幼女魔王「処女だけど寂しいから人型のしもべを手に入れて甘えたい」 (1000)




中立の町 紹介所




幼女魔王「あ、あの……」

猫耳職員「はい、どんな御用でしょうか」

幼女魔王「求人を出させていただ……出していた魔王ですが……いえ、魔王だけど……」

猫耳職員「はい……?」

幼女魔王「その、どのくらい集まりまし……あ、集まったかしら」

猫耳職員「あ、ああ、求人ですね! すぐにお調べしますので、紋章をこちらにお出しください」

幼女魔王「はい、お願いしま……い、いえ、早く頼むわよ」

猫耳職員「はい、かしこまりました」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382816643



猫耳職員(えーと、東大エリア、東第37小エリア……)

猫耳職員(あった、これね。辺境で、ずいぶん狭いわね)

猫耳職員(さてと、条件と希望者は……)

猫耳職員(…………)

猫耳職員(…………)

猫耳職員(……どうしよう)




猫耳職員「お待たせしました……」

幼女魔王「は、はいッ。あ……え、ええ、まあまあ早かったわね」

猫耳職員「こちら、結果になります……」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「白紙……」


猫耳職員「ぜ、0人でした」



幼女魔王「30日も前に出したのに……わたし魔王なのに……」

猫耳職員「あのう、余計なことかもしれませんが、少し条件を減らしてみると良いかもしれません」

猫耳職員「お客様の領地はできてすぐの、その……」

幼女魔王「……気にしないで言って」

猫耳職員「じゃ、弱小底辺クソ世界ですしッ」

幼女魔王「予想以上にひどいわね」

猫耳職員「……弱小底辺クソ世界ですしッ」

幼女魔王「ふもッ!!?」




傭兵ギルド 相談スペース


猫耳職員「まずこの人型限定というのが……」

幼女魔王「ごめんなさ……悪いわね、そこは譲れないの」

猫耳職員「では女性のみというところを……」

幼女魔王「そこも譲れないわ。恥ずかし……優雅にきめたいの」

猫耳職員「じゃあこの身長0.9h以上というのは……」

幼女魔王「だめよ。私より背が低い人に、抱っことかさせたらかわいそうだもん」

猫耳職員「……抱っこ?」

幼女魔王「忘れて」

猫耳職員「強さはレベル1から、というのはまあお似合い(笑)で良いと思うのですが……」

幼女魔王「その舌ラングドシャにして食べるわよ」





猫耳職員「うーん、困りましたね」

猫耳職員「じつは、条件を無視して、男性の希望者が何人かいたのですが」


幼女魔王「え、え?」

幼女魔王「私に仕えてくれる男の人がいるの?」

幼女魔王「わ、私、貧乳だけどいいの?」


猫耳職員「え、ええ。アピール用の人形まで見せてのことですので」

猫耳職員「全員、条件つきですが」


幼女魔王「そ、そうよね。私に無条件でなんて……あ、いや」

幼女魔王「まあ、どうしてもこの私に仕えたいってのは分かるけれど」

幼女魔王「条件をつけてくるなんて、思い上がりもいいとこだわ」



猫耳職員「そうですか、では他の方法を……」

幼女魔王「で、でもまあ、どんなのがいたかくらいは聞いておこうかしら」


















猫耳職員「では、条件のゆるい方から紹介します」

幼女魔王「ええ」

猫耳職員「戦士さん、種族は人間、レベルは087、年齢は26」

幼女魔王「ほう」

猫耳職員「実績として、マッドオーガの討伐、ショジョクイクラゲの討伐などなど」

幼女魔王「けっこう強いのね」

猫耳職員「アピールポイントは……あなたのお金よりも、あなたの心に仕えたい」

幼女魔王「か、かっこいい! ……の、かしら?」


猫耳職員「条件は」

猫耳職員『まず俺の子供を生むこと』


幼女魔王「………………」


猫耳職員「次は……」


幼女魔王「帰ります」






幼女魔王の城 レベル1 幼女魔王の部屋



魔動画『ペニーステーションポータブルの注目RPGソフト!』

幼女魔王「やっぱり外は怖いところよね……」

魔動画『プニっとマンスター、勇者バージョン&魔王バージョン!』


幼女魔王「一番ゆるい条件があれだし……」

幼女魔王「最後とかわけわかんなかったし……」


魔動画『トレーナーになって、たくさんのマンスターをつかまえろ!』


幼女魔王「ブリッジしながら俺のミルクを毎朝100リットル飲む、とか何よ」

幼女魔王「男の子ってやっぱり分からないわ」

幼女魔王「………男のミルクって、何なのかしら」









書き忘れすみません。

ほのぼのR-18描写があります。




魔動画『ぜんぶで515種類! 勇者バージョンと魔王バージョンで

    出てくるマンスターの種類がかわるぞ!』


幼女魔王「へえ、面白そう……」


魔動画『なんと! 捕まえたマンスターは、他のプレイヤーの

    マンスターと交換したり、対戦したりできる!』


幼女魔王「…………え」

魔動画『中には交換でしか捕まえられないマンスターも……!』

幼女魔王「…………」

魔動画『君もお友達と一緒に買って、遊び尽くそう!』

幼女魔王「………グスッ」



魔動画『すれ違い交換で、知らない人とも交換できるぞ!』



幼女魔王「!!」





どこかの喫茶店




だれか『え、私の欲しかったプニマンがいつの間にかいる』

だれか『いったい誰かしら、お礼を言いたい』


わたし『あら、交換に出してたプニマンがいなくなってるわね』ボソッ


だれか(え? もしかしてあの人……)

だれか『あ、あの!』


わたし『ん、私? いったい何かしら』


ともだち『も、もしかして、このプニマンはあなたのですか!?』

わたし『ええ、そうだけれど』

ともだち『わー、ありがとう!』

わたし『うふふ。いいのよ、たまたま出会っただけじゃない』

ともだち『すてき、運命みたい。運命のマンともだね……!』

わたし『もう、運命だなんて大げさよ。でも、そうね。

    あなたとの出会いには、運命を感じるわ……』

しんゆう『ねえ、幼女魔王ちゃんの家、

    遊びに行ってもいいかな……』

幼女魔王『私のお城? かまわないわよ。ちょうど紅茶とケーキもあるの』

しんゆう『え、お城……?』

幼女魔王『あ……。ふふ、あなたには隠せないわね。じつは私、魔王なの』

しんゆう『すごい、仕えたい!』

幼女魔王『あらあら、今夜は二人でプニマンパーティーね……』


ウフフフフ……

アハハハハ…………






幼女魔王「こここ、これだわ……!」

魔動画『みんなもプニマン、ゲットだぜ!』

幼女魔王「ゲットだぜ!」





三日後 幼女魔王の城 レベル1




配達人 「こんちゃーす。星魔女宅配便でーす」

幼女魔王「あ、あの、その、ごくろうさ……」

配達人 「こちらに血判おねがいしゃーす」

幼女魔王「は、はい、あ、あの、ごめ、ナイフとってく……」

配達人  チッ

幼女魔王 ビクッ

配達人 「……こちらナイフしゃーす」

幼女魔王「あ、ありがと……ございます」


スッ ブシュッ ポンッ


配達人 「あざっさっしゃーす」

幼女魔王「あ、あの、ありが……」


バタムッ 

ヒュイーーーーーー………


幼女魔王「…………」

幼女魔王「無人宅配便とかできないかしら」











幼女魔王の部屋




魔動画 『はい、これがいわゆるミミック詐欺なわけですが……』

幼女魔王「…………」


魔動画 『第三大世界同盟の幹部、魔貴族さんが昨日……』

幼女魔王「…………」テンテンテケテーン


魔動画 『って、お前それゾンビやないかい!』ワハハハハ……!

幼女魔王「………ボタンを連打すると捕獲率が上がる気がするわ」


魔動画 『本日も、第三大世界放送をご覧いただき、ありがとうございました』

幼女魔王「…………」デッデッデッデッ


魔動画 『完全生中継! オークに捕まった女騎士!』

幼女魔王「…………」


魔動画 『くっ、殺せ……!』

魔動画 『グヘヘヘヘ』

幼女魔王「…………zZZ」




魔動画 『ん、くぅ、ああん』

魔動画 『グヘヘヘヘ』

幼女魔王「どーだ、15センチアップ……むにゃむにゃ」


魔動画 『だ、だめ、殺せ、いっそ殺してぇ』

魔動画 『グヘヘヘヘ』

幼女魔王「むにゃ………えへへ…パパ、ママ」



………………



魔動画 『んっほぉおおおおおおおお!!』

幼女魔王「!!!?」


魔動画 『らめ、らめぇ! オークに肩もまれて気持ちいいのおおお!』

幼女魔王「…………」


魔動画 『グヘヘヘヘ』

魔動画 『んへええ!? そんにゃ、右肩ももまれたらおかしくなりゅううう!』

幼女魔王「…………」チャラララチャラララチャラララチャラララ


魔動画 『グヘヘヘヘ』

魔動画 『も、騎士のお仕事とかどうでもいいのほぉ……』


幼女魔王「…………」トゥルリロリンッ





………二日後










幼女魔王「誰の邪魔も入らなかったおかげで、かなり進んだわ」

幼女魔王「ストーリーもクリア」

幼女魔王「伝説のプニマンとかいうのも捕まえた」

幼女魔王「しかもほぼ全てのプニマンのレベルを最大まで上げた」

幼女魔王「誰の邪魔も入らなかったおかげで」



魔動画 『以上、第25小エリアで頻発している魔法少女失踪についてでした』

魔動画 『次のニュースは、鉱山ゴーストの孤独死……』



幼女魔王「……今日はもう寝ましょう」

幼女魔王「明日。明日になれば、このお城にもきっと」

幼女魔王「………うふふふふ」




中立の町 安酒場




狼耳店員「……あのガキ、まだいたぜ」


兎耳店員「うそっ。開店からずっと、もう8時間よ」

兎耳店員「あの子にテラスにいられると、客足に響くのよね」


狼耳店員「髪ピンク色のくせに滅茶苦茶くれーもんな」

狼耳店員「だが、いっこうに帰る気配がねえ」


兎耳店員「お金がないとかじゃないでしょうね」

狼耳店員「そう思って声かけたら、見ろよ、先払いとかで赤金貨10枚払いやがった」

兎耳店員「ここの一番いい部屋に30日は泊まれるじゃない!」


狼耳店員「ひゃひゃひゃ、あいつ物の価値が全然わかってねえ」

狼耳店員「まだまだ持ってそうだったぜ」


兎耳店員「ちょっと、それマズいんじゃないの?」

兎耳店員「貴族の娘とかだったら、殺される程度じゃすまないわよ」


狼耳店員「あんな寝癖ハネまくりのガキが、そうなもんかよ」

狼耳店員「……なあ、この金半分やるから、お前のおっぱい食わせてくんない?」


兎耳店員「いやよ!」

狼耳店員「ええー。じゃあ他のやつの買って食べちゃおっかなあ」

兎耳店員「……み、右耳だけなら……」

狼耳店員「いえーい、愛してるぜ兎耳ぃ!」

兎耳店員「も、もう狼耳ったら……!」





幼女魔王(先払いの酒場もあるなんて、知らなかったわ)

幼女魔王(あの狼耳の女の人、怖かったな。お金いっぱい払ってしまったわ)

幼女魔王(交換履歴は……なし)

幼女魔王(おかしいわね。こんなに強い子ばっかりなのに)


ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王(人通りもあるから、一回くらい交換があっても良さそうだけど)

幼女魔王(あ、もしかして、みんな遠慮してるのかしら)

幼女魔王(相手が強すぎると、ちょっと気がひけちゃうものね)

幼女魔王(遠慮しなくていいのに)




猫耳少女「……あら、もしかして」

幼女魔王「!!」




猫耳少女「やっぱり、この間の魔王さんですね」

幼女魔王「え、ええ、そうよ。その節はお世話になったわね」

猫耳少女「こちらこそ。これからお昼ですか?」

幼女魔王「そう、そうね。ちょうど今、フラッと立ち寄ったの」


猫耳少女「ふふっ。魔王は高級ホテルとかで食べると思ってたけど」

猫耳少女「なんだか親近感わきますね」


幼女魔王「!!」


猫耳少女「そうだ、少しお話ししたいことがあったので」

猫耳少女「一緒に食べさせてもらっても良いですか?」


幼女魔王「私にハ、はなし!? ええ、どど、ど、どうぞ!」

猫耳少女「それじゃあ、お邪魔しますね」




幼女魔王(同じテーブルで、一緒にごはん)

幼女魔王(これって、親友の証……!)

幼女魔王(私の運命の友はこの人だったというの!?)




猫耳少女「私、好きなんですよねー」

幼女魔王「え!?」

猫耳少女「ここのキャセロール」

幼女魔王「あ、うん。キャセロール」

幼女魔王(今度、作りかた調べておこう)

猫耳少女「あ、そうだ、お話しなんですけど……」





赤スライム娘「キャー、伝説のプニマンきてるー!」

幼女魔王  「!!」



黄スライム娘「え、マジ?」

赤スライム娘「マジマジ。うひょー、レベル100だ!」


幼女魔王  (猫耳の前だからペニステ見れないけど、きっと私のプニマンだ!)


黄スライム娘「くそー、いいなあ」

赤スライム娘「へへへー。でもすごいよね、発売から数日でレベル100って」

黄スライム娘「うん、すごい」


幼女魔王  「……えへへへ」

猫耳少女  「?」


黄スライム娘「すごい気持ち悪い」

赤スライム娘「ヘドロスライム並にヒくよね」


幼女魔王  「…………」


黄スライム娘「キモオタだよねきっと」

赤スライム娘「え、ちょ、やめてよ捨てたくなるんですけど」

黄スライム娘「しかも近くにいるんだよ。どこかで赤スラのこと見てるよ」

赤スライム娘「もー。やめてよー、消化するよー」



キャハハハハハ……



幼女魔王  「…………」




幼女魔王「……キモオタじゃないもん」

猫耳少女「……魔王さん?」

幼女魔王「まだ、ただのヒキオタだもん」

猫耳少女「あの、どうし……」

幼女魔王「……話」

猫耳少女「え?」

幼女魔王「話って、何」

猫耳少女「あ、はい」



猫耳職員「また男性ですが、しもべ希望がありました」

幼女魔王「…………」




幼女魔王(もうこの際、誰でもいいわ)

猫耳職員「今度の希望者は騎士さんです」

幼女魔王(子供でも何でも産んでやるわ)

猫耳職員「レベル0103、年齢は26」


幼女魔王(……キャベツ畑を用意しなくてはね)

猫耳職員「実績はジャイアント、ショジョクイゴリラの討伐などなど」

幼女魔王(キャベツ畑でどうやったら産めるのかしら)

猫耳職員「アピールは、我が命のすべてをお預けします」

幼女魔王(ち、チューとか? まあ、相手に聞けば教えてくれるわよね、きっと)



猫耳職員「条件は」

猫耳職員「ブリッジをして、俺のミル……」


幼女魔王「今回は縁がなかったということで」



猫耳職員「ま、まあ、気長に待っていればきっと見つかりますよ」


幼女魔王「でも私、貧乳だし……」

幼女魔王「ひきこもりのゲーオタだし……」


猫耳職員「魔王さん!」

幼女魔王「ひゃい、ごめんなさい!」


猫耳職員「魔王さんは可愛いんですよ! 魅力的なんですよ!」

幼女魔王「!!」

猫耳職員「もっと自信を持たなきゃだめです!」

幼女魔王「う、うん」


猫耳職員「……あ。ご、ごめんなさい、大声出して」

幼女魔王「ううん。あ、ありがとう」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「あの、良かったらこれから……」





猫耳少女「あ、いけない、もうこんな時間!」

幼女魔王「え」

猫耳少女「早く行かなきゃ、友達と待ち合わせしてるんです!」

幼女魔王「えっと」

猫耳少女「こんなことしてる場合じゃなかった!」

幼女魔王「…………」


猫耳少女「じゃあ私、失礼しますね!」

猫耳少女「また、当紹介所をご利用くださいね!」

猫耳少女「さよなら!」



ダダダダダダダダッ



幼女魔王「…………」

幼女魔王「友達……」



狼耳店員「失礼しまーす。水いかがすかー」

幼女魔王 ビクッ

狼耳店員「オイコラ水いかがすかーコラ」

幼女魔王「い、いらない……ません。帰ります、ので」

狼耳店員「ありがとうございましたー。では、こちらのトレイにお願いします」

幼女魔王「え?」

狼耳店員「後払い金。30枚」

幼女魔王「………はい」




幼女魔王の領地 城近くの野原




幼女魔王「もうやだお外こわい。みんな優しくない泣きたい」

幼女魔王「誰かの胸で思いっきり泣きたい。慰められたい」

幼女魔王「お城もまだボロボロだし、誰もいない」

幼女魔王「誰も甘えさせてくれない。私が泣いてるのも知らない」

幼女魔王「気が狂いそう」

幼女魔王「プニマンゲットとか、はしゃいでた私を殺したい」




??? 「あぎゃああああああああ!!!」




幼女魔王「!?」




幼女魔王(何かしら、獣の声? 私の領地にはいないはずなのに)

幼女魔王(お城の方からみたいね)

幼女魔王(……獣の声にしては、何か変だったような)






幼女魔王の城 門前




首輪少女「あが、が……」

淫魔幼女「もう一度、ほしいか?」

首輪少女「い、いや!」

淫魔幼女「いや?」

首輪少女「いやです! お許しください、淫魔少女さま!」

淫魔幼女「……わかっていないようだ」


ポチッ


首輪少女「あ……」







ビリビリビリビリ


首輪少女「いぎゃああああああああ!!」

首輪少女「脳みそ逝ぐ! ビリビリ暴れるるぐぐギギギギ!!」


淫魔幼女  「……主人の名前を間違えるな魔法少女」

首輪魔法少女「はい、はい、ずみまぜん! すみまぜん淫魔幼女さまあああ!!!」

淫魔幼女  「…………」



ポチッ


バチバチバチバチ


首輪魔法少女「はぎゃああああああああ!?」

首輪魔法少女「ぎょ、強ぎゅるッ、ギュぎゃあああああああああ!!」


淫魔幼女  「お前は魔法少女であり、豚に股をひろげる雌犬だ」

首輪魔法少女「はい! はい! 犬です! 私は犬なのおおおお!」



ポチッ


ブゥゥゥゥウウウウウン……


首輪魔法少女「んががががががッッ!!」

首輪魔法少女「ひぎッ、ひぎッ、ひぎいいいいいいい!!」

首輪魔法少女「なんで、なんでえええええええええ!!!」


淫魔幼女  「犬は犬の言葉を使え」






幼女魔王  「…………」

幼女魔王  「うわあ……」


















幼女魔王「元気そうね」

淫魔幼女「……姫か」

幼女魔王「相変わらず、外道な商売をしているのね」

淫魔幼女「貴様も相変わらず独りのようだな」

幼女魔王「……ツインテール持って縄跳びするわよ」

淫魔幼女「うるさい子宮にドラゴン詰めるぞ飯を食わせろ」

幼女魔王「………はい」



賢者モードきた。休憩。




厨房




トントントントン


幼女魔王「まったく、たまにフラッとやってきたら」


グツグツグツグツ


幼女魔王「ご飯食べさせろだの、新商品試させろだの」

幼女魔王「魔王を何だと思ってるのかしら、あの人」


ジューッ


幼女魔王「この前は魔法少女の解体ショーとかやりだしたし」


パァン


幼女魔王「…………」

幼女魔王「あれ、こういうのってわりと特別な関係じゃないのかしら」

幼女魔王「……まあ、違うんでしょうね」




夜 食堂



幼女魔王「今はどこをまわってるの?」


淫魔幼女「近場だ。30番座あたりだな」

淫魔幼女「相変わらずひどい。あのあたりは、もはや反魔物の魔法少女の領地だ」

淫魔幼女「最近は少し様子がおかしいようだが」


幼女魔王「ふうん……」

淫魔幼女「まあ、引きこもりのお前には関係ない」

幼女魔王「はいはい。ところで、教えてほしいことがあるのだけど」

淫魔幼女「なんだ」

幼女魔王「男のミルクって、どんな味? レアアイテムなの?」

淫魔幼女「…………」

幼女魔王「サキュバスのあんたなら何か知ってるんじゃないの」


淫魔幼女「……おれは男だ」

淫魔幼女「体が女なだけだ」



淫魔幼女「そうだな……今回の依頼は面倒だった」

淫魔幼女「犬のように忠実で、淫乱な処女の魔法少女だからな」


幼女魔王「え、あの、男のミル……」

淫魔幼女「魔法少女といえば魔物の敵であり、何より諦めが悪い。」

淫魔幼女「その魔法少女を処女のままで淫乱までおとすとなると難しい」

淫魔幼女「こういうのは痛みと快楽で調教するわけだが」

淫魔幼女「快楽でしつけるには、処女を奪っておくのが簡単なんだ」


幼女魔王「…………ミルク…」

淫魔幼女「そこで、だ」



淫魔幼女「このアイテムを使った」

淫魔幼女「脳に苦痛と快楽を与える首輪だ」

淫魔幼女「改良して、快楽の方を性的な絶頂の50倍くらいに設定した」


幼女魔王「……あなたの連れている魔法少女? のはめているのと同じ首輪ね」

幼女魔王「ふうん、一見すると普通の奴隷用首輪ね」

幼女魔王「…………」


淫魔幼女「…………」

幼女魔王「………ミ」

淫魔幼女「さ……」 

幼女魔王「…………」

淫魔幼女「…………」

幼女魔王「男のミルク」


淫魔幼女「最初に、通常の3倍の快楽を一度与える」

淫魔幼女「そして次からは命令を破るたびに苦痛を与える」

淫魔幼女「命令をこなせば、そのたびに2倍の快楽を与える」


幼女魔王(何なのよいったい)






淫魔幼女「しかしさすがは魔法少女(笑)、しばらくすると苦痛にも快楽にも慣れてくる」

淫魔幼女「そして、反撃に意識を向けはじめる」

淫魔幼女「そうやって隙ができたところで」


淫魔幼女「命令失敗の罰を苦痛から10倍の快楽に変更する」



淫魔幼女「何をしても快楽の、快楽地獄だ。どうやっても快楽だ」

淫魔幼女「今回は、ここで壊してはいけない」

淫魔幼女「魔法少女であることを放棄させては依頼にこたえたことにならない」


幼女魔王(無表情で話しながら、ご飯を食べてる。器用ね)


淫魔幼女「なので、魔法少女のプライドを刺激する言葉責めも加える」

淫魔幼女「命令を出す間隔も短くする」


幼女魔王(そういえば、私のつくった食べ物、絶対に全部食べてくれるのよね)



淫魔幼女「10倍というのは、魔法少女が理性を残したまま、絶対に耐えられない快楽の平均だ」

淫魔幼女「これに落ち着くまでに3人の魔法少女を廃棄することになった。残念だ」


魔王幼女「ツインテールが喜びで揺れまくっとるわよ。無表情のくせに気味悪いわよ」


淫魔幼女「そして、魔法少女は耐えやすい弱いほうの快楽を得ようと考える」

淫魔幼女「弱い方なら耐えられるし、耐えられなければ魔物の快楽に屈することになる」

淫魔幼女「弱い快楽を得ているうちは、魔法少女でいられるというわけだ」


魔王幼女(この人は魔法少女にペットでも殺されたのかしら)



淫魔幼女「そうなったら、褒美と罰の快楽の倍率を頻繁に入れ替える」

淫魔幼女「命令の間隔もさらに短くして、考える暇を与えないようにする」

淫魔幼女「魔法少女にできることは、おれの言葉に反発することと、弱い快楽……」

淫魔幼女「通常のン倍の"弱い"絶頂、を選ぶことだけになる」

淫魔幼女「弱い方の快楽の倍率を、8倍まで底上げする」

淫魔幼女「やがて、弱い快楽を与えるのを、命令をこなしたときだけに定着させる」

淫魔幼女「ここからが本番だ」

淫魔幼女「敗北を認めて惨めに許しを乞え、と命令する」

淫魔幼女「これを何度も何度も繰り返す」

淫魔幼女「何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も」



幼女魔王(明かりがあるのに、あたりが暗くなった)

幼女魔王(ちょっと肌寒い)



淫魔幼女「絶対に魔物に敗北して快楽を与えていただくために魔物に挑む、
     魔物を絶対に許さない高潔なクソビッチの魔法少女」

淫魔幼女「それを抵抗なく自覚するまで追い込む。これでだいたい完成だ」


幼女魔王(こんな話で打ち消すほど、男のミルクというものはすごいものなのかしら)




幼女魔王(…………なんか、飲みたくなってきたわね)





淫魔幼女「………という、ちょっとエッチな冗談なわけだが」

幼女魔王「処女あげるからちょっと殴らせてくれるかしら」





仮設雌豚小屋



幼女魔王(許可してないのに、変な建物ができてる)

幼女魔王(ここ、東西南北のお花畑にするつもりだったのに……)


淫魔幼女「実際はあんな面倒くさいことはしない」

淫魔幼女「20人くらい捕まえて媚毒漬けにして、依頼にこたえられるくらい
     適度にラリッたやつを残して、あとは解体した」

淫魔幼女「で、完成品がこれだったというわけだ」


ジャラッ…… 


淫魔幼女「ここの魔王だ、挨拶しろ魔法少女。今度は怒らせるな」

魔法少女「く、くうん、くうぅん」


幼女魔王(さっきの人ね)


淫魔幼女「今だけ話していい」

淫魔幼女「魔動画にも引っ張りだこだったお前の」

淫魔幼女「町中の子供も真似していた口上を聞かせてやれ」


魔法少女「ほ……」

魔法少女「星の光は……あ、愛の、輝き……お茶、目でカワイイ、せい、うぅ……正義の、味方」


幼女魔王(汚れたフリフリの衣装で四つんばいで、哀れすぎるわね)

魔法少女「悪い……スミマセン…ま、魔物に、きつーい、お、お・し・お・き……」

淫魔幼女「…………」


ポチッ


魔法少女「!?」

幼女魔王「!?」



このままだとほのぼの調教シーンばかりになるので、
感動成分を補充するために中断。


あとSSを書くのは初めてなので、
よかったらふたなりの是非についてアドバイスなどください。




魔法少女「ふきいぃぃぃいいいいいい!?」

幼女魔王「……淫魔幼女」

淫魔幼女「すまん間違えたこっち弱ボタンだった」

幼女魔王「いやいやいや」


ポチッポチッポチッポチッ


魔法少女「ヒッ、んヒッ、ひゃめッ、んへエエッ」

淫魔幼女「ははは、カクカク尻を振って馬鹿みたいだな」

淫魔幼女「雄を誘っているのか正義の魔法少女のくせに」


ポチポチポチポチポチポチポチポチ


魔法少女「んびいいいいいいい! ひぎぎぎいぃぃぃぃいい!!」

淫魔幼女「おいどうした誰が寝転んでいいと言った」

淫魔幼女「死にかけのカエルみたいな格好で痙攣して馬鹿か貴様は。ははは」



魔王幼女(さっきの話、本当だったんじゃないかしら)







淫魔幼女「さて、遊びはここまでだ。楽しかったか」

魔法少女「はヒっ……ぇ…」

淫魔幼女「楽しかったか」

魔法少女「わ、わんッ、ワンッ!!」


淫魔幼女「よし。では教えたとおり、犬の挨拶をしろ……」



淫魔幼女「この哀しき胸の魔王に」


幼女魔王「その黒外套を焼き海苔と代えてやりましょうか」




魔法少女「く、くうん……」

幼女魔王「ちょ、ちょっと。何でこっちに来るの」

淫魔幼女「挨拶のテストだ。依頼主に渡す前にな。協力しろ」

幼女魔王「もう、急にそんなこと……」

魔法少女「う。うぅ……グスッ、くうぅん、くぅん……」

幼女魔王(泣いてる。そりゃ泣きたくもなるわね)


ペロッ……


幼女魔王(……靴を舐められた)


ペロペロペロペロペロペロ……


幼女魔王(………………)





幼女魔王(負ければ何をされても文句は言えない)

幼女魔王(弱虫を助ける義務も責任もない)

幼女魔王(この世で生きのびるための常識だけれど)


魔法少女「ぅぐ、う……ぉえッ………」


幼女魔王(目の当たりにすると、なかなかきついわね)


淫魔幼女「………………」




淫魔幼女「……犬は主人に近づくときに尻尾を振る」

魔法少女 ビクッ

淫魔幼女「尻尾すらないお前は尻を振れと言ったはずだが」

魔法少女「ぁ……い……」

淫魔幼女「まあ、どうでもいい。もはや、どうでもいい」


ズ……

ズリュッ……


幼女魔王(淫魔幼女の外套が波打って、手が生えた……)


魔法少女「い、いや、いやああああああああああ!!!!」

魔法少女「お願いしますお願いしますお願いします!!」


幼女魔王(私の足にすがりついてくる魔法少女を、外套の手が掴んで引き剥がし……)

魔法少女「いやああああ!! 解体いやああああああ!!!」

魔法少女「許してください幼女淫魔さま! ご主人ざまあぁああ!」


スルッ ポンッ


幼女魔王(私のスカートとスパッツが脱げた)





淫魔幼女「こともあろうに主人への挨拶中にえづくとは………」

幼女魔王(外套の手は泣き喚く魔法少女の後頭部を潰すように握って……)

淫魔幼女「もう貴様はいらん」



幼女魔王(石机の角にドーン)




幼女魔王(私のスカートとスパッツと、よく見たらパンツも握り締めた魔法少女が)

幼女魔王(鼻を押さえて床をのた打ち回る……)


淫魔幼女「潰す前に試しておくか。快楽50倍を」


ポチッ

フォオオオオオオオオイオオオ


魔法少女「ぎぴいいいぃいいいいい!?」

淫魔幼女「よかったな死ぬ前にたくさん天国を見られるぞ」


魔王少女(他の下着、とってこようかな……)


>>55

魔王少女を幼女魔王に訂正



淫魔幼女「すまない間違えて30倍のボタンを押していた。50倍はこっちだ」

淫魔幼女「はははどうした全身の汁を垂れ流して」

淫魔幼女「よしせっかくだから血も全部流せ私が手伝ってやろう」

淫魔幼女「はははははなあ魔法少女どうして貴様は魔法少女なんだこのクソの肉袋」


幼女魔王(それから淫魔幼女は、無表情で笑いながら魔法少女をドーンし続けた)

幼女魔王(魔法少女の頭はどんどんタコみたいになっていった。金髪ダコだ)


淫魔幼女「人として死ねると思うなよクソがクソみたいに生かし続けてやるこのクソが」



幼女魔王(私はペニステの魔力充填をしていたことを思い出して部屋に戻り)

幼女魔王(そのまま、安酒場での出来事を思い出しながら枕を濡らして眠った)





幼女魔王(次の日、魔法少女のものと思われる深緑の魔法石と)

幼女魔王(白、黒、赤の金貨500枚ずつを置いて)

幼女魔王(淫魔幼女と魔法少女、急造の小屋は姿を消した)



幼女魔王(ついでに私のスカートとスパッツとパンツも)





なぞの空中城




謎の狐耳「やあ、わざわざ来てもらってすまないね」

淫魔幼女「ついでだ」

謎の狐耳「ついでにひょろっと来られる場所じゃないんだけどなあ」

淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「……魔法少女を売りさばいたついでかい」

淫魔幼女「…………」








謎の狐耳「部屋の温度が下がった」

謎の狐耳「恨みは健在というところかな」


淫魔幼女「深い貴族の間での流行が、ハーピィから魔法少女に変わった」

淫魔幼女「私の仕事のためにしかたなくやっているだけだ。情はない」


謎の狐耳「私の仕事か」

淫魔幼女「……おれの仕事だ」

謎の狐耳「ちょくちょくかわいい鬼畜だよね、君」




謎の狐耳「で、例のものは届けてくれたかい」

淫魔幼女「100枚ずつ、確かに」

謎の狐耳「そうそう、白黒赤、きっかり100枚ずつ」

淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「少ないけど、甘やかすのは良くないよね」

淫魔幼女「多すぎだ。白100枚あれば当分遊んで暮らせる」

謎の狐耳「へえ。さすが商人」

淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「……400枚ずつ上乗せしたら、どうなのかな」

淫魔幼女(……お見通しか)




ドダダダダダダダダダダダ


謎の狐耳「甘いのはお互い様というところで、あれだ」

謎の狐耳「本当は手紙の方が良かったのだけれど」

淫魔幼女「まさか……」


バターン!


謎の学者「あっはあああああああああああん!」

淫魔幼女「!!」





謎の学者「あーん徹夜明けにはたまんないわこれえええええ!」


クンカクンカクンカクンカ


淫魔幼女「…………離せ。顔をどけろ」


謎の学者「疲れた脳天に直撃するこのにおい!」

謎の学者「外套にしみつく幼女魔王ちゃんのに・ほ・ひ!!!」

謎の学者「ああああんもう久しぶりすぎて鼻血でそぉおおおほほほおおおおおう!!」


ブフゥウウウウウウウウーーーーーッ


謎の狐耳「ほらね」




謎の学者「あーんもう幼女魔王ちゃんなでくりまわしたい!」

謎の学者「幼女魔王ちゃんのおへそホジホジしたい!」

謎の学者「幼女魔王ちゃんの子宮培養して養殖して毎日ポン酢でいただきたい!」

謎の学者「幼女魔王ちゃんに毎朝私のミルク100リットル飲ませたい!!」


淫魔幼女「おいこいつ大丈夫なのか愛が猟奇的だぞ」


謎の狐耳「大丈夫だと思うよ。外套についてた残り香でこれだからね」

謎の狐耳「本物に会ったら死ぬんじゃないかな」


淫魔幼女「よくこんなのを部下に置いておけるな」




ゾロゾロゾロゾロ……


謎の馬頭  「まったく、朝からうるさいぞ謎の学者」

謎の悪魔  「ひゅー、大扉が派手に壊れてやがる」

謎の胃痛  「あああ、先月綺麗にしたばかりというのに……」

謎の精霊使い「ねーねー、誰かプニマン交換しないー?」

謎の勇者  「おい謎の狐耳、朝の決闘だ訓練場に行くぞおい」

謎の南瓜  「おい謎の狐耳、おれの葉巻しらないかおい」

謎の石像  「おい謎の狐耳おい」

謎の双子死神「おい謎の狐耳おい天空遺跡に行って来るぞおいー!」




淫魔幼女「……変態の国をつくるのか」

謎の狐耳「君もわりとこちら側だけどね」



謎の学者「さあ二人とも、ふざけてないで本題に入るわよー」



淫魔幼女(………こいつだけ何とか殺せないものかな)





なぞの空中城 星見塔



淫魔幼女「結界?」

謎の学者「そう。4つの大属性の結界、24の中属性の結界。100近くの結界を張るわー」

謎の狐耳「幼女魔王の世界にね」

淫魔幼女「なぜだ」

謎の狐耳「……謎の学者」

謎の学者「はいはい。暗くするわねえ」


ガコンッ


淫魔幼女(床が星空に……)

謎の学者「ザ・私プレゼンツ、魔法の界図第三大世界東方最新版よ」


淫魔幼女(星に見える1つ1つが世界ということか)





謎の学者「深世界第二層史上3番目に発見された大世界、第三大世界」

謎の学者「その東端、第四大世界との堺に近い中世界群」

謎の学者「そこに幼女魔王ちゃんの世界もあるわけだけれど」


謎の狐耳「どれかな」

淫魔幼女「これだ。この笑えるくらい小さいの」

謎の狐耳「あ、これゴミじゃないんだ。あっははは」




幼女魔王の城 玉座


幼女魔王「ヘックチ!!」

幼女魔王「……………風邪かしら」





なぞの城 星見塔




謎の狐耳「ここ最近、そのあたりが不安定になってきているんだ」

謎の学者「未知の世界群か他の何かが、接近している可能性が高いわー」

謎の狐耳「世界が交わると、いろんなことが起こる」


謎の学者「動植物の突然変異、世界の法則の崩壊、魔力、アイテムその他もろもろ」

謎の学者「私たち学者も匙を投げて裸で踊りだすレベルの予期せぬ変化が襲うのよー」


淫魔幼女「ああ、それで……」

謎の狐耳「彼女は匙を投げられた側だ。医者に」






謎の狐耳「世界のすれ違いは、私たちにとってはちょっとした祭りなんだけどね」

謎の狐耳「あの子のレベルだと、そうはいかない」

謎の狐耳「最初の村を出て3歩目くらいに出るスライムよろしく、他世界の軍勢に蹂躙されるだろう」

謎の狐耳「下手すれば捕まって、死ねた方がマシな状態にされるかもしれない」


淫魔幼女「それを結界で防ぐわけか」





謎の狐耳「出来る限り、強力なものをつくる」

謎の狐耳「外からも中からも絶対に壊れないものを」


淫魔幼女「閉じ込めるわけか」


謎の狐耳「そうだね。なに、大したことじゃない」

謎の狐耳「ほんの5000年程度だから」

謎の狐耳「彼女の寿命に比べたら限りなくゼロさ」




淫魔幼女「1人でか」

謎の狐耳「そうだね。結界内は単純な方がいい」

淫魔幼女「ほんの数年で心は弱りきっていたぞ。そこに5000年か」

謎の狐耳「違う」

淫魔幼女「…………」



謎の狐耳「知っているのに嘘を言っちゃいけない」

謎の狐耳「あの子に弱るような心はない」


淫魔幼女「…………」






謎の狐耳「もう私と君の知るあの子はいないんだよ」

淫魔幼女「…………」


謎の狐耳「あの子は心と体の隅々まで、メスやハサミで好き放題メタメタにされて死んだんだ」

謎の狐耳「正義とか、野心とか、そんなフワッフワした感じのもののために」


淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「あの子の中にあるのは、残りカスだ」

淫魔少女「…………」




淫魔少女「その残りカスを、あなたはどうでも良いというのか。
     それでもあいつの一部だぞ」


謎の狐耳「怒ったか。いい加減に感情の使いかたを覚えるべきだ」

謎の狐耳「そして何よりも、私がこの城の頂に座している意味を考えることだね」


淫魔少女「…………」

淫魔幼女「…………」


謎の狐耳「よろしい。君は激情家だが、馬鹿ではないはずだ」

謎の狐耳「いいかい」


謎の狐耳「あの子が、私の息のかかるところで、安全に、生きている」


謎の狐耳「大事なのはこれだ」




淫魔幼女「…………」

淫魔幼女「どうせ結界がなくてもあいつはボッチだ」


謎の狐耳「まったくだ。あと5000年も処女だなんて心躍るね」

謎の狐耳「ところで、依頼があるんだ」


淫魔幼女「聞こう」

謎の狐耳「あの子の世界を結界で閉じる前に、あの子といくつかの世界を旅行してほしい」

淫魔幼女「なんだ、思い出づくりでもさせるのか」


謎の狐耳「それもあるけれど」

謎の狐耳「結界の邪魔になるから、ついでにそれらの世界を消してほしいんだ」


淫魔幼女「…………」


謎の学者「はいこれ、ミ……邪魔な世界を花火にするスイッチ」

淫魔幼女「…………」

謎の学者「くれぐれも悪用しちゃ駄目よー」

謎の狐耳「くれあくだよ」

淫魔幼女「…………」






淫魔幼女「その世界のものは皆殺しか」


謎の狐耳「大丈夫、統治者のいない小さな世界ばかりさ」

謎の狐耳「それに安いものじゃないか。あの子の命に比べれば」


淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「いまさら良心でも痛むのかい。魔法少女を解体して焼き鳥屋に卸すような君が」

淫魔幼女「あいつは、こういうのは望まない」


謎の狐耳「だろうね、臆病だから」

謎の狐耳「それが何か問題あるのかな」


淫魔幼女「……つくづく恵まれん女だな、あいつも」


謎の狐耳「何を言ってんだい」

謎の狐耳「君だって、その手であの子の脳みそをグチャグチャにしたくせに」


淫魔幼女「…………」

謎の狐耳「どちらかと言えば君もこちら側さ」





邪魔な世界を消すスイッチ(7回分)を手に入れた。



淫魔幼女「帰る」

謎の狐耳「急だね」

淫魔幼女「いろいろと日程を調整しなくてはならん」

謎の狐耳「頼んだよ。近くの拠点まで送ろうか。物騒だから」

淫魔幼女「いらん」

謎の狐耳「そうか」

淫魔幼女「……忘れていた」


ドサッ


謎の狐耳「うん?」


淫魔幼女「みやげだ」

淫魔幼女「中にはあいつの使用済みスカートとスパッツと……」



淫魔幼女「パンツが入っている」

謎の狐耳「!?」

謎の学者「!?」




淫魔幼女(その後、謎の学者は鼻血を噴射して空高く消え)

淫魔幼女(謎の狐耳は幼女魔王のスカートで茶をいれた)

淫魔幼女(幼女魔王のパンツは帰ってきた謎の学者の帽子となり)

淫魔幼女(幼女魔王のスパッツは謎の狐耳の世界の至宝に列せられた)



淫魔幼女「変態どもめ……」

謎の狐耳「君もわりとこちら側さ」

はらぺーにょ




13日後 中立の町 紹介所


ワイワイ ガヤガヤ


猫耳職員「神殿騎士さん、レベル0122、年齢26」

幼女魔王(スカートとスパッツがないので、ブルマばかり履いている)

猫耳職員「実績は、アークデーモンの討伐、ショジョクイ遺跡攻略」

ブル魔王(あの日なくした服は、もれなく気持ち悪いことになってる気がする)

猫耳職員「アピールは、あなたの痛みは全て引き受ける」

ブル魔王(いい加減、服を新調しなきゃね)





猫耳職員「条件は」

猫耳職員「I字バランスで、俺のミルクを毎朝100リットル飲む」


ブル魔王「…………」

ブル魔王「わ、Y字バランスなら……」





中立の町 魔法服屋



ブル魔王「…………」


二本角店員「この帽子なんかどうでしょうかー」

デュラハン「えー、ちょっと派手じゃないかなー」

二本角店員「そんなことないですよー。お似合いですよー」


ブル魔王「…………」


三本角店員「わー、お客さん花柄マントにあいますぅ」

闇の騎士 「そ、そう……?」


一本角店員「それはダメ……。こっちの靴の方があなたにふさわしい……」

オーガ  「うがー」



ブル魔王(店員さんに見向きもされない……)






??? 「ぬうぉーーーーほっほっほっほっ!!!」

??? 「ぬうぉうぉーーーーほっほっほっほっ!!」

ブル魔王「!?」


魔貴族娘 「ここからここまで、このワタクシがぜんぶ、ぜーんぶ買ってさしあげますわ!!」

七本角店員「おありがとうございます魔貴族娘さま」


魔貴族娘 「土下座なんてよろしくてよ! まあもっとも? このワタクシが買ったと知れれば」

魔貴族娘 「こんな田舎のくっさい奴隷小屋みたいなお店にもお客が殺到して」

魔貴族娘 「一気に超有名店になっちゃうのは確信的に否定できませんけれども!」

魔貴族娘 「ぬうぉーーーーーーーほっほっほっほっ!!」




ブル魔王(あの縦巻きドリル髪、なーんか見たことがある気がするけど……)

ブル魔王(そうだ、一度だけ出席した魔王会議の会場にいた……えーと、名前は)

ブル魔王(……なんだっけ)





ブル魔王(まあ、関わらない方が良さそうね)


魔貴族娘「ほっほっほっほっ……あら?」

魔貴族娘「あらあらあらあら」


ズカズカズカズカ


魔貴族娘「あらあらあらあら!」

ブル魔王(なんか横に来た……)


魔貴族娘「誰かと思えばその貧相なお胸、幼女魔王さんじゃありませんの!」

ブル魔王「あなたも絶壁じゃない」





魔貴族娘「ぜんっぜん魔王会議に顔を出さないのでてっきり死んだと思ってたら」

魔貴族娘「より貧相になって生きてましたのね、どうでもいいですけど!」

魔貴族娘「ぬうぉーーーーーーほっほっほっほっ!!!」


ブル魔王「……そうね。確かに、あの頃の私は死んだわ」

魔貴族娘「ぬうぇ!?」


ブル魔王「今の私は幼女魔王じゃない。ただの、ブル魔王」

ブル魔王「ブルマをはくしか能の無い、ただの……ブル魔王………」


魔貴族娘「がっかり転生ですわね」






魔貴族娘「そもそもどうしてブルマなんですの?」

魔貴族娘「それって魔王になったときに貰える記念品でしょう」


ブル魔王「……しょうがないのよ。スカートとスパッツ盗られたんだから」

魔貴族娘「何ですってッッッ!!!!?」

ブル魔王「!?」


魔貴族娘「……コホンッ。それにしても、いくらなんでもブルマなんて……」

魔貴族娘「もっとマシなものが……」


ブル魔王「なかったのよ!!」

魔貴族娘「!?」


ブル魔王「ブルマと、ジャージしか!」

ブル魔王「なかったのよ!!」

ブル魔王「だったら!!!」

ブル魔王「みんな、ブルマをはくしかないじゃない!!!!」


魔貴族娘「ジャージじゃいけませんの?」





魔貴族娘「だいたい、たかがスカートとスパッツでしょう」

魔貴族娘「いくら何でも名前をかえるほどのことじゃ……」


ブル魔王「あれしか無かったのよ……」

魔貴族娘「え」


ブル魔王「スカートと、ちょっと破れたスパッツからはみ出る太もも!」

ブル魔王「私の幼女魔王っぽい個性は、あれだけだったの!」

ブル魔王「あれがなくなったら、幼女魔王という私は死んだも同然なの!」


ドワーフA「見てあのブルマー。ちょーダサーイ」

ドワーフB「ほんとだブルマちょー食い込んでるダサーイ死ねるー」


ブル魔王「…………」


ヌギヌギ


パンツ魔王「…………」

魔貴族娘 「…………」

パンツ魔王「死にたい!!」

魔貴族娘 「止める言葉が見つかりませんわ」




パンツ魔王「そういうわけで、こちとらあなたと話している暇はないの」

パンツ魔王「誰もがあなたみたいに、黙っててもご飯を食べられる生活を
       送っているわけではないの」


魔貴族娘 「いつまで店内でウサギさんパンツをさらしておく気ですの?」


パンツ魔王「はやく服を選んで、私は魔王としての私を確立させなくてはならないの」

パンツ魔王「そして予約していたスーパーゴーレム大戦Kを徹夜態勢でやりこむの」


魔貴族娘 「めちゃくちゃ自分を確立してるじゃありませんの」

パンツ魔王「さよなら、貴族のお嬢さん」

魔貴族娘 「混乱してますのね。あなた恥ずかしすぎて混乱してますのね」



魔貴族娘 「…………し」

魔貴族娘 「しかたありませんわねえ!」

魔貴族娘 「この、ワタクシが! 超絶セッレエェェエエブなこのワタクシが!!」

魔貴族娘 「あなたの肢体を柔らかに包む最ッッッ高級のお洋服をさしあげますわ!」

魔貴族娘 「たまたま! たまたま、あなたにピッタリのものを手に入れましたの!」

魔貴族娘 「まあ? これがあればド貧乳のあなたもたちまちモテモテ!」

魔貴族娘 「結婚したい魔王ナンバーワンになることは壮絶的に否定できませんけれども!」

魔貴族娘 「…………」

魔貴族娘 「…………」


七本角店員「……………」

魔貴族娘 「……もし」

七本角店員「はい」


魔貴族娘 「ここに、一晩中撫でたり叩いたりしていたいお尻の魔王がいたと思うのですけれど」

魔貴族娘 「どこ行きましたの?」


七本角店員「ブルマおろしたまま物凄い速さで出ていかれました」

魔貴族娘 「…………」

七本角店員「こちらお会計になります」

魔貴族娘 「…………」

七本角店員「しめて黒金貨70万ま……」

魔貴族娘 「700万枚くらいでよろしいかしら」

七本角店員「ぴったりでございます」


休憩。
胸糞すいません気をつけます。

一晩中撫でくりまわしたいお尻の魔王様のもとで働きたい

ふたなりレズセックスっていいよね



>>97

もしも、幼女魔王がブルマに足を引っ掛けて転んだら




>>93の途中から分岐



貴族娘の別荘の宮殿 秘密の地下室



幼女魔王(魔法服店で、ブルマ脱ぎかけで走って転んで気絶した)

幼女魔王(目が覚めたら知らない部屋のベッドに大の字で縛られていた)

幼女魔王(……装備はパンツ一枚だけで)

幼女魔王(窓のない部屋には、たぶん、媚薬の香りが充満している)


魔貴族娘「ふふふ、気がつきましたわね」

幼女魔王「………!」

魔貴族娘「愛の妙薬に包まれてのお目覚め、いかがかしら。サキュバス谷産の高級品ですのよ」

幼女魔王「ふうん、そうなの。何ともないから気づかなかったわ……」



魔貴族娘「うふふふ、あらあら残念」

幼女魔王「……そろそろ帰してほしいのだけど」


魔貴族娘「それは駄目ですわね」

魔貴族娘「貴族であるワタクシの話の途中で帰ろうとした無礼な魔王には」

魔貴族娘「たっぷり、ぬっぷり、おしおきが必要なのですわよ」


幼女魔王「……おしおきって」

幼女魔王「このフカフカの気持ちいいベッドに裸で縛られてることかしら」


魔貴族娘「うふふふ……もちろん違いますわ」



カツカツカツカツ………




ギシッ………



幼女魔王(魔貴族娘はしなだれるようにベッドに腰掛けると)

幼女魔王(オイルだろうか。濡れ光る褐色の手のひらを、私の太ももの上ですべらせ始めた)



魔貴族娘「うふふ。ご覧になって、あなたの白い肌と私の黒い肌のコントラスト」

魔貴族娘「サキュバス谷産のオイルで光って、綺麗だと思いませんこと?」


幼女魔王「じょ、冗談は、ぁ…やめ……ぇ……」



幼女魔王(ときどき内側の根元までするりと手がくるので)

幼女魔王(そのたびに、私の両足は反射的に閉じようとする)

幼女魔王(けれど股を開いたまま縛られているので)

幼女魔王(結果、私はクイクイと腰をくねらせることしかできない)



なんかこれ長くなりそうなんだけど
そういう場合はあとで別のとことかでやった方がいいんですかね。



さわっ……さわっ……


魔貴族娘「というか、おしおきというより、ご褒美ですわね」



幼女魔王(魔貴族娘は甘いケーキを味わうような)

幼女魔王(はたまた捕まえた獲物を舌なめずりしながらなぶるような)

幼女魔王(弱い者の不安をかきたてる、ねっとりとした不思議な笑みを浮かべて)

幼女魔王(ついには私の全身を撫で回すようになった)



幼女魔王「くっ、ふ……! やめ、なさい!」



幼女魔王(不自由な私は、募る反抗心と)



幼女魔王「ぅあッ……そこ、やめ………」



幼女魔王(まるでつかめない霧のような、お腹の底でざわめく不気味な感覚に翻弄されながら)

幼女魔王(魔貴族娘の思いのまま)

幼女魔王(操り人形のように無様な踊りを披露し続けた)

メインストーリー完結してからここでやりゃあよかったんじゃ

>>103
ありがとうございます





魔貴族娘「ふふっ……本当に綺麗なお肌」

魔貴族娘「そして、薄っぺらなのに指で押すとマシュマロのようにやわらかい」

魔貴族娘「かすかな、本当にかすかな二つの膨らみの頂点に咲く……」


幼女魔王「や、やめ……ッ!!」


クニッ


幼女魔王「!!?」

魔貴族娘「桃色の小さな花……」


クニクニクニ……


幼女魔王「ふあ、ぁ…ぁあん……」

幼女魔王「クッ……! ふぅッ…ぐ……や、やめなさ…」


クニュクニュクニュクニュ


幼女魔王「~~~~ッ!! ッ! ッッ!!」



魔貴族娘「あらあら、どうしたんですの」

魔貴族娘「お腹がまるで……うなぎみたいにビクビクうねってますわよ」

休憩

さあどうしようまじでどうしよう



幼女魔王「ううぅる、うるさ……ひぃん!」

幼女魔王「こんな…ッ、無駄なこ、とぉ……やめなヒャンッ……い!」


魔貴族娘「まあ怖い、そんなに歯を食いしばって……」

魔貴族娘「そうですのね、このくらい、魔王のあなたは何ともありませんのね」

魔貴族娘「それでは……こちらも奥の手を使わせてもらいますわ」


幼女魔王(今にも我慢できなくなりそうなのに、まだ上がある)

幼女魔王(お腹の底に謎の疼きを閉じ込めるのでやっとの私は)

幼女魔王(その言葉に恐怖する余裕はなかった)

幼女魔王(執拗に胸をなぶる手が一つ減っていたことに気づく余裕も……)




グニュッ………


幼女魔王「!!」


幼女魔王(いつの間にか魔貴族娘の手のひらが、私の大事な所を包んでいた)

幼女魔王(魔貴族娘は片方の手で私の胸への責めを続けながら)

幼女魔王(もう片方の手の平全体で、私の大事なところをパンツごとこねくり回す)


グニュグニュグニュグニュ……


魔貴族娘「お分かりかしら。あなたのここ……用意されたみたいに、私の手のひらにすっぽり納まってますのよ」

幼女魔王「はひッ……くふぅうう…ッッ!! んうぅ、んぐんんんんッッ!!」

魔貴族娘「あン……どうしましたの。腰の上下運動が、より激しく、はしたなくなってますわよ」




グニュグニュグニュ

グチュ……


魔貴族娘「あら?」

グチュッグチャッ

幼女魔王「く、ふぅううッ…くふうぅうウゥウウ………ッッ!!」

魔貴族娘「あらあらあらあらぁ?」


グチュグジュグジュグジュッ……!!


幼女魔王「!? 激しくなッ、ぁ……あ、ふあ、アッ、あぁああああああ!!」


魔貴族娘「ウサギさんパンツが、どんどんグッショグショになりますわよぉ?」




魔貴族娘「布地から染み出すこのねっとりとした感じ」

魔貴族娘「これはもしや、ら~ぶら~ぶじゅ~すではありませんの?」


グシュグシュグシュ……


幼女魔王「ら、らぶ……ひぅッ…ら、ら……ッ? はぅんッ」


魔貴族娘「まさか知りませんの? 媚薬は知っているふうでしたのに」

魔貴族娘「……大事な所に愛を受け入れたいと思ったとき、乙女が分泌するものですわ」

魔貴族娘「つまり、あなたの心がワタクシの愛を求めているということですの」


幼女魔王「そ、そんな……ち、ちがッ、そ、そんなはずッ……」

幼女魔王「は、はやく手を止めッ……」


魔貴族娘「あらあら何をおっしゃいますやら」

魔貴族娘「ついさっきから、私は手を動かしていませんわよ」


幼女魔王「!?」

魔貴族娘「動いているのは、あなたの方じゃありませんか」


子宮に直接スライムを召喚されて擬似ボテにされるとかふたなりにされて触手で責められるとかいうシチュもいつか希望



ガクンッ……ガクンッ……

グシュッグシュグチュッ……


幼女魔王「あ、あああ………いや、止まッ、止まって……」


魔貴族娘「夢中でクネクネと腰を振って恥部を擦り付けてくるなんて」

魔貴族娘「まったく、なんていやらしい魔王なのかしら」


幼女魔王「ちがう……これ、ちがう……んんんッ」

幼女魔王「び、媚薬……! 媚薬のせ……」


魔貴族娘「嘘はだめですわ」

幼女魔王「!?」


魔貴族娘「きかない、とおっしゃてたじゃありませんか」




魔貴族娘「さて、そろそろこちらも動かしますわよ」

幼女魔王「まッ、待ちなさ……待っ………」


グッチュグッチュグッチュグッチュ……


幼女魔王「ひうううううううう!!」



幼女魔王(限界はとっくに過ぎていた)

幼女魔王(お腹の底の大きな疼きが力強く脈打つのを止めるなんてこと、できなくなっていた)

幼女魔王(頭の奥が甘く痺れて、うまく思考できない)

幼女魔王(でも、とにかく耐えなきゃ、私の大切な何かが終わる気がした)

幼女魔王(……私は魔王。こんな魔貴族娘に手だけで翻弄されるなんてこと、あってはいけない)

幼女魔王(絶対に、耐えてみせる。何時間でも、もしかしたら何十日でも………)


魔貴族娘「……………」


…………クリッ


幼女魔王「ッ!!!」




















魔貴族娘「いやですわ、ごめんなさい。手がすべっちゃいましたわ」

魔貴族娘「何しろここ、ヌルヌルの大洪水ですので。フフフ……」


幼女魔王(な、何? 魔貴族娘の指に何かを引っかかれて、一瞬意識がトんで……)


グシュグシュグシュグシュ


幼女魔王「あ……ぐくッうぅ…。 うぐ……んふぅう!!」

幼女魔王(だ、だめ、完全に気を抜いてた。集中しなきゃ……!)


魔貴族娘「でもさっきの、すごかったですわねえ」

魔貴族娘「幼女魔王さんたら、腰を高く突き出して」

魔貴族娘「足をピンと張って顎をそらせて……」

魔貴族娘「ありえませんけど、まるでイッてるみたいでしたわ」


幼女魔王「イ……?」


魔貴族娘「それも知りませんの?」


クリッ………


幼女魔王「ふきゅううう!?」

魔貴族娘「こういうことですのよ」





幼女魔王(嘘よ……こんなの。さっきまでのがまるで遊びじゃない)

幼女魔王(疼きが爆発してお腹の底から一気に広がって)

幼女魔王(全身がとろけてしまう……)


幼女魔王「ぁ……ぁへ………ぁは…」


魔貴族娘「あらあら、大きなツリ目が見る影もなくトロンとなっちゃって……」

魔貴族娘「だらしない笑みも浮かべちゃって……」

魔貴族娘「……えいっ」


コリッ!


幼女魔王「はひいぃぃいい!?」

幼女魔王(だめ、イッたら壊れる)


魔貴族娘「あ、そーれっ」


クリックリッ……!


幼女魔王「はひゅっ…はひッ、ヒきゅッ…ヒひゅッ!!!」

幼女魔王(絶対イかない、絶対、絶対……)


魔貴族娘「それそれそれそれイキまくりッ」


コリコリコリコリコリコリコリコリ


幼女魔王「ぃぐッ……ぐきぃいッひいいい!! くぎゅうぅぅうう!!」

幼女魔王「やめてぇええ! 止めてえええええええ!!」


魔貴族娘「布越しに爪で引っかかれるのが大好きみたいですわね」


コリコリコリコリコリコリコリコリ




幼女魔王(魔貴族娘は休むことなく、私の一番敏感なところを責め続けた)

幼女魔王(手が離れ、やっと終わったと思ったら)

幼女魔王(それまでよりも長い時間、口で吸われ、舌で弾かれ、歯で噛まれ続けた)

幼女魔王(私は、瞬間的に頭に浮かぶ懇願の言葉を、喉がかれても延々と叫び続ける)

幼女魔王(魔貴族娘の足の小指一つでどうとでもなる、イクためだけの玩具になっていた)



魔貴族娘「…………ぷっはぁ! かー、たまんねー! ですわぁ!!」

魔貴族娘「……あら、もうこんな時間。あまりに幼女魔王さんのジュースがおいしくて」

魔貴族娘「夢中になっていましたわね」


幼女魔王「……ッ………ッッ」


プシュッ……プシャッ……


魔貴族娘「うふふ、まだ湧き出してますわね。さすがですわぁ」

魔貴族娘「まだまだ味わってもいいですけど……」

魔貴族娘「ほら、そろそろ天国からお戻りになって」


コリッ!


幼女魔王「かひゃいい!? う……? あ、ぁあ………」

幼女魔王「ぃ、や………も、ごめ……なさ………」


魔貴族娘「下準備が終わったところで、本番を始めますわよ」


違うんだ数レスやってこうですか分かりませんするつもりだったんだ
あとは愛と優しさのあふれるほのぼのものに戻すつもりだったんだ
でもインスパイアーザネクスト日立が止まらないんだ休憩します



幼女魔王「本番……?」

魔貴族娘「そう、今度はワタクシも一緒に気持ちよくなりますのよ……」


ヌギヌギ………


魔貴族娘「さっきから、ずっと苦しかったんですの」


ブルンッ


幼女魔王「ひっ!?」

魔貴族娘「うふふふ、どうしたの可愛らしい悲鳴を上げて」

幼女魔王「だ、だって、それ、男の人の……」


ビクンッビクンッ


幼女魔王「ッ!?」

魔貴族娘「ンッ……ふふ、あなたがあまりにも可愛いから、暴れっぱなしですわ」

幼女魔王「な、なんであなたにそれが……」

魔貴族娘「これぞ我が魔貴族家に伝わる禁断の魔法、フタナールの力ですのよ」




魔貴族娘「さあ、これからワタクシの暴れん坊が、あなたの処女をいただきますわよ」

魔貴族娘「ふふ、いくらあなたでも、もう何をするか察しはつきますわよね……」


幼女魔王「ひぅ、む、無理よ………だってそれ、私の腕より大き……」


魔貴族娘「ええ、先っぽだけでも半分は埋まりますでしょうね」

魔貴族娘「見て……この立派な肉のかさ」

魔貴族娘「ブリンブリンのこれであなたの中をゴリゴリ削ったら、どんなに夢心地かしら」

魔貴族娘「あはぁん、想像しただけでまた……」


ムクムク……


幼女魔王(そんな……まだ大きくなるの!?)


魔貴族娘「大丈夫、ちゃんと入りますわよ。そのためにたっぷり濡らしたんですから」

魔貴族娘「………それじゃあ、いきますわよ」

魔貴族娘「私の先っぽを、あなたの入り口にキスさせて……」


幼女魔王「や、やだ。やだやだ、やだ……お願い……本当にやめて……」


魔貴族娘「うふふ、腰をくねらせても無駄……」



グチュッ…………




幼女魔王「…………」

幼女魔王「………ふえ」


魔貴族娘「?」


幼女魔王「ふええ、ふえええぇええええん……」


魔貴族娘「!?」



魔貴族娘「よ、幼女魔王さん?」


幼女魔王「本当に……グスッ……もういやぁ……」

幼女魔王「あやまるから、もう許してよぉ………」

幼女魔王「何でもするから、もうおうちに帰らせてよぉ……」

幼女魔王「ふええ、ふええええええ……」


魔貴族娘「…………」





魔貴族娘「………嫌われたものですわね。わかりましたわ」

幼女魔王「ふぇ?」

魔貴族娘「私だって、愛する人のはじめてを無理やり奪うようなこと、したくありませんもの」

幼女魔王「あ、愛……?」

魔貴族娘「今となってはむなしい言葉ですけれど、本当に愛していますのよ、あなたのこと」

幼女魔王「そ、そんな、あなたと私は……」


魔貴族娘「性別なんて、関係ないの」

魔貴族娘「……一目ぼれ、でしたのよ」


幼女魔王「…………」

魔貴族娘「あなたと添い遂げるためなら、この身分にさえ未練はありません……」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「…………ほ」

幼女魔王「本当に私のこと……愛してくれているっていうの?」


魔貴族娘「ええ。この二本の縦巻きドリルヘアーに誓って」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「………ふええ」





幼女魔王「はじめて……」

幼女魔王「はじめて愛してるって言ってもらえたぁ……」


魔貴族娘「こんなに涙を流して……。ひとりで、辛かったんですのね」

魔貴族娘「でもワタクシなら、あなたを寂しくはさせませんわ」


幼女魔王「ほんと? グスッ……ほんとぉ?」

幼女魔王「私、もうお祭りや遊園地に一人でいかなくていいのぉ……?」


魔貴族娘「ええ。ですから、今回のことは、許してくれませんこと?」

魔貴族娘「そして、一からやり直しましょう……友達として」


幼女魔王「……友達」

幼女魔王「………うん」




魔貴族娘「ふふふッ……可愛い声でお返事をするのですわね」

幼女魔王「あ、ち、違うの。今のは忘れて……忘れなさい」


魔貴族娘「はいはい……」

魔貴族娘「それじゃあ、仲直りのキスをしましょう」


幼女魔王「うぇっ……で、でも………」


魔貴族娘「安心して。いやらしい意味ではないの」

魔貴族娘「親友同士なら、普通にすることなのよ」


幼女魔王「!」


魔貴族娘「あ、あらあら! 親友だなんて、私ったら図々しかったわね」

魔貴族娘「あなたと仲直りできるからって、ちょっと舞い上がっていたわ」

魔貴族娘「キスは忘れてくださいまし。じゃあ縄を切りますわね……」


幼女魔王「………親友」

幼女魔王「…………キスする」





魔貴族娘「……い、いいんですの?」


幼女魔王「ええ。……私たち、し、親友? だから」

魔貴族娘「ああ、幼女魔王さん!!」


ギュウウウウッ


幼女魔王「ちょ、ちょっと、まだ敏感だからそんなに強く抱きつかないで……」


魔貴族娘「すみませんわね、でも、ワタクシうれしくて……」

魔貴族娘「はじめての親友と仲直りのキスができるなんて!」


幼女魔王「はじめての親友……。わ、わたしも、うれしいわ……」

魔貴族娘「うふふ。では、その唇、いただきますわよ……」

幼女魔王「…………うん」



………ムチュッ



魔貴族娘「チュルッ……チュム………」

幼女魔王「ン……フゥッ………」

魔貴族娘「チュルルッ、レロレロレロ……」

幼女魔王「~~~~~~ッ!」


幼女魔王(魔貴族娘は舌をたくみにつかって私の口中を撫で回し)

幼女魔王(戸惑う私をリードしてくれた)

幼女魔王(神聖な親友同士の儀式なのに、彼女の舌が私の舌と絡みついたとき)

幼女魔王(私はお腹の底にあの疼きを感じてしまって、もうしわけなくなった)

幼女魔王(でも……)


魔貴族娘「ぷぁ……、ごちそうさまですわ。では縄を……」

幼女魔王「あ……」

魔貴族娘「あ、あら、どうしたんですの? すごく切ない顔をして」


幼女魔王「あと少しだけ……」

幼女魔王「あぅ、う、ううん。何でも、ないわ……」


魔貴族娘「!」

幼女魔王「…………何でも、ないの」

魔貴族娘「わかりましたわ」


チュウッ……


幼女魔王「ッ! …ん………」

魔貴族娘「ヂュル……チチュウウゥ」





魔貴族娘「チュルッ……チュム………」

幼女魔王「ン……フゥッ………」

魔貴族娘「チュルルッ、レロレロレロ……」

幼女魔王「~~~~~~ッ!」


幼女魔王(魔貴族娘は舌をたくみにつかって私の口中を撫で回し)

幼女魔王(戸惑う私をリードしてくれた)

幼女魔王(神聖な親友同士の儀式なのに、彼女の舌が私の舌と絡みついたとき)

幼女魔王(私はお腹の底にあの疼きを感じてしまって、もうしわけなくなった)

幼女魔王(でも……)


魔貴族娘「ぷぁ……、ごちそうさまですわ。では縄を……」

幼女魔王「あ……」

魔貴族娘「あ、あら、どうしたんですの? すごく切ない顔をして」


幼女魔王「あと少しだけ……」

幼女魔王「あぅ、う、ううん。何でも、ないわ……」


魔貴族娘「!」

幼女魔王「…………何でも、ないの」

魔貴族娘「わかりましたわ」


チュウッ……


幼女魔王「ッ! …ん………」

魔貴族娘「ヂュル……チチュウウゥ」



>>130 

無かったことに



魔貴族娘「チュッ……ベロチュ……」

幼女魔王「…ッ……ッ…」

魔貴族娘「チュバッ…チュバッ…」

幼女魔王(あ、だめ……腰が動いちゃう、恥ずかしい)

魔貴族娘「……………」


魔貴族娘「……………」

魔貴族娘「…………デスワッ」




ズブッ


幼女魔法「ひぎぃッ!?」



>>132

×幼女魔法
〇幼女魔王

脳がいい感じにキマッとる。



ブツッ……ブチッ……


幼女魔王「え、ちょ、う、うそッ……膜がやぶ、破れる……!?」

魔貴族娘「…………」


幼女魔王「ね、ねえ……やめ、やめて。ねえ、今なら間に合うから……!」

魔貴族娘「…………」


ズズズ……


幼女魔王「私の大事なとこからソレ抜いてぇええ!!!」

魔貴族娘「ですわあああああぁ!!」


ブチィイイイッ!!


幼女魔王「い………」

幼女魔王「いやぁああぁぁぁああああ!!」




ズチュズチュズチュズチュ!


幼女魔王「うわあああぁぁぁああんッッ!! 言ったのに! しないって言ったのにぃ!」

幼女魔王「うそつき! うそつき!」

幼女魔王「うそつきいいいいぃぃいいい!」


魔貴族娘「つきますわよ!!」

魔貴族娘「突きまくりますわよ!!」

魔貴族娘「あなたが悪いんですのよ!!」

魔貴族娘「あんなトロンとした表情で!!」

魔貴族娘「大きな瞳を熱くうるませてプニプニ頬っぺたほんのりピンクに染めて!!」

魔貴族娘「美の女神のおわす静謐な湖の朝のような可愛い声であんなこと言われちゃいましたら!!」


魔貴族娘「プニマン、ゲットするしかないじゃない!!」





グチュグチュグチュグチュ!


魔貴族娘「ああああああ最高ですわ最高ですわ最高ですわ!!」

魔貴族娘「先っぽでクチュクチュしてるだけで快感がビリビリ駆けのぼってきますわああああ!!」

魔貴族娘「ああ出ますもう出ます出しますとも幼女魔王さん専用子種汁ドパドパ出しますとも!!」


幼女魔王「!!!!」

幼女魔王「い、いや、いや、いや、いや!!」

幼女魔王「いやいやいやいやいやいやいやいやいやあああああああ!!」


魔貴族娘「いいですわよねしかたないですわよねやむをえませんわよね!」

魔貴族娘「あなたをこの部屋に連れてきたときから」

魔貴族娘「ワタクシもうずっと暴発寸前でしたんだから!!」

魔貴族娘「決定はい決定!! 幼女魔王さんの子供部屋の卵子さんにドパドパぶっかけ決定!!」


幼女魔王「いや、いやああああああああああああああ!!」

幼女魔王「助けて! 誰か助けてえええええええええ!!」


ドクッ………


魔貴族娘「んうぉッほぉぉおおおおおおおおおおおしゅごいの出ますわあああああ!!!」


ドクドクドクドクドクドクドク!!




魔貴族娘「ああぁ~、何ですのこれぇ。目の奥で星が弾けてますわぁああ」


ビューーーッビューーーーッ………


幼女魔王「あ、ぁああ、抜いてえ……も、うぇっぷ……出さないで…ぇ……」

魔貴族娘「あああまだ出ますわまだまだ出ますわ」


ビュルルルルッ……グチュ…グチュグチュグチュ


幼女魔王「ひぃいッ!? ……なんで、なんでまた動くの、ぉ……」


魔貴族娘「あああ出る出る出しながら動きますわ出るんですものぉおお」

魔貴族娘「出しながら動くの最高ぅぅうおおほおおおおお!!」

魔貴族娘「この快感を幼女魔王さんにも味わわせてあげたい!」

魔貴族娘「いいえ! これの数百倍の快感を味わわせてあげたい!!」

魔貴族娘「味わわせるべき!!」


グチュチュチュチュチュチュチュチュ!


幼女魔王「ひぃぃいいいいいいいいッ………!!」






魔貴族娘「入り口をかさでキュポンキュポンされるのがいいんですの!?」

キュポキュポキュポキュポッ!

幼女魔王「きゃふううううぅぅん!?」


魔貴族娘「それともここの壁をグリグリっと!?」

グリングリングリン!

幼女魔王「ひへッ!? はへへッ……ふにゅううう!?」


幼女魔王(身動きのとれない私の腰をがっちり掴んで)

幼女魔王(魔貴族娘は私の大事なところをやりたい放題に開発していった)

幼女魔王(媚薬で処女を喪失する痛みすら快感にされていた私は)

幼女魔王(イク衝撃の波にのた打ち回ることしかできなかった)

幼女魔王(そしてついに)


ゴシュッ!


幼女魔王「ぎぃッ!!?」

幼女魔王(私自信も知らなかった弱点を、掴まれてしまった)


魔貴族娘「あら………」

魔貴族娘「ここ、ですのねぇ……」



ゴシュッ…………ゴシュッ…………






幼女魔王「はぐッ……ぁはッ……あがッ…がッ!」


魔貴族娘「ど~しま~したの? ワタクシ、あんまり動いてませんのに」

魔貴族娘「幼女魔王さんったら目をひん剥いて、息も絶え絶えですわよ?」

魔貴族娘「そんなにすごいんですの? ここッ」


ゴシュッ!

幼女魔王「はびゅッ!? かひゃッ……ハヒュッ……!」


魔貴族娘「んふぅ、一突きでブシャブシャお潮ふいちゃって」

魔貴族娘「だったら、こんなことしましたら、ばッ!」


ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ


幼女魔王「ぎピッ!? びぴぃぃい!? いぎュッ…ひいぃぃぃぃいいい!?」

幼女魔王「やめでやめでやめで!! 脳ミショはじけて死ぬ!! イギじぬぅううううう!!」


魔貴族娘「よかった、ちゃんと喋れるようですわね」



















ゴシュゴシュドピュゴシュゴシュドピュ

魔貴族娘「やめてあげてもよろしいですけれど、条件がありますわ」

ビューーーッゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ

魔貴族娘「当然ですわよね。ワタクシはやめたくないんですもの」

魔貴族娘「あなたが一度でも私の子種汁という愛をおねだりすればやめますわ」

魔貴族娘「嫌がってたあなたにはちょっと難しいかもしれませんけど……」


幼女魔王「くだざい! こだねじるくださいいぃぃぃいいい!!」

魔貴族娘「即答ですのね」





魔貴族娘「でもいけませんわ。もっと子種汁という言葉に愛をこめていただきませんと」

魔貴族娘「ちょっと下品に聞こえますわ」


ゴシュゴシュゴシュゴシュ


幼女魔王「まひゃイグッイクぐぅぅううう!! こらねッ! 子だね汁、くらひゃび!!」

魔貴族娘「発音は最後まで綺麗に粒立てて」


ビュルルゴシュルルゴシュゴシュルルル


幼女魔王「はひ、分かひまひ、ひゃッ! いひゅ、いひなひゃらイクひゅっ、子らへ、こ、くら、ひひゅうふぅううう」

魔貴族娘「なに言ってますの」


ゴシュ、キュポッキュポポポポ、ドピュゴシュ


幼女魔王「へべえぇええ、まらイッへひゅ…もぉゆるしふぇ…ふへへへへッ、はへへへへへへへ」

幼女魔王「エヘヘヘヘヘヘイクイクイキュいひゅいひゅイひゅうぅ~~」


ゴシュクリグリュキュポクニュクニュゴシュドクッドクッ……





魔貴族娘「……結局、私が満足するまで出し続けちゃいましたわ」


幼女魔王「あべッ……えべへッ……ふひひぃっ……こらね汁ぅう、許ひへぇ……」


魔貴族娘「100リットルは出したでしょうか」

魔貴族娘「フタナール製超濃厚子種汁一回の発射量が平均500CCとして……」

魔貴族娘「ワタクシが一回終わるまでに幼女魔王さんが129.3回くらいイッてましたから……」

魔貴族娘「う~ふ~ふ~ふ~、いっぱいイかせちゃいましたわね」


幼女魔王「あひっ、おなかチャプチャプゆれへるひゅッ、こんらのでイかひゃれりゅうぅ……」


魔貴族娘「…………」

魔貴族娘「おまんじゅうみたいに膨らんだお腹」

魔貴族娘「その中にたっぷり詰まったワタクシの愛が、今もなお幼女魔王さんを絶頂に打ち上げ続ける」

魔貴族娘「…………」

魔貴族娘「たまりませんですわね!」


ムクムクッ




魔貴族娘「幼女魔王さん」

幼女魔王「ふあい…ごめんらひゃい、ちゃんろ言いまひゅ…こらねひゆくらひゃい」


魔貴族娘「惚けているところ申し訳ないんですけれど)

ま貴族娘「縄を切ってあげますから、私のこれを綺麗にしていただけますかしら」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「ひゃい、綺麗にしまぁす……」



>>145 訂正



魔貴族娘「幼女魔王さん」

幼女魔王「ふあい…ごめんらひゃい、ちゃんろ言いまひゅ…こらねひゆくらひゃい」


魔貴族娘「惚けているところ申し訳ないんですけれど」

魔貴族娘「縄を切ってあげますから、私のこれを綺麗にしていただけますかしら」


幼女魔王「…………」

幼女魔王「はひ、きれいにしまぁす……」



魔貴族娘「さあ、ベッドから降りて」

幼女魔王「…………」


ペタッ……


魔貴族娘「そう、正座して……」

魔貴族娘「その純白の両手で私のコレを慰めるのですわよ」


幼女魔王「…………」

ニギッ………

魔貴族娘「んほぉう!!」

ニギッニギッニギッ……


魔貴族娘「すごいですわ清らかに冷たい手のひらがワタクシの灼熱を責めたてますわ!!」

魔貴族娘「次はお舐めになって! 可憐な花びらのような舌でお舐めになって!」


幼女魔王「…………」

ペロ……

魔貴族娘「ふわお!!」

ペロ、ペロペロペロペロ


魔貴族娘「いけませんわいけませんわ! まるで大切な飴玉を舐めるようにやられては!」

魔貴族娘「ワタクシ、ワタクシ………」


ガシッ

魔貴族娘「幼女魔王さんの頭を掴んで!!」

ズボァッ

幼女魔王「ごぶぅぅぅうううッ」

魔貴族娘「幼女魔王さんの口に根元まで突っ込んで!!」


ギュプッガプッギュプッ

幼女魔王「んぎゅっ、おごッ、ごぼッ、おぽッ……」


魔貴族娘「ピストンしまくっちゃいますわぁぁあああああ!!」




ゴギュッゴポォッグッチュグッチュ……


魔貴族娘「ひゃあああワタクシのフタナールが幼女魔王さんの喉で浄化されていきますわぁ!!」

魔貴族娘「なんぞコレッ! なんぞコレぇ!? 先っぽがピリピリしますわ!!」

魔貴族娘「胃液ですのね!? 幼女魔王さんの胃液という名の聖水ですのね!?」

魔貴族娘「胃までも届くワタクシのワタクシ、つまりワタクシが!!」

魔貴族娘「幼女魔王さんに丸呑み捕食されていますのね!!」

魔貴族娘「負けませんわよ! 負けませんわよおぉぉぉおおおおお!!」

魔貴族娘「お尻の穴まで貫通するくらい、愛の子種汁を注いでさしあげるんだからぁぁあああ!!」


ドビュッ……ドボボボボボボボッ!!



幼女魔王「ガッ……ごぷっ!! ぅおえッ、あふ、ん、くふぅん……」

幼女魔王「……?}

幼女魔王「わたし、何をして……ぅえ……口の中が苦酢っぱい……」


魔貴族娘「あふぅ……あら、絶頂漬けでおラリってらしたのが、戻りましたのね」

幼女魔王「……あ」

魔貴族娘「ごきげんよう幼女魔王さん。気付けの愛満タン、お味はいかがだったかしら」


幼女魔王「あ、ぁ……」

幼女魔王「こ、子種……こだ…じる……くださッ………」


魔貴族娘「綺麗になったところで今日のシメの一発をいたしたいので」

魔貴族娘「ベッドの上で四つん這いになってくれないかしら。お尻は私に向けて」


幼女魔王「………は、はい」




魔貴族娘「うふふ……ずいぶんと素直になりましたわね」

幼女魔王「……ッ」

魔貴族娘「イイコトですのよ。もっと誇らしげになさって……」


ムニュッ……


幼女魔王「んッ……」


魔貴族娘「あはぁん……。ついに、ついにこのお尻に触れてしまいましたわ……」

魔貴族娘「この弾力、かたち、肉付き、みずみずしさ……」


モニュモニュモニュモニュ……

幼女魔王「……う、んッ。はふ……ぅ」


魔貴族娘「感度も抜群。完璧ですわ」

魔貴族娘「まあこのお尻が無いところで?」

魔貴族娘「ワタクシが幼女魔王さんを愛し続けるのは、宣誓的に否定できないんですけれども」

魔貴族娘「あら、可愛いつぼみ」


ツンッツンッ


幼女魔王「んィ……クッ!! ……く、くぅう………」

幼女魔王「ん………………」


魔貴族娘「…………」

魔貴族娘「あらあら」




ニチュッ……


幼女魔王「ッ……ッッ!」


魔貴族娘「ワタクシのフタナールと幼女魔王さんの大事な入り口、触れた途端にまるで溶け合うかのよう」

魔貴族娘「幼女魔王さん、背中をビクビク震わせて……」

魔貴族娘「もしかして、触れただけでイキましたの?」


幼女魔王「…………ッ」

魔貴族娘「…………」


ツーーーーッ


幼女魔王「はひゅんッ!」


魔貴族娘「うふふ、背筋もきれいですわね。そして敏感……」

魔貴族娘「そうだ、愛し合っている最中はお尻を高く突き出したまま」

魔貴族娘「四つん這いの姿勢を崩してはいけないことにいたしましょうね」


幼女魔王「………はい」




魔貴族娘「では………」

幼女魔王「あっ」

魔貴族娘「はい?」

幼女魔王「おねが……全部は、いれないで…くださ……」

魔貴族娘「……しかたありませんわね、ワタクシも条件を出したばかりですし」

幼女魔王「ありがと……ござい…す……」


魔貴族娘「いいってことなのですわよ。あと、そんな丁寧な話し方はしないでちょうだいな」

魔貴族娘「ワタクシたち、親友でございますしょう?」


幼女魔王「………親友」

幼女魔王「……………えへへ…」





幼女魔王「親友……」

魔貴族娘「できればその先に進みたいのですけれどね……」


ゴシュッ

幼女魔王「~~~~~ッッッッ!!」

ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ

幼女魔王「イッ…またイクッ……ィ…~~~~~ッッ!!」

ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ

幼女魔王「ッッ! ………うくッ、カヒュッ、ひゅッ……」


魔貴族娘「あらあら、もう気絶しますの?」

魔貴族娘「肩が下がってきてますわよ」


パァン!




幼女魔王「きゃひぃいいいいいん!?」


魔貴族娘「そうそう、そうやって背中が反るくらいを、お心がけに、なって、ね」

魔貴族娘「じゃないと毎回お尻を叩きますからね。ん……」


ドクッ……ドクッ……


幼女魔王「は……はひッ。わかりまひッ、た……」

魔貴族娘「ふぅ……。ふふっ……」


ドクッゴシュゴシュドクッゴシュゴシュゴシュ


幼女魔王「はにゅううう……」

魔貴族娘「………」


パシッ パアァン!


幼女魔王「むきゅうぅぅぅぅうううう!?」

魔貴族娘「ッ! んンっ!」


ドプドプドプドプッ


幼女魔王「はわ、はわぁああ………」


魔貴族娘「お尻を叩く、と…っ…幼女魔王さんの秘部全体が痙攣しながら、すごい力で締め付けてきますわね……ッ!」

魔貴族娘「絶頂の痙攣を、何倍にもしたよう……ということは」

魔貴族娘「もしかしたら……ワタクシのフタナールの全てを味わっていただけますかもね」


パアアァン!



ゴシュゴシュゴシュゴシュ


魔貴族娘「…………」


パァン! ゴシュドピュ


魔貴族娘「…………」

魔貴族娘「…………」

魔貴族娘「…………デスワッ」



ゴリュッ


幼女魔王「ぎゃっ!?」

魔貴族娘「失礼、根元まで入れてしまいました」







魔貴族娘「あぁ、幼女魔王さんの大事なところの全てを、征服してしまいましたわ」

幼女魔王「がぎゅ……あばッ、ガヒュッ!?」


魔貴族娘「ワタクシの下で小さく丸まって、絶頂に言葉を失い痙攣する幼女魔王さん」

魔貴族娘「重ね重ね、たまりませんわね」

魔貴族娘「それにしても」


サワサワサワ……


幼女魔王「はぉ……ッ!」


魔貴族娘「ふふ、分かりましたか幼女魔王さん」

魔貴族娘「あなたのお腹のここ、モコッと私の形のお山になっていますわよ」

魔貴族娘「こんなになってもイケるなんて……あなたって頑丈……いえ」

魔貴族娘「超常現象的なマゾヒストですのね」



サワサワ……ニギッ


幼女魔王「ひぎゅイッ!?」

魔貴族娘「ひぅんッ……すごいっ! お腹の外から私のを掴めましたわ!」

魔貴族娘「…………」


シコシコシコシコシコ


幼女魔王「はびゃっ! ぎじゅびぎぃっ!? いぎゅびびびびびび……ッ」


魔貴族娘「何てことかしら! 交わりながら自慰ができてしまうだなんて!!」

魔貴族娘「うふふふふふふふ!!」


シコシコシコシコシコシコ




ドピュッシコシコシコドビューーーーッシコ


幼女魔王「あぎゃッッ、お腹ぎゃオなギャッ、ぇギャッ、イッギュ、イッっぎゅ、ぎゃふへッ、へべべべべッ」


魔貴族娘「さて、幼女魔王さんはまたラリッているようですし」

魔貴族娘「戻してあげましょうか」

魔貴族娘「……………」

魔貴族娘「フタナール第2の能力、発動ですわ!!」




ニュルンッ


幼女魔王「!?!?!?!?!?」

幼女魔王「は……ぁ、ああああああッ」

幼女魔王「イックううぅぅぅぅううううう!?」


魔貴族娘「おはようございます幼女魔王さん!!」

魔貴族娘「少しは休めましたの!?」


幼女魔王「イクッイクッイクッイクッ! なにこれ、なにこれええぇぇえええええ!?」


魔貴族娘「2本のぶっといフタナールが、幼女魔王さんのお尻の穴と前の穴で暴れているのですわ!」


ゴリュウッッゴリュウッッゴリュウッッ

ヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポ


幼女魔王「ひきゅっひきゅっひきゅっひきゅっ!! イキすぎて背骨ビリビリイクううぅううう!!」

幼女魔王「ぁがッッッッッッ………! …ッ………」


魔貴族娘「また気絶ですの!? そうはさせませんわよ!」

魔貴族娘「幼女魔王さん! あなた、弱点を突かれるより奥までねじ込まれたほうがお好きなようですけど!」

魔貴族娘「それをいっぺんにされたらどうかしら!?」

魔貴族娘「お生えあそばせ! 第3のフタナール!!」


ゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュ

ヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポ

ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ←NEW


幼女魔王「あっぎゅ!? あぐあぐあぐあぐあぐあぐぐぐぐぅぅぅうううう!?」

幼女魔王「ごんにゃッッ! こんにゃあああああああああああ!?」


魔貴族娘「ぐふぉっほおおおおおおお!! 3本で快感も3倍ですわあぁぁぁあああああん!」





魔貴族娘「ついでに第4のフタナールを、グニャッグニャに歪む幼女魔王さんの後ろの穴に追加して!」

魔貴族娘「最大出力でいきますわよおおお!!」


ゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュ

ヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポヂュポ

ゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュゴシュ

グルングルングルングルングルングルン


幼女魔王「いびゃあぁあああああ!!」

幼女魔王「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

幼女魔王「イんッッグぅぅぅうううッ!! イクのがどんどん重なってるうううう!!!」


魔貴族娘「気持ちいいんですのね!? こんなに滅茶苦茶な行為が!!」

魔貴族娘「マゾヒストな幼女魔王さんは気持ちよくてしかたないんですのね!?」

魔貴族娘「親友である私に、いっぱいいっぱいイカされるのが!!」



幼女魔王「は、はい! はいいいいいぃぃいい!!」

幼女魔王「親友なの! 親友の滅茶苦茶がイきまくりで親友なのぉおおおお!!」









魔貴族娘「いつからですの!? いつから気持ちいいんですの!?」

ゴリュッヂュポヂュポゴシュドビュウウゥウグルン

幼女魔王「ベット! ベッドでクニクニされてたときから気持ちよかったの!」

幼女魔王「お腹の奥が、ィ、イクッ、疼いてしかたなかったの!」


魔貴族娘「じゃあどうして、あんなに嫌がっていましたの!?」

魔貴族娘「親友のワタクシに!!」


幼女魔王「ごめんなさいごめんなさい、イクゥゥウ!! ごめんなさいぃい!」

魔貴族娘「答えなさい!!」


バシィッ!

ゴリュッ!

ゴシュッ!


幼女魔王「はっひゅいぃぃいいい!!」

幼女魔王「知らなかったの! 親友でイクのがこんなに気持ちいいって知らなかったのぉ!」




魔貴族娘「じゃあ今は!? 今はどうなんですの!?」

幼女魔王「イクの! 親友気持ちよくてイッてもイッてもイクのぉおお!!」

魔貴族娘「どうイッてるの!? イクたびに分かるように説明なさいまし!」


グルンッヂュポヂュポヂュポッ

チュポンックリクリックニュウ


幼女魔王「はみゅうううぅうう!! イキュううぅぅぅうううう!!」

魔貴族娘「答えなさ……!!」


幼女魔王「分からないのォ!!」

幼女魔王「お腹とお尻がドロドロにとろけてるの!」

幼女魔王「背骨がビリビリしてるの!!」

幼女魔王「脳みそで気持ちいいのが爆発しまくってるの!!」

幼女魔王「いろんなとこがイキすぎて、わけが分からないのぉお!」




魔貴族娘「じゃあ前の穴のここは!?」

ゴシュゴシュゴシュゴシュ

幼女魔王「はぴゃあああああん!!」

幼女魔王「弱点なの! ここ突かれるだけでフニャフニャになってイキまくるの!」


魔貴族娘「じゃあ、根元までぶち込むこれは!?」


ゴリュッ! ニギッ!


幼女魔王「あぎぎぎぎぎぃぃぃいいいいい!?」

幼女魔王「これすごいの! 息できなくなるの!!」

幼女魔王「突かれるたびに子宮がゴムマリみたいにブヨンブヨン跳ねるの!!」

幼女魔王「頭の奥を気持ちいい塊で殴られまくるの!!」


魔貴族娘「じゃあ、これは!?」


グニュウウゥゥゥウウウウウウウ!!


幼女魔王「まにゅうぅぅぅうううう!?」

幼女魔王「知らない! この気持ちいいの何なのぉぉお!?」

幼女魔王「とけてる!! 前の穴と後ろの穴の間のお肉が、親友のお肉にグニュグニュ挟まれてとかされてる!!」

幼女魔王「とろけるうぅぅぅ!! あちゅすぎてイキすぎてトロけるぅぅううう!!」



魔貴族娘「あっはあああああ!! よろしくてよ! よろしくてよ幼女魔王さぁん!!」






魔貴族娘「まったくあなたという人は、マゾヒストで変態の魔王ですわ!!」


ドビュッ

ビュルルルルッ

ドクンッドクンッ

ドプツドプツ


幼女魔王「あ、ぁ、ああ、あおぉおぉおお……、子種汁もらいながら、親友に変態って言われたぁああ」

幼女魔王「クる…深イキくるのぉぉお! イッックゥうううううう!!」


魔貴族娘「四つん這いで何されてもイキまくる変態魔王は、親友に何をされなきゃいけないのかしら!?」

幼女魔王「あへぇえええ……しゅごい、深イキしゅごいいぃぃぃいい……」


バシィン!!

幼女魔王「あぶぅぅうううう!?」

魔貴族娘「答えなさい!!」

バシィン!!

幼女魔王「ぴゅぎぃぃぃいいひいいいん!!」

幼女魔王「これえ!! これがいいのお!!」

幼女魔王「変態魔王な幼女魔王は、親友にお尻ペンペン叩いておしおきしてほしいのぉ!!」





魔貴族娘「何がおしおきですの!!」

ナデナデモニュモニュ

幼女魔王「ハミャアッ!? お尻モニュモニュでイクぅう!!」

スパァアアン!!

幼女魔王「~~~~~~~~ぃぃぃいいいいいッッ!!」

魔貴族娘「ご褒美の間違いでしょう!! これも、これも、これも!!」

バシッ、ピシッ、パァン、パァアアン………

幼女魔王「はひぃいッ、間違いました! ご褒美です!! お尻ペンペンされると子宮に響いてイキまくるんですぅぅうう!!」


魔貴族娘「こんな間違いをするなんて、あなたは親友失格ですわ!!」

バァンッ、ピシャアンッ、ズバァアン 


幼女魔王「い、いやいやいやいやあああ!!」

幼女魔王「許して、許してえぇええ!!」

幼女魔王「魔王やめるからッッ! 子種汁残さないから! いっぱいちゃんとイクからあぁああ!!」

幼女魔王「親友失格いやぁあああああ!!」


魔貴族娘「だったら!!」

魔貴族娘「ワタクシと結婚すると誓いなさい!!」


パァアアアアアンッ


幼女魔王「はっひぃぃいいいいいいい!!」

幼女魔王「結婚しまひゅ!! 親友と結婚しますぅうううう!!」





幼女魔王(親友の魔貴族娘さまとの結婚を誓った私は)

幼女魔王(それからずっと魔貴族娘さまに絶頂させてもらい、子種汁をいただいた)

幼女魔王(絶頂で起こしてもらうと、何十分も絶頂し続けて気を失い)

幼女魔王(気を失っている間も絶頂し続け、また絶頂で起こしてもらう……)

幼女魔王(それだけを繰り返す日々を送った)




ビュルル……ドクッ……

幼女魔王「…………」

グリュグリュグリュグリュ……

幼女魔王「…………」

ビュビュッ、ビューーーッ

幼女魔王「…………ぁ」

ゴシュゴシュクリクリ

幼女魔王「ぁう、あぁーー……」

魔貴族娘「おはよう、幼女魔王さん」

ドプンッドプドプ

幼女魔王「ふわあぁ……」


魔貴族娘「うふふ、お顔はもうトロけた表情から変えられなくなりましたわね」



幼女魔王「あふ………」


魔貴族娘「幼女魔王さんがこのお部屋に来てから今日で90日」

魔貴族娘「抜かずに注ぎつづけたから……お腹、床にべったりつくまで大きくなりましたわね」

魔貴族娘「でもこれで、幼女魔王はワタクシたちの子を一度に何十人も産めますのね」

魔貴族娘「さすが魔王。体のつくりが特殊ですわ」

魔貴族娘「ふふっ……ワタクシの愛でパンパンに膨らんじゃって……」

ナデナデ……


幼女魔王「あん、あ……もう、おきぬけのれでぃのおなかなでるなんて……」

魔貴族娘「んふふ、ごめんなさいね……ねえ、今どういう風になってますの?」

幼女魔王「そ、そんな……はずかしい」

魔貴族娘「お願い、教えてくださらない?」


幼女魔王「……もう、しかたないひとね」

幼女魔王「魔貴族娘さまにかたをさわられていって」

幼女魔王「おなかをさすられていって」

幼女魔王「魔貴族娘さまのこえとにおいとまなざしでいってます……」


魔貴族娘「……うん、よろしい」

魔貴族娘「それじゃあ、7日後のお披露目のために、名残惜しいけどこの部屋を出るとしましょうか」


幼女魔王「はぁい、魔貴族娘さま……」

魔貴族娘「ふふふ。その名で私を呼ぶこともあと少しですわよ」

魔貴族娘「7日後には、私たちは婚約者同士なのだから」


幼女魔王「ええ……わたしが魔貴族娘さまのおくさんになれるなんて、うれしい……」


魔貴族娘「うふふ、ワタクシもよ。幼女魔王」

魔貴族娘「……ねえ、まだ夫婦になるまでは時間がありますけれど」

魔貴族娘「教えたとおりに、ワタクシのことを呼んでくださらない?」


幼女魔王「はい……」

幼女魔王「………あなた」


魔貴族娘「………ふふ」

魔貴族娘「うふふふふふ……」

魔貴族娘「ぬうぉーーーーーほっほっほっほっほっほっ!!」




20年後 飛行船乗り場


ザワザワ……ガヤガヤ……


子供2891「ねえねえ、お母さんママ。お父さんママはまだ来ないの?」

桃髪幼女「うふふ、しんぱいしなくてもちゃんとあえるわよ。あのふねにのっているのだから」

子供2888「やだよう、早く会って甘えたいよう」

桃髪幼女「あらあら、うふふ、みんなあまえんぼうさんね」

子供1719「クスクス……お母さんママだって、この一ヶ月、甘えられなくて寂しそうだったくせにぃ」

桃髪幼女「そ、それは、その……もうっ、おとなをからかうんじゃありません!」

子供2630「あははは、お母さんママお顔が真っ赤だー」

桃髪幼女「あうぅ………」


子供1 「こらこら、またお母さんママを困らせてるのか」

子供2 「お母さんママが優しいからって、ちょーし乗っちゃだめだぞぉガキどもー」

子供2444「子供1お兄ちゃん、子供2お姉ちゃん!」

子供4 「ただいま戻りました、お母さんママ」

桃髪幼女「おかえりなさい、みんな。ぶじでよかったわ」

子供7 「か~、腹減ったぁ。お母さんママ、家になんかある?」

桃髪少女「あなたはいつも、かえってくるなりそれなんだから。うふふ、ちゃあんと、ごちそうをよういしているわ」


魔貴族 「あらあらあら、それは待望的に楽しみですわね。あの地方の料理はどうも舌にあいませんでしたから」


桃髪少女「あ………!」


タタタタタッ……

ダキッ


魔貴族 「ちょ、ちょっと、いきなり何ですの? こんな人ごみで!」

桃髪幼女「だって、いっかげつもあえなかったから……ぐすっ」

魔貴族 「ふふ……一ヶ月貴族会議で離れていただけじゃない。お母さんママは泣き虫ですわねえ」

魔貴族 「ほら顔を上げなさい、ただいまのキスをしてさしあげますから……」

桃髪幼女「うん……」

子供9 「ははッ……こんなところでおアツいねえ」

子供13「目の前に我が子たちがいるってのも考慮してほしいね、このバカップルには」

子供3 「はーいはい、ちゃかさないのバカコンビ」


魔貴族娘「ふふ……。さあ帰りましょうか、私たちの幸せな家に」

桃髪幼女「はい、あなた……」



ハッピーエンドその1 子沢山貴族のお母さんエンド



魔貴族娘の宮殿 庭園


魔貴族娘 「………という、運命的に予言的な夢を見ましたのよ」

イケメン老執事「ハハハ、そうでしたか」


魔貴族娘 「ええ、そういうわけですので老執事」

魔貴族娘 「早急に秘密の地下室をつくる算段をええ早急に!!」



イケメン老執事「お嬢様」

イケメン老執事「宮殿の外周を50周走ってきなさい」
















次より>>93の続き。

幼女魔王の城 レベル1 荒れた空き地



ザクッ……ザクッ……




魔ラジオ『ザザッ……星天観測所、こちら星天観測所………遠くの星の…ザザッ……お友達…応答ください…』


幼女魔王(魔法服屋で服を買い損なってから2日、ブルマばかりはいている)

幼女魔王(つまりいまだに私はブル魔王なのだけど、いろいろ考えて幼女魔王に戻ることにした)


魔ラジオ『ただいま…ピピー…原因不明の魔素の乱れにより…ザザッ…が混線…ザッ……ご迷惑をガガー…』


幼女魔王(……あの魔法服屋で何かを間違っていたら、えらいことになっていた気がする)

幼女魔王(気のせいだろうけど)




魔ラジオ『ピー……ガガー……』


ザクッ……


幼女魔王「……だいぶ耕せたわね、この空き地も」

幼女魔王「ここにいろんな世界中の花を、東西南北に分けて植えましょう」

幼女魔王「いろんな世界をまわって、いろんな種を持ってきて植えて……」

幼女魔王「花が咲いたら、その頃にはいっぱいいるはずのお友達とお茶をしながら眺めるの」

幼女魔王「えへへ……」


ヒュルルルルルルルルルル………


幼女魔王「うふふふ………え? 何か落ちてくる?」


ドスンッ!!


幼女魔王「!! ……これは、小屋?」




幼女魔王の城 レベル1

施設変更

[荒れた空き地]→[仮設奴隷厩舎]



幼女魔王「!?」





幼女魔王「1日かけて耕した空き地が、一瞬であやしい建物に……」


ヒュルルルルルルルル………


幼女魔王「というか、こんなものをおっ建てる人ってあの人しか……」


スタッ



淫魔幼女「…………」

幼女魔王(……やっぱり)


幼女魔王「……淫魔幼女」


淫魔幼女「………ふむ」

淫魔幼女「こんばんはだな、姫」





幼女魔王「人の苦労をペシャンコにしといて、何の用よ」

淫魔幼女「何の話だ。それよりまずは飯だオムライス食わせろ」


幼女魔王「はいはい、どうせ私はあなたにとってご飯つくりゴーレムよ」

幼女魔王「というか、私の世界にも飛行船は来れるんだから、できたらそれで平和的に渡ってきてくれないかしら」


淫魔幼女「どうせ下級船の停泊しかできんだろう。あんな遅い乗り物なんていらん」

幼女魔王「最近は速くなっているのよ」


淫魔幼女「知るか。お前こそ、魔王が一般飛行船で渡ってないで」

淫魔幼女「自慢のあのしもべをつかえば良いだろう」


幼女魔王「……それは、嫌がらせのつもりかしら」


淫魔幼女「…………」

淫魔幼女「嫌味だ」


幼女魔王「同じじゃない」



幼女魔王「はあ……」

幼女魔王「すぐ作るから、食堂に行って待ってて」


淫魔幼女「うむ」

淫魔幼女「……待て」


幼女魔王「どうしたの」

淫魔幼女「小屋の中にアイテムを置いたままだった」


ガチャッ……



魔法少女の声A「ああああああ!! ごめんなさい、ごめんなさいぃい!!」


幼女魔王「!?」


魔法少女の声B「絞るのだめ、ミルクもう出ないのお!!」

魔法少女の声C「帰りたいよぉ!! おうち帰りたいよぉおおお!!」

魔法少女の声D「助けてぇえ! パパァ、ママァ!!」

魔法少女の声E「ここから出してぇえ!! 魔物の赤ちゃん産みたくないのぉお!」


バタンッ


淫魔幼女「待たせたな。行くぞ」

幼女魔王「…………」






幼女魔王の城 食堂



魔動画『南方基準時間で今朝9時ごろ、界駆魔法少女ギルドの銀髪少女さんが』

魔動画『第25エリアで相次ぐ魔法少女失踪の調査に魔法少女を派遣したと発表し……』



幼女魔王「あなたこの前、私のスカートとスパッツとパンツ、持っていかなかったかしら」

淫魔幼女「持っていったな。それがどうかしたか」

幼女魔王「返してくれないかしら」

淫魔幼女「もうない」

幼女魔王「どうしたの」

淫魔幼女「………知りたいか?」

幼女魔王「……いいえ」



なんかよくわからないけどこいつら虐殺したくなった



魔動画『これを受けて、界架魔法少女ギルドの黒髪眼帯少女さんが』

魔動画『協力を申し出ましたが………』



淫魔幼女「近くの拠点の町で面白い話を聞いた」

幼女魔王「中立の町で?」

淫魔幼女「ブルマを脱ぎかけたままパンツ丸出しで町を疾走する桃色髪の謎の生き物が出たそうだ」

幼女魔王「…………」

淫魔幼女「何になりたいんだお前」





淫魔幼女「想像してみろ」

幼女魔王「…………」


淫魔幼女「どこぞの勇者一行が魔王討伐の旅をしていて」

淫魔幼女「ついに魔王の居城近くの町まで来たわけだ」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「情報収集のため、住民に話しかけると」

淫魔幼女「ブルマずり下げ桃色髪幼女の話を聞く」

淫魔幼女「こりゃあんま関係ねえだろ、とそのとき勇者一行は思う」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「そしていよいよ魔王の城」

淫魔幼女「幾千の試練を乗り越えた勇者一行の前に姿を現した魔王が」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「だっさい食い込みブルマを履いた桃色髪幼女」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「おまけに貧乳」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「愉快すぎるだろ」







魔動画『長いダンジョン探索に、心強い味方が登場』

魔動画『新発売、携帯用トイレDX』



淫魔幼女「それはそうと、頼みがある」


幼女魔王「あんなこと言っといて、よう頼み事をする気になれるわね」

幼女魔王「何かしら」


淫魔幼女「しばらくこの城に滞在させてもらうぞ」

淫魔幼女「部屋は勝手に使わせてもらう」

淫魔幼女「お前のしもべたちは絶対に部屋に近づけるなよ」

淫魔幼女「飯は晩飯だけでいい」

淫魔幼女「風呂の湯は毎日いれかえろ」


幼女魔王「………」

幼女魔王「……………」



幼女魔王「うちの城、レベル低いからお風呂ないわよ」



淫魔幼女「!?」



>>112
>>177
ひらめいた

休憩



朝 幼女魔王の城 レベル1



チュンチュン……チチチ……



淫魔幼女「おい、ふざけるなこの城ふざけるな」

幼女魔王「な、何よいきなり」


淫魔幼女「いきなりも何もあるか」

淫魔幼女「来るたびに思っていたが」

淫魔幼女「やっぱりこの城、実質的に廃墟だぞ」


幼女魔王「!?」

sage忘れごめんなさい。

休憩。



幼女魔王「ちょちょ、ちょっと待ってよ。ここが廃墟ってどういうこと!?」

淫魔幼女「どういうこともあるかバカ」


淫魔幼女「風呂は使えん、アイテム工房も使えん」

淫魔幼女「その他、最低限の設備すらほとんど使えん」

淫魔幼女「そこらじゅうに瓦礫が転がり、玉座の間には天井もない」

淫魔幼女「というか何だあの玉座は」



淫魔幼女「木箱を3つ重ねただけじゃないか」




淫魔幼女「そのくせ希少品の魔動画はあるわペニーステーションの最新ハードはあるわ」

淫魔幼女「何かしながらちょっとつまむのに最適な菓子の種類は豊富だわ」

淫魔幼女「なぜか▼□×◎だけの倉庫があるわ」


幼女魔王「…………」


淫魔幼女「お前、まさか」


ゾゾゾ……


幼女魔王「!!」

幼女魔王(淫魔幼女の外套が危険にゆらめいてる)

幼女魔王(攻撃の予兆……!)


淫魔幼女「魔王になってから、遊んでばかりいたのでは……」


幼女魔王「ま、待って!!」






幼女魔王「これにはみんな理由があるのよ」

淫魔幼女「ほう何だ言ってみろ」


幼女魔王「お風呂は中立の世界に公衆浴場があるから」

幼女魔王「別に何日か入れなくても困らないじゃない?」


淫魔幼女「困るだろ。お前みたいなビビリは浴場なんかどうせほとんど行ってないだろ」


幼女魔王「使えない設備だって、とくに私には必要ないし」

淫魔幼女「ちゃんとアイテム収集や探索に出ていれば必要だ」

幼女魔王「瓦礫なんて私の力じゃ撤去できないし、あのしもべは細かい作業できないし」

淫魔幼女「生産ギルドの奴らでも雇えばいいだろ。嫌なら鍛えろ」




幼女魔王「抜けた天井はほら、今にも降り注ぐような満点の星たちが」

幼女魔王「玉座の間を淡く妖しく照らし」

幼女魔王「私を討伐にきた者たちを幻想と幻惑の世界に導く……」


淫魔幼女「何言ってんだお前、何が降り注ぐ星の光だバカ降り注ぐのは弓矢の雨だ」

淫魔幼女「しかも照らし出される玉座の間にある肝心の玉座が木箱」

淫魔幼女「座っているのは食い込みブルマの幼女」


淫魔幼女「シュールすぎるだろ」


何か切なくなるな
月明かりに照らされた廃虚の木箱に一人佇む幼女



幼女魔王 「しかたないでしょう、風化してて崩れたのよ」


淫魔幼女 「当たり前だ。あれは前の主のものだった」

淫魔幼女 「玉座はその主が失われたときに崩れる」

淫魔幼女 「お前はお前だけの玉座を造らなければならない」

淫魔幼女 「それは以前も言ったと思うが」


幼女魔王 「……ま、魔動画とペニーステーションとお菓子は」

幼女魔王 「暇つぶしというか、何というか」


淫魔幼女 「暇つぶし程度の量には思えなかったが」


幼女魔王 「ほ、ほら、それはその」

幼女魔王 「もしかしたら、病気して長く外に出られなくなるかもしれないし」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「すごく長引いて、気がついたら10年も!」

幼女魔王 「な、なんちゃって……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「あの……淫魔幼女さん?」


淫魔幼女 「……分かった。もういい」



>>188
でもブルマ姿



淫魔幼女 「その分だとお前……貴様は」

淫魔幼女 「城のレベルの上げ方も知らんだろう」


幼女魔王 「うん……」


淫魔幼女 「……自分の城のレベルは把握できているか?」


幼女魔王 「そうね。低いのは何となく分かるけど、7くらい?」


淫魔幼女 「1だ」


幼女魔王 「えっ!?」

幼女魔王 「な、なんでそんなにはっきり分かるのよ」


淫魔幼女 「やっぱり、それすらも知らんか……」

淫魔幼女 「まあいい」

淫魔幼女 「おれも滞在するにあたり、少しはこの城に貢献しよう……」



幼女魔王軍に、
淫魔幼女が参加した。



淫魔幼女 「城のレベルは測定できるうちで一番低いレベルということで」

淫魔幼女 「実際は1よりもっと低いと考えられる」

淫魔幼女 「まったく、マイナスをゼロに戻すところから始めるとはな……」

淫魔幼女 「とりあえず、欲は捨てて最低限の設備のうちでも重要なものから整える」

淫魔幼女 「まずは風呂だ」


幼女魔王 「そこはかとなく欲を感じるのだけど」



幼女魔王の城 レベル1 正門



淫魔幼女 「この城の、というか、この世界の状態を把握したい」


幼女魔王 「ふむ」


淫魔幼女 「お前がいつでも呼べるしもべを見せろ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「ええー……」


淫魔幼女 「いいから早く呼べ」


幼女魔王 「笑わない?」


淫魔幼女 「おれが笑わないのは知っているだろうが」


幼女魔王 「……しかたないわね。まあ、この城のためだものね」

幼女魔王 「いくわよ………」






幼女魔王 「あれれぇ~ッ、おかしいぞぉ~!!」

幼女魔王 「こんなところに褐色ビキニの女戦士が~~ッ!!」






下級触手A 「フィィィィイイ」

下級触手B 「ドルドルドルドル」

下級触手C 「モッフモッフ」

下級触手D 「クワッパ」

下級触手E 「ショォオーー」


グニュルグニュル
グチャグチャグチャグチャ



淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「…………プフッ」


幼女魔王 「無表情のまま噴き出してんじゃないわよ」



きゅっぷいに
一体どれだけの意味が込められているのだろうか

>>96
>>196

http://i.imgur.com/KOMNCSZ.gif

使用例.私のきゅっぷいをきゅっぷいしていいので、しもべになってください。




幼女魔王 「だから人型のしもべが欲しいのよね」

幼女魔王 「イイ子たちなんだけど、そんなに器用じゃないし」

幼女魔王 「どうしても目を引くから、お供として常に出しておけないし」


下級触手F 「ニュルップリャン」


幼女魔王 「……脚を閉じても太ももの間を通って股をこすってくるし」


淫魔幼女 「グネグネささやかな抵抗をしてないで、さっさとやめさせろ」


幼女魔王 「無理無理、私より力強いし」

幼女魔王 「それに、じゃれてるだけよ。嫌がったらかわいそうじゃない」


下級触手F 「ギップリャ~ン」


幼女魔王 「やんッ、もうくすぐったいったら」

幼女魔王 「そんなに甘えても、何も出てこないわよ、うふふふ」


ウフフフフ……ニュルニュルニュル………



淫魔幼女 「…………」


下級触手G 「ウェミダー」


淫魔幼女 「……!」

淫魔幼女 「おい何かこっちに来てるぞ止めさせろ」


幼女魔王 「だから無理だってば」





美触手 「キュロロロロロロローーーーッ」



下級触手 「…………!」

下級触手 「キュウゥゥゥン……」


淫魔幼女 「触手生物どもが止まった……」

淫魔幼女 「優しくも厳しいマドンナ女教官に叱られた兵士ように」


幼女魔王 「私の最初のしもべのせいか、みんなこの子の言うことは聞くのよね」

幼女魔王 「姿も触手というか、小さな蛇型のドラゴンって感じだし」

幼女魔王 「美人だし」


淫魔幼女 「ふむ、この美しさなら、売りに出してもかなりの値はつくだろうな」


美触手 「キュロロロ」


幼女魔王 「ふふふ。この子だけは、じゃれるときは頬っぺたをくっつけたがるのよ」


淫魔幼女 「じゃれると言うより、子供の世話をしているような感じだな」

淫魔幼女 「まあいい、じゃあさっそく測定させてもらうぞ」



淫魔幼女は
「アクセサリレベル3」
を装備した


幼女魔王 「なに、その……宝石?」


淫魔幼女 「かざした対象の正体を暴く鉱物だ」

淫魔幼女 「もともと亡霊系の敵対策に使われていたものを」

淫魔幼女 「魔術的に加工して、強さを測ることができるようにした」


幼女魔王 「ふうん。たいしたもんだ」


淫魔幼女 「人間でも魔族でも、戦う者や旅人なら誰でも知っている」

淫魔幼女 「回復薬や消毒薬並みに初歩的なアイテムなのだがな」


幼女魔王 「もう分かったわよ……」




淫魔幼女 「では測るぞ」

淫魔幼女 「ついでに貴様の分もやるから、そっちに並べ」


幼女魔王 「はいはい」

幼女魔王 「……痛くしないでよね」


淫魔幼女 「大丈夫だ、対象には何も影響ない」

淫魔幼女 「……では見るぞ」



■下級触手A~L
 種族 :触手
 職業 :魔王のしもべ
 レベル:025~031
 そうび:ぬとぬとの触手


淫魔幼女「まあ妥当だな……」


■美触手
 種族 :触手プリンセス
 職業 :魔王のしもべ
 レベル:0272
 そうび:触手王の瞳


淫魔幼女「やはり、他の者とは一味違うか」




淫魔幼女 「次は幼女魔王か」

淫魔幼女 「アクセサリのレベルは……このままでいいか」

淫魔幼女 「さて………」



■幼女魔王http://i.imgur.com/aFKpXGr.gif

種族 :???

職業 :処女魔王

レベル:0000002

そうび:ヘロヘロな杖
    奴隷の服
    魔王の記念ブルマ(赤)
    へっぽこブーツ
    しっとりパンツ
    ???


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「…………ブフォッ!?」



幼女魔王「!?」




???←処女膜

ですね、分かります。



幼女魔王 「どうしたの、大丈夫!?」


淫魔幼女 「………いや。ちょっと待っていろ」


幼女魔王 「え、ええ……」

幼女魔王 (いそいそと近くの木の裏に行っちゃった)

幼女魔王 (どうしたのかしら)


…………


幼女魔王「…………」


…………



フハハハハハハハハハハハ!!


幼女魔王「ッ!?」



>>204
違う……
いや違くない!


2時間後 

幼女魔王の城 正門



淫魔幼女 「……待たせたな」


幼女魔王 「どうしたってのよ」

幼女魔王 「………私のこと?」


淫魔幼女 「…………ヒフッ」


幼女魔王 「そうなのね……」


淫魔幼女 「とにかく、お前たちのことは何となく分かった」

淫魔幼女 「まあ設備を整えるくらいならどうにかなるだろう」

淫魔幼女 「ではさっそく次に……」


幼女魔王 「ちょっと待ちなさい」


淫魔幼女 「む?」


幼女魔王 「あなたの測定をさせなさい」

幼女魔王 「そして笑わせなさい」


淫魔幼女 「……いいだろう」






幼女魔王 「これを覗くのね……」

幼女魔王 「あなた、何かしもべは隠してない?」


淫魔幼女 「調教中の魔法少女ならいるが、見るか?」


幼女魔王 「いい」

幼女魔王 「さて、どれどれ………」



■淫魔幼女

 種族 :サキュバス?

 職業 :外道行商人 / 死霊使い / 魔女狩り

 レベル:0239 / 0928 / 04274

 そうび:魔女殺しの幻の黒外套
     魔女殺しの伝説の髪留め
     魔女殺しの天界の淫魔服
     魔女殺しの神秘の下着
     魔女殺しの冥界の???
     魔女殺しの鉄壁の??膜
     魔女殺しの謎の棺
     魔法少女完殺マニュアル7巻
     魔法少女の産みたて卵100個セット




幼女魔王 「……………」


淫魔幼女 「気はすんだか?」


幼女魔王 「は、はい……淫魔幼女」

幼女魔王 「……さま」


淫魔幼女「?」



休憩。
いい感じにイタいコテが見つからないよ。




中立の町 旧市街3番市場 目の看板のある小さな店




ゴミゴミ……ガヤガヤ……



幼女魔王(淫魔幼女に私のお城を調べてもらったあと)

幼女魔王(必要なものを揃えるため市場に来た)



狸耳娘 「は~い、らっしゃい。どんな御用ですかい?」


淫魔幼女「ユーコンの糸巻きを二人分、真珠色で」


狸耳娘 「あいよ~。複雑な迷宮からもラクラク脱出、ユーコンの糸巻きね」

狸耳娘 「え~~っと、ユーコン、ユーコン……」

狸耳娘 「……………」

狸耳娘 「狸なのにコ~~ンッ!!」


幼女魔王 ビクッ


狸耳娘 「なんつって」

狸耳娘 「どぅふひひひ、ひひ、ひッふひひ……」


淫魔幼女「……………」


幼女魔王「…………?」


狸耳娘 「ひッふふふふふ……ふぅ」

狸耳娘 「……今日も冷えるね、ほんと」

狸耳娘 「はいこれ、ユーコンの糸巻き2人分」


狸耳娘 「と、入場リボン2人分ね」



幼女魔王 「赤いリボン?」

幼女魔王 「……不思議な手触りね」


淫魔幼女 「どこでもいいから、早く装備して行くぞ」


幼女魔王 「はいはい淫魔幼女さま」

幼女魔王 「……………」

幼女魔王 「ポニーテールにしてみたりして」


狸耳娘 「そっちの食い込みブルマちゃん、運動会でも出るの?」


淫魔幼女 「見ないでやってくれ可哀相な貧乳なんだ」


狸耳娘 「失礼しやした」




???の裏道 



幼女魔王 (狸耳娘の店を出たら、知らない町だった)

幼女魔王 (いびつな石造りの建物が乱立して、迷路みたい)

幼女魔王 (さっきまで昼だったのに、空には星が出てる)

幼女魔王 (遠くから、たくさんの声や音が聞こえる)



幼女魔王 「何なのここ?」


淫魔幼女 「商人の町だ」

淫魔幼女 「ここなら、色々と揃える事ができるだろう」



シュル……



幼女魔王 「あれ、リボンが無くなってる」


淫魔幼女 「近くに広場があるはずだ。まずはそこに出るぞ」

淫魔幼女 「……糸巻きは絶対になくすなよ」




商人の町? ドラム缶広場



ワイワイガヤガヤ



偽乳牛娘 「誰でも爆乳になれるシークレットブラジャーだよ~」


幼女魔王 「ほう」


ドライアド 「これ、友達の苗木~」


幼女魔王 「ほほう」


桃尻淫魔 「絞りたて、男のミルク100リットルいかが~ん」


幼女魔王 「なぬ!?」



淫魔幼女 「いいからさっさと歩け馬鹿」




商人の町? 地の市場



若ドワーフ 「浴槽用の石っすね、中にはどんなものを?」


淫魔幼女 「様々だ、場所がとれないのでな。その都度入れ換えることになる」


若ドワーフ 「だったら、こちらなんていかがっしょ」

若ドワーフ 「白鋼玉、別名カメレオンルビー」

若ドワーフ 「特別な効果はありませんが」

若ドワーフ 「泉質にあわせて色が変わるから、綺麗っすよ」

若ドワーフ 「おまけに頑丈。アマゾネスイーターの胃液とかになると無理っすけど」


淫魔幼女 「ふむ」




若ドワーフ 「この大きさあたりで、人工ものは赤1枚、天然ものは赤2枚」


幼女魔王 「それって高いの? 安いの?」


若ドワーフ 「高い方っすね。最近、価値が見直されたんで」

若ドワーフ 「それでも、よく売れるんす」

若ドワーフ 「この前も、温泉宿の主人とか言うかたがしこたま買っていきまして」


淫魔幼女 「……天然のやつを赤80枚分もらおう」


若ドワーフ 「どーも」





若ドワーフ 「送り先はどうしましょ」


淫魔幼女 「今日中にできるなら、ここまで頼む」


若ドワーフ 「ずいぶん近いっすね」

若ドワーフ 「まあいいや、申請しておきます」


淫魔幼女 「頼む」

淫魔幼女 「……初めて見たと思うが、ここへはいつ店を出しているんだ?」


若ドワーフ 「30日おきに7日間くらいっすかね。他のとこも回ってるんで」

若ドワーフ 「まだまだ駆け出しで、人手が足りないんす」


淫魔幼女 「そうか。……また利用させてもらう」

淫魔幼女 「今度はゆっくり、アクセサリも見せてもらいたい」


若ドワーフ 「そりゃありがたい。そっちが本業なもんで」

若ドワーフ 「……ところで」


淫魔幼女 「む?」


若ドワーフ 「お連れのお嬢さん、どっか行ったみたいっすけど」

若ドワーフ 「大丈夫なんすか?」


淫魔幼女 「…………」





商人の町? ドラム缶市場



幼女魔王 「……こ、このかめの中に、男のミルクが入ってるのね」


桃尻淫魔 「ええ、そうよ、ブルマちゃん。それはもう、濃~いのがたっぷりと」

桃尻淫魔 「うふふふふふ……」


幼女魔王 「あ、あの……」


桃尻淫魔 「な~ぁにぃ?」


幼女魔王 「こ、これ、美味しいんですか……美味しいのかしら?」


桃尻淫魔 「え、飲むの!?」


幼女魔王 「え!?」


桃尻淫魔 「や、やだわやだわそんなぁ……。これを飲むだなんて考えたこともなかったわ」

桃尻淫魔 「や~ん、もう、こんなときどう対応したらいいか、私わかんなぁい……」


幼女魔王(余裕たっぷりだったお姉さんが、急に顔を真っ赤にしてオロオロしだした)

幼女魔王(男のミルク……いったいどれほどのものだというの……)


幼女魔王 「あ、あの、この男のミルクを1リッ……」



淫魔幼女 「背骨チョップ」


ボコスッ


幼女魔王 「痛い!?」




……………



淫魔幼女 「まったくもうお前はもうまったく……」


幼女魔王 「悪かったわよ勝手に動いて……」


淫魔幼女 「ちゃんと糸巻きは持っているだろうな」


幼女魔王 「え、ええ」

幼女魔王 「でも何なのこれ、ここに来てから糸が減っているような……」


淫魔幼女 「……いいか、それだけは絶対になくしたりするな」

淫魔幼女 「で、なければ最悪死ぬ」


幼女魔王 「えっ!?」





………………


商人の町? アトリエ通り




銀の水精の声 「ありがとうございました……」



淫魔幼女 「………風呂に入れる鉱石も買った」

淫魔幼女 「これで終わりだな」


幼女魔王 「手桶に石鹸にタオル、アヒルさん人形まで……見事にお風呂グッズを揃えたわね」

幼女魔王 「お風呂の国の王さまにでも作りたいの?」


淫魔幼女 「風呂の国をナメるな」

淫魔幼女 「風呂の国は一日にしてならず、ということわざもあるのだ」


幼女魔王 「あるんだお風呂の国……」


淫魔幼女 「それは今はどうでもいい。お前の糸巻き、糸はどのくらい残っている?」


幼女魔王 「えー、と……」

幼女魔王 「あら、ほとんど残ってないわ」


淫魔幼女 「ふむ、このあたりまでか」


幼女魔王 (淫魔幼女の糸巻き、まだ糸が残ってるわね……)



淫魔幼女 「今日の買出しはここまでだ」

淫魔幼女 「風呂関係以外のアイテムは明日から揃える」

淫魔幼女 「宿に向かうぞ」






商人の町? 宿屋通り 魔物用宿屋Lv.37





宿オーク 「おー、これは淫魔幼女のダンナ、お帰りなせえまし」


淫魔幼女 「うむ。今日から数日、また部屋を使わせてもらうぞ」


宿オーク 「そいつは丁度いい。今朝掃除したばかりでがす」

宿オーク 「あと、石材やら何やら来てましたんで、部屋に届けさせときましたよ」


淫魔幼女 「うむ。ありがとう」


幼女魔王 (黒いオーク……お、大きくて太くて怖い。牙みたいのも生えてるし)


宿オーク 「おや、こちらのブルマの娘さんは……」


幼女魔王 (うわ、こっち見た)

幼女魔王 (……ちょっとカッコイイわね。ワイルドな感じがするわ)


宿オーク 「新しい魔法少女を捕まえたんですかい?」

宿オーク 「調教用の地下室、掃除しときましょうか?」


幼女魔王 「背中に穴あけて貯金してやりましょうか」


淫魔幼女 「…………ふむ」


幼女魔王 「ふむ、じゃないわよ」






魔物用宿屋 西棟 淫魔幼女の部屋



幼女魔王 「結構繁盛してるみたいだけど、すんなり部屋がとれたわね」

幼女魔王 「しかも、けっこう広いし、お風呂もついてるし」


淫魔幼女 「おれの家がわりだ。この棟の部屋は、金さえ払えば長期間借りることが出来る」

淫魔幼女 「旅人の拠点になる町にはこういう宿が多い」

淫魔幼女 「長旅をする予定があれば、おぼえておけ」


幼女魔王 「へえ、いろいろと便利なのね」

幼女魔王 「もっとも、私にそんな予定はないんだけれども」


淫魔幼女 「…………そうだな」





幼女魔王 「それよりも、淫魔幼女」


淫魔幼女 「む?」


幼女魔王 「私たち、一緒の部屋に泊まるのよね」


淫魔幼女 「しかたないだろう。他の部屋が空いてないからな」

淫魔幼女 「それに、考えてもみろ。他の宿におま……貴様を1人で泊めようものなら」

淫魔幼女 「貴様のへっぽこ処女膜なんざ寝た瞬間に弾け飛ぶ」


幼女魔王 「失礼ねきっと少しは踏ん張ってくれるわよたぶん。試したことないけど」

幼女魔王 「……そうじゃなくて、その、同じ部屋に女の子2人という話で」


淫魔幼女 「? 何が言いたい」


幼女魔王 「いや、ほら………」

幼女魔王 「こういうのって、なんか、あれみたいじゃない?」

幼女魔王 「なんていうか、その、おともだ………」


メリメリ……

バタンッ!!



淫魔幼女・幼女魔王「!?」



死神メイド 「…………」

死神メイド 「失礼します」


幼女魔王 (………入り口の扉が倒れて)

幼女魔王 (ベッドを抱えた包帯姿のメイドが入ってきた……)





死神メイド 「追加のベッド、持ってきました」


幼女魔王 「え、あの……」


淫魔幼女 「ああ、並べておいてくれ」


死神メイド 「………はい」


ドスンッ


幼女魔王 (ベッドの上にベッドを置いた!?)


死神メイド 「ふぅ」


幼女魔王 「い、いや、ふぅじゃなくて……」


死神メイド 「?」


幼女魔王 「それ、並べたんじゃなくて重ねたって言う……んじゃ、ないかな……」




死神メイド 「……ああ」

死神メイド 「だって並べたら、あなたたち並んで寝ることになるじゃない」


幼女魔王 「え、あの、でもそれじゃ寝れない……」


死神メイド 「あなたのために用意したの」


幼女魔王 「え?」


死神メイド 「このベッド」


幼女魔王 「あ、はい、ありが……いや、そうじゃなくて」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「な、なんで睨むの?」


死神メイド 「…………」


ビタンッ


幼女魔王 「あ痛ッ!」

幼女魔王 「なんでビンタするの!?」


死神メイド 「……ごめんなさい」


ドゴッ


幼女魔王 「おぶぅッ!?」

幼女魔王 「お腹にパンチ!?」






死神メイド 「……大丈夫?」


幼女魔王 「おえぇっ……予想外の腹パン……大丈夫なわけ………」


死神メイド 「そう」


ドゴッ


幼女魔王 「えべろッ!?」


死神メイド 「大丈夫」


幼女魔王 「何が!?」


ドゴッ


幼女魔王 「はんぐッ!?」

幼女魔王 「ぢょっ……や、やめ………」


ドゴッ


幼女魔王 「ぐふぅッ!?」





魔物用宿屋 どこか


ワイワイ……


宿オーク 「死神メイド、飛び出していったが」

宿オーク 「ちゃんとやってるだろうか」

宿オーク 「…………」

宿オーク 「不安だなあ」

宿オーク 「やはり、見にいった方がいいかなあ……」





魔物用宿屋 淫魔幼女の部屋



死神メイド 「…………」


ドゴンッ


幼女魔王 「……ッ! ……ッ!! ぉえ……吐…」


ドゴメリィッ


幼女魔王 「あぎゅぅッ!?」

幼女魔王 「も、ぷぇ…腹パンゆ、ゆる、許じ……」


ドゴンッ


幼女魔王 「ぐぇっ!?」


死神メイド 「……大丈夫」

死神メイド 「ちょっとおしっこ漏らすまで続けるだけだから」


ドゴンッドゴンッ

ドゴンッドゴンッ……



ドゴッドゴッドゴッドゴッ


幼女魔王 「うブッ、おねが……おしっこならいくらでも漏らすから」

幼女魔王 「これ以上はし、死……」



淫魔幼女 「そのくらいにしろ、死神メイド」


ピタッ


死神メイド 「…………」


淫魔幼女 「ベッドは横に並べてくれ。間は離していい」


死神メイド 「……分かったわ」




ドサッ……


幼女魔王 「うぐぇッ」


淫魔幼女 「……大丈夫か?」


幼女魔王 「おうち帰りたい……」






ダッダッダッダッ



宿オーク 「あちゃー、扉やっちまってらあ」


淫魔幼女 「宿オーク」


宿オーク 「すいません、ダンナ」

宿オーク 「もう一人前と思って行かせたんでがすが、こんなことになっちまって」


死神メイド 「私がどうしても行きたいと言ったの」

死神メイド 「でも舞い上がって、扉を開けるのを忘れていたわ」

死神メイド 「失敗」


幼女魔王 「…………」





宿オーク 「ほんに、すいません」

宿オーク 「すぐ代わりの扉つけて、直しますんで」

宿オーク 「晩飯もこっち持ちで出しますんで」


淫魔幼女 「それはありがたい」


幼女魔王 「…………」


死神メイド 「本当にごめんなさい、扉」


淫魔幼女 「いや、失敗は誰にでもある。気にすることはない」


死神メイド 「ありがとう」

死神メイド 「やっぱりあなた、優しいわ」


宿オーク 「そいじゃ、失礼しまさぁ」

宿オーク 「晩飯はここまで持ってきますか?」


淫魔幼女 「ああ、頼む。連れもいるのでな」


幼女魔王 「……………」




少しあと



カチャカチャ



淫魔幼女 「……どうした、食べないのか」


幼女魔王 「ちょっとね、食べようとすると吐き気がするのよね」

幼女魔王 「何故だか分からんけども」


淫魔幼女 「? 早くしないと冷めるぞ。ここの飯もうまいのに」


幼女魔王 「……あとから食べるわ」


淫魔幼女 「ふむ……」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」


モグモグ


幼女魔王 「…………」キュルル


ゴクッゴクッ


幼女魔王 「……おいしそうね」


淫魔幼女 「うまいぞ」





さらに少しあと




幼女魔王 (淫魔幼女がお風呂に入った)

幼女魔王 (友達っぽく、一緒に入ろうかと言ったら怒られた)

幼女魔王 (心が男のおれと一緒に入ろうなどアホなのか、と怒られた)

幼女魔王 (……あの人ときどきそんなこと言うけど、持ちネタか何かなのかしら)

幼女魔王 (笑えばよかったのかしら)

幼女魔王 (友達がいないから、その辺がよく分からない……)


幼女魔王 「……お腹、なおってきたわね」

幼女魔王 「そろそろ食べようかしら」



ドンドンドンッ



幼女魔王 「……?」

幼女魔王 「窓の方からだわ。いやね、何かしら」





シルフ娘 「………! ………!」


幼女魔王 (目の細い可愛い女の子が、何か言いながら窓を叩いてる)

幼女魔王 (猫くらいの小さな体で、宙に浮いてて、気まぐれになびく髪。たしかシルフね)


シルフ娘 「………! ………!」


幼女魔王 (ずいぶん必死ね。入れてあげたいけど……)

幼女魔王 (勝手にそんなことしたら、淫魔幼女は怒らないかしら)



シルフ娘 「…………」


幼女魔王 「あ、止まった。あきらめた……?」


ガツンッ!!


幼女魔王 「頭突き!?」


ガツンッガツンッガツンッ!!

ガツンッガツンッガツンッ!!


幼女魔王 「ちょ、ちょちょ、ちょっとッ! 早まらないで! いま開けるから!!」



ガチャッ


シルフ娘 「フンヌーーーッ!!」


ゴツンッ!!


幼女魔王 「げふッ」





シルフ娘 「いやー、ありがとうございまつ。まさか入れてもらえるとは」


幼女魔王 「頭が割れたかと思った……」

幼女魔王 「そ、それで、何の用ですか……かしら?」


シルフ娘 「はい、えーと………」

シルフ娘 「……ところであんた、誰でつか?」


幼女魔王 「あなたこそ誰よ」





シルフ娘 「これは失礼しまつた。私はお届けギルド所属のシルフ娘と申しまつ」

シルフ娘 「淫魔幼女さまへのお届け物のついでに、お荷物をお預かりしに来ました」


幼女魔王 「幼女魔王よ。まあそうね、言うなれば……」

幼女魔王 「淫魔幼女の、と、ともだ、と、ともッ」


シルフ娘 「ああ、お供の人でつか!」

シルフ娘 「でも変でつね。淫魔幼女さまはお供をつけないとおっしゃていたんでつが」


幼女魔王 「いや……」


シルフ娘 「……細かいことはいいでつね。窓を開けてくれてありがとうございまつ!」

シルフ娘 「いつもは守護結界が破れるとかどうとかで、窓から入れてもらえないんでつが」

シルフ娘 「入れてよかったでつよー」


幼女魔王 「それはよかったわ……ね?」

幼女魔王 (もしかして私、とんでもない事したのしら……)




シルフ娘 「では、淫魔幼女さまに受け取りのサインをいただきたいのでつが」


幼女魔王 「今ちょっとお風呂に入ってるわ」


シルフ娘 「そうでつか。あやー、いいでつねーお風呂。お風呂はどこに?」


幼女魔王 「あそこだけど」


シルフ娘 「分かりまつた」


フヨフヨフヨ……


シルフ娘 「……この扉でつねー?」


幼女魔王 「ええ」


シルフ娘 「……鍵がかかっているようでつね」


幼女魔王 「……でしょうね」


シルフ娘 「…………」


幼女魔王 「…………」


シルフ娘 「…………」

シルフ娘 「フンヌーーーーーーッ!!」


幼女魔王 「!?」








ガタァンッ



幼女魔王 (私が止める間もなく、シルフ娘はお風呂場の扉を破ってしまった)

幼女魔王 (すごくドスのきいた気合いとともに、頭突きで)



淫魔幼女 「…………」



幼女魔王 (頭にタオルを巻いて、赤い色のお湯につかっている淫魔幼女)

幼女魔王 (眠たげな目つきで、青白い頬をほんのりピンクに染めて、なんか色っぽい)

幼女魔王 (いつもは外套で分からないけど、首や肩を見る限り、けっこう華奢なのね)


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 (無表情だけど、あれ驚いてるわよね)

幼女魔王 (そりゃ驚くわよね、入浴中に頭突きで入ってこられたら)

幼女魔王 (……どうしてアヒルさん人形を頭に乗せているかは、はかり知れんけれど)



シルフ娘 「あたた……。あ、お疲れさまでつ、淫魔幼女さま。お届けギルドのシルフ娘でつ」

シルフ娘 「お届け物がありまつので、サインをください」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「…………な」




……………



シルフ娘 「白玉鋼に浴用タオル、死体洗いタワシにアヒルさん人形指人形エトセトラ」

シルフ娘 「お預かりするアイテムは以上でよろしかったでつね」


バスタオル淫魔幼女 「頼むぞ。人ぎょ……鉱石系はとくに大切にな」


シルフ娘 「あいあい」


バスタオル淫魔幼女 「……本当に頼むぞ」


シルフ娘 「お任せください。お届け物は死んでも届けまつ」


バスタオル淫魔幼女 「その点は信頼している。しかしなるべく物は壊さないでもらいたい」


シルフ娘 「あや、気をつけまつ。私、夢中になると我を忘れてしまって」

シルフ娘 「………ふいーーーッ」

シルフ娘 「それにしても、これはいい湯でつねえ……」

シルフ娘 「指先からじんわりとほぐれてくるような」


幼女魔王 「なんであなたお風呂に入ってるのよ」


バスタオル淫魔幼女 「疲れをとる上に、美肌の効能もある。さらに飲むと胃が丈夫になる」

バスタオル淫魔幼女 「妖精の貴様にも効くはずだ」


幼女魔王 「なんであなた私と魔法少女以外には微妙に優しいのよ」



シルフ娘 「……はあ、本当に極楽でつ」

シルフ娘 「私の体がお湯に溶けていくようでつ」


パンツ淫魔幼女 「だいぶ疲れが溜まっているようだな」


シルフ娘 「ちょっと仕事が多くなりまつたからねえ……」


下着淫魔幼女 「何かあったのか」


シルフ娘 「あい、ある小世界群を担当しているお届けギルドの仲間たちが」

シルフ娘 「このところよく怪我をしたり、または行方不明になってまつて」

シルフ娘 「近いエリアを担当しているギルド員たちでカバーしてるのでつ」


アヒル人形肩乗せ淫魔幼女 「ふむ」




シルフ娘 「何でもあのあたりには、妖精と人間の対立が激しくなっている世界があるとかで」

シルフ娘 「それに巻き込まれてしまったとか何とか」

シルフ娘 「行方不明のみなさん、大丈夫だといいんでつが……」

シルフ娘 「今ギルドが報奨金つきの捜索願いを出しているので」

シルフ娘 「よかったら、淫魔幼女さまも探してみてください」


アヒル人形頭乗せ淫魔幼女 「物騒な話だな」

アヒル人形頭乗せ淫魔幼女 「立ち寄ることがあれば、そうしよう」





シルフ娘 「……ところで淫魔幼女さま」


淫魔幼女 「なんだ」


シルフ娘 「このお湯、疲れがとれていくのはいいとして」

シルフ娘 「何だかおかしいのでつが」


淫魔幼女 「どうした」


シルフ娘 「お腹がポカポカするというか、フワフワするというか」


淫魔幼女 「すまん、少し媚薬を入れた」


シルフ娘 「なるほど、淫魔は媚薬をお酒みたいに嗜むと聞きまつたが」

シルフ娘 「…………」

シルフ娘 「ふいぃ~~……」


幼女魔王 「さっさと上がりなさい」




……………


シルフ娘 「あやーっ、おかげさまですっかり元気になりまつた」

シルフ娘 「何だか元気なときよりも元気な気がしまつよ~!」


淫魔幼女 「媚薬も、使い方しだいということだ」

淫魔幼女 「量を間違うと大変なことになるので、おすすめはできんが」


幼女魔王 「どんなのを使ったのよいったい」


淫魔幼女 「秘密だ」


幼女魔王 「いや、あとから私も入るんだから……」



シルフ娘 「あい、これがお届け物です」


淫魔幼女 「うむ」


幼女魔王 (黒い封筒……手紙かしら?)


シルフ娘 「んでは、荷物をお預かりしまつ。どこにありまつか?」


淫魔幼女 「あそこだ」


シルフ娘 「あそこの、いかにも鍵が閉まってそうな紫の扉でつね」

シルフ娘 「分かりまつた……」


幼女魔王 「待ちなさい。扉は私が開けるわ」






幼女魔王 (紫の扉の向こうは、アイテムだらけの広い部屋だった)

幼女魔王 (シルフ娘は緑の扉を出すと、その部屋の壁に貼り付けた)

幼女魔王 (するとその向こうにも部屋が出来て)

幼女魔王 (シルフ娘はそこへ、淫魔幼女が指示したアイテムを放り込んでいった)



シルフ娘 「全部終わりまつた~」


淫魔幼女 「ご苦労だった」


幼女魔王 (シルフ娘、大きな荷物もヒョイヒョイ持ち上げてた)

幼女魔王 (私よりも力あるのね……)


淫魔幼女 「後日場所を指定するので、そのときに届けてくれ」

淫魔幼女 「それと、近くまた呼ぶかもしれない」


シルフ娘 「あいあい、喜んでうかがいまつよ~」




シルフ娘 「あ、そうだ、幼女魔王さん」


幼女魔王 「何?」


シルフ娘 「もしお届けものがありまつたら、お届けギルドにご連絡ください」

シルフ娘 「指名してもらえば、私が可能な限りどこでもお届けしまつよ」

シルフ娘 「淫魔幼女さまのお供なので、特別頑張りまつ」


幼女魔王 「とと、特別……!?」

幼女魔王 「だだ、だったらここ今度、お食事でも……」


シルフ娘 「んだらば、さようなら~」


ヒュルルルルル


幼女魔王 「あっ…………」


淫魔幼女 「また窓から出て行ったか。ちゃんと入り口を使えと言っているのに……」

淫魔幼女 「さて、風呂場の扉を直してもらわなければな」


幼女魔王 「…………」





……………


トンットンットンッ


幼女魔王 「…………」


グッ グッ グッ グッ


死神メイド 「…………」




幼女魔王 「あ、あの……」


死神メイド 「何かしら」


幼女魔王 「私がお風呂上がってからでも、扉の修理はできるんじゃ……」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「ない、かなー……なんて………」


死神メイド 「扉をなおさなかったら」

死神メイド 「あなたの裸、淫魔幼女に見えちゃうじゃない」


幼女魔王 「ま、まあそうだけど」

幼女魔王 「同じ女の子同士なんだし……」

幼女魔王 「見られて困るような体じゃないし……」


死神メイド 「………そう」


トンットンットンットンッ……


幼女魔王 「…………」






幼女魔王 「……あの」


死神メイド 「なに?」


幼女魔王 「そろそろ上がりたいんだけど……」


死神メイド 「そう」



トンットンットンットンッ



幼女魔王 「……あの」


死神メイド 「なに」


幼女魔王 「扉の修理をちょっと中断してくれないと、出られないかなー、なんて」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「仕事中だから」


幼女魔王 「……そ、そうよね。邪魔しちゃ悪いわよね」

幼女魔王 「あ、あははは……」

幼女魔王 「もうちょっと、つかってよーっと……」



死神メイド 「……そう」



トンットンットンットンッ



幼女魔王 (……は、はやく上がらなきゃ)

幼女魔王 (淫魔翌幼女が使ったお湯を捨てて入れかえたけど、まだちょっと残ってたみたい)

幼女魔王 (お腹の内側がむずむずしてきた……)





幼女魔王 「……あの」


死神メイド 「なに」


幼女魔王 「そろそろ上がろうかなー、て」


死神メイド 「そう」



トンットンットンットンッ



幼女魔王 「………あの」


死神メイド「なに」


眼鏡天使 「扉の修理を中断してくれないと、出られないかなー、なんて」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「仕事中だから」


幼女魔王 「……そ、そうよね。邪魔しちゃ悪いわよね」

幼女魔王 「あは、あははは……」

幼女魔王 「もうちょっと、お湯につかってよーっと……」



トンットンットンットンッ



幼女魔王 (お湯は入れかえたけど、淫魔幼女のつかってたのが残ってたみたい)

幼女魔王 (お腹の内側がむずむずする)

幼女魔王 (は、早く上がらないと……)



ここでアレな分岐点。
をすっ飛ばして続き。


…………

………………



トンットンットンットンッ


死神メイド 「…………」

死神メイド 「…………?」


幼女魔王 「…………」


死神メイド 「どうしたの」

死神メイド 「そんなところに立って」

死神メイド 「目をとろんとさせて」

死神メイド 「くねくねして」


幼女魔王 「………ぁ」

幼女魔王 「あんらの、ひぇいなんらひゃらぁ……」


死神メイド 「何を言っているの」


幼女魔王 「おにゃかのにゃかが熱いし、頭ポーッとしゅるし」

幼女魔王 「なんかムズムズするしぃ………」

幼女魔王 「あんら、ろうにかしなひゃいよほぉ……」




死神メイド 「…………」

死神メイド 「わかったわ」


幼女魔王 「はやくしれぇ」

幼女魔王 「もうなんれもいいから、わらしのおみゃ……」


死神メイド 「…………」


ドゴッ


幼女魔王 「おぐぇ!?」

幼女魔王 「またお腹にパンチッ!?」




死神メイド 「大丈夫」


幼女魔王 「だから何が!?」


死神メイド 「痛くしない」


幼女魔王 「痛いんだけど!?」


死神メイド 「先っぽだけだから」



ズドンッ



幼女魔王 「そぼろッ!?」

幼女魔王 「ちょ、ひざ、ひざぁッ!」

幼女魔王 「奥まで入ってる!」

幼女魔王 「私のお腹の奥まで入ってるううぅうぅうう!!」

幼女魔王 「ぐえーーーーッ!」



死神メイド 「すぐ終わるから」

死神メイド 「すぐに(ここから)出してあげるから」


幼女魔王 「いやああああああああ!!」



ズドンッズドンッズドンッズドンッ



途中まで読んだけど男でねぇの?百合なの?

スレタイ詐欺[ピーーー]よ

>>258
うわ途中まで読んでくれたんだありがとうごめんなさい
注意書きなどを、最初に書いておかなきゃいけなかったんですね

百合じゃないつもりだけど女同士でほのぼのグダグダやるのがメイン
淫魔翌幼女は中身男
幼女魔王の相手の男はここまで出てきてない
幼女魔王はボッチをこじらせて発狂して泣き喚きながら女戦士にバラバラにされて死ぬ

時間をとってしまってごめんなさい


………………


死神メイド 「ここでいいかしら」


淫魔幼女 「……ゴミ箱じゃなくて、ベッドに寝かせてやれ」


死神メイド 「分かったわ」


ドサッ


幼女魔王 「ぐぇッ」

幼女魔王 「ふにゃあ、白い触手に乗った勇者が私を迎えにやってくるるる~……」

幼女魔王 「あひひ、ふひぃーー」


淫魔幼女 「残りカスだけでここまでキマるのか」

淫魔幼女 「知ってはいたが、とことん媚薬に弱いのだな」




死神メイド 「気付けはしたつもりだったのだけど」

死神メイド 「もう一発、いきましょうか」


淫魔幼女 「貴様はこいつに何か恨みでもあるのか……」


死神メイド 「いいえ」

死神メイド 「ただ、あなたの足手まといになるからよ」


淫魔幼女 「……苦い水を持ってきてやってくれ」


死神メイド 「分かったわ」

死神メイド 「大急ぎで、持って来るわね」



カツッカツッカツッカツッ……



淫魔幼女 「…………」





淫魔幼女 「シルフ娘の黒い封筒」


黒い封筒 『なんだい』


淫魔幼女 「開け」


黒い封筒 『あんたは誰だい』


淫魔幼女 「淫魔幼女だ」


黒い封筒 『ならしかたがない。燃えるとしよう』


ボオォッ


黒い手紙 『…………』


淫魔幼女 「…………ふむ」


幼女魔王 「………ぎるでろーい」

幼女魔王 「にゃへへぇえ……ムニャムニャ」


淫魔幼女 「…………ふむ」

淫魔幼女 「……もう動いてくれたか」


幼女魔王 「ムニャ……わぁい……ママ」


淫魔幼女 「……………」




朝 魔物用宿屋 淫魔幼女の部屋 



幼女魔王 「う~ん」

幼女魔王 「ん?」

幼女魔王 (ここは……あぁ、淫魔幼女の部屋か。いつの間にか寝てたのね)


幼女魔王 「うぬぬ」

幼女魔王 (何か、頭痛い。昨日の記憶もあやふやだわ)

幼女魔王 (お風呂に入ったとこまではおぼえてるんだけど)


幼女魔王 「ねえ淫魔幼女~……て、もういなくなってるし」

幼女魔王 「朝の散歩でも行ったのかしら。まさかね」

幼女魔王 「とりあえず、起きて顔でも洗いますか……」




ガチャッ



死神メイド 「おはよう」


幼女魔王 「おはわひょぅ!?」





死神メイド 「…………」

死神メイド 「おはよう」


幼女魔王 「おおお、おは、おはおはようございます!」


死神メイド 「朝ご飯、持ってきたわ」


幼女魔王 「あ、えええ、はは、はい」

幼女魔王 (だめだわ。この人を見るとお腹がひどくズキズキしてくる。変な汗が出てくる)

幼女魔王 (……あ、どうしよう動けない)


死神メイド 「どうしたのベッドに座り込んだまま」

死神メイド 「せっかく朝ご飯を持ってきたのに」


幼女魔王 「……こ、腰が抜けちゃった」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 (すごい目で睨まれた……)





死神メイド 「あなた、何なの」


幼女魔王 「は……へ?」


死神メイド 「どうして、そんなにみっともないの」

死神メイド 「どうして、そんなにみっともないのにヘラヘラ笑っているの」

死神メイド 「どうして、そんなにみっともないブルマをはいているの」

死神メイド 「どうして、そんなにみっともないのに淫魔幼女のそばにいられるの」

死神メイド 「あなたは何ができるの」

死神メイド 「あなたは淫魔幼女の何を知っているの」

死神メイド 「あなたは淫魔幼女のために何になれるの」

死神メイド 「あなたは淫魔幼女の何なの」


幼女魔王 (…………わお)






商人の町? どこか



淫魔幼女 「へくちッ」


フェドラ帽の男 「珍しいね、風邪かい?」


淫魔幼女 「……いや、すまない、話を続けよう」




魔物用宿屋 淫魔幼女の部屋



幼女魔王 「わ、私もよく分からんというか……」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「どうして私なんか気にかけるのか聞いても」

幼女魔王 「しかたなく、とか、黙れ、とかいう答えしか返ってこないし」

幼女魔王 「会うたびに言葉で袋叩きにされてるし」

幼女魔王 「でもあの人がいなかったら、私たぶんとっくに死んでるし」


死神メイド「…………」


幼女魔王 「……ほんと、何なのかしら私」


死神メイド 「そんなことはどうでもいいの」

死神メイド 「あなたには何か彼の役に立てていることがないか聞いているの」





幼女魔王 (どうしてそんなこと聞くの)

幼女魔王 (……なんて言ったら、きっとお腹に風穴あけられるわね……)


幼女魔王 「えっと、寝床を貸したり、商品の実験台になったり」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「ご飯をつくったり……そのくらい」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「あああ、あと、スカートとスパッツとパンツあげました」

幼女魔王 (本当はとられたんだけど)


死神メイド 「…………」

死神メイド 「そう」


幼女魔王 「あの、これで良かった?」


死神メイド 「ええ」


幼女魔王 「じゃ、じゃあ、ご飯そこに置いて……」


死神メイド 「無理しないで」


幼女魔王 「ひぇッ!? ごご、ごめんなさい来ないでお願いお腹パンパンしない……」


死神メイド 「食べさせてあげるわ」


幼女魔王 「へふぇ?」


死神メイド 「腰、大事にしなきゃ」


幼女魔王 「ど、どうも」

幼女魔王 (何なのよいったい……)





………………



淫魔幼女 「帰ったぞ幼……」


ゴージャス幼女魔王 「おかえりなさい」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「何だその部屋を照らさんばかりのゴージャスな装いは」


ゴージャス幼女魔王 「何か……死神メイドから貰った」




ゴージャスドレス  を手に入れた
ゴージャスかんざし を手に入れた
ゴージャスチョーカーを手に入れた
ゴージャスシューズ を手に入れた
ゴージャス手袋   を手に入れた
ゴージャス日傘   を手に入れた
枯葉の服      を手に入れた
腐葉土のスカート  を手に入れた





淫魔幼女 「まあいい」

淫魔幼女 「……いや良くないだろ馬鹿着替えろ馬鹿」


幼女魔王 「わ、分かってるわよ」

幼女魔王 「ちゃんと普通の服も貰ったんだから」

幼女魔王 「……やっとブルマから脱却できるわ」


淫魔幼女 「まったく、貴様は目を離した先から馬鹿をやる」

淫魔幼女 「……いや、離さなくても馬鹿か?」


下着幼女魔王 「真面目に考えこまないで」





下着幼女魔王 「で、どこ行ってたの?」

下着幼女魔王 「朝ご飯も用意されてなかったみたいだけど」


淫魔幼女 「いらんと言っておいた」

淫魔幼女 「少し待ち合わせをしていたのでな」


幼女魔王 「ボ、ボーイフレンド?」


淫魔幼女 「全身の毛むしり取るぞおれは男だと言っているだろうが」

淫魔幼女 「できれば、今すぐお前に会いたいと言っている」

淫魔幼女 「会いに行くぞ」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 「……魔王を奴隷にしちゃう商人とかじゃないでしょうね」


淫魔幼女 「…………そっちの方が良かったか?」


幼女魔王 「い、いえ」

幼女魔王 (いるんだ、そんな商人……)


淫魔幼女 「無駄口叩いてないで行くぞ」





魔物用宿屋 1階



死神メイド 「いってらっしゃい」


淫魔幼女 「うむ」


幼女魔王 「い、いってきます」


死神メイド 「待って」


幼女魔王 「うぇ!?」


死神メイド 「……襟が歪んでるわ」


幼女魔王 「あ、ありがとう……」


死神メイド 「…………」


幼女魔王 「…………」


死神メイド 「私、淫魔幼女のただの足手まといは嫌いだけど」

死神メイド 「みっともない子供はそんなに嫌いじゃないわ」


幼女魔王 「……えっと」


死神メイド 「いってらっしゃい」





商人の町? 朝と夜の交わる十字街




吟遊詩人 「ピーヒョロピーヒョロ」


セイレーン 「アメジーグレーラララー」



ワイワイ ガヤガヤ




幼女魔王 「宿のあったところは魔物だらけだったけど」

幼女魔王 「このあたりは人間も魔物もいるのね」


淫魔幼女 「その分トラブルも多いから、気をつけろ」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「……怖いからといって外套を握るな魔王だろうが」




幼女魔王 「……どんな人なの、これから会う人って」


淫魔幼女 「人間の男だ。おれとはずいぶん毛並みが違うが、まあ同業だな」


幼女魔王 「人間……お、男……」


淫魔幼女 「こら外套を握るな堂々としていろクズボッチ」

淫魔幼女 「ある程度は信頼できる人物だ安心しろ」


幼女魔王 「そ、そう……」

幼女魔王 「誰がクズボッチよこの天然鬼畜」




商人の町? 青空カフェ



パン娘 「いらっしゃいませー」


淫魔幼女 「人を待たせているのだが、中折れ帽を被って長髪を結った男はいるだろうか」


パン娘 「ああ、そんな人いたわねん。たしかあちらの方のテーブルで………」



フェドラ帽の男 「よぉ、こっちだ」



パン娘 「……立ち上がって手を振ってらっしゃるかたが」


淫魔幼女 「む、ありがとう」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「うっ、おなかがッ!」


淫魔幼女 「分かりやすい仮病を使うなヘソ丸出し魔王」






淫魔幼女 「すまない、待たせた」


フェドラ帽の男 「いやいいさ」

フェドラ帽の男 「500年生きてきたんだ、この程度の時間どうってことない」


幼女魔王 (……人間って100年単位で生きるものだったかしら)


フェドラ帽の男 「……と、ほぉ」

フェドラ帽の男 「こちらの方がそうか」


淫魔幼女 「ああ、そうだ。幼女魔王」


幼女魔王 「あ、うん、えっと……」


フェドラ帽の男 「いやいや、俺の方から名乗るのが礼儀ってもんだろう」


淫魔幼女 「こんな奴にそんなもんいらん。適当に靴でも舐めさせておけば充分だ」


フェドラ帽の男 「あっはっはっ、お前いつにも増してひどいなあ」





フェドラ帽の男 「お目にかかれて光栄です、魔王陛下」


幼女魔王 「え、あ……あの」

幼女魔王 (は、はじめて陛下って言われた……)


フェドラ帽の男 「わたくし旅の詐欺商人をしております、詐欺商人と申します」

詐欺商人 「以後、お見知りおきを」



幼女魔王 「どこをどうある程度信頼しろってのよ」



求刑

>>278
休憩

主にどこらへんがほのぼのなのか産業

>>1はほかにもなにか書いたりしてないのかい?

>>281
魔法少女が敗北して身も心もメタメタにされる
幼女が失禁寸前まで腹パンされる
でも世界は平和

>>282
このスレを始めたあと、このスレで使うネタのために書いたのが2つあるけど、
片方はあまりにもクソすぎて逆にまとめられるくらいクソだった。もう片方は普通にクソだった。
つまり私はここでクソしか排出していません。





詐欺商人 「わざわざお越しいただき、ありがとうございます」

詐欺商人 「本当はこちらから伺いたかったのですが、あの区域、人の身で踏み入るにはたいへん厳しく……」

詐欺商人 「どうか、無礼をお許しください」


幼女魔王 「そ、そんな、頭を上げて……」

幼女魔王 「話しかたも、そんな風かしこまらないで。私の方が年下なんだし……ですし……」


詐欺商人 「なんという寛大な御心。ありがとうございます」


幼女魔王 「え、あ、いや、えへへ……」


詐欺商人 「しかし、陛下の美しい御心は、容姿にもしっかりと表れてらっしゃるようですな」

詐欺商人 「こうしているだけで、私の卑しい心が洗われていくようです」


幼女魔王 「…………」


ガバッ


幼女魔王 「抱いて!!」


詐欺商人 「喜んで」


淫魔幼女 「やめろ馬鹿」



>>252 
なかったことに




淫魔幼女 「いきなり全幅の信頼をよせるなちょろすぎるにも程があるだろうが」


幼女魔王 「いや、優しくされたもんだから、つい……」


淫魔幼女 「貴様もだ詐欺商人、気味の悪い話し方はやめてくれ」


詐欺商人 「すまん」


淫魔幼女 「まったく……」

淫魔幼女 「それでは、城つき露天風呂づくりについての話し合いを始める」


詐欺商人 「普通の城づくりだと聞いたが」





………


淫魔幼女 「では、ここはアイテム工房、ここは屋外訓練場、倉庫はこの辺に……」


詐欺商人 「うん。訓練場をつくるなら、界境の淀みに登録しておくのもいいんじゃないのか」


淫魔幼女 「……む、しかし」


詐欺商人 「万が一のこともあるだろうし、アイテムの収集にも役に立つだろう」


淫魔幼女 「むぅ……」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (何の話をしているのかチンプンカンプンだわ)





詐欺商人 「こうなると図書館も早めに欲しいが、見取り図を見る限りだとまだ無理か」


淫魔幼女 「いや、何とかなるだろう。釣堀と田畑も作らないといけないか……」


幼女魔王 「…………」


詐欺商人 「……おいおい、淫獣の胎は仕方ないとして奴隷調教場なんて、さりげなく変なもの置こうとするんじゃない」


淫魔幼女 「むぅ……」


詐欺商人 「娯楽施設は……かなり城を大きくしてからだな。そうだ、菊の花畑を……」


淫魔幼女 「貴様は菊が好きだな……」


幼女魔王 (……………)

幼女魔王 (……あ、いけない。ちょっと寝てたわ)



………



淫魔幼女 「ふむ、大まかな計画はこんなものか」


詐欺商人 「役に立てたかな」


淫魔幼女 「ひとまずは礼を言う。立ってもらうのはこれからだがな」


詐欺商人 「淫魔のお前に立つとか言われるとゾッとするな」


淫魔幼女 「するな私は男だふざけんなバカ」

淫魔幼女 「バカ」


詐欺商人 「身体は女だろうああ冗談だ外套をウネウネさせるな。どこでやるか決めているのかい」


淫魔幼女 「冗談と言った先から何がどこでヤるかだこのバ……」


詐欺商人 「冷静に取り乱すな、玉座をつくるための素材アイテムの収集をどこでやるかという話だ」


淫魔翌幼女は男は襲わないのか
実は処女だったりするのかな



淫魔幼女 「……近くの世界の山あたりを考えていたが、界境のよどみを使えるなら話は変わる」

淫魔幼女 「もっとも、おれと貴様の力が必要になると思うが。何せこの……」


幼女魔王 「…………ムニャムニャ」


淫魔幼女 「……バカ処女はまったく。誰のための話をしていると思っているんだ」


詐欺商人 「まあ、いいじゃないか。これまで廃墟同然の世界を独りで切り盛りしていたんだろう」


淫魔幼女 「よくない。できてない。絶対こいつ引きこもって遊んでばかりいたぞ」


詐欺商人 「はっはっは。とりあえず俺たちも何か食っておこう」


淫魔幼女 「むぅ……」




山羊角娘 「暗黒お子様セット二つお持ちしましたぁ」


詐欺商人 「どーも」


山羊角娘 「こちら、おまけのゾンビアヒル人形ですぅ」


淫魔幼女 「うむ」


幼女魔王 「スヤスヤ……にゅへへ……」


詐欺商人 「さて、玉座か。城の要みたいなもんだから、考えないとな」


淫魔幼女 「扱いやすく、また長く使えるものにしたい」


詐欺商人 「使うのは象牙とか孔雀石とか金とか、そのあたりかな」


淫魔幼女 「こいつの属性や体質を考えると、木製がいい」


詐欺商人 「木製の玉座か。だったら材料は普通に市場で手に入るんじゃないか?」


淫魔幼女 「なかった。あしらう宝石なら見つけたが。これだ」


コトッ


詐欺商人 「灰色の霧がかかっているようなギラついた光沢。魔法使いや僧侶の杖なんかに使われている成長する石だな」

詐欺商人 「じゃあ探している木は、やはり成長する魔力を帯びたやつか」


淫魔幼女 「うむ」


詐欺商人 「なるほど」

詐欺商人 「つまりあれだ」

詐欺商人 「お前は、玉座の形をした、成長する杖をつくりたいんだな」






詐欺商人 「だとしたら、彼女に合うのはヒノキあたりかな」

詐欺商人 「まだ処女魔王なんだろう?」


淫魔幼女 「ああ。正直、魔力を帯びたものさえ見つかれば上出来だと思っていたが……」


詐欺商人 「よどみをつくるついでだ。採りに行こう」


淫魔幼女 「すまないな。手間をかけさせて」


詐欺商人 「ああ気にするな。姫は俺が世話になった人の大事な忘れ形見だ。これくらい当たり前だろう」

詐欺商人 「お前だってそうなんじゃないのか」


淫魔幼女 「……む」


詐欺商人 「心の内は少し複雑なようだが」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「ムニャムニャ……パパ、ママ」


淫魔幼女 「もう行くぞさっさと起きろ駄尻貧乳」


ムニュッ


幼女魔王 「フキャッ!?」




幼女魔王 「な、なになに?」


淫魔幼女 「帰るぞ」


幼女魔王 「宿屋に?」


淫魔幼女 「城だ。そこから中立の町に行く」


幼女魔王 「えーっと……?」


詐欺商人 「僭越ながら、私も同行させていただきます」


幼女魔王 「えっ!?」

幼女魔王 「うぇええええッ!?」

幼女魔王 「そ、そんないきなり、どどどうしよう淫魔幼女、男の人を私のお城に入れるなんて初めて……あわわわ……」


淫魔幼女 「知るかうろたえるな男ならおれを入れたことがあるだろうがバカ」


詐欺商人 「ははは。初めての男になれるとは、光栄です」


幼女魔王 「えっ、こ、光栄!? 私、貧弱で貧乳でボッチなのに光栄!?」


詐欺商人 「もちろん」


幼女魔王 「もち……ふひひっ!? え、これ夢、ふひょっ、えっ、エッ、フヒッ……!?」


淫魔幼女 「…………背骨チョップ」


ドゴキャッ


幼女魔王 「あッひゅぅん!?」

幼女魔王 「背骨から何か未知の快感電流が!?」


淫魔幼女 「さっさと行くぞマゾロリ無毛ピンク」


詐欺商人 「はっはっはっ」




幼女魔王軍に
詐欺商人が参加した。



詐欺商人 「まずは界境の淀みをつくろう」

詐欺商人 「滑稽な名前だが、特殊なダンジョンのようなものだと思っていい」

詐欺商人 「入り口を置く世界によって構造が変わるんだが、まあやってみれば分かるだろう」

詐欺商人 「じゃあ、行こうか」



淫魔幼女は
「アクセサリレベル2」を使った。




http://i.imgur.com/ZWjzi0g.gif
幼女魔王
Lv.2 処女魔王


http://i.imgur.com/U9WvUIr.gif
淫魔幼女
Lv.239 外道商人


http://i.imgur.com/c2FhLV4.gif
詐欺商人
Lv.1 詐欺商人





淫魔幼女 「おいこら詐欺商人」


詐欺商人 「はっはっはっ」


幼女魔王 (詐欺商人としてレベル1って、こっちはガッカリしたらいいのか喜んだらいいのか分かりかねるわね)






商人の町? 火の市場 武器防具店



老精霊 「らっしゃい」


詐欺商人 「リボンを3人分もらえるかな」


老精霊 「はいよ」



幼女魔王 「……う~ん」


淫魔幼女 「何を唸っている」


幼女魔王 「何か私にも使える武器ないかしら、と思って。ダンジョンに行くなら必要でしょう」


淫魔幼女 「魔王専用の装備があるだろう。魔王になったときに手に入れたはずだ」


幼女魔王 「あるけど……」


淫魔幼女 「だったらそれを使え。特定個人用の装備は、使い手と一緒に成長する」


幼女魔王 「もちろん使うけど、まだまだレベル低くて使い物にならないから、ある程度使えるやつが欲しくて……」


淫魔幼女 「……そうか。たしか貴様の武器は……」


幼女魔王 「……ヘロヘロの杖。本当の名前はちゃんとあるけど、ヘロヘロの杖。豆腐を叩いたら折れるレベル」


淫魔幼女 「だったな」

淫魔幼女 「……プフッ」


幼女魔王 「いっそ堂々と笑って」





淫魔幼女 「どんなものが欲しいか何となく考えてはいるのか?」


幼女魔王 「できたらその、あんまり触らずに攻撃できるのがいいかなー、て」

幼女魔王 「……怖いし」


淫魔幼女 「……ダメ魔王め」

淫魔幼女 「しかし、確かに毒や呪いを振りまきながら戦うモンスターもいる」

淫魔幼女 「弱いうちは、ある程度離れて戦える武器の熟練度を上げるのも良いだろう」

淫魔幼女 「まあ面白みは無いが遠距離用に弓や投げナイフ、中~長距離用に槍、近~中距離用に剣・杖とかでいいんじゃないか」


幼女魔王 「私、弓とか使ったことないんだけど当てられるかしら……」


淫魔幼女 「クロスボウにすれば、いくらかマシだろう。普通の弓にも補助魔法がかけられたものがあるが」

淫魔幼女 「槍は小型で、追加で斧刃もつけられると良いな」

淫魔幼女 「剣や杖は槍の補助武器として考えてもいいだろう。狭いダンジョンでは主力武器になるからしっかり選ぶことだ」


幼女魔王 「う、うぅ~ん……? 何かややこしいわ」


淫魔幼女 「ある種の基本だ。本当はもっとややこしい」


幼女魔王 「あなたはどんな武器を使っているの?」


淫魔幼女 「そうだな。おれは……」

淫魔幼女 「この外套と棺だな」


幼女魔王 「……うん?」




幼女魔王 「ちょっと何を言ってるか分からんのだけども?」


淫魔幼女 「至近~遠距離用の主力武器に外套。魔法攻撃用に棺だ」


幼女魔王 「ますますわけ分からんわよ」


淫魔幼女 「人間魔物剣魔法秘宝禁呪、基本的に世界は何でもありだ」

淫魔幼女 「武器だって何でもありだ」

淫魔幼女 「基本に忠実な装備品ばかり使っているようでは、とてもやってられんときがくる」

淫魔幼女 「おれなんてまともな方だ。詐欺商人の主力武器なんて何だと思う」

淫魔幼女 「耳かきだぞ」


幼女魔王 「彼はいったい何者なのよ」






詐欺商人 「リボン買ってきたぞ……っと、何だ武器を探しているのか?」


淫魔幼女 「幼女魔王用だ」

淫魔幼女 「このままでは、スライム相手にも簡単に苗床にされそうなのでな」


詐欺商人 「ははは、処女魔王がいきなりスライムの苗床か」

詐欺商人 「そういえばお前、女武闘家ばかりを卵スライムの苗床オブジェにして売ってたことがあったな」


淫魔幼女 「苗床が50~500匹出産するごとに開放し、弱体化させたまま強制的に戦わせてまた卵を産み付けるやつだな」

淫魔幼女 「一時期流行っていたな」

淫魔幼女 「鍛え上げられた身体の歴戦の女武闘家が、弱いモンスターにやられる様が好評だった」


詐欺商人 「俺も取引しているときに一つ見たことがあるが、なかなかエグかったな」

詐欺商人 「思わず助けて、所有者を怒らせたことがあった」


淫魔幼女 「貴様らしいな。そういえば以前、おれが生き細工を一体売ったことがある大悪魔貴族家が滅亡したと聞いたが」

淫魔幼女 「まさか貴様の仕業だったのか」


詐欺商人 「はっはっはっ」

詐欺商人 「すまん」


淫魔幼女 「いやいい。奴ら、おれと取引をするたびに、おれを媚薬漬けにして奴隷にしようとしてきたからな」


詐欺商人 「はっはっはっ」


淫魔幼女 「ハハハハハ」


幼女魔王 「あなたたち、じつは敵同士なんじゃないの?」


詐欺商人 「………」


淫魔幼女 「………」


詐欺商人 「はっはっはっ」


淫魔幼女 「ハハハハハ」


幼女魔王 「……………」




詐欺商人 「それで、何かめぼしいものはあったかい」


淫魔幼女 「まだまだ。武器の系統を決めているところだ。至近以外の距離をカバーできるやつをな」


詐欺商人 「なるほど」


幼女魔王 「もう何か魔法も出せる武器とかないかしら」

幼女魔王 「炎とか雷とか特殊な効果がペカーッて出て、敵を倒せちゃうやつ」


詐欺商人 「俗に言う、魔剣や聖剣の類ですか。魔王には欠かせないものですな」

詐欺商人 「しかし僭越ながら陛下、まだお若い陛下にそういった武器はおすすめできません」

詐欺商人 「確かに便利ではあるのですが、能力に頼った戦い方になりやすく、武器そのものの熟練度が上がりにくい」

詐欺商人 「また、ほとんどの世界にはそういった武器が効果を発揮できない場所もあり、そういった場所では自身の技能が必要となります」


幼女魔王 「地道に頑張らなきゃならないのね……」


詐欺商人 「あとは精神力も必要です。魔剣などの特殊な装備品の多くは、使用者の精神を蝕むものが多い」

詐欺商人 「淫魔幼女の武器である外套は、大世界的にも非常に珍しい魔法の武器なのですが」

詐欺商人 「呪われた武器という側面もあり、扱うには使用者自身の強さを必要とします」


幼女魔王 「へ、へえ……。どんな呪いなの?」


淫魔幼女 「装備するとちょっと毒舌になる」


幼女魔王 「思いっきり呪われてるじゃないの」



>>292
処女。
種族としては、そろそろ雌の淫魔として活動できるくらいの年齢。
ときどき身体が強烈に男を求めるけど、心が男なので気合で押し込めてます。



幼女魔王 「でも、困ったわね。これからダンジョンに行くのに、武器を持っても戦えるかどうか……」


淫魔幼女 「まったく日ごろから鍛えておけば……そうか、冒険して鍛えようにもボッチな上に武器もアレだったな」


詐欺商人 「ははは。大丈夫、私たちがちゃんとサポートいたします」


幼女魔王 「は、はひ……」

幼女魔王 (な、なんて頼もしいの。耳かきでたたかうレベル1の詐欺商人なのに)


詐欺商人 「そうだな……あそこにある武器なんかいかがでしょう」


スチャッ


幼女魔王 「……傘?」


淫魔幼女 「……ほう」




詐欺商人 「戦闘用の日傘です。光に強い」

詐欺商人 「補助魔法使い系の杖として使える他、先端の加工次第で刺突剣やメイスなどの使い道もある」

詐欺商人 「また、開くと……」


バサッ


幼女魔王 ビクッ


淫魔幼女 「ビクつくな猪か貴様は」


詐欺商人 「……魔法用の障壁や、高所からの飛び降りにも使える」


淫魔幼女 「か、傘ってすごいのね……」


>>307 訂正

誤:淫魔幼女 「か、傘って~

正:幼女魔王 「か、傘って~



幼女魔王 「じゃ、じゃあ日傘にしちゃおっかなー……」

幼女魔王 「よく見ると模様とか可愛いし」


チラッ


淫魔幼女 「俺をいちいち伺うな自分の命を預けるものくらい堂々と選べ」

淫魔幼女 「……まあ良いんじゃないのか。第三大世界では比較的歴史の浅い複合武器だが」

淫魔幼女 「魔法使い系が独立して戦うにはな」


詐欺商人 「模様は、傘を広げるといわゆる魔方陣となります。これで障壁としての効果などを強化しています」

詐欺商人 「同じ職人によるものでも、まったく同じ模様は存在しません」


幼女魔王 「ほ、ほほう」

幼女魔王 「では、よーく選んで……」


■安い日傘
 黒貨5枚(金貨5千枚)


幼女魔王 「高ッッッ!?」




幼女魔王 「ちょ、え、ええ!?」

幼女魔王 「黒貨5枚って、コーヒー5杯や魔動画の水晶板と同じ値段じゃない」


淫魔幼女 「まったく違うし、その二つの間にも天と地ほどの差があるぞ」

淫魔幼女 「どんだけぼったくられやすいんだ貴様は」


詐欺商人 「魔法の使用に耐えつつ、槍や斧の柄同様の強度を持つ芯」

詐欺商人 「魔方陣を定着させる儀式、またそれ用の丈夫な布」

詐欺商人 「職人が少ないことやその他もろもろにより、値段はまだまだ落ち着きません」

詐欺商人 「先端に付ける刃、魔力増幅用の装飾などを考えると、さらに値ははるかと」


淫魔幼女 「多くの無駄な使い道のある万能・複合武器に言える事だが、同じ値段の使い道が限られた武器に比べると」

淫魔幼女 「純粋な攻撃力で劣るなど、一つの分野での質は低くなりがちだ。器用貧乏ということだな」

淫魔幼女 「日傘は剣、槍、棒、斧、杖、盾などとして使えるが」

淫魔幼女 「それらの系統の武器を使いこなせる奴が使って初めて、機能をフルに活かせる」

淫魔幼女 「正直、そんなに使い道はいらない。同じ値段出すなら、装備一式揃える方が現実的だ」

淫魔幼女 「そのため今のところ、冒険者や兵士の中に日傘を使う者はあまりおらず」

淫魔幼女 「装飾することで貴族の女が身分や財力を誇示するための、象徴的な道具と認識されている」

淫魔幼女 「分かったか」


幼女魔王 「え、何が?」


淫魔幼女 「ぶっ殺すぞ貴様」




幼女魔王 「お、怒らないでよ。そんなに説明されても、実際に使ってみなきゃ分からないもの」

幼女魔王 「ほら私、実戦的っていうか、説明書とか読まない魔王だから」


淫魔幼女 「ふざけるなそんなノリで敵と戦って散っていった奴がどれだけいると……」


詐欺商人 「まあまあ。実際に戦いながらおぼえていくのが良いのは事実だ」

詐欺商人 「俺達が先輩として補助すれば何とかなるだろう」


淫魔幼女 「むぅ……」



………


幼女魔王 「これくださ……いただけるかしら」


老精霊 「どうも、可愛いピンクのお嬢ちゃん。改造はどうするかね」


幼女魔王 「お嬢……え、えへへ。えっと、高級な白いフリフリのやつと虹色ダイヤのウサギさんの鍵入れと、あとはあとは……」


淫魔幼女 「先端用にハルバード系とフランベルジュ系、素材は純竜髄鉱以上。魔力の投げ矢」


詐欺商人 「装飾は基本属性の魔法攻撃補助の珠を頼む。使い手は純潔の女性だ。あと傘袋はウサギで」


老精霊 「あいよ」



処女姫の日傘   を手に入れた
ウサギさん傘袋 を手に入れた




商人の町? 魔物用宿屋



宿オーク 「ええっ、もう行っちまうんですか。夕飯はダンナの好物だったんですが」


淫魔幼女 「すまん。少々、予定が変わった。荷物はシルフ娘をよこすのでよろしく頼む」


宿オーク 「へえ。大変でがすなあ」


死神メイド 「……あなた」


幼女魔王 「うぇ、私?」


死神メイド 「ちゃんとリボンは持ったの」

死神メイド 「あれがないと帰れないわよ」


幼女魔王 「う、うん。詐欺商人が武器屋で買ってくれた」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「糸巻きは」

死神メイド 「あれがないと命にかかわるわよ」


幼女魔王 「うん、えっと……あった」


死神メイド 「心配だわ」




幼女魔王 「あ、あの」


死神メイド 「何かしら」


幼女魔王 「服、ありがとう……大事にします……」


死神メイド 「いいのよ」

死神メイド 「友だちじゃない」


幼女魔王 「!? とも、とッ、ともももももも、桃、も……」


死神メイド 「私たち」

死神メイド 「お腹を殴りあった仲でしょう」


幼女魔王 「殴り……あった?」




死神メイド 「でも私はあなたと一緒にはいられない」

死神メイド 「たぶん本当の友達にもなれない」


幼女魔王 「も……」


死神メイド 「きっとあなたに必要なのは」

死神メイド 「恋人でもなければ」

死神メイド 「友達でもない」

死神メイド 「その前にもっと必要なもの」

死神メイド 「でも絶対に手に入らないもの」


幼女魔王 「……?」


淫魔幼女 「……死神メイド」


死神メイド 「………」

死神メイド 「ごめんなさい冗談よ」

死神メイド 「見つかるといいわね」

死神メイド 「大事なもの」




商人の町? 朝と夜の交わる十字街 邪竜と片翼女神の像前広場



歌の妖精娘 「おいでおいで~、今からこの人が鼻でレッドペッパー食べながらバラード歌うよ~」


駆け出し吟遊詩人 「ふざけんな普通に歌わせ、ちょ、やめ、辛……ぬうぉっほう!?」




淫魔幼女 「すまない、待たせた」


詐欺商人 「いや、この広場は相変わらず楽しいな」

詐欺商人 「いろんな世界の歌や芸に触れられるし、南瓜頭の美人と遊ぶこともできる」


淫魔幼女 「そうか」


幼女魔王 (種族はこだわらない人なのかしら)


淫魔幼女 「では行くぞ。まずは中立の町だな。糸巻きとリボンは装備しているな」


幼女魔王 「あ、うん。でも、どうやって帰るの?」


淫魔幼女 「ついてくれば分かる」


幼女魔王 「で、でも、間違ったり糸巻きがないと命にかかわるって……」


詐欺商人 「来たときと逆のことをするのです陛下」

詐欺商人 「この町から出たいときは、扉から入ればいい」





幼女魔王 「う、うぅ……でもやっぱり怖い……」


淫魔幼女 「ヘタレめ。だったらそいつに手でも繋いでもらえ」


詐欺商人 「ん」


幼女魔王 「なっ!?」

幼女魔王 「ななな何を言ってるのよこの暴れツインテテテ手を手手男の人の手……」


詐欺商人 「そうだぞ」

詐欺商人 「ケチな商人の俺が魔王陛下の高貴な手に触れるなんて、おそれ多いことだろう」


幼女魔王 「てにゃ!?」

幼女魔王 「そそそんなこと、全然問題なんてない。私の手ならいくらでも……!」


詐欺商人 「おや」


幼女魔王 「………ッ」


詐欺商人 「まさか陛下からそのような言葉をいただけるとは。恐悦至極」


幼女魔王 「あ、あうあ……」


詐欺商人 「では、失礼してお手を」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「は、はひ……」

幼女魔王 (お、男の人の手って大きいのね)


淫魔幼女 「クソ芝居は終わったかさっさと行くぞ。使う扉は……あそこの店で良いか」


看板『異種族交流歓迎の連れ込み宿屋』


詐欺商人 「おいおい、お前わざとやってないか」


幼女魔王 「え?」


詐欺商人 「……いえ、何でも」




中立の町 旧市街 


バタンッ

ガヤガヤ……ワイワイ……


幼女魔王 (中立の町に帰ってきた。扉のちょっと先が別の町なんて、おかしな町だったわね……)


シュルッ


幼女魔王 (やっぱり、リボンはなくなった)

幼女魔王 (糸巻きはどこも変わったところはない……わよね?)


淫魔幼女 「この町に来たことは」


詐欺商人 「初めてだな。だが何と言うか、おかしな感じだな」


淫魔幼女 「……こっちだ」





中立の町 紹介所



………


幼女魔王 「あ、あの」


猫耳職員 「はい、どんな御用で……あら」


幼女魔王 「ど、どうもこんにち……」


淫魔幼女 「第三大世界東大エリア、東第37小エリア、幼女魔王の小世界。界主は幼女魔王。界境の淀みへの登録をしたい」


猫耳職員 「あ、ええと、はい。界境の淀みへの登録ですね。手続きをしますのでこちらへどうぞ」

猫耳職員 「すみません、22番窓口お願いします」

猫耳職員 「……ではこちらへ」


淫魔幼女 「む」


詐欺商人 「ん」


幼女魔王 「あ、は、はい」


猫耳職員 (幼女魔王さん、しもべが見つかったのかしら)

猫耳職員 (……何だか彼女がしもべみたいだけど)




………


猫耳職員 「それではまず、界主の紋章をお願いします」


幼女魔王 「………」


淫魔幼女 「ボケッとするなお前だ背骨コキするぞ」


幼女魔王 「あ、は、はい、そんなに急かさないでよ……」


猫耳職員 「は、はい」

猫耳職員 (しもべからいじめられてるのかしら……ほんとに気が弱い感じだったものね)


詐欺商人 「ほう……こりゃなかなか珍しいタイプの紋章だ」


幼女魔王 「え、えへへ……」


猫耳職員 「界主の紋章、大紋章は???の紋章、小紋章はアンモビウム、確認いたしました」

猫耳職員 (小さいけどよく見ると腰とか踊り子みたいだし扇情的な体つきだし、まさか幼くして毎……いいえ、考えるのはやめよう)





猫耳職員 「では次に、補助紋章をお願いします」


淫魔幼女 「む」


猫耳職員 「……小紋章アセビ、エンゼルランプ、棺、確認いたしました」


詐欺商人 「ん」


猫耳職員 「……小紋章ナズナ、アスター、ウルシ、パフィナス、確認いたしました」

猫耳職員 「それではこれより重紋をはじめますが、よろしいでしょうか」


幼女魔王 「え、えっと」


淫魔幼女 「頼む」


猫耳職員 「は、はい」




猫耳職員 「重紋をはじめさせていただきます」


幼女魔王 (猫耳職員が小さな箱から真っ赤な金属の棒と板を取り出して、紋章の傍に置いたら)

幼女魔王 (棒と板が液体みたいにグニャグニャして、色も変わって)


猫耳職員 「重紋、完了しました」


幼女魔王 (……こじゃれた鍵と鍵穴になった)



淀みへの鍵 を手に入れた
淀みの鍵穴 を手に入れた




猫耳職員 「これで、こちらでの登録は完了です」

猫耳職員 「あとは淀みの鍵穴を幼女魔王さまの世界に設置していただくことで」

猫耳職員 「界境の淀みをご利用いただけます」

猫耳職員 「界境の淀みは、紋章の記憶を合成することでつくられる特殊なダンジョンであり異世界です」

猫耳職員 「まだ解明されていない部分も多く危険度も高いので、あまり無茶をしないことをおすすめします」


幼女魔王 「う、なんか物騒ね」


詐欺商人 「大丈夫、我々がついています。引き際も心得ている」


幼女魔王 「は、はい。えへへ……」


淫魔幼女 「………」


猫耳職員 「え、ええと、第三大世界同盟加盟世界の紋章を集めた鍵穴を無料で利用することができますが、いかがいたしましょうか」

猫耳職員 「紋章の記憶の提供が必須となりますが……」


淫魔幼女 「……おれと詐欺商人のものを除けるなら頼む」


猫耳職員 「はい。では、こちらがその鍵と鍵穴です」




淀みへの鍵B を手に入れた
淀みの鍵穴B を手に入れた



淫魔幼女 「第三大世界に存在する小世界の集まり、第三大世界同盟」

淫魔幼女 「加盟世界の紋章の記憶を寄せ集めたダンジョンに行けるのか。のん気なものだ」

淫魔幼女 「まあどこの世界も、貴重な記憶の詰まった紋章は提供していないだろうが」


詐欺商人 「おお、陛下は料理もできるのですか」


幼女魔王 「う、うん。あんまり手際よくできないけど、その、一応……」


淫魔幼女 「……さて、城に戻るぞ」




なぞの空中城 回廊



………


謎の精霊使い 「わお、謎の南瓜ちゃんじゃない」


謎の南瓜 「ふん……」


謎の精霊使い 「どったの、そんなボロボロで。頭の南瓜も割れてるし。治療するよ?」


謎の南瓜 「いらねえ。それより謎の狐耳はあそこにいるのか」


謎の精霊使い 「さあ、いるんじゃない。本当に治療しなくていいの?」


謎の南瓜 「いらねえ。ここでいつまでもそんな甘いこと言ってんじゃねえ元勇者」


謎の精霊使い 「私はなりそこないだってば。途中で脱落しちゃったし」


謎の南瓜 「ふん、あばよ……」


謎の精霊使い 「……本当にいいのかなあ」

謎の精霊使い 「片足と両腕、千切れちゃってんのに」


このノリとバカエロ的にキュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化されたを思い出した。同じ人?

今更だが
世界観がわからねぇ

>>326
面白そうキュゥべえレ●プはくそみそのクロスのやつくらいしか読んだ記憶がない。
違う人です。

>>327
ごめんなさい話の中で説明する技術がなかった。
メモしたやつを大雑把にまとめてみるので、時間がありましたら目をお通しください。


大世界    …宇宙みたいなもの。第一~七まで発見された。         
区、エリアとか…太陽系、銀河系みた(ry。大世界の中のある範囲を表すときにつかう。
小世界    …惑星み(ry。それぞれを魔王や勇者、神系などが統治。例外あり。大きさはバチカン市国~惑星まで色々。

ほとんどの小世界は、剣と魔法のファンタジーがベース。
けれど利用や解釈のしかたの違いとか何やかんやで、それぞれ異なる発展を遂げている。
スカイリム、D&D、ドラクエ、BOF、VPみたいな世界もあれば、FFみたいな世界、魔女の宅急便、
夢のクレヨン王国、アタゴオル、ソードマスターヤマトみたいな世界もある。
戦争などでの機械技術の立場は全体的に弱め。

小世界同士は行き来が可能だけど難しい。他の世界の存在すら知らない世界の方が多い。
幼女魔王はバカだけど、その点では進んだ知識を持っている。


幼女魔王の世界があるエリアは、
魔法仕掛けのラジオやテレビ、ゲームのようなものまである。でもやっぱり無いとこには全然無い。
歴史的な建物を残したまま発展してきたヨーロッパの町や村と似た雰囲気。暗い部分もあり。
一般人の異世界の移動には飛行船型の乗り物が使われる。人気職業は声優とパティシエと踊り子。


それぞれの世界では人間・魔物他人外のいろんな種族が暮らしていて、対立したり共存したりしている。
意思の疎通ができない凶暴な魔物、獣などの狩られる存在はモンスター(仮)。
ややこしいけど、モンスター(仮)と魔物は違う扱い。


いかん、何からどう説明したらいいかわからん。
この説明が必要なのかどうかもわからん。丁寧語使ったらいいのかも分からん。



とりあえず
ダーク~ライト何でもありの不思議なファンタジー世界での
シミュレーションRPG風ほのぼのわくわくダラダラな日常です。



まとまってねえ!!





なぞの空中城 あそこ



謎の狐耳 「おかえり、謎の南瓜」


謎の南瓜 「おう」


謎の狐耳 「どうしたんだい、両腕がなくなっているじゃないか」


謎の南瓜 「話せば全て言い訳になる。殺せ」


謎の狐耳 「いやいや、言い訳くらいは聞くよ。というか報告ぐらいしなよ」

謎の狐耳 「無駄にハードボイルドなんだから君は」


謎の南瓜 「ふん……」




謎の狐耳 「じゃあ、報告を聞かせてもらおうか」


謎の南瓜 「淫魔幼女が姫を連れて糸の迷宮に入るまでは、お前も見ていたな」


謎の狐耳 「ああ、魔法の遠眼鏡でしっかり。貴重な食い込みブルマ姿もばっちりさ」

謎の狐耳 「で、あそこは千里眼系のアイテムが無効化されるから、君に引き続き監視してもらっていたわけだけど」

謎の狐耳 「何があったのかな」


謎の南瓜 「……迷宮の内部で、奴らは男と合流した」


謎の狐耳 「な……」


バタンッ


謎の学者 「ぬぁんですって!?」


謎の南瓜 「ぬ、ヤなヤローが……」


謎の学者 「私が幼女魔王ちゃんのウフフな盗撮記録もとい研究資料をまとめているあいだに」

謎の学者 「私の幼女魔王ちゃんがどこの誰とも知れない野蛮な男の毒牙にかかって種付け!?」

謎の学者 「だめよ不潔よ許さないわよ、お母さん許さないわよ!?」


謎の狐耳 「うん落ち着こう謎の学者、君はあの子の母親じゃないしいろいろ違う」

謎の狐耳 「で、謎の南瓜。その男を殺してつくった顔面の腸詰はどこかな?」


謎の南瓜 「よし、落ち着け」




謎の南瓜 「奴らは三人で何か話し込んだあと、武器防具屋で姫用の武器、日傘を購入した」


謎の狐耳 「ふむ。話の内容は?」


謎の南瓜 「すまねえ。外套を装備した淫魔幼女と男に警戒され、近づけなかったし聞けなかった」

謎の南瓜 「殺せ」


謎の狐耳 「続けて」


謎の南瓜 「その後、男と二人が別れ、二人は宿の方へ向かった」

謎の南瓜 「おれは二人の方を追おうとしたが、いつの間にか男に回り込まれており」

謎の南瓜 「戦闘となった」


謎の狐耳 「ふむ」




謎の南瓜 「拍子抜けするくらい手ごたえのない相手だったが」

謎の南瓜 「おれの攻撃を全て、受け止めることなく風みたいにしのぎやがった」


謎の狐耳 「わりと精確な君の攻撃をしのいだのか」


謎の南瓜 「ああ。あいつは武器をとる様子もなかった」

謎の南瓜 「いつの間にかおれは膝枕で耳掃除をされ」

謎の南瓜 「気がつくと両腕と右足を失っていた」


謎の狐耳と学者 「……ん?」




謎の狐耳 「ごめん、ちょっと無意識のうちに寝ていたかもしれない」

謎の狐耳 「もう一回、戦闘のところの話を聞かせてもらえるかな」


謎の南瓜 「……まあそうなる気持ちも分かる」

謎の南瓜 「実際戦ったおれも、夢だったんじゃねえかと思うくらいだ」


パカッ


謎の狐耳 「……おや」


謎の学者 「南瓜が割れちゃったわね」


謎の風の翼持つ
至高の一族の末裔たる
ダークエルフ女王の可憐なる
1030番目の娘ダークエルフ姫 「……っとに、やってらんねえぜ」




謎の風の翼持つ
至高の一族の末裔たる
ダークエルフ女王の可憐なる
1030番目の娘ダークエルフ姫 「手足を奪われた上に仮面まで失うなんてよ」

謎の風の翼持つ
至高の一族の末裔たる
ダークエルフ女王の可憐なる
1030番目の娘ダークエルフ姫 「風の翼の力がなけりゃ、みじめに帰ることさえできたかどうか……」


謎の狐耳 「いやいやいや……素顔をさらすと色々面倒なことになるね君は」

謎の狐耳 「どこかに仮面のかわりになるものは無いかな」


謎の学者 「しかたないわねん。私の帽子を貸してあげるわぁ」

謎の学者 「被せてあげるから、じっとしててね」


謎の風の翼持つ
至高の一族の末裔たる
ダークエルフ女王の可憐なる
1030番目の娘ダークエルフ姫「おい、待てそれは……」


謎の学者 「手が無いから仕方ないでしょ。う~ん、なかなか伸びないわねぇ」


グイッ グイッ


謎の風の翼持つ
至高の一族の末裔たる
ダークエルフ女王の可憐なる
1030番目の娘ダークエルフ姫 「ぬぁ……こら、いたたた……」


カポッ


謎の学者 「ふう、やっと入ったわ」

謎の学者 「あ~ん、幼女魔王ちゃんのパンツ、伸びても可愛いわぁ」


謎の幼女魔王のパンツ 「…………」

謎の幼女魔王のパンツ 「情けねえ」


謎の狐耳 「本当にね」


謎の学者 「次の仮面が見つかるまで貸しといてあげるわね」


謎の幼女魔王のパンツ 「ああ、すぐに返すぜ」

謎の幼女魔王のパンツ 「すぐにな」




謎の狐耳 「さて、仮面のことはこれくらいにしてその男の件だ」

謎の狐耳 「その支離滅裂な感じ、彼は幻術使いか何かなのかな」


謎の幼女魔王のパンツ 「だと思うが、分からねえ」

謎の幼女魔王のパンツ 「情けないがその辺の記憶がまったく無い。ぼんやりとも思い出せねえ」


謎の学者 「う~ん、睡眠や混乱、時空系とかの幻術をかけられたときの状態と似ているけど」

謎の学者 「断片的に思い出すのも困難ってなると、かなり強力なものをかけられたのかしらん」

謎の学者 「だとしたら、専門家に頼んで眠っている記憶を呼び起こすのが良いかもねぇ」


謎の幼女魔王のパンツ 「申し訳ねえ限りだ」

謎の幼女魔王のパンツ 「殺せ」


謎の狐耳 「命は大事にしなよ」

謎の狐耳 「君の命を粗末にしていいのは、君以外の生き物だけさ」




謎の狐耳 「しかし、こうなると残念だね」

謎の狐耳 「そのダメージだと、今度の作戦に参加できないかな」


謎の幼女魔王のパンツ 「いや、いける。謎の学者、すぐに手足の移植を頼む」


謎の学者 「う~ん、ちょっと難しいかも」

謎の学者 「手術用の陣はすぐ作れるけど、あなたにぴったり合う手足となると、なかなかねぇ」


謎の幼女魔王のパンツ 「仮のやつでいい。この仮面のようにな」

謎の幼女魔王のパンツ 「あとは気合でなんとかする」


謎の学者 「そこまで言うならいいけど、それだと素早さとかはかなり落ちるわよ~」


謎の幼女魔王のパンツ 「構わねえ。足は引っ張らないようにする」

謎の幼女魔王のパンツ 「頼む謎の狐耳、やらせてくれ」

謎の幼女魔王のパンツ 「でなければ、殺せ」


謎の狐耳 「そうまでするほど、やりがいのある作戦じゃないと思うんだけどね」

謎の狐耳 「まあいいさ。謎の馬頭あたりと組ませれば、もしものときも大丈夫だろう」

謎の狐耳 「謎の学者、頼んだよ」


謎の学者 「はいは~い」


謎の幼女魔王のパンツ 「恩に着る」


謎の学者 「じゃあ行くわよ~。お姉さんが抱っこしてあげるわぁ」


謎の幼女魔王のパンツ 「いい、おれはおれの足で歩く」


フヨフヨフヨ


謎の学者 「ああん、待ってよん。ていうか、あなた浮いてるじゃないの~」


スタスタスタ


バタンッ




謎の狐耳 「………」

謎の狐耳 「淫魔幼女。と、合流した謎の男」

謎の狐耳 「ウフフフフ……」


バタンッ


謎の精霊使い 「ちょちょちょ、今すごいのがいた!」

謎の精霊使い 「ウサギさんパンツを被った変態が、宙に浮く変態仮面が!!」


謎の狐耳 「ああ、やあ謎の精霊使い。君も似たようなもんじゃないか」

謎の狐耳 「極小の布を三枚貼っただけの裸同然の格好」

謎の狐耳 「顔をさらしている分、余計に変態的さ」


謎の精霊使い 「?」

謎の精霊使い 「何言ってんの?」


謎の狐耳 「……まあ価値観は人それぞれだね。それで、何か用かい」


謎の精霊使い 「ああ、近いうちにやるっていう作戦のことなんだけど」

謎の精霊使い 「ちょっとこの界図っていうの? で気になることがあって」


謎の狐耳 「ふむ……」



…………

……………………


(おまけ)

謎の南瓜

兜並みに丈夫なハロウィン南瓜を被っているダークエルフの少女。ナイフ使い。
固有体質で飛ぶことができるけど、すごく苦手なのでちょっと浮いて移動する程度。
普段は基本的に飛ばない。

ここまでにょろにょろ進めといてあれだけど、
設定的なものの説明などあった方が良いんでしょうか。




中立の町 飛行船発着場



紳士 「どういうことだ!」


冒険者 「こんなこと聞いてないですよ!」


吟遊詩人 「どうにかならんのですか」


ザワザワ ガヤガヤ


幼女魔王 「何か様子がおかしいわね」


詐欺商人 「よろしければ掴むのは私のズボンではなく、手でどうぞ」


淫魔幼女 「駅員、何が起きているのだろうか」

淫魔幼女 「飛行船が出ていないようだが、故障でも?」


カラス鳥人 「え、ええ、はい」

カラス鳥人 「昨日の晩から少し、調子が悪くて」




淫魔幼女 「そうか。一般の定期便は不便なものだな」


詐欺商人 「俺たちが使うやつじゃないと良いな」

詐欺商人 「この航路なんだが、どうだろう」


カラス鳥人 「す、すいません、その航路のやつが出せないんです」


詐欺商人 「おや、困ったね」


幼女魔王 「待ってれば、今出てるやつが戻ってきたりしないかしら」


カラス鳥人 「い、いえ、それが……その航路の飛行船は、全部故障してまして……」




カラス鳥人 「いま、その航路には飛行船は1つも飛んでいないんです」


淫魔幼女 「全部故障中か」

淫魔幼女 「おかしな話もあるものだ」


カラス鳥人 「え、ええ。申し訳ありません」

カラス鳥人 「じつは同じように、全ての飛行船が使えない航路がありまして」

カラス鳥人 「現在、うちの越界士やボランティアのかたに手伝ってもらっているのですが、それでも……」


ワ- ワ-


変態紳士 「俺が先だ、早く入らせろ!」


子供好きなオーク 「おい押すな、おれが先だぞ!」


魔法少年 「ちょ、ちょっと待って、そんなにたくさんいっぺんに……!」

魔法少年 「わあ、やめて、僕の穴がひろがっちゃう、壊れちゃう!」

魔法少年 「僕の作る越界の穴は一人ずつしか入れないんだよぉ」


ワー ワー


カラス鳥人 「……追いつかない状態でして」


淫魔幼女 「魔法……少年か」


詐欺商人 「しかたない、別の方法を探すとしようか」



………

中立の町 ビーチ



淫魔幼女 「よし、このあたりなら人は来ないだろう」


詐欺商人 「まさかあの状況の中で、世界を渡れることをバラすわけにはいかないからな」


淫魔幼女 「ああ。必死に頼まれたらコロッと処女さえ差し出す意志薄弱などこかのバカ魔王など」

淫魔幼女 「強制ボランティアとして不眠不休でこき使われることになるだろうからな」


幼女魔王 「失礼ね、力ずくか土下座でもされない限り差し出さんわよ」


淫魔幼女 「おま、貴様……」


詐欺商人 「ほう……」


淫魔幼女 「おい詐欺商人なぜ膝をつくまさか土下座の準備をしてるのかそれは」


詐欺商人 「すまん、冗談だ」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「おいこら恥じらいながらながらもスカートの下に手を潜らせるなスパッツに手をかけるな」


幼女魔王 「……。じょ、冗談よ」




淫魔幼女 「まったく、貴様と行動すると疲れがたまる一方だ」

淫魔幼女 「さっさと世界を渡るぞ、あいつを呼べ」


幼女魔王 「え、でも……」


詐欺商人 「……?」


淫魔幼女 「いらん心配をするな見せてはいけない相手はここにはいない」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 「じゃあ……静かに出てきて」


ドロンッ


美触手 「キュロロロ……」


詐欺商人 「ほう」




詐欺商人 「これは見事だ。夜空の川からすくい取ったような美しさ、まさに陛下にふさわしい」


幼女魔王 「え、えへへ……」


詐欺商人 「まさか陛下が竜族を操ることができるとは……」


幼女魔王 「ち、違うの、私が操れるのは触手」

幼女魔王 「私の体質らしくて、触手ある生き物なら契約すればしもべになってもらえるの」

幼女魔王 「私、他は回復魔法くらいしかできないけど、これだけはちょっと得意だと思う……」


詐欺商人 「いやあ、これほど珍しい能力は見たことがない」

詐欺商人 「それに加えて癒しの力までお持ちとは、なんと素晴らしい」

詐欺商人 「謙虚で奥ゆかしくお優しい陛下だからこそ、なせることなのでしょう」


幼女魔王 「…………」


ダキッ


幼女魔王 「破って!!」


詐欺商人 「仰せのままに」


淫魔幼女 「やめんか」



なるほどやってみよう、ありがとうございます。

こういうのについて解説をした方が分かりやすい、などありましたら、
どうか教えてくだせえ。



淫魔幼女 「本当のやりかたも知らんくせに軽々しく言うな」

淫魔幼女 「さっさと始めろ」


幼女魔王 「わ、分かったわよ。お願い、美触手」


美触手 「キュロロ」


キュイィ


詐欺商人 「ほう。羽のように伸びた4本の板状の器官に紋様が」


幼女魔王 「あれが触手」


詐欺商人 「なるほど」


美触手 「キュロロロ」


スパッ スパッ スパッ


幼女魔王 「あれで空間を裂いて、私の世界へ通じる穴を作るの」

幼女魔王 「……もうできたみたい」


詐欺商人 「お見事」


淫魔幼女 「では行くぞ」




幼女魔王の世界 幼女魔王の城Lv.1 玉座の間



詐欺商人 「ここが玉座の間か……」


幼女魔王 「い、一応。天井もないし散らかってるし、おまけに玉座は木箱で恥ずかしいけど……」


淫魔幼女 「とりあえずはここに鍵穴を設置しよう」

淫魔幼女 「その前に、姫。おれはお運びギルドに連絡などをするから、その間に軽く弁当を作っておけ」


幼女魔王 「はいはい」


詐欺商人 「何かお手伝いでも?」


幼女魔王 「大丈夫……その、ゆっくり待ってて……なんて」


詐欺商人 「おお、それは楽しみだ」




…………



詐欺商人 「さて。淫魔幼女はギルドに連絡、陛下は料理中……」

詐欺商人 「子供2人が動いているのに、俺だけが暇というのもアレな話だ」

詐欺商人 「……しかし、淫魔幼女から聞いていた以上に荒れているなこの城は」

詐欺商人 「魔力が枯れているのか、この分だと他の場所も同じようなものと考えていいだろう」

詐欺商人 「普通の城に戻すだけでも骨が折れるだろうな」

詐欺商人 「…………ふむ」




…………


幼女魔王 「おまたせ……って、あら?」


淫魔幼女 「……む。玉座の間の瓦礫がだいぶ減っているな」


幼女魔王 「詐欺商人もいないわ」


カツッ カツッ カツッ


詐欺商人 「……おや、もうお揃いで」


幼女魔王 「詐欺商人」

幼女魔王 「もしかしてあなたが……」


詐欺商人 「はい陛下。せっかくお城にお招きいただいたのですから、このくらいしなくては」

詐欺商人 「瓦礫は表に出しておきました」


幼女魔王 「そうなんだ……。すごいわ、あんな大きな岩を」


詐欺商人 「いやあ、俺などまだまだ」




幼女魔王 「そんなこと。あ、あの、これ……お弁当の他に今すぐ食べる用に作ったんだけど、よかったらどうぞ……」


詐欺商人 「おお、陛下の料理をいただけるとは、ありがたき幸せ。ナッツバターサンドですか」


幼女魔王 「うん。料理って言えるほどのものじゃないけど……」


詐欺商人 「いえいえ。うーん、芳ばしくほんのりと甘い香り、食欲をそそる。それでは1つ」


幼女魔王 「う、うん………」


詐欺商人 「…………」


幼女魔王 「…………」


詐欺商人 「うまい! いくつでも食べられるぞこれは!」


幼女魔王 「!!」


詐欺商人 「と、大声で失礼。あまりに美味だったので礼を失した行いを……」


幼女魔王 「い、いいの! よかったらたくさん食べて!」


詐欺商人 「では、お言葉に甘えて」


淫魔幼女 「さっさと行くぞ、大根一座」



淫魔幼女 「しかし、瓦礫が減ったのは助かる。ギルドからの届け物も置きやすいだろう」


詐欺商人 「それは良かった」


淫魔幼女 「ではこれより境界の淀みに入る。姫、鍵穴を地面に置け」


幼女魔王 「鍵穴っていうか、小さな穴の空いた金属板なんだけどね」

幼女魔王 「どっちの?」


淫魔幼女 「Bでは無い方だ。おれと詐欺商人、そして貴様の紋章からつくったやつだ」


幼女魔王 「はい」


淫魔幼女 「それじゃ裏返しだバカスパッツ」


幼女魔王 「わ、分かってるわよ……」


カチャッ


淫魔幼女 「よし。次に、鍵穴に対応する鍵を使う」


幼女魔王 「はいはい」


ガチャリ


幼女魔王 (……鍵を開けたら板がビローンって伸びて、扉になった)


淫魔幼女 「よし。これで、扉の向こうはダンジョン、界境の淀みだ」




淫魔幼女 「界境の淀みは、紋章の記憶を合成してつくるダンジョンと言われている」

淫魔幼女 「誰もが生まれながらに持つという紋章。それは持ち主の記憶であり、固有能力の源であり、魂の写し鏡」

淫魔幼女 「便宜上、本人が生まれながらに持つ紋章は大紋章、他人より受け継いだ、または奪った紋章は小紋章と呼ぶ」

淫魔幼女 「紋章の形は様々だ。肌に浮かべたり、またはアクセサリに宿したり……まあこれは良いか」

淫魔幼女 「つまり界境の淀みとは、個人の歩んできた世界、耳や目、鼻、心の体験した思い出が綾なす、記憶の迷宮」

淫魔幼女 「なのかもしれない」


幼女魔王 「なんで肝心なとこがそんなにフワッとしてるのよ」




淫魔幼女 「界境の淀みの成り立ちはよく分かっていない」

淫魔幼女 「分かっているのは、扉を通らなければ入れないという制限はあるが」

淫魔幼女 「現実の世界と見分けがつかないほどの新しい世界を、簡単につくれてしまうということだ」

淫魔幼女 「現実の世界を捨て、つくられた世界に移り住む者たちもいるという話も聞く」

淫魔幼女 「これほどの仕組みを誰が、何のために、どうやってつくったのか」

淫魔幼女 「あるいは誰かが意図的につくったものではないのか」

淫魔幼女 「おれ程度ではまったく分からない」

淫魔幼女 「よし、行くぞ」


幼女魔王 「待たんか」





淫魔幼女 「?」


幼女魔王 「キョトンとするんじゃないわよ」

幼女魔王 「不安を煽るだけ煽っといて、よし行くぞって」

幼女魔王 「そんな得体の知れないものに誰がホイホイ入れますかっての」


淫魔幼女 「よい例えだ。界境の淀みは、旅人ホイホイ、勇者ホイホイ、魔王ホイホイなどとも呼ばれる」

淫魔幼女 「これだと、何だか身近に感じるな」

淫魔幼女 「では行く……」


幼女魔王 「余計不安になるじゃないの何なのよその剥き出しの罠っぽい通り名は」


淫魔幼女 「臆病な奴だな……」

淫魔幼女 「得体の知れなさで言ったら、この世界だってそうだろうが」

淫魔幼女 「では行くぞ」


幼女魔王 「だからもうちょっとねえ、もうこの人ったら……」


詐欺商人 「……ふむ。たとえば」


幼女魔王 「?」




詐欺商人 「もしかしたら俺たちが暮らす世界のいったいは、誰かが創り出したものなのかもしれない」

詐欺商人 「そしてあるとき、その創り出した誰かの気まぐれで簡単に終わるのかもしれない」

詐欺商人 「または、そうではないのかもしれない」

詐欺商人 「あまりにも広く混沌としているものだから、誰もそのすべてを知らない」

詐欺商人 「そう考えると、界境の淀みと我々の世界はとても似ているのではないでしょうか」


幼女魔王 「う、う~ん」


淫魔幼女 「たとえば商人の町のある世界。たとえば貴様の世界から巨大な昼の月のように目視できる、中立の町のある世界」

淫魔幼女 「とくに商人の町の出入り条件は、界境の淀みとよく似ている」

淫魔幼女 「そしてその危険性は、今分かるかぎり商人の町の方が高い」


幼女魔王 「そ、そうなの」


淫魔幼女 「考えかたの歯車1つ違うだけで、ものごとの印象は大きく変わる」

淫魔幼女 「ものごとが変わるのではない、それを受け取り感じる者によって変わるのだ」

淫魔幼女 「何が危険なのか、危険でないのか。その判断のしかたを変えてみることだな」


幼女魔王 「なるほど。よく分からんけど」

幼女魔王 「私が貧乳であることも、考えようによっては良いことなのね」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「…………」


幼女魔王 「……あれ?」



淫魔幼女 「……行くぞ」


ガチャッ


詐欺商人 「……そうだな」


スタスタスタ


幼女魔王 「え……ほら、ペッタンコだから抱きつくときにすごく密着できるし、足元とかよく見えるし……」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「ま、待って~……」




界境の淀み 幼女魔王の紋章 霧の森の遺跡



幼女魔王 「城の床の扉を通ったら、何か荒れ果てた遺跡の床から出た」

幼女魔王 「どうなってるのかしら」

幼女魔王 「……床も、倒れた柱も、本物の石でできてるみたいね。かなり小さな砦の跡かしら」

幼女魔王 「森のにおいに、しっとりと肌を冷やす清らかな朝の空気……」

幼女魔王 「記憶から作られたって言うより、本当に実在する異世界に来た感じだわ」


淫魔幼女 「なんだ。あんなに渋っていたわりにホイホイついてきたな」


幼女魔王 「……じゃないと、独りになっちゃうでしょう」


淫魔幼女 「ふむ。説得などせず、こうしていれば良かったのか」


幼女魔王 「説得だったんだ。てっきり途中で呪文を唱えだしたのかと……」


淫魔幼女 「貴様、どこまで……」


詐欺商人 「……二人とも、早くこちらへ」

詐欺商人 「いきなり何かに見つかったようだ」




モコッ モコッ モコッ


幼女魔王 「ひっ……」

幼女魔王 (あ、あちこちで地面がむき出しになったところが盛り上がってる)


淫魔幼女 「下からか。床のある場所に行った方が良いか」


詐欺商人 「これは……足場は硬くないほうが良い。陛下、失礼します」


幼女魔王 「きゃっ」

幼女魔王 (小脇にかかえられた……)


淫魔幼女 「地面のうねりが止んだ」


詐欺商人 「すぐに突き上げが来るぞ。音をよく聞いて飛べ」


ドドドドドド


淫魔幼女 「む」


ズボアッ


??? 「ガルガルガルガル!!」


幼女魔王 「大きな蛇!? 竜!?」



根竜 が現れた




根竜 「ガルガルガルガル」


幼女魔王 「お、大きい……」


根竜 は体当たりをしかけた

詐欺商人と淫魔幼女 は飛び退いてかわした


淫魔幼女 「重たそうな攻撃だ。しかしこれは生き物というよりも」


詐欺商人 「根竜は凶暴化した妖樹の根だ」

詐欺商人 「獲物を襲い養分を奪う」

詐欺商人 「強力な毒のある樹液を吐くものもいるので、要注意だ」


淫魔幼女 「ふむ」


幼女魔王 「へ、へえ」

幼女魔王 (記憶をもとにつくられた世界ってことは、このモンスターも)

幼女魔王 (淫魔幼女か詐欺商人の記憶からつくられたのよね。まさか私のじゃないだろうし)

幼女魔王 (……なんか、二人との次元の違いを感じるわね)




根竜 「ガルガルガルガル」


ズガンッ


淫魔幼女 「また同じ攻撃か」

淫魔幼女 「樹液は出さないのか」


詐欺商人 「出させないにこしたことは無い」

詐欺商人 「が、中の樹液が飛び出すこともあるので攻撃するにも注意が必要だ」


淫魔幼女 「地味に強敵じゃないか。どんな世界を渡ってきたんだ貴様は」


詐欺商人 「はっはっはっ」


幼女魔王 (面積が広くてすごく速い攻撃をかわしながら話してる……)

幼女魔王 (詐欺商人なんか私を抱えてるのに)

幼女魔王 (……というか淫魔幼女、何か浮いてるわよね。翼がない淫魔って飛べるのかしら)




詐欺商人 「さて、反撃だ」


淫魔幼女 「おれがやる。貴様は荷物を頼む」

淫魔幼女 「おいお荷物姫、貴様も日傘があるんだから火か氷の魔法でも打て」


幼女魔王 「は、はい」

幼女魔王 (ちゃ、ちゃんと集中出来るかしら。本番って怖いのよね、私)


淫魔幼女 「いくぞ」




淫魔幼女 「行け、外套」


幼女魔王 (淫魔幼女の外套から、たくさんの腕みたいな影が勢いよく生えた……)

幼女魔王 「え、えいッ」


ポンッ


幼女魔王 (や、やった! ヘロヘロだけど火の玉を出せた!)




根竜 への攻撃

3200 のダメージ
6400 のダメージ
12800 のダメージ
25600 のダメージ
0 のダメージ
51200 のダメージ


根竜 「ギャオオォォオン………」


ドスンッ


幼女魔王 「や、やった! 当たった! 倒した!」


淫魔幼女 「ちょっと待てコラ」




淫魔幼女 「なんだ今のヘロヘロの火の玉は」

淫魔幼女 「あれ絶対アレだぞ、ダメージ1とかだぞ」


幼女魔王 「し、失礼ね。ダメージ4くらいはイってるわよ、たぶん」

幼女魔王 「そもそも私は土属性の補助魔法を使えるだけで、火の、しかも攻撃魔法なんて得意じゃないんだから」


淫魔幼女 「ふざけんな弱すぎるにもほどがあるだろうが」

淫魔幼女 「考えても見ろ」

淫魔幼女 「必死に力を鍛え、伝説の剣とか集めてついに対峙した魔王が」

淫魔幼女 「風が吹けば吹っ飛ぶような貧相な幼女で、さらに自信満々にヘロヘロの火の玉を繰り出してきて」

淫魔幼女 「結果、受けるダメージが1」

淫魔幼女 「伝説の剣とか持ってるのが恥ずかしくなるだろうが」




幼女魔王 「いいじゃない油断させられるじゃない何よバカにして」

幼女魔王 「どーせ私なんて伝説の装備なんか必要ないタイプの魔王よ」

幼女魔王 「子供に素手でお尻ペンペンされるだけでヤられちゃうような貧弱新米魔王よ」

幼女魔王 「ふーんだッ」


淫魔幼女 「言いながら涙目になるな」

淫魔幼女 「やってやろうか貴様の唯一マシかもしれない部分を真っ平らにしてやろうか」


詐欺商人 「ははは……気をつけろ」

詐欺商人 「次がくるぞ」




ドドド


幼女魔王 「えっ……」


淫魔幼女 「む」


ドドドド


幼女魔王 「えっ、ちょ……」


ドドドドドド


幼女魔王 「これ、なんかいっぱい来てない……?」


詐欺商人 「また下から来る。姫、飛びますのでしっかりと口を閉じて」


幼女魔王 「きゃあ」


ズボッ ズボッ ズボッ ズボッ


根竜たち 「ガルガルガルガルガル」



根竜の群れ が現れた





空中



幼女魔王 「なにこれ、ボスみたいなやつが何匹も出てくるなんて……」

幼女魔王 (というか、詐欺商人は当たり前みたいにかなり高く飛んでるけど)

幼女魔王 (人間ってみんなこうなのかしら)


詐欺商人 「淫魔幼女、頼む」


幼女魔王 「ふきゃッ!?」

幼女魔王 (投げ飛ばされた……)


淫魔幼女 「む」


ボフッ


幼女魔王 (外套で受け止められた……)

幼女魔王 「あ、ありがと……」


淫魔幼女 「……貧乳でよかったな」


幼女魔王 「どうも……」

幼女魔王 (淫魔幼女、滞空してる。羽ばたいてる風でもないし、どうなってんのかしら)


詐欺商人 「………ふむ」


幼女魔王 (詐欺商人が余裕たっぷりに帽子を押さえて)


詐欺商人 「………いかん、飛びかた間違えたか」


幼女魔王 (……根竜の群れ中に落ちてった)




根竜たち 「ガルガルガルガル」


幼女魔王 「ちょっとちょっとちょっと、まずいんじゃないのあれ」

幼女魔王 「詐欺商人、餌みたいに根竜の群れ中に落ちてったわよ、間違えたとか言って」


淫魔幼女 「そうだな」


幼女魔王 「そうだな、じゃなくてはやく助けに……!」


淫魔幼女 「骨が折れるが、もう少し高くまで行くか」


フヨフヨフヨ


幼女魔王 「なッ」




幼女魔王 「ね、ねえあなたちょっと、本当に……」


淫魔幼女 「………」


ビュオッ


幼女魔王 「……下から強い風?」


淫魔幼女 「む」


グルグルグルグル


幼女魔王 「ちょ、やっ……」

幼女魔王 (外套の手にグルグル巻きにされた)


淫魔幼女 「目をしっかり閉じていろ」


幼女魔王 「なな、な?」


ゴオオオオ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 (爆発みたいな風が地上から……)


淫魔幼女 「……世話の焼ける」


グルグルグルグル


幼女魔王 (頭もグルグル巻きにされた)



ゴオオオオオオオオ


幼女魔王 (……何も見えない。音が小さく聞こえる)


ドガガガガガ

ズガガガガガ

ヌプッヌプッ

ギャオオォオオン


幼女魔王 (根竜の悲鳴? 何が起きてるっていうの)

幼女魔王 (しっかり耳をすませなきゃ)


ビュゴオオオオ

セイッハイッショォ

ズゴゴゴゴゴゴゴ

淫魔幼女 「バーカ幼女魔王バーカ」


幼女魔王 「!?」



ゴオオオオオオオ



…………



…………


詐欺商人 「……さっきも話したように、この根竜は妖樹の根だ」

詐欺商人 「いつもは地中に張り巡らされ獲物の気配を探し、一本の根が苦戦していたら他の根が増援にかけつける」

詐欺商人 「こんなにたくさん来るのは稀だけどな」


淫魔幼女 「ふむ、素材としては使えそうか」


詐欺商人 「普通の根竜よりもかなり弱いし、中身もスカスカで軽い」

詐欺商人 「よっぽど飢えていたのか、死にかけて狂った老樹だったのか」

詐欺商人 「魔力もほとんど無いし、使えないだろうな」


淫魔幼女 「そうか、残念だ。いきなり当たりかと思ったんだが」


詐欺商人 「まあ、生息していることが分かっただけでも良しとしよう」

詐欺商人 「妖樹には高い魔力を持つものが多いからな」

詐欺商人 「さ、気を取り直して探索開始だ」

詐欺商人 「運がよければ、昼までには別の妖樹の縄張りが見つかるだろう」


幼女魔王 「ちょっといろいろ待って」




淫魔幼女 「む」


詐欺商人 「どうしました、陛下」


幼女魔王 「あんな大口あけた敵の群れに手ぶらで飛び込んで、どうしてあなたは無傷なの」

幼女魔王 「しかも、根竜は全滅してるし」

幼女魔王 「落ちるときあなた、しまったとか言ってたじゃない」


詐欺商人 「はっはっはっ。いやあ、面目ない。まさか飛び方を間違えるとは」


幼女魔王 「いや、そこじゃなくて……」


淫魔幼女 「まったく、お前はときどきヒヤヒヤさせるから困る」

淫魔幼女 「以前迷宮魔神討伐のパーティーに参加したときなど、間違えてインキュバスに……」


詐欺商人 「おっと、そのときを言うならお前だって、飲む媚薬の量を間違えてあの夜たいへんだったじゃないか」


淫魔幼女 「それは……ずるいぞ、そんな話するなんて………」


詐欺商人 「あっはっはっ」


淫魔幼女 「………フフッ…」


幼女魔王 「……もういいわよ」



幼女魔王 「それにしても、ついてないわね。いきなりこんな強敵に遭遇するなんて」


詐欺商人 「小編成の勇者パーティーが、場合によっては軽く全滅するほどですからな」


淫魔幼女 「初めて界境の淀みを利用するとき、自動的に生息するモンスターのレベルが低いところに出る」

淫魔幼女 「と、言われているから、この先あのレベル以上のがゴロゴロ出るんだろうがな」


幼女魔王 「……さ、帰ってお弁当食べましょうか」




淫魔幼女 「何を馬鹿な……いや」

淫魔幼女 「三人の紋章のレベルを足して割ったこの世界ならばあるいは、とも思ったが」

淫魔幼女 「それでも貴様がレベル上げするには過酷すぎたらしい」


詐欺商人 「良いんじゃないか、今回は素材集めが目的なんだし」

詐欺商人 「なんなら俺が、ずっと陛下を抱えていくさ」


幼女魔王 「……えへへ」


淫魔幼女 「いや、そこまで甘やかしてやるわけにもいかない」

淫魔幼女 「仮にも魔王なのだからな」

淫魔幼女 「眼力だけで竜を倒すとまでいかなくても、一人で旅できるくらいには強くなってもらわなければ」


詐欺商人 「……ほう?」


淫魔幼女 「いったん城に帰還し、もう一つの界境の淀みに入る。幼女魔王、鍵を使え」


幼女魔王 「は、はいはい」




…………


界境の淀み 第三大世界同盟盟主の紋章 旅立ちの草原



ソヨソヨソヨ


幼女魔王 「気持ちいい風」

幼女魔王 「緑の草原に青い空、遠くにそびえる白い雲」

幼女魔王 「さっきの世界に比べたら、すごく平和だわ」


淫魔幼女 「第三大世界に存在する世界に暮らす者たちの記憶で作り出された場所だ」

淫魔幼女 「ここなら、低いレベルのモンスターも出るだろう」

淫魔幼女 「ではレベル上げもかねて素材探しを……」


幼女魔王 「お弁当はこの岩場でいいかしら」


詐欺商人 「そうですね。シートも敷きましょうか」


淫魔幼女 「おいッ」




幼女魔王 「何なのよいいじゃないさっきの世界すごく怖かったのよ一息つきたいのよ」


淫魔幼女 「黙れふざけんなゴミ処女ヌルヌル腰クネ安産型尻魔王さっさと旅立ていやその前に殴らせろ」


詐欺商人 「まあ焦るな。たまにはゆっくり旅立ちの風に吹かれて」

詐欺商人 「初心を思い出してみるのも良いじゃないか」


淫魔幼女 「お前こら私の旅立ちの思い出は血と雨だくつろぐなエロ詐欺師」


詐欺商人 「ははは、いきなり凄いあだ名を付けてくれるじゃないか。否定はせんが」

詐欺商人 「うん、この野菜巻きも最高だ。陛下は愛のある料理をおつくりになられる」


幼女魔王 「はうんっ……。あ、あの、飲み物もあるから、どうぞ……」


淫魔幼女 「おいッッ」




淫魔幼女 「まったくお前たちはまったく……」

淫魔幼女 「……しかたない、さっさと食って行くぞ」


幼女魔王 「はいはい。飲み物どうぞ」


淫魔幼女 「む」


ドドドドドドドドド


淫魔幼女 「……む」


幼女魔王 ビクッ


淫魔幼女 「根竜じゃないただの地響きだビクつくな」


詐欺商人 「何かがこっちに来ているな」


ドドドドドドドドド


短パン少女 「わあーーーーーーッ!!」

短パン少女 「そこの人たちどいてどいてどいてーーーーッ!!」


淫魔幼女 「……少女が」


詐欺商人 「でかいトカゲに追われているな」






詐欺商人 「さて」


幼女魔王 (詐欺商人が腰の剣を抜いた)

幼女魔王 (透き通った緑色の剣身……意外は、普通の剣みたい)


淫魔幼女 「助けるのか」


詐欺商人 「や、手伝うだけだ」


キイィ


幼女魔王 (詐欺商人の剣が光りだした)


詐欺商人 「ちなみに、これは剣としても使えますが、実は魔法用の杖です」


幼女魔王 「あ、そうなんだ……」

幼女魔王 (詐欺って、そういう……?)




でかいトカゲ 「………?」


短パン少女 「どいてどいてどい……」

短パン少女 「あれ?」


ノロノロノロノロ


幼女魔王 「……モンスターの動きがカタツムリみたいに遅くなった」


詐欺商人 「おお、大成功だ」

詐欺商人 「ちょっと遅めるつもりだったが」


淫魔幼女 「相変わらず制御できてないのか……」


詐欺商人 「時空系の魔法はやはり難しくてな」




??? 「うおぉおおおお!!」


淫魔幼女 「む」


幼女魔王 (短パン少女の来た方から、モンスター目がけて人が飛んできた)

幼女魔王 (大きな剣を持った男の人)


大剣勇者 「でやぁッ!!」


でかいトカゲ 「グオォンッ」


ドシンッ


幼女魔王 「背高が馬よりも高いトカゲを、一振りで真っ二つに……!」




大剣勇者 「ふうぅ……」


詐欺商人 「ほう、これはこれは」


幼女魔王 「す、すごい……けど大きくて何か怖い……」


大剣勇者 「……あんたらかい、このトカゲを止……」


短パン少女 「ダーリン!」


ダキッ


大剣勇者 「うおっ!? やめろ引っ付くな……!」


短パン少女 「ありがとうダーリン、ボク死んじゃうかと思ったよ!」


幼女魔王 「……なんとっ」




大剣勇者 「まったく、死ぬような目にあう前にもうちょっと考えて動け!」

大剣勇者 「おかげで俺はラミア魔女の風魔法で飛ばされるハメになっただろうが……!」


短パン少女 「そんなにしてまでボクのピンチに駆けつけてくれるなんて」

短パン少女 「ダーリンってやっぱり優しい!」


幼女魔王 (睨まれたら心臓止まるくらい顔は怖いけどね)


大剣勇者 「だから飛ばされたって言ってんだろうが」

大剣勇者 「くそ、いい加減離れろ!」

大剣勇者 「魔王のくせに勇者にベタベタくっつくんじゃねえ!」

大剣勇者 「その呼び方もやめろ!」


淫魔幼女 「……ふむ」




短パン魔王 「やだ、離れない! ダーリンはボクのダーリンだもん!」


大剣勇者 「ぐっ、我がままだけは魔王級か……!」


ラミア魔女 「うふふ、あらあら、おアツイわねえ」


雪女僧侶 「あわわ、見てるこっちが溶けちゃいそうです……」


眼鏡エルフ騎士 「ま、また野外でそんな破廉恥な! 即刻離れなさい大剣勇者!」


幼女魔王 (なんかゾロゾロ来た……)




大剣勇者 「ああっ、ラミア魔女。てめえ、いきなり吹っ飛ばしやがって」


ラミア魔女 「あらあら」

ラミア魔女 「私は、誰かさんがあんまり必死に追いかけるもんだから、力を貸しただけだけど?」


短パン魔王 「!!」


大剣勇者 「こ、こらっ、それは言うな……うわ!?」


ドサッ


短パン魔王 「ダーリン! やっぱりダーリンはダーリンだ!!」


大剣勇者 「こ、こら、どけッ、降りろ!!」


雪女僧侶 「馬乗り、はわわわわわわ……」


眼鏡エルフ騎士 「な、ななななな……」

眼鏡エルフ騎士 「歯を食いしばりなさい大剣勇者ぁあああああ!」


ビカッ


大剣勇者 「おい、それはやめ、エルフ魔法はシャレに……!!」

大剣勇者 「どわぁぁああああ!?」



幼女魔王 「………」


淫魔幼女 「………」




…………



アフロ大剣勇者 「くそッ……何で俺がこんな目に」


アフロ短パン魔王 「あはは、お揃いだねダーリン」

アフロ短パン魔王 「えっと、皆さま、危ないところを助けてくださりありがとうございました」


淫魔幼女 「いや」


幼女魔王 「まあ……」


詐欺商人 「はっはっはっ」


短パン魔王 「ボクはとある世界を治める短パン魔王。こちらはボクの頼もしい仲間たちです」


大剣勇者 「俺とエルフ騎士は違うがな」


短パン魔王 「もう、ダーリンったら。今は一つ屋根の下で暮らす家族みたいなもんでしょ」


大剣勇者 「ふんっ、魔王討伐に出たはずが嫌な呪いをかけられたもんだ……」


幼女魔王 (何か、ややこしい事情のありそうな会話が始まった……)




淫魔幼女 「……おい、貴様も何か応えろ」


幼女魔王 「え、あ、うん」

幼女魔王 「わわわわッ、わた、わたわたわたししし……」


短パン魔王 「?」


淫魔幼女 「……すまない、彼女はとある世界を治める幼女魔王だ。見ての通り、臆病者だ」

淫魔幼女 「おれたちは彼女の護衛で雇われている」


短パン魔王 「ええっ、君も魔王なの!?」


幼女魔王 「う、うん……」


短パン魔王 「うわはぁあ……すごいすごーい! こんなにすぐに他の魔王さんに会えるなんて!!」

短パン魔王 「しかもボクよりちっこくて可愛い!!」


幼女魔王 「あ、あはは……」

幼女魔王 (目をキラキラさせて、すごい明るい笑顔……なんかこっちが惨めな気持ちになるわね……)




短パン魔王 「ねえねえ、もしかして君も新米魔王?」


幼女魔王 「は、はひ……。ということは……あ、あなたも?」


短パン魔王 「うん、そうなの。20日くらい前になったばっかり!」


幼女魔王 「そ、そうなんだ……」

幼女魔王 (私の方が先輩なのね)


短パン魔王 「魔王って大変だよねー。レベル上げしたり、仲間集めたり、お城を強化したり」


幼女魔王 「そ、……そうよね、本当にね!」

幼女魔王 (つい最近までゴロゴロ遊んでたなんて言えないわ……)


短パン魔王 「今日は調合のために草原トカゲの血とか採りに来たんだけど」

短パン魔王 「ボクって魔王としてまだまだ弱っちくて、ほんと、危なかったんだあ」

短パン魔王 「この辺ってモンスターが弱いって言うから大丈夫かと思ったのに、これじゃ先が不安になっちゃうよ」


幼女魔王 「そ、そうなの。わ、私もまだまだ弱いから、分かるわ……!」

幼女魔王 (あれ、なんかこれって、友達づくりのチャンス……?)


短パン魔王 「えへへ。でも、ほんとにボクってよわよわなんだよー。やっとレベル12なんだもん」


幼女魔王「!?」


大剣勇者 「お前は戦いの才能が無さすぎなんだよ」


幼女魔王 「!?!?」



短パン魔王 「もー、ダーリンったらまたそんな意地悪言うー」


大剣勇者 「事実だろうが。それに、話し方もいつものアホっぽいのに戻ってるぞ」


短パン魔王 「ぶーぶー! そんなこと言うと、今夜ダーリンのお風呂中に突撃しちゃうんだからねー」


大剣勇者 「何も無くても毎日のように来てんだろうがお前らはよ! 風呂くらいゆっくり入らせろよ!」

大剣勇者 「せめてタオルくらい巻いてこい! しかもそれで身体をくっつけてくるな!」


短パン魔王「えーっ、だってそうすると男の人の疲れが吹っ飛ぶってラミア魔女が言ったんだもん」


大剣勇者 「ラミア魔女おおおぉぉぉおおお!!」


ラミア魔女 「あらあら、本当のことでしょ。ねえ?」


詐欺商人 「いや、まったくその通り」


僧侶雪女 「はわわ、じゃ、じゃあ、こんど私も……」


眼鏡エルフ騎士 「破廉恥な! まったく破廉恥な!」


淫魔幼女 「タオルを巻いて風呂に入る方が邪道だ」


ワーワー ギャーギャー


幼女魔王 「……………」

幼女魔王 (何かしらこの孤独感は)



短パン魔王 「あ、そうだ、幼女魔王さん! 幼女魔王さんってレベルどのくらい!?」


幼女魔王 「ニヨッ!?」


短パン魔王 「他の新米の魔王さんってどんなものか知らないから、よかったら聞かせてほしいなあ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「に…………」

幼女魔王 「20………くらい……」


淫魔幼女 「…………」




幼女魔王 「わ、私もその、戦うの苦手で……あと、回復系の魔法くらいしか使えないし……」


淫魔幼女 「…………」


短パン魔王 「わあぁ……!!」

短パン魔王 「すごいよぉ! 戦うのが苦手で私よりちっこいのに、私より強いんだもん!」


幼女魔王 「あ、いや、そんな……」


短パン魔王 「私も頑張らなきゃ! うー、燃えてきたぁー!」


幼女魔王 「あ、あははは……」

幼女魔王(どうしよう今さらレベル2なんて言えない)


淫魔幼女 「……惨めだな」


幼女魔王 「……うー」




大剣勇者 「どんどんメッキがはげてくじゃねえか。もう口を閉じたらどうだ」


短パン魔王 「いいの! やる気を出したらボクから私に戻るの!」

短パン魔王 「うおー! 覚悟しろ勇者ー! パフパフ攻撃ー!」


大剣勇者 「ぬわ、やめろまたそんなもの押し付け……!」


詐欺商人 「はっはっはっ、賑やかなもんだ。……と、そうだ」

詐欺商人 「このあたりに森ウィッチ系の出るところはないかな」


ラミア魔女 「ふふっ……。ああ、それなら確か、青ペンキ城壁の町から西に歩けば行けるわ」


詐欺商人 「へえ、ここも町があるのか」


ラミア魔女 「ええ。元の世界を失った人とか、現実から逃げた人、罪人とかがつくった、ね……」

ラミア魔女 「ここから、あの岩を目印にあっちの方角へ真っ直ぐ進めば昼頃には見えてくるはずよ」


詐欺商人 「ほう。ありがとう」


ラミア魔女 「……ねえ、さっき草原トカゲに魔法を使ったのはあなたね」


詐欺商人 「いやいや、本職の魔法使いの前で出来の悪い魔法を披露するとは、申し訳ない」


ラミア魔女 「あらあら。魔法使いでもないのに消費が激しい上級の時空系魔法を景気よく放って、余力たっぷりといった感じね」


詐欺商人 「…………はっはっはっ」


ラミア魔女 「うふふふふ……」





大剣勇者 「っとに……。すまん、うちのアホ魔王が邪魔をした。そろそろ行くとしよう」


淫魔幼女 「こちらこそ、ろくに挨拶もできないバカ魔王で申し訳ない」

淫魔幼女 「本当に……」


アホ魔王 「はい、これボクの世界の座標。すっごくちっこいけど飛行船とかでも来られるから、暇ができたら遊びに来てね」


バカ魔王 「あ、じゃ、じゃあ、これ、私の世界の座標……でももっと小さいし改装中だから……私の方からああ、あ、遊びに行く……」


アホ 「うん! 待ってるからね!」


バカ 「う、うん……!」


淫魔幼女 「まったく、簡単に自分の世界の座標を渡すとは……」


大剣勇者 「苦労させられる……なんで勇者の俺が魔王と……」




…………


短パン魔王 「ばいばーい、また会おうねー!」


大剣勇者 「こら馬鹿、そんな大声出して、モンスターが寄ってきたらどうするんだ!」


ワイワイ ギャーギャー……


幼女魔王 「……行っちゃった。えへへ、座標交換しちゃった……」


淫魔幼女 「……まあ、その前にレベル20相当の力をつけることだな。嘘つき呼ばわりされたくなかったらな」


幼女魔王 「………はぃ」


淫魔幼女 「しかし、なんとも、賑やかで健全でエネルギー溢れる奴らだったじゃないか」


幼女魔王 「そうね」


淫魔幼女 「ああいう奴らが、物語なんかの主役にふさわしいんだろうなあ」


幼女魔王 「……そうかもしれないわね」


淫魔幼女 「………根暗で受動的でマゾで奴隷体質で触手がしもべの不健全な魔王じゃさすがになあ」


幼女魔王 「いきなり魔法少女の公開調教とかしだす不健全の筆頭に言われたくないわよ」





…………


青ペンキ城壁の町 


漁師 「はいはい寄っといでー! とれたての鎧マグロの解体ショーだよー!」


ピエロ 「ヴヒャハーイ、今から不死鳥の火を噴くよい!」


ピーヒャラピーヒャラ プァー ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王 「すごく賑やかね……」


淫魔幼女 「第三大世界中の奴らが来ることのできる世界だからな」

淫魔幼女 「それに、環境は淀みの外の世界と何も変わらないから、普通に暮らすこともできる。町ができてもおかしくないか」

淫魔幼女 「ここの他にも、まだ町や集落があると考えて良いだろう」


詐欺商人 「もしかすると、ここの方が快適かもな」

詐欺商人 「市場の品揃えも中々のものだ。いくつもの世界のものが手に入るのだろう」

詐欺商人 「そのうち、外の世界から独立した国家なんかがいくつもできたりするんじゃないか」


淫魔幼女 「……恐ろしい話だ」




この詐欺商人の言葉が後に現実のものとなり、

やがてそれが、

数億の世界を巻き込み数千億の英雄譚と悲劇の歌を生み出した、

星の命よりも長きに渡る人魔妖精天使入り乱れての剣と魔法の戦い、

第三大世界黎明の淀み戦争……またの名を千億界境の終末戦争、またの名を夢見の淵迷宮の黄昏妖精王戦争またの名を……

の火種となることを、


そして、

その戦争で現れては消えていった名も無き千億の英雄たちの1人として、

自分達が後世の吟遊詩人の旅の歌の中で生き続けていくことになるなど、

三人は知るよしもなかったのである。




青ペンキ城壁の町 西門



ペンギン剣士 「それにしても、人が多いなペン」


ペンギン門番 「最近、たくさん移民が来ているんだぜギン」


おつかい酒場ペンギン 「賑やかなのはいいことクエー」


ガラガラガラ ワイワイゾロゾロ


詐欺商人 「さて、ここからさら西に行くと、ウィッチたちの住む森があるらしい」


淫魔幼女 「ペンギン……」


ペンギン門番 「おや旅人さんたち、ウィッチの森に行くのかギン」


詐欺商人 「ん、ああ」


ペンギン門番 「悪いことは言わないギン、やめとけギン。ウィッチはこの辺りでは強敵だギン」

ペンギン門番 「女を、しかも子供を二人もつれていくのは危険だぜギン」

ペンギン門番 「この前、腕自慢のセクシービキニ女戦士とビキニ魔法使いの二人組が森へ行ったきり、まだ帰ってこないんだギン」


おつかい酒場ペンギン 「ひえー、怖いクエー」


淫魔幼女 「ペンギン……」





詐欺商人 「ああ、心配ありがとう。だが大丈夫だ、この二人はこう見えて……」


幼女魔王 「大きなペンギンさん。可愛い……」


淫魔幼女 「ペンギン……」


詐欺商人 「……な?」


ペンギン門番 「何がだギン」




……………


ウィッチの森への道



淫魔幼女 「……むぅ」


詐欺商人 「相変わらずアヒルとかコカトリスの雛とか、よく分からん鳥に弱いな、お前は」


淫魔幼女 「む、むぅ」


幼女魔王 「しかたないわ……ペンギンは反則だもの」


ガサガサ


幼女魔王 「ひっ。草むらの中から何か……」


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」



卵スライム が現れた




卵スライム 「ゲレゲレゲレ……」


幼女魔王 「う、うわあ、プルプルしてる……」

幼女魔王 「あと中に何か、丸いものが詰まってる……?」


淫魔幼女 「おれたちの後ろに隠れながら言うなヘッピリ魔王」


詐欺商人 「あれはスライムの卵です、陛下」


幼女魔王 「へ、へえ。スライムって卵で増えるんだ」




淫魔幼女 「あれを他生物の雌の中に産み付けて、苗床にして産卵させる」

淫魔幼女 「まあ、とても弱いモンスターだから、新米戦士1人でも楽に勝てる」


幼女魔王 「ふ、ふうん。でも、女の子は万が一があるから……」


淫魔幼女 「そうだな。よしいけ、幼女魔王」


幼女魔王 「分かってたわよあなたはそういう人よ」




幼女魔王 「さ、詐欺商人……」


詐欺商人 「大丈夫です、陛下。万が一のときは我々がお守りします。さあ、武器をかまえて」


幼女魔王 「ま、守……えへへ、うん」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「……淫魔幼女」


淫魔幼女 「なんだチョロ魔王」


幼女魔王 「そのいつの間にか外套の手に持ってる透明な球は何かしら」


淫魔幼女 「万が一のためにな」

淫魔幼女 「映像記録用の記憶石だ」


幼女魔王 「ふざけんじゃないわよ」

幼女魔王 「お願いだから」




淫魔幼女 「大丈夫だ、よほどのことが無ければ」


詐欺商人 「そうです陛下、よほどのことが無ければ」


幼女魔王 「ありがとう。よけいに不安になった気もするけど」

幼女魔王 「……よ、よーし」


卵スライム 「ゲレゲレ」


幼女魔王 「私の日傘デビュー!」

幼女魔王 「ちぇすとぉおおーーーーー!」




コケッ


幼女魔王 「あ」


ベチャン ヌチャッ


幼女魔王 「ムブプッ!?」

幼女魔王 (………ずっこけて卵スライムの上に倒れちゃった。ダメージもないみたい)

幼女魔王 「ぷはぁッ。は、早く立たなきゃ……」


卵スライム 「ゲレゲレゲレ」


ブルブル


幼女魔王 「え、卵スライムが震えて、あ、ちょっと……?」


ズブズブ ズプンッ


幼女魔王 (手足が卵スライムの身体に飲み込まれちゃった)

幼女魔王 「は、離してくだ……離しなさい、よッ……ッ……」

幼女魔王 「ふぬっ……くぬぬ……」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (………抜けない)


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」





幼女魔王 「い、淫魔幼女~、詐欺商人~……」


詐欺商人 「あきらめてはいけません、陛下」


淫魔幼女 「もう少し高飛車に話せ。弱気よりも強気な雌が弱小モンスターに敗北する方が高く売れる」


幼女魔王 「なっ……本当に何をやってるのあなた」


淫魔幼女 「しかし倒れた拍子にスカートがめくれたのは良い感じだ。スパッツ尻の愛好者は多いからな」


幼女魔王 「なあっ、ちょ、じろじろ見ないでよ! あ……さ、詐欺商人も、おねがい……」


詐欺商人 「御意」


淫魔幼女 「……しかたない。映像石だけそのままにして、後ろを向いていよう」


幼女魔王 「その石もやめなさいよ……」

幼女魔王 (……て、あれ)

幼女魔王 (これだと、何か大事なところを間違えているような……?)




幼女魔王 「ま、まあいいわ。それよりも早く抜けなきゃ」

幼女魔王 「くぬっ……ふぬっ……ふぅっ、んっ……」


グイッ グイッ


幼女魔王 「ふにゅおーっ」


ズポンッ


幼女魔王 「や、やった、片手が抜け……」


卵スライム 「ゲレゲレゲレ」


ベチャ


幼女魔王 「にゃひょう!?」




幼女魔王 「ちょっ、まとわりついてこないでよ……」


ズプン


幼女魔王 「あ、せっかく抜けた手がまた飲まれ……」


ズルズル ドリュドリュ


幼女魔王 「なああっ、服の隙間から入ってくるなぁ!」


グリュッ


幼女魔王 「ひんっ!?」


グニャグニャグリュグリュ


幼女魔王 「あひゃんっ……ちょ、くすぐった……あふっ、そんな這い回るみたいに」

幼女魔王 「やめて、私、肌が敏感だから……」


グニャグニャグニャグニャ


幼女魔王 「~~~~~!!」

幼女魔王 「うふっ、ふひゅうっ……ふッぐぅうふっ……やめ、やっ……」


グニャニャニャニャニャニャニャニャ……


幼女魔王 「ひゃっっ、あはははははははははっ」

幼女魔王 「いや、いやああああーー!! あっはぁああんあああ!」

幼女魔王 「あははははははははははは!!」




淫魔幼女 「卵スライムは獲物をくすぐり無力化し、口から侵入して胃に卵を産み付けるから」

淫魔幼女 「気をつけろ。今どうなってるか見えないから分からんが」


幼女魔王 「なっ、なんですっ……」


グニグニ


幼女魔王 「あんっはぁぁああ!?」


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


幼女魔王 「や、あはははははははっは!」

幼女魔王 (って、口あけて笑ってたらまずいじゃないの!)

幼女魔王 「あはっ、ひゃっ……くっ、ぐうぅッ………ッ……ッ」


グニャニャ グニグニグニグニ


幼女魔王 「ひふっ……ぅふッ……ふうぅっ……ッッ……」

幼女魔王 (が、我慢……我慢……ッ)




卵スライム 「ゲレゲレゲレ」


グニョグニョ サワサワ ペチャペチャ


幼女魔王 「っ!」

幼女魔王 (は、激しくなった……!?)

幼女魔王 「ッ……はぅっ………んっ……!」

幼女魔王 (わきにお臍に足の指の股、こんなにくすぐったいなんて……)


卵スライム 「ゲレレゲレゲレ」


グニャグニャ プニプニ プルルルル


幼女魔王 「んふうううぅぅーーッ! ひぅうううぅぅううーーーッッッ……」

幼女魔王 (む、無理、これ以上は我慢できなッ……!)




コポッ ブニュッ


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (卵スライムの中で、私の口より大きな卵がたくさん動いてる……)

幼女魔王 (あれが、私の中に……いやよ、しゃ、しゃれにならないじゃないの……!)


ゴニョゴニョ ワキワキ コチョコチョ ペチャペチャ


幼女魔王 「ひぅ、ひうぅうっ、ひううぅぅぅぅぅぅうう……!」

幼女魔王 「くぐっんふぅぅぅううううううーーーーッッッッ」

幼女魔王 (だめだめだめだめだめだめだめ……!!)

幼女魔王 (笑ったら卵笑ったら卵笑ったら卵………!!)




淫魔幼女 「……ありがとうござ淫魔」


詐欺商人 「ぶふっ!」


幼女魔王 「ぶはッ!?」


グニャグニャグニャ


幼女魔王 「はぅん!? あはははッッ……くぅッ……ッ」

幼女魔王 「ぐっ、くふうぅぅぅぅうううううッ」

幼女魔王 (淫魔幼女ぉぉおッ……!!)




グニャグニャグニャグニャ

グチョグチョ ベロベロ


幼女魔王 「ひにゅううぅうッッ……!」

幼女魔王 (だめだめだめダメダメダメダメだメダメ……)


ペロペロペロペロ 

サワサワサワサワ フニフニフニフニ


幼女魔王 「ふッ! ふッ! ふッ! ふうぅっ、ゥッ、ゥッ、ゥッ!」

幼女魔王 (だめ、腹筋が疲れて痛い、ビクビク痙攣して熱い……!)


…………

クニクニクリクニ グニグニグニグニ

グネグネグネグネ


幼女魔王 「らひぇ……はひゅっ……ひひゅぅっ、ぅう……くふぅぅッ、ん……くぅん……」

幼女魔王 (お腹痺れて感覚が無い。体中ボーッなってる……もう脳みそを直接コショコショされてるみたい)

幼女魔王 (あふふ、あれ、私笑ってる? 口とじてる? もうわけわかんない……)





幼女魔王 「あふっ……くぅ……ふっ……」

幼女魔王 (そもそも私、どうして笑っちゃだめなんだろう……)

幼女魔王 (こんなに我慢したから、もう笑ってもいいじゃない)


卵スライム 「…………」


ピタッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (こんなに我慢したから、もう笑っても……)

幼女魔王 (あれ? くすぐりが止まってる……?)





卵スライム 「…………」


幼女魔王 「……ふあ」

幼女魔王 (そ、そうか、さては疲れたのね……)

幼女魔王 (いまのうちに抜け出そう……)


卵スライム 「…………」


幼女魔王 「………はへ」

幼女魔王 (体に力が入らない。どうしよう……)

幼女魔王 (あ。そうだわ)

幼女魔王 (しもべを呼べばいいじゃない。うっかりしてたわ)


卵スライム 「…………」


幼女魔王 「すぅーー……」

幼女魔王 (じゃあさっそく、集中して、息を吸って……)

幼女魔王 「はぁーーー……」


卵スライム 「…………」


コチョッ


幼女魔王 「!!?」




幼女魔王 「……ぁはっ………あっ………あっ」

幼女魔王 (ひ、卑怯、不意打ちなんて……!)

幼女魔王 (だ、だめ……が、我慢……決壊しちゃ……我慢……)


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


サワサワサワサワ


幼女魔王 「ひにゃあああああ!?」

幼女魔王 「あははははははははははッ!」

幼女魔王 「らめっ、お腹くるくるコショコショだめえええええ!」

幼女魔王 「あはははははははははっはははは!!」

幼女魔王 「卑怯、ひきょうにょおおおお! ヒぃいッ! ひひぃぃい!!」


グニグニグニグニグニ

ベチョベチョベチョベチョ




卵スライム 「ゲレレレレ」


幼女魔王 「ひふぅぅぅうう! うふッ、んふはッ! はははははははは!」


グニャッ グニャッ グニャッ


幼女魔王 「あひゅひゅひゅひゅ! にゃめ、それらめえええ!!」


ニュルンポ ニュルンポ


幼女魔王 「にゃひひひひぃぃぃいいっ! おへそズポズポぉ!?」

幼女魔王 「嘘、うしょおぉおおおッ! くすぐったきもひぃぃいひゃははははっははは!!」


グニグニグニャグニャ

ベチョベチョベチョ

ニュルポ クチョクチョ


幼女魔王 「だめだめだめだめぇぇえ!!」

幼女魔王 「どこをどうされてもくすぐったいぃいひひひひひひッッ」

幼女魔王 「ひヒャはははははひゃひゃひゃあああははっ、あはっ、はははっ、はあはははっははは!!」


グニィィィイイイ グニグニグニ

ニュルニュルニュルニュリュ


幼女魔王 「はひゃっひゃはははは! も、分かんにゃい、馬鹿ににゃるふうううう!!」

幼女魔王 「ひゃはっ、はっ、はっ、はっ、ひゃひゃひゃはははっはははははっははははははははははは!!」




…………


卵スライム 「…………」


幼女魔王 「………はひゅーーっ……はひゅーっ……」


卵スライム 「…………」


グニッ


幼女魔王 「あひゅぅんッッ」


グニッ……グニッ……


幼女魔王 「ふひゅっ……あへッ……も、許ひへえぇ……」

幼女魔王 「も……息、できな……」


グニグニグニグニッ


幼女魔王 「ひにゅうううん!?」




グニッ ニュポッ コチョコチョ


幼女魔王 「あひゃひゃ、ひゃッひ、ひひゃひゃひゃひゃ!!」


グニグニ ジュワジュワ ベチョベチョ 


幼女魔王 「いやああああ!!もう笑うのいやああああああ!!」

幼女魔王 「せめて手足を動かさせて! 動けない分よけいに……ひぃッ、ひひひひひぃぃいい!」

幼女魔王 「もういくらでもくすぐっていいから、自由にしてぇぇえええ!!」


グニャングニャン チョログチュチョロ グネグネ


幼女魔王 「いやああああああああ!」

幼女魔王 「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! ふヒィイイイイイ!!」





淫魔幼女 「言い忘れていた。無理だと思ったら助けを呼べ。見てないから分からないからな」


幼女魔王 「た、たす、ひひゃはは、たすたすたす……ふひほぉおっ!」

幼女魔王 「もう無理、私負け……くふぅんッ、助け、た…ひにゃああああっハハハハッ!」

幼女魔王 「お願い助け………」


ズブッ


幼女魔王 「ぶもぉ!?」


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


幼女魔王 (な、中に……)

幼女魔王 (口の中に卵スライムが入ってきた………!)




卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


幼女魔王 「あ、ぼぉ……むぼぉ……ぉえっ……」

幼女魔王 (ぅう、なんか磯臭いっ……苦い……)


グネグネ ビュルルッ

ズブブブブブブ


幼女魔王 「ごぇおぼっ!? もぼぼぼぼぼぼぼぼッ……」

幼女魔王 (ぐ、ぐるじ……喉の奥までどんどん流れ込んでくる……!)




卵スライム 「ゲレレレレ」


ズブッ ズブブブブブ


幼女魔王 「ぉ……ごぼっ……ぐぉえっ………」


ズッ……


幼女魔王 「ぉ……んふッ……ぅ……ッ……」

幼女魔王 (あ……これ、胃まで……)


ビクッ ビクンッ


幼女魔王 (胃が引っくり返る……あはは、体中勝手にビクンビクンしてる。何か変なの……)


卵スライム 「ゲレゲレ」


ゴポッ…… ゴポッ……


幼女魔王 (……あ、卵スライムの中の卵がたくさん、私の口の方に来てる)

幼女魔王 (私の胃に産卵するのね……)

幼女魔王 (…………)

幼女魔王 (……産卵!?)




幼女魔王 「おぼぉおお!! むごっ! むごぉおお!!」

幼女魔王 (いやいやいやいやいや! やだやだやだ!!)

幼女魔王 (スライムの卵を産み付けられるなんていやだ!)


淫魔幼女 「卵からかえった卵スライムの子供は、宿主の腸の中のものを食いながら肛門から出て行くんだ」


詐欺商人 「へえ、ダイエットには良さそうだな」


幼女魔王 「!!!!?」

幼女魔王 「むぶぅうーーーーー!! んむぅううーーー!!」


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


ゴポポポポ

プリュンッ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「~~~~~~~~ッッ!?」




幼女魔王 「ぐぶっ………ぅぶッ……」

幼女魔王 (うそ……今、お腹の中に何か重たいのが……)


卵スライム 「…………」


プリュッ プリュリュッ


幼女魔王 「!! ッッ!!」

幼女魔王 (ぃ、いや……これ、卵……いや……ぃや……)

幼女魔王 「ぶぇ……えぐっ……ぅええええええ……」

幼女魔王 (どうして私、こんなのばっかり……魔王なのに、弱いモンスターにボロ負けして……)

幼女魔王 「ふぐぇえええええん……ぅえええええええええ……」


卵スライム 「…………」


ゴポゴポゴポゴポ

プリュリュリュリュリュリュリュ


幼女魔王 「むぶぉおおおおおおおおお!?」

幼女魔王 (もう、許してよお……)



……………



……………


ゴポッ ゴポッ


幼女魔王 「………ォえ……ぇお……ぉ………」


ビクッ ビクッビクンッ


卵スライム 「…………」


プリュリュリュリュリュリュリュ


幼女魔王 「ぅぷっ…………ゲぇ……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「意識が飛び飛びのようだな」


詐欺商人 「ああ、もう俺たちが見ているのもお気づきになられていないな」





プリュリュリュ……リュッ……


幼女魔王 「ぶぐっ……きゅっぷぃぎぇ……」

幼女魔王 「ぉぐっ、おごっ、おっ、おっ………」


淫魔幼女 「ここからじゃ顔が見えにくい。前に回りこむか……」

淫魔幼女 「……む、ほぼ白目をむいてマヌケな顔をしている」


詐欺商人 「せめて映すのはやめたらどうだ」


淫魔幼女 「いや、こういうのも売れるからな……」

淫魔幼女 「タイトルは、生意気スパッツヘソ丸出し魔王スライム卵で顔面崩壊……とかでいいかな」


詐欺商人 「ははは。いやいや、さすがに吐き気がするな」



プリュリュ……プリュ……プ……


幼女魔王 「ォボッ……。ぐげ……ぇ……」

幼女魔王 「……ッ」

幼女魔王 「んぶっ、ぶっ、ぅえっ、ぉえっ、ぉえッ、ごぇッッ……」


淫魔幼女 「えづき始めたか」


詐欺商人 「限界まで詰め込まれてしまったか」


幼女魔王 「ぐぉえええっ……うぶっ……げぇえええええええッ……うぶぅぅうう」


詐欺商人 「お辛そうだ。卵を吐きながら卵を詰め込まれている」


淫魔幼女 「卵スライムの一回の産卵は長いし、途中じゃ終わらないからな」





卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


グチャグチャ グネグネ


幼女魔王 「………………」


ビクビクッ ビクッ ビクッ


淫魔幼女 「…………ふむ」

淫魔幼女 「瞳の光が完全に消えた。目は開いているが、もう意識は無いだろう」


詐欺商人 「身体も、ただ刺激に反応しているだけみたいだな」


卵スライム 「ゲレゲレ」


グニィッ


幼女魔王 「…………」


ビクンッ


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレ」


グニャ コリコリ ムニュムニュ グニョングニョン ヌプヌプ


幼女魔王 「……………」


ビクッ ビクッビクッ

ガクガクッ ガクッ ガクッ

ガクガクガクガクッ……


卵スライム 「ゲレゲレゲレゲレゲレ……」




グニャグニャッ


ビクッ ビクンッ


淫魔幼女 「楽しんでいるのか。まさか、こんなに弱くていじめがいのあって」

淫魔幼女 「自分の思い通りにできる玩具が手に入るとは、夢にも思わなかったんだろうな」

淫魔幼女 「まあ……」


幼女魔王 「……………」


ビクビクッ ガクッ ガクッ


淫魔幼女 「この貧乳魔王は生まれながらにいじめてフェロモン全開の、被虐大好き奴隷体質だから仕方ないが……」

淫魔幼女 「まったく、弱者がたまに勝つとタチが悪い」


詐欺商人 「さすがにもう、ここから逆転は無理だろう」

詐欺商人 「助けるぞ」




淫魔幼女 「うむ。お前にしてはよく堪えてくれた」


詐欺商人 「まあ、可愛いお姫様こそ鍛えてさしあげろってことだな」


詐欺商人 は防御魔法を唱えた


淫魔幼女 「……いい加減にその言葉遣いをやめろ」


淫魔幼女 の攻撃


ズガガガガガッ


卵スライム に??????のダメージ
幼女魔王 は魔法で守られた


卵スライム 「ブルブルブルブル………」


淫魔幼女 「くそ……防御魔法は破れなかったか」


詐欺商人 「こらこら……」



卵スライム を倒した

まったくこれだからスライムは……



…………



幼女魔王 「おえーーーッ」


ボトボトボト


幼女魔王 「ゼェッ……ゼェッ……ぅぷっ、まだ出てくる……」


淫魔幼女 「情けない魔王め……武器を装備しながら、卵スライム1匹にすら勝てないとは」

淫魔幼女 「さっさと全部吐ききれ。胃の中に1つでも卵を残しておくと、尻からスライムを産むことになるぞ」


幼女魔王 「ぅう……そんなのいやぁ……だいたい私、魔王なのに……」

幼女魔王 「ぅおえーーッ」

幼女魔王 「えれえれえれえれ……」


ボトボトボトボト


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王の卵(スライム) を手に入れた


幼女魔王 「何やってんのよ、あな……」

幼女魔王 「おえーーーッ……」




ガサッ


幼女魔王 「ひっ!?」


詐欺商人 「よぉ、どうだい」


幼女魔王 「あ、なんだ、詐欺商人……」


淫魔幼女 「どうやら孵化前に吐ききれそうだ。そちらは?」


詐欺商人 「森の様子が少しおかしい」

詐欺商人 「何と言うか、邪悪な感じだ」


淫魔幼女 「ふむ」


詐欺商人 「だが、良い木が多いみたいだ」


淫魔幼女 「ほう」


幼女魔王 「ぉえっ……」


ボトッ


幼女魔王 「あ、あの……森までの道にスライムは……」


詐欺商人 「大丈夫、5匹ほど出くわしましたが、追い払っておきました」

詐欺商人 「しばらくは安全だと思います。もうこんな目にはあわせませんよ」


幼女魔王 「ほっ……」


淫魔幼女 「……吐ききったようだな。では、行くぞ」




ウィッチの森



ドヨー ドヨー


幼女魔王 「こ、これは、あからさまにドヨッとしとるわね……」

幼女魔王 「生き物がいない感じで、不気味」


淫魔幼女 「死霊系のモンスターが多そうだな」

淫魔幼女 「明かりを頼む」


幼女魔王 「あっ、それなら私が魔法で……」

幼女魔王 (少しでも挽回しないと……)


淫魔幼女 「寝言は寝て言え。貴様にやらせたら10歩も進まず魔力がきれる」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「詐欺商人」


詐欺商人 「はいよ」


詐欺商人 は『不滅のカンテラ』を装備した


詐欺商人 「陛下はさきの戦いで疲れてらっしゃいます。俺たちにお任せください」

詐欺商人 「さあ、お手を。歩きにくくなっているので気をつけて」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 (えへへ、大きな手……)


淫魔幼女 「……あまり甘やかすなよ」




パキッ カサカサ ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 (ほ、ほんとに、夜みたいに暗い……)

幼女魔王 (ときどき遠くや近くで変な音も聞こえるし……)


ホーーーッ バサバサッ


幼女魔王 「ひっ」


詐欺商人 「大丈夫、ただの鳥です」


ピチャッ ピチャッ


幼女魔王 「ふぇっ!?」


詐欺商人 「お、どこかで水が湧いているみたいだ」


淫魔幼女 「げれげれげれげれ」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 「ぃ、いやああああああ……」

幼女魔王 「ゆ、許してえ……卵やだぁ、くすぐりいやあぁ……」


詐欺商人 「淫魔幼女が卵スライムの物まねをしているだけです」


淫魔幼女 「馬鹿め、大声を出すな。モンスターを呼び寄せるたいのか」


幼女魔王 「ふええええん、うええぇぇえん……」


詐欺商人 「冗談が過ぎたみたいだな」


淫魔幼女 「トラウマになっていたか。過ぎたんじゃない、こいつが弱すぎるだけだ」


>>445

×淫魔幼女 「馬鹿め、大声を出すな。モンスターを呼び寄せるたいのか」

○淫魔幼女 「馬鹿め、大声を出すな。モンスターを呼び寄せたいのか」



グェッ グェッ ギャアアッ バサバサバサッ


幼女魔王 「ねえ、だいぶ奥の方まで来たと思うけど、私たちはどこに向かっているの?」


淫魔幼女 「森に住むウィッチは森の奥の方で群れをつくる。そこを探している」

淫魔幼女 「獲物を探す個体を見つけられたら早いのだがな」


幼女魔王 「ふぅん」

幼女魔王 「でも、成長する魔法の木とかいうのを探すのに、どうしてウィッチなの」


詐欺商人 「ウィッチが魔法使いで、魔力の宿る木の杖を使う死霊系のモンスターだからです、陛下」

詐欺商人 「ウィッチたちは良い木を探し、杖にするのが上手なのです」

詐欺商人 「ウィッチたちの貯蔵庫を探し、杖をたくさんいただくのが我々の目的です」


幼女魔王 「へええ」




淫魔幼女 「………む」


詐欺商人 「どうした」


淫魔幼女 「いたぞ、ウィッチだ」


幼女魔王 「え、どこどこ?」


淫魔幼女 「……あそこだ。詐欺商人の後ろに隠れながら言うなロリビッチメンタル」


詐欺商人 「お、本当だ。こんなに暗いのに目がいいなお前」


淫魔幼女 「慣れたからな」


幼女魔王 (……ぜんぜん見えない)

幼女魔王 「ぁ、本当だあんなところに………」


淫魔幼女 「嘘をつくな」




骸骨ウィッチ 「…………」


淫魔幼女 「……身につけている服を見るに、弱くはないようだ。といっても強い種類でもないが」


詐欺商人 「あれくらいなら、聖なる武器や、僧侶や魔法使い系が1人いれば楽に倒せそうなもんだが」

詐欺商人 「町で噂になるくらいだから、何かあるのかな」


骸骨ウィッチ 「…………」


淫魔幼女 「何か拾った。……枝か」


詐欺商人 「採取に来てたのか」


幼女魔王 (……ぜんぜん見えない)


骸骨ウィッチ 「…………」


フヨフヨフヨフヨ


淫魔幼女 「む、移動するようだ。追うぞ」


詐欺商人 「了解」



…………


触手 「ここから 少しの間 ちょっと ハード な えっち に なるよ」



…………


骸骨ウィッチ 「…………」


詐欺商人 「あれから結構木の枝を集めたが……」


淫魔幼女 「やっと帰るようだな」


幼女魔王 「…………」


詐欺商人 「……なあ、淫魔幼女」


淫魔幼女 「む」


詐欺商人 「貯蔵庫だが、陛下にお見せしてもいいのか? 俺たちのどちらかをを傍につけて、ここに残した方が」


幼女魔王 「?」


淫魔幼女 「……甘やかすわけにもいくまい」

淫魔幼女 「それに、こいつが魔王をやる以上、いずれ似たことをしなければいけなくなる」

淫魔幼女 「行くぞ」




幼女魔王 「え、ちょ、ちょっと、何かあるの? 怖いものなの?」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「ね、ねえ……」


淫魔幼女 「相手に気づかれる、黙れ」


詐欺商人 「何というか、女性の性的に無惨な姿を見ることになるというか」


幼女魔王 「え、私、わりと見せられてきた気がするけど。とくに魔法少女とかの」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「違う、負けたらこうなるということを教えただけだ。そんなにひどいのは見せていない」


幼女魔王 「いやいやいや……」



声 「んぉぉおッほぉぉおおおおおッッ!!」



幼女魔王 「!?」


ウィッチの貯蔵庫



ビキニ魔法使い 「んはぁぁあああッ! またクるッ、子宮からすごいのクるぅぅううう!」


ビキニ女戦士 「おっ、おっ、おっ、おっ……! ぉぉぉおおおッ、キてる……お尻から脳みそにギュンギュンキてるぅぅうう……!」


幼女魔王 「………………」

幼女魔王 (ひどい。おちゃらけた格好の二人の女冒険者が、手足を地面に埋められた四つん這いの姿勢で……)


淫魔幼女 「雌の下半身の二つの穴に枝を何本も突っ込み、雌の魔力を枝に吸収させている」

淫魔幼女 「ああやって良い杖をつくるのだ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (知らなかったわ。女の子のここって、そんな風に使うために穴が空いてたのね……)




骸骨ウィッチ 「……………」


ゴリュッ


ビキニ女戦士 「んぉおおッッ!?」


幼女魔王 (うそ……。もう限界みたいなのに、さらに集めてきた枝を突っ込んでる)


骸骨ウィッチ 「……………」


グリュッ グリュッ


ビキニ女戦士 「ぉぉッ、ぉぉおおおッ……! 押し込まれでッ……ルぅ……ッ」


グッ グッ グッ

ズブッズブッ ズブブブ


ビキニ女戦士 「むりッ、ムりッ、ぎぃいい、い、いッ……ッ…アソコ伸びてバカにっ………ッ」


骸骨ウィッチ 「…………!」


ゴリュンッ


ビキニ女戦士 「んごぉおッ!?」

ビキニ女戦士 「ィグっ……ギッ……いいぃいぃッ…ぃ…ぃッ……!!」


グリグリ グニュグニュ


ビキニ女戦士 「ふほぉおぉぉおおおぉおぉおおおッ!?」

ビキニ女戦士 「お肉ッ、あいだのお肉っ! グニグニこねまわすのだめぇええええ!!


骸骨ウィッチ 「…………」


グニグニグニグニ


幼女魔王 (ひ、ひどい、硬そうな木の枝であんなに乱暴に……)




骸骨ウィッチ 「…………」


グニグニグニグニグニ


ビキニ女戦士 「ぉぉぉおおおおおおおッ! んおおおおお! おぉぉッ、ぉッ、ぉッ、おおおおッッ!」

ビキニ女戦士 「イグイグイグイグイグイグイグぅぅぅぅうううううぅぅうぅう……ッッ」

ビキニ女戦士 「イクの止まんないのぉぉぉオおおおおおおおぉおぉおおぉぉおおおおッ!」


ブシャッ バシャバシャ

グチョンッ グチョンッ グチョンッ グチョンッ


詐欺商人 「……あれは、もうまずいのかな淫魔幼女」


淫魔幼女 「ウィッチの媚薬でも盛られた上、魅了魔法チャームを過剰にかけ続けられたのだろう」

淫魔幼女 「ペンギンの話を信じ、あの雌がウィッチに捕まった日を考えると、助けるのは無理だ」



ズンッッ


ビキニ女戦士 「あぐぅぅぅううッッ!?」

ビキニ女戦士 「ぞ、ぞんな……そご…ぞこ押じこまれだらッ……子宮も伸びッ……ッ!!」


骸骨ウィッチ 「…………」


ズグンッ


ビキニ女戦士 「ギィいッ……!!」


ズグンッ


ビキニ女戦士 「はぎゅッ!? ……ごッ……ぉッ……!」


ズグンッ ズグンッ ズグンッ ズグンッ 


ビキニ女戦士 「ぎぎゅっ!? ギッ!? イぐッ、ぃッ、いっ、イッ、イッ、いッ、ぃ、いっ!」



淫魔幼女 「……ずいぶん前から、性器への刺激がすべて快感に、それこそ一発の絶頂で脳を殴り抉り」

淫魔幼女 「ドロドロのグチョグチョにするほどの凶悪な快感になっているはずだ」


ボゴンッ


ビキニ女戦士 「おンごッッッッ!?!?」


ガクッ ガクガクッ

ガクガクガクガク


ビキニ女戦士 「…ッ……ッ……ッッッッ………」

ビキニ女戦士 「は、入っ……ぎだッ……ぁ……おぁ……ぁッッ……」

ビキニ女戦士 「んへぁあぁあああぁ……イクイクイクイクぅううぅぅ……」


淫魔幼女 「……ああなっては手遅れだ。もうあの雌が普通の生活に戻ることはおろか、自我を取り戻すことさえないだろう」

淫魔幼女 「ただウィッチの杖を作るための、肉の貯蔵庫として生きていくしかない」


グニュッ グニュッ グニュッ


ビキニ女戦士 「んぉぉぉぉおおおッ!」

ビキニ女戦士 「子宮ごひょ腹筋も壊ひゃれひゃッ!」

ビキニ女戦士 「イクッ! 壊ひゃれへイクぅぅぅううううううううッッ!!」

ビキニ女戦士 「んっほぉぉぉおおおおおおおッッ!! おほぉぉぉぉおッッおおおお!!」


幼女魔王 (健康的に日焼けして引き締まってただろうお腹が、粘度みたいに無惨にグネグネと……)





骸骨ウィッチ 「…………」


ピタッ……


ビキニ女戦士 「あひぇッ……あへへへへぇえ……」

ビキニ女戦士 「イグイグイグイグイグイグぅぅうう……」


ビクッ ビクビクッ ビクンッ


ビキニ魔法使い 「………ぁ」

ビキニ魔法使い 「ぁ……あぁ……ビキニ女戦士」


幼女魔王 「あっ、ね、ねえ今、あっちの魔法使いがしゃべった……」


淫魔幼女 「ふむ、自我が残っているのか。突っ込まれた枝の数は女戦士より多そうなのに、たいした精神力だ」




ビキニ魔法使い 「だ、だめよビキニ女戦士。気をしっかり持って……」

ビキニ魔法遣い 「じゃないと、また……」


ビキニ女戦士 「あ、あへええ……」

ビキニ女戦士 「お腹ビクビク震えて……イグぅうぅうぅ……ぅぅう……」

ビキニ女戦士 「きひゃう……腹筋アクメのあと、早くしないとアレが来ひゃうぅうう」


骸骨ウィッチ 「…………」


スッ


ビキニ魔法使い 「!?」


幼女魔王 (骸骨がビキニ女戦士に向かって両手の手のひらを突き出した。何か、儀式みたい)



骸骨ウィッチ 「……カチカチカチカチ」


キィイイ……


幼女魔王 (骸骨の手が妖しく光りだした……)


ビキニ魔法使い 「ビキニ女戦士! だめ! 気をしっかりもって!」


ビキニ女戦士 「うぁ……ぁ……あああ……だ、だめ……ぁ……アレ、だめ……」


ビキニ魔法使い 「そうよ! 絶対ここから逃げ出して一緒に帰るんだって、あなた言ったでしょ!!」

ビキニ魔法使い 「ビキニ女戦士! ビキニ女戦士!」


ビキニ女戦士 「あ……アレ………ぁ……あ」

ビキニ女戦士 「あれ……アレぇ……!!」

ビキニ女戦士 「アレ来るぅ……! めちゃくちゃ気持ちいいアレがくるぅぅう……!」


ビキニ魔法使い 「!!」

ビキニ魔法使い 「ち、違う、だめ! だめよビキニ女戦士! 気をしっかり持ってぇ!」





ビキニ女戦士 「ぁ……ぁあああぁああ! だめ、だぁ……想像しただけで」

ビキニ女戦士 「イクッ……イクぅうううッッ」

ビキニ女戦士 「い……ッッ! ッッッ!」


ビクンッ ビクビクビクッ……


ビキニ魔法使い 「ぁ……ぁああ……そんな……だめ、だめぇ………」


ビキニ女戦士 「ぁ……はぁあああああぁぁ………ぁ……ぁ……ぁああ………」


骸骨ウィッチ 「…………」


キィイイイイ


幼女魔王 (ヘニャヘニャになってる女戦士の枝まで、骸骨の手と同じように光りだした……)




骸骨ウィッチ 「…………!!」


キュイイィィイイイ


ビキニ女戦士 「ッッ!!!!」


ビクンッ


幼女魔王 (!! 骸骨の手の光が強くなったら)

幼女魔王 (骨抜きだった女戦士が、手足を地面に埋められたまま勢いよく仰け反った……!)


骸骨ウィッチ 「カチカチカチカチ………」


キイイイイイ


ビキニ女戦士 「ぁお……ごッ……ひひゅッ……ぎぎゅ……ぎっ……」

ビキニ女戦士 「ィ……ぐッ! イッ……ぃぃぃいいいイッ……!」


淫魔幼女 「……枝が雌の魔力を吸収し始める」

淫魔幼女 「噂によればこのとき雌は、人間が一生と同じ時間だけ性交を続けて得たものを合計しても足りないほどの快感を」

淫魔幼女 「断続的に味わい続けるらしい」




キィイイイ


ビキニ女戦士 「ぁ……? ……な……コレ……ぁ…あ、アタ…シ………」


淫魔幼女 「……む」


骸骨ウィッチ 「カタカタカタカタ…………」


キィイイイ


ビキニ女戦士 「!!」

ビキニ女戦士 「ぁ……ぁ、んぁ……ぁ……はあああ……ぃ、ぃく……ぃ、ぃ……」

ビキニ女戦士 「く、ぐぅうッ! ……ぅ……ビキニ、魔法使い……」


ビキニ魔法使い 「!!」

ビキニ魔法使い 「ビキニ女戦士! ビキニ女戦士! 気をしっかり……」


ビキニ女戦士 「あ、ぁぐ……ぅ……だ、大丈……ぶだ……ッ」

ビキニ女戦士 「こん、な……骸骨なんかに……負け…る……かよ……ッ!」


ビキニ魔法使い 「……ビキニ女戦士!」




淫魔幼女 「……快感の衝撃が強すぎて理性が戻ったか」


骸骨ウィッチ 「カタカタカタカタ……」


ビキニ女戦士 「ッ……こ、この……スカスカの……はぁうッ……ぐッ…骨ヤロー……ッ!」

ビキニ女戦士 「てめえの……ぁふッ……おまじないなんかじゃッ……んんぅッ……!」

ビキニ女戦士 「ふぐっ……ぅ…何べんやっても……アタシは……屈服させられない………ッ!」


骸骨ウィッチ 「カタカタカタカタ……!」


キュィイイイイイイイイッ


ビキニ女戦士 「!!!」

ビキニ女戦士 「くぁああぁぁぁあああああああッ!!」




詐欺商人 「始まったな」


淫魔幼女 「ああ」


骸骨ウィッチ 「…………」


キュイイイイイイイ


ビキニ女戦士 「んぉぉぉおおおおおッ! ぉぉおっ、ぉっ、ォォオオほぉぉおおおッ!」

ビキニ女戦士 「ぉぐッ、くっ……くぅうううああああああああ!!」

ビキニ女戦士 「ぐっ…ふゥぐぅうッ……き、効かないなぁあ……ッ! ぜん…ぜんッ、効かねぇッ!」

ビキニ女戦士 「んくっ、くふぅううううううううんんんッ!!」




骸骨ウィッチ 「…………!」


キュイイイイイイイイッ


ビキニ女戦士 「はくぅッ!?」

ビキニ女戦士 「ふぎッ……くひゅぅうううううううッ!?」


キュイイイイイ


ビキニ女戦士 「んぉ、ぉおおおほぉぉおおッ!? グッ……ぉおお……ッッ!!」

ビキニ女戦士 「ぁふんっ……ぐぅぅッ、ふッ、ふんッ……怒ったの………かぁッ!?」

ビキニ女戦士 「な、なんだ、ぃ、いつもと変わら……なぃ……あひんッ…じゃなぃ、か!」

ビキニ女戦士 「腹が、くすぐったいだけ……だぜっ……うひぅッ……くっ!」

ビキニ女戦士 「せっかく……ひぅっ……気持ちよくなれると……思ったのに……よォ……ッ!」





キュイイイィィイイ


ビキニ女戦士 「はは……くふぅぅううううッ!」

ビキニ女戦士 「ぁ、はははははははっ……! ほらほら、もっと……きゃふぅぐッ…が、頑張れ……よッ!」


ビキニ魔法使い 「そ、その調子よ、ビキニ女戦士! もうすぐモンスターの魔力も尽きて……」


骸骨ウィッチ 「……………」


ギュイイイイイイッ


ビキニ女戦士 「はきゅぅぅぅうううううううッ!?」


幼女魔王 (骸骨の手の光がさらに強くなった……)





ビキニ女戦士 「くっ…ソォっ……負けなッ……くっ、くぉ、ぉ、ぉ、ぉおお……」

ビキニ女戦士 「だ、だめだ……子ぎゅぅ……す、吸わ、吸われ……」


ギュイイイイイイ


ビキニ女戦士 「んほぉおおおぉッ! ぉッほぉおおぉおおおぉおおおおお!?」

ビキニ女戦士 「だっ……イッ、イグッ…イクイクイクッ…ぃ……ッ我慢……」


ギュイイイイイイ


ビキニ女戦士 「ぃぎゃああぁぁぁあああああああああああ!?」

ビキニ女戦士 「な、何、何だこれぇえええッ!? 違うッ! いつもと違うぅうううぅぅううう!!」

ビキニ女戦士 「しぎゅッ、子宮ぅうッ! 吸われるの、気持ちよすぎるぅぅうううう!!」





ビキニ女戦士 「……と、止め…止めろ…止めッ……止め……ッ」


ギュイイイイイイ


ビキニ女戦士 「ぉがッッ!!? ッッッ!!」

ビキニ女戦士 「ッ……ッ!! ッッ!!!」


ガクッ ガクガクガクッ


ビキニ女戦士 「……ぅあ……ぃッ……イッたッ……。 ぁッ…? イッてる……またイッ………」

ビキニ女戦士 「ぉぉぉおお、オ、ォォ、ぉッ、ぉぉぉぉおおお……」


骸骨ウィッチ 「……………」


ギュキュイイィィイイ


ビキニ女戦士 「ぃひいいいいぃいいいぃぃいいいッ!?」


ここしょっちゅう上がってるけどスレタイが物凄く気持ち悪いんで視界に入れくないんです
上げないで貰えませんか?



ビキニ戦士 「くふぐぅううぅうッ! ぅぐぁッ、あががががががッ!!」

ビキニ戦士 「ィグ……イグイグイグイグイグイグイグッ!!」


ガクッ ガクガクッ


ビキニ戦士 「そ、そんッ……なッ…そんなぁぁあああ! イクのが終わらなッ…いクッ…ぜんぜッ……我慢できな……!!」

ビキニ戦士 「あぎゅぅッ!? イくッッ! な、なんでッッ! もうイッってるのにィイイイ!?」

ビキニ戦士 「ッッッ! ッ! ッッ!」


ガクガクガクガクッ


幼女魔王 「骸骨の手の光……どんどん強くなってく……」


淫魔幼女 「強気に相手を挑発して自分を奮い立たせていたようだが、仇となってしまったな」

淫魔幼女 「というか、無駄だ。ウィッチに捕らわれて脱出できる可能性が一番高いのは」

淫魔幼女 「初めて魔力の吸収をされる前まで。あとは時間がたつほど大きく不利になっていく」

淫魔幼女 「脱出できても、ウィッチの媚薬やチャーム漬けをくらっていた場合、後遺症によって一生人外の性欲に悩まされることになる」


>>471 かしこまりました



骸骨ウィッチ 「…………」


ギュキュイイィィイイイ


ビキニ女戦士 「ぎぃぃいいいいッ!?」

ビキニ女戦士 「溶けてるッ……イキすぎで脳みそが溶けてるぅぅうう!!」

ビキニ女戦士 「イクイクイクイクイクイクぃ……」


ギュキュイイィィイイイイ


ビキニ女戦士 「ぁぁあああぁぁああああ!?」

ビキニ女戦士 「消えるぅうううう!! 脳みそ吸われてアタシが消えるぅううううう!!」

ビキニ女戦士 「いやだぁあああああ!! 消えるのいやぁあああ!

ビキニ女戦士 「イクッ! いくぅうううぅぅうううう!!」


ガクガクガクガクガクガクッ


淫魔幼女 「……魔力を枝に吸収されるということは、枝が杖としての完成に近づいているということ」

淫魔幼女 「ウィッチが無駄な魔力を消費せずに、効率よく魔法を使えるようになるということ」

淫魔幼女 「あの枝には今どれほどの魔力が宿っていることやら」




骸骨ウィッチ 「カタカタカタカタ………」

骸骨ウィッチ 「カチカチカチカチ………」


ギュキュイイイイイ


ビキニ女戦士 「はぎゅうぅぅううぅぅううぅぅううッッ!?」

ビキニ女戦士 「ふぎゅっ! フギュッ! ふギュぎぎゅぎゅぎゅぎぃいいッ!?」

ビキニ女戦士 「イグイグイグイギュイギュイギュッ……グギュギィィイイギィィイイイ!!」

ビキニ女戦士 「ごめんなざいッ! にゃまいぎ言っでごべんなざいぃぃぃぃいいいいいぎぃぃぃいッ!!」


骸骨ウィッチ 「カタカタカタカタカタ!」


ギュキュイイイイイイ


ビキニ女戦士 「ひゅぎゅえぇええ!? ひぎゅっ、ひぎゅっ、ひぎゅっ、ひぎゅっ!!」

ビキニ女戦士 「ごぎゅっ! んごっ、ぉ、ぉ、ぉ、ぉ、ぉぉぉほおおぉおぉおぉおぉおおお!!」

ビキニ女戦士 「だじゅげでッ……! 誰か……でひゅっ、助……だでがだひゅげへぇええぇえええええ!!」


淫魔幼女 「時間をかけるほど有利になる自由なウィッチと、時間がたつほど不利になる自由を奪われた獲物」

淫魔幼女 「勝敗は明らかだ」


面白いから頑張れ?



ビキニ魔法使い 「うぐっ……ヒック……ビキニ、女戦士……」


ビキニ女戦士 「ぁえええ……ぅヒッ……かヒュッ……こぷぅぅうう……」


ビクンッ ビクンッ


骸骨ウィッチ 「…………」


ギュキュウウウウウ


ビキニ女戦士 「あぇええぇぇえええッ!?」

ビキニ女戦士 「ぇへぇぃぃいひひひひぃいッッ! えひひひひひひひひヒヒヒヒヒ!!!」

ビキニ女戦士 「ヒギギギギギッ! ひふッ、ひふッ、ひふッ、ひふッ、ひふッ!」

ビキニ女戦士 「ぇおおおおほぉぉぉおぉおおぉぉおおおおおぉぉぉおおお!」


ギュギュゥゥウウウ


ビキニ女戦士 「ぉおおおおおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ………」

ビキニ女戦士 「ぉ…………ぉ……ぉ……」


ピクッ ピクンッ ピクッ ピクッ


幼女魔王 「光が強くなってるのに、ビキニ女戦士の反応がどんどん弱くなってく……」


骸骨ウィッチ 「…………」


ギュキュッ


ビキニ女戦士 「がげっ………ッ!!!」

ビキニ女戦士 「……………」


ガクンッ


ビキニ女戦士 「……………」


幼女魔王 (一際大きく仰け反ったあと、一気に脱力して動かなくなった……)




骸骨ウィッチ 「…………」


フヨフヨフヨフヨ


幼女魔王 「何事も無かったみたいに、どっかに行っちゃった……」


淫魔幼女 「終わったということだ。では、魔力をたっぷり吸った枝をありがたく頂戴するとしよう」




貯蔵庫広場



幼女魔王 (なんか……そこらじゅうに骨みたいなのが転がってる……)


ビキニ女戦士 「…………」


幼女魔王 「ぜんぜん動いてない………」

幼女魔王 「し、死んでる……?」


淫魔幼女 「いや、決して殺さない。ウィッチは捕らえた雌を最後まで使いきる」

淫魔幼女 「しかし今回は過剰だったな。魔力吸収より、自我を壊すことを目的にしているようだった」

淫魔幼女 「まあ、あんな挑発をされれば死霊も怒るか。本当に脳みそ溶けてるんじゃないか?」

淫魔幼女 「この雌は丈夫な分、これからさらに地獄を味わうことになるだろう。いや、天国か?」

淫魔幼女 「その前に完全に壊れられて、本人にとっては幸せなんじゃないのか」


ビキニ魔法使い 「……ふ、ふざけないで!」


淫魔幼女 「………?」


ビキニ魔法使い 「こんな風になって、幸せなわけないでしょう!」


淫魔幼女 「…………」




淫魔幼女 「そうか。それはすまなかった」

淫魔幼女 「よし、では枝をいただくぞ」


幼女魔王 「いただくって、まさか……」


淫魔幼女 「その死にかけの雌から引っこ抜く。姫、きさまがやれ」


幼女魔王 「いろいろと、やっぱりね……」


詐欺商人 「いや、引っこ抜くのは俺がやろう。奥までぎっしり詰まっているようだからな」


ビキニ魔法使い 「!!」



ビキニ魔法使い 「あ、あなたたちは……!」

ビキニ魔法使い 「これ以上ビキニ女戦士を辱めないで!」


詐欺商人 「あー、気持ちは分かるが……こちらも大事な人の命がかかってるんでね」

詐欺商人 「申し訳ないがその言葉には従えない」


ビキニ魔法使い 「な……!」

ビキニ魔法使い 「だからって、そんなひどいことしていいと思っているの!? 生きるために何でもしていいの!?」


詐欺商人 「何でもじゃないさ。ただ、蜘蛛だって他の虫を食べなきゃ生きていけない」

詐欺商人 「今回はそれに似た状況だ。同族だし悪いとは思う、良心も痛む。しかし」


淫魔幼女 「枝はいただく」


ビキニ魔法使い 「く、狂ってる……。あなたたちは狂ってる!!」




淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「詐欺商人、頼む」


詐欺商人 「分かった。じゃあ、このかわいそうな戦士を押さえていてくれるか」


淫魔幼女 「うむ」


ビキニ魔法使い 「話を聞いて! 聞きなさい! ビキニ女戦士に触らないで!!」


幼女魔王 「あ、あの、このひとの話を………」


淫魔幼女 「ああ聞いているとも、どんどん話せ」

淫魔幼女 「よし、いいぞ」


詐欺商人 「了解。せーのっ……」


ビキニ魔法使い 「やめっ、やめなさい! やめて!! やめろぉおおお!!」


ズッッポンッ




詐欺商人 「よし。思ったより楽に抜けたな」


幼女魔王 (あ、あんなに長いのが……しかもたくさんこの女戦士の中に入ってたんだ……は、吐き気が……)


ビキニ魔法使い 「ビ、ビキニ女戦士……」

ビキニ魔法使い 「………ゆ、許せない……あなたたち」


淫魔幼女 「そうか。残念だ」

淫魔幼女 「ふむ、なかなか使えそうだな」


詐欺商人 「ああ。これなら数も足りるかな」


淫魔幼女 「1度で揃うとは、運が良かったな」


ビキニ魔法使い 「殺してやる……殺してやる……ッ!」


淫魔幼女 「そうか」

淫魔幼女 「ならばここで殺しておこう」


>>476
ありがとうございんます



幼女魔王 「ちょちょちょ、何もそんな……」


淫魔幼女 「何を言っているヒヨ魔王。これはおれたちを殺すつもりだ。念のため殺しておく」


幼女魔王 「いやそんな、こんな不自由な状態なんだし……」

幼女魔王 「それに仲間がこんなんなってるんだし、あんなこと言うのも仕方ないんじゃ……」


淫魔幼女 「そうだな」

淫魔幼女 「では殺そう」


幼女魔王 「待たんか」





淫魔幼女 「なんだ」


幼女魔王 「だから、別に殺さなくてもいいんじゃ……」


淫魔幼女 「いやいや、考えてもみろ」

淫魔幼女 「自分の常識を押し付けてきて、従わなければ殺すとか言い出すような奴だぞ」

淫魔幼女 「殺さなきゃまずいだろ」





幼女魔王 「それはあなたの態度が良くなかったからでしょうが」


淫魔幼女 「態度の悪さならこの雌の方が上だろうがこのツンツルスカート」

淫魔幼女 「もっぺん考えてみろ」

淫魔幼女 「出会いがしらにこちらを否定する言葉しか使えない奴が続けて何かを要求してきたところで」

淫魔幼女 「よしいっちょ言うとおりにしてやろう、という気になるか?」

淫魔幼女 「そんなの、どこぞのお客様は金づる兼神様です、な広告ギルドの社長か舞台役者かエロ脚本家くらいだバカ」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「話は以上だ軽々しく命を助けたり見捨てたりするな素人魔王が」

淫魔幼女 「では殺……」


幼女魔王 「やだもん!」


淫魔幼女 「……!」




幼女魔王 「やだもんやだもんやだもん!」

幼女魔王 「何よ何よえらそうに! どうどうと魔法少女の公開調教なんてしてるくせにさ!」

幼女魔王 「あんなのを出会いがしらに見せられたら、女の子がどう思うか考えたことあるの!?」


詐欺商人 「陛下、大声を出すと敵が寄って……」


幼女魔王 「しかも毎回毎回、私の顔見るたんびにチャーハンつくれとかハンバーグ食べさせろとか言ってさ!」

幼女魔王 「美味しいねとかありがとうとかも言わないで、食べてる間中、私の悪口ばっかり!」

幼女魔王 「ヒック……グスッ……私がどんなにみじめな気持ちになるか考えたことあるの!?」

幼女魔王 「あんたこそ他人の気持ちを考えろってのよ! この、この……ダンシングツインテール!!」

幼女魔王 「うぇぇえええええん! うぇええええええええぇぇん!!」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「…………」


骸骨ウィッチたち 「…………」



森ウィッチ が現れた



触手 「ここから ほのぼの に 戻るよ」

なふ
sageミス
ごめんなすって



骸骨ウィッチたち 「カタカタカタカタ」

骸骨ウィッチたち 「カチカチカチカチ」


淫魔幼女 「まったくこのヒス魔王はまったく……」


幼女魔王 「ぅぐっ……ぇぐッ……何よぉ………」


詐欺商人 「まあ、とりあえずこの場を切り抜けないとな」




淫魔幼女 「しかたない。狩場を荒らすことになるが一気に……」


詐欺商人 「いや、待て。ここは俺にやらせてもらおうかな」


淫魔幼女 「む」


詐欺商人 「森ウィッチ系には、どんなかたちとはいえ世話になっている」

詐欺商人 「できれば穏便にすませたい」


淫魔幼女 「しかし……」


詐欺商人 「大丈夫。おれは詐欺商人だ」

詐欺商人 「モンスターとの交渉なら任せておいてくれ」




詐欺商人 「やあやあ、森ウィッチたち。少し話をさせてくれないか……」


スタスタスタ


骸骨ウィッチたち 「…………」


詐欺商人 「いやあ、すごいなあなたたちの杖づくりの技術は……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「……ヒクッ………クスンッ……」


淫魔幼女 「………お前のつくる飯は」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「……おれはそれよりも美味い、色々な味の料理に触れてきたが」

淫魔幼女 「……それでも何度も食べたくなるくらいには、美味いと思う」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………うん」

幼女魔王 (まったくこの人は、これで謝ったつもりになってるんだから……)





 詐欺商人 「ん、そうか…………」


 骸骨ウィッチたち 「……………」


 ペラペラ カタカタ


幼女魔王 「詐欺商人……大丈夫かしら」


淫魔幼女 「まあ、一応モンスターとの交渉をするのが職としての詐欺商人だが」


 詐欺商人 「………ああ、この枝か? これには事情があってな……」


 骸骨ウィッチたち 「…………」


幼女魔王 「……ねえ」


淫魔幼女 「なんだ」


幼女魔王 「たしか、あの人の詐欺商人レベルって……」


淫魔幼女 「………1だな」




 詐欺商人 「ん、いやそれは誤解だ……」


 骸骨ウィッチたち 「…………」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「…………」


 詐欺商人 「あの子たちをかい? いやいや、そればっかりは無理だろう……」


 骸骨ウィッチたち 「…………」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「…………」


 骸骨ウィッチたち 「…………」


 詐欺商人 「いやいや、本数を減らすとかじゃなくて……」


 骸骨ウィッチたち 「…………」


 詐欺商人 「…………」

 詐欺商人 「はっはっはっ………」


 



ザシュッ


幼女魔王 「!?」


ドガッ バコンッ 

ビュゴォォォオオ メラメラメラ


淫魔幼女 「…………」


森ウィッチたち は全滅した





幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」


スタスタスタスタ


詐欺商人 「はっはっはっ」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「いやすまん、ミスった」


淫魔幼女 「わりと期待通りだ」


幼女魔王 「ええ……」




オオォォオオオオオオォォォ……


幼女魔王 「ひぅっ!? な、何なの、この地の底から滲みだすような不気味な声は……」


ォォォオオオオォォオオオオオ……


淫魔幼女 「ウィッチの号令だな」

淫魔幼女 「急いでここを離れよう。すぐに残りのウィッチたちが駆けつけてくるはずだ」

淫魔幼女 「ここの現状を見たら奴らは怒り狂って、面倒なことになるだろう」


詐欺商人 「……そうだな、急ごう。陛下、失礼します」


幼女魔王 「え、あ……きゃっ」

幼女魔王 (ま、また抱えられちゃった……!)

幼女魔王 (どんどん頬っぺたが熱くなっちゃう。きっと顔、真っ赤っかだわ。恥ずかしくて見せられない……)


淫魔幼女 「……行くぞ」


詐欺商人 「ああ」


ダダダダダッ


幼女魔王 (何か忘れてるような気もするけど……だめ、幸せすぎて何も考えたくない)


ウィッチ (リッチ) 1


魔法使いの死体に命が宿って生まれた悪霊モンスター。
混乱や魅了の魔法を使う。実体があるので、霊系の中では物理的な攻撃が効きやすい方。

住む場所によって呼びかたが少し変わる。
森に住む森ウィッチはよく群れをつくって活動し、薬や杖をつくる技術に長けている。

仲間が傷ついたり獲物を捕まえたりするとき以外は、
めったなことでは他の生き物を攻撃しようとしない、温厚な種族。



青ペンキ城壁の町 広場



ザワザワ ワイワイ


幼女魔王 「か、帰ってこれた……生きて」

幼女魔王 「空が青い、噴水きれい……生きてるって素敵」


詐欺商人 「いやいや、よかったよかった」


淫魔幼女 「……さて、さっそく城に戻りたいところだが」


ガヤガヤ カッタカッター


詐欺商人 「……ああ」


幼女魔王 「?」




詐欺商人 「陛下」


幼女魔王 「は、はいッ」

幼女魔王 (み、見つめられた……)


詐欺商人 「ここまでご一緒できてうれしゅうございました」


幼女魔王 「……え?」


詐欺商人 「このままどこまでも、陛下にお供させていただきたいところですが」

詐欺商人 「そろそろ、俺自身の旅に戻らなければなりません」


幼女魔王 「……あ」

幼女魔王 「あ、あの、えっと……」





淫魔幼女 「詐欺商人はある旅の途中だった。そこを、俺が無理に頼んだのだ」


幼女魔王 「そ、そうだったの……」

幼女魔王 (この人とも一緒にはいられないのね。そんな気はしてたけど)

幼女魔王 「ありがとう。ごめんなさい、わざわざ来てもらったのに足を引っ張ってばかりで……」


詐欺商人 「いえ。陛下の手料理、たいへんおいしゅうございました」


幼女魔王 「う、うん……」





幼女魔王 (淫魔幼女も行商なんてしてるから、きっとまたいなくなる)

幼女魔王 (……また、ひとりになる)

幼女魔王 (お城のレベルを上げてもむなしいだけじゃないの)


詐欺商人 「……陛下、手を出していただけますか?」


幼女魔王 「うん……」


スッ


詐欺商人 「……手のひらを上にしろ」


幼女魔王 「あ、うん


>>504 訂正


幼女魔王 (淫魔幼女も行商なんてしてるから、きっとまたいなくなる)

幼女魔王 (……また、ひとりになる)

幼女魔王 (お城のレベルを上げてもむなしいだけじゃないの)


詐欺商人 「……陛下、手を出していただけますか?」


幼女魔王 「うん……」


スッ


淫魔幼女 「……手のひらを上にしろ」


幼女魔王 「あ、うん」


詐欺商人 「……これをお受け取りください」


ジャラッ


幼女魔王 (……首飾り?)




淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「きれいな石のついた首飾り……」


詐欺商人 「いくつかの紋章が入っています。陛下の紋章の一部としてください、きっと役に立つはずです」


幼女魔王 「そ、そんな大切なもの……」


詐欺商人 「おれが持っていてもしかたのないものです」

詐欺商人 「これは、魔王である陛下が持つにふさわしいもの」

詐欺商人 「どうか、お使いください」


幼女魔王 「でも……」


淫魔幼女 「……紋章は魂の記憶。紋章にはその持ち主の力が宿る」

淫魔幼女 「他者の紋章を自分の紋章の支配下におくことで、他者の力を手に入れることができる」

淫魔幼女 「使え。魔王として、お前は強くならなければならない」




幼女魔王 「…………」


詐欺商人 「さあ、陛下の紋章に重ねて」


幼女魔王 「……うん」


ジャラッ

キイイイ


…………


幼女魔王の大紋章 が
黒翼人魚の大紋章 を吸収した

幼女魔王の大紋章 に宿る小紋章が増えた

幼女魔王 の特殊能力が増えた


■幼女魔王の大紋章

 ・小紋章
  パンモニウムの紋章
  ナズナ   の紋章
  アスター  の紋章
  ウルシ   の紋章  





詐欺商人 「……よし。これで紋章は引継がれた」


幼女魔王 「ありがとう。あの、首飾り返すわ……」


詐欺商人 「いえ、よろしかったらそれもお受け取りください」

詐欺商人 「魔力を高める効果があります」


幼女魔王 「で、でも、そこまでしてもらうわけには……」


詐欺商人 「陛下は寡欲でらっしゃる」

詐欺商人 「では、預かっていただくというのはどうでしょう」


幼女魔王 「預かる?」


詐欺商人 「はい。そうすればまた、お会いすることができるという、下心あってのことですが」


幼女魔王 「…………!」

幼女魔王 「うん……!」




幼女魔王 「ずっと待ってる。ご飯もつくって待ってる……!」


詐欺商人 「ははは、それは楽しみです」

詐欺商人 「……おっと、もう一つ渡しておくものがあったんだ」


ガサゴソ


幼女魔王 「?」


スッ


すごい保健の本(実践編)


詐欺商人 「陛下はもう少し、そちらの方も勉強された方がよろしいかと」


幼女魔王 「ぶち壊しじゃないの」



黒翼人魚の涙       を手に入れた
すごい保健の本(実践編) を手に入れた






淫魔幼女 「では、もとの世界に戻ろう。姫、扉を」


幼女魔王 「はいはい。……さっきのお別れっぽい雰囲気、帰ってからで良かったんじゃないかしら」


詐欺商人 「はっはっはっ。ごもっとも」


淫魔幼女 「…………」


スチャッ ガチャリッ


……………




幼女魔王の世界 幼女魔王の城レベル1 玉座の間 




詐欺商人 「……では、これにて失礼します」


淫魔幼女 「む。外まで見送ろう」


幼女魔王 「私も」


淫魔幼女 「別れはすませただろう。まだ先は長いから、軽食の準備でもしていてくれ」


幼女魔王 「え……わ、分かったわよ」

幼女魔王 (していてくれ、だなんて……。さっきから私への態度が柔らかいわ)

幼女魔王 (森でのこと、気にしてるのかしら)





淫魔幼女 「……では行こう」


詐欺商人 「ん。陛下、またいずれ」


幼女魔王 「うん。あっ、あの……」


詐欺商人 「?」


幼女魔王 「最後に、その……名前で呼んで。言葉遣いも気にしないで……」


詐欺商人 「仰せのままに」

詐欺商人 「……また会おう、幼女魔王」


幼女魔王 「……えへへへ」

幼女魔王 「うん、またね」


淫魔幼女 「…………」


スタスタスタスタ

ガチャッ バタンッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「行っちゃった……」




幼女魔王の世界 平原



ヒュウウウ


詐欺商人 「……まだ時間は良いのかな」


淫魔幼女 「ああ。狐の目も耳も逸らせているようだ」

淫魔幼女 「……すまない。時間を稼いでもらった上に、大切な紋章まで」


詐欺商人 「気にするな。きっと、ああするのが良かったんだろう」

詐欺商人 「ただ、あの紋章は今の姫が使いこなせる代物じゃないから」

詐欺商人 「細心の注意を払うんだぞ」


淫魔幼女 「分かっている」




詐欺商人 「……本当にやるのかい」


淫魔幼女 「やる。場所も決めている。やらなければならない」

淫魔幼女 「でなければ、姫はこの先ずっとあの狐の人形だ」


詐欺商人 「……で、開放したあとは君の人形にするのか」


淫魔幼女 「……自立するまでだ。それまでは、守るものが必要だ」




淫魔幼女 「姫は弱い。誰よりも弱い。卵スライムの卵にも負けるくらい弱い」

淫魔幼女 「しかし、その体質は希少で価値が高い」

淫魔幼女 「誰かに知られればたちまち捕らえられ、繋がれ、骨の髄まで利用されるだろう」

淫魔幼女 「例えば王子のあのときのように。例えば魔法少女のあのときのように」

淫魔幼女 「だから守らなければならなかった。檻の中で、誰にも触れられないように」

淫魔幼女 「しかし、それだけではいけないのだ」

淫魔幼女 「身体を壊され、心を壊され、他人の都合で人生を壊され続けた姫が幸せになるためには、自由が必要だ」

淫魔幼女 「そのために、自由を認めない狐から開放する。そのために、少しの間私が守る」




詐欺商人 「話がカタイな」

詐欺商人 「つまり、こういうことか?」

詐欺商人 「狐は姫を室内で飼いたいが、お前は姫を外で繋いで飼いたい」

詐欺商人 「で、狐は姫を室内から出すつもりはないが、お前は姫をいつか自由にするつもりだ」

詐欺商人 「厄介なことに狐もお前も、自分のやりかたこそが姫の幸せに繋がると強く信じている、と」


淫魔幼女 「……そうとってもらっても構わない」


詐欺商人 「……なんだ。すごく愛されているじゃないか、あの子は」




詐欺商人 「じゃあどうしてあの子は、ひとりぼっちなんだ?」

詐欺商人 「誰もいない家に繋いでエサ代だけ置いて、お前達はなにがしたいんだ」


淫魔幼女 「…………」


詐欺商人 「触れちゃいけないところだったかな」


淫魔幼女 「……おれたちが守りたかったのは、本当の姫だ」

淫魔幼女 「大きな力を持ちながら、汚れることを恐れず、優しくすることを恐れず、信じることを恐れなかった姫だ」

淫魔幼女 「そのせいで、取り返しがつかなくなるまで壊された姫だ」

淫魔幼女 「あんな薄汚いピンクのボロ雑巾魔王じゃない」


詐欺商人 「ひどいなお前」




詐欺商人 「絶対になおらない記憶喪失になったようなもんだから、もう好きになれないってことか?」


淫魔幼女 「……考えてもみろ」

淫魔幼女 「目の前で大事な人の死体に別の何かが入って」

淫魔幼女 「かつてのその人とは似ても似つかない下品な行いをしたら」

淫魔幼女 「それを心の底から、自分の大切な者だと思えるか」


詐欺商人 「……思える自信はないな」




詐欺商人 「ってことは、なんだ」

詐欺商人 「あの子は、あの子の姿をしているが本当はあの子じゃないってことか」


淫魔幼女 「似たようなものだと言っている」

淫魔幼女 「姫をつくっていた重要な部分すべてを失った魂の、その残りカスだったものが」

淫魔幼女 「姫の死体を動かしているにすぎない」

淫魔幼女 「あれはモンスターだ。ウィッチと同じ、亡霊という種類のモンスターなんだ」




淫魔幼女 「……そう割り切れたら、どんなに良いことか」


詐欺商人 「割り切れないのか」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「あれはときどき、姫の記憶を残しているように振舞う」


詐欺商人 「いつも料理をどうのこうの、と森で言っていたな」


淫魔幼女 「……存在さえ知らないだろう母親から受け継いだような味のメシをつくる」

淫魔幼女 「成長さえしながら」





詐欺商人 「ふむ」

詐欺商人 「あの子は、お前達が好きだったかつてのあの子じゃない」

詐欺商人 「かと言って、お前達が好きだったかつてのあの子じゃないとも思えない」

詐欺商人 「いっそ、まったく新しいあの子として見れたら良いのに、それが出来ない」

詐欺商人 「お互いあの子の飼い方について大層な意見を持っちゃいるが」

詐欺商人 「その実、どう扱ったら良いか分からない」

詐欺商人 「こんなところか?」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「おれに関しては、そんなところだ」




詐欺商人 「だったら最初からそう言えよ」

詐欺商人 「本当にややこしいなお前は。どうにかすると最高の女になれるぞ」


淫魔幼女 「ああ、こんな身体なのでな」

淫魔幼女 「誰が女だ馬鹿にしてんのかこのエロ商人ばーかばーか」


詐欺商人 「はっはっはっ」




幼女魔王の城 玉座の間



幼女魔王 (……紋章が増えた)

幼女魔王 (他人の紋章を手に入れると、新しい魔法を使えたり特殊な体質を得られる。……らしい)

幼女魔王 (つまり、私は新しい力を手に入れたということ)

幼女魔王 (あんなに強い詐欺商人が使っていたものだから、そりゃもうきっとすごいはず)

幼女魔王 (今なら出せそうな気がするわ、あの技を。)

幼女魔王 (……淫魔幼女がいないこの隙に、試してみましょうか)




幼女魔王 「……いくわよ」


スウッ


幼女魔王 「目覚めなさい……私の中の秘められし力……」

幼女魔王 「必殺ッ!」

幼女魔王 「ボンバル…!」


??? 「お邪魔しっっまーす!」


幼女魔王 「のわっひょう!?」




??? 「いやー、何なのここ、来るのメチャクチャ大変……」

お姉さん 「……って、あれ?」


幼女魔王 「あ、あわわわわ……」

幼女魔王 (さ、さっきまで誰もいなかったのに、後ろに知らない人が立ってた……)


お姉さん 「君、もしかして……」


幼女魔王 (あ、あいさつすればいいのかしら。というか、本当にこの人だれなのかしら)


お姉さん 「新しい奴隷の子?」


幼女魔王 (……とりあえず、淫魔幼女の知り合いのようね)




幼女魔王 「あ、あの、私はその……」


お姉さん 「あっ、その感じだとまだ引き取られてすぐみたいだね」


幼女魔王 「いえ、だから……」


お姉さん 「いーよいーよ怖がらなくて」


幼女魔王 「ちょっと、話を……」


お姉さん 「ほーら、羊羹をあげよう。サガ国オギ地方の九頭司羊羹、一口タイプ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……ゴクリ」


お姉さん 「外はひび入り砂糖でコーティング、中はしっとりはんなり、甘くてやわらかい……」


幼女魔王 「お、お茶をいれてきます!」





……………



モキュモキュモキュモキュ


お姉さん 「ええっ、君って奴隷じゃないの?」


幼女魔王 「ええ……」


お姉さん 「うっわー、そうなんだ、ごめんね」

お姉さん 「その怯えた感じ、すっごく奴隷って感じだったからさあ」


幼女魔王 「そ、そう……」


お姉さん 「ん? じゃあ君は何なの?」


幼女魔王 「えっと、その……」





お姉さん 「いや、ちょっと待った! ボクが当ててみる」


幼女魔王 「え、えっと……」


お姉さん 「ピンクの髪、白い肌、くねくねの腰……」

お姉さん 「……!」

お姉さん 「わかった!」

お姉さん 「桃だ! 君は桃だね!?」


幼女魔王 「……違う」




お姉さん 「じゃあ、ミミズだ!」


幼女魔王 「違う」


お姉さん 「小腸!」


幼女魔王 「違う」


お姉さん 「大腸!」


幼女魔王 「違う」


お姉さん 「十二指腸! 盲腸! 胃潰瘍!」


幼女魔王 「違う、違う、違う」


お姉さん 「ぜんぜん当たらない!」

お姉さん 「どうしよう!」


幼女魔王 「知らんわよ」


お姉さん 「太陽! 摩天楼!」


幼女魔王 「もういい加減に……」


お姉さん 「魔王!」


幼女魔王 「!?」




お姉さん 「そーかそーか、君は魔王だったんだ」

お姉さん 「分かるまで大変だったよー」

お姉さん 「あははははははは」


幼女魔王 「い、いえ、私はそんな……」


お姉さん 「ダイジョーブダイジョーブ。お姉さんそういうの気にしないタイプだから」


幼女魔王 (まだ私が魔王って認めてないのに……)


お姉さん 「まあどうでもいいや。ねえ魔王さん、淫魔幼女はどこかな?」


幼女魔王 「……今はちょっと表に出ています」

幼女魔王 「というか、あなたは何者よ」

幼女魔王 「飛行船も使わずにここに来た人なんて、数えるほどもいないわ」


お姉さん 「え、ボク?」

お姉さん 「魔法少女だけど?」


幼女魔王 「!?」




お姉さん 「ほい、変身」


ペカーッ


お姉さん 「…………」

裸お姉さん 「…………」

道魔法少女 「…………」

道魔法少女 「ね?」


幼女魔王 「ほ、ホントだ……」

幼女魔王 「って、魔法少女なんてだめよ、淫魔幼女に会ったら……」


ギイイ


淫魔幼女 「……戻ったぞ」


幼女魔王 「!?」




淫魔幼女 「……む」


道魔法少女 「お」


幼女魔王 「ちちち、違うのよ淫魔幼女! この人は魔法少女じゃないっていうか」

幼女魔王 「羊羹をくれる魔法少女っていうか……」


淫魔幼女 「貴様か。まさかこんなところまで来れるとはな」

淫魔幼女 「結界を見直さなければならないようだ」


道魔法少女 「あっ、ひどいなー。それだと会いたくなかったみたいじゃない」

道魔法少女 「結界なんてあったんだ。どーりで来るのが大変だったわけだ」


淫魔幼女 「貴様が来ると面倒だからな」

淫魔幼女 「何の用だ」


道魔法少女 「それがさー……」


幼女魔王 「……あれ?」

幼女魔王 (淫魔幼女の魔法少女虐殺ショーとか始まると思ったら、ずいぶん平和的……)




道魔法少女 「最近、ある界域で魔法少女が連続して失踪してるみたいだけど」(>>176

道魔法少女 「あれって君のしわざ?」


淫魔幼女 「さあな」


道魔法少女 「まあいいや、君のしわざってことにしよう」


淫魔幼女 「するな」


道魔法少女 「失踪事件について、魔法少女ギルドが調査隊を出すことにしたんだ」


淫魔幼女 「そう言っていたな」


道魔法少女 「のんきだなー。勇者級の魔法少女も来るんだってよ」

道魔法少女 「噂だと、魔王を討伐したことのある子もいるんだとか」


淫魔幼女 「なるほど少しは本腰をいれたか」


道魔法少女 「ひとつの世界に何十人か送るだけでもすごいってのにね。なにせ世界は広いから」




淫魔幼女 「それで? 身に覚えはないが、おれにどうしろと?」


道魔法少女 「魔法少女の調査隊を監視してくれない?」

道魔法少女 「で、必要な場合は妨害してくれない?」


幼女魔王 「!?」


淫魔幼女 「……悪いが忙しいのでな」


道魔法少女 「ええー。でも、もし事件で、犯人が魔物だったりしたら」

道魔法少女 「犯人は殺されちゃうよ」


淫魔幼女 「自業自得だな」

淫魔幼女 「まあしかしそうだな、万が一その場に出くわして、そして貴様の言葉をおぼえていたら」

淫魔幼女 「どうしようか考えないこともない」

淫魔幼女 「身に覚えはまったくないが」


道魔法少女 「頼んだよ」


淫魔幼女 「しかし妨害の手段は、一般に言う手段である保証はできない」


道魔法少女 「嫌だけどしかたないね」

道魔法少女 「とくに必要な場合なら、あの子たちの自業自得だから」




淫魔幼女 「……わかった」

淫魔幼女 「必要な場合、とくに必要な場合、たまたまその場に居合わせたら、魔法少女隊を妨害するかもしれない」

淫魔幼女 「驚くほど身に覚えがないが」


道魔法少女 「うん、よろしくね」


淫魔幼女 「む。おい幼女魔王、とりあえず飯を……」


幼女魔王 「ちょっと待って」




淫魔幼女 「何だ」


幼女魔王 「このお姉さん、魔法少女なのよね?」


淫魔幼女 「そうだな」


道魔法少女 「そうだよ」


幼女魔王 「あなたは魔法少女に、その……いろいろヒドイことしてるわよね」


淫魔幼女 「獣をバラバラにして服にしたり食い物にしたりするようなものだ。ひどいとは思わない」


幼女魔王 「まあそれでいいわよ、いやいかんけど」

幼女魔王 「で、そのお姉さんはそのことも知ってるし、魔法少女なのよね」


淫魔幼女 「そうだな」


道魔法少女 「そうだね」




幼女魔王 「どうしてお互い、そんなに和やかムードでいられるのよ」

幼女魔王 「あなたたち、敵同士なんでしょ?」


淫魔幼女 「……いや」


道魔法少女 「違う違う」


幼女魔王 「?」

幼女魔王 「魔法少女なのに、攻撃しないの?」


淫魔幼女 「ああ」


幼女魔王 「じゃああなたは、淫魔幼女が魔法少女にヒドイことしてるの知ってるのに、攻撃しないの?」


道魔法少女 「うん」


幼女魔王 「???」




道魔法少女 「そりゃあ、なんとも思わないわけじゃないけどさ」

道魔法少女 「踊り子に踊るなって言うわけにもいかないよ」


淫魔幼女 「誰が踊り子だ」


幼女魔王 「えーっと……」

幼女魔王 「あれ、どういうこと?」


淫魔幼女 「……おれが狩っている魔法少女が、すべての魔法少女ではない」


幼女魔王 「……?」


淫魔幼女 「魔法少女にも、いろいろな考え方の奴がいるということだ」




淫魔幼女 「その中で似たような考え方、似たような働き方の奴らがそれぞれ集まり」

淫魔幼女 「組織のようなものをつくる」

淫魔幼女 「そのうちのひとつが」

淫魔幼女 「おもに魔物を狩ることを目的とした」

淫魔幼女 「世界を駆ける魔法少女ギルド」

淫魔幼女 「通称、界駆魔法少女ギルド」




幼女魔王 「カイクマ……?」


淫魔幼女 「ギルドをうたう通り、所属できるのは一人前の魔法少女と認められた者だけ」

淫魔幼女 「半人前の魔法少女候補生は準所属扱いか、下部の組織に組み込まれる」


幼女魔王 「ふむ」


淫魔幼女 「ギルド員にもランクがある。ランクが上がると、報酬なども上がっていく」

淫魔幼女 「ランクが高いのは良いことのようだがしかし、過酷な戦場に呼ばれたり」

淫魔幼女 「報酬が高すぎて使いにくかったりする。業界では安い新人の魔法少女を起用する傾向に……」


幼女魔王 「何か別の組織の話になってない?」




淫魔幼女 「とにかく、おれが狩っている魔法少女は界駆の魔法少女だけだ」


幼女魔王 「で、このお姉さんは違う組織の魔法少女ってわけなのね」


道魔法少女 「そう、そういうこと。あの子たちの規模が大きくなるとちょっと困る側の」


幼女魔王 「なるほど……」

幼女魔王 「それにしても、よく知ってるわねそのカイクギルドとかいうのについて」


淫魔幼女 「敵の情報は多いにこしたことはない」


幼女魔王 「ふうん……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「……どうやったか知りたいか?」


幼女魔王 「いえ」


淫魔幼女 「まず捕らえた魔法少女の脳をこの外套で……」


幼女魔王 「ご飯つくってきます」




…………



幼女魔王の城 厨房



グツグツ シュラシュラ


幼女魔王 「………フフ~ン」

幼女魔王 「………ルルル~」


ガチャ


淫魔幼女 「少しいいか」


幼女魔王 「……淫魔幼女」

幼女魔王 「何かしら」


淫魔幼女 「この食材を使ってみてくれないか」


幼女魔王 「うん?」


淫魔幼女 「ある卵なんだが」


幼女魔王 「へえ」


ゴロン


淫魔幼女 は
幼女魔王の卵(スライム) をとり出した


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「……やれそうか?」


幼女魔王 「出てけ」


おうふまたあげちまったい
ごめんなさい



…………


幼女魔王の城 食堂



道魔法少女 「しっかし、さびれたお城だなあ」

道魔法少女 「……お、ここ魔動画があるじゃん」

道魔法少女 「見たい番組があったんだよねー」

道魔法少女 「失礼しますよっ、と」


ポチッ


魔動画 『……ザッ…タス…ザザッ……テ……』


道魔法少女 「……あれ?」

道魔法少女 「調子悪いんかね、これ」




魔動画 『ザーッ……』


道魔法少女 「…………」

道魔法少女 「……あー」

道魔法少女 「そういえば、最近ここらへんの魔力だか魔素だかの流れがおかしいって」

道魔法少女 「猫耳蛇姫さまが言ってたっけ」

道魔法少女 「越境飛行船も飛べないって話だし」

道魔法少女 「それと関係があるんかね」


魔動画 『ザザーッ……』




???の声 「こんちぁーっす」


道魔法少女 「ん?」


???の声 「+-×温泉でーす」

???の声 「幼女魔王さんのお城はここで良いでしょうかあ」


道魔法少女 「お風呂屋さん?」

道魔法少女 「あーい、食堂にいるよー!」


???の声 「あーい。失礼しあーす」




ドタドタ


ガチャ



算術男 「こんにちはー」


道魔法少女 「どうもー」

道魔法少女 「て言っても、ボクはこの城の人じゃないけどね」


算術男 「はあ」


道魔法少女 「まあいいや、何のご用?」


算術男 「いいのかよ」




道魔法少女 「いいのいいの、ボクってばお姉さんだから。たぶん1番年上だから」


算術男 「はあ」


道魔法少女 「で、何の用?」


算術男 「あー」

算術男 「風呂づくりの依頼をいただいて参りました」


道魔法少女 「風呂づくり? お風呂つくるの?」

道魔法少女 「温泉屋さんなのに?」


算術男 「はい。そういうサービスやってるんですよ」

算術男 「というか、うちの一番上は神社の神様ですし」

算術男 「温泉とか副業ですし」


道魔法少女 「へえー」




算術男 「えーっと、今から作業させていただいてだいたい夜には……」


道魔法少女 「君、この世界の人じゃないし、人間だし」

道魔法少女 「幽霊だよね」


算術男 「あー、はいそうですね」


道魔法少女 「ここまでどうやって来たの? 飛行船とか使えないはずだけど」


算術男 「あー、それは」


ガチャ


??? 「算術男さん……」

図形幼女 「……道具運び、終わったわよ」


算術男 「おー」




図形幼女 「こんにちは」

図形幼女 「蛇牙猫姫神神社、+-×温泉のものです」

図形幼女 「依頼いただきありがとうございます。今日はよろしくお願いします」


道魔法少女 「うわ、礼儀正しい」

道魔法少女 「できた幼女だ」


算術男 「幼女言うなよ」


図形幼女 「ありがとうございます。夫婦ともども、はげませていただきます」


算術男 「あ、ここ嘘だからね」


道魔法少女 「この子が世界を渡ったの? 人間みたいだけど」


算術男 「あー、それは」


ガチャ


??? 「おうい算術男よ」

蛇牙猫姫神 「なにやら退屈じゃから、虫取り網を貸してくれんかのう」




蛇牙猫姫神 「わらわは蛇牙猫姫神」

蛇牙猫姫神 「好きな飲み物は山田錦。マイブウムは蝉採りである」


道魔法少女 「うわ、やんごとなく偉そうな幼女だ」

道魔法少女 「ババア幼女だ」


算術男 「ババア言うな。幼女言うな」


蛇牙猫姫神 「そう、ババアではない。算術男の妻じゃ」


算術男 「全部違う」


道魔法少女 「このヒトが世界を渡ったの?」


蛇牙猫姫神 「さよう。これでも、ある国では神のはしくれじゃからな」




図形幼女 「あなた、みんな待っているわ。早く作業に移りましょう」


蛇牙猫姫神 「そうじゃぞ、ダアリン。早く横丁に帰り、大相撲タケシマ場所とセンカク紅白歌合戦を見るのじゃ」


算術男 「頼む、やめてくれよ……」


道魔法少女 「もう好きにするといいよ」




…………


幼女魔王の城 食堂



ガヤガヤ ワイワイ


幼女魔王 「…………」


道魔法少女 「えー、何これおいしい」


壁男 「へえ、こりゃなかなか」


蛇牙猫姫神 「ほれ、ダアリン。アアンをせい」


図形幼女 「あなた、こちらもアーン」


算術男 「やめろ、やめろ……」


魑魅魍魎ども 「うにゃー、うにゃー」


ガヤガヤ ペチャクチャ


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「どうした」

淫魔幼女 「よかったな、たくさん人がいるじゃないか」


幼女魔王 「知らん人ばっかりなのよ」

幼女魔王 「雑踏の中にいるのと変わらんわよ」




ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王 「……………」


ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王 「……うん、おいしくできてる」


ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王 「……お水、おいしい」


ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (みんなの輪に入るタイミングが分からない……)




淫魔幼女 「おい、何をしている」


幼女魔王 「……淫魔幼女」


淫魔幼女 「せっかく人がいるというのに、ボッチオーラ出しながら一人でポツンとしてどうする」

淫魔幼女 「何か話せ。同い年っぽいのもいるだろうが」


幼女魔王 「別に出してないわよ。……何を話せばいいのか分かんないっていうか」


淫魔幼女 「別に、たいした話じゃなくていい」


幼女魔王 「そのたいした話ができないのよ」

幼女魔王 「もういいから、あなたも私になんか構ってないで話してきて……」




淫魔幼女 「……自分から話していかないと、いつまでも人とまともに話せないままだぞ」


幼女魔王 「だから、人と話せるようになるための、きっかけの話のしかたが分からないのよ」


淫魔幼女 「だからといって、そんな風に動かないままだといつまでもボッチのままだぞ」


幼女魔王 「だから、動いたところでやることが分からなくて何もできないんだから、動かないのと同じなのよ」


淫魔幼女 「だからといって……」


幼女魔王 「だから……」


淫魔幼女 「だからといって……」


幼女魔王 「だから……」




幼女魔王 「もういいわよ」

幼女魔王 「というか、何なのよこの状況は」

幼女魔王 「いつの間にこんなに人が増えてるのよ」

幼女魔王 「おかげで料理を作り直したわよ」

幼女魔王 「卵足りなくてあの卵使いそうになったわよ」


淫魔幼女 「いや、心配するな」

淫魔幼女 「貴様の産んだ卵だから、きっとうまいから」


幼女魔王 「うれしくないわよ」

幼女魔王 「自分の産んだ卵を料理して美味しいって言われて喜ぶなんて、恐ろしすぎるわよ」


淫魔幼女 「?」


幼女魔王 「キョトンとしてんじゃないわよ」




幼女魔王 「だいたいあなた、なんで微妙に優しいのよ。あの森でのこと気にしてるのかと思って」

幼女魔王 「だいぶ気まずいのよ」


淫魔幼女 「たしかに気にとめてはいるが、何だ、優しくされたくないのか」


幼女魔王 「優しさがずれてんのよ。というか、行動がそのまま鬼畜なのよ」

幼女魔王 「トラウマの塊みたいな卵をいきなり目の前にひろげて、調理しろって……おかしいでしょうが」

幼女魔王 「変な気遣いが透けて見える分こっちも強く言えないもんだから、これじゃもとの方がマシよ」


淫魔幼女 「……優しくしろとわめいたくせに、いざ優しくすると駄々をこね」

淫魔幼女 「ボッチで寂しそうにするくせに、人がいたらいたで居心地が悪いと言う」

淫魔幼女 「わがままで面倒くさい女だな貴様は」


幼女魔王 「だ、だからそれは……」


図形幼女 「あの、少しよろしいでしょうか」




幼女魔王 「…………!」

幼女魔王 「ひ、ひゃい、あ、あの、かま、かままま……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「かまわない、と言っている」


図形幼女 「とても美味しい手料理、ありがとうございます」

図形幼女 「このようにもてなしていただき、+-×温泉一同、感謝しております」


幼女魔王 「あ、い、いえ、そんな……」


淫魔幼女 「そんなことは気にしなくて良い。料金以上に良い仕事をしていただいたことへの、私のせめてもの礼の心だ」

淫魔幼女 「くくく、これから湯浴みの時間が何より楽しみでしかたがないわ」

淫魔幼女 「と言っている」


図形幼女 「ありがとうございます」


幼女魔王 「あ、いえ……はい」

幼女魔王 (割と要点をおさえてるのが嫌なとこだわ)




図形幼女 「工事についての書類などは淫魔幼女さまにお渡ししましたが」

図形幼女 「何か不明な点など見つかりましたら、こちらまでご連絡ください」


スッ


幼女魔王 「あ、は、はい……」

幼女魔王 (ペラペラの……アミュレットかしら、これ)



連絡符(ダイニホン、根の地方) を手に入れた



図形幼女 「これをお使いいただければ、我々の世界と声で連絡をとることができます」

図形幼女 「使い方は淫魔幼女さまにお伝えしましたので、何かありましたときはよろしくお願いします」


幼女魔王 「あ、はい……ありがとう。ございます……」




蛇牙猫姫神 「ふむ。精もついたことじゃし、風呂にしようかの」


算術男 「帰って入りゃいいだろ。紅白はじまるぞ」


蛇牙猫姫神 「ふ……まだまだじゃのう赤点男よ。そんなんじゃから算術が零点なのじゃ」

蛇牙猫姫神 「パン職人が己の作ったパンを最初に食べさせる相手は己である……ということわざを知らんのか」


算術男 「知らん。どうせ漫画の知識だろそれ。ダルシムとか出てくるやつだろ」


蛇牙猫姫神 「つまり、職人は己の仕事の出来をその身で確かめねばならんのじゃ」

蛇牙猫姫神 「ほれ行くぞ算術男よ。酒を持てい、背中を流せい」


算術男 「いやだ」


蛇牙猫姫神 「なぬ」

蛇牙猫姫神 「月も恥じて雲に隠れるという、美神たるわらわの肌を見せてやろうというのに嫌と申すか」


算術男 「見せるだけじゃすまないだろ。風呂でまで悪ふざけに振り回されたくないのよ俺は」




道魔法少女 「なになに、お風呂? 私も入っていい?」


蛇牙猫姫神 「よかろう」


算術男 「いいのかよ」


道魔法少女 「やたー。お姉さん泳いじゃうよー」

道魔法少女 「あ、でも水着持ってきてないや。おぅ、アヒルさんに水鉄砲もない……!」


算術男 「風呂ナメてんのかあんた……」


蛇牙猫姫神 「ほほほ、よいよい。皆で楽しく入るのが一番じゃ」


幼女魔王 「じゃ、じゃあ私も……」


蛇牙猫姫神 「それはならぬ」


幼女魔王 「はぶ!?」




幼女魔王 「え……。そ、そうよね私なんて……」


蛇牙猫姫神 「これこれ卑屈になるでない幼き魔王よ。別に仲間外れにしようとかそういうわけではない」

蛇牙猫姫神 「そなたと……そなた」


淫魔幼女 「……む」


蛇牙猫姫神 「こう言うては悪いが、風呂開きには不吉な気を纏うておる」


幼女魔王 (……不吉な気。なんか痛々しいわね)


淫魔幼女 「……むぅ」


蛇牙猫姫神 「詳細ははぶくが、良い風呂場にするには良い風呂開きをせねばならぬ」

蛇牙猫姫神 「わらわたちのあとで、ゆるりと入られるが良い」




…………


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」


ドッ ワハハハハ カポーン


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「……魔動画、つけるわね」


淫魔幼女 「ああ」




ポチッ


魔動画 『ザザッ……転売目的で……の紙オムツを買い占めた………国人を半殺しにする……』

魔動画 『……蛮人狩りが……流行し………ザザッ』

魔動画 『ザザーッ』



幼女魔王 「……やっぱり、調子悪いみたい」

幼女魔王 「やだわ、けっこう高かったと思うのだけれど」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「ハア……買い換えるしかないのかしら」

幼女魔王 「……店員さんとうまく話せるかしら」


淫魔幼女 「……調子はどうだ」


幼女魔王 「?」




幼女魔王 「ああ、だめよ。なおりそうにないわね」


淫魔幼女 「違う。お前だ」


幼女魔王 「?」


淫魔幼女 「詐欺商人から紋章を引き継いで、何か異常はないか」


幼女魔王 「え? ええ、とくにないけど、悲しいことに……」

幼女魔王 「て、ちょっと待って。何か異常が出るものなの?」


淫魔幼女 「……まれに」




幼女魔王 「ま、まれにって……。いったいどんな異常が出るの?」


淫魔幼女 「おれが知っている限りだが」

淫魔幼女 「寿命がいきなり尽きたり、性別が反転したり、全ステータスが下がったり、ずっと石化状態になったり……」


幼女魔王 (と、とんでもねー……)


淫魔幼女 「……乳房がすごく膨らんだり」


幼女魔王 「!!」




淫魔幼女 「まあ大体は何か能力が上がったり、増えたりと良い効果が出る」

淫魔幼女 「異常が無いなら良いことだ」


幼女魔王 「そ、そう……。でも良い効果の方も、あんまり感じないんだけど」


淫魔幼女 「まあ……」

淫魔幼女 「もとがもとだから」


幼女魔王 「うぐっ……」




幼女魔王の城 浴場



カポーン モワモワ


道魔法少女 「ぷふぃーッ……」

道魔法少女 「あー、いーいお湯だこと。」


蛇牙猫姫神 「んむ、上々である」


図形幼女 「算術男さん、目を開けて見て、星が綺麗よ。大窓にして良かったわね」


算術男 「やだ、見えない。なーんも見えない」




蛇牙猫姫神 「遠慮するでないダアリン。たかが裸体ではないか」


魑魅魍魎 「らたーい、らたーい、うにゃうにゃ」


算術男 「うっさいうっさい」


蛇牙猫姫神 「壁男を見よ」

蛇牙猫姫神 「ガン見じゃぞ」


壁男 「いやいや、やはり女体は壁胸に限る」

壁男 「このぺったんこ具合、素晴らしい」


蛇牙猫姫神 「いやんなのじゃ」


算術男 「ええい、黙れ黙れエロ妖怪ども」




図形幼女 「蛇牙猫姫神さま」


蛇牙猫姫神 「何じゃ」


図形幼女 「あの二人は、そんなに危険なのですか?」


蛇牙猫姫神 「うむ。少々の負の気ならばわらわが何とかできるであろうが、あれは手に負えぬわ」


算術男 「どっちも子供じゃないか。黒いツインテールの方はヤバイ感じだったけど」


蛇牙猫姫神 「幼い姿というのは、ひとつのきわめた形でもあるのじゃよ」

蛇牙猫姫神 「それに、あの桃色髪のクネクネした腰の者の方が数段ヤバイのじゃぞ」


算術男 「ふーん」




図形幼女 「恐ろしいのですね、魔王というものは」


蛇牙猫姫神 「いやいや、あの幼女魔王そのものは大したことはない」

蛇牙猫姫神 「死にかけの算術男が素手で戦っておつりがくるくらいじゃろう」

蛇牙猫姫神 「だがあの者の体。どす黒い万の呪いに数千年つかってもああはなるまいというほど異様」

蛇牙猫姫神 「何より恐ろしいのは、それは神たるわらわでも凝視せねば認識できぬほど」

蛇牙猫姫神 「当たり前にとけこんでおることじゃ」





算術男 「呪いって……しかも万かよ。何か早く帰りたくなってきたぞ」


図形幼女 「だから猫神さまは、急ぐようおっしゃっていたのですか」


蛇牙猫姫神 「うむ」

蛇牙猫姫神 「それに、この世界の空気もおかしかったからの」


道魔法少女 「あー、だよねえ」

道魔法少女 「混ざってるっていうか、かき回されてるっていうか」

道魔法少女 「この世界の近くの小世界もそんな感じみたいだから、ここらへんの界域いったいがそうなっているのかも」


蛇牙猫姫神 「そうじゃな。おぬしたち風に言うならば魔力、それが乱れている」





算術男 「小世界? 界域?」


蛇牙猫姫神 「世界はいくつもの大きな世界と、その中にある無数の小さな世界でできておる」

蛇牙猫姫神 「大きな世界をいくつかに分けて中世界、界域、エリアと呼ぶこともあるぞ」


道魔法少女 「この世界は第三大世界の、東大エリアの東の端にあるんだよー」


算術男 「ふーん」

算術男 「よし、わかった。さっさと帰ろうぜ」


蛇牙猫姫神 「まあ、それが一番じゃな」

蛇牙猫姫神 「……遅くても1年の後には、ここは混沌の渦中にあるじゃろう」




…………


カポーン


幼女魔王 「……ふぅ。本当にいいお湯」

幼女魔王 (あれからすぐに、淫魔幼女以外みんな帰ってしまったわね)

幼女魔王 (一気に静かになっちゃった……)

幼女魔王 「…………」


チャプン


幼女魔王 「お風呂、広いわね……」


おうふ……。



幼女魔王 「すごく大きな窓。壁一面じゃないのこれ。外がよく見える」

幼女魔王 「あそこが飛行船が着くところ、あれは森……」

幼女魔王 「星もたくさん出てる」

幼女魔王 「天気が良いと、中立の町のある隣の世界が見えるのよね」

幼女魔王 「すごく近くから別の星を見ている感じ」

幼女魔王 「……明るいなあ、隣の世界」


ピチョン


幼女魔王 「……静かだなあ」




幼女魔王 「…………」


チャプチャプ

ザブン


幼女魔王 「桃!」

幼女魔王 「なんつって……」


シン


幼女魔王 「…………」




幼女魔王 「……そうだわ」

幼女魔王 「コホンッ……出てきてしもべたち!」


ボワン


美触手 「クィイ」


触手A 「ショクショク」


触手B 「ニュルニュル」


幼女魔王 「あ、あれ……今日は少ないわね」

幼女魔王 「そうよね、いろいろ忙しいわよね……」

幼女魔王 「まあ良いわ。出てきてくれてありがとう」

幼女魔王 「一緒にお風呂に入りましょう」




幼女魔王 「…………」


触手A 「ショクショク」


触手B 「ニュルニュル」


幼女魔王 (触手をしもべにできるとはいえ、会話できないのよね……)


美触手 「…………」


幼女魔王 (この城の住人は私だけ)

幼女魔王 (淫魔幼女は旅人だから、すぐに出て行くわよね)

幼女魔王 (……お客さんが来ても、用事が終わったら自分の場所に帰って行く)

幼女魔王 (いくつか世界を旅して、私によくしてくれる知り合いは増えたけど)

幼女魔王 (私が欲しいのは……)

幼女魔王 「……出ましょう」




幼女魔王の城 玉座の間




淫魔幼女 「……ふむ。今日は良い夜だ」


幼女魔王 「そ、そうなの?」


淫魔幼女 「星々の輝きもほどよく、空気中の魔力も安定している」


幼女魔王 「へ、へえ」

幼女魔王 (そういや、この人淫魔だったわね。夜について一家言もちなのかしら)




淫魔幼女 「これより、玉座をつくる」


幼女魔王 「えっ、今から?」

幼女魔王 「私、洗い物すませたいんだけど」


淫魔幼女 「すませておいた」


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「あなたがそんなことするなんて、どうしたの!? まさか死んじゃうの!?」


淫魔幼女 「…………」


グシャッ


幼女魔王 「ああっ、木箱が! 私の玉座が!」


淫魔幼女 は

木箱の玉座 を破棄した!




淫魔幼女 「これからつくるのは、成長する玉座だ」


幼女魔王 「…………」


ポワポワポワ


玉座 『ママー、おっぱいのまちぇてー』


幼女魔王 『うふふ、今日は男のミルクで我慢しなさい』


ポワポワポワ


幼女魔王 (何のこっちゃ……)


幼女魔王 「またろくでもないこと考えてやがるな」




淫魔幼女 「そのために、リッチの枝をとってきたのだ」


ゴロッ


魔法使いの石

リッチの枝


幼女魔王 「リッチの枝と……このでっかい宝石は?」


淫魔幼女 「魔法使いの杖の核に使われる石だ。その大きいものだな」


幼女魔王 「え、玉座をつくるんじゃないの?」


淫魔幼女 「玉座のかたちをした、魔法使いの杖に近いようなものだと考えろ」




淫魔幼女 「では始めるぞ」


幼女魔王 「あ、ちょっと心の準備が」


淫魔幼女 「といっ!」


ベコッ


幼女魔王 「ああっ、床の石に穴を!」


淫魔幼女 「ふぬっ」


ザクザクザクザク


幼女魔王 (置いた石をまるく囲むように、リッチの枝を突き刺してる)


淫魔幼女 「ふう……」


幼女魔王 「どこの農家のおっちゃんよ、あなた」




魔法使いの石 が

あやしく輝きだした!


幼女魔王 (リッチの杖が……!)


グニャグニャグニャ


幼女魔王 「成長しながら触手みたいに絡みあいながら、何かをかたちづくっていく!」


淫魔幼女 「うるさい」




リッチの枝 と 魔法使いの石 は

処女魔王の玉座Lv.1 になった!


幼女魔王 「き……木の玉座?」

幼女魔王 「背もたれがハート型っぽくて可愛いけど、リッチの森の女戦士に突っ込まれてた枝を使ってるのよね……」


淫魔幼女 「洗っとるわ」

淫魔幼女 「さあ、座れ」


幼女魔王 「え、ええ……」


フカッ


幼女魔王 「あら、意外と……というか、かなりやわらかいのね」




淫魔幼女 「……これでこの世界と城の象徴である魔王の座る玉座は、とりあえずできたわけだ」

淫魔幼女 「城への魔力供給もやりやすくなるだろう」


幼女魔王 「ほうほう」


フカッ フカッ


淫魔幼女 「玉座は、その主の成長とともに成長していく」


幼女魔王 「おおー」


フカフカ


淫魔幼女 「……まあ、頑張るのだな」


幼女魔王 「淫魔幼女」


淫魔幼女 「何だ」


幼女魔王 「ありがとう」


淫魔幼女 「…………ふん」


>>588 訂正 ごめんなさい

×幼女魔王 「またろくでもないこと考えてやがるな」

○淫魔幼女 「またろくでもないこと考えてやがるな」

良い言い訳が思いつかん。



幼女魔王の部屋



ドサッ


幼女魔王 (久しぶりにゆっくり眠れる気がする)

幼女魔王 (……淫魔幼女に連れまわされて、いろいろと大変な目にあったけど)

幼女魔王 (武器も手に入ったし、玉座も新しくなったし、紋章も強化されたし、と、ともだちもできたし)

幼女魔王 (良い方向に向かっている気がするわ)

幼女魔王 (小さい世界だけど、立派にしたら人も来てくれるかしら)

幼女魔王 (……魔王、頑張ってみましょう)





???



グジュルグジュルグジュル


首無し魔法少女たち 「…………」


ジュルルル

グジュル グジュル


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は
連絡符(ダイニホン、根の地方) を破棄した
短パン魔王世界の座標 を破棄した


淫魔幼女 「…………」


淫魔幼女 は
邪魔な世界を消すスイッチ(7日分) を破棄した
黒い外套 を装備から外した


淫魔幼女 「………ッ」

淫魔幼女 「うぅ………」



…………


×邪魔な世界を消すスイッチ(7日分)

○邪魔な世界を消すスイッチ(7回分)




幼女魔王 「……ZZZ」

幼女魔王 「淫魔幼女ちゃん、今日はお兄さんは…………」

幼女魔王 「…………ムニャ?」

幼女魔王 「……もう朝なのね」




幼女魔王の城 厨房



ガシャンッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……どうしましょう」


ガチャッ


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「ああ、おはよう淫魔幼女。ちょっと困ったことが」

幼女魔王 「うわほうっ、目が真っ赤!」

幼女魔王 「どうしたの!?」


淫魔幼女 「……別に」




淫魔幼女 「何を困っている」


幼女魔王 「その……」


崩れたフライパン


淫魔幼女 「……お前がやったのか」


幼女魔王 「わ、わざとじゃないのよ」

幼女魔王 「卵を焼こうとしてフライパンに触ったら」

幼女魔王 「何か、急にボロボロになって崩れちゃって」


淫魔幼女 「…………!」

淫魔幼女 「そうか……!」




幼女魔王 (淫魔幼女が笑った?)

幼女魔王 (……気のせいよね)

幼女魔王 「あの、ごめんなさい。今日は卵は……」


淫魔幼女 「いや、気にするな」

淫魔幼女 「スライムの卵は生でもいけるから」


幼女魔王 「あなたも産んでみるかスライムの卵」


淫魔幼女 「それより喜べ」


幼女魔王 「はい?」


淫魔幼女 「詐欺商人から引き継いだ紋章の効果が出始めた」


幼女魔王 「ええっ!?」




幼女魔王 「新しい能力が身についたってこと?」

幼女魔王 「……フライパンをボロボロにする力?」


淫魔幼女 「少し違うが……それは確か、おもに金属でできた武器の破壊だ」


幼女魔王 「え、フライパンって武器なの?」


淫魔幼女 「……まだ使いこなせないのだろう。引き継いですぐだし、貴様のレベルも低いし」


幼女魔王 「ちょっと、困るわよ。うちの調理器具、金属つかったやつばっかりなのよ」


淫魔幼女 「気合で制御しろ、と言いたいが心配するな」

淫魔幼女 「朝食はおれが用意する」

淫魔幼女 「たしか、その能力のきかない鉱石でできた食器もあった」




幼女魔王 「!!」

幼女魔王 「あなたが……朝食を……!?」

幼女魔王 「な、なにが起こるっていうの!?」

幼女魔王 「なにを起こそうっていうの!?」

幼女魔王 「ま、待って、殺さないで!」

幼女魔王 「のぞみは何、パンツ!? 触手!? 伝説のプニマン!?」

幼女魔王 「なるほど、思えば私がプニマンを手に入れたあたりから頻繁にここに来ていたものね!」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「だめよ、あれは私が友達をつくるために流した汗と涙とよだれの結晶。あげられない!」

幼女魔王 「処女あげるから! 足りないならお金もつけるから!」


淫魔幼女 「よかろう」

淫魔幼女 「朝食はヘルシースライム定食だ」


幼女魔王 「!!」




食堂



スライム定食 「プルプル」


幼女魔王 「…………」


パクッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……う」

幼女魔王 「うまいなんてもんじゃない……!」

幼女魔王 「うまい! ホームラン!」


淫魔幼女 「そうだろう」

淫魔幼女 「極上の草を食べさせたスライムをつかったのだ」

淫魔幼女 「商人の町の宿オークから貰ったんだ」


幼女魔王 「悔しいけどこれはいけるわね」

幼女魔王 「ひとつご教授願いたいくらいだわ……」




パクパク パクパク


幼女魔王 「うまうまうま……」

幼女魔王 「あなたは食べないの?」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「いいえ。わたしは遠慮しておきます」


幼女魔王 「……え、なにその口調。どうしたの?」


ボワン


下級触手 「ショオーッ」


幼女魔王 「わ、びっくりした。どうしたの急に出てきて」


ボワン


幼女魔王 「あ、帰った」




パクパク パクパク


幼女魔王 「うまうまうま……」

幼女魔王 「あなたは食べないの?」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「いいえ。わたしは遠慮しておきます」


幼女魔王 「……え、なにその口調。どうしたの?」


ボワン


下級触手 「ショオーッ」


幼女魔王 「わ、びっくりした。どうしたの急に出てきて」


ボワン


幼女魔王 「あ、帰った」


>>610 なかったことに。



淫魔幼女 「……しかし、あれだな」

淫魔幼女 「料理とは偉大だな」

淫魔幼女 「スライムが口に入っただけで泣き叫んでいた幼女も」

淫魔幼女 「調理したスライムならばくばく食べるのだから」


幼女魔王 「……まさか」


淫魔幼女 「そう。そのヘルシースライム定食には……」

淫魔幼女 「お前が口から産んだ卵スライムの卵もつかわれている」


幼女魔王 「おえーッ!」


淫魔幼女 「あらためて言おう」

淫魔幼女 「お前が口から産んだ卵スライムの卵もつかわれている」


幼女魔王 「もうじゅうぶんよこの鬼畜!」


淫魔幼女 「おま……」


幼女魔王 「おえーっ!」




幼女魔王 「グスッ……ふざけんじゃないわよ、この鬼畜ツインテール」

幼女魔王 「ちょっと優しくなったと思ったのに……うっ」

幼女魔王 「うえっ……うえぇえん……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「触手でないしもべが欲しいか?」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「どこかに帰ってしまう客ではなく」

淫魔幼女 「どこかに旅立ってしまうおれのような者ではなく」

淫魔幼女 「お前と同じ世界に住み、お前とともにある」

淫魔幼女 「お前のような人型の、しもべが欲しいか?」




幼女魔王 「……欲しいわよ」

幼女魔王 「でも、そのためにはやっぱり、お城を綺麗にしなくちゃいけないのよね」

幼女魔王 「お城を立派にして、立派な魔王になって……」


淫魔幼女 「お前が欲しいのは」

淫魔幼女 「立派な城だから来てくれるようなしもべなのか?」

淫魔幼女 「立派な魔王だから来てくれるようなしもべなのか?」


幼女魔王 「……でも、そうしないと」


淫魔幼女 「お前が欲しいのは、違うんじゃないのか」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「それ以前に必要なもの」

淫魔幼女 「立派でないお前を、許してくれる者じゃないのか」

淫魔幼女 「他人に見せないお前のみじめな部分を、受け止めてくれる者じゃないのか」

淫魔幼女 「父親のような、母親のような……兄弟のような。そんな者じゃないのか」

淫魔幼女 「お前は、家族が欲しいんじゃないのか?」




幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「思い出せんのよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「お父さんもお母さんも、私は思い出せんのよ」

幼女魔王 「私の脳みそのどこを探しても、いた記憶さえないのよ」

幼女魔王 「夢に描いたパパとママに甘えるけれど」

幼女魔王 「その都度顔が違うのよ」

幼女魔王 「私は何からうまれたのか、どこで今まで育ったのか、まったく思い出せんのよ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「あんたに連れられていくつかの世界を旅する前」

幼女魔王 「私はどこで何をしていたの?」


淫魔幼女 「…………」


ドスッ




幼女魔王 「…………?」

幼女魔王 「何をしているの?」


淫魔幼女 「お前の脳みそに外套の手を突っ込んでかき回している」


幼女魔王 「……そうね。突っ込んでかき回しているわ」


淫魔幼女 「魔法少女の記憶を探ったと言ったが」

淫魔幼女 「こういうわけだ」

淫魔幼女 「傷ひとつつけずに、記憶を盗み見ることができる」


幼女魔王 「……ええ、傷ひとつつけずに記憶を盗み見ることができるわ」




淫魔幼女 「だが、この力をもってしても」

淫魔幼女 「お前の父親も母親も、見つけることはできない」


幼女魔王 「……ええ」


淫魔幼女 「だから、つくらなくてはならない」

淫魔幼女 「本当なら最初からあるものを、つくらなくてはならない」


幼女魔王 「……ええ」




淫魔幼女 「詐欺商人の紋章を吸収し、玉座を得、力も発現しだした今ならできるだろう」


幼女魔王 「……ええ」


淫魔幼女 「狐に邪魔をされると終わりだ。詐欺商人はよく時間をつくってくれた」

淫魔幼女 「まさか狐も、深世界の魔王級を撃退されるとは思わなかっただろう」

淫魔幼女 「行くぞ。世界を渡って、はじめての人型のしもべを手に入れろ」


幼女魔王 「……ええ」


ズボッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「うっ、おへそのしゃくが……!」

幼女魔王 「ざ、残念だけど今日は中止ね!」


淫魔幼女 「行くぞ、暗黒貧乳」


幼女魔王 「まだそんなに濃くないわよ」


淫魔幼女 「何の話だ」




幼女魔王の城 門前



サワサワサワ


幼女魔王 「ああ、良い風。でも、何か頭の中がざわざわするわ」


淫魔幼女 「……頭をいじった後遺症だ」


幼女魔王 「……さらっと言ってくれるわね」

幼女魔王 「でも、何故かしら。頭がすっきりしたわ」


淫魔幼女 「お前の頭の中にある不安や恐れを吸い取った」

淫魔幼女 「この外套は本来、そのためにつくられたアイテムだ」

淫魔幼女 「それを後世の者たちが後ろ暗いことに使い、呪いのアイテムとなっていった」


幼女魔王 「へえー」

幼女魔王 「はじめから毒舌になる効果があったわけじゃないのね」


淫魔幼女 「それはもともとだ」


幼女魔王 「あ、そう……」




幼女魔王 「まあ、良いわ。さっさとしもべハントと洒落こみましょう」

幼女魔王 「にゅふふ……うちのお城にもついにしもべがくるのね……」

幼女魔王 「何してもらおうかしら。膝枕に、耳掃除に、一緒にお買い物に行くのもいいわね……」

幼女魔王 「……この服いいなあ。でも、高いなあ」

幼女魔王 「あら、わたし魔王だけど、買ってあげるけど」

幼女魔王 「えっ、いいんですか魔王さま」

幼女魔王 「いいのよ。あなたは私のしもべなんだから当然だもの」

幼女魔王 「魔王さま天才!」

幼女魔王 「も、もう、やめてよ恥ずかしいんだけど。当たり前のことを大声で言うなんて困ったしもべさん!」

幼女魔王 「……ぬぁんちって、なんちって!」

幼女魔王 「きゃー!!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……効きすぎたか」


SS速報VIP復活
おめでとうござ淫魔。


■幼女魔王
http://i.imgur.com/vMZFGUq.jpg

■淫魔幼女
http://i.imgur.com/Af2j8sI.jpg

■詐欺商人
http://i.imgur.com/mRjUW3P.jpg


■幼女魔王の城しもべ採用試験 草案
http://i.imgur.com/3mZyaht.jpg



淫魔幼女 「では行くぞ。まずはここに向かう」


世界の座標(羽音の世界)
を手に入れた


幼女魔王 「あ、行き先きまっているのね」


淫魔幼女 「その後で、ここに行く」


世界の座標 (見えない精霊の世界)
を手に入れた


幼女魔王 「そこに私の、未来のしもべがいるのね……」


淫魔幼女 「砂漠に放り出されたクラゲみたいな能力の魔王でも、どうにかやれそうなところを探しておいてやった」

淫魔幼女 「苦労したぞ。あとはお前の頑張りしだいだな」


幼女魔王 「わ、分かってるわよ。……でも、そこまでしてくれていたのね、あなた」


淫魔幼女 「これでお前のお守りの負担が減ると思うと、自然と力が入ったさ」



幼女魔王 「もう、またそんなこと言って」

幼女魔王 「そんなに嫌だったら、私なんて放っておけば良いって言ってるじゃない」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 (あれ。なんでこの人、私に世話をやいてくれるのかしら)

幼女魔王 (というか、なんで私この人と知り合いなんだっけ)

幼女魔王 (……きっとどうでも良いことね)

幼女魔王 「……いったいどんな世界なのかしら。私の未来のしもべのいるところ」




…………



見えない精霊のいる世界 どこかの森



魔物 「ぐるるる……」

魔物 「がおおお!」


少女 「き、きゃーッ!」


??? 「…………!」


ビシッ プルンッ


魔物 「ぎゃいんっ」




??? 「あなたの居場所に帰ってください」

精霊使い戦士 「これ以上この子を襲うなら、私が相手になります……」


ポヨンッ


魔物 「……グルッ」


ダダダダダ


精霊使い戦士 「……よかった。帰ってくれた」

精霊使い戦士 「大丈夫ですか?」


タユンッ


少女 「あ、あう……」

少女 「お姉ちゃん、もしかして」

少女 「森の魔女さま?」



精霊使い戦士 「森の魔女?」


フルルルン


少女 「うん」

少女 「聖域の森に呪われた魔女が住みついた、て」

少女 「何年か前に封印された魔王に、何かするたびにおっぱいの揺れる音がする呪いをかけられた」

少女 「いまわしき魔女が」


精霊使い戦士 「……そ、そんな」


ムギュ


少女 「しかも魔女は、聖域の森では精霊さまの認めた水着しか着ちゃいけないのに」

少女 「恥ずかしげもなく服をきているんだって」

少女 「痴女なんだって」

少女 「まるでお姉ちゃんそのものだよ!」


精霊使い戦士 「そんなことまで……」


ポイン





精霊使い戦士 「そ、そんなことありませんよ」

精霊使い戦士 「あ……あー、何だか気持ち悪いなあ。なんでかなあー……」

精霊使い戦士 「あっ、あーっ、私ったらうっかり、服きちゃってた。ぬ、脱がなきゃー……」


少女 「…………」


ボヨン パサ ブルン


少女 「きゃあ、何もつけてない」

少女 「変態!」


精霊使い戦士 「し、しまった。今日もうっかり下に何もつけてなかった」


ユサッ


少女 「ひいい……呪われた豊満な乳をもつ痴女で露出狂で変態の魔女が出たあ……」


精霊使い戦士 「ちち、違うんですよ、私は……!」


モニュ


少女 「乳狩る!? ひいい、狩られる、狩られて吸収されてしまう……!」

少女 「びえええん!」


精霊使い戦士 「あわわわ……子供を泣かせてしまうなんて……」


プヨプヨ



少女 「びえええん! びえええん!」


精霊使い戦士 「あわわわ……どうしよう、どうしよう」

精霊使い戦士 「あ、そうだ……!」

精霊使い戦士 「あ、あのー、小屋でお茶をいれるので遊びに来ませんか?」

精霊使い戦士 「おいしいケーキもごちそうしますよ」


プリン


少女 「……ケーキ」


精霊使い戦士 「は、はい……!」

精霊使い戦士 「ミルクたっぷりのおいしいケーキです……」


モオー


少女 「!?」





少女 「ぶえええええ!」


ダダダッ


精霊使い戦士 「あっ、待って、逃げないで……」


フニュニュン


少女 「ふえええ、怖いよお!」

少女 「呪われた魔女が自分のミルクを飲ませようと口八丁で迫ってくるよお!」


ダダダダダ


精霊使い戦士 「ああっ、行ってしまった」

精霊使い戦士 「………はあ」

精霊使い戦士 「いつまで続けたらよいのかしら、こんな呪われた生活……」


バイーン バイーン


…………




触手の世界 妖精の村 はずれの森



ヴオン ボチャン


幼女魔王 「どわっぷ。泉の上に出ちゃった」


淫魔幼女 「む」


ヒラリ


淫魔幼女 「村の広場に出るはずだったが……まあ良いか」

淫魔幼女 「さて、行く……」


幼女魔王 「うえ~ん、だじげで淫魔幼女。私およげないの……ゴボゴボゴボ」


淫魔幼女 「…………」




ザブン


淫魔幼女 「…………」


ズル ズル ドサ


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「……いけ、外套」


ブンッ メリュ


幼女魔王 「ぐごぇげっ!?」

幼女魔王 「お、おにゃか、めり込む……」

幼女魔王 「おええええ……」


淫魔幼女 「よし、水は吐いたな。行くぞ」


幼女魔王 「おぼえぇえええ……ごんど、夕食に唐辛子いっぱいいれてやるんだがら……」





ガサッ


幼女魔王 「ひいっ!?」


ビクッ


こぶ触手 「ボコボコ」


幼女魔王 「な、何だ、触手か」

幼女魔王 「私のしもべがはぐれたのね」

幼女魔王 「元の世界に送還してあげるからいらっしゃい。人に見つかったら、いじめられるわよ」


こぶ触手 「ボコボコ」


ニュルニュル


幼女魔王 「うふふ。こんなに甘えて」


淫魔幼女 「…………」





こぶ触手 「…………」


シュシュシュ


幼女魔王 「やん、もう。こぶをそんなトコに食い込ませて。スパッツ破けちゃうでしょう」

幼女魔王 「女の子にいきなりそんなことしちゃダメよ……」


こぶ触手 「ボコボコ」


幼女魔王 「……あれ?」

幼女魔王 「あなた、誰?」




淫魔幼女 「それ、この世界の野生の触手だぞ」


幼女魔王 「えっ?」


こぶ触手 「…………」


プチュプチュ


幼女魔王 「あれ、何かこぶからヌルヌルした甘いにおいの汁が」

幼女魔王 「やだわ、スパッツ汚れちゃうじゃないの……」


こぶ触手 「…………」


ズロロロロッ


幼女魔王 「ぬっほおおおっ!?」





こぶ触手 「ボコボコ」


ヌロロロロ


幼女魔王 「ひゃらららら、にゃめ、にゃめぇええ……!」

幼女魔王 「そんなにニュロニュロこしゅったらお股が……」


ゴリュロロロロ


幼女魔王 「ふんぎゅうううう!?」

幼女魔王 「なんで強くするのおお!?」


ゴリュッ ズリュッ ズリュリュ


幼女魔王 「おっおっおっ……んにゅッッッほおおおお!」


ブシャズリュブシャズリュ



…………

…………



http://i.imgur.com/AIaryv2.jpg(ふんわりR-18)


「幼女魔王の戦い 2」

ある世界の魔王と異世界の魔物とのたたかいを記録したもの。

外道商人淫魔幼女氏が寄贈。

心無い台詞の落書きによって歪曲されているが、
魔王の鬼気迫る表情から、本来は見る者を焦がすほどの
死闘であったと読み取れる。


…………


と、上図みたいなキャッキャウフフがありましたとさ。



幼女魔王 「ヒィ……フゥ……あふぅん……」

幼女魔王 「にゃ、なかみゃに、にゃ~あれぇ……」


こぶ触手 「ボコボコ」


ドロン


こぶ触手 「ポヨポヨ」


幼女魔王 (色がちょっとピンク色になった。契約成功ね)

幼女魔王 「ふう……手間取った」


淫魔幼女 「触手が飽きるまでなすがままに股をこすられてただけじゃないか」


幼女魔王 「あ、危ない戦いだったわ……」




淫魔幼女 「ここは妖精の村はずれの森だ」


幼女魔王 「妖精……」


淫魔幼女 「ここの妖精たちは」

淫魔幼女 「森の触手たちと共生している」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「触手つかいも多く」

淫魔幼女 「うまく触手をあやつれるものが、上等の妖精と考えられている」

淫魔幼女 「どうだ」

淫魔幼女 「夢があるだろう?」


幼女魔王 「悪夢の間違いでしょう」




淫魔幼女 「何を言っている」

淫魔幼女 「触手をうまくあやつれるものが、良いあつかいをうけるのだ」

淫魔幼女 「お前がちやほやされる可能性があるのだぞ」


幼女魔王 「ここ以外じゃまるで無いみたいな言い方するんじゃないわよ」

幼女魔王 「こんな大きな妖精いるわけないでしょう」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「…………」


ツルテン


淫魔幼女 「……小さいじゃないか」


幼女魔王 「おっぱいの話じゃないわよ馬鹿」





淫魔幼女 「……ああ、体そのものか」

淫魔幼女 「たしかに、人間とは敵対関係にあるが」

淫魔幼女 「ここの妖精たちは人間とそう変わらない大きさだ」

淫魔幼女 「お前は人間型だが人間でないし、なにより魔王。問題ない」


幼女魔王 「そ、そうなの……」

幼女魔王 「……ん? ということは」




ポワポワポワ


妖精A 「幼女魔王さまー。しもべにしてー」


幼女魔王 「ええ、かまわないけれど?」


妖精B 「わたしもしもべにしてー」


妖精C~7Z 「わたしもわたしもー」


幼女魔王 「あらあら、みんな落ち着いて」

幼女魔王 「うふふふふ……」


ポワポワポワ


幼女魔王 「なんてこともあっちゃったりして!?」


淫魔幼女 「…………」


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「あ、あれ……?」

幼女魔王 「ちょっと、待ってよー……」





妖精の村



妖精 「やあ、ここは触手と生きる妖精の村だ」

妖精 「相棒の触手が欲しいなら、村はずれの森に行くと良いよ」

妖精 「いろんな触手がいるから」


チチチ チュンチュン


幽霊触手 「ポワポワ」


そばかす妖精 「あはは、待てよ~」


赤触手 「フエー」


いそぎん触手 「ヌロロン」



幼女魔王 「……す、すごい」

幼女魔王 「触手が堂々と表に出てる」


淫魔幼女 「そういう村だと言っただろう」




幼女魔王 「こ、ここなら、私のしもべたちを出しても良さそうね」


淫魔幼女 「……ああ」

淫魔幼女 「だが、一匹だけにしておけ」


幼女魔王 「分かったわよ……」

幼女魔王 「それじゃあ」

幼女魔王 「ちょいなっ!」


ドロンッ


美触手 「キュロロロ」




淫魔幼女 「そいつか」


幼女魔王 「ええ。私の一番最初のしもべだから」

幼女魔王 「……と言っても、気がついたらいたのよね」


美触手 「キュロロ……」


淫魔幼女 「…………」


??? 「お、珍しい触手がいるな!」


幼女魔王 「!?」




■美触手


http://i.imgur.com/bt3aNHW.jpg

 種族 :触手プリンセス
 職業 :魔王のしもべ
 レベル:0272
 そうび:触手王の瞳


異世界に渡ることができる 触手のお姫様
認めた相手に 触手と契約する力を あたえる






美触手 「キュロロン」


??? 「夜空の川みたいな触手だ」

妖精小僧 「欲しい! お前、おれによこせ!」


幼女魔王 「だ、だめよ!」


妖精小僧 「何だとう!!」


幼女魔王 「ひっ……」

幼女魔王 「だ、だって、この子は私の……その、大事な……触手で……」





妖精小僧 「うるさい、よこせ!」


幼女魔王 「ひぃ……」


淫魔幼女 「…………」


??? 「こらこら、いかんぞ」


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「!?」


妖精小僧 「げっ……」


??? 「人の触手をとったらドロボウだ」

妖精召喚士 「ちゃんと触手バトルをやらなくちゃ」





幼女魔王 (……触手バトル?)


妖精小僧 「ちぇっ……分かったよ」

妖精小僧 「カモン、触手!」


ドロン


ねじれ触手 「ドルドル」


妖精小僧 「……これで良いんだろ?」


妖精召喚士 「うん」


幼女魔王 「良いんだ……」


妖精召喚士 「それでは私が立会人になってやるから」

妖精召喚士 「存分にバトルするが良い!」


妖精小僧 「よっしゃあ! ぶっつぶしてやるぜ!」




幼女魔王 「ちょいちょちょちょ、ちょっと待って!」


妖精召喚士 「む、何かね」


幼女魔王 「あの、触手バトルって何です……何なの?」


妖精召喚士 「触手同士を戦わせて勝敗をきそう」

妖精召喚士 「たいへん独創的な触手競技だ」

妖精召喚士 「お互いの触手をかけたり、苗床をかけたりするんだ」


幼女魔王 「そ、そう……」


妖精小僧 「おい、もう良いだろ。始めるぞ、ヘソモロ出しペッタン女」


幼女魔王 「ま、まだちょっと待って」

幼女魔王 「黙れ小僧だれがモロ出しか」






幼女魔王 「私、やるなんて言ってないわよ……」


妖精召喚士 「ふむ。もしかして、君はこの村についてあまり知らないのか」


幼女魔王 「は、はい……うん」

幼女魔王 「はじめて来たから」


妖精召喚士 「そうか」

妖精召喚士 「この村では、触手と一緒に歩く行為はいつでも触手バトルできるぞという意思表明なんだ」


幼女魔王 「そうなんだ……」


淫魔幼女 「…………」


妖精召喚士 「ちなみに、桃色の髪でヘソを出していると」

妖精召喚士 「いつでも触手の苗床になるぞと言っていることになる」


幼女魔王 「!?」





妖精召喚士 「目があったら触手バトルの合図」

妖精召喚士 「触手バトルをしかけられたら、いかなる理由があろうとも断ることはできない」


幼女魔王 「えー……」


妖精召喚士 「断ると、村で一生触手の苗床として扱われても文句は言えないんだ」


幼女魔王 「なっ……」


妖精召喚士 「どうするかね?」


幼女魔王 「どうするって、どんないきなり……」

幼女魔王 (ん? この状況って……)

幼女魔王 (そうだわ!)

幼女魔王 (プニッとマンスター、略してプニモンでやったところだ!)

幼女魔王 (よーっし……!)


妖精召喚士 「さあ、はやく答えないと自動的に始めるぞ」


幼女魔王 「や、やるわ! うけてたってやろうじゃない!」





妖精召喚士 「よろしい」

妖精召喚士 「それでは、触手バトル開始!」


ティロロロ ティロロロ ティロロロ ティロロロ


幼女魔王 (どこからともなく戦闘開始っぽい音楽が……)


妖精小僧 「ふふん! お前に勝ってその触手をいただいて」

妖精小僧 「そんでもってお前をおれの苗床奴隷にしてやるぜ!」


幼女魔王 「な、何か嫌なの増えてるじゃない……!」





妖精小僧 「いけ、ねじれ触手!」


ねじれ触手 「ドルルンド!」


ニュロニュロニュロ


幼女魔王 「ひいっ、来た!」

幼女魔王 「い、いけ、ミロカロ……じゃなかった」

幼女魔王 「美触手!」


美触手 「キュロロロロ」





…………


妖精小僧 「……これ、おれの触手です」


ねじれ触手 「ドルドル」


幼女魔王 「ありがとう」


淫魔幼女 「一瞬で決着がついたな」

淫魔幼女 「強いな、ミロカロス」


幼女魔王 「美触手クインテイル二世よ」



ねじれ触手 が仲間になった





幼女魔王 「私がプニマンにはまってちょっと姿が変わっただけよ」


淫魔幼女 「何にはまったって?」


妖精召喚士 「いやあ、すごいな君!」


幼女魔王 「!!」


ビクッ


妖精召喚士 「まだ幼いのに、こんな強力な触手を使いこなすなんて」

妖精召喚士 「なかなかできることじゃないぞ」


美触手 「キュロ」


幼女魔王 「いや、使っているんじゃなくて」

幼女魔王 「助けてもらっているだけで……」




ヒソヒソ


不良妖精 「おい、あの触手良いな」


乱暴妖精 「あのガキもよく見たら可愛いし安産型だ」


紳士妖精 「しかし、あの触手はなかなかの強さですぞ。妖精小僧が一瞬で負けてしまった」


不良妖精 「なーあに、召喚士たちの見ていないところでバーッとみんなで襲っちまえば……」


ヒソヒソ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「も、戻って」


美触手 「ロキュロロ」


ボワン


幼女魔王 「ふう……」

幼女魔王 「ぐへへ、可愛いって言われちゃった……」


淫魔幼女 「紋章の効果は順調に出ているようだな……」


幼女魔王 「?」





妖精召還士 「ところで、君たちは初めてここへ来たそうだが」

妖精召還士 「まさか人間どものスパイだなんてことは無いだろうね」


幼女魔王 (この世界では妖精と人間は敵対しているんだったわね)

幼女魔王 (ここはうまいことごまかして……)

幼女魔王 (……あ、あれ? こういう妄想はいつもしているのに)

幼女魔王 (いざとなると何も思い浮かばないわ。どど、どうしましょう、考えれば考えるほど頭が真っ白に)

幼女魔王 「え、えっと、あわわわ……」


妖精召還士 「む、どうしてそんなに取り乱すのかな」

妖精召還士 「もしや……」


幼女魔王 「ひいっ。ち、ちわわ、違いまままま……」

幼女魔王 (あわわわわわわわ。考えなきゃ考えなきゃ……)


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「もちろん。我々は異郷の妖精族です」

淫魔幼女 「行商をやっております」


妖精召還士 「ふむ。この地方のものたちではないのか」

妖精召還士 「だったら、珍しい触手を持っているのも頷ける」




妖精召還士 「しかし、君はどうしてそんなにビクビクしているのかね」

妖精召還士 「一見すると人間だし、この村ではあやしまれてしまうぞ」


幼女魔王 「ひえっ。え、えーっと……」


淫魔幼女 「彼女は知り合いの娘で、私の護衛としてついてきているのですが」

淫魔幼女 「人見知りの上、故郷を離れるのが初めてなのです」

淫魔幼女 「しかし、触手つかいとしての腕はぴかいちですよ」


妖精召還士 「そうだったのか……」

妖精召還士 「うん、たしかにかなりの腕前だ」


幼女魔王 「え、えへへ……」




妖精召還士 「そうだ。君、今から妖精騎士団の本部へ来ないか」

妖精召還士 「強き触手使いの旅人は、そこでもてなすのが我が村の決まりなんだ」


幼女魔王 「え、ええっ……!?」

幼女魔王 (もしかして、私が歓迎されているの!? 何なのよこの夢のような展開)

幼女魔王 (そそ、そうだわ、いつもイメージトレーニングしているとおり)

幼女魔王 (優雅に対応するのよ!)


ポワポワ


幼女魔王 『あらあら。表舞台に立つなんて私の性にあわないのだけれど……あなたたちがそう言うのなら仕方ないわね』


ポワポワ


幼女魔王 (よ、よし……!)

幼女魔王 「…………あ」

幼女魔王 「あひゃっ……らひゃっ……!」

幼女魔王 (ひいいい、声がひっくり返っちゃった!)




淫魔幼女 「とても楽しみだと言っています」

淫魔幼女 「……ごらんの有様なので、私も同行させていただきたいのですが」


妖精召還士 「もちろん、歓迎するよ」

妖精召還士 「それではついてきてくれたまえ」


ザッ ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「喘ぎ声の練習でもしていたのか?」


幼女魔王 「やひゃっ……コホンッ」

幼女魔王 「やかましいわよ」




…………


妖精騎士団 本部 広間



ピヒャラ~ ジャンラジャンラ


幼女魔王 「でひぇ……コホン」

幼女魔王 「出てきて、美触手!」


ボワン


美触手 「クイィイイ」


妖精長老 「……おお、これはまさしく!」


老妖精 「召喚者と同じく、なんと美しい」


幹部妖精たち 「やんや、やんや」


幼女魔王 「えへ、えへへ……」


小妖精 「さあさ、触手姫さま。コップがあいておりますよ」


幼女魔王 「ひ、姫……!?」

幼女魔王 「え、えへへ……」




幼女魔王 (う、うそみたい。私、いまみんなの中心にいる……うふふふふ)


妖精長老 「どうですかな、触手姫どの。我々の食べ物は口にあいますでしょうか」


幼女魔王 「え!? あ、う、うん。とても美味しいです……お、美味しいわね」


妖精長老 「ほっほ、それは良かった」

妖精長老 「我が村に伝わるくすぐり触手産卵腹踊りのほうはいかがでしょうか」


ピヒャラ~ ジャンラジャンラ


悩ましい触手 「くねくね」


都市伝説的触手 「くねくね」


ピヒャラ~


幼女魔王 「……正直、正気をうたがう」




ひげ妖精 「なんと!」

ひげ妖精 「申し訳ない。いますぐにこやつらを死刑にいたします!」


踊り触手たち 「ピイィイ!?」


幼女魔王 「え!?」

幼女魔王 「そ、そんな、死刑なんてひどいわ。やめて! ……くだ、さい……」


ひげ妖精 「なんと!?」


ドンガシャ


幼女魔王 「ひっ……!」

幼女魔王 (立ち上がってこっちにくる。怒らせちゃった……!?)


ひげ妖精 「触手姫どの!!」


幼女魔王 「ぴゃっ!?」

幼女魔王 「あ、あの……ヒグ……ご、ごめんなさ……」


ひげ妖精 「なんという慈悲の心!」


ザッ


幼女魔王 「え……」

幼女魔王 (ひざまずいて、こうべをたれた……)


淫魔幼女 「…………」




ひげ妖精 「感服いたしました!」

ひげ妖精 「その愛くるしいお姿に、空より広く森より深い御心をお持ちとは!」


幼女魔王 「あ、愛くるしい……」

幼女魔王 「あへ、うへへへへ……」


妖精たち 「おお、なんと慈愛に満ちたアヘ顔……!」


妖精長老 「ふむ、触手姫さまもこう言ってらっしゃることだし……」


ひげ妖精 「はっ。かしこまりました」

ひげ妖精 「あの者たちは、男のミルク漬けの刑にいたしましょう」


幼女魔王 「なんですと」




幼女魔王 「あ、あの」


ひげ妖精 「は、何でございましょうか」


幼女魔王 「男のミルクがあるの?」


ひげ妖精 「ええ。ちょうど村の召喚少女隊が大量に手に入れまして」


幼女魔王 「大量……」

幼女魔王 「わ、私も、その、男のミルクを飲んだことないから飲んでみたいんだけど……」


ひげ妖精 「!?」

ひげ妖精 「と、とんでもない!!」


幼女魔王 「ひぃっ!?」





ひげ妖精 「あんなもの、触手姫さまのお口にあいませぬ!」


妖精長老 「これ、ひげよ、落ち着かんかい」

妖精長老 「触手姫さまの冗談くらい、分からんか」


ひげ妖精 「むっ!」

ひげ妖精 「こ、これは失礼!」


妖精長老 「まったく、お前はひげ質も頭もかたいのう」


ドッ ワハハハ


幼女魔王 「あはは……」

幼女魔王 (ジャンクフードなのかしら)




ピ~ヒャラ ピィ~ プォ~


夢魔つかい 「さあ、この妖精の火の輪をくぐって!」


下級夢魔 「ニュロロー」


ワイワイ ヤンヤ ヤンヤ


幼女魔王 (透明な翅のはえた可愛いイモムシみたいなのが、火の輪をくぐっている)

幼女魔王 (あれも触手系なのかしら。まあ、見えなくもないわね)

幼女魔王 (……私、ジャンクフード大好きなのよね。私自身ジャンクみたいなもんだし)

幼女魔王 (でも姫って呼ばれているし、そんなこと言ったら一気に嫌われるかも……)


お運び妖精 「触手姫さま、何か足りないものはございませんか?」


幼女魔王 「あ、ありがとう、大丈夫」

幼女魔王 「……あの、みんな私を触手姫と呼ぶけれど」

幼女魔王 「いったい何なのかしら」


お運び妖精 「ああ、それは……」


妖精長老 「ほっほ、この村に伝わる伝説ですじゃ」


幼女魔王 (あ、この語り口、長くなりそう)




妖精長老 「妖精と人間の戦いがおこるとき」

妖精長老 「高き壁をこえて触手姫があらわれ」

妖精長老 「妖精の地に触手の神が目覚めるであろう……」


幼女魔王 「…………」


妖精長老 「というものです」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「うわ、みじけー……」


妖精長老 「ウウァ・ミジケー?」

妖精長老 「もしや、それが触手の神の名なのですか……!?」


幼女魔王 「あ、いや、その、そうというか、なんというか……」


淫魔幼女 「貴様は嘘をつきました」


幼女魔王 「ええ。思ったより伝説って短かったな、て」

幼女魔王 「いきなり何いうのよあなた」


淫魔幼女 「嘘はよくない」


幼女魔王 「すまし顔で大嘘ついてどうすんのよ」


妖精長老 「ほほほ、触手姫さまと淫魔幼女どのは仲がよろしいのですな」


幼女魔王 「え……!?」


妖精長老 「ささ、どうぞ歓迎の宴をおたのしみください」

妖精長老 「飲み物も食べ物も、まだまだたくさんありますぞ」


幼女魔王 「あ、ありがとう」

幼女魔王 「……歓迎。うふふふふ」


ワイワイ ピ~ヒャラ~



…………



妖精の村 宿 最上階



幼女魔王 「……す、すごい部屋。あそこから森が一望できるのね」

幼女魔王 「うわあ、満点の星。渦巻いているみたい」

幼女魔王 「こんな立派で可愛い部屋をただで使わせてもらえるなんて……」

幼女魔王 「輝いている。私、いまいちばん輝いているわ」

幼女魔王 「クソみたいな私の人生が、超新星のように!」


淫魔幼女 「……輝く前に死んでいるじゃないか」


幼女魔王 「げ、淫魔幼女」




幼女魔王 「あなたも同じ部屋なのね。……まあ、そうよね、こんなに広いんだもの」


淫魔幼女 「ずいぶんと楽しめたようだな」


幼女魔王 「ええ、こんなに歓迎されたのは初めて」

幼女魔王 「みんな良い人ばかりだし、私ここじゃ雑魚じゃないし」


淫魔幼女 「雑魚じゃないのは触手だがな」


幼女魔王 「ああ、私、きっとこの世界の出身だったのだわ」

幼女魔王 「何かの手違いで、あの世界の魔王になっちゃったけど」

幼女魔王 「かえってきた! 私、魂のふるさとにかえってきた!」


淫魔幼女 「……馬鹿じゃねえのかこいつ。ぼそっ」


幼女魔王 「ぼそっ、までまる聞こえしてるわよ失れ淫魔」





幼女魔王 「何なのよあなた、私の幸せに泥なげつけるようなことばっかり」


淫魔幼女 「ふん。とりあえず、喜べたようで何よりだよ」

淫魔幼女 「連れてきたかいがあったというものだ」


幼女魔王 「……ま、まあ、感謝するわよ」


淫魔幼女 「だが、はやくお前の性能……能力をためしたい」

淫魔幼女 「明日にはこの世界をたつことになるだろう」

淫魔幼女 「……性能力」


幼女魔王 「やかましいわよ」

幼女魔王 「せめてもう何日かいられないの……」


淫魔幼女 「はじめはちやほやされても、すぐに化けの皮がはがれて」

淫魔幼女 「手のひらがえしされるかもしれんぞ」


幼女魔王 「う……」


淫魔幼女 「何せお前は」

淫魔幼女 「はじめの頃はちょっと人気あるけど、学期の終わりには空気化して孤立している」

淫魔幼女 「そんな属性の魔王だからな」


幼女魔王 「どんな属性よ」




幼女魔王 「本当にもう、何なのよ」

幼女魔王 「学期って何よ」


淫魔幼女 「とにかく、ここには長居できない」

淫魔幼女 「それとも、触手姫として、人間と戦争中らしいこの村に骨をうめたいのか?」

淫魔幼女 「実際にはしもべ……友達もできない、ぼっちのクソカスゴミ魔王のまま」


幼女魔王 「左目のまつげだけ触手にしてやろうか」

幼女魔王 「……戦争。わかったわよ、あなたの言うとおりにするわ」


淫魔幼女 「……よし」

淫魔幼女 「では今日のところは」


幼女魔王 「ええ、ベッドでフカフカパーティして、こっそり持ってきていたペニステをしながらお菓子を……」


淫魔幼女 「この村の奴らを皆殺しにしろ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「はい?」




幼女魔王 「みなごろ……ちょっと、どういう」


淫魔幼女 「ここにはしもべにちょうど良い触手が多く生息しているからな」

淫魔幼女 「お前の魔王としての力と美触手たちをつかえば」

淫魔幼女 「育成された奴らを奪って戦力を大幅に強化できる」


幼女魔王 「い、いや、だったら妖精さんたちを私の友だ……しもべにして私の世界に……」


淫魔幼女 「却下だ」

淫魔幼女 「あんなの、ただの無駄場所とりになるだけだ」

淫魔幼女 「貴様の狭い世界に、そんな余裕はないだろう」


幼女魔王 「じゃ、じゃあ、こっそり野良触手たちを……」


淫魔幼女 「すべてだ。いや、最低限、村にいる触手はすべて手に入れろ」


幼女魔王 「な……」




淫魔幼女 「しもべたちを呼べ。戦いの準備をしろ」


幼女魔王 「…………い」

幼女魔王 「いやよ。みんな優しくしてくれるもん。殺すなんて……」


淫魔幼女 「魔王がいつまでも甘っちょろいことを言うんじゃあない」


幼女魔王 「う……うう、良いもん、私、ヘタレの新米クソカスゴミ魔王だもん」


淫魔幼女 「…………」


ゾゾゾゾ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 (淫魔幼女の外套から、たくさんの黒い手がはえた。あれ、攻撃の準備だわ)

幼女魔王 「なな、何よ、私を殺す気? こ、殺しちゃったら、触手も呼べないわよ……!」


淫魔幼女 「そんな甘っちょろいことを言っている雑魚以下の魔王など、どうせ近いうちに殺されるだろう」

淫魔幼女 「ならいっそのことここで死ね」


幼女魔王 「……!」

幼女魔王 (本気の目だ……)

幼女魔王 (まずいわ。この人に本気で攻撃されたら、私なんてダメージ七桁は余裕でもらっちゃうじゃない!)

幼女魔王 「じょ、冗談よね淫魔幼女……」


淫魔幼女 「…………」


ヒュゴ


幼女魔王 「!?」




パコーン


豪華な椅子 に測定不能のダメージ!
豪華な椅子 は粉みじんになった……


幼女魔王 「ひっ……」


淫魔幼女 「…………」


ゾゾゾゾ


幼女魔王 (外套の手が、私に狙いを定めた……)

幼女魔王 「……あ、あの…………私……」


淫魔幼女 「……気がかわったか?」


幼女魔王 (……こ、怖い。死ぬより怖い目にあわされそう)

幼女魔王 (生き物としても、女の子としても終わりにされる。おぞましい何かにされる)

幼女魔王 (そんな恐怖に心を支配されてしまう。私、魔王なのに……あ、新米ヘタレ魔王か)

幼女魔王 (怖い人だと知っていたけど、実際に向き合うとここまでだなんて……)


淫魔幼女 「……時間切れだ」


幼女魔王 「ふひぇっ……!?」


淫魔幼女 「死……」


幼女魔王 「ま」

幼女魔王 「窓からジャーンプ!!」


ビヨンッ




ヒュルルル


幼女魔王 (殺される殺される殺される殺される!)

幼女魔王 (一緒にいるのも怖い。逃げなきゃ、遠くへ逃げなきゃ!)


ヒュルルル


幼女魔王 (……て、思わず飛び降りちゃったけど。どうやって着地するのよ!)

幼女魔王 「さささ、サモンナイ……じゃなかった、サモン触手!」


ボワン


美触手 「キュロロロ」


幼女魔王 「や、やった、出た!」


ヒュルル


幼女魔王 「て、いやあああ、落ちるう!」

幼女魔王 「助けてええ!」


美触手 「!!」


ヒュルルルルル

………

ドシン





幼女魔王 「……い、いてて」

幼女魔王 「あ、痛くない」


美触手 「キュロロロ」


幼女魔王 「美触手。あなたが助けてくれたのね」


美触手 「…………」


ペロペロ


幼女魔王 「きゃあ。……うふふ、ありがとう」

幼女魔王 「あれ、なめられると何か体がポカポカしてきた」


美触手 「…………」


幼女魔王 「て、こんなことしてる場合じゃないわね」

幼女魔王 「あいつはどこに……」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「……わ、私がいた部屋の外に、浮いてる」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「…………」


幼女魔王 「ひっ!」

幼女魔王 (目が合った。あんなに遠くなのに、心臓を握りつぶされそう……!)

幼女魔王 「に、逃げるわよ……!」


美触手 「キュロロ」


ダダダダダダ




ヒュオオオ ハタ バタバタ ハタタ


淫魔幼女 「……走って逃げた。別の世界に渡れば良いものを」

淫魔幼女 「……狐耳の気配はないが」

淫魔幼女 「さて、おれはどうするか」


ヒュオオオ


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「まあ良いか。もともとうまくいく見込みの低い旅だ」

淫魔幼女 「ここで自由にやって死んで終わるのもちょうど良いだろう」

淫魔幼女 「いろいろと……」


ヒュオオ バタ バタタ


…………




妖精の森 外れ



ヨタヨタ ズテッ ヨタヨタ


幼女魔王 「ゼヒッ……オヒッ……」

幼女魔王 「逃げ、に……うっ」

幼女魔王 「うおえええッ」


美触手 「キュロ……!」


幼女魔王 (走りすぎでおなかがブルブル震えてる……)

幼女魔王 「えれ、うえ、うう……走らなきゃ、あいつから逃げなきゃ」

幼女魔王 「私、魔王なのに、なんでこんなにみじめなの……」

幼女魔王 「そうよ。私、もともと魔王なんかじゃないもん。押し付けられただけだもん。こんなのできるわけないもん」


美触手 「…………」


幼女魔王 「もうやだ。魔王なんてやだ。魔王なんてやってるから、友達もできないんだもん」

幼女魔王 「きっとただの女の子だったら、触手だけじゃなくていっぱい友達ができて……」


美触手 「…………」


幼女魔王 「ご、ごめんなさい。せっかく助けてくれたのに」


美触手 「キュロロ……」


幼女魔王 「……ありがとう」




美触手 「キュロロ」


幼女魔王 「あなたは大好きな触手よ。不出来な私を守ってくれて、本当にありがとう」

幼女魔王 「……でも私、やっぱり私と同じ友達もほしいのよ。ううん、友達じゃなくていい」

幼女魔王 「一緒に手をつないだり、同じものを食べて美味しいねって、同じ言葉で話してくれたり」

幼女魔王 「そういう人が近くに欲しいのよ」


美触手 「キュロ……」


幼女魔王 「あなたたちがいて、食べることにも困っていないから言えるのね」

幼女魔王 「あの世界で魔王になる前は、こんなことで悩む暇なんてなかったもの」

幼女魔王 「でも、分かっていてもつらいのよ。あそこでずっと停滞したまま、腐っていきそうで怖い」

幼女魔王 「過去も未来もなく、ぜんぶから取り残されてしまっているみたいで怖い」

幼女魔王 「私は、わたしは何なの。どうして淫魔幼女と飛行船に乗っているのが、一番古い思い出なの」


美触手 「…………」


幼女魔王 「わたし、わたくしは……」

幼女魔王 「…………」


美触手 「…………」


グルグル


幼女魔王 「…………スピー」


美触手 「…………」


…………




中立の町 空に近い丘



ヒュウウ


アダンクパパ 「見てごらん。今日は青空に、異界の空がうっすらと見える」

アダンクパパ 「あの小さく見える世界に、私たちの子がいるんだよ」


アダンクママ 「ああ、私たちの可愛い子。別の世界でも元気にやっているのかしら」


ザワザワ ワイワイ


謎の紙袋頭 「くそ、やはりあのガキの世界は見えねえか」

謎の紙袋頭 「普通なら肉眼で月の何十倍も大きくとらえられる距離だというのに」


謎の馬頭 「それ以上無理をして飛ぶな。手足が完全についていないのだろ」

謎の馬頭 「……狐耳たちの結界。ここはひとまず正常にはたらいているか」


謎の紙袋頭 「オレたちに都合の悪いことばかり正常に働いてやがるのか」

謎の紙袋頭 「いったい、いつのまにこんなことに」




謎の馬頭 「さあな。いきなり結界が乱れて、あの世界の様子が分からなくなった」

謎の馬頭 「そして、いつまで経っても指定の場所に奴が現れず、完全に行方をくらませた」

謎の馬頭 「見事に出し抜かれたな」

謎の馬頭 「狐耳にたてつく度胸はないと思っていたが、なかなかやる」


謎の紙袋頭 「なにを落ち着いてやがる」

謎の紙袋頭 「こんな浅い小世界の奴に出し抜かれたとあっちゃ、笑いものどころじゃすまない」

謎の紙袋頭 「あの淫魔のガキ、首輪つけてちゃんとつないでおくべきだったんだ」


謎の馬頭 「そうすると狐耳としては都合が悪い」


謎の紙袋頭 「つまらないとか、そんなところだろ。それで面倒なことになっている」


謎の馬頭 「それもあるだろうが、あいつを追い込んでしまうとより面倒なのだ」




謎の紙袋頭 「何なんだ、あいつは」


謎の馬頭 「かつて、ある一つの世界が滅ぶ際の戦いに参加した、勇者側の一員だ」


謎の紙袋頭 「それは、お前や狐耳と学者もいたという戦いか」

謎の紙袋頭 「娘を救出するために、勇者が魔王の世界に殴り込んだという」


謎の馬頭 「勇者と魔王を筆頭に多くの実力者たちが死んでいった戦場から、奴は姫……勇者の娘をつれて生還した」

謎の馬頭 「たとえ戦わず逃げ隠れしていたとしても、あそこで生きていられたところでただものじゃあ無い」

謎の馬頭 「最低でも、そこらの魔王級ほどには力を有していると思ったほうが良い」




謎の紙袋頭 「普通の淫魔のガキじゃねえというわけか」

謎の紙袋頭 「まあ、そうか。魔法少女狩りなんていう無意味なこともしているしな」

謎の紙袋頭 「さっさと本部を潰しちまえば良いものを」


謎の馬頭 「そこは計算しているのだろ。それができるまでの力はまだ有していないと自覚している」

謎の馬頭 「詳しい出自は知らん。狐耳は知っているようだが、たしかに普通の淫魔の娘ではないらしい」


謎の紙袋頭 「付き合いの長いお前にも教えねえのか」


謎の馬頭 「大事な青春の思い出だそうだ」


謎の紙袋頭 「あん?」


謎の馬頭 「…どうでも良い話だ」




謎の紙袋頭 「そうかい」

謎の紙袋頭 「……で、どうすんだ。いつまでもここにいるわけにゃいくまい」

謎の紙袋頭 「お姫様の越界旅行作戦のために用意したのにガキ淫魔のせいで台無しになった……」



幼女魔王ちゃん専用お友達一人できるかなアイテム七十点セット



謎の紙袋頭 「このアイテムどもも、どうにかしねえといけない」

謎の紙袋頭 「なぜ友達一人つくるのに国一つ潰せそうな高級アイテムがこんなにいるんだ……?」


謎の馬頭 「……無闇に動くわけにもいかん」

謎の馬頭 「石像や学者が二人の居場所をつかむまで待つほかないだろう」




謎の紙袋頭 「くだらねえ時間だぜ。仮面にできそうな南瓜売っているかな、ここ……」


謎の馬頭 「…………」

謎の馬頭 「たしかに、空気が妙だ。あの世界が滅んだときのような……」

謎の馬頭 「大世界同士がまじわるときは、こんな感じなのか」


謎の紙袋頭 「それは、オレたちの世界が淫魔幼女を見失ったことに関係あるのか」


謎の馬頭 「さあな。淫魔幼女が、お前が帽子の男にやられてできたこちらの隙をついて」

謎の馬頭 「世界の乱れを隠れ蓑に何かをしかけただろうとは思うが」


謎の紙袋頭 「ふん。だからオレを殺せと言ったんだ」


謎の馬頭 「仕方のないことだ。真面目に戦おうとしないあれをどうにかするのは難しいだろう」


謎の紙袋頭 「……知っている風じゃねえか、あの帽子野郎のことを」


謎の馬頭 「俺の勘違いでなければな」

謎の馬頭 「奴もあの……」


デロデロデロデロ デデーン

デロデロデロデロ デデーン


謎の紙袋頭 「きたか」


謎の馬頭 「……連絡だ。何か分かったのかもしれん」


謎の紙袋頭 「早いじゃねえか。狐耳も、お姫様のこととなると焦ったか」


謎の馬頭 「学者はともかく、奴にそれは無いだろう」

謎の馬頭 「もしもし……」



…………

……




妖精の森 外れ



ツン ツン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「うう~ん……」

幼女魔王 (頬っぺたつつかれてる? 眠いのに……)


……ツン ツン


幼女魔王 「んん。ん~ッ……」

幼女魔王 (うーん、しつこいわね。寝かせてよ……)


ズボッ


幼女魔王 「ふこっ……」

幼女魔王 (鼻に何か突っ込まれた!?)




クニュ

クニュクニュクニュ


幼女魔王 「はにゅ……」

幼女魔王 (やわらかいものに鼻の中をくちゅくちゅかき回されてる。何なのよいったい)

幼女魔王 (やめ……くすぐった……)

幼女魔王 (……いえ、ううん、これ……)


クニョクニョ

クチュ クチュグチュ


幼女魔王 (……き)

幼女魔王 (気持ちいい……?)

幼女魔王 「は、はにゅ……ほにぇえー……」

幼女魔王 (鼻の奥にツンッってくる痛くすぐったさの奥で、甘くて後ろめたい感覚が……)


グチュグチュグチュ


幼女魔王 「はぇ……ほへっ、へっ……へふっ……にひゅふっ……」

幼女魔王 (知らなかった。鼻の中をこちょこちょかきまわされるの、こんなに気持ちいいなんて……)

幼女魔王 (だ、だめ……くすぐったくてつらいのに)

幼女魔王 (ずっと、この感じを味わっていたい……!)


グッチュ グチュグチュグチュ




クチョクチョクチョ


幼女魔王 「うッ……ぅふっ……はひゅっ……ひゅっ、ひひゅっ……」


グッチョグッチョ グチョグチョ


幼女魔王 「はへぇッ……へんっ、んふ……ふお、ぉほ……」

幼女魔王 (あ、くしゃみ出ちゃいそう……)

幼女魔王 (大きなくしゃみしたら、このくすぐったさから開放されるかも)


グチョグチョグチョ


幼女魔王 「はにょっ、ほにょ、お、おほふぉっ……おぉ……!」

幼女魔王 (で、でも……くしゃみしちゃったら、このむずむずと気持ちいい感じも吹き飛んじゃいそう……)

幼女魔王 (いいえ、やっぱり、くしゃみをした方が爽快で気持ちいいかも……)

幼女魔王 (いいえ、でも、やっぱり……いまの、これ、この……気持ちいいの終わりたくない……)


クチョ


幼女魔王 (!?)


クチョ クチョ


幼女魔王 「はふっ……ん、ふぅ……」

幼女魔王 (……かきまぜる力が弱くなった)




クチョ クチョ クチョ


幼女魔王 「……うふぅ……ん、ふぅ……ぅん……」

幼女魔王 (くしゃみ、できなかった)

幼女魔王 (おかげで気持ちいいのは続いているけど、何か残念、もどかしい……)


クチュ コチョチョ


幼女魔王 「ひゃふっ!? ふぐっ……あふっ、んっ……!」

幼女魔王 (な、なに……鼻がすごく敏感になってる)

幼女魔王 (もしかして、くしゃみをしたいのに引っ込めちゃったから?)


クッチョ クッチョ クッチョ クッチョ


幼女魔王 「はっ、はっ…ん、はぁっ……」

幼女魔王 「あっ、はへぁっ……へはぁあ、あ、あ……」

幼女魔王 「あ、あ、あ、あ、あ、あ……!」

幼女魔王 (出ちゃう……! 鼻の中、天井がむじゅむじゅして、くしゃみがあ……っ!)

幼女魔王 「はひゅっ……ふぁ、あっ……へ、へひゃ、は、はあっ」

幼女魔王 (……くしょん! て出したい! 出ちゃう!)

幼女魔王 「はあっ………!」


ゴリュッ


幼女魔王 「ぎゅくぅんっ……!?」

幼女魔王 (は、鼻の奥……! 乱暴に、一気に鼻の奥までえぐられた……!?)




ゴリュ ゴリュ ゴリィ


幼女魔王 「んぎゅっ! きぎゅっ! んぐ、にゅふぅっ……!」

幼女魔王 (い、痛い……そんなに何回も突かれたら……!)


ゴリュ ゴリュ ゴリュ ゴリィ ゴリュ


幼女魔王 「ぐっ、ぐひゅっ、ぐふっ、ふぐんっ……ふぅ……!」


ゴリュウ ゴリ ゴジュ ゴチュ


幼女魔王 「……ふっ、うぅ。うふっ……くふん……」

幼女魔王 (うそ、気持ちいい。さっきみたい……いえ、さっきよりずっと)

幼女魔王 (乱暴にされてるのに。ううん、乱暴にされてるからこそ……)


ゴジュ ゴジュ ゴヂュ グプヂュ

グプジュ ヂュヂュプ ブヂュ ブヂュ


幼女魔王 「ふほぉ、ぉ……ほおっ……ぉ、ぉ……!」

幼女魔王 (気持ちいい! 鼻の奥がツーンってなって 涙がとまらない!)


ゴリュウ


幼女魔王 「ぶぉむぉっ!?」

幼女魔王 (来た!? 一番すごいところ突かれた!)

幼女魔王 (気持ちいいのが鼻から目を貫いて、脳みそまで痺れちゃう……!)

幼女魔王 (何これ……怖い……気持ちいいのが鼻から突き抜けてくる。大きいのが、得体の知れない気持ちいいのが来る!)


ゴジュ プジュ ゴプポヂュ プチュウウ


幼女魔王 「もぼぉおっ! おも゛っ、も゛っ、ほも゛ぉおおおお……ッ!」

幼女魔王 「ふっひょ、ひょぼほっ……ほお゛っ、お゛、お゛……!」

幼女魔王 (いやあぁあ! くしゃみも来る、気持ちいいのくる!)

幼女魔王 (怖い……! 気持ちいい! やめたくない、こわい、気持ちいい……!)

幼女魔王 (も、う、もぉ……分かんない、怖い、気持ちいい!)




プヂュ プヂュ ボリュ ブグリュリュッ プジュ


幼女魔王 「んごっ……ぉほ、ほぉ! ぉ、ぉ、ぉ、ぉお、ぉ、お……!」

幼女魔王 (気持ちいい! 狂う、頭狂うぅうう……! んううぅうううう……!)

幼女魔王 「!! ッ!? ほぉっ……んほぉっ……お、お、ぉぉおおお……!」


ビクンッ ビクククッ ガクンッ ガクッ ガクガクガクッ


幼女魔王 「ぉ……おぉお゛ッ……ほぉッ、おっ……ぉ……」

幼女魔王 「ぉ、ぁお、おぉ……」


ビクッ ビクンッ


幼女魔王 「あお、ぉー………」


ピクッ……ピクッ……


幼女魔王 (…………)

幼女魔王 (…………ぁ?)

幼女魔王 (あれ、私、どうなっひぇ……)

幼女魔王 (あひゃ……あひゃひゃ……頭がはたらかにゃい)

幼女魔王 (えへへぇ……)

幼女魔王 (えへ……えへ……)

幼女魔王 (…………)


ドプッ


幼女魔王 「ふきょほおっ!?」

幼女魔王 (鼻の中で、何か出された!?)




ビュルルル ビューッ ビューッ


幼女魔王 「ほぉぉおお、ぁお、ぁお、おぉ」

幼女魔王 「ぉおぉおお、んお、お、おんぉ、おへぉおぉー……」

幼女魔王 (鼻のおく、熱い液が……ビュー、ビュー、て当たってる)

幼女魔王 (あったかい……。一番敏感なとこ、狙い撃ちされてる……)

幼女魔王 「……えへ、えへへえぇ。いいよほぉ……びゅーびゅー、あっひゃらくへ、気持ひぃー……」


ビューッ ビュルッ ビュルッ


幼女魔王 「ふへ、へえぇ……」


??? 「……えいっ」


ボゴッ


幼女魔王 「ほぅぐ!?」

幼女魔王 (おなか、殴られた……!?)




幼女魔王 「ひに゛ゃ、にゃに、何すんのよ、誰よ゛!」


??? 「ひっ……」


幼女魔王 「びっ……!?」

幼女魔王 (目の前に知らない女の子がいる)


??? 「あ、あの……」

可憐少女 「お、起きた?」


幼女魔王 「あ、う゛、うん゛……」

幼女魔王 (どうやら人間のようね)

幼女魔王 (戸惑ってるみたい。眉毛がゆるやかなハの字だし……)

幼女魔王 (もしかして、覚醒した私からだだ漏れる魔王のオーラに気おされている!?)

幼女魔王 (……何だかスパッツの中がじっとりして気持ちわるいわね。なぜかしら)

幼女魔王 (まさかおねしょ!?)


可憐少女 「あの……」


幼女魔王 (まずいじゃない! こんな人前で)

幼女魔王 (……鼻が詰まって頭が重たい。いったい何を出されたのかしら。というか、何を突っ込まれてたのかしら)

幼女魔王 (ん? 何かこれ……)

幼女魔王 「……く」


可憐少女 「?」


幼女魔王 「くっさい!!」




可憐少女 「ひぃっ……!」


幼女魔王 「ふんっ! ふんんん゛! ふん゛ーーーっ!」


ボプォ ビビュッ ベピュッ


幼女魔王 「ふうっ、ふうっ……あらかた鼻から出たわね」

幼女魔王 「何があったってのよ。美触手もいつの間にかいないし……」


可憐少女 「ごめんなさい……」


幼女魔王 「え!? あ、いえ……」


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「あ、あの、これ……」


幼女魔王 「?」

幼女魔王 (うねうねした不思議な花を一輪、手に持っている)

幼女魔王 (……この女の子、何だろう。おどおどしてて、すごく親近感がわいてくる)




可憐少女 「あなたを起こそうとしたの。この触手草で……」


幼女魔王 「触手草?」


可憐少女 「触手草は、この長くてやわらかいおしべたちで獲物の鼻をほじって」

可憐少女 「可憐な私の口からはとても言えない、ファンタジーでメルヘンチックで童話的な謎の液で無力化して」

可憐少女 「可憐な私の口からはとても言えない、ふしだらなめしべをゆっくり挿しこんで卵胞子をたっぷり注ぎ込むの」


幼女魔王 「え……」


可憐少女 「だ、大丈夫。めしべを突っ込む前に起こしたから」

可憐少女 「可憐な腹パンで……」


幼女魔王 「夜の池に思いっきり大岩ぶちこむような一撃だったんだけど……」




可憐少女 「だ、だって、卵胞子を注ぎ込まれたら、触手草の苗床になることしか考えられなくなるから」

可憐少女 「鼻から触手種液をドロドロ垂れ流すことに喜びを見出すだけの、触手草の奴隷になっちゃうから」


幼女魔王 「なっちゃうからって、あなた……」


パンパカパン


エンド分岐点 0-Dが開放されました


パンパカパン


幼女魔王 「……何か、すごく嫌なものが解き放たれた気がする」

幼女魔王 「そんな草つかわなくても、お腹にパンチだけで良かったじゃない」

幼女魔王 「いや、良くないけど……」


可憐少女 「そんな。ただ腹パンするなんて、ひどいじゃない」

可憐少女 「寝込みを触手草に襲われているところへ、しかたなく腹パンするんじゃないと道徳的に駄目でしょ……?」


幼女魔王 「私は道徳に殺されかけたんかい」

幼女魔王 (……まあ、魔王としてはあり得ないことじゃないというか、まっとうなことよね)

幼女魔王 (昔、徳をつんだ勇者が魔王を退ける物語をけっこう読んだことあるし)

幼女魔王 (……昔? 私、昔なんてあったのかしら)




可憐少女 「ご、ごめんなさい。私、こういうの慣れてなくて、パニックになって、分からなくなって……」


幼女魔王 「あ、ええと……」

幼女魔王 (パニック。何となく気持ちが分かるわ)

幼女魔王 (私も、人に話しかけられるとパニックになるし。事前に想定して練習してても結局、頭真っ白になるし)


可憐少女 「この森、凶暴な妖精や触手生物が出るから危ないし、本当にこうするしか無いと思ったの」


幼女魔王 (この子なりに、私を必死に助けようとしてくれたのね)

幼女魔王 (ちょっと不器用なだけ。ちょっと、そう、ほんのちょっと人見知りな私みたいに)

幼女魔王 (……て、何か気のきいたこと言わなきゃ。なぐさめつつグッとくる良い言葉を)

幼女魔王 (良い言葉、良い言葉、良い言葉、あわわわわ……)


可憐少女 「だから、その、あわわわわ……」


幼女魔王 「え、えっと、あわわわわ……」




パキ


可憐少女・幼女魔王 「!?」


幼女魔王 「だ、誰?」

幼女魔王 (モンスター、ううん、い、淫魔幼……)


可憐少女 「は、早くここから逃げよ!」


幼女魔王 「う、うん……!」


キュ


幼女魔王 (……あれ? あ、すごく自然に手をつないじゃった)

幼女魔王 (うふふ。えへへ)

幼女魔王 (……意識すると、ドキドキしてきた)


ギュウ


可憐少女 「…………!」


幼女魔王 「……ご、ごめん。強かった? 同じくらいの子と手をにぎるの慣れてなくて」


可憐少女 「う、ううん、私もそうだから」


幼女魔王 (やっぱり、そうなんだ……)


可憐少女 「手、小さいね……」


幼女魔王 「あ、あなただって」


可憐少女・幼女魔王 「…………」


可憐少女 「……うふふ」


幼女魔王 「……えへへ」


ガサッ


可憐少女・幼女魔王 「!?」

可憐少女・幼女魔王 「ひいいぃーー……ッ!」


ダダダダダダダダ




…………


勇者の砦の見える道



可憐少女 「ひい、ふう……」


幼女魔王 「ふひ、ふう……」


可憐少女 「ここまで来れば大丈夫。村の近くまでは、妖精やモンスターも追ってこないから……」


幼女魔王 「ひい……村?」


可憐少女 「あの村よ。今はたくさんの屈強な傭兵や戦士、騎士さまたちが、妖精や魔物の脅威から守ってくださっているの」

可憐少女 「勇者の砦と呼ばれているわ」


幼女魔王 「そうなんだ。もうモンスターにおびえなくて良いのね……」


可憐少女 「……あなた、もしかしてこの国の人じゃないの?」

可憐少女 「妖精と人の事情を知らない風だし」


幼女魔王 「……う、うん」


可憐少女 「あ、ご、ごめんなさい。責めてるわけじゃなくて……」


幼女魔王 「あ、うん。分かってる」


可憐少女 「……えへへ」


幼女魔王 「うふふ……」





可憐少女 「そうだ。その……宿が決まっていないなら、ええと、私の……」


幼女魔王 「え?」

幼女魔王 (も、もしかして……)


可憐少女 「い、家にこひゅ……来ないっ?」


幼女魔王 「…………!!!!」

幼女魔王 (い、家、いへ……お泊り!? い、いっきにしし、親友、いえ、魂友に……!?)


可憐少女 「ご、ごめんなさい。偉そうに言って……!」

可憐少女 「そ、その、ご飯とか泊まるとことか……粗末だけど、その……ごめんなさい、出しゃばって」


幼女魔王 「あ、い、いいいえ」

幼女魔王 「行く! 嬉しい! お願いします!」


可憐少女 「……!」


幼女魔王 「あ、で、でも私なんか……本当に、ええと、ご迷惑かもしれないけど、その……」


可憐少女 「! ううん、そんなことない!」

可憐少女 「来て! あなたに来てほしい!」


幼女魔王 「!」

幼女魔王 「う、うん……!」




テク テク テク


幼女魔王 「……えへへ」


可憐少女 「……うふふ」


幼女魔王 (ああ、夢みたい。同い年くらいの子とこんなふうに手をつないで歩くなんて)

幼女魔王 (苦労しても全然できなかったのに、こんなにあっさり……)


可憐少女 「帰ったらさっそくご飯にしよっか」


幼女魔王 「わ、私もお手伝いするわ。この国のお料理はよく分からないけど……」


可憐少女 「ありがとう。い……一緒につくろうね」


幼女魔王 「! うん……!」

幼女魔王 (一緒にお料理。魂友どころか、来世友決定してしまったわ)


可憐少女 「うふふ……」

可憐少女 「あ、もうすぐ着くわよ」


幼女魔王 「うん。へえ、すごい。本当に立派な砦みたい」

幼女魔王 「勇者の砦かあ」

幼女魔王 「勇者の……」

幼女魔王 (……あ)

幼女魔王 (あっちゃー……)




幼女魔王 (勇者の砦なんて……ローパーの胃袋に飛び込むようなもんじゃないの)

幼女魔王 (何がモンスターにおびえなくて良いのね、よ。あはは……)

幼女魔王 (…………)

幼女魔王 (やっちまったわ……)


可憐少女 「……? どうしたの、足、痛くなった?」


幼女魔王 「わへ!? ……う、ううん。ちょっと砦がすごくて、見とれてただけ」


可憐少女 「うふふ、すごいよね。ちょっと足場とかごちゃごちゃしてるけど」

可憐少女 「迷いやすいから、あの、ふ……ふた、二人で、離れないようにしようね!」


幼女魔王 「! うん……!」

幼女魔王 (そうよ、命より友情。当たり前のことをすっかり忘れていたわ)

幼女魔王 (神友のためならこんな命、ゴミのようなものよ。えへへ……)


ギイイイ ゴオン

ガヤガヤ ワイワイ


…………



※番外「暑中お見舞い」



http://i.imgur.com/0MbXTcJ.jpg



幼女魔王 「暑中お見舞い申し上げます」

幼女魔王 「セミたちは猛り、夏まっさかりですが」

幼女魔王 「いかがお過ごしでしょうか」


幼女魔王 「私はピンチです」



また卵産み付けられてしまうん?



砦の町 七階 汗と酒の通り



腕の無い戦士 「げぇっぷ、ういぃ~。酒ぇとってくれえ」

腕の無い戦士 「おめえには手があるんだからよお。おれぁ、酒瓶も持てやしねえ」


足の無い戦士 「無理だあ。取ってこようにも、そこまで行く足がねえ」

足の無い戦士 「妖精どもめ、いつかみんなぶっ殺して潰してこねて足にしてやる」


ワイワイ ワハハハ ドヨドヨ


幼女魔王 (縦に入り組んだ町を、可憐少女に連れられるままに歩いて来たけど)

幼女魔王 (このあたり、すごく空気が淀んでいるわ。まだ日が高いっていうのに)


可憐少女 「あまりきょろきょろしたら危ないよ」

可憐少女 「ここでは、誰とも目をあわせちゃだめ」


幼女魔王 「う、うん」




可憐少女 「最初はこんなところじゃなかったんだけど……」

可憐少女 「妖精との戦争で兵士や傭兵が集まって」

可憐少女 「その中でも、その……ひどい人たちがここに……」


幼女魔王 「そ、そうなんだ……」


可憐少女 「ごめんね。私、こんなところにしか家をもてなくて」

可憐少女 「もといた区画は、お金、たくさん払わなきゃいけなくなって」

可憐少女 「パパとママ、いないから……」


幼女魔王 「! そうなの……」

幼女魔王 「気にしないで。おうちに呼んでもらえるなんて嬉しい」

幼女魔王 「私も、両親いないし……」




可憐少女 「そうなんだ……」

可憐少女 「私たちって、その……」


幼女魔王 「うん……」


可憐少女 「に、似てるのかもね」


幼女魔王 「う、うん……!」


可憐少女・幼女魔王 「……えへへへへ」


バアン パリン


店主 「さっさと出ていきやがれ、貧乏人!」


老兵 「そ、そこをどうか、パンひときれだけでも……」


店主 「小麦ひとつぶ分も働けないゴミが何を言う!」

店主 「ほらよ、荷物持って消えな!」


ブン ガチャン


老兵 「ああ、わしの剣が折れてしまった!」

老兵 「な、なんてことを。これじゃあもう戦うこともできない……」


店主 「ははは、そんなもんで何ができるってんだ!」


ワイワイ ガヤガヤ


幼女魔王・可憐少女 「ひいいい!」


タッ タッ タッ タ


 



貧民街 可憐少女の家



キイイ バタン


可憐少女 「ようこそ、私のお城へ」

可憐少女 「なんちゃって……」


ドシン バスン ワハハハハ


幼女魔王 「!」


可憐少女 「だ、大丈夫よ。壁が薄くて、隣が酒場だから、音がちょっとひどいだけだから」


幼女魔王 「う、うん」


ドガアン


大男 「うわああ!」


ドシン パラ パラ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 (壁を突き破って人が倒れ込んできた)

幼女魔王 (壁の穴の向こうに汚い酒場が見える……)




大男 「うーん、いたた」

大男 「酔っ払いめ、お客様だからって調子に乗って……」

大男 「やあ、可憐少女」


可憐少女 「あ、あの」


幼女魔王 「…………」


大男 「おや、そっちのいやらしいピンクの髪の子は誰だい」


幼女魔王 (いやらしいて……)


大男 「娼婦の子かい?」


可憐少女 「ち、違う!」


大男 「あん?」


可憐少女 「ち、違います……」

可憐少女 「その、友達で……」


大男 「……ふうん」




大男 「まあ良いや。ちゃんと壁をふさいでおくんだよ」

大男 「こんな小汚い部屋が見えちゃあ、酒場の評判が落ちちまうから」


幼女魔王 「なっ……!」


可憐少女 「それは……はい……」


大男 「それから、そっちの子」


幼女魔王 「何でしょう……な、何かしら」


大男 「良かったね。あとで酒場に来ても良いよ」

大男 「雇ってもらえるよう、ぼくが頼んであげるよ」


幼女魔王 「い、嫌です。働きたくな……いえ、そんな、いきなり……」


大男 「どうして?」


ゴガッ ガパン


幼女魔王 「!」

幼女魔王 (近くにあった椅子を蹴り壊した。可憐少女の家のものなのに)


大男 「大人の男が雇ってあげるんだ。ガキの女は黙って来ないと」


幼女魔王 「ひっ……」




可憐少女 「あ、あの、本当にやめてください!」

可憐少女 「この子はこの町に来たばかりで……」


大男 「んん……!?」


可憐少女 「きゃあっ!!」


幼女魔王 (男の人がゆっくり手を振り上げたら、可憐少女が腰を抜かして震えだした……)


可憐少女 「ご、ごめんなさ……」


大男 「だめだだめだ、だめだよ」

大男 「ご両親がいないから、かわって、ちゃんとしつけをしてあげていたつもりだけど」

大男 「口答えなんて嘆かわしいなあ。悲しいけれど、おしおきをしよう」


可憐少女 「ひい……」


幼女魔王 「…………!」

幼女魔王 「おいで、美触……」


??? 「これ、その辺にしたらどうかね」




??? 「女性、子供は宝だと教えただろう」

牧師 「大男くん」


幼女魔王 (壁の穴から誰か入ってきた。何となく、何かしらの宗教関係の人みたい)


大男 「こ、これは神父さま。来ていらしてたんですか!」


牧師 「牧師だよ。私は序列が嫌いなんだ」

牧師 「これも、教えたことだね」


大男 「は、はい……!」


牧師 「やれやれ、角がとれたのは話し方だけで、中身のほうはまだまだだ」

牧師 「ほら、彼女たちに謝って」


大男 「は、はい!」

大男 「ごめんよ可憐少女、ピンクくん。僕はどうかしていたんだ」

大男 「このとおり、謝るよ。ごめん」


幼女魔王 (宗教関係らしい人の言うことに、素直に従った……)




大男 「さあ、仲直りの握手をしよう」


可憐少女 「え……」


幼女魔王 (そんなの、すんなりできるわけないじゃない……)

幼女魔王 (なんて、怖くて言えない)


大男 「どうしたんだい、握手だよ、握手。握手!」

大男 「まさか、僕が頭を下げてやったのに……」


牧師 「大男くん……?」


大男 「あ、い、いえ」

大男 「そ、そうだね、無理にとは言わないよ」

大男 「でも、謝りたい気持ちの大きさは本物なんだ」

大男 「じゃ、じゃあね。壁、よろしくね」


ノシッ ノシッ ノシッ




可憐少女 「…………」


牧師 「すまないね」


可憐少女 「いえ、そんな……」


牧師 「彼も、まだちょっと矯正が足りないようだ」


幼女魔王 (ちょっと?)


牧師 「壁の穴については任せておくれ」

牧師 「ちょうど知り合いの職人が飲みに来ているし、頼んでみよう」

牧師 「駄目だったら、私が責任をもって穴をふさがせてもらうよ」


可憐少女 「そ、そんな、神父さまにそのようなこと!」


牧師 「牧師だってば」

牧師 「大丈夫、穴をふさぐのは得意なんだ」


幼女魔王 「…………!」


牧師 「人の心の穴をふさぐのも、壁の穴をふさぐのもね」


可憐少女 「……は、はい」


幼女魔王 (穴をふさぐ、でちょっと変な想像しちゃった私がかなしい)

幼女魔王 (淫魔幼女の考え方に毒されてしまったのね。おのれ淫魔幼女)




牧師 「君も大変だね」

牧師 「お父さんとお母さんをなくして、ひとり暮らしだって?」


可憐少女 「い、いえ……」


牧師 「頑張って生きなさい。うまくいけば今の経験は、きっと君を強くしてくれる」

牧師 「人生とは辛いものだ、苦しいものだ。それでも、光を見失わずに生きるんだよ」

牧師 「嘘でも良いから、自分はひとりではないと思い込むんだ」

牧師 「遠く至上のかたは、きっとそれを優しく見守っていらっしゃると思って」

牧師 「近くなら、私でも良い」


可憐少女 「神父……牧師さま」


幼女魔王 「…………」


牧師 「これは教会に足を運んでくれる人には言えないことだけれどね」

牧師 「教会に来ることもできない者にこそ、救いは必要なんだ」

牧師 「だから私は、こうやって町を歩いて回っている」

牧師 「決して、さぼって酒を飲みたいというわけじゃないぞ」


可憐少女 「……ふふ」


牧師 「どうしても辛いときには、私のところにおいで」

牧師 「祈る必要はない。気がすむまで泣くだけで良い」

牧師 「私も話を聞こう。もちろん、誰にも話さない」

牧師 「疲れた旅人の木陰のように、困っている人に寄り添うこと。それが私の仕事であり、誇りであり、よろこびだ」


可憐少女 「ううっ……。はい……グス」


幼女魔王 「ぼ、ぼくじざま……ズビー」


牧師 「ははは……うん、ちょっと話しすぎたな。酒にはあまり強くなくてね」

牧師 「それじゃあ、また」


カツ カツ カツ





その頃の
淫魔幼女氏


http://i.imgur.com/gdxuXhr.jpg



淫魔幼女 「……はい、こちら魔法少女バスターです」


猫耳蛇娘 『もしもし、わしわし』

猫耳蛇娘 『ちょいと魔法少女ハントのバイトがあるんじゃが』

猫耳蛇娘 『ひと狩りいかん?』


淫魔幼女 「いいよ」


あいた時間で狩り友と
異世界へ魔法少女狩りに行くもよう。




>739
生物的本能が著しく欠乏しているかた、
または嫌悪していらっしゃるかたは、
閲覧注意でお願いいたします。



三日後 

砦の町 貧民街 雨漏り井戸の広場



白歴史ガール 「多くの人が、自分の暮らす世界が」

白歴史ガール 「大きな世界にたくさん存在する小さな世界のひとつであることを知らないけれど」


黒歴史ガール 「ほとんどの世界から機械、装置的なものが嫌われ」

黒歴史ガール 「魔法を用いた蒸気機関が辛うじて働くくらいだということは」

黒歴史ガール 「さらに多くの人が知りません」


チュン チュン チチチ

カコン コォーン ポチャ


幼女魔王 「……水のにおい、雨が腐ったようだわ。なかなか慣れないわね」

幼女魔王 「集まる鳥たちも、どこかやさぐれて色あせてる」

幼女魔王 「貧民街では、水さえ満足に飲めないのね」






ギシ ガララ カラララ


幼女魔王 「でも、そんなのどうでも良いわ」

幼女魔王 「私に……と、友だちができたんですもの」

幼女魔王 「淫魔幼女はきっと血眼になって私を探しているのでしょうけど」

幼女魔王 「少しも怖くないわ。何も怖くないわ。うふふふふ……」

幼女魔王 「ふへへへへへへ。ふひゅっ」

幼女魔王 「プヒュヒュヒュ。ドゥフッ……ンンッ。ムフフフ」


ガラ ガラ ギシ……


幼女魔王 「よいしょっ……おえっ」

幼女魔王 「本当にひどいにおいの水」

幼女魔王 「……可憐少女ちゃん。私が正体をあかして私の世界……お城に招待したら、来てくれるかしら」




貧民街 つたの這う路地


ヨロヨロ


幼女魔王 「森と野原とお城くらいしかない小さな世界だけど、ここより水も空気もだんぜん綺麗だし」

幼女魔王 「お金もある方だと思うし、いざとなったら食料は淀みに狩りにいけば良いし。スライム以下の獣とか、果物とか……」

幼女魔王 「お城、廃墟同然だけど可憐少女ちゃんの家よりひろいし、暮らせないわけじゃないし」

幼女魔王 「二人で力を合わせれば、きっと、ちゃんと生活できるはず」


ヨロヨロ


幼女魔王 「……駄目だわ。淫魔幼女は私の世界の場所を知ってるもの」

幼女魔王 「二人いっぺんに生皮をはがれて、肉体は便器、皮は便座カバーに加工されて二枚ひと組二束三文で売りさばかれるに違いない」

幼女魔王 「魔法少女の活け造りとか生きオブジェとか売っているような人だもの」


ガサッ


幼女魔王 「ひっ!?」




寄生ゴキブリ 「カサカサカサカサカサカサカサ」


カサカサカサカサカサカサカサカサ


幼女魔王 「な、なんだ、ゴキブリ……」

幼女魔王 「黒っぽいから淫魔幼女かと思った」


ボワン


美触手 「…………」


幼女魔王 「ええっ!?」

幼女魔王 「と、思わず呼んじゃってたのね」

幼女魔王 「あはは、人がいなくて良かった」

幼女魔王 「……ん?」


カサカサカサカサカサカサカサ





寄生ゴキブリたち 「ミョンミョンミョンミョン」


カサカサカサカサミカサカサカサ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (ゴキブリたちが私の靴の上を這っている)

幼女魔王 (ひいいいいいいい!?)

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (あ、あれ。なんで私……)


ペタン


幼女魔王 (……尻餅ついちゃった。足に力が入らない!)

幼女魔王 (体が動かない。声も出ない……!)


寄生ゴキブリ 「カサカサカサカサ」


カサカサカサカサ

ミョンミョンミョンミョン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (うそ。こんなときに、意識が朦朧と……)


カサカサカサカサ


幼女魔王 (あ、腿まできてる。靴の中で這ってる……)

幼女魔王 (なんだ、まだ感覚はあるんだ)

幼女魔王 (なんて、何をぼんやり考えているのよ。逃げないと……)

幼女魔王 (あ、スパッツの中にきた……)


カサカサカサカサカサ




寄生ゴキブリたち 「カサカサカサカサ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (…………)


寄生ゴキブリたち 「ミョンミョンミョンミョン」


幼女魔王 「…………」


カサカサカサカサ


美触手 「…………クルル」


キイイイイイ


寄生ゴキブリ 「…………!!」




寄生ゴキブリたち 「!? ッ! ッ!?」


カササササ……


美触手 「クュルル」


ビシッ


寄生ゴキブリたち 「!!」


ベチャ グチャッ メチ ミチュッ


潰れた寄生ゴキブリ 「…………」


幼女魔王 「…………う」

幼女魔王 「うーん……?」

幼女魔王 (美触手が、壁や地面を逃げ回るゴキブリたちを叩き潰してる)

幼女魔王 (路地をぼんやりと照らす、三対六本の触手が綺麗だわ。発光するんだ。へえ……)


キイイイ


幼女魔王 (不思議な高い音。美触手が出しているのかしら)

幼女魔王 (そういえば、ゴキブリに襲われたときに違う音が鳴っていたような……)




グチャッ


美触手 「…………」


幼女魔王 (終わったみたい)


美触手 「クルル」


幼女魔王 (触手で撫でられた)

幼女魔王 (ゴキブリを叩き潰した触手で……)

幼女魔王 「あははは……心配してくれているのね。ありがとう」

幼女魔王 「もう怪我はすっかり良いのね」


美触手 「…………」


幼女魔王 「……怪我?」

幼女魔王 「あなた、怪我なんてしたことあったかしら」


美触手 「クルルル……」


幼女魔王 「…………?」


デロリロデロリロデロリロ

デデーン


幼女魔王 「!?」




幼女魔王 「なに、何なの今の音!?」

幼女魔王 「呪われた? 私、呪われた!?」



幼女魔王 の レベルが 上がった!


レベル:0000002

レベル:0000003



幼女魔王 「いえ、さては私のレベルが上がった音ね。きっと、勇者たちにとっての絶望を表す音なのよ!」

幼女魔王 「そうよ、戦闘に参加していたから経験値が入ったんだわ」

幼女魔王 「私、やられてただけだけど!」

幼女魔王 「……感じる。感じるわ、何か新しい、私にふさわしい力の胎動を」

幼女魔王 「うふふふ。いやあ、まいったなあ。親友はできるしレベルが上がっちゃうし、これ、私の時代きちゃったかなあ」



幼女魔王 は 新しい力を身につけた!

幼女魔王 は 能力20%ダウン をおぼえた!


※「能力20%ダウン」
自身の全ステータスが20%減少するスキル。
おぼえたときから、装備しなくても常に発動する。



幼女魔王 「ふふふっ。うふふふふ……!」





幼女魔王 「ニュフフ」

幼女魔王 「……でも、町の中でこんな目にあうなんて。モンスターよね、あのゴキブリたち」

幼女魔王 「うーん、おっかないわ」


美触手 「…………」


幼女魔王 「と、ボーッと悩んでいる場合じゃないわね」

幼女魔王 「ありがとう美触手、また助かったわ。もとの世界に戻って休んでね」


美触手 「…………」


幼女魔王 「…………?」

幼女魔王 (じっと一点を見つめて動かない)

幼女魔王 (どうしよう。美触手を誰かに見られたら……)




幼女魔王 (しかたない。ここはハーピィやサトリも欺き通す渾身の嘘をつくしかないわ)

幼女魔王 「ね、ねえ……そういえば田舎のあなたのお婆ちゃんから」

幼女魔王 「美味しいベッタラ漬けがあるから超エクスプレスで帰ってこいって手紙が……」


美触手 「…………」


幼女魔王 「だ、駄目だ。聞いていない。これじゃあ完璧な嘘も意味がない!」

幼女魔王 「どどどど、どうしよう。誰かにみつかったら私が人間側じゃないってばれちゃう」

幼女魔王 「どうも人間至上主義らしいこの町でそうなったら」

幼女魔王 「たぶん素っ裸で卵スライムの巣に飛び込むより辛い仕打ちをうけるに違いない!」

幼女魔王 「わーん! お願い、戻って。戻ってよう美触手ー!」

幼女魔王 「言うこと聞いてくれたら、これからずっとなんでも言うことからあ……!」


美触手 「……クュ」


ズズズズズ


幼女魔王 (一点を見つめたまま、自分の影に沈むように去っていった)

幼女魔王 「よ、よかったあ……」




幼女魔王 「さてと、可憐少女ちゃんの家に戻りましょう」

幼女魔王 「うふふ。親友と二人で朝ごはんをつくるなんて、ちょっと前まで想像もできなかったわ」

幼女魔王 「しかも、親友と一緒に働いて、親友と二人でお風呂に入って、親友と一緒のベッドで寝て……」

幼女魔王 「……て」


空の桶


幼女魔王 「いけない、今のどさくさで落としちゃってたのね。汲みなおさなくちゃ」

幼女魔王 「あのくさい井戸で……」




貧民街 雨漏り井戸の広場



ノロ ノロ ノロ


幼女魔王 「い、急がなくちゃ」

幼女魔王 「今日はお客さんの多い日だから、早くお店に行かないといけないのに」

幼女魔王 「のんびりしてたら朝ごはん食べる暇がなくなっちゃう」

幼女魔王 「……あら?」


大男 「…………」


幼女魔王 (大男さまがいるわ。何かを探しているみたい)

幼女魔王 (……大男さま、だなんて。私が働かせていただいてる酒場の偉い人というだけじゃない)

幼女魔王 (こっちは魔王なのよ)


大男 「…………!」

大男 「おやあ、君か」


幼女魔王 「お、おはようございます大男さま」

幼女魔王 (……身体が自然と土下座してしまった)




大男 「うんうん、ちゃんと目上の者に対する挨拶ができるようになったね」


幼女魔王 「は、はい」


大男 「…………」


幼女魔王 「…………」


大男 「誰のおかげかな!?」


幼女魔王 「ひっ……!?」


大男 「くふふ。ひっ、じゃないよね」


幼女魔王 「お、大男さまにつきっきりでご指導いただいたおかげです!」


大男 「うんうん」

大男 「君のように掃除どころか挨拶ひとつできない愚かでバカな子供を」

大男 「しっかり躾けてあげるのは良い行いだからね」


幼女魔王 「は、はい……」

幼女魔王 「…………」


大男 「んん!?」


幼女魔王 「お、愚かな幼女魔王をたくさんしつけてくださり、ありがとうございます!」


大男 「うんうん、お礼は大事だよね。くふふふ」


幼女魔王 (水、くまなきゃいけないのに……)




大男 「おや、その桶は……」

大男 「水をくみにきたのかい?」


幼女魔王 「は、はい」

幼女魔王 「朝ごはんのために……」


大男 「しかたない、僕がやってあげるよ」


幼女魔王 「あ、あの、あ、ありがとうございます、でも、自分で……」


大男 「僕が、やって、あげるよ……!」


幼女魔王 「ひっ……!」


大男 「それとも、僕の善行を邪魔するのかな!?」


幼女魔王 「お、おね、お願い……しま……」


グイッ


幼女魔王 「あっ……」

幼女魔王 (桶をひったくられた……)




大男 「……うんうん!」

大男 「善行を邪魔するのは悪いことだからね。悪魔のすることだからね?」


幼女魔王 (ご、ご機嫌を損ねないようなことを言わなきゃ……)

幼女魔王 「は、はい、大男さまのおかげで幼女魔王は悪魔にならずにすみました……」

幼女魔王 (私、魔王だけど)


大男 「うんうん。人の善行に気づいて感謝することは大切だからね」

大男 「今のは偉いぞお、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「あ、ありがとうございます……」


大男 「お、また気づけたね。進歩してきたね、偉いぞお!」


カン コオン ポチャン




ギシ ギシ カラカラカラカラ


大男 「よし、くめたよ」


幼女魔王 (私よりすごく早く水くみしてくれた)

幼女魔王 (大男さま、私をぶったりするけど良い人なんだわ)

幼女魔王 (そうよ。ぶたれるのも、私がトロいからだし……)

幼女魔王 「ありがとうございます、大男さま」

幼女魔王 「それじゃあ、失礼しま……」


大男 「じゃあ、僕の探し物にうつろうか」


幼女魔王 「え……?」


大男 「僕の探し物だよ。この辺にいる……あると思うからよく探してね」


幼女魔王 「で、でも朝ごはんが……お店にも遅れるし……」


大男 「何を言っているんだい!?」


幼女魔王 「ひっ……」


大男 「探し物が見つからないと僕も店に遅れるんだよ!? 僕が遅れても良いのかい!?」

大男 「床磨きの君と、僕、どっちが仕事ができるかな!? どっちが大事な仕事をしているかな!?」


幼女魔王 「そ、そ……」


大男 「僕は君の用事を手伝ってあげたよね」

大男 「じゃあ、僕の用事を手伝うのは当然じゃないかな?」

大男 「それとも、君はそこまで恩知らずの恥知らずなのかい!?」


幼女魔王 「う、うう……グスッ」

幼女魔王 「て、手伝います……」


大男 「…………」


幼女魔王 「ど、どうか、大男さまの偉大なご恩に、少しでもむくいさせてください……」


大男 「……うんうん!」




幼女魔王 「あの、何を探せば良いのでしょうか」


大男 「それは言えないよ」


幼女魔王 「……え。で、でも、何かわからないと探しようが……」


大男 「恩にむくいたい人間が、立ったまま探し物をするかな!?」


幼女魔王 「ひっ……!」


ペタン

ガサ ガサ ゴソ


大男 「うんうん、普通はそんな風に四つん這いで探すよね」


幼女魔王 「は、はい」

幼女魔王 (みじめな朝だわ……)

幼女魔王 (早く夜にならないかしら。可憐少女ちゃんと一緒のベッドで眠るのが、一番安らぐ時間よ)


ガサ ガサ ゴソ


大男 「…………」




大男 「幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「は、はい」


大男 「制服のスカートの丈、言ったとおり短くしたかい?」


幼女魔王 「……はい」

幼女魔王 (本当は嫌なのよね。私の普段の服も丈が短いけど)

幼女魔王 (仕事のときに着るメイド服、下にスパッツはけないし……)


大男 「うんうん。君みたいに、ただでさえお客さんの目を不愉快にさせる貧相な身体の子は」

大男 「そのくらいしないとね。君はまあ、足はマシだから、足は……」


幼女魔王 「は、はい……」


大男 「…………」

大男 「……そうだ」


幼女魔王 「……?」


大男 「おしおきをするから、むこう向いて立ちなさい」




幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「ど、どうして」


大男 「えーっと……うん」

大男 「僕にお尻を向けて探し物をしたからだよ」


幼女魔王 「……え?」


大男 「さっさと立てえ!!」


幼女魔王 「は、はい……!」


大男 「恩人にお尻を向けて探し物するなんて、何を考えているのかな!」

大男 「それに君、この朝の短い時間だけで何回、僕のお説教を受けたのかな!」

大男 「そんな愚か者におしおきするのは、当然の躾じゃないかな!?」


幼女魔王 「は、はい。当然のしつけです……」


大男 「うんうん。じゃあ、叩きやすいようにスカートのお尻をめくって」


幼女魔王 「……はい」

幼女魔王 「…………」


大男 「うんうん。うふふふ」

大男 「せーの……!」


幼女魔王 (早く一日が終わりますように……)


パアンッ


……………




貧民街 可憐少女の家前


キャンキャン ドヤドヤ


幼女魔王 「……いてて。あの人、本気でぶつんだもの」

幼女魔王 「しかも変に撫で回しながら……やめましょ、思い出しただけで鳥肌がたっちゃうわ……」

幼女魔王 「どうしよう、すごく遅くなっちゃった。結局探し物っていうのも見つからないし」

幼女魔王 「……私が変なゴキブリにつかまらなければ、あんなこともなかったんだわ」

幼女魔王 「もう朝ごはんの時間、ないわよね。可憐少女ちゃんに何て言って謝ろう」

幼女魔王 「今度こそ怒られちゃうかしら、嫌われちゃうかしら」

幼女魔王 「嫌だな、怖いな……」


ガチャ




可憐少女 「?」

可憐少女 「あ、幼女魔王ちゃん、おかえりなさい」

可憐少女 「…………!」


幼女魔王 「ただいま……」


可憐少女 「どうしたの!?」


幼女魔王 「ひっ。遅くなってごめ……」


可憐少女 「大丈夫!? 目の周りが赤くなってる。泣いてたの? 服も汚れて……」

可憐少女 「何があったの、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「う、うん。ちょっと……」

幼女魔王 「でも、何でもないわ。それより、遅くなってごめんなさい」


可憐少女 「そんなこと……幼女魔王ちゃんが無事で良かったわ」


幼女魔王 「か、可憐少女ちゃん……」


可憐少女 「身体きれいにして着替えよう。そろそろお店の時間だわ」

可憐少女 「お芋ふかしておいたから、食べながら行こうね」


幼女魔王 「う、うん……!」




貧民街 ブラック酒場



ガチャガチャ キン キン

ドワハハハ


密猟者 「姉ちゃん、知ってるかい。なんでも今朝、この町で女の死体がふたつ見つかったらしい」


無顔仮面エルフ 「……物騒な話じゃな。しかしこの町では珍しくもなかろうよ」


密猟者 「だがおかしいんだよ。その女ども、別々の場所で見つかったんだが、異形の卵をたくさん産み付けられていて」

密猟者 「そのくせ、幸せで笑い狂ったような壮絶な死に顔をしていたらしいぜ」


無顔仮面エルフ 「…………」


密猟者 「狙われているのは女だ。どうだい、報酬さえくれれば、俺が護衛してやるよ」

密猟者 「金がないなら別の方法でも良い。な、悪いことは言わねえ……」


ヒュンッ


密猟者 「?」

密猟者 「………うわっ!?」


無顔仮面エルフ 「……鼻先に剣が来てもしばらく反応できん者に、私の護衛はつとまるまい」

無顔仮面エルフ 「剣を向けた侘びとして酒を一杯おごろう。そこで飲んでおれ」

無顔仮面エルフ 「ではな」


カツ カツ カツ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (街中にモンスターが出没しているのかしら……)




幼女魔王 (どうしよう、もし可憐少女ちゃんが襲われたら……)


キュッキュッ キュッキュッ


子供さらいA 「……へへへ、今日も床を磨いてるぜあの桃色のカワイ子ちゃん」


子供さらいB 「おーい、お嬢ちゃん」

子供さらいB 「そんな短いスカートじゃ、お尻まるだしだぜえ!?」


子供さらいA 「悪い子供さらいにさらわれて、売られちゃうよお!?」


幼女魔王 「……!!」

幼女魔王 「ううっ……」


酒運び 「こら、尻をおさえて何してる。ただでさえ役立たずの小さな手のくせに、片手で床がみがけるのか!」


幼女魔王 「ご、ごめんなさい……」


キュッ キュッ


子供さらいたち 「へへへ……」


幼女魔王 (くっ、せめてスパッツを履けたら……!)


キュ……

ドンッ


幼女魔王 「きゃっ……!」





酔っ払い 「痛っでえな、このガキ。ボーッとしやがって!」

酔っ払い 「てめえみたいのが、冒険じゃパーティ全体に迷惑をかけるんだ!」


幼女魔王 「ご、ごめんなさい……」


酔っ払い 「あー、あー、高い金を払って買った酒がこぼれちまった」


幼女魔王 「ごめんなさい。すぐにかわりを……」


酔っ払い 「この酒が飲みたかったんだよお!」


バシンッ


幼女魔王 「きゃんっ」

幼女魔王 (頬っぺた叩かれた)

幼女魔王 「ご、ごめ……」


ドカッ


幼女魔王 「ぐえぇっ……!?」

幼女魔王 (お腹を蹴られ……)


ドカッ


幼女魔王 「ごぎゅっ……!?」

幼女魔王 (ま、また、お腹……)


ドカッ


幼女魔王 「ぇごおっ……!!」


酔っ払い 「クソガキが!」

酔っ払い 「今! この! グラスに! つがれた!」

酔っ払い 「この! 酒が! 飲みたかったんだよお!」


ドカッ ドカッ ドカッ バシッ 

バシッ ドカッ ドカッ ドカッ

ドカッ ドカッ ドカッ ドカッ


幼女魔王 「……! ……!? ……!!」

幼女魔王 (はやく夜になりますように。はやく夜になりますように。はやく夜に……)





傭兵A 「おー、荒れてるね、あのおっさん」


傭兵B 「年下のパーティリーダーから追放された上に女にも逃げられたらしい」


傭兵C 「それで、子供に八つ当たりか。へへへ、みじめだねえ……」


酔っ払い 「おらっ、おらっ!」


ドカッ ドカッ ドカッ ドカッ


幼女魔王 「カヒュッ……! コヒュッ……!」


酔っ払い 「おら、謝罪の証に吐けメスガキ!」


メリィッ


幼女魔王 「おごぇ……!!?!?」

幼女魔王 「ぇぷ……ぅぶぉッ……ごぼぉおおぉ……!!」


ゴパッ ビシャッ


酔っ払い 「ふひひひひ、俺さまの思うままだ……」

酔っ払い 「モンスターに女どもは、大人も子供もこんな風に俺様に従ってりゃ良いんだ」

酔っ払い 「なのに、あのくそガキ少女戦士が、くそっ、くそっ……!」

酔っ払い 「おらっ、おらっ……!」


ドカッ ドカッ ドカッ


幼女魔王 「ごぼっ! ごべんなざっ! 許じ……ぉぐッ! 許じでぇ゛っ! うぷっ……」


ビシャッ ビシャッ


酔っ払い 「ひひひひひ……!」


ドカ ドカ ドカ ドカ


大男 「……何事ですか、お客さま!」

 



幼女魔王 「……ッ。……ッッ。……ッ」


ビク ビク ガクン ガク


酔っ払い 「フーッ! フーッ!」


大男 「失礼ですが、うちの従業員にこのような乱暴は……」


酔っ払い 「フーッ、フーッ……へへへ、あんたかい」

酔っ払い 「いやね、このガキ……お嬢さんが」

酔っ払い 「俺の酒をこぼしやがってね。ちゃんとしつけていたところさ」


大男 「…………」

大男 「……申し訳ありませんお客様!」


酔っ払い 「いやいや、あんたに頭を下げてもらうこたぁない」

酔っ払い 「このお嬢さんが悪かったのさ」


大男 「本当に申し訳ございません。しつけまでしていただいて」

大男 「うちで最高のお酒と料理をサービスいたします」


酔っ払い 「へへへ……」


幼女魔王 「…………」




大男 「いつまで寝ているんだい。さっさと立ちなさい」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (…………)


大男 「立とうね!」


幼女魔王 「…………!」

幼女魔王 「……ぅ、ぅう」


グッ ヨロ ヨロ


大男 「……良いかい。君はここで働かせていただいているんだよ」

大男 「なのに床ひとつ磨けないどころか、吐瀉物で汚して、お客様にご迷惑をかけて」


幼女魔王 「……ごめんなさい」


大男 「おしおき、必要だよね」


幼女魔王 「っ!」

幼女魔王 「…………は、はい」


大男 「お願いしなくちゃね」


幼女魔王 「…………ッ」


大男 「お願いしなくちゃね!」


幼女魔王 「…………ぉ」

幼女魔王 「お願いします。不出来な幼女魔王を」

幼女魔王 「お、大男さまの鞭で……しっかりしつけてください……」




大男 「うんうん……」


ガサゴソ


地獄のバラ鞭


ピシッ ピシッ


幼女魔王 「ひっ……!」

幼女魔王 (いつもの鞭だ。もう床をうつ音だけで心が折れてしまう……)

幼女魔王 (……ど、どうしてちょっと身体が火照っちゃうの)


冒険者A 「へへへ、今日も始まるぜ」


冒険者B 「最近の名物だもんな。あのガキ、良い泣き顔で反応するんだ」

冒険者B 「おれの見立てでは楽しんでるぜ、絶対」


冒険者A 「ひひ、とんだガキだぜ」


ヒソヒソ ゲラゲラ


幼女魔王 (好き勝手言ってる……。違うのに!)


大男 「じゃあ、服を脱いで向こうを向いて」


幼女魔王 「……え」





幼女魔王 「服……?」


大男 「そうだよ。ちょっと君は物覚えが悪すぎるからね。もっと強く教えないと」

大男 「ああ、スカートははいたままで良いよ。ちゃんとめくってもらうけど」


幼女魔王 「うぅっ……」


大男 「そうだ。僕ひとりのしつけじゃ効果が薄いようだから」

大男 「お客様にも手伝ってもらおうか」

大男 「君みたいのをしつけても良いという人がいればだけれど」


幼女魔王 「そ、そんな」


客A 「へっへ、しかたねえな。俺がやっても良いぜ」


客B 「俺もだ。本当はそんなガキに余計な力をつかいたくないけどなあ」


客C 「慈善事業だ、へへへ」


ワイワイ ヘヘヘ


幼女魔王 「ひ、ひいい……」


大男 「おお、良かったね。みんな君をしつけても良いってさ」

大男 「せっかくだから、みんなに叩いてもらおうね」

大男 「お客様、どこでも叩いてください。この子は傷が治りやすいので、明日にはピンピンしています」


客たち 「そりゃあ良い、そりゃあ良い」


幼女魔王 (……あ、あんな痛い鞭を、たくさんの人から)

幼女魔王 「……い、いや……グスッ」

幼女魔王 「いやだああ……!」

幼女魔王 「いや、鞭いやあ! うわああん……!」




大男 「わがままは駄目だよ、幼女魔王ちゃん」

大男 「これは、君が立派な掃除係になるのに必要なことなんだから」

大男 「ね!?」


幼女魔王 「……ひぐっ!?」

幼女魔王 「う、うぅ……」

幼女魔王 「うええええええ……!!」

幼女魔王 「いや、いやああぁ……うえええーん……!!」


大男 「困ったなあ。お店で泣き出して」

大男 「この鞭で黙らせてあげないとね」

大男 「そーれッ……」


トタトタトタ


可憐少女 「ま、待ってください!」


大男 「おや、どうして出てきたんだい」

大男 「グラス磨きはどうしたのかな!?」


可憐少女 「ひっ!?」

可憐少女 「……こ、この子は私より若いんです。大人がひとつうたれるだけでも辛いのに!」


大男 「しつけだからね。大人さまがガキをしつけるのは義務だよね!?」


可憐少女 「わ、わた、私も……」


幼女魔王 「うえええ……グスッ……グスッ……」


可憐少女 「…………ッ」

可憐少女 「だったら、私も鞭を受けます!」


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「だ、だめ、可憐少女ちゃん……」


大男 「誰が話して良いって言ったかな!?」


ピシッ


幼女魔王 「ひっ……!!」




大男 「……うん。そうか、そういえば、君は幼女魔王ちゃんと一緒に住んでいるんだったね」


可憐少女 「はい」

可憐少女 「なんでしたら、幼女魔王ちゃんの分の鞭、えんぶ私が受けます」


幼女魔王 「…………!!」

幼女魔王 (そんなの駄目!)

幼女魔王 (……と言いたいのに、怖くて声が出ない。可憐少女ちゃんは頑張っているのに)


大男 「……うんうん、そうか、友達の身代わりか。そういうのは悲しいけど尊いことだと、牧師さまは言っていたっけな」

大男 「良いよ。でも、僕の幼女魔王ちゃんをいじめたい……罰をあたえてあげなきゃいけないから」

大男 「半分ずつにしようね。これを断ったら、二倍にするよ」


可憐少女 「…………はい」


幼女魔王 「か、可憐少女ちゃ……」


大男 「んんっ、幼女魔王ちゃんの声が聞こえたけど空耳かな!?」


幼女魔王 「ひっ……」


可憐少女 「……ごめんね、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 (謝るのは私の方じゃないの……)


大男 「じゃあ、二人とも服を脱いで……」


ガチャ


牧師 「やあ、お邪魔するよ」

牧師 「……おや?」


客たち 「…………!」


ザワッ


大男 「ぼ、牧師さま!」




ドタドタドタ


大男 「い、いらっしゃいませ」

大男 「珍しいですね。今日ここを見回るなんて」


牧師 「うん。南の五層を回る予定だったんだけれど」

牧師 「……どうも、胸騒ぎがしてね」


大男 「は、はあ……」


ザッ ザッ ザッ


牧師 「…………」


幼女魔王 「…………」


牧師 「この子はこの前の……。ここで働いているんだね」


大男 「は、はい。仕事のあてがないそうなので面倒を見ることにしました」


牧師 「それは良いことだ」


大男 「へへ……」


牧師 「……泣いているようだが?」


大男 「ひ、ひいっ!?」




牧師 「……おや。君、口もとに何かついているよ」


幼女魔王 「……ひっ」


牧師 「…………」

牧師 「すまないね、怖がらなくて良い」

牧師 「口をぬぐうだけだから。ほら、じっとして……」


ギュ ギュ


幼女魔王 「……ご、ごめんなさい」

幼女魔王 「汚してしまって」


牧師 「良い子だ、よく気のきく子だ。悲しいほどに」

牧師 「さて、大男くん」


大男 「は、はい。ご注文でしょうか!」


牧師 「そうだね、そうしようかな」

牧師 「この子……この子たちに何をしていたか教えてもらえるかな」


大男 「は、はい」

大男 「仕事のおぼえが悪く、さらにお客様のお酒をこぼしたので、しつけてあげようとしていました!」


牧師 「しつけか」

牧師 「悪意をかたちにしたようなその鞭でかね……ッ!?」


大男 「ひいいっ!?」





客たち 「……!!」


幼女魔王 (……大男さまどころか、お客たちも気圧されてる)


牧師 「なるほど、鞭によるしつけが必要になることもあるだろう。私もそう話したことがある」

牧師 「だが、君はこの子たちと同様に痛みを受ける覚悟はあるのかね?」

牧師 「鞭を振るおうとするその心に、まさか悪魔のようなくらい喜びを宿していたのではないかね?」


大男 「…………ッ」


牧師 「棘の鞭をうつならば、柄にも棘があるものを振るえ」

牧師 「悪魔の喜びに心を奪われてしまわないように」

牧師 「……私がもっとも伝えたかったことを」

牧師 「君は聞いていてくれていたのかね?」


大男 「……うぅ。わ、忘れていました……」


牧師 「この子の声はちゃんと聞いたのかね?」

牧師 「その上で、その鞭をとったのかね?」


大男 「…………」

大男 「す、すみません、牧師さま。僕が間違っていました……!」




牧師 「…………」


幼女魔王の吐瀉物・いちじく味


牧師 「……床の物。この子は鞭以外のものも打たれたようだが」


大男 「そ、それは僕ではありません!」


幼女魔王 (もうやめてほしい。これ以上したら、あとで大男さまにもっと痛めつけられちゃう……)


大男 「……こいつです! このお客様が幼女魔王ちゃんを殴ったり蹴ったりしたのです!」

大男 「僕はこのお客様を止めたのです! さあ、罰を!」


酔っ払い 「や、やめろ、引っ張るな!」


牧師 「……もう良いよ、ありがとう、大男。私は警備隊じゃないし、人を裁く権利はない」

牧師 「それより、この子たちを連れ出させてもらいたい。とくにこっちの子は傷の手当をしなくては」


幼女魔王 「…………」


大男 「そ、それは……は、はい、仰せのままに……」


牧師 「ありがとう。すまないね、仕事の邪魔をしてしまって」


大男 「め、滅相もない……!」


牧師 「そう言ってもらえて良かったよ」

牧師 「……君、私の背におぶさりなさい」


幼女魔王 「は、はい……」


牧師 「よいしょ。では、行こうか」


可憐少女 「はい……」


トコ トコ トコ

ガチャ


酔っ払い 「……ちくしょう、気取りやがってあの牧師! 人を裁くだとちくしょうめ! 良い子ちゃん育ちがこんなとこまで来やがって!」

酔っ払い 「おかげで酒がまずく……」


ドカッ


酔っ払い 「ぐばっ!?」


大男 「牧師さまを、悪く言うんじゃあない!」


ドカッ バキッ ドカ ドカ ドカ

…………



砦の町 一階

庭のある小教会 



老婆 「ここは、この町でいちばん朝日が美しく、いちばん水が綺麗な場所」

老婆 「この教会は牧師さまの祈りと、至上のおかたの、慈悲の賜物なのだ」


表信兵 「……聖水のつくりかたはもともと秘伝だが」

表信兵 「この教会の聖水は、首都で売られている聖水よりも明らかに品質が良い」

表信兵 「普通の聖水では効果のないモンスターを遠ざける上に、飲めば回復や解毒もできる」

表信兵 「良い水をつかっているのか、つくっている者の腕が良いのか……」


ガコン キイイィ








少年 「牧師さま、おかえりなさい!」


少女 「町の見回り、お疲れさまでした!」


牧師 「ただいま。ああ、ごめんよ、お祈りを続けておくれ」


チーズ売り 「おや、そちらの……もしかして、可憐少女ちゃん?」


可憐少女 「は、はい……」


チーズ売り 「ああ、やっぱり! 薬屋のとこの可憐少女ちゃんだ」

チーズ売り 「懐かしいねえ、久しぶりだねえ」


可憐少女 「お、お久しぶりです、おばさん……」




野菜売り 「可憐少女ちゃんかあ。妖精の侵攻があったとき以来じゃないか」

野菜売り 「よかったよ、ちゃんと生きとったんだねえ。こんなに大きくなって……」


可憐少女 「はい、おばさんたちこそ元気そうで……」

可憐少女 「あの……私、いそいで幼女魔王ちゃんの手当をしないと……」


ザワザワザワ


牧師 「ほう。彼女、もともとはこの近くに住んでいたのかな」

牧師 「ははは、みんなお祈りどころじゃなくなってしまったな」


町娘 「……牧師さま、背中のその女の子はいったい」


幼女魔王 「…………」


牧師 「ああ、怪我をしていてね。奥で手当をしなくては」


町娘 「怪我……?」


牧師 「ひどい怪我だ」

牧師 「では、できたらまた後で話そう」


カツ カツ カツ カツ


町娘 「…………?」




庭のある小教会 応接室



キイイ パタム


幼女魔王 「…………」


牧師 「この長椅子で良いか。おろすよ」


幼女魔王 「……はい」


牧師 「よいしょ。さて、怪我の手当てを……」

牧師 「……これは、なんと」


幼女魔王 「…………」


牧師 「怪我が治っている」


幼女魔王 「あ、あの……」


牧師 「いや、そんなはずは。たしかにさっきは……」

牧師 「しかし、たしかにあざが消えている」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「わ、私、回復の魔法がつかえるから……」

幼女魔王 (使ってないけど)


牧師 「回復の……驚いたな。その若さでそんなことができる子はあまりいない」

牧師 「そういうものを習ったことがあるのかい? 首都の学校にいたとか……」


幼女魔王 「い、いえ……わかりません」

幼女魔王 (詐欺商人からもらった紋章の効果かしら)




牧師 「わからない……」


幼女魔王 (不審がられているのかしら)

幼女魔王 「あの、私、ちいさいころの記憶がなくて」

幼女魔王 「それで、ひとりで旅をしていて、可憐少女ちゃんに拾われてこの町に……」


牧師 「今でもじゅうぶん幼いと思うけれど」

牧師 「そうか、記憶をなくして旅を……」

牧師 「ひとりでとは、大変だったろうね」


幼女魔王 「……はい」


牧師 「君のご父母も心配してらっしゃることだろう」

牧師 「何か手がかりがあると良いが」


幼女魔王 「それは、ありません」


牧師 「?」


幼女魔王 「お父さまとお母さまは死にました」


牧師 「…………!」




幼女魔王 「二人とも、戦って死んだそうです」

幼女魔王 「ほかの者たちも、みんな」


牧師 「…………そうか、君も」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……え、まじで?」


牧師 「ん?」


幼女魔王 「私のお父さんとお母さん死去済なの!?」

幼女魔王 「し、知らんかった……」


牧師 「……ど、どうしたんだい?」


幼女魔王 「いま、お父さんとお母さんが死んだって……」

幼女魔王 「……あれ?」


牧師 「…………」


幼女魔王 「……?」


ガチャ


可憐少女 「幼女魔王ちゃん!」




可憐少女 「これ、チーズ売りさんが持っていた……」

可憐少女 「男のミルク!」


幼女魔王 「ええっ!?」


可憐少女 「チーズをつくるときの隠し味なのだそうだけど、飲むと傷に良いんですって」

可憐少女 「ちょっと皮袋ごしに腐った魚みたいなにおいがするけど」

可憐少女 「薬って口に苦いものね。きっと鼻にも苦いのね!」

可憐少女 「さあ幼女魔王ちゃん。傷を治すために飲んで、このミルクを!」

可憐少女 「男のミルクを!」

可憐少女 「男の! ミルクを!」


幼女魔王 「お、おおおぉお……」

幼女魔王 (き、来おったー……ッ!)

幼女魔王 (ついに、男のミルクが我が舌をなめる日が来おったのね……!)


牧師 「ははは……。せっかくだけど、それはもう必要ないようだよ」

牧師 「傷はすっかり治っている」


幼女魔王 「え゛ッ!?」


可憐少女 「まあ、本当」

可憐少女 「では、これは返してきますね……」


ガチャ パタン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「どうぇええええ゛え゛!?」

幼女魔王 「ま、待って可憐少女ちゃん!」

幼女魔王 「ちょうだい! 男のミルクちょうだい!」

幼女魔王 「男のミルク飲ませて!」

幼女魔王 「男のミルク飲みたいのおーー……!」


牧師 「どうやら、酒場の一件で軽いパニック状態にあるようだ」




牧師 「酒場」

牧師 「君はあそこで可憐少女くんと共に働いているようだが」


幼女魔王 「…………」


牧師 「今日、私が見た限りでは、君に酷な職場のように思う」

牧師 「蜘蛛と蝶の双方を思いやらねばならない私が、手を伸ばしてしまうほどに」


幼女魔王 「そ、そんなことありません」


牧師 「…………」


幼女魔王 「床を磨くだけの簡単なお仕事です。お客様に快適に過ごしていただくため」

幼女魔王 「その程度もできない私は、きつくしつけてもらわなければならないのです」


牧師 「…………」


幼女魔王 「あの区画では、もっとひどい立場にある人もいます」

幼女魔王 「よそ者の私が、住む場所があって仕事にありつけているだけで」

幼女魔王 「それは幸せなことなのです」

幼女魔王 「私は幸せもの……」


牧師 「酒場の人にそう教えられたのかい?」


幼女魔王 「……幸せ」


牧師 「幸せを語るとき、そんなつらそうな顔をされては……」


幼女魔王 「友達がいて、生活があって、私は、幸せ者……」

幼女魔王 「幸せ。幸せ…………?」


牧師 「…………」


幼女魔王 「幸せ。王子さまの側で王子さまに仕えるのが私の幸せ」

幼女魔王 「お友達は死にます。お母さまは死にます。お父さまは私を守れません」

幼女魔王 「お城のお兄さまとお姉さまはみんな私を殺します」

幼女魔王 「王子さまは私を愛してくれます。王子さま、王子さま……」


牧師 「君は……」




牧師 「……心が壊れかけている?」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「誰がジャンクハートか」


牧師 「…………」


幼女魔王 「そりゃあ確かにやわらかメンタルではあるけれど」

幼女魔王 「それと同時に、ヒルジャイアントに踏まれても大丈夫なゴキブリメンタル……」

幼女魔王 「誰がピンクゴキブリよ!」


牧師 「い、いや。ピンク……?」


幼女魔王 「……あ」

幼女魔王 「そ、それより早く帰らないと。また怒られちゃう……」




ガチャ


可憐少女 「幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん!」

幼女魔王 「ごめんなさい、迷惑をかけて。すぐ仕事に戻るから……」


可憐少女 「う、うん……」

可憐少女 「でも、今日はもうやめておいた方が良いと思う」

可憐少女 「あんなことがあったし、お客さまもお店の人も、何て言うか……」


幼女魔王 「そ、そうね……」

幼女魔王 (今日はたまたま牧師さまに助けてもらったけど、次はどうなるか分からない)

幼女魔王 (いえ、むしろそのせいでさらに悪い事態になりそうな気がするわ)

幼女魔王 (きっとこれまで以上にきつくしつけられちゃう)

幼女魔王 (いやーん、うれしい……じゃなかった)

幼女魔王 (困ったわ、心身ともにもつかどうか。どうしよう……)


牧師 「そのことで、君たちに少し話したいことがある」


幼女魔王・可憐少女 「?」




砦の町 庭のある小教会 泣き部屋



頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 「…………」


チャプ ザブン

ギュッ ギュッ

ポタタタ チャポ


幼女魔王 「……くぁ。朝が冷えると眠いわね」

幼女魔王 「うふふ、床が冷たい」


ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 (牧師さまのはからいによって、教会で住み込みで働くことになってけっこう経つ)

幼女魔王 (働くといっても、床を磨いたり当番でご飯を作ったりするだけ)

幼女魔王 (自分の部屋を貰って、お風呂も毎日入れて、夜は可憐少女ちゃんと一緒のベッドで寝て……)

幼女魔王 (こんなので本当に良いのかしら。幸せすぎるわ)

幼女魔王 (お小遣いまでもらって……)


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 (てっきり幽霊退治とか悪魔祓いとか手伝わされると思ったけど)

幼女魔王 (それらしいことは全くないし)


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 (酒場の件も牧師さまが何とかしてくれたみたいだし……)


チュン チュンチュン ピィ


幼女魔王 「……平和だわ」


頭の割れた子供 「…………」



ギシ ギシ コツ コツ


執事 「やあ、ここにいたのね」


幼女魔王 「執事さま、おはようございます」


執事 「ノンノン」

執事 「お姉ちゃん。私は牧師さまよりもあなた側なんだから」


幼女魔王 「お、お姉さん」


執事 「お姉ちゃん」

執事 「ちゃんとちゃんをつけるのよ。笑顔でね」


幼女魔王 「……お、お姉ちゃん」


執事 「おお、はにかみ笑顔はポイント高いよ!」

執事 「……お姉ちゃん、大好き」


幼女魔王 「え?」


執事 「人差し指をこんな感じで咥えつつ」


幼女魔王 「お、お姉ちゃん、大好き……?」


執事 「……くぅ~! かーいいなあピンクちゃんは」

執事 「よーしよしよしよし……!」


ナデナデナデナデ グキ ナデナデ


幼女魔王 (く……首が……ッ。というか、視界がぐるんぐるんして吐き気が……!)


執事 「ふぅ……。朝ご飯ができたよ。仕事はあとにして、みんな集めて食べましょう」


幼女魔王 「ぉえ……は、はい」


執事 「じゃあ、どっちが多く人を呼べるか勝負だ。負けたらデザート口移しで食べさせること!」

執事 「デュワッ!」


ズォドダダダダダ


幼女魔王 「はやっ!? 年少相手に本気ってどういうことよ!」

幼女魔王 「待ったんさいよこらあー!」


トタタタタ


頭の割れた子供 「…………」




庭のある小教会 庭 薬草園



幼女魔王 「可憐少女ちゃん」


可憐少女 「? 幼女魔王ちゃん!」


幼女魔王 「朝ご飯ができたって。一緒に食べよ」


可憐少女 「うん。じゃあ、ここの葉を摘み終わったら行くね」


幼女魔王 「うん。……わ、私も手伝うわ」


可憐少女 「ありがとう」


プチ ガサ プチ ガサ


幼女魔王 「可憐少女ちゃんすごいね」

幼女魔王 「可憐少女ちゃんが薬草を選ぶようになってから、傷薬の質が良くなったって」


可憐少女 「うふふ……」

可憐少女 「私の家ってもともと薬屋で、お父さんとお母さんからそういうこと教えてもらっていたから」

可憐少女 「そのおかげかな」


幼女魔王 (妖精との戦争で、お父さんとお母さんを亡くしたのだったわね)

幼女魔王 (どんな気持ちなのかしら、親を亡くすというのは)

幼女魔王 (……親を知らないことよりも辛いのでしょうね。大事なものがなくなるなんて)




幼女魔王 「……あ」


可憐少女 「?」


幼女魔王 「まずいわ」

幼女魔王 「執事さまと朝ご飯の人集め競争をしているの忘れてた」


可憐少女 「人集め競争?」


幼女魔王 「負けたら勝った方に、口移しでデザートを食べさせないといけない」


可憐少女 「ええっ」

可憐少女 「……それって、勝っても負けてもあんまり違いが無いんじゃない?」


幼女魔王 「へ?」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「!!? ……!!」

幼女魔王 「ぬほおぉぉおおお……! やられた。はめられた!」


クネクネ グイングイン


可憐少女 「お、落ち着いて幼女魔王ちゃん。呪いのダンスをする芋虫みたいになってる」

可憐少女 「とにかく、急いで他の入り込みさんたちも呼びましょう。私も手伝うわ」


幼女魔王 「あ、うん」

幼女魔王 「でも、勝てたところで接吻地獄……」


可憐少女 「あはは……」

可憐少女 「大丈夫よ。このまえ牧師さまがおっしゃっていたわ、人は人を許すことができるって」

可憐少女 「だから、幼女魔王ちゃんも勝って執事さまを許せば良いのよ。そうすれば、口移しはなしになるわ」


幼女魔王 「な、なるほど」

幼女魔王 (聡明だなあ、可憐少女ちゃんは。私より年上とはいえ、こりゃあ舌を巻くほかないわ)

幼女魔王 (しかも、浴場の隅のカビまみれ雑巾みたいな私のために、崇高な薬草摘みという仕事をほっぽり出してくれる慈悲深さ)

幼女魔王 (このような神友をいただき、私はなんと幸せものなのであろうかと感慨にふけらざるをえない)


可憐少女 「さあ、行きましょ!」


幼女魔王 「うん……!」


ガサ


??? 「面白そうな話をしてるじゃねえか……」


可憐少女・幼女魔王 「ぎゃっ」




??? 「ヒヒヒ……」


可憐少女 「たた、た、大変よ幼女魔王ちゃん。顔半分に全身包帯だらけの男の人がいるわ……」


幼女魔王 「う、うん。きっと悪者に違いないわ。ヒヒヒ、なんて悪者の笑い方に違いないわ」

幼女魔王 「気をつけて。近くにすごく足の速い人とか、笑うと怒る人とか、汎用ヒト型決戦兵器とか」

幼女魔王 「面白曲芸人間たちが潜んでいるに違いな……」


??? 「ごちゃごちゃうるさいぞ!」


可憐少女・幼女魔王 「ひいい!」


??? 「……へへへ。いかんいかん、人は許せる生き物だったな。このくらい許さないとな」

酔っ払い 「許す、か。ひへへへ、良い言葉じゃあねえか」


幼女魔王 (この人、私が酒場で迷惑をかけた人だ)

幼女魔王 (どうしたのかしら、怪我だらけだわ。顔もパンパンに腫れて……)


酔っ払い 「だからよお、俺も許してやることにしたんだよ」

酔っ払い 「なあ、ピンクのお嬢ちゃん?」


幼女魔王 「ひいっ」

幼女魔王 (こ、怖い……目を見るだけで力が抜ける。あの日の痛みを思い出す)

幼女魔王 (まるで魔王と対峙しているかのよう……!)


可憐少女 「あの……幼女魔王ちゃんが怖がっています。痛めつけられた心の傷も癒えていないんです」


酔っ払い 「ああ、そいつは悪かったね」

酔っ払い 「なあ、悪かったなあ、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「ひぐっ……!」

幼女魔王 (名前を呼ばれただけで全身、心まで鷲掴みにされて支配されたような気分。大男さまのときと同じだ)

幼女魔王 (逆らったらまた痛めつけられちゃう……!)


可憐少女 「す、すみません!」

可憐少女 「これからみんなで朝ご飯なんです。早く行かなくちゃ待たせちゃう……」


酔っ払い 「そうかい。みんなかい」

酔っ払い 「……それじゃあ、俺の分もあるんだろうね?」


可憐少女 「!」




可憐少女 「そ、それは……」


酔っ払い 「へへへ、ちょうど良いや。ここのところ金がなくて困っているんだ」

酔っ払い 「幼女魔王ちゃんのせいで負ったこの怪我じゃあ、傭兵稼業もままならないもんでね」

酔っ払い 「恵まれない人間にタダ飯を食わせてくださるのが、教会の仕事だろう?」


可憐少女 「た、たしかにそのくらいなら……でも、幼女魔王ちゃん……」


酔っ払い 「そのくらいは当たり前だな。何せ、こうなったのは幼女魔王ちゃんのせいなんだから」


幼女魔王 「あう、あう……」

幼女魔王 (わ、私のせい? この人、私のせいでこんな大怪我をしたの?)

幼女魔王 (私、ぶつかってお酒をこぼしただけのような……)


酔っ払い 「…………」

酔っ払い 「ここじゃあ、ごめんなさいも教えねえってのか!!」


可憐少女 「…………!!」


幼女魔王 「ひっ!?」


ペタン


酔っ払い 「なんてガキだ、まったく」

酔っ払い 「怪我が完治するまでの金で、俺さまに対する無礼を許してやろうと思ったのによ」


可憐少女 「……そんな。それは滅茶苦茶です!」


酔っ払い 「黙れ!」


ボカッ バシン


可憐少女 「ぎゃっ!?」


幼女魔王 「……!!」

幼女魔王 (可憐少女ちゃんの顔を思い切り……!!)

幼女魔王 「ひゃ、や、やめなさいよ、この……」


酔っ払い 「……やめろ?」

酔っ払い 「ガキが大人に命令しようってのか!」


幼女魔王 「ひぅ!」

幼女魔王 (駄目、体に力が入らない。意識がとびそう)

幼女魔王 (可憐少女ちゃんは私のために頑張ってくれたのに……)




酔っ払い 「こちとら命を削ってモンスターどもや妖精どもと戦って町を守ってやっているんだ」

酔っ払い 「そんな大人に対する態度か、このメスガキが!」


グイ


幼女魔王 「ひゃふっ……!?」

幼女魔王 (お腹にお客様の靴の裏が……。怖い、怖い、怖い……)

幼女魔王 「……うひゃ、ひゃふ……あう、あう」


可憐少女 「幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「だ、大丈夫だから、落ち着いて……」


幼女魔王 「いや、いや、いや、いや……お腹、いや……助けて、死神メイド……」


酔っ払い 「……酒だ、酒、酒。酒代をよこしやがれ。もう何日も飲んでないんだ」

酔っ払い 「どいつもこいつも俺様を馬鹿にしやがって、くそ、くそっ!」


グイ グイ


幼女魔王 「ひうっ……ひぃいい。うええええ、うひぃいい、ひぐぃいん……」

幼女魔王 (お腹けられる。いっぱいけられる! 怖い、怖い)

幼女魔王 「お、おか、おかね、おかね……」


ジタバタ ジタバタ


幼女魔王 (怖い怖い怖い怖い。お腹ふまれる、けられる、痛くされる……)


ガサゴソ ガサゴソ


可憐少女 「幼女魔王ちゃん。幼女魔王ちゃん……!」


幼女魔王 「……あ」


ジャララ


幼女魔王 「あった、うちの世界でつかってたやつ……」

幼女魔王 「……う、うひひひ、あはは。おかね……あった、おかね、いっぱい。いっぱい……!」

幼女魔王 「ありました、おかね! いっぱいあります。ひひひ……!」


ジャラジャラ


酔っ払い 「…………」


可憐少女 「幼女魔王ちゃん……」




幼女魔王 「これでゆるしてください。もう私にお友達の首を投げ込むのやめてくださ……」


酔っ払い 「……なんだこの玩具はあ!」


グイイ


幼女魔王 「ぐひいい!?」

幼女魔王 (踏まれた。お腹いたい、いたい。良かった、蹴られなくてよかった)

幼女魔王 (痛い痛い痛い)


可憐少女 「やめてください! やめて!」


酔っ払い 「このブタが! こんな玩具で俺さまを騙せると思ってやがるのか」

酔っ払い 「娼婦色の髪のあばずれメス子ブタが、人間さまをなめるんじゃあないぞ!」


グリグリグリグリ


幼女魔王 「ぴぎいいいぃ、い゛、い゛、い゛、い゛……!?」

幼女魔王 (蹴られてない。蹴られてない)

幼女魔王 (蹴られてないから大丈夫。痛くない)

幼女魔王 「……ふえ……えへ……ぇへへへへ……」


酔っ払い 「……ふひひひ」

酔っ払い 「腹を踏まれてうっとりしてやがる。とんだガキだ、ひひひひひ」

酔っ払い 「そうだ、もう酒代だけじゃすまねえ」

酔っ払い 「お前は俺さまの怪我が完治するまで、いや、一生俺さまの世話をしなきゃならないな」

酔っ払い 「もちろん、この下っ腹の中身もつかって……!」


グリ グリ グ グ


幼女魔王 「ふあい……ふあぁい……ぇへ、えへへへ……」

幼女魔王 (怖い、怖い、怖い……)


酔っ払い 「アバズレが、こんなところにいやがって」

酔っ払い 「大人の恐ろしさをたっぷり教えこんでやる。少女戦士にも、ひひひ、ひひひひひ……」


ドゴッ


酔っ払い 「おごっ……!?」


可憐少女 「…………」



可憐少女 の 石で殴る攻撃!
酔っ払い に 300のダメージ




ドサッ


酔っ払い 「ぐえ……」


可憐少女 「幼女魔王ちゃん。幼女魔王ちゃん!」


幼女魔王 「ぁへ……ふぁい……お客しゃまはわたちの神さまれひゅ。ようちょまおうは、お客ひゃまの奴隷れひゅ……えへへ」


可憐少女 「……幼女魔王ちゃん!」


パシン


可憐少女 の 軽くはたく攻撃!
幼女魔王 に 600のダメージ


幼女魔王 「ぐへえっ」

幼女魔王 「……! ……可憐少女ちゃん」


可憐少女 「ああ、幼女魔王ちゃん……!」


幼女魔王 「ご、ごめんなさい。可憐少女ちゃんは助けてくれたのに、私は何もできなかった……」


可憐少女 「良いのよ、良いの。しようとしてくれたじゃない」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん。うぅ……」


酔っ払い 「…………」

酔っ払い 「うぶああ!」


ガバッ


可憐少女・幼女魔王 「!?」


酔っ払い 「よぐもやっだな、ガキどもがぁあ!!」


幼女魔王 「ひいいっ」


可憐少女 「…………!」


酔っ払い 「手足を潰して飼ってやるぁ……!」


ダダダダダダ

ヒュンッ


酔っ払い 「? ……ひっ!?」

酔っ払い 「け、剣……!?」


??? 「…………」


幼女魔王 (風のように駆けてきて、お客さまの首に剣を突きつけた)




チュン チュン ソヨソヨ


??? 「…………」

表信騎士 「いま貴様に突きつけられているこの剣を、貴様の良心だと思え」


酔っ払い 「……ぐ、うぅう」


表信騎士 「もしもまた、このガキどもに非道を働くならば」

表信騎士 「おれの剣は、貴様の良心は、貴様の喉とけがれた魂を貫くだろう」

表信騎士 「去れ。そして己の良心というものに五感を澄ませてみるが良い」


酔っ払い 「…………」

酔っ払い 「……へ、へへへ。わ、分かった、分かりましたよ……」


表信騎士 「…………」


スッ


酔っ払い 「……へへへ。嫌だなあ、怖い顔をしていますぜ、聖騎士さま」

酔っ払い 「良い武器ですね。いやあ、羨ましい。なにせ剣も鎧も売っぱらっちまったもんで……」


表信騎士 「…………」


ポイ カラン


加護の短剣


酔っ払い 「!」


表信騎士 「持っていけ。新しい剣を買うまでの稼ぎくらいは、それで得られるだろう」

表信騎士 「その怪我でもな」


酔っ払い 「……へへへ。さすが騎士さまは違う。お優しい」


カチャ


酔っ払い 「ひひっ。みじめだね……」


ザッ ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「……行ってくれた」

幼女魔王 (何故かしら、後ろ姿が寂しいわ。怖い人なのに)




表信騎士 「……朝から騒がしい」


幼女魔王 「ご、ごめんなさい騎士さま」


可憐少女 「ごめんなさ……っ」


フラ


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……!」

幼女魔王 「じっとして。いま回復させるから」


ポワ ポワポワ ポワ


可憐少女 「……ああ、暖かい。痛みがひいていく」

可憐少女 「ありがとう、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「うん……」


表信騎士 「……回復の魔法。また少し強くなったか」


幼女魔王 「これしかできません」


表信騎士 「習得している子供はそういない」


幼女魔王 「傷ついたものを治すだけです」

幼女魔王 「傷つかないようにしたいのに。死んでしまったら手遅れなのに」


表信騎士 「…………」


幼女魔王 「あ、間違えた」


可憐少女 「げふーっ」


幼女魔王 「ああああ、しまった。間違えて途中から毒かけちゃった!」

幼女魔王 「どうしよう。うわーん!」


表信騎士 「傷つけてどうするんだ……」


ザアア


表信騎士 は 聖灰をつかった
可憐少女 の 毒がなおった



10月中に終わらせる
終盤の特盛つゆだく触手洗脳まで含め分岐をすべて回収しつつ
このスレ内にぴったりおさめて10月中に終わらせる

いざとなったらHDDが不調とか
下書きメモを間違って消したとか
病気にかかっていたことにする

10月中にぜったい終わらせる



…………


庭のある小教会 食堂



ガチャ キイ

ゾロゾロゾロ


表信騎士 「ただいま」


幼女魔王・可憐少女 「た、ただいま……」


信徒たち 「おかえりなさい」


牧師 「おかえりなさい。これはまた、まとまって来たね」


表信騎士 「……ああ」


執事 「さあ、はやく座った座った」


表信騎士 「…………」


コト ズギギ ストン


牧師 「腰の剣がひとつ見当たらないが」


表信騎士 「剣を失った傭兵の男にやった」

表信騎士 「すまない。聖別したばかりだったのに」


牧師 「あの剣はそのためにあったのだろう」


表信騎士 「彼は誰を殺すだろうか」


牧師 「君は彼に行きあい、彼に差し出した。それが水であれ、剣であれ、あとは彼しだいだ」

牧師 「さあ、良い朝になった。いただこう」

牧師 「お祈りは食べながらで許してもらおうか」


一同 「いただきまあす」


カチャ カチャ 





モグモグ カチャkチャ


信徒A 「信力を高める良い沢を見つけたのだけど、強そうなモンスターもいたのよね」


信徒B 「じゃあ、表信騎士さまに護衛を頼んでみようか」


信徒C 「今日はお忙しいはずだ。装備を整えて私たちで何とかしてみよう」


ペチャクチャ


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「おいしいね、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「う、うん……!」

幼女魔王 (賑やかな朝の食事にも慣れてきたわ)

幼女魔王 (……可憐少女ちゃん以外の信者の人とは話せないけど)


執事 「そーか、そーかあ!」


ナデナデ


幼女魔王 「モヒュッ!?」

幼女魔王 (すごい力で撫でられた拍子に、飲み込みかけたコーンが鼻に詰まった……)


執事 「私の血と汗とよだれをにじませて作った朝ごはんだからねー!」

執事 「あっはは。そうかー、うまいかあ! 私の血と汗とよだれは!」


幼女魔王 「ふがっ……ほこっ……」

幼女魔王 (……あ、あれ?)

幼女魔王 (鼻の奥で柔らかいコーンが……つんとするけど、くちゅぐったくてもどかしくて気持ちいい……?)

幼女魔王 (そういえば、可憐少女ちゃんに初めてあったときのあれ以来、鼻が……)




執事 「というわけで、例の約束のあれだ」


幼女魔王 「ふにゃ。ふあぁい……」

幼女魔王 「えっ……約束?」


執事 「もう、朝ごはんの人集めさ。私が勝った。わたし大勝利」


幼女魔王 「……そういえば、そうだったっけ」


執事 「さあ、口移しでデザートをおくれ」

執事 「おピンクちゃんのお口のおソースたっぷりの、おデザートをを゛を゛ん!」


ググググ


幼女魔王 「や、ちょ、にゃんちゅ、いや、近づけな……ソースとか、恥ずかし……」

幼女魔王 「というか神さまにつかえる身としてどうなのよ、これ……ッ!」


執事 「ああ、神さまありがとう! おいしいデザートをありがとう!」


幼女魔王 「ちょ、助け、神さま助け……!」


執事 「神さま……!」


幼女魔王 「神さま……!」


グイ ギリリ グググ゙ 


可憐少女 「あわわ、ちょっと二人とも……」





牧師 「魔王くん」


幼女魔王 「ぎぎぎ……あ、はい牧師さま」


牧師 「それから可憐少女くん」


可憐少女 「はい」


牧師 「このあと一人ずつ話したいことがあるのだけれど、良いかな」


可憐少女・幼女魔王 「は、はい……」


牧師 「うん」

牧師 「では、朝ごはんが済んだら私の部屋へ来てほしい」


可憐少女 「分かりました」


幼女魔王 「はい」


牧師 「ああ。そんなにかまえなくて良いよ。すぐ終わるから」


執事 「ああ、ずるいぞ牧師さま」

執事 「二人とイイコトする気かあ?」


牧師 「ははは……」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (変なことされるのかしら。部屋に入った途端お腹殴られたり……)

幼女魔王 (……だめね。どうしてもそっち方面に考えてしまうわ)



>>724
中盤あたりまではこんな感じに


r-18ほのぼのひぎぃ注意
>>722差分
http://i.imgur.com/vHTKiQR.jpg
http://i.imgur.com/06jpmU7.jpg
http://i.imgur.com/Q0ZsTEz.jpg
http://i.imgur.com/zyoSyum.jpg
http://i.imgur.com/XhcZe2j.jpg

一覧


その後、桃色髪幼女魔王は
卵とは別のベクトルで破壊され
スライムのお母さんとして毎日幸せに暮らしましたとさ


バッドエンドその2? スライム魔王に敗北エンド





…………


庭のある小教会 牧師の部屋


ガチャ


可憐少女 「ありがとうございました、牧師さま」

可憐少女 「……あ、幼女魔王ちゃん。どうぞ」


幼女魔王 「う、うん……」


トコ トコ


可憐少女 「じゃあ、私は失礼します」


ガチャ


幼女魔王 「…………」


牧師 「やあ。悪いね、時間をとらせてしまって」

牧師 「今日は可憐少女くんと町を見てまわるんだって?」


幼女魔王 「あ、い、いえ。そんな、こんなにお世話になっているのに……」


牧師 「恩を感じてくれているなら素晴らしいことだ」

牧師 「さあ、座って」


幼女魔王 「はい」

幼女魔王 (……古くてかたいソファ。他の家具も、同じように古かったり傷があったり)

幼女魔王 (他の部屋のものの方が綺麗だわ)

幼女魔王 (一番えらい人は、一番よいものを使うものだと思っていたけど)

幼女魔王 (ここでは違うのね……)




牧師 「今朝は大変だったね」


幼女魔王 「……にょろ」

幼女魔王 「は、はい?」


牧師 「可憐少女くんから聞いたよ」

牧師 「庭で、あの酒場の者に脅されたそうじゃないか」

牧師 「助けに行けなくてすまないね」


幼女魔王 「い、いえ」

幼女魔王 「もとは私が悪くて。あのお客様のお酒をこぼしてしまって……」


牧師 「ちゃんと謝ったのだろう」


幼女魔王 「はい。でも、私がやったことは消えなくて」

幼女魔王 「謝ってすむなら、鞭うちはいらなくて」


牧師 「……そう教えられたのかい?」


幼女魔王 「…………」


牧師 「…………」

牧師 「たしかに、謝った程度で許されるべきでない罪もあるだろうが」

牧師 「君がしたのは、取り返しのつくことだと思うよ」


幼女魔王 「…………」


牧師 「…………」

牧師 「目をつむって」


幼女魔王 「……は、はい」




牧師 「本来、痛みの記憶は」

牧師 「人を育むために必要なものだけれど」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (牧師さまの手のぬくもりを、額に感じる)


牧師 「とくに君は、その若さには重すぎる量と質の痛みを抱えているようだ」


幼女魔王 「…………」


牧師 「…………」


キイイ 


幼女魔王 (……あたたかい)

幼女魔王 (頭の中の何かがとけて、外に出ていくみたい)

幼女魔王 (そう、耳につまった水がとろりと流れて出ていくような……)

幼女魔王 (……こりゃちょっと違うわね)


トロン


幼女魔王 「あっ……」


牧師 「おや、鼻から何か出てきた」

牧師 「……コーンだ」


幼女魔王 「ぎゃっ」





キイイィ


牧師 「君の頭の中にある嫌な思い出を、遠い天のかたにあずけなさい」

牧師 「未来に来るだろうあたたかい思い出の、根ざす地をあけておかなくては」

牧師 「あわれ人の子の器は、心の大海をおさめるには小さすぎるのだから」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (…………)


キイイイ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (牧師さまの魔法)

幼女魔王 (魔法と呼んでは失礼ね。ここでは信力だったかしら)

幼女魔王 (あたたかい……)

幼女魔王 (…………)


キイイイ

キイイィ



??? 『…………』

淫魔幼女 『お前の脳みそに外套の手を突っ込んでかき回している』



幼女魔王 「…………!!」




牧師 「……幼女魔王くん?」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (声。何かが頭の中でぐるぐる回る……!)




子供 『ようこそ、紳士同盟へ。お前は、そうだなあ、姫だ!』


子供たち 『よろしく、姫!』


淫魔幼女? 『パパ、ママ、どこ。お兄ちゃんの首がとれちゃった』


白外套の狐尾 『息子と娘を失い、お前とこうして面しているのも私の運命なのだろう』


??? 『おはよう可愛いお人形。今日から君は私たちの娘だよ』


??? 『私の里に連れ帰る。でなくては時が来る前に、この子の心は腐って死んでしまうじゃろう』


桃色髪の男 『娘をかえせ、魔王』


??? 『勇者さま。私がぜんぶ海にとけても、忘れないでね』


謎の狐耳 『お姉さまをさ奪った男の、その娘をどうして愛せるっていうんだい』


詐欺商人 『彼は勇者としての最期を選んだ。残された者の悲しみを思ってもなお』


黒髪の女 『私たちの可愛い子、どうか幸せになりますように』


??? 「一城の王子さまが、城泥棒を城に招くとはね」


美触手? 「優しい姫よ。私の命をあげましょう」


??? 「そうか。友達の死体を食べられるようになったか」

??? 「処女懐胎の月までに、ちゃんと心をすり潰せそうだ」


子供たち 「姫!」

ばらばらの子供たち 「姫」

食べ散らかされた子供たち 「姫」

肉片と歯と目玉 「幼女魔王」




幼女魔王 「……ぎ」

幼女魔王 「ぎぃぃいいいいい……!」


牧師 「幼女魔王くん!」


幼女魔王 「ひぐっ、ぐぎ、ぎ、ぎぃい……!」


牧師 「どうしたんだ、幼女魔王!」


幼女魔王 「あだま、痛い、痛い……破裂しそう……ッ!」

幼女魔王 「たすけて、痛い、痛い、痛い……!」


牧師 「…………!」


キイイイイ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「ぎゃあああああ!!」

幼女魔王 「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃいいい………!」

幼女魔王 「あたま痛いよぉ!! いっ……ぉえ゛」

幼女魔王 「ぉえ゛え゛え゛え゛……!」


ビシャ ビチャ


牧師 「ぐ……!」

牧師 「…………」

牧師 「これの、せいなのか? 私の力の……」


キイイイ

キイイ

…………


幼女魔王 「おぐ……ッ! ……ッッ」


牧師 「おさまった……」


ズズ ズズズ


牧師 「!?」


美触手の影 「…………」


牧師 「!! 床の影が……」


タタタタタ


可憐少女 「牧師さま! どうかされましたか?」


牧師 「可憐少女くん。いや……」


普通の床


牧師 「……いや。この子のために、冷たい水を持ってきておくれ」


…………


幼女魔王 「うーん、かすたむたむたむ、かすたむたむたむ……」

幼女魔王 「うはっ!?」


ガバッ


幼女魔王 「ここは……真っ白」

幼女魔王 「あ、タオルだわ、これ」

幼女魔王 「顔にタオルって、縁起でもないじゃないの!」


可憐少女 「幼女魔王ちゃん!」


幼女魔王 「……可憐少女ちゃん」


牧師 「ここは私の部屋だよ」


幼女魔王 「牧師さま……?」

幼女魔王 「そうか、私、気持ちよくてそのまま眠って……」


牧師 「…………」


可憐少女 「ああ、良かった」

可憐少女 「飲む水、持ってくるわね」


幼女魔王 「う、うん」


タタタタタ


幼女魔王 「……えへへ」

幼女魔王 (誰かに、しかも神友に看病してもらうなんて。お城じゃ考えられなかったわ)


牧師 「……すまないね」


幼女魔王 「うへうへ……あ」

幼女魔王 「い、いえ、そんな。私の方こそ倒れて牧師さまに迷惑を……」


牧師 「それは言わなくて良い」


幼女魔王 「は、はい。ごめんなさい」


牧師 「あやまらなくて良い。このくらいで怯えなくて良い」

牧師 「この教会でともに暮らす身。私は君を家族のように思っているのだから」


幼女魔王 「…………!」

幼女魔王 「と、父さま……いえ、もはや神」

幼女魔王 「神父さま……!」


牧師 「牧師だってば」



牧師 「……君は」


幼女魔王 「はい」


牧師 「…………」

牧師 「いや」


幼女魔王 「?」


牧師 「頑張っているようだね」

牧師 「床がきれいだと、歩いていて気持ちが良い」

牧師 「空気が底から澄んでいると、安心してたっぷり息を吸うことができる」


幼女魔王 「そそ、そんなこと、みんなに比べたら私なんて!」

幼女魔王 「何もできないから床を磨いているだけで……」

幼女魔王 (何故かしら。褒められてうれしいはずなのに、同時に恥ずかしいというかすごく怖い)

幼女魔王 (褒められなくなったり怒らせてしまったりしたときのことを考えると、恐ろしくなるわ)


牧師 「どうやら、褒められたりすることに慣れていないようだね……」

牧師 「床磨きができているじゃないか。できることをやっているなら、それで良いんだよ」

牧師 「誰だって、できることとできないことがあるのだから」


幼女魔王 「……私のできること、ほかの誰でもできることばかりです」


牧師 「そうかな」


幼女魔王 「うん……は、はい。床磨きだって、お料理だって」

幼女魔王 「I字バランスだって、スライムの卵を産むのだって、腹パンの的だって」

幼女魔王 「私じゃなくても、できることばっかり」


牧師 「そうかな」




幼女魔王 「私がいなくちゃできないことなんて、ないもの」

幼女魔王 「もし私がこの世界からいなくなっても、かわりなんてきっと腐るほど見つかるもの」


牧師 「…………」


幼女魔王 「私が死んでも、かわりがい……」


牧師 「だからと言って、自分を否定的に見る必要はないと思うよ」

牧師 「君ができることをすべて君より上手にできて、おまけに君にできないこともできる人がいたら」

牧師 「君が必要ないものになってしまうわけでもないだろう」


幼女魔王 「……でも、私よりそっちの方がいたほうが、みんな喜ぶわ」


牧師 「みんなか」


幼女魔王 「そんな人が近くにいたら、私の居場所なんてないわ」

幼女魔王 「そんな人が近くにきたら、私の世界は壊れてしまうわ」

幼女魔王 「そして私が関わる人はみんな、そんな人」

幼女魔王 「私は誰でもできることしかできないから」


牧師 「……みんなそんな人か」

牧師 「それがただの思い込みでないとして」

牧師 「しかし現実、いま君はここに居るんだよ」




幼女魔王 「…………」


牧師 「もしも身も心も自分によく似た、それでいて自分より優れている人が近くにいたら恐ろしい」

牧師 「自分の居場所がなくなるような気がするだろう」

牧師 「自分がそこにいる意味が分からなくなるだろう」

牧師 「他人のぬくもりを強く求める人は、とくにそれを恐れるのだろう」


幼女魔王 「…………」


牧師 「……勇者の行進という話を知っているかな」


幼女魔王 「! う、ううん」


牧師 「史実をもとにしたという、宮廷劇から子供の絵本にまでなるほど有名で古い話なんだ」

牧師 「世界を滅ぼそうとする魔王を、勇者たちが打ち倒すというものなのだけどね。簡単に話そう」


幼女魔王 (なんちゅう縁起の悪いものを)

幼女魔王 (……私が魔王ってことは内緒にしてるからしかたないか)


牧師 「山をも薙ぐ剣の勇者、地獄の業火にも耐える盾の勇者、どんな傷も癒す癒しの勇者……」

牧師 「はじめ、勇者たちはひとりで魔王に立ち向かった」

牧師 「けれど魔王はとても強大で、人ひとりの力ではどうしようもない」

牧師 「魔王の剣はあらゆる敵を打倒し、魔王の盾はあらゆる攻撃を防ぎ」

牧師 「魔王の言葉はあらゆる奇跡をおこし、魔王のポケットを叩けばビスケットは二つ」

牧師 「海は割れ、大地は裂け……」

牧師 「本当にどうしようもなかった」


幼女魔王 「…………」


牧師 「やがて、いろいろあって、勇者たちは力を合わせて戦うことをおぼえた」

牧師 「盾の勇者はみんなを守り、癒しの勇者はみんなを癒し」

牧師 「そしてついに剣の勇者の一撃が、魔王を真っ二つに切り裂いた」

牧師 「こうして勇者たちは、世界を守ることができた」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「ビスケットは?」


牧師 「ビスケットは良いんだ」




牧師 「魔王は、ひとりで何でもできた」

牧師 「いっぽう勇者たちは、ひとりで何でもはできないが」

牧師 「大勢で得意とするものを持ち寄り、魔王よりも大きな一つの力を作り上げた」

牧師 「ここが重要なところだ」

牧師 「大勢の勇者が魔王を打倒したのではなく、大勢がひとつの力となって、ひとつの魔王を打倒したんだ」


幼女魔王 「……まさに合体」

幼女魔王 「勇者……合体……ファイナルフュージョ……」


牧師 「合体にこだわらなくて良い」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……! ちょっと待って」

幼女魔王 「ビスケットとチョコレートが合体したら」

幼女魔王 「……アルフォート!」


牧師 「ビスケットは忘れるんだ」


幼女魔王 「ポケットを叩けばアルフォートは割れる……」

幼女魔王 「沈没。アルフォート沈没」

幼女魔王 「アルフォートナイスボート!」

幼女魔王 「そうか! 分かったぞ……! 魔王のビスケットは暗示!」

幼女魔王 「つまり魔王の正体は……」


牧師 「分かった、勇者の話はなかったことにしよう」




幼女魔王 「ごめんなさい。まだ調子が戻っていないみたいです」


牧師 「すまない。まだ、こういう話をするのはまずかったかな」


幼女魔王 「い、いえ」

幼女魔王 「お願いします。牧師さまのお話、聞きたいです」


牧師 「そうか、分かった。つらくなったら言っておくれよ」

牧師 「……人は補い合うことで、ひとつの単位になれることを知ってしまった」

牧師 「それは小さな冒険者のパーティであったり、ギルドであったり、国家であったり」


幼女魔王 「…………」


牧師 「この町だって、傭兵や商人や職人、集まった多くの人の手によって、ややいびつだけれど急速に発展している」

牧師 「集団の力とは、すごいものだね」


幼女魔王 (たしかにスライムに群れでこられたら、さすがの私も苦戦しそうね)

幼女魔王 (合体なんてされた日には、もはや丸呑みされ放題だわ。ブルブル)


牧師 「けれどそれは、くらい陰もつくる」

牧師 「集団の中で、誰かと関わりあわなければ生きていけなくなった便利な世の中で」

牧師 「どうしても、迷子がでてきてしまう」


幼女魔王 「…………」


牧師 「自身の正義が身近な彼らの正義と違っただけで」

牧師 「自身のかたちが身近な彼らのかたちと違っただけで」

牧師 「誰からも受け入れられず」

牧師 「誰からも必要とされない人になってしまう」

牧師 「誰からも必要とされないことしかできなくても、そうなってしまう」


幼女魔王 「…………」


牧師 「その恐怖におびえながら生きなくてはならなくなる」

牧師 「集団が大きければ大きいほど、その中の個は個を放棄して生きなくてはならなくなる」

牧師 「なぜなら、それぞれが好き勝手な振る舞いをすれば、足並みが揃わず集団は崩れてしまうのだから」

牧師 「厄災的にどうどうと」


幼女魔王 「…………」


牧師 「……自分を押し殺して生きることは」

牧師 「果たしてどれだけのストレスなのだろう」




牧師 「ストレスに耐えられなくなったとき」

牧師 「人が迷子になるときだ」

牧師 「集団の中の迷子に、集団は容赦しない」

牧師 「集団で生きることの免状たる、集団で生きることのストレス。それを捨てた人を、集団の中に置いておきはしない」

牧師 「集団で生きることのストレスから解放された人が幸せになることを喜べない」


幼女魔王 「…………」


牧師 「私はみんなのために我慢しているのに、どうしてあの人は我慢しないのだろう。もしくは、どうして我慢できないのだろう」

牧師 「私がやっていることを、どうしてあの人はやらないのだろう」

牧師 「私がやれていることを、どうしてあの人はやれないのだろう」

牧師 「そんな人が、集団の中にいて良いはずがない」

牧師 「私はみんなのために、集団のためにこんなに我慢しているのだから」


幼女魔王 「…………」


牧師 「集団で生きることのストレスという共通の苦しみを抱えた個々は」

牧師 「より強大な集団となって、苦しみを捨てた、苦しみを知らない迷子に襲いかかるだろう」

牧師 「集団の力をもって、自身とまったく同じ苦しみか、同等の苦しみか、それ以上の苦しみを課そうとするだろう」


幼女魔王 (魔王が一匹のスライムに全力で襲いかかるようなものね)

幼女魔王 (スライムかわいそう。スライムが魔王に勝つことなんてぜったい無いのに)

幼女魔王 (ぜったい、無いのに)




牧師 「迷子の目に、それはきわめて理不尽にうつる」

牧師 「パンを食べることが当たり前である人にとって、パンを食べてはいけない国は苦痛だろう」

牧師 「パンを食べないことが当たり前である人よりも」

牧師 「空を飛ぶすべのない人にとって、誰もが空を飛ばなければならない国は苦痛だろう」

牧師 「空を飛ぶすべのある人よりも」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (牧師さまが集団を連呼しだして何を言っているか分からなくなったけど)

幼女魔王 (最後の方はゆっくり話してくれたおかげで分かったわ)

幼女魔王 (きっと私は空を飛ぶ人の国の、空を飛べない人よ)

幼女魔王 (私は地面を歩くことしかできなくて、他の人はみんな歩くことも飛ぶこともできるの)

幼女魔王 (私は孤独なる翼なき魔王。……ふふっ、我ながら詩的ね)

幼女魔王 (こうして牧師さまと話すことによって、知力が上がったに違いない)




牧師 「……君は、まわりの人がみんな自分より優れているというようなことを言ったね」

牧師 「だから自分は誰からも必要とされないものだというようなことも」


幼女魔王 「は、はい」


牧師 「そして、それを気にしている」


幼女魔王 「……はい」


牧師 「気にしているということは、君は誰かに必要とされたい」

牧師 「誰かと一緒にいたい。孤独ではありたくない」

牧師 「そう思っているのかな」


幼女魔王 「はい」


牧師 「……素直だ。こういうとき、そうでないのに孤独を愛するふりをする人も少なくない」


幼女魔王 「でも、本当に私は何もできないの」


牧師 「だから君は、こうしてみんなと暮らしていても、申し訳なさそうに縮こまっているのかな」

牧師 「床をきれいに磨けるのに。癒しの術を持っているのに」


幼女魔王 「……本当です。本当に何もできないの」

幼女魔王 「誰とどんな話をしたら良いのかも分からない」

幼女魔王 「どうしてみんな、あんなに簡単にできているの」

幼女魔王 「こんな私と一緒にいたって、楽しいわけがない」


牧師 「……可憐少女くんはどうなんだい」

牧師 「君と会ったことで、あの子はとても救われたように思うけれど」


幼女魔王 「……それ以上に、つらい目にあわせているわ」


牧師 「…………」




幼女魔王 「はじめは、私と同じだと思った」

幼女魔王 「可憐少女ちゃん、酒場で私をかばって痛い目にあった」

幼女魔王 「ここでも、ほかの人とうまく付き合えない私の面倒をみてくれる」

幼女魔王 「ぜんぜん私と違う。勇気があって、優しくて、あとけっこう巨乳。隠れロケット」

幼女魔王 「ぜんぜん私と違う」


牧師 「…………」


幼女魔王 「私は足を引っ張ってばかり」

幼女魔王 「私がいない方が、他の誰かと一緒にいる方が、可憐少女ちゃんは自由で幸せになれる」

幼女魔王 「…………」


牧師 「…………」

牧師 「……そうか」

牧師 「苦しいね」

牧師 「君は誰かと一緒にいたいと願いながら」

牧師 「自分のことを、誰かと一緒にいるに値する人ではないと思っているのだね」


幼女魔王 「……本当にそうだもの」




牧師 「それでは多くの人と関われば関わるほど」

牧師 「君の中の孤独感は増していくんじゃないかな」


幼女魔王 「…………」


牧師 「……君の心には、大きな穴があいているようだ」

牧師 「しかも、根っこの方に」


幼女魔王 「穴?」


牧師 「分からなくて良い。まずは、それを埋めることから始めなくてはいけない」

牧師 「でないと、きっと孤独なままになってしまう」


幼女魔王 「埋めるって……」


牧師 「ああ。急いではいけない。ゆっくりと埋めていこう」

牧師 「まずは自分が自分のことを必要と思えるようにならなくては」

牧師 「嫌われることを恐れずに自分の本当の心を表に出せるように。声にできるように」

牧師 「人との良好な関係を築く知識を得るのは、それができてからだ」


幼女魔王 「……はい」

幼女魔王 (本当の心。私が人間側じゃないことを隠したまま、できるのかしら)




…………




幼女魔王の部屋



コン コン コココン


幼女魔王 「だあれ」

幼女魔王 (と言っても、このノックをする人は決まっているのよね)


可憐少女 「わたし」


幼女魔王 「はあい。いま開けます」


キイ


可憐少女 「えへへ」


幼女魔王 「……えへへ」


可憐少女 「大丈夫? 頭、もう痛くない?」


幼女魔王 「う、うん」


可憐少女 「……一緒に寝る?」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 「あ、でも、もしまた痛くなって万が一暴れたりしたら、可憐少女ちゃんに迷惑が……」

幼女魔王 (いけない、さっそく牧師さまの言いつけを破ってしまったわ。一緒に寝たいのに)

幼女魔王 (でも、最近こわいのよね。これまではうまくいったけど、もし今日楽しく話すことができなかったらと思うと)

幼女魔王 (そもそも私なんかと一緒に寝て、本当に可憐少女ちゃんは楽しいのかしら)


可憐少女 「そんなことないよ。……やっぱり、調子わるいの?」


幼女魔王 「う、ううん。えっと……」


可憐少女 「……! ご、ごめんなさい。もしかして私、お邪魔だった……?」


幼女魔王 「そんなことない! 可憐少女ちゃん来てくれてうれしい」


可憐少女 「……えへへ」


幼女魔王 「えへへ」




バサ ガサゴソ モフ モフ

ホー ホー


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (ああ、幸せ。しゃーわせ)

幼女魔王 (やらかいベッドで夜のまったりしたひと時を、可憐少女ちゃんと過ごしているなんて)

幼女魔王 (……て、何か喋らなきゃ)


幼女魔王・可憐少女 「…………あ゛」


幼女魔王 (しまった)

幼女魔王 (優しく花を照らす月明かりのような可憐少女ちゃんの言葉に、ゴキブリの足音みたいな私の言葉がぶつかってしまった!)

幼女魔王 「か、かくなる上はヘソでおわびを……」


可憐少女 「ええっ!? もう、幼女魔王ちゃんったらまた面白いこと言って」


幼女魔王 「い、いえ、私はまま、真面目でごじゃり……」


可憐少女 「うふふ……」




幼女魔王 「……は」

幼女魔王 「ハックショクシュッ!」


可憐少女 「大丈夫? すごいくしゃみ」

可憐少女 「肩までかけなくちゃね」


ガサゴソ モフ


幼女魔王 「うう、ありがと……」


可憐少女 「朝も、夜も寒くなってきたね。そろそろ深夜礼拝の準備が始まるのかしら」


幼女魔王 「深夜礼拝? 夜の礼拝と違うの」


可憐少女 「もっと遅い時間の礼拝。夜の真ん中から始まるの」

可憐少女 「この町はいつも夜が明るいけど、その日は、いつもよりやわらかい光が町の空を照らすのよ」

可憐少女 「私は深夜礼拝まで起きていられなかったけど」

可憐少女 「その時期の夜、幻想的な光の中に浮かび上がる教会は、とても綺麗よ」


幼女魔王 「そうなんだ。町中がお祭り……」

幼女魔王 (お祭り。ひとり屋台めぐり。ひとりリヴァイアサンすくい。ひとり死霊の盆踊り……)


可憐少女 「そう、お祭り。い、一緒に町に行って、いろんなお店見ようね」

可憐少女 「きれいなもの、いっぱいあるよ」


幼女魔王 「う、うん……!」


可憐少女 「うふふふ……」


幼女魔王 (お祭りはひとりで行くのが当たり前になってたけど)

幼女魔王 (こんなことなら、いつか買った『図説 友達とお出かけ』をよく読んでおけば良かったわ)




ホー ホー

カタカタ カタカタ


…………


可憐少女 「……うふふ。やっぱり揉みしだくってすごい言葉よね」


幼女魔王 「うん。揉むだけでもすごいのに、しだくを加えることでよりすごくなるよね」


可憐少女 「揉んでしだくなんて、本当にすごいと思う」


幼女魔王 「うん、すごい」

幼女魔王 (ああ、本当にすごい。外から眺めるだけだった、あこがれのガールズトークができてる)

幼女魔王 (私、いま女子やれてる。キラキラ輝いてる。マイワインディングロード輝いちゃってる)

幼女魔王 (よかった。この世界に来て本当に良かった)


可憐少女 「……ねえ、幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「私、あなたに会えて本当に良かった」


幼女魔王 「な、なに、どうしたの急に」


可憐少女 「私、この町でうまれたのだけど」

可憐少女 「妖精との戦争で、パパもママも、家も失ってしまったの」


幼女魔王 「うん」


可憐少女 「どんどん大きくなっていく町についていけずに、知らない人もどんどん増えて」

可憐少女 「自分の居場所も見つけられなくなって、生きていくだけで大変で」

可憐少女 「そのうち自分が何なのか分からなくなって。心がどんどん死んでいって」


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「でも、今はこの教会で優しい人たちに囲まれて、心がよみがえってくるよう」

可憐少女 「ありがとう、幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「私、あなたに会えて、自分の家に帰ることができた気がするわ」


幼女魔王 (……だとしたら、私が吐くほど殴られたのも損ではなかったのね)

幼女魔王 「ううん、なんてことないわ」

幼女魔王 「可憐少女ちゃんのためなら、私どんどん殴られるわ」

幼女魔王 「リンゴにミルクにイチゴ味、お化けカエルの卵だって私どんどん吐くわ!」


可憐少女 「それはやめて」




可憐少女 「……強いね、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「えっ!?」

幼女魔王 「そ、そんなこと言われたのはじめて……」


可憐少女 「強いよ」

可憐少女 「あんなにひどい目にあわされても、心が死んでない。いっぱい動いてる」

可憐少女 「私だったら、恥ずかしくて百回くらい自殺しているわ」

可憐少女 「幼女魔王ちゃんは強い人よ」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……」

幼女魔王 (うれしい)

幼女魔王 (遠まわしに死ねと言われている気がせんでもないけど、うれしい)


可憐少女 「……ねえ、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「な、何じゃね」


可憐少女 「幼女魔王ちゃんは、故郷のことを思い出したりしない?」


幼女魔王 「…………」




幼女魔王 (私のお城がある世界……じゃないわね。あそこで生まれも育ちもしてないし)

幼女魔王 (気がついたら淫魔幼女に連れられていろんな世界を旅していて、それ以前はまったく思い出せない)

幼女魔王 (私の故郷。故郷……)


可憐少女 「思い出すと言ってもはっきりとじゃなくて、なんとなく帰りたいな、とか」


幼女魔王 「……そうね。見てみたいかもしれないわ」

幼女魔王 「きっと、あたたかいのでしょうね」


可憐少女 「……幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「幼女魔王ちゃんには、夢ってある?」


幼女魔王 「えっ!?」

幼女魔王 「………………せ、声優」


可憐少女 「せいゆー?」


幼女魔王 「ごめん、忘れて」

幼女魔王 「あんまり考えたことないな」

幼女魔王 (触手じゃない人型のしもべをつくって家族みたいに甘えたいとか、言えるわけないわ)

幼女魔王 (それに、可憐少女ちゃんとこうしていられて、夢は叶ったようなものだし)


可憐少女 「そうなんだ」

可憐少女 「私はね、幼女魔王ちゃんの故郷を見てみたいな」


幼女魔王 「!?」




可憐少女 「もちろん幼女魔王ちゃんが良いならだけど、一緒に」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん、ありがとう」

幼女魔王 「でも、私、自分の故郷の場所も分からないから……」


可憐少女 「うん。だから、ちょっとだけ冒険するの」

可憐少女 「幼女魔王ちゃんの故郷を探す冒険」


幼女魔王 「ぼ、冒険。私と可憐少女ちゃんで……」

幼女魔王 (二人旅だなんて、つまり結婚しようってことよね。友達として)


可憐少女 「幼女魔王ちゃんと一緒にいろんなことをして、いろんなものを見たい」

可憐少女 「まずは幼女魔王ちゃんの故郷探し。これがいまの私の夢」


幼女魔王 「今の?」


可憐少女 「幼女魔王ちゃんに会って、この教会に来なかったら」

可憐少女 「こんな夢も見られずに、今もあの家で怯えて暮らしていたわ」


幼女魔王 (……そういえば。どうして牧師さまはこれまで可憐少女ちゃんを引き取らなかったんだろう)

幼女魔王 (お荷物の私と一緒に暮らすようになって、これでは到底生きていけないと思われたから?)


可憐少女 「ね、どう、幼女魔王ちゃん?」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 (積極的に旅に出るタイプじゃないと思っていたけど、そうでもないのね)

幼女魔王 (……私の世界にも、来てくれるかしら)

幼女魔王 「すごく、良いと思う……」




可憐少女 「そう、よかった!」


幼女魔王 「あ、あのね、私……」

幼女魔王 「故郷のことは思い出せるの。風景とか」

幼女魔王 (本当は違うけど)


可憐少女 「ええっ」


幼女魔王 「最近、ちょっと思い出せるようになってきた」


可憐少女 「そうだったんだ。……どんなところか、聞かせてほしいな」


幼女魔王 「うん、もちろん。と言ってもたくさんは語れないけど」

幼女魔王 「……小さな森、たぶん小さな森を抜けると草原があって」

幼女魔王 「そこをゆるやかにうねる肌色の道の先に、白いお城があって」


可憐少女 「まあ、お城」


幼女魔王 「お城っていっても、廃墟で」

幼女魔王 「空には隣の世界……じゃなくて町が大きな残月みたいに浮かんでいるの」


可憐少女 「浮かんで……?」


幼女魔王 「あ、そ、そう見えるの。本当は徒歩30分くらい。一回左折する」

幼女魔王 「そこからときどき飛行せ……ふね、船が他の世界……じゃなくて町」

幼女魔王 「他の町へゆっくり渡っていくのが良い感じ」

幼女魔王 「空は、朝は青に薄い緑や桃色、白が綺麗で、夜は草原から見る星の海が綺麗で……」

幼女魔王 「そんな感じ。あとはこれと言ってなにもない」

幼女魔王 「魔王とか触手とかバッドエンドとか、そういうの一切ない」

幼女魔王 「休日の朝お茶の間で流れてもぜったい安心のお子様向け」


可憐少女 「そ、そうなの」




幼女魔王 (……良いわよね。本当の故郷のことは何も知らないけど)

幼女魔王 (私が治めている世界のことを嘘いつわりなく話したのだし)


可憐少女 「……うん。やっぱり見てみたいな、幼女魔王ちゃんの故郷」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……」


可憐少女 「のどかで素敵なところなんだろうなあ」


幼女魔王 「ううーん、あんまり期待しないでよ。がっかりしちゃうから……」


可憐少女 「うふふ……」


幼女魔王 「も、もう寝よ。明日も早起きしなくちゃ」


可憐少女 「そうだね」

可憐少女 「……幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「うん」


可憐少女 「これからも、一緒にいられると良いね」


幼女魔王 「……うん」

幼女魔王 (私の故郷……もとい私の世界を見てみたいって言ってもらった)

幼女魔王 (私が本当のこと言ったら、優しい可憐少女ちゃんは受け入れてくれるのかしら)

幼女魔王 (……考えるのはやめよ。怖いだけだわ)


ホー ホー


…………



ある日 朝

庭のある小教会 廊下



信徒D 「今度は上層の方で、また女性が怪死したそうです」


信徒E 「犠牲者は無惨な姿だが、顔に狂ったような笑みをはりつけているそうだ」

信徒E 「モンスターのしわざか、翅のある悪魔の所業か」


信徒F 「町を見回る牧師さまが狙われなければ良いのですが」

信徒F 「今は犠牲者は女性だけだが、男が狙われないとも限らない」

信徒F 「もっとも、牧師さまほどの信力を持つかたを心配するなど、おこがましいことですが」


信徒G 「子供たちこそ心配です。町を自由に走り回らせるのは控えた方が良いのじゃないかしら」

信徒G 「ただでさえこの町は物騒なところも増えているし、最近じゃ人買いの噂も……」

信徒G 「あら、あれは……」


ト ト ト ト


幼女魔王 「くぁ……」

幼女魔王 (まだ早起きに慣れないわ)

幼女魔王 (……信徒さんたちがいる)

幼女魔王 (挨拶しなきゃ。元気に、元気に……)


信徒G 「おはようございます、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「オヒャッ……オハイヨッ」

幼女魔王 「ゴザマッシュ……!」

幼女魔王 (まずいわ、この人の名前なんだったっけ!)


信徒F 「今日もお早いですね」


幼女魔王 「はひ……い、いえいえ、そんな……」

幼女魔王 (何を話せば良いのよ、何を話せば良いのよ!)


信徒E 「これから床掃除かな。感心、感心」


幼女魔王 「いえ、私なんか……いえ……ありがとうございます……」

幼女魔王 (ひいい、大人の人がこんなに。怖い。お説教されているわけでもないのに)

幼女魔王 (一刻もはやく逃げ出したい!)




信徒D 「そうだ、君も気をつけるんだよ」

信徒D 「今、奇妙な事件がおきているからね」

信徒D 「妖精たちの放ったモンスターがこの町に潜んで、人を襲っているらしい」


幼女魔王 「えっ……」

幼女魔王 (臭い井戸の近くで私が襲われたアレか)

幼女魔王 「は、はい」

幼女魔王 「……あ、じゃあ私はこれで」


信徒F 「また食堂で会いましょうね」


幼女魔王 「あ、はい……」


ト ト ト ト


信者E 「……あんなにおどおどして。話していると、こちらがいじめているような気になるなあ」


信者D 「辛い目にあってきたのだろう。試練は己の力で乗り越えるべきと考える牧師さまが」

信者D 「見るに耐えかねて引き取ったそうだ」


信者F 「もっと心をひらいてくれたら良いのだけど」


信者D 「可憐少女くん以外とも話せるようになってきた。目や顔をすぐにそらしてしまうが」

信者D 「まあ、時間をかけて見守ろうじゃないか」


ヒソヒソ ヒソヒソ



幼女魔王 「…………」




>>848

名前表記訂正
ごめんなさい


誤:信者

正:信徒








泣き部屋



幼女魔王 「私は愉快な床拭き職人~……」


ゴシ ゴシ ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 「……えへへ」

幼女魔王 (離れてから聞こえた、信徒さんたちの会話)

幼女魔王 (私のこと、心配してくれていたわ。悪口じゃなくて)

幼女魔王 (……今度、頑張って自分から話しかけてみようかしら)


ゴシ ゴシ ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 (……いえ、もしかしたら)

幼女魔王 (私に聞こえていることが分かっていて、あえてああいうことを言い)

幼女魔王 (私が気を許し調子に乗ったところで、何かしらの罠にはめドン底におとすという作戦なのかも)

幼女魔王 (……油断ならないわ)


ゴシ ゴシ ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 (いえ、駄目よ私。そんな風に疑ったらいけない)

幼女魔王 (この教会の人は善い人ばかり。変態っぽい執事が一人いるけど)

幼女魔王 (そういえば、どうして教会に執事なのかしら。今度、牧師さまにきいてみよう)


ゴシ ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「…………」


ゴシ ゴシ ゴシ


頭の割れた子供 「……お゛」


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 (な、何かしら。変な声が聞こえたような)


キョロ キョロ


幼女魔王 (……誰も、いないわよね)

幼女魔王 (……ブルルッ。なんだか気味が悪くなってきた)

幼女魔王 「きょ、今日は早めにきりあげましょ……」



幼女魔王 「バケツの水はこぼさないように……」


カチャ カチャ チャプン


頭の割れた子供 「…………」


バタンッ


幼女魔王 「ひゃっ!?」

幼女魔王 (部屋の扉が閉まった!)

幼女魔王 「か、風よね。そうよね、あひゃは……」


ガチャ


幼女魔王 「……開かない」


ガチャ ガチャ


幼女魔王 「……やっぱり開かない」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「えっ! なんで!?」


ガチャガチャガチャガチャ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 「ちょっと、開きなさい! 開けゴマ! ゴマ!」

幼女魔王 「開いてよお!」


ガチャガチャガチャガチャ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 「こうなったら力ずくで!」

幼女魔王 「ぬんほおおおーー!」


ガチャガチャガチャガチャ


頭の割れた子供 「…………」


幼女魔王 「ふおーー!」

幼女魔王 「んおーー!」

幼女魔王 「むおおおおーー!」


ガチャガチャガチャガチャ


頭の割れた子供 「お゛お゛お゛お゛お゛!!」


幼女魔王 「おあああーー!?」




頭の割れた子供 「アー、ア゛ー……」


幼女魔王 「あわわわわ……」

幼女魔王 (頭が半分欠けた四つん這いの子が、いきなり部屋に現れた)

幼女魔王 (いくつぐらいかしら、私より小さい。この子は幽霊? ゾンビ?)

幼女魔王 (欠けた頭で、生々しいものがびくびく動いてる)

幼女魔王 (うう、吐き気が……)


頭の割れた子供 「アー」


ズル ズル


幼女魔王 (墓場のカラスみたいな声……)

幼女魔王 (で、なきながら近づいてくる……)

幼女魔王 「ひ、ひいい……」


ガチャガチャガチャガチャ


頭の割れた子供 「アー」


ズル ズル ズルズルズルズル


幼女魔王 「ひいいいい!?」

幼女魔王 「い、いや、こな、来ない……」


頭の割れた子供 「ア゛ッー!」


ガシッ


幼女魔王 「きゃあああ!」


ドタ 

ガラン バシャ


幼女魔王 (片方の足首を掴まれて転んだ……)





幼女魔王 「いたた、お尻うった……」


頭の割れた子供 「オアー、ア゛ー……」


幼女魔王 「っ! い、いや、ちょっと、お願い離して……」


頭の割れた子供 「オアーア……オアーア」


グイ グググ


幼女魔王 「きゃあ!?」

幼女魔王 (無理やり足を開かれた。こんなに小さい手なのに、すごい力……!)

幼女魔王 「いやあ! 何、やってるのよ……ッ! 女の子にそんなことしたら嫌われるのよお……」


頭の割れた子供 「オアーアー」


グイ ピラ グググ


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「ちょちょちょちょよっ、スカ……どこに頭つっこんでるの!?」

幼女魔王 「変態!? あなたも変態なの!?」


頭の割れた子供 「ア゛ー……」


グリ グリ

グイ グイ


幼女魔王 「やめなさいよ、こらあ……」

幼女魔王 「やめてよお……!」

幼女魔王 「や、やめてえぇ……」


頭の割れた子供 「モ゛ア゛ーア゛……」


幼女魔王 (モアーア、オアーア)

幼女魔王 (……お母さん?)




頭の割れた子供 「オアーア、アンア゛ー……」

副音声 『お母さん、ママ』


頭の割れた子供 「オ゛オー……」

副音声 『お祈り中に騒いでごめんなさい』


頭の割れた子供 「オアー」

副音声 『こんどは良い子にするので、もういっかいぼくを産んでください』


グリ グリ グググ


頭の割れた子供 「モ゛ォー、オオ゛ー」


幼女魔王 「グスッ……やめてよ、やめて、離してえぇ……」

幼女魔王 「ううう、うう……」


頭の割れた子供 「オオー」


幼女魔王 「ううー……なによ、私だって、魔王のはしくれなんだから……」

幼女魔王 「怖かないわよ……いつまでも好きにさせないんだから……ッ」


頭の割れた子供 「ム゛ー」


幼女魔王 「魔王を……なめんじゃないわよ!」

幼女魔王 「カモン、触しゅ……」


頭の割れた子供 「オイヨイヨ」


ペロ


幼女魔王 「わひゃっ!?」

幼女魔王 「舐めんじゃないわよォ!!」




頭の割れた子供 「オアーア……オアーア、アーア!」


ゴチ


幼女魔王 「ひぎっ!?」


頭の割れた子供 「オアアア! オアア゛アア゛!!」


ガツン ガツン


幼女魔王 「痛っ、いだだだだ!?」

幼女魔王 「頭突きっ、そんなところ、やめっ……!」


頭の割れた子供 「オガアアアア!!」


ガツ ガツン ゴツン


幼女魔王 「んぎょっ!? ひゅぐぎゅ!?」

幼女魔王 「やめてっ、砕けるっ、恥骨! 恥骨が砕ける!」

幼女魔王 「私の恥骨があぁー!」


頭の割れた子供 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」


ガツン ガツン ガツン


幼女魔王 (怒ってるの? いったいこの子は何なの。どうしたの!?)

幼女魔王 (痛い、痛い、痛い、痛い!)

幼女魔王 「いぎっ、ひぐっ……ううう」

幼女魔王 「うわあ~~ん。助けて、誰か助けてよおー……!」


ズズズ


美触手 「…………」





ガツン グチャ ガツン グチャ


頭の割れた子供 「オオオオオ。オオオオオ」


幼女魔王 「うえーん、うええーん……」


美触手 「…………」


ブン


頭の割れた子供 「オガッ」


ドカ ゴトン


幼女魔王 「ぶええ……」

幼女魔王 「……あ」


美触手 「…………」


幼女魔王 「美触手。来てくれたのね……」

幼女魔王 (……尻尾であの子を吹っ飛ばしたのかしら)


美触手 「…………」


頭の割れた子供 「オア……アオ、アオ、アオ、アオ」


幼女魔王 「……手足がぐにゃぐにゃにひん曲がっても平気みたい」

幼女魔王 「目がキョロキョロ動いてる」


頭の割れた子供 「オアーア……オアーア……」


美触手 「……キュロロ」


スルスルスルスル


幼女魔王 「ちょっと美触手、うかつに近づいたら……」

幼女魔王 「あ、聞く気ねーわね」


美触手 「…………」


頭の割れた子供 「オアーア……オアー……」


美触手 「…………」


ガブリ


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (美触手が子供の頭を食いちぎった……!)




美触手 「…………」


グチュ グチュ


幼女魔王 「あ、あの、ちょっと美触手さん?」

幼女魔王 「そんなもの食べたらお腹こわしちゃうんじゃないかなー……」


美触手 「…………」


首なし頭の割れた子供 「…………」


美触手 「…………」


ガブリ


幼女魔王 (今度は一口で丸呑み)

幼女魔王 「……こ、ことのほかおいしかったの?」




美触手 「…………」


スルスルスル


幼女魔王 (こっちに戻ってきた)

幼女魔王 「あ、ありがとう、助けてくれて」


美触手 「クュルル」


幼女魔王 「ちょ、ちょっと?」

幼女魔王 (あの子みたいに、私の足の間に頭を……)


美触手 「…………」


ペロ ペロ


幼女魔王 「あんたもかあッ!」


美触手 「…………」


ペロ ピチャ ピチャ


幼女魔王 「何かすすってる?」

幼女魔王 「……うわっ!」


頭の割れた子供の頭の中身


幼女魔王 「そうか、あの頭で頭突きを繰り返していたから、飛び散ってこびりついたんだ」

幼女魔王 「それをお掃除してくれているのね。ありがとう」


美触手 「…………」


ペロ ペロ ペロ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「あれ? 舐められてると、また体がポカポカしてきた……」


…………



庭のある小教会

廊下 泣き部屋前



ガチャ キイイ


幼女魔王 「……開いた」

幼女魔王 「結界のようなものだったのかしら。そういえば、部屋の中に不思議な色がかかっていたし」

幼女魔王 「あの子のしわざ? 私をあそこまで追い詰めるなんて」

幼女魔王 「うーむ、相当な腕っこきに違いない……」


美触手 「クルル」


幼女魔王 「は、はやく片付けて出ましょ」

幼女魔王 「あーあー、結局バケツひっくりかえしちゃって。あとでまた掃除しなきゃ」


カチャ カチャ ゴイン

ト ト ト ト

キイイ パタム ガチャ 


幼女魔王 「……ふう、これで良し」

幼女魔王 「でも、教会の中であんなことが起こるなんて」


美触手 「クュルル」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (まずいわ、美触手を誰かに見られたら!)

幼女魔王 「は、はやく隠れて!」


美触手 「クュ」


ズズズ


幼女魔王 (言うこと聞いてくれた。井戸のときみたいにはならなかったわね……)

幼女魔王 「……ご、ごめんなさいね、助けてくれたのに追い出すようなことして」

幼女魔王 「私、ここで嫌われたくないの。みんなが優しくしてくれているから、余計に嫌われるのが怖いのよ」


美触手 「…………」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (ごめんなさい、だなんて。私ってつくづくクソ魔王ね)

幼女魔王 (謝って、自分の気持ちを軽くしたいだけだもの)

幼女魔王 (人間として嫌われるのが怖くて、魔王として嫌われるのも怖くて)

幼女魔王 (とても中途半端だわ)





美触手 「…………」


幼女魔王 (本当に悪いと思うなら、変に謝らずに不満やら怒りやらを黙って受け止めれば良いのに)

幼女魔王 (それをする勇気も力もない)

幼女魔王 (少しでも罰を軽くしてほしくて、相手のご機嫌をとって逃げ道を探して……)

幼女魔王 (クソ魔王でもないわ。こんな私が、魔王なんてできるわけないのよ)


美触手 「…………」


ズプン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……うん、誰もいないわね。見られてない、見られてない」

幼女魔王 「はやく行きましょ。朝ごはんに遅れてしまうわ」


ト ト ト ト


…………



牧師 「…………」

牧師 「…………」



…………

……




ある日 夜

庭のある小教会



髪飾りの傭兵 「海賊、山賊、ゴロツキ傭兵。荒くれ者ほど、信心深いことが多い」


両眼帯の傭兵 「愛情を注がれることが少なく、愛に耐性がないからだ」

両眼帯の傭兵 「神様の愛にコロッといっちまう」


隈の傭兵 「どうしようもない乱暴者として有名だった醜い大男も」

隈の傭兵 「今ではここの牧師さまの飼い犬みたいになっちまった」

隈の傭兵 「神様の奴隷の奴隷になっちまった」


髪飾りの傭兵 「しかし、幸福な奴隷だ」


隈の傭兵・両眼帯の傭兵 「違いない」


ガヤガヤ


幼女魔王 「……夜礼拝。たくさんの人が礼拝堂を出入りしてる」

幼女魔王 「私も、なにかお手伝いしなくて良いのかしら」


可憐少女 「ここの生活にじゅうぶん慣れて、よく考えて神様におつかえしたいと思ったら」

可憐少女 「そのときは手伝わせてくれると、牧師さまも他の信徒さんもおっしゃっていたわ」

可憐少女 「まずはこれまでの傷を癒しなさい……って」


幼女魔王 「そうなんだ……」


可憐少女 「同じ町なのに、こんなに違うなんてね」


幼女魔王 「うん」


可憐少女 「早く寝よ。明日はアクセサリ市のたつ日だもの」


幼女魔王 「うん。体力を満タンにして、いっぱいお店をまわって、綺麗なものを見なくてはね」




…………

ホー ホー


可憐少女 「…………スウ」


幼女魔王 「…………ニョロ」


可憐少女 「…………スウ」


幼女魔王 「…………フニャ」

幼女魔王 「ヘクチッ!!」

幼女魔王 「ブルルッ。うう……?」

幼女魔王 (目がさめてしまった……)


ソヨ ソヨ

フワ フワワ


幼女魔王 (カーテンが揺れている)

幼女魔王 (……きっと礼拝堂を見たときね。窓をしっかり閉めていなかったんだわ)


可憐少女 「…………クシュッ」

可憐少女 「…………」


幼女魔王 (はやく閉めなきゃ。可憐少女ちゃんが風邪をひいてしまう)


ゴソ ゴソ ペタ


幼女魔王 「うひゃっ、ベッドから出るとより寒いわね……」


ト ト ト ト


幼女魔王 (神友に風邪をひかせるなんて、割腹ものよね)

幼女魔王 「……ん?」


ザワワ サヤサヤ


幼女魔王 (暗いから木々の枝葉と見間違えたのかしら)

幼女魔王 (いま、礼拝堂に誰かが入っていったような……)

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (教会泥棒かもしれない。ここ特製の聖水とか、他にもいろいろ盗むものはあるし)

幼女魔王 (……そ、そうだとしても大丈夫よね。表信騎士さまたちが見張りをしているし)

幼女魔王 (私が行ったって、どうせ返り討ちにされて身ぐるみはがされてうっ払われるに違いないし)

幼女魔王 「…………」






庭のある小教会

礼拝堂



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (来てしまったわ。ひとりで、のこのこと)


ユラ ユラ


幼女魔王 (石の祭壇で、蝋燭の小さな火が並んで揺れている)

幼女魔王 (……夜の礼拝堂って、けっこう不気味ね)


ガコン ギイイイ


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (扉が開いた。誰か入ってくる?)

幼女魔王 (あわわわ……)


??? 「…………」


カツン カツン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (あわてて聖卓の下に隠れてしまった)

幼女魔王 (……掛け布の下から様子を見ることができそうね)

幼女魔王 (どれどれ……)


カツン カツン


??? 「…………ブワックション」

大男 「うーん。深夜礼拝の日が近くなって、いちだんと寒くなったなあ」


幼女魔王 (大男さま……大男さん!)

幼女魔王 (どどどど、どうして!?)




カツン カツン


大男 「…………」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (こっちに近づいてくる)


カツン カツン カツ


大男 「…………」


幼女魔王 (立ち止まった……)


大男 「…………」


カツン カツン カツン


幼女魔王 (向きをかえて歩き出した)

幼女魔王 (あっちは……たしか告解室ね)

幼女魔王 (罪を悔いて告白する側と、それを聞く教会の信徒側用にそれぞれ入口があって)

幼女魔王 (中にはお互いの顔が見えないようについたてがしてある……)


カツン カツン


大男 「…………」


幼女魔王 (罪の告白にでも来たのかしら)

幼女魔王 (……告解室はいつでも解放されていて信徒も控えているけど)

幼女魔王 (深夜は外の入口から入る決まりだったはず)

幼女魔王 (それを知らずに?)

幼女魔王 (……さっきの人影も、もしかして告解室の入口を間違えただけなのかしら)




幼女魔王 (傷ついた人が礼拝堂に駆け込んで休むこともあるというけど、どこにもそんな人の姿はないし)


大男 「…………」


カチャ キイイ


幼女魔王 (あ、大男さんが告解室に入っていった)

幼女魔王 「…………」


ザワワ 

ホー ホー


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (今のうちにここから離れれば良いんじゃないかしら)

幼女魔王 (よ、よーし……)


カチャ


幼女魔王 「!」


大男 「…………」


幼女魔王 (もう出てきた!)

幼女魔王 (あ、危なかった……。あと少し早く私が出ていたら、見つかっちゃっていたわ)


大男 「…………」


カチャ キイイ


幼女魔王 (…………?)

幼女魔王 (あら、今度は信徒用の入口から告解室に入っていく)

幼女魔王 (……何やっているのかしら)





カチャ キイイ


大男 「…………」


幼女魔王 (また出てきた)


大男 「…………」


カチャ キイイ


幼女魔王 (今度は告白する側の入口から入っていく)

幼女魔王 (……こんな夜中に、告解室を出たり入ったり)

幼女魔王 (正直、うす気味悪いわ)


ホー ホー


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (……出てこない)




礼拝堂 告解室 



カチャ


幼女魔王 「……うーん。トイレ、トイレ」

幼女魔王 (ふふふ。寝ぼけてトイレと間違って告解室に来ちゃった作戦)

幼女魔王 (我ながら冴えているわ)

幼女魔王 「トイ……」


シン


幼女魔王 「誰もいない……!?」

幼女魔王 「……外への入口から出て行ったのかしら」

幼女魔王 「ま、まあ普通に考えりゃそうよね」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (ついたての向こう、誰もいない?)

幼女魔王 「あのう、もしもし。ごめんなさい、トイレと間違っちゃって……」


シン……


幼女魔王 (……返事がない。人の気配もない)





ガチャ キイイ

ト ト ト ト

ガチャ キイイ


幼女魔王 「あの……」

幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (告解室。信徒側に来てみたけれど)

幼女魔王 「誰もいない」

幼女魔王 「トイレかしら?」

幼女魔王 「でも、私が聖卓の下にいる間は誰も出てこなかったわね」

幼女魔王 「信徒側の入口は一つ。聖堂からしか入れないから」

幼女魔王 「……最初からいなかった?」


ホー ホー


幼女魔王 「……さぼりかしら」

幼女魔王 「うーん……」

幼女魔王 「帰ろ」


ガチャ キイイ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (大男さんは、このあと告白する側の方に入ったのよね)

幼女魔王 (…………)




ガチャ キイイ


幼女魔王 「……やっぱり、誰もいないわよね」


パキン


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「な、なに、何の音」

幼女魔王 「空気が凍りついて割れたような……まさかまた泣き部屋のときみたいなことが!?」

幼女魔王 「で、出てきてしもべたち!」


ズズズ


美触手 「クュルル!」


幼女魔王 「や、やった。ひとり出てくれた……」


フィイイイ キイイン


幼女魔王 「!」

幼女魔王 (告解室の床の一部が透けていって、下り階段があらわになった)


美触手 「…………」


幼女魔王 「この教会に、こんなところがあったなんて……」


オオオオオ


幼女魔王 「いやな空気」

幼女魔王 「どこまで続いているんだろ、この階段」

幼女魔王 「……大男さんは、この先へ行ったのかしら」


美触手 「…………」


幼女魔王 「い、行ってみましょう」

幼女魔王 「美触手。またすぐに呼ぶかもしれないから、そのつもりで待機していてくれる?」


美触手 「…………」


ズズズ


幼女魔王 (分かってくれたのかしら)




庭のある小教会

礼拝堂 告解室地下

ゆるしの秘跡道



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (暗い)

幼女魔王 (明かりの魔法くらい使えるようになっとけばよかったわ)


ソロリ ソロリ ソロリ


幼女魔王 (音はぜったいにたてないようにしないと)

幼女魔王 (ふふ、これは得意よ)

幼女魔王 (普通に町を歩いていても空気のように目立たなかった)

幼女魔王 (中立の町での経験がいきてくるわね)

幼女魔王 「……あれ、おかしいわね。喜ぶところなのに涙が出てきた」


ソロリ ソロリ


幼女魔王 (うーん、どこまで続くの、この階段)

幼女魔王 (まっすぐじゃなくて、けっこう曲がりくねっているわよね)

幼女魔王 (今、町のどのあたりなんだろう。教会の地下というわけでもなさそう……?)

幼女魔王 「……む」


ポオオ


幼女魔王 (階段の先が明るくなった)

幼女魔王 (緑色の光。やっとどこかに着けるのかしら)


ソロリ ソロリ ソロリ





砦の町 地下階 

緑の地下庭園 湧水のある広場



チョロチョロチョロチョロ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (森の広場みたいな場所の中心で、白い岩の隙間から水が湧いている)

幼女魔王 (丸きり自然というわけじゃなさそうだけど、町の地下にこんな場所があるなんて)

幼女魔王 (清らかな光に満ちている。心があらわれるようだわ)

幼女魔王 (聖地のよう)

幼女魔王 (素敵。魔なるものなどひとたまりもないわね)

幼女魔王 (魔なるものなど……)


???の声 「…………」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (誰かの話し声)

幼女魔王 (あの道の向こうからだわ……)





緑の地下庭園 ゆりかご広場



??? 「……遅くなってごめんよ」

大男 「本当に」


??? 「もう良い」

表信騎士 「……誰にも見られなかっただろうな」


大男 「もちろんだよ」

大男 「それより、今日はどんな具合だい」


表信騎士 「いくつか空くだろうよ」


大男 「そうかあ。えへへ」


表信騎士 「……彼の前で、その顔はしないことだ」


大男 「へへ……うん、いけないいけない」

大男 「これは聖なる日のためのことだからね。しかたないことだからね」


表信騎士 「……ふん」

表信騎士 「時間が惜しい。行くとしよう」


大男 「ああ、そうしよう」


ザッ ザッ ザッ ザッ



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……え?」

幼女魔王 「いまの、何……?」




幼女魔王 (隠れるのにちょうど良い岩の陰から見たもの)

幼女魔王 (大男さんと表信騎士さんが変なことを話して、一緒に歩いていった)

幼女魔王 (秘密のデート……そんなわけないか)

幼女魔王 (あとをつけた方が良いかしら……)


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 (! 誰か来る?)


ザッ ザッ ザッ


??? 「……ふふふ」

執事? 「今日は良い収穫の日になりそうじゃないか」


幼女魔王 (……執事さん!)

幼女魔王 (でも、あの格好は……)


執事? 「深夜礼拝だっけ。それを前に、これはめでたいことだ」

執事? 「ねえ?」


??? 「…………ああ、波魔法少女どの」

牧師 「そのようだ」


幼女魔王 (!?)


執事? 「ああん。どの、だなんて」

波魔法少女 「いつまでもよそよそしいなあ、牧師さまは」




牧師 「……町での犠牲者は増える一方だ」


波魔法少女 「そうだね、すごいね」


牧師 「…………」


波魔法少女 「ごめん。すごくない」

波魔法少女 「残念だね」


牧師 「こうなるなど、言っていなかったと思うが」


波魔法少女 「うん、ごめんよ。まあ、ものごとがうまくいくということは失敗もあるということだ」

波魔法少女 「予想外だよ。きっと井戸を通って逃げ出したんだろうが、雑魚すぎて気付かなかった」

波魔法少女 「……でも、この程度でためらったりはしないのだろ」

波魔法少女 「何でもすると言ったのは君だから」


牧師 「……ああ」


波魔法少女 「うん、良いね。よい男の目だ」

波魔法少女 「それでこそ、我々も力を提供するかいがあるというものだ」


牧師 「…………」


波魔法少女 「いやあ、助かるよ。じつは牧場をひとつ、新しい計画ごと潰されてね」

波魔法少女 「ついでにその牧場のあった世界も滅ぶわ、隊長は死ぬわ、淫魔の娘に最高の苗床を盗まれるわで散々でね」

波魔法少女 「それ以来、ちょうど良い世界が見つからなくて計画がおじゃんに……」


牧師 「今日は、よく喋る」


波魔法少女 「ごめんよ」

波魔法少女 「でも君ほどじゃないさ」


牧師 「…………」


波魔法少女 「責めているわけじゃないよ」

波魔法少女 「私たちは仲間だもの」




幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (何、何なの。ここで何がおきているの。みんな、何をしているの)



波魔法少女 「ところで、あの子のことだけど」


牧師 「……幼女魔王」


幼女魔王 (!?)

幼女魔王 (……見つかった!?)


波魔法少女 「うん」

波魔法少女 「……かわいいよねえ! なんていうか、なんかもう、すごく」

波魔法少女 「かわいいよねえ!」


幼女魔王 (…………!)


牧師 「……ああ、よい子だと思うよ」


波魔法少女 「つりつりでぷにっぷにでつるっつるでさあ」

波魔法少女 「それでいて、きゅっとしててさあ」

波魔法少女 「ああ、もう! ああ、もう!」


牧師 「…………」


波魔法少女 「滅茶苦茶にいじめたくなっちゃうくらいかわいい!」

波魔法少女 「ねえ、あの子、どんなの産むのかなあ!?」


牧師 「波魔法少女どの……」


波魔法少女 「……おっと、ごめん」




波魔法少女 「君のお気に入りだったね。あの子と、可憐少女ちゃんは」


牧師 「……私は」


波魔法少女 「良いよ」

波魔法少女 「あのくらいだったのだろ、君の娘さんがたは」

波魔法少女 「重なっちゃうようね。ひいきしちゃうよね、人間だもの」


牧師 「…………」


波魔法少女 「もうすぐだ。この世界の妖精とかいう魔物どもに罰をあたえるときだ」

波魔法少女 「我々にとっても、それは小さなことに過ぎないが重要な使命だ」


牧師 「…………」


波魔法少女 「……で、あのピンクちゃんは本当に人間なのかな」


幼女魔王 (……!)


波魔法少女 「いろいろな世界を駆けて魔物どもと戦ってきた、私の魔法少女の勘なのか」

波魔法少女 「あの子は魔物、ここで言えば妖精側っぽいにおいがするんだよね」


牧師 「私は、君が言うところの世界を駆けるという感覚は想像できないな……」


波魔法少女 「まことに遺憾ながら、あの子は可憐少女ちゃんの次に君に心を許しているみたいだし」

波魔法少女 「気を抜いて何かぼろを出していたりしないかな」

波魔法少女 「それとも、慣れない執事職で私の勘もちょっと狂っちゃったかな」


牧師 「…………」

牧師 「人間だよ。たしかに素性は知れないし、普通の子供より強い癒しの力を持っているが」

牧師 「それ以外は普通の人間の幼子だ。傷の多い子だ」


波魔法少女 「言い切るね。情は目を曇らせるというけどね」


牧師 「もしも妖精側だとわずかでも思ったら」

牧師 「私がこの手で殺している」


幼女魔王 (!?)


波魔法少女 「……そういうことにしておこうか」




波魔法少女 「いやー、良かった。これからも幼女魔王ちゃんを愛でることができるわけだ」


牧師 「表信騎士くんたちも準備ができたころだろう」

牧師 「行こう」


波魔法少女 「……ああ」


ザッ ザッ ザッ ザッ



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「……なるほど」

幼女魔王 「たぶん、あれね。大人たちだけで深夜礼拝の準備をしているのね」

幼女魔王 「んもーう、子供に内緒にするなんて意地が悪いんだから」

幼女魔王 「あはははははは」

幼女魔王 「はは……ははは」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「あとをつけるしかないじゃないの」


ザッ ザッ ザッ ザッ




緑の地下庭園 

交差波動迷宮 休憩所



信徒F 「えいっ」


バコン


寄生ゴキブリ 「ビギャ」


ドシャ グチャ


信徒F 「……うう、臭い。この上は雨漏り井戸の広場ね」

信徒F 「この町が村だったころから住んでいるけど」

信徒F 「地下にこんな場所があったなんて、今でも信じられない」


足の無い戦士? 「けがれがひどくなっている」

義足の戦士 「この聖なる迷宮のおかげで、教会は清浄を保たれているそうだが」

義足の戦士 「それでここまでとは」


密猟者 「逃げ出した廃棄物の回収を急がないとな」

密猟者 「けがれがひろまって、町の奴らに気づかれる前に」


信徒F 「どうしてコソコソしなきゃならないのかしら」

信徒F 「私たちは正しいことのためにやっているのに」


義足の戦士 「正しいことのためにやることが、正しいとは限らないものだ」


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「行ったかしら」


コソコソ ガサゴソ


幼女魔王 「ふう。隠れるのにちょうど良い何かがあって助かったわ」

幼女魔王 「けっこう人もいるのね。見覚えのある顔もちらほら……見つからない方が良さそうだけど」

幼女魔王 「……それにしても」


潰れた寄生ゴキブリ


幼女魔王 「モ、モンスターも出るのね、ここは」





幼女魔王 「……まずいわね。余計な争いは本意ではないわ」

幼女魔王 「でも、引き返すにしてもかなり進んできちゃったし」

幼女魔王 「なんなのよ、ここ。迷宮というより迷路じゃないの」

幼女魔王 「要所で道しるべがあったから迷わずにすんだけど」


ピチョン ピチョン

コオン コオン


幼女魔王 (……どこかからモンスターの息遣いが聞こえてくる気がする)

幼女魔王 「美触手を出しておいた方が良いかしら」

幼女魔王 「でも、その状態で誰かとばったり会ったら……」

幼女魔王 「いいえ、丸腰でモンスターに襲われた方が恐ろしい結果になるわ」

幼女魔王 「やわらかくみずみずしい肢体を、枯れ果てるまでしゃぶりつくされるに違いない」

幼女魔王 「……よーし。いでませ、美……」


??? 「幼女魔王ちゃん……!」


幼女魔王 「ひゅひっ!?」




幼女魔王 「ぎゃあっ……」


??? 「だ、だめ……」


ムギュ


幼女魔王 「むごっ……」

幼女魔王 (口を塞がれた! 見つかった!)

幼女魔王 (逃げなきゃ!)


ジタバタ


??? 「あ、暴れないで、落ち着いて。私よ」

可憐少女 「幼女魔王ちゃん、可憐少女よ……!」


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「むぉえんおうおあん? (可憐少女ちゃん?)」


可憐少女 「うん」


幼女魔王 「……ぷは。本当だ」

幼女魔王 「どうしてここに」


可憐少女 「目が覚めたら、ちょうど幼女魔王ちゃんが部屋を出て行ていくところで」

可憐少女 「また夜のお散歩かなと思ってついていったら、こんなところに」


幼女魔王 「……また? 私、夜の散歩なんてしていたっけ」


可憐少女 「うん」

可憐少女 「あ、あのね、幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「幼女魔王ちゃんってときどき、眠ったまま歩き回ることがあるの」


幼女魔王 「……え?」


可憐少女 「はじめは驚いたけど、なんだか可愛いから良いかなって思っていて」

可憐少女 「でも、幼女魔王ちゃん、このまえ寝巻きの裾を踏んづけてこけちゃって」

可憐少女 「それ以来、気がついたらしっかりこっそり見守ることにしていたの」


幼女魔王 「あの、え……?」


可憐少女 「それより、幼女魔王ちゃん。ここっていったい何なのかしら」


幼女魔王 「……あ、うん。私も分からないの」

幼女魔王 「というか、自分のこともちょっとよく分からなくなっているけど」

幼女魔王 「夢遊病て、今さら……」




幼女魔王 (……うん、これはべつに大したことじゃないか)

幼女魔王 (自分のことなんて、もともとよく知らないし)


ピチョン ピチョン


可憐少女 「びっくりした。地面の下がこうなっていたなんて」


幼女魔王 「うん……」


可憐少女 「ここで知っている人もちらほら見かけたけど、なんだか様子が変」

可憐少女 「私、怖くて隠れちゃった」


幼女魔王 「私も。内緒で深夜礼拝の準備……なんて」

幼女魔王 「ないわよね、そんなこと」


可憐少女 「……牧師さまは、このことを知っているのかしら」

可憐少女 「教会からここに来られること」


幼女魔王 (可憐少女ちゃんは見ていないのね)

幼女魔王 「うん。執事さんも知っているみたい」


可憐少女 「そうなの……」


幼女魔王 「ねえ、ここは危険よ。モンスターが出るの」


可憐少女 「ええっ、村の地下なのに……!?」


幼女魔王 (この状況で美触手を出すわけにもいかない)

幼女魔王 「これ以上はどうなるか分からない。一緒に教会に戻りましょう」


可憐少女 「う、うん、これ以上進んでしまったら、どうなるか分からないものね……」


幼女魔王 「うん、これ以上は分からないものね。念のため、誰にも見つからないようにしなくちゃ」


可憐少女 「うん、これ以上はね。注意しながら帰ろうね……」


ザッ ザッ ザッ


…………



緑の地下庭園 

世界を駆ける魔法少女ギルド 仮設支部



キイイイ

ウォン ウォン ウォン

ミョンミョンミョンミョン


幼女魔王・可憐少女 「…………」


幼女魔王 (なんか変なとこに出た)

幼女魔王 (同じ地下だけど、どこか違和感がある)


可憐少女 「教会じゃないね」


幼女魔王 「来た道をひきかえしてきたのにね」


可憐少女 「一番奥に来てしまった感じね」


幼女魔王 「うっかりね」


可憐少女・幼女魔王 「…………」

可憐少女・幼女魔王 「どうしよう」


ザッ ザッ ザッ


可憐少女・幼女魔王 「!」


幼女魔王 「足音。誰かこっちに近づいてくる……!」


可憐少女 「か、隠れよう……!」


幼女魔王 「どどど、どこに……!?」


可憐少女 「ええと、ええと……あっ」


すごくあやしい小道


可憐少女 「あそこ! 無害そう!」


幼女魔王 「う、うん、無害そう!」


ササササササ……



ザッ ザッ ザッ


??? 「……まったく、猫耳蛇姫さまにも困ったもんさ」

??? 「何が運命の狩友に会ったかもしれん、だよ。おかげで余計な仕事が増えちゃって……」

??? 「うーん、なかなか見つからないなあ。ボクの勘じゃあ、このあたりなんだけれども」

??? 「……というか、ここってどこなんかね」



世界を駆ける魔法少女ギルド 仮設支部

牧場



グジュル グジュル


孕サキュバス 「……うあぁー、ぁあー……」

孕サキュバス 「あへへへぇ……人間なんかに、負けにゃいわよぉー……」

孕サキュバス 「ひへ……吸い尽くしてやるんだからあー……ひへへへへぇ……」


孕エアリアル 「ううぅ……お腹、痛い……」


魔物少女たち 「…………」


ポコン コポ


可憐少女 「……なに、ここ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (壁や床、柱が生きている肉のようにうごめいて)

幼女魔王 (そこに手足を埋め込まれるようにして、お腹の大きな女の子たちが並んでいる)

幼女魔王 (……妖精というか、人型の魔物を手当たりしだいに集めた感じね)


可憐少女 「う、うう。おぇ……」


幼女魔王 「!」

幼女魔王 「可憐少女ちゃん、大丈夫?」

幼女魔王 (大丈夫なわけないわよね。私も淫魔幼女と関わってなきゃこんな光景……)


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「!」

幼女魔王 (また誰か来る)

幼女魔王 「可憐少女ちゃん、隠れなきゃ……!」


可憐少女 「う、うぇ……うん、うん」


ヨロ ヨロ


幼女魔王 (足がもつれてる……)

幼女魔王 「が、頑張って。私の肩、つかって……」


可憐少女 「うぅ……」


ヨロ ヨロ ヨロ




ザッ ザッ ザッ


大男 「あ、足元にお気をつけて」


牧師 「ああ、ありがとう」


大男 「え、えへへ」

大男 「ここにも、産めそうなのがけっこういます」


牧師 「良いことだね」


ザッ ザッ ザッ



幼女魔王 「…………!」


可憐少女 「……ぼ、牧師さま」


幼女魔王 (可憐少女ちゃん、今にも倒れそう)

幼女魔王 (こんなところ来るべきじゃなかったわ)

幼女魔王 (私があのとき、礼拝堂で引き返していれば……)




孕サキュバス 「あはぁ……ぁ……来たわね、人間んんん……」


牧師 「……これは」


大男 「まだです」

大男 「もう少し育ってから産ませた方が良いです」


牧師 「そうか」


孕サキュバス 「さあ、かかってらっしゃいひぃ……カラカラにしてあげるわよぉ……」

孕サキュバス 「おりこうぶった顔ぉ……んひぃッ……トロトロにとろかしちゃうんだからぁ……」


クネ クネ


大男 「!」


孕サキュバス 「ほらあ……どうしたのお……はやく来……」


ドゴッ


孕サキュバス 「ぶぎっ!?」


大男 「牧師さまを馬鹿にするんじゃあない!」


ドゴッ ボゴッ ドグッ


孕サキュバス 「ぐひいいい!?」

孕サキュバス 「やめて! お腹っ、やめで!」

孕サキュバス 「中で暴れるうぅう……!」


グネグネグネグネ

モコ モコ


大男 「うるさい! 下品な笑顔でよろこんでいるくせに!」


ドゴッ ボゴッ ドグッ



幼女魔王 「…………」




牧師 「やめるんだ、大男」


大男 「はい。で、でもこいつ……」


孕サキュバス 「……おぉ、おなか……いひぃ……」


モコ モコ モゾ モゾ


牧師 「腹はまずい。中のものが死んでしまっては」


大男 「……あ、本当だ」

大男 「ごめんなさい、牧師さま」


牧師 「良いよ」

牧師 「しかし、そうだな」

牧師 「刺激をあたえることで、より強いものが産まれるかもしれない」

牧師 「今度、彼女にでも提案してみると良い」


大男 「は、はい。へへへ」

大男 「あ、こっちです」


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 (奥の方に歩いていく)

幼女魔王 (今のうちにここから逃げるか、じっとしているか)


可憐少女 「……ああ、そんな。私……」


幼女魔王 (じっとしていた方が良いわね。可憐少女ちゃん、まだ歩くのも難しそう)




ザッ ザッ ザッ


大男 「ところで、牧師さま」

大男 「幼女魔王ちゃんは元気ですか」


牧師 「元気だよ」


大男 「そ、そうかあ」

大男 「じゃあ、そろそろ会って謝って……」


牧師 「…………」


大男 「い、いえ、言いつけ通り、もう会いません」

大男 「……あ、ここです」


牧師 「ああ、これだね」


褐色シルフ娘 「…………」


モコ モコ


大男 「ほら、中で動いているのが分かる。すぐにでも産めそうです」


牧師 「そのようだ」

牧師 「……シルフか。人間の幼子とかわらない大きさだが」


大男 「だ、大丈夫ですよ。小さくたって問題なく産めますよ」



幼女魔王 (シルフ?)

幼女魔王 (まさか、死神メイドがいる町の宿で会ったシルフ娘じゃないでしょうね)

幼女魔王 (いろんな世界に配達しているとか言っていたし、ここに来ているということも)

幼女魔王 (……うーん、ここからじゃよく見えないわ)




大男 「あ、あの……牧師さま」


牧師 「何だい」


大男 「ここは僕がやっておきますから」

大男 「次のところへ行ってはどうでしょう」


牧師 「…………」


大男 「ほ、ほら、その方が効率が良いかなって」


牧師 「……効率か」

牧師 「君はときどきそう言って一人になりたがるが」

牧師 「そんなときは決まって時間をかける」


大男 「…………」

大男 「あ、あー……」


牧師 「……あまり、無茶なことはしないように」

牧師 「ここは任せたよ」


大男 「は、はい!」


牧師 「…………」


ザッ ザッ ザッ


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「…………ッ!」

可憐少女 「…………」




幼女魔王 (牧師さまが出て行って、あとには大男ひとり)

幼女魔王 (……隠れて見た牧師さまの横顔)

幼女魔王 (いつも見ている顔とそうかわらないのに、恐ろしかった)



大男 「…………」

大男 「うふふふ。元気かい妖精ちゃん」


褐色シルフ娘 「……うぅ」


大男 「……うーん、良いなあ。ぱんぱんになったお腹の触り心地は」

大男 「さあ、いまから産もうね。僕が手伝ってあげるから」


褐色シルフ娘 「…………」


大男 「大丈夫だよ」

大男 「本当なら君みたいな使い捨ての子は、産んだあとに潰して赤ちゃんの餌にするけれど」

大男 「君は特別に僕が飼ってあげるからね」


褐色エルフ 「…………!」


大男 「幼女魔王ちゃんほどじゃないけど、可愛い体で良かったね。えへへへへ……」



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (あの人は本当に人間なの? 淫魔幼女のようにドス黒い)

幼女魔王 (ぜったい見つかりたくない)


可憐少女 「…………」


フラ


幼女魔王 「!」

幼女魔王 「あっ、だめ、可憐少女ちゃ……」


ドサッ



大男 「…………」

大男 「……んん?」


>>895

名前表記訂正ごめんなさい


誤 褐色エルフ

正 褐色シルフ娘





大男 「何だろう。誰かが倒れたような音だ」

大男 「苗床が外れて転がったのかな」



幼女魔王 (……気づかれた。逃げなきゃ!)


可憐少女 「…………」


幼女魔王 (気絶した可憐少女ちゃんを担いで逃げるなんて無理)

幼女魔王 (ど、どうしようどうしようどうしよう……)



大男 「…………」


ドタドタドタドタ



幼女魔王 (ひいい、すごい勢いでこっちに来る!)

幼女魔王 (考えなきゃ考えなきゃ考えなきゃ考えなきゃ)

幼女魔王 (逃げ逃げ逃げ逃げ逃げ逃げ……)


ドタドタドタ

ヌウ


大男 「さあて……」

大男 「ああっ」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (回り込まれてあっさり見つかった……)


大男 「幼女魔王ちゃん……!」




大男 「久しぶりだね幼女魔王ちゃん」

大男 「どうしてここにいるんだい!?」


幼女魔王 「あ、あわわ……」

幼女魔王(駄目、腰が抜けちゃう。やっぱり、この人を前にすると怖くて何もできなくなる)


大男 「んんっ?」


可憐少女 「…………」


大男 「そこに倒れているのは可憐少女じゃないか!」

大男 「どうしたんだい幼女魔王ちゃん。何があったんだい!?」

大男 「とりあえずこっちにおいで!」


グイ


幼女魔王 「きゃうっ……」

幼女魔王 (女の子の大きなお腹を殴っていた手で掴まれた!)


大男 「駄目じゃないか、こんなところに来ちゃあ」

大男 「ここは来て良いと言われた人しか来ちゃいけないんだよ!?」

大男 「牧師さまに迷惑をかけちゃいけないよ!」


幼女魔王 「あ、あう……」


大男 「君に会ってちょっときつくしつけたのを謝りたかったけど」


幼女魔王 (ちょっと……?)


大男 「これじゃあ、おしおきだよね!」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 「お、おしおき……」

幼女魔王 「おしおき……!?」


幼女魔王 (いや。やだ、やだ、いやだいやだいやだいやだ……)


大男 「きっと牧師さまも、こんなところに勝手に来る子にはおしおきをすべきだと考えるよ」

大男 「じゃあ、牧師さまの手をわずらわせないためにも、僕がおしおきをしなくちゃね!」


幼女魔王 「い、いや。許してください……おしおき、ゆ、許して……」


大男 「やれやれ、牧師さまのところでも悪い子なんだね君は!」

大男 「やっぱり君は僕がちゃんと管理して、ちゃんとしつけてあげなくちゃいけないみたいだね!」

大男 「僕がいないと駄目なんだ、君は!」


幼女魔王 「違う。違う……」


大男 「そうだ、そうなんだ。よーし、決まったね。君は今日から僕の家で暮らすことにしよう!」

大男 「まずはしばらく外出禁止で、毎日しつけてあげるからね!」


幼女魔王 「グスッ……何なの。あなたは何なの……」

幼女魔王 「どうして、何を言っているの……あなた、何を言っているの……」


大男 「良かったあ! ここの小さい子たちをこっそり家に持ち帰っていたけど、やっぱり君にはとうていかなわないんだもの!」

大男 「僕にしつけられるべきなのは、君しかいないんだよ!」


幼女魔王 「もう私のことなんて、放っておいてよ……優しくしてよ……ッ」


大男 「……あああ!」


ビリッ


幼女魔王 (……ああ、私の服が)


大男 「んんんー!」


グリ グリ グリ


大男 「良いにおいだなあ、ピンク色の良いにおいだなあ!」

大男 「やわらかいなあ。もう僕のものだあ……!!」


幼女魔王 「……うぅ……グスッ……うううう……!」


大男 「誰にも渡さないんだあ。これから僕が毎日しつけてあげるよ」

大男 「うれしいよね、うれしいよね。幼女魔王ちゃん!」

大男 「ねえ、幼女魔王ちゃあん……!!」


ニタリ ニタリ


幼女魔王 「ひっ……!?」

幼女魔王 「…………ぃ、美触手」

幼女魔王 「美触手、美触手、美触手、美触手」

幼女魔王 「美触手……!!」



大男 「ああああ、幼女魔王ちゃん、幼女魔王ちゃん……」


ズズ

ズズズ


美触手 「…………」


幼女魔王 「……えはは」

幼女魔王 「美触手、美触手……」


大男 「……うん?」

大男 「どこを見ているんだい、幼女魔王ちゃん!?」

大男 「僕を見ていなきゃ駄目じゃないか。これは、おしおきしなくちゃ……」

大男 「……!?」


美触手 「…………」


大男 「な、何だこいつ……!!」


美触手 「……クュ」


ズパッ


美触手 の 触手攻撃

大男 に 3900 のダメージ

大男 の 顔面が削げ落ちた


大男 「…………」

顔無し大男 「……?」


美触手 「…………」


バクン


顔無し大男 「…………」

下半身だけ大男 「…………」


ドサ グシャッ


美触手 「…………」


幼女魔王 「……ウッ、うぅ……グスッ」


美触手 「…………」




美触手 「…………」


ペロ


幼女魔王 「グスッ……あ、ありがとう、ありがとう……」

幼女魔王 「でも」


大男の残骸 「…………」


幼女魔王 「やってしまったのね、私……」


美触手 「…………」


幼女魔王 「! 可憐少女ちゃんは……」


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「気絶したまま……」

幼女魔王 「よかった、見られてない」


美触手 「…………」


幼女魔王 「そ、そうだ、早くここから逃げないと」

幼女魔王 (……可憐少女ちゃんが意識を取り戻すまで待った方が良いかしら)

幼女魔王 (ううん、こんなところで目がさめたら、可憐少女ちゃんはもっと傷つくに違いない)

幼女魔王 「……美触手、可憐少女ちゃんを背中に乗せて」


美触手 「クルル」


ゴソ


美触手 「…………」 

美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「よし、行きましょう」




ウゾウゾ コポ コポ


孕魔物娘たち 「うぅ……あうぅ……」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「しょ、しょうがないわよ。私がこんなに助けられるわけないもの」

幼女魔王 「私たちだって、今は危機的状況だもの。弱肉強食はどの世界でも共通……しかたない、しかたない」

幼女魔王 「…………ん?」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「世界……そうよ」

幼女魔王 「私の力で世界を渡る道を開いて、みんなを放り込めば良いじゃない!」

幼女魔王 「そうだわ、こんな簡単なことに気付かなかったなんて!」




ポワポワポワ


魔物娘たち 『ありがとう、幼女魔王さま!』


幼女魔王 『あら、別にお礼を言われることじゃないわ。夜のお散歩のついでよ』


魔物娘たち 『素敵! しもべにして!』


幼女魔王 「やれやれ、面倒事はごめんなんだけど」


淫魔幼女 『うーん、困ったぞ。こんなにしもべがいるんじゃ、手出しができないぜ!』


可憐少女 『幼女魔王ちゃん、人間側じゃなかったんだ……』

可憐少女 『でも素敵! しもべにして!』


幼女魔王 『駄目よ』


可憐少女 『えっ……』


幼女魔王 『私たち、神友……でしょっ』


可憐少女 『!! 幼女魔王ちゃん……!』


しもべ魔物娘たち・淫魔幼女・詐欺商人 『ばんざーい! 幼女魔王さま、ばんざーい!』


短パン魔王・死神メイド・ろうそく職人・猫耳職員・他 『ばんざーい!』


ペンギンさん・タヌキ・クマさん・ウサギさん・ゴリラさん 『ばんざーい!』


ポワポワポワ



幼女魔王 「……完ッ!!! ウルトラハッピーエンド! わたし超勝ち組!」

幼女魔王 「ほのぼのファンタジー日常編スタート! 本編スタート!」

幼女魔王 「見えたわ、勝利への一筋が!」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「よーし、それじゃあ世界を渡……」


ザッ


牧師 「…………」


幼女魔王 「!!?」




牧師 「…………」

牧師 「幼女魔王くん。そして……」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「ぼ、ぼく、ぼくぼく牧しゃ……」

幼女魔王 (見つかった。もたもた妄想している間に真正面から見つかった!)

幼女魔王 (どうして戻ってきたの!?)

幼女魔王 (い、いえ、それより、さっき牧師さまは……)



ポワポワポワ


牧師 『もしも妖精側だとわずかでも思ったら』

牧師 『私がこの手で殺している』


ポワポワポワ



美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 (ひゃっほーい、殺される!)

幼女魔王 「あ、あの、あひゃひゃひゃひゃ……」


牧師 「…………」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「ここ、これはでゲスね、オラがむかし畑で飼っとったミミズで……」


美触手 「ゲェーップ」


ゲロリ

ビチャ ゴロゴロ


大男の上半身 「…………」


幼女魔王 (おんぎゃあ!?)




幼女魔王 (吐きおった。美触手、最悪のタイミングで吐きおった!)

幼女魔王 (美を捨ておった!)

幼女魔王 (まずかったのね。案の定まずかったのね!)


牧師 「……大男くん」


大男の残骸 「…………」


幼女魔王 「あ、あわわわ」

幼女魔王 (終わった。殺される。世界を渡る隙もなし)

幼女魔王 (い、いえ、美触手がいれば何とかなるはず)

幼女魔王 (でも、あんなに優しくしてくれて、よく分からんありがたい話をしてくれた牧師さまを……)


牧師 「……来なさい」


幼女魔王 「ひぐっ!?」


牧師 「この迷宮は帰り道こそ恐ろしい。礼拝堂まで私が送っていこう」

牧師 「そして自分の部屋に戻って、ここのことは忘れなさい」


幼女魔王 「………え?」


牧師 「早く!」


幼女魔王 「ひっ」

幼女魔王 「は、はい!」

幼女魔王 「あの、可憐少女ちゃん……」


牧師 「乗せたままで良い」

牧師 「そのミミズに」


幼女魔王 「は、はい」

幼女魔王 「行くわよ、美……ミミズ」


美触手・可憐少女 「…………」

美触手 「………ピ」

美ミミズ 「ピカピー」


幼女魔王 (……ミミズってそんな風に鳴くのね)




緑の地下庭園

交差波動迷宮(帰り)



キイイイ

ミョンミョンミョンミョン

キイイイ

ミョンミョンミョン……


牧師 「……ここで少し休憩だ」


幼女魔王 「カヒュッ……は、はい」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 (どう進んでいるかまったく分からない)

幼女魔王 (さっきから、来たときとまったく違う道ばかり)

幼女魔王 (しかも……)


美触手 「…………」


幼女魔王 (世界を渡る道を開けない)


牧師 「ここは、並行する複数の迷宮からなる魔法の迷宮」

牧師 「深部へ向かうときは何もないが、引き返そうとすると」

牧師 「すべての迷宮が重なり合って本性をあらわす」

牧師 「底なし沼のような」


幼女魔王 「そ、そうなんだ……」

幼女魔王 (それで、あのときも帰れなかったのね)


牧師 「もともとは、牧場で生じる汚れが流出するのを防ぐためだったが……」


幼女魔王 「牧場……」


牧師 「…………」

牧師 「君たちだけは、何も知らずにいてほしかった」

牧師 「やはり罪をおかせば、どこかでうまくいかないものだ」


幼女魔王 「罪」


牧師 「そうだよ。悪いことだと思っていながら、私はあそこにいた」




幼女魔王 「……み、みんな言っていました」

幼女魔王 「庭のある小教会の聖水は素晴らしいって。牧師さまは立派で優しい人だって」


牧師 「そうだね。この迷宮が教会の地下を守っているおかげで、良い水と良い草が手に入る」

牧師 「町に汚れが染み出してきても」


幼女魔王 「どうして、どうして……」


牧師 「……以前、妻と娘たちを妖精に殺されてね」

牧師 「どうしても、その復讐をしたかったんだ」

牧師 「奴らを根絶やしにしたかった」


幼女魔王 「…………」


牧師 「間違いだったのだろう」

牧師 「身を汚し、心を汚し、救いを求める者に差し出す手を失ってしまった」

牧師 「たしかにこの手で触れた妻や娘のぬくもりも、もはや忘れてしまった」

牧師 「それに気がついても、止まることはできなかった。止まろうとしなかった」

牧師 「悪魔の囁きに逆らうこともせず、あのようにおぞましいことを平気でやった」


幼女魔王 「…………」


牧師 「心が壊れていたのは、私だ」

牧師 「失った愛のために、神への愛を捨ててしまった」




幼女魔王 「……ある森に」


牧師 「?」


幼女魔王 「モンスターがいます。森ウィッチという、魔法使いのモンスターで」

幼女魔王 「彼らは、魔法の杖を自分たちでつくります」

幼女魔王 「それは、人間を捕まえて……あ、あの牧場の人たちみたいに繋いで」

幼女魔王 「枝をいっぱい突き刺して、人間から魔力を吸収させて」

幼女魔王 「そうやって、つくります」


牧師 「…………」


幼女魔王 「それはおぞましいけれど、彼らにとっては自然なことで。だ、だから……」


牧師 「…………」

牧師 「私は、人間なんだ」


幼女魔王 「…………」


牧師 「そして自分のやっていることが罪だと思っている」

牧師 「思ってしまっている」


幼女魔王 「でも、でも……」


牧師 「……罪の意識を軽くしようとしてくれたのだね」

牧師 「ありがとう。君はやはり優しい子だ。勇気のある臆病者であれば良い」


幼女魔王 「違う!」


牧師 「…………」




幼女魔王 「優しくない。そんな余裕なんか、あるわけない……!」


牧師 「…………」


幼女魔王 「私の心を埋めてくれるって言ったのに……!」

幼女魔王 「だったらそんなこと言わないでほしかった!」

幼女魔王 「罪の告白なんて聞きたくなかった!」

幼女魔王 「嘘で良いから、適当な理由をつけて私をだましてほしかった。夢を見せ続けてほしかった!」


牧師 「…………」


幼女魔王 「お願いします、牧師さま。お願いします……ッ」

幼女魔王 「お願いだから……」


牧師 「…………」

牧師 「……すまない」

牧師 「本当に、すまない」


幼女魔王 「うぇっ……グズッ……ズビー」


牧師 「私は……」



キイイイ

ミョンミョンミョンミョン



??? 「……やあ、どうしたことだろうね」

波魔法少女 「いるはずのない人とモンスターがいる」




牧師 「……波魔法少女」


波魔法少女 「嬉しいね、どのが無くなった」


幼女魔王 「執事さん……」


波魔法少女 「おおっ、幼女魔王ちゃん。幼女魔王ちゃんじゃないか!」

波魔法少女 「いやあ、重ねて嬉しいよ。こんなところで会えるなんて」

波魔法少女 「ははははは……!」


ミョンミョンミョンミョン


幼女魔王 (笑顔が怖い。目が怖い。端のつり上がった口が真っ赤な傷口のよう)

幼女魔王 (……地に突き立てた、むき出しの回路みたいな杖を中心にして、空気が歪んでいる)


波魔法少女 「ははは……」

波魔法少女 「それで、そのモンスターは何?」


美触手 「…………」


幼女魔王 (ご、ごまかさなきゃ)

幼女魔王 「……ミ」


牧師 「ミミズだ」


幼女魔王 「!!」


波魔法少女 「それはどんな冗談だい」


牧師 「冗談ではない。君が知らなくても無理はないが、ある地方にはいるんだ」

牧師 「賢頭牛や竈馬のように、運搬用の家畜として飼われたりもする」

牧師 「ネミ・ミニミミズという。ネミは古い言葉で頂、転じて王をあらわす」

牧師 「ネミ・ミニミミズとはすなわち、ミニミミズの王、という意味だ」


幼女魔王 (ええっ!?)


波魔法少女 「……ふうむ」

波魔法少女 「たしかに、私はこの世界では新参者だ。この世界の博物学の事情にはすこぶる疎い」


幼女魔王 「……!」

幼女魔王 (執事さんが、他の世界の人?)

幼女魔王 (私と同じ、外の世界から渡ってきたということ?)


波魔法少女 「うん、君の言う通りかもしれないね、牧師さま」

波魔法少女 「そんなミミズがいるのかもしれないどうしたんの幼女魔王ちゃんひどく驚いて何がそんなにびっくりなんだい」


幼女魔王 「!?」


波魔法少女 「……そんな波をたてている」



幼女魔王 (何、何なの。いきなり痛々しいことを言い出したわこの人)

幼女魔王 (なんか、ねえ見て見て私って狂ってるでしょと言いたげな顔をしながら体を不思議にくねらせたし)

幼女魔王 (気持ちわるっ)


波魔法少女 「ああん、もうやめてんよん」

波魔法少女 「そんな風に引いた波をたてられたら追いかけたくなるじゃない」


幼女魔王 「!?」


牧師 「……驚くのも無理ないのではないかな」

牧師 「まるで、君が遠くの世界から来たように話されては」

牧師 「普通の子は驚くだろう」


波魔法少女 「……ふうん」


牧師 「そうだ、ここで話している場合ではない」

牧師 「早く上に行かせてくれ。手違いで迷い込んでしまった二人を送らなくては」

牧師 「とくに、可憐少女くんはひどいショックを受けている」


波魔法少女 「おお、そりゃまずい」


牧師 「…………」


波魔法少女 「……うーん、やっぱり他人行儀だね牧師さま」

波魔法少女 「君の波はいまいち読めない。響かない」


牧師 「すまないね」


波魔法少女 「それにしてもすごいね幼女魔王ちゃんは」


幼女魔王 「……な、なにが?」


波魔法少女 「自分で立てているし、意識もはっきりしている」

波魔法少女 「てっきり、こんなところに来てあんなものを見たら」

波魔法少女 「幼女魔王ちゃんなら真っ先に気絶すると思っていたけど、そうなっているのは可憐少女ちゃんだ」


幼女魔王 「…………」


波魔法少女 「あんなものを見たんだね。そんな波だ」

波魔法少女 「君は正直で良いねどこか上辺だけという感触だが」




牧師 「早く行かせてくれないか、波魔法少女どの」


波魔法少女 「大男が死んでいたよ」

波魔法少女 「あんなものがあったところで。何か大きなミミズに食いちぎられたみたいに」


幼女魔王 「……!」


牧師 「…………」


波魔法少女 「いやあ、残念だよ。死に顔を見ることができなかった。顔が無いんだもの」

波魔法少女 「困るよ、あんなとこに転がしてちゃ。餌にもなりゃしない」


牧師 「故人をそう侮辱するものではない」


波魔法少女 「ごめん。あれ、顔が分からないのに、どうしてあれが大男だと分かったんだろうね」

波魔法少女 「幼女魔王ちゃんそれモンスターだよね」


ミョンミョンミョン


美触手 「…………」


幼女魔王 「! ち、違う……」


波魔法少女 「ははは、そうか、モンスターかあ……」

波魔法少女 「モンスター、魔物はすべて死ぬべきである」


幼女魔王 「……!」

幼女魔王 (怖い笑顔も、気持ちの悪い笑顔も消えた)




波魔法少女 「世界を駆ける魔法少女ギルド」

波魔法少女 「遥か絶対正義への巡礼者たる我々魔法少女は」

波魔法少女 「世界を股にかけて、悪たるすべての魔物を殺し尽くす」

波魔法少女 「それが大のつく魔王であろうとも、」


ミョンミョンミョンミョンミョン

ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ


牧師 「!」


幼女魔王 「きゃあっ!?」

幼女魔王 (歪みがひどくなって、地面も天井も揺れだした……!)


波魔法少女 「波と沼で編んだ並行交差波動迷宮」

波魔法少女 「魔法少女たる私が入り、魔法少女たる私が閉じたここに、もはや魔物の逃げ道はない」


ミョーン オンミョーン ミョイーン

ゴゴゴゴゴ


波魔法少女 「つまりそのミミズはここで死に」

波魔法少女 「君もここで死ぬということだ」

波魔法少女 「ピンクの幼女魔王ちゃん」



ゴゴゴゴゴゴゴ


幼女魔王 「…………!」


波魔法少女 「何、何だい」

波魔法少女 「なんか、しまったばれた、と言いたげな顔をしながら体からそんな波を返して」

波魔法少女 「可愛いなあっ」


牧師 「…………」


幼女魔王 「わ、私は……牧師さま……」


波魔法少女 「うう、私の手で幼女魔王ちゃんを殺すなんて悲しいよ。これは本当だ」

波魔法少女 「執事としてしか君に接しなかったけど」

波魔法少女 「私は本気で君を可愛がっていた」


幼女魔王 (……泣いてる。泣きたいのはこっちよ。頭が追いつかないけど)


波魔法少女 「けれど、魔物はすべて死ぬべきだ」

波魔法少女 「そうだろう、牧師!」


牧師 「…………」


幼女魔王 「……ぼ、牧師さま。私は……」


波魔法少女 「妖精という魔物に、君の妻と娘たち」

波魔法少女 「心と未来を殺されただろう!」

波魔法少女 「どうなった。君の妻と、まだ幼かった娘たちは……人間を苗床にして戦力を増やす妖精たちに、何をされた!?」


牧師 「…………!」


波魔法少女 「そこにいるそのミミズは魔物だ。妖精と同じ魔物だ」

波魔法少女 「その可愛いピンクの髪の幼子もだ!」


幼女魔王 「…………!」


波魔法少女 「その子は君の子供じゃあないのだよ、牧師。君の子供を殺した妖精側の生き物なのだよ」


牧師 「……違う」


幼女魔王 「…………!」


牧師 「私の可愛い家族じゃないか」

牧師 「君の可愛い家族じゃないか」


幼女魔王 「牧師さま……!」


波魔法少女 「何を言っているんだ、牧師」

波魔法少女 「うん、すんごい可愛いよね、ちくしょう!」


幼女魔王 「牧師さま。牧師さま……」


牧師 「……そう。たとえ人間ではないのだとしても、傷ついた愛しい幼子だ」

牧師 「それだけだ」


波魔法少女 「あまちゃんだね、すっかり毒されちゃったか」

波魔法少女 「だったらどうする。私は幼女魔王ちゃんを殺すよ。大好きだけれど殺さなきゃいけない」

波魔法少女 「可愛い家族でも、殺さなきゃならない」

波魔法少女 「可愛い家族が魔物であるなど、かわいそうで耐えられない」


牧師 「…………」

牧師 「家族を守ろう」


波魔法少女 「私と同じ、その汚れた手でかな」

波魔法少女 「妖精が人間の胎をつかって兵士を増やすように」

波魔法少女 「魔物の胎をつかって兵士を増やす君の」


牧師 「……そうだ」


波魔法少女 「ああ、とんだ裏切りじゃないか。我々は君に復讐の手段をあたえてやったのに」


牧師 「手段とは、最良であるべきだ」


波魔法少女 「私は君の家族ではなかったのかい」


牧師 「……そのつもりだ」


波魔法少女 「ありがとう。何が牧師だ。神さまのもと、まったく人を愛そうとして」

波魔法少女 「結局、君は私より幼女魔王ちゃんの方が可愛いというだけだ」


牧師 「……さすがだね。言葉が波のように押し寄せて息もできない」

牧師 「…………」

牧師 「……私の心の、なんと弱いことか」

牧師 「愛に流され、怒りに流され、そしてまた……」


幼女魔王 「…………」


美触手・可憐少女 「…………」


牧師 「しかし、ならば、今だけは少しも抗わず心に従おう」

牧師 「心のままに、守りたいものを守ろう」


幼女魔王 (家族……私の居場所。うれしい。うれしい……)


波魔法少女 「……分かったよ。さようなら牧師さま」

波魔法少女 「すごいね。かっこいいね」

波魔法少女 「私も、そちら側に立っていたかったよ」




波魔法少女 「まあ、嘘だけどね」


ゴゴゴゴ

フヨン フヨン フヨン


波魔法少女 「これだから心の弱い者は駄目なんだ」


幼女魔王 (執事さま……魔法少女が浮いた)


波魔法少女 「気持ち悪いね、ちょっと一緒にいた程度で家族なんて」

波魔法少女 「しかも魔物と」

波魔法少女 「狂気ここにきわまれりさ」


幼女魔王 (世界を駆ける魔法少女ギルド……界駆魔法少女)

幼女魔王 (いつか淫魔幼女が言っていた、道魔法少女と敵対する側の魔法少女)


牧師 「信念や信仰は、他者から見ればあるいは狂気的であるのだろう」

牧師 「君もそうであるように」


波魔法少女 「……なめるなよ小僧」

波魔法少女 「小世界の塵が」


ミョーン ミョミョーン

ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴ


牧師 「…………!」


幼女魔王 (杖の歪みが魔法少女をのみこむほど大きくなった……)




ゴゴゴゴゴ

グラ グラ グラ

ゴゴゴゴゴ


波魔法少女 「いったいの生き物はその命に波を持つ」


ミョン ミョン ミョン ミョン



波魔法少女 の 補助魔法攻撃

命の波動が凪いでいく!

幼女魔王 の ステータスが激減した!

美触手 の ステータスが下がった!

牧師 の ステータスが下がった!

波魔法少女 の ステータスが激増した!



牧師 「……うぅ!」


幼女魔王 「……ぉ、おえっ」

幼女魔王 (耳の奥がキンキン鳴って、気持ち悪い!)


牧師 「…………ッ」


ブチ

チャリン


幼女魔王 (? 牧師さまが、首にかけたネックレスを外して美触手の方へ投げた)


波魔法少女 「……まとめて死ねばいい。魔物も、それに味方するものも」


幼女魔王 (杖先……よね? ……を、魔法少女がこちらに向けた)

幼女魔王 (攻撃の魔法かしら)

幼女魔王 「び、美触手、防い……」


牧師 「…………!」



牧師 の 信力攻撃

炎の柱を呼んだ!

波魔法少女 の 動きが止まった!



波魔法少女 「…………!」


幼女魔王 (ぶっとい炎の柱が波魔法少女に直撃した)

幼女魔王 (す、すごいのね、牧師さま。あんなぶっといの出せるなんて)




波魔法少女 「まいったね、磔にされたみたいに動けない。魔女狩りってわけかい」

波魔法少女 「でもこんな火をいつまで起こせるんだろうね」

波魔法少女 「……せいぜい、時間稼ぎにしかならないよ」


ゴオオオ

メラメラ パチ パチ


幼女魔王 (意外というかやっぱりというか、元気そうな執事……魔法少女)


牧師 「…………」

牧師 「幼女魔王くん」


幼女魔王 「は、はい」


牧師 「君のミミズのそばに私の首飾りが落ちている」

牧師 「それを大事に持って逃げなさい。君を出口に導いてくれるだろう」


幼女魔王 「そ、そんな、わわ、私も戦います」

幼女魔王 「回復魔法で、きっと役に立てます」

幼女魔王 「炎の魔法だって、連発はできないけど相手に4ダメージくらい与えられます。実績があります!」

※実績 >>374

幼女魔王 「きっと100回くらい当てたら倒せるから、牧師さまと美触手も一緒に攻撃すればもっと速く……」



■波魔法少女(中ボス)
 Lv.02921 上級魔法少女
 HP:73,000
 MP:???
 特殊:変身、特殊属性魔法『波』、魔法障壁
 必殺:円錐波動、四面錐波動、六面錐波動


妖精と人間の争いが耐えない世界で暗躍する魔法少女。

団体戦での補佐が得意だが、単体で出現する場合は、
戦闘開始直後に円錐波動で自分を超強化しつつ、敵を弱体化してくるぞ!

じつは、あるアイテムを使えば簡単に勝ててしまうのだ。 



牧師 「足止めが精一杯だ。このままではいずれ全滅する」

牧師 「それに、これは勝つためじゃない。逃げるための戦いだ」

牧師 「いま、彼女の力で迷宮は閉じている」

牧師 「その力を削り迷宮に隙間をつくれば、抜け出すことができるようになる」


幼女魔王 「だ、だから一緒に……」


牧師 「可憐少女くんだ。君だけでなく二人を守ることは、私にはできないと言っているんだ……!」


幼女魔王 「……!!」




美触手・可憐少女 「…………」

可憐少女 「…………」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……」


牧師 「さあ、早く。彼女の力を削れたら私も追う!」


幼女魔王 「は、はい……!」


タタタタ


幼女魔王 (美触手のそばに首飾り……あった)



アクセサリ『消波の首飾り』 を手に入れた! 



幼女魔王 (装備装備……あ、いっぱいだわ。どれか外さなきゃ)


モタモタ ノロノロ



幼女魔王 は すごい保健の本(実践編) を外した

幼女魔王 は 消波の首飾り を装備した



幼女魔王 「よ、よし……」


波魔法少女 「黙って行かせるわけないだろう!」


ミョンミョンミョン


牧師 「…………!」


ゴオオ


幼女魔王 (牧師さまの炎が、いっそうぶっとくなった!)


波魔法少女 「うぐうっ……なにが信力。鬱陶しい、僧侶職ふぜいが……ッ」


牧師 「ああ。神はまだ私を見捨てずにいてくださるらしい……!」


ゴオオオ

ゴゴゴゴゴ


幼女魔王 「……行きましょう、美触手!」


美触手・可憐少女 「…………」

美触手 「クュ」


タタタタタタ

スルスルスル




緑の地下庭園

交差波動迷宮(閉塞後) クーロン道



ゴゴゴゴゴ

グラグラグラ

ゴゴゴゴゴ


信徒石術士 「こ、これはどういうことだ。嵐にもまれる葉のようにコンパスがめちゃくちゃだ!」


信徒地図少年 「駄目だ、ダンジョンが変動している」

信徒地図少年 「わーん、せっかく歩いてつくったに、地図がぜんぜん役にたたないよう!」


トテ トテ タタタ


幼女魔王 「ひい、ふう、ひい、ふう……」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「だ、駄目だわ、ここも行き止まり」

幼女魔王 「牧師さまからいただいた首飾り、出口に導いてくれそうだけど」

幼女魔王 「あーん、ここどこなのよう!!」


ゴゴゴゴゴ

グラグラグラ


幼女魔王 「きゃあっ」


キイイ ミョンミョンミョン


幼女魔王 (甲高い音が強くなって、迷宮の空気が歪む)

幼女魔王 「き、気をつけて。また道が変わるわ」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 (可憐少女ちゃん、まだ起きない。よっぽどショックが大きかったのね)

幼女魔王 (今まで助けられてばっかりだった分、今度は私が守らなくちゃ)

幼女魔王 「……ん?」


フィイイ


消波の首飾り


幼女魔王 (首飾り……消波根固ブロックみたいな形の石が少し光ってる)

幼女魔王 (音の波に反応しているみたい)




ミョンミョンミョン

ゴゴゴゴゴ……


幼女魔王 「……歪みがおさまって、新しい道ができた」

幼女魔王 「い、行きましょうか」


美触手・可憐少女 「…………」


タタタタタタ スルスルスル……

…………



緑の地下庭園

交差波動迷宮(閉塞後) 終点

世界を駆ける魔法少女ギルド 仮設支部




……タタタタタ


幼女魔王 「はあ、ひい、ふう……オェッ」

幼女魔王 「…………」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「……ここ」

幼女魔王 「牧場とかいうのがあったとこよね」

幼女魔王 「迷宮の奥に戻っちゃったってこと……?」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………ど」

幼女魔王 「どげんなっとーとよ!!」


美触手 「!?」


幼女魔王 「なしてよ、光っとったやん! アクセサリ、むっちゃ思わせぶりに光っとったやん!」

幼女魔王 「そんなん出れるっち思うやん。普通そうやん! そういうもんやん!」

幼女魔王 「こっすいよ……こんなんこっすいよ!」

幼女魔王 「こっすこすやぁーーーーんぁあああああ゛あ゛ーーッッ!!」


タタタタタタ


??? 「なになに、今の変な言葉!?」


幼女魔王 「!?」




??? 「……て、あら」

道魔法少女 「君ってたしか……」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (お城のお風呂ができたときに会って、羊羹をくれた)

幼女魔王 「道魔法少女……」


道魔法少女 「ああっ、ボクのこと知ってる。やっぱりだ」

道魔法少女 「ボクもおぼえてるよ、ほら、お城! お城のお風呂のピンクちゃん!」

道魔法少女 「うっわあ、言葉にすると何故かいやらしい!」

道魔法少女 「元気だった?」


幼女魔王 「う、うん、まあ……」


道魔法少女 「君も来てたんだねえ。でも、ここって君にとってはすごく危ないよ」

道魔法少女 「迷宮の魔法のせいで、世界渡りも禁止されているし」

道魔法少女 「よく連れてきてもらえたね」


幼女魔王 (連れてきて……?)

幼女魔王 「い、いろいろあって……」


道魔法少女 「そうなんだあ……あれ?」


美触手・可憐少女 「…………」


道魔法少女 「一緒にいる子、違う子じゃん。淫魔幼女もいないし」

道魔法少女 「どこ行ったの、あのわんぱくツインテール」


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 「し、知らない……」


道魔法少女 「知らないって……無ッ責任だなあ、あいつ」

道魔法少女 「じゃあ、はぐれちゃったの? まずいよ、この迷宮ではぐれたら」


幼女魔王 「う、ううん。もうこの世界にはいないかも。いたら多分、私つかまってるし……」


道魔法少女 「?」

道魔法少女 「そりゃ、おかしいなあ」

道魔法少女 「私をここに呼んだの、あいつなのに」


>>1
おいお前下げとけっつったよな
糞気持ち悪いスレタイが視界に入ってきて迷惑なんだよ
わきまえろや

     げ
     い
     や


>>928
ゴメンナサイほんとゴメンナサイ







http://i.imgur.com/D7Otz85.jpg



>>928 「きゃあっ。な、何なのこの下品なSSは!」

>>928 「わわわわ、わきまえなさい!」


>>1 「げへへへ、何を言うでゲスか」

>>1 (くっくくく……テキトーな屁理屈で丸め込んでやるでゲス)

>>1 「奇抜な服を着た不細工とか鏡に」

>>1 「てめえ外あるいてんじゃねーよブス不愉快なんだよブス」

>>1 「とか言っていたら、きりが無いでゲス」

>>1 「世の中見たくないものもたくさんあるけれど、この程度の汚いものを見ても理性的に生きていける人にならなきゃ……」


>>928>>928!!」


>>1 「ひ、ひええ!? こいつ、あの図書風紀委員長だったでゲス!?」

>>1 「こりゃかなわんでゲス。おぼえてろゲスーー!」


ビューン








>>935
同時上映


http://i.imgur.com/uoCwk8N.jpg





ホークス優勝のため時間を延長してお送りします
ホークス優勝のため一部内容を変更してお送りしました


幕間おまけ終わり



…………


緑の地下庭園

世界を駆ける魔法少女ギルド 仮設支部

牧場



グニュル グニュル

ドクン ドクン


孕犬耳娘 「……いやだぁ……産みたくないよう……」


褐色シルフ娘 「…………」


孕狐耳巫女 「んひゃぇ……あひゃはははぁ……もっとじゃ、もっろぉ……」


フヨ フヨ フヨ


??? 「…………」


フヨ フヨ フヨ フヨ

トスッ


??? 「……おい、貴様」


褐色シルフ娘 「…………?」


??? 「意識はあるようだな。自分が誰だか分かるか」

淫魔幼女 「……お届けギルドを、知っているか」


褐色シルフ娘 「ギルド……お届けギルド。お届け物こそ私のすべて」

褐色シルフ娘 「お届け物は、死んでも届けます……」 (>>243)


淫魔幼女 「……そうか」

淫魔幼女 「同ギルド員、シルフ娘からの依頼だ」

淫魔幼女 「行方不明となっていた貴様を助けに来た」

淫魔幼女 「ロハで」




褐色シルフ娘 「シルフ娘、シルフ娘……!? ああ……とても懐かしい名前」

褐色シルフ娘 「かすんでしまった幸せな夢のようだったのに」

褐色シルフ娘 「そう、うれしい、うれしいわ。来てくれたのね、シルフ娘……!」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「ずいぶん苦しそうだ。その腹の……」


褐色シルフ娘 「ええ、そうよ、期限を過ぎてしまったの。こんなにつらいことは無いわ!」

褐色シルフ娘 「あんなに楽しそうに、早くお届けしてほしいと頼まれていたのに……」


淫魔幼女 「……あなたは」

淫魔幼女 「素晴らしい配達員だ……でつ」


褐色シルフ娘 「うふふ、ありがとうシルフ娘」

褐色シルフ娘 「そうだわ、お届け物。私のお届け物は大丈夫なのかしら!」


淫魔幼女 「それは、あなたの目で確かめるべき……でつ」


キイイイ



淫魔幼女 の回復魔法

褐色シルフ娘 にはもう効果がない



淫魔幼女 「…………」


褐色シルフ娘 「……ごめんなさい、シルフ娘。私はもう駄目なの」

褐色シルフ娘 「手足の感覚が遠くなってずいぶんになるわ。光の色も、花のかおりも分からないの」

褐色シルフ娘 「風の味も思い出せない。もう、あなたと一緒に飛んだ空に戻れなくなってしまった」


淫魔幼女 「…………」


褐色シルフ娘 「お願い、シルフ娘。不出来な私のかわりにお届けして」

褐色シルフ娘 「大切なお届けもの。きっと、待っていると思うから……」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……はい」

淫魔幼女 「必ず」




褐色シルフ娘 「ああ、ありがとう。ありがとう、シルフ娘。私、これで……」


淫魔幼女 「…………」


ゾゾゾゾゾ


淫魔幼女 の外套攻撃

外套の腕が 褐色シルフ娘 の脳みそをかきまぜる!



褐色シルフ娘 「…………!」


淫魔幼女 「…………」


褐色シルフ娘 「……空だわ! 私、風に乗れたのね」

褐色シルフ娘 「あはは、お母さん、お母さん、見て! 私も飛べたのよ……!」

褐色シルフ娘 「ええ、行くわ、私もそっちに。高く、もっと高く……」

褐色シルフ娘 「ああ、素敵……風がとても良い気持ち……」

褐色シルフ娘 「…………」

褐色シルフ娘 「…………」

褐色シルフ娘 「…………」


淫魔幼女 「…………」



…………




…………


緑の地下庭園

交差波動迷宮(閉塞後)



タタタタタ


道魔法少女 「……あ」

道魔法少女 「こっちに曲がろう」


幼女魔王 「う、うん」

幼女魔王 (道魔法少女、少しも迷わずに突き進んでいく)

幼女魔王 「あの、ごめんなさい。お仕事の邪魔をして……」


道魔法少女 「いいの、いいの。これも必要なことだから」

道魔法少女 「よし、次はこの穴に飛び込もうか」


幼女魔王 「ええっ!?」

幼女魔王 (どう見ても地割れにしか見えない。地獄まで落ちそう)

幼女魔王 「あの、これ……」


道魔法少女 「いいの、いいの。お姉さんを信じなさい」

道魔法少女 「先にいくけど早く来てね」

道魔法少女 「頻度は落ちてるけど、揺れたら別のところに繋がっちゃうから」


ヒョイ ヒュルルルル


幼女魔王 「迷いなく飛び込んだ……」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「ごめん、だめだったら淫魔幼女を恨んで!」

幼女魔王 「てやあーー」


タタタタタ

コケッ


幼女魔王 「あ、つまずいた」


ヒュルルルル


幼女魔王 「いやああーー!」

幼女魔王 「真っ逆さま!」




ヒュルルルル

ミョンミョンミョン


幼女魔王 「……ぁぁあああー!」

幼女魔王 「落ちるぅ、おち……」


ドタ


幼女魔王 「ぐえっ」

幼女魔王 「……あれ、落ちたのにあんまり痛くない」


道魔法少女 「お、早く来たね。信じてくれて、ボク嬉しい。お姉さん嬉しい」


ヒュルル

シュタ


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 (しなやかな着地。すごいわ美触手)

幼女魔王 (そしてすごいわ可憐少女ちゃん。ここまで起きないとは)


道魔法少女 「よしよし、揃ったね。じゃあ行こうか、出口はこっちだ」


幼女魔王 「よ、よく分かるわね、ここの構造」


道魔法少女 「分からないよ」


幼女魔王 「えっ!?」


道魔法少女 「でも大丈夫。出口はこっちだ」


幼女魔王 「ちょ、ちょっと……」


タタタタタ


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 「だ、誰か来る?」


道魔法少女 「……んんー」


タタタタタ

ザッ ザッ ザッ


??? 「……やあ、追いついたと思ったら」

波魔法少女 「またおかしな人がいる」


幼女魔王 (魔法少女……!)




波魔法少女 「びっくりしたよ」

波魔法少女 「うろうろうかうか迷ってくれていると思ったら、いきなり出口へ真っ直ぐ進み出すんだもの」

波魔法少女 「君のしわざかな」


道魔法少女 「……界駆の魔法少女。うーん、恋魔法少女……じゃないか」

道魔法少女 「こい、カープ、カプリコーン、コーンウォール、ウォールストリート、ストリートファイト、拳、波動」

道魔法少女 「ああ、君は波魔法少女か」


波魔法少女 「名乗ったことがあったかな」

波魔法少女 「そういう君は界架の……じゃあなさそうだね」

波魔法少女 「はて、どこの魔法少女だろう」


幼女魔王 「ぼ、牧師さま。牧師さまは……!」


波魔法少女 「ああ、やあ、ピンクちゃん、また会ったね!」

波魔法少女 「牧師さまならボコボコにしといたよ」


幼女魔王 「そ、そんな……」


波魔法少女 「当然の結果さ。情に流されてころころと信念を変え、正義ヅラで子供を巻き込む大人なんて」

波魔法少女 「我々にとっては波に腐りゆくちぎれた海藻より脆い」

波魔法少女 「ほら、証拠」



牧師の両足



幼女魔王 「!!」


波魔法少女 「ああ安心しなよ殺しちゃいない止血はしたよ」

波魔法少女 「あれでも生きていれば何かと有用だから。隠れ蓑とかね」


幼女魔王 「……そ、そんな、牧師さま。牧師さま……」


道魔法少女 「隠れ蓑かあ。まるで、自分たちが悪いことをやっていると自覚しているみたいじゃないの」




道魔法少女 「君らはここで何をしていたのかな? 今は君ひとりのようだけど」


波魔法少女 「私がそれに答えてあげる必要があるのかな?」


道魔法少女 「質問に質問を返すなんて、ひどいじゃないの」


波魔法少女 「ならば答えがいのある質問をしてほしいものだね、そんな不快なものじゃなく」

波魔法少女 「それに、君は私に言うことをきかせられる立場でもないだろう」


道魔法少女 「そりゃそうだ」

道魔法少女 「んんー、奥の方で妊娠した魔物たちが繋がれていたね」

道魔法少女 「お腹のなかにいるのはなんだろうね」


波魔法少女 「君はそれを知るためにきたのかな」

波魔法少女 「だったら、少し待ってほしいな。私はそこの超絶マゾ可愛いピンクちゃんとミミズを駆除しなきゃならないんだ」

波魔法少女 「それが今の私の仕事だから」


幼女魔王 「牧師さ……超絶じゃないわよ並のマゾよ」


波魔法少女 「せめて平手打ち用ピチピチ桃尻ピンクちゃんだけでも消すまでは待ってくれないかな」


幼女魔王 「聞きなさいよ波。こら並、おい波並」


道魔法少女 「それを止めるのがボクの目的だ」

道魔法少女 「妊娠、出産、産卵、卵焼き、やきたらこ、魚、海、カニ、クモ、共食い……」


波魔法少女 「止める……まるで界架の奴らみたいだ」


道魔法少女 「彼女たちと違うのは、ボクは君らを殺すことをあまりためらわないということだ」

道魔法少女 「へえ、そうか」

道魔法少女 「魔物に産ませた魔物の子供で魔物を殺す計画だね」


幼女魔王 「!?」


波魔法少女 「…………」


道魔法少女 「魔物を秘密の牧場にとらえて、無理やり魔物を産ませ」

道魔法少女 「産まれた魔物を魔物を殺すための兵士にしたてあげる」

道魔法少女 「死ぬのは魔物だけ、万々歳というわけだ」

道魔法少女 「うん、ひどいことするね」


波魔法少女 「…………」


幼女魔王 (勝手に自分で答えにたどり着いて、それを疑わない)

幼女魔王 (あのときみたい) ※>>530




波魔法少女 「……君はいったい」


道魔法少女 「正義のための犠牲ってことかな。こんなふうに隠すのはどうかと思うけど」

道魔法少女 「まあ、正義のヒロインも隠し事のひとつやふたつあるか」

道魔法少女 「しかしどうも歪だね、君らの正義は」


波魔法少女 「……思い上がるなよ魔法少女もどきの小娘が」

波魔法少女 「魔物という悪を潰す我々が、正義でなくて何だというんだい」


道魔法少女 「もどきじゃなく魔法少女さ、便宜上」

道魔法少女 「未知の道、既知の道」

道魔法少女 「ボクが知ろうが知るまいが、ボクが望めば道ができる」

道魔法少女 「何日か、何百年か、どれだけ時間がかかろうと」

道魔法少女 「道は必ず、望む結果と結ばれる」

道魔法少女 「道あるく魔法少女。それがボク、道魔法少女」


波魔法少女 「ふむ。牧師の妨害でわずかに綻んだとはいえ我々の迷宮を自分の家のように歩き回るあたり、ただの哲学者気取りの嘘つきというわけでもないか」

波魔法少女 「……異種族友好なんて掲げる界架魔法少女ギルドは、我々と対立関係にあるが戦いには消極的だが」

波魔法少女 「君は我々と殺し合うことさえいとわないという」

波魔法少女 「それではまるで……」


道魔法少女 「君らがいる限り、ボクらはいる」

道魔法少女 「光陰であり、表裏であり」

道魔法少女 「今日この場において生死である」


ニョンニョンニョンニョン

ゴゴゴゴゴ


波魔法少女 「!」


幼女魔王 「あわわ……」

幼女魔王 (道魔法少女が杖を立てると、迷宮が揺れだした)


キラ


幼女魔王 「……あ」

幼女魔王 (牧師さまから貰った首飾りの光が強くなった……)



波魔法少女 「……君が私の死神だとでも言いたいのかな」

波魔法少女 「波の字を持つ上級魔法少女、次元の波をも繰るこの波魔法少女の」


道魔法少女 「君とボクの相性は最悪だよ」

道魔法少女 「道は線。どれだけの軸を持とうとも、何万次元であろうとも」

道魔法少女 「ボクにかかれば一本の道になる」

道魔法少女 「現に、君らが手間暇かけてつくってこの迷宮も」


ゴゴゴゴゴ

ニョンニョンニョンニョン


波魔法少女 「……!?」

波魔法少女 「波と泥の迷宮が。重ね合わせた魔力の波が……!!」


幼女魔王 (二人とも、さっきからよく分からん言葉で会話をしている。きっと呪文ね)

幼女魔王 (呪いをぶつけあっているのだわ。そのせいか、私もちょっと頭が混乱しているし)

幼女魔王 (……ちょっとの混乱ですむあたり、私もこの死闘のなかで強くなったものね)

幼女魔王 (むなしいわ。もっと早く強くなれていれば、私の力で牧師さまを助けられたのに)

幼女魔王 (これが、強者の憂いというものなのね……)


道魔法少女 「さ、ピンクちゃん、ここから離れな」


幼女魔王 「ふぅ……え」


道魔法少女 「私の目的はこれだったんだ。今回の道の終点はあいつだったんだ」

道魔法少女 「けっこう時間がかかってしまったよ」

道魔法少女 「でも君の世界で君と会い、淫魔幼女に呼ばれ、また君と会い、ようやっとたどり着くことができた」

道魔法少女 「ありがとう」


幼女魔王 「あ、あの……」


道魔法少女 「君が今あるいている道はここで終わってはいないはずさ」


美触手・可憐少女 「…………」


ゴゴゴゴゴ

ニョンミョンニョンニョン

ニョニョニョニョ 

ゴゴゴゴゴゴゴ


道魔法少女 「波束は崩壊し、じきに迷宮の魔法が解ける。もう君ひとりで出口まで行ける」


幼女魔王 「……で、でも、また置いていくなんて」


道魔法少女 「今はまだ、君は自分の道を必死に歩くべきだ。よちよち歩きの孤児が寄り道なんてしていたら、途中で倒れちゃうよ」

道魔法少女 「寄り道を楽しむのは、お姉さんくらいになってからにしなさい」





波魔法少女 「……こんッッ、の」

波魔法少女 「糞魔法少女がぁッああ!!」


ピシ

ビシ ピシ


幼女魔王 「……!」

幼女魔王 (元執事の足元から地面にヒビがひろがる……)


波魔法少女 「よくも我々の迷宮を! 私とお姉さまの迷宮を!」

波魔法少女 「覚悟しろお邪魔虫! 魂の一片まで削りつぶしてやるからな!!」


ヴァカ バキン

ズズ ズズズズズズ


幼女魔王 (元執事の足元を中心に地面が崩れ落ちて、穴がひろがっていく)

幼女魔王 (当然のように浮く元執事……)


道魔法少女 「早く行きな。もう君にどうこうできる次元の戦いじゃない」

道魔法少女 「落ちたらもうどこへも行けなくなるよ」

道魔法少女 「さいわい彼女の敵意は君からボクに大きく傾いている」


幼女魔王 (あ、道魔法少女も浮いてる。というか宙に立ってる)

幼女魔王 (……魔王なのに戦力外通告)


ゴゴゴゴゴ

ズズズズズ


幼女魔王 (も、もたもたしてたら飲み込まれるわね)

幼女魔王 「しかたない、行きましょう美触手!」


美触手・可憐少女 「…………」


タタタタタタ




>>952
訂正ごめんなさい


誤 道魔法少女 「現に、君らが手間暇かけてつくってこの迷宮も」

正 道魔法少女 「現に、君らが手間暇かけてつくったらしいこの迷宮も」



…………


緑の地下庭園

波動迷宮



ゴゴゴゴゴ

ガラガラガラ

ゴゴゴゴゴゴゴ


幼女魔王 「ひい、ふう、ひい、ふう……」

幼女魔王 (強くなった首飾りの光が一筋の糸みたいになって、くねくねと伸びていく)

幼女魔王 (きっと、この光の先にラ……出口があるのね)


ゴゴゴゴゴゴ

ガララララ


信徒 「うわーーっ!」

信徒 「お、落ちる、助けてえー……」


幼女魔王 「!」

幼女魔王 「び、美触手、あの人を……」


ガラガラガラ 


信徒 「!!」


ゴッ ドカッ

ヒュルルルル 


幼女魔王 「ああ……落ちていく……」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「い、行きましょう」

幼女魔王 (そうよ、自分たちのことだけ考えていないと……)

幼女魔王 (私たちが死んだら、牧師さまや道魔法少女が馬鹿みたい)


タタタタタタ

ゴゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴ





緑の地下庭園

崩落波動迷宮



グラグラグラグラ

ガラガラガラガラ


幼女魔王 「…………!!」

幼女魔王 (首飾りの導く道に大穴ができてる。というか、地の果てに来てしまったかのよう)

幼女魔王 「そ、そんな、これじゃ進めないじゃない……!!」


ヒタ ヒタ ペタ ペタ


幼女魔王 「…………?」


??? 「…………」

血涙幼女? 「……キキキ」


幼女魔王 「ひいいっ!?」

幼女魔王 (私より小さなドレス姿の子供が、私たちの来た方からやってきた)


血涙幼女? 「…………」


幼女魔王 (雪の日の夜みたいな青白い顔。歯をむき出しにして笑ってる。前髪に隠れた目から……目よね? ……赤い涙をトロトロ流してる)

幼女魔王 (たっぷりした両の袖から、腕のかわりに束ねた枯れ木が突き出てる)

幼女魔王 (牧場うまれのモンスター? なんて不吉なの……)



血涙幼女? 「キキ……」


幼女魔王 「な、なに!? やるの!? よよよ、よーし、わたわた、私、容赦しないわよ!?」

幼女魔王 「いけ、美触……」


血涙幼女? 「キキキ……ッ!」


ベチャベチャ トタトタトタトタ


幼女魔王 「あ、逃げた」


血涙幼女? 「!! ッッ!!!」


ザク ザク ザク ザク

バリン


幼女魔王 「!!」

幼女魔王 (木の束の腕で、ガラスを突き破るように宙に穴をあけた!)

幼女魔王 (まさか、別の世界への穴……?)


血涙幼女? 「…………」


トテテ ピョン


幼女魔王 「……行っちゃった。私と同じ、世界を渡る子だったのね」


美触手・可憐少女 「…………」


幼女魔王 「ん? ということは……」

幼女魔王 「美触手、お願い!」


美触手 「…………!」


ヒュパ ヒュパ ヒュパ

ヒュパッ ヒュパ ヒュパ バリンッ


幼女魔王 「! ……で、できた。ちょっと硬いけど、世界を渡る道を開けるようになってる。いつの間に!?」

幼女魔王 「まあ良いわ。やった、これで出口まで行かなくても脱出できる!」

幼女魔王 「行くわよ、美触手!」


美触手・可憐少女 「…………」


タタタタ ピョン

スルスルスルスル……



ゴゴゴゴゴゴゴ

ガラガラガラガラ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……



ホー ホー



???の世界



ドサッ


幼女魔王 「ぐえっ」


スタ


美触手・可憐少女 「…………」

美触手 「クルルル」


シュル シュル トサ


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「そ、草原? どの世界かしら、ここ。とっさに道を開いたから、ワームだらけとか変なところじゃないと良いのだけど……」


美触手 「…………」


ズズズズズ


幼女魔王 「あれ!? ちょ、ちょっと美触手さん!? 私たちを置いて消えちゃ……」


??? 「こらー!!」


幼女魔王 「ひょんっ!?」

幼女魔王 (とても高いところから、雷のような声。ここは巨人の国だったのね!!)

幼女魔王 「ごごごごご、ごめんなさい! 何でもします。幼女魔王はあなたの奴隷ですぅ!!」


??? 「そんなところで何をしてやがる!」

見張り兵 「門番に頼んで開けてやるから、さっさと中に入って来い!」


幼女魔王 「ははは、はい!! ……門?」

幼女魔王 「ここは……」

幼女魔王 「!!」



触手の世界

草原 砦の町前 



幼女魔王 「砦の町。可憐少女ちゃんの町」

幼女魔王 「……別の世界どころか、地上に出ただけってこと?」





ギイイイ ゴゴゴゴゴ

ゴオン


老門番 「……なんじゃお前たち、ボロボロやないか!」


幼女魔王 「あ、あはは……」


可憐少女 「…………」


老門番 「そっちの子は気絶しておるんか!」

老門番 「お前も顔が真っ青だ。なんぞ恐ろしい目にでもあったか!」


幼女魔王 「……あの、はやく可憐少女ちゃんをベッドに」


ガシッ


幼女魔王 「きゃんっ」

幼女魔王 (両肩をガシッと掴まれた。可憐少女ちゃんを背負ってきついのに!)


老門番 「言うてみい、何があった!」

老門番 「…………! まさかあそこか……あそこに行っとったんか!?」


幼女魔王 「!?」

幼女魔王 (しまった、地下の牧場の関係者……!?)


老門番 「ああ何ということじゃ。あそこは……」

老門番 「子供たちを絶対に近づけさせてはならん決まりで、大人たちが過剰ともいえるほど厳重に管理し」

老門番 「しかしそれがかえって、子供たちの興味を煽ってしまう肥溜めじゃというのに」

老門番 「何をしとった、おぬし」

老門番 「そこで何をしとった!!」


幼女魔王 (あ、さてはこれ違うわね)

幼女魔王 「い、いや、だから……」


老門番 「ああ、いかんいかん。わしじゃ手に負えん」

老門番 「わしの知り合いの偉い神主に連絡をとってやるからそこへ行け!」


幼女魔王 「だから! そうじゃなくて……!」


老門番 「破ぁーーー!」


幼女魔王 「聞けよジジイ!!」




…………




…………



緑の地下庭園

牧場



メラ メラ

ゴオオオオ


大男の残骸 「…………」



…………



緑の地下庭園

崩落波動迷宮



ゴゴゴゴゴゴ

ガララ ドシャ ズシン


忘脚牧師 「…………」


ズ ズズズ


死霊娘A 「…………」


死霊娘B 「…………」


死霊娘C 「…………」


ズズ ズズズズ


忘脚牧師 「…………」


死霊娘たち 「…………」


ズル ズル ズル


忘脚牧師 「…………」


ガラララ ドウ ゴシャ



…………




緑の地下庭園

崩落波動迷宮 奈落



道魔法少女 「……いやあ、まいった」


波魔法少女 「……ッッ! ……うぅッ」

波魔法少女 「くそ……そんな、こんなこと……!」


道魔法少女 「予想外に強いんだもの」

道魔法少女 「ボクの魔法の弱点にも気づいていたみたいだし」

道魔法少女 「君が助けに入ってくれなきゃどうなっていたことか」


淫魔法少女 「…………」

淫魔少女 「……お前たちに貸しをつくっておくのは良いことだ」

淫魔幼女 「おれにとっても、これは目障りであるし」


波魔法少女 「こんなバカなこと……魔物のくせに、魔物のくせに……!」


道魔法少女 「さて、悔しいけどとどめをさしたのは淫魔幼女だ。どうするんだい、この魔法少女は」

道魔法少女 「……聞くまでもないと思うけど」


淫魔幼女 「ああ。そうだな」

淫魔幼女 「久しぶりの上質な魔法少女だ。買い手はごまんといるだろうが」

淫魔幼女 「しぼりかすになるまで実験台にして、あとは解体して素材にするなり苗床や奴隷にして売りさばくなりするとしよう」


波魔法少女 「相変わらず外道だねえ」


道魔法少女 「……! そうか、君か……」


淫魔幼女 「…………」


道魔法少女 「最近、我々の仲間を襲っているという敵は君だったのか」

道魔法少女 「やはり、敵は魔物だったのか……!」


淫魔幼女 「…………」


>>963 訂正 ごめんなさい




緑の地下庭園

崩落波動迷宮 奈落



道魔法少女 「……いやあ、まいった」


波魔法少女 「……ッッ! ……うぅッ」

波魔法少女 「くそ……そんな、こんなこと……!」


道魔法少女 「予想外に強いんだもの」

道魔法少女 「ボクの魔法の弱点にも気づいていたみたいだし」

道魔法少女 「君が助けに入ってくれなきゃどうなっていたことか」


淫魔法少女 「…………」

淫魔少女 「……お前たちに貸しをつくっておくのは良いことだ」

淫魔幼女 「おれにとっても、これは目障りであるし」


波魔法少女 「こんなバカなこと……魔物のくせに、魔物のくせに……!」


道魔法少女 「さて、悔しいけどとどめをさしたのは淫魔幼女だ。どうするんだい、この魔法少女は」

道魔法少女 「……聞くまでもないと思うけど」


淫魔幼女 「ああ。そうだな」

淫魔幼女 「久しぶりの上質な魔法少女だ。買い手はごまんといるだろうが」

淫魔幼女 「しぼりかすになるまで実験台にして、あとは解体して素材にするなり苗床や奴隷にして売りさばくなりするとしよう」


道魔法少女 「相変わらず外道だねえ」


波魔法少女 「……! そうか、君か……」


淫魔幼女 「…………」


波魔法少女 「最近、我々の仲間を襲っているという敵は君だったのか」

波魔法少女 「やはり、敵は魔物だったのか……!」


淫魔幼女 「…………」





波魔法少女 「おのれ、魔物。たとえ私が倒れても、お前なんか必ず仲間が、姉さまが……」


淫魔幼女 「…………」



淫魔幼女 は 波魔法少女 に 謎の玉をつかった

波魔法少女 の 口が封じられた!



ゴリュ ゴリュ



波魔法少女 「むぐっ!?」


淫魔幼女 「おれを呼ぶなごみめ、耳がもげる」


波魔法少女 「……っ。 ふぐぅ……むぐっ、ぅぅうう……!」


道魔法少女 「んん、すごい殺意に満ち満ちた目だ」

道魔法少女 「どんな育ち方をしたら、これほど異種族を憎めるんだろうね」


波魔法少女 「おふぁえあ……えっあい、おおいぇあう……!!」


淫魔幼女 「…………」


グググググ


波魔法少女 「!? ぃ、ふぎゅ……ぉえっ、ぇッ、ぇえ゛ッ、ぇ゛っ……!?」


道魔法少女 「おお、口の中で謎の玉が大きくなっていくのが、外からでもわかるね」


淫魔幼女 「新しく手に入れたアイテムだ。おれの許可なしに呼吸することも許さん」

淫魔幼女 「窒息死寸前の苦しみをしばらく味わうが良い、世界を駆けるクズ魔法少女」




ググググ シュウウ グググググ


波魔法少女 「ぉう゛……うも゛っ……ぉん゛げぅ……ぎゅぼ、ぉ゛ッ……!!」


道魔法少女 「これからどうするの」


淫魔幼女 「さてな。とりあえず、これの下ごしらえくらいはここでしておくか」


道魔法少女 「さっき、この迷宮でピンクちゃんに会ったよ」


淫魔幼女 「……そうか」


道魔法少女 「駄目だよ、ちゃんと守ってあげなきゃ」

道魔法少女 「泣いてたよ。死んじゃうところだったよ。女の子泣かすなんて男の子としてどうなのさ」


淫魔幼女 「ふん……」


グググググ シュウウ ブク ブク

グググググ……


波魔法少女 「……! ……ッッ!! ッ! ッ、ぇう゛ッ、ッ……」


ビク ガクガクガク ビク


道魔法少女 「顔ぱんぱんにして白目むいて痙攣しだした」


淫魔幼女 「殺したら面倒だな」


シュウウ


道魔法少女 「お、謎の玉がしぼんでいってるのか。触れなくても操れるなんて便利だね」




波魔法少女 「…………っ、ッッ……」

波魔法少女 「うぐ、ぅ……!」


淫魔幼女 「……反抗的な目だ」


スッ


謎の玉


波魔法少女 「…………!」


道魔法少女 「もう一個いれるの?」


淫魔幼女 「いや」

淫魔幼女 「…………」


キイイイイ

シュカカカカ


謎の玉 は 謎の針玉 に変化した!


波魔法少女 「……!!」


道魔法少女 「うわ、謎の玉からいっせいに極細の針が生えた」


淫魔幼女 「この豚の口に入っているものと、まったく同じものだ。ちなみに針は魔女殺しの媚薬の塊だ」

淫魔幼女 「少量でも一日は魔法がつかえなくなる」


道魔法少女 「いたね、そういう毒を持っているモンスター。たぶんいたね」


波魔法少女 「……ぉえ、ぇえ゛! ぇ、え、え……!!」


淫魔幼女 「吐き出すつもりか。魔法を封じられれば丈夫なだけの肉の的だから、必死にもなるか」

淫魔幼女 「鼻の下の伸びきったみじめな顔になっているぞ。それで正義の魔法少女か。正義のヒロインか」

淫魔幼女 「よし、そのバカ面に免じて玉の発動まで時間をやろう頑張って吐き出してみろ」


波魔法少女 「もぉお゛お゛お゛……!」


淫魔幼女 「ふははは、亀の尻の穴みたいな顔だ。ほらどうした頑張れもうすぐだぞ」

淫魔幼女 「謎の玉発動」


シュカカカカカ


波魔法少女 「ごぴょ゛っ!?」

波魔法少女 「……ーーーーッッ!!!?」




道魔法少女 「ん、本当に発動したの? 針の長さからすると、頬っぺたから突き出ても良さそうだけど」


淫魔幼女 「刺さると同時に溶けて、媚薬が獲物の内側に染みつく」

淫魔幼女 「針のあとは残らないが……痛みはちゃんとあるはずだ」


波魔法少女 「ッッ!! もげぇッ! ッぇッッ……!!」


道魔法少女 「そうみたい」


淫魔幼女 「……そろそろ良いか」


ドカッ


波魔法少女 「~~~~!!」


道魔法少女 「おお、外套の腕で腹ドン。敗者に鞭打つね。やったこと考えると生ぬるいけど」


波魔法少女 「おぶぇ……ッ!!」


ゴプ
 
ゴロン ビチャ


謎の玉


淫魔幼女 「……けがらわしいヨダレまみれだ」

淫魔幼女 「こんなものを触るくらいなら、洞窟オーガの小便を直接飲む方がまだマシだな」


波魔法少女 「……ぁぐ……おの、れ……」

波魔法少女 「ひゃうんっ!?」

波魔法少女 「………ぁ、ぁう……な、なに、こ……ヒウウウッ!?」


ビクン モジ モジ クネ クネ 


淫魔幼女 「馬鹿め。今やお前の口は舌先まで、空気が揺れるだけで性的な快感を得る快楽器官だ」

淫魔幼女 「喋ればどうなるかくらい分かるだろうに」


道魔法少女 「自分の上あごを舌でレロレロするとくすぐったいけど、それが凄くなった感じ?」


淫魔幼女 「自分で試してみたところ、そんな感じだ」


道魔法少女 「あ、試したんだ……大事な体なのに」


淫魔幼女 「……この体も性的な責めを受けない保証はない。もしものために、耐性をつけて損はない」


道魔法少女 「へえ。うちの訓練にも取り入れてみるかね」





モゾモゾ クネクネ

モジ モジ モジ モジ


波魔法少女 「ひゃっ……んぅうッ!? こんな、止め……んんぅううっ……!!?」


ピクンッ ビク ビクビクビクッ……


淫魔幼女 「喘ぎ声でさらに感じて喘ぎ声を上げる悪循環に陥ったか。というか絶頂したか?」


波魔法少女 「ッ……かはッ!? ……っ!? ッ、ッ!?」


道魔法少女 「波を支配する魔法少女が音の波に翻弄されるとは、皮肉だね」


波魔法少女 「!! ……ぐぅ!」

波魔法少女 「ば、馬鹿にするなよ魔も……ひゃんっ……ま、魔物ども……ぉッッ……ッ、ッ!!」

波魔法少女 「私は上級魔法少……んっ! ひゃうううう……!!」


ビクッ ビクッ


淫魔幼女 「ははは、言葉も満足に話せない馬鹿が何だって?」


波魔法少女 「…………!」


淫魔幼女 「まあ良いか」

淫魔幼女 「次だ」


ガサゴソ ガサゴソ


ハリネズミ?

ウニ?


波魔法少女 「…………?」


道魔法少女 「何それ」


淫魔幼女 「淫魔ハリネズミ(仮)のハーリィくんと」

淫魔幼女 「淫魔ウニ(仮)のウニコーンちゃんだ」


道魔法少女 「へえ」


淫魔幼女 「ちなみに、さっきつかった謎の玉の毒はこいつらからいただいた」


道魔法少女 「ほうほう」


淫魔幼女 「毒は謎の玉より強いが、持続性はあまりない」

淫魔幼女 「どちらも、冒険に慣れたものなら倒せる雑魚モンスターだが……」


波魔法少女 「……!! ……ゃ……!」


淫魔幼女 「毒に持続性はないと言ったが、常にあたえ続けれられるようなら問題ない。むしろ謎の玉より有効だ」



道魔法少女 「なるほど。今の彼女は良い獲物ってわけだ」

道魔法少女 「でも、一匹の毒の量なんてたかが知れてるんじゃないかね」


淫魔幼女 「その通り。敵の精気や魔力を吸って力にする淫魔系だし、強力なやつを選びはしたが回復が間に合うまい」

淫魔幼女 「そこで」


ガサゴソ ガサゴソ


淫魔ハリネズミ(仮)たくさん

淫魔ウニ(仮)いっぱい


ゴロゴロ


波魔法少女 「!?」


道魔法少女 「わお、これなら問題解決だね。それだけの数をどこに持っていたかは聞かないけど」


淫魔幼女 「そういうことだ。……さて」

淫魔幼女 「選ばせてやろう、魔法少女」


波魔法少女 「!! ひッ……ッ」


淫魔幼女 「どちらも謎の玉と違って針は太いし溶けたりしないが……」


ゾゾゾゾゾ


淫魔幼女 「子宮いっぱいに詰め込まれるのはどちらが良い?」

淫魔幼女 「口と尻から溢れるまで胃袋に詰め込まれるのはどちらが良い、と言いかえても良いが」


ハーリィくん 「モゾモゾモゾモゾ」

ウニコーンちゃん 「ワサワサワサワサ」


キラリ ギラリ 


波魔法少女 「…………ひ、ひゃ、や…や……」

波魔法少女 「嫌……いや、いや…………!」

波魔法少女 「い゛や゛ああああぁぁァァああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!」



…………





砦の町 見張り兵士詰所 廃倉庫



幼女魔王 「スウ……スウ……」

幼女魔王 「ぶにゃ……?」


モゾ モゾ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (よく寝たわ。頭ぼんやりするけど)


ガチャ ガチャ ペチャクチャ


幼女魔王 (光のもれる虫食い扉の向こうから、人の気配。声もするわね)

幼女魔王 (……ここ、どこなの)

幼女魔王 「……くさい。腐った材木でもつかって建てたのかしら」


ガチャガチャ ドッ ワハハハ


幼女魔王 「…………! そうだ。可憐少女ちゃん、どこ……!?」


野太い声 「おい、いつになったら目がさめるんだあのガキは!」


幼女魔王 「!?」


可憐少女の声 「……す、すいません。きっともうすぐですから、もう少しだけここに……」


幼女魔王 (可憐少女ちゃんの声だ。誰かと話してる……?)


いやみな声 「さっさと出て行ってもらいたいね。ここは命をかけて妖精の侵攻から町を守る戦士たちの場所さ」


鼻声 「そうそう。軟弱なガキはいるだけで士気がさがるんだ」


猫なで声 「俺たちの役に立ってくれるってんなら、二人とも置いてやっても良いんだけどねえ?」


可憐少女の声 「……ごめんなさい。目がさめたら、すぐに出ていきますので」


幼女魔王 「…………」


ギシ ギシ


幼女魔王 (こっちの部屋に近づいてくる)


キイイ


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「! 幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「……おはよう、可憐少女ちゃん」



可憐少女 「よかった、目がさめたのね」

可憐少女 「はい、お水」


幼女魔王 「うん、ありがとう……」

幼女魔王 「あの、ここは……」


可憐少女 「外を見張る兵士さんたちの詰所よ」

可憐少女 「幼女魔王ちゃん、あの地獄みたいなところからこの町まで私を運んだあと、気を失ってしまったの」

可憐少女 「それで、雨漏りでつかわれなくなった倉庫を借りて寝かせてもらっていたのよ」

可憐少女 「……教会に戻るわけにもいかないから」


幼女魔王 「……そ、そうだったんだ」

幼女魔王 「ありがとう、可憐少女ちゃん」


可憐少女 「……こちらこそ、ありがとう」


幼女魔王 「……じゃ、じゃあ、さっそくここを出……」


ズキ


幼女魔王 「のふぇっ!?」

幼女魔王 (立ち上がろうとしたら、全身にきしむような痛みが……!)

幼女魔王 「ふお、ふおぉおお……ッ」


ギシ ギシ


可憐少女 「ま、まだ駄目よ、動いちゃ!」


幼女魔王 「んほぉ……こ、こんなのはじめてよぉ……」

幼女魔王 「回復力には、自信、あったのにぃ……ほぉおおっ……」

幼女魔王 (あ、でも痛いのちょっと気持ちイイ……)


ギシ ギシ



可憐少女 「さあ、はやく横になって……」


サワ


幼女魔王 「ひょほおっ!?」


可憐少女 「!?」


幼女魔王 「だめだめだめ、いまだめ、体……体さわっ……」

幼女魔王 「……てぇ」


可憐少女 「え、えぇ……?」


幼女魔王 「はぅん……」


トロン


可憐少女 「…………ゴクッ」

可憐少女 「あ、と、とりあえず寝かせるわね」

可憐少女 「元気になるまで、ゆっくり休んで。あとで疲労に効く薬草をとってくるわ」


幼女魔王 「でも、早く出ていけって、ここの人たち……」


可憐少女 「……聞こえていたのね」

可憐少女 「大丈夫。何とか頼んでみるから。口は乱暴だけど、ひどい人たちじゃないわ」


幼女魔王 「う、うん……」


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「……あの。これから、どうする?」


可憐少女 「心配しなくて大丈夫」

可憐少女 「お金があれば子供でも家を持てるから……」


幼女魔王 「お金……」


可憐少女 「だ、大丈夫よ、頑張って稼げばすぐ……そりゃ、前に二人で住んでたとこより劣るけど」


幼女魔王 (前に住んでたとこよりって……あそこも相当ひどかったのに)


可憐少女 「…………」

可憐少女 「それに、この町でなくたって、きっと生きていけるわよ……」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん」


可憐少女 「……ごめんね、幼女魔王ちゃん」

可憐少女 「私、あそこで起きたこと、ほとんどおぼえているの」


幼女魔王 「!」



可憐少女 「気を失ったのは確かだけれど、そのあとぼんやりと目が覚めたわ」


幼女魔王 「そそ、そうなんだ……」


可憐少女 「でも、あそこで牧師さまに執事さんに、あのでかいイカくさハゲ野郎に……」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん?」


可憐少女 「上で暮らしていたときは想像もできなかった人たち、庭のある小さな教会も……私の知っているいろんなものが崩れていって」

可憐少女 「私のまわりも、全部崩れていってしまうようで」

可憐少女 「あんなおぞましいことが、私の足もとで起きていたなんて。あんなものの上で生きていたなんて……」

可憐少女 「私の村はもうなくなってしまったような気がして」

可憐少女 「もう動きたくなかった。目が覚めたくないって思ってた」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (目の前で故郷をなくす気持ち。故郷も知らない私は分からないけれど、つらいのでしょうね)


可憐少女 「死んでしまってもいいや……って。お父さんとお母さんに会えるかもしれないし」

可憐少女 「そう思っていたの」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……」


可憐少女 「でも、幼女魔王ちゃんは私を助けてくれた」

可憐少女 「瀕死のゴキブリに泣いて土下座するくらい臆病なのに」

可憐少女 「苦手なものを食べるときはギュッて目を閉じるくらい臆病なのに」

可憐少女 「服を全部脱がないとおトイレに行けないくらい臆病なのに」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん……!?」


可憐少女 「泣きべそをかきながら、私を連れて行ってくれた」

可憐少女 「だから、私は生きなきゃいけないんだなって、そう思ったの」

可憐少女 「ありがとう、幼女魔王ちゃん」


幼女魔王 「…………」


可憐少女 「あと、美触手……だっけ」

可憐少女 「お礼、言わなきゃね」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (やっぱり。そりゃそうよね、意識があったら気づかないわけないわよね)




幼女魔王 「なななな、なんのことでゲスやら。おいどんが魔物を使うだなんてそんな……」


可憐少女 「隠さなくて大丈夫。……私たち、友達じゃない」


幼女魔王 「!!!」


可憐少女 「妖精側なんて、人間側なんて、どうでも良いことだわ」

可憐少女 「幼女魔王ちゃんは命がけで私を助けてくれた」

可憐少女 「それだけで良いの」


幼女魔王 「う、うん。うん……!」

幼女魔王 「私も、可憐少女にたくさん助けてもらった。可憐少女ちゃんといられて幸せ……!」


可憐少女 「幼女魔王ちゃん……!」


ポム


幼女魔王 「ぴゃっ!?」


可憐少女 「ご、ごめんなさい! つい体を触っちゃって。大丈夫?」


幼女魔王 「ひゃえ……ら、らいひょうゆよぉ……可憐少女ひゃぁん……」


トロォン


可憐少女 「……ゴクッ」


幼女魔王 「……あの」


可憐少女 「……! え、な、なあに……?」


幼女魔王 「こ、この町じゃなくてもいいって、本当?」


可憐少女 「……うん」

可憐少女 「この町を歩いていると、ときどき怖くなる。寝ていると何度も目がさめるの」

可憐少女 「地の底から、何か恐ろしいものたちが、私を引きずり込もうと腕を伸ばしてくるようで」


幼女魔王 「そ、そうなんだ……」

幼女魔王 (…………)

幼女魔王 「あ、あの、可憐少女ちゃん!」


可憐少女 「は、はい……?」


幼女魔王 「じゃ、じゃあ……その……あの、その……ゴニョゴニョゴニョゴニョ」


可憐少女 「? ご、ごめんなさい、ちょっと聞こえなかった……」


幼女魔王 「わ、私の世か……故郷にききき、来てみまちぇんこ!?」




幼女魔王 (なーっ、言葉がグッチャグチャになっちゃった!)


可憐少女 「幼女魔王ちゃんの……?」


幼女魔王 「う、うん。人間側じゃないってばれるのが怖くて内緒にしてたけど行きかたとか、道順とかしっかり分かるから」

幼女魔王 「気ままな小旅行気分で行けるから。お子様ふたりでも超安心!」

幼女魔王 「可憐少女ちゃんのトラウマが払拭できたら、その気になればすぐ帰れるから!」


可憐少女 「そ、そうなんだ……」


幼女魔王 「人間だから迫害するとか、そういうのいっさい無い」

幼女魔王 「むしろ私以外に人がいない」


可憐少女 「ええっ……!? それ、大丈夫なの……?」


幼女魔王 「近くに大きな町がある。人も魔物も、いろんな種族が入り乱れて混沌としてる」

幼女魔王 「でもカフェの店員さん滅茶苦茶こわい。狼の方がひときわこわい」

幼女魔王 「たぶんあれ魔王より強い」


可憐少女 「そうなんだ……。そんな町、聞いたこともなかった」


幼女魔王 (だってこことは違う世界だもの)


可憐少女 「でも、そうね。とても素敵なお誘い……」

可憐少女 「二人で旅だなんて、大変そうだけど楽しそう」


幼女魔王 「う、うん! モンスターとか野盗が出ても、美触手がいればまず安心」

幼女魔王 「しかも脇道にそれなければそういう危険なのはたぶん、ぜったい出てこない」

幼女魔王 「お手軽に綺麗な空や海、山野ではいろんな花も見られる。いろんなところに行ける。胸いっぱいに爽やかな世界の風」

幼女魔王 (界堺の淀みを使えば)


可憐少女 「……うん」


幼女魔王 「……あ、あの。あの」

幼女魔王 「私、可憐少女ちゃんに一緒にいてほしい。わ、私と一緒に、来てほしい……!」


可憐少女 「…………」

可憐少女 「うん……!」



ガチャ ガチャ ドヤドヤ

ワハハハ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「ほ……ほんと……? 誘っておいてなんだけど、こんな私と一緒でいいの……?」


可憐少女 「うん」

可憐少女 「私も、幼女魔王ちゃんと一緒にいたい。ここじゃない、どこかで」


幼女魔王 「……あ、へぁ、あはは………」

幼女魔王 (こ……こんなにあっさり)

幼女魔王 (夢のよう。もう死んでもいい。というか、この幸せの絶頂のまま死にたい)


可憐少女 「だって幼女魔王ちゃん、ひとりにしておくと心配だもん」


幼女魔王 「のびっ……」


可憐少女 「ふふふふっ……」


幼女魔王 「じゃ、じゃあ、えーと、えーっと……」

幼女魔王 (言葉が出てこない。幸せで頭まっ白)


可憐少女 「いろいろ準備しなくちゃね。その間、安宿くらいなら借りられるかしら」

可憐少女 「でも、まずは幼女魔王ちゃんが元気にならなきゃ」


幼女魔王 「あ、ううう、うん」


可憐少女 「薬草、とってくるわ。安静にしていてね」


幼女魔王 「う、うん……!」


ガチャ

タタタタ ドサ


野太い声 「おおうっ!? おい、気をつけろ。ちょろちょろするな、ガキ!」


可憐少女の声 「ご、ごめんなさい!」

可憐少女の声 「幼女魔王ちゃんが起きそうだから、薬草をとってきます!」


野太い声 「……なんだあ、急に元気になりやがって」


タタタタタタ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「可憐少女ちゃんが……私の世界にくる……」

幼女魔王 「夢じゃない…………」

幼女魔王 「うへへへへへへ……」


…………


…………


ガチャガチャ ドヤドヤ


幼女魔王 「もっと片付けておけば良かったなあ、お城。でも玉座をつくっておいて良かった」

幼女魔王 「木箱なんてかっこつかないものね」

幼女魔王 「そうだわ、お風呂を新しくしたんだった。ひろいお風呂、一緒に入って遊ぼう」

幼女魔王 「魔動画とかペニステとか見たらびっくりするかしら」



…………


ドッ ワハハハハ


幼女魔王 「夜は一緒にお菓子を食べて……あ、私が魔王ってこと言ってなかった……」

幼女魔王 「だ、大丈夫よね。関係ないって言っていたし」

幼女魔王 「……そうよ。界境の淀みで、勇者と魔王がパーティを組んでいたじゃない」

幼女魔王 「魔王と神友だって大丈夫、大丈夫……」



…………


カアー カアー

ゲラゲラゲラ ワハハハ


幼女魔王 「商人の町も見せてあげよう。でも、ちょっと刺激が強いかしら」

幼女魔王 「えへへへ、そしてそして、二人でおしゃれして町に出て……」



…………

ホー ホー

ガチャガチャ

ドッ ワハハハハ ワハハハハ


幼女魔王 「……………」



…………


ホー ホー

グウ グウ ムニャ

カチャ カチャ ヒソヒソ


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「………あれ?」




砦の町 夜

庭のある小教会(崩壊) 庭



屋根職人 「数日前の夜、大きな地震があって教会が崩壊してしまった」


釘買い 「牧師さまの安否は分からない。しかし、この、教会の様子では……絶望するほかない」


掃除夫 「きっと、争いの絶えない下界で生きることを不憫にお思いなさった神が、はやくに召し上げたのだろう」


町娘 「しかし、私たちにとってはなんと不幸なことでしょう。あのように素晴らしいかたを失って」


祈祷師 「重症で病院に運び込まれた表信騎士。うわ言のように牧師さまを呼んでいたよ……」



ヒュウウ

サアアア ザアアア


幼女魔王 「……いない。ここの庭の薬草を取りに行ったと思っていたけど」

幼女魔王 「そうよね、こんなところに来られるわけないわよね……」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「もしかして、私と可憐少女ちゃんがはじめて会った妖精の森……の手前」

幼女魔王 「…………い、いや、そんなまさか」

幼女魔王 「……でも、危ないと言っていたし、理由がなきゃあんなところ」

幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「行ってみましょう」


タタタタタ



町娘 「……深夜礼拝を」

町娘 「牧師さまと、多くの人を思って祈りましょう」

町娘 「やわらかい魂が、白い夜風にこごえてしまわないように……」



…………


妖精の森 前



美触手 「…………」


幼女魔王 「へ……」

幼女魔王 「へえっっっくしょい!!」

幼女魔王 「うぅ……ズルズル」

幼女魔王 (美触手の背中に乗って移動したら思いのほかこの上なく寒かったわ)

幼女魔王 (何回も落ちるし。……可憐少女ちゃん、よく落なかったわよね)


美触手 「…………」


幼女魔王 「さて……」


サアアア ザワザワザワ


幼女魔王 (教会の庭で見たような草もはえてる)

幼女魔王 (薬草の採取ポイントね。可憐少女ちゃんの姿は見えないけれど……)


触手草 「クネクネクネクネクネ」


幼女魔王 「……うう、嫌でやや幸せな思い出が」


美触手 「…………」



??? 「……いやあ、運が良かったよなあ」


幼女魔王 「!」

幼女魔王 (森の方から話し声)

幼女魔王 (こっちに気づいていないかしら。し、茂みに隠れてやり過ごそう……!)


タタタタタ コソコソ


幼女魔王 (…………)

幼女魔王 (……葉の隙間から様子が見える)



??? 「たまたま」

乱暴妖精 「見回りの範囲の外を覗いたら、だもんな」


不良妖精 「へへっ。おかげで、おれたちの騎士への道がぐっと近づいたぜ」



幼女魔王 「…………」

幼女魔王 (……妖精)




乱暴妖精 「ああ。人間の雌を捕まえるなんて、騎士見習いでもなかなかない」


不良妖精 「……わかってるよな」


乱暴妖精 「当たり前だ。おれたちは、人間どものパーティを触手で打ち負かし」

乱暴妖精 「なかなかの強敵だったあいつを戦利品としていただいたんだ」


不良妖精 「へへ、そうだ。のんきに花摘みをしていたガキを捕まえました、じゃあかっこつかねえ」



幼女魔王 「…………!!」



乱暴妖精 「まあ、手こずったのは本当さ。転げ回りながらしつこく逃げて

乱暴妖精 「捕まってからも、何とかちゃん何とかちゃんって叫びながら暴れたもんな」


不良妖精 「ばっか!」


乱暴妖精 「むぐっ」


不良妖精 「そういうことを言うなってんだ!」


乱暴妖精 「ぷはっ」

乱暴妖精 「へへへ、悪い」


不良妖精 「……ったく。腕っぷしはつよいくせによお」

不良妖精 「戻ろうぜ。遅くなっちまう」


乱暴妖精 「おう。……へへ」

乱暴妖精 「見つけた触手、さっそくあのガキに試してみないか?」


不良妖精 「そのつもりよ。へへへ、すげえの産ませてやるぜ……」



ガサッ



乱暴妖精・不良妖精 「!!」


幼女魔王 「…………」


幼女魔王 「…………」


乱暴妖精 「何が飛び出してきたかと思えば、ガキ……?」


不良妖精 「い、いや。そうだこいつ、前に村に現れた触手使いの……」


幼女魔王 「……幼女魔王?」


不良妖精 「……は?」


幼女魔王 「あなたたちが捕まえたと話していた人間が呼んでいた名前は、幼女魔王?」


乱暴妖精 「ああ、たしかそんな名前だったっけ。面白かったぜ、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら……」


幼女魔王 「…………そう」


不良妖精 「お、おい、あんた……」


幼女魔王 「……ええ、その通りですわ王子さま!」

幼女魔王 「王子さまは私を愛してくれます……」


不良妖精 「???」


乱暴妖精 「なんだあ、こいつ。急にどこかにぶつぶつ話しかけて、気味が悪いぜ」


幼女魔王 「……ああ、そう!」

幼女魔王 「そう、そうだったわ。そうよね……」

幼女魔王 「そうよ、そう…………」


ズズズズズズ


美触手 「…………」


乱暴妖精 「おお、なんて見事な触手!」


不良妖精 「! や、やっぱりこいつだ。長老が触手姫と言っていた旅の触手つかい!」


乱暴妖精 「……? ああ! あの夜こつぜんと消えたっていう!」


美触手 「…………」


スル スル


不良妖精 「な、なんだよ、おい、来るのか? 触手バトルか? それならちょっと待……」


美触手 「…………」


スルスルスルスル 


不良妖精・乱暴妖精 「う……」

不良妖精・乱暴妖精 「うわああああああーーーー!?」


…………

妖精の村 夜



不良妖精 「……つ、捕まえた苗床は、騎士団の管理する……牧場にあります」


幼女魔王 「…………」


美触手 「……グュルル」


ゴキュ ゴキュ

ベキ バキン


不良妖精 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ッ!? 本当だ、本当のごどでず! やめで、飲み込むの止めさせてぐださいい゛い゛!!」


幼女魔王 「……牧場はどこですか、と、私はあなたに無知をさらさなくてはならないの? あなたは、私をはずかしめたいの?」


不良妖精 「あ、あっぢだ! あっちでず騎士団の本部! に、西の部屋の触手天使像を回すと、牧場への階段が出る!」


幼女魔王 「そうそう、その心がけよ。……本当ね?」


不良妖精 「はい゛、触手姫ざま゛! あなだざまに忠誠を誓まず! 逆らっだりじません!」


幼女魔王 「そう……」

幼女魔王 「嘘つき」


美触手 「グリュリュ」


ゴキュ ゴキュ 

ベキボキ バキボキ ゴリュゴリュゴリュ


不良妖精 「ぎい゛いいい゛い゛!?」

不良妖精 「なんで! どうじでえええ゛え゛!」


幼女魔王 「お仲間さんたちを裏切るようなことをペラペラ話すなんて、信用ならないわ」

幼女魔王 「先に飲み込まれた相棒さんと、仲良く消化されていきなさい」


不良妖精 「いやだ! いや゛だああああ゛あ゛! 食べられたくない。食べられたくないぃい゛い゛ーーー!!」


美触手 「…………」


ゴクン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王 「………?」

幼女魔王 「! そ、そうだわ。可憐少女ちゃん」

幼女魔王 「盗み聞いたあの妖精たちの話によれば、騎士団の牧場だったわね」

幼女魔王 (行き方まで丁寧に話すなんて、どこのテーブルトーク冒険ゲームよ)

幼女魔王 「行きましょ、美触手!」


美触手 「…………」



…………


騎士団本部 中央



タタタタタタ


幼女魔王 「可憐少女ちゃん。可憐少女ちゃん……!」


見回り騎士 「む? ここから先は一般人は立ち入り禁止だ。通りたければ私と触手バトル……」


美触手 「クュ」


パコーン


見回り騎士 「うわあー」


幼女魔王 「どうか無事でいて、可憐少女ちゃん……!」



…………


騎士団本部 男子トイレ



最強騎士 「うわ、不意打ちか!? くそ、いでよ触手……」


パコーン


最強騎士 「あーれぇー」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん、待っていて可憐少女ちゃん!」



……………


騎士団本部 牧場



パコーン パコーン スパコーン


交配騎士 「うわー」


種付触手 「やられたー」


幹部妖精4 「ぬおおおおお! この……私があーーー!!」


幼女魔王 「可憐少女ちゃん、可憐少女ちゃん」

幼女魔王 「可憐少女ちゃん可憐少女ちゃん可憐少女ちゃん……」

幼女魔王 「可憐少女ちゃん…………!」


タタタタタタタタ




…………


妖精の村

騎士団本部 牧場 Y舎



グチュ グチュ ニチュ ニチュル


ねじれ触手 「グチュグチュグチュグチュ」


吸盤毒触手 「クポー」


グッチュグッチュ グプグプグプグプ


ちび僧侶 「ふぐぃいいい!? んへえええぇえぇえ!?」

ちび僧侶 「だめぇ! 産んだばかりなのぉお。まだだめなのぉ! 休まぜでえぅえ゛!!」

ちび僧侶 「神ぢゃま! 助けて神じゃまああああああ!!」


くそガキ少女戦士 「いや……もう触手いやぁああ……」

くそガキ少女戦士 「助けて、たすけてええ……」

くそガキ少女戦士 「酔っ払いさんでも良いからぁ……触手産むのいやぁあ……!!」


グポ グポ グポ

グジュル グジュル

ドクン ドクン ドクン……





幼女魔王 「…………」


可憐少女 「…………」


幼女魔王 「……可憐少女ちゃん」


可憐少女 「…………」

腹破れ可憐少女 「…………」




…………

……



…………

騎士団本部 どこか



幹部妖精1 「……しかし、あれは惜しいことをしましたなあ。あのピンク髪の触手使いは」


幹部妖精2 「ああ。長老さまは触手姫と信じていたが、ありゃあ良質な上に長く使える苗床になったろうに」


幹部妖精3 「うむ。罠にはめる暇もなく、黒外套の子供ごと姿を消してしまった」


ひげ妖精 「なっ……あなたがたは何ということを……! そんなことだから、触手姫さまはお隠れになったのだ!」


幹部妖精1 「はっはっは、相変わらず頭がかたいですな、ひげ殿」

幹部妖精1 「……それにしても、遅いですな幹部妖精4どのは」


幹部妖精3 「ああ。使えなくなった苗床の処分にしては、時間がかかっている」


幹部妖精2 「まったく、不良妖精たちも軟弱な苗床を持ってきたものだ」

幹部妖精2 「強敵だったと言っていたから夢魔触手を孕ませてみれば、一発で腹が破れてしまっ……」


ゴゴゴゴゴゴ

グラグラグラ


幹部妖精たち 「!?」


幹部妖精2 「な、なんだこの揺れは!」


ドロリ


幹部妖精1 「!! 幹部妖精2どの……」

幹部妖精1 「どうなされた、体が溶けていますぞ!?」

ドロロ

幹部妖精1 「あえ……? わらひぉぅぁ(私も口が)……?」


ダダダダダ ガチャ


妖精騎士 「たた、大変です! 村の妖精たちが溶けて煙のように……びゃ」


バシャンッ


ひげ妖精 「…………!! な、なんだ……これは。何が起きているのだ……!」


??? 「妖精の地に現れるであろう……。伝説の通りじゃ」 (>>678)

妖精長老 「触手の神が、お目覚めになられる」


ひげ妖精 「長老……」


妖精長老 「おおぉ……。神よ、神よ……」


パシャ バシャン

ゴゴゴゴゴゴ




…………

……


妖精の村跡

騎士団本部跡 夜 雪



ヒラ フワ ヒラ

シン シン シン シン


幼女魔王? 「…………」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王? 「…………」


淫魔幼女 「……果たして神だったのかは、定かではありません」

淫魔幼女 「ただそれは、憎悪の渦巻く場所にうまれるのだそうです」

淫魔幼女 「かつてあったのでしょう、妖精の村でそういうことが。そして今日も。しかし、もしかしたら」

淫魔幼女 「あの愚かな牧師がもう少し早く波魔法少女と出会っていたら、あの町の地下牧場であったのかもしれません」


幼女魔王? 「……妖精さんたちが溶けていたのは?」


淫魔幼女 「……申し訳ありません」


幼女魔王? 「そう、分からないのね」

幼女魔王? 「……ねえ、淫魔幼女」


淫魔幼女 「……はい」


幼女魔王? 「王子さまがいないわ。王子さまはどこ?」

幼女魔王? 「こんなにすっきりと目がさめたのは久しぶりなのに、王子さまがいないなんて」


淫魔幼女 「…………ッ」

淫魔幼女 「……ご逝去なされました。父君と相討つように」


幼女魔王? 「そう。……そうだったわね」

幼女魔王? 「では、美触手は?」


淫魔幼女 「……残念ながら」


幼女魔王? 「そう」




幼女魔王? 「あなたのお兄様……棺持ちさんはお元気?」


淫魔幼女 「……残念ながら。魔王侵攻の折に」


幼女魔王? 「そう……」

幼女魔王? 「嘘つき」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王? 「こうやってあなたに背中を向けていても分かるわ」

幼女魔王? 「淫魔幼女ちゃんの形をしているけど、あなた、棺持ちさんでしょ」


淫魔幼女 「……はい」


幼女魔王? 「うふふ……」

幼女魔王? 「そう……悲しいわ」

幼女魔王? 「みんな死んだのね。幸せなあの頃は戻ってこないのね」


淫魔幼女 「はい」

淫魔幼女 「消えてしまいました。世界ごと」


幼女魔王? 「むなしいわ」

幼女魔王? 「……寒い」


淫魔幼女 「諦めてはなりません。あなたはこれから、あなたの世界を築いていくのです」


幼女魔王? 「……そう。そうだったわね」

幼女魔王? 「いつごろからかしら。ずっと夢を見ていたのだけれど」

幼女魔王? 「ときどき夢のような、うつつのような、そのどちらでもないような」

幼女魔王? 「そんな感覚におちいることがあったわ」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王? 「小さな世界の小さなお城で、臆病に生きていた。最悪のままぬるま湯に沈むように」


淫魔幼女 「現実です。その小さな世界が、今のあなたの世界なのです」

淫魔幼女 「おはようございます、姫」

淫魔幼女 「あなたはたった今、長い夢遊を終えたのです」






幼女魔王? 「……そう」

幼女魔王? 「でも、ああ……困ったわ」

幼女魔王? 「何をしたら良いのかしら、私は」


淫魔幼女 「人手がいります。しもべを集めましょう」


幼女魔王? 「人手というより、触手よね」

幼女魔王? 「ここの触手さんたちはすべてしもべにしたけれど」


淫魔幼女 「さすがでございます」


幼女魔王? 「私を触手の主たらしめる美触手は死んだのに、私は触手を支配できるのね」


淫魔幼女 「美触手はその死に際に、すべてをあなたに注ぎ込みました」

淫魔幼女 「力はあなたの中に、脈々と流れているのです。世界を渡る力も」


幼女魔王? 「まあ、素敵。気色悪い」

幼女魔王? 「では、さっそく帰るのかしら。そうではないわよね?」


淫魔幼女 「触手を増やすための苗床を集めなくてはなりません。丈夫な雌、良質な触手を求めるならばできれば人を」

淫魔幼女 「……ちょうど良い狩場となる世界を、私は知っているのです」

淫魔幼女 「用意しておりましたが、まさか実をむすぶことになろうとは」


幼女魔王? 「さすがよ、棺持ちさん。誰だったかしら……そう、不良妖精さんとは大違い」


淫魔幼女 「もったいないお言葉。神と呼ばれるほど強力な触手を得たあなたならば、ことは容易でしょう」

淫魔幼女 「……人型のしもべも、思うままに手に入るでしょう」


幼女魔王? 「? どうして人型のしもべなんかが必要なの。洗脳が必要だし魔物に比べたら脆いし、面倒だわ」


淫魔幼女 「……いえ」


幼女魔王? 「ふうん……」

幼女魔王? 「まあ良いわ。さっそく行きましょう」

幼女魔王? 「……と、言いたいのだけど」



幼女魔王 「…………」



幼女魔王? 「ここに転がっている私は、いったい何なのかしら?」




幼女魔王 「…………」


可憐少女 「…………」


シン シン シン シン


幼女魔王? 「かわいそうに。桃色の頭に雪が積もって寒そうよ」

幼女魔王? 「ねえ、棺持ちさん。どうして、そこで私が死んでいるの?」


淫魔幼女 「…………」


幼女魔王? 「どうしてお腹の破れたみじめな人間と、仲良く手を重ねているの」


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「抜け殻です。あなたの」


幼女魔王? 「……抜け殻?」


淫魔幼女 「例えるならば、あなたの囚われていた夢の殻」

淫魔幼女 「あなたが目覚めた今、それにはもう何も残っていません」


幼女魔王 「…………」


淫魔幼女 「あなたを真の幼女魔王とするならば」

淫魔幼女 「これは幼女魔王……」

淫魔幼女 「……N、あたりで良いんじゃないですかね?」


幼女魔王? 「ずいぶんノリが軽いわね」


淫魔幼女 「抜け殻ですから」


幼女魔王 「…………」

幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「まあ、抜け殻の名前などどうでも良いのです。しかし私が丁重に葬ります。棺持ちとして」

淫魔幼女 「つきましてはかの世界にあなたを案内した後、少し時間をいただければ」


幼女魔王? 「相変わらず甘っちょろいのね」

真幼女魔王 「良いわ。先に行っているから、ゆっくり済ませて来なさい。私、少しひとり旅の気分を味わいたかったの」

真幼女魔王 「次の世界の座標を教えて」


淫魔幼女 「……は」



淫魔幼女 は 世界の座標(見えない精霊の世界) を渡した




真幼女魔王 「じゃあ、先に行っているわね」


淫魔幼女 「くれぐれも、お気をつけて」


真幼女魔王 「大丈夫よ。知っているくせに」

真幼女魔王 「えい」


ヒュパ キイン バリン


真幼女魔王 「……本当。美触手に頼らなくても、異世界への道をひらくことができたわ」

真少女魔王 「じゃあね。またあとで会いましょう。来なきゃひどいんだから」


ピョンッ


淫魔幼女 「はい、必ず」

淫魔幼女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「…………」


シン シン

ヒュウウ ヒュウウウ


幼女魔王N 「…………」


淫魔幼女 「自ら腹を破って死んだか。それほど、その雌が死んだのは受け入れられなかったか」

淫魔幼女 「馬鹿が。結局、ほぼおれの言ったとおりじゃないか」

淫魔幼女 「だったら最初から、妖精どもを皆殺しにしておけば良かったものを」

淫魔幼女 「……おかげで余計な悲劇を引き起こすことになる」


幼女魔王N 「…………」


可憐少女 「…………」


淫魔幼女 「……こちらにとっては予想以上の結果となってくれたわけだが」



幼女魔王N 「…………」


ズズ


淫魔幼女 「……美触手か」


ズズズズ


美触手 「…………」


淫魔幼女 「姫が帰ってきた。もうお前たちは用済みだ」

淫魔幼女 「好きに生きたら良い」


美触手 「…………」


ヒュオオオオ


淫魔幼女 「……風が出てきた。これから寒くなるのだろうな、この世界は」


ゾゾゾゾ バキ パリン



淫魔幼女 は 世界に穴をあけた


淫魔幼女 「…………」

淫魔幼女 「……では」

淫魔幼女 「さようならだ」


フヨ フヨ フヨ フヨ

ゾゾゾゾゾ

……パキ カチャ カチャ キイン


世界の穴 が 塞がった



幼女魔王N 「…………」


可憐少女 「…………」


美触手 「…………」


ヒュウウウウ

ヒュオオオオオ


…………

……


おわり


幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」
に続くかも


※おまけ
>>629


見えない精霊の世界 聖域の森 外れ



テク テク テク


精霊使い戦士 「…………」

母性巫女 「……はあ」


ポヨン タユン プルルン


母性巫女 (歩くたびに変な音が鳴る)

母性巫女 (おかげで、みんな気味悪がって逃げていく)

母性巫女 (町でお買い物をするのも一苦労。そのうえ恥ずかしい)

母性巫女 「いつまで続くの、この呪い。もしかして、一生……」


ムニュニュ


母性巫女 「うう。私、まだ1X歳なのに……」


テク テク テク テク

ポヨン ポヨン バイン バイン


母性巫女 「……あら?」 ポニョ


幼女魔王 「…………」


母性巫女 「ピンク色のゴキブリ?」 ポヨヨ

母性巫女 「……い、いえ、女の子が倒れている」 タユッタユッ

母性巫女 「…………」 フルルン

母性巫女 「……お昼寝かしら」 ボイン


幼女魔王 「…………」

幼女魔王N 「……ぁうう」


母性巫女 「! まあ、たいへん。苦しそう!」

母性巫女 「だ、大丈夫ですか……!?」


タタタタタ

タユンタユンタユンタユン


…………
……


幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」
幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」淫魔法少女「皆死ね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415249384/)
に続く


ありがとうござ淫魔

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月02日 (月) 00:30:28   ID: q1fHnq-g

とりあえず作者タヒね。気持ち悪りいわ。

2 :  SS好きの774さん   2014年07月10日 (木) 21:48:28   ID: fuItPgkw

同意。
もっとエログロくして全部書いてからタヒね。
もちろん絵つきね。

3 :  SS好きの774さん   2014年10月07日 (火) 21:43:57   ID: KrEOpC0p

お前らも
ーー
タヒ ね

4 :  SS好きの774さん   2014年10月19日 (日) 23:11:00   ID: 9pTtIguZ

これは期待

5 :  SS好きの774さん   2015年12月07日 (月) 23:29:10   ID: NTMwfY9X

なんだこの駄作

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