ロボトピア (3)

今日も都市の外を望遠鏡で覗く、映るのはいつもと同じ砂嵐、あの日見た巨大な街はやはり見間違いだったのか?

まあこの都市の近くに街なんてあるはず無いか

「ナオ~!そろそろ起きないと遅刻するぞ~」

祖父の声…もうそんな時間か

ナオ「今いくよ!」

食卓に着くと祖父は既にメイドロボの入れた温かいコーヒーを啜りながら新聞を読んでいた。

メイド「坊っちゃま…な、何を飲まれますか?」

ナオ「えっとホットミルクを入れてもらえますか?あと朝食は少なめでお願いします」

メイド「か、かしこまりました」

メイドロボは錆びついた金属音を出しながらキッチンの方に向かう。

うちのメイドロボは祖父の趣味であえて超が付くほど古いのを使っている。

だから挙動が少しおかしかったりする。

部品も製造中止だからほとんど手作りの部品だ。

祖父「ナオ、また外を見ていたのか?前も言ったがこの都市の外の近くには街などないぞ?わしが作ったんだから間違いない」

ナオ「まあ、そうかもしれないです…けどあの日確かに見たんです西の方に薄っすらと…」

祖父「探すの勝手だが…学校には遅刻するんじゃないぞ」

ナオ「分かってますよ…」

ここは地球ではない。

ロボット学者の祖父がとある星を開拓し作った都市だ。

祖父は数年前までこの都市で一番偉い人だったが今は引退してのんびり余生を過ごしている。

父と母はいない。

幼い頃に死んでしまったらしく両親の事は思い出せない。

祖父が親代わりで僕を育ててくれた。

メイド「お待たせしました…ほ、ほかに何かございますでしょうか?」

ドン!

ナオ「……ありがとう何もないからいいよ」

メイド「かしこまりました」

少なめと言ったはずなのにかなりの量だ。

普通に頼んでいたらどうなってたか…。

帰ったら一度整備するか。

ナオ「食べ過ぎた…ちょっと気持ち悪いかな」

メイド「坊っちゃま…か、鞄でございます」

ナオ「ありがとうございます…メイドさんでは、行ってきます」


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いつも通りの道をあくびを殺しながら、登校する、今日も何もない穏やかな日の筈だった。

彼と遭遇するまでは…

金髪青眼のハンサムな中年が道路の真ん中で駄々をこねていたのだ警察相手に…。

ナオ「……」

中年「やだ!やだ!やだ!私は戻るのだ妻の元に!」

ロボ警察「だからあなたは!ロボットでしょう!廃棄が決まったからおとなしくしてください!」

ナオ「……」

中年「そんなの!嘘に決まっている!私の妻が私を捨てるわけないだろう!」

ロボ警察「棄てられたの!これ!ほらこの書類に書いてあるでしょう!」

中年「何かの手違いだ!ん?」

ナオ「すごいな…感情制御プログラムがバグってるのかな?…廃棄処分に抵抗するロボットなんか居ないのに…」

中年「きみ!きみ!さっきから私のこと見てるよね!よかったら助けてくれないか?」

ナオ「…うわっ、絡まれた」

中年「うわっとはなんだ!私は必死なんだ今すぐに愛するものの元に向かわなければ!」

ナオ「僕も学校があるので…申し訳ないのですが…」

中年「後生だ!頼む!廃棄になりたくない!私を買ってくれ!」

ロボ警察「すいませんね…今、大人しくさせるので…」

ナオ「あっハイ」

警察の手にスタンガンが握られていた。

中年「警察さん…まずい!それまずい!それはすごく痛いものじゃないか!」

ロボ警察「……」

警察は何も言わずに発射した。

中年「あばばばばばばば!」

中年は命中すると悶絶しながら倒れた。

ロボ警察「ごめんね、迷惑かけて怪我ない?」

ナオ「大丈夫です 学校があるので僕はこれで」

ロボ警察「勉強頑張ってね」


当初の予定よりだいぶ遅れて学校に着いた。

変なのに絡まれた所為だ。

ゆき「おはよう!今日遅かったじゃない…何かあったの?」

クラスに入るとすぐに声をかけてきた。

彼女はゆき、僕のクラスメイトで1週間前に僕に告白してきた子。

人を嫌いになった事はないけど好意も抱いた事がない。

僕は恋愛感情というのを欠如してるのかもしれない。

だから断るつもりだがまだ言えていない。

ナオ「ちょっと変なのに絡まれてね」

それからホームルームが始まるまでゆきと話した。



先生「今日は転校生がいますのでホームルームは自己紹介にします…入って来なさい」

転校生と聞いてクラスざわざわしだす。

ユメ「ハイ…今日からこのクラスで共に過ごす富田ユメと言います…よろしくお願いします」

「やべえ…めちゃ可愛い」

「お人形さんみたい」

先生「はいはい…感想は後でいいから静かにしなさい。富田さんは神山くんの隣に座りなさい窓際に空いてる席があるでしょう」

ユメ「はい、先生」

ユメ「はじめまして…あなたが神山くん?」

ナオ「はじめまして神山ナオって言います」

ユメ「ふふ、貴方は私と同じだから仲良くなれる気がするわ?」

ナオ「同じ?君と僕は今会ったばかりのはずだけど…」

ユメ「ふふ貴方、顔がいいから特別に放課後、教えてあげる…ちょっとショック受けると思うけど…」

ナオ「そ、そうだね」

突然変な事を言う子だな。

あまり関わらないほうがいいかもしれない。

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