範馬勇次郎「水一杯800円だとッッッ!!!!」 (102)

渋夜区 代官矢間

刃牙「親父にまた食事に誘ってもらえるなんて…嬉しいよ…」

勇次郎「気にするな…しょっぱい味噌汁を飲ませた詫びだ…」

刃牙(「とか言って、本当は仲直りしたいだけなんじゃねーのッ?」)

刃牙(……父親にそこまで言うのはやり過ぎだ)

勇次郎「ここだ、『TATSUYA KAWAGOE』」

http://i.imgur.com/adyROJv.jpg

勇次郎「さ、店に入るぞ」

自動ドア「………」ザッ

刃牙「アレ……?」

刃牙(自動ドアが親父に反応してないッッ!!)

勇次郎「…………」プルプル

刃牙「お、親父ッ!?」

刃牙「オ、オレ店の人を呼ぶよ!スミマセ──」

勇次郎「…必要ない」

グニイイイイイイイ

勇次郎は自動ドアのガラスに顔面を押し付けた

刃牙「~~~~~~~!!!?」

http://i.imgur.com/aR0JkDv.jpg

ベリッ バチン!

http://i.imgur.com/kExN5du.jpg
http://i.imgur.com/woWmIKE.jpg
(イメージ画像)

勇次郎の顔面がガラスを破った

勇次郎「オジャマ…」

ウェイター「」

勇次郎「自動ドア…壊れてたぜ…開かなかったからな…」

刃牙「た、大変だ、親父ッ!」

刃牙「これ…よく見たらスイッチを押すタイプの自動ドアだッ!」

勇次郎「……」ミキ…

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そう
動かぬまま五体全ての筋繊維を一気に駆動!
全身運動の苦痛により照れ臭さを分散
かろうじて無表情を保持していた

刃牙(恥ずかしくないのか…!!?)やっぱスゲ…

ウェイター(ドア壊したのアンタじゃん!!!)

刃牙「えと、予約した範馬ですケド…」

ウェイター「お、お待ちしておりました、どうぞこちらへ…」

席につく二人

ウェイター「それでは、食前になにかお飲み物はいかがでしょうか?」

刃牙「あの…メニューは…」

ウェイター「メニューはありません。お客様のお口に合うものを出させていただきますよ」

刃牙「じゃあ炭酸抜きコーラを…」

ウェイター「え…?」

勇次郎「ほう…炭酸抜きコーラか
…たいしたものだな」

勇次郎「炭酸抜きコーラのエネルギーの効率は極めて高く、レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるくらいだ」

ウェイター「あの、当店ではそのォ」

勇次郎「口に合うものを出すと言ったんだ。よもや用意できないなんてことはあるまいな?」ギロッ

ウェイター「め、滅相もございませんッ!ただいま用意させていただきますッ!!」

ウェイター「こちら、『ゆっくり歩いて来た仔牛』でございます」

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刃牙「ゆっくり?」

勇次郎「フン、珍妙な名前をつければいいと思っている阿呆のようだな、ここのシェフは」モニュモニュ

ウェイター「ハ、ハハ…あ、お水のお代わりおつぎしますねッ」

刃牙「あ、ども」

刃牙(ここの水…透き通るようだ…)ゴクゴク

刃牙(こんなに美味い水があるだなんてッ!)ゴクゴゴク

勇次郎「刃牙よ…水ごときにそうがっつくな…」ギロッ

刃牙「ご、ごめん…ナサイ…」

刃牙「フ~~~~~腹いっぱいだァ」

勇次郎「うむ、美味であった……」

ウェイター「では食後のお飲み物は──」

???「キサマは中国拳法を舐めたッッ!!!」

ウェイター「!」

刃牙「この声は……まさか……ッ!」ダッ

刃牙「やっぱり、烈さん!どうしたんだよ!」

烈海王「刃牙さん!!救命阿!!」

???「困ったお客様だなァ…」

刃牙「アンタは…」

川越シェフ「僕は当店のオーナー、川越です。よろしく」

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川越シェフ「コチラのお客様がお水の料金を支払えないとおっしゃってましてねェ~」

刃牙「水ゥ~~~?」

川越シェフ「ええ、当店では水一杯800円でご提供させていただいております。たとえスタッフが断りなくついだ水だとしてもね」

烈海王「私は払わん」

川越シェフ「くだらないですね。水だけで800円取られたと非難されたことがあるが、 当たり前だよ、いい水だしてるもん そういうお店に行ったことがないから『800円取られた』という感覚になるんですよ」

烈海王「私は一向に払わんッッ!!!」

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烈海王「退店の許可を 是非……ッッ」

刃牙「烈さん、諦めて800円くらい払ったらいいンじゃないかな…」

烈海王「制するのだ、ただの800円も払わずにな」

川越シェフ「800円?とんでもない…ッ!」

川越シェフ「お客様は14キロの水を飲まれたんですよ……砂糖を入れて…」

刃牙「14キロの……砂糖水……」

烈海王「範馬刃牙復活ッッ範馬刃牙復活ッッ範馬刃牙復活ッッ」

刃牙(アンタはもう黙ってろッ!)

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川越シェフ「ところで範馬様、あなた方も随分とお水をお飲みになられていますが…もちろんお支払いいただけますよね?」

刃牙「随分って…せいぜい3、4杯しか……」

刃牙(まさかッ!!)ダッ

刃牙「親父ッ!」

刃牙「~~~~~~~~!!!?」

刃牙の眼前には大量の水を浴びるようにガブ飲みする勇次郎の姿があったッッ!

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刃牙(親父も飲みたかったんじゃんッッ!水ッッッ!!)

勇次郎「何を慌てている、刃牙よ」ゴキュゴキュ

刃牙「親父ィ!水だってタダじゃないんだぜッ!!」

勇次郎「どういうことだ…?」

刃牙「つまり──」

川越シェフ「こういうことですよ」ピラッ

伝票『水 100,000杯相当 8000万円』


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いっこ投下し忘れた
別になくてもいいんだけど


その光景を目撃した客、田中武(34)はこう語る。

「いや、ですから突然物凄い音が聞こえてきましてね」

「滝みたいな激しい水の音と…バキュームみたいな音と…」ドババババと…

「イヤイヤ!まさか人間とは思いもよりませんでしたよ。目撃(み)る前も、目撃(み)た後も」

「てっきりシャチかマグロよような生き物が激流に逆らって泳いでるのかと、本気でそう思ってしまうような光景でしたねハイ」

勇次郎「水一杯800円だと……ッッ!!!」ギリ

川越シェフ「当店の水は海外から輸入した高級品です。相応のお値段では?」カワゴエスマイル

勇次郎「水は無料での提供が基本だ…!!金を取るんならせめて事前に伝えるのが筋ってもんじゃねェのか…?」

刃牙(それにしてもあの量をガブ飲みするのは異常だろッッ!)

川越シェフ「そりゃあ…年収300~400万円の方々の間ではそれが当たり前かもしれませんけどねェ」

川越シェフ「しかしね、こういう高級レストランではそういった庶民の常識は通用しないんですよ、範馬様。スマートに食事をしていただくためにわざわざ値段のことなんて口に出さないんです」カワゴエスマイル

勇次郎「ほぅ…この俺を庶民呼ばわりとは…
」ピキピキ

刃牙(暴(や)るのかッ!?ここでッ!)

勇次郎「刃牙よ」

刃牙「な、なに…?」

勇次郎「そろそろおいとまするとしよう」ニィ

刃牙「えっ…でもお金は…」

勇次郎「心配するな……」スッ

勇次郎は空中に手をかざした。

刃牙(まさか…殺っちゃうのッ?)(食い逃げ…?)(8000万も持ってんの…?)

その場にいた全ての人間が確かに目撃した

地上最強の手が何かを持っている

勇次郎の手の動きが、そこに何かがあるかのように見せる

袋のような、鞄のようなものを確かに持っている

そしてそれは徐々に鮮明になってゆく

川越シェフ「これは…」

アタッシュケース!!?

範馬勇次郎は静かにアタッシュケースを開けた

勇次郎「ここに一億ある、釣りは要らん、受け取れ」

川越シェフ(一億…?あるのか…?)

勇次郎「刃牙、帰るぞ」ザッザッ

刃牙(これって……)

エア会計!!!!!

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