【モバマス】 南条光「モバマスクエスト!」 (60)

前回の3つの出来事

1つ:南条光の誕生日記念に初めてSSを書く→南条光「モバマスクエスト」

2つ:何人かに読まれた程度で自分は増長してしまった

3つ:そういう訳で続きのSSを書きます、スレも消さずにちびちびやりたいと思います。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379439161

・モバマスSSです、キャラが崩壊しないよう努力します。

・特撮ネタが多いですが、注釈は入れません。だが私は謝らない

・今回から画像も入れてみようかと思っています。

前回のあらすじ

ヒーローに憧れている町娘ヒカルはPに勧誘されてアイドルになる
港がダークアイドル・ミクに襲われるも撃退
助けた海賊タクミの願いを聞き、ヒカルは王都へ向かう

アイドルヒーロー・ヒカル(南条 光)

http://i.imgur.com/pbmxhwf.jpg

http://i.imgur.com/MA868Ap.jpg

海の走り屋・タクミ(向井 拓海)

http://i.imgur.com/u1VQuBL.jpg

猫耳のミク(前川 みく)

http://i.imgur.com/ifYtJLJ.jpg

2話

~西の港町~

タクミ「あー、連絡用に使う水晶は……っと」ガサゴソ


鞄の中を探るタクミ、ピンク色の水晶玉を取り出した


―通信水晶、起動開始スル―

タクミ「聞こえるか?」

???  「はいはーい、バッチリよ♪」

???  「何の用事かしら?」

タクミ「すまん!トラブっちまった!」

??? 「あらら」

タクミ「よくわから無ぇ猫女に船も港もボロボロにされちまった……」

???  「港町の用心棒で自称、海賊のアンタが酷いザマね」

タクミ「るせえよ、ミヨ」

ミヨ 「整備の話なら無理よ。今、手一杯だもん」

整備士・ミヨ(原田 美世)

http://i.imgur.com/mYFJD0N.jpg


タクミ「ミヨん所でも何かあったのか?」

ミヨ 「コッチも港と船が全部駄目になっちゃってて……」

タクミ「まじかよ……偶然とは思えねぇな……」

ミヨ 「あー、さっき手一杯って言ってたけど……もうすぐ私の船の修理が終わりそう」

タクミ「流石、大陸一の船大工」

ミヨ 「船大工じゃなくて整備士と呼びなさい、タクミちゃん」

タクミ「じゃあ、西の港町まで来てコイツの様子見てくれよ、動力部がいかれちまってる」

ミヨ 「オーケー、ここは南の海岸だから……2日ってところね」

タクミ「早くて助かる」

ミヨ 「今度、北の帝国のドーナツ奢りなさい、約束よ?それで勘弁してあげるから」

タクミ「ッチ、あいよ」

―通信水晶、起動終了スル―

通信の終わったタクミがふと隣を見ると、
黒いスーツを着た男……顔の形状から察する事は出来ないが……多分、男が座っていた


  P「……」

  P「あのー、話は終わりましたか?」

タクミ「終わったけど、なんだぁ?まだ殴られたりないのか?!」

P「アイドルになってくれるまでっ、殴られるのをっ、やめ

タクミ「いい度胸じゃねえか……」


タクミがPに殴りかかろうとしたその時、
先程まで気絶していた猫耳の女が目を覚ました


???  「ふニャァ……ここは……ドコニャ?」

タクミ「!アンタに構ってる場合じゃ無くなったな」


Pの襟を掴み上げていた手を離し、ミクの元へ向かうタクミ


タクミ「オラァ!さっきはよくもやってくれたな猫女ァ!事情を説明してもらおうか!」ユサユサ

 ミク「ニャアァア!ミクは何も知らないニャァァア」


揺さぶられているミクの声を聞いてPが驚く


  P「!ミク!ミクじゃないか!どうしてこんな所に……うわあ、ボロボロだなぁ……」

 ミク「P……チャン?」


ミクもPを見て、呆気に取られている


タクミ「知り合いかよ……こいつら」

そんな出来事があった少し後、
タクミの願いを聞き、
港町に起こった出来事を西の王都に伝えるべく
冒険の旅に出たヒカルは……


~西の王都への街道~

ヒカル「んむぅ~」

ヒカル「んむむむむ……」

ヒカル「迷ったぁあああああ!!」

ヒカル「おかしいな……スライムを倒しながらここまで来たけど
どっちにいけば王都に着くんだ?これじゃあタクミさんの助けにならないぞ……」


道中襲い掛かる魔物を倒しながら道を進んでいたヒカル。
ふと、向こうから人が来る気配を感じ取った


ヒカル「怪しい気配!」ササッ

ヒカル「魔物か?」

「ゲッ?」「ゲゲッ?」


どこかで見た黒タイツ……どこかで聞いた声……


ヒカル「あいつらは、悪の組織の戦闘員、ゲボーク!」

ヒカル「トウッ」


すかさず飛び出すヒカル
左手にマイクを構え
既にアイドル衣装に変身している


ゲボークAB「!!ゲゲーッ!」

ヒカル「何を企んでいるのかはしらないけど、アイドルヒーロー・ヒカル参上!」


襲い掛かってくる2人組を軽くいなし、
ハイキックをぶつける!


ゲボークAB「ヤラレター!」


あっという間にやられたゲボーク達……だったが


??? 「ようやく見つけたわ……」


木々の陰からもう一人が現れた!


ヒカル「誰だッ

現れたのは茶色のロングヘアの女
手にはマイクを持っており
そのコードは鞭になっている


??? 「私の名前はチナミ……クイーン・チナミ、とでも呼びなさい」

クイーン・チナミ(小室 千奈美)

http://i.imgur.com/9lWbU5R.jpg


ヒカル「アンタもアイドルなのか?」

チナミ「そうよ、今はダークアイドルなんだそうだけど……」

チナミ「貴女は私達、『魔王軍』の不興を買ったらしいわ。だから私が派遣された訳なんだけど
私が相手になる以上、退屈さないでくれるんでしょうね?」

ヒカル「『魔王軍』……それがアンタ達の組織の名前か……インフェルシアみたいな所かな」

チナミ「私達の事も知らなかったなんて……名前は『魔王軍』……まぁ、そんな所ね」

ヒカル「よおし!望む所だ!行くぞ!ライブバトルだ!」


叫ぶや否や、飛び出すヒカル!
キックを繰り出そうとするが……

チナミ「動きが直線的すぎるわ」


蹴り上げた足に鞭が絡みつき、
バランスを崩すヒカル


ヒカル「あ、足がっ!」


チナミは鞭を振り降ろして、
ヒカルを地面に叩き付けた!


ヒカル「ぐうっ」

チナミ「あなたの攻撃を全て無力化した上で屈辱的な敗北を与えてあげるわ」

ヒカル「まだだ!」


今度は右の拳でパンチを繰り出すヒカル
しかし

チナミ「無駄よ!」


右腕に鞭が絡みつき
そのまま横に投げ飛ばされてしまった!


ヒカル「うわっ!」

チナミ「逆らった事を後悔しなさい」

ヒカル「ヒーローはっ、挫けないっ!」

チナミ「学習能力が無いのかしら?」

ヒカル「くっ、こうなったら……」

マイクを構えるヒカル、そして


ヒカル「『音撃刃 鬼神覚声』」


チナミもマイクを持ち、叫ぶ!


チナミ「「跪きなさい!!」」


互いの衝撃波がぶつかった!
反動で膝から崩れるヒカル……

ヒカル「嘘……だろ……」

チナミ「貴女の出した音と同じ音を出して相[ピーーー]る……女王の声に不可能は無いわ」

チナミ「逃げたいなら、逃げればいいわ、その体でどこまで逃げられるかわからないけど」

ヒカル「……ヒー……ロー…は、」

チナミ「まだ戦う気かしら?」

ヒカル「ヒーローはっ……」

――――

タクミ「一つ頼みを聞いてくれないか?」

ヒカル「人助けならお安い御用さ」

――――

ヒカル「ヒーローは途中で人助けを諦めないっ!!」


タクミとの約束を思い出したヒカルは
重い体を引きずってチナミの前から立ち去った
追おうと思えば
すぐに追いつくチナミだったが……


チナミ「退屈しのぎにもならなかったわ……」

チナミ「好きなだけ逃げるがいいわ。私、狙った獲物は逃さないんだから」

林の中を無我夢中で走るヒカル、空は雲に覆われようとしている


ヒカル「このダメージじゃ、速くは走れないな」

ヒカル「アタシは完全にクイーン・チナミの雰囲気に飲まれていた」

ヒカル「雰囲気に……」


ヒーローになって2日目にしてピンチに陥ったヒカルは、
昨日のPとの会話を思い出していた……

――――

  P「アイドルの凄さと言ったら、一つはステージを自分の物にする事なんだ」

ヒカル「ステージ?」

  P「あー……そうだな、みんなを自分の世界に引き込むって事かな」

ヒカル「アタシで言うと特撮の世界だな!」

  P「そうそう、凄い奴は雰囲気、オーラだけで観客を自分の世界に連れて行ってしまうんだ」

ヒカル「メタフィールドみたいだな」

  P「あんな不毛の土地に連れてかれるのは勘弁して欲しいな」

――――

ヒカル「そうだ……自分の世界に……」

ヒカル「きっと、クイーンは追いかけてきている」


後ろを気にしながら、必死にある「場所」を探す


ヒカル「どこか……この近くに……!あそこは……」

傷を負った相手に恐怖を与える為に、ゆっくりヒカルを追い詰めていた
クイーン・チナミ
ある場所で足を止める
「そこ」で獲物の気配が途切れていたのだ


チナミ「やれやれ、退屈だわ」


岩場に歩みを進めるチナミ
辺りは岩壁に遮られている


チナミ「もう行き止まりね」

チナミ「何処に隠れてるのか知らないけど、出てきたら許してあげるわ」

チナミ「出てこないって言うなら」


鞭を振るい、辺りの岩を砕く!


チナミ「岩場を全部壊すまでね」


その時!


ヒカル「アタシはここにいるぞーっ!!」

声はすれども姿は見えない、
なおも岩を砕くチナミ


チナミ「姿を見せなさい!」

ヒカル「クイーン・チナミ!さっきはよくもやってくれたな!」

チナミ「崖の……上?ふふっ」


そう、行き止まりの岩壁の上、
崖の上にヒカルは登っていたのだ!


チナミ「悪くない冗談ね、面白いわ。そんなボロボロの体で崖に登って……この私を
……女王である私を見下すなんて」


右側に掲げた両腕をゆっくり上から、左側へ
そして両腕を激しく擦ると


ヒカル「変身、アイドルヒーロー!」


顔を覆うサイバーグラス!
風にたなびく赤いマフラー!
ボディを彩る青いライン!
そして腰には輝くベルト!

しかし、アイドル衣装もやはりダメージの影響でボロボロだった


チナミ「人の話聞いてるのかしら?」

ヒカル「天が呼ぶ!」

チナミ「?」

ヒカル「地が呼ぶ! 人が呼ぶ!
悪を倒せとアタシを呼ぶ!聞け!ダークアイドル!アタシは正義の戦士、アイドルヒーロー・ヒカル!」


名乗りと共にヒカルの周囲に落雷が落ちた!


チナミ「キャッ!何?雷?」

ヒカル「行くぞッ!」


怯んだ隙にジャンプで地面に着地
それに気づいたチナミが鞭を構える


チナミ「どんなに見得を切ろうとも……勝つのは私よ」

ヒカル「電…パァンチ!」

チナミ「何度やっても同じ事をっ……?」


左腕に鞭を巻きつけた後、違和感を感じたチナミ
初戦でヒカルが繰り出したパンチは……

ヒカル「まんまと騙されたな!」


ヒカルの利き手は右手!
左腕は囮だったのだ!


ヒカル「ふんぎぎぎぎぎぎぎぎ」


鞭の攻撃でバランスが崩れなかったヒカルは
そのまま両足にありったけの力を込めて
左腕を振り上げる!


ヒカル「うおおおっ!」

チナミ「しまっ……きゃあっ!」


左腕に吊り上げられてチナミの体が宙を舞って
ヒカルへ吸い寄せられる


ヒカル「本命はコッチだ!」

ヒカルはそのまま中腰に
右腕を引いて力を貯めている


ヒカル「『鉄砕拳』……」

ヒカル「『激烈突破』!!」


ヒカルの右腕が輝き、鞭ごと引き寄せられるチナミに
クリーンヒット!


チナミ「きゃああああああああああっつ!」!


吹き飛んだチナミ……ふらふらと立ち上がる


チナミ「ヒーローの世界に……飲まれたという訳ね……でも
……幸運で勝ったと思いなさい……
……私が……」ドサッ


力尽きて倒れたようだ、チナミの体から黒いオーラが抜け出ていく

ヒカル「勝った……」

ヒカル「ここ……何処だろう?」バタン


疲労のあまり倒れるヒカル、
辺りは暗くなっていて
そう遠く無いところから街の明かりが見える

ヒカル「勝った……」

ヒカル「ここ……何処だろう?」バタン


疲労のあまり倒れるヒカル、
辺りは暗くなっていて
そう遠く無いところから街の明かりが見える

~???~

???「クイーン・チナミとの連絡が途絶えた模様です」

???「はぁっ?どうすんのよ!?メンツが丸潰れよ!丸・潰・れ!」

???「四天王の3人も今はアイドル狩りを行っており大陸西部は管轄外になってます」

???「で、西の王都とその調子乗ってるアイドルとの距離は?」

???「まだ遠いようですが、近くに村があります」

???「じゃ、そこで捻ってしまいなさい!」

???「では、そこに四天王候補を送り込みます」

???「今度失敗したら、減俸よッ、減俸ッ!!」

???「難しい言葉もご存知なんですね」

???「何か言った?」

???「いえ、何も」

???「まぁ、いいわ!今度こそ!この魔王アイドルに歯向かう輩を排除してしまいなさいっ」

???「アーッハッハッ……ゲホゲホ」

??? 「大丈夫ですか?」サスサス

??? 「……だ、大丈夫」

小室さんとか珍しいな。
支援。

3話


夜の闇で覆われた村、どの家々の扉も窓も閉じ、
静まり返っている。しかしそこにゆっくりと歩み寄る者が。
先の激戦を繰り広げたヒカルであった


~街道沿いの村~

ヒカル「明かりを頼りにここまで来れた」

チナミ「」

ヒカル「1人背負ってるかららだいぶ時間がかかったな、
宿が空いてればいいけど……」

???  「そこの旅のお方!宿ならこちらにありますよ!さあ、こちらへ!」

ヒカル「宿っていうか酒場みたいだ」

チヒロ「いらっしゃい、ここは『チヒーロの酒場』!あなた達、アイドルね。
私の目はごまかせませんよ」

女店主・チヒロ(千川 ちひろ)
http://i.imgur.com/GZesvxA.jpg
「普段通りに……ですか?」

ヒカル「アイドルヒーローなんだけどなー」

チヒロ「ここではアイドル達を仲間に加える『酒場』機能
の他に『宿屋』機能も完備してるんです!」

ヒカル「なんだかよくわからないけど、便利そうだ!」

チヒロ「普段なら一泊500MC、アイドル達のプラチナスカウト300MCですが」

ヒカル「へ?」

チヒロ「なんと!初回のみ一泊200MC、スカウト100MCの大サービス!
いまなら、超特ショップでスタミナドリンクとエナジードr……あら」

チナミ「」

チヒロ「パーティのメンバーですか?」

ヒカル「いや、そういう訳じゃないけど……アタシが原因で」

チヒロ「彼女もアイドル?」

ヒカル「そうみたい」

チヒロ「なら、今回は特別に無料で……『チヒール』!」


チヒロは「チヒール」を唱えた!

チヒロ「……これで一泊すれば彼女も元気になる事でしょう、一泊すれば」

ヒカル「ありがとうございます!でも……財布の中身が……」 ヒカル:280MC

チヒロ「あー、そうですよね普通の村の宿の宿泊料はせいぜい50MC、
アイドル専用とはいえ、割高なのは否めませんが」

チヒロ「でもこの時間あなた達の使える宿はここだけですよ。
なぜ、この村がここ意外、明かりの一つも付けずにいるかご存知ですか?」

ヒカル「そういえば明かりが付いてるのはこの宿だけ……」

チヒロ「この村は最近、2人組の山賊の被害を受けてるんです」

ヒカル「だから、どこも戸締りが厳重なのか……あれ?
そうすると、この酒場はとても危険なんじゃ……


突如、窓ガラスが割れる音!近づいて来る馬の足音!
どうやら、その山賊が現れたようだ


??? 「結構荒らし回ってるのに、まだ明かりを付けてる所があるなんて
襲っちゃおうよ、親分!」

??? 「親分はやめようぜ、かっこ悪い」

??? 「えー、カッコいいよー」

ナツキ「ま、アタシ達としては、生活の足しになればOKだけどさ
行くよ、ダリー!」

リーナ「よし、やるぞー!」

山賊頭領・ナツキ(木村 夏樹)
http://i.imgur.com/EvP7Mwz.jpg
「だりーと一緒か!」

山賊子分・リーナ(多田 李衣菜)
http://i.imgur.com/nwC3s6w.jpg
「山賊!反社会的ですね!」



ヒカル「あいつらが山賊だな!まかせといて、チヒロさん!」

チヒロ「ケガしてるお客様に無理はさせられないわ
それに、『助っ人』もう呼んであるんですよ」

ヒカル「助っ人?」

??? 「フッ、明かりが目印で助かった。間に合ったようだ」

??? 「山賊の二人、そこまでにしてもらおうか!」

リーナ「だっ、誰!?」

??? 「名の乗る程の者では無いが……まぁ、いいだろう」


山賊二人の行く手を阻んだのは大きな剣を担いだ女と
麗人の同じく二人組みだった


マナミ「傭兵アイドル、マナミ」

アイ 「剣士アイドル、アイだ」

傭兵アイドル・マナミ(木場 真奈美)
http://i.imgur.com/53KaurP.jpg
「右目に眼帯をしている、設定だ。安直だな。」

剣士アイドル・アイ(東郷 あい)
http://i.imgur.com/NReeqFI.jpg
「剣術?フェンシングは嗜む程度だよ。」

チヒロ「近くを通りがかっていたアイドル達の中でも最大戦力のお二人ですよ
さ、さ怪我人二人はこちらへ!200MC、200MC~♪」

ヒカル「え、ちょっと、え~!」

ナツキ「……こいつら、出来る。一旦引くよ、ダリー!」

リーナ「ええっ!?そんなぁ、まだ何もしてないのに!」

ナツキ「いいから!ほら、逃げるよ!」

アイ 「追うかい?マナミ」

マナミ「夜道なら山賊の彼女らが詳しいのだろう、明日を待とう」

アイ 「了解」

マナミ「さっきの子を見たか?ずっと誰かを背負っていたみたいだが……」

アイ 「興味があるみたいだね」

マナミ「なんとなく、だ」

アイ 「フッ……マナミは勘が働くからね。
ま、とりあえず一泊か。」

~山賊のアジト~


ナツキ「追って来ない……罠を警戒されたか……」

リーナ「きっとビビッて追いかけてこなかったんだよ!」

ナツキ「相変わらず、甘いなダリーは」

リーナ「むう」

ナツキ「それに酒場にいたちっこい奴も戦う気でいたから
どちらにせよ、さっきの襲撃はアタシらに不利だった」

リーナ「……」

ナツキ「朝になったらここを出ることも考えなきゃな」

リーナ「!」

リーナ「ここはアタシ達の大切なアジトなのに!」

ナツキ「命あってのなんとやらさ、ダリー。
あいつらは、早くとも明日にはここに来る、アジトはまた作りなおせばいい、な?」

リーナ「……うん……わかった」

ナツキ「OK……アタシだってこのアジトは離れたくない
だけど相手が相手だ……せめて3対3に持ち込めれば……なーんて」

??? 「すいませーん!失礼しまーっす☆」

ナツキ「今、忙しいんだ。後で身ぐるみ剥ぐから、そこに立ってな」

??? 「キャハハ!ウケルんですけどー……
ていうかアタシ?山賊になりに来たんですけど♪」

ナツキ「!詳しく話を聞かせてもらおうか……」

~時を同じく街道沿いの村・チヒーロの酒場~


チナミ「……ッ!……ここは……」

ヒカル「ぺったんこ」

チナミ「!?」

ヒカル「ジャックのぉ……からだがぁ……ぺったん……」Zzz

チナミ「寝てても意味わからない事言うのね」

チナミ「私にもやる事ができたわ、こんな所に長く居られない
助けてくれてありがとう……ちいさなヒーローさん」

――翌日――


夜が明ける前に村からチナミは飛び出していった。
驚きを隠せないヒカル。



マナミ「彼女の心配はしない方がいい」

ヒカル「で、でも」

マナミ「君に迷惑を掛けたくなかったのだろう」

ヒカル「……うん、わかった!」

マナミ「改めて自己紹介だ、私はマナミ。
傭兵をしながら各地を転々としている、チヒロは良きクライアントだ」

アイ 「そして、私がアイだ。
彼女とは腐れ縁でね、まぁいわゆる相棒ってやつさ」

ヒカル「かっこいい!まるで翔太郎とフィリップみたいだ!」

マナミ・アイ「?」

ヒカル「ああ、ごめん。アタシはヒカル!
アイドルヒーローをやってるのさ!よろしく!……ところで」

マナミ「どうした?」

ヒカル「二人とも昨日はアイドルって名乗ってたって事は
Pにも会ってるんだよね!」

マナミ「ああ、どれだけ断っても態度を変えなくてな……
二人そろってアイドルも兼業している訳だ」

アイ 「思い出話は後にしよう、日が沈まぬ内に山賊狩りだ」

ヒカル「アタシも協力するよ!なんたってヒーローだからね」

マナミ「……フム、いいだろう、山賊が逃げた方角は地図によると
ここからすぐの山間らしい、隠れられる場所もたくさんあるだろう」

アイ 「目が利く内に罠を避けてアジトを見つける、
逃走の際の馬の足跡は多分消せていないはず」

マナミ「山賊を捕らえ次第、そのまま王都に向かおうと思っている」

ヒカル「王都に?アタシも王都に用事があるんだ!」

マナミ「話はチヒロから聞いているよ。一緒に同行してもらいたい」

ヒカル「よろこんで!」

アイ 「打ち合わせは済んだようだね、さあ出発しよう」

マナミ「少し待っててくれないか、チヒロと話がある」

チヒロ「何かご用件ですか?」

マナミ「山賊を捕まえ次第、予定通り王都に向かう。
事が済んだら水晶で連絡する、村の人を待機させておくように」

チヒロ「まかせてください」

マナミ「ヒカルを『隠れ蓑』に、王都に出向くつもりだ」

チヒロ「……」

マナミ「酒場の宿泊リストに我々の名は……」

チヒロ「……もちろん、書いてないですよ」

マナミ「そうか……これからもサポートを頼む」サッ

チヒロ「ひい…ふう…みい……、もちろんです!あなた達とは
善き『クライアント』ですから」ニッコリ


マナミ「……アイ、ヒカル、出発だ!」

~しばらく後、街道沿い・山間部~


アイ 「思ったより、すぐ見つかったな」

マナミ「そうだな」

ヒカル「」ボロボロ

アイ 「フフッ……避けられる罠ばかりだというのに」


――――

ヒカル「マナミさん、危ない!」プスッ

ヒカル「アイさん!それは罠だっ!」ザクッ

ヒカル「むっ、怪しいスイッチ……」ポチッ

ヒカル「うわああああぁ」ゴロゴロゴロ……

――――


マナミ「危なっかしくて見てられなかったな、あれは」

ヒカル「ヒーローだから……ね……」グッ

マナミ「そういう物かもしれんな」

アイ 「妙だ……馬が2匹停めたまま……!?」

マナミ「危ないっ!」


アイを抱きかかえて、飛び出すマナミ。
先程アイのいた場所にはには弓矢が刺さっていた!


マナミ「大丈夫か?」

アイ 「ありがとう、……済まない」

ヒカル「そ、それをやりたかった……山賊達が隠れていたのかっ!?」


リーナ「あっちゃー、狙いがちょっとそれちゃったかなー?」

???  「先輩、超ださいッスー、さげぽよー」

リーナ「う、うるさい!」

ナツキ「今だ、皆いくぞ!」

大斧を振り降ろすナツキ、
しかしマナミはそれをすかさず大剣で受け止めた!


マナミ「知らない間にメンバーが増えたようだが……」

ナツキ「新入りだよ……後で挨拶しな……出来るもんならだけど!」


リーナ「ちょこまか動くなっ!このっ!このっ!」


リーナの剣はアイには当たらない!


アイ 「フッ、どうした?的はこっちだぞ」


ヒカル「山賊は2人組のはずなのに……ッっ!」

リナ 「ちっす☆新入りのリナって言いまーす、アハハ!」

ヒカル「変身ッ!」


ヒカルは瞬時にヒーロー衣装に変身した

リナ 「なにソレ、ちょーアガるんですけど☆」


しかし、リナの振るう剣に吹き飛ばされるヒカル 


ヒカル「うわッ!」

リナ 「うーん……」


リーナ「リナ、なにぼーっとしてるの?」

アイ 「君に、言われたくは、無いねぇ!」


素早くレイピアを放つアイ


リーナ「チッ!」


リナ 「あの2人、どっかで見た事あるんだよなー、何処だっけなー
ま、あたしおバカだからわかんないや!ここらへんが頃合かな?
みんなー、出ておいでー♪」


リナの合図と共に、大地に十数個もの魔方陣が現れた!


   「「ゲゲーッ!!」」

アゲぽよのリナ(藤本 里奈)
http://i.imgur.com/oa5HjaF.jpg
「先輩達を騙すのは気分が悪いって言うかー」

マナミ「!?こいつらは……」

ナツキ「なんだ、コイツら?聞いてないぞ!」

マナミ「知らないのか……」


現れたゲボーク達に鋭い眼光を放つマナミ


アイ「何故、ここにゲボークが……まさか……
尾行は巻いたはずだが……」

リーナ「アンタがやったの?リナ?」


ヒカル「お前もダークアイドルだったのか!」

リナ 「正解☆その通り!さ、ゲボークちゃん達、山賊もまとめて
やっつけてちょーだいねー♪じゃ、おつにゃん!」


十数人のゲボーク達に任せて、
リナは逃げ出した!


ヒカル「ま、待て!」


    「「ゲゲーッ!!」」



ナツキ「リナの奴、最初からそれが狙いだった訳か……
アタシ達の戦いを邪魔するとは……ロックじゃないね」


ゲボーク達に取り囲まれ、背中合わせになるマナミとナツキ


マナミ「なぁ山賊の頭領」

ナツキ「ナツキだ」


尚も迫る彼らに大剣を振るいながら喋るマナミ


マナミ「ナツキ、ここは一旦休戦にしよう」バキッ! ゲ・・・ゲッ
 
ナツキ「今同じ事を言おうとしてたよ」ドカッ! アリガトウゴザイマス・・・

マナミ「ヒカル!彼女を追え!ここは我々に任せてくれ!」


ヒカル「了解!」


乱戦をよそに遠くから双眼鏡を構えるリナ


リナ 「さてと、ゲボークちゃん達ちゃんと働いてるかなー……うげっ」

ヒカル「まーてー」


ヒカルはこちらに一直線に向かってくる!


リナ 「もう追いかけて来た……よし、アタシが倒しちゃうもんね☆」

ヒカル「ふんッ!」「せいっ」「とうッ!」


繰り出す攻撃にリナはただ防戦一方だった


リナ 「な、何でそんな元気なの!?マジ信じられないんですけど!」

ヒカル「なんだか、知らないけどッ、元気が沸いて

―――出発直前―――


チヒロ「ヒカルちゃん!」

ヒカル「チヒロさん!なんだか嬉しそうだね!」

チヒロ「そうかしら?そんな事より、はい」

ヒカル「これは……『マイエナジードリンク』?」

チヒロ「これからも『チヒーロの酒場』をよろしく、ね」


―――

ヒカル「あの時のドリンクのおかげ、かな」

リナ 「結構、ヤバーい!撤退!てったーい!」


言うや否や逃げ出すリナ


ヒカル「逃がすか!」


マイクを上方へ構えるヒカル、
マイクからは赤い稲妻が流れ出す


ヒカル「『アタシの必殺技……パート2´』!!」


ヒカルの剣を振るう動作でマイクは飛んでいき
逃げるリナの頭にぶつかった!


リナ「痛あっ!……うーん……」


たまらず昏倒するリナ

ヒカル「マイクは投げる物じゃないけど……ま、いっか!」

ヒカル「さて、コイツをマナミさんの所へ連れていこう」


突如、爆発音と共に白い煙が起こる、煙幕だ!


ヒカル「なんだッ!?」


ヒカルが抱えていたリナが何者かに奪われる!
その直後、


ナツキ「リナは返してもらうよ、一応アタシ達の仲間なんだ!」

ナツキ「あと……あの村にはもう近づかないし、アジトも変える
今度会うことがあったら、相手してあげるよ!」

リーナ「もう2度と会いたくないけどね!ベー!」

ナツキ「おい、ダリー……せっかく格好良く決めるトコだったのに……
ま、そういう事だ、じゃあな!」


山賊を取逃がし、途方にくれるヒカル
一方その頃、マナミ達は


アイ 「片付いたな」

マナミ「ああ……だが……彼女達、
この混乱に乗じてまんまと逃げおおせたか」

アイ 「奴らに感づかれたかもしれない」

マナミ「あるいは……ヒカルか」

~???~


???「申し上げます」

???「また失敗したんじゃないでしょうね?」

???「向かわせていた四天王候補『アゲぽよのリナ』からの連絡が途絶えました」

???「……アゲぽよって……」

???「……自己申告制ですから……それと気になる情報が」

???「何?」

???「どうやらもう2人、アイドルがいたようです。
追跡をまかれた『彼女ら』の可能性もあります。」

???「!?本当なの、それ」

???「事実を確認する為にも、再び現地のダークアイドルを向かわせました。」

???「そ れ で、今回失敗してるのよ?戻り次第、四天王も全員向かわせなさい!」

???「かしこまりました。四天王はまだ戻ってきませんのでこちらから、もう一人、
四天王候補を向かわせます。」

???「待っていなさいよ……今度こそメッタメタのボッコボコにしてやるんだから!
アーッハッハッ……ゲホゲホ……お、お茶……」

???「はい」

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