弟「もう一度聞きますけど、姉さん達は本気で自分の子供に煮物なんて名前を……？」

姉「ええ。まーくん、どうしたの？ 私のネーミングセンスずれてるかな？」

弟「……いや、ネーミングどころかコモンセンスまでずれまくってます」

弟「そういうへんてこりんな名前は一般にDQNネームとかキラキラネームって呼ばれているんですよ？」

夫「横文字だらけで格好いいじゃないか」

弟「よくないです。そういった名前の子はイジメの対象になりやすいんですから」

姉「それは嫌ね。うーん……お気に入りだったのに」

夫「この調子だとお蔵入りになってしまうね」

姉・夫「HAHAHA！」

弟「こいつら……」

弟「新しく名前を考え直すべきだと僕は思います」

姉「まぁ、そうね。某掲示板みたいに名無しにするわけにもいかないし」

夫「ふーむ。代替案か……。しかし煮物を越えるインパクトなんて他にあるかね？」

弟「インパクト重視かよ」

弟「あの……一応聞いておきますけど、二人はどうして煮物なんて名前を子供につけようと思ったんですか？」

弟「理由次第では、それを基に新しい名前を考える参考にもなりますし……」

姉「理由。理由ねぇ……」

夫「結構深い意味があるんだよ。確か」

姉「どうだったかしら……」

夫「あの日のことを思い出してみよう。二人で子供の名前をあれこれ考えたあの日のことを」

姉「そうね……。たしかあの日は……夕食が煮物だったわね」

夫「なるほど……」

姉「…………」

夫「…………」

姉・夫「それだ！！」

弟「それだ、じゃねーよ！」

弟「どのへんが深い理由なんですか！」

夫「すまない。深いのは味の方だったようだ」

姉・夫「HAHAHA！」

弟「その笑い方やめてください。腹立つ」

夫「まぁ、そうかっかしないでくれ。君のツッコミは少々荒い。お腹の赤ちゃんに障る」

弟「あ……。すみません、姉さん」

姉「いいのよ、まーくん。寧ろ貴方には私達の間違いをガンガンつっこんで正していってもらいたいの」

夫「ふむ。それもそうだ。私達のネーミングセンスが皆無である以上、まーくんに頼らざるをえないな」

弟「……そうですね。生まれてくる子供のためにも、僕が責任もって二人を正しい方向へ導きます」

弟「基本は姉さん達で名前を考えてください。僕はそれにアドバイスをしていきますんで」

夫「よろしく頼むぞ、まーくん」

弟「ところで、赤ちゃんの性別は……？」

姉「女の子よ」

弟「女の子に煮物って……。いや男は別にいいってわけじゃないけど……」

夫「みーちゃん。やっぱり女の子なんだし、もっとキュートな名前の方が喜ばれるんじゃないかな」

姉「そうねぇ……」

夫「なおかつ食欲をそそるような名前がベストだよね」

弟「そそらんでいいわ。大体なんで子供の名前に食べ物を絡める必要があるんですか」

姉「食べちゃいたいくらい可愛いって表現、あるでしょ？」

弟「あぁ、はい。まさか、それで？」

姉「ええ。たとえ超絶不細工が生まれてきても、食べちゃいたくなる名前にしておけば可愛く思えるかなって」

弟「……ブラックすぎるわ」