(とある寺)
T「っていうと……最先端科学だの、超能力開発だので有名な、あの?」
T父「うむ……その方角から、何やら不穏な気を感じてな」
T父「あそこは科学の街ゆえ、我らのような霊能力者がおらん……しかし人がいる以上、魂は存在する」
T「つまり、悪霊がいる可能性もあるってことか……そして霊能力者がいないなら、霊的な怪異に対抗する術がない」
T父「そうだ……だが、それだけではない。街の外から魍魎どもが入り込んで来るやもしれん、餌場を求めてな」
T「それで、俺に行けと……なら、仕方ねえ。俺の留守中、この辺りの除霊は……任せていいか?」
T父「ふん、当然だ。儂を誰だと思っている? 余計な心配などせずに行って来い」
T「ああ。じゃあ頼んだぜ、親父!」
(学園都市 とある公園)
T「いやー、ここが学園都市か。やっと着いたぜ」
自動販売機(バチッ!ジーガー…ゴトン)
T「ってーと、とりあえず何すりゃいいのかね……お?なんか自販機に蹴り入れてる子が……」
御坂「……」
T「ちょうどいい。あの子にこの辺りでおかしな噂がなかったか聞いてみよう」
御坂「…?(誰よアイツ…見ない顔ね…)」
やっぱ詠矢の改変はやめておこう
学園都市、とある大通り。時刻は夜、完全下校時刻を過ぎて人通りは疎らである。
科学の街であるこの学園都市にはおよそ似つかわしくない、異様な風体の男が一人。
墨色の袈裟を纏った若き僧――彼はとある寺の住職の息子で、強い霊力を持つ霊能力者『T』。
怪異あるところ颯爽と現れ、その強大な霊力で数多の怪異を退け人々を救ってきた『伝説の退魔師』―–世の人々からは半ば都市伝説的な存在として語られており、『寺生まれのTさん』の通称で知られている。
T(ここが学園都市か……親父の言うような不穏なものかはわからんが、確かに妙な気を感じるな)
Tは静かに目を閉じ、側にあった街灯に手を当てる。父の言っていた『不穏な気』を探るためだ。
偶然通りがかった学生と思しき数人の住人たちが奇異の目で彼を一瞥し、通り過ぎていく。
側から見れば奇妙な行動に、学園都市では珍しい風体。人通りが少ない場所であっても、通りがかった人の目は引くだろう。
その時、やや遠方から二つほどの足音が響く。Tがふと瞼を開き視線を移すと、彼の方向に走ってくる黒髪ツンツン頭の少年と、それを追う短い茶髪の少女が目に映った。
草
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