涼「体鍛えて、変態プロデューサーから小梅を守る」 (157)

酉ってこれでいいのかね
ちゃんと立ったら投下してく


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365773474

モバP「……あんだって?」

涼「言った通りさ。盗撮だの覗きだのの常習犯に、小梅を渡すわけにはいかないからね」

モバP「まぁた何か変なこと言いだしたな? で、体鍛えるって何するつもりだよ」ハハッ

涼「真奈美サンに弟子入り」

モバP「おい待て」

涼「ってわけで、ちょっと特訓してきたよ」

モバP「んー、と言っても見た感じは特にどこも変わってな……あっ、わかった胸囲が増」ガッ!

モバP「ォおっふ……ぱ、パンチが見えなかった……」ガクガク

涼「効率的な筋肉の使い方ってのを教えてもらってね。体の使い方がわかってるかどうかで、全然動きが違ってくるんだってさ」シュシュッ ワンツー!

モバP「相変わらずあの人は超人じみてるな! 身体能力とか指導能力とか色々と!」

モバP「……フ、だが所詮はお前も女子供! くんずほぐれず、パンチの打てない密着状態まで近づいて体格差で押し倒……もとい押さえ付けてしまえば抵抗など——!」ガバァ

パシッ スッ クルンッ

モバP「——あれ? 視界が回」ズデェン!

モバP「いたた……こ、腰打った……!」ジンジン

涼「途中から、なんかノリノリの早苗サンもやって来たんで、ついでに軽く武道の手ほどきなんかもしてもらってね」グッパッ

モバP「ぐっ、まさかこの短期間でここまで戦闘能力を上げてくるとは……」

涼「フッ、自分で言うのも何だけど、元々筋がよかったからね」

モバP「え? どこのスジがイイって?(ゲス顔」

涼「……よしPサン、そこに直りな。シメる♪」

モバP「早苗さんの真似か今の。そういう台詞はな、バストサイズあと2cm増やしてから言え」ハッ

涼「よーしボコボコにされる覚悟は良いな?」ビキィ

モバP「……フッ、いいだろう。元より貴様は、俺が小梅Pとして小梅をナデナデprpr愛でる上での最大の障害……!」

モバP「今ここで、どちらが小梅の傍に居るに相応しいか、正々堂々決着をつけてくれるわァッ!!」ババッ

涼「なでなではともかく、なんかやっちゃいけない単語が混ざってた気がするんだよねぇ……!」

涼「ああいいとも、真奈美サン早苗サン直々に手ほどきを受けた、アタシの力を見せてやるよ!!」ザッ...!

モバP「あ、ちなみにルールは『俺が一回でもお前の胸を揉めたら勝ち』ってことでよろしく」ワキワキ

涼「『立てなくなるまでボコればアタシの勝ち』だね、よくわかった」ポキポキ



    〜 美しい音楽と映像を見ながらしばらくお待ちください 〜


 

ガチャッ
小梅「い、いま、怪物に立ち向かって殺される、二番目くらいの、被害者みたいなひ、悲鳴、が……!」ワクワク

涼「ああ、小梅じゃん、おはよ。別に映画見てたわけじゃないよ、ただのPサンの地声」

小梅「そ、そう……ぷ、プロデューサー、さん、どうかし、した、の?」

涼「大したことじゃないよ、アタシの特訓の成果ってやつを見てもらってただけで……」

モバP「うぅ……小梅ぇ……りょ、涼のやつが、プロデューサーが担当アイドルに手を出せないのをいいことに、俺のことをボッコボコに……」ズルズル

涼「なっ!?」

小梅「だ、だいじょう、ぶ?」

モバP「おう、大丈……いたたたたた、うう、これはもう駄目かもわからんね」ゼェゼェ

小梅「あ、や、え、えと……」ワタワタ

小梅「……ぃ、痛いの痛いの、と、飛んでけ〜……」ナデナデ ヒョイッ

モバP「…………」

涼「…………」

小梅「……あ、れ?」カァァ...

モバP・涼(ヤバい可愛い超可愛いってコレ)

モバP「あっ、なんか痛みが引いてきたような気が……小梅がもっとおまじないしてくれたら治るような気がするなぁ……」

小梅「ほ、ほん、と……? じゃ、じゃあ……い、痛いの痛いの、飛んで、け〜……」ナデナデ ヒョイッ

モバP「ああ……癒される……」ホワァ

小梅「は、はやく元気に、な〜、れ〜……」ナデナデ ヒョイッ

モバP「あぁ〜良いわぁ〜超良いわぁ〜」デレデレ

涼「ちょ、ちょっとPサン! 何すっ呆けて被害者みたいなフリ……まさか」ハッ

モバP(ククク、気付いたようだなぁ涼よ!)キラン

小梅「ぷ、プロデューサーさん……げ、元気に、なった?」

モバP「おう、ありがとうなぁ小梅。おかげでもうすっかり元気だぜ!」フンス

小梅「よ、よかっ、た……」エヘヘ

モバP「小梅はほんと優しいなぁ〜」ナデリコナデリコ

小梅「えへ、えへへ……」テレテレ

涼(や、やられた! 最初からわざとアタシにボコボコにされて、優しい小梅に構ってもらうのが狙いか!)

涼(しかも設定した自分の勝利条件がアタシの胸を……あ、アレだから、勝てたら勝てたで美味しい思いはできるってわけか!?)

モバP(その通り! どうやっても自分が有利になるように状況を運ぶ! これが大人の戦い方ってもんですよ涼ク〜ン)ククク

涼(くそっ、あの勝ち誇ったドヤ顔がものすごく腹立つ……!)

涼「……ん? ちょっと待ちなよ。そういえばさっきの勝負、勝った方が小梅の傍に居るって話だったよね」

モバP「……エート、イッタイナンノコトカナー」

涼「とぼけるんじゃないよPサン。勝ったのはアタシの方なんだから、そこに居る権利はアタシにあるはずだ!」ビシッ

モバP「えー、何、お前も小梅になでなでされたいの?」

涼「えっ? や、べ、別にそんなこと……だ、だいたいアタシの方が年上なんだし……」モゴモゴ

モバP「今のうちに小梅と一緒に……」コソコソ

涼「待てコラ」ドゲシィ

モバP「あフんっ」ドゴォ

涼「これ以上、Pサンの好きにはさせないよ。小梅はアタシが守るんだから」ギュー

小梅「ぁ、ぁぅぅ……」ムギュー

モバP「お、おのれ涼……貴様小梅をお姫様抱っことか、やっていいことと悪いことがあるぞ!?」

涼「なんであんな血涙流してキレられてるのかわかんない」

小梅「りょ、涼、さん……ぇ、えと、ぷ、プロデューサーさんだけ、仲間はずれは、め、です、よ……?」

涼「ああ、いいんだよ小梅。大丈夫大丈夫、アタシもPサンとは仲いいし。それにこれは仲間はずれとかそんなんじゃなくて——」

涼「残念だけど、Pサンはお仕事があるから」フ

< プロデューサーサーン? コンドノシュザイノケンデオデンワガー

モバP「げぇっ、あの声はちっひ!? まさか、勝負に時間をかけ過ぎたか!?」

涼「ちひろさーん、Pサンならこっちに居るよー!」

モバP「あっ涼てめえ!」

ちひろ「あっ、こっちに居ましたか。もう、営業回りでも何でもないのに何サボってるんですか。他の事務仕事も溜まってるんですからね?」

モバP「い、いや、これはサボりじゃなく、そう、今後のプロデューサー業にも関わる大事な聖戦が……」

ちひろ「はいはい、どうせ小梅ちゃんのことでしょう? 変態モードはもういいですから、仕事しましょうね?」キュッ

モバP「」グェッ

ちひろ「それじゃ、プロデューサーさんはもらっていきますねー」ズルズル

涼「ん、ご苦労さまー。ありがとね」

小梅「お、お仕事……頑張って、ください……」フリフリ

………
……


涼(あれからPサンも、小梅に対してあんまり無茶なアプローチは仕掛けてこなくなった)

涼(流石にプロデューサーの仕事として小梅と一緒に居る事まで口出しはできないけど……度を過ぎて変なことしてないかは、アタシだけじゃなく、ちひろサンや真奈美サンなんかも目を光らせてるしね)

涼(まあ、隙あらば何かしようとは、いまだに虎視眈々と狙ってるんだけどね。この前も……)


……

小梅『ゃ、ぁ、ぷ、プロデューサーさん、の、な、……中に、入って、きて……!』

モバP『へっへっへ、逃げられんぞぉ。ほぉら、もうすぐ奥に届くかなぁ〜』グヘヘ


……

涼(…………なんて会話が聞こえてくるから何事かと思って飛び込んだら、袖口から手ぇ突っ込んで、小梅の手に直接触ろうとしたりしてたし)

涼(もちろんその後、変な誤解を招くような台詞吐いてたことも含めてボコボコにしたけど。それはもう念入りにしたけど)

涼(でもやっぱり、真奈美サン達に手ほどき受けて良かったよホント。Pサンを撃退できるだけじゃなく、アタシ自身のパフォーマンスの動きもぐっと良くなったしね)

涼(最近は、仕事やレッスンが一緒になった時はもちろん、事務所でも出来るだけ小梅と一緒に居るようにしてる。Pサン対策っていうのもあるんだけど……)

涼(アタシが居れば夏樹とリーナとか、千枝とかが寄ってくるから、アタシと一緒に居ることで、小梅の交友関係も少しずつ広がったりしてるんだよね)

涼(最初は単なるPサン対策で始めたことだったけど……なんか、色んな事が思った以上に良い方向に回ってる感じがする)

小休止

再開ー
見てくれてる人がいたら色々喋ってくれた方が嬉しいのよ?(チラッチラッ

—レッスンスタジオ

ベテトレ「よーし、では、本日のレッスンはここまで!」

一同「ありがとうございましたー!」

涼「ふぅ……」フキフキ

真奈美「やあ、お疲れ様。最近、随分と調子が良さそうだな」

涼「ああ、真奈美サン、お疲れ様。いやあ、この前真奈美サンに色々教えてもらったおかげだよ。ありがとね」

真奈美「フフッ、まあ、事務所に入った時期で言えば私の方が後輩なんだが、それでもやはり年長者としては、大人らしいところのひとつくらいは見せたいものでね」

涼「真奈美サンのおかげで、凄く助かってるよ。こうやって色々教わってることもそうだし……実を言うとさ、今までは、小さい子らの面倒見るのが結構大変だったんだよ」

真奈美「おや、そうなのかい?」

涼「うん。この事務所に来たばっかの頃だったかな。なんか仕事とかで小さい子と一緒になるとさ、Pサンが「それじゃ涼、俺はスタッフと向こうで打ち合わせしてくるから、その間、その子らの面倒は任せたぞ!」とか言って、ほとんど全部こっちに丸投げしてくるんだよ」

真奈美「おやおや」

涼「遊園地の時だって……そう、遊園地の時だってアタシが引率役任されて、そのせいで変なネタが付いちゃってさ……」カァァ...

真奈美「……何があったかは知らないが、だいたいわかったことにしておこう」ウン

涼「……で、まあ毎回そんな感じで面倒見てるもんだから、仕事が終わったらもうやたら懐かれちゃってさ」

真奈美(涼が事務所に来たばかりの頃、ということは……なるほど、涼の世話焼きなところを見越して、皆と早く打ち解けさせるためにそういう無茶ぶりをしていたのだろうな)

真奈美(思えば私の時も似たようなことが何度かあったな。フフ、彼も、プロデューサーとしてはなかなかそつがないな……いや、本当にただ楽をしたくて丸投げしていただけという可能性もあるから、手放しに褒めるのはやめておこうか)ウン

涼「でも今は、真奈美サンが一緒に居ると半分くらいはそっちに流れてくれるからさ。アタシも、子供らの相手に体力使わないで済むっていうか」アハハ

真奈美「そうなのか? 人数が減った分、より本気を出して子供たちの相手をしているから、使っている体力の量でいえばあまり変わっていないように見えるが」

涼「そっ……そんなことは、ない、よ?」

真奈美「喋り方がぎごちないぞ」

涼「……そういう真奈美サンだって、どんな厳しいレッスンのあとでも、小さい子達が寄ってきたらいつも通りの涼しい顔して相手してるじゃん」

真奈美「何のことかな?」

涼「…………」

真奈美「…………」

涼「こうして突っつきあってもお互い得るモノないし、この話はここまでにしない?」

真奈美「そうしよう」

小梅の手の人?

涼「でもさ、アタシにもそうだったけど、真奈美サンって、一人じゃどうしようもなくて困ってる時に、色々と手助けしてくれるじゃない?」

真奈美「別に私はそこまでお人好しではないよ。ただ、きちんと自分の言葉で助けを求めてくる人間を、無下に見捨てるほど冷たい人間でもないだけさ」

涼「ふふっ、それだよそれ。クールでいかにも大人びた雰囲気だけど、実は結構家庭的で面倒見もいいってトコ、小さい子達に人気なんだよね。なんていうか、皆のお母さん、みたいな」

真奈美「……だから私はまだ未婚なんだが」

涼「ごめんごめん。でもそんな感じでさ、なんていうか……同じ事務所のアイドルで、こういう風に何か相談したり頼ったりできる年上の人って、なかなか居なかったから……」

涼「アタシとしても、年上のお姉さんができたみたいでさ、結構、心強いんだよね」ヘヘッ

真奈美「フッ、年下の面倒を見るのも年長者の務めだ。まあ、うちは特にPがアレだからな……女性として相談しづらいことというのもあるだろう」

涼「そう、アレだからね……」ハァ

涼「ああでも、真奈美サンと早苗サンから色々教わったおかげで、最近はPサンの奇行もアタシ一人で何とかなってるんだよ」

真奈美「ほう、そうか。私も早苗も、いつでもどこでも駆けつけられるわけではないからな。事務所内に、彼を抑止可能な人員が増えるのは好ましいことだ」

涼「……自分達の担当プロデューサーを警戒しなきゃならないってのも、よく考えるとかなりおかしい話なんだけどね……」

真奈美「言うな。自分の所属について考えざるを得なくなるから、日本ではああいうのがスタンダードなんだと思わせておいてくれ」

涼「やだよそんな国」

涼「っとごめん、アタシそろそろ小梅を迎えに行かなきゃ」

真奈美「彼女は今日はたしか、別のスタジオでボーカルレッスンだったか?」

涼「そうそう。ちひろサンがPサンに事務仕事大量に押し付けて送迎出来ないようにしてくれてるから、代わりにアタシが行くことになってるの」

真奈美「フフ、君達は本当に仲がいいな」

涼「そう……かな? まあ、小梅とは趣味が近いっていうのもあるし、なんか、ほっとけないんだよね」

真奈美「そうか。もうすっかり彼女のお姉さんだな」フフ

涼「て、照れるからやめてよ……あ、それじゃ、アタシはこれで!」

真奈美「ああ。何も無いとは思うが、気をつけていくんだよ」

涼「大丈夫だって! 小梅にはアタシがついてるんだからさ!」タタッ

真奈美「ん、そうではなく……ああ、行ってしまったか」

真奈美「ふむ……体を鍛えて、自信が付いていることは良いことだが……」

真奈美「……それが油断や過信になると、逆に足元をすくわれるぞ。本当に、何もなければいいんだが……」

ちょっとお風呂ー

>>23
おお、読んでくれてる人がいた! そうです。
小梅溺愛Pの設定以外は直接的な繋がりはありませんが、時系列的にはあれの少しあとくらいというイメージで

—別の日


涼「おはようございまーす! ……ん? ホワイトボードに新しい掲示が……」

『不審者に注意!』

涼「……Pサンがまた何かやったの?」

モバP「おいコラ、第一声がそれか。誰が不審者だまったく」プンプン

涼「出たね犯罪者」

モバP「待て、なんでランク上がった」

http://i.imgur.com/0eVN9Lzl.jpg
http://i.imgur.com/QvRnPUjl.jpg
松永涼(18)

http://i.imgur.com/BSxOF6Ml.jpg
http://i.imgur.com/clOXU5bl.jpg
白坂小梅(13)

http://i.imgur.com/eoHeYLwl.jpg
http://i.imgur.com/qQ5pQIdl.jpg
木場真奈美(25)

モバP「いや、冗談抜きでな。最近、事務所に送られてくるファンからの手紙や贈り物の中に、ちょっと過激なものがちらほら混じるようになってるんだよ」

モバP「アイドル宛の郵便物は全部俺とちひろさんでチェックしてるが、出待ちとかストーカーとか、相手に直接来られたら対処し切れない範囲も出てくるからな。レッスンやら仕事やらで出歩く時は、ちっと気を付けとけ」

涼「まさに今日ライブで出かけようって時に、なんでそういう不安にさせるようなこと言うわけ? プロデューサー失格じゃないの?」

モバP「そりゃお前なら平気だろうと信頼して……あ、何、もしかしてお前……怖かったの?」ニヤ

涼「なっ……んなわけないだろ! 今日は小梅と一緒だし、事務所にはもっと年下の子だっているんだから、そういう迂闊な発言は駄目だって話をだね」

モバP「あーいいよいいよ、わかるわかる。うん、お前だって曲がりなりにも、花も恥じらうティーンエイジャーだもんなぁ。バスト90cmあっても怖いものは怖いよなぁ」ウンウン

涼「オッケーわかった。表出な」

モバP「来るか小娘。面白い、今日こそどちらが上か思い知らせてくれる!」

ガチャッ
小梅「い、いま、カメラが直接う、映してくれない、拷問のシーンみたいな、悲鳴が……!」ワクワク

涼「あー、おはよ、小梅。別に朝から映画見てるわけじゃないよ、ただのPサンの地声」

小梅「そ、そう……ま、またプロデューサーさんと、遊んで、たの?」

涼「そうそう、こう見えてアタシ達、仲いいからさ。ねーPサン?」

モバP「お、おうともよ……ほ、ほぅら、こんなスキンシップ取ってるアイドル、他にはそう居ないぞぉ」ガクガク

小梅「ふふ、ふ……な、なんか、いい、ね、そういうの……楽し、そう」クスクス

涼「……まあ、ストレス発散にはなるかな」ウン

モバP「こんにゃろうめ……俺が変な趣味に目覚めたらどうする」

涼「新しいプロデューサーがウチに来るだけじゃないかな」

モバP「ちょっ速い、それは展開速いって」

涼「さっ、小梅、準備は大丈夫? 今日のライブ、絶対成功させるよ!」

小梅「う、うん……! が、がんばる、よ……!」フンス

モバP「気合入ってるようで何よりだ。んじゃ、行くぞー」スッ

涼「おう!」サッ ギュッ

小梅「ぉ……おーぅ……! ……えへ、へ」ギュ

モバP(……さり気なく小梅の手握ろうとしたら、ナチュラルに横からかっさらわれた)

涼「ん? 何やってんのPサン、早く車出してよ」フッ

モバP(ぐっ、おんのれ涼めぇ……!)ギリギリ

モバP(こうなったら、運転中隙あるごとに、その谷間に食い込むシートベルトを凝視してやる! そのくらいの役得と復讐はしてもいいはずだ!)


モバP(と思ってたら、しっかり運転席の真後ろの席に座りやがるしよぉ——!)

モバP(くっそぅ、胸ネタでからかい過ぎたか? ガードが固くなり過ぎだぜ!)

モバP(しっかし……)チラッ

涼「——立ち上がりはアタシが引っ張ってくから、小梅はまずは落ち着いて、ペース配分を——」

小梅「う、うん、うん……!」コクコク

涼「——で、ここが一番の山場。アタシがアシストするから、ここまで来たらもう後のことは考えないで、小梅は思いっきり歌いな」

小梅「うん、が、頑張る……!!」フンス

涼「その意気だよ」ナデナデ

小梅「えへ、へ……りょ、涼さんと一緒だと、すごく、心強い……」

涼「アタシもそう言ってもらえると嬉しいよ」ニコッ

モバP(うーん、仕事の方でもそつがない。こりゃマジで俺の仕事が取られかねんぞ)

モバP(そんなことになったら、小梅分摂取不足で俺が死ぬ。いかん、なんとかせねば……!)

涼「……サン、Pサンってば。……っせい!」ゲシィ!

モバP「ぬほぁ! ってこらいきなり何しやがる!」

涼「何回も呼んでるのに無視する方が悪い。で、スタッフの人達との打ち合わせもだいたい終わったけど」

モバP「お、おう」

涼「……もう、鈍いなぁ。プロデューサーとして、これから舞台に出ようっていう担当アイドル達に対して、なんか一言ないわけ?」

モバP「あー、悪い悪い。仕事中なのにモードが半端になってたわ」

モバP「ゴホン。あー、小梅」

小梅「は、はい……」ビシッ

モバP「そんなにかしこまらなくてもいいぞ? で……いいか? お前は、何も怖がらなくていいからな」

小梅「う、うん……?」

モバP「ここは規模としては小さい方だけど、スタッフの人達は皆優秀だ。裏方からしっかりお前のことを支えてくれるし、俺だって、お前のステージをちゃんと見守ってる」

モバP「それに、同じ舞台の上に涼だっているんだ。何か困ったら、全部涼に投げときゃいい」

涼「おう、任せときな」グッ

小梅「う、うん、うん……!」

モバP「だいたいだなぁ、お前は立ってても歩いてても座ってても踊ってても歌ってても転んでても何してても超ぉ〜〜〜〜〜〜〜可愛いんだから、舞台上で何やったって可愛い以外の評価が出るもんかい!」

小梅「ぁぅ……」テレテレ

モバP「もしも涼が踊ってる最中にすっ転んだらそれは大ポカだが、お前がやっても可愛いから絶対許される。超許されるとも! ……だから、お前のライブに失敗はないよ。やり残したことがないようにだけ、思い切り歌ってこい!」

小梅「う、うん……! 来てくれた、人達に……精一杯の、私を、見て、もらう、ね……!」

モバP「おう、その意気だ! ……んで、えーと、涼ー?」

涼「何? テンションの上がり下がりが露骨でちょっと腹立つんだけど」

モバP「ま、お前については特に心配してないからな。元々バンドのボーカル張ってたくらいだ、ライブ慣れもしてるし、それだけの実力もある。デカい胸もあ」

涼「」コキ

モバP「なんでもない。それに、レッスン見てたが、あらゆるコンディションを今日に向けてばっちり仕上げてきてるし、歌も振り付けも、全体の構成だってしっかり把握してる。下手すりゃ俺よりもだ」

涼「ん、まあね」

モバP「だから……その、なんだ。俺は、何をどう頑張ったって、お前らと同じステージ上には絶対に立てないからな……一番手助けしてやりたい場面で、俺は何も手出しできない。それがたまにどうしようもなく歯がゆくなることがある」

モバP「でもな、今日みたいなライブは別だ」

モバP「ステージ上で、小梅にはお前がついてる。だから俺は、お前らがどこまで観客を魅せられるかだけを心配して見てられるんだ」

モバP「だから——小梅のことは、任せたからな」

涼「……ん、任されたよ。次のライブに備えて、今からもっとデカいとこ予約しときな」フッ

モバP「…………」

涼「……なんだよ」

モバP「……あ〜〜〜〜〜っ、もし許されるなら俺も舞台上に付きっきりで出てくのになぁ〜〜〜! ほんと、それが仕事とはいえ小梅を手の届かないとこへやって見てるだけなんて……!!」ワナワナ

涼「あーもう鬱陶しい! さっさと関係者席行って黙って見とけ!」ゲシィ!

涼「ったく、これだからPサンは……」ブツブツ

小梅「ふふ、仲、いい、ね……」

涼「……そうかな? アタシとPサンって、ちゃんと仲良く見えてる?」

小梅「? うん、りょ、涼さんと、一緒だと……プロデューサーさん、飛んだり、跳ねたり、変な声、出したり、た、たまにゾンビみたいに、なってたり……」

小梅「わ、私と居る時より、げ、元気そう、だよ……?」

涼「そっか……あ、でも、小梅はそのままでいいんだよ? Pサンは、小梅のためなら何時間岩のようにじっとしてても平気な人だから」ナデナデ

小梅「ん……で、でも、色んなプロデューサーさんが、見られる、から……」

小梅「皆一緒が、一番、いい、ね……!」

涼「……ふふ、そうだね」ナデナデ

涼「さっ、時間だ。行くよ、小梅!」

小梅「う、うん……!」


\ワァァァァァァ...!! コウメチャーン! リョウチャーン!/

………
……


モバP(ライブは大成功だった)

モバP(最初のうち、まだちょっと緊張が残ってた小梅が足滑らせたりもしたけど)

モバP(すかさず涼が抱きとめて、そのまま演出の一環みたいにしちまったし)

モバP(うーん……重ね重ね羨ましいやつ。しかし今日はほんとよくやってくれたし、仕方ない、今日の間くらいは素直に労ってやるか……)

モバP「……っと、おや?」

スタッフ「あー、プロデューサーさんですか? すんません、舞台装置やら機材やら、デカいもん移動さすので、今ちょっとこっちの通路ふさがっちゃってるんすよー。申し訳ないんすけど、向こうの通路から回ってもらえますかねぇ」

モバP「ありゃ、そうですか。わかりました、お疲れ様です」

スタッフ「いやーすんません、どーもどーも」ヘヘッ

モバP「………………ん?」

………
……


涼「ははっ、やったな小梅! ほら、まだここまで歓声が聞こえるよ!」ギュー

小梅「はぁ、はぁ……ん、がん、ばった……!」エヘヘ

涼「っと、フラフラじゃん。大丈夫? 歩ける? アンコール含めて、ここまで長かったのはそんなに経験ないだろ?」

小梅「りょ、涼さんが、居たから……い、いつもより、一杯、歌えた、の……あ、ありがと、ね」ニヘ

涼「小梅……ん、よく頑張ったよ」ナデナデ ギュー

小梅「え、えへ、へ……」ハァハァ

スタッフ「お二人とも、お疲れ様です。ドリンクどうぞ」スッ

涼「ども。ああでも、今飲ませたら吐いちゃうかもな……小梅がもうちょっと落ち着いたら、頂きます」

スタッフ「……そうですか。じゃ、控え室の方へご案内します。今、舞台装置の搬出で、向こうの通路が使えないんですよ。なので、こちらからどうぞ」スタスタ

涼「どうも。ほら、小梅、行くよ」

小梅「ん……」ヨタヨタ

………
……


涼(……おかしい。なんか、変だ)

涼(いくら向こうの通路が使えないからって、アタシ達が使わせてもらってた控え室に戻るには遠回り過ぎる)

涼(だいたい、機材の搬出がどうとか、やる前の打ち合わせでだって、そんなこと一言も言ってなかったのに)

涼(オマケに……リハの時含めて、ここのスタッフとは結構顔合わせてきたけど)

涼(この人の顔には、まるで見覚えがない……!)

スタッフ(?)「いやぁ、すいませんね。ライブ終わってお疲れのところ、こんなに歩かせちゃって」スタスタ

涼「……いえ、こうしてアタシ達が歌えるのも、スタッフの皆さんのおかげですから」

スタッフ(?)「そう言ってもらえると、こちらとしても頑張り甲斐があります。さ、もう着きますよー」スタスタ

涼(これは……ヤな予感がするね)

今日はいったんここまでにしときますー
明日の晩も、多分このくらいの時間に投下しに来ますので。ではでは

涼(小梅、少しでいいから走れる? 何も言わずに、アタシについてきて)ヒソヒソ

小梅(? う、うん、だい、じょぶ……)ヒソヒソ

涼(タイミングを見計らって……今だ!)ダッ

スタッフ(?)「ぉおっと、どこ行くんだよ」ガシッ

涼「っ、っこの!」パシ グイッ!

スタッフ(?)「ぅおおお!?」ドテン

涼「やっぱり他所の人間か! 小梅、今のうちに早く——」

スタッフ(?)「おおっと、残念ながらこっちも行き止まりなんすよ」ヒヒヒ

涼「二人目……! っ、小梅、こっち!」ダッ

小梅「う、うん……!」タタッ

涼(倉庫か何かかな。でもドアには中から鍵かけたし、今のうちに内線か何か、いや、いっそ火災報知機でもあればそれ鳴らして……!)キョロキョロ

小梅「りょ、涼、さ……!」グイグイ

...カチャッ ギィィィ......

男A「へへっ、わざわざこんなとこに逃げ込んでくれるなんて、手間が省けたよ」

涼「鍵まで……! あんたら、一体どんな方法でここに潜り込んだんだ!」

男B「なぁに、服も鍵も、ちょっと借りただけっすよ。スタッフさん、疲れて眠そうだったからぁ」ヘッヘッヘ

男A「ステージ降りたところであれを飲んでくれてればもっと楽だったんだが……ま、いいや。これはこれで——ソソる」ペロリ

涼「」ゾクッ

小梅「りょ、涼、さ……」ブルブル

涼「大丈夫……大丈夫だよ、小梅、下がって。アタシの後ろに」キッ

男A「おうおう、勇ましいねぇ。そういう女は好みだぜ」ククク

男B「俺は小梅ちゃんの方がイイなぁ……ね、怖がらなくていいからさぁ、お兄さん達と楽しいことしようぜ?」ハァハァ

涼「近寄んなッ! 小梅に指一本でも触れてみな、アタシが絶対に許さないからな……!」

男A「へえ、どう許さないのか……やってみろよほらァ!」ブンッ

涼(ビビんなッ! 真奈美サンと早苗サンから教わった通りやれば行ける! それに——)


モバP『だから——小梅のことは、任せたからな』


涼(今アタシの後ろには……小梅が居るんだぞ!!)

涼「——っらぁぁぁ!!」サッ ガッ グイッ!

男A「っぐお!」ズデン!

男B「おお!? すげ、引っくり返された!」ゲラゲラ

男A「ッチィ、油断すんな、こいつなんかかじってんぞ!」

涼(あとはこいつさえ倒せば——!)

涼「どけぇっ!!」

ビシバシッ ガッ

男B「痛っ、速……ぬおぉ!?」ドゲシィ! ドタッ

涼「っは、はぁ……アイドルだからって、甘く見るんじゃないよ!」

男A「いいや、所詮はアイドルだな」ガシッ

涼「っ!?」

ムクッ
男B「あーいてて。可愛い顔してヒデーことしやがる。へへ、でもねぇ、そんな軽いパンチやキック、何発かもらったって平気なんすよぉ」

男A「男の体格甘く見てたのはお前さんの方だったなぁ? ん?」グイッ

涼「っぅう……!」ググッ...!

小梅「りょ、涼さんっ……!」

男B「へへへ、小梅ちゃんは俺と一緒に遊ぼうねぇ」ジリジリ

小梅「ぅ、や……!」ガタガタ

涼「小梅ぇっ!」

涼(落ち着け、落ち着けっ!! 相手に掴まれた時の、対処法は……!)グイッ!

男A「ん、こいつまだ……っとと!?」ガツッ

ドンッ ビリィッ...!
涼「小梅っ!!」バッ

男B「ぅおふっ!?」ドゲシィ!

涼「はぁ、はぁ……! させるもんか……小梅は、アタシが、守るんだ……!」

小梅「涼、さ……い、衣装、が……」

涼「ははっ、いいんだよ、小梅を守るためなら、このくらい構うもんか……!」

男A「おうおう、感動的だな。だが——小娘一人粋がったところで所詮無意味だ」パンッ

涼「っつ……! このっ……!」ブンッ ゴッ ベシッ

男B「だぁかぁら、軽いんだ、よっ!」ゲシィ!

涼「ぅぐっ!」ドサァ

涼「ごほっ、げほっ……!」ゼェゼェ

男A「大の男相手に、自分一人で何とかできるとでも思ったのか? まあ、俺はそういう女を力づくで、ってのが好みだから、もっと抵抗してくれたっていいんだがなぁ」ククク

小梅「……て」スッ

男B「んん?」

小梅「やめ……て……りょ、涼さん、を、これい、以上……きき、傷つけ、ない、で……!」ガタガタ

男A「へへっ、じゃあ……お前さんがそのお嬢ちゃんの代わりに、俺達二人の相手をしてくれるのかい?」スッ

小梅「」ビクッ

涼「やめ……ろぉっ……!」グイッ ダキッ

涼「小梅に……その汚い手で、小梅に触るんじゃ、ない……!」ギュゥ...

小梅(涼、さん……涼さんも、震え、て……)

小梅(ぅ……)ブルブル

涼「アタシが……アタシが居る限り、小梅を好きになんて、させるもんかッ!」ゼェゼェ

男A「……いやぁ面白ぇ……そんなに覚悟があるってんなら、お前、」


男A「脱げよ」

涼「な……?」

男A「聞こえなかったかぁ? その服、自分で脱げ。んで、お前一人で、俺達二人を満足させてくれたら……そっちの小さい方には、手を出さないでやってもいいぜ?」ムクムクッ

男B「へへへ、俺はちっさい方が好きだからぁ、よっぽど奉仕してくれなきゃ、小梅ちゃんに手ぇ出しちゃうかもなぁ?」グググッ

涼「ぁ、ぅ……」ガタガタ

男A「ほら、どうすんだよ、別にお前ら二人一緒に頂いてもかまわないんだぜ?」ジリ

涼「やっ——やめろ! こ、小梅には、……小梅には、手を出すなッ!」

男A「じゃあどうしたらいいか——わかってんだろ?」

涼「ぅ…………く、うぅっ……」ポロ

さてよい子はもう寝る時間だね、お休み(棒

あ、言い忘れてた、明日(てか今日だけど)は夜の九時〜十時くらいに来ます

五分くらい後から投下開始しま

涼「…………ゎ……わ、かった……わかった、から……小梅には、絶対、手、出すな……!」シュル...

小梅「涼さっ……!」フルフル

男A「ま、それはお前さん次第だなぁ」ククク...!

男B「現役アイドルをナマで頂けるとか……ウッヒョー興奮してきたぁ!」ペロリ

モバP「へっへっへ、その無駄にデカいチチで、たっぷりご奉仕してもらうぜぇ……!」グヘヘ


男A「……ん?」

男B「あれ?」

モバP「やあ」

涼「」

男A「ああ!? テメェいつの間に——」

モバP「っとぉう!!」ババッ

男B「おわぁ!」

涼「え……P、サン……?」

モバP「おう。遅くなって悪かった」

モバP「小梅も。大丈夫か?」ポム

小梅「う、うん、りょ、涼さんが……守って、くれ、くれた、から……」ポロッ

モバP「そうか。もう大丈夫だからな」ナデナデ

小梅「うん、うん……!」ポロポロ

モバP「涼。お前もだ。よく——よく今まで、小梅を守ってくれたな」ポム

涼「ぁ……ぅ、あ、アタシっ……!」ポロポロ

モバP「ん、よく頑張った。頑張ったよお前は……!」ナデナデ

男A「チッ、いいとこで邪魔しやがって……テメェ、そいつらのプロデューサーか」

モバP「涼、汚い上着だけど、これ羽織っとけ」バサ

男A「無視すんじゃねえよコラァ!」

モバP「……お前の肌は、こんな連中に見せるためのもんじゃない」スクッ

男B「あぁん?」

モバP「おう、テメエら……オイ、コラ、おい、……おいィ!!」クワッ

男A「おいしか言えてねえぞテメェ!」

モバP「すぅ……ふぅ……。……ここのスタッフへの傷害と窃盗、並びに、アイドルへの暴行未遂現行犯だ。お前ら、こんなことしてただで済むと思うなよ」

男B「ただで済ませるつもりなんてないっすよぉ。捕まるにしたって、その前に美味しい思いはさせてもらうんすから」

男A「ヒーロー気取りたかったのか知らんが、一人で来たのはどう考えても馬鹿だったな。こっちの人数を知らなかったのか、それとも、テメェ一人で勝てる気だったのかぁ?」

モバP「あ? 何言ってんだ。お前らの方こそ——」


モバP「二 人 程 度 で 勝てると思ってんのか……!!」ゴゴゴゴゴ...!!!

男A「なっ……!?」タジッ

モバP「お前らはな、決してやっちゃいけないことをやったんだよ……!」ドドドドド

モバP「良い機会だから教えておいてやる。この世には、絶対に敵に回しちゃいけない人種が三つある」ピッ

モバP「ひとつは、子供を守ろうとする母親」

モバP「ひとつは、筋金入りの守銭奴、運営の犬ちひろ」


モバP「そして最後のひとつは——担当アイドルを傷つけられたプロデューサー、だ」クイッ シュル...ポイッ


モバP「お前ら既に完全アウトだ。——土下座して靴なめても許すかぁッ!」ビッ!

男A「く……吠えてんじゃねえぞ! こっちは二人がかりだ、たたんじまえ!!」バッ

モバP「かかって来いやオラァァァァァッッッ!!!」ダッ

モバP「」プシュー

男A・B「「弱ッッ!!!!?」」

涼「Pサンっ!!」

男B「何だこいつ、勢い込んで向かってきたと思ったら超弱ぇ!」

男A「ヘッ、口だけ野郎が。……外も、まだ騒ぎにはなってねえ。こいつが人を呼んでたとしても、一発ヤるくらいの時間はありそうだぜ……!」

涼「くっ……!」サッ

小梅「涼さん……ぷ、プロデューサー、さんっ!」

モバP「おう、呼んだか小梅!?」ガバッ

男A・B「「!?」」

男B「何だこいつ、あれだけボコボコにしてやったのに!?」

男A「寝てろやボケェ!!」ガッ ゲシッ ゴッ

モバP「ゴフゥ!」ドサァ!

イマダヤレェ! オラオラオラオラァ! ドガボコバキベキドスゴスガス!!

モバP「」チーン

男A「はぁ、はぁっ、どうだ、さすがにこれだけやれば……」

涼「Pサン……Pさぁんっ!!」

モバP「」ピクッ

モバP「…………ふ。ふふ、フフフフフフフフ……!」スクッ ユラァ...

男B「し、しぶとい……!」

モバP「ヌルい。ああ、全くもってヌルいぜ……」

モバP「俺が普段、どれだけ早苗さんや真奈美さんにシメられまくってると思ってる……!」

モバP「その俺が! この程度の攻撃で! 落ちるとでも思ったかぁ!!」ババーン!

男A「何言ってるか分かんねぇが、絶対に自慢するようなことじゃねえだろそれぇ!!」

モバP「うるせぇよ馬鹿野郎この野郎! 俺の目が黒いうちは、俺を差し置いてうちのアイドルにエロいことしようなんざ、死んでも許すかボケェ!!」ガバァ

男A「うおおおうっぜぇぇぇ! ボコれ!! どうせ弱ぇんだから死ぬまでボコり倒せ!!」

男B「お、おう! ぅおりゃあああああ!!」ドカボコバキ

モバP「」チーン...

男A・B「「…………」」ゼェゼェ

涼「Pサン……」

小梅「ぷ、プロデューサ、さん……!」

男B「…………」ツンツン

モバP「」グググ...パタッ

男A「よ、ようやく、ハァ、くたばったか……!」ゼェゼェ

男B「へ、へへっ、それじゃあ、ふぅ、ようやく、お待ちかねのお楽しみタイムに……」

モバP「……ぐふっ、ふ、ふふふ……いや、それはもう無理だな……!」

男A「あぁ? 無様に寝っ転がったままで何を言ってやがる」ゲシッ

モバP「げふぅ。……ふふ、ふふふ、残念だったな! もうお前らに勝ちの目はない!!」ドヤッ!

モバP「俺が来た時点でさっさと逃げてれば、あるいは生き延びるチャンスもあったろうになぁ……俺をここまでボコボコにしたことで、逆にお前らはチェスや将棋で言う“詰み”の状態にハマったんだよ!」

男B「……んだそれ、どういうことだよ……?」

真奈美「うむ、そうだな。簡単に言うと」

早苗「つまりはこういうこと、かなっ?」

男B「へ?」——ヒュ

真奈美「——っはぁ!!」ゴンッ!

早苗「あーよっこらしょっとぉ」ガッ スパァンッ!

男A「ぐおあ!?」ドカァッ!

男B「へ——ぅおふっ!!?」クルンッ...ドッサァ!

男A「っつつ……お、女ぁ!? 何もんだテメぇら!!」

真奈美「ふむ。私達が何者かと聞かれれば……」

早苗「今はただのアイドル、かなっ♪ そこに倒れてる彼担当の、ね」

モバP「ふふふっ、そう、俺はハナからただの時間稼ぎよ……! 我が事務所が誇る最大戦力である、この二人が駆け付けてくるまでのなぁ!!」

モバP「片や海外帰りの完璧超人、木場真奈美! 料理や裁縫といった良妻的家事スキルと、大の男を悠々と吹っ飛ばす戦闘能力を併せ持つパーフェクトウーマン!!」ドドォン!

モバP「そしてもう一人は、警官上がりの現役アイドル、片桐早苗! ロリ顔トランジスタグラマーな外見に反して、一通りの武道の有段者というキリングマスィーン!!」ババァン!

モバP「この二人が間に合った時点で、お前らの勝機などこれっぽっちもないわぁ!」フハハハハ

真奈美「……プロデューサー君、君にはあとで少し話がある」

早苗「具体的に言うと……シメる♪」

モバP「……あれあれ? ちゃんと時間を稼ぎ切った功労者なのに、なんか俺にまで死亡フラグ立ってね?」

真奈美「ま、モバPのことはあとで如何様にでもするとして、だ」

早苗「今はこっちの性犯罪者の始末からかなぁ」

男A「な、なめんなよ、人数が増えたところで所詮は……」

真奈美「所詮は女、か? 私達も随分と甘く見られたものだな」

早苗「まったくよねー。ま、それはこれから体に教えてあげるってことで♪」

真奈美「ああ。君の元同僚に引き渡す前に……可愛い仲間を傷付けた落とし前は、キッチリ付けていってもらおう」ゴゴゴ...!

男B「こんのアマぁぁぁ!!」ガバァ

真奈美「早苗、そちらのデb……失礼、そちらのポッチャリ系の男性は、私と相性が悪そうだ。君に任せた」

早苗「はいはい、こういうのはお姉さんにお任せってね」

男B「なめんなぁぁぁっ!!!」ブンッ

早苗「あはは、なめてかかるつもりなんて全然ないない」スッ ガシッ

男B「あっ」

グルンッ...ドッズゥン!!

男B「ごっ……はっ……!!?」

早苗「だってねぇ……手加減しようにも、ちょぉっとそんな心の余裕がないんだもん」

早苗「うふふ、わかる? こんな笑顔だけどね、お姉さん今、すっごく怒ってるの♪」ニコォ

男B「ひ」

早苗「はい、おやすみ」キュッ

男B「」グヘェッ!

真奈美「さて、あちらを早苗に任せた以上、君は私が片付けようか」コキ

男A「けっ、調子に乗ってんじゃねえz——ッ!?」ッパァン!

真奈美「調子に……なんだって?」フフッ ヒラヒラ

男A「っつ……へへ、だがあいつと一緒で所詮は女の細腕、打撃が軽——っぐ、お!?」ビシバシィッ!

真奈美「打撃が……なんだって?」ターンターン...スッ

 ビシッ! ズドッ! シュガッ! ピシッ! ガッ! ゴッ...!

男A「ぐっ、このっ、てめ…………速ッ、動きが……止まらねえ!?」ブンブン

真奈美「ふっ、時に数時間にも及ぶライブを、最初から最後まで歌って踊り切るアイドルのスタミナ……甘く見るからこうなるんだよ」スッスッ...ズンッ!

男A「ぉ、ぉぁあ…………!!」ガクン、プルプル...

真奈美「ふぅ。男性相手ならここへの一撃で十分だ、と、涼にも教えてあったんだが……彼女には少し、抵抗が強かったかな。だが、私は今更遠慮も容赦もしない」

男A「ぉぉぉ、ぅぉぉぉぉぉ…………!!!」ガクガクプルプル

真奈美「そして慈悲もない。うん、膝が崩れて、ちょうど蹴りやすい位置まで頭が下がってきたな。さて、何か言い残すことはあるかい?」ニコッ

男A「った…………助k」ガクガク

真奈美「まあ聞かんがね」ヒュッ—ドメギャァッ!

男A「」ドンガラガッシャーン!

男A「お……鬼、か……」ガクッ

早苗「あらあらまあまあ、まぁた容赦なくやったわねー」

真奈美「ふん、彼らが涼と小梅にしたことを考えれば、これだけやってもまだ生温い」

真奈美「……というか、意識を失った相手をさらにボコボコにしている君には言われたくないぞ?」

早苗「だって、見てよコレ。軽くシメただけであっさり落ちちゃうのよ? そんなんであたしの気が済むワケないでしょ?」グイッ

早苗「これだけ完璧に落ちたら痛みも感じなくなってるんだから、むしろ落としてから殴るあたしは優しいくらいだと思わない?」ガッゴッ

真奈美「いいからそのくらいにしておけ。元警官なら、過剰防衛の適用範囲も知っているだろう?」

早苗「はーい。んじゃ目立ちにくい腹にしとくわ」ボスッゴスッ

真奈美「……わかった、もう止めないから好きにするといい」

ズールズール...
モバP「おう、さっきはちゃんと確認する余裕がなかったけど、本当に大丈夫か二人とも。本ッ当に、何も変なことされてないか?」

小梅「わ、私は、だい、じょうぶ……で、でも、涼さんが……」

モバP「あにぃ!? 何だ、何された!」

涼「べっ、別に、大したことじゃないって……ちょっと頬、叩かれたのと、腹、蹴られた、くらいで……」

モバP「馬ッ鹿お前、アイドルが顔とか、女が腹とか、十分大事だろうが! ああもう……変に引っかき傷とかついてないな? これなら痕も残らないかな……」スッ

涼「」ビクッ

モバP「……すまん。ほんと悪かった、こんなに遅くなって」スッ...

涼「あ、いや……そんな、Pサンが謝るような、こっ、ことじゃ、ないし……心配、するよな、こ、こと、だって……う、くっ……」ポロッ

涼「ぅ、ぅぅぅ……!」フルフル

モバP「涼……」

涼「……み、見んなよっ!」バサッ

涼「ぅ、っく……」フルフル

小梅「涼、さん……」

モバP(俺の上着頭から被って……泣いてる、んだろうなぁ)

モバP「真奈美さん、早苗さん、すいませんけど、警察とか来るまでちょっと涼の傍についててやって——、?」グイッ

涼「……」ガシッ

モバP「……大丈夫か?」

涼「……」...コクッ

真奈美「……ふふ。いや、元よりアイドルのケアは、プロデューサーの仕事だろう? その間私達は、警察やスタッフへの応対を引き受けよう」

早苗「あたしは向こうに顔広いし、こういうヤマに慣れてる人に来てもらうから安心しといて〜。んじゃっ」ガシッ ズルズル

男A・B「「」」ズルズルズル...ガッ ゴンッ

モバP(ああ、足掴んで引き摺られてるせいで酷いことに……まあ自業自得だが)

モバP「えーと……じゃ、隣、座るな?」

涼「……」コクッ

モバP「よっこいしょ。……な、なあ涼? そろそろ手ぇ放して……」

涼「……」フルフル

モバP「……」ウーン

モバP(とりあえず、小梅はそっち側、ついてやってくれるか?)ヒソヒソ

小梅(う、うん……!)ソッ...ギュ

モバP(……さて。座ったは良いけどこっからどうしよう……俺、耐性ないからこんなシリアスな空気吸ってると窒息しそうなんだけど)オロオロ

涼「……タシ、さ」

モバP「お、おう、なんだ?」

涼「アタシ、さ……アタシ一人でも、小梅のこと、守れると思ってたんだ……。体鍛えて、Pサンだって倒せるようになって、それで……調子に乗って、小梅の、こと、危ない目に……!」

小梅「涼、さ……違う、よ? わた、私、涼さんの、おかげ、で……」

涼「そんなことっ……!」

モバP「いや、小梅の言うとおりだ。……あのな涼、たしかにお前は、自分の実力をちょっと過信してたかもしれん。ああ、そこはしっかり反省しろ」

涼「ぅ……」

モバP「だけどな。……いいか? 今日のこの一件について言えば、小梅が助かったのは間違いなくお前のおかげだよ。あんな二人組に襲われたのがもし小梅一人だったら、それこそあっという間に攫われて薄い本展開だぞ」

小梅「ぅ、うすい、本……?」

モバP「あー、小梅はまだ知らなくていいからなー」

モバP「えーと、……だからお前は、いいか? 今日自分が失敗したことと、自分が成し遂げたこと、両方をちゃんと見て、次に繋げていけ。いいな?」

涼「……ぅ、ん、うん……ごめん……ごめん、なさ……!」フルフル

小梅「……涼、さん……ありがと、ありがと、ね……!」ギュー

モバP「……そろそろ落ち着いたか?」

涼「……ん、ごめん。上着、ありがと、ね。ハンカチ代わりに使っちゃった」グスッ

モバP「あー別にいいってことよ。どうせ安もんだし。そのまま羽織っとけ」

モバP「……それより、落ち着いたんならそこ代われ」ジトー

涼「へへっ、やだよ。ね、小梅……もうちょっとだけ、慰めててくれる?」ギュッ

小梅「う、うん、いい、よ……」ギュー ナデナデ

モバP「くっそこの羨ましい妬ましい。乳揉むぞコラァ!」ガバッ

涼「」ガッ グイッ ギリギリギリギリ

モバP「すいませんでした放してくださいぅごごごぎぎぎギブギブギブ!!」バンバン

涼「ふぅ……もう、Pサンはなんでいっつもそう……これじゃ、素直に感謝できないじゃ……」ブツブツ

モバP「いててて……ん? 何か言ったか?」

涼「ふんっ、別に何も?」プイッ

モバP「ふーん? そうかい」

モバP(ま、フリとは言え「男に襲い掛かられる」シチュに対してこれだけ対応できるなら、とりあえずは大丈夫なくらいに回復したかな?)

涼「……そういえば、さっきはそれどころじゃなかったからツッコミも入れられなかったけど」

モバP「?」キョトン

涼「ごめん、それ小梅がやると可愛いけどPサンがやっても腹立つだけだからやめて」

モバP「あ、ハイ……」

涼「で。……あの犯人達の中に、最初物凄くナチュラルに混ざってたのは何?」ジトー

モバP「ああ、油断させて後ろから不意打ちしようと思ったんだけど、さすがにバレたみたいだなー」ハハハ

涼「…………」ジトー...

モバP「すいませんちょっと悪ノリしてました」ドゲザー

小梅「で、でも……どうしてこの場所が、わかっ、たん、です、か……?」

モバP「あー、それなー。多分小梅の、っていうか……小梅の友達? のおかげだと思うんだけど……」

涼「?」

モバP「いや、猿ぐつわにぐるぐる巻きでロッカーに閉じ込められてたスタッフが見つかってな? ステージ降りた後のお前らの姿も誰も見てないとわかって、そりゃもう大慌てで劇場中走り回ってたんだけどさ」

モバP「……したらその途中で、いきなりその辺に置かれてた小道具やら何やらがガタガタ動き出すわ浮くわ飛び回るわのポルターガイスト現象に襲われてな」

涼「」

モバP「何事かとビビって固まってたら、壁に血みたいな真っ赤な字で「コウメ アブナイ ハヤク」って文が浮かび上がって」

モバP「俺もまさかとは思ったんだが、誰も居ないのにベタベタベタァッ! と壁やら床やらに並んでいく真っ赤な手形や裸足の足跡を追いかけてたら、この部屋に辿り着いたんだよ」

涼「へ、へえ……」プルプル

モバP「もしかしなくても、あれって、小梅のよく言ってる「あの子」か?」

『……………………』

小梅「う、うん……そう、みたい……普段しない、無茶、した、から……ちょっと、疲れた、って、言ってる……」

モバP「……つまり今その辺に居るのか……いやでも、おかげで俺も間に合ったわけだしな。ありがとう……な?」

小梅「ぷ、プロデューサー、さん、こ、こっち、です……」クイクイ

モバP「お、おう、悪い、えーと……ほんと助かった。ありがとう!」ペコッ

『………………』

小梅「ふ、ふふ、どういたしまして、だって……」

モバP「そ、そうか……あ、あはは……」

モバP「あ、そうだ。ほら、一応助けてもらったわけだし、お前もちゃんとお礼を言っとけよ、涼(ゲス顔」

涼「はえっ!? うっ、あ、アタシは、その……いや、そ、そう、だよ、ね……」ハハ...

涼「えと、その辺に……居る、ん、だよ……ね? あの……今日は、ありがとう、ね? あんたのおかげで、ほんと、助かったよ」ペコ

涼「……こ、これで、通じてる?」フルフル

モバP(やだ、何このビビってる涼ちゃん可愛い)

『…………、……………………』ヒヤッ

涼「ぃひっ!?」ビクンッ

小梅「あは、えと、ね……私のこと、守ってくれて、こちらこそ、ありがと……涼さんも、無事でよかった、って」

小梅「あ、あと、今日のライブも、すっごく、よかったよ、だ、だって……」エヘヘ

涼「そ、そう……あ、あは、あははは……」フルフルフル

モバP(後々何かに使えそうだから、この涙目ヘタレ笑顔は撮っとこう、うん)パシャー

モバP「さて、そろそろ警察の人とかも着いてるだろうし、いい加減着替えとかもしたいだろ? 控え室の方に移動しようか」

小梅「は、はい……!」

涼「あの……ごめん、ちょ、ちょっとだけ待ってもらえる?」

小梅「? 涼、さん?」

モバP「どうした?」

涼「や、その……安心して、気が抜けたのと……」

涼(さ、さっき、いきなり背筋にヒヤッと来たのとで……)

涼「こ……腰が抜けちゃって、さ……」プルプル

モバP「…………」

小梅「…………」

涼「なっ、なんだよその眼はっ!」プルプル

モバP・小梅(涼(さん)が可愛い……!)

小梅「ふふ、ふ、だいじょぶ、だよ……うん、ずっと、一緒、いる、から……」エヘヘ

涼「なっ、なんだよっ、そ、そんな優しい笑顔で頭撫でてくんなって!」ワタワタ

モバP(うっわぁ涼相手にお姉さんぶってる小梅とか超レア&激可愛い〜!)デレデレ

モバP(そして涼の方も涼の方で、普段キリッとしてるのとギャップがあって……一言で言うとヘタレ可愛い)プププ

モバP「でもまあ、あんまり長くこんなとこに居ても仕方ないしな……。ってわけで——ちょっと失礼ー」グッ ヒョイッ

涼「ひゃぁっ!? ちょ、ちょっ、何すんだよPサン!!」

小梅「わ……お、お姫様、だっこ…………ちょ、ちょっとだけ、ぅ、うらやま……し……」ジーッ

涼「なっ、はっ、恥ずかしいだろっ、下ろせよっ!」ジタバタ

モバP「ああもう暴れんな落としちまうだろ! いいから! 珍しく俺が小梅よりお前のこと優先してんだから、素直に受け取っとけ!」

涼「な……」カァァ

モバP「ほら、ライブやりきった上にあんな立ち回りまでやったんだ。いくらお前でもそろそろスタミナ尽きてるだろ……わかってんだよ。控え室までは運んでやっから、じっとしてろ」

涼「ぅ、う……わ、わかった、よ……」モジモジ

モバP「ったく。こんなほっそい体で、無茶しやがって……」ブツブツ

涼(……Pサン、手、少し震えて……? ……心配、させちゃった……のか)シュン

涼(それに、あの男達と戦って、こんな、ぼろぼろに……)

涼(ゴメン……でも、肝心なとこでは、ちゃんと来てくれて……ありがと、ね)ギュッ

モバP「…………あの、涼サン? ひとつイイデスカ?」

涼「何そのそのカタコト喋り。どうかした?」

モバP「いや、自分で抱き上げといて何だけど……そこまで密着されると胸が当たってちょっとアブナイ気持ちになガペッ!!」ゴツッ!!

モバP「無防備な顎に良いのもらって、それでもアイドルを床に落とさなかった俺はもっと褒められてもいいと思うんだ」

涼「うるさいこの馬鹿! 変態! だからさ、なんでPサンはそう——」ガミガミ

モバP「あーもうわかったわかったから黙って運ばれてろ。で、何だ? 小梅」

小梅「ぷ、プロデューサ、さん……」クイックイッ

モバP「なに? かがめって?」ヨイショ

小梅「ん……」ガシッ

モバP「……で、俺の背中に張り付いて何しようってんだ」

小梅「わ、私も、つ、疲れた、から……」

小梅「運ん、で?」

モバP「涼と違って自力で俺の背中にぶら下がってるんだから、結局腕が疲れる気がするんだが……」

モバP「だがそんな風に小梅に耳元で囁かれて奮起しないプロデューサーなどいない。任せろぉ」ガバッ

小梅「ぉ、おおー……!」ブラーン

涼「……やっぱり変態じゃない」

モバP「うるせえやい。んじゃ行くぞー」

小梅「そ、そういえば、プロデューサーさん」

モバP「なんだー? 耳がくすぐったいからもっと喋ってくれていいぞー」

涼「…………」ゴスゴスゴス

モバP「おい鳩尾はやめろ鳩尾は。……で、どうした?」

小梅「う、うん、あの……そういえば、ひ、ひとつ、気になったん、だけど……」

小梅「あ、あの子が付けた、手形とか、足跡、とか……どう、したのかな、って」

モバP「え? そりゃどうもこうもする暇なんて——」

< ッギャー!!? カベイチメンニテガタガー!!
< ヒィッ! マ、マッカナアシアトガテンテントー!!
< ナンジャコリャァーー!!?

三人「………………」

涼「……どうすんの?」

モバP「いや、どうするって聞かれても……これもあいつらがイタズラしましたーとか言って誤魔化せないかなぁ……」

涼「「コウメ アブナイ」のメッセージ辺りでアウトじゃない?」

モバP「だよなぁ。なんて説明しよう……まあとりあえずここ出るぞ、っと」ゲシッ ギィィ

小梅「……わ、わぁ……す、すご……!」キラキラ

涼「……ねえ、Pサン、コレのおかげでアタシ達も助かったって聞くと凄く美談なんだけどさ」

涼「こうして実際に見ると、普通にホラーなんだけど」プルプル

モバP「うん、俺も今更ながらにちょっと怖くなってきた」

涼「うう……なんか、まさに血! みたいな色してるんだけど……」

モバP「ああ、微妙に黒ずんだ感じがまさにそれっぽいっていうか……」

『……………………』

小梅「ふふ、り、リアリティに、拘り、ました、だって」ニコッ

モバP・涼(そんな職人魂はいらない)

モバP「ま、まあ何はともあれ、ライブも大成功だったし、変質者も無事とっ捕まえられたし! 一件落着ってことにしとこうぜ! な!?」

涼「そ、そうだね! それに比べたら、ここ、このくらいのこと、たっ大した問題じゃないよね! ね!」

モバP「そうそう! よ、よーし、帰るぞー」ノッシノッシ


< ...グッ、チョッ、コウメ、ズリオチテウデガクビニ、クビニカカッテルゥゴゴゴゴゴッ
< ヤッ、チョッ、オ、オトサナイデヨPサン!?
< コ、コレ、イガイト、タ、タノシ...(ブーラブーラ)
< オイマテ! コノフシゼンニカラダオモイノ『アノコ』ダロ!? サスガニソレハムリガ...ヌォアーッ!

………
……

小休止ー

駄目だ眠い
次回更新は本日中の予定

零時頃からラストまで投下予定

—後日


ちひろ「あ、お帰りなさーい。レッスンの調子はどうでしたか?」

涼「ん、ただいま。ばっちりだよ、次のライブもいつでも来いって感じ」

ちひろ「まあ、それはプロデューサーさんの仕事ですからねえ。あ、ちょっとごめんなさい、電話が……はいCGプロです」

涼「ちひろサンも、お疲れ様。さて、と……休憩室は誰か居るかな」

涼「やっほ」ガチャ

小梅「〜〜〜〜♪ あ、りょ、涼さん、おつかれ、さま、です」フリフリ

モバP「〜〜♪……って、げぇっ、涼!!」ビクッ

涼「…………」

涼(Pサンが小梅を膝上に座らせて……部屋の様子からすると、ちょうど映画でも見ようとしてたのかな)

涼(……ていうか、その構図他人に見られてヤバい自覚があるならしなきゃいいのに)

涼「……で、何やってんの?」

モバP(……あれ? 殴られ……ない!?)ガーン

小梅「し、新作、借りて、きた、から……ぷ、プロデューサーさんと、一緒に、上映、会……」エヘヘ

涼「お、いいじゃん、アタシも混ぜてよ」

モバP「でも思いっきりスプラッター系だぞ?」

涼「……べ、別にいいよ? 小梅と一緒に見れるなら、さ」

小梅「……ん、わ、私も、涼さんと、一緒、うれ、しい……えへ、へへ……」

モバP・涼(あー……この笑顔だよ……)ホワァ

モバP「と、ところであのー、涼さん?」

涼「何? 喋り方キモイよ?」

モバP「(グサッ)……あーいや、別に、その。以前ならこういう時、問答無用で即鉄拳制裁だった気がするんだが」ビクビク

涼「んー……」ジー...

モバP「…………」ドキドキ

小梅「?」キョトン

涼「……その状態から、まあ、手を握ったり頭撫でたりくらいならセーフ、かな。抱きしめたらアウトで」

モバP「か、髪をモフるのは?」

涼「」ニコッ

モバP「」ニ...ニコッ

モバP「結局一発殴られた……」

涼「だから何でPサンはそう変態チックな方向にばっか思考が行くの? 死ぬの?」

モバP「うっ、うるせえやい! お前、小梅がこうしてここに居るんだぞ!? なら愛でない理由があるか!!?」

涼「うん、まあ、たしかに理由はないけどさ」

モバP「だろぉ!?」

小梅「ぁぅ……」カァ

涼「でも、アタシは同性だから許されるけど、男のPサンは駄目」

モバP「男女差別はんたーい!」

涼「って、あー、もう……そういう話がしたいんじゃなくって」

涼「……この前の、あの件。その後どうなったの?」

モバP「ああ、ライブの時のやつか。とりあえず、あの侵入者二人は調べてみたら余罪がゴロゴロ出て来たらしくってな。まー当分豚箱から出てこられないだろ」

モバP「出てきたとしても、なんかアイドルがトラウマになってるらしいから、もう俺達に関わってくることはないと思う」

涼「あー、真奈美サンと早苗サンが二人でボッコボコにしてたもんね……」

小梅「か、かっこ、よかった……!」

モバP「ま、仮に、あいつらがさらにまだ何か企んだとしても、今回ので業界のブラックリスト入りしたそうだから、よっぽどのことがない限り、企みを実行に移す前に潰されるはずだ」

涼「……ん、そっか。わかった」ホッ

モバP「あー、あとは小梅の友達がハッスルしちゃった劇場の方なんだが……」

モバP「……なんかあれ以来、劇場内のあちこちで心霊現象が多発するようになったらしくてさ……」

涼「え」

モバP「よく聞くと、観客の手拍子にラップ音が混じってるとか、照明落とすと、観客席で揺れてるサイリウムの数が明らかに客の数より多いとか、劇場内で記念写真撮ると、必ずどっかに変な影が映り込んでるとか……」

涼「え、ちょ、ちょっと待って。……それ、マジで?」

モバP「マジだ。ネットでも軽く噂になってる」

涼「……それ、この前のあれが原因だとしたら、うちが訴えられたりしないの? こう、営業妨害か何かで」

モバP「いやそれがな。心霊現象が起こるといっても、機材が原因不明の故障を起こすとか、来た人が祟られるとか呪われるとか、そういう、イベントを妨害するようなものではないんだよ」

涼「ん、んー……まあ、聞いた例だとたしかに邪魔はしてないっていうか……むしろノリノリな感じ?」

モバP「そうなんだよ。だから「幽霊にも人気のライブホール」とか言ってその筋の話題を集めて、逆に以前より収益も上がったらしい」

涼「うっそぉ……」

モバP「小梅の友達がやらかしたあれも、最初は塗り直す予定だったのが、劇場の目玉として残しとくことになったらしいぞ」

涼「えぇー……」

モバP「噂の真相を確かめようと思って、この前、小梅連れてちょっと様子を見に行ってみたんだけどさ」

小梅「う、うん……い、いっぱい、居ました……!」エヘヘ

涼(……人、人がだよね。うん、何がとは聞かないでおこう)

モバP「ああ、ほんと大勢居たらしいな。——霊が」

涼「言うなよ! 聞かなかったんだから!」

モバP「俺は見えなかったけど満員御礼だったらしいかんね。そりゃもう観客席を埋めつくさんばかりにウヨウヨと……おいやめろ無言ですねを蹴るな」

小梅「わ、私とか、りょ、涼さんの、ファンも、いた、よ……!」ニコニコ

涼「それ生きてるファンじゃないよな!? 流れ的に絶対霊だよな!?」

小梅「うん」

涼「あっさり頷かれた!」

モバP「落ち着け、どうどう。えーと、まあそんな感じで、この前の一件についてはもうこれ以上気にしなくて大丈夫だ」

涼「別の方向で気になることが増えたよ……うわぁ、もうあそこでライブできないじゃんか……」プルプル

小梅(あ、頭抱えて震えてる涼さん、可愛い……)フフ

モバP(向こうから「あのお二人がまたライブをする際は、是非うちで!」って熱烈歓迎されてることは内緒にしておこう)ウン

涼「うん、まあ……わかったよ。教えてくれてありがとね、Pサン」

モバP「他に聞きたいことはないか? んじゃそろそろお待ちかね、上映会始めるぞー」

小梅「りょ、涼、さん、早、く……!」ワクワク

涼「わかったわかった。ドアに『注意・ホラー映画鑑賞中』の札かけて、っと……」

涼「ん、お待たせ。再生していいよ」ポスッ

モバP「……あの、涼さん? なにゆえに俺の隣に座ってらっしゃるのでせう?」

涼「……この席が一番テレビ見やすいんだから、仕方ないだろ。ほら、もうちょっとそっち寄って」

モバP「ああもう狭いのに押すな押すな!」ギュウギュウ

涼「一応言っとくけど、映画見てる隙に小梅やアタシに変なことしたら即ぶっ飛ばすからね」

モバP「あーもうわかった、わかったから、小梅、さっさと再生しちゃってくれ」

小梅「う、うん、じゃあ……はじ、はじめる、ね……!」ポチットナ

……


< キシャァーッ! ブシュッ グシュッ 『Aaaaaaaaa!!』『Help! Heeeeeeelp!!』  ドブシュゥゥ!

小梅「ゎ……ぉぉ…………!」ワクワクテカテカ

涼「うわ……ちょ、あ、やだそれ、うわ、ぁぁぁぁぁ……」ガクガク

モバP(こ、小梅の付き合いで慣れてきたつもりだったが、今回はまた派手な……)ゾゾゾ

モバP(膝上に乗せた小梅を適宜クンカクンカして気力回復してなければSAN値がヤバかった……!)フゥ

涼「や、ぁ、ぅ、そ、そんなところまで……ああ駄目痛い痛い痛い痛い……!」ブルブル

モバP(……というか、何故涼は俺の手を握ってるんだろうか)

モバP(そういえば、こいつが小梅と映画見る時も、だいたい小梅を膝上抱っこで見てたなぁ)

モバP(映画と言ってももちろん小梅オススメのスプラッター系見る時の話だが。つまり小梅は、涼にとっても貴重なSAN値回復要員だったわけか……)

モバP(となると今のこれはどう解釈したもんだろう。小梅にすがるつもりで誤認してるのか、それとも……)

モバP(…………)モワモワ

モバP(……ま、細かいことは今はいいか)フゥ

小梅「…………!」キラキラ

涼「〜〜〜…………!!」ガタガタ


モバP(殴られもシメられもせず、三人一緒に映画を見る……)

モバP(こんな平和な時間、しっかり満喫しとかなきゃあな)ハハッ


おわり

……


モバP(……とはいっても、まあ見てるものがそもそも全然平和じゃないんだけどなー)トオイメ


< ♪チャーチャーチャー...チャーン(エンドロールのテーマ)


涼「……ゃ、やっと、終わった……」グッタリ

小梅「ぉ、面白、かった……!」ツヤツヤ

モバP「おう、今回はなかなか刺激的だったな」

モバP「ところで涼」

涼「……何?」ゲッソリ

モバP「……そろそろ俺の腕放してくれないか?」

涼「…………え?」ギュー

モバP「…………」ムギュー

涼「…………え、あ、はっ!?」バッ

モバP「おう、ありがと。あー肩こった」グルグル

涼「……? ……!?」コンラン

モバP「いや、最初は手握ってるくらいだったのに、(スプラッタシーンの)クライマックスあたりから腕に抱きついてきて……」

モバP「映画も盛り上がってるところだったから、言うに言えず、振り払うわけにもいかずで……涼?」

涼「…………こ」カァァ...

モバP「りょ、涼さーん?」

涼「この変態プロデューサー!!」ドガッ!!

モバP「理不尽ッ!!?」ゴフゥ!

小梅「ふふ、ふ……」


小梅「み、皆、仲良しで……い、いい、ね」エヘ


ほんとにおわり

くぅ疲
とりあえず本編はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
例によって、あとでまた幾つかおまけネタ投下しに来ると思いますので、よければそちらもどうぞよしなに


途中で工□い展開期待した人は、向こうで早苗さんと真奈美さんが呼んでるので出頭してくださいね(ニコッ

鯖も蘇り、真奈美さん早苗さんにもシメられ終わったのでおまけ投下しまー

—おまけ1・実は強い?


涼「あの時、最初から時間稼ぎが狙いだったっていうのはわかったんだけどさ」

涼「どうせなら、そのまま一人でやっつけてくれたらもっと格好良かったのになー」フフッ

モバP「と言われてもなー。二対一で、しかもお前らを守りながらじゃあ、さすがに俺でもかなり厳しいと言わざるを得ないというか」ウーン

モバP「一人の相手してる間に、もう一人にお前らの方狙われたらその時点でほぼ詰みだし。だからあそこは、下手に戦うよりも派手に騒いで囮になった方がいいと判断したんだよ」

涼「何だよ、まるで一対一か、アタシ達守りながらじゃなければ勝てたみたいな言い方だね」ハハッ

モバP「ん? まあ他の条件にもよるが、多分勝てたと思うぞ?」

涼「……え?」キョトン

涼「え?」キョトン

モバP「おいなんで二回やった」

涼「ごめん聞こえなかった。もう一回言ってくれる?」

モバP「だぁかぁらぁ、あの程度の連中なら、俺一人でも倒せないことはなかったって」

涼「え?」

モバP「おい」

涼「あはは、いやいや冗談キツいよPサン。普段から、真奈美サンや早苗サンやアタシなんかにボコボコにされてるくせに」

モバP「そりゃお前、自分の担当アイドルに手ぇ上げるプロデューサーがどこに居るんだ」

涼「小梅にはしょっちゅう手ぇ出してるみたいだけど? ほら、昨日だって」

モバP「えっ、うわ、見てたのかよ。いや、あれは愛でてるだけなんで別だよ別」ヒラヒラ

涼「へえ……やっぱりアタシが居ない隙に小梅にちょっかい出してたんだ」

モバP「ん? ……あっ! 誘導尋問かよせこいぞてめぇ!」

涼「こんなカマかけに引っ掛かる方が悪い」ニコッ

モバP「オゥフ……」プシュー

涼「ほら、やっぱり弱いじゃん」パッパッ

モバP「いやだから手ぇ出せないって言ってんじゃん」ムクッ

モバP「言っとくけどな? 俺、学生の頃からちょっとかじってたし、プロデューサーになってからは、それこそこの前みたいな事態に備えて、ジムとか道場とか通ったりしてんだぞ?」

涼「んじゃどのくらい強いのか、こっからはPサンからの反撃有りでいいからやって見せてよ」クイクイッ

モバP「お前は人の話を聞いてるのか。まったく、下手に攻撃しちゃ怪我させかねないから、普段は胸を揉む以外を禁じ手にするというハンデをくれてやってるというのに……」ヤレヤレ

涼「暴力行為は駄目だけどセクハラなら可って、Pサンの判断基準は一体どうなってんの?」

涼「ほら、アタシなら構わないからさ、どれだけ強いのか実演して見せてよ」

モバP「なんでそんな絡んでくるんだお前は。そんなに胸揉まれたいのか?」

涼「なっ……ばっ、そ、そんなわけないでしょ!」

涼「ただ、そう、この前みたいなことがまたあるかもしれないし、Pサンの実力が信頼できるレベルのものなのか、確かめときたいだけだっての!」

モバP「あーはいはい、わかったわかった」

モバP「そこまで言うなら見せてやってもいいが、事務所内で暴れんのは迷惑だし危ないからな」

モバP「近所に俺が通ってた道場あるからそこ行くぞ。小梅も呼んで、あとは動きやすくて、はだけたりする心配のない服持ってこい」

涼「ふふっ、変態プロデューサーの真の実力とやら、見せてもらおうじゃない」

—近所の道場


涼「へえ……立派な道場だね。今日は、よろしくお願いしぁーっす!」ペコッ

モバP「おう、礼儀正しくていいことだ。じゃなくて」

モバP「 小 梅 は ど こ だ よ 」ギロッ

涼「レッスンあるのに連れてくるわけないでしょ」シラッ

モバP「ああ!? んじゃ俺の、『涼をコテンパンにやっつけて、小梅から「ぷ、プロデューサー、さん……かっこいい……!(キラキラ」って言ってもらおう大作戦』はどうなるんだよ!?」クワッ

涼「心配しなくても、アタシをボコボコにした時点で小梅の好感度だだ下がりだから」

モバP「言い切りやがったな!? 自分の方が俺より小梅と仲いいとでも言いたげだな!? おのれ、もはやこのモバP容赦せん」ギリッ

涼「ふっ、どっからでもかかってきな」

モバP「あ、待て。そういやルールをちゃんと決めてなかったな」

涼「Pサンからの胸を揉む以外の攻撃有りで、それ以外はいつも通りでいいでしょ?」

モバP「いや、俺からの攻撃が有りなら、お前の勝利条件も変更だ」

モバP「打撃でも投げでも何でもいいから、とにかくまともに一発当てられたらお前の勝ちで良いぞ」

涼「何ソレ、ベタ甘じゃない? そんなので勝負になるの?」

モバP「やってみりゃわかる。んじゃ、行くぞー」

涼「っし、来い!」

モバP「…………」ススス...ザッ!

涼(踏み込んできた! いつもみたいに、胸狙いの手を払ってカウンターで一発……)バッ

モバP「甘い」ガシ グイッ

涼「——え?」コテンッ

モバP「はい揉んだ。今お前、俺に胸揉まれたぞー。これで俺の一勝だな?」ワキワキ

涼(……え、なに今の)

涼(Pサンに腕を取られたと思ったら、いつの間にか仰向けに転がされて……)

涼(Pサンがフリだけで止めてなかったら、今のはほんとに胸、揉まれてた……!?)カァァ

涼「ちょっ、ちょっと待って! なに今の!?」ガバッ

モバP「だぁから言ったろ。胸揉み以外も有りなら負けねえって」パッパッ

涼「っ……い、今のはちょっと不意を突かれただけだよ! もう一回! 今度は本気で行くから!」

モバP「おう、別に構わんぞー」スッ

涼(くっ、何この余裕の態度)

涼(い、今のは、いつもがいつもなだけに油断しただけ!)

涼(だって……こんな変態プロデューサーは実はガチで強いとか、マジで洒落になんないでしょ!?)

涼「今度はこっちから……行くよっ!」ザッ...!

モバP「おう、来い来い」クイクイッ

涼「……ったぁ!」バッ

モバP「はいらっしゃい」スッ グイッ ステーン

涼「……!?!?」ベシャァ

モバP「ハイ二揉み目。この体勢からでも、床と体の隙間に手ぇ突っ込めばいくらでも……いやむしろこれは、体重で胸と床にプレスされるから、より揉みごたえがありそうですなー」ワキワキ

涼「くっ……!」カアァ

涼「ま……まだだよ、アタシだってあの真奈美サン早苗サンから直に指導受けてるんだ……このくらいでへこたれてなんかいられないよっ!」ガバッ

モバP「ククク、では来るがいい若人よ。人生の先輩が軽く揉んでやろう——文字通りの意味でな!」ドヤァッ!

涼「っく、負けてること以上にあのドヤ顔が凄く腹立つ……!」

モバP「さて、ただ揉んだり揉まれたりを繰り返すだけじゃつまらんし、ここからはステキなBGMと共にお楽しみいただこう。ミュージック、スタァートゥ!」パチンッ

  ♪〜〜〜〜(前奏)
  ♪チッチチッチ オッパーイ ボインボイーン(ボインボイーン)

涼「そおりゃぁっ!」ダダッ

  ♪チッチチッチ オッパーイ ボインボイーン(ボインボイーン)

モバP「ハイこれで四揉み目ー」ワキワキ

  ♪モメ・モメ・モメ!

モバP「ゥーワオ!♪」ビシッ

涼「合の手入れてんなぁっ!」イラッ

  ♪モ・メ モメモメ チチヲモメ!

涼「ぬっ、こ、このっ……!」

  ♪モーメプリリン ポヨンモメー

モバP「はい残念。これで七揉み目だな」ワキワキ

  ♪モーメポロロン プヨンモメー

涼「〜〜っ///、ま、まだまだぁ!」

  ♪マンマルチチッチ サンカクオッパァイ ロケットボイーンー

モバP「こうやって両手取られてー」パシッ

  ♪ヤサシク(モメ!) ハゲシク(モメ!)

モバP「んでこの体勢じゃ蹴りも無理だからー」グイッ

  ♪ナンドモ(モメ!) シツコク(モメ!)

モバP「こっからのパフパフは不可避だよな。一揉みにカウントしていいな?」

  ♪ァムォォォルェェェェ!!(ィエー!)

涼「くっそぉぉぉ!?」

  ♪チッチチッチ オッパーイ ボインボイーン(ボインボイーン)

モバP「早く抜けないとカウントどんどん増えるぞー。はい十三・十四・十五……」ワキワキワキ

  ♪チッチチッチ オッパーイ ボインボイーン(ボインボイーン)

涼「だぁぁぁっ! こっ、こんのぉぉぉぉっ!!」

  ♪ヘィカモッ! チィッチチッチ オッパァーイ ボインボイーン!(ボインボイーン!)

モバP「フハハ、冷静さを欠いた突進などただの的だ! 二十六!」ワキッ

  ♪チィッチチッチ オッパァーイ! ボインボイーン!!(ボインボイーン!)

  ♪ハイモメ! モメモメモメ! チチヲモッメェェェ!!

モバP「——揉めぇっ!!♪」ビシッ

モバP「……フ、以上、作詞作曲モバPの『乳を揉め!』でお送りしました」キリッ

モバP「ちなみに戦果は全勝。ちょっと大人気なかったかなぁ」ハハハ

モバP「そのせいでホラ、涼もすっかり大人しく……あれ? 涼ー?」

涼「…………」スン

モバP「…………」タラーリ

モバP(あ、あれ、もしかして悪ノリし過ぎた?)ダラダラ

モバP(涼が、向こう向いて三角座りしたまま全然動かない……)

モバP(や、ヤバい、やり過ぎたか!? いくらなんでも、セクハラでマジ泣きさせるとか洒落ならん!)

モバP「お、おーい、涼ー……? だ、大丈夫、かー……?」ソーッ

涼「」ガッ

モバP「え」グイッ

ビタァンッ ギリィッ!!

モバP「ぬぉあっ、こっ、これはまさか、腕ひし……ぎっ、ぎああああああギブギブギブ!!?」ギリギリギリッ!

涼「……えーとぉ、プロレスってテンカウントだったっけー? まあ、十より長く取る格闘技って無いはずだからぁ、そこまで数えれば確実に一本だよねー。はい、いぃーちぃ……」ギリギリギリギリッ...!

モバP「まままっままっまっまっま待て待て待て! こっちギブっつってんだからカウントも何m……あばばばばば痛い痛い痛いっ!!」ギリギリギリギリ

涼「にぃーいぃ…………さぁーんー…………」ギチギチギチギチ

モバP「ふおおおおおぉぉぉぉぉぉ……お、おまっ、そんなに怒っ、ぃぃいやいやいや洒落ならんコレ、だっ、らっ、らぁめぇぇぇぇぇぇぇ腕折れちゃうのほぉぉぉぉぉっ!」バンバンバン

涼「……えぇーと……カウント忘れたからもっかい1からでいいかなぁ」ミシミシミシミシッ

モバP「あがびゃばばぼべかほっ、ほぁぁぁぁぁ…………! ぎっ、ぎぃぃぃぶぅぅぅぅぅ!! いやごめん無理マジで無理ムリムリムリこれ以上はむぅーりぃー!!!」ガクガクガク

モバP(あ……でもこれ……地獄のような激痛の中で、腕が色々大事なトコロに触っちゃってる感覚が……)ホワァ...

涼「……っせい!!」ゴキャァッ

モバP「Oh」

……


モバP「あ゙ー、本気で腕折れたかと思った。いてててて……まだろくに物持てん」ヨロ...

涼「乙女をあれだけ辱めといてそれだけで済んだんだから、むしろありがたいと思ったら?」フンッ

モバP「俺、まだこれから事務仕事あるんだけど」

涼「……だから?」ギロッ

モバP「ハイ、頑張ります、スイマセン……」ヘコヘコ

ガチャッ
モバP「ただ今戻りましたー。と、とりあえず湿布、湿布を……!」

涼「ああ、じゃあさっきのお詫びにアタシが貼ってあげるよ。はい」ベチーン!

モバP「」ギャァ

モバP「……というか、いつの間にか当初の目的忘れてるじゃないか。おい涼、俺の実力は信頼できそうかよ?」

涼「……まあ、口だけじゃないってことはわかったよ」

涼「それがアイドルに向かない限りは信頼しててあげる」ジロッ

モバP「安心しろ、こういう冗談で済む範囲外では死んでもやらん」

涼「ふーん?」

モバP(今回ちょっと危なかった気もするけど)

涼「そういえばさ、アタシじゃ全然太刀打ちできなかったけど、真奈美サンや早苗サン相手だとどうなの?」

モバP「ああ、あの二人は俺でも無理。ガチで無理。なんかの話の流れで一回手合わせしたことがあるんだけど、かなり本気で行ったのに勝てなかった」

モバP「やっぱり「自分の担当アイドル」っていう最後の枷があるからな……あの二人に勝とうと思ったら、それこそプロデューサーとしての職も命も尊厳も何もかも投げ捨てて、一匹の飢えたケモノモードで襲いかかるくらいでなきゃ無理だわ」

涼「ふーん……やっぱあの二人って色々と別格なんだね」

モバP「ああ、あの二人だけは下手に敵に回しちゃいかん」ウンウン

涼(……そういえばアタシが最後にようやく技決められた時も、アタシが本気で……いや、ちょっとだけ本気で泣き入りそうになったら、途端に隙だらけになってたし……)

涼(そういう意味で、この人、ほんとに芯から「プロデューサー」なんだな……)フフッ

モバP「あってめ涼、何だその、弱いものを見るような優しい視線!?」

涼「ん、別にー?」フフ

モバP「こんにゃろ……今日俺に何回胸揉まれたか、もう忘れたようだな……!? 次からは『俺からの攻撃禁止』プラス『尻揉んだら勝ち』にハンデ拡大してやろうか? んん?」

涼「なっ……だからPサンはさぁ! 何でそう表に出てくる一々言動が変態なんだよ!?」カァ

モバP「ハッ、悔しかったら実力で俺を倒してみせろ」フハハ

真奈美「ちなみに、今日は何回くらい揉んだんだい?」

モバP「えーと、三十と……終盤カウントも適当だったけど、たしか四十には届いてなかったはずで……って、あれ?」

真奈美「ほう」ニコッ

早苗「へぇ〜」ニコッ

モバP「」

ガチャッ
小梅「い、いま、怪物に全身ひき、引きちぎられた、犠牲者みたい、な、悲鳴、が……!」ワクワク

真奈美「おや小梅、お帰り。残念ながら映画を見ているわけではなく、プロデューサー君の地声だよ。だが……」

< ダッ、ダカラリアルパイタッチジャナクテ、モギセンデノエアモミデッ
< ウン、エアダロウトフリダロウト、セクハラニハチガイナイヨネ? シメル♪
< アーハイ、タシカニソノトオリデススイマs……ホッギャァアッァァァァアァァァア!

真奈美「あの通り、現在進行形で処刑中だから、興味があるなら見物に行ってくるといい」

小梅「う、うん、ぃ、いって、くる、ね……!」キラキラ

小梅「プロデューサ、さん、今度は、ど、どんな風に、なってる、かな……!」タタタッ

真奈美「……何やら、すっかりエンターテイメント扱いになっている気がするな。他の年少組の教育上、それでいいのかという気もするが」

真奈美「それで、涼。私に話とは?」

涼「うん、その、お願いがあるんだよ……アタシを、もっと鍛えてほしい」

真奈美「ほう? 以前頼まれた時、これくらいの技術と心得があれば最低限の自衛は可能だろう、というレベルまでは叩き込んだつもりだったが」

涼「それじゃ足りないみたいなんだ。だから、迷惑かも知れないけど、もう一回頼みたい。——お願いします! 真奈美サン!」ペコッ

真奈美「顔を上げなさい。迷惑なんかじゃないさ、私としてもその、なんだ……自分より年下のアイドルと、こうして交流できるのは少なからず嬉しいことだからね」ポリポリ

涼「それは、えっと……やっぱり、なんていうか……自分の年って、気になるもんなの?」ヒソヒソ

真奈美「ん、まあ……まったく気にしていないと言えば嘘になる、かな」ヒソヒソ

真奈美「特に私は、しばらく前までずっと海外に居たからな。「最近の若い子」に対しては、同じ日本で生活していた同世代の女性よりも無知だという自覚がある」

真奈美「だから……ここだけの話だが、君や小梅のような若い子が、頼みごとをしてきたり、映画に誘ってくれたり、そうやって普通に接してくれるのは私としても嬉しいんだよ」

涼「ふふ、そうか……これからもよろしくね、真奈美サン。小梅とも仲良くしてやってよ」

真奈美「ああ、望むところだ」フフッ

真奈美「さて、特訓のことに話を戻すが、……本当に構わないのかい?」

涼「? こっちから頼んだことなんだし、真奈美サンさえいいならアタシが構うも構わないもないと思うんだけど」

真奈美「いや、最終的にどこまでいくにしろ、この前教えたこと以上のレベルに達したいなら、特訓の内容もそれ相応にハードになるからね」

真奈美「それに私は、君のアイドルとしての活動を邪魔してまで、本業とあまり関係ない特訓を施すつもりはない」

涼「……つまりこういうこと? 特訓をお願いした場合、アタシは正規のレッスンと並行して、真奈美サンからの厳しい特訓を受けなければならない……」

真奈美「Exactly(その通りでございます)」

涼(うわ、さすが、発音も完璧だ)

涼「……ん。でもいいよ。覚悟はできてる。それで構わないから、お願いするよ」

涼「アタシも……真奈美サンみたいに強くなりたいんだ」

真奈美「ふふ、私に並ぼうというのは、率直に言って無謀と言わざるを得ないな……だが、そこまで言うならば任せておけ」

真奈美「ちなみに……そこまでする気になった理由を聞いてもいいかい?」

涼「んー……その、出来れば他の人には秘密にしてほしいんだけど、さ」

涼「この前みたいなこともあったし、小梅をもっとちゃんと守れるようになりたい、っていうのもあるんだけど……」

涼「……アタシも、Pサンのお荷物にはなりたくないって、思ってさ」

涼「だから……頼むよ、真奈美サン」

真奈美「ふふ、そうか。わかった。では、細かい日程はまたちゃんと話し合って決めるとしよう」

涼「うん、お願い。——それじゃ、これからよろしくお願いします、師匠!」ビシッ

真奈美「師匠……響きが何だかいかついから、せめてコーチにしてくれないか?」

< ガチャッ ナニナニ、ナンノハナシ?ー オネエサンモマゼテクレル?
< ウン、サナエサンモテツダッテクレルト、スゴクココロヅヨイヨ!
< コレハ...スケジュールヲヨクネラナイト、ハードニナリスギルナ...

< ワイワイ...

……



モバP「あの、ちひろさん。なんか最近涼のやつがガチで強くなってきて困ってるんですが」ボロッ

ちひろ「いや、知りませんよそんなこと」



おまけのおわり

乙乙

エア揉みじゃなくてガチ揉みする薄い本はまだですか?

本編でもそうだったけど、涼ちゃんにはなんかセクハラしたくなるんだよな。仕方ないね乙π大きいしね
涼梅はほぼ大前提なんだけど、涼→P→小梅みたいな三角関係もすごく美味しいです^q^

これから木場さんとこに出頭してくるので、釈放されたらおまけ2も書きます
ではではー

>>153
>>55あたりからのBAD分岐で、涼は小梅を守るために男二人に体差し出すんだけど快楽に溺れさせられてだんだんわけわかんなくなっていってふと気づいたら隣で小梅も、までテンプレ展開として浮かんだけど、それ書いたら俺は涼梅Pとして自分を去勢しないといけなくなるのでそんな悪いネタは心のパンドラボックスにしまわれました
よかった! こんな可愛い二人がレイープされる世界線なんてなかったんや!
薄い本なんか出すなよ! 絶対出すなよ!

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