吸血鬼「約半世紀の眠りから覚めて」(15)

吸血鬼「目覚めの一杯にトマトジュースを飲んだわけだが」

吸血鬼「半世紀前に買ったやつだから賞味期限はとっくに過ぎているわけで」

吸血鬼「まあつまり何が言いたいかというと」

吸血鬼「お腹痛い」ギュルルルル

in トイレ

吸血鬼「くそっ、くそっ、私としたことが」ギュルルルル

吸血鬼「よく考えれば色もおかしかったし強烈な臭いもした」ギュルルルル

吸血鬼「半世紀ぶりに飲むしこんなものだろうと思って飲んだ数分前の私を殴りたい」ギュルルルル

吸血鬼「…あー痛い。治るどころか更に痛くなってる」ギュルルルル

吸血鬼「しばらく動けないぞこれ…本でも持ち込むべきだったか…」ギュルルルル

吸血鬼「いや、こんな状態だと読む余裕なんてないか…」ギュルルルル



ーーー1時間経過

吸血鬼「はぁ…ちょっと治まってきたか」キュルキュル

吸血鬼「ちょっと横になって完全に治るのを待とう」キュルキュル

吸血鬼「紙、紙…」

吸血鬼「か…み…?」

吸血鬼「」

吸血鬼「無い…だと…?」

吸血鬼「おかしい。確かに半世紀前にはあったはず…」

吸血鬼「…いや、待てよ…?」


ホワンホワン


ーーー半世紀前

吸血鬼「しまったトイレの紙がない」

吸血鬼「うーむ、どうせ半世紀寝るし起きてから補充すればいいか」

吸血鬼「さすがに用を足す前に紙の有無を確認しないほど馬鹿ではないからな、私も」フフフ


ホワンホワン

吸血鬼「…」

吸血鬼「くそっ、くそっ、半世紀前の私を蹴りたい」

吸血鬼「気付いた時に補充しておけよ!」

吸血鬼「馬鹿!もう馬鹿!私の馬鹿っ!」ポカポカ

キュル…ギュル…

吸血鬼「!?」

吸血鬼「また痛くなってきただと…?」ギュルル

吸血鬼「もうやだ起きるんじゃなかった」ギュルルルル



ーーー同時刻、吸血鬼ハンターの家

ハンター「そろそろ吸血鬼が眠りについてから半世紀…」

ハンター「記録によると、奴は半世紀ごとに目をさますという」

ハンター「だとすると、そろそろ目を覚ます頃」

ハンター「奴が町に下りて人々を襲う前に、仕留めなくては!例えこの命と引き換えになろうとも…!」

ハンター「となると、まずは奴の弱点を確認せねば。先人の残した記録を読もう」ペラ

ハンター「吸血鬼の弱点…」

ハンター「銀の弾丸、心臓に杭を打つ日光、十字架…そしてニンニク」

ハンター「銀の弾丸は銃刀法違反で捕まるからパス…心臓に杭?うへぇ、グロそうだからパス……となると…」

ハンター「日光、十字架、ニンニクで勝負を仕掛けるしかないか」

ハンター「ちょっとシミュレーションしてみるか」

ハンター「吸血鬼の館に行く!吸血鬼と出会う!十字架とニンニクで先制攻撃!逃げる吸血鬼!なんやかんやで外に誘導!そして日光を浴びて灰になる吸血鬼!!」



ハンター「…」

ハンター「俺は天才か」

ハンター「善は急げだ。シミュレーションを忘れないうちに行こう」

ハンター「その前に十字架とニンニクを買わないと」

寝る



ーーー吸血鬼の館
吸血鬼「ふーっ、ふーっ!」

吸血鬼「はぁぁ…ちょっと治まってきた…」キュルキュル

吸血鬼「しかし困ったぞ。紙が無いとなると、ここから出られない」

吸血鬼「さすがに拭かないっていうのは汚いから嫌だし」

吸血鬼「こういう時に同居人がいたらなぁと思う」

吸血鬼「使用人でも雇うかなぁ。けどスキンシップのつもりでちょっと血を吸うと皆辞めちゃうんだよなぁ」

吸血鬼「はぁ…」キュルキュル

おにゃのこですか

>>11
どちらでも

ーーー街

ハンター「十字架オッケー、ニンニクもオッケー」

ハンター「ちょっとニンニク買いすぎて臭い気がするけどまあいい」

ハンター「用心するに越したことはないからな!」

ハンター「さて、あとは吸血鬼の館に行くだけなのだが」

ハンター「大変なことに気付いた」

ハンター「俺、館がどこにあるか知らない」

ハンター「吸血鬼って日光が苦手なんだよな?じゃあ日の当たらない場所にあるってことか?」

ハンター「となると…」

ハンター「ベタに森の中か?」

ハンター「いや、そう思わせておいて、逆に街中にあるのかも…」

ハンター「むむむ…」

ハンター「……こういう時は神様に頼るか」

ハンター「十字架が前に倒れたら森、後ろに倒れたら街」

ハンター「では…」コホン

ハンター「天の!神様の!言う通り!」


十字架 パタン


ハンター「後ろ……街中か…」

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