螢子「転校生の修羅くんよ」 清水「こんな時期に転校生?」 (94)

幽遊白書とレベルEのクロスオーバーです。

前提として、レベルEの事件発生順序を掲載順とは少し変えています。
(原作で時系列が明確化されていない話のみ)
また、幽遊白書の螢子ちゃんは既に教師(小学校教諭)になっており、幽遊白書(原作)の最終話のシーンは5年前の出来事。
つまり、煙鬼が魔界の初代大統領になったのも5年前、したがって既に2回目の魔界トーナメントが開催されおり、現在の大統領は黄泉ということにしておいてください。

つまらない説明をごちゃごちゃと申し訳ないです。
よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378481169

螢子「転校生の修羅くんよ。みんな仲良くしてあげてね」
修羅「修羅です。よろしく」
児童たち「よろしくー!」

(休み時間)

清水「三学期のこんな時期に転校生なんて珍しいな」

黛「何か事情があるのかもしれないですね」

赤川「声をかけてみようよ!」

百池「そうだね。今も机に一人でいるし」

横田「でもアイツ……ただ者じゃねーって感じがするな」

清水「ああ……それは俺も思った」

赤川「なんだい、その言い方。転校生を仲間外れにする気かい? それとも声をかけるのを怖がってるのかい? 二人ともビビリだなあ」フフン

清水「あ? 誰もそんなこと言ってねェだろーが」ギロリ

赤川「ひぃ!」

横田「オメーにビビリとか言われたくねーよ!」ギロリ

赤川「うわ~ん(泣)」

百池「わ~!! 委員長! 泣かなくていいから!」

赤川「ふえぇぇ。うっうっ。僕は……僕は……ただ……」

黛「逆切れして教室でリルボムとかは、誤魔化しきれないのでやめてくださいね」

清水「よお! オレ、清水良樹! こいつら、いつもつるんでる奴らで、横田、赤川、百池に黛」

四人「よろしく」

修羅「ボクは修羅。よろしく」

百池「修羅くんはどこから来たの?」

修羅「えっと……まかぃ、じゃなかった。ずっと外国に住んでたんだ」

赤川「へえ。帰国子女なんだね」

黛「ご家族の都合ですか?」

修羅「うん。そんなとこ。パパはまだ外国にいるんだけど、にんげんか……じゃなかった、日本の暮らしを知るべきだって言われて、しばらく知り合いの人の家で厄介になるんだ」

百池「へー。えらいね」

修羅「たいしたことじゃないよ」

横田「知り合いって親戚かなんかか?」

修羅「(この横田って奴、本当に小学生なのか?)うーん……パパの知り合い。でもすげームカつく奴」

赤川「もしかして、いじめられてるの?」

修羅「そういうんじゃないよ。何かあればボクがぶっとばしてやるから大丈夫」

清水「へえ、やるじゃん」ニヤリ

横田「何かやるときはオレらにも言えよ。力になるぜ」ニヤリ

修羅「……なんか、君たちもちょっと強そうだね(ニヤリ)。まあでも、あのバカはムカつくしアホだけど、別に悪い奴ってわけじゃないから。雪村先生の知り合いだし」

赤川「へー、そうなんだ」

清水「でも、雪村先生はすげーんだよな」

横田「ああ。川村先生がいなくなって……後任で来たばっかだけど、すぐにクラスの奴らの心を掴んだよな」

黛「優しそうに見えて実はすごく怖い先生ですけど、生徒にも保護者にも信頼されていますからね」

百池「その雪村先生の知り合いなら大丈夫そうだね」

修羅「単純バカだから、小賢しいことできない奴なんだ。だけど、アイツのラーメンだけは旨いかな」

横田「ラーメン?」

修羅「そいつ、ラーメン屋台引いてるんだ」

清水「マジ? オレ、それ食べてみてえな。行っても大丈夫?」

修羅「うん。アイツたいがい金欠だから客が来れば喜ぶんじゃないかな」

百池「じゃあ、今日の放課後は修羅くんのお世話になってる人の屋台にお邪魔するってことで」

四人「異議なし」

修羅「雪村先生の前の先生っていうのは、どんな人だったの?」

清水「すげーいい先生だったぜ」

横田「厳しいけどな」

黛「試練にあっても、自力で乗り越える力をつけなさいと言うタイプの人でしたね」

赤川「でもきちんと話を聞いてくれて、面倒見のいい先生で、すごくお世話になったんだ」

百池「今は急に家業を継がなきゃいけなくなって、故郷に帰ったんだよ」

清水・横田・赤川・百池・黛(というのは表向きの理由で、本当は追っ手が地球に来ちゃったから、逃亡という名目の宇宙旅行に行っちゃったんだけど)

修羅「へー」

チャイムが鳴る

清水「じゃ、放課後な!」

修羅「うん」

修羅(ふー。妖怪だってことはバレなかったみたいだ。流石は蔵馬さん。カルトがアイドル活動してたりするけど、まだまだ妖怪って存在は人間界に浸透してないから、一般人らしく振る舞わないと)

※蔵馬が邪念樹の幻覚物質から生成した特殊な香水をつけているので、修羅は他の人には人間ぽい外見に見えています。

(放課後)

清水「なあ、修羅。ラーメン屋台って何時くらいから出んの?」

修羅「うーん。アイツだらしないから、マチマチだけど……早くて夕方」

百池「じゃあ、今行ってもまだいないかもね」

赤川「それまでどうしよう?」

黛「今日は誰も塾や習い事がない日ですしね」

横田「じゃ、こういうのはどうよ?」

五人「何?」

横田「真冬の怪談語り」ニヤリ

懐かしいな。期待

(放課後、薄暗い教室)

百池「じゃ、次は俺が知人から聞いた話ね。
その街のとある洞窟には、弟に裏切られたれ、非業の死を遂げた怪物が住み着いてるんだって。
呪いをかけられたいせいで、死ぬことも出来ずに今もさまよっているらしい。
耳を澄ますと、『なぜだぁぁぁなぜ死なねぇぇぇ』っいう怪物の声が聞こえるんだってさ。
でも、それが聞こえたらそれ以上絶対に近づいちゃいけないんだ。知人の友達も好奇心から近付いて……二度と戻って来なかったって……」

赤川「ヒィィィ!」

清水・横田「ぎゃっはっはっはっ! 赤川の顔ビビりすぎ(笑)」

赤川「(涙目)もうやめようよ!」

百池・修羅「あははは!」

黛「ふふ」

赤川「みんな……修羅くんまでひどいじゃないかあ」

百池「ゴメン、ゴメン」

清水「次はオレ! この学校の新しい怪談!」

百池「へえ。そんなのあるんだ」

清水「保健室の話。
オレも又聞きの又聞きだけどさ。
具合が悪くなって保健室に行った奴が見たらしい。
ベッドで寝てたら突然金縛りみたいになって動けなくなって。
焦ってたら何か変な糸か紐?みたいなものがたくさん体の周りに近づいて、まとわりついてくるんだ」

横田「ゴミか何かじゃねえの?」

清水「いや、生き物みたいな動きだったし、体にベタベタ触ってきたんだってよ」

横田「なんだか気持ちわりー話だな」

清水「で、気付いたら保健室じゃなくて、教室で普通に授業受けてたんだって」

修羅「保健室から教室まで移動した記憶がないってこと?」

清水「ああ。あとで保健室の先生に聞いてみたら、『あなた普通に教室に戻ったじゃない』って」

赤川「ゾクッ」

百池「なんか気持ち悪いね」

黛「それは今の養護教諭になってからの話ですか?」

清水「さあ、そこまではわかんねえな」

修羅「?」

赤川「保健室の先生も割と新しく来た人なんだ」

百池「綺麗な女性なんだよね」

横田「だよな///」

清水「横田、無駄だぜ。あの人、小さい娘さんいるし、旦那さんとはラブラブ。旦那さんの写真常に持ち歩いてるらしいぜ」

横田「そ、そんなんじゃねえよ! おめえこそ、いまだに糸井理奈に片思いしてるくせに、偉そうなこと言ってんじゃねえ!」

清水「んだと、コラ。表出るか? あ?」

赤川「やめろよ二人とも!って、うわああああ!」←二人の喧嘩に巻き込まれた人

修羅「放っといていいの?」

黛「いつものことですから」

修羅「あはは。面白い奴らだな。面白いっていえば、清水と百池の話が面白かった!」

百池「ま、オレはちょっと話盛ったけどね(笑)」

黛「修羅くんの、裏切り者を手なずけるために、裏切り者に協力した化け物を腐らせて見せつける話は、かなり面白かったです」ニヤリ

修羅「黛ならわかってくれる気がした」ニヤリ

百池「オレは正直ひいたわー」

清水・横田・赤川「ぎゃあぎゃあ!」

黛「まだやってますね」



ガラガラ(教室のドアが開く音)

螢子「ちょっと、あんたたちうるさいわよ!」

六人「! 雪村先生!」

螢子「もう下校時刻よ。宿題もあるんだから、暗くならないうちに早く帰りなさい」

清水「げっ、もうこんな時間!」

百池「ごめんなさい。すぐ帰ります」

螢子「あら修羅くん。早速みんなと打ち解けたのね。よかったわ」ニコリ

修羅「///」

清水「お?」ニヤリ

横田「お?」ニヤリ

修羅「なんだよ」ムカ

清水・横田「別にー」ニヤニヤ

修羅「ムカつく奴らだな。表出るか?」

清水・横田「いいぜ」

三人「うおおおお!」ボカスカボカスカ

螢子「相変わらず元気だこと(苦笑)」

黛「じゃ、僕らはこの辺で」

螢子「みんな、修羅くんに声かけてくれてありがとね」

百池「楽しく怪談話してただけだけどね」

螢子「怪談……? そう……」

黛「?」

螢子「とにかく。そろそろ暗くなるから、寄り道しないで気をつけて帰るのよ。さようなら」

六人「さようなら!」

清水・横田・修羅は殴りあいながら下校。

※修羅は北神からレンタルした妖力を抑える装置を付けています。北神が改良を加えて、膂力やスピードを抑える機能も追加しました(ということにしておいてください)。

すみません……。
名前が間違ってました……。
前任の先生の名前は川村先生じゃなくて、立花先生でした。
殺し屋で子供が大好きで、とっても良い先生なあの宇宙人です。
お恥かしい限りで……読み替えておいて頂ければうれしいです……。

(ラーメン屋台)

幽助「おお。ガキども、いい面構えしてるじゃねーか」ニヤリ

清水・横田・修羅「……」ボロボロ

百池「屋台なんて初めてだなー」

赤川「ボクもボクも!」

清水「つーか、この人も只者じゃねぇな」ヒソヒソ

横田「ああ」ヒソヒソ

幽助「はいよ! 味噌ラーメン6つ」

六人「ズルズル」

六人「うめー!」

幽助「へへっ」

修羅「幽助のラーメンがおいしいって、なんかムカつく」

幽助「あ? どういう意味だよ? つーか、呼び捨てすんなっての。年上には敬意を払えってオメーのパパは教えてくれなかったのか?」アアン?

修羅「パパみたいに強い人とか賢い人は尊敬するけど、お前、ボクと大して強さ変わらないし、バカだから幽助で十分でしょ」

幽助「このガキャア!」

赤川「あわわわわ」

百池「どうしてこう、オレらの回りには喧嘩っ早い人が多いんだろうな」

黛「本人たちが幸せならいいんじゃないですか?」

百池「まあなー。とばっちりさえ来なければなー」

屋台の暖簾を潜る人影が。

螢子「幽助? 今日はずいぶん繁盛してるのねえ……って、なんであなた達がいるの?」

六人「あ」

螢子「(悪魔の微笑み)あたし、寄り道しないで帰りなさいって言ったわよねえ?」ゴゴゴ……

清水「そういえば、幽助さんは雪村先生の知り合いって言ってたっけ」アセ

修羅「雪村先生、怖い」アセ

百池「あの乱神モードに入ったら誰も敵わないんだ」アセ

黛「触らぬ神に祟りなし」

清水「赤川、行け!」

赤川「な、なんでボクが!」

横田「こんなときのための委員長だろうが!」

赤川「こ、こんなときばかり……。あ、あのー雪村先生のお言葉を守らなかったことは本当に申し訳ないのですけど、一応、みんな保護者には連絡してますので」

螢子「ふーん? で?」ゴゴゴ……

六人「ごめんなさい」

螢子「それ食べ終わったらすぐ帰って、しっかり勉強するのよ」

六人「はい」

急いで食べる六人。

螢子「ふふ。そんなに急がなくても、ゆっくり食べていいわよ。幽助、あたしもみんなと同じの」

幽助「はいよ」

螢子「ねえ、幽助。今度の温子さんの誕生日どうする?」

幽助「オフクロの? 適当でいいだろ」

螢子「まったく。いい大人なんだから、しっかりしてよね」

幽助「へいへい」

螢子「最近駅前に新しくできたイタリアンに行きたいみたいだったわよ。予約しとこうか?」

幽助「あー、わりーな、頼むわ」

百池「あのー。お二人はもしかして、ご夫婦か何かですか?」ラーメンズルズル

横田「雪村先生結婚してないはずだよな」

百池「じゃあ、恋人同士とか? なんだか熟年夫婦みたいな雰囲気だから」

螢子「(苦笑)そんなんじゃないわよ」

幽助「昔からの腐れ縁ってやつだ」

清水「ふうん?」

幽助「コイツがハナ垂れてた頃からの付き合い」

螢子「ハナ垂れ小僧だったのはアンタでしょ」

幽助「おい、おめーら体罰とかは大丈夫か? このゴリラすげえビンタしやがるからな(笑)」

螢子「(悪魔の微笑み)幽助、何言ってるの?」ゴゴゴ……

幽助「い、いや、なにも……」

清水「なんか、雪村先生の意外な一面を見たな」

横田「おう」

黛「ではラーメンも食べ終わったので、ぼくたちはこの辺で」

清水・横田・赤川・百池・黛「ごちそうさまでした。さようなら」

幽助「おー、気を付けて帰れよ」

螢子「さようなら。また明日」

修羅「バイバイ」

幽助「いい奴らだな。大切にしろよ、修羅」

修羅「言われなくても」フン

幽助「け。かわいくねえガキだな」

螢子「ふふ。でも安心したわ。転校初日に喧嘩できるくらい仲のいい友達ができて。修羅くんがんばったわね」ニコリ

修羅「///」

幽助「おい、修羅、なに赤くなってんだ? 気持ちワリイ。お、もしかして、あれか? オメー、いっちょまえに色気付きやがったのか。けけけ、このエロガキが」

修羅「な! そんなんじゃないよ!」
修羅「(ムスっとした顔で)幽助、ちょっとこっち来てよ」

幽助「なんだよ?」

修羅は幽助を屋台の外に連れ出す。

幽助「グハ!」

修羅のボディーブローがきまる。
※一時的に装置の機能を切りました。

修羅「ふん」

幽助「い、いいパンチするようになったじゃねーか。上等だ、今度はこっちが……」

修羅「雪村先生、ぼくもそろそろ帰るね」

螢子「さようなら。気を付けて帰るのよ」

幽助「おい、逃げんのか!」

螢子「幽助、生徒の帰宅を邪魔しないでくれる?」

幽助「ふん」
幽助「修羅、家にはオフクロがいるから、あとでなんか夜食作ってもらえ」

修羅「わかった。……幽助、ラーメンおいしかったよ」

幽助「け。オメーに誉められると気持ちわりーよ。気を付けて帰れよ」

修羅「うん。じゃーね」

幽助「わりーな、螢子。修羅のこと、学校入れる手配とか、色々大変だったろ?」

螢子「そんなことないわよ。黄泉さんも手を回してくれていたみたいだし、大丈夫だったわ。それにしても、修羅くん、本当にいい子ね」

幽助「くそ生意気だけどな」ハハハ

螢子「ふふふ」

幽助「オメーもずいぶん先生らしくなったよな」

螢子「……」

幽助「どうしたよ?」

螢子「たまに怖くなるのよ。あたしの一言があの子たちの将来にどう影響するのかなって。ちゃんと人生の礎を築いてあげられているのかなって。あたしの何気ない一言がたいへんな傷になってたりしてないかなって」

幽助「……。オレは難しいことはわかんねーけど。今日来た奴らを見る限りじゃ、大丈夫じゃねーの? オメーはいい先生してんじゃねーのかって思ったけど。それに、ガキはガキで勝手に大きくなるもんだしよ」

螢子「幽助……」

幽助「だけど体罰だけはすんなよ(笑)」

螢子「しないってば(苦笑)!」

幽助「ははは」

螢子「ああ、あとね。もう一つ、幽助に相談したいことがあって」

幽助「なんだよ?」

螢子「始末屋としてのあなたに依頼」

幽助「妖怪がらみ?」

螢子「たぶん……。最近、児童たちの間で妙な噂――怪談が広まっていて。保健室で金縛りにあってうんぬんって話なんだけど」

幽助「怪談? そんなの普通だろ。学校の七不思議とか、オレらの時代でも流行ってたじゃねーか」

螢子「でも、怪談っていうのは、たいがい又聞きとかでしょ? あたし当事者と話したのよ。クラブ活動を担当している子なんだけど、保健室で金縛りにあって、保健室にいたはずなのに気が付いたら教室にいたんだって。その子の担任の先生が、寝ぼけていたんじゃないのかって言ったら、本人もそうかもしれないって言ってはいたんだけど。例の怪談は、その子がそういう体験をする前から流行ってたのよね。あたしはちょっと嫌な予感がしたんだけど、担任先生がいる手前、それ以上追及できなくて」

幽助「ふーん……わかった。その保健室に妖気の痕跡がないかどうか確認してみるわ。で、報酬は?」

螢子「成功したらね」

幽助「(疑いの目)……」コイツ、ハラワナカッタゼンレイガアルカラナ

螢子「わかったわよ。成功したら、温子さんの誕生日の食事会、あたしが費用をもつわよ」

幽助「うーん(得なのか損なのか?)。まあいいや。じゃーそれで」

螢子「頼んだわよ」

幽助「おお。任せとけ」

といったところで、今日はこの辺までにしておきます。
レスくださった方、ありがとうございました!

たぶん、明日また再開すると思います。

螢子「転校生の人修羅くんよ」に見えた

再開します。

(翌日夕方、職員室)

螢子の携帯が鳴る。

幽助『おー、螢子? 保健室確認したぜ』

螢子「え? 早いわね。いつの間に? 今、管理が厳しいから部外者は学校に入れないはずだけど」

幽助『きのうの夜、屋台が終わったあと忍び込んだ。眠かったから家帰ってすぐ寝て、今起きて電話した』

螢子(こいつは……)

幽助『だけどなー、妖気は感じなかったぜ』

螢子「そう。なら、やっぱりその子が寝ぼけてただけだったのかしら」

幽助『うーん。もう少し待てよ。ちょっと調べることあるから』

螢子「調べること?」

幽助『屋台やってると、いろんな奴に会うから、ちょっとそっちのコネからも確認する』

螢子「そっか。ありがと」

幽助『おー。じゃーな』

(さらに翌朝、教室)

清水「うーす」

横田「ちーす」

修羅「おはよう」

百池「おはよー」

黛「おはようございます」

赤川「……」

百池「赤川、どうした?」

赤川「……朝、ちょっと食べすぎて、お腹が……」

清水「大丈夫かよ。百池が教室でホワイトチャージに変身するわけにはいかないからなー」

修羅「ホワイトチャージ?」

清水・横田・百池「い、い、いや、なんでもねーよ!」アセ

赤川「ぼく、保健室行ってくる……」

清水「おー。付添い無くて大丈夫か?」

赤川「うん」

横田「雪村先生には言っといてやるからよ」

赤川「ありがとう……」

(保健室)
カーテンで仕切られたベッドで眠る赤川。

赤川「横になったらだいぶ気分がよくなったぞ。そういえば、清水が保健室の怖い話をしていたっけ……なんだか怖いなあ……」ガクブル

赤川(怖い話なんかしなければよかったよ)

赤川「で、でも大丈夫だよね。カーテンの向こうには保健室の先生もいるし……」ガクブル

赤川「!」

赤川(あ、あれ? か、体が動かなくなった! か、か、か、か、金縛り!? 先生、みんな、たすけて~!!)

赤川「!!」

カーテンの隙間から糸のような紐のような何かが何本も、うにょうにょと侵入してくる。

赤川(ナニコレナニコレナニコレナニコレナニコレナニコレ!)

その糸のような紐のようなものは蠢きながら赤川に纏わりつく。

赤川(うぼほぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅ!)

恐怖のあまり、赤川の意識が途切れる。

(休み時間)

百池「赤川大丈夫かな? 様子見てきてみようか」

清水・横田・黛・修羅「おー」



清水・横田・百池・黛・修羅が保健室に向かって歩いていると、その途中で赤川が廊下を歩いて教室に向かっているのに遭遇する。

清水「おー、赤川、もう大丈夫なのか?」

赤川「……」

赤川はふらふらしている。

修羅「赤川?」

赤川「(焦点が合っていない目、涎の垂れた口元)……」

百池「おい、どうした赤川!?」

百池が赤川を揺すると、赤川が意識を取り戻す。

赤川「はっ! あれ、百池? みんな? あれ? あれ? ここは? 保健室じゃないの?」

修羅「大丈夫か?」

赤川「あ……ぼく、さっきまで保健室で寝ていて……そうだ! あの、清水の怪談の怪談の変な紐みたいなやつが出てきたんだよ!」ガクガク

清水「あ? 寝ぼけてたんじゃねーの?」

赤川「本当だよ! ベタベタ触られて、怖くて気絶しちゃった」ガクガク

清水「嘘言ってるわけじゃなさそうだな」

横田「ああ」

黛「とにかく、保健室を確認してみましょう」

百池「そうだな」

赤川「あ、待ってよお!」

保健室に向かう清水・横田・百池・黛・修羅。その後を追う赤川。

(保健室)

百池「失礼します」

養護教諭「はい、だあれ?」

百池「こんにちは。僕たち、今日保健室に来ていた赤川のクラスメイトです」

養護教諭「あら、赤川くんならさっき帰ったわよ?」

黛「赤川くんならここにいますよ」

赤川「……」

養護教諭「……」

修羅(妖気は感じないな。妖怪の仕業じゃないのか? でも、あの先生、微かに……?)

百池「先生、赤川が寝てるときとか、変なことありませんでした?」

養護教諭「さあ? 特に何も無かったと思うけど」

百池「そうですか」

養護教諭「で、なにか用? 赤川くん、また具合が悪くなったの?」

赤川「ぼくは……具合は大丈夫……なんですけど」

黛「先生は、最近児童たちの間で流行っている保健室の怪談をご存知ですか?」

養護教諭「怪談……? さあ?」

黛「そうですか。赤川くんが帰るときの様子はどうでした?」

養護教諭「別に普通だったと思うけど。赤川くんがベッドから出てきて、もう大丈夫なのって聞いたら頷いたから帰ってもらうことにしたの」

黛「そうですか……。大人数で押しかけてすみませんでした、サキ先生」

養護教諭改めサキ「いいえ。何かあったらまた来てね」

(廊下)

清水「結局、何もなかったなー」

黛「そうでもないですよ」

横田「どういうことだ?」

黛「少なくとも、サキ先生は何か知っていますね」

赤川「どういうこと?」

黛「みなさん、先程赤川くんが廊下を歩いていた時の様子を覚えていますか?」

修羅「うん。なんかフラフラしてて……やばい感じだった」

横田「兄貴のダチがラリってたときに似てたな」

黛「はたして養護教諭が、そんな状態の児童が保健室から教室に帰ることを許可するでしょうか。サキ先生の言動はおかしいように思います」

百池「確かに」

黛「ぼくとしてはサキ先生の心証は真っ黒ですね」

清水「うーん」

修羅「あの怪談には何か秘密があるのかもしれないな」

(保健室)

サキ「♪」フフフーン

サキの世話係「サキ、そんなにのん気にしていて大丈夫なの?」

サキの護衛係「あの子たち、意外と鋭そうよ」

サキ「私はね、今楽しい狩りの真っ最中なの。弱い獲物をいたぶるのも楽しいけど、いつ牙を剥くかわからない獲物を仕留めるときの方が燃えるわ。違う?」

世話係「……否定はしないけど、それに拘るとこ、サキの悪い癖でもあるわ」

サキ「ふふふ。わかってる。身体計測だとか保健室に来た子達だとかから、隙を見てサンプルを集めてきたけど、確かにそろそろこの学校からは手を引いた方がいいかもしれないわね。放課後、一旦母船に戻りましょう。新しいサンプルも手に入ったことだし、これからの戦略も練りたいしね」

すみません。
今日はこれでおしまいにさせてください。
明日の夜くらいに続きを書けたら書きますので、よろしくです。

再開します。

(幽助実家)

修羅「ただいま」

温子「修羅くん、おかえりー」

修羅「温子さん、幽助は?」

温子「今起きたとこ。屋台休みだけど、今日は珍しくちゃんと起きてんの」

幽助「珍しくってなんだよ?」

修羅「幽助、今日は実戦形式で修行するって約束したよな。早く行こーよ!」

幽助「おお。じゃ、行ってくるわ」

温子「いってらっしゃーい」

修羅「いってきます!」

(境界トンネル)

幽助「オレらが人間界で戦うと、ロクなことにならねーからな。めんどくさいけど、魔界に行くぜ」

修羅「基礎体力とかの訓練だけなら、幻海さんの土地で十分なんだけどね」

魔界と人間界の境界トンネルの空間には、空港の入国審査みたいな施設ができている。

幽助と修羅はパスポートみたいなものを取り出す。

幽助・修羅「お願いしまーす」

棗「あら、久しぶりね」

修羅「棗さん! 境界審査官だったの?」

棗「ふふ。小遣い稼ぎに始めたのよ」(二人のパスポートにハンコを押しながら)

別の審査官「きゃー! ちょっと! 下がってください! あなたは前回の人間界への渡航で、人間に対する悪質な傷害事件を起こしたので、人間界への渡航を許可できません。きゃあああああ!」

妖怪A「うるせー!!」

ドゴオオオオオオ!

妖怪Aの攻撃で審査施設が損傷を受ける。

幽助「なんだ、アイツ!」

棗「(溜息)月に一度くらい、ああいうバカが来るのよ」

棗、妖怪Aの元へ。

棗「あなたは下がっていいわ」(別の審査官を下がらせる)

妖怪A「なんだ、このアマ? 俺の邪魔をする奴は消し炭に……」

棗の華麗な蹴りが妖怪Aの顔面にヒット。妖怪Aは吹き飛ばされる。

妖怪A、体勢を立て直そうとするも、あっという間に間合いを詰めた棗に後ろをとられる。

棗、いつでも撃ちこめる体勢をとる。

妖怪A両手を上げて降参のポーズ。

妖怪A「……アンタ、何者だ!?」

棗「あなたに名乗るほど安い名前はもってないわよ」

妖怪A((ゾクゥ)と、鳥肌が! こ、こんな女にもっと罵倒されてみたい……///)

妖怪A「こ、こ、こんど、い、いつ、あえましゅかあああ///?」

棗「キモい……。早くコイツ牢屋にぶち込んで」

妖怪A「///」←喜んでいるらしい。

審査官「はい!」

審査官「オラ、とっとと歩け、変態妖怪!」

幽助「棗さん大変だ……つか、酎も色々たいへんだな、これ」ドンビキ

修羅「うん……」ドンビキ

幽助「まー仕方ねーよ。人間にもいい奴、悪い奴がいるように、妖怪にもいい奴、悪い奴いるからな」

修羅「性善説だけじゃ対処しきれないことがあるってパパも言ってた」

棗が二人の元に戻ってくる。

棗「そうなのよね。妖怪たちはうまく人間界に溶け込んでいるケースがほとんどだけど、中には揉め事を起こす妖怪もいる。悪質な事件を起こした妖怪は、人間界への渡航を許可するわけにはいかない。だから、黄泉さんが大統領になってから、こういう自主審査機構を作ったのよね」

幽助「ま、わりーことするのはごく一部。他は能天気でバカな奴がほとんどなんだけどな」

修羅「バカの最たる例が幽助だけどね」

幽助「てめー!」

修羅「ふふん。久々の実戦、手加減しないからな」

幽助「ふん。そりゃ、こっちの台詞だぜ!」

魔界へ飛び込む幽助と修羅。

棗「(ひらひらと手を振って見送る)」

(魔界)

魔界の広大な森・砂漠・湖沼地帯の上で、ダイナミックに戦闘を繰り広げる幽助と修羅。

幽助「はっ!」ドガアッ

修羅「ぐっ!」ドゴォッ

幽助「霊丸!」ドォォォン!

修羅「魔円咬!」ドガァン!ドガァン!

このあと二人は2時間ほど本気で戦って人間界へ帰宅しました。

(マクバク族 母船)

サキの子供達「ママ~!!」

サキ「みんな、ただいまー!!」

たくさんの子供たちをだっこしたり、頭を撫でたりするサキ。

サキ「なかなか帰れなくてごめんねー。みんなのお姉ちゃん(といっても同い年だけど)はパパのところで元気にしてるから、安心してね~!!」

世話係「サキの生んだ次期女王だけは旦那と一緒に地球で育てているのよね」

護衛係「旦那が死んだらサキと一緒にこの船に戻ってきて、このチビ達が次期女王の面倒をみることになるのね」

サキ「さて、研究、研究♪ あ、そーだ。アイツを魔界から呼んでおいて」

世話係・護衛係「わかったわ」

電話をかける世話係。

世話係「今から魔界と人間界の間の扉を開くわ」

??『早くしろ』

世話係と護衛係は怪しげな形状の配電盤をいじる。大きな電気が帯電して何もなかった空間に、ぽっかりと穴が開く。

世話係「けど、まさか、サキの実験でアレコレ試しているうちに魔界の扉を開いちゃうとはねー」

護衛係「魔界があるとか、地球パネーわ。よいしょっと」

穴が人が通れるサイズになると、そこから妖怪が現れた。

柘榴「遅いぞ」

世話係「あなた、あんまり大きい態度取らない方がいいわよ」

護衛係「ここは地球の衛星軌道上なのよ。いつでもあなたを外に放り出せるんだからね」

柘榴「チッ」

世話係・護衛係「連れてきたわよ」

サキ「ありがとー。柘榴、あなた、頼んでいたアレを持ってきてくれた?」

柘榴「これか……何度同じようなことを請け負えばよいのだ。流石に飽きてきたぞ」

柘榴はたくさんの試験管をサキに渡す。

サキ「ふふふ。目的は前に言ったでしょ。私は楽しい狩りの最中なのよ。狩りを成功させるためには、サンプルは多ければ多いほどいいのよ。じゃ、帰りはこれを持って行って。魔界の瘴気による性質の変化を見たいから。それと引き続き魔界のウイルス収集お願いね」

サキは試験管を柘榴に渡す。

柘榴「……」

サキ「何か不満でもあるの?」

柘榴「オレは早く人間界――地上へ行きたいのだ」

サキ「ふふふ。あなたパスポート取り上げらえて正規ルートから人間界に行けないんですものね。約束は守るわ。ただし、私の研究が完成したらね。わかったら、さっさと私のために働きなさい」

柘榴「チッ」

柘榴(まあいい。オレは鼻がいいんだが、コイツの体からはごく微量ながら、黄泉の息子の妖気の臭いがする。人づてかもしれんが、さらに微量の幽助の妖気も感じる。ガキの修羅ならオレでもなんとかできるだろう。そうすれば修羅を脅しの材料に、現大統領の黄泉をいいように操ることができる。それに、幽助は元人間だという噂がある。人間を盾にすれば簡単に倒すことが出来るに違いない)

柘榴(この際、手段は関係ない。勝てばよかろうなのだァァァァァッ!)

柘榴(オレが魔界を支配し、魔界は真の闇の世界となるのだ……!)

柘榴を再び魔界へ帰し、サキと世話係・護衛係が集まる。

サキ「もうあの学校から切り上げましょう。明日保健室に来る子がいたら、サンプル収集はそれを最後にするわ。念のため、母船への連絡艦をステルス機能ONにして学校に待機させておいてよ。柘榴もそれに乗せて待機させておいて。何かあれば柘榴に処理させて逃げちゃえばいいわ。私は外国かどこかに移住して、新しい拠点を再構築する」

世話係「それはいいけど。あんた、旦那さんと次期女王はどうするのよ」

サキ「折を見て迎えに行く。そしたら旦那の記憶を書き換えて、また一緒に暮らすわ」

護衛係「あんた……旦那さんのこと好きなのよね?」

サキ「ええ、だーい好き! だから、ミキヒサくんとずっとずっと一緒にいるためだったら何でもするの」

世話係「でも、この狩りはやめないのね」

サキ「これは私のプライドの問題でもあるからね。狩りもやり遂げるし、ミキヒサくんとも一生幸せに暮してみせるわ」

見てる人いるかな?

柘榴について覚えている人がいるか不安だったので、念のため補足です。
彼は、魔界統一トーナメントで幽助につっかかってきたネタキャラです。
2~3ページしか出番がなかったですが……。

(翌朝、教室)

百池「どうするかだよなー」

清水「保健室の怪談?」

横田「宇宙人がらみかね、やっぱり」

黛「確証はないですが」

清水「よし。変身する隙があれば変身して、サキ先生の正体を探ろう」

赤川「みんな、おはよー。(小声で)ちょっとこれ見て」

清水「なんだよ」

赤川「立花先生からうちに送られてきたみたいなんだけど」

赤川の手には”トミエ星名物 うずまき饅頭”の箱が。

百池「なにこれ?」

赤川「なにって……お土産じゃない? たぶん。今この星にいるってことじゃないのかな。みんなで食べてくださいっていうメッセージが付いてたよ」

横田「こりゃークラスの他の奴らには見せられねーな」

黛「……あまり食欲をそそらない外観ですけど」

赤川「食べてみると案外おいしかったよ」

横田「おまえもう食ったのかよ」

赤川「うん。1個だけだけどね」

清水「じゃ、毒見は済んでるわけだな」

百池「よし先生が来る前に食べちまおう。丁度残り4つだし」

黛「なにか悪い予感はしますが、まあ仕方ないですね」

清水・横田・百池・黛「いただきます」

清水「悪くねーな」モグモグ

百池「ああ」モグモグ

修羅「おはよう。あれ? 何食べてるの?」

横田「いや、これは……」ギクリ

黛「立花先生が赤川くんにお土産を送ってくれたのですが、数が少なかったので、こっそり食べてしまったのです。すみませんが、他のクラスメイトには黙っていてもらってもいいですか?」

修羅「ふーん? わかった」

清水「わりーな、修羅」

(その日の三時間目)

赤川「あれ? なんだかお腹が……」(顔面蒼白)

螢子「赤川くん、顔色が悪いわよ。大丈夫?」

赤川「お腹が痛くて気分が悪いです……」

螢子「保健室行く?」

赤川「はい」

螢子「保健委員さん、赤川くんを保健室に連れて行ってあげて。赤川くん、しばらく保健室で寝てなさい。それでも良くならなければ、今日は早退した方がいいわ」

赤川「はい……」

保健委員「行こう、赤川くん」

赤川「うん、ありがとう」

清水「おいおい……赤川一人で保健室に行って大丈夫か(保健委員はすぐ帰ってくるだろ)」

横田「つーか、腹痛って、もしかしてあの饅頭のじゃね……?」

清水・横田・百池・黛「……」

(保健室)

赤川「サキ先生……気持ち悪くて……」

サキ「そこで寝てれば?」

サキ(コイツのサンプルはもう取ったから要らないのよね。チッ)

カーテンで仕切られたベッドで横になる赤川。

赤川「……何にも起きないかなあ? 大丈夫かなあ?」ガクブル

(四時間目)

清水・横田・百池・黛「気分が悪いです……」(顔面蒼白)

螢子「……あなたたち、一緒に拾い食いでもしたの? 早く保健室に行きなさい」

四人「はい……」

修羅「あの、雪村先生。ぼく、付添いしてもいい?」

螢子「そう。じゃあお願いね。あと、ついでに赤川くんの様子も見てきてくれる?」

修羅「わかった。行こう、みんな」

百池「わるいな、修羅……」

(保健室)

サキ「あら、みんな。赤川くんのお見舞い? あれ、でも、いま授業中だよね?」

清水「先生……オレら揃って気分悪くて」

サキ「みんな顔色悪いわね。ちょっとそこに座ってて。追加のベッド用意するから」

ベッド数が足りないので折り畳みベッドを用意し始めるサキ。修羅がそれを手伝う。

清水「……まじーな。これ、マジであの饅頭のせい?」

横田「変な菌でも入ってたんじゃねーの……」

百池「……ぼくんちが持ってる病院の医者に直せるかな」

黛「……おかしいですね。あの立花先生がそんなに変なものを送ってくるでしょうか……」

清水「でも、逆にサキ先生の正体を探るチャンスができたな」

サキ「用意できたわよ」

清水・横田・百池・黛「ありがとうございます」

横になる四人。

修羅「じゃあ、また後で様子見に来るよ」

清水「おー」

修羅、保健室を退出。教室に帰るふりをして廊下に待機。

(教室)

螢子「みんな、この問題、解いててね。先生はちょっとだけ保健室の様子を確認してくるから」

(保健室)

カーテンの向こう側のベッドでボソボソしゃべる声が聞こえる。

サキ「? みんな、保健室では静かにしなさい」

五人「はーい」

サキ「ふふふ。最後の日にたくさんサンプルがとれるなんてラッキー♪ さて、地球人が金縛りに合う特定の周波数の電波を出してっと」

なにかの装置をいじるサキ。装置が唸りをあげる。

キイィィィィィィィィィ

変装を解除して右腕から触手を伸ばすサキ。

その時、ベッドを隠していたカーテンが一斉に開く。

サキ「!?」

ベッドの上には変身したカラーレンジャーが!

扉が開いて修羅も入ってくる。

サキ「な、これはどういうこと!?」

清水「それはこっちのセリフだぜ、サキ先生。先生が宇宙人だったとはな」

修羅「宇宙人!?」

サキ「アンタ達どこまで知ってるの!?」

修羅「……ていうか、お前らこそ、その格好、なに?」ドンビキ

横田「……深い訳があるんだよ。それ以上聞くな」(悲しい表情)

サキ「あなた達、具合がわるいんじゃなかったの? 金縛りの電波は?」

黛「どうやらこのスーツにはそういう類いの電波を遮断する機能もあるようですね」

赤川「先に変身しておいてよかった」

修羅「ぼくは特別な体質だから金縛り平気みたいだ」

百池「みんなの体調はオレが直したんでね」

サキ「チッ。アイツを呼んで!」

護衛係・世話係「もう連れてきたわ」

柘榴「やっと人間界に来れたな。ふはははははははは!」

清水「いつの間に、いたんだ、このおばさんたち!?」

世話係・護衛係「おばさん!?」ガーン

横田「あの変な鎌構えた奴もそれなりに強そうだな?」コソコソ

清水「ああ。変な格好してるし、アイツも宇宙人かもな」ヒソヒソ

サキ「柘榴、私たちは母船に逃げるから、その子達を足止めしてちょうだい。人間界に連れてきてあげたんだから、その恩返しくらいしてよね」

柘榴「いいだろう。ガキを相手にするくらいならどうということはない」

柘榴(それに、妖気を抑えて変装をしてはいるが、あそこにいるガキのあの臭いは間違いなく黄泉の息子だ! ふふふ。この柘榴にチャンスが巡ってきたようだな!)

サキ・世話係・護衛係「じゃ、頼んだわよ」

窓から外に逃げる三人。

清水「待て!」

柘榴「先へは行かせん」

カラーレンジャーと修羅の前に柘榴が立ちはだかる。

赤川「ケッ。オレたちを見かけで判断すると火傷するぜ。早いとこ引いた方が身のため……」

清水「お、おい、赤川……」アセ

柘榴が構えた大鎌を振る。

ザン!!!!!

保健室の天井から壁、床にかけて大きな斬撃の跡が残される。

柘榴「何か言ったか?」

赤川「あわわわわわわわわ」←腰を抜かしている

黛「バカ王子のゲームのルチ将軍くらい強そうですね」

百池「確か、ルチ将軍のレベルは1300って言ってたっけ」

清水「オレ、この前やっとレベル100になったとこ。お前は?」

横田「98」

黛「ぼくで190です。ま、そのくらい実力差があるってことですね」

柘榴「お前たちに恨みはないが、サキには恩があるからな。悪いが消させてもらう。まずはお前だ」

赤川「え、ええええええ! ぼ、ぼぼぼぼぼくですかあぁぁぁぁぁ!? サキ先生は足止めでいいって!」

柘榴「問答無用」

ザン!!!!!

赤川へと向かう大鎌、しかし、赤川に斬撃が到達する前にその柄を掴んでとめる腕が!

もちろん、修羅だ。

修羅「いい加減にしろよな、おじさん」←抑制装置のスピード制限と膂力制限を解除。

柘榴「お、大鎌が、どんなに力を入れても動かん! バ、バカな!」アセ

修羅「みんな、早くサキ先生を追いかけなよ! ここはぼく一人で十分だから」

赤川「しゅ、修羅くん!?」

清水「けどさ……」

黛「行きましょう。逆に足手まといになる可能性の方が高そうです」

横田「わかった。修羅、あとで合流すんぞ」

修羅「おー。適当にこいつで遊んだら行くよ」ニヤリ

窓から飛び出たカラーレンジャーたちは、サキ達の後を追う。

修羅「ぼく、広い場所で戦った経験は結構あるんだけど、こういう狭い場所で戦うのって実ははじめてなんだよねー。ワクワクしちゃうな! おじさん、楽しませてくれるよね?」ニコニコ

妖気を抑える装置の機能を完全にオフにする修羅。

柘榴「(ゾクリ)ば、ばかな! この妖気、本当に子供か!? くそ!」

柘榴は大鎌を諦めて手放し、修羅に蹴りを入れようとする。

修羅はそれを紙一重でかわす。

修羅「じゃあ行くよ」

修羅はかわした動作でそのまま一回転し、ハイキック。柘榴の顔面にヒット。

ドゴオオオオオオ!

柘榴は蹴り飛ばされ、保健室の扉近くの壁面に激突。

土煙の中、壁に頭がめり込んだ柘榴の姿が。

修羅「わー。やばいなー。雪村先生に怒られるかなー」クスクス

柘榴「くそが……」

なんとか起き上がる柘榴。

修羅「ねえ、おじさんの実力はこんなもんじゃないんでしょー? 早く本気見せてよー」クスクス

柘榴(糞! 餓鬼のくせにこんなに強いなんて想定外だ! どうすれば……はっ!)

柘榴「ニヤァ」

修羅「何笑ってんだ? 自分の状況がわかってるのか?」

柘榴「状況がわかっていないのはお前の方だ。黄泉の息子」

修羅「?」

保健室の扉が開く。

螢子「いったい何事!?」

修羅「雪村先せ……!?」

柘榴「動くな!」

柘榴が片方の手で螢子の首を抱き、もう片方の手の爪を螢子の首につきつける。

修羅「おまえッ……! 自分が何をしているかわかってるのか!?」

柘榴「わかっている。おまえが本気で動けば、オレは一瞬で首を跳ねられるだろう。しかし、おまえもわかっているのだろう? その一瞬は、オレにとってはこの女の首を跳ねるのには十分な時間だということを。だから、おまえはオレを殺せない」ククククク

修羅「くそ」

螢子「修羅くん……!」

柘榴「わはははははははは……ゴフゥ!」

前のめりに倒れる柘榴。

修羅「!?」

幽助「大丈夫かー、螢子?」

倒れた柘榴の後ろには、柘榴を蹴り倒し、同時に助けた螢子を抱えた幽助の姿。

螢子「……うん。ありがと、幽助」

幽助「ふははははは。修羅くん、どうやらまだまだ経験が足りないようだな。よく周りを見ないとだめじゃないか」ニヤニヤ

修羅「……ふん!」

修羅は八つ当たりに、倒れた柘榴の脇腹を思い切り蹴り上げる。

柘榴「ウバハァ!」

螢子「修羅くん、みんなは? いったい何があったの!?」

修羅「あの怪談の元凶はサキ先生だったんだ。みんなはサキ先生を追って外に行った。ぼくも早く追いつかないと」

幽助「ゆっくり行こうや。あっちはあっちで、ちゃんと大人が見てるからよ。それよりオレはこいつにちょっと聞きてーことがあるんだよな」

(校庭)

サキ達の後を追うカラーレンジャー。

赤川「あれ!? 消えた!?」

清水「いや、ゴーグルで見てみろ。目では見えないけど、宇宙船があるぞ。あれに乗り込んだんだ!」

横田「発進するみたいだぜ」

百池「赤川!」

赤川「バスガス爆発!」

赤川の攻撃が機体の一部を破壊する。

清水「よし! 停まったみたいだ!」

横田「でも、どうやって入るんだ? 扉っぽいとこ、開かねーぜ」

黛「任せてください。『じさるゆはきせのかさうおによもとるかははねらそのりとてめこをよ』」

黒の戦士レベル130の能力、どんなロックのかかった扉も開けることができる。

横田「よっしゃ! 開いた!」

清水「アイツも質の悪い技を入れるよな(苦笑)」

黛「ニヤリ」

赤川「あ! サキ先生たちだ!」

サキ「まさか船まで壊されるとはね。アンタたち何者? まさか、ドグラ星人の仲間なの?」

清水「ドグラ星人!?」

百池「って、確か、バカ王子はドグラ星人だったよな」

黛「嫌な予感しかしませんね」

バカ王子「やあやあ諸君。ご苦労だったね。これでうまくこの案件を処理できるよ」

銃を構えたクラフト隊長たちを引き連れたバカ王子が登場。

サキ「!」

清水・横田・赤川・百池・黛「……」←テンションだだ下がりの様子。

バカ王子「なんだい? もうちょっと嬉しそうに迎えてくれたっていいじゃないか」

清水「今までの所業をしっかり心の中で反芻してからものを言え(怒)!」

バカ王子「何をそんなに怒っているんだい? ぼくはその時々で最善をつくしてきただけだよ」

清水「おめーのせいでオレらがどんだけ迷惑を被ったか、ちゃんとわかって言ってるだろ、それ(怒)!!」

百池「まあまあ」←バカ王子のバカさ加減をもう諦めている人。

クラフト「清水くんたち、迷惑をかけて本当にすまない。オレたちが気付いた時には、あのバカの計画は2/3以上が進展している状態で、止めようがなかったんだ」(憔悴した表情)

横田「……あいかわらず苦労してるみたいっすね(同情の眼差し)」

修羅たちも追いついて、船内に入る。

修羅「みんな! 大丈夫!?」

幽助「おー、クラフトさん。うまく行ったか?」

クラフト「仕上げはこれからだ。幽助くん、すまんね。協力してもらって」

幽助「ま、オレの仕事でもあるし、どーってことねーよ」

螢子「……いったいどういうこと?」

幽助「うーん。どこから話していいか。まず、今の人間界――地球には、魔界から来た妖怪たちもいるし、宇宙の各地からやって来た宇宙人たちも結構な数住み着いてるってわけだ」

クラフト「今回、保健室で事件を起こしたサキ王女――いや、今はもうサキ女王か。彼女もマクバク族という宇宙人でね。マクバク族は女王の婿を探して宇宙を放浪する生物なんだが。サキ女王は地球人のある男性と結婚し、子供を生んだのだ」

サド「一点、問題となるのは、マクバクの女王が婿に選んだ生物種は、その後、なぜかオス全体が生殖能力を失い、絶滅してしまうという現象が起きることです。原因は女王の体内にいるウイルスだと考えられています」

カラーレンジャー「げ!」

バカ王子「それはこちらでしかるべき対処をさせてもらったのでね。君たちは安心していて大丈夫だ」

サキ「やっぱり、私のウイルスを機能不全にさせたのはあなた達だったのね!!」

護衛係「何度かドグラ星人に問い合わせたけど、適当にはぐらかされて……」

世話係「一体、何をしたの!?」

バカ王子「ぼくたちは罪に問われるようなことは何もしていないよ。病気予防策を地球でそれと悟られぬよう施しただけだ」

クラフト・サド・コリン(よく言うわ……)←呆れ顔

サキ「……」

疑うような眼つきでバカ王子を睨むサキ。

バカ王子「ふふ。マクバク族の愛ゆえの嫉妬説――婿に選んだ生物種を独り占めするために、オス側の生殖能力を奪って回っているとう説は当たってたって事かな? で? 君はぼくが君の体内のウイルスに何かしたって言うのかい? だったら銀河連邦にでも何にでも訴えればいいさ。でも、どうやって? 地球人の生殖能力を奪うはずだった私のウイルスが、ドグラ星人のせいで機能不全に陥りました、とでも? そんなの、君たちが婿に選んだ生物を故意に絶滅させてきたことを公表するようなものだと思うけどね」

サキ「く……」

バカ王子「でも、相当悔しかったんだね。こんなことを計画するなんて。君たち、サキ先生が保健室で何をしていたのか、わかるかい?」

修羅「ただ子供を怖がらせて面白がってたわけじゃないってことだよな」

黛「児童の何かを調べていた……?」

サド「その通りです。子供たちの遺伝子情報や生体情報を集めていました。おそらく、地球の子供たちに感染させることが出来る、新たな生殖能力破壊ウイルスを研究していたのでしょう」

カラーレンジャー・修羅・幽助・螢子「!」

コリン「勝手に他の知的生物の遺伝子情報等を収集することは、銀河連邦の法律的には確かに犯罪行為です。しかし、地球では宇宙人がいることもほとんど認知されていない状況で、その犯罪を立件すること自体が困難なんですよね。我々が代わりに訴えることもできるのですが、正直、遺伝子情報収集だけではそんなに重い罪に問うことはできないのです。ここだけの話、現状は、かなりの宇宙人が勝手にそういうことを行っていて、遺憾ながら放置状態ですし」

クラフト「ウイルス研究の方を押さえようにも、彼女たちは研究成果を母船外に持ち出さない。証拠の押収も困難だ。急襲すれば証拠隠滅のおそれもあるしな」

バカ王子「そこで、ぼくが一計を案じたわけだ。君たちが証拠資料を外部に持ち出すチャンスを作ればいい。あるいは、研究とは別の、遺伝子情報収集より重い犯罪行為を促せば、重い罪に問うことが出来る」

サキ「……!」

護衛係・世話係「?」

バカ王子「君たち、本当に自力で魔界の扉を開けたと思ってるの?」

護衛係・世話係「まさか!」

バカ王子「君たちの母船に空間の歪みを作り出すのは結構面倒くさかったんだけど、ほら、ぼくって割と器用だから。境界トンネルの種だけ発生させてあげたんだけど、あとは君たちがしっかり拡張してくれたみたいだね」ニコニコ

クラフト「幽助くんの方はどうだった?」

幽助「ちょっと脅したら簡単に吐いたぜ。その女に頼まれて、ウイルスを魔界の瘴気で変異だかなんだかさせたり、魔界のウイルスを集めたりしたってな。その女の目的もゲロッたしな」

幽助は簀巻きにした柘榴をサキたちの前に放り投げる。

バカ王子「ぼくたちが魔界には手出しできないと思って、随分と杜撰な対応をしたみたいだね」

サキ「く……」

クラフト「おまけに、あんた達はソイツを使って地球の子供たちを殺害しようとした」

護衛係「殺そうだなんて! ちょっと足止めをお願いしただけよ!」

赤川「で、で、でも、アイツはぼくを殺すつもりで向かってきたよ!」

修羅「ぼくが止めなきゃ、赤川たちを殺してたろ? な?」

柘榴「……ああ」

サキ「勝手なことを……!」

護衛係「こうなったら、母船の兵隊たちを呼んで……」

バカ王子「やめた方がいいよ。今日は山形から応援を呼んだから」

通信機を使って空中に映像を移すバカ王子。

バカ王子「もっしもーし。そっちの状況は?」

ラファティ『あ、どーも、王子さん。こっちの準備は万全です。地球に来てる仲間、全員呼びました。……そいつらっすか? 地球人の生殖能力奪おうとしてるとかいうクサレアマどもは。そんなことされたら、野球選手が生まれなくなっちゃうじゃないっすか……』

にこやかなラファティの顔が凶悪な表情に変わる。

ラファティ『GOかけてもらえれば、オレらすぐにでもそいつら全員潰しますよ?』

バカ王子「まあ、それは相手の出方次第だね。とりあえず、しばらく待機でよろしく」

ラファティ『うっす』

サキ「……」

バカ王子「君たちもディスクン星人のタチの悪さは知ってるだろ? さて、どうする?」

護衛係・世話係「……」←心配そうにサキを見つめる。

サキ「……負けたわ」

清水「容赦ねーな」

サキ「で、どうする気? 私たちを地球から追い出す? それとも、銀河連邦に突き出す?」

バカ王子「ぼくたちもそこまで鬼じゃないさ。この計画をすべて破棄して、黙って君の旦那さんとお子さんと、地球人に紛れて大人しく暮らしてくれたらそれでいい」

サキ「……随分とゆるい処分ね。怖いくらいだわ。……わかりました。あなたの言葉に従います」

バカ王子「まあ、地球人側からオフィシャルに訴えることができないわけだしね。異星人のぼくらがそんなにでしゃばるのもアレだからさ」

クラフト(オレたちもミキヒサくんの件はおおっぴらにできないしな。この件が公になって色々つつかれるのも面倒だ)

バカ王子「これにて一件落着ということで」ニコニコ

一部の人達(なんだか納得いかねーな。こいつの手の上で転がされてるみたいで)

(その夜、雪村食堂)

ラファティくんたちディスクン星人や関係者への慰労を兼ねて、みんなで食事中(お店を貸切)。

バカ王子「みんなのおかげでマクバク族の野望を打ち砕くことができたよ」ワハハハハ

ラファティ「オレらなんもしてないっすけど、食っていいんすか?」

バカ王子「どんどん食べてくれて構わないよ。ここのお金はクラフトくんがなんとかしてくれるから」

クラフト「!」

バカ王子「君たちがいたからこそ計画がうまく行ったんだからそのお礼の気持ちだよ。ね、クラフトくん?」

ラファティ「あ、クラフトさん。いいんすか?」アセ

クラフト「……好きなだけ食べてくれ」(苦い笑みで)

サド(隊長……おいたわしや。ただでさえ地球人保護活動の資金が不足しているというのに)

ラファティ「あざす! 食うべ、食うべ」

ディスクン星人A「うんめーな」

ディスクン星人B「しょうが焼きうんめ」

ディスクン星人たち「わいわい、がやがや」

清水「んー。なんか納得できねーんだよな」ハンバーク モグモグ

赤川「何がだい? サキ先生が無罪放免だったのが納得いかないのかい? 結果的にすべて丸く収まったんだからまあいいじゃないか」エビフライ モグモグ

清水「それは別にいいよ。サキ先生がそんなこと計画してたなんて、イマイチ実感ねーし、先生も旦那さんとお子さんがいることだし。それより、今回のオレらの立ち位置っつーか、そういうのが釈然としねーっつーか」モグモグ

黛「まあ、いわば、我々はサキ先生を釣るための餌にされたわけですからね」スナギモ モグモグ

百池「餌になるのはまーわからないでもないけど。柘榴っていう妖怪までいたのは、マジで焦ったよな」サラダ モグモグ

修羅「そうだよな。結果、みんな無事だったけどさ。柘榴を相手にするのは、正直、清水たちだけじゃかなり危なかったと思う」カラアゲ モグモグ

※修羅は魔族であることをみんなにカミングアウトしました。みんなの反応は「へー」みたいなゆるい感じ。柘榴は魔界へ強制送還済み。棗がきっちり尋問していることでしょう。

横田「悔しいが、その通りだよな」ホッケヒラキ モグモグ

百池「その辺、バカ王子はどう考えてたんだろうね」モグモグ

バカ王子「なになに? ぼくの話をしてる、もしかして?」

バカ王子はお酒を飲んでかなり陽気になっている様子。

清水「……今回、どこまで仕組んでたんだよ、おまえ。修羅とか幽助さんとかも意図して巻き込んだのか?」

バカ王子「んー? サキ女王に説明した以外は、特に何もしてないけど」

清水・横田(おいおい。柘榴とオレらをガチで当てるつもりだったのかよ)

黛「疑問が残ったのですが。今回サキ先生を嵌めた方法が結構回りくどいと思うのですよ。王子ならもっとスマートに処理できたんじゃないですか」

清水・横田・百池・赤川・修羅「!」

バカ王子「ふふふふ。まあね。例えば、マクバク族の母船に、証拠が残らないようにハッキングを掛けて事故を発生させる。地球に不時着したところを、救助を名目に船内に侵入、相手が証拠隠滅を図る前にウイルス研究の証拠を奪取、とかね。これならぼくとクラフトたちだけでも実行できるだろう」

清水「じゃー、なんでそれやんないんだよ」

バカ王子「だって、そんな正攻法、つまらないじゃないか」キョトン

カラーレンジャー・修羅「……!」

バカ王子「折角だから『カラーレンジャー VS マクバク族 VS 妖怪 ~たった一つの地球を守れ~』みたいな感じで、エイリアンVSプレデター的展開を見てみたいじゃないか!」シンケン

修羅「コイツ、バカなの……?」ドンビキ

清水「見ての通りのバカだ」

百池「……王子の目論見は分かったけど(理解はできないけど)、それにしても、妖怪はなかり強かったじゃん。死ぬかと思ったんだけど(赤川が)」

バカ王子「うーん。それは正直、想定外だったかもね。サキ女王があんなに強い妖怪をスカウトできるなんて思ってなかったし。偶然、修羅くんとか幽助くんとか、ゲストキャラが入って来たからそれでなんとかなるかなーって」

清水「『なんとかなるかなー』じゃねえ(怒)!」

横田「オレらが死んだらどうするつもりだったんだ(怒)!」

バカ王子「そしたらゴメンって謝ればいいかと」

清水「おめーはマジモンのバカだよな(怒)!!」

横田「死ね! おめーはいっぺん死んでこい(怒)!!」

修羅「こんなバカ……初めて見た……」

黛「あと、もう一つ。どうにも都合よく我々五人が体調を崩して保健室に行きましたよね」

バカ王子「あ、それ、ぼくが用意したお菓子のせい。立花先生の名前を借りちゃった。ほら、サキ女王との遭遇イベントを進めないといけなかったからさ」

カラーレンジャー・修羅「……」

バカ王子「(あれ? なんだか、みんなの視線が痛い)か、軽い薬を混ぜただけだよ……?」アセ

カラーレンジャー「ゴールデンハンマー!!」

修羅「魔円咬!!」

バカ王子「グハァ!」

※ちなみに、赤川くんが別日に体調を崩したのは、バカ王子のせいではないです。

幽助「クラフトさん、あれ、放っといていいのか?」

バカ王子がやられている様子を指差す幽助。

クラフト「ふん。あのバカには、たまにはいいお灸だ。(いいぞ、清水くんたちその調子だ。もっとやれ!!)」

幽助「ははは。苦労してんな、この人」

螢子「幽助とクラフトさん達は知り合いだったのね」

幽助「おお。オレの屋台の客だったんだよ。ある時、あの王子関連でなんかあったのか知らねーけど、クラフトさんがベロンベロンに酔っぱらったことがあってよ」

サド「我々が止める間もなく、宇宙人関連のことや王子の愚痴をぺらぺらしゃべりだしまして」

コリン「酔っぱらいの戯言にされるかと思ったら、幽助さんも自分は魔族だとか言い出したんですよね。まーそのときはドンビキしたわけですけど、その後それが事実だと確認できて」

クラフト「あまり覚えていない……」

幽助「そんで、その後はお互いの仕事で妖怪とか宇宙人とかが絡んできたら融通し合ってきたわけ」

螢子「なるほどね」

サド「雪村さんには今回の件で、生徒さんにも迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

螢子「……いえ」

コリン「怒っていないんですか?」

螢子「(悪魔の微笑み)あたしの生徒を危険な目に遭わせて、それは、正直、腸が煮えくり返っていますけど」

螢子「幽助に依頼したことだから、なんとかしてくれるんだろうと信頼していたので」

コリン「……のろけですか」

螢子「そ、そんなつもりは!」

クラフト「コリンくん、君、最近妙に僻みっぽいぞ」

サド「どうやら、先日、また女性のナンパに失敗したようで」

コリン「サドさん!」

クラフト「ふー。だから行ったろ。交尾したいのだったら、事前に了承をとれと」

サド「隊長。女性のいる前でそういった直接的表現は自重した方が」

クラフト「おっと、すまん」

コリン「隊長は事前に事前にって言いますけどね! そんなこと実際には……」

ドグラ星人達「わー、わー、ぎゃーぎゃー」

幽助・螢子「はははは!」

その後、2時間近く宴会は続いておひらき。

バカ王子「えー、宴もたけなわではございますが……」←ボロボロ。

(雪村食堂、外)

ディスクン星人達「うまかったっす! また来るっす!」

ドグラ星人達「もうあのバカにはアホなことさせないので。今日はありがとうございました」

カラーレンジャー・修羅「先生、さようなら!」

螢子「さようなら! みなさん、気を付けて帰ってくださいね」

手を振り、みんなと別れる。

螢子(さてさて。お父さんとお母さんの片づけを手伝おうかな)

幽助「螢子」

螢子「あら幽助。まだ帰ってなかったんだ」

幽助「ちょっとおめーに話があってよ」

螢子「ふうん?」

幽助「おめーも大学卒業して仕事も慣れてきたよな」

螢子「うん」

幽助「そろそろ結婚しねー?」

螢子「!」
螢子「……」
螢子「えーと。パス」

幽助「え……? パス……?」

螢子「まずね。プロポーズするなら、シチュエーションとかもっと考えなさいよ。なによ、食堂の前って。それに、あんた、婚約指輪買うとかそういうことすら頭になかったんじゃないの?」

幽助「ぐ……」

螢子「まあ、そんなことはどうでもいいんだけど。別にあんたと結婚してもいいんだけどさ」

幽助(オレは別にっていう扱いなのかよ……)

螢子「今結婚するつもりはない」キッパリ

幽助「え」

螢子「あたしね、今年度が終わって清水くんたちを次の学年に送ったら、フィンランドへ教育について研究にに行こうと思っていて」

幽助「フィンランドって……外国か? そんな話、聞いてねーぞ」

螢子「だって言ってないもん」

幽助「なんで言わねーんだよ」

螢子「……あんた、魔界に行くとき、あたしに報告したの前日よね。それよりだいぶ良心的だと思うんだけど」

幽助「ぐぬぬぬぬ」

螢子「そういうわけで。あたしは三年間外国行ってくるから」

幽助「……三年」

螢子「じゃあ、あたし、お母さんたちのお手伝いしてくるわ。幽助、バイバイ!」

雪村食堂の中に入り、ぴしゃりと戸を閉める螢子。

幽助「」

戸が再び開いて、螢子が顔だけ出す。

螢子「三年後、もし幽助がまだ待ってたら結婚してあげてもいいよ。ただ、あたしは幽助みたいに一年半で戻ってきたりはしないけどね!」ニヤリ

再び、戸がぴしゃりと閉まる。

幽助「……」
幽助「くくく。はははは!」

螢子が鼻歌を歌いながら食器を片づけている。

螢子母「あんた、なんかいいことあったのかい?」

螢子「別に~♪」

【END】

そんな感じで終わりです。
読んでいただいた方、ありがとうございます。
初めてのSSスレ立てで、かなりビビりながらでしたが、なんとか最後まで到達できてよかったです。

現在売れ筋じゃない作品ですし、色々と設定ミスや人物像が変なところもあるかとは思うのですが、読んでくれた方が少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
せめてレベルEがアニメ化していた時期に書ければよかったのかもしれないですね。

乙。良かった。出来れば続編に期待

コメント頂いていたようで、ありがとうございます。
続編は……期待しないで待っていてください。レベルEは難しい作品で、色々考えるのは楽しくもあり、大変でもあり。いいアイデアを思いついたらまた書いてみたいと思います。

もう読んでくれた方はいなくなってしまったかもしれませんが、感謝を込めて短編を投下します。
おまけレベルの妄想話ですが、楽しんでもらえれば嬉しいです。

コメント頂いていたようで、ありがとうございます。
続編は……期待しないで待っていてください。レベルEは難しい作品で、色々考えるのは楽しくもあり、大変でもあり。いいアイデアを思いついたらまた書いてみたいと思います。

もう読んでくれた方はいなくなってしまったかもしれませんが、感謝を込めて短編を投下します。
おまけレベルの妄想話ですが、楽しんでもらえれば嬉しいです。

【おまけ】

三年後、すったもんだの末、幽助と螢子の結婚がやっと決まりました。結婚式には人間から、妖怪、宇宙人まで、二人がお世話になった人たちを呼ぶことに。幽助が魔族なので、色々考慮して神前での挙式(教会の神父さんの前で誓ったりなんだりするやつ)はなし、人前式(列席者に結婚の証人となってもらうスタイル)を兼ねた披露宴を開催することになりました。

(結婚式当日)

式開始前。既に衣装であるフロックコートを着た幽助が、披露宴会場の外にある喫煙所で煙草を吸っている。

幽助(新婦っつーのは準備に時間がかかんだな。まだ半分も終わってねーとか、どう時間潰すかなー)

??「幽ちゃん」

幽助「! おっちゃん」

礼服を着た螢子の父が幽助の傍に歩いてくる。

螢子父「幽ちゃん、一本貰っていいかい?」

幽助「あれ? おっちゃん、煙草やめたんじゃねーの?」

螢子父「こんな日ぐれー吸ったって罰はあたらねーだろ(少し寂しげに笑う)」

幽助「……」

幽助は無言で煙草のパッケージを差し出す。螢子父はそこから一本取りだして咥える。幽助はライターでそれに火をつける。

螢子父「ありがとよ」

しばらく二人、無言で紫煙の行方を見つめる。

幽助「あのさ……」

螢子父「ん?」

幽助「オレさ、小さい頃わりーことするたび、よくおっちゃんに怒られたろ?」

螢子父「かっかっか! 懐かしいねェ。幽ちゃんはやんちゃだったからなあ。手を焼いたもんだ」

幽助「はははは! おっちゃんにはたくさん迷惑かけたよ。おっちゃんはすげー怖かったけど、でも、魚釣りとか野球とか教えてもらってよ。それがすげー楽しかったんだよな」

螢子父「ははは! 懐かしいねェ」

幽助「オレにとっちゃ、おっちゃんは父親みたいなもんでよ」

螢子父「へへ。よせやい」

幽助「……」

幽助は煙草を灰皿に押し付けると、螢子父に向き直り、頭を下げた。

幽助「お義父さん、螢子は一生大切にします。お義父さんがしてきたみたいに、螢子のこと、ずっと守り続けますから」

螢子父「……」
螢子父「……へへ」

螢子父は煙草の灰を灰皿に落とし、幽助を置いてふらふらと歩き出す。

螢子父「年取ると涙腺が弱くなるってホントなんだなぁ。こんな顔、女房にも螢子にも見せたくねェからよ。ちょっとそこら辺歩いてくるわ」

振り返らず、手をひらひらと振る螢子父。頭を下げたままの幽助。

螢子父「幽ちゃん、螢子のこと、頼むわ」

幽助を振り返ることなくそう言った螢子父は、式場の庭の中に消える。幽助は頭を下げたまま。

(こっそり裏で二人のやり取りを見ていた人たち)

桑原「くぅぅぅぅ! オレはこういうの弱えェんだって!」←涙

蔵馬「幽助も、いつまでもやんちゃなままじゃないんですね(感慨深げ)」

飛影「……ふん」

(新婦化粧室)

メイクも衣装も終了して一人席についている螢子。温子が近寄る。

温子「螢子ちゃん、すごく綺麗ね」

螢子「温子さん」

温子「アイツのこと、貰ってくれてありがとね。螢子ちゃんがいたから、アイツ、ちょっとグレてもそこまで性格ヒン曲がらずに生きてこれたんだと思うの。螢子ちゃんがいてくれて、アイツのこと支えてくれて本当に良かったと思ってる。私だけだったら、アイツ、どんな男になってたかなって、時々思うのよ」

螢子「何言ってるんですか、温子さん」
螢子「温子さんがいたから、幽助はちゃんと生きてるんですよ。温子さんがいたから、生き返ったし、魔界に行ってもも戻ってくるし。仲間思いで、裏表ないし。温子さんから大事なものを教わったんだと思う」

温子「螢子ちゃん……」

螢子「それに、意外とマザコンなんじゃないかな、幽助」

温子「ナニソレ。気持ち悪い」

螢子「あははは!」

温子「あははは!」
温子「もしアイツが浮気でもするようなことでもあれば呼んでね。〆てやるから」

螢子「大丈夫です。グーで殴ってやるから!」

温子「私も混ぜてね」

二人「あはははは!」

(披露宴受付開始)

ぼたん「新婦側出席者はこちらへ!」

桑原「し、新郎側はこちらで受付してます……」←強い妖怪たちや宇宙人にビビリ気味の様子

この頃は既に魔界の住人や宇宙人の存在はメジャーになっており、妖怪や宇宙人は身分や外見を偽ることなく行動している。それにしても、二人の結婚式には妖怪や宇宙人が多い。螢子も留学以降、宇宙人や妖怪の子供たちの教育に携わってきたので、螢子のゲストにも妖怪や宇宙人がいる。

雪菜「静流さん、黒のドレス素敵ですね!」

静流「雪菜ちゃんもピンクのドレス似合ってるじゃない」

桑原「ふ。雪菜さん、やっぱり僕が思った通り、可憐な雪菜さんには淡いピンク色のドレスがとても映えて……」

雪菜「きゃー!! ぼたんさん、その振袖ステキですねー!!」←桑原の言葉を聞いていない

静流「そこの弟(バカ)、まじめに受付やんなさいよ」

躯「ここに名前を書けばいいのか? 人間界の作法は難しいな」

桑原「は……はひ。お願ひしまふ!」←びびってる

飛影「おい、祝儀袋はもう出したのか?」

躯「既にこの男に渡した」

桑原「はひ、頂ひておりまふ……」ガチガチ

飛影「……」←バカにしたような目で桑原を見ている

桑原「な、なんだテメェ! や、やんのか!」

飛影「ふん……貴様ごとき、相手にする価値もない」

桑原「あんだとぅ!?」

躯「どうした、飛影。席に着け」

躯の言葉に従い、飛影さっさと受付を後にする。

桑原「逃げんのか、このヤロー!」

飛影「くだらん」

桑原「ムキー!!」

ぼたん「まあまあ、桑ちゃん、落ち着いて」

開宴を待つロビーでは、懐かしい再会を喜ぶ面々が歓声を上げている。桑原の取り巻き三人や、螢子の同級生が竹中先生と話していたり、雷禅の級友たちが話し込んでいたり。
黄泉(大統領は辞したものの、魔界の観光開発とか資源開発とかバリバリやっている)とクラフト(ドグラ星新王朝で国王の片腕として働いている(雑務もいやがらせも押し付けられているが……))とが作り笑いで互いの腹を探っていたり。
蔵馬とサドが生物学談義に花を咲かせていたり。

(受付も終わり、いよいよ開宴の時間)

小兎「ご列席の皆様、お待たせいたしました。本日、司会を担当いたします、小兎と申します。本日一日、新郎新婦はもとより、皆様にも楽しんでいただけるよう、精一杯努めますので、よろしくお願いします!」

ワー! パチパチ!

清水「おいおい、あれ、カルトの小兎じゃねえ?」

赤川「あ、あっちの席には瑠架さんと樹里ちゃんもいるよ!」

横田「カルト?」

百池「ちょっと前に活動してたアイドルグループだよね」

黛「今は活動休止して、ソロ活動をされていますね」

横田「詳しいんだな」

黛「魔界が有名になる前、オカ板界隈ではちょっと話題になってたグループなんで」ニヤリ

小兎「それでは、新郎新婦の入場です!」

白いウェディングドレス・長いヴェールを被った螢子と、フロックコート姿の幽助が登場。二人は笑顔で手を振りながら高砂へ。

ワー! パチパチ!

小兎「それでは、開式宣言と乾杯の音頭を、魔界の前大統領である黄泉さん、お願いいたします!」

黄泉「えー。結婚には3つの袋が大切だと言われておりまして……」

清水「お前の父ちゃん、意外と堅実だな」

修羅「もうちょっと気の利いたこと話せよな、親父も。ぼくが恥ずかしいって。話長いし。さっさと乾杯しろよ……」←反抗期

やっと黄泉の挨拶が終わり。

みんな「かんぱーい!」

小兎「黄泉さん、ありがとうございました。それでは、新郎新婦より、結婚立会人であるご来場の皆様の前で結婚の誓いの言葉を述べて頂きます! 証人である皆さん、しっかり聞いておいてくださいね! まずは新郎の幽助さんからです」

幽助「あー、えっと。今日はみんな、来てくれてありがとなー。その、まー、改めて誓えとか言われると面倒くせーんだけどよォ」

桑原「照れてんじゃねーぞ(笑)!」ヤジ1
酎「男らしくしろ(笑)!」ヤジ2

幽助「うっせーな! わーったよ。言えばいいんだろーが。螢子のことは幸せにする! 一生かけて守る! 以上!」

陣「わははは! いーぞー、幽助!」

ワー! パチパチ!

小兎「では、続いて新婦・螢子さんの誓いの言葉です」

螢子「見ての通り、どうしようもない夫なんですけど。いいところもある人なので、しっかり支えられる妻になります」

ぼたん「やっぱり螢子ちゃんはしっかりした子だねェ」

ワー! パチパチ!

その後、小兎の進行で、指輪の交換と結婚誓約書へのサインを済ませた二人。

小兎「さあ、これで後戻りはできませんよ! お二人ともよろしいですね!」

幽助・螢子「わははは! もう突き進むしかないんで、がんばります!」

小兎「それでは、続きまして、主賓のご挨拶です。まずは、新郎元上司、霊界長官、コエンマさんより」

コエンマ「幽助くん、螢子さん、結婚おめでとう。二人が中学生だった頃から見てきたワシとしては、新郎新婦ご両親の前でおこがましいことですが、親のような気持ちで、感慨深いものがあります。まずはめでたい、と一言言わせてくれ」

コエンマ「これだけ魔界・人間界・宇宙から参列者がいる中、新郎主賓の挨拶がワシでいいのかと、先日幽助に確認したところ、『オレの上司っていやぁ、コエンマだけじゃねェか。まぁ、霊界探偵はクビになっちまったし、色々迷惑かけまくった部下だったけどよ』と言ってくれてな。嬉しいこと言ってくれるなと感動する半面、迷惑をかけた自覚があったことに驚いておる」

ワハハハ!

コエンマ「幽助はな、バカだなぁと思うことも多々あるが、ここぞという時の爆発力には目を見張るものがあるし、どんどん仲間が増えていく不思議な人望があり、その仲間を大切にする裏表のない性格をしておる。そういういいところがたくさんある。まあ、それを一番よくわかっているのは螢子さんなんだろうな。そんな二人はきっと幸せで楽しい家庭を築くことだろう。幽助くん、螢子さん、改めて結婚おめでとう。末永く、幸せにな」

ワー! パチパチ!

小兎「それでは続いて、新婦上司、●●小学校校長××さんよりお言葉を頂きます」

校長「ゆ、幽助くん、螢子さん、おめでとうございます。わ、わたくしは……」←来賓のレベルにか

なり緊張している様子。

螢子(校長、なんかゴメン……)

小兎「続いて、祝電のご紹介をさせて頂きます。まずは、ドグラ星新王朝、王・王妃両陛下より。えー、幽助さん、螢子さん、この度は……ナンタラカンタラ」

その後、ケーキ入刀、ファーストバイトで幽助が特大のケーキを食べさせられたり、幽助と螢子キャンドルサービスに回ったり。

小兎「さて、未婚女性の皆様、お待たせいたしました! お待ちかね、新婦によるブーケトスのお時間です! 申し訳ないのですが、私も参加します。真剣に是非ブーケをゲットしたいので。司会は一旦、孤光さんにバトンタッチいたします」

孤光「こんにちは。初代魔界大統領夫人の孤高です。よろしくお願いします。さあさあ、螢子さん、スタンバイしてください。女の子達も集まって~! 」

螢子の友人、ぼたん、小兎、瑠架、樹里、立花先生(螢子と友人になった)、温子などなど集まってくる。

幽助「お袋も参加するのかよ。なんだよ、その格好」

温子「私はシングルだもの。問題ないでしょ」ニヤリ ←黒留袖なのに手には野球のグローブをはめている。

静流「雪菜ちゃんも行っておいで」

雪菜「静流さんはいいんですか?」

静流「わたしは結婚とか興味ないから」

孤光「みんな、場所取りは大丈夫? いいのね?」

カルトの三人「いつでもOK!」

ぼたん「ドキドキするねぇ」

孤光「それでは、螢子さん、お願いしま~す」

螢子「はい! 行きますよ! よいしょっと!」

後ろを向いた螢子がブーケを勢いよく投げる。温子の方へ飛ぶブーケ。

温子「キタコレ!」

しかし、温子のグローブがブーケを弾き、ブーケは大きく方向転換。端っこに立っていた雪菜が丁度落下地点に。雪菜ブーケを掴む。

孤光「雪菜さんが見事キャッチ! おめでとうございます!」

樹里「あーん。残念」

瑠架「まあ、男は自力で落とすのが楽しいからね」

ぼたん「よかったね、雪菜ちゃん」

雪菜「わ、わたしでよかったんでしょうか」

螢子「幸せのおすそわけだもの、いいに決まってるわ。次は雪菜ちゃんの番ね」

雪菜「螢子さん……! わ、わたしは」(赤くなっている)

蔵馬「ふふふ。桑原くん、ここは男を見せた方がいいんじゃないですか」

静流「ほら行け。弟」

ドンと弟の背中を蹴る静流。前方へ押し出される桑原。

桑原「痛ぁ! おっとっと!」

幽助「なんだぁ、桑原? そっか。雪菜ちゃんにいよいよプロポーズか!」

桑原「い、い、いや。そんな……!」

幽助「ほらほら。雪菜ちゃんだって、待ってんじゃねェか」

雪菜「そ、そんな。わたしは///」

桑原「雪菜さん……///」
桑原「キリッ」←何かを決心したらしい
桑原「オ、オレは、今はしがない貧乏研究者で、とても雪菜さんに大きなこと言えないんス。でも、一年以内に、主任研究員になります! そうしたら、正式に雪菜さんに、結婚を申し込むつもりなんです。それまで待ってくれますか!」

雪菜「和真さん……!」

桑原「雪菜さん……!」
桑原「って、痛ッ!」

飛影が背後から桑原にぶつかってきた(というか蹴り飛ばした)。

桑原「なんだよ、オメーは、この大事なときに!」

飛影「ふん。貴様が通路上にいて邪魔だからだろう」

桑原「だからってよぉ!」

雪菜「おめでたい席ですから、楽しく過ごしましょうよ、和真さん、飛影さん」アセ

桑原「雪菜さんがそう言うなら」

飛影「……ふん」

雪菜「和真さん、さっきの言葉、本当に嬉しかったです。わたしのこと受け入れてくれる人がいるって、こんなに幸せなことだったんですね。もし、わたしが結婚したら、魔界にいるはずの『兄』もきっと喜んでくれると思うんです。そう思いませんか、飛影さん?」

飛影「……ふん。そうなんじゃないのか」イライラ

雪菜「ふふふ」

桑原「?」

飛影、躯のいる席に戻ってくる。

躯「兄貴ってのも大変なんだな」ニヤリ

飛影「……黙ってろ」(寝たふり)

諸々あり、結婚式は閉幕へ。

小兎「ご列席の皆様、本日は新郎新婦のためにお集まりいただき、ありがとうございました。それでは、二人の旅立ちをみんなで見送りしましょう」


会場から外へ出る幽助と螢子。
来場者によるライスシャワーで見送る。
と、その時、上空に、大きな影が過ぎる。

幽助「! プーか!」

螢子「プーちゃん!」

会場まで飛んできたプーが空からたくさんの花びらを播く。

色とりどりの花と、きらきら光るライスシャワーが舞う中で、幸せそうに笑う二人。
それを嬉しそうに見つめる来場者たち。

ぼたん「よーし! 式場の人に写真を撮ってもらうよー! 1足す1はー!?」
みんな「にー!」

カシャッ!

【END】

以上です。
読んでいただいてありがとうございました。
このスレは一旦おしまいにします。

アイデアと機会があれば戻ってきますので。それではまた!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月15日 (火) 10:31:08   ID: 7pfA0Hw_

とても良くできてるし、クロスオーバーの違和感も感じさせることなくて凄くいい話だった
評価がなかったのはジャンルに人気がないからか…驚き

2 :  SS好きの774さん   2015年12月20日 (日) 22:38:50   ID: NwsOcHAZ

素晴らしい、先に雪菜がけっこんしてるssもあったのでそれも利用しちゃえばよかったかも(流石にアカンか)
特にカラレンと力押さえた修羅では

3 :  SS好きの774さん   2015年12月20日 (日) 22:44:08   ID: NwsOcHAZ

素晴らしい設定なので修羅の反抗期原因とかカラレンとの悪友友情話とかも中学生ならではの話も行けると思う。三十路前後の受けは悪いかもだがレベルEはアニメとしては新しいのでまた書いてほしいわ、サキ王女の報復とかもあり得ない話ではないのもすごい

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