入須「折木君、忘れてないだろうな?」(384)

『入須「折木君、居るか?」』の続きです。

日曜日に投稿し断念した者です。すいませんでした。
今日は最後までいきますので宜しくお願いします。


・平日 AM7:45

入須「………」

奉太郎「おはようございます、先輩」

入須「…遅い」

奉太郎「……時間通りですが」

入須「先輩を待たせるな」

奉太郎「先輩が早すぎるんですよ」


入須「君が遅いんだ」

奉太郎「…二人で決めた時間ですよね?」

入須「うるさい」

奉太郎「………」

入須「…時間も惜しい。ほら、行こう」

奉太郎(…この人は俺の事が嫌いな気がする)


ザワザワ

奉太郎(…そして注目を浴びてしまった)

入須「どうした? 早くしろ」ギュッ

奉太郎「! え? 先輩?」

入須「行くぞ」

奉太郎(頼むから、見せびらかすように手を握らないでくれ…)


・平日 PM17:45

入須「………」

奉太郎「…すいません。お待たせしました」

入須「…遅い」

奉太郎「……今回はすいません」

入須「そうだろ?」

奉太郎「…先輩、先に帰っていても良かったんですが」

入須「……何故だ?」


奉太郎「余り待たせるのも悪いですし」

入須「…私はそうは思わない」

奉太郎「…はぁ」

入須「今の季節は夏だ。この時間だから外も明るいしこの辺りの治安は決して悪くない」

奉太郎「はい」

入須「ただし、やはり万が一の可能性と言うものを否定はできない。私は女だ。例えばそうだな、変質者が出たと仮定しよう。ギラギラと目の血走った男だ。そこに女の私が一人通りかかったらどうだ?」


奉太郎「…大変ですね」

入須「そうだ。例えば急に野犬が飛び出して来たとしよう。ギラギラと目の血走った雄犬だ。治安が良いとはいえここは山も近い、可能性の無い話とは言えないはずだ。そこに女の私が通りかかり、ビーフジャーキーを手に持っていたとしたらどうだ?」

奉太郎「…とても危険ですね」

入須「例えば

奉太郎「先輩」

入須「…なんだ?」

奉太郎「次から必ず連絡しますから」


入須「……守れよ」

奉太郎「はい」

入須「…心配するだろ」

奉太郎「すいません」

入須「わかればいいよ」

奉太郎(…俺もそろそろ携帯ぐらい持つか)


入須(折木君、忘れてないだろうな?)


・土曜日 秋分の日 AM10:00 折木家

入須「………」

ピンポーン

入須「………」

ピンポーン

入須「………」

ピッ プルルルルル…


入須「………」

ガチャッ

奉太郎「……………はい、おれきです」

入須「…折木君か? 来たよ」

奉太郎「……だれですか?」

入須「入須だ」

奉太郎「……先輩?」


入須「約束したはずだが」

奉太郎「…はぁ」

入須「…まさか、忘れていたのか?」

奉太郎「………」

奉太郎(………何のことだ…?)

入須「……顔が見たい。とりあえず入るよ」

奉太郎「…鍵は開いてます」

入須「わかった」


奉太郎「……えー、一番奥の扉

入須「来い。君の頭の中身を全部洗い流してやる」ギュッ

奉太郎「! 先輩! 手が! 手が取れます!」

入須「うるさい」

奉太郎(勘弁してくれ…)

>>15
前後間違えました。無視してください


ガチャッ

奉太郎「………」

入須「……おはよう」

奉太郎「……おはようございます」

入須「…忘れていたようだな」

奉太郎「……はぁ」

入須「……洗面所はどこだ?」


奉太郎「……えー、一番奥の扉

入須「来い。君の頭の中身を全部洗い流してやる」ギュッ

奉太郎「! 先輩! 手が! 手が取れます!」

入須「うるさい」

奉太郎(勘弁してくれ…)


ガチャッ

入須「ほらっ」

奉太郎「痛っ! まったく…」

入須「顔を洗え」

奉太郎「まだいいんじゃ

入須「なんだ?」

奉太郎「わかりましたやりますよ。 …だからその顔で見ないで下さい」

奉太郎(…もはやトラウマだ)


入須「早くやれ」

奉太郎「はいはい」

入須「…頭を梳いてやろう」

奉太郎「ふーっ…自分でやります」

入須「いいから任せろ」

奉太郎「………」

入須「………」ガチッ


奉太郎「痛っ! 先輩…」

入須「髪が硬いな」

奉太郎「…先輩、意外と雑ですね」

入須「………」ガチッ

奉太郎「痛っ! …わざとですよね」

入須「そんなことはないよ」

奉太郎(…嘘だ)


入須「……ふぅ、いつも通りにはなったが」

奉太郎「これでいいんです」

入須「ボサボサだよ」

奉太郎「見慣れているでしょう?」

入須「…今日は休日だ」

奉太郎「そうですね、朝からエネルギーを消費しない日です」


入須「…君は休日に外に出ないのか?」

奉太郎「休むから休日って言うんですよ」

入須「…外に出る時は着替えるな」

奉太郎「そうですね」

入須「髪も整えるな」

奉太郎「はい」


入須「例えば恋人の家に行く時は、君ならどうする?」

奉太郎「…行った事が無いので」

入須「…まぁ、そうだな」

奉太郎(…また何か意味があるのか?)

奉太郎「………」

入須「………」


奉太郎(……あぁ、先輩、ポニーテールだな)

奉太郎(…それに肩開きのシャツ、七部丈のパンツ)

奉太郎「……ほんのり」

入須「ん?」

奉太郎「艶やか?」


入須「! …そうか?」

奉太郎「まぁ、はい」

入須「ふふっ」

奉太郎(喜んでくれているようだ)

入須「それで、君は?」

奉太郎「自分の家なので」


・AM10:15 リビング

奉太郎「…それで、何時帰るんですか?」

入須「いきなり失礼だな」

奉太郎「今日は土曜日で祝日です」

入須「そうだな」

奉太郎「明日は日曜日です」

入須「あぁ」


奉太郎「貴重な二連休です」

入須「余りある事ではないな」

奉太郎「…一時まで寝る予定でした」

入須「そうか」

奉太郎「……では、また今度」スッ

入須「待て」


奉太郎「…なんですか?」

入須「座れ」

奉太郎「………」

入須「早くしろ」

奉太郎(帰る気は無いようだ…)


入須「……休みの日に君の家に行くと言ったはずだが」

奉太郎「…そうでしたか?」

入須「言った」

奉太郎「覚えてませんでした」

入須「…君は手帳を持っているか?」

奉太郎「はい」

入須「どこにある?」


奉太郎「部屋に」

入須「後で書いておく」

奉太郎「…今更いいです」

入須「一週間分の予定をだ」

奉太郎「やめてください」

入須「君が忘れるのが悪いんだ」

奉太郎(手錠を掛けられた気分だ…)


奉太郎「……今日はどうしたんですか?」

入須「君の省エネ生活の指導だ」

奉太郎「…え?」

入須「確かに今の時代は省エネだろう、それは悪くない。電力削減、ガス削減、重要な事だ。エネルギーには限りがあるからな」

奉太郎「そうでしょう。その通りです」

入須「だが君の場合は省エネではなく零エネだ。限りなく零に近づける事を良しとするのではなく、零である事が通常なんだろう?」


奉太郎「…良い響きですねぇ、零エネ」

入須「やらなければならない事を零にするんじゃない」

奉太郎「安請け合いをしすぎるのもどうかと思いますけど」

入須「そうではない。人間は消費をするものだと言っている」

奉太郎「…わかってますよ。最近は万人の死角の件でエネルギーを消費しすぎてしまったので、確かに零エネだったかもしれません」

入須「…一ヶ月以上経っているが」

奉太郎「それなりに衝撃的だったんですよ」


入須「まぁ、その件に関してはいい。目的はわかったな? 今日は一日私と過ごして貰う」

奉太郎「…はぁ」

奉太郎(…これで、帰る確率が零だと証明されたな。きゅーいーでぃー)

入須「ところで君は朝食は済ませたのか?」

奉太郎「俺はついさっき起きましたので」

入須「なら私が作ってやろう」


奉太郎「…まだいいですよ」

入須「食材を買ってきたんだ」

奉太郎「いらないです」

入須「キッチンを借りるぞ」スッ

奉太郎「………」

奉太郎(…仕方ない、今日はいいだろう。明日も休みだしな)


・AM10:30 台所

入須「………」ガタッ

奉太郎(さつまいも、ベーコン、チーズ、凍ったブルーベリー、ヨーグルト、牛乳、はちみつ)

奉太郎(随分大きい鞄だと思ったが)

入須「私も朝食はまだなんだが、昼食もあるしな。軽く済ませよう」

奉太郎「…兼用じゃないんですか?」

入須「私なりに考えてきたんだ。少し家の物を借りてもいいか?」


奉太郎「えぇ」

入須「では、少し待っていろ。 …あぁ、エプロンはあるかな?」

奉太郎「そこに掛かってますよ」

入須「助かる」

奉太郎「………」

入須「……~♪」

奉太郎(…鼻歌がカノンだ)


トン…トン…

ガチャガチャ

ジュー

奉太郎(…眠い)

入須「ミキサーを借りるぞ」

奉太郎「…どうぞ」

入須「寝るなよ?」

奉太郎「…がんばります」


トクトクトク

パシャ

ウィーン

奉太郎「………」

カタンッ

入須「できたぞ」

奉太郎「………」


入須「………」ペシッ

奉太郎「痛っ」

入須「起きろ」

奉太郎「…寝てませんよ」

入須「嘘をつくな」

奉太郎「…なんですかこれ? さつまいもを焼いた物と、シェイク?」

入須「ガレットだ。あと、正確にはスムージーだな」


奉太郎「…はぁ」

入須「気に入って貰えると良いんだが」

奉太郎「朝は洋食なんですね」

入須「君がそうだろうと思ってな」

奉太郎(パン一枚で洋食といっていいのだろうか…)

入須「さぁ、頂こう」

奉太郎「はい」


入須「………」

奉太郎(…見られている)

奉太郎「………」パリッ

入須「……どうだ?」

奉太郎「……ん。 …美味い」

入須「! そうか!」


奉太郎「美味しいですね、このガレット」

入須「ありがとう。では私も」

奉太郎(先輩、料理上手かったんだな)

入須「……なんだ?」

奉太郎「いえ、何も」

入須「…ふふっ、私は料理ができないと思ってたんじゃないか?」


奉太郎「思ってました」

入須「イメージで?」

奉太郎「はい」

入須「心外だな。 …まぁ、勉強してきたのは確かだが」

奉太郎「そうですか」

入須「……勉強とは何の為にするものだ?」

奉太郎「卒業する為ですか?」


入須「それは一部分に過ぎない。自分の為だ」

奉太郎「…確かに」

入須「だが料理の勉強に関しては一概にそうとは言えないと私は考えている」

奉太郎「…はぁ」

入須「…考えを放棄するな」

奉太郎「………」

奉太郎(あぁ、今日の消費エネルギーは過去に無い量になりそうだ…)


入須「………」

奉太郎「……自分の為ではないなら、他人の為ですか?」

入須「そうだ。自分の腹を満たす為、美を味わう為、そして他人に喜んで貰う為」

奉太郎「はい」

入須「作った人に美味しいといって貰う為」

奉太郎「……俺の為に、勉強してきてくれたんですか?」


入須「…そうだ」

奉太郎(頼んでません、なんて、今のこの人の前では冗談でも言えないな)

奉太郎「嬉しいです」

入須「そうか?」

奉太郎「ありがとうございます」

入須「…ふふっ」

奉太郎(…まぁ、確かに美味いな、コレは)


・AM11:00 リビング

タンタンタン

供恵「…あれ? あんた今日は早いね」

奉太郎「…誰かのせいでな」

入須「先輩、おはようございます。お邪魔しています」

供恵「おはよ、後輩」ドスッ

奉太郎「隣に座るな」

供恵「ここしか空いてないでしょーが」


奉太郎「立ってろ」

供恵「あんたが立ちな」

入須「先輩、私が」

供恵「あーいーって、冗談だから」

奉太郎「冗談じゃない」

奉太郎(……ん?)

奉太郎「姉貴、入須先輩の事知ってるのか?」


供恵「そりゃ一年同じ高校に居れば知ってるよ」

奉太郎(んな事あるか)

入須「先輩にはお世話になってな」

供恵「そーそー」

奉太郎「コイツに他人の世話をする甲斐性があったんですね」

供恵「あんたよりはね」

奉太郎(…反論できない)


入須「…ふふっ、君と先輩は仲が良いんだな」

奉太郎「…先輩、大いなる誤解です」

供恵「今日は一日こいつと?」

入須「はい」

供恵「つまらないと思うよー。何も起きない、零だね」

入須「そんな事は

供恵「あるって。喋らない動かない何も無い、どーしようもないヤツだから」


奉太郎(…ムカつくがその調子だ、姉貴)

入須「…私は折木君と居るだけで楽しいですよ、先輩」

供恵「へー、変わってるねー」

入須「ふふっ、そうかもしれませんね」

供恵「…本気?」

入須「私はそのつもりです」


供恵「ふーん」

奉太郎「………」

入須「折木君がどうかは、わかりませんが」

供恵「え? 返事貰ってないの?」

入須「はい」

供恵「最悪だねー」


入須「いいんです、私は急いでませんので」

供恵「無理矢理言わせてやろうか?」

入須「先輩…」

供恵「冗談よ、じょーだん」

奉太郎「………」

奉太郎(…あぁ、逃げたい)


・AM11:15 リビング

供恵「それじゃ、私出掛けるわ」

奉太郎「おぉ」

供恵「夜には帰るから」

奉太郎「あぁ」

入須「先輩、また夜に」


供恵「可愛い弟を宜しくねー、可愛い後輩」

入須「ふふっ、はい」

奉太郎「…早く行け」

供恵「はいはい、じゃーいってきまーす」

ガチャッ バタン

奉太郎(嵐が過ぎ去った…)


入須「…どうした、折木君?」

奉太郎「…いえ、なんでも」

入須「久々に先輩と直接話せて嬉しかったよ」

奉太郎「物好きですね」

入須「そうか?」

奉太郎「初めて聞きましたよ」

入須「君が聞かないだけだろ? 思い返せば、先輩の話を君から聞いた事は無かったな」


奉太郎「これから一生無いですね」

入須「私は尊敬しているのだが」

奉太郎「姉貴を?」

入須「あぁ。私がどう足掻いてもあの人には敵わないだろう」

奉太郎「…まぁ、確かに」

入須「凄い人だよ」


奉太郎「…先輩も行動力は余り無さそうですね」

入須「失礼だな」

奉太郎「省エネですか?」

入須「君と一緒にするな。それに、私は動くぞ」

奉太郎「…へぇ」

入須「君を茶に誘っただろ」

奉太郎「…はぁ」


入須「クラスの作品も完成させた」

奉太郎「撮影に参加したんですか?」

入須「…今日も君の家に来たし」

奉太郎「…そうですか」

入須「…なんだ」

奉太郎「いえ、何も」

入須「馬鹿にしてるだろ」


奉太郎「してませんよ」

入須「してる」

奉太郎「してません」

入須「………」

奉太郎「………」

入須「…まぁ、君と一緒と言うのも悪くはないか」


奉太郎「…そうきますか」

入須「嬉しいか?」

奉太郎「嬉しくないですよ。省エネは俺のです。返して下さい」

入須「貰った覚えは無いんだが」

奉太郎「…先輩は自ら動かなくても、周りが動いてくれるんじゃないんですか?」

入須「そうだな」


奉太郎「ありがたい事ですね」

入須「君も尽くしてくれると嬉しいんだが」

奉太郎「…もう二度としません」

入須「…そういう意味ではないよ」

奉太郎「………?」

入須「…なんでもないよ」


・AM11:30 リビング

入須「朝は本を読まないんだな」

奉太郎「頭に入らないので」

入須「そろそろ冴えて来ただろ?」

奉太郎「今日は先輩もいますから」

入須「…そ、そうか」

奉太郎「冗談ですよ」

入須「…私も怒るぞ」ガシッ


奉太郎「痛っ! …すいません、謝りますから腕を掴まないでください」

入須「全く…」

奉太郎「結構力強いですね、先輩」

入須「君は弱そうだな」

奉太郎「そんな事ありません」

入須「そうか?」

奉太郎「…ある程度はあります」


入須「…随分濁したな」

奉太郎「自慢できる程はありませんから」

入須「ふむ、ちょっと見せてみろ」

奉太郎「…いやです」

入須「ほら腕を」

奉太郎「………」グッ


入須「…中々良いじゃないか」ペタペタ

奉太郎「お世辞はいいですよ」

入須「男の腕だ」ペタペタ

奉太郎「…あの、そろそろ」

入須「………」ペタペタ


奉太郎「…顔、近いです、先輩」

入須「…! あぁ、すまない」

奉太郎「…ふぅ」

入須「夢中になってしまった」

奉太郎(どこにそんな要素があるんだ…)


入須「部活もやっていないのに逞しいな」

奉太郎「…部活はやってますけど」

入須「…あぁ、そうじゃない。運動部に、という意味だ」

奉太郎「わかってますよ。まぁ、授業で体育はありますから」

入須「…授業だけでそうはならないだろ」

奉太郎「そもそもの話、そう言うほど有りませんから」


入須「そうか?」ペタペタ

奉太郎「もう勘弁してください…」

入須「ふふっ。 …ところで、古典部はどうだ?」

奉太郎「いつも通りですよ」

入須「違う。文化祭の事を聞いているんだ」

奉太郎「あぁ。俺の作業は終わりましたよ」


入須「…君に担当が割り振られていたとは」

奉太郎「遠慮と言う言葉を知らない奴らなので。 …まぁ、何も手伝わない訳にもいかないですし」

入須「…君も成長したんだな」ナデナデ

奉太郎「っ! …失礼ですね。やるべき事は手短に、ですよ」

入須「ふふっ」ナデナデ

奉太郎「………」

奉太郎(今日はスキンシップが過剰すぎるぞ、先輩…)


・AM11:45 リビング

奉太郎「先輩の方はどうなんですか?」

入須「……ん?」ナデナデ

奉太郎「長いです先輩」

入須「……準備なら君達のおかげで滞りなく終わったよ。後は前日に設営をするだけだ」

奉太郎「…思ってないでしょうに」

入須「そんな事は無い。完成したのは間違いなく、君のおかげだ」


奉太郎「…そうですか」

入須「設営で何かトラブルでも起こらない限りは問題ないだろう」

奉太郎「先輩が居るなら起きそうにないですけど」

入須「勿論、そうなるように努力はするよ」

奉太郎「…でも先輩、見てるだけですよね?」

入須「基本はな」


奉太郎「基本?」

入須「後は指示をしたり、当日の段取りを組んだり」

奉太郎「…まぁ、そうですよね」

入須「なんだ?」

奉太郎「先輩が金槌持って看板作っている姿は想像出来ないなと」

入須「…否定したい所だが、それには私も反論できないな」


奉太郎「今日の服装ならアクティブに動けそうですが」

入須「肩と足の紐が邪魔じゃないか?」

奉太郎「あぁ、何かに引っ掛かりそうですね」

入須「だろう?」

奉太郎「でも髪を括っている姿も中々様になってますし」

入須「この纏め方ではできないよ。ただ垂らしているだけだからな」


奉太郎「確かに、長くて邪魔ですね」

入須「……君は半ズボンを履くのか?」

奉太郎「…いえ、あまり履きませんね」

入須「…確かに、そこまで似合いそうにはないな」

奉太郎「否定はしませんよ」

入須「では、長ズボンが好きと言う事でいいのかな?」

奉太郎「そうなりますかね」


入須「………」

奉太郎「……先輩、なんとなく俺に求めている事はわかりました」

入須「そうか」

奉太郎「ですが、流石に今の情報だけでは分かりません」

入須「君が言った事を思い出せ」

奉太郎「…はぁ」

入須「私は少し不機嫌だよ」

奉太郎(俺の知らない所で勝手にならないでくれ…)


入須「君が自分を見つめ直し、私の望む言葉を言うまで機嫌は直らないからな」

奉太郎「………」

奉太郎(この人も、千反田達に負けず劣らず厄介だな…)

入須「……ふん」

奉太郎「………」

入須「……早く考えろ」

奉太郎「……分かりましたよ」


・PM12:00 リビング

入須「……長い」

奉太郎「すいませんね」

入須「……ふん」

奉太郎「………」

奉太郎(設営の話、ズボンの話)

奉太郎(その話の中の俺の言葉に先輩が不機嫌になる要素があり、それの解決方法は俺が先輩に何かを言うと)


奉太郎「………!」

奉太郎(……考えさせられる事に慣れてきている!)

入須「……まだか?」

奉太郎「……わがまま女帝」ボソッ

入須「なんだ?」

奉太郎「なんでもありません。 …先程二つの話をしましたね」

入須「あぁ」


奉太郎「先輩が言いたい事が含まれているのは後者でしょう。では前者に問題点があり、後者にヒントが隠されている」

入須「まぁ、そうだな」

奉太郎「その二つの話の中に共通点が有り、先輩はその点に関して俺に何かを言って欲しい」

入須「そうだ」

奉太郎「人に言葉を望む、勿論否定的な言葉ではなく肯定的な言葉でしょう」

入須「あぁ」

奉太郎「…共通点は服装です。確か肩と足の紐の話しをしましたね? その上でズボンの話しを先輩はした」


入須「……続けて」

奉太郎「…では、一度だけ言います」

入須「あぁ」

奉太郎「……紐のリボンが付いてて可愛いズボンですね、先輩」

入須「! ………」

奉太郎「………」


入須「……違うんだが」

奉太郎「……えぇ?」

入須「…随分間抜けな声を出したな」

奉太郎「ち、違うんですか?」

入須「私の求めていた言葉ではない。 …だが、嬉しいよ」

奉太郎「…はぁ」


入須「…長い髪が邪魔ではないかと言ったな?」

奉太郎「…あぁ、言いましたね」

入須「自分で言うのも何だが、私は気に入っている」

奉太郎(……そういう事か)

奉太郎「…先輩、ズボンの話ではそれはわかりません」

入須「長い短いの話をしたじゃないか」


奉太郎「それに、俺は嫌いなんていってませんよ」

入須「邪魔と言ったろ」

奉太郎「………」

入須「………」

奉太郎「………」サラッ

入須「!」

奉太郎「…こんな綺麗な髪、嫌いなんて言いません」


入須「そ、そうか」

奉太郎「はい」

入須「……ありがとう」

奉太郎「いえ」

入須「…好き、とは言ってくれないのか?」


奉太郎「その言葉、今はまだいらないんじゃないんですか?」

入須「……機嫌が悪くなった」

奉太郎「えぇー…」

入須「…ふふっ、冗談だよ」

奉太郎「まったく…」


・PM12:15 リビング

入須「君は文化祭当日はどうするんだ?」

奉太郎「さぁ、特に何も決めていません」

入須「…まぁ、そうか」

奉太郎「ずっと店番でも良い位ですよ」

入須「君が文化祭をアクティブに楽しんでる姿こそ、想像できないな」

奉太郎「先輩はどうするんですか?」


入須「私は視聴覚室に詰める事になるだろうな」

奉太郎「三日間ともですか?」

入須「あぁ。合間合間で休みは貰うが」

奉太郎「大変ですねぇ」

入須「…心底興味がなさそうだな」

奉太郎「はい」


入須「誰かと共に回ろうと、少しでも思ったりはしないか?」

奉太郎「…先輩、古典部まで遊びに来て下さいよ」

入須「……先手を打ったな」

奉太郎「そう何度もやられませんよ」

入須「少しくらい時間を貰えないか?」

奉太郎「…考えておきます」


入須「君と行く所を考えておくから」

奉太郎「後顧を断たないで下さい」

入須「君はしおりを見たか?」

奉太郎「見てません」

入須「…奇術部と手芸部が気になるんだ」

奉太郎「そうですか」


入須「……ふん」

奉太郎「…一回だけなら付き合いますから」

入須「二回だ」

奉太郎「どちらかにして下さい」

入須「……考えておく」

奉太郎「お願いします」


入須「…デートだな」

奉太郎「違います」

入須「二人で一緒に行くだろ」

奉太郎「それだけです」

入須「……ふん」

奉太郎「…先輩」

入須「なんだ?」


奉太郎「慣れました」

入須「なら、新しい方法を考えないとな」

奉太郎「…やめて下さい」

入須「次は怒る」

奉太郎「やめて下さい」


入須「…君は後輩なのに私の扱いが酷いな」

奉太郎「敬語じゃないですか」

入須「呼び捨てでもいいんだぞ?」

奉太郎「…どうすればいいんですか、それ」

入須「……ふん」

奉太郎(な、なんなんだこれは…)


・PM12:30 リビング

奉太郎「……ん?」

入須「…どうした?」

奉太郎「もう十二時半ですね」

入須「そうだな。 …そろそろ昼食にしようか」

奉太郎「そうですね」

入須「では」ゴソゴソ

奉太郎「………?」

とりあえずセクロスはあるのか


ゴトッ

入須「弁当を持ってきた」

奉太郎「おぉ」

奉太郎(かなり大きな鞄だと思ったが、朝の材料以外に弁当も入っていたのか)

入須「手作りだ」

奉太郎「先輩のお母さんのですか?」

入須「………」ペシッ

>>120
すいません。荷が重いので無いです。


奉太郎「痛っ。言葉で言って下さい…」

入須「私のだ」

奉太郎(遂に暴力に訴えだした…)

奉太郎「全く、冗談ですよ。 …開けても良いですか?」

入須「あぁ」


パカッ

奉太郎「おぉ」

入須「…どうかな?」

奉太郎「美味そうですね」

入須「そ、そうか?」

奉太郎(俵おにぎり、卵焼き、竜田揚げ、シイタケと筍、ニンジン、さやえんどう、レンコン、ゴボウの筑前煮、そしてポテトサラダ)

入須「デザートもあるよ。フルーツを切っただけだが」


奉太郎(…これはシンプルで美味そうだ!)

奉太郎「それではいただきます」

入須「あぁ、召し上がれ」

奉太郎「………」パクッ

入須「……どうだ?」

奉太郎「…美味い」


入須「本当か?」

奉太郎「美味いです」パクッ

入須「良かった…」

奉太郎「味が染みてますね、筑前煮」パクッ

入須「それは意外に簡単に作れたよ」

奉太郎「竜田揚げもサクッとしてますね」パクッ


入須「少し揚げすぎてしまったんだが…」

奉太郎「イケますよ。卵焼きも柔らかくて美味しいです」

入須「それはとても上手く巻けたんだ。醤油味だが大丈夫だったか?」

奉太郎「俺もそちらの方が好きですよ」

入須「そうか。では私も頂こう」パクッ

奉太郎「このおにぎりも先輩が?」

入須「……ん。 …そうだが?」


奉太郎「………」パクッ

入須「…どうした?」

奉太郎「いえ、なんでも」

奉太郎(少し恥ずかしくなってしまうのは、俺が邪な人間だからなんだろうな…)

入須「…私の手が気になるのか?」

奉太郎「! …いえ、そんな事は」


入須「だが先ほどからずっと

奉太郎「料理が初めてなのに失敗はしなかったのかなと思っただけです!」

入須「失礼だな、初めてではないよ。 …三回目くらいだ」

奉太郎「…余りやらないのは確かですね」

入須「うるさい。レシピを見ながら作ったから問題ないはずよ」

奉太郎「美味いのは本当ですよ」


入須「…まぁ、包丁に慣れていないのは認めるわ」

奉太郎「怪我はしなかったみたいですね」

入須「幸いな。慎重にやった分時間は掛かってしまったけど」

奉太郎「始めたばかりでこれなら、少しやればすぐにコツを掴むんじゃないですか?」

入須「…君は作って欲しいのか?」

奉太郎「いえ、別に」


入須「………」

奉太郎「…だからその顔はやめて下さい。冗談ですよ」

入須「…まぁ、毎日作る事は出来ないが」

奉太郎「作ってくれるなら、嬉しいですよ」

入須「…そ、そうか。 …なら、作る時は言うようにするよ」

奉太郎「お願いします」


入須「リクエストがあれば言ってくれ」

奉太郎「はい」

入須「…君が良ければ、長い間作ろうかと思うんだが」

奉太郎「…はぁ」

入須「長い間、作ろうかと思うんだが?」

奉太郎「…まぁ、ありがとうございます」


入須「! あぁ、頑張るよ」

奉太郎(…先輩が卒業するまで作ってくれるんだろうか?)

入須「ふふっ」

奉太郎(まぁ、喜んでいるなら良いだろう。わざわざ藪をつつくとまた不機嫌になるしな…)

入須「さぁ、残りを頂いてしまおう」

奉太郎「はい」


・PM1:25 リビング

奉太郎「先輩、ご馳走様でした」

入須「お粗末様。綺麗に食べてくれたな」

奉太郎「残すのも悪いですし」

入須「そう言って貰えると甲斐があるよ」

奉太郎「…ところで、この後はどうするんですか?」

入須「あぁ、実は君にお願いしたい事が一つあってな」


奉太郎「……なんですか?」

入須「そう警戒するな。君の部屋を見せて欲しいんだ」

奉太郎「…はぁ」

入須「どうだろうか?」

奉太郎「まぁ、いいですけど」

入須「そうか。では早速行こう」

奉太郎「二階ですよ。来て下さい」


・PM1:30 奉太郎の部屋

ガチャ

奉太郎「ここです」

入須「お邪魔します」

奉太郎「何もありませんけど」

入須「……確かに」

奉太郎「基本的に俺しか使いませんから」

入須「スペースは広く見えるな。布団くらいなら敷けそうだ」

奉太郎「机があるのでテーブルを置いてないんです」


入須「…後はクローゼットと本棚か」

奉太郎「見て面白い物は有りませんよ」

入須「…ふむ」スッ

奉太郎「先輩、何屈んでるんですか?」

入須「………」

奉太郎「! 先輩!」ガシッ

入須「なんだ?」

奉太郎「…なぜベッドの下を除くんですか」


入須「気にするな」

奉太郎「気になりますって」

入須「…君の嗜好を理解しておこうと思ってな」

奉太郎「…しこう?」

入須「私は先輩だ」

奉太郎「そうですね」


入須「胸もある程度はある」

奉太郎「…な、何の話をしてるんですかっ」

入須「君のベッドの下に後輩、スレンダーと書いてある本があったら処分しようと思う」

奉太郎「有りません!」

入須「…まぁ、それ以外が有っても処分するが」

奉太郎「だから有りませんから…」


入須「チェックするから少し待て」

奉太郎「やめて下さい」

入須「………」

奉太郎「っ! 先輩!」

入須「…なんだ?」

奉太郎「俺の事を随分信用していないようですね」

入須「そんな事はないぞ」


奉太郎「いいです。わかりました」

入須「…折木君?」

奉太郎「……ふん」ドスッ

入須「…冗談だよ」

奉太郎「………」ペラッ

入須「……折木君?」

奉太郎「………」ペラッ

入須「折木君…」


・PM2:00 奉太郎の部屋

奉太郎「………」ペラッ

入須「…私も本を読んでいいかな?」

奉太郎「………」ペラッ

入須「…借りるよ」

奉太郎「………」ペラッ

入須「……タロットか」


奉太郎「………」ペラッ

入須「君がこんな本を持っているとは意外だな」

奉太郎「………」ペラッ

入須「……少し、読ませてもらうから」

奉太郎「………」ペラッ

入須「………」

すいません。少しトイレに行ってきます。
スレを残しておいて貰えると助かります。

ウンコなのか?私、気になります!

修羅場もまたよしっ!!

ほうたる以外まだ古典部でてきてないよな

すいません。助かりました。ありがとうございました。

>>152
俺の推論ですが、ウンコです。

>>158
修羅場はまたの機会に…

では続けます。

>>160
出ない方針でやらせて貰ってます。
名前は出てますが


・PM2:30 奉太郎の部屋

奉太郎「………」ペラッ

入須「………」ペラッ

奉太郎「………」ペラッ

入須「………」パタン

奉太郎「………」ペラッ

入須「………」


奉太郎「……ふぅ」

入須「!」ビクッ

奉太郎「…疲れましたね、先輩」

入須「……そ、そうだな」

奉太郎「なんて顔してるんですか」

入須「……君のせいだ」

奉太郎「もう怒ってませんよ」


入須「…本当か?」

奉太郎「はい」

入須「そうか…」

奉太郎「このままだと折角の休日が無駄になってしまいますし」

入須「…あぁ、そうだな」

奉太郎「もうやめて下さいよ」


入須「勿論だ。 …君に無視されるのは辛いよ」

奉太郎「…すいません」

入須「…謝るな。悪いのは私だ」

奉太郎「…ですが」

入須「…なら、隣に来てくれないか?」

奉太郎「……? はい」スッ


入須「ありがとう」

コツッ

奉太郎「!」

奉太郎(先輩の頭が俺の肩に…)

入須「少し、甘えたい気分だ」

奉太郎「…そうですか」

入須「しばらく…良いか?」

奉太郎「はい」


入須「……折木君」

奉太郎「はい」

入須「……折木君」

奉太郎「なんですか?」

入須「……呼んだだけだ」

奉太郎「…可愛いですね、先輩」


入須「…君に言われると、嬉しいよ」

奉太郎「…そうですか」

入須「………」

奉太郎「………」

奉太郎(こういう時間の使い方も、悪くないかもな…)


・PM3:00 奉太郎の部屋

入須「―――省エネが過ぎるぞ折木君。大体君は

奉太郎(どうしてこうなった…)

入須「私に全く興味を持ってくれないじゃないか。君が言ったんだぞ、興味を持ちあえと」

奉太郎「それとその…え、エッチな本は全く関係がな

入須「今は私の話をしているんだ」

奉太郎「………」


入須「…変態」

奉太郎「違います! ただのグラビア雑誌じゃないですか…」

入須「うるさい、ケダモノ」

奉太郎「ケダモノ…」

入須「結局君はこういうスレンダーな女性が好きなんだろ?」

奉太郎「いや、だから違いますって…」

すいません。一瞬さるくらってました。
間をあけつつ続けます。


入須「…まぁ、私も体の話をしたい訳じゃない。気持ちの話だ」

奉太郎「…はぁ」

入須「私の一方通行じゃないか」

奉太郎「……まぁ、はい」

入須「はい、と言ったか?」

奉太郎「! いや、言葉を選び間違えました」


入須「まだ私の事が嫌いなのか?」

奉太郎「…嫌いじゃありませんよ」

入須「なら好きと言う事になるだろう」

奉太郎「なりません」

入須「言葉遊びをするつもりはないよ」

奉太郎「……専売特許の癖に」ボソッ


入須「なんだ?」

奉太郎「……先輩」

入須「だからなんだ?」

奉太郎「疲れませんか?」

入須「……疲れた」

奉太郎「ちょっと休みましょう」

入須「あぁ」


奉太郎「…今度から改めますから」

入須「…今日からだ」

奉太郎「わかりましたよ」

入須「まったく…少しは自信があったんだがな」

奉太郎「…はぁ」

入須「自信を無くすよ」

奉太郎「…何がです?」


入須「小さくはないだろう?」ポヨン

奉太郎「!!!」

入須「…顔が赤いぞ、折木君」ニヤ

奉太郎「せ、先輩が

入須「私が、どうした?」ポヨンポヨン

奉太郎「!!!」


入須「手に乗るんだ」ユサユサ

奉太郎「!!!」

入須「……んっ」クニッ

奉太郎「せ、先輩!」

入須「…なんだ?」

奉太郎「出掛けましょう」

入須「……まさか君からその言葉を聞くとは思わなかった」


奉太郎「着替えますから下で待っていて下さい」

入須「ここでもいいよ」

奉太郎「俺が嫌です。さぁ、早く」グイッ

入須「わかったから押さないでくれ」

奉太郎「大人しくしていて下さいよ」

入須「私は子供か。早くしろよ」


奉太郎「頑張ります」

ガチャ

入須「……折木君」

奉太郎「…なんですか?」

入須「君は言葉であれこれ言うよりは、体を使った方がよく動くようだな」

奉太郎「!」

入須「理解しておくよ」ニヤ

バタン

奉太郎「………」

奉太郎(猫に睨まれたネズミの気分だ…)


・PM3:15 奉太郎の部屋

ガチャ

入須「折木君」

奉太郎「うぇっ!」

入須「…随分素っ頓狂な声を出したね」

奉太郎「…着替えてる最中なんですが」

入須「パソコンを借りていいかな?」

奉太郎「…どうぞ」


入須「ありがとう」

バタン

奉太郎「………」

ガチャ

奉太郎「えぇっ!」

入須「私は気にしないから」

バタン

奉太郎「………」

奉太郎(俺が主導権を握る事はこれから先、一生無さそうだな…)


・PM3:25 リビング

カチッカチッ

タンタンタン

奉太郎「お待たせしました」

入須「あぁ」

奉太郎「…何を見ているんですか?」

入須「…わからないか?」

奉太郎「はい」

入須「高校のホームページだぞ?」

奉太郎「…初めて見ました」


入須「……まぁ、良い」

奉太郎「…文化祭特設ページ?」

入須「あぁ、これか」カチッ

奉太郎「カウントダウンしてますね」

入須「内容の紹介もあるよ」

奉太郎「…へぇ」

入須「…まぁ、後で見ておくといい」


奉太郎「そうします」

入須「それで、どこに行くんだ?」

奉太郎「前に俺の知っている喫茶店に行こうと言ってましたよね」

入須「覚えていてくれたのか?」

奉太郎「さっき思い出しました」

入須「……まぁ、進歩はしたか」


奉太郎「折角ですし行きましょう」

入須「あぁ、わかった」

奉太郎「少し歩きますよ?」

入須「構わないよ。どれくらいだ?」

奉太郎「十五分くらいですね。川を越えた所です」

入須「それなら、少し川沿いを歩いて行かないか?」

奉太郎「わかりました」

なぜ>>1はここまで素晴らしいいりほーを書けるのでしょう…
私、気になります!


・PM3:30 折木家前

バタン カチャ

奉太郎「行きましょう」

入須「あぁ」

奉太郎「まず左に真っ直ぐです」

入須「…折木君」

奉太郎「なんですか?」

入須「…察してくれ」

奉太郎「ノーヒントですか…」

>>217
えるの椅子prprしてる入須先輩書いてた人だな
あなたも早く続き書いて下さいよ


入須「二人で外を歩くんだ。わかるだろ?」

奉太郎「………」ギュッ

入須「…成長したね」ギュッ

奉太郎「正解できて良かったですよ」

入須「ふふっ」

奉太郎(手を握るのも大分慣れてきたが…それでもやはり恥ずかしいな)

入須「ゆっくり行こうか」

奉太郎「そうですね」


・PM3:50 川沿いの道

奉太郎「この先を少し歩くと着きますよ」

入須「なんと言う所だ?」

奉太郎「パイナップルサンドです」

入須「…それが美味いのか?」

奉太郎「……メニューに無かったと思います」

入須「パイナップルサンドなのに?」

奉太郎「はい」


入須「……んん?」

奉太郎「ケーキが美味しいと思いますよ」

入須「…食べた事がないだろ」

奉太郎「はい」

入須「おすすめと言ったな?」

奉太郎「…ブレンドは美味いですよ」

入須「……まぁ、良い」

>>220
続き書いたけどエロで挫折してるんだよ


奉太郎「それにしても、大分涼しくなりましたね」

入須「そうだな、この様な服も今週で終わりだ」

奉太郎「肩の所、寒くないですか?」

入須「…少しな」

奉太郎「…半袖ですけどこの上着、着ます?」

入須「いいのか?」

>>229
続きスレ立てた?


奉太郎「はい」サッ

入須「…ありがとう」

奉太郎「もうすぐ着きますよ」

入須「………」

奉太郎「先輩?」

入須「…手を握ってくれ」

奉太郎「…はい」ギュッ


入須「………」ギュッ

奉太郎「…なんだかしおらしいですね」

入須「…似合わないか?」

奉太郎「意外です」

入須「…君だけよ」


奉太郎「………?」

入須「君の前だけだ」

奉太郎「…そ、そうですか」

入須「…そうだ」

奉太郎「………」

奉太郎(…この空気に当てられたんだろうか)

>>231
立てた
途中書こうとして挫折したけど


・PM4:00 パイナップルサンド

マスター「いらっしゃい」

奉太郎「どうも。 …先輩、奥に行きましょう」

入須「あぁ」

ガタッ

奉太郎「…どうします? 先輩」

入須「……そうだな。折角だ、セットにしよう」

奉太郎「ケーキセットですか?」


入須「あぁ……ん、抹茶のケーキか。これにしよう」

奉太郎「わかりました。マスター、ブレンド一つ」

入須「私はブレンドと抹茶のケーキを」

マスター「はい」

入須「…素敵な店だな」

奉太郎「静かで良い所です」


入須「君の注目点はそこだけなのか?」

奉太郎「…それ以外にありますか?」

入須「…あるよ」

奉太郎「何ですか?」

入須「抹茶が美味しい事だ」

奉太郎「…その注目点も先輩だけだと思いますけど」


・PM4:05 パイナップルサンド

マスター「お待たせ」カタッ

奉太郎「どうも」

入須「ありがとうございます」

マスター「ごゆっくり」

入須「…うむ、美味そうだ」


奉太郎「そうですね」カチャ ゴクッ

入須「頂きます」パクッ

奉太郎「………」

入須「…美味いな」

奉太郎「…そうですか」

入須「抹茶の風味がよく出ているよ」

奉太郎「先ほどまでの先輩の気持ちがようやくわかりましたよ」


入須「緊張するだろ?」

奉太郎「はい、とても」

入須「君の特別な店だ。例え不味くても美味いと言うけど」

奉太郎「…え?」

入須「あぁ、勘違いしないでくれ。本当に美味いよ」

奉太郎「…余りドキドキさせないで下さい」


入須「ふふっ、すまないな」

奉太郎「心臓に悪いです」

入須「君も食べればよかったのに」

奉太郎「甘い物にはそこまで熱心じゃないんですよ」

入須「というより、君は食べ物に執着心が無さそうだな」

奉太郎「先輩の前髪うざい」ジョキン!

入須「…ん?」マエガミスッキリ

http://livedoor.blogimg.jp/otanews/imgs/7/8/78de6c3d.jpg

すいません。猿に捕まりまくってます。
ペース遅いですが今日中には終わらせますので、申し訳ありません。


奉太郎「…そんな事ありませんよ」

入須「まぁ、それはそれで私も助かるが」

奉太郎「…何の話ですか?」

入須「将来の話だ」

奉太郎「…将来?」

入須「…なんでもないよ」

奉太郎「…はぁ」


・PM4:30 パイナップルサンド

入須「…はぁ、美味かった」

奉太郎「なによりです」

入須「コーヒーもケーキも堪能させてもらったよ」

奉太郎「そうですか」

入須「また二人で来よう」

奉太郎「そうですね、機会があれば」


入須「…機会とは作るものだ、折木君」

奉太郎「…はぁ」

入須「来週の水曜日、手帳に書き込んでおけ」

奉太郎「………」

入須「わかったな?」

奉太郎「……黙秘し

入須「わ・か・っ・た・な?」

奉太郎「…はい」


入須「この後は何か考えているか?」

奉太郎「いえ、何も」

入須「そうか。 …なら、夕飯の買い物に行こう」

奉太郎「…いやで

入須「買い物に行こう」

奉太郎「いやです」


入須「後輩らしくない態度だな、折木君」

奉太郎「いやなものはいやです」

入須「…それでは、私一人で商店街まで出向き、重たい買い物袋を手に提げて一人で帰らなければ行けないな」

奉太郎「…そうですね」

入須「…重たい買い物袋だ。私の足取りはフラフラしてしまうだろう。もしかしたらそこに車が衝突してくるかもしれないな」

奉太郎「…可能性がないとは言えませんね」


入須「…食材を買えば両手が塞がってしまう。何も出来ない私を突然暴漢が襲ってくるかもしれないな」

奉太郎「…まぁ、無いとは言えませんね」

入須「…丁度夕飯時だ。腹を空かせた私は重たい買い物袋を持ち歩いている途中に体力が尽きて行き倒れてしまうかもしれないな」

奉太郎「…そんなに空いてるんですか?」

入須「そこを暴漢に襲われてしまうかもしれないな」

奉太郎「……まぁ、嫌なものは嫌なので」


入須「………」ペシッ

奉太郎「痛っ!」

入須「無理矢理連れて行く」ガシッ

奉太郎「痛い痛い! 行きますから!」

入須「なら早くしろ」

奉太郎(強引な怪力女帝だ……ん? おぉ!)


奉太郎「アマゾネスか!」

入須「…なんだって」

奉太郎「…すいません、口が滑りました」

入須「………」ペシッ

奉太郎「痛っ!」

える「イザナギ!」カッ!

里志「ジライヤ!」カッ!

里志とかシャドウすぐ出そうだな


入須「外で待ってる。払っておけ」

ガチャ バタン

奉太郎「………」

マスター「…甲斐性ないねぇ」

奉太郎「…ほっといて下さい」


・PM4:40 パイナップルサンド前

入須「ほら、行くぞ」

奉太郎「はいはい」

入須「…はいは一回だ」

奉太郎「…すいません。謝りますから睨まないで下さい」

入須「早く来い」

奉太郎「…はい」


・PM5:00 商店街

入須「野菜はこんなものか。では折木君、頼む」

奉太郎「はいはい」

入須「………」

奉太郎「…はい」


・PM5:05

入須「折木君、これも頼むよ」

奉太郎「…もう何でも持ちますよ」

・PM5:10

入須「折木君、これもだ」

奉太郎「はい」

・PM5:15

入須「これも」

奉太郎「…はい」


・PM5:20

入須「ほら」

奉太郎「………」

・PM5:25

ドサッ

奉太郎「せめて何か言って下さい…」

・PM5:30

入須「歩いて少し温まったな。君の上着も返すよ」

奉太郎「今ですか!?」

入須「それでは帰るよ」

奉太郎「…はい」


・PM6:00 折木家

ガチャッ

奉太郎「はぁ…はぁ…」

奉太郎(人使いが荒すぎる!)

入須「台所に頼む」

奉太郎「っはぁ…わ、わかりました」

入須「君は体力が無いな」

奉太郎「………」


入須「それが終わったら手を洗うんだぞ」

奉太郎「…はい」

入須「その後は風呂を洗っておけ」

奉太郎「…はい」

入須「それが終わったら食卓の準備だ」

奉太郎「…は、はい」


入須「…必ずやるんだぞ?」

奉太郎「…頑張ります」

入須「やるんだぞ?」

奉太郎「…はい」

入須「では頼む」

奉太郎(母親に怒られているかの様だ…)


・PM6:30 台所

奉太郎(ようやく終わったか…)

トントントン

奉太郎(頑張ってください。先輩)

入須「折木君、終わったようだな」

奉太郎「……えぇ、まぁ」

入須「君は料理は出来るか?」

奉太郎「出来ません」

入須「ならこの鍋を見ていてくれ」

普段料理しないのに、今日の為に色々練習したり努力してきた姿が見え隠れする入須萌え


奉太郎「………」

入須「なんだ?」

奉太郎「逃げても

入須「なんだ?」

奉太郎「……てつだいます」

入須「そうか。では頼むよ」

奉太郎(あぁ、俺は今日、死ぬんだろうな…)


・PM7:00 台所

供恵「たーだーいまー!」

奉太郎「! あ、姉貴!」

供恵「おー、どうした?」

奉太郎「助けてくれ!」

供恵「んんー?」

入須「お帰りなさい。先輩」

>>290
トントントントン

入須「(…大分うまくなってきたな)」

入須「これなら折木君に食べてもらえそう…かな」

トントントント…

入須「いつっ」チクリ

入須「(包丁で指を切ってしまった)」

入須「はぁ…。でも折木君のために…!」


こうですか!?


供恵「ただいまー。どしたのこいつ?」

入須「折木君は生活指導中です」

奉太郎「強制のスパルタ指導ですけど」

入須「………」

奉太郎「……睨まないで下さい」

供恵「ふーん。まぁ頑張りなさい、奉太郎」


奉太郎「おい、弟を見捨てるな」

供恵「おっ、美味そうじゃーん。人参いただきー」

入須「先輩」

供恵「んー? …!」

入須「手を洗って来て下さい、先輩」

供恵「は、はーい…」


入須「お願いします」

供恵「………」ドゴッ

奉太郎「痛っ! 何すんだ!」

供恵「あんたあの子に何言った?」

奉太郎「……うっかりしてたんだ」

供恵「早く仲直りしな!」ドゴッ


奉太郎「痛っ! 二回も叩くな!」

入須「折木君」

奉太郎「……はい」

入須「皿を出してくれないか?」

奉太郎「…はい」

奉太郎(自分の家なのに逃げ場が無い!)


・PM7:05

奉太郎「…先輩」

入須「なんだ?」

奉太郎「……すいませんでした」

入須「………」

奉太郎「何故あんな事を口走ってしまったのかは自分でもよく分からないんですが」

入須「……もう怒ってないよ」


奉太郎「…そうですか」

入須「…実はな、正直に話すと最初からそんなに怒ってはいなかったよ」

奉太郎「…え?」

入須「ただ、ものぐさな君を動かすには丁度良いと思ってな。 ふふっ、きびきびと動いてくれて助かったよ」

奉太郎「…先輩」

入須「ん? なんだ?」

しゅ


奉太郎「…いや、今日はもういいです」

入須「懸命だ。今日は疲れただろ?」

奉太郎「そうですね」

入須「風呂に入るといつも以上に気持ち良いはずよ。それまで頑張ろう」

奉太郎「…はい、お互いに」

入須「あぁ」

供恵(へー、ふーん)


・PM7:40 台所

供恵「ごちそーさま」

入須「お粗末様でした、先輩」

供恵「ハンバーグ美味かったよ」

入須「ふふっ、ありがとうございます」

供恵「じゃー私風呂入ってくるから」ガタッ

入須「はい」


供恵「…あ、今日これから帰るの? 泊まってけば?」

入須「…いいんですか?」

供恵「いいよ」

奉太郎「…何で姉貴が決めるんだよ」

供恵「あんたが決められると思ってるの?」

奉太郎(ぐうの音も出ない…)


入須「…それでは、甘えさせて貰います」

供恵「そーしな、もう遅いし。寝床はどーしようかね?」

入須「…実は、考えていた所があるんです」

供恵「ん?」

奉太郎「?」

入須「あの…折木君の部屋で寝ようかと」


供恵「……え?」

奉太郎「……え?」

入須「布団を敷いて寝るスペースは十分有りますし」

供恵「んー、今日の家主として余り手放しで賛成はできないんだけど…」

奉太郎(そうだ姉貴、いいぞ)

入須「何も起きませんよ、先輩。私と折木君ですから」


供恵「あー…確かにこのヘタレじゃ無理か」

奉太郎「おい」

供恵「布団出すの手伝うのよ、奉太郎。じゃっ」

奉太郎「ちょ、ちょっと待て」

バタン

奉太郎「………」

入須「食べ終わったらお願いするよ、折木君」

奉太郎「…はい」


・PM8:00 リビング

供恵「あがったよー」

奉太郎「おぉー」

供恵「先入りなよ。コイツの後だとなんだしさ」

入須「いえ、そんな事は有りませんよ」

奉太郎「いいですよ先輩。 …でも、着替えはあるんですか?」


供恵「私の貸そうか?」

入須「…すいません、先輩」

供恵「ん?」

入須「実は持って来ているんです、着替え」

供恵「…へぇー、中々やる様になったねぇ」

入須「すいません、騙してしまって」


供恵「いーよ、今回は私の負け。狭い部屋だけどゆっくりしていきな」

入須「はい」

奉太郎「…先輩、もしかして」

入須「…すまないな、最初から君の部屋に泊まろうと思っていたんだ」

奉太郎「………」


供恵「ま、後は好きにやりなさい。一線越えなきゃ怒らないから」

奉太郎「越えねぇよ」

供恵「じゃ、おやすみー」

入須「おやすみなさい、先輩」

奉太郎「……先輩」

入須「過ぎた事よ。それじゃ、私も風呂を貰うとするよ」スッ


バタン

奉太郎「………」

奉太郎(…先輩と同室で一晩を過ごすのか)

奉太郎(一晩…)

奉太郎(………)

奉太郎(…ひ、一晩!?)


・PM8:30 リビング

奉太郎「………」

ガチャッ

入須「すまない、待たせたな」ホッコリ

奉太郎「…あ、いえ」

入須「…どうした?」

奉太郎(先輩の顔を直視できない…)


奉太郎「…風呂、行ってきます」

入須「あぁ……あ、折木君」

奉太郎「なんですか?」

入須「先に君の部屋に行っているよ。今日は早く寝るとしよう」

奉太郎「わかりました」


入須「戸締り、しっかりやるんだぞ」

奉太郎「はい」

入須「それじゃ、後でな」

タンタンタン

奉太郎「………」


・PM8:40 バスルーム

チャポン

奉太郎(…先輩、俺の部屋に泊まるつもりで今日、ここにやって来たのか)

奉太郎(今週の頭に告白されて、今日のこの状況…)

奉太郎(早いんじゃないのか? いや、今はこれが普通なのかもしれないな)

奉太郎(いやいや! 状況がこうなっているだけで、そういうつもりは俺も先輩も…)

奉太郎(…そういやこの風呂、先輩が浸かったんだよな)


奉太郎(………)

奉太郎(だぁぁ! 何を考えているんだ俺は!)

奉太郎(…今日は省エネとは程遠い生活をしてしまったな)

奉太郎(明日は先輩、どうするんだろうな)

奉太郎(何時に帰るんだろうか…)

奉太郎(次の日は月曜だ、今のような状況にはならないだろ…)


奉太郎(それがわかっているだけでも…)

奉太郎(だいじょう……)

奉太郎(………)

奉太郎(………)

奉太郎(………)

奉太郎「!」

バシャッ

奉太郎「死ぬ! 本当に死ぬ!」


・PM9:00

ガチャッ

入須「あぁ、折木く

バタッ

入須「折木君!?」

奉太郎「………」

入須「大丈夫か!? 折木君!」

奉太郎「……平気です。少しのぼせただけなので」

入須「何をしているんだ君は…」


奉太郎「…すいません」

入須「…ほら、頭を乗せろ」

奉太郎「! い、いや、いいですから…」

入須「……早くしろ」グイッ

奉太郎「うわっ」


入須「……こうして目を覆えば、少しは楽になるだろう」

奉太郎(膝枕の上、顔に手を当てられて…情けなくて嫌になるな)

奉太郎(だが何故だろうな…凄く安心する…)

入須「………」

奉太郎「………」


・PM9:20

奉太郎「…先輩」

入須「あぁ、なんだ?」

奉太郎「んっ…」スッ

入須「もう大丈夫なのか?」

奉太郎「はい、大分楽になりました。ありがとうございます」

入須「気をつけろよ? 風呂場で溺死なんて洒落じゃ済まないぞ」


奉太郎「…十分気をつけます」

奉太郎(前科もあるしな…)

入須「君はベッドだな?」

奉太郎「はい、すいませんけど」

入須「いいよ。それじゃ、電気を消すぞ?」


奉太郎「まだ十時にもなってないですけど、先輩は良いんですか?」

入須「あぁ、私も今日は少し疲れた」

カチッ

奉太郎「それでは先輩、おやすみなさい」

入須「おやすみ、折木君…」


・PM10:00

奉太郎(まだ顔が熱いな…)

ゴソッ

奉太郎(……ん?)

ピトッ

奉太郎「!」

奉太郎(背中に、先輩が…)

入須「……折木君」


奉太郎「……先輩?」

入須「! 起きていたのか…」

奉太郎「…どうしたんですか」

入須「…今日は楽しかったよ」

奉太郎「……はい」

入須「一日中君と共に居れて、嬉しかった」


奉太郎「…はい」

入須「…君が怒った時は、少し悲しかったけど」

奉太郎「…俺も、先輩が怒っていた時は怖かったですよ」

入須「…お互い様だな」

奉太郎「…ですね」


入須「……最近、君の事ばかり考えてしまうんだ」

奉太郎「………」

入須「君とどこに行きたい、何をしたい、こう言う話をしたい」

奉太郎「………」

入須「…例えば、君と結婚をしたらどんなに幸せだろうか。子供が出来たらどんな家庭になるだろうか」

奉太郎「………」

入須「…大人になった君は、どうなるだろうか。私は君に相応しい女だろうか」

奉太郎「………」


入須「……そんな事、ばかりだ」

奉太郎「……俺に、勇気が足りないせいです」

入須「…折木君に?」

奉太郎「…省エネ生活に於いて、変化は必要ないんです」

入須「………」

奉太郎「…でも、そんなもの俺が一歩を踏み出せばいいだけ」

入須「………」

奉太郎「…ようは、怖いんです。ビビリ、ヘタレ。そんな奴なんですよ、俺は」

入須「そんな事」


奉太郎「ありますよ。嫌いじゃないと言って言葉を濁したり、冗談を言って真意を避けている。先輩の好意から悉く目を背けてます」

入須「…折木君」

奉太郎「先輩、ありがとうございます、勇気を出してくれて」

入須「………」

奉太郎「最初は確かに苦手でした、先輩の事。でも、今は違うと断言できます」

入須「…そう、か」

奉太郎「次は俺の番です、先輩」

入須「……あぁ」


奉太郎「……俺は先輩の事を…特別な、かけがえのない人だと、想ってます」

入須「! ………」

奉太郎「………」

ギュッ

奉太郎「!」

入須「嬉しい…」

奉太郎「……すいません、結局濁してますけど」

入須「いいよ、嬉しい」

奉太郎「……そう言って貰えると」


チュッ

奉太郎「! …せ、先輩?」

入須「…首筋はノーカウント?」

奉太郎「何が、ですか…」

入須「……ファーストキス」

奉太郎「! ………」

入須「…すまない。 …君への気持ちが、溢れてしまった」

奉太郎「…いえ」

入須「…折木君が好きで、愛しくて…ふふっ、その内、爆発してしまうかもしれないな」

奉太郎「…そうなる前に、何とかしましょう」


入須「…ふふっ」ギュウッ

奉太郎「…先輩」

入須「私は幸せだ、折木君」

奉太郎「…俺も、同じ気持ちですよ」

入須「ふふっ」

奉太郎(…可愛くて綺麗で茶目っ気もある、魅力的な先輩。 …たまにわがままで怒るけど)

奉太郎(…俺だってこんな人、絶対に手放したくない)

奉太郎(…そう言える日が来る様に、俺も頑張らないとな)


おまけ

・AM12:00

入須「……ん…折木君…」ギュッ

奉太郎「………」

入須「折木…君…」

奉太郎「………」

入須「すぅー…すぅー…」

奉太郎(…こんなの寝られるか!)

おわり

以上です。ありがとうございました。
さるさんの猛威に心が折れる所でしたが、長い時間ありがとうございました。
システムをよく理解しておらずすいませんでした。
次回があるとすれば、アニメ氷菓が終わる前に書ければいいなと思います。
では、限界なので寝る事にします。ありがとうございました。
入須先輩可愛い

まだ残ってたのか…
乙!

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