撫子「2013の技を持つ男・・・?」 (40)

撫子「撫子だよっ!!」

五代「うわっ、ビックリした! おどかさないでよ」

撫子「ごめんね!」

撫子「せっかく神様になったのに、誰も来なくて寂しかったんだっ!お兄さん、撫子の話相手になってよ!お兄さんは撫子の信者第1号だね!」

五代「おっ、その呼び方懐かしいなぁ・・・。まぁ俺は第4号なんだけどね」

撫子「・・・?お兄さんの前に3人もお客さんいたかなぁ・・・?」

五代「あ、いやいや。こっちの話だよ。気にしないで」

撫子「ところでお兄さん、このお金・・・」

五代「あぁ、それはキューバのお金だけど・・・、やっぱり日本のお金だけじゃないと駄目かな?」

撫子「ううん!その気持ちだけでも撫子は十分嬉しいよ!」ペーソ♪ペーソ♪

撫子「お兄さんは海外の人なの?」

五代「いやいや。世界中をね、旅してるんだ。・・・おっとそうだ。はい、俺こういうモンです」

撫子「これ名刺っていうんだよね!撫子知ってるよ!えーっと・・・、『2013の技を持つ男』?」

五代「五代雄介です!よろしく!」グッ!

五代「撫子ちゃんっていうんだ。いい名前だね」

撫子「そうかな!?ありがとう!でもお兄さんもすごいね!2013個も技を持ってるなんて!すごいな!撫子、感心しちゃうな!」

五代「少し前まで2000個だったんだけどね」

撫子「撫子はね、今、3月になるのをずーっと待ってるんだ!」

五代「へぇ、3月に何かあるの?」

撫子「言っていいのかな・・・!言っちゃおうかな・・・!」

五代「もったいぶるね」

撫子「その頃になったら、なんと!」

五代「なんと!」

撫子「撫子、好きな人をぶっ殺せるの!」ニッコリ!

五代「・・・・・・?」

五代「好きな人を・・・殺す?」

撫子「うん!撫子はね、暦お兄ちゃんが大好きなの・・・だから殺すんだ!ぶっ殺すんだ!!」

五代「・・・どうして、好きなのに殺しちゃうの?」

撫子「撫子はね、暦お兄ちゃんが好きだったんだけど、暦お兄ちゃんには彼女がいたの。」

五代「・・・そっか、失恋しちゃったんだ」

撫子「うん。でも撫子はもう片想いでいいんだ!だから暦お兄ちゃんと、その彼女の何とかさんって人と、ロリ奴隷さんを殺すの!」

五代「それで・・・君は本当にいいの?」

撫子「うん!だって好きな人を殺して永遠の片想いになれるなら、それは両想いより素敵なことじゃない!?」

五代「そっかぁ・・・。俺にはちょっと難しいかな」

撫子「じゃあ、今度は五代さんのお話聞かせて!冒険家なんだよね!?撫子、面白いお話が聞きたいなったら聞きたいなー!」

五代「・・・俺も昔、君によく似た奴に会った事があるんだ」

撫子「えー!?撫子の他にも神様になった女の子がいたのー!?」

誰も見てないかな・・・?

いいや、貫き通してやる

五代「女の子でもないし、神様でもないよ。でも真っ白で、強くて、そして笑ってた」

撫子「へー・・・。どうして?どうしてその子は笑ってたの?」

五代「・・・彼は暴力が好きだったんじゃないかな。いや、もしかしたら暴力しか知らなかったのかもしれない。撫子ちゃんはさ、さっき俺に話しかけてきてくれたよね」

撫子「うん!」

五代「彼にとってそういうコミュニケーションの手段が暴力だったんだ。俺は彼と喧嘩して一度負けたことがあるんだけど・・・」

撫子「負けちゃったの!?」

五代「うん。その時に言われたんだ」

五代「『どうしたの?もっと強くなって、もっと僕を笑顔にしてよ』って」

撫子「・・・・・・(何だろ、今の言葉すごくゾっとした・・・。私神様になったのに・・・)」

五代「君がまだ小さい頃はさ。覚えてないかもしれないけど、そんな奴らがその辺に沢山いたんだ」

撫子「へーそうなんだー・・・。撫子は人間だった時の事あんまり覚えてないんだ!でも知らなかったな!ねぇ、そいつらって人間なの!?」

五代「見た目は人間と同じだったけど、考え方は人間と全然違うんだ。だから悲しいけど、絶対理解し合えないし、色んな人たちがそいつらのせいでつらい目にあってたんだ」

五代「ねぇ、撫子ちゃん」

五代「暦お兄ちゃんが死んだら、きっと悲しむ人がいっぱいいるよ」

撫子「そんなの関係ないよ!撫子が笑顔になれればそれでいいんだ!撫子はね、今まで心の底から笑った事なんて無いんだ!だから撫子にも笑顔になれる権利、少しはあってもいいんじゃないかな!」

五代「本当に?」

撫子「うん!この間も暦お兄ちゃんがお話しよーって来たんだけど、暦お兄ちゃんを殺すのは3月だから。帰ってって言ってるのに、あんまりしつこいからボコボコにしたんだ!その時本当に楽しかったもん!」

五代「嫌な感じがしなかった?」

撫子「えっ・・・?」

五代「暦お兄ちゃんを痛めつけてる時、暦お兄ちゃんが痛がってる時、嫌な感じがしたんじゃない?」

撫子「し・・・、しないよ。だって撫子は・・・神様だもん・・・」

五代「そっか、でも撫子ちゃんは撫子ちゃんだろ?あいつ等とは違うよ。信者第1号ができた時も、お賽銭をもらった時も、撫子ちゃんすごくいい笑顔してたよ。暦お兄ちゃんも笑顔になれる方法で解決できたらさ、きっと撫子ちゃんもっと笑顔になれるんじゃないかな?」

撫子「でも殺すのが一番ラクだし、簡単だよ!」

五代「撫子ちゃんにとってはそうかもしれないけどさ、誰かに暴力を振るったらさ、こう、またこう、ってずーっと続いちゃうだろ?それってきっとすごい辛いと思うよ」

撫子「うーん・・・!それってすごく綺麗事じゃないかな!」

五代「そうだよ」

撫子「えっ!否定しないの!?オーマイゴッド!神だけに」

五代「でも、だからこそ現実にしたいんじゃない。本当は綺麗事が一番良いんだから」

撫子「五代さん、撫子の邪魔するんだね・・・」シュルシュルシュル・・・

五代「ごめんね。撫子ちゃんがその暦お兄ちゃんをどうしても殺したいのなら、俺は邪魔するよ」

撫子「何ソレ・・・。もういいや、五代さんなんて死んじゃえ!」ブワッ

五代「もうこれ以上誰かの涙は見たくない」

五代「みんなに笑顔でいてほしんだ」

五代「もちろん、君にも」

五代「だから見てて・・・」




五代「俺の・・・!変身・・・!」

ブワッ

撫子「きゃっ!な、何?何なの!?」

撫子「・・・誰?」

クウガ「・・・」

撫子「もしかして・・・五代さん?」

撫子(真っ黒でトゲトゲ・・・。悪魔みたい・・・)

撫子「ふ、ふん!撫子は神様だよ!悪魔程度じゃ撫子には勝てないよ!」

クウガ「・・・」

撫子「やっちゃえー!」シャー!

クウガ「・・・!」ニューーン!ガキィン!

撫子「えぇっ!お兄さんの棘が伸びてウネウネしてる!?キモッ!」

撫子「でも、じゃあ数を増やせばいいんだ!撫子ってば頭いーな!いーな!いけっ!!」

クウガ「・・・」スッ・・・

キィィィィン・・・ボワァッ!

撫子「熱いんだよっ!?今度は何!?」

撫子「何で!?蛇が急に燃えちゃった!?」

クウガ「撫子ちゃん」

撫子「うるさい!お兄さんの説教なんて聞きたくないよ!」

撫子「撫子は他の道を探すのも、その道を歩くのももう面倒なんだよ!」

撫子「例えそこが暗くて汚くて土砂降りの道でも・・・」

撫子「撫子に残された道はもうそんな道しかないの!」

撫子「というか、撫子が選ぶ道はきっとどんな道でも土砂降りになっちゃうの・・・!」

撫子「明るい道なんて無いの!だって」

撫子「撫子の心はずっと・・・」

撫子「雨雲なんだもん・・・!」

クウガ「その雨だって絶対止むよ」

クウガ「そしたら青空になる」

クウガ「今だってこの雪を降らせてるこの雲の向こうには」

クウガ「どこまでも青空が広がってるんだ」

がしっ

撫子「・・・?」

クウガ「見せたいものがあるんだ」

撫子「えっ・・・きゃっ!」
シュン!

撫子「・・・」

クウガ「もう目を開けても大丈夫だよ」

撫子「?・・・・・・えっ!?ここドコ!?海!?」

クウガ「キューバだよ」

撫子「綺麗・・・」

クウガ「海も綺麗だし、何より見てよこの青空。吸い込まれちゃいそうじゃない?」

撫子「うん・・・」

クウガ「多分、暦お兄ちゃんの事だけじゃなくて色々あったんだよね。撫子ちゃん」

クウガ「周りの目とか・・・さ」

クウガ「確かに、あー!何もかもめんどせー!ってなる気持ちわかるよ」

クウガ「そういうお荷物はたまには降ろしてみたら?」

クウガ「その荷物を枕にして、深呼吸でもしてさ」

クウガ「そうすればきっと・・・青空になれるさ」

撫子「うん・・・うん・・・」ボロボロ

五代「じゃあさ、撫子ちゃんも何か技を習得してみたらどうかな?」

撫子「技・・・?」

五代「うん。俺の大好きな先生がさ、『誰かの笑顔のために頑張れるってすごい素敵な事じゃないか?』って言ってくれたんだけど」

五代「その言葉に感動してさぁ俺、だから2000の技できるようになろうって思ったんだ。あっ、今は2013個か」

撫子「でも撫子、何もできないよ・・・」

五代「何でもいいんだよ、ジャグリングでもドラムでも・・・笑顔でもいいんじゃない?」

撫子「・・・じゃあ・・・・・・」

30分後

暦「千石ー!いないのかぁ!千石ー!」

暦「僕の話を聞いてくれないかぁ!」

シュン!

忍「!!主様後ろじゃ!」

暦「・・・何っ!?だ、誰だ!」

クウガ「・・・」スッ・・・

五代「ふぅ・・・」

暦「(怪物の姿から人の姿に・・・?ってそんな事よりも!)」

暦「千石!」

暦「大丈夫か!千石!・・・あなた、千石に一体何を!」

五代「多分もう大丈夫だと思う。体の中にあったっていう変なお札?みたいなのだけ内側からこう・・・燃やしちゃった!メラメラっと・・・」

暦「燃やしたって・・・!千石は大丈夫なんですか!?」

五代「大丈夫だって。サムズアップもしてたし」

暦「サムズアップ?」

五代「満足できる行動をとった人だけができるポーズだよ。撫子ちゃんは自分の決心に満足してるってことだよ」

暦「あ、あの・・・何だか千石を助けてもらったみたいで・・・ありがとうございます」

五代「俺はほとんど何もしてないよ。撫子ちゃんが自分で自分の居場所を見つけただけだから」

五代「と、いうことで俺はそろそろ行くよ。撫子ちゃんをよろしくね。」

暦「ちょ、ちょっと待ってください!あなたは、一体何者なんですか?さっきの姿とか・・・千石を説得するとか・・・」

五代「大した事じゃないよ!」

五代「だって俺、クウガだもん!」グッ!

end

はい終わりです
劇中では使われなかった能力がいくつか使われてますが、そこはご愛嬌ということで

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