ほむら「助けて……ウルトラマン」ミライ「最後まで諦めない、不可能を可能にする」 (116)

・まどマギとウルトラマンメビウスのクロスSSです。
・まどマギはほむらが魔法少女になる前の一週目の世界が舞台で、メビウスは最終回後の設定です。
・ワルプルギスの夜戦からスタートします。それ以前の物語は脳内保管でお願いします。

>>1は以前、BLACKとまどマギを書いていた者です。RXの新作を書いている途中に思い付きかきました。
・書きだめはないので、順次更新していきます。

>>1の好きなウルトラマンはメビウスとゾフィー、ジャックとなります。
・それが許せない方はバックを推奨します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366295608

 見滝原。
 最も近未来に近いと言われた町……だが、その影はもはやどこにもない。

 崩れたビルや家の数々。
 割けた地面。
 水道管が破裂し防波堤は崩壊し、街は巨大な池のように水に浸かってしまっている。

 全ての元凶である史上最悪の魔女……【ワルプルギスの夜】は台風の中心で声を上げて不気味に笑っていた。

 崩れたビルの屋上で、ワルプルギスの夜を見つめる二人の少女。
 そのうちの一人・ピンク色の奇妙な衣装を身に纏った少女は、倒れた黄色髪の少女を介抱する黒髪の三つ編みの少女に背を向ける。

まどか「さようなら、ほむらちゃん……元気でね」

 絶対に勝てるはずのないワルプルギスの夜へと、たった一人で立ち向かっていく少女。
 少女は【魔法少女】と呼ばれる絶望を希望に変える可能性がある存在である。

ほむら「鹿目さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 戦地に向かう親友の名を、ほむら叫んだ。


 その様子を表情一つ変えずに見つめる、白き小さな生物。
 
インキュベータ「無理だよ。この惑星(ホシ)はこれでお終いだよ。人類……効率の良い家畜だったけど……残念だよ」


 更に別の場所、普通の人間ならば目視する事の出来ない、ワルプルギスの夜を見つめる青年と、4人に老人達。
 老人達は、それぞれの【光】を青年に与える。
 すると、青年の左腕に装着された赤いブレスレッドが光り輝く。

「兄さん達……ありがとうございます」

「——よ。我々の全ての光だ。それで、君だけでも変身できるはずだ」

「これ以上犠牲を出してはならない……頼んだぞ。何としても、あいつの企みを阻止するんだ」

「はい!!」

 【兄達】に背を向けると、青年は走り出す。

「兄さん達、俺達も行きましょう。まだあの子達は生きています」

「わかっている——よ。我々も行こう。ウルトラの命に懸けて」

 彼等も動き出す。

 この世界を懸けた超決戦が始まろうとしていた。

 雨が降る。
 苦しそうに倒れる親友の腕を握ることしか出来ない自分が疎ましかった。

ほむら「鹿目さん……だから逃げようって言ったのに……。巴さんだって……死んじゃったんだよ。勝てるはずがなかったんだよ」

 まだ生きているが……時期に死ぬ。
 何となくだが、生命の灯が小さくなっていくのがわかる。

QB「無理だよ。彼女には荷が重すぎたんだ。だけど、君が望むならやり直せる……」

 いつの間にか、そいつは目の前にいた。
 巴マミ曰く【家族】。鹿目まどか曰く【大切な友達】。
 少女たちを願いの代わりに魔法少女へと転生させる生物。

ほむら「鹿目さんを……救えるの?」

QB「君がそれを心から望むならね。叶える事が出来るよ」

 少年とも少女とも捉える事の出来る中性的な声で囁く。
 ほむらは、その囁きへと疑いもせずに手を伸ばそうとした。


「駄目だ!! そいつの話を聞いちゃいけない!!」

 突如背後か聞こえてくる声。
 振り向くとオレンジ色の、魔法少女とは別の意味で奇妙な格好をした青年が立っていた。

 青年は、倒れるまどかへと近寄る。

ほむら「貴方は……誰? それに、キュウべぇが見えてるの?」

「僕の名前はヒビノミライ。君達を助けに来たんだ」

ほむら「助けに……!? それって、鹿目さん達を救えるの!!」

 詰め寄るほむらへとミライは笑顔で答える。

ミライ「大丈夫。まだ彼女は生きる。それに……まだソウルジェムは割れていない」

ほむら「それ……鹿目さんのソウルジェム。あっ、色が……」

 ポワァ……

 先程まで黒く濁っていたそれが、ミライが触れると小さく光り、もとの綺麗なピンク色に輝く。
 グリーフシードを使わずに、普通の人が触れるだけで稀が除けるなんて。
 ほむらは驚くことしか出来なかった。

まどか「う……ぅぅ……」

ほむら「鹿目さん!?」

 まどかの腕を握る。
 先程まで苦痛を浮かべていたまどかの表情に安らぎが戻る。

ミライ「向こうの子も……それに赤い髪の少女の方も大丈夫。今僕の仲間が向かってる筈だから」

ほむら「赤い髪……? もしかして巴さんが言ってた佐倉杏子って子? 彼女も戦っていたの?」

 ゆっくりと立ち上がりミライはQBへと目を向ける。

ほむら「待って……貴方は何者なの? 何でソウルジェムが……」


ミライ「ごめんね。もっと早く来れなくて……でも大丈夫、僕は味方だから」

QB「やれやれ……君は宇宙警備隊だろ。この世界でも一度だけ確認されているよ。まぁ、その時はザギって言ったけな? そいつと戦ってる最中で僕らの事なんて眼中になかったようだけどね」

ほむら「宇宙警備隊? なんなの……それ? それに、どうして……キュウべぇがそんな事を知ってるの?」

 混乱してしまっているため、自分でも何を言っているのか分かっていない。
 解っていることは、先程まで消えそうになっていたまどかの命の灯が、もう一度輝いたという事だけである。

ミライ「僕達の事を知っているなら話は早いです。邪悪なエネルギーが観測されてからこの一か月間。僕達はこの宇宙で魔法少女、魔女、それに、あなた……インキュベーターについて調べさせてもらいました」

 QB改め、インキュベーターは表情を変えずに答える。

インキュベーター「やれやれ、勝手にこっちに来て、勝手に調べられちゃ僕も困るよ。まぁ、何かが動いていることを知っていながら放置していた僕にも責任はあるんだろうけどね」

ミライ「用件を言います。今すぐ魔法少女計画を廃止してください」

インキュベーター「やれやれ……何を言うかと思えば。何が間違っているというんだい? 多少の犠牲で数億の【命】が助かると思えば安いもんじゃないか?」

ミライ「確かに宇宙の寿命は大切です。でも、何も知らない少女を利用し、その感情を弄ぶこの方法間違っている。あなた達の化学なら、もっと別の方法が考えられるはずじゃないですか?」

 問いに対して、インキュベーターは大きな溜息を吐く。
 だが、その表情は先程と変わらずであった。


インキュベーター「調べたなら知っているだろう。これが一番効率が良い方法なんだ、少しでも効率が良い方法を選ぶのは当然のことだろう。それに、僕は彼女達に対して嘘はついていない。聞かれたら応えるつもりだったし、拒否権だってあったんだ」

 瓦礫から飛び降りるとミライの足元まで歩いてくる。

インキュベーター「それなのに、契約したのは彼女達だ。ソウルジェムとはどういうものなんですか? 最後まで稀るとどうなるんですか? そう聞かれたら答えたさ。ちゃんと」

ミライ「!? 君、耳を塞ぐんだ!!」

ほむら「えっ?」

 突然、表情を変えるとミライはほむらに向かって叫んだ。
 聞かしたくはなかった。こんな真実を……彼女達には。

 そんなミライの考えを知ってか、インキュベーターは言葉を続ける。

インキュベーター「ソウルジェムは君達の魂を形にして、体から取り除いたもの。ソウルジェムが濁れば君達は魔女になって、宇宙延命の為のエネルギーになる……ってね」


ほむら「え……」


 もう遅かった、ミライは悔しそうに唇を噛みしめる。

ほむら「そ、そんな嘘でしょ……鹿目さん達の魂がこんな石ころになったなんて……鹿目さんが……いずれ、魔女になるなんて。ねぇ!! 嘘でしょ。嘘って……いっ……て」

 信じたくはなかった。
 でも、だった納得が出来る。
 ソウルジェムが戻った瞬間、まどかの苦しみが和らいだわけも……だけど、こんなの……。

 ほむらは崩れて、涙を流す。


インキュベーター「真実を言った途端、皆こうだ。だから言わなかったんだよ。感情なんてものは進化の過程で消えたけど、僕たちの良心で黙っていたんだよ」

 呆れたように言う。

 そんなインキュベーターをミライは彼等を許すことなんて出来なかった。
 話し合いで済むならそれに越したことはなかったのだが……。

ミライ「今すぐに計画を廃止して、彼女達を普通の人間に戻さないというならば……僕は力づくでもあなたの計画を潰す!!」

 声を荒げる。
 純粋な心を利用する彼等が許せなかった。

 何を思ったのか、インキュベーターは空を仰ぐ。

インキュベーター「噂通り、君達は人類に干渉しすぎだよ。まったく、人類に守る価値なんてあるのかな? まぁ悪いけど、この計画を潰すわけにはいかないんだけどね」

ミライ「!?」

 空を巨大な影が覆う。
 ワルプルギスの夜がミライたちの頭上に移動してきたのだ。

 まるで、インキュベーターに導かれたかのように。

インキュベーター「魔女は僕達が開発したシステムで生まれたんだ。それなのに、僕が支配できない筈はないだろう」

ほむら「そ、そんな……それじゃあ、鹿目さんや、巴さんがこうなる前に止められたんじゃ……」

インキュベーター「まぁ、君達が僕に頼めばできただろうね。でも、それをしなかったのは君達だろう。この地球を守るなんて、正義の味方気取りで、中々興味深かったよ」

 ワルプルギスの夜は巨大な腕を伸ばす。その腕に、インキュベーターは飛び乗る。

インキュベーター「警告だよ。今すぐこの世界から立ち去るんだ。この世界がどうなろうとも、君には関係ないはずだ」

ミライ「断る!! これ以上、命を弄ぶお前たちを許せない!!」

 力強く答える。

インキュベーター「わからないな、どうしてそこまで下等生物を守ろうとするんだい? 君達は僕と同じ驚異的な進化をした生命体の筈だろう? いや、君達は【感情】という邪魔なものが残っている分、やっぱり僕達とは違うのか」

 再び、ワルプルギスの夜は暴風雨を巻き起こす。

インキュベーター「君は僕の計画に邪魔になる。悪いけど、ここで消させてもらうよ」

 ワルプルギスの夜の頭に乗りながらそう答える。
 ミライはワルプルギスの夜を睨む。

ほむら「もうダメ……誰にも、あいつには勝てない……人類は滅びるしかないんだわ……」

 項垂れるほむらへと、ミライは手を伸ばし、その頭を力強く撫でる。

ミライ「大丈夫。僕達——ウルトラマンが絶対に君達を守るから」

ほむら「ウルトラ……マン?」

 ミライの左腕にメビウスブレスが出現する。
 右腕でメビウスブレスの中央にある赤い鉱石に触れ、高く振り上げる。


ミライ「メビゥゥゥゥゥゥゥゥゥス!!」


 ミライの体が光に包まれると、ほむらの目の前に赤い巨人が降臨する。

 巨人の名は無限の力を持つウルトラ兄弟の一人・ウルトラマンメビウス。
 ミライの真の姿である。


メビウス「ヘアッ!!」


 戦闘態勢をとりワルプルギスの夜と対峙する。

ほむら「あれ……が、ウルトラマン……」

 その巨人の名をほむらは呟いた。
 すると、ウルトラマンの光を浴びたのが原因か、まどかが目を覚ます。

まどか「うぅ……ほむらちゃん?」

ほむら「まどか!? 目を覚ましたのね」

 まどか「うわっ!? ほ、ほむらちゃん……」

 無事に目を覚ましたことへの嬉しさで、ほむらはまどかへと抱きつく。
 最初は驚いていたまどかだが、ほむらの涙を見て、優しく背中を摩る。

まどか「ごめんね、ほむらちゃん。……心配かけて」

ほむら「ううん、いいの。鹿目さんが無事なら……」

まどか「それに……あれは。巨人?」

 まどかの視線の先には、ウルトラマンメビウスとワルプルギスの夜がいた。
 不思議と、ウルトラマンが敵ではないという事が理解できる。自分たちのために戦ってくれているという事わかる。

「彼の名前はウルトラマンメビウスだ」

 すると、突如白髪の眼鏡をかけた老人が2人の傍へとやって来た。

ほむら「貴方は……?」

「話し後だ。それよりも、立てるかい?」

まどか「え……はい。イタタッ」

 立ち上がろうとしたが、足を怪我してしまったそうで上手く立ち上がれない。

「無理をしちゃいけないよ。さぁ、掴まって」

まどか「あ、ありがとうございます」

 老人は体制を低くし、まどかに肩を貸す。
 これなら、なんとか歩く事が出来る。

「さぁ、先ずはここから避難しよう。彼の邪魔になってしまうからな」

ほむら「彼!? あの人の事を知っているんですか? もしかして……貴方がミライさんが言っていた仲間の人じゃ……」

 その問いに対して、老人は答える。



「そうだ。地球でのは名前はハヤタだ」

取り敢えず、ここまでです。
続きは順次あげていきます。それではよろしくお願いします。


マミさんは死んじゃったのかな?

乙っす!


さりげなくまどか呼び

どうも、>>1です。

>>10
ミライ君が言っていますが、マミさんは生きています。
ただ、ほむらがそう思っただけです。

>>12
まどか呼びには意味があります。
決してミスではありません。一週目が舞台ですから、一応これが初めてのまどか呼びという設定です。

私の文章力の疎さで解り辛くてすみません。
それでは、投下します。

ついでに、>>1はウルトラマン物語、メビウス&6兄弟、超8兄弟が大好きです。
結構、それらの映画を参考にしています。

 嵐が強くなる。
 メビウスの体に滝の様に激しい雨粒がぶつかる。

 魔法少女でない人間にはメビウスが嵐と戦っているようにしか見えない。
 ただ嵐の中心にはいる。

 感情を持たない宇宙生命体と、史上最悪の魔女が。


インキュベーター「今母星から正式に通達があったよ。君達の排除命令がね」

インキュベーター「知ってるかい? ワルプルギスの夜は史上最悪の魔女と呼ばれているんだ。そのスケールも凶暴さも、残忍さも今までの魔女とは違う。さらに、僕という頭脳が付いたことによって、ワルプルギスの夜は、史上最悪最恐の魔女へと進化したんだ」

 ワルプルギスの夜の笑いが止まる。

インキュベーター「君ではワルプルギスの夜に勝てない」

——ハハハハハハハハハハハハ キャハハハハハハハハハハ


 再び口を大きく開きワルプルギスの夜が笑った。
 同時に無数の火炎弾がメビウスに向かって発射される。

メビウス『脅しに決しては屈しない。僕はこの掛け替えのない星を守る!!』

 右腕でメビウスブレスに触れ、光の剣メビュームブレードを出現させる。

メビウス「ヘアッ!!」

 ワルプルギスの夜に向かって突き進む。
 次々とメビウスに向かって放たれる火炎弾とメビュームブレードで斬り裂く。

インキュベーター「へぇ、この位は効かないようだね。だったら、これはどうだい?」

 次は口から青紫の光線が放たれる。
 だが、慌てた様子も見せず、メビュームブレードを消滅させ左腕の拳からプラズマ電撃・ライトニングカウンターを放つ。

メビウス「ヘアァァァァッ!!」

 光線同士がぶつかり合い相殺される。

メビウス「ハァッ!!」

 瞬時にワルプルギスの夜の真下へと潜り込み、地面を蹴り高く跳び上がり、頭部に膝蹴りを喰らわせる。

——ハハハハハハハハハハハハ

 笑いながら激しく回転し、上空へと吹き飛ばされる。
 メビウスの追撃は止まらない。

メビウス「ヘアッ!!」

 空を飛んで、ワルプルギスの夜を追う。
 ワルプルギスの夜を追い抜くと、足を大きく振るう。

メビウス「ダァッ!!」

 上下逆様のその顎に踵落しを浴びせる。
 不気味な笑い声を上げながら、ワルプルギスの夜は海へと向かって急降下していく。


ザパァァァァァァァァァァァァァァァン!!


 大きな水飛沫が上がる。
 メビウスは着地すると、海へと目を向ける。

メビウス「テヤッ ハァァァァァァァ……」

 メビウスブレスのエネルギーを解放し両腕を高く上げる、すると光のエネルギーが∞を描くように出現する。

メビウス『ヘアッ!!』

 十字にした両腕から発射される必殺技・メビュームシュートが放たれる。
 海の様子を確認することはできないが、水中で大爆発が起こる。

 水飛沫がメビウスの体に降り注いだ。


ほむら「やった……勝ったの?」

 ハヤタ達と一緒に、一般人の避難所となっている体育館へと移動しながらその光景を見つめる。

まどか「凄い……わたしなんて、手も足も出なかったのに……」

 驚きやら、喜びやらの感情が織り交ざる。
 だが、ハヤタだけは険しい表情のままであった。

ハヤタ「いや、駄目だ」

ほむら「え?」

ハヤタ「あいつはまだ死んでいない。……メビウス、焦っては駄目だ」

 爆発が起こった水面を見つめる。
 確かに光線が直撃した手ごたえはあった。

 終わった……のか。

 メビウス『はぁ……、はぁ……』

 膝を付き、苦しそうに胸のカラータイマーを押さえる。
 残り少ないエネルギーを一気に解放してしまったため、疲労が抑えられないのだ。

メビウス『やったのか?』


——ハ…………ハッハハ……ハハハハハハハハハ


メビウス「!?」

 笑い声が聞こえてる。
 次の瞬間、メビウスの首を水面から出てきた巨大な腕が締め付けた。

メビウス『うっ……うっ、そ、そんな……』


——はははははははははははははは



——HAHAHAHAHAHHAHAHAHAHAHAHHAHAHA


——ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


 狂ったような笑い声が響いた。

 巨大な腕は軽々とメビウスを持ち上げる。
 再び水面から姿を現すのは、メビュームシュートを受けたにも関わらず無傷のワルプルギスの夜。

 しかも……。

メビウス『は、反転している?』

 上下逆様だったワルプルギスの夜が反転している。

インキュベーター『どうだい、ワルプルギスの夜の力は?』

メビウス『い、インキューベーター。ど、何処にいるんだ……』

 姿は見えないが、声は聞こえてくる。

インキューベータ—「僕はここだよ」

 ワルプルギスの夜の額が風船のように膨れ上がり、それがインキューベータ—の顔になる。
 その声は先程とは違い、中性的ではなく低い男性の声だった。

メビウス『同化したというのか?』

インキュベーター『同化……まぁ、そうだね。ただ1つ違うのは、同化ではなく、ワルプルギスが僕になったんだ。ワルプルギスとしての感情は消えて、僕が残ったんだ』

 ワルプルギスの夜が笑う。
 メビウスを掴む腕に力が入る。

メビウス『でも……どうして? 確かに、あの時爆発したはず……』

インキュベーター『あぁ、それか。ワルプルギスの夜は沢山の魔法少女の絶望から生まれた魔女。今この瞬間も世界では魔法少女が絶望に陥っている』

 その事は知っている。
 彼等がこの町と同じように、世界各国で同じことをしていると。

インキュベーター「本来ならば、希望が絶望に変わり宇宙の寿命となる筈のエネルギーを全て、君を殺すために、このワルプルギスに送っているんだ。この意味が分かるかい?」

メビウス『魔法少女が絶望をし続けていく限り……ワルプルギスは不死身』

インキュベーター『そう。理解できたかい。簡単なもんだよ……君の光波熱線を浴びたと同時に、何十……いや、何百もの魔法少女を』

 空白。
 ゆっくりと口を動かす。


インキュベーター『絶望に落とすなんて』

メビウス『!? 許さない。許さないぞぉ!! インキュベータァァァァ!!』

 怒りに燃えるメビウスの体が灼熱の炎に包まれる。
 その高熱に焼かれ、ワルプルギスの夜はメビウスを解放してしまう。

メビウス「ヘアッ!!」

 体を包んでいた炎を払い地響きを鳴らしながら着地をする。
 師であるタロウから授かった必殺技・メビュームダイナマイト、その威力を押さえて発動したのだ。

 あの腕から解放する術はそれしかなかったのだが……。


——ピコン ピコン ピコン……


 ただでさえ少ないエネルギーで戦っていたのだ、威力を最小限に抑えたとしても負担が大きすぎる。
 カラータイマーが点滅を開始する。

インキューベーター『なるほど、まだ脱出できる術は残っていたのかい? だけど、その音はなんだい? もしかして、活動限界を告げる危険信号とかかい?』

メビウス『……』

インキューベータ—「何も言わないって事は図星って事かい? そういえば、さっき君は僕【達】と言っていたね。仲間がいるんじゃないのかい。何故、彼等は出てこないんだい? いや……もしかして出てこれないのかい?」

メビウス『ち、違う!!』

インキューベータ—『また図星だね。僕の推測だけど、幾ら君達と言えども宇宙を超えるのには大量のエネルギーを消費する。宇宙を超え、変身するエネルギーを失った君達は、一か月間待っていた』

インキューベータ—『エネルギーの原因であるワルプルギスの夜の出現を』

インキューベータ—『そしてワルプルギスの夜の現れた。君達の仲間……4人、いや、君を含めて5人かな。彼等の残ったエネルギーを君に集めて、君一人だけでも変身できるようにしたんじゃないのかい?』

インキューベータ—『だから、短期決戦に持ち込もうとして君は大技ばかりを使っていた。エネルギー消費を顧みずに……違うかい?』

 何も言えない。
 インキューベーターの言っていることは全部合っている。

 ウルトラ4兄弟と協力してメビウスはこの宇宙に飛んできた。
 だが、宇宙を超えるといった行為の代償にそのエネルギーの殆どを失ってしまった。
 5人のエネルギーを集めても一人が変身するのがやっとであり、史上最悪の魔女襲来に備えていたのだ。

 短期戦に持ち込みたかった。
 だけど、全部ばれてしまった。


インキューベータ—『僕に感情はないけど、笑ってしまうね。無謀もいいところだよ。そんな状態で挑んできたとはね』

インキューベータ—『ハッキリ言おう。ワルプルギスの夜に勝つのは不可能だ。この宇宙に二度と干渉しないというなら……命だけは助けてあげるよ……』

 最後の提案である。
 これにメビウスが逆らうなら……その時は容赦なく殺すつもりだった。


メビウス『断る!! 最後まで諦めず、不可能を可能にする!! それが、ウルトラマンだ!!』



インキューベータ—『ふぅーん、だったら……』



——更なる絶望を持って死ね——

 移動しながら、メビウスとワルプルギスの夜の戦いを見つめるスカーフを巻いた老人と、赤髪の少女。

北斗「メビウス!! くそぉ、こうなったら……」

杏子「おい、待てよおっさん。何処行くんだよ。ったく、こっちは怪我人なんだぜ」

 マミには拒絶されたが、やはりかつての師を見捨てることなど出来なかった。
 結果は何もできず惨敗だったが……。
 恐らく、自分が戦っていたことなど誰も気づいてないだろう。

 倒れて死にそうになっていたところを、突如現れた老人・北斗星司によって助けられた。
 何をしたかわからないが、彼がソウルジェムに触れた瞬間、体が自由に動くようになった。

 彼の提案を受け、体育館へと避難している最中である。
 マミや、まどか、それに杏子がワルプルギスの夜をその場所へと向かわせないようにしたため体育館は無事なのである。

「何をしているエース!!」

 別の声が聞こえてくる。

 杏子「また誰か来たのかよ。……って、マミ!!」

 レーシングジャケットに身を包んだ別の老人。
 彼の背には気を失っているマミが背負われていた。

杏子「てか、あんたエースって言うのかよ。なんか似合わねぇな……」

 男は北斗に詰め寄る。


「何をしようとしていると聞いてるんだ!! 答えろ、エース!!」

北斗「決まってるでしょ!! メビウスを助けに行くんです!!」

「わかっているのか!! エース!! 今の私達の状況を!!」

 北斗に向かって怒鳴りつける。
 男の名前は郷秀樹、北斗の兄的存在の男である。

北斗「わかっていますよ!! だけど、見殺しになんて……」

郷「今の私達にはエネルギーが無い、エースに変身出来たとしても」

北斗「わかっていますよ!! 今の私達には変身できるほどエネルギーはない。仮に変身できたとしても……数秒だけしか活動できない!!」

郷「それだけじゃない!! 残っている光をすべて使い切ったら、二度とエースの姿にも、人間の姿にも戻れなくなってしまうんだぞ!! 私達はセブン兄さん達とは違う、この命は一つじゃないだろう!!」

 郷も気持ちは同じなのだ。
 ジャックに変身さえすれば、メビウスを救える……だがそれは、自分の存在の消滅という事である。

 少し離れた場所でそれを見ている杏子は、頭に疑問符を浮かべながら見つめていた。

北斗「だったら……どうすれば……」

郷「信じるんだ、メビウスを……。それに」

 空を見つめる。
 もしも、彼等の到着が間に合えば……。

郷「今彼女達を安全な場所に連れて行くんだ……」

北斗「……はい」

 郷は杏子へと近づく。

杏子「おっさんも、その〜、エースっておっさんの知り合いなのか?」

郷「あぁ、俺は郷秀樹。君が佐倉杏子ちゃんだね」

杏子「なっ……何で知ってんだよ!? まさか、おっさん、ストーカーか!!」

郷「違うよ。だけど、君達には話しておきたい事がある。魔法少女の事について……」

杏子「魔法少女について……。そういえば、そのおっさんも何か言おうとしてたっけ?」


郷「移動しながら話そう。マミちゃんにも言いたい事があるんだ。もう起きてるんだろ……」

杏子「はっ?」

 郷の背中へと目を向ける。
 よく見てみると、いつの間にか目を覚ましていた。

マミ「バレてましたか? 目を覚ました時、何か話していたようだったので……」


——ドガァァァァァァァァァァァァ


 巨大な音が響き渡る。
 無数のワルプルギスの夜の使い魔・魔法少女の影に囲まれて吹き飛ばされていた。

北斗「急ぎましょう。ここも危ない!!」

 頷くと郷は走り出す。
 それに北斗と杏子も続く。

 マミは思った。
 おんぶされるという憧れのシチュエーションが、まさかこんなおじさんが初めてになるなんて……と。

 体育館。
 こちらも行方不明の少女がいるという事でパニックなっていた。

さやか「なんか、凄いことになってるね」

仁美「えぇ、まどかさん。まだ見つかってないそうですから……」

 自分達も探すといったのだが、中学生だからという事で止められてしまった。
 しかも、何故か体育館からは出れなくなっているらしい……。

 念力の様な物で、ドアが固定されているとか言っていたが……とにかくここから出れなくなってしまったため、捜索もできない。
 電話もとっくに通じなくなっている。


 巨大な窓が張り巡らされたその場所からは外の様子が確認できる。
 車椅子を動かしながら、外の様子を見ようと恭介はその場所にやってくる。

 そこには、老人が一人立っていた。
 額には汗が浮かび、何かを念じているように見える。

 こっちには気付いていないようだ。

恭介「……あれは?」

 外の景色を眺めてみると、恭介が驚きの光景を目にする。


恭介「赤い……巨人? なんなんだこれ……?」

ここまでで。
そういえば、今日アクトのウルトラマンが届くはずなのだが……いつ届くのだろう?
そして、初期版のセブンはいつリニューアルされのだろう?


マミさんわかってない!!最高じゃないか!!郷さんに背負われるなんて!!

期待

おつー
おいマミさん、そこ変わってくれ

どうも>>1です。
まだ投稿は無理そうなので夜までには投稿したいと思います。

>>25
まさかの郷さん大人気!?
私も郷さんは好きですが、ああいう年のとりかたをしたいものです。
アクト……どこかで売れ残ってないかな?

>>27
いや、郷さん人気ですね!!

皆さん、これからもよろしくお願いします。
文章力がないですけど頑張ります。

取り敢えず、次回投稿予定分をダイジェストで予告風に載せます。
メビウスのBGMを想像しながら見てください。


——予告——

インキュベーター「よく立ち上がるね……。寝てた方が楽なのに。君達は、わけが分からないよ」


智久「まどかはね、誰かの為なら頑張れる子なんだ。だから、君がいてくれたからあの子は今ここにいるんだよ。本当にありがとう」

杏子「よぉ、あんたらも無事だったんだ」

「出てけぇぇぇ!!」

「この悪魔が!!」

「私達の街を返せぇぇ!!」

「そうだぁ!! 俺達の街を、俺たちで守るんだぁぁ!!」

メビウス『黒い……ウルトラマン?』


次回 大逆転ゾフィー参上!! ウルトラ兄弟超決戦


ゾフィー「待たせたな、弟達よ」


上記の内容を明日投下します。
それでは



ゾフィーか……兄さんならなんとかしてくれるという期待はしてるんだけど、ワルプルが火を吹くからどうしてもバードンの時みたいになるんじゃないかと思ってしまう。ベリアル相手にもある程度粘れるんだから流石に瞬殺されることはないだろうけど

>>1です。

>>29
ゾフィー兄さんなら大丈夫ですよ。
バードン戦は……あれですよ、光の国往復してましたからね……(汗)
実際ベリアル戦では兄弟の中で一番がんばってましたよね。二男と三男簡単に吹き飛ばされてましたし。

それでは投下。

メビウス「ヘアッ……」

 ワルプルギスの夜の一撃に、吹き飛ばされメビウスは倒れる。

——ピコンピコンピコンピコンピコン……

 カラータイマーの点滅は、徐々にであるがそのテンポが速くなっている。
 エネルギーが切れかかっている。

メビウス『う、うぅ……』

 地に手を付き立ち上がる。
 ワルプルギスの夜は優雅に宙を浮いていた。

インキュベーター「よく立ち上がるね……。寝てた方が楽なのに。まったく、君達は、わけが分からないよ」

 わざとらしく溜息を吐く。
 ワルプルギスの夜の次なる一撃が繰り出そうとすると……。

インキュベータ「……ん、あれは?」

メビウス「ッ!?」

 ある光景に気づく。
 視線の先には、この崩壊した街の中でまったくの無傷である一帯——避難所となっている体育館周辺であった。

 魔法少女たちの必死の闘いで、気付かれないようにしていたその場所が気付かれてしまった。

インキューベータ「成程ね……。少し感じていたんだ。ある一定の場所から注意をそらすように戦っていることにね。そういう事か……」

 その巨大な体の向きを、メビウスから体育館へと移す。

メビウス『や、止めろっ!!』

インキュベーター「君達は、強大な能力をもってして進化した一族。だけど、その弱点は……」

 ワルプルギスの夜から巨大なエネルギーがあふれ出る。


インキュベーター「僕達のように感情を消し去らなかったことだ」


 巨大なエネルギー段が発射される。
 それと同時にメビウスは走った。

 体育館。
 つい先ほど、行方不明だった少女が戻ってきたことにより体育館は騒ぎになっていた。

洵子「馬鹿ヤロー!! 何処行ってたんだ!!」 親をこんなに心配させやがって!!」

タツヤ「う、う、う、うわあぁぁぁぁぁ……ねぇちゃ……グスッ……ねぇちゃん……」

まどか「ご、ごめん、ごめんなさい。ママ、タッ君……」

洵子「もう絶対に心配させんじゃねぇぞ!! この不良娘が!! ……無事でよかった」

 そう言うと、力強くまどかとタツヤを抱きしめる。
 弟のタツヤも両親の慌てぶりなどを見て、ずっと心配していたのだ。
 3人は人目も気にせず泣き続けた。

智久「ありがとうね、君がほむらちゃんだろ。まどかから聞いてるよ」

ほむら「え、いや……そんな、私は何も……」

智久「まどかはね、誰かの為ならどこまでも頑張れる子なんだ。だから、君がいてくれたからあの子は今ここにいるんだよ。本当にありがとう」

ほむら「、……はい、ありがとうございます」

 ついついお礼を言ってしまうほむらの姿に、智久は苦笑を浮かべる。
 ちょっと前のまどかと似たタイプで、自分に自信が持てていないのかもしれないと、理解する。

智久「でも、ほむらちゃんも避難警告が出ているのに、外に出ちゃダメだよ。ほむらちゃんだって心配する人がいるだろ」

ほむら「う……ご、ごめんなさい」

智久「今回はたまた……ん、そういえば、君達を連れてきてくれたあの……ご年配の方は何処行ったんだろう?」

ほむら「え? 本当だ。……いなくなってる」

 辺りを見回してみる。
 さっきまで一緒にいたはずなのに、気付いたらハヤタの姿が無くなっている。

——ガチャ

 再び体育館の扉が開く。
 その姿を見てほむらは驚く。

ほむら「巴さん!! それに、佐倉……杏子さん?」

 入ってくるのは、北斗と杏子、それに郷に背負われたマミ。

杏子「よぉ、あんたらも無事だったんだ」

 気さくに手を上げて言うが、何処か元気がないように見える。
 マミに関しては郷の背中に顔を埋めて、動こうとしない。

杏子「はは……色々とあってな」

 ほむらの表情を読み取ったようで、無理に笑顔をつくる。
 4人にも人が近づいていき、暫くは話しかけられそうにもなかった。

ハヤタ「ダン、大丈夫か!?」

ダン「はぁ……はぁ……何とか、大丈夫です……」

 モロボシダンは、ウルトラ念力でこの体育館から人々を出れないようにしていた。
 そして、寿命を縮めるウルトラ念力を長時間使用していたために、大量の汗を流しながら座り込んでしまった。

 ウルトラ念力の危険性を知っているハヤタは、まどかとほむらを置いていくと急いでダンのもとへとやって来たのだ。

ハヤタ「郷と北斗も無事に辿り着いたらしい。もう大丈夫だ」

ダン「流石に……こう長時間使用すると堪えるよ」

恭介「あの……本当に大丈夫ですか? さっきまで汗が凄かったですけど……」

ダン「大丈夫だよ……心配かけてすまないね」

 ダンは手すりを使って立ち上がる。
 恭介は何故だかわかららないが、二人からは常人とは違う何かを感じていた。
 年寄りの筈だが……何故だか、年寄りのように感じない。

ハヤタ「こ、これは……」

ダン「ん……なっ!? メビウス!!」

恭介「メ、メビウス? あの巨人ってそういうんですか? って、うわっ!?」

 こちらに向かってメビウスが走ってくる。
 メビウスはこの体育館を庇う様に立ち止まり、背中でワルプルギスの夜の光線を受ける。

メビウス「ヘアァッ!!」

 ワルプルギスの夜の光線は一撃で終わらない。
 何発もメビウスへと浴びせる。

——ドガァァン ドガァァァン  ドガァァァァ

 人々を守るためにメビウスは動くことはできない。
 爆音が体育館まで聞こえてきた。

 一階の方でこの爆音を聞きパニックになっていた。

ダン「しまった……この音を聞いて、彼らが外に出てしまう。うぅ」

ハヤタ「ダン、無茶するな。もうウルトラ念力は無理だ……」

ダン「だけどこのままでは……」

 窓を見てみると、背中から倒れるメビウスの姿が見えた。

「何なんだこいつ!!」

「うわぁ!! どうなってんだよ!!」

「もしかして、これってこいつの仕業じゃ!?」

 避難していた人々は外に出て、倒れるメビウスの姿を見て驚いていた。
 ワルプルギスの夜は普通の人々には目視出来ない。街を破壊したのがメビウスの仕業だと思っても仕方が無い事である。

「それじゃあこいつが、俺達の街を……畜生!!」

 落ちていた石を投げつける。
 その男に続くように、人々は倒れるメビウスに向かって石を投げ続ける。

「出てけぇぇぇ!!」

「この悪魔が!!」

「私達の街を返せぇぇ!!」

「そうだぁ!! 俺達の街を、俺たちで守るんだぁぁ!!」

 もう群衆は止まらない。
 光線から人々を守ったことで、メビウスは動く事が出来ない。

 その様子を見て、メビウスの頭上でインキューベーターは嘲笑う。

インキュベーター「無様だね。ウルトラマンメビウス……別の地球を救った君もこっちでは侵略者扱いだよ」

メビウス『だ、黙れ……』

 立ち上がろうにも力が入らない。

インキュベーター「そうだ、面白い事を考えたよ」

 ワルプルギスの夜に瞳が輝く。
 その瞬間、メビウスを襲ったのは強烈な吐き気と疲労感。

 まるで頭の中を覗かれたかのような感触だった。

インキューベーター「成程。これが君の仲間の姿か……」

メビウス『……まさか、記憶を……?』

インキューベーター「見せてもらったよ。さっきも言ったけど、魔女は僕達が作った物。その能力を僕が使えたって不思議じゃないだろう。これは人の恐怖を読み取る魔女の能力だよ」

 ワルプルギスの夜から大量の使い魔が放出され、それが集まり6体の巨人が形成されていく。
 巨人の形を見たメビウスは驚いた。

 この姿は……。

メビウス『こ、これは……黒い、ウルトラマン?』

 尊敬する兄の姿を模して創られた6人の戦士。

インキュベーター「ワルプルギスウルトラ6兄弟だよ」

 ワルプルギスウルトラマン(以下:WU)。
 だが、メビウスの知っている者とは色が違い、ワルプルギスの夜と同じ、白と紫で構成されていた。

WUZ『HAHAHAHAHAHAHAHAHA』

 長男であるゾフィーを模しているWUZはワルプルギスの夜の様に狂ったように笑い出した。
 他のWUも同じように笑っている。

「う、うわぁぁぁ!! なんだ、こいつら!?」

「この巨人の仲間か?」

「そ、そう言えばこの巨人と似ている。畜生、仲間を呼んだのか!!」

 人々が騒ぐ。
 普通の人間には魔女や使い魔は見る事が出来ない筈なのに、WU達が見えている。

メビウス『まさか、お前の狙いは……』

 気づいてしまった。

 かつて、メフィラス星人がメビウスに仕掛けたのと同じように、人間とウルトラマンの絆を利用した、邪悪な企みを。

WUS「HAHAHAHAHAHAHA」

 奇声を上げるとWUは暴れ出す。
 逃げる人々を追い詰めるかのように大地を揺らし、半壊のビルに光線を放つ。

「うわぁぁ!! 助けてぇ!!」

「いやだぁぁ、怖いよぉ、ママァ!!」

「畜生、やっぱりあの巨人は悪魔だ!!」

 叫び声を上げながら、体育館へと戻っていく。
 彼等は恐怖している。


 メビウスと同じような姿をした、ワルプルギスウルトラマンに。

インキュベーター「彼等にとっては、君も、このワルプルギスウルトラ兄弟も変わらずに悪魔なんだよ。どうだい? 人々から憎悪を向けられる気分は? 君達にとっては……耐えられないものだろう?」

メビウス『駄目だ……止めろ』


インキューベータ—「君に何が出来る? エネルギーも無い。僕に勝てる術もない。精々、彼等が人間を抹殺する姿を見ているんだね」


 6人のWUは暴れるのを止めると、横一列になりゆっくりと体育館へ向かっていく。
 体育館から、恐怖を感じての悲鳴が聞こえてくる。

メビウス『……絶対に、それだけはさせない』

 メビウスは最後の力を振り絞って立ち上がった。
 どんなに守るべき対象から罵られようと、絶対に守り抜くために。

 体育館では、人々はこの様子が見る事が出来る窓に張り付いて外の様子を見ている。
 皆、その顔は絶望に染まっていた。

さやか「うわぁ……これって映画じゃないんだよね?」

仁美「えぇ……信じられませんが、現実の様ですわね」

 人々に混ざって、彼女達もこの光景を見ている。

「おい、赤い巨人が立ち上がったぞ」

「何だ? 遂にここを壊すのか?」

「いやだ、死にたくない!!」

 彼等はメビウスをWUの仲間だと思って疑っていない。
 メビウスがこの場所を守るために立ち上がったなど考えもしていなかった。

仁美「どうなってしまうんでしょうか? 私達……いいえ、地球は?」

さやか「うわぁ、あたしまだ何一つ目標をやり遂げてないのに!? ん、どうしたの恭介? さっきから黙っちゃって」


 その光景を見て恭介は叫んだり驚いたりしていない。
 どこか悲しそうな顔をしていた。

恭介「うん。実はね、僕は……あの赤い巨人が敵だとは思えないんだ」

 群衆に混ざろうとはせず、まどか達はただ傍観しているだけだった。
 一緒にいたはずの郷も北斗も気づいたらいなくなっていた。

 杏子「本当、ギャーギャー喧しいよね。平和の中で生きてる人間ってさ」

まどか「そ、そんな言い方ってないよ。え、えぇ〜と、佐倉さん?」

杏子「杏子でいいよ。あんたも流石マミの弟子って感じで甘ちゃんだよね。……あんただって、聞いただろう? 魔法少女の真実を……」

まどか「う……うん」

 移動している最中にハヤタから聞かされ、魔法少女の真実、インキュベーターの正体を知った。
 信じたくはなかったが、何故だかそう考えるとQBの今までの行動に説明がつく。
 それに、ハヤタが嘘を言ってるようには見えなかった。

杏子「結局さ、人間なんてこんなもんなんだよ。優しさなんてない……自分のことしか考えてない。……まぁ、私達はもう人間じゃないんだけどね」

マミ「佐倉さん……そんな言い方ないんじゃないかしら」

 魂が失われたかのように座りっぱなしだったマミが立ち上がり杏子に詰め寄る。

杏子「へっ、一番ショックを受けてたやつがそういうのか。マミだってわかってってんだろ、自分の今までやって来たことは無駄だって」

マミ「そ、そんなこと……」

杏子「そんなこと……なんだよ? 言ってみろよ。言えないだろ……無駄だったんだよ……全部、あいつの思惑通りで……利用されてるだけだったんだ」

マミ「だけど……私は全部が無駄なんて……」

杏子「思ってないってか? じゃあ、何でさっき泣いてたんだよ?」

ほむら「や、止めて、二人とも」

 見かねたほむらが二人の間に割って入る。

杏子「魔法少女じゃない奴は黙ってろ!!」


ほむら「ひっ!?」

まどか「ほむらちゃん!!」

 杏子「今闘ってるあの巨人だってそうだ。結局勝てないじゃないか!! 正義とか、優しさなんて……最期に愛と勇気が勝つ物語なんて……ないんだよ」

 静まり返る。
 誰も何も言い貸す事が出来ない。



「優しさを失わないでくれ……」

 後ろから聞こえてくる声に、杏子達は振り返る。
 そこには4人の老人達が立っていた。


北斗「弱い者を労り互いに助け合い
どこの国の人とも友達になろうとする気持ちを
失わないでくれ

たとえその気持ちが何百回裏切られようとも」


杏子「おっさん……ハハ、あれ、何で、涙が出てんだろ……ヘ、変だよな……こんな言葉で、あたしがなくなんて……」

 父親から拒絶され、その事が原因で他人を、自分自身も拒絶していた杏子の心にその言葉は響いた。
 北斗は微笑みを見せた。

郷「マミちゃん、君のやってきたことは決して無駄ではないよ。人々を守ろうとした君の勇敢な行動は、確かに俺が見た」

マミ「郷さん……」

 両親を失い、誰にも認められることなく闘い続けた。
 郷の言葉に、抑えていた悲しみ一気に溢れ出し、マミは声を上げて泣いた。

ハヤタ「まだだ……まだ諦めちゃいけない……」

ほむら「でも……もう、ミライさんが……」

ダン「大丈夫、最後まで諦めない……不可能を可能にする。それが、ウルトラマンだ」

 6人のWUがメビウスの前に並び立つ。

メビウス「ヘアッ!!」

 メビウスは逃げることはせず、人々を守るために腕を大きく広げた。
 覚悟はもうできていた。

インキュベーター「どうやら死ぬ覚悟はできたようだね、言っておくけど、偽もとはいえ甘く見ない方がいいよ。彼等は君の記憶から生まれたんだ。君が彼等に抱くのと同じ強さ持っているん」

 WUZの右腕に邪悪なエネルギーがチャージされる。
 他のWUも同じであり、それぞれが模したのと同じウルトラマンの必殺光線のポーズをしている。


インキュベーター「シネ!! ウルトラマンメビウス!!」


 同時に必殺技が放たれようとした、瞬間。


WUZ「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAH……!?」

WUT「HAAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA……!!」


——ドガァァァァァァァン ドガァァァァァァン


 上空から2つの光波熱線が降り注ぎ、WUZとWUTが爆発する。
 他のWUも急にことに動揺し、動きが止まる。


インキュベーター「これは……。誰だ!!」


 上空から2つの赤い球体がメビウスの前に落ち、2人の戦士が姿を現す。

 宇宙警備隊体長であり、ウルトラ兄弟長男。
 胸のスターマークと、肩のウルトラブレスターは最強の戦士である証。

ゾフィー『弟たちよ、待たせたな』

 ウルトラの父とウルトラの母の息子であり、強さと優しさを併せ持つウルトラ兄弟6男。
 ウルトラホーンは勇者の証。

タロウ『大丈夫か、メビウス?』


メビウス『ゾフィー兄さん!! タロウ兄さん!!」



 ゾフィーと、ウルトラマンタロウがこの地球に降臨した。

 逆転はここからだ!!

取り敢えず、ここまで。
もうちょっとで終わりの予定です。
それまで、どうかお付き合いをお願いします。

詢子と知久な
二人も間違えるなよ

偉そうにすんじゃねえよキチガイが、[ピーーー]

メビトラ兄弟の隊長&教官降臨シーンはめっちゃ興奮したし感動したなぁ

キングさん、ハンマーでやっちゃってください

大変遅れて申し訳ありません。
ウルトラアクトの収集に最近ははまっておりまして、一万円超えで購入できなかったアストラを制作するのに時間がかかってしまいました。
出来はいまいちでしたが……まぁ、完成しましたので、こちらの方へ戻ってきました。


取り敢えず、最後まで書き溜めも終わりました。
これからバイトなので、更新は夜になると思います。

どうか、それまでお待ちください。

>>44
誤字報告ありがとうございます。
まさか、二人とも間違えるとは……次から気を付けます。

>>46 >>47
あの降臨シーンはかっこいいですよね。個人的には一番強いウルトラマンは誰だと思う? のミライ君の質問でゾフィーと答えた場面がツボでした。
残念ながらキングさんは出ないんですよ……。
まぁ、銀河伝説の時といい肝心な時にいない人ですから。


夜から更新します。
それまでお待ちを。

なんで毎回毎回簡単に偽ウルトラマンに騙されるだろう

>>49
大きさがあるから下から見上げたくらいじゃ分からないらしい

どうも、休憩時間が長く、時間があるので少しだけ投稿したいと思います。
結構無理やりな設定も織り交ぜますが、ご了承ください。

>>49
ニセウルトラマンは>>50の言う通り大きさ、それに暗闇などもあってわかんなかったんだと思います。
ニセウルトラセブンは……まぁ、ちょっと模様ちがくね? ぐらいな感覚なのかもしれませんね。ニセアストラなんか完璧な変装でしたけどね。


 タロウはメビウスへと駆け寄ると、胸のカラータイマーへと手を当てる。

タロウ『待ってろ……今、エネルギーを与える』

メビウス『ありがとうございます。僕が不甲斐ないばかりに』

タロウ『何を言う。お前は立派に戦った』

 タロウからエネルギーを与えられ、メビウスのカラータイマーが青へと戻る。
 ゾフィーは体育館に目を向け、彼等を待つ。



ハヤタ「我々も行こう!! この星を守るために!!」

 この瞬間を待っていた。
 ハヤタ達は頷き合うと、体育館から出ていこうとする。

ほむら「あ、あの……ハヤタさん達も戦うんですか?」

ハヤタ「あぁ」

まどか「でも、ワルプルギスの夜は最強の魔女です。私達も一緒に……」

マミ「そうです。確かに私達だけでは勝てませんでしたけど……一緒に戦えば」

郷「いや、君達には君達の出来る事をするんだ」

杏子「出来る事って……んなもんあるのかよ」

北斗「あるさ。ウルトラマンを信じる事だ。信じる心が奇跡を生むんだ」

ほむら「信じる心?」

ダン「そうだ。それだけで十分だ」

 ほむらの頭を撫でる。
 4人は頷き合うと、体育館を出て行く。

ゾフィー「弟たちよ、エネルギーを受け取るのだ」

 外へと出てきた4人へとゾフィーからエネルギーが与えられる。
 それぞれの体に光が注がれ、ハヤタは胸ポケットからベータカプセルを取り出す。


北斗「もう、これ以上……誰も悲しませたりはしない」

郷「少女たちの希望を、絶望に変えたりはしない」

ダン「そのために戦い続ける」

ハヤタ「それが……ウルトラマンだ」

 ハヤタはベータカプセルのスイッチを押し、ダンはウルトラアイを装着し、郷は手を高く上げ、北斗はウルトラリングを合わせる。

 4人を光が包み込み、ウルトラマンが現れる。



 ハヤタが変身した、初代ウルトラマン。
 ダンが変身した、ウルトラセブン。
 郷が変身した、帰ってきたウルトラマン——通称、ウルトラマンジャック。
 北斗が変身した、ウルトラマンエース。




ウルトラマン『ゾフィー、助かった』

ゾフィー『いや、私達こそ、到着が遅れてすまない。幾多の宇宙からこの宇宙を探すのに時間がかかってしまった』

 横一列に並ぶウルトラ兄弟とメビウス。

エース『久々に6人全員……いや、7人のウルトラ兄弟で戦えますね』

タロウ『はい、戦いましょう。こいつの野望を砕くために』

ジャック『メビウス、よく頑張った』

メビウス『すみません……兄さん達のエネルギーを貰ったのに、足止めしか出来なくて』

セブン『何を言う。お前は十分頑張った。お前がいなければ、彼等はみんな死んでいたんだ、もっと胸を張れ』

メビウス『はい、セブン兄さん、ジャック兄さん』


ゾフィー『皆、戦おう。ウルトラ兄弟の名に懸けて』

 体育館。

「何だ!? 巨人が増えたぞ!!」

「どうなっちまったんだ!! この星は!?」


 ウルトラ兄弟の登場に、体育館はさらにパニックに陥る。

 だが、まどか達は違う。
 不思議と誰が、どのウルトラマンに変身したのかが分かる。



まどか「頑張って、ウルトラマン」

インキュベーター「ふん、7人に増えたからなんだっていうんだい? やってしまいな、ワルプルギスウルトラマン!!」

 命令を受け、残った4人のWUはウルトラ兄弟を睨み付ける。

WU「HAHAHAHAHA!!」

ウルトラマン「ヘアッ!! シュワッ!!」

 WUはウルトラマンへと、黒い八つ裂き光輪を放つが、ウルトラマンは向かってくる八つ裂き光輪を胸筋で受け止める。
すると八つ裂き光輪はガラス細工のように砕け散る。
ウルトラマンは腕を交差させスペシウム光線を放つ。


WUS「HAHA!!」

セブン「ダッ!! デアッ!!」

 WUSのエメリウム光線を片手で弾き、L字型にした腕からワイドショットを放った。



WUJ「HAHAHAHAHA」

WUA「HAHAHAHAHA」

ジャック「ヘアッ!!」

エース「フゥン!!」

 2人のワルプルギスウルトラマンのスペシウム光線とメタリウム光線を、ジャックのウルトラスパークとエースのバーチカルギロチンが斬り裂き、そのまま、二人のワルプルギスウルトラマンを斬り裂く。

 
 それぞれの必殺技を受け、同時に4人のワルプルギスウルトラマンが木端微塵に爆発する。

インキュベーター「そ、そんな……ワルプルギスウルトラマンが負けるなんて……。正直、予想外だよ」

ゾフィー「わからないのか? インキュベーター。幾ら、我々の力を模した戦士達と言えども、所詮は心を持たない人形」

ウルトラマン「そんな人形にウルトラマンが負けるはずがない」

インキュベーター「心を持たない? 心なんて何の役に立つというんだい」

 ワルプルギスの夜が大きく動き出す

インキュベータ—「いいよ。だったら、僕が君達を粉々に潰してあげるよ」

ゾフィー「弟たちよ、来るぞ!!」

 ゾフィーの声と同時にワルプルギスの夜は、その巨大な腕を地面へと叩き付ける。
 ウルトラ兄弟達は空へと飛びそれを回避する。

ジャック『タロウ、メビウス。行くぞ!!』

タロウ『わかりました。ジャック兄さん!!』

メビウス『はい!! ハァァァ』

 自らの体にファイヤーエンブレムを描き、燃える勇者メビウス・バーニングブレイブへとフォームチェンジする。

ジャック「ヘアッ!!」

タロウ「トアァァ!!」

メビウス「デアッ!!」

 ジャックの流星キック、タロウのスワローキック、メビウスのバーニングスピンキックがワルプルギスへと炸裂する。
 遥か後方へと吹き飛ばされるワルプルギスの夜。

インキュベーター「くっ!? でも、まだだ!!」

セブン『エース!!』

エース『はい!! セブン兄さん!!』

 アイスラッガーとギロチンショットがワルプルギスの夜が放つ使い魔と、その腕や触手を斬り裂く。

ワルプルギスの夜『HAHAHAH……』

インキュベーター「これなら、どうだ!!」

 口から発射される破壊光線。
 セブンとエースは頷き合うと、それぞれ左と右に避ける。

破壊光線の先にはウルトラマンとゾフィーが待っていた。

ゾフィー『喰らうがいい!!』

ウルトラマン『我々の光を!!』

 ゾフィーのM87光線と、ウルトラマンのスペシウム光線が破壊光線を押し返す。
 2人のウルトラマンの超強力な光波熱線がワルプルギスの夜に直撃する。

ワルプルギスの夜『……H——A……HAHA……H——A……』

 笑い声が小さくなっていく。
 その体を炎に包みながら、ワルプルギスの夜が地面に落ちていく。

メビウス『やったか?』

タロウ『ん!? 伏せろ、メビウス!!』

 再び紫色の破壊光線が発射される。
 間一髪のところではそれを回避する。

セブン『来るぞ……』

 再び浮かび上がってくるワルプルギスの夜。

インキュベーター「残念だったね。忘れたのかい? 今のワルプルギスの夜は世界中の魔法少女の絶望をエネルギーにしているんだ」

ゾフィー『つまり……また』

インキュベーター「そうだよ、また魔法少女たちを絶望に落としたよ。面白いだろ、君達がやったのは無駄だったんだよ!!」

エース『インキュベーター……なんて卑劣な奴なんだ』

タロウ『それでは、何とかして奴を止めなければ……』

ジャック『この地球は終わりだ』


インキュベーター「終わらないよ。こんな最高のエネルギー源の星を終わらせるわけがないだろう。ただ、家畜になるんだよ。この、インキュベーターのね」


ウルトラマン『そんな事はさせん。絶対に喰い止めてみせる!!』

 体育館。

「何だ……あいつら?」

「仲間割れしたと思ったら、次は何かと戦ってる? 何をしているのかしら?」

「へん、どうせ下手な芝居に決まってるだろ。俺達人間は……滅びるしかないんだよ……」


 一向にウルトラマン達の事を信用していない人々を見ているのは辛い。

 そして、不死身のワルプルギスの夜を相手にしているウルトラマンの助けになる事が出来ない自分の無力さが一番辛かった。

マミ「あんなの……勝ちようがないじゃない」

杏子「強いうえに不死身って……どうなってるんだよ……」

ほむら「そういえば、ハヤタさんが言ってた。今のワルプルギスの夜は世界中の魔法少女の絶望をエネルギーにしてるって……」

杏子「マジかよ……。ってか、おっさんは私達にそんなこと教えなかったに……。なんで、魔法少女じゃないこいつに教えたんだ?」

マミ「……たぶん、魔法少女じゃないからじゃないかしら……。あの時の私がその事を聞いたら……恥ずかしいけど、発狂していたかもしれないわ」

 マミの言う通り。
 ハヤタはこの事をまどかにも聞こえないように、テレパシーでほむらに伝えた。
 もしも、この話を聞いたとしても平常でいられるときに伝えてほしい、と。

まどこ「そんなの、あんまりだよ。あんなのの為に、世界中で魔法少女たちが絶望のまま死んでいくなんて」

ほむら「でも……どうすれば……」


「方法ならあるよ」


 今最も聞きたくない声が聞こえてくる。

QB「やぁ、どうしたんだい。そんな似合わない顔して」

杏子「うるせぇ。話しかけんな」

 言うよりも早く、槍で突き刺す。
 鮮血を上げながら、QBは力尽きる。

QB「止めてくれないかい。無駄に個体が減らされるは嫌なんだよ」

マミ「そ、そんな、今だって……それに、あなたはそこに」

QB「あぁ、言ってなかったっけ? 僕という個体は一人じゃないからね、同一の意思を持つ個体が地球中に何万といるんだから」

杏子「けっ、一体潰しただけじゃ無駄って事かよ」

 QBは杏子が刺殺した個体を頬張り出す。
 まどか達はその光景に顔が真っ青になる。

QB「ムシャムシャ……ごっくん。あぁ、ごめんね。こうでもしないと、勿体ないからね。で、暁美ほむら。君に提案があるんだ」

ほむら「わ、私に!?」

QB「そうだよ。鹿目まどかや、巴マミ、佐倉杏子ではダメだ。まだ、魔法少女じゃない君が……僕と契約すればいいんだよ。ウルトラマンを助けてってね」

ほむら「そっそうすれば、ハヤタさん達が助かるの?」

QB「助かるかもしれないね。ただ、今の状況は改善される可能性はあるんじゃないかな?」

ほむら「だったら、私!!」

まどか「駄目だよ。ほむらちゃん!!」

 契約しようと身を乗り出したほむらをまどかは制止する。

ほむら「鹿目さん、どうして? だって、QBと契約すれば!?」

まどか「だって可笑しいよ。QBさっきから“かもしれない”とか“可能性”とか……。それに、QBがワルプルギスを操ってるのに……こんな提案、絶対可笑しいよ!!」

ほむら「……えっ……」

マミ「確かにその通りね。QB……もしかしたら、一人でも魔法少女を増やそうとしてるんじゃないかしら?」

杏子「おおかた、あいつが絶対に負けないようにするための保険ってとこか」

QB「保険……とは違うね。でも、備えはあった方がいいだろ」

 平然と返す。
 今度はマミの銃弾がQBを貫いた。

マミ「こんな感じで……世界中の魔法少女が絶望におとされてるのね……。救えない話だわ」

ほむら「すみません……私が安易に契約なんてしようとしたから」

まどか「大丈夫、ほむらちゃんのせいじゃないよ……悪いのは……」

 無残に飛び散ったQBの死骸に目を向ける。

ほむら「でも、結局……ウルトラマンは……」

まどか「魔法少女たちに絶望に落ちないでって伝えられたらいいのに……」

マミ「魔法少女たちに伝えられたら……。あっ!? そうだわ。その手があったわ」

杏子「あ、何か思いついたのかよ」

マミ「そうだわ。そうよ。魔法少女達に絶望に落ちないように説得すれば良かったんだわ」

杏子「説得ったって、QBの話だと魔法少女は何百人もいるんだろ。そんなの。出来るわけがないだろ!!」

マミ「違うわよ。テレパシーを使うのよ」

まどか「そうか。いつも私達が使っているテレパシーを使えば」

マミ「その通りよ、鹿目さん」

ほむら「でも、確か私達のテレパシーってQBを介してるんじゃ……。それに、世界中の魔法少女に同時にテレパシーなんて出来るんですか?」

マミ・まどか「「あ……」」

 その通り過ぎて何も言えない。
 杏子は溜息を吐いた。

杏子「駄目じゃねーか。それにあいつが妨害してくると思うけどな」

マミ「うぅ……あっ、そうだわ。郷さん達の協力があれば……出来るかもしれないわ」

ほむら「ウルトラマンの協力ですか……。確かにできるかもしれませんけど、誰があそこまで行くんですか? 注目が集まりすぎてますよ」

 今、人々の視線はウルトラマンに集まっている。
 外に出てウルトラマンの所に行くには注目が集まりすぎている。

マミ「大丈夫……方法ならあるわ。ね、佐倉さん」

杏子「はぁ〜? 何であたしがそんなこと……」

マミ「もしも上手くいったら、毎日ケーキをご馳走するわ」

杏子「うっ……!?」

 お菓子大好きな杏子にとっては魅力的すぎる提案である。

まどか「何だか分からないけど、わたしからもお願いします。あの、出来る事ならなんでもします」

ほむら「わ、私も!!」

 まどかが頭を下げると、続くようにほむらも頭を下げる。
 杏子は髪をかきむしる。

杏子「あぁ!! もうわかったよ。だけど、マミはケーキのこと忘れんなよ」

マミ「えぇ、とびっきりおいしいのを用意するわ」

相変わらず美女と何かしらの縁を持つセブン

しかし相変わらずウルトラマンを叩くバカどもを見てると腹立つよな
ヒルカワとかがいい例だ
何十年も守ってもらってるんだから少しは学習しろよ

しかしウルトラマンを叩くバカどもを見てると腹が立つ
何十年も守ってもらってるんだから少しは学習しろよ

今までいなかった世界で急に現れた場合はしょうがないが
メビウスのヒルカワは後で刺されていいレベルだな

止まった?

ヒルカワは演じた役者にすら罵倒されるクズだからね。ウルトラシリーズにあんなクソみたいな小悪党他にいないと思う

見ようによっては草加さんより酷いよな

ウルトラ世界って基本的に性善説な雰囲気があるからヒルカワみたいな登場人物って珍しいよね

性善説抜きにしてもヒルカワは侵略者の手先って言われてもおかしくないと思う

>ヒルカワは侵略者の手先って言われてもおかしくないと思う
ザラブ星人あたりに利用されて、最後に捨てられそうなキャラだよね
メフィラス星人は同じ侵略者でも、ヒルカワみたいなのは嫌いそう

どうも、バイトも終わって帰ってまいりました。

うぉ、なんか大変なことになってる。
ちょっと驚いておりますが、まぁ、やっていきたいと思います。

>>61
セブンは美女と縁がありますよね。
個人的には、マゼラン星人のマヤとダンの会話場面が好きです。
ウルトラアイをゆっくりと装着させる場面や、ラストの後味の悪さなど……もう、本当に好きです。

>>62 >>63 >>65 >>67
>>64のいう通りウルトラマンのいなかった世界での出来事ですからね。
いきなり身長40メートル以上の巨人が現れたら信じろという方が無理だと思います。

まぁ、メビウスを観ていたときヒルカワに怒りを感じましたけどね。
>>66 >>68で書いてある通り、結局最後まで改心しないウルトラマンでは珍しいキャラでしたしね。

 杏子の魔法は幻覚を主とした能力である。
 その魔法を使い、姿を人々から認識できないようにしウルトラマンのもとへと向かう。
 それがマミの考えた計画である。

杏子「で、誰がが行くんだい?」

マミ「私が行くわ。一応これでも鹿目さんより先輩なんだから」

まどか「だったら、私も行きます。2人で行けば」

マミ「いいえ、鹿目さん。ここは私だけで行くわ。それに、鹿目さんと暁美さんにはするべきことがある筈よ」

ほむら「えっ、私もですか!!」

 魔法少女ではない自分の名前が出たことに驚く。
 戦力にはならないような気がしてならないのだが……。

まどか「わたしたちに出来る事って……」

 ふと振り返る。


「バカヤロー!! 街を破壊すんじゃねー!!」

「死ねっ!!」

「7人纏めて消えろっ!!」

 耳に入ってくるのはウルトラマンへと罵倒の数々。
 それで、まどかは気づく。


まどか「そうか。私に出来る事って、うん、行こう。ほむらちゃん!!」

ほむら「え、行くって……何処に!?」

 戸惑うほむらの手を引いて、まどかは走り出す。
 マミはその姿を見送る。

マミ「それじゃあ、私も行こうかしら。よろしくね、佐倉さん」

杏子「……マミ、死ぬんじゃねーぞ」

マミ「あら、心配してくれるのかしら?」

杏子「ばっ、馬鹿!! そんなんじゃねーよ!! あ、あれだ、ケーキだよ、ケーキ!! 死んだら食えねーだろ!!」

マミ「はいはい。そういうことにしておくわ」

 赤面の杏子を軽く受け流す。
 だけれども、本当に杏子が自分の事を心配していると知っており、そのことが嬉しかった。

マミ「よろしくね、佐倉さん」

杏子「任せろよ。……マミ」

 ワルプルギスの夜は大量の使い魔を放出し、ウルトラ兄弟へと襲いかからせる。
 百を超える使い魔を相手にウルトラ兄弟は苦戦を強いられる。

ジャック「ヘアッ」

 シネラマショットで使い魔を一掃する。

エース『くそっ、何て数だ。このままでは、あいつを倒すよりも先にこっちのエネルギーが尽きてしまう』

ゾフィー『エース!! ジャック!! 危ない!!』

 その声で気付いたが、ワルプルギスの夜が2人の方を向いていた。

ワルプルギスの夜『HAHAHHAHAHAHAHAHAHAHS』

ジャック『ぐわっ!!』

エース『うわぁぁぁぁ!!』

 破壊光線を浴びた2人は、地面に跡を残しながら吹き飛ばされる。

メビウス『ジャック兄さん!! エース兄さん!!』

ゾフィー『メビウス!! お前も油断するな。この数が相手では少しの油断が命取りになるぞ』

 Z光線を放ちながら一喝する。
 ゾフィーの言う通り、バーニングブレイブで何とか戦えている状況であり、兄達の事を構ってられないほど苦しい状況が続いている。

タロウ『だが、私達があいつを攻撃する度に、あいつはまた別の魔法少女を絶望に落とす。それではなんも意味が無い』

ウルトラマン『こうなったら……こいつを封印するしか』

ゾフィー『いや、それでは駄目だ。私達がこいつを封印したところで、あいつはまた新たなワルプルギスの夜を生むだろう。それでは何の意味が無い』

セブン『ならば、どうすれば……』

ゾフィー『エネルギーを断ち切る事さえできれば……』

やっぱりヒーローを罵倒する一般人は最低だな

ジャック『うぐっ……はぁ、はぁ……』

エース『大丈夫ですか……ジャック兄さん』

ジャック『あぁ、なんとか……な』

 カラータイマーは点滅していない。
 全身に痛みは残っているが、まだ大丈夫だ。

マミ「郷さん!!」

ジャック『ん!? その声は……』


 下を見てみると、魔法少女へと変身しこちらへと向かってくるマミの姿があった。


ジャック『マミちゃん!! 何でここに来たんだ!! ここは危険だ……早く戻るんだ!!』

マミ「すみません。お説教なら後で聞きます!! ちょっと肩失礼します!!」

 ピョンピョンと高く跳び上がり、ジャックの肩に乗る。

ジャック『一体どうしたんだ? 何か事情があるんだろ?』

マミ「はい……あいつを倒せるかもしれない方法を伝えに来たんです」

エース『方法? そんなのがあるのか!?』

マミ「はい……。と、いっても確証はありません。だけれども、郷さん達の力を借りれば、もしかしたら……」

ジャック『その方法とは……?』

マミ「私達はQBを介して魔法少女同士でテレパシーを使っていました。だから、QBの回線に入り込む事が出来れば、世界中の魔法少女と連絡が取れるかもしれません」

エース『そうか、それで魔法少女達を説得すれば……』

マミ「はい。そうすれば魔法少女達に希望を持たせる事が出来るかもしれません」

ジャック『なるほど……確かにできるかもしれない』

 だが、その方法はいくらウルトラマンと言えども、ジャック一人では無理である。
 ウルトラ兄弟で一番の念力使いである、兄の力を借りれば……もしかしたら。

ジャック『エース!! 使い魔達は任せたぞ!!』

エース『はい、わかりました』

ジャック『マミちゃん、しっかり掴まってるんだ』

マミ「はい!!」

 空までの道をエースがメタリウム光線で切り開く。
 ジャックはマミを肩に乗せながら空へと飛ぶ。


ジャック『セブン兄さん!! お願いします。手伝ってください!!』

セブン『話は聞いていた。わかっている』

 ジャックの後にセブンが続く。
 ワルプルギスの夜を飛び越え、2人は空中で止まる。

セブン『君が普段インキュベーターを介して使っているテレパシー。それを読み取って、無理矢理インキュベーターの回線に割り込む』

マミ「出来るんですね!?」

ジャック『いや、それはわからない。それに、割り込めたとしても時間は……2人のエネルギーを使っても恐らく一分が限界……その間に君が魔法少女達に伝えるんだ』

セブン『頼んだぞ。君が魔法少女達に希望を与えるんだ』

マミ「私が……希望を……。わかりました!! やってみます!!」

 力強く答える。
 自分はウルトラマンから希望を貰った、今度は自分が魔法少女達に希望を与えるのだ。

セブン『行くぞ!!』

ジャック『はい』

 2人は腕を交差させウルトラ念力を使う。
 マミの脳波を読み取り、インキュベーターの使っている回線を探す……。

 ただでさえ膨大なエネルギーを使うウルトラ念力。
 それを、テレパシーの回線を見つけ割り込むなどという雲を掴むような行為に使うのだ。


——ツーツー……

——ピコン ピコン……


 エネルギーの消費にビームランプとカラータイマーが点滅する。

インキュベータ—「何かをしようとしているようだけど……させないよ!!」

 2人に向かって大量の使い魔が襲い掛かろうとする。

メビウス『そうはさせない!!』

 2人の前に立ち構え、メビュームバーストで使いを焼き払う。


 メビウス『兄さん達!! ここは僕に任せてください』


 恐らくウルトラ念力に集中しているため聞こえていないだろうが叫んだ。
 その後も向ってくる使い魔をメビウスが払い続ける。


セブン『回線に入り込んだぞ』

マミ「本当ですか!?」

 遂にインキュベーターの回線に入り込む事が出来た。
 だが、セブンもジャックもかなり苦しそうであった。

ジャック『後少しで全世界の魔法少女達と回線がつながる……けれど、すまない。一分も持たなそうだ……』

セブン『ただ、君ならその短い時間で伝えられるはずだ。信じているぞ……』

マミ「……はい」

 息を整える。
 自分が何を伝えたいのかを整理する。

 もしも、これが失敗したのならば、インキュベーターは二度と回線に割り込めないようにするだろう。
 そうなってしまっては、もう打つ手が無くなってしまう。

 失敗は許されない。

セブン『今だ!! 頼んだぞ』


 何となくだが、わかる。
 今、自分は世界中の魔法少女達と繋がっている。

 息を整えて、話しだす。

 世界中に、自分の声を……。

マミ『皆さん聞いてください。見ず知らずの私の声が聞こえていることで驚いているでしょうが、時間が無いので用件だけを言います』

 何故だか解らないが、こうして話してみるとさっきまで鳴りやまなかった胸の鼓動が落ち着いていた。
 凄く安らかな気分だった。

マミ『あなた達は魔法少女の真実を知って絶望を感じているかもしれません。でも、諦めないでください。今、私の目の前で決して諦めず、魔法少女を助けるために史上最悪の魔女・ワルプルギスの夜、それと黒幕・QBと戦っている戦士達がいます』

 一生懸命に伝える。
 ウルトラマンの勇士を。

マミ『あなた達が悲しむことも、絶望を感じることは絶対にあってはいけません。だから、彼等を——ウルトラマンの勝利を信じてください。絶望の闇ではなく、希望の光を。最後の希望……ウルトラマンを!!」

 気づいたら声に出していた。
 最後にマミは叫んだ。


マミ『私達が信じている限り、ウルトラマンは絶対に負けません!!』


 そこでテレパシーが途切れた。

マミ「もしかして……失敗しちゃったんじゃ……」

ジャック『大丈夫……マミちゃんの声は確かに届いたはずだよ』

 ゆっくりと地面に降りる。

 セブンもジャックもウルトラ念力の反動により息を切らしている。

セブン『どうやら……成功したようだな』

マミ「え?」

 空を見上げてみると、明らかにワルプルギスの夜の動きが可笑しくなっていた。
 大量に発生していた使い魔も、ウルトラ兄弟に倒され、徐々にその数を減らしており、再生もしていない。

セブン『ジャック、もうひと踏ん張りだ。戦えるな?』

ジャック『勿論ですよ』

 ジャックは肩に腕を寄せマミを飛び移らせると、優しく地面に降ろす。
 腕から降りるとマミは、再びジャックを見上げる。

 逞しくて、力強い立ち姿。
 先程まで郷に背負われていたことにがっかりとしていたが、その姿を見ていると顔が真っ赤になってくる。

マミ「え……いやだ、私ったら、そんな……いや、でも……改めて思うと、郷さんって若いころはモテたんじゃ……」

 非常時であるにもかかわらずそんな事を考えてします。
 顔を真っ赤にして、体を動かす姿は……マミの事を尊敬していたまどかが見たならばショックを受けるだろう。

インキュベーター「あれ……可笑しいな……。エネルギーが全然補充されない」

タロウ『メビウス!』

メビウス『はい!!』

 メビウスのバーニングメビュームシュートとタロウのストリウム光線を受け、その巨体が地面に叩き付けられる。
 立ち上がろうにも力が入らない。

 何度も修復していた、ワルプルギスの夜の損傷が修復されない。

インキュベーター「おかしいな。世界中の僕が魔法少女達を絶望に落とすことを言ってる筈なのにな……」

ジャック『無駄だ。インキュベーター』

インキュベーター『無駄? どういうことだい?』

セブン『彼女達はある少女の言葉で希望を手に入れた。お前の様な奴が与える絶望には決して屈したりはしない』

インキュベーター「成程……。君達が何かしたのかい。確かに、世界中の僕の目から見える景色では魔法少女達が急に立ち直ってる姿が見えるよ。……僕の言葉に耳を貸さないって魔法少女も出てきてるよ……」

 体育館に背を向けながら、ウルトラ兄弟は横一列に並ぶ。

ゾフィー『もう勝負は付いた。諦めろ!!』

インキュベーター「まだだ……まだ終わりじゃないよ」

ウルトラマン『何をする気だ!!』

 ワルプルギスの夜がゆっくりと起き上がる。
 
インキュベーター『本当はね。こんな手段……使いたくなかったんだ』


エース『何かが集まってきている……この白いのは、まさか……』

メビウス『インキュベーター……それも凄い数だ』


 空を白に染める大量のインキュベーターがワルプルギスの夜へ飛んでくる。
 それらのインキュベーターはワルプルギスの夜の体に吸い込まれていく。

インキュベーターA『僕達はね、母星から常に活動に必要なエネルギーが送られているんだ』


インキュベーターB『一人ひとりはごく少量の、必要最低限のエネルギーだ』


インキュベーターC『だけれども、人間的に言うならば塵も積もれば山となると言ったところだろうかね』


インキュベーターD『世界中にいる僕達がこの一点に集結すれば』


インキュベーター『君達を凌駕する力になる』


 異変が始まる。
 ワルプルギスの体が粘土のように柔らかくなり、内から膨れ上がりその姿を変えていく。


ウルトラマン『これは……』

セブン『なんて、でかさなんだ……』

エース『Uキラーザウルス、いや、それ以上の大きさだ』


 ワルプルギスの変化が終わる。
 もはや、その姿にワルプルギスの夜の面影はどこにもない。

 真白な体と赤い瞳、インキュベーターと同じような長い耳。
 ウルトラマンを軽く凌駕するその巨体に、ワルプルギスの夜と同じ腕が体に幾つも生えている。

インキュベーター『どうだい。もう君達に勝ち目はないよ』

 1つの声だけではなく、幾つものインキュベーターの声が聞こえてくる。

インキュベーター『全てのインキュベーターが一つになったことで、母星からのエネルギーが、この僕一点に集まるようになった。それは、魔法少女からのエネルギーよりも強力な物だ』

ゾフィー『だが……お前を倒せば、この地球のインキュベーターは消滅するという事だな』

インキュベーター『無理だよ。君達とは次元が違う。終わりだよ、君達は大好きな地球で死んでいくんだ』

メビウス『違う。僕達は絶対に負けない!!』

インキュベーター『ふん。僕には感情が無いからわからないが、君達に怒りの様な物を感じるよ。ここまでしなくちゃいけなくなったんだからね』

インキュベーター『さてと、もう時間はかけさせない。一気に決めさせてもらおうか』

エース『一気にだと?』

タロウ『残念だが、私達はそう簡単にやられたりはしない!!』

インキュベータ『だろうね。だから、君達の弱点を狙わせてもらうよ』

ウルトラマン『弱点? まさか!!』

 インキュベーターの視線の先は、見滝原の住民が避難をしている体育館。

インキュベーター『ご名答』

 今までの物とは比べ物にならない破壊光線を、ウルトラ兄弟の後ろにある体育館へと向けて発射する。

ゾフィー『くっ!! うぉぉぉぉぉ!!』

 咄嗟にM87光線で対抗するが、今までの破壊光線とは比べ物にならない威力であり、打ち消すことも押し返すこともできない。

ウルトラマン「ヘアッ」

セブン「デアッ」

ジャック「シュワッ」

エース「フゥン」

タロウ「ストリウム光線」

メビウス「テリャァ」

 スペシウム光線、ワイドショット、メタリウム光線、ストリウム光線、メビュームシュートをそれぞれ放ち、ゾフィーに加勢する。

メビウス『そんな……僕達の光波熱線を一度に放っても押し返せないなんて……』

タロウ『諦めるな。メビウス』

エース『そうだ、この宇宙の運命は、俺達にかかってるんだ!!』


インキュベーター『ハハ、無駄だよ。光波熱線を打ちっ放しで君達のエネルギーはいつ切れる? あと一分も持たないんじゃないのかい?』


——ピコン ピコン ピコン……

——ツー ツー ツー……


 もともとタイマーが鳴っていたジャックとセブン以外のウルトラマンも、遂にカラータイマーが点滅を始める。


ゾフィー(残りのエネルギーでは、最大級のM87光線は撃てない。いや、仮に撃てたとしても、地球への被害がでかすぎる……)


 徐々にであるが、ウルトラ兄弟の光線が押し返されている。


インキュベーター『最後の言葉だ。シネ、ウルトラマン』

——が……ば……!!


——……ん……れ……!!



——負け……ラマン!!




——……るな……ウルト……



 声が聞こえてくる。
 それは、ウルトラマン達の耳にも届く。



——がんばれー!! ウルトラマーン!!



——負けるなぁぁぁぁ!! ウルトラマン!!



 背後から聞こえてくる人々の声。

 メビウス『この声は……』

 体育館の窓はすべて開かれており、そこから人々が顔や手を出しウルトラマンへと声援を送っている。
 それは、先程までウルトラマンの事を非難していた人たちの声だ。



恭介「がんばってください!! 僕は……貴方達から勇気を貰ったんです!!」

さやか「何だかわからないけど、応援してるよ!! ウルトラマン!!」

仁美「わたくしも応援しています!!」

詢子「負けんじゃねぇぞ!! 娘があんたらの勝利を信じてんだ!! だから、私だって信じてんだ!!」

知久「僕達は、あなたが何と戦っているかはわかりません!! けれど、僕……いえ、皆信じています。だから、諦めないでください!!」

タツヤ「ウリュトラマァァン〜!! 」


セブン『彼等は……。それに、これは?』


まどか「ウルトラマーン!!」

ほむら「私達に出来る事はやりました!! だから、絶対に勝ってください!!」


 こちらへと声援を送っている人々の中心には、まどかとほむらがいる。

メビウス『そうか。まどかちゃんと、ほむらちゃんが』

ウルトラマン『彼女達が皆を説得したのか』

 マミがジャックのもとへと向かった後、まどかとほむらは皆の説得を行っていた。
 最初は誰もまどか達の話を聞き入れてくれなかったが、恭介とさやか、仁美、それに詢子と知久の協力もあり、遂に彼等はウルトラマンを信じた。

 そして、自分達の平和を奪うものと戦っているウルトラマンへと声援を送りだしたのだ。


インキュベーター『可笑しい。あそこまで冷静さを欠いていた人間が、あんな少女の言葉を信じるなんて。ありえない……。いや、こんなこと前にも……。そうか、佐倉杏子の魔法か……』

マミ「はぁはぁ……これって?」

 やっと体育館へと戻ってきたマミはウルトラマンへと声援を送る、人々の姿に驚きを隠せなかった。

マミ「鹿目さん達がやったのよね? でも、こんな上手くいくなんて……」


杏子「まぁ、あいつ等は諦めなかったからな。だから、結果が付いてきたんだよ」


 マミの傍へと杏子が歩いてくる。
 不思議とその顔は達成感に満ち溢れていた。

マミ「佐倉さん。もしかして……貴方が?」

杏子「さぁてね。でも、こんな人生だったんだ。一度くらい、奇跡が起きたっていいだろ」

マミ「……そうね」


 再び、ウルトラマンを見る。
 かつて、起こせなかった、奇跡が起こる事を信じて。


インキュベーター『ふん。こんな下等生物の声を聞いたところで何だって言うんだ。君達の敗北という結果には変わらないのさ。諦めて消えるんだ』

 破壊光線の威力が高まる。
 だが、ウルトラマンの目から光は消えていない。

メビウス『何度だっていうさ、最後まで諦めず不可能を可能にする。それが』


ウルトラ兄弟——ウルトラマンだ!!——



 刹那、メビウスブレスが光り輝く。



インキュベーター『ハハハハハハハハハハハハハハハ、キエロォォォォォォォォォ!!』




 ウルトラ兄弟の合体光線が押し切られ、破壊光線がウルトラマンを包み込む。
 破壊光線が体育館まで到達することはなかったが、人々の歓声が消える。


まどか「そんな……ウルトラマンが……」

ほむら「嘘よ……そんなの……」

 ウルトラマンが……、今度こそ終わりだ……、と人々は項垂れる。


インキュベーター『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 何が諦めないだ!! 何が不可能を可能にするだ!! 木端微塵に吹き飛んで消滅しただけじゃないか!!』

 不敵な高笑いが辺りを包み込む。

インキュベータ『ん、何だ……この光は?』


 先程までウルトラマンが立っていた場所に光が集まっている。
 人々もその光に気づいたようで再び窓からその様子を見る。

ほむら「あれって……?」

 光は巨人の姿を形作っていき、一人の戦士を出現させる。


インキュベーター『なんだ? どうなってるんだ?』


 現れるのは、最後まで諦めず不可能を可能にする——ウルトラマンの決意と、人々、そして世界中の魔法少女の——ウルトラマンを信じる思いが一つになって生まれたウルトラマン。

 伝説の6兄弟の力をその身に宿した、∞の力を秘めた——メビウス・インフェニティー。


まどか「ウルトラマンが……一つになった」


——うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉォォ!!


 大歓声が巻き起こる。

ここでコレだよな

http://www.youtube.com/watch?v=Hw-iHwwhSq8

 メビウスインフェニティー声援を背に立ち構える。

メビウスインフェニティー『インキュベーター。僕は絶対にお前を許さない!!』

インキュベーター『合体したのかい。だからなんだというんだ? 君達みたいな死にぞこないが合体し所で!!』

 先程と同じ破壊光線が放つふぁ、メビウスインフェニティーは慌てた様子を見せず迎え撃つ。

メビウスインフェニティー「デヤァ!!」

 片手で破壊光線を受け止める。
 破壊光線は光の粒子となって消滅していく。

インキュベーター『そ、そんな……』

 感じる事のない恐怖を感じている。
 体が動けなくなる。こんな気持ちは初めてであった。

メビウスインフェニティー「ヘヤァ!!」

 6兄弟のエネルギーを宿したメビウスブレスを振り上げる。
 メビウスブレスが光り輝き、エネルギーがチャージされる。


メビウスインフェニティー『コスモミラクル!!』


インキュベーター『サセルカァァァァァァァァァァァ!!』



 叫び声を上げてインキュベーターはメビウスへと突っ込んでくる。
 メビウスインフェニティーはエネルギーがチャージされたメビウスブレスを軸、腕を十字に組む。

 その光景を見て、少女達は叫んだ。

 全てを終わらせるために、ウルトラマンの勝利を確信して。


——いっけぇぇぇぇぇぇ!!



メビウスインフェニティー『シュートッ!!』



 放たれるのは最強の必殺熱線・コスモミラクルシュートが。


 インキュベーターの巨大な体が光に包まれる。


インキュベーター『そ、そんな……この僕が……』

 体が消滅していく。
 最強の力をもってして挑み、絶対に負けない戦いであったにもかかわらず……だ。



インキュベーター『こんなのぉぉぉぉぉぉっぉ、絶対おかしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃょォォォォォォォォォォォォっぉおっぉぉぉおっぉぉぉぉォォォォ!!』



 完全にインキュベーターが消滅していき、黒雲が消え青空が戻る。

 メビウスインフェニティー体育館へと振り返る。
 すると、その姿が通常のメビウスへと戻り7人の戦士が並び立つ。

 大歓声が起こったのは言うまでもない。

ウルトラマンにおんぶされるとかマミさん羨ましいわ
そこ代わってくれ

今日はここまでです。
明日で完結……の予定です。

今日嬉しかったことはウルトラアクトのジャックが手に入ったことの>>1でした。
それでは明日。

最初は罵倒してたのに事情が変わったとたんに手のひら返すとか調子よすぎだろ見滝原市民。
訴えたら勝てるレベル

>>91
それについては私も考えたのですが、滝原市民もちゃんと考えればウルトラマンが自分たちの事を守っているはずだということはわかるはずなんです。
ただ、街は破壊されて、巨人が現れるは、などでパニックになっていただけなんです。

そこで、杏子の魔法が活躍したいうわけです。
協会の時の父親の話をちゃんと聞いてくれるようにしたのと同じです。

本当は説得シーンも入れる予定でしたが、カットしてしまいました。
わかりりにくくて済みません。

まあまどマギは人間の醜さをリアルに描いたアニメだったから、ウルトラマンがこういう扱いでも仕方ないかもしれませんね

今までウルトラマンはいない世界だし魔女は見えないからしょうがないとは思うぞ
現実だってマスゴミに踊らされる馬鹿が多いからそれと同じ

>マスゴミに踊らされる馬鹿が多いからそれと同じ

デスレム「まったくだな」ウンウン

この世界は実際、過去に魔法少女の存在が一部で知れて魔女狩りが起こった世界だし
自分の娘を魔女呼ばわりした杏子の父親がその証拠

まあとにかく虚淵だからしょうがない

寝る直前に重大な誤字を発見し、軽く死にたくなっています。
インフェニティーではなく、インフィニティーですね。
最後の2レスだけ修正版を上げます。
レス返しは明日行います。

本当に、すみません。

インキュベーター『ふん。こんな下等生物の声を聞いたところで何だって言うんだ。君達の敗北という結果には変わらないのさ。諦めて消えるんだ』

 破壊光線の威力が高まる。
 だが、ウルトラマンの目から光は消えていない。

メビウス『何度だっていうさ、最後まで諦めず不可能を可能にする。それが』


ウルトラ兄弟——ウルトラマンだ!!——



 刹那、メビウスブレスが光り輝く。



インキュベーター『ハハハハハハハハハハハハハハハ、キエロォォォォォォォォォ!!』




 ウルトラ兄弟の合体光線が押し切られ、破壊光線がウルトラマンを包み込む。
 破壊光線が体育館まで到達することはなかったが、人々の歓声が消える。


まどか「そんな……ウルトラマンが……」

ほむら「嘘よ……そんなの……」

 ウルトラマンが……、今度こそ終わりだ……、と人々は項垂れる。


インキュベーター『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 何が諦めないだ!! 何が不可能を可能にするだ!! 木端微塵に吹き飛んで消滅しただけじゃないか!!』

 不敵な高笑いが辺りを包み込む。

インキュベータ『ん、何だ……この光は?』


 先程までウルトラマンが立っていた場所に光が集まっている。
 人々もその光に気づいたようで再び窓からその様子を見る。

ほむら「あれって……?」

 光は巨人の姿を形作り、一人の戦士を出現させる。


インキュベーター『なんだ? どうなってるんだ?』


 現れるのは、最後まで諦めず不可能を可能にする——ウルトラマンの決意と、人々、そして世界中の魔法少女の——ウルトラマンを信じる思いが一つになって生まれたウルトラマン。

 伝説の6兄弟の力をその身に宿した、∞の力を秘めた——メビウスインフィニティー。


まどか「ウルトラマンが……一つになった」


——うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉォォ!!


 大歓声が巻き起こる。

 メビウスインフィニティーは声援を背に立ち構える。

メビウスインフィニティー『インキュベーター。僕は絶対にお前を許さない!!』

インキュベーター『合体したのかい。だからなんだというんだ? 君達みたいな死にぞこないが合体し所で!!』

 先程と同じ破壊光線が放つふぁ、メビウスインフィニティーは慌てた様子を見せず迎え撃つ。

メビウスインフィニティー「デヤァ!!」

 片手で破壊光線を受け止める。
 破壊光線は光の粒子となって消滅していく。

インキュベーター『そ、そんな……』

 感じる事のない恐怖を感じている。
 体が動けなくなる。こんな気持ちは初めてであった。

メビウスインフィニティー「ヘヤァ!!」

 6兄弟のエネルギーを宿したメビウスブレスを振り上げる。
 メビウスブレスが光り輝き、エネルギーがチャージされる。


メビウスインフィニティー『コスモミラクル!!』


インキュベーター『サセルカァァァァァァァァァァァ!!』



 叫び声を上げてインキュベーターはメビウスへと突っ込んでくる。
 メビウスインフェニティーはエネルギーがチャージされたメビウスブレスを軸、腕を十字に組む。

 その光景を見て、少女達は叫んだ。

 全てを終わらせるために、ウルトラマンの勝利を確信して。


——いっけぇぇぇぇぇぇ!!



メビウスインフィニティー『シュートッ!!』



 放たれるは最強の必殺技・コスモミラクルシュート。
 かつて、宇宙の悪そのものを倒した必殺技を上回る威力を持つ。


 インキュベーターの巨大な体が光に包まれる。


インキュベーター『そ、そんな……この僕が……』

 体が消滅していく。
 最強の力をもってして挑み、絶対に負けない戦いであったにもかかわらず……だ。



インキュベーター『こんなのぉぉぉぉぉぉっぉ、絶対おかしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃょォォォォォォォォォォォォっぉおっぉぉぉおっぉぉぉぉォォォォ!!』



 完全にインキュベーターが消滅していき、黒雲が消え青空が戻る。

 メビウスインフィニティーは体育館へと振り返る。
 すると、その姿が通常のメビウスへと戻り7人の戦士が並び立つ。

 大歓声が起こったのは言うまでもない。

とりあえず見滝原市民はウルトラ兄弟に謝るべき

六兄弟と八兄弟合わせた感じか
完結待ってます

たくさんのレスあありがとうございます。

この世界はウルトラマンのいない世界ですからね。色々とあるです。
基本ウルトラマンって一部を除けばまどまぎとは逆ですからね。
デスレム戦や、怪獣使いと少年では人間の汚さが目立っていましたけどね。

>>101
その通りです。
どちらも好きなウルトラマン映画ですから。

それでは、最終話まで投下したいと思います。

「やったぁぁぁ!!」


「ありがとーう!! ウルトラマーン!!」



 声援が7人のウルトラマンに降り注ぐ。

 どんなに人々から非難されようが、決して人々に信じられなくても、守るために戦い、絶対に守り抜く。
 こうして、再び声援を受けられれば、それだけで十分だった。

まどか「ウルトラマン……」

 メビウスはゆっくりと頷く。



——ふぅ、どうやら。今回の戦いは……君達の勝ちの様だね——

ゾフィー『この声は、インキュベーター!!』

 突如として聞こえてくるインキュベーターの声。

タロウ『ゾフィー兄さん。あれを』

 空から降ってくる一筋の光。

 光の中から、人型の白い生物が現れる。

「おい、あれ何だよ?」

「また、敵なの?」

「あれって……宇宙人?」


 今回の生物は、魔女やインキュベーターとは違い一般人も見えている。
 まどか達は、その事よりもその生物の姿に驚く。

まどか「あれって……QB?」

 まるでインキュベーターをそのまま人型にしたかのような姿。
 普段の小動物姿のインキュベーターに見慣れている分、気味が悪い。

インキュベーター『おや、これではダメかな? だったらこの姿ならどうだい』

 インキュベーター体が光、白髪の少年へと変わる。

インキュベーター(人型)『格好なんてただの飾りなのに、やれやれ……訳が分からないね』

 心底不思議そうに呟いた。


ほむら「もしかして……また……」

まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん。ウルトラマンが絶対に守ってくれる」

 不安で怯えるほむらの腕をしっかりと握り締める。
 ザワザワと人型のインキュベーターの登場に、人々は騒ぎ出す。

 インキュベーター(人型)『心配しなくてもいいよ。さっきも言った通り、今回の戦いは僕の負けだ。君達に危害を加えないことを約束しよう』

ゾフィー『それは本当なのか?』

インキュベーター(人型)『おいおい、僕は君達の戦いをずっと見ていたんだよ。100%勝てる戦いで負けた。とてもじゃないが僕に勝てる気はしないよ』

ウルトラマン『では、何が目的だ? なにしにここへやって来た』

インキュベーター『目的かい? 強いて言うのならば、誠意を見せに来たってところかな』

 決して警戒を解かないウルトラ兄弟にそう言うと、パチンと指を鳴らす。
 すると、パリーンと何かが砕ける音が聞こえてくる。


まどか「ソ、ソウルジェムが……」

マミ「割れちゃった……」

杏子「でも、私達は死んでない、って事は、もしかしたら」

 その音はまどか達のソウルジェムが砕け散った音であった。
 ソウルジェムが砕けると杏子とマミの変身が解除される。

メビウス『これは……?』

インキュベーター(人型)『見ての通り、彼女達を人間に戻してあげたんだ。世界中で同じ現象が起きているよ。どうだい? ちょっとは信用してくれるだろ?』

ゾフィー『……わかった話を聞こう』

インキュベーター(人型)『助かるよ。さっきも言った通り、僕達インキュベーターはこの星から手を退かせてもらう。この星にいた同胞は全員倒されたからね、今からまた同じ数を送るには手間がかかる。効率が悪いからね』

セブン『では、宇宙のエネルギー問題はどうするつもりだ。私はお前たちが簡単に手を退くとは思えない』

インキュベーター(人型)『あぁ、それかい? 実をいうとね、君達との戦いの中で面白い発見をしたんだ』

エース『面白い発見?』

インキュベーター(人型)『そうだ。それは感情だよ。僕達インキュベーターは遥か昔に感情は退化してしまったはずなんだ。でも、最後にあのインキュベーター達は君達に恐怖を感じていた』

 確かに、メビウスインフィニティ—の登場にインキュベーターは恐怖を隠しきれていなかった。


インキュベーター(人型)『それが、どういう事だかわかるかい? わざわざこんな星に頼らなくとも感情が戻れば、僕達インキュベーターで問題が解決するんだ。まぁ、何年かかるかわからないが、それが一番効率的な方法だ』

ジャック『もしも、君達に感情が戻ったのならば……わかる筈だ。君達がやっていた事の残酷さ』

インキュベーター(人型)『さぁ、どうだろうね』

 平然と言うが、ジャックはわかっている。
 もう一度感情を取り戻した時、それがインキュベーターが真の宇宙の平和を愛する存在に変われることを。

タロウ『それまでの間はどうするつもりだ』

インキュベーター(人型)『まぁ。暫くは効率の悪いエネルギー収集さ。君達のせいでね。あぁ、勘違いしないでくれよ。僕に文句を言う筋合いはないんだから、ただの独り言さ』

ゾフィー『一つだけ忠告しよう。もし、また地球を、いや他の惑星を犠牲にするというのなら、私達はまた現れる』

インキュベーター(人型)『まぁ、お覚えておくよ』

 体が光り輝きだす。

インキュベーター(人型)『最後に一つだけ僕の考えを言おう。彼女達は人間に戻ったがそれが良い結末だと僕は思わない。魔法少女である事で救われていた子がいたのも事実だからね。そういう子は……これから、どうするんだろうね。ねぇ、ウルトラマン?』

 そう言い残すと、インキュベーターは母星に帰っていく。



ウルトラマン『大丈夫。地球人なら乗り越えられるさ。我々は、そう信じている』



 聞こえるかはわからないが、ウルトラマンはインキュベーターの質問にそう答えた。

 ウルトラ兄弟達は体育館に避難している人々へと振り返る。

「ウルトラマン……ごめんよ、俺達……ウルトラマンに酷い事ばかり言って」

 一人の青年がそう言うと、ウルトラ兄弟はそろって首を横に振る。

「ゆるしてくれるのかい。俺達を?」

 今度は頷く。

 人々は知った。
 ウルトラマンという存在の偉大さを。



ゾフィー『地球人達よ。これから君達に幾多の困難が待ち受けているだろう』


ウルトラマン『だけど、どんな時も諦めないでくれ』、


セブン『そして、不可能を可能にしてみせるという気持ちを忘れないでくれ』


ジャック『どんな困難にも向っていき、それでも駄目な時は』


エース『今日の事を思い出してほしい』


タロウ『あきらめないで、信じる心が偉大なる奇跡を生んだ今日の事を』


メビウス『それが、僕たちの願いです』

 誰もが彼等の言葉に耳を傾けて、力強く頷いた。
 気のせいか、ウルトラマン達は優しく微笑んでくれているように見えた。


ウルトラマン「シュワッ!!」


 戦いも終わり、飛び去っていくウルトラマン。
 ウルトラマンに続き、ウルトラ兄弟もこの地球を去っていく。

「追い、外だ。外に出よう!!」

 人々は体育館から出ると、ウルトラマンへと手を振る。


「さようならー!! ウルトラマン!!」


 手を振り、声を上げてウルトラ兄弟を見送る。

 マミと杏子もその光景を見ていた。

マミ「行ってしまったわね」

杏子「あぁ、あいつ等の力は全宇宙が必要としているんだろうからな」

マミ「ねぇ、佐倉さんはこれからどうするの? 今まで通りってわけにもいかないでしょう」

杏子「まぁな、けど何とかなるさ。そう言ってだろ、あいつ等も」

マミ「そうね」

 もう一度空を見上げウルトラマンへと手を振った。

まどか「もう誰も絶望しないで済むんだね。戦いは終わったんだね」

ほむら「違うよ、鹿目さん。本当の戦いはここからなんだよ」

 街は半壊しており、再建まで長い年月がかかるだろう。
 だが、人々は絶望などしていない。

 ウルトラマンから教えてもらったのだから。
 困難に立ち向かっていき、未来へと向かっていくことを。


まどか「そういえば、ほむらちゃん。さっき、わたしが倒れてた時、わたしのこと名前で呼んだよね」

ほむら「えっえ、そ、それは……」

まどか「ティヒヒヒヒ、これからも、名前で呼んでくれるんだよね。ね、ほむらちゃん」

ほむら「え、え〜」

 恥ずかしくて顔を真っ赤にする。
 まどかは期待の眼差しでこちらを見ている。

ほむら「そ、それじゃあ……まど、ま、ま、ま、ま、まどか……」

まどか「うん、ほむらちゃん」

 笑顔で名前を返す。





 空にはウルトラサインが浮かんでいた。



——未来へと跳び立て、ウルトラの光を信じて———

一応、これで完結です。
この後、ウルトラ兄弟たちはM78スペースへ無事帰りました。

前作より長くなりましたが、どうにか完結できました。
矛盾点や誤字脱字はひどいと思いますが、SSということでどうか許してください。


この作品を書こうと思ったきかっけは、ウルトラマンとワルプルギスの夜が戦う場面は思い浮かぶんですが、それまでの話が思いつかない。
友人にそう話したら、「最後からで良くね?」と言われたので、ワルプルギス戦からのスタートになっています。

そして、友人から「ほむらって魔法少女になる前の弱気な方を救わないと意味がないんじゃないか?」と言われたので、一周目の世界が舞台です。
なので、さやかが空気に……。

本当はこの世界がフューチャーアースで数年後、ほむらが動植物の減少について調べてる場面も入れたかったのですが、蛇足になるのでここで終了です。

メビウスインフィニティーの登場時にBGMを張り付けてくれた方、そして応援してくれた方々、ありがとうございました。
次回作は、何か思いついたら書きます。

では>>1でした。

依頼スレで見て一気読みしました
ほむらも魔法少女も救われてスカッとしたからよかった
QBは人類に対しては間違いなく悪役だし未来的には改心するなら悪役ではないし
楽しく感動しながら読めた

乙でした

>>113
ありがとうございます。

そういってもらえるなら幸いです。
最終的にQBがどうなるのか、果たしてまた地球に来るのか?
それとも感情を手に入れ、自分のしてきたことを悔いるのか?

それは、永遠の謎です。

しかし、前作といいさやかが全く活躍なし。
次回またまどマギSSを書くなら活躍させたいと思います。



しかし、>>112は噂に聞く荒らしなのだろうか?
スルーでいいんでしょうかね?

QBどもは他の宇宙人に滅ぼされても文句言えない害虫だし

乙ですた!
前作同様、短くまとまっていて良かったです。
ウルトラの要素って簡単なようで物語にキチンとちりばめるのは難しいから、良くやり切ったなと思うよ。
次回作もあるなら楽しみにしてます。

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