パルスィ「・・・・みんな。みんな嫌いよ。」(89)

パルスィ「今の時期になると、本当に気持ちが下がるわね。」

パルスィ「外を歩く人間たちの思念が入り込むわ。」

パルスィ「たしか、隙間女の話では、外の世界では、とある聖人の生誕を祝う祭りがある、
     という話だったわね。」

パルスィ「色ボケた人間共の笑顔、笑い声、喜ぶ顔、嬉しいという感情。暖かな気持ち。
     談笑。団欒。歓声。嬌声。・・・・反吐が出る。」

パルスィ「そして、誰からも祝われず、愛する人もおらず、ただこの時期であるから、
     という理由だけでその幸せものゴミ虫を妬む、クズ共の声。」

パルスィ「ふん・・・・。どいつもこいつも満たされてない声。感情。
     惰性。矛盾。悔恨。・・・・・・腐りきってるわね。」

パルスィ「あはは・・・・いい気持ちだわ。もっと妬むのよ。
     そして私に供物を捧げればいいの。嫉妬心という供物を。
     ・・・・・・・はは、はっはっはっは!!」

パルスィ「ふざけてるの!何がそんなに妬ましいのよ!!
     生きている癖に!人間でいる癖に!妖怪じゃない癖に!!」

パルスィ「ああ、みんな・・・・みんな。みんな嫌いよ。おまえ達なんて誰も愛されるべきじゃないわ。
     妬ましいのよ。幸せな顔をするな。接吻をするな。笑うな。私を嗤うな!!」

パルスィ「はーー。はーー。・・・・本当に嫌な時期ね。大声を出したら少しスッキリしたかしら。」

パルスィ「ふん、地の底から恨み言を吐いて地上の別世界の連中を呪うなんて・・・
     まさにお誂え向きじゃない。私らしくて最高だわ。本当にクズで陰鬱で人嫌いな鬼には、
     ピッタリの場所だわ・・。」

パルスィ「ああ、妬ましや、今生に生きる人間達のみずみずしい生き様が妬ましい。
     腹立たしや。うらめしや。何故、私は人としては生きられないのか。」

???「そりゃ、お前さんが人じゃないからだろうが。」

パルスィ「―――――誰!?」

勇儀「よお、橋姫。元気してるか?」

パルスィ「・・・なんだ。アンタなの。」

勇儀「こんな辺鄙な橋の上でブツブツと何をしてんだい。また独り言か?
   あんまりやってるとそのうち近場の怨霊全部引き連れて、さとりみたいになっちまうぞ。」

パルスィ「邪魔しないで欲しかったわね。今独りでそれなりに楽しんでたのよ。
     外の世界のカス人間達から食料を提供して貰ってたんだから。」

勇儀「あー、なるほどな。っていうとアレか。例のパルパル毒電波とかいう・・」

パルスィ「ちょ!!ソレ止めなさいよ!!バカみたいじゃない!!隙間女の流行らせたネタを使わないでよ!!」

勇儀「ははは!!すまん!すまん!あんまり暗い顔してるもんでな。
   冗談交じりの会話もしたかったから使っただけだよ。許せ。」

パルスィ「・・もとから暗い顔だから別にいいわよ。それよりなによ。こんな誰もいないところに。
     まさかとは思うけど
勇儀「おう!酒飲むぞ!!付き合え!!」

パルスィ「な!まだ私何も言ってないわよ!!っていうか、有無を言わさないその発言はどうなのよ!」

勇儀「なんだ・・嫌なのか?せっかく美味い酒が入ったーって、酒屋の親父から貰ってきたんだぞ。
   ここで断る道理はどこにもねえと思うがなあ・・。」

パルスィ「あのねえ・・私今別に酒は飲みたくないの。酔うっていうなら、もうとっくに、
     人の不幸と自分の不幸に酔ってるの。鬼のアンタから貰う酒じゃ酔えないのよ。」

勇儀「なんだ、じゃあお前、飲みたくないのか?」

パルスィ「要らないわ。そんなモノ。さあ、下らない時間を私のところで使っている暇があったら、
     飲み屋なり何なり行って飲んできなさいよ。私は嫌だわ。正直今飲みたくないの。
     わかる?あなたとお酒なんて飲みたくないのよ。」

勇儀「ほお・・・そうか。そうか。 じゃあ仕方ねえな・・」

パルスィ「分かればいいのよ。それじゃ・・」

勇儀「なら無理矢理連れてくぞ。」

パルスィ「!?え!?わあ!?」

勇儀「がははは!!油断したな橋姫!!」

(勇儀、お姫様抱っこで水橋を持ち上げ空を飛ぶ)

パルスィ「ちょっと!!アンター!!何すんのよ!」

勇儀「グチャグチャ言うな!!どうせ独りで居たって不幸に酔って飯食って、
   センズリこいてるだけだろうが!だったらその無益な時間を私の為に使いな!!」

パルスィ「お、横暴すぎでしょ!!なんなのよー!!わたしは独りで居たいのにー!!」

勇儀「嫌よ嫌よも好きのうちだ!さて、今日はハシゴ確定だからなー!いくぞ!!」

パルスィ「信じらんない!!アンタ、頭のネジ緩んでるでしょ!・・だいたい私と飲んで何が楽しいのよ。
     時間さえあれば、そのへんの妖怪やら人間やら妬んでるだけ・・。気の利いた話もなければ、
     仏頂面で座って暗い顔して飲んでるだけなのに。そんなヤツと飲んで何が面白いのよ。
     意味分かんないわ。」

勇儀「・・・・・」

パルスィ「ほら、答えられないでしょ。・・・どうせ、そうなのよ。私を好きなヤツなんて居ないのよ。
     とっとと降ろしてよ。」

勇儀「確かにな・・お前と一緒にいても楽しくはねえな。毎度顔合わせりゃ文句つけるし。
   愚痴は言うし。しかもメンヘラくさいしな・・・。恨みを吐かせても吐かせてもその都度溜まるし、
   扱いづらい性格だし、おまけに暗い。ジメジメしやがってるしなー・・」

パルスィ「はは、良くわかってんじゃないの。そうよ。陰鬱で気持ち悪い人嫌いの妖怪が私なのよ。
     もういいわよ。そのまま腕おろして捨てなさいよ。その辺でまた悦にいって人間たち呪うから。
     それだけが生きがいだから、おろして・・」

勇儀「だけど、お前と酒を飲むのは好きだ。」

パルスィ「は?」

勇儀「性格最悪だけど、飾らないし、嘘つかないし、何より素直だ!!
   飲む相手としちゃこれほどいい相手は居ねえ!!なんせ、好きなだけ酔っても、
   好きなだけツッこむし、愚痴を吐くし、一緒に居ると飽きねえんだよ!」

パルスィ「―――――。」

勇儀「ま、お前が仲良くならなくても、私はお前のこと嫌いじゃないし。
   断る理由もどうせ、独り言を言う時間が欲しいだけだしな。
   こんな誘いやすい嘘下手なヤツ放っておけねえってな!!」

パルスィ「・・・あ、そう。」

(場所変わって・・・・飲み屋)

勇儀「ってなわけで拒否権もなしだ!!今日は盛り上がろうぜ!」

パルスィ「・・・・・・ほんと、鬼って変な妖怪・・」

勇儀「何言ってんだい!お前も鬼だろうが!嫉妬の鬼だろ!!」

パルスィ「・・・ええ、そうね。」

(場所変わって・・飲み屋)

パルスィ「・・・ついたわね。」
勇儀「たのもー!!」

モブ店主「いらっしゃい!!おや・・!今日はめんこいお嬢さんも一緒だね!
     星熊童子!」

勇儀「ああ、私のまあ腐れ縁のダチ公だ!今日は朝まで飲むから気合いれてくれよ!!」

モブ店主「毎度ありい!!そんじゃ座敷イットくれな!!お得意様ー!!
     10番席はいりまーす!!」

勇儀「お、珍しく今日は空いてるな!おい店主!努力が足りてねえんじゃねえの?
   がははは!!」

モブ店主「あ、えーと・・・なはは!!そんなワケないじゃないの!!
     いつでもどこでもどんな妖怪さんでも笑顔でサービス!!それがこの店の魅力だよ!!」

勇儀「だな!!がはは!!」

モブ店主&勇儀「わはははははは!!」

パルスィ「テンション高っ・・」

勇儀「おーし、そんじゃ席いくぞ!パルスィ途中で潰れんなよ~」


モブ店員「店主さん・・ちょっと・・いいんですか?星熊童子入れちゃって・・(ヒソヒソ)」
モブ店主「ばか!声が大きいんだよ。お得意さんなんだから・・(ヒソヒソ)」

パルスィ「ん?」

勇儀「おーいパルスィもう座ってんぞー!早くこい!」

パルスィ「あ、ええ・・(今何か・・気のせいかしら)」

数時間後―――――――

勇儀「だーっはっはっはっはっはっは!!!!! そりゃケッサクだ!!
   それで連れ込んだ男が短小包茎の役立たずだったってことか!!
   ふはははは!!!」

パルスィ「ちょっと・・・アンタ!!声大きいのよ!!」

勇儀「いやあ、悪い悪い。さすが橋姫様とあっちゃあ、男は星の数ほど手玉にとってるってな。
   いやはや恐れいったぜえ!!はっはっはっは!!」

パルスィ「別に・・!ただ私は他の鬼と違って男絡みが多いだけよ・・。
     あんまり大声で話さないでよ恥ずかしいでしょうが!!」

勇儀「ばっかお前!酒の席だろ!鬼の前で嘘や恥なんて考える必要なしだ!!
   有りの侭をさらけ出してりゃいいんだよ!!パルスィ!」

パルスィ「はあ・・(なにこれ・・パワハラとアルハラの同時進行みたい・・)」

勇儀「それにしても時間は経つけど・・パルスィ・・お前結構酒に強いなあ・・。
   ま、アタシに比べりゃまだまだだが、ピンピンしてるじゃねえか。」

パルスィ「そりゃあね・・一応過去に酒は飲まされたりしたしね。嫁入り修行の特訓だ。
     とか言って晩酌に付き合わされた時もあったわね・・。

勇儀「・・・」

パルスィ「本当に昔の話よ。・・・ある男を心から信じた馬鹿な女が居た。
     女の人生は男の為だけにあるのだと、周りからもその女自身も盲目に信じてたの。
     この人さえいれば他は何もいらない。命さえ捧げてもいい。
     そんな大昔の下女の話。」

勇儀「ながーい人生。いや、妖怪生か・・いろいろあるだろうよ。」

パルスィ「私ね。たまに自分の存在について考えるのよ。私はいったい何なのかなってね。」

パルスィ「思いついたのは信仰だったわ。神への信仰、とは大分違うわね。
     きっと人間の信仰から生まれたのが私だって気づいたの。」

勇儀「人がおまえさんを神だと崇めるのか?」

パルスィ「いいえ、私を崇めるんじゃないの。もっと限定的なのよ。
     崇めるのは私でも神でもないの。それに信仰者も限定的。」

勇儀「うん?」

パルスィ「私はきっと世の女たちの信仰から生まれたんだわ。
     愛する夫を神に崇める貞淑な皮を被った醜女から、
     苦しみもがいた先に産まれ出た落し子なのよ。」

勇儀「・・・ああ、なるほどな。」

パルスィ「簡単でしょう?産みたかったワケじゃないのに生みだされた。
     この時点で女疎まれた祟り神なのよ。水子に近い、そう、だから水橋なのかしら。
     単に京の都の地名だけじゃないわ。そうして産まれてきた残りカスを醜女たちが捨てていった。」

勇儀「胸糞悪い話だな。・・・それで・・?」

パルスィ「ふふ、名前なんて正直どうでもいいの。さっき、信仰の話をしたじゃない?
     そんな醜女たちにとっての神は気高く誇り高い男の亭主たちなのよ。
     高潔で、勇猛で、誰よりも頼りがいのある、命の輝きに満ちあふれた男。
     そんな偶像に恋をするのよ。神と崇めるの。」

パルスィ「そして、簡単に偶像を壊される。裏切られる。だって当たり前よ。
     人間は神じゃないの。愛憎入り混じった肉袋なのよ。
     高潔でなければならない。私の夫は誰よりも、誰よりも私が愛さなければならない。
     はは、お笑い種だわ。神でも何でもない凡夫だから仕様がない。
     あるいは信じた神からの裁きなのかしら?醜女どもはそこで絶望するの。」

勇儀「・・・・・・・・・・・・」

パルスィ「愛しているの。愛しているの。誰よりも信仰しているの。
     でも、仕方ないわ。あなたはただの人間。結局ケモノと変わらなかった。
     どうしてかしら。どうしてなのかしら。私がこんなにも愛しているのに。
     こんなにも愛をそそいでいるのに。あの女がいけないの?私が駄目だから?
     嘘だわ。こんなの嘘よ。にくらしや。うらめしや。妬ましや。
     愛さぬのなら神ではない。お前は堕ちた神様だ。獣だ。妖怪だ。畜生だ。
     許せない許せない息を吸うのも愛を語るのも口を動かすのも、
     あの女が隣にいるのも、わたしが苦労してつくった飯を食らうのも、
     皆々すべて許せない、愛しているの、愛していないの?
     あなただけがいて欲しいの、いや、違うやはり許さん。殺せ殺せ殺せ。」

勇儀「パルスィ」

パルスィ「そうして、信仰は瓦解したのよ。ほんの一瞬で。何も残らないわ。
     虚無だけよ。醜女と、血だらけの包丁と。」

勇儀「・・・・」

パルスィ「・・・あ、・・・ごめん。酒不味くなったかしら。」

勇儀「」

パルスィ「!!!!!!!」

(勇儀、パルスィを抱きしめる)

勇儀「なんか、よくわからんが、鬼の私でもお前が辛そうなのは分かる。
   ま、私も萃香と同じで、結局はさみしがり屋だ。なかなか自分の話は出来ん。
   それも昔話となりゃあ根性のいる話だ。よく頑張った。うん、よく頑張った。」

パルスィ「・・・・あ、 なに・・・よ。 何でよ・・・・・・・
     何で私を愛さないの!一生あなただけを見るって言ってたじゃない!!!」

勇儀「・・・全部吐き出しな!!!楽になるから!!」

パルスィ「憎いのよ!!!妬ましいのよ!!!あなただけがいてくれればいいのに!!
     あの女が!!!あの女が!!!!あなたを誑かしたんでしょう!!!!
     そうでしょう!!そうじゃないと!!!恨めないのよ!!!!なんで!!!
     どうして!!!! 私はあなたを殺しちゃったの!!!???
     なんでよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
     あああああああああああ!!!うわああああ!!!!」

勇儀「・・・大丈夫アタシは裏切ってないぞ。・・・大丈夫、大丈夫だ。」

パルスィ「うええええええ!!あああ!!ひぐっ!!あああああああああ!!」

更に数時間・・・後 厠のなか


パルスィ「(最悪だあああああああああああ!!!)」

パルスィ「飲みすぎたとは思うけど、私は一体何をトチ狂ってんだ!?
     あああ!!何で勇儀に話たあ!?アホか私は!アホか!」

(コン、コン)

勇儀「おい、パルスィ・・・大丈夫か?ゲロか?」

パルスィ「ち、違うわよ。単に疲れたから休んでるの!だから、大丈夫よ。」

勇儀「うん、まあ、ならいいんだが・・」

パルスィ「あの・・ね、勇儀。」

勇儀「なんだ・・?」

パルスィ「さっきは・・酒の時に泣き出して・・ごめん。」

勇儀「別にいーって。酒飲みゃその人なりに色々言いたくなるだろ。
   お前さんのは単に泣き上戸だっただけの話だ。厠の水と一緒にさっきの話は流しとけ。」

パルスィ「うん・・・」

勇儀「さて、気持ちも切り替えて、出たら席で待ってるからな。」

パルスィ「わかった。」

場所変わって・・飲み夜・・席 更に夜更け


パルスィ「それでね!その短小!!何て私にいったと思ううッ?
     君さえいれば後は何も要らない・・・だってさ!!!
     くっさいセリフよねェ!!そんなことを言うお前の顔を鏡でみなよってえ!!
     アヒャひゃひゃ!!」

勇儀「完全に酔っ払ってんなあ・・パルスィ・・」

パルスィ「なあによお!!もう!!どいつもこいつも口では綺麗なコトばっかなのよ!!
     妬ましい!綺麗事を言う口がねーたーまーしーいー!!」

勇儀「ははは、こりゃいよいよお冷やかね・・」

(ガラッ  店の戸が開く)

モブ店主「いらっしゃいま・・!! あ、こ、コレは!!
     ようこそおいで下さいました!!」

???「申し訳ありませんね。時間より少し到着が早まってしまいましたが、
    予約席はあいていますか・・?確か10番席ですね?」

モブ店主「いや、あの・・今は」

???「「今は二人使っている」?ほう、それは面白いですね。しかも二人とも
    顔見知りです。たまには、妖怪同士で肴を楽しむのも悪くないと思っていたところですよ。
    え?「それは困る。」なぜです?私は単に友好の士と酒を酌み交わすだけですよ。
    何かいけないことでも?」

モブ店主「い、一名様・・予約席にはいりまーす・・・」

パルスィ「ホンット!!口だけデカイコト言う奴なんて大概S●Xなんて下手糞なの!!
     それでね!!その馬並みノータリンのバカチンなんていったと思うう!?」

勇儀「あー・・・パルさん・・・そろそろ店変えませんかねー・・」

パルスィ「何言ってんの!?アンタぁ!わらひのしゃけがのめないのおー!?
     そんなちっちゃい器で鬼なんてやっれいけないのよおー!?」

勇儀「はあ・・・こりゃ無理にでも・・・って」

パルスィ「こらあ!!何よお!!わらひムヒするのお!!
     ゆうぎー!!ゆうぎー!!ってばああ!!」

勇儀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

???「どうも、これはこれは、独りはできあがり、もうひとりはそのお守りですか。
    何とも珍妙な光景ですね。」

???「本来ならば、立場が逆かと思いましたよ。星熊童子。」

勇儀「かーーーーーー・・・店主の奴。だから黙ってたのか。」

さとり「「よりにもよってこんな糞根暗かつ性格の悪い総元締気取りの奴が来るとはな。」
    それはどうも、別にあなたに会いたかったわけではありません。単に同郷の士と話をしたいだけです。
    「お前と話すことなんざない。」ですか、結構、この時点でも会話は私ひとりでも成立できますので。」

勇儀「取り敢えずな。心から嘘なしで言わせて貰う。・・・すぐに失せろ。さとり妖怪。」

さとり「おや、私とは話をしたくないのですか。ああ、なるほど。友人とともに飲む酒が不味くなるから。
    ですね。それなら、別にあなたがいちいち申告しなくても私が雰囲気を読めますよ。
    なんなら、今あなたの思う理想的な方法で場をまとめてみせますが・・・」

勇儀「余計な世話なんだよ。テメェはそんなことなんぞ微塵も考えてないだろうが。
   どうせ、この辺に吹きだまってる妖気を嗅ぎつけてきたんだろ。」

さとり「それは少し解釈が違いますねえ。私は単に明け方から少しの間の時をここで飲もう。
    と、考えていただけです。どのみちこちらも二人で飲む予定でしたが、
    予約を取っていたはずの席に闖入者が居たとあっては、同席するもやむなしと判断した次第ですよ。」

勇儀「まわりくでえんだよ。最初からそう言いな。アタシはクドクド五月蝿いのは嫌いなんだ。
   酒飲む前に隣の桶屋に顔から突っ込んで水飲まされたいか?」

さとり「おお、それは恐ろしいですね。流石に、過去に剛力で人を殺め、
    その恐怖と名声の数々で知れ渡っている星熊童子の言うことですから、
    加えても流石に、私はその言い分を聞かざるをえません。
    私も、痛みを伴った関係性にはなりたくないので。」

勇儀「はは、気に入った。人の心にヅカヅカ入り込むその傲岸さ。
   感心するね。今も自慢の第三の眼で人の中身を覗きやがったか。
   さそりさんよ。」

さそり「それは表現の違いですよ。私は「見た」に過ぎません。
    言おうと思えば、あなたがどんな人物像だったのか、過去に何をしたか、そして、
    この場で何の話をしていたから、あなたの機嫌が現在進行形で最悪なのか。
    語り明かすことは出来ますよ?」

さとり「あと、私の名前はさそりではなくて、さとりです。え、「間違えた」?
    何をしているのですか。注意力散漫にも程がありますね。」

勇儀「おい、誰と話してんだ。」

さとり「いえ、お構いなく。」

さとり「それにしても、あなたにも人並みの優しさがあるとは驚きました。
    鬼の目にも涙とは、ことわざの中でも真味があるのですね。」

勇儀「あ?」

さとり「先ほどの話ですよ。あなたを少し動揺、もしくは憐憫させた話です。
    さぞ、興味深い話だったのですね。あなたの心にはかなり深く刻まれているようですが、
    しかし、なんとも醍醐味の薄い話ですね。まさか自分語りとは。
    他人を介さないコミュニケーションとはあくまで独り言ですよ。
    それを聴いたあなたも

(ミシッ・・・・・・・ 殺気で壁に亀裂が入る)

勇儀「・・・・よお、さとりさんよ。アタシは大したことでは怒らんがな・・
   今のアンタの言い分は聞き捨てならんな。今、アタシとコイツの話を侮辱したか?」

さとり「侮辱、というと聞こえが悪いですね。もう少し正確に言うと顰蹙です。
    そんなことをしてよく楽しめるな・・と、有り体に私の感想を述べたまでですが・・?」

勇儀「・・・・よし、結構だ。たまには・・体も動かしたくなってきたぜ。
   最近さとり妖怪の体の中の構造がどうなってるか確かめたくねえ・・
   お前さ、アタシの好奇心に付き合う気はあるか?」

(ボキッ、ミシッ、パキパキ 手の骨を鳴らす音)

さとり「なるほど。意思疎通は困難ですね。
    他者の心に触れれば同調できる、人間に最も近い鬼の種族の末裔よ。
    爛れた心を見て、曇りがかったその心、残らず私がいただきましょう。
    さあ、怒りなさい。私は腹が減っている。お前ごとき畜生の魂でもせいぜい愛でてやろう。」

勇儀「ははははは!!畜生か!!なるほど響きがいいねえ!!
   違いない!!結局最後は力任せか!いいね!アタシにはお誂え向きだ!
   最初からそのつもりだったんだな!来いや!!挑発に乗ってやる!!」

モブ店主「いかん!!!始まったった!!!店がつぶれちまう!!!
     おい!!博麗だ!博麗!!巫女呼べ巫女!!」

モブ店員「いえ!!ここ地底だから、来れませんって!!」

さとり「そのいきやよし。どのみち他者の心を喰らうことでしか満たされません。
    あなたのその人情味、他人を思う強すぎる慈しみの心。
    みなみなまとめて私の供物だ、お前の心の闇、この私が!!・・

パルスィ「けんかはーーーーーーーらめえ!!」

(ぷよん。ぷよん。  はて、この擬音は・・?)

さとり「うひゃあ!?」

勇儀「パ・・パルスィ!?」

パルスィ「ぬふふふうう♥・・流石に小さいけど触り心地やよしいい・・
     さとりちゃんのおっ●いもみもみなのおおおー」

さとり「あ、ちょ・・やめ・・・あ・・い・・や・・・ぁ」

(もみ、もみ、ぷりょんぷりょん、っこりん。こりん)

さとり「ひあ!!あ・・・やめなさぁい!ぶ、無礼です!わたしに・・こっんな・・あひっ!」

パルスィ「ぬっふっふっふ。みんなで仲良く飲むためのすきんしっぷなのよ・・がまんなさぁい・・!
     うふふふふふふ・・・」

勇儀「あ・・・えーと、あのー・・お二人さん・・?」

さとり「そ・・そんな・・だめ・・・こ・・こいし・・がみてるから・・・そ、こんな・・
    はずかしいこと・・・やめ!! ああああ!!」

パルスィ「ぐっふっふ・・・観念しなさぁい、次は下よお・・」

さとり「し・・したはだめェ! ゆ、ゆうぎさん! た・・たすけて!
    っ・・・・!!」

勇儀「( ̄∀ ̄)」

さとり「あ・・あなた・・お・・ぼえてなさい。あ・・ああっ!
    ひ!!」

勇儀「ははは、いい薬だな。今、私の心読んだだろ。
   当然、助けないから安心しろ。そういう人とのスキンシップは大事だからなー。」

パルスィ「さぁ・・・お待ちかね、下をくすぐる時間ですぅ・・・」

勇儀「あー・・まあ、お前ら二人で後は仲良くやれや。私は帰るから。
   もういい時間だしな。おう、店主!私だけ勘定!!
   あ、それとこいつら遊郭付き風呂付きの宿屋にでも二人で送っといて。」

さとり「な!?・・・わ、わたしとの戦いは!?」

勇儀「ん?なんか興が削がれた。あと、お前の食事に協力も面白くないしな。
   ま、後は朝までソイツの面倒みてやってくれや。」

さとり「そんな・・こんな状態・・んあ! 無理です・・!お腹もすいて力出ないのに・・!
    あんッ!!」

パルスィ「さて、生はここですか・・・ふひひい・・」

さとり「やだ・・そんなの・・やだ・・」

勇儀「あははは!!仲いいじゃねえかお前ら!
   そんじゃな、さとり妖怪、介抱よろしく!!」

さとり「ま、まちなさ・・」

パルスィ「フィンガーああああ! IN!」

さとり「おふぁあああああ!!ひあっ!!あああ・・あ♥」

パルスィ「んふぅ・・今日はぁ寝かせないの・・一緒に宿いこお?」

さとり「は、離して・・ひっ!!「犯す犯す犯す犯す犯す犯す」
    た、たすけて!!こいしィ!!いやあああああああああ!!」

場所変わって・・・勇儀 地底 街のはずれ


勇儀「ふう・・・今日も楽しく飲んだかな・・。」

勇儀「しっかし、あのさとり妖怪め。
   意外とウブで面白かったぜ。
   パルスィもアレで暫く元気になってくれりゃいいんだがな。」

勇儀「(・・・・・・・)」

勇儀「この時間は誰もいないんだよな。この場所。夜風が気持ちいいぜ。
   ってか、ここは地底だから常時暗いのか。太陽ガラスもいねえしな。」

勇儀「静かな時間って結構好きだし・・パルスィも元気になったし。
   あのムカつくさとり妖怪も少しは懲りるかな。」

勇儀「・・・・・・・・・・・・・・なんか、さみしいな。」

こいし「さみしいね。うん。」

勇儀「うん、なんかアタシ一人で・・って、うおおおおお!!??」

こいし「こんにちはー。こいしだよー。」

勇儀「え、え、えーっと・・お前ってば確か・・」

こいし「地霊殿の主、さとりお姉ちゃんの妹のこいしだよ。」

勇儀「あ、あー、そうか。そういえば何かアイツ二人で来てたとか。
   こいしー!こいしー!って叫んでたんだよな。」

こいし「うん、そう。私ずーっと傍にいたよ。気づかれなかっただけで。」

勇儀「そ、そっか。そういえばなんか無意識がどうのこうのって能力だったよな。
   お前って。」

こいし「うん、誰も私を観測できない。シュレディンガーの猫はいつだって気まぐれなの。」

勇儀「なるほどな・・それで、お姉さんと一緒に何をしに。
   酒飲むのか?お前さん?」

こいし「飲まないよー。お姉ちゃんは飲むけど。」

勇儀「じゃあ、どうして。」

こいし「お姉ちゃんがね。人の心を食べる方法を教えてくれるって言うから、
    ついてきたんだー。」

こいし「でもね。結局。こいしは、第三の目は閉じてるから、人の心は食べられないよ。って、
    言ったの。でも、お姉ちゃんは、また開いたときのために準備なさい。って言って、
    今日はその練習をしようって。」

勇儀「あー・・・・なるほどねー。それでアイツあんなムカツク度満載、敵意満々の状態だったのか。・・納得だ。
   ん?でも、私は人じゃないぞ。妖怪だがな。」

こいし「えっとー。確かね。お姉ちゃんが念話で言うには、

さとり「鬼はもっとも人に近しい、人情味をもった数少ない妖怪なのです。
    だから、今回はあくまで練習です。人に最もよく似た心をもつからこそ、
    私たちの食事の最適な練習台になります。いいですか。こいし。
    まずは、相手の神経を逆なでする、高圧的な態度で臨む、この二つを忘れてはいけません。」

こいし「って言ってたんだ。」

勇儀「アタシは練習台か・・。ということは、完全にあれは、さとり妖怪にのせられてたのか。
   我ながらまだ未熟だなあ・・」

こいし「でも、こいしはね。鬼のお姉さんは人間らしいと思うよ。」

勇儀「いきなりなんだよ。藪から棒に。」

こいし「実は、こいしね。お姉ちゃんより先走って飲み屋に偵察に来てたんだよ。」

こいし「そのとき、鬼のお姉さんは橋姫のお姉さんと話してて、抱きついてたの。」

こいし「それを見てね。こいし、思ったの。
    やっぱり人って大切なものを守りたいときに、不思議なことが出来るんだって。」

勇儀「・・・・」

こいし「こいし達みたいな、さとり妖怪はね、人の心がみえるから辛いことだらけなの。
    でもね、それはね、人の心をもたない人たちばかりの心をみるから辛いと思うの。
    なんだか今日は、鬼のお姉さんが抱きしめているときの心がすごく暖かいものに感じたの。」

勇儀「・・そうなのかな。」

こいし「こいしはね。どうせ食べるならそういった暖かい心がいいかなって思うの。
    誰かのために、自分をかなぐり捨ててでも、守りたいっていう気持ちって、
    人間だけ、心がある生き物の特徴じゃないかしら?」

勇儀「・・アタシは鬼だけどね。」

こいし「人を恨んでも、妬んでも、こいしはね。
    たったその瞬間の素敵な心には敵わないと思うの。
    だって、奪うのと与えるのってどっちが難しいかなんて人だった鬼が、
    一番知ってることだと思うから・・。」

勇儀「・・・・・・・・」

勇儀「命を奪うのも人、命を与えるのも人か・・・それはそれで世は残酷だろう。」

こいし「残酷でも、皆生きて心のままに幸福なのよ。
    こいしには、もう何も見えないけど、
    今は何も縛るものがないの。こいしにとっては、これが幸せ。
    ねえ・・鬼のお姉さんは何が幸せ・・・?」

勇儀「幸せねえ・・・考えたこともなかったな。
   ただ、飲んで騒いで、戦って、強いヤツぶっ倒して、スッキリして
   豪放磊落に生きて。死んだり。なんか慌ただしいなアタシは。」

勇儀「そうだな・・」

勇儀「多分今、こうして話している何気ない時間が幸せだ。」

こいし「ホントに?」

勇儀「ああ、鬼ってのはさ、力やら恨みやらが強すぎるヤツがなるんだよ。
   いつの世でも同じでさ。アタシの場合腕っ節だったからな。」

こいし「ふーん。」

勇儀「さんざん殺して、殺されかけて、勝負して、気に入らなけりゃ、
   また殺す。正直な生き方である分、人に恐れられたり、疎まれたりでな。
   結局強すぎると孤独なんだよな。なんにせよさ。」

こいし「独りはさみしいね。」

勇儀「そうだな。さみしい。本音言うとそうだよ。
   でもね、アタシはさ、こういう何でもない会話でいいんだと思う。
   幸せなんてさ、自分の為に探さなくても、案外どうでもいいとこに落ちてんだ。」

勇儀「だらだら長生きし過ぎると、独りでいる時間が多くなるんだ。
   その時に気付くんだよな。ああ、やっぱり独りは寂しい。って。」

勇儀「でもね。アタシはそれで充分だと思う。」

こいし「独りでもいいの?」

勇儀「ああ、いいさ。結局のところ人は独りだ。
   長い間独りで生きてりゃ分かることもある。
   例え立派な過去があって、力が強くても、
   今のアタシは鬼になって、酒を飲んだくれてる。
   人を蒐めて、寂しさを紛らわせようとした酒呑童子。
   恨みつらみのうちに他者を殺し自らも化物にした橋姫。
   おんなじだ。みんな独りぼっちの時間を過ごしたんだ。」

勇儀「だからな。私はもし、独りでいるヤツがいたらこう言ってやる。
   お前は独りじゃねえぞ。とな。お前みたいなヤツはたくさんいるぞ。
   みんなダチじゃねえけど、開き直って周りみてみな。
   意外と生き続けてりゃ見えるモンあるぞってさ。」

勇儀「ホントは、ずっとアタシが自分に言い聞かせてたんだけどさ。
   人なんてさ、独りでもなんにも変じゃない。
   寧ろな、それが普通なんだ。」

勇儀「だからな、鬼なんてのはさ、独りぼっち極めた人間から生まれた
   寂しがり屋の赤ん坊ってやつなんだ。
   自分で言って変な気もするがな。」

こいし「でも、鬼のお姉ちゃんはこいしと話してくれたから、
    こいしと友達だね。」

勇儀「ああ、そうだな。友達だ。
   友人関係なんざこんなんで充分だ。アタシにとっては。」

こいし「鬼のお姉さんって、なんだか鬼じゃないみたい。
    むしろ、優しすぎて、話してみたらずっと人間離れしてる。」

勇儀「だろうな。なんせ私は力と孤独を極めちまったからな。
   あ、ちなみ酒と孤独を極めたのは萃香って鬼な。ありゃただの飲んだくれだ。
   今度会ったら言っておきな。」

こいし「帰っちゃうの?」

勇儀「ああ、充分飲んだし、語ったし、今日という日に飲めて正解だった。
   ついでに新しい友人も出来たしな。じゃあな、こいし。
   ちゃんと、心の食事は出来たって、言っておくんだぞー」

こいし「うん!ありがとう!また、会おうね。」


こいし「・・・・・・・・・・・・・」

こいし「(あ、やっぱり心食べてたこと、バレてたんだ。鬼ってすごいな・・)」

場所変わり 夜明け前  勇儀の住処

勇儀「はあ・・なんつーか、私もお人好しだな・・」

勇儀「最後にゃ、独りで酒飲みか。ま、鬼らしいといや鬼らしいな。
   泣いた橋姫に、付き添った・・・・ええと私は青鬼なのか赤鬼なのかどっちだろうな?」

勇儀「なあ?どっちだろうなあ?紫?」

(キュイン 隙間音)

紫「あら?さすがですわ。気づいてたのね。」

勇儀「最初から全部お見通しだ。んで、何のようかな?」

紫「用もなにも、今の質問に答えるだけですわ。」

勇儀「そうかい。んでアタシはどっちだい?」

紫「ずばり、青鬼ですわ。」

勇儀「そのこころは?」

紫「全ての物事に眼をつぶり去ったから。ですわ。」

勇儀「・・・・」

紫「最初から、さとりが来ることを知っていた。
  店主のわずかな気の変化から、あなたはすぐに気づいていた。
  客の少ない、いつもなら有り得ない店内状況、そして、
  何より飲み屋の開設記念日が今日だった。私の記憶では、
  あの飲み屋が出来たの百年前、そして竣工式に立ち会った総取締役支配人がさとり。
  嫌われ者の中でも郡を抜いているさそりが来るとなれば、店内は殆ど無人。もしくはもの好きだけ。
  その点をあなたは直ぐに直感で察知した。でも、誰にも問わなかった。
  何よりあなたが、それを良しと思わなかったの。周りに気を遣って。
  そして、あなた自身が酒盛りを楽しむという理由の為に。大勢の方が楽しいから。
  この辺は萃香とよく似てますわね。」

勇儀「80点だな・・ま、大まかにあってるが。」

紫「あーん。残念、今日は90点いただけるかと思いました。」

勇儀「残りの20点は、・・まあ、お前のことだから、わざと言わなかったか?」

紫「?なんのことかしら?」

勇儀「・・・・ああ、なるほど。無意識の能力か。なら、さっきの話は素通りしたか。」

紫「あらあら、どうやら私でも気がつかない何かがあったのですわねえ。」

勇儀「まあ、それなりに楽しい話だったさ。」

紫「いつもながら、見事なお手際ですね。
  全て理解したうえで身を引くのは仙人でも難しいわ。」

勇儀「あいつらだって、言いたいことやらやりたいことがあるだろう。
   アタシはただ、それを叶えただけだ。」

紫「ニクい性格ですわ。外では貴方のような人を精神的イケメン。
  というのですわ。ああ、聖夜のない幻想郷が妬ましいですわ。」

勇儀「ま、パルスィのことはちょっと気がかりだが、時間が解決するだろうし。
   放っておいて大丈夫だろ。」

紫「それより、星熊童子さん、今日はお開きなのかしら。」

勇儀「なんだ、まさか賢者が酒を飲みに来たのか。
   それなら大変申し訳ないが、色々話を聴きすぎて満腹でな。
   またの機会で頼む、ちょいともう興が乗らなくてな。」

紫「ええ、結構ですわ。私も酒を飲みに来たわけではありません。
  今度開かれる酒宴の誘いに来たまでですわ。」

勇儀「ほお、地上でか。悪いがな。アタシは」
紫「いえ、地底ですわ。主催は萃香が行います。」

勇儀「・・・・へえ!そりゃあメズラシイな!」

紫「まあ、積もる話はおいおいしますわね。
  今日はお疲れ様でしたわ。」

勇儀「ああ、・・・紫。外の世界は今頃どうなんだろうな。」

紫「外ですか・・・それはつまりこことは別の、人間の世界、かしら?」

勇儀「ああ」

紫「今、例の聖人の誕生祭が終わりを迎えましたわ。」

勇儀「日が変わるのか。」

紫「ええ、祭りの後の静けさ、宴もたけなわ、今頃はもう帰る人々、
  これから、明け方まで楽しむ人々、大勢みえますわね。」

勇儀「そうか・・」

紫「人が散る。去り際の静寂は、集めても集めても儚く去りゆくもの。
  酒宴の後の様に、皆を想って去る青鬼にもきっと寂しくて、辛く映るのね。
  その時の盛り上がりも過ぎ去った栄華のようで・・口惜しいですわね。」

勇儀「ああ、でも、だからこそ・・・」

紫「その寂しさ故人は次ぎの宴を迎える。のですわ。」

勇儀「合いの手は満点だな。」

紫「おあとがよろしいようで。」

勇儀「さて、そうとわかれば、明日にそなえて眠るかね!」

紫「それがよろしいでしょう。」

勇儀「おお、紫もまた、地底の宴のときにでも会おうぞ。
   賢者の酔うところ、まだ目にはしてないからな。」

紫「いけませんわ。酒呑童子に星熊童子に挑むなんて、
  とてもじゃないけど勝負にならないですわ。お酒的な意味で。」

勇儀「はは!その時を楽しみにしてるぞ!」

紫「ではでは・・」

(キュイン 隙間音)

勇儀「さて、青鬼はしんみり寝るかな・・。
   また、きっと・・皆と楽しく飲めるかな・・。
   それじゃ・・人の子、鬼の子、どのみち寂しい奴等よ。
   おやすみだ。また、明日が迎えてくれるぞ・・。
   その時まで、・・・・・・・・・ZZZZZZ」

(一方、その頃)


さとり「いやっ、やめて!!たすけて!!誰か!」

パルスィ「あるェー・・?ウィすきー空になっちゃたよー?
     まあああ、いっかああ・・これからいろいろ楽しむんだからねえ・・♥」

さとり「ひ・・!!な、なんですか・・その物体は・・」

(ウィイイイイイイイイイイン  何かの物体の怪音)

パルスィ「これをお・・・さとりちゃんのお、おひりにいい・・・
     そのまま打ち込んじゃう・・・の♥」

さとり「」

さとり「う・・・そ・・ですよね・・・だって・・そんな大きいの・・むり・・」

パルスィ「あは・・・♥可愛いのぉ・・そんな泣きそうな顔したってだめよ♥」

さとり「目を覚ましてください!!(お、お腹が空きすぎて力が心を食べなければ・・!)」

さとり「こ、・・・「犯したいおかしたい、可愛すぎ!!もう、
    今日一日でぐちゃぐちゃに※※※※」・・・・・・!!」

さとり「(こんな欲望まみれの酷い心食べたくないいい!!!)」

パルスィ「はーい・・さとりちゃあん・・御開帳ですう・・」

さとり「や、やめて!!あ、ああ!!恥ずかしい(/ω\)!!
    やだ!!」

パルスィ「うわぁ・・・すごーい・・・ヒクヒクしてるのぉ♥」

さとり「(い、いや、駄目!力が入らなくて何も出来ない!体が・・)」

パルスィ「ずぶっと・・・!!」

(ずにゅ ぐちゅうう!! ・・・あえて何の効果音かは言うまい・・)


さとり「ひ!!ああっ!!ァああああああ♥おっおお!!が・・・は・・・!!」

パルスィ「ほれ、すいっちーーーおーん・・・」

(カチッ)

(地霊殿)


こいし「ただいまー!!」


お燐「あら!!こいし様!お帰りなさいませ!!あら・・・
   さとり様は?」

こいし「あ・・・・・お姉ちゃん・・忘れてた」

(時は流れ・・・翌日)


パルスィ「あれ・・・・・?ここは・・どこだっけ・・?」

(ぬチョお・・・)

パルスィ「ん・・・・?なにこれ・・・液・・なんの・・・」

さとり「あ・・・・・♥・・・・・・ああ・・・・・・♥
    ♥・・・・・も、や・・・・・だめ・・・♥ さ・とりの・・おひり・・・
    おかひく・・・なっちゃ・・・・・う・・・・♥」

(びくん、びくん )

パルスィ「(゚д゚)」

パルスィ「な・・・・・・・・」

さとり「あ・・・♥ パルスィ様ァ・・・♥もっとぉ・・・さとりを虐めて欲しいでしゅう・・
    あ・・だめ・・もう見られ・・・るだけで・・イっちゃう・・・あ・・あ・・・」

パルスィ「な・・・な・・・・・・・・・・」

さとり「あああ!!らめェええ♥イクぅうううう!!!」

(ドピュドピュ・・・)

パルスィ「なんんじゃああああああああああああこりゃああああああああ!!!」

勇儀の住処



勇儀「・・・ん・・・朝か・・んー・・
   なんか今日も楽しいことがありそうだな。」

勇儀「よーっし!!んじゃ外にでも行くか!!
   目指すは地上だ!!」


(終わり・・・)

なかなかおもしろかった

すいません。終わりです。

なんか、最後の方テキトーにしてしまったきがします。
こんな駄文でも読んでいただいた方がいましたら、嬉しかったです。
たまに、また書きますんでよろしくお願いします。

>>72
有難うございます。

つくづく東方の二次創作は難しいなあ・・と、痛感します。
その感想が何より励みになるので精進します。

おまけ


アリス「メリークリスマス!」

上海人形「・・・・・」

アリス「・・・・・・」

アリス「ふ・・・、はあ・・・、独りで何やってんだろ。遂にヤキがまわったかしらね。」

アリス「・・誰も来ないし、もう寝ようかな。」

(コン、コン)

アリス「あら?こんな時間に誰かしら。」

(ガチャッ)

幽香「こんばんわ。人形師さん。」

アリス「」

アリス「何しに来たの・・」

幽香「お茶を飲みに」

アリス「いつもながら唐突ね・・。」

幽香「入れてくれないなら、構わないわ。ドアノブを引き抜いていくから。」

アリス「入れます。」

幽香「相変わらず、人形しか見るべきもののない、退屈で凄惨な部屋ね。」

アリス「そりゃあどうも。よかったわ。悪し様に罵る程度に感想をもっていただいて。」

幽香「ふふ、どういたしまして。」

アリス「で?本当の目的は?」

幽香「そうねえ。単刀直入に言うと、あなたを襲いにきたの。」

アリス「へーそうなんだー・・・って!?」

(ガバッ・・・)

アリス「ウッ・・・!」

幽香「というわけで・・・いただきまーす♥」

アリス「な、なにを・・・」

幽香「んーと、ほんのちょっと滅茶苦茶にするだけよ。」

アリス「既にほんのちょっとじゃないでしょ!ソレ!」

幽香「うるさいのねえ・・」

(ガブッ・・)

アリス「あ!・・・・ああ!!いっ・・!!!」

幽香「ちょっと力入れて噛みすぎたかしらね・・」

アリス「あが・・は・・!!」(ガクッ)

幽香「首筋ちょっと噛んだくらいで、気絶しないで欲しいわぁ・・」

幽香「さて、・・ここじゃ部屋が汚れて可哀想ね。
   悪いけど持ち帰ってじっくり虐めるからね。」

アリス「ん・・・・・」

幽香「サンタクロースに攫われる。
   人形姫ってなんだかロマンチックな展開ね。」

幽香「ふふふ・・・それじゃあ・・・。
   私も楽しい聖夜を過ごさせて貰うわね・・
   可愛いお人形さん・・」

上海人形「結構だ・・ただし主人は生きたまま返せよ。外道が・・。」

幽香「あら、喋れるなんて。しかも結構冷静なのね。」

上海人形「お前には殺意がない。ただ本当に私の主人を嗜虐するだけだ。
     その悦びに対して私は別に否定する根拠をもたない。
     肉の悦びを持つのは肉体のある生物の特権だ。
     私から見れば汚らわしいだけだがな。」

幽香「イケないお人形さんなのね。みすみす主人が襲われて攫われるのを
   見逃すのね?」

上海人形「攫うのではなく、連れていくのだろう。
     そういった嗜好の快楽はごくありふれている。
     貴様は我が主人を、歪んではいるが愛しているのだろ?」

幽香「否定はしないわ。ただし肯定もしない。」

上海人形「是非も無しか。ならば好きにせよ。
     我が主人もそれを望む。存外に貴様のようなものには彼女は優しい。」

幽香「・・・・」

上海人形「わかったなら、早く行け。その赤らめた顔をみせるなよ。
     ケダモノの様な攻撃性を持ちながら、その実我が主人と変わらぬ、
     華の乙女心を持つ妖怪よ。臣下の身として許可しよう。
     今宵一晩、彼女は貴様のモノだ!」

幽香「・・・ふん。」

(バタンッ)

上海人形「やれやれ、愛の形は様々よ。」

(終わり) いつか続く・・・かもしれない

オマケ書いたのは、ただの自己満足です。

もう、寝ます。
本当に恥晒してすんません。
失礼しましたー。

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