玄「く、くろうと……」 哲也「……バイニンだ」(242)

ダンチ「哲さーん!地図もらってきたっスよー!」

哲也「……」

ダンチ「哲さん?」

哲也「あぁ、すまん、それで、何かわかったか?」

ダンチ「それが、どうも妙なんスよ」

哲也「どうした?」

ダンチ「どうやら、ここは奈良県の阿智賀ってとこらしいんス」

哲也「奈良県だと…?それに、阿智賀…?聞いたこともないな…」

哲也「地図が古いんじゃないのか?」

ダンチ「そう思って、駅にいたばーさんに聞いてみたんスよ。そしたら、確かにそこには昔は人が通れるトンネルがあったらしいんスけど、一昔前に落盤事故があって、それ以来不通らしいんス」

哲也「じゃあなんだ、俺たちが通ってきたのはトンネルのお化けとでもいうのか」

ダンチ「そうは言ってなかったっスけど」

哲也「…まったく、お前がどうしてもというからついてきたらこのザマだ…」

ダンチ「そ、それはそうですけど、あんなトンネルあったら入って見たくなるのが男心じゃないっスか~」

哲也「呆れた男心だな」

ダンチ「うぐっ…哲さ~ん、大丈夫ですよ~帰る方法なら見つけまスって~…」

哲也「期待も信用もできん」

ダンチ「て、哲さ~ん。そんなこと言わずに……あっ、あんなとこに雀荘あるっスよ!せっかくだしちょっと打ってきましょうよ!」タタッ

哲也「……まったく、お前というやつは……」

カランカラン

マスター「いらっしゃい」

ダンチ「マスター!二人よろしくぅ~!」

哲也「マスター、悪いが、先にトイレを貸してくれ」

マスター「はいよ。奥行って右な」

哲也 (……?いま一瞬卓に子供の女がいたようだが…まさかな…)

トイレのドア
ガチャ

哲也「っ…こっ、これはっ?!…」

ジャー
ガチャ

ダンチ「ててて哲さん……」

哲也「どうした?」

ダンチ「こここの雀荘、見たこともねぇ器械が」

哲也「?」

ダンチ「は、牌が自動で牌山に積まれて上がってくるんス!」

哲也「なんだと?」

ダンチ「は、はい。この目で見ました!」

哲也「…ふむ、なるほど…やはり、か…」

ダンチ「や、やはり?」

哲也「すこし俺なりに仮説をたててみたんだが……いや、あとで説明しよう。まずその器械とやらを拝もうじゃないか」

ダンチ「は、はい。じゃあコッチに…って、ガ、ガキが雀荘に?!」

哲也「さっきの娘……見たところ年は12、3といったところか」

ダンチ「あんな嬢ちゃんにまともな麻雀が打てるわけ無いっすよ」

哲也「ダンチ、お前人を歳や見た目で判断してしくじったことが何回あった?」

ダンチ「で、でも…」

玄「…カン」

ダンチ「ほら、わけもわからずカンするのは初心者の特徴っスよ。二つもカンしてるし。しかもいまの大明カンっスよ。ちょっと手配覗いてきまッス」

哲也「あ、おぃ…」

ダンチラ見「って、おわあぁー!」

哲也「?!」

ダンチ「哲さん、ドラ爆!ドラ爆っす!晒した槓子では飽き足らず暗刻で抱えてドラ10…(ボカッ!

哲也「馬鹿野郎!勝負の最中にそんなことを声高にいう外野があるか!」

ダンチ「す、すいません。つい…」

哲也「おい、嬢ちゃん、すまない。勝負に水をさしちまった、ここはその点棒分、こいつに払わせるからチャラにしてくれねぇか」

玄「……んです」

哲也「?」

玄「…いいんです。皆さん、ご存知ですから…」

ダンチ「ご存知って、確かに槓子のドラ4は明らかだけど、おれがバラしちまった手配の6枚分が(バキッ!

ダンチ「いってぇー!」

哲也「まだ言うか!この馬鹿が!」

玄「…ツモです…トイトイ三暗刻ドラ10で、16000オールです…」

客A「…クソッ。このガキっ…また役満祝儀かよっ……」

客B「マスター!アウト!明日返しにくるから今日はもう帰る!」

客C「ほら受け取れ!クソガキが!」バシッ

ダンチ「ちょ…あいつら負けたからって金を投げつけてるっスよ…」

客A「二度とくるかっ!死にさらせっ!守銭奴のアバズレがっ!」

カランカラン…

黙々と札を拾う玄
玄「……」

ダンチ「い、いま、あ、あの嬢ちゃんのカバン、みました?」ヒソッ

哲也「あぁ、そうとう入ってるな」

ダンチ「まさか、あの嬢ちゃん、あの歳で玄人(バイニン)…?!」

哲也「そうかもしれんな…あのドラ爆、相当の手練かもしれん……ただ……何か、切羽詰まっているように見える…」

玄「マスター、チップの換金、お願いします」

マスター「……わかった、換金するさ、しかしあんた、一つ約束してくんねぇか?」

完結してないけど
京太郎「阿佐田哲也……? 誰それ」 すこやん「え!?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340887873/)

マスター「悪いが、もううちの店にはこないでくれ、あんたが来ると、客が遠のいて仕方がねぇんだよ」

玄「…はい」

マスター「そりゃ、あんただってちゃんとゲーム代を払ってるし申し訳ないと思うがこっちも商売なんでね。ほら、チップ分だ。これを受け取ったら出てってくれ」

玄「…ご迷惑をおかけして、すいませんでした」

カランカラン

マスター「おーい。そこのあんたたち!見ての通り客もいないし今日はもう卓はたたんよ、すまんが帰ってくれ」


ダンチ「えぇ?!まだ打ってないないのに…」

哲也「仕方ない、出るぞ。」



あ、>>19のは俺じゃないよ
この話は前スレない



テクテク

ダンチ「…はーっ。ついてないっスねー。哲さーん…」

哲也「…」

ダンチ「それにしてもあの嬢ちゃん、何もんなんスかね…可愛い顔して恐ろしい技を使いやがって…ねぇ、哲さん?」

哲也「……ダンチ」

ダンチ「なんスか?」

哲也「お前、店に入って俺に行ったこと覚えてるか」

ダンチ「…み、店?えーっと…」

哲也「お前は、妙な器械があると言っただろう」

ダンチ「あっ!そのことっスか!そーいえばあれは一体なんなんでしょうねぇ」

哲也「同時一つのことしか頭に入れられないのかお前は…まぁいい、おれも妙なものを便所で見た」

ダンチ「妙なもの?」

哲也「あぁ。便座から水がでる機械、洗面所で風で手を乾かす機械を見た」

ダンチ「…何いってんスか?」

哲也「俺もなんなのか理解できなかったさ。だが、わかったことがある」

ダンチ「?」

哲也「前にあの卓のことは横須賀で小耳に挟んだことがある。玄人技を封じるために、山積みを自動化して積み込みを防ぐ器械が研究されているってな」

ダンチ「えぇっ、それじゃあ俺たち、食い扶持なくなっちゃうじゃないッスか!」

哲也「いや、おれの聞いた話では実現にはかなりかかるだろうと言われていたし、仮に実現しても、こんな片田舎の雀荘にまですぐに普及する訳がない。」

哲也「そしてこれを見ろダンチ」

ダンチ「なんすかこれ、雀荘においてあったマッチ……」

哲也「そいつの裏に製造年月日が書いてあるだろ」

ダンチ「な、なんすかこれ?見たこともない元号…‥」

ダンチ「?!…ま、まさか…」

哲也「あぁ……俺たちはどうやら……」

哲也「未来に……迷い込んじまったみたいだな……」

……

哲也「あれからいろいろ訪ねたが、結局手がかりはなかったな」

ダンチ「哲さん、とりあえず今日のところは何処かに泊まりませんか?」

哲也「あぁ、そうだな…泊まれそうなとこはあるか?」

ダンチ「地図によると、こっから1kmくらい行ったとこに旅館があるみたいッス」

哲也「よし、そこに行くか……しかたねぇ……」

……

ダンチ「あれ、しまってるんすかね?」

哲也「明かりもついてないな」

ダンチ「ちょっと俺、聞いてきまス」

タッタッ

ダンチ「すいませーん。今晩、止めてもらえませんかー?」

???「……ごめんなさい、今日はもうやってないんです…」

ダンチ「そこをなんとかお願いしまスよ~。あと、戸越しだから良く聞こえないんスけど、とりあえず戸を開けてもらえませんかねー?」

???「…」

ガラガラ

ダンチ「?!あ、あんたは…!!」




書き溜めてあるから規制喰らわなければ完結させる

……

ダンチ「哲さーん!」

哲也「おぅ、どうだった。泊まれそうか?」

ダンチ「泊まれることは泊まれるんスけど……」

哲也「けど、なんだ?」

ダンチ「実は…

玄「こんばんは…」

哲也「お、おい、こ、この嬢ちゃん、さっきの……!」ヒソ

ダンチ「あのドラ爆嬢、この旅館の娘さんらしいんスよ!」ヒソ

哲也「なんだって……」

近代麻雀「訴訟も辞さない」

玄「お部屋、ご案内いたします…父が不在なのでたいしたおもてなしもできませんが、それでも、よろしければ…」

ダンチ「どっ、どうします?絶対ヤバイっスよこの旅館」ヒソ

哲也「だが、そんな『ヤバイやつ』が大手を振って闊歩してるような土地で野宿するのも同じくらい危険だろ」

ダンチ「そ、それはそうっスけど…」

哲也「それに今日は天気が荒れそうだ。背に腹は代えられん。行くぞ」

ダンチ「ほんとに泊まるんスか~?」

哲也「あぁ。よもや命までは取られまい」

……

玄「こちらのお部屋にどうぞ…」

玄「お食事ができたらお呼びしますので…お風呂はお好きな時にご使用ください…」

玄「何かありましたらわたしは厨房の方におりますので…お申し付けください…」

ガラガラ
ピシャ

ダンチ「…普通っスね…」

哲也「あぁ。ただの看板娘みたいだな…」

ダンチ「別人っスかね…」

哲也「いや、それは無いだろう。あの髪飾り、間違あるまい」

ダンチ「でも旅館の娘さんがなんであんな玄人技を…」

哲也「すこし調べてみる必要があるかもしれないな。俺たちが元の世界に戻る手がかりも見つかるかもしれん。」

ダンチ「なにはともあれ、風呂っスね」

哲也「そうするか」

……

宥「玄ちゃん…?」

玄「…あ、お姉ちゃん…おかえり」トントン

宥「…お客さん?」

玄「…うん…断ったんだけど、宿がなくて困ってるみたいだったから」トントン

宥「ご飯の準備、わたしも手伝うね…」

玄「うん、ありがとう、お姉ちゃん」

宥「…玄ちゃん、どう?お金集まった?」

玄「…」フルフル

宥「私も頑張ってみたんだけど、やっぱりそんなに勝てなかった……」

玄「…わたしはいろんな雀荘行ったんだけど、どこも追い出されて出禁になっちゃった……」

玄「がんばって集めたけど、全然足りないし、これ以上はもう……」

竹書房「麻雀漫画はウチの専売なの分かってるよな?あ?」

立タン「お父さんに・・・会いたい!」

竹書房「許す」

さいふうめい「自由主義社会で何言ってんのこいつwwwwwwww」

竹書房「殺す」

宥「玄ちゃんの力は派手だから、きっと他の人が怒っちゃうのね……」

玄「…お姉ちゃん、旅館、あの人たちに取られちゃうのかな…?」

宥「泣かないで玄ちゃん…」

玄「ごめんなさい……でも……三百万円なんて無理だよ…」

宥「…玄ちゃん……」


ダンチ「……やっぱ間違いないっスね。やっぱドラ爆娘ですよあれ」

哲也「あぁ、ちょっと話を聞いてみるか」


哲也「おい、あんた!」

玄「ひゃ、ひゃぃぃ?!」

哲也「…声が裏返ってるぞ…」

玄「す、すみません」

哲也「あんた、今日の昼、駅前の雀荘にいなかったか?」

玄「?!な、なぜそれを…って、あっ!」

哲也「やはり、あんただったか…」

宥「…玄ちゃんの、知り合いの方?」

玄「うん…そういえば雀荘で…」

ダンチ「その節はどーもすいませんでしたっ!」

宥「同卓したの?」

玄「ううん、麻雀を見てただけ」

ダンチ「それで俺が手の内をばらしちまって…」

哲也「それは申し訳なかった」

哲也「だがそれはそれとしてあんた、ちょっと度が過ぎるんじゃないか?」

玄「え…?度が…?」

哲也「シロ(※)相手に、どんな技かしらねぇがあんな派手なイカサマで雀荘を荒らすなんて、さすがに玄人としてどうなんだと言ってるんだ」
※素人のこと

玄「バ、バイニン??それに、私はイカサマなんて…」

宥「玄ちゃんはイカサマなんてしません」

ダンチ「で、でもそこのお嬢、『ドラ爆のことみんな知ってる』なんて、堂々とイカサマ宣言みたいなことしてたじゃないっスか!」

玄「わたし、イカサマなんてやってないし、そもそもできないです…」

哲也「別にイカサマが悪いと言ってるんじゃない。やり口が問題なんだ。あれじゃあ雀荘に客が寄り付かなくなってだな……」

宥「……わかりました。玄ちゃん、このひとたちと、麻雀を打とう?」

玄「え、で、でも」

宥「玄ちゃんがイカサマしてるなんていうのが、誤解だってこの人たちに証明してみせよ?」

宥「それで、よろしいですか?」

ダンチ「どうします、哲さん?」

哲也「……あぁ、いいだろう」

……


哲也「こ、こんなことが…」

ダンチ「あの妙な機械も使わず、伏せ牌手積み、傷もない練り牌で、俺たちが全部積んで、サイも2度振り、そして俺たちが振っても全局ドラ爆…これはもうイカサマの入る余地がないっすよ…」
※伏せ牌、練り牌、2度振り……イカサマ防止に使われる洗牌の仕方や牌の種類、サイコロの振り方

哲也「ほんとうにヒラでドラ爆を出せるのか……?」

宥「玄ちゃんはイカサマなんかしていないって認めてくれますか?」

哲也「……認めざるを得ないな。……イカサマを疑っておいてそれがヒラだったとなれば……どんな仕打ちでも受けよう。言ってくれ」

宥「じゃぁ、玄ちゃんにあやまってください」

ダンチ「……は?」

宥「玄ちゃんに、イカサマなんていってごめんなさい、ってあやまってください、って言ってるんです」

哲也&ダンチ「「…申し訳なかった&ないっス…」」

宥「……はい。よかったね、玄ちゃん」

玄「う、うん…」

ダンチ「え……これで終わり?てっきり財布の中身じゃ勘弁してくれないくらいかと……」ヒソ

哲也「うむ…玄人どころか、そもそも博徒ですらない気がしてきたぞ…」ヒソ

哲也「なぁ、一つ聞かせてくれ」

宥&玄「?」

哲也「あんたたちは玄人でもないし、みたところ博徒というわけでもなさそうだ。それなのに、なぜ、あんな雀荘荒らしみたいなことを?」

玄「……」

宥「……そ、それは…その……」

玄「……日までに…」

ダンチ「?」

玄「明日までに、どうしてもお金がいるんです…」

ダンチ「か、金って、金ならあんたら雀荘で十分…」

-----3日前-----

ミーンミーン…

玄「いいお天気…ちょっぴり暑いけど…」

あの日、お姉ちゃんがお庭の水やりをしてる間に、わたしは旅館の前の道を掃き掃除してたんです

お父さんがいま遠出していて、月末に帰ってくる予定なので、宿は休みなんですが、お掃除はわたしたちの仕事なので…

あつめたごみを捨てようと思ったんですけど、ごみ袋をとってくるのを忘れてしまって、
箒と塵取りをとりあえずそこにおいて、ごみ袋を室内に取りに行ったんです。

戻ってくると、おばさんが尻餅をついていて、その側に割れたツボがあったんです…

おばさんは、あのツボは貴重なものなのに、あんたの箒のせいで台無しになってしまった、どうしてくれる、ってすごい剣幕で…

おばさんの旦那さんを呼ぶというので、おばさんには室内で待ってもらいました。

そうしたら旦那さんがいらっしゃって……旦那さんは、優しそうな方で、奥さんをなだめてこそいたんですが……

『古いツボといっても、まぁ、私達にとっては大事なものでしてね、やっぱりタダで許そうっていっても、それでは家内も納得しませんし』

『ただ、今回はこちらにも非がありますから、なにか適当な勝負でもして勝ち負けでチャラってことにしませんか』

それで、その人たちが持ち出したのが麻雀で…

哲也「いざ始めると最初の二、三半荘はあんたたちが勝ったんだろう」

玄「…はい」

ダンチ「でもってあの手この手で向こうはレートあげ、突然嬢ちゃんたちは勝てなくなって退路を絶たれたところを連戦連敗」

宥「はい…」

哲也「負け分が手に終えなくなったところで日を改めて、明明後日までに負け分が払えなければもう一つ勝負して、それで負けたらこの宿をもらって行くぞ、とそう言われたんだな?夫妻の特徴は妻は小太り、夫は細身メガネのチビ」

玄「…ど、どうしてわかるんですか?」

ダンチ「簡単なことっスよね、哲さん」

哲也「あぁ、間違いない。その手口…」

哲也「『あいつら』もこの世界に迷い込んでたってことだな」

……

哲也「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺は哲也だ」

ダンチ「俺は哲さんのオヒキのダンチっス」

宥「私は、松実宥と言います。この子は妹の玄ちゃんです」

玄「それで、あの、哲也さん達は、あの夫婦を知ってるんですか?」

哲也「あぁ、特にそこの、ダンチがな」

ダンチ「知ってるもなにも、おれんちもあいつらにめちゃめちゃにされたんス…」

哲也「ちょうど、今のあんたらのようにな」

哲也「あいつらは根津という玄人コンビの夫妻だ。コンビ技を使って相手から当たり牌を絞り出すんだ」

玄「…そ、そういえば…」

------

根津妻「リーチ」

玄&宥「…っ!」

宥(これで振り込んだら、トんじゃう…)

宥姉、中暗刻落とし

根津妻「なんだい、そんなおよび腰じゃ、とても勝てないよ」

根津夫「まぁ、人にはいろんな打ち方があるからねぇ…でも…」

根津夫「今、レートがいくつになってるか…わかってるのかなぁ…?」

玄「…っ」

玄(こ、こんなときにドラが重なるなんて…ど、どうしよう…とりあえず現物の六索を切って、あとは流局を狙うしか……)

打 六索

根津夫「おや、六索かい…」

玄(…ど、どうしておじさん、ツモらないんだろう…っ!まさか?!)

根津夫「今度は妹さんがトビだねぇ…ロン、タンピン三色、12000……」

玄「あ…あ…ど、どうして……」ガクガクガク

根津妻「あらあら、運が悪い子達だね。でも、賭博の負けは賭博で返すのが筋だ……またレートを倍にしないとダメだねぇ。」

宥「そ、そんな…」

玄「…」レイプ目

------

ダンチ「素人相手に最初はわざと負けて、あとで何かと理由をつけてレートを釣り上げて、搾り取れるだけ搾り取る、玄人の風上にもおけない連中っス」

宥「あの…バイニン??ってなんですか?」

哲也「玄人というのは、まぁ、イカサマを使って麻雀に勝つのを生業としている連中のことだ。」

玄「イカサマ……」

哲也「勘違いしないで欲しいんだが、本当の玄人はシロウト相手に派手なイカサマで破滅させたりしない」

ダンチ「あのやろ……あんだけ痛めつけてやったのにまだ懲りてねぇのか!やっちゃいましょうよ!哲さん!」

哲也「…いや、そいつはだめだ」

ダンチ「えっ、どうしてっスか?!」

哲也「考えてもみろ。あいつらが俺たちとの勝負に乗ると思うか?お前はあの夫婦に多分初めて、泥をつけたやつだぜ」

ダンチ「そ、そりゃまぁ、そぅ、ですけど…」

哲也「俺たちは表に出ない方がいい。そのためには、嬢ちゃん二人でなんとかするしかねぇな」

ダンチ「っていっても、あいつらもプロっスよ。シロが一晩練習したところで…」

哲也「いや、そうでもねぇかもしれねぇぜ」

ダンチ「えっ?」

哲也「こいつらはただのシロじゃねぇってことだよ」

玄「…あ、あの…」

哲也(この姉妹……牌に愛されてやがることは確かだ……)

哲也(姉ちゃんの牌の偏りは聴牌が早いし、妹のドラ爆は圧倒的火力がある……だが、それだけじゃ駄目だ……)

哲也「なぁ、あんたら、もう一回麻雀をやらないか?」

玄「は、はい?」

哲也「あんたらに教えてやれることがあると思うんだ」



玄(えっと…まだ三巡目だけど、中張牌によってきたから、辺張を払っていく感じでいいかな…)

玄 打 九索

哲也「ロン、国士無双。役満だ」

哲也捨て牌
 ┌─┬─┬─┐
 │③│四│  │
 │筒│萬│北│
 └─┴─┴─┘

玄「!!」

玄「こ、国士無双って……もう二回目……そ、それに三巡目なのに…」



玄(哲也さんのラス親……私、ここまで結局焼き鳥だし、どれだけ沈んだか数えきれないし……あれ?哲也さんが一打目を打たない…)

パラララッ


 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
 │二│三│四│⑦│⑦│⑦│.5 │.6 │.7 │.8 │.8 │  │  │  │
 │萬│萬│萬│筒│筒│筒│索│索│索│索│索│北│北│北│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘

哲也「天和だ。役満、16000の通し(※)だな。これで、勝負あったな」
※16000の通し=16000オール 「通し」は麻雀多義語なので今後も注意されたし

宥&玄「……!!!?」

哲也「もう十分だろう。いままであんたらの前でやってみせたこと、これが玄人技だ」

玄「い、イカサマしてたってことですか?」

宥「全然、わからなかった…」

ダンチ「そりゃ、哲さんは新宿一の玄人だからよぉ!年端もいかない嬢ちゃんのガタに見破られる分けないはいかねぇってもんよ!」

哲也「……あいつらが使っていたのも似たような技だろうな」

ダンチ「……ま、まぁ、あいつらの場合コンビでつるんでるだけで一人一人の腕は対したことないっスよ。」

宥「そんなことしてたんだ、あの人達…」

玄「イカサマなんて使われたら勝てるわけなぃよ…」

哲也「じゃあ、負けてもいいのか?」

宥「それは……困ります……」

玄「……お願いです!なんとか勝つ方法を教えてください…!」

宥「お願いします…」

哲也「頭を上げてくれ。言っただろ。あんたらには借りがあるってな。時間はあまりないが、なんとかできるとこまでやるぞ」

玄&宥「「よろしくお願いします!」」

……

そして、迎えた勝負の時

ルールは半荘戦、ウマ20-60、25000点持ち30000点返し
喰い断あり
赤なし
後付けあり
槓ドラはすべて先めくり

隣室で見守る哲也&ダンチ

ダンチ「大丈夫っすかね…嬢ちゃんたち…」

哲也「五分五分だな…」

ダンチ「そんなに勝算ありますかね」

哲也「いずれにせよ、勝負が決まるのはただ一瞬…その一瞬を制した方が、勝ちだ…」

---昨夜---

哲也「いいか、連中はあんたらのことをカモだと思っている」

哲也「だから、敢えて最初はカモになりきれ。」

玄「そ、それはどういう…」

ダンチ「前と同じように打って負けろってこと、っスよね!哲さん!」

哲也「そうだ。玄人はどうしても、相手がシロだと思うと手を抜いてしまうもんなんだ。その油断を使って後半一気に巻き返す」

-------

根津妻「おっと、これはリーチだねぇ」

宥(きたっ…でも、哲也さんに言われたとおりここは…)

宥姉、中暗刻落とし

根津妻「あいかわらずふ抜けた打ち方だね!」

玄(ほんとに大丈夫なのかな…。でも、もうここはあの人を信じるしかない…)

玄 現物 四萬切り

根津夫「おっと、運が悪いね、妹さん。それはロンだ。」

根津夫「7700だねぇ」

玄「……は、はい」

玄「えっと、えっと……」

根津妻「300バックだよ。さっさとしな」

玄「ひゃ、ひゃぃぃ!」

玄(ど、どうしよう……作戦通りなのに、て、手の震えが、止まらないよ…)ガクガクガク

……

ダンチ「しっかし、ねーちゃんの方はまだしも、妹の方は肝が座ってなさすぎっスよ…」

哲也「まぁ、あれだけビクビクしてればよもや連中もコンビ打ちがばれてるとは思うまい。好都合だな」

ダンチ「あんなに手牌にドラが毎回きたら俺だったら笑いが止まらないと思いますけどね」

ダンチ「あの女々しさをドテ子にも少しは見習って欲しいっスよ」

哲也「(プッ…)…たしかにな」

……

そして、勝負は佳境、南3局を迎える

南三局0本場
東家 根津夫 52600
南家 根津妻 42800
西家 松実宥 3500
北家 松実玄 1100

ダンチ「…ぎりぎり持ちこたえたって感じっすね」

哲也「あぁ、だが、百点でも残して南三局を迎えられば、勝機はあるんだ……!!」

根津妻「ずいぶんとかかったけど、もうあんた達の親番もこないし、これであんたらが飛べば、権利書はもらってくよ」

玄(……勝負はこれからだっていうのに……震えが、と、止まらない……)プルプル

宥(…玄ちゃん…)

根津夫「もっともこんなボロい旅館をもらったとこで、ツボ一つ分にもなりゃしないんだけどねぇ」

玄「……っ!」

根津妻「おやおや、本当についてるねぇ、リーチだよ」

根津妻「こんなのに振ったら、あんたたちも、もうトんで終わりだねぇ」

根津夫「あっけないものだな、カカカッ…」

玄(……ついにきた)グスッ

宥(哲也さんに言われてた…)

玄&宥(南三局のリーチっ……!)

---昨夜---

哲也「勝負を決めるのは、最後の二局だ。最後の二局だけ勝てばいい。ここでそれまで取られた点棒を一気に取り戻す」

哲也「あんたらが磨くべき能力は……コンビ打ち、これっきゃ無い」

宥「コンビ打ち…?」

ダンチ「要は、卓の二人で協力して打つってことで。」

哲也「チーポンの必要牌を流したり、聴牌に差し込んだり、役満完成のアシストをしたりすることだ」

玄「で、でもどうやって」

哲也「もちろん声高に何の牌をくれだのなんだのいうわけにはいかん。そこで『通し』をつかう」

宥「通し?」

ダンチ「二人の間だけで通じる、サインみたいなもんよ」

哲也「例えば鼻を3回掻いたら三萬、耳を6回掻いたら六索とか、あらかじめ決めておくわけさ」

------

ダンチ「ついにきましたね、哲さん」

哲也「あぁ、ババァの方はノーテンリーチ、オヤジの待ちは1-4索で、高めの四索がババァの現物…いつも通りにもほどがあるな」

哲也「連中の作戦はノーテンリーチにビビってリーチ者の安牌を打たせ、その牌ダマ聴している親が大物手を上がる……」

ダンチ「あのチンケな戦法、いまだに続けてるんスね……」

ダンチ「…でも、ほんとにコンビ打ち教えるだけで良かったんですかね…」

哲也「コンビ打ちと最低限必要なギリ技(※)は教えた、あとは嬢ちゃんたちの度胸次第だな……」
※握りこみ技のこと。他人のツモる予定の牌をすり替えたり自分の不要牌と山の牌をすり替えたりする技

……
根津妻の捨て牌
 ┌─┬─┬─┬─┐
 │  │.9 │②│四├──┐
 │北│索│筒│萬│.4 索│
 └─┴─┴─┴─┴──┘

根津夫(さぁ、こいっ……)

根津夫手牌

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
 │二│三│四│七│七│②│③│④│.2 │.3 │.6 │.7 │.8 │
 │萬│萬│萬│萬│萬│筒│筒│筒│索│索│索│索│索│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
平和断ヤオ三色同順11600点のダマ聴
リーチ者を恐れ安牌の四索を捨てると振り込むことになる

宥(………)

宥 五索切り パシィ

根津妻(?!おかしいね…五索なんてのはこの立直の本命牌に見えるはずなのに、やけになったのかね…)

玄(……お姉ちゃんが危険牌の五索を切った……ここで動く…!)

玄 チャッ

玄「……カン!」

ドラの六筒を暗カン
ドラはまたも六筒
ドラ8確定の玄

ダンチ「きたっ!嬢ちゃんのおハコのドラ爆!」


哲也「ここからだっ…」

根津夫「ド、ドラ8!?」

根津妻「馬、馬鹿な。あんたら、裏ドラは忘れてるのかい!!こっちは、リーチかけてるんだよ!」

玄(わ、わかってる……そんなことは……)

玄(お姉ちゃんのあれは……五萬を鳴かせてっていう合図……)

玄(こ、怖い……でも、もぅ、いくしか無いっ……!)

玄 無筋ど真ん中の五萬切り

根津夫(な、なんだこれはどうなってるんだ)

宥「ポン」

宥(玄ちゃんのあの合図は、七索……)

宥姉、またも無筋の七索切り

根津妻(な、何だってそんな牌を)

玄「か、カン!」

根津妻(だ、大明カンだって?)

玄 八筒切り
新ドラは 八萬

根津夫(クソッタレ、このガキども無駄なあがきを……ここで俺がツモれば…!!)

が、ダメっ…。

根津夫 八索ツモ切り

根津妻(あんた、どうすんだい、こいつらどこまでも突っ込んでくるよ…あ?)

根津妻 四萬ツモ

壁の向こう側とは言えど危険な中チャン牌

しかし、立直をかけている手前、ツモ切るしかない

根津妻(ま、まさかそんなことは…)

   トン
 ┌─┐
 │四│
 │萬│
 └─┘

宥「…ロン」
パララッ

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ ┌─┬─┐
 │一│一│一│四│六│六│六│九│九│九│ │五│五├──┐
 │萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│ │萬│萬│五萬│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └─┴─┴──┘

宥「清一色対々三暗刻、16000です」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
 │一│一│一│四│五│五│五│
 │萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘

根津妻「な、なんだって…!?」

玄「わ、私もロンです」
パタ


 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐       ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┬─┐
 │二│三│八│八│八│⑦│⑦│ ┌──┤.7 │.7 │.7 │ │  │⑥│⑥│  │
 │萬│萬│萬│萬│萬│筒│筒│ │.7 索│索│索│索│ │  │筒│筒│  │
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └──┴─┴─┴─┘ └─┴─┴─┴─┘

玄「タンヤオドラ11、に、24000です!」


根津夫婦「「!!!!こ、こんなことが…」」

ダンチ「決まったぁ~!やりましたね、哲さん!」

哲也「あぁ、目には目を、イカサマにはイカサマを、コンビうちにはコンビうちを、だ!」

ダンチ「当たり牌のすり替えもバッチリでしたね!」

哲也「あぁ。あの姉妹、牌の扱いには慣れていたからよかったぜ」

オーラス
東家 根津妻 1800
南家 松実宥 19500
西家 松実玄 25100
北家 根津夫 52600

全局でかなり取り返した松実姉妹だが、トップ賞やウマを考えるとトップを取らなければ厳しい

ドラは三索

根津妻(ちょっと、あんた、どうするの?)

根津夫(た、たまたまでかい手がきててやけになって突っ込んできたにすぎん…大丈夫、大丈夫、つぎもいつも通りで行けば、こんな小娘…)

根津妻(ただ、一応、コンビ打ち、警戒したほうがいいかもしれないね……)

根津妻(……そうだ……あいつらはどうせシロのヘタレ……ちょっと脅しを入れればすぐに折れるかもしれないね……)

根津妻「……あーぁ。なんだか、見え見えだったねぇ……色々とねぇ……」

玄 ビクゥゥ!

宥「……」

哲也「…っ!」


ダンチ「哲さん、あ、あれは一体!?」

哲也「クソ、あいつら姉妹を揺さぶる気だ」

哲也「俺達玄人だったらあんなの軽くいなせるが……あいつら、動揺を誘ってコンビ打ちを封じる気だっ……!」

ダンチ「どっちかがバレてると思って通しを出したり受け取ったりしなくなったらコンビ打ちは終わり……や、やばいっすよ!」

根津夫「おやおや、妹さん、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてどうしたのかな……?まさか……」

玄(あ…あ…)ガクガクガクブルブルブル

根津夫「ずるいことしてたんじゃぁ、無いよねぇ……?」

宥「……ください」

根津妻「あ?」

宥「もう終わった局のことです。早くサイコロを振ってください」

根津夫「……チッ」

玄(……)ガクガクガク

ダンチ「……な、なんとか、姉ちゃんがナイスプレーですね」

哲也「あぁ、姉さんのほうは肝が座ってるな」

ダンチ「でも、妹さんのほうが完全に……」

哲也「……ああなってしまうと…もう通しは使えないぞ……」

ダンチ「えっ……!そ、それじゃぁ……!?」

哲也「あぁ、これはまずいぞ……」


根津妻(この小娘が……でも)

根津妻(姉の方はだいぶ強がってるけど、妹の方はもう使い物にならないね…これで連中は通しも使えまい)

根津夫(あぁ……そして、サイコロは俺達が振る……やつらに付け入る余地はない……!)

そして、7巡目

ドラは三索

根津妻(ダマで三倍満の手……ついにきたね、これで決めてやる)チラッ

根津夫 コクッ

宥 チャッ……トンッ

玄 チャッ……………………トンッ

根津夫 チャッ


根津夫「リーチ!!」バシイィ!

根津夫捨て牌

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┐
 │  │⑦│.6 │六│②│二├──┐
 │中│筒│索│萬│筒│萬│  発│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴──┘

根津妻(あんたらシロの馬鹿ツキもこれで終わりだ……!)

根津妻 チャッ…トンッ

根津妻捨て牌(※太線はツモ切り)

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┳━┓
 │五│.4 │四│.1 │  │  │②┃  ┃
 │萬│索│萬│索│西│北│筒┃北┃
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┻━┛
筒子染め手濃厚っ……!加えてチャンタ系まで見えるっ…!

玄(あ……あ……もう……イカサマもバレてるし……もうどうしようも……)ガクガクガク

玄(そもそもおじさんの立直がホントにノーテンなのかも分からないし……)ブルブルブル

玄(やっぱり一晩で勝とうなんて無理だったのかな……)カタカタカタ


ダンチ「……だめっス!妹さんの方はもう、姉ちゃんの顔すら見てないっス!」

哲也「クソッ!終わったか……!」

ダンチ「ちくしょう!あの夫婦め……!」

宥 チャッ

宥(玄ちゃん……)チラッ

宥(あんなに震えて……河しか見てない……きっと安牌を考えてる……)

宥(だめだよ、玄ちゃん……それじゃ負けちゃう……)

宥(……こっちを見て玄ちゃん……)

宥(……)

宥(……わかった。玄ちゃんが、こっちを見れるようにしてあげる……)

宥(お姉ちゃんは……絶対あきらめないから!!)

ダンチ「姉ちゃんが牌を捨てた……あ、あの牌は……!」

哲也「!?」

タァン!

 ┌─┐
 │⑦│
 │筒│
 └─┘
宥姉、超危険牌七筒切り

哲也「ば、馬鹿な!七筒はチャンタ系染め手濃厚な親に対して最も危険な打牌、しかも囮のリーチ者の現物だぞ!」

ダンチ「妹の気付けには十分とはいえ……一歩間違えば地獄行きのとんでもない打牌……頭のネジぶっ飛んでますよあの姉ちゃん!!」

宥「……通りますか?」

根津夫「あ…あぁ…通る、通る……」

玄(……!!お、お姉ちゃん!?)

宥(気づいた?玄ちゃん)

宥(泣いても笑っても、これが最後……いこう、玄ちゃん、ねっ?)ニコッ

玄(……………!)キッ!

玄 ゴシゴシ

ダンチ「あっ!妹さんが顔上げて、涙拭いて……」

玄(……うん、わかったよ……お姉ちゃん……)

玄 チャッ

玄(……四枚目のドラの三索……)

玄(安全を考えれば……でも!……)

玄「……カン!」

哲也「!!」


 ┌─┬─┬─┬─┐
 │  │.3 │.3 │  │
 │  │索│索│  │
 └─┴─┴─┴─┘

三索暗カン
新ドラはやはり三索…っ!


哲也「この土壇場でもドラを乗せてくるとは……やはりあの能力は本物か……!!」

根津夫(ま、またドラ8!?まさか、こんなことが…!)

玄(……お姉ちゃんの声が聞こえるの……お姉ちゃんが欲しい牌、私にはわかる……!)

玄 ターンッ!

 ┌─┐
 │.7 │
 │索│
 └─┘

打七索 これも無筋

根津夫(なんてこった…!こいつらまだコンビ打ちを…?!)

宥「ポン」

根津妻(このガキ共、通しもしていないのに……!いったいどうやって……)

宥姉、七索をポン

宥 パシィ!

 ┌─┐
 │三│
 │萬│
 └─┘

玄「三萬ポン!」

宥(玄ちゃんの声……私も聞こえてる……

宥(……通しなんて……いらないの……)

宥(だって、私は玄ちゃんのお姉ちゃんなんだもの……)

玄 パァン!

 ┌─┐
 │.5 │
 │索│
 └─┘

宥「ポン」

玄(……お姉ちゃん……)


ダンチ「と、通しも使ってないのに、なんで必要牌が分かるんスか……」

哲也「……」

宥 パシィ!

 ┌─┐
 │.8 │
 │索│
 └─┘

玄「チー!」

               カシャ!
       ┌─┬─┐
 ┌──┤.7 │.9 │

 │.8 索│索│索│
 └──┴─┴─┘

玄 タァン!
 ┌─┐
 │.9 │
 │索│
 └─┘

宥 「ポン」

宥 パシッ!

 ┌─┐
 │③│
 │筒│
 └─┘

玄 「三筒ポン!」


::.:.:.:.:.:.ヽ        ノ:.:.,′
\:.:.:.:.:.ハ       j:.:.:.:j}
  ヾ:.:.:.ハ      //:.:./
   ‘,:.:ゝ.,___,/:(:.:.: |

.     〉.:.:.:j.:.j:.:.:.:.//ヽ:.|
    /:.:.:.:.{.:.:.、.:.:j.j.:.:.:.:.:.:.ヽ
   ,′:.:.:.:.`ヾУ/.:.:.:.:.:.:.:.:.)

    {:.:.:`ー'¨ヽ:.:.:/¨¨ー’:.〈
    }:.:._:.:.:.:.i.,,.j:.:.:._.:.:.:.:.i
   /.:(  `ヽ|:.:.| ´   ):.:.:.!
    {:.:.:. `¨¨´:{,..,}:.`¨¨´彡:::}
   |.:ヾ/ ̄:.´:.`:. ̄ヾ/:::::/

   :,:.:.:}ト7ァ:、:.:.:.:.:,ィヘ〃::::/     ふふ。
    }.:.:.\ヾ!」丁| jy'/::::::{        ボクと同じ名前だね。
    (\:.:.:.:ヾ`¨¨´:.:// ̄):、
    |:.:.`ー―――‐|:.:.:.:.ヽ.:.:l
    ゝ:.:.:ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.ノ.:|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



ダンチ「は、裸単騎…」

玄(この「中」…この「中」を最後に打てれば……)

玄(もしもおじさんの立直がいつもどおりノーテンで、囮だとしたら、染め手ダマテンの親のおばさんに対しての超危険牌…)

中は根津夫の河に一枚切れ
子の根津夫がノーテンリーチをして、親の当たり牌をあぶりだすという作戦から考えて危険なばかりか、
打点的にも染め手をダマテンにとっていると思われる親が単騎がシャンポンで待っているのが濃厚

玄(普通に考えたら、打てない……これが他の字牌だったら、絶対に打てない……でも)

チャッ

玄(中は、お姉ちゃんの牌だもの……私は……私は……)

玄(お姉ちゃんを…信じてる……!)

                    ___
                / ̄`ヽ ´         `
              /   /               \
          /    /   / : : / : : : : : : : . .    \
            / /  /  し'/ : : /: : : : : : :∧: : : : .   ヽ
          ′/ヽ:/ゝ,_/_: : /: : : : :/〃 ‘.:.|:| : : : |   ,
        /  ∧ :/ ´  ̄j: : : ハ、: : : ' /    }ハ| : : : |:...  ′          __
        . ′ {\:{ : : : ∧: : { リ\: :{ {    ノ | : : : |_|___j          / }
      /  . : |: : :|. .:|、:i} γ二ヽ \_/   ,斗/}:./j ̄` |      /  /
      :′ ..:.: : l: : :乂ノ \〃//;∧    ^^二ヾ  //.: : }ノ     ´    ′
     /   .:.: : :.:∨/ |: :i ⌒ 乂//ノ     /;ハ } :′:/:/__/    /
   .:′ . : : : : : :{  |: :|  ////// 乂/ノ 厶イノ/   、   /
   /  ..:: : : : : : : \_|: :|      -―- 、 // ∧r‐′    \/
.  /  . : : : : : : : :′ |: :ト、  /      \   //     、  \ 猿って言うなーーー!!!
  ′ ..:..: : : : : : : i    :.:| \ ゝ ___,,-----ノ   \   \   } 
 |: | .:.: : : : : : : : :|   {:.:|⌒¨¨¨¨¨¨¨¨¨´           \    ヽ/ー―-
 |: | .: : : : : : : : :|: |   ∧}             { \     ‘,  ノ__       `ヽ
 | ハ: : : : : : : : : |: |   {                  \ ー―/ ̄    ー―-- イ
 |:|│: : : : : : : : |: |    ,                 ,.>― ′         ハ ハ
 リ |: : : : : : : : :.|リ   ′  ┬───‐…… ヾ´   ̄ ¨¨¨¨¨`  ., r、}ト.ノ lノ/
   乂: : : : : : : :{     }ー‐/ニニニニニ\ \}            `¨¨   {

タァァァン!

 ┌─┐
 │  │
 │中│
 └─┘

玄 無法の打 中っ…!

河の状況、必要打点をみても染め手濃厚な親に対し、自殺行為の字牌切り
夫妻のコンビ打ちを看破していたとしたら、尚更あり得ない打ち筋っ……!


ダンチ「クソっ、ハバアの方の手配がよく見えねぇ……妹さんは何を切って…って、ゲェッ!」

ダンチ「ちゅ、中切りだとぉぉお?!」

ダンチ「哲さんあれはやばいんじゃないっすか!?」

哲也「いや、大丈夫だ」

ダンチ「えぇっ?!でも親は染め手濃厚で、リーチ者の河に中があるんスよ!あれはあいつらの常道手段じゃ……」

哲也「なにも見えてねぇのは、多分俺たちのほうだ……あの二人、もう殆ど互いの手牌が透けて見えてる違いねぇ」

ダンチ「で、でも、通しを出してる風もねぇのに……」

哲也「あの嬢ちゃんたちは、繋がってる……それも、あの夫妻みたいな、通しや利益なんてチンケなもんじゃねぇ」>>394

                    ___
                / ̄`ヽ ´         `
              /   /               \
          /    /   / : : / : : : : : : : . .    \
            / /  /  し'/ : : /: : : : : : :∧: : : : .   ヽ
          ′/ヽ:/ゝ,_/_: : /: : : : :/〃 ‘.:.|:| : : : |   ,
        /  ∧ :/ ´  ̄j: : : ハ、: : : ' /    }ハ| : : : |:...  ′          __
        . ′ {\:{ : : : ∧: : { リ\: :{ {    ノ | : : : |_|___j          / }
      /  . : |: : :|. .:|、:i} γ二ヽ \_/   ,斗/}:./j ̄` |      /  /
      :′ ..:.: : l: : :乂ノ \〃//;∧    ^^二ヾ  //.: : }ノ     ´    ′
     /   .:.: : :.:∨/ |: :i ⌒ 乂//ノ     /;ハ } :′:/:/__/    /
   .:′ . : : : : : :{  |: :|  ////// 乂/ノ 厶イノ/   、   /
   /  ..:: : : : : : : \_|: :|      -―- 、 // ∧r‐′    \/
.  /  . : : : : : : : :′ |: :ト、  /      \   //     、  \ そこに山があるからさっ!
  ′ ..:..: : : : : : : i    :.:| \ ゝ ___,,-----ノ   \   \   }
 |: | .:.: : : : : : : : :|   {:.:|⌒¨¨¨¨¨¨¨¨¨´           \    ヽ/ー―-
 |: | .: : : : : : : : :|: |   ∧}             { \     ‘,  ノ__       `ヽ
 | ハ: : : : : : : : : |: |   {                  \ ー―/ ̄    ー―-- イ
 |:|│: : : : : : : : |: |    ,                 ,.>― ′         ハ ハ
 リ |: : : : : : : : :.|リ   ′  ┬───‐…… ヾ´   ̄ ¨¨¨¨¨`  ., r、}ト.ノ lノ/
   乂: : : : : : : :{     }ー‐/ニニニニニ\ \}            `¨¨   {

玄「……」

根津妻「クッ…」

この時、根津妻の手牌

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
 │①│①│①│⑨│⑨│⑨│  │  │  │  │  │  │  │
 │筒│筒│筒│筒│筒│筒│東│東│東│白│白│発│発│
 └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘

対々和、三暗刻、混一色、混老頭、役牌二翻
三倍満確定の白發待ちっ……!

宥(……玄ちゃん)

宥(……お姉ちゃんを信じてくれて……ありがとう)

宥「ポン」

宥姉、中ポンで裸単騎
打 二索
これは玄が暗槓で創出した壁の向こう側の牌っ……!

玄 三筒ツモ

玄「カン!」
玄 三筒加槓
カンドラは三筒
ドラ12確定

ダンチ「と、通った…なぜ…コンビ打ちを知ってたら、囮の河にある中は本当の本命牌にしか見えないはずなのに…」

哲也「あの二人は繋がっている……通しなんてそんなもん、もともと必要ねぇってことか…」

宥手牌(対局者視点)

 ┌─┐ ┌─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┬─┐
 │  │ │  │  ├──┐ │.9 │.9 ├──┐ │.5 │.5 ├──┐ │.7 │.7 ├──┐
 │  │ │中│中│  中│ │索│索│.9 索│ │索│索│.5 索│ │索│索│.7 索│
 └─┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘

玄手牌(対局者視点)ドラ:三筒、三索x2

        ┌──┐
 ┌─┐ │③筒├─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┬─┐ ┌─┬─┬─┬─┐
 │  │ ├──┤③│③│ ┌──┤.7 │.9 │ ┌──┤三│三│ │  │.3 │.3 │  │

 │  │ │③筒│筒│筒│ │.8 索│索│索│ │三萬│萬│萬│ │  │索│索│  │
 └─┘ └──┴─┴─┘ └──┴─┴─┘ └──┴─┴─┘ └─┴─┴─┴─┘
          ドラ4                                     ドラ8

根津夫(な、なんてことだ……)

根津夫(……だが……ここで俺が親の当たり牌をつぎの親のツモにいれておけば親の役満ツモで終わるっ……!)

夫、素早く自分の手牌から白を握りこみ、山に仕込むと同時に二枚ツモる
ツモった二枚は南、そして一索

一索は根津妻の河に一枚切れ、南は生牌である

根津夫(連中は恐らく、当たり牌を俺の山にいれたに違いない……)

根津夫(だとすればもともとツモるはずだった……南……これこそ本命牌……この一索、一見、危険牌…だが…)

素早く南を手中に隠した根津夫

根津夫(やつらの手口を考えれば、この一索は通る……!奴らの本命は立直者の放銃……姉の役満ブラフで妹の当たり牌南を絞り出す、安っぽい発想に違いない)

根津夫(しかも連中は裸単騎……鳴きでツモをずらすこともできん………この一索を通せば、勝てるっ……)

また猿さん?

根津夫(所詮おまえらシロの考えなどお見通しなんだ…!死ね!)

根津夫「……………色々考えてくれたみたいだけどねぇ」

根津夫「…………シロウトの浅知恵なんて、全部お見通しなんだよ!」

バシィッッ!!
 ┌─┐
 │.1 │
 │索│
 └─┘

ダンチ「……!」

哲也「…………」

根津夫妻「……」

宥「……………ロン」

パタッ

根津夫「な、なんだと?!お前たちが積み込んだのは…南のはずっ…!」


ダンチ「あっ、あの役は…!!!」

             r ' ´: : : : : : : : : : :`ヽ..、
          ./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
         ./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::\
        /: /: : : : :::::::::::/::::::::::::::::::: !::::::: : : : ::ヽ::ヽ
       /: :/: : ::::::::::::::从:::j::::::::::::::::::|:::::::::::::: : : ヽ: ヽ
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      .!: : l::::::::|:::j!_:_:::!!j. !::l.!::::!::::::::::!:!!::!:_:_:::::|:::::: !: : !
      !: : |:::::::::!:ナ!::::`!'!ー!-!.!:::|::::::゙卅!フ´!::::::::ヽ|:::::: !: : |
     .|: : :|:::::::::ト:!.ヽ:::| .! ヾ.ヽ:!ゝ::::| 〉_ヽ\::::::::!:::::::|: : :l

     .!: : :|:::::::::!〉!,rチテ心ヽ`' Y. \::!フテ亦ヽ、::::!:::::: !:::: :!
     |: : ::|:::::::::!∥{::::::::::::}      {:::::::::::::}ヽ 〉::::::::|::: ::|
     |: : ::|::::::::ト! ゝ)::::oノ      〉.):::oノ Y!:::::::::!: : ::|              「…紅孔雀っ・・・!役満ですっ……!」

     |: : ::!:::::::::!}.   ̄ ̄   ,     ̄ ̄  l'|:::::::::|:::: ::|
     .|: : :|::::::::ト !  '''''    __    '''''''  ! !::::::::j:::: ::j
      }: :::::!:::::::!、l      /´  ヽ      .j/!::::::::l:::: :/
     .ヽ::::::!::::::::!::\    {    j     .ノ::j::::::::j::: :/
      〉、: ::!::::::!:ゝ、 ゝ、  ゝ-- ' ___ r '_/::/:::::::/::::人

     ./: ::〉、::V,:::!::ヽ` ー'`- ' ´     ./::j: :://:/:::: ::ヽ
    ノ'´´/ \:::ヽ::r-っ       rv-、/::/:ノ::/.〉`ヽ: ::\

  ,/::/   ` ゝ 、.}::/__./_ )-、_   rヘ´ヽ. ヽ::::::::/ r'´  .ヽ: : : :ゝ
../:r ‐'       ./ ̄   ` '' 、)_.r´)r ' ̄ ̄`ヽ:/      `ー-: :
': {  ゝ      l        ).ノ'       Y     , r'   .}:::
: ノ    \   .j        j.{        { __,, r '´     }::
Y      ` ./ ` ヽ、 __   l l __  ,, '  ヽ         }/   ※紅孔雀……1579索と中のみで手を作ると成立する昔のローカル役満
 ┌─┐ ┌─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┬─┐       ┌─┐
 │.1 │ │  │  ├──┐ │.9 │.9 ├──┐ │.5 │.5 ├──┐ │.7 │.7 ├──┐ │.1 │

 │索│ │中│中│  中│ │索│索│.9 索│ │索│索│.5 索│ │索│索│.7 索│ │索│
 └─┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘ └─┴─┴──┘ └─┘

根津夫妻「べ、紅孔雀だとぉ?!」

根津夫「ば、馬鹿な、ブラフのはず…」

宥「……まだです!」

宥「玄ちゃん!?」

玄「…う、うん!」

玄 パタッ

根津妻「な、なんだあんたまで牌を晒す必要は…」

根津妻「そ、それは?!」

玄「わ、私もロンです」

              /  .:.:.:.:.:    ...................  ` .
             ,  .:.:.:.:.:.:.    .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.  \
                /  .:.:.:.:.:.::/  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.  :.ヽ
           .′/ ..:.:.:. /  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:  ヽ::::.
           i::::.| .:.:.:.:.:′ .:.:.:/ .:.:.:.:.:!::.:.:.:.:.:.. ヽ:.:.:. ヽ:.:.ハ:‘.

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           ドラ4                                    ドラ8

宥&玄「「32000ですっ…!」」

終局
東家 根津妻 1800(-48.2)
南家 松実宥 51500(+41.5)
西家 松実玄 57100(+107.1)
北家 根津夫 -12400(-102.4)

根津妻「この、ガキども……」

根津夫「シロの癖に、どこでそんな技を…」

ガラッ

哲也「勝負あったな、根津!」

ダンチ「まだこんなきたねぇこと続けてんのか!」

根津妻「お、お前は…」

根津夫「ジャズ狂の店主の餓鬼っ……なぜここに……」

根津夫「そうかお前らが入れ知恵をして……」

根津妻「シロのくせに生意気な!!」

根津夫「そ、そんな付け焼刃、すぐにはこぼれする、次、次をやれば…」

哲也「…次…だと…?…お前たち、なに寝ぼけたこといってんだ?」

ダンチ「この麻雀のレート忘れたとは言わせねぇぞ!あんたたちの負け分はいまので400万以上!いままでの勝ち分と相殺しても、100万以上負けてんだぜ!」

哲也「お前らに次なんかねぇんだよ。そもそも、最初のツボだかなんだかからしてハッタリなんだろう!?」

ダンチ「さぁこの落とし前、どうやってつけてくれんだ?!あぁ?!」

宥「……玄ちゃん、大丈夫?顔色、わるいけど……」

玄「……」

玄「……って下さい…」



玄「……や、約束通り麻雀に勝ったんです!!」

玄「おじさん、おばさん!!負け分とか勝ち分とか、もう、なんでもいいから、出てってください!!!すぐに!!!」

……

ダンチ「嬢ちゃん、連中、追っ払ってきたぜ」

玄「ありがとうございます……」

哲也「よかったのか、アレで」

玄「……はい……」

ダンチ「ほんとに勝ち分、取り立てなくて良かったのかよ?あいつら似たような手段でしと騙してるから払えないなんてことはないんだぞ?」

玄「……いいんです。……でも…‥お父さん、そして、お母さんが大事にしてきたこの旅館を……あの人達にバカにされて……」

玄「私、それだけは許せません……」

哲也「…………フフッ」

玄「わ、私、何か、おかしいこといいました?」

哲也「いや……あんた、泣いてばっかりだし、ただの弱虫、意気地なしかと思ってたんだが」

玄「え、な、なんのことですか?」

哲也「意外に熱いところ、あるじゃねぇかと思ってさ」

玄「?」

宥「玄ちゃんはとっても真面目だね~」

玄「……お姉ちゃん、哲也さん、ダンチさん、ごめんなさい……迷惑おかけして……」

ダンチ「まぁまぁ、とにかく一件落着っスね!」

哲也「あぁ、連中も懲りただろう」

玄「……あ、あの…」

玄「…あの、ほんとうに、ありがとう……ござい…まし……」

バタッ

ダンチ「お、おぃ!」

宥「玄ちゃん?!」

哲也「……いや、大丈夫だ。安心して疲れが押し寄せてきたんだろう」

哲也「運ぶのを手伝ってくれ。布団を敷いて、寝かせてやろう」

哲也(それだけ大切だったんだな……この旅館が…)

チュンチュン

玄「……ん」ムクリ

玄「あれ、私なんで布団の中で…」

玄「昨日、麻雀をして、あの夫婦を追いはらって…そのあと……」

玄「そうだ…!ちゃんとお礼を言わなきゃ」

……

玄「失礼します…あの、昨日は……あれ?」

玄「い、いない……」

玄(…まさか、夢だったの、あれ?)

玄「?テーブルの上になにかある…お札?あっ」

「宿代」

玄「やっぱり夢じゃなかったんだ!お礼しなきゃいけないのに!」バッ

タタタッ…

宥「あれ、玄ちゃん?どうしたのそんなにあわてて」

玄「お姉ちゃん、あの人達、哲也さんたちは?!」

宥「今朝早く、帰られたから、お代は結構です、本当にありがとうごさいましたってお礼しておいたよ~」

玄「お姉ちゃん!私ちゃんとお礼言ってないの!どっちにいったの?!」

宥「え、えぇっと、向こうにあるトンネルの方に行かれて、あそこは落盤してて通れませんよって言ったんだけど……あれ、玄ちゃん?」

玄 タッタッタッ…

宥「……玄ちゃんは足が早いなぁ~……」

玄(落盤のあったトンネルってあそこしかない!追いつけないかもしれないけど、下り坂だし、近道を使えばっ!)

ダンチ「この辺っスね」

哲也「あぁ」

ダンチ「もし帰れなかったらどうします?」

哲也「その時はその時だ。ここで食い扶持を探すしかあるまい」

ダンチ「やっぱそうなりますかね」

哲也「…ん?」

ダンチ「おっ…なんか霧がでてきましたよ?夏だってのに」

哲也「おい、この感じ似てないか?」

ダンチ「えっ?なににっスか?」

哲也「俺たちが最初にこっちにきちまったときにだ」

ダンチ「そ、そういや、あのときも夏なのに霧がでてて…っ!ってことは?!」

哲也「ああ、今なら通じているかもしれん。あのトンネルがな」

ダンチ「あ!噂をすれば入口が見えてきましたぜ!こないだみたよりボロくない!」

ダンチ「…向こうに明かりが見えるっスよ!通じてますよ!哲さん、早く行きましょう!」タタッ

哲也「あ、おい!……まったくそそっかしいやつだな……俺も行くか」

哲也「…?だれかいま俺の名前を…」

玄「…哲也さん!待ってください!」

哲也「あれ、あいつは妹さんの方か」

玄「そ、そのトンネルは落盤で、あれっ?!」

哲也「見ての通りだ。どういうわけか、俺たちはこのトンネルで、どういうわけか昭和の新宿からこっちにきちまったらしい。」

玄「じゃあ、このトンネルを通れば……」

哲也「あぁ、多分俺たちは帰れるんだろう」

哲也「ところで、あんたなんでこんなところにいるんだ?体調は大丈夫なのか?」

玄「私、哲也さんにちゃんとお礼してなかったから、お礼がしたくて…」

玄「ほんとうに、ありがとうございました」

哲也「おいおい、こっちは借りを返しただけなんだ。だいたいあの勝利も、もともとあんたら姉妹の絆があってこそのもんだ」

哲也「あんた、相当テンパってただろ?姉ちゃんによく礼言っときな」

玄「は、はい!」

哲也「それに、あの根津って奴らも、俺たちと同じ時代からきた塵みたいなもんなんだ。俺たちの時代の人間が責任取らないといけなかったってもんさ」

玄「…で、でも、ほんとうに、ありがとうございました。あっ、それから…」

哲也「?」

玄「このお金は、受け取れません」

哲也「すまんな。全く足りないと思うが、それが俺の有り金全部なんだ。勘弁してくれ」

玄「ちがいます」

哲也「?」

玄「助けていただいたのに、お金なんて受け取れません!」

哲也「おいおい、こっちは借りを返しただけだって言ってるだろう。宿代は別だ。それに金は大事だ。もらえる時にもらっとくものだぜ」

玄「じゃあ、その大事な持ち合わせのお金を受け取るなんて、もっとできません!」

哲也「……………あんた、泣き虫のくせして変なとこだけ頑固なんだなぁ」

哲也「……わかった」

哲也「あんたの髪飾り、片っぽかしてくれ」

玄「……?どうぞ」

哲也「俺がどっちの手に髪飾りを隠したか当てたらあんたのいうことを聞こう。外れたら俺がこの髪飾りをその金で買う。」

玄「ええっ?」

哲也「さぁ、賽は投げられたぜ。どっちだ?」

玄「ええっと…じゃあ、こっち!」

哲也「ハズレだな…」

玄「えーっ」ガビーン

玄「哲也さん、お金ないと困るんじゃ…」

哲也「ぷっ…ははは…」

玄「な、なんですか?」

哲也「やっぱあんた、博徒には向いてないな…ははは」

玄「えっ、それはどういう……あっ!胸ポケットに…い、いつのまに……ずるいです!」

哲也「どっちの手に入ってるか聞いたけど、どっちかに入ってるとは言ってないぜ?」

玄「うぅ…」

哲也「名前が書いてあるんだな」

哲也「……あんたの名前、クロって、こういう字書くのか」

玄「はい」

哲也「玄……か……」

哲也「……なぁ、あんた」

玄「はい?」

哲也「麻雀は好きか?」

玄「…………」

玄「……いろいろあったけど……やっぱりわたし、麻雀が好きです」

哲也「そうか……その気持ち、忘れるなよ」

玄「?」

ダンチ「哲さーん!やっぱこっち通じてますよぉ!早くしないとまた通れなくなりますよぉ!」

哲也「……じゃあな。悪いやつに気をつけろよ」

玄「あっ……」

哲也「達者でな」

玄「ご、ご達者で…」

ダンチ「ドラ爆の嬢ちゃんですか?さっきの」

哲也「あぁ」

ダンチ「不思議なやつもいるもんっスね。嬢ちゃんはドラ引くし、その姉ちゃんは妙に偏った牌ひくし」

哲也「不思議な奴はいるもんさ、俺らの時代にだって、クズ牌の集まる近藤みたいなやつもいたわけだ」

哲也「いずれにせよ、あの姉妹が俺たちの時代にいなくて良かったぜ」

ダンチ「通しもなしに繋がってるなんて、最強ですよ」

哲也「おまけに妹の方、とんでもない名前してやがった」

ダンチ「えっ?」

ダンチ「ドラ爆の嬢ちゃんですか?さっきの」

哲也「あぁ」

ダンチ「不思議なやつもいるもんっスね。嬢ちゃんはドラ引くし、その姉ちゃんは妙に偏った牌ひくし」

哲也「不思議な奴はいるもんさ、俺らの時代にだって、クズ牌の集まる近藤みたいなやつもいたわけだ」

哲也「いずれにせよ、あの姉妹が俺たちの時代にいなくて良かったぜ」

ダンチ「通しもなしに繋がってるなんて、最強ですよ」

哲也「おまけに妹の方、とんでもない名前してやがった」

ダンチ「えっ?」

……

玄「帰りはバスで帰ろう…」

玄「えーっと、バスは、一時間後か」

玄「お金、返せなかったな…」

玄「…やっぱりあんまり良く寝れなかったから、眠たいや…」

玄「……どうして夏なのに霧がでてるんだろう…」

玄「……」

Zzz

………

??「…ちゃん、玄ちゃん。」

玄「……んー……なぁに…?」

玄「…あれ?お姉ちゃん?」

宥「びっくりしたぁ。お買い物の帰りにバスに乗ってたら、玄ちゃんがこんなところで寝てるんだもの」

玄「あ、あれ…わたし、寝ちゃってたんだ…」

バスの運転手「宥ちゃん。どうだい、玄ちゃん起きたかい?」ブロロロ

宥「はい。ありがとうございます~」

宥「運転手さんに頼んでバス待っててもらってるの。玄ちゃん、一緒に帰ろう?」

玄「う、うん…」

………

宥「……玄ちゃん、どうしてあんな事で寝てたの~?」

玄「えっと、お金を返そうと思って……」

宥「お金?」

玄「ほら、哲也さん達が置いていった、宿代……」

宥「哲也さん……?」

玄「え…?」

宥「玄ちゃん、なんのお話をしてるの?」

玄「な、何って……?昨日、旅館を賭けて麻雀をして……」

宥「…??昨日は、玄ちゃん、一緒に花火を見に行ったじゃない」

玄「え…そ、そんな…ホントに覚えてないの?哲也さんや、ダンチさんのことも、あの夫妻のことも」

宥「………ごめんね玄ちゃん……玄ちゃんがなんのお話をしてるのか、お姉ちゃんわからない……」

玄「…………」

玄(夢だったのかなぁ……)

宥「あれ、玄ちゃん」

玄「なに?」

宥「髪飾り、かたっぽどうしたの?」

玄「あっ……」

玄「これは……その……」

玄「……」

玄「……落としちゃった……のかな?」

宥「玄ちゃん、おっちょこちょいだね~。でも、名前が書いてあるからきっと見つかるよ~」

玄「う、うん……」

玄(…きっと夢だったんだ、うん……)

………

………

ピンポーン

宥「降りよう、玄ちゃん」

玄「うん…」

玄「えっと、お金…お金…」

玄(小銭がない…あっ、ポッケに千円入ってた…これで…)

バスの運転手「……おや、玄ちゃん、こいつは、使えないよ」

玄「えっ?」

バスの運転手「こいつぁ、懐かしい。昔の百圓札だよ…わしが子供の頃くらいのお金だよ」

玄「えっ、あっ、す、すみません!」

バスの運転手「いや、いいんだよ。それにしても、玄ちゃんえらく懐かしい物持ってるねぇ」

宥「玄ちゃんの分のバス代は払って置いてあげるから、玄ちゃんは払わなくていいよ~」

玄「あ、ありがとうお姉ちゃん…」

ブロロロ……


玄(このお札…哲也さんが宿代って言ってたお札?ってことは夢じゃなかったの?いったいどういう……)

宥「そんな古いお札、どこでもらったの?玄ちゃん」

玄「えっと、これは……て、哲也さんに……」

宥「?」

玄「……え、えっと……わすれちゃった……あはは……」

宥「?」

玄「……あのね……お姉ちゃん……」

宥「なぁに?玄ちゃん」

玄「……その……いつもありがとう」

宥「……?どういたしまして?どうしたの、いきなり」

玄「えへへ……」

宥「変な玄ちゃん」

玄「そ、それより、今日の晩御飯なににしよう?」

宥「お夕飯はハンバーグだけど……玄ちゃんがハンバーグ食べたいって、言ってたじゃない」

玄「そ、そうだったっけ?わたしったら、もー、あは、あははは……」

宥「……?」

---時は流れ---

玄「……よしっ」

玄「今日の部室のお掃除、終わりっ!」

玄「……」

玄「麻雀教室のみんな、どうしてるかな……」

玄「私がこうして綺麗にしておけば……みんながいつか戻ってくるかもしれないし……」

玄「……」

ガサッ

玄(百圓札……)

玄(…………)

玄(哲也さん……)

玄(あの勝負が現実だったのかどうなのか、わからないですけど)

玄(私、約束します)

玄(麻雀が好きって気持ち、大切にします。絶対に……)


……阿知賀麻雀部が復活するのはさらに少しあとのお話……       おしまい

支援&シズのさん回避ありがとう

またなんかあったら書かせてもらいます

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