まほ「アッサムから取り寄せた飲んで最初に見た者のことを好きになる秘薬だ」
まほ「最近反抗期なのかみほは私に甘えてくれないからな」
まほ「昔は一緒の下着を履いたり一緒の歯ブラシを使ったりしていたのだが」
まほ「今ではすっかりそれもしなくなってしまった」
まほ「そこでこの秘薬を使うことによってみほと付き合……結婚しようというわけだ」
まほ「ふふふ……早速このコーヒーに媚薬を入れてと」
まほ「コーヒーを作ったんだ良かったら飲んでくれないか」
みほ「ありがとうお姉ちゃん。あ、一応いっておくけど今日はお姉ちゃん先にお風呂に入ってね」
まほ「どうして」
みほ「だって前は私の残り湯を飲もうとしてたでしょ」
みほ「あんまり言いたくないんだけど……」
みほ「あれ……ちょっと怖いから」
まほ「……みほ」
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まほ(やっぱりみほは反抗期だ)
まほ(バレるまでは残り湯だって飲ませてくれたし一緒の歯ブラシやお箸も使っていたのに)
まほ(なのに高校生になってから距離を置かれるようになり)
まほ(ついには私から逃げるかのように大洗へと引っ越してしまった)
まほ(普段は黒森峰の隊長として休むことはなかなか出来ない)
まほ(だが今日は忙しい中で何とか休暇を取ることができた)
まほ(このチャンスを無駄にするわけにはいかない)
まほ(なんとしてもみほを私に依存させなければ……)
まほ「分かった。これからは我慢するよ」
まほ「すまないな怖がらせてしまって」
まほ「これからはしっかり姉妹の距離感というのを測っていきたいと思う」
みほ「お姉ちゃん……」
みほ「良かった。ちゃんと分かってくれたみたいで」
まほ「みほのことは大切な妹だと考えている」
まほ「そんなお前のいやがることはしないよ」
みほ「ありがとうお姉ちゃん。ごめんね……こんなキツイ言い方しちゃって」
みほ「でもこのまま関係をずるずる続けるのはお互いのためにも良くないって思ったから」
まほ「大丈夫。気にしてないよ……それよりコーヒーを飲んでくれ……折角作ったのに冷めてしまってはもったいない」
まほ(きっとみほは素直になれないだけなんだ)
まほ(この媚薬入りコーヒーを飲めばまた素直に甘えられるようになる)
まほ(だからみほ……安心していいんだぞ)
みほ「それじゃいただきまーす」ゴクゴク
まほ(よし……後は私を見れば……)
まほ(うん? テーブルの上に何か黒く光るものが……)
まほ(あ、あれは……)
まほ「ゴ……ゴキブリ!?」
ゴキブリ「」カサカサ
まほ「ひいっ!? は、はやく倒さなければ!」
まほ「新聞紙を棒状にして……!」
まほ「いざ覚悟!」
みほ「待って!」テヲヒロゲル
まほ「み、みほ……何をして」
みほ「ゴキブリを潰そうとするなんて酷いよ! こんなに可愛いのに」
まほ「……は?」
まほ(こ、これはどういうことだ)
まほ(確かに子供の頃はよく虫を採ったりしていたが)
まほ(それは昔の話……今はゴキブリだって苦手なはずなのに)
まほ(それを可愛いだなんて)
まほ「はっ!?」
まほ「ま、まさか媚薬の対象がゴキブリに……」
まほ(コーヒーを飲んだ後、私より先にゴキブリを見てしまったんだ)
まほ(それでみほはゴキブリに恋をしてしまって)
みほ「ゴキブリさん……怖がらなくても大丈夫。私が側にいるからね」ナデナデ
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
みほ「ははは……動き方が可愛い!」
まほ「みほ……正気に戻るんだ! これはゴキブリなんだぞ!」
みほ「そんなの分かってるよ」
みほ「でもこの気持ちは本物だって分かるの」
みほ「私ね……思うんだ」
みほ「愛さえあれば性別も血筋も関係ないって」
まほ「いや性別どころか人間ですらないんだが」
みほ「同じだよ。例え人間と虫さんの関係でも愛は成立するって信じてるから」
まほ「み、みほ……」
みほ「一目見て分かったの……これが恋だって」
みほ「私……今まで恋愛なんて興味がなくてそういった感情を抱いたこと無かったけど」
みほ「ゴキブリさんのおかげでそれに気づくことが出来たんだ」ニコッ
みほ「ゴキブリさん……一緒にご飯食べよう!」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
まほ「みほ……」
わろた
次の日
沙織「えー! みぽりんに彼氏出来たの!?」
みほ「こ、声が大きいよ……沙織さん」テレテレ
沙織「まさかみぽりんに彼氏が出来るなんていいなぁー私も欲しいなぁ」
華「大丈夫ですよ? いざとなったら私が貰ってあげますからね」
沙織「華はナニヲイッテルノカナ?」
優花里「でも西住殿にまさか彼氏がいたとは! 親友として今まで気づかなかったことが悔しいです!」
みほ「知らないのも無理はないよ。付き合うようになったのは昨日なんだし」
沙織「き、昨日!? そうなんだ! それで彼氏ってどんな人なの?」
みほ「どんな人って……」
沙織「だって気になるじゃん! 特徴だけでいいからさ……教えてよ」
みほ「えっとみんなも知ってるとは思うんだけど」
みほ「とりあえず黒いかな?」
沙織「黒い……髪の色のことかな?」
みほ「それで動くのが凄く速くて」
麻子「身体能力がいいんだな」
みほ「それで空も飛べて……」
華「羽が生えているのですね?」
みほ「足が六本あるの」
あんこうチーム「!?」
沙織「えーとごめんね……ちょっとだけ整理させて」
沙織「みぽりんの彼氏は黒くて速くて足六本あって空も飛べるってこと」
みほ「うん……」
麻子「西住さんの言ってることが分からない」
みほ「ははは……私の説明分かりにくかったかな」
沙織「別に説明が下手ってわけじゃないんだけど」
沙織「ちょっと想像しにくいっていうか……」
麻子「直接見てみたいな。スマホに画像とかはないのか」
みほ「画像っていうか……実はこっそり持ってきてるんだよね」
沙織「学園内にいるの!? それって何だかロマンチックかも!」
麻子「よくそど子の目を盗んで忍び込めたな」
優花里「それでその彼氏殿はどこにおられるのですか?」
みほ「この筆箱の中にいるんだよ……ほら」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
あんこうチーム「きゃぁぁああぁぁぁあっ!」
これは大変や
次の日
マリー「今日は私のピクニックに付き合ってくれてありがとう」
マリー「一人で暇してたのよ」
みほ「い、いえ……折角マリーさんと知り合えたんだし」
みほ「私ももっとマリーさんと仲良くなりたいなって」
マリー「ふふっ……ありがとう」
マリー「ところで貴方。6月15日の映画……ガールズ&パンツァー最終章の第二話が始まるみたいだけど勿論見に行くわよね」
みほ「はい。絶対に見に行きます!」
マリー「楽しみね! 今からわくわくしちゃって待ちきれないわ! ところで貴方は誰と見に行くか決まっているのかしら」
みほ「マリーさんは決まっているんですか」
マリー「私は押田と安藤……それとアズミさまと一緒に行くつもりよ」
マリー「貴方はあんこうチームと一緒に見に行くつもりなの?」
みほ「あんこうチームのみんなと行くのも悪くないけど今回はその……好きな人と行こうかなって」
マリー「まあ! 貴方ってば好きな人がいたのね!」
みほ「はい……実は今も私の側にいて」
マリー「側に? ここには私と貴方の二人だけのような気がするけど」
みほ「実は隠れてて貰ってて」
みほ「私のお弁当箱の中に……」パカッ
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
マリー「ぎっ…………」ブクブク
みほ「マリーさん!? 大丈夫ですか!? マリーさん!?」
次の日
みほ「えっと……エリカさんどうかしたんですか? こんな時間に呼び出して」
エリカ「き、来たみたいね……ちょっと話があるの」
みほ「話……?」
エリカ「その……ずっと黙ってたんだけど私……貴方のことが好きなの……」
みほ「えっ……」
エリカ「だからその……良かったら私の恋人に……」
みほ「ごめんなさい」
エリカ「え……」
みほ「私……ほかに好きな人がいて」
エリカ「そんな……6月15日に公開されるガールズ&パンツァー最終章第二話を一緒に見に行こうと思っていたのに!」
みほ「あの映画はすごく面白くて老若男女関係なしに楽しめる内容になってるし是非色んな人に見て貰いたいけど」
みほ「私は彼と見に行くって決めてるから」
エリカ「彼氏……ね。それでその彼氏ってどんな奴なのよ」
エリカ「腑抜けた奴なら私がみほを寝取ってやるわ!」
みほ「私の彼は……ここにいるよ」パカッ
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
エリカ「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
エリカ「え? なに? みほは私よりゴキブリがいいっていうの」
エリカ「う、嘘よ……そんなのって」ブクブク
みほ「……エリカさんまで泡吹いてる」シュン
みほルーム
まほ「みほがゴキブリと付き合って1ヶ月」
まほ「あんこうチームは発熱、マリーは入院、エリカはゴキブリのモノマネをするようになってしまった」
まほ「このままではみほの人生が滅茶苦茶になってしまう」
まほ「こうなったらみほにバレないように私がアイツを始末しなければ」
まほ「みほは……買い物に行ってるみたいだな」キョロキョロ
まほ「よし今のうちにゴキブリを倒すか」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
まほ「ゴキブリは座布団の上でくつろいでいるみたいだな」
まほ「よし今のうちにこの殺虫剤で……」
ゴキブリ「」キョロ?
まほ「…………」
ゴキブリ「」ウルウル
まほ「ゴキブリ……」
まほ「そんな目で見ないでくれ」
まほ「私だって心苦しいんだ」
まほ「でもみほの為に……」
ゴキブリ「」ウルウル
まほ「」
ゴキブリ「」カサカサ
まほ「う、うわぁぁぁ!」
まほ「私には出来ない! お前を殺すことなんて!」
まほ「私の完敗だな」
まほ「……折角みほに愛されたんだ。みほを幸せに……頼むぞ」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
まほ「ふふっ……分かってくれたならそれで良い」
まほ「私はおまえたちを信じるよ」
まほ「きっとそれも戦車道だ」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
西住邸
しほ「今日はみほが紹介したい人いるって言っていたけど誰なのかしら」
しほ「聞いても恥ずかしがって答えないし」
しほ「でもあの様子からしてきっと恋人でしょうね」
しほ「ふふっ……なんだか私と常夫さんのことを思い出すわ」
しほ「今までは西住流ということもあって厳しく接してきたけれど」
しほ「今日ぐらいは優しくしてもいいかも知れないわね」
しほ「さてとみほはもうリビングで待っているみたいだけど」
しほ「あれ……みほの姿がない?」
しほ「お手洗いにでも行ってるのかしら……」
しほ「だとしても紹介したい人もいないのが気になるわね……」
しほ「ん……あれは?」
ゴキブリ「」カサカサカサカサカサカ
しほ「なっ……ゴキブリ!」
しほ「西住邸にゴキブリがいるなんてしられたらみほのお相手にも幻滅されてしまうかも知れないわ」
しほ「処分しないと」プシュー
みほ「冷蔵庫から飲み物取ってきたよーってお母さん!?」
みほ「な、なにしてるの」
しほ「え? ああゴキブリが居たから処分して」
みほ「え……嘘……い、いやぁぁぁああぁあ!」
しほ「……え?」
みほ「ゴキブリさん死なないで!」タッタッタ
ゴキブリ「」カサ……カサ
みほ「ゴキブリさん……!」ダキッ
しほ「何をやっているのですか! ゴキブリを抱き締めるなんて汚いことを」
しほ「そんな姿……彼氏さんに見られては幻滅させられてしまいますよ」
みほ「彼氏はこのゴキブリさんのことだよ!」
しほ「……は?」
まほ「みほの悲鳴が聞こえたが一体……」
みほ「お姉ちゃん……ゴキブリさんが」
まほ「こ、これは……お母様……何を」
しほ「いや……だからゴキブリがいたから殺虫剤を」
まほ「このゴキブリはみほの恋人なんですよ!」
しほ「?」
まほ「ゴ……ゴキブリ死ぬんじゃない!」
みほ「お姉ちゃん……どうしよう。このままじゃ……」
まほ「AEDだ。みほAEDを取ってくるんだ! 私はそれまで心臓マッサージを続ける」プチプチ
みほ「分かった! 取ってくるね!」タッタッタ
ゴキブリ「」カサ……カサ
まほ「大丈夫だ。絶対に助けて見せるからな」
まほ「お前も約束したはずだ。みほを幸せにすると」
まほ「なのにこんなところで死んでしまってはみほを幸せに出来ないぞ」
ゴキブリ(……二人ともありがとう)
まほ「……!? 直接脳内に!?」
ゴキブリ(オイラはずっと嫌われものだった)
ゴキブリ(でもみほや……アンタのおかげで愛されるって喜びをしった)
ゴキブリ(だから……オイラはゴキブリの中でも幸せに生きた方だよ)
まほ「バカ……諦めるんじゃない!」
まほ「愛される喜びを知っただと? 馬鹿野郎! ……こんなのまだ徐の口なんだ」
まほ「もっと色んな沢山の愛って奴を知ることが出来るはずなんだ」
まほ「だから……」
ゴキブリ「」カサ…………
まほ「ゴ、ゴキブリー!」
まほ「死ぬなゴキブリ!!」
ゴキブリ「」
みほ「お、お姉ちゃんAED持ってきたよ! お姉ちゃん?」
まほ「……みほ。それは必要ない」
まほ「ゴキブリは……もう」
みほ「お姉ちゃん……そんな…………」
みほ「う、うわぁぁぁん!」ポロポロ
まほ「みほ……」
まほ「すまないっ……助けてやれなくて」ギュッ
みほ「お姉ちゃん……」ダキッ
しほ「…………」
しほ「西住流は駄目かも知れませんね……」
十年後
まほ「やっぱり来ていたんだな……みほ」
みほ「うん……ここがあの人のお墓だから」
まほ「……聞いたよ。プロリーグ無事に制覇したそうだな」
まほ「素早い動きと何があっても倒れない耐久力から他の選手からは大洗のゴキブリと呼ばれているらしいな」
みほ「ああ……あれは私が自分から名乗ってるから」
みほ「彼の意思を継がないとって思って」
まほ「そうか……」
まほ「みほ……そのネックレスは」
みほ「うん……ゴキブリさんの死体から作ったの」
みほ「ゴキブリさんは確かに死んだかもしれないけど」
みほ「魂は今でもずっと一緒にいるから」
まほ「そうだな。きっとゴキブリだってお前のこと応援しているよ」
まほ(ゴキブリはあのまま生き絶えた)
まほ(でもゴキブリと過ごした思い出は今でもみほの中で生き続けて戦車道の糧となっている)
まほ「ありがとう……ゴキブリ」
カサカサ……カサ……カサ
まほ「……ん?」
まほ「……気のせいか」
まほ「……いやきっと見守ってくれているんだな」
まほ「私やみほのことを……」
完
これにてこのssは終わりです!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
それではHTML依頼だしときます!
イイハナシダナー
乙
どっかの刃牙君を思い出した
乙ー
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