。仲良くしてくれないと私の立つ瀬がないもの。」

水大「水女……」

水女「ん?」

水大「なんか、優等生過ぎるのは嫌味だわさ。」

水女「今更、しかもあなたが言わないでよ。」

水大「それもそうだわさ。」

水男「っと……」

水教「……」

水女「先生……」

水教「さて、授業をはじめる前に、伝えなければならないことがある。」

水大「ごくり。」

水男「わざわざ、ごくり、って言わなくていいよ。」

水大「雰囲気だわさ。」

水教「君たちが巻き込まれた事件についてじゃ。」

水教「まず、水男くん。」

水男「はっ、はい。」

水教「事件で傷ついた者の心を癒し、トラウマを克服させたこと、素晴らしい働きじゃ。」

水男「は、はい……」

水教「次に、水女くん。」

水女「……はい。」

水教「心を操り、記憶をたどる魔法をよく習得したの。めざましい進歩じゃ。」

水女「ありがとう、ございます……」

水教「そして、水大くん。」

水大「私は何もしてないわさ。」

水教「親友の行方が無くなってから、寝る間も惜しんで探しておったの。」

水女「そうなの?」

水大「いや~……あはは、だわさ。」

水教「以前見られた心の不安定さも消えた。今後は水の魔法を深く学べるじゃろう。」

水大「……」

水教「さて、君たちが調べ、そしてたどり着けなかった答えについてじゃ。」

水女「水嬢、ですね。」

水教「……わしはその答えを知っておる。じゃが、教えてはならんのじゃ。」

水教「当然、それで君たちが納得しないことも分かっておる。そこで、じゃ。」

水教「道しるべだけを、させてもらう。」

水男「道しるべ?」

水教「そうすることで答えが得られるであろう、ということじゃ。」

水女「それは、確実なのですか。」

水教「確実じゃ。保証しよう。」

水大「ヒントだけ与えるってことだわさ? まわりくどいわさ。」

水女「……理由を教えていただけませんか。なぜ、そのような形に?」

水教「正直に言うと、水嬢くんのことを忘れるのが一番良い。両者にとっては。」

水教「……じゃが、知りたいという欲求を否定することは、わしには出来んのじゃ。」

水男「先生……」

水教「知識を得る過程に不幸しかないのだとしても、その経験は重要なんじゃよ。」

水教「分かるかの……教えられぬが、知っては欲しいのじゃ。」

水女「……教授としてのお言葉ではないのですね。」

水教「ほほ、それが分かるかね、水女くん。その通りじゃ、教授としての言葉ではない。」

水教「言うなれば……そうさな、一人の、水の魔法使いの先輩としての言葉じゃ。」

水大「それで先生、その道っていうのはなんなんだわさ。」

水教「道はふたつある。」

水教「……秘法じゃ。」

水男「秘法?」

水教「在学中に極めて優れた業績を修めた者は、卒業時に祝福を受けられる。」

水教「それは、大学の教員の魔力を、全員分、一度だけ貸与するというものじゃ。」

水教「その莫大な魔力をもってすれば、あらゆる事象が再現できる。」

水教「例えば、通常の方法では知りえぬことを調べる検索の魔法も。」

水女「それが、秘法……」

水教「個人では一生を費やしても到達できぬ魔法を秘法と言うのじゃ。」

水教「大掛かりな仕掛けや儀式が必要となるため、一般的には知られてはおらぬ。」

水大「でも、卒業する時なんて言ってたら、3年も後の話だわさ!」

水男「ひとつは秘法、では、もうひとつは?」

水教「……魔法祭じゃ。」

水大「夏だわさ? 冬だわさ?」

水教「両方じゃ。これも公には知られていないことじゃが、魔法祭とは……」

水教「古来、この地に在る『偉大な存在』を奉る儀式が原型なのじゃ。」

水男「偉大な存在?」

水女「国によっては、呼称が違うそうよ。たしか、カミとか、ホト……なんだっけ。」

水教「その偉大な存在の力を借りる儀式が、形を変えて祭として残っているんじゃ。」

水男「それで、それがなぜ、ふたつ目の方法になるんですか。」

水教「解明されておらんことじゃが、魔法祭の中にはまだその儀式が残っておるらしい。」

水女「つまり、『偉大な存在』の力を借りることが出来ると?」

水教「どうにかすれば、のう。ただ、具体的なやり方は資料が残されておらん。」

水大「眉つばだわさ。」

水教「しかし、ただの噂にしては、色々と情報があっての……」

水教「例えば、意中の人を自分の虜にした学生の話、とかの。」

水男「そんなことは普通の心理魔法じゃ……そうか、普通の魔法じゃないのか。」

水教「そう、これも秘法じゃ。ひとつは集団儀式、ひとつは霊的儀式というわけじゃ。」

水男「大学で行われる、ふたつの秘法……」

水大「魔法祭にそんな意味があったなんて、知らなかったわさ。」

水教「大々的には誰も話はせんからの。」

水女「そのようなことを、お話されて大丈夫なのですか。」

水教「構わんよ。このふたつのことは、実は調べれば分かることじゃからの。」

水教「一筋縄では調べられぬが、まぁ、君たちならたどり着いたじゃろうし。」

水教「得た知識で君達がどう動こうと、それは君達の自由じゃ。」

水教「ただし、行動には常に責任が伴う。それだけはよくよく覚悟しておくことじゃ。」

水教「……さて、そろそろ講義に入ろうかの。」

秋編、終わりです。

いつだったか、「パートスレにしない」ようなことを書いた気がしますが、
スマン、ありゃウソだった。
さすがにあと30程度では冬編を終わらせることは出来ません。

現行スレの残りは、読んで下さっている方のレスを見ながら番外編でも書こうと思います。

冬編の投下は、本格的には年が明けてからになると思います。
1月中にはスレ立てしたいと思いますので、気長にお待ち下さい。

まずはここまで、読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。

番外編

~中学時代~

風男「……なにしてんだよ、こんなとこで。」

光女「体育館の裏でボコボコになってる1年生がいそうだな~、と思って見回り。」

風男「残念だったな、体育館の裏にいたのはボコボコになってもイイ男、でした。」

光女「それで?」

風男「なんだよ。」

光女「今度は、何が理由で呼びつけられたの。」

風男「俺があまりにいい男だってんで、顔が気に食わなかったんだとさ。」

光女「あ、そ……【治癒魔法】」

風男「お、おいっ。」

光女「あらら、ごめんねー、さっきの方がいい男だったかな?」

風男「……」

光女「あのさ、校内で回復魔法を使ってる生徒なんていくらでもいるのよ?」

風男「今のお前みたいにな。」

光女「そう。生活していく上で人間が発達させた立派な力だもん。使って悪い?」

風男「悪い。ルールってもんがあるからな。」

光女「中学生は人に対して魔法を使ってはならない、って?」

風男「おう。」

光女「だから、部活でいたずらしてる上級生にふっかけるわけ?」

風男「おう。」

光女「それで多勢に無勢でぼこぼこにされました、と。」

風男「おう。」

光女「バカじゃないの。」

風男「おぅ……」

光女「相手が逆上して強い魔法でも行使したら、どうすんの。」

風男「破壊の魔法はお互いさまになるだろ。」

光女「そういう問題じゃないでしょ!!」

風男「……あのさ、前から言おうと思ってたんだけど。」

光女「なによ。」

風男「俺に構うなよ。」

光女「なんでよ。」

風男「その内、お前までやられちゃうぜ。あいつの仲間だっつって。」

光女「かもね。ルールに厳しい真面目クンの仲間だ、ってね。」

風男「なら……」

光女「やだ。」

風男「なんでだよ。」

光女「……」

風男「な、なんだよ。そんなに見んじゃねーよ。」

光女「ほっとけないじゃん。」

風男「なんで。」

光女「好きだからよ、あんたのことが。」

風男「へっ!? え、いや、え?」

光女「でもね~、相手の人数がちょっと多いくらいでやられてる男とは付き合えないわ。」

風男「え、いや、でも今好きだって……」

光女「好きよ。でも、付き合うのは無理ね。全然。だめだめ。」

風男「な、なんだよ、それ!!」

光女「そーね~……あ、そうだ、次のテストでね~……」

風男「……なんだよ。」

光女「操作魔法で私に勝ったら、考えてあげてもいいわよ?」

風男「なっ……なんで操作なんだよ、俺が小学校から苦手なの知ってるだろ!!」

光女「あら~、やる前から言い訳? こりゃ、だめそうね。」

風男「や、やってやらぁ!!」

光女「はいはい、せいぜい頑張ってね。ところで。」

風男「なんだよ。」

光女「やる気になってるってことは、私を好きってことでいいのね?」

風男「……」

光女「……ちょっと、そんなに赤くなることないでしょ。」

光女「……そして無事、彼は操作魔法で100点満点を取りました、とさ。」

地女「へ~、素敵な話だね~。」

水女「それにしてもちょっと意外ね。彼、真面目そうには見えないけど。」

水男「いや、根っこは真面目なんだと思うよ。俺と出会った時も、そうだったし。」

光女「あ~、そういやそんなこともあったわね。あれから半年以上経つのかぁ。」

風男「ふぃ~、お待たせぃ! いやぁ、トイレが混んで混んで……なんだよ?」

水男「いやいや、風男は光女の為なら100点を取れてしまう男なんだなぁ、と。」

風男「100……? あ、おい、なんでそんなこと知ってんだよ!」

光女「私が教えたの。」

風男「なんでだよっ!」

光女「暇つぶし。」

風男「ひまつぶ……」

光女「それと、彼氏自慢かなー。」

風男「か……」

水女「すぐに赤くなるのは、話の通りね。」

地女「あはは、なんだか、意外~。」

水男「結婚しても尻に敷かれてそうだな、なんだか。」

風男「るせぃっ!!」



 秋の終わりの、そんな一日。

1スレ分、読んでいただいた方、ありがとうございました。
レスして下さった方、さらにありがとうございました。
どんな内容のレスでも、スレを開いている人がいると分かって嬉しくなります。

パート2、冬編の開始は今月中になるようにします。
それでは、また。

と、思ったら2レス分余りましたね。

1000のレスが「番外編のリクエスト」だった場合、次スレで書きますね。

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