― 事務所 ―

忍「ミドルティーン雑誌のっ！？」

綾瀬穂乃香「モデルのお仕事ですか？」

P「そうだ。オールジャンルの雑誌だから君たちにぴったりだと思ってね」

喜多見柚「おー♪プロデューサーサン、いい仕事したネ♪」

桃井あずき「同世代のファン獲得大作戦だね！」

P「創刊間もない雑誌ということで、フレッシュなモデルをという向こうの希望と、君たち4人でのモデルの仕事をしてもらいたいという僕の思惑が一致したんだ」

忍「モデルのお仕事はみんな経験あるもんね」

柚「4人で一緒でって言うと、4人でおんなじようなコンセント？なのカナ？」

穂乃香「柚ちゃん、そこはコンセプトですよ？」

柚「そうだっけ？」

あずき「コンセントレーションならバッチリだよ！」

忍「あずきちゃん。もうだいぶ違う意味だよ」

あずき「そうなの？」

忍「ちなみに、どんな意味か分かる？『Concentration』？」（やたらいい発音で）

あずき「コンセントのタコ足配線を止めて一本に集中しようって意味？」

柚「アハハ♪意味が長いヨー！」

穂乃香「……忍ちゃん」

忍「……あずきちゃんらしいね」

あずき「あれ？あずき何か変なこと言っちゃった？？」

P「……そろそろいいかい？」

忍・穂乃香「「はい！」」

柚・あずき「「はーい♪」」

P「レッスンのスケジュールは調整済みだから、さっそくだけど明日、4人で撮影所に行ってもらうよ」

忍「明日！？急だなぁ……」

穂乃香「そうですね……。撮影なら少しは準備が欲しいところですが」

P「自然体の姿を写したいらしくてね。明日はもともとレッスンだったんだから大丈夫だろう？」

柚「簡単に言わないでほしーなー」

あずき「女の子の予定を急に変えて大丈夫はないよ！」

P「……それもそうだね。すまなかった」

忍「ま、まぁプロデューサーも反省していることだし……」

柚「無事終わったらプロデューサーサンの奢りでスイーツ食べに行こー♪」

あずき「賛成！！よろしくね！プロデューサーさん♪」

P「いや、僕はそういう意味では」

穂乃香「いえ、ここはプロデューサーさんに誠意を見せてもらわなければいけません」

忍「あれ？穂乃香ちゃんが乗り気だ……？」

穂乃香「近々、事務所近くのスイーツバイキングでぴにゃこら太コラボ企画が開催されると聞きました」

あずき「さすが穂乃香ちゃん！」

柚「日本中のぴにゃこら太コラボ情報に精通しているだけあるネ～」

忍「プロデューサー。ここは大人としてのケジメを見せるとこだよ」

P「……分かった。撮影が滞りなく終了したらそのぴにゃこら太コラボスイーツバイキングを奢ってあげるよ……」

穂乃香「プロデューサーさん！」（ﾊﾟｱｧｧｯ）

あずき「あれ？あずきたちの希望は？」

柚「せっかくプロデューサーサンがやる気を出してくれたんだし、柚たちは犠牲になったのだ……」

忍「大げさだなぁ……見た目はどうあれ美味しいスイーツをおごってもらえるんだから、ね？」

穂乃香「はい♪このお仕事、絶対成功させましょう！」

― 翌日 街中 ―

忍「……ちょっと早く着き過ぎちゃったかな……」

忍（この格好、変じゃないかな？自然体って言われてるからできるだけ普通っぽいコーデにしたんだけど……）

忍（上京したばっかりの頃に比べればだいぶマシになったよね？アタシ、服に着られてないよね？）

穂乃香「忍ちゃん。おはようございます」

忍「あっ！おはよう穂乃香ちゃん！」

穂乃香「お待たせてしまってましたね……ごめんなさい」

忍「ううん！今来たところだよ！」

穂乃香「柚ちゃんとあずきちゃんは……時間通りでしょうか？」

忍「たぶんね。せっかくだし飲み物でも買って待とうかな……」

穂乃香「それなら、私が買ってきます。忍ちゃんはここでふたりを待っていてください」

忍「そうだね。ありがとう穂乃香ちゃん」

ﾀｯﾀｯﾀ……

忍（穂乃香ちゃんの私服、何度見ても参考になるなぁ……）

忍（身長も高いしスタイルもいいし……）

忍（あずきちゃんは小さいのにスタイル良いし……）

柚（柚チャンは忍チャンよりスタイルいいし……）

忍「そうそう。アタシが一番スタイルがって、柚ちゃん！？」

柚「でも忍チャンがフリスクのセクシー第一人者……柚は負けないヨ！」

忍「あのね……その勝負もうだいぶ前だしね……」

あずき「あずきだってセクシーに磨きをかけたんだよ！！」

忍「あずきちゃんもいつの間に……」

柚「忍チャンたちのことだから絶対少し早くに来てると思ってネー♪」

あずき「本当は忍ちゃんたちを待ち伏せ大作戦！だったんだけど、結局ふたりより早く来れなかった！」

穂乃香「お待たせしました……。柚ちゃん、あずきちゃん。おはようございます」

柚「穂乃香チャン！オハヨー♪」

あずき「おはよう！今日もみんな元気だね！」

穂乃香「ふたりの分のお飲み物も買ってきてよかったです。どうぞ♪」

あずき「やったぁ！ありがとう穂乃香ちゃん！」

柚「少し急いできたから喉乾いちゃったんダー♪」

穂乃香「それは良かったです。忍ちゃんもどうぞ……」

忍「ありがとう穂乃香ちゃん」

穂乃香「一息ついたら出発ですね。今日は絶対に大成功で終わらせましょう！」（ｷﾗｷﾗ）

柚（穂乃香チャン、もう最初からスイッチ入っちゃってるネー）

あずき（これはあずきたちも気合を入れて撮影大成功大作戦だ！）

忍「さて、それじゃみんな行こうか」

― 撮影所 ―

4人「「「「よろしくおねがいしますっ！！」」」」

撮影監督「今日はよろしくね。4人共初々しくて嬉しいわ」

あずき（監督さん、女の人なんだね）

柚（柚たちと同年代向けの雑誌だもんネ）

忍（スタッフの皆さんも女性ばっかりだね。なんだか新鮮だよね）

監督「それじゃあ、まずはこの本棚を背景にして……」

穂乃香「この感じなら、身長順で並ぶと見栄えが良さそうですね」

監督「そうね。でもまずは4人の普段の姿を撮りたいの」

穂乃香「普段の、ですか」

忍「結構色んな種類の本があるんですね。撮影用の小道具にしては……」

柚「あーっ♪柚この本持ってるよ！」

あずき「この雑誌も！クラスのみんなでよく一緒に読むんだ！」

忍「ふたりとも、あんまり好きに触ったら……」

監督「良いんですよ。自然な姿を撮影したいので、思い思いに振る舞ってもらえれば」

穂乃香「思い思い、ですか……」

忍（特に何も指定されないって、ちょっと今まで無かったかな……穂乃香ちゃん？）

穂乃香（はい。私も少し、こういった『自然に振る舞って』と言われると……）

柚「忍チャーン♪硬いよー♪」

あずき「穂乃香ちゃん！この本一緒に読もうね！」

監督「あぁ、良いですね～。真面目な年上のふたりを後輩キャラのふたりが巻き込んでいく姿……」

忍（あれ？この人ちょっと変な人なんじゃ？）

監督「撮影担当の皆さん。いい絵が撮れましたか？」

スタッフ「ばっちりでーす！」

監督「では、次は服を着替えてもらいましょう！」

穂乃香「あの、本当にこれで良いのですか？」

柚「穂乃香チャンは心配性ダナー？」

あずき「みんな楽しそうだから大丈夫だよ！」

― 楽屋 ―

柚「おぉ～♪色んな服があるね～♪」

あずき「和服っぽいのもあるよ！あずきも色んな服が着たい！」

スタイリスト「まずは皆さんが『着てみたい服』を選んでもらっていいですか？」

穂乃香「着たい服、ですか……私はあずきちゃんみたいな和服を着てみたいです」

忍「アタシも柚ちゃんみたいな都会的なラフな服装に挑戦してみたいな」

あずき「それなら！あずきは穂乃香ちゃんみたいな大人っぽいドレスを着たい！」

柚「この帽子、どことなく忍チャンの東京でも通用するハンチング帽っぽいね♪」

忍「……デザインが似てるだけだよ」

― 数十分後 ―

スタイリスト「次は私共から皆さんに着てもらいたいスタイルでよろしいですか？」

穂乃香「はい♪よろしくおねがいします」

あずき「髪のセットも少し変えていく感じ？」

スタイリスト「そうですね。普段の姿、なってみたい姿、編集部イチオシのスタイルというコンセプトで」

柚「柚の前髪はどんなコンセント？でも譲らないよ～！忍チャンもだよネ！」

あずき「鉄壁の前髪大作戦！」

忍「アタシは前髪にそこまでこだわってないよ」

柚「え！！？」

忍「せっかくだもん。色々試してみたいなって」

柚「そんな……前髪パッツン連合の同志忍チャンが……柚はそんな言葉聞きとうなかった！！」

忍「なにそれ初めて聞いた」

あずき「忍ちゃんはどんな髪型にしたいの？」

忍「そうだね。ウィッグ付けて穂乃香ちゃんと同じくらいの肩まであるようなセミロングとか試してみたいな」

穂乃香「私は忍ちゃんや柚ちゃんくらいの髪の長さも体験したいです」

あずき「あずきは今の長さのまま！色んな髪型を試したいな！イメチェン大作戦！！」

柚「柚は忍チャンの裏切りの前で心が折れたよ……好きなように前髪をいじって……」

忍「そこまで深刻にならなくっても」

柚「どうせだから、柚チャンの前髪いじりを存分に堪能して欲しいナー♪」

忍「アタシャ心配して損したよ」

― 翌日 事務所―

P「……スタッフさんから聞いたよ。撮影は大成功だってね」

あずき「雑誌モデル大作戦！カンペキだったよね！」

穂乃香「それでプロデューサーさん……お約束のものは……」

P「意外とすんなり手に入ったよ。ぴにゃこら太コラボスイーツバイキングチケット4人分だ」

忍「やったね穂乃香ちゃん！」

柚「緑色のケーキとかプリンってなかなかお目にかかれないよね」

穂乃香「そうですか？ずんだを使えば鮮やかなぴにゃこら太色を再現できると思います」

忍「それにアレって黒とかピンクも居るしね……」

あずき「あずきも知ってる！確か金ピカなのも居るんだよね！」

穂乃香「そうですね……ぴにゃこら太の全身を金箔で覆うのはきっと大変でしょう……」

柚「そこはもう普通のプリンの色で我慢して欲しいナー？」

P「……今日は軽めのレッスンだろうから、4人で日程を合わせて行っておいで」

穂乃香「はい！ありがとうございます♪」

あずき「ぴにゃこら太スイーツ大作戦だ！」

柚「ふふふ……ぴにゃこら太プリンを柚のスプーンでぐさぁーしちゃうもんネ♪」

穂乃香「柚ちゃん！ぐさぁーはダメですよ！？」

P「……」

忍「……」

P「どうしたんだい？」

忍「ううん……ありがと、プロデューサー」

P「さて、なんのことやら」

忍「4人だけで初めてのモデルのお仕事、すごく新鮮だったしどんな出来になるか楽しみなんだ」

P「……」

忍「今回もアタシ達に新しい可能性を見つけてくれてありがとう」

P「どういたしまして。でもまだまだこれからだよ」

忍「分かってる。こんな風に楽しいお仕事ばかりじゃないからね」

P「……肩の力が抜けたようで何よりだ」

忍「これからもよろしくね。アタシのプロデューサー！」

おしまい。

特に意味はありませんがフリルドスクエアプロデューサーの容姿は「不能犯」の宇相吹正が無精髭を生やしている感じで想像しています。