夏海「姉ちゃんと二人暮らし」 (17)
夏海「やっほー姉ちゃん」
小鞠「……は?」
夏海「明日から後輩になるんで、よろしくお願いしまーっす!」
小鞠「え、いや、夏海?」
夏海「あ、家具とかは明日届くから心配しないで」
小鞠「……まさか、試験でカンニングしたの?」
夏海「そんなことしてないよ! 頑張ったの!」
小鞠「大体あんた、お金はあるの?」
夏海「……へ?」
小鞠「私は大家さんと色々話して、電気代とかはアンペア下げたり、色々準備して、更にバイトもして生活してるの」
夏海「えっと……」
小鞠「ここに住むなら、お金は出してもらうからね?」
夏海「えぇー!!」
小鞠「はぁ……それに大家さんに話はしてみるけど、駄目って言われたら住ませてあげられないからね?」
夏海「うぇぇー!!!」
夏海「アルバイトかー……姉ちゃんもっと頑張ればうち一人くらい養えるでしょ?」
小鞠「あんたねぇ……学校もあるし18歳未満だから時間の制限もあるの、そんなに働くこと出来ないの」
夏海「えぇー……あれ?」
小鞠「なによ?」
夏海「じゃあ学校終わってからちょっとバイトするだけでも良いんだよね?」
小鞠「まあ、学校もあるし法律とかもあるし」
夏海「なら全然余裕じゃーん! 姉ちゃんに出来て夏海ちゃんが出来ないわけないしー!」
小鞠「落ち着け……これで働いてくれるなら耐えるんだ私」
夏海「ってぇことで! パの文字の光が消えてたパチンコ屋のバイトに受かったから明日から働くから!」
小鞠「は?」
夏海「は?じゃないでしょ、働けって言ったの姉ちゃんじゃん」
小鞠「え、でもそれ昨日だよね?」
夏海「うん」
小鞠「昨日の今日で……まあおめでとう、明日から頑張りなさいよ?」
夏海「へーい!」
夏海「見てみて姉ちゃん!」
小鞠「え、お金? あんたこれどうしたの!?」
夏海「パチンコ屋でもらってさー」
小鞠「もらったって……どういうこと?」
夏海「いやー、パチンコの台を叩いた人ひっぱたいたら首にされてさー、もらっちゃったんだー」
小鞠「なにしてんのよあんたは……」
夏海「でも夏海ちゃん悪くないしー、マナーの悪い客のせいだしぃー」
小鞠「……はぁ、まあ今月はこのくらいでいいから、ちゃんと来月もお金は払ってね?」
夏海「はいはーい」
夏海「姉ちゃん姉ちゃん」
小鞠「なによ?」
夏海「コンビニとファミレスどっちが良いかな?」
小鞠「……ファミレスの名前は?」
夏海「え?」
小鞠「ワグナリアじゃなければファミレスで」
夏海「そっかー、じゃあファミレスにするか」
小鞠「……ワグナリアじゃないんだよね?」
夏海「違うよ、そもそもワグナリアってなに?」
小鞠「なんでもない」
夏海「姉ちゃん姉ちゃん」
小鞠「バイトに受かったの?」
夏海「違う違う、はいこれ」
小鞠「……」
夏海「いやー、酔っ払いに蹴りいれちゃってさー!」
小鞠「あんたね……なんでこんなのがそう簡単にバイトに受かるんだろ」
夏海「ほら、うちってやっぱり出来る女だし?」
小鞠「それはない」
夏海「新しい春が来た」
小鞠「……あんたそろそろバイト三ヶ月とかくらい続けなよ」
夏海「わかってるわかってる、この夏海ちゃんに任せといてよ」
小鞠「その夏海ちゃんだから心配なんでしょうが……」
夏海「今回こそはもう慣れたし失敗もしないからね!」
夏海「ほら姉ちゃん、こんなに稼いだよ!」
小鞠「……」
夏海「姉ちゃん?」
小鞠「いや、お給料日にあんたがお給料持ってきたのが初めてだから、驚いて……」
夏海「そのくらい余裕だって、だってさ」
小鞠「だって?」
夏海「姉ちゃん、大学行く勉強してるんでしょ? うちが頑張るから姉ちゃんバイト減らして良いよ」
小鞠「」
小鞠「な、夏海! あんた風邪引いた!? 偽物!? 奇跡!?」
夏海「うわー、信用ねぇー……」
夏海「姉ちゃん、受験頑張れ!」
小鞠「うん、あんたのお陰でしっかり勉強出来たから行ける気がするよ、がんばるよ、ありがとね」
夏海「違うでしょ姉ちゃん、ありがとは合格してから言ってよね」
小鞠「……そうだね、それじゃあ行ってくる!」
夏海「うん、またね!」
夏海「……」
夏海「さて、働きますか」
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