※主人公は男です(あらゆる意味で)
※どうもこれの続きらしいです→ハルオミ「聖なる探索も終わりだな……」主人公「……」 - SSまとめ速報
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ハルオミ「お前にはさ……夢、ってあるか?」
主人公「……」
ハルオミ「俺は、さ。こんな時代だから、ロクな教育も受けずに育ったんだ」
主人公「……」
ハルオミ「お前のとこのシエルやロミオ、ナナやジュリウスの話なんかを聞いてると、なんだか羨ましくなってくるんだよな」
主人公「……」
ハルオミ「いやもちろん、あいつらにも色んな事情があったんだ、ってことはわかってる」
ハルオミ「それでも時々、考えずにはいられないんだ」
ハルオミ「ああ、俺にはどうして、通うべき学び舎すらも与えられなかったんだろう、って」
主人公「……」ポンポン
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ハルオミ「はは、ありがとな。でも、そんな俺だからこそ……より強い想いを、抱くことができるのかもしれない」
主人公「……」
ハルオミ「話に聞いただけの俺にもはっきりとわかった」
ハルオミ「次の時代を生きる子どもたちのためにも、日々学び、日々笑い合うことのできる場所は絶対に必要だ」
ハルオミ「誰に対しても分け隔てることなく、しかも無償で開かれるような――そんな学び舎が」
主人公「……」コクリ
ハルオミ「俺の夢はさ……いつかそんな学校を、世界の至るところに開いて……」
主人公「……」
ハルオミ「そして……そして、俺の……俺の……!」
「俺好みの制服を、この世全ての女子に着せることなんだ……!!」
(例のBGM、スタート)
ロミオ「……」
ギル「……」
ナナ「……」
シエル「……」
アリサ「……」
コウタ「……」
ヒバリ「……」
リッカ「……」
(((また始まった……)))
主人公「『制服女子』……」
ハルオミ「わかってくれるか相棒! 俺のこの、魂の底から沸き上がる情動をッ!」ガシッ
主人公「……」グッ
ハルオミ「そう、それは等しく人類が分かち合うべき財産なんだ!」
ハルオミ「アラガミがいるから、物資がないから、人材が不足しているから」
ハルオミ「そんな理不尽な理由で奪われるべきものではないんだ……!」
主人公「……」
ハルオミ「誰の目をも憚ることなく、女子の制服を堂々と、鑑賞する権利というものはッ!!」
ヒバリ「とりあえず、私は分かち合ってもらわなくてもいいです」
リッカ「もっと別の、一般常識ってものを分かち合うべきだよね、まずは」
ハルオミ「ふう……俺としたことが、柄にもなく熱くなりすぎたな」
主人公「……」
ハルオミ「そうだな、確かにお前の言う通りだ」
ハルオミ「情熱はあくまで内に秘めたままで。紳士は常にクールじゃなきゃあならない」
ハルオミ「とはいえ……今の俺の昂りを、お前なら理解してくれるだろ? なぜなら」
主人公「……なぜならそれは、生きとし生ける全ての男が享受して然るべき、基本的人権なのだから」
ハルオミ「……」ピシガシグッグッ
主人公「……」ピシガシグッグッ
アリサ「だ、そうですけど」
ギル「あの二人が言うところの『男』って生き物は、この世に五割もいやしないんだよ」
コウタ「つーかあの二人だけであってほしいんだけど」
ハルオミ「この極東がまだ、日本という名の国だった時代の話だ」
ハルオミ「かの神国には憲法が存在した。日本国憲法という名の」
主人公「……」
ハルオミ「その中に、はっきりと定められているんだ。規定されているんだ。義務づけられているんだ」
ハルオミ「全て国民は、子女に教育を受けさせる義務を負う、と」
ハルオミ「即ち! 言い換えればそれは――」
ハルオミ「すべからく人民は、女子に制服を着せる義務を負う、ということでもある!」
主人公「!」
ロミオ「一億総ダメ人間!?」
シエル「マグノリア・コンパス時代の制服はどこにしまいましたっけ……」ウーン
ロミオ「ここにも一人いるし!?」
ハルオミ「要するに、だ」
主人公「……もはや制服女子とは我々にとって、権利ですらない」
ハルオミ「その通り。制服女子の存在をこの世に確定させ、普遍化を導くことは、俺たちに課せられた義務なんだ」
主人公「……」グッ
ハルオミ「ああ……闘おう!」
ハルオミ「いつの日か人類(女子)を、そのあるべき姿(制服)に戻すべく――俺たちは、世界とだって闘う!」
シエル「チェストの奥だったでしょうか……あ、でも昔の制服ですし、サイズもちょっと心配です……」ウーン
ナナ「シエルちゃん、私はシエルちゃんの将来がちょっとどころじゃなく心配だよ」
ハルオミ「というわけでここまで前振りなー。それじゃあそろそろ本題に入るか」
ハルオミ「今日はスペシャルゲストもお招きしてるんだが……まだみたいだな。まあ、先に始めてるか」
主人公「……」
ハルオミ「ん? ああ、軍服はこの場合別カテゴリだ。わかるだろ?」
主人公「……『軍人娘』」
ハルオミ「YES」グッ
ロミオ「よそでやってくんねーかな」
ギル「……今さらだが、俺らがよそに行くって選択肢は」
ロミオ「それはなんか、負けたような気がするじゃん?」
ギル「勝ちたいとも思わないけどな」
ハルオミ「そんなこんなで今回のターゲットを発表しよう」
ハルオミ「喜べ相棒。今回もお前に縁深いチョイスをしてやったからな」
主人公「?」
ハルオミ「俺は考えた……我々の身近に咲き誇る百花繚乱のうち、真に『制服女子』の称号を戴くに相応しい一輪とは、誰ぞ、いずこや?」
ハルオミ「答えは実にシンプルだった。答えはいつだってシンプルだった。お前にもすぐ、それが理解できるだろう」
主人公「……」
ハルオミ「フェンリル極東支部第一部隊隊員、エリナ・デア=フォーゲルヴァイデ」
ハルオミ「それが、今回俺たちが追い求める花の名だ」
主人公「……!」
シエル「私ではないのですか……残念です」シュン
ナナ「うん、シエルちゃん。私もね、今すっごく残念な気持ちだよ、シエルちゃん」
ハルオミ「ゴッドイーターは基本的に私服の着用が認められているが……」
ハルオミ「そこであえて学生時代の名残を持ち込んだ(と思われる)彼女に、俺は万雷の拍手を送りたい」
ハルオミ「エリナ、グッジョブ」グッ
主人公「……」
ハルオミ「そして、さすがは戦友。早くも俺の言わんとするところを察してくれたらしいな」
主人公「……」フッ
ハルオミ「では聞こうか同志。『制服女子』を構成する数多の要素のうち、コアとも呼ぶべき最重要ポイントとは?」
主人公「……『未熟さ』」
ハルオミ「そう。その通りだ。その通りなんだよ」
ハルオミ「何より肝要なのは、制服に『着られてる』感なんだよ……!」
主人公「……」
ハルオミ「桜舞い散る新学期、これから始まる学校生活に胸躍らせる新入生」
ハルオミ「友達はできるのか、勉強についていけるのか、部活は何にしようか」
ハルオミ「彼女らの前には無限の可能性が広がっている。何者にでもなれる」
ハルオミ「であるが故に、逆に不安が心臓の鼓動を早める」
ハルオミ「しかし。実は。本当は、だ」
主人公「……」
ハルオミ「本当はその瞬間こそが、『制服女子』としてのピークなんだ!」
ハルオミ「成長し、大人の女性へと階段を上るたび、彼女らは『未熟さ』を失っていく。『何者か』に近づいていく」
ハルオミ「それ自体は素晴らしいことなんだ。春の息吹は花の萌芽。新たな翼の羽ばたきに、俺たちはきっと酔いしれることだろう」
ハルオミ「だが、そうやって『何者か』が生まれた、その素晴らしき景色の先には」
ハルオミ「あの春の日の少女は、もう……いない」
主人公「……どうしようもない、ジレンマ」
ハルオミ「世の摂理とはいえ、遣る瀬ないよなぁ……」
コウタ「おいヤバイよあいつら、前回よりレベル上がってるよ」
ロミオ「むしろ下がってないすか?」
アリサ「人間として下がって、ダメ人間として上がってますね」
ヒバリ「要するに、ダダ下がりですね」
ハルオミ「少女と女性の狭間にいる彼女が、成熟した美しさを手に入れ、制服を着こなしてしまった時」
ハルオミ「そこには『制服女子』とは別個の、独立した個性が生まれてしまう」
主人公「……」
ハルオミ「俺たちが単に、かわい子ちゃんに下卑た視線を向けるだけの凡俗だったならば、それでも構わなかっただろう」
ハルオミ「しかし俺たちは――求道者だ」
主人公「……」コクリ
ハルオミ「制服が持つ魅力を前面に押し出しながらも、着られる側の輝きをまったく損なわず、むしろ融和して化学反応を起こす」
ハルオミ「俺たちは、そんな境地をこそ目指すべきなんだ……!」
主人公「……!」コクコク
ハルオミ「そこにいくとエリナは逸材だ。素晴らしい。実に素晴らしい」
ハルオミ「エリナが『制服少女』として優れている点は、大きく分けて四つある。わかるか?」
主人公「一つ、神機使いとしてのキャリアが浅い」
主人公「二つ、『後輩』キャラで『未熟さ』を補強、重ねがけしている」
主人公「三つ、14歳である」
主人公「四つ、CV阿澄佳奈」
ハルオミ「……」
主人公「……」
ハルオミ「……極東に来て、お前に出会えて、本当によかった。今、心底からそう感じたよ」
主人公「……」テレテレ
「「「…………」」」
コウタ「……あの二人を出会わせるべきじゃあ、なかった」
ヒバリ「今、心底からそう感じずにはいられませんね……」
ギル「……そろそろ先輩後輩の縁を、本気で切るべきなのかもな」
アリサ「むしろまだ切ってなかったんですか」
リッカ「ギルってその辺り、存外甘い性格してるよね」
ロミオ「そういえば、さっきからやけにシエルが静かじゃない? いやまあ、静かでいてもらった方が助かるんだけどさ」
ナナ「シエルちゃんは拗ねてカルビをモフモフしにいってしまいましたー」
コウタ「かわいいなオイ」
リッカ「あれで副隊長さん一筋でさえなければ、ねえ」
コウタ「なんていうか、今にしてジュリウスの偉大さがわかるよな」
ナナ「あそこに真正面から、しかも全力で突っ込んでったもんね」
ヒバリ「そういえば最近、ジュリウス隊長をお見かけしませんね。どうかされたんですか?」
「「「…………」」」
ヒバリ「……あの。もしかして私、聞いちゃいけないこと、聞いちゃいました?」
アリサ「嫌な……事件でしたね……」
ロミオ「……まあ、さすがのジュリウスも、あんなことがあったばっかりでここには現れないだろうし。それだけが救いだよな」
ギル「お前そういうこと言うと死亡フラグ立つからやめろ」
ロミオ「え、まさか俺の?」
ギル「いや、この場合はどっちかというと……」
ハルオミ「お前本気か? 確かにネクパイは男の夢だが……」
主人公「ベージュのセーターの下に潜り込む赤ネクタイ。アリだと思います」
ハルオミ「それはお前、アリかナシかで言えばアリだけどさ。制服女子との親和性もなかなかだしな」
ハルオミ「でもエリナだぞ? ネクパイできないぞ? ここはオーソドックスに紺のブレザーで攻めるべき……」
主人公「逃げるな」
ハルオミ「!!!」
主人公「男のロマンから、逃げるな」
アリサ「著作権侵害で訴えたい……」
コウタ「あいつが聞いたらなんて言うかな……」
リッカ「……意外と意気投合しそうで怖いんだけど」
アリサ「……」
コウタ「……」
リッカ「否定しようよ」
主人公「制服少女には無限の可能性がある」
主人公「そして、エリナにも」
ハルオミ「しかし……仮にネクパイ可能なほどに育ってしまったら、それはもはや……」
主人公「可能性は、ある」
ハルオミ「……」ハッ
ハルオミ「そうか、一つだけある」
ハルオミ「制服女子の青々しさと、ネクパイの凶暴性とを両立する、たった一つの可能性」
主人公「それは……」
ハルオミ「それは……!」
「ロリ巨乳、ですね?」
主人公「!」
ハルオミ「……はは。ようやくおいでくださいましたか」
??「感嘆に値すべき演説でしたわ、副隊長」
??「貴方の意志の力が、真綿に染み込む水のように、私の心臓にも拍動として伝わりました」
??「ところで……実は私にも近頃、新たな『波』が訪れているのです」
??「聞いていただけますか? そう、聞いていただけるのですね。では言います」
??「……始まりは、単なる義務にすぎませんでした」
??「『彼』が『それ』を受け入れたのは、職務上どうしても必要なことだったからで……最初はただ、それだけの関係だった」
??「しばらくは良きパートナーでした。『彼』の戦いに『それ』は必要不可欠で、幾度も修羅場をくぐり抜けるうちに、いつしか『彼』は『それ』を信頼しはじめていた」
??「しかし全ては――やがて来たる『侵食』のための、下拵えでしかなかったのです」
??「『その日』に前触れはありませんでした」
??「ある朝『彼』が目を覚ますと、身体が動かない。まるでなにか、重いものにのしかかられているかのように」
??「いや、ようにではない。いる。誰かがいる。誰かが自分の五体を拘束し、ねぶり回すように、穴が空くほどに見つめている――!」
??「そして『彼』は悟る。たった今、この瞬間、自分を雁字搦めにして絡めとっているのは、『それ』なのだ、と」
??「なぜだ、どうしてこんなことを! 俺たちは血よりも濃い絆で結ばれた仲間じゃあ」
??「くくくくく。おめでたい。おめでたいなぁ坊や。なんで俺が今まで、お前みたいな坊やに力を貸してやっていたと思う?」
??「だからそれは、仲間として」
??「『喰う』ためだよ」
??「!?」
??「おいおい、まさか忘れてたのか? 俺はもともと、そのためだけに生まれてきたんだぜ?」
??「そん……な……」
??「くく、んくくふふ。ずっとこの日を待っていたんだ。さあ受け入れろ、飲み込め、俺の愚者の空母を……!」
??「ま、待て! そっ、そんな、そんなモノが、俺の創痕の防壁に入るわけが、づッ、っうンン!!?」
??「もう遅いわ! この身体の主導権は、今日から俺がいただく! んふっ、くくくふっ、こんなにもロングブレードをそそり立たせやがってぇ、リンクバーストの用意はいいかぁ?」
??「ン゛ーッ! ン゛ン゛ーーーーーッッ!!!」
??「ほぉれほぉぉれどうしたぁ? まだまだこんなものはレベル1だぞぉ? これからレベル2、レベル3と順にぃ、連結解放してってやるからなぁジュリウスぅぅぅ?」
??「ン゛ア゛アアア゛ァァ゛ア゛アアア゛ァァ゛ア゛アアア゛ァァ゛ッッッッッ゛ッ!!!!」
主人公「……」
ハルオミ「……」
ジュリウス「……」
??「と、いう具合に。最近の私のムーヴメントは……」
ラケル「P66偏食因子×ジュリウスの織り成す裏切り陵辱シチュエーション、なのです」ニッコリ
(例のBGM、スタート)
ジュリウス「……」カタカタ
ロミオ「……早速ジュリウスが死にそうな顔になってる」
ギル「なんでまたあいつ、博士に付いてきちまったんだよ……抗鬱剤処方されたんだろ、飲んで寝てろよ……」アタマカカエ
ナナ「ジュリウスってそういうとこ健気だよねえ。とりあえずソファに寝かせとこっか、よいしょっと」ズルズル
本日ここまで
こんなクッソ汚いモノを書いたのは生まれて初めてです
まったくどうかしてますね
常識人側にいるけどロミオもコウタも
シプレのおっぱいガン見して騒いでなかったか?
>>34
私は疑う余地もないレベルの常識人ですがシプレの腰が大好きです
よってその二人も常識人です
では始めますね
ハルオミ「あー、おほん。と、いうわけでだ」
ハルオミ「次回の探求より、我々『聖なる探検隊』のオペレーターを務めていただく、ラケル・クラウディウス博士だ」
ラケル「よろしくお願いいたします」ニコ
主人公「……」パチパチ
ラケル「ターゲットの萌えポイントを何処に見出すのか、ベストシチュエーションとは如何にして演出されるべきなのか、撮影に適したアングルはどの角度に隠れているのか」
ラケル「皆様の探求に必要かつ十分なポイントを余さず、完璧にアドバイスさせていただきますわ」ニッコリ
ヒバリ「えええええええええ………」
アリサ「あの人たちはミッションをなんだと思ってるんでしょうか」
ハルオミ「一騎当千の援軍を得た気分ですよ、ラケル博士。ようこそ約束の地へ」
ラケル「まあ、ハルオミ隊長。そのように他人行儀な物言いはお良しになって?」
ラケル「どうぞラケルと、そうお呼び捨てください」ニッコリ
ハルオミ「はっは、これはこれは……参ったね、どうも」フッ
ハルオミ「もしかして俺というオスに興味がおあり? だが申し訳ない、なにぶん俺はケイトに操を立てている身でね」
ラケル「いいえ。そういった戯言にはまったく興味がございませんので」ニッコリ
ハルオミ「あっはい」
ギル「……」
コウタ「誰が誰に何を立ててるって?」
リッカ「粗末な棒切れでも立ててるんじゃない?」
ラケル「さて、と。お話はどこまで進んでいたでしょうか?」
ハルオミ「そこにいる我らが同志が、エリナ嬢の新たなる進化の可能性を見出したところだな」
主人公「……」
ラケル「ロリ巨乳……官能的な響きですわ」
ハルオミ「ああ。『ロリ』なところがポイントだな」
ラケル「あくまで素体の未熟さを損なわず、しかしてその魅力は最大限に引き出される」
ハルオミ「それこそが、『ロリ巨乳ネクパイinセーター』……!」
ラケル「対象のパーソナルデータを参照した限りでは、極めて実現の可能性は低い……それでも、貴方は」
主人公「……ロマンからは逃げられない」
主人公「逃げるわけには、いかない」
ラケル「……私の力の及ぶ限り、協力は惜しみませんよ」ニッコリ
ロミオ「やめてくれよ……(絶望)」
ラケル「しかし今は、議論をより深めることが先決」
ハルオミ「属性、だな?」
ラケル「はい。属性に関する考察が美の追求に齎す効果の顕著なことは、以前シエルのケースでも実感していただいた通り」
ラケル「エリナさんに関しては既に、『後輩』キャラを確立させつつある、との指摘があったようですね」
主人公「……」
ハルオミ「だが……それでは真に、彼女の本質に辿り着いたことにはならない」
ラケル「……」
ハルオミ「エリナの属性にはもっと、俯瞰して捉えるべきはっきりとしたフレームワークがある」
ハルオミ「貴女が言いたいのはそういうことだろう、ラケル?」
ラケル「……」ニッコリ
ハルオミ「ふっ。俺もまだまだ、捨てたもんじゃあないね」
ハルオミ「それじゃあ例によって、せーのでいこうか」
ハルオミ「よもやこの場に、この期に及んで理解の及ばない素人がいるはずもなし」
ラケル「ええ、それではいきましょう」
主人公「……せーの」
「「「ツンデレ!」」」
主人公「……」
ラケル「そう。まさにそれは、王道の中の王道。属性の中の属性」
ハルオミ「古今東西ありとあらゆる媒体に、かのキャラクターが顔を出さなかったことはないとさえ言われる、属性界の生き字引」
ハルオミ「それこそが……ツンデレ!」
ラケル「副隊長。いまや世間一般に通ずるワードへと開展を果たしたツンデレ、その概略を述べなさい」
主人公「一般に流通する萌え要素がポニテ、アホ毛、貧乳などの視覚的記号であるのに対して、ツンデレは人間関係にその基盤が存在する。言わば社会学的萌え要素」
主人公「ツン形態とデレ形態のギャップに比重が置かれることは論を俟たないが、そのスイッチがどこにあるのかについては解釈が流動的かつ多様化しており、確定された定義を有しない」
主人公「一説にて原義とされる『時間経過型ツンデレ』は現在では狭義のツンデレとして扱われており、対象もこのケースに該当するものと考えられる」
ラケル「……パーフェクトです、副隊長」ニッコリ
ナナ「なんか……………………深いね」
ヒバリ「ナナさん、戻ってきてください、ナナさん! 今ならまだ間に合います! 誰か、誰か救援を!」
ハルオミ「ツンデレってのはとかく裾野が広すぎて、正直俺も完璧に把握しているとは言い難いんだよなぁ」
主人公「……」
ラケル「とにかく今は、エリナさんに話を絞りましょう。幸い彼女のツンデレは、王道ど真ん中ですもの」
ハルオミ「あの子のツン期、どうだったよ?」
主人公「……」
主人公「ツンか否かと問われれば、間違いなくツンではありました」
ラケル「ふむ……」
ハルオミ「まあ、それほどキツイもんではなかったよな。基本いい子だしさ」
ラケル「ではデレ期はいかが?」
主人公「そらもう『先輩♪』よ」
ハルオミ「ぶっちゃけそこに尽きるよな」
ラケル「ふむ、ふむ……成程。理解できました」
ラケル「軽目のツンに従順な後輩デレを組み合わせるのが、彼女のスタイルというわけですね」
アリサ「……今さらですけど、エリナさんは今どこに?」
コウタ「エミールとソーマと一緒にキュウビ狩りに行ってるよ。研究材料が底を尽いたとかで」
リッカ「キュウビ討伐も随分とまあ、お手軽なピクニックになっちゃったもんだね……」
ハルオミ「エリナは『時間経過型のツンデレ』だ。今回、この点に関して議論の余地はない」
ラケル「ええ、しかし……」
ハルオミ「そう。例によって、ここでもまた問題が発生してしまう」
主人公「……」
ハルオミ「彼女は確かにその存在を、時間軸上において横断して観測すれば、紛れもなくツンデレに該当する」
ハルオミ「しかし。今、この瞬間において」
ハルオミ「俺たちが現存する『現在』というスポットから、その存在を観測した場合――」
ハルオミ「それは……それはもはや、単なる『デレ』でしかない!」ダンッ
主人公「……」
ラケル「……」
ナナ「……」
ロミオ「ほーん」
ギル「で? って感じだな」
ハルオミ「事の深刻さが、わかってもらえたことと思う」
ラケル「皮肉、としか言いようがありませんね」
ハルオミ「ああ。彼女が成長を遂げ、一流のツンデレとして辿るべき道を歩み終え、そして『完成』してしまったがゆえに」
主人公「……もう、エリナの『ツン』には、二度と会えない」
ハルオミ「それがないと、生きていけないヤツだってこの世にはいるのに」
ラケル「この問題は、根が深いですね……」
ヒバリ「……深いですね」
コウタ「うん……深いな」
リッカ「深いね……業が」
ハルオミ「『ツン期の終わってしまったツンデレ』の『ツン』を再び堪能する方法は、果たして存在し得るのか……?」
ラケル「ああ……人類が二本の脚で大地に立つようになって以降、これほどまでに解明困難なテーゼがあったでしょうか……?」
主人公「……」
ハルオミ「なんとかして好感度リセットできないか?」
ラケル「記憶を消す手段ならいくつか心当たりがありますが」
主人公「……」
ギル「おい」
ギル「おい」
ハルオミ「いっそ発想を逆転して、『デレツン』化してもらうってのは」
ラケル「属性としてキワモノすぎるあまり、万人受けしづらい嫌いは否めませんね」
主人公「……」
ハルオミ「ん? おい、どうした?」
ラケル「先ほどから、何事か考え込んでいるようですが。なにか名案でも?」
主人公「……」
主人公「……エミール」ボソッ
ハルオミ「!」
ラケル「エミール……エミール・フォン・シュトラスブルク、ですか?」キョトン
主人公「暑苦しい態度、ややズレた騎士道、くどすぎる語り仕草」
主人公「憎めないウザさにかけて彼の右に出る者はいない」
主人公「そして……極東支部においてただ一人、今なおエリナのツンを引き出し続けている男でもあります」
ラケル「!」
ハルオミ「そうか……要するに、俺たちがエリナのツンを味わうために、ただ一つ残された方法とは……!」
主人公「――俺自身がエミールになることだ」
コウタ「エミール量産化計画!?」
ギル「それは……ダメだ……」
ロミオ「なんていうか……絶対ダメだ……」
アリサ「そんなことになったら……極東支部が……」
ナナ「別に悪い人じゃあないんだけどねー」
ハルオミ「しかし一口に『エミールになる』と言っても、いったいどうやって?」
ラケル「彼の行動パターンや習性を数値化し、仮に再現できたとして、外見まではどうしようも……」
主人公「……キュウビの『レトロオラクル細胞』」
ラケル「!!」
ハルオミ「そうかその手が!」ガタッ
コウタ「そんな伏線回収しなくていいから(良心)」
ヒバリ「着々と実現化に向けて舵が切られてますね……」
アリサ「そんなことのためにキュウビを討伐した覚えはないんですけど」
リッカ「キュウビ側もそんなことのために外界に出てきた覚えはないだろうね」
ラケル「副隊長。あなたはいつも、私たちに素晴らしい着想を与えてくれますね」
主人公「……」テレテレ
ラケル「そう。確かにレトロオラクル細胞には、無限の可能性がある」
ラケル「本物の皮膚となんら区別のつかない変装マスク」
ラケル「体長の増大を抑制したまま乳房のみを成長させる栄養剤」
ラケル「一定以上の顔面偏差値に反応して成年男性に襲いかかる触手」
ラケル「衣服だけを溶かして肌を傷付けない酸。そう、エロ同人みたいに!」ハァハァ
ラケル「そんな全人類の夢が、レトロオラクル細胞には詰まっています……!」
ハルオミ「おお……おお、ブラボー!」
主人公「ちょっとキュウビ狩ってくる」
ラケル「ああ、久々にインスピレーションが降りてきました! 研究者としての血が騒ぎます……!」ワクワク
ロミオ「やべえよ……マジでやべえよ……」
コウタ「あいつら完全に本気だよ……」
ギル「いったいどうなってるんだこの世界は……」
ヒバリ「え、いや、止めないとまずくないですか、アレ?」
リッカ「地球が滅ぶ以上におぞましいことが起こるのは、目に見えてるね」
アリサ「今、この段階で。是が非でも止めるべきですね」
ナナ「それじゃあ、誰が止めにいこっか?」
アリサ「……」
ロミオ「……」
ヒバリ「……」
「「「「…………」」」」
ジュリウス「……」フラッ
ナナ「ジュリウス隊長!?」
ギル「目を覚ましたのか!?」
ロミオ「ま、まだ寝てた方が……っておい、そっちは」
ジュリウス「……」フラフラ
コウタ「……往ったか、勇者よ」
アリサ「あなたの勇気に、敬意を表します」
ヒバリ「どうかご武運を……!」
リッカ「いや、そこは止めてあげようよ」
ジュリウス「……」
ラケル「あらジュリウス、おかえりなさい。具合はどう?」ニッコリ
ジュリウス「……」
ラケル「ジュリウス?」キョトン
主人公「……」
ハルオミ「……お前さんも大抵、いじましい男だな」フッ
ハルオミ「まあ、気持ちはわかるよ」
ジュリウス「……あなたに今の俺の、何がわかると言うんですか」
ハルオミ「……わかるさ」
ジュリウス「……?」
ハルオミ「……」
「なにせ――ケイトも腐女子だったからな」
ジュリウス「ファッ!?」
主人公「ファッ!?」
ラケル「まあ」ニッコリ
ロミオ「………………マジで?」
ギル「………………マジだ」グッタリ
コウタ「俺の中でグラスゴー支部がどんどん面白いことになってってるんだけど」
ハルオミ「まあ、あまり深くは聞いてくれるな。俺にもいろいろあったんだ」
ハルオミ「ただ、そうだな。一つだけ言えることがあるとすれば」
ハルオミ「俺は間違いなく、ケイトを愛していた――ってことさ」
ジュリウス「……」
主人公「ハルさん……」
ラケル「ハルオミ隊長……」
ナナ「いい話だねー」
アリサ「ええ……いい話ですね」
リッカ「いい話だ……」
ヒバリ「……」
(((あれで『ああ』でさえなければ……)))
ジュリウス「……」
ジュリウス「世に、『そういう』趣味の女性が、ごく少数とはいえ存在する、という事実は」
ジュリウス「理解はできませんが……少なくとも、納得はしました」
ラケル「いえジュリウス違います、ごく少数ではなく全ての女性は潜在的にむぐむぐ」
主人公「……」つ お口チャック
ハルオミ「はーいちょっと静かにしてましょーねラケルせんせーい」
ジュリウス「ですから、先生に『それ』をやめるよう強要したりは……もうしません」
リッカ「いや、そこは止めようよ。止める権利アリアリだよ」
コウタ「あいつが一番の被害者だもんな、どう考えても」
ジュリウス「ですから、今俺が言いたいことは」
ジュリウス「いや、聞きたいことは。他にあるんです」
ジュリウス「……先生。先生は、いったい、なぜ」
ラケル「……」
ジュリウス「なぜ、『そう』なってしまったんですか、先生……?」
ラケル「……」
ギル「あんな人ならざるモノの誕生秘話とか、聞きたくもねえな……ん?」
レア「……」ブツブツ
ナナ「レア博士! いつの間に来てたんですかー?」
レア「私が……私が悪いの……全部私が……ああ、ラケル……!」ブツブツ
ギル「博士……?」
ラケル「……私の中の荒ぶる神は、ずっと私に囁き続けてくれました」
ラケル「曰く――弱肉強食の収斂の果てに、世界に新たな秩序を創生せよ、と」
ジュリウス「……」
ラケル「まさしくそれは神の啓示、天上の歌声、暁光の煌めき」
ラケル「本能という括りさえ一足飛びに超えて、生まれ落ちた理由を遠い空へと羽ばたかせてくれた、最も身近な隣人の囀り」
ラケル「私は『彼ら』の声に耳を傾けることに、一切の疑義を抱きませんでした。そのまま、脳の内側から囁かれる友の声に従い」
ラケル「『計画』に必要な、先達たる方の研究成果を拝見させていただこうと、彼女のお部屋に伺った……その先で」
ラケル「私は遂に、邂逅を果たしたのです」
ジュリウス「……いったい、何と?」
ラケル「……」
「お姉様が『楽しく学ぶ遊ぶこどもふしぎ図鑑』のカバーで偽装して隠し持っていた、飛影×蔵馬本と……!!」
アリサ「……」
コウタ「……」
リッカ「……」
ヒバリ「……」
レア「違う! 違うのよ! あれは若気の至りだったの!」
レア「もうとっくにBLは卒業したわ!! 今の私は至ってノーマルよ!!」
レア「ただちょっと研究で疲れた時なんかに、グレム局長×ジュリウスで妄想したりして潤いを得たこともあったけど……その程度なのよ!!!」
ナナ「……」
ギル「……確かに比較的ノーマルよりだな、とか思えてしまう自分の精神構造が恐ろしい」
ロミオ「比較対象があれじゃあな……」
ジュリウス「……」
ラケル「その日から、私の瞳に映る世界は大きく様変わりしました」
ラケル「蝶は花々の隙間を飛び回り、小鳥は木の枝で躰を休め、男は男と愛し合う」
ラケル「蝶が花を攻め、枝葉は小鳥に誘い受け、男は男とチュッチュする……そんな絶景」
ハルオミ「……うん、まあ、絶景だな」
ラケル「薔薇の園こそが人類が最後に帰るべき約束の地だったのだと、とうとう私は悟った」
ラケル「ああ、素晴らしき哉人生。人の世の営みの美しさ……!」
ラケル「あなたもそうは思いませんか、副隊長?」ニッコリ
主人公「あっ、うん、はい」
ラケル「まあ、わずかばかり神機兵やら何やらを供物にジュリウスを特異点へと押し上げて終末捕食を起こし旧秩序をこの地球上から排除して大いなる再生を呼び込もう、などという考えが頭をよぎったこともありましたけれど」
ラケル「それも全ては過去の話、ですわ」ニッコリ
主人公「えっ」
ハルオミ「えっ」
ジュリウス「えっ」
ロミオ「なんか今、俺の死亡フラグがとてつもなくおぞましい音を立ててへし折れたような気がするんだけど」
レア「ごめんなさい……ごめんなさいラケル……全部、ぜんぶぜんぶぜんぶ、私が悪いの……!」ブツブツ
ギル「いや、この場合のあんた、たぶん全人類の英雄だぞ」
後日
エリナ「せーんぱいっ。次のミッション、一緒だね!」
主人公「ごくごく(ジュースを飲むふり)」
エリナ「あれ、先輩なに飲んでるの?」
主人公「……」
エリナ「へえ、新開発のOアンプルなんだ。味は? おいしい?」
主人公「……」
エリナ「どたぷんメロン味? ふーん、変な名前」
主人公「……」つ ジュース
エリナ「え? 私にくれるの? で、でも、これって」
主人公「……」
エリナ(せ、先輩の、飲みかけ、じゃんか……つ、つつつつ、つまり、これ、これって)
主人公「……」
エリナ(か、かかか、間接キッスだーーーー!?)
主人公「……いらないの?」
エリナ「いただきます!!!」
主人公「……」ニヤリ
エリナ「♪」ゴクゴク
主人公「……」
エリナ(えへへ、なんか先輩の味がする……ような気がする。えへへ)ゴクゴク
主人公「……」つ ネクタイ
エリナ「えっ。な、なになに、今日はどうしちゃったの、先輩ってば」
主人公「……」
エリナ「マスクがまだ完成してない? いや、意味わかんないんだけど。このネクタイはなに?」
主人公「……」
エリナ「私に、くれるの? 別に今日、私の誕生日とかじゃないんだけど」
主人公「……」
エリナ「気持ちはありがたいけど、もらってばっかりじゃ申し訳ないなぁ」
主人公「……」
エリナ「それに……特に理由もなしだと、なんか後が怖いし……」
主人公「……俺が、エリナにプレゼントしたいと思ったんだ。それじゃあダメなのか?」
エリナ「ありがたくいただきます!!!!!」
主人公「……」ニヤリ
エリナ「さ、早速着けてほしいんですか? そ、そこまで言われたら、しょ、しょうがないなあ~」テレテレ
主人公「……」
エリナ「それじゃあリボンタイの代わりに、ん、しょっと」
主人公「……」
エリナ「なーんかヒラヒラしてて落ち着かないなぁ。セーターの下に入れとこっと」モゾモゾ
主人公「……」グッ
エリナ「? 急にサムズアップなんかして、どうかした?」
主人公「……」
エリナ「?? ま、別にいいけど。ところで先輩、次のミッションなんだけどね」
主人公「……?」
エリナ「ううん、任務内容そのものに不明な点はないよ」
エリナ「疑問点は可能な限り、実戦に入る前に潰しておけ、って先輩の言いつけは守ってますともっ」フンス
主人公「……」ナデナデ
エリナ「んへへ……それでね? わからないのは、同行者のことなの」
主人公「?」
エリナ「私と先輩とハルオミ隊長の他に、もう一人。なんだか見たことのない人がアサインされてて」
主人公「……??」
エリナ「もしかして、他の支部の人なのかな? ねえ知ってる、先輩?」
「マスク・ド・オウガっていうブラスト使いの人なんだけど」
「!?」
完
長々とお目汚し失礼いたしました
前のでネタ尽きたと思ったのにこっちのが長くなるってなんなんですかね
そういうわけなので、もし万が一ネタが浮かんだらまたスレ立てます
フランのお尻かカノンのうなじあたりでナニかキそうな気もしてます
ではさようなら
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