【オリジナルキャラ】無題【人外】 (12)

 桜が舞う、春の通学路。
 
 今日から、僕-逢坂春樹は高校二年生になる。
 
 新しい季節、新しい生活への期待感からか、通学路を歩く去年の同級生達や、通り過ぎていくクラスメイト達も、どこかいつもより楽しげに見える。

 ふと、空を見上げれば、そこには、優しく微笑む太陽と、眠たげに漂う小さな雲。そして・・・


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ハーピー「あ、逢坂くんおはよー!」バッサバッサ

春樹「・・・おはよー」



 そして、通学飛行路とでも呼ぶべき空を飛んで行く、明らかに人とは違った友達。



(ハーピーもとい)羽田「それじゃあ、アタシ今日は始業式の準備だから、先に行くねー!」バサッ!

春樹「あ、うん。頑張ってねー」フリフリ



 

 彼女だけじゃない。視線を巡らせれば、あちこちに人とは違うヒト達を見かける。

 バス停のベンチに座り、自分の下半身を持ち上げてお婆さんにスペースを作る、ラミアのOLさん。

 何やら口喧嘩をしながら歩く、犬の耳を生やした女の子や、猫の尻尾を生やした男の子。

 転がった自分の首を、散歩中の犬に遊ばれて困っているデュラハンのサラリーマンと、ぺこぺこ首を下げている、犬のリードを掴んだろくろ首のお婆さん。

 そして・・・



???「おはようございます、春樹」

春樹「ああ、おはようクリス」

クリス「はい。今日もいい天気ですね」パッカパッカ



 そして、専用に改造された制服を来て歩いてくる、ケンタウロスの女の子。




クリス「今日から新学期です。早く学校に行きましょう」

春樹「うん、そうだね」



 そう答えて、僕は、ケンタウロスの友達と通学路を歩き出した。

 ー12年前に始まった、『外界人』と呼ばれるヒト達(簡単に言えば、妖怪やお化け、空想上の生き物と思われていたヒト達)との国交。

 最初は、日本に昔から住んでいたらしい『外界人』との国交だったけど、5年前から、僕達人間と接するチャンスだと、日本以外の国からも『外界人』が訪れるようになった。

 なんでも、諸外国では未だに『外界人』は酷い差別や、迫害を受けているらしく、まともな交流は持てないらしい。

 そこで、『外界人』達と10年以上の交流を持つ日本に留学する事になったらしい。
 このクリスも、そんな諸外国の『外界人』の1人で、イギリスからの留学生だ。

 そんな事を何となく考えながら歩いていると、



クリス「は、春樹。実は、今日はお弁当を作ってきたのですが・・・」

春樹「え? ああ、そうか。始業式の後、お昼を食べてLHRだったっけ」



 今日のLHRでクラス委員や各委員会の担当、自己紹介を済ませて、明日から早速授業。正直、もう少し余裕を持ってもいいと思うんだけどなあ・・・。



春樹「・・・って。お弁当忘れちゃったよ」



 しまったなあ。母さんに説明するの忘れてた。



クリス「そ、そうですか! では、一緒にお昼を食べませんか?」

春樹「え? いいの?」



 それは助かるけど、クリスの分が足りなくなるんじゃ?

クリス「じ、実は少し多く作ってしまったので、食べてくれると助かるのですが・・・」

春樹「そうなんだ。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

クリス「! はいっ」ニコッ



 良かった。わざわざお金を出して買いに行く必要も無くなったし、クリスの料理は美味しいし、今からお昼が待ち遠しくなってきた。



???「あら、二人とも相変わらず仲が良いわね」

春樹「え? あ、椿先輩。おはようございます」

クリス「む・・・」

椿「ええ、おはよう春樹くん」



 僕らに声を掛けてきたヒト・・・女郎蜘蛛の椿先輩だ。クリスは下半身が馬だけど、女郎蜘蛛の椿先輩は、下半身が蜘蛛になっている。

 正直に言えば、初めて出会った時はかなり驚いた。でも、今では気にならなくなっている。人って、慣れる生き物だよね、うん。

椿「? どうしたの、春樹くん? そんなに見つめられると、流石に照れるわ・・・///」モジモジ

春樹「へっ? い、いやいや! 別にそんなつもりじゃ・・・!」

クリス「春樹・・・?」ジトー…

春樹「だから、そんな事してないって!」

椿「あら。私は春樹くんになら構わないわよ? 会う度に見つめてくるんだもの、慣れたしね」クスクス

春樹「椿先輩、あまりからかわないでくださいよ。クリスの視線が物理的な力を持ち始めてるんです」



 視線が刺さるとはまさにこの事を言うのだろう。

クリス「春樹! 早く学校に行きましょう!」グイッ

春樹「うわっ、と! ど、どうしたのいきなり!」

椿「急に引っ張ると危ないわよ? お馬さん?」

クリス「椿! 貴女にお馬さん呼ばわりされる筋合いはない!」

椿「あら、怖い怖い」



 この二人、何故か仲が悪い。去年出会った頃から、顔を合わせる度にこんな感じなんだよなあ・・・。



 椿「あ、そうだ春樹くん。今日、お昼ご飯を一緒に食べないかしら?」

春樹「え?」

クリス「!?」



 椿先輩からお昼の誘いか。もう既にクリスと約束してるんだよね。だったら・・・



春樹「今日は、クリスと約束してたんですよ」

クリス「そ、そうです!」

春樹「だから、三人で食べませんか?」

クリス「はい、三人で・・・。え?」



 うん。一緒にご飯を食べれば、この二人も少しは仲良くなるかもしれないしね。我ながら良いアイデアだ。

椿「あらそう? それじゃあ、一緒に食べましょうか」

春樹「はい、そうしましょう」

クリス「・・・」



 よし、これで二人が仲良くなれば、僕も嬉しいし、仲が悪いより、仲良しな方がいいにきまってるしね。



春樹「楽しみだね、クリス」

クリス「知りません! 春樹の馬鹿!」



 いきなり罵られるとは。この流れは予測できなかった。

 そのまま、特に会話もなく、何となく気まずい空気のまま、学校に着いた。



椿「それじゃあ、またお昼にね?」

春樹「あ、はい。また後で」



 椿先輩は三年生だから、学年が違う僕達とは昇降口で別れた。

春樹「それじゃあクリス、僕達も・・・」

クリス「・・・」ブスー

春樹「・・・クリス。何で膨れてるのさ」

クリス「貴方のせいですよ、全くもう・・・」ハァー…



 何だ。僕が何をしたって言うんだ。そんなに椿先輩とお昼を食べるのが嫌だったのか。



春樹「あんまりさ、椿先輩を嫌うなよ。悪い人じゃないんだからさ」

クリス「そう言う事じゃないんですっ!」

春樹「え、ええー・・・?」

クリス「・・・はぁ。貴方に言っても分からないですよね・・・」パカパカ…



 呆れたようにそう言うと、さっさと行ってしまった。



春樹「・・・何がそんなに気に食わないのかな?」


 まあ、今は気にしても仕方がないかな。取り敢えず教室まで行かないと。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月11日 (火) 17:04:48   ID: 3KKublds

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