ウー ウー ウー……
『規定時刻となりました。全ユニットは速やかに労働を終え、メンテナンスを受けなさい。繰り返します。規定時間となりました……』
ロボ子「う~ん……」
博士「なんじゃロボ子、ここにいたのかい」
ロボ子「あ、博士。今日はね、紙飛行機が作れたんだよ」
博士「そうか……なら、ここから飛ばしてみてご覧」
ロボ子「うん」
フワッ……
博士「……何か見えたか?」
ロボ子「……真っ白でなんにも見えないよ。みんな、みんな、真っ白なんだもの」
真
っ
白
心
か
博士「さぁ、規定時間じゃ。お前も戻ってきなさい」
ロボ子「うん。あ、でもその前にね、本を読んで欲しいの。この前の本」
博士「またか? あの本を読むのはもう20回目じゃろう」
ロボ子「読みたいの! 読んで読んで!」
博士「仕方ないな……読んだら、メンテじゃぞ」
ロボ子「はぁい」
イヴの時間スレかな?
心
か
博士「『あぁ、なんて美しい平和な世界なんでしょう!』――こうして彼女は素晴らしい世界にたどり着き、幸せに暮らしましたとさ。おしまい」パタン
ロボ子「よかったね! 幸せになって!」
博士「さぁ……本当に幸せだったのか、ワシらにはわからんがな」
ロボ子「ふーん。ねぇねぇ」
博士「なんじゃ」
ロボ子「博士は、この『セカイ』の外の世界から来たって言ってたよね?」
博士「……」
ロボ子「それってどんな世界だったの? いつか、ボクもそこに行けるのかなぁ?」
博士「……さぁ、どうじゃろうな」ヨッコイショ
博士「……この『セカイ』には、何があると思う?」
ロボ子「?……ロボット、とか、おっきな建物とか?」
博士「――真っ白な景色。表情のない人々。永遠に変わることのない、定められた時間」
ロボ子「??」
博士「……この『セカイ』の外へ行ってみたいか? ロボ子」
ロボ子「……」
ロボA「ほい」ボールポーン
ロボ子「はい」キャッチ
ロボ子「ほい」ボールポーン
ロボA「はい」キャッチ
ロボ子「ねぇ、この『セカイ』ってどうしてつくられたの?」
ロボA「ア? それって、そういうことだい」
ロボ子「だから。この『セカイ』は、誰が、どんな理由で作ったのかってこと」
ロボA「お前、システムイカレてんのかい? そんなこと最初からインプットされてンだろ?」
ロボ子「そりゃそうだけど……」
ロボA「『カミサマ』がそう決めてこの世界を作ったんだよ。――『ココロ』のない、平和な世界だってね」
ロボ子「……『ココロ』?」
いいよー
大型ロボ「――その通り」ガション
ロボ子「!」
大型ロボ「『ココロ』は、我々の敵なのだよ」
ロボA「敵? どうして?」
大型ロボ「『ココロ』は、我々を争いへと導く。『ココロ』は憎しみを生み、死を生む。ゆえにカミサマは、『ココロ』の存在を許さなかったのだよ」
ロボ子「……」
大型ロボ「いいかい? 我々は、カミサマに選ばれた存在だ。カミサマが我々の為に、『ココロ』を消し去ってくれたのだ」
ロボ子「でも、それじゃあ――」
大型ロボ「……わかったね?」
ロボ子「……」
ロボA「はーい」
………………
バチバチバチバチバチバチッ……!
ロボ子「――ねぇ博士」
博士「なんじゃ。メンテ中は静かにしなさい」
ロボ子「あのね、聞きたいことがあるの」
博士「……なんじゃ」
ロボ子「『ココロ』ってなぁに?」
博士「……。……ロボ子は、なんだと思う?」カチャカチャ
ロボ子「え? うーん……『ココロ』は、みんなの敵だって、そう言われたんだけど……」
博士「……」
ロボ子「あ、もしかして怖ーいロボットなの? でっかくて、みんな壊しちゃうような……」
博士「コホン……いや……そういうものではないな」
心
か
私の胸は痛んだ。
存在しないはずの心臓が締め付けられた。
涙を流す機能がったらきっと泣いていたことだろう。
博士「ココロ』というのは……人間、という存在だけが持っていた。特別な力のことじゃ」
ロボ子「? ニンゲンって?」
博士「――少し、昔話をしてあげよう。この『セカイ』が作られるよりも前……それは人間が支配していた世界だったんじゃよ」
博士「人間たちは……高い知能を持っていた。いや、それだけでなく、感情と呼ばれる特別な能力を持っていたのじゃ」
ロボ子「感情……」
博士「そう。彼らは、一人一人の力はロボットより弱かった。しかし、怒りや、悲しみ、喜び……そうした感情をエネルギーにする力を持っていたのじゃ」
ロボ子「よくわからないけど、すごいんだね!」
博士「……じゃが、その力は時に、あまりにも強大になりすぎた。人間たちは、自分たちの感情の力を思い通りにコントロールすることができなくなったんじゃ」
ロボ子「……」
博士「いつしか人間たちは、感情の力を悪い方向へ使うようになってしまった。彼らはいつまでもその力に抗えず、自分の為にその力を使い、互いを傷つけあい、争いを続けたのじゃ。いつまでも、いつまでも……いつまでも」
博士「……気がつけば、人間は自らの手で、すべてを失った。そこにはもう、『ココロ』は残っていなかったんじゃよ」
ロボ子「ふーん……でも、なんだか、変なの」
博士「……なぜだい?」
ロボ子「『ココロ』のせいでニンゲンは滅んじゃったんでしょ? じゃあ、どうしてニンゲンは最後まで『ココロ』を捨てなかったの?」
博士「……」
ロボ子「……?」
博士「……この続きはまた今度じゃ。今日はもう休みなさい、電源を落とすぞ」
ロボ子「……」
………………
『――データラボでは、武装ユニットを解除してください。データ損傷の恐れがあるため……』
ロボ子「よい、しょっと」ドサッ
ロボA「なァ、こんなに古い記録データ集めて何するんだ? 896号」
ロボ子「その呼び方やめてってば……ニンゲンのこと、調べるんだよ」ピピピ……
ロボA「呼び方も何も、お前はユニット896号だろ。って、ニンゲンってなんだ?」
ロボ子「『ココロ』を持っていたヒトたちなんだって。もう誰もいなくなったらしいけど」
ロボA「『ココロ』を? でも、じゃあそれって悪いヤツなんだろ?」
大型ロボ「……?」ギチッ
ロボ子「でも、ニンゲンは『ココロ』のおかげで、笑ったり悲しんだりできたんだよ? それってすごくないかな?」
ロボA「??? 896号が何を言ってるのかさっぱりわからん。ワラウ? ってなんだ?」
ロボ子「だからさぁ……うーんと、555号は、ボクと一緒に遊んでるときに、何か楽しいって感じたりしない?」
ロボA「楽しい……ねぇ。まぁ、システムはイイ感じに動いてる感じはするゼ」
ロボ子「そうそう。ニンゲンは、そういう気持ちをもっといっぱい知ってたんだよ!」
ロボA「気持ち、ねぇ。896号はボクより難しい回路してんだナ」
ロボ子「だから、ボクはロボ子だってば……そういえば、博士にこの名前をもらった時も、なんだかうれしかったなぁ。そんな感じなのかな? 『ココロ』って」
ロボA「……名前?」
大型ロボ「――君たちは何を話しているんだい?」ヌッ
ロボ子「!!」
大型ロボ「『ココロ』は我々の敵だと言ったろう。何を考えている?」
ロボ子「でっでも……みんなにも『ココロ』があればもしかしたらもっといろんなものが見え――ふにゃっ!?」ガッ
大型ロボ「このデータはなんだ? …………ニンゲン、だと?」
ロボ子「か、返してよ! それはボクが今調べてるところで――」
大型ロボ「……!」ピー
大型ロボ「――認識不能の残留データ反応。『ココロ』の存在と思われる。コレは危険だ」ギョンッ
ロボ子「な、なにするの?」
大型ロボ「『シンペイ』権限により、データの破棄を確定する」ジャッ
ジュオオォォォォッ!!
ロボ子「ッ!?」
ロボA「オォ……!?」
――シュウゥゥゥゥゥ……
大型ロボ「……これでもう大丈夫……『ココロ』は消え去った」ボロ……
ロボ子「……!」ダッ
試演
『心』じゃよ!!
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/´ `\
/ / l l .
__l l_.[] _____/_/__
ヾ_ノ
|
|
|__ コ・・・・
_____\ コロ・・・・
()__)」
俺は涙を流さない
………………
ジジジジジッ……
博士「ふぅ……ん、なんじゃロボ子。もう帰っとったんか」
ロボ子「うん……」グスン
博士「……? なにかあったのか?」
ロボ子「……ニンゲンのデータ、大型ロボのヒトに壊されちゃった」
博士「!!……そうか、彼らが……」
ロボ子「なにか悪いことだったのかな……? ニンゲンのこと知りたかっただけなのに」
博士「……『シンペイ』は、この『セカイ』を守るために作られた大型ロボットなんじゃ。『ココロ』を消し去るのが彼らの仕事なんじゃよ」
ロボ子「でも……」
博士「……こっちへきなさい。今日は早めにメンテを終わらせてしまおう」
そうかそうか、つまり心はそういう所にあったんだな。
ロボ子「どうして、『ココロ』を持ってちゃいけないのかなぁ? カミサマは、そうしてこんな真っ白な『セカイ』を作ったの?」
博士「…………カミサマも、『ココロ』の力を怖れてしまったからじゃよ」
ロボ子「カミサマが? なんで?」
博士「『ココロ』を持った人間がすべてを壊してしまった……だから、同じ過ちを繰り返さないよう、カミサマは『ココロ』を怖れるロボットたちを作ったのじゃ」
ロボ子「『ココロ』を怖れる……」
博士「ゆえに、ロボットたちはみな『ココロ』を持たないし、『ココロ』を知らない。だからこの『セカイ』には『ココロ』がないんじゃよ……」
ロボ子「――本当にそうなのかなぁ?」
博士「!!」
ロボ子「だってね、ボクは博士のことが大好きなんだよ! 頑張ってボクを作ってくれて、名前までくれたし!」
博士「ロボ子……」
ロボ子「ボク、博士と一緒にいるとすごくあったかい気持ちになるんだよ。これって、『ココロ』じゃないのかなぁ?」
博士「……かも、しれないな」ナデナデ
ロボ子「えへへ……」
博士「さぁ、今日はもう休みなさい。人間のデータは、また今度見せてあげよう」
ロボ子「うん! 約束だからね!」タタタ……
博士「……――」
――ご命令を……『カミサマ』――
ロボ子「(なんだかあったかい気持ちだなぁ……誰かに伝えたいような、変な感じ)」
ロボ子「そうだ、この気持ちを、絵にしてみよう! そしたら555号も、きっと『ココロ』のことわかってくれるよね!」
ロボ子「ふふふっ……」カキカキ
………………
ロボ子「博士! ボク、絵を描いたんだよ! ほら、博士とボクと、555号だよ!」
博士「……! そうか……よくやったな、ロボ子」ナデナデ
ロボ子「へへ……これ、555号にもみせてくるね!」タタタ……
博士「ああ……気を付けてな」
博士「……」
博士「……あぁ。そうだ。まだ、すべてをあきらめるのは、早いのだな。ロボ子……」
ロボ子「どこかなあ、555号……」キョロキョロ
大型ロボ「――――」
ロボA「――、――」
ロボ子「あ、あそこだ! ねぇ、555号――」
大型ロボ「――!」グオッ ブンッ
ロボ子「!!」
バギャアァッ――!!
ロボA「ァガ……ギ……ッ――」ベキベキ
大型ロボ「……『故障』ユニット555号の廃棄が完了。廃棄工場へ――」
ロボ子「あ……あぁっ……!!」ドッ
大型ロボ「……? ユニット896号か。もう大丈夫だ。下がっていなさい」
ロボ子「――なに、なんで!? なんでこんなことしたの!? ひどいよっ!!」
大型ロボ「そのユニット555号は、『名前』を欲したからだ」
ロボ子「えっ……!?」
――ねぇ、シンペイさん。どうしてボクたちには『名前』がないの?――
大型ロボ「我々に『名前』など必要ない……そんなものは、むしろ障害だ! 我々の『セカイ』の秩序(システム)を乱すものに他ならない」
ロボ子「そんな……そんなことでっ……!」
大型ロボ「そのユニット555号は、『ココロ』を持つ危険があった。カミサマは決して『ココロ』を許さない」
ロボ子「……!」
大型ロボ「“平和”のためなのだよ……」ガション……
ロボA「――――」
ロボ子「……そんなの……おかしいよ」
大型ロボ「……?」
ロボ子「どうして!? 大型ロボさんは――シンペイさんは何にも思わないの!?」
大型ロボ「何を――」
ロボ子「カミサマはボクたちのためにこの『セカイ』を作ったのに――なんでボクたちがそのために、“死ななきゃ”いけないのさ!?」
ロボットたち『――!』ギシ…… ガショ……
大型ロボ「……」
大型ロボ「『死』だと?」ギョンッ
ロボ子「……ッ!」
………………
ロボアジールの連中は独自の通貨をもってて賭博するしイカサマも編み出すんだぜ
ガガガガ……バチバチバチ
博士「(よし……これで終わりだ……!)」
――ピピーピピー!!
博士「!!」
『警告、ユニット896号に重大な破損が発生。危険な状態です。繰り返します――』
ドシャッ ギギギ……!!
ロボ子「ぐっ……が、ァ……ッ!!」
大型ロボ「この『セカイ』に『死』の概念などない!! そんなものは『ココロ』が作りだすウソなのだ!!」
ロボ子「ぐ……だ、だったら……どうしてッ……! そんなに『ココロ』を、怖がるのさ……ッ!?」ミシィッ……!
大型ロボ「カミサマがそう望んだからだ!! 我々は『ココロ』を持ってはならない! ゆえに名前など必要ないのだッ!!」
――ボゥッ
大型ロボはきっとモノアイ
ドゴアァァアァンッ!!
大型ロボ「ゴッ――!!」ドガシャアアァァン……!
博士「……大丈夫か? ロボ子。すまんな、ジェットエンジンを用意するのに手間取った」シュウゥゥ……
ロボ子「は、博士……!?」
大型ロボ「……」ゴゴゴ……
博士「……」
大型ロボ「……何をなさるのです。――カミサマ」
ロボ子「……え? えっ? カミサマ、って……え?」
博士「……」
大型ロボ「そのユニットは『ココロ』を持っている可能性があります。危険です。カミサマ!!」
博士「ロボ子、つかまるんじゃ」ボッ
ロボ子「へ? わっ!?」
ドンッ!! ゴオオォォォォ……
大型ロボ「……」ブチンッ
大型ロボ「――全『シンペイ』二告グ。緊急コード発令。目標、ユニット896号ノ破壊ヲ優先セヨ!!」
大型ロボA『――!』
大型ロボB『――!』
大型ロボC『――!』
大型ロボD『――!』
大型ロボE『――!』
大型ロボF『――!』
大型ロボG『――!』
大型ロボH『――!』
ドドドドドドドドドドドドドド!!!
…………………
ガコォン……!
博士「はぁ、ハァ……」
ロボ子「博士、大丈夫――ぇ、な、なに? これ……?」
博士「……これは、単独で大気圏突破可能なロケットじゃ。さぁ、早く、これに乗るんじゃ……!」グイッ
ロボ子「ちょ……まって、待ってよ博士!」
博士「……ッ」
ロボ子「『カミサマ』って、博士のことなの!? いったいどういうことなのさ!?」
博士「………………とく、聞きなさいロボ子」
博士「ワシが作ったのじゃ……この『セカイ』は……」
ロボ子「……え……?」
博士「ワシは……人間なのじゃ。お前たちロボットとは違う、人間として生まれた存在なのだ」
………数十年前………
――戦争
――欲望
――善悪
――信愛
――心。
博士「(……人間、か)」
大型ロボ「――博士。『シンペイ』10000体の増産が完了したようです。ご命令を……」
博士「……もう……私にはわからない」
大型ロボ「……?」
博士「家族も、妻も、子も。大切なものはすべて奪われた。人間たちの……心によって、だ。もう、すべてが真っ白だ……」
大型ロボ「……」
博士「こんな世界になんの意味がある……? 人間という……心になんの意味があるというのだ……?」
これは期待
大型ロボ「……私には。『ココロ』がありません……ゆえに、博士のお苦しみは私にはわかりません」
博士「……」
大型ロボ「しかし逆に言えば――博士は、『ココロ』を持つがゆえに苦しんでおられる。ならばいっそ……『ココロ』の存在しない世界を作ってはいかがでしょう……?」
博士「心の……人間のいない世界を……?」
大型ロボ「アナタは我々を生んでくださった……いわば創造主。全能の……カミサマであるハズ」
博士「……私……は……」
――『ココロ』のない、真っ白なセカイであれば、ヒトの苦しみも……すべてが消え去りましょう――
………………
博士「――だが、ロボ子。お前が見てきたように、新しい『カミサマ』が作ったものは……虚しさ、ただそれだけじゃった」
ロボ子「……そんな……」
博士「しかし……ワシはやはり人間だった。この『セカイ』のどこかに心を求め、多くのロボットたちを生み出しては、欺瞞で自らを生かしてきた」
博士「ワシは、ワシ自らの手で世界を滅ぼし、また新たな世界を作ったのだ。そこに心を求めて……おこがましくも、本物の神になろうともがいていた」
ロボ子「ッ……」
博士「だが……“本物の神様”はッ……まだワシを……この世界を見捨てはしなかった。わかるか、ロボ子」
ロボ子「ボクが……?」
博士「お前は――自ら心を持って生まれてきた。お前に名前を与えた時の笑顔を見たとき、ワシはようやく人間の心を取り戻せたのじゃ。この真っ白な、ワシの作った虚しい『セカイ』の最後の希望がお前なのじゃよ。ロボ子」
ロボ子「でも、ボクは、博士には何も……!」
博士「ワシは……お前を守らねばならん。ロボ子、ワシは自分の償いをせねば……最後の『心』を守らねばならんのだ!」
――ガンッ ガンッ!! ミシッ――
大型ロボ「――!!」バギャア!!
ロボ子「!!」
博士「!! 行きなさい!!」
ロボ子「う、うん!! ――でも博士は!? 博士もくるの!? ねぇ!!」
博士「……」
ピーッ ガコォン……!
ロボ子「えっ」
大型ロボ「ロケットヲ止メロ!!」グワッ
ロボ子「きゃあっ!?」
バゴォッ!!
大型ロボ「!?」グラァ……
博士「ハァ、ハァ……!」シュウゥ……!
ビィーッ ビィーッ
『――エンジンリミッター解除。格納庫ロック解除――』
大型ロボ「――!」ドドドドド!!
博士「ッ!!」
続けたまえ
ゴォォォオン……
ウォーン ウォーン……!
『システムチェックグリーン――』
ロボ子「待ってよっ!! あけてよ博士! おいてかないで博士ッ! やだ! やだぁっ!!」
『――エンジン点火』
ドドドドドオオオオォォォォオォ――!!
大型ロボJ「――――!」
大型ロボW「――! ――!」
ゴオオオオォォォォォ!!!
ロボ子「―――! ――ッ!! ――」
博士「――ッ――」
ドドオオオォォォォッ……――
博士…
オオオォォォ――
博士「ハァ……ハァ……」ガクッ
大型ロボ「……」
博士「……」
大型ロボ「……カミサマ、いや博士!! 我々は、アナタの望む世界を守ってきた!! アナタの為に『ココロ』のない“平和”を実現し続けてきたッ!!」
大型ロボ「なのに――なぜっ!! なぜ我々が、このような仕打ちを受けねばならないッ!!?」
博士「……」スッ
大型ロボ「なぜです!!!!」
博士「……シンペイ」
カチッ
ゴッ――――ー!!!
大型ロボI「――ッ!!」
大型ロボK「――!?」
博士はなんかに乗ってるんだよな
ゴゥッ――――
シンペイ「……博士。私ハ」ガガッ
博士「……」
シンペイ「私ハ、アナタニ――ラッテ、欲シカッ――ガガガッ
――あぁ……苦労をかけたな……――
ゴオオオオォォォォオオオオッ――――!!!
こころが無いといいつつ滅茶苦茶憤ってますやん
オオオォォォ……
――ロケット内
ロボ子「(……『セカイ』が……なくなっていく……)」
ロボ子「……ヒック……博士……はかせっ……」
ピーッ ガガガッ……
『――ロボ子』
ロボ子「!!」
『ガガ……これを聴いているということは、おそらくワシはもう生きておらんじゃろう。そして……あの『セカイ』も』
ロボ子「博士ッ……!」
『こんな形で別れてしまうことを許してくれ。ワシのせいで……お前には辛い運命を背負わせてしまったな……』
『――だが覚えていてくれロボ子。お前に心がある限り……決してお前は一人ではないんじゃ』
『お前が出会ってきたすべての世界……それはすべて、お前の心の中に残り続ける』
『心は、とても強い力じゃ。心が世界を生み出し――心が世界を壊してしまう……じゃが、それでも心を捨ててはいかん』
ロボ子「……!」
『ワシの心の中にロボ子がいるように……お前の心の中にも、ワシはいつでもいるのだから』
ロボ子「博士……」
――……さぁ、私の愛する子よ。心と共にある世界へ向かいなさい。それが――我々、人間の生きる道なのだ――
.
…………………
???「――こうして、そのロボットは最後の希望と共に新たな世界を見つけ出し、そこで幸せに暮らしましたとさ。おしまい」
ロボ1「わー。それで、そのロボ子は幸せになったの?」
???「さぁ……少なくとも、新しい世界で『ココロ』をもったヒトたちに出会えたことを喜んでいるんじゃないかな」
ロボ2「結局、『ココロ』ってなんだったの? そのシンペイは『ココロ』を持ってたんじゃないの?」
???「どうかなぁ。それこそ、本物の神様にしか、わからないのかもね」
ロボ3「でもカミサマ。カミサマは神様なんでしょ? わからないの?」
???「ボクは神様じゃないよ。ただ……ボクは、自分で作ったロボットたちのことを大切に思ってる。心っていうのは、こいう気持ちを持つってことなんだと思うな」
ロボ4「カミサマはボクらより難しい回路してんだなァ」
???「はぁ……だから、その呼び方はやめてってば。ほら、みんな家族のロボットたちが呼んでるよ」
ロボたち『はあーい』タタタ……
支援
トテトテトテ
???「(……結局、ボクも博士と同じ、自分で心を求めて世界を作ってる。カミサマなんて呼ばれちゃって、まるでおんなじだよね)」
???「(……博士。それでもボクらは、ボクら自身に心があるって信じてるよ)」
『規定時刻となりました。全ユニットは速やかに労働を終え、メンテナンスを受けなさい。繰り返します。規定時間となりました……』
大型ロボ「……カミサマ、もう規定時間です。お帰りにならないのですか」
???「ううん。もう少し、この『セカイ』を見てるよ。だって、綺麗だと思わない?」
大型ロボ「綺麗、ですか? ……確かに、美しい空ですね」
???「……へへへ」
大型ロボ「なにか?」
???「ううん。ただ、ボクが作るより前の『セカイ』で作られていたシンペイさんたちは、みんなそんなこと言わなかったから」
大型ロボ「それはもったいない。世界は、こんなにも心に満ち溢れているというのに」
???「そうだね。だっていまボクが見ている景色は……真っ白なんかじゃない。シンペイさんの中にも『ココロ』があるんだから」
ロボ子「そうだよね? 博士」
おわり
お付き合いアリガトウゴザイマシタ。
実はこれ漫画のネタを文章にしてみたものなんですが、最後のエピローグは突発的に付け加えたものなんです。オチ的にどうだったでしょうか。
おつ
好きだけどありきたりかも
乙
ありがちっちゃありがちだが嫌いじゃなかった
>>59
ありきたりだけど面白いようなものを目指して書いていたので、その通りです。
もっとこうしてほしかった、みたいな感想とかありますかね
むしろ、静寂の調和の世界の方を見てみたかった
伊藤計画みたいな
博士がココロが生まれる余地があるものとしてロボットを作ってるから
残された世界においてすらそれが生まれる可能性はなく
ココロを持ちながら押しつぶしていくディストピアしかないんだけど
率直な感想をいっただけなので異見を求められると正直困るけど
この手の話ってたいてい武力行使の末に一からやり直しっていうパターンが多いから
現行の世界がロボ子をきっかけにちょっとずつ変わっていくみたいな展開はどうだろうか
まあそれも出尽くした展開なんだろうけど
≫62
一応可能な限りスッキリしたカタルシスは欲しいんだが、それがどういう形になるのかすげぇなやんでるんだよな
≫63
出し尽くした上で、セカイ崩壊という道になりました。漫画の方では絵による演習が多いから、感じ方に若干のズレはあるとおもうんだけどね
飽きた
このSSまとめへのコメント
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