高垣楓「あなたのそばに」 (5)
【12月31日・大晦日】
楓「お忙しそうですね、プロデューサー」
楓「フフフ…当然ですよね。これから年越しライブですから」
楓「え、私ですか?」
楓「私は今、差し入れの年越しそばを頂いてたところですよ」
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楓「フフ…そんな。余裕というわけではありませんよ」
楓「確かに、他のアイドルやスタッフの方々はせわしなくライブの準備をしているようですが」
楓「『腹がへっては何とやら』ですからね」
楓「プロデューサーもおひとついかがでしょうか?」
楓「お仕事が忙しくて、昼食も召し上がっていないようですが…」
楓「ここを逃すと、次にいつごはんが食べられるタイミングがあるかわかりませんし」
楓「おそばなら素早く食べられますよ?」
楓「フフ…では、隣の席にどうぞ」
楓「明日からも忙しいんですから、きちんと体力をつけてもらわないと」
楓「稼ぎ時には張り切ってお仕事してくださいね」
楓「はぁ…それにしても、美味しいおそばですね」
楓「これをアテに燗を一献いきたいところです…」
楓「…いえいえ。本当に、余裕なんてあるつもりはありませんよ?」
楓「ただ、私の出番まではまだ時間がありますので」
楓「今少しだけのんびりしていたかっただけですよ」
楓「……もう仕事に戻るんですね」
楓「まったく。本当に一瞬で食べきってしまうんだから…」
楓「ええ。引き続きお仕事がんばってください」
楓「…ああ、そうだ。プロデューサー」
楓「年越しまでにまた顔を合わせられるかわからないので、今のうちに言っておきますね」
楓「今年一年、お世話になりました」
楓「来年もまた……
楓(『よろしくお願いします』、と言いかけて…)
楓「あなたのそばに」
楓「フフフ…」
終
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