【安価・コンマ】目が覚めるとそこは… (137)

このスレについて:主人公は突然見知らぬ場所で目を覚まします。彼あるいは彼女は今後どうしていくのでしょうか?
目的等は今後の安価で決めていきます。

世界観について:こちらも今後の安価で決めていきます。特に制限はなく、ファンタジーでもSFでも、異世界でも現実世界でも、それらのごちゃ混ぜでも大丈夫です。

注意事項:安価の際、アニメや漫画のキャラクター、実在の人物を登場させたりするのはなしでお願いします。
連取りは基本的には無しでいきます。

ではとりあえず主人公を決めます。↓2まででコンマの値が高い方を採用します。名前、年齢、性別、性格、見た目をお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1691752872

不動 矜持(ふどう きょうじ)
17歳

寡黙 天然
黒髪 基本無愛想 目付き鋭くて少し怖い感じ

光ケ丘 明 (ひかりがおか めい)
15

社交的 あざとい 唯我独尊
清楚な見た目の美少女

では主人公は不動くんで決定です。


「ん……」

かすかな胸の痛みとともに目が覚める。ぼやける視界を、数回瞬きしてよく見えるようにすると、左手を胸に添えながら上体を起こす。

「ここは…?」

辺りを見渡すが全く見覚えのない光景が広がっている。ここはどうやら──

↓1
不動が目覚めた場所とは?

ぼっとん便所の底

学校(見た目は現代と同じ)

「うっ……!」

意識が鮮明になるにつれて、吐き気を催すほどの臭いに囲まれていることに気づいた。暗くてよく分からないが、明らかに排泄物の臭いだ。服の袖で鼻を覆いながら、ゆっくりと立ち上がる。

酷い臭いにむせ返りながら、自分がなぜこんなところに居るのかを思い返してみる。

↓1心当たりが…
1 ある(その内容もお願いします)
2 ない

1
不審者の怪しげな取り引き現場を見た
追われて無我夢中で逃げた

「そうだ、あいつらに……」

段々何があったのか思い出してきた。友人との待ち合わせに遅れていた俺は少しでも早く行こうと、裏道を通っていこうとしたんだった。だけどその途中で妙な連中を見たんだ…。

黒ずくめのあいつらは互いに何かを手渡していた。それが何なのかつい気になって物陰から身を乗り出したとき、音を立ててしまって見つかったんだ。

するとあいつらが一斉にこっちを振り返って、慌てて逃げる俺を追いかけてきた。

それで…そうだ!なんとかあいつらをやり過ごそうと近くにあった廃屋のトイレに逃げ込んだと同時に、床が抜けて…。

「ってことは、ここは…便所の底、か…」

そのことを意識すると、ただでさえ臭かった臭いがさらに強烈になってきた。

取引の内容や自分を追いかけてきた奴らの正体も気になるけど、まずは…

「ここからでないとな…」

あらためて辺りを見渡すと、上方から微かな光が射し込んでいる。
あそこからなら出られそうだが、周りが暗いせいで登れるかもわからない。とはいえ他に道があるようにも思えないが…。

「さて…」

↓1 この後どうする?
1 なんとか登ってみる
2 もう少しあたりを調べる
3 助けを呼んでみる
4 その他(自由安価)

2

1

とりあえず、辺りを調べてみよう。もしかしたら何か登るのに使えるものが見つかるかもしれない。

↓3まで 周りには何がある?
コンマの値が奇数なら発見成功

ハシゴ

ライター

手袋

上からの微かな光を頼りに、壁沿いを一周して見つけることができたのは──

「手袋、か」

見つけたのが1つだけだったのはがっかりだけど、この手袋、悪くない。結構しっかりした作業用の手袋みたいで、これなら壁を登るのも多少は楽になるだろう。

これ以上ここに居たら、嗅覚が二度と働かなくなりそうだ。さっさとここから出よう。

光が差している方に近づいて上を見上げる。

「結構高いな…」

一人でも登れそうだけど、もし近くに誰かいたらより手っ取り早く上がれるかもな。…けどさっきのあいつらが近くに居るかも。見つかったら…まあ、いいことは起こらないよな。

「どうしようか…」

↓1
1 ひとまず自力で登ってみる
2 誰かを呼んでみる

1

とりあえず、一人で登ってみよう。もし周りに追手がいたら大変だしな。それにこれくらいの壁なら──

「登れる自信は…」

↓1コンマ 不動の身体能力
01~05 壊滅的
06~30 人並み以下
31~70 普通
71~95 人並み以上
96~00 プロスポーツ選手並み

てい

「──どちらかといえば、ない、けど。登るしかないか…」

自分は取り立てて運動神経が悪いわけでもなければ良い訳でもない。つまり、人並みだ。

辺りは暗い上に、壁が排泄物らしき何かで滑りやすくなってることも考えると、人並みの運動神経だと少し頼りないが、頑張るしかない。

手袋をしっかりと嵌めて、両手をすり合わせる。

「よし、行くか…!」

↓1コンマ 手袋により判定の際+10
01~60 失敗
61~00 成功

どうかな

ちょっと風呂入るので中断します

一旦乙

手と足をゆっくりと壁の窪みにかける。

「まずは…よし」

姿勢が安定したら、次に手や足をかけられそうな場所を探し移動していく。暗い上に滑りやすいから無謀かもと思ったが、さっき見つけた手袋のお陰でかなり滑りにくくなっている。

この調子なら問題なく上まで行けそうだと思っていた。だが、壁の中腹に達したあたりから腕と足に明らかに疲労が蓄積し始めた。

「っ…!」

四肢が微かに震え始めてきた。早く登らないと、そう思った俺はペースを上げて上を目指す。

「よ、よし…」

もうあと一息、そう思って手を伸ばす。疲労のせいだったのか、それとも油断したからなのかは分からない。ただ足が滑ったあと、下まで落ちるのは一瞬だった。

「──ぐっ!!」

背中から地面に落下し、肺から空気が抜ける音が聞こえる。

痛みに顔を歪めながら数分間、その場でうずくまった。

「……はぁ、はぁ」

次第に痛みが引いてきた。幸い骨折やヒビはなさそうだ。落下の衝撃で顔についた排泄物を拭うと、再び出口を見上げる。

今のは何とか無事で済んだが、次落ちたときは危ういかもしれない。となると、大人しく人を呼んでみるべきだろうか?だが、そちらの選択肢にもリスクはある…。

…そもそも何で俺がこんな目に遭わないといけないんだ?ほんの少しの出来心でこんな目に…。

「…はぁ」

↓1
1 もう一度チャレンジする(判定難化)
2 助けを呼んでみる

2
携帯持ってないのだろうか?

ではついでなので持ち物の判定もします。

このレスが奇数なら携帯を所持している。
↓2まで持ち物
コンマの値が奇数なら所持

魔法の杖

携帯があると世界観が現代よりになるな

タオル

携帯はあって魔法の杖もある
なんだこの世界は…

ハリーポッターだって機械も魔法もあるからへーきへーき

それじゃあさらに追加判定します。

↓1 この世界での魔法の扱いは?
1 万人がその存在を知っている
2 限られた人物のみ知っている
3 その他(自由安価)

2

1

出口を見上げながら、強く打ち付けた腰の辺りをさすっていると、あることに気がついた。

「もしかしてこれ…」

そう、携帯だ。これがあれば安全に助けを呼べるじゃないか。

「何だって落ちてから気がつくんだよ、俺は…」

肩を落としつつ、他になにか持っていないかポケットを探る。

「後は確か…」

携帯の次にポケットから出てきたのは折りたたみ式の小さな杖だ。

↓1 不動は魔法の事を知っている?
1 知っている(その理由もお願いします)
2 知らない

これも一緒にやっとけばよかった…

↓1 不動は何故魔法の杖を持っているのか

不審者達との追い付き追い越せな逃走劇のデッドヒートのごたごたでたまたま魔法の杖がポッケに入った

実は魔法使いな幼馴染兼恋人に、護身と癒しの魔法を込めた上で、御守りの名目で渡されてた

「あれ…後は何も持ってなかったと思うんだが、何だこの杖みたいなのは?」

見たこともない杖に違和感を覚えるが、今は正直どうでもいい。そんなことより携帯を使って助けを呼ぼう。

「だが…誰を呼ぶ?」

↓1 助けを呼ぶ相手

警察

「やっぱり警察だよな…」

そう呟きながら警察に電話をかける。

『警察です、事件ですか、事故ですか?』

「えーと…事件というか、事故というか?」

『…もう少し詳しくお願いします』

「は、はい。実は──」

↓1 警察に何て言う?
1 すべて話す
2 怪しい取引の事は伏せる
3 自由安価

2

「友人と肝だめしをしていたら、廃屋の床が抜けて出れなくなって…」

『……分かりました。すぐに警察官をそちらに向かわせます』

「あ、ありがとうございます」

すると電話は切れた。

相手の警察官、明らかに呆れた感じだったな…。でも、あの怪しい取引のことを言っても信じてもらえるかわからないし、それに本当に不法行為かも分からないし…。

それからしばらく待っていると、上から声が聞こえてきた。

「誰かいますかー?」

「おい、こっちじゃないか?」

男性と若い女性の声が次第に近づいてくる。

「うわっ、すごい臭いですね…」

「ああ。どうやらぼっとん便所の床が抜けたみたいだな。おーい、誰かいるか!」

男性の警察官が声をあげながら、懐中電灯でこちらを照らす。

両手を大きく振ると、警察官が顔をしかめた。

「わかったから、手を振らないでくれ。臭いがコッチに来る」

「…はい」

すると男性の警察官は持ってきたロープを近くの頑丈な柱に括り付けて下まで降りてきた。その間に婦警の方は本部と連絡を取っているようだ。

「おい、若いの。はしゃぐのは良いが、人様に迷惑はかけないようにしろよ?」

鼻を摘みながら男の警察官が嗜めてくる。

その後、警察官に助けられて何とか上に脱出する事ができた。上がってきた俺の様子を見て婦警が相棒に耳打ちする。

「ホントに肝だめしですか?友達は近くにいないし、すごい目つきも悪いですよ?非行少年とかじゃ無いですよね?」

「そうだなぁ…」

男の警察官は腕を組みながらこっちを見てくる。

「おい、友達は何処にいる?」

「あー…たぶんびっくりしてどっかに行ったんだと思う」

「ふーん…。念のために聞くが、何も変わったことはなかったんだな?」

「…はい」

「そうか…」

↓1
01~15 警察官の様子が…?
16~ それ以上追求されなかった


今日はここまで。

乙です


初手で災難な主人公だな

乙です

主人公なかなか不憫……強く生きて

警察官は鋭い目つきのままこちらを見る。

「……」

思わずつばを飲み込む。

「そうだな…」

警察官が口を開く。

「ま、いいだろう」

思わず胸をなでおろす。すると男性の背後にいた婦警が彼に詰め寄る。

「本当に良いんですか!?ちょっと怪しいですよ?」

「いや。この坊主はただのヤンチャなガキだよ、俺の経験から言ってな」

「良いように言ってますけど、それって勘ってことですよね?」

「さてな。そんなことより…そのヒドい格好をなんとかしないとな。署までくればシャワーがあるが、来るか?」

「えーと…」

↓1
1 シャワーを借りる
2 シャワーを借りない

1

「お願い……します」

「なら、行くか」

そう言って俺をパトカーに連れて行こうとする警察官を婦警が慌てて止める。

「ちょ、ちょっと!乗せていくのはこの際良いんですけど、せめて少しは汚れを落としてからにしてくださいよ!」

「ああ~?」

「車内の掃除をするのは私なんですからね!」

そう言うと彼女は力強く、水の入ったペットボトルを差し出してきた。

「ほら!」

ペットボトルを受け取ると、蓋を開けて頭から水を被る。

今更だが、ずっと糞に塗れてたなんて…。二度とこんな目にはあいたくないな…。

そうして多少は汚れを落とすと、パトカーの後部座席に座る。婦警は助手席に座り、運転はあの男の警察官が担当するようだ。

車が走り出すと、婦警がルームミラー越しにこちらをしきりに確認してきたのが見えた。男性の方はともかくとして、婦警の方は俺のことを大分怪しんでるみたいだな…。悪いことはしてないとはいえ、パトカーに乗った上にそんなに疑われると、こっちも緊張してくるな…。

そうしてパトカーは道なりに走り続ける。

↓3まで 警察署に着くまでに何が起きた?(コンマの値が奇数ならイベント発生)

連絡がつかないことで心配していた幼馴染兼恋人から、矜持の携帯電話に着信

さっきの不審者達がまだこの辺をうろついているところが窓越しに見えた

携帯弄ってたら突然すべての電波が遮断された

それでは幼馴染兼恋人のキャラを決めます。内容としては、名前、年齢、性格、見た目、魔法を知ってるか否かでお願いします。
↓1

名前 椎名 愛理沙(しいな ありさ)
年齢 17歳
性別 女
性格 温厚、元気、理知的、矜持を全面的に信頼してる
見た目 黒髪ロング、結構胸が大きい 基本笑顔で親しみやすい
魔法 知っている

すいません、>>55さんが居たら、椎名が何故魔法を知ってるかの理由もお願いします。今日の分が終わって次回始めるまでに書き込みがなかったら安価で決めます。


しばらくパトカーに揺られていると、突然携帯に電話がかかってきた。この番号は…椎名だ!

そうだった…!色々ありすぎて忘れてたけど待ち合わせてたんだ!理由は確か…

↓1 二人が待ち合わせていた理由とは?

椎名から大事な話があると言われたから

椎名が魔法を知っている理由ですが、
代々密かに魔法を用いて身近な人達を守ったり、ご近所のちょっとした問題を解決してきた家系の末裔だから、でお願いします

安価なら下

「大事な話…」

椎名はそう言ってた。

……まさか、振られたりしないよな?心当たりなんて……無いが。というか、大事な話なのに遅刻なんて最悪だ……。

そんな事を考えている間にも着信は鳴り続ける。

「出ないの?」

助手席から婦警が尋ねてくる。

「…いえ」

意を決した俺は電話に出る。

「不動くん、大丈夫!?」

開口一番、椎名は不安そうな声で慌てながらそう言った。

「…ごめん」

「ごめんって、何が?」

「遅刻して…」

「遅刻したこと自体はどうでもいいの。ただ、不動くんが遅れてくるなんてよっぽどのことがあったのかと思って、心配で…!」

椎名の声が微かに震えていることに気づく。

「俺は…大丈夫。ちょっと色々あって汚れたから、シャワーを浴びるよ。少し時間がかかるかもしれないから、今日は──」

俺がすべてを言い終える前に椎名が口を開いた。

「いや、待ってるね。でも、ゆっくりでいいからね?」

「…ありがとう、できるだけ急ぐよ。所で大事な話っていうのは…?」

「それは…会って話そ?」

「…うん。それじゃ」

そうして電話を切ると深いため息をつく。

「彼女さん?」

婦警が少し楽しそうな口調で聞いてくる。

「…はい」

「へぇ~、いいわね!青春って感じで!」

「何言ってる、お前もまだまだ若いだろうが」

男の警察官がぶっきらぼうに口を挟む。

「いやー、まあそうですけど。でも、彼、たぶん学生でしょ?社会の荒波に揉まれた私からするともう眩しくて眩しくて」

「ま、確かに毎日酔っぱらいの介抱ばっかじゃな」

相棒の警察官は笑いながらそう吐き捨てた。

「とにかく、彼女さんに会うなら尚の事、署でキレイにしていかないとね!」

「…ですね」

確かに大事な話だっていうのに、こんな姿じゃな…。

そんな事を考えながら窓越しに流れる景色を見ていると、見覚えのある人影が写った。

「嘘だろ…」

あれはさっきの怪しい取引をしてた奴ら!しかもさっきより数が増えてる気が…。

その時不審者達の一人がパトカーの方に視線を向けてきた。

↓1 コンマの値が奇数なら目が合った

「っ…!」

慌てて窓から顔を離し、こちらが見えないように屈む。暫くしてから身体を起こし、背後を振り返って窓ガラス越しに様子をうかがう。

「……」

どうやら向こうはこっちに気づかなかったみたいだ。

「何かあったか?」

ルームミラーを通して、男性警察官の視線が突き刺さる。

「…いえ、少し、体を動かしたかっただけです」

「…そうか」

それにしてもあの連中、まだ諦めてなかったのか?何を取引してたかさえも見えてなかったっていうのに、どうして…?

そんな事を考えているうちに、警察署に着いたようだ。二人に案内されるまま警察署の中に入ると、他の警察官に遠巻きに見守られながらシャワールームまで案内された。

幸いなことに男性警察官がタオルやらシャンプーやら諸々を貸してくれたため、あの強烈な臭いは取れた。…少なくとも自分で感じる分には。

シャワーを浴びて身支度を終えると、再びあの二人が話しかけてきた。

「それじゃあ、この後は真っ直ぐ彼女さんのとこに向かってあげてね」

「…はい」

「もう廃屋に入るのはやめとけ。次は本当に危ないかもしれないからな」

俺はその言葉を聞いて頷くと、二人に向かってお辞儀をする。顔を上げて警察署から出ていこうとしたとき、男性警察官に呼び止められた。

「おい。一応、名前と電話番号だけ、ここに」

そう言って警察官はメモ帳とペンを手渡してきた。

ここで断ると流石に怪しまれるか?それに名前と番号だけなら、大丈夫…だよな。

「何で今更こんな事聞くんですか?」

婦警が相棒に小声で尋ねる。

「…ま、念のためにな」

警察官はメモ帳を俺から受け取ると、警察署から追い出すような仕草で手を振った。

「それじゃあ…お世話になりました」

そうして警察署の出口の方へと向かう。

↓1
01~45 周りの様子が…?
46~ 特に何もなし

不動が警察署からでてわずか数分後。

婦警とその相棒は書類の整理を行っていた。

「はぁ~、私も彼氏とかほしいですよ」

「はっ、お前の彼氏なんてよっぽど胆力がないと駄目だろうな?」

「それ、どういう意味ですか?」

ジト目で睨みつけてくる相棒の視線をかわしながら、警察官はふと入口の方に目をやった。

「ん…?」

見慣れない人物が四、五人、入口の辺りにいる。……いや、見慣れないどころじゃ無い、明らかな不審人物だ。フードを深く被り、顔を隠している。

「おい、あれ…」

警察官は彼らに向かって指を差す。相棒はその方向に目線をやるが、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。

「どうしたんですか?」

「お前、アイツらが見えてないのか…?」

「…?」

様子がおかしい。相棒だけじゃない、周りの同僚もまるで彼らが見えていないかのようだ。

その時、奴らの中の一人と目が合った。途端に、心臓が鷲掴みされたような痛みが胸を襲う。

「っ…!?」

奴が音もなくこちらに近づき、懐から杖を取り出す。そして杖を振り上げたその瞬間──

「待て、殺す必要はない」

「じゃ、どうする?」

「…記憶を"隠して"おけば十分だろう」

「わかったよ」

そして杖が振り下ろされた瞬間、警察官は意識を失った。

「結局、ここには居ないみたいだ」

「…魔法で居場所を探れば?」

「リスクが高い。…が、それもやむ無しか。はてさてどうしたものか…」

「いずれにせよ、どんな手段であれ目撃者は居ないようにしておかないとな」

「とりあえず、ここを出るとしよう」



今日はここまで。


警察に嘘言ったとき「肝試し」と言ったってことは今は夜かな?
不審者に夜中でも顔見られちゃってるかな?

乙です

思った以上に物騒な状況
善性な魔法使いの彼女がいるから、なんとかなるのかな
主人公も魔法使いになったりするんだろうか

警察署を出て、歩くこと十数分。ようやく待ち合わせの場所についた。海岸近くの遊歩道で、海面には空で輝く星の光が揺らめいて反射している。ここは俺と椎名が幼い頃からよく一緒に散歩してきた思い出の場所だ。

暫く遊歩道を進むと、手すりにもたれかかって海面を眺める椎名がいた。

「椎名、遅れてごめん」

彼女はこっちを振り向くと、笑顔で駆け寄ってきて俺の手を握った。

「大丈夫?本当に怪我とかない?不動くんって口には出さないタイプだから…」

すると椎名は少し顔をしかめて俺の周囲をうかがう。

「…何か少し臭わない?なんの臭いだろう?」

「…きっと、海鳥とか潮の臭いが混ざったやつじゃないか?」

「…ちょっと違うような。ま、いいか」

よかった、臭いのもとが俺って事には気づいてないみたいだ。そんなことより話の内容を聞かないと。

「それで、大事な話って?」

「うん。その──」

↓1 話の内容とは?

実は非合法な組織に入ってる
初めは良いことをしてるつもりだったけど段々やり方に疑問を覚えてどうすれば良いか相談に乗って欲しい

「前に話してたNPO、覚えてる?」

「ああ、確か──」

珍しい生き物を保護する団体だとか言ってたな。どんな生き物なのかは詳しく聞いても教えてもらえなかったんだが。
ある日、街で困ってる人を助けたときに意気投合して教えてもらったとか言ってたが…。

「──ってやつだよな。それがどうしたんだ?」

「サイトとか広報もしっかりしてるし大丈夫そうだって、私言ったでしょ?」

「ああ」

「けど、何回か活動に参加していくうちに段々と自信が持てなくなっていったの」

「…っていうと?」

「生き物の確保までは私も立ち会ったんだけど…一番肝心な、実際に保護している現場はまだ見たことがないんだ。向こうの人はどの生き物も貴重で、繊細だから限られた人にだけ飼育を任せたいの一点張りで…」

「うーん…」

賢い椎名が言うんだ、冗談なんかじゃないのは分かるが…けど、向こうの言い分の理屈は通ってる。

「それに、怪しい人も何人か見たことあるの」

「怪しいって、どう?」

「それは…」

椎名は困ったような顔で、何かを言いかけたがそれを呑み込むように言葉を止めてしまった。それにしても怪しい、か。…ただの偶然だよな。

「とにかく、普通の雰囲気じゃないの。…何ていうか私も、この違和感をどう伝えたら良いのか分からない。ただ、不動くんはどう思うか聞いてみたくて。私はどうすべきなのかなって」

「そ、そんなこと…」

↓1 椎名に何と伝える?

不安なら辞めたら?
学業が疎かになってるとかちょっと負担が大きいとか理由つけて

「そんなに不安になるなら、辞めれば良いんじゃないか?別に罰則とかは無いんだろ?勉学に専念したいとか、それらしいことを言えば向こうも納得するさ」

俺の目を真っ直ぐ見つめていた彼女は力強く頷くと笑顔を見せた。

「わかった!不動くんがそう言うなら、私、そうするよ!」

「ああ。でも、別れ話とかじゃなくて安心したよ」

俺の言葉を聞くと、少し間を開けてから椎名が大笑いした。

「えへへっ、そんな事考えてたの?私が不動くんと別れたがるわけ無いでしょ?」

そう言うと真横にいた彼女は、俺の肩にもたれかかる。

「あ…ああ。だよな」

そう面と向かって断言されると少し照れるが、改めてそう言ってくれると安心するな。今日は散々な一日だったが、最後の最後に良いことがあった。

「さて、と。明日も学校だしそろそろ帰ろっか?」

「…だな」

俺は椎名が差し出した右手を握ると、彼女とともに家路についたのだった。

そんな二人の様子を陰から伺っていた者が数名。

「ほう…。あの二人付き合っているのか」

「街灯の下にいたおかげで顔もしっかり見えた。確かに取引を盗み見してた奴だ。折角見つけたんだ、殺せばよかったろ?」

「いや、ここだと人目も多い。だが二人の仲を利用すれば、我々の領域で人知れず始末できる」

「ま、アンタがそう言うならそれでいいが」

するといくつかの影は文字通り、闇の中へと吸い込まれて消えていった。



昨日の出来事から一夜明けて、俺と椎名はいつも通り学校に来ていた。彼女によれば、数日後にNPOの活動があるから、その時に脱退を申し出るそうだ。

今になってみると、昨日の怪しい取引も幻だったのかもしれないとも思う。朝の登校のときも少しは警戒していたが、追手らしい連中も見つからなかった。これでいつも通りの日常に戻るな。

↓3 椎名がNPOに脱退を伝えに行くまでにあった出来事(コンマの値が奇数ならイベント発生)

椎名が行方不明に

例の不審者の事を調べているらしい、探偵だと名乗る女性が不動に声をかけてきた

魔法の杖が不動の魔翌力に反応した

おお、全部奇数だ

「↓3」であって「↓3まで」じゃないのか

すいません、↓3までの間違いなので全部採用です。


あの夜の出来事から数日が経った。そしていよいよ今日は椎名がNPOに脱退を伝えに行く日だ。本当は付いていこうとしたんだが、そこまでしなくていいと断られたんだよな。けど、やっぱり少し不安だな…。

そんな事を考えながら家に向かっていると、後ろから女性が声をかけてきた。

↓1声をかけてきた女性のキャラ決め
いつも通り名前、年齢、性格、見た目、魔法を知っているか否か(知っているならその理由も)をお願いします


それと少し中断します。多分再開しますが、しないときはまた連絡します。

暮林 芳野(くればやし よしの)
22
人当たりが良く頼れるお姉さん的な
スタイルが良くて露出少し多めでかっこいいギャル的な
魔法を知っている(なぜならその不審者達の仲間だから)

「ちょっと、そこの青年!」

周りには誰もいないし、自分のことだろうか?そう思って振り返ると、そこには若い女性がいた。年はわからないが、少なくとも自分よりは年上に見える。

へそが見えるくらい丈の短いタンクトップにジップアップパーカー、そして短パン。そんな格好をしてあるだけあってスタイルはかなりいい。

「…なんですか?」

「わわ、そんな怖い顔で睨むなよ~」

「…すいません、生まれつきです」

「ありゃ、ごめんごめん」

「それで、何のようですか?」

「アタシはね、探偵をやってる暮林芳野っていうの」

「探偵…ですか」

「そうそう!それで、ちょっとこの辺りの人に聞き込みをしてるんだけど、協力してくれる?」

「…まぁ」

「あんがと!じゃあ早速なんだけど、最近この辺りで怪しい集団とか見なかった?」

怪しい集団?心当たりなら…大有りだ。あのときの取引をしてた連中。あれこそまさにそうじゃないか。

「心当たりがあるんだね?」

黙ってる俺に暮林さんが聞いてくる。

「わかる!わかるよ!いきなり話しかけてきたお姉さん、怪しくて信用出来ないよね?」

いや…そうじゃなくて、なんて言おうか考えてるだけなんだが。

「なら、これでちょっとは信用してくれるかな?」

そう言うと暮林さんは懐から名刺を取り出した。そこには確かに暮林さんの名前と所属している探偵事務所の名前が書かれていた。

「さらに、もう一つオマケしてあげるね。本当は探偵の守秘義務ってのがあるんだけど、トクベツね?」

そう言って暮林さんはウインクする。

「実はその怪しい連中、何でも人身売買をしてるんだとか」

人身…売買?なら俺が見た連中とは違う?だってあの場にはそんな売り買いされたような人間は見当たらなかった。…けど、こんな大事なら一応暮林さんに伝えておくか。

「そいつ等か分かりませんけど、怪しい連中なら東通りの裏路地で見ましたよ」

俺の言葉を聞いて暮林さんが微笑む。

「本当!?いや~、情報ありがとね。……ん、どうしたの、そのポケット?」

暮林さんは俺のズボンの右ポケットを指さした。それにつられて視線をやると、ポケットの口から白い光が微かに溢れている。

中に手を突っ込んでチラ見すると、光っているのは……杖だ!あの夜、知らない間にポケットに入っていたあの杖!結局どうすればいいか分からなくて放置したままだったんだ。

「…それ、どうしたの?」

心なしか暮林さんの目つきが鋭くなっているように思える。

↓1
1 杖を見せる
2 嘘をつく
3 自由安価で

2

「…携帯のライトが誤作動したみたいです」

杖の光を必死に手で覆い隠しながら答える。

その時どうして嘘をついたのか俺にも分からない。多分、自分のものじゃないっていう引け目が心のどこかにあったのかもしれない。

「…ふーん。ま、いいや!それじゃ、君も気をつけてね。周りの子にもそれとなく注意してあげて。だって…」

暮林さんは俺の近くによって耳打ちしようとする。彼女からは甘い匂いがしたが、次の一言でそんな意識は霧散した。

「大事な人が、急にいなくなるなんて嫌でしょ?」

い、居なくなるって、そんなこと…。

俺が動揺から回復する前に、暮林さんはヒラヒラと手を振りながらその場から立ち去った。

「…そんな馬鹿なこと」

そう呟きながらも視線は自然と下を向く。そこで、杖の方に意識が向いた。ポケットから取り出すと、杖は光を失い至って普通の状態に戻っていた。

「何だったんだ、今の…」

すると今度は本当に携帯が光った。椎名の母親からの着信だ。

「はい」

『ああ、不動くん。突然で悪いんだけど、うちの愛理沙は一緒に居る?』

「…居ませんけど、まだ帰ってないんですか?」

『そうなの。まあ、滅多なことはないと思うんだけど念のためにね。何処かに行くって聞いてたりする?』

「それなら、NPOの所に…」

『ああ、そうだったの。じゃあちょっと遅れてるだけかしらね。それじゃ、ありがとうね~』

そう言って椎名の母親は電話を切った。

「…」

確かに椎名はNPOに今日行く予定だ。…でも、それにしたって遅くないか?もう日が暮れ始めてる。ただ脱退するだけでこんな時間が…

その時、暮林さんの言葉が脳内で木霊する。

『人身売買……大事な人……居なくなる』

そんな…まさか…!ありえない、ありえないとは思うけど…。

最悪の事態が脳裏をよぎる。念の為だ、NPOの所に行って椎名がいるか確かめよう。幸い、場所なら椎名に聞いてたし。

そう考えた俺は、自然と駆け足で椎名が居るはずのNPOのもとへと向かっていた。


今日はここまで。

乙乙

来ないな

椎名に聞いたNPOの建物がある場所まで来ると、そこにはこぢんまりとした雑居ビルがあった。彼女の話ではこのビルの一階に事務所があるらしい。扉を開けて中に入ると受付の係が居た。

「すいません、こちらに椎名という女子生徒が来ていませんか?」

「ああ、椎名さんですね。それならこちらに居ますよ」

なんだ、俺の勘違いだったみたいだな。

そんなことを考えながら受付の後をついて廊下を進み、突き当りの部屋に入る。

中に入ると目に飛び込んできたのは、両手足を縛られ猿轡を噛まされた椎名の姿だった。

「っ!?」

思わず彼女のもとに駆け寄ろうとするが、背後にいた受付に腕を掴まれて阻まれた。

よく見るとこの部屋には他にも数人居る。そして彼らは…以前目撃した不審者たちと同じ格好をしている。そしてその中には暮林さんの姿もあった。

口を真一文字に閉じながら暮林さんの方を見ると、彼女はさっき会ったときと同じように笑った。

「は~い、不動くん」

俺は騙されたのか?大体、どういう状況なんだよ、これ!?

「暮…林さん。どういうことですか……あなたも人身売買組織の一味ってことですか?そもそも何で椎名を…!」

頭の中で駆け巡る思考とは違って、言葉は思うように出てこない。

「フフフ、両方ともハズレ!まずアタシらが扱ってんのは人じゃなくて魔法生物。ま、それ以外も取り扱うけど」

ま、魔法生物?なんだそれ?

「そして次に、アタシらの狙いは君、不動くんだよ。そこの女の子は君をおびき寄せるためのエサ」

お、俺?じゃ、椎名は俺のせいで巻き込まれたってことか?

「何で俺を…」

「そりゃ、アタシらの取引を見られたからに決まってんじゃん?にしても君も運が悪いね。あの日はちょっと特別な取引だったんだ~。だから記憶を奪うだけじゃなくて、ちゃんと息の根を止めないとね」

↓1 不審者達は何を取引していた?


申し訳ありませんが、今日はこれだけです。今後も間が空いたりすることが多々あると思いますが、よろしくお願いします。

魔法生物の細胞を取り込んだ魔法の杖
体積や質量をある程度無視して色んな武器に変形する


エタらないように祈る


頑張って

「…何も見てません」

「その言葉が本当でも嘘でも、もう関係ないかな~。だって私達の顔を見たでしょ?それにあの特別な杖──」

「もういい」

部屋の奥の方に居た人物が刃のように冷たい声を出す。それを聞くと暮林さんはすぐに黙った。

「少年、ここで消えてもらう。そこの少女にもな」

言葉を聞いて、視界の端々が暗くなる。あの人物は本気だ。死と、椎名を失う事への恐怖で心臓が締め付けられ、呼吸が意図せず早くなる。

ここで…死ぬ?俺も、椎名も?そんなの…そんなこと…!

恐怖が消えたわけではない。だが同時に何故こんな理不尽な目に遭わされるのかという怒りと、椎名を守りたい思いが強くなる。

その思いが強くなるにつれて、視界の端から眩い光が溢れてきた。俺は半ば無意識に例の杖を片手に握りしめていた。

「それは…一つ足りないと思ったら君が…!」

「…なおさら生かしてはおけない」

すると周りに居た不審者達が一斉に杖を取り出して、俺に向かって突きつける。

杖を握りしめる力が強くなっていくにつれて、放たれる光もその輝きを増していく。

↓1 不動の魔力量は?
01~30 少ない
31~70 普通
71~ 多い

ピキーン

「奴を止めろ!」

不審者達の一人が大声で叫ぶのと同時に、不動を狙っている杖の先が様々な色で光りはじめる。

だが、それよりも先に不動が持つ杖から光が拡散し、部屋の中を包み込む。その光は彼自身の目をもくらませた。

次第に光が薄れていき、不動は急いで目を開ける。だが視界に飛び込んできた状況は先程と殆ど変わっていなかった。

「…ただの一般人のはずの君と杖が共鳴し始めるから、何事かと思えば、ただアタシ達の目を眩ませただけじゃん」

暮林は小馬鹿にするようにそう言うと、笑いながら不動の杖を指差す。彼が手に持っていたはずの杖がいつの間にかランプに変化している。

「そんな…!」

この危うい状況を脱することができなかったことに対し、不動はただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。だが、彼が気づいていない変化がもう一つだけあった。

殆どの者が気づかぬ間に、椎名は縄と猿轡から逃れていたのだ。言葉をつぶやくのと同時に、一本の杖が飛来するようにして彼女の手に収まる。

「くそっ、少女を──!」

不審者の一人が言い終える前に椎名の姿が消えたかと思うと、次の瞬間には不動の横に現れていた。

「不動くん!」

彼女はそう叫ぶと、不動に向かって手を差し伸べた。何がなんだか分からなかったが、本能的に不動は彼女の手を握る。

不審者達の杖から二人に向かって光弾やら炎やらが飛んでいくが、既の所で二人の姿は忽然と消え去った。

不動と椎名の二人は、気づいたときには椎名の自宅、その二階にある彼女の部屋の中に居た。激しく頭を揺さぶられたような感覚におそわれた不動は、そのまま意識を失った。

「…うん…ここは…?」

目を覚ますと同時に、不動は額に暖かい感覚を覚える。そしてすぐ目の前に椎名の顔が飛び込んできた。

「大丈夫!?」

膝枕をしながら、椎名は不動の顔を両手で包み込む。

「う、うん。…そうだ、あいつらは!?」

「それなら安心して…暫くは…大丈夫、だから」

そこで不動はようやく、椎名の顔色が少し悪いことに気がついた。

「椎名こそ大丈夫か!?」

「大丈夫だよ。…ただ、転移魔法はちょっと消費が…」

魔法。その言葉を聞いて、不動は再び今までの出来事を思い出す。

「………椎名、落ち着いてからでいい。ただ、どういうことかちゃんと説明してくれないか?」

「…うん」

そうして椎名からの話を聞くこと十数分、不動は多くのことを知った。それも俄かには信じがたい事柄を。

つまりは、この世には常人には知られざる魔法が存在しており、椎名は魔法使いの家系であること。そして彼女が所属していたNPOも魔法遣いにより組織されており、魔法生物の保護──少なくとも表向きは──を目的としていたことを。

「……今でも夢みたいだけど、本当なんだな」

杖を眺めながら不動が呟く。今まで椎名に秘密にされていたことや、本当に命が危うかったこと、世界の裏側をのぞきこんだこと、それらの全てが渾然一体となり不動の思考回路はぐちゃぐちゃに乱されている。


「ふぅ、とりあえず………分かった。でも、一つ気になるんだけど、椎名はどうやって拘束を?」

「あれ?不動くんがやったんじゃ…?光で見えなかったけど、あの時に突然自由になって…たぶん刃物か何かで切ってくれたんだと思うんだけど」

「…そもそも、俺は魔法使いじゃ無いだろ?何で杖が…」

その疑問に対し、椎名は納得のいく答えを思い浮かべられなかった。

「……不動くん。あの人たちの事もあるし、今後の為にも相談したい人が居るんだけど、いいかな?」

「もちろんいいけど…誰なんだ?」

「それは──」

↓1 相談相手とは?
個人でもいいですし、何らかの組織でも構いません。どちらにせよ簡単な絶命だけお願いします。

神父さんがいる教会

↓1 神父さんの設定について
1 モブキャラ
2 ネームドキャラ(こっちにする場合は、例の如く名前、年齢、性格、見た目、魔法との関わりについてお願いします。その他付け足したいことがあればご自由にどうぞ)

1

「私の叔父さんが近くの教会で神父さんをしてるんだけど、魔法使いで、研究者でもあるんだ。だから叔父さんに聞いたら色々教えてくれるよ!」

「よし…なら、行こう」

そうして二人は、自宅に居た椎名の母親を下手な言い訳で煙に巻きながら、教会へと向かった。

「──っていう事があったんだ」

「なるほど…」

神父は逞しい顎髭を撫でながら、不動の杖を観察する。

「恐らく、この杖はシェイプシフターの組織を利用したモノだな。この魔法生物は他の生き物の魔力を吸い取り、それを使って対象物の姿に形を変えるという生き物だ。今や世界に数体しか居ない貴重な生き物だと言うのに、嘆かわしい…」

「そうなんだ…」

「ああ。とにかく、シェイプシフターの組織を利用していることによって、この杖にもその特性が引き継がれているようだな。つまり、魔力を吸収し、その形状を自在に変えられる」

「…それは分かりましたけど、俺は魔法使いじゃありません。なのにどうして杖と魔法が使えたんですか?」

「ふむ…」

神父は杖から不動へと視線を移した。

「前提として、どんな生物にも魔力は宿っている。問題はそれを自らの力として利用できるかできないか、だ。そして君は当然、使えないはずの人間だ。そのうえ…魔力量もそう多くはない。だが…おそらく、いや、あるいは…」

神父は二人の存在を忘れたかのように数分の間呟くと、急に顔を上げた。

「これはあくまで推論だが、その杖が魔力を吸収し、それを君に与えているのだろう。詳しい解説は省くが、これは理論的にも証明可能で、魔力量の問題はひとまずは説明できる。だが、次は理論…では説明できない。つまり、何故魔法を使えないはずの君がそれを使えるのかということだ」

神父はグラスに入った水を飲み干してから話を続ける。

「シェイプシフターに話題は戻るが、彼らは非常に知性が高く、人とある一定の関係を築くことがある。時には知恵を授けたり、な。それと同様にその杖に利用されたシェイプシフターの組織と君との間に何らかの絆が出来ているのではないだろうか?」

「…ですが、俺には身に覚えがありません」

「まぁ、彼らの思考回路は人間とは異なるし、私達の物差しでは測れないということだろう。ランプに形を変えた、というのも、愛理沙を守りたいという君の意図を汲み取っての事だろう」

その言葉を聞いて、椎名があることに気づいた。

「もしかしたら、私の拘束が解けたのも、杖があの一瞬の間に刃物とかに形を変えて、助けてくれた、とか?」

「その可能性は大いにあるな。まあ、これで杖と君に関する謎についてある程度は説明できたのではないか?」

「だね!」

「…もう一つ聞いてもいいですか?」

「構わないとも」

「魔法、ですけど、俺ならどれくらい使えますか?」

そう話す不動は、どこか期待に満ちた眼差しをしている。というのも不動は魔法に憧れる子供心をまだ幾らか持ち合わせているからだ。

「そうだな、さっきも言ったが君の魔力量は少ないから、あまり大規模なことはできないだろう。使える魔法も基礎的なものがせいぜいだ」

その言葉を聞いて不動は僅かに肩を落とした。

「…だが、その杖を使い続けていくうちにシェイプシフターとの絆が深まり、できることが増える、という可能性は考えられる」

「本当ですか!?」

「あくまで可能性、だがな」

「良かったね!」

そう言いながら椎名は、目を輝かせる不動を微笑ましく見つめている。

「さて、他に何か聞きたいことはあるかな?」

↓3まで 
聞きたいことをどうぞ。なければ無しで構いません。


今日はここまで。

顔も名前も、おそらく住所などの個人情報も知られてる自分達はこれからどうすれば良いのか

その杖を使いこなすための修行方法とかはあるのか

普通の杖はこの杖とは何が違うのか

シェイプシフターを元に戻してあげられないか

お久しぶりです。生存報告も兼ねての連絡ですが、次回の更新は明後日の夜を予定しています。

お久しぶり
ずっとこのペースだとエタらないか心配だ

はいよー

>>99
見てくれる人がいる限りは続けていきたいと思います。
更新頻度も、一回の量は短くてもなんとか増やしていければなとは思ってます。


「シェイプシフターとの絆を強めると言ってましたが、それには何か特別な方法が必要なんですか?」

「…正直、分からないな。今の状態のシェイプシフターに意識があるのかどうかも定かではない。唯一言えることとしたら、月並みなことではあるが丁寧に使ってやることくらいか」

神父の言葉を聞くと不動は黙って頷いた。

「叔父さん、この杖は形を変えられるって言ってたけど、何か他に特別こととかはないの?」

「特性といえば、先程挙げたものくらいだな。あとは、その特性を活かして他の杖とは違う使い方ができるかもしれん。例えば相手の魔法をリスクなく防ぐ、とかな」

その言い方に不動は少し引っかかった。一方で椎名は神父が何を言わんとしているか分かったようだ。

「どういうことですか?」

「そうだな、君には1から説明しよう。通常、放たれた魔法を防ぐには2つの手段が存する。1つは魔力の障壁で防ぐことだ。この場合、基本的にはどの魔法にも幅広く対応できるが、自分の魔力よりも放たれた魔力のほうが高い場合は防ぐことはできない。また、魔力を消費するため同様に体力も消耗する」

「それじゃあ、もう一つは何ですか?」

「2つ目はよりシンプルだ、盾などの道具で物理的に防ぐ。こちらは体力や魔力の消費は無いが、魔法の性質そのものは防げない。例えば炎の魔法を放たれれば、自分の身は守れるが、盾そのものは熱されてしまい、そのうちガタがくる」

「なるほど。じゃあ、俺の杖でならリスクなく魔法を防げるというのは?」

「その杖はさっきも言ったが、形の変化と魔力の吸収という特徴を持っている。であれば盾の形状にし魔法を受ければ、魔力が吸収されるため魔法は無力化され、盾で自分の身も安全に守れるだろう」

「本当ですか!?それって…かなり強くないですか…?」

「ああ。過去の魔法使いには盾に自らの魔力を纏わせ、同様の事例を再現しようとした例もある」

神父はそこで言葉を止めると、しばし思案した。

「もっともあくまで推論に過ぎないがな。懸念点はいくつもある。生体細胞を使用していることによるイレギュラー、実際に運用するにあたってどこまでの魔法なら耐えられるのか、吸収された魔力は君にいかなる影響を与えるのか……」

「…流石にいい事づくしってわけじゃないんだね」

「まあ、魔法の素人が持つ分には十分だとは思うがな」

不動は今の話を反芻しながら周囲を見渡していたが、やがて口を真一文字に結んだ椎名の顔が目に入った。声をかけようとしたとき、彼女が口火を切った。

「叔父さん…私達、どうしたら良いかな…」

椎名は不安そうな顔をしながら、神父に問いかける。

「ふむ…」

「だって、あの魔法使いたちに私達の顔は見られちゃったし…。NPOに入るときに住所とかも教えちゃった…」

「そうだな──」

↓1 神父は二人になんと答えた?

魔法の存在を知ってる公的な機関による証人保護プログラムを家族みんな受ける

「最も安全なのは魔法自治局に証人保護プログラムを適用してもらうことだろうな」

「魔法…自治局?」

首を傾げる不動に向かって椎名が口を開く。

「えーと、簡単に言えば魔法界の警察、みたいなものかな」

「大雑把に言えばな。だが──」

神父によれば、魔法自治局は有史以来、次第に高まりつつある魔法界と非魔法界の対立を防ぐために設立された団体らしい。当初は魔法使いが非魔法界へ過剰な影響を与えないよう規制を行うだけの存在だったが、やがて非魔法界の諸機関と協力し、両者の間の均衡を保つようになっていったそうだ。

「──というわけだ。だがより細やかな点にまで言及するのなら──」

「叔父さん!講義はそれくらいにして、続きを話してよ」

「むう…」

神父はバツの悪そうな顔をして咳払いをすると、話を続けた。

「今の状況なら確実に保護を受けられるだろう。なんせ魔法生物の密猟に不正な杖の製造及び違法な取引、そして一般人への過大な干渉と殺害未遂。十分すぎるほどだ。証人保護プログラムを受ければ、二人と家族の安全も守られるだろう。かわりに自由な生活はなくなるだろうがな」

「…どうする、不動くん?」

「……」

↓1
1保護してもらう
2他の道を考える

1

「保護してもらおう。俺は魔法の素人だし、何より椎名を危険な目に合わせたくない」

その言葉を聞いて、椎名はうっとりと不動を見つめた。

(……愛理沙のやつ、不動くんにベタ惚れだな)

「そういうことなら私から知り合いに連絡しよう」

そこからの流れは早かった。連絡して数時間で担当の捜査官が派遣され、不動たちを証人用の安全な隠れ家へと連れて行った。

二人の家族もすでに保護されており、両家族は安全のためにも、居住空間こそ違いながらも同じ建物で暮らすこととなった。

そうして二人は平穏を手に入れた、と思ったのも束の間、数週間後に担当の捜査官がとある知らせを持ってくるのだった…。

↓3まで 捜査官が来るまでに起こった出来事(コンマが奇数でイベント発生)

愛理沙と魔法の勉強とかしつつ、イチャイチャ

通う学校の話

例の杖の危険性が未知数のため自治局の監察の下定期的に訓練を行う

「それじゃあ、いくけど…何かあったらすぐに言ってね?」

不安そうな顔で椎名は念を押す。

「うん。ほら」

二人は特に用途に決まっていなかった共用スペースの一つを、不動の訓練のための部屋として使用していた。

証人保護プログラムで守られているとはいえ、今後何があるかわからない。それと不動の魔法に対する純粋な興味も手伝って、二人は何日かおきに魔法の特訓を行うようにしていた。

椎名は目を瞑って息を整えると、杖の先を不動に向ける。

「レームング!」

椎名の杖の先から飛び出た黄色い光──相手を麻痺させる初歩的な魔法だ──は、盾に変形した不動の杖に吸い込まれて消えた。

「どう?大丈夫?」

「うん、なんともない」

「それじゃあ、続けていくね」

それから同じ魔法を十数発は受け止めた。そしてまた一つ、魔法を受け止めたその時、不動の手を痺れが襲った。

「っ…!」

「大丈夫!?」

駆け寄ろうとする椎名を不動が片手で制止した。

「大丈夫…少し、手に痺れが…」

「そっか。じゃあ限界はこのあたりなのかな?」

「かも。でも結構防げたんじゃないか?」

「うん。…でもこの魔法は魅力の消費も少ないから。もしかしたらもっと強大な魔法だと受け止められる回数は減るかもしれないね」

「…だな。じゃあ次は俺の番だな」

不動の意識が守備から攻めに移り変わるのと同時に、杖も元の形に戻る。椎名から教わったように杖を構え、意識を集中させる。

「レームング!」

不動の杖から黄色い光が飛び出すが、それは椎名のものよりも明るくなく、速度もあまりなかった。

「…椎名みたいにはいかないな」

「でも、今まで魔法と縁が無かったって事を考えたら十分だと思うよ!」

「ありがとう。じゃあ、どこまでやれるか試してみよう」

そうして同じ魔法を何回か放つ不動。だが二桁に到達する前に、魔法は放てなくなってしまった。

「もう、限界みたいだ」

少し息切れを起こしながら、不動は椎名のもとへ向かって歩く。彼女の目前まで着いたとき、足が絡んで転んでしまう。

「痛ててて…」

ふと目を開けたとき、椎名の顔が目の前にあった。転んだ拍子で彼女を押し倒す形になってしまったようだ。

花のように甘く良い香り、大きなくりっとした瞳にきれいな肌、細やかな息遣い、全てが不動の感覚を刺激する。

「え…と…」

固まる不動を暫く見つめたあと、椎名は不意にキスをして、笑顔で彼を見つめる。唇に少し触れるだけの軽いものではあったが、不動をドギマギさせるには十分だった。

不動は慌てて椎名の上から退けると、心を落ち着けるために窓際へ行き、外の風景を眺めた。不動ももっと椎名と触れ合いたいとは思っていたが、なんせこの家には二人の家族まで居るのだ。あまり下手なことはできない。

椎名は起き上がって不動の横に立つと、同じく外の風景を眺めた。小高い丘にあるこの家からは、街の様子がそれなりによく見える。外は夕焼けで真っ赤に照らされていた。

「みんな、どうしてるかなぁ」

「お別れを言う時間もなかったからな」

「うん…」

「けど、新しい学校のみんなもいい奴ばっかだろ?」

「そうだね…。不動くんを見てもあまり怖がらないし」

椎名はクスリと笑いながら、窓にもたれかかる。

「それにやっぱり、今が安全なのも確かだと思う」

「なんでだ?」

「だって、多分だけど学校にも護衛の人がいるみたいだから」

「そうなのか?」

「うん。化学の先生は魔力の感じからして魔法使いで、私達のそばでよく見かけるもん。他にも何人が居るみたいだし」

「…全然気が付かなかった。というかあの先生、普通に教え方もわかりやすいけど、教師は本職なのか…?」

「さあ?…安全だけど……でもやっぱり、寂しいよ」

椎名は外の景色を眺めているが、実際にはその先にあるはずの元いた学校、知り合い、風景を思い描いているのだろう。

「なら、また会いに行こう。このゴタゴタが全部片付いたら」

「…うん!」

二人の護衛を担当している捜査官を募集します。いつも通り名前、性別、年齢、性格、見た目をお願いします。なくてもいいですが、もしあれば簡単なバックストーリーもどうぞ。

↓1

高木 巡(たかぎ じゅん)

26歳
真面目で優しいけどお人好しでおっちょこちょい、でもかっこいい時もたまにある
温和な容姿でめちゃくちゃイケメンというわけではないけどどちらかと強いて言えば良い男
一人称は僕 常に敬語

「お二人共、お久しぶりです。元気にしてましたか?」

「はい!」

「…ええ」

「それは良かったです!僕もこのとおり元気ですよ」

二人の元を訪れたのは、彼らの証人保護プログラムの担当捜査官である高木巡だ。人に親しみを与える雰囲気を持つ人物で、不動と椎名も高木を信頼するようになっていた。

「今日は少し確かめたいことがあってきました。不動くん、ちょっと杖を出してくれますか?」

「…はい」

言われるがままに杖を取り出そうとしたその時、不動は異変に気づいた。自分の杖が微かに震えながら光を放っている。少し逡巡したものの杖を取り出して机の上に置く。

その様子を見て、高木はため息をつきながら同僚に命じて箱を持ってこさせた。白い、細長い箱だ。その箱が机に置かれると同時に杖はさらに光を増して震えも大きくなった。

「……はあ。では不動くん、少し外に出てきてください」

そうして不動は他の捜査官に案内されるがまま、家の外へと連れて行かれた。それと同時に杖の光は次第に薄れてゆき、振動もやがて止まった。

それを確認すると高木は不動を呼び戻した。不動が席につくと、今度は箱の蓋を開けて中からの一本の杖を取り出した。それを不動の杖に近づける。すると二本の杖が独りでに動き出し、やがて溶け合うようにして一つになった。

「……!?」

「ど、どういうことですか!?」

二人の反応を見ながら、高木は両手で頭を抱えて呟く。

「はぁ……。本当に予測通りになっちゃいましたか、嫌だったんですけどねぇ…。うちの研究班が優秀なのはいいですが、今ばかりは彼らのことを恨めしく思いますよ…」

ひとしきりブツブツ呟いたあと、高木は二人に向き直って口を開く。

「お二人にお伝えすることがあります。……もっとも、あまり歓迎できない話でしょうが」

今日はここまで。


時間かかっても完結までがんばれー

更新頻度ずっとこのままかな

>>117
できれば上げていきたいですけど、なかなか難しそうです…


「まずは今起きたことを説明しましょう。僕が持ってきたあの杖は不動くんのものと同じ、シェイプシフターを使用して作られた杖です」

「他にも杖があったんですか?」

不動の問いに高木は首肯する。

「君たちを襲った連中は、シェイプシフターを使用した杖を複数製造していたようで、そのうちの一つを先日確保したのです。そして私達の研究班の調査によって、いくつかの仮説が立てられました」

すると高木は指を三本立てた。

「一つ、シェイプシフターの細胞は互いに反応し合うこと。二つ、それらは融合することで元に戻ろうとしていること。三つ、反応と融合を行うためにはシェイプシフターの細胞が活性化する必要があるが、そのためにはその近くに杖の持ち主が居なければならない、ということです。そして今起きたことは、それらが全て事実であることを証明しました」

高木は続けて口を開こうとしたが、椎名の鋭い視線に気づいた。彼女は次に高木が何を言うか、おおよその検討がついていたのだ。

その視線に居た堪れない心地を覚えながらも、高木はため息をつきながら話を続ける。

「そこで、魔法自治局として不動くんに協力をお願いしたいのです」

「…何をすれば良いんですか?」

「我々の捜査チームと行動をともにして、他の杖を探し当ててほしいのです。簡単に言えばコンパスの役割を果たしてほしいのですよ」

「でもそれって、危ないですよね。魔法自治局ともあろう人達が、魔法使いでもない不動くんを危険に晒すなんて…!」

「僕もこんな提案はしたくないんです。ですが……これも仕事ですので」

そう言った高木の顔は苦悩の表情で満ちていた。生来の優しさと真面目さの間で板挟みになっているのだ。

「…場合によっては証人保護プログラムの打ち切りもある、と上司は示唆していました。脅迫紛いのことをしているのは分かります。ですが、あの杖を危険な人間の手に渡らせることはあってはならないのです。ですから、どうか協力してください。それがお二人のためでもあります」

高木は深く頭を下げる。不動はその様子を黙って見つめていた。

「不動くん…?」

↓1
1 協力する
2 協力しない

1

「…分かりました」

すると高木が顔を上げるよりも先に、椎名が不動の肩をつかんだ。

「そんなの駄目だよ!」

彼女は目に涙をためながら続ける。

「捜査員の人達がいたって、不動くんが……酷い目に遭う可能性はあるんだよ!?もしそんな事になったら…!」

実際、椎名が自分と同じ選択をしたら止めるだろうと不動は思った。それでも、今回は譲れない。

「もし保護が打ち切られたら…俺だけじゃなく、椎名やご両親だって危ない」

「だからって…!」

不動は椎名の手に優しく触れる。

「それに…いつまでもこんな生活は続けられない。椎名ともっと…普通に、幸せに過ごしたい。その為なら俺は、どんなこともしてみせる」

椎名はまだ何かを言おうとしたが、それをぐっと呑み込んだ。不動とは長い付き合いだからこそ、分かったのだ。こうなった彼は譲らない、と。

「…分かった。でも!私も絶対付いて行くから!」

「椎名……」

本当は彼女にはずっと安全な場所に居てほしかったが、同時にその言葉が不動には嬉しくもあった。自分の決意と同じく、彼女もまた譲らないであろうことも彼には分かっていた。

「わかった。絶対に守ってみせるから」

「…うん!」

二人の話が一通り終わったのを確認して、高木が頭を上げる。

「本当に、ありがとうございます。そして巻き込んでしまって申し訳ありません。ですが、その引き換えに必ずお二人をお守りし、元の生活に戻れるよう全力で取り組みます!」

再び頭を下げる高木に向かって、二人もまた頭を下げた。

その後、二人は家族を何とか説得し、本格的に捜査に協力することが決まった。早速、高木から全体についての説明が行われた。そこでの話によると、いくつかの手掛りがあるらしい。

↓3まで
杖の居所または密猟組織についての手掛り

杖の実験を行うと言う情報が
ただし全く同じ時間に行われるという情報のある場所が2ヵ所ある

自衛隊の保有する銃火器の中に変形した杖が潜り込んでる

警察組織に潜入してる敵の構成員がいる

高木によれば手掛りは全てで3つある。1つ目はシェイプシフターの細胞を利用した杖の実験を行うという情報だ。ただし厄介なことに同時刻に異なる2つの場所で実験が行われるらしい。どちらの情報が正しいかまでは分からないとのことだ。

2つ目に、自衛隊が保有している銃火器の中に不審な様子のものがあるとの情報が入っている。捜査チームはこれを銃火器に扮した杖だと睨んでいるそうだ。

3つ目は杖ではなく、密猟組織についてのものだ。組織と警察の間に何らかの繋がりがあるのではないかという疑惑が出ているのだ。というのも組織絡みと思われる事件が発生した際には、やけに警察の到着が早い上に、それが簡単な事故として処理されたり、中には半ば揉み消されたような事件もある。魔法で操っているのか、それとも組織の一員が潜入しているのかは分からないが、何らかの形で警察を操作している可能性が高いとのことだ。

これら3つの手がかりのうち、捜査チームが最初に手を付けたのは──

↓1
1杖の実験について
2自衛隊の銃火器について
3警察と組織について

2

捜査チームが最初に手を付けたのは自衛隊の件だった。杖の実験はその日時までまだ幾ばくかの余裕があった。警察と組織については決して看過できないが、自衛隊の件のほうが重要性が高いと判断したのだ。

「それにしても、自衛隊、ですか」

「意外だよね、銃器と魔法の組み合わせなんて。うーん…そもそも自衛隊と魔法の杖が一体どう繋がったんだろう?」

件の自衛隊基地に向かう車列の中で不動と椎名が疑問を口にする。

「正直言って僕も想像が及びません。とにかくまずはその火器を確認するのが先決です。杖を見つければ自ずとそれを自衛隊に持ち込んだ人物についても分かるはずです。繋がりはその人に聞けば分かります」

助手席に居る高木が後部座席を振り返って二人に話しかける。

「確かにそうですね!」

「…所で、1つ質問なんですが」

「何ですか、不動くん?」

「…どうやって自衛隊の基地の中に入るんですか?普通に入れてくれるんですか?」

「残念ながら、普通には入れません。僕たち魔法自治局は表の世界では存在しないことになっている機関なんです。だから、ただ行くだけなら門前払いです」

「それじゃあどうやって入るんですか?魔法、ですか?」

「安心してください。作戦ならあります。それは──」

↓1 作戦とは?


今日はここまで。

学校の社会科見学ってことにして基地に入り込む
先生役大勢の生徒役は自治局の人員から手配

「偽装作戦です。これから私達はとある高校の生徒と教師に扮し、社会科見学を装って内部に入ります。その後は案内に従いつつ、不動くんの杖の様子をうかがいながらおおよその場所を探し当てていきます」

「なるほど。その後はどうするんですか?」

「見当をつけたら、魔法を使って案内の目から逃れて杖を探します。ただし、魔法の効果時間やその他諸々も考慮すると、そこからは時間との勝負になります。素早く杖を見つけて何事もなく基地から立ち去ることができれば上出来です」

「質問があるんですけど、組織の人が居る可能性はあるんですか?」

椎名の疑問に高木は神妙な顔をして答える。

「何とも言えません。もしかすると彼らが何らかの目的のために持ち込んだのかもしれませんし、あるいは単に取引の結果かもしれません。何にせよ警戒だけは怠らないでください」

高木の言葉を受けて二人はしっかりと頷く。

「どうやら着いたみたいですね。それじゃあ基地に行く前にこちらに着替えてください」

そう言って高木が取り出したのは制服だった。

「着替えのスペースはあちらに用意してあります」

言われるがままに制服に着替えた二人は高木のもとへと合流する。彼はカラスと何かを話し合っていた。

「あれは?」

不動は横にいる椎名に尋ねる。

「使い魔だね。魔法を行使する際の補助をしてもらったり、雑用をこなしてもらったり、色々してくれるよ」

「…へえ。人によって違う…みたいだな」

「うん。私はうさぎの使い魔だよ」

「特に制限とかはないのか?」

「ないよ。よく魔女と黒猫とかがセットで想像されるけど、実際にはどんな生き物も魔力を持ってるからね」

そんな話をしている間に、捜査員達は自分たちの使い魔を学生の姿に変化させていた。

「凄いですね…」

目を見張りながら不動が呟く。使い魔達は姿形だけを見れば、どこからどう見てもただの学生だ。

「とはいえ、簡単な会話くらいしかできないのでサポートは必須ですけどね。では準備も整いましたので中に入りましょう」

そうして不動たちは高木の先導に従って自衛隊基地の入口まで移動した。守衛に要件を伝えてしばらくすると、今日の応接係と思われる隊員が出てきた。

「本日はよくお越しくださいました」

「こちらこそ貴重な見学の機会を頂くことができて感謝しております。ではまずは予定通り、簡単な講義からですかね?」

「はい。ではこちらへどうぞ。それと本日はこちらの一時立ち入り許可証をご携帯ください」

その後不動達は自衛隊の仕事や役割等の簡単な講義を受けたあと、基地内の見学を行うことになった。

「それでは施設内の見学を始めます。これからまわるのは兵舎、食堂、運動場、射撃演習場です。今日は折角なので皆さんの興味のある場所から回りましょう。どこか行きたいところはありますか?」

その言葉を受けて高木が不動に耳打ちする。

「調べたい場所はありますか?」

↓1
調べたい場所をどうぞ

射撃演習場

「やっぱり射撃演習場が良いんじゃないですか?」

その言葉を聞いて高木は頷くと、案内係に射撃演習場を見学したい旨を伝えた。

「では射撃演習場に参りましょう」

射撃演習場まで移動する間に椎名が不動に耳打ちする。

「どう?杖の反応はなさそう?」

椎名の問いに、首を横に振って不動は答える。杖は基地に入ってから反応してはいるが、それが強まりはしていない。

「ここが射撃演習場です。実際の射撃も見学していただきます」

案内に続いて射撃演習場の中に入ると、不動の杖の反応が強まった。すぐに不動は隣に居た高木に耳打ちする。

「…とりあえず様子を見ましょう」

そうこうしているうちに、隊員たちが準備を終え、射撃の見学が始まった。

↓1コンマ
偶数:異変に気づいた
奇数:異変に気づかなかった

隊員たちが射撃を実演する中、異変がないか探したものの、特に何も見つけることはできなかった。そうこうしているうちに見学が終わろうとしている。

「どうしますか、高木さん?」

「…こっちに来てください」

すると捜査員たちが3人を取り囲む。自衛隊員たちから見えないようにした状態で高木が杖を取り出す。

「イルズィオン」

薄紫色の光が3人を包む。

「この魔法は?」

「幻惑の魔法だよ」

「はい。これで周りからは僕たちの姿が自衛隊に見えます。ただ、効果時間は長くありません。ですので素早く捜索しましょう」

すると捜査員たちが取り囲むのをやめて案内係の方へ移動した。案内係は3人を一瞥すると、そのまま他の捜査員たちを連れて射撃演習場から出ていった。

「…本当に自衛隊に見えてるみたいですね」

「はい。それではこのまま片付けをしている隊員に混じって杖を探しましょう」

↓1 コンマ
01~65 見つけられなかった
66~ 見つけた

「見つけましたか?」

「高木さん、見つかりませんよ~。不動くんは?」

不動は自分の杖に視線を移す。杖はまだ光り続けている。

「いや。でもここにあるはずなんだ」

気づけば片付けをしていた隊員たちももう演習場を後にしており、残っているのは3人だけだ。

「早く見つけましょう。でないと──」

すると一人の自衛隊員が演習場に入ってきた。その隊員は立ち止まると3人を1人ずつ眺めた。

「お疲れ様です。どうされ──」

高木が場を誤魔化そうと一歩を踏み出したが、それより早く隊員は懐から杖を取り出した。それを見て3人も咄嗟に杖を取り出す。

杖の先を相手に向けながら不動は考える。相手を倒すべきか?それとも2人を守るべきか?

↓1
1攻撃する
2守備に専念する


今日はここまで。

2

麻痺の呪文が聞こえると同時に、高木が大声で叫ぶ。

「エントヴァフヌング!!」

武装解除の呪文だ。兵士が放った麻痺の呪文は分裂し、3人に向かって奔る。不動の意思によって盾に変化した杖が彼と椎名を守った。だが高木は2人と距離が少し離れていたため、不動の盾の範囲外に居た。しかし、高木に向かって飛んできた麻痺の呪文は、武装解除の呪文に弾かれて消滅した。

高木が次の呪文を繰り出そうとしたその時、3人の足元に何かが転がってきた。

「!!」

それを見た高木が二人に飛びかかってくる。3人を包むように変化した杖によって視界が遮られる寸前、不動は椎名が何らかの呪文を放ったのを見た。

激しい閃光と音が3人を襲う。耳を押さえ目を瞬かせながら、不動は慌てて自衛隊員の姿を探す。しかしすでにその場には居なかった。

「お二人共、無事ですか?」

高木の問いに2人は頷く。

「今のは?」

「分かりませんが、少なくともこの件の関係者には間違いありません」

「あっ!」

椎名の大声につられて2人が彼女の方を見ると、彼女は不動の杖を指さしていた。杖の光が先程よりも弱まっている。

「やられました!きっとヤツが杖を持ち去ったんです!椎名さん、追跡の呪文を放っていたようですが、どうですか?」

↓1 コンマ
奇数:当たった
偶数:外した


今日はこれだけです。


エタらんように願う

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