文月瑠衣「大好物は卵かも知れない」 (995)

前スレ 文月瑠衣「……キミは何を言っているの?」

「……」

瑠衣「……」

「何だ。何をすればいいんだ」

瑠衣「分からない……」

「しかも照明が弱くて薄暗——ん?」

瑠衣「? どうしたの?」

「ぅ……お……」

(何だこれは……身体が服を脱がしたい衝動に駆られているッ!)

瑠衣「ナナシ、大丈夫?」

「ぐおおおおっ……」

瑠衣「え、ちょっと、ナナシ……?」

(待て待て、心を鎮めろ俺! ここで瑠衣を脱がしたら灰と化してNIROルートみたいに——)

(……、いや、この薄暗い部屋なら問題ないか? ……うん、問題ないな)

(ったくあの店員め。そういう気分にさせる薬を気体にして、この部屋に充満させやがったな。とんでもない野郎だ)ゲヘヘ

瑠衣「何だか落ち着かないね。監禁されたみたい」

「……行くぞ」

瑠衣「え?」

連投すいません(汗)

>>10
重いから仕方がないのさ!


瑠衣「行くって、どこに?」

「……」

「未知の世界さ」キリッ

瑠衣「?」

「つまり、こういう事だってばよ!」バサッ

瑠衣「——」

瑠衣「!!!?」///////

「相変わらず白くて綺麗な肌してやがるっ……!!」

瑠衣「えっ……ちょっ……えぇぇええ!!?」//////

「何てこった。服にダメージを与えていないのに脱がせられるとは。増強剤的なモノも舞ってるのかな」

瑠衣「なっ……何……? 何が……?」//////

 るい は こんらん している !

「この調子で下も頂くぞォ!」バサーン

瑠衣「」

「ヒャッハー! 俺ってば、どうかしてるぜっ!」

瑠衣「」

瑠衣「あっ……うあっ?」

 るい は めをさました !

瑠衣「か、返してっ!」/////

「うん? 何を?」

瑠衣「服っ!」/////

「下着を必死に隠して顔を赤くする瑠衣。その姿はさながら天使のようで、それを見ていた僕は最高の気分だった」

瑠衣「何でそんなに冷静なの!?」/////

店員「聞こえますか? 残り三十秒です」

瑠衣「ナナシっ!! 早く着ないと見られちゃうよっ!!」//////

「……へ? みられる? なにをですか?」

瑠衣「下着姿見られちゃうってば! 遠い目になってるよ!」/////

「……」

「はぁ、そうですか」

店員「はい、終了でーす」

店員「いひひ、では、いひひ、開けさせて頂きますね」

瑠衣「ひぃっ!」//////

店員「純粋ぶってるけど、実はこういう事は慣れっこなんだろう? ほら、さっさと見せやがれってんだ」ガチャガチャ

「……あ?」

店員「では見せて頂きま——」

「おらァ!!」バキッ

店員「ガッ」

「瑠衣を悪く言った奴には……死あるのみだぞ……」

店員「ふぇぇ……」

「大の大人がふぇぇって気持ち悪いよ!」

「瑠衣ッ。こいつ押さえとくから、今の内に服を!」

瑠衣「! う、うんっ」

「おまえぇえ、もう少しで瑠衣を汚しちまうところだったじゃねぇかぁぁ!」

店員「ふぇぇ……」

「だからふぇぇはやめろ!」

警察「やあナナシ君。その男が、例の?」

「はい。ここにいかがわしいゲームを設置していました」

警察「ふむ。では署に連れて行く事にしよう。ご協力ありがとう」

「保釈金9000円とかやめてねマジで」

店員「ふぇぇ……」

警察「黙って歩け」

店員「はい」

瑠衣「……」

「……」

「すまない瑠衣……俺とした事が薬なんかで……!!」

瑠衣「気にしてないよ。あの店員さんが悪いんだもん」

「るいぃぃ」グスッ

瑠衣「泣いてるの……?」

「だって瑠衣が天使すぎて……」

瑠衣「天使じゃないもん」

「あんまり可愛すぎると捕まっちゃうから気をつけろよ……?」

瑠衣「何で!?」

「いや俺が捕まえるから。ぎゅーって」

瑠衣「……もうっ。何馬鹿な事言ってるの」/////

主よ、瑠衣を捕まえていいですか?

「とにかくゲーセンはやめよう。そだ、アニメイト行こうか」

瑠衣「あにめいと? って何?」

「んー……分かりやすく言うなら、アニメとかの商品を扱ってる店……かな。瑠衣はアニメとか見る?」

瑠衣「あ、えっと、この前深夜に目が覚めてテレビつけたら『不完全燃焼なんだろ』ってアニメやってたよ」

「神様ドォルズだね。見たの?」

瑠衣「うん。詩緒ちゃんが可愛かった」

「じゃあ大丈夫そうだな。行こうか」

瑠衣「うう、何かドキドキするなぁ」

>>20
すまない、既に捕まえてあるんだ……

用事が出来たので夜に再開します

「アニメイト到着なう」

瑠衣「わあっ。店の中いっぱいに本がある!」

「遊園地に初めて来た子供じゃないんだから」

オタA「お、おい……あの女の子可愛すぎじゃね?」

オタB「うおっ! 何だ何だ、リアル天使降臨か?」

オタC「ふひひwww俺の嫁wwww」

オタA「もうお前の嫁かよ早すぎるわ! つか彼氏っぽいのいるじゃんかよ」

オタC「ぬぉあ!? り、リア充爆発しろッ……!!」メラメラ

「……」

(ちょっと前までは、俺もあの中の一員だったんだよな。物凄く申し訳ない……)

(瑠衣との生活も全然悪くないんだけど、ああいう奴らと馬鹿やってる方が俺に似合ってるんだよな……)

瑠衣「ナナシ、どうかした?」

「どうもしてないよ。ほらほら、入り口詰まっちゃうから行くぞー」

瑠衣「うん」

オタC「くぅぅ……! 奴は……パッと見は冴えない男だというのに……!!」

オタB「何か特殊能力でも持ってんじゃねーの?」

オタA「ねーよ」

オタC「脳内で犯すから問題ないでござるwww」

(俺だってお前らの立場で瑠衣を見たらそうなるよ。でもそこの草生やしてるオタは死んでいい)

瑠衣「……ナナシ? 顔が怖いよ」

「あ、えっと、カレーの事考えてたんだ」

瑠衣「カレー? 嫌いなの?」

「いや、ご飯とルーを分ける派と、ぐちゃぐちゃに混ぜる派があるんだが……瑠衣はどっちだ?」

瑠衣「んー。私は分けて食べる……かな」

「だよな! ぐちゃぐちゃに混ぜる派の人間の事を考えてたら顔に出ちまってた」

瑠衣「ぐちゃぐちゃは嫌いなんだ」

「ぐちゃぐちゃに混ぜると何か汚物にしか見えなくなる」

瑠衣「……確かに見た目が食欲をそそらないよね」

「瑠衣は見てるだけで色々そそるけど……」

瑠衣「うるさいっ」////

オタC「フォオオオオオ!! リア充死ねぇえぇええ!!」

オタA「店内で発狂すんじゃねぇよ」

「とりあえず二階にやってきた」

瑠衣「凄いなあ。アニメの絵がたくさん……。あ、詩緒ちゃんだ!」

「詩緒もいいけど桐生も好きだな。俺は」

瑠衣「……男の子なのに? ……ふーん」

「何か勘違いしてるよね。絶対してるよね」

瑠衣「えっ。いや別に男なのに男が好きなんだ、とか思ってないよ?」

「絶対思ってるよね……。大体、俺は瑠衣が大好きだって知ってるだろ? その時点でその考え捨てろよ」

瑠衣「……」

「軽蔑の眼差しを向けるな!」

瑠衣「ねえ」

「ん」

瑠衣「私も男の子になった方が良い?」

「良くない! ……いや、ちょっと待て。美少年の瑠衣……アリかも知れないな」

瑠衣「……」

「『うわぁ……』って顔するなよ!」

瑠衣「……」

「え、えっと……これはつまり、瑠衣だったら男でも女でも構わないって事を意味してるんだよ?」

瑠衣「……」

瑠衣「……」////

(あ、照れてる。可愛い)

ノブ「……あ」

「あ?」

瑠衣「ノブ君だ」

ノブ「ナナシと瑠衣ちゃんじゃん。何してんの?」

「聞かなくても分かるんだろ? そうなんだろ?」

ノブ「やめてくれぇぇ」

瑠衣「あははっ」

「お前は何をしているんだ」

ノブ「おう。俺は新作をいくつか漁りにな」

瑠衣「新作?」

ノブ「ああ。俺の嫁達が待ってるんだ」

瑠衣「?」

「嫁を待たしちゃ男が廃るよ。さっさと行け」

ノブ「すまんな。じゃあ、また」

「うん」

瑠衣「じゃあねノブ君」ニコッ

ノブ「——!」

ノブ(何だ……何だ? 今の気持ちは……)

瑠衣「……?」

ノブ(まさか……やっぱり俺は……)

(何か面倒くさい事になりそうな予感)

ノブ(いやいやいや! 俺が二次元以外に惚れるなんてありえないから!)ウオオオオオオオ

ノブ(……でも……前にも考えたが、カゲヤシって老化するスピードがかなり遅いんだよな……)

ノブ(ダブプリは戦後から生きていてあの容姿……瑠衣ちゃんが老化し始めた時には、俺は既に死んでいるはず)

「行こうぜ瑠衣」

瑠衣「うん」

ノブ(だが、どうする? 彼女はナナシの恋人だ。手を出す訳にはいかない)

ノブ(うぅっ! こうなったらダブプリのどっちかに告白してみるか!?)

ノブ(いやいやいやいやいやいやいやいや! 俺の二次元愛はいつからそんな薄っぺらいもんになったんだ! 頭を冷やせ!)

オタA「何だアイツ。頭をかかえて唸ってるぞ」

オタC「知らんの?wwwノブさんだよwww俺達の同士www」

瑠衣「〜♪」

(鼻歌可愛い……しかもclarisのdreamin'という曲センスの良さ)

 ※アキバズトリップのOP・ED曲です

瑠衣「あっ」

「? どうかしたか」

エウリアン「あっ!」

瑠衣「……」

エウリアン「……瑠衣さん」

「え、知り合い?」

瑠衣「うん……まぁ」

(何でエウリアンと知り合いなんだよ。……まさか絵を無理やり買わされたとか?)

エウリアン「瑠衣さん、最近どうですか?」

瑠衣「どうって……。まあまあ、かな」

エウリアン「そうですかぁ。絵は欲しくないですか?」

瑠衣「必要ないです」

(おっ? 瑠衣が何かたくましく見える。世間ずれしてるのに、こういうのはキッパリ断るのか)

エウリアン「えぇ? だって瑠衣さん、すっごく絵が欲しそうな顔してますよ?」

瑠衣「してません。私達、忙しいんです。失礼します」

(瑠衣かっけー!!)

今日はここまでだよぅ
瑠衣ちゃん可愛いよぅ

エウリアン「そんな、冷たい事言わないでください瑠衣さんっ」

瑠衣「……」

エウリアン「私達、あんなに仲が良かったじゃないですか! 私はあなたに何もしてないのに!」

瑠衣「……」

瑠衣「絵を無理やり買わせようと……」

エウリアン「そんな……誤解だわ!」

瑠衣「誤解じゃないですっ。買わないと帰れませんって言ってたじゃないですか!」

エウリアン「あ、あれは言い間違いで……」

瑠衣「ウソですよね? ああいう売り方をしてるんですよね? いけない事だと思いますよ?」

エウリアン「うぅー!」

(瑠衣にこんな風に言葉攻めされたらド変態のドMに目覚めてしまいそうだ)

瑠衣「人を騙して手に入れた金で食べるご飯は美味しいですか?」

エウリアン「ぐぅっ……」

瑠衣「何の価値もない絵を売りつけて気分が良くなるんですか?」

エウリアン「ぬぬぬぅっ……」

瑠衣「どうなんですか? 何か言ってください」

エウリアン「小娘がぁッ……!」

(ゾクゾクするぜッ! あとで瑠衣に言葉攻め頼んでみよう!)

瑠衣「……ナナシ? 何で顔赤くしてるの?」

「何でもない。エビフライに醤油をかけるわけがわからない連中に対してキレていただけだ」

瑠衣「……そうなんだ」

「うん」

エウリアン「あっ、あなたはナナシさん!」

「どうも久しぶり」

瑠衣「あれ? 知り合いだったの?」

「うん。服のコレクション増やす為に脱がしたのさ」

瑠衣「えっ。……因縁の相手じゃ?」

「いや大丈夫。数十万の絵を買ってあげた」

エウリアン「ナナシさーん、今度はもっとお高いの買いませんかあ?」

「買いません!」

「ちなみにこいつ、普通に攻撃すると逃げるけど、装備を絵画にして攻撃すると戦闘になるぞ」

瑠衣「私は日傘が武器だから……」

「やっぱり日笠だけに?」

瑠衣「? だから、何それ?」

「瑠衣、てへぺろ」

瑠衣「へ?」

「てへぺろ」

瑠衣「あっ。て、てへぺろっ♪」

「そう! 可愛い! ……それこそが日笠なり」

瑠衣「?」

「それが日笠だ。それ以上は訊くな」

瑠衣「え、う、うん」

エウリアン「こらぁ!」

「何だよ」

エウリアン「私を無視して意味が分からん会話をするな!」

エウリアン「ていうか瑠衣さん! あなたは私を怒らせました!」

瑠衣「え? ごめんなさい」

エウリアン「謝るの早っ。そう簡単には許しませんからね!」

瑠衣「……?」

エウリアン「さっきあなたは……人を騙して手に入れたお金云々と仰ってましたが——」

エウリアン「好きでこんな仕事をしている訳ではないんですよ! 生きていく為には仕方がないんです!」

瑠衣「……」

エウリアン「この仕事がなかったら、私は飢え死にしてしまうんです! 分かりますか!?」

瑠衣「……」

瑠衣「ごめんなさい。よく考えずにあんな事を言ってしまって……」

エウリアン「……」

瑠衣「……本当に……ごめんなさい」

エウリアン「瑠衣さん」

瑠衣「……?」

エウリアン「絵を買ってくれたら許します」

瑠衣「……」

「これぞ商売魂ですね」

エウリアン「どうです? これ、百八十万円ですよ?」

瑠衣「前より高いっ……」

「しかもそれお前の装備してた奴じゃねぇか……。絶対キズついてるだろ」

エウリアン「そんな事ないですよ?」

瑠衣「さっきも言いましたけど、急いでるんです」

エウリアン「急いでるのにアニメイトでお買い物ですか?」

瑠衣「それは……えっと……」

エウリアン「お暇なんでしょう? なら買うしかないでしょう?」

瑠衣「その理屈はおかしいと思います……」

エウリアン「ほら、買いましょう?」

瑠衣「や、やだ……」

「……」

「買うから、もうどっか行ってください」

エウリアン「本当ですか!?」

「百八十万だろ。はいこれ」

エウリアン「ありがとうございます!!」

瑠衣「ナナシっ! ダメだよそんな金額……」

「いいってば。メイドポイントという名のお金量産システムがあるんだし」

瑠衣「そうなの?」

「うむ。稼ぎ放題だぜ」

エウリアン「〜♪」

「これでしばらくは声かけられないだろ」

瑠衣「……ありがとう」

「可愛いなあ相変わらずクソ!」ナデナデナデナデ

瑠衣「うーっ! やめてよっ!」//////

「うりうり」ナデナデナデナデ

瑠衣「あうー!」//////

今日はここまでよー

「さらに上の階へやって来た」

瑠衣「へぇ、まだ上があるんだぁ」

「池袋のはもっとデカイよ」

瑠衣「そうなんだ。何だか飽きないねっ」

瑠衣「……あれ?」

「どーした」

瑠衣「あの人……何であんな格好を……?」

「え? ああ、コスプレイヤーか。別に珍しくもないだろ?」

瑠衣「外では結構見るけど、店の中で着てる人は初めて見た……」

「あー、まあ確かに店の中だとあんまり見ないな」

瑠衣「……」

「? どうしたよ、ボーっとして」

瑠衣「……あっ、ごめん。何か綺麗だなぁって思ってたんだ」

「……ほぅほぅ。なるほどなるほど」

瑠衣「え? な、何?」

「ああいう格好をしてみたい、と」

瑠衣「い、いや違うよっ!」

「そう言ってくれれば、すぐに協力したのに」

瑠衣「私はっ……メイド服だけで十分だよっ」

「ふふふ、遠慮はいらん」

「秋葉原のコスプレマスターとはまさに俺の事。俺に分からぬコスプレなぞないわ!」

瑠衣「コスプレなんて恥ずかしいよっ」////

「ばかるい!!」

瑠衣「!?」

「お前は何も理解してねぇ……コスプレがどれだけ素晴らしいものかをな……!!」

「普段とは違う自分を見られる絶好のチャンス……! 鏡に映っているのは誰? 俺じゃない……誰だ?」

「——否。それはまさしく俺だ! 俺が映っているんだ!! 俺はこんなにも変われるんだ!!」

客「おおおおおおお」パチパチ

瑠衣「拍手が……」ナゼ?

コスプレイヤー「感動したわ!」

瑠衣「!?」

コスプレイヤー「是非、あたしと付き合ってください!」

瑠衣「なっ……!!」

「おおおぅ、マジか?」

コスプレイヤー「はいっ! お願いします!」

瑠衣「ちょっと!!」

コスプレイヤー「何?」

瑠衣「その人は私のっ……、……」////

コスプレイヤー「私の、何?」

瑠衣「……あぅぅ」////

(何で恥ずかしがるんだよそこで……)

コスプレイヤー「他人? 他人なのね?」

瑠衣「違う……」

コスプレイヤー「こんな子ほっといて行きましょ?」

(うぅう、瑠衣。お前が何も言わなかったら俺は行ってしまうぞ……)

瑠衣「むむぅ……!!!」////////

(爆発しそうなくらい赤くなってる! 何か煙も出てる!)

コスプレイヤー「どうしたの? 早く——」

瑠衣「その人は私の彼氏だよッ!!!」///////

コスプレイヤー「——」

「——」

客「——」

瑠衣「……」//////

瑠衣(う……ううう!! 大声で言っちゃった! 恥ずかしい! 死ぬ死ぬ!!)///////

「瑠衣……」

コスプレイヤー「……」

瑠衣「……」/////

コスプレイヤー「ふっ。負けたわ」

瑠衣「えっ……」

(何この展開)

コスプレイヤー「こんなにもコスプレを愛す人が愛した女性、それがあなた……という事でしょう?」

コスプレイヤー「誇りに思いなさい。コスプレを愛す男は、女性も愛してくれるわ」

(何言ってんのこの人……)

瑠衣「は、はいっ!」

客「おおおおおおお」パチパチ

「瑠衣」

瑠衣「ん……」

「愛してるよおおおおおおお!!!」

客「うおおおおおおおおおお!!!」

瑠衣「ひゅぅ」//////

(ひゅぅって何だ!?)

瑠衣「な、何も言えなくて口から空気漏れちゃった……」/////

「可愛いなあぁぁああ!!」

「よし瑠衣、今すぐ行くぞ!」

瑠衣「へっ!? どこに!?」

「俺の家に!」

「たっだいまー!!」

妹「うわっ、ビックリした!」

「うっす!」

瑠衣「こ、こんにちは」

妹「あっ。瑠衣さん、いらっしゃい。……この異常なテンションの兄貴は何?」

瑠衣「深い事情が……、いや別に深くもないけど」

妹「?」

「妹よ、お小遣いをやろう!」

妹「えっ!? い、いいよ別に!」

「おいおい何だよお前らしくねぇな。とっとけ」

妹「あぇ、うん、ありがとう……」

妹(何でこんなに目を輝かせてるんだろ……)

 ナナシの部屋

「準備万端か? 瑠衣」

瑠衣「そう言われても……。一体、何をする気なの?」

「ふふふ……それは愚問だぞ瑠衣よ」

瑠衣「えっ」

「コ ス プ レ だよッ!!」

瑠衣「」

瑠衣「……で、でもまだ……気持ちの整理が……」

「不完全燃焼なんだろ?」

瑠衣「う、うん」

「大丈夫だ。さっき勇姿を見せてくれたじゃないか!」

瑠衣「ううっ。思い出させないで……」/////

「へへへ。最高にかっこよかったぜ。いや、可愛かった」

瑠衣「あう」/////

「勇姿を……もう一度見せてくれないか」

瑠衣「……」////

瑠衣「……いいよ」////

「いえっす!!」

「じゃあじゃあちょっと待ってろ」

瑠衣「……」

「俺の秘蔵コレクションを解放する時がきたか……」

「出でよ……!!」

瑠衣「……」

「……」

瑠衣「……」

「おい、何で無反応なんだよ」

瑠衣「……だって、これ、何?」

「え?」

瑠衣「こんな服見た事ない……」

「あー……えっと、スク水です」

瑠衣「スク水?」

「うん。スクール水着」

瑠衣「何それ……」

「学校の水泳の授業で着るものだよ。水着だ」

瑠衣「水着か……」

瑠衣「……海とかプールって行った事ないな」

「なら今度行こうよ」

瑠衣「えっ。で、でも私は陽を浴びると……」

「曇りの日に行けばいいんだよ。もしくは室内プール」

瑠衣「……」

「いいだろ?」

瑠衣「うんっ。ありがとう……♪」

「さあ、練習にも着てみようぜい」

今日はここまでよー
明日はアキバにお出かけなので夕方に投下します

やっぱりアキバ暑かった!
そして夕方投下はムリだった!

「……」

瑠衣「……」

「どうした? 着ないのか?」

瑠衣「……」/////

瑠衣「一人で着替えたいよ」////

「あ、そういう事か」

「……一緒に風呂まで入ったじゃない」

瑠衣「それはそれ、これはこれだよ」////

瑠衣「何か、私だけ着替えてるのって恥ずかしい」////

「じゃあ俺もスク水を着ればいいのか?」

瑠衣「ち、違うよ違う!」////

瑠衣「部屋を一旦出てもらえると助かる……」///

「……」

瑠衣「ご、ごめんねワガママ言って」

「……」

瑠衣「……」

「……」

瑠衣「……怒ってる?」

「……ないよ」

瑠衣「え、何……?」

「怒ってる訳ないよ!!」

「着替えるところを見られるのが恥ずかしくて赤面する瑠衣が天使にしか見えない!」

「即ち瑠衣は天使! 天使なんだ! いやこれはもう大和撫子レベルなんだー!」

瑠衣「……」

瑠衣「何言ってるのか理解し難いよ……」

「……。つまり、要約すると瑠衣可愛いって事」

瑠衣「いつもと言ってる事変わんないよ……」

「遂に冷静な対応をするようになったな。可愛いと自覚したか」

瑠衣「し、してないよっ」////

「くぅ! 可愛いぜ!」

瑠衣「そんな事ないってば」////

「じゃあ出て行きますから着てくださいね」

瑠衣「うん。……何で敬語?」

「では」ガチャッ

瑠衣「……」

瑠衣「ナナシの部屋で……服を脱いでるんだ、私……」

瑠衣「……」

瑠衣「……」/////

瑠衣「!! な、何考えてるんだ私は! 変態だよこんなの!」//////



(聞こえてるよ瑠衣さん……)

疲れちゃった!
寝る!

瑠衣「ん……」

「もういいー?」

瑠衣「う、うん」

「入るぜぃ」ガチャッ

瑠衣「……」////

「瑠衣さん!」

瑠衣「なっなに?」ビクッ

「太ももがイヤらしいです!」

瑠衣「そ、そそそ、そんな事ない!!」/////

「だって、これ、ほら。うわ、やばい。写メ撮っていい?」

瑠衣「ダメえええ!! 絶対ダメ!!」//////

瑠衣「うわぁぁ……恥ずかしいよぉお」/////

「ふっふっふ。何という魅力だ」

瑠衣「うるさいっ!」/////

妹「ちょっと何騒いでんの……あ……ぇ……?」

瑠衣「あっ」

妹「ご、ごめん。瑠衣さんにそんな趣味があったなんて思わなくて」

瑠衣「い、妹ちゃん! これはそのっ……違うからね!」/////

妹「う、うん。誰にも言わないから……」

瑠衣「だからっ! 違うっ!」//////

瑠衣「ナナシっ! 妹ちゃんに説明してよ!」

「Zzz」

瑠衣「何寝たふりしてるの!?」

妹「……ていうか兄貴、そこのクローゼットからはみ出てる服は何?」

「へっ!? ……あ、しまった!」

妹「ま、まさかこれ全部あんたの?」

「……」

妹「そうなの? そうなんだね?」

「ああそうさ!! 何か文句あるか!?」

妹「開き直るのそこで!?」

瑠衣「ナ、ナナシ……」

「そう俺は隠れコスプレイヤーだ! この部屋の九割はコスプレ衣装で出来ている!」

妹「気持ち悪いよこの部屋!!」

妹「ハッ……まさか前に私に着せたあの制服も……!?」

「ああ、シンディだろ? あれはそういうツテの人から仕入れた上等な品だぞ」

妹「うわあぁあ何か汚された気分!!」

「コスプレの良さが理解出来ないのなら出てってもらおう!」

妹「自分から出てくよこんな部屋!」

「おうおう出て行け」

妹「……お母さん達には黙っててあげるから、お小遣い」

「お前、結局元に戻ってるじゃねーか」

妹「うるさい! ごたごた言うとバラすよ!」

「ごめんなさい十万円でいいですか」

妹「よろしい」

妹「じゃーね」バタン

瑠衣「……」

「……」

瑠衣「……」

「瑠衣よ」

瑠衣「?」

「太もも触っていいですか?」

瑠衣「バカっ!」//////

「じゃあ頭撫でていいですか?」

瑠衣「ッ……」

瑠衣「……う、うん……」/////

「可愛すぎる」

「……」ナデナデ ナデナデ

瑠衣「ぅぅー……」//////

「どう?」

瑠衣「……落ち着く」/////

「キャワイイイイイイイイイ」

瑠衣「キミも落ち着いてっ」

「はい」

瑠衣「だから切り替え早すぎだよっ」

「瑠衣の命令なら一秒掛からず実行出来ると自負しております」

瑠衣「……ありがとう」

「いやしかし……スク水は素晴らしいな」

瑠衣「……あんまり見ないでね」////

「……」ジーッ

瑠衣「い、いじわるしないでよ……」////

(うおおおおおおおおおお全力で可愛いいいいいいいいいいいい)

「もう瑠衣が瑠衣で瑠衣だから瑠衣なんだよ!」

瑠衣「意味分からないよ……」

「瑠衣が可愛すぎて生きるのが辛いって事だよ言わせんな恥ずかしい」

瑠衣「……」/////

「その無言で赤面しながら顔をそらすのが可愛すぎるんだよ畜生め!」

瑠衣「あぅぅ」/////

今日はッ……ここまでだァっ……!

再建に200種類以上の服を売ると服の透明度を変更できるようになるよ!

「さぁ次はこれだァ!」

瑠衣「……これって」

「うん、メイド服。これは着慣れてるから余裕でしょ?」

瑠衣「……うぅ、何だか私がコスプレ好きみたいな言い方……」

「いやいや、サラさんの喫茶でメイドとして頑張ってたんだろって意味だ」

瑠衣「う、うん。頑張ってた」

「よし。ではここでも頑張ってくれ」

瑠衣「あぅ」

瑠衣「……着替えは見ないでね?」///

「おうよ」

瑠衣「……」スッ

瑠衣「……」

瑠衣「……!!?」

「いいかい?」

瑠衣「ちょ、ちょっ……えっ!? えーっ!? よくない! よくないよ!」/////

「何で」

瑠衣「透けてる! 透けてるよこれ!」//////

「別によくね? 入るよん」

瑠衣「ダメだってば! 待って本当に待って!」//////

「入ります」ガチャ

瑠衣「ッ……はぁ……はぁ……」

「何ッ!? この短時間で私服に着替えただと……!」

瑠衣「バカーっ!」///////

「着る前に気づこうぜ」

瑠衣「だ、だって……そんな服だなんて夢にも……。キミの事を信用してたから……」

「」ズキューン

「……し、心臓が……心臓がぁ!」

瑠衣「だ、大丈夫!?」

「心配するなっ……うぐぅ……」

瑠衣「あわわ。し、しっかりっ」スリスリ

(ああああああ瑠衣の手が柔らかい……!!)

瑠衣「ナナシ……?」

「柔らかいッ!!」

瑠衣「!?」ビクッ

「あっ、ああ……何でもないデス。えっと、もっとスリスリしてくれると嬉しいな」

瑠衣「? う、うん」スリスリ

「うおおぉ……背中を撫でてもらっているだけなのに、何故だ、とてつもない優しさを感じる……」

「! ……は、鼻血が出てきた……」ドボドボ

瑠衣「な、何でっ!? 早くティッシュ!」ササッ

「すまん瑠衣」フキフキ

瑠衣「本当に大丈夫? 体調悪いんじゃ?」

「平気だ。瑠衣が可愛すぎて身体に異常が出てきただけさ」

瑠衣「平気じゃないよそれ! 怖いよ!」

「平気じゃないように見えるか?」

瑠衣「見える!」

「そんなバカな」

明日もガンバルー

煽り耐性がないなら半年ROMるべし
ていうか全然来れなくてごめんなさい


 数時間後

瑠衣「撫でて……」

「ほれほれ」ナデナデ

瑠衣「えへへ」///

「可愛さの塊だよな」ナデナデ

瑠衣「そんな事ないもん」

「ダンボールに入れられて捨てられてたら一瞬で持ち帰るレベル」

瑠衣「ペットじゃないんだから……」

「それにしても、腹減ったな」

瑠衣「そうだね」

「何か作るか」

瑠衣「あ、私に任せてっ」

「ん、いいの?」

瑠衣「うん。キミに料理を教えてもらってから、一人で頑張ってみたんだ」

瑠衣「色々作れるようになったんだよっ」

「ほぅ。そいつは楽しみだ。……でも、どうせ材料は卵なんだろ?」

瑠衣「うん」

瑠衣「……嫌、かな……?」

「そんな事ない。むしろ嬉しい」

瑠衣「よかった」

瑠衣「じゃあ、待っててね。すぐ作るから」

「合点」

瑠衣「〜♪」

(可愛い)

「……ん? 携帯鳴ってる」

「もしもし」

『ナナシ。今すぐ自警団アジトに来てくれ』

「ノブか? 何があった」

『とにかくヤバイんだ。今すぐ来い。どうせ暇だろ?」

「ふざけんな。意地でも行かない」

『何でだよ!』

「嫁が飯作ってくれてんだよ! 二次じゃないリアル嫁だ!」

『ぬおっ……おおおおお! 瑠衣ちゃんの事か貴様ァァ!!』

「羨ましいか、羨ましいのかノブゥゥゥ!!」

『劣化しない美少女三次……素晴らしいじゃないかクソがあぁぁぁあ!!』

「ざっまぁぁあぁぁこのイケメンリア充がぁぁあぁあ」

『うっぜぇぇえぇえお前が言うんじゃねぇえぇよぉおおぉ』

瑠衣「ナナシ、出来たよー♪」

『!! 瑠衣ちゃんの声っ……しかも食事の完成を知らせるっ……!』

「分かったー。じゃあなノブ。食べた後、覚えてたら行ってやるよ」

『るせー! もう来んなバーカ!』ブチッ

瑠衣「はい、どうぞ召し上がれ」

「お、おぉ……こりゃすげぇ……」

瑠衣「そ、そうかな?」

「普通にすげぇよ。綺麗な形のオムライスだ」

瑠衣「ありがとう」////

「じゃあ、頂いちゃいますよ」パクッ

「……」モグモグ

瑠衣「ど、どうかな」

「まずッ」

瑠衣「」ガーン

「……な訳ねぇだろが! ウマー!!」

瑠衣「」ホッ

「飲み込みが早すぎるぜ瑠衣ちゃん。良いお嫁さんになれるよ絶対」

瑠衣「そんな照れる……」////

「まあ、既に俺のお嫁さんだけどね!」

瑠衣「うぅう」////

「ふぅ、美味かった。ごちそうさまでした」

瑠衣「お粗末さまでした」

「……瑠衣は何か食べないの?」

瑠衣「うん。大丈夫」

「……」

「朝ご飯は食べた?」

瑠衣「食べてない」

「この真夏に……、ぶっ倒れるぞ。俺泣いちゃうぞ」

瑠衣「だって……えっと……」モジモジ

「?」

瑠衣「何でもないっ」

「怪しすぎます」

瑠衣「怪しくないっ」

「怪しい」

瑠衣「怪しくないっ」

「可愛い」

瑠衣「可愛くないっ!」////

瑠衣「うっ……」フラッ

「お、おい」ガシッ

瑠衣「あぅ……ありがと……」

「朝しっかり食べないとダメだぞ。体力が落ちるし、あと太るし」

瑠衣「えッ!!?」

「朝しっかり食べて、夜は控えめに。それが痩せるコツ」

瑠衣「あ、あわわわ……何てこった……」

「何てこったとか可愛いなチクショウ。……ていうか、ダイエットしてたのね」

瑠衣「……」//////

「瑠衣が瑠衣ならいくら太ってても一向に構わん!」

瑠衣「あ、ありがと……」//////

「とりあえずこれ食っとけ」

瑠衣「何これ?」

「カロリーメイト」

瑠衣「い、いただきます……」

瑠衣「! 美味しい……」モグモグ

「良かった。栄養が豊富ですよ」

瑠衣「……、もう一個♪」

「おい」

瑠衣「てへぺろっ」

「使いどころを極めてきやがった……」

瑠衣「えへへ」

ギャー寝てたらこんな時間に!
ごめんなさい明日書きます!

「仕方ないな。ほら」

瑠衣「おいしー♪」モグモグ

「……」

瑠衣「……もう一個♪」

「……プールでぷっくり膨らんだ腹を俺に見られてもいいのか?」

瑠衣「」

瑠衣「……やだ」

「だろ」

瑠衣「分かった。もう食べない」

「うんうん」

瑠衣「だから……もう一個だけ」

「おい」

「だから食べちゃダメだってば」

瑠衣「うぅー、だってお腹空くんだもん……」

「そんなに食欲旺盛だったっけ」

瑠衣「……前はこんなに食べなかったと思う」

「しかも夏だからな。普通は食欲がなくなる時期だ」

瑠衣「何でだろう」

「……これが人が太るか太らないかの分かれ道なのかも」

瑠衣「?」

「異常に何かを食べなくなる時期に、食いすぎるか我慢するかで太るか否か決まるって事じゃね」

瑠衣「なるほど。痩せている人は我慢した人って事だね」

「タブンネ。よく分からんけど」

瑠衣「でも鈴はあんなに食べてるのに太ってないよ」

「……アイツは……ああいう体質なんだろうな。普通の人はあんなに食わないだろうし」

瑠衣「羨ましいなぁ……」

(いや、いくら食っても腹いっぱいにならないカービィみたいな体質は羨ましくないだろ……食費も凄そうだし)

瑠衣「よしっ。私も頑張ろう」

「おぉ、その意気だ」

(……食欲をなくす方法ってないのかな……? ……あ)

「瑠衣」

瑠衣「ん、何?」

「今すぐ下着を見せてくれ」

瑠衣「はぇ!!?」///////

瑠衣「な、なな、な……」/////

「ほら、早く見せろ。見せるんだ」

瑠衣「ああぁぁあう」///////

「……」

瑠衣「……」///////

「どう?」

瑠衣「……へ?」

「食欲なくなった?」

瑠衣「……あ……うん……」

「よかった」

瑠衣「あ、ありがと。……でも——」

「?」

瑠衣「バカぁ!!」///////

瑠衣「すっごいドキドキしたよ! 恥ずかしかったよ!」//////

「それが目的だもん」

瑠衣「うぅぅぅうう!!」//////

「はいはい安定の可愛さですねまったく。抱きしめたいわ」バサッ

瑠衣「ふぇっ……?」/////

「暑いけどガマンしてね」ギュゥゥゥ

瑠衣「ひゃっ……ぅう」///////

「これぞ至高の一時」

「それにしても、お前は良い匂いだな」

瑠衣「ふ、普通だよ……」///////

「これが普通なものか」

瑠衣「普通だよ……」/////

「きっと腋の下も良い匂いなんだろ? そうなんだろ?」

瑠衣「わ、わきって……絶対臭いよっ」///////

「スーハースーハー」

瑠衣「わぁぁあぁぁ!!」////////

「……」

「オウ……エクセレントです……」

瑠衣「もうお嫁にいけないよっ!」/////////

「俺の嫁だから問題ない」

瑠衣「ッ……た、たしかに……ってそうじゃなくて!!」

「……あ、また電話だ」

瑠衣「誰?」

「ちょっ……瑠衣何か怖いんだけど。ヤタベさんだよ」

瑠衣「? そんな事ないよ」

(ヤンデレになりそうで怖い。女性との接触はなるべく避けよう……)

「もしもし」

『ああ、ナナシ君かい。ノブ君からも聞いてると思うけど、今すぐ来てほしいんだ』

「……何があったんですか?」

『ちょっと、ね。うん、とにかく来てくれ』

「……? じゃあ行きます。瑠衣もいいですか?」

『ああ、構わない』

「じゃあ切りますね」ピッ

瑠衣「私もいいってどういう事?」

「何か自警団アジトに来てほしいんだってさ。もっと瑠衣とイチャつきたいけど仕方ないね」

瑠衣「……」/////

「これから予定は?」

瑠衣「うん。ないよ」

「よし、じゃあ行こう。抱っこでいい?」

瑠衣「よ、よくない」/////

「じゃあどうすれば……」

瑠衣「普通でいいよ」/////

「残念」

メイド喫茶の瑠衣可愛すぎてやべえええええええええええええええってなった
瀬那がラジオドラマと違いすぎてエエエエエエエエエエエエエエエ? ってなった


「さあ行こう」

瑠衣「うん」

「暑いな」

瑠衣「だね」

「瑠衣って汗掻いても絶対良い匂いだよね」

瑠衣「うるさいよ」////

「ウフフ」

瑠衣「笑わないで!」////

「お前はどうしてそんなに可愛いの?」

瑠衣「そ、そんなの知らないよぉ」/////

「瑠衣を生み出してくれたアクワイアには感謝しなければ」

瑠衣「へ?」

「何でも瑠衣のキャラデザとか考えるのに一ヶ月以上かかったとか」

瑠衣「何の話?」

「スタッフさんの努力の結果、これまでに見た事もない美少女が生まれた訳です」

瑠衣「おーい?」

「つまり」

瑠衣「つまり……?」

「瑠衣は可愛い、略してかわるい!」

瑠衣「ま、またそれ……?」

「俺はてへぺろとかわるいをウザいくらい推すからな」

瑠衣「……あ」

「ん? どした」

瑠衣「見て、あれ」

「あれ?」

ローアングラー「ほれほれ!」カシャッ

ゴスロリ「や、やめろっ……我を撮るな!」

ローアングラー「撮るなと言われて撮らない馬鹿がどこにいるか!」

ゴスロリ「呪い殺してしまうぞ!」

ローアングラー「やってみろよ!」

瑠衣「ど、どうしよう……」

「ほっとけ」

眠いから寝るヨ
続きは明日ヨ

明日とか言っておいて全然来れてねぇ!
守れない約束はするものじゃないね!


瑠衣「ほっといてもいいの……?」

「うん。アイツら毎日のように同じ事繰り返してるし」

瑠衣「そうなんだ……」

「関わったらダメだぞ。瑠衣は可愛いからローアングラーに狙われてしまう」

瑠衣「可愛くないけど気をつける」

「だから瑠衣は可愛いっつってんだろ! 何回言えば分かるんだ!」

瑠衣「だって自分で自分を可愛いって言ったら何か嫌な奴に思える!」

「瑠衣なら許されるんだよ」

瑠衣「何で!?」

「まあ、多分ほっといても解決するよ」

瑠衣「そうかな……」

「ゴスロリだって赤ん坊じゃないんだ。十分戦えるって」

ローアングラー「へいゃ!」ズゴッ

ゴスロリ「きゃあっ!」

「……」

瑠衣「……」

「やられそうだな」

瑠衣「本当にいいの? いざとなれば、私があの人達を……」

「瑠衣はダメだ! 倒したとしても、後日狙われるかも知れない!」

瑠衣「むぅ」

「行くぞ。東京は治安が悪いからな。あんなのにいちいち構ってたら命がいくつあっても足りないよ」

「例えば、時のオカリナやるとするよ。攻略ルートに関係ない敵キャラなんて放っておくだろ?」

瑠衣「ときのおかりな?」

「あ、ごめんゲームの話だ。今度一緒にやろうか」

瑠衣「うん、やりたい」

「じゃあ行こうか」





???「オラァ! 何やってんだ!」

「!?」

瑠衣「!?」

ローアングラー「おおう? 何だ何だ。この僕に命令するのか?」

???「うるせぇ! お前は何者なんだよ!」

ローアングラー「ヘヘッ。その身体に教えてやる! とりゃあっ!」ズゴッ

???「おせぇよ!」スパパーン

ローアングラー「イヤー! 僕の裸を……見ないでー!!」/////

???「誰も見ねぇよ、んなもん!」

ローアングラー「覚えてろゴミクズー!」

???「去り際のセリフ酷いな!」

「……」

瑠衣「……」

???「ったくよぉ。……オ?」

瑠衣「に、兄さん……」

優「おう瑠衣! と、ナナシか」

「こんにちは」

瑠衣「何をやってるの?」

優「いや、暇だったからな。アネキ共から教えてもらった情報屋ってのに仕事を貰ったんだ」

「仕事?」

優「ああ。ローアングラー? ってのか? そいつらが秋葉原で大暴れしてるらしいからな」

瑠衣「さっきの人だね」

優「アイツら、公園だのジャンク通りだの、本当に色々な所にいやがる。全員ぶっ倒して、今のが最後の一人だったがな」

「お前すげぇな」

優「伊達にカゲヤシやってねぇよ」

優「さぁて、俺は情報屋に報酬を……」

「あ、俺達も自警団アジト行かなきゃ」

瑠衣「同じ方向だね。一緒に行こうよ」

優「おっ? あ、ああ……まあ、ここはそうしておくか」

「デレ度ぱねぇっす」

優「あ?」

「何でもないっす。……それにしても、お前は瑠衣が大好きなんだな」

優「何言ってんだクソ野郎が」

「照れちゃって、もう」

優「照れてねぇよ!」

来てたー!
書きたい時に書いてもらえりゃそれでいいし、なかなか来れないのは気にしなさんな

九月まで更新出来る日が減るよぅ
夏は締め切りが多くて大変だね!
くくりも喜んでるー

今日はここまでなの
もっと可愛い瑠衣が書きたいの

>>152
そう言ってもらえると気が楽になる

このスレ見続けて秋葉行きたいと思ったのだが
どこら辺がいいのだろう

>>157
アキバズトリップの舞台になった場所は改めて訪れても新鮮に思えたよ
特にUDX(ゲームだと+)と芳林公園の再現率ぱねぇ
適当にふらつくだけでも十分楽しめると思う  あ、でも裏通りは絶対行っとくべし


「悪いが瑠衣は俺の嫁だからな! 口だけじゃなく、本当に俺の嫁なんだからな!」

優「それはもう分かったっつーの!」

「瑠衣は、お・れ・の・よ・め!」

優「うっぜええええ!! 何でそんなに強調すんだコラァ!」

「お前、瑠衣の兄だろ。少しでも俺が瑠衣を愛しているという事を知って欲しい」

優「十二分に知ってるわ! 他の女に何億渡されようが、お前は瑠衣を捨てないだろ絶対!」

「よく分かってるお兄ちゃんだ」

優「お兄ちゃんって言うなうぜぇ!」

瑠衣「二人共……仲が良いよね」

優「よくねぇ!」

「ガビーン」

優「口で言うもんじゃねぇだろガビーンって!」

瑠衣「そ、その会話っ……ふふっ……お、面白いよ」

優「……何でツボに入ってんだよ瑠衣」

瑠衣「ごめんっ……ふふふっ」

優「笑うなよ」

瑠衣「あはははは」

優「だから笑うなよ!」

「ハハハハ」

優「お前もおおおおおおお!!」

優「……っと、いつの間にか到着だな」

「じゃあ俺らこっちだから」

瑠衣「さようなら兄さん」

優「おう」

優「……」

情報屋「お前か。ミッションクリアの報酬だ」

優「……おい、これ」

情報屋「?」

優「不思議そうに首傾げてんじゃねぇ。これ、報酬だよな? 何のつもりだ?」

情報屋「何って、ケバブを渡しただけだが」

優「身体張った仕事こなした結果がケバブ一個ってどういう事だよ!」

情報屋「……あ?」

情報屋「おいお前……」

優「んだよ。頭を地面につけて謝る気にでもなったんか?」

情報屋「ざけんじゃねぇよ!」ズゴーン

優「うおおっ! 何すんだよ危ねぇ!」

情報屋「サブミッション舐めてんじゃねぇぞコラァ!!」

優「はぁ!?」

情報屋「舐めてんじゃねぇぞコラァ!!!」

優「いやこっちからしたらこの報酬が果てしなく舐められてる気がしてならねぇよ!」

情報屋「オラァァ!!」ズババーン

優「だから何しやがる野郎が!」

情報屋「クッ……強いなお前」

優「筋を説明しろ筋を!」

情報屋「はぁ……はぁ……」

優「オイ、お前顔赤いぞ?」

情報屋「へっ!?」/////

優「……まさか」

情報屋「や、やめろ……」/////

優「お前——」

情報屋「言うなッ!」/////

優「……」

優「いや何で言ったらダメなんだよ」

情報屋「だ、だって——」//////

優「……?」

情報屋「言えないッ……」////////

優「……」

優「……お前、酔ってるだろ」

情報屋「!!!」

情報屋「ッ……」/////

優「何で照れくさそうなんだよ。……酔ってるからか」

情報屋「そんな事ッ……」//////

優「いいからもっと報酬をよこせ! ケバブよこすならせめて飲み物も用意しろよ炎天下なんだからよ!」

情報屋「強引なのはイヤっ」//////

優「頭に水被ってこいよ!」

やめてください寝てしまいます
という訳で続きはいつか分からない! 明日かも知れない!

見ないとビームビィーム!!

ふぇぇ 凄く恥ずかしい文章を書いちゃってたよぉ


情報屋「……ハッ、俺は何を……」

優「本当にお前何やってんだよ。仕事の前日に飲酒はご法度だろが」

情報屋「酒なんて飲んでないオェェ……」

優「飲んでるだろーが!」

情報屋「うう、頭が痛い。何でだ……」

優「だから飲んでるからだろ!」

情報屋「そこの自販機に売ってるんだ。飲みたくもなる……たった今も……うぃ〜」

優「仕事中に……一体お前の人生に何があったんだよ」

情報屋「酒がねぇとやってらんねぇんだよクソが!」

優「禁断症状かよ」

優「ったくよぉ」

情報屋「……何してんだ」

優「見りゃあ分かんだろが。水買ってんだよ水」

情報屋「何でだよ。こんな暑い日だぞ、スポーツドリンクとかの方がいいだろう」

優「奢ってやるって事だよ言わせんな恥ずかしい」

情報屋「なッ……! お、お前……」////

優「……チッ」

優(より一層、顔を赤くしてやがる。照れてんのか? ……きめぇ……)

情報屋「何見つめてんだよ……」/////

優(きめえええええええええええええ)

優「もう報酬いらねぇ! じゃあな、あばよ!」

情報屋「……」

情報屋「阿倍野優……」////

飴渡「……オイ」

情報屋「あ?」

飴渡「男同士でそういうのは気持ち悪いからやめろ」

情報屋「なっ……なにを言ってるんだ!」/////

飴渡「いや割とマジで気持ち悪いからやめろ」

情報屋「黙れ黙れ! どうせお前、百合は好きなんだろ!」

飴渡「ふん、まさか」

情報屋「俺は情報屋だ。お前の事なら何でも知ってる」

飴渡「いやそれおかしいから」

 自警団アジト

「たのもー!」

ノブ「たのもー! じゃねーよ遅すぎだろ!」

「瑠衣とのイチャラブタイムを邪魔しときながらそんな事言うのかお前は」

瑠衣「……」////

ノブ「緊急事態なんだぞ。イチャラブしてる場合じゃない」

「何があったんだよ」

ヤタベ「実は……」

ヤタベ「まあ、まずは見てくれ」

「……?」

ノブ「ゴンちゃん、連れてきて」

ゴン「う、うん」

「何だよ。幼女でも誘拐してきたのか」

ノブ「犯罪だ!」

ヤタベ「残念だけど、自警団にロリコンはいないよ」

ノブ「ヤタベさん残念って……」

ヤタベ「ゴメン、口が滑ってしまった」

ゴン「連れてきたよ……」

ノブ「おう」

「」

瑠衣「」

ノブ「うんうん。予想通りの展開だな」

ゴン「だね」

ヤタベ「無理もないよ、これは……」

「だ、だってこれ——」

「瑠衣じゃんか!」

瑠衣?「……」

「いやいやいやいやこれ絶対おかしいおかしいって」

ゴン「ナナシっ」

「だって瓜二つってレベルじゃないっていうかここに鏡があるっていうか」

ノブ「落ち着け」

瑠衣「」

「瑠衣(本物)が放心してる」

瑠衣?「……」

ヤタベ「ほら、キミもそろそろ何か喋りなよ」

瑠衣?「……」

瑠衣?「……ぁ」

「?」

瑠衣?「ナナシだ……」

「ナナシです」

瑠衣?「……」

「……」

瑠衣?「あ、うん……」

「うん」

瑠衣?「……」

「……」

(何だこれどういう事だ)

瑠衣?「……」

(でもこの瑠衣……目が死んでる……)

瑠衣?「……」

瑠衣「……ハッ」

ノブ「目を覚ましたか」

瑠衣「あ、あれ? こんな所に鏡が……」

ゴン「鏡じゃないよ現実の人だよ」

ノブ「正しくはカゲヤシだけどな」

ゴン「あ、そっか! あはははは」

ノブ「あはははは」

「面白くねーよ」

ゴン「ごめん……」

さて今日もラジオドラマを聴きながら寝るんだよ

「適当でいいや、えいっ」←このシーンで絶対ニヤけてしまうんだよ
どのシーンか一瞬で分かってしまった人は今日の夢に瑠衣と瀬那と舞那が出てくるんだよ

「おい、お前は何者なんだ」

瑠衣?「文月瑠衣……」

「……まあ、見りゃ分かるけど、名前じゃなくて、えっと、どこから来たんだ」

瑠衣?「秋葉原……」

「あー……うー……」

瑠衣「瑠衣は私だよっ」

瑠衣?「私も瑠衣……」

瑠衣「ああ、もうっ!」

「痒いところに手が届かない感覚イヤー」

瑠衣?「……」

「そ、そうだ! お前、別の世界のアキバから来たんだろ!」

瑠衣「えっ」

瑠衣「どういう事?」

「ほら、前に俺じゃない別の俺が襲ってきた事あったろ」

瑠衣「あ、うん」

「あれだよあれ」

瑠衣「?」

「つまり、別の世界から別の瑠衣がやって来た……とか」

瑠衣「なるほど!」

ノブ「何の話だ……?」

ヤタベ「さぁ……」

「おい、瑠衣……のような瑠衣。お前のいたアキバで何かなかったか?」

瑠衣?「……」

瑠衣?「おじさんが殺された……」

(NIROルートの瑠衣……)

瑠衣?「おじさんを殺したのは……キミだよね」

瑠衣「ちょっ、何言ってんの!?」

「いや瑠衣、この瑠衣がいた世界の俺は、マスターを殺してるんだ」

瑠衣「え、えぇ……?」

(でも、この前現れた『俺』は、既に瑠衣を葬った後だった。また別のNIROルートから来た瑠衣……?)

「あーちくしょう、ややこしいなこの世界!」

「……ちなみに、ヤタベさん達は何でこの瑠衣を……?」

ヤタベ「ああ、えっとね。公園のベンチで泣いていたところを見かけたんだ」

ノブ「それを保護したって訳」

「なるほど。よくやった、お手柄だ」

ノブ「何で上から目線なんだよ」

「この瑠衣は、もしこの世界に紛れ込まなかったら殺されていた」

ゴン「だ、誰に……!?」

「俺に」

ノブ「ああぁあ!? 瑠衣ちゃんに何しようとしてんだお前は!」

「ぁあ俺じゃなくて! ……えっと、いや俺には変わりないけど、今ここにいる俺じゃなくて!」

ノブ「何言ってんのか分かんねーよ!」

「つまり、この瑠衣のように、俺ももう一人……いや、何人もいるんだよ! ユーザーの数だけいる!」

ノブ「ゆ、ユーザーだと? この世界はエロゲじゃねぇんだよ!」

「確かにエロゲじゃないけどゲームの世界です!」

ノブ「何でお前がそんな事知ってんだ!」

「主人公の特権だ」キリッ

ノブ「お前、何言ってんの?」

「え?」

ノブ「この世界の主人公は……俺だろ?」

「何だその中ニ病真っ盛りの人間の発言は!」

ノブ「ふッ、冗談だよ。最近までそう考えていたがな」

「考えてたのかよ」

ノブ「最近考えが変わったよ。俺は良くてサブキャラ。そうじゃなけちゃあアニメイトにいる客Aってとこが妥当だ」

「身の程を弁えすぎだろ」

ノブ「でもルックス的には主人公でもいいんじゃないかって思うけどね」ハハハ

「凄い腹立つ。俺なんて汎用ボイスなんだぞ。専用ボイスないんだぞ」

ノブ「何の話だよ」

来てたー!
sageつつ応援してるよ

>>187
遅い上に少なくてごめんなさい……


「まあそれはさておき、この瑠衣はもう目的を失っている訳だ」

ゴン「な、何で?」

「この瑠衣の世界では、鈴がNIROに捕らえられ、もう一人の俺がマスターを殺して……最後には瑠衣を……」

瑠衣「……」

「瑠衣、気を悪くしないでくれ」

瑠衣「うん。大丈夫。キミの事じゃないもん」

「……くっそぅ。瑠衣の優しさにガマンが出来ない」プルプル

瑠衣「えっ」

「るいいいいいいいいいい!!!」

瑠衣「うわあああああ!?」

瑠衣?「……!」

「うおおおおおおおおおおるいいいいいいいいいいい」ギュゥゥゥゥ

瑠衣「ちょっと恥ずかしいからっ……!」/////

ノブ「羨まs……いやいや、俺には二次元がある」

ゴン「ダブプリがある」

ヤタベ「特に何もないや」

瑠衣「……!」プルプル

「ん?」

瑠衣「え?」

瑠衣「離れてッ!!!」

「うわっ!」

瑠衣「ふぇっ?」

>>189
瑠衣「……!」プルプル
瑠衣「離れてッ!!!」  →瑠衣? のセリフだた


瑠衣?「ナナシから離れてっ……!」

瑠衣「は、はいっ」

「ちょっ、瑠衣……?」

瑠衣?「……」ギロッ

「ッ!?」

瑠衣?「……ごめん」

「え、い、いや」

ヤタベ「ど、どうしたんだい」

瑠衣?「すみません……ごめんなさい……」

ヤタベ「いや、そんな頭下げないでよ」

今日はここまででで

瑠衣?「……」

ゴン「な、何かさっきより暗くなっちゃったね」

ノブ「ナナシ、お前が瑠衣ちゃんとイチャつくからだぞ」

「ごめん」

瑠衣「……」

ヤタベ「どうしたものか……」

「仕方ない。浮気みたいな構図になるが、これしかあるまい」

瑠衣「? どうする気?」

「まあ見てろ」

ノブ「浮気って、まさかお前……」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

「おい」

瑠衣?「……?」

「うらぁ!」ガバッ

瑠衣?「ひゃわっ!?」

瑠衣「!?」

ゴン「!?」

ヤタベ「!?」

ノブ「やっぱりかこの女たらしクソ野郎が!」

瑠衣?「」ボーッ

ヤタベ「ちょっ……ナナシ君、瑠衣ちゃんが放心しかけてるよ!」

瑠衣「」ボーッ

ゴン「こっちの瑠衣ちゃんもだよっ……」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣?「え、あ、あ、う、あ、え」

ヤタベ「発声練習みたいになってるよ」

瑠衣?「な、なんで、なんでこんな……ナナシは……私を……私達を……」

「そのナナシは俺じゃないよ」

瑠衣?「……?」

「俺は、カゲヤシを……瑠衣を愛するナナシだ」

瑠衣?「ぇ、ぅ、ぁ……」

瑠衣?「ぅ、ぅあぁああ……」

「いっその事、色んなルートの瑠衣をかき集めて瑠衣ハーレムでも作ろうか」

瑠衣「ナナシ……」

「冗談ですごめんなさい」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣?「……私、ナナシが好き……でも、言えなかった……」

瑠衣?「公園で……待ってた……ナナシを倒す為に……カゲヤシを守る為に……」

瑠衣?「そしたら……ぐぁぁって……目眩がして……気がついたら……ヤタベさん達が……」

「目眩した時、こっちの世界にワープしちゃった感じか」

ヤタベ「不思議な事もあるもんだねぇ」

「思えば、カゲヤシっていう種族があった事にももっと驚くべきだった」

ノブ「そういえばそうだよな……」

「いや、よく考えたら、違うかも知れない。世の中には、人間、カゲヤシ、そして瑠衣という種族があるのかも」

ノブ「何を言い出すんだよお前は!」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

「よし、ダブル瑠衣……ダブルイ! 一緒に俺の家に来るんだ」

瑠衣「だ、だぶるい……?」

瑠衣?「……わかった……」

「という訳で、皆お疲れ。後は俺が何とかするよ」

ヤタベ「ナナシ君なら大丈夫だね。頑張って」

ゴン「応援してるよナナシっ」

ノブ「頑張れよ、女たらし!」

「おう、任せておけ」

「行くぞ、ダブルイ」

瑠衣「うん」

瑠衣?「……うん……」

「お前はもう少し元気出せ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

 ナナシの家

「ただい舞那」

瑠衣「ッ……」←ツボってる

瑠衣?「……舞那姉さん、いないけど……?」

「いやダジャレです! ごめんなさい!」

瑠衣?「……」

「と、とにかく入って。そこ俺の部屋だから」

瑠衣?「……うん」

瑠衣?「……」

瑠衣?「ここが……ナナシの部屋……」

「そだよ」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣?「……」////

「顔赤いよ」

瑠衣?「! そんな事……ない」////

「瑠衣はどの瑠衣も瑠衣だな。可愛い。可愛すぎる。ちゅっちゅ」

瑠衣?「は、はずかしぃ……」//////

「よしよし」ナデナデ

瑠衣?「あぅ……」///////

「……ところで、何で瑠衣黙ってるの?」

瑠衣「あ、えっと、ナナシが混乱しちゃうかなって」

「その心遣いが好きです」

瑠衣「ありがと」////自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣「それに……」

「?」

瑠衣「その子も、私でしょ? ——私とナナシの会話を客観的に見てると、楽しいんだ」

「天使」

瑠衣「へ?」

「やっぱり天使」

瑠衣「違うって。カゲヤシだよ」

「カゲヤシテンシ」

瑠衣「天使じゃないもん!」////

「可愛い」自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣?「ナナシ……」

「ん」

瑠衣?「もっと……撫でて」/////

「これがええのんか?」ナデナデ

瑠衣?「んんっ」/////

(NIROルートに行ったって事は、瑠衣とデートどころか友達としての会話も全然してないんだよな)

(ちくしょう……可哀想にも程があるだろうが)ナデナデ ナデナデ

瑠衣?「……」/////

「……」ギュゥゥゥ

瑠衣?「!?」//////

「……」ペロペロ

瑠衣?「ふわああっぁあ!!?」//////自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

言い忘れてた
今日はここまでですー自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中

瑠衣(い、いつもあんな事を……ぁぁあ)ドキドキ

「……」ペロペロ

瑠衣?「やっ……ぅああ」/////

瑠衣?「す、すとっぷ! ナナシっ!」//////

「ん」

瑠衣?「ん、じゃないッ!」////

「あ、ごめん。ついいつもの癖で」ペロペロ

瑠衣?「ひゃぁっ!」/////

瑠衣?「ぁ……ぅあ、い、いつもって……いつも私にこんな事をっ……?」//////

「うん」

瑠衣?「うらやま——ち、ちがうっ! だめだよっ、そういうのだめだと思う!」//////

「何でよ」

瑠衣?「何でよって……いけない事だよっ」/////

「何がいけないの? 理由は?」

瑠衣?「だ、だだ、だって……」

「だって?」

瑠衣?「……」

瑠衣?「……」//////

「ほら、言ってごらんなさい」

瑠衣?「ば、ばかあああ!!」/////

瑠衣(すごく恥ずかしい)///////

「お前ら可愛いなオイ」

「そろそろ真面目な話をしよう。瑠衣、お前はここに居てはいけない存在なんだ。瑠衣が二人になってしまう」

瑠衣?「……」

「邪魔だから帰れと言ってる訳じゃないよ。むしろずっとここに居て欲しいくらいだ」

「夜は、左右から瑠衣に挟まれ、良い匂いを味わいながら眠る。……おおう、天国が見える」

瑠衣?「……」

「飛びたて、瑠衣。もうNIROルートなんて行かせない。優しい俺に出会う事を祈る……」

瑠衣?「……!?」

瑠衣「身体が光りはじめた……?」

「実はこんな技を習得していました」

瑠衣「何これ?」

「カゲヤシの人生をリセット出来る力。これでこの瑠衣の人生をやり直させます」

瑠衣?「えっ」

瑠衣?「い、一緒にいたいよ……」

「瑠衣。よく聞け。絶対に大丈夫だ。保障する」

瑠衣?「えっ……えっ?」

「行くぞっ!」ピカァァァ

瑠衣?「わぁあ!」

 こうして 瑠衣? は 消えていった

瑠衣「……」

「……」

瑠衣「何その人間離れした技……」

「主人公の特権」






瑠衣?「……ぅ」

瑠衣?「ここは……公園……?」



瑠衣?「あっ……!」

???「……」

瑠衣?「ナナシっ!」

???「……?」

瑠衣?「ナナシ……だよね?」

???「そうだけど、誰?」

瑠衣「私は瑠衣。文月瑠衣」

ナナシ(綺麗な子だなぁ……)

瑠衣「ナナシ……?」

ナナシ「あ、ご、ごめん。えっと、どこかで会った……?」

瑠衣「……」

ナナシ「何だか、俺も会った事ある気がする」

瑠衣「えっ」

ナナシ「瑠衣、だっけ?」

瑠衣「う、うん」

ナナシ「これから、アニメイト行くんだ。暇なら一緒にどう?」

瑠衣「あにめいと……? よく分からないけど行く。行くよっ」

ナナシ「よしっ」

 もう一人の瑠衣のおはなしはこれでおしまい

「……」

瑠衣「……」

「……」

瑠衣「大丈夫かな」

「ああ。絶対に大丈夫だ」

瑠衣「それにしても、ナナシって凄いね。何でも出来るんだもん」

「主人公だもん」

瑠衣「どういう意味なの? それって」

「瑠衣はヒロイン」

瑠衣「……?」

「つまり、俺と瑠衣が一緒に居る事が一番幸せって訳だよ」

瑠衣「ナナシ……」/////

今日はここまでだよぅ
もうこっからシリアスなんて書かない 読み返すと恥ずかしくて鼻血出るレベル

設定的にナナシの装備&クリア数ってどんなのなんですかね?

>>1です
やっと忙しい日々が終わったよ瑠衣ちゃん
これでまた一緒だねウフフ

>>229
一周して、その後の話を延々続けるようなイメージ
装備は特に決めてない

瑠衣「そうだ。ナナシ」

「んー」

瑠衣「私、アニメについて知りたいんだ」

「えっ。藪から棒にどうした」

瑠衣「ナナシって、ノブ君とアニメの話をしてる時、すっごくいきいきとしてるように見える」

瑠衣「何て言うか、熱いというか、かっこいい……というか」

(かっこいいのか、アニメの話は)

瑠衣「私も、あんな風に熱くなれたらな、って」

「……」

(瑠衣が……○○可愛すぎるだろjkとか言うようになるの?)

(……それはそれで、いいかも)

瑠衣「ナナシ?」

「ああ、うん! よし、じゃあ何から教えようか!」

瑠衣「せいゆうさん? について知りたいな」

「いきなりそこかよ。本編に関係ねぇ」

瑠衣「せいゆうさんってどういう人なの?」

「キャラクターに声を当てる人だよ。ちなみに瑠衣には日笠陽子さんが声を当ててる」

瑠衣「……私の声は私の声だよ?」

「……まあ、それはそうなんだけど……うん、瑠衣の声って凄く可愛いよね」

瑠衣「なっ」////

「なでなでいい?」

瑠衣「……」////

瑠衣「なでなでして」////

「可愛すぎて鼻血が出て失血死しそう」ナデナデ

瑠衣「ん……」/////

「声優はアニメの内容とは直接関係ないからな」

瑠衣「そうなんだ。やっぱりナナシって物知りだね」

「瑠衣の可愛さを一番知っているのはこの俺だ!!」

瑠衣「び、びっくりした。はずかしいよ」/////

「瑠衣の可愛さを本にして、三十万冊くらい刷って売ろうかな」

瑠衣「刷りすぎだよ! 絶対売れない!」/////

「一日で完売するに一千万ペリカ」

瑠衣「ぺ、ぺりか? よく分からないけどとにかくダメ!」/////

「瑠衣がそこまで言うなら、二十万冊で妥協する」

瑠衣「多いよお!」

「ちょっと涙目すぎて可愛すぎるやばい」

続きは明日ですの

>>1です
最後の更新で「明日」とか言いつつ放置してしまいました ごめんなさい

夜から投下します

瑠衣「可愛くないって……」ボソッ

「とりあえずアニメを見せよう」

瑠衣「あ、うん」

「じゃあ、再生しますよ」ポチッ

『カナカナカナカナカナカナ……』

瑠衣「……ひぐらしのなく頃に……?」

「うむ。まあ見てなさい。長いけど」

瑠衣「うん」

 数時間後

瑠衣「……」

「もしもし。今日は瑠衣帰れないと思う。うん、俺んちに泊まる。うん。手出したりしねーって。うん」

瑠衣「……」

「大丈夫だよ、うん。じゃあな」ブツッ

瑠衣「……」

「ふぅ。まさか瑠衣がアニメにこんなにもハマるとは……」

瑠衣「……ひゃぁ」

「ん」

瑠衣「い、いたそぉ……」

「爪剥ぎのシーンだ」

瑠衣「……」ボーッ

「朝だぞ」

瑠衣「……うん」

「どうしたの? 眠いなら寝ろよ」

瑠衣「……寝たら……」

「?」

瑠衣「寝たら夢に出そうで……寝られない……」

「可愛いなこいつ」

瑠衣「可愛く……ない」

「こんな状態でも否定するとは……」

「いいのよ。寝ていいのよ」

瑠衣「ぅ……」

「俺の胸の中で寝なよ☆」

瑠衣「……」スヤスヤ

「恥ずかしいセリフ言ったのに聞いてねーし……」

瑠衣「……」スヤスヤ

「寝顔が可愛いよおおおおおおハァハァペロペロ」

瑠衣「にゅぅ……」

「ッ……。起こしちゃいかんな」

瑠衣「……」スヤスヤ

「……」

瑠衣「……」スヤスヤ

「耳に息を吹きかけるという実験をしたい」

瑠衣「……」スヤスヤ

「あーゆーれでぃ?」

「……ふぅぅ」

瑠衣「ッ!」ビクッ

「うわ、可愛い」

瑠衣「かぁいくなぃ」

「寝言でも否定してくるとは」

「とりあえず、朝飯用意するか……」ガチャッ

妹「あ」

「あ」

妹「お、おはよ」

「おはよう」

妹「……瑠衣さん来てたの?」

「うん。徹夜」

妹「何してたの!」

「イケない事」

妹「殺すぞ」

「ウソ。アニメ見てた」

妹「意外……」

妹「じゃあ、朝ごはん作ってくるね」

「さすが我が妹だ。将来、良いお嫁さんになるよ」

妹「褒めてもお金は出さないからね」

「俺はお前みたいな守銭奴じゃないから……」

妹「そう?」

「お前だけ」

妹「ふーん……」

(服を売りまくって荒稼ぎした過去は忘れるしかない)

妹「朝は、ベーコンエッグでいいかな?」

「うん! いい!」

妹「出来たよ」

「おおう」

瑠衣「おいしそう……」

妹「おはよ、瑠衣さん」

瑠衣「お、おはよー……」

「寝ぼけてるね」

瑠衣「いただきますー……」モグッ

瑠衣「おいしっ」パァァ

「卵好きだね、本当」

瑠衣「う、うん」

瑠衣「大好物は卵かも知れない」

「よくやった妹」

妹「このくらい当たり前だよ」

瑠衣「あたり……まえ……これが……」ズーン

妹「瑠衣さん!?」

「妹、瑠衣は料理が苦手で……」

妹「すみませんすみません! えっと、その、兄とかいる女性からしてみれば当然の事だからさっ」

「瑠衣は兄いるぞ」

妹「ウワアアアアア」

「瑠衣、俺は料理がそこそこ出来るか出来ないかという状態の瑠衣が大好きだよ」

瑠衣「あ、ありがとう」

妹「瑠衣さん何か墓穴掘りまくって本当ごめんなさい」

瑠衣「大丈夫。こっちこそ余計な心配させてしまって、申し訳ないよ」

妹「じゃあ、私は学校だから……」

「おう。いってら」

瑠衣「いってらっしゃい」

妹「出かけるんなら、鍵かけてってよね」

「分かってる」

妹「じゃあね」ガチャッ

「……」

瑠衣「……」

「アニメはもういいのか?」

瑠衣「……うん、疲れる。でもレナちゃん可愛い」

「うむ」

瑠衣「ふぅ。おいしかった」

「そりゃ良かった。後で妹に請求されると思うから覚悟してなよ。二百万くらい」

瑠衣「ええぇ!?」

「ウソです」

瑠衣「もうっ!」

「涙目瑠衣ちゃん可愛い」

瑠衣「可愛くないっ!!」

「ほら、うまい棒めんたい味あげるから」

瑠衣「! ……」パクッ

「食ったばっかなのにもう食えるのか。鈴みたいになってきてるぞ」

瑠衣「鈴はこんなレベルじゃないもんっ」

「確かにそうだけどね」

 ピンポーン

「おや。誰だ」ガチャッ

鈴「呼ばれた気がしました!!」

「呼んではいない」

鈴「おいしそうなうまい棒の匂いがしたんです!」

「お前犬かよ!」

鈴「あっ、瑠衣ちゃんもいるじゃないですか!」

瑠衣「やっほー」

「はぁ……。じゃあ、ほれ。うまい棒」

鈴「ありがとうございます!」

「早々に帰ってもらわないと家の食糧がなくなりそうで怖い……」

今日はここまでにします
遅くて本当ごめんなさい

鈴「私、そんなに食べませんよぉ!」

「いや食べるから」

鈴「最近、ちょっと粗食になってて……」

「マジで!?」

瑠衣「鈴、大丈夫?」

鈴「う、うん、一応大丈夫。ありがとう」

「普通にうまい棒食ってるしな」

鈴「むー、ナナシさん私の扱いひどいです」

「そんな事ないよ」

鈴「瑠衣ちゃんもご飯は食べるのに、何で私だけ……」

「どう考えてもお前は食う量がおかしいんだよ」

鈴「そんな事ないですってば! おかわりお願いします!」

「……」

瑠衣「鈴、粗食はどうしたの?」

鈴「え? いや、まだ全然食べてないよ。水一滴くらいだよ」

「お前の胃袋本当にどうなってんの!?」

鈴「普通の女の子のサイズです!」

「いやいやカービィ並だろ!」

鈴「かーびぃ? ってなんですか? わけがわからないこと言わないでください」プンプン

「こいつとカービィと戦わせてみたい……」

ねむいねる夜投下でs

瑠衣「そもそもカービィに胃袋ってあるのかな……?」

「何でお前カービィ知ってるの!?」

瑠衣「え、持ってるから。ほら」

「ポケットにDS……急に庶民の女の子みたいになったな」

瑠衣「プレイ時間カンストしちゃったし」

「やりこみすぎ!」

瑠衣「えへへ」

「照れなくていいよ……可愛いけど」

鈴「瑠衣ちゃん可愛い」

瑠衣「可愛いって言わないで恥ずかしい!」////

「『わたしはかわいいです』ってタスキに書いて、装着してアキバを歩かせてみよう。瑠衣に」

瑠衣「絶対いやだ!!」////

鈴「賛成です!」

瑠衣「鈴ぅー!!」

「そんなに嫌なら、多数決だ」

瑠衣「私が絶対に負けるよ!」

「仕方ないな」

鈴「仕方ないね」

瑠衣「何で!?」

「じゃあ多数決をとりまーす。賛成の人ー」

鈴「はーい」

「はーい」

瑠衣「うぅぅ!」

「反対の人ー」

瑠衣「は、はぃ……」

「という事は」

鈴「瑠衣ちゃん」

瑠衣「や、やめてよ!」

「ふむふむ。ならば仕方ない。代わりに、手を握らせていただきます」

瑠衣「へっ?」

瑠衣「えっ、あぇ?」

「相変わらず、お綺麗ですね」

瑠衣「ちょ、ちょっとナナシ……」

「では失礼」ギュッ

瑠衣「あっ」///

「……」

瑠衣「……」///

瑠衣「……これ、落ち着く……」////

「ふっふ」

鈴「ちょっとナナシさん!!」

「はい?」

鈴「私はどうしたらいいんですか!」

「どうしたらって……」

鈴「すっごく気まずいです! 何をしていればいいんですか! 帰ればいいんですか!」

「いや、そこまでしなくても……。何か微笑んで、若いわねぇ……みたいに振舞ってくれれば」

鈴「年配の方じゃないですか!」

鈴「怒りましたっ、もう帰りますっ」

「ご、ごめんって。分かったよやめるから」ギュゥゥゥ

瑠衣「んっ」/////

鈴「やめてないじゃないですかーっ!!」

「分かった! 分かったよ! チキンラーメンやるから!」

鈴「本当ですかっ!?」

「つーかまだ食えるのかよ」

鈴「はい! だって今までの食事はホコリ一つにも満たない量ですし……」

「水一滴って言ってただろ!」

鈴「ありゃ、そうでしたっけ」

「口を開く度にウソをつく女、森泉鈴」

鈴「そんなぁ、誤解ですよ」

「誤解じゃねーよ正解だよ」

鈴「ふぇぇ」

瑠衣「ナナシ」

「ん」

瑠衣「早く作ってほしいな……」テレテレ

「お前も食うんか!」

瑠衣「だっておなかすいたんだもん……」

「お、お前は鈴か……!」

鈴「ふぇっ!? すごく失礼な事を言われた気が……」

「言ってないから、ほら、お前はチキンラーメン食ってろ」

鈴「お湯入れてませんよ!?」

「かじりつけ! その方が美味い!」

鈴「そんなぁ!」

瑠衣「おなかすいたナナシぃ」

鈴「ひどいですよナナシさん!」

「あああああああもう少し黙って座ってなさい!!」

瑠衣・鈴「はいっ」

「……」コトコト

瑠衣「……」ドキドキ

鈴「……」ダラダラ

「鈴、よだれが」

鈴「わっ! ご、ごめんなさい」

瑠衣「みっともないよ鈴。カゲヤシとして、そして上司として恥ずかしい」

鈴「何で瑠衣ちゃん急に厳しく……!?」

瑠衣「気分かな」

鈴「あ、そ、そっか」

瑠衣「あはは。鈴ってやっぱりからかうと面白いなぁ」

鈴「むぅ」

(……平和だなぁ)

「ほい出来たよ」

瑠衣「わぁぁ、ありがとう! いただきます!」

「何回いただかれるんだ今日一日で」

鈴「……」

「? どうした鈴。食べないのか」

鈴「……がありません」

「え? 何がないって……」

鈴「目玉焼きがありません!!!!」

「!?」

瑠衣「び、びっくりした」

鈴「CMでやってました!! 目玉焼きのってました!! 凄く美味しそうでした!!」

「お前……」

今日はここまでよー

「あれって意外に面倒なんだぞ」

鈴「そうなんですか!」

「うん。しかも大して美味くないし。俺の主観だけど」

瑠衣「〜♪」

「瑠衣は美味しそうに食べるなぁ」

瑠衣「えへへ」

鈴「む、むぅ……!」ガァァァ

「お前はひたすら吸収してるようにしか見えないぞ……」

鈴「じゃあああどう食べればいいんですかあああ!!」

「もっと上品に食べなさい。ほら、瑠衣をよく見て」

鈴「……」ジィィィ

瑠衣「?」ビクッ

鈴「……」ジィィィ

瑠衣「何、ジっと見てるの?」

鈴「盗んでるんだよ……」ジィィィ

瑠衣「へ?」

「何でもない。無視して食べ続けるんだ」

瑠衣「え、うん。……見られてると、食べ辛い……かも」

鈴「上品な食べ方を学びましたッ!!」キュピーン

瑠衣「うわっ。……もう、今日の鈴ヘンだよ」

鈴「そんな事ないよ瑠衣ちゃん! 見てて!」

瑠衣「何を?」

鈴「〜♪」

瑠衣「あ、鈴もその曲知ってるんだね」

(瑠衣の鼻歌まで盗まなくても……)

鈴「〜♪」

瑠衣「良い曲だよね。ClariSっていうアイドルユニットだよ」

鈴「……」

瑠衣「……、鈴?」

鈴「瑠衣ちゃんのバカっ!!」

瑠衣「へっ!? な、なんで!?」

鈴「こんなに上品にしてるのに、鼻歌の事しか気にしないなんて!!」

瑠衣「何の話を……」

「瑠衣。実は——」

瑠衣「なるほど。食べ方が汚いから私を見習った、と……」

「そういう事だ」

鈴「汚いって……」

瑠衣「でも私、そんなに上品かな。普通に食べてるつもりなんだけど」

「ほら、瑠衣はカゲヤシのリーダーである妖主と一緒だったんだろ。礼儀作法とか教えられてたんじゃないのか」

瑠衣「んー……小さい頃にそんな事があったようななかったような……」

瑠衣「気がついたら、こういう食べ方だったし……」

鈴「うぅぅ」

瑠衣「……」

瑠衣「鈴」スッ

鈴「! ……瑠衣ちゃん……?」

瑠衣「確かに、周りで食事をしている人達に対して、鈴の食べ方はちょっと失礼だと思う」

鈴「……」

瑠衣「でもね、私は……鈴のその豪快な食べっぷりが好きだよ。何と言うか、見ていて爽快になるんだ」

鈴「瑠衣ちゃん……」

(何て天使なんだ瑠衣。今すぐお持ち帰りしたい。あ、ここ家だった)

瑠衣「レストランとか、外食する時はもっと行儀良く食べてね」

鈴「うん! 気をつける!」

鈴「……何だか、まだあんまり食べてないのに、おなかいっぱい」

「あんまり食べてないと申すか。お前の食欲で地球がヤバい」

鈴「ナナシさん、今日は帰ります! ごちそうさまでした!」

「ああ、うん。気をつけてね」

鈴「瑠衣ちゃんもありがとう。バイバイ!」

瑠衣「うん。バイバイ」

瑠衣「そうだナナシ!」

「はいっ?」

瑠衣「アニメイト行こうアニメイト!」

「何だと。瑠衣から誘ってくるとは……」

瑠衣「……ダメかな」

「いや全然オッケーオッケーのオールオッケーだよ。でも、ちょっと前に行ったばかりだからなぁ」

瑠衣「秋葉原以外にアニメイトってあるの?」

「え? あ、うん。あるよあるある。渋谷とか池袋とか町田とか」

瑠衣「渋谷と池袋って……怖い街なんだよね」

「東京は怖いよ全部」

瑠衣「町田ってあんまり聞いた事ないな」

「あ、ゲーセンいっぱいあるよ」

瑠衣「行きたい!」

「これじゃマチダズトリップになっちゃうけどいいのかな」

瑠衣「何言ってるの?」

「ごめん何でもない。行こう」

瑠衣「うん!」



 電車内

瑠衣「ぅー……」

「どした」

瑠衣「酔ったかも……」

「大丈夫?」

瑠衣「にゅぅ……」

「えーっと……よし、とりあえずこれで落ち着きなさい」ギュッ

瑠衣「んっ……ナナシの手、冷たいよ」///

「心が温かいって言うだろ」

(……電車内でこんな事やってたらバカップルにも程があるな。周りの視線が痛い)

DQN「オイ」

「あ、はい」

DQN「イチャコラしてんじゃねーぞコラ」

「すみません」

DQN「すみませんじゃねーよ」

「はい」

DQN「はいじゃねーよ」

「うん」

DQN「お前ナメてるよな? ああ?」

(まずいまずいまずい秋葉原以外で脱がせたら人生詰む)

DQN「何とか言えやゴルァ!!」

アナウンス『次はぁ、町田ぁ、町田ぁ』

「!」キュピーン

「すみませんここで!」

DQN「あ?」

「瑠衣」

瑠衣「あ、うん」

「ではこの辺で!」

DQN「待てやオラァ!!」

 改札前

「おい瑠衣、大丈夫か」

瑠衣「ぅぇぇ……ちょっとマズいかも……」

「吐きそう?」

瑠衣「た、たぶん……」

「もし吐くなら俺の口内に吐いてくれ」

瑠衣「ちょっと、何言ってるの……?」

「ごめんDQNに絡まれたの優以来だから怖くてガクブルで混乱中」

瑠衣「お、おちついて……」

「……ぅ、う——」

瑠衣「?」

「うわぁぁあん瑠衣ぃいぃいいい怖かったよおぉぉおお!!」ギュゥゥゥゥゥ

瑠衣「はわ」//////

瑠衣「は、はずかしいよっ……見られてるってば」/////

「ふぅー……」

瑠衣「落ち着いた?」

「ああ。……立場が逆になってるんですけど」

瑠衣「あはは」

「瑠衣こそ、もう大丈夫なの?」

瑠衣「うん。キミの苦しんでる顔を見てたら楽しくなっちゃって」

「(゜Д゜)」

瑠衣「冗談だよ」

「び、びっくりした……」

瑠衣「えへへ」

「とりあえずそこのゲーセンから行くか」

瑠衣「うんっ」

 ゲーセン

客A「何だあの可愛い子!」

客B「隣にいる奴と釣り合ってねーぞ!」

客A「だな! むしろ男の娘みてーだな!」

「……ぐすん」

瑠衣「?」

「いや、複雑な気持ちになった……」

瑠衣「大丈夫?」

「大丈夫だけど……うん……」

瑠衣「あ、これ可愛い!」

「んー? ……顔文字ストラップ?」

瑠衣「よーし……!」チャリン

瑠衣「むむっ……!!」

(真剣すぎだろ。可愛いけど)

瑠衣「ッ……ぅ、ぁああ!」

「そ、そこまで落ち込まなくても」

瑠衣「……そだ。ナナシ、また指示してほしい」

「おう。二人なら何でも取れる、だろ」

瑠衣「うんっ!」

宣伝になっちゃうけど前スレ見てない人へ
支部にあげた瑠衣ちゃん小説↓
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=407346

「……そこ!」

瑠衣「えいっ」ポチッ

瑠衣「……、わッ、いっぱい取れた!」

「よし、次は……そこだ!」

瑠衣「うんっ」ポチッ

「おっ、上手いぞ!」

瑠衣「!! いっぱい取れたぁ!」パァァァ

(こ、この笑顔……可愛すぎる!!)

瑠衣「えへへへ! ナナシ、ありがとう!」

「う、うん。こちらこそ良い笑顔ありがとう」

瑠衣「へっ?」/////

「何でもないよー」

「……ぅ、う?」

???「気づいたか」

「……何だ……ここ」

???「ここはオレの部屋だ」

「オレって……うわっ、優!」

優「おう」

「何やってんのお前。今、デートしてたんだけど」

優「範囲外だ」

「は?」

優「範囲外だっつってんだよ」

「なに、どういう事」

優「このゲームはアキバズトリップだぞ」

「……、ハッ……そうか!」

優「そう。秋葉原から出る、それはつまりゲームを最初からリセットすることに繋がる!」

「その理屈はおかしいけど確かにゲームだと秋葉原去ったらゲーム最初からになる!」

優「分かったか? っつーわけで戻れ」

「やだ! 瑠衣との思い出を消してたまるか!」

優「そう言うと思ったぜ。ちゃんと救済処置も考えてある」

「おぉ、さすが優……ってお前何者だよ。ほぼサブキャラだろ」

優「うっせ! オラ、さっさとこの部屋を出やがれ」

「……」

瀬嶋「久しぶりだな」

「誰だよ」

瀬嶋「いや瀬嶋だから」

「思い出した」

瀬嶋「さて、君にはこれから試験を受けてもらう。ルール無視の罰を免罪にする為のな」

「よし、何でも来い」

瀬嶋「では、登場していただこう」

「へ?」

瀬嶋「入れ。文月瑠衣」

瑠衣「失礼します」

「瑠衣! 瑠衣じゃないか! かわいい! 抱きしめたい!」

瀬嶋「静かにしろ。失格にするぞ」

「ごめんなさい」

瑠衣「……」

瀬嶋「文月瑠衣、ナナシの前に立て」

瑠衣「……」コクリ

(どうして何もしゃべらないんだ……?)

瑠衣「……」

瀬嶋「準備はいいな?」

「いやいや準備って何」

瀬嶋「黙れ。これからルールを説明する。一回しか言わんからよく聞け」

「ふむ」

瑠衣「……」

瀬嶋「ナナシ。身体的ダメージを与えずに文月瑠衣を泣かせろ!」

「…………は?」

瀬嶋「以上。スタート」

「おい!」

瀬嶋「何だ」

「鬼畜!」

瀬嶋「何とでも言え。早くしないと失格になるぞ」

「うぅ……」

瑠衣「……」

「心が痛い! 何もしてないのに!」

瑠衣「……」

「そんな目で俺を見るな瑠衣!」

瑠衣「……」

「くゥっ……」

瀬嶋「さあどうした。この小娘の心は意外にも弱い。特に愛する相手からの罵倒は強力だろう」

「できるわけないってばよ!」

瀬嶋「ほぅ。では失格でいいかね?」

「いい!」

瀬嶋「……」

瀬嶋「それでは物語は最初からになるが、本当にいいのか?」

「いいって言ってる! 早く戻せ! 瑠衣を傷つけるくらいなら思い出を作り直す方が断然マシだ!」

瑠衣「……」ブワッ

「!?」

瑠衣「ぅ……ナナシ……ありがとぉ」グスッ

「瑠衣……」

瀬嶋「何という茶番。……しかし、不本意ながら合格だよナナシ」

「えっこれ反則じゃ」

瀬嶋「そうか? ならば反則とみなし失格だ」

「ちょっ」

瀬嶋「何だ」

「何だじゃねーよ! ころころ意見変えないでください!」

瀬嶋「……仕方ない。ならばもう一度チャンスをやろう」

「また何かやるのかよ……」

瀬嶋「なに簡単なこと。私と……キスするだけだ」

「」

瑠衣「」

瀬嶋「む?」

「いやおかしいだろ! 不思議そうな顔してんじゃねーよ!」

瀬嶋「ほら早くしろ。失格になるぞ」

「ぅううう! る、瑠衣ぃ……」ダキッ

瑠衣「ナナシ……」///

「どうしよう瑠衣どうしよう」

瑠衣「……キスがイヤだったら、下りるべきだよ。……また一緒にやり直そう……?」

「えっ」

瑠衣「私は……ナナシとの思い出を失くしてしまうのは凄く悲しいけど……」ウルウル

「うっ」

(断れないよ! てかこれ遠まわしに『早くやれ』って言われてるよ絶対!)

(……でも、そうだとしても瑠衣は今の俺と一緒にいたいってことだ)

(——やってやる!!)

「瀬嶋!!」

瀬嶋「む」

「来い!!」

瀬嶋「ほぅ」

「言っておくが俺はホモじゃないからな!」

瀬嶋「そんなことは分かっている」

「お前はホモだろ!」

瀬嶋「それは違う」

「この期に及んでシラ切るつもりなの!?」

瀬嶋「この試験は……試験官が考案したものだ。文句なら試験官に言うんだな」

「誰だよその試験官って」

瀬嶋「私だ」

「やっぱりお前じゃねーか!」

瀬嶋「さぁ、早く! 早く!!」

「気持ち悪い!」



 ※※※濃厚なキスシーン※※※


「ぅ……ぉぇ……」

瀬嶋「なかなかやるじゃないか」キラキラ

「る、ぃ……」

瑠衣「あわわ……ナナシっ」

「口が犯された……瑠衣にしか入場を許さない禁断のゲートが……」

瑠衣「何でちょっと詩人になってるの……」

瀬嶋「ふぅ。さて、貴様らはさっさと出て行け。また秋葉原から出ようとした時は、再びここに来てもらおう」

「……二度と来たくねぇ」

「……ん」

妹「おはよ」

「んー……? ぁ、おはよう」

妹「今日はまた随分と眠そうだね」

「かつてない恐ろしい夢を見たからな」

妹「マジで? ——ていうか朝ごはんできてるよ」

「おぅ」

妹「今日の朝ごはんはカレーだよ♪」

「朝からカレー!?」

妹「うん。だってアレじゃん」

「アレって何」

妹「カレーって……素敵やん?」

「そだね」

妹「というわけで朝ごはんにしてみました」

「……。まぁいいや」

妹「お客さんも来てるよ」

「客?」

妹「うん」

そういえばナナシの家は秋葉原にあるのかな?

妹「舞那さん。お待たせ」

舞那「すっごい待ったよー! 遅いぞナナシっ」

「……」

舞那「な、何だその顔」

「いや……朝から暑苦しいなと……」

舞那「うざッ!」

「何でお前ここにいんの」

舞那「……べ、べつに何でもいいでしょ」

「俺に会いたくなったんだね」

舞那「はぁ!?」

妹「お兄ちゃんキモイ」

「ごめんなさいでした」

>>340
ゲーム内で妹が「また秋葉原行ってたんでしょ」って言ってたので
家は秋葉原の外にあると思われます

その設定に気づいたのが最近だったのでこのSSではナナシは秋葉原に住んでいることに……
ご愛嬌ということでお願いします

妹「とにかく、早く食べよ」

舞那「そうだね」

「いただきます」

妹・舞那「いただきまーす」

「……」

妹「……? どうしたの?」

「カレーに入ってるじゃがいも熱いんだよクソがッ!!」

妹「そんなことにキレないでよ」

「たまねぎも! 何でこんなふにゃふにゃなんだよ! しゃきしゃきしろよ!」

舞那「しゃきしゃきだと余計まずそうだけど……」

「あとニンジン! これいらないと思う!」

舞那「野菜が嫌いなだけだろうッ!」バシッ

「いてっ! き、きさまぁ……人の家に上がりこんで朝飯食って家の主を叩くなど図々しいにも程があるぞ!」

妹「この家の主はあんたじゃないから……」

舞那「それにしても美味しいね妹ちゃん」

妹「えへへ……ありがとうございますっ」

「自慢の妹です。これで金に執着がなかったら完璧なんでskgdfjぶあぁ」

妹「ちょっと黙ってようね」ガシガシ

「痛いから! 痛痛痛ッ……たまねぎがッ! 鼻に入るゥ!」

舞那「……あたしと優のケンカに似てる」

妹「ほらっ、ニンジンも食べなさい!」

「エェェエエ野菜はあんまり好きじゃないです」

妹「そんなこと言ってるからモテないのよ!」

「お、俺には瑠衣という愛しくて仕方ない超絶美少女が……」

妹「腹立つなぁこいつ!」

舞那「——ごちそうさまでした」

妹「お粗末さまでした♪」

「ごちそーさん。妹はいつでも嫁にいけるな」

妹「なに言ってんのバカ……」///

「気になる子とかいないのか?」

妹「……今のところは……」///

「そうかい。早く見つけろよー。できたら紹介してくれな」

妹「誰がするかっ」

舞那(微笑ましい……)

舞那「じゃあ、あたしはそろそろ帰るね。ダブプリの仕事もあるし」

妹「あ、は〜い。気をつけてくださいねっ」

舞那「ありがと」

「じゃあな、舞那」

舞那「うん。じゃあねっ。お邪魔しましたー」ガチャッ

妹「……」

「……」

妹「舞那さん綺麗だよねぇ。瀬那さんも瑠衣さんもだけどさ」

「そだな。美少女ファミリーですもの」

妹「可愛さと歌唱力で売れてるって凄いよね。私もああいう風になりたいな」

「やめとけ。妹がモデルとかアイドルとかマジ俺の妹がこんなに可愛いわけがなくなっちゃうから」

妹「日本語でおk」

「普通が一番なんだよ。……普通がな」

妹「何よ、そんな顔して」

「俺はここ最近だけでおよそ普通とはかけ離れた生活だったからな……疲れた」

「あ、でも、カゲヤシと出会えたのは僥倖だったよ。瑠衣なんてもう一生添い遂げあう関係だし」

妹「幸せ者め」

「まあな」

「……で、妹よ」

妹「んー?」

「今日って何月何日だ」

妹「12月27日」

「……」

「クリスマス終わってる……」

妹「うん」

「オオオォオオオオオ何てこった」orz

妹「眠ってるのが悪い」

「とりあえず瑠衣に会いに行こう」

妹「遅すぎたクリスマスだね」

「うるせえ! 行ってきます!」

妹「いってら」

 駅前

「寒すぎワロエナイ」

「とりあえずマスターの所に……」

「……」

「サーヴァントみたい」

「知らない間に今期アニメも終わってしまったね」

「アキバズトリップのシナリオを書いたアサウラ先生のベン・トーも終わってしまった」

「それにしても石田彰は本当仕事多いな」

「……」

「独り言多いな俺」

 ジャンク通り

「マスターいるー?」

マスター「おおナナシ君か。随分と久しぶりだな」

「寝すぎました」

マスター「瑠衣ならここにはいないぞ。今朝、出かけた」

「えっ」

マスター「ちなみにどこに行ったかは分からない。行き先も言わずに飛び出して行ったからな」

「なん……だと。どうすれば……!」

マスター「携帯があるだろう」

「マスター天才!」

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

「……」プルルルル

マスター「もう諦めろ」

「うわああああぁあん!!」ダダダダ

マスター「あっナナシ君! ……行ってしまった」

鈴「? どうしたんですか?」

マスター「鈴ちゃんか。ちょっと今ナナシ君が来ててな……。そうだ、瑠衣がどこに行ったか知らないかい?」

鈴「んー……。朝、私がお手洗いに行こうとしたら瑠衣ちゃんが部屋から飛び出してきて……どこに行ったか分からないです」

マスター「そうか……。私も店の準備をしている時に『出かけてくる』と手短に言われただけだ」

鈴「随分と慌ててましたよね」

マスター「ああ。どこに行ったのやら……」

 裏通り

「くそっ! どこに行ったんだよ瑠衣!」

「……」

「何も告げずに出かけて……恋人である俺からの電話にでんわ……となると……」

「……う、浮気?」

「そ、そんなわけ……ないよな」

「……」

「メールしよう……」カチカチ

『好きだよ好きだよ好きだよ好きだよ好きだよ(ry』

「よし、送信と……」

「……」

「不安だ」

 カゲヤシのアジト

優「瑠衣? 来てねーよ」

「むむぅ、そうか……」

優「何だよ。ケンカでもしたか?」

「いや、そういうわけじゃ……」

優「夢の中ではイチャついてたくせになぁ」

「覚えてんのかよ」

優「瀬嶋とのキスも覚えてるぜ」

「やめろあれを思い出させるなもういやだしにたい」

優「悪かった」

「それはそれとして、どうしよう優……瑠衣に嫌われた」ウルウル

優「泣いてんじゃねーよみっともねぇ」

「だって……だってぇ……!!」

優「ハァ……。そういや、さっき散歩してたら瑠衣の姿見かけたな」

「マジで!? どこどこ!?」

優「駅前だ。やけに急いでる様子だったぞ」

「ウオオオオ!! ありがとうありがとう!!」

「じゃあな優! サブキャラとか言って悪かった!!」

優「掘り返すな過去を!」

 駅前

「瑠衣はどこだ!」

「……」

「ちょっと待て、駅前ってことは……電車でどこかに行った……?」

「いや、いやいやいや、そんなはずない……! だって秋葉原から出たらまたあの場所に……」

「……」

「メールは返ってきたかな……」ゴソゴソ

「……あ、あれ? 携帯が……」ゴソゴソ

「どこかに落とした!?」ガーン

「まずいまずいまずいまずいッ! どこだよ瑠衣! いや瑠衣じゃなくて携帯! むしろどっちもどこだよ!」

「落ち着け俺……ひとまず家に帰って瑠衣にもう一度電話をかけよう……」

「ダァーッシュ!!」ダダダダダダダ



 裏通り

ノブ「ん? この携帯……」

ノブ「おお、やっぱりナナシのだ」

ノブ「メールボックス開きっぱなしじゃねーか。……新着メール四件、不在着信五件……?」

ノブ「瑠衣ちゃんから……『どうしたの急にっ……』」

ノブ「『ナナシ?』」

ノブ「『おーい? 大丈夫……?』」

ノブ「『何かあったの……?』」

ノブ「……」

ノブ「クソリア充野郎がァッ!!!」

ノブ「ちょっとメール返信しないだけで女の子からこんなにメール送ってもらえるとか何なんだよクソッ!! クソッ!!!」

ノブ「……」

ノブ「届けてやろう……」

瑠衣「……」

妹「まだ返信こない?」

瑠衣「うん……」

妹「まったくあのバカ兄は。どこの女と遊んでるのやら」

瑠衣「えっ」ガーン

妹「あっ、ち、ちがうちがう! あいつ瑠衣さんとかダブプリとか女性の友人が多いから……またそういうアレなのかなって」

瑠衣「うー……」

 ガタガタ

妹「! ほら、帰ってきたみたいだよ」

瑠衣「ナナシっ!?」

「ただいまー……」

瑠衣「ナナシっ」

「!!!!!?!?!??」

「る、るい……さま……?」

瑠衣「さまっ!?」

「るいぃいいいい!!! 電話もメールも返してくれなくて心肺停止したよー!!!!」

瑠衣「心配じゃなくて!?」

瑠衣「……私もメール送ったし電話したけど反応なかったよぅ」

「携帯落としてしまった……」

瑠衣「えぇっ!」

妹「何やってんのバカ兄!」

ここって絵を投下するのはありですか?

>>376
瑠衣ちゃんなら大歓迎です

「ところで瑠衣が何でここに……?」

瑠衣「クリスマスはキミと一緒に過ごせなかったから……ほら、あの夢見てナナシが目覚めたって知って……」

「瑠衣……」

瑠衣「あ、ほら、ケーキ作ったんだよ! 昨夜、マリオストーリーのケーキ作り見ながら試した!」

「料理本とか使えよ!」

瑠衣「暗号の本だよ、あんなもの。私には理解できない」

「……、で、そのケーキというのが……アレ? 普通にうまそう」

「あんな大雑把な説明でこんなうまそうなケーキが……」

瑠衣「味もすごいからっ。早く食べて食べてっ」

瑠衣「どうぞ」ドキドキ

「では、いただきます」

「……」パクッ ムシャムシャ

「……」

「ウマッ!」

瑠衣「!」パァァァ

「なにこれウマッ! マリストおそるべし! いや瑠衣のがすごいけど!」パクッ パクッ

瑠衣「えへへ」////


妹(幸せ空間だなぁ……退散しなきゃ)コソコソ



「おいしいぃ」

瑠衣「ありがとうっ」///

「瑠衣も食べようよ」

瑠衣「ダメだよ〜。キミのために作ったんだよ」グゥゥゥ

瑠衣「あ……」////

「ほらやっぱり」

瑠衣「う、うるさいっ……」/////

「かわいいいいいいいいいいい」

「……瑠衣」

瑠衣「ん」

「すまん。時間がない」

瑠衣「え?」

「27日かと思ったらもう大晦日だった」

瑠衣「えええええぇっ!」

「皆を集めよう」

瑠衣「ちょ、ちょっと待ってね。連絡する」

「俺も自警団に連絡入れなきゃ……」

「あー……携帯ないと連絡先が分かんないな……」

瑠衣「私の携帯に入ってるよ」

「おおっ。そうだった」

 ピンポーン

「? 誰だ?」

  妹「はーい」ガチャ

  妹「あ。ノブくん!」

「ノブ……?」

瑠衣「何の用だろう?」

  妹「どうぞどうぞ、上がってください!」

  ノブ「おじゃましまーす」

ノブ「おうクソリア充! 久しぶりだな」

「開口一番それかよ。何かあったのか?」

ノブ「ほら、これ」

「!! 俺の携帯! お前、拾ってくれたのか!?」

ノブ「ああ。まあな」

「ありがとうありがとう! マジありがとう! さっすがノブ!」

ノブ「お、おう! もっと褒め称えやがれ!」

「ウオオオオオオ!! ノーブっ! ノーブっ!」

ノブ「ノーブっ! ノーブっ!」

「ノーブっ! ノーブっ!」

妹「うるさいっ!!」

「よし、じゃあお前は今すぐ芳林公園に向かってくれ」

ノブ「何かあるのか?」

「皆で年を越そうと思って」

ノブ「いいな。じゃあ、自警団には俺が連絡入れておくよ。お前は一足先に瑠衣ちゃんと妹ちゃん連れて行って来い」

「いいのか?」

ノブ「任せろ。出番が欲しいからな」

「反応に困るんだが、とにかくありがとう」

ノブ「いいってことよ」

ノブ「外は寒いから、ちゃんと着込んで行けよ」

「こいつ急に兄貴キャラになりやがったな」

 芳林公園

優「さっみぃ!」

舞那「だから言っただろー! もっと厚着しなって!」

優「うっせぇ! こんな程度じゃオレは凍死しねぇよ!」

舞那「当たり前だ!」

瀬那「まったく、年明けの寸前までこんな調子なのね……」

伶「ケンカするほど仲が良いのよ」

瀬那「ふふっ。そうだねママ」

マスター「飽きないな、この家族は」

伶「そちらさんもね」

マスター「ああ。違いない」

ノブ「サラさんはこんなときでもメイド服なのか!」

サラ「はい。いつ何時でもこれを脱ぐことはありません。寝巻きもです」

ノブ「メイド服で寝るのかよ!?」

ゴン「ダブプリがっ……ダブプリがっ……」

ヤタベ「手が震えてるよ? 寒いのかい?」

ゴン「い、いや、生ダブプリと年を越せると思うと……」ガタガタ

鈴「年越しそば……しあわせぇ♪」

瑠衣「鈴……それ何杯目?」

鈴「分からないよぉ♪」

「専用のゴミ袋まで持参するとは……」

瀬那「……ほら、もう」

舞那「おおぉっ? こんな時間だ!」

優「ケッ。なんつーか、感無量だな」

伶「あら、あなたからそんな言葉が出るなんてね」

優「う、うるせぇって」

マスター「ははは。子どもは成長していくものだ」

優「おじきも何言ってやがんだ!」

ヤタベ「色々あったけど、楽しかったねぇ」

サラ「そうですね。来年はもっと良い年になりますように……」

ゴン「うんうん。写真として残したいなぁ」

ノブ「血生臭い戦いはもう御免だけどな」

鈴「ずずーっ……おいしい♪」

瑠衣「鈴もほら、準備して」

鈴「あ、うんっ」

「……瑠衣」

瑠衣「うん……?」

「ありがとう」

瑠衣「あはは、こちらこそっ」

「じゃあ……」

瑠衣「うん!」

「せーのっ……」








全員「あけましておめでとうっ!!!」



主さん、もしよろしければ今までのSSを漫画化させてもらってもいいかな?

>>390
マジですか!
是非お願いしたいです!

 正月は終わり、アキバの街は日常を取り戻していた


 カゲヤシのアジト 

「るーいー」

瑠衣「あ、ナナシ。どうしたの?」

「サイゼで鈴に会ってさ。瑠衣がアジトに行ってるって聞いたから遊びに来た」ガチャガチャ

瑠衣「わっ。なにそれ?」

「ふふふ、マリオカートダブルダッシュです」

瑠衣「マリオカート!」

舞那「微妙に古いの持ってきたな……」

「うるさいぞー。出た当時は毎日やってたのよ」

舞那「甘いぞっ。あたしは初代を一晩中やってた時期があって——」

「その発言は歳がバレるからやめとけ」

舞那「さてやるぞー」フフフッ

「ノリノリだな」

舞那「とーぜんっ。あたしはボスパックンとキングテレサ!」

瑠衣「えっと、私はキノピオと……ヨッシーかわいいから使おうかな」

「俺はパタパタとルイージだ。『るい』だから!」

瑠衣「……そ、そんなこと言うなら私だってヨッシーの『シ』はナナシの『シ』だもん」///

「一文字しか合ってないけど嬉しいよ」

瑠衣「えへへ」///

舞那「イチャつくな」

「うおおおおおいっけええええええええ」

舞那「わっ! 赤甲羅ぶつけたなナナシ!」

「のんびり走ってるのがいけないのさ」

舞那「くらえええええ!!」

「うぎゃあああああイナズマとかお前! 瑠衣がかわいそうだろ!」

瑠衣「〜♪」

「なにっ! スター状態!?」

瑠衣「舞那姉さんの順位が下がって、イナズマを引き当てる可能性を考えて使わずにとっておいたのだっ」ドヤッ

「世界一かわいいどや顔を見た! てか瑠衣が凄い戦略家だった!」

舞那「くぅぅっ……! 姉として瑠衣に負けるわけには……!!」

舞那「7位って……何でこんなことに……」

「いやお前が俺を道連れに自爆したんだろが! 8位だよ俺! ビリ!」

舞那「ざまぁみろっ!」

瑠衣「ダメだなぁ二人とも♪」

「一位かよ瑠衣!」

瑠衣「ふふん」ドヤッ

「そのどや顔を待ち受けにしたい」

舞那「それにしても、ナナシって任天堂のゲームばっかりやるんだね」

「うん。だってアキバズトリップってPSPのゲームだし、他のPSPゲームとかやったらちょっとアレじゃね?」

舞那「分からなくもないこと言ってるような気がするけどやっぱり分からない」

瑠衣「私は最近PSP買ったよ!」

「マジか」

瑠衣「うん! ダンガンロンパっていうのやってる!」

「意外すぎだ」

「そろそろ疲れたな」

瑠衣「そうだね。休憩しようか」

舞那「オレンジジュースどぞー」

「オオウ、いただきます」

瑠衣「ありがとう姉さん」

「舞那ってこんなに気の利くキャラだったっけ」

舞那「一言多い!」

「ゴメンナサイ」

瑠衣「……あれ? 電話だ。——非通知?」

「む」

舞那「どーせ知らない人でしょ。ほっとけほっとけ」

瑠衣「うん……。怖いからやめておく」

「鳴り止んだな」

瑠衣「……。うわっ、またかかってきた」

舞那「よし貸せ瑠衣。あたしが文句言ってやる」ガシッ

瑠衣「えっ、ちょっ、舞那姉さん……」

舞那「よし——さっきから何ッ!? うるさいっての!!」

瑠衣「」ビクッ

「舞那こわっ!」

『何だオマエは。それは文月瑠衣の携帯のはずだ』

舞那「そうだけど? あたしは瑠衣の姉だけど? 何か文句ありやがりますか?」

『文月瑠衣に替われ』

舞那「ナニサマのつもりだ!」

『文月瑠衣に替われ』

舞那「……ッ」イラッ

舞那「……瑠衣、替われって」

瑠衣「う、うん」

瑠衣「……もしもし?」

『……あ、文月さんですか?』

瑠衣「はい、そうですけど」

『えっと初めまして。あ、うう、初めまして』

瑠衣「は、初めまして。あの、どちらさまですか……?」

『あ、あ、あ……』

瑠衣「……?」

『ごめんなさいッ!』プツッ

瑠衣「あっ。——切れちゃった」

「?」

舞那「何がしたいんだ……」イライラ

瑠衣「うわっ。またかかってきた」

舞那「もうッ!!」バッ

瑠衣「姉さん!?」

舞那「——おいコラ! いい加減にしろよ!!」

『文月瑠衣の姉か。オマエこそいい加減にしろ。ヒトの携帯に勝手に出るとは何事だ』

舞那「しつこく電話かけてくるのもどうなんだ!」

『騒ぐな鬱陶しい。オマエに用はない。……いや、それともオマエが私の相手をするか?』

舞那「はぁ?」

『ならば今すぐ芳林公園に来るんだな』

舞那「……」スッ

「どうした?」

舞那「芳林公園行ってくる」

「え」

瑠衣「な、なんで……?」

舞那「ちょっと殺ってくる」

「凄い殺意が見える! 怖いよ!」

瑠衣「待ってよ姉さん!」

舞那「二人は待ってて! あたしがケリをつけるから!」

舞那「ったくバカにしやがってぇ……!」

通行人A「あ、あれ舞那ちゃんじゃね?」

通行人B「うわっマジだ! かわいいなあ!」

舞那「や、やばい。私服とはいえ顔隠してないとやっぱりバレるか……急がなきゃ」


 芳林公園


舞那「電話の相手は……」

???「オマエか。文月瑠衣の姉というのは。まさかダブプリの舞那とはな」

舞那「!? 何故分かった!」

???「誰かを探す挙動、そして急いで公園に入ってきたところを見ると、オマエ以外にはありえんだろう」

舞那(こいつ……)

???「さぁ、来い」

舞那「……」

???「どうした? 来ないのなら私から行かせてもらうぞ」

舞那「こんな真昼間から戦うつもりか?」

???「何を言っている」

舞那「……?」

???「この世界はゲームなんだからモブキャラの視線は気にしなくていい」

舞那「??」

???「ああ、アイドル如きのちっぽけな脳ミソじゃ理解に苦しむか」

舞那「ッ!」ピキッ

舞那「りゃあッ!!」バッ

???(速い……)スッ

舞那(! 避けられた!)

???「ふんッ」ズバァ

舞那「ぅぁっ……!」

???「スカートは頂こう」バサッ

舞那「きゃあっ!」

舞那(な、なんなんだこいつ! 強い!)

舞那「お前は……何者だッ!」

???「フフフ」

???「私の名は瀬嶋。オマエたちにとっては聞き飽きた名だろう」

舞那「……はぁ? 瀬嶋って……あいつは死んだし、お前もあいつと全然似てないぞ」

???「バカめ。息子という発想はないのか?」

舞那「!?」

瀬嶋息子「瀬嶋隆二はな、十数年前、自身に何かあった時のために一人の子を成した」

舞那「……」

瀬嶋息子「それが私だ。——時は満ちた。親父の仇を討つ。覚悟しろカゲヤシ」

舞那(……逃げたらダメ。こいつはあたしが止めなきゃ。ママも姉さんもナナシも褒めてくれる。瑠衣も守れる!)

瀬嶋息子「殺らせてもらおう」ババッ

舞那「むぅっ!」スッ

瀬嶋息子「はッ!」

舞那「ッ……」

瀬嶋息子「どうした。攻めの時間は終わりか? それともマゾか。マゾなのか?」

舞那「このッ……!!」

瀬嶋息子「らァ!」ブギィ

舞那「きゃッ!」

瀬嶋息子「……文月瑠衣の姉がこんなものとは。期待外れだぞ」

舞那「……」ニヤリ

瀬嶋息子「ッ?」

舞那「ハットを取られたことにも気づかないのか?」

瀬嶋息子「……やるじゃないか」

舞那「言っておくけど、本来のあたしの武器があればお前なんかハエも同然だ」

瀬嶋息子「気が変わった。服は返してやる。また会おう北田」

舞那「次に会う時は……お前はもう死んでいる」キリッ

瑠衣「舞那姉さんっ!」

瀬嶋息子「ッ!!!?!?!?」

舞那「あっ。瑠衣、ナナシ」

「お、おい大丈夫か?」

舞那「うん。ちょっとヤバかったかもだけど」

「そこにいるのは……誰だ?」

舞那「瀬嶋の息子……らしいよ」

「息子……確かにちょっと似てるな。服装といい、そのハットといい」

瀬嶋息子「……」プルプル

「凄い震えてるけどどうしたのあの人」

舞那「二人も加勢が来たからビビってんじゃない?」

瀬嶋息子「ちがうッ!!!」

「うるせっ」

舞那「ど、どうしたんだ急に……」

瀬嶋息子「ふ、ふふふ、ふみづき、るい!!!!」

瑠衣「はいっ!?」ビクッ

瀬嶋息子「ははははじめまして!!! 瀬嶋の息子ですッ!!!」

瑠衣「あ、えーと、文月瑠衣です」ペコッ

「瑠衣かわいいかわいい瑠衣かわいい」

瑠衣「あぅっ。急に変なこと言わないでよ」///

瀬嶋息子「おいオマエ!! 文月瑠衣の何だ!!! 何だというんだ!!!!」

「……えっと、恋人です」///

舞那「今さら何を照れてんだ!」

瑠衣「……」/////

瀬嶋息子「」

舞那「……瀬嶋息子が真っ白になってる」

瀬嶋息子「ば、かな……オマエのような……オタクみたいな奴が……瑠衣たんの恋人……?」

舞那「瑠衣たんって何だこいつ気持ち悪い!」

「そうだよ。瑠衣を一生守ると、一生愛すと誓った。俺が瑠衣の恋人だ」

瀬嶋「……」ピクピク

舞那「瑠衣も何か言ってやれっ」

瑠衣「えっ? う、うん。——えっと、ナナシは……私の……一番大切な人。大好きな人……」/////

瀬嶋息子「■■■■■■■■■ッ————!!!!!!」

舞那「!?」

「何だこいつ四次バーサーカーか!」

瀬嶋息子「■■■■■■ッ——!!!」シュン

「ッ!? 速い!!」

瀬嶋息子「■■■■■■■■■■■■■■■ッ————!!!!!!!!」ズバァァァァン

「ぐわッ!!」

瑠衣「!! ナナシのズボンが一撃でッ……!?」

瀬嶋は名目上は50歳なのかな
実際はもっと長生きしてそう


「ぐわわッ! 猥褻罪で捕まってしまう!」

舞那「ならとっくに刑務所入ってるよお前は!」

瑠衣「大丈夫!?」

「だ、大丈夫だ。ズボンが破られるなんて久しぶりすぎてビックリだが」

舞那「やっぱりこの瀬嶋息子……強い!」

瀬嶋息子「■■■■——!!」

瑠衣「また来たッ……!」

「久しぶりの強敵だぜ。俺も本気でやってやんよ!」

舞那「やだかっこいいでも恥ずかしいセリフだな」

瀬嶋息子「■■ッ!!」

「甘いっ」カウンター!!

瀬嶋息子「ぐわァ!」

「えくす——」

「——かりばー!!」ズバァーン

瀬嶋息子「ぬわぁぁあああ!!」

舞那「あれ……あんなの装備してたっけ?」

瀬嶋息子「かはッ……ぐ、ぁ……」

「瑠衣を真に愛する者の強さは、ざっとこんなもんだよ」

瀬嶋息子「ッ……!!」

瀬嶋息子「……面白い」

「まだやるか?」

瀬嶋息子「——いや、ここは退かせてもらおう」

舞那「何だ。随分と弱腰なヤツ」

瀬嶋息子「黙れ三下。オマエは私の帽子を奪うのが精一杯だったろうが」

舞那「お前だってあたしのスカート奪っただけだろー! この変態野郎!」

「この罵倒は素晴らしい」

瑠衣「ナナシ……?」

「気にするな独り言だ」

瀬嶋息子「……フン。本気を出せばオマエなぞ数秒かからずとも全裸にしてやれるのだがな」

舞那「なッ」

「何だと!? よし屋内に場所を移そう! すぐにでも実演してもらわねば!!」

瑠衣「……」ギロッ

「ふぇあッ……! ご、ごめん瑠衣……そんなつもりじゃないんだ。男の反射運動というか何というか」

瑠衣「私より……舞那姉さんがいいんだ?」

「違うって!」

瑠衣「私の……より……舞那姉さんの方がいいんだ……?」

「違う違う違う!! ウオオオオオオオオオアアアアアアアアえくすかりばー!!!」ズバァァン

瀬嶋息子「ぐわぁぁぁあぁあ!!!」

瀬嶋息子「何をする!! 不意打ちとは騎士の誇りを侮辱する愚弄であるぞ!!」

「いや俺もお前もどう見ても騎士じゃねーから。てか今それどころじゃねーから。お前<<<<越えられない壁<<<<瑠衣だから」

瀬嶋息子「」

舞那「かませ犬すぎだろ瀬嶋息子」

瑠衣「かませって……?」

舞那「凄く簡潔に言うと、もう活躍しないザコってこと」

瀬嶋息子「オッオッオマエェエェェエ!!! ■■■■■■————ッ!!!!」

舞那「ホントにいちいちうるさいなこいつ」

「瑠衣……信じてくれ……俺は瑠衣がいなければダメだ。瑠衣を愛している。もちろん皆も好きだ。でも瑠衣が一番好きだ」

「つまり……LikeじゃなくてLoveなんだ」

瑠衣「……」////

瑠衣「仕方ないな。許しますっ」

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアア瑠衣ぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

「アァァァアアアこれがるいるい病末期症状だよぉおおおおオヒョオオオオオオオオしゅごしゅぎるよぉおおおおおオオオオ」

瀬嶋息子(だ、だめだ……こいつには絶対に勝てない……こいつは文月瑠衣の毛一本から血の一滴、薄皮一枚さえ愛しているんだ……)

瀬嶋息子「……しかしこいつは病的なまでに文月瑠衣を愛しているようだが、当人はその異常愛を受け入れているのか?」

瑠衣「当たり前だよ。ナナシは私を導いてくれた。人間とカゲヤシの共生を実現させて、戦いを終わらせてくれた」

瑠衣「そして……私を、愛してくれた」////

瀬嶋息子「……。しかし普段からこんな状態では——」

舞那「いや、普段はまともな人間だ。……瑠衣について語らせたり、瑠衣の愛を確かめたりすると……うん」

「本人の目の前でそういう話をするんじゃない。どんな顔でいればいいのか分かんないよ」

瑠衣「いつものナナシでいいと思うな……」////

「だーかーらーお前は俺に鼻血出させて失血死させる気ですかァァアアアア!!!」

瑠衣とナナシって
恋人?夫婦?
キミは何を(ryでは結婚がどーとか言われてたけど

舞那「ところでナナシ。お前はもうカゲヤシの力をなくしたんじゃないのか?」

「え? あ、うん」

舞那「それでその強さは何なの……」

「いやだってえくすかりばーだよ? こんなもんで頭バンバン叩かれたらめちゃくちゃ痛いだろ」

瀬嶋息子「……その通り。私もカゲヤシの力は会得していない」

舞那「ええぇぇえ!!」

瑠衣「それなのに舞那姉さんが……?」

舞那「なんかっ……くやしい! すっごいくやしいぞ!」

>>450
まだ恋人……のはず

瑠衣「大丈夫だよ舞那姉さん。この二人が逸脱しすぎてるだけで、姉さんも凄く強い方だから……」

舞那「う、うぅ……瑠衣ぃ」

瀬嶋息子「何て情けない姉だ」

「まったくだ」

舞那「うるさいっ! 何でお前は戦意喪失してんだ!」

瀬嶋息子「ほぅ。オマエはまだ私と戦う気があったか」

舞那「なっ! 違っ……そうじゃないけど!」

瀬嶋息子「ムフフ……この娘は弄ぶと愉しいな」

「やべぇこいつ変態だ」

舞那「お前が言うな!!」

息子は何歳ぐらいなんだ?

>>455
二十歳に限りなく近い十代

瀬嶋息子「私はそろそろ帰るとしよう。オマエたちも、ナナシはともかく文月と北田は日差しが辛いだろう」

「いざとなれば俺が二人の日傘になる」

瀬嶋息子「どうやるんだよ」

「あ、それとも日笠だけに瑠衣に日傘になってもらうか」ドヤァ

瑠衣「またそれっ!?」

瀬嶋息子「そんなに上手いこと言えてないぞ! どや顔はやめろ!」

舞那「面倒くさいなぁ。帰るならさっさと帰れよ」

瀬嶋息子「……フッ、また会おうクズども」

舞那「クズはお前だクズ」

瀬嶋息子「オマエがクズだ!!」

「子供か!!」

瑠衣「み、みんな……」

「ん」

舞那「なに?」

瀬嶋息子「!!! は、はイ!? 何でしょうか!!!!」

舞那「うるさいから」

瀬嶋息子「オマエのキンキンする声に比べれば何てことはない」

舞那「あたしに対しての冷静な対応は何なんだ!」

「お前ら黙れ! 瑠衣が喋れなくて困っているだろうが!!」

舞那・息子「ご、ごめんなさい……」

瑠衣「ありがとナナシ」アセアセ

「どういたしまして」ナデナデ

瑠衣「……」/////

瀬嶋息子「■■■■■■■■■——ッ!!!!」

「またか!」

舞那「もうそれやめろ飽きた」

瀬嶋息子「うらやましいいいいいいいよオオオオオオオオ!!!」

舞那「……? うらやま……?」

「あ? どうしたどうした。これがうらやましいのか?」ナデナデナデナデ

瑠衣「あぅ〜……」/////

瀬嶋息子「■■■■■■■■■——ッ!!!!」

「ほぅほぅほぅ。瀬嶋クンは瑠衣のことが好きで好きでたまらないわけだな」

瀬嶋息子「————ッ」/////////////

瑠衣「えっ」

舞那「くッ……あははははははは!!! 何それバカじゃないの無謀すぎアホだよあはははははは!!!」

瀬嶋息子「だッだまれだまれだまれェエ!!! 死ねエェエェエ!!!」

舞那「おっと、そんな攻撃……こうだ!」スパァーン

瀬嶋息子「ブェエッフェ!」

瀬嶋息子「く、そ……そんなに私を辱めて愉しいか……? この外道どもめ……」

「いや、絡んできたのお前だし……」

「って、だから瑠衣が喋れなくて困っているだろうが!!」ドンッ

瀬嶋息子「グェッ!!」

「悪いな瑠衣。何言おうとしたんだ?」

瑠衣「あ、う、うん。喧嘩はやめようって、言いたかった……」

「ちょっとお持ち帰りしたいですねこの子」

瀬嶋息子「させるかッ!!」スッ

瑠衣「うわっ!?」

舞那「ッ! お前、瑠衣をどうするつもりだ!」

瀬嶋息子「お持ち帰りだ」

舞那「ふざけんな!」

瑠衣「ッ〜〜!!」ジタバタ

瀬嶋息子「あ、暴れても……無駄ですから。私の腕力を舐めないでいただきたい……」/////

「気持ち悪いこいつ! おいコラ!! 瑠衣の口と腰に触れていいのは俺だけだ!」

瀬嶋息子「フゥハハハハ!! 今このときをもって、オマエは文月瑠衣の恋人失格だ!」

「なッ……」

瀬嶋息子「文月瑠衣に相応しき男は、この瀬嶋息子ただ一人!!」

舞那「何馬鹿なこと言ってるんだ……」

「なら俺と勝負だ! 正々堂々とな!」

瀬嶋息子「……いいだろう。正々堂々を求めるのであれば、まあ私も鬼ではないからな」スッ

「!」

瑠衣「ナナシっ、舞那姉さんっ」ダダッ

「瑠衣。よしよし、大丈夫だったか」ナデナデ

瑠衣「う、うん」///

舞那「瀬嶋本人とはまるで違う人だな……」

瀬嶋息子「人質などという下劣な手段は使わんよ。——さあ、かかってこい」

「よし。舞那、瑠衣を頼む」

舞那「うん、任せて」

瑠衣「ナナシ、頑張って!」

「おう」

「ふりゃッ!」

瀬嶋息子「てぇい!」

「らぁっ!」

瀬嶋息子「そぉいっ!」


舞那「すごい戦い……」

瑠衣「本当に強い……どっちも……」

舞那「でもこれ、人間同士の殴り合いだよね」

瑠衣「た、たしかに」


「そぉらッ!」

瀬嶋息子「ふンっ!」

「やるなッ……」

瀬嶋息子「オマエもなっ……!」

舞那「男の友情的な何かが芽生えてるんだけど」

ノブ「ふむ。薄い本が荒ぶるな……」

舞那「うわッ!? お、お前は」

瑠衣「あれ、ノブ君?」

ノブ「どもっす! 公園で何やら見慣れた光景が目に入ったから、来てみたらこれだ。アイツ誰?」

瑠衣「……瀬嶋の息子らしい」

ノブ「マジで!? あの瀬嶋に息子が……しかもあの外見、かなり若いよな。カゲヤシか?」

舞那「人間らしいぞ」

ノブ「エェエエ!! ナナシも、もう人間なんだろ? ……ただの喧嘩じゃねーかアレ」

舞那「あたしと同じこと言ってる」

きてたーwwwwwwwwww
男の友情が目覚めましたwwwwwwww
息子人質とらないっていい子
なにを装備してるのかな
素手ってことは「うずく俺の右腕」かな?

>>479
そのままの意味で素手

瀬嶋息子「うらあ!!」

「ぐァっ!」

瑠衣「! ナナシっ!!」

ノブ「ナナシが押されてるのか!」

舞那「くやしいけど、瀬嶋息子の強さはハンパじゃないぞ」

ノブ「くぅ……助太刀したかったが、無理なようだな」

舞那「する気なかっただろ」

ノブ「ひどい! あー分かったよ行ってやんよ!!」

瑠衣「む、むりしないで……」

ノブ「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ダダダダダ

「!?」

瀬嶋息子「!?」

ノブ「相手してやる! この俺がな! かかってこい瀬嶋息子!」

瀬嶋息子「いやオマエ誰だよ!」

ノブ「誰だろうと関係ない! 俺は俺だ!」

「何こいつかっこいい」

ノブ「行くぞオオオオオオオオオ!!!」

瀬嶋息子「よく分からんが、私に挑むとは良い度胸だ。来い!」

ノブ「ウオオオオオオオオオオ!!」

瀬嶋息子「ウオオオオオオオオオオ!!」

ノブ「お風呂ポスター!!」バサッ

瀬嶋息子「ッ!? な、なんだその卑猥なポスターは」/////

ノブ「ほぉらほら、見えてしまうぞ! 見えてはいけないところまで見えてしまうぞォオオ!!」

瀬嶋息子「ひゃあぁあ」/////

「……何だこれ」

舞那「かわいいところあるな」

瑠衣「女の子みたいだね」

「お前ら何だその意外な反応!」

瀬嶋息子「やめろッ……やめてくれぇぇえ!!」

ノブ「ひゃーっはっはっは!! 二次元美少女の山に埋もれて骸となれェエエエエ!!」

「どっちが悪人だ」

瑠衣「ナナシと瀬嶋息子が同格で、瀬嶋息子よりノブ君が強くて、……じゃあノブ君はナナシより強いのかな?」

「何言ってんだよ瑠衣!」

舞那「いいからさっさと終わらせてほしいな。もう疲れた」

「……それは確かに」

舞那「今なら瀬嶋息子にとどめ刺せるんじゃない?」

「そうだな。行ってくる」

ノブ「どうだ、これが秋葉原自警団の力だ!」

瀬嶋息子「くッ……これがNIROの脅威となった自警団の力か……!」

「お前の心の弱さが問題だ」グイッ

瀬嶋息子「ぐオ!」

「とどめだぁ!!」バサッ

瀬嶋息子「ぎゃあああああッ!!」

ノブ「さすがナナシ! 男相手でも躊躇することなく服を脱がすとは!」

瀬嶋息子「は、はずかしいいいいいいい!!」/////

ノブ「で、この息子は海とか絶対に行けないタイプだな」

警官「こらッ、何をしている!」

瀬嶋息子「ひゃっ! ご、ごめんなさいごめんなさい何でもないです! 暑いんです!」

警官「冬だろうが馬鹿者! ちょっと署まで来てもらおう!」グイッグイッ

瀬嶋息子「イヤアアアアアアアアアア」ジタバタ

舞那「……」

瑠衣「……」

ノブ「……」

「……」

瑠衣「終わったね……」

「うん……」

こうして、秋葉原の平和は守られた

だが、これで全てが終わったわけではない

負けるな、ナナシ! 頑張れ、ナナシ!

アキバズトリップの物語はまだまだ続く!

 〜瀬嶋息子編 完〜

『——ご客人には、ケイネス・エルメロイの魔術工房をとっくり堪能してもらおうではないか』

優「……アニメって面白いな」

『——ドガアァァアァアアン』

優「ま、魔術工房が!」

優「……」

優「おい、どうなっちまうんだよ……!」ハラハラ

瀬那「優、少し静かにして」

優「うおわッ!? な、なんだよ姉貴! いたのかよ!」

瀬那「一日中パソコンの前で何してるかと思ったら、まさかアニメ観賞だったとはね」

優「何だよ悪いか? オレだってなぁ、アニメくらい普通に見るっつーの!」

瀬那「……色々なことに興味を持つようになって、姉さんは嬉しい」ボー

優「何遠い目してんだよ! オレだってもうガキじゃねーんだから!」

瀬那「——そうそう。さっき舞那から連絡があってね。瀬嶋の息子と戦闘になったって」

優「……はぁ? 瀬嶋の息子?」

瀬那「舞那では太刀打ちできなかったらしい。ナナシと、秋葉原自警団のノブ君が協力して倒した、と」

瀬那「そして見たところ、瑠衣に惚れている様子……だってさ」

優「なんだとォ! ふざけた野郎だ。今そいつはどこにいるッ?」

瀬那「警官に連れて行かれたそうだけど……その後の行方は分からないかな」

優「探し出してぶっ殺してやる! 瀬嶋の野郎との因縁をぶった切るチャンスだ!」

瀬那「やめときなさい。舞那が勝てなかったんだから、あなたにも、私にも勝てない」

優「っ……」

瀬那「もうこれ以上、秋葉原で血を流すわけにはいかないから」

優「……そうだな。分かったよ」

瀬那「物分りの良い子になって……姉さんは嬉しい」ボー

優「それはもういいっつの!」

 ある日のこと

瀬那「暇だなぁ」

瀬那「そうだ。久しぶりにどうぶつの森やろう」

瀬那「〜♪」

『メモリーカードが読み込めません』

瀬那「……えっ?」

『メモリーカードが読み込めません』

瀬那「……」

『メモリーカードが読み込めません』

瀬那「きゃあああああああッ!!」

『メモリーカードが読み込めません』

瀬那「……な、なに? 何なのこれ?」

瀬那「読み込めませんって、まさか壊れた?」

瀬那「ど、どどどうしよう……舞那が誕生日に買ってくれたモノなのに……」

優「ふー、腹減ったァ」

瀬那「せりゃあああああああ!!」ズガァァ

優「ぐあしゅあhだsらあjんhj!!!」

優「ッ……なにしやがんだ姉貴ぃぃい!!」

瀬那「ごめん、何でもないから! 壊してないから!」

優「こわし……何を壊したって?」

瀬那「壊してない! このゲーム壊してない!」

優「あ? ……あぁ、どう森か。何だよ、壊しちまったのか」

瀬那「だから壊してないって……!」

優「それって誕生日プレゼントだろ〜? 姉貴に何て説明する気だ?」ニヤニヤ

瀬那「う、う」

優(オッホオオオオウなんだこの快感はァァアアァア)

瀬那「舞那にっ……買ってもらったのにっ……」

優「そうだよなぁ? バレたら嫌われちまうかもなぁ?」

瀬那「!! や、やだ! それだけはやだっ!!」

優「オレにバレちまったけどいいのかぁあ?」

瀬那「言わないで優! 何でもするからっお願い!」

優「ほおおう? 何でもっつったか?」

瀬那「何でもする! できることなら何でもするから!」

優「ほぅほぅほぅ」

優「よォし。まずはそこに四つん這いになれ」

瀬那「え?」

優「四つん這いだ」

瀬那「……」

優「ゴミを見るような目をしてもダメだ。バラすぞ姉貴」

瀬那「くっ……」

瀬那「……」

優「いいぞいいぞ。そして三度回ってワンと鳴け!」

瀬那「調子に乗るな!」

瑠衣「〜♪」

優「!!」

瀬那「!!」

瑠衣「あれ? 兄さん、姉さん……何してるの?」

優「ああぁああああえっとだなぁあぁこれはそのぉぉおおアレだアレ! 野良犬に襲われたときの対処法っつーか」

瀬那「そ、そうだ瑠衣、一緒にどうぶつの森やろう? 瑠衣のデータもあるんだからさ」

瑠衣「え、うん! やるやる!」

優「バカっ……! クソ姉貴! 壊しちまったんだろが、それ!」ヒソヒソ

瀬那「アアアアアアそうだったあぁぁあ!!」

瑠衣「ど、どうしたの瀬那姉さん!?」

瀬那「ごめんね瑠衣! 他のにしよう!」

瑠衣「えっ? う、うん」

瀬那「えーと、えーと……そうだ、ピクミン2あるよ! 対戦プレイしよう!」

瑠衣「あ、私ルーイ好きなんだ。やろうやろう」

瀬那「じゃあ、ディスクを取り替えて、と……」

瀬那「起動!」ポチッ

『〜♪』

『メモリーカードが読み込ません』

瀬那「fhfdkfんだshgふぁいふgたんgはあsdgskm!!!」

瑠衣「!?」

瀬那「わぁぁぁぁぁごめんなさいごめんなさい私が壊してしまいましたぁあぁあああ」

優「……なぁ、姉貴。壊れたって、このメッセージ見て言ってんのか?」

瀬那「そうですそうですぅごめんなさいいいいい!! 舞那許してぇぇえぇええ!!」

優「これ、ただメモリーカード読み込み失敗してるだけで、壊れたわけじゃないぞ」

瀬那「……」

瀬那「……」

瀬那「……」

瀬那「……え」

優「姉貴バカだろ」

優「こういうときは一旦抜いてふーふーすれば……」フーフー

優「……」

『ぴくみ〜ん♪』

優「ほら、ついただろ」

瀬那「わおっ!」

瑠衣「兄さん凄い!」

瀬那「初めて弟が頼もしく見える……!」

優「こんなことでそういうこと言うなよ!」

瀬那「よーしっ……やるぞーっ」

優「もはや誰だ」

「キャラ崩壊ってレベルじゃないな」

優「そうだな……っていつからいたんだよ!」

「俺の瑠衣瑠衣レーダーが反応した。ここに楽しそうな瑠衣がいると察知したんだ」

優「いつから機械仕掛けになったんだよお前は!」

瑠衣「ナナシーっ」

「瑠衣ーっ」

優(何だこいつら……)

「お、鈍器……じゃなくてゲームキューブじゃないか」

瀬那「うん。舞那が買ってくれた」

「ええ家族や……」

優「で、何すんだ? ピクミンだっけか?」

瀬那「やっぱりどうぶつの森がいいかな」

「また懐かしいものを」

瑠衣「久しぶりだなぁ」

「瑠衣もやってたのか」

瑠衣「うん! ゲームって楽しいもん」

「ほうほう。ならば瑠衣の部屋を覗いてやる。ゴキブリいないだろうな」

瑠衣「! い、いないよ多分」

瀬那「おじゃましまーす」

『ガチャッ、キィィバタン』

「……」

優「……」

瀬那「……」

瑠衣「ど、どう?」ドキドキ

「え、いや、何というか……そこら中に魚……スズキが飾ってあるのはどうしてなの……?」

瑠衣「え、あ、これは、海で釣ったヤツだよ」

「それは分かる。何で全部飾ってんだ」

瑠衣「……、だって、かわいいし。逃がしたくないし売りたくないんだもん」

「もったいないから飼ってるわけか」

瑠衣「うん」

「お前を飼ってやろうか!?」

瑠衣「!?」

優「姉貴の家はどんなんだ?」

瀬那「ちょっと待ってね」

瀬那「ほら、ここ」

優「……お、おう」

「ファミコンしか置いてないね」

瀬那「どう? 私の部屋はいつでもゲームができる」フフン

「東京ゲームショウかよ。同じゲームばっかりあるし」

瀬那「ゼルダの伝説が好き」

優「パンチアウトだろ」

「ドンキーコングしかないだろうが!」

瑠衣「クルクルランドD……」

「舞那の家も見てみようか」

優「どうせきったねぇ家なんだろうよ。現実がそうだしな」

瀬那「優だって、この前グラビア雑誌が机の上に——」

優「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「うるさいよ!」

瑠衣「どうしたの?」

「ダメだ瑠衣。お前にはまだ早い。ゆっくり時間をかけて知っていこうな」

瑠衣「え?」

「いかん鼻血が」

舞那「皆! 聞いた!?」ドタバタ

瀬那「あ、舞那おかえり」

「聞いたって何を? てか何でそんな慌ててんだ」

舞那「さっきね! あのね! えっと!」

瑠衣「お、落ち着いて舞那姉さん」

舞那「アキバズトリップが漫画化だって!」

瀬那「え」

瑠衣「え」

優「え」

「マジ?」

瑠衣「ところで、あきばずとりっぷって何?」

舞那「知らない」

優「じゃあ何でそんな慌ててきたんだよ……」

舞那「え、な、なんかあたし達にとって重大ニュースな気がして」

瀬那「何となく分かる気がする」

「……」

「……瑠衣が……かわいい瑠衣が漫画で見られるのか……胸が熱くなるな」

瑠衣「どうしたの? ナナシ」

「え、いや! 何でも!」

「ちょっと、出かけてくる」

瑠衣「え?」

「皆はゲームキューブで楽しんでてくれ!」ダダダダダダ

瑠衣「ちょっ……ナナシ!」

 芳林公園

「はぁっはぁっ」

瀬嶋息子「そろそろ来る頃だと思ってたぞ」

「いると思ったぜ」

瀬嶋息子「……」

「……」

瀬嶋息子「アキバズトリップが!!!」

「漫画家だって!!!」

ナナシ・瀬嶋息子「ウエェェエエエエエエエイ!!!!!!!」ガシッ

まだ終わらんよ

×漫画家
○漫画化


「漫画だぜ! どうなると思う!」

瀬嶋息子「漫画だろう? ならば文月瑠衣が……あの艶やかな黒髪と美しい白肌が……何枚もの紙に描かれる!!」

「それは!」

瀬嶋息子「すなわち!」

「ふ」

瀬嶋息子「み」

「づ」

瀬嶋息子「き」

「る」

瀬嶋息子「い」

「を」

ナナシ・瀬嶋息子「永久に保存できるということだあぁあぁぁぁぁあぁあ!!!」

「ふっふぅ! バカ野郎っ」ドガッ

瀬嶋息子「ぶほぉ! やったなクソが!」ボゴォ

「ぐへぁ! こいつめ!」ドガァ

瀬嶋息子「バハァ!」

「はっはっは」

瀬嶋息子「ふっふっふ」

「やったぜ!」

瀬嶋息子「やったな!」

「次はゲーム第二弾だな! そしてゆくゆくはアニメ化……映画化……!!」

瀬嶋息子「実写化は?」

「ダメだ。瑠衣役の天使なんているわけない。強いて言うなら日笠陽子さんくらいか」

瀬嶋息子「だな」

瀬嶋息子「しかし、オマエが羨ましい。本物の瑠衣たんを愛でることができるなんて……」

「ふふふ。瑠衣は俺が守る。瑠衣は絶対に渡さない。一生愛すと決めたんだ」

瀬嶋息子「一生アイスって辛くないか?」

「一生愛すだバカ」

瀬嶋息子「私なぞ、ツイッターで瑠衣botに『かわいい』ってリプ送って『……もう』って返事もらって悶えてるんだぞ」

「それは分かる。凄い分かる」

瀬嶋息子「うぅ……悲しい。羨ましいぞクソがぁ!」

「同情はするが、それで瑠衣をどうこうなんて絶対しないからな。運が悪かったと諦めろ」

瀬嶋息子「ググググ……くそぅううう」

「それと、もう一つ悲しい報せがある」

瀬嶋息子「な、何だ」

「お前は漫画に出られない」

瀬嶋息子「へ?」

「お前は漫画に出られない」

瀬嶋息子「な、なぜ……?」

「だってお前ゲーム出てこないし」

瀬嶋息子「」

「残念だったな。骨は埋めてやる」

瀬嶋息子「死んでないから!」

「まあ気にするな。瑠衣に実際に会いたいのに会えない人だってたくさんいるんだぞ」

「それに比べたらお前……瑠衣を拘束したり手で口を塞いだりやりたい放題じゃねーか」

瀬嶋息子「む……確かに」

「瑠衣ファンに暗殺されても知らんぞ」

瀬嶋息子「怖いことを言うな! 大体、それを言うならオマエこそそうだろう!」

「俺はいわゆるプレイヤーの感情移入キャラだから大丈夫なんだよ!」

瀬嶋「貴様ら……」

「!?」

瀬嶋息子「ち、父上!」

瀬嶋「よく聞け。アキバズトリップがリメイクされるそうだ」

「マジで!?」

瀬嶋息子「な、何てことだ……アキバズトリップッシュか」

「何言ってんのお前。つーか瀬嶋は何回蘇れば気が済むんだよ!」

瀬嶋「瀬嶋は滅びぬ。何度でも蘇るさ!」

瀬嶋「まぁしかし、あんまり評判は良くないみたいだな」

「そりゃそうだ。ゲームシステムは下の下だったからな。俺からしてみれば瑠衣とダブプリを愛でるだけのゲームだったし」

瀬嶋息子「キャラでブヒると言ってもグラフィックが残念すぎた」

「いわゆるクソゲーだよ。バグ、処理落ち、フリーズ、操作性の悪さ……どんだけ手を抜いて作ったんだと言いたい」

瀬嶋息子「つまり今までのアキバズトリップには、文月瑠衣とダブプリ以外に良要素がなかったわけだ」

「瑠衣という素晴らしいキャラがいるのにゲームそのものが残念すぎた!!」

瀬嶋息子「文月瑠衣がいなければ!」

「アキバズトリップは死んでいた!!」

「だがもういい。それはいいんだ。あのクソ長いロードにも慣れてしまった」

瀬嶋息子「ああ。セーブせずに進めて行って屋上でフリーズしたあの瞬間も、今となっては懐かしい」

「瑠衣がフルボイス!!! ダブプリのアニメーション!!!」

瀬嶋息子「ファーストキス云々のシーンに声がつくというだけで!!!」

「俺たちは生きていける!!!」

瀬嶋「貴様ら」

「何だ!!」

瀬嶋息子「どうした父上!!」

瀬嶋「気持ち悪い」

「ああああ!? お前は嬉しくないのか! 色白のジジイとか気色悪いんだよクソ瀬嶋!!」

瀬嶋「誰がクソ瀬嶋だ。他の者にボイスなど必要ない。私だけにボイスがつけば良いのだ」

「そんな渋いゲームやりたくない!」

瀬嶋息子「わ、私は……」

「お前は出ることすらできないって」

瀬嶋息子「」

瀬嶋「息子よ。お前にはまだ早いのだよ」

瀬嶋息子「そ、そんな、父上!」

瀬嶋「悔しければ私を倒してみるがいい」

瀬嶋息子「そ、そんな! 私が父上に敵うわけないでしょう!」

「本人の前だと腰低っ。親父だの何だの言ってたくせに」

瀬嶋息子「ぐぁ! バラすなよ!」

瀬嶋「貴様も言うようになったな息子。ほら、かかってこい」

瀬嶋息子「くッ……!」

「俺は帰っていいよね。今すぐ瑠衣にルパンダイブしたい気分だ」

瀬嶋「こい!」

瀬嶋息子「せいやあああ!」

「聞いてないし」

「それにしても、リメイク版か。フルボイスか。どうせならシステムも作り直してほしいが」

「あとNIROルート。これはいらん。消せ。消してその分の容量を他に回すんだ」

「でも、でも……ニヤニヤシーンがフルボイス……みなぎってきたぞ……」

「ウッハアアアアアアアアアアアア!!! るっイイイイイイイイイイイ!!! フォアアアアアアアアアアア!!!」

師匠「嬉しそうねナナシ」

「ええもう嬉しいですよそりゃあっ……! ……え」

師匠「久しぶりだわ。しばらく見ない内に立派になったわね」

「師匠! 師匠じゃないですか!」

師匠って今まで出てきたっけ?

師匠「随分と色々なことがあったようね。お疲れ様」

「いえいえ本当。師匠が瀬嶋を止めればよかったんじゃねってくらい大変でしたよ」

師匠「私が動くまでもない男よ、瀬嶋隆二は。あんな奴やカゲヤシが私に敵うはずないでしょう?」

「まあ、そりゃそうですけど。俺だって師匠と戦ったとき死に掛けましたし」

師匠「あのときのあなたは素敵だったわよ。まさか私より強いなんてね……」

「あと、師匠並に強い子がもう一人いたんです。スズナっていう、妹の友達で……」

師匠「手術のために募金してた子でしょう? あの子も相当の手練ね」

>>572
多分初めて


師匠「それで、急いでるようだけど、どうしたの?」

「ああ、えっと、瑠衣に会いに……」

師匠「お盛んな時期なのかしら」

「いやそういうわけじゃ……好きな人にはいつだって会いたいもんですよ」

師匠「あなた如きの男に恋愛について説かれたくないわよ」

「失礼しましたっ! じゃあ、ここら辺で」

師匠「ええ。引き止めて悪かったわね。それじゃ、また会いましょう」

「うっす!」

「ルゥウウウウウイイイイイィイィイ!!」

瑠衣「!?」

「瑠衣、好きです!」

瑠衣「へっ!? う、うん……私も……好き」////

「愛を奏でよう、カゲヤシセッションだ!」

舞那「何いきなり現れたと思ったらイチャイチャしてんだ!」

「ウ、オオ!? 舞那? 舞那なのか? 何かさらにかわいくなってないか?」

舞那「は? えっ、ちょ……そんなこと」////

瀬那(舞那って単純)

「カゲ」

瑠衣「ヤシっ」

「カゲカゲ」

瑠衣「ヤシヤシっ」

舞那「何やってんの!?」

「カゲヤシセッション中だ。静かにしてろ」

舞那「何言ってんの!?」

「ふぅ。しかしアキバズトリッププラスとは……俺たちがやってたどうぶつの森プラスが伏線になってたんだな。プラス繋がりで」

舞那「ナナシ、頭おかしくなっちゃった……? いや、元々おかしいけど」

「何だと!」

「それにしても、困った……」

瑠衣「ど、どうしたの?」

「……金がない」

瑠衣「え?」

「金がないんだ。ゲームをやりたいのに金がないんだ。ありえねぇ! これから色々発売するのに!」

瑠衣「お金といえば、ナナシが料理を教えてくれたときに授業料として払ってたよね。使っちゃったの?」

「使ってるわけないだろう!」

瑠衣「えっ」

「瑠衣が懐に入れていた札だ! お守りとして肌身離さず持ってる!」

瑠衣「え、え、そ、そうなんだ」

瑠衣(そんなに私のことを……ナナシ)/////

舞那「ドン引きレベルだ」

「うぅ、これからポケモンとかダンガンロンパとか出るのに……」

瑠衣「……私が買おうか?」

「いやそれはダメだ。女の子に欲しいモノを買わせるなんて男が廃る」

「瑠衣はその金でたくさん卵を買うんだ。好きだろ?」

瑠衣「す、好きだけど……」

「黄身と白身で満たされた風呂に肩まで浸かりたいだろ?」

瑠衣「それはちょっと気持ち悪いかも!」

鈴「それはとっても良いアイデアです!」

「!?」

優「お、お前どっから……」

鈴「卵もいいですけど、そうだ、カロリーメイトを粉砕して温泉の素にするというのは!」

「溶けないと思うよ!」

鈴「お風呂に入りながら食事も済ませられますね……えへへへ! 素晴らしいです!」

舞那「自分のダシが出たお風呂なんて飲みたくないよ……」

瀬那「あなたもどんな発想なのそれ……」

優「ったく、急に出てきたと思ったらわけわかんねぇこと語り出しやがって……」

優「そういうお前の食い意地、嫌いじゃねぇけど」ボソッ

鈴「えっ」ドキッ

鈴「優さん……?」////

優「ガッ、な、何でもねーよ!」////

「わぁ微笑ましい」

鈴「あっあのっ……優さん! よかったらこれからお食事でも、ど、どうですか?」

優「あ!? あ、ああ! そうだな! そーいや腹減ってきたぜ。いっちょ行くか!」

鈴「とっても美味しいお店見つけたんですよ! 実は優さんに食べてもらいたくて……」

優「そ、そうか。ならそこにするかなぁハハハ。は、早く行こうぜ!」

\イッパイタベテクダサイネ/\コッチノセリフダゼ/

舞那「……」

瀬那「……」

瑠衣「鈴、何か楽しそうだったね。良いことでもあったのかな?」

「……彼女は青い春を全力でエンジョイしているんだ」

瑠衣「へ?」

「俺は……俺は……瑠衣ッ!!」ガシッ

瑠衣「ふぇ」

「今からあなたにキスします」

瑠衣「へ!?」////

舞那「なっ……」

「んー……」クチュクチュペロペロ

瑠衣「んっ……! んぅ……!」/////

「〜〜〜」

瑠衣「んぅっぁ……」//////

瀬那「どうしてこうなった」

瑠衣「ぁ……な、ななし……」////

「瑠衣……苦しかったか?」

瑠衣「ぃ、ぃゃ……」//////

舞那「ナナシィイイアアアアア!!!!」

「どうした舞那」

舞那「どうしたもこうしたも赤沢もあるかあああああああああああ!!!」

瀬那「アカザー……?」

舞那「お前はここで徹底的に叩きのめす必要がある!! 覚悟しろナナシ!!」

「いいだろう。お前と戦うのは久しぶりだな」スッ

「だが俺に勝てると思ってるのか?」

舞那「人間如きガ調子に乗るな! あたし達カゲヤシの力、お前なら痛いくらい分かるだろう!」

瀬那「この前、ナナシ>>>>瀬嶋息子>>>>舞那って決まっちゃったじゃない。先が見える戦いになってるわよ」

舞那「姉さん薄情だなあああああああ!!! あれは手加減してやっただけだからね!!」

瀬那「ふぅ……じゃあ私はお茶でも淹れてくるから」

舞那「妹の戦いの合間にお茶してくるってどんな姉!? せめて妹の散り際くらい見てってよ!」

瀬那「あなたも負けるって思ってるじゃない……」

瑠衣「やめてよ二人とも! だから喧嘩はダメだってば!」

「……」ジー

舞那「……」ジー

瑠衣「ひっ……な、なに……?」

「瑠衣。お前、ひ弱になったな」

瑠衣「えッ」

舞那「あたし達と対立してた頃のあんたは、もっと噛み付く性格じゃなかったっけ?」

瑠衣「えッ」

「皆何もかも懐かしい……」

舞那「そうだね……」

瑠衣「遠い目しないで! 私は昔と変わってないって!」

「ふふふ。こんなこともあろうかと、ヤタベさんにこんなものを作ってもらったぞ」

瑠衣「!?」

「その名も『少し前の自分に戻れるクスリ』だ。効果は五分間だけだが、十分な時間だな」

舞那「ヤタベさん凄いな」

「さあ、あーんして。カメラも回したから」

瑠衣「う、うう……」

「どうしたの? 飲まないの?」

瑠衣「だ、だって、私は変わらないよ」

「飲めば証拠になるよ? なのに飲まないってことは、やっぱり自信がないのかな?」

瑠衣「あぅぅ……」

「そっか。瑠衣は口先までもひ弱に……」

瑠衣「ち、ちがうっ」

「瑠衣のこと……嫌いになるかも……」

瑠衣「ッッッ!!!!!」

瑠衣「ごめんなさい飲みます飲ませてください早く早くハヤクハヤクハヤク」

「う、うそだよ瑠衣! 絶対、瑠衣のこと嫌いにならないからね!! これだけは絶対だ!!」

瑠衣「……うん」///

(瑠衣、ヤンデレになってきてる。でもそれだけ俺は好かれてるってことだよな……)ドキドキ

「……さ、さあ飲んで」

瑠衣「……」ゴクリ

瑠衣「」ズーン

舞那「……効いてるのかな?」

「すぐに効果が現れるらしいから、多分もう……」

瑠衣「」ズーン

瑠衣「」

瑠衣「……ん」

「あ、瑠衣。どう? 気分悪いとかない?」

瑠衣「……。キミか。私に何か用?」

「えっ」

舞那「何を言ってるんだ?」

瑠衣「! 舞那姉さん……」

舞那「な、何?」

瑠衣「何でもないよ。キミ、ちょっと来て」スッ

「うわっ。え、あ、どこへ?」

瑠衣「外。ここは空気が悪い」

舞那(何か凄い怖いんだけど)

「ま、待って、そんなに急がなくても」

瑠衣「早く来て」

(カメラ持ってかないと……)ゴソゴソ

 UD+

「瑠衣、怒ってる?」

瑠衣「何故?」

「え、いや、怖いから」

瑠衣「私は普段からこんな感じ。あと、何で私の名前を知っているの?」

「……だって俺、瑠衣の恋人だし」

瑠衣「は? こいび……え? キミは何を言っているの?」

「間違えたごめん、未来の話だった」

瑠衣「? ……そう。残念だけど、私は戦わなければならないから」

「……」

(前の瑠衣は……こんなにも周りに冷淡か……いや、辛い経験とあの状況に押しつぶされるのを避けるための……)

「瑠衣……」ギュッ

瑠衣「!?」

瑠衣「な、ななな、なにをッ……!!」

「だって……瑠衣が……」

瑠衣「私が何ッ!? そんなに私に干渉したいッ? それともNIROの手先なのッ?」

「ち、ちが……」

瑠衣「キミを助けたのは間違いだった。こんなにも愚かな人間だったなんて……」スッ

「お、おい……?」

瑠衣「私の行く道を邪魔しないで。もう私のことは忘れて。……多分、言っても聞かないだろうから、痛みで分からせてあげる」

瑠衣「さあ、来なさい!」

「ッ……」

(あと一分……)

瑠衣「はッ!」フンッ

「ぬゥ……!」

瑠衣「くらえッ!」バスッ

(瑠衣にガチの敵意と殺意を向けられてる……何だこの気持ち……)

(俺そのものを否定されたような……もう……死ぬ寸前のような……)

瑠衣「どうしたの? 攻撃を防ぐので精一杯?」

「……俺は……」

瑠衣「……何?」

「俺はアアアアアアアア!!!」

瑠衣「っ!?」

「ダメだああああああああああ!! 瑠衣瑠衣瑠衣瑠衣!!」ギュゥゥゥゥ

瑠衣「ひぁッ……は、はなせッ……!!」ググググ

「やっぱり昔の瑠衣はッ! 怖いッ!! 人間とカゲヤシの共存という目標のために、他の大事なことを壊しすぎてる!!」

瑠衣「!! 何故キミが私の理想を……知っているの……!?」

「だから言ってるだろうが! 俺は瑠衣の恋人になる男だ! 知らないことなんてないんだよ! 文月瑠衣!!」

瑠衣「——」

「俺と瑠衣はこれから、立場的には敵対するが、俺は常に瑠衣のことを想っていて、最後には自分の仲間を切り捨ててでも瑠衣に協力する!」

「そして、妖主も、NIROのボスも、二人で協力して倒して、理想を遂げるんだアアア!!!」

瑠衣「……」

瑠衣「……ん、あれ……?」

「え」

瑠衣「……ナナシ? って何で抱きついてるのッ」/////

「……瑠衣、元に戻った?」

瑠衣「え? ……あ、そういえばクスリを飲んだんだった……」

「うわぁぁああああ瑠衣だぁあああああああああフッフホォオオオオオオ!!」

瑠衣「お、おちついてナナシっ」

「怖かったぞちくしょうがああああああ!! 昔の瑠衣と今の瑠衣……姿は同じでも信じるモノの違いが大きすぎだ!!」

瑠衣「ど、どういうこと?」

「とにかく、アジトに戻ってビデモを見てみよう」

初期瑠衣とはいえ、ちょっと性格がきつ過ぎな気が……薬のせいか?

>>620
ビデモじゃなくてビデオだね恥ずかしい誤字だね

>>624
瑠衣ちゃんはナナシの異常な言動に苛立っていたのだ

舞那「あ、どうだった?」

「怖かった」

舞那「半泣き……そんなに怖かったの?」

「怖かった」

瀬那「ナナシも瑠衣も、紅茶よ」スッ

「うぅぅありがとう」

瑠衣「ありがとう姉さん」

「さて、ビデオを再生しよう」ズズッ

瑠衣「な、何か緊張する……」

 ビデオ再生中

舞那「……」

瀬那「……」

瑠衣「……」

「貞子3Dを凌駕する怖さだ」

瑠衣「あ、わ、わ……私こんな……」

瀬那「こんなにキツい性格だった……?」

舞那「あんまり覚えてないかも……」

瑠衣「舞那姉さんごめんなさい! あんな悪態ついたりして!」

舞那「い、いや、別にいいんだけどさ」

瑠衣「ナナシもごめんねっ! 嫌いにならないでねっ!!」

「なるわけないだろ! もし瑠衣に手足をもがれても嫌いになったりしない!」

瑠衣「ナナシ……」///

「たとえっ……瑠衣に身体を真っ二つにされようとも、半々で瑠衣を愛し続ける!」

舞那「お前の中の瑠衣が一番怖いって」

瑠衣「うー……それにしても本当にちょっと前の私ってこんなだったんだ」

瀬那「ピリピリしてた頃だからね。私たちやママだって、こんな感じだったかも知れない」

瑠衣「……戦いが終わったっていうのは、本当に素敵なことなんだね」

瀬那「そうね。カゲヤシとして、カゲヤシと人間を両立させようとした瑠衣と、逆の立場でも同じ志だったナナシは、両種の救世主だよ」

瀬那「カゲヤシも人間も、きっと二人には心から感謝してる」

瑠衣「瀬那姉さん……」

<たのもーーーーーッ!!

舞那・瀬那「!?」

瑠衣「だ、誰?」

「……この声、あいつしかいないよぅ。やだよぅ」

<ウオッアアアアアアアアアア!! 何だオマエ!!

<確かにあの男の面影があるわね。遺恨試合でもしに来たのかしら?

<私は文月瑠衣に用があって来——ぐおぁ! 何をするか!

<やっぱり私の娘が目当てね。あなた自体に恨みはないけれど、そちらから仕掛けてくるなら容赦はしないわ

<なるほどオマエは文月瑠衣の母親……姉小路怜……妖主だな! 親父がさんざ世話になったようじゃないか

<あなたもあの愚かな瀬嶋のように殺してあげるわ。カゲヤシを殺すより人間を殺す方が残酷な光景になるけれど

<面白い。来い!

「何か大変なことになってる」

瀬那「舞那! ママが帰ってきたわ。早く片付けなきゃ!」

舞那「う、うん!」

「お前らママが戦ってるのに呑気に部屋の片付けするの!?」

瀬那「こんなだらしない部屋を見せるわけにはいかないから!」

「……。瑠衣、俺たちは二人の所に」

瑠衣「うん!」




怜「ふぅん。なかなかやるじゃない」

瀬嶋息子「はんっ。カゲヤシの頭といえどこの程度か。嘆かわしいぞ姉小路」

瑠衣「母さん!」

怜「あら瑠衣。ナナシも。今、人間とカゲヤシの共生を妨害する存在と戦っているところよ。大人しくしてなさいな」

「いや、あの、そいつはほっといても大丈夫だよ。ただのバカだから」

怜「? こいつと面識あるの?」

瀬嶋息子「調子乗んじゃねーぞ、くそったれ主人公!」

瑠衣「瀬嶋息子もやめて! 母さんは本当に強いんだよ!」

瀬嶋息子「……」

瀬嶋息子「ふむ、今日は、引き下がるとしよう」

「何だこいつ。暇なら定職して働けカス」

怜「あなたも人のこと言えないでしょうに」

「お、俺は……仕事に時間を費やすくらいなら一分一秒でも長く瑠衣の近くにいたいんだ」

瑠衣「……」////

瀬嶋息子「爆発しろ!!」

瀬島息子しつこいとこがあるなw 親父の遺伝...か そういえば隆ニ(親父)どうなったの? 御堂はあの爆発でしんだのかな? うーん気になる とりあえず乙です

>>632
瀬嶋と御堂はどこかでひっそりと生きてます……

 ナナシの家

「ただいまぁ」

妹「おかえり。ご飯できてるから」

「おーうサンキュー。美味しくいただきますよ」

妹「今日はまた随分と疲れたご様子で」

「うん、まあ、色々あって……」

妹「毎日がエブリデイだね」

「そだね」

妹「どんだけ疲れてんの……」

「ふぅー……満腹でござる……」ドサァ

「ふかふかベッドで寝られる俺は……幸せ者なのだな」シミジミ

「……」

「もうこんな時間なのか」

「パソコンとテレビのダブルスイッチだぜ」ポチッポチッ

『見崎ぃ!』
『榊原君!』

「Anotherだ」

「多々良さんってちょっと瑠衣に似てるよね。可愛い」

「お、起動したか。ネットネット〜♪」

「ピクシブ……『文月瑠衣 R-18』と」カチャカチャ

妹「兄貴ー、入るよ」ガチャッ

「ウオアオアオアアッ!!? ノックしてから入れよ!!」カチャカチャカチャ

妹「? 何でそんなに慌ててんの?」

「……特に理由はないけどさ」

妹「怪しい……。ま、いいや。ちょっと、アレ貸して。キノの旅」

「キノ? どうした急に」

妹「ライトノベルに興味が出てきてさ。友達にオススメ聞いたら、キノの旅がメジャーだって」

「まあ確かに。安定してる作品だな」

妹「私、学校の図書館とかで借りるのあんまり好きじゃないんだよね。いい?」

「ほいこれ。とりあえず一巻貸すよ」

妹「あんがと。あと、ちょっとパソコン見せてくれる?」

「へ? な、なんで?」

妹「何か怪しいから」

「怪しくないって!」

妹「……」

妹「そりゃっ」カチッ

「ひゃああっ!?」

妹「……」

妹「……変態」

「はぐぅあッ!」グサッ

妹「うわぁ引くわぁないわぁ」

「黙れ黙れ! お金欲しさにいくつかも分からないおっさんと部屋でギシギシアンアンしてた奴に言われたくない!」

妹「だあああああっ!! その話はすんなああああああっ!!!」ウガー

「しかも今はあいつの息子に振り回されるし……何の因果だよクソ」

妹「もういいもん。スズナちゃんの手術が成功したから……お金はいらないんだ」

「良い話を持ち出して話題を変えようとしてるのバレバレ」

妹「うるさい! いいよもうキノ読んでくる!」

「あんまり夜更かしするなよ」

妹「あんたに言われたくないよ……」

 朝

妹「いつまで寝てんの! 早く起きろクソ兄貴!」ガチャッ

妹「!? えっえっ……? な、なんで床に倒れてるのよ! ちょっと、お兄ちゃん!」

妹「うあぁぁあ、あぁあぁ、救急車! そだ、救急車だよ!」

妹「あっ、もしもし! えっとですね、あの——」

 病院

父「先生っ! 息子はっ……息子は大丈夫なんですか!!」

御堂「……これは、疲労が原因ですね」

父「えっ!?」

御堂「ナナs……ゴホン、息子さん、大分疲れている様子です。少しは休ませてあげるべきでしょう」

父「……こいつはそんなにも就活を頑張っていたのか……。気づいてやれなかった私は……父親失格だ」

母「そんなことありませんよ父さんっ」

妹「そうだよ! お兄ちゃんだって、体力のない身体でちょっと頑張りすぎちゃっただけだから……」

父「……すまない」

御堂「……」

「……」

「……」

「……」

「……ん」

御堂「ようやくお目覚めですか」

「あ……御堂……」

御堂「お久しぶりです。まさかこんな形で再会することになるとは思いませんでした」

「……。ここ、どこだ?」

御堂「病院です。ナナシさんが今朝、自室で倒れているのを、妹さんが発見して救急車を呼んでくれたんですよ」

「ま、まじで……?」

「……」

「妹はいないのか……?」

御堂「ご両親とお見舞いに来られましたが、先程お帰りになりました」

「……そうか。お礼、言っとかなきゃ……」

御堂「まだ安静にしていてくださいね。どうやら、ナナシさんの身体に限界が来ていたようですから」

「限界?」

御堂「ええ。きっとあなたは、人間の身体に戻っても、何者かと戦い続けてきたのでしょう?」

「……まあ、うん」

御堂「カゲヤシならまだしも、あなたの肉体は人間のそれです。カゲヤシ状態と同じ勢いで酷使しすぎましたね」

(大方は瀬嶋息子のせいだな)

御堂「誰か、連絡をつけたい方はいますか? 一応、携帯は預かってあります」

「もちろん」

御堂「……瑠衣さんですか?」

「いや、違う」

御堂「え。何故?」

「心配かけたくないんだ。家族にかけるよ」

御堂「分かりました。どうぞ」

「おう……」

「——」

「——」

「——」

 二時間後

(ふー……暇だなぁ。パソコンでもあれば……)

瀬嶋息子「ナナシ、見舞いに来てやったぞ」

「!?」

瀬嶋息子「ははは! オマエそれ、何てザマだ! ザーコザーコ!」

「病院内では静かにしろ」

瀬嶋息子「す、すまん……」

瀬嶋息子「あ、そうだ。街中でダブプリを見かけたから、このことを知らせておいたぞ」

「何やってんのお前! ていうか何でこのこと知ってたんだよ!」

瀬嶋息子「私は瀬嶋隆二の息子だぞ? 手に入れられぬ情報などない」

「その理屈はおかしい」

舞那「ナナシ!! 大丈夫!? 大丈夫なの!!?」ドタバタ

瀬那「ちょっ、舞那っ……病院の中だよ。静かにしなさい」

舞那「ご、ごめんなさい姉さんっ。でも、ナナシがっ」

瀬那「心配なのは分かるけど、感情に流されてはダメ。自分をコントロールできるようにならなければいけないの」

舞那「うん。分かった」

瀬那「まずは深呼吸から。はい、すぅーはぁー」

舞那「すぅーはぁー」

瀬那「すぅすぅはぁはぁ」

舞那「すぅすぅはぁはぁ」

「いいから早くこっち来いよ」

舞那「ナナシぃ……死んでなかった……よかった……」

瀬嶋息子(デレデレだなこの娘は)

「死なないよ。もういざとなりゃ人間やめてやる。本当にカゲヤシになってもいいって最近思うようになった」

瀬嶋息子「……本気か?」

「ああ。だって、自警団の皆や家族と過ごすのも、もちろん楽しいけど……それ以上にカゲヤシの皆とふれ合う時間は至福のひとときなんだ」

瀬那「……」

舞那「……」

瀬嶋息子「死せる肉体を持っているからこそ、我々は生きているのだぞ」

「不老不死になるとか言ってるわけじゃないよ。ただ、人間はカゲヤシと比べて、あまりに死が訪れるのが早すぎる」

「少しでも長く皆と一緒にいたいって、そう思ってるだけだ」

「大体、カゲヤシだっていつかは死ぬ。遅いか早いかの違いだろ」

瀬嶋息子「もののけ姫で似たようなセリフを聞いた」

「ジコ坊好きなんだもん」

舞那「……姉さん」

瀬那「ん……」

舞那「感動したよぉぉお」ギュゥゥゥ

瀬那「わっ。……うん、私も感動したよ」ギュゥゥゥ

舞那「瑠衣以上に人間とカゲヤシのなんやかんやを理解できてるよナナシぃ」

瀬那「全然上手く言えてないけど言いたいことはよく分かる」

瀬嶋息子「ふっ……好きにすればいいさ」

(ああ……瑠衣に会いたくなってきた)

(公式の瑠衣ボイス可愛すぎる……反則だろあれ)

(瑠衣って……瑠威って……)

(天使だよな……)

>>657
あああああああああああああああああああああああああああああああ瑠威じゃなくて瑠衣だああああああああああああああ
ごめんなさい瑠衣ちゃんごめんなさい誤字ったこのクソPCのクソ変換がクソだからだよごめんね瑠衣ちゃんごめんなさい

 その夜

「……しかし、医者になっているとは」

御堂「NIROで得た知識をさらに活用できないかと模索しているところです」

「あ、瀬嶋息子には会った?」

御堂「はい?」

「瀬嶋、息子がいたんだよ。良い奴なのか悪い奴なのか分かんないけど」

御堂「そ、そうだったんですか……そういえば廊下ですれ違ったあの男……瀬嶋によく似ていたような」

「服装まで似てるからな」

御堂「まあ、何もなければいいと思います。瀬嶋も生存している噂はよく耳にしますが、特に悪事を働いている様子もないようですし」

「そだな。警戒だけは怠らないようにしよう」

御堂「はい。——そろそろ寝た方がいいですよ。疲れをとって、瑠衣さんに元気な顔を見せてあげてください」

「ああ。ありがとう」

「……Zzz」




瑠衣「ナナシっ!」

「はわっ! る、瑠衣!」

瑠衣「踏んでやる! 踏んでやるんだから!」ゲシッゲシッ

「ぃゃぁっ……ゃぁぁぁ……////」

瑠衣「ええぃ、これでもかっ! これでもかっ!」ガシッガシッ

「ひゃぁぁああ/////」




「……夢か」

「凄く懐かしい夢を見た気分」

瑠衣「おはよ、ナナシ」

「あ、瑠衣おはよう」

「……」

「何でここにいるのですか!!!?」

瑠衣「さっき、喫茶店の準備を手伝ってたら、瀬嶋息子が教えてくれたんだ」

(あのバカ野郎!!)

瑠衣「……ナナシ……」バサッ

「わっ!! 瑠衣さん……!? 急に抱きつくとか反則では……!!?」

瑠衣「心配したんだよっ……ナナシっ」ギュゥゥゥ

「あわわわわわわわわわわわわ」

(良い匂い!! 柔らかい!! もふもふ!! 俺童貞!!)キャー

(ぬぅぅぅ……しかしこれ俺じゃなかったら骨バキバキになってるぞ。力加減知らずに抱きしめられてる感ががが)

(もう僕の身体は、ほぼカゲヤシと化しているのではないでしょうか……)

瑠衣「うぅぅ」ギュゥゥゥゥ

(……)ナデナデ

瑠衣「あぅぅ////」

(うむ、可愛い)

(……でもな、こんなに心配させてしまうとは。瀬嶋息子はあとで八つ裂きにするしかない)

瑠衣「ナナシっ」

「あ、は、はいっ?」

瑠衣「何かお話しよ?」

「お話か。うん、いいよ」

瑠衣「……このままでいい?」ギュゥゥ

「え、う、うん」

(抱きつかれて、常に上目遣いだと……これは照れるどころの騒ぎじゃないぞ……)

瑠衣「どうしたの?」

「も、問題ない。オールグリーン」

瑠衣「いやレッドだよ。何だか顔が赤い。熱が出てきたのかな……?」

「あぁぁ、そうだったとしても、具合が悪いとかの熱じゃないから大丈夫さ」

瑠衣「……もしかして、照れてる?」ニヤニヤ

「うッ」ドキリ

瑠衣「あはは。図星だー♪」

(ギャアアア恥ずかしい! 何かもう穴があったら入りたい!! 卑猥な意味じゃなくて普通に!!)

瑠衣「ナナシ、可愛い♪」

「ハズカシイヨ」

瑠衣「……よかった。もうすっかり元気になったね」

「まあ、そうだな。体力ゲージ満タン」

瑠衣「私、ね、ナナシ。ナナシの辛そうな顔を見ると、私も辛くなるんだ」

瑠衣「だから……笑ってほしいな」

「……」

「瑠衣ぃ……」グスッ

瑠衣「ああっナナシ! 泣かないで泣かないでっ」アセアセ

「うぅぅううう!」ニコッ

瑠衣「わ、笑ってるけど笑えてないよ……」

「る、瑠衣だけじゃない。俺だって、瑠衣が辛そうな顔は見たくないよ」

「ほら、笑ってくれ」

瑠衣「は、はずかしいけど……///」

瑠衣「ん///」ニコッ

「きゃわわわわわわわわわわわ!!」

瑠衣「!?」

「その笑顔だけで一生食っていけるレベル!! いや売ったらダメだその笑顔は俺だけのものだ絶対に誰にもワタサナイフフッハハハ」

瑠衣「目の色が消えてる! 大丈夫!?」

「フゥー……フゥー……瑠衣の笑顔があまりに可愛すぎて理性を失ってしまった」

瑠衣「もう……///」

瑠衣「そ、そだ。ご飯持ってきたんだよ」

「え」

瑠衣「食欲ないかな……? 保存食が作れればよかったんだけど……」

「あ、ありがとう瑠衣! 食べます! いますぐに!」

瑠衣「えっあっ、う、うん! どうぞっ」スッ

「TKG!!!」

瑠衣「うん! TKG!」

「では、いただきます——」

「……」

「……ふぁぁあ」

瑠衣「ぅぅ」ドキドキ

「TKG。卵かけご飯。他、多くの別称で庶民から愛されている卵料理。子どもから大人まで手軽に作ることができる故、その料理法も十人十色、千差万別」

瑠衣「ナ、ナナシ?」

「地方やヒトによって呼び名が変わるのは、知名度と親しみやすさの証。世界中で愛されるTKG。俺、そして瑠衣もまた例外ではない。むしろ瑠衣は、卵が大好物かも知れないとまで言っている」

瑠衣「あ、あの……」

「本来、料理に点数などつけるべきではない。料理の評価というものは、個人の味覚の領域に縛られてはならない。大勢の人々に美味い料理を出すために、料理評論家は必要とされるが」

「……あえて、この料理に百点満点で点数をつけるのであれば——」

「文月瑠衣のTKGは……百点だッ!!」

瑠衣「……」

「あ、あれ? どうしたの?」

瑠衣「何て反応すればいい……?」オロオロ

「ギャアアアアアアもうオロオロしてる瑠衣が可愛すぎるから反応なんて気にするな!!」

「そうだ! 退院したら味噌汁の作り方を教える!」

瑠衣「あ、いろいろあって結局うやむやになってたよね」

「うん。瑠衣が良いお嫁さんになるためには欠かせない課題なのにな」

瑠衣「恥ずかしいよ///」

「恥ずかしそうにしてる瑠衣が可愛いです!」

瑠衣「むー……////」

「どうしてそんなに可愛いんだ! 瑠衣、その可愛さはどこから来るんだい! わたし、気になります! 来い折木!! この謎を解き明かせ!!」

瑠衣「病院で叫んじゃダメだよっ」

「ごめんなさい。……瑠衣に叱られるとキュンってする」

瑠衣「あぁぁあもうっ!////」

「くッ可愛い!」

>>1よ、plusに瀬嶋息子みてぇなキャラが出てきたぞww

>>707
なんと
まだ買えてないから気になる

 ピッピッピッ

「? 何の音だ」

瑠衣「……!」

瑠衣「ごめんナナシ。ちょっと、待ってて」

「え、うん」

瑠衣「……」バタン

(いまのは、電話か?)

『——で——うん——った——』

『ま——しに——め——』

(やけに低い声で話してる。何かよくないことでも起きたのかな)

瑠衣「……お待たせ」ガラッ

「どうしたんだ?」

瑠衣「う、ううん、何でもない。気にしないで」

「ちょ、気になるじゃないか」

瑠衣「えーと……兄さんの前歯が折れちゃって」

「何があったの!?」

瑠衣「とにかく、大丈夫。これ以上ナナシに負担をかけるわけにはいかないから」

「負担?」

瑠衣(あ、しまった。口が滑った……)

「負担って何だよ。さっきの電話の相手は誰だ。また何か事件に巻き込まれたんじゃないだろうな」

瑠衣「ナナシは寝てなきゃダメだよ。それじゃあ、元気でね! また来るから!」ササッ

「お、おい瑠衣!」

「……追いかけなきゃ」スッ

「痛ッ!! ……クソ、何だよこの傷みは……」ズキズキ

御堂「安静にしていてくださいナナシさん」

「うわっ御堂」

御堂「いま瑠衣さんとすれ違いました。あの様子からするに、ここで何かありましたね」

「……さっき瑠衣が誰かと電話してるのを盗み聞きした。会話は分からなかったが、声色が穏やかなじゃなかったよ」

御堂「まったく病院内で電話だなんて」

「そこは大目に見てください。……そういうマナーはいずれ教えなきゃな。夫として」

御堂「夫って……」

「結婚したんだぞ。まだ正式じゃないけど、妖主は認めてくれたよ」

御堂「まあ、そりゃそうでしょうね」

御堂「とにかく動いてはダメです。退院するまで外出は許しません」

「ふぇぇ。軟禁だよぅ」

御堂「あなたの身を案じているのです」

「……ありがとう御堂」

御堂「一時とはいえあなたとは仲間でしたからね」

「いまは違うのか?」

御堂「あなた次第ですが、私はあなたをよき友人として見ています」

「俺もだよ。お前がカゲヤシをバケモノ呼ばわりしたときは殺そうかと思ったが」

御堂「そんな殺伐としないでください。あの頃は、カゲヤシがあんなにも人情に厚い者たちだとは思いもしませんでした」

「まあね。瑠衣の一件がなかったら俺だって……いや、そもそも戦うことすらできなかったな」

怜「あら、瑠衣。どうしたの? そんなに息を荒くして」

瑠衣「はぁっはぁっ……ち、ちょっと……ナナシ……と……」

妖主「息が荒くなるようなことしてきたの?」

舞那「や、やらしいぞ瑠衣!」

瑠衣「ちがうよっ!/////」

怜「フフ。走ってきたんでしょう? まあ、とにかく座りなさい。久しぶりの会議よ。甘いジュースも用意してあるわ」

舞那「わぁいジュース!」

瀬那「舞那、子どもみたい……」

優「……」

瑠衣「あ、兄さん。前歯は大丈夫?」

優「は? 何言ってんだ」

瑠衣「あっごめん何でもない!」

瑠衣(嘘だったのすっかり忘れてた。何か、ナナシに対して言ったことが真実に思えてしまう……私ってナナシに依存しすぎなのかな)

怜「今日は我々カゲヤシの超重役であるあなたたちだけに出席してもらった。他の者にこの会議について一切伝えていないわ」

怜「それほど外に情報を出すのが危ぶまれる任務よ。心して掛かりなさい」

舞那・瀬那「はいママ」

優「おう」

瑠衣「分かった、母さん」

怜「ナナシが倒れたらしいから、いざというときに助けてもらうってこともできないわ。いや、ナナシが健常だったとしても、それはしたくないわね」

舞那「何で?」

怜「カゲヤシのプライドよ。ナナシは人間なんだから」

瑠衣「……」

怜「瑠衣、そんな顔しないの。あくまで種類で分けた場合の話よ。ナナシはカゲヤシではないけど、私たちにとって大切な存在」

瑠衣「うん……」

瑠衣「ところで、この作戦だと鈴やおじさんにも言っちゃダメってことになるよね。そうなると、私の行動に制限がつきそう」

怜「そうね。瑠衣以外の三人が中心になって動くことが多くなるわ。でも舞那と瀬那は目立ちやすいから、一番働くのは優ね」

優「任せろ。久々に大暴れできそうだぜ」

怜「一昔前の私たちとは違うんだから、あんまり物騒な真似はしちゃダメ。あくまで穏便に、それが無理なら、武力行使だけど……」

優「そこはオレのテンション次第だな」

怜「まぁ、何だかんだでちゃんとやってくれるって信じてるわよ。あなたたち四人は皆、私の自慢の子なんだから」

瀬那「ママ……」

舞那「ママぁ」

瑠衣「母さん……」

優「けっ」

怜「四人とも、頑張ってね。さあ、優。さっそく行ってもらえるかしら」

優「了解!」

怜だか妖主だか安定しない(・ω・;)

優「さァて、やって来たぞアニメイト!」

店員(ひィっ。何この人。V系バンド……?)

優「萌え燃えコロシアム限定版十個ください」

店員「……へ?」

優「萌え燃えコロシアム限定版十個ください」

店員「あっ、は、はいっ! 少々お待ちください!」

客A「お、おい何だあいつすげぇぞ」

客B「モエコロ限定版を十個だと……!? 只者じゃねぇな」

客A「あの格好であの買い物……良いライバルになりそうだぜ」

店員「お待たせいたしました。萌え燃えコロシアム限定版でございます」

優(これで六万ちょいか。とりあえずミッションコンプリートだ)

客A「おい、待ってくれ!」

優「あん?」

客B「お、おい鈴木! やめとけ!」

鈴木「黙れ佐藤! どっちが上か決めたいんだ!」

優「んだよ、お前らは」

鈴木「俺らは、モエコロ限定版を三個ずつ購入した者だ」

佐藤「……」

優「だから何だ? 何か用かよ?」

鈴木「勝負だ!」

優「……何が?」

鈴木「どちらか真のモエコリストか決めるんだ! 今すぐ例の屋上に来い!」

優「いやオレはモエコリストじゃねーから」

鈴木「はあ!? そんなわけないだろ! ならお前、その手のモエコロ十個をどう説明する気だ!」

優「ああ、これは……、……」

優(……お袋に口止めされてんだった。だが、適当にあしらえそうじゃねぇな)

優「チッ、面倒くせぇ。屋上に行くぞ」

鈴木「ああ、覚悟しろ! ほら佐藤、お前もやるんだよ!」

佐藤「ま、まじでぇ……?」

鈴木「モエコリストだろお前も! これ買うために一緒にバイトしただろ!」

佐藤「わ、分かったよ」

 屋上

優「さあ、来いよ。……名前何だ?」

鈴木「鈴木だ! こっちは佐藤!」

優「ほら早くしろ。すぐに終わらせてやる」

鈴木「舐めんなコラ!」

佐藤(こいつすげぇ強そうだぞ……)

鈴木「よし、まずは佐藤!」

佐藤「はい!?」

鈴木「ゆけっ佐藤!」

佐藤「俺はポケモンじゃねーぞ! 言いだしっぺが控えるなよ!」

優「ああもう面倒くせぇな。二人まとめて相手してやんよ」

鈴木「行くぞ!」

佐藤「あぁもう帰りたい……」

鈴木「おらぁぁああッ!!」ブンッ

優「そんな見え見えの攻撃——」スッ

優「当たらねぇぜッ!」ドガッ

鈴木「きゃんっ!!」バタァァァ

佐藤「うわああああ一撃かよ! 怖くなってきた!」

優「ほら、お前も来い。シュガー」

佐藤「誰がシュガーだ! そっちのサトウじゃないよ!」

佐藤「ええいもうヤケだ! くらええぇぇいい!!」シュッシュッ

優「はッ。当たんねぇ当たんねぇよ!! おらァ!!」ズガッ

佐藤「遅いッ……」

優「!? ぐァっ……!!」

優「な、なんだお前……!? その強さは——」

佐藤「これでも一応、ホリックモードをプレイ済みでね。ちょっとキミ、肩の力が入りすぎかな」

優「さっきまでの弱腰はどこ行ったんだよ!?」

佐藤「ふふ。いまのキミでは、俺には敵わないと思うな。鍛え直した方がいいよ」

優「な、に……?」ピキッ

優「言ってくれるなぁぁああカゲヤシ相手によぉおおお!! ニンゲン風情がああぁあぁあ!!!」

佐藤「キミの攻撃こそ見え見えだ……」

佐藤「ふんッ」ズゴッ

優「ァア……! ……ッ、カゲヤシを舐めんじゃねぇぞ!!」スッ

佐藤「!?」

優「これ以上のヤムチャ化は勘弁だぜ!」バキッ

佐藤「かはッ……!! こ、こいつ……!?」

 二十分後

優「はぁ……はぁ……」

佐藤「はぁ……はぁ……」

優「……やるじゃねぇか」

佐藤「ふっ……キミもね」

優「佐藤、つったか。何者だ、お前」

佐藤「キミ、さっきカゲヤシって言ってたよね。なら通じるな。俺はNIROの幹部だった男だ」

優「何!?」

佐藤「いまでは武力行使する組織としては機能していないから、解雇されたよ。それでアニメの世界に没頭してね」

優「じゃあ、そこの鈴木は」

佐藤「彼は幼馴染だよ。関西から秋葉原に引っ越して来たんだ。良い奴だから、友達になってやってほしいな。ぼっちだし」

優「バッサリ言ってやるなよ……」

佐藤「幼稚園の頃からぼっちでね、中学のときにいじめに遭って、大阪へ引っ越した。で、最近戻ってきたんだ」

優「重い話だな! それ以上はあんまり聞きたくねぇ!」

佐藤「ところで、キミの名前を聞いてなかったな」

優「あ? ああ、阿倍野優だ」

佐藤「おおなるほど。そういえば見たことある容姿だと思った。文月瑠衣、北田瀬那、舞那、がキョウダイだったっけ」

優「よく覚えてんなお前らも。解散から結構経ってんじゃねぇのか」

佐藤「まぁね。ずっと追っかけてたから名前ぐらいは」

優「肝心の顔を覚えてねぇっていう無能ぶりだな」

佐藤「手厳しいねぇ。……阿倍野、急いでるんだろ? さっさと行った方がいいんじゃないか?」

優「そういえばそうだったな。じゃあ、またどこかで会うかも知れねぇし、そのときはよろしく頼むぜ」

佐藤「ああ。バイバイ」

 カゲヤシのアジト

瀬那「瑠衣」

瑠衣「どうしたの瀬那姉さん?」

瀬那「アイスいる?」

瑠衣「うんっ」

瀬那「はい。ぎゅー」

瑠衣「へっ?///」

瀬那「『愛す』あげた」ギュッ

瑠衣「……ね、姉さん///」

瀬那「たまにはこういうのも良いかと思って」

瑠衣「ちょっと、びっくりした……」

今日はここまでですの
いつまでも見ていただいて嬉しい限りですっ

友人がプラス貸してくれるそうなので楽しみ

瑠衣「兄さんは上手くやっているかな」

瀬那「ちょっと心配だけれど、あれでも眷族。私たちと一緒に戦い生き残ってきた猛者だから、大丈夫」

瑠衣「そっか……うん、そうだよね」

舞那「あたしはもう心配で心配で大変だよ! アイツがトラブルを起こさなかったことなんてないし!」

瀬那「少しは落ち着きなさい。ほら、ジュース」

舞那「むっ。……ありがと」ゴクゴク

怜「そろそろ瀬那舞那に動いてもらうわ。準備を」

舞那「! ようやくあたしたちの出番ねっ。頑張るよママ!」

瀬那「分かったママ。行ってくる」

瑠衣「舞那姉さん、瀬那姉さん。頑張ってね」

舞那「おうっ! 瑠衣はジュースでも飲んで待ってな!」

瀬那「瑠衣も、この先気をつけてね」

瑠衣「うん!」

舞那・瀬那「ゴーっ」

怜「……」

瑠衣「……」

怜「本当なら、瀬那舞那を優先的に動かした方がいいのだけれど」

瑠衣「えっ?」

怜「むしろそれをすることで、作業の手間はだいぶ減る。でもそれをすると、あの子たちが……」

瑠衣「?」

舞那「ゲーム屋にやって来たぞー」

瀬那「この変装なら絶対バレないはず」

舞那「うんうんっ! 完璧だよ。もはや誰? って感じだし!」

瀬那「舞那もパッと見じゃ誰か分からないね」

ゴン「あ、あれ……? まさか……」

舞那・瀬那「!?」

舞那(こ、こいつはあのときの……!)

瀬那(まさか私たちがダブプリだと見破った……!?)

ゴン「やっぱり、ダブプリですよね! わぁぁぁ!!」

舞那「ば、ばかっ! そんな大声を出すなっ!」

瀬那「舞那」

舞那「愛情表現ですっ!」

客A「ダブプリ!?」

客B「え、ちがくね?」

客C「変装だろ変装! 有名人なんだから!」

客D「おおおっマジかダブプリか! 可愛いなあ!」

客E「やっべ写メろうぜ! うっひょお!」

舞那「ま、まずいよ姉さん!」

瀬那「くっ……一時撤退……い、いや、舞那、むしろこれはチャンスだ!」

舞那「へっ!? 何が!?」

瀬那「いまから作戦を決行する!」

舞那「何でそんなに思い切っちゃうの姉さん! こんな状況でやっちゃったら……」

瀬那「そこがチャンスってこと!」

舞那「??」

瀬那「私たちはダブプリ。秋葉原は私たちの聖地。ゆえにファンも大勢集まっている」

舞那「う、うん。だからこそこんなところを見られたら……」

瀬那「そう、こんなところを見られたら……もしかしたら幻滅するファンもいるかもしれない」

瀬那「でも、その逆もありうる! プライベートに近づけたと喜ぶ者も必ずいるはずっ!」

舞那「な、なるほど……!?」

瀬那「行くぞ舞那っ! レジへ!」

舞那「えぇぇっ!! で、でも、うん、姉さんの言う通りにするよ!」

瀬那「すみません店員さん!」

店員「は、はいっ!?(うえぇ!? ダブプリじゃね!?)」

瀬那「萌え燃えコロシアム限定版……あるだけくださいっ!!」

店員「……は?」

瀬那「だ、だから、萌え燃えコロシアム限定版をくださいっ! 在庫全部!////」

 ざわざわ…… ざわざわ……

瀬那(は、はずかしい……!!/////)

舞那(はずかしすぎるるるるるる////)

店員「あ、は、はいっ! 少々お待ちください!」

 ざわざわ…… ざわざわ……

客A「おいおい、聞いたか? ダブプリがモエコロを……限定版を買ったぞ。しかも在庫があるだけよこせって」

客B「まさかダブプリってゲーマーだったのか?」

客C「っていうかコレクターレベルの買いだぜ……こんなの絶対おかしいよ」

客D「いや、だが、これはとても彼女らのプライベートに近づけた気がして……」

客E「なんだかとってもイナフじゃねぇか」




ゴン「ダブプリ……まさか……」

店員「お待たせしました」

舞那「はいこれっ! 百万あるから! もらって!! お釣りいらないから!!」

店員「ふぇっ!? そ、そういうわけにはっ」

舞那「いいからもらっとけ! ダブプリの愛だから! お金は愛じゃないけど愛情表現だからね!!」

店員「で、でもっ」

瀬那「舞那、行こう!」

舞那「おうよ姉さん!」

舞那・瀬那「」ダダダダダダダダ

 しーん……

ゴン「……だぶ、ぷり……ダブプリがああしてまで欲しがったゲームってことは……」

客A「! そ、そうか……よほど面白いゲームなんだろうな」

客B「お、おれ買うよ! 在庫切れちゃったから、予約する予約!」

客C「俺もだ!」

客D「面白くなくても、ダブプリの好きなゲームなら俺も好きになれる気がする!」

客E「店員さーん!!」

舞那・瀬那「はぁ……はぁ……」

優「お? どうしたどうした姉貴ども。随分とお疲れの様子じゃねぇか」

舞那「ゆ、ゆう……」

優「ははっ。その紙袋を見るに、上手くいったみてぇだな。オレのも見ろ、ほら。おまけに男の友情とやらを芽生えさせちまったぜ」

舞那「は、はあ……?」

優「とりあえず任務成功だな。お袋も万々歳だぜ」

瀬那「……舞那、ごめん。決断を思い切りすぎた」

舞那「姉さんは悪くないよ! て、ていうか、優の言う通り成功だったじゃん!」

瀬那「成功……うん、多分成功……かな」

舞那「さっ、アジトに戻ろう! ママと瑠衣が首を長くして待ってる!」

瀬那「そうだね」

長く間を空けてしまって申し訳ありませんでした
他の小説を優先して書いているせいで、こちらになかなか顔を出すことができず……

ちなみに今年買ったゲームはBW2だけです

舞那「ママーっ! 頑張ってきたよ!」

怜「あら、おかえり。そう、頑張ったのね。お疲れ様」

舞那「えへへ!」

瀬那「ちょっと強引な作戦に切り替えた。いろいろ犠牲にした気がするけど、効果は絶大だと思う」

怜(……どうやら、あの作戦を決行したようね)

怜「よくやったわ。さて、そろそろ瑠衣にも動いてもらおうかしら」

瑠衣「うん、頑張る」

怜「例の店はあと三十分で開店よ。ジャンク通りからはだいぶ離れているから、落ち着いて上手くやりなさい」

瑠衣「了解」

 例の店 前

瑠衣「ふぅ。暑いなぁ」

???「……」

瑠衣(? この人、何をしているんだろう)

???「あと五分か……」

瑠衣(あ、まさかこの人も店が開くの待っているのかな)

瑠衣(母さんは、ほとんど誰にも知られていない隠れた名店、って言ってたけど……)

???「……」

瑠衣(何者だろう……?)

店員「開店です」(小声)

???「……」スタスタ

瑠衣「あ、ど、どうも」

店員「お客様、目立つ行動はお控えください」

瑠衣「へっ!? あ、ご、ごめんなさい……?」

店員「それでは中へ」

瑠衣「はい……」

瑠衣(何だろうここ、怖い)

???「……」

瑠衣(この人も何か怖い……)

瑠衣(そんなことより作戦決行だ。えっと、萌え燃えコロシアムだったよね)

瑠衣「あのーすみません」

店員「はい、何でしょう」

瑠衣「萌え燃えコロシアム、あるだけください」

店員「……!」

???「……!」

瑠衣(うん、そりゃあ、驚くよね……)

店員「……貴様、なぜその暗号を知っている?」

瑠衣「へ? え?」

???「ちッ」バッ

瑠衣「ひゃわっ!? な、なにッ?」

???「いいから早くこっちだ! 逃げろ!」グイグイッ

瑠衣「ち、ちょっと……!」

店員「逃がすかっ!!」

瑠衣「ええっ!?」

???「けっ、ここは俺が食い止める! お前は早く逃げろ!」

瑠衣「いやよく分からないんだけど……どういうこと? キミは誰?」

???「俺が生きてたら説明してやる。俺の名は——」












???「友人、だ」

瑠衣(? 友人……誰の?)

友人「早く行きな! まかせろー」

瑠衣「う、うん!」ダダッ

店員「邪魔をする気か、小僧」

友人「お前らの好きにはさせねぇよ」

店員「面白い。よほど腕に自信があるとみた」

友人「泣いて謝るにはもう遅いぞ」

瑠衣(なんだこれ……)

友人「必殺ッハイパーラリアットォオオオ!!」ブンブン

店員「ふんすっ!」ズゴォ

友人「あぁぁあああ!! 痛い痛い痛い痛い!!」

店員「えええええええええ」

瑠衣(助けた方がいい……よね)

店員「ふ、なんだなんだ。見かけ倒しとはこのことか」

店員「その面、悲痛に染まるがいい!」

瑠衣「こっちよ!」

店員「!?」

瑠衣「くらえっ!」バスッ

店員「うがぁ!」

更新乙です がんばってください

店員「ふげぇ……」バタリ

友人「……た、助かった……」

瑠衣「まったく、どうしてこんな無茶したの?」

瑠衣「いやそれより、いったい何が起きているの? この店は何なの?」

瑠衣「あとキミの名乗った『友人』って? 誰の友人のこと?」

友人「フッ。質問攻めは嫌いだぜ?」

瑠衣(えぇ〜……)

友人「まあ良い。第一の質問に答えよう」

友人「この店は戦場なんだ」

>>840
ありがとうございます
頑張ります

瑠衣「戦場?」

友人「ああ。そして、その戦場にはさまざまなグループが存在しているんだ」

瑠衣「はあ」

友人「お前、言っただろう。『萌え燃えコロシアムをあるだけください』と。あれは、とあるグループの秘密の暗号」

友人「この気絶してる店員はそのグループの一員だったというわけさ。見知らぬ少女がその暗号を知っていたのだから、殺しにかかったのは当然の行動だ」

瑠衣(楽しそうだなぁ。それにしても母さんの計画と、このわけのわからないお店で使われてる暗号が被るなんて……)

友人「……フッ。ならばなぜお前もその暗号を知っているんだ、という顔をしているな」

瑠衣「へっ? いや、してないよ」

友人「仕方ない。教えてやろう」

友人「実は俺は、もともとそのグループ……『景虎』の一員だったんだ。この店員は新入りだな。俺も見たことがない」

瑠衣「へぇ〜」

友人「驚いたかい? まあ無理もない。それでは第二の質問に答えよう」

瑠衣(早く帰りたいのだけれど)

友人「この店は戦場。それはいま説明したな。では戦場とは具体的に何なのか」

友人「派閥があるんだよ。『景虎』『頼朝』『龍馬』『光秀』『博文』『稲造』……」

瑠衣「多いね」

友人「ああ。それだけ規模が大きい。それでだな——」

瑠衣(まだ続くの……)

友人「——というわけさ。理解してくれたかい?」

瑠衣「正直に言わせてもらうと、理解できてない」

友人「ズコーッ」

友人「まったくお前は! 最初から説明するよ!」

瑠衣「いや、いい。私が一番気になるのは、キミの名前の由来」

友人「ん?」

瑠衣「第三の質問」

友人「ああ。友人、の意味ね」

友人「これはな……」

瑠衣「……」

友人「俺の名前が『友人』なんだ」

瑠衣「……そ、そっか」

瑠衣(変に期待するんじゃなかったな)

友人「それでお前の名前は?」

瑠衣「私は瑠衣。文月瑠衣」

友人「……」

瑠衣「? どうかした?」

友人「ああ、いや、何でもない」

瑠衣「……?」

友人「良い名だ。以後よろしく」

瑠衣「うん」

友人「ところで文月。お前こそここで何をしているんだい?」

瑠衣「あ、私は……」

友人「モエコロを買い占める黒い長髪の女、か。まさかお前は伝説の……」

瑠衣「伝説?」

友人「ああ。『陰妖子』と呼ばれるグループに、そういう女がいたそうだ。最強の座を欲しいままにしていたが、最近はその名を聞かない」

瑠衣「カゲヤシって……!!」

友人「どうした? 心当たりでもあるのか」

瑠衣「い、いや、何もないよ」

友人(怪しい)

瑠衣(カゲヤシってつまり、そういうことだよね?)

瑠衣(そしてカゲヤシで黒い長髪の女っていったら、私の容姿も当てはまるけれど……私こんなお店知らないし)

友人「文月」

瑠衣「は、はい?」

友人「ボディーチェックだ」

瑠衣「へ!?」

友人「ボディーチェックと言っている」

瑠衣「いや、意味が……」

友人「ほら、両手を挙げるんだ」

瑠衣「は、い……?」スッ

友人「よし、そのまま動くなよ」

友人「まずは胸からだな」モミッ

瑠衣「ひゃうっ!?」

瑠衣「な、なに……を……」ビクビク

友人「ふむ、ふむふむ」モミモミッ

瑠衣「や、やめて……! やめ……」

友人「何を言うんだ。ボディーチェックだぞ」モミモミモミモミ

瑠衣「ひぅっ……な、ななしにも、こんなことさせたこと、ないの、に……!」

友人「ナナシ、だと!?」ピタッ

瑠衣「へ……?」

友人「なぜナナシを知っているんだああああああああ」モミモミモミモミモミモミ

瑠衣「ぅぁあぁあっ!」

瑠衣「いい加減にッ……!!」ドスッ

友人「ふぐァっ! は、はら、が……」

友人「本当、ごめんなさい。ボディーチェックだったんです」

瑠衣「……」

友人「いやマジで! そんなんじゃなかったんだから! 分かってる!?」

瑠衣「逆ギレされても困る」

友人「はい」

瑠衣「また同じことしたら、もう許さないから。顔面パンチだからね」

友人「それご褒美……」

瑠衣「何?」

友人「何でもございません大統領!!」

瑠衣「それで、キミはナナシの友人なんだね」

友人「ああ、俺こそがナナシの友人。その名も友人だ」

瑠衣「知ってる」

友人「まったく驚いた。お前がナナシの恋人……いや、婚約者だったとは」

瑠衣(……恥ずかしい)

友人「しかし、お前は可愛いからいいとして、ナナシだけは絶対に許さん」

瑠衣「可愛くない。……どうして許さないの?」

友人「こんな可愛い娘とイチャイチャちゅっちゅできるなんてよおおおおおおおおおおお!!! リア充じゃねーかクソがッ!!!!」

瑠衣「……」

瑠衣「それとボディーチェックした意味は何?」

友人「……さっき黒い長髪の女の話をしただろう。その女は巨乳でグラマラスだと聞いていた。だからその、確認」

瑠衣(なんだ。ちゃんとした理由があったんだ。変態さんじゃないみたい)

友人「で、でもな文月。さっきのだけじゃ確認が難しい。もっと揉ませてくれないか!!?」

瑠衣「……」

友人「……」

瑠衣「……」

友人「……」

瑠衣「てぃ!!」ドブゥ

友人「デゲボォ!!」

友人「……ふぅ。実はモエコロ買い占めの暗号はな、『景虎』が『陰妖子』から引き継いだものなんだ」

瑠衣「そうなの?」

友人「ああ。昔はモエコロではなく『グッドテニス』という謎のクソゲーの買い占めが暗号だったらしいが、
それの生産中止に伴い、買い占めという行為だけが伝統として残っているようだな。実際、買い占めるゲームは何でもいいようだ」

友人「そしてそういう派閥の争いが起きるのはこの店だけではない。アニメイト、とらのあな、いろいろな店が時として戦場となる」

友人「『景虎』に属していない……それどころかこの戦場を知らぬお前がモエコロを買い占めたのは、何かの前兆かも知れんな」

瑠衣「……」

瑠衣(すごいのかすごくないのか分からない……)

友人「店員も倒れちまったし、そろそろ外に出……」プルルル

友人「ん、電話か」ピッ

友人「おう、どうした。……」

友人「……お、おい、マジか!?」

友人「ああ、ああ、分かった。すぐ行こう」ピッ

瑠衣「何かあったの?」

友人「ふっ。『景虎』に属さぬ者たちがモエコロを各ショップで買い占めてるらしい。なあ文月、お前はいったい、何者だ?」

瑠衣(! そ、そっか。これ、買い占めは母さんの計画なんだ。いくつものお店で買い占めしてるってことは、つまり……)

友人「……『陰妖子』、復活ってことかい」

瑠衣(何だか大変なことになってきている気がしないでもない……)

友人「ナナシの友人と言っていたな。悪いが、お前は俺の敵という可能性が高い」

友人「いまここで、始末する——」

瑠衣「えぇっ」

瑠衣(どうしよう。悪いひとじゃないみたいだし、ナナシの友人だし……)

友人「覚悟しろ、文月!」

瑠衣(逃げなきゃ!)ササッ

友人「あ、おい待て!」

瑠衣(全速力だっ)タタタッ

友人「くっ……逃がしたか」

友人「ナナシに連絡してみよう。文月瑠衣とは何者なのか……」ピッ

友人「……」

「お、友人から電話」ピッ

「どした? そっちからかけてくるなんて珍しい」

『ナナシ。文月瑠衣を知っているだろう』

「!? 逆に何でお前が知ってんだよ。びっくりです」

『恋人のお前には酷だとは思うが、言おう。いますぐ彼女を始末せねばならない』

「……は?」

『彼女は敵だ。敵なんだ』

「いや意味分かんないし、どういうことだよ」

『説明している暇はない。文月瑠衣とはどういう人物か教えてくれ』

「えー……。まあ、あれだな。死ぬほど可愛い。死んでも可愛い。この身が朽ちても愛したい」

『きいーっ!! ムカつくーっ!! のろけ話とか聞きたかねぇんだよ!!!』

「何でキレてんの!? お前が教えてくれって言ったんだろが!!」

『いつの間にかリア充になっちまいやがって……信じてたのに! 一生童貞って!』

「さっきから失礼!」

『もういい、切る!』ブツッ

「あ、おい!」

「……何なんだ」

瑠衣「はぁっはぁっ。ここまで、来ればっ」

瑠衣「……追ってきて、ない」

瑠衣「変な争いに巻き込まれてしまったな……とりあえずアジトに戻ろう」


 カゲヤシのアジト


瑠衣「ただいま」

怜「お疲れ様、瑠衣」

瑠衣「母さん、いろいろと聞きたいことが」

怜「あら、何かしら?」

瑠衣「実は——」

 経緯を説明中

瑠衣「——ということなんだけど、黒髪の女っていうのは、やっぱり母さんなの?」

怜「……ふふ、その通りよ」

瑠衣「そっか。どうして、こんなことを?」

怜「この争いは昔からあったものなの。私は先代からそれを引き継いだ。
  でもね、NIROとの抗争が激化していたせいで、こっちの方面を疎かにしてしまった」

瑠衣「面子を持ち直すってことだね」

怜「そう。最初に私が言った『カゲヤシのプライド』っていうのは、そういう意味も含まれていた」

怜「ところで瑠衣。その友人という男はね、優が襲った一般人の一人。つまり、ナナシがあなたと出会うことになったキッカケのひとよ」

瑠衣「え……」

怜「実は事件が収束した後、私も友人の治療に関わったの。NIROにいろいろと助言をし、治療薬の開発を援助した」

怜「そして私は友人と出会った。……彼は記憶を断片的に失ってしまっていた」

瑠衣「! ……」

怜「私も彼の記憶を取り戻すことに関しては全面的に協力するわ。だから、何とかこの競争では味方に引き入れたい」

怜「瑠衣。もう一度友人に会って、何とか説得してくれるかしら」

瑠衣「うん。頑張る」

怜「ただ……友人からナナシに事が伝わっている可能性が高いわね。口止めもしていないし、どうすれば……」

瑠衣「鈴やおじさんには口外しないっていうのは、どうしてなの?」

怜「単に恥ずかしいからよ。よく分からない派閥とよく分からない戦い、よく分からない暗号の三拍子。恰好悪いじゃない」

怜「でも息子と娘なら、恥じることはないでしょう? そういうものなのよ」

「……はぁ。瑠衣に会いたい」

「瑠衣かわいい……瑠衣すき……るい、るい、るい……」

「これじゃあヤンデレ予備軍だ。自重自重」

更新おt…
あれ?
主さんなの?

瑠衣「友人とメールアドレス交換してなかったから、探す手段がないな」

瑠衣「でももう秋葉原の道は覚えた。順番に回って見つけよう」

瑠衣「まずは公園辺りから……」

ヤタベ「ん、その後ろ姿は瑠衣ちゃん?」

瑠衣「ヤタベさん?」

ヤタベ「やあ。公園で会うとはね。散歩かい?」

瑠衣「えっと、わけがあってあるひとを探しているんです」

ヤタベ「へえ。よかったら名前を教えてくれれば、力になれるかも知れないよ。こう見えて顔は広い方だからさ」

>>910
更新遅れて申し訳ない

瑠衣「そのひとは友人っていう名前で」

ヤタベ「! ちょっと待って。その子は……」

瑠衣「え?」

瑠衣(あ、そうか。ヤタベさんはナナシの友達だし、友人の友達だったとしてもおかしくは……それにしても友人と友達ってややこしいな)

ヤタベ「……もともと友人君は謎が多い人物でね。ナナシ君の知り合いということだけしか、僕ら自警団の面々も知らなかったんだ」

瑠衣(そうだったんだ……)

ヤタベ「彼はNIROとカゲヤシの抗争に巻き込まれ、記憶の所々が抜け落ちてしまったようなんだよ」

ヤタベ「ナナシ君も辛いだろう。命を賭してまで守ろうとした相手だったからね」

瑠衣「……」

ヤタベ「彼の行動には謎が多い。そして、負傷する前にはキミと出会っているはず」

瑠衣「え!?」

ヤタベ「ナナシ君はね、友人君のパソコンのHDに保存されていた瑠衣ちゃんの写真を見たんだ」

ヤタベ「つまり友人君は、キミを撮影した後、攻撃された……」

瑠衣「……」

瑠衣(兄さんが口封じか何かのためにやった、のかな……?)

ヤタベ「でもカゲヤシ側の対処は正しかっただろうね。重要人物である瑠衣ちゃんを撮影されたとあっては、黙ってはいられない」

ヤタベ「なぜ友人君が瑠衣ちゃんを撮影したのかは、記憶が戻らないと分からないな」

瑠衣「……はい」

ヤタベ「結局、彼の行方は分からないや。力になれなくてごめんね、瑠衣ちゃん」

瑠衣「いえ、貴重な情報をありがとうございました。ヤタベさん、また是非お店へ! 私がコーヒー淹れますっ」

ヤタベ「へっ!? あ、ああ……そりゃあ、楽しみだ……」

ヤタベ(命の危機が……)

瑠衣「それでは失礼します!」

ヤタベ「み、見つかるといいね、友人君」

瑠衣「はい!」

ヤタベ「……」

ヤタベ「一波乱、ありそうな気がするな。ナナシ君、友人君、瑠衣ちゃん、気をつけてくれ」

御堂「ナナシさん」

「あ、御堂」

御堂「退院して大丈夫ですよ」

「え」

御堂「大丈夫です」

「マジですか」

御堂「ええ。これ以上ご家族や瑠衣さんたちに心配をかけるのも、いたたまれないでしょう」

「……ありがとう」

御堂「お気になさらないでください。……ですが、友人さんのことで話があります」

「ん」

御堂「これを」スッ

「? 何だこれ。えっと、『秋葉原黒髪美少女写真集』……?」

御堂「友人さん宅にありました。中には様々な黒髪の少女の写真が。……著者の名前をご覧ください」

「『著・友人』。何作ってんだあいつ」

御堂「完全に盗撮ですが、この中にあなたも見たことのある写真があるはずです。それがこちら、瑠衣さんの写真」

「ああ、懐かしい。俺が飛び出したのはその写真が原因だった」

御堂「HDの中には同じ画像がありましたが、こちらには……写真の裏を見てみてください」

「裏……?」

「……。『四千円』?」

御堂「ええ、値段が書いてあります。つまりこの本は売り物にする予定だったのでしょう」

「何なんだよあいつは。……しかも本の裏に付箋が」

御堂「はい。そこには『ゴンさんへ』と書いてあります」

「へ」

御堂「つまりこれは、ゴンさんに渡されるものだった。ゴンさんに聞けば、すべて分かるでしょう」

「……行くぞ、自警団の秘密基地」

御堂「ええ」

(ゴンちゃんが友人の記憶について知ってるってことだよな……なんとなく理由も察しがつくや)

御堂「ところでナナシさん」

「ん?」

御堂「私にも味噌汁の作り方を教えてください」

「何だお前」

たっぷり力をいただいたのでフィーバーしますします
スク水瑠衣ちゃん可愛すぎわろた


「おーい」

ヤタベ「おお、ナナシ君か? 退院したのかな。おめでとう」

「ありがとうございます。……ゴンは来ていませんか?」

御堂「お久しぶりです、ヤタベさん」

ヤタベ「御堂さん。ナナシ君とご一緒とは珍しいね」

ヤタベ「? ああ、今日は見ていないね。何か用なのかい?」

「ちょっと、いろいろありまして。ケータイも電源切ってるみたいなんです」

ヤタベ「……そういえばこの前、最近できたアイドルユニット『アキバズ』の撮影会に行くとかなんとか言ってたような」

「ダブプリの次はアキバズ……移り気だなー」

ヤタベ「ところでナナシ君。瑠衣ちゃんに退院の知らせはしたのかい?」

「あッ」

ヤタベ「やれやれ、あまり恋人を悲しませるものではないよ」

ヤタベ(……しかしあの瑠衣ちゃんLOVEのナナシ君が連絡を疎かにするなんて珍しい。よほどを急を要するのかな)

御堂「ナナシさん、日を改めましょう。慌てていても仕方がありません」

「……ああ。そうだな」

御堂「ヤタベさんの言う通り、まずは瑠衣さんへご報告を。きっと喜んで会ってくれるはずです」

「分かった」

ヤタベ「雨も降り出したし、少しここで休んでいきなよ。その間、私はアキバズのライブ会場を調べておこう」

「すみません。ありがとうございます」

瑠衣「ナナシは今頃、どうしているかな」

瑠衣「また一緒にゲームセンターとか、行ってみたいな」

瑠衣「……でも、もしナナシがいなくなったら、私ってどうなるんだろう」

瑠衣「急に倒れたし、もし最悪の事態……死んじゃうなんてことになったら……」

瑠衣「…………ああもう、私はバカだ。何でそうやって悪い方向にばかり考えるの」

瑠衣「ナナシに頼り切りになるのはよくない。私も強くならなきゃ……」プルルッ

瑠衣「電話……ナナシからっ!」ピッ

瑠衣「もしもし、ナナシ? どうかした?」

瑠衣「……え、退院っ!? ほんとっ!? ……ぅう、よかったぁ……」フゥ

瑠衣「いまから秘密基地に行っていいの? うん、分かった、すぐに行くからね! 待っててね!」ピッ

瑠衣「……あ、雨だ。電話に夢中で気づかなかった」

瑠衣「やっぱり私、ナナシのこと好き……大好き」

瑠衣「早くナナシの顔を見たい……」タッタッタッ




友人「……貴様が現役最強と云われるグループ『那色(ナイロ)』のリーダーか」

瀬嶋息子「オマエは何だ。私はいま忙しいのだ。どん兵衛のそばとうどん、どちらにするか究極の選択をだな」

友人「俺は『景虎』の友人さ。悪いが最強は無二でね。『景虎』より劣る『那色』にしゃしゃり出られるのは、我々の面子に関わるんだよ」

瀬嶋息子「何を言ってる。私はただ父上からよく分からん謎のグループを引き継いだだけのこと。争う気など毛頭ない」

友人「弱腰め……現役最強なのだろう? ならば倒してみろ、この俺をな!」

瀬嶋息子「……」イラッ

友人「ぐ……ぁ……」ボロボロ

瀬嶋息子「私たちが現役最強で問題ないんじゃないか。お前のその実力だと」

友人「ば、バカな……なぜ貴様、こんな力を……」

瀬嶋息子「多分オマエが弱すぎるんだと思うよ」

友人「きっ貴様ああああああああああっ!!」バッ

瀬嶋息子「うるさいッ!」ボゴッ

友人「がッ……!!」

友人「ぐぉ……」チーン

瀬嶋息子「やれやれ、余計な時間をとられてしまった。暴れ回ったせいで服もびしょ濡れじゃないか」

瀬嶋息子「雨足も強くなってきたな。早くどん兵衛を買いに行こう」

瑠衣「ナナシっ」バッ

「おお、瑠衣っ」ガシッ

瑠衣「ちょっ……は、はずかしいよ///」

「だってだってだってだって瑠衣瑠衣瑠衣瑠衣」ギュウウウウウウ

瑠衣「分かったからっ///」

御堂「あれが青春ですね」ボー

ヤタベ「遠い目しないで、まだまだ若いんだから」

ヤタベ「私も昔はやんちゃしてたものさ……」

御堂「聞いてません」

「瑠衣ぃ///」ギュウ

瑠衣「ナナシぃ///」ギュウ

 サンタ瑠衣ちゃん可愛すぎてハゲるわ



瑠衣「あのねナナシ、味噌汁の作り方教えてもらうのは、もうちょっと先になっちゃうかも……」

「? どういうことだ」

瑠衣「……実は、友人のことでいろいろあってね」

「やっぱりか。あいつ、いろいろな事件の渦中にいるみたいだからな」

ヤタベ「そういえば瑠衣ちゃんはさっき会ったときも友人君を探していたね」

瑠衣「はい」

瑠衣(でも母さんには口止めされているし……本当のことは話せないな)

「ケータイで連絡とってみるか」

瑠衣「うん」

「……」プルルル プルルル

「出ない」

瑠衣「どうしたんだろう」

「あいつのことだから、どうせまた戦いがどうのこうのって」

瑠衣「ああ、そんなこと言ってた」

「俺も一時期は『信長』の一員だったが」

瑠衣「そうなの!?」

ヤタベ「私は『太子』だよ」

瑠衣「ヤタベさんまで……!? ていうか自警団なのに所属するチーム違うんだ……」

ヤタベ「よく分からないうちに入隊してしまってね」

御堂(私も『卑弥呼』の一員だなんて言えない……)

「とにかく、ゴンが帰るまで友人探そう。えっと傘は……」

瑠衣「あっ私もついてく!」

「当たり前だ。瑠衣と一緒じゃなきゃやだやだやだ」

御堂「駄々っ子ですか」

瑠衣「もう、ナナシったら///」

ヤタベ「口説き魔だね」

「何言ってんですか……じゃあ、行ってきます」

瑠衣「心当たりあるの?」

「あいつはゲーセン好きだからな。外に出る日は大抵いるよ」

友人「くっそくっそ! 何だってあんな奴にボコボコにされたんだ俺」

友人「こういうときはサウンドボルテックスだ……やったれやったれ」

瀬嶋息子「ふぅ〜食った食った。……ぅお、オマエはさっきの。ゲーセンで会うとは」

友人「あ、てめぇコラ! 勝負しろ! 音ゲーでな!」

瀬嶋息子「ボルテだと? オマエ東方厨もしくはボカロ厨か。このニコ厨め」

友人「あぁ〜? じゃあ何ならいいんだ!」

瀬嶋息子「リフレクか弐寺なら得意だがな、まあいいボルテで勝負してやろう」

友人「てめーも俺と同じじゃねーか!」

瀬嶋息子「勘違いするな。私はさまざまな音楽を嗜んでいるだけだ」

友人「お前が負けたら大通りでうんこしろよ!」

瀬嶋息子「するわけねーだろ」

「さてついたぞ」

瑠衣「クレーンゲームやってるのかな?」

「いやあいつは音ゲーガチ勢だから、ボルテでもやってるんだろう。めちゃくちゃキモいから覚悟して見た方がいいよ」

瑠衣「そ、そうなの?」

「いやあれは一般人ドン引き」

「あ、友人いた!」

友人「おりゃりゃりゃりゃ!!」カチカチカチカチッ

瀬嶋息子「ほう、なかなかやるな」カチカチカチカチッ

「……うわぁ。何で息子までいるの」

瑠衣「……」

「ね、瑠衣。ドン引きしただろ」

瑠衣「……す、す、すごいっ!」キラキラ

(純粋だぁ)

「とにかくいますぐ連れ出すぞ。瀬嶋息子にはどこかに行ってもらおう」

友人「オラオラオラオラオラオラオラ!!」カチカチカチカチッ

瀬嶋息子「ウオオオオオオオオオオ!!!」カチカカチカチッ

「おいそこの気持ち悪い二人!」ガシッ

友人・瀬嶋息子「邪魔するなァ!!」ドガッ

「ぎゃふんっ」

「——……」

瑠衣「ナ、ナナシっ!?」

瑠衣「そんな……あのナナシがこんな簡単に吹っ飛ばされちゃうなんて……!」

「ぐ……ぇ……」

友人「ふふっ。俺の勝ちだ」

瀬嶋息子「馬鹿な……馬鹿な! こんな馬鹿なことがあるか!」

「そりゃこっちのセリフだゴミクズ共っ!」

友人「!?」

瀬嶋息子「ナナシ! なぜオマエがこんなところに!」

「それもこっちのセリフだクソゴミ共っ!」

友人「ああっ……後ろにいるのはいつぞやの文月!」

瀬嶋息子「ふ、文月瑠衣も一緒とは……非リアの私たちを笑い来たか?」

「ややこしくなるからちょっと黙ってろ。俺は友人に用があってきただけだ」

瀬嶋息子「オマエはこの男の知り合いか? どういうことか詳しく」

「だから黙っててくれ!」

友人「用って何だよう」

「寒いのにやめてくれ。……えっと、瑠衣が話があるらしい」

友人「文月が? 何だ」

瑠衣「……あまり大きな声では話せない。ちょっと、こっちに来てもらえるかな」

瑠衣「ナナシもごめんね。どうしてもこれだけは」

「……うーむ、分かった。おい友人、もし瑠衣に欲情したり手を出したりしたら全身の骨を粉砕するからな」

友人「しねーよ!」

瑠衣(さっき胸を触ってきたのに……ぅぅ)

「ほら、さっさと用を済ませてこい」

瑠衣「うん。ありがとう」

瑠衣(友人を説得して、仲間に……うん、頑張ろう)

瑠衣「あのね、派閥の争いとかいろいろ複雑だけど、キミとは敵対したくないんだ」

友人「ふむ?」

瑠衣「私の母さん……は、『陰妖子』のリーダーで、えっと、でも、キミの仲間になりたいって言ってる」

友人「母親が『陰妖子』のリーダーだと!? やはり回し者だったかッ!」

瑠衣「違うってば! ちゃんと話を聞いて!」

友人「……敵同士が簡単に和解などできるはずもないだろう」

瑠衣「それはそうだけど、そんな難しい話じゃなくて、キミの身体のためなんだよ」

友人「話が見えないのだが」

瑠衣「信じられないだろうけど、キミは……記憶を失ってる」

友人「……何を言ってるんだ。記憶はある。いつアニメにハマったとかも覚えてる」

瑠衣「断片的に失ってるの。キミの収入源、分かる?」

友人「収入源? 俺は無職だ。でも金は腐るほど……、……あれ? どうして俺はあんなに金を持ってるんだ?」

瑠衣「ほら、やっぱり」

友人「え、ちょっとまって、え、ガチで記憶喪失なの? え?」

瑠衣「まあ、動揺するよね……」

友人「やべーじゃんマジこえーんだけどえどうしようどうしたらいいの俺」

瑠衣「ゴンさんって覚えてる?」

友人「おう。ゴンさんは取引相手……え、取引? 取引ってなんだ?」

瑠衣「彼はいま、ダブプリとは違うアイドルユニットのアキバズにハマってるんだって。そのアキバズについて何か知ってる?」

友人「おいおい、ダブプリ熱は冷めちまったのかあのひとは。アキバズについては知らんな。ヤタベさんが詳しそうだが……ヤタベさんは知ってるか?」

瑠衣「うん。実は調べてもらってるところ。……とにかく、いまのところは『陰妖子』とは休戦ということにしておいてほしい」

友人「分かった。何か記憶ないとか怖いし」

瑠衣(プライドも何もないんだなぁ……)

「おーい、瑠衣!」

瑠衣「? どうしたのナナシ」

「ヤタベさんから連絡だ。アキバズの撮影会場がどこか分かったぞ」

「いまから行けば、ライブの終了時刻に到着できる。ゴンちゃんから真相を聞き出すぞ!」

瑠衣「うん!」

「邪魔して悪かったなお前ら。心行くまで対戦していてくれ」

瀬嶋息子「そうだな。友人、オマエとの決着がついたわけではない」

友人「ぶっちゃけ俺それどころじゃないんだけど」

瀬嶋息子「逃げるのか? 勝ち逃げして楽しいか? オマエは1プレイ勝ってそれで満足する男なのか?」

友人「……!!」

友人「いいだろう……財布が空になるまで相手してやる……!!」

「単純すぎだろ」

瑠衣「ナナシ、早く行こう」

「ああ」

「ダブプリの極秘ライブと同じとは」

瑠衣「何だか、あの戦いを思い出すね」

「だな。俺と瑠衣の連携、初めての共同作業だった」

瑠衣「ばか……///」

「しっかしすごい人数がぞろぞろと出てくる出てくる。この中からゴンちゃん探すのは骨だぞ」

瑠衣「そうだね。手分けしようにも二人じゃ……」

「ケータイは……まだ電源切ってやがるな」

瑠衣「あ! あのひとかも」

「ん?」

「……本当だ。いた」

「おーいゴンちゃん」

ゴン「あ、ナナシ。それに瑠衣ちゃんも。どうしたの?」

「探してたんだぞ。ケータイの電源くらい入れておけよ」

ゴン「ご、ごめん。ライブ中はカメラに集中するために余計な情報を遮断してるんだ」

「プロ魂だな」

ゴン「それで、何か用かい?」

「ああ。……お前、友人からオリジナルの写真集を買う予定だったろ? タイトルは確か、秋葉原黒髪美少女写真集……」

ゴン「!!!!!」

ゴン「な、なんのこと? 僕そんなの知らないよ」

瑠衣「私も知らない。何それ」

「中には、瑠衣の写真が入ってた」

瑠衣「へ?」

「とびきりの美少女だから、友人に撮られちゃったんだよ。でも本人は記憶を失っているらしい」

瑠衣「え、ナナシもそれ知ってたの?」

「御堂から聞いたよ」

ゴン「ちょ待って、友人君って記憶喪失なの?」

「お前はさっさと真実をゲロっちまいなYO」

ゴン「ぅ、ぅぅ……あれは……僕が買おうと思ったものじゃないんだ」

「どういうことだ?」

ゴン「僕が写真集の出来を確認して、売り出すつもりだったんだ……はは……笑ってくれ……」

「どうしてそんなことを……」

ゴン「その話をしたときは、お酒を飲んでたから……ノリだったんだ。後は惰性というか、流れ作業で」

「何か分かるよ。変なテンションのときに変な企画を立ち上げたくなるのは誰にでもある性だよ」

ゴン「でも写真集をチェックする前に、友人君は失踪しちゃって。ナナシが彼を探してくれたんだよね」

「ボコボコにされたけどね」

ゴン「……そうか、友人君は記憶を失っていたのか……」

「そういうわけで、ゴンちゃんに何か詳しいことを訊きたくて」

ゴン「ごめんね、力になれないよ。特に彼の印象に残っているようなことはしてないんだ」

「そっか。でもそうするとお手上げだなぁ

ゴン「優さんは?」

「へ?」

瑠衣「え?」

ゴン「友人君を襲ったのは、彼なんだよね?」

「あ、そういえばそうだった」

瑠衣「うん」

ゴン「なら、彼と友人君を会わせればいいんじゃないかな」

「なるほどその手があったか。冴えてるな」

瑠衣「思いつかなかったね」

ゴン「ナナシがカゲヤシとNIROと関わるキッカケにもなったことだから、何か緊張しないでもないね」

「確かに」

「よし、それじゃあ……優と友人を会わせてみるか。行こう、瑠衣」

瑠衣「う、うん」

「じゃあ、俺たち行くよ。ゴンちゃんはどうする? 一緒に行くか?」

ゴン「……」

「……ゴンちゃん?」

ゴン「あのさ、ふと思ったんだけど——」

瑠衣「?」

ゴン「友人くんの記憶って別にこのままでもいいんじゃ……」
「え?」

瑠衣「え?」

更新遅れてすみませんでした
新スレ移行に伴いお話を一度区切るかもしれませんが、ご了承下さい

これからはどんどん更新するよう頑張ります

「なんでまた、急に……?」

ゴン「だ、だって……友人君は別に記憶を失ってる状態でも生活に支障なかったんでしょ? 優さんに会わせて無理に思い出させなくても……。あの時のことは友人君にとってものすごいトラウマだろうし……」

瑠衣「そ、それは……」

「まぁ、確かに……。記憶無くしてたことすら気づいてなかったみたいだし別に問題はないだろうけど……」

ゴン「な、なら、いいじゃないかな。このままでも……」

「う〜ん。でもなぁ、友人の記憶が戻らないと…………あれ? 何かまずいんだっけ?」

瑠衣「あ、それは私が——」

「ん? そうだっけか」

瑠衣「う、うん。正確には母さんがなんだけど……」

「え? 妖主が?」

瑠衣「そう、詳しいことはちょっと言えないんだけど。……でも、確かにゴンちゃんの言う通りかも。辛い記憶を無理やり思い出させるなんて、ちょっと……酷いことだよね」

「う〜ん」

瑠衣(正直、母さんの言ってた抗争とか仲間に引き入れたいとかよくわからないし……NIROの時のような深刻な話でもなさそうだし……友人はこのままの方が……)

瑠衣(でも……)

瑠衣「ど、どうしよう……。記憶を戻してあげるのと、そのままにしてあげるの……どっちが友人のためになるのかな?」

「……」

ゴン「瑠衣ちゃん……」

瑠衣「どっちが……」

あ、いえ、まだ終わりじゃないです、一応続き今書いてます

けど、もしよければ次スレはアキバズトリップ総合SSスレにしますか?

他の人のSSもぜひ読んでみたいので!

「……」

「……うむ」(携帯を取り出す)

瑠衣「ナナシ?」

ゴン「だ、誰に電話するんだい?」

「友人」

瑠衣・ゴン「えっ!?」

「ここで、俺たちがあれこれ悩んでてもしょうがないよ。これは友人の問題なんだし」

瑠衣「…………」

「記憶を取り戻すと色々辛いことが蘇るけど、それでも取り戻したいか、やっぱり止めるか——本人に決めて貰うのが一番だって」

瑠衣「……う、うん」

「そんな暗い顔しなくても大丈夫だって、瑠衣。奴のノリの軽さは直接会ってよく知ってるだろ? どっちの選択したってケロッとしてるもんさ。だから、大丈夫」

瑠衣「……うん、わかった」

瑠衣(……ありがとう、ナナシ)
ゴン(うわぁ……なんか、暑苦しい雰囲気だなぁ)

ナナシ「じゃあ、友人に電話するぞ」

瑠衣「うん」


ゴン(断れ、断るんだ、友人君……そうしなければ、君は辛い現実にぶち当たることに……)



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