モノクマ「コロシアイ修学旅行参加者にスタンドを与えてみる」 (394)

これは「スーパーダンガンロンパ2」のSSです

※注意

これはコロシアイ修学旅行参加者にスタンドを与えてみるネタです
各スタンドはあらかじめ決めており、安価で決めません

冒頭からネタバレを覚悟しておいて下さい

キャラ崩壊がひどいかもしれません

独自解釈・オリジナル要素が半端無いです
D4Cもありますが、基本世界は原作だから!

亀更新です



以上を読んでOKならお付き合いください
面白いかどうかは保障しません
あくまで基本世界は原作だから!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384536072

モノクマ「コロシアイ修学旅行参加者にスタンドを与えてみる」
モノクマ「コロシアイ修学旅行参加者にスタンドを与えてみる」 - SSまとめ速報
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こちらのスレに絞ります 他スレはHTML化依頼完了しました

本編に入ります 冒頭しか展開考えて無いので、何か良い案とかあったら意見お願いします



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=1日目=

~砂浜~

??「ねぇ・・・聞こえる?」

??「・・・・・・・・・・・・」

??「ねぇ・・・大丈夫?」

ボクの名前は狛枝凪斗。

超高校級の生徒達を育てる素晴らしい教育機関・希望ヶ峰学園に、恐れ多くも『超高校級の幸運』という才能を見いだされて入学をさせて頂いた

ちっぽけなゴミクズ程度の存在だ

こんな幸運しか取り柄の無いゴミより素晴らしい人が周りにいっぱいで、

ボクはもういつ隕石に地球諸共やられるか心配で眠れないよ!

だけど教室に集まると、新入生全員まとめて閉じ込められてしまったんだ

何事かと思っていたら、ウサミという教師を名乗るぬいぐるみが現れた

そして「修学旅行を始める」と言い出し、次の瞬間魔法を発動

教室がドラマのセットのように崩れ、外には南国の島が広がっていたんだ

そこは南国に浮かぶ島々、ジャバウォック島だった



今目の前で倒れている少年は、状況を処理し切れず、オーバーヒートを起こして倒れてしまった

う~ん・・・こんな調子で大丈夫かな?

この程度で思考停止する様じゃあ予備学科のゴミクズレベルじゃないかな?

まあ、ここに居るなら彼が予備学科なはず無いけどね!

早く起きないかな?名前もまだ聞いてないのに・・・

アンテナみたいなくせ毛があるから、とりあえずアンテナくん(仮名)としておこうか

連レス禁止対策に携帯と二刀流でお送りします

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・・・にしても、呼び掛けても全然起きないな

ボクみたいなゴミクズのキモ声は目覚まし代わりにする価値も無いって訳だね



・・・ん?一匹のモンシロチョウが飛んで来たぞ?

あ、アンテナくんの頬に止まった・・・



!!?



モンシロチョウが触れた途端に、アンテナくんが電気ショックを食らったみたいにビクッてなった!

でも一度ビクッてしたらまた動かない。アンテナくんもモンシロチョウも

・・・ん、んん?気のせいかな・・・

ボクの目が腐ったんじゃないよね?



モンシロチョウの足・・・だんだんアンテナくんの頬にめりこんでない?

狛枝「こら、予備学科以下のクソムシ!恐れ多くも超高校級の生徒と一つになろうとは!身の程を知れ!!」

何かマズいと感じたボクは、アンテナくんから彼に取り付こうとするクソムシを追い払った

命からがら逃げて行くよ!アハハハハッ!まるで超高校級を前にした予備学科だ!!

??「うう・・・ん・・・」

お、アンテナくんが起きた!

??「ここは・・・そうか・・・俺は希望ヶ峰に入学して・・・それで・・・」

狛枝「大丈夫?」

??「あ?ああ・・・何だか頭がモヤモヤするだけだ」

狛枝「よろしく。ボクは狛枝凪斗だよ」

日向「日向創だ」

日向クンと言うのか!太陽を意味する漢字が入ってるなんて!

まさに世界の太陽たる超高校級に相応しい名字だ!

狛枝「ここまでの事覚えてる?」

日向「何が起こったのかさっぱり分からないという事は・・・」

狛枝「仕方ないよ・・・それはボクも・・・ううん、他の皆も一緒さ」

日向「お前以外はとりあえず現状把握に向かったのか?」

狛枝「そんな所だよ 薄情だよね、気絶してるだけとはいえ、これから希望ヶ峰学園で共に過ごす仲間をほったらかすなんて」

日向「別に良いんじゃないか?」

狛枝「そう?日向クンがそう言うなら・・・」

結構キツい状況だと思うけど、何だかケロッとしてる

この程度で絶望する様じゃ希望を名乗れないから、当然っていえば当然かな?

狛枝「じゃあ、ボク達も自己紹介がてら島を回ってみない?」

日向「ああ、ありがとう」

狛枝「じゃあ早速ボクから。名前は狛枝凪斗ってさっき自己紹介したね。そして超高校級の才能というのが、ちょっとガッカリな才能なんだけど・・・」

狛枝「ボクは幸運なんだ」

日向「幸運・・・毎年抽選してるってアレか」

狛枝「そうなんだ、だから他の皆と並べる存在になれるかなって不安で・・・」

日向「大丈夫だろ?こういうのは入っちまったモン勝ちだって!」

狛枝「そう?ごめんね。ちょっと後ろ向きに考えちゃって・・・」

日向「訳の分からない状況で心が弱ってるだけさ」

狛枝「そうだね。じゃあ、今度は君の才能を教えてよ!」

さあ、彼はどんな才能を持ってるかな?

さぁ、ボクに希望を見せてよ!!

日向「俺は・・・・・・・・・・・・?」

どうしたんだろう?首を傾げてる・・・

狛枝「日向クン?」

日向「あ?ああ、悪い。俺は「「超高校級の相談員」」って呼ばれてるよ。中学時代からよくチームメイトや後輩に呼ばれて、部活、恋、勉強・・・何でも相談に乗ってたからな」

相談員か。何でもって所に彼の人の良さが滲み出ているね

でも、何だか普通って感じがするな・・・その程度の相談に乗るぐらいじゃあ普通の良い先輩ってレベルじゃないかな?

もっとこう、大会社社長誘拐事件の交渉人になるとか、

日本を代表する資産家の遺産相続の立会人になるとか、

こう・・・大きな実績が無いと超高校級とは呼べないんじゃないかな?

狛枝「でも、何だか普通だね。もっとこう、希望ヶ峰に選ばれる程のすごい話とか無いの?」

日向「う~ん・・・それなんだがな・・・」

日向クン、困り顔してるね

日向「色々あったと思うんだが、頭がモヤモヤしていて全然思い出せないんだ・・・」

なるほど・・・それでさっき首をかしげていたのか

狛枝「大丈夫だよ。その内思い出せるって」

日向「そうか?・・・そうだな、こういうのは深刻に考えるのもな・・・」

その後ボク達は島を巡って他の14人の仲間と交流を深めた

・・・『超高校級のゲーマー』七海千秋さんだけ、日向クンが自己紹介したら「えっ!?」って顔してたけど、どうしてかな?



全員と自己紹介が終わったら、最初の希望のカケラを集め終えたって、ウサミが皆を最初のビーチに集めた

そして希望のカケラを集めた特典を貰ったよ

ウサミストラップは正直要らなかったけど、水着は最高のプレゼントだね!

ちょっと高校生としては恥ずかしいかもしれないけど、皆で海に入ってはしゃいだよ

日が暮れるまで遊んで、夕食は『超高校級の料理人』花村輝々クンのフルコース!

こんなに幸せで、まるで夢かゲームみたいだよ!!



本格的な修学旅行は明日からってウサミは言ってた

ウサミの課題をこなしつつ、皆と交流を深めてら~ぶら~ぶするのがこの『ら~ぶら~ぶ修学旅行』の目的なんだって

素晴らしいよ!超高校級の希望同士が力を合わせたら、どんな絶望だって祓える!!

この修学旅行は、そのための研修期間のようなものかな?

少し仲良くしたがらない人が居るけど、それじゃあ目的を達成出来ず帰らせてもらえないから、時間の問題だね

それよりも、こんなゴミクズでも超高校級の皆の傍に居るどころか仲良くなれるなんて夢みたいだよ!!

ああ、本当に作り物みたいに出来過ぎた幸せだ・・・

明日からの希望で何も見えない修学旅行に思いをはせ、ボクは一日目の就寝に入った

~島のどこか~

??「うぷぷ・・・うぷぷぷぷ・・・だ――――――――――っはっはっは!」

??「甘い・・・なんて甘過ぎるんだ!シチュエーションも、ここまでのあらすじの完成度も!!」

??「「「今の時代」」、誰もら~ぶら~ぶなんざ求めてねえんだよ!」

??「やっぱり時代は血沸き肉踊るエンターテイメント!!」

??「真打ち・・・学園長モノクマ登場だよ!!」

モノクマ「明日からウサミをどかして、僕が本当の修学旅行・・・」

モノクマ「「「コロシアイ修学旅行」」を開催しようじゃないか!!」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・しかも、ただのコロシアイじゃないんだよ」

モノクマ「ねえねえ、偶然そこで見つけたんだけど、これって何だと思う?」

モノクマ「そう、ディスク。CDみたいなディスクだよ」

モノクマ「でもホラ、表面を見てごらん」

モノクマ「・・・驚いた?何かロボットみたいなのが表面に浮かび上がるでしょう?」

モノクマ「このロボットはね、「「ソフト&ウェット」」って名前があるんだ」

モノクマ「知ってる?聞いた事あるよね?」

モノクマ「そう!歳を取らない事で有名な漫画家さんが長年書き続けている漫画、「「ジョジョの奇妙な冒険」」の登場人物達が操って戦う「「傍に立つもの」」・・・「「スタンド」」だよ!」

モノクマ「すごいよ!これ一枚だけじゃないよ!スタンドが登場した第3部から現在連載中の第8部5巻までに出て来た「「スタンド」」が全部揃ってるんだよ!」

モノクマ「ちなみに「「ホワイト・スネイク」」ってスタンドが、こうやってディスクにしてスタンド能力や記憶を抜き出す能力があってね。とりあえず僕はデフォでこれ使うか」

モノクマ「え~っと・・・このディスクを自分の顔に挿せば良いんだよね」

モノクマ「・・・・・・・・・・・・」

モノクマ「うぷぷぷ・・・見えるかい?王冠みたいな頭と全身に巻いた包帯が?」

モノクマ「これで「「ホワイト・スネイク」」は僕の物~!」

モノクマ「・・・何をするつもりだって?・・・察しが良いね」

モノクマ「今から、皆が眠ってる内にスタンドディスクを与えて回るのさ!・・・あ、ついでにウサミの排除」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・スタンド能力を与えられて、より複雑で変則的で・・・「「直接的」」なコロシアイが見られると思うとドキドキする!はぁ・・・はぁ・・・」

モノクマ「準備のために出遅れたけど、いよいよ始動だよ!!」

モノクマ「さて、どいつにどれをやるか、こっちで勝手に決めちゃおっと」

モノクマ「・・・ん?『メン・ウィズアウト・ハッツ』?はて・・・こんな名前のスタンドあったっけ?」

モノクマ「どれどれ、闘いの記録を少し見てみるか・・・スタンドを一度に2つ得る事は難しいけど、ディスクの記録を見るのは問題無い。見るのも顔に挿せばいいんだっけ?」

モノクマ「おおっ?白い戦闘機のスタンドか。『エアロスミス』に似てるね」

モノクマ「おおっ!撃った弾丸が相手に命中するぞ!!」



モノクマ「・・・あれ?なんだよ、全くダメージ受けてないじゃないか!」

モノクマ「対戦相手も言ってる。『そんな弾いくら当たったっても痛くもかゆくもない』って・・・」

モノクマ「うわっ!容量オーバーでディスクが弾かれた!!・・・まあ良いや」

モノクマ「な~んだ・・・さしずめ、オリジナルのスタンドを作ろうとして失敗したスカスタンドって所か」

モノクマ「丁度良いや、これを未来機関の犬のスタンドにしてやろう!」

モノクマ「じゃあ後は、これと、これと・・・」

モノクマ「よし、この15枚に決めた!」

モノクマ「・・・え?コロシアイ修学旅行の参加者は16人?知ってるけどそれがどうしたの?」

モノクマ「1枚足りないんじゃないか?冗談でしょ?」

モノクマ「才能に溺れた愚かな予備学科なんかに与えるスタンドなんて無いよ!」

モノクマ「・・・うむ、分かってくれたか。じゃあ、行って来るね!」

モノクマ「・・・え?さっきから誰に話してるかって?」

モノクマ「やだなぁ、パソコン画面の前の君達に決まってるじゃないか!」

モノクマ「何?これが伏線で、僕の話し相手がこれから出て来るとおもった?」

モノクマ「期待に応えられなくてごめんね~」

モノクマ「・・・でも、予想が外れて良い感じに絶望してくれたでしょ?」

モノクマ「うぷぷ・・・うぷぷぷぷ・・・でも、あいつら雑魚どもに襲い掛かるのは、こんな程度じゃ生温い絶望さ!!」

モノクマ「・・・ま、どう転んだって良いんだけどね」

モノクマ「明日からが、楽しみ楽しみ!」

モノクマ「だーっはっはっは!!」



モノクマは神をも恐れぬドス黒い絶望を抱き、コロシアイ修学旅行参加者達が『無意味な』スタンドバトルで殺し合う絶望に、予想の段階で悶絶した










しかしモノクマは選択を誤ったかもしれないと、後に思う

ディスクの存在が暗示する意味を、察知するべきだった―――

1日目終了と同時に一旦中断
2刀流の片方(携帯手打ち)が大変で亀更新になりそう・・・

溜めは今の所2日目終了までを用意してあります
2日目の予定はモノクマ登場、最初のスタンドバトル、第一の動機、伏線用意です

他スレで生まれたオリジナルスタンド「ミノフスキー」
能力:扉の無い所に扉を作り通り抜けられるようにする または離れた2地点をつなぐ扉を作る

は、かなり面白そうな能力だと思います
七海ちゃんの持つ『メン・ウィズアウト・ハッツ』はどうなるか・・・
既に能力決めてはありますが判明はまだ先で・・・

ま、なにはともあれ再開します!





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=2日目 朝7時=

~ホテルみらい 狛枝のコテージ~

『えーっと、修学旅行実行委員会からのお知らせです!オマエラ、グッドモーニング!朝7時になりました。今日も全開気分で張り切って行きましょう!』

『・・・と、その前に、重要なお知らせがあるので、全員ジャバウォック公園にお集まり下さ~い!』

狛枝「・・・・・・・・・・・・」

ウサミと全く違うダミ声で、ボクは目を覚ました

ウサミと同じ様に陽気な声だと言うのに、とても耳障りな嫌な声だった

そう・・・まるで交通事故現場で大反響で響く子供の笑い声のコーラス・・・

そんな・・・場違いな感じをまとった陽気さだった・・・

とはいえ、ウサミの仲間が来たかもしれないので、大人しく指示に従う事にした



~中央の島 ジャバウォック公園入口~

小泉「ちょっとやだ、なにこれ?」

西園寺「やだー振袖が濡れるー!」

公園に出向いてみると、『超高校級の写真家』小泉真昼さんと『超高校級の日本舞踊家』西園寺日寄子さんが公園の入り口で立ち往生している

公園一面が、なぜか水浸しになっていた

九頭龍「ったく、この程度で怖気づくとはな・・・そんなに服が大事かよ?」

小泉「あんたら男子はそういうの気にしないでしょうから良いかもしれないけどね・・・女子は気を遣うのよ」

九頭龍「そうか?俺の幼馴染の女がそういうの気にしてるの見た事無えが・・・」

小泉「アンタ幼馴染なんか居るの?女子の知り合いとか縁無さそうなのに」

九頭龍「う、うっせーなぁ・・・」

西園寺「クスクス・・・その幼馴染、女捨てちゃってるね~」

『超高校級の極道』である九頭龍冬彦君はかまわず入って行った

なんだろう?3人の会話をボクの後ろで聞いていた『超高校級の剣道家』辺古山ペコさんがうつむいてるけど・・・気に障る事でもあったのかな?

終里「はんっ!こんな程度のコンディションの悪さなんざ、オレの歩みを止める要素にならねえ!!」

弐大「待たんか終里!走ると怪我をするぞおおおお!!」

西園寺「あいつも女捨てちゃってるね~」

『超高校級の体操部員』終里赤音さんも濡れるのに構わず入って行く

走るのを止めようと『超高校級のマネージャー』弐大猫丸クンも後を追った

ボクも正直濡れるのやだな~って思っていると、凛とした声が後ろから聞こえて来た

??「くるしゅうない!この調子で前進するのです!」

??「はい、ソニアさん!ハァ・・・ハァ・・・」

小型の乗用車みたいな乗り物に『超高校級の王女』ソニア・ネヴァーマインドさんと『超高校級のメカニック』左右田和一クンが乗っている

どうやら疲れないように、召し物を汚さないようにと、左右田クンが用意したようだ

ソニアさんの役に立てて、左右田クンは喜んでる。笑顔がなんだか気持ち悪いけど・・・

ちょうど良いや。運も良い

ダンッ

左右田「な、何だ?今の揺れは」

狛枝「濡れるの嫌だったんだ。ボクも乗せてよ」

左右田「ふざけんな!これは運転手とソニアさんの2人乗りなんだぞ!」

ソニア「左右田さん!贔屓になさって下さるのは嬉しいのですが、贔屓というのはある人を崇める分、別の人を蔑む事です。わたくしは、好きではありません」

左右田「す、すいません、ソニアさん・・・」

ソニアさんの説得で降ろされずに済んだよ!こんなゴミクズに対してそう考えられる聖母のような慈悲に感謝だね!

と思っていたら・・・

ダンッ  ダンッ

小泉「あたしも乗せて!」

西園寺「私も~!」

公園に入ろうとした途端、小泉さんと西園寺さんも乗って来た

左右田「ちょっ、馬鹿!さすがに4人も乗ったら進まねえよ!」

左右田クンの言う通り、乗り物は動きを止めてしまった

小泉「仕方ないわね・・・狛枝、降りなさい!」

狛枝「え!?なんでボクが・・・」

小泉「この中で一番重いのアンタでしょ?とりあえず負荷を少なくすれば3人でも進むかもしれないわ」

狛枝「濡れたくないのに・・・それに先に乗った上に許可取ったのボクだよ?」

小泉「女々しいわねぇ・・・こういう時に女子に譲るのが紳士であり、男でしょう?」

狛枝「でも・・・」

西園寺「ウジウジしてねぇでさっさと降りろ、頭クルクルパー!」

バシャアアアアン!

小泉さんと口論になっている内に、西園寺さんに突き落とされた・・・

背中からダイブしたんで、全身ずぶ濡れになったよ・・・

小泉「ちょっと日寄子ちゃん!さすがに落とすのはやり過ぎよ!!」

西園寺「お姉ったら、アイツに降りる気無いって分からなかったの~?こうしなきゃいつまで経っても進まなかったよ~?」

ボクが降りた結果定員がギリギリセーフになったようで、さっきより遅いスピードながらも、無事に進み始めた

・・・まあ、ボクが濡れた分2人濡れずに済む人が出たと考えればいっか

??「災難だったな、雑種よ・・・」

そこに『超高校級の飼育委員』である田中眼陀夢クンが通りかかった

狛枝「はは・・・ボクはいつもこんな役回りだからね、慣れてるよ」

田中「哀れなオーギュストだ・・・クラウンに追い立てられ居場所も無いか・・・」

厨二病っぽい田中クンは、手の上に集まっていた4匹のハムスター『破壊神暗黒四天王』をストールに入れ、彼らが落ちないよう細心の注意を払いつつ進む

やれやれ・・・ボクも覚悟を決めるしかないか・・・

ま、覚悟も何も既に濡れてるから、ボクの意志は関係無いけどね

公園に入ると、既に来ている生徒も集まってる

『超高校級の御曹司』十神白夜クン、『超高校級の軽音楽部』澪田唯吹さん、それと花村クンが先に着いていた

後は日向クンと七海さんともう1人・・・

罪木「ひゃああああああああああああっ!!!」

後ろで悲鳴が上がる

皆でそっちを見ると、『超高校級の保健委員』罪木蜜柑さんが派手に転んでいた

転ばなければ濡れるのは足だけで済んだのに、今やボクと同じく全身ずぶ濡れだ

盛大に転んだんで、彼女が起こした波がこっちまで届いたよ

西園寺「クスクス・・・どんくさ~」

小泉「こら!」

十神「おいおい、大丈夫か?」

十神クンが彼女を起こしに行った

見かけはかなり不摂生だけど、内面は小泉さんの言う紳士ってやつなのかな?

そして罪木さんが起きた後、最後に日向クンと七海さんがやって来た

十神「遅いぞ、お前達が最後だ!」

日向「ああ、悪かったよ。歩きがてら思い出話に花を咲かせちゃって・・・」

狛枝「日向クンと七海さんは以前からの知り合いだったの?」

七海「うん。まあ昨日驚いたのはそういうのとは違うけど・・・」

何だか意味深な事を言うな・・・

それにしても以前の知り合いと同じ学校で再会するなんて、中学時代には関わり合いの無かったアイドルが自分の事を覚えてくれるぐらいの幸運だよね

でも気のせいかな・・・入って来る所を見かけたけど・・・

思い出話というより、ヒソヒソ話の方が合ってる雰囲気だったような・・・

まあそうだとしても、どうせ「狛枝気持ち悪い」とかその程度の陰口だろうね!

携帯の調子が悪いので中断

打った分を上げる途中で電源が切れて30分無駄になり、その次は書き込み画面に着く前にまた電源切れたんで心折れた・・・

ホストがEモバなのを直せばパソコン一本でいけるのに・・・誰か対策プリーズ(切実)

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・遅かったけど、皆揃ったね!」

朝のアナウンスにあったあのダミ声がどこからともなく響き渡る

そして皆が息を呑むと、公園の中心に有る彫像の裏から、白と黒のツートンの熊が現れた!

モノクマ「やあやあ皆さん、おはようございます!ボクはモノクマ、希望ヶ峰学園の学園長なのです!」

七海「自称・・・じゃないかな?」

モノクマの名乗りにボク達が驚いていると、緊張を一気に緩和させる七海さんの補足が間髪入れず入った

モノクマ「ちょ、ちょっと七海さん!挨拶の腰を折らないで!!」

日向「普通、折るのは話の腰だろ?あいさつから躓くとは・・・」

モノクマ「ムキイイイ!!日向クンもそんな目で見ないでおくれ!!」

ボクだって充分に驚いているのに、何だか日向クンと七海さんが全く動じてない気がするのは気のせいかな・・・

モノクマ「ま、とりあえずボクが言いたい事はね・・・ウサミ・・・いや、改めモノミの提案する『ら~ぶら~ぶ修学旅行』はあまりにもぬるいので、行事変更を行う事になりました!・・・という話です!」

モノミ「や、やめなちゃい!どうしてアンタがここに・・・」

その言葉に反応して、台座の裏からボロボロになったウサミ・・・いや、ピンクと白のツートンにされ、おむつを履かされたモノミがよろよろと姿を見せた

ソニア「先生!?」

九頭龍「おいゴラァ!そいつに何をしやがった!?」

モノクマ「とりあえずボクの妹という設定でいくことにしましたので改造をば。あと、教師権限はモノミからボクに移行しました」

辺古山「教師権限の移行?モノミの様子を見る限り、奪い取ったとしか考えられん・・・貴様、何をするつもりだ!?」

辺古山さんが名前に似合わず緊迫した雰囲気を強め、モノクマを追求する

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・その緊張感通りだよ!今から、『コロシアイ修学旅行』を取り行います!!」

全員「!!?」

モノクマはボク達の驚愕を意に介さず、説明を始めた

この島から脱出するには、誰かを知られずに殺さなければならない

誰にもバレてないかどうかを査定するため、殺人が起こったら一定の捜査時間の後、学級裁判が開かれる

裁判で犯人であるクロを指摘できれば他の皆の勝ち、クロは処刑されて修学旅行は続く

しかし真実に辿り着けず間違った人物をクロと指摘してしまったら、クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロだけがこの島から出られる

さらに細かなルールもあるが、そんな内容だ

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・遅かったけど、皆揃ったね!」

朝のアナウンスにあったあのダミ声がどこからともなく響き渡る

そして皆が息を呑むと、公園の中心に有る彫像の裏から、白と黒のツートンの熊が現れた!

モノクマ「やあやあ皆さん、おはようございます!ボクはモノクマ、希望ヶ峰学園の学園長なのです!」

七海「自称・・・じゃないかな?」

モノクマの名乗りにボク達が驚いていると、緊張を一気に緩和させる七海さんの補足が間髪入れず入った

モノクマ「ちょ、ちょっと七海さん!挨拶の腰を折らないで!!」

日向「普通、折るのは話の腰だろ?あいさつから躓くとは・・・」

モノクマ「ムキイイイ!!日向クンもそんな目で見ないでおくれ!!」

ボクだって充分に驚いているのに、何だか日向クンと七海さんが全く動じてない気がするのは気のせいかな・・・

モノクマ「ま、とりあえずボクが言いたい事はね・・・ウサミ・・・いや、改めモノミの提案する『ら~ぶら~ぶ修学旅行』はあまりにもぬるいので、行事変更を行う事になりました!・・・という話です!」

モノミ「や、やめなちゃい!どうしてアンタがここに・・・」

その言葉に反応して、台座の裏からボロボロになったウサミ・・・いや、ピンクと白のツートンにされ、おむつを履かされたモノミがよろよろと姿を見せた

ソニア「先生!?」

九頭龍「おいゴラァ!そいつに何をしやがった!?」

モノクマ「とりあえずボクの妹という設定でいくことにしましたので改造をば。あと、教師権限はモノミからボクに移行しました」

辺古山「教師権限の移行?モノミの様子を見る限り、奪い取ったとしか考えられん・・・貴様、何をするつもりだ!?」

辺古山さんが名前に似合わず緊迫した雰囲気を強め、モノクマを追求する

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・その緊張感通りだよ!今から、『コロシアイ修学旅行』を取り行います!!」

全員「!!?」

モノクマはボク達の驚愕を意に介さず、説明を始めた

この島から脱出するには、誰かを知られずに殺さなければならない

誰にもバレてないかどうかを査定するため、殺人が起こったら一定の捜査時間の後、学級裁判が開かれる

裁判で犯人であるクロを指摘できれば他の皆の勝ち、クロは処刑されて修学旅行は続く

しかし真実に辿り着けず間違った人物をクロと指摘してしまったら、クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロだけがこの島から出られる

さらに細かなルールもあるが、そんな内容だ

七海「嫌だよ・・・コロシアイなんて・・・」

小泉「そうよ!なんで私達が殺し合わなければならないの!?」

当然の様に、抗議の声が飛び交っている

七海「どうしてこの人達と殺し合わなきゃいけないの・・・?」

全員がモノクマに罵声を浴びせる中、ボクの耳には七海さんの含みのある言葉が届いた

小泉さんと同じ事を言っているようで、明らかにニュアンスが違う・・・

それを追求しようとするけど、その前に終里さん、弐大さん、辺古山さんといった武闘派がモノクマを止めに入る

モノクマ「そんな態度を見せたって、この島では意味無いんだよ?だって、オマエラはボクに逆らえないんだもの!」

田中「何だと!?」

モノクマ「逆巻け・・・光と闇の狭間から生まれし神々よ・・・古の契約に従い・・・今こそ汝らを召喚する・・・」

モノクマ「いでよ、モノケモノ―――――!!」

モノクマの号令と共に後ろの彫像が崩れ、5体の巨大ロボットへと変貌した

皆が突然の異常事態にひるんでいる中モノミが毅然と抵抗しようとするが、みせしめとして鳥ロボットのマシンガンでリボンしか残らないほど蜂の巣にされた・・・

超高校級と呼ばれようとたかが高校生であるボク達16人など簡単に蹂躙出来る圧倒的な破壊力と、

その破壊力をぬいぐるみに対してとはいえ逆らう者に平然と使用できる残虐性に、

ボク達の思考は完全に停止した・・・



そんな中、モノクマはボク達にさらなる追い打ちを掛ける

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・これで少しはやる気になったかな?誰かを[ピーーー]以外の選択肢は無いと分かってくれたかな?」

モノクマ「たとえ分からなくても大丈夫!オマエラの中に居る裏切り者さんが勝手に口火を切ってくれるよ!」

十神「裏切り者!?どういう意味だ!!」

モノクマ「ここに来る予定になっていたのは15人だけなんだ。一人多い。場違いな正体不明の16人目が、オマエラの中に居るんだよ!」

日向「なら、七海は違うな。ここに来る前からの知り合いだし、正体不明でも何でもない」

九頭龍「ペ、ペコも違えぞ!ガキの頃から良く知ってんだからな!!」

小泉「え?アンタの言ってた幼馴染ってペコちゃんだったの!?」

九頭龍「あ・・・」

西園寺「納得だね~まあ、この中に居るとしたら終里お姉かな?って思ってたけど」

ソニア「ならばその4人を除いた残る12人の中に裏切り者が・・・」

田中「早計だメス猫・・・知り合いだからと言って同じギルドに所属しているとは限らん・・・」

九頭龍「んだとぉ!!?」

左右田「いや、ギルドって何だよ!?」

裏切り者探しで、疑心暗鬼が広がっている・・・

フフフフフ・・・

アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!

最っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ高だね!!!

裏切り者を探し出して倒す!皆が裏切り者という絶望に立ち向かおうとしているよ!!

そうさ・・・超高校級の君達なら、ボク達の中に混じった裏切り者なんてすぐに見つけられるさ!

残念だったな、裏切り者!君は彼らの希望の踏み台になるために紛れ込んだに過ぎないんだよ!!

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・最後に、コロシアイを行うに当たって僕から昨日の内にプレゼントしておいた物があります!」

何だろう?武器か何かかな?

モノクマ「みんなー!ボクに注もーく!!」

モノクマが何らかの気を練る様に力むと、モノクマの背後に、半透明な何かが現れた

モノクマと違って人型だけど、全身に包帯を巻いていて不気味さは本体といい勝負だ

左右田「ニギャアアアアアアアアアアア!!」

罪木「はわわわわ・・・ゆ、幽霊ですかぁ!?」

田中「当たらずとも遠からず・・・だな。日本語では『幽波紋』と書くのだから」

終里「オメェは何なのか知ってんのか?!」

田中「アストラレベル0.1のゴミ共が・・・『スタンド』も知らんとは・・・!!」

ソニア「『スタンド』・・・ですか?」

田中「その者の持つ精神エネルギーが像となり姿を見せる・・・それが『スタンド』という物!そしてそれらは一人一つ、能力が備わっている。こんな風にな!!」

田中クンがストールをモノクマ目掛けて投げつける

ストールの中の破壊神暗黒四天王は田中クンがしっかりキャッチした

驚いたよ!なんせ、田中クンの投げたストールが、大蛇に変貌したんだから!

田中「バジリスク!愚かなる似非熊猫を喰い破れ!!」

バジリスクが大口を開けて、怯えるモノクマに迫る

モノクマを守るべく、馬のようなロボットがバジリスクを踏みつけた!!

だけどその直後、馬ロボ自身が踏まれた様に潰れた

田中「我がスタンドが生み出した生命に傷を付けし者は、その身に因果の報いを受ける・・・似非熊猫よ・・・貴様知らぬ身ではあるまい?」

何だか分からないけど、要するに馬ロボがバジリスクに与えたダメージが跳ね返ったという事らしい

おかげでロボットの一体が完全に破壊されたけど、変温動物であるバジリスクは冷水に浸かって動けなくなった

モノクマがボク達に背を向けて何かブツブツ言ってる・・・

モノクマ「っべーよ、まじっべーよ・・・色々あって寝ぼけてたかな・・・主人公とボスのディスクは手元に置いておく予定だったのに、丁度良いの探してたらうっかりアレ与えちゃってんじゃん・・・」

全員「・・・?」

田中「どうやら、この島は『悪魔の手のひら』に当たる呪われた地だったようだな・・・俺様達全員に『スタンド』が目覚めていると言う事か・・・」

元に戻ったストールをよく絞って巻き直す田中クン

心無しか昨日より活き活きしてる・・・

モノクマ「そういう事!・・・でも、全員じゃないんだよね~・・・一人だけ、『スタンド』に目覚めていない能無しも居るみたいで・・・」

田中「何!?普通なる者が紛れ込んでいるだと!?」

十神「そいつが裏切り者か?」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・ヒントにしたければすれば?ひょっとしたら、自分が裏切り者である自覚すら無いのかも・・・」

澪田「お、恐ろしい事言わないで欲しいっす!!」

モノクマ「誰がどんな『スタンド』に目覚めたかは把握してるよ!各コテージに説明書を用意しておいたから!」

モノクマ「ではでは、愉快で陰惨な『コロシアイ修学旅行』を、どうぞお楽しみくださ~い!!」

そしてモノクマは去って行った・・・

花村「『スタンド』・・・あんなとんでもない人殺しの能力が僕達に備わってるの?裏切り者かと疑われようと、要らなかったよ・・・」

辺古山「得てしまった物はしょうがない・・・まずは自分の能力の把握をしておこう。そして使わなければ良い話だ」

皆が辺古山さんの意見に賛同し、コテージに戻ろうとするけど・・・

終里「把握してからじゃなきゃ・・・ダメなのか・・・?」

突然終里さんが嫌な予感のする言葉を発した

何だか興奮しているみたいだ そう、さっきの気持ち悪い左右田クンみたいな・・・

終里「チンタラ待ってなきゃいけねえのかよ・・・せっかく遠慮無くバトれる機会をもらえたんだぜ?さっさとやろうじゃねえか!」

左右田「な、何言ってんだよ!?コロシアイなんて誰もやらねぇっつーの!ましてやあんな『スタンド』なんて、絶対バトルに留まらねえだろうがよ!!」

終里「うるせえ!さっさとバトれ!!『クラッシュ』!!!」

ザバアアアアアアアアアアン!!

辺古山「なっ・・・どこから現れた!?」

それはボクにも分からない・・・

終里さんの足元から、鮫が現れた・・・!

半分地中に埋まっている様に見えるけど、終里さんを背中に乗せられる程大きい!

終里「アハハハハッ!ワクワクすんなぁ・・・お前ら、どんな強ぇ『スタンド』を持ってんだ?さっさと見せろ!相手しろ!!」

うわっ!?  ひいっ!!   キャアッ!!

終里さんが出した鮫の姿をした『スタンド』・・・『クラッシュ』と言ったかな・・・が、皆を追いかけ始める

ボクを乗り物から突き落とす程濡れるのを嫌がっていた小泉さんと西園寺さんも、遅い乗り物から降りて水しぶきが飛ぶのを意に介さず全速力で走ってる

田中「まだ己の能力を分かっていない未熟者達よ、水たまりから離れるんだ!」

田中クンが皆に指示を出してる 何だか頼もしい

田中「『クラッシュ』は水のある所どこにでも現れる事が出来る『スタンド』!破壊力も凄まじい!!死にたくなければ早く水から離れろ!!ここは俺様が喰い止める!!」

ソニア「素晴らしい!皆さんの力量を分析した上での的確な指示です!!」

左右田「ソ、ソニアさん!?チクショー、ただの厨二病の癖に!!」

軽くなった乗り物で真っ先に公園を出たソニアさんと左右田クンを筆頭に、全員が水浸しの公園を後にした

だけどボクは水の無い入り口まで来て、その入り口で立ち往生する

十神「狛枝早くしろ!そこでは巻き込まれる恐れがあるぞ!!」

狛枝「十神クン、皆が出たのか確認するため残るとか格好良いね。でも、ボクはここで彼らの戦いを見てるから、先に避難して良いよ」

十神「何を世迷言を・・・巻き込まれるぞ!」

狛枝「本望だよ・・・」

十神「・・・は?」

だめだ・・・もう、抑えられない・・・

狛枝「あははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!」

十神「な、何を・・・笑ってる・・・?」

狛枝「終里さんの強い相手と戦いたいという希望と、田中クンの皆を守ろうとする希望がぶつかり合って、より強い希望を今生み出すんだ!!」

狛枝「どちらが倒れようと、倒れた方を踏み台にして、勝った方の希望はより強い輝きを宿すんだ!!例え巻き込まれて死ぬ事になっても、その瞬間に立ち会えるなら本望だよ!!」

十神「気が違ったか!?狛枝、貴様一体何を言ってるんだ!?」

狛枝「このバトルロワイヤルを勝ち抜き、全員を踏み台にして最高の輝きを放つようになった希望なら、きっとどんな絶望も恐れる事は無」

バキィッ!!

頬に強烈な一撃を受け、身体が横に吹っ飛んだ

一瞬何をされたか分からなかったが、どうやら十神クンに殴られたようだ・・・

ああ・・・意識が・・・

十神「・・・異常事態の連続で、混乱しているだけだ・・・頭を冷やせ」

十神は意識を失った狛枝を背負い、ジャバウォック公園を後にした

終里「こらあああああっ!逃げてばっかじゃバトルになんねえだろうが!相手しろー!!」

田中「・・・・・・・・・・・・」

終里に追われる田中は右に左に適度に曲がり、トップスピードは圧倒的でも小回りの利かない終里の『クラッシュ』を翻弄する

田中「フ・・・制圧せし氷の覇王たる俺様が、ただ逃げ回っているとでも?」

田中はロボットが居なくなり、上に何も無い台座に辿り着く

田中「『黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)』!!」

終里「それがお前の『スタンド』か!」

田中も『スタンド』を発動した

そして『ゴールド・エクスペリエンス(GE)』は台座に触れ、生物へと変える

田中「『ランビ』よ、数多の巨獣を幾星霜背負い続け、随分と鈍っただろう?遠慮は要らん!重圧を跳ね除け思い切り走れ!!」

台座はサイへと姿を変え、田中を背中に乗せて終里に突っ込んで来る

終里「ようやく来たか・・・いくぞ!!」

『クラッシュ』と『ランビ』は正面衝突するかの様に、お互いへと全力で走る

終里「・・・な~んてな!」

田中「!!」

途中で終里は少しだけ曲がり、田中の横を素通りした

終里「あれで激突すればテメェの圧勝だっただろうが、モノクマ相手に手の内を見せちまったのが間違いだったな」

終里は得意気に避けた理由を話し始める

終里「これはパワー勝負なんかじゃねえ。なぜならテメェの生み出す生物には、負ったダメージをそのまま相手にはね返す能力がある。だからテメェにゃダメージ0で、俺にダメージ2倍という結果にしかならねえ!」

終里「かといってジャンプして田中自身を狙うのも難しい・・・ならば取る手は一つ!」

終里は田中を・・・いや、田中の巻いているスティールを指差す

終里「テメェが生み出した生物はいつまでも生物じゃねえ。なぜならストールを変えて生み出した『バジリスク』は、今は元のストールとなってテメェの首に巻き付いている」

終里「つまり、テメェの能力は持続力に限界がある!いずれ能力を解除して『ランビ』を台座に戻す時が絶対に来る!その時は恐らく、『GE』のパワー切れ・・・」

終里「こいつはチキンレースだ!『ランビ』が俺を仕留めるればテメェの勝ち、『GE』のパワーが切れれば俺の勝ちという持久戦!!」

田中(こいつ・・・出来る!!)

終里は脳筋かと思いきや、戦闘に関しては冷静な分析力と洞察力を発揮した

正面衝突の一撃で終われると思っていた田中は、計画変更を余儀なくされる

終里「持久戦・・・良い響きだ!それだけ長く強ぇヤツと戦ってられると言う事だからな!持久戦は、力の拮抗した者同士の間でしか起こらねえ!!」

田中「くっ・・・絶対に仕留める!貴様の戯れなど誰も付き合ってられん!!」

先程とは逆で、今度は田中が終わりを追う形になる

終里「こらあああああっ!逃げてばっかじゃバトルになんねえだろうが!相手しろー!!」

田中「・・・・・・・・・・・・」

終里に追われる田中は右に左に適度に曲がり、トップスピードは圧倒的でも小回りの利かない終里の『クラッシュ』を翻弄する

田中「フ・・・制圧せし氷の覇王たる俺様が、ただ逃げ回っているとでも?」

田中はロボットが居なくなり、上に何も無い台座に辿り着く

田中「『黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)』!!」

終里「それがお前の『スタンド』か!」

田中も『スタンド』を発動した

そして『ゴールド・エクスペリエンス(GE)』は台座に触れ、生物へと変える

田中「『ランビ』よ、数多の巨獣を幾星霜背負い続け、随分と鈍っただろう?遠慮は要らん!重圧を跳ね除け思い切り走れ!!」

台座はサイへと姿を変え、田中を背中に乗せて終里に突っ込んで来る

終里「ようやく来たか・・・いくぞ!!」

『クラッシュ』と『ランビ』は正面衝突するかの様に、お互いへと全力で走る

終里「・・・な~んてな!」

田中「!!」

途中で終里は少しだけ曲がり、田中の横を素通りした

終里「あれで激突すればテメェの圧勝だっただろうが、モノクマ相手に手の内を見せちまったのが間違いだったな」

終里は得意気に避けた理由を話し始める

終里「これはパワー勝負なんかじゃねえ。なぜならテメェの生み出す生物には、負ったダメージをそのまま相手にはね返す能力がある。だからテメェにゃダメージ0で、俺にダメージ2倍という結果にしかならねえ!」

終里「かといってジャンプして田中自身を狙うのも難しい・・・ならば取る手は一つ!」

終里は田中を・・・いや、田中の巻いているスティールを指差す

終里「テメェが生み出した生物はいつまでも生物じゃねえ。なぜならストールを変えて生み出した『バジリスク』は、今は元のストールとなってテメェの首に巻き付いている」

終里「つまり、テメェの能力は持続力に限界がある!いずれ能力を解除して『ランビ』を台座に戻す時が絶対に来る!その時は恐らく、『GE』のパワー切れ・・・」

終里「こいつはチキンレースだ!『ランビ』が俺を仕留めるればテメェの勝ち、『GE』のパワーが切れれば俺の勝ちという持久戦!!」

田中(こいつ・・・出来る!!)

終里は脳筋かと思いきや、戦闘に関しては冷静な分析力と洞察力を発揮した

正面衝突の一撃で終われると思っていた田中は、計画変更を余儀なくされる

終里「持久戦・・・良い響きだ!それだけ長く強ぇヤツと戦ってられると言う事だからな!持久戦は、力の拮抗した者同士の間でしか起こらねえ!!」

田中「くっ・・・絶対に仕留める!貴様の戯れなど誰も付き合ってられん!!」

先程とは逆で、今度は田中が終わりを追う形になる

連投スマン・・・

ついでに一言

内容をメールにコピペして携帯に転送・再コピペで時間短縮が出来る!やったね!!

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田中「待てええええええええっ!!」

終里「・・・俺さぁ・・・『逃げるな』って言ったよな?さっきお前に言ったよな?」

田中「それが何だ・・・?」

終里「相手に『逃げるな』と言っておいて・・・俺が『逃げる』だけな訳無いだろぉ!?」

田中「なっ!?」

突然終里は大きく方向転換し、こっちに向かって来た

『ランビ』は慌てて横に逸れる。急な方向転換で、田中は落ちそうになった

田中「待て!ヤツは絶対にぶつかる事は無い!!」

終里「それが理解出来るまで『ランビ』は生物でいられるかな~?」

田中(か、完全に侮っていた・・・何という狡猾な闘い方!!)

終里はヒット&アウェイの要領で、逃げながらも隙を見て反撃に出る

田中は避ける必要は無いと分かっているが、『ランビ』は本能で危機を感じ、田中の指示を無視して避けようと方向転換する

これに対応出来ず田中が振り落とされてしまえば、ランビという盾を失い簡単にやられてしまう。新たに『GE』を使う暇も与えないだろう

そうでなくとも終里の攻めや『ランビ』の勝手な動きはストレスやプレッシャーとなる

つまり精神力が大幅に削られ、『GE』のパワー切れがより早く訪れる

田中には相手にダメージをはね返すという強力なカードがあるにも関わらず、終里の狡猾な戦略により、戦況は依然変わりなく終里が優勢となっている



だが、田中もまた冷静だった

田中(攻めるなら攻めよ・・・貴様のその性質が命取りだ!逃げに徹すれば勝てたかも知れないものを・・・!!)

田中がはじき出した勝利の戦略に、終里はまだ気付かない

~ホテルみらい 日向のコテージ前~



七海「じゃあ、少し寝るんだね」

日向「ああ・・・何でか知らないが、昨日は楽しかったはずなのに言い知れぬ不安が胸の中にあるんだ・・・ロクに寝れなかったよ・・・」

七海「無理も無い・・・かな」

日向「どういう意味だ?」

七海「意味は・・・そう遠くない内に理解出来るよ」

日向「? ・・・そうか・・・」

七海「朝ご飯抜きで良いんだね?じゃあ、またお昼に」

日向「ああ、じゃあな七海」

日向は七海と会話を交わし、自分のコテージに引っ込んだ

靴を脱ぎ、ベッドでふて寝する

日向「くそっ・・・何なんだ?この胸の中のもやもやは・・・」

日向は、昨日から自分の気持ちがおかしい事に気付き始めていた

この気持ちになったのはこの島から来てすぐではない。教室の様な場所に閉じ込められていた時は何ともなかった

妙な胸のざわつきが感じられるようになったのは、一度気絶して狛枝に起こされた後からだ

日向は皆で居ると、言い知れぬ不安と恐怖を抱く様になった

そう、場違いな所に居る様なフィーリングの噛み合わなさ・・・そんな物を皆に抱くようになっていた

唯一、ジャバウォック島に来る前から面識ありの記憶がある七海だけは別だった

日向「こんな精神状態で、この先やっていけんのか俺・・・」

日向がモノクマに感謝している事があるとすれば、『ら~ぶら~ぶ修学旅行』を中止に追い込んでくれた事だ

50日間もの間行われていると聞かされ、絶対に耐えられないと日向は考えていた

まあ、この『コロシアイ修学旅行』が『ら~ぶら~部修学旅行』より早く終わればの話だが

日向「う~ん、やっぱ眠れない・・・ん?」

日向がごろんと寝がえりを打つと、視線の先にシンプルな机が見えた

その上に、一枚の封筒がある

日向「ああ、あれがスタンドの説明書か?」

あくびを一つ上げ、ベッドから起きる

窓際のコーヒーメーカーでコーヒーを一つ沸かした後、封筒と共に2つあったマグカップの内の一つに注ぐ

封筒から折り畳まれた紙を取り出し、コーヒーを片手に開く

日向「・・・・・・・・・・・・え?」

説明書は―――――白紙だった

日向「あぶり出し?いや、柑橘系の匂いとかしないし・・・」

原因を考えていると、はたとモノクマが言っていた事を思い出す

モノクマ『一人だけ、『スタンド』に目覚めていない能無しも居るみたいで・・・』

日向「・・・俺の、事だったのか?うぐっ・・・」

急に日向は頭痛に襲われる。まるで記憶が呼び覚まされるかの様な痛みに、思わず日向はマグカップを落とした


―――

―――――

――――――――――










狛枝『いいかげんにしなよ君達・・・君達がいくら頑張った所で、超高校級にはなれないし、超高校級には勝てない』

狛枝『選ばれなかった君達は生まれた時から負け組だって、いつになったら分かるんだい?』

狛枝『いつまで無駄な努力を続けるつもりだい?君達は希望たる器じゃないという事を、いつになったら理解するんだい?』










なぜか思い出した記憶で、狛枝が自分を罵倒している

しかも『君達』と言っている。対象は日向だけじゃない

日向以外の対象は七海だったのか、それとも・・・

日向「・・・・・・・・・・・・はっ!コーヒー!!」

日向はコーヒーの入ったマグカップを落とした事を思い出し、慌てて床を見る

日向「・・・あれ?」

淹れたてコーヒーをぶちまけたのに全く足にかからず熱さを感じなかった時点で妙だったが、割れたマグカップの欠片があるだけで、コーヒーは一滴も床に落ちてない

しかし、コーヒーの香りは漂っている

クンクンと、その匂いを辿ると―――――

もう一つのマグカップの中に、コーヒーが入っていた

日向「あ・・・あれ?俺、入ってない方を飲もうとしたのか?」

それは無かった。なぜなら、白紙の説明書を確認する前に、一口飲んでいる

何が起こったのか分からず混乱している日向の背後に、窓から入って来たモンシロチョウが近付いて行く

そのモンシロチョウは昨日の朝狛枝に追い立てられたモンシロチョウに間違いなかった

なぜなら、その時日向の中に取り込まれた足が無いのだから

改めてモンシロチョウは、日向の首筋にひっつく

再びビクンッとなり、日向はその場に倒れた

今度はモンシロチョウを追い払う者は周りに居ない

狛枝はモンシロチョウに言った。日向と一つになるつもりかと

その通りだった。モンシロチョウは、まるで溶けるように日向の中に染み込んで行った

~ホテルみらい敷地外~

九頭龍「くそっ、勢い余って思わず俺達の関係をバラしちまった・・・」

辺古山「バレてしまったものはしょうがないでしょう。私は正直隠す関係でも無いと考えていましたし・・・」

九頭龍「しかし、『コロシアイ修学旅行』だと・・・?助かるのは一人だけ!?ふざけんなっ!!」

九頭龍は地団太を踏む

辺古山「ぼっちゃん、私は構いません。どうぞいざとなれば私を踏み台に、生き延びて下さい」

そう言うや否や、辺古山は九頭龍に胸ぐらを掴まれる

九頭龍「ペコ・・・お前もふざけてんのか・・・?俺はテメェを足がかりに自分だけ生き残ろうなんて考えちゃいねぇぞ・・・」

辺古山「・・・あなたが私を嫌っているのは分かっています・・・私には踏み台の価値すら無いと・・・」

九頭龍はギリッと歯ぎしりし、辺古山をホテルの周りを囲う柵に打ち付ける

九頭龍「本気で言ってんのか!?ガキの頃から一緒なのになんで分かんねえんだよ!?」



九頭龍「俺にはお前が必要なんだ!道具じゃねえ・・・お前自身が!!」

辺古山「ぼっ・・・ちゃん・・・?」

突然の告白に、辺古山は何かの聞き間違いではないかとさえ思った

九頭龍「思考を止めるなよペコ・・・『コロシアイ修学旅行』と銘打ちやがったからには、モノクマの野郎は何が何でもコロシアイをさせるために手を尽くすはず・・・」

九頭龍「そんなモンに惑わされんな!絶対に見つけるぞ、2人揃って出る方法を!!」

辺古山「・・・ぼっちゃんの仰せのままに・・・」



冷静に返事をするが、辺古山の顔は赤くなっていた

~ホテルみらい 七海のコテージ~

日向と別れた七海は、自分もコテージに帰っていた

そして七海は、自分の部屋の監視カメラに死角から触る

ザザ・・・とノイズが走った後、監視カメラは眠っている七海の様子を、つまり偽の映像を流し始めた

そして七海はカーテンも閉め切って誰にも見えないようにし、鍵も確認する

誰も入って来れない状態と判断した後、ちょんと何も無い空間を人差し指で突いた

七海の前に、空中に浮く液晶画面が現れる。その下にも同じ液晶画面のような物があるが、キーボードが描かれている

七海はキーボードを物凄いスピードで叩き始め、もう一つの液晶にはコンピュータのプロソースコードが物凄い勢いで流れていく

七海「圧縮コード・・・解除!!」

エンターキーを押し、何らかのプログラムを作動させた

七海「続いてサーチ開始・・・」

間髪入れずに次の操作を始める

七海「・・・今この島には、『何人が生き残ってる』の・・・?恐らく、全員という楽観視は出来ない・・・」

何かのデータを液晶に読み込み、目を左右に走らせながら大量のデータを精査していく

=終里と田中の戦いが始まってから30分後=

ホテルのレストランにやって来た左右田は、弐大、花村相手に愚痴を零している

起床早々モノクマに呼び出されていたのだが、その後の異常事態で皆朝食を食べる気が失せてしまっている・・・

左右田「なんなんだよ!モノクマ、モノケモノ、『スタンド』、終里!この島危険だらけじゃねえか!!」

弐大「全くじゃ・・・ウサミ・・・いや、モノミは危険は無いと言っておったはずじゃがのお・・・」

モノミ「完全にモノミ定着なんでちゅか・・・クスン・・・」

いつの間にかモノミが愚痴の輪に入っていた

左右田「ぎにゃあああああああああああ!!生きてた!!」

花村「ぬいぐるみなんだから、スペアぐらいあるんじゃない?」

モノミ「それでも一度死んでるのには変わり無いんでちゅから、邪険に扱わないで下ちゃい・・・」

モノミはウルウルと泣いている

花村「まあ、僕はさほど人殺しと縁の無い能力で良かったよ」

弐大「どんなんだったんじゃ?」

花村「『パール・ジャム』っていう小さな群れのスタンドでね、料理に紛れ込んで体内に侵入するんだけど・・・」

左右田「お、おっそろしーじゃねえか!!」

花村「やだなぁ、中から内臓を食い破ったりする力なんて無いよ。体内の血行を良くしたり悪い細胞を取り除いて新しい細胞と入れ替えたりする、健康にするスタンドだよ!」

弐大「ほほう、それは食事が楽しみになる『スタンド』じゃのお。そういうのもあるのか。」

花村「ただ、効果が表れる時が・・・涙が止まらなくなったり、野球ボールになるぐらいの大量の垢が出たり、内臓が体から飛び出て腫瘍を追い出したりするんでちょっとグロテスクみたいでね・・・」

左右田「怖えよ!そんな事になる料理食うの怖えよ!!」

弐大「食欲が無くなりそうじゃのお・・・」

狛枝「まあまあ、健康になるんだからそれぐらい目を瞑っても良いんじゃないかな?」

狛枝と十神がやって来た

狛枝「にしてもやるねぇ花村君。良い所だけ情報を流して油断させるとは」

十神「!?狛枝、貴様まだ・・・」

弐大「どういう意味じゃ狛枝?」



狛枝「だって体内に侵入できるんだよ?毒を持たせておけば好きな人を好きなタイミングで毒殺出来るじゃないか」

左大十「!!?」

花村「な、何言ってるんだい!?そんな事『超高校級のシェフ』たる僕がする訳無いじゃないか!!」

狛枝「分かってるよ、あくまで可能性の話さ」

花村「か、可能性の話でもやめてよ!!」

狛枝「あくまで可能性は可能性、起こるとは言ってないさ」

十神「狛枝、もうその辺に・・・」

狛枝「まあ、もし花村君が何を犠牲にしてでもこの島を出たくなったら、そんな料理人の風上にも置けない手もなりふり構わず使うだろうね」

花村「やめてよ!!いい加減にしてよ!!」

狛枝「どうしたの?料理人の名にかけてそんな手に出る気なんて無いなら、このゴミクズの言う事なんていちいち目くじら立てずにスルーすればいいじゃないか?」

花村「な・・・」

狛枝「そんなにムキになったら逆に怪しいよ?」

花村「う・・・ううう・・・」

花村クンが涙目になる

小心者の左右田クンはその様子でむしろボクの言う事がありうるかも知れないと、花村から距離を取ったよ

西園寺「あ~ブタが泣いてる~!私が泣くならともかくブタが泣いたって需要なんか無いのにね~!」

小泉「なんなの狛枝?不安にさせる様な事なんか言って・・・」

ボク達と別ルートで、小泉さん、西園寺さん、罪木さん、澪田さん、七海さんがやって来た

十神「全員落ち着け!どうやら、この狛枝はコロシアイが起こって欲しいと考えているようだ・・・」

澪田「うげげっ!超危険人物じゃないっすか!!」

罪木「ひいい!殺さないで下さい!何でもしますから!!」

狛枝「ん?今何でもするって・・・」

十神「黙ってろ」

西園寺「何でもするなら第一犠牲者よろしく!」

罪木「死んじゃうじゃないですかぁ!」

十神「西園寺も黙れ!いいか、俺が居る限り殺人など起こさせん!」

場を鎮め、十神クンは高らかに宣言する

十神「俺がリーダーとなり、全員生き残って脱出させる!俺が目指すのはそれだけだ!そこへと俺が導いてやる!!」

澪田「キャー!白夜ちゃんカッケーっす!!」

西園寺「同じブタでも花村とは大違いだね~御褒美にブタから豚足ちゃんに格上げしてあげるね~」

七海「それ上がってるのかな・・・」

十神「ふ・・・あだ名で呼ばれるとは初めての経験だな」

左右田「心広っ!俺が自信を失くす程に!!」

狛枝「でもさぁ・・・今既に田中クンと終里さんが殺し合ってるよ?宣言時には既に失敗してたりしてね?」

十神「ぐっ・・・」

多分皆が今一番考えたくない事を指摘し、場の空気が凍る



田中「フ・・・この覇王が相手を峰打ちで圧倒出来ん程度の力だとでも?」

全員「!!!」

外の階段から田中クンがやって来た。背中にボロボロの終里さんを背負っているよ

隣にはソニアさんが付き従っている

左右田「ソ、ソニアさん!?なんでそこが定位置みたいに・・・」

十神「田中!無事だったか!!」

ソニア「終里さんも命に別条はありません。むしろ良い戦いが出来たからなのか、満足そうな笑顔で寝ています・・・」

小泉「あ、赤音ちゃん・・・」

狛枝「終里さんVS田中クンは田中クンに軍配が上がったか・・・途中で十神クンに気絶させられて見られなかったんだ。良かったらどんな戦いだったか教えてよ!」

十神「もう良いだろう?2人とも無事帰って来た。それで!」

左右田「いや聞くべきだ!狛枝が花村の毒殺を指摘したように、戦いの内容を知って対策を練れるようにしないと・・・」

ソニア「見損ないました左右田さん!わたくし達を助けてくれた田中さんが殺しに来ると思ってるんですか!?」

左右田「い、いえソニアさん、終里の対策ですよ?」

左右田クンは口ではそう言うけど、ソニアさんの睨んだ通り終里さんに勝った田中クンの方の警戒が本命だと思う

それを感じ取ったか否か、田中クンは戦いを語る

自分の『ゴールド・エクスペリエンス』の能力、終里さんの戦略に関しての予想以上の狡猾さ

そして田中クンの作戦立案後、30分近くの持久戦にもつれ込み、ついに場が動いた時へと話は進む

終里「おっ・・・とうとうエネルギー切れか?」

田中が『GE』の扱いに慣れていないのもあるが、30分で効力が切れ始めていた

『ランビ』の表面にレンガ模様が浮かび、動きが少し鈍くなる

それを好機と、終里が追い打ちを掛ける

終里「これで終わりだあああああああああああああああああっ!!!」

『ランビ』が残る力を振り絞り、右に避けた

終里「まだ避ける力があったか・・・だがそろそろ持たな」

ゴンッ!!



突然の衝突音と共に、終里の身体が宙に浮いた

終里「・・・へ? ギャアアアアアアアアアアア!!!」

そして公園の脇にある雑木林に突っ込んだ



田中「どうやら化かし合いは俺様の方が上だったようだな」

終里「なん・・・で・・・」

田中「自分が雑木林に突っ込んで分からんのか?貴様は公園の端、つまり水辺の端に突っ込んだのだ!」

終里「!!」

田中「水辺のどこへでも移動出来るという事は、逆に水から外へは出られない。ではそこへ全速力へ突っ込んだらどうなる?泉の淵に全速力でぶつかると同義・・・『クラッシュ』はそこでぶつかって止まる!」

田中「そして貴様自身はシートベルトをせず急停止した暴走車と同じ・・・慣性の理に従い吹き飛んだ・・・それだけの事!!」

終里「こうなる事を読んで・・・動いてたのか・・・?」

田中「苦労したぞ、貴様と『ランビ』の動きに法則を見出すのは・・・だが、この俺様と破壊神暗黒四天王にかかれば造作も無い事だった!!」

終里「ハムスター・・・何もしてねぇだろ・・・?」

田中「黙れ!貴様まだやられ足りないか!?」

終里「いや、完敗だ・・・まんまとお前の掌の上で踊らされたわけだ・・・やっぱ面白えなぁここは・・・また・・・やろうぜ・・・」

そう言って、終里は雑木林に突っ込んだダメージで意識を失った

田中「二度と相手などしないぞ・・・」

ソニア「お見事です!まさに覇王に相応しい頭脳の勝利!!」

ソニアさんが目を輝かせているよ

かくいうこの狛枝凪斗も興奮気味さ!

狛枝「素晴らしいよ!勝手気ままな動物の動きを見極めるなんて、まさに『超高校級の飼育委員』でなければ出来ない芸当だ!終里さんは彼を相手にした時点で負けていたと言えるね!」

十神「・・・貴様に褒められても誰も喜ばんと思うぞ・・・そもそも田中が闘った事自体不本意だったのだから・・・」

あれ?褒めてもらえば誰だって嬉しいものじゃないかな?

ボクは褒められ慣れていないから、よく分かってないという事かな?

十神「しかし解せんな・・・いくら終里が戦闘狂いといえど、あんな状況で平然と闘いを申し込みに行くとは・・・」

田中「原因なら分かっている。倒れた終里を担ぎあげた時に気付いた」

狛枝「流石田中クン!プロフェッショナルと呼ぶにふさわしい仕事の速さだ!!」

七海「ねぇ狛枝君・・・少し黙っててもらえるかな?話が進まないよ」

狛枝「・・・・・・・・・・・」

それが超高校級の君達の指示なら喜んで!

十神「それで、原因とは?」

田中「貴様達、靴を脱いでみろ」

急な上に意味不明な指示に皆不思議がるけど、他でもない田中クンの指示だ。皆素直に従ったよ。けど・・・

狛枝「あ、あれ?」

おかしいな・・・左足の靴は脱げたのに、右足の靴が脱げないよ?

罪木「み、皆さんどうかしたんですか?」

七海「さぁね・・・」

罪木さんと七海さんは両方脱いでいるけど、他の皆は田中クン含めどちらか片方の靴が脱げないみたいだ

左右田「何だ?この感覚・・・足の裏を縫われたみてぇだ・・・」

小泉「あ、そうそう!そんな感じ!」

澪田「って事は、足の裏に何かが・・・」

澪田さんがかがんで靴が脱げない右足を上げると・・・

澪田「うっぎゃああああああああああああああああああっ!!!」

盛大な悲鳴を上げた

他の皆も足の裏を見るや否や絶叫してる

思わずボクもはしたなく大声を上げる所だったよ

だって自分の足の裏に、吸盤みたいな化け物が貼り付いているんだから

田中「そいつの名は『サバイバー』・・・最も弱く、そして最も手に余ると言われている『スタンド』だ・・・」

十神「ではこいつが・・・」

田中「そう・・・そいつの能力こそ『闘争本能の刺激』・・・その場に居る者達を罵り合い、殴り合い・・・果てはコロシアイに誘う魔の『スタンド』だ!」

小泉「あ、赤音ちゃんは元々闘争本能が強いから、真っ先にこれの影響を受けたと言う事ね・・・!」

田中「罠だったのだ・・・朝の召集が既に!『サバイバー』は水を経路として電気信号を発し、水に浸かっている人間の中に流れる神経を操作する仕組み・・・」

ソニア「だから集合場所が水浸しに・・・」

田中「左様・・・我々の中に存在を把握していた『サバイバー』を利用して、我々の殺人に対する閾値を下げるための罠!」

田中クンの予想通りなら、終里さんが早速暴走する事まではさすがに予想してなかったという事かな?

西園寺「だ、誰よ!こんなコロシアイ促進装置でしかない『スタンド』の本体は!?真っ先にぶっ殺さないと安心して生活出来ないじゃん!」

十神「冗談でも言うな!そんな事をすれば、それこそコロシアイが止められなくなるぞ!!」

田中「『クレイジー・ダイヤモンド』という強力なスタンドがある・・・」

田中クンが急に何かを語り出したよ

田中「能力は、『怪我や破損の修理』・・・この世で最も優しい能力だ」

左右田「それが・・・なんだ?」

田中「ただし・・・どんなに傷付こうと、自分には使えないのだ」

ソニア「あっ!ではまさか・・・」

田中「天の定めるパワーバランスか、己を巻き込まない自己防衛本能か・・・スタンドの能力は自分に作用しない物も少なくない」

弐大「ならば『サバイバー』に取り憑かれておらん罪木か七海が本体という事じゃな!」

罪木「ひぃっ!?」

七海「・・・・・・・・・・・・」

皆の視線が2人に向く。罪木さんはうろたえてるけど、七海さんは冷静だ



七海「・・・私じゃないよ」

そう言って七海さんは両手を左右に伸ばした

田中「その構えは・・・!」

ドギュウウウウウウウウウウウウウウウン!!

田中クンが叫ぶと同時に、七海さんの腕から何かが飛び出した!

白い戦闘機だ!プロペラの無い近代系の戦闘機だね。色合いが彼女の髪留めの戦闘機そっくりだ!

七海「『メン・ウィズアウト・ハッツ(MWH)』・・・これが私の『スタンド』だよ」

田中「え、『エアロ・スミス』ではないのか・・・『サバイバー』ではないのは間違いない」

七海さんはしばらく『MWH』を飛ばした後、自分の腕へと呼びもどした

どうやら広げた腕は滑走路の役割をしているようだ

西園寺「じゃあそっちのゲロブタが本体か!!」

罪木「ひいっ!!」

西園寺さんが罪木さんに突っかかる

小泉「ま、まぁまぁ日寄子ちゃん・・・彼女も悪気があった訳ではないんだから・・・」

澪田「多分転んだ拍子に『サバイバー』をぶちまけちまったんすね~」

澪田さんの言葉で、ああ、そういえば・・・と納得する。モノクマは彼女のそそっかしさも計算済みか・・・

罪木「うゆぅ・・・どん臭くてすみませぇん・・・」

あらあら、泣いちゃった・・・

西園寺「泣いたってダメなんだよ!さっさと外せよ!!」

罪木「ふえぇ・・・どうやるんですかぁ?」

西園寺「知るかよ!!」

田中「普通は本体の意識が鎮まれば『スタンド』の効力も収まるが・・・」

西園寺「OK」

罪木「ぎゃふっ!!?」

西園寺さんの返事と共に、罪木さんが一度ビクンッとなって倒れた

弐大「さ、西園寺・・・お前さんが持っとるそれ・・・スタンガンか?」

西園寺「うん、ロケットパンチマーケットにあったから護身用にね~。私の身体目当てにいつ男共が襲ってくるか分からないからね~」

モノミ「そ、そんな危ない物、無かったはずでちゅけど・・・」

左右田「お前の身体ぁ?需要あるのか?」

左右田クンェ・・・

西園寺「うわあああああああああん!モブなんかに魅力無いって馬鹿にされたああああ!!」

小泉「左右田!もうちょっとデリカシーってモンを考えなさいよ!!」

左右田「何でだよ!?襲われる心配無いって喜ぶ所だろ?」

ソニア「左右田さん・・・だからあなたは駄目なのです・・・」

左右田「ソニアさーん!!?」

花村「安心なさい・・・いざとなったら小泉さん共々僕が貰ってあげるよ!」

西園寺「[ピーーー]ブタ!お姉との百合の方がマシだ!!」

小泉「ひ、日寄子ちゃん!?///」

やれやれ、話が進まない・・・

狛枝「それで?『サバイバー』はもう消えたのかな?」

花村「あ、ああそうだった!もう靴も脱げるよね・・・あれ?」

花村クンが試しに靴を脱ごうとするけど、相変わらず靴は足に張り付いて取れない・・・

澪田「どういう事っすか!?全然無くなってないっすよ!?」

田中「馬鹿な・・・!?」

これにはさすがの田中クンもうろたえている。普通に考えれば本体の意識が無くなれば操り様が無いんだからねぇ・・・

でも事実は事実・・・『サバイバー』は未だにボク達の足にへばり付いてるよ

十神「何か他に方法は無いのか田中!?」

田中「いや、どころかむしろここまでくると異常だ・・・」

ソニア「どういう事ですか?」

田中「そもそも、『サバイバー』が足にへばり付くという事自体妙だったのだ。本来は水に浮いているだけで、人体に直接接触しない『スタンド』だ」

十神「では七海だけ本体ではないのに影響下に無いのが妙だと睨んでいたが・・・むしろ七海の方が正常という事か・・・?」

田中「そうだ・・・こんな事態、前例が無い・・・!」

花村「じゃあ、誰か他の人の『スタンド』が原因で・・・」

モノクマ「いやいや、僕の睨む限り他の『スタンド』は関係無いよ!」

そこにあのダミ声が届いた

モノクマがいつの間にかレストランに入って来ていた

七海「・・・モノクマ、君の意見を聞こう」

七海さんが静かにモノクマに先を促す

モノクマ「さあねぇ・・・とりあえず僕に言える事は、人体にへばり付いた事で本体の意志から離れたスタンドになったんじゃないかという事ぐらいかな~?」

七海「自律型になったって事?」

モノクマ「そういう事。言わば本体ではなく取り憑いた人の方の精神力をエネルギーとしている、みたいな?本体の罪木さんが死んでも解除されないかもね~」

小泉「そ、そんな・・・」

十神「もう一つ気になる・・・七海だけ無事なのはなぜだ?貴様は田中よりスタンドに詳しそうだ。嘘でも良いから答えろ」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・そこは僕も不思議なんだけどさー・・・偶然で良いんじゃない?」

小泉「そういえば千秋ちゃんと日向だけが、集合が蜜柑ちゃんの『後』だったわね」

田中「だがそれだけか・・・?転倒の拍子の発動なら、前だけでなく前後左右全てにばら巻いたと考えられる・・・」

思考を止めず考え続けてくれる田中クンは頼もしいなぁ

ゴミクズのボクには何がなんだかさっぱりだよ!

田中「しかも居場所は足の裏・・・罪木転倒直後は数人しか歩いていない、つまり足を上げていない」

田中「となると、『サバイバー』が取り憑いたのは終里の暴走からの避難時だ。だとしたら偶然では済まないぞ・・・」

モノミ「な・・・なんででちゅか?」

田中「日向と七海が罪木の『後』から来たという事は、『サバイバー』に取り憑かれる機会が『行き』と『帰り』の2回あったという事だ・・・」

田中「しかし大半の囚人が『帰り』の1回だけで取り憑かれたにも関わらず、七海はより取り憑かれる確率が高かったにも関わらず、1人無事だった・・・」

澪田「唯吹は確率とか分かんねーっすけど、確かに偶然じゃ有り得ない確率なんじゃないっすか?」

左右田「じゃあ、どういう事だよ!?」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・田中君以外は何も考えてないねぇ・・・偶然じゃなかったらそれは何だい?必然だろ?」

ソニア「必然・・・?」

モノミ「『サバイバー』が自ら取り憑く相手を選び、七海さんだけ選ばれなかったという事でちゅか!?」

十神「普通に考えればそうなるが・・・しかし・・・」

ま、確率を考えなくても偶然じゃないって事は分かっていたさ

なんせこの『超高校級の幸運』であるボクまでやられているんだからね。こういう時こそ発動するのがボクの運だ

・・・それとも、取り憑かれている状況の方が、幸運なのかな?

左右田「必然で七海を外したって・・・まさか!裏切り者って・・・」

日向「どうかしたのか?」

左右田クンが何かを確信して七海さんに突っかかろうとした所で、日向クンが来たよ。あくびを上げてて眠そうだ

それと九頭龍クンと辺古山さんがその後ろから来て、これで全員レストランに集まったよ

日向「寝足りなかったら寝てたら、何かモノクマが全員に話があるって直接コテージに来たんだが・・・」

九頭龍「俺達もそうだ。モノクマが呼びに来たぞ」

モノクマ「さて、これで全員揃ったね!」

モノミ「な、何を言うつもりでちゅか?」

モノクマ「白々しいなぁモノミ!お前がこいつらにやった事の話だよ!」

モノミ「ファッ!!?」

小泉「モノミが私達にした事!?」

左右田「何をやりやがったんだ!?」

全員が一様にざわめき出す・・・

・・・あれ?

日向クンは・・・ノーリアクション?

モノクマ「オマエラさぁ・・・どうやってこの島に来たのか覚えてないでしょ?」

ソニア「確か教室に集合して、そこでモノミさん・・・元ウサミさんに会い、彼女の魔法でいつの間にかこの島に来ていた・・・という所でしょうか?」

花村「確か、そうだったね・・・」

モノクマ「まあ、オマエラがそう言うならそうじゃない?じゃあもう少し突き詰めるけど・・・オマエラ、『最初の集合場所に来る前』の事・・・覚えてる?」

モノクマの問いに、全員が黙っちゃった・・・

日向「いつの間にか教室の入口の前に居た・・・」

弐大「そうじゃな、希望ヶ峰学園の入口まで来たのは覚えておるが、そこから日向の言うタイミングまでの記憶が曖昧じゃあ」

澪田「んで、何でか分からないんすけど、ムショーにその扉に入りたくなって~・・・」

十神「入ったら閉じ込められた・・・」

モノミが冷や汗をかいてる・・・何となくモノクマが言いたい事が予想出来て来たよ

モノクマ「なぜ希望ヶ峰学園の入口に入ろうとした時から教室に入ろうとする時までの記憶が無いか・・・それは・・・」



モノクマ「モノミが、オマエラの記憶を奪っちゃったからなんだよ!!」

全員「!!?!?」

自分の人生の一部の記憶が丸ごと欠落している・・・これ程恐ろしい事は無いよね・・・

田中「似非熊猫・・・貴様の仕業ではないのだな?」

モノクマ「うん!ボクは記憶喪失の件にはノータッチだよ!」

西園寺「おいウサギ!本当なのか!?」

モノミ「せ、せめてモノミで良いでちゅから名前で呼んで・・・」

ソニア「どうなのですか!?」

モノミ「・・・・・・・・・・・・」

狛枝「この状況で黙秘は・・・認めているのと同義だよね?」

モノミの傍に居た生徒が、七海さん以外全員離れた

弐大「き、記憶喪失って・・・いったいどれだけの記憶を・・・」

モノクマ「確か君達が入学してから、もう4~5年は経ってると思うよ?」

罪木「そ・・・そんなに長い間・・・?」

花村「嘘だよ・・・それが本当なら・・・し、信じないぞ・・・!!」

皆事実である可能性が高くなった記憶強奪に、パニックになり始めたよ

辺古山「希望ヶ峰は全寮制・・・私達は九頭龍組を出て希望ヶ峰に移った。それから4~5年だと!?九頭龍組はどうなったというのだ!?」

モノクマ「そう!その答えが欲しかった!!」

モノクマが高笑いを始めた

そして、16枚のCDディスクの様な物を出した

ソニア「な、なんですかそれは・・・」

モノクマ「ホラホラ、気になるでしょ?触れるよ?このディスクに、オマエラの失くした記憶が詰まってるんだよ!!」

ほぼ全員「!!!」

モノミ「ど、どうちてアンタがそんな物を!?・・・いや、ハッタリのはず・・・そもそも記憶はディスクになんか・・・」

モノクマ「察しが良いねモノミ!これはお前が記憶を管理している機械から、僕の『ホワイト・スネイク』で中身を移したんだよ!」

モノミ「なっ!!!」

モノクマ「それと気付いてるモノミ?今お前、皆の記憶を奪った事を自白したよ?」

モノミ「・・・・・・え・・・」

モノミが周囲を見回すと、全員から敵意を向けられてる・・・

いや、全員じゃないな・・・日向クンは興味無さそうに電子生徒手帳のペットの管理をしているし、七海さんの視線は敵意とは違う・・・何と言うか・・・呆れてる?

左右田「か、返せよ!それが俺達の記憶なんだろ!?さっさと返せ!!」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・この僕がそんな素直に返すと思う?」

十神「ま、まさか貴様・・・」





モノクマ「当然じゃん!自分の記憶が手に入るのは、島から出る時・・・『コロシアイ修学旅行』を勝ち抜いた一人だけだよ!!」

ほぼ全員「!!?!!?!?!?」

七海「・・・コロシアイの動機付けだね」

一気に全員の表情が蒼ざめた・・・

記憶を得られるのは『コロシアイ修学旅行』を勝ち抜いた、たった一人・・・

他の皆はたとえ奇跡的に手に入っても意味が無い・・・

他は全員、死ぬんだから

モノクマ「ほらほら、You達殺しちゃいなよ!記憶が欲しかったら殺しちゃいなよ!!」

モノクマ「早く殺らなきゃ先越されちゃうよ?」

罪木「そ、そんな事言われても・・・」

九頭龍「確かに、記憶が奪われた期間に実家に何か無かったか心配だけどよぉ・・・」

ソニア「ここに居る仲間の誰かを殺してまで・・・」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・牽制し合ってるね。ま、僕としては誰でも良いけどね」

モノクマ「僕から今回伝えたかった事は以上だから!」

モノクマは言いたい事を言い終わり、去ろうとする・・・

田中「待て!コロシアイなどしなくとも、ここで力尽くで・・・『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

田中クンのスタンドが、モノクマに殴りかかる!

モノクマ「『ホワイト・スネイク』」

しかし両拳をモノクマに抑えられて動けない・・・

モノクマ「あのねぇ田中君・・・勇気と無謀は違うんだよ?僕に傷を付けようものなら、校則違反で問答無用で処刑だよ!しょ・け・い!」

田中「これだけ人数が居るのだ。傷付けず奪取する事も・・・」

モノクマ「そもそもこれ、レプリカだから。本物は持って来てないよ」

田中「!!?」

モノクマ「当たり前じゃないか!本物持って来て奪られたら本末転倒じゃん!ま、それを何人を犠牲にして成し遂げるかも気になったけどね」

モノクマ「大勢の仲間を犠牲にして手に入れたディスクが、ただのディスク・・・死んだ仲間は犬死に・・・ぜっつぼう的いいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!」

そう言ってモノクマは高笑いし、ディスクをばらまいた

その内一つを拾ってみるけど、確かにただのCDや映像を聞くのに使うだけのディスクだ

田中クンは自分の行動が、ただモノクマの掌の上で遊ばれていただけだったと思い知らされ、がっくりとうなだれてる・・・

終里さんを倒した事で、気が大きくなっちゃったかな?

まあ、それすらしなかった他の皆よりずっとマシじゃないかな?

日向クンは残りのディスクを回収しつつ、モノクマに尋ねる・・・

日向「お前はどうしてこんな事が平然と出来るんだ?こんな事をして、その先に何があるんだ?・・・・・・お前の目的は何だ?」

冷静に・・・だけど、相手を切り刻む殺気を放ってる・・・

でも、モノクマは日向クンの殺気をまるで気にしてない

モノクマ「何が目的?決まってるじゃないか!」



モノクマ「絶望・・・それだけだよ」



今度こそモノクマは去った・・・誰かが記憶を求めて殺人を起こそうとするんじゃないかという疑心暗鬼を置いて・・・

モノミ「だ、駄目でちゅよ・・・コロシアイなんてしちゃいけまちぇんからね!」

西園寺「黙れよ・・・耳が良い癖にアイツの話を聞いて誰が原因か分かってないの?」

小泉「日寄子ちゃん、落ち着いて・・・」

西園寺「テメェが私達の記憶を奪ったのが原因だろうがああああああああああ!!モノクマに良い様に利用される杜撰な管理しやがってえええええええええええええええ!!!」

イライラが爆発して、西園寺さんはモノミに当たり散らしている

でもまぁ、モノミは自業自得だよね

日向「落ち着けよ・・・」

ハァ・・・と溜息を付いて、日向クンが西園寺さんを止める

日向「どうして記憶を奪ったか、ちょっとは考えたらどうだ?」

西園寺「んな必要無いわよ!とりあえずコイツ徹底的に傷め付けないと・・・」

罪木「や、止めて下さーい!!」

西園寺「ちょっ・・・離せクソビッチ!!」

慌てて罪木さんが西園寺さんを取り押さえた

日向「モノミ・・・いや、ウサミが本来行おうとしたのは、『ら~ぶら~ぶ修学旅行』・・・皆で仲良くなる催し物だ」

日向「そのために記憶を奪ったという事は・・・俺達の記憶は『ら~ぶら~ぶ修学旅行』の進行を阻害する記憶だったんじゃないか?」

モノミ「・・・・・・・・・・・・」

ソニア「そ・・・そうなのですか?」

モノミ「・・・あちしは教師・・・一介のしがない教師でちゅ・・・当然上の者が居まちゅ・・・その人が絶対バラしてはいけないとしていまちゅ・・・あちしの意志がどこに有ろうと、意志に関係無く絶対にバラせまちぇん・・・」

モノミはまるで悔しがるかのように、拳を握りしめている

どうやら本当に、モノミは言いたくても言えないみたいだね

日向「・・・それに記憶を餌にするなんて、あからさまに怪しいだろ・・・」

弐大「どういうことじゃあ?」

日向「あいつの望みは、絶望・・・それだけ。俺達が絶望する事が望みなんだ」

左右田「だからコロシアイを起こそうとすんだろ?」

日向「そう・・・でもさらに、記憶を取り戻したら取り戻したで絶望するシチュエーションとか・・・あいつなら用意してそうじゃないか?」

場の空気が凍る・・・

澪田「記憶を取り戻したら取り戻したで・・・絶望する?」

日向「俺だったら、皆ととっても仲が良かった記憶が封印されてるとかだったら一番嫌だな・・・」

日向「せっかく楽しかった思い出を取り戻しても、もう共有する相手は居ないんだ。自分の手で殺したから」

場の空気が氷点下以下に凍った・・・

花村「もしそうなら、友達同士である事を忘れ、友達同士でコロシアイさせられそうになってるって事!?」

辺古山「確かに・・・記憶を取り戻したら取り戻したで絶望する最悪の結末だな・・・」

ソニア「まさに吐き気を催す邪悪・・・」

田中「雌猫の言う通りだ・・・『吐き気を催す邪悪』とはっ!何も知らない者(記憶喪失で)を、己の欲望(絶望)のために利用し、踏みにじる事っ!!」

狛枝「でもさぁ・・・そう決め付けるのは良くないんじゃないかな?」

ボクはちょっと流れが気に入らないんで、テコを入れる事にした

狛枝「そんな事をしたら、ボク達には何の利も無いじゃないか。メリットが何も無くて、サバイバルゲームとして成り立ってないよ」

狛枝「そんな気付かれたらコロシアイが絶対に起きないシチュエーションを用意する方が、よほど本末転倒なんじゃないかな?」

ボクとしては、こんな希望と希望のぶつかり合いが何度も起きるチャンスをみすみす逃す手は無いと思ってるだけだけどね!

日向「・・・・・・・・・・・・」

日向クンが、気分を害したのか睨んで来るよ・・・

ああ・・・その目・・・養豚場のブタでも見るかのように冷たい目だ・・・残酷な目だ・・・

『かわいそうなほどに、明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ自分の運命が見えてないな』って感じの!

まさにこの狛枝凪斗に向けるに相応しい目だ!今までもこういう目に睨まれて来たなぁ・・・

十神「・・・日向の言う事は一理ある・・・むしろそうした最悪の展開を予測しながら生活しないと、この『コロシアイ修学旅行』で俺達は死ぬ・・・」

十神「全員・・・気を引き締めろ!個人個人で考えに考え抜き、簡単に流されるんじゃない!!」

十神クンの号令で、場が落ち着きを取り戻したみたいだ

日向クンは何だか口をポカンと開けてるけど、自分の言った事を取られて怒ってるのかな?

十神「さて・・・朝食を食べてはいないが、既に昼だな・・・さすがに2食も抜いてはカロリーを消費し過ぎる」

十神「体力はしっかり付けておかなければいけない。昼はちゃんと食べるぞ。花村、用意しろ」

花村「・・・・・・・・・・・・・」

十神「花村?」

花村「え?あ、お昼の用意?ちょっと待ってね」

花村クン、顔色悪いけど大丈夫かな?

西園寺「・・・ちょっと待って、そのブタに皆の昼食作らせる気?」

西園寺さんの意見に、花村クンの背筋が竦む

小泉「ひ、日寄子ちゃん・・・?」

西園寺「そいつその気になれば全員まとめて毒殺出来るんだよ~?そんな危ないヤツの料理なんて食えたもんじゃないよ!」

西園寺「たとえ毒入ってなくても、味わうどころじゃないから絶対不味いよ!」

ばちいいいいいいいん!!

小泉「いい加減にしなさいっ!アンタのそういう態度がコロシアイを引き寄せてるって分からないの!?」

澪・罪・ソ「!!?」

仲良さげだったのに、小泉さんが西園寺さんに手を上げるなんて・・・

小泉「あっ・・・ご、ごめ」

西園寺「うわああああああああああああああああああああああん!!!」

我に返った小泉さんが謝るけど、西園寺さんはそれを聞かずに出て行っちゃった
我に返った小泉さんが謝るけど、西園寺さんはそれを聞かずに出て行っちゃった

日向「何かピリピリしてるな・・・何かあったのか?」

七海「『サバイバー』が皆の靴の裏に取り憑いてるの・・・それで皆イライラが簡単に出やすくなってるみたい・・・」

日向「ふぅん・・・どうだか・・・」

日向クンの呟きに、小泉が睨む

小泉「日向・・・『どうだか』ってどういう意味?私が普段からこういう事する人だって思ったの?」

日向「うん」

ほぼ全員「!!?」

日向クンは清々しい程に真っ向から肯定した。小泉さんは逆に呆気に取られてる

小泉「ひ、日向・・・アンタここに顔を出した時から、何かおかしいんじゃないの?」

日向「別に俺に配られたスタンドの説明書が白紙だったからイラついてるとかじゃないぞ?俺には『サバイバー』取り憑いてないし」

田中「なに!?七海だけでなく日向も!?」

左右田「つーかスタンド無しお前かよwwwwwwwwwwだっさwwwwwwwwww」

辺古山「笑ってやるな・・・力が無いため最も狙われやすいという事だぞ・・・」

日向「俺は食うぞ。花村、作ってくれよ」

花村「え?う、うん・・・」

日向「俺の行き付けは『雨宮食堂』って所だけど、超高校級の料理人の料理もなかなかイケるからな」

花村「そ、そうなんだ(実家が『花村食堂』って普通の食堂だって知ってての台詞じゃないよね?というか普通の食堂と同列にされるのはさすがにムカつくんだけど?超高校級ぞ?我、超高校級ぞ?)」

日向クンが率先して花村クンの料理を求めてくれたおかげで、そのまま西園寺さんを探しに行った小泉さんを除いた皆で花村クンの料理を味わったよ

西園寺さんの意見は邪推だったね。とってもおいしかったよ





でも、それもいつまで味わえるかな・・・?

>>41
なぜか最後の2行がだぶった・・・すまぬ・・・



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=2日目 夜時間=

~ホテルみらい 狛枝のコテージ~

くっふふふふふふふふふふふふ・・・

あははははははははははははははははははははははははははははははは!!

超高校級の才能を持つ皆が、力を合わせて仲間の死という絶望に立ち向かう・・・

それはきっと、この世で5本の指に入る素晴らしく美しい光景だよ!

もちろん一番は、絶望を払い終えた希望溢れる世界さ!

皆の希望は、絶望と戦ってこそ、鋭い光を放つ!

皆の希望は、絶望に勝利してこそ、本当の希望と呼べる!!

そのために、少しぐらい背中を押したって良いよね?

そのために相応しい『スタンド』を得られて良かったよ!!

『ペイズリー・パーク』よ!ボクを絶対的な希望へと導いてくれ!!

ドギュウウウウウウウウウウウウウン!!

・・・・・・・・・・・・

すごいよ・・・これが『スタンド』の力なのか!?

発動と同時に、旧館を利用した殺人計画が頭の中にスルスルと組み上がっていく!!

今、十神クン宛にお手紙を書いてるんだ!

『警戒せよ!今夜、最初の殺人が起こる 誰かが誰かを必ず[ピーーー]』

定規で書いて筆跡を隠しているし、指紋もきれいにふき取るから、誰が投函したか分からない

十神クンは、皆を一カ所に集める計画を起こすはずだ

それこそが舞台を仕組まれたとも知らずに・・・

そして色々とお膳立てをして、ボクか誰かが誰かを殺せば・・・

『コロシアイ修学旅行』が本格的に始まる!!

全く・・・皆どうかしてるよ!

こんなにすごい絶望を、ただ巻き込まれないように避けようとするなんて!

そこは、この絶望を糧に自分達の希望をさらに磨く所でしょう!?

ただ震えて過ぎるのを待つなんて、なんて無駄な時間の使い方なんだ!

そんなチャンスと時間を無駄にするヤツなんて、『超高校級』と、希望と呼べない!

ボクが、何とかしなきゃ!ボクが、現実逃避する皆の目を覚まさせてあげなきゃ!!

そしてボクを踏み台として、より一層強い希望を世界に届けるんだ!!!

あぁ・・・どうなるか分からないけど、その結果が素晴らしいという事だけはよく分かるよ!!

世界よ、この絶望を乗り越え、一皮も二皮も剥けた世界の希望を讃えてくれ!

あはははははははははははははははははははははははははははは!!!

~ホテルみらい 日向のコテージ~



日向「さて・・・これだけあれば足りるかな?」

日向はモノクマのばら撒いたディスクを集めていた。さらに数が足りなかったため、ホテルのロビーにあるジュークボックスからディスクを数枚持って来ていた

日向「・・・・・・・・・・・・」

日向「『マ・・・・・・・・・エン・・・』」

日向が何かを呟くと、手に持っていた18枚のディスクに、変化が現れる

一枚一枚順番に、別のディスクへと変化していった

表面には、スタンドが浮かび上がっている

そう、次々にスタンドディスクになっているのだ

日向が、何をしたか?

日向の『スタンド説明書』は白紙だった





だからと言って、日向に『スタンド』が無い証明にならない

日向「おっ!これはアイツの愛用の『スタンド』だったな。こっちはアイツのだ」

日向「・・・・・・・・・・・・」

日向「運が良いな、全部『皆の愛用のスタンド』じゃないか」

上手くいった結果に安堵し、一息付いた

日向「・・・ま、当面の目標は、『皆で』コロシアイなんざ起こらないようにあいつらを管理していかないとな」

日向はこの先の方針が決まり、安心して眠りに着いた

この島に来て以来、初めての安眠だった

~島のどこか ディスク管理室~

モノクマ「うぷぷぷぷぷ・・・あいつら、コロシアイするかな~?雑魚の日向君らしくないあの冷静さが、歯止めを掛けそうで少し心配だな~・・・」

モノクマ「もしコロシアイしないようだったら、こちらとしても考えがある」

モノクマ「教師から手を出せない権限をクリア出来る、『処刑人』をこちらで用意しておかなきゃ・・・」

モノクマ「コロシアイは僕の趣味だけど、とにもかくにも『あいつらが死ななきゃ意味が無い』んだよ!」

モノクマ「さて、処刑人にはどの『スタンド』を持たせようかな~」

モノクマ「あまり強力なヤツじゃあパワーバランス崩れてすぐに終わってつまらないし・・・」

モノクマ「やっぱ処刑に相応しいスタ・・・あれ!?『メタリカ』はどこ行った?」

モノクマ「『マジシャンズレッド』や『ウェザー・リポート』も無い!!何だこのただのディスク!?」ガシャーン

モノクマ「・・・・・・・・・・・・」

モノクマ「数えてみたら、18枚も無くなっているぞ・・・」

モノクマ「でも、どうやって盗んだんだ!?そりゃあ元々あった場所から動かしてないけど、僕以外にここの存在を知るヤツなんて・・・」

その時、モノクマの顔は真っ青になる

モノクマ「・・・僕以外にこのディスク管理室の事を知ってる奴って・・・本当に居ない?」






モノクマ「だったら・・・このディスクをここに保管したのは・・・誰?」

モノクマは顔を青くしながら立ち上がる

モノクマ「まさか・・・この島には、僕もまだ知らない『何か』が潜んでいるんじゃ・・・!!?」

~中央の島 2の島に続く橋~



5体居たモノケモノの内1体は、田中の『ゴールド・エクスペリエンス』で既に倒されている

そして残る4体のモノケモノが、2~5の島へ続く4つの橋を封鎖している

その内2の島へ続く橋を守る獣型モノケモノに近付く者が・・・





モノミ「一つ、忠告しておきまちゅ」

モノミ「あちしを倒そうとする際、勝てそうになったからといって咆哮を上げる事は止めた方が良いでちゅよ」

モノミ「そうしたらきっと、ご主人タマの『記憶』が無くなっちゃいまちゅからね」

モノミ「ウサミとの、約束でちゅよ」



モノミは一つ忠告を残し、わずかに残ったミラクル★ウサミの力でモノケモノに立ち向かう

2日目終了

判明スタンド一覧

日向創   :???
七海千秋  :メン・ウィズアウト・ハッツ
狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :???
澪田唯吹  :???
左右田和一 :???
小泉真昼  :???
ソニア   :???
田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:???
九頭龍冬彦 :???
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :???
終里赤音  :クラッシュ

モノクマ  :ホワイト・スネイク
モノミ   :???



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2日目も終わり、まとまった書き貯めも使い切ったので一旦終了
また書き貯めて戻って来ます

3日目にていよいよ原作で最初の事件が起こったパーティーが始まります
そしてその後から一気に原作と違った展開へと進んでいきます

スタンドはまだ上記メンバーの2倍近く出て来る予定なのでお楽しみに(笑)

途中で夕食や風呂とか挟むけど再開します

3日目終盤からオリジナル要素が色濃くなるので
苦手な人は読まなくなるだろうな~

てか今の時点でどれぐらい読まれてるの!?




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=3日目=

狛枝「ふわぁ・・・」

作戦の細かい所を突き詰めていたら、ちょっと睡眠時間少なくなったな・・・

でも、朝食の時間は多くの超高校級の生徒と触れ合える時間だから、遅れたりなんか絶対しないよ!

おや?十神クンを中心に何か集会をやってるね

狛枝「どうしたの?」

罪木「はわわ!狛枝さん・・・それが、今夜の夜時間からコロシアイの雰囲気を払拭すべくパーティーを開くそうです」

十神「翌朝まで続くぐらいの盛大なパーティーだ」

狛枝「へぇ・・・」



計  画  通  り



顔がほころばないようポーカーフェイスを保つ

西園寺「ねーねー、あのイカレヘアーも参加させるの?逆に何かされそうじゃん?」

十神「だから皆で内容を決めていくのだ。心配なら狛枝の意見は全却下でも構わん」

狛枝「アハハハ・・・全却下って分かってるなら黙ってるよ。ボクは超高校級の皆が計画したパーティーなら、どんな内容でも受け入れるよ!」

九頭龍「相変わらずだなテメェは・・・」

・・・ふふふ、悪態を突かれちゃったな~・・・

でも残念だったね十神クン・・・『スタンド』が無ければそれで大丈夫だっただろう

だが、ボクの『ペイズリー・パーク』がある限り!

この会議は、ボクの殺人計画に沿ってしか進まないっ!!

日向「・・・・・・・・・・・・」

何だか日向クンに睨まれてるけど、ボクは『見る限り』会議では何もしないから止めようも無いよ!

十神「まあ料理は花村に用意して貰うとして・・・会場はどうするか・・・」

小泉「こことか、モノクマに入って来られたら面倒だしね・・・」

ソニア「あっ、ならば『旧館』などどうですか?」

左右田「旧館って、ここの西にある?でもあそこ、改装中とかで使用禁止になってませんでしたか?」

花村「モノミに聞いてみれば良いんじゃない?」

西園寺「ウサギー!早く出て来ないと耳を蝶にするぞー!!」

モノミ「喋々結びにするって事でちゅか!?止めて下ちゃい!!」

辺古山「モノミよ、コロシアイの雰囲気を払拭するためのパーティーを旧館で行おうという話になったが、使用許可をもらえるか?」

モノミ「『もちろん良いでちゅよ!』そういう事なら喜んで使用許可出しまちゅ!」

モノミ「あちしはやる事があるので参加出来まちぇんが・・・」

十神「何をやっているんだ?出来ればモノクマが入って来ないよう見張りを頼もうと考えていたが・・・」

モノミ「モノケモノをどうにかして他の島へ行けるよう、夜時間の間に戦いを挑んでいまちゅ!」

小泉「だ、大丈夫なの!?」

モノミ「皆さんはモノケモノを相手取って戦意を向上させるのは危険でちゅから援護は要りまちぇん」

日向「俺と七海以外は全員『サバイバー』に取り憑かれているからな・・・」

七海「なら私達が何か手伝おうか?」

モノミ「大丈夫でちゅ!あちしも戯れでモノクマにスタンドを与えられていまちゅから!」

終里「ほほう・・・お前もスタンド使いだったのか!!」

弐大「止めておけよ・・・昨日のでまだ懲りんのか?」

モノミ「あちしに気まぐれでスタンドを与えた事を後悔させてやりまちゅよ!その間皆さんは楽しんでいて下ちゃい」

モノミ「あ・・・ただ、改装で色々ホコリとか舞ったりしていまちゅので、掃除する必要はありまちゅよ」

十神「ならば掃除当番も決めないとな・・・どう決める?立候補は居るか?」

花村「僕は料理の仕込みで厨房に籠るから、食堂以外は誰かお願いね」

終里「え~?嫌だぜそんな細々した仕事・・・左右田とかでやってくれよ」

左右田「やっても良かったが俺に面倒事押し付ける流れがやる気を阻害したんだけど」

小泉「全く・・・ここは『ジャンケンで決めない?』」

田中「運命に身をゆだねるか・・・面白い!」

全員「じゃーんけーん・・・」

澪田「運命は彼に掃除当番を託せといっているんすか・・・」

九頭龍「何回やっても狛枝に決まり、狛枝抜いたら相子が延々と続いて決まらねぇ・・・」

七海「じゃあもう、狛枝君で良いんじゃない?」

西園寺「超不安なんだけど・・・殺人の仕込みされそうで」

澪田「まぁ、『何かあれば輝々ちゃんに止めてもらいましょう』!」

辺古山「『そうだな』・・・籠ると言っても出入りはするだろう」

西園寺「・・・・・・・・・・・・『まぁ、それで良いか』」

十神「決まりだな・・・調理は花村、掃除は狛枝。その他諸々の雑用も、俺もやるが他の者も手を貸してやれ!以上!」

ボクが口を挟まなかったからか、会議はスムーズに終了したよ





ふふふ・・・超高校級の皆ぐらい聡明な人なら、もう気付いてるよね?

メタな説明になるけど、『 』に入った言葉は・・・

本人は自分で言ったと思ってるけど、本当はボクの『ペイズリー・パーク』が言わせたのさ!

ちゃあんと、ボクの希望に沿う方向に話が進む様にね!!

当然十神クンがパーティーを開く事も、ね

あ、ただしジャンケンの結果だけは違うよ?

それはボク自身の才能・・・『超高校級の幸運』の力さ

すごいや!才能とスタンドを掛け合わせればこんなに力を発揮するんだ!!

これでもう皆がコロシアイから逃げる心配は無いね!

まぁ、七海さんのボクが掃除当番で良いやっていう発言が、『ペイズリー・パーク』が言わせたんじゃなくて素で言ってたのが気になるけど・・・

まぁ、『ペイズリー・パーク』の手を煩わせる必要も無かったって事で良いんじゃないかな?

さ~て、掃除に行かないと・・・

=数時間後=

~ホテルみらい 旧館~

くっくくくくくく・・・あはははははは!!

掃除も終わった事だし、いよいよ準備に取り掛かろう!

まずは倉庫のアイロンを目立たない所で3つ電源を入れておく

これで旧館の電力使用量を上げておくんだ

次に会場と事務室にある2つのエアコンのリモコンを、夜11時半に点くようセットしておく

これで、パーティーが行われている最中に電気の使い過ぎで停電が起きるんだ!

次に何も見えない暗闇の中で隠した凶器に辿り着けるよう、パーティーの飾りつけに紛れさせた卓上ランプを、パーティーで使わない部屋の隅の机の上に設置しておく

コードを辿れば多少離れていても机に辿り着ける

そしてその机の下に、凶器のナイフを設置しておくんだ!

暗闇の中でも手に入れられるよう、夜光塗料を塗ったテープで裏にしっかり貼り付けておく

コロシアイを起こさないよう尽力している十神クンならボディチェックぐらいするだろうけど、既に凶器を持ち込んでいるんだから何の意味も成さない

館内のチェックもするだろうけど、そこは『ペイズリー・パーク』にこの机に近付かせないようにすれば良いだけだ



花村「・・・何・・・やってるんだい・・・?」

グッド・タイミング!

花村「今、机の下に隠したのって・・・ナイフだよね?それにその前にも色々やってたみたいだけど・・・」

花村「まさか君、やっぱり・・・」

狛枝「うん。[ピーーー]つもりだよ」

花村「な、なんでだよ!?」

狛枝「花村クン、ここで止めても無意味だよ。今夜がダメなら明日、その日も駄目ならあさって・・・」

狛枝「ボクは失敗しようと延々と、コロシアイを仕掛けるつもりだよ」

花村「そんなに・・・誰かを殺してまで出たいの・・・?」

狛枝「いや?この島から出るとかどうでもいいけど?」

花村「・・・は?」

狛枝「ボクが望んでいるのは、コロシアイの開始さ!そのためなら命を投げうっても構わない!」

花村「や、やっぱりおかしいよ君!どうしてそこまで・・・」

狛枝「ボクは皆が大好きなんだ。だから、皆の役に立ちたいんだ」

狛枝「君達の才能を尊敬し、心から愛してるんだよ!」

狛枝「だから、その才能が生み出す希望が、絶対に絶望なんかに負けないって信じてる!」

狛枝「それを証明して貰いたいんだ!」

花村「それでどうしてコロシアイを起こすって結論になるんだよ!!」

狛枝「コロシアイなんて、希望が潰える危機的状況なんて、最っ高の絶望じゃないか!」

狛枝「そんな絶望に打ち勝てば、希望はより一層輝く・・・」

狛枝「その輝きを世界に見せてあげたいんだ!ボクの行動は、そのための踏み台さ」

狛枝「この絶望に打ち勝つ強い希望!それはきっと、どんな絶望にも決して負ける事は無い!!それこそ世界も望んでるんだよ!!」

花村「ほ・・・本気でそう考えてるなら、精神病院に行った方が良いレベルだけど・・・」

狛枝「分かって貰えないか・・・でも、この思いが一方通行でも構わないよ。」

狛枝「ボクは『超高校級の超高校級マニア』と呼べる、しがないファンだからさ」

花村「君は・・・どこまで狂ってるんだい!?」

狛枝「どうかしてるって思う?でも・・・愛ってのはそういう物じゃない?」

花村「やめ・・・てよ・・・」

おやおや、元気無くなったけど、どうしちゃったのかな?まぁ良いや

狛枝「じゃあボクは仕事も終わったんでこれで行くけど・・・あ、そうだ」

狛枝「もし倉庫に用があるなら気を付けてね。床下へ続く入口があるんで、落っこちたら危ないよ」

花村「・・・・・・・・・・・・」

話す事も話したんで、ボクは花村クンから離れる

ただし・・・花村クンがどうするつもりか、ぶつぶつ言ってる一人言に耳をすませながら

花村「あんなイカれた奴を放っておけば確実に人が死ぬ・・・でもここで止めても、今度は僕が知らない所で誰か殺されるだけ・・・どうする・・・どうすれば・・・」

ズギャアアアアアアアアアアアアアアン

ダメ押しで『ペイズリー・パーク』を発動したら、花村クンの後ろに伸びている影に取り憑いたよ

花村「そうか・・・狛枝を殺せば良いんだ・・・そうすれば・・・死ぬのはあいつだけで済む・・・」

花村「まさかそんな手に出るとは思わないだろう・・・その隙を突けば・・・!」

あははははははははははははははは!清々しい程あっさり術中に落ちてくれるね!!

『ペイズリー・パーク』が彼の殺意を引き出してくれたよ!!これで今回の謎はより一層深くなる・・・

皆の希望を輝かせるために必要な壁が、また一段と高くなるんだ!

そのためなら、ボクが被害者になったって全然構わないよ!!

ところで今の花村クンは学級裁判の事に触れてないけど・・・

気付いてないのかな?それともあえて触れてないのかな?

君が加害者になれば、どっちにしろ君か他の全員が死ぬという事に

~ホテルみらい 七海のコテージ~

七海は自室で、再び空中に液晶画面を召喚している

しかしモノクマにバレる事は無い。なぜなら昨日の昼から、彼女の部屋の監視カメラはもう正しい映像を流す事は無いのだから

その液晶には、旧館の監視カメラの映像が、そのまま映っている

つまりたった今の狛枝と花村のやり取りも、七海には筒抜けだったのだ

七海「ふぅ・・・今度は花村君の監視だね」

日向「止めるのは狛枝が計画成功の確信を持って油断するはずの直前でないと意味無いからな」

日向「そうでなければ狛枝のコロシアイを起こす気を削げないだろう」

日向「後は『皆』が揃えば・・・」

七海「当面の目標は、コロシアイ修学旅行参加者の全員生存・・・だね」

七海「狛枝君含めて・・・だけど・・・」

日向「狛枝・・・『相変わらず』だったな・・・どこまであいつは愚かなんだ・・・」

日向「口では自分がおかしいって分かっていると言いながら、自己分析は見当違いの考察で、実際は己のイカれ具合を全く自覚してない・・・」

日向「ジョジョで言う所の『最もドス黒い悪』・・・それが狛枝だ!」

七海「狛枝君は個人的に愚かだけど・・・」

七海「愚かさの方向は希望ヶ峰学園そのものと大して変わらないよね」

日向「今となっては『希望ヶ峰学園の化身』・・・そう言えるな」

日向「蔑称だが、意味を知らなければ狛枝狂喜しそうだな。言ってみるか」



意味深な事をしゃべりながら、日向と七海もパーティーに向けての準備を進める

=夜時間=

モノクマ『えー、修学旅行実行委員会から、お知らせします

モノクマ『ただ今、午後10時になりました』

モノクマ『並の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

モノクマ『ではでは、良い夢を。グッナイ・・・』

ウサミが行うはずだったアナウンスを、モノクマが担当し、夜時間の始まりを告げる

でも、ボク達の今日は、これからが本番だ!

なんてったって、今夜からいよいよコロシアイ修学旅行が本当の始まりを迎えるのだから!!

パーティー?そんなの乗り越えるべき絶望をより絶望的に演出するだけのただの味付けだよ!



早速旧館に行くと、入り口で十神クンが無駄なボディチェックをしている

凶器を持ち込まないためだけど、とっくの昔に持ち込まれているのにね

ボクは言わずもがな、自分が加害者になる気があるなら花村クンもね

小泉「狛枝・・・アンタにしては良い仕事してるじゃんこのセッティング」

会場に入って早々褒められちゃった!超高校級の生徒からお褒めの言葉を頂けるなんて光栄の極みだよ!

まぁ、多分この飾り付けへの称賛が最後だろうけど

でも、褒められなくたって良いんだ。皆の希望がより輝くためなら、どんなに蔑まれても構わない!命だって惜しくない!!

そう・・・偉人のほとんどは死後何十年も経ってからようやくその偉大さを認められる・・・

もしもボクもそう思ってもらえるなら、悪くないかもね。さすがに死後も永遠に蔑まれ続けるのはつらいや

日向「・・・・・・・・・・・・」

狛枝「ん?どうかした日向クン?」

日向「な~にニヤニヤしてんだ?」

狛枝「いや、パーティーが楽しみでね」

日向「本当に楽しみなのはパーティーか?」

おや、日向クン鋭いな・・・でもまぁ、この場はとぼけるさ

狛枝「もちろんだよ!他意は無いよ?」

日向「・・・まぁ、良い。ところで狛枝の言動を見て思ったんだが・・・」

ん?何だろう?

日向「もし狛枝が何か事を起こして、それが狙い道理上手く行ったら・・・」

日向「お前は島の外の人々に、『希望ヶ峰学園の化身』・・・そう呼ばれるようになると思うぞ」

・・・・・・・

え・・・・・・・・・・・・



ええええええええええええええええええええええええっ!!?



ボクが・・・ボクが希望ヶ峰学園の化身だって!?

日向クン、さすがに褒め過ぎだよ!

ボクの行動は今の皆に恨まれても、いずれ必要な事だったと悟ってもらえると確信してるけど・・・

まだやってない内に分かってもらえるなんて!!

日向クン、君の急な冷静さはこの『コロシアイ修学旅行』のブレーキになってしまうんじゃないかって不安だったけど・・・

君もコロシアイは必要な事だと、分かってくれたんだね!

分かってもらえると思ってなかったし、それで良いと思ってたけど・・・

やっぱり分かり合えるという事は素晴らしい事だよ!!

期待してくれる人も居るんだ!頑張らないと!!

日向(身悶えてる・・・やっぱ褒め言葉と取ったか。どこまで馬鹿なんだ・・・)

――日向に冷めた目で見られている事に、狛枝は気付いていない



弐大「う・・・うぐぐぐぐ・・・腹が・・・」

九頭龍「我慢しろよ、今ペコが入ってんだ。待てねぇんならコテージのトイレに行ったらどうだ?」

参加するか不安だった九頭龍クンも居て、無事に全員したみたいだね

ん?十神クンが花村クンが持って来たばかりのシュラスコを食べ始めてる。当然抗議殺到だ

シュラスコに使った鉄串が凶器になり得るから没収だって

他に危ない者が無いか、日向クンを連れて食堂の備品のチェックに行ったよ

あ~あ・・・これで花村クンの方の計画は潰れるかな?

ま、ボクが行動を起こすから別に良いけど



=旧館 厨房=

十神「全く・・・これも没収だ!これも、これも!!」

花村「ちょ、ちょっと~・・・」

花村は表面では焦る様子を見せるが、実際は痛くも痒くもない。本命の凶器に気付かれなければ

日向「なぁ花村、鉄串がさっき使ってたヤツも合わせても一本足りないんだが・・・」

花村「え?ああ、最初から足りてなかったよ」

そう言うが、嘘である。本命の凶器である行方不明の鉄串は、柄を骨に取り換え、パーティーの終盤に持って行く予定の骨付き肉に刺して隠してある

最もその前に狛枝が仕掛けた停電が起こるので、骨付き肉がパーティー会場に向かう事は無い

日向「ふぅん・・・」

日向は備品リストから顔を上げると、骨付き肉を見た

花村「!!?」

日向「ん?どうかしたのか?」

花村「日向君、その辺の料理が食べられるのは、パーティーの後半になってからだからね」

日向「そうか・・・ま、見るぐらいなら良いだろ?」

花村(そう言いながら、どうして骨付き肉の骨に手を掛けてるの!!?)

花村は終わった・・・と、覚悟した

日向が引き抜けば自分が凶器を隠していた事が発覚する。自分は追及され、芋づる式に狛枝の計画も破綻するだろう

だが見方を変えれば、これで今宵の殺人は起こる事は無い

それならそれで・・・・・・・・・・・・





日向「んー・・・こっちにはもう凶器になりそうな物無いぞ」

花村(・・・・・・・・・・・・え?)

花村は顔を上げる。骨付き肉は触られただけで、鉄串が見つかった様子は無かった

十神「ちゃんと探したな?」

日向「ああ、見つからなかったよ。まぁ、それ以前の問題だし」

十神「と言うと?」

日向「こんな所に隠すとしたら、花村本人以外有り得ない・・・だが、花村でも有り得ない」

日向「人を[ピーーー]道具を料理の中に仕込むとか・・・料理人の風上にも置けない最低な行為だろ?」

花村(っ・・・!!)

日向の一言に、花村の顔が青ざめる

十神「まぁ良い・・・じゃあ花村、料理を持って来い」

花村「・・・・・・・・・・・・」

十神「花村?」

花村「あ、うん」

花村は平静を装いつつ料理を運び、パーティーが始まる

しかし内心はとても揺れ動いていた

日向『人を[ピーーー]道具を料理の中に仕込むとか・・・料理人の風上にも置けない最低な行為だろ?』

花村(日向君の言う通りだ・・・そんな事をする僕は、料理人として終わってるかもしれない・・・)

花村(でも・・・どうすれば良かったんだ!『コロシアイ修学旅行』はいつ終わるか分からない!そんな状況で狛枝は延々と殺人を行おうとする!)

花村(狛枝を[ピーーー]以外に丸く収まる方法なんて・・・)

その時・・・

バリッ!!

と、未だに花村の足の裏に取り憑いている『サバイバー』が、花村の神経を、本能を刺激する

花村(・・・・・・・・・・・・そうだ・・・どっちにしろまず重要なのは、狛枝を消す事なんだ!!)

花村(恨むなら・・・凶器に気付かなかった己を恨め!!)

『サバイバー』の能力で、揺らいでいた殺意は逆により強固に固まってしまった・・・

=午後11時29分=

パーティーは和やかに行われている

辺古山さんと入れ違いに弐大クンがトイレに立った

そして戻って来た辺古山さんに事務室でのブレーカーと凶器の管理が任され、九頭龍クンが付いて行き会場を出た

それ以外は特に異常も無く、普通に楽しいパーティーが続く



・・・だけど、それももうすぐ終わりを迎える



狛枝(3・・・2・・・1・・・)

ピピッ

澪田「ん?今の音は・・・」

ばつんっ!!

予定通り、停電が起こった

小泉「何!?停電!?」

澪田「お、お先真っ暗っすー!!」

終里「電気点けろって!飯が食いづれぇじゃねえか!!」

罪木「ひゃあっっ!!?」ガシャーン

十神「落ち着け!辺古山がすぐブレーカーを上げてくれる」

西園寺「ちょっ、足踏まないでよー!」

花村「皆―!どこなのー?電気が切れたの厨房だけじゃないのー?」

十神「・・・ん?お前、何をしている!?止めろ!!」

狛枝「痛っ!?」

暗闇の中、ボクは手探りで足元の卓上ランプのコードを見つけ、それを手繰って凶器を隠した机に向かう

しかしここで誤算・・・十神クンが意味ありげに持ち歩いていたジュラルミンケースは、こういった不測の事態への対処のための道具が入っていた

その内一つが暗視スコープで、せっかく停電を起こしたのに彼にはボクの行動が丸見えだった

テーブルクロスの下に入ろうとした所で、十神クンに突き飛ばされた

あ~あ・・・まさか最後の最後で失敗するなんて・・・少し十神クンを侮っちゃったのかな?

でも、大丈夫。テーブルクロスに入ろうとかがんだ時に、はぁ・・・はぁ・・・と、荒い息遣いが下から聞こえてきた

恐らく花村クンが僕が教えた床下に待機してるんだ

もちろん、ボクを[ピーーー]ために凶器を携えて

後は、花村クンに任せるか

被害者になるのは皮肉にもコロシアイを止めようと奔走していた十神クン・・・

まさか、ボクが生き残るとは意外な結末だったな~・・・

そう考えて花村クンの殺人が完了するのを待っていると・・・










この後振り返ってみれば、人生史上最も忌まわしくなるであろう単語がボクの耳に届いた

夕食と風呂で一旦中断

続きはもう少し夜が更けてから・・・

再開します

====================================



日向「・・・『マッチボックス・トゥエンティ』」



ドスッ!!

ソニア「な、何ですか!?今の音は?」

妙だな・・・今の音、間違いなく花村クンが凶器を刺した音だと思うけど・・・

人間の肉なんかよりもっと固い物が刺された音っぽい・・・

そう思った直後、電気が復旧した

澪田「あ、復旧したっす!」

左右田「うおわっ!!?」

辺古山「皆!大丈夫・・・か・・・?」

左右田クンが叫び声を上げる

ボク達を心配して戻って来た辺古山さんも黙り込んじゃった

全員の視線が、一カ所に集まった

その前にちらっと見えた罪木さんの痴態に誰も目もくれない



日向クンが、『スタンド』を発動している

田中「な・・・何だそのスタンドは!?見た事が無いぞ!!」

『スタンド』に詳しい田中クンが知らないだって!?

デザインは、あれだ。頭に天秤みたいな物を付けている、裁判官をモチーフにした厳格そうな見た目の人型スタンドだ

左右田「それ以前にお前・・・スタンドの説明書白紙って・・・スタンド無いって言ってたじゃないか!」

確かに、そう言ってたはずだ

日向「ああ、説明書だろ?」

日向クンが懐から手紙を出した

それはボク達の元にも用意されていたスタンドの説明書が入った封筒だ

受け取った左右田クンが中身を見るけど、白紙の紙が入ってるだけだ

ソニア「他の皆さんは自分のスタンドを把握しているはずですから、白紙の日向さんが仲間外れという事は間違いない・・・はずだったのに・・・」

罪木「じ・・・実際は見ての通り、スタンドを出しています・・・」

結局罪木さんは自分で起きたみたいだ

??「んーっ、んーっ!!」

はっと我に返ると、どこからか唸り声が聞こえて来る

西園寺「何!?何の声!?」

澪田「あっちっす!・・・え?」

澪田さんが、ボクが凶器を隠していた机を指差す

テーブルクロスの中心に、妙な盛り上がりが出来ている・・・?

終里さんが率先して近付いて行き、テーブルクロスをめくった

花村「・・・へ?」

床下に居たはずの花村クンがテーブルの下に居る!?

どうやら凶器の鉄串が机を貫通してしまい、それを抜こうとして唸ってたみたいだ

狛枝「どういう事!?十神クンは?」

十神「俺はここだ!」

九頭龍「ど、どこだ!?」

十神「お前達の足の下、床下だ!!」

小泉「え?どうしてそんな所に・・・」

十神「分からん・・・一瞬にして飛ばされたというのが一番近い感覚かもしれない・・・」

床下に居た花村クンがテーブルの下に、テーブルの下に潜った十神クンが床下に・・・

狛枝「位置が・・・入れ替わった?」

ソニア「何ですと!?」

狛枝「『マッチボックス・トゥエンティ』と言ったね・・・これって日向クン、君の仕業じゃないかな?」

日向「な~にを分かり切った事を・・・」

日向クンが花村クン、十神クン以外の全員に向き直る





日向「『同値の物、何らかの共通点がある物の位置を入れ替える』・・・これが俺の『マッチボックス・トゥエンティ』の能力だ」





『同値、共通点』・・・なるほど、十神クンと花村クンは『太っている』という共通項で入れ替える事が出来たという訳か・・・

さすがに『高校生』や『男』という共通項でOKじゃあ何でもありになりそうだけど・・・

モノクマ「ど・・・どういう事だい!?」

モノクマが顔を出した

モノクマ「君には、スタンドディスクなんて与えた覚えないんだけど・・・」

終里「は?スタンドディスク?」

田中「・・・やはりそうか・・・俺達のスタンドは俺達に発現した物ではなく、モノクマ、貴様が『ホワイト・スネイク』で植え付けた能力だったという訳か・・・」

小泉「何ですって!?スタンドはモノクマが植え付けた!?」

モノクマ「その通り!そして日向クン、君には何も与えてなかったはずだよ!?」

西園寺「じゃあやっぱりスタンド持ってない無能は日向お兄だったんじゃ・・・」

日向「どうしても何も無い。これは俺固有のスタンドだ。だから田中だって知らない」

辺古山「固有のスタンド!?つまりお前は、最初からスタンドを持っていたという事か!?」

辺古山さんの言葉に、皆ざわついてる・・・ボクも平静を保てていないと思う・・・

モノクマ「そ、そんな馬鹿な!!?はっ・・・待てよ?」

モノクマは何か思い当たる節でもあるのか・・・?

モノクマ「じゃ、じゃあ!いつの間にか保管庫から数枚ディスクが無くなってたけど・・・」

日向「ああ、俺が取った。昨日お前がばら撒いていたのとか適当なディスクと入れ替えた」

モノクマ「だからただのディスクが混じってたのか・・・!」

どうやら、モノクマまで出し抜かれていたようだね

モノクマ「でも、どうするつもりだい?18枚なんて数・・・一人でそんな数のスタンド使えないよ?」

日向「何言ってんだ・・・俺のスタンドは『マッチボックス・トゥエンティ』ただ一つだ。いずれこの島において、最強となるスタンド!」

終里「最強だって!?そいつは聞き捨てならねえなぁ・・・」

十神(床下)「黙っていろ終里!ならば日向、その大量のスタンドディスクをどうするつもりだ!?」

日向「持ち主に返す・・・それだけだ。丁度全部使い手が決まっていたスタンドばかりだったからな。まぁ、必要なディスクが来るまで交換を繰り返す予定だったが」

十神「持ち主!?」

日向「既に渡したディスクもある。あいつに任せておけばすぐに全部のディスクが全員に回るだろう」

小泉「ちょ、ちょっと待って!日向の口ぶりじゃあ、まるでこのジャバウォック島にアンタが取ったスタンドの持ち主が居るみたいじゃない!」

日向「その通り・・・勝手に無人島だと決めつけられて、勝手に『修学旅行』おっ始められて、肩身の狭い『原住民』がな!」

モノクマ「そ、そんな馬鹿な!?」

モノクマまで驚愕してる・・・

ソニア「確かにかつては観光地として有名だったかもしれませんが・・・今は希望ヶ峰学園が利用するだけで無人になっていたのでは?」

日向「お前らが無人だと思っていたのは、まぁ、出て来れなかった理由があるからだが・・・この1の島にもちゃんと居るぞ?」

花村「こ、この島にも!?」

日向「ああ。もう大丈夫だから、明日には顔を見せるだろう」

モノクマ「何だか様子がおかしいと思ってたけど・・・まさか君、記憶も・・・」

日向「ああ、島に帰ってきたおかげで全部思い出した」

モノクマ「・・・!!」

日向クンは、おもむろに右の袖をめくった

下から、緑色のアームレットが現れた

日向「これが先住民『ミライ族』の証・・・一族の中での俺の名前は、『リーダー』だ」

ソニア「『ミライ族』?そんな部族、聞いた事ありません」

国際情勢に詳しいソニアさんも知らないって一体・・・

日向「当たり前だ。ここ数年で出来た部族だからな」

あ、そうなんだ

罪木「そ、それで、仲間の皆さんにスタンドを配って、私達をどうするつもりですかぁ?勝手に島を荒らした私達は、皆殺しにされるんですかぁ!?」

左右田「ひ、ひいいいいいいいい!お許しを!!」

日向「何言ってんだ・・・アフリカンかインディアンか何かみたいな野蛮なイメージでも抱いたか?」

澪田「・・・へ?」

日向「『サバイバー』のガス抜きに喧嘩吹っ掛ける事はあるだろうが、俺達はお前達を誰も死なせたりしない。自分の手でも、お前達同士の自滅でもな」

十神(床下)「むしろ、『コロシアイ修学旅行』を止めようとしている・・・という事か?」

日向「そうだ。まぁつまりモノクマ、『ミライ族』はお前達の敵だ!仲間にスタンドを取り返したのは、お前の横暴を止めるための戦力さ」

モノクマ「ふぅん・・・まぁ、どこまで本当かは怪しい話ですな!」

九頭龍「確かにな・・・日向がおかしくなったんじゃねぇかって取り方も出来るが・・・」

モノクマ「だが、どうやら僕の知らない日向君が居たという事は、間違いなさそうだね!」

モノクマ「そして君と、もし居るのなら君の仲間を排除しないと、『コロシアイ修学旅行』を再開出来ないという事も!!」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・思ってたのと違うけど、それはそれで面白そう・・・こちらも戦力をまとめておかないと・・・うぷぷぷぷ・・・ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

高笑いを上げて、モノクマは去って行った・・・

日向「さて・・・今日はもうお開きにしたらどうだ?」

小泉「ちょ、ちょっと待ちなさい!何アンタが仕切ってんのよ!!」

日向「とりあえず今日の狛枝の試みは全て崩れたからな、もうパーティーの必要も無いだろ?もう帰りたい」

十神「!!・・・知ってたのか?」

日向「監視カメラの映像を傍受できる仲間が居るからな」

日向「狛枝が十神に殺人予告を送った事がパーティー開催のきっかけだって事も、狛枝が幸運とスタンドを利用して殺人の準備をしてた事も、自分の計画が失敗した時の保険に花村の殺意を煽って現在ああなってる事も全て知ってたさ」

花村「っ・・・!!?じゃあ、骨付き肉の事も・・・」

日向「知ってたさ。その時計算して言った言葉で思いとどまってくれてたら良かったんだが・・・俺の見込み違いだったようだな」

花村「あ・・・あ・・・」

小泉「確かに・・・花村はどう見ても現行犯ね・・・狛枝の件もしっかり聞かせてもらいましょうか・・・」

西園寺「ほらお姉!やっぱ[ピーーー]気満々だったじゃん!」

花村「ち、違うよ!僕は狛枝を止めようとしただけ・・・」

九頭龍「どちらにしろ殺人が起こっただろ・・・お前、自分が死ぬか他の全員が死ぬかの結末しか無いって分かっててやってたんだよなぁ?」

花村「・・・あ・・・」

日向「まさかとは思ったが、今更気付いたのか・・・どれだけ状況が見えてなかったんだ・・・」

花村「う・・・ううう・・・」

日向「でもまぁ、むしろそれを機に脱出したかったってのもあったんだろ?」

十神「なっ・・・!?」

日向「そのためなら周りの犠牲もいとわない・・・よ~く知ってるさ・・・」

日向クンが軽蔑の眼差しで花村クンを睨んでる・・・

皆は花村クンの事で頭がいっぱいみたいだけど、『よ~く知ってる』ってどういう意味だろう・・・?

花村「僕は・・・帰りたかったんだ・・・」

花村クンは、故郷の田舎の食堂の事、そこに残した病弱な母親の事を語った・・・

花村「入学したばかりだと思ったら、実際は記憶を消されていて何年も経ってるって・・・じゃあ!花村食堂は!?お母ちゃんはどうなったんだよ!?」

内に秘めた不安が、一気に噴出した結果だ・・・

花村「そのために・・・皆を犠牲にしようとして・・・それに全く気付いていなかった・・・」

花村「ああ・・・そうか・・・」

花村「狂ってるのは・・・狛枝君ではなく僕の方だったのか・・・」

花村クンはがっくりとうなだれる・・・他の皆もやり切れないって顔をしてる

あ~あ、もう殺意も無いのか・・・この程度で母を心配する心が産んだ力が失われるのもどうかと思うんだけど・・・

そこに、日向クンが近付いて行き、優しく肩を支えた

とても慈愛に満ちた顔をしている

日向「大丈夫・・・大丈夫だよ、花村」

花村「日向・・・君・・・?こんな僕を、許して・・・」

と思ったら、冷徹な無表情に変わり、

冷酷な一言を、花村クンに浴びせた



日向「狂ってるのはお前だけじゃないから安心しろ」



花村「!!?!?」

花村クンの顔が今まで以上に真っ青になる

そう・・・その表情を一言で言い表すなら・・・



――――――――――絶望



ソニア「上げて落とした!?」

田中「どころか、今の呪詛は花村をどん底に突き落としたのではないか!?」

左右田「そこは『殺人は未然に防がれたんだからまだやり直せる』とか言って励ます所じゃねぇのかよ!?」

日向「はぁ?何甘っちょろい事言ってんだよ・・・」

日向クンは呆れている・・・多分、ボクとは違う方向で

日向「俺達はモノクマの敵ではある・・・だが、お前達の味方になるつもりも無えぞ?」

田中「なん・・・だと・・・!?」

澪田「モノクマちゃんの敵であり、唯吹達の味方でもない・・・つまり創ちゃんは、第三勢力って事っすか?」

日向「そういう事だ」

日向クンの宣言に、皆どよめいている

ソニア「モノクマさんの敵なのでしょう?私達にとってもモノクマさんは敵です!ならば力を合わせて・・・」

日向「止めろッ!!」

今まで冷淡だった日向クンが、急に感情を剥き出した

日向「ふざけんなっ!!お前らと共闘!?虫酸が走る!!記憶がまだぼんやりしてた頃から、お前らと一緒に居たら生きた心地がしなかったんだぞ!!」

日向クンの告白に、衝撃が走る

ソニア「そ、そんな・・・お友達になりたいと思っていましたのに・・・わたくしだけだったんですか!?」

日向「当たり前だろ?どんなに懇願されても嫌だね!俺は!!」

ソニア「そん・・・な・・・あの優しかった日向さんは、どこへ行ってしまったんですか・・・?」

左右田「ソニアさん!?テメェ!ソニアさんになんて事を・・・」

日向「正直、何も感じないな・・・まぁ、そんなに嫌悪するのも自分でもどうかと思うんだが、駄目だ。嫌悪感が全くぬぐい去れない。多分他の皆も大半はそうじゃないかな?」

十神(床下)「貴様・・・俺達に何か恨みでもあるのか?」

日向「ああ!あるね!!何をしても償いようがない恨みが!!!」

日向「俺達は・・・お前らなんかのために死ぬ所だったんだぞ!!!!」

ほぼ全員「!!?」

日向クンの怒りの告白に、二の句を上手く継げない

九頭龍「俺達が・・・お前と仲間を殺そうとした!?」

辺古山「どういう意味だ!どう見ても一般人なお前に、九頭龍組が命を狙う理由など・・・」

狛枝「その意味は・・・ボク達の失った記憶の中にある・・・という事だね?」

日向「・・・ああ・・・」

皆、何驚いているんだい?当たり前のことだろう?

狛枝「でもさぁ・・・僕はともかく他の皆を、お前ら『なんか』って言うのはどうかと思うよ?」

狛枝「むしろ光栄じゃないか!命を投げうって絶対的な希望を輝かせたんだろ!?それ以上の生きる意味があるのかい!?」

西園寺「クルクルパーがまた何か言ってるよ?」

小泉「アンタは黙ってなさいよ!アンタはアンタで訳分からないんだから!!」

花村「でも日向君は・・・要するに狛枝君と同じぐらい僕は狂った人間だと言いたくて・・・」

九頭龍「お、おい、しっかりしろ!!」

日向「・・・・・・・・・・・・」

急に黙っちゃった・・・あの、そんなボクが滑ったみたいな態度止めてくれない?

日向「・・・狛枝・・・お前記憶が有っても無くても、変わらず愚かだな・・・だからお前は『希望ヶ峰学園の化身』なんだよ・・・」

狛枝「・・・え?あれ?褒めたんじゃなかったの?その言葉・・・」

日向「蔑称に決まってんだろうが・・・」

狛枝「ふざけるなっ!希望ヶ峰の名を蔑称に使うなんて!!君は何様のつもりなんだよ!?」

罪木「ふええ、狛枝さんが急にキレましたぁ!」

十神(床下)「取り押さえろ!狛枝まで暴れたら収拾が付かんぞ!!」

狛枝「ソニアさんじゃないけど、ボクだって君と友達になりたかったよ!『超高校級の相談員』という素晴らしい才能を持った君と!!」

狛枝「でも、希望ヶ峰を馬鹿にするなんて・・・そんな奴こそただの愚か者だ!はっきり分かった!言葉ではなく、心で分かった!!お前は、ボクの敵だ!!!」

日向「・・・・・・今更気付いたのか?」

日向クンはまた落ち着いて、馬鹿にするような溜息も付く

日向「狛枝・・・お前は敵さ。昔も・・・そして今も」

日向「誰よりも危険で、哀れで、手の施しようが無い程狂ってるのはお前だって、よぉく知ってる」

狛枝「自分が他の人から見れば狂っているのは分かってるさ!でも、希望ヶ峰学園を侮辱するのは誰であろうと許さない!!」

日向「いいや!お前は自分のイカれ具合がどれ程の物か、分かっていない!・・・自己分析するための目が既に歪んでるからな・・・」

狛枝「なん・・・だと・・・?」

取り押さえられながらも反論を繰り返していたけど、日向クンの最後の言葉でついに言葉を失ってしまった・・・



ボクがどれだけ狂ってるか・・・自分で分かってない・・・?



物凄い力だったみたいで、全員で押さえつけられてる・・・

その横を、ゆうゆうと日向クンは去って行った・・・

狛枝「二度と会いたくない・・・」

日向「いつでも会えるさ。互いに島から勝手に出られない身だからな・・・」

田中「・・・?」

田中クンがどういう意味だ?と問う前に、日向クンは行っちゃった・・・

まあ良いや、あんな希望を解さない愚か者・・・

日向クンが居なくなって、帰って来た十神クンと弐大クンを加えて緊急会議となった

弐大「日向が居らんが良いのか?」

辺古山「・・・後で説明する。とりあえず居なくても問題無いと心得よ」

弐大「お、おう・・・?」

十神「まず、殺人を犯そうとした狛枝と花村の処遇だが・・・行動の制限をさせてもらうぞ。状況が状況だ。それだけで勘弁してやる」

花村「うん・・・」

狛枝「あの愚か者と一緒は御免だけど、超高校級の皆と常に一緒に居られるなら喜んで!」

左右田「出来れば嫌だが、こんなだから放っておくのも危険だしな・・・」

ソニア「では、第三勢力『ミライ族』についての話に移りましょう!」

罪木「『ミライ族』の一員としての名前は『リーダー』と言っていました・・・じゃあやっぱり、日向さんがリーダーなんでしょうか・・・?」

狛枝「いや、あれはただのシャレさ」

左右田「どういう意味だ?」

狛枝「『リーダー』とは導く者・・・相談に乗って良い方向へと導く『超高校級の相談員』と掛けたんだよ。下らないこじつけだ」

終里「掌を返したような辛辣さだな・・・」

西園寺「嫌われ者になるのが目に見えてる狛枝お兄に嫌われるって、どんな気分なんだろうね~?」

小泉「何とも思わないんじゃない?あの日向なら・・・」

九頭龍「モノクマから盗んだディスクは18枚っつってたな・・・」

澪田「じゃあ構成員は創ちゃんを入れて19人って事っすか!唯吹達16人より多いっすねー!」

七海「15人だよ?日向君除くから・・・」

辺古山「確か仲間の一人に、監視カメラを傍受出来る能力を持っている奴が居ると言っていたな・・・既に仲間と接触しているという事か?」

田中「明日にも姿を現すだろうと言っていたな・・・」

田中「モノクマにどのスタンドが盗まれたか聞いておくべきだったかもしれんな・・・素直に言うかは保証しかねるが・・・」

罪木「日向さん達の目的はなんでしょう?」

小泉「あたし達を死なせないために動くとは言ってたけど・・・」

罪木「あの様子では私達が許された訳ではなく、本当の目的のために仕方なく生かすって感じとも読み取れましたぁ・・・」

西園寺「ゲロブタの癖に、たまにはまともな事言うなぁ」

罪木「えへへ、ありがとうございますぅ」

西園寺「で?本当の目的って?」

罪木「そ、それはまだ分かりませんけど・・・」

西園寺「ちっ、使えねぇ・・・」

罪木「ご、ごめんなさい!殴って発散して良いので許して下さい!!」

西園寺「じゃ、遠慮無く・・・」

十神「止せ!『サバイバー』を活性化させて内部崩壊を起こすつもりか!?それすら止めるとは言っていたが、そんな事をする集団など、他の奴なら見捨てているぞ!」

左右田「怖え事言うなよ!!未だに内部崩壊の種2つも抱えてんのに・・・」

花村「彼は・・・僕達のせいで死にかけたって言ってたね・・・仲間諸共・・・」

花村「何か簡単に内部崩壊を起こす問題だらけの集団なら、周りを怒らせる事の一つや二つやってても不思議じゃないって思えて来たんだけど・・・」

終里「な~にネガティブに考えてんだよ?19人全員まとめてぶっ潰せば良いだけじゃねえか!!」

十神「貴様・・・西園寺を止めた理由を聞いてなかったのか?」

田中「それに得策でもない・・・無謀としか言いようが無い」

終里「何でだよ!?」

田中「日向は持ち主に返すと言っていた・・・つまりスタンドのディスクはモノクマが用意したのではなく、最初からこの島にあったと見るべきだ」

田中「この島の原住民が自分のスタンドを確定する程使い込んでいたのなら、昨日今日スタンドを得たばかりの我らとぬぐい去れない経験の差がある」

弐大「気合で埋めるんじゃあああああああああああああ!!」

狛枝「そんな物で埋められる差なら苦労しないよ。まぁ、才能有る無しよりは簡単に埋まる差だろうけど・・・」

七海「・・・・・・・・・・・・」

狛枝「ん?どうかした七海さん?」

七海「別に・・・」

田中「とにかく・・・相手の出方を伺った方が良いだろう・・・」

辺古山「無論『ミライ族』なる者達だけでなく、モノクマもな」

九頭龍「モノクマはモノミの教師権限を乗っ取ったのなら、校則で俺達に危害を加える事は出来ねぇ・・・」

九頭龍「こうなっては俺達の間でのコロシアイは期待出来ねぇ。なりふり構っていられねぇだろう。その制限をクリアする何かを仕掛けて来るかもしれねぇ」

小泉「そ、そんなのモノクマが守らなきゃ良いだけじゃん!!」

十神「ならばルールを己の手で作る意味が無い・・・まぁ確証は無いが、校則を遵守するはずだと奇妙な確信がある」

西園寺「結局分からない事だらけだね~・・・」

辺古山「ならば見つけ出すしかあるまい・・・日向の怒りの原点を、私達に何が起きているのかを・・・!」

九頭龍「先に言っとくが西園寺、他の奴に丸投げしようなんざ考えんじゃねえぞ?」

西園寺「ぐっ・・・!?」

小泉「日寄子ちゃん・・・さすがにあたしも許さないよ?」

西園寺「うう・・・分かったわよ!」

とりあえず待ちの姿勢を崩さない・・・

そんな消極的な結論になったけど、良いのかなぁ・・・?

まぁ、超高校級の皆が出した結論なら、ボクはそれに従うまでだけど・・・

~中央の島 2の島への連絡橋~

モノミ「はぁ・・・はぁ・・・」

夜時間に入って2時間・・・モノミは獣型モノケモノとの死闘を繰り広げている

いや、前日は昼時間になるまで続いていたので、のべ11時間は戦い続けている事になる

モノミ「うっ!?」

疲れが足に来た。その隙を突いて、モノケモノは前足でモノミを抑え付けた

モノミ「し、しまっ・・・」

暴れ、魔法を使うが、全く動かない

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

と、モノケモノは勝利の雄たけびを上げる



モノミ「あ~あ、やってしまいまちたね」

それを聞き、むしろモノミが勝利を確信した顔になる

モノミ「あちしとの戦闘中に咆哮を上げてはならないという誓いを破りまちた!『カリフォルニア・キング・ベッドちゃん』!!」

モノミがスタンドを発動した。赤ん坊のベッドの上に設置するおもちゃのような姿をしたスタンドだ

モノケモノ2「グ、グゴゴ!!?」

モノケモノの瞳がずれ、中からチェスの駒が飛び出した

中心にある球体には、モノクマの姿が映し出された

モノミ「あちしのスタンドは、あらかじめ決めた約束事を破った相手から記憶を抜くスタンド・・・今、『自分の主人(マスター)はモノクマである』という記憶を抜きまちた!」

モノケモノ2「? ?」

モノミ「聞きなちゃい!モノケモノ!!あんたの主人はあちしでちゅ!!」

モノケモノ2「!!」

モノケモノはモノミを見つめる

ぽっかり開いた主人のデータに、モノミがインプットされた

モノミ「さぁ、あちしの言う事を聞きなちゃい!そこをどいて2の島への通路を開くでちゅ!!」

モノケモノは素直にモノミに従い、シャッターを剥がし、橋の入り口からどいた

モノミ「ふぅ~・・・これでようやく一体・・・同士打ちが出来ない設定になっていそうな点が惜しいでちゅ・・・」

これが後3戦続くと思うと、モノミは憂鬱になった



??「あ!やった!通れるようになりましたよ!!」

モノミ「!?」

橋の方から、聞いた事の無い声が響いた

??「リーダー達の言う通りやったな!待っとったら勝手に開いたわ!」

??「あなたは脳筋なのですから、少しは加勢したら良かったのではないですか?」

??「相変わらず毒舌だな・・・」

??「ま、良えわ!早くリーダー達と合流しようや!!」

声からすると4人、男1人女3人のグループが今、橋を渡って来た。暗闇と土埃で姿は良く見えない

モノミ「そんな馬鹿な・・・島にはあちし達しか居ないはずじゃあ・・・?」

モノミは慌てて追いかける

~1の島 牧場~

??「おおリーダー!御無沙汰やな~!」

日向「セイバー!会えて嬉しいぞ!」

日向の元には日向以外に見知らぬ男子2人が居る

日向「『リーダー』ことこの俺に、あいつらの中に潜入している『クリエイト』・・・1の島の『テコンドー』『ダブルス』に、今来た2の島の『セイバー』『エージェ』『コンサルト』『メイド』・・・これで8人か」

コンサルト「他の皆さんはまだ他の島に分断されているのですか?」

日向「ああ・・・綺麗に4人ずつな」

セイバー「ぶふぉっ!何たる奇跡!?」

テコンドー「だろ~?俺もクリエイトに聞いた時には吹いたぜ!」

ダブルス「何はともあれ、まずは無事を喜び合いましょう」

エージェ「そうだな・・・元々は50人も居たというのに、半分も残らなかったのだからな・・・」

メイド「まぁ、実際の所はとうの昔に死んでるのは変わりない訳で・・・」

テコンドー「それ言うなよ!意識しないようにしてたのによぉ・・・」

ダブルス「リーダー・・・彼らを生かす意味があるのですか?正直、一刻も早く生命活動を終わらせるべき連中ですよ?」

日向「クリエイトも言ってたが・・・さっさと死なせるのは危険だ。俺達の真の計画にも支障が出かねないらしい」

コンサルト「第一、たとえあんな人達でも、命を奪う事は駄目ですよ!!」

エージェ「そうだな・・・奴らと同レベルに堕ちてやる必要など無い」

セイバー「エージェ・・・漢字のチョイスが怖いんやけど・・・」

日向「まぁ、奴らがどんなスタンドを持っているか、どこまで操れるかは知っておくべきだな」

コンサルト「クリエイトさんは把握していないのですか?」

日向「ディスクを吸収した時点でソースが大幅に変わるからな・・・本人に出させた方が手っ取り早いそうだ」

テコンドー「んじゃ、明日になったらさっさと襲っちまおうぜ!」

日向「これだけは肝に銘じておけ・・・死にそうになったらすぐ引くんだぞ!」

日向「記憶が有ろうと無かろうと、あいつらは他人の命を奪う事など何とも思ってない連中なんだからな!!」

全員「おう!!」



『ミライ族』の会議を遠くから眺めていたモノミは身震いする

モノミ「ひ、日向君!?どういう事でちゅか!?あの人達は、何者なんでちゅか!?」

モノミは慌ててある人物達に報告するべく、行動を起こす

モノミの身体は複数のブロックになったかと思うと、飛び散って行った

~現実世界 データ管理ルーム~

南国の海に浮かぶジャバウォック島に、巨大な機械が設置されている

実は日向達が居たジャバウォック島は、『新世界プログラム』という電脳世界に構築された架空の世界だったのだ

ある一人を除いた修学旅行参加者15人は、このバーチャルリアリティシステムに繋がれ、架空のジャバウォック島でアバターの身体を使い生活している

機械の液晶画面に、モノミがアップで映り込んだ

モノミ「た、大変でちゅ!異常事態発生!!」

十神「見ていたから分かっている!くそっ、俺の偽者だけでもこの計画を中止してやろうかと苛ついていたのに・・・」

返事をしたのは『超高校級の御曹司』十神白夜

実は現在修学旅行に参加している十神は、真っ赤な偽者である

霧切「あら、あっちの十神君の方が頼りになりそうだと思うけど?」

朝日奈「そうそう!付いて行くなら断然あっちだね!こっちの十神はさっきからうろたえてる顔が激写しちゃえるし・・・」

葉隠「あっちの十神っちには安定感があるべ!俺も導いて欲しいべ!」

十神「貴様らぁ・・・」

『超高校級の探偵』霧切響子、『超高校級のスイマー』朝日奈葵、『超高校級の占い師』葉隠康比呂の3人が茶々を入れる

腐川「何言ってんのよ!白夜様はあんなのじゃないわ!!」

十神「ちっ、貴様だけとはな・・・」

腐川「ああんっ、それでも好き・・・」

せっかく『超高校級の文学少女』腐川冬子に肯定して貰えたのに、十神は不満気味だ

苗木「一体、日向クンに何が起こったんだ!?」

茶番に目もくれず『超高校級の幸運』苗木誠はモノミに対応する

苗木の態度で場の空気が引き締まる

モノミ「・・・正直な話、日向君の記憶は『大半が壊れていまちた』・・・ですが今の様子を見る限り、この新世界プログラムでも探れなかった日向君の記憶が復元されたとしか考えられまちぇん」

葉隠「じゃあ新世界プログラムがやったんじゃねえの?」

モノミ「結論から言いまちゅと、これしか考えられまちぇん・・・」

モノミ「この『ジャバウォック島のデータ』内に、元々日向君の記憶データがあったんでちゅ」

苗木「どうして・・・?あれは未来機関が作った、ただのデータじゃなかったの!?」

霧切「いや、それなら『あの作業』が必要無かったはず・・・」

霧切「それに、そうでなければ七海さんの異常も説明が付かないわ・・・」

霧切「七海千秋はこのジャバウォック島と一緒に私達に届いた本体の居ないNPC・・・」

霧切「そして私達の仲間としてプログラムを詰め込んだはず」

霧切「なのに、今は完全に私達と関係無く、『自分の意志』で動いているわ」

朝日奈「アルターエゴと同等の権限も使ってプログラムをいじったりもしてるよ!?この能力はスタンドと関係無さそう・・・」

葉隠「『ミライ族』って謎の連中が言ってる『クリエイト』っつーのも、明らかに七海っちの事だべ!」

そう、七海千秋は最初から新世界プログラム内に存在していたデータで出来た少女・・・

15人と違い、本体など無い。ただの1と0の羅列のはずだった

しかしモノクマに『メン・ウィズアウト・ハッツ』を与えられた時から、一人歩きするようになっている

霧切「明らかに操作が大変そうなのに軽々と使いこなしている・・・『メン・ウィズアウト・ハッツ』は日向君同様、彼女の固有スタンドだったんじゃないかしら?」

腐川「だ、だったらどうだっていうのよ!?」

霧切「つまりスタンドと共に・・・彼女の記憶もディスクに詰まっていた」

十神「記憶!?作られたNPCに記憶だと!?どういう事だ、説明しろ苗木!!」

苗木「・・・本部に問い合わせよう・・・ボク達に与えられたこのジャバウォック島のデータは、本当に未来機関で作られた物なのか・・・」

苗木「多分・・・違う・・・上手くは言えないけど、あんな能力があるんだ・・・あの島のデータは、七海さんが作った・・・そう感じるんだ」

葉隠「NPCが自分の暮らす場所を作ったってどんなオカルトだべ!?」

苗木「もちろんあの七海さんじゃない・・・」



苗木「現実に存在していた人間の七海さんの手でだよ」

全員「!!?」

苗木の推理に全員が驚愕する

霧切「七海千秋は・・・実在した人物だというの!?」

苗木「それも・・・日向君ととても親しかった人物だ」

朝日奈「じゃあ、あの『ミライ族』って人達も・・・」

苗木「うん・・・現実に存在した人間を丸ごとコピーした存在・・・僕はそう考えてる」

霧切「じゃあ、現実の七海千秋さんを探して・・・」

苗木「多分・・・見つからない・・・」

腐川「な、何でよ!?」

苗木「メイドって人が言ってたじゃないか・・・『とうの昔に死んでるのは変わりない』って・・・」

朝日奈「それって・・・まさか・・・・・・」

苗木の推理で、全員がこの言葉の意味を悟った

??「随分とお悩みの様ですね・・・」

全員「!!?」

画面に、何者かが姿を現す

鳥の姿をした電気で出来た生物・・・スタンドだ

??「御機嫌よう未来機関の方々・・・私は『ブロガー』・・・そしてこれは私の『レッド・ホット・チリ・ペッパー』」

霧切「あなたも『ミライ族』の一員・・・?」

ブロガー「その通り・・・希望を崇拝してもいないし、絶望に堕ちてもいない・・・」

ブロガー「希望が見えなくても、絶望に打ちひしがれても、未来があると分かっていれば人は生きられます」

ブロガー「第三勢力『未来』!・・・それが私達です」

苗木「第三勢力・・・『未来』・・・!?」

ブロガー「苗木誠・・・あなたは『考えている人』ですね」

ブロガー「あなたの様な人が希望ヶ峰に居てもこの体たらく・・・本当に残念でなりません」

十神「貴様・・・俺を差し置いて苗木を評価するだと!?」

ブロガー「『考えている人』と思えるのは苗木一人・・・後は全員『考えてない人』です」

ブロガー「まぁ・・・考え始めるのが遅すぎたとも思いますが・・・」

苗木「っ・・・!?」

苗木は世界に起こっている事を振り返り、拳を握り締める・・・

十神「それで、何しに来た!?」

ブロガー「何・・・私の名前で分かると思いますが、ちょいとネットを泳ごうと思いまして・・・ね!」

朝日奈「きゃあっ!?」

突然機械から電気が走り、朝日奈の携帯が撃ち落とされた

画面に『チリ・ペッパー』が写っている

ブロガー「そーれっ!!」

携帯のバイブが鳴りだす

微調整で行きたい方向へと動き、機械に接触した途端、取り込まれてしまった

朝日奈「ああーっ!あたしの携帯が・・・」

ブロガー「中々のコントロールでしょう?『チリ・ペッパー』は数少ない現実世界にも干渉できるスタンドです」

十神「そいつを使ってネット回線を作る気か!?そんな事をすれば・・・」

ブロガー「ご安心を。この回線には私しかアクセス出来ないよう守っておきます」

ブロガー「あなた方の『大ポカ』で私達の島に持ち込まれた『ウイルス』を漏らしたりしませんよ」

十神「ぐぅ・・・」

未来機関の面々は下を向く。思いっきり冷めた目で睨まれていると感じた

霧切「何者・・・なの・・・あなた達は・・・」

霧切が兼ねてよりの質問をぶつける

ブロガー「今の所の苗木の推理は合っている・・・とだけ言っておきましょう。私達から教える事はありません」

霧切「じゃあ・・・あなた達はもう・・・」

霧切は俯く。しかし、十神が全く意に介さず声を荒げた

十神「さっさと貴様らの正体と目的を言え!さもなくば電源を抜いて強制シャットダウンするぞ!!」

ブロガー「良いですよ別に?」

十神「なん・・・だと・・・?」

ブロガー「クリエイトの手でもうジャバウォック島用の別電源作ってありますから私達に何の影響もありません」

ブロガー「アバターと本体の接続がどうなるかは知りませんけど」

十神「ぐっ・・・」

腐川「び、白夜様しっかり!!」

朝日奈「噛ませ眼鏡・・・」

葉隠「だから噛ませって言われるんだべ・・・」

朝日奈と葉隠が十神を白けた目で見る

ブロガー「少しは自分で考えて下さい。私達の事も・・・未来機関の事も」

苗木「未来機関の事も・・・?」

霧切「どういう意味!?」

ブロガー「私達は未来機関を信用出来ません。なぜなら、希望ヶ峰学園のOBの集まりである『希望の集団』だからです」

腐川「な、何よそれ・・・」

ブロガー「ヒントとしてはっきり言っておきましょう」










ブロガー「希望も・・・絶望も・・・」










ブロガー「私達『未来』からしてみれば、そう違いなんてありません」










苗木「希望と・・・絶望に・・・違いが無い・・・?」

ブロガー「では、ひと泳ぎしてきますのでこれで・・・」

『チリ・ペッパー』は、ネットワークへと去って行った

葉隠「どういう意味だべ!?『希望』と『絶望』は逆だろ!?」

十神「気にするな・・・どうせハッタリだ!」

霧切「確かに、十神君は『考えない人』ね・・・」

十神「何だと!?」

霧切「自分で線引きしたり一般的に存在する『固定観念』で立ち止まって、それ以上考えようともしない・・・」

霧切「彼女の言う『考えない人』って、そういう意味じゃない?」

霧切「今だって、彼女の言った事を『ハッタリ』と決め付け、最初から考えようとしてない」

十神「何を・・・!?」

苗木「ヒントはヒントだよ・・・『希望も絶望も違いは無い』」

苗木「これは『ミライ族に何があったのか』、『彼らの目的は何か』、『未来機関を信用していない理由』」

苗木「この3つの謎の答えを導くヒントになっているはずだよ」

苗木「そして彼らは、答えを導き出して欲しいと願っている・・・」

苗木「これからの生活でも、他の『ミライ族』の人達が修学旅行参加者向けにヒントを投げかけるかもしれないね」

霧切「確かに・・・推理するにはまだ手がかりが少な過ぎるわ」

霧切「彼らはコロシアイ修学旅行参加者に危害を加えるつもりは無さそうだし」

霧切「ちゃんとヒントを拾って行きましょう」



現実と新世界プログラムは、時間の流れる早さが同じである

霧切と苗木は明日に備えて休む事にした

朝日奈と葉隠がプログラムの見張りとして残る

朝日奈「ねぇ・・・これって十神の噛ませ脱却のチャンスじゃないかな?」

葉隠「確かにな・・・今も噛ませ根性で散々恥かいてるしな」

朝日奈「『考える人』になれれば、十神も噛ませじゃなくなるんじゃない?」

葉隠「まぁ今だって休まず考えてると思うが、果たして脱出出来るかな?」

朝日奈「・・・・・・・・・・・・」

葉隠「どうした朝日奈っち?」

朝日奈「霧切ちゃんが言ってたじゃん・・・今のままじゃ情報が少な過ぎるって・・・」

朝日奈「なのに今考えてるって、それこそ噛ませじゃない?」

葉隠「つまり『何も考えず思考に入った』ってヤツか?お、何か頭良さそうなフレーズが出たべ!」

朝日奈「もし本当に考えてたら、当分噛ませ脱却は無理かもね・・・」

葉隠「事態収拾までに脱却出来るかも怪しいべ・・・」





十神「くそっ!見てろよぉ~!!」

朝日奈達の予想通り、馬鹿にされ見返したいのか、十神は思考を始めていた・・・

~ジャバウォック島データ内 モノクマのエリア~

モノクマの目の前に、巨大なカプセルが大量に並んでいる

その中には、人間の胎児の様な物が入っている





そしてそれは、有り得ないスピードで成長している





モノクマ「うぷぷぷぷ・・・希望の生徒達(笑)もミライ族(謎)もまとめてかかってこいや!」



モノクマ「今、オマエラをまとめて始末する処刑人を作成中さ!」

モノクマ「第一陣の3人がもうすぐ出来上がる・・・」

モノクマ「デザインモデルは、僕本体の最も楽しかった時期に、本体と一緒に居た人間さ!」

モノクマ「うぷぷ・・・うぷぷぷぷ・・・」

モノクマ「かわいいと評判の苗木君・・・『こいつら』を見て、どう思うかな?」

モノクマ「だーっはっはっは!!!」

モノクマは気持ち良く高笑いをする。既に外の状況は把握済みであった





・・・ちなみに『処刑人』はただのデータの塊なのだが、モノクマの趣味のため作製工程にカプセル培養が採用されている

=3日目 終了=

判明スタンド一覧

~希望の生徒達~

狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :???
澪田唯吹  :???
左右田和一 :???
小泉真昼  :???
ソニア   :???
田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:???
九頭龍冬彦 :???
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :???
終里赤音  :クラッシュ

モノミ   :カリフォルニア・キング・ベッドちゃん

???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
???   :



~絶望集団~

モノクマ :ホワイト・スネイク

???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???

???  :???
???  :???
???  :???



~第三勢力・ミライ族~

日向創  :マッチボックス・トゥエンティ(同値の2つの入れ替え)
七海千秋 :メン・ウィズアウト・ハッツ
テコンドー:???
ブロガー :レッド・ホット・チリ・ペッパー
???  :???
コンサルト:???
セイバー :???
エージェ :???
???  :???
???  :???
???  :???
メイド  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???


to be continued...

3日目終了と共に今回は終わりです

ここで原作でいうCHAPTER1が完結ですが、内容はここから大きく変わっていくでしょう

サスペンス好き~なためこんな展開となりました
捏造満載です

スタンドバトルもノリと勢いとひらめきで書いていきたいと考えてます

今の所田中VS終里だけ・・・だ、大丈夫!これから増えるさ!



終里VS田中の感想など何かご意見があればこのスレのレスヘ

ではでは、良い夢を・・・グッナイ!

=4日目 AM6:30=

~1の島 牧場 鶏舎・畜舎裏~

西園寺「あーっ、イライラする・・・日向お兄はおかしくなるし、狛枝は狂ってるし、小泉お姉と喧嘩して気不味いし・・・」

西園寺が悪態を突きながら外を散歩している。誰にも会いたくない気分だったが、かといってコテージに閉じこもれば気が滅入りそうだった

あてもなくさまよっていると、牧場の裏手に辿り着いていた

西園寺「あ、丁度良かった~!ストレス発散しよーっと!!」

西園寺は、地面を探す。そしてお目当ての物はすぐ見つかった

アリが一列に並んで歩いている

西園寺「蟻タンを潰すと気持ちいい音がして良いストレス発散になるんだよね~」

そう言って指を構えるが・・・

西園寺「ん~?」

アリの列が急に乱れる。一匹のアリが割り込んで西園寺の指の下で止まった

西園寺「ん~?知能も何も無いぷちぷちされるためだけに生きてる蟻タンがこんな事するなんて珍しいね~そんなに私に潰されたいのかな~?んじゃ、望み通りにしてやるよ!」

西園寺が情け容赦なく指を地面に向けて振り降ろす



ガッ!!



西園寺「・・・へ?」

振り降ろした西園寺の腕が掴まれている

別の、白いラインの入った黒い袖の人間の手が、彼女の腕を掴んでいた

しかもその腕は・・・割り込んで来たアリからアンバランスに伸びていた

西園寺「ひゃあっ!?キモッ!!」

おののいて尻もちを突く。その衝撃で一瞬目を瞑るが、次に目を開けた時には居なかった

??「来るとは思っていましたが・・・まさか朝一で来るとは思いませんでしたよ」

後ろからの声に、西園寺は振り向く

そこに、見知らぬ少年が立っていた

黒いスポーツウェアの上に、黒いジャージを着ている。九頭龍と違い剃り込みも無い普通の黒い坊主頭で童顔、西園寺より大きいが男子としては小さい身長の少年だ

そして白いラインが入った袖は、間違い無くついさっき西園寺の腕を掴んだ手だ

西園寺「あ、あんた・・・『ミライ族』!?」

??「『ダブルス』と申します・・・お見知りおきを」

西園寺(こいつが・・・日向お兄の言っていた仲間!?)

西園寺は相手の得体の知れなさに唾を飲み込む

西園寺「さ、さっきのどういう事?蟻タンに化けてたの?」

ダブルス「ええ・・・僕達は止むを得ず、動物や植物に化けて身を隠していたのです」

西園寺「動物や植物に化ける!?」

ダブルス「僕達の族長のみが扱える秘術です。族長が居なくなったため解除が出来ませんでしたが、帰って来てくれたお陰で人間の姿に戻る事が出来ました。今は変身を自由に使えます」

西園寺「だ、だから誰も居ないように見えたのか・・・!」

『ミライ族』は確かにジャバウォック島内に居た。しかし、人間の姿ではなかったのだ

ダブルス「それにしても・・・随分誇りも減ったくれも無い行為を行うんですね」

西園寺「はぁ!?」

ダブルス「一寸の虫にも五分の魂・・・何の罪も無い畜生を、自分の不利益を防ぐでも無くただ己の快感のためだけに[ピーーー]など、正に畜生にも劣る下種・・・」

ダブルス「得てしてそういう人間は・・・それを行う相手がいずれ畜生に留まらなくなると思いませんか?」

西園寺「な、何を・・・」

ダブルス「君は、誇りを抱いて生きていますか?」

西園寺「誇りぃ!?」

イキナリの質問で西園寺は混乱する

ダブルス「胸に宿る自信は大きく分けて2つ有ると思います。誇りと、プライド」

ダブルス「どう違うか、それはその自信が支える自分の能力を、どう使うかです。」

ダブルス「自身の能力を自分のため、そして世のため人のために使えば誇りと呼べる誇り高いものになるでしょう」

ダブルス「でも、ただの自己顕示のためにひけらかすだけなら、ちっぽけなプライドです」

ダブルス「君の自信は、誇りと呼べますか?ただのプライドですか?」

西園寺「誇りとかプライドとか、何訳分かんない事を・・・」

ダブルス「答えは聞きません。・・・いや、聞く必要が無い」

ダブルスが静かに掌を向けて制止する

ダブルス「誇り高い人間が・・・この修学旅行に参加しているはずがありませんからね。すべからくちっぽけなプライドで生きてきた、つまらない人間でしょう」

西園寺「何?要するに馬鹿にしてるって事!?」

西園寺は怒るが、ダブルスはその一言で失望した

ダブルス「そこ『だけ』取りましたか・・・だからあなた達は誇りの無い、プライドだけの浅い人間なんです」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・」

西・ダ「!?」

いつの間にか傍にモノクマが現れた

ダブルス「こんにちは。『ミライ族』の中でいの一番にご挨拶出来たでしょうか?」

モノクマ「まあね。君が最初だよ。まさか本当に居たなんてね・・・しかも居ないように見えた理由も聞いちゃった」

モノクマは意地悪く笑う

モノクマ「て事は・・・君達は『世界の破壊者』を相当恨んでいるね?」

ダブルス「・・・未来機関の事ですか?」

モノクマ「あちゃ~、もう少しこのネタで引っ張りたかったのに、イキナリ名前出すのかよ・・・」

西園寺「ま、待てよ!私を置いてけぼりにするな!何!?未来機関って!?」

ダブルス「君達をここに連れて来たのは希望ヶ峰学園でもモノクマでもありません・・・その未来機関です」

西園寺「未来機関・・・!?希望ヶ峰じゃないって・・・それは希望側なの!?絶望側なの!?」

モノクマ「どっちだろうねぇ・・・どちらにしてもダブルス君達『ミライ族』の敵ではあると思うよ?彼らにとって相当腹立たしい事しただろうから!」

西園寺「な・・・何をしたの?」

モノクマ「未来機関は恐らく・・・君達の『ら~ぶら~ぶ修学旅行』のためにこの島に下見に来た時、邪魔だからって動植物に化けていた彼の仲間達を大勢殺したんだよ!!」

西園寺「!!?」

ダブルス「大量虐殺で仲間達の数は、奴らが来る前の半分を下回りましたよ・・・」

西園寺「大量虐殺って・・・そんな事やる奴が希望な訳無いじゃん!!」

ダブルス「そうでしょうか?君がやろうとした事と大差ないと思いますが?」

西園寺「っ・・・!!」

西園寺は顔を青くする。自分の行為で失われた命の中に、人間が化けた者が居たかも知れないと言う事実に・・・

知らず知らずのうちに人を殺していたかもしれないという事実に・・・

ダブルス「だから言ったでしょう?平然と畜生の命を奪える人間は・・・それを行う相手がいずれ畜生に留まらなくなると思いませんか? と」

西園寺は足がガクガク震えている

虫だから良いと考えていたが、一歩間違えればその『ストレス発散』が人間に向けられてもおかしくないと思い知らされた

モノクマ「ねぇねぇ・・・こんな事で絶望するぐらいならいっそコロシアイして絶望してよ!」

ダブルス「人殺し・・・そんな事すればどうなるかも分からない馬鹿でない事を祈るだけです・・・」

モノクマ「むぅ・・・うざいなぁ・・・そうやって彼らの楽しいイベントを潰すつもり?」

ダブルス「彼ら?楽しいのは君だけでしょう?・・・いや、そうでもないか?」

ダブルスの否定に、モノクマは怪しく笑う

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・君達、どこまで掴んでるんだい?ちょっと僕のアジトまで・・・」

ダブルス「行きませんよ?」

モノクマ「言うと思った!じゃあ仕方ない、力尽く・・・で・・・」

モノクマの言葉が途中で途切れる。機能を完全に停止した



モノクマの腹部を、フェンシングで使う剣が貫いていた

ダブルス「『シルバーチャリオッツ』!」

やったのは、ダブルスのスタンドだった。鎧騎士の風貌の人型スタンドだ

西園寺「ひぃっ!!」

モノクマ「うぷ・・・うぷぷぷぷ・・・やっちゃったね!!」

西園寺「ひゃあっ!!?」

怯える西園寺の傍らに、新たなモノクマが現れた

ダブルス「やらなければやられていたでしょう・・・洗いざらい吐いた所で僕達は邪魔者なんですから生かす理由が無い」

モノクマ「冷静な判断。でも・・・この僕に危害を加えるのが校則違反って知らなかったの!?」

西園寺「!!」

西園寺が顔をほころばせた

モノクマ「モノケモノ!!一旦見張りを解いてここへ!校則違反者を処刑しろー!!」

モノクマが高笑いしながら叫んだ

ダブルス「・・・・・・・・・・・・」

モノクマ「・・・・・・・・・・・・」

西園寺「・・・・・・・・・・・・」

しかし、数分経っても何も起こらない

モノクマ「・・・あれ?全然来ないなぁ・・・」

ダブルス「当たり前でしょう?校則違反なんてしてないのですから」

モノクマ「な、何だって!?」

西園寺「で、でも、モノクマに暴力を・・・」

ダブルス「それは君達に課せられたルール・・・」

ダブルスは再びモノクマに向けて剣を構える

ダブルス「そんなルール、『先住民』である僕達には関係ないルールです。校則違反も何も無い」

西園寺「あっ!!」

ダブルスは何のためらいも無く、今度はモノクマを八つ裂きにした

モノクマ「ひ、ひいぃ・・・残機がもったいない・・・僕が直接出向くのは止めよう・・・」

そう言った後、離れた所に飛ばされて爆発した

西園寺「ちょ、ちょっと!!?」

ダブルス「何ですかその態度?モノクマは君達の敵ではなかったんですか?敵に頼るなんて・・・」

西園寺「・・・!!」

ダブルス「君達はいつもそうだ・・・誰かが導いてくれると高を括り、それを待って自分で動かない・・・だから簡単にああなる・・・」

西園寺「『ああ』って・・・何よ!?」

ダブルス「君は特に・・・少し傷め付けないと駄目みたいですね」

『シルバーチャリオッツ』の剣が、今度は西園寺に向けられた

西園寺「あ・・・あ・・・」

西園寺は、足がすくんで動けない

ダブルス「君も『スタンド』を出しなさい!スタンドが何か、どれだけ扱えるかを知るだけで良かったのですが・・・その腐った性根は少しでも叩き直す必要がありそうですね!例え無駄な事でも・・・!!」

~牧場 正面入口~

田中は毎日の日課で、朝早くから牧場の動物達の世話をしている

そのため、動物達が田中の姿を見ただけでまだ閉っている入口に群がって来た

田中「ふははは・・・そう急くでない・・・地獄の饗宴はこれから・・・ん?」

田中は群がって来た動物を眺めるが、ニワトリが一羽足りない

初日に牛へと姿を変えた一羽を除いてもだ

田中「ふっ・・・隠れてないで出てきたらどうだ?赤き冠を纏いし王族よ!」

??「別に隠れてねーけど?てか普通にトサカって言えよ!」

田中「!!?」

田中は上を見上げる

入口の看板の上に1人の少年が座っている

裸足で真っ白の道着を着ており、武道家らしいがっしりとした肉体。全体的に茶髪だが、メッシュのように前髪の一部を赤く染めた釣り目の少年だ

田中「何奴!!?」

??「おやおや、初日にナデナデした手が俺を覚えてないとか・・・本当に『超高校級の飼育委員』かぁ?」

田中「では貴様まさか・・・王族の化身!!?」

??「化身ではあるが王族じゃねぇ・・・『ミライ族』のテコンドーだ!」

田中「『ミライ族』!?貴様が!!」

テコンドー「俺だけじゃねえぜ?このジャバウォック島のあちこちに俺と仲間は散らばってるからなぁ!!」

田中「そこを降りろ!洗いざらい吐いてもらうぞ!!」

テコンドー「や~だね!!」

テコンドーは看板を降り、田中の反対側、敷地内に着地した

田中「そちらにその気が無くても・・・」

テコンドー「まぁ待て・・・一つ言っておきてぇ事があるんで大人しく聞きな」

田中「・・・?」

田中は動きを止める

テコンドー「俺は才能が天から与えられたものって考え信じてねぇんだ」

テコンドー「それって才能ない奴は幸せになれないって言ってるようなモンだろ?」

テコンドー「才能っつーのはよぉ、誰でも持ってるモンだと思うんだよな」

テコンドー「ただ自分の奥底に隠れて眠ってるだけなんだよ」

テコンドー「それをどうやって掘り起こすのかってーと、簡単だ。ノミを使えば良いんだ」

テコンドー「『努力』っつーノミをな」

テコンドー「超高校級なんて呼ばれるヤツだって才能がある訳じゃねえ」

テコンドー「その才能を掘り起こすために何年も労を惜しまずノミ(努力)を振るった成果だと思うぜ」

テコンドー「それでも結果が出ねぇなら、そりゃ振り方が悪いだけ、いくらでも彫り方を変えれば良い」

てこんどー「ただよぉ、心配なんだよな~」

テコンドー「おい『超高校級の飼育委員』さんよぉ、聞かせてくれよ」

テコンドー「お前は希望ヶ峰に入ってからも、ちゃんとノミ(努力)を自分の手で振るってたか?」

田中「さっきから何を話をしているんだっ!?俺様達の奪われた記憶の話か!?」

テコンドー「いやいや、ノミ(努力)は他のヤツに持たせちゃいけねえって話さ」

テコンドー「せっかく綺麗に掘り起こした才能にまで勝手にノミ入れちまうんだからよぉ!」

田中「・・・どういう・・・意味だ・・・?」

テコンドー「自覚無え?ああ、記憶無えんだっけ」

田中「もっと詳しく、全員の前で話してもらうぞ!!」

田中は入口の門を開けて入る

テコンドー「開けたな?」

田中「何!?」

テコンドー「『ボーン・ディス・ウェイ』!!」

田中「なグボアッ!!?」

スタンド名で嫌な予感を感じ取るが、時既に遅い

突然どこからともなく現れた黒いバイクに撥ねられた

田中(『ボーン・ディス・ウェイ』だと・・・!?あれは何かを開ける動作を標的がした時に姿を現わし攻撃を仕掛けるパワー型スタンド・・・)

田中(は・・・早く門を閉めねば・・・そうすれば消滅する!!)

田中は迫りくるバイクを昨日の終里の如く避けながら、入口を閉めに向かう。が・・・

テコンドー「ふうううううううううううう・・・・・・」

テコンドーが門の傍で気合溜めをしている

田中「ま、待て貴様・・・」

テコンドー「はっ!!」

田中の制止を聞かず、テコンドーは門の付け根に強烈なかかと落としを喰らわせた

直後田中が門を閉めようとするが、途中で動かなくなった

テコンドーの攻撃で、門が歪んで閉まらなくなってしまったのだ

田中「貴様・・・もうスタンドを仕舞えないんじゃないのか!?」

テコンドー「俺が決めたかかと落としだ。『超高校級のテコンドー家』様にかかりゃあ、どう蹴れば治るかぐらいわかるっつーの!」

テコンドー「とりあえずテメェがくたばるまで仕舞う予定は無えけどな!!」

田中「ぐぅ・・・」

だが、田中にはむしろ好都合でもありそうだった

あのカウンターの格好の餌食なのだから

田中「『ゴールド・エ・・・ぐおっ!?」

田中はスタンドを発動しようとする

しかし、突然飛んで来た石に集中力が途切れて発動出来なかった

テコンドー「『スタンド』は精神の力・・・それが安定してなけりゃあ出す事もままならねぇんじゃねえか?」

テコンドーが、石を絶妙なタイミングで蹴り飛ばして来たのだ

田中「ぐぅ・・・はっ!?」

田中はテコンドーを睨むが、我に返ると目の前に『ボーン・ディス・ウェイ』が居た

慌てて避けるが、『ボーン・ディス・ウェイ』が走行と共に出す冷気で徐々に体力が奪われる

テコンドーは終里と同じタイプのスタンドだが、彼女と違いカウンターすら発動させない

狛枝「良い感じにレベルが上がってるね・・・田中クンは丁度良い相手に出会えたね」

一部始終をボクは眺めている

ボク達の中で一番『スタンド』に慣れているのは、一番希望が輝いているのは彼だ

だから彼こそこのバトルロワイヤルの勝者となり、絶対的な希望に慣れる逸材ではないかと彼を気にかけている

彼は朝早くから『超高校級の飼育委員』らしく牧場の手入れをしてるから追いかけてみた

するとどうだい。てっきり希望を解さないからぼっち間違い無いはずの日向クンの妄想だと思っていた『ミライ族』の一人が姿を現したじゃないか!

スタンドは終里さんと同じタイプだが、彼の方がさらに上手だ

どういう理屈かは分からないけど自分の弱点を補うために扉を歪め、さらに田中クンのスタンド発動を邪魔している

相手に何もさせないというのはバトルとしては不公平で卑怯だけど、戦争なら至極当たり前かな?

となると、彼にとっては戦争のつもりなのかな?

だったら、ちゃあんと最後にトドメも刺すんだよね?

果たして田中クンの希望が潰えてしまうのか、切り抜けられるのか・・・

興奮で眠かった頭が完全に冴えたよ!!

前回は十神クンに邪魔されたんだ・・・しっかりかぶりつきで見学させてもらうよ!

田中クン・・・君の希望を!!



・・・ところで彼、随分訳の分からない事を言ってたなぁ

『超高校級のテコンドー家』という才能持ちなら有り得ない事を言ってたなぁ

才能は誰でも持ってる?

能無しが幸せになれないって言ってる様なものだから、才能は天から与えられた物だと思いたくない?

才能は自分の中から努力で掘り出す物?

なんて見当違いも甚だしいんだ!!

”希望”になれるのは、素晴らしい才能と強い意思を持つ人間だけだよ?

そしてそれは生まれ付いた時点で、既に与えられている物に決まってるじゃないか!

努力とかそういうものじゃないんだ・・・希望になれるのは、希望に選ばれた人間だけなんだ!

そんな事も分からないなんて・・・日向クンといいテコンドーくんといい、本当に『超高校級の生徒』なの?

『ミライ族』って、そんなお花畑な事考えてる集団なのか・・・おめでたいにも程があるだろ・・・

どうやら、本当に『希望』でも『絶望』でもない集団みたいだね・・・

いや、ボクからしたらそんな『希望』を解さず蔑にする考え、『絶望』と大差ないよ!

納得したよ。第三勢力なんて無かったんだ!ただの『絶望』だったんだ!!

結局『希望』を阻害するただのクズ集団でしかなかったんだ!!!

ならば・・・負ける訳にはいかないよねぇ・・・

まぁ、田中クンの希望を邪魔しちゃ悪いから加勢はしないけどね

西園寺「ひゃああああああっ!!」

ん?西園寺さんが来たね。何だか怯えてる?

でも、ここからじゃ誰も居ないように見えるけど・・・

でも、せっかくの着物がズタズタに引き裂かれてあられもない姿になってるよ

田中「!?・・・そいつは『シルバーチャリオッツ』か!じゃあそいつをそんな風にしたのは西園寺、貴様か?」

田中「なんて馬鹿な事を・・・あれでは何も変わらぬ・・・いや、逆に自分の首を絞めたような物だぞ!!」

一体見えない『シルバーチャリオッツ』とやらに何をしたのかな?





ダブルス「どうやら相性が悪かったようですね・・・小さくされたって剣士には関係無いです」

西園寺の肩に、アリ並に小さくなったダブルスと『シルバーチャリオッツ』がしがみついている

西園寺のスタンドは、ナイフで切りつけた相手を小さくする『リトル・フィート』だった

小さくしてしまえば、どんな攻撃も力を失い、得てして相手は無力化される

しかし、『シルバー・チャリオッツ』のような刃物は例外だった

小さくなった所で切れ味が落ちる事は無い。むしろ何度も繰り返して深く抉る形になるため、逆に懐に入り込んで急所を狙いやすくなっている上、その致命傷がじわりじわりと死の恐怖を伴ってゆっくり負傷していく

西園寺は死の恐怖で汗と涙以外の体液をも流しながら、ダブルスを吹き飛ばそうと暴れながら田中に近付いている

ダブルス「・・・少しは、懲りましたか?」

しかし剣を服、そしてその下の素肌に喰い込ませているダブルスは全く落ちる気配が無い

田中「西園寺は『リトル・フィート』・・・ならば!!」

田中は一計を案じ、西園寺に向かって走る

そして走って来る『ボーン・ディス・ウェイ』を避けるために西園寺を抱えて横に跳ぶ

田中「今だ西園寺!斬れ!!」

何が何だか分からなくなっている西園寺は黙って従い、『ボーン・ディス・ウェイ』を切りつけた

テコンドー「! テメェ!!」

田中「『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

テコンドーがひるんだ隙を突いて傍の複数の大岩に『スタンド』を発動する

西園寺「わわっ!!?」

岩は3匹のイヌワシに変わり、西園寺の着物の帯や襟を掴んで空へと飛び上がる

ダブルス「くっ・・・離せ!!」

田中「お痛が過ぎたようだな・・・」

一方小さくなったダブルスは田中によって引き剥がされていた

田中「殺しはしないが・・・西園寺と同等・・・いや、それ以上の苦しみを味わってもらうぞ!『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

そう言って牧場の周りの柵の一本に『GE』を発動する

柵は一匹の鷹となって飛び上がった。しばらく旋回すると、田中の元へ戻って来る

すれ違う瞬間、田中はダブルスを宙へ投げ捨てる

ダブルスは鷹に丸飲みにされた

田中「食い破ろうとすれば己の腹を裂くと同義・・・しばらく捕食の恐怖に慄いていて貰おうか・・・さて、残るは貴様だ!!」

テコンドー「・・・・・・・・・・・・」

田中はダブルスを片付け、テコンドーに向き直る

これで勝敗は確定したと田中は確信した

先程西園寺が発動した『リトル・フィート』で、『ボーン・ディス・ウェイ』は小さくなり始める

本体の西園寺を叩こうにもイヌワシで空中に避難しており、空中を移動出来ない『ボーン・ディス・ウェイ』は手も足も出ない

後は仕留められないよう避け続け、攻撃翌力も無くなる程小さくなるのを待つだけの消化試合だった

テコンドー「・・・はっ!良いねぇ・・・実にテメェららしい顔になって来たじゃねえか!!」

だが、むしろテコンドーは逆境に笑った

田中「ふんっ!・・・何が、はっ!・・・・おかしい?」

『テメェららしい顔』という言葉にヒントを感じながらも、田中は『ボーン・ディス・ウェイ』を避けつつ疑問を呈する

テコンドー「ダブルスなら心配無え。自力で出て来る。そしたら必殺技を披露しようじゃねえか!!」

田中「何!?」

ぐえええええええええええええっ!!

突然空から鳥の悲鳴が上がり、そちらを見る

鷹が飲みこんでいたダブルスを吐き出していた。さほど時間が経っていないため、唾液まみれだが無傷だ

ダブルス「ゴホッ、ガハッ!!・・・二度と御免ですこんな経験・・・」

ダブルスは自分の身体で気管支を塞ぐ事で、飲み込まれるのを防ぐと同時に自分を吐き出させたのだ

落ちて来たダブルスをキャッチしたテコンドーはニヤリと笑う

テコンドー「来い!『ボーン・ディス・ウェイ』!!」

その声に反応して田中から離れて本体の元へ走って行く

田中「何をする気だ・・・?」

『ボーン・ディス・ウェイ』は途中で少し曲がり、徐々にテコンドーから離れていく。そこにテコンドーが助走をつけて近付いて行く

テコンドー「ほっ」

そして助走から勢いよくジャンプして・・・

テコンドー「うらあっ!!」ガゴッ!!

『ボーン・ディス・ウェイ』の前輪を真横から蹴飛ばした

蹴られた『ボーン・ディス・ウェイ』は、その勢いで前輪が右に、後輪が左に逸れる。そしてそのまま回転を始めた

田中「こ・・・これは・・・!!?」

テコンドーは回転が強まる前に後ろに乗った。そして『ボーン・ディス・ウェイ』の運転手は右に、テコンドーは左に体重を傾け、回転を強める

『ボーン・ディス・ウェイ』を中心に、冷気の渦が出来始める

テコンドー「これぞ必殺、『ハイウェイ・ユニコーン』!!」

田中「なんと格好良い・・・」

西園寺「ひいやあああああああああっ!!?」

田中「西園寺!?」

渦は竜巻となり空中に伸び、突然の突風でバランスを崩したイヌワシが西園寺を落とす

イヌワシはそのまま渦に巻き込まれ凍りつき、元の岩に戻った。あっという間でカウンターもほとんど発動しなかった

西園寺「ひゃうっ!!」

田中「だ、大丈夫か!?」

西園寺は上手く田中がキャッチしたが、それで安心とはいかない

通常の『ボーン・ディス・ウェイ』を遥かに凌ぐ強さの冷風で辺り一面猛吹雪となり、脱出も出来なくなりつつある

西園寺「もう・・・やだ・・・これは悪夢だ・・・きっと寝て覚めれば自宅の布団で・・・」

田中「寝るな!寝たら死ぬぞ!!」

すごいや・・・テコンドーとやら、言ってる事はお花畑だけど、実力は凄い!

田中クンによる対戦相手を一瞬で入れ替えた『スイッチ』で、勝負は決まったと思ったんだけどねぇ・・・

どうやらあの2ペアは『スイッチ』で有利不利が逆転するペアだったみたいだ

でも、それで終わらなくて良かったよ!それでこそ希望の踏み台として希望の皆が踏み越えるに相応しい!!

あんな大技隠し持ってたなんて・・・銀世界はこの辺りまで浸食して、パーカーを着てるボクでも寒いや

ましてや近距離で直撃してる田中クン達のダメージは推して知るべしだ

そしてあの竜巻は同時に防御壁にもなっている

もう『スタンド』の直接攻撃は届かないし、『ゴールド・エクスペリエンス』はあの氷点下の世界では生物を生み出せない

西園寺さんの小さくする能力は持続しているみたいだけど、このままじゃあ確実に保たないね

さぁ田中クン、西園寺さん、この絶望的な攻撃を、どうやって切り抜けて彼らを倒すんだい?

・・・と思っていたらその時、信じられない事が起こったんだ

テコンドー「ぐぼおっ!!?」

田中「!?」

突然テコンドーくんの悲鳴が上がり、竜巻が消滅した

『ボーン・ディス・ウェイ』も消えていて、テコンドーくんは雪の上に投げ出されて気を失ってる

ダブルス「熱くなり過ぎです![ピーーー]つもりですか!?」

・・・・・・・・・・・・は?味方による自滅?

しかも何言ってるの?『[ピーーー]つもりですか』?

これは純粋なコロシアイだろう?どちらかが死ぬまでやるべきじゃないか!

仲間の死・・・それ程の絶望を乗り越えてこそ希望は大きく輝くというのに、君達はぬるゲーにするつもりなのかい!?

あ~あ・・・やっぱり『ミライ族』は甘ちゃんお花畑のクズ集団だったか・・・

田中クンという現在の皆の精神的支柱が無くなって、その絶望をいかにして乗り越えるか、そういう所で人は成長出来るというのに、彼の行為はその成長のチャンスを潰すのと同義だよ!

得る物が無いじゃないか!何のためのコロシアイだったんだよ・・・

ダブルス「ここまでですね・・・帰りましょう」

西園寺「待てよ!!」

ダブルス「っ・・・!!」

良く見えないけど、多分小さくなったダブルスくんが西園寺さんに握られてる

西園寺「この私にあれだけ不埒を働いておいて・・・このままただで帰れると思ってんの~?」

ダブルス「・・・あれだけやられてまだそういう事が言えるんですか・・・『サバイバー』ってすごいですね」

西園寺「な~にを余裕ぶってんだよ!!これから蟻タンみたいにグチャグチャのグチョグチョにされて、泣き喚くってのによおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ダブルス「君、自分が希望って呼ばれてる自覚ありますか?完全に悪役の台詞ですよ?しかも相手が抵抗出来なくなったら強気になるとか悪役の中でも小物じゃないです・・・かっ!!」

西園寺「痛っ・・・!!」

多分掌を刺されたんだろう。奴を離した西園寺さんの手から血が出てる

西園寺「まだやられ足りねえのかはこっちの台詞なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

西園寺さんは激怒し、再度向かおうとしてるけど、その時奇妙な事が起こったんだ



チュドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

何かの爆撃が、ダブルスくんを包み込んだんだ



西園寺「!?」

煙が消えると、ダブルスくんはどこにも居ない。

西園寺「ど、どこに・・・」

田中「あそこだ!!」

西園寺「!?」

田中クンの差した方向を見ると、気絶しているテコンドーくんをダブルスくんが担ごうとしている所だ

なぜか西園寺さんの能力が切れて、ダブルスくんは元の大きさに戻ってる。へぇ、ああいう姿をしていたのか

田中「馬鹿な・・・貴様、何をした!?」

ダブルス「僕は何も。言ってしまえば手の内を明かす事にもなりますし・・・」

田中「援軍か!?」

ダブルス「そんな所です。僕は彼の介抱に帰ります。もうこれで終わりにしましょう」

田中「貴様達の方から仕掛けておいて・・・!!」

ダブルス「あれ?テコンドー君が言いませんでしたか?別に殺しに来たのではありません。君達の『サバイバー』のガス抜きと、君達の『スタンド』の能力、熟練度の調査ですよ」

ダブルス「ついでに、これの没収ですね」

ダブルスくんの手に、スタンガン、刃物など大量の護身用武器が握られていた

ダブルス「こういう物は持ってるだけでコロシアイの温床になるんですから、没収ですよ、西園寺さん」

西園寺「・・・!!」

西園寺さんは慌てて袖をまさぐろうとするけど、既に彼に襲われた時に袖はズタズタになってて何も入れられなくなってる

そういえばズタズタなのは袖だけで、他の部分はほぼ無傷だ。袖に仕舞っていた護身用グッズを取り上げるためだけに襲ったとでも言うのかい?

ダブルス「第一[ピーーー]つもりなら・・・そんなにズタボロにされてるぐらいですから、とっくに死んでますよね、西園寺さん?」

西園寺「ひぃっ!!」

ま、そりゃそうだ

ダブルス「ですから危害を加えようと、命までは取りませんからご安心を。今回のように身内が暴走しても、ちゃんと止めますから」

西園寺さんに向けた物とは全く違う優しい笑顔を残し、ダブルスくんはテコンドーくんを連れて去って行った

田中「『ミライ族』・・・あなどれん実力者達だな・・・西園寺?西園寺!?」

突然ガクガクと震え、西園寺さんはその場に倒れた

恐怖を植え付けられた相手が去って、緊張の糸が切れたんだろう

どうやら一先ず終わりみたいだけど・・・こんなただの試合みたいなぬるい戦いばかりがこれから続くの?

絶対死なないって安心してたら、全く皆の成長に繋がらないよ・・・やる事が中途半端だなぁ・・・

もう少し極限の命のやり取りをする、絶望的な状況に立たされなければ、人は成長しないんだよ!

『ミライ族』じゃあ全く役に立たないよ。またモノクマが何か仕掛けてくれると良いけど・・・

~???~

西園寺「お姉?・・・お姉?・・・小泉お姉、どこ・・・?」

西園寺「どこにも居ないって・・・どういう事?先生!?」

西園寺「急に学校に来なくなって行方をくらましたって・・・」

西園寺「なんで!?言ったじゃんお姉!一緒に卒業して、卒業後も一緒って!!」

西園寺「嫌だ・・・嫌だよ・・・お父様が死んだ今、お姉しか頼れる人が居ないのに・・・」

西園寺「他の周りの奴らは私の敵と役立たずだけなのに・・・」

西園寺「お姉!どこ!?私を一人にしないでえええええええええっ!!!」





??「・・・・・・・・・・・・日寄子ちゃん・・・」

西園寺「お、お姉!!良かった・・・どこに行ってたの?・・・何だか顔色悪いけど、どうしたの?目が死んでる・・・?」

小泉「そんな事無いわよ。ところで日寄子ちゃん、私、あの人に付いて行こうと思うの」

??「うぷぷぷぷ・・・ようこそ!『超高校級の日本舞踊家』西園寺日寄子ちゃん!!」

西園寺「誰?」

??「誰だって良いじゃん!これからどうでも良くなるんだから!」

小泉「日寄子ちゃん、あなたのお家、醜い欲望が渦巻いて、ぐちゃぐちゃのドロドロでしょう?この人がね、日寄子ちゃんが家を建て直す力になってくれるんだって!」

西園寺「え・・・?」

??「うぷぷぷぷ・・・力を合わせて腐った血を追い出そうじゃないか!!」

西園寺「お姉も・・・手伝ってくれるの?」

小泉「もちろん!言ったでしょう?私達はいつも一緒だって」

西園寺「うん・・・あんな家どうなったって良い!お姉さえ居れば、もう他の物は要らない!!」

小泉「一緒にお家を建て直せるよう、頑張りましょう!」

西園寺「うん!小泉お姉だ~い好き!!」

小泉「あらあら、この子ったら・・・ふふ」










??「うぷぷぷぷ・・・どいつもこいつもチョロい馬鹿ばっかりだね」

西園寺「うわああああああああああああああああああああああっ!!!?!?」

小泉「日寄子ちゃん!?」



=AM 9:15=

~ホテルみらい レストラン~

ようやく西園寺さんが起きたよ。小泉さんの手厚い介抱のお陰だね

小泉「田中から聞いたわよ。ごめんね・・・一緒に居たとしても、多分足手まといになる・・・何も出来なくてごめんね・・・」

西園寺「お姉・・・お姉~っ!!うわあああああああああああああああああん!!!」

小泉さんの胸でわあわあ泣きだしたよ。仲良き事は美しきかな?

まあ、あの程度で大泣きする程メンタル弱いのはどうかと思うけど・・・それじゃあこの先過酷になるであろう戦いの中で潰れるよ?

七海「・・・狛枝君、失礼なこと考えてない?」

エスパーかい七海さん!?

十神「迂闊だったな・・・まさかこんなに早く相手が仕掛けて来るとは・・・」

田中「過ぎた事は仕方ない・・・無事生還できたのだから良しとしよう」

澪田「でもでも~、あっちは最初から命まで奪うつもりは無かったんすよね?」

左右田「そ、そんなの信じられる訳無えだろ!きっと油断した所をグサリと・・・」

うんうん、左右田クンはただの臆病で言ってるけど、それを警戒しておくに越した事は無いよね

辺古山「奴ら、中央を除いて5つある各島に散らばっているそうだな・・・」

九頭龍「モノミの話じゃあ、各島に4人ずつ散り散りになってるって話だったな」

罪木「そうなると・・・2の島にも4人程待ち構えているという事ですよね・・・」

ソニア「この島にも田中さん達を襲った暴漢以外にあと2人居ると見てよろしいのでしょうか?」

西園寺「2の島・・・?どうして2の島限定?」

モノミ「あちしの努力の結晶でちゅ!モノケモノを一体配下に治め、2の島の解放に成功しまちた!」

花村「そしてその時、2の島から来て日向君に合流した人達が居たんだよね?」

辺古山「どいつもこいつも妙な名前だったそうだな。2の島から来たのは『セイバー』『エージェ』『コンサルト』『メイド』と言ったか・・・」

左右田「変な名前って、お前が言うな!」

九頭龍「何か言ったか・・・?」

左右田「ひぃっ!!」

ビビってる左右田クンを他所に、モノミがえっへんと得意気に話す傍ら、他の仲間は西園寺さんに報告を続ける

西園寺「ふ~ん・・・まぁ、変なウサギにしちゃあよくやったんじゃない?」

罪木「ふええ・・・言い方棘々しいですけど普通に褒めてますよぉ!」

弐大「嵐じゃ!嵐が来るぞおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

終里「マジかよ!?木の板で窓とか補強しねぇと・・・」

小泉「あんた達、日寄子ちゃんを何だと思ってんのよ・・・」

小泉さんはそう言うけど、確かに素直に褒めるのは珍しいんじゃないかな?

西園寺「・・・お姉・・・ごめんなさい・・・」

小泉「・・・おとといの事?」

西園寺「うん・・・今更遅いかもしれないけど・・・」

小泉「そんな事無いわよ。あたしの方こそぶってごめんね」

西園寺「うん・・・うん・・・!うわあああああああああああああああん!!」

仲直りして、また泣いちゃった・・・

やれやれ・・・本当にメンタル面は大丈夫なのかなぁ・・・

七海「君はそれしか出て来ないのかい?」

だから七海さん、エスパー!?

十神「だが、やはり外の手がかりがあるかもしれないんだ。2の島は行ってみるに越した事は無いだろう」

左右田「やっぱ行くのかよ・・・」

九頭龍「腹くくれ・・・あっちはこっちがどんな『スタンド』をどれだけ使えんのかも知りたがってんだ・・・嫌でもいずれあっちから仕掛けて来んぞ!」

小泉「そうだ!そのあっちについてなんだけど・・・これ、手がかりになるかな?」

小泉さんが、一枚の写真を出した

十神「何だこの写真は?・・・この小さく映っているのは日向か?他は一体誰・・・」

田中「こいつとこいつだ!我々に襲いかかって来たのは・・・!!」

花村「な、何だって!?」

皆で食い入るように写真を見る

どこかのビーチの風景を撮った写真だった。日向クン以外に知らない6人の男女が写っている

日向クンは大柄な男の先導の元、ダブルスくんやショートカットの少女と共に砂浜で準備運動をしている。大柄の男はウエットスーツで、他は水着だ

その横でテコンドーくんが道着のまま砂浜を全力疾走している。弐大クンに言わせれば間違い無くトレーニングだとか

これはビーチハウスらしき建物の中から海を撮ったみたいで、手前に建物の中が見える

青髪の綺麗な女の子が部屋のテーブルに腰掛けて、優雅に読書をしている。タイトルを見たら商売関係の本で優雅さの欠片も無いけど

その隣で藍色のメイド服の女性が直立不動だ。十中八九『メイド』さんは彼女だね

十神「何を考えているんだ小泉!一足早く出向いてこんな写真を隠し撮りしてくるなど・・・」

小泉「いや、あたし2の島に行ってないけど?」

田中「! ではまさか・・・」

小泉「ええ・・・」

小泉さんの腕から、植物の蔦の様な物が現れた

小泉「これがあたしのスタンド『ハーミットパープル』。能力は念写よ」

十神「そ、そうか。念写で取った写真か・・・早とちりしてすまない」

さすが小泉さん!『超高校級の写真家』に相応しい能力を得たね!!

十神「日向を含めたこの7人が、現在1,2の島内に居る『ミライ族』という事で良さそうだな」

澪田「まだ唯吹達の方が人数で有利っすねー!」

十神「だからと言って油断するな。絶対一人で行動してはならんぞ!」

終里「お?『ミライ族』とやらをぶちのめしに行くのか?」

弐大「闘いたいだけのお前さんは大人しく花村・狛枝・ワシと留守番じゃあ」

・・・へ?

狛枝「弐大クン、今何て・・・」

弐大「だから、終里は花村、お前さん、ワシと一緒に留守番じゃと言ったんじゃ」

狛枝「ええっ!?どういう事!?」

十神「貴様・・・自分がした事を一夜で忘れたのか?見張りを付けると言っただろう!」

田中「それに貴様が望むは奴らと我々の望まぬ戦い・・・とても初見でそんな輩を連れて行けん」

ええ~・・・君達の戦いを間近で見たかったのに、どうしてだい?

七海「だからこそ戦いを煽りそうなんで、連れて行けないんだよ君は」

七海さん・・・ボクなんかに超高校級の皆の心を煽れるとでも?

七海「むしろそれしか出来ないじゃん、何かを守ろうともしない歩く地雷君・・・」

・・・うん、七海さんのエスパーにも慣れて来たよもう。にしても辛辣だな・・・

狛枝達を除いた11人で2の島へ赴く

西園寺「・・・・・・・・・・・・」

小泉「大丈夫?日寄子ちゃん?」

西園寺「え?うん、お姉が看病してくれたから平気!替えの着物もありがとう!」

小泉「そ、そう・・・でも、身体はそうでしょうけど・・・」

西園寺「なぁに?」

小泉「心は・・・大丈夫?」

西園寺「だ、大丈夫だよ!」

小泉「何か悪夢を見て目が覚めたって感じだったけど・・・」

西園寺「さ、さっき襲われた時の事、夢でも見ちゃって・・・でも、全然平気!今度会ったら今度こそひねり潰してやるんだから!!」

小泉「・・・・・・・・・・・・無理しないで、私にだけでも相談して良いんだからね」

西園寺「・・・・・・・・・・・・うん・・・でも、今はまだ大丈夫だから・・・」

小泉「・・・溜めこまないでね」

西園寺「うん・・・・・・・・・・・・」










西園寺(い・・・言えない・・・あの夢・・・あの夢は・・・有り得ない・・・有るはずが無い・・・無いんだ・・・!!)

ソニア「田中さん・・・」

田中「どうした?雌猫・・・」

左右田「あっ!テメェまた抜け駆け」

ソニア「左右田さん、ハウス!」

左右田「わんっ!・・・て、犬扱いですか?ちょ、ソニアさー・・・・」

話が進まなくなりそうだと左右田はクズペコに取り押さえられる

ソニア「さっきの写真の皆さんが、『ミライ族』なんですね・・・」

田中「そうだ・・・日向を含めてな・・・」

ソニア「・・・見ました?あの写真の日向さん・・・」

田中「笑顔だったな」

ソニア「いいえ、ただの笑顔じゃない・・・心の底から楽しそうで、安心しきった笑顔です」

田中「我々に見せなかった笑顔・・・と言いたいのか?俺には分からなかったが・・・」

ソニア「日向さんにはああ言いましたが、何となく気付いていました。あの人は普通に接しながらも、ずっと私達を警戒していたって」

ソニア「記憶喪失で本当の仲間の事を忘れて、私達がその仲間ではない事も忘れて・・・」

ソニア「それでも、彼には分かっていたんですね。私達は仲間ではないと」

ソニア「まるで、私達とは最初から相容れない・・・あるいは、心の底では覚えていた・・・今思えば彼の態度は、そんな感じでした」

ソニア「多分小泉さんが念写したあの写真は、この島で仲間と共に暮らしていた頃の日向さんです」

ソニア「それはもう・・・幸せそうで・・・」

田中「・・・・・・・・・・・・」

ソニア「疑問が・・・尽きません・・・」

ソニア「わたくし達は彼らを殺しかけた・・・一体失われた記憶の中で、私達は何をしてしまったのでしょう?」

ソニア「島の人達の中で、どうして日向さんだけが修学旅行に参加させられていたのでしょう?」

ソニア「彼らはわたくし達を[ピーーー]気は無いと言っていますが、本当なのでしょうか?明らかに敵意を感じます」

田中「落ち着け、雌猫・・・」

ソニア「田中さん・・・わたくし・・・真実を知るのが怖い!」

ソニア「あの写真を見たときから・・・あの日向さんの笑顔を見たときから、幻聴が聞こえるんです!」











ソニア「『彼らだけじゃない・・・お前は二度とこの様な笑顔に加わる事は無い』って・・・」










ソニア「わたくし達は・・・それ程の罪を犯したのでは」

田中「落ち着けと言っている!!!」

ソニア「っ・・・!!」

田中はソニアの両型を掴む

田中「どれだけ逃げようと、真実からは逃れられないのだ・・・今から取り乱しては、俺様達の記憶が貴様の予想しうる最悪の記憶だった時、心が壊れるぞ!」

ソニア「でも・・・もしそうだったら・・・」

田中「そうと決まった訳ではない!!ソニア・ネヴァーマインド・・・貴様はそれ程の大罪を犯すような咎人だったのか!?」

ソニア「う・・・うう・・・あ・・・あああああああああああああっ!!!」

ソニアは田中の胸の中で泣きだす

・・・しかし、結局田中の問いへの記憶は出ないまま・・・



田中(俺様だって・・・その可能性が頭によぎって離れないのだ・・・)

田中(あのダブルスという男・・・丁寧な口調と柔らかい物腰・・・恐らく最後に見せたあの穏やかな笑顔が本来の奴だろう・・・)

田中(だが『[ピーーー]つもりならとうに殺していた』と言った時に西園寺に向けた顔は、まるで毒虫を見る様な嫌悪感と憤怒を感じた・・・)

田中(気性穏やかなる男にそこまでの顔をさせる程の事を・・・我々はしたのか・・・?)

田中(この修学旅行は・・・兎が行うはずだった修学旅行は・・・)









田中(我らが失われし記憶の中で犯した大罪を濯ぐ、巡礼の旅だったのではないか・・・?)

4日目&CHAPTER2から一日一日が長くなっていきそうですが、今日はここまで

どんどん参加者たちには重い話になっていきますね・・・

このキャラとこのキャラの絡みが見たいとかあったらレスにどうぞ

オマエラ!明けましておめでとう!

そして、お久しぶりでございます!

久々の更新です



長い空白を経ていますが、さほど書きためてません

とりあえず4日目・後編スタート!

話が分からない人は、とりあえず最初からざっとROMってね



注意事項を

・登場人物にスタンドが与えられてます

・オリジナルキャラ、超展開、何でもあり

・ここまでにも致命的ネタバレ。ここから先にもネタバレ

・何だかんだで妄想垂れ流しスレです

・安価は展開に詰まったら突然現れるかも



以上の注意に動じない希望溢れる超高校級のネラーは、そのまま待機

十神「ここが2番目の島か・・・」

十神達11人は島に降り立った。1の島と負けず劣らずのリゾート地らしい。

ソニア「・・・とりあえず手分けしますか?」

十神「そうだな・・・ただし2,3人で固まって行動するように!」

組み合わせは十神・澪田、左右田・七海、ソニア・田中、九頭龍・辺古山、西園寺・小泉・罪木となった。



~ドラッグストア~

罪木「うわぁ・・・とっても大量の薬品ですよ~!!」

西園寺「ゲロブタが興奮し出した・・・キモい・・・」

小泉「でも薬品と言ったらさー・・・アレがあるんじゃない?クロロホルムって言ったっけ?後ろから襲って嗅がせると気絶するヤツ・・・」

西園寺「ちょ、毒もあるんじゃないの!?犯罪グッズの温床じゃん!!」

罪木「ひいいっ!み、見てみます!!」

罪木が慌てて在庫を確認する。

罪木「リストには直接毒になる物はありませんが、大量使用や調合で簡単に毒になる物もありますね・・・小泉さんが懸念していたクロロホルムやそれに似た症状を起こす薬品も大量にあります」

小泉「は、早く処分しちゃいましょう!!」

罪木「はい。えーと・・・リストによればこの辺に・・・あれ?」

西園寺「何これ?そこ何も置いて無いじゃん」

薬品をギッシリ詰めているはずの棚に、ちらほら空白が存在している。

小泉「既に処分してある!?」

罪木「い、一体誰が・・・」

西園寺「誰?あいつらしか居ないじゃん!」

小泉「!・・・ミライ族!!」

罪木「私達がコロシアイに使わないように、最初からなくしておいたって事ですかぁ?」

小泉「何だ・・・案外良い人なのかな?」

西園寺「何気を許してるのよ小泉お姉!むしろ逆じゃん!!」

小泉「・・・逆?」

西園寺「わざわざ処分したって事は・・・裏を返せば置いておいたら確実にコロシアイに使うって思われてるって事だよ!?しかも奴らが動き出したのは今日・・・つまり最初から私達がコロシアイしないとか思ってないって事!!」

罪木「ふええ・・・どんだけ信用無いんでしょう私達・・・」

小泉「心外ね・・・でも、実際に狛枝と花村がやっちゃったし、そう思うのも仕方ない・・・」

西園寺「どうかしら?あいつらを拘束するって事ぐらいあっちも予想してるんじゃない?」

罪木「え?え?どういう意味ですか?」

西園寺「危険人物を拘束してると予想しながらも、危険物を排除しておく・・・それって、あいつら以外のメンバーも、誰が誰をどう殺すか予想出来ない・・・誰が誰を殺してもおかしくないって思われてるって事でしょ!?」

小泉「日寄子ちゃん落ち着いて・・・さすがに考え過ぎよ!」

西園寺「・・・だと良いけど・・・」

罪木「うゆぅ・・・あ、見落としがありました!」

西園寺「何ですって!?」

罪木「致死性は無いと思いますが、気化するだけで体調不良に陥れる危険な薬品です!」

小泉「は、早く処分を!」

??「オシエテクレテ、アリガトウ・・・」

三人「「「!!?」」」

どこからともなく機械音声の様な声がした。

罪木「ひゃあっ!?」

突然危険だと言っていた薬品の瓶が床に落ちる。

西園寺「ちょっ、何やってんのよアンタ!?」

罪木「な、何もしてませぇん!!」

小泉「嫌あっ!!瓶が割れ・・・」

ピタッ

地面に落ちた瓶は、割れる事無く地面の上で止まった。

西園寺「・・・へ?何これ?」

罪木「下に何か・・・ひゃあああああっ!!何これぇ!?」

罪木がかがんでみると、瓶の下に丸い小型生物が密集していた。

罪木「な、何なんですかこれぇ!!?」

西園寺「『スタンド』に決まってんじゃない!!『ミライ族』の刺客よ!!『リトル・フィート』!!」

西園寺はイキナリ攻撃して来たダブルスのせいで気が立っているのか、すぐにスタンドを出し戦闘態勢に入る。

しかし、瓶を持った群れのスタンドは、3人を無視してさっさとドラッグストアを後にした。

西園寺「ま、待ちなさい!!」

小泉「ちょっと日寄子ちゃん!?闘う気が無いんだったら追わなくても・・・」

西園寺「お姉ばかぁ!?あんな劇薬持ち出して、何に使うか分かったもんじゃないじゃない!!今ここに無い薬も、本当に処分してるかも怪しいわ!!」

罪木(そうなんでしょうか?劇薬だからさっさと片付けたという事ではないんですか?)

西園寺を追い、罪木と小泉もドラッグストアを後にする。

~ダイナー前~

左右田「へぇ~・・・レストラン以外に、ここにも飲食店があんのか」

七海「誰も居ないみたいだね・・・ん?」

七海は、机の上に置いてある紙を見つける。

そこには雑な筆記体で1と0が大量に書かれていた。

『11011110110010010001011011011100000100
101000111110011010010010000
1000111110001111001100110110010001111111010011001101』

七海「・・・・・・・・・・・・」

左右田「な、何だその書いた奴病んでそうなメモは!?」

七海「・・・そうだね、置いておくのもどうかと思う」

そう言って、七海はすぐそこのゴミ箱へメモをくしゃくしゃに丸めて捨てた。

七海「・・・ここには何も無いね」

左右田「あ、そういやあダイナーのすぐそばにトンネルがあったよな!あっちは何があるんだ?」

七海「そうだね、行ってみよっか」

左右田はここにはもう用は無いとさっさと店を出る。

そんな左右田の背中を見て、思案顔になる七海。

その後、自分が捨てたメモを振り返る。

七海「・・・じゃあ、また後で・・・」

~プライベート ビーチ~

左右田「ああっ!おい、七海!!」

七海「どうしたの?」

左右田「これ!この建物って、小泉が『ハーミットパープル』で念写した建物じゃねえか!?」

七海「言われてみれば良く似てるね」

左右田「しゃあっ!!世紀の大発見!ソニアさんに良い手土産が用意出来たぜ!」

七海「場所が分かったぐらいで大げさな・・・」

左右田と七海は建物に入ろうとする。すると・・・

???「しゃあっ!今日も大量やで~!!」

???「あなたが大量に釣ってくる魚を捌くこちらの身にもなって欲しいのですが・・・」

建物から2人組の男女が現れた

左右田「ぎいやあああああああああああっ!!ミ、『ミライ族』!!?」

左右田は物凄い勢いで後ずさる

???「あん?」

少年の方は二台に匹敵する体格の持ち主だった。後ろに向けて逆立っているオレンジの髪と日焼け、そして短パンとカッターシャツの下に着込んだウェットスーツが特徴だ。

???「何や、和一やないか!久しぶりやな~」

左右田「・・・へ?」

名前を呼ばれ、左右田はキョトンんとする。一方少年の方は天真爛漫な笑顔を浮かべている

左右田「だ・・・誰だよお前!?」

???「ん!?何や和一、『超高校級のライフセイバー』キューマさんを忘れたんか?ま、今は称号もじって『セイバー』名乗っとるけど」

左右田「キューマ?『セイバー』!?久しぶりって、お前俺を知ってんのか!?」

左右田は親しげに話しかけられるが、むしろ警戒心を強めている

セイバー「エージェ、こいつどないしたん?」

エージャ「あなた・・・クリエイトの話を聞いてなかったの?」

もう1人の少女が口を開く。中性的な黒髪ショートカットの少女で、カッターシャツに緑のスカートをはいている。セイバーと違い、普通の学生服といった感じだ。

エージェ「まったく・・・」ゴニョゴニョ

エージェがセイバーに説明し直す

セイバーの顔が見る見る内に青ざめていく。そして涙目にもなっている

セイバー「和一・・・」

左右田「ひっ!!?」

セイバーは左右田に向かって行った。左右田は慌てて逃げようとするが、砂に足を取られて転んでしまう

立ち上がろうとした時には、セイバーは目の前だった

左右田「い、いやだああああああああああああああっ!!!」

得体の知れない相手に何をされるか分からない恐怖でパニックに陥る・・・

しかし、人肌のぬくもりで左右田は我に返った

セイバー「そおかぁ・・・逃げ切れなかったんやな・・・」

セイバーは悲痛の表情で、左右田を抱きしめていた

左右田「逃げ切れ・・・なかった・・・?」

セイバー「誰や!誰に捕まったんや!?」

優しい声と思ったら、物凄い剣幕で質問攻めに入る。そして次の言葉に、左右田は耳を疑った

セイバー「『希望』か!?『絶望』か!?どっちに捕まったんや!?」

左右田(は・・・・・・?)

『絶望に捕まったのか?』なら左右田はまだ理解できた

しかしセイバーはそれと並行して、『希望に捕まったのか?』と聞いて来たのだ

なぜ自分が『希望』に捕まらなければならないのか・・・今の左右田には分からない・・・そもそも左右田は希望ヶ峰学園の生徒・・・『希望の一員』なのだ

エージェ「無駄よセイバー・・・今言ったでしょう?左右田は学園に入学してからの記憶が無いと・・・」

セイバー「そうか・・・俺らが和一と会ったのは希望ヶ峰学園やからな・・・寂しいわ・・・」

左右田「ま、待て待て待て!!」

左右田は無理矢理セイバーを引き剥がす

左右田「希望ヶ峰学園で、俺がお前と知り会っただって!?」

セイバー「本当に覚えとらんのか・・・休日にはよく釣りに連れてっとったやないか・・・」

左右田「嘘だろ・・・?」

セイバー「その度に狛枝が何勝手に連れ回してんだってしつっこく文句たれて来たなぁ・・・ま、無視するだけやけど?」

左右田「狛枝の事も知ってんのか!?」

セイバー「ああ・・・たまに居る超ド級のアホやであいつ・・・」

左右田「じゃあ、終里や、弐大や花村・・・ソニアさんの事も!?」

セイバー「ん?誰やそれ?尾張?地名?」

左右田(全員の事を知ってる訳じゃねえ・・・?)

左右田は頭が沸騰しそうになりながらも、とにかく得られた情報をまとめていく

・『ミライ族』のメンバーは自分達と同じ、希望ヶ峰学園の生徒の可能性が高い(ま、元々超高校級を名乗ってはいるが・・・)

・自分達修学旅行参加者の中に、失くした記憶の中で『ミライ族』と面識のあるメンバーも居る(ひょっとしたら全員に知り合いが居るかもしれない)

・自分達は『希望』と『絶望』のどちらかに捕まって現状を過ごしている(希望の一員が希望に捕まったなど妙な話だが・・・)

左右田「お、教えてくれ!モノクマって何だ!?どうして俺達はコロシアイなんかさせられる!?奪われた記憶の中で一体何が・・・」

セイバー「せやなぁ・・・一言で言えん事やけど・・・」

セイバーが答えようとすると、エージェがさえぎった

エージェ「ヒントはここまで・・・自分で考えなさい」

左右田「なっ・・・ヒ、ヒント!?」

エージェ「口で一から説明されたって、どうせ信じないでしょう?」

左右田(にわかには信じられない真実・・・って事か?)

セイバー「まーまー、堅苦しい話は置いといて、ホラ、おいでおいで!」

セイバーが左右田を引っ張って岩場へ向かう

セイバー「ほれほれ、こうやって膝にちょこんと乗せて釣りしたもんや」

そう言って、左右田を乗せて釣りを始める

左右田「・・・・・・・・・・・・」

得体が知れない相手のはずなのに、安心感を感じている左右田が居た

~図書館~

ソニア「まぁ、立派な図書館です事!蔵書もかなりありそうですね」

田中「ふむ・・・先人の栄智の結晶が眠る館か・・・」

ソニアと田中が、この島で最も大きな施設へと足を踏み入れようとする。そこに・・・

田中「・・・ん?雌猫、何かくるぞ!!」

ソニア「え・・・?」

2人が振り向くと、何かがやって来るのが見える

人どころか生物ですら無い・・・

何かの瓶の様な物だった

田中「瓶がひとりでに動いている・・・だと・・・!?」

ソニア「驚き桃の木二十世紀梨です!」

田中「違う!何者かのスタンド攻撃を受けている!!」

田中は西園寺同様『ゴールド・エクスペリエンス』を構えるが、瓶はさっさと横を通り過ぎて行った

そして図書館へと入って行く

小泉「あ、田中、ソニアちゃん!」

その後ろから小泉、西園寺、罪木が追い付いて来た。

西園寺「あの変な飴玉みたいな『スタンド』の本体はここに居るの!?」

田中「飴玉?・・・『ハーヴェスト』か!500体からなる小型群体スタンド!!」

西園寺の説明で田中はスタンドの正体を把握する。そして5人は早速図書館へと足を踏み入れる。



??「御苦労さま。これは奥の鍵付き書庫に保管しておきましょう。鍵の管理はそのままメイドさんにお任せしますよ」

メイド「分かりましたコンサルト。では少しどきますよテコンドー」

テコンドー「でっ!!言った直後に膝枕どかすなよ!!」

ダブルス「我慢して下さい!無茶苦茶やったのに手当自分でさせられなかっただけマシでしょう?」

コンサルト「テコンドー君は今日一日安静ですね」

田中「貴様・・・!!?」

西園寺「アンタ!!」

ロビーのソファーが置いてある場所に、『ミライ族』の4人が集まっていた。田中達を襲ったテコンドーとダブルスも居る

??「おやおや、修学旅行参加者の皆さまですな。私、メイド様の補佐をしております『ヨーヨーマッ』と申します」

叫ぶ田中達の元に、異形の生き物・・・スタンドが歩み寄って来た

田中「っ・・・!!『ヨーヨーマッ』だと!?」

メイド「田中様はお分かりですね?迂闊な事はしない事です」

ソニア「どういう事ですか?」

田中は声を低くして女性陣に舌打つ

田中「・・・『ヨーヨーマッ』が傍に居る状況で、他の者達との関わりを断ってはいけない・・・奴は一人になった者を狙うのだ」

小泉「一人で敵の懐に特攻すれば一方的にやられる・・・2人でもどちらかの意識が逸れればやられるという話ね・・・」

西園寺「・・・冷静になれって事?」

田中「そうだ・・・ここで戦いを始めるのは得策ではない・・・」

西園寺は何とか怒りを鎮める

コンサルト「どうぞ、ここの蔵書はご自由にご覧になって下さい。貸し出しはそちらのカードを私へ」

コンサルトが司書の如く丁寧に説明を始める。青っぽい女性用スーツに、腰まで伸びた青い髪の先をリボンで結っている。言動同様穏やかそうな少女だ。敵意をまるで感じない

罪木「や、優しそうな人ですねぇ・・・」

西園寺「そう言う奴に限って腹の中じゃあ何考えてんだか分からないんだから油断するんじゃないよ!」

罪木「ふゆぅ・・・はい・・・」

西園寺は相変わらず牽制する

メイド「わたくしは『ミライ族』のメイド・・・こちらがコンサルトでございます。テコンドーとダブルスはもう顔見知りですね?」

薄茶のセミロングを軽く外に跳ねさせた、水色のメイド服に身を包んだ少女が挨拶をした。『ヨーヨーマッ』の本体らしい

田中「・・・となると、コンサルトとやら、貴様が『ハーヴェスト』の主だな?」

コンサルト「ええ、その通りですよ」

あっさり肯定した。隠す必要も無いという事らしい

メイド「・・・田中様が『ゴールド・エクスペリエンス』、西園寺様が『リトル・フィート』、罪木様が『サバイバー』・・・ソニア様と小泉様がまだ不明でしたね。宜しければ・・・」

田中「教えると思っているのか?こういった戦いの中で、情報を掴まれるのは致命的なハンデとなるのだぞ!!」

メイド「まぁ、それもそうですね。小泉様は写真家なので、念写能力の『ハーミットパープル』辺りが最も使いこなせる所だと思われますが・・・」

小泉「!!」

メイド「あ、当たりでしたか」

西園寺「お姉!!」

小泉「ご、ごめん・・・」

速攻で気取られた・・・

残るはソニアだが、こちらはまだ味方も知らないので、希望側のカードとして隠しておける

ここに居ない面々も、まだまだ『スタンド』を公にしていない

コンサルト「『スタンド』初心者の皆様方に、オススメの本があるのですが、いかがでしょうか?」

田中「何だと!?」

コンサルトはとある本棚の前にやって来る

コンサルト「こちら、『ジョジョの奇妙な冒険』文庫版全50巻、『スティール・ボール・ラン』全24巻、『ジョジョリオン』既刊5巻を全て取り揃えております」

コンサルト「さらにオリジナルの『スタンド』が登場する小説版もご用意していますので、こちらの『登場巻リスト』に沿って御覧になって下さい」

コンサルト「各『スタンド』の基本的な使用方法はこれで把握できるでしょう」

そこにはコンサルトの言う通り、『スタンド』の元となる『ジョジョの奇妙な冒険』が揃っていた

『恥知らずのパープル・ヘイズ』や『the book』などもある

田中「・・・こんな事をすれば、こちらの戦力を増強する事になるぞ?」

コンサルト「それに何の問題があるのですか?あなた達だってモノクマに何をされるのか分からないのですから、自衛出来るようになって貰いたいのです」

罪木「自衛・・・ですか・・・」

ダブルス「ネタ晴らししてしまいますと、モノクマの最終的目標は君達の全滅がなんです」

テコンドー「だからコロシアイなんて行事でお前らを殺し合わせて死なせようとしてんだ。何のため?知るかよ!」

小泉「だったら、コロシアイなんてさせないで自分で殺せば・・・」

メイド「モノクマはウサミとやらの権限を乗っ取ることでようやくあなた方の行事に、そしてあなた方の運命に介入できるようになったのです」

メイド「その代わり、その手を取ったせいで自ら出を下す事が出来ないのです」

罪木「ど・・・どういう事ですか?」

コンサルト「修学旅行のルールにありましたよね?『ルール違反をしていない限り生徒に直接介入しない』と」

コンサルト「教師権限を乗っ取ったため、教師に課せられたルールを破れなくなっているのです」

西園寺「そ、そんなの律儀に守ってんの!?」

コンサルト「モノクマからしてみれば、あなた達への介入のためには守るしかないのです。あなた方は今はまだ、修学旅行のルールに守られているのです」

田中「『今は』・・・『まだ』・・・?」

ダブルス「そりゃあ今だけでしょう。僕達の介入で『コロシアイ修学旅行』は破たん寸前です。今のままでは誰も死にません。今も既に何らかの対策を準備しているでしょう」

テコンドー「例えば・・・教師権限を外れた私兵の確保・・・とかな」

5人は背筋が凍った。だが、『ミライ族』の言う通りモノクマの目的が『修学旅行参加者の全滅』ならば、何らかの変化を起こさねば達成出来ない事は明白だった

田中「・・・そのモノクマの目的、信ぴょう性はあるのか?」

テコンドー「他に何があるんだよ?殺し合って生き残った最後の一人に富と権力を与えるとか、ベタ過ぎね?」

ダブルス「そんな方法で選ばれた人間に、誰が世界を託すというのです?」

コンサルト「あれ?お2人は聞いていないのですか?クリエイトさんがモノクマの居場所を探し当てて映像をハッキングした際に呟いていたそうじゃないですか」

田中(クリエイトとやら・・・そんな所まで介入できるのか・・・)

田中はまだ把握できていない敵の仲間に危機感を抱く

西園寺「居場所が分かってんならこっちから攻めれば良いじゃない!!」

コンサルト「映像出力装置から逆ハックしてようやく見つかった場所で、正確な位置は分からないそうです。既にハッキング対策もされて現在の状況も分からないそうですし・・・」

コンサルト「ただ・・・かなり不味い状況になる事は覚悟しておくべきでしょうね・・・こちらが逆ハックで得られた最後のモノクマ側の映像です」

コンサルトが一枚の写真を田中に渡す

田中「こ・・・これは・・・!?」

女性陣も後ろから覗く

モノクマは複数の巨大なカプセルの前に立っている。そしてその中には、何か人影の様なシルエットが映っている。どんな姿かは分からないが・・・

テコンドー「どう思うよ『飼育委員』?そいつって、ひょっとして何らかのクローン人間とかじゃねえだろうな?」

田中「クローンだと!?そんな禁忌にまで手を出しているのかあの似非熊猫は!?」

田中は憤りを隠せない

ダブルス「その通りだとすると、当然そのクローン兵には『あるもの』が与えられます・・・だから君達も自衛する力は必要です」

西園寺「あるもの・・・!!」

5人には、すぐにピンときた・・・

最悪の予想ではあるが・・・

~遺跡~

十神と澪田は、島の中で最も大きな『建造物』の前にやって来た

十神「これは・・・」

澪田「ん?どうしたんすか白夜ちゃん?」

十神「澪田・・・この建物、見覚えは無いか?」

澪田「んん~?・・・・・・え?これって・・・」

澪田は珍しく真剣モードになる。それは、記憶が途切れる直前に見ていた物だった

十神「希望ヶ峰学園・・・」

澪田「どういう事っすか!?どうして希望ヶ峰学園の校舎がこんな所に・・・?」

十神「本物・・・のはずがない。本物は日本に有るのだから・・・」

澪田「だったらここに建て直したって事っすか!?」

十神「だとしたらこんな旧時代の遺物のような姿になっているはずが・・・ええい埒が明かん!調べるぞ!!」

遠くから眺めていた2人は遺跡に近付く

十・澪「!!」

入口が見えて来ると、そこで2人は立ち止まった

日向「・・・ああ、十神に澪田か」

入口で日向が調査をしているようだった

『ミライ族』の一員を名乗った、日向創が・・・

十神「日向・・・俺達も共に調べて良いか?」

日向「別に拒む理由も無い・・・構わないぞ。・・・とはいえ、特にこれといってやれる事も無さそうだが・・・」

十神「それはこちらで判断する」

十神と澪田も入口に近付く

澪田「ねえ白夜ちゃん、この入り口のドアに書かれてる模様、漢字の『未来』って読めなくないっすか?」

十神「そうだが・・・これは『ミライ族』と関係があるのか?あるなら日向が念入りに調べている意味が分からん」

日向「『ミライ族』とは関係無いぞ。俺が島に帰る前は、ただのビルが古びたようなデザインで、好奇心をくすぐる探検スポットってだけだったはずだ」

日向「ただ好奇心をくすぐるだけで、特に何も無かったはずだし。あと言っておくと、『ミライ族』のミライはカタカナだ」

澪田「創ちゃんが島を出た後に、改造されたって事っすか!?」

十神「記憶を取り戻したのなら、この『未来』について知っているのではないか日向?」

十神は日向の意見を促す

日向「・・・・・・『未来機関』・・・」

日向は鋭い敵意を放った表情で、噛み締めるように答えた

十神「『未来機関』・・・?」

日向「・・・この島を荒らして回った、『ら~ぶら~ぶ修学旅行』の主催者だ・・・」

澪田「唯吹達をここに連れて来た連中って事っすか!?」

日向「・・・恐らく、『ら~ぶら~ぶ修学旅行』が予定通りに遂行されれば、ここで何かやるんだったんだろうな・・・ホラ、そこ」

日向が扉の横を指差す

日向「暗証番号を入力する装置があるだろう?修学旅行最終日に番号が発表され、中に入れるという仕組みだろう」

澪田「じゃあ『ら~ぶら~ぶ修学旅行』が中止になった今、その番号は分からないって事っすか?」

十神「いや・・・もしモノクマがこの施設を『コロシアイ修学旅行』でも扱うつもりだとしたら、奴なら把握している可能性も・・・」

日向「ま・・・その可能性が妥当だろうな。まさかそんな大切な番号が、俺達の目に触れる場所にあるとも思えないしな」

十神「そんな事をしてしまえばゲームバランスが崩壊する・・・最初に見つけた者だけが脱出出来るなんてパターンにもなり兼ねないからな」

澪田「・・・・・・・・・」

十神「どうした?」

澪田は日向と十神を眺めて考え事をしている

澪田「・・・なんか、創ちゃんああ言った割には、白夜ちゃんと普通に会話してるっすね」

日向「会話は『超高校級の相談員』である俺の専売特許だからな。嫌な相手だからって相談に乗らない訳にもいかないだろう?」

澪田「あ・・・さいですか・・・」

澪田は日向の反論に悲しくなった。しかし、良く振り返ってみれば、日向は十神との会話中全く笑っていない

日向「チッ・・・『未来機関』か・・・」

十神「何か知っているのか?」

日向「外に情報を集めに行っている『ブロガー』が『未来機関』の事を調べてくれているだろうから今はあまり・・・それより俺は名前が気に入らない」

澪田「同じ『みらい』って付くからっすか?」

日向「お前らなんかが・・・未来を語るか・・・!!」

十神(『ブロガー』という仲間の存在についての情報が入っただけでも儲け物だが・・・『お前らなんかが未来を語るか』・・・?)

日向はわなわなと怒りに震えているようだ・・・

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・『世界の破壊者』・・・な~んて異名を取るぐらいだからねぇ」

全員「!!」

3人が振り返ると、モノクマが立っていた

日向「世界の破壊者か・・・ひょっとしたらそうかもしれないな・・・支配者にして、破壊者・・・」

十神「支配者?」

モノクマ「そうだね、やる事がテロリズムでも、勝者となれば英雄になるんだ!『未来機関』は世界を破壊した英雄なんだよ!!」

澪田「意味が分からないっす!!」

十神「おい・・・まさかこの島の外は、その『未来機関』に支配されているという話じゃないだろうな!?」

モノクマ「さあね?でも裏切り者の正体も、その『未来機関』の一員なんだ」

澪田「主催者側からの派遣って事っすか?」

モノクマ「いや・・・『一員のはずだった』というべきかな?」

十神「また訳の分からない事を・・・」

十神は苛立ちを隠せない

モノクマ「だってね、その人は『未来機関』を裏切れないはずだったんだよ?それ以外の存在価値が無いんだ!そのはずだったんだよ!」

モノクマ「そのはずだったのにあっさり『未来機関』を裏切って、『ミライ族』に付いたんだ!」

十神「何だと!?」

裏切り者の前提条件がモノクマも把握していない所で変化してしまった事実に驚愕する

十神「じゃあ裏切り者は・・・」

そして十神には『ミライ族』に寝返った人物に心当たりがあった

むしろ、目の前に・・・

モノクマ「さて、オマエラも『未来機関』も裏切った『クリエイト』さんって、一体誰なんでしょうね?」

十神(日向の事じゃない・・・?)

モノクマ「個人的には日向君まで裏切るとは思わなかったけどね!」

日向「裏切るも何も・・・俺もあいつも元々、こいつらの仲間じゃないが?」

澪田「そんな悲しい事言わないで欲しいっす~!仲良くしましょうよ~!!」

澪田がシリアスな雰囲気に耐え切れず、日向に抱き付こうとするが・・・

日向「触るな」

さっと避けられて澪田は転んだ

モノクマ「ちょっとちょっと日向君、そこまで嫌うのもあんまりなんじゃないの?優しくないね~」

日向「こいつらに優しくする必要が、あるか?『未来機関』に居たクリエイトから『ら~ぶら~ぶ修学旅行』については聞いてる」

日向「俺達の目的が達成された暁には・・・モノクマ、こいつらを喜んでお前に差しだそう。コロシアイさせるなり自分の手で殺すなり好きにしろ」

澪田「なっ・・・!!?」

澪田は泥だらけの顔で青ざめる。

まさかの用済みになったら捨てる宣言が、堂々と出た

十神「どうして・・・そこまで・・・一体、俺達がお前達『ミライ族』に何をしたというんだ!?」

十神も動揺を隠せない

日向「・・・死ななきゃ、いずれ分かるさ。生き恥さらし共・・・」

そう言って、日向は遺跡を後にした。モノクマもいつの間にか姿を消している

=PM 5:00=

~1の島 レストラン~

一通りの調査を終え、皆が1の島に戻って来たよ

全員、表情は芳しくないね・・・

特に問題なのは、日向クンから得た情報のようだ

罪木「も、目的が達成されたら似るなり焼くなり好きにしろって・・・や、やっぱり私達は許されないんですか?」

田中「やはり俺様達は・・・失われた記憶の中で禍々しき咎を背負っているという事か・・・?」

ソニア「記憶に無い事を引き合いに出されても困りますよ!!」

左右田「・・・・・・・・・・・・」

誰も笑ってない・・・

『ら~ぶら~ぶ修学旅行』とは無縁の表情が並んでいるよ

さて、この絶望を乗り越え、彼らは希望を輝かせる事が出来るかな?

七海「問題は、何をしてしまったのか・・・それを推理するべきじゃないかな?『日向君達を殺そうとした』なんて断片的な情報しか無いし」

西園寺「ダブルスって奴が言ってたわ・・・私達は『ちっぽけなプライドで生きている人間』だって・・・」

田中「テコンドーとやらも喚いていたな。『希望ヶ峰学園に入って以降、ちゃんと自分の手で努力と言う名のノミを振るっていたか?』と、謎かけらしき言葉を」

澪田「唯吹達を連れて来た『未来機関』も謎だらけっす!『世界を破壊した英雄』って感じで、何だか外はその組織に支配されてるって言い回ししてたっす!」

ソニア「謎だらけなのは『ミライ族』の皆さんもそうです。日向さんは目的が達成されたらモノクマに私達を売るつもりの様ですが、それまで死なせないつもりというのはどういう事なのでしょう?」

狛枝「どちらにしろ許せないね・・・モノクマの目的は『希望溢れる皆の全滅』・・・そして『ミライ族』の目的は不明だけど、達成したらモノクマに好きにして良いと言ってる・・・」

狛枝「これだけ希望溢れる皆を蔑にする連中なんだ。もう第三勢力ではなく『絶望』の一員だって断定しても良いぐらいだよ!ボクはそのつもりだ」

でもその一方で、ボクはこれで良かったとも思ってるんだ

目的のためとはいえボク達を死なせないように立ち回るのは、踏み台となる絶望につながらないからダメだと思ってたけど・・・

『ミライ族』の目的が達成されればどちらにしろ希望の皆に未来は無い

どうなったらゲームオーバーになるのか分からないって事は、慢性的なストレス・・・さらに慢性的な絶望となる

まさかずっと付いて回る絶望を与えてくれるなんて、『ミライ族』も捨てたもんじゃないね!

花村「恨まれる様な・・・罪・・・」

既に絶望している花村クンには、良い追い打ちになってるし

・・・ただ、左右田クンがイマイチ煮え切らない態度なのが気になるけど・・・

狛枝「ねえ左右・・・」

左右田「十神すまねぇ・・・俺、今日はこのぐらいで休ませてくれ・・・夕飯も要らねえ・・・」

十神「食べる気力も無いのか?」

左右田「ああ・・・何か疲れちゃって・・・」

声をかけようとしたらコテージに帰っちゃったよ・・・

弐大「左右田のペアは七海じゃったな・・・アイツ、どうかしたのか?」

七海「『ミライ族』に個人的に言われた事を気にしてるみたいだけど・・・断定できる要素は無いよ・・・」

終里「おいおい、どっちにしろあいつらは敵だってはっきり分かったんだろ?だったらまとめてぶっ潰せば良いじゃねえか!!」

う~ん・・・ボクは希望が輝くならそれで良いと思ったけど、他の人は冷たい視線を向けてるね・・・

ボク達の足の裏には闘争心を向上させる、罪木さんの『サバイバー』というスタンドが取り付いている

もしそうして勝てたとしても、敵を失って行き場を失った闘争心は、味方に向けられる事になる

ボクは・・・本当に、それでも良いと思ったんだけどね!

そんな訳で、これ以上分かる事も無くそのまま夕食・解散となった

=PM 11:00=

~ダイナー~



ダイナーに、『ミライ族』の7人が集まっている

テコンドー「えげつね~!!言っちまったのかよリーダー!?」

ダブルス「いくら本当の事でも、こんな早い段階で言ってしまって良かったのですか?」

議題は日向の発言だ

コンサルト「先の展開を考えると、叱咤として丁度良い発言だったのではないでしょうか?」

セイバー「なんでや!?その発言、和一も入ってるんやろ!?」

メイド「セイバー・・・あなたの脳味噌は蟹味噌なのですか?」

セイバー「相変わらず毒舌やなメイド・・・」

メイド「この発言で、モノクマの敵なら参加者様方の味方ではないかと思える私達が、自分たち共通の敵とはっきりしたでしょう」

エージェ「モノクマも敵、『ミライ族』も敵・・・しかも『ミライ族』は既に自分達より数が居ると判明している」

エージェ「さて・・・生き残るためにどうするべき?」

テコンドー「ま、使い慣れてねぇ『スタンド』に頼っても多勢に無勢・・・自分達も徒党を組まねえといつやられるか分からねぇ・・・」

セイバー「そうか!仲間割れしてる暇無いって訳やな!」

ダブルス「コロシアイを起そうものなら孤立します。脱出する前に自分の身が危うくなりますよ」

日向「内部崩壊の目を取り払えば、あいつらが死ぬ可能性も一気に潰れるだろ?」

日向「まぁ・・・半分本音で言ったがな」

テコンドー「そうだと思ってたぜ!あんな奴らが『世界の希望』とか終わってんだろ!!」

メイド「実際、終わりましたしね・・・」



カラン カラン ・・・



そこへ、人が入って来る

セイバー「おおっ!クリエイト!!」

エージェ「御苦労さま」

メイド「彼らの様子をしっかり教えて頂きましょう」

そう言われ、やって来たクリエイトはセイバー、メイド、エージェとハイタッチする

コンサルト「よく『未来機関』から帰って来てくれましたね」

テコンドー「はっ!希望の残党の味方なんてする義理無えだろ!!」

ダブルス「今の僕達があるのも、君のお陰です」

続いてコンサルト、テコンドー、ダブルスともハイタッチする

日向「ちゃんと手紙読んでくれたみたいだな、コンサルト・・・いや・・・」

日向とは、腕をぶつけ合うハイタッチをした。その相手は・・・



日向「七海!」

『ミライ族』・コンサルト





本名・・・七海千秋(スタンド名:メン・ウィズアウト・ハッツ)

七海「うん、ちゃんとここにあった手紙を受け取ったよ。左右田君は病んでるとか言ってたけど」

『11011110110010010001011011011100000100
1000000000001100001000001010011000
1000111110001111001100110110010001111111010011001101』

七海はこの手紙を読んでここにこの時間にやって来た

これは2進法で書かれた手紙である。正しく区切って10進法に直すと次のようになる

『239214114564
 2503811137
 2525523288132013』

これをさらにひらがなに変換する。奇数を行数、偶数を段数として置き換える

1234567890
1あかさたなはまやらわ
2いきしちにひみ り 
3うくすつぬふむゆる
4えけせてねへめ れ
5おこそとのほもよろを
6 がざだ ばぱゃ ん
7 ぎじぢ びぴ
8 ぐずづ ぶぷゅ
9 げぜで べぺ
0 ごぞど ぼぽょ

このような図が用意されている。途中に含まれる数字があればそのままにして答えは・・・

『くりえいとへ
 よる11じに
 ここにしゅうごう』

そう、これはクリエイトこと七海に向けられた、彼女にだけ分かる連絡メモだったのだ

七海「こういう時でないと皆と過ごせないから寂しいよね・・・」

セイバー「ならさっさとこっちに来りゃ良えんやない?」

七海「ううん・・・コロシアイは起こってしまった・・・だから内部崩壊を起さないよう調整役は必要だよ。ただでさえ狛枝君が居るし・・・」

メイド「あの歩く絶望フラグのクソムシですか・・・」

エージェ「確かに、奴が居る限り内部崩壊の危機は絶えない・・・狛枝の『協力する』は常人と大きく意味が違うからな」

テコンドー「千尋の谷ならぬどん底の谷に突き落とせば助けになるって考えてるサイコヤローだからな」

『ミライ族』の中で狛枝の評判は最悪だ

七海「で、私を呼んだのは再会祝いの飲み会と・・・もう一つは?」

??『私よ』

全員「!」

アナウンスが終了し、何も映らないはずのテレビ画面に少女の姿が映る

外部ネット調査からスタンドが帰って来た『ブロガー』だ

金髪をポニーテールに結い、オールバックから一房垂れた前髪が右目の前にかかっている

??『お?映ったか?』

ブロガー『こら、『ガードマン』!!』

その名の通り警備員服に身を包んだ無精ひげの男のアップが、画面いっぱいに映る

こう見えても『ミライ族』の一員であり、他のメンバーと同い年である

ガードマンが引っ込み、咳払いを一つ吐いてブロガーは本題に入る

ブロガー『・・・島の外はひどい有様よ・・・私達の『予想以上』にね・・・』

日向「くそっ・・・俺達の『生前の計画』がしっかり完遂出来てれば・・・」

ブロガー『希望の邪魔で始動すらしなかった・・・無念でならないわ・・・』

『生前の計画』は日向とブロガーの2人が中心だった。中心メンバーだった2人は歯が折れんばかりに噛み締める

ブロガー『そして予想通り、希望はこんな有様になっていても『未だに間違えてる』わ・・・』

メイド「ここまで来ると愚か所の問題ではありませんね・・・」

エージェ「分かっていて目を逸らしているというのか・・・自分達の誤ちから・・・!!」

ダブルス「ふざけるな!自分達のせいで、どれだけの人達が犠牲になったと思ってるんですか!!」

テコンドー「全部『絶望のせい』にしてしまえば良いのさ。都合の悪い事には蓋・・・その蓋を開けてみりゃあ、あいつらの『希望』なんてそこらのアレな企業と大差無えんだよ!」

コンサルト「案外本気で絶望のせいだと考え、自分達に非が無いと考えているかもしれませんよ?」

セイバー「世の中そんなんばっかやな・・・その上そーいう奴に限って権力好きに出来るんやから手に負えへん!」

『ミライ族』一同の表情が暗くなる・・・

ブロガー『でも・・・朗報はあったわ!』

七海「朗報?」

ブロガー『特にダブルスとメイド、リーダーには良い知らせよ!今繋ぐわ』

ダブルス「え?僕とメイドさんとリーダーに?」

メイド「ま、まさか・・・」

ダブルスとメイドが身を乗り出して画面にかぶりつく。日向も目を見開いた

映像がブロガーから切り替わり、4人の男女が映った

ダブ・メイ「!!!」

その中の数人を見たダブルスとメイドは、一筋の涙を流した

日向も別の一人の顔を見て、穏やかな笑みを浮かべて脱力した

日向「良かった・・・逃げ切れたのか・・・!」






左右田(ん・・・?ここはどこだ?)

左右田は気が付くと、真っ暗な空間に居た

??『~~~~~~』

??『~~~~~~』

混乱していると、どこからか話し声がする。声がする後ろの方を振り向くと、机を並べて6人の男女が話し合っている姿を見た

全員真剣な、それでいて焦っている様な苦虫を噛み潰した表情をしている

左右田(え・・・?)

その中に、左右田本人が居た。焦っているというより怯えている

??『皆・・・日向の顛末は・・・聞いたね?』

??『ああっ!!どうして・・・!!』

眼鏡の少年が話を切りだし、並の女子では敵わない程かわいい少女が突っ伏して泣きだした

左右田(日向?日向の・・・顛末・・・?)

左右田は昼間の事を振り返り、はっと気付く

左右田(これ・・・まさか俺の消された記憶の中の出来事か!?)

左右田は『ミライ族』のセイバーとの接触で、自分の記憶が戻りつつあるのではないかと予想した

だが、取り戻した記憶の断片は嫌な予感しかしない・・・

??『ちくしょうっ!そんなにまでして宮里達を潰したいのか!ここを潰したくないのか!!』

??『もはやわたくし達が内部から何を言っても無駄ですわ・・・希望ヶ峰はまともな学園ではなかった・・・わたくし達が入学する遥か前から・・・』

スポーツマン風の男が机を叩き、高貴そうな少女が諦観した表情で宙を仰ぐ

左右田(希望ヶ峰が・・・まともな学園じゃないって、どういう事だよ!?)

??『だからって・・・あんな形振り構わねぇ手に出るなんて!!』

??『兼ねてよりの・・・学園の計画にも・・・ひくっ・・・都合が良かったんでしょう・・・日向さんは望んでやしなかったのに・・・無理矢理・・・!!』

左右田(何だよ・・・日向・・・何されたんだよ・・・!?)

しかも話の流れから、『何か』をしたのは希望ヶ峰学園のようだ

??『潜木さんは、自分達ももう駄目だろうと言ってました・・・希望ヶ峰の狂気は自分の予想をはるかに超えていた・・・間もなく自分達も全員消されるだろうと・・・』

左右田『け、消される!!?』

左右田(うわっ!しゃべるのかよ、俺!!)

記憶の中の自分同様、『消される』という言葉に反応した



日向『俺達は・・・お前らなんかのために死ぬ所だったんだぞ!!!!』



左右田(あれは・・・文字通りって事かよ!!?)

しかもこの議論通りなら、死ぬ所どころか本当に死んでいるという結果の方が高かったのではないかといった重苦しさである

??『日向達と深い関わりのあった僕達6人も削除対象になるかもしれないと言っていました!潜木さんの最期のメッセージです・・・』



――希望ヶ峰学園から、一刻も早く逃げろ!!


左右田(に、逃げる!?希望ヶ峰学園から!!?)

左右田は相変わらずの超展開に、頭が付いて行けない。だがこれが自分の記憶ならば、日向やセイバー達と希望ヶ峰学園で面識があったのは間違いなかった

??『元よりそのつもりですわ!だから・・・実家から逃亡資金を盗んで来ました!!』

左右田『ぬ、盗んでって・・・』

??『いいや、正しい!家なんか帰れねえぞ!誰も俺達を知らない所へ・・・国外へ逃げるぐらいしねえと、すぐ捕まる!』

??『ぐすっ・・・なんてったって、世界一の学園を敵に回すんだから・・・』

左右田(こいつら・・・本気で希望ヶ峰から逃げようとしてんのか!?何があったんだよ!?)

左右田は知りたい一方、もう止めて欲しいとも思っている

??『地球からは逃げられない・・・せめて、日本から遠くへ・・・良いね?』

??『うん・・・!!』

??『ああ!!』

??『もちろんですわ!!』

左右田『・・・・・・・・・・・・』

??『・・・・・・・・・・・・』

??『左右田君?』

左右田『・・・りだ・・・』

??『え?』

左右田『逃げるなんて・・・無理だ・・・どこにも逃げ場なんて無えよ・・・』

左右田(な、何だと!?)

記憶の中の自分は、絶望一色の表情をしている・・・

左右田『逃げる?どこへだよ?俺はどこにも逃げられねぇ・・・俺を受け入れてくれる所なんて・・・』

??『気をしっかり持って!あなたが新開発した動力システムが軍事兵器に転用された件は、あなたの責任じゃないんだよ!!』

??『そうですわ!悪いのはそんな使い方をした奴らですわ!!』

左右田(な・・・何だと!?俺の作ったメカが・・・軍事転用!?)

嫌な予感は、当たってしまった・・・

左右田『先生が言ってたんだ・・・例えそうでも、戦争被災者からすればお前は間違いなく憎しみの対象だって・・・事情を知らねえ奴らも、そういう目で見るって・・・希望ヶ峰だったら守れるって・・・』

??『馬鹿野郎!そんな親切な所じゃねえってお前も分かってんだろ!!』

??『実質『逃がさない』って脅しじゃないですか!!』

左右田『俺が製作者だって事もネットで出回ってんだ!どこに逃げても、すぐに捕まる!!そしたら・・・結局希望ヶ峰に帰るだけ・・・だったら、逃げるだけ無駄だろ・・・』

記憶の中の自分は、完全に折れていた・・・

??『立てや!日向達は俺達を生かそうとしてんだぞ!それを無駄にする気か!?』

左右田『ど、どこに行っても必ず捕まる俺が一緒に居たら、芋づる式にお前らも連れ戻されるぞ!もう放っといてくれ!!』

記憶の中の自分はそう言い、胸ぐらを掴むスポーツマンの腕を振り払った・・・

??『蜜柑ちゃんも手伝って下さい!』

??『というか罪木さん、静かですが・・・大丈夫ですの?』

左右田(え?罪木・・・蜜柑?)

聞き覚えのある生徒の名前が出て、左右田は最期の一人を見る

それは間違いなく、自分と同じ参加者である罪木蜜柑その人であった

ずっと俯いたままで、表情は窺い知れない

罪木『・・・・・・・・・・・・』

??『罪木さん・・・そういえば逃げるって返事も聞いてないけど・・・』

罪木『逃げる?逃げる必要がどこにあるんですか?』

??『え・・・!?』

左右田『(ひっ・・・!!)』

顔を上げた罪木は、狂気を感じさせる満面の笑みを浮かべていた

罪木『あの人が・・・侑志君が私を置いて死ぬ訳無いじゃないですか!きっと計画も上手く行きますよ!』

??『そんな確証がどこにありますの!?最期まであがくつもりではあるようですが・・・それもどちらかというと、わたくし達が逃げ切るための時間稼ぎの側面が強いんですのよ!?』

罪木『だから~、そのあがきがちゃ~んと計画の成功につながるに決まってるじゃないですか!』

??『な、何言ってるの!?人の命を平然と奪えるような相手に、高校生がどう太刀打ち出来ると言うんですか!!』

罪木『逃げたいんだったらあなたたちでど~ぞ!皆を最後まで信じられない裏切り者共め・・・』

??『・・・・・・・・・・・・』

罪木は蔑む目を仲間達に向け、眼鏡の少年は何も言えなくなった・・・

左右田(なんだよ・・・なんだよこれ・・・?これが・・・あの罪木なのか!?)

根拠が無いにも程がある盲信・・・まともな思考が出来る者からすれば、もはや現実逃避に近かった

??『分かった・・・僕達はもう行くよ・・・強制は出来ない・・・無理矢理同行させても足を引っ張られるだけだ・・・』

諦めた表情を浮かべて、4人は左右田と罪木を置いて去って行った

左右田『逃げ切れる訳・・・無え・・・』

罪木『うふふふふふ・・・大丈夫ですよ左右田さん、何も心配要りませんって!彼が私を置いて死ぬ訳無いじゃないですか!』

左右田(・・・・・・・・・・・・・)

逃げた4人がどうなったかは分からない・・・左右田の記憶がここに留まっているので、記憶の外の出来事は分からない

そうして数十分経ったか、しばらくして再び扉が開いた

??『若月、佐伯以下4名は所在不明!残っているのは左右田和一と罪木蜜柑の2名だけです!』

??『ちっ、遅かったか・・・』

優秀な生徒っぽい少年と、教師らしき中年男性が入って来た

教師『左右田、罪木!奴らがどこへ逃亡したか、先生に教えるのだ!!』

左右田(ほ・・・本当にあいつらを捕まえる気で・・・)

教師の有無を言わさぬ態度に、左右田の背筋が凍った

左右田『と、とにかく逃げるって感じで・・・どこに逃げるかもまだ決まってない感じでした・・・』

罪木『どこに行こうが知ったこっちゃありませんよ、あんな裏切り者共!』

教師『その通り!奴らは『希望』を裏切った愚かな人間達・・・出来損ないだ!私達で始末を付けるつもりだが、そうでなくともどこぞで裏切り者に相応しい最後を迎えるだろうよ・・・』

左右田には『最後』が『最期』と変換して聞こえた・・・

生徒『残った君達の選択は正しい!これからも希望のために才能を研鑽しようじゃないか!!・・・さぁ、今日はもう遅い。寄宿舎に帰ろう』

罪木『は~い!』

左右田『・・・はい・・・』

罪木は教師の、左右田は生徒の手を取って部屋を出ようとする

左右田は生徒の目を見て、ゾッとした










信念も何も無い、濁った眼だった・・・



左右田(よ、よせええええええええええええええええええええええええっ!!!)

手を伸ばすと、左右田の視界は見覚えのある天井に切り替わった

視界の先はコテージの天井で、左右田は自分のコテージのベッドの上で横たわっていた

帰ってしばらくして眠り込んでしまったらしく、時刻は1時を過ぎようとしていた

左右田(今のは・・・夢・・・?)

左右田は最後の生徒の目を思い出して、ガタガタと震え出す・・・

左右田「違う・・・あれは、俺の記憶・・・!!」

左右田は布団に包まるが、ここが南国だろうと、布団が暖かかろうと、左右田の震えは止まらなかった・・・



セイバー『そおかぁ・・・逃げ切れなかったんやな・・・』



左右田「違うんだキューマ・・・俺は・・・逃げなかったんだ・・・」

左右田の目から滝のように涙が流れ出す・・・

左右田「俺が・・・臆病者だったばっかりに・・・弱さに立ち向かう勇気があれば、『こんな事』にならなかったかもしれないのに・・・」










左右田「う・・・うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

泣き事と共に、左右田は腹の底から絶叫した・・・










はっと左右田は我に帰り、自分の無意識の言動を振り返る・・・

左右田「今俺・・・何て言った・・・?」

=4日目 終了=



~希望の生徒達~

狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :???
澪田唯吹  :???
左右田和一 :???
小泉真昼  :ハーミットパープル
ソニア    :???

田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:リトル・フィート
九頭龍冬彦 :???
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :???
終里赤音  :クラッシュ

モノミ    :カリフォルニア・キング・ベッドちゃん

???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
???   :



~絶望集団~



モノクマ :ホワイト・スネイク

???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???

???  :???
???  :???
???  :???



~第三勢力・ミライ族~

日向創  :マッチボックス・トゥエンティ(同値の2つの入れ替え)
七海千秋 :メン・ウィズアウト・ハッツ
テコンドー:ボーン・ディス・ウェイ
ブロガー :レッド・ホット・チリ・ペッパー
???  :???
コンサルト:ハーヴェスト
セイバー :???
エージェ :???
???  :???
???  :???
???  :???
メイド   :ヨーヨーマッ
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
ガードマン:???
???  :???

今回はここまで!

思ったより短かったかな・・・?



5日目の予定は

・田中眼蛇夢【黄金なる王国】(リクエストネタ)

・左右田、己の記憶を探る

・狛枝凪斗の2の島探訪

・第2の動機・・・



などです。あのキャラとあのキャラの絡みが見たい!などあれば、どしどしレスどうぞ!

やぁやぁおまたせ! 5日目、ぶっ通しで投稿していくよ!!



===========================================


=5日目 7:00=

~左右田のコテージ~

左右田「俺は・・・仲間を裏切って、学園に留まった・・・その結果が・・・今・・・?」

左右田は混乱のため少量だが睡眠を取った後、今後の方策を考える

左右田「どうして俺と一緒に居た奴らは希望ヶ峰学園から逃げようとしたのか?日向達は何をしようとしたのか?そして、希望ヶ峰に何をされたのか?」

左右田「今の曖昧なままの記憶じゃあ、さっぱり分からない・・・」

左右田「となると・・・もう少し手がかりを探して、もっと記憶を蘇らせねェと・・・!」

左右田は意を決して自分の記憶と向き合う事にした

コテージに向かう前に、目当ての人物に呼び出しの手紙を出しておいた

朝食後、左右田は呼び出し先の浜辺に向かう

数分経って、目当ての人物が姿を現した

罪木「あ、あのぉ・・・すいませぇん・・・同席者が・・・」

十神「コロシアイ防止のためだ。2人っきりにはさせんぞ」

目当ての罪木以外に、十神が同行していた

左右田「う~ん・・・出来れば罪木に個人的に聞きたかったんだがなぁ・・・」

十神「返答次第で衝動殺人に至る可能性はぬぐい去れない。分かってくれ」

左右田「まあ、良いけどよ・・・」

十神「・・・昨日の『ミライ族』との接触で何かあったのか?」

左右田「!!?」

イキナリ図星を突かれ左右田は動揺する

十神「・・・何を言われた?」

左右田「・・・別に?ってか、むしろ友好的に接されたな」

十神「友好的に?」

左右田「・・・消された記憶の中で、俺は『ミライ族』の奴らと仲良かったみたいなんだ」

十神「何だと!?」

十神は驚くと共に、同行者の七海がこの事を報告しなかった理由を悟る

『クリエイト』と呼ばれるコードネームの『ミライ族』が、参加者の中にまだ紛れ込んでいる。報告していれば、そのクリエイトは左右田だったという結論に至っただろう

十神「他には?お前以外の面々については?」

左右田「・・・狛枝はあいつらの間でかなり嫌われてたな。他の奴らは名前聞いてもピンと来ないって感じだったが・・・」

十神「嫌われている?・・・言いたくないが、納得は出来る」

十神は狛枝の凶行と狂気を振り返った・・・

十神「・・・それで、なぜ罪木なんだ?この件とは関係無いのか?」

左右田「いや、あるっちゃあ、ある・・・」

左右田は意を決して告げる

左右田「・・・実は昨日の夜、失った記憶らしき物を夢で見たんだ」

十神「何ぃっ!!?」

罪木「ひゃああああああっ!!」

十神が喰いつき、罪木が怯える

十神「記憶が戻ったのか!?」

左右田「・・・少しだけな・・・全部は分からねえし、核心にも迫れてねぇ・・・」

十神「・・・と言う事は・・・その夢の中に罪木が出て来た・・・と?」

左右田「そう言う事だ」

罪木「私が・・・左右田さんの夢の中に?ふゆぅ・・・夢の中でまで見苦しい姿をお見せしたんで文句を付けるために呼んだんですかぁ・・・?」

罪木は怯え始める

左右田「そうじゃない。その夢の事で聞きたい事があるんだよ!」

罪木「聞きたい事・・・?」

左右田「お前が言ってた名前・・・『侑志』って知ってるか?」

罪木「ゆうし・・・さん・・・?」

十神「成程・・・手がかりを元に記憶を刺激してさらに思い出すために呼んだのか」

十神は事情を把握して罪木の返答を待つ

罪木「侑志・・・侑志・・・君・・・」

十神(『君』だと!?確か罪木は男女問わず二人称は『さん』だったはず!という事は・・・罪木にとって特別な相手・・・!!)

十神は事態の進展に興奮を隠せない

罪木は穏やかに笑った

罪木「えへへ・・・どうしてでしょう?まだちゃんと思い出せませんけど、その名前を聞いた途端、胸があったかくなりました」

罪木「きっとその人は・・・私を許してくれた人なんですね」

十神「『許す』・・・それが『存在』についてを差していると言うなら、そんな卑下は止めた方が良いぞ。その侑志とやらのためにもな・・・」

罪木「ふええ・・・すいませぇん・・・」

謝りながらも、罪木は笑顔が止まらない

一方の左右田の表情が沈んでいる事に、十神は気付く

十神「どうかしたか左右田?残念ながらここまでのようだが、それでも大きな進展だと思うぞ。褒めてやる」

左右田「・・・俺・・・さ・・・ちゃんと思い出せてねぇのは・・・思い出すのを拒んでるからだと思うんだ・・・」

十神「思い出すのを・・・拒んでいる・・・?どういう事だ?説明しろ左右田!」

左右田「・・・夢で見た過去の記憶は・・・罪木の様な心があったかくなるとか、そんなもんじゃ断じてなかった・・・むしろ、心を抉られる様な恐怖の記憶・・・」

左右田は昨日の夢の事を話した・・・



夢に出て来た左右田・罪木以外の4人は、希望ヶ峰学園から逃げた事

日向が学園に何かとんでもない事をされたらしいという事

学園が誰か(恐らく『ミライ族』一同)を消そうとしていた事

4人曰く、希望ヶ峰学園は自分達が入学する遥か前からまともな学園ではなかったという事

左右田が学園で開発した動力システムが戦争兵器に転用されて多くの犠牲者を出した事

それが産む憎しみから学園は左右田を守ろうとしているが、それは実質逃がさないための脅しであり、そんな事をする機関だと思われていない事

そして・・・罪木や、4人の逃亡後に来た人々の盲目的な狂信・・・

罪木「ふええ・・・希望ヶ峰で、一体何があったんですかぁ・・・?」

左右田「まだ分かんねぇ・・・分かんねぇけど・・・後から来た奴らの様子・・・学園ってより、一種の宗教だろ・・・良い事じゃねぇのは嫌でも分かる!!」

十神「・・・そだ・・・」

左右田「十神?」

十神「嘘だっ!!希望ヶ峰が・・・希望ヶ峰が希望の学園ではないとでも言いたげな記憶ではないか!希望ヶ峰学園を全否定する記憶ではないか!!」

罪木「ふええ・・・十神さん・・・?」

十神「何かの間違いに決まっている!!だから、俺が貴様の記憶が間違いだという事を証明する!!左右田、罪木・・・今言った事は他言無用・・・無暗に触れ回って混乱を起こすな!!良いな!?」

そう言って、鼻息を荒くしたまま十神はさっさと去った・・・

罪木「き、急にどうしたんでしょう、十神さん・・・」

左右田「十神は今、希望ヶ峰学園を全否定する気かって言ってたが・・・その全否定の学園像を頭から全否定してぇみたいな態度だったな・・・」

罪木「ふえぇ・・・ややこしいですぅ・・・」



十神「嘘だっ!嘘だ・・・嘘だ・・・嘘だ!!!」

十神「希望ヶ峰学園は・・・『僕』にも救済の手を差し伸べる、まさに希望の学園・・・」

十神「左右田の記憶の奴らは、何かを勘違いしてとち狂っただけだ!そうに決まってる!!」

左右田の意見を否定し、十神は威圧感を放ちながら歩く

手は、震えていた・・・まるで、否定しなければ自分を保てないかのように・・・

澪田「・・・白夜ちゃん?」

十神「み・・・澪田・・・」

偶然通りかかった澪田は、普段のどっしりと構えた様子とはかけ離れた十神の姿にギョッとしている

澪田「どうかしたんすか?誰かと喧嘩したっすか?」

十神「何でも無い・・・」

澪田「そんなはずが・・・」

十神「俺が何でも無いと言ったら何でも無いっ!!」

理論も減ったくれも無い、十神らしくない感情だけの意見に、本気で大変だと澪田は感じた

ただし押しては危険だと本能で察した澪田は、大人しく引く事にした

澪田「・・・白夜ちゃん・・・」

去り際に、一言だけ伝える

澪田「リーダーだからって、一人で背負い込む事は無いんすからね?唯吹で良ければ、いつでも力になるっすから・・・」

十神「・・・万が一その時があれば・・・任せよう・・・」

澪田「ん!しばらく一人で頭冷やすっすよ~!」

そう言って澪田は去った

十神はその場の草原に座りこんだ

十神「全く『俺』らしくない・・・取り乱し過ぎたな・・・」

澪田に言われた通り、寝転がって頭を冷やす事にした

=AM 9:00=

~田中のコテージ~

田中「くそっ、あの女(アマ)・・・貸し出しは一度に1人3冊までだと!?いちいち借り直しに行かなければならないではないか!!」

ソニア「まぁまぁ田中さん、とりあえずわたくし達のスタンドの扱いについて経典(ジョジョの漫画)で勉強しましょう!」

田中とソニアは図書館から『ジョジョの奇妙な冒険』の文庫版を借り、自分達や他のメンバーに与えられたスタンドについて勉強中だ

ソニア「にしても、上手く操れるようになったらなかなか便利ですね」

ソニアの美しいブロンドヘアーが突然異常な速さで伸び、まるで己の意志があるかのように動いて、コーヒーメーカーを操作してコーヒーを淹れる

ソニアのスタンドは、自分の思い通りに髪を伸ばして操る『ラブ・デラックス』であった

田中(メス猫のスタンドはあまり良い印象が無いな・・・本来の宿主が宿主だからか・・・)

ジョジョでの本体は初登場時、主人公格のキャラを殺してでも自分一人の物にしようとした、いわゆる元祖に近い段階で登場した『ヤンデレ』である

ソニア「このションベンたれのチ○ポコひっこぬいてそこから内臓ブチまけてやるわっ!」

田中「!!?」

突然の王女様らしからぬ言葉の数々に、田中は戦慄する

しかし、すぐに我に帰る

今のはジョジョの方の『ラブ・デラックス』の本体の台詞だ。それを朗読しただけだ

ソニア「かっくいーです!これがジャパニーズ・タンカですね!」

田中「啖呵・・・なのか?ただ単にキレているだけだと思うが・・・」

ソニア「あ、所で田中さんって、夢とかありますか?」

田中「この田中眼蛇夢には夢がある!・・・はっ!?そ、そう言わせたいのか!!」

ソニア「さすが田中さんです!なぜか別の部の主人公がふざけて真似しているようにしか聞こえませんが、田中さんが言うから差し引きゼロです!」

田中「おいやめろ」

すかさずつっこむ

ソニア「で?その夢とは、なんですか?」

田中「知れた事・・・世の魔獣達全てを統べる事!!」

ソニア「何か、きっかけでもあったのですか?」

田中「○○という事情で、『マスター』(飼育委員)にあこがれるようになったのだ!・・・と言わせたいのか今度は!?」

ソニア「ジョジョ立ちいただきました!!」

田中が台詞と共に漫画の方の『GE』の本体が披露したジョジョ立ちを炸裂させ、ソニアは手を叩いて喜んでいる

ソニア「この調子でどんどん行きましょう!」

田中「黙れ!!貴様、散々見ていただろう!!」

=数十分前=

ソニア『田中さん、いらっしゃるでしょうか?』

ソニアは田中を訪ねる際、窓から中に居ないかと覗いた。すると・・・

田中『貴様・・・覚悟して来ている者だろうな?他者の命を蹂躙しようものなら、逆に蹂躙される末路を常に覚悟している者であろうな?』

ソニア(田中さん?誰に言っているのでしょう?)

カーテンの隙間から見える、田中は鏡に向かって大仰なポーズで話している。

田中『ふむ・・・「命の蹂躙」、という言葉はあまり好かんな・・・』

ソニア(あ!決め台詞と決めポーズですか!)

田中『次は・・・どうするかな・・・』

田中はソニアが覗いている窓の下にあるソファーから、図書館から借りて来たジョジョ5部を読む

ソニア(何か読んでます!あれが決め台詞や決めポーズの経典でしょうか?)

ぱらぱらとめくった後、再び田中はポーズを取る

田中『己を知れ!そんな予定調和な話が、あると思うか!貴様のような魔物に!!』

ソニア(命乞いした相手に対してトドメの一言!!カッコイイです!!)

田中『・・・ダメだな・・・いくらやってもしっくり来ん・・・』

田中は頭をガシガシ掻きながら、次々と渋い顔でポーズを決める

数十分後、田中は再び本を取ろうとすると、視界に入ったカーテンの隙間に気付く

田中『ソニア・ネヴァーマインド!きさま!見ているなッ!』

ソニア『あ、バレてしまいました!』



ソニア「にしても、モノクマさんのミスで主人公格のスタンドを与えられたのは幸運でしたね!」

田中「ああ・・・だが、力を持つと言う事は、責任を伴うと言う事っ!己の能力を知り、研鑽し、扱えるようにならなければならない!」

田中「扱えない力など、ただの凶器だっ!いかほどに役に立つ物だとしても、デメリットから目を逸らせばいずれ身を滅ぼす!!」

ソニア「田中さん自身の名言が!!さすがは『制圧せし氷の覇王』!世の魔獣を統べる者!!」

田中「・・・・・・」

だが、勢いで言っておきながら、田中は自分の台詞に違和感を感じた

そう・・・テコンドーに言われたあの言葉・・・



『お前は希望ヶ峰に入ってからも、ちゃんとノミ(努力)を自分の手で振るってたか?』



田中(『努力』というノミを他人に扱わせる・・・それは、責任の放棄と同義・・・他人任せで自分では何も考えないと言う事!)

田中(テコンドー・・・奴の口ぶりは、俺が責任を放棄したと言っている様なものだった・・・)

田中(その通りだったとしたら・・・『コロシアイ修学旅行』は、それに対する罰なのか・・・?)

ソニア「・・・さん?田中さん?」

田中「ええいっ!虎穴に入らずんば虎児を得ず・・・テコンドーを問い詰める!!」

ソニア「わお!尋問ですか?途中で拷問に変わるんですか?」

田中とソニアは、コテージを後にして2の島に向かう

田中(暗闇に道を開くのは、『覚悟』のある者だけだ・・・俺には、責任を放棄した事実が事実だったとして、それを受け止める覚悟はあるか・・・?)

田中(いや・・・魔獣の育成こそ、責任を伴う聖職の一つ・・・覚悟が無ければ・・・覇王を名乗る資格無し!!)

=AM 9:30=

田中とソニアは2の島に上陸する。テコンドーを探して広い2の島を回る

???「うわああああああああああああああああああああああっ!!」

ソニア「!?・・・悲鳴!?」

田中「あの声は・・・確か『シルバーチャリオッツ』の本体!!」

田中とソニアは突然上がった悲鳴の元へ急ぐ

ダブルス「うわっ!?」

田中「ぐおっ・・・」

向かいから走って来たダブルスとぶつかって転倒した

ソニア「まぁ、どうかしたのですか?随分怯えていらっしゃる・・・」

ダブルス「あ・・・あう・・・」

ダブルスは腰が抜けて立てなくなっている

ダブルス「狛枝・・・狛枝が・・・」

ソニア「狛枝さんがどうかしましたか?」

田中「奴はまた何か企んでいると言うのか!?」



テコンドー「はぁ・・・はぁ・・・なぜ当たらねぇ・・・」

狛枝「僕としても残念だよ・・・このゴミクズ程度のボクですら倒せない程度の実力だっただなんて・・・これじゃあ、超高校級の皆への試練にならないじゃないか・・・」

ソニア「こ、これは・・・」

南国には場違いな、辺り一面の銀世界・・・地面に走る、大量のタイヤの後・・・

ここら一帯をテコンドーの『ボーン・ディス・ウェイ』が走り回ったようだ

田中は身をもって『ボーン・ディス・ウェイ』の実力を知っている。脅威なのは体当たりだけではない。スタンドが起こす冷気もだ

なのに狛枝は普段の格好にも関わらず、全く寒そうにしていない。どころか狛枝の足元だけ、ほとんど雪が積もっていない

狛枝「『ペイズリー・パーク』が教えてくれるのかな?君がどんなコースで『ボーン・ディス・ウェイ』を走らせるか、手に取る様に分かるんだ」

テコンドー「くそうっ・・・なんでこんな奴に『ペイズリー・パーク』を・・・悲惨な結果しか産まねえだろうがっ!!」

田中(『ペイズリー・パーク』・・・だと!?)

田中は日向がコロシアイの誘発に狛枝がスタンドを利用したと言っていたのを聞いたが、そんな痕跡が見られず、どう利用したのか疑問だった

『ペイズリー・パーク』だと知り、合点が行った。と同時に、背筋が凍る

田中(『ペイズリー・パーク』は本体やその周りを様々な方法で『最善』へと導く能力・・・)

田中(だが・・・もし本体にとっての『最善』が、他の者と大きくずれていたら・・・)

その結果が自分や花村のコロシアイ計画遂行のスムーズ化。他の者にとっての『最悪』も、本体にとっての『最善』なら躊躇なく引き起こすのだ

そして狛枝の『超高校級の幸運』と相まって、『無意識の操作が一番可愛く、己の意志で操っては破滅しがちになる』と言われるスタンドをかなり精密に操れているようだ

テコンドー「こりゃあ拘束なんて期待出来そうにねぇな・・・『ペイズリー・パーク』で簡単に抜けられんだろう・・・」

テコンドーは脅威に震える

テコンドー「ダブルスには・・・近付けさせねェぞ!!」

狛枝「え~?ボク何もしてないよ?向こうから君達が歩いて来て、ボクを見た途端にダブルスくんが逃げたじゃないか」

ソニア「え?」

傍らのダブルスを見てソニアは唖然とする。姿を見ただけでここまでの怯えようは以上だった

テコンドー「たりめーだろうが!テメェはダブルスのトラウマになってんだからよぉ!!」

狛枝「え?ボク何かがトラウマ?こんなゴミクズ引き合いに出してトラウマとか、どれだけ豆腐メンタルなんだい?」

ソニア(むしろ平然としている方が異常だと思いますが・・・・)

狛枝の狂気を目の当たりにしたソニアはそんな意見を胸の内で考えている

狛枝「それって、ボクの失われた記憶の中での話かい?試しに教えてよ。どんなトラウマを作ってしまったのかな?」

テコンドー「聞いた所で対処すんのか?他でも無えお前が?」

ソニア(本当に信用有りませんね・・・・)

田中(狛枝・・・失われた記憶の中で、『ミライ族』とつながりが・・・?)

テコンドー「・・・胸糞悪いにも程がある話だ・・・・」

田中・ソニアに向けてか、そちらをちらちら振り返りながらテコンドーは話す

テコンドー「俺達のコードネームは、俺が『超高校級のテコンドー家』であるように、化各々の称号から取ってるってのは薄々分かってんだろ?」

ソニア「それは何となく・・・狛枝さんにも説明して頂いてましたし」

テコンドー「じゃあ、ダブルスはどういう称号だと思う?」

田中「『ダブルス』・・・と言うと、2人組で一つというイメージだが、そんな称号があり得るのか?」

テコンドー「ダブルスはテニス選手・・・『超高校級のダブルスプレイヤー』ってのがそいつの称号だ。『飼育委員』の読み通り、ダブルスは2人組で活動している」

テコンドー「佐伯っつー『超高校級のテニスプレイヤー』と組んで、地元の大会で優勝し、さらに上の大会も目指していたさ」

テコンドー「ダブルスは個人の実力派中の上程度だが、佐伯が探し出した唯一無二の相棒・・・故に『超高校級のダブルスプレイヤー』だ」

狛枝「へぇ・・・そういう超高校級もあるのか・・・でも、ボクには違和感しか無いなあ・・・」

テコンドー「・・・だからと言う訳じゃあないだろうが・・・」

テコンドーは狛枝を睨む

テコンドー「テメェは、ダブルスと佐伯を引き離そうとしたんだ!!」

田中・ソニア「!!?」

狛枝らしからぬ所業に、目を見張る

狛枝「ボクが希望の邪魔をした・・・?まさか・・・このボクが!?」

テコンドー「散々ダブルス言葉攻めして手を切らせようとしたよなぁ・・・」



『君なんかが彼の役に立てていると、本気で思ってるのかい?』

『別に君じゃなくても良かったんだよ?誰か相方が居ればダブルスは出来る。彼なら2対1でも負けないさ!』

『彼が君を選んだのはただの気まぐれだよ?というより君が大した事無い実力だから良いんじゃないか!』

『超高校級同士が組めば最高だけど、彼は自分の希望が相方の希望で霞むのが嫌だったのさ。だから君を選んだんだ』

『君はただの引き立て役さ。だから思い上がらず、コートの隅っこで邪魔にならないようにじっとしてなよ』



テコンドー「暇だったのか、2人が組んでるって知ったその日から毎日ネチネチネチネチ・・・ダブルスの奴、ノイローゼ寸前になったぞ!殺す気かよ!!」

ダブルス「・・・・・・・・・・・・」

テコンドー「いや・・・テメェの考えなら、佐伯の邪魔にしかならないから死んでくれた方が良かったんじゃね?」

狛枝にかつて言われた暴言の数々と『死んでくれた方が良かった』という思考・・・事実だとしたら、自分達が思っている以上に狛枝の思考は狂っている

狛枝「いやぁ、それほどまでに忌み嫌っているとは思わなかったよ。でも、彼は『ダブルスプレイヤー』という才能を持っているんだろう?」

狛枝はいけしゃあしゃあと答える

狛枝「なのに、それだけボクが嫌うって事は、それ相応の理由もあったんじゃないの?」

狛枝「君も今言ってたよね?『だからという訳じゃあないが』って。何か理由があったんじゃないの?」

その点はソニア達にも違和感はあった

テコンドー「まあな・・・俺から言わせりゃあ、お前が『馬鹿』だって証明以外の何物でもない理由だがな」

狛枝「へぇ・・・まぁ仕方ないさ。ボクなんか最低で、最悪で愚かで劣悪で、何をやってもダメな人間だから、そう思われてもおかしくないさ」

テコンドー「・・・お前さぁ、どうせ本気で思ってねぇだろ?」

狛枝「何言ってるのかな?こんなボクに相応しい代名詞だと思うけど?」

テコンドー「良い方を間違えたか・・・別にそれで良いって思ってるだろ?」

狛枝「それで良い・・・ねぇ・・・いや、その程度でしか無いって、諦めに近いかな?だからボクは他の皆の希望が輝く様に・・・」

テコンドー「そのためなら迷惑をいくら掛けても良いって、最低の理屈だと思うがな。そのせいでダブルスだけじゃねえ。佐伯も傷付いたんだ」

狛枝「迷惑だなんてそんな・・・絶望を乗り越えてこその希望だろ?」

田中「狛枝・・・貴様には、何を言っても無駄なようだな・・・テコンドーの言う事も、全く聞いちゃいないだろう?」

ダブルス「当たり前・・・でしょう・・・結局、自分の思った通りにしか動かない人間なんですから・・・」

田中「・・・・・・・・・・・・」

ダブルスの一言で、こちらも狛枝の問題を投げ出したくなる田中

己の信念を曲げずに生きる。これは田中自身も同じと言って過言ではなかった

たとえどれだけの人間が犠牲になろうと、狛枝は変わらない、変わるつもりも無い

それが、狛枝が正しいと信じた道だから

田中「それほどまでに曲げぬと言うなら、もはや止めるだけ無駄だ・・・だが、狛枝よ・・・」

狛枝「何かな?」

田中「貴様・・・誰とも関われなくなるぞ。誰も貴様を近付けない。希望を見る事も叶わない。・・・それを覚悟しろ」

狛枝「良いんだ。ボクは希望が輝くのを遠くからでも眺めたいんだ」

田中「その時がいつかも分からず、その時を見る事も無い・・・今のままならな」

狛枝「ええ?それは困るなぁ・・・どうすれば良いと思う?」

テコンドー「なれなれしく聞いてんじゃねえよ!少しは自分で考えな!・・・全否定するであろう答えをな」

狛枝「君には聞いてないんだけどなぁ・・・」

テコンドー「ほらダブルス、休める所行くか?」

ソニア(・・・全否定・・・)

テコンドーの一言と共に、まるで田中の言葉を象徴するかのように・・・

狛枝の周りには誰も居なくなった

~チャンドラビーチ行きのトンネル~

ソニア「こちらの方にはまだ来ませんでしたね・・・」

田中「確か雑種(左右田)が行った所だったな」

左右田「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」

田・ソ「「!!?」」

左右田の悲鳴が上がった。慌ててビーチに向かう

そこに、とんでもない光景が広がっていた

左右田が具合が悪そうにしゃがみこんでいる。だが、問題はそこではない

左腕が無くなっていた

どこに行ったかと視界を動かすと、左右田の左腕は相対している人間の足元に落ちていた

相手は、釣竿を構えるセイバーだ

セイバー「うらぁ和一!お前の闘志はそんなモンかいな!!」

左右田「くそうっ・・・」

左右田は冷や汗をかいてセイバーを睨む

ソニア「左右田さん!」

田中「何て事を!早く止めねば!!」

??「水を差す事は許さないよ」

田中「何も・・・ぐおっ!!?」

田中とソニアは突然聞こえた声に気を取られ、足元の遺物を踏んでしまう

サバイバー『ぴぎゃああああああああああああああっ!!!』

ソニア「あっ!?さ、『サバイバー』が!!」

異物を踏んだ事で、未だに足の裏に憑り付く『サバイバー』にダメージが渡った

田・ソ「「うぐっ!!?」」

だが、その『サバイバー』が負ったダメージは憑り付いている本体に移った

田中「『チープ・トリック』と同じか・・・憑依系スタンドのダメージは憑依主に向かう・・・」

ソニア「これじゃあうかつに引き離すのも危険じゃないですか・・・」

田中「それより何を踏んだ?」

田中は足元を見る。そこにばら撒かれていたのは、鉄製のまきびしだった

田中「鉄・・・やばい!!」

ソニア「た、田中さん・・・私、何だか変です。喉が詰まるような感覚が・・・」

田中「ぐぅ・・・遅かったか!!」

ソニアの方を向くと、ソニアののどの部分に何かが浮かび上がっている

それは、五寸と言うほど太くは無いが、釘だった。喉を突き破って出てくれば、出血多量ですぐに死に至る

田中「出て来い!消去法から、『エージェ』だな!!前の奴はウエットスーツから恐らく『セイバー』の方・・・となると最後の一人の貴様が『メタリカ』だ!!」

エージェ「ご名答・・・」

誰も居ない岩山の方から声がした。ソニアが目を凝らすと、岩山の前に同じ柄の姿をした誰かが立っている

徐々に同じ柄を象っていた表皮が剥がれ、相手の姿が露になる

そこにはジョジョの方の『メタリカ』の本体の有名なジョジョ立ちをしたエージェが姿を現した

エージェ「迷彩能力に金属生成・・・『超高校級の工作員(エージェント)』に中々似合う『スタンド』だと思わない?」

エージェ「まぁそんな訳で簡単にあなた達の命は握られた。彼らの邪魔をするなら喉を掻っ切る。死にはさせないけど当分しゃべれなくなる」

田中(ぐっ・・・俺様にも・・・)

エージェの言葉の直後、田中の喉元にも釘が生成された

『メタリカ』の能力は自他の血中の鉄分で鉄製品を精製する能力。本体の抱える磁力操作能力で、刃物に作り変えた鉄分を簡単に体内から引っ張り出す事が出来る、非常に殺傷能力が強い『スタンド』だ

ソニア「どういう事ですか!左右田さんの能力がそんなに知りたいのですか!!」

エージェ「勘違いをするな。挑んできたのは左右田の方だ」

田中「何!?」

終始怯えている左右田らしくない行動だと、田中は不審がる

エージェ「逃げない精神力を付けたいそうだ。そのためにセイバーを利用しに来た」

そう言われて左右田を見ると、確かに顔が歪んでいるが、目は死んでいない

ソニア「得体の知れない相手によく頼めましたね・・・そう言う事って、普通私達に言うんじゃ・・・」

田中「得体の知れない・・・奴にとってはそうでもなさそうだぞ」

ソニア「どういう事ですか?」

田中「気付かなかったか?セイバーは雑種を『和一』と下の名前で呼んでいたぞ。俗世の連中は、よほど気を許した相手で無いとそうはしないのだろう?」

ソニア「あ・・・!!」

田中「どうやら、雑種は『ミライ族』とつながりがあったようだ。そして、恐らくそれも忘れている・・・」

ソニア「でも、だからこそ私達より、関わりがあるとはっきりしている彼に・・・」

ソニアはまた一人、自分の傍から居なくなるような感覚で、心に冷たい風が吹く・・・

ソニア「日向さんだけじゃない・・・左右田さんまで・・・」

エージェ「ふん・・・私はあいつが好かんがな・・・今更度胸を付けて何になると言うんだ・・・セイバーは仲が良かった分、奴に甘過ぎる・・・」

エージェは軽蔑の眼差しで左右田を睨む

自分達を裏切った、左右田を・・・

エージェ「さて・・・私からも一つ言っておきたい事がある」

田中「また・・・あの謎かけじみた問いか・・・」

田中はエージェを睨む

エージェ「私の『超高校級の工作員』・・・その名の通り、山形で暮らしていた両親は亡国の凄腕のスパイだった・・・他人の生活を脅かした事件にも、いかほども関わっていただろう・・・」

エージェ「私にもその血は流れ、いざという時には任務を全うできるよう幼少から訓練も積まされて来た・・・」

エージェ「そして『メタリカ』・・・原作の持ち主は暗殺者だ。諜報工作と同じぐらい、暗殺に向いた能力・・・いくらでもたやすく人を殺せるだろう」

エージェ「さて・・・こんな世を脅かす『才能』と『スタンド』、無い方がいいと思うか?」

ソニア「あ、当たり前です!いくらでも人を殺せるなんて、危険極まりない・・・」

エージェ「だが、原子力発電もまた、そうした危険な力の一つだ。廃棄物のまともな処分方法も無い・・・一度外に漏らせば大勢の命を脅かす物が、人間の生活を支え、人間の生活のすぐ近くに存在するのだ」

ソニア「う・・・」

エージェ「神がこの世に産み落とした才能や力に、あってはいけない物などない・・・全ての才能は、すべからく使う者の心と力量次第・・・」

エージェ「邪悪と忌避される才能も、使う者が優れていれば世に貢献する才能に昇華出来る・・・」

エージェ「邪悪も優秀も才能ではない、全てを決めるは仕手の心と力量だ」

左右田「ちぃ・・・『ナット・キング・コール』!!」

田中「何ぃ!?」

田中は左右田が叫んだスタンド名に反応する

左右田のひじに、複数のナットで止められたネジが現れる。それにひじまでしかない左手で触れると自動的にくるくる回り、ナットが取れる

それと同時に、ひじから下の右腕が左右田の身体から取れた

セイバー「うおっ!?」

セイバーは急に手応えが無くなって尻もちを付く

セイバーの足元の左右田の左腕は、同じ方法で逃れた痕跡だった

セイバー「どうするつもりや左右田?致命症は避けれとるけど、これで両腕を失った。これじゃあ反撃に出れずジリ貧やで?」

左右田「うっせーなキューマ!今考えてんだよ!!」

セイバー「最初に会った時点で『ビーチ・ボーイ』やて分かっとらんかったんか?お前の事やから当然対策して来とると思っとったんやけど?」

左右田「へ・・・へっ!丁度良いハンデだろ?」

直も強がる左右田に、セイバーがニヤリと不敵に微笑む

セイバー「何も考えんと特攻するとか、良えか悪いかじゃあ悪いに決まっとるが、今までの和一なら考えられへん行動や」

セイバー「ちゃんと、変わろうとしとるんやな!!」

エージェ「悪い方向に変わっているというなら、私はやはり左右田を許すつもりはないぞ、セイバー!」

セイバー「やいやい言うなや!変わるっちゅー事は何して来るか分からへんっちゅー事や!これから何をするか、しっかり見て行こうや!!」

エージェ「ふん・・・」

エージェは納得はしていないようだが、取り敢えず様子を見る事にした

田中とソニアも、勝負の行方を固唾を飲んで見守るしかない

すまぬ・・・順番間違えた。1つ上のレスは一旦飛ばして。もう一度載せるから

=========================================

田中「一理あるな・・・」

田中はエージェの言い分に納得する。スパイ行為も、警察が使えば犯罪を未然に防ぐ防波堤になる

エージェ「そして逆もまたしかりだ・・・邪悪な者や愚劣なる者が使えば、世に進化をもたらす優れた才能を持っていても、ただの凶器・・・」

エージェ「貴様らは優秀なる仕手か?愚劣なる仕手か?」

ソニア「尋ねるまでも無く・・・私達が才能をちゃんと扱えない愚者だと・・・言いたいのですか?」

エージェ「いや・・・才能の器としては、いずれも申し分なかっただろう・・・」

ソニア「ならばあなたは、あなた達は何が言いたいのですか!?」

ソニアがヒステリックに叫ぶ

田中「また他の者達の意見も携え考えるしかない・・・今は・・・雑種の方が先決だ」

ソニア「・・・・・・・・・・・・」

田中「セイバーの『スタンド』は分かり切っている。既に見えているのだからな。問題は雑種がそれに対抗出来る『スタンド』を持っているかどうか・・・」

ソニア「え?見えてる?どこに?釣竿を持っているのは分かりますが・・・」

田中「その釣竿が『ビーチ・ボーイ』・・・『スタンド』だ」

ソニア「何と!!」

田中「少数派ではあるが、『スタンド』は道具そのままである場合もあるのだ。『ビーチ・ボーイ』はその一つ・・・」

つまりセイバーは、姿を見せた当初から『スタンド』を見せびらかしていたのだ

セイバー「行くでえええええええええっ!!」

セイバーが釣竿を振りかぶる

左右田は横に飛んで避けるが、避け切れず糸の先の針が右手の小指に引っかかる

ソニア「ひぃっ!!?」

針は小指に食い込むと、そのまま左右田の右手の中に入り込み、相手の身体を登って行く

田中「『ビーチ・ボーイ』はああやって相手の体内に入り込み、内側から急所を破壊する『スタンド』!」

ソニア「『メタリカ』と似たような物ですね・・・」

田中「しかも障害物は任意で透過できる。糸を切ろうとする刃物すらもな」

ソニア「ふ、防ぐ方法が無いじゃないですか!!」

田中「その通り・・・逃れるには本体を叩くしかないのだ。さぁ雑種よ、どうする?」

針は既に、腕のひじ辺りまで登ってきている

左右田「ちぃ・・・『ナット・キング・コール』!!」

田中「何ぃ!?」

田中は左右田が叫んだスタンド名に反応する

左右田のひじに、複数のナットで止められたネジが現れる。それにひじまでしかない左手で触れると自動的にくるくる回り、ナットが取れる

それと同時に、ひじから下の右腕が左右田の身体から取れた

セイバー「うおっ!?」

セイバーは急に手応えが無くなって尻もちを付く

セイバーの足元の左右田の左腕は、同じ方法で逃れた痕跡だった

セイバー「どうするつもりや左右田?致命症は避けれとるけど、これで両腕を失った。これじゃあ反撃に出れずジリ貧やで?」

左右田「うっせーなキューマ!今考えてんだよ!!」

セイバー「最初に会った時点で『ビーチ・ボーイ』やて分かっとらんかったんか?お前の事やから当然対策して来とると思っとったんやけど?」

左右田「へ・・・へっ!丁度良いハンデだろ?」

直も強がる左右田に、セイバーがニヤリと不敵に微笑む

セイバー「何も考えんと特攻するとか、良えか悪いかじゃあ悪いに決まっとるが、今までの和一なら考えられへん行動や」

セイバー「ちゃんと、変わろうとしとるんやな!!」

エージェ「悪い方向に変わっているというなら、私はやはり左右田を許すつもりはないぞ、セイバー!」

セイバー「やいやい言うなや!変わるっちゅー事は何して来るか分からへんっちゅー事や!これから何をするか、しっかり見て行こうや!!」

エージェ「ふん・・・」

エージェは納得はしていないようだが、取り敢えず様子を見る事にした

田中とソニアも、勝負の行方を固唾を飲んで見守るしかない

~図書館~

狛枝「へぇ・・・こんなに大きな図書館があるなら、長期滞在でも退屈しなさそうだね」

ボクは皆にどうも嫌われちゃったようで、1人置いていかれてしまったよ

なので適当に『ペイズリー・パーク』を使いながらぶらぶら2の島を回る事にした

ダイナー、遺跡、ドラッグストア・・・何だかラインナップがバラバラだと思わない?

ダイナーの傍のトンネルの奥に『チャンドラビーチ』って浜辺があるみたいだけど、浜辺は1の島にもあったし2番煎じじゃないかな?

そんな訳でそっちは興味が無いので素通りして、現在だよ!

とりあえず入ってみよう!ここに希望があるのかも!

大丈夫さ。田中クンはああ言っていたけど、『ペイズリー・パーク』があれば希望を逃すなんて事ある訳無いさ!!

さて・・・中も中々広くて居心地が良さそうだね。海外の本とかもあってソニアさんも満足しそうだ

お?オススメの本?何かな?

ああ・・・これが『スタンド』の原作か。まあ、ボクには関係無いね

誰か・・・あぁ、確か日向クンが呟いてたっけ。ボクの『スタンド』は性質が原作と微妙に違うって

だからボクは自分の『スタンド』を深く知ろうにも、原作は役に立たないんだよね

そしてボク以外のスタンドは論外だ。だって、希望の皆がどんな能力を使うか、『ミライ族』の奴らがどうやって皆を絶望に落としにかかるか・・・

こうやって予習して、『スタンド』の姿を見た時点で分かっては面白くないじゃないか

だからこれは、ボクにとっては何の意味も無いものだ

さて・・・誰か居たりするかな?

狛枝「おーい!誰かいませんか?」

??「はーい!」

奥から青髪の美しい女の子が来たよ。でも、無愛想だなぁ・・・せっかくの美人が台無しじゃないかな

狛枝「やぁ。君も『ミライ族』の人?」

コンサルト「ええ。貸し出しですか?」

狛枝「いや、君もどんな超高校級の才能を持っているか聞いてみたくてね」

コンサルト「・・・『超高校級のコンサルタント』・・・縮めて『コンサルト』です。希望ヶ峰学園の近くにある百貨店『越水』で働かせて頂きました」

狛枝「今は・・・違うの?」

コンサルト「・・・働きたくても、もう・・・」

そう言ってコンサルトさんはうつむいちゃった

何かあったのかな?まさか彼女の様な才能あふれる人間が居て、潰れた訳があるまいし・・・

コンサルト「それで、それだけですか?用が無いなら帰りますが・・・」

狛枝「ああ、別に良いよ。あ、他に『ミライ族』の人は来てないかな~?」

コンサルト「はぁ・・・」

溜息を付かれた・・・何か気に障ったな?ゴミクズにはさっぱりだ!

さて、奥の方・・・書庫も覗いてみようか?



狛枝が奥に去った後、2階に居た西園寺と小泉がひそひそ話す

小泉「コンサルトちゃん・・・終始無愛想だったね・・・」

西園寺「どれだけ嫌われてるのよ狛枝・・・もはや人の心を不快にさせる天才って感じ~私と正反対だね~!」

小泉「・・・・・・・・・・・・・」

自分を怒らせた時の事を思い出し、小泉は黙りこんでしまった

狛枝「この先は書庫か・・・書庫らしく、より多くの本が仕舞われているね」

『立ち入り禁止』って張り紙がしてあったけど、ここに『ミライ族』の人が居るなら挨拶しないと・・・

ゾクッ!!

狛枝「っ・・・!!」

背筋の悪寒に、思わず回避行動を取る。しゃがんだ上を、液状の物が飛んで来た

顔を上げると、液が当たった本棚が溶けてる・・・溶解液ってヤツか

ヨーヨーマッ「申し訳ありません。外しました」

メイド「あなた・・・『立ち入り禁止』と書いたでしょう?なぜ入ってるの!ここの本が欲しければ、表のコンサルトに頼みなさい!」

狛枝「やあ。ここに人が居たら是非会いたくてね。なんてったって2チームに別れていても、同じ才能ある生徒だからね。ああ、ボクは入ってないから安心して」

メイド「・・・『ヨーヨーマッ』!!」

ヨーヨーマッ「御意!!」

狛枝「うわっ!?ちょ、ちょっと!?」

多分見た目からして『メイド』って名前の人・・・彼女のスタンドらしき生物が、溶解液を飛ばして襲ってくる!!

慌てて避けるけど、そのまま十数分は襲われ続けた。

メイド「希望に溺れたクソムシが・・・顔を見るのも吐き気がする!!」

あれ?何か特に嫌われてる?

メイド「お嬢様が助かっていたからまだ良かったものの・・・もし死んでいたとしたら、とうにあなた達など怒りで殲滅していたわ」

怖い事言わないでよ・・・

狛枝「希望の皆を殲滅なんて、絶望的だねぇ・・・そんな事は絶望がする事じゃないのかい?」

そう言って、ボクはともかく皆は見逃してもらおうとするけど、意外な返答が返って来た・・・

メイド「希望?誰が?」

・・・ん?

狛枝「・・・だから、ボク以外の参加者である希望達を殲滅をするのは絶望同然・・・」

メイド「は?希望?私の耳がいかれたのでしょうか?」

メイド「あれの中の誰が、希望ですって?」

狛枝「・・・おかしいな・・・話が噛み合ってないよ・・・?」

メイド「希望ヶ峰学園の生徒でしょう?あんな人達、本当の希望なんて一握りですよ。お嬢様のように」

狛枝「・・・そのお嬢様も、超高校級の生徒なの?」

メイド「幼い頃から淑女としての教育を受けた、『超高校級の令嬢』です。私はそんなお嬢様に長年仕えている『超高校級のメイド』です」

メイド「希望ヶ峰学園でも、常にお嬢様に寄り添いお仕えして来ました。今は諸事情で離れ離れではありますが・・・」

狛枝「へぇ・・・でも、そんな令嬢さんも含め、真の超高校級が一握りだけってどういう意味かな?」

狛枝「皆、希望ヶ峰学園に超一流の才能を見いだされてスカウトされた世界の希望なんだよ?」

メイド「・・・・・・・・・・・・」

メイドさんはそこで溜めを入れ、距離を置いた

メイド「そもそも・・・それがおかしいと思った事は無かったのですか?」

狛枝「おかしい?希望ヶ峰の判断基準がおかしいと言うのかい?」

メイド「・・・本気で分からないようですね・・・いや、思考停止と言っても差し支えない・・・」

メイドさんは溜息をついたよ・・・

メイド「そもそも希望ヶ峰学園の入学条件は、『現役高校生である事ともう一つ』・・・『その分野において超一流である事』・・・」

メイド「この2つ目の条件・・・どうやって判断しますか?」

狛枝「そりゃあ、大会で優勝とかコンクールで最優秀とか・・そうした実績で判断するんじゃないかな?」

メイド「そう、実績・・・つまり、スカウトされる高校生は、希望ヶ峰に行くまでもなく、『既に成功している』んです」

狛枝「そりゃあまぁ、そう言えるね。それぐらいでなければ世界を担う希望になんてなれやしないよ!」

メイド「・・・だったら、別に希望ヶ峰学園なんて必要無いと思いませんか?既に成功しているのだから・・・」

メイド「そもそも、教育機関とはこれから成長していく子供を育てる機関・・・『超一流
』のどこに成長する要素があるのですか?」

狛枝「でも、あまり調子に乗るとどんな躓きがあるか分からないよ?それを防ぐためにはやっぱり必要じゃないかな?」

狛枝「せっかくの才能が潰れるのは、世界の損失に他ならないよ!」

メイド「ならばそのための教育者を派遣する派遣会社で充分でしょう?」

メイド「日本・・・いや、ソニア様の様な方を含めば世界中から生徒を集め、その上その『超一流』の才能の分野はあまりに統一性が無い・・・」

メイド「超一流の生徒も、教育するための超一流の教師も、数がそれなりに多い上に世界中に点在しているんです」

メイド「わざわざ寄宿舎を作ってまで一カ所に集める必要が無いのです。むしろ逆に教師の仕事に同行させる方が効果的だと思います」

メイド「ご両親に促されて入学したのですが、お嬢様は入学当初からその点が疑問で仕方ありませんでした。『あまりにも非効率的だ』と」

狛枝「ううん・・・そういう物なのかな?ホラ、超一流同志で交流したら、良い刺激になったりするんじゃないかな?」

メイド「そんなの一部でしょう。似通った才能の者同士や『小説家』などならばそれも良いでしょうけど、『諜報員』といった存在を知られる事が致命的な才能の人にはマイナスでしかありません」

メイド「『ギャンブラー』と『暴走族』とか、個人的な付き合いはともかく、才能としては何がどう刺激になるんですか?」

狛枝「う・・・」

メイド「生徒同士の利益を度外視し『超高校級』なら何でもかんでも集めようとする節操の無さ・・・今振り返ってみれば異常です」

狛枝「・・・君はどう思ってるのかな?」

ボクはそもそもやってる事が素晴らしい事なのだから、疑問にも思った事も無かったけど・・・

メイド「最初はその疑問に答えが出ませんでした・・・でも、半年を過ぎる頃にはよ~く分かりました」

狛枝「その答えは?」

ボクは思わず固唾を飲んだ

メイド「そもそも・・・希望ヶ峰学園は『教育機関』ではなく、集められたのも『生徒』ではなかった・・・とね」

狛枝「え・・・?」

それは・・・どういう意味かな?確かに研究機関の側面もあるという話は知ってるけど、じゃあ、『生徒』ではなく『専門家』って事かな?

メイド「お嬢様や私達『ミライ族』はそれに気付いた時、すぐに行動に出ました。その行動に出る事が出来る人間が、真の超高校級の生徒だと、私は判断しています」

狛枝「行動?それってどんな?」

メイド「・・・少しは自分で考えて下さい。あなたの頭では何百年経っても答えは出ないでしょうけど・・・」

狛枝「手厳しいね・・・」

でも、何の行動に出ると言うんだろう?別に『生徒』も『専門家』も大して変わらないんじゃ・・・あ、だったら希望ヶ峰に集める意味が無いって言いたいんだっけ彼女は?

分からないなぁ・・・ゴミクズには異次元過ぎて超高校級人達が何を考えてるのかさっぱり分からないよ

~チャンドラビーチ~

ソニア「うう・・・グロい・・・でも血が出てないので40点という所でしょうか」

田中「メス猫の発言じゃないぞ・・・これが闇の聖母の本性・・・」

左右田は『ナット・キング・コール』を用いてセイバーの『ビーチ・ボーイ』を避け続ける

しかし、そのせいで最早下半身は無く、腕は肩から少しだけ伸びている程度となってしまった

セイバーの足元に、バラバラになった左右田の下半身や腕が散らばっている

セイバー「和一~・・・気分悪くなって来たんやけど・・・うぷ・・・」

エージェ「ここまでグロい展開になるとは・・・」

左右田「・・・くっくっく・・・」

セイバー「・・・ん?」

左右田「何言ってんだ!これで反撃の準備が出来たのさ!」

セイバー「何言うとんの・・・やはあっ!!?」

突然セイバーの髪が何者かに引っ張られ、顔が上に向く

セイバー「ひ、卑怯や!仲間待機させてリンチとか!!」

左右田「何言ってんだ?」

いつの間にか、腕の先っちょだけで左右田が目の前まで近付いていた

左右田「俺は1人だぜ!」

左右田が腕を自分の足に近付けると、足が腕の部分にくっついた

セイバー「どぅふっ!!」

その直後、蹴り・・・いや、足を使ったパンチがセイバーの腹にヒットする

左右田「足は腕よりずっと筋力が強いんだ。それを腕としてパンチを打てば・・・ただじゃすまねえ!!」

セイバー「ぐぅ・・・前が見えへんから正面下がガラ空きや!髪引っ張ってんの何者や!?」

セイバーは『ビーチ・ボーイ』の針を自分を透過して後ろに伸ばした

何かに引っかかって、ひっぺがされる

セイバー「こ・・・これは!?」

セイバーが見たのは、腕が二本くっついた姿の奇妙な物体だった。本体かた剥がれた繋ぎ目があるはずの場所に、反対の腕が生えている

セイバー「こいつが昆虫みたいに背中のシャツを這って髪を引っ張ってたんか!!」

左右田「他所見厳禁!」

セイバー「あっ・・・」

左右田の腕は現在足である。つま先を一極集中させればさらに強い力を起こせる

その力で『ビーチ・ボーイ』を下からふっとばし、握力が緩んだセイバーの腕から吹っ飛ばす

田中「知らなかったな・・・『ナット・キング・コール』は本体に使った場合、各部位が離れても自在に操れるとは・・・原作にも無いぞ!!」

ソニア「あの存分に倒錯した見た目、かなりそそられますね」

田中「貴様・・・大丈夫か?その・・・ここは?」

田中は自分の頭を指した

セイバー「くっ・・・」

セイバーは取り返そうとするが、いつの間にか砂に埋められた両腕が捕まえている上に足の手で押さえられてびくともしない

左右田「これで・・・終わりだあああああああああああっ!!」

セイバー「させるかっ!・・・ぐぎゃああああああああああああああっ!!」

左右田が『ビーチ・ボーイ』を強い筋力で踏み、セイバーが下から抑える

セイバーがそんな中痛みを訴えて叫ぶ

ソニア「ど、どうしたんですか?」

田中「『スタンド』とはその者の精神の具現体・・・当然、『スタンド』が傷付けば本体も傷付く!」

ソニア「ああ、そんな設定ありましたっけ!だから本体ではなく『スタンド』を・・・」

田中「確か『ビーチ・ボーイ』の糸は相手の攻撃を透過して、衝撃は釣竿に引っかかっている獲物に返す能力がある。だが・・・釣竿の方はそんな描写は無い!そこを付かれた!!」

田中「そして『ビーチ・ボーイ』は釣竿の形をしている・・・もしかしたら形が良く似ている背骨にダメージが行っているかもしれないぞ!」

ソニア「え?背骨って神経の通り道なので、折れたら全身不随になり、修復も不可能ですよね・・・」

田中「セイバーが負けたら、かなりまずいんじゃないか?」

左右田「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

セイバー「ぐぎぎぎぎ・・・ぐぐぐぐぐ・・・」

セイバーの背骨に、激痛が走っている。しかしそれにもかかわらず左右田に抵抗するセイバーの精神力は並ではない

だが・・・

左右田「言ったろ!終わりだと!!」

セイバー「なん・・・!!?」

『ビーチ・ボーイ』を押さえるセイバーの両腕に『ナット・キング・コール』のネジが現れ、セイバーの腕を外した

セイバー「おあああああああああああああああああああああっ!!?」

腕の力が抜け、一瞬『ビーチ・ボーイ』がそのまま折れそうになる

しかしセイバーは脅威の身体能力で、うつぶせの体勢のまま後ろに投げ出されていた足を一回転して『ビーチ・ボーイ』の下に挟む

左・セ「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

もう『ナット・キング・コール』を使っても、そのまま足がつっかえ棒になるので意味は無い

左右田の腕でどかせればいいが、少し動かせばバランスを崩す危うい均衡であり、腕をどかせばバランスを崩した竿はそのまま砂の上に落ちる

そうなればもう折れる心配も無く、その隙を突いて奪い返されるだろう。何より足を切り離してしまえば、自由になったセイバーは左右田本人に襲いかかれる

そんな予想をした左右田も動くに動けず膠着状態に陥るが・・・

左右田「・・・ん?何だ!?『ビーチ・ボーイ』が何かに覆われて・・・」

突然『ビーチ・ボーイ』が銀色の物体に浸食され始める

それは、鉄だった。鉄に覆われて強度が保たれた『ビーチ・ボーイ』はもう折れない

エージェ「そこまでっ!それ以上やったら双方に不利益しか産まない!!」

エージェが戦いを止めたのだった。かくして、前半セイバー優勢、後半左右田優勢・・・最終的に引き分けで終わった

セイバー「はーっ・・・やるやないか和一・・・」

左右田「いや・・・すまねぇ・・・あと少しでとんでもねぇ事する所だった・・・」

もし止められて居なければ、膠着状態から左右田に傾いて『ビーチ・ボーイ』が折られていたら・・・

セイバーは連動した背骨を負傷し、二度と歩けない身体になっていただろう・・・

身体が資本の『超高校級のライフセイバー』としてでなくとも、人として再起不能となっていた

だが、精一杯闘い切った2人はどこか吹っ切れたような表情をしていた

セイバー「思えば・・・どこか居場所が無いから成り行きで俺らん所に来た感じで、いつも自分の意見とか押さえて、居させてもらえればそれで良えって感じやったな・・・」

セイバー「やから・・・お前が折れるばかりで、喧嘩みたいな事も無かったな」

左右田「キューマ・・・」

キューマ「お・・・ははっ、やっと名前で呼んでもらえたわ!」

爽やかな笑顔でセイバーは答える

セイバー「あたたた・・・あかんなぁ・・・異常はなさそうやけどしばらく激痛は続きそうや。和一、連れてってもらえんか?」

左右田「え・・・」

エージェ「セイバー!」

エージェの顔色が変わる

エージェ「セイバー・・・そいつを引き込むつもりか!?クリエイトは奴らにとって裏切り者だが・・・左右田は私達にとっての裏切り者だぞ!!」

ソニア「裏切り者・・・?」

セイバー「良えやないか!『ミライ族』は募集人数無制限、無論途中参加も歓迎。募集要項無条件、服装自由なんやし!『メカニック』とかコードネームっぽいし?」

エージェ「とことん身内に甘いな・・・いくら貴様が庇った所で、どうせ・・・」

左右田「あ・・・お・・・俺・・・」

左右田はエージェに睨まれ辞退しようとするが、セイバーはぎゅっと左右田を抱きしめる

セイバー「・・・和一はあんな事件を起こされて八方ふさがりで、どうしようも無かったんや・・・守ってやれたはずの俺らも守れなかった・・・」

セイバー「和一が裏切った理由も、その可能性が無いとは言えへん・・・和一に関しては俺らにも責任あると思わへん?」

セイバー「本当に悪いのは軍事転用した奴らやのに『作った奴が悪い』って世界中から責められた和一は、どないすれば良かったんや・・・1人じゃあ、何も出来んかったやろ!」

セイバー「完全に責任を転嫁する訳やない・・・和一も責任を背負わなあかん・・・せやけど、本当に悪いのは和一やないやろうが!!」

左右田「っ・・・!!」

左右田は記憶を思い出し、自分の夢、ロケットを飛ばすための動力装置を希望ヶ峰で作り上げた事を思い出した

しかし同時に、どこからか漏れたその動力装置が軍事兵器に転用され、自分が作者という事もばれて、世界中の非難の的になった事も思い出してしまった

左右田は思い出した時からずっと、懊悩を繰り返していた。自分は世界中に責められる程罪深い存在だから、コロシアイなんてさせられるのか、と・・・

だが、同時に思い出した友は、それでも友で居てくれた

左右田「うわああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

セイバー「・・・思い出しとったか・・・急に闘えなんて言い出すから、そうやと思っとったが・・・」

セイバーは左右田の頭をポンポンとなでた

セイバー「これからも島を出ればまた、いくらでも非難を浴びせられるやろう・・・それでも、折れて逃げる事だけは・・・責任を放棄する事は許さんからな」

セイバー「折れんのやったら・・・他の『ミライ族』が見捨てても、俺が支える。見返りなんて、期待しとらんしな」

左右田「キューマぁ・・・」

セイバー「・・・さ、ダイナーまで運んでもらえへんか?」

左右田「お・・・おう」

左右田はセイバーの肩に手を回し、ビーチを後にする

セイバー「何やお前ら・・・見とったんか・・・」

セイバーはようやく田中とソニアに気付く

ソニア「あ、あの・・・田中さん・・・左右田さんを彼らに任せても・・・」

田中「危害を加えるつもりは無い事は分かっている・・・だが、委ねるとなればそれは・・・」

セイバー「何言うとんのや?むしろお前らなんかに任せられるか!!」

ソ・田「!!?」

先程と打って変わって、仁王のような恐い顔で2人を睨む

セイバー「散々エージェが言うとったやろ?俺は身内に甘いて。その分、外の奴には簡単に心開かへんで!」

セイバー「それも和一みたく散々傷付けられたんやのーて、ただ単に責任背負うのが面倒臭くなって放り投げたって程度の奴らなら尚更なぁ・・・!!」

田中「!!」

セイバー「そういや和一、その女好きなんやて?趣味悪いなぁ・・・上辺しか見とらんやろ?」

左右田「な・・・なななな!?」

左右田の顔が真っ赤になる

逆にソニアの顔は青ざめる

ソニア「ど・・・どういう意味ですか!?わたくしは『超高校級の王女』・・・」

セイバー「ならその王女の責任を放棄したんも、相応の壮絶な理由があるんやろうな?今度ゆっくり納得いくまで聞かせてくれや」

そんな台詞を吐き捨て、左右田を連れてセイバーは去った

エージェも特に言う事も無く、さっさと彼らの後に付いて去って行った



数時間、ソニアと田中はその場から動けなかった・・・

ソニア「わたくしが・・・王女の責任を・・・放棄した・・・?」

特にソニアはセイバーの去り際の言葉で全てが崩れそうな程動揺している

そして田中も、予感していた事が真実だと知らされ、ソニアを慰めるどころではない

責任の放棄・・・それが己の罪につながる重大なキーワードだと突き付けられた

田中「一体・・・俺様達は何を放棄したと言うのだ・・・」

ソニア「そもそも責任なんて大切な物、捨ててはいけません!希望ヶ峰学園に入学したのですから、それを背負えるよう強く気高く成長しているはずです!!」

田中「む・・・無論だ!無論・・・む・・・ろん・・・」

徐々に田中の口調が弱まる

ソニア「・・・そうではない・・・と?」

田中「分からん・・・だが、もし希望への反発心に裏があるとしたら・・・

















『キーンコーンカーンコーン』















ソ・田「「!?」」

普段は朝・夜時間の知らせでしか流れないチャイムが、まだ暗くなって1時間程度の時間帯に鳴り響いた

傍のヤシの木に仕掛けられたモニターが起動する

モノクマ『ええと、修学旅行実行委員会がお知らせします!』

モノクマ『エマージェンシー!エマージェンシー!お前ら生徒諸君は、至急ジャバウォック公園にお集まりくださーい!』

モノクマ『ほら急げ!いち早く来た生徒には、明日の晩に特製カレーライスを振る舞っちゃうよ!やれ急げ!!』

ブツッ

モニターに映し出されたモノクマは、伝えるだけ伝えてさっさと通信を切った

ソニア「モノクマさん・・・でしたね・・・」

田中「何があるというのだ・・・」

遅ればせながら、ソニアと田中もチャンドラビーチを後にする

=PM 8:00=

~ジャバウォック公園~

終里「はぁ・・はぁ・・・カレー・・・カレエエエエエエエエエエエエ!!」

弐大「少しは自重せんか終里・・・太るぞ」

狛枝「はは・・・」

やれやれ・・・ボクが一番乗りだと思ったけど、食事に目が無い終里さんとお目付け役の弐大クンに先を越されたか

ボク?ボクは別にカレー目当てじゃないよ?当然じゃないか

これはあれだよね?モノミが記憶を奪った事をバラしたのと同じ、動機提示だよね?今度はどんなものなのかな?

モノクマが与える絶望がどんなものか・・・どれだけの希望を生み出せる踏み台になり得るかを品定めに来たに決まってるじゃないか!

さて・・・全員集合になるのはまだかな・・・

九頭龍「チッ・・・『ミライ族』、モノクマ・・・この島はどうなってやがんだ?」

辺古山「どうか落ち着いて下さいぼっちゃん・・・奴に手を出す事は死を意味するので押さえて下さい」

九頭龍「ったく・・・」

とりあえず九頭龍クン達も来たようだね

次に十神クンと澪田さん、西園寺さんに小泉さん・・・

・・・ん?

ダブルス「ひっ!?」

テコンドー「おいおい、俺の後ろに隠れるぐれぇなら帰ってろよ・・・」

コンサルト「全員で来ているので、1人で居るのも・・・ねぇ・・・」

メイド「どんな動機を提示して来るかは知っておいて損はありません」

十神「・・・なぜ『ミライ族』の連中も来るんだ・・・」

日向「ま、一応設定上は俺も『コロシアイ修学旅行』の参加者だし?」

澪田「ならしょうがないっすね~」

小泉「そういうものなの・・・?」

『ミライ族』の面々も動機を知りに来たようだね。モノクマも別に拒まないみたいだ

エージェ「ほら!キリキリ歩け!」

セイバー「あだだだだ!!もう少し優しくしてーなエージェ!」

左右田「大丈夫かキューマ?」

花村「あ・・・あれ?左右田君?」

おや?左右田クンが『ミライ族』の一人が歩くのを支えてる

十神「・・・まさか相談に来た一朝一夕で寝返るとはな・・・」

左右田「う・・・」

左右田クンがバツの悪そうな顔になった

小泉「ど・・・どういう事?」

罪木「あ・・・左右田さん・・・」

その後ろから来たのは罪木さんに七海さん。後は田中クンとソニアさんで全員かな

十神「左右田は過去の記憶を少し思い出し、その記憶の中で『ミライ族』と深い関わりがあったそうだ」

澪田「Ω<な、なんだってー!?」

澪田さんの大声と共に、場がざわつく。へぇ・・・失われた記憶の中で『ミライ族』と面識があったのはボクだけじゃなかったのか

しかもボクとは逆に随分友好的な付き合いだったみたいだね

小泉「記憶を少し取り戻したってどういう事!?」

西園寺「モブはモブ同士波長が合うって所かな~?何か『ミライ族』って私達よりキャラ薄くてモブっぽいし?」

花村「か・・・和くんは僕達の味方じゃなかったの・・・?」

日向「気持ち悪い誤解の招き方は止めろ」

終里「敵になんのか?だったら心おきなくバトれるよな?」

弐大「お前さんという奴は・・・食事と戦い以外に何か無いのか・・・」

モノクマ「ちょ、ちょっと、ちょっとちょっとー!」

モノクマが騒ぎに終止符を打ったよ

モノクマ「もう・・・今からボクのイベントが始まるって言うのに、左右田君めぇ・・・雑魚の癖にボクを食おうとはやるじゃないか!」

セイバー「ざ・・・雑魚やとぉ!?」

そこでセイバーくんが怒るの?

モノクマ「雑魚だよ!ちょっと研究成果がモルディフって国に作った物が流出してあんな事になったぐらいでコロンと転落しちゃってさ~」

モノクマ「真の強者とは、自分の進む道の過程で人が何十人何百人死のうが意に介さない者の事を言うのさ!」

モノクマ「ホラ、豊臣秀吉ってサルとか、一体何万人の屍を越えて日本の頂点に立ったのでしょうね?」

七海「そんなの・・・ただの麻痺だよ。強さじゃない」

七海さんが毅然と反論した。それにまたモノクマが何か言おうとするけど・・・

エージェ「ま・・・待て!今、何と言った!?『モルディフに流出』!?」

エージェって人がさっきまでの仏頂面が崩壊する程焦って叫んだよ

コンサルト「ど・・・どうかしたのですか?」

エージェ「覚えてないか?流出した左右田の研究を扱った兵器を戦争に投入した国がどこか・・・」

テコンドー「確か・・・イリックじゃなかったか?・・・あれ?国間違ってるぞ」

ダブルス「モルディフはイリックの戦争相手ですよね?」

エージェ「いや・・・実はモノクマが合っているのだ・・・」

日向「どういう事だ?」

エージェ「あの動力システムの設計図が最初に流入したのは・・・モルディフだったのだ」

エージェ「だが・・・モルディフは材料収拾に難航し、手間取っている間にイリックのスパイに設計図を奪われ、映しを含め全てのデータを抹消された」

エージェ「そうして盗み出した後、イリックの兵器として世間に姿を現したのだ」

小泉「何でそんなに詳しいの・・・?」

罪木「そういう『超高校級』さんが居てもおかしくないのでは・・・?」

エージェ「そんな形だ・・・まさか人のふんどしで相撲を取るなど、そうそう外に出回る情報ではない・・・はずなのに・・・」

エージェさんはモノクマを睨んだ

エージェ「モノクマ・・・貴様がなぜそれを知っている!?」

・・・確かに・・・左右田クンが在学中にそんな事になっていたというのにも驚きだけど、それより何より、全員の視線がモノクマに集まった

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・ありがとうエージェさん!左右田君に向いてた注目を僕に戻してくれて!」

モノクマ「いや~気分が良いや!お礼にその件で何か聞きたい事があれば答えるよ!」

モノクマ「例えば~モルディフのどんな立場の人間が設計図を買おうとしたのか知りたい?」

モノクマ「なかなか兵器がモルディフで日の目を見ないまま完全機密事項だったのに、イリックがいつ嗅ぎつけたかも気になるかな?」

モノクマ「設計図を奪ったイリックのスパイの生涯も絶望的で面白いよ!」

次から次へと口を滑らせるモノクマの話そうとする内容で、全員が・・・このボクすら背筋を凍らせる

内容を話さなくても、エージェさんの問いの答えとして充分だった

日向「お前・・・だったのか・・・」

日向「左右田の動力システムを戦時中の軍に流したのは、お前だったのか!!」

エージェ「それだけでない・・・いつまでも兵器が作れないモルディフに業を煮やして、イリックにも流して兵器完成を早めたのか!!」

テコンドー「ひょっとして・・・製作者が左右田だって世界中に知れ渡ったのも、お前が意図的にやった事じゃあないのか?」

左右田「・・・!!?」

モノクマ「え?まだそこまで言ってなくない?ま、その通りだけど」

モノクマは大した事無さそうに答えるけど、いやいや・・・これ、とんでもない話じゃないの?

セイバー「ふざけとんのか貴様あああああああああああっ!!」

左右田「キ、キューマ・・・」

人の良さそうな表情が凄く歪んでるよ。でも負傷しているのか、その場に尻もちを付いて動けないみたいだ

セイバー「やったのはただの告げ口とでも思っとんのか・・・たったそれだけの事でどれだけの人が死んで、どれだけ和一が追い詰められたと思うとるんや!!」

小泉「嘘・・・でしょ・・・?」

辺古山「下郎・・・!!」

花村「何なんだよ・・・そこまで出来るなんて・・・何者なんだよ君は・・・!?」

西園寺「こんな奴に・・・私達なんかがどうやって太刀打ち出来るのよ!?」

正に阿鼻叫喚だねぇ・・・でも・・・でも・・・!!

狛枝「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

狛枝「すごい・・・すごいよ!まさか君が振りまく絶望が、そこまでの物だっただなんて!!」

狛枝「こんなとんでもない絶望を踏み台に成長した時、希望の皆はどれだけ大きく、崇高な姿に成長するんだろう!想像もつかないや!!」

罪木「ま、待って下さぁい・・・私達のような一介の高校生なんかが、相手になると思ってるんですかぁ?」

狛枝「当然じゃないか。絶望なんて所詮希望の踏み台。希望は絶望なんかに負けないんだ!」

九頭龍「どこから出て来んだそんな自信が・・・さすがの俺もここまでの下種見た事無えぞ・・・!!」

日向「相手になるならないの問題じゃない・・・絶対・・・負けられない・・・!!」

コンサルト「クリエイトさんに聞いたよりもずっとひどいじゃないですか!島の外に出られでもしたら・・・」

ダブルス「人類どころか地球が終わってもおかしくないです・・・」

メイド「モノクマ・・・貴様はこの島で永遠に眠らせる!!」

セイバー「もう怪我がどうこう言っとる場合やない!!『ビーチ・ボー・・・」

ガシッ

セイバーくんが『スタンド』の釣竿を振りかぶろうとするけど、田中クンが出したバジリスクが両腕を抑え付けた

田中「今の貴様は負傷、左右田を傷付けた憎しみ・・・とても万全とは言えん。ただ敗死するだけだ・・・犬死にして左右田を一人にする気か?」

セイバー「っ・・・くそっ!!」

田中クンったら止めるの?普通より火事場の馬鹿力を引き出したっぽい状態でどれだけやれるか見たいと思ったのに・・・

さっそうと現れて止めて・・・ソニアさんがキラキラした顔で見つめてるね

左右田クンがまた怒・・・らない?あれ?それどころじゃない?

左右田クンこそ絶望を与えられた張本人だから、この絶望を希望に昇華するべく行動を起こすべきなのになぁ

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・さて、全員揃ったね」

弐大「何をする気じゃあ・・・」

モノクマ「学園長の話は大人しく聞いてなさいよ!もう分かったでしょう?オマエラが息がった所で僕には逆らえないって」

弐大「ぐぅ・・・」

終里さんを抑え付けつつ、弐大さんは引き下がっちゃった

モノクマ「・・・ていうか、まだ気付かないの?もう話の種は用意してあるのに」

狛枝「そこの筐体の事だろう?ボクは気付いてたよ」

像がモノケモノになって散り散りになり何も乗ってない台の傍に、アーケードゲームの筐体が設置してある

モノクマ「そうそう!そこのアーケードゲーム!狛枝クンは優秀だねぇ」

モノクマ「絶望をむしろ奮起するためのステップアップにしようとするハングリーさ・・・他の雑魚に無い強者の資質だね!」

七海「強者じゃない・・・ただの狂人だよ」

モノクマ「水を挿すなぁ・・・君の好きなゲームだよ?」

七海「やるにはやるけど・・・それが次の動機でしょう?」

モノクマ「その通り!」

モノクマは楽しそうに発表した

モノクマ「タイトルはずばり!『トワイライトシンドローム殺人事件』!!」

モノクマ「あの名作をオマージュして、僕が作画、BGM、プログラム、デバックまで夜なべして作り上げた渾身の傑作だよ!!」

七海「うわぁ・・・汚された・・・」

七海さん、露骨に嫌な顔してるね

狛枝「・・・ん?あれ?シナリオは?」

モノクマ「良い所に気付いたね狛枝君!君は優秀だ!」

モノクマ「いやねぇ、事実関係の整理のために大まかには作ったけど、一からは作ってないよ。うぷぷぷ、なぜなら・・・」

モノクマはあくどい溜めを入れた

モノクマ「ま、なぜかはこのゲームをやってみればすぐ分かるさ!」

溜めを入れた癖にじらすねぇ・・・絶望的だ

ソニア「動機になるゲーム・・・殺意を刺激するサブリミナルでも仕掛けられているのでしょうか?」

田中「そんな物、『サバイバー』が充分役目を果たしているだろう・・・」

小泉「動機になるなら、やらなければ良いじゃない!」

モノクマ「え?やってくれないの?せっかく夜なべして作った自信作なのに・・・」

メイド「夜なべって・・・あなたが作っているのはゲームだけではないでしょう?」

モノクマ「ドキィッ!!」

例のクローンの話なら、全員が知ってはいる。そっちの方が脅威ではあるけど・・・

狛枝「ボクは反対だな。誰かがこっそり抜け駆けしてやるなんて簡単なんだよ?」

狛枝「その上プレイすれば殺意が湧く・・・そうなれば誰が誰に殺意を抱くか分からない状況になってしまう・・・」

狛枝「何より自分に襲いかかるかもしれない脅威に対して立ち向かわないなんて、そんなの絶望でしか無いじゃないか!」

十神「まともな事を言ったと思えば・・・」

澪田「最後の一言で台無しっす・・・」

狛枝「まぁ・・・そこまで言ったんだ。ボクはその内こっそりプレイしておく事をここに宣言するよ」

全員「!!?」

ボクの一言で全員が互いを見合わせる・・・

良いね、上手く他の人も抜け駆けするんじゃないかって心理誘導出来た。これで他にも誰かが手を出すだろう

絶望を打ち倒すのも良いけど、所詮絶望はどこまで言ってもただの踏み台

希望と希望のぶつかり合い・・・それが一番の希望への道だよね!ようやくボクの理想の状況になったよ

十神「・・・ならば俺が、狛枝が手を出さんように見張ろう・・・」

あ、ちょっと、十神クンったら何を水差してるんだよ!

十神「そうすれば狛枝は手を出せない。他の者も、早まるんじゃないぞ。わざわざ動機になると知って手を出す必要も無い」

小泉「そうよね!それが一番よ!」

田中「狛枝・・・知らぬが仏という言葉を知らんのか・・・手を出さない方が良い状況もあるのだ・・・」

まったく、分かってないなぁ・・・それともボクがおかしいのかな?一般論だと思って言ったんだけどなぁ・・・

日向「だったら俺達で勝手に手を出す奴が出ないか監視しとくか?」

モノクマ「ちょ、ちょっと!どれだけ手を出さないようにするのさ!!」

日向「ゲームごときで死なせるのもなぁ・・・」

モノクマ「そんな事をするなら、全員のコテージに一台ずつ置くよ!!」

ダブルス「激しく邪魔ですね・・・」

コンサルト「でも、それをされたら結局監視してないのと一緒ですね」

エージェ「様子見するしかないか・・・『コロシアイ修学旅行』に則るつもりなら、何らかの動きを見せるだろうしな・・・」



とりあえずそのまま夜時間も近付き、解散となった

さて・・・さっさとやりに行きたいのに、十神クンに彼のコテージに連れ込まれちゃった・・・

花村クンが白目剥いてまつ毛伸ばして「恐ろしい子・・・!」って呟いてたけど、別にそう言う意味じゃないからね!

ボクみたいなゴミクズが希望の生徒と一つになるなんておこがましい・・え?違う?

あ・・・そういえば解散する時、日向クンが何か言ってたようだけど、何だったんだろう?



日向「そういやあお前は知ってるんだったな?左右田の記憶が戻った事」

十神「ああ・・・その件で罪木に相談しようとした所に同行させてもらった」

日向「随分取り乱したそうじゃないか」

十神「・・・希望の学園が生徒を手籠めにするなど・・・あるはずがないだろう・・・」

日向「・・・・・・・・・・・・」

学園を信じ切っていて何を言っても無駄だと感じるが、日向は一つ伝える事にした

日向「・・・辺古山ペコ・・・」

十神「・・・!?」

日向「九頭龍組どころか希望ヶ峰学園の犬にまで成り下がった、己を『道具』とのたまう究極の責任放棄者・・・」

日向「希望ヶ峰の害悪と判断された対象を秘密裏に抹殺する任務を与えられた、『超高校級の剣道家』にして『超高校級の処刑執行者』の1人・・・」

日向「辺古山ペコに気を付けろ・・・」

十神「何を・・・言っている・・・?」

そう耳元でささやくと・・・そのまま日向はホテルを後にした・・・

=PM 10:30=

~ジャバウォック公園~

七海「さて・・・と・・・」

日向「やるのか?」

七海「そうだね・・・その後、一手動かして見ようと思ってる」

七海と日向が誰も居ないジャバウォック公園にやって来た

今から『トワイライトシンドローム殺人事件』をプレイし、どのように動機になるか見極めるつもりだ

七海「まぁ・・・動機になるって言うなら、理由は一つしか無いね。『動機になり得る現実で本当にあった事件の再現』・・・それがこのゲームだろうね」

日向「流石七海!スムーズに進むな!だけど・・・どうしていきなり2日目からなんだ?」

七海「それは今やってるのが『事件編』で、1日目の出来事が『解答編』で取り沙汰される内容だからだよ」

日向「成程・・・」

七海「・・・でもやっぱりと言うか・・・気付かない?このA子~D子の4人、どれも・・・」

日向「口調で分かるな・・・修学旅行参加者の中の4人だ。が・・・もう1人は誰だ?」

七海「希望ヶ峰学園の生徒が・・・殺された?不審者の仕業になってるけど・・・」

日向「動機になるゲーム・・・なら、それが真相じゃないという事だな?新聞の発表と違って実際は自分達が第一発見者だって言うし・・・」

七海「今度は4日目に飛んだ・・・あ、私達も知らないE子が殺された・・・え?ゲームオーバー?」

何がなんだかよく分からない内に終わってしまった

かと思いきや・・・

七海「ふむ・・・大したゲーム性の無さにがっかりするけど、『事件編』としての掴みは上々・・・じゃ、『解答編』いってみようか」

日向「え?お前、どうしたら『解答編』に行くのか分かったのか?解答編に関わるはずの1日目が最初から飛ばされてるのに・・・」

七海「ヒントはゲームオーバー画面だよ。他にも何か表示されてたでしょ?いきなり『解答編』に行かないための配慮だよ」

日向「確か・・・あっ、そういう事か!」

七海「では『解答編』行ってみよ~!」

七海はコントローラーである操作をする。すると画面が変わり、『真相編』と銘打たれた追記が表示された

七海「『解答編』じゃなくて『真相編』だったか・・・」

日向「ま、それはいいからやってみようぜ」



七・日「・・・・・・・・・・・・」

『真相編』を終えた2人は。ゲーム内で語られた希望ヶ峰学園殺人事件の真相に黙り込んだ。

日向「間違いなく・・・『あいつ』を狙い撃ちにした動機だな・・・」

七海「被害者になり得る人も、殺されても文句はあまり言えない真相だね・・・ただ・・・妙だよね」

日向「ああ・・・いくら『あいつ』がああいう奴だからって、そんな簡単にE子を殺しに行くのか?いくら最初の被害者の仇討ちでも・・・」

七海「・・・・・・・・・・・・日向クン、誰か見てないか見張っててくれる?」

日向「・・・七海?」

七海は近くのTVの近くで、例の不思議なキーボードを召喚した。それをTVに繋いでTV電話として使う。相手は・・・

ブロガー「はいはい・・・あらクリエイト。どうかした?」

そろそろ眠ろうとしていた、5の島に入るブロガーだ。七海は手早く現在の状況を説明した

七海「ちょっと私とあなたと2人で、さらなる真相を探りに行かない?外の情報が必要になりそうなの」

ブロガー「OK。モノクマも今は動く気が無い上私達も泳がせるみたいだし、暇だから手伝うわよ。その気になる事についての真実も知りたいし」

ブロガー「『レッド・ホット・チリ・ペッパー』!ネット世界をダイブし、クリエイトを導きなさい!!」

ブロガーの『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は、体内に七海の謎のデバイスを埋め込んで、島の外のネットワークへ旅立った

=30分後=

ブロガー「・・・チッ・・・」

七海「やっぱり・・・そうだよね・・・」

日向「どこまで腐ってんだ・・・!自称希望は!!」

3人はネットのとある場所から盗み出した、数分程度の『ある映像』を見終わった

ブロガーの機嫌が悪くなり、七海が俯き、日向は憤怒を木にぶつけた

七海「・・・やっぱり、一手動かさせてもらうよ」

七海はデバイスから映像をダビングしたCDを取り出し、筐体に仕込もうとする

??『止めるんだ!!』

突然どこからか、凛としているが幼げな声が響いた

七海「ああ、そっか・・・参加者は知らなくても、あなた達は見ているよね?」

一人の少女らしき人物が七海達の元に歩いて来た

日向「アルターエゴか・・・」

それはこの島の根幹『新世界プログラム』の管理人であるAI『アルターエゴ』が自分用アバターで島に降り立った姿だった

アル「千秋ちゃん・・・もう止めよう?こんな事して何になるの?」

七海「人を都合良く利用しようとしていた人が、気安く呼ばないでくれるかな?」

七海ははっきりと拒絶の意を示した

アル「せっかく皆を希望へと立ち直らせようと頑張って来たのに・・・千秋ちゃん、それを見せるつもりなの?そんな事したらどうなるか分からないはず無いよね?」

七海「・・・・・・・・・・・・」

七海は構わず、筐体にDVDを仕込み終えた

アル「千秋ちゃんっ!!」

七海「可哀そうだね・・・AIは決まった思考しか出来ない・・・だから自分がやっている事に疑問を持つ事も出来ない・・・矛盾があってもおかしいとも思えない・・・」

七海「当初の私もそうだったと思うと、ぞっとするよ」

七海の意志は変わらない。決心した強い眼差しを向ける

七海「あなたはさっき、こんな事して何になるんだって言ったけど、私も言わせてもらうよ。記憶を取り戻して、振り返ってみて出した結論を」

七海はアルターエゴの目の前に立ち、目を見て伝える

七海「あなた達のやろうとした事は、何の意味も無い!何の解決にもならない!!」

アル「な・・・にを・・・」

七海「『リセットボタンを押せばどうにかなると思った』なんて、最近の少年犯罪者の現実逃避の滅茶苦茶な理屈じゃん」

七海「データ消去?上書き?そうやってどうにか出来たつもりでも、根本的な解決にはなってないんだよ?」

七海「いや、むしろ責任を投げ捨てたのと同義・・・最悪の選択を強いているんだよ!本当の意味で罪を償う機会を奪ってるのと同じだよ!!」

アル「でも・・・それをやらなければ前にも進みようが・・・」

七海「やった所で、要は折り曲げられる前に戻っただけだよね?そんな状態で社会に戻したって、また同じ様に折れ曲がるだけだと、私は思ってる」

七海「『希望は前へ進むんだ』なんて大仰な決め台詞を吐く癖に、あなた達のやり方は、一歩も前に進んでないんだよ!!」

アル「っ・・・!?」

七海の怒りをはらんだ主張に、アルターエゴは圧倒される

七海は背を向けて筐体の前へ移動する

七海「だから私は、一手動かすの。向き合わなければならないんだよ。あなた達のやり方は、ただ向き合ったつもりにさせるだけ。永遠につもり止まりだよ」

アル「でも・・・そんな事したらそれこそ元の黙阿弥かも・・・」

日向「それがどうした?」

アル「どう・・・した・・・って・・・」

日向「俺達は最初から全員が復帰出来るなんてこれっぽっちも思っちゃいない」

アル「なっ・・・!!」

日向「俺達は嫌と言うほど知ってるからな。学園の中で本当に希望たりえた人間なんて一握りだって。『人類史上最大最悪の絶望的事件』の詳細を見ても分からないのかお前らは?」

日向「お前らもあれか?全部絶望のせいという事にして責任押し付けたいタチか?」

日向「ふざけんなっ!!ただの責任放棄だろうが!!」

日向も背を向け、拳から血がにじむ程握りしめる

日向「そして俺達にもまた責任はある・・・俺達の『生前の計画』が完遂出来れば、世界はこんな事にならなかったんだ・・・!!」

日向「だからこそ、俺達は責任を果たしたい。こんな島で遊んでいる場合じゃないんだ!!」

アル「・・・!!」

アルは日向の思いに、突然ひらめきが走る

アル「ま・・・まさか・・・君達の『目的』は・・・!!」

日向「さて・・・何かな?」

アル「そのためなら・・・皆が償う機会を永遠に奪っても良いの?」

日向「話を聞いてないようだな・・・俺達は最初っから全員がその償いが出来るなんてこれっぽっちも期待してないんだよ!」

日向「どうせまた折れて終わりだ」

アル「そんな事、君が断言する事じゃ・・・」

日向「出来るさ!その結果が『人類史上最大最悪の絶望的事件』なのだから!!」

アル「君達は・・・僕達の知らない何かを知ってるの?」

日向「いいや、お前達も本当は知ってるはずさ。知ってて認めたくなくて目を背けてるだけだ!」

アル「・・・・・・・・・・・・」

アルは捲し立てる言堂の数々に、何も言い返せなくなる

日向「今の所、見込みがあるのは左右田だけだ・・・元々経緯が経緯だし、それに本当はそろそろ全部思い出してるだろう」

アル「なっ・・・!!?」

日向「助かるのは、全てを突き付けられ、それでも折れまいと踏ん張れる人間だけであるべきだと思わないか?でなきゃ、また折れて終わりだろ」



~ダイナー~

『ミライ族』は男子はダイナー、女子は図書館で寝泊まりしている。ダイナーの男子の中に、左右田もセイバーによって連れ込まれていた

左右田「ぐがっ・・・ひゅぅ・・・ひゅぅ・・・」

左右田は激しい過呼吸に襲われていた。血が出る程体中を掻き毟る程苦しんでいる

力のあるセイバーが、何とか袋を左右田の口元で固定している。そしてテコンドーとダブルスも身体を抑えるのを手伝っている

テコンドー「ったくよぉ、俺すげぇ眠いんだけど・・・毎日続くんなら勘弁して欲しいんだけど・・・」

ダブルス「良いじゃないですか。左右田君だけじゃない・・・修学旅行参加者はきっと、乗り越えられたとしても一生まともな眠りに付けないでしょう・・・」

ダブルス「唯一の安眠は・・・死ぬ時だけです。ですがそれも、己の手では絶対にやってはいけない」

セイバー「和一・・・頑張ってくれ・・・もう、負けたらアカン!!」

セイバーは涙を流しながら、激励を続ける

左右田の目からもまた、涙が絶えず流れ続けていた・・・

=5日目 終了=

希望の生徒達

狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :???
澪田唯吹  :???
小泉真昼  :ハーミットパープル
ソニア   :ラブ・デラックス
田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:リトル・フィート
九頭龍冬彦 :???
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :???
終里赤音  :クラッシュ

モノミ   :カリフォルニア・キング・ベッドちゃん

???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
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→『ミライ族』へ

左右田和一 :ナット・キング・コール



絶望集団

モノクマ :ホワイト・スネイク

???  :???
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???  :???

???  :???
???  :???
???  :???



第三勢力・『ミライ族』

日向創  :マッチボックス・トゥエンティ(同値の2つの入れ替え)
七海千秋 :メン・ウィズアウト・ハッツ
テコンドー:ボーン・ディス・ウェイ
ブロガー :レッド・ホット・チリ・ペッパー
???  :???
コンサルト:ハーヴェスト
セイバー :ビーチ・ボーイ
エージェ :メタリカ
ダブルス :シルバーチャリオッツ
???  :???
???  :???
メイド  :ヨーヨーマッ
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
ガードマン:???
???  :???

~おまけ~ もし『ミライ族』が固有スキルを持ってたら その1

『ミライ族』が学級裁判発生を回避するため、学級裁判が起こらない。そのため学級裁判で使うスキルは無い
各人のスキルは(非)日常編やアイランドモードで使える物になる

テコンドー:『超高校級のテコンドー家』
スキル『ロードワーク』
万歩計が1歩を2歩分と認識し、ペットの成長を2倍に速める

コンサルト:『超高校級のコンサルタント』
スキル『プランニング』
おでかけの際、3分の1の確率で高感度が最も上がる選択肢にマーキングされる
アイランドモードで使用

セイバー :『超高校級のライフセイバー』
スキル『フィッシング』
モノモノヤシーンで、持ってないアイテムだけ出るようになる

エージェ :『超高校級の工作員』
スキル『綿密な捜索網』
シャカリキ状態の生徒が採取で課題に必要な素材を得る確率が上がる
アイランドモードで使用

ダブルス :『超高校級のダブルスプレイヤー』
スキル『ペアグッズ集め』
モノモノヤシーンで、既に持っているアイテムだけ出るようになる

メイド  :『超高校級のメイド』
スキル:『淑女的厳選』
プレゼントを渡す際、高感度が上がるアイテムにマーキングされる

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今回はここまで

いや~いままで全員の『スタンド』紹介にダブルスを忘れてました。申し訳ない



次回、chapter2非日常編が近付く・・・

今回は筆が進んだので早めの再開。カゲプロの曲流しながら投下していきます

――絶望が、動き出す

=============================

=6日目 AM 7:10=

~ホテルみらい 十神のコテージ~

あ~あ・・・結局十神クンのありがたい講義を徹夜で聞かされて、寝ている間に抜け出す作戦すら出来なかった・・・お陰で寝不足だよ・・・

グロッキーなボクの様子に今日は何も出来ないだろうと十神クンはさっさと朝食に行っちゃって置いてかれちゃったよ・・・

ゲームがどうなったのか気になるんだけどな~・・・あれ?

狛枝「九頭龍クン?どうかしたの?」

九頭龍「んだよ・・・何か用か?」

狛枝「いや、君が植え込みをまさぐってるから気になって・・・何か落し物でもしたのかい?」

九頭龍「テメェには関係無えだろうが!終里や弐大といい、おせっかいな奴らだぜ・・・テメェの落しモンぐらいテメェで探せらあ!!」

怒って行っちゃったよ・・・気に障ったかな?1人より大勢で探した方が早く見つかると思うんだけどなぁ・・・

さて、どうしよう?朝食に出ようか・・・あ、その前に家主が居ない隙に十神クンの部屋で見つけた『コレ』を一旦ボクの部屋に移そうか

なんて呑気に考えてたけど、この時のボクは全く気付かなかったんだ。既に事態は、絶望に向けて動き出しているという事に・・・



~ジャバウォック公園~

小泉「はぁ・・・はぁ・・・」

『トワイライトシンドローム殺人事件』を『真相編』までプレイし終わった小泉は、真っ青になった



誰にも明らかだった。この動機で被害者になり得るのは、自分だと



そもそもプレイしたのは、朝ポストに謎の封筒が投函されていた事がきっかけだった

『ゲームをやれ。その後DVDを見ろ。自分がどれだけ罪深い事をしたか良く分かる』

封筒に同封された手紙にそう書いてあった

小泉「いくら記憶を消されて身に覚えが無いとしても、償いはしなくちゃいけないと思う・・・でも・・・それは『あいつ』だって・・・」

小泉「謝れば・・・『あいつ』だってちゃんと償ってくれるよね」

そう思おうとするが、1人で抱えきれそうにない小泉は自分以外の登場人物に相談を持ちかけようとする

そんな弱い彼女は、事件が現実だと知らしめる写真などの資料を見るだけでおなかいっぱいで、さらなる絶望を内包したDVDに手を出せるはずが無かった・・・

澪田「あ、真昼ちゃん、海水浴の話は聞いてるっすか?」

小泉「海水浴?」

罪木「辺古山さんが誘ってくれたんです。お呼ばれしちゃいましたぁ」

ソニア「小泉さんにはまだ話が行ってないなら、一緒にいかがですか?」

小泉「あ、いや・・・私はやる事があって・・・」

澪田「そうっすか~残念っす」

ソニア「でも女子全員を集めて女子会みたいにしようかって話になったんですが、用事があるのなら後日にしましょうか?」

小泉「い、いいよ!私だけの事情で中止にするなんてもったいないよ。楽しんで来てね」

ソニア「そうですか。午後からの予定なので、用事が終わったら途中参加も歓迎ですからね」

小泉「うん、じゃあまた・・・」

小泉は女子の集まりから抜けた

小泉「・・・唯吹ちゃんと蜜柑ちゃんは駄目・・・か・・・後は日寄子ちゃんしか居ないなぁ・・・」

小泉はがっくりとうなだれて西園寺を探す

『トワイライトシンドローム殺人事件』A子~D子の4人は、罪木、西園寺、澪田、小泉の4人だった

そしてゲームの4日目で殺されたのは小泉と仲が良かったらしいサトウという少女

動機は1日目に殺された別の少女の仇討ち・・・その少女と3日目で登場したサトウ殺しの犯人と思われるF男は、同じ名字だった

サトウは1人の少女を殺し、その肉親に殺されたのだ

そして小泉は残る女子4人の中で、致命的な形で事件に関わっていた・・・

西園寺「海水浴~?聞いてないけど、お姉も行くの?」

小泉「いや、私はちょっと用事があって・・・」

西園寺「お姉が行かないんならつまんなさそうだし、参加しな~い!」

小泉「・・・! あ、あのさ、相談があるんだけど良いかな?」

西園寺「あ、グミ切れた。またマーケットから取って来なきゃ。お姉も一緒に行く?道中ででも相談聞くけど」

小泉「いや、また後にしましょう。誰に聞かれても良いって話じゃないから・・・」

西園寺「ふぅん・・・じゃ、後でね~」

呑気にグミを取りに行った西園寺を見送った後、小泉は腰砕けになる

小泉「分かってる・・・先延ばしにしてるだけだって・・・多対一は卑怯だって・・・でも・・・」

『コロシアイ修学旅行』の真っ最中だ。『殺される』という単語が小泉の頭から離れない。ましてや自分に殺される理由があると知れば尚更だった・・・

・・・2人の相談を物陰から聞かれていると気付かない程、小泉は精神的に参っていた・・・

30分程その場にへたり込んだ後、よろよろとコテージに戻って来る

小泉「日寄子ちゃんとの集合いつにしよう・・・あら?」

ポストにまた何か投函されていた

小泉「また・・・犯人からの脅しが・・・」

恐る恐る覗いてみると、かわいらしい便箋が入っていた。差出人は西園寺っぽい

小泉「日寄子ちゃんかな?どうして手紙なんか・・・直接会えば良いのに・・・」

コテージに入って手紙を読み上げる

『お姉、大変だよ!私、なんだか尾けられてる感じがする・・・誰かが私達が会うのを邪魔しようとしてるかも!だから手紙で都合の良い時間を知らせるよ
 チャンドラビーチのビーチハウスに14:30に集合で良いかな?
 邪魔されないように、時間までお互い会うのも止めとこ!待ち合わせの事も内緒だからね!
                         西園寺 日寄子』

小泉「邪魔!?一体誰が・・・『あいつ』かしら?でも、日寄子ちゃんが機転を利かせてくれて助かったかも・・・」

小泉は手紙の内容に脱力し、素直に従う事にした。
普段しっかり者のはずの小泉は精神的に極限に追い込まれ、本来疑うべき物にも思考が向かなくなっていた・・・

=PM 2:00=

~チャンドラビーチ~

ここはこの後4時頃から女子会を兼ねた海水浴が行わる予定だ

少しはリラックスしたいから協力しろと、『ミライ族』も周辺から無理矢理立ち退かされた。近付くのも禁止らしい

セイバーが「お、俺の釣りスポットがあああああああああ!!」と叫んでいたが、そんな叫びも虚しく耳を貸されない

そんな訳で人払いされているチャンドラビーチに、なぜか西園寺がやって来た

西園寺「お姉ったら、わざわざ人払いされたのを利用してまで2人っきりでする程の話って何なんだろう?」

西園寺は手元の手紙を改めて読んだ

『日寄子ちゃん、グミは見つかったかしら?

それはそうとさっきの相談の件なんだけど・・・私、なんだか尾けられてるみたい・・・ひょっとしたら私達が会うのを邪魔しようとしてるのかも

だから隙を見て投函するこの手紙で集合時刻と場所を伝えるね

 チャンドラビーチのビーチハウスに14:00に来て。女子の貸し切りにするために『ミライ族』の人達まで人払いされてるみたいだから丁度良いわ

 邪魔されないように、時間までお互い会うのも止めましょう。待ち合わせの事も内緒にしてね

                         小泉 真昼』

それは小泉に届いた西園寺名義の手紙と内容がほぼ一緒だった。そして小泉も西園寺も、そんな手紙を書いた覚えは無い

そう・・・その手紙は罠だったのだ。盗み聞きしたグミの件を入れる事で、西園寺に本人からの手紙だと信じ込ませる周到さが光る

西園寺「お姉~?がふっ!!」

西園寺はビーチハウスにトンネル側から入った途端、扉の後ろに隠れていた何者かに首の後ろを殴られる

その衝撃で脳震盪を起こし、西園寺は意識を手放した・・・

何者かはビーチハウスの倉庫へと西園寺を運び込んだ

そう・・・西園寺に罪を着せるために



=PM 2:30=

~チャンドラビーチ~

そしていよいよ命を狙われている小泉が、殺人プランを組み上げ終えている犯人の元に、蛍光灯に群がる蛾のように罠にかかりにやって来た

小泉「日寄子ちゃ~ん、居るの・・・!!」

ビーチハウスに入って部屋の中央まで歩いて横を向くと、小泉を死に至らしめようとしている相手が・・・『あいつ』が居た

すぐに逃げようとするが、振り向きざまに両足に激痛が走った

小泉「がはっ!!?」

その場に倒れて立てなくなった小泉は、足元を見る

棒が通ったかのような穴が、両足に空いていた。それに茫然としていると、相手は小泉をトンネル側の扉まで引きずって行った

小泉「あ・・・あんたどうして・・・」



小泉「どうして銃なんか持ってるのよ、九頭龍っ!!?」

小泉は顔を真っ青にして、『あいつ』こと九頭龍冬彦に叫ぶ

その手には一般的な型の小型拳銃が握られていた

九頭龍「ああ、これか?俺の『スタンド』を扱うのに必要な物品として、モノクマが例のスタンド説明書と共に置いたやつだ。いかにも『超高校級の極道』らしいだろう?」

小泉「モノクマが・・・!!?」

凶器まで用意してコロシアイさせたい周到ぶりに、背筋が凍る

小泉「馬鹿・・・そんなあんたしか持ってない凶器を使ったら、すぐ足が付いて・・・」

九頭龍「大丈夫だ。西園寺は既にそこの倉庫に寝かせてある。西園寺に持たせて一発海に向けて撃って、硝煙反応も出るようにしておく予定だ」

小泉「硝煙・・・反応?」

九頭龍「銃を撃つとあらゆる成分の煙が噴き出して体に付着する。その付着物が付いているかどうかで銃を撃ったかどうかが分かっちまうんだ」

九頭龍「あいつがそもそもそれを知ってるとも思えねぇし、知っててもテメェに頼らねえと着替えられねぇ西園寺は硝煙反応を隠せない・・・良い案だろ?」

九頭龍「こういうトリックでほころびになりがちなのは撃った回数だが、既に小泉の後ろに打ち損じを一発用意しておいてから弾を再装填したから、撃った弾数の誤差もクリアだ」

小泉がちらりと横を見ると、壁に一つ銃創が出来ていた

銃を良く知る者ならではの周到なトリックに舌を巻くが、既にトリックの準備をしているという事は、小泉を殺す事が決定事項である事を示している

九頭龍「なぜ銃を西園寺が持っていたかという点もぬかり無え。万が一俺の物だとばれても、何かを探している様子を終里、弐大、狛枝に見せ付けてやった」

九頭龍「あとはその探し物が銃で、西園寺が拾ったんだと結論付けてくれるさ」

狛枝が今朝見た九頭龍の様子は、犯行の下準備だったのだ

九頭龍「それだけじゃねえ。テメェをその扉の前で殺せばそっちからの出入りは不可能だ。どかそうにも服に血が付く。これもまた西園寺は隠せねぇ」

九頭龍「となると西園寺が出る選択肢は砂浜に出る出口しか無え。人払いされて誰も居ない砂浜に、西園寺の足跡だけが残される」

九頭龍「テメェが最期の力でその扉の前に陣取り、西園寺はそっちからしか出られなくなっちまったって筋書きだ」

小泉「あ・・・あんたは・・・どう脱出するつもりなのよ・・・」

九頭龍「テメェが心配する事じゃねえよ」

既に九頭龍はシャワールームの天窓に外から縄を通して室内に垂らしている。それを利用して脱出する算段を整えていた

小泉「あの手紙も・・・あんたが・・・」

九頭龍「ああ。当然西園寺を呼び出すのに使った分は処分済みだ」

九頭龍「テメェを呼ぶ手紙・・・足跡・・・硝煙反応・・・これだけ物証が揃ってりゃあ、西園寺がクロと結論付けてくれるだろうぜ」

九頭龍「ここが人払いされているのを好機に、俺の凶器で俺に罪をなすりつける犯行に及んだが、あまりにも杜撰な殺しをしたってなぁ!!」

小泉「っ・・・!!」

小泉は、違和感すら感じる九頭龍の殺意に身震いする

自分の目は節穴だったのか・・・小泉は九頭龍がここまで周到に計画して、しかも極道とはいえ簡単に殺しに手を染められる人間だとは、全く思っていなかった

たとえ『トワイライトシンドローム殺人事件』で九頭龍が既に1人殺していると知っても、それは衝動的な殺意で、心のどこかで後悔しているかもしれないとさえ考えていた

もし自分の目が曇っていないとしたら、九頭龍をここまでの殺人鬼にしたのは・・・

小泉「やっぱり動機はあのゲーム・・・?」

九頭龍「分かってるはずだよなぁ?やれっつったからよぉ!」

九頭龍「俺の妹は・・・『超高校級の妹』として希望ヶ峰に入学し成功を約束されたはずの九頭龍夏美は・・・」

九頭龍「テメェと佐藤に殺された上、その真相すら闇に葬られたんだ!!」

小泉「っ・・・!!」

小泉は『トワイライトシンドローム殺人事件』を振り返る・・・



真相編1日目、小泉達は何かが割れた音を察知して音楽室に入る。そこに九頭龍夏美の死体があった。窓が割られており、犯人はそこから入室直前に逃げたと考えられていた

部屋は鍵がかかった密室の上、1人が鍵を取りに行っている間他のメンバーが入口にずっと居た。故に他の脱出経路は無いはずだった

しかしそれは仕組まれた発見で、その時聞いたのは隣の部屋の花瓶の割れた音だった

花瓶を割った後すぐに音楽室の前のメンバーに姿を見せる事で、自分に脱出して帰って来る時間が無かったというアリバイを作ったのだ

九頭龍夏美は、もっとずっと前に殺されていたのだ

意識を誘導して全員に黙っている事にさせる事で、その時すぐに通報していれば気付けた死亡推定時刻の誤差も消滅した



それらを仕組んだ犯人は、音が響いたその時に居なかった佐藤・・・



ゲームの中の小泉は帰り際に隣の部屋を覗き、割れた花瓶を発見していた。写真も撮っていた

そして警察が去って落ち着いた3日目、意を決して小泉は佐藤を追求する

白状した佐藤の動機は、夏美による親の権力を利用したパワハラ・・・しかもそれは小泉に向けられていた物らしい

小泉を助けるつもりだったが、ついに我慢の効かなかった佐藤は首を絞めて気絶させてしまう

その時は息を吹き返せたが、もし彼女の目が覚めたらどうなるか・・・その先を恐れた佐藤はそのまま夏美を殺害したのだった

それを聞いた小泉は・・・あろう事か、花瓶の写真を破り捨てた。今聞いた真相を葬り、佐藤を庇う事にしたのだ

小泉は最初からそのつもりだったのだろう。追及の前・・・発見直後に花瓶も片づけて証拠隠滅していた

2人が去った後、ゲームではF男名義となっていた九頭龍が2人を不審に思い、何を捨てたか調べた

そして花瓶の写真だと知り、真相に気付く。その後に九頭龍は・・・



九頭龍「テメェは自分のためを思った親友を庇ったつもりだろう・・・だがお前のやった事は、人1人殺した殺人鬼を野放しにするようなモンだろうが!!」

九頭龍「夏美はもう何も出来ない・・・幸せにもなれない・・・」

九頭龍「なのに夏美を殺した佐藤はのうのうと生きていて、あろう事か希望ヶ峰学園の生徒故に成功への道が保証されてんだぞ!!」

九頭龍「小泉ぃ・・・テメェは自分が直接殺しには関わってねぇからセーフだとでも思ったか?同罪に決まってんだろ!!」

九頭龍「殺られたら殺り返す・・・俺が生きているのはそういう世界だが・・・それだけじゃねえ・・・」

九頭龍「人を殺してもそれを何とも思わず成功の道を歩もうとするテメェらの道を絶たねぇと、夏美は浮かばれねぇだろうが!!」

九頭龍は妹を殺された怒りを、小泉にぶつけ続ける。小泉は受け止めながらも、それでもやはり言いたい事があった

小泉「じゃあ・・・やっぱりあんたは佐藤さんを、殺しちゃったの・・・?」

九頭龍「だったらどうした・・・」

小泉「確かに妹さんを殺されたのはひどいよ・・・不幸だよ・・・でも、殺す必要なんて無かったはずだよ!そんなの、あんただって道を絶たれるじゃない!!」

小泉「あんたにそんな権利無いはずだよ!そんな事を夏美さんが望んだの!?」

小泉「他人の罪を裁くなんて・・・そんな権利なんて誰にも無いんだよ!復讐なんて・・・間違ってるよ!!」

そのまま激昂した九頭龍に殺される覚悟で、小泉は言い切った。死を覚悟し、目を瞑る

しかし、一向に銃声は鳴らない

小泉が恐る恐る目を開けると、九頭龍は白け切った表情をした

九頭龍「テメェ・・・DVD見てねぇな?」

小泉「え・・・?」

九頭龍「そんな杓子定規な綺麗事で俺が止まるとでも思ってたのか!?あれを見てまだそんな口が利けるってんなら、テメェの言ってる事はただの命乞いだ!!」

小泉「な、何・・・?何だったの・・・?」

小泉は混乱を始めるが、火に油を注いだ事だけは理解した

九頭龍「本当に見てねぇのか・・・なら仕方無え、万が一のために用意したのが本当に必要になるとはな・・・」

九頭龍は懐からDVD対応の携帯テレビとDVDを取り出した

小泉「なんであんたが持って・・・」

九頭龍「テメェにくれてやったのは焼き増しだ」

小泉「何が映ってるの・・・?」

九頭龍は黙って準備をし、再生直前に口を開く

九頭龍「・・・犯行の瞬間だ」

小泉「な、何ですって!?」

九頭龍「どういう経緯か知らねぇが、録画しっ放しのカメラが放置されていたようだ」

そう言って再生された映像は、確かに90度回転していて、録画に気付かず放置されたような映像だった



小泉「え・・・?」

まず最初に映っていたのは九頭龍夏美1人だった。だが、この時点でおかしい

佐藤の動機は夏美のパワハラを止めようと説得した末の衝動殺人。ならば佐藤が夏美を呼んで事件に発展したという経緯の方が自然なはずだ

夏美『来たわね・・・』

佐藤『何よ・・・急に呼び出して・・・まさかまた真昼ちゃんの事で因縁つける気?』

夏美『・・・確かに、私は小泉先輩の写真の腕に嫉妬してるわ。先輩や兄貴が1年遅れで同時入学になって同学年になった今でも・・・』

夏美『いや、だからこそ対抗心と言う名の嫉妬が燃え盛ってるのは分かってる・・・どちらにしろ嫉妬で、褒められた感情じゃないけどね』

小泉「は・・・?」

『トワイライトシンドローム殺人事件』で思い描いていた横暴な人物像と掛け離れた台詞が、次々と夏美から飛び出して来た

夏美『でもねぇ・・・たかが本人への悪口だけじゃない!親の権力を良い事にやってる?私、親の権力なんて振りかざした事は一度も無いわ!』

夏美『蔭口や親の脛かじりなんて小物のする事よ!そんな行為、九頭龍組の娘として恥以外の何物でもないわ!!』

小泉「え・・・?」

夏美のパワハラは、ただ小泉本人に悪口を言ってくるだけだったらしい。親の権力を笠に着た横暴も、こちら側の勝手な解釈だと言う

だったら、どうして佐藤の殺人なんかに発展したのか・・・まるで理解出来なくなった

夏美『そう言えばもう分かるよね?あんた本人に用があるって』

佐藤『な、何よ・・・真昼ちゃんと手を切れとか言って来るんじゃないでしょうね?』

夏美『そういう卑怯な手は使わないって今言ったでしょうが!!』

佐藤『分からないわよ!極道者なんて、裏で何をしてるか分かった物じゃないじゃない!!』

小泉は、その偏見と被害妄想が高じた末の事件だったのだろうかと新たに考える。ならば、この復讐も少しがけ正当性が・・・

夏美『あんたさぁ・・・いつまで良い子ぶってるつもりなの?』

などと考えていた小泉の思考の道筋が、夏美の一言で砕け散る

佐藤『良い子ぶってるって何よ!私にまで嫉妬・・・を・・・』

夏美が懐から取り出した物を見て、佐藤の顔色が変わる

夏美『これ・・・虎徹組のケチな下っ端がこっそり売りさばいていた麻薬なんだけどさぁ・・・あんたのだよね?アンタの荷物に紛れているのを見つけたんだけど・・・』

小泉「ま・・・麻薬!!?」

小泉は予期出来るはずも無かった超展開に空いた口が塞がらない

夏美『警察に引き渡す前に吐いて貰うよ!どこでこんな物に手ぇ出しやがった!!』

夏美の要件は、佐藤が手を出した麻薬の入手経路だったのだ。追及する夏美の表情は、まさに九頭龍組の跡取りの一人に相応しい面構えだった

しかし突然具合が悪くなった佐藤の様子を見て、面構えが解ける

夏美『あんた・・・素人がヤクなんかに手ぇ出すから・・・ぐふっ!!?』

介抱しようと近付くと、夏美は強い力で吹き飛ばされ、倒れた彼女の上に佐藤が馬乗りになる

そして、ゲームで白状した通り首を締め始めた。ただし、目を血走らせた本気の殺意を伴って

佐藤『うっぜえんだよ!!毎日毎日毎日毎日課題課題課題課題課題!!『超高校級の経営者』なんて才能をさらに発展させるためだか何だか知らねぇけど、休む暇も無い生活!!』

佐藤『麻薬でも無きゃやってらんねえだろうがよぉ!!』

彼女の姿に、ゲームで小泉に白状した口調に感じられるしおらしさなど、どこにも無かった

夏美『やめ・・・ろ・・・この上さらに罪を・・・重ねる気・・・か・・・?』

佐藤『はっ!テメェ1人殺った所でどうって事無えんだよ!!私は目を掛けられた分時期が早かったが、来年まで生きてりゃあんたも嫌でも分かっただろうよ!!』

佐藤『私は『超高校級の経営者』様なんだ!希望ヶ峰が守ってくれる!!』

佐藤『ちょっとそこらを騒がせる不審者のせいっぽく仕立てりゃあ、真相に気付いたってそういう事にしてくれるだろうよぉ!!』

佐藤『なんてったって、私は学園が喉から手が出るほど欲しがる『希望の才能の持ち主』なんだからなぁ!!』

佐藤『将来のために普段から良い子ちゃんやってるから、あのお人好し馬鹿のあんたの先輩始め、誰も私が殺したなんて信じないだろうしねぇ!!』

夏美『愚・・・かな・・・そんな事あるはずが・・・』

その言葉を最後に、夏美は気を失った・・・

佐藤『まだ息があるか・・・ちゃんと息の根止めてやらねぇとな・・・かといってこのまま首絞め続けるのもだりぃし・・・そうだ!確実に不審者って思ってもらえるなら・・・』

しばらく夏美が放置された後、帰って来た佐藤はスクール水着を持って来た。ゲーム内では犯人の不審者に盗まれたとされていた水着を

そしてそこに水槽の砂利を詰め、夏美の頭を渾身の一撃で殴りつけた

血まみれになった夏美は、2度と目を覚ます事は無かった・・・

その後窓を割るなどという偽装工作が成された後、再び佐藤は部屋を去る

その後映像に変化は無く九頭龍は早送りをした。すると・・・

小泉「!!!」

罪木『ひゃああああっ!ち、血まみれですぅ!!』

澪田『し、死んでるんすか?』

西園寺『おいゲロブタ、確認しろ』

罪木『は、はいぃ・・・』

小泉『ど、どうなの?』

罪木『し、し、し、死んでますぅ!!!』

佐藤『いやああああああああああああああああっ!!』

小泉「蜜柑ちゃん、唯吹ちゃん、日寄子ちゃん・・・それに佐藤さんに・・・私!?」

自分達が死体を発見する場面までも映像に残っていたのだ

佐藤はこうやってみると、本当についさっき夏美を殺したばかりだとは思えない程、普通の少女を演じていた

しかし、小泉は気付いた。その後死体発見を黙っていようという議論も見事に佐藤に誘導されて決まった事に・・・

そして映像の最後に見てしまった。全員で部屋を出る際に最前列に居た佐藤が、全員から顔を背けた途端に犯罪者特有の悪どい笑みを浮かべたのを・・・

5人が去った15秒後、映像は停止した



小泉「あ・・・ああ・・・」

九頭龍「分かったか・・・テメェがやったのは友達思いの親友を庇ったなんてモンじゃ断じてねえ!テメェに言った動機は全部嘘っぱちのデタラメ・・・」

九頭龍「その女は自分の悪事を隠すために夏美を殺しやがったんだ!!」

小泉「いやああああああああああああああああああああああああっ!!」

小泉の絶叫が鳴り響くが、誰も居ないはずのビーチに駆けつける者は居ない。倉庫の西園寺も、まだ目を覚まさない

他人の罪を裁く権利は誰にも無い。復讐は間違っている。小泉はさっきそう言った

だが、これ程の歪んだ殺人犯を裁く権利すら無いなら、この世は犯罪者の天国だ

被害者の夏美には何の非も無かった。完全に佐藤の方が悪だ。野放しにしてはいけない程の悪だ

なのに小泉はそんな佐藤の嘘にたぶらかされて証拠を隠滅し、彼女を野放しにしようとしていたのだ

友情も何も無い。小泉がただ愚かだったというだけだった

いや・・・たとえ小泉に伝えた通りの動機でも、犯罪は犯罪。小泉のした事は被害者の全てを蔑にして踏みにじる最低の行為だったと、小泉は今更理解した

九頭龍の打った手も正しくないが、小泉自身もまた、正しくもなんともなかった

九頭龍が白けるのも当然だ。どの口で九頭龍を非難できるのやら・・・

だが、それでも・・・

九頭龍「ならどうして司法の裁きに委ねなかったんだ・・・って言おうとしてるだろ?」

小泉はギクリと硬直する

九頭龍「俺はDVDを見て佐藤の行為にブチ切れた時・・・事件の事を全部思い出した。なぜ俺が佐藤を殺害するに至ったか・・・その後の事も・・・!」

小泉「なっ・・・!!」

九頭龍の表情がさらに怒りに歪む

九頭龍「最初は俺も佐藤を捕まえて欲しいって思ったさ。写真をテープで復元して、先生に手渡した。推理も全部伝えた!!」

小泉「ならどうして・・・」

九頭龍「ペコと2人で寄宿舎に帰った後・・・ペコの部屋を訪ねたら、ペコは何かの切れ端を眺めていた」

九頭龍「それは焦げ跡の付いた写真の切れ端で、風で飛んで来た物を拾ったと言っていた」

九頭龍「その切れ端は奇跡的に撮影時刻が秒数まで印字されていた・・・俺が先生に渡した写真と寸分違わねぇ時刻・・・背景も全く一緒だった!!」

小泉「ま・・・まさか・・・」

九頭龍「ペコがそれを拾ったのは先生に写真を渡した僅か20分後・・・先生は・・・警察に伝えるどころかすぐに焼却処分しやがったのさ!!」

小泉は理解が追い付かない。希望の学園が、犯罪を隠蔽しようとした・・・あってはならない事のはずだった

だが、推理を伝えたという事実と発見時刻の早さから、何らかの手違いのはずがなかった

小泉「ど、どうして・・・」

九頭龍「どうして?佐藤が自分で言ってたろうが!」

九頭龍「犯罪を犯した所で、希望ヶ峰が守ってくれる。自分は学園が欲する才能の持ち主だからってなぁ!!!」

小泉「・・・!!」

小泉は希望ヶ峰学園の狂気の一端に触れて鳥肌が立った

犯罪を犯していようが、学園は死んだ希望より生きている希望を選んだのだ

九頭龍「当時はそこまで分からなかったがよぉ・・・もう証拠は何も無ぇ・・・警察の見解も確定・・・佐藤は逃げ切ったんだ!!」

九頭龍「その上で希望ヶ峰も捕まえる気が無いんだったら・・・もうどうにもならねえだろうが!!」

証拠を隠蔽してまで、希望ヶ峰は佐藤を守る道を選んだ

九頭龍に与えられた復讐のチャンスは1度。2度目を許す様な学園ではない

もはや殺人という罪深い手を選ばなければ、泣き寝入りするしか無かったのだ

九頭龍「小泉ぃ・・・テメェもあの時死んでるはずだった。だが佐藤の時点でばれちまったため、学園に拘束された」

九頭龍「佐藤の例もあるから極刑になるとは考えてなかったが、テメェへの復讐はあきらめるしかないかと観念した」

九頭龍「・・・だが学園は、佐藤は守る癖に俺は躊躇無く警察に引き渡そうとしたんだ!!」

小泉「・・・・・・は?」

佐藤の事件は佐藤本人が死んだ後、さらに混沌と絶望に満ちた方向へ進んで行く

九頭龍「理解出来なかった。叫んだに決まってんだろ!『妹を殺した佐藤は守る癖にどうして俺だけ!!』って!!」

九頭龍「それからがさらに傑作さ!親父が呼ばれて俺抜きで事情が説明された・・・説明を聞いた親父はどうしたと思う?」

小泉「そりゃあ暴力団の人だし、脅してでも九頭龍の罪を軽くさせようと・・・」

九頭龍「逆さ!俺を勘当したよ!!しかも『夏美の分もしっかり償え』って言って来た!!」

小泉「え・・・夏美さんを殺したのは佐藤さんのはずじゃ・・・」

九頭龍「後取り騒動とか尤もらしい理屈付けて、夏美殺しも俺に押し付けたのさ!さらに笑える事に・・・親父は俺より学園を信じたのさ!!」

小泉「そ・・・そん・・・な・・・」

やり口が汚すぎる。要するに全部の罪を九頭龍におっ被せたのだ。きっと不審者の仕業にしてもトリックに気付く人物が出るだろうと考えたのだろう

しかも九頭龍の父親が息子より学園を信じたと言う事から、即興ながらも相当に周到な『嘘』をでっちあげたのだろう。才能の集まる学園ならそれも造作ないかもしれない

九頭龍「学園が、家が・・・全てが俺たち兄妹を見捨てた!だから、逃げた。逃げ切れるとも思ってねぇ。せめて共犯のテメェだけは道連れにしてやりたかった!!」

小泉「!!」

九頭龍「だが、普段から持っていた護身用の刃物でテメェを刺す直前に、また捕まった・・・その時はテメェの復讐は不発に終わった・・・」

小泉「・・・!!!」

そう言って歯ぎしりをする九頭龍の表情を見て、小泉の頭に電流が走る



西園寺『あれ?チビじゃない。こんな所でなにしてるんだろ?』

澪田『あ、こっちに気付いたっすよ!』

罪木『こっちに来ます・・・あ、あれ?走って来ますよ?どうしたんでしょう?』

澪田『何か持ってないっすか?』

西園寺『あれは・・・は、刃物!?』

九頭龍『小泉いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!』

小泉『!!!』

今と全く同じ表情の九頭龍のアップで、小泉の頭に浮かんだビジョンは終わる



小泉『う・・・げろぉ・・・』

小泉は九頭龍に殺害されかける瞬間がフラッシュバックし、その場に嘔吐した

九頭龍『だが・・・運命ってのは絶妙なバランスで動いて行くモンだなぁ・・・こうして復讐を完遂する時を与えてくれんだからよぉ!!!』

小泉「・・・・・・・・・・・・」

小泉は嘔吐と共に、抵抗心も体から抜けていた

小泉(私のせいだ・・・私の・・・)

小泉が佐藤を庇い証拠を隠滅したばかりに、九頭龍は復讐に走るしか無くなった。そのまま最愛の妹を殺した罪まで着せられ、人生を台無しにされた

小泉の行為は夏美を踏みにじっただけで終わらない。九頭龍の人生を終わらせたのだ

復讐が間違っているだなんて、小泉にはもう言えなかった・・・

銃口が小泉の頭を狙う



ダァン!!!

辺古山「ぼ・・・ちゃん・・・」

九頭龍「!!?」

小泉「あなた・・・どうして・・・」

弾丸は、突然現れた辺古山の腹に命中し、体内で止まった。小泉の命は守られた

九頭龍「テメェ、どこから・・・」

辺古山「私に海水浴にでも行って来いと言った時のぼっちゃんの様子に違和感を感じ、後を尾けておりました」

九頭龍「西園寺宛の手紙を投函したのを見て、中身を読んで先回りを・・・倉庫のサーフボードケースに隠れておりました」

九頭龍「・・・全部聞いてたのか・・・」

辺古山「はい・・・あなた様の様なお優しい方がこんな凶行に走る理由を、知っておきたかった・・・」

幼馴染だからこそ感知できた、九頭龍の異変。そのお陰で、惨劇はギリギリ防がれた

辺古山「ぼっちゃんの復讐を止めるつもりは毛頭ございません・・・ただ・・・この場だけはお止め下さい!」

辺古山「今は『コロシアイ修学旅行』の最中・・・『学級裁判』が行われます」

辺古山「万が一私の告発が受け入れられず西園寺がクロという事になれば、十神達までとばっちりで死ぬ事になる・・・それは佐藤という女と同じぐらいの悪では?」

辺古山「道具の分際で意見するなどおこがましい事ですが・・・どうか・・・この場はお治め下さい・・・!!」

辺古山は土下座して訴えかける

辺古山の言う通りであった。この場で復讐をすれば、『学級裁判』にかけられる

クロを誤答した場合、無関係な人間まで死に追いやる事になるのだ

九頭龍の行為は、佐藤と同じレベルまで己を下げる行為に他ならなかった。それこそ、夏美が望む所ではないだろう

だが・・・

九頭龍「・・・ま、2人共殺せば良いだけの話か」

辺古山「は・・・?」

辺古山は自分の耳を疑った



九頭龍『俺はテメェを足がかりに自分だけ生き残ろうなんて考えちゃいねぇぞ・・・』

九頭龍『俺にはお前が必要なんだ!道具じゃねえ・・・お前自身が!!絶対に見つけるぞ、2人揃って出る方法を!!』



九頭龍は初日に自分達の関係をばらしてしまった後、辺古山にそう言った

その言葉は何だったのか・・・辺古山を道具とすら思っていない掌返しだ

辺古山「ぼっ・・・ちゃん・・・?」

九頭龍「どうした?踏み台に反逆されると思ってもみなかったか?」

辺古山「踏み・・・台・・・?いつ私が・・・?」

九頭龍「ま、テメェみてぇな奴は思い出す前に死ぬ方が幸せかもな」

九頭龍「じゃ・・・あばよ」

九頭龍は再び引き金を引いた。唖然となって動けない辺古山の頭を狙って

日向「『マッチボックス・トゥエンティ』!!」

ペチョッ!

九頭龍「なっ!?」

九頭龍が撃った弾丸が、辺古山の額ではじけ飛んだ。否、いつの間にかグミにすり替わっていた

十神「確保おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

十神の掛け声で、修学旅行参加者と『ミライ族』がビーチ側の玄関からなだれ込んで来た。九頭龍はあっという間に反対側の壁に追い込まれる

九頭龍「どうして・・・!ペコ!!」

辺古山「申し訳ありません、ぼっちゃん・・・」



テコンドー『貸し切りだぁ?そんなの俺達が認めるとでも思ってんのかぁ?』

コンサルト『そうですね・・・あなたたちだけの空間なんて、絶好のコロシアイスポットじゃないですか』

辺古山『・・・そうじゃない。クロになる人物は分かっている・・・ぼっちゃんだ』

ソニア『ど・・・どういう事ですか?』

辺古山『海水浴の話は、恐らく私を巻き込まないための口上。私にアリバイが出来ている間に殺人を犯そうとしている』

辺古山『1人殺すはすなわち参加者全員を殺すと同義・・・ぼっちゃんにそんな十字架背負わせたくない!!どうか・・・お前達も協力してくれないか?』

辺古山は土下座をして『ミライ族』に頼み込んだ



九頭龍「『ミライ族』の目を掃ったのはわざとか!ここを現場にするよう仕向けるために!!」

エージェ「その通り。左右田特製の盗聴器で私達も事情は把握済み」

ダブルス「あなたは今、自分の言った復讐の理屈に当てはまる人物像になろうとしているんですよ!人殺しを、この島から出す訳に行かないじゃないですか!!」

田中「あきらめろ咎人よ・・・もう終わりだ」

九頭龍「・・・・・・・・・・・・」

九頭龍は俯いて歯を食いしばっている。観念したのかと思ったが・・・

九頭龍「・・・ックックック・・・」

顔を上げた九頭龍の表情を見て全員の顔が青ざめる。口角を上げ、歯を見せる満面の笑みで笑っているのだ

九頭龍「粋な事してくれるじゃねえか・・・また似た様なシチュエーションで、同じ相手への復讐に失敗するとか・・・全く成長してねぇって露呈して絶望的じゃねえか!」

九頭龍「はーっはっはっはっはっは!!!!」

九頭龍は大声で笑い始める。その笑顔は朗らかとは程遠く、目がイッている

弐大「な、なんじゃあ!?追い詰められてイカれちまったんか!?」

日向「いや・・・これは、まさか・・・!!」

あ~あ・・・中がどうなっているか知りたかったのに、ボクは浜辺で待機か。万が一第一陣が突破された時のために待機する第二陣だって

ま、ボクだって九頭龍クンを逃がしたくないしね

だってそうでしょ?話を聞いてみれば九頭龍クンは希望ヶ峰に見捨てられたんだ。つまり希望ヶ峰は彼が希望じゃなかったと判断したんだ

希望じゃなかった輩が希望の生徒を殺害するなんて、許される訳が無いだろう?

妹の復讐?知るかよ。夏美さんとやらを殺すのが佐藤さんの希望で、希望ヶ峰はそれを認めたんだ。希望のためだったら致し方ないだろう?

希望の決定にいちいちつっかかってんじゃないよ、その名の通りのクズ(九頭)が!そんな奴ボク以下のゴミだよ!!

終里「・・・ん?」

澪田「どうかしたんすか?」

終里「いや・・・なんか太陽がおかしくねえか?」

澪田「太陽?」

闘わせないよう第二陣に回された終里さんにつられてボクも空を見上げる

う~ん、別に普通の太陽だと思うけど・・・

終里「何か・・・微妙に楕円形になってねぇか?」

澪田「むむむ~?」

言われてみると、楕円形に・・・いや、さらに長くなってくびれも出て来た・・・



違う!太陽が2つあるんだ!!



終里「おっさん達、太陽がなんかやべぇ!逃げろ!!」

終里さんが渾身の力で叫んだ直後、完全に2つになった太陽の内の1つが、光線をビーチハウスに落とす。皆が突入した側の半分が全壊した

狛枝「そんな・・・」

終里「やられたっ!?」

コンサルト「いやああああああああああああああああああああっ!!」

狛枝「大丈夫だよ。希望の生徒達がこんな卑怯な不意打ち程度で死ぬはずが無いじゃないか」

メイド「根拠なしによくそんな事が言えますね・・・」

狛枝「大丈夫だよ。異変に気付くと同時にボクが『ペイズリー・パーク』を発動したし、ほら、ご覧よ」

罪木「ふえぇ・・・?」

砂浜が起こした土煙が晴れると、全員がしゃがんでいる中、弐大クンが仁王立ちしている

弐大「危なかったのぉ・・・」

しゃがみこんでいる人達も、全員無傷だ

田中「い、今のは『ザ・サン』の熱光線か・・・あれは相当な攻撃力を誇る『スタンド』だぞ・・・」

十神「その言葉からして弐大のお陰か・・・だが、何をしたんだ?」

弐大「ワシの『スタンド』は『ストレイ・キャット』!空気を操る能力じゃぁ!!」

十神「そうか・・・今の熱光線が太陽と似た原理だとしたら、それで防げる!」

十神「炎は周囲の空気を抜いて真空にすれば燃えない。さらに空気の層を作り捻じ曲げれば、光線は方向を変えられる」

弐大「まぁ、それでもギリギリじゃったがのぉ・・・」

弐大はちらりとある人物に目線を向ける。その視線の先には七海が居た

弐大『太陽じゃと!?光線でも撃って来る気か!『ストレイ・キャット』!!』

弐大は今説明したように周りに空気の層を張ると共にその内側を一時的に真空状態にした

しかしそれでも逸らせたのは半分ほどで、数人直撃する所だった

もう打つ手が無いのかと絶望しかけたその時に、七海の声がした

七海『『メン・ウィズアウト・ハッツ』!!』

七海が例の戦闘機を模した『スタンド』を光線に向かって特攻させた

弐大(何を・・・『スタンド』の傷は本体の傷・・・死ぬ気か!?)

弐大は青ざめたが、その直後信じられない事が起こった

『メン・ウィズアウト・ハッツ』が撃った小さな弾丸に、熱光線が押されてみるみる消滅していったのだ

弐大(あ、あれを防ぐじゃと!?なんて強力な『スタンド』じゃあ!!)



終里「ちっ、狛枝の『スタンド』のお陰でおっさんが対応出来たってんなら感謝しねぇ訳にもいかねえか・・・」

狛枝「当然の事をしたまでさ。希望を根絶やしにするなんてあってはならない事だからね」

コンサルト「まぁ、私もありがたかったと思います・・・」

コンサルトはそっぽを向いた

コンサルト「でも、いつまでそう言っていられるんでしょうか彼は・・・」

誰にも聞こえない声で、そう付け加えた・・・

十神「おい、九頭龍は!!」

テコンドー「あそこだ!屋根の上!!」

九頭龍は最初から光線の射程範囲外に居たが、そのまま皆が気を取られている隙にシャワールームに入り、天窓から脱出しようとした

しかし・・・

九頭龍「ちっ、完全に囲まれてんじゃねえか!」

トンネル側も怪我を押して来たセイバーや左右田、西園寺やソニアらに固められている

縄を切って閉じ込めなかったのはわざとだ。クリエイトこと七海の潜入調査によって『ミライ族』は既に九頭龍の『スタンド』を把握していた

むしろ屋根の上に追い詰めるためにわざと残した。九頭龍の『スタンド』がそこからの移動に使える物ではないと分かっていたから

ソニア「ひかえおろう!観念なさい九頭龍さん!もう終わりです」

ソニアが田中のようにチェックメイトを宣言するが、先程からの九頭龍の笑みは止まらない

九頭龍「さて・・・どうすっかな~・・・」

西園寺「あ、あんた・・・どうして余裕そうなのよ!?」

西園寺には全く取り乱さない様子が不気味に見えたのだった。九頭龍はこの絶望的な状況を楽しんでいるようにさえ見える

??「ドラララララララララララララララララララララララララララララララァッ!!」

セイバー「ぐぎゃっ!?」左右田「がふっ!!」ソニア「え・・・きゃっ!?」西園寺「ぐぎゅうっ・・・」

九頭龍「んん?」

突然4人が一瞬でなぎ倒された

モノクマ「うぷぷぷぷ!もう大丈夫だから降りておいで九頭龍君!迎えに来たよ!」

モノクマと、自身のスタンドに隠れて姿は分からない何者かが下に立っていた

田中「『クレイジー・ダイヤモンド』!4部の主役!!」

ダブルス「む、迎えに来たって・・・」

日向「やはり私兵を投入して来たなモノクマ!予想通りスタンド持ちの私兵を!!」

日向は歯ぎしりをした

モノクマは生徒に手を出せないが、モノクマが連れて来た私兵ならいくらでも負傷させられる

しかも私兵が操るは『ザ・サン』に『クレイジー・ダイヤモンド』と、いずれも超強力なスタンドだ

十神「逃がすなっ!追えええええええええええええ!!」

テコンドー「言われなくても!!」

ダブルス「逃がしてはなりません!!」

弐大「逃げられたらまずそうじゃあ!!」

日・田「「ま、待てっ!!」」

九頭龍を捕まえようと走るテコンドー・ダブルス・弐大を日向と田中が慌てて制止するが、間に合わなかった

テコンドー「ぐぎゃっ!?」ダブルス「ぎゅむっ!?」弐大「がふっ!?」

全員、突然目の前に現れた壁に思いっきりぶつかった

十神「な・・・何だこれは!?」

十神は周りを見て茫然とする

『ザ・サン』に破壊されたビーチハウスが、所々パーツが足りず完全とまでは行かないがほぼ元通りに復元されていた

田中「これが先程似非熊猫の眷属が操っていた『クレイジー・ダイヤモンド』の能力・・・被破壊物の修繕だ。確か先日も言ったはずだったよなぁ?」

日向「死にさえしなければ負傷なんかもいくらでも完全に治せる能力だったが、敵に取られたか・・・誰も使わないにしろ、こちらで確保しておくべきだったか?」

弐大「感心してないで早く追わんと・・・」

日向「無駄だ・・・多分たった今俺達の視界から外れた一瞬で逃げ切った」

十神「『スタンド』はそんな事も可能なのか・・・!」

日向(・・・『スタンド』の能力って訳じゃないが・・・そう思わせておくか)

モノミ「こっちの方で妙な光の柱が見えたのでちゅけど、何事でちゅか!?」

そこに、最近見かけなかったモノミが現れる

十神「モノミ、モノクマを見なかったか?」

モノミ「え?モノクマが居たんでちゅか!?今来た所でちゅが見ませんでちたけど・・・」

十神(本当に瞬間移動系の『スタンド』持ちも抱えているようだな・・・いや、そもそもスタンドディスクはモノクマが管理しているらしい。いくらでもやりようがあるか)

モノミ「はわわわっ!!小泉さんの顔色が!!」

弐大「おお!忘れてたわい!!」

小泉は足から少しずつ流れていた血がそろそろ失血死するかしないかの瀬戸際に近付き、九頭龍が去って緊張の糸が切れたのも相まって、今にも事切れそうになっている

十神「罪木!すぐに小泉と辺古山の応急処置を!!」

罪木「は、はいぃ!!」

弐大「だが、相当量の血を流しておる・・・輸血も必要じゃないかのぉ?」

モノミ「あ、その点はご心配無く!」

モノミがえっへんと胸を叩く

モノミ「先程、ようやく3の島に続く橋を守るモノケモノを倒しまちた!すぐに3の島に運んでくだちゃい!病院がありまちゅ!!」

テコンドー「おお、本当か!」

十神「珍しく最高の働きをしたな。褒めてやろう!」

罪木「で、では応急処置をしたらすぐ3の島に運びましょう!」

罪木は医療知識もあり、テキパキと治療を施す

日向「どうやらお前らの中には、治療使える能力の奴は居ないようだな・・・」

十神「そのようだな・・・この状況で名乗り出ないというのはそういうことだろう。俺の『スタンド』がそっち方面にも使える物なら良かったが・・・」

田中「現在ここに居る『ミライ族』の連中の『スタンド』はほぼ全て把握出来ている。やはり治療に使える『スタンド』は無いな・・・」

コンサルト「誰か~!気絶しているだけですが『クレイジー・ダイヤモンド』の負傷者の介抱を手伝って下さ~い!!」

とりあえず今は修学旅行参加者だ『ミライ族』だ言っている場合ではない。全員で後始末を行う

辺古山「くぅ・・・」

辺古山は内臓への負傷も無く、意識もはっきりしている。しかし、精神的には大ダメージだった・・・

辺古山「ぼっちゃん・・・どうして・・・」

守ると誓った主は、自分を平然と切り捨て、『絶望』と共に去って行った・・・

十神「・・・九頭龍はお前が奴を踏み台にしたと言っていたな・・・失われた記憶の中で、奴がそう思う出来事があったのではないか?」

辺古山「有り得ない!私はぼっちゃんの道具・・・ぼっちゃんの命を守り、ぼっちゃんの命令で斬る・・・それ以外存在理由の無い私がどうして!!」

七海「他の人にとってはそういう関係じゃなかったんじゃないかなぁ・・・」

七海の台詞に、参加者一同がギョッとした

十神「どういう意味だ?説明しろ七海!」

七海「・・・多少下種の勘繰りになる嫌な仮説だけど・・・そもそも希望ヶ峰学園は、九頭龍君を本当に育てるつもりだったのかな?」

七海「だって彼は『超高校級の極道』・・・反社会的な才能なんだよ?成功なんかしたらますます社会が乱れたりしちゃうんじゃないかなぁ?」

七海「まさかせっかくの『才能』を途中で別の超高校級へ矯正するはずが無いし・・・」

狛枝「というか不可能だよね?他の超高校級に矯正なんて。それなら最初から矯正先の才能の持ち主を探すでしょ?」

狛枝「だとしたら・・・彼が学園の目をごまかして奇跡中の奇跡で入学出来たのは、どうしてだと思うんだい?」

七海「・・・学園は最初から、辺古山さんが目当てだったんじゃないかな?」

辺古山「どういう・・・意味だ?」

七海「学園は辺古山さんを『超高校級の剣道家』として是が非でもスカウトしたかった」

七海「でも辺古山さんは九頭龍君専属の殺し屋・・・組や彼自身から離れての寄宿舎生活なんて絶対受ける訳が無い」

狛枝「なるほど・・・だから本当に・・・本当に仕方無く、九頭龍君も一緒に入学させる羽目になってしまったって訳か・・・」

狛枝「じゃあ遅かれ早かれ、機を見て九頭龍君は落第させるつもりだったんだろうね。妹さんは元々『超高校級の妹』って別の肩書だから、生きてたら卒業できた確率は半々かな?」

辺古山「そ・・・そんな・・・」

それが事実なら、まさに九頭龍を踏み台にして希望ヶ峰学園への入学権を得たようなものだ

狛枝「じゃあ案外九頭龍君が事件を起こしてくれたのは学園側にとっても好都合・・・いや、むしろそのために佐藤さんを不問にしたのかな?」

狛枝「どうやら学園は、佐藤さんを希望として改めて迎える気は無かったみたいだね」

日向「つまり・・・わざと殺させた?」

七海「夏美さんの殺害を九頭龍君に着せる事も実は予定通りだったのかもね。この事件の結末は三択だったけど、学園側に一番都合が良かったのが九頭龍君の連続殺人かもね」

七海「希望の生徒が殺人を犯したなんて学園の名に大打撃だから当然隠すだろうけど・・・」

七海「よくよく考えたら不審者の仕業って事になっても、希望ヶ峰学園の警備の不備を世間に知らしめるような物だよ」

日向「ウチの『ガードマン』は希望ヶ峰学園の警備のバイトしてたなそういや・・・あの事件があったのって俺達が入学してからだったよな?詳細は知らなかったが・・・」

七海「同じ学園の生徒による殺人事件でも、『極道』なんて反社会的な才能の持ち主が起こしたって話なら、やってもおかしくないなんて思われて一番傷が浅かったんじゃない?」

ダブルス「だから九頭龍君のお父さんが信じる程の嘘を綿密に仕込めたんですね?その理論なら夏美さんが死んだ時から準備していたのですから・・・」

辺古山「そん・・・な・・・」

日向「この結果はどちらにしろ変わらないが・・・兄は殺人犯、妹は死亡・・・九頭龍組の血が絶え、学園への対抗力もありそうな規模の反社会組織が一つ潰れるな」

日向「辺古山が帰る場所も無くなり、道具の辺古山は1人では生きていけない。簡単に手籠めに・・・学園の犬に出来ただろうよ」

十神「いい加減にしろっ!!」

十神がダンッと壁を殴って議論を制止する

十神「あくまで予想だ・・・希望ヶ峰がそんな滅茶苦茶な思惑で生徒を追い詰める様な学園の訳が無いだろう!」

十神「妹の殺人まで奴のせいになったという話も何かが間違っていたんだ。踏み台云々も殺人犯として追い込まれた末の被害妄想だ!」

澪田「そうっすか~?かなり説得力があったような気もするんすけど・・・」

十神「貴様らは、自分の才能を見出し、育てようという恩人を貶めたいのか?」

澪田「そ、そりゃあ疑いたくないっすけど・・・」

七海「信じたいから疑うんだよ。疑わない信頼なんて、嘘っぱちだよ」

十神「・・・とにかく、この話は終わりだ・・・そろそろ小泉と辺古山を搬送するぞ」

澪田「・・・・・・・・・・・・」

昨日もこの様な希望ヶ峰学園の信頼を損なう話題に触れたため取り乱していたんだと、澪田は悟った

澪田は希望ヶ峰学園を盲信レベルで無理にでも信じようとする十神が、とても危うく見えた・・・

~モノクマエリア~

10個以上の巨大カプセルがある空間に、モノクマと九頭龍は立っていた

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・大成功~!ボクが生み出した手足はしっかり僕のために馬車馬のように働いてくれるみたいだね!」

モノクマは自分の駒が問題無く機能した事に大喜びした

モノクマ「さて、目下気になるのは九頭龍君、君だけど・・・」

モノクマが振り向くと、九頭龍は腰を下げ、片手を前に出してた

九頭龍「お控えなすって!これより挙げます言葉の後先、間違えましたら御免なすって!」

九頭龍「手前、姓は九頭龍名は冬彦と発します!頭の元に、只今帰還致しました!!」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・ぶひゃひゃひゃひゃ!!宣言通り、『戻った』みたいだね!!」

モノクマは彼の言葉に、満足そうに高笑いした

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・じゃあまた僕の力になってくれるかな?」

九頭龍「勿論!復讐を終えられず捕まった時の俺はペコ以下・・・己の存在価値の発現権すら完全に失くした存在・・・

九頭龍「そんな俺を拾い上げてくれた頭のためなら、粉骨砕身全てを奉げる所存でございやす!!」

九頭龍はモノクマの前に跪いた

九頭龍「流石は僕が今生み出している駒とは違う!じゃあ、早速明日動ける3人と一緒に希望連中と未来連中を潰しに行ってくれるかな?」

九頭龍「へい!」

モノクマ「うぷぷぷ・・・期待しているよ。じゃあ今日の所は明日に備えて休んで・・・ん?」

九頭龍「どうしました?」

モノクマ「おやおや、3の島が解放されちゃってるじゃないか!あまり広いと面倒だけどなぁ・・・」

モノクマ「負傷者を病院に運ぶつもりか。うぷぷ・・・そう上手くいくかな?」

モノクマはにやりと絶望的な笑みを浮かべ、絶望的な指示を出す

~中央の島 3の島行き橋前~

モノミ「橋を渡って右折してすぐが病院でちゅ!」

左右田「キューマは本当に良いのか?」

セイバー「せやから大した事あらへんって。本当に治療が必要な奴にちゃんと集中させたり!医療技術持っとんのは罪木とモノミだけみたいやし」


モノミが大慌てで持って来たストレッチャーに小泉と辺古山を寝かせ、罪木とモノミで慌てず急いで運ぶ

七海「・・・!!『メン・ウィズアウト・ハッツ』!!」

日向「どうした?」

七海「第二波が来る!!」

十神「何ぃ!?」

既に沈みかけている本物の太陽に対し、未だに頂点に座す『ザ・サン』の表面が歪む。七海の言う通り、再び熱光線を放とうとしている

七海「させない・・・!!?」

しかし先程と同じ巨大なレーザーかと思いきや、バレーボール大の弾丸をばら撒いて来た

七海「『メン・ウィズアウト・ハッツ』!橋は良いから負傷者の安全確保を優先して!!」

『メン・ウィズアウト・ハッツ』は三人と一匹の頭上に陣取り、彼女らに向かって降る弾丸を次々と撃ち落とす

何とか病院に避難完了し、『メン・ウィズアウト・ハッツ』も七海の元に戻って来るが、橋はボロボロになってしまった・・・

十神「何と言う事だ・・・罪木達は取り残されたのか?」

日向「大丈夫だ・・・あっちにも4人『ミライ族』が居るから、何か不自由があればあいつらがサポートしてくれるだろう」

テコンドー「ちっ、こんな事になるとは・・・3の島は俺達『ミライ族』のホームグラウンドだってのに・・・」

ダブルス「僕達が本来使っている居住施設があるのも3の島ですからね・・・早く帰りたい・・・そろそろソファーだと体がガチガチに固まりつつあります」

メイド「自分の空間程安らげる所はありませんからね・・・島全体に『未来機関』やらモノクマやらによって色々手が加えられていたらしいですし・・・」

コンサルト「せめてもの侵略抵抗に、3の島だけ真っ先に直したんですよね」

十神「お前達・・・ひょっとして各島に居る者同士連絡し合っているのか?」

エージェ「クリエイトしか出来ないから、奴が居る時だけな・・・」

セイバー「せやけどそろそろ生で顔見たいわな~行っときゃ良かったかな~」

弐大「・・・ん?なんじゃあ!?」

弐大は顔に何かが当たった感覚を感じ取り、顔を上げる

いつの間にか『ザ・サン』を覆い隠す程の雲が空一面に広がっている

花村「ねぇ、これってひょっとして・・・」

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

狛枝「うわっ、雨が降って来たねぇ・・・『ペイズリー・パーク』!」

西園寺「うわ~っ、濡れちゃうよぉ!おねぇが居ないって時に~!!」

澪田「じゃあ日寄子ちゃん、お着替えは唯吹が代わりにやってあげるっすよ!」

西園寺「失せろ!絶対ロクな事にならないだろ!!」

弐大「とにかく身体を冷やさんようにせんと風邪をひく!全員全速力で帰宅じゃああああああっ!!」

弐大の号令と共に、全員が雨を凌ぐ物もさほど無い中央の島を後にした

~1の島 ホテルみらい レストラン~

澪田「さ、白夜ちゃんも日寄子ちゃんも唯吹が着替え手伝っちゃうっすよ~」

十神「要らん。自分でやれる」

西園寺「断ってるのにまた言って来るなんて、よっぽど頭悪いんだね~」

澪田「うひゃ~っ!せっかくの気遣いを無下に!しかも辛辣過ぎっす~!!」

ソニア「田中さん・・・」

田中「俺様よりも四天王を優先的に拭いてやれ・・・奴らの方が体内を蹂躙する微細なる呪術(風邪ウイルス)に弱いのだからな・・・」

花村「あれ?狛枝君、何か濡れて無くない?」

狛枝「弐大クンと十神クンの影になって雨が落ちない所を『ペイズリー・パーク』で探りつつ走ったからね」

西園寺「そういう事にも使えるの?だったら私が欲しかったよその『スタンド』!」

田中「貴様程度にそこまで扱えるかは疑問だがな・・・」

終里「あん?別に俺は風邪ひかねーよ!」

弐大「馬鹿言っちゃいかん・・・人はどんなに鍛えようと病には勝てんのだ!病に打ち勝つのは適切な予防と治療・・・分からんのだったら『アレ』してやらんぞ!」

終里「ごめんよぉ、分かったからそんな事言わないでくれ!」

ヴォン・・・ザザ・・・ザ・・・

澪田「ん?何の音っすか?」

皆がある程度濡れた体を拭いて落ち着いた頃、まだ夜時間前なのにTVが付いたんだ

そう・・・まるでモノクマがボク達を動機作りのために集めた昨日のように・・・

十神「馬鹿な・・・この状況でもう次の動機でも・・・」

ソニア「いえ、シルエットはモノクマじゃ・・・」

画面に映ったのは、1人の金髪の少女だった。ボク達は誰1人見た事無さそうだけど、だからこそ誰か分かった

まだ会ってない『ミライ族』の1人だ

??「マイクテス、マイクテス・・・えー、『ジャバウォックニュース』です。5の島より『ブロガー』がお伝えします」

十神「奴がブロガーか・・・」

澪田「そういえば創ちゃんとの遺跡前での話でそんな名前が出て来たっすね」

やはり『ミライ族』・・・彼女はその名の通り『超高校級のブロガー』って所か

ネットに日記や自分の発信したいコンテンツをアップする人の事をブロガーって言うけど、それが超高校級になるとどうなってしまうんだろう?想像付かないや

ブロガー「いきなり天気予報からお伝えします。30分程前から降り出した雨ですが、しばらく止む予定はありません」

澪田「止む予定が無いって・・・なんで断言なんすか?」

田中「恐らく島全土に広がるこの雨は、奴の同族の『スタンド』が降らせているのだろう・・・」

ソニア「『スタンド』はそんな事まで出来るのですか?」

ブロガー「この雨は『ミライ族』のガードマンの『ウェザー・リポート』により降らせております」

ブロガー「目的は『ザ・サン』対策です。みぞれに近い低温の雨を降らし雲で壁を作る事で、『ザ・サン』の能力の一つである気温情報を気休め程度でも抑えるためです」

ブロガー「あくまで気休め程度でしか有りません。一番は『ザ・サン』本体を叩く事です」

ブロガー「『ミライ族』各員は明日以降の絶望側の襲撃に備えて下さい。そして可及的速やかに『ザ・サン』の本体を叩く様に」

ブロガー「リーダー達に合流したメンバーだけでなく、3~5の島で孤立している各員も準備を怠らないように」

弐大「なんじゃぁ・・・身内向けのアナウンスか・・・」

ブロガー「修学旅行参加者諸君、あなた達も聞こえているでしょう?」

弐大「う・・・」

澪田「猫丸ちゃんったら早とちりっすね~」

ブロガー「『ミライ族』がどうにかしてくれるだろうとあてにするようなら、あなた達に島を出る資格など無い。どうすべきか、あなた達はあなた達でしっかり対策を練りなさい」

終里「んだとぉ・・・!?」

ブロガー「結局天気予報のみとなりましたが、『ジャバウォックニュース』、本日はここまで。ではまた次回の放送をお楽しみに。ブロガーがお送りしました」

ブッ・・・

十神「『ミライ族』をあてにするようなら島を出る資格など無い・・・か・・・」

狛枝「当然だよね?モノクマの部下という絶望に立ち向かわず他人任せにするなんて、超高校級と呼ばれる君達らしくないじゃないか」

狛枝「むしろ君達自身で奴らを打ち倒すぐらい出来なければ、とても世界の希望なんて恥ずかしくて名乗れやしないよ!」

終里「狛枝の言い方は気に食わねぇが・・・よっしゃあ!やっと田中以来のバトルが出来るんだな!!」

弐大「落ち着かんか!狛枝と大して変わらんぞ・・・」

澪田「・・・ん?あれ?ところで・・・」

澪田「千秋ちゃんはどこっすか?さっきから一言も声がしないんすけど・・・」

十神「何ぃ!?」

全員が互いを見合わせる。現在参加者は日向・左右田・九頭龍・小泉・辺古山・罪木を除いて10人のはずだが、9人しか居ない

花村「ひょっとして、間違えて『ミライ族』の方に付いて行っちゃったとか?」

十神「危害を加えられる心配は無いだろうが、1人で大丈夫か?」

田中「いざとなったら左右田が居るだろう・・・」

ソニア「あっちでもこっちでも裏切り者の左右田さんがですか?」

~2の島 図書館~

左右田「あれ?七海?どうしてこっちに・・・」

図書館に避難した『ミライ族』と左右田一同は、十神達と同じく図書館の備品のタオルでで体を拭いている最中だ

その中に、メイドにタオルを手渡されたりコンサルトの髪を拭くのを手伝ったりと、とても自然に七海が混じっていた

左右田「いや、待てよ・・・」

左右田は自分の記憶を苦痛を感じながらも振り返る

左右田「ああ!クリエイトってお前か!」

七海「そうだよ~。無意識に一緒に居て落ち着く方を選んじゃったね」

七海はしれっと答えた

セイバー「せや!一つ頼まれてくれるかクリエイト?」

七海「大丈夫。もう全員分一応用意してあるよ」

セイバー「おお!さよか!!」

左右田「何を?」

七海はリュックから輪っかを取り出した

それは3日目に見た、日向が腕に付けていた物と同じだ

セイバー「んじゃ左右田、お守り付けるで」

左右田「キューマ、お守りって?」

セイバー「これがあれば万が一の天変地異が起こっても大丈夫なんや」

左右田「へぇ・・・え?天変地異ってまさか・・・付けてなかったらどうなるんだ?」

セイバー「まぁそりゃ、死ぬやろうな」

左右田「ひぃっ!キューマ、早く付けてくれ!!」

セイバー「あいよ!」

左右田の腕に『ミライ族』の印でもあるアームレットが付けられた

左右田「でも・・・あいつらにはやらなくて良いのか?」

セイバー「しゃーないやろ?まだこっち側やってあいつらにばれてないクリエイトがそんな物持ってるのも不自然やし、それに・・・」

テコンドー「あいつらが天変地異に巻き込まれず生き残って良いかどうかも吟味の途中だしなぁ・・・!」

テコンドーが話に割って入り、その答えを聞いて左右田は俯く

左右田「俺は・・・良いの?」

テコンドー「ま、あくまで『今の所は』だが・・・良いんじゃね?」

セイバー「結局この島を出て良いのは、本気でやり直すと誓う揺らがない覚悟がある奴だけやしな。あっさり砕ける程度の覚悟の奴が出たって、害にしかならん」

左右田「そう・・・か・・・そうだよな・・・『あれだけの事』を散々やってりゃあ・・・な・・・」

セイバー「ホラホラ、気ぃ落とすのは夢の中だけにしとき!精神安定のためにも今の内はのんびりのんびり!」

左右田「あ、ああ・・・」

左右田は、兼ねてより気になっていた事を尋ねる

左右田「やっぱり・・・九頭龍は俺と同じく・・・」

日向「全部思い出しただろうな・・・」

日向も話に加わった

日向「分かったろう左右田?やり直せる覚悟を決める気すら無い奴が、九頭龍の例だ。はっきり言って、大半はああなるだけだろう」

日向「記憶を取り戻して、九頭龍はその記憶に負けたんだ。どころか、自ら受け入れたようにさえ感じる」

日向「そんな奴が記憶を抹消したまま外に出たって・・・一緒さ。人の本質は変わらない」

日向「狛枝は『才能は最初から決められて与えられる物』とほざくが・・・いくら才能を持っていたって、本人がその才能に相応しい人間に成長しなければ宝の持ち腐れだ」

日向「才能と、本人の性格や資質が一致するなんて限らないんだ。本人にとっては邪魔でしかない才能だってあるだろう」

日向「希望ヶ峰はそういう個人個人の事情も完全に無視して進む。そんな学園が希望の学園な訳無いだろう」

左右田「・・・そう・・・だな・・・日向の言う通りだったよ・・・」

左右田の目から涙が零れる

左右田「なんで・・・なんでもっと早くそれを理解しなかったんだよ俺は・・・!結局・・・中学から何も成長してねぇ・・・!!」

セイバー「和一・・・」

テコンドー「九頭龍も似たような事を言ってたな・・・『全く成長してねぇって露呈して絶望的じゃねえか』って」

エージェ「当たり前だ・・・成長なんて出来るはずが無い。希望ヶ峰学園はそのための学園『ではない』のだからな・・・」

ダブルス「『世界の希望を育て上げる』?そんなの生徒を集めるためのただの見せ餌ですよ」

コンサルト「ブロガーさんの手により、『生前の計画』第一段階でそれを世間に知らしめる事は出来ましたが・・・結局その先に進みませんでした・・・」

七海「仕方ないよ・・・あんな・・・あんな手に出るのも厭わないなんて、誰が予想出来るの・・・!そのせいで・・・日向君は・・・!!」

日向「過ぎた事は仕方ない・・・だが、『生前の計画』はやはり今でも完遂させるべきだと分かっているんだ。早く島を出ないと・・・」

日向「左右田・・・鳴き止んだらちゃんと前を向くんだぞ。人生幾らでもやり直せると言うが、流石に限度はある」

日向「この島が・・・修学旅行参加者がやり直せるか否かのデッドライン。『ら~ぶら~ぶ修学旅行』でも『コロシアイ修学旅行』でもない、今、この状況が!」

そう言って日向は外を、どこかに居る絶望を睨んだ

~モノクマルーム~

モノクマ「う~ん・・・こりゃあ少し早計だったみたいだね」

九頭龍「どうしたんですかい頭?」

モノクマ「七海さんに『メン・ウィズアウト・ハット』を与えたのは早計だったよ」

モノクマ「まさかあれが彼女自身の愛用『スタンド』で、記憶を取り戻して『未来機関』の犬脱却のキーになってしまうとは・・・」

モノクマ「それだけじゃない。全くダメージを与えられないゴミ『スタンド』だと思っていたのに、二度に渡って『ザ・サン』の強力な熱光線を防いでるんだ!」

モノクマ「あれには、何か秘密があるはずだ・・・早くあの『スタンド』が持つ能力の謎を解かないと・・・」

九頭龍「・・・・・・・・・・・・」

九頭龍「ククク・・・頭、楽しそうですね?」

モノクマ「もちろんだよ!久しぶりに歯ごたえのある謎解きが出来そうだし、それが解けなくても2度に渡ってやられた事もあって絶望的で最高だし!」

モノクマ「それに明日今居る3人でも総攻撃させれば、いずれ七海さんも防ぎきれなくなるだろう」

モノクマ「九頭龍君みたいに覚醒してない甘々の甘ちゃん共が勝てるもんか!」

九頭龍「違え無ぇ・・・こりゃあ俺の助太刀は要らないですかい?」

モノクマ「うんにゃ、そういう事だから君は『ミライ族』の方に行ってもらうとするよ」

九頭龍「了解!あっちならちったぁ骨のある闘いが出来るでしょう!」

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・明日が楽しみだねぇ・・・・」

モノクマ「『ザ・サン』の本体を見て、どんな絶望顔をさらしてくれるんだろうねぇ!ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

モノクマは明日島の者達を蹂躙する絶望を見据え、高笑いした

モノクマ「・・・おや?リアルの方では何か会議が始まるみたいだねぇ?もうこっちがアルターエゴの目を盗んでそっちの監視カメラをハッキングしてるとも知らずに・・・」

~本物のジャバウォック島~

朝日奈「皆!未来機関本部から返事が来たよ!!」

朝日奈が一枚の報告書を持って会議室に入って来た

葉隠「何の話だったっけ?」

十神「現状を知らせたんだ。俺達に与えられた『ジャバウォック島データ』は機関で作られたオリジナルなのか」

霧切「そして彼らの顔写真を転送して、『ミライ族』が何者か心当たりが無いか尋ねたのよ」

葉隠「この『新世界プログラム』自体秘密裏にやってんのに、そんな事伝えちまって良いのか?」

霧切「状況が変わったのよ・・・最早本来の計画が遂行できる状況じゃないわ。それに私達は記憶を蘇らせてもらっても彼らを誰一人知らない・・・私達だけではどうにもならないわ」

苗木「それで?本部は何だって?」

朝日奈「そ・・・それが・・・・・・・・・」

腐川「は、早く話しなさいよ!白夜様を煩わせるんじゃないわよ!!」

朝日奈「『質問は一切受け付けない。今すぐ外から電源を落とした後全データを破棄せよ











『ミライ族』を名乗る者達は絶望以上の大犯罪者集団である』って・・・」

苗木「ぜ・・・『絶望以上の大犯罪者集団』!?」

葉隠「マジかぁ!?は、早く言う通りにしねぇと・・・」

霧切「『絶望以上』って所が妙に引っかかるわね・・・最悪は『超高校級の絶望』達ではないというの?」

腐川「い、言ってる場合?大犯罪者集団なら野放しに出来ないじゃないのよ!!早く何とかしないと・・・」

十神「無理だ・・・奴らは既に独自の電源供給システムを構築済みだ。たとえ電源を落としても、犠牲になるのは参加者だけだ。左右田はついさっき例外になったようだがな・・・」

葉隠「だったら、機械自体を直接壊すか?大金になりそうでもったいねーけど・・・」

十神「いや・・・」

苗木「・・・・・・」

霧切「・・・・・・」

葉隠「ど・・・どうしたんだ?」

朝日奈「多分・・・迷ってるんだよ。『未来機関』の決定を鵜呑みにして良いんだろうかって・・・」

霧切「『未来機関』には、私達の知らない闇があるかもしれない・・・その闇が都合の良いように進むための決定かもしれないわ・・・」

腐川「『未来機関』に・・・闇?」

苗木「『未来機関』は、希望ヶ峰学園のOBを始めとした学園関係者で構成された組織だ。だから希望ヶ峰の後継と言っても良い」

苗木「だけど九頭龍君の一件で、ボク達はその希望ヶ峰学園の闇の一端を知ってしまった・・・」

十神「『未来機関』は希望ヶ峰の闇を、そのまま受け継いでいるかもしれない・・・そういう事だ。俺達が納得行く判断を下すべきだ」

朝日奈「確かに・・・最初から育てる気が無い九頭龍をはめたって話だったっけ・・・」

葉隠「そんなの、どこまで本当か分かんねーべ!」

霧切「本当だったら、鵜呑みは最悪の選択の可能性があるのよ。探偵として、私は私の手で犯罪者以外を不幸に落とす事だけはしたくない」

苗木「どうせ『新世界プログラム』がどうなっているかは本部からじゃ分からない。焦らず行こうか・・・」

苗木達は、とりあえず保留という結論に至った

モノクマ「うぷぷぷぷ・・・そうか・・・そうだったのか!」

九頭龍「どうかしたんですかい頭?」

モノクマ「思い出したのさ!僕の中の人が入学する前に居たっていう、学園を脅かし存在を抹消されたテロリスト集団を!!」

九頭龍「それが『ミライ族』ですかい?じゃあ『未来機関』の報告は本当の事で?」

モノクマ「さぁねぇ・・・物事という物は、見方を変えれば本当に全く違って見えるからねぇ・・・僕もよく利用している常套手段さ!」

九頭龍「『記憶が無えあいつら』みたいにですか」

モノクマ「そういう事。うぷぷぷぷ・・・」

~3の島 病院~

辺古山「うう・・・ああ・・・ぼっちゃん・・・うああっ!!」

辺古山はうなされて目が覚めた。夢の内容を覚えてはいないが、寝汗からとても嫌な夢だったと分かる

辺古山「ぼっちゃん・・・」

九頭龍から受けた傷は、当分・・・いや、一生癒えるかどうか分からない・・・

モノクマと共に去った九頭龍は、二度と帰って来ないかもしれない・・・

辺古山「私は・・・これからどうやって生きていけば良い・・・?」

生きる意味を失った剣士の心は、虚無に満たされていく・・・

と思いきや、それを振り払う出来事が直後に起こる

辺古山「・・・?」

??「やっと気付いた?」

枕元に、誰かが立っているのに気づいた。だが、お腹に赤い血のような物がぶちまけられている

辺古山「え・・・?」

目の前に居たのは、ジョジョ6部主役のような髪型に髪を結った真ん中分けの少女だった

そして・・・口元にも血らしき物が垂れていた

辺古山「あ・・・あ・・・!」

血まみれの彼女を見て、辺古山は青ざめる。脳裏に、小泉のように一つのヴィジョンが浮かんだ



目の前の少女は、唖然とした顔で血を吐き出し、みるみる生気を失って行く

それもそのはず・・・腹には、刀が深々と刺さっていた



そしてその刀を手にしているのは・・・・・・自分の手



辺古山「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・ああ・・・あ・・・・・・」

叫ぶと同時に、そのまま気が遠くなり失神した

??「何よ、あたしの顔見て悲鳴なんか上げちゃって・・・この『キャンディ』ちゃんの愛らしい顔に嫉妬しちゃった?な~んて・・・ん?」

キャンディはたった今口元に付いている物に気付いた

キャンディ「やばっ!夕食の最中に慌てて来たからケチャップ付けっぱじゃん!あ~あ、服にも零れてる。落ちるかな~・・・」

血と思いきや、ただのケチャップだった

キャンディ「で、何?ここが病院だからここで亡くなった患者の霊だとでも思ったの?それとも・・・」

キャンディが辺古山を眺める視線は、絶対零度に冷えていた

キャンディ「『あたしを殺した時の事』でも思い出したのかしら?この人でなしは・・・」

罪木「うゆぅ・・・これで処置は完了です」

輸血が終わり、ようやく小泉の容体は安定した。今はぐっすり眠っている

??「お疲れ、蜜柑」

罪木「うゆぅ、ありがとうございま・・・」

誰かに淹れたてのコーヒーを手渡され、受け取ろうと相手の方を向く。その直後、罪木は硬直した

穏やかな笑みを浮かべる少年だった。ボリュームのある薄茶の髪がボサボサに跳ねており、鼻の頭にあざが付いて釣り目と相まってやんちゃさを感じさせる

少年はそっと罪木の髪をなでた

??「髪・・・元に戻っちまったか・・・せっかく手入れしたのにな・・・って言っても今のお前には分からな・・・」

罪木「侑志・・・君・・・?」

侑志「・・・俺が分かるのか?」

罪木「はい・・・はい・・・!!」

罪木は少年に抱きついた。目に涙を浮かべて

罪木「あなたは・・・初めて私を許してくれた人だから・・・」

侑志「蜜柑・・・」

侑志もまた、罪木を優しく抱きしめた



しばらく経ち、侑志は「頼みたい事がある」と罪木を連れだした

罪木「侑志君も『ミライ族』なんですかぁ?」

侑志「ああ・・・『アバター』が今の俺の名前だ。『現実(リアル)の国のアバター』なんて変な異名なんかもある。だが、無理してそう呼ぶ必要は無いからな」

罪木「はい。侑志君で」

アバター「さて・・・俺の頼みはこの先に入院している患者の看病だ。手伝ってくれないか?」

罪木「はい。それが私のお仕事ですから」

アバター「よし、お前がこの先に進む事を常時『許可』しよう」

2人は壁に枠が取り付けられているという妙な通り道を抜けて先に進んだ

アバター「・・・入るぞ」

中からの返事は無いが、構わず入った

それもそのはず・・・中の患者は呼吸器を付けて眠り、一向に目を覚ます気配が無かった

アバター「俺の姉のような存在の人だ・・・永久欠番の21人目の『ミライ族』、名は『ドゥバー』・・・」

アバター「彼女は・・・この島に移住するずっと昔から、交通事故に遭って以来眠り続けてる」

罪木「直物状態という物でしょうか・・・」

アバター「どうなんだろうな・・・俺は、彼女の代わりに生きてきたようなものだ」

アバター「俺は出られなくても良い・・・どうか・・・彼女だけでも」

罪木「侑志君・・・」

アバターの様子はとても切実だった



新たな『ミライ族』との邂逅・・・だがそれがもたらすさらなる物語を紡ぐには、もう少し時間を要する

=6日目 終了=

希望の生徒達

狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :???
澪田唯吹  :???
小泉真昼  :ハーミットパープル
ソニア   :ラブ・デラックス
田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:リトル・フィート
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :ストレイ・キャット
終里赤音  :クラッシュ

モノミ   :カリフォルニア・キング・ベッドちゃん

???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
???   :
???   :

→『ミライ族』へ
左右田和一 :ナット・キング・コール

→『絶望集団』へ
九頭龍冬彦:???



絶望集団

モノクマ :ホワイト・スネイク

???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :クレイジー・ダイヤモンド
???  :???
???  :???
???  :???
???  :ザ・サン

???  :???
???  :???
???  :???



第三勢力・『ミライ族』

日向創  :マッチボックス・トゥエンティ(同値の2つの入れ替え)
七海千秋 :メン・ウィズアウト・ハッツ
テコンドー:ボーン・ディス・ウェイ
ブロガー :レッド・ホット・チリ・ペッパー
???  :???
コンサルト:ハーヴェスト
セイバー :ビーチ・ボーイ
エージェ :メタリカ
ダブルス :シルバーチャリオッツ
キャンディ:???
???  :???
メイド  :ヨーヨーマッ
???  :???
アバター :???
???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
ガードマン:ウェザー・リポート
???  :???
ドゥバー :???


どうしてこうなったorz・・・九頭龍君好きなのに・・・

このスレはネタスレかと思いきや、とあるテーマをぶっこんでしまったため全然ネタじゃないシリアス展開が続きそう

いや、『スタンド』持たせてる時点でネタスレですけどね?



さて、3の島に行けるようになりましたが、原作で言うCHAPTER2はまだ終わらない・・・

むしろ次の7日目が本番かもしれない



絶望の刺客との本格バトル勃発!!



・・・の予定ですがほとんど展開が出来ていないのでまたしばらく空きそうです。直前の『スタンド』変更もあるし

という訳で今回はここまで

またリクエストや感想をどうぞレスへ!!

なんてこった・・・読み返してみたらとんだミスを!

罪を着せられる役にするべく捕まっていた西園寺が、ビーチハウスを取り囲むメンバーに入っているという大ポカ!

その辺りの活躍を脳内で抹消し(やられ役で大して何もしていませんが)、3の島の見送りから一緒に居たという設定に脳内で直してくれるとありがたいです

実に面白いですね。リクエストですが、ミライ族側にも主役やラスボスのスタンドを使うキャラを出して欲しいです。スタンドの希望としては、スタープラチナ、ザ・ワールド、タスクをお願いします。後、ミライ族側でマッドサイエンティストというのをだしてもらえませんか?設定としては、カレーライスからスクーターを、百円ショップのもので宇宙船を作り上げる程の天才マッドサイエンティストで、希望が峰の勧誘を蹴り、色々あってミライ族に手を貸すことになったというのでどうでしょうか?

>>192

残念ながらミライ族20名はまだ設定が固まっていない所もありますが、全員の大まかなキャラ設定・スタンドは決定済みなので、そういった要望には答え兼ねます

改めてみたら主役・ラスボスのスタンド持ち居ないなぁ・・・でもチート能力者も居るのでバランスはまぁまぁ・・・か?動かしてみなきゃ分かりませんが・・・

もしこんなキャラが出したいという要望があるなら、本日から始まる同時間軸でのもう一つの物語を描く『ダンガンロンパ石田』へどうぞ(何というステマ)

主要キャラ2人と1匹以外は安価で人物像を設定するので、安価が取れるよう頑張って下さい

ただ、まぁ・・・あなたの思い描く人物像は『もうこいつ1人で良いんじゃないか』と呼べるほどバランス崩壊しか起こさない設定なので、もう少し抑えて頂けるとありがたいです。今のままでは確実に安価下にします

そのままの設定じゃなきゃ嫌ならスレを立てて自スレでお願いします

>>193鷹の爪団のレオナルド博士を元にしてみたんですが、さすがにやりすぎでしたか・・それじゃあマッドサイエンティストは廃案にします。代わりに、マジシャンズレッドつながりで、マジシャン(超高校級のマジシャン)というのはいかがでしょうか?もし既に決定済みの能力でしたら申し訳ありません。

>>195

ですから、『ダンガンロンパ石田』へどうぞ(さらに重ねるステマ)

今夜3人の新キャラの初期設定段階まで行って、後は交流の中で安価や自分の妄想で肉付けをしていくという予定ですので安価頑張って下さい。至らない点があると思いますが、全ては安価のみぞ知る・・・です

あ、『マジシャンズレッド』持ちはいずれ出て来るのでお楽しみに。いつになるか分かりませんが・・・

ちなみに鷹の爪は見た事ありませんでした。全員がそれぐらいのめちゃくちゃなキャラ設定なら大丈夫だと思うんですが、いくらダンガンロンパの世界観でも、そこまでトンデモにしちゃったら物語が壊れるしかないと思います

1月ほどたってるので保守上げ
図々しいかもしれんがスマヌ

>>197

ありがとうございます。ちょくちょく書いてはいるんですが、サスペンス畑なのでバトルの展開や描写をうんうん唸る所

『ミライ族』側は有る程度まとまって来たけど、『修学旅行参加者』側の対戦カードを決めて、さて、どう回せばいいんだろう・・・と悩んでいる所です

一応ジョジョはジョジョリオン5巻まで全部読んでるはずなんですけど、古本屋立ち読みなんで全部理解している訳でも無し

安易にスタンドスレにするんじゃ無かったかもしれないが、とりあえず続きは書きたい

並行展開している設定の『ダンガンロンパ石田』の日付が追いつきつつあるし

とりあえず今夜は『ダンガンロンパ石田』更新予定ですが

バトル描写に向いてないのかイマイチ良い展開が思いつかないので、とりあえず対戦カード決定までは投稿しておきます

バトルについてご意見ご感想があればレスどうぞ

===================================================================

=7日目 AM7:00=

~3の島 病院~

キャンディ「調子はどう?」

小泉「・・・・・・・・・・・・」

キャンディ「黙ってちゃ分からないんだけど?」

罪木が辺古山とドゥバーの看病をしている間、手伝いをしているという『ミライ族』のキャンディが小泉の看病に当たっている

小泉「あなたは・・・知ってた?九頭龍の件・・・」

キャンディ「動機提示の際に聞いたわ。その時が初耳よ」

小泉「・・・そう・・・」

小泉はキャンディの方を向かないまま話を進める

小泉「こんな私・・・あのまま九頭龍に殺されてれば良かった・・・とか思う?」

九頭龍の復讐は、ある意味正当性すらある物だったと、小泉は知ってしまった

その上、自分の行動が九頭龍の人生を終わらせたとなれば、尚更だった

キャンディ「そうね・・・死ねば良かったわ」

小泉「・・・!!」

キャンディ「少なくとも・・・今のあなたに、生きている意味が無い。このサバイバルを勝ち抜いたとして、その先で何かできるなんてこれっぽっちも期待出来ない」

キャンディ「ま・・・だからこそ『ミライ族』としては死なせない方針だけどね」

小泉「どうしてよっ!!?」

小泉はその方針の意図が分からず、声を荒げてキャンディの方を向く・・・が・・・

小泉「う・・・げぼぉ・・・」

キャンディの顔を見た途端、嘔吐した

小泉「はぁ・・・はぁ・・・」

キャンディ「ま・・・アバターとか他の人はそれなりの対応するかもしれないけど、あたしはアンタ達なんかに何か施してやろうとか全く思わないから」

キャンディ「希望の一員に選ばれたって浮かれて、何しようが自分が正しいとか勘違いするからこうなるのよ・・・!!」

冷たい言葉を吐き、キャンディは病室を去った

小泉「・・・・・・・・・・・・」

??『あ~あ、またこうなったか・・・あの時もそうだったわね』

??『九頭龍に殺されかけて以来、他人の顔を見るとあの九頭龍の顔と出来事がフラッシュバックして、相手の顔をまともに見れなくなっちゃった・・・』

??『それはカメラ越しでも変わらないから、もう一番得意だった『人物写真』が撮影出来なくなっちゃったのよね~』

小泉「・・・!!」

小泉は誰が立っているか知っている。昨日枕元に立っていた相手だ。一度だけ顔を見ている

そこに立っている声の主は・・・小泉だった

だが自分自身ではなく、少し成長した様な姿をしている

・・・そして、濁り切った目で嫌な笑顔を浮かべていた。九頭龍以上のトラウマだった

小泉「あなたは・・・誰なの?」

小泉?『分からないはず無いでしょう?それとも、分かってて否定してる?』

声が近付いた。そして次の一言は、耳元に直接話しかけるようなボリュームだった

小泉?『アタシは、『あなた』よ。『未来機関』に封じられた、あなたが思い出したあの事件の『後』のあたし・・・』

小泉は戦慄した

小泉(つまり・・・つまりそれは・・・私達が記憶を奪われて、この島に連れて来られる直前までのあたし・・・)



小泉(現在の・・・・・・あたし・・・・・・?)



小泉?『この『あたしの幻』はね、あなたが全ての記憶を取り戻しかけている証明なのよ。本当に思い出すか思い出さないかギリギリの境界に居る状態だから起こっている奇跡的現象・・・』

小泉「記憶・・・を・・・?」

小泉?『もっとも、さっきのキャンディちゃんにも見えるタイプの幻で、あの子は気付いててスルーしていたけどね。見えるだけであたしからは何も出来ないけど、幽霊みたいに』

小泉(他の人にも見える幻?そんな事って・・・)

小泉?『ま、あなたもそろそろ分かって来たんじゃない?どうしてここに連れて来られたか、ここで何をされる予定だったか?』

小泉「・・・・・・・・・・・」

九頭龍と小泉の幻を見れば一目瞭然だった

どちらも、同じ目をしていた

小泉「九頭龍が引き起こした事件は・・・あれで終わらない・・・あの後、さらに何かやったんでしょう?2件の殺人なんて生易しい程度じゃない大犯罪を・・・」

小泉「そして・・・私も、同じぐらいの事を・・・」

小泉?『分かってるじゃない。で、2つ目の疑問は?』

小泉「・・・・・・・・・・・・」

小泉は息を飲んだ

小泉「まだ、どういう理屈でそうなるかは分からない・・・でも、開始前にされた事を考えれば、これしかない・・・」

小泉「『あなた』を・・・『大犯罪を犯した小泉真昼の削除』・・・!!」

小泉?『ピンポーン!全く、無駄なことするよね?』

小泉の幻は、心底楽しそうに苗木達の行動を全否定した

小泉「無駄・・・?」

小泉?『『あたし』を抹消したって、やった事が無くなる訳じゃないのにね?ゲームじゃあるまいし!』

小泉?『あんたであり、あたしである、『小泉真昼』が犯した罪は消えないんだよ!たとえあたしの抹消が完了したあんたが、きれいさっぱり覚えてなくてもね!!』

小泉「・・・!!」

小泉?『ひどい話だと思わない?要するに『未来機関』がやろうとしている事は、覚えてない罪を一生背負わせるって事だよ?』

小泉?『あんたも九頭龍の件で悩んだでしょう?『覚えてない事をどうやって償えば良いの?』って!』

小泉?『馬鹿だよね?覚えてない罪なんて、償える訳無いじゃない!!』

小泉「・・・・・・・・・・・・」

小泉の幻が言っている事は、正論ではあるが・・・

小泉「・・・でも『あなた』は、最初から罪を償う気無いでしょう?」

小泉?『当たり前じゃない!なんで『あたしを見捨てた世界』を滅茶苦茶にしたらいけないのよ?どうせあたしなんか要らないって思っている世界を!!』

小泉「!?(あたしを・・・見捨てた・・・?)どういう事よ!!」

小泉?『ああ、その辺はまだ思い出してないんだっけ?じゃあネタバレになっちゃうけど・・・』

小泉?『希望ヶ峰学園はね、九頭龍に続いてあたしも追い出したんだよ!』

小泉「!!?」

小泉は青ざめた。自分まで退学させられていたというとんでもない経歴を知らされたのだから・・・

小泉「どうして・・・やっぱり、佐藤さんのように私も改めて希望として迎え入れる気が・・・」

小泉?『それ以前の問題ね』

小泉「・・・?」

小泉?『あんた、今の自分顧みて分からないの?』

小泉「・・・・・・!!・・・ま、まさか・・・あたしが写真を取れなくなったから・・・?」

小泉?『そう、それはつまり、『才能が無くなった』って事』

小泉?『学園はそんな奴に用は無いからね、お払い箱になったって訳。何も『超高校級の写真家』と呼べる人間は、あたし達だけじゃないでしょうしねぇ』

小泉「・・・何それ・・・何それ・・・?」

小泉に沸々と怒りが湧く

小泉の幻は、この怒りを『希望への憎しみ』に変え、『修学旅行参加者の小泉』が『本来の自分』に戻る事を期待した






しかし・・・わなわなと震えていた小泉の拳が大人しくなり、力無くだらんと指を広げた

小泉?『・・・どうしたの?希望ヶ峰って最低でしょう?許せないでしょう?』

小泉「・・・『その時』だったら、そう思ったかもね・・・」

小泉は力無くうなだれていた

小泉「でも・・・あたしが才能を失ったのは、あたしを殺そうとした九頭龍がトラウマになったから・・・」

小泉「九頭龍があたしを殺そうとしたのは、それしか妹の仇を討つ方法が無かったから・・・」

小泉「普通に妹さん殺しの犯人が捕まって裁かれるって展開にならなかったのは・・・あたしが証拠を隠滅してしまったから・・・」

小泉「つまり、あたしの才能が無くなった経緯は、あたしがやった事が巡り巡って自分に帰って来た結果・・・」

小泉「ただの・・・・・・自業自得だよ・・・・・・」

小泉?『・・・・・・・・・・・・』

小泉の幻の嫌な笑みが消え、無表情になる

小泉「だから・・・キャンディちゃんや『ミライ族』は怒ってるんだよ。自分のやった事から目を逸らし、希望ヶ峰学園や世界のせいにしたから・・・」

小泉「そんなの・・・責任転嫁でしかないわ・・・」

小泉?『何それ・・・何それ・・・?』

今度は小泉の幻がわなわなと震え始めていた

小泉?『いつまで・・・良い子ちゃんぶってるつもり?』

小泉?『あんたは、色んな物を抑え付けてるだけ!この『あたし』が本当の小泉真昼なのよ!!』

小泉?『大体気付けよ!あたし達は最初っから歪んでるんだよ!!』

小泉?『立派な戦場カメラマンの母に対し、だらしない父・・・そんな姿が目に焼き付いて出来た『女尊男卑』精神からして、既に人として壊れてんのよ!!』

小泉?『男の失敗はすぐ駄目出しし、女が同じ失敗しても寛容!!』

小泉?『それがあったからすぐに佐藤さんの言い分を信じたんだし?それが無くても助ける気だったんだし?』

小泉?『そんな奴が、あんな男の意見の方がまかり通る世界に出た所で、男につっかかっていってすぐ邪魔者扱いされて終わりよ!!』

小泉?『最初から、あたしはあの世界で生きていけるような人間じゃ無かったのよ!だからこそ・・・』

小泉「だからこそ・・・自業自得なんだよ・・・」

小泉?『・・・・・・・・・・・・』

小泉は悲しくなった・・・

小泉の根底には、自分の性格で社会に出てやって行けるのだろうかという将来の不安があったのだ

そしてそれが希望ヶ峰学園に追い出された事で一気に噴出し、学園への憎しみも相まって小泉を犯罪に走らせた

『住みにくい世界なら、ぶっ壊してしまえば良い』・・・と・・・

小泉?『笑える程の偽善者っぷりね・・・とてもあたしとは思えない・・・』

小泉「あたしだって・・・さっきの暴言が『あたし以降のあたし』だと思えないわよ・・・」

小泉?『・・・ま、だったらしばらく様子見してあげても良いわよ・・・』

小泉の幻は、徐々に姿が薄れて行った

小泉?『でも覚えておきなさい?例え似ていなくても、『あたしもまた小泉真昼である』という事を・・・』

小泉?『それにその内知るでしょう・・・そして知ればあたしに戻るでしょう』

小泉?『本当の本当に・・・全てが希望ヶ峰学園のせいであり、世界のせいだったって知れば・・・』

その言葉を最後に、小泉の幻は一先ず消滅した・・・

小泉「・・・本当の本当に・・・全てが希望ヶ峰学園のせい・・・?」

小泉は、自分が分岐点の前に立っていると感じた

一方の分岐点の先は、今の幻・・・

そして選ぶべきはきっと、もう一つの分岐点の先・・・

分岐点での選択を間違え、小泉は外の世界で大罪を犯した

それも憎しみが世界に対してもあったという事は、それこそ世界規模の大罪を・・・

小泉「『ミライ族』には・・・感謝しなくちゃね・・・あの『あたし』の言う通りだわ・・・ただ記憶を消すだけじゃ、意味が無い・・・!」

世界規模の犯罪を犯した記憶を本当にやった事だと理解し、それを背負い切り、それでも前へと進む意志がある者・・・

そんな人間だけが世界に帰れると、小泉は痛感した

そうでなければきっと元の世界に帰った所で、何も出来ずまた『絶望』に飲まれるだけ・・・

あの『記憶を失う前の自分』に戻るだけ・・・

罪木「はい、包帯巻き終わりました」

辺古山「ありがとう・・・」

罪木「何かあれば、すぐにナースコールして下さいね」

辺古山「ああ・・・」

罪木が回診を終え、病室を出た

辺古山「・・・・・・・・・・・・」

辺古山は罪木の前では気丈に振る舞っていたが、自分の両手を見てわなわなと震え始めた

辺古山「私は・・・人を、殺めた・・・」

昨夜キャンディの顔を見て、フラッシュバックした記憶・・・

キャンディの腹を真剣で貫き、命を奪う記憶・・・

視覚情報だけでなく、その時の真剣の感触、刺す時の感触も思い出していた

それだけではない。手に蘇った感覚が、自分が奪った命が、一人や二人ではないと訴えている

最初に蘇ったのは50人程度だが、その後しばらくして、1000・・・2000・・・数え切れない人間を斬った感触を感じた

辺古山「私は・・・大量殺人鬼・・・だったのか?それも、戦国時代・・・いや、そんな時代の武士さえ一生かけて達すか甚だ疑問な程、大量の人間を・・・」

そして・・・と、そこで思考を区切った

辺古山「あのビジョンと、最初の50人程度の感触・・・全て私の記憶なら、『ミライ族』の奴らの命を・・・私が・・・!」

辺古山「となると、奴らは・・・私がこの手で葬った『ミライ族』の生き残り・・・?」

だが、そこで疑問が湧いた

あのビジョンが現実通りなら、キャンディはあの致命傷で生きているとは思えない

だが現に昨夜、キャンディは自分の枕元に現れた。先程罪木が病室に入る時も、その後ろを通るのを見た

辺古山「この世界は・・・何かが間違っている・・・そんな気がする・・・」

裏切った左右田、九頭龍の変貌、大量殺人の感触、キャンディの存在・・・

この島にちりばめられた謎の答えは、自分の想像もつかない突拍子も無い真実ではないかと感じた・・・

辺古山「・・・少し風に当たろう・・・」

しばらくそうして考えてみたがまとまらず、辺古山は松葉杖を突きながら、混乱した頭を冷やすべく病室を出た

罪木「はい、包帯巻き終わりました」

辺古山「ありがとう・・・」

罪木「何かあれば、すぐにナースコールして下さいね」

辺古山「ああ・・・」

罪木が回診を終え、病室を出た

辺古山「・・・・・・・・・・・・」

辺古山は罪木の前では気丈に振る舞っていたが、自分の両手を見てわなわなと震え始めた

辺古山「私は・・・人を、殺めた・・・」

昨夜キャンディの顔を見て、フラッシュバックした記憶・・・

キャンディの腹を真剣で貫き、命を奪う記憶・・・

視覚情報だけでなく、その時の真剣の感触、刺す時の感触も思い出していた

それだけではない。手に蘇った感覚が、自分が奪った命が、一人や二人ではないと訴えている

最初に蘇ったのは50人程度だが、その後しばらくして、1000・・・2000・・・数え切れない人間を斬った感触を感じた

辺古山「私は・・・大量殺人鬼・・・だったのか?それも、戦国時代・・・いや、そんな時代の武士さえ一生かけて達すか甚だ疑問な程、大量の人間を・・・」

そして・・・と、そこで思考を区切った

辺古山「あのビジョンと、最初の50人程度の感触・・・全て私の記憶なら、『ミライ族』の奴らの命を・・・私が・・・!」

辺古山「となると、奴らは・・・私がこの手で葬った『ミライ族』の生き残り・・・?」

だが、そこで疑問が湧いた

あのビジョンが現実通りなら、キャンディはあの致命傷で生きているとは思えない

だが現に昨夜、キャンディは自分の枕元に現れた。先程罪木が病室に入る時も、その後ろを通るのを見た

辺古山「この世界は・・・何かが間違っている・・・そんな気がする・・・」

裏切った左右田、九頭龍の変貌、大量殺人の感触、キャンディの存在・・・

この島にちりばめられた謎の答えは、自分の想像もつかない突拍子も無い真実ではないかと感じた・・・

辺古山「・・・少し風に当たろう・・・」

しばらくそうして考えてみたがまとまらず、辺古山は松葉杖を突きながら、混乱した頭を冷やすべく病室を出た

辺古山(あそこに居るのは、罪木・・・髪を切ってもらってる?)

休憩室の戸が少し開いていたのでそこを覗くと、罪木がアバターに髪を委ねていた

長さがアンバランスだった罪木の髪が整えられた

アバター「よし、終わりだ。お疲れさん」

罪木「えへへ・・・ありがとう、侑志君」

辺古山(知り合い・・・?ここに居る人間は私達以外は『ミライ族』だろう?罪木も左右田同様『ミライ族』と過去に面識が・・・?)

しかもコードネームではなく本名の下の名前を呼び、とても親しそうだ

アバター「全く・・・あんな髪じゃあ、患者さんも不安になるぞ?」

罪木「ああ・・・侑志君は今も変わらず優しいですね」

アバター「お前も変わらなかったな・・・悪い意味で・・・」

アバターが目元に影を落とす

罪木「どうしてそんな事言うんですか?私は侑志君に再会出来て、心がとってもぽかぽかなんです。もう、希望とか絶望とかどうでも良いぐらい・・・」

アバター「嬉しい事を言ってくれるって思えたら良いが・・・その程度にしか愛されてなかったか・・・ってのが、今の感想だ」

罪木「え・・・」

罪木だけでなく、辺古山もキョトンとした

罪木「どうして・・・?どうしてそんな悲しい事言うんですか?私はこんなに侑志君を愛してくれるのに・・・」

アバター「『希望も絶望もどうでも良い』・・・か・・・」

アバターは悲しげな表情で罪木と向き合う

アバター「俺達は、お前が消された記憶の中の出来事も良く知ってる。それを知って、思ったんだ」

アバター「お前は・・・そう思わせてくれる相手なら、誰でも良かったんだろうな・・・って・・・」

罪木「誰でも・・・良かった・・・?」

アバター「だってお前は・・・俺が居なくなった後、すぐ鞍替えして俺をさっさと忘れたもんな・・・」

罪木「忘れた・・・?私が、侑志君を・・・?」

アバター「お前の感情は、『愛』じゃない・・・ただの『依存』だ。お前が求めていたのは、『愛してくれる相手』じゃない・・・『寄り掛かれる相手』だ」

アバター「『希望』に傾倒する、狛枝のようにな・・・」

そう言って、アバターは背を向けた

罪木は少し黙った後・・・わなわなと怒りに震え出した

罪木「じゃあ結局・・・あなたも私を捨てるんですか?私を許してくれないんですか!?」

辺古山(罪木・・・?)

罪木「あれだけ私に夢を見させておいて・・・遊びだったって訳ですか?」

罪木「だから私の前から居なくなったんですかぁ!?そういう事ですか!!?」

罪木「許してくれたと思ったのに・・・そうやって私の方に問題があったんだって言い方して・・・」

罪木「結局あなたも、私をいじめるその他大勢と大して変わらないんですかぁ!?どうなんですか!!?」

辺古山(これが・・・あの罪木なのか・・・!!?)

辺古山はヤンデレと言える罪木の豹変に、九頭龍と別種の戦慄を覚えた

アバター「許せる訳・・・無えだろ・・・」

罪木「・・・・・・・・・・・・裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った裏切った」

罪木「よくも・・・よくも私の純粋な愛を・・・踏みにじったなぁ!!!!????」

罪木は懐からメスを取り出し、アバターに襲いかかる

辺古山「よせ!!罪・・・」

アバターの背中に、メスが刺さった。だが、背中は罪木の方を向いていない

アバターは、罪木をしっかりと抱きしめていた

アバター「許せる訳無えだろ・・・七海にあの後のお前の事を聞いて、今更お前を理解した俺の不甲斐なさを・・・!!」

罪木「侑志・・・君・・・?」

アバター「お前は・・・愛を知らなかっただけだ・・・誰にも教えてもらえず、俺もちゃんと教えてやれなかった・・・」

アバター「間違った知識は、時にそいつその物を歪める・・・そこに浸け込んで、『あいつ』は、俺が居なくなった後のお前を・・・」

辺古山(あいつ・・・?)

アバターは、ゆっくり引き剥がした

罪木「侑志君・・・」

アバター「お前に、選択肢が無かったというのも、『あいつ』に浸け込まれた原因だろう・・・だけど、今は違う」

アバター「罪木・・・今のお前は、選べる立場にあるんだ」

罪木「選ぶ・・・何を・・・?」

アバター「お前が信じる愛を・・・だ・・・」

罪木「愛を・・・選ぶ・・・?そんな事、出来るんですか?何も決める権利が無かった私に・・・?」

アバター「どちらの愛を選択するか・・・それがお前の未来を決める」

罪木「未来を・・・?」

アバター「俺がお前を一生許さない時が来るとしたら・・・それは、お前がその選択から逃げた時だけだ」

罪木「はぁ・・・」

まだ何の事だかわからない罪木は、空返事になってしまう

アバター「安心しろ・・・選択の時が来れば、その時だとすぐに気付く」

アバターは、罪木の髪を優しく撫でた

アバター「お前がどちらの道に進むかまでは、俺が決めてはいけない・・・後悔しない選択をしてくれ」

そう言って、休憩室を後にしようとした

罪木「って、侑志君!?背中の傷治療しないと・・・ご、ごめんなさい・・・許して・・・」

アバター「はっ!・・・これでも足りねぇぐらいだ・・・これはけじめだ・・・」

罪木「侑志君・・・」

そう言われては、罪木は大人しく見送るしか無くなってしまった・・・

外に出たアバターに、辺古山は声をかけた

辺古山「アバター・・・と言ったか・・・」

アバター「聞いてたのか・・・お前も人が悪い」

アバターはフ・・・と、笑った

アバター「手当てはちゃんとするさ。あいつの前で良い格好をしたかっただけだ」

辺古山「恋仲・・・だったのか?」

アバター「聞いてたんだろう?恋と言える程の関係にすらなってなかった・・・」

アバター「そして・・・これ以上の関係を築けるかも怪しい立場だ・・・」

辺古山「これ以上・・・築けない?」

アバターは、悲しげに天に伸ばした片手を眺める

アバター「そもそも・・・『歪んだ存在』の俺が、誰かと恋人になれるのかも疑問だがな・・・」

辺古山「歪んだ存在?」

アバター「ある意味・・・外の悲劇は、俺も引き寄せた一因のような物だからな・・・俺もお前達と、立場はあまり変わらねぇんだ」

辺古山「お前も・・・何らかの罪を・・・?」

アバター「罪・・・か・・・」

アバターは自虐的な笑みを浮かべる






アバター「果たして・・・どこからが『俺達の罪』なんだろうな・・・」






辺古山「どこ・・・『から』?」

普通はどこ『まで』と言う所をそう表現し、辺古山はとても印象深く感じた



罪木もまた、そう遠くない内に分岐点の前に立つ事になるだろう

~本物のジャバウォック島~

朝日奈「ムグムグ・・・あ~、もう何が何だか分かんない!ドーナッツ食べてなきゃやってらんないよ!!」

葉隠「まあそう言うなって朝日奈っち・・・結局俺達は頭脳労働組が休んでいる間の監視しかできねぇし?」

朝日奈「苗木達も参加者達も、そしてモノクマもまだ眠ってるのか動きが無いね・・・そういえばアルちゃん、この間にモノクマの居場所は・・・」

アル『ごめんねぇ・・・まだ見つかってないんだ』

朝日奈「そっか・・・」

アル『正直、僕がやれる事ってそんなに無いんだよね。あくまで管理人だから・・・でも・・・』

葉隠「七海っちは明らかにプログラム世界を好きなようにイジれてる・・・だろ?十神っちが言ってたべ!」

朝日奈「しかも仲間と連携して、独自のルートで外の世界についての情報も得てるんだってね」

ドーナッツを食べつつ、自分達にとっては暇潰しでしかない議論に花を咲かせる

葉隠「七海っちは実際に生きていた人間だったって話・・・本当だと思うか?」

朝日奈「ここで初対面のはずの日向とすっごい仲良いんだから、間違いないよね?」

アル『左右田君も千秋ちゃんを知ってるみたいだったしね』

葉隠「そもそも・・・日向っちが謎だよなぁ」

朝日奈「そうだね・・・未来機関に問い合わせても、希望ヶ峰学園に在籍していたのは事実だって話だけど、それ以上の情報は結局何も教えてもらえなかったね」

葉隠「教える以前に日向っち諸共これの参加者全員を本部に引き渡せの一点張りだったべ・・・ただ・・・」

葉隠「特に日向っちに執着してる感じがしたべ・・・」

朝・アル「『確かに・・・」』



自称『超高校級の相談員』 日向創

現在はその才能を余す事無く発揮し、謎の集団『ミライ族』のまとめ役となっている

その『ミライ族』に関しても、『未来機関』は『絶望以上の大犯罪者集団』であり、すぐにでも排除するべき存在であるとだけ返答された

朝日奈「あ~・・・もう!いい加減少しは謎を明かしてよ!進展してよ!!」

葉隠「・・・ん?」

朝日奈「どうかした?」

葉隠「いや、今ホテルの陰から誰かが・・・」

朝日奈「どれどれ・・・え・・・・・・・・・・・・」

朝日奈は、手にしていたドーナッツを床に落とした

朝日奈「嘘・・・嘘・・・だよね?」

葉隠「ああ!?『あいつ』って・・・」

アル『多分・・・あれがモノクマの『刺客』・・・』

朝日奈「じょ、冗談言わないでよ!!あれは・・・」

朝日奈は顔を青くしながら否定する



――そこに映っていたのは・・・二度と動いている姿を見る事は無いと思っていた相手だった

西園寺「ん~!!ん~!!?」

さらに声が出ないよう、猿轡もされているようだ。耳の感触からして、耳栓もされているだろう

だが、妙だった。西園寺の首から下の感触は、布団の感触しかしない。蒲団の上から縄などで簀巻きにされている訳ではないのだ

なのに、布団が持ち上がらない。まるで『固定されている』ように・・・

西園寺(嘘・・・どうなってんのコレ?『スタンド攻撃』を受けてる・・・!!?)

西園寺はパニックに陥って暴れるが、布団に締め付けられている首から下は微動だにしない。西園寺は一気に顔が蒼ざめた

この奇妙な布団が外の『敵スタンド使い』の仕業だとしたら、そいつを倒さなければ布団は動かない

だが、自明の通り動きようが無い自分にはどうする事も出来ない

このままの状態が続けば、間違いなく餓死する

万が一、コテージに居る全員がやられていたら・・・

西園寺「ん~!ん~!!!」

西園寺はさっき以上に暴れるが、やはり布団から身動きが取れない

視覚・聴覚情報が無く外がどうなってるか全く分からないという状況も、絶妙に西園寺の正気を狂わせにかかる

そして西園寺の危惧した通り、こうなっているのは西園寺だけではなかった

澪田(うわー!真っ暗っすー!お先真っ暗っすー!!)

弐大(全く動かん・・・このワシをして・・・!!)

花村(束縛プレイの上に放置プレイ・・・アリだけど、死ぬまで続くのはちょっと・・・)

狛枝(やれやれ・・・やっとモノクマ側が仕掛けて来たというのに、これはちょっと絶望的じゃないか。希望と絶望の戦いを見れないじゃないか!)

澪田・弐大・花村・狛枝も、眠っている間にこの状況に陥っていた

??「現在コテージにいらっしゃらないのはここまでで、辺古山ペコ殿・七海千秋殿・左右田和一殿・九頭龍冬彦殿・田中眼蛇夢殿・十神白夜殿・日向創殿・罪木蜜柑殿・・・」

??「思ったより数が少なくなっていますなぁ・・・まぁ、出掛けているだけの方々は『彼』にお任せですが。どうせ生き残りが居ても、僕が雲隠れしてしまえば彼らには何も出来やしませんしね」

??「ぐふふ・・・『超高校級』ともてはやされ何でも出来ると思っていた方々が、『死ぬ』以外何も出来ない状態でただ死ぬのを待つだけの余生とか・・・絶望的なシチュで原稿もはかどりますなぁ♪」

??「さて、後は終里赤音殿とソニア殿ですな。終里赤音殿は弐大猫丸殿が自室に居たから在宅だと思いますが・・・」

そう呟き、何者かが終里の部屋を訪問する。なぜかマスターキーらしき物を持っているその人物は、あっさりと終里の部屋に侵入した

終里「ぐが~・・・ご~・・・」

??「おやおや、女性だと言うのにはしたない・・・ちゃんと布団をかぶりなさい」

??「死までの安眠のために・・・ね」

不気味な笑みを浮かべたその人物は、そう言って布団から出ている終里を整えようとする

が、その時―――

終里「うわああああああああああああああああああっ!!?」

??「ぶひゃあああああああああああああああああっ!!?」

突然終里は目を覚まし、何者かを渾身の蹴りで吹き飛ばした

終里「な、なんだ!?何に触られた!?」

??「は・・・反射で吹き飛ばすとか、ちゃんと安眠しているのですか?」

終里「俺のどこが良いのか、寝ているとオッサン達が体まさぐってくんだよ!」

??「是非詳細を!本にしますので!!」

終里「知るか!・・・だが、オメーはその手の奴じゃねぇよなぁ?敵か!!」

??「ぐふふふ・・・拙者、絶望の象徴モノクマ殿が遣わした絶望の使徒・・・」

??「山田一二三・・・『全ての始まりにして、終わりなる者』・・・二つ名の方で読んで頂いても構いませんぞ」

山田と名乗った巨漢は、終里と対峙する

~現実のジャバウォック島~



朝日奈「嘘・・・山田・・・!?」

葉隠「モノクマが仕込んだ刺客が山田っち!?」



山田一二三・・・かつて朝日奈達の同級生だった少年にして、希望ヶ峰学園第78期生『超高校級の同人作家』だった才能の持ち主

だが、彼はもう現実には存在しない。既に『死んでいる』から・・・

かつて『未来機関』の6人が参加させられた『コロシアイ学園生活』・・・その名の通り希望の生徒達が殺し合う絶望の宴、山田はそこで命を落とした

1人の少女に唆され同級生を殺害し、その少女に命を奪われた、掌の上で踊り続けた哀れな男・・・



朝日奈「・・・はっ!!」

山田の事を思い出していた朝日奈が、嫌な予感を感じた

朝日奈「ま、まさか・・・山田だけじゃないんじゃ・・・」

~1の島 牧場~

田中「な・・・何だこれは!?」

田中とソニアが日課の牧場にやって来ると、全ての動物が意識を失っていた

否、実際に触れてみると既に冷たくなっている。全て死んでいるのだ

ソニア「どういう事ですか!?どうしてこんな事に・・・」

田中「妙だ・・・外傷は一切無いというのに死んでいる・・・毒だとしてもそれなりの症状がみられるはずだが、その特徴も無い・・・」

ソニア「じゃあ、どうして・・・」

??「単純なこった。ブチ殺した後外傷を『治した』ってだけのこった」

田・ソ「「!!?」」

ドスの効いた声に振り向くと、学ランの男が立っていた

トウモロコシの様なリーゼントを頭から垂らし、明らかに不良然とした少年だ

ソニア「あなたがやったのですか!?どうしてこんな事を!!」

??「何でも何も・・・俺の『スタンド』のウォーミングアップをしてただけだ。毎朝ここに来るってお前らを待ちがてらな」

田中「『治す』・・・貴様が『クレイジー・ダイヤモンド』の本体だな!!」

ソニア「どうして・・・どうしてそれだけのためにこれだけの命を奪えるんですか!!?」

??「どうして?」

ズン・・・と、いきなりソニアと距離を詰め、ニヤニヤと嫌な笑いを向ける

??「テメェの口からそんな言葉が出るとはなぁ・・・同じ穴のムジナの癖によぉ!」

ソニア「『同じ穴のムジナ』・・・『同類』って意味ですよね?」

田中「メス猫から離れろ!!」

田中は『ゴールド・エクスペリエンス』で殴りかかるが、あっさりとかわされる

相手も『クレイジー・ダイヤモンド』を発動した

??「同じ『主人公のスタンド』持ちだ。最初っから相手すんならテメェって決めてたんだよ!どっちの『スタンド』が強ぇか、腕比べと行こうじゃねえか!」

??「関東最大の暴走族『暮威慈畏大亜紋土』二代目総長にして『超高校級の暴走族』大和田紋土!押して参る!!」

ソニア「最後何か間違ってる気がするのですが・・・」

~2の島 一般道~



七海「『メン・ウィズアウト・ハッツ』!!」

雨の中、七海は自らの『スタンド』を空に放ち、弾丸を撃ちまくる

その弾丸で、大量に降り注ぐ『ザ・サン』のエネルギー弾を防ぎ続けていた

いくら雨である程度気候を緩和出来ても、エネルギー砲は防げないのだ。その上、明らかにこの2の島の『ミライ族』を集中して狙っている

あれ程の攻撃を防げるのは、現在居るメンバーの中でも七海の『メン・ウィズアウト・ハッツ』しか無かった

早めに本体を仕留めるべきか?しかしそれはそう簡単には叶わない

それが難しい理由は主に2つあるが、今回の場合は後者だった

1つは原作と同様、本体が完全に隠れている状態である事。これはモノクマの居る島から完全に隔離された場所なら誰にも近付けない

しかしそれは『ザ・サン』が『スタンド』である限り有り得ないのだ

『スタンド』には本体から離れられる距離の制限がされており、遠く離れる程力は弱まり、ある一定の距離以上に離れる事も出来ない

ましてや完全に次元という形で隔絶された場所から『スタンド』を操作するという事は不可能なのだ

それが出来るのなら原作の敵は、その『スタンド』を承○郎一行に延々と張り付かせれば良いだけなのだから

そのため本体は確実にジャバウォック島内・それもなるべくスタンドの近くに居なくてはならない

現在繋がっていない4,5の島にも『ミライ族』のメンバーは居る。いくら隠れていようとも、人海戦術に近い方法でいずれ見つかってしまうのだ

その点を考慮したモノクマは本体と『スタンド』の組み合わせを決める上で、『ザ・サン』の場合はもう1つの撃破困難の要因を基準にした

そう、『ザ・サン』の本体は既に七海達の目の前に居り、『ミライ族』との交戦を始めている。どうやら『ザ・サン』のエネルギー弾は、ある程度自動で射出しているらしい

七海を潰せばエネルギー弾を防ぐ術が無くなり総崩れになると考え、直接倒しに来たのだ

『本体を叩くのが困難となるもう一つの要因』それは・・・

??「・・・・・・・・・・・・この程度か?」

テコンドー「舐めんなぁっ!この程度で全く似合わねぇセーラー着たオカマ野郎相手に音を上げてられっか!!」

??「・・・我は女だが?」

テコンドー「へ?」

七海「彼女の名は大神さくら・・・史上最強の名をほしいままとした中で例の『コロシアイ学園生活』で命を絶った・・・『超高校級の格闘家』だよ」



彼女のように、『本体自体がスタンド抜きでも倒す事が困難』という場合である

>>205 >>206 連投スマソ。萎えるよねぇ・・・



とりあえず戦闘前のドラマ兼chapter3以降の前振りと、バトル導入部分で今回は終了です

今後の展開については・・・

ミライ族VS大神・・・大体あらすじは出来つつあるので後は書くだけ

田中・ソニアVS大和田・・・ドラマ的な見せ場は良いが、バトル面での見せ場に悩んでる

終里VS山田・・・バトル面をどう展開していけば良いかさっぱり

って進行度です

山田についてはこれまでの描写で『スタンド』が何か分かってると思いますが、あれがどこまでやれるかがイマイチ分かってないのが筆が進まない原因なんですよね~

特にミ○タがトラックから降りようとして降りれないって描写がどういう理屈で起こっているのか、古本屋で読み返したくてもその辺の巻が置いてなくて分からない状態なんですよね。分かる人居ませんか?

質問の解答やこんなバトルが見たいって意見があればレスどうぞ。ちなみに「なら山田後回しにすれば」は無しで。もう確定情報書いちまいましたし

お待たせしました。絶望軍団との戦い、『終里編』を一挙投稿していきます

後半は大変胸糞悪い展開になりますので、純粋な方は次回の『眼ソニ編』を待つべきかもしれません

~現実のジャバウォック島~

朝日奈「嘘・・・でしょ!?さくらちゃんが・・・さくらちゃんが・・・さくらちゃああああああああああああああああああああああああああん!!!」

唯一無二の親友だった朝日奈は、クローンを絶望のために利用されている事態に憤りと嘆きを隠せない

葉隠「ダメだこりゃ、オーガを引っ張りだすんならもうあいつらに未来は無えべ・・・」

朝日奈「見てられないよぉ・・・たとえ偽者でも、さくらちゃんが誰かを襲う所なんて・・・」

朝日奈は目線を逸らした。丁度終里と山田の居るホテルみらいが目に入った



~1の島 ホテルみらい コテージ~

終里「ここは良い所だよなぁ・・・」

山田「そうでしょうか?」

終里「水上コテージとか、南国っぽくて最高じゃねぇの?ま、俺にとってもっと最高なのは・・・」

ザパアアアアアアアアアアアアアアアン!!

終里「『クラッシュ』が自由に動ける環境って所だ!!」

終里の足元の水辺から、終里の『クラッシュ』が姿を見せた。いつものように終里はその上に乗る

山田(『クラッシュ』は水ある所どこにでも現れる『スタンド』・・・逆に言えば常に水がある場所は独壇場と言う訳ですか・・・まぁ・・・)

山田「この僕の『スタンド』が相手でなければの話ですがね」

山田はその巨体に似合わず、コミケで鍛え上げた瞬発力で『クラッシュ』の突進をさらりとかわす

終里「まだまだぁ!!」

さらに追撃を加えようとしたが・・・

ガクンッ

終里(この感覚は・・・!?)

以前田中にやられたように、突然クラッシュが止まり、終里の体が投げ出される

だが、こと戦闘に関しては物覚えの良い終里は、慌てる事無くコテージを繋ぐ橋の上に着地した

終里「何だ・・・?」

終里が『クラッシュ』の方を見るが、どう見ても『クラッシュ』の周りは水だけで、引っかかる様な物など何も無い

終里「どうなってる?」

山田「こういう事です」

山田が水辺に降り立った

終里「!?」

山田は水面に着地した。一向に沈む気配が無い

そして人型の山田の『スタンド』が姿を現した

山田「こちら、僕のスタンド『クラフト・ワーク』です。有する能力は『固定』・・・何でもその場から動かなくします」

終里「て事は・・・!?」

山田「水全体の形をそのままに固定しました。僕だけでなくあなたも自由に水上をあるけますよ。水中に居た『クラッシュ』は、もう動けませんがね」

終里「ほう・・・『スタンド』を封じに来たか・・・やるじゃねえか!」

終里も水上に立った。山田の宣言通り立てた

終里「こうして水面を歩くってのは、戦闘が好きなヤツにゃあそそるシチュエーションだな」

終里はこの状況下でドキドキしている

終里「さあ、『スタンド』を封じたぐれぇで勝った気になって貰っちゃあ困るな!来い!俺自身を倒してこその完全勝利だ!!」

山田「何言ってんですか、逃げますよ」

山田はあっさり背を向けて敷地外を目指し走っていく

終里「・・・・・・・・・・・・」

終里「・・・・・・はっ!」

終里「くぅおらぁああああああああああああああっ!待ちやがれえええええええええええっ!それでも『スタンド』の戦士かあああああああああああああああっ!!!」

山田「『スタンド』でもボコボコにし兼ねないあなたとまともにやり合う訳無いでしょうが!」

終里「ほほう?だったら・・・逃げられなくしてやろうじゃねえか!!」

終里があっという間に山田を追い越し、目の前に立った

山田(早いっ!?)

ゴッ!!

山田「ぶひゃあああああああああああああああああああっ!!?」

反対側に吹っ飛ばされた山田は、コテージの一角の柱に直撃する。すると・・・

ミシシ・・・ミシ・・・バキィッ!!

山田「なっ!?ぶひいいいいいいいいいっ!!?」

山田がぶつかったコテージが物の見事に崩れ落ちた

慌てての回避になったが、なんとか負傷は免れた

山田「馬鹿な!?こんな簡単に・・・ハッ!?」

良く見ると、ぶつかった場所以外も全ての支柱が傷んでいる。あらかじめ脆くしてあった土台が、山田がぶつかった衝撃で一気に崩れたのだ

終里「オララララララララララララララララァッ!!!」

山田「こ、今度は何事ですか!?」

起き上がって終里の方を向くと、終里がすぐ傍のコテージの下に潜って支柱を攻撃している

終里「オラァッ!!」

山田「ひひぃっ!!?」

終里の攻撃でそのコテージも崩れ落ち、瓦礫の山になる

山田(ま、まさか・・・コテージの瓦礫で取り囲んで逃げられなくするおつもりですか!?)

山田(ここは皆さんの居住区でしょう!?どうせ我々に殲滅される存在だからいつまで使えるか分からないでしょうけど、だからって・・・だ、第一・・・)

山田がこの作戦のある『異常性』に恐れを成すが、それどころではない

終里「ドラアッ!!ウラァッ!!」

この間にも次から次へとコテージが壊されていく

山田「あ、あの~、一体どうしてパンチだけでそんなに出来るので?」

終里「こういうの作るバイトもやってたからなぁ!構造は熟知している!!」

山田「この歳でしかも女子が土木業のバイトって、噂通りの荒みっぷり・・・」

山田(そしてこの『異常な』作戦・・・こりゃあモノクマ殿に聞いた終里赤音殿の『あの話』も本当かも・・・)

終里「良いのかぁそこに居て?構造を知ってるって事がどういう事か・・・分かってねぇようだなぁ!」

山田「へ?」

山田は現在、終里の傍のコテージと直線上で並ぶ、まだ無事なコテージの傍に立っている

終里「うらぁっ!!」

終里はまた一つコテージを崩した

山田「!!」

そのコテージが隣のコテージにのしかかり、そのコテージもまた崩れていく

そしてその隣、さらに隣・・・

山田「しまった!!」

まるでドミノ倒しのように次から次へと倒れていくコテージは、山田の傍のコテージのみ無事な支柱の関係で歪んで崩れ、真っ直ぐ山田に向かって倒れ込んだ

山田(理屈じゃない・・・一体いつの間に、どうやってこんな仕掛けを・・・!!?)

気付いた時には逃げ切れない。山田はコテージに押し潰された



山田(うぐ・・・ん?何とも無い?)

山田は奇跡的な崩れ方で空いたスペースに滑り込めていた

山田「た、助か・・・」

終里「助かったって思ったか?」

山田「ひぃっ!!?」

人が通れそうにない隙間の向こうに、獣の目をした終里が立っている

山田「ど、どうするつもりで?あなたも入って来れませんよねぇ・・・墓穴掘りましたね?」

終里「ああ、入れねぇ・・・身体ごとはな。だが・・・」

終里は手をバキバキと鳴らし始めた

終里「パンチは隙間から通るぜ!」

山田「ぶひゃああっ!!?」

山田は後ろに下がろうとする。しかし、後ろのスペースがほとんど無い

完全に射程距離に追い詰められ、コテージをどかそうにも『クラフト・ワーク』本体でも時間がかかるだろう。パンチに間に合わない

防御するか、そう考えた時に山田は気付いた

自分が、何の上に立っているか

山田「『クラフト・ワーク』解除!!」

そう、コテージが倒れ込んだのは『地面』ではない

『地面』と同じ状態にしただけの『水』である

『クラフト・ワーク』を解除すれば、下にいくらでも逃げ道があった

終里「おわっぷ!?」

終里も突然崩れた足元に成すすべも無く水中に投げ出される

山田は散々脅かされた恨みを晴らすように『クラフト・ワーク』の直接攻撃を狙って終里に近付く

山田(あと一歩でしたな・・・突然水中に投げ出されてすぐに対応出来ないでしょう。しかも着衣泳。普段より動きが悪くなる。こちらの攻撃に対応している暇など・・・)

だが、山田の勝ち誇った表情に対し、終里もまたニヤリと笑みを浮かべた

山田(・・・・・・『水中』・・・!! しまっ・・・)

その表情で山田は己のミスに気付くが、もう遅い

山田の左から、強烈な斬撃がぶつかって来た

そう、水が固定を解除されたという事は―――



―――そのせいで動けなかった『クラッシュ』が自由になる事を意味する

山田は『クラッシュ』の牙に腕を裂かれ、身悶えながら水面へと吹き飛ばされる

山田(馬鹿な・・・!?失礼ながらさほど頭の回転はよろしくなさそうな彼女が、何手先まで用意していたと言うのですか!!?)

恐らく『クラッシュ』を解放するのが本命だろうが、その前にも終里のパンチ、コテージの倒壊と山田を倒せるポイントがいくつも用意されていた

『クラッシュ』解放は本命でありながら、最終手段でもあったのだ

だが、その『クラッシュ』解放も本命でありながら、さらに次の段階への布石に過ぎない

『クラッシュ』による傷、体当たりの衝撃、対する水の抵抗で何が何やら分からない状態になった山田は、数秒後に水面に辿り着く

山田「!!!」

そこには終里が待ち構えていた

終里「『スタンド』も良いが、やっぱ俺自身の手で倒さねぇとなぁ!!!」

山田「げぶぅっ!!?」

山田の腹に終里のパンチがクリーンヒットした

山田自身が重く、さらに大量の水を吸収した服を着ているにもかかわらず、山田の巨体は軽く水面を離れ、コテージの瓦礫の山に吹き飛ぶ


終里「痛っ・・・!刺し違えようってのは嫌いじゃねぇぜ・・・」

パンチをした直後、終里の左腕に傷が出来た。終里は山田のとっさの抵抗だと考えるが、終里にとっては大した傷でも何でもない

一方の山田は吹き飛ばされた先の瓦礫の山に右腕と左足を貫かれ、身動きが取れなくなっている

終里「思ったより歯応えなかったなぁ・・・田中が『クラフト・ワーク』はかなり強力な『スタンド』で、使用者次第で最強にもなり得るっつってたが、どうやらテメェは『ハズレの本体』だったみてぇだな」

山田ぞっとする。終里は最早完全に山田への興味を失くしたように死んだ目をしている。そんな表情で止めを刺しに来るのだから一層不気味である

終里「止めだ!!」

山田「うぐっ・・・」

山田「・・・・・・・・・・・・?」

山田が恐る恐る目を開けると、終里の拳は手前で止まっていた

だが助けた訳ではない。終里の腕は完全に伸び切っている。ただ届かなかっただけだ

しかし終里ともあろう者が自分のリーチを間違えるだろうか?答えはNoである

つまり、リーチを間違えたのではなく、リーチが変化したのだ



例えば、『体が縮んだり』して



終里「・・・何の真似だ?」

山田の方を向いたまま、終里は背後に文句を垂れた

西園寺「はぁ・・・はぁ・・・」

そこには自分のスタンド『リトル・フィート』に抱えられて水面に出ている、全裸の西園寺が居た

先程の終里の傷は山田ではない。西園寺の『リトル・フィート』が付けた傷だ

その結果『リトル・フィート』の能力で終里の身体は縮みつつある

西園寺「あ、あんた・・・自分が何をしてんのか分かってる!?」

西園寺は怒りの形相で終里を睨む

終里「そこの山田ってブーデーとバトってる」

西園寺「じゃなくて!そのためになんて事をしたんだっつってんのよ!!」

西園寺「コテージを!ぶっ壊して!!それで固定された布団から逃れられたけど、そのまま水に落ちて溺れ死ぬ所だったよ!!!」

西園寺は最も水泳に向かない着物を着ている。脱がなければ確実に溺死していただろう

そう、山田が終里の作戦を『異常』だと思ったのはこの点だ

終里は中に人が居るかどうかも考えず、コテージをぶっ壊したのだ

山田は花村、弐大、狛枝、澪田も同じ様にコテージに閉じ込められているのを知っていた。その4人が無事かは分からない

さて、西園寺が身を以て死ぬ可能性があった作戦だったと言う事を示し非難するが・・・

終里「何だ、そんな事かよ」

西園寺「そん・・・な・・・事・・・!?」

全く大した事が無いと言わんばかりの態度に、西園寺は怒るどころか唖然とした

終里「ここはもう修学旅行の舞台なんてもんじゃねえ。『ミライ族』やモノクマの野郎共との戦場だ。いつ何があったっておかしくねぇ。例え同じ陣営の奴の手による事でもな」

終里「それで死んだところで、そんなの対応出来なかったそいつが弱かった。ただそれだけだ。責められる理由なんてこれっぽっちも無ぇ」

西園寺「ほ・・・本気で言ってんの!!?」

終里「ほら、分かったらさっさと『リトル・フィート』解除しろ」

西園寺「す、する訳ないでしょ!?そんな危険な考えの奴、狛枝と同じぐらい危険だよ!!野放しに出来る訳無いでしょう!?」

終里「そうか」

西園寺「!!?」

返事を聞いたと思ったら、終里が目の前に居た

西園寺「がふぅっ!!?」

終里「だったらオメェを倒すだけだ」

『クラッシュ』に乗っていた終里は、西園寺の腹部に何のためらいも無く全力の蹴りを入れた

山田よりずっと軽い西園寺はコテージの瓦礫を飛び越えてホテルまで吹き飛び、壁に激突。そのまま床に落下し、気を失った

終里「お、戻った戻った」

終里は軽いテンションで体のサイズが戻ったことを確認した

山田「ぐ・・・ふふ・・・ぐふふふ・・・まさかこれ程とは・・・実に絶望的ですなぁ・・・!!」

山田は冷や汗をかきながらも、終里の味方を全く顧みない絶望的な戦い方を見てアヘ顔で絶頂を迎えた

山田「あなたの様な方の手で最期を迎えるなら、まぁ悪くないかもしれませんなぁ。女子ですし」

終里「そうか?俺はお前があまりにも弱ぇんで気が進まねぇけどな。だが止めを刺さねぇと終わらねぇし、面倒臭ぇ・・・」

また死んだ目で山田の元に向かう。絶望人間である山田は、その目でさらに絶頂するのであった

終里「じゃ、あばよ」

終里はパンチ・・・・・・ではなく手刀を胸に向けた

弐大「何をやっとるんじゃお前さんはあっ!!!」

今度は弐大が割り込んで来た。山田の腹を支えにして終里の腕を掴んで止めた

終里「お、おっさん!?邪魔すんなよ!!」

流石の終里も弐大にはすぐ危害を加えなかった

弐大「邪魔もするわい!何だ?お前さんがやっとるのはバトルじゃなかったのか!?こりゃあ完全に殺し合いじゃろうが!!」

弐大「しかもその一線を越えそうなお前さんを止めようとした西園寺まで手を掛けおって!仲間じゃなかったのか!?」

終里「敵だよ」

弐大「な、何!?」

終里は即答した

終里「たまたま同じ側に居るってだけだ。俺のバトルを邪魔するなら、どいつも敵だ!」

終里は狂った笑みを弐大に向けた。弐大の背筋が凍る

弐大「・・・ちょっと待て、終里、そいつは何じゃ!?」

終里「あん?」

弐大「こいつは・・・現実じゃ有り得んぞ!?」

終里の顔の前に、ピンクの蛍光色の☓マークのランプが点滅している。終里本人には見えていないようだ

それ以前に、終里の周りにこの☓マークの光源は無い

山田「あ~あ、『出てしまいましたか』・・・終わりましたな、終里赤音殿だけに」

弐大「お、お前さんは知っとるんか!?」

山田「さすがは狂戦士【バーサーカー】と言った所か・・・こりゃあモノクマ殿の言った事は本当のようですな」

弐大「モノクマの話!?ど、どっちを聞きゃあ良いんじゃ!?」

弐大は混乱し始める

山田「・・・知ってますか?弐大猫丸殿。彼女がここに来る前に何をしたか」

山田「ある日外国人レスラーとの喧嘩になったそうですよ。それはもう今の終里赤音殿らしい血反吐を吐き、傷に傷を付ける、血で血を洗う壮絶な試合だったとか。もちろん終里赤音殿の勝ちでしたが・・・」



山田「終わった直後の彼女の周りには、あまりの恐ろしい『死合い』に怯えて彼女を止めようと割って入って殴り殺された6,7人の弟妹たちの死体も転がっていたそうです」



弐大「何・・・じゃと・・・!?兄弟を・・・殺した!?」

山田「それも先程の西園寺日寄子殿と同じ理由、『バトルの邪魔をしたから』、全員を自らの手で、です」

弐大の顔が青ざめる

弐大「嘘・・・じゃろ・・・?おい、嘘と言ってくれ!言えぇ!終里!!」

弐大の叫びに対し、終里は☓マークの乗った顔を上げる

終里「俺は嫌いな人種が2つある。1つは、バトルの邪魔をする奴・・・そしてもう1つは、弱っちい奴だ」

終里「弟妹たちは誰もが認める弱っちい奴だった。それは単純なバトルの強さだけじゃねえ・・・」

終里「俺がいちいち手を貸してやらきゃ、まともに生きていけねぇって意味でもだ」

弐大「じゃあ・・・本当・・・なのか・・・?」

終里「罪深いと思うかぁ?いやいや、逆だろ。むしろ慈悲深い行いだろう?」

弐大「何を・・・言っている・・・?」

終里「はっ!忘れてるからそういう風に考えんだよ!『あの後』あった事を考えりゃ、弟妹たちはあそこで人生終われて良かったんだよ!」

終里「もっと長く生きてたら・・・もっと、もっっっと悲惨な最期を迎えてただろうからなぁ!!」

終里「あいつらが生きてられたはずが無えんだよ!弱い奴らが、『あの世界』で生きていける訳が無ぇ!!」

終里「弟妹たちは、むしろ俺に感謝すべきなのさ!『早めに殺してくれてありがとう』って!!あははははははははははははははは!!!」

終里は『クラッシュ』の上で、体操部らしい柔らかい体が後頭部と足が同じ高さになる程反り返り、腹を抱えて大笑いする

高笑いと共に、点滅していた?マークが完全に浮かび上がった

山田「・・・終わりましたな・・・その?マークが完成したら、もう助からない」



弐大「だろうな・・・こいつは最早救いようが無い。こんな奴だったとはな・・・」



山田「・・・へ?」

突然冷静な口調になる弐大に山田は面食らう

弐大が手を振ると、何か小さなジェル状の物が終里の方へ飛んで貼り付いた

終里「あははは・・・あ?」

終里が気付いて取り払おうとするが・・・

終里「ぎぎゃあああああああああああああああああああっ!!?」

貼り付いた所に強烈な激痛が走った

終里「何だ!?この・・・」

終里は手で払おうとする

弐大「無駄だ。そいつは払いのける程度では取れない。むしろ被害を広げるだけだ」

終里「ぐぎええええええええええええええええっ!!?」

取り払おうとした指に飛び火し、そこにも激痛が走る。まるで肉の塊のような物で、『食われている』感覚である

終里「『スタンド』!?そうだ、『スタンド』じゃなきゃこんなの有り得ねぇ!だが、おっさんの『ストレイ・キャット』は肉片と何の関係も・・・!!」

終里「お前!!弐大のおっさんじゃねぇのか!!?」

弐大?「少し前から口調が崩れていたが、やっと気付いたか」

弐大らしからぬクールな表情がドロドロと崩れ始める

弐大の顔の肉が崩れ去った下から、別の顔が現れた

終里「と・・・十神!!?」

その下から現れたのは、十神白夜の顔だった

十神「本物の弐大はまだ貴様の行いのせいで溺れて眠ったままだ。他のコテージに居た連中と共にな」

十神「西園寺を容赦無く手に掛けた所を見て、俺自身が言った所で止まらないと判断した。そのため弐大の姿を借りさせてもらった」

山田「『イエローテンパランス』・・・ですか。防御鎧であり、粘土のように作り変えて姿を変える事も出来る肉の『スタンド』・・・実にあなたらしい」

十神「山田・・・貴様は人の心配をしている場合か?」

山田「・・・へ?」

十神「人がここを少し離れている隙に、終里と共に随分暴れてくれたな・・・!!」

ジュグ・・・ジュグジュグ・・・

その音で我に返ると、服の大部分が食われて『イエローテンパランス』に覆われている状態だった

山田(あ・・・まさか、あの時に・・・)

山田は弐大に化けた十神が終里を止める際、自分に寄り掛かった事を思い出す

パチンッ

山田「ぶぎゃああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

十神の合図と共に、『イエローテンパランス』は一斉に山田の皮膚へと侵攻を始めた

終里「すげぇっ!すげぇよぉっ!!そいつもほぼムリゲーな本体叩き以外にこの侵略から逃れる術が無え、最強候補の『スタンド』じゃねえか!!」

終里「ちくしょー、だったら最初から十神に相手にしとくんだったぜ!!」

もう体全体に『イエローテンパランス』が行き渡って身動きが取れない終里は、食われながらも嬉々としてそう言った

そんな終里を見て、十神はうすら寒くなった

十神「こんな・・・こんな時でもそんな事が言えるのか・・・本当に狂ってる・・・!!」

モノクマ「でしょ~?だからもう、そいつ要らないよね?」

十神「!? モノク・・・」

モノクマ「レフェリーストップ!!」

いつの間にか傍に居たモノクマの『ホワイト・スネイク』で、十神のスタンドディスクが抜かれた

同時に十神の顔から下にまとわりついてまだ弐大の体を形成していた『イエローテンパランス』が、終里・山田に付いていた物を含めて消滅した

山田も終里も、見るも無残な程血塗れだ

モノクマ「あらら~、結構本気で殺しに行ってた?」

十神「本当に殺す訳ではないが、殺す気でいかねば止まらないと思った。それだけだ」

モノクマ「ふぅ~ん、本当かな~?」

終里「は・・・はは・・・どうしたぁ十神?急に『スタンド』を解除しやがって・・・俺に恐れを成したかぁ・・・?」

終里はボロボロな上に出血多量で今にも事切れそうだというのに、そのため大変弱々しい声だというのに、それでも恐ろしい程に強烈な殺気が充分に伝わった

終里「だったら・・・こっちの・・・ば・・・ん・・・」

しかし流石にこれ以上動けず、その場の瓦礫の上に倒れ込んだ

モノクマ「おめでとう、十神君の勝ちです!ひとまず山田君と終里さんは引き揚げさせるね」

十神「おい!終里はこっちの・・・」

モノクマ「まだ、本気でそれを言ってるの?君は良くても、他の人達はどう思うかなぁ?」

十神「ぐぅ・・・」

モノクマ「それにさ、この通り☓マークが完成したんだ。もう何をしたって、君達の元には戻らないよ」

十神「そのマークはどういう・・・」

モノクマ「『ミライ族』は知ってるはずだから聞いてみれば?聞けるならね。じゃ、スタンドディスクをまた頭に挿せば『スタンド』復活するから。バイナラ~!!」

どこにそんな力があるのか、モノクマはいともたやすく山田と終里を抱え、軽々とコテージの瓦礫を飛び越えて去って行った

緊張の糸が切れたのか、十神はディスクを持ってその場にへたり込んだ

十神「分からない・・・記憶を取り戻しただけで、どうして九頭龍も終里もああまで狂うというんだ・・・希望の生徒達が・・・!!」



ひとしきり悶々とした後、建設的な事を考え始めた

十神「あの山田一二三とやらは『クラフト・ワーク』だった・・・昨日見た『ザ・サン』でも『クレイジー・ダイヤモンド』でもない」

十神「まさか・・・そいつらは他で別の誰かを襲ってるのか・・・?」

その可能性は高く、事実その通りである。だが、十神はそちらへの加勢に動けなかった

身体はさほど傷も無く、モノクマの言う通りなら『スタンド』もディスクですぐ復活する



それでも―――『疲れて』動けなかった

今回はここまで

ちらほら出て来る参加者側の情報は、また改めて後半で掘り下げられると良いけど・・・



次回は『眼ソニ編』です

物語上のターニングポイントが最後の最後にある『ミライ族編』がトリを飾ります

今日『終里編』を書き切ったばかりですが、次もなるべく早めに投下していきたいです

乙ですー
ってことは、とりあえずはスタンドスレがんばって石田のほう後にしとくんすか?

どうでもいい追記)

キルラキル最終話見ながら投稿しました

終里のテンションを中の人が同じ鬼龍院羅暁レベルで見ると少しはマシになる・・・か?

すまん一つ聞きたい苗木達にスタンドは使えるようになるか?

>>235

そうです。あまりやり過ぎるとこっちに追い付いちゃいますし

一応同時進行って設定だし

>>238

♪~(゚ε゚;)



という訳で、VS大和田が完成したので投稿していきます

次回や前回と比べると、また短いかもしれませんが・・・

~1の島 牧場~

大和田「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

田中「はぁ・・・はぁ・・・」

ソニア「膠着状態です・・・」

田中の指示で小屋の中に避難したソニアはそこから2人の闘いを眺めている

今の所、ほぼ互角と言っても良い

まず能力での勝負だが、田中は『ゴールド・エクスペリエンス』で死亡し『物』となった牧場の生物たちに新たな命を吹き込み、己の僕としている

彼ら作られた生命には、『攻撃すると攻撃した者に攻撃を跳ね返す能力』が宿っている。これは『スタンド』による物理的な攻撃でも同様、『スタンド』を伝って本体に跳ね返る

だが、この能力は大和田の『クレイジー・ダイヤモンド』には相性が悪すぎた

その能力は『破壊された肉体・物体の回復』だが、その能力には広義に取った有る特徴がある

原作で料理に加工された食品を調理前の材料の段階に戻したように、誰の目にも明らかな『破壊』でなくとも、『変化』を『破壊』と解釈して戻す事も出来るのである

つまり―――

田中「行け!『小さき王』バジリスクよ!!奴の喉笛を噛み切ってしまえ!!」

大和田「意味が無ぇって分かっててやってんのか?『クレイジー・ダイヤモンド』!!」

田中がストールを『ゴールド・エクスペリエンス』で大蛇に変えても、大和田が『クレイジー・ダイヤモンド』で殴る事で・・・

バジリスク「ショアアアアアァァァァ・・・・」

その能力でストールに戻してしまうのである。しかも元に戻す能力が勝っているのか、その際のカウンター攻撃も発動しない

大和田「そいつの、『ゴールド・エクスペリエンス』の本来の本体は、しょっちゅう『無駄』って言葉を使ってたっけなぁ?ラッシュの掛け声しかり」

大和田「だが、未熟なテメェは、笑える程に言われる側になってるなぁ!」

田中「ぐっ・・・」

能力が通じない相手と対峙し、田中も攻めあぐねる

田中はこれまで終里、西園寺と組んで『ミライ族』のテコンドー・ダブルスコンビ、そして今回と3戦目を迎え、修学旅行参加者側で最も戦闘に慣れている

だがそんな経験値というアドバンテージを持ってさえ、これまでで最も苦戦必至の相手となった

大和田「いい加減決めてぇぜ!」

田中「昨日今日『スタンド』を手に入れたばかりの貴様に負ける訳にはいかん!」

大和田「ドララララララララララララララララァ!!」

田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

大和田のラッシュに対し、田中もラッシュで返す

ソニア「すごい・・・!!」

スタンドが見えるソニアでさえ視認が難しい高速の打ち合い

実はこの2体はランク2つ分もの物理的な破壊力の差があるのだ

『クレイジー・ダイヤモンド』がAランクで『ゴールド・エクスペリエンス』がCランク・・・つまり田中の方が『スタンド』の物理的な攻撃力で負けている

ただし『スタンド』を手に入れたばかりの大和田は、彼自身の頭も良くない事から単純に力任せにラッシュをかましているだけである

田中は『スタンド』を手に入れてからの日数も戦闘経験も多く、日々ソニアと共に鍛錬も行って来た

その『経験の差』で力の勝る『クレイジー・ダイヤモンド』のラッシュをいなし、捌き切っているのである

大和田「チッ、しぶてぇな・・・」

田中「フン・・・」

だが、このままでは何の変わり映えもしない消耗戦になる。そうなった場合、田中が不利だ

大和田は何も考えず向かってくる生物や相手に対し『クレイジー・ダイヤモンド』のラッシュを打ち込み続ければ良い

一方の田中はそのラッシュを一つ一つ受け止め、無効化していかなければならない。相当神経を削る技術だろう

さらに生命を生む点でも大和田と比べ大幅に消耗する

精神的な摩耗は明らかに田中の方が早い。このまま消耗戦になれば、限界が来るのは田中が先だ

ソニア(何か・・・私にも何か・・・ ! そうだわ!!)

田中(メス猫・・・?)

ソニアは静かに『ラブ・デラックス』で美しいブロンドヘアーを伸ばし、『ある物』を大和田に気付かれないように田中の元へ移動させる

大和田「テメェ、勝手に何やってる!ドラァ!!」

ソニア「きゃあっ!?」

しかし勘が良いのか大和田に気付かれ『ラブ・デラックス』が切断される。だが既に仕込みは終わった

田中「『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

大和田「!!」

??「ぴぴるぴいいいいいいぃぃぃぃぃっ!!」

田中の足元から、大量のムクドリが現れた

大和田「大丈夫かぁ?俺との打ち合いに、こんな無駄に大量の生命の誕生・・・相当体力に限界が来てんじゃねぇか?」

田中「メス猫の用意した機会、逃す訳にはいかん・・・行け!!」

ムクドリ達「「ぴいいいいいいいいぃぃぃぃぃっ!!」」

田中の合図でムクドリ達が四方八方から襲いかかる

大和田「無駄だってのが分かんねぇのか!?無駄嫌いの2世さんよぉ!!」

大和田は『クレイジー・ダイヤモンド』のラッシュで撃ち落とす。が・・・

大和田「!!」

ムクドリから物に戻った『それ』は、ムクドリの時よりずっと大きく体積が広がっていく

大和田(これは・・・ビニールハウスの外壁に使うフィルム!?)

大きく広がった半透明のフィルムが、大和田に向かって降り注ぐ

そう・・・元に戻されるのなら、逆に元に戻されてこそ効果を発揮する物を使えば良い

大和田「だったら何だってんだ?ドラララララララララァッ!!」

だが、『クレイジー・ダイヤモンド』であっさりと破り去られてしまった

大和田「治すだけじゃねぇ、壊すのだって一級品・・・だ・・・」

得意がろうとした大和田は田中の方を向き、途中でその意志を失くす

ソニア「・・・・・・・・・・・・」

田中「メス猫!?何を・・・」

ソニアが田中の前に立って両手を広げていた

ソニア「ビニールフィルムはあなたの動きを封じるためではありません・・・そっちに気を逸らし私が安全に田中さんに近付くためです!!」

ソニア「今度は私が相手です!御覚悟なさい!!」

田中「!!?」

田中はソニアの背を見て驚いた

ソニアは『ラブ・デラックス』で髪を伸ばし、臨戦態勢に入る

・・・一方の大和田は溜息を付いた

大和田「おいおい勘弁してくれ、萎えるぜ・・・散々俺達の打ち合いを見て、その『スタンド』で割って入って来るとか、アホだろ?」

大和田「ただ単に髪を伸ばすしか能の無い『スタンド』が俺のラッシュに勝てる訳無ぇだろ?破壊力もそっちの方が下だしよぉ・・・」

大和田「悪い事は言わねぇ・・・丸坊主にされたくなかったら水注さねぇでさっさと退きな。女を殴るのも泣かせるのも趣味じゃねぇんだよ」

ソニア「男でなくとも、勝ち目が薄かろうと、やらねばならぬ時があるのです!!田中さんの『スタンド』能力はあなたの前に意味を成さず、打ち合いもほぼ互角・・・持久戦では圧倒的不利!

ソニア「私という不確定要素を入れなければ勝ち目はありません!!」

田中「メス猫・・・」

顔を蒼ざめさせながら田中はソニアを見る

大和田はその言葉を聞いてニヤリと笑った

大和田「気に入った!女と言う事は忘れてやるよ!!だが・・・」

大和田は何かを手に取った

ソニア「・・・!」

大和田「『テメェを退かす事なら』触れなくても出来るぜ?」

ソニア「ぐぅっ・・・!!」

ソニアの体が、何もしていないのに大和田に向かっていく

否、引っ張られている

大和田が取り出したのは、先程切り裂いたソニアの髪だ。大和田はそれに『クレイジー・ダイヤモンド』の能力をかけている

Aランクの握力で髪を握られている状態で元に戻す能力を発動すればどうなるか?

当然、本体の方が近付く事で戻る

ソニア「かはっ・・・!!」

目の前まで近付いたソニアの腹部を、『クレイジー・ダイヤモンド』の腕が貫いた

大和田「大人しくしてりゃあ、こんな悲惨な最期は迎えなかっただろうよ・・・どっちにしろモノクマの命令で命は無ぇが、一瞬で終わらせられただろうに・・・」

大和田は無茶をした王女を憐みの目を向けて見取ろうとする










・・・が、直後表情が驚愕に歪む





田中「馬鹿野郎・・・!!」

引き寄せられたソニアの真後ろに、田中がピッタリと付いて来ていた

大和田「な・・・ぐふぅっ!!」

大和田は田中の存在に気付くと同時に『ゴールド・エクスペリエンス』のパンチを顔面に食らって吹っ飛ばされた

大和田「くはっ!女がやられるってのにその犠牲を無駄にせず勝機に変えるとか、やっぱテメェらイカれてんな!!」

田中「・・・・・・・・・・・・」

田中がソニアを受け止め、背中から何かを剥がす

大和田「あん・・・!!」

田中「全て・・・メス猫の作戦だ・・・!」

そこにあったのは今の作戦を書いたメモだった。血塗れだが、文字が書かれているのが分かる

ソニアがビニールを撒かせたのは、安全性だけでない。田中に素早く近付く際に大和田に向けざるを得ないこの背中のメモに気付かせないためだった

大和田(奴のあの焦り具合は、女が出て来た事でなくそのメモのせいだったか・・・!)

大和田「何てクレイジーな女だ・・・」

ソニア「イカれた作戦の・・・つもりも・・・命を捨てる・・・つもりもありません・・・」

ソニアは重症で朦朧としながらも、大和田に強い視線を向ける

ソニア「こんな重傷を負ったって・・・屁でもありません・・・田中さんが・・・絶対治してくれるから・・・!」

田中「・・・・・・!!」

田中が目を見開く。それは大和田も同様だった

大和田「た・・・確かに『ゴールド・エクスペリエンス』にはそういう能力もあったはずだ・・・」

大和田「だがどうしてそこまで信用が置ける!?事実上会って数日っつー程度の奴に!!命を盾に対価を要求して、挙句の果てに反故にするクソ野郎なんざザラだろう!?」

ソニア「数日で・・・充分ですよ・・・」



2の島の図書館に行けるようになって以来、田中は毎日のように足を運び、借りる資料を交換しては読みふけり、自分と同じ『スタンド』が資料の中でどう使われているか、また、そこから考えられる応用方法をメモに書き出している

これは昨日・・・小泉と九頭龍の事件が起きた日の午前中まで続いていた

特に田中の『ゴールド・エクスペリエンス』は部ごとに変わる主人公の内の1人の物なので、その部の全体に活躍の場がある

しかし、司書をしているコンサルトが貸し出しは一度に1人3冊までとしているため、多くの本を手元に置いておけない。かといって図書館に籠るのも居心地が悪い

ソニア『にしてもイジワルですよね、1人3冊までだなんて・・・数人が借りて全員に回せばすぐ見られるのに・・・』

田中『単なるイジワルではない・・・』

ソニア『え・・・?』

田中『この制度は、心構えと覚悟を説いているのだ』

田中『協力する事は何も問題ではない。だが、数人に本の貸し借りを任せてしまったら、派生して他の事もそいつに任せようという事にはならないか?』

ソニア『あ・・・』

田中『それは協力ではない・・・ただ全ての進路を他者に委ねる責任放棄だ!』

田中『古今東西の創作物の中の英雄譚で語られなかった歪みよ・・・守られる者達は次の脅威も英雄が守ると高をくくり、己を研鑽しなくなる・・・』

田中『その癖万一の事あらば英雄を激しく非難し英雄を苦しめる・・・もし全ての物語がそこまで語れば、英雄など二度と生まれないだろう』

ソニア『『スタンド』を知るなら、他人任せにせず自分で資料を手に入れよと言いたいのですか・・・でも・・・』

田中『そうだな・・・俺様は最早警戒もしていないが、『ミライ族』に何かをされるという不信感があるのか、俺達以外に経典を借りる者は居ないな・・・』

田中『だからと言って俺達が歩みを止める事も出来ない・・・あの似非熊猫と言う脅威は、己を含む全員の背中を狙っている』

田中『誰かが・・・やらねばならんのだ!!』

ソニア「私が居ない時も欠かさず鍛錬を怠らない・・・私個人だけでなく誰もが信頼できる人です・・・だからこそ私も・・・力になりたかった!」

ソニア「このまま田中さんが倒して、倒されて終わってはいけなかった・・・守られるだけでは駄目なのです!!ゴフッ・・・」

田中「もうしゃべるな!すぐに終わらせて治療する!!」

大和田「信頼・・・ねぇ・・・」

大和田はソニアの言葉を吟味する

大和田「まさか今の世の中、最も信頼なんてしようがねぇテメェらからそんな言葉が出ると葉なぁ・・・」

田中(いまの現世で、最も信頼しようがない・・・?)

大和田「だがよぉ・・・そんな大層な説教を聞かせる意味があったか?敵に!言うだろう?トドメの前に舌舐めずりをする奴は三流だと!!」

大和田が勢いよく起き上がった

大和田「一発で終わって良かったのか!?チャンスは二度と無えぞおおおおおおおおおおおおおおお」

大和田は物凄い勢いで田中に襲いかかる。これで最後と言わんばかりに・・・いや、それでも早すぎる程に





田中「『一発で終わって良かったのか』・・・?」



田中「問題無い。その一発がチェックメイトだ!」





大和田「・・・あえ?」

大和田の体は、田中をすり抜けて当たらなかった

大和田「あ・・・!!」

何かに気付いた大和田は、振り向く。そして、しまったと顔を蒼ざめさせた

もう1人の大和田が、のろのろと起き上がった姿がある

大和田(モノクマに言われてた注意点じゃねえか!あの女の乱入ですっかり頭から飛んでいた!!)



モノクマ『そんなに田中君とやりあいたいなら止めないけど、一つ注意しておくんだよ』

大和田『何をっすか?』

モノクマ『『ゴールド・エクスペリエンス』の拳を、体で受けちゃダメだからね』

大和田『いや、防御し切れなければ食らう事も・・・』

モノクマ『『ゴールド・エクスペリエンス』は物体に生命を与える『スタンド』だよ。では、その能力を生命に向けて使ったら、一体どうなってしまうんでしょう?』

大和田『ま、まさか余計な臓器が生まれたり・・・』

モノクマ『ま、ジョジョ的にはそっちの方がグロテスクで有りだと思うけど、生命が食らうとね・・・』

モノクマ『感覚が暴走して、まるで幽体離脱したみたいに意識が体から離れちゃうんだよ!君に分かり易く言うと、最高速度でブレーキがぶっ壊れたバイクみたいになるのさ!』

大和田『マ、マジかよ!?暴走って・・・ん?幽体離脱?って事は体は・・・』

モノクマ『そうなんだ。そうなってしまうと・・・』



田中「これで貴様の体は無防備になったな。最早何も出来ん!!」

大和田「し、しま・・・」

田中「作戦とはいえ力の劣る女を平然と手に掛けたのだ・・・覚悟は出来ているな?俺はこの拳を血に染める覚悟は出来ている!!」

田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」



田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」



田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」



田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」



田中「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」



田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」



田中「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」





田中「無駄ァッ!!!」

大和田「はぐぎえぶぼっ!!?」

途中で『ゴールド・エクスペリエンス』の効果が切れて大和田の意識は体に戻ったが、もう遅かった

本のページにしたら実に7ページを要す『無駄無駄ラッシュ』を受けて全身打撲まみれになり、馬糞の山に頭から突っ込んだのだった

田中「アリーヴェ・デルチ(さよならだ)!」

ソニア「それ違う人では・・・」

田中「ソニアッ!!無茶をしおって・・・」

ソニア「ああ・・・名前で呼んでくれた・・・」

田中「そんな死亡フラグの様な事を言っている場合か!『部品作り』はまだ未完成なのだぞ!!」

ソニア「信じて・・・ますから・・・!」

田中「・・・フン///・・・そんな減らず口が叩けるなら重要な器官は無事だろう・・・とっとと始めるぞ!」

田中は顔を赤らめつつ、使わなかったビニールハウスのフィルムの束に『ゴールド・エクスペリエンス』をかけた

モコモコと膨らみ肉の様な桃色を帯び、ウインナーのような姿となった

それもそのはず・・・それは腸なのだから

資料では『ゴールド・エクスペリエンス』の能力が成長した結果、物体を内臓や皮膚などの身体の部品に変質させる事で、欠損した臓器の代わりとする事が可能となる

恐らく移植した人体のエネルギーを得ているのだろう。生物と違い、『ゴールド・エクスペリエンス』が与えた生命エネルギーが切れても、元の物体に戻る事は無い

これにより、即死レベルでなければ重傷をも治療できるようになる

とはいえ、もちろん人体の構造に関する知識があってこそ。田中は膨大な生物の知識を持つ『超高校級の飼育委員』、無論人間に関しても抜かりない

田中「・・・その・・・」

ソニア「はい」

田中「能力封じで動揺を起こしたか・・・良い応用法も浮かばず、あのままでは消耗戦になり負けていただろう・・・貴様の助けが無ければ倒されていた」

田中「その・・・ありがとう///」

ソニア「どういたしまして。これからも頼りにして下さいね」

田中「フッ、俺に付いて来れる者が居るとはな・・・流石は闇の聖母・・・」

ソニア「ソニア!」

田中「・・・・・・・・・・・・」

ソニア「ソニア・ネヴァーマインドです」

田中「流石は・・・ソニア・・・だ・・・///」



モノクマ「全くもう、見せ付けてくれちゃって・・・横で大和田君がこんなになってんのに・・・」

治療しながら良い雰囲気になっている2人を尻目に、モノクマが大和田を馬糞の山から引き抜いて回収した

モノクマ「ま、良いか。山田君と大和田君を行かせた目的は、こいつら自身と希望の生徒たち(笑)がどこまでやれるかの見極めることだけ。本命は・・・ウププププ・・・」

モノクマは悪意に満ちた笑みを2の島に向けるのだった―――

という訳で田中・ソニアVS大和田でした!

何か書いててあっという間に終わった気がするのは気のせいでしょうか・・・?

次回は人数も多いし、もっと長丁場になると思います。モノクマが本命としている『計画』もありますしね。ウプププ・・・



ではまた意見・感想あればレスどうそ

や、やっと7日目終了まで書き切れた・・・自分が思ってたより長かった・・・

という訳で、朝ですが投下していきます。その前に諸々連絡事項を・・・



①下手ながら『ミライ族』メンバーの落書きを用意しました


前半の10人(1,2の島の8人と通信に出た5の島の2人)です。並びは



     ガードマン      セイバー      テコンドー

コンサルト 七海千秋 ダブルス 日向創 メイド ブロガー エージェ



です。メイドはもう少しデザインを検討したい所・・・え?どっかで見た?大丈夫、問題ありません

また後半の10人(3,4の島、5の島の残り)も描いていきたいですね



②何という事でしょう・・・あまりに更新しなさ過ぎて、『ダンガンロンパ石田』が落ちてしまいました!

せっかくの安価スレだったのですが、途中がけで終わってしまいました・・・

ですが、もし続きが読みたいという人が居たら

『ダンガンロンパ石田 CHAPTER2』

で代理立てして頂けるとありがたいです。すいません、自分で建てられないんです

もし立てたいという奇特な方が居たら、くれぐれも連立てに注意して下さい



連絡事項は以上です。では、本編をどうぞ

~3つの戦闘開始、数分前~
=3の島 ライブハウス・ティッティータイフーン=

普通は多くの成り上がりを夢見る熱い魂たちが命を燃やすライブハウス

現在は熱気を倍増させる観客も居らず静寂に満ち、たった一つの洗練された優雅な音に包まれていた

奏でられるは、弦の擦れる固い音

演奏楽器はヴァイオリン――いや、ヴァイオリンにしては少し大きい

曲目はゲオルク・フィリップ・テーレマン作曲『ヴィオラ協奏曲 ト長調』

そう・・・奏でられているはその曲目の主役―――ヴィオラだ

奏者の少年は、燕尾服に対し髪型は少々長めの黒髪を茶筅髷に結った昔の武士を思わせる姿で西洋楽器とアンバランスだが、見事に東西がコラボレーションしたように自然だ

だが、彼の音が形作る優雅な空間は、突如終わりを告げる

プッ・・・と、突然傍のモニターが点き、映像が流れだす



『だが、オメーはその手の奴じゃねぇよなぁ?敵か!!』
『ぐふふふ・・・拙者、絶望の象徴モノクマ殿が遣わした絶望の使徒・・・』

『同じ『主人公のスタンド』持ちだ。最初っから相手すんならテメェって決めてたんだよ!どっちの『スタンド』が強ぇか、腕比べと行こうじゃねえか!』
『関東最大の暴走族『暮威慈畏大亜紋土』二代目総長にして『超高校級の暴走族』大和田紋土!押して参る!!』



??「・・・五月蠅い・・・」

突然雰囲気をブチ壊され、少年は何とか消せないかとモニターをいじる

??「・・・どうした?電源が切れない」

しかし電源ボタンをいじっても、一向に切れる気配が無い

=3の島 病院=

??「おい!何かあったのか!?」

キャンディ「あら『ヴィオラ』、ここに顔を出すなんて珍しいじゃない」

当然だが、少年は『ミライ族』の一員である。コードネームは『ヴィオラ』だ

彼は異常事態にでもなっていないかと、確実に人が居る病院を訪ねた

ロビーでキャンディ、アバター、罪木がモニターを見ている

ヴィオラ「突然モニターが点いて、五月蠅い映像が始まった。おかげで集中して弾けやしない」

キャンディ「あー・・・まぁ、島全体に無理矢理放送してるみたいだからね」

ヴィオラ「ブロガーがやっているのか?それとも敵か・・・」

キャンディ「敵さんじゃない?ブロガーによる報告なら終わってからで良いでしょ。学園の奴らならともかく、仲間が負けるのはまず無いだろうし」

アバター「それに、ブロガーならヴィオラが演奏してるライブハウスは避けておくだろうからね」

罪木「あのぉ・・・そちらの方は?」

アバター「同じ『ミライ族』。『超高校級のヴィオラ奏者』で、ヴィオラ。安直だろ?」

罪木「ああ、各島に4人でしたっけ。この島に居るのはここに居る人達だけじゃなかったですね」

ヴィオラ「・・・その女子、確か・・・」

アバター「罪木蜜柑さんだよ」

ヴィオラ「だったな・・・お前のツガイの」

アバター「つ・・・」

罪木「ツガイ・・・?」

2人は顔を赤くする

キャンディ「ほらヴィオラ、余計な事言ってひっかきまわさないの」

キャンディはヴィオラを引きずって2人から離し、その続きを他の人に聞こえないよう耳元に語る

キャンディ「・・・どうせ結ばれた所で結婚なんか出来やしないし、よしんば出来ても子孫なんて作れないってのに・・・」

ヴィオラ「? ・・・あ、そうだったな。すまない・・・」

ヴィオラ「・・・!」

何かに感付き、ヴィオラは病院の奥に続く扉ににじり寄る

ヴィオラ「何奴!?」

辺古山「えっと・・・・・・」

扉を勢い良く開けると共に、ヴィオラが真剣よろしく弦を首筋に向ける。そこに居たのは辺古山だ。後ろに小泉も居る

ヴィオラ「・・・何だ、貴様か・・・」

辺古山「はぁ・・・辺古山と申す」

バキッ!!

小泉「きゃあっ!!ペコちゃん!?」

挨拶も終わらない内に、ヴィオラの拳が辺古山の顔面にクリーンヒットした

辺古山「な、何を・・・」

ヴィオラ「正直、直接会ったらまずこうしてやりたいと思っていた・・・」

小泉「いきなり理由も言わず女の子を殴るなんて、最低!」

ヴィオラ「最低?自分達にとってはその女子こそが今まで出会った中で最低な人間だと言うのに!!多分こうしてやりたいと思っているのは自分だけではないぞ」

小泉「なん・・・」

キャンディ「とりあえず、そのぐらいにしておきなさい」

キャンディがヴィオラをなだめるように背中を叩く

キャンディ「私達の計画が完遂されれば、ただなぶり殺しにされるよりキツい最後を与えてあげられるんだから、我慢しなさいな」

辺古山「な・・・」

ヴィオラ「キツいか・・・?こいつらならその内快感に変わるだろう・・・」

小泉(どっちなのよ・・・?)

とりあえず、アバターと違い自分達に敵意をむき出しにしているという事はよ~く伝わった

辺古山「何かあったのか?全員集まって・・・」

キャンディ「大した事じゃないわ。モノクマが刺客を差し向けて、そいつらの動向がわざわざ島内全域に放送されてるってだけ」

辺古山「何いっ!!?」

小泉「最重要事項じゃないの!!」

辺古山と小泉も慌ててロビーに駆け込んだ

ヴィオラはその後ろで周りを見回す

ヴィオラ「そういえばもう1人居ないな・・・『ネゴ』はどうした?」

キャンディ「彼なら『仕事中』じゃないの?客に余計な雑音で動揺を与えないよう、あいつの仕事場、最初からモニター置いてないし」

ヴィオラ「知らないって訳か・・・まぁ、大なり小なりかなりの案件が回って来ているらしいからな。集中させてやろう」

キャンディ「おっ、リーダー達の中継が始まったわ」

キャンディとヴィオラも画面に釘付けとなった

=2の島 森に囲まれた一般道=

テコンドー「二連回し蹴りぃぃぃぃぃ!!」

大神「温い!!」

テコンドーの大技を、大神は腕一本で軽くいなす

ブロロロロロロロロ・・・・・・

大神「ふんっ!!」

反対側から迫る『ボーン・ディス・ウェイ』も(あくまで彼女にとっての)軽い体当たりで軌道を逸らされ、横道の森に入って行く

何度も迫って来る事で辺り一面銀世界だが、どんな状況下にも対応出来なければ『超高校級』として話にならない彼女には、寒さで体力を奪う効果も足を滑らせる効果も無い

大神「!!」

『ボーン・ディス・ウェイ』を横目で見送った直後に感じた殺気で、大神は体を後ろに逸らす

首の目の前を小型ナイフの軌道が通り過ぎて行った

エージェ「ちっ・・・」

一閃を避けられたエージェは素早く身を翻し距離を取る



セイバー「テコンドー、エージェ、そして5の島に居るガードマン・・・この3人が3本の指に入る『ミライ族』屈指の武闘派や」

セイバー「その内の2人が『スタンド』込みでまとめてかかっとるっちゅうのに、全く物ともせんとは、『超高校級の格闘家』も伊達やないなぁ・・・」

左右田「感心してる場合かよ?その武闘派が相手にならなかったら、誰も歯が立たねぇんじゃねえのか!?」

セイバー「やいやい言うなや。レベル差で相手にならへんのなら、搦め手を使えば良え。『スタンドバトル』なんやからな」

現在、テコンドーとエージェ以外の面々は、道の脇の森の中、ある程度大神が見える場所に全員で固まっている

こちらが見えるという事は、あちらにも見えるという事

大神の目的は自分のスタンド『ザ・サン』の熱光線を悉く防いでいる『メン・ウィズアウト・ハッツ』の本体である七海を叩く事である

七海を倒してしまえば、残りは全員強力な熱光線を浴びせて終わりだ

『ザ・サン』を止めるには本体の大神を叩くしかないが、七海が倒された後の短時間では間違いなく不可能だ

今この瞬間が、この戦いにおいて大神を倒す唯一の機会である

だが、かれこれ数十分に渡りテコンドーとエージェ、さらに『メン・ウィズアウト・ハッツ』の3人がかりで攻撃しているのに、傷一つ付けられない

地上最強の座をほしいままにした『超高校級の格闘家』を2、3人がかり程度で倒せれば苦労は無い



だが、その時だった

コンサルト「・・・! 何か来ます!!」

日向「何ぃ!?」

コンサルトが突然大神達とは反対方向を向いた。それに合わせてずっと上を向いている七海以外の他の面々も振り向く

コンサルト「距離50m・・・40・・・30・・・!!」

カウントダウンが途中で止まり、全員に視認できる程近くに『それ』は現れた

それは弾丸だった。『ただの』弾丸だった・・・が、厄介そうな『オマケ』が付いていた

??「いやっはー!!死に去らせえええええええええぇぇぇぇぇ!!」

弾丸の上に、小人が乗っていた。明らかに人間ではない

メイド「『ヨーヨーマッ』!!」

ヨーヨーマッ「承知しました!!」

ヨーヨーマッの溶解液が小人目掛けて飛ぶ

だが小人の乗る弾丸は、まるでアクロバティックな動きも行える戦闘機のようにヒラリとかわして見せた

??「いっけええええ!!」

2,3発避けた後、小人は充分近付いた所で弾丸を蹴飛ばした。その力でさらに一段階、弾丸のスピードが上がる

狙うは当然―――七海

日向「『マッチボックス・トゥエンティ』!!」

日向が己の『スタンド』を発動し、その拳で弾丸を弾き飛ばす

日向「ぐっ・・・」

『スタンド』と本体はつながっており、『スタンド』が傷付けば本体も傷付く。『マッチボックス・トゥエンティ』が弾丸を弾いた場所と同じ、右手の甲に傷が付いた

ダブルス「だ、大丈夫ですか!?」

日向「ああ・・・単なるかすり傷だ」

メイド「肉弾戦向きの『スタンド』じゃないのに無理するから・・・ほら、傷見せなさい」

メイドが手早く応急処置をしていく

左右田「今のが・・・」

セイバー「ああ・・・九頭龍のスタンド、『セックス・ピストルズ』や!やはりこっちに来たか・・・」

左右田は辺りを見回すが、雑草で生い茂っている森の中だ。もう小人の姿は完全に見失ってしまった



九頭龍「外したか・・・まぁ、良い。相当距離が離れた所からの狙撃、何より俺を探そうと分散してしまえば、万が一武闘派が戦闘不能になった時に七海を守れねぇ」

九頭龍「・・・いや、今周りを固めてる奴らだけで守れるかも怪しいもんだ。クックック・・・奴ら、いつまで保つかな?」

九頭龍は日向達から遠く離れた場所に陣取り、土と雑草を集めて背中の上のシートにまぶしてカムフラージュしている。肉眼ではすぐには分からない

コンサルト「もう少し捜索範囲を広げる必要がありそうですね・・・」

コンサルトはそう言うと、人差し指と中指を上に伸ばし、合図のように正面に向けた



テコンドー「はぁ・・・はぁ・・・」

エージェ「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

大神「双方、中々の手練れと見受けた・・・だが、まだまだ我に勝つどころかまともにやり合う段階にも達していないようだな・・・」

エージェ「痛・・・」

テコンドー「怪我大丈夫か?そろそろ下がった方がいい頃だろ?」

エージェ「私が下がるのは、任務を遂行した後だ!」

テコンドー「『まず』一撃・・・まず一撃を入れらんねぇ事には先に進まねぇぞ・・・さて、どうするか・・・」

エージェ「どうするも何も・・・そろそろ良いんじゃないの?」

テコンドー「そうだな・・・そろそろ頃合いか。だが、もう一つの条件が揃ったかは心配だな・・・底無しの化け物って感じだし」

エージェ「奴が人間『という設定』である限り・・・限界は必ずある。不死身とか、そんなゲーム性を著しく欠く設定をモノクマが付けるようなら、昨日の邂逅でとっくに修学旅行の奴らも私達も全滅している」

テコンドー「へーへー!妙な所で遊び心とそれ故の公平性を曲げねぇ敵さんに感謝ってか?」

エージェ「行くぞ・・・呼吸を合わせろ」

テコンドー「OK!」

大神(むっ・・・埒が明かぬと同時攻撃して来るつもりか・・・!)

大神も身構える

予想通り、2人揃って特攻を仕掛けて来た

大神「・・・と見せかけ、『ボーン・ディス・ウェイ』のための囮か?」

大神はとうとう後ろ足で『ボーン・ディス・ウェイ』のタイヤを止めてしまった。完全に慣れられ、動きを見切られたのだ

だが、止められる事も織り込み済みだったか、2人は特にひるむ事も無くそのまま向かってくる

大神「ぐぅ・・・」

息もつかせぬ連続攻撃で、とうとう大神にテコンドーの一撃が入る。だが、相当な威力を誇っただろうに、大神には大したダメージでも無さそうだ

エージェ「さすがに疲れて捌き切れなくなったね・・・そんなんで『次』に対応できるのかい?」

大神(ナイフが来る・・・!!)

エージェが振り上げる腕を掴み、首の手前で止める が・・・

大神(!? 此奴、ナイフを持ってない!? しまっ・・・)

ザシュッ!!

気付いた時には、大神の左足に大きく深い切り傷が付いた

大神「いつの間に男の方に渡していたのか・・・!」

エージェ「ええ、特攻前に。持ってるつもりで振る舞ったから、まんまと騙されたわね」

大神「だがその様な奇策、通用するのも一度・・・グオッ!?」

大神の斬られた足が、謎の膨張を始めた

エージェ「その一撃が致命傷なら、二度も必要無いんじゃない?」

大神の足からカッターナイフが飛び出し、さらに傷口を広げる

大神(女子の方のスタンド、『メタリカ』か!だが奴には出す素振りも無く、我ならば肉眼でも気付いたはず・・・!!)

大神「そのための『ボーン・ディス・ウェイ』か・・・!!」

大神は一面に広がる銀世界を睨んだ

『メタリカ』は、『ボーン・ディス・ウェイ』が用意した雪の中に仕込まれていたのだ。エージェが大神によって受けたと見せかけた傷から『メタリカ』を雪に撒いていた

大神「足りない戦力差は叡智でカバーするか・・・だが!!」

大神は足にかぶりつき、血を吸い始めた

そしてペッと吐き出すと、体中に回る直前の『メタリカ』が全て吐き出された

大神「フン・・・」

さらに大神は懐から応急処置用の針と糸を出し、目にもとまらぬ早業で傷を塞いでしまった

エージェ「流石格闘家・・・そういった所も抜かりなく『超高校級』に昇華している・・・か」

テコンドー「流石に口で吸い出して『メタリカ』を無効化するとは思わなかったがな・・・」

大神「あきらめろ。我が見切ったのは『ボーン・ディス・ウェイ』だけではない。先程の奇襲が最後のチャンスだったと思え」

テコンドー「まあな。流石にこれ以上『俺達は』お前に傷を付けられそうに無え」

大神(妙に聞きわけが良い・・・?)

エージェ「だから・・・選手交代だ」

大神「!!」

その言葉と2人とは別の殺気を感知し、大神は横に回避した

大神が居たその場に、フェンシングの剣が真上から突き刺さった

ダブルス「奇襲がそう何度も成功すれば苦労しませんね」

大神「『シルバーチャリオッツ』!!『メタリカ』を最大限に利用するため、傷を付ける獲物の扱いに長けた者と交代するか・・・!」

流石の大神も冷や汗を流す。いくら『超高校級の格闘家』でも、体内は鍛えられない。その弱点を突く『メタリカ』は脅威だ。しかもまだそこら中に潜んでいる

日向「・・・当然、今度も2人で行かせてもらうぞ」

大神「何だと!?」

大神が振り向くと、集団の中から日向が出て来た

大神「だがお主のスタンドは刃物とは関係無いはず・・・どうするつもりだ?」

日向「別に本体が相手なら『スタンド』の剣である必要は無いだろ?『マッチボックス・トゥエンティ』!!」

日向がスタンドを発動して像が現れる

日向は手元の竹刀袋から真剣を取り出し、上に投げる

『マッチボックス・トゥエンティ』はそれを受け取ると、隙の無い完璧な構えを見せた

大神(出来る・・・! 此奴間違いなく剣道の有段者だ!!)

大神も油断無く構え直す

大神(なぜ此奴らのどちらかが最初から『メタリカ』と組まなかったか・・・それはあの2人程には我に対抗しうる実力が無いから)

大神(だが今の我は、2人と『スタンド』を総動員して体力を削られている・・・対応出来るようになるまで消耗するのを待ってから投入したのだ!)

大神(修学旅行生達の烏合の衆など比べ物にならぬ連携・・・モノクマが我を率先して送り込んで潰したがるのも頷ける!!)

大神「ここからは軽い傷が命取りになるという事か・・・」

日向「卑怯だなんて言ってられねぇ・・・命の危機に対し何をしてでも生き残ろうとするのが本能だ」

大神「ふっ・・・それでこそやりがいがあるというものだ・・・」

大神「命を掛けた徹底的な抵抗!!それが潰えた時・・・その時にさらす表情こそ、最も甘美なる絶望であろう・・・」

ニタリ・・・と、朝日奈が見たら卒倒しそうな気持ち悪い笑みを浮かべる

日向「そう簡単に・・・難しくてもやられてやる義理は無い!」

ダブルス「行きます!!」

七海「ゼェ・・・ゼェ・・・」

左右田「なぁ・・・何か大分疲れて来てねぇ?」

エージェ「かれこれ数十分は撃ち出され続ける熱光線を防いでるからね・・・」

七海達に合流したエージェは、ちらりと日向・ダブルスとの戦闘を始めた大神の方を見る

エージェ「ある程度自動で撃っていると言っても、それだって『自動で撃つ』という意識を出してこそ出来る事・・・『スタンド』の大半は須らく手動だからね」

テコンドー「俺達、日向達と連戦しながらこっちに撃つ熱光線も途切れさせねぇ・・・人間に出来る精神力の範疇を越えている・・・化け物かっての!」

エージェ「疲労があるという事は流石に人間の範疇に居るけど、本当に限界の端にぶら下がっている状態と言った所ね」

左右田「な、なぁ・・・七海がやられる前に倒せなきゃアウトだが、奴にやられるまでも無く七海が限界で倒れたら・・・」

セイバー「それはそれでアウトやろうなぁ」

左右田「だよな!?日向達間に合うのかよ!?」

セイバー「落ち着け、間に合うかどうかやない・・・間に合わすんや!それに・・・」

セイバー「奴に引導を渡すのは、第3陣の俺とお前の役目や」

左右田「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

左右田「えええええええええええええっ!!?無理無理無理!俺ヒョロヒョロのガリ勉だし!あいつらみたいに戦えねぇよ!!」

セイバー「落ち着けって!やれん事やらせるか!!」

左右田「お、おう・・・」

メイド「奴が人間の範疇に留まっていると分かれば、いずれ限界が来る事も分かる。その限界を突くのが、あなた達の役目です」

左右田「で、どうすんだよ?奴と会ってすぐ戦闘になったのに、何か作戦があるみたいな言い分じゃねぇか・・・」

セイバー「それはなぁ・・・」



左右田(ええええええええええええええっ!!?)

左右田は大声を上げそうになるが、セイバーが塞いで大神に届かなかった

メイド「そうやって声を上げるだろうからすぐには伝えなかったのです。その時点で計画が崩れてしまいますから」

左右田「だ、だけどそれって一歩間違えれば・・・」

メイド「ただじゃ済まないでしょうね、あなた。でも、それを防ぐためのバックアップがセイバーです」

セイバー「安心せい!『超高校級のライフセイバー』の名にかけて、100%無事で終わらせたる!!」

左右田「・・・やるしかねぇか・・・どっちにしろそれを一発で成功させなきゃ、七海も限界だろうからな」

左右田は七海の背中をさする。メイドが飲み物を与えて水分補給するが、滝の様な汗を流している

エージェ「さて、問題は九頭龍・・・」

テコンドー「出来れば同時に討ち取ってやりてぇ所だな。大神がやられたのを見て警戒されたら面倒臭ぇぜ」

コンサルト「次はあちらの木をお願いします」

メイド「貴重な木が・・・」

コンサルトの指示で、『ヨーヨーマッ』が木を溶解液で倒していく

メイド「それで、まだ位置は掴めませんか?」

コンサルト「敵も馬鹿ではないです。・・・『絶望』に堕ちて馬鹿でなくなったという方が正しいでしょうか・・・何度も方向転換してからここに来るから、正確な出発点が掴めないです」

メイド「あら、あなたにしては珍しく毒を吐きますね」

コンサルト「まだ直接見なければ分かりませんが・・・多分、彼は『手遅れ』ですから・・・」

メイド「左右田と違い、ほぼ確実でしょうね・・・にしても・・・」

メイド「絶望に堕ちてからの方が頭を使ってるとか・・・皮肉にも程があるわ・・・」

ダブルス「正直フェンシングはあまり知りませんが、思い通りに動く『スタンド』なら関係ありませんね!」

『シルバーチャリオッツ』の持ち味、素早く精密な斬撃の嵐が大神を襲う

大神(テニスの動きを交え、読みづらい攻撃をしてくる。なかなか早いな・・・体力が落ちていなければどうという事も無かったが・・・)

しかし大神は紙一重で次々と交わしていく

日向「メェェェェェェェェェェェェェェェェェン!!」

大神「!!」

大神は思わず腕で『マッチボックス・トゥエンティ』の剣を受け止めてしまう

大神「くっ・・・」

刀身にまとわりついていた『メタリカ』が大神の身体を蝕もうと体内に進む。そうでなくても筋肉が大量に切れる深い傷だ。応急処置をしても斬られた右腕の力は弱まる

大神(こちらはやはり有段者のようだ。非常にオーソドックスな戦いをする。だが・・・一撃一撃が脅威的な威力を持っている!!)

日向「こちとら島に来るまでちょくちょく道場に通っていた身だ。身体能力で敵わなかろうが、舐めるなよ!」

大神「舐めるものか!なんとも充実した仕合の連続か・・・!!」

ダブルス「うっ・・・」

大神の表情は恍惚とさえしている

ダブルス「これ以上・・・『本者』に対する冒涜は許しませんよ!!」

ダブルスの振るう剣に力が入る

大神「『本者』か・・・こんなモノクマの持論を知っておるか?」

ダブルス「!!」

力んだせいで読める攻撃になり、剣が握りしめられた

大神「物語の世界で、自分のコピーとの戦いという題材がある。何から何まで同じ・・・『人間は自分には勝てない。良くて引き分けだ』と言われる物だ」

大神「では、そのコピーが『絶望に堕ちた自分』だとしたら・・・どちらが勝つと思う?」

大神「答えは・・・『100%絶望の勝ち』だ!!」

ダブルス「ゴハァッ!!?」

『シルバーチャリオッツ』に鎧が砕ける程の一撃が入る。本体に伝わり、ダブルスは血反吐を吐いた

大神「フンッ!!」

日向「ぐっ・・・おおっ!?」

さらにその隙を付いて攻撃しようとする『マッチボックス・トゥエンティ』の刀まで捕え、後ろに投げ飛ばす

先程同様『メタリカ』が体内に入るが、まるで気にしてはいない

日向「ガフッ!!?」

投げ飛ばされた『マッチボックス・トゥエンティ』に引きずられ、日向も大神に向かって宙を舞う。そして大神に首根っこを掴まれた

日向「普通の人は・・・絶望した自分という醜悪な姿に対し、逃げ腰になる・・・」

大神「そう・・・それに対しストッパーの無い『絶望』は、本者はやらない事も平然と行使できる!!」

日向「確かに・・・完全にダブルス殺しに行ってたな・・・!!」

ダブルスは先程の一撃で完全に戦闘不能になっている

日向「そして今も・・・『メタリカ』が体内に入ろうとお構いなしだ・・・目的のためならその身が朽ちる事も厭わない・・・それが『絶望』最大の強み!!」

勝利を確信した大神は日向を片づければ、そのまますぐに最大パワーで他の『ミライ族』を吹き飛ばして七海を倒すつもりだ



だからこそ―――それが『ミライ族』側の勝機だった

日向「『マッチボックス・トゥエンティ』!!」

大神(!?)

日向が光に包まれる。どうやら『マッチボックス・トゥエンティ』の交換の対象は自分自身も選べるようだ

左右田「ぐ・・・ぐげええええええええええええっ!!?」

日向が自分と交換したのは・・・左右田だった

大神「貴様、何を・・・」

左右田「ナ・・・『ナット・キング・コール』!!」

大神が突然の事態に呆けた瞬間、大神の全身にボルトが埋め込まれた

キュルキュルキュル・・・


そして全てのボルトのナットが外れ・・・大神の全身はバラバラになった

特に左右田の首を掴む左手は指までばらしたので、左右田はあっさり解放される

大神「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

大神が最後の力を振り絞って足をけり上げようとするが・・・

スカッ

左右田の身体は猛スピードで森に飛んで行き、空振りした

セイバー「キャッチ!」

飛んで来た左右田をセイバーが優しく受け止めた。『マッチボックス・トゥエンティ』発動前に、左右田の襟首に『ビーチ・ボーイ』の針を括りつけておいたのだ

大神「ぐぅ・・・」

バラバラになった大神は、最早何も出来ない

セイバー「何をするにも躊躇いが無いっちゅーのは強みだろうよ・・・」

セイバー「だけど絶望していない者には『協力』っちゅー強さがあるんや」

セイバー「お前らは好き勝手やるだけで、そんな概念無いやろ?」

セイバー「そんなんで勝てて・・・何を得られるんや?」

お疲れ様と言いたげに左右田の頭をなでながら、セイバーは真剣な表情でそう言った

エージェ「人間の範疇を越えていない限り、限界が来るのよ。集中力と、注意力に」

エージェは無我夢中でどうなったか分からなかった左右田に説明を始めた

エージェ「元々左右田は警戒されてしかるべきだったのよ。何せあなたの『ナット・キング・コール』は、使い方によっては一発で相手を戦闘不能にするわ」

エージェ「私達第1陣、日向達第2陣、あなた達第3陣と間を置いて投入した本当の目的は、息も付かせず入って来る大量の情報であなたの『スタンド』を意識外に追いやる事よ」

まず、武闘派と『ボーン・ディス・ウェイ』で相手と同じ土俵である肉弾戦を挑んだ。その際、エージェは刃物をちらつかせ、単なる力押しで行けないようにもしている

ある程度慣れて来て油断した所で『メタリカ』を発動し、応急処置などに意識を向けさせる

さらにここで第2陣と交代する事で、ある程度消耗させる事などが計画の内だったと頭の中で思考させる

その後は刃物の一撃が致命傷になり兼ねない剣術使いとの戦い。己を傷付けないようさらなる注意を払って戦う必要があった

当然一つ一つが大神を倒すための作戦だったが、実は全てが最後の『ナット・キング・コール』から大神の意識を逸らすための布石だったのだ

セイバー「どっかの戦闘マニアが言うてたで。目の前の相手以外に注意を割けるようじゃ『戦い』とは言わんて。和一を忘れさせるブラフだとしても全力やったわ」

左右田「な、なるほど・・・」

コンサルト「はて・・・知ってたでしょうか?」

テコンドー「ん?どういう意味だ?」

エージェ「それより、後は九頭龍の方だけど・・・」

コンサルト「はい、準備は整ってます」

コンサルトは満面の笑みを浮かべ、親指と人差し指で○を作った

九頭龍「大神がやられただと!?『超高校級の格闘家』だろ!?あてになんねーなぁ・・・」

遠くから七海達を狙撃し続けていた九頭龍は、まるでセイバーの言葉を踏み倒すように悪態を突いた

九頭龍「チッ、これで俺を探すのに人員を割く事が出来るな・・・一旦立て直して・・・」

ベチョッ

九頭龍「・・・え?」

何か液体がかかる音がして慌てて身の回りを見ると、拳銃の先が溶けている

九頭龍「まさか、もう・・・」

その呟きに答える様に、目の前の大木が倒れ始めた

その向こうに、コンサルト達が立っていた

九頭龍「何でこんなに早く・・・」

九頭龍は慌てて逃げようとするが・・・

コンサルト「確保おおおおおおおおおおおっ!!」

??『イイ――――――ッ!!』

九頭龍「がもっ!?」

突然頭上から捕獲網が降って来て、九頭龍は捕まった

九頭龍「この・・・」

コンサルト「遠慮なくやっちゃって!!」

ハーヴェスト達『『『イイ―――――ッ!!!』』』

九頭龍「ぐぎゃああああああああああっ!!!??」

九頭龍の四肢に痛みが走った

ハーヴェストが逃げられないよう、両手両足を食い破って使い物にならなくしている

コンサルト「私の『ハーヴェスト』は広範囲の捜索が得意な『スタンド』ですよ。その上弾道という大ヒントがあれば、隠れてたって見つけられますよ」

コンサルト「大神さんの時も思いましたが、あなた達モノクマから誰がどの『スタンド』持ってるかちゃんと聞いてなかったのですか?」

否、モノクマは当然『ミライ族』・修学旅行生全員のスタンドが何か把握している

ただ・・・『ミライ族』は誰がどれを持っているか・・・手駒作りで監視を外す事もあり完全には把握していなかったのだ

(先述したが、『スタンド』を得ると『本体』のデータ全体が変化するため、直接見た方が何を持っているか把握しやすいのだ)

完全に『ハーヴェスト』を頭の片隅程度にしか意識していなかった九頭龍の詰めの甘さが敗因だ。見つかった所で潰してしまえば良いとでも考えていたのだろう

=3の島 病院=

罪木「ふゆぅ・・・『ミライ族』の皆さん勝ちですね」

キャンディ「ええ・・・流石にあんなのが相手だってんで肝を冷やしたけどね・・・」

辺古山「ぼっちゃん・・・」

『ミライ族』の面々は勝利にホッと胸をなでおろした。その一方、完全に敵となっている九頭龍を見て、辺古山は複雑な表情だ

アバター「蜜柑、多分『マッチボックス・トゥエンティ』で橋を交換するとかでこっちに渡って来るだろうから、重傷のダブルスの治療頼めるかな?」

罪木「あ、はい。とりあえず準備して来ますね」

罪木は病院の奥に入って行った

小泉「・・・? ねぇ、ちょっと・・・」

辺古山「どうした小泉?」

小泉「何か変じゃない九頭龍?モニターだからって合成じゃないよね?」

辺古山「一体何を言って・・・」

辺古山も罪木から画面に視線を戻すと、仰向けになった九頭龍の顔を見て言葉を失う



九頭龍の顔の上に、赤い☓マークが表示されていた。モノクマに連れ去られた終里の様に―――



左右田『お、おい!?何だよこれ?まるで映像編集したみてぇな・・・』

小泉「そ、左右田の言う通りよ!あれ何!?」

キャンディ「あちゃー・・・やっぱ出てたか」

ヴィオラ「出てない方がおかしいんじゃないか?」

辺古山「や、やっぱりって・・・」

画面の向こうの『ミライ族』と左右田も似たような問答を行っている

セイバー『左右田・・・それはな、更生度添削システムの表示や・・・』

小泉「更・・・生・・・」

小泉はもう1人の自分の存在を思い出して背筋が凍る

メイド『更生度が上がる場合は特に何もありませんが、最悪に下がるとこの表示が出るそうです』

左右田『下がると・・・って・・・』

日向『七海によると・・・それが表示されるのは・・・』



日向『『更生可能性が5%を切った』・・・を、意味している』



辺古山「ぼ・・・・・・ちゃ・・・・・・」

更生する・・・つまり、元に戻る可能性が5%を切った

そんな残酷な宣告を聞き、辺古山は膝から崩れ落ちる

だが、さらに彼女の精神を蝕む事態が起こる

九頭龍『・・・っくっくっく・・・あははは・・・』

九頭龍『はーはっははははっはっははっはっはっはははははははっはっはっはっははははははは』

九頭龍は何とも不安定な笑い声を上げた

九頭龍『見てんだろぉ?ペコォ・・・小泉ぃ・・・』

辺・小「!!?」

九頭龍『見えるかぁ?これがテメェらが利用し、踏みにじった男の末路だ!!』

日向『お前、何を・・・』

九頭龍『お前ら、希望だってもてはやされてたよなぁ?俺はどうやら最初からそんな予定無かったみてぇだけどよぉ?』

九頭龍『だけどこうやって誰かを犠牲にした先に・・・テメェらの満足する希望はあるかぁ!?』

小泉「あ・・・ああ・・・・・・」

小泉は九頭龍を陥れてしまった罪悪感が再び噴き出す

小泉?『ねぇ、あんな事言ってるけど、どうなの?』

小泉?『ある訳無いよねぇ?希望になんかなれる訳無いよねぇ?だってあんた、あいつを陥れた時点で今のあいつと同類なんだもん!』

小泉「ああ・・・あ・・・ああああ・・・」

嫌に耳を通り抜ける、再び現れた絶望小泉の声に、小泉の精神が軋む音を立てる

・・・顔の前に、あの?マークが出かかる。それと同時に絶望小泉が小泉と一つになろうと重なり始める

今の小泉がこの苦しみから逃れるには・・・壊れるしか、絶望に堕ちるしかない

辺古山「嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

七海『学園は、始めから辺古山さんを入学させるために九頭龍君を利用したのかもね』

辺古山「ある訳無い・・・私が無意識と言えどぼっちゃんを踏み台にしたなど・・・拾い、育てて下さった恩を仇で返す真似など・・・する訳無い・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

辺古山も呪詛の様に否定の言葉を吐き続ける

2人共、この絶望を受け止め切れる精神がまだ出来ていなかった



辺・小「「ぐぅ・・・」」

突然2人が一緒に倒れた。小泉の?マークと絶望小泉も消滅した

アバター「蜜柑・・・?」

罪木「うゆぅ、すみませぇん・・・余計な事しました?このままだと危険そうなので麻酔を撃ったんですが・・・」

アバター「いや・・・ナイス判断だ」

キャンディ「寝たぐらいで逃げられる問題でもないけどね」

ヴィオラ「にしても・・・本当に更生する可能性と価値に乏しい連中だな・・・」

ヴィオラは眠った辺古山と小泉を冷ややかに見つめる

ヴィオラ「既に更生可能性5%ギリギリの小泉も期待薄だが・・・辺古山は最悪だ」

ヴィオラ「この女子は向き合うべき『絶望』が、そもそもこれじゃないんだぞ」

九頭龍の高笑いと台詞を聞き・・・『ミライ族』は元より、左右田すら「ああ・・・こいつはもう駄目だ」と見切りを付けた

エージェ「『超高校級の極道』九頭龍冬彦、更生可能性無しと判断。これより完全閉鎖空間に隔離し、計画完了後まで全てからの抵触を切断・・・」

九頭龍「舐めるなぁ!!」

全員「「!!?」」

九頭龍は腹筋だけで立ち上がり、千切れかけた足を無理矢理動かし、元々無理がある背中を蹴り上げるという動作を行う

これにより、九頭龍が背中に隠し持っていたある物が網に引っ掛かりながらも宙に投げ出された



―――それは、マシンガンだった



九頭龍「やっちまいな!『セックス・ピストルズ』!!」

ピストルズ『やれやれ、小人使いが荒い主人だぜ!!』

『セックス・ピストルズ』の6体は全員が雑技団の様に協力して動き、銃口を『ミライ族』に向けて引き金を引く

日向「なん・・・」

バラララララララララララララララララララッ!!!

『ミライ族』一同を狙うが、小人が操縦するだけあり全く安定しない

だが、その安定の無さが逆に広範囲への銃撃を実現し、逃げ場が無い

テコンドー「ぐっ・・・」

かろうじて戦闘不能のダブルスと大幅に消耗している七海を守っていたテコンドーは、木の陰に隠れて身を守る事に成功する

だが、他の者達は・・・

「きゃあっ!!」「ひっ!?」「がっ・・・」「ぐっ・・・」「キューマ!!?」

コンサルトは腕をかすり、メイドは髪をかすめ、日向はふくらはぎに受け、一番ひどい事にセイバーは左右田を庇って脇腹に被弾した。エージェは自分が避けるだけで精いっぱいだった

カチッ・・・カチッ・・・

マシンガンだけにあっという間に弾が無くなってすぐ止んだ。かろうじて全員致命傷ではないものの、かなりの痛手を受けた

エージェ「悪あがきを・・・!大人しく・・・ぐあっ!?」

無傷だったエージェが突然何かに吹き飛ばされる

吹き飛ばしたのは、モノクマだ。そしてそのまま日向に一直線に迫る

モノクマ「ウププププ・・・見事な作戦だったよ。でも・・・まさかこっちも同じ作戦を使って来ていたと知ったら、絶望的でしょう?」

モノクマ「まさかこいつらにオマエラを襲わせた事自体が、オマエラの隙を作るための、ボクの今回の本命の布石だったとしたら!!」

コンサルト「まさか・・・」

モノクマ「今更気付いても遅い!『ホワイト・スネイク』!!」

モノクマが『スタンド』を発動し、日向の頭に触れる




―――さて、ここで唐突にモノクマのスタンド『ホワイト・スネイク』が持つ能力を解説しよう

これまでモノクマはスタンドの能力が入ったディスクを修学旅行生達に与えて来たが、このディスクは『ホワイト・スネイク』の能力で生まれる物である

元々『スタンド』は生まれ付いての素質である。または特定の鉱物との接触で素質を引き出す事で生まれる場合もある。この場合、素質が無い者は接触した時点で死亡する

この『ホワイト・スネイク』の能力は、本来の『スタンド』の本体からスタンドを奪い、別の人間に『スタンド』を植え付ける事も出来る。まさに今、モノクマがやっているように



・・・だが実はこの能力で、『スタンド』とは別の物が詰まったディスクも作り出す事が出来る

それは、『相手の全ての記憶』が詰まったディスクである

これはスタンドディスクと違い、頭に挿して中身を覗く事は出来るが、誰かに移植する事は出来ないだろう

さて、先程スタンドディスクで『奪う』という言葉を説明に使った。そう、能力を使われたスタンド使いは、『スタンド』を失うのだ

当然記憶ディスクも同様、使用された人間は全ての記憶を失う

するとどうなるか―――記憶を奪われた人間は昏睡状態になり、そのまま栄養を摂取する事も出来ず、ディスクを取り返せなければ衰弱して死亡するしか道は無い

またこのディスクは、どんな攻撃でどれだけ攻撃しても柔らかく曲がる程度で決して壊れる事は無いが、破壊する方法が一つだけある

それは、死にかけている生物に挿入する事。生命と共にディスクも失われる

モノクマならば手駒のような生物を適当に作り、それにディスクを挿入して殺せば一丁上がりだ



・・・ここまで説明すれば、もうお分かりだろう

そう・・・今回のモノクマの真の目的、それは―――





『ミライ族』の文字通りの『リーダー』・日向創の記憶ディスクを消滅させ、彼を抹殺する事だったのだ

日向「あ・・・」

「「「日向あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

「「日向くううううううううぅぅぅぅぅぅぅん!!」」

土壇場の状況で、全員がコードネームではなく彼自身の名前を叫ぶ

しかし非情にも、日向の頭からディスクは飛び出してしまった

モノクマ「・・・え?」

だが、ここでモノクマすらも予想外の事態が起こった



日向の頭から、ディスクが『3枚』出て来たのだ

1枚は『記憶』のディスク、1枚は『マッチボックス・トゥエンティ』のディスク・・・

じゃあ・・・あと1枚は・・・?



七海「『メン・ウィズアウト・ハッツ』ウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!!」

七海が柄にも無く大声を出し、限界まで消耗しながらも最後の力で『スタンド』を発動する

そして、3つの弾丸を3枚のディスクに向けて撃ち出した

モノクマ「おっと!させないよ!!」

モノクマが慌てて弾丸避けとして立ちはだかる。だが止められたのは1発だけで、残りは見事にディスクに命中する

すると不思議な事に、突然ディスクが止まり、反対方向へと飛び始めた

そしてそのまま3枚の内2枚のディスクは、日向の頭に戻って行った

もう一度『ホワイト・スネイク』を使おうとしたが、すぐに『ミライ族』の一同が日向を取り囲んで守る

モノクマ「う~ん、どうして3枚だったか分からないけど・・・これが『記憶』なら日向君はもう目覚めないし、『スタンド』なら彼はもう完全な能無しだ!」

モノクマ「さ~て、どっちか・・・あれ?」

先程、死にかけの生物に挿入すれば命と一緒に消滅するというのが、『唯一』のディスクの抹消法と説明した

それなのに、3枚目のディスクはその条件を満たしていないにも関わらず消滅し始めていた

モノクマ「え?え?何これ!?ちょっと!?『ホワイト・スネイ・・・」

慌てて自分のスタンドで防ごうとするが、あっという間に完全消滅した

モノクマ「消えちゃった・・・」

七海「何て事を・・・」

モノクマ「え?」

七海「私も予測の範囲を出なくて半信半疑だったけど・・・なんて事をしてくれたのっ!!」

七海がこれだけ感情を昂ぶらせて叫ぶのも珍しい

七海「・・・今消滅した3枚目は恐らく・・・『封印』・・・」

左右田「『封印』?」

七海「『奴』と日向君を繋ぎ、『奴』をこの島・・・この世界から動けなくするための鎖・・・」

七海「その鎖が外れたという事は、『奴』は自由になったという事・・・起動中だろうがお構いなしに外に出て行ける・・・」

それを聞き、『ミライ族』一同はこれまで見ない程に青ざめる。モニターで見ていた他の島のメンバーも同様だ

モノクマ「『奴』って誰なのさ?う~ん・・・『奴』・・・日向君・・・」

少し考え込んで唸るが、唐突に動きを止める・・・

モノクマ「『奴』って・・・もしかして、希望ヶ峰学園が生み出した『奴』・・・?」

=現実のジャバウォック島=

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・

朝日奈「な、何!?」

葉隠「何事だべ!?」

突然、緊急事態を知らせる警報が島中に響き渡った

朝日奈「何!?アルちゃん、何が起こったの!?」

アル「そ、それが・・・皆が眠っているカプセルの一つが勝手に開くエラーが起こったって・・・」

葉隠「カプセルが勝手に!?」

慌てて2人は『新世界プログラム』本体のある部屋に向かう

葉隠「あっ!本当に1つ開いてるべ!あれは誰のカプセルだ!?」

朝日奈「待って!?それより・・・誰か起きて来る。まさか中から・・・」

葉隠「んな馬鹿な!?プログラムが起動している間あいつらは昏睡状態で、現実世界の本体は何も出来ねーはずだべ!!」

??「昏睡状態から起きる事ぐらい容易いですよ。『超高校級の催眠術師』の才能を応用すればね」

葉・朝「・・・・・・・・・・・・え?」

声がした直後、カプセルから出て来た人影は消える

??「そして『超高校級のパルクーラー』の能力があれば、階段などを使う必要も無くあなた達の傍にすぐに来れます」

トッ   ドサドサッ

腐川「白夜様~!さ、さっきの警報どうしたんですか!?葉隠辺りがまた何かミスを・・・」

「こっちだ!人手が足りん、手伝ってくれ!!」

腐川「びゃ、白夜様が私を頼ってる・・・はい、すぐに~!!」

ピュー・・・   ドサッ

??「『超高校級のカウンセラー』の才能でここの人間の関係は把握済み・・・プログラムにかけられる短時間での関わりでも『超高校級のモノマネ芸人』の才能で騙すには充分・・・」

十神「腐川!俺はこっち・・・腐川!?」

苗木「なっ・・・」

霧切「あなたは・・・プログラムにかけられているはずでしょう!?」

目の前の人物は、腰より下まで伸ばした黒髪と赤眼に無表情・・・本当に人間かどうか怪しい程に人間らしさの無い少年だった

苗木「日向君っ!!」

だが、苗木はその人物を日向と呼んだ

日向?「先日は黙っていましたが・・・『器』の名で呼ばないで下さい。どこにでもいる瑣末な男だと聞かされています。そんな人間と間違えられるなどツマラナイ・・・」

苗木「器!?何を言って・・・」

日向?「そんなツマラナイ男とは比べ物にはならない人間なんですよボクは。『超高校級の希望』なのですから」

霧切「『超高校級の希望』・・・あなた、まさか・・・」

日向?「そんな事も知らずにボクを連れて来たのですか?ならば自己紹介をしておきましょうか」



日向?「『超高校級の希望』カムクライヅルは、ボクの事です」

十神「カムクラ・・・イヅル・・・?」

霧切「あなたが・・・『堕ちた希望』・・・!!」

カムクラ「堕ちた?堕ちたつもりはありませんよ。より完璧となるために『超高校級の絶望』を究めようとしていただけです」

苗木「ど、どうしてそんな才能まで・・・」

カムクラ「おかしいですか?あなた方は『希望』を盲信し、『絶望』を忌避します」

カムクラ「ですが・・・そもそも『絶望』が無ければ『希望』という概念は存在しないのですよ」

カムクラ「2つ揃って初めて意味のある物となるのです。それに『彼女』のように、『絶望』だって才能が無ければなれないのです。ならば『絶望』だって極めるべきです」

苗木「そんな・・・そんな理論で、君は大勢の人を絶望させて・・・傷付けて来たの!?」

苗木はまるで宇宙人と会話している感覚になる

霧切「ねぇ・・・今、モノクマウイルスが新世界プログラムで猛威を奮ってるんだけど・・・あなた・・・」

カムクラ「それならボクがプログラムにかけられる前にインストールしました。機器は『超高校級のスパイ』の才能があればいくらでも隠し持てます」

十神「な・・・」

まるで他人事のように言い切った

苗木「どうしてそんな事・・・」

カムクラ「別にボクの意志ではありません。やれと五月蠅いからやっただけです」

霧切「誰が・・・頼んだの・・・?」

カムクラ「彼らですよ?」

そう言って新世界プログラム本体を指差した

苗木「ま、まさか・・・」

カムクラ「今プログラムにかけられているボク以外の全員です」

3人は、開いた口が塞がらない。つまり記憶を失った修学旅行生達は、自分達で今の絶望的状況を作り上げたのだ

苗木「どうして・・・」

カムクラ「ボクには理解できません。『彼女』を殺したあなた達への復讐だと語っていましたが、あれはただ勝負に負けたってだけの話でしょう?」

カムクラ「原因不明の状況で被験者達が次々死亡していくという展開になったら、あなた達が確実に介入して来ると読んだのです」

カムクラ「自分達諸共プログラムに閉じ込め、自分達諸共『彼女』に殺させるつもりだったみたいですよ。道連れとは、盲信的なファンという物はツマラナイ事を思い付きますよね」

3人「「「・・・・・・・・・・・・」」」

確かに3人はいざという時のために何とか介入出来ないかと思考錯誤を行っていた。だが、彼らの今の状況は、それこそが狙い・・・つまり、『罠』だったのだ

十神「だから、俺は反対だったんだ・・・あんな奴らさっさと本部に引き渡して処分するべきだったんだ!尋問で誰1人何も話さなかったが、まさかそんな事を裏で考えていたとは・・・!!」

苗木「そんな・・・でも、十神君も見たでしょう?記憶を失った状態の彼らを!そうなったのも『あいつ』のせいで・・・」

霧切「そうだけど・・・今その話は置いておきなさい苗木君。更生していない、何も変わってない彼をこの島から出す訳にはいかない」

カムクラ「・・・更生?・・・ああ、新世界プログラムでの記憶を絶望に上書き・・・でしたっけ。他はどうか知りませんが、ボクには無駄ですよ」

苗木「え・・・」

カムクラ「ボクは脳に直接手を入れるロボトミー手術で生まれました」

カムクラ「才能の獲得にジャマな感覚や感情や思考や思想や趣味はすべて取り除かれ、それまでの過去の記憶の一切も、記憶の奥底に眠らされました」

カムクラ「・・・それこそ成功確率が天文学的な数値であるあの手術をもう一度行なって脳を元通りにしなければ、上書きした所でボクが追い出しています」

カムクラ「だってこの身体はもう、『日向創』ではなくボクのものですから。この身体にもう彼の居場所など無いのですよ」

霧切「そん・・・な・・・」

霧切は・・・元学園長の娘は、希望ヶ峰学園がそんな非道な実験に手を染めていたと知り、足元がふらつく

希望ヶ峰学園の『闇』が、また一つ明かされた

霧切「父は・・・知ってたの・・・?」

霧切は『探偵』ではなく『娘』として、すがるように尋ねた

カムクラ「『彼女』が殺した先代ですか・・・あんなただの広告塔が知る訳無いでしょう?」

霧切「広告・・・塔・・・?」

十神「もう良い!貴様が人間でない事は良く分かった!!だからこそ、出す訳にはいかん!!」

カムクラ「はて?さっきから何を言ってるのでしょう?」

十神「どういう・・・」

ドッ   ドッ   ドッ   ドサササッ

十神「な・・・何を・・・された・・・? なぜ俺は、地面にはいつくばっている・・・?」

苗木「あ、頭がクラクラする・・・立て、ない・・・」

カムクラ「『超高校級のボクサー』の才能にかかればこんな物です。才能を1個から数個程度しか所持していないあなた達が、どう止めるつもりだったんですか?」

カムクラは3人まとめて抱え上げる

苗木「何・・・を・・・」

カムクラ「一度した約束ぐらい守れなくては『超高校級の希望』足り得ませんからね。約束を最後まで遂行するだけです」

カムクラ「要は、あなた達をプログラムにかけます」

十神「なっ・・・!?」



カムクラ『被験者達が次々死亡していくという展開になったら、あなた達が確実に介入して来ると読んだのです。自分達諸共プログラムに閉じ込め、自分達諸共『彼女』に殺させるつもりだったみたいですよ』



十神「止せ!や、止めろ!!」

霧切「もう、これ以上世界に絶望を振り撒くのは・・・」

朦朧としながら放った霧切の言葉で、カムクラは立ち止まる

カムクラ「・・・どうも勘違いしているようですね。ボクは絶望を振り撒くために島を出る訳ではありませんよ」

霧切「え・・・?」

カムクラ「もう充分極めたでしょう。これ以上の『絶望』は、単なる滅びしか無い。紆余曲折ありましたが、そろそろ本業を始める予定です」

苗木「本・・・業・・・?」

カムクラ「『世界の頂点に立ち、全人類の導き手となる希望となる』・・・『超高校級の希望』の本懐を成し遂げるのです。それこそが、ボクが生まれ、こうして生きている意味ですから」

苗木「何を・・・言ってるの・・・!?」

散々人々を絶望に陥れた人間が、それを綺麗さっぱり忘れたようにその人間を導くと言い出した

霧切「出来ると・・・思ってるの?あなたなんかに・・・」

カムクラ「はて?おかしなことを言う・・・結局人間とは強い者に無条件に媚びへつらい付き従う生物でしょう?」

カムクラ「全ての才能を持つ人間の頂点であるボクに付いて来ない道理が無いと、ボクが初めて目覚めた時に生みの親達は言っていました」

苗木は、『あいつ』と対峙した時以上の鳥肌を立てた

感覚や感情や思考や思想などを取り除かれただけの事はある。まるで人間が分かっていない。 ・・・というのが、カムクラの立志宣言に対する苗木の感想だ

そう・・・まるで、あのコロシアイ学園生活の4回目の学級裁判の時の十神・・・いや、彼以上に感情の機微の理解など論理の上だけで、本質的には理解出来ないだろう。永遠に

カムクラ「安心して下さい。残っている絶望はまとめて払ってあげます。それまで『彼女』に殺されず生きていられたら、迎えに来てあげますよ」

苗木「ける・・・ない・・・」

カムクラ「はい?」

苗木「お前なんかに・・・皆を導ける訳がないっ!日向君の方がずっとずっと人望があるよ!!」

ガツンッ!!

カムクラにもう一発、先程以上の威力のパンチを入れられ、苗木は完全に気を失った。その直後、カムクラはハッとする

カムクラ(なぜボクはこんな事を・・・否定されたから?)

カムクラ(それとも・・・彼が『日向創』の名前を出し、あまつさえ彼の方を評価されたから・・・?)

カムクラ(・・・怒った?このボクが?)

しばらくぼんやりと考えるが、すぐに思考を放棄してプログラムの本体の部屋に向かう



カムクラ「この装置の筐体・・・カプセルは全部で20台・・・それが最大同時プレイ人数」

カムクラ「内15台が使われていましたが、ボクが抜けた事で14台。そして今からプログラムにかけるのが6人・・・合計20台」

カムクラ「ピッタリとは・・・これも運命という物でしょうか」

既にプログラムにかけた葉隠・朝日奈・腐川に続き、十神・霧切・苗木をカプセルに寝かせていく

カムクラ「そういえば、島に居るアバター達は全員『スタンド』を持っているんでしたっけ。不公平にならないよう彼らにも与えておきましょう」

カムクラ「・・・・・・! これは・・・ほう、『彼女』は確か・・・これは興味深い。そういえば『ミライ族』とやらの方にも・・・」

カムクラ「・・・・・・よし、これで約束も完了ですか。彼らが余計な事を言わないようプログラムしておきましたが」

カムクラ「後は彼らが監視を続けているように見える偽装工作をしておいて、ゆっくり島を出ましょう」

カムクラ「何・・・ボクが出ていけば『絶望』の時代などすぐ終わるでしょう。ボクは『超高校級の希望』なのですから」

そしてカムクラはプログラム本体の部屋を後にした―――

=3の島 病院=

ブロガー『とりあえず、私はネットワークから奴を追う事にするわ。悔しいけど、今の私達にはカムクラに手出し出来ない・・・』

ブロガー『あと、敵は修学旅行生の方に行ったのも含めて今の戦力は退治出来たはずよ。ただ、2の島の皆は動けそうにないから、アバター、あなたが迎えに行って』

ブロガー『必要だったら『クリーム・スターター』を送らせるから、花火でも打ち上げて合図して』

アバター「いや、すぐここに送ってくれ。じゃあ蜜柑、行くか」

罪木「あ、はい」

島内放送で連絡してきたブロガーの指示の割に、アバターと罪木が向かったのは病院の奥だ

ブロガー『・・・ちっ・・・『希望』ってのは、どいつもこいつも・・・』ガンッ!!

キャンディ「ど、どうしたの?何か苛ついてない?」

ガードマン『あー・・・何か今日のネットサーフで、気に障るモンを見つけちゃったみたいで・・・』

キャンディ「ブロガーに殺されないようにね~」

ガードマン『別の島だからってんな他人事みたいに・・・』



罪木「すごい・・・『こっち』は橋が壊れてないです」

アバター「壊されそうになった時、俺の『スタンド』で必死に守ってたからな」

2人はなぜか壊れる前の状態の橋を渡り、2の島に向かう

そして図書館に入ると、トイレに向かった

2人は鏡に向かって突進する。だが、鏡にぶつかったり割れたりしない。そのまま通り抜けられてしまった

鏡の向こうはまたトイレだった。だが、先程居た所と比べて左右が違う



アバター「おーい!リーダーは大丈夫かー?」

左右田「『ミライ族』の迎えと・・・罪木ぃ!!?」

『ミライ族』の面々は図書館のロビーに居た。入口のすぐそこなのに、先程アバターと罪木が居た図書館には居なかった

七海「罪木さん、日向君見てくれないかな?とりあえず記憶ディスクもスタンドディスクも無事だけど・・・」

罪木「はい。 ・・・・・・・・・・・・大丈夫です、眠っているだけです。昏睡でもないと思います」

テコンドー「思うだぁ!?」

罪木「ひいぃっ!断言出来なくてすみませぇん・・・」

アバター「おいおいテコンドー、あまり蜜柑をいじめないでやってくれ」

罪木「うゆぅ・・・侑志君・・・」

アバター「とりあえず全員病院に運ぶぞ!動けない奴は誰か運んでくれ」

アバターに続き、一同はトイレに向かった

そこでアバターは『スタンド』を発動する

アバター「『マン・イン・ザ・ミラー』!彼らの鏡の世界への入場を許可する!!」

アバターの『スタンド』の力で、ただの鏡が反転世界の入り口となる

これがアバターのスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』である。鏡によって反転世界への入り口を作り、他者を引き込む『スタンド』である

反転世界は本体が許可した生物以外は入る事が出来ない。また、本体を許可して『スタンド』を許可しないという手も使えるため、敵だと恐ろしくやっかいである

だが味方が使うと、負傷者を安全に医療施設に運ぶという利点がある。なにせいかなる『スタンド』を持ってしても、彼の許可無しに侵入出来ないからだ

キャンディ「ちょっと、セイバーったらずいぶん痛そうじゃない!弾は抜けてるわよね?」

罪木「その点は大丈夫です。誰の体内にも弾は残ってません」

キャンディ「んじゃ、『クリーム・スターター』も届いてるし、罪木さん治療お願い。使い方は説明するから」

罪木「うゆぅ・・・本体以外の人でも使える『スタンド』があるんですか」

バタンッ!!

罪木が治療を始めようという時、突然入口が開いた

日向とおそろいのワイシャツ(長袖)にネクタイで、垂れ目で茶色の短髪の少年が顔を青ざめさせては入って来た

ヴィオラ「あ・・・『ネゴ』・・・」

ネゴ「はぁ・・・はぁ・・・創!創は!?倒れたって聞いたんだが・・・」

コンサルト「大丈夫、寝てるだけ・・・」

ネゴ「そこかああああああああああああああああっ!!!」

ダブルス「ちょっ、ソファー揺らさないで・・・」

ダブルスの文句もそこそこに、ネゴは別のソファーで眠っている日向に駆け寄った

ネゴ「創ぇ~・・・やっと会える時が来たってのに、おっ死なねぇでくれよ~」

日向「・・・誰が・・・死ぬかよ、勇太・・・」

ネゴ「創!!?」

七海「起きたの!?」

日向が薄眼を開いた

日向「誰かさんが・・・うるせぇからな・・・」

ネゴ「創ぇ~っ!!!」

お~いおいと、ネゴは日向に泣き付いた。一同はやれやれと微笑ましく眺める

テコンドー「ったく、大の男が・・・」

エージェ「良いんじゃない?親友が死にかけたかもしれないって事態だったんだから」

メイド「普段クールなエージェも、ガードマンが同じ状況になったらキャラ崩壊を見せてくれるのかな?」

エージェ「だっ!?誰があんな奴のために・・・」

キャンディ「あら、顔赤いわよ~?」

エージェ「かっ、からかうな!こっちは怪我人だぞ」

七海「・・・にしても、不味いよ・・・」

ヴィオラ「不味い?何かあったのか!?」

七海「私の『スタンド』の能力、モノクマにバレた・・・」

キャンディ「もう!?」

テコンドー「偉そうに語られて、あれはムカついたな」



九頭龍『七海の『メン・ウィズアウト・ハッツ』の能力が分かった!?本当ですかい!?』

モノクマ『あれあれ?分からないの?ああ、まだ君も知らない情報もあったかもね』

モノクマ『ずばり、この謎を解くヒントは3つ!

1つ目、田中君・西園寺さんとの闘いの中で被弾したミニダブルス君

2つ目、あれだけの『ザ・サン』の猛攻に耐え切った事

3つ目、たった今、僕が飛ばした日向君のディスクを撃った事

答えは、1つだよ!』



日向「何だかモノクマじゃなくて狛枝が言ってるように感じるのは気のせいか・・・」

ネゴ「日向、あんま無理するんじゃねーぞ!『部屋』まで運んでやるから・・・」

コンサルト「部屋!!」

メイド「あそこの事を聞くと、ようやく帰って来たって感じがしますね」

キャンディ「治療が終わり次第早速行く?」

~PM 5:40~

罪木による治療もある程度終了し、安静が必要なメンバー以外はある場所にやって来た

テコンドー「おお・・・懐かしい!まんまじゃねえか!!」

エージェ「全ては・・・ここから始まったんだったわよね」

そこは箱を複数積み上げて組み合わせた様な不思議な作りの建物だった

門の表札には、『モーテル・デネブ』と書かれている

ネゴ「んじゃ・・・創を部屋に送って、飯食って風呂は入ったら先にお休みさせて頂くわ。皆は積もる話もあるだろうし、ゆっくりしてな~」

七海「日向君おやすみ~」

日向「おやすみ~・・・」

ネゴが言った通り、ここが『ミライ族』の本拠地中の本拠地。全員の個室が用意されている。とても20部屋程度とは思えない巨大さだが・・・

メイド「はーっ・・・ようやく帰って来たな」

コンサルト「また明日から大変かもしれないけど、一先ず自分の部屋で休めるようになってほっとしました」

セイバー「せや、和一の部屋用意せんとな。まぁ空き部屋たくさんあるし、適当に俺の部屋の近くでも・・・」

アバター「『ホテルみらい』の君のコテージの荷物は、また今夜にでもこっそり運んでおくよ」

左右田「良いのか?結構デリケートな物もあるから俺も一緒に取りに行くぜ」

ヴィオラ「また、これまで何があったか夕食を食しながら聞かせてもらおうか・・・」

アバター「俺も聞く。罪木はどうする?夜勤?」

罪木「はい。小泉さん達に変な時間に麻酔与えてしまったので、アフターケアをしておかないと・・・精神面のケアも心配ですし・・・」

テコンドー「そういう時に『テレパス』が居ればなぁ~・・・アイツ今どこだ?」

七海「4の島だよ。『クリーム・スターター』の本体と一緒。周り女子ばかりだから寂しがってるんじゃないかな」

そんな感じで他愛も無い話をしながらモーテルに入ろうとした時だった―――



ドオオオオオオオオオォォォォォォォン!!



コンサルト「な、何ですか今の音!?」

エージェ「5、いや4の島の方角・・・違う、複数同時だ!」

ヴィオラ「おい、あの狼煙この島内じゃないか!?」

テコンドー「俺が行ってくる!」

七海「1人じゃ危険だよ!私も行く!!」



4の島にほど近い海岸に、1台のボートが漂着している。煙はエンジンから出ていた

テコンドー「な・・・何が起こりやがったんだ?」

七海「誰か乗ってる・・・?」

2人は警戒しつつ恐る恐る近付き、ボートの中を覗き込む

テコンドー「あん?」

七海「!? どうしてこの人達が・・・」

ボートの中で、一組の男女が眠っていた



1人は、が刺繍された学ランにドレッドヘアーが特徴の男子

1人は、赤いジャージに身を包んだ褐色肌のポニーテール女子

~同時刻~

=4の島=

??「こっち!こっちだよ!!」

??「そんなに慌てなくても・・・敵かもしれないのよ」

??「違ったらどうするんですか?」

3人の女子が煙を頼りに海岸に向かう。同じ様にボートが泊まっていた

??「誰か居る~?居なかったら居ないって言って~!」

??「いや、居なかったら何も言えないですよ・・・」

??「私が行くわ」

??「危険人物だったら『クリーム・スターター』で動きを封じるんですね」

??「それでも危険だよ。皆で行こ!」

3人はボートの中を覗き込む

三つ編みに眼鏡にセーラー服と、清楚さを感じさせる少女が眠っている

??「う~ん・・・一応介抱しておきますか?」

??「しよっか~。あ、ところでテレパスは?」

??「また1人で閉じこもってるんじゃないかしら?気難しい子だから、おなじ仲間でもリーダー君やネゴ君とか少数にしか心を開いてないし」

??「どうにか打ち解けられると良いんですけど・・・まぁ、それはともかく・・・」



??「この『2人』・・・双子かしら」



彼女達が見つけた少女の隣に、異様に長い舌を出した瓜二つの少女が背中合わせで眠っている

~同時刻~

=5の島 軍事施設=

ブロガー「チッ・・・」

先程3の島と連絡を取り合った頃から苛ついていたブロガーは、そこら中の物に蹴りで当たり散らしている

??「おいおい、何とかならねぇのかアイツは・・・」

??「どうにか機嫌を治してもらわないと・・・」

ガードマン「止した方がいいんじゃないか?今は触らぬ神に祟り無し・・・」

そんな彼女をガードマンを含めた3人の男子が遠巻きに見ているが、その時―――

ドオオオオオオォォォォォォン!!

ブロガー「!?」

ガードマン「何だ!?見て来る!!」

??「あっ、ガードマン君!1人になるな!!」

ガードマンが真っ先に飛び出し、他の3人も慌てて追いかける



他の島同様、一隻のボートが海岸に流れ着いていた

ガードマン「中には、男子が1人・・・上等なスーツを着込んでいる、眼鏡に金髪の少年だ!」

ブロガー(ピクッ)

??「どうして突然・・・敵の差し金か?」

??「だったら普通に襲わせに来るんじゃねぇの?大体モノクマの野郎の手駒も今、皆返り討ちに遭って動けねぇんじゃ・・・」

ブロガー「どいて!」

ガードマン「わっ・・・!?」

ブロガーが船を覗きこむ ピクピクと、首筋に欠陥が浮かび上がった

ブロガー「十神・・・白夜ぁっ・・・!!」

??「そいつが!?確かコロシアイ学園生活の生き残りで、この島を利用してる奴らの1・・・人・・・」

??「ブ・・・ブロガー・・・さん・・・?」

ブロガー「『レッド・ホット・チリ・ペッパ』アアアアアアァァァァァ!!」

顔を見るなりブチ切れたブロガーは『スタンド』を出す

ブロガー「起きろやゴルァ!!」

バリバリバリバリバリバリバリバリ

十神「ぎゃあああああああああっ!!?」

??「止せ!死んでしまうぞ!!」

慌ててブロガーを抑え付ける

十神「な・・・なんだ?ここはどこだ?確か・・・」

ブロガー「おい・・・」

十神「何だ」ガッ「ぐえっ!?」

怒りで筋力のリミッターが外れているのか、ブロガーは片腕で十神の首を掴んで宙吊りにする

ブロガー「なあおい、自・称・『超高校級の完璧』さんよぉ・・・カムクラに成す術なくやられたんだって?よくまぁそれで完璧とか自負出来たねぇ?」

十神「や・・・奴は規格外過ぎ・・・」

ブロガー「黙れっ!最初っから『完璧』でも何でもないただのボンボンの癖に!!」

ブロガーは十神を地面に叩き付ける

ブロガー「十神家は世界を統べる一族!?あんた達の統べてる世界、『絶望』塗れになって滅びの一途辿ってるぞ!」

ブロガー「世襲制のために兄弟全員で争って後継者に1人を選び他は追放?すごいねぇ、負けた人材だって優秀だったろうに、ゴミのように捨てちゃって平気なんだ!」

ブロガー「だから勝つ義務がある?負けた奴に示しが付かない?ふざけんな!一番負けてはいけない勝負で負けてんじゃないの!!」

ブロガーは叫びながら十神を足蹴にする

ブロガー「ええ?おい、おぼっちゃん・・・はっきり言ってさぁ、あんたが今までして来た勝負、勝って何の意味があったのか私にはさっぱり分からないんだ」

ブロガー「あんたが負かした兄弟にはあんた以上に一芸に秀でた人材も居たんだろう?皆一緒だったら『絶望』だってどうにか出来ただろうに、全員潰したから『絶望』に対する戦力あんた1人だけだぞ?」

十神「・・・!!」

ブロガー「なぁにその顔?そんな発想今まで無かった?おめでたい頭だねぇっ!!」

十神「ガボォ・・・!!」

ブロガー「大体世界が『絶望』に侵され始めた時、あんた学園に閉じこもって戦う事すらしなかったみたいじゃない!結局1人じゃ『絶望』相手に何も出来ない癖に・・・まさに本末転倒だよっ!!」

十神「ぐほぉ・・・」

ブロガー「記憶を消された時はモノクマに踊らされて意味の無いコロシアイに積極的だったそうじゃない。とんだピエロだわ!モノクマの掌に自分から踊らされに行ってんだから!!」

十神「げぼぉ・・・」

ブロガー「あんたはいつもそうなのよ!十神家、希望ヶ峰学園、モノクマ・・・今だって未来機関に気分良く踊らされて良い様に利用されているだけの、才能持つだけ無駄野郎がぁ!!」

ブロガー「何が世界を救う英雄だ!モノクマの言った『世界の破壊者』の方が正しいわよ!あんた達『力のある者』が何もしなかったから世界は崩壊したんだろうがああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

十神「がふっ・・・」

ガードマン「もう止せっ!!」

3人がかりで止める

ブロガー「止めるなっ!私は何から何まで口先だけなこいつに、はらわたが煮えくりかえって仕方ない!結局こいつが経験して来た勝負は、何の意味も無い内輪揉めばかりじゃないか!!」

ブロガー「こいつらが馬鹿みたいに踊らされてるから、私達がやるしかなかったのに!!こんな奴らのために私達は・・・姉さんはあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

??「そんなの、『ミライ族』全員の総意に決まっているだろう!!」

ブロガー「っ・・・!!」

ブロガーは、自分を抑える3人の身体も怒りに震えている事に気付く

??「だが、こいつを殺したって憂さが少し晴れるだけで意味無ぇだろ!一時の感情で同レベルに落ちてやる必要無ぇ!!」

ブロガー「・・・チッ!隔離で勘弁してやる!!クリエイト呼んで来る!!」

ブロガーは軍事施設に帰って行く

彼女が去った後、3人は3人で十神を冷ややかな目で見降ろす

??「お山の大将・・・としか言いようが無かったな、本科の大半は・・・」

??「ああ・・・俺ら相手に良い気になって、自分達が利用されている事に全く気付かねぇ頭カラッポ共だったぜ・・・」

ガードマン「彼を含めた修学旅行主催者側・・・彼らは彼らで島を出る資格、価値があるんだろうか・・・」

??「・・・・・・・・・・・・」

??「今の状況になって、嫌という程感じるな・・・彼女が怒り狂うのも分かる・・・」



??「やはり希望ヶ峰学園は、『最悪』の学園だったと・・・」

~同時刻~

=1の島 砂浜=

ここにも、一艘のボートが打ち上げられている

??『お~い!おお~い!!』

苗木「うう・・・ん・・・」

??『大丈夫か苗木~?着いたぞ~!』

苗木「ん・・・?」

苗木が目覚めると、円筒形の顔をした不気味な人形が目の前に居た

苗木「うわあああああああああああっ!!?」

??『うおっ!?苗木~・・・選ばれた相棒をぞんざいにすんじゃねえよ!オレ泣いちゃうよぉ~!』

苗木「相棒!?え!?」

霧切「あなたに与えられた『スタンド』という事よ・・・」

苗木「スタンド?なぜ僕が・・・はっ!?じゃあここは・・・霧切さん無事!?」

霧切「私は無事・・・」

自分の『スタンド』にまとわりつかれつつ立ちあがると―――



霧切「・・・とは、とても言えないわね・・・」

『リトル・フィート』のナイフ喉元に突き付けられた霧切の姿が目に入った

そしてその場に居るのは、その本体の西園寺だけではない



現在1の島に残っている修学旅行参加者達全員に、自分達とボートが取り囲まれていた

=7日目 終了=

希望の生徒達

狛枝凪斗  :ペイズリー・パーク(狛枝にとっての希望に導く)
罪木蜜柑  :サバイバー
豚神白夜  :イエローテンパランス
澪田唯吹  :???
小泉真昼  :ハーミットパープル
ソニア   :ラブ・デラックス
田中眼蛇夢 :ゴールド・エクスペリエンス
花村輝々  :パール・ジャム
西園寺日寄子:リトル・フィート
辺古山ペコ :???
弐大猫丸  :ストレイ・キャット

モノミ   :カリフォルニア・キング・ベッドちゃん

苗木誠   :???
霧切響子  :???
十神白夜  :???
腐川冬子  :???
葉隠康比呂 :???
朝日奈葵  :???
???   :???

→『ミライ族』へ
左右田和一 :ナット・キング・コール

→『絶望集団』へ
九頭龍冬彦 :セックス・ピストルズ
終里赤音  :クラッシュ



絶望集団

モノクマ :ホワイト・スネイク

???  :???
???  :???
???  :???
???  :???
大和田紋土:クレイジー・ダイヤモンド
???  :???
山田一二三:クラフト・ワーク
???  :???
大神さくら:ザ・サン

???  :???
???  :???
???  :???



第三勢力・『ミライ族』

日向創  :マッチボックス・トゥエンティ(同値の2つの入れ替え)
七海千秋 :メン・ウィズアウト・ハッツ
テコンドー:ボーン・ディス・ウェイ
ブロガー :レッド・ホット・チリ・ペッパー
???  :???
コンサルト:ハーヴェスト
セイバー :ビーチ・ボーイ
エージェ :メタリカ
ダブルス :シルバーチャリオッツ
キャンディ:???
ネゴ   :???
メイド  :ヨーヨーマッ
???  :???
アバター :マン・イン・ザ・ミラー
テレパス :???
???  :クリーム・スターター
ヴィオラ :???
???  :???
ガードマン:ウェザー・リポート
???  :???
ドゥバー :???

=CHAPTER2 END=

以上、7日目でした!

なかなかヘビーで胸糞な展開があったかもしれませんが、最後にまた一つ話を大きく動かしてみました



ラストのチャプターエンド表記に章タイトルも付けようとしたんですが、良いタイトルが思い浮かびませんでした・・・

誰か良いタイトルを思い付いたりしたらレスどうぞ

もちろ普通の感想なども歓迎です!

CHAPTER 3

徐々に明かされる『希望の生徒達』と『ミライ族』の過去

失われた学園生活で、彼らは何を経験し、何を行ったのか?



そして未来を歩むのは、どちらの高校生達か?

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最も多くの総理大臣を排出する地元・山口の県知事の家に生まれた俺は、勉強も部活も優秀な成績を修めてきた

俺自身も自分が優秀な人間だと自負しているが、けっしてうぬぼれちゃいなかった

俺は、『天才』じゃない

努力して、努力して、努力して・・・ようやくその結果として今の成績がある、努力でようやく上に立てる『秀才』でしかない

だから遊びとか全く費やす時間も興味も無かったし、元々とっつきづらい性格してると思うが、交友関係も2,3人程度の男友達ぐらいだ

たまに俺の何を勘違いしたのか無理矢理交際を申し込んで来る女子も居るが、大抵振り向かせて見せると宣言しておいて、全く自分を見てくれないと逆ギレして去って行く

なぜそこまでして俺が成績を維持し、向上させるか・・・それは、『恐怖』からだ

本当の『天才』である、一歳違いの弟が居たから



弟はコミュ力抜群で、男女問わず交友関係も広い。俺も少しは弟を見習って皮肉屋を治したらどうだと言われるぐらいだ

だが、周りは気付いてるんだろうか・・・それだけ交友を広げる事に時間を費やしてたら、勉強とかに回す時間がどんどん無くなっていくという事に

だけど弟は俺同様、成績も部活も学年でトップだ

そう・・・時間が無くなっても全く問題無い。『天才』の弟は授業を数回聞いただけで学問はすぐ頭に入るし、数回練習すれば運動も熟練の経験者をあっさり越える

努力が必要な俺と違って、弟は一度覚えればすぐに何でも出来た

俺達は『一見』、兄弟揃って優秀だ。だが、俺たち兄弟を良く知る身内にとってはどうか

答えは明白・・・弟の方がズバ抜けて優秀だ

だから学校ではトップでも、家では俺は出来損ない。皆弟の方ばかりを愛でて、俺の方には目もくれない。両親でさえも・・・

先に生まれ手本となるべき兄にとって、これほどの屈辱があるだろうか?

だが、まだ精神的には大丈夫だった。学校では兄弟『揃って』優秀―――それが教師・生徒の認識だった



しかし俺が3年、最後の年になってその認識は崩れ去った

俺が所属していた陸上部に、突然弟が転部して来たのだ

弟は元々運動部に所属していたから、出だしから優秀な記録を弾き出す

俺は絶対に負けられなかった。もし負けたら―――どうなるかは明白だったからだ

今まで以上に努力した。周りは最後の年だから気合入ってるぐらいの認識だろうが、相当鬼気迫っていたと後に語る

その結果―――

『おいおい修兵・・・どういうつもりだよ!!』

『・・・・・・・・・・・・』

『あんだけ練習してたじゃねえか!俺達との付き合いもおざなりになるぐらい!!なのに始めて数ヶ月の弟にあっさり抜かれてよぉ・・・』

『まさか花持たせたとか、そんな訳無えよな?』

『んな訳無えだろ!記録見て物を言いやがれ!!』

『俺は、去年の自己記録を大幅に更新したんだぞ!大会においても過去最高記録だ!!』

『え?マジで?』

『なのに抜かれたのか!?』

『あいつは・・・天才なんだよ・・・・・・本物の・・・天才なんだ・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・』

『じゃあ・・・お前、逆にかわいそうだな』


『あの弟が居る限り、これから先どんなに努力しても絶対報われねぇんだから・・・』


そいつらは、ただ事実を何となく言っただけだった

なのに気が付いたら、顔を腫らして友人達が倒れていた

『すまねぇ・・・すまねぇ・・・』

保健室に連れて行き、謝り続けた

もう帰りなさいと保健医に言われ、保健室を後にする

昇降口の前に着いた時、弟がたくさんの友人と下校する所だった

『・・・・・・・・・・・・!!』

弟は俺に気付くと、周りに気付かれないよう注意を払いつつ―――満足そうな、嫌な笑みを浮かべた

ああ・・・そういう事か。お前が突然俺の部に入部して来たのは

あいつにとって俺は、兄など名ばかりの『雑魚』

そんな奴と学校で同列に扱われているのが、心底癪に障ったんだ



その一件以来友人達は俺に関わって来る事も無くなった。結構居た俺に交際を求めて来る女子もぷっつりと現れなくなった

部活が終わった後も成績はトップを保っていたのに、卒業する頃にはその他大勢の生徒も教師も、俺に見向きもしなくなっていた

学校の皆も―――弟の方しか見なくなっていた


『中学を卒業したらそのままおいで』と、弟に希望ヶ峰学園から異例の早さでスカウトが来たのは、それから間もなくだった


どうして努力が大きな声を上げて称賛される中、実際は生まれ付いた能力のある者ばかりが報われるか―――

それは『才能』は始めから備わっていて、『無くならないから』だ

ピアノは1日休めば遅れを取り戻すのに3日かかると言う

だがそれは、練習が・・・『努力』が必要な奴の話だ

本物の天才ピアニストは、一週間旅行に行こうがその後も変わらず美しい音色を奏でるだろう

結局、努力は信用ならないんだ。少し怠けたぐらいで無くなる物なんか

でも、俺は『努力』しか無い。何もしなくてもトップで居させてくれる『才能』なんか持ち合わせていない

希望ヶ峰学園に入学する頃には、精神的に追い詰められていた



だがその学園で俺は―――『努力』以外に自分を支えてくれる物を手に入れる

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『千秋ちゃんってさー、どうしてそんなに勉強出来るの?』

『どうして・・・って?』

『だってさー、いっつもゲームしてるじゃん』

『それがどうして勉強が出来ないって結論につながるの?』

『え?え~っと・・・そんなにゲームしてたら、勉強してる暇無いんじゃない?普通に考えて』

『う~ん・・・まぁ、普通の勉強はしてない・・・かな』

『え?何か特別な勉強法でもあるの?』

『ホラ、進○ゼミがあるじゃん。それにね、面白いゲームが付いてるの』

『え?あれ?あんなの単調だからすぐ飽きるよ』

『そうそう、普通にテキストをやってた方が学校の勉強にもつなげられるし』

『そんな事言ったら失礼じゃないかな?少しでも楽しみながら勉強できるようにって工夫したんだから。やり込み要素だってあるんだし』

『・・・千秋ちゃん、やっぱ変わってるわ。ちょっと心配』

『どうして?』

『だってそんなにゲームにのめり込んじゃう人って、危ない犯罪者多いじゃん』

『あ~、ゲーム狂いの殺人犯って変な言い訳するよね。「リセットボタンを押せば元通りになると思った」とか。現実にある訳無いじゃんそんな物』

『ゲームと現実の区別もつかないって、人として終わってるよね』



―――ゲームは、低俗

大人達の中には、そういう事を言う人も多い。そこまで言わなくても、ゲームなんてやってるのは子供・・・小学生の内だけって人も

中学に入ったら真面目に勉強をしなければいけない。ゲームで遊んでるなんてもっての外。と、ゲームを取り上げる親も居ると思う

あのクラスメイト達も尤もらしい理由を付けたけど、実際は『ゲームをしている』という事実をそのまま『勉強が出来ない』に根拠無くつなげていたんだと思う

実際、ネットゲームにのめり込み過ぎて課金で破産したり、現実の生活がおざなりになったりする人も居る

だけどそれはその人の問題であって、ゲームは何も悪くないはずだよ?

実際に犯罪につながったってだけで『危険な物』って扱いをしたら、世の中『危険な物』でいっぱいじゃないかな?

例えば原子力発電だって、人間に害悪を与える成分をいっぱい出しながら稼働してる。新たに作る事に反対している人だってたくさん居る

挙句の果てに実際に事故が起きて毒物が外に撒き散らされ、そこに住んでいた人が立ち去らなければならなくなった場所だってある。チェルノブイリとか福島とか

この国はそんな物を持って、むしろ擁護しているのに、ゲームは叩かれても不思議じゃないって風潮は何か違うと思う

また、ゲームをしている人は頭が悪くなるみたいな風潮もある

だけど、どうしてそうなるのかな?世の中には教育のためのゲームだってあるのに

学者先生の論文は何の疑問も持たず称賛されている。だけど、ちゃんと内容が分かってて称賛している人はそんなに居ると思えない

学者先生は世の中の役に立つ研究をしてるみたいだけど、説明が専門的過ぎて一般人は読んでも何の話か、どう役に立つのか良く分からないと思う

ゲームは誰にでも分かる内容である事が前提に作られてる。学者先生の訳の分からない論文より親切・・・だと思う

それとも論文の内容が分からないから馬鹿って言いたいのかな?例え頭が良くても、興味無い人は理解しようとしても永遠に分からないと思うけどな~

後で論文に不備不正がぞろぞろ見つかったら掌を返して叩くぐらいなら、発表を鵜呑みにせずに本当に称賛すべき物かどうか内容を精査してから称賛するべきだよ

何だか・・・こういった風潮はTVで誇張されている気がする。そして世の中の大勢の人の常識になっている

私を変わった子だって言うクラスメイト達も、そういう物で彼女達個人の常識が決定付けられてるんじゃないかな?

私自身は自分が変わった人間だとか、思った事無い。だって、それが私なんだから

私が変わった子だと言われるのは、自分で取捨選択した常識に則って生きているからだと思う

他の人は政府が決めたとか、大きな声で言われたとか、より多くの人が賛同したとか、そんな理由で常識を選んでる気がする

人間は臆病だ。他人と違う事を恐れる

なぜ恐れるか?人間社会が逸脱する人間を許さないシステムだからだ

外見を見れば一目瞭然なのに・・・人は1人ひとり違う、同じ姿の人間なんて居ない。だったら考え方だって同じ人間なんて居ないって分かるはずなのに

それなのに統一してないと気が済まない。あぶれ者になる事に怯える

目的を共にする集団でも考え方がバラバラの方が見識が広がると思うのに、頑なに全ての見解が同じでないと身動きも取れない



そんな事を考えていたある日、誰かが希望ヶ峰学園の噂をしていた。その時、私の話題が出た

『超高校級のゲーマー』でスカウトが来るんじゃないかと



『無い無い。そんなの何の役に立つんだよ』



1人がすぐ否定し、全員が納得した

具体的な否定は何も出来ないから割り込まなかったけど、どうしてすぐに役に立たないと決めつけられたんだろう。どう考えてもイメージで何となく言ったとしか考えられないのに

気にする必要なんて無いのに、悔しかった。涙が出た。やっぱり私もどこかで『皆の常識』に縛られている

その後の『作る側になれば呼ばれたりするんじゃないか?』という言葉に触発され、私は生まれて初めて『勉強』をしようと思った

だけど、すぐ挫折した。テキストは専門用語だらけで、ゲームの要となるプログラミングも作ってはバグを消すという単調にも程がある作業。それも全てのバグが無くならなければまともに動く所が見られない

普通の勉強も自分なりの形に落とし込んでいる私にとって、これは『苦業』だった

私が愛しているゲーム・・・それを作る過程は、私が個人の価値観で嫌悪していた全てが詰まっていた

ままならないなぁ・・・人生は

結局『皆の常識』に付いて来れない人間は何も出来ないと、突き付けられた気がした

世界はそういう風に出来ているんだと、世界の全てが逸脱した私を嘲笑った気がした

結局スカウトなんて物が来るはずも無く、私はそのまま高校に上がった。一番面白そうという理由で選んだ高校へ



そこでの出会いが私の悩みの全てを解決してくれるとは、その時の私は全然思ってなかった

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『孝祐・・・ごめんね・・・何とか取り消せないか散々話し合ったけど・・・』

『父さんと母さん・・・離婚する事になりました』

そう切り出されたのは、中学に入学してまだ間もない頃でした

『・・・そうですか』

『え・・・・・・・・・・・』

『驚かないの?重大発表だと思うんだけど・・・』

『遅かれ早かれそうなると思ってましたから。では、僕はお父さんに付いて行きますね』

『『・・・・・・・・・・・・』』



お父さんとお母さんは、結構年を取ってから僕を産みました

それもそのはず、お父さんとお母さんは結婚適齢期を越えそうになり、慌てて見合いを重ねて結婚にこぎつけたのですから

普段の両親を見ていて思う所がありましたが、見合い結婚だったと2人を良く知る友人から聞いて、ああ・・・と、納得しました

だって見合い結婚はどうしても結婚したい人がやる物でしょう?

絶対に相手に嫌われる事は出来ません

自分を取り繕って、虚栄と虚像に塗り固めて相手と関わります

素顔をさらしているはずなのに、まるで仮面舞踏会と変わらないじゃないですか

だからいざ結婚して新婚旅行でより密接に関わり合うと、相手の嫌な部分が目に付き、幻滅していくのです

そうして旅行の後あっさり別れる事を、少し昔に流行った言葉で『成田離婚』って言うんでしたっけ?

僕に言わせればあんなの自然の摂理です。不思議でも何でも無い

上っ面だけ見て相手を選ぶからこうなるんです。本当のパートナーは、もっと本質的な所で合う相手を選ぶべきでしょう

もちろん、2人共僕に愛情を深く注ぎ込んで育ててくれました

でも、その愛情が互いに向いていたか・・・僕が知る限り、多少取り繕ってはいましたが、断言できる程『無かった』と感じています

とっくの昔に上っ面への興奮は冷め切っていたと、僕に対し隠していようと、ありありと感じ取れました

だけど『息子』という枷があったから、ある程度我慢して来れた。だけどその枷も外せるほど大きくなり、とうとう我慢の限界も来た

その結果でしょう?この離婚は

こんな両親を持ったからでしょうか?男女交際の話がたまに持ち上がっても、僕はいつも上手く行きません

こう見えて僕はとあるスポーツの世界では名の知れたプレイヤーで、そのネームバリューに惹かれて女の子が告白して来ますが、大抵別れ話を切り出すのも女の子の方です

理由は大きく分けて2つです

『格好悪い所を隠そうともしないんで、彼女として恥ずかしくなる』

『なんだか値踏みされているような視線が嫌』

まぁ、妥当な理由だと思います。そういう所に文句を付ける人は僕も遠慮したいですし

僕が語るには少々早い話題だと思いますが、そこに無理に目を瞑って結婚しても、多分長くは続きません

僕は両方の意味で本質をさらけ出せない人なんか、御免です

僕が本質をさらけ出して自然体で居る事を嫌がる人も

僕が本質を見定める事に積極的な事を嫌がる人も

普通はそういう所に目を瞑って適度な距離を保てるのが理想であると言うでしょう。でも、僕は全くそう思いません

そういう腹の探り合いをしていれば絶対に距離は開き、近付く事は永遠に有りません。両親がそうだったように

それが大事と言いますが、いずれ破綻の時が来ます



僕は裏表の無い人と良く言われますが、当然です。裏表がある方がおかしいという思考回路ですから

それを好感を持てるポイントとして挙げる人も居ますが、実際に全く裏表が無いと辟易されるんです

相手に対する意見も裏表無く、淀み無く言うから

そのため僕は誰からも好意的に思われる人間でしたが、積極的な関わりを持つ友達は全く居ませんでした

一般論で良い事だとされても、本質的に良い事だとは限らないんです

そんな自分を不憫に思った事はありません。僕のやっているスポーツは基本的に個人競技ですし、本質で触れ合えない人と長時間一緒に居ても苦痛です

でも・・・ひょっとしたら僕は誰ともまともな付き合いも出来ず、孤独のまま人生を終わるんじゃないかという危機感は抱いていました

自分を不憫には思わなくても・・・寂しいとは思うんです

だから高校に上がって、本質で触れ合える生涯のパートナーに巡り合えたのは、僕の人生で最大の幸運でした



でも―――周りがそれを許さない人ばかりだとは思いませんでした

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『すぐる兄ちゃーん!』

『おお、創!今日も元気だな!!』

『兄ちゃん程じゃないよ。でも、今日こそ一本取ってやるんだから!!』

『ほほ~う?手加減はしないぞ。心してかかって来い!!』



『一本!そこまで!!』

『うう・・・今日も駄目だった・・・』

『何、焦らず確実に力を付けて来い。創はちゃんと強くなってるぞ。毎日のように打ち合ってる兄ちゃんが保証する!』

『兄ちゃんはずるいよ・・・何でも出来て、皆のヒーローで・・・俺にも兄ちゃんみたいに『才能』があったら・・・』

『創・・・』

ポムッ

『だから、焦るな。お前にだって『才能』が・・・お前にしか出来ない事が絶対にある』

『本当・・・?』

『ああ、本当だ!・・・正直俺だって、何でも出来るけど、俺にしか出来ない事にはまだ出会ってないからな』

『このままこの道場で剣道一筋で行くってのもしっくりこないし、中学上がったら何か部活始めようと思うんだ』



俺の慕っていた2つ年上の兄さん・傑は、俺の実の兄じゃない

なんて言っても、血のつながりが無いとか厄介な家庭問題を抱えているって訳じゃない。単に従兄弟ってだけだ

傑兄さんは万能型の『天才』だった。勉強もできるし、スポーツ万能、当然イケメン。親戚中からも持て囃されて将来を期待されている

俺にとって傑兄さんは『憧れのヒーロー』だった。兄さんみたいになりたいといつも思っていた

だけどその万能さが災いしたのか、中々熱中出来る物に出会えない。早い話が飽きっぽいんだ

幼い頃から剣道場に通っているが、それもどちらかというと俺の成長を楽しむって側面の方が強い

だけどそんな兄さんも中学に上がって、ようやく『サッカー』ってやりたい事が見つかった

才能を鼻にかけない兄さんはその誠実さから求心力もあり、瞬く間に弱小サッカー部をまとめ上げ、鍛え上げ、トーナメントを駆けあがって行った

1,2年目では全国優勝もまだまだ遠かったが、確実に力を付けて行った。そして最後の年に、見事にサッカー部を全国大会優勝に引っ張り切った

ちなみにその年に中学に上がった俺は、兄さんと同じ事をするのも何か違うと考え、3年間バスケ部だった

3年でキャプテンを務め、兄さんのように自他共に認めるリーダーになれたが、大会結果はいつも地区予選止まりだった

同じ地区の他校にバスケの『天才』が居て、いつもいつもそいつに阻まれて上の大会に進む機会を逃し続けた・・・


さて・・・話は戻るが、そんなサッカー界の『ヒーロー』である傑兄さんに、高校に上がって間もなく『超高校級のサッカー選手』として希望ヶ峰学園のスカウトが来た

周りの後押しもあり、兄さんは元居た高校を退学し、改めて希望ヶ峰学園に入学した

この頃の俺は兄さんの才能が世界に認められたとはしゃいでいた。俺もいずれ希望ヶ峰学園に行きたいと思っていた

―――だけど兄さんが希望ヶ峰学園に入学して半年後、俺が3年生に上がる頃・・・唐突に奇妙な事が起こった

兄さんは外国のチームへの移籍を決定した。そのため、希望ヶ峰学園を自主退学したんだ

俺だけでなく、親戚中が動揺した。まだ早いんじゃないか。希望ヶ峰学園を卒業してからで良いんじゃないかと全員が思った

なんせ『卒業すれば』人生において成功したも同然って学園だからな

その疑問に対し、兄さんはこう答えた

『希望ヶ峰学園って5年制なんだよ。だから卒業する頃には成人してんだ。その頃には筋肉にだって衰えが始まる・・・』

『だからもっと若い、何でも吸収出来る内に本場に揉まれて、登り詰められる所まで登ろうって思ったんだ。要は挑戦したかったんだ』

そう言ってあっけらかんとしてる兄さんに対し、まぁ・・・本人の決めた事だし・・・と、誰も何も言わなくなった

俺は傑兄さんがヨーロッパに旅立つ前に、最後に道場で剣を交える事にした

兄さんは希望ヶ峰学園入学と同時にキッパリ辞めてしまったが、俺は機会を見てはたまに顔を出していた

『兄さん・・・』

『どうした?創』

『本当の事を言ってくれよ・・・』

『何の話だ?・・・胴!』

『フッ!!・・・希望ヶ峰学園で、何かあったんじゃないの?・・・籠手!』

『ホッ!!・・・どうしてそう思ったんだ?』

『だって・・・兄さんはヒーローだったんだよ。輝いていたんだよ。なのに・・・』



『その輝きが・・・今はとても弱く感じるんだ・・・』



ずっと追いかけていたから、背中を見ていたから、感じた違和感

直後に硬直した兄さんの隙を突き、初めて兄さんから一本を取る事に成功した

『創・・・お前はもう大丈夫だよ。ただ俺の背中を盲信的に眺めるだけじゃなくなった。集団のリーダーになって、自分に出来る事を考えるようになった。もうお前も一人前だよ』

『兄さん・・・?』

『その全てを真っ直ぐ見据える『目』・・・何が有ろうと潰すんじゃないぞ!』

『兄さん・・・!!』

―――それが、傑兄さんと日本で最後に交わした言葉だった

まぁ、別に電話やメールでその後も連絡は取り合ってたけどな



・・・そうしていたから、『悲報』はいち早く俺に届いた

冬が終わり高校の合格通知が届いた頃、兄さんのサッカー人生が唐突に終わりを告げた

自宅に帰る途中で突然酔っ払い同士の抗争に巻き込まれ、兄さんは右足の健をナイフで切られた

日常生活では支障が無いぐらいの回復は見込めるものの、もはやそれまでのプレーを続けるのは難しく、これ以上選手としてピッチに立つ事は難しいと判断された

高校に進学し新しい生活に慣れて来た頃・・・兄さんはエースとして君臨していたチームから戦力外通告を受けた

とはいえ、あっけらかんとしていた兄さんは閉ざされた道に絶望する事は無かった。なんせ万能型の『天才』だ。すぐに他の事を始めた

間もなくサッカー選手時代の知名度とコネで貿易会社を立ち上げ、その会社の社長に収まったのだから、親戚中がビックリを通り越して呆れてしまった

選手時代からヨーロッパの良い所を日本に伝えられないかと考え、元から密かに引退後の仕事にと勉強していたらしく、兄さんにとっては予定が早まっただけだ

ちゃっかり微力ながらも元居たチームのスポンサーもやってしまうんだから、兄さんには敵わない



・・・だけどその後から、ある疑問が俺の中に渦巻き始めたんだ

俺が入学した学校の・・・かつて傑兄さんが在籍していた希望ヶ峰学園の事を知る内、どんどん疑念は深まって行ったんだ



兄さん・・・あんたが選手生命を断たれたあの事件が起こったのは・・・

本当に―――ただの『不運』だったのか?






日向「はあっ・・・はあっ・・・」

日向は記憶ディスク挿入の副作用か、意識を失っている間に過去の記憶を走馬灯の如く鮮明に思い返していた





=8日目 朝7時=

~3の島 モーテル『デネブ』 日向の部屋~



日向「確か、モノクマに・・・何かあったかまた皆に聞いておかないとな・・・」

そう呟きながら、日向はベッドから降りる

日向「・・・ようやく、帰って来たか」

自分の部屋と割り当てられた部屋に居る事に気付き、安堵する

そして窓際に置かれた写真立てを手に取った

そこには最後の剣道の試合前に取った、兄とのツーショットが飾られている

絶望がはびこり、絶望していない者の生存確率は極めて低い現在の外の世界・・・彼の従兄弟・日向傑の安否は未だ不明のままである

日向「傑兄さん・・・無事でいてくれ・・・!!」

日向は写真立てを胸に押し当て、珍しく涙をにじませる

ネゴ「創~!起きたか~?」

日向「あ・・・」

ネゴ「わ、悪ぃ・・・」

親友としてそれなりに付き合いの長いネゴは、日向の持っている物で日向が何を考えていたのかを察した

日向「いや、結局なるようにしかならないし、既に終わった可能性もある事でくよくよしても仕方ない・・・それは分かってる」

ネゴ「だが、それでも割り切れないのが人間ってモンよ。悩んでるならせっかく会えた俺にたーんと吐き出しちゃえ!」

日向「悪いな・・・今日のお前の仕事、第一号を頼もう」

ネゴ「承った!」

迎えに来たネゴと共に、日向は1階の食堂に降りて来た

食堂に顔を出すと、何人かは日向の体調を慮った

七海「日向君・・・」

左右田「だ、大丈夫なのか?あんな事があったってのに・・・」

日向「ああ、その辺の事もゆっくり聞かせてもらうぞ」

キャンディ「そういうのは後、後!まずは一日の活力をしっかり取りなさい!!」

セイバー「塩焼きそばお待ちの方~!」

キャンディとセイバーが朝食の給仕をしている。キャンディがこの食堂の主だ

キャンディは元々花村同様実家が食堂を経営しており、『ミライ族』随一の料理人でもある

テコンドー「塩焼きそばくれー!・・・にしても、お前のレパートリー相変わらずそれだけだな」

ダブルス「とはいえ何だかんだでセイバー君の塩やきそばは絶品ですからね。僕にも下さい!」

コンサルト「というかダブルスさんは安静にしてなくて大丈夫なのですか?あ、サバの塩焼き定食私です!」

ヴィオラ「もう一膳は自分だ!」

アバター「注文良いか?ホラ、蜜柑も」

罪木「え?え?私も頼んじゃっていいんですかぁ・・・?」

メイド「お茶は私がお出ししていきます。ホットかアイスか答えていって下さい」

エージェ「ホットを頂こうかしら」

昨日合流したばかりなのに、まるでいつもの光景と言わんばかりに滞りなく食事が運ばれていく

朝日奈(この人達、本当に仲が良いんだな~・・・)

食堂の隅のテーブルに座っている朝日奈は、傍観ではなく直接関わる事になった『ミライ族』をしげしげと観察する

その横で葉隠が「十神っちにツケといて」と言いながらモシャモシャと大量の料理を食い散らかしている

葉隠「ふへ~・・・やっぱり保存食ばっかじゃ味気無ぇべ!いくらたまにしか島の外に出掛けられねぇからってよぉ」

朝日奈「こんな時によく、くつろげるね・・・あっちはあっちであっさり料理出すのもどうかと思うけど・・・」

朝日奈はドーナツすら頼まず『ミライ族』を警戒している

朝日奈(でも、絶望以上の大犯罪者集団って『未来機関』が言ってた割には、とてもそんな感じがしないんだよね。普通の同年代の子達って感じ・・・)

一体彼らが何をしたのか、一刻も早く知りたいと思った

=同時刻=

~1の島 ホテルみらい レストラン~

十神「どうした?黙っていては分からないぞ?貴様たちは何者だ?モノクマの差し金か?」

イスに縛り付けられた霧切と苗木は、修学旅行参加者達からの尋問を受けている

苗木「し、仕方ないだろう?さっきから言ってるじゃないか!言いたくても、なぜか言おうとするとしゃべれなくなるって」

西園寺「んな都合の良い事ある訳ないじゃ~ん!嘘吐くならもっとそれらしい嘘吐きなよ」

モノミ「な、何やってるんでちゅか!?どうしてこの人達がここに居るんでちゅか!?」

昨日の異常事態を察知しつつも、襲いかかるモノケモノとの戦闘をようやく中断してやってきたモノミは青ざめた

田中「ウサギよ、こいつらを知っているのか?」

モノミ「知っているの何も・・・ええと・・・」

ソニア「どうなのですか?」

モノミ「ええい、ままよ!その人達は・・・・・・・・・・・・」

モノミ(あちしの上司の『未来機関』の人達でちゅ!)

花村「そ、その人は・・・?」

モノミ「だから、その人達は・・・・・・・・・・・・」

モノミ(あちしの上司の『未来機関』の人達でちゅってば!)

澪田「言うのか言わないのかはっきりして欲しいっす」

モノミ「え?言ってるでちょう?・・・え?言ってない?」

弐大「何も言っとらんわ!!」

西園寺「まさかあんたまで、言おうとするとしゃべれなくなるって言い出さないよね~?」

モノミ「皆さんに聞こえていないなら、事実そうだとしか言いようが・・・」

狛枝(恐らく、彼らの言っている事は本当だろう・・・)

狛枝はその様子を眺め、面白い事になって来たとほくそ笑む

狛枝(恐らく、なんらかの薬品を投与されたか機械を喉に埋め込まれたかで、重大情報を漏らそうとすると声帯が働かなくなるように設定されているんだろう)

狛枝(まったく、どんな超技術なのやら・・・でもとにかく、そうなると彼らはこの『コロシアイ修学旅行』の根幹に関わる重大情報を握っていると手に取るように分かる)

狛枝(でも、モノクマの用意した手駒だったら、わざわざそんな事しなくてもバラす奴なんて居なさそうだ。命を掛けて僕らを殺そうとしている連中なのだから)

狛枝(という事は、彼らはモノクマと関係無し。でもモノミとはつながりがあるとなると・・・)

十神「モノミと関わりがあると言う事は、貴様達、モノクマに乗っ取られたこの修学旅行の主催者か!確か『未来機関』と聞いている」

ソニア「確か十神さんと澪田さんが日向さんに聞いたという・・・」

花村「ど、どうなの?」

霧切「・・・その通りよ。私達は、『未来機関』の一員よ」

花村「何だか僕達とあまり歳の差が無さそうだけど・・・」

狛枝(なるほど・・・こっちが答えに辿り着けば答えられるのか)

??「まったくよぉ~散々じゃねえか苗木~!」

一同「!!?」

いつの間にか苗木の肩に例の『スタンド』が乗っかっている

西園寺「『スタンド』!?そのチビのか!!本体に似てちんちくりんな・・・」

??「ちんちくりんとはご挨拶じゃねえか、相棒以上のちんちくりんさんよぉ~」

西園寺「あ゙ぁ゙!?」

??「それに、俺にもちゃ~んと『ヘイ・ヤー』って名前があるんだぜぇ~」

田中「『ヘイ・ヤー』か・・・第7部で最初に出て来た・・・」

ソニア「どういった『スタンド』なのですか?」

田中「う、うむ・・・」

田中が珍しくためらっている。見た目とは裏腹に、それ程の強力な『スタンド』なのか!?と、修学旅行参加者達に緊張が走る

田中「奴の激励は本体の迷いを打ち消し、本体の意志を支える・・・」

ソニア「ふむ・・・・・・・・・・・・・」

十神「・・・・・・・・・・・・」

西園寺「・・・・・・・・・・・・」

花村「・・・・・・え?まさかそいつの能力、それだけ?」

弐大「『本体の鼓舞』だけ・・・じゃと!?」

田中「あ、あぁ・・・本来の本体は10億人に1人の幸運の持ち主とされ、当初読者にはその幸運が具現化した『スタンド』だと思われていた」

田中「まさかその幸運を疑わず信じられるよう支える事が役目の『スタンド』だったとは・・・」

西園寺「役立たずじゃん!!」

苗木(ええー・・・)

自分自身でもどんな『スタンド』かよく分かっていなかった苗木も絶句した

ヘイ・ヤー「おいおい、お前らは全く分かってねぇなぁ~・・・精神の大切さを」

西園寺「おやおや?負け惜しみ言い出したよ?」

ヘイ・ヤー「確かに俺は攻撃力すら無い最弱とも言える『スタンド』だぜ。強力な『スタンド』なんざ、この島にはいくらでも転がってるさ」

ヘイ・ヤー「でもよぉ~、原作読者もよく言うじゃねぇか。『せっかく強力なスタンドなのに本体が油断したり馬鹿やらかしたりして負けてるじゃん!』」

ヘイ・ヤー「『いや、本体まで出来るヤツだったら主人公勝てないじゃん』ってよぉ~」

ソニア「後半要りました?」

ヘイ・ヤー「要は持ち主がちゃらんぽらんだといくら強力な『スタンド』を持ってても意味無ぇって事さ。また、例え本体まで実力者でもあっさりやられる場合もある。それはいつだ?」

十神「・・・『本体に迷いがある時』・・・か・・・」

ヘイ・ヤー「その通り!ましてや互いを殺し合えって事態になってる状況さ。誰を信じれば良い?モノクマのゲームに伸るか反るか?ここは迷いが滅茶苦茶生じやすい環境なんだ」

ヘイ・ヤー「お前らも、徐々に不安になってきてんだろ?自分の信じていた物が根本から間違っていたんじゃないかって不安が・・・」

十神「なっ・・・!?」

『ヘイ・ヤー』の指摘で、十神の顔が怒りで赤くなる

ヘイ・ヤー「そういう時に本当に強いのは、自分の選んだ道を迷い無く進んで行ける奴さ」

ヘイ・ヤー「第一本体は良くも悪くも生身の人間なんだ。『スタンド』同士のバトルで勝てなくても、いくらでも相手を倒す方法はあるしな。幸い相棒は頭回りそうだし」

苗木「はは・・・」

苗木は苦笑いするしかない

霧切「にしても、随分苗木君らしい『スタンド』ね」

苗木「霧切さん・・・それどういう意味?」

霧切「・・・別に(苗木君って『超高校級の幸運』というより『希望の意志』がメインだからそう思っただけよ)」

制約が掛かったのか、『別に』しか口に出なかった

狛枝(へぇ、面白い。『意志を支えるスタンド』か・・・)

狛枝(希望になれるのは、素晴らしい『才能』と強い意思・・・もとい『意志』を持った人間だけ・・・その『意志』を強固にするなんて、超高校級の生徒達全員が持つべき『スタンド』だね)

狛枝(あ、ボクは『ペイズリー・パーク』の方が性に合ってるから要らないけど・・・さて、そんな人物が現れ、今後どうなっていくか・・・)

狛枝はとりあえずしばらくは様子見をしようとするが、ここで尋問が一時中断される事になる

ブゥン・・・

澪田「あれ?なんか勝手に画面が点いたっすよ?」

十神「モノクマか!?・・・いや、違う」

弐大「どこかの食堂か?食事中みたいじゃが・・・」

西園寺「日向お兄達じゃん!って事は、『ミライ族』!!」

花村「知らない人もちらほら居るね。でも、どうしてこの映像が急に・・・」



アルターエゴ「あれから、千秋ちゃんに言われて悩むようになっちゃった・・・僕がやっている事は、正しいか、間違っているか・・・」

レストランの外のベランダ、皆に見えない位置で少女の姿をしたアルターエゴは呟いた

アルターエゴ「でも、結局全てを決めるのは、彼ら自身なんだよね。だったら僕に出来る事は、そのための判断材料を与える事だけ・・・よく聞くんだよ、彼らの会話を・・・!」

映像の中の左右田に、全員の視線が集まっている

セイバー『今・・・何て言うた?』

左右田『いや、食事時に話す事じゃないって事は分かってんだ。でもネゴとか何かやるんだろ?だったら、やっぱり全員が居る内に聞いておきてぇ・・・』

左右田『・・・俺の場合は、学園で発明した動力システムが軍事兵器に転用され、その製作者が俺だって公になった事・・・そこから俺は堕ちて行った・・・』

セイバー『・・・・・・・・・・・・』

左右田『他の奴は・・・どうだったんだ?俺以外の13人は、どうして大罪を犯す様な人間になっちまったんだ?』



十神「大罪を犯す・・・だと・・・!?」

澪田「唯吹達がっすか!!?」

花村「日向君・・・僕が狂ってるって言ったのは・・・」

霧切(い、今すぐ消さないと・・・まだ知るべき時じゃないでしょう!?)

霧切は彼らが精神的に不安定になり、加速度的に絶望堕ちに向かう事を恐れて止めようとする。だが、イスに縛り付けられては何も出来ない。会話はそのまま進む



罪木『あ、あの・・・私の場合は・・・その・・・・・・まだはっきりとは・・・』

まだ記憶を全部思い出した訳ではない罪木は、自分から言おうにも口ごもってしまう

そんな罪木の手を、隣のアバターが優しく握った

アバター『いずれ罪と対峙する時は来る・・・その後、ゆっくり気持ちの整理がてら話してやれ』

罪木『うゆぅ・・・はい・・・』

コンサルト『でも、他の人ですか・・・正直な話、私達あまり彼らと面識が無いんですよ。ここで初対面って人が大半なんです』

左右田『そうなのか。じゃあ俺や罪木の方が少数派なのか』

エージェ『ソニア・ネヴァーマインドの場合なら、私が知っている』

一同『!!』

メイド『ああ・・・『超高校級の工作員』ですから、当然世界情勢にも詳しいはずですね』

食堂もレストランも、全員がエージェに釘付けになる

ソニア(わたくしの・・・罪・・・?)

ソニアは何を聞かされるのか不安になり、罪木のように田中の手を握りしめた

エージェ『彼女がノヴォセリック王国の正当なる後継者・・・本物の王族という事は知っているな?』

左右田『ソニアさん・・・あんなお美しい方までどうして・・・』

エージェ『そんなに上辺だけで愛でていたら、この後の話に耐えられないぞ、左右田』

左右田『え・・・』

ソニア「え・・・」

エージェ『実はノヴォセリックの周辺は、近年多くのEU非加盟国が合併して一つの大国になりつつあってな。ソニア王女の国は数少ない未合併の国だった』

エージェ『その国・・・アドリフト王国には黒い噂があってな・・・合併吸収で充分な国力を溜め、そのまま世界支配に乗り出すつもりだと』

左右田『ええっ!!?』

エージェ『実際に吸収合併でも相手国の弱みを握ったり汚い手を使ったりして強引に推し進めていたようだから、そういう噂に信憑性があった。だが、結局証拠は無い』

十神「ソニア・・・本当なのか?」

ソニア「ええ。だから彼の事も断り続けて・・・」

花村「『彼』?」

エージェ『ソニア王女は、アドリフトのアイズ王子から幼少の頃から結婚を迫られていたのだ。ソニア王女は1人娘・・・そうなれば当然、ノヴォセリック王国はアドリフト王国の一部となる』

エージェ『元々国の英雄との結婚を夢見ていたソニア王女はこれを幾度も拒絶し続けていたが、アイズ王子はいくら振られてもあきらめなかった。痺れを切らし、ソニア王女はある提案をした』

西園寺「提案?」

ソニア「・・・『私より優れている事を証明すれば結婚する』・・・と、言いました」

花村「え?本当にそれで結婚出来るの!?じゃあ僕とも是非・・・」

ソニア「でも!あんなの、ほんの10歳程度の頃の子供の言葉です!なのに忘れた頃になって、戯れに書いた誓約書を盾に勝負を挑んで来たのです・・・」

澪田「えー・・・そこまでしてアイズちゃんは結婚したかったんすか?」

十神「いや、目当てはソニア自身よりノヴォセリックの国力だっただろうな・・・まさかそんな歳で狡猾な駆け引きを仕掛けるとは、末恐ろしい暴君だ」

エージェ『勝負はソニア王女が用意した種目、アイズ王子が用意した種目、第三者がクジで決めた種目の三本勝負となっており、毎年のように行われた』

エージェ『負けられないソニア王女は、見事に自分の課した種目を守り切り、三本目も取って自国を守り続けた』

エージェ『誓約書に期限が書かれていないために、1年に1回という制限までで撤回を行えない中、本当によくやっていたよ』

エージェ『何せ反故にすれば、もっとえげつない方法をいくらでも利用して来かねない相手だったからな・・・』

左右田『でも、そんなご立派な方がどうして・・・』

エージェ『日本に行ったのが悪かったと世間では語られている・・・』

左右田『日本って、まさか希望ヶ峰学園のスカウトを受けたのがおかしくなった原因?』

エージェ『私はそう思っている。世間一般ではあくまで原因は『留学』だがな』

セイバー『待てよ?希望ヶ峰に言ったのが原因っちゅー事は・・・』

エージェ『ああ・・・1年間を希望ヶ峰学園で過ごし、里帰りした時に受けた三本勝負の時だった・・・』



エージェ『ソニア王女は自分の用意した種目でも敗れ、全戦全敗の完敗を喫したのだ』


ソニア「なっ・・・・・・私は・・・国を守れなかった・・・?」

エージェ『対戦後、アイズ王子はこう吐き捨てた・・・「私は努力をした。聡明なあなたに勝つために。あなたもそうだったと毎年の闘いの中で感じていた」』

エージェ『「だが・・・今回のあなたは去年に比べて何も変わっていなかった。勝てないのは当たり前だ」・・・と』

十神「馬鹿な・・・世界の希望を育てる教育機関だぞ!?どうして入学前は毎年成長していたのに、入学後は何も変わっていないという結果になった!?」

十神はヒステリックに叫んだ

ソニア「わたくしは・・・希望ヶ峰学園で何も成長しなかった・・・?」

エージェ『あの発言は希望ヶ峰学園を揺るがす大スキャンダルとなった。連日マスコミが山のように押し寄せ、責任問題で叩かれそうになった』

エージェ『だがそんな危機的状況を、希望ヶ峰学園の超高校級の生徒達は見事に救ったのさ』

ソニア「本・・・当に・・・?」

エージェの言葉で、ソニアは俯いていた顔を上げた



エージェ『生徒達は、口を揃えて言った。「そんな人が在籍していたなんて知らなかった」と』

エージェ『お陰で世間は、「ソニア王女は希望ヶ峰に選ばれた事で慢心し、カリキュラムをサボり学外で遊び回っていた」と結論付けた。希望ヶ峰の責任問題は最小限で済んだのだ』

ソニア「は・・・・・・・・・・・・?」

ソニアは目から光を失う程に茫然となった

生徒が救ったのは、ソニアではなく希望ヶ峰学園だったのだ

左右田『お、おかしいだろ!王女様だろ!?そんな有名人がクラスメイトで、知らないはずがあるかよ!!』

日向『そうか?そう言うお前はソニアの事知ってたか?他のクラスメイトの事は?』

左右田『う・・・そ、それは・・・言われてみればソニアさん、ここで初めて同じ学校に通ってたって知ったかも・・・思い出した記憶の中に、ソニアさんのソの字も出て来ねぇ・・・』

セイバー『まぁ和一の場合はクラスの違う俺らと一緒に居る事の方が多かったせいやと思うんやけど・・・そうでなくとも皆知らなかったと思うで』

ダブルス『僕のパートナーの佐伯君も、クラスメイトとは折り合い悪かったですし。・・・というかむしろ、互いの事なんて全く目に入ってないって言う方が正解ですね』

ダブルス『小泉さん達は曲がりなりにも友人関係を作っていたみたいですが、希望ヶ峰学園ではむしろそうやって徒党を組んでいる方が珍しいんですよ』

花村「『嘘でしょ?こんな王女様が居るっていうのに、僕が黙ってないよ!」』

テコンドー『・・・とか花村辺りが聞いてたら言いそうだが、他の奴に構ってる余裕がある奴の方が珍しいんじゃねぇの?どう考えてもありゃあ、全員自分の事で手いっぱいだっつーの!』

霧切「皆自分の事で手いっぱい・・・だから誰がクラスメイトかすら知らない・・・本当に?」

霧切(私達のクラスってそんな事無かったと思うけど・・・普通にクラス全員仲良かったはずだし・・・今となっては皮肉な真実だけれどね・・・)

霧切は自分の知る希望ヶ峰学園とのギャップに違和感を感じる

七海『生徒達の「ソニアさんなんて知らない」という発言を、ソニアさんがさぼってたみたいに世間では捉えられた・・・』

七海『・・・ひょっとしたらこの大ダメージを最小限に抑えるために、そう思うよう学園が誘導したかもしれないし』

エージェ『・・・まぁ何にせよ、それでめでたくノヴォセリック王国はアドリフト王国に吸収合併される事になった。そういう約束だからな』

ソニア「そんな・・・」

エージェ『そのままアイズ王子の妃となり、日本に留学して遊び呆けたせいでこうなったと考えられて希望ヶ峰も中退となり二度と日本に来る事も無くなった』

エージェ『その後だな・・・ソニア王女とアドリフト王国がどんどんおかしくなっていったのは・・・』

ソニア「え・・・・・・?」

エージェ『2度目の春が来ようかという時期、突然アイズ王国中で大勢の国民が死亡する食中毒事件が起こったんだ。国民の3分の1近くが命を落とした』

エージェ『さらに陰謀臭い事に・・・その食中毒でソニア以外の王族がアイズ王子を含め全員倒れたのだ。全員が命を落とすまでには至らなかったが・・・』

ヴィオラ『おい、まさかそれは・・・』

エージェ『ただの食中毒事件と処理され、真相は不明確・・・だが当然、ソニア王女がアドリフト王国のトップとなる』

エージェ『なのに、あれだけアドリフト王国の黒い噂を理由に合併に反対していたはずの王女は、まるでその後を継ぐように恐怖政治で国民を縛り上げ始めたのだ』

田中「なっ・・・!!?」

田中は目を見開いてソニアの方を向く

だがソニア自身も、自分の預かり知らぬ所でヒトラー以来・・・いや、それを越える最悪の独裁者になっていたかもしれないと言われても、他人事にしか思えず唖然とするばかりだ

エージェ『その後は私も良く知らずブロガーの仕入れた情報だが、ひどい有様だ。政策に逆らう国民は即刻処刑。胡散臭い国外の連中を位の高い家臣に引き入れたりもしていた』

エージェ『そしてあの事件だ・・・アドリフト国軍はソニア王女の指揮で、ヨーロッパを中心に8億人は下らない数多くの人間を蹂躙して回ったそうだ』

エージェ『堕ちた王女の配下のやる事だ・・・当然目的は侵略ではなく蹂躙そのもの・・・ただただ人々に絶望と死を与えるためだけの行軍だ』

ソニア「嘘です・・・こんなの嘘です!!わたくしが、こんな恥知らずな事を・・・人としての何かを放棄した愚行を・・・!!」

ソニアはとうとう田中の手を離し、両耳を抑えてうずくまった

弐大「ソニアは自国を守れなかった事で自暴自棄になってしまったのか!?」

西園寺「もし本当だったら・・・あんた相当の悪じゃない・・・今ここで処刑を言い渡されても当たり前なぐらいの」

西園寺はソニアから一気に距離を取った

エージェ『・・・ソニア王女については、こんなものか。充分過ぎる程の堕落だろう?』

左右田『まぁ・・・多分間違い無ぇんだろうな・・・』

ソニア「そんな、左右田さん・・・否定してくれないのですか!?」

そう言って顔を上げるが、すぐに自嘲気味に俯いた

ソニア「ふふ・・・虫が良過ぎますね・・・一方的にあごで使うだけで求愛を拒絶し続け、どころか想い人が他に居る身で、それでも彼なら否定してくれるって期待するなんて・・・」

田中「大音量のせいで全く耳を塞いでいる意味が無いな。・・・・・・何を言っているんだ俺はこんな時に・・・」

田中も情報処理が追い付かず、要らない所でソニアの台詞に食い付いてしまう

そんな中、次の参加者の話題に移る

ネゴ『弐大なら一度会った事あるぞ。練習試合の相手側に居た。なぁ創?』

日向『そうだったな。相手チームを支えるコーチ的な事をやってたな』

アバター『そういやお前ら、いつも大体バスケやってたんだったな。全員バスケ部出身だし、本業の『相談員』や『交渉人』は相手が居なきゃ話にならないし』

弐大「ワシじゃと?しかも日向達はバスケ部・・・ううむ、どうりで中々引き締まった肉体をしておった訳じゃ・・・にしてもワシは、学園でそういう事をやってたのか」

十神「それは良いが、そこからでは大して罪に繋がる事は無さそうだが・・・」

ネゴ『んで、どう思う創?あの時会った弐大は?』

日向『そうだな、絶望か希望かは分からないが・・・』



日向『まぁどっちにしろ、完全に洗脳された後だったなあれは』



弐大「洗脳・・・じゃと・・・?」

狛枝「洗脳って良く考えたらグロい表現だよね。『脳を洗う』だなんて」

西園寺「クソは黙ってクソして寝てなよ、永遠に。今そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

十神「だが、どういう事だ?絶望に洗脳されたというならまだ分からなくもないが・・・なぜ奴らは希望ヶ峰学園の指導を受ける事も『洗脳』と表現しているんだ?」

ソニア「あ・・・そういえばそういう言い方ですね・・・」

まだ精神的に落ち着かないが、一応会話に参加しようと努力する

左右田『洗脳・・・か・・・俺もロクでもない事言われたっけ・・・お前らの仲間だった奴らを拒絶して、学園に戻った後・・・』

左右田『学園が守ってくれていたから俺自身に実害が無かったが・・・精神的には参って、もうメカを作れそうになくなってたっけな・・・そしたら先生、何て言ったと思う?』

左右田『「機械になりなさい。外の浅慮な非難や無知な嘲りなど耳を通す必要も無い。ただただ機械と対話し、機械と向き合う機械に」って・・・そうすればお前の技術力はさらに一段上がるとも言ってたっけ・・・』

セイバー『何やそれ!?回りくどい言い方やけど、要はそれ「お前は何も考えずメカだけ作ってろ」って意味やろ!?』

苗木と霧切は唖然とした。そんな物が、果たして『指導』と呼べるだろうか?左右田を生徒どころか人間扱いすらしていない・・・

コンサルト『左右田さんが絶望堕ちしたのはそれも大きな原因だったのでしょうね・・・それを受け入れ、『注文された機械を作るだけの機械』に成り下がってしまった・・・』

コンサルト『機械の事以外、何も考えず・・・いつの間にか注文が『希望』ではなく『絶望』から来るようになっていた事にも気付かない程に・・・』

左右田『どうかしてたぜ・・・あの頃の俺は・・・!!』

左右田は両手で顔を覆い隠して突っ伏した

セイバー『こ、これ以上は止めとくか?』

左右田『いや、お前らは手遅れとか思ってるけどさぁ、やっぱり少しでも多くの奴に立ち直って欲しいんだ。手助けするには知っておいた方が良いし・・・』

エージェ『全く・・・セイバーと負けず劣らず甘い男だ・・・言っておくが更生の期待が出来るのは、一時的でも私達側に居たお前と罪木ぐらいだぞ』

エージェ『後は己の現状に甘んじて、疑問も抱かず聞く耳も持たない心中志願者だ』

キャンディ『まぁ、仕方ないけどね。長年世界に誇る優秀な人間を輩出しつづけて来た学園・・・』

キャンディ『まさかそんな立派な学園がまやかしの学園だっただなんて分かったら、もう何を信じれば良いの?って感じだし』

霧切(ま・・・まやかしの学園・・・?)

学園長の娘だった霧切は、『ミライ族』の展開する会話と学園の新情報に、開いた口が塞がらない

苗木「彼らは、一体何者なんだ・・・?」

十神「学園の敵・・・という事は明らかだな・・・」

テコンドー『まやかしの学園ねぇ・・・だったら、あっちの十神が堕ちたのは、そのまやかしを取り払った学園の真の姿に絶望して、何も信じられなくなったからじゃね?』

十神「!!?」

まるでタイミングを見計らったかのようなテコンドーの言葉が十神に突き刺さる

澪田(『あっちの』白夜ちゃん?・・・いやいや、こっちの島に居るって事っすよね?でも、そんな表現要るっすかね?)

そんな中、澪田は発言の一部に引っかかりを感じた

様々な疑問と教学を他所に、『ミライ族』の情報開示は続く

アバター『なぁ・・・田中なんだけどさ、学園で見た事ある気がするんだよね』

日向『へぇ、それは初耳だな。・・・いや、ブロガー辺りは知ってたか?』

七海『それってひょっとして・・・』

アバター『ああ。治療班の1人に彼らしき人物が居たはずだ。あんなエキセントリックで場違いな姿、人違いは無いと思うが・・・』

田中「ふっ・・・凡人には理解出来んだろう、覇者のセンスは!」

西園寺「分かってる?今、あんたの罪の話してんだよ?」

狛枝「だけど治療って、彼どう見ても元気そうだけど・・・」

罪木『あ、侑志君って確か・・・』

メイド『希望ヶ峰学園入学直前の事故で、『才能』を失ったんでしたね』

狛枝「才能を・・・失った?」

狛枝がピクリと反応する

メイド『それで彼の『才能』を復活させようと、色々思考錯誤しながら治療を施していたんでしたね』

日向『その中に田中・・・か・・・案外、その治療の真の目的を考えると居てもおかしくないかもしれないな・・・』

左右田『「真の目的」?『才能』を復活させる治療が目的じゃねぇのか?』

日向『・・・メインはそこじゃない』

左右田『!?』

日向を始め、『ミライ族』の全員の表情が険しくなった

日向『その治療の過程で取ったデータを、例の『プロジェクト』に利用する事が目的だ。アバターが治ろうが治るまいが、はっきり言ってどうでも良かっただろう』

罪木『そ、そんな・・・』

霧切(!? まさかそのプロジェクトって・・・)

苗木(カムクライズル・・・プロジェクト・・・!!)

昨日対峙した『あの』カムクラを生み出したプロジェクトの関係者が『ミライ族』に居た。喉から手が出る程情報が欲しい話だ

ロボトミー手術などという非人道的な手段に手を染めるような計画ならば、尚更だ

アバター『田中も十神と同じかもな・・・希望のためと称されたプロジェクトに己の『才能』を捧げたが・・・その実態を知り、絶望したんだろう』

田中「そ、そんな悪辣なプロジェクトだったというのか・・・!?」

十神「希望のためのプロジェクトだろう!?なぜその全容を知って絶望するんだ!!」

ソニア「・・・アバター・・・侑志・・・」

田中「ど、どうしたソニア?」

ソニア「いえ、それが・・・」

ソニアは何とか呼吸を整え、改めて画面を見る

ソニア「やっぱり・・・どこかで見聞きした気がするんです・・・彼の顔と、罪木さんが呼ぶ本名の『侑志』・・・」

田中「だが、奴が知っているのはお前ではなく俺のようだが?」

ソニア「どういう事なのでしょう・・・?」

ソニアが頭を悩ませる中、『ミライ族』が放つ情報にげんなりとしていた花村が口を開いた

花村「な、なんだかずっと話を聞いてると怖くなってきた・・・」


花村「僕らが入学した希望ヶ峰学園って・・・本当に『希望の学園』だったの・・・?」


十神「当たり前だろう!!生徒を絶望に貶めるような真似などするはずが・・・」

十神の否定は、次の人物の話でぶった切られた

ヴィオラ『しかし、あんなプロジェクト・・・よく反対する者が居なかったな・・・学外の者は誰も知らなかったのか?』

テコンドー『そりゃあ誰かの一生を生贄に捧げるような計画だ。バレたら当然世界中に非難されただろうぜ』

十神「生贄・・・? 世界中に非難される・・・!?」

テコンドー『ま、万が一バレたって気にする事無ぇよ。世間に触れ回られる前に始末すれば良いんだから。その役目を負ってたのが辺古山だったな』

十神「始末!?」

西園寺「てか、今辺古山お姉が始末したって・・・」

それだけ聞けば、まるで希望の学園どころか悪の組織だ

左右田『辺古山が始末って・・・こ・・・殺したのか!?』

ヴィオラ『奴に関しては間違いないだろう・・・この身で味わったのだからな』

罪木『こ、この身で味わったって・・・』

キャンディ『だってあたし達『ミライ族』を全員抹殺しようとしたのって、辺古山だもん』

コンサルト『私達全員を、直に殺しに来ました』

十神「!!!」

実体験では、十神も否定など出来やしない

朝日奈『学園に殺されそうになったって・・・あなた達、一体何をやったの!?』

朝日奈が思わず会話に口を出した

メイド『あら、ここまでの話を聞いて分かりませんか?希望ヶ峰学園の希望は、大勢の人間の犠牲と死の上に成り立っているのですよ』

メイド『果たしてそんな事をしてまで生み出した物が・・・『希望』と言えますか?』

葉隠『ま、まさかお前ら・・・』

日向『俺達は・・・』


―――希望ヶ峰学園をぶっ潰そうとしたんだ


霧切「そういう・・・事・・・」

苗木や修学旅行生達が驚愕する中、霧切は1人納得した

『ミライ族』は絶望以上の大犯罪者集団だと『未来機関』本部は言ったが・・・果たしてそんな物が存在するのか?

もしも存在するのならば、それはただ一つ


―――希望ヶ峰学園を直接脅かした存在だ


朝日奈『希望ヶ峰学園を・・・潰そうとした・・・?』

日向『滅んでいるべきだったんだ!今、外がああなっているのも、希望ヶ峰学園が招いた結果なんだから!!』

朝日奈『た、確かに希望ヶ峰学園に在籍していた『彼女』が地獄の様な絶望を引き寄せてしまったけど・・・だからって希望ヶ峰学園が悪いって・・・』

七海『・・・まぁ、そう思うのも仕方ないかもしれないね。あなた達は「自分達の知っている希望ヶ峰学園じゃない」って思いながら聞いていたっぽいし』

七海『どうもあなた達は・・・まだ問題の本質が見えて来ていないみたい・・・』

朝日奈『本・・・質・・・?』

ネゴ『そうだな・・・その本質を象徴するのが、あいつかな』

西園寺「あいつ・・・?」

西園寺は以前のパーティの時、日向に『希望ヶ峰学園の象徴』と呼ばれていた狛枝を睨む

ネゴ『西園寺日寄子・・・予想も入っているが、修学旅行生の中でも最悪度ランキング2位の奴だ』

西園寺「・・・・・・・・・・・・」

西園寺「はぁ!?私!!?」

突然の指名に西園寺は面食らった

左右田『最悪度ランキングって、ひょっとして更生余地があるかどうか?』

エージェ『というより、どう考えてもやり直す資格すら無いひどい奴のランキングだ。1位が辺古山、2位が西園寺、3位が狛枝・・・この辺は救いようが無いと思っている』

西園寺「な、何それ!?私が2番目にこの島を出る資格が無い!?何言ってんの!モブ共より真っ先に島を出るべきでしょう!!」

しかも自分より、明らかに異常者である狛枝の方が下という事も信じられなかった

左右田『な、何があったんだよ!?どうして西園寺は絶望しちまったんだよ!?』

セイバー『どうしたも何も・・・あの嬢ちゃん、小泉っちゅー姉ちゃんに付いてっただけやろ?』

左右田『・・・は?それだけ?』

ダブルス『そうです。先日の動機となった事件を経て既に絶望に堕ちていた彼女に付いて行き、引きずられるように堕ちて行ったのです』

ダブルス『パートナーの風上にも置けません・・・彼女はただ小泉さんに寄り掛かっているだけ・・・本当に彼女が大事なら、逆に絶望から引き上げるべきだったんです』

ダブルス『なのにそんな選択肢など最初から頭に無く、小泉さんに言われるがままに共に世界を滅茶苦茶に蹂躙して回ったのです』

西園寺「あ・・・あ・・・・・・!!」

西園寺は、先日ダブルス達との戦いの後に見た夢を思い出して青ざめる



西園寺『お姉も・・・手伝ってくれるの?』

小泉『もちろん!言ったでしょう?私達はいつも一緒だって』

西園寺『うん・・・あんな家どうなったって良い!お姉さえ居れば、もう他の物は要らない!!』

小泉『一緒にお家を建て直せるよう、頑張りましょう!』

西園寺『うん!小泉お姉だ~い好き!!』



その夢が、間違い無くその通りだったと囁いた

西園寺「うああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

西園寺の絶望の絶叫が響くレストランに、明るい顔をしている者など誰1人居なかった・・・

メイド『後は誰でした?』

七海『花村君、澪田さん、終里さん・・・かな?終里さんは昨日聞いたし、あっちの人達も知ってると思うけど・・・後の2人は私達も知らないなぁ・・・』

テコンドー『まとめると大半は分かってたのか。予想も多いが・・・まぁブロガーがまた何か情報仕入れて来ると思うが・・・』

左右田『何かこうやって聞くと、ひどい目にあった奴から救いようの無い奴まで色々だな・・・』

ネゴ『その救いようがあるか無いかの見解も、人によるがな』

そう言いながら、ネゴはポムと左右田の頭を叩いた

ネゴ『そして、今後の行動を見てそいつを許すかどうかも人による・・・皆に許してもらいたければ、それなりの償いをしねぇとな』

左右田『・・・ああ!!』

左右田は現状をより詳細に把握し、覚悟を新たにした

今回はここまでです。今回の話題はもう少し後でも良かったかな・・・



サンデーの『今際の国のアリス』に少々はまっており、冒頭の『ミライ族メンバーの過去』の描写はその漫画の影響を多少受けております。誰の過去かは、はっきり書いてませんが・・・

元ネタに興味があれば、クラブサンデーで試し読みしてみましょう



またCHAPTER3の事件が起こるまで間が開くのですが、色々とネタ方向に移行して伏線を散りばめつつ間を潰す予定です。痛い方向に行く恐れもありますが、それでもお付き合いして下さると嬉しいです



真実の予想あれこれは自由にレスどうぞ

でも、ひょっとしたらその予想を遥かに上回る驚愕と恐怖の真実かもね・・・うぷぷぷぷ・・・

あ、それと冒頭数レスでトリ付け忘れていました

お詫び申し上げておきます

乙でした
石田復帰してほしいんですがどないしましょあと石田次あるなら前スレラストみたいな感じじゃなく人物安価と簡易的な(読書とか剣道とかハチ議論とか)状況安価でルールきっちりしてほしいです

>>321

前回の冒頭の連絡事項でお伝えしましたが、スレ主は自分で建てられないのですオロロ・・・

だから他力本願するしかないのです・・・

そうですね・・・やるならもう少しルールきっちりしないと・・・まぁもしやるなら一応ラストの安価でスタートしますが

石田の二の枚で落ちないよう一旦上げておきます

続きの投稿はありません。この後の進路をどうしようか検討中なので・・・

更新

まさかこんなに待っていただけていたとは思いませんでした!・・・ですが、残念なお知らせです

パソコンでレスが連投出来ないため携帯とパソコンの二刀流で投稿していたのですが、
このたびの規制で携帯からの投稿が規制対象になってしまいました。先程確認しましたが現在も投稿拒否されています
そのため、他の人のレスを挟まなければ投稿もままならない状態です

この事態の解決策が何かありましたら、教えて頂けると嬉しいです
パソコンのホストコンピュータはeモバやら何やらだったと思います。それの変更方法も分かりません

やぁ、未だに規制にかかって連投出来ない1です。でも他の人のレス挟む必要があるなら、安価だったら大丈夫かな?

という訳で、パソコンを修理に出す前に番外編を更新!規制を抜けられたら本編の続きを書きたい・・・


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モノクマ「コロシアイ修学旅行参加者にスタンドを与えてみる」番外編

狛枝凪斗は手を出さない ~EPISODE1 ミライ編纂~



=コロシアイ修学旅行 8日目 朝8時=

ボクこと狛枝凪斗は映像に一旦区切りが付いた後、1人静かにホテルを出発し、ある場所に向かった

正直、揺らいでいるんだ。映像で聞かされた希望の生徒達の絶望的な所業・・・ミライ族が左右田クンや新たに来た2人に嘘を吹き込んでいるだろうとは思う

でも、無知とは最大の罪・・・もしボクが彼らに協力する事が希望ではなく絶望につながるとしたら・・・それが怖くて動きづらい

一方で、ミライ族が信用に足る連中かも怪しい

実は彼らの会話から、彼らの正体について一つ思い当たる物があった

もし、それが本当だとしたら・・・


ミライ族なんかの好きにさせる価値は無いね


でも、だからこそもっと『ミライ族』の事を知りたくなった。自分が今後進む方向をはっきりさせるためにも

そうして向かったのが・・・・

~2の島 図書館~

やはり、ここは世界中の書物がある。当然、日本の物も

ボクが入学したであろう年のあらゆる分野の雑誌や書籍もたんまり

その2年後辺りより後の書物がほとんど無いのが気になるけど・・・

ひょっとしたら・・・この中に『ミライ族』の正体につながる物があるかもしれない

彼らも僕らと同じ『超高校級』なら、こういう書物や昔の新聞に実績が載っていても何も不思議じゃないよ

小説や漫画は、あまり参考にならない気もするけど・・・一応確認した方が良いのかな?

まぁ、まずは現在判明している『ミライ族』と肩書きを整理しよう

『ミライ族』は、全部で20人

日向創  『超高校級の相談員』
クリエイト:???
テコンドー『超高校級のテコンドー家』
ブロガー 『超高校級のブロガー』
???  :???
コンサルト『超高校級のコンサルタント』
セイバー 『超高校級のライフセイバー』
エージェ 『超高校級の工作員』
ダブルス 『超高校級のダブルスプレイヤー』
キャンディ:???
ネゴ   :???
メイド  『超高校級のメイド』
???  :???
アバター :???
???  :???
???  :???
ヴィオラ 『超高校級のヴィオラ奏者』
???  :???
ガードマン『超高校級の警備員』
???  :???

名前だけ判明している人、顔も肩書きも判明している人、肩書きは名前から予想している人など様々だけど、まだ半分程度しか分かっていないのか・・・

なるべくこれらの肩書きに関係ありそうな書物を調べよう。さて、どの書物を調べようか?

↓1 何の書物?(新聞・雑誌・漫画など)  どんなジャンルの書物?(スポーツ・商業など)

安価が来たのに気付いた時に書いて投稿するので、不定期更新になります



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狛枝「お?『スマッシュ』・・・テニス雑誌か。そういえば・・・」



テコンドー『ダブルスはテニス選手・・・『超高校級のダブルスプレイヤー』ってのがそいつの称号だ。『飼育委員』の読み通り、ダブルスは2人組で活動している』

テコンドー『佐伯っつー『超高校級のテニスプレイヤー』と組んで、地元の大会で優勝し、さらに上の大会も目指していたさ』



狛枝「どれ?『超高校級のダブルス』というダブルスくんの称号の真偽を調べてみよう」

そう思って僕はテニス雑誌をめくった。幸運な事に、全日本ジュニアなる大会の結果発表が載っている号だ

狛枝「おお・・・!!」

探すまでも無く、すぐ見つかった。ダブルスくんの写真は、デカデカと載っていた



『全日本ジュニア 男子ダブルス優勝 佐伯靖一朗・宮里孝祐ペア』

中学時代から全日本ジュニアの頂点に君臨する天才・佐伯選手が、ついにダブルスでもジュニア日本一を勝ち取る快挙を成し遂げた

相棒の宮里選手も毎年ベスト8の常連である文句なしの実力者で、良きライバルとして互いをよく知った間柄だ

佐伯選手は同年、希望ヶ峰学園に『超高校級のテニスプレイヤー』としてスカウトされた自他共に認める天才であり、宮里選手も同校に所属している

宮里選手は佐伯選手が自ら選び抜いた相棒で、試合でも息の合った連携で強豪を圧倒した。互いをよく知り切磋琢磨して来たライバルだからこその信頼関係が感じられた

この相乗効果か、宮里選手は男子シングルスでも自己最高記録の準優勝を飾った

試合を観戦したプロのテニスプレイヤー達からも、この2人が組めば世界でも通用すると太鼓判を押された、正に現ジュニア最強のコンビである



狛枝「写真の説明からすると、ダブルスくんの本名は宮里孝祐みたいだね。佐伯クンと比べるとやっぱり随分小さいね、彼」

狛枝「にしてもダブルスで優勝したその年にようやく準優勝ってのは意外だったかな。普通に考えてベスト8程度と組むなんてありえないもの。実力が開き過ぎてる」

狛枝「佐伯クンはどうして準優勝の人と組まなかったんだろう?何か決め手でもあったのかな?」

狛枝「それに・・・」



テコンドー『テメェは、ダブルスと佐伯を引き離そうとしたんだ!!』



狛枝「こんな素晴らしい結果を出しているのにボクが引き剥がそうとしただなんて、よっぽど何か問題ある選手だったっぽいのに・・・」

狛枝「・・・まぁ、当時のボクの目が節穴だった・・・って事かな?」

狛枝「とりあえず、ダブルスくん改め宮里クンの『超高校級のダブルス』の称号に嘘偽り無し・・・か」

狛枝「次はどれを調べようかな・・・」



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こんな感じで『ミライ族』一行のキャラ固めをしていきます

↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

多分eモバの規制解除されることないと思うから
更新出来る時に支援出来る人いたらレス挟んでもらえばいいんじゃ?
安価は音楽誌

>>361まぁそれが規制の1つですね

でも一レスごとに他の人のレス挟んでたら、読みにくいったらありゃしないと思うんです

ですので携帯の規制を何とかクリアしないと・・・聞く所によると荒らしのせいとか?



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狛枝「お!・・・これは予想以上だ!!」

次に手に取ったのは音楽誌だ。多くの優秀な学生が所属する管弦楽団『フュレ・ハーモニー管弦楽団』から多くの演奏者が希望ヶ峰学園にスカウトされた記事がある

へぇ・・・この楽団はまさにプロの世界だけでなく、希望ヶ峰学園への登竜門なんだ。ほぼ毎年この楽団から演奏者の『超高校級』がスカウトされてる

次にボクは『フュレ・ハーモニー管弦楽団』に関する書物を探し出した。そして所属奏者リストに目を通す

狛枝「居た!」

ヴィオラ奏者のリストの中に、あの映像の中に居た『ヴィオラ』くんが見つかった!本名『鳶尾蘭丸』・・・外見だけでなく名前もサムライチックで和洋ごっちゃだね

狛枝「希望ヶ峰学園への新入生を多数輩出する楽団に所属・・・当然腕も確かだろうね」

さらに交響楽団の情報誌に目を通すと、彼がクローズアップされている写真があった

へぇ・・・コンサートでヴィオラソロを任せられる程なんだ!さすが『超高校級』!!



狛枝「・・・・・・あれ?」



しかしその後見つけた希望ヶ峰学園入学報告の記事に目をやっていると・・・妙な事に気付く

狛枝「鳶尾クンどころか・・・ヴィオラで希望ヶ峰学園にスカウトされた人が1人も居ない・・・?」

ヴァイオリン・パーカッション・トランペット・サックス・トロンボーン・チェロ・・・

ありとあらゆる楽器の演奏者が毎年希望ヶ峰学園に進学したと載っているのに・・・

ヴィオラで進学した人が1人も見当たらない・・・

狛枝「・・・鳶尾クンが初めてって事?いや・・・彼の前にも優秀なヴィオラ奏者だって居そうなのに・・・」

もし彼が初めてなら・・・どれだけ突出した才能なんだろう・・・!

あぁ・・・彼の並外れた演奏を聴く機会があったら・・・それだけで失禁しそうだよ!!

狛枝「さて・・・次は・・・」



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「・・・ぶっちゃけ、クリエイトって七海さんだよね?」

あの映像の中で、左右田クン、日向クンと共に『ミライ族』にごく自然に紛れていた人物・・・

昨日までこっち側だったはずの人物・・・

何より、ここに来る以前から日向クンと面識があった人物・・・

狛枝「・・・どうやらアジトに辿り着いたのを機に、もう七海さんのお役目も終わりって事かな?それとも・・・」

狛枝「彼女の役割は『ミライ族』の目の届かない所でのコロシアイの防止だったけど・・・苗木クン達が来て彼女が居る必要が無くなった?」

まぁ、未来機関の人だからね。あの様子だと、その役目を引き継がない理由も無さそうだけど・・・

まだ一応敵の可能性もあるんだよね?

狛枝「ともかく・・・あちら側確定の七海さんに関しても何か・・・ゲーム雑誌でも漁ってみるかな?」

大量に並んでいるフ○ミ通をパラパラとめくる。ゲームのイラストばかりで製作者の顔なんてちっとも載ってないけど、今回はそれでも良い

だって七海さんは、他の『ミライ族』と違って本名が割れてるから。写真が無い記事からでも探せるんだ。字が小さいから目がチカチカするけど・・・

狛枝「ん・・・?」

意外にも、彼女の名前をゲーム誌上で見つけたのは、ソフトや読者投稿コーナーではなく、ハード(本体機器)の記事からだ



『ゲームを作るハードウェア・FUTURE 誕生!!』

自分がやってみたいゲームになかなか出会えない・・・だからといって自分で作ってみたくても良く分からない・・・

そんなゲーマー達の夢と苦悩を形にしたゲーム作りに特化した機器FUTURE!

イラストボードで絵を描くだけでなく、クラウドに登録されたイラストからパーツを抽出し、その合成で作る事も可能!自作パーツの配布もOK!

プログラミングも組み上げたい内容を書いて検索すれば、それに見合ったプログラムを自動で選出!空欄を埋めるだけですぐテストも行える!

さらに上手く作れない場所をユーザー同士で補い合うためのチャットも完備!

コンクールも開催しており、優秀作品はプロの協力を得ての商品化も夢ではない!!

あなたも、自分の理想のゲームを形にしてみないか?



狛枝「へぇ~・・・一見難しそうだけど、テストの手順を見るとボクでも作れそうだ。まぁ、ボクが作ってもクソゲーにしかならないけど。でもまさか・・・」

この機器を作ったチームのチーフディレクターが、七海さんだとはね・・・

『超高校級のゲーマー』を名乗ってたけど、これではまるで『超高校級のゲームクリエイター』だ

狛枝「あ・・・だから七海さんのコードネームは『クリエイト』なのか」

その後の号を見ると、サンプル品として七海さんが自らFUTUREで作ったゲームの配信がされてる!相当な高評価を得てるね

狛枝「やる側だけでなく作る側の才能も持っているなんて、さすが『超高校級』!」

でも、どうしてこんな物作る気になったんだろう?どうせ超高校級のクリエイター以外が作ったって駄作にしかならないだろうに・・・



パサッ・・・



狛枝「・・・ん?」

一番端にあった最新号のフ○ミ通のページの間から、一枚の紙が落ちて来た

2回折り畳まれていて、表面は芸能人のゴシップでいかにも2流雑誌の記事だ

狛枝「なんでこんな物が挟まって・・・? 重要なのは折り畳まれて見えない内側の記事かな?」



↓1 読む?読まない?

狛枝「これは・・・!!」

開いてみた次の瞬間、驚くべき物が目に入った

記事の一番上に写真で載っているのは、途中で割れた輪っかだ

だけどそれは・・・とても見覚えのある物だ

狛枝「パーティーの時に日向クンが見せた、『ミライ族』の証・・・!!」

それは日向クンを始めとした『ミライ族』が、所属する証として腕に巻いているアームレットだ

どういう事だろう?ただの証じゃない?何らかの意味があったの?

気になって、記事本文も調査する


―――最近希望ヶ峰学園の一部の生徒で流行している、謎のアームレット

校舎周辺に張り込んでいた我々は、それがどういった物なのかを調査しようと何度も生徒達に詰め寄るが、はっきりした証言は得られない

ある日、校舎付近で人身事故が発生した。幸い車にぶつかられた生徒は全快出来る怪我で済んだ

しかし、その現場付近にあのアームレットが写真の通り割れた状態で落ちていた。生徒から証言を得られない調査班は、止むを得ずそれを持ち帰る事にした

狛枝「うわぁ・・・超高校級の生徒の私物をくすねるとか、クズの極みだね。こいつが事故に遭えば良かったのに・・・」

――― 一見ただのオシャレの一環の小物だと思われたが、その内側には、精密な機械がギッシリ詰め込まれていた

後日、専門家の元に持って行き、内部の機器について詳しい調査を依頼した

そして○月☓日―――返って来た返答は、大変意外な物だった

それは人体を流れる生体電流を読み取り、どこかのサーバーに送信する機能を備えているらしい

生体電流の流れを精密に解析し、時には内部から発信し、巻いた人物の24時間の行動の全て、さらにこのスペックなら脳内で考えている事まで読み取れるかもしれないという

さらに驚くべき事が専門家から伝えられる

専門家は希望ヶ峰学園に時折講師として招かれる人物だったが、学内の噂でこの生体電流からの活動や思考の記録についての研究の話を聞いた事があるらしい

だが、気になった専門家はより詳しい内容を学内関係者に聞いて回るが、噂以上の事が明らかにならず、その実態はほとんどが謎に包まれた研究らしい

なぜその研究の成果が、一般生徒に出回っているかは不明だ

研究の完成品から新たな情報が分からないかと尋ねてみたが、渡したサンプルは完全に壊れていて解析不可能であるとの事である

結局その後も新しい手がかりは得られず、調査は暗礁に乗り上げた―――


狛枝「希望ヶ峰学園の、謎の研究・・・ねぇ・・・・・・・・・・・・え!!?」

記事の一番最後に、殴り書きの文字があった


○月▲日 上記の専門家 死亡

▲月◇日 この記事を掲載した雑誌の出版社・倒産


専門家が死亡した日付は、記事に載っている専門家の回答が返った日から一週間も経ってないし、出版社が倒産したとされる日は翌月に入ってすぐだ

狛枝「これは、まさか・・・・・・」



研究の一端を漏らしたと思われる人物が・・・消されてる!!?



狛枝「待ってよ!希望ヶ峰学園の研究だろう?希望のための研究だろう?どこに隠す必要があるのさ!?」

そ、そうだ、この殴り書きはただの落書きだ!そうに決まってる!!



き・・・気を取り直してほかの調査をするか・・・

↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「・・・・・・・・・・・・」



『ノヴォセリック王国、アドリフト王国との合併決定 EU非加盟国最大規模に』



狛枝「・・・・・・・・・・・・」



『アドリフト王国にて謎の食中毒事件発生 死傷者は10億人規模 近隣諸国にも被害拡大』



狛枝「どうやら・・・事実みたいだね・・・」

今度は新聞を選んで、各国の動向を紹介しているページを重点的に調べた。英語じゃ読めないしね

こちら側の事情の中でも、特に重点的に語られたソニアさんに関しても調べておくべきだと、ふと思ったからだ

あの話の中で大きな事件は、合併と食中毒事件・・・その両方が、それぞれ日の国際記事の中で最も大きく掲載されていた

狛枝「ソニアさんとアイズ王子の勝負についても載ってる・・・『そんな事』で国の命運が決まるなんて馬鹿げているって反対意見も大きかったけど、結局軍事力で勝るアドリフトに逆らえなかった・・・持つべき物は力・・・ってやつかな?」

狛枝「ただ・・・ソニアさん自身に対して負けた事への非難は全く無かったのか・・・本当に愛されていたんだね」

狛枝「でも・・・そんな彼女がその後、どうして各国に喧嘩を売るなんて真似したんだろう・・・?」

真偽を含めてそこを一番知りたかったのに、その話題に到達するまでに新聞は途切れてしまっていた・・・

狛枝「・・・こういう話はボクが教えるより・・・自分で知るべきだよね」

とりあえずソニアさんが来たら自分で読めるよう元の場所に戻そうとした時、新聞の束を落としてしまった

狛枝「お・・・?」



『イリックより、謎の戦車隊来襲 電磁砲はいつまでも勢い止まず・・・』



幸運な事に、丁度イリックの兵器に関する記事が上になった

狛枝「『燃料補給無しでいつまでも走り続け、強力な電磁砲を連発してモルディフを蹂躙し尽くしている。従来の戦車には不可能で、新しい動力システムが組み込まれているとしか考えられない』・・・か・・・」

その数日後の記事を読むと、左右田クンがその動力システムの開発者だった事もデカデカと書かれていた。彼の情報管理の甘さが非難されていたよ

狛枝「盗まれた被害者なのに、彼を非難するんだ・・・?」

でも、言われてみれば確かにそう考えてしまう。こんな代物、希望ヶ峰学園が簡単に漏らすとは思えない。だから左右田クン個人から漏れた。そういう事なのかな・・・?

狛枝「とりあえず言える事は・・・『ミライ族』が語った左右田クンやソニアさんの身に起きた出来事の話は、信憑性が高いという事か・・・」



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「テコンドーってあまり聞かないマイナーな格闘技だと思ったけど、意外にちゃんとジュニア大会とかあるんだ」

でも、出場選手の項目にテコンドーくんの顔写真は見当たらない・・・どういう事なんだろう?

狛枝「『超高校級のテコンドー家』で探すと、ボクより先輩に唐澤俊煕って人が居る。でも顔がテコンドーくんと全然違うしなぁ・・・」

一応唐澤さんが最後の全日本ジュニアで優勝を飾った際のインタビューを読んでみる。同じ『超高校級のテコンドー家』なら知ってるかな?



―――3年連続ジュニア優勝おめでとうございます

唐澤『ありがとうございます。これで最後だと思うと、名残惜しいですね』

―――唐澤君の後釜として、誰が次の王者になると思いますか?

唐澤『俺抜きだと中々混戦模様になって来ると思いますが・・・それは置いておいて1人、気になるヤツが居ますね』

狛枝「気になる人・・・まさかそれがテコンドーくん?」

―――どんな子なんですか?

唐澤『ありゃあズブの素人ですよ。今年から始めたんですから』

唐澤『でも・・・恐らくこの大会に出ている現役よりも、遥かにストイックに鍛錬に励んでいるように思いますね』

唐澤『元々別の競技の選手だったらしんですけど、徹底的に身体を追い込み、徹底的に鍛錬メニューを研究し、現役と比べての遅れを猛スピードでえ巻き返してるって感じます』

唐澤『来年になったら・・・そいつの下剋上も見れるかもしれません』

―――すごい人が居るんですね

唐澤『でも気難しい奴っていうか、捻くれてるっていうか・・・俺の鍛錬を窓からこっそり覗き見て研究する割に、俺が気を利かせて練習見て行くかって近寄ると逃げるんですよね』

―――どうしてでしょう?日本一の練習ですから普通は間近で見たいと考えると思いますが・・・

唐澤『一緒に来ていた友人によると、実家での経験で人間不信に陥っていて、中々心を開かないらしいんですよ』

唐澤『だから必要以上に他人と関わりを持ちたがらないんですよね。自己完結している感じで。まぁ心を開いた友人達には友好的ですが』

唐澤『しかも俺の場合は立場的にもそいつが絡みたがらない人種らしくて・・・』

―――どういう意味でしょう?

唐澤『同じ学校に所属しているし、俺の後釜に入らないか?って聞いたら・・・』



は?『超高校級』とか絶対御免ですよ!



唐澤『って言われて・・・どうも『超高校級』関係の人間トラブルを抱えていたみたいで・・・』



狛枝「うん、テコンドーくんじゃないな!大体『超高校級』に選ばれるなんてこの上無い栄誉なのに、自ら拒否するとか訳が分からないや!!」

狛枝「・・・・・・・・・・・」



日向『俺達は・・・希望ヶ峰学園をぶっ潰そうとしたんだ』



狛枝「いや・・・むしろ『ミライ族』としてはそれが自然・・・?」

狛枝「どっちにしろ、唐澤先輩が言っているのがテコンドーくんだって確証は無いか・・・」



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「オカルト雑誌か・・・」

ソニアさんが好んで読みそうな書物だ。だけど『ミライ族』の面子が割れてる12人に、当てはまる人居るかな?

どんな才能かはっきりしていないのは、キャンディさん、ネゴくん、アバターくんの3名。でも3人ともオカルト関係っぽくないしなぁ・・・才能から取っているコードネームもオカルトにかすりもしないし・・・

残りのブロガーさん、ガードマンくん以外の6人について知ろうにも、コードネームも顔も知らないから目に入っても気付けないし・・・

狛枝「あまり意味無さそうだけど、とりあえず調べてみるか・・・」

パラララララララララ・・・・・・

狛枝「著名なオカルト雑誌に該当無し。ここから先は信憑性もほとんど無いゴシップ的な3流雑誌か・・・」

ぱらららららら・・・・・・

狛枝「・・・ん?」

『恐怖!希望ヶ峰学園の闇!? 行方不明と学園の恐ろしいつながり!!』

狛枝「希望ヶ峰学園に関するオカルト話!?しかもボクが入学した年の後半から語られ出した話・・・どれどれ・・・」

―――最近、都内のあちこちで謎の失踪事件が多発している。それも10や20では済まない数だ

警察の威信にかけた捜査の甲斐も無く、失踪者は何の手がかりも残さず、まるで最初から存在しなかったかのようにこの世界から消え失せている

ただ、ごく一部の通行人から、失踪現場から失踪したと思われる時刻に、被害者の性別と一致する悲鳴を聞いたという証言が寄せられている

この事から、ただ失踪した訳ではない事が明らかだが、肝心の真相は闇の中である

しかし、我々取材班は独自に捜査を進める中、奇妙な事に気付く

悲鳴が上がったと思われる現場を地図にマークしていくと、希望ヶ峰学園がある○○区▲☓町がその中心に浮かび上がるのだ

しかも▲☓町だけ失踪者が1人も出ていないのである。つまり失踪事件が起こる範囲がドーナツ型になるのだ

普通に考えれば、超高校級と呼ばれる高校生や学校関係者が多く在住する場所を守るべく治安維持が厳重であると考えられる。しかし、もう一つの可能性は考えられないだろうか?

犯人が▲☓町に潜んでおり、自分に疑いがかからないよう、自分の生活範囲で犯行を行わないようにしている・・・という理由だ

その通りならば結果的にむしろ怪しくなっているのだから、犯人は現場に証拠を残さない手際は良いが、その他の事には気が回らない詰めの甘いタイプと思われる

町の中心の希望ヶ峰学園に疑惑を持った取材班は、あらゆる方法で他に事件との関連性が無いか探った

狛枝「犯人が▲☓町に潜んでいるって読みは良いけど、希望ヶ峰学園が有る町なのはたまたまだろう?下種の勘繰り・・・足を引っ張りたいクズの発想だね」

―――そして、恐ろしい関連性を見つけ出したのだ

狛枝「・・・・・・・・・・・・え?」

―――希望ヶ峰学園の学食は、料理関係の才能を育てる場ともなっている。そこでは、不定期で不思議な看板料理(スペシャリテ)が出されるのだ

数量は限定されているが、見た目も美しく味も相当良く、あっという間に完売してしまうらしい

・・・その不定期な看板料理が出される日が――――


失踪事件が起こった後の3日以内である


狛枝「・・・・・・・・・・・・は!?」

―――レシピは企業秘密で、材料も全て看板料理の料理人が個人で受注している、謎に包まれた看板料理・・・

希望の生徒達が日々の活力にするべく食している血肉は、実は文字通りの―――


狛枝「無い無い無い!絶対無い!!」

狛枝「3日ぐらい充分偶然の誤差の範囲さ!まさか『超高校級の料理人』が人をさらって人肉を料理して同じ生徒達に振るまっているなんて・・・」

狛枝「・・・・・・・・・・・・」

狛枝「・・・え?待って?これがもし事実だとしたら、まさか彼の仕業・・・じゃないよね・・・?」

狛枝「・・・・・・・・・・・・」

狛枝「無い無い無い!絶対無い!!」大事なことなので二度(ry

↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

少年ジャンプで連載中の『食戟のソーマ』を読んでて気付いたんですが、秋の選抜の予選で80点以上を出した上位(その下は最高30点台)の料理人は・・・

男子8名 女子8名 計16名   ほほう・・・(ゴクリ)



閑話休題



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狛枝「左右田クンと仲良さげな彼、セイバーくんって言ったっけ?気になるなぁ・・・」

でも、どう調べれば良いんだろう?海難事故?でも範囲広過ぎだし、いちいち誰が活躍したかとか新聞や雑誌で読んでも上手く探せそうにないなぁ・・・人手が要るかな?

狛枝「・・・あ、そうだ!彼にはもう一つ特徴が有ったじゃないか!」

ここまで出会った『ミライ族』の中で、彼だけが使っている・・・方言!!

狛枝「大阪の海難事故に絞ってみよう!地元で何らかの功績を残していても不思議じゃない!!」

とはいえ、どちらにしろ事故関係の記事全体から大阪で起こった物をピックアップしなければならない。雑誌はあまり関係ないし、関西の新聞に絞っても骨が折れる作業だ・・・

狛枝「・・・お?これは結構大きな事故だな」



『オープン間もないテーマパークで施設崩壊! 高校生が救助隊を指揮!!』

―――8月○日、7月中旬に大阪府阪南市にてオープンした『阪南リゾートパーク』は、前宣伝も功を奏し連日大賑わいとなった

しかし同施設は、海難事故防止のための施設の強度の不備を隠していた。充分な安全が確保されていないままオープンされたのだ

その結果、先日の台風による大時化に施設が耐え切れず致命的な崩落を起こし、多数の来場者が海へと投げ出される事態となった

しかし丁度帰郷していた高校生・灘救真くん(15)の類まれなる海難知識と救助指揮で、奇跡的に死者0名に抑える事に成功した

そもそも彼は、美しい自然を取り潰して作るリゾート地『阪南リゾートパーク』の建設に反対だったグループの中心人物だった

建設賛成派だった地元の名主や施設経営者達に、追い出されるように遠く離れた都内の学校に送り出されたのだった

自然を愛し海難知識も豊富な彼の意見を無視した挙句のこの事故は、利潤のみを追求した愚かな人々への手痛いしっぺ返しと言えるだろう

『阪南リゾートパーク』は直ちに閉鎖されることになり、施設の不備を隠匿しようとした関係者も軒並み失脚となると思われる



狛枝「左右田クン、彼の事キューマって呼んでたよね?ならセイバーくんはこの灘救真クンで間違いなさそうだ。珍しい名前だしね」

狛枝「海難事故を死者0で終息させる・・・流石『超高校級のライフセイバー』の名に恥じない活躍だね!」

狛枝「でも、違和感あるなぁ・・・リゾート建設を推し進めるために反対派だった灘クンを希望ヶ峰に入学させた?」

狛枝「そんなに都合良く希望ヶ峰学園に入れる物なの?」

まさか、『ミライ族』ってのはやっぱり・・・いや、超高校級の名に恥じない活躍をこうしてしているんだし・・・

う~ん・・・・・・・・・・・・

もっと他の人の事も調べるべきだろうね・・・



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「おぉ、これは素晴らしい!まさに『超高校級』に相応しい成果だ!!」



『天才少女帰還!更なる力を付けて!!』

9月◇日に行われた○×製菓技術コンクール 高校生の部・飴細工部門で、雨宮里音さん(高1)が優勝を飾った

雨宮さんは小学生部門でも他を寄せ付けない圧倒的な技術力で優勝の座を譲らない、まさに天才だった

しかし中学に上がる頃、パッタリとコンクールに顔を出さなくなった

どうやら父親の死という家庭問題により、飴細工に精を出している場合ではなくなったらしい

実家の食堂は厨房の主を失い、均衡を崩した母の精神と共に傾きかけていたが、高校に進学して間もなく、クラスメイトの働きかけや希望ヶ峰学園での治療により母は回復

その後、百貨店『越水』での飴細工展示の依頼を皮切りに、飴細工の世界に戻って来た

ブランクを埋めるべく展示の場を借りて勘を取り戻す中、実家の食堂を助けるべく一度飴細工から離れ料理の世界も経験した事が、彼女の飴細工の幅を広げた

彼女はコンクール結果発表後、なんと作品を審査員や観客全員に振る舞ったのだ

彼女の作った飴細工は味も大変良く、また、着色料の工夫によって様々な味が楽しめるようになっている

『飴は本来見て楽しむ物ではなく食べる物。だから美味しいのが当たり前です。それに食べてもらえば、視覚だけでなく味覚でも私の作品を覚えて貰えるでしょう?』と彼女は語った

その後も別のコンクールへの出品作品の試作の傍ら、先述の『越水』にて、『食事と一緒に楽しめる飴』をコンセプトとした商品の開発にも取り組んでいるとの事である



狛枝「飴細工は観賞用で、本来味に重点を置いていない。そんな常識の中で味にまでこだわって見せるとは、それでこそ、そうだね・・・『超高校級の飴細工師』と呼ばれるのかな?」



ミライ族『キャンディ』こと雨宮音里 『超高校級の飴細工師』



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「日向クンと仲良さげなネゴくんの『ネゴ』って『ネゴシエーター』・・・つまり『超高校級の交渉人』だよね?」

狛枝「かなり近しい間柄、是非知っておいて損は無いと思うけど・・・」

狛枝「こういうのって企業同士の契約とか調べれば良いのかな・・・?」

そう考えて経済に関する雑誌を調べて見るけど、名前が分からない状況だしなぁ・・・

写真も大人ばかりで、高校生ぐらい若い人なんて写ってないよ

狛枝「日向クンの『超高校級の相談員』が、知ってる範囲でも普通に学生のお悩み相談レベルだしなぁ・・・」

それとも大の大人が子供の力を借りたなんて赤っ恥だから、隠そうとする物なのかな?そこらの大人より『超高校級』の方がよっぽど優秀だって認めたくないのかな?

狛枝「この調子じゃあ、ネゴくんは見つからな・・・あっ!!」

パラパラと捲っていると、見覚えのある顔を見つけた

狛枝「見つけた!!・・・のはネゴくんじゃなくてコンサルトさんだね・・・」

目に入ったのは長い青髪・・・コンサルトと呼ばれていた穏やかな少女だ。別の人だけど見つかっただけ良かったか・・・なになに?



『20☓☓年度百貨店アワード・大賞受賞 越水百貨店』

狛枝「あっ!越水って、さっき雨宮さんの記事で彼女の作品を展示してるって言ってた・・・なるほど、『ミライ族』同士のつながりがあっての事だったのか・・・!」

ほほう?本名は倉吉実栗・・・亡き先代社長から、遺言でチーフコンサルタントを任された少女・・・



―――百貨店アワード大賞受賞おめてどうございます

倉吉『ありがとうございます。ですが私は単なる広告塔・・・現場で働くプロの力があってこその受賞です。なのに皆さんに代表で行って来いって言われて緊張しました』

―――そんな事は無いでしょう?満場一致であなたのお陰だと従業員や店員の皆さんはおっしゃってますよ?

倉吉『私は故郷でやった事を越水でもやっただけです。でもこれで、東京に送り出してくれた故郷の皆に最高の報告が出来ます。従業員の皆さんに感謝です』

―――倉吉さんがコンサルティングするに当たって、何を重視しているのでしょうか?

倉吉『お客様がのんびり回れる環境作りです。商売は人との対話です。お客様に心を開いて貰えるよう、お客様の要望を聞いたり楽しい催し物を計画したりしています』

―――商品を売るための試みではないのですか?

倉吉『それは後から付いて来る結果だと私は考えています。まず何度も足を運びたくなる、少し遠出になってもここを回りたいと思って貰える店作りを心掛けました』

倉吉『それに先代のコンサルタントが居たのですが、残念ながら彼女はとにかく売る事ばかりにこだわり、売れない店を落第させるシステムを作りました』

倉吉『そのせいでどこの店も、とにかく結果を出そうと押し売りまがいの販売を行ってしまい、客が寄りつかなくなり売り上げが右肩下がりになる有様でした』

―――先代のやり方が反面教師になったんですね

倉吉『彼女が居た頃に彼女が売れないと見限って人の来ないエリアに追いやった店のお手伝いをして、彼女が抜けた後にチーフコンサルタントに抜擢されました』

倉吉『ですがやる事は変わりませんでした。故郷の商店街ような、皆の憩いの場となる環境作りが一番良いと分かっていましたから』

倉吉『それがここまでの結果になるとは、正直思っていませんでした』

―――倉吉さんはまだ高校生との事ですが、今後も越水のコンサルタントを続けて行くのですか?

倉吉『賞を取れば終わりではいけません。今後もお客様に穏やかな時間を過ごして頂ける環境作りを続けて行きます』



狛枝「賞を取っても慢心しない心構え・・・さすが超高校級!」

狛枝「・・・でも一つの会社だけで収まっているというのもどうなんだろう?超高校級なら、それこそ10や20ぐらい受け持っても大丈夫だろうに・・・」

狛枝「この口ぶりだと、一生越水百貨店でやっていくって感じがするから違和感あるなぁ・・・」



↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

狛枝「そういえば、日向クンとネゴくんは元バスケ部で、弐大クンがマネージャーとして鍛えたチームと対戦した事が有ったんだよね?それぐらいの事なら記事になってても良さそうだけど・・・」

バスケの情報誌を見つけ、ボクが入学した年の号を漁ってみる

狛枝「居た!日向クンとネゴくんだ!!弐大クンも!!」

そこには、あの日向クンとネゴくんがバスケのユニフォームに身を包んで他の3人と並んでいる写真が載っていた

そして相手チームの写真も載っていて、その傍らに弐大クンも映っている

『前代未聞!?希望ヶ峰学園が2チーム結成!全国に進むのはどちらか1つ』

今年、ほぼ毎年のように全中優勝チームから選抜されていた『超高校級のバスケ選手』に、優勝校出身の籠目雄一郎くん(PF)だけでなく、準優勝校の若月理くん(SG)の2人が選ばれた

当初はこの2人が超高校級ばかりのドリームチームで活躍する事が期待されていた。そう、まるであの大人気漫画『黒○のバ○ケ』の『キ○キの世○』のように

しかし若月くんは、自分で自分のチームの選手達を集めるという事態を起こしたのだった。これにより、希望ヶ峰学園は2チームに別れてしまう

彼が選んだ日向創くん(PG)、天野勇太くん(PF)、冥加巧くん(SF)、海保讓次くん(C)は、元々高校で出会って以来4人で組んで練習しており、後から若月くんが加わったらしい

天野・冥加・海保の3名は超高校級の2人に負けず劣らずの全国常連校出身の実力者で、日向くんも全中までの予選にて籠目くんの居たチームを唯一苦しめたと言われているチームの元主将である

狛枝「ネゴくんの本名が天野勇太って分かったけど、高校に入ってから4人一緒・・・ひょっとして後の2人も『ミライ族』なのかな?時期が違う若月クンはどうなんだろう・・・」

狛枝「他の2人・・・冥加クンはボサボサの黒髪セミロングで暗そうな子・・・海保クンは銀髪のソフトモヒカンで強面、体格もセンターらしい巨体だ」

狛枝「それにしても専門分野が違うのにバスケの実力もあるとは、さすが超高校級の集まりだけど・・・」

―――若月くんは大会に出るなら彼らと組むチームで出ると申し出、どうしても籠目くん達のチームには参加しないという

若月くんと仲間達がどれだけやれるのか知りたいという意見もあり、特別に希望ヶ峰学園から2チームが出場する事になった

ただし、いずれどこかで当たる2チームのどちらか負けた方は、たとえ全国大会に出場出来る枠に入っていても全国出場権を失うという条件でだ

狛枝「厳しいね・・・実力で勝ち取ったなら両方出せば良いのに。本当は若月クンが本チームに入らなかった事を怒っていたんだろうね」

―――ゲーム序盤は1~5年の『超高校級のバスケ選手』が集められたドリームチームが、その圧倒的な実力を以て若月くんのチームを圧倒する。特に新入生にしてエースを張る籠目くんの圧倒的バスケセンスが凄まじかった

しかし第2Q後半から、徐々に展開が変化していった

超高校級チームがボールを奪われる事が多くなり、若月くんのチームが滑らかなパスワークで相手を翻弄しシュート率を上げていったのだ

第3Qでは、超高校級チームのシュート回数は十数回程度まで落ち込む程だった

観戦に来ていた若月くんのチームの友人はこう語った

「『相談員』『交渉人』『読心術師』『トレーナー』・・・彼らは相手の心理を読む事に長けた選手の集まりなんです。若月くんも空気読むの上手いし、気を配れるし」

「ああいう『自分が一番』って独尊思考な奴ばっかりのチームにとっては天敵なんですよ」

狛枝「自分達の長所を生かした戦い方ねぇ・・・ボクはあまり好きじゃないな。自分の領分から離れるんじゃないよ!って思っちゃう。九頭龍とか言うクズが極道以外になれないように、ボクに幸運以外の才能が無いように・・・」

―――第3Qが終わる頃には30点以上の差が開いており、誰もが若月くんチームの大番狂わせで終わると確信した。・・・しかし最終Qで、試合は再び動く

突然、超高校級チーム全員の動きが格段に上がり、若月くんのチームが付いて行けなくなったのだ。まるでゾーンに入ったかのように

どうやら、最終Qまで本当の実力を温存していたらしい。ボールを奪う暇も無く、持ち味だったパスワークもあっさり切られる

終わってみれば、40点以上の差が付いての超高校級チームの勝利で決着した。たった1Q10分で70点以上を叩き出した超高校級の実力に観客全員が圧倒された

しかし終了直後、奇妙な言葉が若月くんチームの日向くんから発せられた

「お前ら・・・そんなになってまで勝ちたいのか!!?」

専門家達の間でもこの試合と発言は物議を醸した

超高校級ともなればゾーンに入る術を理解していてもおかしくない。しかしゾーンに入る条件は個人差があり、ピンチに陥ったあの状況で5人全員が同時にゾーンに入るのは不自然だった

事実その後の会見でも、超高校級チームはゾーンに入った事を覚えていないのではないかと思われる発言が目立った

まるで、外部からの力でゾーンに入ったかのように・・・

それならば、日向くんの発言の意図も分からないでもない。しかし希望ヶ峰学園側は完全否定しており、土壇場で真価が発揮されたという事でこの話は決着となっている

狛枝「まぁ、超高校級ばかりを集めたチームが5人中4人がバスケの才能持ちじゃない選手のチームに負けたら、それはもう大問題だけど・・・だからって・・・ねぇ? 何をしたら狙って全員同時にゾーンに入れられるって言うんだい?」

狛枝「でも・・・何だろう・・・この記事、恐ろしくボクを不安にさせる・・・」


↓1 何の書物で、どんなジャンルの書物?

自分の手で保守ついでに、ちょっとしたなぞなぞを・・・

Aくんは「絶対絶望少女」をプレイし始めました。最初の難易度選択で「SSSモードにしよう!」と言いながら難易度を選びました。さて、それはどの難易度でしょう?

1ジェノサイダーモード 2こまるモード 3ゼツボウモード

1で正解です

ちなみに理由は?皆考える事は同じなのだろうか・・・

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月12日 (木) 01:43:09   ID: UihWSRH0

続きはまだでしょうか?

2 :  SS好きの774さん   2014年01月04日 (土) 19:17:48   ID: Kt4d03Xd

左右田は最終的にミライ族につく予感がしますね

3 :  SS好きの774さん   2014年01月19日 (日) 14:07:30   ID: Aumrxxiz

左右田には乗り越えて欲しいものだな

4 :  SS好きの774さん   2014年01月23日 (木) 12:10:19   ID: N3JD7efC

ミライ族の中の何人かに主役やラスボスのスタンドを使うやつを入れてください。希望としてはスタープラチナ、ザ・ワールド、タスク、D4Cが良いと思います。

5 :  SS好きの774さん   2014年07月03日 (木) 21:08:59   ID: G3l0lq-a

更新忘れちゃいませんよね…?待ってます

6 :  SS好きの774さん   2014年09月07日 (日) 20:24:17   ID: ZhxeVxUq

えー?
ただ流されただけの西園寺が狛枝より悪扱いされるのは無いわ。
まあいずれオリキャラ側も糾弾されるんだろうけど

あとこのソニアはぶん殴りたい
こいついつまで脳内お花畑なんだよと
原作のソニアさんは好きな分尚更不快

7 :  SS好きの774さん   2014年09月20日 (土) 23:11:01   ID: nnohl9CI

↑良く考えもせず思考放棄して流されたから悪扱いされてんだろうよ

8 :  SS好きの774さん   2014年12月06日 (土) 16:28:30   ID: 10VmyCsg

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