レヴィ「ロックの糞野郎!ファック!!」ロック「ファック?」(235)

ロック「レヴィ、さっきの一件だけど……」

レヴィ「あ?なんだよ、ロック。もうあれはケツ拭いたからいいだろ?」

ロック「でも、危うく仕事が失敗するとことだったんだ。あんなところでケンカはやめてくれ」

レヴィ「ありゃあ、向こうが悪い。仕事の邪魔になったからあのデブに鉛玉舐めさせてやっただけだ」

ロック「それが困るって言ってるんだ」

レヴィ「ヘイ、ロック。あたしに意見できるほど、偉くなったのかよ?あぁ?まだまだエサ欲しさに囀るチキンの癖してよぉ」

ロック「今後もあんなことをするなら、俺はレヴィと仕事はできない」

レヴィ「なんだと、このやろう」

ロック「わかったか?」

レヴィ「てめぇ!勝手なことぬかしんてじゃねえよ!!てめぇのことはあたしが見るって決まってんだよ!!それがわからねえなら外で寝て、犬の糞と一緒に掃除されちまえ!ファック!!」

ロック「……ファック?俺とファックってことでいいんだよな。いいよ。向こうでしようか」

レヴィ「え!?……いや、ち、ちがう。そっちじゃねえよ。言葉つうじねえのかよ……こ、こらぁ……」

ロック「違うのか?なら、どうしてファックなんて言った?期待しちゃうじゃないか」

レヴィ「お、おまえが!勝手に期待しただけだろ!あ、あたしは悪くねえよ!」

ロック「そうか……。がっかりだ。レヴィ」

レヴィ「うっせ!銃弾みて縮み上がるてめぇみたいなタマなしと誰が寝てやるか!!」

ロック「タマなし?レヴィ、俺にはきちんとある。証拠を見せるよ」カチャカチャ

レヴィ「や、やめろ!!ぬぐなよ!!べ、別にみたくねえよ!!そんなもん!!!」

ロック「でも、タマなしだって思われたくないし」

レヴィ「タ、タマがあることはしってるっつーの!!!ふざけんな!!あたしは生娘じゃねえんだぞ!!」

ロック「そうか。悪かった」

レヴィ「しっかりしてくれよな……ったく……」

ロック「ごめん。で、話を戻すけど……」

レヴィ「あ?またかよ。ファッキンジャップはいちいち細かいんだよ。糞真面目が」

ロック「ファック?」

レヴィ「い、いってねえよ!!」

ロック「ごめん。レヴィの言葉は専門用語が多すぎて理解できないときがあるんだ。だから、頭の中で直訳しちゃって」

レヴィ「専門用語なんて使ってねえよ」

ロック「それにしてはいつもファックってばかり言ってるじゃないか。でも、実際はファックしたいわけじゃないみたいだし……」

レヴィ「あったりめえだろうが!!あたしをどっかの色魔シスターと一緒だとでも思ってんのかよ!!あぁ!?」

ロック「悪いけど、レヴィはスケベなのかなっていうのは思ってた……」

レヴィ「なっ……」

ロック「だって、仕方ないだろ。何かにつけてファックだのケツを拭くだの……。レヴィは下半身のことしか考えないように思っても」

レヴィ「ざっけんな、ロック!!!あたしは別にスケベじゃねえよ!!」

ロック「そうなのか?」

レヴィ「どこ見て言ってんだよ。あたしのどこがスケベだ?あぁ?だらしなく涎でも股から垂らしてるか?ねえだろ?」

ロック「……そういう言葉選びが……もう……」

レヴィ「ち、ちげえよ!!これはあたしの生まれ育ったとこではこういう言い方が当たり前だったんだよ!!あたしはそんなこと考えたことないからな!!」

ロック「でも……」

レヴィ「なんで疑ってんだよ!!ファック!!あ。いや、このファックは死ねとかそういう意味だからな……一応……」

ロック「そうなのか。そういう意味も含まれていたのか。知らなかった」

レヴィ「なんでしらねえんだよ。おかしいだろ」

ロック「悪い。これからは気をつける」

レヴィ「ああ、そうしろ。急に誘われたら驚くだろ。そういうのは3日前ぐらいに電話でだな……」

ロック「あと仕事の件もよろしく」

レヴィ「はいはい。わかったわかった。ロック様の仰せの通りにー」

ロック「それじゃあ、書類を纏めてくる。注文書もダッチに渡さないといけないしね」

レヴィ「ホワイトカラーにはそういう仕事が似合ってるぜ、くそったれ」

ロック「何かあったら呼んでくれ」

レヴィ「よばねーよ」

レヴィ「……」

レヴィ「……あー、マジ、ビビッた」

レヴィ「これからは言葉を選らばねえとな……」

レヴィ「はむっ……」

ロック「そのピザ、美味しそうだな」

レヴィ「よお。デスクワークは終わったのか?」

ロック「大方ね。でも、これだけの山が出来上がった。人を殺せるぐらいの重さかも」

レヴィ「ハハっ、それで脳天かち割られて躍るのはてめえみてえなボンクラぐらいだよ」

ロック「そうかもね。それよりレヴィ。楽しみは山分けだろ?ピザ、一切れくれないか?」

レヴィ「バカ。あたしの楽しみはあたしのもんだ。誰が分けるか」

ロック「酷いな。これレヴィの仕事でもあったのに」

レヴィ「勝手に食えばいいだろ。ガキじゃあるまいし」

ロック「今、山になった書類を持っていて手が塞がっている。食べられない」

レヴィ「……置けよ」

ロック「レヴィが食べさせてくれたら、その手間もないじゃないか」

レヴィ「あ、あぁ?んなことするかよ。てめえの飯ぐらいてめえの手で食え」

ロック「レヴィ、そういう協調性のなさがダメだと思う。レヴィだってダッチに助けられたことぐらいあるだろ?」

レヴィ「あるけど、それとこれとは関係ないねえだろ!」

ロック「レヴィ。俺と組むっていうなら助け合いは重要じゃないか」

レヴィ「何を勘違いしてるのかしらねえがな。あたしはてめえの介護をするためにバディやってんじゃねえんだぞ?ロックがふぬけたことをすりゃあ、容赦なくケツ穴にカトラスぶち込んでやるからな」

ロック「え……」

レヴィ「な、なんだよ?」

ロック「すまない、レヴィ……お、俺……お尻は……経験が……」

レヴィ「なぁ……!?ち、ちげえよ!!バカ!!変なこと考えるんじゃねえよ!!!ファック!!!」

ロック「ファック?レヴィ、ついに俺と……」

レヴィ「ちがうっつってんだろ!!死ね!くそやろうって意味だ!!いい加減学習しろよ!!事前に予約しろ!!」

ロック「違うのか……」

レヴィ「そもそも、あたしの尻は軽くねえんだよ」

ロック「そんなに立派なのにか?」

レヴィ「あぁ!!もう黙ってろ!!ほらよ!!食え!!!」

ロック「はむ……。うん、美味しい。ありがとう、レヴィ」

レヴィ「お、おう……。どっかいけ」

レヴィ「くっそ……ロックのやろう……。調子が狂うぜ……」

レヴィ「なんでスラングまで面倒みなきゃいけねえんだよ……。めんどくせえ……」

ダッチ「なんだ、レヴィ。仕事がねえからって事務所でティータイムたぁ、良いご身分だな」

レヴィ「あたしが何しててもいいだろ」

ダッチ「まぁな。だらけた分を仕事で取り返してくれりゃあ、俺も文句のつけようがない」

レヴィ「だろ?」

ダッチ「だが、ロックのとの仕事は危うかったらしいな。大事な荷物を海の底に沈めかけたって聞いたぞ?」

レヴィ「それは変な横槍が入ったからだよ、ダッチ。それはロックからも聞いただろ?」

ダッチ「俺としてはクールな仕事をやってほしいところだがな。ところ構わず花火を上げる気か?」

レヴィ「まぁ、ロアナプラがパレードするときは中心にあたしがいると思ってもいいけどな」

ダッチ「ちがいねえ。……それと、レヴィ。これはプライベートに関することだからあまり口を挟みたくないんだがな」

レヴィ「なんだよ?」

ダッチ「ロックが頭を悩ませているようだぞ。レヴィからファックのお誘いが後を絶たないって。なにやってんだ?ヴァージンロードを歩く下準備か?」

レヴィ「ロックのやろう!!!殺すっ!!!」

ダッチ「まぁまぁ、落ち着けよ。お前がそんなタマじゃないことは雇用主の俺が一番知っている。どういうことか説明してみろ」

ダッチ「なるほどな。ロックはスラングをよく理解してないってか」

レヴィ「あぁ、そうだよ。あたしは別にロックを誘ったことなんて一度もねえからな!!変な勘違いするんじゃねえぞ!!」

ダッチ「わかってる。お前ならファックユーって言いながら押し倒すよな」

レヴィ「そんなことするかよ!!合意の上でだな……」

ダッチ「だが、深刻な問題でもある。レヴィがスラング講座をやってやる必要性もあるな」

レヴィ「これ以上、あたしにあいつのお守りをさせるなら給料上乗せだ」

ダッチ「そりゃあ、困る。そんなことで特別ボーナスなんざ馬鹿げてるしな」

レヴィ「だろ。ロックが悪いんだから、あたしがどうこう言う必要はないだろ?」

ダッチ「そうだな。しかし、ロックが悩んでいるのも確かだ。このままじゃレヴィの誘惑にケツを振ってしまいそうだってな」

レヴィ「な、なんだよ……それ……!!」

ダッチ「いい機会だ、レヴィ。言葉遣いを少し修正したらどうだ?」

レヴィ「あの糞メイドみたいになれってか?ふっざけんな。ダッチ、ここはロアナプラだ。紳士淑女とは無縁の場所なんだぜ?そんな口調で外歩いたら、唾と糞が降りかかるに決まってんだろ?」

ダッチ「別にいつもそうしていろってわけじゃねえ。ロックの前ではそうしろって言ってるだけだ」

レヴィ「ロックの前だけ?」

ダッチ「それだけでロックの悩みの種はなくなり、お前もロックに対して声を荒げることはない。そして俺も雇用主として安心できる。言いこと尽くめだ」

レヴィ「ヘイヘイ、ダッチ。そりゃあ、あたしにゲロを吐かせようって魂胆か?死んでもごめんだぜ、んなこと」

ダッチ「良い考えだと思うがなぁ」

レヴィ「くっだらねえこと言うなよ」

ダッチ「分かった。もういわねえよ。その代わり、どうなっても俺はしらんぞ」

レヴィ「どーいうことだよ?」

ダッチ「お前の言うとおり、ここには紳士も淑女もいねえ。あるのは頭が100マイル先までぶっとんでるような奴ばかりだ」

レヴィ「それがなんだ?」

ダッチ「スラングをよく理解してないってことはだ。ロックが何か誤解しちまって、地雷原のど真ん中に立たされるようなことにもなるぞ」

レヴィ「だから、そうなったらロックの責任だろ?あいつがくたばるだけじゃねえか」

ダッチ「ロックだけならまだいい。だが、俺たちも巻き添えを食うかもしれねえぞ。一蓮托生ってやつだ」

レヴィ「知るか。心配なら、ダッチがコーチでもなんでもやればいいだろ」

ダッチ「そうかい。まぁ、好きにしろ」

レヴィ「ふんっ」

ロック「ダッチ。用事は済んだのかい?」

ダッチ「今しがたな。書類のほうはどうだ?」

ロック「向こうの机に置いといたから」

ダッチ「ご苦労さん。とりあえず、明後日までは仕事もねえし、ゆっくりしてろ」

ロック「分かった。それじゃあ、街でも探索しに行こうかな」

レヴィ「……」

ダッチ「気をつけてな」

ロック「ああ。美味しい店とかもそろそろ自分なりに開拓したいしね」

ダッチ「おー。そりゃあ良い案だな、ロック。吉報を期待してるぜ」

ロック「任せてくれ」

レヴィ「……ヘイ、ロック」

ロック「なんだ?」

レヴィ「お前、一人で出歩くつもりかよ」

ロック「そうだけど」

レヴィ「スラングも理解してねえお前が練り歩いたところで、見つかるのは店主がスープに指をつっこんだまま運んでくるような痴呆もよろこばねえところぐらいだぞ?」

ロック「スラングと何か関係あるのか?」

レヴィ「あるんだよ。だから、てめえは部屋に引き篭もっとけ。最近、日焼けもして大変だろ?シミになるぞ」

ロック「心配してくれてありがとう。でも、心配ない。ここに来て随分経つし。俺だってレヴィに店を紹介できるようになりたいし」

レヴィ「……なんでだよ。こんなところにそうそう美味い店があるかよ」

ダッチ「まぁ、レヴィの舌はガキだから、味が濃ければなんでいいんだけどな」

レヴィ「ヘイ、ダッチ!!あまりおかしなことぬかすならメロンをケツにねじ込むぞ」

ロック「レヴィ……ダッチとはそういう関係だったのか……?」

レヴィ「ち、ちがうっていってんだろぉ!!」

ダッチ「おー、こええ。せめてマンゴーぐらいにしてほしいな」

レヴィ「とにかく部屋から出るなよ。あたしが許さない」

ロック「出るよ」

レヴィ「出んなっていってんだよ。その耳、聞こえやすくなるように穴を広げてやろうか?」

ロック「なら、レヴィがずっと俺の部屋に居てくれるってことか?それなら、出て行く理由がなくなるけど」

レヴィ「そ、そんなことするわけねーだろ!!!バーカ!!バーカ!!!」

ロック「レヴィ、何がしたいんだ」

レヴィ「だから……!!」

ダッチ「レヴィ。ロックのことが気になるなら一緒にいけばいいだろ?」

レヴィ「誰がこんな奴連れて一緒に歩くかよ!!」

ロック「レヴィとデートか。それもいいな」

レヴィ「デートじゃねえよ!!あたしとデートするなら金貰うぞ!!」

ロック「いくら?出すよ」

レヴィ「いらねえよぉ!!」

ダッチ「まぁ、ロックだってこっちの流儀は理解してるし、そこまで過保護になる必要もねえんじゃねえか?」

レヴィ「ダッチのほうが過保護だろうが!!あたしは別にロックがどこで犬死してもしったこっちゃねえんだよ!!」

ロック「そんな、酷いじゃないか」

レヴィ「あたしはてめえの世話役じゃねえんだよ!!ファッ……しね」

ロック「そんなの分かってる。死ねまで言うことないだろ」

レヴィ「あーあー!!もうしらねえ!!勝手に出歩けよ!!サノバビッチ!!!」

ロック「俺は売春婦の息子じゃないぞ、レヴィ!!」

ダッチ「いっちまったなぁ。ロック、あまり気にするな。飯でも食えばあいつも落ち着く」

ロック「そうだな。それじゃあ、ダッチ。行って来る」

ダッチ「おう。楽しんで来い」

ロック「ああ」

ロック「さて、どこに行こうかな……。北のほうはあまり行ったことないしな……」

レヴィ「ヘイ、ロック」

ロック「レヴィ、どうした?」

レヴィ「あたしも連れてけよ」

ロック「何かあるのか?」

レヴィ「お前が銃なら、あたしは弾丸だ」キリッ

ロック「……悪い。意味がよく」

レヴィ「ま、まもってやるっていってんだろ!!それぐらいわかれよな!!」

ロック「そうか。助かる、レヴィ。それじゃあ、一緒に行こう」

レヴィ「だ、誰が一緒に行くかよ!!ロックの数歩後ろを歩くだけだ!勘違いするな。これはデートでもショッピングでもねえんだぜ?」

ロック「なんだ。そうだったのか……」

市街地

ロック「うーん……。あの店、この間放火にあって潰れちゃったんだよな……。あそこはレヴィのお気に入りだっただけに惜しかったな」

レヴィ「……なんでおぼえてんだよ」

ロック「店のマスターは生きてるって話しだし、いつか新しい店をオープンしてくれたら……レヴィも喜ぶのにな……」

レヴィ「……別によろこばねえよ」

ロック「いい感じのお店ないかな……」

グレーテル「お兄さん、お兄さん」

ロック「え?」

グレーテル「うふふ……。良い感じのお店なら、こっちにあるわ」

ロック「本当に?」

ヘンゼル「本当さ。お兄さんなら一発で昇天できちゃうよ?」

ロック「どんな店なの?」

グレーテル「私がサービスしてあげるわ……。さ、行きましょう。童話の世界のような場所へ」

ロック「それは楽しみだな」

レヴィ「ヘイヘイヘイヘイ!!!ロック!!!あたしの目の前で変態になろうとすんなよ!!!」

ロック「え?でも、折角良い店を紹介してくれるって、この子たちが……」

レヴィ「それはヤバい店ってことだ!!雰囲気でわかるだろうが!!」

ロック「そんな。こんなに可愛い子たちが言ってくれてるのに……?」

グレーテル「そうよ。邪魔しないで」

ヘンゼル「お兄さんを良い感じにしたいだけなんだ。僕たちはね」

グレーテル「そう。みんなが気持ちよくなれるもの。素敵じゃないかしら」

ロック「気持ちよくなれるならいいね」

グレーテル「行きましょう。私がお兄さんを……はぁ……はぁ……」

レヴィ「やめろっていってんだろ!!この糞ガキども!!!」

ヘンゼル「お前、誰なの?僕たちの邪魔はしないでほしいな」

グレーテル「兄様の言うとおりよ。お兄さんのガールフレンドなの?」

レヴィ「そんなんじゃねえよ!!ざっけんな!!」

グレーテル「なら、いいじゃない。行きましょう?小さいのはお好きかしら?」

ロック「グラスのこと?まぁ、小さくてもいいかな」

ヘンゼル「わーい。やったね、姉様。お兄さん、僕たち二人で相手してあげるからね」

ロック「子どもがお酒なんて……。でも、ここは……」

グレーテル「そう。糞野郎の吹き溜まり、ロアナプラ。私たちが何をしても許される場所」

ヘンゼル「僕の舌でいっぱい楽しませてあげるから……はぁ……はぁ……」

ロック「どんな芸か楽しみだ」

レヴィ「このガキども!!いい加減にしろ!!ファッ……しね」

グレーテル「ひ、ひどい……死ねだなんて……」

ヘンゼル「うぅ……僕たちだって……今日生きるのに必死なのに……」

ロック「レヴィ!!やめろ!!」

レヴィ「ロック!!こいつらはお前を食おうとしてるんだぞ!!」

ロック「食べる?」

グレーテル「ここでは食うか食われるかよ」

ヘンゼル「何を今更」

ロック「そうだ。この子たちが今日を生きられるなら、俺は食べられてもいい」

レヴィ「ちげえよ!!食われるっていうのは金をだすとかそう言う意味じゃねえんだよ!!!」

ロック「だったら、どういう意味なんだ?飲食の代金を支払うことを食べるっていうんじゃないのか?」

レヴィ「いや、それは……ファックってことだよ」

ロック「え……そうなのか?」

グレーテル「いいえ。私たちはお兄さんに気持ちよくなって欲しいだけだから」

ヘンゼル「そうだよ。気持ちよくなって欲しいんだ……気持ちよく……」

グレーテル「ああ、兄様。私、もう下着を替えなくちゃいけないわ」

ヘンゼル「姉様はいつもそうだね。もう履かなくていいよ」

グレーテル「そうね。そうしましょう」

ヘンゼル「そうしよう」

レヴィ「ほら、ロック。今の会話でだいたいのことは分かっただろ。飯や酒を腹に詰めるような店じゃねえんだよ。尻の毛まで毟り取られるぞ」

ロック「俺、お尻は綺麗なほうだからな……」

グレーテル「好みだわ」

ヘンゼル「綺麗なお尻はいいよね」

レヴィ「ああ!もう知るか!!勝手にしろよ!!てめえみたいなやつは一回痛い目にあえばいいんだよ!!」

グレーテル「みんな気持ちよくなるだけなのに。おかしな人」

ヘンゼル「お兄さんの大きさによっては、僕たちが痛い目にあうかもしれないけどね」

ロック「どこにお店があるのかな?」

グレーテル「向こうよ。向こうの路地裏にね、小屋があるの。その中でしましょう」

ヘンゼル「代金は時価だから気をつけてね、お兄さん」

ロック「それは怖いなぁ……。お手柔らかに頼むよ」

グレーテル「ふふ……。お兄さんは良い人ね。5時間ぐらい相手をしてあげてもいいぐらい」

ヘンゼル「僕と合わせて10時間は遊ぼうね」

ロック「長いな。そんなに酒は飲めないよ」

グレーテル「甘い、カクテルも用意するから……」

ヘンゼル「アルコールのない……甘い、カクテルを……」

ロック「へえ、そんなのがあるんだ」

グレーテル「少ししょっぱいけれど、絞りたてをお兄さんの口に入れてあげるから」

ヘンゼル「僕のも飲んでほしいな」

ロック「ああ。頂くよ」

グレーテル「ふふ……あぁ……今から考えるだけで……」

レヴィ「……待てよ。ビッチども。こんなしけた日本人捕まえても、楽しくねえぞ?」

グレーテル「なに?まだ何か用があるのかしら?」

レヴィ「何人の変態野郎をその中に突っ込ませてきたかしらねえけどな、そいつはそっちの趣味はねえし、金も持ってない」

グレーテル「え?」

レヴィ「どうせ、このタマなしのことだ。てめえがすることにブルッて逃げ出すぞ?そうなりゃ楽しいのはここを歩いている通行人だけだ」

ヘンゼル「お兄さん、お金ないの?」

ロック「いや、多少は――」

レヴィ「ねえんだよ!!!なぁ!!!」

ロック「いや、だから多少は――」

レヴィ「それはあれだろ!?あたしのために使う奴だろ!!アロハシャツ買ってくれるっていってたじゃねーか!!忘れたのかよ!!あぁ!?」

ロック「そんな凄まれても……」

レヴィ「ほら!行くぞ!!!」

ロック「でも……」

グレーテル「大事なお客さんを取らないで!もう、私は準備が出来てるのに!!」

ヘンゼル「僕だってもう前かがみに歩かないと……」

レヴィ「そんなにしたけれりゃあガールでもキメて、てめえらでやれよ!!バーカ!!ロックに手を出すんじゃねえ!!」

ロック「レヴィ、何もあそこまで言わなくても……」

レヴィ「おい、ロック。ここでは甘言に乗せられたら終わりなんだよ」

ロック「あれぐらのキャッチならよくあることだ。ただあんなに小さな子がやっているから無碍にできなかっただけで……」

レヴィ「黙れ。いいか?今からあたしがいいって言うところ以外には行くな。絶対だからな」

ロック「どうして」

レヴィ「手間かけさせるな、ロック。ここで昼に食ったもの確認してもいいんだぜ?」

ロック「レヴィに食べさせてもらったピザしかでてこいないよ」

レヴィ「たべさせてもらったとかいんじゃねえよ!!あと文字通りのいみじゃねえから!!」

ロック「なら、どういう意味なんだ?」

レヴィ「殺すぞ!ってことだ」

ロック「それなら殺すぞって言えばいいのに……」

レヴィ「だーかーらー!!あたしの生まれ育ったところでこういう言い回しが普通なんだよ!!」

ロック「そうか。覚えるの大変だったんじゃないか?」

レヴィ「いや、普通だったから別になんともねえよ……」

ロック「うーん……。こっちに行ってみようか」

レヴィ「ヘイ、ロック。止まれ。そっちには行くな。さっきみてぇなビッチがゴロゴロしてる」

ロック「そうなのか?そういえばここもそう言う人たちは多いって聞くな」

レヴィ「どこでも一緒だ。力のねえ女子供はバニラアイスを舐めながらながら生きていくしかねえんだよ」

ロック「可愛いじゃないか」

レヴィ「アイスクリームのことじゃねえからな」

ロック「そうなのか」

レヴィ「はぁ……。なぁ、ロック。わざとじゃないねえだろうな?」

ロック「あ!レヴィ!!こっちだ!!」

レヴィ「おい!!勝手に動くな!!あたしの許可をとれっつってんだろ!!」

ロック「レヴィ、どれがいいんだ?」

レヴィ「なにがだよ?」

ロック「欲しかったんだろ、アロハシャツ。どれがいい?」

レヴィ「いらねえよ!!ふざけんな!!」

ロック「そうか……。でも、俺を守ってくれているわけだし、何か礼ぐらいはしたいんだけどな」

レヴィ「姐御、これはケツに入れてるのか?」

バラライカ「ケツよ」

レヴィ( 801穴なんてなかったのか……)

レヴィ「変な気は回さなくていい。言っただろ?これはデートでもショッピングでもねえんだぜ、ロック?」

ロック「本当にいいのか?」

レヴィ「ああ。別に欲しくもねえやつを強請るなんざぁ、女々しいだろ」

ロック「レヴィにはこれなんて似合いそうだけどな」

レヴィ「お、おい……やめろ……」

ロック「こっちはどうだ?それとももっと悪趣味なほうがいいか?」

レヴィ「何が悪趣味だ!!ケンカうってんのかぁ!?ロック!!!」

ロック「ならどれがいいんだ?」

レヴィ「いや、そうだな……。これとか、どうだ?」

ロック「似合うけど、やっぱり悪趣味だ」

レヴィ「あぁ!?選ばせといてなんだよ!!そりゃぁ!!?」

ロック「それでいいかい?」

レヴィ「あ?いや、待てよ……こっちもよさそうだろ?」

ロック「確かに」

レヴィ「奥にもあるじゃねーか。とりあえず全部みてみねーとな」

レヴィ「これはどう思う?」

ロック「俺はこっちのほうがいいと思うんだけど」

レヴィ「それはあたしの趣味じゃねえな」

ロック「たまにはこういう毛色の違う奴にも挑戦してみるのもいいんじゃないか?」

レヴィ「いや、流石にこんなのは――」

エダ「よー。お二人さん。昼下がりのデートとはぁ、洒落てるねぇ」

レヴィ「あぁ?どっから湧いて出た、万年色情魔」

エダ「ちょっと買い出しでね。それで仲睦まじいあんたたちを見つけたのさ。なになに?デートついでのショッピングなの?」

レヴィ「お前、新しい目玉を入れるところ作ってやろうか?別にデートしているわけでもシュッピングでもねえよ」

エダ「楽しそうに服を選んでるのに?だったら、あたしの目はたしかにイカれてることになるね。自分の姿を鏡に映してもいえるなら、どうぞ好きなところにこさえてよ、レヴィ?」

レヴィ「え……」

ロック「エダも買い物なのか」

エダ「そーなのよ、色男」

レヴィ「ヘ、ヘイ!!エダ!!ここで見たことは忘れろ!!てめえは酷い勘違いをしてるからな!!」

エダ「えー?どこをどう勘違いしたっていうのさぁ?」

レヴィ「あたしはこのノーナシタマなしロックが爆弾抱えてロアナプラを徘徊するっていうからその見張りだ!!!」

エダ「それをデートって言うんじゃないの?レヴィも乙女なところあるからな、この感じは当然だな」

レヴィ「……上等だこらぁ。てめえのタマもいでやるぜ」

エダ「面白い。なら、あたしはお前のケツ穴を量産してやろうか?」

ロック「やめろ、レヴィ。エダにはそもそもタマがないよ。エダも穴は増やしていいものじゃない」

エダ「え?それもそっか」

レヴィ「おい、ロック!!言葉の流れでわかるだろうがよ!!」

ロック「……どういうことだ?」

レヴィ「ファック!!」

ロック「レヴィ、この近くのホテルだと……」

レヴィ「ちがう!!しねって言ったんだよぉ!!おい、エダ!!お前からもなんとかいってやれ!!」

エダ「ファックしたいんだろ?素直になれよぉ」

レヴィ「よーし。分かった。てめえにはあたしの目の前で踊ってもらうからな」

ロック「エダ、躍れるのか?」

レヴィ「ヘイ!!ロック!!もう黙ってろ!!!」

エダ「ふぅん。スラングを理解してない、か。それは知らなかったね」

ロック「それでレヴィを怒らせてしまっているみたいで、少し困ってる」

レヴィ「あたしはむちゃくちゃ困ってるぜ、ロック?」

エダ「いい機会じゃないか、レヴィ。この際、ロアナプラ初のレディーになってみたら?」

レヴィ「ダッチにも言われたけどな。そんなもん見たいか?」

エダ「見たいよ、そりゃあ。見たいに決まってるじゃないか、レヴィ。あんたが恭しくしているところなんて、キリスト様も腹を抱えて眺めるだろうぜ」

レヴィ「おう。エダ、死にてぇならそういえよ」

エダ「怖い怖い、ロック。こんな年中ヒス女とよくデートできるね」

ロック「デートというかレヴィは俺を守ってくれているだけだからな」

エダ「ふぅん……。それで何から守ってくれたんだ?」

ロック「お尻の毛を毟り取ってくる子供から、かな。今のところは」

エダ「へえ。可愛いところもあるんだ」

レヴィ「おら、てめえの毛を一本残らず毟り取ってやる。脱げこら」

エダ「ほら、怖い。こんな常時生理起こしてるようなやつより、あたしのほうが良いと思うよ、ロック?今からでも乗り換えない?」

ロック「そんな……レヴィ……それは病気じゃ……」

レヴィ「おらぁ、エダ!!余計なことぬかすな!!あたしが変人みたいになるだろうが!!!」

エダ「ロックの前では女でいたいってか?」

レヴィ「おら抜けよ!!クソ尼ぁ!!抜いた瞬間、頭蓋骨にトンネルあけてやっからよ!!!」

エダ「面白れぇ。そんな芸当ができるとはな、レヴィ。でも、ロックの前で顔を赤らめているほうがよっぽど面白いぜ、あんたは」

レヴィ「あぁ!!?どこのお嬢様だよ、そりゃあ!!」

エダ「そう怒りなさんなって。ロックが怖がってるだろ?」

レヴィ「なに?」

ロック「レヴィ、このシャツもレヴィに似合いそうだけど、どうだ?」

レヴィ「おい、こら。そのよく回る舌に杭でも打ち込んでやろうか?」

エダ「まぁまぁ。ロックはスラングが良く分かってないってだけなんだ。なら、あんたがそれを使わなかったらいいだけの話。そうだろ?」

レヴィ「だからって……」

エダ「別にお淑やかになれとは言わない。言ったところであんたは死んで貴族の娘にでも生まれかわらないと無理だ。でも、スラングを使わないようにすることはできるはずだ」

レヴィ「つっても、もう体に染みこんでるものを出すなって無理だろ?向こうが銃を抜けばこっちだって抜くのと一緒だ」

エダ「円滑なコミュケーションは出来る奴の必須条件のはずだけど」

レヴィ「……ちっ」

エダ「それじゃあ、そろそろ行くよ。末永くお幸せに」

レヴィ「糞食って死ね!!!」

ロック「ああ、またな。エダ」

レヴィ「ったく。胸糞悪いやつだ……」

ロック「それで、レヴィ。このシャツだけど」

レヴィ「いらねえよ。てめえの目的忘れたのか?これは予定になかったんじゃねえのか?」

ロック「いいのか?アロハシャツ」

レヴィ「いいんだよ。ほら、さっさと歩けよ。バカ」

ロック「バカってなんだ?怒るぞ」

レヴィ「おっもしれぇ!どう喚くか見といてやるよ!ほら、泣き喚けよ」

ロック「いい大人が泣き喚いたら、レヴィが困ることになるけど、いいんだな?」

レヴィ「よくねえよ!!!」

ロック「よかった」

レヴィ「くっ……。バーカ!!バーカ!!ロックのうんこやろうー!!!」

ロック「な……!!レヴィ!!なんだその子供みたいな悪口は!!」

レヴィ「てめえみたいなお子様に合わせてやってんだろ!!」

ロック「ただの子供の口喧嘩になるぞ、レヴィ?」

レヴィ「うんこロックにはこれで十分だろ、ハッ」

ロック「やめろ!!そんな言い方するのは!!」

レヴィ「なら、スラングの意味をきちんと理解しやがれ!!もう少しかっこよく言えるんだよ!!」

ロック「そんなこと言わなければいいだけじゃないか」

レヴィ「はぁ?ヘイヘイ、ロック。じゃあ、聞かせてくれよ。お前みたいなうんこ野郎を表現する言葉、なんかあるのか?」

ロック「名前で呼べばいい。俺はロックなんだからな」

レヴィ「だから、そのロックがうんこ野郎だから困ってるんだろ?」

ロック「レヴィ。レヴィだってうんこ呼ばわりされたら嫌だろ?」

レヴィ「その相手を殺すに決まってるだろ」

ロック「それと一緒だ。言わないでくれ」

レヴィ「ここで生きていくためにはな、ロック。言葉も大事なんだぜ?相手がそれだけでブルッたら儲けもんだろ?」

ロック「まぁ……正直、レヴィがうんこ野郎って喚いても可愛いだけだからな……」

レヴィ「だ、だれがかわいいんだよぉ!!こらぁ!!ふざけんな!!!しね!!」

ロック「もっといい言葉があるはずだ。レヴィ、それを考えたほうがいい」

レヴィ「そんなこと言われてもな……。あたしが育ったところじゃジョイント片手にコーラを飲んでるような奴らばっかりだったんだぜ?まともなことはいえねえな」

ロック「レヴィは何かに例えるのが上手いんだし、もっとソフトな言い回しを心がければいいんだよ」

レヴィ「だから、ロックみたいな糞や……うんこやろうはどういえばいんだ?」

ロック「ちゃん付けしてみるっていうのは?」

レヴィ「あぁ?ロックちゃんか?」

ロック「それで納得できるなら、それで良いと思う」

レヴィ「なら……。いや、おかしいだろ。うんこちゃんならわかるけどよ」

ロック「レヴィ……。その単語から離れたほうがいい」

レヴィ「んなこと言われても……」

ロック「歩きながら考えればいい。俺も隣で考えるから」

レヴィ「おう、サンキュ。――いや、離れろよ!!ロックちゃん!!!」

ロック「す、すまない……。そうだな。俺は俺の目的を果たすか」

レヴィ「ったく、急に隣を歩くとかできるわけねーだろ……。きもちわりぃ」

ロック「こっちの通りはダッチもあまりチェックしてないんじゃないかな。まぁ、情報通のダッチだから店の存在ぐらいは知っているだろうけど……」

レヴィ「ヘイ、ロック。そっちに行くんじゃねえよ。そっちに行っても何もねえよ。溝水啜って生きているような奴らが他人の金目当てで物陰にいるからな」

ロック「そうなのか?」

レヴィ「ニュージャックが歩く場所じゃねえよ、こっちにこい」

ロック「レヴィが居てくれなかったら、俺は今頃強盗にあっていたってわけか」

レヴィ「そういうことだな」

ロック「ありがとう。助かった」

レヴィ「いや、別にお前がどうなってもあたしには関係ないけどな。てめえの自業自得だ」

ロック「でも、守ってくれるんだろ?」

レヴィ「いや、しらねーよ」

ロック「出てくるとき、言ったじゃないか」

レヴィ「いってねーよ!!このうん……便器野郎!!」

ロック「便器!?どういう意味だ!?」

レヴィ「あぁ!?うんこやろうの違う言い方だろうが。それが嫌なら、そうだな……トイレ野郎だ」

ロック「レヴィ!!どうしてその場所から離れようとしないんだ!!」

レヴィ「うっせーなぁ……。注文が多いぜ……」

ロック「まずは排泄行為から離れたほうが良いんじゃないか?」

レヴィ「そうなるともう糞って意味が相手に通じないだろ」

ロック「それなら……牛乳拭いた雑巾野郎でもいいんじゃないか?」

レヴィ「長いだろ。舌噛んだら、責任とってくれんのか?」

ロック「虫で例えるとかはどうだ」

レヴィ「ダニ。ノミ。蛆虫。ハエ。ゴキブリ。どれがいいんだ?」

ロック「レヴィの好きなように呼べばいいと思うけど」

レヴィ「なら……。ダニ野郎だな」

ロック「分かった。それでいこう」

レヴィ「おい、ダニ野郎。店を探すならこっちに出たほうがいいぜ」

ロック「そうなのか。ありがとう」

レヴィ「ダニ野郎はホントにダメだな」

ロック「……こっちか」

レヴィ「ダニ野郎。勝手に動くなってなんど言えばわかんだよ、ダニ野郎。……ダニ野郎ってなんだよ」

ロック「お。この店は知らないな。レヴィはこの店、知っているか?」

レヴィ「あぁ?こっち向くんじゃねえよ、ゴミクズ野郎。あたしは知らないな。多分、ダッチも知らないんじゃないか?」

ロック「そうか……。よし、ここに入ってみよう」

レヴィ「待てって、ゴミ野郎。あたしが先に入ってやる」

ロック「どうして?」

レヴィ「変な店だったらどっかのバカ野郎が身包み剥がされて出てくることになるかもしれねえだろ?」

ロック「なら、任せる」

レヴィ「ああ。ちょっと待ってろ」

ロック「……」

レヴィ「――おい、ロック野郎。大丈夫だ。普通の店だな。いい酒置いてるみたいだぜ?一杯、やってくか?」

ロック「そうだな。味も見ておきたいし」

レヴィ「よし、いくぞ。ロック。お前の奢りだからな」

ロック「それはいいけど。もういいのか、糞野郎に代わる呼び方は」

レヴィ「どれもしっくりこねえし、もうロックでいいことにした。感謝しろよ、ロック」

ロック「そうか」

レヴィ「飲むだけならイエローフラッグでもいいんだけどな。食い物まで求めるとなるとまた違ってくるからな」

ロック「そうだな……」

レヴィ「どうしたんだよ?」

ロック「いや。レヴィに色々と迷惑をかけているなと思って……」

レヴィ「あぁ?今頃気がついたのかよ。おせー。その上、鈍いときた。救いようがねえよ」

ロック「悪い、レヴィ。俺、もう少しスラングを勉強してみる」

レヴィ「おー、そりゃ助かるな。あたしとしても嬉しい限りだ。ほら、グラス空じゃねえか」

ロック「ありがとう。レヴィだって使い慣れた言葉のほうがいいんだろ、やっぱり」

レヴィ「ったりめえだろ。でも、相手に通じなきゃ意味がないのも確かだ。だから、暫くはお前のことはロックって呼ぶ。いいか?勘違いするなよ?このロックの中には糞野郎って意味も篭ってるからな」

ロック「ファックは入ってないのか?」

レヴィ「それも入ってる」

ロック「……よし」

レヴィ「まて、死ねってことだからな。名前呼ぶたびにファックの合図になってたら、あたしはお前のことよべないだろーが!!」

ロック「おいとか、お前でいいじゃないか」

レヴィ「そ、それはなんかまた違う感じになっちうじゃねーか!!いいかげんにしやがれ!!!うんこやろー!!!」

ロック「レヴィ、酒の席でそれは言っちゃいけない」

レヴィ「……なぁ、ロック。どうして分かってくれねえんだよ。あたしがファックっていう時は死ねって意味しかねえよ」

ロック「なら、レヴィ。本当にしたいときはどういうんだ?」

レヴィ「は?」

ロック「ファックという単語を使わないってことだろ?」

レヴィ「おいおい、ロック?勘弁しろよ。そんなのいちいち言うか?その場の雰囲気で分かるだろ?」

ロック「でも、レヴィがいきなり迫ってきたら少し怖い。何か合図があれば嬉しいんだけどな」

レヴィ「それは3日ぐらい前から……。いや、なんでお前にこんなこと話さないといけねえんだよ!!」

ロック「可能性はゼロじゃない」

レヴィ「ゼ、ゼロにきまってんだろ!!!」

ロック「そんな。あんなに俺に向かってファックって言ってたのにか?」

レヴィ「だから、死ねって言ってたんだよ!!」

ロック「その中に一回ぐらい、本来の意味で叫んでいたことはないのか?」

レヴィ「それは……。あ、あるわけねーだろ!!!うんこやろー!!!しょんべんたれー!!!」

ロック「レヴィ、酒がまずくなるから。そう言うことは控えてくれ」

レヴィ「てめえが悪いんだろ!!!ファッ……しねっ」

ロック「なら、普段は死ねって言ってくれ。俺はレヴィにファックって言われるたびに淡い期待を抱いていたんだ」

レヴィ「期待すんな」

ロック「悪い。スラングを理解していれば、こんな期待を持つこともなかったんだけど」

レヴィ「ったく……」

ロック「……」

レヴィ「分かった」

ロック「なにが?」

レヴィ「お前がスラング覚えるまでは極力言わないでいてやる。それでいいな?」

ロック「助かる」

レヴィ「ホントにファックした気分だぜ……」

ロック「ありがとう」

レヴィ「こ、殺したいって意味だよ、ダボ」

ロック「スラングは使わないって言ったから」

レヴィ「うっせ……。独り言は別だろうが……」

ラグーン商会

ロック「ただいま、ダッチ」

ダッチ「どうした?別に顔を出す必要はどこにもねえぞ?」

ロック「いい店を見つけたから報告しておこうと思ってね。社員には報告義務があるからね」

ダッチ「ちがいねえ。それで、どうだった?」

ロック「ああ。最高の酒と飯にありつける穴場だ。イエローフラッグよりは小規模だけどね」

ダッチ「そんなことを気にするようなケツの穴が小せえやつはここにはいねえだろ。ベニボーイもレヴィもな」

ロック「ああ、一応レヴィは絶賛していた」

ダッチ「レヴィの味覚は当てにならねえけどな。それよりも、だ。ロック」

ロック「なんだい?」

ダッチ「レヴィとはどうなんだ?最近、悩んでいたみたいだが」

ロック「ああ。全部スラングだったよ。とても残念だ」

ダッチ「あのレヴィが本来の意味で叫ぶようなレディーじゃないってことだな」

ロック「そうだね。でも、俺はあのレヴィだからこそっていうのに賭けていたんだけど……」

ダッチ「……ん?おい、ロック、その言い方、ひょっとして……」

ベニー「ごめんよ。1日留守にして」

ダッチ「おう、帰ってきなすったか。それもいいタイミングだ、ベニボーイ」

ベニー「沈没船から金銀財宝でもサルベージできたとか?」

ダッチ「それに近いな。ロックが新たな憩いの場を見つけてきてくれた。明日はオフだし、行ってみるか?」

ベニー「ダッチの奢りなら付き合うよ」

ダッチ「ちゃっかりしてやがる。ロックはどうする?」

ロック「俺は休むよ。今日はレヴィが部屋にくるらしいからね」

ダッチ「おう、そうか」

ベニー「ロック、あまりにレヴィをからかわないほうがいいと思うけどよ」

ダッチ「ああ。爆弾の導火線に火をつけて遊んでるようなもんだぜ、ロック?」

ロック「何を言っているんだ。俺はスラングを良く理解できていない、日本人だ。会話に齟齬が生まれるのは当たり前なんだよ」

ダッチ「まぁいい。ほどほどにな」

ベニー「それじゃあ、おやすみ」

ロック「おやすみ」

ロック「さてと……部屋に戻るか……」

>>171
ベニー「ロック、あまりにレヴィをからかわないほうがいいと思うけどよ」

ベニー「ロック、あまりにレヴィをからかわないほうがいいと思うけどね」

ダッチ「――にある店らしいんだけどな」

ベニー「ああ、それはなら……」

レヴィ「よう、ご両人。穴場にいくのか?」

ダッチ「お前らの成果を吟味しにな」

レヴィ「そうか」

ベニー「レヴィは今からロックの部屋かい?」

レヴィ「いや。違うけど」

ダッチ「そうなのか?……ロックはお前と一夜を過ごす気満々だったけどな」

レヴィ「な……!?しるかっ。あんなうんこやろー」

ダッチ「これもロックから聞いたんだが、スラング使うのやめたんだってな」

レヴィ「あぁ?別にやめてねーよ」

ダッチ「いい傾向だな。そのまま淑女になっちまえばいい」

レヴィ「はやくいけよ」

ベニー「……そうだ、レヴィ。ちょっといいかい?」

レヴィ「あ?まだ何かあんのか?」

ロック「そろそろかな……」

レヴィ「――ヘイ、ロック。来てやったぞ」

ロック「レヴィ、待ってたよ。さあ、飲みなおそうか」

レヴィ「そうだな。飲みなおすか……色々とな……」

ロック「どうしたんだ、レヴィ?」

レヴィ「ロックの糞野郎!!!ファック!!!」

ロック「ファック?」

レヴィ「てめえ……スラング知らない振りしてたんだってなぁ……?」

ロック「……誰がそんなことを?」

レヴィ「ダッチとベニーが教えてくれたぜ?」

ロック「レヴィ、誤解だ。俺は何も知らない」

レヴィ「……」

ロック「信じてくれ。スラングを知らないからこそ、今日は様々な危険な目にあったじゃないか」

レヴィ「気づくべきだったぜ。ビッチって言葉はきちんと理解しているっぽかったもんなぁ……お前……」

ロック「あ……」

レヴィ「カトラスでケツの穴を増やされたいか、口を頬にも作ってほしいか……選べよ……ロック……」

ロック「待ってくれ。レヴィ。これは……その……」

レヴィ「今のうちに言っとけ。墓石に掘る言葉をなぁ……」

ロック「――すまない!!レヴィ!!!」

レヴィ「あたしをここまで虚仮にするとは、いい度胸だなぁ、おい、ロック。あ?」

ロック「言い訳させてくれ!!」

レヴィ「何が言い訳だ、こら。どんなもの並べられてもあたしは納得しねーぞ!!!おらぁ!!!」

ロック「レヴィがあまりにも俺に対してファックを連呼するから、その中に一つぐらい本来の意味で使っているかもしれないと考えたのが始まりなんだ!!!」

レヴィ「長い。五文字でまとめろ」

ロック「それは本当だ!!」

レヴィ「てめえはロアナプラでも例を見ないさいってぇな糞野郎だ!!!ファック!!!」

ロック「ファック!!」

レヴィ「誰に向かってファックって言ってやがる!!!こらぁ!!!!」

ロック「レヴィ……」

レヴィ「お前はあたしが困ってるのを見て、喜んでたんだよなぁ……なぁ、そうだろ、ロック?おい、笑えよ。ほら」

ロック「悪かった……。途中からレヴィが可愛く見えて……やめどきを……その……」

レヴィ「……」

ロック「だから……」

レヴィ「お前にある穴という穴にフォーファイブで撃ちこんでやりたいぜ。全く」

ロック「ファック」

レヴィ「ファックっていうんじゃねえよ!!!」

ロック「俺は今、本来の使い方をしている」

レヴィ「そういえばあたしの機嫌が直るって思ってんのかよ!?あぁ!?言ったよなぁ!?あたしはそんなに尻が軽くないって!!!」

ロック「そんなの見たら分かる」

レヴィ「どこみてんだよ!!!このやろう!!!」

ロック「ファック!!」

レヴィ「あぁぁ!!!ファックファックうっせえ!!!ひとりにマスかいてろよ!!!」

ロック「分かった……」カチャカチャ

レヴィ「おいおいおい。マジになんなよ。お前がひとりでやっててもあたしは楽しくねえだろ」

ロック「そうか……」

レヴィ「いいか、ロック。こういうのはな、落とし前が大事なんだよ。わかんだろ?」

ロック「ああ。そうだな」

レヴィ「どうするつもりだ?言ってみろ」

ロック「レヴィとファッ――」

レヴィ「あたしは3日前から予約しないとできない。心の準備にはそれぐらいかかる。今できることをやれ」

ロック「その予約を――」

レヴィ「舐めてんのか?もう、そんな気分じゃねえんだよ」

ロック「そんな……いつまでその気だったんだ……」

レヴィ「そりゃあ、酒を飲んだとき……って、あたしのことはいいんだよ。さっさと答えろ。でないと、言いやすくなるように無理やり口を広くしてやるぜ?」

ロック「分かった。俺の奢りで朝まで飲もう」

レヴィ「……よくわかってるじゃねえかよ、ロック。とりあえずそれでいい」

ロック「よかった……」

レヴィ「ただし」

ロック「な、なんだ?」

レヴィ「エダのクソ尼にはスラング分かってない振りを貫けよ。あたしが気がつかなかったって分かったらかっこ悪いからな……」



ダッチ「なぁ、今頃二人は何してると思う?」

ベニー「なんだろうね。あまり興味がない」

ダッチ「まぁ、そうだな」

ベニー「後押しになっちゃったかな」

ダッチ「俺としてはもう一波乱あってもいいと思ってたんだがなぁ」

ベニー「こっちの完敗だった」

ダッチ「まさかレヴィがあんなことを言うなんてなぁ」

ベニー「なんて言ったっけ?」

ダッチ「言うのも恥ずかしいな」

ベニー「でも、いい顔してた」

ダッチ「こりゃ、もう1日オフを伸ばさなきゃならねえか?」

ベニー「そうかもしれないね」

ダッチ「次に顔を合わせるときにはロックとレヴィの間にガキがいたら面白いんだけどな」

ベニー「……レヴィにそんな度胸はないと思うけど?」

レヴィ「いいか、ロック?別にな、あたしはお前のしたことを怒ってるわけじゃねえんだよ」

ロック「そうなのか?」

レヴィ「あぁ。ただ、楽しいことは山分けっていったお前が一人で楽しんでたっていうのが許せねえんだよ、あたしは」

ロック「すまない。レヴィ」

レヴィ「折角の気分が台無しになっただろうが。責任取れよ」

ロック「どうやって?」

レヴィ「ファック!!一つしかねえだろ!!!」

ロック「予約しておけばいいのか?」

レヴィ「……ぉぅ」

ロック「わかった。予約する」

レヴィ「……キャ、キャンセルとか……できねえからな……」

ロック「そうなのか?」

レヴィ「あと金貰うからな!!」

ロック「わかった。いくらでも出す」

レヴィ「……お、おう。いっぱい出せよ……うんこやろー……」

ホテルモスクワアジト

ボリス「例の件ですが、難航しており予定よりも数週間の遅延が予測されます」

バラライカ「そうか。……ファックだな」

ボリス「全くです」

バラライカ「同志軍曹、やはりファックだと思うか?」

ボリス「ええ」

バラライカ「そうだな。ファックしかない、私もそう思っている」

ボリス「同感です」

バラライカ「では……」

ボリス「はい。予定をこれ以上遅らせないために尽力いたします。それでは、今日は失礼いたします」

バラライカ「あ……」

バラライカ「………………ふぁっくっ」



END

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