【アズールレーン】USS Portland must die -佐世保基地指揮官の鬼畜朝餐会- (16)

処女作です。

元ネタ:サウスパークのカートマン・レクターの鬼畜晩餐会

〈1〉
「指揮官っ、聞いてるんですかっ!それでインディちゃんがね……」

「お姉ちゃん……恥ずかしいからやめてよ……」

ユニオン所属のポートランド級の艦船、ポートランドは同級の二番艦、すなわち妹にあたるインディアナポリスを溺愛していた。初め

て配属された時の自己紹介からして自分の事ではなく自身の妹の愛おしさについて延々と語られたのでその愛情は並々たるものではな
い。

今日も演習帰りにMVPとなったインディアナポリスの武勇伝を長々と聞かされている。

「ははは、インディちゃんはすごいなぁ!」

「でしょでしょ!!」

「もうっ!二人とも止めて!」

最初は満更でもなさげだったインディアナポリスだったが、やがて本当に恥ずかしそうにし始めたのでここで話を切り上げる。

「二人とも今日はお疲れさま。まずはお風呂に入って疲れを流しておいで。その後は夕食にしよう」

ポートランドはまだ話足りない様子だったが疲れが勝ったのだろう、愛しの妹を連れて戸口に向かって歩きだした。

「続きは食堂で語りましょうね!」

そう言って今度こそ部屋を出ていった。

静寂が指揮官室を支配する。

「仲良きことは美しきかな」

一言呟いて指揮官は再び自分の仕事に取りかかった。この時、彼の心の中ではある好奇心が芽生え始めていた。

そしてそれを今晩実行に移すことを決意した。

〈2〉

「それで指揮官、話って何?」

「まぁまずはゆっくりしていって。何か飲む?」

時刻は夜の9時45分。駆逐艦の中には既に眠りに入ってる者もいるこの時間、ポートランドの愛しの妹、インディーちゃんことイン

ディアナポリスは指揮官の自室にいた。夕食後、指揮官からこの時間に自室に来てくれないか、とスマホにメッセージが届いていた

のだ。指揮官の部屋への道中、インディアナポリスは内心気が気でなかった。というのも彼女は他の艦船と同様に、指揮官に恋慕の感

情を抱いていたからだ。そんな愛しの指揮官からこんな時間に自室への呼び出し。しかもメッセージの最後には「この事は皆には秘密

でね」との一言が。これはもう期待するしかなかった。今日、自分と指揮官は結ばれるのだ。ケッコンをするのだ。

「ひうっ!」

インディアナポリスはバラ色の妄想から現実に一気に引き戻された。頬に何か冷たい物を当てられたのだ。

「ほれ」

その正体はノンアルコールビールの缶だった。

「ビールに含まれる成分は睡眠にいいらしいんだ。だから飲みなよ」

そう言われれば断る筋もない。プルタブを引き、一口流し込む。

「今日来てもらったのは……えーっとその……伝えたい事があるからなんだ」

今までただの妄想だったものが現実になる。インディアナポリスはそう直感した。

「それに受け取ってほしい物もあるし……いいって言うまであっちを向いててくれないか?」

言われるがままに指揮官の反対側に体を向ける。それにしてもなぜ自分なのか。いつも甲斐甲斐しく指揮官の世話をするロイヤルの

メイドとか、恋慕の感情を隠さずダイレクトに表現する重桜の艦船達とか、候補は他にもあっただろうに。それに比べて自分は戦闘の

時かポートランドと一緒の時以外は全く会話を交わしていなかった。一人になってからあの時ああすれば良かったのにと悶々すること

も少なくはなかった。でももうそんな事はどうでもいい。

「いいよ」

指揮官の方に向き直した刹那、インディアナポリスの思考は停止した。本来ならば指揮官の手には光輝く指輪のケースがあるはずな

のに、彼が持っていたのは拳銃だった。そしてその銃口はまっすぐ自分に向けられていた。頭の中の思考がまとまらない。かろうじて

「なんで?」の4文字だけ出てくる。そしてそれを口に出したとき、引き金が引かれるのが見えた。その瞬間、インディアナポリスの意

識は途絶えた。

〈3〉

翌朝、ポートランドが朝食を摂るために食堂に入ると、普段のこの時間より艦船の数が大分多いな、と感じた。食事を受け取るカウン

ターには長蛇の列ができている。一体何があったのか、と最後尾に並んでいたクリーブランドに尋ねると

「知らないのか?今日は指揮官が朝食を作ってくれているんだぞ!それが兎に角美味しくておかわりしてるんだ!」との事。確かにキッ

チンには指揮官が立っていて、大鍋で何かを煮ていた。

「よーしシチューのおわかりができたぞー」

行列から歓声が上がり、押し合いへし合いになった。

「こらこら、全員分ちゃんとあるから押しちゃ駄目だ、こぼれちゃうぞ」

ポートランドもなんとか自分の分を確保し、一口食べてみた。美味しい。具材がきちんと煮込まれていて口の中でとろけていく。肉

も今までに食べたことがないほど旨味がある。ただ、それはポートランドが今まで食べたことのない味だった。何の肉だろうか。ふ

と指揮官が自分の方を凝視していることに気が付いた。顔には満面の笑みを浮かべているが、なぜだかポートランドはその笑みがとて

も邪悪なものに見えて仕方なかった。

「にゃにゃにゃ〜!」

明石が入ってきたのかと一瞬錯覚したが、違う。指揮官だ。いつも冷静沈着で温厚篤実な指揮官が発するはずのない奇声に食堂にいる

全員が黙りこくった。嫌な静寂が場を包み込む。そして次の瞬間、衝撃の事実を叫んだ。

「味はどうだ?美味いかポートランド?俺のインディアナポリス入り特製クリームシチューは!」

射殺直前のインディアナポリスよろしくポートランドも思考の強制終了に陥ったが、口の中に髪の毛が入ったような不快感を感じ、

反射的にスープ皿の上に吐き出した。そしてそれを見つけてしまった。

「嘘……?」

確かに髪の毛が混じっていた。でもそれは自分のものでも指揮官のものでもなかった。見間違えることのない鮮やかな桃色のそれは、

確実にインディアナポリスのそれだった。よく見ると髪は1本ではなく小さい束になっていた。手で髪束をつまむと右端に頭皮

と思しきものが残っていた。

「にゃにゃにゃ~」

再び指揮官が奇声を上げこちらに近づいてきた。何かを担いでいる。そしてポートランドの目の前でそれを降ろした。

「インディーちゃん……?」

乱暴に投げ落とされたそれは間違いなくポートランドの最愛の妹、インディアナポリスの死体だった。頭部は比較的損傷が少ないが、

顔面は判別不能なまでに大きく切り裂かれている。そして両腕が根元から切り落とされている。腹部も大きく切り裂かれ、内臓が乱暴

に取り除かれた形跡があった。

「にゃにゃにゃ~、今お前らが食っていたのはなあ、インディアナポリスの脳みそと内臓と両腕が隠し味のクリームシチューだ!頭

をかち割って脳みそを取り出すつもりだったんだが、うまくいかなかったから鼻から棒を突っ込んで取り出してやった!美しかった

顔がめちゃくちゃだな!ははははは!」

あまりの事態にまだ思考停止に陥っているポートランドは自分の両腕に雫が零れてきた事に気が付いた。こんな晴れの日に雨漏りかと

思ったが、それは自分の涙だった。今になってポートランドは自分が泣いていることに気が付いた。それを見た指揮官はポートランド

の目の高さまでかがんで、おもむろに頬を零れ落ちる涙を舐め始めた。

「やりぃ~!やりぃ~!お前の涙はどんな味だ?甘いよ!すっごく甘い!計り知れない深~い悲しみの味がするよ。んま~いんま~い」

食堂にいた艦船で一番多くシチューを食べていたであろう天城が突然立ち上がり、トイレのある方に走り出した。しかし間に合わず、

食堂のど真ん中で盛大に嘔吐し始めた。それが騒動の皮切りとなった。天城と同じくらい食べていた榛名は天城とワンテンポ遅れて

同様に駆け出したが天城のゲロを踏んで滑って転び、テーブルの角に後頭部を強かに打ち付けた。火が付いたように泣きじゃくる駆

逐艦と一緒になって泣き叫ぶアークロイヤル、思考どころか意識まで強制終了したドイッチュラントは椅子ごと後ろにひっくり返っ

た。そしてこの阿鼻叫喚の中、何事もなかったかのようにシチューを口に運び続けるラフィー。最も彼女の場合は思考回路自体が焼き

切れてしまったのかもしれない。

「な……なんで……?なんでこんなことするの・・・・・?」

ポートランドは指揮官にそう尋ねた。

「んー?なんでって?そうだな、強いて言うなら……」

指揮官は今までに見せたどんな笑顔よりも幸せそうな顔で

「こ・う・き・し・ん」

今度はポートランドが意識の強制終了をする番だった。薄れゆく視界の中、ポートランドはこれがただの悪夢であることを、目が覚め

れば今まで通りの日常が待っているということだけを強く願って意識を手放した。

終わりです。いるのかは分かりませんが、読んでくれた方、ありがとうございました。

内容は置いといて文が変なところで切れてるから読みにくかった…

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