森夏「私、タイムリープしてる…?」(752)

───朝・1年4組教室───

ガラガラ


勇太「うぃーす」


森夏「あ、おはよう、富樫くん」


勇太「おう、おはよう」


森夏「あら、小鳥遊さんは一緒じゃないの?」


勇太「六花は今日熱が出たらしくて休むって」


森夏「そうなの……心配ね…」


勇太「ま、一日寝てれば大丈夫だろ」

勇太「明日にはまた復活してるさ」


森夏「だといいけど」

一色「勇太!!」


勇太「おう、なんだ突然そんな大声で」


一色「ちょっと耳貸してくれ……」


勇太「なんだよ一体…」


一色(ここだけの話なんだがな…)

一色(俺はどうやら……ラブレターを貰ったらしい…!)


勇太「ラ、ラブレター!?」


一色(バカッ!声がでかい!)

勇太(す、すまん……で、誰からなんだ?)

一色(それがさ、封筒に名前が書いてないんだよ)

勇太(手紙の中には?)

一色(いや、まだ中身は見てねぇんだが…)

勇太(じゃあ確認してみろよ)

一色「ダメだ勇太、これは男と男の熱い友情でも見せるわけにはいかねぇ」

勇太「はぁ?」

一色「すまんな勇太、俺は誰の手も借りずに一人で決着を付けたいんだ!」

勇太「あぁ、そう…」

一色「いや~、どんなことが書いてあるのかな~、どんな子かな~」

勇太「勝手にしろ…」

───昼・2年4組教室───

教師「えー、ここはこうであるから……」カリカリ

くみん(ふぅ~…4時間目にもなってくるとお腹がすいたよぉ…)

くみん(それにとってもお昼寝したい気分……)

くみん(ふわぁ~……)

くみん(あれ?あそこ歩いてるの…六花ちゃん?)

くみん(こんな時間にどうしたのかな~?)

くみん(うーん……それよりも眠たい)バタッ

くみん(ぐぅぐぅ……)

…………

……

───昼休み・1年4組教室───

一色「くぅー!たまらんかった!」

勇太「お前さっきからそればっかりだな」

一色「だってよー、体育の授業なんていったらやることは一つだろ?」

一色「しかも今日はなんとバスケだったんだぜ?」

一色「男なら見なくてどうする!?あの夢の詰まった揺れる秘宝を!」

勇太「お前ぐらいだろ…そこまで熱くなれるのは」

一色「いやー、しかし丹生谷は素晴らしかったな」

一色「他を寄せ付けない圧倒的破壊力」

一色「たまんねぇ~」

勇太「まったく…いいから早く飯食うぞ」

一色「おう!そうだな」

勇太「そういや、ラブレターは読んだのか?」

一色「え?あぁ、まぁ…」

勇太「何だよ…?」

一色「いや、なんていうか、あれ、ラブレターじゃなかった」

勇太「?」

一色「ラブレターではなかったんだが…大事な手紙だった…」

勇太「何が書いてあったんだ?」

一色「いや、それは言えない…手紙にも口外するなって書いてあったし…」

勇太「なんかそれやばくないか…?」

一色「まぁ…手紙のことは忘れてくれ」

一色「あと今日は用事できたから部活行けないわ、すまん」

勇太「ふーん、そっか」

───放課後・部室───

凸森「マスターが熱を出したデスか!?」

勇太「おう、まぁ言ってもただの熱らしいから…」

凸森「それは大変デス!!こんな所で油を売っている場合じゃないデス!!」

勇太「お前が何をしたいかはわからんが、今はそっとしておいてやれよ」

森夏「そうよ中坊、小鳥遊さんきっと今頃寝てるんだから」

凸森「ぐぬぅ~……」

ガララッ

くみん「お~、みんなもう来てたんだ~」

勇太「あ、くみん先輩お疲れ様です」

くみん「あれ?六花ちゃんは?」

勇太「六花は今日は熱出して寝込んでます」

くみん「あれ~?でも今日授業中歩いてるの見かけたんだけど~…」

勇太「え?でも今日は欠席でずっといませんでしたけど…」

くみん「う~ん……気のせいだったのかな~?」

森夏「昼寝しながらで寝ぼけてたんじゃないのー?」

くみん「う~ん……そうかもね」

勇太(一色が居ないのに何も言わないことは触れないでおこう…)

勇太「ホント六花が居ないだけでこの部室も静かなんだな」

森夏「そうね」

勇太「くみん先輩は眠ってるし、凸森は…ってなんだその動きは」

凸森「ミョルニルハンマーの新技の特訓デス!」

勇太「特訓なんかして何に打ち勝つつもりなんだ」

凸森「そこにいる偽モリサマーデスッ!」

森夏「なんでアタシなのよ。っていうかモリサマ言うな!」

凸森「それはお前が偉大なる『モリサマー』の名を語っている偽物だからデス!」

森夏「だ~か~ら~……ってもうめんどくさいから何も言わないわ…」

期待してる
出来れば六花ちゃんを幸せにして欲しい
SSだと不憫だし
あと凸森じゃなくて凸守な

>>18
凸守か。ホントだ。気づかなかった



ピンポンパンポーン


放送「中等部3年の凸守早苗ー。至急職員室の担任のところに来るようにー。」


ピンポンパンポーン


凸守「ハッ!頼まれていた仕事があったのを忘れていたデス!」

凸守「それじゃ、私はこれで失礼するデス!」

勇太「行っちまったな」

勇太「ん?…これ忘れ物じゃないか?」


森夏「あー!これ、私のマビノギオンじゃない!……ま、せっかくのチャンスだしここで回収しておくしかないわね」ニヤリッ


勇太「大丈夫なのか?無断で持ち出したりして」


森夏「いいのよ、元々私のなんだから。あ、でも私が持ってることは中坊には内緒だからね」


勇太「まぁ……バレるのも時間の問題だと思うが」

───夕方・部室───


ピンポンパンポーン

放送「全校生徒は下校の時間になりました~。速やかに帰宅する準備をして……」


勇太「お、もうそんな時間か」

森夏「そうね、そろそろ帰りましょうか」

勇太「ほらっくみん先輩、起きてください」ユサユサ

くみん「ん……う~ん……」

勇太「ほら、帰りますよ」

───夕方・昇降口前───

森夏「あ!そういえば……」

勇太「どうした?」

森夏「ちょっと忘れ物してきちゃったから、先に行ってて」

勇太「あぁ、わかった」


───同刻・部室───


森夏(ふぅ~、危ない危ない。せっかくのチャンスを棒に振るところだったわ)

森夏(マビノギオン無事回収!っと)

森夏(さ、帰りますか)

森夏「ん?」

森夏「なんだろう……この違和感…」

森夏「誰かから見られているみたいなこの感覚……」

森夏「気味悪いわ……あ、富樫くんたち待たせてるんだった」

森夏「早く行かなきゃ!」

森夏「おまたせー」

勇太「おう、忘れ物って…それか」

くみん「?…あ、デコちゃんが持ってた本」

森夏「まぁ……あんまり言いたくないんだけど……元々私の持ち物だったから……」

くみん「へぇ~そうなんだぁ~。書いたのもモリサマちゃんなの?」

森夏「モリサマ言うな!…まぁ…そうね……私が……書いたの……」

くみん「そっか~、私も一回見たけどすごい良く出来てたよ~」

森夏「あぁー!やめて!この本の内容については言及しないで!」

くみん「えぇ~でもすごい良く出来てたよ~」

森夏「やめてよ……私の黒歴史なのに……思い出したくもないわ……」

くみん「でもね、そういうものを見返してみることによって『あぁ、昔こんなことしてたなぁ』って」

くみん「振り返る事もできて、一種の思い出になるんじゃないのかなぁ」

森夏「……ふーん、ま、当分の間は読まないでしょうね」

───夜・森夏宅───

森夏「ふわぁ~あ、そろそろ寝ようかな」

森夏「あ、そういえば…」

森夏「なんだかんだこの本、自分では書いてばっかりで全然読んでない気がする」

森夏「……怖い気もするけど……少し読んでみようかしら……」

森夏「……」ペラペラ

森夏「う……ううぅぅぅぅ……」ペラペラ

森夏(ぐ、ぐ、ぐぅぅぅ……私は……な、なんてものを……)

森夏「うぅぅ…………ん?」

森夏「あれ?このページ……これ、私の字じゃないわね…」

森夏「『記憶跳躍術(タイムリープ)』か……」

森夏「なんだか……すごい殴り書き………」

森夏「ふーん、内容自体は結構シンプルなのね」

森夏「『記憶を過去に飛ばすには、今現在の脳を一種の仮死状態にする』か……」

森夏「いや、どうやって仮死状態にすればえぇねん!」

森夏「ん?なになに……『記憶をどこか遠くの方に放り投げるイメージ』……」

森夏「『放り投げる場所を意識しながら行えば、その記憶の世界に跳ぶことができる』……」

森夏「えーと、つまり…?」

森夏「なるほどなるほど……ってアホくさ」

森夏「寝ようかな…」

───翌日・朝・教室───

森夏「あら、小鳥遊さん。もう大丈夫なの?」

六花「大丈夫。朝ごはんもしっかり食べた」

勇太「結局なんだったんだ、風邪か?」

六花「わからない。熱が出てずっと寝込んでいた……ただ…」

勇太「ただ?」

六花「寝ているはずなのに学校に行った夢を見た」

勇太「へぇー、夢の中でも学校に行ってるなんてとんだ優等生っぷりだな」

六花「優等生で邪王真眼の使い手……かっこいい……」

勇太「かっこいいか…?」

森夏「かっこよくはないわね」

六花「うぅ……」

森夏(あ、そういえば…)

森夏「ねぇ小鳥遊さん。マビノギオンについて聞きたいことがあるんだけど」

森夏「小鳥遊さん、あの本に何か書き足したりした?」

六花「ううん」

森夏「そう、じゃやっぱり中坊ね…」

六花「いや、凸守もそんなことはしない。凸守が何か書いたりする時はコピーした方を使ってる」

森夏「そう…なんだ…」

森夏(うわぁー!コピーもあったんだっけ!?完全に忘れてた…!)

森夏(……となると…一体誰がアレを…?)

森夏(富樫くんそんなことしないだろうし…くみん先輩は…ありえないわね…)

六花「マビノギオンがどうかしたの?」

森夏「い、いや、なんでもないのっ」

森夏(面倒そうだし今はまだ私が持ってること黙っておかないとね…)

───夜・森夏宅───

森夏「結局……手がかりはなし」

森夏「でも…………やっぱり気になる……」

森夏「ここまできたら一回試しにやってみるのもありよね、うん」

森夏「過去に戻ってもまたそのままやり直せばいいわけだし」

森夏「じゃ、さっそくやってみよう」

森夏(えーと……『両耳を塞いで音が聞こえないように』……)

森夏(『意識を集中させて』……)

森夏(『跳びたい記憶をイメージする』……)

森夏(そうね……じゃあ思い切って入学式の日の朝に……)

森夏(『最後に目をつぶって一度深呼吸してから目を開ける』…………)

森夏「スゥー……フゥー……」


………………



パチッ



………………

森夏「………」

森夏(もう大丈夫かしら…)






パチッ

森夏「……」

森夏「あれ?もう外が明るくなってる…」

森夏「え?私気づかない間に寝てた?」

森夏「今何時かしら?」



『4/7(月) 6:00』

森夏「え……?」

森夏「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」

ガチャッ

森夏母「朝から大声出してどうしたの!?」

森夏「マ、ママ……今って何月何日…?」

森夏母「はぁ?何言ってるのアンタ。今日は4月7日、アンタの入学式でしょ」

森夏「そ、そっかー…そうだったわねぇー…」

森夏母「早く起きてご飯食べちゃいなさい。学校遠いんだから遅刻しちゃうわよ」

森夏「…はーい……」

森夏(うそ……ホントに……ホントに…………)

森夏(私……過去に戻ってきてる!?)

───入学式当日・朝・丹生谷宅───

───入学式当日・朝・駅───

森夏(全く理解できてないまま、とりあえず学校には向かってるけど…)

森夏(ここはホントに過去の世界なの?私の夢じゃないの?)

森夏(うーん……ほっぺたをつねってみた限り夢ではないみたい)ギュッ

森夏(あぁそういえば慌てて出てきたせいで髪の毛ボサボサだったんだ…)

森夏「ちょっと鏡で……ん?」

勇太・森夏「「あっ」」

森夏「ごめんなさいっ!」

勇太「すいません!」

森夏「……ってなんだ富樫くんじゃない」

勇太「え…?」

森夏「え…?」

勇太「今、俺の名前……」

森夏(そっか、ここではまだ富樫くんとまだ知り合いじゃないんだ)

森夏「あ、いや、なんでもありません!それじゃ!」ダッ

勇太「え……あぁ、ちょっと!………行ってしまった」

勇太「……可愛い子だったなー…///」

───電車内───


森夏「ハァハァ……(危なかった…)」

森夏(いや、危ないかったというよりアウトっぽかった…)

森夏(とりあえずこれからは気をつけて行動していかないとね…)

森夏(そうだ、入学式で読む代表挨拶の原稿に目を通しておかないと…)



───朝・教室───

森夏(まぁとりあえず学校には来てみたものの…)

森夏(意外と大きな変化はないのね)

森夏(でも、ところどころ違うとこもある…)

森夏(やっぱり私自身の行動次第で変わってくることもあるみたいね)

森夏(とりあえず今は周りに合わせながら行動しなくちゃ…)

───そして数日後───


───河原───

………

森夏「……で、私も富樫くんも『元中二病』だったってわけね」

勇太「ぐぁー!思い出すだけでも胸が苦しい…」

森夏「そう?なんか懐かしい気分って感じがするけど?」

森夏(まぁ…この状況も2回めだしね…そりゃ慣れるわ)

勇太「丹生谷、お前すごいな。普通だったらそんなには開き直れないもんだぞ」

森夏「うーん…前はそうだったけど……今はもう平気」

勇太「なんという精神力…尊敬するよ……」

勇太「にしても、このマビノギオンだっけ?すごい完成度だな」

森夏「そう…?」

森夏(…そうだ…!このマビノギオンに書かれた『記憶跳躍術』の記述……)ペラペラ

森夏(え……どこにもない……)

森夏(この時点では記入されていなかったってこと…?)

森夏(じゃあ一体いつ……)

勇太「ほら丹生谷、暗くなってきたしそろそろ帰るぞ」

森夏「あ、うん」

………

森夏(それから数ヶ月は前と同じように特に大きな変化もなく)

森夏(私の日常は流れていった)

森夏(秘密結社にも入り、海にも行った)

森夏(だけど……)





そんなある日……

森夏「で、結局誰なの?その『カワイコちゃん選手権』っていう企画の発起人は」

男子「………」

森夏「……男子、黙ってるだけじゃわからないんだけど」

森夏「どういうつもりなの、こんなことしといて」

森夏「はぁー、もう……」

森夏(あぁーめんどくさい…さすがにこんなこと2回もするもんじゃないわね…)

森夏(どうせまた一色なんでしょ?早く自供して頭丸めなさいよ…)

一色「………」

森夏(一色ぃー……何うだうだやってんだよ………)

森夏(っていうかこのランキング、私自身は一位だったから特に悪い気はしないのよね)

森夏(うーん………ま、テキトーにまとめて終わらせておくか…)

森夏「はい、じゃあ誰も名乗りでないからこの件はここで終わり」

森夏「男子は以後こういうことはやらないように。女子もいちいち気にすることじゃないと思う」

女子「え…でも丹生谷さん…」

森夏「ハイハイ、もうおしまい!こんなの気にしたって何の徳もないわよ」

森夏「第一自分たちがランキングに入ってるかもわからないじゃない?」

森夏「『つまんないこと』は考えなくていいのよ。はいじゃ今日はこれで解散」

女子「………」

───翌日───

ガラッ

森夏「おはよー」

女子A「………」

森夏「?……おはよう」

女子B「………」

森夏(え……何?無視?)

森夏「………何なのよ」ボソッ

女子C「ねぇ、聞いた?丹生谷さんの事」

女子D「え?なになに?」

女子C「昨日の学級会議あったじゃん?あの時の態度について」

女子D「なにそれ?なんかあったの?」

女子C「それがさー、あの『カワイコちゃん選手権』だっけ?あれで丹生谷さんって一位だったらしいのよ」

女子C「でね、それを知ってたから昨日あんな感じでテキトーにまとめたんじゃないかって」

女子D「えー!なにそれー!ひどーい!自分だけ良ければいいの?って感じ!」

女子C「ホントよね!私達ランキング下位の人間はどうでもいいのかっていう」

女子D「へぇー、だからみんな丹生谷さんが入ってきた時シカトだったんだ」

女子C「まぁ前々から裏では性格悪いって噂あったからねー、そりゃこうなるわ」

女子D「マジウケるーw」クスクス…

女子C「ちょっとw聞こえるよ?ww」

森夏(………聞こえてるっつーの…)

森夏(なるほど…そういうことね………)

森夏(……まさか…こうなるとはね………)

森夏「ホント…女ってめんどくさい…」ボソッ

───昼休み・教室───

森夏(お昼…か……なんか気が重くなるわ………)

森夏(しょうがない………一人で食べるとするか)ガタッ

六花「あ………に、丹生谷……」

森夏「ん?あら小鳥遊さん、どうしたの?」

六花「い、一緒に……お昼……」

森夏「あぁ……そうねー………遠慮しとく」

六花「え…?」

森夏「私と一緒にいるところをクラスの誰かに見られたら面倒でしょ?」

森夏「だから、今回はパス」

六花「えっと……じゃあ……部室なら……あそこなら誰も……いないから大丈夫……」

森夏「………はぁ、わかったわ。じゃあ行きましょう」

六花「う、うん…!」

森夏(この子は…本当に優しい子なのね……)

───放課後・部室───

ガラガラッ

勇太「お、なんだ、今日は丹生谷だけか」

六花「………」

森夏「他の皆は用事あるとかで帰っちゃったわ」

勇太「ふーん、そっか……そうだ、丹生谷、お前今日はどうしたんだよ」

森夏「何が?」

勇太「お前休み時間の間ずっと机に突っ伏してたし、クラスのヤツらとも全然喋ってなかったじゃんか。体調悪いのか?」

森夏「………富樫くん、あなたがそんなにバカだとは思わなかったわ……」

勇太「それはどういう意味だ」

森夏「だから………なんていうか…私クラスの女子からシカトされてたのよ、今日一日」

勇太「え…なんで…?」

森夏「昨日の学級会議での私の態度が気に入らなかったみたいよ」

森夏「ま、女子なんかそんなもんなんだから気にしないで」

六花「………」

森夏「小鳥遊さんも。気をつけたほうがいいわよ」

森夏「私といるところ見られないようにした方がいいわ」

森夏「あなたまでシカトされちゃったら元も子もないでしょ?」

六花「でも……森夏が………」

森夏「私は大丈夫だから!心配しないで!」

………

勇太(それから数日の間、丹生谷に対するシカトの行為は続いた…)

勇太(最初は数人の女子だけのシカトが、今はクラスの女子全体に浸透し…)

勇太(今や教室内で丹生谷に関わろうとするものは誰もいなくなっていた…)

勇太(丹生谷は日に日に元気をなくしていっているのが目に見えるようにわかった…)

勇太(だけど…放課後は前と同様、凸森や六花と接している姿を見て俺は心を痛めていた…)

………

───数日後・昼休み───

森夏(お昼……今日はどこで食べようかな……)ガタッ

スタスタ

女子「クスクス……」バッ

森夏「……!」ガタタッ

女子A「あー、大丈夫ー?」ニヤニヤ

女子B「ごめんねー、偶然足伸ばしたら引っかかっちゃったー」ニヤニヤ

女子A「あーあー、お弁当ぐちゃぐちゃー」ニヤニヤ

女子B「かわいそー」ニヤニヤ

女子A「あー、でもちゃんと掃除はしといてねー」ニヤニヤ

女子B「じゃあねー」

スタスタスタ…

男子「………」

女子「クスクスクス………」

森夏「………」

森夏「…………」ウルウル

森夏「…………」フキフキ

ガタッッッ!!!

勇太「………」フキフキ

森夏「!!……と、富樫くん……」

勇太「……いいから……今は何も言うな………」フキフキ

森夏「……うん…………ありがとう………」ウルウル

六花「わ、私も……手伝う……」フキフキ

森夏「小鳥遊さん………」

六花「やっぱり……放っておけない…丹生谷は…大切な友達」

六花「あとで私のお弁当……分けてあげる」

森夏「…………ありがとう…ね……」

勇太「さっさと終わらせて飯食うぞ」

森夏「うん……」グスッ

───放課後・部室───

キーンコーンカーンコーン

森夏「………」

勇太「俺ら以外みんな帰っちまったな……」

勇太(……そりゃここまで空気が重けりゃ居たくはないよな…)

勇太(六花も「あとは任せる」って言って先に帰っちまうし…)

森夏「……ねぇ、富樫くん」

勇太「ん、おう、なんだ?」

森夏「今日は……ありがとう………」

勇太「あぁ、そのことか。もういいよそのことについては」

森夏「ううん……私、あの時富樫くんがいてくれなかったら……」

勇太「……………なぁ、丹生谷」

森夏「…うん?」

勇太「……お前さ、もっと弱みを見せてみろよ」

勇太「強がるだけじゃなくてさ、なんていうか…その……」

勇太「こういう時もっと俺らを頼ってほしいんだよ、少なくとも俺はお前の力になりたい…!」

勇太「お前が意地はって強がってる姿とか……もう見たくないんだ……」

勇太「だから……俺達にできることがあればなんでも言ってくれ」

森夏「………」

勇太「………」

森夏「………ふふふ」

森夏「あはははははは!!!」

勇太「何だ突然!?」

森夏「いやー、なんて言うかさ、富樫くんにそんなこと言われるなんてって感じでさー…あぁーお腹痛いわぁー」

森夏「はぁー、でもありがとうね。なんか気分軽くなった」

勇太「そう言ってもらえるとこっちとしても嬉しいよ」

森夏「なんか……富樫くんのこと…見直しちゃったな……」

勇太「ふっ、今までどう思ってたんだよ」

森夏「……ねぇ、さっき何でもするって言ったわよね?」

勇太「え?…あぁ、うん」

森夏「じゃあ……」ダッ

バッ!!

勇太「!!えっ……ちょっ……何を……!!」

森夏「今は……今はこのままで…抱きしめてて……」

森夏「ちょっと……疲れちゃった……」グスッ

勇太「……うん」

森夏「……うぅ……ううぅ…………」

勇太「よしよし……」ナデナデ

………

───夜・丹生谷宅───

森夏(はぁー……今日も疲れたな…)

森夏(でも……嬉しかったな……)

森夏(富樫くん……)

森夏(今までは何気ないただの友人かと思ってたけど……)

森夏(……この気持ち…………)

森夏(でも……富樫くんには…小鳥遊さんが……)

森夏(………………)

森夏(私には……出来ない……)

森夏(小鳥遊さんは……大切な……『友達だから』……)

───そして月日は流れ───

勇太「六花…!俺は……俺は……」

勇太「今から六花のところに行く!!」



───同時刻・丹生谷宅───


森夏「今頃……富樫くん何してるのかな……」ゴロゴロ

森夏「今日の様子じゃ小鳥遊さんのこと思い出していてもたってもいられないんだろうな…」

森夏「中坊は急変するし、くみん先輩は中二病になってるし…………はぁ……」

森夏「結局私はあれから何も出来なかった…」

森夏「富樫くんに近づくことも、自分の気持を伝えることも」

森夏「でも……これが一番いい終わり方なのかもね…うん、きっとそう」

森夏「はぁ……」

prrrrr

森夏「はい」

くみん「あ、モリサマちゃん!今どこ!」

森夏「え…家、だけど…」

くみん「わかった!今から行くね!」ブツッ

森夏「え…?」

─数日後─

勇太「あぁっ! 丹生谷っ! 丹生谷っ!!」パンパンパン

森夏「ん、んぁ、富樫くん、気持ちいいよぉ!」

勇太「お前の傷は、全然俺が埋めてやるからな!」ズコズコ

森夏「うんっ、埋めて、富樫くんので私の中を埋めて! 富樫くんで満たしてぇ!」

勇太「うぅ! くぁ! 丹生谷の中がキュウキュウ締め付けてくるっ! 俺、もぅ!」ズンズンズン

森夏「あっあっあ、あーっ! だ、出して! 私の中に全部だして!」

勇太「イク! イクぞ丹生谷! うくぁ!っ!!!」ドビュルルビュブビュビュルルルルルァアアアアアゴポゴポドビュビュビュピァァァ!!!!!!!!

森夏「ん゛ーーーっ!!! いっぱい出てるぅ!!!」ビクビクビク

───同日・数十分後・車内───

森夏(なんなのよこの展開は!いきなりすぎるわよ!)

森夏(こんなことまったく記憶に無いんだけど!)

森夏(でも…それもそうか……忘れてたけど、今の日付的に私が『跳んだ日』はとっくの昔だもんね)

森夏(あの頃はまだ小鳥遊さんと富樫くん、全然付き合うって感じしてなかったのにな……)

森夏「なんか……悔しいな……」ボソッ

一色「え?何か言ったか?」

森夏「なんでもないわよこのハ……」

一色「ハ…?なんだ?」

森夏「だからなんでもないって」

森夏(そうか……こっちの世界だと一色は坊主頭じゃなかったんだ…)

くみん「あ!そろそろ着くよ!」

森夏「…ここって……」

森夏「!……なるほど……そういうことなのね……」

森夏(あ、富樫くんと小鳥遊さん…)

森夏(小鳥遊さん久しぶりに見たけど、やっぱり富樫くんといる時が一番幸せそうなのよね……)


………………


勇太「六花!!」

六花「勇太!!」



森夏(これが……ハッピーエンドなのよね……)

森夏(この世界が作り出した答えはこうなのよね……)


───小鳥遊六花と富樫勇太は互いに愛を誓い合う───

………………

───同日・深夜・丹生谷宅───

森夏「はぁー、疲れた…」バサッ

森夏「あぁー、ベッド最高……」

森夏(…………良かったのよね……これで……)

森夏(富樫くんにとっても……)

森夏(小鳥遊さんにとっても……)

森夏(これが……トゥルーエンドなはず……)

森夏(はぁー……あの二人ならきっとうまくやれるはずよね…)

森夏(もし小鳥遊さんのこと泣かしたら私が呪ってやる!)

森夏(……とか言って……あはは……)ポロッ

森夏(……あれ……?)ポロッ

森夏(どうしてだろう……)ポロポロッ

森夏(なんで……涙が…………)ポロポロッ

森夏(そっか…………私…………)

森夏(やっぱり富樫くんのこと…………)

森夏(好きなんだ……………)

ガタンッ!!!

森夏(?何の音だろう…?)

森夏(なんだ…マビノギオンが倒れただけか……)

森夏(…!!)

森夏(そうよ…!そうだわ……!)

森夏(また戻ればいいんじゃない!過去に!)

森夏(そこでまたやり直せば富樫くんと結ばれることができる!)

森夏(小鳥遊さんには悪いけど…私、自分の気持に嘘はつけない……)

森夏(あなただけが幸せになるなんて私には……)

森夏(………)

森夏(そうね……また入学式からだと長いし……)

森夏(次は極東魔術昼寝結社の夏が出来たところに跳んでみよう)

森夏(目を閉じて気持ちを落ち着かせる……)スッ

森夏(スゥー……フゥー……)

………

パチッ

───極東魔術昼寝結社の夏創設日・夜・丹生谷宅───

パチッ



森夏「…………」

森夏「どうやら……また成功したみたいね…」

森夏「……そういえば何気なく過去に戻ってきちゃってるけど、私自身まだ全然理解してないのよね」

森夏「これは一度タイムリープについて調べてみる必要があるわね……」




カチャカチャ…カチッカチッ

森夏「あった……このページ……」

森夏「『タイムリープに関する記述』か……」

森夏「……ふむふむ……………わからん………」

森夏「何言ってるのかさっぱりわかんないわよ!!難しすぎる!!」

森夏「こういう時は……アレに頼るしかないわよね……」

カチャカチャ……ターンッ!

森夏「『タイムリープについて教えろください』……っと」

森夏「そうね、とりあえず『原理』は私の脳みそじゃ理解できないから…」

森夏「このまま繰り返した場合のリスクが知りたいわ」

森夏「『タイムリープって繰り返しまくるとどうなるの?』……っと」

~数十分後~

森夏「はぁー…全然ダメね…収穫なし……」

森夏「やっぱりこういうものは非現実的な空想科学の分野なのかしら?」

森夏「!…これって……」

「もしや…貴様タイムリープしているか?」
「私もお前と同じ過去に跳んだことがある人間の一人だ」
「何かわからないことがあれば俺様が答えてやろう」

一つ気づいたんだけどさ
女子にシカトされてた時のモリサマーって俺たちと同じじゃね?
いやひょっとするとそれでも付き合ってくれる友人がいるとかむしろ

森夏「うーん……なんかこの言い方…腹立つわね…」

森夏「しかもこのハンドルネーム何よ、ダサっ、中二くさいっつーの」

森夏「ま、でも一応聞いてみるか…」

森夏「『タイムリープっていうのは一体どういうものなんですか?』」

「細かい原理など知らん。それよりどうやって過去へ跳んだ?」

森夏「知らないのかよ…!『えーと…口では説明しにくいけど、一種の自己暗示的な感じ?』」

「つまり道具を使用せずに過去に跳んだというわけだな?」

森夏「『そうです』」

「そうか…。詳しく聞きたいことがある。ここにあるチャットに来い<http://futurega・・・・・・・・・・.com>」
「パスは『お前が一番初めに跳んだ日』の日付だ。必ず来い」

くそっ!機関の精神攻撃か!

森夏「……え?」

森夏「……どういうこと…?なんでこの人…私が跳んだことも、その日付も知ってるの…?」

森夏「……この人……何者なの…?……怖い……」

森夏「……でも…なにか知ってるってことよね…?」

森夏「………………やっぱり気になる……」

森夏「行ってみよう…」

眠い明日の昼まで保守頼む

<チャット>

>>モリサマーさんが入室しました。

モリサマー:来ました

*:来たか

モリサマー:さっきの方ですよね?

*:そうだ。早速本題に入るがお前は何の目的があって過去へ跳んでいる?

モリサマー:なんとなくですかね。しいて言えばやり直したいことがひとつあるって感じです

*:だからそれが何かと聞いている

モリサマー:それは言えません…

でいなばよ☆

*:誰かの命を狙っているのか?

モリサマー:いや、そういう大それたことではないです

*:そうか…なら別に目的は教えてもらわなくてもいい

*:ひとつ聞かせてくれ、お前が最初に跳んだ時…それは9月…そうだな?

モリサマー:その通りですが、なぜあなたがその事を?

*:それは俺にもお前と同じ力があるからだ

*:いや、正しく言うなら過去に跳んでも記憶が引き継がれる能力だな

モリサマー:本当ですか?

*:信じるか信じないかはお前次第だが、お前はもう二回跳んでいるはずだ

モリサマー:はい、その通りです

*:まだ跳ぶ気なのか?

モリサマー:まだ今のところはなんとも言えません。ただ必要であればまた跳ぶと思います

*:そうか。

………


森夏「……会話……途切れちゃったわね」

森夏「それにしてもこの人……一体どんな人なのかしら…?」

森夏「おっ、新しい書き込み」



*:もう一度だけ聞かせてほしいことがある

モリサマー:なんですか?

*:お前はその力で誰かを殺したり、世界を変えようなどとは思っていないんだな?

モリサマー:ですから、命にかかわるようなことは決して行いません。

モリサマー:それにただの一般人なので世界を変えることなんてことも興味はないです。

世界を・・・騙せ・・・

(実はシュタゲってノベライズ版を読んだだけなんだよねしかもゲームは序盤で積んでるという)

*:そうか、それだけ聞けたなら満足だ

*:最後に一つ、お前に言っておきたいことがある

*:その力、お前にとっては便利なものの一つかもしれないが

*:その力によって世界の流れが変わってしまうこともあることを決して忘れるな

*:取り返しの付かないことになる前に、その力は封印しろ

*:それがお前のためでもあり

*:世界の選択でもある

>>*さんが退室しました。

エル・プサイ・コングルゥが抜けているぞ

エル・プサイ・コンガリィ

ノベライズ版とアニメはゲームのトゥルーエンドらしいね
しかしゲームをやれる時間があんまりない

>>186
トゥルーエンド攻略情報なしで行ったら5000ガバスやる

>>191
まぁ…ご察しの通りかとは思われますが
確定的になるネタは入れたくなかったので…




森夏「何を言ってるんだろう……?」

森夏「なーんか…結局ただのお説教って感じ……」

森夏「ほとんど進展もなかったし……」

森夏「でもホントに今の人何者だったんだろう?」




森夏「そういえばさっきのホームページ…」

森夏「あった…ん?……何だろうこれ?」

森夏「よくわからないけど…発明家?みたいね」

森夏「あ、もうこんな時間か…今日は寝よう」

───数日後───



森夏「え!?富樫くんが入院!?」

六花「うん…。昨日の帰り道に事故にあったって…」

森夏(昨日ってもしかして私と一緒に帰って途中で別れたあと…?)




───前日───

勇太「今日は六花も用事があるとかで早く帰っちまったし」

勇太「一緒に帰ろうぜ丹生谷」

森夏「え、あぁ…うん…//」

勇太「ん?どうかしたのか?」

森夏「な、なんでもないわよっ!ほらっ!早く行くわよ!」スタスタ

勇太「あ、おい、ちょっと待てよ」

くそっ!機関の睡眠妨害受けている!

───帰り道───

森夏(なんか…緊張するわ……)

森夏(何を話していいかもよくわからないし…)

森夏(前はこんなことなかったのに……つくづく自分の弱さに泣きそう……)

勇太「なぁ丹生谷」

森夏「え!?あぁ、何?」

勇太「ちょっと寄りたいところあるんだけど、いいか?」

森夏「えぇ、別に構わないわよ」

───ファーストフード店───

勇太「悪かったな、買い物に付きあわせて」

森夏「ううん、私もついでにいろいろ買えたから」

森夏「ところでさっき買ってたノートって…?」

勇太「あぁ、これ?実はさ、夢葉に頼まれててさ…」

勇太「『どすこいクマ五郎』のお絵かきノートが欲しい!って昨日からずっと言ってたから」

森夏「へぇー、意外と妹思いなのね、富樫くんって」

勇太「意外とってなんだ!意外とって!」

森夏「あはは!ごめんごめん!」

森夏(やっぱ…富樫くんといると楽しいな…)

森夏(なんていうか……心から笑えてる自分がいる……)

森夏「それじゃここで」

勇太「あぁまた明日な」

森夏「妹さんにもよろしくねー」

勇太「あぁ!じゃあな!」

森夏「バイバイ!」


………………

森夏(あのあと……事故にあったんだ……)

森夏「それで…富樫くんの容態は!?」

六花「命に別条はない………ただ…」

森夏「ただ…!?」

六花「脳に強い衝撃があったらしくて……記憶がなくなってるらしい…」

森夏「記憶喪失ってこと!?」

六花「……そう…と言っても…ここ一年間の記憶だけが無くなってるらしい…」

六花「私達に関する記憶も……無くなってるって……」

森夏「そんな……そんなことって……」ガクッ

六花「身体には大きな怪我がなかったらしくて、来週には退院するって……」

森夏「記憶が無いのに退院するの…?」

六花「記憶が無いっていっても自分が誰かはわかってるし生活はできるから退院って…」

森夏「そっか……」

───1週間後───

ガラガラッ

森夏「!!富樫くん!!」

森夏「怪我はもう大丈夫なの!?」

勇太「……誰だ貴様は」

森夏「え?」

勇太「我はDFM…この世界を統べるものだ」

勇太「そんな私に軽々しく話しかけるな!!」バシッ!!

森夏「キャッ!!」バタッ

勇太「フンッ……人間風情が……」

一色「おい勇太!お前丹生谷になんてことするんだよ!!」

勇太「……誰だ貴様は?」

一色「お前……どうしちまったんだよ…?なんか変だぞ?…」

勇太「……さっきから貴様が言っている『勇太』というその男」

勇太「それは俺の真の名ではない。世を忍ぶ仮の名だ」

勇太「我の真の名は『ダーク・フレイム・マスター』…覚えておけ…」

一色「勇太……」

森夏「小鳥遊さん、ちょっと…」

六花「なに?」

森夏「富樫くんどうなってるの?」

六花「前に言ったとおり」

森夏「記憶が無いって話だったわよね?」

森夏「あれは記憶自体の問題なの?」

六花「うん、記憶がなくなってるってだけ」

六花「ここ一年…つまり『中二病を卒業した勇太』はここにはいない」

森夏「そんなことって……」

六花「でも…私は嬉しい。勇太が今生きているだけで」

六花「それに私の憧れだった勇太…いや、DFMがいるから」

六花「勇太にはこれから結社に入ってもらって今まで以上に……丹生谷?」

森夏「…違う……こんなの…こんなの……」

森夏「…こんなの……私が望んだ富樫くんじゃない……!」

六花「丹生谷…」

───夜・丹生谷宅───

森夏「このままじゃ…あの時の富樫くんは戻ってこない」

森夏「私の好きだった富樫くんはもう居ない」

森夏「もう一度…もう一度だけ」

………………

…………

……

………………

森夏「ん……」

森夏「また戻ってこれたみたいね…」

森夏「えーと今日は……マビノギオンを取り返した日ね…」

森夏「たしかこの時点では何も書き込まれてはいない」

森夏「でも…一つ気になるのは私が記憶跳躍の記事を見つけた時の日付になっても」

森夏「マビノギオンに新しい記入は現れなかった…」

森夏「それもそうよね……ずっと私が持ってたんだし」

森夏「つまり……あの時、最初に見つけた時と同じ条件でなければ……」

森夏「これを書いた犯人は現れない……」

───翌日・放課後・部室───

森夏(とは言ったものの…)

森夏(あの時の条件……って何が条件だったのか…)

森夏(さっぱり検討がつかない…)

森夏(うーん……)

勇太「丹生谷、どうかしたのか?」

森夏「え、いや、なんでもないわっ」

凸守「おそらく…偽モリサマーのことですからきっと悪巧みをしてたデスよ」

森夏「な、何よ悪巧みって」

凸守「フッフッフッ……凸守には全てお見通しなのデス!」

凸守「偽モリサマーはDFMを手篭めにしようと企んでいるのデス!(配下として)」

森夏「な、な、何、い、言ってんのよ…!!!」

森夏「わ、私が、そんなこと……///」

勇太「ん?なんだなんだ話が読めないぞ」

凸守「とりあえずDFMはこっちにくるデス!」グイッ

勇太「うわっ」グラッ

バタンッ

勇太「うぅ…」

凸守「う……お、重いデス……」

勇太「おぉ、わ、悪い」モミュ

勇太「あ……」

凸守「あ……」

凸守「ど、どこ触ってるんですか!!」ガバッ

勇太「い、いや、今のは狙ってやった訳じゃ…!」

凸守「うぅ……そんなことするなんて…信じられません…」

勇太「す、すまん……」

勇太「丹生谷からもなんか言ってやってくれよ…」

森夏「変態ロリコン野郎警察につき出すぞ」

勇太「なっ」

森夏「変態ロリコン野郎警察につき出すぞクソが」

勇太「そ、そこまで言わなくても…」

森夏「まぁそうねひとつ言いたいことがあるなら……」

森夏「中坊、あんた動揺してキャラぶれてるわよ」

凸守「!!そ、そんなことはないデスよ…!」アセアセ

凸守「あ、えーと、今日はもう退散するデス!」ダッ

勇太「あ!おい!」

ガラガラッ

勇太「行ってしまった……」

ガラガラッ

凸守「…そ、その……富樫先輩……」モジモジ

凸守「さっきのこと……凸守は気にしてないですから……」モジモジ

凸守「さ、さよなら!」

ガラガラッ

勇太「……」

森夏「……なんなの……アレは……」

森夏「どうすんのよ富樫くん、かなり重症みたいよ?」

勇太「……いい」ボソッ

森夏「え?」

勇太「可愛い……可愛かった!!」

勇太「なんださっきの凸守!すごい可愛かった!!」

森夏「えっ」


ここらで一旦寝ます
保守よろしくです

すいません…
14時には起きると思います…

保守ありがとうございます!!
また続き書いてきます!!



───翌日・放課後・部室───

勇太「おいーっす」

凸守「!!」

勇太「ん?なんだ凸守だけか」

凸守「あぁ……はい……」

勇太「?」

凸守「……」ソワソワ

勇太(……もしや)

勇太「なぁ凸守」

凸守「は、はひっ!?」ビクッ

勇太「こんなこと言うのも何だけど…昨日のことまだ引きずってんのか……?」

勇太「事故だったとしても俺はほんとにとんでもないことをしちまったって思ってる……」

勇太「許せない気持ちもわかる…だから俺に言いたいことがあったらなんでも言ってくれ…」

凸守「そ、それは違います!」

勇太「違うっていうのは…?」

凸守「私昨日のことは別に怒ってなんかいません…」

凸守「……私…自分の体をあんなふうに男の人に触られたことなんてありませんでした」

凸守「いつもはマスター…小鳥遊さんのお供として強い人間でいる自分を演じていました」

凸守「でも昨日わかったんです、自分も結局他人と同じ結局は弱い人間なんだと…」

凸守「たとえどんな時でも弱い自分を見せず動じない生き方をしていた自分が」

凸守「たった一回……その…胸を揉まれたぐらいで……あんなに動揺するんだって…」

凸守「結局私も…ただの人間の女だったんですね…ハハッ…」

凸守「強かった中二病の凸守早苗は…もうどこにもいないんですよ……」

勇太「………」

勇太「それの何が悪いんだ…?」

凸守「え…?」

勇太「だから…その本当のお前っていうのは…お前にとって嫌なものなのか?」

凸守「……それはわからないです…わからないけど……私は…」

勇太「弱い人間がいる分、強い人間だっている」

勇太「みんながみんな本当の自分を隠して生きていることもある」

勇太「だからなんだって言うんだ?」

勇太「確かに本当のお前は弱いしただの女なのかもしれない」

勇太「でも、その弱さを俺はカバーしてやりたいと思う」

勇太「それに……その……素のお前も…なかなかかわいいと思うぞ…//」

凸守「え…///」

勇太「わ、悪い、変なこと言っちゃったな…!」

凸守「いいえ」

凸守「嬉しいです……勇太先輩…」

勇太「凸守…」

───同刻・部室外───


森夏(……さっきからなにかやってると思って覗いて見てたけど……)

森夏(なんなのよ!!!クソ中坊が!!!)

森夏(私の富樫くんに手出してんじゃないわよ!!!)

森夏(キイイィィィィ!!!!!!!)

くみん「モリサマちゃん、何してるの?」

森夏「な、なんでもないわよ!」

くみん「ふーん、へんなモリサマちゃん」

くみん「あ、ねーねーちょっと付いてきてほしんだけど」

森夏「え?何よ、今忙しいのに…」

くみん「いいからいいからっ」グイグイッ

森夏「あ…!ちょっと…離してよー!!」ズルズル

───部室───


勇太「あ、そうだ」

凸守「?」

勇太「弱い自分を変えたいんなら、俺がその特訓手伝うよ」

勇太「というかこうなった原因は俺だし…手伝わせてくれ!」

凸守「え…でも…」

勇太「まぁ…無理にとは言わないが…」

凸守「……やりましょう」

凸守「特訓、やりましょう…!」

勇太「お、おう!」

凸守「といっても何をすればいいんでしょう?」

勇太「そうだなー……」

勇太「やっぱり…男に免疫がないっていうなら、そこを鍛えればいいんじゃないか?」

凸守「ふむふむ…でもどうやって?」

勇太「そうだなー……あ、そうだ!」

凸守「?」

勇太「デートするとかはどうだ?それが一番手っ取り早いと思う」

凸守「デ、デートですか…?」

勇太「そう。二人で色んな所に行って遊んだり食べたり」

凸守「……」

勇太「あ、もしかして…いや?」

凸守「いえ…でも……デートなんてしたことなくて……」

勇太「それなら大丈夫、プランとかは俺が考えとくからさ」

勇太「今度の日曜日でどうだ?」

凸守「はい、その日なら大丈夫です」

勇太「よしっ!じゃあ当日駅に10時集合で」

勇太「あ!あとこのことは皆には内密にな!」

凸守「秘密の特訓ですからね…」

勇太「その通り!」ニコッ

───日曜日───

勇太「うっす」

凸守「お待たせしました」

勇太「いや、俺もいま来たところだから」

凸守「そうですか…それで今日はどこへ?」

勇太「ま、それは着いてからのお楽しみってことで」

凸守「ふふふっわかりました。それじゃ早速行きましょうか」

───街───

凸守「映画館ですか」

勇太「ベタだけど一番無難かなって思ってさ」

凸守「それにしては随分チープな映画館ですね…」

勇太「まぁな…混んでるところは嫌かと思ってさ」

凸守「確かに…」

凸守「で、何を見るんですか?」

勇太「今日はこれ」

凸守「へぇー、『時をかける少女』ですか…随分昔に一度だけ見た記憶があるような…」

勇太「俺この作品好きでさー、この映画館ってオーナーさんが好きな映画とかたまにやってるから」

勇太「古い作品とかも結構上映してたりするんだ」

凸守「そうなんですかー」

勇太「じゃあ早速入ろうぜ」

凸守「はい」

モリサマースレじゃなくてデコスレだったのか

勇太「すいません、大人二枚でお願いします」

おっちゃん「あいよ、二人で2000円ね」

勇太「はい、2000円」

おっちゃん「はいよ、チケット」

おっちゃん「しかし兄ちゃん、可愛い彼女じゃない」

おっちゃん「暗いし空いてるからって変なことしないでよ~」ニヤニヤ

勇太「し、しませんよ!変なことなんて!!」

凸守「……///」

凸守「あ、そういえば先輩、はい1000円です」

勇太「え?あぁ、別にいいよ」

凸守「え…いや、そんなわけにはいかないですよ」

勇太「いいのいいの、デートでは男が出すって決まってるんだから」

勇太「ま、それにさ、こういう場面でお金出すってのも男としては一種のかっこつけなんだよ」

凸守「かっこつけですか…」

勇太「だから、今日は金のことは気にしないで精一杯楽しんでくれ」

凸守「……わかりました」

───上映後───

勇太「……」グスッ

凸守「うぅぅ~」グスッグスッ

勇太「やっぱり何回見てもいい映画だな」

凸守「ちあき~ちあき~」ウルウル

勇太「楽しんでもらえた?」

凸守「ズビッー!!……はい…とってもいい映画でした」

勇太「そっか、ならよかった」

勇太「じゃ、そろそろ飯でも食いに行くか」

凸守「そうですね。たくさん泣いたらお腹空いちゃいました…」

勇太「よし、じゃあ行くか」

(これもうモリサマータイムリープしてるやろ)

凸守「この店って…イタリアンですか?」

勇太「あぁ、美味しいって評判らしい」

凸守「でも…すごい混んでますよ…?」

勇太「大丈夫、予約しておいたから」

凸守「そうなんですか?よく予約取れましたね」

勇太「まぁちょっとアテがあったから…」

凸守「…?」

───食事後───

勇太「ふぅー、お腹いっぱいだ」

凸守「とっても美味しかったです!」

凸守「デザートもとっても美味しかったな~!」

凸守「でも、すごいですね。小鳥遊先輩のお姉さん」

凸守「こんなところでシェフとして働いてるなんて…」

勇太「まぁそれがあったからここにしたんだけどさ」

勇太「あの人の料理なら外れることはまずないだろうし」

勇太「お前の好き嫌いも知ってるからさ」

勇太「ちょっとズルっぽいけど喜んでもらえてよかったよ」

凸守(……先輩、そんなことまで考えてくれてたんだ…)

凸守(その後もデートでは終始先輩が私をリードしてくれた)

凸守(ウィンドウショッピングでは先輩に可愛い髪留めを買ってもらいました)

凸守(とても楽しかった……)

凸守(そして帰り道……)



勇太「今日はどうだった?いい特訓になったか?」

凸守「え…あぁそういえばこれ特訓でしたね」

勇太「ま、俺もたった今思い出したんだけどさ」

凸守「ふふふ」

勇太「でも、今日一日でだいぶ変わったんじゃないか?」

凸守「そうですね…少なくとも男の人と二人で遊ぶのもいいと思えるようになりました」

凸守「……それで……あの……」

勇太「ん?どうした?」

凸守「……もし……よろしければ……」

凸守「また次の特訓も……お願いしてもいいですか……?///」

勇太「えっ…///」

勇太「あ、あぁ……もちろん…!」

凸守「ホントですか…!うれしい…!」

勇太「あぁ…///」

凸守「私…勇太先輩に出会えてよかったと思ってます」

勇太「?」

凸守「もし私が小鳥遊さんと出会わなければ、先輩とも出会えなかった」

凸守「あの時の強いつもりの私がいたから、今の私になることができた」

凸守「本当の私を見てくれる先輩と出会うことができた…」

凸守「私って案外幸せなのかもしれませんね」

勇太「凸守…」

凸守「あ、すいません!いきなりこんな話しちゃって…」

勇太「いや…いいんだ…」

勇太「でもな凸守、お前の言っていることは一つ間違ってる」

凸守「?」

勇太「お前は『六花がいなければ俺とは出会えなかった』って言ったけど」

勇太「俺はそうは思わない。俺とお前は出会うべくして出会ったんじゃないのかな」

勇太「俺は運命とかは信じないけど…お前と出会ったことは運命なんじゃないかと思う」

勇太「時をかける少女じゃないけどさ…」

勇太「たとえ世界が変わったとしても……」

勇太「お、俺は……お前をずっと好きでいられる自信がある!!」

勇太「千秋じゃないけど…何度世界が変わってもお前に告白し続けていたい!!

勇太「決してこの気持ちは忘れない…」

凸守「先輩…」

凸守「…………私も……」

凸守「どんな世界でも……先輩が好きです!!」

………………

ダメじゃないか(白目)

───翌日───

森夏「……それでー」

森夏「何でこんなことになってんのよ!!!」

勇太「いやー、まぁ、なんというかこれには深いわけが……」

凸守「先輩!先輩!」スリスリ

勇太「まぁとりあえずいろいろあって俺達付き合うことになったからさ…」

凸守「えへへ…」

森夏「………………」

森夏「ちっ」スタスタ

勇太「あ、おい!丹生谷!」

凸守「あんな人はほっておきましょうよ」

勇太「機嫌悪いのかなー?」

森夏(中坊め……許さない……許さないわよ……)

森夏(また……やり直してやる……何度だって……)

森夏(……富樫勇太は……私のものよ……)

森夏(誰にも渡さない……!!!)

………………

…………

……

くみん「モリサマちゃん」

あーこれは堕ちましたわ

森夏「!!……何?」

森夏「今ちょっと忙しいから邪魔しないでよ……」

くみん「えーっと…今日って何月何日?」

森夏「……え?そんなの自分で調べればいいじゃない」

くみん「うーんそうなんだけど…」

くみん「なんだろう…夢だったのかな~」

くみん「よくわからないよ~」

くみん「それじゃ、またね」

森夏「………何が言いたかったのよ」



森夏「まぁいいわ…早く…過去に跳ばなきゃ……」

………………

…………

……

………………

…………

……

森夏「……また戻ってきた」

森夏「?」

森夏「……えーとまた結社が出来た日だから……」

───9月27日 AM1:13───


森夏「え……なんで……どうして……?」

森夏「今日は……9月27日……?」

森夏「どうして……私は過去に跳んだはずだったのに……」

森夏「も、もう一回……」

森夏「………………」

森夏「だめだ……跳べなくなってる……」ガクッ

森夏「なんで……何でなの……?」

ズキンッ

森夏「!!」

森夏(あ…胸が……胸が……く、苦しい……)

森夏(い、息が……できない…………)

森夏(うぅ………………)

スゥー

森夏「!!……ハアッ…ハアッ…ハアッ…ハアッ…ハアッ…」

森夏「な、何だったの……死ぬかと思った……」

森夏「もしかして……タイムリープのことと関係してるのかしら……」

森夏「だとしたらこの力……もう……」

??「タイムマシン持ってきたよ!」

───翌日───

勇太「はぁー、今日から銀杏祭の準備期間かー」

勇太「結局うちの部の劇はどうするんだ?」

勇太「なぁ丹生谷、聞いてんのか?」

森夏「え?あぁ、そうね…」

勇太「大丈夫か?顔色悪いけど…?」

森夏「大丈夫よ…心配しないで。劇の台本もバッチリだから」

勇太「そっか。まぁあんまり根詰めすぎるなよ」

森夏「えぇ…心配してくれてありがとう…」

勇太「おう、なんかあったらなんでも相談してくれ!」

勇太「あ、そういえば垂れ幕の準備をしなきゃならないんだった」

勇太「六花のこと屋上で待たせっぱなしだな…」

勇太「ちょっと屋上に行ってくるわ」

森夏「あぁ、うん」

亜^~

───同刻・校舎前グラウンド───

森夏「垂れ幕、もう少し時間かかるって!」

森夏「そこで待ってて!」



森夏「……はぁ」

くみん「ねぇ、モリサマちゃん…」

森夏「……何?」

くみん「私ね…ずっと気になってたことがあるの……」

くみん「私……前もね……これと似たような状況にいたことがあってね……」

くみん「こうやって校舎の前でモリサマちゃんと二人でお話してたの」

くみん「その時はね……もっと楽しい話で…生き生きしてた…」

森夏「……何が言いたいの?」

くみん「モリサマちゃんは……」

「「「キャーーー」」」

「「「おい!!アレ見ろ!!!」」」

勇太「六花!!」

六花「……ゆうた……」ズルズル

勇太「六花……!掴まれ!」

六花「……あっ」ズルズル

くみん「………」

森夏「………」

くみん「………」

くみん「……今回は何も言わないんだね」

森夏「え…?それどういう…」

   ┏┓ ┏┓   ┏┓        ┏┳┓                   ┏━┓
   ┃┃ ┃┃   ┃┣━━━┓┗┻┛                   ┃  ┃
 ┏┛┃ ┃┗┓ ┃┣━┓┏┛  ┏━━━━━━━━━┓ ┃  ┃
 ┃┏┛ ┗┓┃ ┃┃  ┃┃    ┃                  ┃ ┃  ┃
 ┃┃     ┃┃ ┗┛  ┃┃    ┗━━━━━━━━━┛ ┗━┛
 ┃┃     ┃┃       ┃┃                     ┏━┓
 ┗┛     ┗┛       ┗┛                           ┗━┛
     〆⌒ヽ  ,r'〆⌒ヽ:;''t+   〆⌒ヽ    〆⌒ヽ  ┣¨ ┣¨;;::⌒
    r(´∀` )  'r、´∀`;::;;:y   (´∀` ∩ (´∀` )  +Y;::⌒┣¨;:::┣¨
  +  ヽ    つ ⊂⊂    )   (つ    j と    つ┣¨:;:⌒┣¨:;(:;⌒
      (⌒_ノ    〈 へ \   \ ヽr' ;;⌒⊂、_ノ    (;;:⌒┣¨┣¨
   +   し'ゝ ;;::⌒::: し'  (_)Y;::⌒ し丶 )≡≡ し' ┣¨ :;:┣¨:r;::⌒

「「「落ちるぞ!!誰かマット持って来い!!!」」」

「「「だめだ!!!体育館のマットは各団体に貸し出してる!!!」」」

「「「誰か先生呼んでこい!!!」」」

勇太「六花!!待ってろ!!今何か掴めそうなものを……」

六花「ゆうた…いや……死にたくないよ……」

勇太「大丈夫だ!!俺が必ず助けてやる!!」

六花「うん……」

六花「!!」ズルッ

六花「あっ……」

勇太「りっかああああああああああ!!!!!」ダッ

ガシッ!!

勇太(やばい……このままじゃ……)

勇太(落ちてく……)

ヒューー

ドサッ!!!!!

森夏「……え……うそ……」

くみん「ねぇ………どうしてあの時何も声をかけなかったの…?」

くみん「気づいてたよね…?下からいけば助かるって…」

くみん「あなたは……皆の知らないところで…何をする気なの…?」

「「「おい!!!大丈夫か!!!!」」」

「「「ち、血が……!!!」」」

「「「救急車早く呼べ!!!!」」」

森夏(私は……私は……)

森夏(とんでもないことを……してしまった……)

森夏(私の……私のせいで……)

森夏(私の私の私の私の私の私の)

森夏(私のせい私のせい私のせい私のせい私のせい私のせい私のせい)

森夏「!!」

森夏「オエッ……」ビチャビチャビチャ

森夏(…………)

森夏(もう……戻れないんだ……うぅ……)ボロボロ

森夏(……私が……私が……二人を殺したんだ……)ボロボロ



17時から21時までバイトなんで
保守お願いします…

ただいま帰りました

(それから一週間もの間、二人はICUで治療を受け続けた)

(手術は難航した……)

(銀杏祭はもちろん中止。秘密結社の活動は一度止まり……)

(丹生谷森夏は学校へ行かなくなった……)

(ICUを出たあとも意識は未だ戻らなかった……)

(しかし…一ヶ月後のある日)

───丹生谷宅───

森夏「え…富樫くん……意識が戻ったんですか…?」

森夏「ほんとに…ほんとに…」

森夏「はい……このあと病院に行ってみます…」

森夏「あ……はい、あのことは……わかりました……」

森夏「わざわざ有り難うございます…先生」

森夏「学校へは……まだ少し考えさせてください…」

森夏「はい……失礼します」ガチャ



森夏(富樫くん…どうして……)

───病院・個室───

ガラガラッ

勇太「お、おう……にぶたに……」

森夏「……富樫くん」

勇太「……やっぱり……まだ…かいわはしにくいな……」

森夏「うん……無理はしないでいいから……」

勇太「とはいっても……あしはうごかないし……てもうごかせないから……」

勇太「はなすぐらいしか……もうできないよ……ははは……」

森夏「……そうね」

勇太「そうだ……!……りっかは……りっかはどうした……?」

森夏「!!」

森夏「……えーと……小鳥遊さんは……」

勇太「べつのびょうしつか…?それとも…もうたいいんした…?」

森夏「…………」

───数時間前───

森夏「富樫くん、意識が戻ったんですか?」

七瀬「えぇ……ついさっき病院から連絡があったわ」

森夏「ほんとに…ほんとに…」

七瀬「それでね……丹生谷さん、お見舞いに行ってくれないかしら…?」

森夏「はい……このあと病院に行ってみます…」

七瀬「それでね……1つだけお願いがあるんだけど……」

森夏「……なんですか?」

七瀬「…………小鳥遊さんのこと……」

森夏「………」

七瀬「こんなこと良くないかもしれないけど…富樫くんのためでもあるの…」

七瀬「だからお願い……小鳥遊さんが亡くなったこと……富樫くんには伝えないであげて…」

森夏「………はい」

森夏「………」

勇太「どうしたんだよ?……ずいぶんと…くらいな?」

森夏「ううん…なんでもないわ……」

勇太「あー、はやく……りっかにあいたいなー……」

森夏「そうね……」



森夏(富樫くん……あなたはどうして……)

森夏(一人だけ生き残ってしまったの……?)

飛びよおおお飛びよおおお鳥たちよおおおおおお!!!

(富樫くんはそれから目覚ましい回復を遂げた)

(骨折した箇所以外はほぼ完治し…)

(最初はあった言語障害もすでに自然と戻ってきていた…)




───さらに1ヶ月後───

森夏(ついに今日ね……)

森夏(私も…立ち会うことになった……)

森夏(富樫くんに……小鳥遊さんの死を伝えなきゃいけない……)

跳んでもいいのよ

医者「いいかい……今から言う話を聞いてほしんだ…」

医者「……君のお友達のね…小鳥遊六花さんっていったか……」

医者「君は彼女と学校の屋上から転落した…ここまでは覚えているね?」

勇太「……はい」

医者「……そこでね……辛いことを言うかもしれんが……」

医者「彼女はね…亡くなったんだ……打ち所が悪くてね…」

勇太「えっ……」

俺だ!機関の支援攻撃を受けている!

医者「受け入れがたいかもしれんが…これは紛れもない事実なんだ…」

医者「君のためを思って……」

勇太「えっなんでうそだろだってあの時六花は俺の腕の中で俺が抱きしめていたから
   六花には衝撃はいかなかったはずだ六花は死ぬはずないだって俺が守ってあげたんだから
   だってあの時俺が守るって何があっても助けてあげるって言ったのになんでなんでなんでなんで六花はいない
   ?うそだそんなことありえないありえない」

医者「富樫君…」

森夏「……」

勇太「嘘だ……嘘だ……」

勇太「……六花は……いない……」ポロッ

勇太「……もう……いない……」ボロボロッ

勇太「うわああああああああああああああああああああああ
   ああああああああああああああああああああああああ
   ああああああああああああああああああああああああ
   ああああああああああああああああああああああああ」

森夏「富樫くん……」

戸部洋子おおおおおお

勇太「にぶたにぃー……お前どうして言ってくれなかったんだよぉ……」ギロッ

勇太「知ってたんだろぉ……?六花が死んでたことをさぁ……」

勇太「知ってたのに……知ってたのにあんなこと言ってたんだよなぁ……?」

勇太「なぁ!?そうなんだろ!?」ガバッ

森夏「キャッ!」バタッ

勇太「なぁ!?なぁ!?なぁ!?楽しかったか!?無様な俺の姿を見続けて!なぁ!?」

森夏「そんなこと……私はただ……富樫くんのことを思って……」

医者「やめなさい!!」ガシッ

勇太「はなせえええええええええ!!!はなせよおおおおおおおおおお!!!」

森夏「………」

こんなの私が求めていた(ry

医者「危ないから君はもう出ていなさい…!こら!暴れるんじゃない!!」

勇太「うわあああああああああにぶたにいいいいいいいいいい!!!!!」

勇太「うらぎったなああああああああああああ!!!!………………」

勇太「はぁはぁはぁはぁ…………」

森夏「………」スタスタ

ガラガラッ

勇太「丹生谷…!!」

森夏「……!」ピタッ

勇太「…俺のためって……言ったよな……?」

勇太「俺……こんな世界なら…………」

勇太「六花がいないなら…………」

勇太「死んだほうがマシだったよ……」

───翌日───

森夏「………」

森夏(あれから……何もする気になれない……)

森夏(富樫くん……私だってね……)

森夏(こんな世界は嫌なんだよ……)

ブーブーブー

森夏「メール…?誰…?」

森夏「くみん……先輩…」

「話がしたいから、放課後に部室に来て」

森夏「アイツ……確実に何か知ってる…」

森夏「……今の私には……行くしかない…」

くみん「私………未来から来たんだよ…………」

───同日・夕方・部室───

ガラガラッ

森夏「……」

森夏「何の用よ?こんなとこに呼び出して…」

くみん「モリサマちゃん…随分と痩せたね……」

くみん「それに……ここにいる丹生谷森夏は私の知ってるモリサマちゃんじゃないみたい…」

くみん「あなたは……誰なの…?」

森夏「……私は私以外の何者でもないわ……」

森夏「ただここにいる私は…元々この世界にいた私じゃない…」

森夏「私は……タイムリープしてるのよ……」

森夏「まぁ少なくともその能力も今は無くなっちゃったけどね…」

森夏「ところで……アンタ……」

森夏「……アンタは……何を知ってるの…?」

くみん「…………そうだねぇ~……」

くみん「……全部……かな……」

森夏「…!!」

くみん「ここは私が元々居た世界じゃないってこと…」

くみん「そしてこれが夢の中の世界でもないってこと…」

くみん「……モリサマちゃん…あなたがこの原因だってこともね…」

つまり
くみん「エル・プサイ・コングルゥ」
ってことですか

森夏「ゆ~が~んだ~き~おく~のな~か~」

一色ぶちころがすぞタイムリーぷして子ね

森夏「アンタ…いつから…」

くみん「そうだな~、確か凸ちゃんと富樫くんが付き合って時にはもう知ってたかな~」

くみん「といっても…私は記憶を引き継ぐのにある条件を満たさなければならなかった…」

くみん「それがこの『まくら』なの」

森夏「…まくら?」

くみん「そう…この中にある一つ…この青い枕を使って眠ると全ての記憶が蘇るの」

くみん「原因はわからないけど……なぜかこのまくらを使って眠るとね」

くみん「今までみんなと過ごしてきたたくさんの思い出が溢れてくるの…」

くみん「リセットされるタイミングは私自体にもわからない…」

くみん「でも何も知らずに部室にやって来てこの枕で眠る…」

くみん「そこですべてを思い出す……こういう仕組みな訳だよ」

森夏「……そ、そんなのって……」

くみん「うん、私も信じられないけどこれは紛れもない事実なんだよ」

くみん「そしてどの世界でも私の記憶とはかけ離れた存在だったのが…」

くみん「あなただったの…丹生谷森夏……」

くみん「あなたの目的は……何なの…?」

森夏「………」

森夏「私は……私は……」

くみん「あなたがどんな目的でこんなことを続けるのかはわからないけど」

くみん「富樫くんと六花ちゃんは…私が守る…!」

くみん「あなたの思い通りにはさせない…!!」

くみん先輩SPECの美鈴みたいだな

森夏「もう……手遅れよ………」

森夏「……二人は……もう……」

くみん「……そうだね…」

くみん「……あの時…私でもいいから…二人を助けるべきだった…」

くみん「このことは……私達が一生背負わなければならない罪だと思う」

くみん「だからモリサマちゃん…私と約束して……」

くみん「これ以上…タイムリープはしないで…」

くみん「これ以上…みんなの悲しむ姿は見たくないよ…」

森夏「………だから…したくたって…もう出来ないのよ……」ポロッ

森夏「……もう……出来ないの……」ボロボロッ

くみん「………」

───夜・丹生谷宅───

森夏「………」

森夏(くみんは……全てを知っていた…)

森夏(……でも……もう手遅れよ……)

森夏(……タイムリープは……もう出来ないんだから…)

ブーブーブー

森夏「メール……誰…?」

「話がある。病院に来てくれ。」

森夏「……富樫くん……」」

パラレルな人々はみな背中合わせで

───夜・病院・屋上───

勇太「………」

森夏「………」

勇太「……あのさ」

森夏「!…なに?」

勇太「……この間は…悪かった……急に取り乱して…」

森夏「いいのよ……気にしないで……」

森夏「一番つらいのは富樫くんなんだから…」

勇太「………」

勇太「……俺な……思ったんだ…」

森夏「…?」

  ( ^)   だから♪
  (  ) ̄
(  | |  )

  _(^o^)  今♪
    ( )|
  (  | |  )

       ( ^o)  1秒ー♪
      ̄(  )
   (   //  )

             (o^ )  ごとに~♪
            (  )ヽ
             | | 

..三  \ \  V  /   (o^ ) 三 世界ー♪
 三  \ \  V  / (  )ヽ 三
三   \ \  |  /  / /   三


三  ( ^o) \  V // / /  三  線をー♪
 三/( ) \  V / (o^/   三
三   ヽヽ  \ |  /(  /  三

..三/( )  \  V  /    (o^ ) 三 越ーえてー♪
 三  ヽヽ^o) \ V   /  (  )ヽ 三
三    \  )\ | (o^/  / /   三

勇太「……俺は……この世界の中で……たった一人……」

勇太「たった一人で……これからも生き続けていかなきゃいけない……」

勇太「俺の隣にいるはずだった……六花はもういない……」

勇太「あいつが笑う姿…泣いている姿…」

勇太「そして何より……あいつが幸せになることは……もう……」

勇太「俺はそんな自分が許せない!!自分だけがのうのうと生きて」

勇太「いつのまにか当たり前の日常を過ごして……」

勇太「いつのまにか……アイツを忘れてしまう…」

勇太「そんな自分が……」

森夏「……」

勇太「……俺は……」ガタッ

スタスタ

森夏「え……ちょ……富樫くん」

勇太「やっぱり…俺には出来ない……」

勇太「俺にはこの世界を生きていくなんて……できない……」

森夏「……富樫くん……やめて……!」

森夏「せっかく……せっかく助かった命なのに……」

勇太「来るな!!」

勇太「ここから飛び降りれば…俺は……六花と……」フラッ

森夏「!!危ない!!」バッ

森夏(…………)

森夏(もうダメ……死ぬ……!!)

………………

…………

……


──

────

──────

森夏「…………」

森夏「あれ……?」

森夏「ここ……私の部屋…?」

森夏「私…病院にいたはず……富樫くんと…あの時」

森夏「……まさか……タイムリープできたの……?」


森夏(というか……今は何月何日…?)



───12月10日 PM23:30───

森夏(……12月…!?)

森夏(ここは……過去じゃない……)

森夏(私の記憶に……こんなものはない……)

森夏(もしかして…ここは……未来……なの?)

まさかの夢落ち?

───翌日・朝・教室───

ガラガラッ

森夏「……」

勇太「おう、森夏」

森夏「え…?」

勇太「ん?どうした?」

森夏「今…私のこと下の名前で……」

勇太「え?何言ってんだよ!あはは!」

勇太「お前が自分からそうして欲しいって言ったんだろ!」

勇太「……俺らが付き合う事になった時にさ」

森夏「え…私と富樫くんが……」

森夏「付き合ってる…!?」

あと450以内に終わるか不安

───放課後───

森夏(どういうこと…)

森夏(まったく理解できてない…)

森夏(私と富樫くんが付き合っている…)

森夏(そして……小鳥遊さんがこのクラスにはいない……)

森夏(どうして……)

森夏「そうだ……!」

森夏「あいつなら……なにか知ってるかも……!」

───放課後・2年4組教室───

森夏「え……学校に来てない…?」

女子「うん、五月七日さんならだいぶ前から休んでるよ」

女子「なんでも…どこか遠くにお引越しするらしくて…」

女子「私も詳しいことはよくわからないけどね…」

森夏「そうですか……ありがとうございました…」

森夏(くみんも……いなくなってる……?)

───翌日───

勇太「森夏、一緒に帰ろうぜ」

森夏「え、あぁ、そうね……(名前で呼ばれるの慣れないわ…)」

───同日・帰り道───

森夏「ねぇ、と…勇太……少し聞きたいことがあるんだけど」

勇太「なんだ?」

森夏「……あのさ……小鳥遊さんって……」

森夏「……今……どうしてるのかな…?」

勇太「あぁ、六花か?」

森夏「え、えぇ…(ん?何か随分軽いわね…)」

勇太「アイツなら今頃イタリアだろ」

森夏「え…イタリア?」

勇太「なんだよ、もう忘れたのか?あの時十花さんと一緒にイタリアに行っただろ?」

森夏「あ、あぁ!そうだったわねー!今頃元気でやってるかしらね…?」

森夏(どういうこと……?あの時は実家の方に引っ越したはずじゃ…)

森夏「ねぇ……勇太って小鳥遊さんのこと…どう思ってた?」

勇太「えぇ!?なんだよいきなり?……別になんとも思ってなかったよ」

勇太「俺にとっては妹みたいなもんだよ…目が離せないっていうか…」

勇太「ま、ヤキモチ焼きの森夏に一つ伝えておくとするなら」

勇太「特別な感情とかはなかったんで安心してくれ」ドヤァ

森夏「……そっか……」

勇太「……なんだよー、そこは『べ、別にヤキモチなんて…!』ってツッコむとこだろ?」

森夏「………」

勇太「無視しないでくれ…」

森夏「そういえば…くみん先輩とか中坊って…?」

勇太「みんなもうバラバラだよ、結社が解散したあの時から」

勇太「俺達は中二病から足を洗って普通に生きていこうって話になったじゃないか」

森夏「……そう……だったわね……」



森夏(それからしばらくあの間……私はこの現実を受け入れることができなかった)

森夏(私の望んだ世界がここにはあるのに……)

森夏(……こんなにも……空っぽだ……)

森夏(でも……生きていくしかないんだ……)

森夏(私が望んだこの世界……責任をもって……)

森夏(私なりに生きていかないといけない……!)

───数カ月後・教室───

森夏「おはよう」

勇太「おう、おはよう」

森夏「今日のお弁当はねー……ハンバーグでーす!」

勇太「うわー!やったー!」

森夏「お昼まで食べちゃダメだからね~」

勇太「うぅ~、楽しみすぎる~」

森夏「ふふふ」

一色「お前らー、おアツいなー、ホント」

一色「もう冬だってのによー、暑苦しいったらありゃしないぜー」

森夏「うるさいわねー」

勇太「一色もこれぐらいしてくれる彼女でも作ったらどうだ?」ドヤァ

一色「く、悔しい…!」

勇太「ま、森夏以上のやつなんていないだろうけどな」

森夏「ちょ、ちょっと勇太……///」

───放課後───

勇太「それじゃ帰るか」

森夏「うん」

………………

勇太「はいっ……」スッ

森夏「……///」ギュッ

勇太「あぁ、森夏の手……あったかいなー、幸せー」

森夏「……もう……バカ……///」

勇太「そういやさ、進路選択森夏はどうすんの?」

森夏「そうねー……私は文系かなー……数学苦手だし」

勇太「そっか、俺はまぁ…多分理系かな…今のところは」

森夏「そう……それじゃ多分クラスは離れちゃうね…」

勇太「まぁな………ま、でもそんなこと大したことじゃないって」

勇太「これから先も今まで通りでずっと一緒だろ?」

森夏「………うん…///」

勇太「それじゃ…ここで…」

森夏「うん……」

森夏「勇太……」

勇太「ん?」

森夏「あのね……えーと……///」

森夏「……ううん!なんでもない!」

勇太「えぇ?なんだよ~」

森夏「だから何でもないってば!それじゃまた明日!」

勇太「おう、気をつけて帰れよー」

勇太「………なんだったんだろ?」

森夏(また言えなかった……)

森夏(私の中のけじめ……それは)

森夏(自分の意思で勇太に私の気持ちを伝えるということ)

森夏(いつのまにか付き合っていたから言えてなかった…)

森夏(好きという言葉を……)

森夏(それからの生活は平坦で平凡だったけど)

森夏(私にとっては何にも変えられない…特別で…最高の時間だった)

森夏(そして歳月は過ぎていき……)

森夏(卒業を間近に控えた3年の冬……)

森夏「………」カリカリッ

勇太「………」カリカリッ

勇太「……よしっ」

勇太「ここらで休憩しようか」

森夏「……そうね、さすがにずっと勉強しっぱなしだと疲れちゃうわ…」

勇太「お茶淹れてくるから待ってて」

森夏「うん、ありがとう」

ガララッ

森夏(私も勇太も同じ大学を志望している)

森夏(学科は違うけど入試はそれなりに勉強しないと難しいくらいのレベル)

森夏(私たちはこうしてほぼ毎日のように勇太の部屋で勉強している)

森夏(2年生になったばかりの時クラスが変わって戸惑ったりはしたけど…)

森夏(それでも勇太とは離れることはなかった……)

森夏「あぁ……今が一番幸せかも……」

ガラッ

勇太「ん?何か言ったか?」

森夏「ううん……ひとりごと」

勇太「そっか……あ、そうだお茶飲んだら少し近所を散歩しないか?」

勇太「俺らって毎日のように一緒にるけどほとんど勉強会ばっかりだったろ?」

勇太「たまには息抜きがてらデートでもしないと」

森夏「そうね、じゃ行きましょうか」

───外───

勇太「うぅ…散歩するとは言ったものの……寒いな…」ブルブル

森夏「もう……これぐらいで寒がってたらこれからどうするのよ」

勇太「寒いもんは寒い…!」

森夏「はいはい!黙って歩く!」

勇太「むぅ……」

───公園───

森夏「ん~やっぱり肉まんは最高ね!!」

勇太「うんうん……食べる方の肉まんも最高だな」

森夏「食べる方のって?」

勇太「ん?そこに2つあるほうの肉まんもなかなか美味だったって話」

森夏「……何言ってんのよ…」

勇太「…すいません」

勇太「……ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」

森夏「うん」

勇太=誠 の世界線に来てしまったかも分からんね

森夏(時間がゆっくり流れてる……)

森夏(こういう時間を一生過ごせられればいいのにな……)

森夏(もちろん……勇太と一緒に……)

森夏(これから先も……ずっと……)


prrrrr

森夏「ん?電話だ?」

森夏「…って勇太?何やってんのよ?アイツ…」

森夏「はい、もしもし?何やって…」

勇太「はぁ……はぁ……森夏……」

森夏「え……な、何?……どうしたの…?」

勇太「……五月七日……くみんに……はぁ……はぁ……」

勇太「……くみん……先輩に…………気をつけろ…………!」

勇太「………愛してるぞ…………森夏……」ブツッ

森夏「……え」

森夏「ちょっと!!勇太!?勇太!!勇太!!」

勇太「なんだよ大声で……あ!さては…俺のことが恋しくなったか~?」

森夏「勇太…!?……無事なの……!?怪我はない!?」

勇太「は?何のこと言って…」

森夏「よかった……!!!」ダキッ

勇太「お、おい……どうしたいきなり……」

森夏「よかった……よかった……」ポロポロ




森夏(あとから聞いた話によればあの時勇太は私に電話はかけていなかったらしい……)

森夏(それじゃ……私にかけてきたあの勇太は一体……)

森夏(誰だったの……?)

勇太「ノスタルジアドライブッ!」

───翌日───

森夏「おはよう」

勇太「おう……」

森夏「?どうしたの?元気ないけど…?」

勇太「森夏…今日だけど……用事ができたから…一緒に勉強できない」

森夏「用事?」

勇太「あぁ…人に会わないといけなくなった」

森夏「へぇ…まさか女の人~?」

勇太「いや……多分違う……と思う……」

森夏「なにそれ?誰と会うの?」

勇太「わからない……けど行かなきゃいけないみたいだから…」

森夏「ふ~ん」ジトー

勇太「特に……意味はない」

勇太「おいおい……何もないから心配すんなよ…」

森夏「どうだかっ!」プンプン

勇太「スネんなって……ほら、明日お前が行きたがってたカフェ行こうぜ」

勇太「俺のおごりでケーキ食べ放題!ってのはどうよ?」

森夏「う~ん…………それで手を打ちましょう」

勇太「まぁ……詳しいこととかは明日決めようぜ」

森夏「そうね、あ、もう授業始まっちゃうからまたね」

勇太「あぁ」

森夏「じゃあね」スタスタ

勇太「……」

勇太「じゃあな……丹生谷……」

これから過ごす三週間は

───同日・夜・丹生谷宅───

森夏「…………」カリカリッ

森夏「…………」ペラッ

森夏「…………」カリカリッ

prrrrr

森夏「ん……電話」

森夏「勇太だ」ピッ

森夏「はい、もしもし」

勇太「もしもし……」

森夏「どうしたの?用事はもう済んだの?」

勇太「あぁ……」

森夏「どうかした…?なんかテンション低くない…?」

勇太「………」

勇太「丹生谷……いや、森夏」

森夏「何よ急に改まって…」

勇太「今から俺が言うこと……一字一句逃さず聞いていてほしい……」

森夏「……うん…」

勇太「俺は……全てを思い出した……」

勇太「たくさんの点が……一本の線になったように……」

森夏「何言ってんの?」

勇太「………俺は…これから……五月七日くみんに殺される…」

森夏「……は?」

勇太「……今から…そうだな…30分後に……五月七日くみんによって…」

勇太「俺は死ぬんだ……」

くみん「富樫勇太は必要ない」バン

何故かシュタゲで脳内変換してしまう

森夏「タイム……リープ……!?」

勇太「俺が選んだ世界線……それは…お前がこの先も生きている世界…」

勇太「本来なら……お前はもうこの世界にはいないはずなんだ……」

勇太「…お前はもう……2年前に死んでるんだ…!」

森夏「…!!」

勇太は必死こいてSG世界線に辿り着いたのに森夏が調子に乗ってタイムリープしまくるから
色々あってくみんに殺される事に収束した訳か
となれば誰がマビノギオンにアレを書いたかってことになるな

勇太「……俺はお前を助けたかった…」

勇太「……お前を助けるために……俺は…全ての条件を達成した……」

勇太「昨日……お前に俺から電話があっただろう…」

勇太「あの電話で……すべての条件は揃った……」

勇太「五月七日くみんに関するフラグが全て達成され……」

勇太「……お前の確定的な『死』は消えた……」

勇太「……結果それが…自らの命を落とす運命になるとは知らずにな…」

勇太「お前は2年前の冬の日……本当は事故で死んだ…」

勇太「俺はそんなお前を救いたくて……」

勇太「……未来から来たんだ…遠い先のな……」

勇太「未来ではな……タイムマシンの開発に世界中の国が力を上げている」

勇太「そして……一番最初にタイムマシン……いや、記憶跳躍術の発見をしたのが」

勇太「…………この俺なんだ……」

森夏「そ……そんなことって……」

勇太「……お前にとっては平凡で平坦な日常だったかもしれない…」

勇太「だがな……お前が今を…一分一秒……鼓動を刻んでいる……」

勇太「……そのありふれた日常こそが……俺にとっては……かけがえないのない時間なんだ…」

勇太「……何十年もの間…一度たりともお前を忘れたことはない」

勇太「………生きてくれ……森夏……」

森夏「ちょっと…!ねぇ……待ってよ……!!」

勇太「………これが……ベストエンドなんだ……」

「……あぁ……もう終わった……」

「……そろそろ時間だろう……」

「ひと思いにやってくれ……」

「「「パアァン!!!!」」」

勇太「うぐっ……!!」

「「「パアァン!!!!」」」

勇太「…………」

森夏「…………うそ……うそでしょ……?」

???「もしもし」

???「モリサマちゃん?聞こえてる?」

???「ごめんなさい……これが最善の選択なの……」

森夏「あんた……くみん…?」

くみん「そう」

森夏「あんた……よくも……よくも勇太を……」グスッ

くみん「私の話を聞いて!!全てに関わる大事なことなの!!」

森夏「……うぅ……うぅ……」グスグス

くみん「ごめんね……急に大きな声を出して……」

くみん「……それで…聞いた?富樫くんの話」

くみん「……さっきの話なんだけど……1つだけ間違いがあるの…」

くみん「富樫くんはこれがベストエンドって言ったかもしれない…」

くみん「でもこれは違う……ベストエンドじゃない……」

くみん「少なくとも……『私達がいた世界』のベストエンドじゃない……!

『私達が“いた”世界』
”いた”
なにがあったんだろうな

森夏「グスッ……どういうこと……なの……?」

くみん「………この世界は……モリサマちゃんや私がいた世界じゃない…」

くみん「私達が今までいたのは『モリサマちゃんのループ世界』で……」

くみん「ここは『富樫くんのループ世界』なの……」

くみん「原因はわからないけど……私とモリサマちゃんが学校で会ったあの日の夜…」

くみん「何かが原因で私たちの意識は『富樫くんの世界』に取り込まれた…」

くみん「あの日の夜……何があったの…?」

森夏「…………あの日……」

森夏「…………あの日…私と勇太は……病院の屋上から……落ちた……」

森夏「……はずだった……」

森夏「気づいたら……季節は冬で…なぜか……小鳥遊さんもアンタもいなくて…」

森夏のループ世界→マビノギオンからリープする世界
富樫のループ世界→死ぬはずだった森夏を助け、付き合った世界
六花のループ世界→アニメ中二病の世界
凸守のループ世界→富樫と映画行った世界

今のところはこんなもんか?

くみん「おそらく…………富樫くんが飛び降りた時に……富樫くんの世界に跳んだんだと思う…」

くみん「これが未来の富樫くんの記憶だったから……知らない未来があったの…」

森夏「だったら……なんで私は…勇太が跳んだ時気づかなかったの……?」

森夏「同じタイムリープなら……気づくはずよね…?」

くみん「それは…………モリサマちゃんが富樫くんの世界にとっての…中心であり」

くみん「富樫くんが………世界を支える存在だったから…」

くみん「富樫くんが……そう望んだから……!」

森夏「……よくわかんないわよ……」

くみん「……それでね……ここからが本題なんだけど……」

くみん「富樫くんという神がいなくなったこの世界は……もうすぐ崩壊する……」

くみん「……だから」

くみん「もう一度……もう一度だけ跳んで……!!」

くみん「戻るの……あの日に……!!」

くみん「思い出して!!モリサマちゃん!!あなたが一番最初に跳んだ日!!」

くみん「そこに答えがかならずあるはず!!」

くみん「もう時間がない!!モリサマちゃん…このままじゃ……あなたも私も……!!」ブツッ

森夏「………」

森夏「そんなこと……急に言われたって……」

森夏「どうすればいいのよっ!!!!」

森夏「私は……もう跳べないのよ……!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

森夏「…!始まったみたいね……」

森夏「……思い出す…思い出すの…!あの日のことを……!」

森夏「あの日は確か……中坊がマビノギオンを忘れていって……」

森夏「……帰る途中に思い出して……」

森夏「……一人で…部室に……」

森夏「!……そういえばあの時…!」

森夏「…何か……視線…誰かに見られていたような…」

森夏「ということは……あの時……誰かがあそこにいた……!」

森夏「………その人が誰かわかれば……」

森夏「ベストエンドに……たどり着ける……!!」

森夏(…………)

森夏(……気持ちを落ち着かせて……)

森夏(……あの日に……あの日に跳ぶの……)

森夏(……いちか……ばちか…………やるしかない……!!)

森夏(……勇太……私に力を貸して……)

森夏(ついてきてよね……私の身体……!!)

森夏(……!!!!!)

森夏(いっっっけええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!)

──────

────

──


……

…………

………………

森夏「…………」

森夏「………成功……したの…?」

森夏「……今は………2年前のあの日!!」

森夏「……成功……してる……!」

森夏「発作も……ない……」

森夏「よかった……」

───同日・朝・丹生谷宅───

森夏「行ってきます」

森夏母「あら…今日は随分早いのね?」

森夏「やらなくちゃいけないことが…あるから…」

森夏母「そう……いってらっしゃい」

───朝・電車内───

森夏(くみん……)

森夏(あんたを巻き込んだこと……どう考えても許されることじゃない……)

森夏(そんなことわかってる……だから……)

森夏(ここから先は……私一人で……ケリを付ける……!!)

───朝・部室───

森夏(…………)ガサガサッ

森夏(…!)

森夏「……あった…!」

森夏「ごめんねさい…でも……あんたにも……幸せになってほしいの……」

森夏「許してね……」




───朝・焼却炉───

森夏(……これで……これで大丈夫なはず……)

森夏(これさえなければ……くみんも……)

森夏(……ありがとう…………さようなら…………)



<『青いまくら』を処分しました。>

───同日・夕方・部室───

ピンポンパンポーン

放送「全校生徒は下校の時間になりました~。速やかに帰宅する準備をして……」


勇太「お、もうそんな時間か」

森夏「そうね…そろそろ帰りましょう…」

勇太「ほらっくみん先輩、起きてください」ユサユサ

くみん「ん……う~ん……」

勇太「ほら、帰りますよ」

───夕方・昇降口前───

森夏「そういえば……」

勇太「どうした?」

森夏「マビノギオン忘れてきちゃったから、先に行ってて」

森夏「……それと教室にも寄りたいから…待たなくていいからね?」

勇太「え…?あぁ、わかった」

───同刻・部室───

森夏「……」

森夏(ぱっと見…中には誰も居ないわね……)

森夏「……となると」

ガラガラッ

森夏「ふぅ~、危ない危ない。せっかくのチャンスを棒に振るところだったわー(棒)」

森夏「マビノギオン無事回収!っと(棒)」

森夏「……さて」

森夏「…………隠れてるのはわかってるのよ…」

森夏「出て来なさい……」

ガチャッ、キー

森夏(掃除のロッカー…!やっぱり……誰かいる…!)

???「よ、よう……」

森夏「あ、あんた……!」

一色「べ、別に隠れる気はなかったんだけどよ…」

森夏「…………ただったのね…?」ボソッ

一色「え…?」

森夏「あんただったのね!?……黒幕は!!」

一色「え……ちょ、ちょっと待ってくれよ!!いきなりなんなんだよ!!」

森夏「こっちのセリフよ……」

ペラペラペラッ

森夏「……やっぱり…『記憶跳躍術』について書いてある……」

森夏「これを書いたの……あんたね…?」

一色「…………」

森夏「答えなさいよっ!!!!」

一色「……あぁ……そうだ……」

森夏「やっぱり……あんたが……」ジリジリ

一色「うわー!待て待て!わかった!事情を話すよ!だから痛いのはやめてくれ!」

森夏「……なんなのよ……事情って」

一色「俺もさ……それ書いたはいいけど……何のことかは全くわかんねぇんだ」

一色「今日の朝なんだけどさ………俺の机の中にラブレターが入ってて…」

一色「……それで中身を見たんだけど」

「昼、机、手紙」

一色「ってだけ書いてあってよ…」

一色「それで昼休みに机の中を見てみたらよ…新しい手紙があったんだ……」

森夏「そこには……なんて書いてあったのよ…」

「下記のものを放課後、秘密結社の部室にある厚手の冊子の1ページに写し書きしろ」
「このことは口外は厳禁」
「誰かに話したり気づかれたりすれば」
「お前の命はない」

一色「っていう文章の下にさっき写し書きした内容と俺の家の写真が入ってたんだ…」

一色「やるしかなかったんだよ……俺は……」

森夏「つまり……あんたは……誰かに頼まれてやってただけってこと?」

一色「そうだ…………だが……まだ俺の任務は終わってはいない…」

森夏「え…?」

一色「最後にこうも書いてあった……」

「もし誰かに知られたり見られた場合、その者を排除しろ」
「そのための道具を鞄の中に入れておいた」

森夏「その包丁……」

一色「……だから…丹生谷……死んでくれ……」ジリジリ

一色「……ごめんな……ごめんな……」ジリジリ

一色「うわああああああああああ!!!」ダッ

森夏「い…………いや…………」

森夏(……助けて!!……死にたくない!!!)

森夏(…………勇太……)

勇太「やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!!」バッ

一色「なっ…!?」

グサッ

勇太「うぅ……」ボタボタボタ

一色「あ……あぁ……あぁ……ああ…………」

一色「うわあああああああああああああああああ」ダッ

勇太「うっ……ぐっ…………」バタッ

森夏(え…?………え…………?)

森夏「いや……いや……いやぁ…………いや……!!!」

森夏「いやああああああああああゆうたあああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

………………

…………

……

………………

…………

……

森夏「…………ハッ…!?」

森夏「……ここは……?」

森夏母「森夏~、朝よ~起きなさーい」

森夏「………」

森夏「…………夢…だったの…?」

森夏「………起きよう……」

森夏「いや……やっぱり夢なんかじゃない…」

森夏「今日の朝に……戻ってきたんだ……」

森夏「…………」

森夏「一色の言ってたことがもし…本当だとしたら……」

森夏「誰が……原因なのかわかるはず……」

森夏「……必ず昼までに……教室に来る……」

───同日・三時間目終了時・教室───

ワイワイガヤガヤ

女子「丹生谷さん、次の体育、体育館だから着替えて早く行こうよ」

森夏「え……あぁ……私ちょっと体調が悪いから、保健室によってから行くわ…」

女子「そっか…大丈夫?」

森夏「うん大丈夫大丈夫、一人でいけるから」

森夏「…………」

森夏(あとは……バレないように張るだけ…)

───同日・四時間目・教室───

森夏(………………)

ガラッ

森夏(来た……!!)

森夏(…………行くしかない…!)

ガラガラッ!!

森夏「そこにいる人……何やってるの…?」

???「………………」

森夏「……あなたは……誰……?」

???「………………久しぶりね」クルリ

森夏「………………あ、あんた……」

森夏「……ど、どうして……あんたが」

森夏「…………あんただったのね……」

森夏「……小鳥遊さん…!」

六花「……少し違う…私はあなたの知っている小鳥遊六花ではない…」

六花「……私は……3年後の世界からタイムリープで跳んできた……小鳥遊六花……」

森夏「3年後……?」

六花「そう…3年後の私……数時間前に死んだはずのね……」

森夏「……死んだ…!?」

六花「えぇ……病気でね……パパと一緒の」

眠い
明日は休むか

六花「……死の淵をさまよっている時に思ったの……」

「私の人生はこんなにも……あっけなく……単純に……」

「欲しい物も見つからないまま……愛する人に看取られることもなく……」

「終わっていくのか……って」

「もしかしたら……もっと別の人生があったんじゃないか……って」

六花「……私は終わらせたくなかった……やり直したかったの……」

六花「……私がここを辞めて実家へ帰ったあと……」

六花「……あの時……勇太は私を迎えに来てくれなかった……」

六花「ずっと……ずっと待っていたのに……勇太は来なかった……」

六花「……勇太を待っているうちに……私は……病を患ってしまった」

六花「……何も伝えることが出来なかった……何もかもが……あまりにも遅すぎた……」

六花「……だから……過去を変えに来たの……未来からね……」

六花「……『過去を変えたい』という私の強い気持ちが…意識だけを過去に飛ばすことに成功したの…」

森夏「……それじゃマビノギオンのあの記述も……」

六花「……そう……私が発案した………私自身のやり方、そのまま」

六花「……あなた……何度跳んでるの?」

森夏「……もう忘れたわ……何度も跳んだのは確かだけどね……」

六花「そう…………どこか体に異常はない…?」

森夏「え…?そういえば………発作みたいなものが途中から起こるようになったわね…」

六花「………悪いことは言わないわ…跳ぶのはもう辞めたほうがいいわ」

六花「私は記述しておいたはずよ…これは一種の『仮死状態』だと…」

六花「……生身の人間が仮死状態になる行為を繰り返し続けてどうなるか……」

六花「……取り返しの付かないことになる…」

六花「………」

六花「丹生谷…さん……勇太の事は好き?」

森夏「え…えぇ……まぁ……そうね……」

六花「そっか…………はぁ」

森夏「…………」

六花「……私も勇太が好き…」

六花「……何にも変えられないくらい……この命をかけてでも……」

六花「愛していると…言い切れる」

森夏「……私だって…!……私だって…そうよ……」

森夏「勇太だって……私のことを愛してくれてた……」

森夏「だけど……その勇太は……もう……いなくて…」

六花「………」スタスタ

ポンッ

森夏「……な……なに…?急に人の頭の上に手なんか置いて…」

六花「………」

六花「……そっか……そうなんだ……」スッ

森夏「……?」

六花「記憶の中を見せてもらった…」

六花「……さっきあなたは『私を愛してくれた勇太はもういない』って言ってたけど」

六花「……そんなことないと思うよ……」

六花「あなたが……一色くんに刺されそうになった時……勇太はその身であなたを守った」

六花「……あなたを愛している勇太は……たとえ世界が変わっても生き続けている…」

六花「……その事実に変わりはない……」

森夏「……そう……なんだ……」ウルウル

森夏「……勇太……そっか……そっか……」ポロッ

森夏「……うぅ……うぅ……」ボロボロッ



六花「…はぁ………困るなぁ…」

六花「……あなたを見てると……なんだか……」

六花「……ダメね…………私……」

六花「あなたに会ったら……一言……『勇太に手を出さないで』って……言おうと思ってたのに…」

六花「……やっぱり……私は……あなたを……傷つけることはできない……」

六花「……勇太は……幸せだね……こんなにも……愛されてるんだから……」

六花「………あー………悔しいな…………」ポロポロッ

───同日・PM12:10───

六花「……そろそろ……私は行かなきゃ……みんなも……戻ってくるし……」

森夏「……行くって……どこへ……?」

六花「……人間…『死』が近づくとね……自分でもあとどれくらいの命か……わかるものなの……」

六花「……こんな所で倒れるわけにも行かないからね……この時代の家に帰るわ……」

森夏「……死ぬ……ってこと……?」

森夏「死んだらあなたはどうなるの!?元々いるはずの小鳥遊さんも!」

六花「……大丈夫……死ぬのは私の魂……この時代の私には今眠ってもらっているだけだから……」

六花「……私がこの体からいなくなれば……元に戻る……」

六花「……それじゃ……これでおわかれね……」


六花「あなたに出会えてよかった……勇太のこと……幸せにしてあげてね……」


六花「グスッ……最後にあの時の言葉を……もう一度だけ言わせて欲しいの……」


六花「丹生谷は……勇太にとって…そして私にとって……希望を与える光のような存在……」


六花「……そして……いつまでも……大切な……友達だから」


森夏「小鳥遊さん……いや…六花!!」ギュッ


六花「森夏!!!」ギュー



………………

(こうして未来の六花は去っていった…)


(残された私は…………)


(生きていかなければいけない……)


(託された…彼女のぶんまで……)







───数カ月後───

───数カ月後───

勇太「六花の荷物がない!?」

樟葉「うん……今日引っ越しの業者さんが来ててね…ってお兄ちゃん!?」

勇太「六花……!!六花……」

勇太(六花……戻ってくるって言ってたのに……)

勇太(あれは……嘘だったのか…?)

勇太(……こんなのって……ありかよ……)



疲れた
この時間も見てる人いるの?

───夜───

勇太「…………」

勇太「…………六花」

勇太「全部……俺が……」

勇太「俺が言ったことのせいで……」

勇太「もう……どうしようもないんだ……」

勇太「六花がいなくなった今……俺には……」

勇太「俺を力づけてくれるものなんてない……」

勇太「DFM……お前なら俺になんて言う…?」

勇太「教えてくれよ……誰か……!!」

prrrrrrr

勇太「!!六花か!?」



いるのか
じゃあがんばります

勇太「……丹生谷……」

勇太「何なんだ…こんな時間に…」

ピッ

勇太「はい……」

森夏「今から言う場所に来て。必ず。絶対に。」

勇太「……は…?ちょっと……」

森夏「いいから……来てよね」ブツッ

勇太「……なんだったんだ……」

───同日・夜・公園───

森夏「お、きたきた」

勇太「なんだよ……こんな時間に……」

勇太「とてもじゃないけどこんな時間までふらふらしてたい気分じゃないんだ……」

森夏「それって……小鳥遊さんのことのせい?」

勇太「……わかってるのに聞くなよ」

森夏「……で、あんたはどうすんのよ?」

勇太「どうするって……どうしようもないよ……」

勇太「俺には六花を救えなかった……それだけだ…」

森夏「………」

勇太「六花は俺がいなくても……生きていけるさ……」

勇太「あいつならきっと……」

パンッ!!

勇太「え……」

森夏「…………」

勇太「な、何すんだよ!いきなりビンタなんかして!!」

森夏「あんたね……!」

森夏「いつまでウダウダ言ってんのよ!!それでも男なの!?」

森夏「六花は……少なくとも私の知ってる六花は……アンタが思ってるほど強くない!!」

森夏「本当は…弱虫で…泣き虫で…でも友達のことは命をかけてでも大切にする!!」

森夏「そんなこともわからないの!?」

森夏「あの子には……アンタが必要なの…!!」

森夏「あの子にとってアンタは……生きる希望なの!!」

森夏「あの子はね……アタシ以上に……」



森夏「アンタのことが好きなのよ!!」

勇太「……丹生谷」

森夏「はぁ……はぁ……はぁ……グスッ……グスッ」ポロポロッ




勇太「丹生谷……俺もお前のことは好きだ」

勇太「でも…………ごめん」

勇太「俺は……行かなきゃいけない……」

勇太「六花のところに……」

森夏「グスッ……そう……それでいいの……」

勇太「ありがとう……森夏」

森夏「勇太……」

ギュッ

森夏「……もう落ち着いたわ……ありがとう……」

勇太「あぁ……」

森夏「早く行きなさいよ……六花、待ってるわよ」

勇太「うん……」

森夏「一色のところに寄りなさい……きっと力になってくれるわ……」

勇太「わかった……ありがとう……もう行くよ……」

森夏「気をつけてね……」

………………



森夏(はぁー……やっと言えた……)

森夏(勇太に…………好きって…………)

森夏(言えたんだ…………)

prrrrrr

森夏「きたきた…」

ピッ

森夏「はい?」

くみん「あ、モリサマちゃん!今どこ!」

森夏「……近所の公園にいるわよ……」

くみん「わかった!今から行くね!」ブツッ

森夏「……はいはい」

───同日・数十分後・車内───

森夏「………」

森夏「……あら?」

森夏「……中坊、あんたその髪留め…どうしたの?」

凸守「これデスか?この間買い物に行った時に偶然見つけたのデス!」

凸守「一目見た時からとてつもない魔力が秘められていると……」

凸守「………………」

凸守「……というのは冗談で…この髪留め……なんだか懐かしい気がして…」

森夏「元々持ってたの?」

凸守「いえ、そんなことはないデス…ただ………昔」

森夏「昔?」

凸守「あまり覚えてないんデスが…とても大切な人にもらったものと似ている気がして……」

凸守「……つい買ってしまったデス……」

森夏「ふーん……そうなんだ……」

森夏「……それ、大切にしなさいよ……」

凸守「言われなくても大切するデスよっ!!」

くみん「あ!そろそろ着くよ!」

森夏「ここにもよく来てるわねー」

一色「え?二回目じゃねぇのか?」

森夏「……あー、そうだったかもね~……」

森夏「………………」



………………

森夏(六花……私ね……やっぱり……勇太が好き……)

森夏(でもね……それ以上に…………あなたが好き……)

森夏(あなたにとっての幸せが……私の幸せでもある……)

森夏(あなたは私のことを……こう言った……)

森夏(私が……あなた達の『光』だって…)

森夏(……私はね……あなた達の光になりたい……)

森夏(あなた達の……生きる道を照らしていけるような……眩しい光に……)

森夏(どんな暗い道だって……希望を持って進めるような道になるように…)

森夏(私がずっと照らしていきたい……)

森夏(大切な友達の……)

森夏(かけがえのない世界を……)

勇太「六花!!」

六花「勇太!!」


森夏「これが……ホントのベストエンド……」

森夏「この世界……私が作り出した……最高の答え……」

森夏「……私と……私の大事な人達にとっての……幸せ…!!」




───小鳥遊六花と富樫勇太は互いに愛を誓い合い───

      

       ───世界は収束する───

           

           -THE END-

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、森夏達のみんなへのメッセジをどぞ

森夏「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

六花「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

凸守「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいデスね・・・」

勇太「見てくれてありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

くみん「・・・ありがと」ファサ

では、

森夏、六花、凸守、勇太、くみん、一色「皆さんありがとうございました!」



森夏、六花、凸守、勇太、くみん「って、なんで一色くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

疲れた。寝る。
初めてSS書いたけどまた書ければいいな
おやすみ

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