まる子「『まる子、ワグナリアへ行く』の巻」 (118)

ひろし「なにぃ? レストランに連れてってだと」

まる子「だってさ、今夜はお母さんもおばあちゃんもお姉ちゃんも」

まる子「用事でいないんだよ。そんな日くらい連れてってくれてもいいじゃん」

ひろし「面倒くせぇ。てんやものでもとりゃいい話じゃねぇか」

まる子「やだやだやだー、たまにはレストランで食べたい~!」

友蔵「そうじゃそうじゃ。わしもレストランで食べたい~!」

ひろし「ったく、しかたねぇな。わかったわかった、行きゃあいいんだろ」

まる子「えへへ、やったねおじいちゃん」

友蔵「レストラン万歳じゃ」

ヒロシ「ったくよ、言い出したらキリがねぇんだからよ」

まる子「そういえば、あてもなくこうやってぶらぶら歩いてるけど」

まる子「どこのレストランに行こっか」

ヒロシ「もう探すの面倒だし、あそこのレストランでいいんじゃねぇか」

まる子「ワグナリア、か。うん、いいんじゃない」

友蔵「ほぉ、なかなかハイカラそうなレストランじゃのう」

キートン:適当なことを言うな

ひろし「よし、そうと決まれば入るぞ」

まる子「わーい、レストランレストラン~」

ウィーン

小鳥遊「いらっしゃいませー」

小鳥遊「お客様、三名様ですか?」

ひろし「あ、はい」

小鳥遊「では喫煙席と禁煙席どちらをご希望でしょうか?」

ひろし「喫煙席でお願いします」

小鳥遊「では、ご案内しますのでこちらへ……ん?」

まる子「え?」

小鳥遊「……」

友蔵「あのぉ、ウチの孫が何か?」

小鳥遊「この子……かわいいですね!」

まる子「え、あたし? そ、そうかな、えへへ」

小鳥遊「お名前、なんて言うのかな?」

まる子「えっと、あたしさくらももこ」

まる子「でもみんなからまる子とかまるちゃんって呼ばれてるんだ」

小鳥遊「そっかー、まるちゃんか。名前もかわいいなぁ」

ひろし「あの、案内を」

小鳥遊「あ、そうでした。申し訳ございません。こちらです」

ヒロシ(おいおい、この男いい年こいてよそ様の娘愛でやがって)

ヒロシ(うっとうしい奴だな……)

キートン:この怪しい店員に対し一抹の不安がよぎるひろしであった

小鳥遊「それではご注文がお決まりでしたら、お呼びください」

友蔵「はい」

小鳥遊「それじゃーね、まるちゃん」

まる子「うん!」

ヒロシ「おい、まる子。あんな男とあんまり馴れ馴れしく話すもんじゃないぞ」

まる子「え、なんでさ。あのお兄さんいい人じゃん。まる子のことかわいいだなんて」

まる子「なかなか見る目あるよー」

ヒロシ「何言ってやがる」

ヒロシ「あの食いつきよう、明らかに怪しいだろうが」

まる子「え、そうかな?」

友蔵「ひろしの考えすぎじゃ」

友蔵「まる子のことを愛でる人に悪い人なんているものか」

友蔵「きっと好青年に決まっておる。なぁ、まる子?」

まる子「そうそう」

ヒロシ「けっ」

まる子「それより早く、注文決めようよ」

友蔵「そうじゃ、ワシはもうお腹ぺこぺこじゃ」

ヒロシ「そうだな。これがメニューかどれどれ」

永沢「あ、さくらじゃないか」

藤木「本当だ」

まる子「あれ、あんたたちこんなところでどうしたの?」

山根「僕と永沢君と藤木君と小杉君で新年会をしようって話になってね」

小杉「このレストランで新年会をしに来たのさ」

まる子「へぇ、あんたたちがねぇ……」

キートン:いやな新年会である

藤木「さくらはお家の人と外食かい?」

まる子「うん。あたしとお父さんとおじいちゃんで晩ご飯食べに来たんだ」

永沢「そうかい。まぁ、そっちはそっちで精精楽しんでくれよ」

まる子「そりゃ、どうも」

山根「それじゃ僕らはあっちの席へ行こうか」

小杉「おう。早く食い物頼もうぜ。俺腹減っちまったよー」

ヒロシ「今のまる子のクラスメートたちだよな」

まる子「うん、そうだよ」

友蔵「まる子のクラスは本当に変わり者が多いのう」

キートン:あんたにだけは言われたくない

まる子「そんなことより注文、注文」

まる子「あたしね、お子様ランチ」

友蔵「じゃあ、ワシもお子様ランチにするかのう」

まる子「えへへ、まる子とおそろいだねおじいちゃん」

友蔵「おそろいじゃ!」

ヒロシ「俺はそうだな、ビールと中華麺にすっか」

ひろし「よーし、すんなり決まったな。じゃあさっそく呼ぶか」

ポチ ピンポン

八千代「はーい、お待たせしました」

ヒロシ(ほっ、さっきの男じゃなくてよかった)

八千代「ご注文お伺いします」

ヒロシ「えーと、まずお子様ランチを二つに」

まる子「お、お父さん! あのお姉さんの腰ぃ!」

ヒロシ「腰だと?」

ヒロシ「げっ!」

ヒロシ(こ、こいつ刀持ってやがるぞ……!)

八千代「あの、お客様?」

八千代「ご注文の続きを」
ヒロシ「す、すみません! ちょっと待ってもらえますか!」

八千代「はい」

ヒロシ「なんで刀なんか持ってやがるんだ」ヒソヒソ

まる子「そんなこと、わからないよぉ……」

友蔵「き、きっと、無銭飲食した不届きものをあの刀で斬っておるんじゃ……!」

まる子「ヒェー! お、お父さんちゃんとたくさんお金持ってきてるよねぇ!?」

ヒロシ「ま、待て今財布を確認する!」

八千代「?」

ヒロシ「ひぃふぅみぃ……よし、なんとか平気そうだ」

ヒロシ「いいか、お前らあんまり追加とか頼むんじゃねえぞ」

まる子「うん! 命には代えられないもんね……!」

友蔵「ワシもまだまだ長生きするんじゃ」

八千代「あの、お客様。そろそろご注文の方よろしいでしょうか」

ヒロシ「ひ、ひぃ! お待たせしてどうもすみませんでした!」

八千代「いえ、そんな」

キートン:これではどちらが客なのかわからない

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