琴葉「え?」
星梨花「急にごめんなさい。でも、どうしても悪いことを知りたくって」
琴葉「あの……星梨花ちゃん、何があったの?」
星梨花「えっと、昨日プロデューサーさんと一緒に新曲の打ち合わせに行ったんですけど……」
ほわんほわん
P「星梨花の新曲……普段はお利口で優等生な女の子が恋心からどうしても相手を振り向かせたくて悪戯をしたり困らせちゃったりしちゃういじらしくも熱い気持ちを歌うのはどうでしょう」
作曲家「急にめっちゃ早口ですね」
星梨花「でもプロデューサーさん、どうして好きなのに相手を困らせたいんですか? 喜んでもらった方が良いんじゃ……」
P「ハーッハッハッ!! そう、まさにそこ!そこがキモ!相手を困らせるなんて悪いことなのにどうしてあなたの気を惹かせるためにこんなことをしてしまうんだろうという自分の行動に疑問をもつことによって気付く熱い情念と、困らせてしまっているけど相手に構ってもらえる背徳感、自認していなかった気持ちに気づいた瞬間の爆発力こそが」
作曲家「うるさい」
星梨花「私にはまだちょっと難しいかもしれません……」
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P「大丈夫、劇場には専門家がいるからな」
星梨花「専門家、ですか?」
P「何を隠そう、琴葉こそがこの分野の専門家なのだ!」
星梨花「えっ? 琴葉さん、とっても良い人ですよ?」
P「ククク……嘘だと思うなら本人に教えてもらうと良い。本当の「悪いこと」ってやつをな……」
作曲家「この人いっつもこんなテンションなんですか?」
星梨花「普段は良い子なんですけど……」
作曲家「え?」
ほわんほわん
星梨花「……というわけなんです」
琴葉「色々聞きたいことはあるけど……とにかく、新曲のイメージ作りに悩んでるんだね」
星梨花「はいっ! いっぱい「悪いこと」を教えてください!」
星梨花「でも、琴葉さんが本当に「悪いこと」なんてするんでしょうか。いつも真面目で素敵なのに……」
琴葉「そんな、私だって悪いことくらいするよ。宿題を忘れて寝ちゃって、朝に慌ててやったり……」
星梨花「そうなんですか!それはなかなか悪いです!」
琴葉「でしょう?」
星梨花「ほかにはどんな悪いことをしたことがあるんですか?」
琴葉「忙しくて図書室から借りた本を期限ギリギリまで読めなくて、結局期限ギリギリに返したり……」
星梨花「わぁ!悪いです!」
琴葉「でしょう?」
星梨花「私にもたくさん「悪いこと」を教えてくれませんか?」
琴葉「私で良ければ、協力させてもらうね」
星梨花「ありがとうございます♪ それで、何をすれば良いでしょうか?」
琴葉「うーん、悪いこと、悪いこと……」
星梨花「うーん……」
琴葉「そうだ。アイス食べよっか」
星梨花「アイス、ですか。それは特に悪いことでは無いような……」
琴葉「実は劇場の冷凍庫に、いつでもみんなと食べれるようにアイスをいくつか保管してるの」
星梨花「琴葉さんは優しいです」
琴葉「これを……いっきに2つ食べます」
星梨花「いっきに2つも!?」
琴葉「ふふっ、どの味にしようかな。星梨花ちゃん好きなの選んで良いよ」
星梨花「でも、この後レッスンだからいっきに2つも食べるとお腹が痛くなっちゃうかもしれないです」
琴葉「それもそうだね。1つにしておこっか」
星梨花「そうしましょう……あっ」
琴葉「どうしたの?」
星梨花「えいっ!」
星梨花「えへへ、何の味を取ったのか琴葉さんには教えてあげません♪」
琴葉「なるほど、なかなか悪い子だね。それなら……」
琴葉「アイスを3つ冷蔵庫から取り出して……」
星梨花「あれ? 1つだけにするって言ってませんでした?」
琴葉「何を選ぶか少し考えてから……」
琴葉「2つ戻します」
星梨花「そんなことしたら、その2つだけ少し溶けかかってしまいます! 悪いです!」
琴葉「悪いねぇ」
エレナ「コトハ、セリカ。何してるノ?」
星梨花「はいっ! 琴葉さんに「悪いこと」を教えてもらっています!」
琴葉「悪いことをしてるの」
エレナ「……他の子のオヤツ、つまみぐいしてるノ?」
星梨花「そ、そんなことできません!」
琴葉「エレナ、やっていいことと悪いことがあるよ」
エレナ「そっかぁ。大変だネー」
エレナ「じゃあじゃあ、一緒にプロデューサーにイタズラしちゃおうヨー」
星梨花「い、いたずらですか。琴葉さん、どうすれば良いでしょう」
琴葉「そうだなぁ。最近涼しくなってきたのに冷たい麦茶を出すとか……」
エレナ「じゃあ行ってくるネ!」
星梨花「あっ!エレナさん!」
エレナ「えへへ、だーれだ?」
P「うわっ!なんだなんだ!エレナか!」
エレナ「ちぇっ、バレちゃった」
琴葉「エレナ、仕事中の人を目隠しするのはあまりに人道に反すると思う」
星梨花「わぁ、エレナさんすごいです!」
エレナ「ふふーん!」
琴葉「むむっ…」
P「あの、離して頂いても良いですか」
琴葉「わ、私の方がプロデューサーに悪いことを出来ます!」
エレナ「マジメなコトハにできるのかな~?」
P「前が見えねぇ」
琴葉「プロデューサー、口を開けてください」
P「むぐっ、これはアイスか。美味しい」
琴葉「さぁ、星梨花ちゃんも!」
星梨花「は、はい!失礼します!」
P「美味しい」
琴葉「自由を奪った状態で、勝手にアイスを食べさせるの」
星梨花「なるほど! すっごく悪いです!」
エレナ「ワタシにもちょ~だい?」
星梨花「どうぞ♪」
エレナ「おいし~♪」
美奈子「待って琴葉ちゃん! ご飯を食べさせるのは何も悪いことじゃないよ!」
P「エレナ、今すぐ俺を解放しろ。助けてくれ」
美奈子「じゃあご飯モノをローテーションで行きますね」
P「うわぁ遅かっ、むぐっ」
エレナ「次はコトハのも食べたいナ~」
琴葉「はい、あーん」
星梨花「ふぅ、たくさん悪いことをしちゃいました。レッスン前なのに……」
美奈子「レッスン前に少し食べていく? 運動前にエネルギーを補給するのは大切だよ」
星梨花「それって「良いこと」ですよね。今日は出来るだけ悪い子になろうと思って」
美奈子「じゃあ悪いことだよ」
P「一貫しろお前は」
エレナ「どうなの? コトハ」
琴葉「うーん、消化に良いものであれば、星梨花ちゃんも食べ盛りだし「良いこと」なのかな? これを悪いこととみなすには……」
P「真面目か」
星梨花「うーん、やっぱり私にはまだ悪いことは難しいかもしれません……」
美奈子「そんなに無理しなくても大丈夫だと思うけどなぁ」
星梨花「でも、私だって悪虐の限りを尽くしたいです!」
P「なんて?」
琴葉「星梨花ちゃん、ゆっくりでいいんだよ。私も悪いことをできるようになったのは最近のことなんだから」
エレナ「コトハは可愛いネー」
琴葉「なんで撫でるの」
後日
琴葉(星梨花ちゃん、新曲の収録大丈夫だったかな……)
P「星梨花の新曲が完成したぞ!」
琴葉「本当ですか!」
P「早速聞いてみよう」
??THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 09 試聴動画
https://youtu.be/wJbi1hRP3ng?t=187
琴葉「……」
P「……」
琴葉「悪すぎません?」
P「俺もそう思う」
おわり
終わりです。
きまぐれユモレスクが強すぎる。
おつ
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