月「私はキラです」 L「!?」 (250)

L(ま……まさか…… 何を言ってるんだこいつ?)

L(夜神月……キラである可能性5%未満)

L(しかしキラがキラだと言うはずがない)

L(第一こいつは私がLであることすら知らないはず……)

L「いえ、キラは私です」
ワタリ「奇遇ですな、私もキラですよL」
松田「僕は松田です」
吉良「私が吉良だ」

月「その反応……やはりあなたがLでしたか」

L「!?」

月「いやあ僕はついてる。一発目で当たりを引くなんて」

L「あ、当たり……?」

月「ああ。つい最近まで、僕の部屋には64個の監視カメラが付けられていたからね」

L「! (こいつ……やはり気付いて……)」

月「そんなことができるやつはL以外には考えられない」

L「…………」

月「しかしLは監視カメラを撤去した。それはそれ以上監視を続けても僕がキラとしてのボロは出さないと分かったから」

L「…………」

月「ならば次に打つ手は必然、僕に対する直接的接触に限定される」

L「……………」

月「大方、僕に対して自らがLであると名乗り、先手を打つつもりでいたんじゃないかな? はは」

L(こいつ……!)

L「……しかし何故、私がLだと……?」

月「ん……そりゃまあ、カメラが撤去された直後にこんな怪しい奴が自分の近くに現れたら普通は疑うだろ。しかも二回も」

L(センター試験と、二次試験の時か……)

月「ましてや東大入試を全科目満点なんて芸当、僕以外にできるやつがいるとしたらL以外に考えられないしね」

L「…………」

月「だからカマを掛けてみたんだけど……どうやら当たりだったようだね」

L「……夜神君」

月「ん? 何?」

L「もし私がLであるとして……なぜ自分がキラであると言う必要が? それはもう諦めたということですか?」

月「さあてね」

L「…………」

月「僕が今ここで何を言おうが、それだけで僕を捕まえることなんてできないだろう」

L「それはそうですが」

月「もしかしたら、僕は今から五秒後に『今のは全部ウソでした』なんて言うかもしれない」

L「…………」

月「まあ色々考えてみたらいいよ。時間はたっぷりあるんだから」

L「…………」

月「それじゃあまた、キャンパスで」

L「……ええ」

L「…………」

L(夜神月……まさか本当に……?)

L(いや、監視カメラに気付き、自分がキラ容疑者と疑われたことに対する意趣返しのつもりなのかもしれない)

L(私の推理力を試し、私が真のLだと分かったら捜査協力を申し出る、とか……)

L(キラとして自白をしたと考えるよりは、その方が自然な気も……)

L(……まあいい。何にせよキラである可能性がある以上、手は打つべき)

L(自分からキラ宣言をした以上、多少踏み込んだ捜査をされるのも計算の内だろう)

L(しかし捜査本部は使えない……監視カメラを撤去したばかりなのに家宅捜索など……ましてや夜神局長の自宅……)

L(夜神月が自白したなどと言っても信じてもらえないだろうし……それこそ夜神月本人が『Lの力を試すためにウソをついた』で通る)

L(私とワタリ……いや、人目につくとまずい……私一人でやるしか……)

L(…………)

~一週間後・夜神家~

L(今日は夜神家の人間は誰もいない)

L(夜神局長は捜査本部に泊まり込み。母親と妹は祖母の家に行っている。そして肝心の夜神月はサークルの新歓合宿)

L(キラとしての物的証拠を押さえるチャンスは今しかない)

L(……よし)ガチャ

L(……とりあえず夜神月の自室から探すか)スタスタ

L(! 紙切れもシャーペンの芯もなくなっている……ドアノブの位置も……)

L(……「どうぞお好きに調べて下さい」ってことか……)

L(ならお言葉に甘えるとしよう)ガチャッ

L(……見た感じ、監視していた時と変わりはないが……)

L(? 机の引き出しが僅かに空いている……)

L(罠か? いや……)ガラッ

L「! これは……?」

L「DEATH……NOTE……?」ペラッ

L「……『このノートに名前を書かれた人間は死ぬ』……?」

L「まさか……これがキラの力……?」ペラペラ

???「お、流石は名探偵。もう見つけたか」

L「!?」

???「よう」

L「なっ……」

???「そんな顔するなよ。俺は死神のリューク。そのノートの落とし主だ」

L「し……しにがみ……だと……」

リューク「ククッ。そんな面食らったような顔するなよ」

L「……死神……そうか、それがこのノートの力……」

リューク「ククッ。流石に理解が速いな。でももうちょっとゆっくりしといてくれ」

L「?」

リューク「面白いものが見られるからよ」

L「……何を言ってる……?」

ガチャッ……

L「!? な、何故家のドアが……」

リューク「ククッ」

月「うーん……なんで家に戻ろうと思ったんだっけ……?」

月「何かすごく大事な用があったと思うんだけど、いまいち思い出せないな……」

月「でも右手の甲に僕の字で『至急 自室へ戻れ』って書いてあるしな……」

月「まあ行ってみたら思い出せるかな」トントン

月「? ドアが開いてる……?」ギィイ

L「!」

月「! りゅ……流河!? な、なんで僕の部屋に!?」

L「えっ。あっ、いえ……」

月「な、何考えてるんだお前……まさか泥棒しに来たのか!?」

L「ちっ、違いますよ! というか夜神君には見えていないんですか?」

月「え? 何が?」

L「何がって、この死神……」

月「死神? 何馬鹿なことを言ってるんだ流河……夢でも見てるのか?」

L(……ウソをついているようには見えない……いや、だが……)

L「じゃ、じゃあこのノートは?」

月「ノート? 何だこれ」

L「この部屋にあったノートですよ。まさか知らないはずはないでしょう」

月「いや、知らないが……?」スッ 

(ノートに触れる月)

月「!!??」

月「がっ……あっ……!?」

L「! 夜神くん!」

月「お、お前は……な、なん……!?」

リューク「ククッ。俺は死神のリューク。このノートの落とし主だ」

月「し、死神……!?」

リューク「ああ」

L(この反応……まるで今初めて死神を認知したかのような……?)

L(いや、だがおかしい……そもそもこのノートはこの部屋に……)

月「死神……そしてデスノート……そうか、それがキラの能力の秘密か……!」

L「ええ、どうやらそのようで……」

月「そして……キラはお前だったんだな……流河」

L「!?」

月「危うく嵌められるところだったよ……まさかキラ探しの張本人がキラだったなんて……」

L「な、何を言ってる……このノートはこの部屋に……」

月「そんな証拠がどこにある」

L「! (か、カメラ……は撤去したのか……私が)」

月「大方そのノートを僕の部屋に置き、その後またカメラでも設置するつもりだったんじゃないのか?」

L「ち、ちがっ……」

月「じゃあ聞かせてもらうが、そのノートはこの部屋のどこにあったというんだ」

L「こ、この引き出しの中に……引き出しが僅かに開いていて……」

月「馬鹿な事を言うな。仮に僕がキラだとして、そんな無防備なところに最大の物的証拠を入れておくわけがないだろう」

L「…………」

月「もし僕がキラなら……そうだな、引き出しを開けた瞬間にノートごと灰になるような仕掛けくらいは作っておくよ」

L「…………」

月「観念するんだな、流河。なぜお前が僕をキラに仕立て上げようとしたのか分からないが……そんなことは後で警察で聞けば済む話だ」

L「……夜神君」

月「何だ? 流河」

L「夜神君はあの日……入学式の日に、私に向かって言いましたよね? 『私はキラです』と」

月「ああ……言った」

L「あれはキラとしての自白ではなかった、ということですか」

月「そうだ」

L「! (こいつ……こんなにあっさり……)」

月「僕は元々、Lがキラではないかと疑っていた」

L「!」

月「お前も当然知っているよな? キラ事件が起こった当初の『リンド・L・テイラー』公開殺人事件」

L「…………」

月「あんなタイミングよく、キラが公開殺人をするなんて普通に考えておかしいだろう」

L「…………」

月「僕がキラなら、わざわざ自分の疑いが深まるような真似は絶対しない。『全世界同時生中継』なんて胡散臭すぎたしね」

L「…………」

月「だが実際にリンド・L・テイラーは死んだ。だとすると、あれはL側の自作自演とみるのが自然だ」

L「…………」

月「適当な第三者に罪をなすりつけるための、ね」

L「…………」

月「そして今回の監視カメラ設置。最初は何故僕が? と思ったが……」

L「…………」

月「思うに、キラは警察……それも、捜査本部の関係者しか殺せないような人間を殺したんじゃないか?」

L「…………」

月「だとすれば、捜査本部長を父に持つ僕に疑いが掛かるのも必然」

L「…………」

月「いや、そう疑っても不自然ではないように、そのような人間を選定して殺したと考えられる」

L「…………」

月「もっとも、誰を殺したのかまでは、一介の大学生に過ぎない僕には分からないけどね」

L「…………」

月「このような経緯から、僕はLがキラではないかと推理するに至った」

L「…………」

月「だから入学式の日にカマを掛けたんだ。監視カメラの設置以降、自分の周囲に現れた怪しい奴に目を付けてね」

L「…………」

月「もし流河がLなら、自白した僕にキラとしての物的証拠をなすりつけに来るだろうと思ったからね」

L「…………」

月「そしたら案の定だ。君はこの部屋に来て、死神付きの怪しいノートを僕の部屋に置こうとしていた」

L「…………」

月「さあ、何か反論はあるかい? 流河」

L「…………」

L「……確かに現時点では、夜神君の推理を否定する論拠はありません」

月「そうか、なら……」

L「しかし、私がキラであるという確証も無いはずです」

月「……そうか? このノートには、流河が書いた文字でも残ってるんじゃないか?」ペラペラ

L「……そのノートには、何かが書かれたページは1ページも残っていません。すべて切り取られています」

月「はは。まあそこまで間抜けじゃないか」

L「……!(こいつ……!)」

月「まあでもそれなら、最も事情をよく知ってそうなやつに聞いてみるとしようか」

L「!?」

月「答えろ死神。このノートは誰の物だ?」

L「! ………」

リューク「こいつの物だ」スッ

(流河を指差すリューク)

L「! なっ……!」

月「ほらみろ。決まりじゃないか」

L「ちっ、違う……! わ、私は……」

月「じゃあもう少し質問するぞ。死神」

リューク「ああ」

L「…………」

月「このノートは、流河が拾う前はお前が持っていたんだな?」

リューク「そうだ」

月「それがどういう経緯で流河の手に渡ったんだ?」

リューク「俺がそのノートを人間界の地に落とし、それをこいつが拾った」

月「それを証明する術はあるか?」

リューク「……厳密な証明は難しいが……少なくとも、こいつが現在のノートの所有者だということなら可能だ」

月「ほう。どういうことだ?」

リューク「人間がデスノートを拾った場合、そのノートの元の持ち主の死神がその人間に憑くことになるからだ」

月「なるほど。つまりお前が流河に憑いているということ自体が……」

リューク「ああ。こいつがノートの所有者であることの証明になる」

L「…………!」

月「……だそうだ。どうする? 流河」

L「……死神と口裏を合わせたのか……?」

月「馬鹿な事を言うなよ。この死神と先に会っていたのは流河の方じゃないか」

L「…………」

月「それにこの死神ははっきり言ったぞ。自分の落としたノートを流河が拾った、と」

L「…………」

月「現に、流河にはこの死神が憑いている。それが何よりの証拠だろ?」

L「…………ッ!」

月「だがまあ確かに、ノートを持っているだけじゃ殺人自体の証明にはならないな」

L「…………」

月「殺人犯の名前が書き込まれたであろうページは1ページも残っていないからな。まあ第三者である僕に罪を着せようとしていたのだから当然だが……」

L「……!(こいつ……!)」

月「とりあえずこのノートは僕が預からせてもらう。異論は無いな?」

L「…………」

月「これで後は指紋を採取して……今こうして触っている僕と、『ついさっきまで』このノートを持っていたお前以外の」

L「…………」

月「誰の指紋も出なければ、そのときは……」

L「…………」

月「今日起きたことは全て父に報告させてもらう。死神の存在も含めてだ」

L「…………」

月「その上で、お前の処遇をどうするかは父が決めることになるだろうが……まあ、普通に考えて、最低でも軟禁状態には置かざるをえないだろう」

L「…………」

月「ああ、もしもし父さん? うん、僕だけど……大至急、家に……うん……」

L「…………」

月「……父さん、すぐ来るってさ」

L「……そうですか」

月「…………」

L「…………」

月「…………」

L「……夜神君」

月「? 何だ? 流河」

L「……これで勝ったと、思わないで下さいね」

月「……さて? 何の話かな」

L「私はたとえ、どんな逆境に陥ったとしても……」

月「…………」

L「必ずキラを、死刑台に送ります」

月「…………」

L「…………」

月「……そうか。まあ、他にキラがいるならそれに越したことはないさ」

L「…………」

月「流河は僕の――……大切な友達だからね」

L「…………ッ!」

月(その後間もなく父が駆けつけ、流河は特に抵抗する素振りも見せずに父に連れられて行った)

月(そして僕も今日起きた事実を話すべく、父達に同行することになった)

総一郎「それで、ライト……その、デスノート? か? 私にも見せてくれないか」

月「ああ……捜査本部に着いてから見せるよ。説明は一度で済ませたいからね」

総一郎「……そうか。分かった」

L「…………」

月「ああ、一応母さん達にも連絡しておくよ。父さんは先に家の外で待っててくれ」

総一郎「ああ、わかった」

L「…………」

てか今気づいたんだけどIDって最後は絶対0なんだね

ギィ……バタン

月「…………」

月(問題ない……全ては計画通り……)

月(ただ一つ懸念があるとすれば、このノートを再び手放したとき、また僕のキラとしての記憶が失われてしまうこと)

月(いや、だが相手はL……これくらいしなくては駄目だ)

月(死神という絶対的な証拠が奴にある以上、それを揺るがすものがあるとすれば……それは僕のキラとしての記憶、それにもとづく自白だけだ)

月(それが無くなれば……Lに勝機は無い)

月(後は死神としてのリュークの性格……もしLがこのままキラとして監禁され、事実上何もできない状態になれば……)

月(確実に……リュークはLを殺す)

月(僕がやれと言ってもやらない死神だが……自分にとって面白くないことなら率先してやるはずだ)

月(牢屋の中に閉じ込められた所有者が死ぬのをただ見守るだけなんて……あの飽きっぽい死神がするはずがない)

月(今のLに掛かった嫌疑の状態で、僕の記憶まで無くなれば……Lがキラであると確定するのに、そう時間は掛からないだろう)

>>152
マジかよ糞箱売ってくる

月(そうなれば、リュークはLを殺し……このノートの所有権は……次にノートを手にした者に移る)

月(それが僕があればベストだが……まあそうでなくても問題は無い)

月(僕の能力、これまでの捜査協力の実績、そして何よりも、自分もLにキラとしての嫌疑を掛けられていたという事実……)

月(これらを勘案すれば、僕も捜査本部の一員として動くことを、誰も拒みはしないだろう)

月(つまりこの先必ず……そう、Lが死んだ後にも……僕にはこのノートに触れるチャンスが巡ってくる)

月(そのときに自分が所有権を得ることができればベスト。だがもしできなくとも……)

月(ノートに触れた後、ノートを手放すことなく……この腕時計に仕込んだノートの切れ端で、その時点の所有者を――……殺せばいい)

月(Lがいるときには絶対使えないような危険なやり方だが……そのときにはもうLは死んでいる。何の問題も無い)

月(強いて言えば、そのときの所有者が父になっている可能性も十分にあること……)

月(父から入学祝いに貰った時計で、父を殺すようなことはできれば避けたいが……)

月(………そうなった場合は仕方がない。それも、新世界の礎を築くためだ)

僕「なにこれ」ヒロウ
リューク「ぐへへ」ガオー
僕「やばすぎだろ 捨てて家帰ったらスレ立てよ」ソソクサ
ってなる

ワイ「死んだら二次に行けるの?」

リューク「行けるわけ無いだろ馬鹿」

月(大丈夫だ……最後には必ず、僕にはキラとしての記憶が戻る)

月(そして今の一連のやりとりは、僕の『ノートの所有者』としての記憶ではないから……ノートを手放したとしても、これに関する記憶は消えない)

月(単純に、『Lがキラである可能性が高い』ということを裏付ける事実として、僕の記憶に残るだけだ)

月(大丈夫だ……僕には一分の隙も無い)

月(僕は……新世界の神になる!)


ギィイ……バタン


月「……お待たせ、父さん」

総一郎「ああ」

L「…………」

月「……流河」

L「…………」

月「……正直、僕も流河がキラだなんて思いたくはない」

L「…………」

月「だから僕は、もし他にキラがいる可能性が1%でもあるのなら……そいつを捕まえて、流河の冤罪を証明したいと思う」

L「……ああ、そうですか」

月「父さん。僕はもうここまで事件に関わっているんだ。それに僕自身も、Lからキラとしての嫌疑を掛けられていた」

総一郎「ライト」

月「だから僕も……捜査本部に加えてくれ」

総一郎「…………」

月「…………」

総一郎「そうだな……この事件は、もうお前にとっても他人事ではないからな……」

月「父さん!」

L「…………」

総一郎「だがあくまでお前はまだ警察官じゃない。危険な捜査には同行させられない」

月「ああ、わかってるよ。『捜査本部にさえ』置いてもらえたら十分さ」

L「…………」

月「さあ行こう、流河。いずれにしても、キラ事件は今日で大きな進展を迎えたことは間違いない」

L「……夜神君」

月「? 何だい? 流河」

L「……さっきも言いましたが……これで勝ったと、思わないで下さいね」

月「さて……何のことかな?」

L「…………」




リューク(……ククッ。やっぱり……人間って、面白!)






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