ひかり「そこ、どきなさいよ」 やよい「うう……」(63)

――とあるテレビ局の廊下――



ひかり「……ああ、もう! ムカつくわね!」

のぞみ「そんなにカッカしないでよ」

つばめ「そうそう。仕方ないじゃん」

ひかり「くうぅ……。だってくやしいじゃない!」

ひかり「あいつは年下で芸歴だって私たちより後輩なのよ!?」

のぞみ「でも……、ねえ?」

つばめ「……うん」

つばめ「あの子は大手の事務所だしさ」

のぞみ「そういう力には勝てないって」

ひかり「だからって……! くうぅ……!」

のぞみ(うーん、これはかなりきてるなあ……)

つばめ(触らぬ神にたたりなし……)

ひかり「ああ! もう! ムカつくムカつく……」イライラ

ひかり「……ん?」

ひかり「……」

ひかり「……」スタスタ

のぞみ「……ひかり?」

つばめ「楽屋そっちじゃないよー?」 

ひかり「ちょっと、あんた!」

やよい「……え?」

ひかり「……」

やよい「あ……」

ひかり「そんなところにいたら邪魔よ」

ひかり「どきなさい」

のぞみ(あっちゃあ……)

つばめ(最悪のタイミングで……)

ひかり「聞こえなかったの? どきなさい」

やよい「す、すみません」スッ

ひかり「……」ニヤッ

ひかり「……ちょっと」ズイッ

やよい「……え?」

ひかり「邪魔だって言ってるんだからさっさとどきなさいよ」

やよい「……え、でも、もう道空いて……」

ひかり「はあ? 私はそこにいられたら邪魔だって言ってるの」

やよい「うぅ……」

ひかり「ほら! 邪魔よ、邪魔!」

やよい「う……」タタタッ

ひかり「……」

ひかり「ふふん。いい気味ね」

つばめ(うわあ……)

のぞみ(あの子がいたってことは、真さまも来てるのかな……)

ひかり「少しはすっきりしたわ。行きましょ」スタスタ

のぞみ「ひかり。ああいうのやめなよ」

つばめ「そうだよ。かわいそうだよ」

ひかり「なによ、あれくらいで」

ひかり「あんな弱小事務所にやり返す力なんてないわ」

つばめ(そういうことを言ってるんじゃないんだけどなあ……)

ひかり「だいたい生意気なのよ」

ひかり「あの程度のアイドルが……」

???「おらああああ!!」

ゲシッ!!

ひかり「ふぎゃあ!」

ドテッ!

ズシャアアアア!!

のぞみ「ええ!?」

つばめ(ひかりが何者かに背中を蹴られて……)

つばめ(顔面で床を擦りながら、滑っていた……)

ひかり「い、いたたた……」…ムクッ

ひかり「だ、誰よ!」

P「……」

ひかり「……誰!?」

P「765プロのプロデューサーだ!」

P「よくも、うちのアイドルをいじめてくれたな……!」

P「いまのはその礼だ!」

ひかり「あ、あんたねえ……」

ひかり「こ、こんなことしてタダで済むと思ってるの!?」

ひかり「いまのは暴行よ、暴行!!」

ひかり「こんなことが表沙汰になれば……!」

P「おらあ!!」ゲシイッ!

ひかり「いだあッ!」

のぞみ(タイキック……!)

ひかり「あ、あんたねえ……」スリスリ

つばめ(また面倒なのが……)

やよい「プ、プロデューサー。私は大丈夫ですから……」

P「……」

やよい「それに暴力はよくないかなーって……」

P「やよい……」

P「やさしいのはお前の長所だが……」

P「こういう奴には少し灸をすえてやったほうがいいんだ」

P「じゃないと調子に乗って、どんどんエスカレートしていくからな」

やよい「で、でも……」

新幹P「……」キョロキョロ

新幹P「あ……」

新幹P「お前たち、戻ってこないと思ってたら、こんなところにいたのか」

ひかり「……!」

やよい「あ……」

P「……」

ひかり「ちょ、ちょっとプロデューサー!」

新幹P「一体何の騒ぎ……、って、お、お前は!?」

P「……」

新幹P「な、765プロ……」

P「どーも、おひさしぶりです」シレッ

ひかり「ちょっと聞いてよ! こいつ私の事蹴ったのよ!」

ひかり「暴力を振るわれたの!」

ひかり「見てよ、鼻、擦りむいてるでしょ!?」

新幹P「……ん? あ、ああ」チラッ

P「……」

新幹P(ぐ……)

ひかり「ふん! これであんたもおしまいよ」ニヤッ

P「……」

ひかり「その『足手まとい』もろとも、この業界から……」

ゴツンッ!

ひかり「むぎゃ!!」

つばめ(うわあ……)

ひかり「あ、あんた頭おかしいんじゃないの!?」

P「……」

ひかり「無視してんじゃないわよ!」

P「……?」

ひかり「こ、こいつ……」ムカムカ

やよい「……」オロオロ

新幹P「お、おい。ひかり……」

ひかり「……な、何よ?」

新幹P「もう、行くぞ……」

ひかり「は、はあ……!?」

ひかり「な、なんでそうなるのよ!?」

ひかり「私はこいつに……」

P「なあ、ひかりちゃん」

ひかり「何よ!? 気安く呼ばないで!」

P「あんたのところの事務所の親会社の筆頭株主知ってるか?」

ひかり「はあ? 急に何の話?」

P「知らないなら、あんたのプロデューサーに聞いてみるといい」

P「なあ? 新幹少女のプロデューサーさん」

新幹P「ぐ……」

ひかり「だから一体何の話なのよ!?」

新幹P「水瀬……」

ひかり「……え?」

新幹P「竜宮小町の水瀬伊織は水瀬グループの女だ」

ひかり「水瀬……って、あの水瀬!?」

P「伊織はやよいと特に仲が良くってな」

P「特にあんたらは『前科』があるんだから……」

P「ただじゃ済まないと思うぞ?」ニヤッ

ひかり「な……!」

新幹P「ほら、もう行くぞ……」

ひかり「……ッ! わ、わかったわよ」

P「あー。ちょっと待ってくれるか?」

ひかり「な、なによ!? まだなんかあるわけ!?」

P「やよいに一言謝ってくれるか?」

ひかり「はあ!?」

ひかり「あ、あんた、私に散々暴力を振っておいて……」

ひかり「さらに謝れっていうわけ!?」

P「……そう言ったつもりだが?」

ひかり(こいつ……!)

のぞみ(ひかりもひかりだけど……)

つばめ(このプロデューサーもなかなかだね……)

P「まあ、謝らないっていうなら……」

P「伊織に連絡しなくちゃいけないかな?」ニヤッ

ひかり「……」プルプル

ひかり「……あ、謝ればいいんでしょう!? 謝れば!」

ひかり「どうもすみませんでしたッ!」バッ!

ひかり「これでいいでしょう!?」

P「心がこもってない」

ひかり「」

ひかり 「そこ、どきなさいよ」
こだま 「……」 何も言わずに副本線に入る

ひかり(こいつ……)

やよい「プ、プロデューサー、もうそのくらいで……」

P「いやいや、まだまだこれからだよ……」ニヤニヤ

P「そっちの二人」

のぞみ「え?」

つばめ「な、なんですか?」

P「君たちも謝ってくれるか?」

のぞみ「で、でも私たちはなにも……。ねえ?」

つばめ「う、うん。私たちは……」

P「やよいがいじめられてるの黙ってみてただろ?」

P「同罪だ。謝れ」ニッコリ

のぞみ「……」

つばめ「……」

P「あと、あんたも」

新幹P「」

4人「どうもすみませんでした」ペコリ

P「……まだ心が――」

やよい「あ、あのプロデューサー!」

P「……なんだ?」

やよい「わ、私、もう気にしてませんから!」

やよい「許してあげてください!」

ひかり「……」

P「……」

P「まあ、やよいがそう言うなら……」

4人「……」

P「同罪だ。脱げ」ニッコリ
新幹P「……はい」

P「じゃあ、もう行っていいよ」

新幹P「……行くぞ」

3人「……」…コクリ

つばめ(あーあ。とんだとばっちりだよ……)

のぞみ(真さま……、会いたかったなあ……)

ひかり(覚えてなさいよこの男……!)

ひかり(今度あったときは……)

…サワッ

ひかり「きゃあ!」

のぞみ「ど、どうしたの? ひかり」

ひかり「こ、こいつが!」

P「……」

ひかり「こいつが私のお尻を触ったのよ!」

つばめ「ええ!?」

新幹P「こ、困るよ、あんた!」

新幹P「いくら何だって、そんな事は許され――」

P「……水瀬」…ボソッ

新幹P「ぐ……」

ええぞ!

P「もう行っていいって言ったんですから……」

P「早く行ってくださいよ」ニヤッ

P「それとも伊織を呼んだほうがいいですか?」

新幹P「……」

のぞみ「プ、プロデューサー……」

新幹P「……行こう」

ひかり(くうぅ……)

……サワッ

ひかり「……ッ!」…バッ

P「……」

ひかり(こいつ……)ジワッ

P「……」ニヤニヤ

やよい「あ、あの、プロデューサー」

P「……? なんだ? やよい」

P「わかってると思うが、今のことは――」

やよい「伊織ちゃんがこっち見てます」

P「……え?」

伊織「……」スタスタ

新幹P(み、水瀬伊織……!)

のぞみ(こ、こっちに来る。ど、どうしよう……)

つばめ(謝ったんだから……、大丈夫だよ、ね?)

ひかり(…………)

伊織「……」ピタッ

伊織「ちょっとあんた」

伊織「これ、どういうこと?」

P「え……?」

伊織「……」

P「……お、俺か?」

伊織「そうよ。他に誰がいるのよ」

P「ああ、いや、これはだな……」

P「そこの連中がやよいのことをいじめててだな……」

伊織「ふーん。それで……」

伊織「あんたがそこのアイドルのお尻を触ったことと」

伊織「なにか関わりがあるわけ?」

P「」

P「み、見てたのか……?」

伊織「ええ、途中からだけど」

伊織「あんた随分、威勢が良かったじゃない?」

伊織「『水瀬』、『水瀬』って」

P「ああ、いや、あれはだな……」

伊織「あんた最近、水瀬の名前使って……」

伊織「色々と無茶してるらしいわね?」ギロッ

P「いや、その……」

伊織「あんた、私がアイドルやってる理由知ってるわよね?」

P「……」ブルブル

伊織「家の力に頼らず、自分の力を証明するためよ」

伊織「なのにプロデューサーのあんたが『水瀬』の名前使って……」

P「……か、勘弁してくれ」ガタガタ

伊織「いまさら遅いわよ」

伊織「『お仕置き』必要みたいね」

P「ひ、ひいいいい」ダダダッ!

伊織「……」パチンッ!

黒服「……」…ヌッ

黒服「……」…ヌウッ

つばめ(い、一体、どこから……)

伊織「行きなさい」ボソッ

黒服たち「「……」」ズダダダダッ!

伊織「あんたたち……」クルッ

新幹P「ひっ……!」

のぞみ「ゆ、許してください!」

つばめ「なんでもしますから!」

ひかり「……」

伊織「……?」

伊織「なにを勘違いしてるのかわからないけど」

伊織「迷惑かけたわね」

4人「……え?」

ん?

伊織「まあ、あのバカも理由もなしにあんなことしたとは思えないけど……」

伊織「明らかにやりすぎだったし、今回はこれで治めてもらえるかしら?」

新幹P「も、もちろん!」

伊織「ありがとう。それじゃ、やよい、行きましょうか」

やよい「う、うん……」

やよい(プロデューサー、大丈夫かな……)

――数日後

――事務所――


真美「なんか最近、兄ちゃんの様子変じゃない?」

春香「確かに、変だよね」チラッ

P「ううう……」

響「なんかあったのかな?」

亜美「いおりん、何か知ってる?」

伊織「……さあ?」

P(……お尻痛い)


                 おわり

おまけ


――数ヶ月後

――とあるテレビ局――


ひかり「へえ、うまいものね……」

つばめ「うんうん。すごいすごい!」

やよい「えへへっ! なんだか照れちゃいます!」

千早(高槻さん、かわいい!)

真「やよいは料理番組で鍛えられてるからね!」

のぞみ(真さまあ……)キラキラ

スタッフ「それじゃあ、そろそろ、本番入ります!」

つばめ「はい!」

千早「練習は終わりね」

D「ふふふ……」

D(ゲロゲロキッチンスペシャル企画!)

D(人気急上昇中の新幹少女対いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの765プロアイドル!)

D(この対決は数字取るぞ……!)

ひかり「やよい!」

やよい「……?」

ひかり「言っとくけど、手加減しないからね!」

やよい「はい! もちろんです!」

やよい「私、負けませんよー!」

ひかり「ふふ。じゃあ……」スッ

やよい「……はい!」スッ

2人「ハイ、ターッチ!」パチン!


                     おわり

以上です。おやすみなさい。

アイマスssがもっと増えますように。

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