男「お前クイズに即答しすぎ!」女「だって考えるまでもない問題なんだもの」 (15)

男「お、7時からクイズ番組がある! 俺、これ好きなんだよ、一緒に見ないか?」

女「……別にいいけど」

男(ったく、いっつもつまんなそうな顔しやがって……)

男(だけど、このクイズ番組は結構面白いし、きっとこいつも楽しんで見てくれるはず……)

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テレビ『さあ、今週も始まりました! ≪クイズ・当てても逃げるな≫!』

テレビ『ゲストには、芸能界の頭脳自慢が勢ぞろいしております!』

テレビ『おっと、そうでない方もいらっしゃるようですが……』

テレビ『露骨にボクの顔見るのやめてもらえますぅ!?』

テレビ『どっ……!』

男「アハハハハッ!」

女「…………」

男(ったく、少しぐらい笑えっての)

テレビ『ではさっそく問題です』

テレビ『これからある作家についていくつかヒントが出ます。分かった時点でボタンを押して解答して下さい』

男「よーし、俺もこう見えてわりと小説好きだからな。絶対当ててやる!」

テレビ『1900年イギリスに留学……』

女「夏目漱石」

男「!?」

テレビ『“坊ちゃん”を執筆……』

テレビ『ピンポーン! 夏目漱石!』

テレビ『正解です! 2004年までは千円札に肖像が採用……』

男「や、やるじゃねえか……」

女「そう?」

テレビ『第二問です』

男「よーし、次こそ!」キッ

テレビ『1968年にノーベル文学賞……』

女「川端康成」

男「ちょっ……!」

テレビ『正解です!』

テレビ『やったーっ!』

男「これまた一瞬で当てたなー……。お前、そんなに小説好きだったっけ?」

女「人並みには」

男(なんだよ、人並みって……。まるで俺が人並み以下みたいじゃねえか……)

テレビ『間違い探しです。次の二つの絵に、五つ異なるところがあります』

テレビ『分かった人からボタンを押して、一つずつ回答して下さい』

男「よーし、絶対見つけてや――」

女「右の鳥は青で左は白、窓の数が違う、テーブルクロスの柄、電話のデザイン、カレンダーのめくれ方」

男「早ッ!」

テレビ『あーっ! やっと分かった、カレンダーのめくれ方がちがう!』

テレビ『正解です! ようやく五つ目の正解が出ました!』

テレビ『やられたわー、こんなん分からんわー』

テレビ『ワイワイ……』

男「うぐぐ……どういう観察眼してんだよ……」

女「…………」

テレビ『イントロクイズです』

テレビ『曲を聴いて、なんというタイトルか当てて下さい』

男(今度こそ俺が先に答えてやる!)

テレビ『~♪』

女「およげたいやきくん」

男「一瞬で……」

テレビ『この国旗は、どこの国の国旗でしょうか?』

男「えーと……どこのだっけ、これ? たしかヨーロッパのどこかだったような……」

女「ナイジェリア」

男「俺が答える暇も無いジェリア!」



テレビ『正解はナイジェリアの国旗でした!』

テレビ『あ~……そっちかぁ~!』

テレビ『お前、絶対分かってへんかったやろ!』

男(全然ヨーロッパでないでやんの……ちくしょう!)

女「…………」

テレビ『立体クイズです。30秒以内に、図の中にはブロックがいくつ積まれてるか、数えて下さい』

男「あ、こういう知能テストみたいなのは、俺得意なんだよ!」

女「…………」

男(えぇ~とまず、ブロックは縦列に5個、横列には6個並んでて……高さは……)

女「137個」

男「うおおお……!」

男(いや、でも適当な数いってるかもしれないし! 俺も自分の力で数えてやる!)

テレビ『正解は137個でした! これはかなり難しかったようです!』

男「あああ……(138個じゃなかった……1個多かった……)」

女「…………」

男「おい! なんでどのクイズも即答できるんだよ!?」

女「なんでって……考えるまでもない問題だからよ」

男(考えるまでもないって……それじゃ考えなきゃ分からなかったり考えても間違えてる俺はなんなんだよ!)

男「少しは俺に華持たせようとか思わないのかよ!?」

女「持たせて欲しかったの?」

男「うぐぐ……」

男(くそっ、かなわねえ……! こいつ、本当は俺のことなんか内心バカにしてて、眼中にないんじゃ……)

男「なぁ、お前ってホントに俺のこと好き――」

女「愛してるわ」

男「…………!」

男「ったく……なんで即答するんだよ! 心の準備する暇もなかったよ!」

女「さっきもいったでしょ? 考えるまでもない問いだからよ」





<終わり>

女さんAI説

タイムリープして何度も繰り返してるのかもしれない

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