西住みほ「ただいま……」 (125)
ーーー大洗学園 某室ーーー
アンチョビ「はい! 部屋の主である西住みほさんのご帰宅ですっ!」
アンチョビ「先ずは主審、赤星小梅によるみほさんへの挨拶から始めたいと思います!」
アンチョビ「おっと、その前に……。今日の放送をお送りするのは……実況は私、アンツィオのドゥーチェことアンチョビとーー」スッ
エリカ「解説、黒森峰の逸見エリカです。どうぞよろしくお願いします」ペコリ
アンチョビ「ちなみにこの音声はみほさんには聞こえていません! ですから大声で張り切っていきましょう! ただし小梅主審には聞こえていますよ!」
アンチョビ「さぁ早速主審の挨拶へ入るようですが、エリカさん、これについて何かありますか?」
エリカ「そうですね、この主審の挨拶次第ではみほさんの警戒心が高まりますからね、重要なポイントですよ」
アンチョビ「成る程……選手のプレイングへの影響も計り知れないと、そういうことですね?」
エリカ「はい。ですが主審の小梅さんはみほさんとの面識も当然ありますから、逆に良い影響を与えるのも充分考えられます」
アンチョビ「これは最初から見逃せない展開となりそうです!」チンローン
アンチョビ「おっと、みほさんの部屋のチャイムがなりましたよ? みほさんはまだ玄関から動いていません。さぁここからの動向に注目です」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「誰だろう……? はーい……」トテトテ ガチャリ
みほ「あっ、小梅さん! 大洗に来てたんだ! どうぞ、上がって上がって!」
小梅「はい! 赤星小梅、今回は主審として来ました! みほさん、今日はよろしくお願いします!」ペコリ
みほ「主審……? 主審って何……?」クビカシゲー
小梅「ふふ……すぐにわかりますよ! あ、これお土産です」サシダシー
みほ「あーっ! このサブレ、黒森峰にしか売ってないんだよね! 小梅さん、態々ありがとう!」ニコニコ
みほ「さっ、どうぞ入って!」ニコニコ
『アンチョビ「これは小梅主審、上手いですよ! 主審としての挨拶をしつつ、みほさんへの心遣いも忘れていない!」』
『エリカ「これで最初の選手は大分有利になると思いますよ。あのサブレはみほさんも好きでしたからね、流石小梅主審です」』
『アンチョビ「ワンルームへと続く廊下を歩いていく二人……。主審の挨拶が終わった今、いつ最初の選手が現れるかわかりません! エリカさん、最初の選手はどこで仕掛けて来ると思いますか?」』
『エリカ「そうですね……ワンルームとはいえ、死角は多いですから……部屋に入った瞬間と言うのも充分ありえます。警戒していきたいですね」』
みほ「それにしてもいきなり来るんだもん、びっくりしちゃった!」テクテク
小梅「本当に突然でごめんなさい。色々な事がいきなり決まるものだから……」ペコリ
みほ「ううん、全然構わないよ! でもちょっとお部屋が散らかってるから、恥ずかしいなぁ……」テレテレ
みほ「それじゃ、お茶淹れてくるから、小梅さんはここで寛い……で…………て……?」ピタッ
みほ「えっ? 華……さん?」ビクッ
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「さぁ! 部屋の片隅で三つ指をついて待っていた五十鈴華選手にみほさんが気付いたところで西住みほ選手権、愛の行方カップ……スタートォッッ!!」』
『アンチョビ「持ち時間は各々10分間、みほさんが選手に気付いた後、小梅主審が笛を吹いてからの10分間となります! 最初の選手、華選手からのスタートとなりましたが、これは意外な選手です!」』
『エリカ「そうですね、この選手権への参加もさることながら、攻め手の難しい一番手です」』
『エリカ「ですが華選手は西住みほ香道会の会長もやっていますから、どういう手を使ってくるか予想もつきません。これは見物だと思いますよ」
みほ「……華さん……だよね?」オソルオソル
華「みほさん、お帰りなさいませ。お食事になさいますか? それともお風呂になさいますか?」ペコー
みほ「やっぱり華さんだった! 私の部屋で何してるの!?」
華「……家事……ですね!」ニコッ
みほ「聞いているのはそこじゃないよ! 家事なら自分のおうちでやってよ!」
華「今日だけは……今日だけは負けるわけにはいかないのです! みほさん! お食事ですか!? お風呂ですか!?」クワッ
みほ「何か怖いよっ!」
華「お風呂ですね? お風呂で良いですよね?」グイグイ
みほ「ちょ、ちょっと、華さん! や、やめ……」
華「……ん? ……みほさん、お怪我をなされてますね? 微かに血の匂いが……」スンスン
みほ「え? 怪我なんてしてませんけど……って華さん!」
華「ここ! ここから血の匂いがします! こんな乙女の大事な所を怪我していなさるとは……いけません、いけませんよみほさん! 抵抗なさらないで!」スンスンスンスンスンスン
みほ「や、やぁ……そこは汚い、汚いですから! やめてぇ!」
華「ハスハス! ハスハス! あぁ芳醇で濃厚な香りが脳髄にガツンと来ますわぁっ!」ハスハスハスハス
みほ「はな、はなしてぇ……っ! 小梅さん助けてぇ!」グググ……
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ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「これはいきなり大波乱といった展開ですが……エリカさん、どうですか?」
エリカ「そうですね、持ち時間をフルで使えなかったのは手痛い所ですけど、華選手は充分持ち味を活かしたと思いますよ。高得点が期待されます」
アンチョビ「んー成る程! これは解説のエリカさんからも高評価のようです。おっと、審査が終わったようですね……では順番にフリップをあげて頂きましょう!」
ダージリン『絶対甘い』タンッ
絹代『んっ! ……んっ!』タンッ
ミカ『よくわからない』タンッ
アンチョビ「これは思ったより厳しめの評価ですね、持ち時間の残りが影響したのか! ところでミカさん……よくわからないとありますが……?」
ミカ「あの……何を評価するかもわからないし、そもそも私は何で呼ばれたんだい? あとカンテレを返してくれないか?」チンローン
アンチョビ「カンテレを返すと帰っちゃうので勿論返しません! さぁ、みほさんのお部屋のチャイムが鳴りました! カメラを戻します!」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「また誰か来た……小梅さんちょっとごめんね。はーい」テテテテ
愛里寿「みほさん、こんばんは……」ペコリ
みほ「えぇ!? あ、愛里寿ちゃん!? どうしてこんな時間に……?」
愛里寿「入っていい……?」クビカシゲー
みほ「えと、部屋には私の友達も居るんだけど……」
愛里寿「大丈夫、小梅主審なら私も知ってる」ウンウン
みほ「主審!? やっぱりなんかの主審なの!? えーと、とりあえず……入って……」
愛里寿「ありがと……おじゃましまーす……」テテテテ
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「部屋に入ったところで試合開始のホイッスル! 何と二番手には島田流のご息女……島田愛里寿の登場だぁ!」』
『アンチョビ「意外な人物の登場に我々みほニストも動揺が隠せません! エリカさん、これは展開が読めないと思えますが……どうですか!?」』
『エリカ「正直……意外ですね。ですが大学選抜戦の折に兆候は見られてましたから、参加もやむ無しと言ったところでしょうか」』
『アンチョビ「島田愛里寿選手……何を仕掛けて来るのか全く読めません、その乏しい表情筋の奥に潜むのは愛か、狂気か……此方も目が離せない!」』
みほ「あの、小梅さん。ホイッスルはご近所さんに迷惑になっちゃうから……」
愛里寿「みほさん、大丈夫。今日はちゃんと許可取ってあるから、騒いでも怒られない」
みほ「何の許可なの!? もう頭が痛くなりそうだよぅ……」フラフラ
愛里寿「今日はボコのOVAを持ってきた。みほさん、見よ?」
みほ「ボコのOVA? そんなのあったんだ……うん! 一緒に見よ!」
みほ「あ、でも小梅さんが……」チラッ
小梅「………………」グッ サムズアップ
愛里寿「おっけーだって。さぁ見よ」ニコッ
みほ「うん! 見よう!」ニコッ
『アンチョビ「OVAと言う割に無骨で真っ黒なパッケージが嫌な予感をさせます!」』
『エリカ「試作品であってほしいところですね。しかしボコのOVAなんてどこにも話は上がってませんでしたが……」』
ーーーボコ OVAーーー
ボコ「やってやーるやってやーるやってやーるぜぇー!」タタタタ
ボコ「今、戦車を求めて全力疾走しているおいらはボコ! ごく普通のボコられグマ!」
ボコ「しいて他のボコられグマと違うのは、ちょっと戦車道の女の子に興味があるってことかナーー」
ボコ「そんな訳で、帰り道に戦車のある遊園地へとやって来たのだーー」
ボコ「そこでふと横を見ると戦車のキューポラから若い女の子が顔を出していた……」
ボコ「ウホッ! いい女……」
ボコ「そう思っていると女の子は戦車の中に入り、砲身をゆっくりと此方に向けた」
愛里寿「(戦車道)やらないか?」
『みほ「やらないよぉっ!」』
『アンチョビ「駄目だったぁっ! これにはみほさん自らストップをかけました!」』
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「何これ戦車道!? 愛里寿ちゃんが出てきたんだけど!? 私の知ってるボコじゃないよっ!」
愛里寿「オリジナル、ビジュアル、アニメーション。OVAの規定はクリアしてるはず」ウンウン
みほ「一番大事なのはオフィシャル要素だよっ! これはオリジナルが過ぎるよっ!」
愛里寿「一応ボコミュージアム公認にした。お母様のお金で」
みほ「生々しい話は聞きたくないから止めて! それにスポンサーの権力でボコ本来のストーリーをねじ曲げるのは良くないでしょ!」
愛里寿「でも、自分の思い通りにボコを作れる」
みほ「…………え?」キョトン
愛里寿「私が思い描く私だけのボコ。みほさんは自分だけのボコを考えたことは無い?」
みほ「それはある、けど……」
『アンチョビ「あーっと、これはみほさんの興味をぐいぐいと引いているぅ!」』
『エリカ「みほさんはボコに並々ならぬ関心を持っていますからね。展開しだいでは一気に寝技まで行ってしまうかも知れませんよ!」』
『アンチョビ「寝技と来ましたか! それは果たして放送できるのか!? 小梅主審の手腕に期待されます! さぁ、まだまだ愛里寿選手の饒舌は止まっていないぞぉっ!」』
愛里寿「それでね、私が考えたこのOVAは私が操るセンチュリオンでボコを打ちまくるの!」フンスフンス
愛里寿「ばこーん! ずどーん! ばこーん! ずどーん!」フンスフンス
愛里寿「ボコは何度打たれても立ち上がって向かってくる! でもそれを寄せ付けない連射速度で打ちまくるの!」フンスフンス
愛里寿「やがて弾が尽きると私は観念してキューポラから顔を出す。そしてボコが私に向かってこう言うの!」フンスフンス
みほ「………………」ゴクリ
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愛里寿「アニメの制作自体は専門のスタッフがいるから大丈夫。みほさんは理想のボコを伝えてくれるだけでいいの。私達はそれを形にするお手伝いをする。だからみほさんのボコを……教えて?」クビカシゲー
みほ「ふわぁぁ……本当に?」
愛里寿「うん、本当。私達の大学に来てくれれば直ぐに取り掛かれる。勿論、今からでも構わない」
みほ「い、今からは流石に無理だよぉ……」フルフル
愛里寿「……三日」ズイ
みほ「え?」
愛里寿「三日で作れる」グイ
みほ「ほ、ほんとに!?」ビックリ
愛里寿「本当。泊まり掛けなら三日で十分なクオリティで仕上げる事ができる。声もあてれるし、こうしてDVD化もできる」ズイ
みほ「…………」ゴクリ
愛里寿「だから……行こ?」コテン
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「ここでホイッスルーーーッッ! 小梅主審が堪らず止めました!」』
『エリカ「泊まりはいけませんよ泊まりは。宿泊に誘うにはみほ連盟の許可が要ります」』
『アンチョビ「これは小梅主審も吹いて当然と言った所でしょうか! さぁ、小梅主審が愛里寿選手に向かって行きました!」』
小梅「…………」クルクルクルクル
小梅「…………」バッ
『アンチョビ「小梅主審、腕を前方でぐるぐると回してカードを出しました!」』
『エリカ「トラベリングですね、小旅行への誘いですから妥当なカードです」』
『アンチョビ「時間は9分28秒! 中々良い試合運びだったと思いますが……どうでしょうかエリカさん?」』
『エリカ「アニメの時間も含んでいますからね。それを審査員がどう受け止めるかというところです」』
『アンチョビ「成る程! さぁ審査の前にペパロニさーん! 愛里寿選手の回収をお願いしまーす!」』
ペパロニ「はいはーい。さぁチビッ子、こっちに来るっス!」サササ
愛里寿「……背は小さいけど、私はもう大人」ムスッ
みほ「ま、またペパロニさんが……」
ペパロニ「大人は好き嫌いしないっスよ! 今日はアンツィオ特製パスタで苦手な物を無くすっス!」ウンウン
愛里寿「トマト……嫌い……」ズルズル
ペパロニ「明日には大好きって言えるように頑張るっス!」ズルズル
みほ「愛里寿ちゃんが引き摺られて行っちゃった……」アゼン
みほ「というか、ボコのOVA置いていっちゃったんだけど……どうしよう……」
小梅「…………それはみほさんに差し上げると言っているそうですよ。ボコアニメの件も諦めていない、とも……」
みほ「え!? あの話……ほ、本気なんだ……」ゴクリ
『アンチョビ「どうやら愛里寿選手はみほさんの心に大きな爪痕を残したようです! 試合に負けて勝負に勝ったという事でしょうか! さぁ、審査の為一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「いやー、愛里寿選手自身の参加もさることながら、見事なプレイングでした!」
エリカ「そうですね、やはりみほさんの弱点であるボコを絡めた話術で一気に引き込んだのが見事でした。愛里寿さんの持ち味を活かした試合だったと思います」
アンチョビ「これは審査の方も期待できそうです! トラベリングを取られましたがそれが審査に影響するのか……さぁ、各員審査が終わったようです! それでは順番にフリップを……どうぞ!」
ダージリン『くそ』タンッ
絹代『みそ』タンッ
ミカ『凄い内容のアニメだった』タンッ
アンチョビ「揃わなーーーいっ! ミカさんが後一歩揃っていません!」
ダージリン「…………」キッ
絹代「…………」キッ
ミカ「ひっ! ご、ごめんなさい……」オドオド
アンチョビ「これには他の審査員もご立腹! 無言の抗議がミカさんを射抜いています!」
エリカ「当然合わせてくるかと思いましたから……他の審査員が怒っても仕方ありませんよ。次は気を付けて頂きたいですね」
ミカ「…………すす、すみません」ペコリ
ミカ(アキ……ミッコ…………早くここから助けて……!!)トントン スミマセーン
沙織「あのー、ちょっといいですか……って何でダージリンさん達が!?」ビクッ
アンチョビ「おーっと、この審査員室にも乱入でしょうか、あんこうチームの乙女道をかけ上がるもいまいち登りきれない武部沙織さんです! どうしましたか!?」
沙織「ア、アンチョビさんまで……あと登りきれないは余計なお世話です。あの、私の飼ってるネコが家出しちゃって、それで心当たりを探してるんですけど、見ませんでしたか?」
アンチョビ「いやー残念ながら猫は見ていませんねぇ、審査員の皆さんにも聞いてみましょう……フリップドン!」サッ
ダージリン『残念ながら見ていませんわ』タンッ
絹代『申し訳無いが見ていません』タンッ
ミカ『助けて』タンッ
沙織「そうですか……それなら他を当たってみます……」トボトボ
ミカ「助けてよぉ!」チンローン
アンチョビ「はい! みほさんの部屋のチャイムが鳴りましたよ! ミカさんは早く席に戻って!」
ミカ「…………うぅ」スッ
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「ま、またチャイムが……」チラッ
小梅「私なら大丈夫ですからお気になさらず!」パッ
みほ「う、うん……ごめんね小梅さん……」ソソクサ
みほ「はーい」トタテテ
優花里「西住殿ぉ! 不肖秋山優花里、準備万端参上致しましたっ!」ペコーッ
みほ「ゆ、優花里さん……」チラッ
小梅「…………」コクン
みほ「どうぞ……入って……」スッ
『アンチョビ「三人目にしてあんこうチームでは二人目! 正直、必ず参加していると思っていました、秋山優花里選手、堂々登場です!」』
『エリカ「少し早い登場にも思えますが、今大会の優勝候補の一人でしょう。爛々と光る瞳がやる気に満ちていますね。コンディションは良好なようです!」』
『アンチョビ「みほさん、優花里さんと言えば王道とも言える名コンビですから、これは熟練のプレイが期待できそうです! しかし、エリカさん。少しみほさんに元気が無くなってきたように思えますが……?」』
『エリカ「そうですね、少し疲れが出てきたのでしょうか……心配ですね」』
みほ「えーと、それで優花里さん、今日はどうしたの?」
優花里「はい! 今日は西住殿の為にって……赤星殿?」チラッ
小梅「…………」ジー
『アンチョビ「試合開始のホイッスルが鳴りません! これはどういうことでしょうか?」』
『エリカ「どうやら小梅主審は秋山選手のリュックを見ていますね、秋山選手がいつも背負っているリュックと思われますが……」』
『アンチョビ「いつものリュック……というには些か大きいような……?」』
小梅「ピピピピピーーッッ!」ババッ
優花里「えっ? うひゃーっ!」ドテン
みほ「小梅さん!? いきなり優花里さんを襲ったら駄目だよぉっ!」アタフタ
小梅「ピピッ! 優花里さん……このリュック……中を改めさせて貰ってもよろしいですか……?」
優花里「そ、そんな駄目ですよ! 試合も始まっていないのに……これは越権行為です! それにその中身に何の問題も無かったらどうするんですか!? どう責任を取るおつもりですか!」
小梅「その時は……この赤星小梅ーーいつでも腹を切り申す! 私はその覚悟で審判をしているっ!」クワッ
みほ(えぇ……切るのぉ? なんなの、もう……)
小梅「それでは……ハァッッ!」グイッ ドサドサドサーッ!
優花里「あ、あぁぁーーーっ!」
『アンチョビ「で、ででで出たぁーーーーーーっ! 小梅主審が腹を召す覚悟で開けたリュックからドサドサと色々出てきましたぁっ!」』
『エリカ「………………一体何が出てきたんです?」』
『アンチョビ「い、色々です……」』
『エリカ「アンチョビさん、具体的にお願いします」』
『アンチョビ「言えませんっ! うら若き乙女の口からはとてもとても言えない物が沢山出てきたぞぉ! これにはみほさんの顔も引きつって固まっています!」』
みほ「…………ひぇっ」ビクッ
優花里「ちち違うんです、違うんです西住殿! これはそんなつもりではないんです! 信じてください!」アタフタ
みほ「うわぁ……優花里さん、これはちょっと……」ヒキツリ
優花里「ジョ、ジョークグッズにマッサージグッズですから! 大丈夫です大丈夫、ちっとも怖くありませんよぉ!」
みほ「近寄らないで!」サッ
優花里「そそそんなぁ、西住殿ぉ~」
『アンチョビ「まぁジャンルは確かにジョークグッズにマッサージグッズでしょうけれども、それにしてもよく色々揃えたものです!」』
『エリカ「ヤマタノオロチのような物もありますね、あんこうチーム全員でも若干余ります。秋山選手はあれをどうする気だったのでしょうか」』
小梅「ピピピーーーーッッ! 秋山優花里、オフェンシブアーツ!」シュバッ
『アンチョビ「レッドカーーーーードッ! なんと秋山選手オフェンシブアーツで一発退場! 試合開始のホイッスルを待たずに退場となりました! 今大会初のレッドカードに秋山選手の顔が強張っております!」』
『エリカ「あんなものを使ってはみほさんが怪我をしてしまいますからね、これはもう当然の判断でしょう、擁護は出来ません」』
『アンチョビ「僅かな違和感を見逃さない小梅主審の観察眼、そして判断力は流石といったところ! みほニスト特級審判師の手腕は健在だぁー!」』
みほ「ひぇぇ……何これ、何これ……で、電極棒?」ブルブル
小梅「…………」ブチィッ
小梅「秋山優花里……ペナルティアタックーーフルカウンターッッ!」バッ
『アンチョビ「小梅主審の判断が出ました……フルカウンター! これはかなり重い罰となりました。電極棒を見付けたときの小梅主審は仁王も裸足で逃げ出す気迫を纏っていましたから、それだけ怒りを覚えたといったところでしょうか」』
『アンチョビ「それでは先ずは……ペパロニさーん、秋山選手をカルパッチョルームに連れてってくださーい!」』
ペパロニ「はいはーい、お邪魔するっス! …………ってうわぁっ!」ビクッ
ペパロニ「なんすかこれ、なんなんすかこれ!?」ビックリ
ペパロニ「えっ、ちょっうわ、うわぁ……えぇ……?」プルプル
ペパロニ「ふわぁ、これってアレっスよね? ちょちょっともう、いやぁ無理っス!」テヘッ
『アンチョビ「ペパロニさーん、そこらへんの物も全部回収してってくださーい!」』
ペパロニ「そりゃ勘弁っスよドゥーチェ! だってこれ全部剥き身じゃないっスか! それってつまりアレっスよ、使用済みって事っスよね!? 流石にこれ触るのはちょっと……」
ペパロニ「あ、お茶も落ちてるけどこれも中身減ってるっスね」スッ
ジ ェ ル シ ア 濃 茶 風
優花里「すみません……それローションです……」メソラシー
ペパロニ「うわっ秋山ぁ、お前いい加減にしろよ! あんこうチームの装填手はそういうのも兼任すんのか!」
みほ「ペパロニさんあんこうチームへの言い掛かりは止めてください! あと早くそこの人を連れてってください!」
優花里「西住殿ぉぉ~~そんなつもりじゃ無いんです! ただ少し人が電気を通すのかという学術的興味が勝ってしまっただけなんです! 信じてくださぁいっ!」ワンワン
『アンチョビ「言い訳としては苦しいぞ秋山選手! その疑問の答えは後程ご自分で体験なさってくださーい!」』
ペパロニ「ほら、秋山! 全部自分で拾えっての! さぁとっとと行くっスよー!」プンプン
優花里「うわぁぁぁーーーー! にーしーずーみーどーのぉぉーーー…………!」ズルズル
『アンチョビ「優花里選手がズルズル引き摺られながらも伸ばした手はただただ虚空を舞っております! みほさんは離れていく優花里選手を悲しそうに見送るだけ! こんな展開を誰が予想したでしょうか……しかし自業自得です!」』
『エリカ「ですね」』
みほ「…………ぐすっ」ジワァ
小梅「みほさん!?」
みほ「うぅ……うっ……ぐずっ……ご、ごめんね小梅さん……」グスッグスッ
『アンチョビ「な、泣いてしまったぁぁーーーっっ! ウェポンマスター秋山のせいか、はたまた華選手から続いた面々が心身への負担となっていたのか!?」』
『エリカ「これはいけないですね。みほさんのコンディションが悪化してしまった場合、今大会は強制終了となるかもしれません。あくまでみほさんへの愛を競う大会なのですから、みほさんを傷付けてまでの続行は厳しいでしょう。ここからの小梅主審の行動と判断に注目です」』
みほ「こ、小梅さん達が来てくれて……ぐすっ……嬉しいけど…………皆なんか変で……」グスッグスッ
小梅「みほさん……」ギュッ
みほ「……っ!」
小梅「みほさんは……私も変だと思ってる……?」ギュッ
みほ「……いきなりホイッスルを吹くのは変だと思う」グスッ
小梅「…………そうですね、少し変かも。でもね……」ギュッ モミッ
みほ「……?」ジッ
小梅「ここにいる限り……私はみほさんを守ります。あんな穢れた八剣伝の餌食なんかには間違ってもさせません。みほさんを思うこの気持ちは……本当です」ギュゥゥ
みほ「小梅さん……!」
小梅「……信じてくれますか?」モミッ モミッ
みほ「……うん!」ニコッ
小梅「信じてくれてありがとうみほさん……」
みほ「ふふ……泣いちゃってごめんね小梅さん。あ、そうだ、もし良かったら泊まっていかない? また、優花里さんが来るかもしれないし……」チラッ
小梅「……みほさんがそう仰るのなら、お言葉に甘えちゃっても良いですか?」
みほ「勿論だよ! うわー小梅さんと一緒に寝るの何年振りかなー。嬉しいな!」ニコニコ
『エリカ「……あの、どさくさに紛れてみほさんのお尻を揉んだ小梅主審にイエローカードでお願いします」』
『アンチョビ「小梅主審は参加者では無いので反則を取れません! 諦めてください! しかしこれも小梅主審のなせる技なのか、大会続行と合わせて宿泊をもぎ取りました! さてここで審査の為、一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「いやぁ大波乱の展開となりました。大本命の秋山選手が試合開始を待たずの退場という形になりましたが、これは厳しい審査になるのではないでしょうか?」
エリカ「試合開始を待たずに退場してしまいましたからね、この審査は難しくなりますよ。それに加えてレッドカードの存在が審査に大きく影響すると思います」
アンチョビ「解説のエリカさんも厳しい意見です……さぁ、皆さん書き終わったようです! 秋山選手の結果は……? フリップ、お願いしまーす!」スッ
ダージリン『ペコが使っている』タンッ
絹代『福田に使っている』タンッ
ミカ『よくわからない』タンッ
アンチョビ「あーーーっと、ミカさんはあれが何か知らないのか!? ここも一人足を引っ張る結果になりましたぁ!」
ダージリン「…………」バンッ
絹代「…………」バンッ
ミカ「ひっ!」ビクッ
アンチョビ「他の審査員二人が思わずフリップを叩きつけるぅ! ミカさん、もしかしてご存知無いのですか?」
ミカ「あの、はい……よく解りませんでした……」ウツムキ
ダージリン「…………っ!」バンバンバン
ミカ「すすすすみませんすみません! 勉強不足でした!」フルフル
ダージリン「…………!」パチン!
オレンジペコ「…………あの、ミカさん……どうぞ……っ!」スッ ウインウイン
ミカ「ど、どうもありがとう……?」ウインウイン
オレンジペコ「私のお古ですけど……」///
ミカ(何か貰ったけど、結局これは何なんだろう)ウインウイン ウインウイン
アンチョビ「ミカさん! 申し訳ありませんが、それは電源を切って仕舞っておいてください! 目に毒です!」
ミカ「は、はい!」ウインウイカチッ スッ
アンチョビ「さぁ、ここで一旦カルパッチョルームへカメラを移します。秋山選手は既に到着しているのでしょうか!?」
エリカ「秋山選手が映せる状態であることを祈るばかりですね」
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カルパッチョ「たかちゃん、私はとても悲しいの……いくら私がドゥーチェと連絡をとっていてもコソコソと逃げることはないと思うの……」シクシク
エルヴィン「カエサル、やっぱり逃げちゃ駄目じゃないか!」
カルパッチョ「そしてたかちゃんが戻っているのを知っていながら、私の元へと送ってくれない仲間の皆さんにも悲しんでいるの……」シクシク
おりょう「私はカエサルに戻れと言ったぜよぉ!」バンッ
カルパッチョ「私の悲しみ……皆さんにも感じて欲しいんです……」スッ
左衛門佐「ま、待て! その鞭で感じられるのは悲しみではなく痛みだ!」ヒッ
カパッチョ「お静かにっ!」ペシン
左衛門佐「いったぁぁーーーーいッッ!!」ドテン
カエサル「左衛門佐ぁ! だ、大丈夫か!?」バッ
左衛門佐「いたたたたた……これが大丈夫に見えるか!」
カルパッチョ「あなたが感じたその痛みこそが私の悲しみなのです!」スッ
左衛門佐「これはただの私の痛みだこのバカッ!」
カルパッチョ「………………」スッ
左衛門佐「ひぇ! は、話せばわかる……ほーら、カエサルだよぉ! たかちゃんだよぉ!」サッ
カエサル「な……お前私を売るつもりか! 私だって痛いのは嫌だぞ!」グググ
カルパッチョ「たかちゃん……私だって本当はたかちゃんを、皆さんを傷付けたくは無いのっ!」
カルパッチョ「だから……皆さんに選んで欲しい……二つの道のうち、どちらかを……」
エルヴィン「何か妙な事言い出したぞ……」ボソッ
左衛門佐「クレイジーサイコレズの言葉なんて真面目に聞く必要はないだろ……」ボソッ
カルパッチョ「お黙りっ!」ピシン
左衛門佐「いったぁぁーーーーいッッ! 何で私だけが打たれるんだ!」ゴロゴロ
おりょう「大丈夫か左衛門佐! 皆、とりあえずここはカルパッチョの言葉を大人しく待つぜよ……」
優花里「……二つの道って何ですかぁ?」
カルパッチョ「……一つは皆さんに私の悲しみを朝日が昇るまで感じてもらう道」スッ
エルヴィン「絶対嫌だぞ」
おりょう「同じく」
カルパッチョ「もう一つは、私の今日のお仕事を手伝ってもらう道……」
カエサル「悲しみの道よりはマシではないか?」チラッ
左衛門佐「こっちも怪しいだろ、お仕事ってなんだよ」
優花里「アンツィオのお仕事となれば料理とかでは?」
エルヴィン「なるほど、その可能性は十分にあるな」
おりょう「それでお仕事ってなんぜよ?」
カルパッチョ「私に先程与えられたお仕事は……そこの秋山さんに全ての道具を使うことですっ!」
優花里「え……?」ビクッ
カルパッチョ「秋山さん……あなた、小梅主審にフルカウンターを与えられましたね?」ニコリ
優花里「えぇ……?」アトズサリ
カルパッチョ「ですから……あなたの持ち込んだ道具の全てをその御体にお返ししろとのお達しがあったのです」ニッコリ
カルパッチョ「さぁ……どれから使います?」スッ
カエサル「いやいやいや、ひなちゃんちょっと待ってくれ。流石にソウルメイトのグデーリアンを餌食にさせるのは……なぁ?」チラッ
undefined
長すぎて飛んでる……駄目だ……また建て直します……すみません……
張り直すか……
ーーー大洗学園 某室ーーー
アンチョビ「はい! 部屋の主である西住みほさんのご帰宅ですっ!」
アンチョビ「先ずは主審、赤星小梅によるみほさんへの挨拶から始めたいと思います!」
アンチョビ「おっと、その前に……。今日の放送をお送りするのは……実況は私、アンツィオのドゥーチェことアンチョビとーー」スッ
エリカ「解説、黒森峰の逸見エリカです。どうぞよろしくお願いします」ペコリ
アンチョビ「ちなみにこの音声はみほさんには聞こえていません! ですから大声で張り切っていきましょう! ただし小梅主審には聞こえていますよ!」
アンチョビ「さぁ早速主審の挨拶へ入るようですが、エリカさん、これについて何かありますか?」
エリカ「そうですね、この主審の挨拶次第ではみほさんの警戒心が高まりますからね、重要なポイントですよ」
アンチョビ「成る程……選手のプレイングへの影響も計り知れないと、そういうことですね?」
エリカ「はい。ですが主審の小梅さんはみほさんとの面識も当然ありますから、逆に良い影響を与えるのも充分考えられます」
アンチョビ「これは最初から見逃せない展開となりそうです!」チンローン
アンチョビ「おっと、みほさんの部屋のチャイムがなりましたよ? みほさんはまだ玄関から動いていません。さぁここからの動向に注目です」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「誰だろう……? はーい……」トテトテ ガチャリ
みほ「あっ、小梅さん! 大洗に来てたんだ! どうぞ、上がって上がって!」
小梅「はい! 赤星小梅、今回は主審として来ました! みほさん、今日はよろしくお願いします!」ペコリ
みほ「主審……? 主審って何……?」クビカシゲー
小梅「ふふ……すぐにわかりますよ! あ、これお土産です」サシダシー
みほ「あーっ! このサブレ、黒森峰にしか売ってないんだよね! 小梅さん、態々ありがとう!」ニコニコ
みほ「さっ、どうぞ入って!」ニコニコ
『アンチョビ「これは小梅主審、上手いですよ! 主審としての挨拶をしつつ、みほさんへの心遣いも忘れていない!」』
『エリカ「これで最初の選手は大分有利になると思いますよ。あのサブレはみほさんも好きでしたからね、流石小梅主審です」』
『アンチョビ「ワンルームへと続く廊下を歩いていく二人……。主審の挨拶が終わった今、いつ最初の選手が現れるかわかりません! エリカさん、最初の選手はどこで仕掛けて来ると思いますか?」』
『エリカ「そうですね……ワンルームとはいえ、死角は多いですから……部屋に入った瞬間と言うのも充分ありえます。警戒していきたいですね」』
みほ「それにしてもいきなり来るんだもん、びっくりしちゃった!」テクテク
小梅「本当に突然でごめんなさい。色々な事がいきなり決まるものだから……」ペコリ
みほ「ううん、全然構わないよ! でもちょっとお部屋が散らかってるから、恥ずかしいなぁ……」テレテレ
みほ「それじゃ、お茶淹れてくるから、小梅さんはここで寛い……で…………て……?」ピタッ
みほ「えっ? 華……さん?」ビクッ
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「さぁ! 部屋の片隅で三つ指をついて待っていた五十鈴華選手にみほさんが気付いたところで西住みほ選手権、愛の行方カップ……スタートォッッ!!」』
『アンチョビ「持ち時間は各々10分間、みほさんが選手に気付いた後、小梅主審が笛を吹いてからの10分間となります! 最初の選手、華選手からのスタートとなりましたが、これは意外な選手です!」』
『エリカ「そうですね、この選手権への参加もさることながら、攻め手の難しい一番手です」』
『エリカ「ですが華選手は西住みほ香道会の会長もやっていますから、どういう手を使ってくるか予想もつきません。これは見物だと思いますよ」』
みほ「……華さん……だよね?」オソルオソル
華「みほさん、お帰りなさいませ。お食事になさいますか? それともお風呂になさいますか?」ペコー
みほ「やっぱり華さんだった! 私の部屋で何してるの!?」
華「……家事……ですね!」ニコッ
みほ「聞いているのはそこじゃないよ! 家事なら自分のおうちでやってよ!」
華「今日だけは……今日だけは負けるわけにはいかないのです! みほさん! お食事ですか!? お風呂ですか!?」クワッ
みほ「何か怖いよっ!」
華「お風呂ですね? お風呂で良いですよね?」グイグイ
みほ「ちょ、ちょっと、華さん! や、やめ……」
華「……ん? ……みほさん、お怪我をなされてますね? 微かに血の匂いが……」スンスン
みほ「え? 怪我なんてしてませんけど……って華さん!」
華「ここ! ここから血の匂いがします! こんな乙女の大事な所を怪我していなさるとは……いけません、いけませんよみほさん! 抵抗なさらないで!」スンスンスンスンスンスン
みほ「や、やぁ……そこは汚い、汚いですから! やめてぇ!」
華「ハスハス! ハスハス! あぁ芳醇で濃厚な香りが脳髄にガツンと来ますわぁっ!」ハスハスハスハス
みほ「はな、はなしてぇ……っ! 小梅さん助けてぇ!」グググ……
『アンチョビ「小梅主審はホイッスルを口にしたまま動きません! 華選手の持ち時間はまだ残っているぅ!」』
『エリカ「華選手、大分思いきった攻めを展開してますね。反則スレスレのラインを上手く攻めています。小梅主審の死角にも手が伸びていますからね、小梅主審も笛を吹けないようです」』
みほ「だ、だめだめだめぇ! 今日は本当に駄目だから! ね!? お願いお願いそこからどいてぇっ!」ブンブン
華「絶対に離しません! こんな……こんな溢れる月桂冠を私が離すとお思いですか!? あぁ……こんな……溢れる蜜が……零れ…………ペロッ」ハスハスハス ペロッ
みほ「……んっ」ピクッ
小梅「ピィィィーーーーーーーッッッ!!!」
『アンチョビ「ここで強制終了のホイッスルゥゥーーーッッ! 流石にここは見逃しませんでした小梅主審! ん? 小梅主審がカードを上げましたよ! あのカードに書いてあるのは……テイスティング!」』
『エリカ「先程は確実に舌が触れていました! テイスティングはいけません! 西住みほ香道会にテイスティングは無かったはずです。みほさんのパンツを蒸らし、香炉に入れてその匂いを楽しむ香道にテイスティングはありません!」』
『アンチョビ「料理に味見は必要なれどここは西住みほ選手権! 華選手、少し勇み足が過ぎました! さぁペパロニさん、未だにみほさんの股ぐらに顔を突っ込んでいる華選手を剥がしておいてください」』
『エリカ「直ぐに次の選手と鉢合わせになる可能性がありまからね、プレイスペースを譲るのは当然の事です」』
ペパロニ「うぃーっす! はいはいもう終わりっすよー!」グイ
華「あぁそんな! まだこれからですのに、あと……あと五分!」ズリズリ……
みほ「ぺ、ペパロニさんまで!? 引き離してくれるのはありがたいけど……」
小梅「みほさん、ペパロニさんとカルパッチョさんは進行補佐ですから大丈夫ですよ」
みほ「何の!? っていうかまた不法侵入だよ! 私の部屋で何がおこっているの……?」
『アンチョビ「それは当然、西住みほ選手権です! さぁここで先程プレイを終えた華選手からメッセージが届いております。「鼻が利きすぎた、甘かった」との事です」』
『アンチョビ「甘かったのは自分でしょうかそれとも……これはどっちの意味でと叫んでしまいそうな所ですが……ここで一旦審査の為にカメラを戻します」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「これはいきなり大波乱といった展開ですが……エリカさん、どうですか?」
エリカ「そうですね、持ち時間をフルで使えなかったのは手痛い所ですけど、華選手は充分持ち味を活かしたと思いますよ。高得点が期待されます」
アンチョビ「んー成る程! これは解説のエリカさんからも高評価のようです。おっと、審査が終わったようですね……では順番にフリップをあげて頂きましょう!」
ダージリン『絶対甘い』タンッ
絹代『んっ! ……んっ!』タンッ
ミカ『よくわからない』タンッ
アンチョビ「これは思ったより厳しめの評価ですね、持ち時間の残りが影響したのか! ところでミカさん……よくわからないとありますが……?」
ミカ「あの……何を評価するかもわからないし、そもそも私は何で呼ばれたんだい? あとカンテレを返してくれないか?」チンローン
アンチョビ「カンテレを返すと帰っちゃうので勿論返しません! さぁ、みほさんのお部屋のチャイムが鳴りました! カメラを戻します!」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「また誰か来た……小梅さんちょっとごめんね。はーい」テテテテ
愛里寿「みほさん、こんばんは……」ペコリ
みほ「えぇ!? あ、愛里寿ちゃん!? どうしてこんな時間に……?」
愛里寿「入っていい……?」クビカシゲー
みほ「えと、部屋には私の友達も居るんだけど……」
愛里寿「大丈夫、小梅主審なら私も知ってる」ウンウン
みほ「主審!? やっぱりなんかの主審なの!? えーと、とりあえず……入って……」
愛里寿「ありがと……おじゃましまーす……」テテテテ
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「部屋に入ったところで試合開始のホイッスル! 何と二番手には島田流のご息女……島田愛里寿の登場だぁ!」』
『アンチョビ「意外な人物の登場に我々みほニストも動揺が隠せません! エリカさん、これは展開が読めないと思えますが……どうですか!?」』
『エリカ「正直……意外ですね。ですが大学選抜戦の折に兆候は見られてましたから、参加もやむ無しと言ったところでしょうか」』
『アンチョビ「島田愛里寿選手……何を仕掛けて来るのか全く読めません、その乏しい表情筋の奥に潜むのは愛か、狂気か……此方も目が離せない!」』
みほ「あの、小梅さん。ホイッスルはご近所さんに迷惑になっちゃうから……」
愛里寿「みほさん、大丈夫。今日はちゃんと許可取ってあるから、騒いでも怒られない」
みほ「何の許可なの!? もう頭が痛くなりそうだよぅ……」フラフラ
愛里寿「今日はボコのOVAを持ってきた。みほさん、見よ?」
みほ「ボコのOVA? そんなのあったんだ……うん! 一緒に見よ!」
みほ「あ、でも小梅さんが……」チラッ
小梅「………………」グッ サムズアップ
愛里寿「おっけーだって。さぁ見よ」ニコッ
みほ「うん! 見よう!」ニコッ
『アンチョビ「OVAと言う割に無骨で真っ黒なパッケージが嫌な予感をさせます!」』
『エリカ「試作品であってほしいところですね。しかしボコのOVAなんてどこにも話は上がってませんでしたが……」』
ーーーボコ OVAーーー
ボコ「やってやーるやってやーるやってやーるぜぇー!」タタタタ
ボコ「今、戦車を求めて全力疾走しているおいらはボコ! ごく普通のボコられグマ!」
ボコ「しいて他のボコられグマと違うのは、ちょっと戦車道の女の子に興味があるってことかナーー」
ボコ「そんな訳で、帰り道に戦車のある遊園地へとやって来たのだーー」
ボコ「そこでふと横を見ると戦車のキューポラから若い女の子が顔を出していた……」
ボコ「ウホッ! いい女……」
ボコ「そう思っていると女の子は戦車の中に入り、砲身をゆっくりと此方に向けた」
愛里寿「(戦車道)やらないか?」
『みほ「やらないよぉっ!」』
『アンチョビ「駄目だったぁっ! これにはみほさん自らストップをかけました!」』
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「何これ戦車道!? 愛里寿ちゃんが出てきたんだけど!? 私の知ってるボコじゃないよっ!」
愛里寿「オリジナル、ビジュアル、アニメーション。OVAの規定はクリアしてるはず」ウンウン
みほ「一番大事なのはオフィシャル要素だよっ! これはオリジナルが過ぎるよっ!」
愛里寿「一応ボコミュージアム公認にした。お母様のお金で」
みほ「生々しい話は聞きたくないから止めて! それにスポンサーの権力でボコ本来のストーリーをねじ曲げるのは良くないでしょ!」
愛里寿「でも、自分の思い通りにボコを作れる」
みほ「…………え?」キョトン
愛里寿「私が思い描く私だけのボコ。みほさんは自分だけのボコを考えたことは無い?」
みほ「それはある、けど……」
『アンチョビ「あーっと、これはみほさんの興味をぐいぐいと引いているぅ!」』
『エリカ「みほさんはボコに並々ならぬ関心を持っていますからね。展開しだいでは一気に寝技まで行ってしまうかも知れませんよ!」』
『アンチョビ「寝技と来ましたか! それは果たして放送できるのか!? 小梅主審の手腕に期待されます! さぁ、まだまだ愛里寿選手の饒舌は止まっていないぞぉっ!」』
愛里寿「それでね、私が考えたこのOVAは私が操るセンチュリオンでボコを打ちまくるの!」フンスフンス
愛里寿「ばこーん! ずどーん! ばこーん! ずどーん!」フンスフンス
愛里寿「ボコは何度打たれても立ち上がって向かってくる! でもそれを寄せ付けない連射速度で打ちまくるの!」フンスフンス
愛里寿「やがて弾が尽きると私は観念してキューポラから顔を出す。そしてボコが私に向かってこう言うの!」フンスフンス
みほ「………………」ゴクリ
愛里寿「お前、おいらの事ダミーターゲットか何かと勘違いしてるんじゃないか?」ドヤァ
『アンチョビ「しーましェーん! これはみほさん的にありなんでしょうか!? 大分某漫画の影響が見受けられます!」』
『エリカ「みほさんはボコに対しては途端にポンコツになりますからね、このOVAのシナリオを聞く限り愛里寿さんも相当ポンコツですけど」』
『アンチョビ「さぁ、みほさんの表情は……少し俯いていて此方の画面からは確認出来ませんが……?」』
みほ「…………すっごく良いと思う!」パァァ
『アンチョビ「アリだったぁぁーーーッッ! 愛里寿さんがポンコツなら此方もポンコツ、いずれ戦車道を牽引するであろう各流派の御息女がこれで大丈夫なのか心配になります!」』
みほ「愛里寿ちゃんはやっぱり凄いよ! ボコをボコボコにするだけじゃやっぱり駄目なんだよね! 負け惜しみに近い自虐的悪態を吐かせる事でボコのアイデンティティーでもあるボコられる事への感情を上手く導いてるよ!」フンスフンス
愛里寿「ボコがボコボコにされるだけじゃ見ている子供達に虐めを促進させるようなもの、だけど何度でも立ち上がるボコを明確に表す事によってボコは子供達に燐然とした勇気を与えてくれる。やっぱりみほさんはボコを理解している」フンスフンス
みほ「そうそう、そうなんだよね! シリアスなテーマの中にもコミカルな一面を混ぜる事でボコの格好良さを際立たせるんだよ! 愛里寿ちゃんはやっぱりボコを解ってるよぉ!」フンスフンス
『アンチョビ「この勢いには小梅主審も少し引き気味です! 気持ちは良く分かります!」』
『エリカ「呆然と見守ってますね。愛里寿さんはレギュレーションに違反しているわけでは無いので、笛を鳴らして二人を止める事も出来ませんから」』
『アンチョビ「おっとぉ? 二人のボコ談義が一段落したようです。ボコボコボコボコとボコ談義に花が咲いていましたが……」』
『エリカ「みほさんも愛里寿さんも楽しそうでなによりです」』
愛里寿「……そこで、みほさんに提案がある」フンスフンス
みほ「えっと、なにかな?」
愛里寿「……みほさんもボコのOVAを作ってみない?」
みほ「え、えぇっ!?」ビックリ
みほ「そそそんなぁ……私がボコのOVAを作るなんて……たとえ戦車道の最中でもボコのオリジナルシナリオは頭の隅に常にあるけどアニメを制作する技術が無いよぉ……」アタフタ
『アンチョビ「存外乗り気だぁーーーーっ!! 遠慮している体でもその実、いつでも準備は出来てるぞと、シナリオは任せろと言わんばかりの誘い受けを見せているぞぉ!」』
『エリカ「大分拗らせてますね……この例え戦車道の最中でもというのが例えではなく、本当にボコの事を考えてそうなのが怖いところです」』
愛里寿「アニメの制作自体は専門のスタッフがいるから大丈夫。みほさんは理想のボコを伝えてくれるだけでいいの。私達はそれを形にするお手伝いをする。だからみほさんのボコを……教えて?」クビカシゲー
みほ「ふわぁぁ……本当に?」
愛里寿「うん、本当。私達の大学に来てくれれば直ぐに取り掛かれる。勿論、今からでも構わない」
みほ「い、今からは流石に無理だよぉ……」フルフル
愛里寿「……三日」ズイ
みほ「え?」
愛里寿「三日で作れる」グイ
みほ「ほ、ほんとに!?」ビックリ
愛里寿「本当。泊まり掛けなら三日で十分なクオリティで仕上げる事ができる。声もあてれるし、こうしてDVD化もできる」ズイ
みほ「…………」ゴクリ
愛里寿「だから……行こ?」コテン
小梅「ピーーーーーーッッ!!」
『アンチョビ「ここでホイッスルーーーッッ! 小梅主審が堪らず止めました!」』
『エリカ「泊まりはいけませんよ泊まりは。宿泊に誘うにはみほ連盟の許可が要ります」』
『アンチョビ「これは小梅主審も吹いて当然と言った所でしょうか! さぁ、小梅主審が愛里寿選手に向かって行きました!」』
小梅「…………」クルクルクルクル
小梅「…………」バッ
『アンチョビ「小梅主審、腕を前方でぐるぐると回してカードを出しました!」』
『エリカ「トラベリングですね、小旅行への誘いですから妥当なカードです」』
『アンチョビ「時間は9分28秒! 中々良い試合運びだったと思いますが……どうでしょうかエリカさん?」』
『エリカ「アニメの時間も含んでいますからね。それを審査員がどう受け止めるかというところです」』
『アンチョビ「成る程! さぁ審査の前にペパロニさーん! 愛里寿選手の回収をお願いしまーす!」』
ペパロニ「はいはーい。さぁチビッ子、こっちに来るっス!」サササ
愛里寿「……背は小さいけど、私はもう大人」ムスッ
みほ「ま、またペパロニさんが……」
ペパロニ「大人は好き嫌いしないっスよ! 今日はアンツィオ特製パスタで苦手な物を無くすっス!」ウンウン
愛里寿「トマト……嫌い……」ズルズル
ペパロニ「明日には大好きって言えるように頑張るっス!」ズルズル
みほ「愛里寿ちゃんが引き摺られて行っちゃった……」アゼン
みほ「というか、ボコのOVA置いていっちゃったんだけど……どうしよう……」
小梅「…………それはみほさんに差し上げると言っているそうですよ。ボコアニメの件も諦めていない、とも……」
みほ「え!? あの話……ほ、本気なんだ……」ゴクリ
『アンチョビ「どうやら愛里寿選手はみほさんの心に大きな爪痕を残したようです! 試合に負けて勝負に勝ったという事でしょうか! さぁ、審査の為一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「いやー、愛里寿選手自身の参加もさることながら、見事なプレイングでした!」
エリカ「そうですね、やはりみほさんの弱点であるボコを絡めた話術で一気に引き込んだのが見事でした。愛里寿さんの持ち味を活かした試合だったと思います」
アンチョビ「これは審査の方も期待できそうです! トラベリングを取られましたがそれが審査に影響するのか……さぁ、各員審査が終わったようです! それでは順番にフリップを……どうぞ!」
ダージリン『くそ』タンッ
絹代『みそ』タンッ
ミカ『凄い内容のアニメだった』タンッ
アンチョビ「揃わなーーーいっ! ミカさんが後一歩揃っていません!」
ダージリン「…………」キッ
絹代「…………」キッ
ミカ「ひっ! ご、ごめんなさい……」オドオド
アンチョビ「これには他の審査員もご立腹! 無言の抗議がミカさんを射抜いています!」
エリカ「当然合わせてくるかと思いましたから……他の審査員が怒っても仕方ありませんよ。次は気を付けて頂きたいですね」
ミカ「…………すす、すみません」ペコリ
ミカ(アキ……ミッコ…………早くここから助けて……!!)トントン スミマセーン
沙織「あのー、ちょっといいですか……って何でダージリンさん達が!?」ビクッ
アンチョビ「おーっと、この審査員室にも乱入でしょうか、あんこうチームの乙女道をかけ上がるもいまいち登りきれない武部沙織さんです! どうしましたか!?」
沙織「ア、アンチョビさんまで……あと登りきれないは余計なお世話です。あの、私の飼ってるネコが家出しちゃって、それで心当たりを探してるんですけど、見ませんでしたか?」
アンチョビ「いやー残念ながら猫は見ていませんねぇ、審査員の皆さんにも聞いてみましょう……フリップドン!」サッ
ダージリン『残念ながら見ていませんわ』タンッ
絹代『申し訳無いが見ていません』タンッ
ミカ『助けて』タンッ
沙織「そうですか……それなら他を当たってみます……」トボトボ
ミカ「助けてよぉ!」チンローン
アンチョビ「はい! みほさんの部屋のチャイムが鳴りましたよ! ミカさんは早く席に戻って!」
ミカ「…………うぅ」スッ
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「ま、またチャイムが……」チラッ
小梅「私なら大丈夫ですからお気になさらず!」パッ
みほ「う、うん……ごめんね小梅さん……」ソソクサ
みほ「はーい」トタテテ
優花里「西住殿ぉ! 不肖秋山優花里、準備万端参上致しましたっ!」ペコーッ
みほ「ゆ、優花里さん……」チラッ
小梅「…………」コクン
みほ「どうぞ……入って……」スッ
『アンチョビ「三人目にしてあんこうチームでは二人目! 正直、必ず参加していると思っていました、秋山優花里選手、堂々登場です!」』
『エリカ「少し早い登場にも思えますが、今大会の優勝候補の一人でしょう。爛々と光る瞳がやる気に満ちていますね。コンディションは良好なようです!」』
『アンチョビ「みほさん、優花里さんと言えば王道とも言える名コンビですから、これは熟練のプレイが期待できそうです! しかし、エリカさん。少しみほさんに元気が無くなってきたように思えますが……?」』
『エリカ「そうですね、少し疲れが出てきたのでしょうか……心配ですね」』
みほ「えーと、それで優花里さん、今日はどうしたの?」
優花里「はい! 今日は西住殿の為にって……赤星殿?」チラッ
小梅「…………」ジー
『アンチョビ「試合開始のホイッスルが鳴りません! これはどういうことでしょうか?」』
『エリカ「どうやら小梅主審は秋山選手のリュックを見ていますね、秋山選手がいつも背負っているリュックと思われますが……」』
『アンチョビ「いつものリュック……というには些か大きいような……?」』
小梅「ピピピピピーーッッ!」ババッ
優花里「えっ? うひゃーっ!」ドテン
みほ「小梅さん!? いきなり優花里さんを襲ったら駄目だよぉっ!」アタフタ
小梅「ピピッ! 優花里さん……このリュック……中を改めさせて貰ってもよろしいですか……?」
優花里「そ、そんな駄目ですよ! 試合も始まっていないのに……これは越権行為です! それにその中身に何の問題も無かったらどうするんですか!? どう責任を取るおつもりですか!」
小梅「その時は……この赤星小梅ーーいつでも腹を切り申す! 私はその覚悟で審判をしているっ!」クワッ
みほ(えぇ……切るのぉ? なんなの、もう……)
小梅「それでは……ハァッッ!」グイッ ドサドサドサーッ!
優花里「あ、あぁぁーーーっ!」
『アンチョビ「で、ででで出たぁーーーーーーっ! 小梅主審が腹を召す覚悟で開けたリュックからドサドサと色々出てきましたぁっ!」』
『エリカ「………………一体何が出てきたんです?」』
『アンチョビ「い、色々です……」』
『エリカ「アンチョビさん、具体的にお願いします」』
『アンチョビ「言えませんっ! うら若き乙女の口からはとてもとても言えない物が沢山出てきたぞぉ! これにはみほさんの顔も引きつって固まっています!」』
みほ「…………ひぇっ」ビクッ
優花里「ちち違うんです、違うんです西住殿! これはそんなつもりではないんです! 信じてください!」アタフタ
みほ「うわぁ……優花里さん、これはちょっと……」ヒキツリ
優花里「ジョ、ジョークグッズにマッサージグッズですから! 大丈夫です大丈夫、ちっとも怖くありませんよぉ!」
みほ「近寄らないで!」サッ
優花里「そそそんなぁ、西住殿ぉ~」
『アンチョビ「まぁジャンルは確かにジョークグッズにマッサージグッズでしょうけれども、それにしてもよく色々揃えたものです!」』
『エリカ「ヤマタノオロチのような物もありますね、あんこうチーム全員でも若干余ります。秋山選手はあれをどうする気だったのでしょうか」』
小梅「ピピピーーーーッッ! 秋山優花里、オフェンシブアーツ!」シュバッ
『アンチョビ「レッドカーーーーードッ! なんと秋山選手オフェンシブアーツで一発退場! 試合開始のホイッスルを待たずに退場となりました! 今大会初のレッドカードに秋山選手の顔が強張っております!」』
『エリカ「あんなものを使ってはみほさんが怪我をしてしまいますからね、これはもう当然の判断でしょう、擁護は出来ません」』
『アンチョビ「僅かな違和感を見逃さない小梅主審の観察眼、そして判断力は流石といったところ! みほニスト特級審判師の手腕は健在だぁー!」』
みほ「ひぇぇ……何これ、何これ……で、電極棒?」ブルブル
小梅「…………」ブチィッ
小梅「秋山優花里……ペナルティアタックーーフルカウンターッッ!」バッ
『アンチョビ「小梅主審の判断が出ました……フルカウンター! これはかなり重い罰となりました。電極棒を見付けたときの小梅主審は仁王も裸足で逃げ出す気迫を纏っていましたから、それだけ怒りを覚えたといったところでしょうか」』
『アンチョビ「それでは先ずは……ペパロニさーん、秋山選手をカルパッチョルームに連れてってくださーい!」』
ペパロニ「はいはーい、お邪魔するっス! …………ってうわぁっ!」ビクッ
ペパロニ「なんすかこれ、なんなんすかこれ!?」ビックリ
ペパロニ「えっ、ちょっうわ、うわぁ……えぇ……?」プルプル
ペパロニ「ふわぁ、これってアレっスよね? ちょちょっともう、いやぁ無理っス!」テヘッ
『アンチョビ「ペパロニさーん、そこらへんの物も全部回収してってくださーい!」』
ペパロニ「そりゃ勘弁っスよドゥーチェ! だってこれ全部剥き身じゃないっスか! それってつまりアレっスよ、使用済みって事っスよね!? 流石にこれ触るのはちょっと……」
ペパロニ「あ、お茶も落ちてるけどこれも中身減ってるっスね」スッ
ジ ェ ル シ ア 濃 茶 風
優花里「すみません……それローションです……」メソラシー
ペパロニ「うわっ秋山ぁ、お前いい加減にしろよ! あんこうチームの装填手はそういうのも兼任すんのか!」
みほ「ペパロニさんあんこうチームへの言い掛かりは止めてください! あと早くそこの人を連れてってください!」
優花里「西住殿ぉぉ~~そんなつもりじゃ無いんです! ただ少し人が電気を通すのかという学術的興味が勝ってしまっただけなんです! 信じてくださぁいっ!」ワンワン
『アンチョビ「言い訳としては苦しいぞ秋山選手! その疑問の答えは後程ご自分で体験なさってくださーい!」』
ペパロニ「ほら、秋山! 全部自分で拾えっての! さぁとっとと行くっスよー!」プンプン
優花里「うわぁぁぁーーーー! にーしーずーみーどーのぉぉーーー…………!」ズルズル
『アンチョビ「優花里選手がズルズル引き摺られながらも伸ばした手はただただ虚空を舞っております! みほさんは離れていく優花里選手を悲しそうに見送るだけ! こんな展開を誰が予想したでしょうか……しかし自業自得です!」』
『エリカ「ですね」』
みほ「…………ぐすっ」ジワァ
小梅「みほさん!?」
みほ「うぅ……うっ……ぐずっ……ご、ごめんね小梅さん……」グスッグスッ
『アンチョビ「な、泣いてしまったぁぁーーーっっ! ウェポンマスター秋山のせいか、はたまた華選手から続いた面々が心身への負担となっていたのか!?」』
『エリカ「これはいけないですね。みほさんのコンディションが悪化してしまった場合、今大会は強制終了となるかもしれません。あくまでみほさんへの愛を競う大会なのですから、みほさんを傷付けてまでの続行は厳しいでしょう。ここからの小梅主審の行動と判断に注目です」』
みほ「こ、小梅さん達が来てくれて……ぐすっ……嬉しいけど…………皆なんか変で……」グスッグスッ
小梅「みほさん……」ギュッ
みほ「……っ!」
小梅「みほさんは……私も変だと思ってる……?」ギュッ
みほ「……いきなりホイッスルを吹くのは変だと思う」グスッ
小梅「…………そうですね、少し変かも。でもね……」ギュッ モミッ
みほ「……?」ジッ
小梅「ここにいる限り……私はみほさんを守ります。あんな穢れた八剣伝の餌食なんかには間違ってもさせません。みほさんを思うこの気持ちは……本当です」ギュゥゥ
みほ「小梅さん……!」
小梅「……信じてくれますか?」モミッ モミッ
みほ「……うん!」ニコッ
小梅「信じてくれてありがとうみほさん……」
みほ「ふふ……泣いちゃってごめんね小梅さん。あ、そうだ、もし良かったら泊まっていかない? また、優花里さんが来るかもしれないし……」チラッ
小梅「……みほさんがそう仰るのなら、お言葉に甘えちゃっても良いですか?」
みほ「勿論だよ! うわー小梅さんと一緒に寝るの何年振りかなー。嬉しいな!」ニコニコ
『エリカ「……あの、どさくさに紛れてみほさんのお尻を揉んだ小梅主審にイエローカードでお願いします」』
『アンチョビ「小梅主審は参加者では無いので反則を取れません! 諦めてください! しかしこれも小梅主審のなせる技なのか、大会続行と合わせて宿泊をもぎ取りました! さてここで審査の為、一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「いやぁ大波乱の展開となりました。大本命の秋山選手が試合開始を待たずの退場という形になりましたが、これは厳しい審査になるのではないでしょうか?」
エリカ「試合開始を待たずに退場してしまいましたからね、この審査は難しくなりますよ。それに加えてレッドカードの存在が審査に大きく影響すると思います」
アンチョビ「解説のエリカさんも厳しい意見です……さぁ、皆さん書き終わったようです! 秋山選手の結果は……? フリップ、お願いしまーす!」スッ
ダージリン『ペコが使っている』タンッ
絹代『福田に使っている』タンッ
ミカ『よくわからない』タンッ
アンチョビ「あーーーっと、ミカさんはあれが何か知らないのか!? ここも一人足を引っ張る結果になりましたぁ!」
ダージリン「…………」バンッ
絹代「…………」バンッ
ミカ「ひっ!」ビクッ
アンチョビ「他の審査員二人が思わずフリップを叩きつけるぅ! ミカさん、もしかしてご存知無いのですか?」
ミカ「あの、はい……よく解りませんでした……」ウツムキ
ダージリン「…………っ!」バンバンバン
ミカ「すすすすみませんすみません! 勉強不足でした!」フルフル
ダージリン「…………!」パチン!
オレンジペコ「…………あの、ミカさん……どうぞ……っ!」スッ ウインウイン
ミカ「ど、どうもありがとう……?」ウインウイン
オレンジペコ「私のお古ですけど……」///
ミカ(何か貰ったけど、結局これは何なんだろう)ウインウイン ウインウイン
アンチョビ「ミカさん! 申し訳ありませんが、それは電源を切って仕舞っておいてください! 目に毒です!」
ミカ「は、はい!」ウインウイカチッ スッ
アンチョビ「さぁ、ここで一旦カルパッチョルームへカメラを移します。秋山選手は既に到着しているのでしょうか!?」
エリカ「秋山選手が映せる状態であることを祈るばかりですね」
ーーーカルパッチョルームーーー
おりょう「ぜよぉ……」グタァ
左衛門佐「ぐぇぇ……」グタァ
エルヴィン「うぬぬ……」グタァ
『アンチョビ「おっと、なんと大洗女子学園のカバさんチームが秋山選手より先にカルパッチョルームに入れられています! しかし衣服の乱れなどはありません! 安心して映すことができます!」』
『エリカ「秋山選手はまだ着いていないのでしょうか? それと、カバさんチームが一人足りないのも気になりますね」』
『アンチョビ「確かに一人足りません、これは一体何があったのでしょうか」』
ペパロニ「おいーッス!」バタン
優花里「ぎゃんっ!」ドテッ
エルヴィン「グ、グデーリアン!?」
優花里「うぅ……こ、ここは……? カ、カバさんチームの皆さん?」ヨロッ
左衛門佐「大丈夫かグデーリアン!」
優花里「大丈夫じゃないですよぉ……に、西住殿ぉ、あれは誤解なんでずぅぅ……」シクシク
『アンチョビ「一体何処から何処までが誤解なのかっ! 秋山選手にはじっくり弁解してほしい所です!」』
『エリカ「秋山選手にはついでにミカさんへの御教授もお願いしたいですね」』
『アンチョビ「…………おっと? 小梅主審から連絡が入りました! みほさんのコンディション回復の為、ここでインターバルを設けたいそうです!」』
『アンチョビ「と、言うわけでペパロニさーん、戻ってきてくださーい! 一旦休憩でーす!」』
ペパロニ「はいはーい、戻るッス! ……秋山ぁっ! 私に変なもん触らせやがってぇ……お前覚えとけよぉ!」パタン
エルヴィン「グデーリアン、お前はペパロニに一体何を触らせたんだ? 変な物って……」ジー
優花里「うっ! ま、まぁいいじゃないですか……」メソラシー
優花里「ところでここは何なんですか? 見たところカエサル殿が見当たりませんが……」キョロキョロ
左衛門佐「グデーリアン……ここはな、カルパッチョルーム……」
優花里「カ、カルパッチョルーム……」
左衛門佐「そう、そして別名……クレイジーサイコレズの巣だ!」クワッ
優花里「クレイジーサイコレズって、カルパッチョ殿がですかぁ?」
エルヴィン「嘘じゃないぞ、現に我々はカエサルとおりょうのとばっちりでこんな扱いを受けているんだ」ウンウン
おりょう「いやいや、それは違うぜよ! あれはそもそもカエサルが勝手に私の制服をカルパッチョに渡すのが悪いぜよ!」
優花里「……それで何でこんな所に連れて来られたんですか?」
左衛門佐「カルパッチョは送られてきたおりょうの制服をカエサルのだと勘違いしてたらしくてな。それに気付いた時には全員簀巻きにされてこの部屋送りだ……」
優花里「え? じゃあカエサル殿もこの部屋に?」
エルヴィン「勿論……いる。正確にはあの部屋の奥だがな……」トオイメ
優花里「あんな所に扉が……」
おりょう「まぁいいぜよ。カルパッチョはカエサルが何とか鎮めてくれるのを祈るだけぜよ! ところでグデーリアン、そのリュックには何が入っているぜよ?」チラッ
優花里「あっ、こここれはですね、そんなたいした物は入って無いですよぉ!」アタフタ
エルヴィン「そういえばグデーリアンは非常時に備えていつもリュックを背負っているそうだな。ということは……」ジー
左衛門佐「食べ物だ!」ハッ
おりょう「間違いないぜよ!」ハッ
優花里「ちちちち違いますよぉ! 食べられませんから勘弁してください!」
エルヴィン「フフフ……三対一では抵抗も無駄だというもの……それっ!」ドシャー
優花里「あ、ああぁーーっっ!」
エルヴィン「…………」
おりょう「…………」
左衛門佐「…………」
エルヴィン「……ペパロニが言っていた変な物ってこれか」ジトー
左ェ門佐「変な物と言えば変な物だな」ウンウン
おりょう「と、言うか……変態な物ぜよ」ハァ
左衛門佐、エルヴィン「それだ!」
優花里「うぅ……誤解ですぅ……これはジョークグッズとマッサージグッズですから……」シクシク
エルヴィン「そんな言い訳が通るか! しかしよくもまぁここまで揃えたものだ……」
左衛門佐「これなんてさながら十文字槍だぞ、この形じゃ入らないだろっ!」
優花里「それは返しの枝刃部分が振動するんです、マッサージグッズですから!」
おりょう「じゅ、銃型? 引き金……これ動くぜよ」カチッ
優花里「そそそれは撃っちゃ駄目です!」アタフタ
おりょう「むっ!」パァン ビュビュー
エルヴィン「お、おい! うわぁーーっ!」ベッチャァ
エルヴィン「うぅ……なんだよこれぇ、べとべとじゃないか……」ベトベト
おりょう「す、すまんエルヴィン! つい引き金を引いてしまったぜよ!」
左衛門佐「白い液体が出るのか……意味深だな」ウンウン
優里「パーティーグッズの延長線上のジョークグッズみたいな物ですから!」
エルヴィン「こんなものをぶっぱなされてジョークで通るかっ!」フキフキ
左衛門佐「それで、だ」チラッ
エルヴィン「どうした左衛門佐」フキフキ
左衛門佐「グデーリアン、どれが一番良いんだ?」ズイッ
優花里「どぅえええーーー!?」ドテー
おりょう「ふ、踏み込みすぎぜよ左衛門佐!」
左衛門佐「切り結ぶ、太刀の下こそ地獄なりけれ……踏み込みゆけば……あとは快楽! さぁどれだグデーリアン! これか? このティーガー型か?」
エルヴィン「おいおい左衛門佐……武蔵が聞いたら泣くぞ……。それに、それを聞いてどうするつもりだ……」
左衛門佐「気になるではないか! いや待て勘違いはするなよ、私はこういうのは使った事は無い! 無いが……正直興味はある!」ドンッ
おりょう「…………左衛門佐、一理あるぜよ。グデーリアン、これなんてどうぜよ? 抜き身の刀みたいな艶があるぜよ」
優里「そ、それは私には合わなかったみたいです。それよりこっちの方が……」
エルヴィン「そ、そんなのもあるのか……」ゴクリ
カエサル「…………お前ら、どういう物の前で談義しているんだ……。流石に正気を疑うぞ」ヒキツリ
優花里「カ、カエサル殿! ご無事でしたか!」
カエサル「なんとかな。ひなちゃんはアンチョビさんと会話しているから、その隙に逃げてきた」
おりょう「それは火に油を注ぐ行為ぜよ! 気付かれない内に早く戻るぜよ!」アワアワ
カエサル「こっちには気付いていたから大丈夫だろう。どちらにせよこの部屋から出られないんだし、気にしてないのではないか」
エルヴィン「……それで、カエサル。私達はこの部屋から出して貰えそうなのか?」チラッ
カエサル「……どうだろうな、ひなちゃん凄く怒ってたからなぁ……。大洗の制服が着てみたいと言ってたからおりょうのを借りただけなんだが……」
おりょう「その発想がおかしいぜよ! 自分のを送れば良かったのではないか!?」
カエサル「予備はクリーニング中だったし、私も大洗の制服を来て迎えたかっただけなんだが……。私の制服を送って、私がおりょうの制服を借りれば良かったか……」
エルヴィン「まぁ何にせよ、私と左衛門佐は完全に巻き込まれただけなのだが……」
おりょう「わーたーしーもーぜーよぉー! 勝手に制服を送られた私も当事者というのは到底納得いかんぜよ!」プンスコ
優花里「まぁまぁ皆さん落ち着いてください。先ずはカルパッチョ殿に話を聞いてみましょうよ! もしかしたら出られるかも……?」
左衛門佐「無理だろうな。クレイジーサイコレズは人の話なんて聞かないしな……って、おいグデーリアン! これは何だ!?」ビクッ
カエサル「ん……これは……電極棒か……?」ムゥ
エルヴィン「なんだこれ、何に使うんだ……」ヒキッ
おりょう「正直ドン引きぜよ」ドンビキ
優花里「うわぁ! またそれですかぁ! ちち違いますよぉ、誤解、誤解なんですぅ!」アタフタ
エルヴィン「何がどう違うのか説明してくれ。このままだとこれから君をドイツのグデーリアンではなく、ファイナルファイトのエリックと呼ばなくてはならん」
優花里「それはさる友人から借り受けた物で……」
カエサル「友人から電極棒ってどういうことだ……」ヒキッ
おりょう「そりゃそのまま電極棒ぜよ」ウンウン
エルヴィン「そういう意味では無いだろ」ハァ
優花里「その友人が言うには、これは電極棒ではなく言うことを聞かない悪い子を素直にさせる魔法の棒なんです!」ドンッ
おりょう「クレイジーな友人ぜよ」ウンウン
エルヴィン「サイコでもある」ウンウン
優花里「これを使えばあの冷泉殿も素直になるって武部殿が仰っていたんですぅ!」
左衛門佐「やっぱりクレイジーサイコレズじゃないか!」バンッ
エルヴィン「私達の周りにはマトモな奴はいないのかぁっ!」バンッ
カエサル「……そんな曰く付きの棒をグデーリアンは誰に使おうとしてたんだ?」
優花里「それは勿論西住殿ですよぉ! 軍神と呼ばれながらも可愛らしい体躯、つぶらな瞳、麗しい立ち居振舞い! そんな可憐な西住殿をこの棒で素直にさせることが出来たらこの秋山優花里、己の生涯に悔いはありませぇんっ!」フンスフンス
カエサル「……我々が知っている素直とは大分ニュアンスが違うな」
左衛門佐「素直になぁれ! 素直になぁれ!」バンッ バンッ
エルヴィン「止めろ左衛門佐! その素直もきっとニュアンスが違う!」
おりょう「もう何でもいいからとにかくここから出たいぜよぉ……」グタァ
カエサル「そろそろひなちゃんもこっちに来そうだしな、我々も覚悟しなければならないぞ……」
優花里「それって私もですかぁ……?」ジワァ
カエサル「それはこの部屋に連れてこられたんだからそうなんだろう」
おりょう「我々は一体どうなるんぜよぉ……まさか、新撰組に捕らえられた浪人が如く……」
エルヴィン「いやいや、アウシュヴィッツ送りにされたユダヤ人が如く……」
左衛門佐「それを言うなら鉱山送りにされた奴隷が如く……」
???「ーーいいえ、そのどれでもありません。でも、敢えて言うのなら……」
カルパッチョ「下劣な魔法少女アニメのヒロインが如く、ですかね……」ニッコリ
優花里、エルヴィン、カエサル、おりょう、左衛門佐「そ、それかぁ……」ガックリ
カルパッチョ「たかちゃん、私はとても悲しいの……いくら私がドゥーチェと連絡をとっていてもコソコソと逃げることはないと思うの……」シクシク
エルヴィン「カエサル、やっぱり逃げちゃ駄目じゃないか!」
カルパッチョ「そしてたかちゃんが戻っているのを知っていながら、私の元へと送ってくれない仲間の皆さんにも悲しんでいるの……」シクシク
おりょう「私はカエサルに戻れと言ったぜよぉ!」バンッ
カルパッチョ「私の悲しみ……皆さんにも感じて欲しいんです……」スッ
左衛門佐「ま、待て! その鞭で感じられるのは悲しみではなく痛みだ!」ヒッ
カパッチョ「お静かにっ!」ペシン
左衛門佐「いったぁぁーーーーいッッ!!」ドテン
カエサル「左衛門佐ぁ! だ、大丈夫か!?」バッ
左衛門佐「いたたたたた……これが大丈夫に見えるか!」
カルパッチョ「あなたが感じたその痛みこそが私の悲しみなのです!」スッ
左衛門佐「これはただの私の痛みだこのバカッ!」
カルパッチョ「………………」スッ
左衛門佐「ひぇ! は、話せばわかる……ほーら、カエサルだよぉ! たかちゃんだよぉ!」サッ
カエサル「な……お前私を売るつもりか! 私だって痛いのは嫌だぞ!」グググ
カルパッチョ「たかちゃん……私だって本当はたかちゃんを、皆さんを傷付けたくは無いのっ!」
カルパッチョ「だから……皆さんに選んで欲しい……二つの道のうち、どちらかを……」
エルヴィン「何か妙な事言い出したぞ……」ボソッ
左衛門佐「クレイジーサイコレズの言葉なんて真面目に聞く必要はないだろ……」ボソッ
カルパッチョ「お黙りっ!」ピシン
左衛門佐「いったぁぁーーーーいッッ! 何で私だけが打たれるんだ!」ゴロゴロ
おりょう「大丈夫か左衛門佐! 皆、とりあえずここはカルパッチョの言葉を大人しく待つぜよ……」
優花里「……二つの道って何ですかぁ?」
カルパッチョ「……一つは皆さんに私の悲しみを朝日が昇るまで感じてもらう道」スッ
エルヴィン「絶対嫌だぞ」
おりょう「同じく」
カルパッチョ「もう一つは、私の今日のお仕事を手伝ってもらう道……」
カエサル「悲しみの道よりはマシではないか?」チラッ
左衛門佐「こっちも怪しいだろ、お仕事ってなんだよ」
優花里「アンツィオのお仕事となれば料理とかでは?」
エルヴィン「なるほど、その可能性は十分にあるな」
おりょう「それでお仕事ってなんぜよ?」
カルパッチョ「私に先程与えられたお仕事は……そこの秋山さんに全ての道具を使うことですっ!」
優花里「え……?」ビクッ
カルパッチョ「秋山さん……あなた、小梅主審にフルカウンターを与えられましたね?」ニコリ
優花里「えぇ……?」アトズサリ
カルパッチョ「ですから……あなたの持ち込んだ道具の全てをその御体にお返ししろとのお達しがあったのです」ニッコリ
カルパッチョ「さぁ……どれから使います?」スッ
カエサル「いやいやいや、ひなちゃんちょっと待ってくれ。流石にソウルメイトのグデーリアンを餌食にさせるのは……なぁ?」チラッ
エルヴィン「カエサル……ならばお前はカルパッチョの悲しみをその一身に受けてくれるか……?」
おりょう「……すまん、グデーリアン。いや、すまん、秋山!」
優花里「ちょちょちょちょっと待ってくださぁい! ソウルメイトですよね? 私は皆さんがそんな事には手を貸さないと信じています! ねっ? ねっ?」コンガン
カエサル「…………」チラッ
カルパッチョ「たかちゃん、なぁに?」ムチ チラッ
カエサル「秋山すまん! せめて痛くないようにするから!」
優花里「カエサルどのぉ! 止めてくださぁい! 止めてくれなかったら一生恨みます、草葉の陰からでも恨んでやりまぁす!」バンッ
左衛門佐「皆……待つんだ……」スッ
優花里「左衛門佐殿ぉ……信じてましたぁ!」パァァ
エルヴィン「左衛門佐! まさかそれは……」ハッ
左衛門佐「グデーリアン、いや秋山。その否定の言葉はきっとお前の本心ではない……。今のお前は素直になれないだけなのだ、だから私が正してやるぞ……この魔法の棒で!!」グッ
左衛門佐「それ! 素直になぁれ! 素直になぁれ!」ビリリ ビリリ
優花里「あぎゃっ! い、痛いです痛いです! 止めてくださぁい!」ビクン ビクン
エルヴィン「素直とは一体何なのだろう……」
カエサル「まぁまぁいいじゃないか、秋山も鞭で打たれるよりはいいだろう」
おりょう「しかしまぁこの道具の数だとまだまだ帰れそうにないぜよ……」ハァ
優花里「うううぅぅ恨んでやるぅ!」
左衛門佐「人を恨むとはいけない子だ……それ、素直になぁれ!」ビリリ
優里「あひん! わ、わかりました! だからそれはもう止めてくださぁい!」ビクン
優花里「うぅぅ西住殿ぉ! 助けてくださぁーーーい!」ビエーン
カルパッチョ「あ、たかちゃんはこっちで続きね!」ニコッ
カエサル「……んもう! やっぱりこれだよ!」バンッ
………………
…………
ーーー大洗学園 某室ーーー
アンチョビ「さぁーって休憩となりましたが、審査員の方々にも軽いお食事等を用意してあります! 遠慮なく召し上がってくださーい!」
ペパロニ「うっひょー! このドゥーチェ特製パスタサイコーッスよぉ! うんめー!」ガツガツ
オレンジペコ「おいしいですぅ!」パクパク
エリカ「わぁ……これ本当に美味しい!」パァァ
絹代「福田ぁ! お前はもっと食べないと大きくなれないぞ!」パクパク
福田「美味しいであります! 美味しいであります!」ンメンメ
絹代「御代わりもいいぞ!」ハハハ
ミカ(皆が食事に夢中の今なら……カンテレを探し出せるかも……)コソコソ
ダージリン「……ちょっとミカさん?」
ミカ「は、はひぃ!」ビクゥッ
ダージリン「少しよろしいかしら?」チラッ
ミカ「うひぃ! な、なんでしょう……」ビクビク
ダージリン「そんなにビクビクなさらなくてもよろしくてよ。ただ、ミカさん……あなたはとても純真なのね」フフッ
ミカ「…………ふぇ?」
ダージリン「ですけど、もう大丈夫。アキさんとミッコさんには先程連絡しておきました。これで何も心配なさることはありません」ニコッ
ミカ「ほ!? ほほほ、本当ですかぁ……!?」パァァ
ミカ(アキとミッコが来てくれれば……きっと帰れる! やった!)
ミカ「ダージリン、ありがとう! とても助かったよ!」ニコニコ
ダージリン「えぇ、ではごきげんよう……」フフッ
ミカ「やった……やったぁ! アキとミッコが迎えに来てくれるならもう無理にカンテレを探さなくても大丈夫かな!?」ニコニコ
ミカ「そうと決まれば私も何か食べよう! よぉーし!」パククク
ミカ「……ん! これ美味しい!」ニコリ
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「そういえばもうこんな時間だね、小梅さん……何か食べよっか?」チラッ
小梅「そうですね……いきなりお泊まりになってしまいましたから……夕食もまだですし、何か頼みましょうか?」
みほ「あ、それいいね! 私はこういうのあんまり利用したことないから、少し楽しみだね!」ニコッ
小梅「ふふふ……そうですね。こういうのはメニューを見るだけでも楽しいですから。えーと、スマフォで少し探してみますね!」
みほ「うん、お願い! 何にしようかな……マ、マカロンかな?」
小梅「もう、みほさん……きちんとした物を選ばないと駄目ですよ」メッ
みほ「そ、そうだよね! それで小梅さん、どこか良さそうなお店はあった?」
小梅「ええ……このアプリコットというお店にしようかと思うんだけど、どうかしら?」
みほ「どれどれ……あっ! 沢山メニューがあるね! 美味しそうだし、ここにしようよ!」ニコニコ
みほ「ふわぁ……色んなメニューがあるね! あんこう鍋まで頼めるんだ……凄いね! 小梅さん!」ニコニコ
小梅「カレー……は毎週黒森峰で食べてるし……やっぱり迷いますね、みほさん!」ニコニコ
みほ「あ、黒森峰のカレー曜日ってまだあったんだ! 黒森峰のカレーもまた食べたいなぁ……」
小梅「それなら、今度は私のお部屋に泊まりに来ませんか? きっと皆喜びますよ!」
みほ「……で、でも私が行ったら…………みんな喜んで……くれる……かなぁ?」ウツムキー
みほ「やっぱり……まだちょっと……怖い…………かな」ウツムキー
小梅「みほさん……」ギュッ
小梅「大丈夫ですよ……私も、黒森峰の皆もみほさんの戦車道を見せてもらいました……だから、大丈夫。いつでも帰ってきてもいいの、黒森峰もみほさんの母校の一つなんだから……」ギュッ モミモミッ
みほ「……皆、歓迎してくれるかな?」
『エリカ「三日三晩のみほさん歓迎パレードを約束します!」』
『アンチョビ「解説のエリカさんがいきなりねじ込むぅ! ですがその言葉は直接言ってあげた方がきっと喜びますよ! 次は面と向かって言ってあげてくださーい!」』
『アンチョビ「さぁ西住みほ選手権も後半戦といった所か、インターバルを挟んだ後、小梅主審はすかさず話題もお尻も逃がさずキャッチ! 主審と言えど軽快なアクションに目が離せないぞぉっ!」』
小梅「みほさんは心配性ですね……こんなに可愛くて頑張っているみほさんを悪く言う人なんて私がやっつけちゃいますから! ね?」ニコッ
みほ「小梅さん……うん! 今度は私がお泊まりしに行くね!」パァァ
『エリカ「あ、もしもし家元ですか? みほさん歓迎パレードを盛大に行いたいんですけど、はい、はい、三日三晩程……」』
『アンチョビ「準備を進める解説のエリカさんを尻目に、小梅主審の快進撃が止まらない! これは西住みほ選手権の次回開催は待った無しか!?」』
小梅「さ! 先ずは今日のお夕食を決めましょ?」
みほ「ふふふ……そうだね! あ、このお寿司にしようかな。凄く美味しそう!」パァァ
小梅「あら、これは目の前でお寿司を握ってくれるんですね。美味しそうだし、これにしましょうか!」
みほ「で、でも値段書いてないし、結構高そうだよぉ……」
小梅「大丈夫ですよ! 今日はどーんと私に任せてください!」サッ
みほ「何そのカード!? 金色で凄く格好いいよぉ!」
小梅「これは私がさるお方からお預かりしているVICです! 勿論使う許可も頂いていますよ!」ニコッ
『アンチョビ「VIC!? 何か凄そうなカードが出てきたぞ! あれは一体誰からの預かり物なのか! エリカさん、あのカードは一体……?」』
『エリカ「あれはVISA INFINITE CARD、ロシア発行のブラックカードですね。発行だけで750万円程掛かると言われているカードです」』
『アンチョビ「750万円! そんなカードを誰が……とは言わせません! 勿論あの方、西住流の現当主にして戦車道に於ける至宝……西住しほさんのご協力で今大会は運営されていまーす! いつもありがとうございまーす!」』
みほ「え、えぇ……そんな、悪いよぉ!」
小梅「いいのいいの、さぁ頼みましょう!」ピポパポ
『アンチョビ「みほさん……いいんです! 好きなだけ食べてください! そのカードならマウスも買えますよ!」』
『エリカ「勿論買えますけど、買わないで頂きたいですね! これ以上戦力を増強されると来年は試合にならないので!」』チンローン
『アンチョビ「さぁ早くもみほさんの部屋のチャイムが鳴りました! 出前迅速落書き無用といったところでしょうか!」』
みほ「も、もう来たの? はーい」トテテテ
杏「ほいほーい!」ガチャ
みほ「会長!? どうしたんですか?」
杏「ん? 西住ちゃん……呼んだっしょ?」
みほ「え?」キョトン
杏「アプリコットの出張握り寿司サービス、あれ私達のバイトだから」
みほ「えぇぇーーっっ!?」ビックリ
杏「お邪魔しまーす!」
柚子「あ、西住さん。今回は御注文ありがとうございまーす!」ペコリ
桃「む、今日は西住の家か……よろしく頼むぞ!」グッ
小梅「あ、どうもこんばんわ……」ペコリ
『アンチョビ「これはどうした事だぁ! なんと大洗女子学園の生徒会がここに来て電撃参戦かぁ!?」』
柚子「あ、会計は先払いなんですけど……」
小梅「これでよろしくお願いします!」スチャ
柚子「はい! では此方にカードをお願いします!」ピピ
杏「はいまいどー。んじゃ、ちょっと準備するねー。かーしまぁー」ササッ
桃「はっ! 直ぐに準備しますので少々お待ちを!」バババッ
小梅「うわぁ! みほさんみほさん見てください、凄く本格的ですよ!」キャッキャッ
みほ「う、うん。そうだね……」ソワソワ
『アンチョビ「みほさん、現実が受け止められていないのか少し上の空です! しかし無理もありません、いきなり学園の先輩方がお寿司を握りに来たのですから!」』
『エリカ「しかも小梅主審の笛が鳴る気配も無いですから、西住みほ選手権の選手では無く、本当に只のバイトの可能性もあります。このカメさんチーム、かなりの可能性を秘めていると言っていいでしょう!」』
『アンチョビ「成る程! 小梅主審の判断で笛を抑えている可能性もあると! みほさんの食事の時間への配慮もありますから、審査員の方々には気を抜かないでほしいですね!」』
桃「会長! 準備が整いました! いつでも握れます!」クワッ
杏「おっけー、んじゃちょっくら着替えて来ますか!」ササッ
柚子「はいっ!」ササッ
桃「はっ!」ササッ
小梅「凄い凄い! みほさん、あっという間にお寿司屋さんのカウンターが出来ましたよ!」ニコニコ
みほ「……うん! 楽しみだね!」ニコッ
『アンチョビ「どうやらみほさんは諸々に目を瞑り吹っ切ったようです! ようやく見れた笑顔に我々も一安心、あとはカメさんチームの腕前次第でしょう!」』
『エリカ「良い感じですよこれは。準備も手慣れてましたし、お寿司のネタも脂が乗っていて美味しそうです。となると誰が握るのかが焦点となるでしょう」』
『アンチョビ「成る程、やはり本命は料理の得意そうな柚子さんでしょうか、器用そうな杏会長も気になりますね」』
小梅「あ、杏さん達が出てきましたよ! 本当に職人みたいですね!」ニコニコ
杏「お嬢さん困りますねぇ。みたいじゃなく、本当に職人でさぁ」ニヤリ
みほ「うわぁ、本当にお寿司屋さんに来たみたい!」ニコニコ
『アンチョビ「板前姿をバッチリ着こなす三人に期待が止まりません! さぁ小梅主審とみほさんが湯気立つあがりを受け取った所で西住みほ選手権特別編……お寿司握って見せまショー……スタートだぁっ!」』
杏「さってお客さん方、何から握りましょう?」
柚子「此方メニュー表になります」スッ
みほ「沢山あるなぁ……小梅さんは何にするの?」チラッ
小梅「そうですねぇ……コハダお願いします!」
柚子「畏まりました! はいっ!」ササッ
『アンチョビ「柚子さんの柳葉包丁が華麗に舞います! やはり本命の柚子さんが料亭で言うところの花板なのか!?」』
杏「ほいほい……ふっふっ! あいよっ!」チャッチャッ
『アンチョビ「あーーっとぉ! 柚子さんが切ったネタを隣の杏会長が手際よく握るぅ! 小手返しも見ていて気持ちの良いキレです! シャリとネタが見事に融合! 完成したコハダの寿司が今、小梅主審の盛り板へと向かっていくぅ!」』
桃「は、はいよぉっ!」ベチャ
『アンチョビ「コハダ、着陸失敗! 見るも無惨に形を崩してしまいました!」』
小梅「…………は?」ピキィ
みほ「…………え?」
柚子「…………」チラッ
杏「…………」チラッ
桃「…………」プルプル
桃「…………も、もう一度チャンスをお願いします!」カッ
杏「……はいお客さん、次は何を握りましょう!」ニカッ
『アンチョビ「ニュージェネレーション! これが新しい寿司の形なのか! 寿司でありながらこのエンターテイメント性……このアンチョビ、一料理人として三位一体の握り寿司に新たな可能性をひしひしと感じております!」』
『エリカ「確かにコハダの寿司は桃さんの手で新たな形へと進化しましたが、それを目の当たりにした小梅主審はかなり青筋を立てていたように見えます。次は形を崩さずに置いて欲しいですね」』
みほ「…………ネギトロでお願いします!」
柚子「はい、畏まりましたぁ!」ニコッ
『アンチョビ「みほさん、これは変化球とも言える注文ですね、セオリーを破るのはみほさんの常套手段とも言えますが……エリカさん、これはどういった狙いがあるんでしょうか?」』
『エリカ「これはですね、おそらく多少強めに置いても形が崩れない物を選んだのではないでしょうか? ネギトロはおそらく軍艦巻きで出しますから、多少強く置かれても十分耐えられると思います」』
『アンチョビ「成る程。みほさんは少し逡巡の表情を見せていましたが、これは早くも正解に辿り着いたと言えるでしょう! 流石みほさんです!」』
柚子「承りました! はいっはいっ!」ササッ
『アンチョビ「おーっと、これはまた手際よく中落ちをねぎ取っています! 正に今ネギトロが集められているぞぉ!」』
杏「……よし! はいよっ!」サッ
『アンチョビ「杏会長、ネギトロを余すこと無く軍艦に乗せて……葱で彩りをつけました! 文句なし……これぞネギトロ! さぁ後はみほさんの盛り板に着陸するだけです!」』
桃「……はぁ! ってうわっ!」コケッ ベチョ
『アンチョビ「あーっと、今度は桃さんが着陸失敗! 躓いてしまいました! 残念ながら無駄な圧力のかかった軍艦は押し潰されてやはり見るも無惨な姿となってしまいました!」』
小梅「…………はぁぁぁ!?」バンッ
桃「ぴぃ! すすすみませぇんっ!」ペコペコ
みほ「河嶋先輩……」ジトー
桃「あの、あのあのいなり寿司なら大丈夫だと思う。だっていなり寿司大好きだしっ」チラッ
小梅「まぐろ、桃抜きで」シレッ
『アンチョビ「サビ抜きならぬ桃抜きが出ましたぁ! 小梅主審、桃さんの意見を全く受け入れず聞く耳を持ちません!」』
柚子「はーい、いきまーす!」スッスッ
桃「えっ?」キョトン
杏「はいよっ!」チャッチャッ
桃「あの、かか会長!」アタフタ
杏「へい、お待ちっ!」タンッ
小梅「うわぁ! みほさんみほさん、杏会長ってお寿司握るの上手いですねぇ! うん、シャリもネタも凄く美味しい!」モグモグ
柚子「うちはネタの鮮度が違いますから、どれもおすすめですよ!」ニコッ
桃「ゆ、ゆずちゃぁん……」エグッエグッ
『アンチョビ「桃抜きのオーダーはあっさり通ってしまったぁ! 二人の手慣れた様子からこれはもしかして日常茶飯事なのかぁ!?」』
『エリカ「桃さんは涙目ですね。これはみほさんの次のオーダーが気になります」』
みほ「……すみません、いなり寿司お願いします」ニコッ
『アンチョビ「優しいぃぃぃーーーっ! ここでもみほさんの優しさが際立ちます! 温柔敦厚、大慈大悲、西住みほさんに観音菩薩の影が垣間見えるぞぉぉーーーっ!」』
『エリカ「逆に直ぐに切り捨てた小梅主審の冷徹さが際立ちますね」』
桃「……やった!」パァァ
柚子「…………抜きますか?」チラッ
桃「ええぇぇぇっ!? 柚子ちゃん!?」ギョッ
みほ「抜きません。仲間を、河嶋先輩を信じてますから!」ニコッ
桃「に、西住ぃ……」ウルウル
『アンチョビ「みほさんの対応にこの審査員特別会場も大盛り上がりだぁ! 超大洗シンデレラのサクセスストーリーはまだまだ途中と言うことなのかぁ!? スタンディングオベーションの響きが止まらないぞぉっ!」』
『エリカ「む……ミカさん? ミカさん一人だけ立っていないようですが……」』
『ミカ「ぎゃぴぃ! すすすみません! ぼーっとしてました!」』
『アンチョビ「審査員の方々にも気を抜かないで頂きたいですね。さぁカメさんチーム、いなり寿司の調理が終わり、桃さんの配膳を残すばかりです! 今回こそは綺麗に着地して欲しいところです!」』
桃「そーっと……そーっと……」ヨロヨロ
みほ「…………」ゴクリ
桃「よいしょ……っとぉ! やった、できたぞ!」パァァ
みほ「……ほっ。ありがとうございます、河嶋先輩!」ニコッ
『アンチョビ「いなり寿司、見事着地成功! 芸術点9.9! これは文句ありませぇん!」』
みほ「このいなり寿司美味しい!」ニコニコ
桃「そうだろそうだろ、柚子ちゃんの仕込んだ油揚げは絶品なんだ!」ムフー
桃「さぁどんどん注文してくれ! 今なら何でも運べる気がするぞ!」フンス
小梅「赤貝、桃抜きで」シレッ
桃「えっ……?」ポカン
『アンチョビ「小梅主審、意に介さず桃抜き続投です! 全く気持ちにブレが見えません!」』
『エリカ「冷静かつ合理的判断ではありますが……目の前の桃さんは唖然とした表情で赤貝を頬張る小梅主審を見ていますね。涙を誘いますよこれは」』
みほ「じゃあ、私は……」スッ
桃「……西住は……西住は私を裏切らない! 信じてくれるはずだ!」ジー
みほ「はい、勿論です! じゃあ河嶋先輩、トロをお願いします!」ニコッ
桃「西住ぃ……! ありがとう……ありがとう……っ!」グズッ
柚子「西住さん、実はオプションにフル桃というのもありますけど……付けますか?」ニコッ
杏「ネタの仕込みから握りまで、全部をかーしまにやってもらうってオプションだけど、景気付けに一発どう?」チラッ
桃「西住……っ! 何時でも私の準備は出来ているぞ!」グッ
みほ「それは止めておきます。血を見そうなので」サラッ
『アンチョビ「みほさんこれは当然スルー! 包丁は確かに危ないですから、これは桃さんへの配慮でしょうか、そんな優しさを感じさせます!」』
『エリカ「躓くと同時に包丁が飛ぶ事も考えられますから、当然の選択です。しかし隣に小梅主審が控えていますから、包丁がみほさんに当たることはまずないと思いますね」』
『アンチョビ「そうこうしている間にかめさんチームはトロを握り終えた様です、光沢を彩るさしが重厚な存在感を放っております! その見事な紅白柄に我々も期待が止まりません! さぁ大トロが桃さんの手によって徐にみほさんの盛り板へと近付いて行くぅっ!」』
桃「……そーっと、そぶぇっくしょい!」プシュン
みほ「きゃっ!」ビクッ
小梅「むっ」サッ ベチョ
『アンチョビ「ここで桃さんの豪快なくしゃみぃっ! 飛び散りながらみほさんに襲いかかるシャリとネタを小梅主審がメニュー表でガッチリガード! 素晴らしい動きです!」』
『エリカ「これが包丁だったらと思うと……怖くて考えられませんね」』
桃「すすすすまんっ! 本当にすまんっ!」ペコペコ
みほ「あはは……大丈夫ですから。小梅さん、ありがとう」ニコッ
小梅「うふふ、どういたしまして」ニコォ
桃「ひぇぇ……すみませぇん」ブルブル
『エリカ「これは小梅主審、かなり頭にきてますよ。目が全く笑っていません。桃さんもそれに気付いているのか、目を合わせようとしませんね」』
みほ「……それにしても、生徒会の皆さんは受験の準備とかで忙しいんじゃないんですか? こういうバイトしてて大丈夫なんですか?」
杏「いやー西住ちゃん、これは痛いところ突かれちゃったねぇ。まぁ私と小山はかーしまの付き合いさね」
みほ「付き合いって……?」
柚子「桃ちゃんがどうしてもバイトしたいって聞かなくって……私と会長はそんなことより勉強しろって言ってるんだけど……」
みほ「河嶋先輩がですか……。受験を差し置いてでもバイトするなんて……まさか新しいボコグッズでも……」ボソッ
桃「そんなわけあるかっ! ……まぁ無事廃校問題を乗り越えたので、私達三年生は当然今年度をもって卒業する訳だが、その、私も後輩に何かを残してあげたくてな……」ポツリ
桃「私は不本意……本当に不本意だが、戦車道に関してはお世辞にも役に立っているとは言えなかった。今思い出してみても射撃は外してばかり、立てる作戦は相手に読まれ、最後には狼狽えてばかりだった」
『エリカ「本当にそうですよね」』
『アンチョビ「エリカさん! 聞こえていないにしろ横槍は止めてあげてください!」』
桃「それでも大洗学園は廃校を免れた。西住達……大洗学園の皆のお陰だ、ありがとう。勿論、大学選抜戦に駆け付けてきてくれた他の学園の皆にも感謝している」
みほ「河嶋先輩、そんな、私の方こそお礼を言いたいぐらいで……あの時、無理矢理戦車道に誘ってくれなかったら……私……」
桃「……西住にどんな事があって、戦車道から身を退いたのか知っていても、それでも私達には西住しか頼れる者は居なかったんだ。そうして無理矢理戦車道に引きずり込んで……やはり謝るのは私の方だ……西住、あの時はすまなかった」ペコリ
桃「……まぁそれでだ、私は卒業してしまうが大洗学園の戦車道は続いていくだろう? だが大洗学園の存続が決定していても、部の活動費が急激に上がることは無いんだ。だからこうしてバイトをして、戦車道の部費に充てれば少しでも来年の戦車道の為になると思ってな。戦車道では役に立たなくても、お金は残せるから……。西住、良ければ来年の戦車道の為に使ってやってくれ」
杏「勿論私と小山のバイト代の分も残して行くからさ、まぁ色々西住ちゃんには無理させちゃったからねぇ……使ってやってよ」ニコッ
柚子「うんうん、私達三人が揃って大洗学園から卒業出来るのも皆のお陰だもん。これぐらいしかできないけど、使ってくれると嬉しいな!」
みほ「会長……河嶋先輩……小山先輩……私、いえ……私達は素晴らしい先輩方を持ちました! 皆さんの思い……決して無駄にはしません!」
『アンチョビ「桃さんの、カメさんチームの想いがここまで伝わって来ます! アンツィオを去る身としてこれはとても考えさせられる気がしますね!」』
『エリカ「しかし桃さんは勉学については余り芳しくないようですが……来年、一緒に部費を使うなんて事に……」』
『アンチョビ「エリカさん! 滅多なことを言わないでください!」』
杏「ちょっとしんみりしちゃったけど……まだまだ食べるっしょ? さぁさぁ、お客さん方、何を握りましょう?」
小梅「のどぐろ、桃抜き」シレッ
桃「えぇ……」アゼン
『アンチョビ「小梅主審の心には届かなーいっ! 黒森峰の戦車道が小梅主審をここまで頑なにしてしまったのか! 桃抜きからの脱却とはいきませんでした!!」』
みほ「うーん、と……」
桃「…………いなりずし」ボソリ
桃「いなり寿司なら……自分いけます……」ボソリ
みほ「い、いなり寿司でお願いします……」
桃「あいよぉ! 会長、柚子! お願いしまぁす!」バッ
『アンチョビ「これは随分とグレーな手法です! 桃さんがみほさんの優しさに付け入りやりたい放題だぁっ!」』
『エリカ「この場合、みほさんは動きを封じられたと言っても過言ではありませんよ! 楽しい夕食が一気に海のどん底まで落ちてしまいました! いなり寿司ループから脱却しないと他のお寿司は食べれません!」』
『アンチョビ「これは別動隊の突入を許可する時が来たのかも知れません! 黒森峰西住みほ特別部隊を動かしてでも桃さんを排除しなければ、みほさんの夕食に安寧は訪れないのかぁ!?」』
柚子「西住さん……抜いてもいいんだよ?」チラッ
みほ「いえ、大丈夫です! いなり寿司……美味しいですから!」ニコッ
桃「西住ぃ……私はこんなに良い後輩を持って幸せだぁ!」エグッ エグッ
杏「まぁ西住ちゃんが良いって言うなら良いけどねー」ニギッ
桃「…………はぁ、はぁ、はいよぉ!」タンッ
みほ「ありがとうございます!」
小梅「…………トロ、桃抜き……」スッ
小梅「あと小皿とお箸を追加でお願いします!」バンッ
柚子「はい、どうぞ」タンッ
小梅「では…………みほさん、お口を開けてくださいね……はい、あーん」スッ
みほ「えぇっ小梅さん!? は、恥ずかしいよぉ……あーんっ」テレッ
『アンチョビ「小梅主審が動いたぁぁーーーーっ! ここぞとばかりに縦横無尽な動きを見せております! みほさんにあーん……私もしてみたい! いや、されたぁーーい!」』
『エリカ「私はみほさんにしてあげたいのですが……これは小梅主審の良い判断です。お陰でみほさんがやっといなり寿司以外を口にすることが出来ました!」』
みほ「もぐもぐ……このトロ本当に美味しい、ありがとう小梅さん!」パァァ
小梅「うふふ、みほさん……ゲームをしましょう?」ニコッ
みほ「ゲーム? 私の部屋、ゲーム機なんて無いけど……」
小梅「ううん、もっと簡単なゲームですよ」
小梅「今からはみほさんの食べるお寿司を全て私が注文して食べさせてあげます。みほさんは食事が終わった後、私が頼んだお寿司で満足出来たら私の勝ち。そういう単純なゲームですよ」
みほ「えっ? それどんな意味が……」ハッ
みほ「お、面白そうだね! やってみよっか!」
桃「…………?」ムゥ
小梅「では先ずは……」
『エリカ「これは小梅主審のナイスプレイですよ。みほさんも狙いに気付いたのか乗り気なようです。みほさんは桃さんを傷付けずにいなり寿司ループを抜けたと言えるでしょう!」』
小梅「ネギトロ、桃抜き。数の子、桃抜き。エンガワ、桃抜き。のどぐろ、桃抜き……!」
桃「ひぇぇ……」ガクガク
『アンチョビ「桃抜きコールが止まらなーい! ついでにあーんっも止めなぁーい! 全くこの主審はいくつファインプレイを出せば気がすむのか! 小梅主審は冷徹、合理的でありながらみほさんへの愛を持った影の選手と言えるでしょう!」』
『エリカ「小梅主審の慧眼恐るべしといったところでしょうか。適当に頼んだように見えて、そのどのお寿司にもみほさんは満足しているように見えます。順番、出すタイミング、そして選ぶネタ……全てをみほさんの為に仕上げていますね。これはみほさんを熟知していなければ到底出来ない芸当です」』
小梅「うふふ、さぁこれでお腹一杯ですね? あーんっ」スッ
みほ「もぐもぐ……うん、ご馳走さまでした! 凄いよ小梅さん! 私の食べたいお寿司全部当てるんだもん! ビックリしちゃった!」
小梅「みほさんが満足してくれたのなら私も嬉しいです。ということは、ゲームは私の勝ちでいいですか?」
みほ「勿論だよ! どのお寿司も美味しかったなぁ……」
小梅「それでは、ゲームの商品として……最後に残ったこのお寿司をみほさんからあーんして貰えますか?」
みほ「そんなことでいいの? はい、あーんっ!」スッ
『エリカ「…………」』
『アンチョビ「エリカさん、ここで口を開けてもお寿司はここまで届きませんよ! 諦めてください!」』
小梅「あむっ! うん、やっぱり会長さんの作るお寿司は美味しいですね!」ニコニコ
みほ「うん! 小梅さん、ありがとう! 会長、小山先輩、河嶋先輩もご馳走さまでした!」ペコリ
桃「……お、おぉ! 西住、私達の寿司が食べたくなったらまた呼ぶがいい!」グッ
柚子「もぅ、桃ちゃんったら……勉強もちゃんとしないと駄目だよ!」
杏「まぁまぁ、小山も落ち着け。さてと、じゃあ片付けて私らは帰るかな、かーしまぁ!」
桃「はっ! お任せを!」バババッ
『アンチョビ「いやー素晴らしい夕食でしたね! みほさんの笑顔も見れて此方としても最高の夕食でした! エリカさん、小梅主審は大分攻めてましたが……?」』
『エリカ「えぇ、みほさんの笑顔が我々にとっては一番の栄養ですから、それについては小梅主審に惜しみ無い拍手を送りたいですね」』
『アンチョビ「しかしエリカさん、小梅主審の笛が鳴らなかったということは、カメさんチームは選手登録はしてなかったと、そういうことですかね?」』
『エリカ「いえ、これは少し難しいのですけど、仮に選手登録してあってもプレイング状況を満たせないと判断されれば笛は鳴らないんですよ。今回はみほさんの夕食時ですし、小梅主審がみほさんを気遣って笛を鳴らさなかった可能性は十分あります」』
『アンチョビ「成る程、やはりこの夕食時は小梅主審の独壇場だったということでしょうか。さぁカメさんチームが帰る準備を終えたようです! みほさんも笑顔、カメさんチームも笑顔、これは良い一時だったのではないでしょうか!」』
杏「そんじゃ、私らはそろそろ帰るね」
みほ「あ、はい! ご馳走さまでした!」ニコッ
柚子「お粗末様でしたっ! あ、桃ちゃん少し持つよ!」スッ
桃「まぁ力仕事なら任せておけ! なんならフル桃もいつでも準備オーケーだ! …………ん?」トントン
小梅「…………ふふふ」ニッコリ
桃「な、なんすか……?」
小梅「ピピピピピィーーーッッッ!!!」バッ
『アンチョビ「レッドカーーーードッ! ここに来ていきなりのレッドカード! カードに何か書いてあります! んんんん……ネギトロ! ネギトロと書いてあります!」』
『エリカ「自分のコハダは我慢できても、みほさんのネギトロだけは我慢できなかったと、そういう事でしょうか」』
『アンチョビ「コハダを潰された時点でかなり青筋を立てていた気がしますが……何にせよレッドカードが提示されました! 桃さんはよくわかっていなさそうです!」』
小梅「柚子ルームでお願いします」
桃「え? えぇ……?」オロオロ
柚子「はーい、こちら別料金となっておりますが……」
小梅「カードで! フルオプションで!」グッ
柚子「はい、ありがとうございまーす!」スッ
桃「ゆ、柚子ちゃん……?」ビクッ
柚子「桃ちゃん! ……じゃ、行こっか?」ニコッ
桃「…………くっ!」ダダッ
柚子「んもう、駄目だよ逃げちゃ。はい、捕まえた!」ガシィ
桃「に、にしずもがっ!」モガモガ
柚子「はーい。桃ちゃん、お持ち帰りー!」ズルズル
桃「もがもがー!」ズルズル
みほ「…………」
小梅「…………」
杏「…………よし、お疲れ!」クルッ
みほ「あ、はい。お疲れ様でした」ペコリ
小梅「ご馳走さまでしたー!」ペコリ
『アンチョビ「桃さんが引き摺られて行きます! 誰がこの結末を予想したのでしょうか、みほさんも最早諦めの境地に達しているのか淡々とした様子で桃さんを見つめています!」』
『エリカ「小梅主審の笑顔が逆に怖いですね」』
『アンチョビ「さぁここで一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園 某室ーーー
アンチョビ「これは怒濤の展開でしたが、エリカさん、どうみますか?」
エリカ「そうですね、やはり小梅主審の軽やかな動きが目立ちました。流れるようなアシストからあーん……そして間接キスまで持っていくのは流石の技量です。正直、選手ではないのが惜しまれるプレイングでした」
アンチョビ「うーん、流石はみほニスト特級審判師ということでしょうか……ここで小梅主審に対する審査員の皆さんの評価ができたようです! フリップをどうぞ!」スッ
ダージリン『あーん……してほしい!!』
絹代『あーんクロスでお願いします』
ミカ『お寿司食べたい』
アンチョビ「ミカさぁーーーん!? さっき私が作ったアンツィオ特製パスタ食べたばかりでしょ! 私のパスタだけでは満足出来なかったのかぁっ!? 私、些かショックを抑えきれません!」
ミカ「ひぇっ、ちち、違うんです! パスタは本当に美味しかったです!」
エリカ「……継続高校では、お寿司は別腹ということですか?」
ミカ「すすすみませぇん! ただちょっと美味しそうだなって思っただけです……」
アンチョビ「確かにお寿司の出来は最高でした! ですからこれはカメさんチームへの賛美として受け入れましょう! さぁここで小梅主審から緊急コールです! なんと今からお風呂タイムだそうです!」
ダージリン「…………っ!」ゴクリ
絹代「…………」コクリ
アンチョビ「ですが流石にこれは見せられないと、小梅主審が放送ストップをかけております!」
ダージリン「…………ッッッ!」バンッ バンッ
絹代「…………」ヤレヤレ
エリカ「お風呂無しですか?」
アンチョビ「いえ、今回のお風呂タイムは音声のみでお送り致します!」
エリカ「……先っちょだけでも駄目ですか?」
アンチョビ「上下どちらにせよ先っちょ見えたら発禁ですから諦めてくださぁい!」
『みほ「二人だと、アパートのお風呂じゃちょっと狭いね!」』
アンチョビ「おーーーっと、既に二人は入浴中だぁ! 映像が無いのが非常に残念です!」
『みほ「小梅さん、肌綺麗! えい、えい!」ツンツン』
『小梅「あ、もうみほさんったら。みほさんも……えい」プニュ』
『みほ「あん! もう、そこは反則だよぉ!」』
ダージリン「っ!」ブッ
アンチョビ「ダージリンさん!? いきなり鼻血ですか!?」
『小梅「うふふ……えい、えい!」プニュ プニュ』
『みほ「あん! きゃん! やめ、やめてよぉ!」キャッキャッ』
ダージリン「…………エッッッッ!! エッッッッ!!」ブシュ ブシュ
アンチョビ「みほさんの嬌声に合わせてダージリンさんの鼻から血飛沫が舞い上がるぅ! これ大丈夫なんですか!? この鼻血は致死量に達してないですか!?」
エリカ「…………」クンクン
エリカ「……いえ、これ鼻血ではなく紅茶ですね。この部屋は暗いのでアンチョビさんが見間違えるのは無理もありません」
アンチョビ「ちょっとダージリンさん! みほさんへの愛情の演出とは言え余り席を汚さないでください! この部屋もレンタルなんですよ!」
『小梅「さて、そろそろお背中お流し致しますね!」』
『みほ「えぇ!? そんな、小梅さんに悪いよぉ!」』
『小梅「まぁまぁ任せて任せて……あら、みほさんのお背中……凄く綺麗ですねぇ……」スリスリ』
『みほ「んふふ……こしょぐったいよ小梅さん! んふ、んふふ……」』
『小梅「みほさんのきめ細やかな絹の肌……お流し致しますよぉ……」スリスリ スリスリ』
『みほ「も、もうなんで手で……んふふ……だ、だめ……んっ!」ピクッ』
絹代「……ッ!」ハフッ ハフッ
アンチョビ「絹代さん急にご飯を食べ始めてどうしたんですか!? その声だけでご飯何杯でも行けるぜアピールは止めてください! どこからそのご飯を出したんですか!?」
エリカ「これは審査員の方達が順当にバーストアピールを決めていっています! 音声だけとはいえ、みほさんのお風呂タイムは我々にはボーナスステージですから!」
ミカ「…………っ!」ハッ
ミカ「……カ、カンテレがあれば! カンテレがあればこの気持ちを表せることが出来るのにぃ! カンテレェッ!」チラッ
アンチョビ「駄目です」シレッ
ミカ「やり損だよぉっ!」バンッ
『みほ「も……もう、小梅さんたら! 次は私が背中流してあげるね。さ、背中向けて?」』
エリカ「…………」クルッ
アンチョビ「今はエリカさんの番では無いです! とりあえず服は着てください!」
エリカ「小梅だけずーるーいぃー! 私も洗いっこしたい! 舐めたぁい!」バンッ バンッ
アンチョビ「小梅主審の名誉の為に言っておきますが舐めてはいませんよ! さぁ審査員室は大盛り上がりだがみほさん達は既にお風呂からあがっているようです!」
『みほ「ふぅ、気持ち良かったぁ! 小梅さん、狭かったでしょ? ごめんね」』
『小梅「いえいえ、みほさんを独占できて嬉しかったですよ! また一緒に入りましょうね!」』
『みほ「うん!」』
アンチョビ「エリカさん、我々のボーナスタイムもここまでと言った状況ですがどうだったでしょうか?」
エリカ「私も舐めたい……ペロペロしたいぃ……」シクシク
アンチョビ「小梅主審はそこまでしてませんからね! 小梅主審への風評被害もそこまでにしといてください! さぁどうやらみほさんの映像が戻るようです!」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「わぁぁ! 小梅さん、ボコ柄のパジャマ似合うよぉ!」ニコニコ
小梅「そ、そうですか? みほさんもそのボコのパジャマお似合いですよ!」
みほ「うん、これ凄く気に入ってるんだ! この柄はボコフェスでしか買えないんだよ!」
『アンチョビ「いやぁ、ボコ柄に包まれたみほさんの愛くるしいこと。お風呂タイムが終わっても、我々のボーナスステージはまだ終わっていないのかぁ!?」』
『エリカ「あのボコ柄のパジャマは凄くレアなんですよ。ボコフェス限定発売で既に絶版済みでして、私もあれを手に入れるのに苦労しました」』
『アンチョビ「みほさんがあの柄を買った瞬間にネットオークションの相場が跳ね上がりましたが、天井知らずの上がり方を記録しましたからね! 手に入れるのは一苦労でしょう!」』
みほ「あ、そうだ。小梅さんにお布団出さなきゃ!」スッ
麻子「…………むにゃむにゃ」スースー
小梅「ピュイーーーッッ!」サッ
『アンチョビ「あーーーっと、小梅主審、ホイッスルを身に付けていなかったのか! 小梅主審の指笛であんこうチームの天才操縦士、冷泉麻子選手の登場だぁ!」』
『エリカ「襖を開いたその奥、来客用の布団の上に丸まっての登場です。一体何時からいたのでしょうか、この大会への意気込みを感じられます」』
みほ「えぇ……? 麻子さん?」ツンツン
麻子「………みゅ?」ピクン
麻子「ふぁぁぁ…………。おはよう、西住さん」
みほ「お、おはよう……麻子さん、一体何時からそこにいたの?」
麻子「ん? さっき入ったばかりだ。勝手に入ってすまない」ペコリ
麻子「実は少々困ったことになってな。西住さん、少しでいいから身を隠させてくれないか?」チラッ
みほ「えーと、うん、勿論良いよ! 他に何か私に出来ることがあれば何でも言って?」ニコッ
麻子「西住さん……本当にありがとう」ペコリ
『アンチョビ「エリカさん、どうやらこの麻子選手は訳有りの様ですがどうなんでしょう?」』
『エリカ「そうですね、しかし試合開始の笛が鳴ったと言うことは選手登録してある訳ですから、訳有りの体で接近を狙うという事もありえます。その場合、プレイ上の問題はありませんが審査に少なからず影響すると思われます」』
『アンチョビ「成る程、麻子選手の手腕が試される場面です。おっと、みほさん達が布団を敷き終わった様ですが、ベッドと布団、合わせて二組しかないようです。これは……一人溢れますね」』
みほ「お布団は敷けたけど、一人……余っちゃうね」ウーン
麻子「西住さん、大丈夫だ。自慢じゃ無いが、私は……小さい!」エッヘン
麻子「だから、西住さんさえ良ければ一緒に寝てくれないか?」チラッ
みほ「私は良いけど、小梅さんもそれでいいかな?」
小梅「…………」コクリ
麻子「さぁ、物は試しだ。西住さん、一度私と一緒に布団へ入ってみてくれ」バサッ
みほ「う、うん……」
『アンチョビ「麻子選手が開く布団は蠱惑の罠か、はたまた安眠への入り口か、みほさんは少し躊躇しています!」』
『エリカ「麻子選手は先にベッドに入っていますから、これにみほさんが応じれば完全に寝技体制からのスタートになります。流石にみほさんでも躊躇するのはやむを得ないと思われます。小梅主審も指を口に含んだまま動きません、何かあれば指笛で直ぐにストップをかける姿勢です」』
みほ「えっと、じゃあ……」スッ
麻子「…………貰った!」バクーッ
みほ「えっ!? あ、きゃーっ!」ズルッ
『アンチョビ「た、食べたーーーっ! 麻子選手、みほさんの信頼を裏切り布団へ引きずり込んだぁ! 更に麻子選手が自分もろとも布団の中へと潜り込ませましたぁ!」』
みほ「むーっ! むーっ!」モゾモゾ
小梅「…………ぴゅ!」
麻子「鳴らすのか?」ピョコ
『アンチョビ「麻子選手が布団から顔を出して小梅主審を牽制しています! ただしその間も布団が艶かしくもぞもぞと動いております! 一体あの中はどうなっているのかぁ!?」』
小梅「…………っ!?」
麻子「それは困ったな。笛を鳴らされたら大会の規定上、この布団の中身を白日の下へ晒さなければならない」ニヤリ
麻子「私は勿論構わないが、西住さんはどうだろうなぁ?」ニヤニヤ
みほ「むっ? んぐっ! ちょ、ちょっとそこはぁ!」モゾモゾ
小梅「…………くっ!!」サッ
『アンチョビ「麻子選手がダーティーなプレイで試合を運んでいます! 小梅主審も指を咥えたまま止まってしまったぞぉっ!」』
『エリカ「これは小梅主審のミスですよ! みほさんが引きずり込まれる瞬間に鳴らしていればこのプレイは未然に防げた筈です!」』
麻子「私は西住さんとなら十分と言わず一晩でも良いからな、赤星さんはそこでそのまま指を咥えて見ているといい」ニタニタ
麻子「……ではな」スポンッ
みほ「麻子さん!? な、なんでそこちょちょっと駄目ぇ!!」モゾモゾ
麻子「西住さん、安心してくれ。私はこの小柄な体型による抱き心地だけではなく、少々弱いが振動機能も完備している。さぁ存分に楽しんでくれ」モゾモゾ
みほ「えぇっそれの何処に安心すればいいの!? こ、小梅さん助けてぇ!」モゾモゾ
小梅「…………!? !?」オロオロ
『アンチョビ「小梅主審は動けない! これは危険な状況だぁ! 笛を鳴らせばカメラに映せないみほさんの姿が明らかになってしまうのか!? しかし鳴らさなければ麻子選手の毒牙がみほさんに襲いかかるのは確実です!」』
『エリカ「みほさんを守る為に笛を鳴らすべきか……それともみほさんがやられるのを待つべきか……」』
『エリカ「みほさんをやってから笛を鳴らす……いえ、笛を鳴らしてからみほさんをやってしまいましょう!」』
『アンチョビ「エリカさん! その言葉は残らず家元に報告しますからね! 後でじっくり反省してください!」』
『エリカ「勿論冗談です! 勘弁してください!」』
麻子「西住さん、あまり暴れると危ない」モゾモゾ
みほ「暴れさせてるのは麻子さんだよ!」モゾモゾ
麻子「大丈夫だ、少し痛くて、少し気持ちよくなるだけだから」モゾモゾ
みほ「も、求めてないよぉ! え、もうまたそんなとこ、あっあ、もう、麻子さん!」モゾモゾ
『アンチョビ「一体そこはどこなんだぁ! 笛を鳴らして教えて欲しい! あわよくば私も混ざりたーーいっ!」』
『アンチョビ「さぁ小梅主審は未だ指を咥えたまま動けません! これは本当にみほさんがピンチです! この場面をどうにかしてくれる救世主はどこかにいないのかぁ!?」トントン スミマセーン』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「この正念場に審査員室へとまた乱入者かぁ!? さぁどなたですか!?」クルッ
沙織「いま、麻子の名前呼んでませんでした?」スッ
アンチョビ「あーっと、あんこうチームの乙女道担当の武部沙織さん、本日二度目の乱入だぁ!」
エリカ「でも残念ながら、お探しの猫はこの部屋にはまだ来ていませんよ」
沙織「…………あっ!」タタッ
沙織「……麻子、見つけたっ!」クワッ
沙織「この映像の部屋、みぽりんの部屋だよね! 麻子ったらこんな所に……あ、お邪魔しました!」ズダダダダ
アンチョビ「……探してたペット、猫、ネコ? 見付かったのは麻子さん…………あっ」
エリカ「…………あっ」
ダージリン『あっ(察し)』スッ
絹代『あっ(察し)』スッ
ミカ(探してた猫は見付かったのかな?)ウーン
ーーーみほの部屋ーーー
『アンチョビ「あの、小梅主審……麻子選手に飼い主さんがダッシュでそちらに向かったとお伝えください」』
小梅「ぴゅっぴゅいー!」
麻子「……なんだ、トラブルか?」ピョコ
小梅「あの、麻子さんの飼い主さんが猛ダッシュでこちらに向かっているそうです」
麻子「うわぁっ! もう見付かったのか!」スポンッ
麻子「……ともかくよく教えてくれた! じゃあ私はここで棄権するから、後は頼んだ!」クルッ スタタタ
『アンチョビ「此方も素早い展開! 麻子選手は衣類を着直して、直ぐ様みほさんの部屋から脱出しました!」』
小梅「えーと、みほさん? 大丈夫ですか?」サッ
みほ「お布団はまだ捲らないで、ちょっと待って!」モゾモゾ
みほ「よし。ふぅ……麻子さん凄く力が強いんだもん、ビックリしちゃった」ガバッ
小梅「いつもの麻子さんと思えない程素早かったですしね。みほさん、助けるのが遅れてごめんなさい」ペコリ
みほ「あはは、大丈夫だよ。でもちょっとお手洗い行ってくるね……」ソソクサ
『アンチョビ「どうやらみほさん自身のダメージは然程無さそうです! しかしここでお手洗いですか……エリカさん、これはどういう意図があるのでしょうか?」』
『エリカ「身嗜みのチェック……一人で休憩する事による精神の安定……色々な理由が考えられますが……布団の中で不意に濡れてしまった何かを拭き取りに行ったいうのが私は一番興奮します!」』
『アンチョビ「力強い返答ありがとうございます! さぁそろそろ沙織さんがみほさんの部屋に到着する頃ですが、既に麻子さんは脱出済みですがこれに対してどういう反応をするのでしょうか!」バンバン』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「あーーっと激しく扉を叩く音が聞こえたぞぉっ! またこの部屋に乱入者です! 今度は一体誰ですか!?」クルッ
麻子「はぁ……はぁ……。久し振りに本気で走ったぞ……」ゼーハーゼーハー
アンチョビ「なんとここで先程の選手、冷泉麻子さんが登場だぁ! みほさんの部屋には未だ沙織さんは訪れていません! どうやら完全に行き違ったようです!」
エリカ「これは沙織さんが裏をかかれた状況です」
麻子「……沙織はこのカメラで私を見付けたんだろ? それならこの部屋には当分来ないだろ。暫く身を隠させて貰うぞ」スッ
???「と、思うじゃん?」ガバッ
麻子「……えっ!?」クルッ
沙織「……麻子、つっかまえたぁ……」ニコッ
麻子「う、うわぁぁぁぁーーっっ!!」
アンチョビ「さ、沙織さんがいつの間にか麻子さんを羽交い締めしているぅーーー! 裏をかかれたのは麻子さんだったぁ!」
沙織「麻子ったらまた逃げ出して……私……随分探したんだからね……」
麻子「止めろぉ! 離せぇ! くっこの、ふんっふんっ!」ジタバタ
沙織「あ、そうやってまた我儘言う! そういう子にはまた魔法の棒を当てちゃうんだからね!」
麻子「ひっ! そ、そうやって何度もやられてたまるか! この、はぁなぁせぇ……!!」グググ
沙織「やだもー、麻子は皆の前だと元気なんだから……でも今日は私も怒ってるんだからね! 麻子がちゃんと素直な良い子になるまでイボイボさんも使っちゃうんだから!」
麻子「い、いぼいぼ……」サーッ
麻子「や、やだぁ! いぼいぼさんやだぁ!」ジタバタ
沙織「だーめ! さ、麻子……いこ?」グイッ
麻子「誰かたすもがっ!」モガモガ
沙織「それじゃ皆さん、ありがとうございましたぁ!」
アンチョビ「あ、あのっ!」
沙織「……あ?」ギンッ
アンチョビ「何でもないです! お出口はあちらでぇーす!」サッ
沙織「はーいっ! お邪魔しました!」グイッ
麻子「もがもがーっ!」ジタバタ
アンチョビ「…………エリカさん、素直とは一体……?」チラッ
エリカ「アンチョビさん、何も考えちゃ駄目です」
アンチョビ「……ですね! はい、それでは麻子選手の審査結果をお願いしまーす!」
ダージリン『ペコはいつもトゲトゲさん』スッ
絹代『福田はいつでも素直!』スッ
ミカ『探していたのは猫? 麻子?』スッ
アンチョビ「……ミカさん、きっと沙織さんはその両方を見付けたんでしょう! ネコも麻子さんも見つかりました! さぁみほさんも部屋に戻ったようです! カメラを戻しまーす!」
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「それにしても麻子さんは何処行ったんだろ? 何か困ってたみたいだけど……」
小梅「きっと大丈夫ですよ。……イボイボを刺されたくらいで死にはしないと思いますし」ボソッ
『アンチョビ「えっと、小梅主審は少し怒っていませんか?」』
『エリカ「そうですね、目の前で麻子選手に自分を虚仮にされたようなものですから怒っても仕方ありません。事の顛末は聞こえているでしょうから、小梅主審としては溜飲が下がる思いでしょう」』
みほ「まぁいっか! じゃあ小梅さん……そろそろ寝よっか!」
みほ「寝転びながら沢山お喋りしよっ?」チンローン
みほ「……こんな時間に誰だろう。はーい」トテテテ
まほ「みほ、邪魔するぞ!」バンッ
みほ「お、お姉ちゃん!」
まほ「黒森峰の学園艦が大洗の近くに来たからな、私も顔を見せに来たんだ。入っていいか?」
みほ「う、うん。いいけど、その袋……何?」チラッ
まほ「これか? 最近私はこれに凝っていてな……コーヒーミルだ!」ドヤァ
みほ「コーヒーミル!? 態々ここまでコーヒーミル持ってきたの!?」ビクッ
まほ「こうでもしないとみほにコーヒー淹れてあげられないだろ……みほは黒森峰に来てくれないし……」ズーン
みほ「そ、そうだね。黒森峰って少し行き辛くって……ごめんねお姉ちゃん……さ、どうぞ入って」スッ
まほ「あぁ、邪魔するぞ!」トテトテ
小梅「…………」チラッ
まほ「…………」コクッ
小梅「ピーーーーーーッ!」
『アンチョビ「出たぁーーっ! 満を持しての登場です! 次期西住流後継者にして黒森峰戦車道の代表! 更に更に……みほさんの実姉! リアルお姉ちゃん! 西住ぃぃまほ選手! 堂々入場っ!」』
『エリカ「遂に出ましたね……。審査員席に姿を見せなかったので、必ず現れると思っていました! まほ選手の西住流の流れを汲む動きに注目です!」』
まほ「ん……布団を敷いてあるということは、もう寝るところだったのか? 少し来るのが遅かったな、すまない」ペコリ
みほ「あはは、今日は色んな人が来たからちょっと疲れちゃって……。でも大丈夫、まだまだ小梅さんとお喋りするつもりだったから!」
まほ「もう少し早く来たかったんだがな……そうそう、土産を持ってきたんだ」サッ
みほ「うわぁ、ボコストラップだぁ! しかも黒森峰の帽子被ってる! 凄い凄い、ありがとうお姉ちゃん!」キャッキャッ
まほ「黒森峰では最近ボコとのコラボが始まってな、余り宣伝はされていないんだがそのストラップもコラボ商品の一部だ。こういうのもあるぞ」サッ
みほ「ボコが戦車乗ってるぬいぐるみだぁ! こっちは黒森峰学園艦ストラップのボコ仕様デザインだぁ!」
まほ「ふふ、勿論全部みほの為に持ってきたんだ。貰ってくれるか?」
みほ「ほ、本当!? お姉ちゃん……大好きっ!」ダキッ
『アンチョビ「なんとみほさんが感極まってまほ選手に抱き付いております! 余りの出来事にまほ選手の顔は締まりが緩く蕩けきっているぞぉ! これは羨ましい!」』
『エリカ「先ずは物でみほさんを釣ると、オーソドックスな攻め手ですがボコグッズともあって効果は抜群でしょう。まほ選手はこの日の為にボココラボを無理矢理黒森峰に引っ張ってきたのは明白です!」』
まほ「さて、そろそろみほに私のコーヒーをご馳走してあげたいのだが、寝る前なんだしミルクたっぷりのカフェオレでも淹れてあげるよ」チラッ
みほ「あ、うん! ありがとう! えーと、私はお湯を沸かせばいいのかな?」
まほ「そうだな、では水はこれを沸かしてくれ。ミルクはこれで頼む」スッ
みほ「水とミルクまで持ってきてるんだ……本格的だね!」
まほ「最近では戦車の事よりコーヒー豆の事を考えている方が多いぐらいだ」
みほ「お姉ちゃんたらハマりすぎだよっ」
『アンチョビ「まほ選手が水とミルクまで持ち込みという拘りを見せております! んー、おそらく軟水でしょうか……まほ選手はコーヒーにも定石と安定を感じさせますね」』
『エリカ「好みにもよりますがコーヒーや紅茶には軟水がベターですから、まほ選手、ここは置きにいったという所ですかね」』
まほ「さて、みほが沸かしてくれている間に私はこの西住ブレンドをっと……」ガリガリガリガリ
『アンチョビ「まほ選手が手慣れた様子でコーヒーミルを動かしていくぅ! 良いですねぇ、ここまでコーヒーの香りが漂ってきそうな音がします!」』
みほ「お姉ちゃん、お水とミルク暖めたよ!」
まほ「みほ、ありがとう。こっちも挽き終わったよ。やっぱり挽き立ては良い香りがするだろう?」チラッ
みほ「本当に良い香りだねお姉ちゃん! コーヒーってこうやって一杯毎に挽くんだね……」
まほ「ふふ……豆の選別、焙煎……この下準備だけでも時間がかかるからな……今回は焙煎まで黒森峰で終わらしてきたが、次にコーヒーを淹れるときには是非煎りたてからのコーヒーをみほに飲ませてあげたいな」ニコリ
みほ「うん、楽しみにしてるね!」
『アンチョビ「いやーまほ選手は相当コーヒーに入れ込んでいますねぇ。私も当然コーヒーは手淹れですが、焙煎までは専らお店でしてもらいますからね」』
『エリカ「しかしまほ選手のプレイングは余り動いていませんね。コーヒーに対する姿勢のせいか、みほさんへのアピールがこれでは足りませんよ。このままでは審査は相当厳しいものになります」』
『アンチョビ「たしかにこのままではまほ選手は若干厳しそうです! ん……? まほ選手が何やら持ってきた袋を探っているぞ?」』
まほ「しまった……やってしまった……」ガクリ
みほ「お姉ちゃん、どうしたの? 何かあったの?」
まほ「ペーパーフィルターを……忘れてしまった……」ズーン
『アンチョビ「これは大失態です! 挽いた豆、暖めた軟水とミルクを前にまほ選手は立ち往生! 肝心のペーパーフィルターを忘れてしまいましたぁ!」』
まほ「いつも手の届くところにあったから……入れるのを忘れてしまった……すまない、みほ……」ガクリ
みほ「えーと、大丈夫だよお姉ちゃん! 近くのコンビニに買いに行けばきっとあるよ!」
まほ「みほ……そうだな……ありがとう」ニコリ
まほ「だが……豆は挽いた瞬間から酸化が進んで行くんだ! 今こうして話している間にも……コーヒー豆の劣化は進んでいく、そんなときにコンビニまでなど行けない! コンビニに行く時間が惜しい!」カッ
みほ「で、でも私の部屋にペーパーフィルターの代わりになるものなんて無いよ?」
『アンチョビ「そうですね……これは難しいですよ! 普段手淹れでコーヒーを飲まない人の部屋にはペーパーフィルターはおろかその代わりも見つからないと思いますが……」』
『エリカ「実はキッチンペーパー等でも代用ができるのですが、コーヒーに並々ならぬ拘りを持っているまほ選手ですから、果たして代用で妥協するのか……!」』
まほ「みほ……すまないがみほの部屋から何か代用品を借りてもいいだろうか?」チラッ
みほ「それはいいけど……何かあったかなぁ……?」クビカシゲー
まほ「大丈夫、良いのがあるんだ!」ニコリ
『アンチョビ「さぁまほ選手、まるで何かに導かれるように歩いていきます! あぁっと、キッチンには目もくれませんよ! まさかキッチンペーパーは使わないのかぁっ!?」』
『エリカ「あの、これお風呂場に向かってませんか?」』
『アンチョビ「向かっています! お風呂場、いえ、これはお風呂場の手前で止まりました! まほ選手が脱衣所でごそごそと何かを探っているぞぉ! 一体ここから何が出てくるのか!」』
まほ「あったあった! これだ、この脱ぎたてのみほパンがペーパーフィルターの代わりになるんだ!」ニコニコ
『エリカ「絹100%ですかね、可愛らしい下着が出てきました! ちょっとこの逸見エリカ……テンションが上がってきましたよ!」』
みほ「………………」
『アンチョビ「エリカさんの上がったテンションとは逆に自らの下着を手にしているまほ選手にみほさんのテンションは下がりっぱなしです! 呆然とした様子でまほ選手を見ていますが、みほさんのコンディションが心配ですね!」』
まほ「この取れたてのみほパンをドリッパーにセットして……」スッ
みほ「………………」
まほ「豆を敷いて、と……更にお湯を……」トプトプ
まほ「このお湯で蒸らしている時の香りも堪らないんだ!」ニコニコ
みほ「………………」
まほ「更にお湯を足す、と……うんうん、良い色だな!」ニコニコ
みほ「………………」
まほ「そして出来たこの西住スペシャルブレンドみほパン一番絞りを……飲むぅっ!」グイッ
まほ「やはり……コクが……違うな!」ウン
みほ「………………きゅう」フラリ バタン
小梅「…………はぁっ!」サッ
『アンチョビ「ここでみほさんダウーーーーン! 実の姉がみほパンフィルターから溢れた一番絞りを頂くという異様な光景に耐えられなかったのか、なんと卒倒してしまいましたぁ!」』
『エリカ「みほさんが倒れる瞬間に小梅主審が布団でフォローに回りました。ここは小梅主審に感謝です!」』
まほ「どうしたみほ!? おい、しっかりしろ! い、一体何が……!?」オロオロ
小梅「ピピピーーーーッ!」
『アンチョビ「レッドカーーードッッ! ここは当然レッドカードです!」』
『エリカ「当たり前ですよ! みほさんは気絶してしまっているわけですから、これはペナルティが重くなければ誰も納得できません! それにこのプレイ状況ではペーパーフィルターを忘れたのもわざとだと思われます! 小梅主審には厳しい判定をお願いしたいです!」』
まほ「え、レッドカード!? 私はコーヒー飲んだだけだぞ!」バンッ
小梅「これはレッドカードで当然です! 何で隊長はみほさんの事になるといつもトップギアなんですか! もうちょっと抑えてくださいよ! 実の妹の下着でドリップしたコーヒー飲んでコクが違うな……なんてどういう生き方してたら辿り着くんですかぁっ!」
まほ「普通に生きてきたよ! 可愛い可愛い妹を見守りながら戦車道を進んできただけだ!」
小梅「見守るを超えて手を出してるでしょ! 大体この下着ドリップも初犯じゃないですよね!? セットの仕方が常習犯のそれなんですよ!」
まほ「手はまだ出していない! みほパンは……まぁ実家にあるのを何枚か拝借したが……セーフだろ?」チラッ
小梅「ピピピピピーーーーッッ!! はい、ブラックカード! それアウトで犯罪ですから!」バッ
まほ「なんでだぁぁーーっ!」バンッ
『アンチョビ「アウトォォーーーッッ! 遂に出ましたブラックカード! これは相当重いペナルティが課せられます!」』
『エリカ「擁護のしようがありませんね。これはあれでしょうか、みほパンは全部フィルター代わりにしたということでしょうか。それとも別の使い方を……」』
『アンチョビ「これは怖くて聞けませんね、特にみほさんには絶対に聞かせられないでしょう!」』
小梅「ピッピッピーーーッッ!」バッ
『アンチョビ「これは……ペナルティが出ました! 『おかあさまといっしょ』と書いてあります! エリカさん、これはどういう……?」』
『エリカ「そのままですね、所謂しぽりんルーム行きといったところです」』
『アンチョビ「はい、ではペパロニさん! まほ選手を回収してくださーい!」』
ペパロニ「はいはーい! お邪魔するッスよー!」トテトテ
まほ「い、嫌だぁぁーーっ! せめて別のペナルティにしてくれぇ!」ジタバタ
ペパロニ「まほさん、まーたしぽりん行きッスか? いい加減更生してほしいッス!」ズルズル
まほ「しぽりんは嫌だ! みぽりんが良い! みぽりんが良いんだ! み、みぽぉぉーー…………」ズルズル
『アンチョビ「さぁまほ選手が退場していきます! レッドカードは通算三枚目、今大会も波乱の展開となっております! ここで一旦カメラを戻します!」』
ーーー大洗学園某室ーーー
アンチョビ「いやーまほ選手のコーヒーは一度味わってみたいですね! それにしてもエリカさん……エリカさん?」チラッ
エリカ「…………」グッ
ダージリン「…………」グッ
絹代「…………」グッ
アンチョビ「気付けば三人がクラウチングスタートの体勢で部屋のドアに身体を向けております! 皆さん、これは一体どういう事ですか!?」
ダージリン「知れたことですわ……みほさんが倒れた今……もっとも早くみほさんの元へ駆け付けた者が……勝者となります!!」クワッ
アンチョビ「よく分かりませんが……皆さんのみほさんの元へと駆け付けたい気持ちは十分に伝わりました! では三人の意気込みを聞いていきましょう! 絹代さん、自信はありますか!?」
絹代「私のような若輩者では心許ないかもしれませんが……みほさんを思うこの気持ちに嘘はありません! 西絹代、全力でみほさんの元へ走ります!」グッ
アンチョビ「まるで青春のような清々しい意気込みです! これは期待できそうです! さぁ次はエリカさん! 自信の方はどうですか!?」
エリカ「隊長がみほパンでドリップしたなら……私はみほパンでトリップしてみせる!」グッ
アンチョビ「既にみほさんへの気持ちでトリップしている事には突っ込めません! 直接舐めるのは禁止ですからね、気を付けてくださいよ! さぁ最後はダージリンさん! 体育会系なこの二人に対しては若干不利な気がしますが、お気持ちをお願いします!」
ダージリン「私、いつも考えておりましたが……みほさんとならキビヤックプレイもイケますわ!」グッ
アンチョビ「キビヤック!? キビヤックというとイヌイットの発酵料理ですが……これは吸う方か吸われる方なのか……議論を呼びそうですねミカさん!」チラッ
ミカ「えぇっ!? わ、私はそのキビヤックがよくわかりませぇん!!」ビクビク
アンチョビ「はい、さぁそれでは皆さん準備はよろしいですか!? いちについて……」スッ
エリカ「よドンッッ!」ズダダダダダ
ダージリン「よドン!? くっ卑怯ですわ!」ズダダダダダ
絹代「こ、こんなの無効です! やり直しを要求します!」ズダダダダダ
アンチョビ「と言いつつ一人疾走するエリカさんの後を二人が慌てて追うっ!」クルッ
アンチョビ「三人を追うぞ、スタッフは全員私に着いてこい! カメラとマイクは絶対に引き離されるなよ! タンケッテにも火を入れとけ! アーヴァンティッッ!!」ビシッ
アンツィオ生徒「ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!」ワァァ
アンチョビ「走れ走れ走れぇーーーっ!」ズダダダダダ
アンツィオ生徒「ドゥーチェ! みぽりん! ドゥーチェ!」ズダダダダダ
ミカ「…………」ポツーン
ミカ「あ! カンテレ、見つけたぁ……!!」ギュウウ
ミカ「アキとミッコ、迎えに来てくれなかったなぁ……」ハァ
ミカ「…………帰ろ」スタスタ
ーーー大洗学園外ーーー
エリカ「ワニワニワニィーー! 貰った、この勝負貰ったわぁ! 待っててね、みほぉーーっ!」ダダダダダダ
絹代「エリカさん、流石にこれは卑怯です! 速やかにやり直しを要求します!」ダダダダダダ
ダージリン「お待ちなさーいっ! こんなやり方で勝負を付けられても、私達は絶対に納得いたしませんわよ!」ダダダダダダ
アンチョビ「フライングで走り出したエリカさんを絹代さんとダージリンさんが追う、追う、追うぅーーーっ! エリカさんも速いが二人も速い! 徐々に差が縮まってきたかぁ!?」ダダダダダダ
ダージリン「例えこれで負けても必ずドアをぶち破ってでも邪魔致しますわよ! エリカさん、聞いていますの!?」ダダダダダダ
エリカ「どうぞどうぞ、邪魔でも何でも好きにすればいいわっ!」クルッ
エリカ「あの部屋はねぇ、みほが賃貸契約をした時から家元と相談して改装に改装を重ねてあるのよ! ドアの鍵にはロイヤルガーディアン、ドアも壁も全て特殊カーボンで補強、ガラスは全て超硬度ガラスで作ってあるのよっ! 即ち、あの部屋の中から鍵を掛ければ誰にも邪魔されない完全密室部屋となるのよ!」ワニワニ
アンチョビ「みほさんの部屋だけそんな魔改造が! この口振りだと当のみほさんはご存知無いでしょう! 家元の過保護さがよく出ています!」ダダダダダダ
ダージリン「それでも小梅主審がいますわ! 例え密室でもエリカさんの思い通りにはならなくってよ!」ダダダダダダ
エリカ「墓穴なりダージリン! つまり小梅を落とせばそこはパラダイスって事でしょうが!! 勿論小梅対策もしっかり用意してあるわに!」ダダダダダダ
絹代「くっ、先程のバーストアピールでご飯を何杯も食べたせいで上手く走れない……こ、ここまでなのか……?」ダダダダダダ
エリカ「ま、みほ仲間のよしみでカメラはそのまま写させてあげるから、あんたたちはあの部屋で紅茶でもご飯でも好きなだけ飲み食いすればいいわ! 私とみほの仲睦まじい様を見ながらね!」ワニワニ
アンチョビ「エリカさん、一人独走ぉ! 何と差が縮まるどころか徐々に拡がって行くぅ! これもみほさんへの愛が為せる技なのか! 私もどんどん離されていくぞぉ! ちょ、ちょっと待ってぇ!」ダダダダダダ
エリカ「みほ……みほ……みほぉ! 今行くわぷぎゃっっ!」ドンッ
エリカ「いったぁ……この、どこ見て突っ立ってんのよ唐変木! …………あれ、い、いえもぎゃんっ!」ゴンッ パタリ
ダージリン「あ、あらこれはこれはご機嫌うるわぎゃんっ!」ゴンッ パタリ
絹代「け、けいれぎゃんっ!」ゴンッ パタリ
???「全く、あの子ってば変な奴を惹き付けるフェロモンでも出てるのかしら……。やはり独り暮らしなど認めるべきではなかったわ……。でも、家は家でまほがいるから心配だし……」フゥ
アンチョビ「あ、あなたは……」ガクブル
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ー
ーーーみほの部屋ーーー
みほ「………………」ナデナデ
みほ「…………ん、んぅ……」ナデナデ
みほ「……みゅ? あれ、私……寝ちゃってた……」ナデナデ
???「おはよう、みほ……」ナデナデ
みほ「え、お母さん……?」ナデナデ
みほ「あ、ずっと膝枕して……くれてたの……?」
しほ「えぇ。随分疲れていたのね……良く眠れたかしら?」ポンポン
みほ「うん……。でも、は、恥ずかしいよ……」テレテレ
しほ「親子ですもの、たまにはこれくらいしても良いでしょう?」
しほ「さぁ、起きて朝食にしましょう? それとも、まだ暫くこのままの方が良いかしら?」
みほ「ううん、起きるね。お母さん、ありがとう……」グイッ
みほ「…………ところで」クルッ
みほ「何で私の制服を着てるの?」
小梅「…………ピーーーーーーッッ!」
みほ「それはもういいよっ!」
この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りしました。
ーーー戦車道ならーーー
ーー 西 住 流 ーー
ーーーーーーーーーーー
ーーー継続高校ーーー
アキ「もう、ミカったら! いい加減ご飯食べなよぉ!」プンプン
ミッコ「何々、まだミカいじけてんの?」ニヤニヤ
ミカ「いじけてない! こうなるのも当然だよ!」
アキ「ミカったら、テントの隅でうずくまっちゃってさ、大洗から帰ってきてからずっとこうなんだよ!」
ミッコ「一体何があったのさ、教えてくれないとあたしたちには分かんないよ」チラッ
ミカ「アキもミッコも迎えに来てくれなかった! ずっと待ってたのに、ずっと怖かったのにぃ!」
アキ「迎えにって……ミカが何か誘われたから行ってくるって言ったんじゃん! むしろ置いてかれたの私達なんだけど!」
ミッコ「そうそう、美味しい物が食べれるかもなんて言いながら大洗に向かったのミカじゃん! あたし達の方が迎えに来て欲しかったってーの!」
ミカ「でもダージリンから電話があったろう!? あれからいつ二人が助けに来てくれるかってずっと待ってたのに! 信じてたのにぃ!」
アキ「あの電話は……ねぇ?」チラッ
ミッコ「なぁ……?」チラッ
ミカ「知ってる顔ばかりだったけど、皆なんかおかしかったんだ……言ってる事も良くわからなかったし……」グスン
アキ「って言うか私達もミカのせいで恥ずかしかったんですけど!」プンプン
ミカ「……え、どうして?」
アキ「ダージリンさんから電話があって、ミカが何も知らなさすぎるって言われて!」プンプン
ミッコ「あぁ、そうそう。ミカ、それであの時ダージリン達から何か貰ったんだろ?」
ミカ「……これ?」カチッ ウインウイン
アキ「…………ミカ、これが何に使うか分かる?」
ミカ「…………全然分からないな」ウインウイン
アキ「ほらぁ! ダージリンさんが心配するわけだよ!」
ミッコ「まぁまぁ、教えてあげればいいじゃん。逃げ場は……無いんだし」ジー
ミカ「えっ? えぇっちょちょっと待ってくれないか!?」アタフタ
アキ「大丈夫だよ、大丈夫。私とミッコみたいに、ミカも少し大人になる日が来たんだよ……?」ウインウイン
ミカ「いや、ちょ怖い! ミッコたすけ……」
ミッコ「あたしはネコなんだけどなぁ……まぁミカ相手ならたまにはいっか……」ニコニコ
ミカ「だ、だれ……もがもがーーーっっ!」ジタバタ
ーーーーーー
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終
ありがとうございました
まとめてくださるサイトさんがおりましたら
>>31からまとめてくださると嬉しいです
乙
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