泉野明「“ラーメン二郎13号埋立地店”かあ……」(101)

上海亭。

それは13号埋立地に存在する

『量は1流、価格は2流、味は3流』

所謂、腹を満たすだけの食事のみを提供し続ける、街外れのチンケな中華料理である。
と、同時に警視庁特殊車両2課の隊員、整備員、その他事務あわせて計百人以上にも及ぶ職員の
“午後の運命”を賭けた存在そのものと言っても過言ではないのである。

――が、年に一度、いや近年では二度ほど店主の体調不良を理由とした臨時休業……
いや、これでは事の重大さが諸兄諸姉には伝わらないであろう。

正確に言い変えるならば、特車2課のライフラインが断絶される

“災厄の日”

が彼らに忍び寄るのである……

一同「………」

野明「夏風邪だって、おやじさん」

遊馬「……それはさっき聞いた」

香貫花「………そのやりとりもう5回目よ」

太田「ぐぅぅ……なんちゅう日だぁ……」

進士「今日に限って多美子さんも風邪でお弁当、作って貰えませんでした………」

野明「……どうしよう」


一同「………」

一同「………」ぐぅぅ~……

山崎「あのぅ、皆さん」

野明「どしたのひろみちゃん」

遊馬「いや、流石にお前の花子を食べたりは……」

山崎「そうじゃなくて、コレです」

一同「チラシ?」

山崎「ラーメン屋さんみたいなんですけど………」

野明「えー、なになに『新装開店!ラーメン二郎13号埋立地店』」

遊馬・太田・香貫花「!!!!!!!」ガタン!!!!

進士「ひゃ、ひゃあ!!!」

山崎「え、ど……どうかしました……!?」

野明「そんなビックリした顔しちゃって……!」

遊馬「………ら……ラーメン二郎だと………?」

太田「ま……まさか、この人里から隔離された地の果てに二郎だと………」

香貫花「ジーザス………」

山崎・野明・進士「え、え、え?」

野明「知ってるラーメン屋さんなの、香貫花?」

香貫花「NO!!!!!!!!!」

野明「ひぃ!?」

香貫花「ラーメン二郎はラーメンショップではない!ラーメン二郎ショップなのよ!!!」

野明「え……え?」

遊馬「香貫花の言う通りだな」うんうん

太田「ラーメンではなくラーメン二郎という食い物を提供する店だ」うんうん


野明「いや……一体全体何言ってるんだか………」

香貫花「YES!こんなに近場に二郎が出来たとあらば、ジロリーヌアメリカ代表の威信を賭けて、行かざるを得ないわ!!」

遊馬「じゃあ、昼は二郎で決まりだな」

太田「篠原ァ、お前なんぞ5分差つけて負かしてやるぞ!!」

遊馬「とか何とか言っちゃって、小のヤサイアブラナシメンスクナメとか言い出すんじゃないの功ちゃ~ん」

野明「……え、何その呪文」

太田「俺は大以外は喰わん主義だ!!」

野明「あ……あのぉ………」

進士「お3方………?」

遊馬「あ、悪かった悪かった。俺たち、二郎に行くけど野明達はどうする?」

野明「そうだなあ……ジローって初めて聞いたけど、何だか楽しそうだし」

太田「なにぃ!!!女のお前が二郎に行くのか!!?」

野明「え……だ、ダメなの?」

太田「二郎は男の食い物だ。お前のようなちっこい女が二郎など食べきれるワケが………」グジグジグジグジ

香貫花「シット!太田、この間のロットバトル、3分差で女の私に負けたこと、忘れたのかしら?」

太田「うぐっ………」

遊馬「お前のような排他主義者のジロリアンのせいで、“二郎は豚の餌”といつまでも揶揄され続けるんだっちゅーの」

太田「だまれ!お前のようなニワカが、冷やかしの連中を呼び込むのであってなぁ!!!」

野明「……え、で、結局つれてってくれるのかな」

香貫花「太田のバカは放っときなさい野明。いちジロリーヌとしてあなたを歓迎するわ」

野明「ど………どうもぉ………」

遊馬「進士さんとひろみは?」

進士「僕らもいきます」

山崎「よろしくお願いします」

香貫花「そう。じゃあ決まりね。みんな、二郎に行くわよ!」

一同「おおー!」


カチャッ


南雲「あなたたち、ちょっといいかしら」

野明「あ、南雲隊長!」

南雲「後藤さん見なかった?さっきから見かけないのよ…」

進士「さあ………」

山崎「すみません。見かけませんでした」

南雲「そう。ならいいんだけど……。それよりあなた達、これからお昼ご飯?」

野明「あ、は…… 香貫花「No!」

南雲「!?」ビクッ



香貫花「Combat!!」



野明・進士・山崎・南雲「????????」

そして



野明「なんかいい匂いがして来たなあ」

遊馬「これぞ、この匂いこそが二郎の醍醐味の一つだ」

香貫花「OH……ファンタスティック二郎スメル………」くんくん

太田「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!二郎だ!!!深呼吸するぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」スーハースーハースーハー

野明・進士・山崎「………」

南雲(太田巡査とクランシー巡査部長が興奮しているのはあまりにも危険だわ……)

南雲(後藤さんが居ない今、私が監視役をしないと……)

南雲「悪いわね、若者の団欒におばさんがついて来ちゃって」

野明「い、いえ!初めてのお店って一人じゃ入りづらいですもんね!」

南雲「うふふ、ラーメンなんて久しぶりに食べるわ」

山崎「南雲隊長みたいな人もラーメン食べるんですね……」

南雲「……それはどういう意味なのかしら、山崎巡査」

山崎「す、すいません!勝手なイメージでつい!!」

遊馬「着いたぞ野明!ここがラーメン二郎だ!」

野明「そっかあ、ここが…………」


野明・南雲・進士・山崎「!??????」

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

野明「な……なにこの行列………」

遊馬「この行列こそ二郎だ」
太田「おう、確かに二郎だ」
香貫花「紛れもなく二郎ね」

一同「………」

野明「ちょっと!ちょっと!この行列に並んでたらお昼休み終わっちゃうよ!!」

香貫花「あんまり混んでないわね」
太田「おう。予想外だ」

野明「えっ、何言ってるの!こんなに人が並んでるのに……」

遊馬「大丈夫だって。この行列と店のキャパなら30分もありゃ中に入れる」

南雲「30分でこの行列が片付くのかしら……。やっぱりコンビニに……」

太田「ご安心下さい南雲隊長!!!この太田功が補償致します!!!!」

南雲「………根拠は?」

遊馬・太田・香貫花「二郎ですから」

南雲「 」

野明「………な、なんか、大変なことに巻き込まれちゃった予感」

遊馬「野明、お前は何にする」

野明「えっ!め、メニューまだ……味噌か豚骨かも決まってないし………」

太田「そんなもんあるか!!!!」

野明「ええっ!」

南雲「普通、しょうゆ、味噌、豚骨……塩はあるわよね」

進士「今なら冷やし中華が美味しいですね」

山崎「僕、サンラータンも好きです」

野明「美味しいよねー!」

遊馬・太田・香貫花「…………ハァ」(呆れ顔)

野明「え……な、なになに………」

香貫花「基本的にラーメン二郎のラーメンの種類は、二郎だけなのよ」

野明・南雲「えっ?」

野明「な、なに、『二郎』ってメニューだけなの?」

遊馬「ま、店舗によって違いはあるが」

太田「基本的に決められるのは量とトッピングと味の濃さくらいだ」

香貫花「一応つけめんもあるけれどね」

進士「え……このご時世にですか………」

香貫花「それが二郎よ」

太田「ご時世も何も、俺たちは二郎を食いに来とるんだ」

野明「ええ………」

遊馬「牛丼屋に来てハンバーガー頼むか?」

野明「い、いやそれはしないけど………」
野明(む、むずかしいお店に来てしまった……)

野明「ちなみにさ、何味なの?」


遊馬・太田・香貫花「二郎味」


一同「 」

遊馬「ちなみに量だが、大と小がある」

野明「極端な2択だなあ………」

遊馬「この二郎独特のシステムのおかげで効率の良いスピーディーな回転を実現出来ると言う訳だ」

遊馬「もちろん、俺たちが次のロットに掛からんようスピーディーに食べることが前提だけどな」

野明「ろ、ろっと?」

遊馬「あー、何杯分かの二郎を一度に作る工程のことだ。とりあえず、2ロット以内、最悪3ロット以内を目安に食い終われっちゅうこと」

野明「食べるのに制限時間まであるんだ…………」

南雲「????」(理解不能)

野明(聞けば聞くほどヘンテコなラーメン屋さんだなあ……)

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

太田「そろそろ食券だぞ!!」

遊馬「おい、食券買うから金出しとけよ」

野明「あれえ!もう!?まだ決めてないよ!」

南雲「えっ……え……?」オロオロオロオロ

遊馬「だから言っただろ。二郎の回転スピードは半端ないってさ。見て見ろよ、店員の動き」


シュパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!!!!!!!!!

山崎「ひえっ!」

野明「うわ………」

進士「手の動きが見えない………」

南雲「後藤さんもあれくらい働いてくれないかしらね……」ポソッ


一同(…無理だと思います)

遊馬「ってことでお先!俺、大な!」
太田「俺も大だ!!!!!」
シゲ「あ、おれっちも大ね!!」

一同「し、シゲさんいつの間に!?」

シゲ「へへぇ~ん!ずっと後ろに並んでたんだよ~ん!びっくりしたぁ?」

進士「ぼ、僕は胃が悪いので小を…」
山崎「僕も小を………」
香貫花「私は大!」

遊馬「おい野明早く買え」

太田「ギルティ!ギルティ!」

野明「ぎ……ぎるてぃ……?」

香貫花「この店での…マナー違反のことよ。ほら……野明、この小ってやつが………」

ポチ


野明「あ、大………買っちゃった」


一同「!!!!!!!!!!!!?」

シゲ「ぬ、ぬわあああああにいいいいいいい!!!!!!!!????」

遊馬「の……野明………お前………」

野明「え、ま、まずかった?で、でもさ……私今お腹減ってるし……」

香貫花「………小ラーメンでも普通のラーメン屋の大盛の倍以上あるのよ」

野明「えええええええええええ!!!!!」

太田「ギルティ!ギルティ!」

シゲ「大となればぁ…もはやラーメン界のキリマンジャロと言っても過言ではなく、そのカロリーは約2300kcalにも登ると言われているぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!」

野明「に……にせんさんびゃ……く?」

香貫花「小なら……残しても謝れば許して貰えるけど、大はちょっと厳しいわね……………」

野明「ま……まあ、人よりは動いてるし…なんとか……ね!」

遊馬「ま、お前は食う方だからな。頑張れよ」

野明「う………うん…………」

野明(ど、どうしよう……食べきれるかな…)ガクガクガクガク

南雲「ねえ篠原巡査」

遊馬「どうしました南雲隊長?あ、女性でも小ラーメンでヤサイアブラナシメンハンブンで行けばなんとか……」



南雲「この、大ブタダブルって……量、多いのかしら?」


香貫花・遊馬・太田「 」

野明「ぶ、ブタって何遊馬」

遊馬「……チャーシューのことだ」

野明「あー……」

南雲「間違って押しちゃったんだけど……やはり、少し量が多いのかしら」

遊馬「い……いや、まあ………」

太田「ん……あ…………」

香貫花「みんな……コールタイム、来るわよ!!」

シゲ「キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

野明「こ……こーる?」

南雲「あの……だから……」オロオロ

助手「ニンニク入れますか?」

野明「え……え……」オロオロ

遊馬「さっき言ったろ。アブラナシヤサイスクナメと言え!」

野明「うん!アブラナシヤサイスクナメ!!」

南雲「え……?」オロオロ

進士「僕らは………」オロオロ

香貫花「そうね、メンハンブンだけで良いと思うわよ」

進士「分かりました。メンハンブンで」

南雲「あの………」オロオロ

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

山崎「僕もメンハンブンでお願いします」
香貫花「じゃあ私はアブラニンニクマシマシヤサイスクナメ」

シゲ「おれっちもおなじのね!!

遊馬「俺は全マシ!!!!!」

太田「俺も全マシだ!!!!!」

南雲(な、何を言っているのか分からないけれど……わ、わかったわ………)

南雲(………よし)

遊馬「あ、そうだ南雲隊長は………」

香貫花「とりあえず南雲隊長、アブラニンニクはナシで……」



南雲「私も全マシでお願いします」




一同「 」

シゲ「 」

遊馬「あ………」

太田「え…………あ……………」

香貫花「oh…………」

野明「え、なになにどうしたの?」

南雲「呪文がよく分からなかったから、一番簡単そうなものを言ったんだけれど」

遊馬・太田・香貫花・シゲ「………」

野明「か、かおが真っ青だよ…」

南雲「???」


「お待ち!!!」


ドンッ!!!!!!


野明「え」
進士「うわ」
山崎「あ」

進士「あの……メンハンブンって」

「麺半分ですよ」

山崎「これふつうに、大盛じゃないですか……」
野明「あたしの………大盛なんてもんじゃないんだけどコレ……ナニコレ………」

遊馬「……二郎だからな」
太田「ああ………」
香貫花「………」
シゲ「うへへ……」

南雲「あら、私の分は?」

助手「今きます。はい……お待ち!!!」

ドォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!!

南雲「ひゃっ!!!」






南雲「??????」

野明「 」

遊馬・太田・香貫花・シゲ「ああ…………」

南雲「あの……これ、私の?」

助手「お客さんのです」

南雲「……」


シゲ「……どうすんのコレ」

南雲「 」(理解不能)

南雲(これの匂いに形相……果たして人間の食べるものなの……?)

南雲(一見するとこの物体は……いや、よく見ても、生ゴミそのものよコレは………)

香貫花「とりあえず……南雲隊長、麺をヤサイの上に避難させてください……増えますから」

南雲「え………避難させようにも、め、麺が見えない………え………」オロオロオロオロオロオロ

南雲「どうしましょう……これ………」オロオロオロオロ


一同(……あれ、オロオロしてる南雲隊長超かわいい)

遊馬「………仕方あるまい。南雲隊長、とりあえず食べられるだけ食べてください」

南雲「え、ええ…………」

野明「め、麺!!うどんみたいだよ遊馬ぁ!!!!!」

遊馬「………騒ぐな。お前もとりあえず食えるだけ食え

野明「うん………」

シゲ「食べよっ、ねっ?」

遊馬「……とりあえずいただきます」

一同「いただきます………(絶望の表情)」

野明「………」

南雲「…………」


モグモグ

南雲「んはっ!?」

南雲(す、すごい味と臭い………)

南雲(監視とは言え、ついて来なければ良かったわ………)

野明「あれ、これ美味しい!味はキツいんだけど不思議と嫌じゃない!」

遊馬「だろ?」

野明「なんて言えばいいんだろ……こう、安っぽい、臭い味が逆にたまらないって言うか……」

野明「美味しい!とにかく美味しいよ遊馬ぁ!」

遊馬「味を語るるなかれ。理屈は不粋。二郎の味は二郎味!これでいいんだ」ズズズズズ………

シゲ「う~ん、たまんないねぇ!!ハゼの干物に通ずる中毒性を帯びた風味、この細胞の隅々に行き渡るジャンクな香りと味と圧倒的物量!」ズズズズズ………

太田「繊細さの欠片もない!!!!!!!!」ガツガツガツガツ!

香貫花「アメリカの食品にも勝る不健康さね!!!!」ガツガツ!ガツガツ!ガツガツ!


進士「それじゃ誉めてるんだか貶してるんだか分かりませんよ……」

太田「それが二郎だ!二郎の味は妻帯者にはわからんかぁ?」

進士「……僕にだって分かりますよ!胃を破壊するような、多美子さんに叱られそうな、後ろめたい味が最高です!!!!!」

山崎「………うぷ」ズズズ……

南雲(油が…き、キツいわ……歳なのかしら……)パクパク

野明「はあ、このぶっとい麺!!最高!」ズズズ!!!!!

シゲ「だよね!!だよね!!」ズズズズズ!!

南雲(脂まみれの豚肉は流石に辛い……後回しにして先に野菜を……)

南雲(……減らないわ)パクパク

シゲ「食べても食べても減らないこの感覚……壮絶な貧乏を経験した俺っちには……うっ……今のこの瞬間が夢のようだよ遊馬ちゃん!」 ズズズ!!!!

遊馬「そうだなシゲさん。永久機関に一歩近づく……そんな希望を俺は二郎に感じる」ズズズズズ!!!!!


太田「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」ズズズズズ!!!!!!!!

香貫花「ブレの範囲内!!!!」ズズズズズ!!!!!!!!!

野明「はああ!!!なんかやめられない!!!やめられないよ!!!!頭がどうにかなりそう!!!」ズズズズズ!!!!!
遊馬「この内臓全てが二郎に侵されていく感覚がたまらん!!」

進士「胃なんて知ったことか!!!!!!」ズズズズズ!!!!!ズズズズズ!!!!!

山崎「…………」ズズズズズ!!!!!ズズズズズ!!!!!

南雲(全然減らない……)パクパク…

そして

野明「ぷはぁ!!!」

野明「ご馳走さま!」

遊馬「結局喰ったのか」

野明「美味しかった!」

香貫花「良かったわ。あなたも立派なジロリーヌね、野明」

野明「えへへ~」

進士「もう無理です……」げふっ

山崎「はい………うっ……」

シゲ「ってことでみんな完食!!やああああああったね!!!!!」

南雲「…………」ズルズル…ズル……

一同「……」

南雲「どうして増えるのよ……」ズル…

野明「あたし……コレ以上は……」

遊馬「俺も……」

香貫花「みんなそうよ……二郎は汚染物質そのものなんだから…そうピクニック気分で食べにくるもんじゃないわ………」

シゲ「ま……マズいよぉ……こ、このままじゃあ……」ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク

野明「え」

シゲ「大盛ぶたダブル全マシなんか頼んで残すなんてことぉ……」ガクガクガクガクガクガク

香貫花「とんでもなく重い罪なのよ……」

遊馬「……俺たち全員」

野明「全員?」

遊馬「………土下座なら万々歳だ」

太田「いや面が割れている以上……全国のジロリアンが特車2課に焼き討ちに来るぞお………」ガクガクガクガク

野明「ええええええええええええ!!!!!!!!!!?」

遊馬「最低でも3ロット以内に完食しなきゃならんのだが、南雲隊長のペースじゃ到底無理だ……」

野明「はわわわわわわわ」ガクガクガクガク

南雲「…………」ズル…ズル…

南雲(やはり来なければ……)

野明「ど、どうにか私たちで………」


謎の男「ギルティ!ギルティ!」

一同「!?」

謎の男「さっきから横で見させて貰っていたが、躾のなっていない新規や女連れに過剰な私語……仕舞いにはロット乱しと来た。」

謎の男「到底、出入り禁止程度で済まされるモノだとは思えない」

遊馬「……ロットさえ理解してりゃ許容される」

謎の男「現にロット乱しをしようとしている者に何を言う資格はない。違うか」

遊馬「うっ……」

香貫花「何者!!」

謎の男「お宅と同じ、単なる公務員さ」

野明「……あたし達以外にもヒマな公務員っているんだね」

シゲ「ま……ま……まさか!!!!コイツあああああああああ!!!!!」

野明「シゲさん知り合い?」

シゲ「いや知り合いじゃないんだけど……確か、地味な服で現れ、その見かけとは裏腹に大ぶたダブルを5分で完食し、去っていくと言う本店のラス番………」

一同「ご、ごふん!!!!?」

シゲ「その不気味な顔立ちと奇行から名付けられた……通称ヤタガラス荒川だあああああああ!!!!!」



荒川「大ぶたダブル全マシマシマシチョモランマ!!!!!!!!」


一同「!?」

野明「ちょも………?」

シゲ「伝説のロットマイスターにのみ許されし注文……ちょもらんまああああああああああ!!!!!?」

遊馬「じょ、冗談だろ………」

太田「 」ガクガクガクガクガクガク

南雲「………」パクパク…

野明「………うわぁ」

荒川「ジロリアンisジロリアン……なあ、南雲さん、あんたのその大ぶたダブル全マシ、食べてやってもいいんだが」

南雲「お断りします」

シゲ「え、なに南雲さんの知り合い!?」

南雲「知り合いも何も、この間から、何だか特車2課をうろちょろしてる防衛省の人よ」

荒川「おや、バレていたのか……」

野明「え」

遊馬「俺たちコイツに監視されてたのかよ……」

南雲「………そちらに、何に使うかは知らないけれどイングラムの学習データを引き渡すつもりはないわよ」

荒川「それもバレていたか……まあいい。二度と二郎に来れなくなるだけの話だからな」

南雲「………」パクパク

荒川「可哀想そうに、この世間知らずの女隊長一人の罪で、こんなに素晴らしく美味しい二郎、全支店……」

荒川「それだけじゃない。インスパイアを含めて特車2課の関係者全員が出入り禁止になる」

一同「!?」

南雲(そ…それは…………)

香貫花「そんなこと、どうやって!」

荒川「私の運営している麺ブログで晒し者にすれば、噂は瞬く間に広まる」

野明「………よっぽどヒマなんだね、防衛省」

シゲ「いやあ、各国のお偉い方もお忍びで訪れるという二郎!!!!」

シゲ「ヌードル亭麺吉のブログにも匹敵すると言われるヤタガラス荒川の麺ブログの影響力は防衛上も脅威に違いあるめヱよお!!!!!!!」

野明「ひえぇ~………」

荒川「どうする南雲さん。協力してくれると言うなら……」ニヤッ

南雲「………」

ドン!!!!!!!!!!!!

荒川「おっと、来たか。話は後だ……二郎を食べることで自らは限りなく静止に近付き、世界が動き始める……!」




南雲「  」

ガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブ!!!!!!!!!!


一同「!?」

シゲ「な、何というスピードおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!??????」

太田「ひ、一口一口がデカい!!!!!」

荒川「ブレなど気にしない!二郎は味など二の次だ!ひたすら胃にぶち込めばいい!!!」


ガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブ!!!!!!!!!!!!!!!!!!


野明「って言うかさ、箸は支えるのに使って…直接……野菜の山にかぶりついちゃってるよこの人………」

香貫花「オーマイガッ……下品極まりないわ………」

遊馬「ま、まるで……餌を食らうブタだ………」

荒川「南雲さん、女のあんたにゃ真似出来ない芸当だろ?」ハフハフハフ!!!!

ガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブ!!!!!


南雲「………」


遊馬「なんちゅーか地獄絵図だなこりゃあ……」

ズズズズズ!!!!!ズズズズズ!!!!!ズズズズズ!!!!!!

荒川「迎合などするべきではない。新規の顧客や女性客など二郎にはいらない。」

荒川「ロットバトルへの恐怖にもとづく、なりふりかまわぬ新参者の迎合……」

荒川「その対価を、インスパイアでのロットバトルで支払い、そのことから目をそらし続ける不正義の平和……」

太田「?????」

遊馬「……なーにをいっとるんだコイツは」

野明「さあ……」


荒川(勝った………!)クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ!!!!!!

南雲「………」ポカーン……

野明「あ、そう言えば南雲隊長の二郎!!!!」

シゲ「あ……うっかりすっかりくっきりわすれてたぁ……!!!!!!!」


荒川「……時間切れだな」ニヤッ



一同「ああ………」

南雲「…………」

『……そんなキナ臭い平和でも、それを守るのが俺たちロットマイスターの仕事さ』

一同「!?」

荒川「!!!!!!」


「不正義の平和だろうと、正義のロットバトルよりはよほどマシだ…… 」


後藤「ご馳走さま。あ、勝手に南雲さんの分、貰っちゃったけど……怒らないでね?」

カラーン……


南雲「!?」

荒川「あんた………いつの間に……」

後藤「さっきから、ずっと」

一同「 」

野明「え、なになに……なに……」

シゲ「し、しかも空いた丼が二つぅ?」

太田「??」

荒川「匂いから推測するに大ブタW全マシ以上…!しかも、まるで洗い立ての皿のようにキレイに喰っている……?…」

遊馬「つまり、隊長は俺たちがこの男と会話してるうちにコールを済ませて、その上自分の二郎だけじゃなく、南雲隊長の二郎も食べたってことか…?」

後藤「まあそう…なるのかなぁ…」

一同「 」

太田「????????」

荒川「後藤さん……あんた………」

後藤「ま、そう言うことだから。出入り禁止にならなくって良かったね、お前たち」

一同「後藤たいちょお~!!」キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

後藤「そう言うことだから。悪いね、荒川さん」

荒川「…オヤジ、ご馳走様」カタッ……

荒川「後藤さん、あんたにゃ負けたよ。流石はキレ味抜群のカミソリ後藤、か……」
後藤「よしてよ」

荒川「今日はとんだデスロットだった……」ガラッ


ありがとうございましたー


後藤「………」

南雲「後藤さん……」

ありがとうございましたー

遊馬「どうだ、二郎は?」

野明「美味しかったよ……ありがとう遊馬。今度、また連れてきてくれる?」ニパッ

遊馬「ああ………」

南雲「………」ツンツン

後藤「どうしたの、しのぶさん」

南雲「……後藤さん、さっきはありがとう」

後藤「………え?あ、うん」

南雲「ふふっ、ちょっと見直しちゃったわ」ニコッ

後藤「あ、そーお?」

後藤・南雲「………」

後藤・南雲「………ふふっ!」

シゲ「なんか南雲隊長と後藤隊長怪しい雰囲気じゃなぁ~い?」

野明「確かに後藤隊長、格好良かったもんなあ………」

シゲ「しかし、まさか後藤隊長もロットマイスターだったとはなぁ……」

香貫花「つくづく謎だらけよね、あの人……」


松井「あ、後藤さん!」

後藤「そうだ、松井さん待たせてたんだった」

後藤「悪かったね松井さん。……あ、先に帰っててよ」


一同「了解!」

松井「…なあ後藤さん」
後藤「…ああ」

カパッ………

松井「店主の好意で、こっそり南雲さんの二郎も持ち帰ってきた訳だが……」

ぷぅ~ん…………

松井「これ、どうする」
後藤・松井「…………」

後藤「大見得切った以上、特車2課で鍋二郎はやれんしなぁ……」

後藤「………どうしよう」


こっそり

遊馬「さ、最初から鍋二郎のつもりだったのかよ……」

野明「通りで器があんなにきれいだったわけだ………」

南雲「………そんなことだと思ったわ」


一同「ずるっけーーーーーーーー!!!!」

数日後

野明「また二郎に行きたくなったよ遊馬ぁ!!」

遊馬「ま、そろそろか」

香貫花「行きたくなる時期なのよね。ちょうど」

シゲ「はあ、みんな二郎中毒だね!!!!!!」

野明「よし、昼飯は二郎で決まりだ!!!!!」

一同「おおー!」



進士「僕はまだ胃が痛いのでちょっと…………」

山崎「僕も………うぷっ………」

【ラーメン二郎前】

ひゅおおおお…………………




『異常に騒がしい為、特車2課関係者の立ち入りを永久に禁ズ』





一同「…………」




以上レポっす。チラシの裏すんません。



■TO BE CONTINUED

この物語はフィクションである……
が、 10年後においては定かではない。

【おまけ】

それからと言うもの、13号埋立地店以外の店舗に特車2課一同は通いつめた……

遊馬「野明!イングラムに乗れ!」

野明「了解!」パッツンパッツン

市民A(太ったな………)

市民B(太ったよな………)

野明「よいしょ」パッツンパッツン

ぷぅ~ん………

野明「う…この中……ニンニクくさっ………」パッツンパッツン

野明「あれ……あれ……」パッツンパッツン

遊馬「どうした野明」


野明「………シートに座れない」 パッツンパッツン


一同「 」

南雲「仕方がないわね……」パッツンパッツン

市民A(………ムチムチだ)

市民B(ムチムチだな………)


一同(今にも南雲隊長のズボンの後ろが………)

南雲「第一小隊だけでいく!!行け、ごみおk……」パッツンパッツン



ブチーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!



一同「 」


後藤(……ラッキー)


みんな!!!二郎の食べ過ぎには気をつけようね!!!!!!!!

パトレイバーなのにレイバーが全く出てこなくてごめんなさい

お付き合いありがとうございました

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