荒岩「グルメ界?」 (40)

クッキングパパのSSです。
トリコのキャラクターは出てきません。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383397992

_____金丸産業 営業二課 デスクにて___________


田中「課長、聞いてくださいよ。グルメ界という場所に見た事もない食材があるみたいですよ!!」

梅田「あっ、僕もその話を聞いたことがありますね。なんでも食の楽園と呼ばれているそうですよ」

田中「そうです、それですよ課長。課長の見つけた食材で新しい料理を作るなんて、すごい事になりそうじゃないですか」

梅田「確かに、僕も食べてみたいですね。うちの野菜も必要でしたらいくらでも使って下さいよ」


荒岩「うむむ…。そうは言ってもな、仕事もあるし行くのも大変だろう」


田中「ずいぶん前にもアラスカに行ったじゃないですか、課長ならそのぐらい融通ききますって」

荒岩「しかしな…」

田中「この前の北海道の鮭も旨かったな~。また食べたいですよ課長」

荒岩「釣れたら、な」

田中「あー、グルメ界だったらさぞ絶品な食材が眠ってるんだろうな~」


荒岩「それに、オレは食材を探すよりもおいしく料理する方が好きなのさ」

田中「その腕と身体だったら美食家兼ハンターにでもなれそうですけどね」

荒岩「何か言ったか…?」

梅田「さて、仕事仕事…」

__________荒岩宅___________


荒岩「____それでな、田中がグルメ界で新しい食材を見つけろというんだよ、俺はそんな柄じゃないって言ったんだがな」

虹子「あら、面白そうじゃない。例えば、あなたの見つけた新種のキノコが一味ダケとか呼ばれるなら素敵じゃない♪」

みゆき「とーちゃんの見つけた新しい料理食べたーい、面白そう!!」

荒岩「うむむ…」


虹子「それにしてもグルメ界なんてド迫力ね。若い時に取材を申し込んだけど、危ないからって行けなかったのよ。今なら昔よりも安全になっていると思うわ」


みゆき「うきゃー」


虹子「みゆきも面白そうって言ってるし、いい機会じゃない。私さっそく調べてみるわ。文化部の腕をみせちゃう」

荒岩「おいおい、俺は行くって決めたわけじゃないぜ」

虹子「まあまあ、事前調査ということで」

みゆき「うきゃー」

_____再び 金丸産業 営業二課 デスクにて___________


荒岩「グルメ界か…」

けいこ「あら、課長。グルメ界に興味があるんですか?」

荒岩「いや、昨日田中に言われてな。少し気になってるだけだよ」


種ヶ島「グルメ界の小麦はパンにするととてもおいしいって聞きますよね。胎児の健康にも良いかも」

けいこ「そうよね、種子島ちゃんもそろそろ栄養にきを使わないと。ところで、課長はグルメ界で何を探すつもりなんですか?」

荒岩「行くと決めたわけじゃないが、気になるとしたら出汁だな。新しい調理法を試すのなら出汁が欠かせないからな」

けいこ「さすが課長!料理のなんたるかを知っていますね」

荒岩「いやいや、梅田の所の野菜とも組み合わせてみたい気もするが、あくまでも理想だよ、理想」

梅田「いくらでも協力しますよ!!」

種ヶ島「素敵ね」


常務「話は聞かせてもらったぞ」ドアバーン

荒岩、けいこ、種ヶ島、梅田「常務!?!?」

常務「水臭いじゃないか荒岩君。グルメ界に興味があるならわしに一言相談してくれればいいものを」

荒岩「いえ常務。まだ行くと決めたわけではありませんよ」

常務「違うぞ荒岩君。料理の才能のある君が、未知なるグルメに興味を持つのは当然の事だろう。わしも君の挑戦に大いに期待しているぞ!!」


荒岩「うむむ、、、しかし…」

常務「有給もまだ余っとるし、少しぐらいの休みも君なら大目に見れるじゃろう」

荒岩「こればっかりは、私の一存では決まりませんので、少しお時間をいただきます」アセアセ

荒岩(うーん、妙なことになったなぁ…)

__________再び 荒岩宅___________


荒岩「ただいま」


虹子「おかえりなさい、あなた」


荒岩「クンクン この匂いはなんだ?」


虹子「トビガツオから出汁をとったお鍋よ」


荒岩「トビガツオか、なかなか手に入らないだろう」

虹子「私もいろいろ調べたらね、グルメ界にはこのトビガツオよりももっと大きくて、味もしっかりした個体がいるらしいわ。あなたの事だから、出汁が一番大切だー、とか考えているんじゃないかと思って」


荒岩「……ちょうど、全く同じことを考えていたんだ…」


虹子「えっ?」


荒岩「いや、なんでもない」


荒岩「負けたよ、お前には」


虹子「うふっ」


みゆき「うきゃー、とうちゃん笑ってるー」


荒岩「ふふふふ。考えていたことがシンクロしてたのさ」


荒岩「さあ、冷める前に食べてしまおう」


荒岩、虹子、みゆき「いただきまーす」


みゆき「おいしいー」


虹子「良い出汁が出ているでしょう、トビガツオっていうのよ」


荒岩「どこで手に入れたんだ、こんな高級な食材?」


虹子「魚屋のシンゴちゃんに頼んで仕入れてもらったのよ、グルメ界の事を話したら、快く引き受けてくれたわ。野菜はとっておきのものを八百屋さんから」


荒岩「なんだか、すまんな。ただのおもいつきにここまで大事にしちまって」


虹子「あなたが楽しそうだと私もうれしいのよ」


荒岩「うむむ…///」


みゆき「あー、とーちゃん照れてる」


荒岩(行ってみるか、未知の食材を求めてグルメ界へ)

__________再び 荒岩宅___________


荒岩「ただいま」


虹子「おかえりなさい、あなた」


荒岩「クンクン この匂いはなんだ?」


虹子「トビガツオから出汁をとったお鍋よ」


荒岩「トビガツオか、なかなか手に入らないだろう」

虹子「私もいろいろ調べたらね、グルメ界にはこのトビガツオよりももっと大きくて、味もしっかりした個体がいるらしいわ。あなたの事だから、出汁が一番大切だー、とか考えているんじゃないかと思って」


荒岩「……ちょうど、全く同じことを考えていたんだ…」


虹子「えっ?」


荒岩「いや、なんでもない」


荒岩「負けたよ、お前には」


虹子「うふっ」


みゆき「うきゃー、とうちゃん笑ってるー」


荒岩「ふふふふ。考えていたことがシンクロしてたのさ」


荒岩「さあ、冷める前に食べてしまおう」


荒岩、虹子、みゆき「いただきまーす」


みゆき「おいしいー」


虹子「良い出汁が出ているでしょう、トビガツオっていうのよ」


荒岩「どこで手に入れたんだ、こんな高級な食材?」


虹子「魚屋のシンゴちゃんに頼んで仕入れてもらったのよ、グルメ界の事を話したら、快く引き受けてくれたわ。野菜はとっておきのものを八百屋さんから」


荒岩「なんだか、すまんな。ただのおもいつきにここまで大事にしちまって」


虹子「あなたが楽しそうだと私もうれしいのよ」


荒岩「うむむ…///」


みゆき「あー、とーちゃん照れてる」


荒岩(行ってみるか、未知の食材を求めてグルメ界へ)

____そんなこんなで、荒岩は究極の出汁を求めてグルメ界に旅立つのでありました______

___ザーベル島 中央集会所___ 一日目


モブ「これからグルメ界に向かう皆様にグルメ界への入界ルートの説明を致します。私たちの住む人間界からグルメ界に向かうルートは大きく分けて陸、空、海の三ルートが存在しています。しかしながら、空からのルートでは巨大なサイクロンが行く手を阻んでおりまして、我々人間の航空技術では未だ対応できておりません。海からのルートでは、潮の流れが特殊な毒潮なる海流が流れておりまして、こちらも海洋技術の発展に期待したい所です。最後に残った陸のルート、今回はこちらを利用してグルメ界へと向かいます」



荒岩(覚悟はしていたが、なかなか凄そうな所だな。飛行機じゃなくてよかった…)

モブ「さて、陸のルートですが、今回このザーベル島から命の滝壺という崖からグルメ界へと向かいます。昔はここから飛び降りてグルメ界に向かっておりましたが、今では特殊なケーブルカーでグルメ界まで降りる事が出来ます。あなた方は、これから一週間グルメ界で食材探しの探検コースとなっています」

荒岩(あいつ(虹子)が取材できなかったと言ってたのはこういう事か…)

モブ「皆さんはグルメ界に降り立ったらすぐに降りた先の集合所へ集まって下さい。そちらで専属のガイドが詳しい説明を致します。それまではくれぐれも勝手な行動は慎んでいただくようお願いいたします」

モブ「さて、グルメ界の食材は確かに豊富でありますが、グルメ界には逆にそれを餌にしている猛獣たちも存在しています。皆様はそれぞれ目的を持ってグルメ界へ行かれると思いますが、開発が進んだとはいえまだまだグルメ界は未知の領域であります。護身用の武器と、猛獣と相対しても恐れない勇気が欠かせません。皆様の食文化の発展に大いに期待しております」

荒岩(うむ、頑張ろう!!)

___________命の滝壺前____________

モブ「それでは、グループに分かれて各自順番通りにケーブルカーへ乗り込んで下さい。必ずガスマスク着用をお願いします」

荒岩「シュコーシュコー(俺は次のグループだが、直前になって焦らないように先にマスクをしておくか)」

モブ「それでは次のグループ乗り込んで下さい」

荒岩「シュコー」

モブ「あなたは荒岩さんですね」

荒岩「シュコー(どうして私の名前を?)」

モブ「実は金丸さんとは以前お世話になったことがありましてね、今回の探検に関して常務からくれぐれもよろしくと頼まれていまして」

荒岩「シュコー(こいつ…、直接心に…!?)」

モブ「マスクは外さなくて結構ですよ、普通ならもう息苦しくなってもおかしくないですから」

荒岩「シュコー(わかりました)」

モブ「今回は、どうしてまたグルメ界に?」

荒岩「シュコー(天然のトビガツオを捕獲して、究極の出汁を創りたいんです)」

モブ「それはそれは、荒岩さんならきっとやり遂げる事が出来ると思いますよ」

荒岩「シュコー(やって見せますよ、これでも料理にかける情熱は負けません!!)」

モブ「集合所で、サポートするガイドですが、今の荒岩さんの力を十分引き出してくれると思いますよ」

荒岩「シュコー(力を、引き出す…ですか?)」

モブ「ええ、きっと。さあ、乗り込んで下さい。出発しますよ」

荒岩「シュコー(色々とありがとうございます)」 

モブ「必ず生きて帰ってきてくださいね」

荒岩「シュコー(生きて帰る…?どういう意味だ?)」


ズドオオオオオオオオオン!!!!!!!

荒岩「シュコー!!!!(何が起きたんです??)」


他の探検家「あれは…、ブレスドラゴン??」

モブ「あれは、命の滝壺に生息しているブレスドラゴンです。捕獲レベルは小型なので39レベル程だと思いますね」

荒岩「シュコー(そうなんですか)」

モブ「グルメ界に到達したケーブルカーを狙って狙撃しているんですよ。今は、見張りの一匹だけですから壊されることはありませんが、群れが戻ってくるとやっかいですね。早めに移動してしまいましょう」

荒岩「シュコー(ブレスドラゴンか、硬い筋肉の羽を煮込めば上手い出汁が出るかもしれないな)」

モブ「さあ、早く乗り込んで下さい」

荒岩「シュコー(わかりました)」



_________ケーブルカー内______


ズドオオオオオオオオオン!!!!!!!

荒岩「シュコー(ブレスドラゴンの攻撃をくらっても壊れないのか、このケーブルカーは。でも、怖いから目をつぶっていよう)」

モブ「衝撃を吸収する特殊な金属を使用していますからね。もっとも、ここに来るような人であれば、あの程度の猛獣を倒せなければ話になりませんがね」

荒岩「シュコー(どうしてこの人俺の言う事がわかるんだろう?)」

モブ「荒岩さんは戦闘経験はありますか?」

荒岩「シュコー(スポーツレベルです)」

モブ「武器は何を?」

荒岩「シュコー(使い慣れたジャックナイフと、炸裂弾を少しです)」

モブ「リュックに中には何が?」

荒岩「シュコー(少しの着替えと、包丁と日本の調味料です。すぐにでも色々な調理方法や味つけを試してみたいので)」

モブ「料理人の鏡ですね、グルメハンターの一人として尊敬しますよ」

荒岩「シュコー(いえいえ、私はただのサラリーマンですから)」

モブ「そうご謙遜なさらずに。グルメ界での、今後のグルメ細胞の活性化に期待ですね。ここの食べ物を食べれば、見違えるほど身体が強化されますよ」

荒岩「シュコー(それはどういう意味ですか?)」

モブ「じきに分かりますよ。さぁ、到着です」





______命の滝壺 アングラの森前______


荒岩「シュコー(いよいよグルメ界か、それにしてもすごい滝だな、人間界との繋がりを断絶するかのようだ)」

モブ「私はここまでです。警備に戻るので、直ぐに移動をお願いします」

荒岩「色々とありがとうございます」

モブ「こちらこそ、短い間ですがお会いできてよかった。天然のトビガツオの発見を祈っています」ガッシリ握手


荒岩(いい人だったな、さてと、集合所へ行かないと)

_________集合所内___________



ステープ「サワディカップ!!皆さん、ようこそグルメ界へ!!集合所とは名ばかりの小屋ですが、今回の宿泊兼炊事場ですガイドのステープです、どうぞよろしく!」ニカー

荒岩(ステープさんじゃないか、こんなところで会うとは…)

ステープ「ガイドとは言いますが、皆さんはサバイバルにも長けているでしょう。なので、特に説明することはありません。このままジャングルに突入して食材を探すも良し、小屋の中で休憩するも良し、直ぐに逃げ帰るも良しです。ただし、自分の身は自分で守って下さい。第0ビオトープの研究員たちも、私たちの安全までは保障できません。グルメ界はようやく開かれてきましたが、まだまだ未知の領域が多いです。くれぐれも(以下略)」

____説明終了 同行したほとんどの探検家がジャングルに姿を消した_____


荒岩「シュコー(ステープさん!)」


ステープ「荒岩さん、お久しぶりです!!」ガッシリ握手


ステープ「グルメ界で出汁探しとは、ついに荒岩さんもグルメの道を究めようとしているんですね」
ニカー

荒岩「シュコー(そんな大げさなものではありませんよ)」


ステープ「とりあえず、ここの環境に慣れてしまいましょうか、マスクを外してください」


荒岩「ウッ……(なんだこの息苦しさは…? 室内だぞ…???)」


ステープ「ここはアングラの森の前です。高濃度の酸素が充満しているので、屋内といえど危険数値です。先ずは、荒岩さんのグルメ細胞を活性化させて、ジャングルでの移動が耐えられるようにしましょう!!」ニカー

荒岩「うむむむ……(うまく声が出ない……)」


ステープ「初めはみなさんそんなもんですから、気にしないで行きましょう!」ニカー


荒岩(…………)

____説明終了 同行したほとんどの探検家がジャングルに姿を消した_____


荒岩「シュコー(ステープさん!)」


ステープ「荒岩さん、お久しぶりです!!」ガッシリ握手


ステープ「グルメ界で出汁探しとは、ついに荒岩さんもグルメの道を究めようとしているんですね」
ニカー

荒岩「シュコー(そんな大げさなものではありませんよ)」


ステープ「とりあえず、ここの環境に慣れてしまいましょうか、マスクを外してください」


荒岩「ウッ……(なんだこの息苦しさは…? 室内だぞ…???)」


ステープ「ここはアングラの森の前です。高濃度の酸素が充満しているので、屋内といえど危険数値です。先ずは、荒岩さんのグルメ細胞を活性化させて、ジャングルでの移動が耐えられるようにしましょう!!」ニカー

荒岩「うむむむ……(うまく声が出ない……)」


ステープ「初めはみなさんそんなもんですから、気にしないで行きましょう!」ニカー


荒岩(…………)

_______小屋内の寝室にて_______



荒岩(とんでもない世界だな。このグルメ界は…、大変だが、それだけに嬉しさもあるゾ)


荒岩(とにかく体を慣れさせなければ!!)


ティート「ハーイ。荒岩サン、元気デスか? 食事を持ってキマシたよー」


荒岩「ティートじゃないか、急に食事だって?」


ティート「そうデース、ステープさんが見回りをしている間にお世話を頼まれマシタ。ココはグルメ界デース、ならばたくさん食べマショー!」


荒岩「うむ、確かにそうだな」


ティート「デビル大蛇のおかゆデース」


荒岩「いただきます」モグモグ


荒岩(旨くはないが、力強い味わいだ……)


ティート「グルメ界の生物はグルメ細胞も豊富デース、荒岩サンの身体のグルメ細胞も強化されますヨ。そろそろ、身体に力が漲ってきまセンカ?」


荒岩「言われてみれば、確かに身体が元気になったような…」


ティート「その意気デスよ荒岩サン。たくさん食べて下さいサイね」


荒岩「うむ、そうさせてもらうよ。このおかゆの味付けはなんなんだ?」


ティート「ほとんど塩だけデスね、デビル大蛇のエキスで煮込んでいマス」


荒岩「それだけでこれほどの味が出るのか、調理法を確立すれば、いくらでも美味くなりそうだな」


ティート「荒岩サンの料理、ワタシも楽しみデスよ」


荒岩(力をつける為には食べなければな…。それにしても疲れたなぁ…)
____デビル大蛇のおかゆで腹を満たし、荒岩は眠りについたのであった____

_________集合所 二日目__________


ステープ「おはようございます荒岩さん!!」ニカー


荒岩「おはようございます」


ステープ「今日は食材を探しながら修行をしましょう」


荒岩「わかりました」


ステープ「それでは、手始めに昨日ケーブルカーを襲ってきたブレスドラゴンを捕まえましょう。私も手伝います」


荒岩「よろしくお願いします」


ステープ「それでは外に出ましょうか」

______アングラの森前______


ステープ「気分はどうですか?」


荒岩「苦しい事は苦しいですが、昨日ほどではないですね」


ステープ「昨日で荒岩さんのグルメ細胞が成長したんですよ」ニカー


荒岩(そんなものかな、まあいいや)


ステープ「向こうもこっちに気が付いたみたいですね」


ブレスドラゴン×4「グギャアアアアアア!!!!!!!」空気弾連打


荒岩「ぐぐっ…」


ステープ「弾の軌道をみながら躱して下さい、荒岩さんなら出来ますよ」


ブレスドラゴン×4「グギャアアアアアア!!!!!!!」空気弾連打


ドガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!


荒岩「なんとか躱せても、これでは接近できないぞ…、そして何よりも息苦しい…」


ステープ「飛んでください!!」


荒岩「うおおおッ!!」闇雲にジャンプ


荒岩「とっ飛んだ!? 俺が??」



ステープ「落下の加速に合わせてブレスドラゴンの首に攻撃をして下さい!奴の弱点です!!」


荒岩(こうなりゃやるしかない)


荒岩「いっけえええええええええ!!!!」ズシャアアアア!!!!


ブレスドラゴン「効かねえよそんなヘボい攻撃(グギャアアアア!)」


荒岩「むむむ、皮すら切れないなんてなんて硬いんだ。煮込んで柔らかくなるのか?」


ブレスドラゴン「俺を食えるわけねーだろマヌケめ、餌になるのはてめーだ(グギャアア!!)」空気弾連射


ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ドオオオン!!!!!


ステープ「荒岩さん、首がだめなら羽です!! そうすれば、奴らは飛べなくなりますから」


荒岩「その手があったな」ナイフ構えてジャンプ


ブレスドラゴン「させるか雑魚め(ギャース!)」


荒岩「もう一度だ、今度こそ仕留めてみせる!」


ブレスドラゴン「来やがれ雑魚がぁ!!(ギャース!)」


荒岩(ナイフを身体の一部だと思うんだ…、タイミングを合わせて…)


荒岩(奴の羽の筋をまっすぐ切れば、うまく両断出来るはずだ。さあ、切り裂けぇぇ!!!)


荒岩「うおおおおおおお!!!!!」



ザシュウウウウウンンッッ!!!!



ステープ「おおっ!!荒岩さん!!!」


荒岩「…。よし、やったゾ」


ブレスドラゴン「………、まさか俺がやられるとは……」


ブレスドラゴン「仲間がやられたか、とりあえず撤退だ」



荒岩「……どうにか勝ったゾ、しかし、身体が動かん……」バターン

___________集合所 三日目___________



荒岩「…zzz    はっ!!!」


ティート「荒岩サン起きましたね」


ステープ「いやー、良かったです。あのままブレスドラゴンが撤退してくれなかったら、どうなっていた事か」ニカー


荒岩「俺は、助かったのか…?」


ステープ「とにかく、ブレスドラゴンの討伐をありがとうございました。数が増えてしまうと、どうにも私だけでは対処出来ないので」ニカー


荒岩「それは良いんだが、むむむ…。三日たってしまったのか」


ステープ「まだ時間はありますよ、さあ、とにかく仕留めた獲物を食べましょう!!」


ティート「ブレスドラゴンの角煮デース。たくさん食べて下サイね」


荒岩「うむ、いただきます!!」


ティート「荒岩サンが寝ている間にじっくり煮ておきましたよ」


荒岩(確かにうまいが、まだ肉が硬いな。味付けも一辺倒で変わり映えしない)


荒岩「ティート、ここに圧力鍋はあるか?」


ティート「ありますよ」


荒岩「ブレスドラゴンの羽は?」


ティート「冷蔵庫に保管してマース」


荒岩「よし、さっそく試してみたい料理がある。厨房を借りるゾ」


荒岩(羽を圧力鍋で煮込んで筋の旨味を引き出して、肉は癖があるから一度茹でてから切り分けよう。野菜は確か奥の倉庫にあったな…)

____お料理タイム_____


荒岩「よし、出来たゾ!!」


ティート「おいしそうな匂いですね」


ステープ「この料理はなんですか?」


荒岩「昨日のブレスドラゴンの肉で作ったどて煮込みだ。肉以外の食材は奥の冷蔵庫から貰ったゾ」


荒岩「ブレスドラゴンはとにかく肉が硬いからな、圧力鍋で煮こむ前に塩で煮て臭みを取るんだ。後はじっくり煮だして、それからの作り方は普通のどて煮込みと変わらないゾ」


ステープ「これを数時間で??」


荒岩「こうした方がより美味くなるとブレスドラゴンが言い残した気がしてな。さぁ、食べよう」


荒岩、ティート、ステープ「いただきます!!!」



荒岩、ティート、ステープ「うまーい!!!!」


ステープ「グルメ細胞が刺激されますね、この料理は」


ティート「強くなりますネ」


荒岩「ブレスドラゴンの贈り物だ。ガンガン食べて、強くなろう!!!」


ステープ「そうですよ、荒岩サン」


荒岩「他にもいろいろ作ってみたんで、ぜひ食べてくれ」料理ズラリ


荒岩「アツアツをかぶりつくんだ、美味いゾ!」


ステープ、ティート「これもうまーい!!」



______捕獲したブレスドラゴンのフルコースで、荒岩のグルメ細胞は急成長するのであった__________

_______四日目 小屋前________



荒岩「今日こそ天然のトビガツオを捕まえに行こう!!」


荒岩(とはいったものの、もっと強い猛獣が出てきたら勝てないな…)


ステープ「お悩みですか…?」


荒岩(ナイスタイミング!)


荒岩「実は…」説明中


ステープ「なるほど、確かにグルメ細胞は成長したが、まだまだ強い猛獣と戦えるか不安だという事ですね。しかし、ここにいれる時間はそう長くない。かといって、究極の出汁の研究もおろそかには出来ないと。つまりこういうわけですね」


荒岩「情けないが、そういうわけなんだ」


ステープ「簡単じゃないですか」


荒岩「え?」


ステープ「たくさん戦って、グルメ細胞を成長させましょう」


荒岩「しかし…」


ステープ「この数日で、荒岩サンは確かに強くなりました。それは戦いももちろんですが、料理をたくさん作って、それを食べた事が一番大きいんですよ。おいしいものをたくさん食べる人の笑顔が、荒岩さんのグルメ細胞を成長させているんですから」

荒岩(そうなのか…?)


荒岩「俺はこの数日の料理を食べた事で、グルメ界の猛獣とも渡り合えると、そういう事か?」


ステープ「そうです!!」


荒岩「分かった」荷物を掴む


荒岩「出かけてきます。必ず戻ってきますよ」


ステープ「行くんですね」


荒岩「うむ。森を抜けて海を目指すよ。海と川が交わる場所におそらくトビガツオはいる」


ステープ「それまでの食料は?」


荒岩「戦った猛獣を片っ端から料理します」ニヤリ

_______それから二日後 ジャングル奥_______



荒岩「思えば遠くにきたもんだ」ガサガサ


荒岩「究極の出汁を求めてグルメ界に来るなんてなぁ…」


荒岩「ジャングルを抜けてから戦いの連続で、碌に寝てないが、アヘンダケを食べてから眠くないんだなこれが」(註 アヘンダケ アヘンの効能があるキノコ もちろん違法)


荒岩「今まで戦った猛獣は、でかいマンモスやらパンダみたいなやつやら、とにかく連戦だった」ため息


荒岩「しかし、ようやく目的地だ。後は天然のトビガツオを捕まえるだけだ!!!」

_____六日目 グルメ界 海________


荒岩「どうにかたどり着いたはいいが、どうやって捕獲しよう…」ザザーン


荒岩「泳ぎには自信があるけど、襲われたら勝ち目がないしな…」ザザーン



ティート、ステープ「荒岩さーん!!!」


荒岩「二人とも、どうしたんだこんな所まで?」


ティート「荒岩サンがいなくなってから、食事が物足りなくテ」


ステープ「荒岩さんと一緒にきた探検家や美食家のみなさんが、みんな食べられちゃって暇になったんで」


ティート、ステープ「来ちゃいました!!」ニカー


荒岩(全員食われたのかよ…)


荒岩「まぁ、良いか」


ティート「そんな事より荒岩サン、寝てないんじゃありまセンか?」


荒岩「どうしてわかるんだ?」


ティート「目の辺りがくまが出来てマスよ」


荒岩「なーに、大丈夫だよ」


ステープ「寝不足で海中は危険です、というわけで」首筋アタック


荒岩「なっ何を! むぐっ…zzZ」


ステープ「眠りのツボです。数時間で目覚めるように加減はしてあります」


ティート「では、やりますかステープさん」


ステープ「ええ、この辺りの大物を片付けてしまいましょう」


ステープ「料理の発展に荒岩さんの料理の才能とグルメ細胞は欠かせませんからね、この挑戦はなんとしてでも成功させなければ」

________五時間後 海__________

荒岩「ハッ……!?」


ステープ「起きましたね。良く眠れましたか?」


荒岩「うむむ、まぁな」


荒岩(しかし、俺が一撃で落ちるとは。ステープさんは達人なのか?)


ステープ「そろそろティートさんも戻ってきますよ。なんでも、鬼マグロを捕まえるとかいって、潜ってるみたいです」


荒岩「鬼マグロ…? あの屈強な北の漁師100人がかりでも苦戦するというあの鬼マグロですか?」


ステープ「ええ、今の時期は油が乗っておいしいですからね」


ステープ「…もっとも、その鬼マグロを狙ったギガシャークが多くなるんですけどね…」


荒岩「何か…?」

ステープ「いえ、何も」


ステープ(いざとなれば、荒岩さんに調理を任せて私とティートさんが戦えばいいわけですし、杞憂だと良いのですが…)


ステープ「料理の為にも、冷えて帰ってくるティートさんの為にも、火おこしをしましょう」


荒岩「そうですね」火を起こす準備

_____さらに一時間後______



ティート「荒岩サーン!! ステープサーン!!ようやく捕まえましたよ!!!」


ステープ「お疲れ様ですティートさん」


荒岩「すごい大きさだな」


ティート「捕りたての鬼マグロデスよ、こいつの血液を海中に流しておきましたので、そろそろ匂いにつられてトビガツオがやってキマース」


ステープ「荒岩さん、行きましょう。ティートさんは、火で温まっててください」


ティート「頼みマシタよ、2人とも」


ステープ「勿論です」


荒岩「まかせろ」


ステープ「荒岩さん、炸裂弾はまだ残っていますか?」


荒岩「ええ」


ステープ「全部使いましょう」


荒岩「わかりました」


ステープ「武器は?」


荒岩「それが、ジャングルの中で落としてしまって…。包丁ならありますが」


ステープ「それにしましょう。武器とは言えませんが、手に馴染んだものが一番使いやすいですから」


荒岩、ステープ「行ってきます!!」

________グルメ界 海上________



ステープ「何か聞こえますか、荒岩さん?」プカプカ遊泳


荒岩「小さな鼓動のようなものが少し。でも、波にさえぎられてはっきりとは聞こえません」


ステープ「そこまでわかれば十分ですよ、ティートさんが撒いた鬼マグロの血に反応して、肉食の魚たちが集まってくるんですよ。そして、そのなかに天然のトビガツオもいるはずです」


荒岩「わかりました」


荒岩(とは言ったものの、どうやって捕獲しよう…)


ステープ「トビガツオは群れで行動します。確実に一匹は仕留めましょう」


荒岩「うむむむ…」




ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ドドドオオオオンンン!!!!!!!!

荒岩「うおっ、なんだこの音は…??」



ステープ「来ましたね、荒岩さん。魚群がこちらに向っています。包丁を構えて集中してください。奴ら、血に反応して高ぶっていますから、容赦なく襲いかかってきますよ」



荒岩「はい!!!」構え




シュウウウウウ……




荒岩「波が…引いてる…!?」


ステープ「この流れはもしかすると…、荒岩さん、…私たちはとんでもない大物と対峙するかもしれませんね」


荒岩「どういう事だ?」


ステープ「とにかく、目標はトビガツオです。今はそっちに集中しましょう」



荒岩「…はい」


荒岩(大物か…よく分からんがそっちにも興味が出るな…)




ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ドッ!!!!




ステープ「来ました!! トビガツオの群れです!!」

荒岩「うむ」


荒岩(精神を研ぎ澄ませ…、さぁ、魚群の流れを掴むんだ…)



荒岩「そこだああああああああ!!!!!!」ズシャアアアアッ!!!



_________その刹那、トビガツオの牙は荒岩に届くことなく、その包丁に貫かれていた________

荒岩「やりましたよステープさん!! これで、出汁の研究が出来ます!!!」


ステープ「良かったです荒岩さん。後は帰るだけですね…」ガタガタブルブル


荒岩「何をそんなに震えているんですか?」



___________目の前には巨大な魚影が動いていた_________


荒岩「何だ…、この魚は……?」



ステープ「……こいつの名前はギガントシャーク。グルメ界の海の___」


ステープ「最強生物です…!!」


荒岩「なんだって…」



ギガントシャーク「キシャアアアアアアアア!!!!!!」


荒岩(デカい…。体だけで10メートルは越えているゾ…)


ステープ「逃げましょう荒岩さん、こいつとはレベルが違いすぎます…」


荒岩「しかし、逃げ切れるのか…?」


ステープ「私が囮になりますから、荒岩さんはそれで逃げて下さい」


荒岩「それはダメです!」


ステープ「他に方法はありますか?」


荒岩「しかしっ…」

ステープ「それしか方法はないですよ、生き延びて出汁を作って下さい、私からのお願いです」


荒岩「……ダメです」


ステープ「なぜですか?」


荒岩「二人一緒に逃げるんだ、大丈夫、いけるさ」


ステープ「方法は、あるんですか?」


荒岩「俺の手元には炸裂弾と包丁、ステープさんは何を?」


ステープ「遭難用の食料と、手投げナイフ、炸裂弾を少し」



荒岩「あるだけの炸裂弾を一気に爆破させて、一気に逃げよう。幸い奴は目が悪そうだ、すぐに襲ってこない辺り、俺たちの事を海藻か何かだと思っているとみて間違いないだろう。警戒していない今がチャンスだ。さあ、逃げるぞ!」



ステープ「わかりました…」

ギガントシャーク「逃げ出す相談は済んだかい?」グオオオン!!



荒岩「!!」


荒岩(こいつ、最初から気づいていて見逃したというのか…?)


ギガントシャーク「逃げ出すんなら早くするんだな、俺の胃袋に入る時間が少しばかり長くなるがな」ニヤニヤ


荒岩(余裕ぶってる今がチャンスだ!)




荒岩「行くぞ!!」炸裂弾投げつけ


バババババババババアアアアアンンン!!!!!!!!!!

_______岸部付近_______



荒岩「もう少しで砂浜だ、早く上がろう」


ステープ「私は…、もう足が動かなくて…」


荒岩「しっかり、あと少しだ」


ステープ「もう、限界です…グルメ細胞が成長したというのに、この体たらくですよ…。足が…」



ギガントシャーク「足がどうしたってえええええ!!!!!!」海面からズシャアアアア!!




ステープ「うわああああああ、足が、足があああああ」




ギガントシャーク「けっ、人間の身体は脆いなあ、ちょっと牙を立てただけでこうなっちまうんだ」


荒岩「お前、なんてことを…」


ギガントシャーク「この世界でそんな甘っちょろい事は言えねえんだよ、弱肉強食って言葉はわかるか? つまり、そういう事だ」


荒岩「この…!!」


ギガントシャーク「おっ、お前は抵抗してくれるのか。楽しみだぜ。食らいな!!!!」左から突撃


荒岩「うおっ」ギャウンッ!!


荒岩(とっさに流れに身を任せたが、それで正解だったようだ。あのまま留まっていたら、俺は今頃、奴の腹の中だっただろう)

ギガントシャーク「良い反射神経だな。一流の魚になれるぜ」


荒岩「あいにく、俺はこれからも地上で生活したいんでね。お前と会うのもこれ限りだと願いたいものさ」


ギガントシャーク「口だけは立派だな、人間風情が」右から突撃!!


荒岩「はああああああ!!!!」躱しざまに包丁切り付け


ズシャアアンン!!!



荒岩「はぁ、はぁ、包丁の刃が欠けているのか…。これで奴も少しはダメージをくらったかな…」



ギガントシャーク「なかなか粘るな、人間。しかし、これはよけられるかなあ!!!」突撃!!



荒岩「くっ、早い」


ガリっ!!!!!!



荒岩「うわあああああ!!!!」


ギガントシャーク「素晴らしい反射神経だが、それまでだな」ペッ 荒岩の皮を吐く


ギガントシャーク「そろそろ決着だな」


荒岩(皮一枚だが、思ったよりもダメージがデカいな…)


荒岩(次の攻撃にかけるか、やってやる…!!!!)



ギガントシャーク「[ピーーー]ええええええええ!!!!」真っ直ぐ突撃!!!!


荒岩「うおおおおおおおお!!!!」



ガアアアアアアアアンンンン!!!!!

荒岩「……おおお…」バターン


_________ステープは確かに見た ギガントシャークの口内に荒岩の包丁が深々と突き刺さり、それに悶えるギガントシャークの姿が_____________



ギガントシャーク「畜生めえええ!!!人間が!!人間風情があああああ!!!!」



荒岩(口を深く刺せば、鮫が自力で取り除くことは不可能に近い、あいつがのた打ち回っているうちに逃げられるだろう…)


荒岩「さあ、岸に上がろう!」ステープの身体を掴む


ステープ「荒岩さん、お怪我は…?」


荒岩「しゃべっちゃいけない、あなたの方が重傷なんだ」


ステープ「荒岩さん、どうしてギガントシャークの攻撃する場所が分かったんです…?」


荒岩「あいつが自分の言葉で言っていたんだ。だから、最後に攻撃できた」


ステープ「そうですか…」


ステープ(やっぱり荒岩さんは食材の声が聞こえるんだ…!!)


荒岩「もう少しだから何とか持ちこたえてくれよ、タイ旅行の恩はこの程度じゃ足らないんだからな」



ステープ(……荒岩さん、やっぱりあなたは本物ですよ…)ガクリ



荒岩「これはいかん!ステープさん、おいステープさん!!!」

_________海 一時間後___________




荒岩「なんとかなるか、ティート?」


ティート「右足をほとんど食いちぎられてマスね。ここまで生きて帰ってきたのが奇跡に近いデスよ」


荒岩「どうすれば治せるんだ?」


ティート「一か八かデスが、荒岩さんの料理でグルメ細胞を蘇生させれば何とかなるかもしれません…」


荒岩「俺の…料理か…!?」


ティート「やりましょう荒岩サン、私もサポートしますよ!」


荒岩「それで、何を作ればいいんだ…?」


ティート「私が捕まえた鬼マグロがありマス。そして、荒岩さんはトビガツオを捕まえた。それでスープを作りましょう!」


荒岩「分かった」

________料理タイム__________


荒岩「トビガツオを良く洗い、アラを水を入れた鍋に入れて火にかけ、昆布を入れて両方の出汁が出るまで煮込む。その間にトビガツオの内臓を取って切り身をすりつぶして魚肉団子を作る」


荒岩「そして、鬼マグロを捌いて、こちらは身を一口大の大きさに切って、軽く炙るんだ。余分な脂を落とすことで、口あたりが変わるゾ」


荒岩「後はじっくり煮ていけば良いが……」


荒岩「ティート、そっちはどうだ…?」




ティート「かなり危ないデス…、生きているのが奇跡でしょう…」


荒岩「くそ、俺がもっと速くステープさんを逃がせていたら…」ナミダポロポロ


____その涙が何滴か鍋に入ったのでありました_____

荒岩「さぁ、出来たゾ!!」


ティート「やりましたね荒岩サン!」


荒岩「早く食べさせてやってくれ」


ティート「わかりまシた」


荒岩「頼むぞ…」




ティート「聞こえますか、ステープさん、このスープは、荒岩サンがあなたの為に作ってくれたモノです。なんとか、飲み込んで下サイ」


ステープ「……」ゴクリ


ステープ「……これは…この味は…」


ステープ(そうか…、ついに荒岩さんはやり遂げたんだ…)

荒岩「…よかった、なんとか飲み込んでくれたみたいだ」


ティート「後は、良くなるように祈るだけデス」


荒岩「そうだな…、俺たちも食うか…」


ティート「そうですね」


荒岩、ティート「いただきます」パクリ



ティート「!!!!」


荒岩「!!!!!!」


荒岩(なんだこの味わいは…、さっぱりした風味からは考えられないコクと旨味だ。鬼マグロの炙りも、油のしつこさも無くスープによく馴染んでいる…)


ティート「私が食べてきたどんな料理よりも美味しいデス……」


荒岩「…俺もだよ」


荒岩、ティート「美味い!!!!!」

________最終日 海_________




ステープ「……はっ!」


荒岩「ステープさん!! よかった…」


ティート「何とかなりましたね、本当によかったです」


ステープ「申し訳ない、最後に足を引っ張ってしまって…」


荒岩「助かってよかったです」


ステープ「それよりも、完成したんですね」ニカー


荒岩「ええ。出汁の研究も、鬼マグロの研究もできましたよ」ニッコリ


ステープ「この料理のおかげで私は生き延びる事が出来ました。本当にありがとうございます」


荒岩「うむむ、残念だが料理のレシピは発表するわけにはいかないな」


ティート、ステープ「どうしてですか?」



荒岩「こんなところにたくさんの美食家がやってきたら、ここの自然が崩れて、トビガツオをはじめ、たくさんの生物がいなくなってしまうかもしれない、だから、秘密にするゾ」


ティート、ステープ「荒岩さんなら、そう言うと思いましたよ」


荒岩「俺はただのサラリーマンさ、今回のグルメ界への旅も、俺は何も見なかった。そういう事にしておこう。レシピは無いが、家に帰ればいくらでも作れるし、な」ニヤリ



荒岩「パパは何でも知っている、ってな」

おしまいです


クッキングパパの漫画を読んでいたら思いつきました

こんなSSを読んでくれた人ありがとう<m(__)m>

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