雪菜「倒した相手を主義主張に関係なく眷属にする能力から『暴君』の異名を持つ吸血鬼です」
古城「……そんな奴がなんで絃神市にくるんだよ」
雪菜「獅子王機関の情報では、その、明日開かれる鰯祭りに参加するらしく」
古城「鰯祭りって絃神市の近海で取れる魚の豊漁祭だっけ?」
雪菜「はい」
古城「なんで暴君って呼ばれているのに、鰯祭りなんかに参加するんだ?」
雪菜「分かりません」
浅葱と王女は出てきますか
古城「……それで俺にどうしろと?」
雪菜「先輩のことですから、接触させないようにしても接触するだろうから、初めから会わせるというのが獅子王機関の意思です」
古城「いや、好き好んで厄介事に巻き込まれたくないんだが」
雪菜「……ハァ。今更、何を言ってるんです。今までも散々と巻き込まれたじゃないですか」
古城「そうだけど――」
雪菜「来ている間は、紗矢華さんがヴァルバトーゼの監視役をするそうです」
古城「煌坂が?」
雪菜「はい。当日は、魔界から何人か来るそうなので、厳戒態勢が敷かれます」
古城「魔界。もうその時点でイヤな予感しかしないんだが」
那月「そう心配することはない」
古城「那月ちゃん」
古城「担任をちゃん付けで呼ぶな」
那月「ディミトリエ・ヴァトラーと比べると、数百倍まともな奴だ」
古城「ヴァルバトーゼのことを知っているのか?」
那月「風のウワサ程度だ。向こうも何もしなければ何もしないさ。ただ、鰯は確実に薦められるだろうが」
古城「はぁ……(なんで鰯?)」
雪菜「とりあえず覚悟だけはしておいてくださいね。先輩」
古城「ああ」
数日後。鰯祭り開催
ヴァル様って暴君時代から鰯好きだったっけ?
メーヴェル「ヴァルバトーゼ閣下。絃神市です」
ヴァルバトーゼ「ここが魔族特区・絃神市か」
フェンリッヒ「はい。魔族と人間が共に法のもとで暮らす島です。色々と問題はあるようですが……」
ヴァルバトーゼ「まぁいい。今回はこの島で開かれるイワシ祭りに参加にやって来ただけだ」
フェンリッヒ「……」
プリニー「イワシが食べ放題って本当ッスかねー」
プリニー「待ち遠しいッス」
フェンリッヒ「そろそろ案内人という名目の監視役が来るようです。……どうやらあの者のようですね」
ヴァルバトーゼ「そうか」
紗矢華「ヴァルバトーゼ閣下。ようこそ魔族特区・絃神市へ」
紗矢華「獅子王機関から参りました、煌坂紗矢華と申します」
フーカ「ちょっとヴァルっち? 感謝してよね。わざわざ来られるように手配してあげたんだから」
フェンリッヒ「黙れ小娘。気まぐれで地球の支配者になったんだ。閣下の役に立てて光栄に思え」
フーカ「相変わらずよねーフェンリっちって」
ヴァルバトーゼ「煌坂紗矢華か。アレはなんだ」
紗矢華「……鰯がどうかしましたか?」
ヴァルバトーゼ「確かに陸にあげてしまうと弱ってしまうからそう呼ばれているが……」
ヴァルバトーゼ「栄養満点な上に、その匂いから魔除けとしても使われるイワシが弱いわけがない!!」
ヴァルバトーゼ「つもり、だ! イワシという漢字は、魚編に弱いではなく、魚編に強いと書くのが正しいのだ!!」
ヴァルバトーゼ「そう、つまり「魚強(イワシ)」だ!!」
フェンリッヒ「閣下。イワシに対する熱い熱意は分かりましたから、そろそろ移動しましょう」
フェンリッヒ「いつまでも突っ立っていては時間の無駄です」
ヴァルバトーゼ「そうだな。では、会場に行くか」
フーカ「それじゃヴァルっち。またね。デスコとショッピングモールで買い物をする予定があるのよ」
フェンリッヒ「精々面倒事はおこさないことだな」
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