真・恋姫無双【凡将伝Re】4 (999)

 時は二世紀末、漢王朝の時代。
 四世三公の名家たる袁家に代々仕えし武家である紀家に生まれた一人の男児。
 諱(いみな)を霊、真名を二郎というこの男は様々な出会いや経験を重ねていく中で、やがて世を席巻していく。
 しかし、彼には誰にも言えない一つの秘密があった。
 彼の頭の中には、異なる世界における未来で生きてきた前世の記憶が納められていたのだ――。
 これは、三国志っぽいけどなんか微妙に違和感のある世界で英雄豪傑(ただし美少女)に囲まれながら右往左往迷走奔走し、それでも前に進もうとする凡人のお話である。


※リトライとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで
※なろうにても投下しております。こっちで書いて推敲してからなろうに投稿って感じです
※合いの手長文歓迎です


前スレ
真・恋姫無双【凡将伝Re】3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526044205/)
過去スレ
真・恋姫無双【凡将伝Re】2 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480942592/)
【リライト版】真・恋姫無双【凡将伝】 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445344769/)

どんどこいくよ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573818977

時は二世紀末、漢王朝の時代。
四世三公の名家たる袁家に代々仕えし武家である紀家に生まれた一人の男児。
諱(いみな)を霊、真名を二郎というこの男は様々な出会いや経験を重ねていく中で、やがて世を席巻していく。
しかし、彼には誰にも言えない一つの秘密があった。
彼の頭の中には、異なる世界における未来で生きてきた前世の記憶が納められていたのだ――。
これは、三国志っぽいけどなんか微妙に違和感のある世界で英雄豪傑(ただし美少女)に囲まれながら右往左往迷走奔走し、それでも前に進もうとする凡人のお話である。


        | / ィ/  /  / ∨ イ:|  | ト、 | ヽ  ∨  |
        ∨. //    ' !l /´    !|: ,ハ!| Ⅵ.  V  | ̄ ̄ ̄¨ヽ
        /乂 〃    |.l |! |    |イ::.ム仕≧!|  ∨ |       \
      , ィ´/¨7' i  | |::|:l !|:匕   //::/ィ'チ无勹 | | | \    /
     / .l.,'  ,'.| | ::! !::!从弍≧、/ レ' 弋::::::リ リ .,' | |ハ     /
     \ .|l  ! | | ::::いレ/「::::└!       `辷, イ / :: | |∧   i ←袁術
      \|  |ハ | ::::いト、弋‐リ_       ノイ:::: | | Ⅳ  |

        Ⅳ Vハ! | ハ \ ''"´   ′  '´´ l::::. | ト、| l\ l
         ヽク  ハ  ヽ >-     rヽ    ノ:::.  |   い! `┘
         /  /ハ   :::> 、     ┘  イ/:::.  :|   ヽヽ
        / _/:::::::::::\   ::::.≧ー ‐「 Ⅳ7 レ::::.  ハ   \\
  _,, -iイ>'"..::::::::::::::::::::::≧: 、 .:::::マ‐┤ |ノ_!:::.   /:: ハ:..   ヽ > 、
./ , イ /  ..::::::::::::::::://    \ .:::} _| 「  ` く / ̄`ヽ:::::..   \:::::...> 、_
 / //  .:::::::::::::::::::::l ̄ ̄ ̄|⌒ヽ', .::「J      )     V::::::::... >、:::::::::..`>-
/ / /  .:::::::::::::::::/ ̄\   |  い .:|∧      |ニ, -‐ァ⌒):::::::::::::....:::\::::::::::::::..
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わぁ。早くも4スレですか。早いですね。

新スレ突入おめでとうございます。

……袁術ちゃんかわええ。でも誰かさんに初めてを捧げちゃうんだろうな(憶測)
じ……き……誰かさんは爆発四散しろ(呪い)

建て乙

>>3
どもです。
サラマンダーより早くありたいとは思っております!

>……袁術ちゃんかわええ。でも誰かさんに初めてを捧げちゃうんだろうな(憶測)
それもどうなるか分からないようなご時世になりそうです。ご期待くださいませませ。

>>4
どもです。

立て乙です
さて…明日になっても埋まってなかったら私が前スレの1000を頂こう

完結したら前スレを埋めよう

「なん、だと……」

地面が崩れていくような感覚が俺を襲い、そしてよろめく。

「では、ボクはこれで失礼しますね。あ、流琉によろしくお願いします」

桃色の髪を二つに結い上げた少女が物凄いスピードで去っていく。
その少女――許?――がもたらしたのは一通の書状。華琳からの書状。そこには二つのことしか記されていなかった。
曰く。

――董卓、叛す。
――呂布、何進を誅す。

どういう、ことだ。いや、詮索は後だ。よりによって華琳からの急報だ。

「風と七乃を呼べ!」

室の外に控える侍女に声を張り上げる。多分これは、やばい。
ちり、と危機感。

「どうされましたの?お顔の色がすぐれませんわね」

風だか七乃だかの機転だろうか。それとも余程俺の様子がおかしかったのだろうか。
室には風と七乃だけではなく、麗羽様、美羽様に猪々子と斗詩までいる。

「何進が討たれた、と華琳が報せてきました。
 呂布の手によるとのことです。
 であれば、おそらく此方にも手の者が来るでしょう」

報告する俺――ぐったりである――に麗羽様は柳眉を逆立てる。
そこに口を挟んだのは七乃だ。

「それはまた……。
 信憑性はあるのですか?
 曹操さんのことですから、此方の軽挙妄動を誘うという意図はないですかねえ」

「ないな。こちらを騙すつもりならもっとありそうなことを言ってくるさ。
 そして華琳のことだからな。迷ってる時間も与えてくれてないに違いない」

恐らく董家軍は今にもこの屋敷に殺到するべく迫っているはずだ。
それくらいのギリギリ、でもどうにかならないわけでもないくらいのタイミングを華琳なら狙う。

「では、押し寄せる董家軍にどうしましょうかね。守りを固めるのは論外ですねえ。多勢に無勢です。
 まあ、降るか逃げるか、ですが」

洛陽での軍事力は月と、禁軍を統べる朱儁に集約されている。
即応性を考えれば董家軍の優越は明らか。恐らく朱儁のとこにも兵は差し向けられているだろう。
で、あるならば。

「――降伏は性に合わん。逃げるとしよう。
 それで、よろしいですか?」

麗羽様に問う。いやまあ、これでダメって言われたらどうしようとか今更ながらに思いながら。

「よろしくってよ。二郎さんがそうおっしゃるならばそうしましょう。
 ――委細、お任せいたしますわ」

即答。その信頼の篤さにぎしり、と肩が軋んだ。
が、今はそれどころじゃあない。脱出行の最中にとっ捕まるとか間抜けの極みだ。
俺のみならばともかく、麗羽様や美羽様に恥をかかすわけにはいかん。
風と七乃にざっくりでもいいから計画を、策を求めようと目を向ける前に、七乃は口を開く。

「はいはい。こんなこともあろうかと北部尉は買収済みです。既に日は落ちていますが、鼻薬を嗅がせてますので、北面の門扉は開け放たれるかな?」

は。さっすが七乃。手回しがいい。
だが、それに風が異を唱える。

「今現在洛陽の警備は董卓さんの手中にあります。それはあからさますぎやしませんかねえ。
 囲師には必ず逃げ道を用意すべしと申します。
 そちらは危うい道かと~」

むむむ。そこいらへんどうなのよ、七乃ってば。

「そうですねえ。正直洛陽に於いてはまだまだ情報網は整備できてないのが現状です。
 ……ただでさえ黄巾の乱と袁胤様の乱で腕利きの細作がいなくなりましたからねえ。
 ですから、私からはなんとも」

……多分それは七乃にとっては屈辱だろう。諜報がための張家であるのだから。
それでも、張り付いた笑みでこう言ってくる。

張家の面目なんて、勝ってからいくらでも立てますから、と。

つまり、それほどの窮地なのだ。今は。
だったら、逃げるにしても全力を尽くさんと不味いな。

「屋敷にある甕、壺、そして匣(はこ)を馬車で連ねて北面へ。
 風、頼んだ」

「囮ですね、任されました~」

だが、それだけでは時間をそんなに稼げないだろう。あっちには地の利がある。

「時間稼ぎは任せてもらいやしょう」

うっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。

「皆々様、ごゆるりと。きっちり時間を稼いでみまさあ!」

呵呵大笑。
体中に走る傷跡。兵卒から紀家軍の副将まで登り詰めた運も実力もある古強者(ベテラン)が、ぶ厚い胸を叩く。

「なーに。董家軍とは知らぬ仲でもないですからねえ。
 いよいよとなったら降りますよ。
 ……ようやくにも授かった初孫の顔を拝むまでは死んでも死にきれないですから!」

「ああ、そうか。だったら任せる」

迷う暇なぞない。
俺の言葉に、いかつい顔を綻ばせて、どすどすと足音も勇壮に室を去る。戦の準備なのだろう。
いくら降ることが前提とは言え、時を稼ぐには武威が必要だからして。

「それでは、華麗に遁走するとしましょう。でも、その前に……」

麗羽様、そして美羽様に相対する。

「ええと、流石にそのままでは無理があるのです」

きょとんとしたお二人になんと切り出したものか。

いや、なんだ。

貴女達、煌びやかすぎて悪目立ちするから遁走とか無理っぽいんですよとか――!

◆◆◆

「アニキー荷物こんなもんかな?」
「おう。金目のもんは置いてけ。時間稼ぎになる。時間が金で買えるなら安いもんさ。
 服も着替えろよ。絹の服とかいっぺんでばれるからな」

うっそりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。

「分かってるってばー。そこいらへん、アニキの分も含めて斗詩が用意してくれてるよ?
 それはともかく、姫にはアニキからよろしくなー」

やっほうとばかりに身を翻して駆けていく猪々子。いや、なんか元気をもらった気がする。というか。
あんな目で見られたら、へこんでられんわなあ……。

「もう、ごわごわしますわねえ。それにこう、安っぽいというか、無粋と言うか……。
 いやですわ二郎さん。そんな、見ないでくださいな。見れたモノではないと云うのはわたくし自身が一番分かっておりますの」

粗末な、つぎはぎだらけの衣服を身に纏って麗羽様と美羽様が。

「や、正直これほどまでとは思ってなかったですよ。
 こんなにも、纏う衣服に関わりなく光輝あるとは思いませんでした」

いや、隠密行動するためには本当に駄目なんだよ。なんか満足げな姉妹にこれを言うのは気が咎めるなあ。
でも逡巡する余裕もないしなあ。

「どうしましたの?」
「いや、そのですね。お二方の光輝が隠しきれないのですよ。主に、その輝く御髪(おぐし)で……」

麗羽様に至ってはくるくる縦ロール全開なのだ。
 なんでも専用のセットのための器具があるらしい。歴史考証仕事しろ。

俺の言葉に麗羽様は苦笑して美羽様に顔を向ける。

「美羽さん。時として美しさは罪なのです。どうやらわたくしたちはその存在だけで世界の注目を集めてしまうようですわ」
「むむ、麗羽ねーさま。よくわからんが、それはまずいのではないかや?」
「その通りですわ。ですから、こうするのです!」

ばさり、と金色の欠片が地に墜ちる。
手にした短刀で麗羽様が自らの御髪をばっさりと切り捨てたのだ。

「美羽さん、よろしいですわね?」

無言でこくりと頷く美羽様の、蜂蜜色に輝く御髪をいっそ無造作に。

「二郎さん、これで身軽になったでしょう?」

ええと。
お流石でございます麗羽様。
でも。

「あ、あんなにお見事な御髪でしたのに……」

そうするべしと思っていても、口から出るのはそんな言葉。いや、軟弱者!
そんな風に思うのは感傷なのだろう。それを覆い尽くすが如く、暴風が吹き荒れることになる。

「はいはーい。これでもくらえ!ですー!」

ぶはり!とばかりに視界が灰色に染まる。

「みなさん、もっと薄汚くないといけませんよー」

どっから集めたか知らんが、大量の灰を俺たちにぶつけて七乃はにこやかに笑う。

――抗議の声を上げられなかったのは。彼女が、七乃が。
普段は絶対に身に付けない黒装束に身を纏っていたからだ。

どうやら、本当に生きるか死ぬかの局面なのだな。

「それでは、参りましょうか」

「頼んだ」

そうして俺たちは、洛陽の夜闇に踏み出すのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は
「大脱走」

よさげなの、よろしくお願いします。

乙です

さーて緊迫感が高まって参りました
しかしショートの袁姉妹とかそれはそれで見たいですよね、絶対美人さんですよ


題案は
『灰被り達の逃走』
などと。

>>11
新スレ乙からの乙なんだよ

むむむ…
今回は敢えて【run for survive】

>>12
どもです。

>さーて緊迫感が高まって参りました
あと3-6シーンでこの章完結予定です

>しかしショートの袁姉妹とかそれはそれで見たいですよね、絶対美人さんですよ
俺になあ、絵心あればなあw
絶対美人さんなんだよなあ

>『灰被り達の逃走』
ミスリードもできそうでよいですね。遁走のほうがいいかもしれないまである。
ほむ。

>>13
どもどもです。

>今回は敢えて【run for survive】
オサレ!でも英字はよっぽどじゃないとやらんです
だってニュアンスが制御できないもの


しかし、今月中に終わらせて冬休みあたりにあっちで投下っていけそうやで!

>>14
(後ろにに~逃走中~ってつけるか迷ったのは内緒だよ)

「明日への転進」なんてどうでしょう

乙でしたー
>>8
>>囲師には必ず逃げ道を用意すべしと申します。  意味は分かりやすいので良いと思いますが
○囲師には必ず闕(か)くと申します。      原文はこれかな?もしくは【囲師は周することなかれと】とか?なんかちょっと気取った言い方をするのはもはや習慣(そんな事するから後世の人が意味を解読しなきゃならなくなるんだよ…古文なんて嫌いだ!
>>9
>>うっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。 これって【うっとり】とほぼ同じ意味なんですよね
○のっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。 【のんびり】とはちょっと違うけど動きが遅い。と言う意味ならこれかな
>>きっちり時間を稼いでみまさあ!」   喋り言葉だと分かり難いけどこれって《時間を稼いでみますよ》になるのかな
○きっちり時間を稼いでみせまさあ!」  だとしたら《稼いでみせますよ》になる方が良さそうかな
>>10
>>うっそりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。 こっちは慌てないためにあえてそう振る舞ってる感じもするので
○おっとりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。 二郎らしくないか?あとは【のほほんと】とか【のんびりと】とか?

雷簿!約束だからな!!いよいよとなったら降るって紀霊も袁術も袁紹も聞いたからな!口約束だからって破ったりしたらのk…故郷の家族がどうなるか分かってるよな!?
その髪の毛ガチで金になりそうよね…昔の鬘の材料的に。なんとなく七乃が懐に忍ばせてそうだけどまさかね

>>15

そういうことかw

>>16
よきです。
いい。こういうセンスは一ノ瀬にはないもので、嫉妬すらしてしまう。

>>17
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>雷簿!約束だからな!!いよいよとなったら降るって紀霊も袁術も袁紹も聞いたからな!口約束だからって破ったりしたらのk…故郷の家族がどうなるか分かってるよな!?
これ言った時にどういう覚悟を決めていたか、ということですよね。
故郷の家族は、雷薄が儚くなったら優遇されますよね?

>その髪の毛ガチで金になりそうよね…
そのネタは黄金拍車で割と効きます
多分無為に炎となるのではないかな(ネタバレ)

七乃に先導されて俺たちは夜の洛陽をひた走る。足音一つ立てず――黒装束もあって――ともすれば見失いそうになるほど七乃は穏行していて。彼女の本領を改めて認識する次第である。
通りごとに足を止め、手鏡で先を慎重に確認しているのに追いつくのも一苦労である。
治安のよろしくないエリアを通っているので、そこいらのごろつきに絡まれそうになることもあるが、猪々子が瞬時に黙らせる(物理)。

七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。そんな構図(フォーメーション)である。

迷いなく進む七乃。いや、実際大したものである。
基本、何進という裏表に絶対的な影響力がある存在があった。その手前、洛陽では諜報活動を自粛していたのだが、美羽様入内が決まってからは精力的に動き回っていた、みたいです。
きっと、今進んでいる道だって彼女の地道な積み重ねがあってのルート選定なのだろう。
そして、目的地にたどり着く。そこは門扉……などではなく、洛陽を取り囲む防壁である。

「はい、到着しましたー。ひとまず私のお仕事はここまでですねー」

そ、と視線を外に向け、索敵を。いつ追手が来るか分かったもんじゃないしな。いや、雷薄や風がうまいことひきつけてくれているとは思うのだが。

「じゃあ、私達の出番ですね」

にこり、と斗詩は笑って準備運動を始める。背負った荷物を下ろし、ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。
それは、いつも俺たちの鍛錬の前にやっていたルーチン。万全を期すためにもこれは外せない。

「頼むぜー、斗詩ー。アタイらの未来は斗詩にかかってんだからさー」

にひひ、とお気楽な口調で猪々子が煽る。

「うん。文ちゃん。そうだね。今、すごく気合いが入ってるよ。すっごく身体が軽い。怖いものなんてない。
 そう。絶好調、ってやつかな」

斗詩にしては珍しくそんな軽口を叩く。屈伸、そして伸び上がり、軽く跳ねる。
にか、と猪々子は笑ってこちらを見る。

「アニキ、アタイらはいつでもいいぜ」

軽く頷き、三尖刀を手にする。
俺の身体能力はこの二人に及ばない。だが、こいつの力を発動させることで俺の力は猪々子に匹敵するのである。
これを知るのは袁家でも限られた面子。そしてこの子らはずっとそれを知っていて。その上で俺を。

「よしこい!斗詩!」

三尖刀に何かが吸われ、全能感が身体に満ちる。筋肉の一筋、細胞の一つまでもが活性化されたようなそれに意識を馴染ませる。
俺と猪々子が並び立つその中央めがけて斗詩が全速力で走ってくる。一陣の風となり、踏み込む。

「そおおおおおおおおおおおおおおおい!」

斗詩のその運動エネルギーを、ベクトルを上方に置換する。捕えた足からもたらされる運動エネルギーを全て上方に変換して跳ねあげる。いけ! 
ぶち、と筋肉の切れる音が内側から響くのも構わずに。

「ああああああああああああ!」

猪々子の絶叫がかすかに耳に入る。
そう、これは昔日によくやった遊びの延長。どれだけ高く飛べるかを競ったそれの延長。
違うのは、その行為にかかっているものが大きいということ。

見れば、ぎゅん、と斗詩は上昇を続ける。跳んでいく。斗詩の運足の妙あってのことだ。俺や猪々子ならば城壁にぶち当たってしまう。

ぐんぐんと上昇し、その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。だがそれは織り込み済み。

ギン!と鋭い音が響く。いつの間にか手にしていた双剣を、見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。

「――ふう、うまくいったか」

「そう、みたいだね。
 よかったぁ」

ぎゅ、と猪々子が後ろから抱きついてくる。僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。
これからが斗詩に無茶振りした正念場である。

「きっと、大丈夫だよね?アニキ……」

双剣だけを頼りに、少しずつ斗詩が登り始める。石の隙間に双剣を突き立て、その身体をじり、じりと持ち上げていく。
突風の一つもあれば飛ばされそうなほどそれは危うくも見える。

「斗詩さん……」

心配そうに麗羽様が俺に縋り付いてくる。美羽様は無言でぎゅ、と。

ええい、見守るだけの身が情けない。
急速に力が抜けていく感覚に身を委ねながら、俺は無言で斗詩を見守ることしかできない。

どれだけの時間が過ぎたのだろう。永劫とも思えるそれは案外そうでもなかったのかもしれない。
じりじりと、それでも確実に上る斗詩。まあ、たまに剣が弾かれた時にはもう心臓がタップダンスを踊ったものだが。
それでも、ようやくに城壁の上に到達したのを見て。

「よ、よかったあ」

門扉が警戒されてるならば城壁を越えればいいじゃないというのを通しきったのだが、精神的に疲れた。いや、多分一番疲れたのは斗詩だろうけども。

「はいはーい。二郎さんは周囲の警戒お願いしますね。ここまできて捉えられたら意味がないですし」

にこりと笑って七乃が壁際に立つ。
――呆けていた俺たちに代わって周囲を警戒していてくれたのだと今更ながらに気づく。

「それでは、お先です。美羽様、お待ちしておりますねー」

斗詩が落としてきたロープをノールックで掴み、軽やかに駆けあがる。
うん、登攀するというよりは駆け上がるというべき速度で、たちまちに登り詰める。

「うし、次はアタイだな。アニキ、何かあったら呼んでくれよな。駆けつけるから」

いや、駆けつけるというか飛び降りるって感じだろうが。そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。
俺ときたらこの場では役立たず一直線なのに、信頼が重い。頑張る。

そしていよいよ俺たちの番だ。
垂れるロープを腰に巻きつけ、美羽様を背負い、麗羽様を――。

「失礼します」

真正面から抱きかかえる。常ならば落とす不安なぞないのだが、今の俺にそんな筋力があるかは疑問。
それを知っている麗羽様は、ぎゅ、と俺にしがみついてくる。

「二郎さん……」

ずり、ずりと引き上げられる。猪々子が引き上げているのだろう。あっという間に洛陽の街を見下ろせるほどの高さまで到達する。
振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。
ほ、と息をつく。どうやら、火は放たれていないようだ。

ぎり、と歯を噛みしめて呟く。

「雷薄。死ぬなよ……」

ぎゅ、と背後から伸ばされた手、俺に抱きつく手が震えた気がした。

「ここから出て、当てはありますの?」

微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。

「勿論。まあ、伊達に放浪しちゃいませんって」

軽薄に応えながら、思う。
雷薄、風。無事でいてくれよ、と。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!未定です。
何もなければ遁走とかになります!

あと4エピソードくらいで終わりそう

なんとか上皇様のお誕生日には再開したいものです。
がんばゆ

「勝利への脱出」って書こうと思ったらまんま昔あったスタローンのサッカー映画のタイトルだったww

>>18
はい、そーゆーことです(笑)

>>23
どもです。
あれ、スタローンがGKやってるやつですよね
地味にペレが出てて草生えましたな
アクションがサッカーで超地味な感じという印象w

>>24
くさ

乙でしたー
>19
>>七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。   接続詞に違和感が
○七乃の後ろに猪々子、そして麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。 こんな感じでどうでしょう
>>ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。 ケアレスミスですね
○ゆっくりと柔軟体操(ウォーミングアップ)を始める。  こうですね
>>20
>>その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 【頂点】に既に最もの意味があるので
○その最高点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 もしくは【その頂点に達しても】の方がいいと思います
>>見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 すし詰め的な?
○見事積まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 こうですね
>>僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。  これだと《剣を振る》とかの意味ですね
○僅かに震えているのはそれでもやはり心配なのだろう。   こうですね
>>21
>>そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 【するまでもなく】だとちょっと意味が違うような
○そんな突っ込みをするひまもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 もしくは【する間もなく】でもいいですね
>>振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。 【を】が多いですね
○振り向いて袁家の邸宅らしき灯りを探す。  それとも【邸宅らしき辺りを探す。】でしょうか?
>>微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。 さっきの震えは雷簿を思って、今度の震えはこの先を思って、かな?
○微かに震えながら麗羽様がそんなことを問うてくる。  大丈夫だ、問題ない(震え声

猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
そして斗詩が凄い勢いでフラグ立てて「こいつぁやべえぜ」って思ったねw

>>26
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて。

>猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
むしろ二郎ちゃんも足手まとい状態です!
なのでさっさと三人引き上げようという態勢ですね。
七乃さんに周囲警戒任せて引き上げ斗詩猪々子。
非常時には(消耗度合いの高い)斗詩が飛び降りて壁となる感じでした。
実はここは追撃戦が設定されてたんですけど、七乃さんの隠密スキルが活きてしまったのです。

本気になった七乃さんはすごいなあ、と観念したのでした。
しゃあない。
物語的には脱落者が出た方が美しかったとは思うのですけどね。
ここらへんは内緒でござるよ。

ゲーム世界、漫画世界に転生モノで主人公が【原作を知ってるけどある日気づいたらその世界にいた】タイプのモノって二次元キャラが三次元になった違和感はどの程度なんだろうか
特に髪の色とか目の大きさとか…たまに【知らない天井だ→ふと鏡を見るとそこには大好きなゲームの誰誰の顔が!】みたいなのあるけど見える世界そのものの現実との違いがありそう。趙雲の髪?ハハッ

脳内くちゅくちゅされて違和感が仕事しない、だと闇が生まれるます

あくまでディフォルメだけど、そのキャラだと分かるってどういうことだってばよ

銀魂(実写)の世界なら銀魂世界だと気付きつつ違和感も少ないかもしれないかな?
DB(ハリウッド)の世界に転生したよ!とかだったら主人公がそれを受け入れられるか…
ネギ魔も確か実写があったっけ…とはいえアニメや漫画やエロゲの可愛いorエロいキャラをリアル化されてそう受け止められるのか

銀魂はイメージしやすいですねえ
見た瞬間銀さんとか神楽ちゃんとか分かりますし
ああいうレベルで脳内変換されるのかなあ

しかし平穏に生きようとして自分の容姿が銀髪オッドアイとかだったら草生えるw
無理じゃんw

「総員、傾注!」

白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。
いや、厳密に言えば彼ら彼女らは直属の部下ではない。袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。
いずれも素性の正しく、将来を嘱望される幹部候補生たちである。いずれは彼らが袁家を担っていく。そうなってもらわないといけない者たちだ。
そんな、まさに人財を雷薄は睥睨し、躊躇いなく使い潰すことを選択する。
多くは言わない。

「まことに済まんが、死守だ!」

明敏な彼らにはそれだけで十分。これから稼ぐ時間により仕える主たちの命を贖うのだ。贄となるに異存はない。

「いやー、参ったなー。でもまあ、ここが踏ん張りどころってね!」

へらへらと鉄鞭を手にした青年が口を開く。口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、この際そうも言ってられない。

「はいはい、泣き言は後でたーっぷり聞いてあげるから黙ってようね。おじさんたちの頑張りが袁家の命運を握っているんだからさ」

鷹の目、と異名をとる少女が混ぜっ返す。

「はうー。かあいいかあいい美羽様のためだもの。頑張っちゃうかな、かな」

かつての如南攻防戦にて功績を挙げ、袁術の真名さえ許された彼女が笑う。
彼ら彼女らはけして使い潰していい人材ではない。雷薄は苦虫を噛み潰したような顔で内心詫びる。

……雷薄の生まれは貧農の三男坊だ。食うに困って軍に志願したクチだ。腕っぷしには自信があった。が、野盗になるのは嫌だった。彼自身が貧農出身だったから、だ。
それに、畑を耕すよりは兵隊になった方が女にちやほやされるだろう。そんな思いもあった。
恵まれた体格と膂力で頭角を現し、あの匈奴戦役でも生き残り、武勲も立てた。気が付けばまさかまさかの大出世である。

だから、自分に関しては命燃やす時は今と決意している。巻き込む若人らに詫びる言葉を雷薄は持ち合わせてはいない。
いや、それでも。
それでも死んでくれと言わなければならないのが指揮官というものなのだろう。
きっと目の前の彼らはそんな逡巡すら見抜いてなお自分の判断に付き従ってくれるのだろう。
では自分も、彼らに相応しい立ち振る舞いをせねばならない。

「では、多くは言わん。一秒でもいい。我らが主君を逃がすための捨て石として、死兵となってくれ」

言い捨てて、門扉に向かう。
既に此処は戦場。既に包囲されている。まさに、死地であった。

◆◆◆

「貴様ら、ここが四世に渡り三公を排出した名門袁家の当主、袁紹様。
 そして畏れ多くも入内が決まっている袁術様の逗留先と知っての狼藉か!
 ただちに立ち去れい!下郎ども!」

隠しもしない殺気を込めて雷薄が威圧する。
場を圧倒するその声量。それは紀霊が高く評価するもの。堂々とした体格から発せられるそれは質量すら感じさせるほどになり、並の胆力では抗うことすらできない。

「その袁紹殿に用がある!袁紹殿はいずこにおわすか!お目通り願いたい!」

であるから、それでもなお怯まずに述べる彼の胆力は評価されるべきであろう。
雷薄の威圧に刹那怯むも朗々と用件を述べる。

「既に時間も遅い!明日出直すがよかろう!」

門前払いである。が、それを予想していたのだろう、気圧されることなく歩を進めてくる。

「ええい、話にならん。ことによれば力ずくでもいいのだぞ――」

取り囲むは数百。守るは十数名。力押しされたならば鎧袖一触であろう。
さて、どうしたものかと雷薄が考え込もうとした時。

「行きます」

雷薄の横を通りながら、口も動かさずに伝える。
それで張家所属と分かる。
その極秘の話法。それこそは伝え聞く張家の秘伝の一つ。
それに彼女は如南攻防戦にて袁術から真名を許された英傑の一人である。そうと知って雷薄は覚悟を決める。
どうせどん詰まりなこの状況。動かすならば彼女のような英傑が相応しい。
そして火消しならば慣れている。得意というのは語弊があるだろうが。

◆◆◆

「呂家軍の将軍様。
 ご進言が。ご進言があるのです」

気弱げな口調、しとやかな仕草。女官としての気品、そして漂う色気に対した呂家軍の士官は。

「ほほう、どうしたというのかね」

前に出てしまう。

「ああ、そこにいられましたか。
 耳寄りな情報がございます。お求めになっているものです」

歩を進める女官がしゅるり、と帯を緩める。
媚びを売ろうというのであろうか。その身体で何かを贖(あがな)おうというのであろうか。
その期待にごくり、と生唾を飲み込み、更に数歩進み出る。

ゆるり、とした運足。ゆらりとした脱衣。彼女が場を支配していたからこそ、達した。

「しゃおらぁあああああ!」

闇に紛れての一撃。衆に混じりて成した会心の一撃。まさか後方から、自軍から成されるとは思ってもみない。
だからそれはまさに必殺。

会心の雄叫びを上げるのは、これもまた如南攻防戦の英雄。
兵士を、領民を鼓舞し士気を高止まりさせた口先の英雄。
そして今ここに、口先だけではないことを証明した。彼の手にした鉄鞭は見事に指揮官の頸椎を砕き、返す一撃で顔面を粉砕する。

「は、ちょろいもんだぜ!」

残心もそこそこに先の女官に並び立つ。
両者が纏うのは黒装束。

「あはは、流石だね!
 知ってたけど、ここでそうくるかー。
 私がやっちゃうつもりだったんだけどなあ。
 これは、負けてられないなあ」
 

すらり、と女官が構えるのは鉈、のようなもの。
男と背を合わせ、周囲を睥睨する。

「まあ、俺だってたまにはいいとこ見せないと、な」
「そうだね。うん、すっごく格好よかったよ」
「俺に惚れたら火傷するぜ?」
「だったら、それもう手遅れ、かな。今更だし。
 全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」

軽口を叩く二人を取り囲むのか、袁家邸宅に突入するのか。指揮官なき董家軍。
その揺れを歴戦の雷薄は見逃さない。
轟く声。
重低音のそれは場に響き渡る。
かつて紀霊が、夏候惇にすら匹敵するとまで評したそれは場を支配する。

「総員、突撃ぃ!
 袁家の存亡ここにあり!踏ん張れい!」

指揮官先頭は紀家の伝統とばかりに雷薄は吶喊する。連携なんぞは激戦のうちに生まれるものである。
そして、力の限り足掻いて見せよう。
それが今の自分にできる最善であると信じて。
手にした得物を振りかぶり、矢嵐を受けながら雷薄の口元はニヤリと吊り上っていた。

◆◆◆



「誰かある!」

応えは、ない。
初手において敵指揮官を潰し、一時は優勢ではあったが流石に多勢に無勢。
統制なくとも数の暴力に押されて下がりに下がって背にした扉は屋敷の最奥。
ここが突破されればここに袁家首脳がいないことが決定的に露見してしまう。そんな最終防衛線にいるのは雷薄ただ一人。
幾多の勇士既に散った。散ってしまった。

「やらせるものかよ……」

それでも雷薄は気力を振り絞って迫る敵を睨む。
白を基調とした甲冑は返り血のみならず自ら流した血で紅く染まっており、修羅もかくや、という姿である。
幾本も矢が突き刺さり、傷からは血が流れ出て意識が白くなりそうである。
いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。
数瞬意識すら手放し、顔を上げるのも億劫だ。

それを好機と見たか、或いは力尽きたと見たか、敵兵がとどめとばかりに槍を突き立ててくる。
その激痛すらどうでもよいとばかりに倒れ伏したくなる。
それでも、それでも。

「やらせはせん!やらせはせんぞ!貴様らごときに、やらせはせん!
 袁家の栄光を!世の平和を!やらせはせん!」

吠えて手にした得物を振るう。暴風がごときその勢いに押されて包囲の輪は距離を取る。

「ここを通りたくば!俺の屍を越えていけい!」

仁王立ちする雷薄は凄絶に笑い、威圧する。
その威を畏れ、矢嵐を以って無力化しようとするも揺るぎもしない。
むしろ呵々大笑して煽るほど。
さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。


絶命してなお威圧する武威は後世語り草になった。

本日ここまですー感想とかくだしあー
難産でした。

題名案
「防戦」
ネタ案
「暁に雷薄死す」

いやもうjほんとにお助けくだしあー

後少しで区切りだがそれが遠いよ助けろくだし

>>36
乙なんだよー

歴連の猛将、命賭して民草を護る

でどない?

乙でしたー
>>32
>>白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。 【喝】だと叱責とかの印象があるので(例えばざわついてて落ち着きないとかならともかく彼らは後の幹部候補とあるのでそういう事はなさそう)
○白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に檄を飛ばす。 コトバンクさんによると《自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意 を求める。また、それによって人々に決起を促す。》なのでこれでどうでしょう
>>袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。  この書き方だとこの場に袁紹、袁術がいる様にも読めるっちゃ読める(言いがかり
○袁紹、袁術、及び四家の長に仕える近侍たち。   もしくは【袁紹、袁術……そして四家の】とかかな?
>>口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、 《彼》の異名は口先の魔術師だけど【口先の英雄】って揶揄っぽくない?
○弁舌の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、【演説】、【口舌】、【弁論】、【饒舌】…この辺が良さそうかな
>>34
>>全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」  【火まみれ】…言わなくはないけど何となくこれだと【火の粉にまみれてる】感が
○全身火だるまで、燃え上がっちゃったよ」  それとも【火あぶり】?全身火傷してるような表現ならやっぱり【火だるま】かなあ?
>>35
>>いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。  これは(気を一瞬失って)気が付くと、という意味かしら?それだと実際に膝は着いた?ううむ
○いや、実際気を抜くと、膝をつき倒れ込みそうになる。  (一瞬でも気を抜いたら)膝をついて倒れ込みそうだ。と言うならこうかな?
○いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになった。 ふと気が付いたら膝をついていた、あと少しで倒れ込むところだった。ならこうですね
>>さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。  《さしもの孔明が騙された》とかだとちょっと違和感があるので
○さしもの董家軍も、その武威に三度下がったという。  《(勇敢で知られる)さしもの董家軍(ですら)も》を縮めた言い方と思えば

信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか

いやあ、師走師走。
割と忙しいですね。さっさと仕事やめて隠遁したいものです。
仕事やめたら社会貢献するんや。

>>37
どもです。

>歴連の猛将、命賭して民草を護る
素敵すぎです。
浪漫ですね。
流れるようなその表現、妬ましい

>>38
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!
本人はやりきった感ですね。
周囲は「ちょ、待てよ!」状態
美談になるエピソードですが、ご指摘の通りなのは確定的に明らか。
それでも彼は何度でも同じ選択をするでしょう。

さて、虜囚になって交渉材料とされることを拒んだのか的な指摘が外部からきましたが、
多分そこまで考えてなかったんじゃないかなー
ただひたすらに目の前の案件を処理する現場指揮官なのであろうと

>…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
そこはどうでしょうね。つきあいの長い七乃さんくらいかな?
少なくとも二郎ちゃんは全く勘づいていません

>【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか
実際、十年単位で人事を考えている袁家にとっては晴天の落雷ですものね
ものっそいコストかけて教育していた珠玉の人材が……
そらもうね、人の情としても、袁家の面子としても全力で潰さないといけないやつになります


あと一話で章が終わります
クリスマスくらいからあっち投下開始かにゃあ

猪猪子は勘で気づいてそう・・・あの子もいざとなったらそういうことするタイプだし

>>40
ああ、確かに!
猪々子は勘づいて層ですね。
あの子は大切なものを見失いません

じゃけんさっさと逃亡しましょうねー(本編ムーブ

次々ともたらされる報告に賈駆は時に頷き、時に顔をしかめて次々と指示を飛ばす。
今のところ、想定の範囲内だ。
もとより最善の結果なぞ望むべくもない。時間的猶予などなく、根回しなんて何一つできずに蜂起せねばならなかった。ならなかったのだ。
李儒の要求はただ一つ。――何進の誅滅である。
何進、である。あの馬騰と互角の豪傑であり、この董家軍を引き上げてくれた恩人でもある。そしてその武勇は目の当たりにしている。彼を討つなぞ手持ちの札では呂布しかありえない。
最重要のそれは上手くいった。
だが、後は何とも言えない。
その馬騰については、張遼を宛てた。自刎して果てたというが、まあ、はなから抱き込めるとは思っていなかった。せめて虜囚とできればと思っていたのだが。
それでも、これで馬家軍は敵となる。だがそれもまた想定の範囲内。なに、それでも韓遂を動かせばなんとでもなる。馬騰ならばともかく、馬超相手であればどうにでもなるのだ。
朱儁についてもそうだ。軍権を示せば、万が一くらいには恭順するかと思ったのだが。
それもいい。禁軍の司令官が恭順しないのであれば除くのみ。この洛陽で執金吾たる董家軍の次に武力を抱えるは禁軍。その首魁を除けたのはまずまず。
張遼と陳宮は悄然としていたが、賈駆にとっては想定の範囲内。最悪は避けられたとすら思っている。

「なんですって……」

だが、続く報告にはさしもの賈駆も言葉を失う。
曹操の行方が知れないのはまあ仕方ない。宦官より情報が漏れていたのであろう。しかし、皇甫嵩までその足跡を追えないとは、不覚である。
彼奴はやっかいだ。禁軍にも影響力があり、なにより清流派の首魁の一人。どう蠢動するかなぞ考えたくもない。
苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。

「袁家当主袁紹の逗留地に於いて、現在交戦中!敵指揮官は雷薄!
奇襲により痛撃を喰らうも、現在優勢に戦局は推移しております!」

くら、と眩暈を覚える。
なぜ、と思う。平和裏に袁紹の身柄の確保を命じたのにどうしてそうなる。
それに雷薄だと?
匈奴大戦を生き残り、一兵卒から将軍までに出世したという立志伝の主人公もかくや、というほどの紀家の宿将が防衛戦に立つとはどういうことだ。
なによりどちらから仕掛けた。袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。

「な、なんですって!退きなさい!袁家との交戦は認めないわよ!」

その舌の根も乾かぬうちに派遣した指揮官が袁家の兵卒――あくまで董家軍からしたら一兵卒でしかない――により討たれるという報に呆然とする。

「な、な……!」

転がるように移りゆく戦況に自失する。
そして、貴重な。贅沢なその時間は失われた。

「敵指揮官雷薄討ち取りました!」

誇らしげに報告する士官に罵声を投げるのを辛うじて自重する。
いやあ、難敵でしたなどと得意げに語るその士官の口調に絶望する。これでは、これでは。
いや、自失していてはいけない。今でもできる最善を。

「よ、よくやったわ。天晴れ寡兵にて挑んだ彼の死を汚してはいけない。丁重に扱いなさい!首は塩漬けにしてけして腐らさないように!」

同時に、抵抗した兵卒――それが兵卒でないことには流石に賈駆も思いが至る。主の逃亡を助けるにあたり身を挺して刻を稼ぐなど――についても死体を汚さぬように厳命する。
せめて、せめてそれくらいはしないと交渉の席にもついてはくれないであろう。
袁家は、それくらい情が深いということを賈駆は知っているのだから。

それが幸か不幸かはともかく、である。

「なんでよ。なんでよ。なんでよぉ……」

がくがくと震える身体を抱きしめて、暫し賈駆はうずくまる。

せめてこの震えを配下には見せてはいけない。抱える腕に爪が食い込み数条の紅い筋が流れるのも構わずに。
それでも賈駆は立ち上がる。顔色は白く、唇は朱に染まっても。

それからの報せは、ことごとく凶報であった。皮肉にも賈駆の想定通りに。
曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。

曹操はまだいい。宦官を手駒とした時からある程度こちらの動きを察されていたはず。あわよくば巻き込もうとしたが果たせず。
まあ、それはいい。
だが、皇甫嵩の不在は痛い。朱儁亡き今、禁軍に号令をかけられるのは彼くらい。せめて誅滅したかったと思う。
取り逃がした魚の大きさに歯噛みする。

「ほ、北面の大門に於いて袁家の一行を捕捉しました!」

だから、賈駆はそれにすがる。
なんとか、袁紹の身さえ確保すれば。あの、あの男に窮状を訴えればなんとかなるのではないかと。
だから今度こそはしくじるわけにはいかない。

「て、丁重に扱いなさい!ボクが行く!」

目の前に垂らされた蜘蛛の糸に飛びつく。

「二郎さえ……袁家さえ抱き込めば大丈夫、なんとでもなる。二郎ならばなんとでもしてくれる。
 雷薄の討死についてはどうしようもないから、素直に謝ろう。そこで謀ったら取り返しがつかない。
 もう、ボクはどうなってもいいからどうにかして二郎を懐柔しないと……」

馬を急がせながら賈駆はそれでも思考を放棄しない。

そして、彼女を待ち構えるのは、蜂蜜色の髪の、眠たげな少女であった。
紀霊が全幅の信頼を寄せる程立その人である。

「いやあ、これは参ったのですよ~。風はこの荷物を南皮に届けるべし。可及的速やかに、と指示を受けたのですね」

ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。

「おおこわいこわい。いや、いささか誉められない手段であったのは自覚してますよ~。
 ですが、この北面についてはそれが常習化していたようだったので、風は風で最善を尽くしたまでなのです~。
 いや、これは命乞いをした方がよろしいのですかねえ」

くふふ、とほくそ笑む程立。わざとらしいその笑みはこちらの神経を逆なでるためのものであろう。そんな安い挑発に賈駆は乗らないしそんな暇もない。

「いいから袁紹殿と二郎を出しなさい。貴女じゃ話にならない」

その声に程立はにんまりとほほ笑む。それは微かであるも、わざとらしく、狩人が獲物を罠に嵌めた笑み。

「いやいや、ここにはそんなお偉方はおりませんので、お引き取り願えればと思うのですよ~。
 無論、洛外に出るのは明日以降にしますので~。
 こんなところで時間を使ってはいけないのではないですか?
 老婆心ながら風は心配するのですよ。
 ええ、二郎さんと浅からぬ縁のある貴女を風は心配するのですよ」

くふふ、と笑う程立になんと言ってやろうか。いや、そんなことに関わっている余裕すら自分にはない。
この一行の荷物は大きな匣であったり壺であったり。ややもすれば人が隠れるに相応しいもの。

ここで袁家当主たる袁紹。入内を控える袁術。そして彼女らに大きな影響力を持つ紀霊。いずれかを捉えるだけで状況は変わる。変わるのだ。

◆◆◆

――そして程立が率いる一行の、思わせぶりな荷からは誰一人発見できなかったのである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

この章最終話dす

案については 破綻 かなあ

もっと格好いいやつ募集しまくりんぐですよ本当に!
ほんとこれいつもお助け頂いております
ボスケティ

そして、クリスマスめどにあっちで投稿し始める見込みです
頑張るぞいっと。
頑張るので、オナシャス。

>>45
乙なんだよー

【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かな

乙でしたー
>>42
>>苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。 【とっておき】だといざという時の為の隠し玉、みたいな感じなのでちょっと違う気が
○苦虫を噛み潰していた賈駆に、最大級の凶報がもたらされる。   《とっておきの秘策》みたいな感じなので誰が取っておいたのよ?となるので…これでどうでしょう
>>袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。  意味は分かりますが
○袁家に仕掛ける意味を分かっているのか。  あるいは【袁家と相対する】とか?
>>44
>>曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。 上でもこのあたりの事言ってるので一か所にまとめた方が良さそうですね(>>42の曹操の行方が~考えたくもない。のあたり)
これは>>42の該当部分を削ってこっちにまとめればすっきりしそうかな
>>ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。     【ですから】に違和感が
○だから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。      これはこれで変か?
○ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのですとカタる程立を買駆は睨む。 どう考えてもそれ【騙り】だよねと言うツッコミをしつつ

その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ

頑張るぞいっと。

>>46
どもです。

>【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かっこいいやつありがとうございますー!
これはいけるね

>>47
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
実際悪手この上ないのですよね。
多分、月ちゃんの髪の毛一房でも贈られてきたら詠ちゃんは何もできませんわ
それが指の一本とかにいつなるか、と。

>向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ
油断、慢心、環境の違い……

イイ感じに月ちゃんが地歩を固めてましたからね。まさかね。
謀略は仕掛けた方が有利、を地で行く李儒さんです。

李儒恐るべし、ということで一つ。

そりゃもう持ってきた人とその親類縁者を市中引き回しにしてそいつの家は焼き討ちよ
何進と袁家と馬家を敵に回すくらいならこれやってそれ以外を敵に回した方がましだわ
殺したら向こうも董卓をどうするか分からんけど引き回した後は牢屋にでも押し込んでおけば
指一本送ってきたら適当な人一人磔にしてお返しすれば交渉のレートも理解するでしょ(暗黒微笑
天涯孤独の単独犯相手ならともかく敵対しちゃいけない人たちを抜いて残った有名人宅にほんの200人程度で訪問すれば袁家みたいなガンギマリ相手じゃ無ければ楽勝よ

>>49
まあ、テロリストの要求を呑んじゃいけないってのは鉄則ですわなあ……!

ここぞというところで選択を誤るのが詠ちゃんにしてもそれは悪手ですよ(原作無印感)

テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?

>>51
>テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
>本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
広義の謀略ですね
そして、仕掛ける方が圧倒的に有利なのですよね。
これが宦官勢力なのか董家のことか分かりませんが、本質はいっしょですわね

>あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?
んー?
クーデターだから警察とか自衛隊じゃないっすかねえ。日本には州軍ないですものね。
州軍蜂起が近いのか?
なんにしても武力ですよ武力。
大体のことは暴力が解決するのです。
なお。

都知事(皇帝)を人質にしてクーデター起こした警察(董卓軍)を裏で操る府知事(十常待)? や、どっちかっていうと十常待は官僚だけど
野党(何進)がトップになったら首が確定してる官僚とかが近いか

乙ー
ご無沙汰しております
最近忠臣蔵が恒例の年末再放送されてたので違うのに近しい何かを感じます
幽州や洛陽が北の方で雪も多そうなのもその一つww(実際は乾燥しててあんまり降らないっぽい

凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー

>>54
どもです。

まあ、長いことやってますからねえw
リライトですし。じゃなかった、リトライだ。

>凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー
円卓とか、ギリシャ神話とか受けてますからいけますって。
訳者の筆ちから次第かなって

頑張るぞいっと。


それはそれとして忠臣蔵はねーw
あえて凡将伝的に語るとどうしても吉良上野介側が袁家なのでねw

しかし老人一人、殺しきれない浅野内匠頭って、という評価見て、綱吉さんの偉大さを思い知りましたよ

稀によくいるから…30代で大暴れしてその後悠々自適。からの主筋が世代交代して「あの老害が敵に回るとヤベえからやっちゃおうぜ」しようとしたら60越えて覚醒する奴

伊能忠敬が浮かんだす

強い爺ちゃんで真っ先に浮かんだのは朝倉さんちの宗滴三かな…そのお方でも撲滅できなかった宗教狂いもマジパネエが

個人的には水野勝成かなぁ…
↑30代暴れまくり60でもパネェ

大久保彦左衛門は実際の印象ないです
上泉信綱が最高にして最強というイメージ

個人的には、佐久間象山と大村益次郎が生きてたら歴史がそれなりに変わったと思っています
ですが、どっちも人格がアレなのでどっかで暗殺不可避かなあって

でも万次郎は酷使したいし江川英龍は過労死せんようにしたい

そうなったらどんな世界になったかを観測したいっすなあ

今年もあとわずか…来年もよろしくお願いします

明けましたおめでとうございます!
本年もよろしくお願いします。
今年での完結は難しいですが、なんとかかんとかしたいです。

蕪農家として独立ワンチャンあると思ってます。
頑張るぞいっと。

ようやくあっちの予約投稿終わったわ
しんどかったすわ
明日から頑張ろうそうしおう

謹んで新年の喜びを言上仕ります(明けましておめでとうございます)

兼業蕪農家としてアドバイスすると、「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
蕪専業なら、撤退資金は絶対必要ですよ。蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね、それもばかにならない。
撤退資金の温存先なら日本国債かなぁ。
そういや専門系にしかニュースになってませんが、例のリクシル騒動。あれで結構損食った人いるとおもいますよ。
私も漬けてますが珍しく追証払いましたね。乱高下が一番迷惑。

さて今年はまずは新しい命に全力です。おとっつあんになるんだし、いやならせてほしいっす(超願望)
年末に靖国の御霊にすがりましたし、新年は氏神様に三回頭下げましたし、なんなら伊勢の御二方にもお願いしておきましょうかね。
「子供の顔が見れたら死んでも」で嫁に思いきり引っぱたかれましたwwwそりゃそうか。

本年もよろしくお願い致します。

>>64
明けましたおめでとうございます!本年もよろしくお願いします。

>兼業蕪農家としてアドバイスすると
やったぜ

>「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
元手がないとリターンがアレっすからねえ
動きは、それなりですかねえ。かつては数百円の利益でキャッキャしてましたw
いやまあ、ランチ代稼げたらええやん!みたいなw
離角が一番難しいですね。上への握力は割と弱いっすわw

>蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね
基本的に自分との戦いなので、卸さんが凸してくることはめったにないですね。
禿Gの時には2回ほどありましたが、その後上司さんからお詫びの連絡がありましたな
あれは空売りでインしたかったw

>例のリクシル騒動
鹿サポなので情報はすっごく見てました。あれはひどい事件だったね(日暮感)
久美子さんHDよりはマシかな?屋台骨まではいかへんかったから。あ、手は出してないです。
まあ、損ぶっこいてるのも多いですけどね、街のホットステーションとかレモン堂とか!
鉄は国家なりはどうしたもんかなってw

>さて今年はまずは新しい命に全力です。
ここは本当にね。本当に。こればっかりは。。。


>嫁に思いきり引っぱたかれましたw
こういうさりげない惚気が素敵なご夫婦だと思います。
健やかなれ。

本年もよろしくお願いします。

では今年もよろしくお願いしますということで投下します

董卓、叛す。そして何進、馬騰、朱儁を誅滅。
遺勅により今上帝を廃位。弘農王とする。
弘農王とは劉協の陳留王と比較し、相当位の低い地位である。
劉弁はこれに異を唱えず、大人しく皇位を譲った。
そして至尊の座に就いた劉協により、董卓は相国となり絶大な権力を手にした。漢王朝をその手に握ることになったのである。

その報せは衝撃を以って中華を駆け巡る。

最も衝撃が大きかったのは間違いなく袁家であろう。先帝たる、現弘農王への輿入れに向けて調整をしていた矢先の変事である。
これで動揺しない方がおかしい。
それを何とか抑えきっている沮授と郭嘉の能力と尽力は賞賛されるべきであろう。無論、あらゆる支援を行っていた張紘にもそれはあてはまる。
今のところ袁家の首脳の行方については情報が途絶えている。死んだとも、捕えられたとも伝わってはいないのだが。

「……そろそろ、抑えきれないかもしれません」

常ならば涼やかな笑みを浮かべる沮授が、流石に疲労困憊といった風に呟く。

「いや、沮授はよくやってるぞ。もう董卓の謀反から三か月だ。これまで表立った動きがなかったってのは、すげえことなんだぞ」

張紘の言葉は本心ではあるが、慰めにしかならない。
袁家の今後は誰が担うのか。水面下では動きが本格化している。留守居役が沮授であるのもそれを助長するのだ。
袁家の権力争いからは身を遠ざける彼の姿勢(スタンス)は、能あっても欲なしと好意的に取られていた。彼はあくまで袁家の補佐に徹するというのは袁家の共通認識である。
だから、逆に、である。
誰が袁家を牛耳っても、沮授さえ抱き込めば。と思う輩が出てくる。無論それを座視する沮授ではないのだが、袁家の後継争いに口を出すわけにもいかないという二律背反(ジレンマ)。

「こうなると、いかにも袁胤様の件は痛かったですね……」

まさに痛恨、である。

袁紹の予備として袁逢は袁術を産んだ。だがその袁術が輿入れとなれば予備がいなくなってしまうのだ。
その座には袁胤があるはずであった。であるからこそ不穏な動きがあっても袁胤は誅されなかったのである。
李儒の一手はこの上なく袁家に深刻な影響(ダメージ)を与えていたのだ。

「幸い、景気はいい。そのおかげで民の動揺はない。
ほんと、それだけが救いって感じかなあ……」

不穏な空気も、目前に迫っていた黄巾の脅威に比べれば雲の上の出来事。目前の好景気により袁家領内の民は落ち着いている。
黄巾賊残党は半ば流民と化して袁家領内に流れ込む。それを養うために大規模な公共工事――大規模農場や鉱山、橋梁建設に街道や港湾整備他多数――が計画、実行される。その需要に応えるために各種生産活動は全力(フル)回転。
それを支えるための財政出動があるが、袁家の金蔵は揺るぎもしない。
治安出動のための軍備の強化も相まって、袁家領内は空前の好景気に沸いていた。
それがあるから、これまで袁家内部の蠢動も抑えられていたのではあるが。

「流石にそろそろまずいですね。
いや、つい数か月前までは袁家は盤石と思っていたのですが……」

肩を落として盛大にため息と弱音を吐く。張紘の前だからこそであろう。
張紘も深く懊悩の表情を浮かべる。ぐったりとした様相の親友にかける言葉もない。

そんな二人を黙って見ながら茶を淹れ、甲斐甲斐しく茶菓子を出していた赤毛の女性――赤楽――が呆れたように口を挟む。

「本当に君ら二人だと辛気臭いな。
あの暢気かつ軽佻浮薄かつ女好きであれこれ厄介ごとを呼び込む御仁がいないと見てられないのだな」

そしてつかつかと歩みを進め、張紘の頬を引っ張り、弾く。
盛大に。

「い、痛いぞ?!」

恋人の抗議の声に赤楽はフン、と呆れたように鼻息を一つ。

「当たり前だろうが。痛くしたんだからな。
 目が覚めたかな?ああ、それは結構。
そもそもだ。あえて聞こうか。これは本気で疑問なのだがね」

やれやれ、といった風の仕草から問う視線は炎。
それが二人を射貫く。

「君らはあの御仁がこんなことで儚くなるなんて本気で思っているのか?」

それは決定的な言。これまで敢えて口にしなかったもの。

「これは手厳しい。確かに二郎君の安否についてはあえて口にしていませんでしたとも。
 ですが、それは最悪を想定していたからこそです。
 備えはしています、が……。
 いえ、これは甘えというものですかね」
「よせやい、おいらだって認めたくなかったのさ。
 それは、思っても、言ったらそうなっちまうんじゃないかって、な」

やれやれ、とばかりに赤楽は肩をすくめる。

「便りのないのは良い便り。あの御仁がこんなことでくたばるはずはないさ。
 君らは義兄弟なのだろう?君らが信じてやらなければ誰が信じるというのだ?」

ニヤリ、と口を歪ませる麗人に沮授と張紘は呆然とする。彼女は最悪に備えろ、と言ったのではなかったのか。
そんな二人の表情を愉快そうに見て再び口を開く。双眸は力に満ち、碧眼は炎すら纏いそうで。

「あの御仁、ひいては仕える主君がこんなことでどうにかなるはずはないだろう。
 考えても見ろ。まあ、袁紹殿の豪運については語るに及ばないよな?
 ここではあの御仁についてだけ語ってみようか」

艶然と微笑む。楽しそうに。

「たまたまお忍びで市場に来ていたらたまたま居合わせた張紘と私に出会ってその場で口説き落とした。
 たまたまふらりとこれまた街中を歩いていたら李典、楽進、于禁という俊才に出会い、登用した。
 たまたま立ち寄った料理屋で知り合った典韋殿を、たまたま立ち寄った町で見かけ、そのまま登用した。
 武者修行と称して出奔したら旅先で皇族に連なる劉璋殿を助け、誼(よしみ)を結んだ。
 更にその道中で程立、趙雲、郭嘉なぞという傑物が野盗に襲われている現場に巡りあって、なんだかんだで全員登用した。
 ――こんなに天に愛されている御仁がこんなことで果てるわけがないだろう」

文句あるか?とばかりに、どちらかと言えば薄い胸を張る赤楽に張紘は苦笑する。

「いや、すまねえ。確かに二郎は生き汚いからな。こんなことで死ぬはずはないや。
 おいらとしたことがどうにもいけねえや。随分弱気になってたみたいだ」

「そうですね。二郎君ならばそれこそ何をしてでも同行されている方々を無事に送り届けるでしょう。
 いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」

言いながらも沮授は舌を巻く。時折見せていた明敏さに加えてこの事態においても全く揺るがない。
彼女であれば袁家内部においても柱石となれるであろう。間違いなく。

「クク、沮授殿。
よしてくれよな。これは岡目八目という奴さ。私にとっては結構他人事だからな?
 おのずと見える景色も違うというだけさ。
 ウン、そうだな。もっと言えば一度死んだような身さ。だからあれこれ好き勝手に言えるってだけ。そしてね」

――身一つで惚れた男一人ならばいかようにも養ってみせるさ。

そんな、無言の悪戯っぽい目線を受けて沮授は苦笑する。

「そうですね。僕らの動揺。それはたちまちに波及してしまうでしょう。そうですよね。
 いや、今日はご馳走様でした。色んな意味でね。
 二郎君が帰ってきたときに余計な気苦労を背負わせないようにするとしましょうか。
 ええ、本当にご馳走様でした」

訪れた時と同様に、にこやかに。しかし含んだ表情は変わって明るく、沮授は席を立つ。

「なに、漢朝全てを敵に回してもお釣りがくるほどですよ。気楽にいくとしましょう」

それも全てはあの男が無事であったならば、である。
言外のそれを理解して張紘も笑う。

「二郎は楽をしたがるからなあ。だったら先回りして徹底的に楽をさせてやるってのもいいな」

「それはいいですね。
 いつも二郎君には驚かされてばっかりですから、たまには僕らが驚かせてやるのもいいかもしれません」

「その時の二郎の顔、見てみたいもんだな。
 いやあ、楽しみが増えたな」

軽口を叩く二人を見て赤楽は暢気にむしゃり、と茶菓子を頬張るのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案
「その頃の南皮 男子会編」

いまいちなので、もちっとおセンチなのオナシャス。

>>70
新年乙ー。
んー、そうね。
【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かなぁ

乙でしたー
>>69
>>いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」    間違いでは無いですがちょっと【いや、】と言いすぎかな?
○いや、女は強しと言うべきですかね?いやはや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」  それとも先の方を【いやはや……女は強し】にしたほうが良さげかな?

今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…怠け者の劉弁をわざわざ廃さなくてもそのまま何進の後釜に座っても良かっただろうに
劉協に配慮する必要がどこの誰にあった?逆に劉弁が病気を拗らせなかった(を殺さなかった)理由は?あの3人は殺すしかなかったといえばその通りだけどそれで言うなら求心性のある劉弁も殺すしかなさそうだけど
この辺考えるとあの怠け者も結構面白いことになりそう

>>71
どもです。

>【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かっけえ
時の奔流はいいですね。これは使うかもですよ本当に!ありがとなす!

>>72
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
滅茶苦茶久しぶりですねそれってw
頑張るぞいっと。

>袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
割とこれはマジでしんどい
マンチェスターUのボビーさんが味わったアレよりしんどいかもしれないっす

>むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それはあるかもしれません。幹部候補生の交流もかねた、あれか、修学旅行的な!

>それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…
ご考察楽しみにして、ますーw
太陽と月のあれ、好評でしたよ!

郭嘉は手元に届いた書付にため息を漏らす。
どこをどうやったのか、厳重に情報封鎖されている洛陽からの便りである。送り主は、彼女の親友。

「反董卓、連合。ですか……」

その五文字のみが記されていた書付。巧妙に隠蔽されたそれにより、親友の無事を知る。
そして苦笑する。大きく出たものだ、と。
今の袁家にそのような余裕はない。内部の権力闘争を押さえるのに精いっぱいなのが現状。
矢継ぎ早に出された大規模投資計画により、官僚の業務負荷を増大させて暗躍できぬようにするのもそろそろ限界であろう。
そもそもの根幹に対しては何ら対策を打てていないというのが実際のところである。

……こうなると郭嘉が重用されるようになった経緯、後ろ盾であった存在――無論紀霊その人である――そのものが足を引っ張る。
郭嘉の能力は万人が認めるものではあったのだが。

「おやおや、これはどうもお疲れの様ですね。少し休まれた方がよいかもしれませんね」

声をかけてきたのは、今や袁家の屋台骨を一身に支える沮授である。
貴方こそ憔悴しきっているではないか。
そう言ってやろうとして振り向く。そこには、にこやかな笑みはそのままで、見違えるように生気に満ちた表情である。
誰だこれは、などと思う。
いや、涼やかな笑みに胡散臭い香りがまとわりつく。そういえば沮授という人物は本来こういう感じであったか。

「……。
そうですね。正直、見違えました」

郭嘉の言に沮授は笑みを深める。
くすり、という笑みの口元にはごまかされない。鋭い視線が周囲を睥睨しているのだ。
ふむ、何があったか知らないが本調子に至ったということであろうか。
探る郭嘉の視線を真正面で受け止めて尚笑みは柔らかく、深い。

「いや、正直僕も追い詰められていたようで。知人に叱られましたよ。
 辛気臭い、ってね」

一体誰がこの青年にそんな言葉を投げることができるのだろうか。さしもの郭嘉も言葉を失う。

「いささか、現状維持に汲々としすぎたかもしれません。袁紹様や二郎君が帰還した時にこれでは呆れられてしまいます。
 いかにも袁家の首魁となるには権謀術数に長けねばなりません。ですがそれでは足りません。
 さて、蠢動する方々。様々です。
 郭嘉さんから見てどう思われますか?」
 

ふむ、と郭嘉は幾人かの顔を思い浮かべようとするが、どれもこれも小粒にすぎる。
なるほど。袁紹というのは傑物なのだと今更ながらにそう思う。
彼女の日輪の如き光輝が目に焼き付いているためであろうか、有象無象はいずれも取るに足りない存在に思えてしまうのだ。
なるほど。

「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、私たちの主人面しようとする凡骨たちが多いなと思ったものです。
いえ、夢想するのは勝手です。ですがその夢に酔っているのに付き合うというのは実際苦痛でしかないですね」

我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。
なるほど、本来の彼はこうなのかと郭嘉は内心で沮授という人物の評価を改める。
唯々諾々とした官僚かと思えば、こんなにも覇気があるのではないか。袁家の差配を任される訳である。
非常時にこそ、その人物の真価が発揮されるというのは誰の言葉であったろうか。
なるほど。

「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。袁家に覇を唱えるのであれば、武勲なくしては叶わぬというのは必然というもの。
 ええ。袁家の当主が滞在する邸宅を襲い、紀家の宿将を討つ。このような暴挙に対して黙するなぞありえません。
 一当てせねば武家として面目が立ちませんもの」

いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
探るような視線の郭嘉に沮授は応える。にこやかに。

「そうですね。大義名分なぞ勝ってから考えればいいでしょう。
 まあ、必要最低限のことは陳琳さんにお任せするとしましょうか」

沮授の言に郭嘉は声を出して笑う。ああ、それは適任だ。さぞかし名分を起草してくれるだろう。

「では。そちらのあれこれは、お任せしますよ。流石に僕が出るわけにはいきませんから。
 取りあえずはお任せします。二郎君が惚れこんだ軍才、当てにしていますよ?」

す、と眼鏡を整えて郭嘉は応える。
託されたものを確認する。

「では、任されました。これより袁家は反董卓連合を糾合します。
 まずは涼州に遣いを出し、馬家軍と連携を謀ります。これにより二正面作戦を強います。
 此方は、まず星を如南より呼び戻して兵を率いさせます。襄平よりは公孫賛殿を招聘。彼女の白馬義従あれば董家軍の騎馬軍団に伍することも可能でしょう。
 そして南方よりは孫家に派兵を求めます。最悪将だけでも。彼方は歴戦。客将としても使い様があります」

次々と流れる郭嘉の言。それに沮授は満足げに頷く。流石である、と。
眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。

郭嘉が語る百の戦略に対して、沮授は千の内憂を想定する。
それらを全て平らかにして、沮授は微笑むのだ。

そして、郭嘉という軍事的才能の塊がいよいよ本領を発揮することになるのはこれ以降のことである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は

「臨戦」
「臨戦、その前に」


なんかいまいちなので、格好いい奴オナシャス

>>76
乙なんだよー
前回の流れから【龍の背に乗るは鬼才】

乙ー
ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
そのせいかいつもに比べると袁家の(官僚達の)どろどろした感があんまりないですね

色置いてみたら一応見られる程度になったので(p:BL)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629287.png.html
(475×800、56.1kb)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629288.png.html
(1286×3164、179kb)

いつものお年賀お待たせしました(待ってません
一応凡将伝(Boshouden)大好き(Love)の略です(何
BLに引っ張られ過ぎたのか一樹きゅんが妙に恵体にww
気が向いたらその内仕上げたいなぁ

間違えましたBonshoudenでした
重ね重ね申し訳ありません

>>78
やったぜ
支援絵ありがとうございますー嬉しいワッショイ

>ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
大体三人一緒ですからね。仕方ないね。
まあ、実務者協議としては二人はなかよし!じゃなくてそこそこ打ち合わせしてると思うんです。
うん、描写してないだけですね!

>気が向いたらその内仕上げたいなぁ
楽しみにして、ますーぶへへへへ

>>77
どもです。

>【龍の背に乗るは鬼才】
流れが出る題って考えたらやってないんですよね
その弐とかでやってるので

こういう連続性は思いつくのすげえなって。
嫉妬。

乙でしたー
>>76
>>眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。  間違いが本当に見当たらないので違和感があったここを
○眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだ。  もしくは【起きるのだろう】ですかね【~しようとしているのだろう】だとなんか仮定が二重っぽく読めますので
○眠れる獅子はいよいよ目を覚まそうとしているのだ。  もしくはちょっと弄ってこんな感じ?【眠れる獅子はいよいよ目覚めようとしていた。】とかも有りかもしれない

ところで>>「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、~中略~「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。~中略~いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
これだと>>「ええ、そうですね。 の部分も郭嘉の言葉っぽく誤読しそうなので
>>我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 これの前に移動させて
○いささか挑発的な言を吐く郭嘉に、我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 とかにした方が良さそうかな?と思います

そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ

>>82
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ
これがまあ、袁胤様でしたのですよね。

続きも頑張るぞいっと。

そう言えば向こう見てて気づいたんだけど
>>凡人と絡新婦(接触編)
>>実際どう考えても騙しにきているとしか思えないんだよなあ・・・・・・。

このあたりまで3点リーダーの使い方間違ってたんですね……知らん振りしとく?

>>84
あっちは修正利くから
気づいたらするんじゃないかなっと

つ?○○ !○○
本来ならスペース空けないといけないらしいけどローカルルールと言う事にして空けていないんよ
それにしてもナロウのアニメ化作品見ると世界観が訳わかめで二次創作の便利さがよく分かる…女が強かろうが時代的にあり得ないものがあろうが原作にそれっぽさがあれば気にしなくていいから
逆に1から作ると常識を知らないはずの転生主人公が主席入学したり、中世ヨーロッパっぽい異世界でマヨネーズ作ったり、商品(奴隷)を滅茶苦茶雑に扱ってる商人がいたりすると読者から突っ込まれたりするからなあ

り、リソースは有限じゃけえ……
手が空いたら対応したいという気持ちがあるということは忘れず、大切にしていきたいと思っております。

約束した董家ルートも実装できてませんしねぇ
いや、筋は完成したんよ
出力するリソースが足りないのん

早く農家にならねば

☆その頃の劉璋ちゃん

「こら、ここから出しなさい!
 こんな所に私を閉じ込めるとか、どういうつもりなの!」

こんな所と言うが、ずいぶんと立派な邸宅である。
それは分かっている。
それでも劉璋は黙らない。
何が起こったか。おおよそのことは理解している。ならば、それならば、だ。
自分にしかできないことがあるのだ。
皇族である自分にしか。

「弁君に会わせなさい!協君を呼びなさい!」

敢えての呼び方。そしてそれが出来るのは自分のみ。
二人の橋渡し、仲立ちなんてできない。そういう状況でもない。
それは理解している。

それでも。

それでも皇族として劉璋には義務がある。世を平らかにする義務がある。
そして自分に価値があるというのも理解している。学んだ知は力であると確信する。
自分の身に価値があるということを最大限に利用する。

そうして知った事実にはちょっと脱力してしまったりしたものだが。
いや、自分を守るべき厳顔がとっくに逃亡していたというのは、流石に思うところがあった。
だがしかし、考えれば彼女は母である劉焉の部下。
であれば今の洛陽の状況を確実に伝えるというのはそれが本来の業務であるのだろう。
馴染んで、気安かったのは確かだが。
それはまあ、そういうことなのだろうと劉璋は割り切っている。割り切った。

それはそれとして自分のできることをするのみ。

自分の言jは、けして無視できないものである。
それを理解している劉璋は、発声を鍛えることにする。
どうせならば洛陽全土に自分の叫びを伝えよう。

「えっと、声量には肺活量だったかな。肺活量って確か息が苦しいほど鍛えられるのよね。
 それには鍛錬あるのみ、と。
 水練が一番いいって二郎は言ってたけど流石に無理よね。
 だったら走るか、馬術か、よね」

劉璋としては宮廷内を身軽な格好で走って、ついでに情報収集をしたかったのだが、流石にそれは許されることはなかった。流石に。
なので、幽閉されている劉璋がひたすら馬術に興じていたというのは、複数の資料に記されているのである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

正直最近、JANE使いづらいんですよねえ。
いいや、誤差範囲内ですが。

書き込みと本スレの切り替えができないとか、なんとかならんかなあ。

乙でしたー
>>89
>>馴染んで、気安かったのは確かだが。 はて…いつだったかの黄巾に兵を出す出さないで溝が出来たと思ってたけど修復できたんか(安堵)…そして即行で投げ捨てたんか(溜め息

>>自分の言jは、けして無視できないものである。  これは単純なミスですな
○自分の言は、けして無視できないものである。  もしくは【自分の言葉は、】かな?

乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか

>>91
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて

>乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
>いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか
ちょっと面白いかもしれませんね。
考えてみよう

明日は阪神大震災の日です
なんで悲惨な記憶を掘り起こすことしかメディアはしないのか
そこから復興したとか未来に希望を見いだすようなことが何故出来ないのか
やっても数字が取れないのかなあ
後ろ向きで鬱々とばっかりしているようなのが、と
不景気な面してる方が視聴率とれるのかなあ

NHKの特集予告で思いました
でもNHKって視聴率関係ないよねスポンサーいないし

ああやだやだ辛気くさい

以上、愚痴でした(これはこれで後ろ向き)
どうにも調子がよくないなあと

>>93
わすれちゃいけない。
でも引きずっちゃいけない。


難しいよね。

>>94
自分自身被災者ですが、本当にね。
悲惨な話の方が飯の種になるってのはいけないな、と思います。
最近では災害の時の自粛について反論異論が出るようになってマシだなと思うのです。
マグマのような感情を込めて書き溜めするのぜ。

「ち、父上が死んだ……?
 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!そんな馬鹿なことがあるか!
 あんなに強い父上がやられるはずがないだろう!」

三か月前のその慟哭を厳顔は忘れることはないだろう。悲痛な、幼子(おさなご)のようなその声は何かしら胸をうつものがあった。
……厳顔がここ涼州にいるのには理由がある。
董卓が起こした変事の詳細について可能な範囲で情報を集め、辛くも洛陽を脱した彼女が向かったのは益州ではなく、涼州。
最も激発する可能性が高いのが涼州であったからだ。可能性としては袁家もあるが、馬家と違い未だ当主はじめとした首脳は行方不明。
なれば袁家は捜索に力を注ぐであろうという判断である。

一方馬家については馬騰の死亡が確認されている。
馬超はいささか直情径行にあり、暴発する可能性は大いにあった。その場合益州にも派兵の要請が来たであろう。
まあ、函谷関で防がれる分には問題ないが、馬超の武勇を考えれば洛陽まで迫る可能性もある。
そのまま押し切ることもありえるであろう。その場合、劉璋を人質とされている益州が兵を出すことはありえず、それを逆恨みされることもありえる。
故に馬超の暴発を抑えるために厳顔は涼州に赴いたのである。

無論、劉璋を置き去りにしたことに対する風当たりは厳しいものがあるであろう。
だが、同じく囚われるよりは主君に正確な情報を送り、その上で最善を尽くすことこそが肝要。
直接的な地位も権力も持たない劉璋が害される恐れはほぼないと言っていい。
名よりは実を。主たる劉焉が常々言うことである。
そして厳顔は益州と密に連絡を交わしながら涼州にある程度の影響を築くことに成功していたのである。

「とは言ってもねえ。多分お姉さまもうすぐ爆発するとたんぽぽ思うなー。
 まあ、これまで抑えていたのが不思議なくらいだしね」

肩をすくめながら馬岱は厳顔に言う。そろそろ限界だと。

「とは言え、函谷関は要害。更に韓遂の蠢動もある。いかにも動くのは不利であろう。
  何より、相手は主上を奉っておるぞ?
 武の名門馬家を逆賊とするのは本意ではなかろう?」

お主ならば分かっておるじゃろとばかりに厳顔は馬岱に目線を向ける。
馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。

「いや、あのね。何て言うのかなあ。こんなに厳顔さんと私たちで認識に差があるとは思ってなかったなあ。
 確かに月さん……いえ、董卓は今上陛下を擁立してるよ。でも、それは大したことじゃない。
 厳顔さんも分かってるんでしょ?今上陛下が正統だとは言えないということ。
 ならばそれを糾すのが武家の名門たる馬家の義務なんだよね。董卓を配下にしていた馬家ならなおのことだよ。
 おじ様からよく言われてたんだよ。『命を惜しむな、名を惜しめ』ってね。
 あの時は分からなかったけど、今ならよく分かる。
 うん、覚悟完了、って奴かな」

「な、なんと?
 しかし、韓遂は難物なのだろう?」

くすくす、と馬岱は澄んだ笑みを浮かべる。いかにもおかしげに。いや、これは見知っていた馬岱なのであろうかと厳顔は瞠目する。
その表情に迷いなく、面差しには覚悟が現れている。

「うーん。正直、今のお姉さまだったら鎧袖一触だと思うなあ。
 それに韓遂だって根っこは同じだと思うよ?何せおじ様の義兄弟だしね。
それでなお立ちふさがるならばまあ、錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。
身をもって知るんじゃないかな?」

「……匈奴はどうする。背後の備えは」

「洛陽を落としてから返す刀で蹂躙すればいいでしょ。匈奴に領土欲はないからね。あっさり逃げると思うし。
 まあ、もし長城を越えて本当に来たならば、こちらも長城を越えるだけだし」

血で血を洗う戦場を駆け抜けた少女と、要害に楽園を築こうとしていた艶女の認識の差は埋めがたく。

「お姉さまをね、止めていたのは。準備が整っていないからというのは厳顔さんにも言ってたよね。
 あれは方便じゃなかったの。
 そしてその準備は整ったんだなこれが。
 ああ、そんな顔しないでほしいなあ。たんぽぽ嘘は一度も言ってないし。勝算だって十分あるしね」

勝算?首を傾げる厳顔に馬岱は笑いかける。

「うん。馬家が万全に戦の準備を完了したんだから、袁家だって同じだと思うよ?
 根拠?
 だって、二郎様とたんぽぽは気が合ったもの。武家の匂いがしたもの。
だからおじ様もあんなにも気に入ってたの。分かるかなあ。分からないかもしれないけどね。
 袁家と馬家は似た者同士だよ。そりゃあ、色々と違って見えるし、実際違うんだろうけどね。でも、根っこは同じ」

さて、お前はどうする?益州劉家はどうするのだと笑う。
これが連綿と国境を守っていた武家の凄味かと厳顔は思う。ならば。

「劉璋様には申し訳ないことになるかもしらんな……」

主たる劉焉に送る書状の内容を推敲しながら厳顔はそうつぶやいていた。

◆◆◆

「という訳で、どうやら袁家は出兵の準備をしているようですね」

諸葛亮の報告にふむふむと北郷一刀は頷く。なるほど、袁紹という盟主がいなくとも歴史の流れは変わらぬのかと。

――県令として劉備が任地に赴任し数か月がたつ。余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。
前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。
これまで政に携わったことのなかった劉備一行にはあれこれと丁寧に引継ぎすらしてくれており、今のところ大過なく治められている。

――劉備の治世についての領民の評判はすこぶるいい。清貧を地でいく劉備の人徳もあるが、官庫を開いたことが大きい。
二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。
余程の天変地異でもない限り問題はない程度に食糧、金銭の貯蓄を減らす。更には付き従う義勇兵には開墾を命じる。
屯田兵、と北郷一刀が命名した彼らは実に熱心に地を耕している。きっと秋の収穫には大いなる実りがあるはずである。
なに、慣れぬ農作業も農徳新書さえあればある程度の収穫は見込めるというものである。

――閑話休題。諸葛亮の報告を受けて北郷一刀は口を開く。

「反董卓連合、か」

その推察が自らのそれと重なり諸葛亮は改めて自らの主人に心服する。これだけの限られた情報でそこまで至るとは、と。

「洛陽で暴政を敷く董卓。大いにありえますね」

諸葛亮の言に劉備は戸惑う。

「え、でもでも!
月ちゃんがそんなことするかなあ。あんなにいい子だったのに。
 ねえ、ご主人様。本当に月ちゃんがそんなことするって思う?」

劉備の疑問は無理からぬこと。あの穏やかな娘が権力を求めて蜂起するなど。

「だから、ここにいちゃあそれも分からないから。だから俺たちも洛陽に向かおう。
 本当に何があったのかを見極めよう。もし、月が本当にそんなことをしていたのなら、叱ってやろうよ。
 そして、誰かに騙されているんだったら救ってやろう。
 きっと洛陽に向かい挙兵がある。それに乗じて俺たちは俺たちで動こう。
 きっと俺たちにしかできないことがあるはずさ」

そう。思えば劉備が飛躍したのは反董卓連合での活躍からだったはず。
だったら、そういうことなのだろうと北郷一刀は思う。
天下三分の一つを占めながらも徒花と散った蜀。
自分がここにいるのはきっと彼女らを導くためなのだ。それが、右も左も分からぬ自分を守ってくれた彼女らに対する恩返しのはずだと北郷一刀は確信する。
桃園の三人に加えて伏竜と鳳雛がいるのだ。何を畏れることあろうか。

「桃香、頑張ろうな。皆が笑って暮らせる世界のために!」

そう、まさに北郷一刀と劉備。それは雌雄一対の剣であるのだ。

本日ここまですー感想とかくだしあー

>>99
乙なんだよー

【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】

かなぁ

>>95
ぶっちゃけるとおいらも2016の被害者ではある。
まあ、被害ほぼなかったけどね。
だから、あの言葉が出た次第さね

乙でしたー。昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
>>96
>>馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。  間違いと言うほどでは無いですが
○馬岱は、たははと手を振り、笑って応える。  の方が良さそうかな?手を振った後の笑顔に含みを持たせたいなら【たははと手を振り……わらって応える。】とかどうでしょう
>>97
>>それでなお立ちふさがるならばまあ、 上の方は父の言葉を思い返してる感じもあったのでそのままでいいかと思いますがここは彼女自身の言葉っぽいので
○それでなお立ちふさがるならまあ、  【ならば】だとちょっと硬い感じがするのでちょっと違和感
>>錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。 【やつ】が2回続くとちょっとしつこい感じが
○錦馬超の真価、……その武威ってやつそれを、ね。      でどうでしょう
>>98
>>余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。  そうされる危惧があっても趙雲をスカウトするあたり…というかあの件は良くないことをちゃんと諫言したんかあわはわ軍師
>>本当に何があったのかを見極めよう。 間違いでは無いですがこの場合の意味だと
○本当は何があったのかを見極めよう。 の方が良さそうかな?

ところで、さ>>前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。 この人が溜めてた【領地の財産】を
>>二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。  こうすることで劉備の評判を良くするとかなかなかできる事じゃないよね
と言うか屯田兵とか既に農徳新書で使われてるんでねーの?フジリュー太公望が鍬を振る動きと剣を振り下ろす動きは似てるとかなんとか言ってたし
そもそもこいつらは何なんだ?基本領主の土地を耕して戦争の時は兵士になる(命と稼ぎを搾取されるブラックと言うのもおぞましい何か)?基本は農民(耕した土地は自分のもの)で戦争の土地は兵士になる(そりゃ戦国時代の足軽だ)?
よっぽど裕福か騎馬民族に四六時中狙われてて常備軍で防波堤してるのでも無けりゃ平時の兵士の食い扶持稼ぐために元から領兵たちも土地耕してそうだが
兵農分離するってことは基本的に何の生産性もない存在を作るってことなんだが…そしてそいつらが食うための給料を領主が出す
前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)

どもです。
ちょっと間が開きましてすみませんです。


>>100
>【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】
かっこい!
この勢い的なものは本当に妬ましい

>>101
正直余計なことを言ったかもです。
まあ、金出すならルミナリエ的なものにも金出せよ!と思うのです。毎年資金難らしいし。


>>102
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うひょう。

>昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
たとえば殺人事件案件なら絶対そうなりますよね熊谷とかね

>前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)
劉備すげーできないからこそ、飛躍が必要なのです。多分。
正直平時の事務仕事ってすごい手柄とか無理ですもの。
そういうとこで飼い殺しにしたかったんですよ。

なお野心。

政権奪取より数か月。
賈駆は相国となった董卓の腹心として国政を思いのままにしている、と世間一般では思われている。
権勢をいいことに先帝に退位すら強い、権勢は留まるところを知らない、とされている。
だが勿論、実際はそうではない。
董卓を人質に取られ、最早李儒――或いはその背後――の操り人形に近しい。
朝廷の人員からは冷たい目で見られ、官僚たちからも面従腹背(サボタージュ)状態であるのが実際のところである。
それでいて、辛うじて政権運営が果たされているのは賈駆の有能さと勤勉さを示すものであろう。
とは言え、最早それは恐怖政治に近しいほどに成りはてている、あまりに不服従の過ぎる官僚は幾人かが見せしめとなっている。
それを見てまた官僚が反感を募らせるという悪循環を分かりながらも賈駆は止まることが出来ない。

そして更に扱いに困るのが禁軍である。
呂布、或いは張遼に押さえさせようとするも内部の政治的抵抗が激しく、ままならない。
だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。煩悶しながらも打つ手なく賈駆は摩耗していく一方である。
そんな時に来客が告げられる。
正直それどころではないと門前払いしようとするも。

「ここで李儒、か……。通しなさい」

ぎり、と歯ぎしりしながら賈駆は身なりを整え、軽く化粧して出迎える。

「あら、思ったより元気そうね。お仕事は順調かしら?」

くすくす、と笑うこの女を今すぐ縊(くび)り殺してやりたいとばかりに無言で賈駆は李儒を睨む。

「やだ、こわいこわいわね。そんな目で見られたら、やあね。うっかり手が滑っちゃいそうねえ」

にまりと何かを示唆しつつ李儒は笑う。蛇のような湿度に賈駆は改めて嫌悪を感じ、それを押さえ込む。

「何の用よ」

素っ気なく賈駆はもはや態度を繕おうともしない。どうあっても、何をしても事態は改善されないのである。目の前の存在に忖度しても自分がすり減るだけである。

「いえね。あまりにも貴女が大変そうでね。正直、色々と回ってないでしょう?
 いえね、よくやっているとは思うのよ、本当に。でもね。あまりにお粗末だから心配になってね。 
 多少なりとも助けてあげようかな、って思ったのよね」

「アンタに助けてもらうくらいならば今ここでアンタを刺すわよ。
 どうせボクでは無理だろうから、そろそろ武官でも呼ぼうかなって思ってるくらい」

「怖いわねえ。でもまあ、なんでだか私は嫌われているみたいだから。
 だから、貴女の助けになりそうな方を紹介しようと思ってね」

す、と手を上げる。それが合図であったのであろう。人影が姿を現す。

「何だな。この状況だと僕は悪者一直線なんだが……。
 もうちょっと話の流れとか、そういうものについて気配りしてほしいなあ」

苦笑しつつ姿を現したのは皇甫嵩。賈駆が取り逃がした漢朝の大物の一人である。

「な、なんで!アンタら、あんたらっ!
 そうか、そうか……っ!
最初から、つるんで、たの……ね!」

絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。

「そう思われても仕方ないけどね。まあ、経緯は置いておこう。そしてはっきり言おう。
 君らの統治は見ていられない。ああ、見ていられない。
 だからね、せめて禁軍の面倒くらいは見てあげようというのだよ。
 それで大分違うだろう?」

確かにそうだ、その通りだ。禁軍を皇甫嵩が押さえてくれるならば、相当賈駆も楽にはなる。
だが、それでいいのかと思う。それはいけないと思う。この、目前の男は信用してはならないと本能が警告してくる。
だが、それでも賈駆には選択肢はあってなきが如し。李儒が提示した選択肢をどうこうできるわけもない。それでも。

「まあ、思うところはあって当然さ。僕だって思う所あるしね。
 ただまあ、それで被害をこうむるのは、か弱い民たちさ。
まあ、ひとまずよろしくね。
 ああ、主上にもご挨拶しときたいなあ。頼まれてくれるかな?」

にこやかな皇甫嵩を苦々しげに賈駆は睨む。
だが、確かに、確かに皇甫嵩が禁軍を掌握するにつれて賈駆の負担は減っていったのである。
故に賈駆は皇甫嵩その人の真意は捨て置くことにする。

いや、それを深く考える余裕なぞなかったと言ってもいいであろう。
まさに忙殺、であった。

そして、それより暫し時を置き、時代を動かす人物が再び舞台に姿を現すことになる。
その報を受け、賈駆は項垂(うなだ)れ、皇甫嵩は舌打ちする。そして李儒はほくそ笑むのだ。

その無益さ。
それに気付くにはもう少し時が必要となる。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

今回は前回と合わせてなんかしたいですねというか、次からがいよいよなので区切りたいというか。

よろしくお願いします。

――目の前に広がるは曇天。今にも雨が降りそうな黒いそれは、今の漢王朝の行く末を思わせる。
どんよりとした空気は重く、湿っぽい。ひょっとしたら薄く雨粒が落ちているのかもしれない。それくらいに粘つく空気だ。
それでも、それでも俺はこうして生きている。だったら歯を食いしばってでも生きるしかない。前に進むしかない。

などと珍しくシリアスさんと仲よくして雰囲気に浸(ひた)っている俺に声がかけられる。いや、人間暇だとロクなこと考えねえってことさね。

「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」

あいよと軽く応えてどっからどうみてもごろつき寸前の男に手をひらひらとさせて持ち場を離れる。
今の俺は呂伯奢率いる商会の用心棒……ぽい感じで振舞っている。
呂商会は母流龍九商会がカバーできていない南皮から洛陽の北回りのルートを牛耳る商会だ。
その会頭たる呂伯奢と知り合ったのは俺が放浪している時にたまたま――って訳じゃあない。

「お呼びだそうで。入るぞ」

応えも聞かずに戸を開け、室に踏み込む。

「おや、お早いお着きだことで」

出迎えるのは着飾った妙齢の麗人。艶然と笑いながら俺を差し招く。優雅なその様は貴人のもの。漂う色香は成熟したそれであり、思わせぶりにしなをつくる。
まあ、普通に魅力的な麗人ではあるのだが、それどころではないのである。今の状況がね、それどころじゃないのですよ。

「うるせえよ。さっさと用件言えってば」

「つれないねえ。そんなんじゃ女にもてないよ……と言いたいところだけど、そうでもないみたいだしね。
 ま、いいさね。南皮までの道程に敵影なし。明日払暁に発つことにする。
 二刻もすりゃあ無事に我が家への帰還がかなう見込みさね」

くすり、と妖艶と言っていい笑みで呂伯奢――ええい、面倒だ。張燕がそう言う。
そう、俺が、俺たちが南皮までの道程を、身を任せたのは黒山賊であった。

「まあ、しかし驚いたよ。まさかアタシ達のとこに来るなんて思ってもみなかったからね」

艶然と、しかし苦笑気味に張燕は呟く。

「そうかい。お前さんがそうなら、他の誰にも読むことはできんってことだろうからな。そりゃあよかったよ」

洛陽を脱出した俺たちが身を寄せたのは薄汚い寒村。洛陽からほど近いそこは実は黒山賊の出先機関。
政局、機を見るに敏。その張燕は中央の動きには非常に高い関心を寄せており、いち早く動きを捉えるために村一つを買収していたのだ。
その、いわば隠れ里的なそれを俺が知っていたのは張燕に渡された一枚の地図。黒山賊のそのようなアジトを克明に記したそれのおかげだ。

「でもねえ、思わなかったのかい?アタシが、アンタたちを売る、ってことは」

挑発的なその言葉。
まあ、そうよねえ。でもね。

「ないね。生死を問わず、洛陽に俺たちを売ったとしたら黒山賊に未来はない。
 面目にかけて袁家は本気で黒山賊を討つさ。それくらいは自明の理。そんな選択をするかね」

張燕は、フン、と何か拗ねたように口を尖らせる。

「ああ、そりゃあ勘弁願いたいねえ。あたしゃ大きな博打は勘弁さね。
 一世一代の大博打に勝ったんだからさ、あとはこつこつと積み重ねていきたいものだよ」

そして、打って変わったようにけらけらと軽やかに笑う。
そう、そうだからこそ。それが分かっていたからこそ俺は黒山賊を選んだのだ。表面的には不倶戴天の黒山賊――実際は馴れ合いも甚だしいのだが――に身を預けたのだ。
それは成算あってのこと。張燕という女傑を高く評価しているからこそ、である。

「まさかに、黒山賊を率いる女傑がなあ。言行不一致甚だしいとはこのことだろうな」

「おやおや、アンタがそれを言うのかい。袁家という巨大な組織を牛耳るアンタがそれを言うかね。
 まったく。重ねて言うけどね。あたしゃ分の悪い賭けは大嫌いでね。アンタだってそうじゃないのかい?」

フン、と一つ笑って俺は言う。

「賭け事は、胴元に限る」

その言に呵呵大笑する張燕。いつぞやもこうだったな、と思い出す。
黒山賊の本拠地に身を寄せた時に、裂帛の気迫をひた隠しにしながら問われた時だ。

――曰く、アンタの目指すところはどこだ、と。

無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。隠居した後にあれこれ悩むのも面倒だから、世は平らかでないといけないと。
だから、俺はさっさとのんびり隠居したいだけだと。そのために色々やっていると。
いや、張燕みたいな麗人が呆けた顔というのは中々見れないから、ある意味眼福であったのだろう。艶姿の今よりもきっとね。

まあ、張燕が恐ろしいのはそれだけではない。いつまでも野盗なんかやってられないとばかりに母流龍九商会に目端の利く者を数十名送り込んできた。
そしてでっちあげたダミーカンパニーの呂商会。これにより直接物流に携わる。南皮から洛陽までの最短ルートはもともと黒山賊が押さえていたこともあり、これが莫大な利益を生む。
張燕がしたたかなのは、これを呂商会独占としなかったことだ。他の商会もそのルートを使う。ただし護衛料がマージンとして上乗せされるので、価格的優位性はダントツ。
野盗まがい、というよりほとんど野盗の集団であった黒山賊を、一部とはいえそうして使いこなし、十万とも言われるその数をきっちり養う。しかも合法的に。
その、ソフトランディングのための調整能力というか、統率能力というか、先見性に俺は感嘆しきりなのである。

「まあ、黒山賊と袁家は不倶戴天の敵だけどな」

ぴしり、とそれでも馴れ合うつもりはないと一応主張してもまあ、蛙の面になんとやらである。

「ま、固いことはいいっこなしさ。そら、一献」

いつのまにか手にした酒を、これまたいつのまにか掴ませた酒杯に注いで張燕はにんまりと笑う。俺もしょうがないから、笑う。

「そうだな。できることなら、長いお付き合いであってほしいね」

「おや、嬉しいことを言っておくれでないかい。そうだね、どうせならより親しくなっとくかい?」

むわり、と成熟した女の色気が俺を取り巻く。肌を重ねるか、と露骨に問うてくる。

「いや、俺は情に流されるからな。それはやめとく」

あらそうかい、と残念そうに身をひるがえす。

「ま、きっちり南皮まで送り届けてやるよ。姫さんたちと一緒にね。
 今後とも。どうぞお引き立てのほどを」

その言葉を聞き流し、思う。
明日だ、明日には帰れる。南皮に帰れる。
それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。

室に一人。

酒精を呷りながら、意識が混濁していくのを心地よく迎えて、沈む――。

◆◆◆

郭嘉は其の報を受け、走りだした。
それが真ならば、真ならば。
――郭嘉はそれほど身体能力に恵まれてはいない。いや、劣っていると言ってもいいであろう。
謀士なんぞにはそれほど価値を求められない世の中だ。彼女は大いに苦しんだ。
脳髄の冴えを誇ろうとも、武家に於いては枝葉末節。故に、約束された声望を捨て、流浪したのだ。
遠回りをしたように思う。結局今自分が仕えるのは袁家なのだから。だが、かけがえのない友人に恵まれた。

郭嘉は走る。既に脳髄には必勝の戦略が幾筋も出来上がっている。
だが、その根源を、前提を満たすための材料がまだ足りない。だから郭嘉は走る。脆弱な心肺が悲鳴をあげる。
その悲鳴すら弱々しく、ひゅぅ、と鳴る。それでも郭嘉は棒となった足を前に進める。そして夜明けの一番鶏を合図に開く城門。
そこに立つ青年を見る。

多少薄汚い恰好であっても見失うものか。全く。身を隠すならば得物くらいは取り繕うべきなのだ。
必死に呼吸を収めて、努めて平静に声をかける。

「お早い御着き、とは言えませんね。ともあれ、ご無事でなによりです。
 それでは、後ほどに。落ち着いたらご相談と承認を頂きたいことがあります」

踵を返す郭嘉に戸惑ったような声が追いすがる。

「え?稟ちゃん?ちょっとそれ冷たくない?久しぶりの再会なんだし、もうちょっとこう、反応があると思うの。
 あれ、稟ちゃん?稟ちゃんさーん?」

フン、と郭嘉は決して振り返らない。
その彼女の脇を弾丸と化した幼女――多分典韋だろう――が通り抜ける。
後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、やや遅れて駆けてくるのは、もう一人の親友。常山の昇り龍。

「おお、稟よ。主が帰って来たというのは真か?
 いや、これまでも幾度もそのような報はあったが。稟が動くということは今度こそは、という奴だな」

この、心根が真っ直ぐな親友になんと言ってやろうかと思うのだが。

「そうですね。どうやら今回は確かだったようです。どうぞ歓迎はお任せしますとも」

きっと、立場的にも、性質的にも、彼の横に立つのは武人であるべきだ。
誰にともなく言い訳しながら郭嘉は歩を進める。自らの責務を果たすべく。

反董卓連合。既に考え付く状況において袁家は最終的に勝利する。
それを郭嘉は確信するのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、
「凡人、還る」

ですけどもちっと色気あるやつが欲しいなあ欲しいなあ。
よろしくお願いします。

さて、大騒ぎです。南皮は大騒ぎです。
そりゃあそうよね。消息不明だった幹部が揃って帰還したんだから。
稟ちゃんさんとか流琉とか星とかは俺の顔を見たらそれで納得したけど、中枢の官僚はそうもいかないわけで。
呂家の馬車から麗羽様と美羽様が降り立った時のどよめきはすごかった。
いや、お二人の御髪というのもあるとは思うけどね。
それも、麗羽様の一喝で皆通常業務に帰っていった。流石麗羽様。オーラ半端ない。流石です麗羽様。さすれい。
今も動揺する領内安堵のため各方面に送る書状をしたためられている。

美羽様だって拙いながらも頑張ってらっしゃる。具体的には如南の動揺を抑えるために色々とご尽力されてらっしゃるのだ。
なんでも、如南攻防戦で功のあった奴らに書を出すそうだ。十傑衆に、四十七士、かあ。十傑衆の中に沙和の名を見て愕然としてしまったのは内緒だ。
七乃は張?に引き継ぎをしている。

「……聞いているのですか?」

稟ちゃんさんが俺に冷たい目線をくれる。ありがとうございます!ありがとうございます!という性癖はないので、普通に謝る。ごめんねって。

「ああ。風から聞いてたから、な。反董卓連合。それに異はないさ。ないとも。
 だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」

俺の言葉に怪訝そうに稟ちゃんは聞いてくる。

「何故です。純軍事的に、敵に二正面作戦を強いるのは有効ですよ?
 しかも董家軍に将帥少なく、その効果は計り知れません」

確かにそうだろう、そうだろうとも。

「稟ちゃんさん、よ。勝ちゃあいいってもんじゃあないんだよ。
 袁家が本腰を入れるんだ。勝てばいいってもんじゃあない。
 つまりな。
誰が漢朝を背負うのか。ここからは、それを問う戦いになるのさ。
 だからね。有力諸侯だけじゃない、全諸侯に使者を放て。
 敢えて言えば、そうだな。お前らはどっちに与するか、ってね」

――ショー・ザ・フラッグ゙!

「こっから先は漢朝全土を相手取るくらいの意気込みでないといかん。
 そして、袁家は勝者でないといかん。勝たねばならんのさ。色々とね。
 そして、勝つ算段は任せるよ」

「さて。ご信頼はありがたく、確かに。
 しかし、いいのですか?賈駆殿は……」

情を通じた愛人だろう、と鋭く俺の心を抉る。

「……。詠は、詠ちゃんは、さ。優先順位を間違えない。きちんと大事なものを選べる子だ。
 だから、月を選んだ。だったら、そういうことだ。そういうことさ。
 何度やっても同じ選択をする。そういうこと、さ」

ああ、そうだ。そうだろう。きっと月を誰かに人質に取られたとかそういうことなんだろう。
だとしても、俺にも譲れないものはある。大事な人がいる。だから。

「では、諸侯に檄文を発します。既に草稿は陳琳に作らせていますので推敲をお願いします。
 ……それでよろしいのですね?」

「ああ。脅し付けろ。どっちにつくか、選ばせろ。兵を出せないならば銭か物資を拠出させろ。
 従わない奴らは……。まあ、勝ってから考えよう。精々見せしめにしてやろう。
 単に勝つだけじゃない。逆らう気を起こさないくらいに徹底的に勝つ」

無論、圧倒的な戦力を見せつけるのは敵というよりは。

「諸侯に見せつける。袁家の武威をな。
 そして、勝つ。無論、勝つ。
洛陽にて暴政をする董卓を討つのは袁家だ。
 そこんとこ、よろしく」

「承りました。なるほど、董卓は暴政を敷くのですね。
 ええ、風が洛陽に残るというのはそういうことなのでしょう。董卓の治世は、荒れるのですね」

フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。やるのだろう。
俺にだって思うところはある。あるのだ。

「――雷薄が、やられた。奴の下に付けてた若手もそうだ。みんなだ。
 袁家の次代を担う奴らが死んだんだ。皆死んだんだぞ。
だからさ。
 袁家を敵に回すってことはどういうことかを、示さないといけない。いけないってことだ。
 ああ、そうだな。それでこそ破邪顕正ってもんだ」

「……よろしいでしょう。なれば袁家の総力戦、ご相談申し上げます。ええ、ご相談申し上げますとも。
 勝つのみにあらず、大いに結構。大いに結構ですとも」

「……頼んだ。頼む」

心から、頭を下げる。負けられない。負けてはならない。その思いが今更背を貫き、身を震わせる。

――おずおずと伸ばされて、俺を包んだその手は思いのほか、温かかった。

◆◆◆

「まあ、ご無事でなにより、と言わせてもらいましょう」

沮授の言葉を聞きながらぐびぐびとお酒を頂いております。いやあ、美味しい。
沮授と張紘。俺の半身とも言える義兄弟。多忙極まる中お時間いただきまして恐縮でございます。あれ、半身が二人いたら俺、いらなくね?とか言ったら、流石にそれは笑えない。と冷たい視線が来た。
すまぬ。

「ほんと、これで沮授なんか相当狼狽えてたからな。いや、勿論おいらもだけどな。
 二人揃ったら辛気臭いことこの上なかったみたいだぞ」

マジか。お前らが鬱々としているなんて想像もつかんのだが。

「それで、陳琳殿に檄文を書かせるんだろ?概略は二郎が指示したって聞いたが」

――反董卓連合。それに参加を呼び掛ける檄文は陳琳に任せている。そしてその骨子は俺が指示した。
とは言え、それはこれしかないというもの。

「君側の奸を除く。それしかないだろうさ」

漢王朝に叛くのではない、佞臣を除くための蜂起なのだ。陳腐ではあるが、それしかないとも言える。

「――二郎君はそれでいいのですか?」

「いいも悪いもない。やらなけりゃあ、やられる。それだけさ」

「そうですね。益体もないことを言ってしまいましたね。ですが、二郎君の本気度が分かってよかったですよ。
 そして、袁家と相対するならばその最大の敵を動員するはずでしょう、彼女ならば。
 ええ、そうです。匈奴と結び、けしかけるでしょう。僕ならそうします。そうしない理由がない。
 かなりの譲歩に利権を提示してでもそうします。それほどまでに匈奴は、強い」

ああ、そうだろう。俺だってそうするよ。袁家と対するとしたら外患を招いてでも牽制せんとまともな勝負にならない。
だが、そうはならない、そうはさせない。

「袁家の戦力、武家四家を洛陽に向けたならば確かに匈奴からしたら好機だろうさ。だが、そうはさせない。
 沮授に留守番は頼むけど、丸投げはしない。
 袁家の総力を挙げるって言ったろ?なりふりかまわないって言ったろ?
 だから、さ。ここが勝負どころなのさ。匈奴、なにするものぞ。
 出し惜しみはしない。俺が頭を下げればなんとでもなる……と、思う……」

多分。なんとかなると思う。なれ。なってくだしあ。

「そうかい。二郎がそう言うなら、きっとそうなんだろうさ。
 おいらたちだって二郎の助けになるからさ、何でも言ってくれよ」

勿論、頼りますとも。特に張紘は俺の計画の中枢だってーの。
まあ、それはともかくである。
やれることはきっちりやる。やるよ。やるとも。
だから、さ。

「匈奴への備えは一番の懸案事項だ。洛陽に向かうは袁家の旗本、そして武家四家総出だ。
 後背が無防備なんて、匈奴にとってはいい狩場さね」

「まあ、二郎君がそこまで言うのです。
 期待してますよ、腹案とやら」

「まーかせて」

最も信頼する二人に頭を下げ、戯れ、前後不覚になり。
そして向かうは英傑なのだ。
真正面から臨み、頭を下げる。願う。吠える。そして叶う。
 ありがとうございます。

◆◆◆

――田豊、麹義。袁家の至宝。
両名現役復帰。袁家の、漢朝の北方の護り手となる。

本日ここまですー感想とかくだしあー

いけてる題名募集しまくりんぐですよ本当に!

案はなんだろ

「ここから始まる」
「総力戦」

ほんといまいちなのでよろしくお願いします。

>>105
乙なんだよー

【巡りし毒】かね、シンプルに。

>>114
こっちは【両翼、再び】

乙でしたー
>>104
>>「やだ、こわいこわいわね。 ちょっと違和感が
○「あらやだ、こわいこわい。 それとも【「いやだわ、怖いわね。】とかどうでしょう

>>だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。 そうだ!敵対してる李儒に紹介された皇甫嵩に任せよう! …なんて冷静で的確な判断力!!本能が信用してはいけないと警告してるし多分理性でも任せてはいけないとなってるけど…KOOLに判断するんだ

そもそもせっかくの悪名を使わないのがイカンよね…先帝(無能)とか何進(成り上がりの肉屋の倅)はまだしも元直属の上司の馬騰さんを殺した時点で恩義やら情理で思いとどまる人と認識されるわけないんだから
董軍をさっさと集結させて禁軍に踏み絵させて洛陽にある馬家の屋敷辺りでお焚き上げしなきゃだし、皇帝が代替わりしたんだから洛陽に住む文武百官で謁見して来ない奴の家は打ちこわししてきた奴らを接待してるうちに家宅捜索もしなきゃだし
言ってはなんだけど大恩ある馬騰さんやら袁家の将を無意味に殺した以上有象無象を殺す事に有意義さを求めちゃ筋が通らん…目についた、くらいの理由で適当に殺して恐怖政治しなきゃ

さて続きを
>>107
>>「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」          誰だっけ?と思ったら曹操にイチャモン付けて殺されたと噂の人か
○「旦那!あね……呂伯奢(りょはくしゃ)様がお呼びだ――ですぜ!」  普通に名前読めるかどうか微妙なんで振り仮名ふっといた方が良さそうかな
>>108
>>無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 ここは問いかけに対してなので
○無論、答えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 《問答》としてこっちかな?《あんたは世を泰平に出来るのか?》と問われたなら《できる》と応えてもよさそうですが
>>それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。 これだと【どうするかは決まっている。でも(本当は)それは許されない】みたいに読めるので
○それから、どうするんだ?気は進まない。でも、それは許されない。決まっている。 それとも【決まっている。気は進まない。でも、それは許されない。】の方がいいかな?
>>109
>>後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、 音響は響くものだからこれだと所謂頭痛が痛いみたいな
○後方でドゴォ!と微笑ましい音が響き、  もしくは【音響が上がり、】とかどうでしょう

近くにいるはずの本来の主の袁紹様にも声をかけてあげてw二郎ちゃんだけにお帰りって言ってさっさと踵返すとか女なら大体察しちゃうゾ
そもそもお帰りを一番に言うためだけに走ってるのもどれだけの見回りに目撃されたやらwww

肺炎とか怖いなーとづまりしとこ
>>111
>>だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」  そういえば函谷関(かんこくかん)も振り仮名あった方がいいか?
○だが、馬家を函谷関に向かわせるのは無しだ」  【話だ】と読み間違えたりするかな、しないかな
>>112
>>フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。 風がそうすることは二郎ちゃん分かってたよね?自分から「董卓の治世は荒れる」って言ったし
○フン、と応じるしかない。そうさ、風ならばそれを果たすだろう。 もしくは【そうだ、】の方がいいと思います

実際なあ【愚帝】、【肉屋の倅】、【戦争狂】まではぎりぎり対外的に無力化の言い訳が立ったのに…馬騰さんに張遼ぶつけるしか無かったとはいえ袁家に無名差し向けたのは…いっそ自分が交渉に行くか何進殺したら返す刀で呂布に陳宮と代わってもらって陳宮を袁家に向かわせれば
それにしても今回は張燕さん大分色々と得られたな…まさか二郎ちゃんに「抱いたら情がわく」とまで言われるとは。
何時二郎ちゃんが自制を辞めて黒山賊ブッコロになるかとか、漢王朝と完全敵対したら漢王朝への兵力増強の言い訳に使ってたけどこれでもう言い訳する必要もねえ!からの不倶戴天ルートを常に考えてただろうに
そして次郎ちゃんの恐ろしい所はこれを本気で言ってるけど同時に情を交わした詠を悪名かぶせて殺すと喧伝することよ…
張燕なら当然二人の関係も、董卓の治世も、今回の裏側も、大体辺りを付けれるだろうし…下手したら梁剛さんの件も知っててもおかしくないよね
二郎ちゃんのこの公私のバランス感覚があるからこそ張燕もここで袁家に張ったんだろうなあ…

間違えた…辺りを付けるってなんだよ。当りを付けるだわ

さて、ここから月詠生存ルートを考えなくては…顔がつぶれた女性の死体を董卓だってことにしてつるし上げるか。丁度素材に使えそうな奴もいることだし
問題は董卓たちの顔を知ってる相手か…義勇軍擬きはまだしも曹操がなあ。借りが高くつきそうだし

風邪引いてしまいました
回復したが抵抗力が落ちている
食べて寝ような日々でした(言い訳)

>>115
どもです。

>【巡りし毒】かね、シンプルに。
これは良案。よき。

>こっちは【両翼、再び】
シンプルでよきです。ほむ。

>>116
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

> …なんて冷静で的確な判断力!!本能が信用してはいけないと警告してるし多分理性でも任せてはいけないとなってるけど…KOOLに判断するんだ
草不可避w
KOOLはpowerワードですねほんと。

>そもそもせっかくの悪名を使わないのがイカンよね…先帝(無能)とか何進(成り上がりの肉屋の倅)はまだしも元直属の上司の馬騰さんを殺した時点で恩義やら情理で思いとどまる人と認識されるわけないんだから
ぐうの音も出ないとはこのことですね!その通りですわ。

>言ってはなんだけど大恩ある馬騰さんやら袁家の将を無意味に殺した以上有象無象を殺す事に有意義さを求めちゃ筋が通らん…目についた、くらいの理由で適当に殺して恐怖政治しなきゃ
それを思っても、出来ないのですよね。
やってもうた感

>>117
>二郎ちゃんだけにお帰りって言ってさっさと踵返すとか女なら大体察しちゃうゾ
なるほどですね。でも稟ちゃんさんのいっぱいいっぱい具合他を結果として匂わせることができているということでひとつ
>そもそもお帰りを一番に言うためだけに走ってるのもどれだけの見回りに目撃されたやらwww
こっちが本命でしたw

>肺炎とか怖いなーとづまりしとこ
奈良、名古屋、札幌!ジェットストリームアタックをかけるぞ!

>実際なあ【愚帝】、【肉屋の倅】、【戦争狂】まではぎりぎり対外的に無力化の言い訳が立ったのに…
詠ちゃんは謀略を夢想しても実行するとへたれる。はっきりわかんだね。ということで一つ。

>それにしても今回は張燕さん大分色々と得られたな…まさか二郎ちゃんに「抱いたら情がわく」とまで言われるとは。
流石張燕さん考察の第一人者。その視点はありがたいのとなるほど感ありました。やったぜ

>同時に情を交わした詠を悪名かぶせて殺すと喧伝することよ…
やっぱり張燕さん安心できないじゃないですかーやったー

>二郎ちゃんのこの公私のバランス感覚があるからこそ張燕もここで袁家に張ったんだろうなあ…
張燕さん、お気づきかもしれませんが大好きなキャラです!

はあ、と大きくため息を漏らし、ずびりと茶をすする。うん、まずくないけど美味しくもない微妙な味。ごくごくと一気に乾す。
うん、これだよこれ。これを飲むとなんか安心するのだ。うん、つまり陳蘭が淹れてくれたお茶である。
ぼへ、とぐったりしている俺に何か言うでもなく、まったりとした時間が流れていく。
それが何と言うか、とても落ち着く。だから、ちょっと甘えてみたくなる。

「雷薄が、逝ったよ。あいつ、結局孫の顔を見ずに、さ。
 馬鹿だよな。意地張らずにさっさと会っとけばよかったのに」

悪態を、吐く。そして
手招きを一つ。
ぎゅ、と陳蘭を抱き寄せる。柔らかい感触が、落ち着く。
黙ったままの陳蘭の――ちょっと低い――その体温に落ち着く。

「詠と、月と、さ。事を構えんといかんことになった。
 まあ、色々あった。色々あったんだ。
 少し、疲れた。流石に、堪えた」
 
詮無い愚痴を垂れ流す。誰にも言えない。こんな俺は誰にも見せられない。
だって俺の背には袁家が、幾万の兵が、幾百万の民がいるのだから。

「賈駆さん、でしたっけ」

うん、と頷いて陳蘭に抱きしめてもらう。
背を撫でられる感触が、とても落ち着く。

「私、頭よくないから二郎さまに気の利いたこと、何も言えないです。
 でも、ずっと、ずっといっしょです。
 それに、ご無事でよかったです……。
 心配しました。とっても、とっても心配しました」

きゅ、と。
ふと気づくとその身体は細く震え、双眸からはぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。

「もう、離ればなれは嫌です。お傍に、置いてください」

ぐ、と抱きしめる。手にした温もりが懐かしく、愛おしい。

「無論だ。賽は投げられた。これからは決着の時さ。
 でもさ。
……やっぱ陳蘭が傍にいないと調子が出ないんだなって」

お前がいないとダメだなんて言える相手はやっぱりこの子だけなのかもしれない。
みっともないとこを見せ、見られ、愚痴を垂れ流し、弱音を吐く。
この子の前ならそれが許される。

「当たり前です。わたし、二郎さまよりお姉ちゃんなんですから」

涙と鼻水でくしゃくしゃな顔で、それでもとびきりの笑顔で得意げに笑う。
今は、今夜だけは甘えよう。
幼子(おさなご)のように身を寄せ合い、傍らの温もりに安心し、俺は意識を手放す。
明日からは、頑張るから。明日からはみっともないとこ見せないから。そう誓いながら。

ただいま。

――おかえりなさい。

本日ここまですー感想とかくだしあー

前回、前々回合わせての投稿が納まりいいかな

今回は、今回のみならば
「お帰りなさい」
かなって

イイ感じのやつ、オナシャス

それはそれとして、皆様、移動時はマスク着用オナシャス

乙でしたー
今回は直し無しかな…

まあ弱音を吐ける相手って言うなら祖授張紘もいける気もするけど…あと程立も大徳に当てられた時に助けられたし黄巾潜入の時も…
このいい意味で空気のような、二郎の体の一部のような一体感…幼馴染は負けフラグなんて言わせねえな

と言う事で遡って誤字報告を一つ(ォィ
>>凡人の事業計画
>>だからと言って食べる量を減らすなんてのはナンセンス。 《乱が起きる理由は?》→《ひもじいのが嫌だから》で、答えがこれだとそれひもじいですやん!?
○だからと言って食べる口を減らすなんてのはナンセンス。 100の食料を100人で分けるよりは100の食料を10人で分けた方がお腹いっぱいになるよね!というのはナンセンス、という意味ではこれかな?もしくは【食べる人】でも良いかな?

最初の>>30くらいまでの所はノータッチしてたんですね、探せばまだあるかな…

なんか小説推敲支援ソフトなるものがあるらしいずぃ

ttps://crocro.com/pc/soft/novel_supporter/

>>123
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

そしてやったぜ。超久しぶりじゃないでしょうか。やったぜ。
いやまあ、短いからね、分かって増すとも。

>まあ弱音を吐ける相手って言うなら祖授張紘もいける気もするけど…
愚痴ならなんぼでもいけますけどね、やっぱ見栄ってのもあるというか、その二人に弱音はマジ窮地

>あと程立も大徳に当てられた時に助けられたし黄巾潜入の時も…
醜態見せてるからこそ、というか陳蘭ちゃんが特別なのやで、ってことで一つ

>このいい意味で空気のような、二郎の体の一部のような一体感…幼馴染は負けフラグなんて言わせねえな
大勝利Vやねん

>>124

>と言う事で遡って誤字報告を一つ(ォィ
きゃあ!
勘弁してください
もしくはあっちで指摘してくださったらぽちっとボタン一つで修正されますので一つ
り、リソースは有限なので……っ!

>>125
そういうのもあるのか。

まあ、勢い任せなのでそういうの導入してみてもいいかな。
ワードのチェック機能と比べたらどうなんでしょ

乙です。
陳蘭さんの癒し愛人感が半端ない。『陳蘭ハンパナイ』
ホンマ、離したらあきまへんえ。子供でけたらちゃあんと認知して籍入れて養育費の面倒は見るんやでぇ(なんちゃって京言葉)
こんな彼女も前線にかりだした鬼畜がおるけどね(紀霊dis)

絶対二郎ちゃんは権力で陳蘭さんの縁談破壊しまくった過去があるはずだ(決めつけ)

続き期待です。それとごめんなさい。

>>127
どもです。

>陳蘭さんの癒し愛人感が半端ない。『陳蘭ハンパナイ』
ありがとうございますー!うひひ。
癒やし愛人、いい表現ですねえ。まさに、って感じです。

>ホンマ、離したらあきまへんえ。子供でけたらちゃあんと認知して籍入れて養育費の面倒は見るんやでぇ(なんちゃって京言葉)

実は死亡フラグ満載の子でしたがなんとかかんとか生き残っております。

>こんな彼女も前線にかりだした鬼畜がおるけどね(紀霊dis)
だ、だって奥向きのことでできることあんまりないんす、多分

>絶対二郎ちゃんは権力で陳蘭さんの縁談破壊しまくった過去があるはずだ(決めつけ)
ここだけは我が儘に我を通しそうですね、互いに

頑張りまする

基本的に破壊する前にそもそも発生しないようにしている。に一票
戦わずして勝。これぞ絶対勝利の法則よ

陳蘭さん出てくると
テレサ・テンの歌が脳裏に流れてくるんだが

>>129
どもです。

>基本的に破壊する前にそもそも発生しないようにしている。に一票
>戦わずして勝。これぞ絶対勝利の法則よ
ほむん
確かにまあ、あれだけ幼少期からイチャイチャしてたら周りは察するでしょうねw

>>130
どもです。

>陳蘭さん出てくると
>テレサ・テンの歌が脳裏に流れてくるんだが
出会いは誰より早かったからセーフw

時の流れについては、キャラロスト時のBGMですねわかりますん
ロストイベントは前も書いたかもしれませんが、最初期に既に完成されておりました

> 時の流れに
花の名前の戦艦の二次SSを思い出した
二次創作読むきっかけになった作品でした

袁家よりの檄文はあまねく諸侯に届けられた。
無論、北方において対匈奴の盾としてある公孫にもそれは届いている。
むしろ事前に、袁紹以下が帰参する前にも打診があったほどだ。それに応じるために準備は整えていた。
北方の備えをしつつの参戦。そう、黄巾の乱の時でも公孫賛は全力を出してはいない。

「はは、やっぱり麗羽も二郎も無事だったか。さもありなん、だな。
 あいつらがそんなに簡単にくたばる訳がないんだよ。
そんなこと、私は知ってたけどな!」

「ご高説勇ましくお見事。
不安げにあちこちと、うろうろと彷徨う姿。
それは行く宛のない迷子のようであったと記憶している。
だが安心してほしい。こと、ここに至って、だ。
そのようなこと、誰にも言うつもりはない。士気に関わる案件であるのを私は理解している。
 涙目で私にあれこれ弱音を吐いていたのも――」

 淡々と述べる韓浩の言葉に、公孫賛は悲鳴と抗議の声を同時に発する。

「うわあああああああ!言うな!忘れろ!忘れてくれー!」

まあ、こんなものかと韓浩は追及の手を収める。
なに、仮の主の平常心を取り戻させるのもお役目というもの。
ぜえぜえと呼気荒い公孫賛を見やり、頷く。これでこそだ、と。
それはそれとして、だ。
韓浩はぎり、と歯を噛みしめる。常になく、額に皺が寄る。

「ま、まあ、そのなんだ。黄巾の時と同じく留守は任せた」

いささか想定よりも消耗した感のある公孫賛の言。それに韓浩は首を横に振る。
決意を胸に。
言説は相変わらず淡々としているが。

「それには及ばない。今回は私も参軍する。させてもらう。
 田豊、麹義の両名の武威で匈奴の蠢動は抑えられる。これは確実。
 なれば戦力の分散は愚策というもの」

淡々と語る韓浩。
だがしかし、公孫賛はそこに隠しきれない熱を感じ取った。感じてしまった。

「いや、韓浩が参軍してくれるなら百人力だ。実際、ほんと、助かる。
 でも、有利不利じゃなくて、理由があるんじゃないか?」

公孫賛の言葉に韓浩は言葉を選び、それでも言う。言うのだ。
常になく、ほとばしる。

「雷薄どのが、討たれた。紀家の宿将である雷薄どのが。だ。
……実際、小生意気な小娘でしかなかった私だ。それなのに何くれとなくよくしてくれた。
 常々、恩義は返さねばと思っていた。
 そう、雷薄どのが討たれた。討たれてしまった。
それについて、いささか以上に思う所がある。

 ――参軍の許可を」

素直じゃないなあと公孫賛は思う。
恩人が志半ばに討たれた。だから仇を。
実に普通の話なのに。

「いいさ。韓浩が来てくれるなら、千人力だ。見せてやろうじゃないか、公孫の武威を。
 董家軍の騎兵も武名あるけどな、白馬義従も捨てたもんじゃない」

頷く韓浩の肩を抱き、公孫賛は笑う。
この無表情で無愛想な腹心――借り物ではあるが――の思いは無駄にはしない。するものか。
準備は万全。高らかに公孫賛は命じる。

「白馬義従、出るぞ!」

漢朝騎兵の最精鋭一万、洛陽を目指して出撃。

◆◆◆

くすり、と曹操は艶やかに笑う。
これでなくては、と軽やかに笑う。

「ふふ、そうよね。そうでなくてはいけないわ。麗羽、二郎。
 まさか董卓に捕えられるとは思っていなかったけども。
 正直、心が躍るわ……」

身体も、火照る。
艶然と笑う。きっと失ったものの大きさに身を震わせ、それでも前を向いて進むのだろう。
その覇気、意思の力を思うほどに曹操の官能は刺激される。

「か、華琳様!御身はかけがえのないもの!
 ここは戦力の温存もあるべく――」

ぎろり、と曹操は腹心たる荀彧を睨む。興醒めなことを言うなとばかりに。

「いい?桂花。
 私はね、この中華。盗むよりはね」

奪いたいのよ――。

そう。であるからこそ袁紹の発した檄文。
それが描く反董卓連合の絵図。
それが示す、強いる選択。董卓が牛耳る漢王朝を選ぶかどうか。
……いや、これは選別の儀式に近いのだろう。

「ふふ、面白くなりそうだわ」

なに、面白くなければ面白くするだけのこと。

曹操。
紀霊が最も警戒する英傑が見据える未来は定かならず。
ただ、その覇気は比類なきものであった。

曹家軍、洛陽に向け出陣。

総勢一万の大軍。いずれも精兵。

◆◆◆

「桔梗さんは益州に帰らないの?」

馬家は既に軍を発している。そこに届いた袁紹による檄文。それに応じて馬家は函谷関を大きく迂回して反董卓連合への合流を目指す。
ちゃっかりと言っていいかもしれない。同行する厳顔に馬岱は不思議そうに問いかける。

「うむ。劉璋殿が囚われているのでな。益州劉家は動かん。じゃが、此度の戦に我が主は注目されておる。
 故にまあ、生き恥を晒しながらもこうして同道を願っておるというわけじゃ」

にまり、と口を歪める厳顔の心根を読めるほど馬岱は人生経験が豊富ではなく、それに思いを馳せるほどに智謀に自信もなかった。
故に、そういうものとして受け入れる。おかしな動きをすれば、その時はその時である。
戦場は千変万化。ならば目の前の事象を受け入れ、動くのみ。ましてや馬家当主たる馬超が決を下したのだ。それを支えるのが役目と馬岱は心得ている。
それをずっと、物心ついた時から期待されていたのだから。
それを疎かにしては敬愛する叔父に顔向けができないというものである。

「しかし、本当に韓遂を北方の護りに充てるとはのう。いやはや、たいした肝の太さじゃ」

揶揄したような口調。それに乗らずに馬岱が応えるのはあくまで飄々。

「んー、たんぽぽはいつでも本気だよ?韓遂さんが何かしたら、洛陽を落とした後に取って返す。
 そして今のお姉さまは無敵だよ?
 ねえ?」

これまで無言で馬を進めていた馬超がうっそりと応える。

「……誰だっていい。立ちふさがるやつは切り捨てる。それだけだ」

馬岱は苦笑する。馬超本来の闊達さは見る影もない。だが、こちらの言に受け答えするだけましになったと。
そして目にしたならば、牽制にはもってこいである。

「おお、怖い怖い。
今の馬超殿の前に立つ輩には憐れみすら覚えるのう」

茶化す厳顔の言葉にも馬超は眉一つ動かさない。

「ああ、そうさ。父上が死んだんだ。それ相応の報いはくれてやる。くれてやるとも。
 ――殺してやる」

いささか、いれこみすぎかなと。
馬岱にも思うところはあるにしてもこれはいひどい。

「……まあ、二郎さんがきっとその場を準備してくれるよ、ね!お姉さま」

意識して馬岱は馬超の意識を誘導しようとするのだが。

「二郎……。そうか、あいつも、狙われたんだな……」
「そ、そうだよ?だから、ね?」
「あいつは助かって、何で父上が……!」

その言に馬岱は顔を引きつらせる。しまった、話の持って行き方を間違えたかと。

「き、紀家の宿将の雷薄さんを……。ううん、それより、許せないのは董卓だよね、お姉さま。
 特に張遼なんか、あれだけ目をかけられてたのに、さ!
 ――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用ならば相当な遣い手だよ?」

慌てて矛先を逸らす。かつての盟友に。

「――は!少しはやるかもしれないけどな、叩き潰してやるよ」

にまり、と厳顔は内心ほくそ笑む。
どうやら益州に鎮座する主に色々と面白い情報が届けられそうだ、と。

――反董卓連合、一枚岩にあらず。

◆◆◆

「穏、どうしたものかしらね」

袁紹より届いた、その檄文を手に孫権は腹心の陸遜に問う。
既に沮授より内々に出兵の打診……というより要請があって後のこと。
既にある程度出兵の準備は出来ていたので特に混乱はないのだが。

「そうですねえ。陣構えをもうちょっと豪華に、派手にしてもいいかもしれませんねえ。
 どうせこうなっては勝つのは袁家ですし」

既に袁家の勝ちを確信した陸遜に孫権は問う。

「――穏も袁家の勝ちは揺るがないと思うの?」

検算する。

「無論。負ける要素はほぼありません。
で、あればここは全力で袁家に張るべきかと思いますねぇ~。
 長沙の太守の座すらまだおぼつかない孫家。声望が今は何より欲しいところです。
 そうですねぇ。もっと言えば」

荊州を頂けるくらいには活躍してみせましょうかと。

「――なるほど。いずれ劉表殿は益州に赴くと。
そしてその後釜には袁術殿が宛てられる予定だった、と。
 だけれども彼女は皇后となる身。空白地となりかねない荊州は確かに狙いどころね。
 あまり欲張っても仕方ないし、そこを此度の目標としましょう。
 ただ、それにはそれなりに手柄を挙げないといけないわね?」

陣構えはどうするのかと孫権は問う。

「まずはいかに此度の出兵に力を入れているかということを示すためにも、蓮華様にご出馬願います。不肖私が補佐を。
 そして副将にはシャオ様。その補佐には孫家最強の……」

「思春ね。確かに江賊上がりの思春の声望を上げるには絶好の機会。
 当然明命も連れて行くわよね。守りは祭がいれば大丈夫でしょう。そうね、亞莎もそろそろ責任ある立場で経験を積むべきだものね。
 でも、シャオまで連れて行くとなると、万が一の時が困ると思うけど」

一つ考え込んで孫権は眉を顰める。

「だからいいのです。それくらい大きく賭けるべきです。そしてシャオ様は袁術殿と懇意。なれば……」

それに孫権は得心する。

「そうね。袁術殿は皇后、いずれ国母となるべきお方。
なれば此度の仕儀に心を痛めているはず。
 シャオは当然お慰めするでしょうね。となれば。袁術殿と孫家の繋がりを諸侯に知らしめることができる。
 ……江南の一豪族と侮られることもなくなるわね」

無論、それだけではない。孫尚香は兵卒に絶大な人気がある。天真爛漫なその言動だけではない。
実際、兵を操るのも末恐ろしいくらいに巧みなのである。或いは瞬間の判断においては孫堅をすら凌ぐかもしれない。
よろしいとばかりに手を打ち、孫権は陣構えを命ずる。

「孫家百年の計はここより始まる。
 穏、頼りにしてるわよ」

「無論、お供いたします。ええ、二郎様にいいところ見せちゃいましょう!」

「じ、二郎は関係ないでしょ!穏!」

軽やかに主の怒気――とは言えぬほどのたわいもないものだが――を躱しながら陸遜は笑う。
いよいよ、戦場でまみえることになるのだ。
あの男は、いかなる絵図を描いてくれるのだろうか。いっそ敵でないのが残念なほどに心は昂ぶる。

褥での睦み合いを脳裏に思い浮かべ、陸遜は人知れず艶然と笑うのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあ

題名案については、

「鏑矢」

ですが、いまいちなのでオサレなやつオナシャス
オナシャス

頑張る。今を一生懸命頑張るんや。なのでガソリンをオナシャス。
前に進むために。前に。

乙でしたー
>>135
>>馬岱にも思うところはあるにしてもこれはいひどい。 最近はこういうケアレスミス以外は減ったなあ、と感じたり
○馬岱にも思うところはあるにしてもこれはひどい。  違和感を感じたり、胸先三寸で決まったりしなくなったよね
>>――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用ならば相当な遣い手だよ?」  固い感じが違和感を
○――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用なら相当な遣い手だよ?」   喋り言葉としてはこの方が良さそうかな?
>>にまり、と厳顔は内心ほくそ笑む。 顔に出ておりますぞ厳顔殿!内心が隠せておりませぬぞ?
○厳顔は内心ほくそ笑む。      それとも【にまり、と厳顔は内心の笑みを隠しきれない。】とかかな?

雷簿さんやっぱり慕われてたんやなあ…いったいどれだけの兵卒が雷簿がつき従ってるからこそ二郎に忠誠を誓ったことやら
韓浩のこれほどの激情は二郎にまだ帰りたくない、と言った時以来か?イライラで言うなら桃色の時に静かに燃えてただろうけど
さて…ここはあえて荀彧を評価してみるか。状況から言って曹操が参銭しない理由はないのにあえて止めに回ったのは【艶然と笑う】ほど猛ってたから落ち着かせたのかね
夏候惇は一緒に燃え上がるだろうし夏侯淵もこの状況だったら止めることは無いだろうからここで曹操を落ち着かせられるの彼女くらいなのよね
昔の曹操しか目に入らないようなネコミミだったら曹操の怒りを買うことを恐れて忠言なんぞしなかったろうし(しなくても大きな問題は起こらないだろうし)むしろ【艶然と笑う】曹操にうっとりしてたかもしれんな
ところで馬超さん的には【上司を裏切って切り殺した董卓】と【上司を置き去りにして逃げ出した厳顔】を重ねて嫌がらせ(温和な表現)したりしない?
あの場(洛陽)にいたのに生きてるって意味では二郎と一緒やで
孫家は…凄い良い所を上手く突いてくる感じがw公私を無理なく両立させてると言うか…私的な利益と公的な利益を一挙両得してるね。多分尚香も生死不明を聞いたときはガチで助けに行こうとしただろうし今回も裏表無く無事な袁術に抱き着く、いや、裏も表も合わせて袁術の無事を喜ぶか

そういえば
>>133
>>「それには及ばない。今回は私も参軍する。させてもらう。 他でもいくつか使ってますが>>【参軍】軍事についての相談に関係する こと。軍の計画に参与すること
○「それには及ばない。今回は私も参陣する。させてもらう。 なんとなく違和感があるので>>【参陣】陣営に参着すること。軍陣に 加わること。 の方が良さそうかな?

【参軍】だと軍師っぽいと言うか、後方支援とか兵站管理とかでも良さそうかな?【参陣】だと轡を並べると言うか共に戦場に向かう感じがする

>>138
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>最近はこういうケアレスミス以外は減ったなあ、と感じたり
い、一応自分でもチェックはしてるんですがやはり目が滑りますw

>雷簿さんやっぱり慕われてたんやなあ…いったいどれだけの兵卒が雷簿がつき従ってるからこそ二郎に忠誠を誓ったことやら
あの韓浩ですら恩義を感じてたくらいですからね
その雷薄も先代のとーちゃんに拾ってもらって……そうやって回っていくんやなって

>韓浩のこれほどの激情は二郎にまだ帰りたくない、と言った時以来か?
感情というか意思の発露はそうですが、今回はもっとですね

>状況から言って曹操が参銭しない理由はないのにあえて止めに回った
ほむ。確かにそうですねえ。なるほどなあ。

>あの場(洛陽)にいたのに生きてるって意味では二郎と一緒やで
ばっちょさんがそこまで考えが及ぶようならまた違った展開があるんだよなあ……
かなしみ

>孫家は…凄い良い所を上手く突いてくる感じがw
実際美味しいとこいきますよねw

>>ばっちょさんがそこまで考えが及ぶようならまた違った展開があるんだよなあ……
えっ馬超さん厳顔にどういう経緯でこっちに流れてきたか聞いてるよね?
むしろ短絡的に「自らの仕えるべき主を囮にして逃げ延びるなど恥を知れ―!」とか言って斬りかかりそうなものだと…
それともほとんど面識のない厳顔はどうでも良いけど知り合いの二郎には「なぜ父上を助けてくれなかった」とか思っちゃったのかなあ…同じ家に住んでたわけでも無いのに

ほむ。
ばっちょさんが厳顔についてマイナスなものを抱かないのは確定なのです。

めっちゃ久々にコンマ判定でもしてみましょう
末尾コンマで判定

1-3元々馬家との交渉を劉焉に命じられていたので、本当に無実。
4-9↑の予定だったのだが、ゴタゴタからなんとか逃げてきた経緯をごまかしている
0実は術者で思考誘導している

ということで、元々の仕込みがあってそれを利用してごまかしているということ。
これ劉焉さんマジでやべー陰謀家ですね

術者だったらどうしようと土器土器しました

乙です
本当は董卓による襲撃があって逃げてきたんだけど、タイミングよく(悪く)馬家に交渉に来ているときに洛陽で劉璋が囚われたのをたまたま聞いたってことにしたってことでFA?

そういえば
>>105
>>絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。  ここにもあった
○絞り出すような賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。 ですかね

ふと考えると袁術と劉弁の関係性から言って迂闊には殺せないのか
場合によってはそこから袁家との関係緩和に成り得るし

>>145
どもです。
そういうことでございますということになりました。

>>146
>ふと考えると袁術と劉弁の関係性から言って迂闊には殺せないのか
>場合によってはそこから袁家との関係緩和に成り得るし
誰が誰をでせうか

詠ちゃんは風ちゃんをコロコロできないというのであればそうです

ああ、いや劉協派閥と言うか…この世界線でここまでやった以上反董卓連合の御輿になりうる劉弁を押し込め(軟禁)で済ませて殺さない理由ってなんだろな、と考えたんだけどね
逆に言えば劉弁君を殺しちゃうと劉協派閥(劉協がいるとは言っていない)がいざという時(董卓が負けた時)に出せる手札が劉弁君くらいだな、と
そしてこの手札を上手く使えば反董卓連合の発起人の袁家に「自分たちは何とか劉弁を護ってたんだ」とか言って温情を貰いつつ、袁家との関係を修復して他の諸侯も皇帝の一族が生きてるなら激発はしないだろうと踏んでるんだろうな、と
リアルではそういうのが特にないから病死()しちゃうけどこの状況なら劉弁の価値ってかなり高いよな、と思ったり

>>148
ほむ。

>劉弁を押し込め(軟禁)で済ませて殺さない理由ってなんだろな、と考えたんだけどね
いや普通に先帝をコロコロするってハードル高杉案件ではないでしょうか。
そんなんできひんやん普通……

>逆に言えば劉弁君を殺しちゃうと劉協派閥(劉協がいるとは言っていない)がいざという時
なるほどですね

よし!

>>そんなんできひんやん普通……
リアル先輩がリアリティー君をぶん殴った案件?まあリアルだと【董卓じゃ!董卓の仕業じゃ!】されてるから真実は闇の中ではあるけど

天気晴朗なれど波高し。
時代の波濤は否応なく襲いかかる。敵味方の区別なく。

ついに袁家は兵を発したのである。発した。

麗羽様が率いる旗本一万五千。軍師は稟ちゃんさん。
俺が率いる紀家が一万。
斗詩率いる顔家が一万。
張?率いる張家が一万。
猪々子が率いる文家が一万。
真桜率いる工兵が五千。
陳蘭が率いる弓兵が五千。
袁家だけで六万五千の大軍である。

その兵站を司るのが張紘だ。食糧だけじゃなく、武器防具、その他雑貨に至るまでについても傘下の母流龍九商会が請け負う。
そこに諸侯の軍勢が加わる。ばっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、華琳とこも一万、馬家から一万五千、孫家が五千。
確実に計算できるのは以上の戦力。
他の諸侯の兵には正直期待していない。というか、勝つだけならば袁家の兵力だけでやれるし。やるし。
後はまあ、勝手働きと称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。まあ、数千くらいだろうから大勢に影響はない。はずである。

そこいらへんをも織り込んで張紘は動いているだろうから、多分大丈夫だろう。何せ張紘だぜ。多少の誤差程度くらいはなんとかしてくれるさ。
だからこそ、そこを狙われると困ったことになるんだけどね。俺なら狙うし。
でも、だからこそ張紘の身の安全は赤楽さんの出番だ。あのおっかない美人さんが秘書兼護衛としているから大丈夫。
つまり、何が言いたいかというと、勝ったも同然!ってことだ。
これは勝ったなガハハ!

……。

いや、まあ、なんだ。メイン軍師たる風ちゃんがいないとこの思惑がどうかという答え合わせもできないから、ちょっと心配なのも確かであるのだ。
ほら、稟ちゃんさんとか、忙しいから俺の思惑とかぼんやりとした絵図の相談とかできないじゃない。アホなこと言ったら怒られそうだし。

「全く。思い違いも甚だしいですね。貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを認識するべきです」

って。
げえ、稟ちゃんさん!

「ってなんでここにいるのさ。忙しいだろうに」

俺の言葉を聞いた稟ちゃんさんがにじり寄ってくる。with眉間に皺である。ふふ、こわい。

「その認識には正直戸惑うどころか呆れすら感じます。
いいですか。此度の反董卓連合を率いるは袁家。その武の責任者は二郎殿、貴方です。
 その貴方がふらついていてどうするのですか!
 いいですか。貴方の号令で十万を超す軍勢は動くのです。不甲斐ない様を見せてはいけないというのは先刻ご承知でしょう!
 ご心痛はあってもそれを見せてはいけない。それに――」

遮る。

「すまん。余計なことを言わせた。言いづらいことを言わせた。すまん、そしてありがとう。
 んで、俺に対する気遣いは無用。この身は袁家に仕えるが本懐。
 つうか、そうだな。
董家幹部を斬る覚悟ならば、既にしているとも」

だからさ、と笑いかける。

「味方の犠牲を少なく、戦後の不安要素をも少なく。
 勝ち馬に乗りに来た諸侯の勢力を削りながらも完勝する。
 なに、敵も味方も生身さね。斬れば死ぬんだ。
――斬っても死なぬ僵尸(キョンシー)に比べれば、さ。
楽なもんじゃないかい?」

踊らされるのはもうこりごりだ。

「そろそろ、清算せんといかん。頼りにしている」

立ちふさがるは月配下の諸将。だが、真に討ち取るべきは背後のくそったれ。

「頼む。俺なんて適当に使い潰してくれていいから、頼むよ。
完全勝利を、頼む。
 頼んだ」

「――もとよりそのつもりです。
 ええ、二郎殿。貴方のお好みの、つまらぬ戦いを積み上げてみせましょう。
 戦う前から勝ちが約束されたような、それでこの中華を塗り上げてみせましょう。
 戦わずして勝つのが最上ではない。きっちりと中華に袁家の武威を刻み込むとしましょう」

多分俺は稟ちゃんさんの言ってることの半分くらいしか分かってないのだろうと思う。
だが、それでも譲れないものはあるし、思う所もある。
そうして、挑むのだ。
こんなにも、やりたくない戦(いくさ)を。

ほむん

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案「進軍」

よさげなの、オナシャス

乙でしたー
>>151
>>そこに諸侯の軍勢が加わる。ばっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、 【ばっくり】だとなんか大口開けてる感じがする
○そこに諸侯の軍勢が加わる。ざっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、 《大まかに》ならこっちの方が一般的かな?
>>後はまあ、勝手働きと称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。 台所仕事?>>【勝手働き】
○後はまあ、義勇兵と称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。  まあ劉備みたいなことをするやつとか、頼まれたわけじゃないけどあんたの味方するぜ!(後でお礼は頂戴ね)みたいなのも一応義勇兵…義勇兵だから
>>貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを認識するべきです」   間違いでは無いです
○貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを、認識するべきです」  ただここに一拍置いたほうが良さげかな?ともしくは【立場と言うものの重みを、認識】とかどうでしょう
>>戦う前から勝ちが約束されたような、それでこの中華を塗り上げてみせましょう。 ちょっと違和感が…間違いと言うほどでは無いけどこれだと【それで】が何を指してるのかちょっと分かり辛いので
○戦う前から勝ちが約束されたようなそれで、この中華を塗り上げてみせましょう。 最初は【塗り潰す】とかも考えたけど別に袁家で統一しようとはしてないしそこはこのままで

何となくだけど二郎ちゃんはまだ漢を延命させようとしてて、華琳辺りは先を見据えて袁家の手札を暴こうとしてる感じが…義理95と私怨5くらいで動いてそうな公孫に私怨60義理20、義務20くらいの馬家、損徳勘定70義理30くらいの孫家。かな?
袁家?別に国をとる気はないから二郎ちゃんが延命させたいって言うならまあ…ムリそうなら仕方ないから上に立つか。みたいな?余所が上に立っても構わないけど袁家が言う事を聞いたらいいですね?とか言いそう

>>153
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。

>【勝手働き
これ、ググっても出ないのですね。
ローカルなとこで見たのでやめとくか。好きな言葉だったのですがw

>何となくだけど二郎ちゃんはまだ漢を延命させようとしてて、
いや別に所詮システムなんだからそれでよくね?
というやつです

>華琳辺りは先を見据えて袁家の手札を暴こうとしてる感じが…
手駒になるはずだった宦官の損耗次第じゃないっすかねえ

>義理95と私怨5くらいで動いてそうな公孫に私怨60義理20、義務20くらいの馬家、損徳勘定70義理30くらいの孫家。かな?
私怨の塊の韓浩もこれにはにっこり
孫家はもっと軽そうなイメージw

>袁家?別に国をとる気はないから二郎ちゃんが延命させたいって言うならまあ…ムリそうなら仕方ないから上に立つか。みたいな?余所が上に立っても構わないけど袁家が言う事を聞いたらいいですね?とか言いそう
国をとるのは、中枢を握ると同義なんやなって
なので、割と現状に対する認識も違う可能性もありますね

まあ、今のところ袁家は利益あって盤石ですな
ガハハ勝ったな。

SAOみたいなのってダメージ算出はどうやってるんだろうか?とふと思った
例えば力が100の戦士が攻撃力200の剣を装備してて守りが50の戦士が防御力100の鎧を装備してるとして、パンチとキックでダメージは変わるのかとか、剣の刃の部分と腹の部分で変わるのかとか、袈裟切りと切り上げで変わるのかとか、そこまでリアルにできるとしたら装備品の数値はどうやって決まってるのかとか
攻撃力10の人が防御力200の人に目つぶしを仕掛けて効果はあるのかとか…素早さの数値が倍近く違ったら体感時間も変わったりしないのかとか(まさか素早さ=足の速さじゃないよなとか)

「華琳さん、歓迎いたしますわ」

おーっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。
変わらないな、と。
そしてそれでこそ、とも思うのだ。それでこそ、一手打った甲斐があったというもの。
そう、自分の一手により彼女は無事洛陽を脱したのだが、それを微塵も気にした様子もない。
この図太さ、あるいは面の皮の厚さは見習うべきであろうか。いや、本人は全く素なのであるのであろうけれども。

それはともかく、真名を交わした親友――これで曹操は袁紹を親友と思っているのである――の出迎えに曹操は気を良くする。
無理もない。袁紹が自ら出迎えたのだ。これは破格の扱いである。
反董卓連合を主催する袁家、その当主自らの出迎えは大いに曹家軍の立場を強めるものなのだ。
宦官の手先、元締め。ややもすると、敵視されても仕方ないのだ。
それを一気に解消してくれたのだ。笑みもこぼれるというものである。

「ええ、麗羽。
わざわざの出迎え、ありがとうね」

あくまで公的な立ち位置ではなく、私的な関係を押し通して曹操は軽やかにほほ笑む。
なに、自分の笑みなぞ安いものだ。目の前の親友、と比べればその価値は天と地である。
だからこそ曹操は袁紹と親しげに笑い、哂うのだ。実にいい友達を持ったな、と。

久方ぶりの邂逅に話は弾む。袁紹とて愚物ではない。ましてや袁家を率いるのだ。話題の共通事項は多い。
或いはかつてよりも有益な関係だったかもしれない。そう思うが、それもどうでもいい話。
そう思う、そう思った。そしてそれがいかに甘い認識だったかと痛感するのだ。
目の前の現実に。

◆◆◆

「――麗羽、これは、なに?」

十数万の軍勢が集まるのだ。大天幕くらいは想像していた。だが、目の前にあるのはそんなものではない。
煉瓦と土塁で固められた防壁。それだけで瞠目してしまうものだが、それどころではない。

「なに、と言われても困りますけども……。
華琳さん、貴女の逗留先でもあるのですわ。不備については随時改善しますとも。
 一旦は納得してほしいものですわね。
 いえ、むしろご不満なところがあればおっしゃってくださいな」

曹操は暫し自失する。そして、苦笑。
そして、ここで自失した自分を恥じようとも思わない。
なぜならば、目の前にあるのは要塞、とは言えないまでも。
ちょっとした砦以上のものである。
今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操が絶句するのだ。

「まさか天幕なんかに、このわたくしが逗留するわけにはいかないでしょう?
 反董卓連合に与(くみ)する皆さんが集結するのにも時間がかかりますし。だったらきちんとした宿泊施設は必要ですもの。
 流石に兵卒の皆さん全てには行き渡らないですけれどもね」

曹操は内心頭を抱える。前提とする地力の桁が違う。母流龍九商会より糧食の提供を打診された時に感じたのもそれだ。
不用意に借りを作る愚を犯さず、自前で賄ってはいる。おそらくそういう諸侯がほとんどではあろうが、時が過ぎるほどに袁家から提供される糧食に依存せざるをえなくなるだろう。
じっくりと腰を据えてその名が轟く二つの関を攻略するのだろう。ああ、そうだ。董卓軍のみならず諸侯の軍勢、財政をも磨り潰すということか。

やってくれる。
やってくれた。

そしてこの絵図を描いたであろう男の姿を認め、曹操は極上の笑みを漏らす。
そう、やはりあの男は自分の前に跪くべきなのだ。もっと早くに、多少強引にでも本気でそう動くべきであった。
猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに笑いかける。

「――あら二郎、息災そうでなによりだわ」

――反董卓連合、未だ集結には時が要される。それまでの時を曹操は無駄にするつもりなんてこれっぽっちもなかった。

◆◆◆

「ふう、今のところ兵站は順調、か」

張紘はあちらこちらからもたらされる報告書に目を通し、やれやれとばかりに伸びをする。

「そうだな、街道の整備も順調に進んでいる。時が味方であると確信できるほどに、だ。
これはかなり楽ができそうだな。
 そら、だから少しくらいは息抜きしてもいいだろうよ」

白湯(さゆ)ですまんがな、と。赤楽が詫びながら武骨な湯呑(ゆのみ)を差し出す。

「まあ、そうだな。あまり気を詰めてもいいことないや。
ありがたくいただくとするか」

ずびび、とすすって尚、視線は遠くある。
脳裏には物資の調達と配分の計画。それが浮かんでは消えていく。

「まあ、実際十万余の軍勢への手配なんぞできるものかと思っていたのだがな」

なんとかなるものだなと赤楽はくつくつと、笑う。つられて笑う張紘の笑みはどちらかと言えば苦笑寄りであろう。

「まあ、なあ。それもきっちりと物資の確保を沮授がしてくれてるからさ。
今まで何進に遠慮して、進めていなかった洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。
 今はそれほどでもないけど、諸侯からの引き合いも増えるだろうしな」

実際、ぼろ儲けもいいとこさ。
と張紘は肩をすくめる。

「せいぜい高く売りつけてやればいいさ。あちらだって戦後の利権が目当てで参軍しているんだ」

地力のある者は戦後を見据えて返済を選ぶだろうってさ、と張紘は苦笑する。
参軍した諸侯の財布事情まで見据えて、すり潰す。なんとも悪辣なことさ、と。

「ふむ、流石と言うべきか、気が早いと言うべきか。既に戦後を見据えているのだな、あの御仁は。
 まあ、尋常にやれば、だ。
どう考えても負ける要素もないことだしな。
黄巾の乱で蓄えられた諸侯の力を削ぎつつ、勝つ。か。
 二兎、追うのは大変だな」

まあな、と曖昧に笑って張紘は歩き出す。物資の集積場に向かう。現場で何をするわけでもないのだが、総責任者の彼が姿を見せるだけで現場は引き締まるのである。

薄い笑みを浮かべつつ赤楽は付き従う。油断なく周囲に視線を配りながら。
どこに刺客がいるか分からないのだ。自分が董卓軍ならば目の前の青年をまず狙う。それだけで兵站は破綻するのだ。袁紹や紀霊なんていう警備や護衛が厳重な人物よりよほどお手軽かつ重要人物なのだ。
餓えた軍の行く末なぞ哀れなものだ。それを赤楽は痛いほどに理解している。故に気を抜かない。

◆◆◆

「ふーむ、劉焉殿は不参加か。まあご息女が人質にとられてるから仕方ないかー。
 劉表殿は五百の弓兵のみ、か。やはり積極的には関わらないか。でもその分物資の提供を、ってとこかねえ」

一応皇族に連なる方だし、軍を率いる方にも挨拶しといた方がいいかと張紘は決断する。

「少数精鋭って奴かな。おいらでも聞いたことがある方だ」

率いる将の名を見て呟く。

「ほう、いったいどなたが率いてるのか聞いてもいいか?」

「構わねえよ、これからちょっくら挨拶に行くしな」

――黄忠というのが、その将の名であった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

かっこいい副題募集しまくりんぐですよ本当に!

乙でしたー
>>156
>>おーっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。    間違いでは無く好みの問題ですが
○おーっほっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。  なんとなく3回言うのが典型的なタカビーお嬢様っぽい気がする
>>いや、本人は全く素なのであるのであろうけれども。  ちょっとゴチャッと感が
いや、本人は全く素なのであろうけれども。       でどうでしょう
>>或いはかつてよりも有益な関係だったかもしれない。 【だった】だけなら問題ないんですが【かつてより】と重なると違和感が…過去形っぽさが出てしまうと言うか
○或いはかつてよりも有益な関係かもしれない。    【かつて】を思い返して懐かしむような物言いなら(かつての方が有益な関係だったかも)とかなら【だった】があった方がいいんですが(アレ…これってもしかして本来の世界線?)
>>今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操が絶句するのだ。  「人中の呂布だ!」「大徳の劉備だ!」「流石の曹操だ!」…太鼓持ちかな?
○今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操も絶句するのだ。  《流石のあいつでも失敗する》みたいな使い方なのでこうですね
>>猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに笑いかける。 いや、普通そこは猫をかぶって【猛獣の笑みを隠して】…曹操なら分かった上でこうするわ
○猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに声をかける。 二郎が「俺また何かやっちゃいました?」とか言いそうな笑顔で声は凄い綺麗な感じで来るわwあ、【笑みを浮かべ、笑いかける】だと重なるのでちょっと変更
>>157
>>なんとかなるものだなと赤楽はくつくつと、笑う。 【、】の位置に違和感が
○なんとかなるものだな、と赤楽はくつくつと笑う。 の方がいいと思います
>>今まで何進に遠慮して、進めていなかった洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。        やっぱり違和感が…何となく読みづらい
○今までは何進に遠慮して進めていなかったけど、これで洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。  でどうでしょう

沮授と双璧を為す二郎ちゃんの弱点ではあるからな>>張紘…梨園の誓いが知れ渡ってる以上捕えて人質にすれば名か実かどちらかに傷はつけられる(その後?言わせんな恐ろしい)
それにしてもなんとすさまじい兵糧攻め…なにが恐ろしいって交渉の材料がまだあるから董卓たちに内部不和を起こさせられるって事よ、しかも反董卓連合に内情を知れば尚の事…のんびりやってる盟主袁家とできるだけスピーディーに終わりたいその他の連合軍、まだ生きてるのび帝とおあつらえ向きな生贄の董卓…董卓の叛旗に駆け付けた忠臣達に報いるとか言えば中央の影響力を強化しつつ地方に鎖も掛けられるし(取らぬ狸感)

>>159
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

ほむ。
ほむ。

>沮授と双璧を為す二郎ちゃんの弱点ではあるからな>>張紘…
頼りになる存在であり、精神的なよりどころでもありますものね

>捕えて人質にすれば名か実かどちらかに傷はつけられる(その後?言わせんな恐ろしい)
少なくとも横にいる恋人兼秘書兼護衛が単独でなんとかするでしょうという安心感
ダイス次第ではそういうイベントもありでしたが、へいわ!

>それにしてもなんとすさまじい兵糧攻め…
ありがとうございますー!
割と二郎ちゃんは悠長な策を出すのですが、規模が、見据えたとこが違うんですよね
それを義兄弟たちは過不足無く理解してます
なお、はおー

>のんびりやってる盟主袁家とできるだけスピーディーに終わりたいその他の連合軍、まだ生きてるのび帝とおあつらえ向きな生贄の董卓
連合軍の思惑以上にどっしりとした作戦なのですよね
そして二郎ちゃんのその思いを十分以上に汲んだ沮授と張紘はマジで頑張ってます
やる気のない二郎ちゃんがやるとキメたので、とことんです。ガチです。もしかしたら、気負っている稟ちゃんさんより前のめりまでありますね。

それと、兵站関連で色々エピソード浮かんでましたが、書こうと思ってましたが没にしました。
まあ、個人商店の飛躍に繋がるなあくらいの感じですね。
ロレンス商会とか、目端の利く人は大儲けでしょう。

呂商会?そらもう。

「あらあら」

使者がもたらした報せに黄忠は軽く戸惑う。
張紘が、袁家の台所を担う男が自ら足を運ぶという。その意味に気づかぬほど黄忠は愚かではない。
しかも、物資を提供したとは言え、精々五百ほどの軍勢を率いる自分に、である。

「どうやら、劉姓に対しては表面上であっても重視する。ということかもしれないわね」

この、反董卓連合という戦は、いわば新たな権力者を決める戦いである。
そう、本来であれば洛陽の、雲の上での暗闘で決するべきものが大地にその災禍を降り注いだようなもの。
その是非、善悪なぞ黄忠は知ったことではないし、論ずるつもりもない。それは一介の武人には過ぎたことだ。
だが、自らが仕える劉表は皇族に連なる存在だ。なればその、劉家に対する立ち位置というものに対しては無関心ではいられない。
自分一人ならばなんとでもなる。が、娘がいる。ぜひあの子には安寧な世において生きてほしい。それが母としての黄忠の願いである。
なればこそ、漢朝の権威たる劉家に対する扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。
それを、張紘という重要人物が自ら足を運んでくれるということに黄忠は安堵を覚える。
そう、たかが五百。たかが五百のみなのだ、率いる軍勢は。
いや、無論黄忠が鍛えた精兵であるという自負はあるが、果たして北方においてかの匈奴と渡り合った袁家の、或いは馬家の軍勢と比べたらばその実力はいかがなものか。
――せめて自分は兵を率いるのみに専念できれば、とも思う。
だが、文治を志す劉表のもとには有望な軍師は集まらずいた。皮肉なことに。
いや、候補はいたのだ、いたのだ。だって、荊州には水鏡女学院という教育機関があるのだから。
だから、いつかは軍略を預けられる英才が仕官してくれると思っていたものだが。
同期や、近しい先輩後輩は水害を契機に荊州を後にした。
そして英邁を世に謳われた天才たちは世を憂いて旅立った。その真意は分からない。
いなくなったという事実だけが残るのみ。

「……考えても、馬鹿馬鹿しいわね」

くす、と黄忠は艶然と笑う。生き方が違う。目指すところが違う。きっとそれで済まされるのであろう。
そんな、天から授かった才能(モノ)のない身は、地べたに張り付いてその日を過ごすしかないのだ。
そんなことを言ったらかつての同期から怒られそうだな、なぞと思いながら黄忠は娘の笑顔を思い出し、奮起する。
そう、腰の重い主君が自分を派遣したのも、貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれない――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ・

だから、黄忠は柔らかい、慈母のような笑みを浮かべつつも苛烈な覚悟を課している。
いや、母だからこそかもしれない。
身を捧げてでも、と思うのは守るものがあるからであろうか。
そんな、ある意味悲壮な覚悟で訪れた賓客を出迎える。艶然と、柔らかい笑みで可能な限りに好意を得られるように。

だからこそ訪れた人物に渾身の笑顔を、と思っていたのだが。
その人物はいい、だが、その後ろに控えるのは。

「じょ……た、単福!あ、貴女(あなた)、無事だったの?!」

赤毛の麗人に黄忠は取り乱す。喪った知己がいるから?いたから?
喪ったあの時が甦るから?

「はて、誰かなそれは。人違いだろうよ。それはともかく、張紘よ。
何を呆けている。失礼じゃないか。
 なに、そんなにこの麗人に興味津々ならば後で私が口を利いてやってもいいのだぞ」

何やら張紘が返し、女が笑う。
その、ちょっと皮肉気で、でも相手を気遣うやり取りはやはり知己のもので。

だから、一瞬。
酷薄と言えるほどに鋭く突き刺さる視線に黄忠は身を震わせたのである。

◆◆◆

「なあ」

応える声は低い。常のように笑みを含んだものではない。
だからこそ張紘は重ねて問おうとする。
それを赤楽は言わせない。

「できればこのまま君の口を塞いでしまいたいものだな。
いや、割と本気で。
 いい。いや、いいんだ。これは私の我儘だろうな。
 違うな、ちょっと混乱しているだけ。気の迷いみたいなものだろうよ」

赤楽は、苦笑する。その笑みはいつになく、苦く、暗い。
それを見て張紘は窘める。

「そんな風に言ったものじゃあないだろ。だって、これで身元が分かったじゃあないか。
 あんなにもお前は根無し草だったのを気にしていたじゃあないか」

その言葉に赤楽――徐庶――は苦笑する。

「分かったところで。ああ、私は結局のところ、人殺しなのさ。
思った通りで意外性の欠片もないのが申し訳ないがね。
 更には天涯孤独ときたものだ。
ああ、今までと変わりなく、今までではいられない。
苛立ちしかないね。厄介極まりない。
 それが自分の足跡と思えばこそ、さ!」

吐き捨てる彼女に張紘は笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

「そうかい?
おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分を、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。
 だから、おいらはお前の旅路が終わって、嬉しいよ」

「やめてくれよ」

ぐしゃ、と。
それまでの取り繕っていた表情を崩して嘆く、泣く。

「何がだ。何がだ!
人を殺し、狂人を演じる。
恩を返す父母は無く、だからこそ因果に囚われる!
 一体私は!あそこで死ぬべきじゃあなかったのか!救われて!
君に救われて!どうしろっていうんだ!
 人の死と絶望しかない私をどうするんだよ!
君と義兄弟はあんなにも光に包まれているじゃないか!
 だから君も、もっと光に!
そっちにいけよ!私なんてほっといてさあ!」

「そいつは聞けない相談だな」

やなこった、と重ねて耳元で囁く。
足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い力で抱きしめる。絡め取る。

「おいらは、そんなにたいしたもんじゃないさ。
 あの時、行き倒れてたお前を拾ったのはきっと運命ってやつさ。
それに、いちいちそんなのに深く考えてられるもんか。
 何より、おいらはな」

渾身の力で、消えそうなその魂魄を抱きしめ、口づける。

「過去も未来も知ったことじゃない。
 おいらは、お前が大事で、大好きで、一緒にいたい。それだけが大事なんだよ。
 これじゃ、不足か?」

足りないなら、もっと囁こう。伝えよう。
だって、こんなにも大事なのだ。その気持ちが伝わらないなんて、いやだ。
離れるなんて、いやだ。
放さない。

「張紘。君は、君が。
 そんなにも、と思ってくれるのか」

私なんかを、と。

「お前じゃなきゃ、嫌だ」

常の、穏やかな彼からは思いも寄らない情熱。
それが女に燃え移る。

「ああ、張紘。いつも、いつでも傍にいる。だから、もっと抱きしめてくれ――」

精一杯の願いに張紘は全力で応える。

――そして徐庶。彼女はその名を名乗ることはなかった。
彼女はあくまで赤楽。
張紘の愛人として人生を歩むことを選んだのである。
彼女の功績は献策一つ

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案は「朱色の過去」
はい、いまいちなのでよろしくお願いします。

週末は後輩の結婚式なのでまた来週になりそうです。

乙~
やっぱりこの夫婦は良い

乙でしたー
>>161
>>なればその、劉家に対する立ち位置というものに対しては無関心ではいられない。  間違いではないですが【対する】が2度続くとちょっと違和感が
○なればその、劉家に対する立ち位置というものについては無関心ではいられない。  もしくは【劉家への待遇に対しては】とか【立ち位置というものに関しては】とかどうでしょう
>>なればこそ、漢朝の権威たる劉家に対する扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。  同上で
○なればこそ、漢朝の権威たる劉家への扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。    もしくは【劉家への遇し方については】とかかな?
>>貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれない――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ・   最後のミスとついでにちょっと好みを
○貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれないが――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ。  自嘲気味というかそういう雰囲気を醸し出せそうな【が】を加えてみたり
>>162
>>おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分を、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。 【自分を】の後に例えば≪見失って≫とかあるならそれを入れるか
○おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分に、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。 【自分(の立脚点)に】みたいな感じに読めるのでこれでどうでしょう
>>ぐしゃ、と。  何か握りつぶしたみたい
○くしゃりと。  【顔をくしゃくしゃにして】と【顔をぐしゃぐしゃ、にして】だとなんかこう、受ける印象がね
>>163>
>>足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い力で抱きしめる。絡め取る。  【足掻こうとする】って結局足掻いているのかいないのか…ここだと本気で難しいな
○常とは比べ物にならないほどに力無く、それでも足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い腕で抱きしめる。絡め取る。  とりあえず素案…どうだろう?
>>そんなにも、と思ってくれるのか」  感極まってる感を出すなら…
○そんなにも……思ってくれるのか」  とかどうでしょう、それとも【想ってくれる】もありか?
>>彼女の功績は献策一つ        もう一声
○彼女の功績は献策一つのみである。  本来のネームヴァリューを知ってればこそ感じるその損失と同時にこの安堵感…(なお功績として表に出なかったもの

劉表さん立地条件もいいし本来なら人材の宝庫だったろうに…そして水害でボロボロになった故郷を見捨てて遊興する伏龍鳳雛ぇ
それはそれとして人殺し云々言ってる赤楽はどした?過去を思い出したのかも知らんが状況的に仕方なかったことが大半だろうに、「お前がどれだけ自分を嫌悪してても張紘はお前が好きなんだよ」とかどっかの誰かが心中で呟いてそう

>>165
どもです。
出すと勝手にイチャイチャしだすのですが、それがいいw
そんな二人でした。
設定しながらも、蛇足かなと思って半ばボツにしていたイベントというか伏線回収ですが、
達成条件が満たされてしまったので。

>>166
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>彼女の功績は献策一つ        もう一声
尻切れトンボになってしまった

彼女の功績は献策一つとして歴史に記されてはいない

にするつもりでした。
徐庶的に!

関係ないけど、蕪がもっと安くなってほしいと思いました
狙ってるのはオリックス(1500)とマクナル(3800)と野村(350)とサイゼ(1300)と業スー(3000)
今思えば民主党政権の時は買い時であったことだなあ
手元資金がなかったけど!

ああ、適当な箔付けに功績を奪われ()る張勲はいなかったんだね
実際賤業とは言え紀霊の義兄弟って相当だし同じ商人目線なら血の結びつき欲しがるだろうから奥さんはこいつだ。って言うときに功績あるのは大きいし

正室になる気はないのではないかな
まあ、他に目移りする可能性が皆無なのは置いておいて

赤楽にその気がないとして…周囲がそれを認めるかは別問題よwww
きっと上司とか権力者のパワハラで無理やり盛大な結婚式が執り行われるぜ
派手好きな領主様とか旦那の義兄弟とか

そう言えば公孫賛は糧食どうしてるんだろう
すまん、ありがとう。とか言いつつ袁家に頼りまくってるのか

>>172
ほむ

◆◆◆

「さて、兵を発するとは言ったが、糧食の準備は万全なのか?」

そういえば、と公孫賛は韓浩に問う。

「万全、という言葉は便利なもの。
 安心を担保できるから。
 だが、今回に限っては万全であると断言できる。
 なぜならば袁家に公孫の陣容は伝達済みだから」

淡々とした口調に公孫賛はなるほど、と頷きかけて。

「いやちょっと待て、私が聞いたのはそうじゃないぞ。そういう意味じゃないぞ。
 自分たちの食い扶持くらいは自分たちで準備しないと。
 そういう意味で言ったんだ」

少し慌てた風な公孫賛に韓浩はあくまで淡々と続ける。

「今回の出兵に関して、こちらには全体的な計画の詳細は知らされていない。
 また、その意思決定についても介入する機会は少ないだろう。
 なれば、どの程度の期間を想定するか、というのは無意味と言っていい」

「いや、そりゃそうなんだろうがさぁ……」

「なれば、最初から袁家の兵站。袁家の構想に組み込まれるのが最善。
 袁家にとっても、どの段階から援助を求めるか分からないよりは徹頭徹尾求められた方が算段が立つ。
 ああ、無論袁家と合流するまでくらいはこちらから持参する」

むむむ、と公孫賛は唸る。

「なに、気にすることはない。
 公孫については袁家の後ろ盾というのは知れ渡っている。
 それに、別に完全に頼るつもりもない。
 単に効率を重視しているだけのこと。
 消費した物資は後でまとめて請求してもらえばいいだけのこと。
 ……それくらいの余裕はある」

「なるほど、流石韓浩だ。
 確かに、ここから洛陽までの道程。物資をわざわざ運ぶのも手間だしな。
 まあ、何か言うやつばらは武勲で黙らせればいいだけのことさ」

よし、と決意も新たに気力十分な公孫賛。
その様子に韓浩も頷く。

まあ、おそらく袁家からの請求はないだろうな、などと思いながら。

その予想は結論から言えば、正しいものであったのである。

こんなとこっすかね

韓浩も参軍するので、後方の手間は省けるならば省こう的な。

多分これはあっちには載せない幕間でござるの

そいやちうごくではバッタの大群がきてるみたいだけど
次郎ちゃんのところには来ないのかな?

>>175
ないです

災害で解決とか、ハードル高いっすわw
「渚にて」みたいな初手災害での舞台装置ならばともかく、
災害がすべてを解決するとかでやりきったのってあれば読みたいです

あ、サメか。

ぼちぼちタイトル案出していきますわー
しばしお待っちー

>>177
よろしくお願いします。

>>122
一つずつ潰していこう。
連コメはご容赦。

戦士の休息~幼馴染みとの一時

>>137
飛ばされた檄、其々の想い

>>151
細工は粒々

>>158
嵐の前の静けさ~集結

>>164
紅蓮の過去

いじょ!

乙でしたー
>>173
>>なれば、どの程度の期間を想定するか、というのは無意味と言っていい」  間違いが見当たらないので無理くり
○なれば、どの程度の期間かを想定する、というのは無意味と言っていい」  前提条件をもとにするなら上ですが、そもそも前提が不明なので下の方…がいいかなあ?

原作恋姫知らないである程度三国志を知ってるなら袁家としては公孫瓚とか全力で取り込みたいからね…人となりを知ればそりゃ恩売りまくって情交わしまくって雁字搦めにするよ
そして韓浩もどこまで分かってるかは知らんけど袁家と公孫家が争わないように楔と鎹と柵作りまくってらwまあ彼女自身もその一部だし袁家も公孫家も大切だろうからなあ

蝗害ねえ…史実で考えればもうしばらく後に起こったものではあるしあれって確か牛とか馬よりも草が大量の時に起こるらしいから、起こらないなら起こらないで理由付けが必要か?そこまで考えなくてもいいっちゃいいけど
ところで>>181 【細工は粒々】って【細工は流々】じゃないのは何か意味があるのか誤字なのか

>>185
誤字っ!(笑)

>>184
あざます!
どれもよきよき。つぶつぶしててよきよきw

>>185
くださいよ……。たまには満点花丸くださいよw

>全力で取り込みたいからね…人となりを知ればそりゃ恩売りまくって情交わしまくって雁字搦めにするよ
そらそうです。二郎ちゃんだけでなく袁家も全力です。

>そして韓浩もどこまで分かってるかは知らんけど
ほぼ認識して、その上で更に肩入れしようとしておりますね

イナゴはね、バッタはね。
草木という資源を動物タンパクに変える機構だから各方面で捕食されることでエネルギー循環させてるんですよね
それが、たとえば砂漠に雨が降って捕食者のいないとこで発生することで群体となるのですよね
そうすると別の地域に旅する存在に変わってしまって現地ではそのイナゴを補食しきれなくなるのです

まあ、肉体の変質もすごくて、カラッカラな肉体になってしまうらしいですけどね
カマドウマもそうですが、本来バッタ系って貴重な資源なんですよねー
日本の山林においてはカマドウマはガチで川魚のための資源です

三国志は横山版を軽く見た程度の恋姫プレーヤー「地味さんとか行間で死んだ雑魚やんけ、おバカの袁紹にひねりつぶされてるし二軍安定やな」
満点花丸になりそうな場合には【私の好み】を使って減点が発生しますからね(笑)まあ100点を出すことがあっても満点を出すことはないんですが
私としては何進さんが金の使い方を言ったあたりとか150点くらい付けますよ

乙です。快調に進んでおりますな。

声を大にして言いたい。「張紘。よく言った!!!!」自分が惚れた女はちゃんと言葉にして手元に置いとかなあかんよ(実体験)
赤楽さん、オリキャラじゃなかったのね。中身は徐庶さんって、十分張紘さんと釣り合うやん。張紘、おっちゃんが許す、妊娠させてまえ(おいこら)

中国発のバイオテロでてんやわんやです。嫁に会いに行くのに普通のマスクが無いので開き直って「アスベスト粉塵専用」のマスクして行っております。
毎回、受付でびっくりされ嫁に爆笑されております。施設のほうはマスクの備蓄が超大量にあるので(インフル・ノロ・強毒性感染症対策)なんとかなってますが、多方面から集られているのが悩み。在庫は有限だし補充のあても直近はない。なのに備蓄しておかなければいけない他の近隣社会福祉法人からけろっと、
「マスクないですか?」
と電話受けたときは「ない」で即切り。

細工は流々って、流流ちゃんが細工してるの?(寒い小ボケ)料理だったらそう言われても頷けるけどね。民明書房ネタになるなこれ。
あ、姓名は違うか。真名だから二郎ちゃんあたりが駄洒落るかな?

三国志でも見せ場の一つです。敵も味方もどんな人間ドラマを描くか、wktk期待です。

俯瞰者さんもご健勝なようで何より。
でもご自愛ですぜ?

>>189
どもです。
いやあ、割と足踏みしております。一ノ瀬の時間的な意味でw
まあ、どんどこ話を進めてさっさと洛陽に向かいたいものでございまする。

>声を大にして言いたい。「張紘。よく言った!!!!」自分が惚れた女はちゃんと言葉にして手元に置いとかなあかんよ(実体験)
俯瞰者さんのあれこれのエピソードは大好きです。
いや、ご自身のもそうですが、政治家の秘書のやつが心に残っております。当時のエピソードとか覚えてらっしゃったらぜひ。

>赤楽さん、オリキャラじゃなかったのね。中身は徐庶さんって
名前ありの登場人物で当方の完全オリキャラはございません。赤楽さんについてはいつ見破られるだろうかなあと思っておりましたが意外となかったですね。

>十分張紘さんと釣り合うやん
贅沢な人材ですが、これでよかったのかなと。
凡将伝では本当に自己評価の低いキャラです。だから自分が張紘に釣り合うか、というのをものっそい気にされていました
んで、自分の備えている技能、教養からして、それなりの名家とか士大夫じゃねーかなー、だったらいいなあとか思ってたらというお話ですね。
がーん、だな。
まあ、張紘と一生ラブラブしといてくださいということで一つ。
婚姻とかは未定でございます。まずは世を平らかにせんとね。

>と電話受けたときは「ない」で即切り。
実に正しいですね。
議員が高く転売とか論外ですよ。

>細工は流々って、流流ちゃんが細工してるの?(寒い小ボケ)
流琉だから!

頑張るぞいっと。

「二郎!久しぶりだ!」

稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったりやら、うだうだ話していた俺に声をかけてきたのは……。

「おお、華佗じゃん。お久しぶり、だ!」

がしがしと小突いて久闊を除する。

「にしても、来てくれたのか!」

遠方より、朋(とも)が来たのだ。そりゃ嬉しいよ。

「ああ、当然だろう!
 張魯様もいらっしゃるぞ!」

マジか。マジでか。

「まあ、戦力としては考えないでくれ。百名程度だし、自分も含めて戦いはできんだろうからな。
その分、腕利きを選りすぐってきた。生きているならばどんな負傷でも死なせはしないさ」

なるほど衛生兵というわけか。助かる。これは実に助かる。

「にしても、よくぞ、だ。はるばる漢中から来てくれたな。劉焉が不穏な動きをしているんだろ?」

本拠地を空けるなんて。組織の特性を考えたら百人もの医師――当然、五斗米道の幹部であろう――が来てくれたことにも違和感がががが。

「そこからは、僭越ながら私がお答えしましょうか」

どう答えたものか、という華佗を見かねたのか稟ちゃんが口を挟んでくる。

「張魯殿には私から書状を差し上げました。漢中は劉焉に狙われている、と。
 五斗米道単体でそれを防ぐのは不可能。なれば此度、旗色を鮮明にすべし。
 さすれば、袁家に与するのであれば。たとえ漢中を空けても劉焉は攻め入ることをしないであろう、と」

劉焉が漢中に攻め入るのを口実にして、後日誅滅するというのは貴方の趣味ではないでしょう?

そう述べる稟ちゃんに俺は馬鹿みたいに頷くことしかできない。
これは出来る女ですよ。

「まあ、これで漢中に食指を伸ばすような俗物ならば楽なのですが、そうもいきません。
 ――二郎殿にご相談せず、裁可もいただかなかったことについては如何様にも」

ツン、としたままで稟ちゃんは悪びれた風もなく此方を見る。

ちらり、華佗を見ると苦笑している。

「なに、どうせ漢中を守るにしても劉焉が本気になればどうにもならないさ。だからまあ、郭嘉殿の申し出は渡りに船ではあった。 
 このどさくさに紛れて劉焉が進駐してくるという可能性は大いにあったからな」

「最悪でも張魯殿の身柄あれば、です。漢中を劉焉に奪われたとしても再侵攻後の統治は容易です。
 それとも、漢中を直接統治する方がよろしかったか?」

文句あっかと言わんばかりの稟ちゃんに再度苦笑する。

「ないない。面倒なのは勘弁だ。漢中は交通の要所。攻めるに易く、守るに難い。まあ、そうだな。
 旨みはあるんだが、あれだ」

言わば鶏肋のようなものさ。

ケンタッキーでいったらキールみたいなものである。いや、好みにもよるんだろうけどね。

「鶏肋とは、上手いことを言いますね。旨みはあれど労多し。
まあ、それを華佗殿の目の前で言う二郎殿の神経に唖然としそうなのですが」

「なに、ぶっちゃけたとこを聞いといてもらわないとな。ほんと。
まあ、華佗よ。そんなわけで袁家は漢中の太守たる張魯殿を全面的に支援するぜ」

華佗はやれやれとばかりに苦笑する。大きく肩をすくめて、顔を上げ破顔する。

「なんともまだるっこしいことだな!
だが、ありがたく甘えさせてもらおう。そして、傷病人は任せてくれ!」

いつも通りの暑苦しい笑顔で華佗は全面的な協力を約束してくれる。ことによれば追加して漢中から衛生兵を派遣してくれるらしい。
これはありがたい。いや、工兵隊でどうせ事故があるだろうし、戦闘が始まったら死傷者続出だろうし。

俺は華佗としばし笑い合い、稟ちゃんの目線に促されてその場を後にする。

「稟、ありがとな」

「――漢朝全土を管理するのは袁家の役割でしょう。今はそうでなくとも必ずそうなります。
 ですから、当然のこと。
 いえ、差し出がましいことをしたかと思っていました」

いや、その気遣いは無用。

「好きなようにやってくれ。責任は俺が被るから、さ」

ビシ、と決めたつもりだけど、稟ちゃんさんからは「似合いませんよ。深刻ぶるのは」と散々な俺でした。
解せぬ。

◆◆◆


額を伝う汗を拭い、華雄は水差しから直接水をごくり、と喉に流し込む。
冷たい奔流が喉を伝っていく。湯気すら立つほどに上気したその身体を冷やしていく。

まあ、こんなものかと華雄は日課の鍛錬を終えて湯殿へ向かう。

何進が禁裏へ参内する途中で暗殺されるという非常事態からどれほどの時が経ったか。
その報せを受けてより彼女は何進の屋敷に軟禁されていた。
いや、屋敷内であれば特に動きも制限されず、愛用の斧――金剛瀑布――すら取り上げられないことに解せぬ思いはあるのだが。
内実を見れば単純なもので、何進の護衛である華雄の処遇まで一々検討する余裕なぞなく、適当に、或いは雑にただ拘束しているだけだったのだが。

――その報せを受けて華雄は混乱した。耳を疑った。あの男が討ち取られるなぞ、と。
同時に納得もしていた。敵の多い男だった。世の中を敵と味方に分ければ敵が九分に味方が一分。そんな男だった。
そして討ち取った者が呂布――かの万夫不当である――と聞いて、その対決を見てみたかったなあ、などと思う自分はきっと薄情なのであろう。
守るべき対象が。情を交わした男が、道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっときっと薄情なのだろう。
悔しいとすればこの身が、武が何進に及ぶ前に手の届かぬところに逝ってしまったということか。
そして、手の届かぬ何進を討ち取った呂布はどれだけの武なのだろうか。
聞く噂は錯綜している。不意を打ったとも、真正面から打倒したとも。どうせならば白黒はっきりしてほしいものだ。

思えば単純なものだった。何進が存命の頃は。
目指す武の象徴として何進に立ち向かうだけでよかった。
その何進が討ち取られたならば、自分は一体何を目指せばいいのか。

分かるはずもない。

だから、華雄はあくまで何進の背を負う。幾度も、幾千度も自分を屈服させたあの男を思い、挑む。
目を開けずとも身体は、心はあの男の動きを容易に再現する。
それに合わせ、ひたすらに対決する。未だ幻影の何進にすら及ばぬ自分はきっと呂布にはまだまだ及ばない。
まずは何進に勝ち、そして呂布に挑む。

ごく自然に華雄は自分に対する最適解と思われるそれを為す。為そうとする。
見果てぬ武の先。天下無双を思い、ひたすらに鍛錬をする。為すべきことのない、また、出来なかった今。食事も、睡眠も、全てを自らの鍛錬に充てて華雄はひたすらに牙を研ぐ。
その牙の主を喪ったままに、磨く。それが弔いであるかのごとく。

強く、強く。ただそれを思う。それだけをひたすらに。

◆◆◆


「さてさて、お呼びとのことですが~」

午睡したくなるような陽だまりの口調で程立はふわり、と笑いかける。
それを迎える少女はこれもまた美少女。ただ、眉間に刻まれたものがなければいいのに、と。どこぞの凡人ならば間違いなく思ったであろう。そう程立は思う。
彼女が政務に励むその机上には幾多の書類が積み重なっており、彼女――言うまでもなく、賈駆である。現董卓政権を一身に支えている人物だ――は険のある表情で程立を睥睨する。

「言うまでもないでしょう。さっさと世を乱すような行いはやめなさい」

冷然と発せられた言葉に程立は苦笑する。いや、どうにも。
単刀直入とはこのことか。だが。

「いや~。風にはなにをおっしゃっているかまるで分からないのですね~。
 軟禁状態のこの身。何を為すことができるやら、ご教授願いたいのですよ~」

心底困った風に、或いはけらけらと嘲笑するように程立は笑う。くすくすと笑う。
その笑みに賈駆は激昂する。

「いい加減にしてよね!あんたらが物資の流通を妨げているってのは分かってるのよ!
 あんたら、何進より性質(タチ)が悪い!」

――控え目に言って洛陽の物流は混乱している。いや、滞っていると言ってもいい。それはこれまでの供給網(ルート)が機能していないからだ。
これにはわけがある。
洛陽の物流はかの何進の勢力下の商会が権勢を極めていた。心ある士大夫からは、みっともなく、利を卑しく喰う。蛮喰(ばろっく)商会と呼称される存在。
だが彼らの差配により、複雑怪奇な物流は運用されていたのである。が、それは破壊された。自然、代替の商流ができそうなものだが、それを賈駆は許さない。
管理できない物流の危険性を知っているからこそそれは許せない。

相対する程立は、目の前で柳眉を逆立てる少女を哀れにすら思うのだ。
既に彼女は、董家は詰んでいる。いや、市中の物流を滞らせているのは自分ではあるのだが。そして、蛮喰商会を魯粛の支配下に治めさせたのも自分なのだが。
そう考えると、目の前の少女が先ほど放った言葉は実に正しいのであろうな、と思う。思うだけだが。

「いやいや、魯粛さんを見くびっていましたかねえ」

賈駆が退出するのを見て。くふふ、と程立は笑う。
どんな手妻を使ったのか、確かに洛陽をかつて支配していた商流は手元にある。それを為した魯粛には程立も背筋に冷たい物を感じる。なるほど、主が目をかけるほどのことはある。
まあ、それはともかく。

「いやあ、明日のお米も肉も手に入らない。これが暴政でなくてなんでしょね~」

くふふ、と笑う。艶やかに、哂う。

紀霊の悪評の八割は彼女の献策であるとまでに後世揶揄される彼女の本領はこれからであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は
「前進」
くらいかな

思いつかないので、格好いい奴、オナシャス

>>196
乙乙の乙

仁の義と術、龍蛮の流

華雄、何遂高を失うもなお武の頂を臨み、程仲徳、洛陽を枯渇させ董仲穎を奸賊に貶める。

そういやこれもらってましたわ
これまでの題名と比べて違和感ありすぎw

乙でしたー
>>192
>>稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったりやら、 【~たり】と(~やら)を一緒にすると違和感が
○稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったり、   もしくは【今後の方針の打ち合わせやら、~語ったりやら、】でどうでしょう
>> さすれば、袁家に与するのであれば。 ればれば~が仮定を重ねてるっぽいので
○ そうして、袁家に与するのであれば。 上の【旗色を鮮明にすべし。】の補強をする感じならこの方がよさそうかな
>>194
>>道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっときっと薄情なのだろう。 【きっと】を二回言ってるのはそう信じたくない時とかに【きっと、多分】とか不確実な時に重ねたりはしますが
○道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっと薄情なのだろう。    ここはこれでいいと思います
>>為すべきことのない、また、出来なかった今。  【出来なかった】なら過去っぽいかな
○為すべきことのない、また、為せる力も無い今。 もしくは【為すべきことの無くなった、また、出来もしない今。】とかどうでしょう
>>195
>>賈駆が退出するのを見て。       執務室に呼んだのに程立をソコにおいて部屋を出るの?何されるか分かったもんじゃないかと
○退出し、扉越しに賈駆を見やりながら。 怒鳴りつけてか苦虫噛み潰した顔でか歯ぎしりしながらかはともかく追い出すんじゃないかな

バロックワークスか…多分13人の数字で呼び合う男性幹部とかいたな
五斗米道が参加してくれたのは大きいね、医療のスペシャリスト集団とか完全に取り込む算段付いてるならともかくそうでないなら攻撃はしたらあかんわ
それにしても華雄さんの扱い雑過ぎへん?せめて武器は取り上げとけよw迂闊に触ったら暴発の危険性はあるけどさあ
賈駆?あの子はほら…ガイアがもっと不幸になれって囁いてるから(確か公式で理不尽な不運キャラとかあったよね)

>>198
あったんかーい(ずこー)

乙です。

風さん魯粛さんえげつない事すんなぁ……(絶句)暴政の風評を立てようって策だろうが正直嫌いです。
理由?自分で商売やってりゃこの手の嫌がらせが一番かなわん。つか洛陽の庶民は民じゃないのね、風さんからしたら。
正直、董卓陣営に肩入れしたくなりました。

ここの華雄さんは果たして猪武者やらかすのかねぇ、師匠が師匠だけに本人も正しい脳筋の道を歩いていると思うのですが……

>>199
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>五斗米道が参加してくれたのは大きいね、医療のスペシャリスト集団とか完全に取り込む算段付いてるならともかくそうでないなら攻撃はしたらあかんわ
二郎ちゃん、医療については応急処置以下、どちらかと言うと公衆衛生の方にしか知識がないのですよね

>それにしても華雄さんの扱い雑過ぎへん?せめて武器は取り上げとけよw迂闊に触ったら暴発の危険性はあるけどさあ
UTUWAを見せたいところなのでしょう
初手抵抗されなかったのも大きいです

>賈駆?あの子はほら…ガイアがもっと不幸になれって囁いてるから
ひどE

>(確か公式で理不尽な不運キャラとかあったよね)
まじすかそれは初見情報な気がするます。忘れているだけかもしれませんが。

>>200
いや、それをやるとは言ってないというか。
前段というか前身にてもらってたなというだけっす

>>201
どもです。

>風さん魯粛さんえげつない事すんなぁ……(絶句)
実際えげつないです。発想もそうですが、それを実現できる彼女らの能力もえげつない。

>この手の嫌がらせが一番かなわん。
やられた方はたまったもんじゃないですよね。

>つか洛陽の庶民は民じゃないのね、風さんからしたら。
さて。

>正直、董卓陣営に肩入れしたくなりました。
同情の余地は大いにございます。

>ここの華雄さんは果たして猪武者やらかすのかねぇ、師匠が師匠だけに本人も正しい脳筋の道を歩いていると思うのですが……
ご期待くださいませませ。

実際俯瞰者さんの良識には背筋がピンとなる感あります
こういう方がいるから世の中捨てたものじゃないって

赤楽さんが張紘くんを見るとこうなるのかなって感じで腑に落ちた感すらあります

>>自然、代替の商流ができそうなものだが、それを賈駆は許さない。
まあ賈駆も自分が権力握るために物流ぐちゃぐちゃにしてるし・・・賈駆が自分がうまくやるために他の商人の足引っ張てるのと、程立が董卓の治世を貶めるために商人の足引っ張てるのを一緒くたにしちゃいかんかもしれんけど
とはいえ多分ぎりぎりでコントロールしてるのかもしれない、死なない程度に・・・程立はともかく慮粛は飢えの苦しみ知ってるはずだし

ピクシブの人物紹介で>>一ヶ月に一度、超絶的に不幸な日があり、自分ではなく回りの住人を巻き込んで大騒動を起こす。なお、今までに死人は出ておらず、月には一切被害を与えてはいないらしい。  とあったものでw
ちなみにそれは【恋姫無双】と【萌将伝】の設定で【真・恋姫夢想】とアニメ版では無いっぽいですな

>>202
あー、ね。
リライト/リトライ前に案としてもらったやつね

>>204
>まあ賈駆も自分が権力握るために物流ぐちゃぐちゃにしてるし・・・賈駆が自分がうまくやるために他の商人の足引っ張てるのと、程立が董卓の治世を貶めるために商人の足引っ張てるのを一緒くたにしちゃいかんかもしれんけど
>とはいえ多分ぎりぎりでコントロールしてるのかもしれない、死なない程度に・・・程立はともかく慮粛は飢えの苦しみ知ってるはずだし
コメントしづれえw
何言ってもネタバレになりそうなので脱兎です

>>205
>ピクシブの人物紹介で>>一ヶ月に一度、超絶的に不幸な日があり、自分ではなく回りの住人を巻き込んで大騒動を起こす。
あ、それ見たことありますわ
当時不憫枠なのかネタ枠なのか混乱した覚えがありますねw

>>206
それっす
今回話の尺が合ってないのですが、すげーの考える人いるなーと思ったものです

文才が欲しい!

「うわ、すごいね、すごいよ!ご主人様!すごい人!それになにあれ!すっごい建物!」

「おいおい、桃香、あんまりはしゃぐなよ」

窘めつつも北郷一刀も驚くほどの人の集まり。それにちり、と郷愁にかられる。ごく僅かに、だが。
それを意思の力でねじ伏せ、周囲を見るとあちこちで工事が進んでいる。その忙しげな槌音にどこか安心するものを感じる。

「ほらほら、そこ邪魔やで、邪魔してんでー。ちょーっと脇にどいてくれへんかなー」
「あ、その!ごめんなさい!」

何やら図面を手にした少女が喧しくあっちへいけ、こっちは邪魔だと指示をしてくる。
本来であればびしり、と動くはずである配下の兵の動きも鈍く、人知れず赤面する。
関羽、張飛の調練により子飼いの兵は精鋭たりえるのであるが、今率いるのはそのような精兵だけではない。

――義勇軍、である。
無論劉備一行自体もそれに当たる。言ってしまえば、勝ち馬に乗り、あわよくば恩賞を得ようとする半ば愚連隊が多いのが特徴か。
だが袁家とてそ、れらを無下にできぬ、できぬのだ。
世に大義を謳う以上はそういった存在を無下にはできぬ。むしろその、義勇軍の存在こそ世に正当性を主張する一助にもなるのだから。

――もっと言えば、追い返せば野盗になるであろうそういう存在を飼殺すくらいの財力はある、ということでもある。

そこまで読み切っているのは劉家軍――道々そういった義勇軍を吸収して今や五千弱の大軍である――の中でも諸葛亮と鳳統くらいであろうが。

「うし、こっからだ。こっから始まるんだ」

なんにせよ、北郷一刀は気合十分である。ここから劉備という英傑の栄光は始まるのだ。
関羽に張飛。それに伏竜、鳳雛。
そしてその価値を知る自分がいるのだ。

飛躍を内心誓って歩を進める。そしてかけがえのないパートナーに声をかける。

「行こうか、桃香。少し遅くなっちゃったな。
 そして見極めよう。反董卓連合がいかなるものかを、さ」
「うん、ご主人様!行こう!」

義勇軍とは言え、無視できないほどにその兵は多く、将は英傑。
であるから袁家からは会議への出席を許されていたのだ。
ただし参加の人員は二名のみ。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。

諸葛亮は自分か鳳統を伴うように主張していたが、自分と劉備が足を運ぶことを決める。

だって、二人は一心同体。まさに、雌雄一対の剣であるのだから。

◆◆◆

「ほな、道の整備を最優先ってことでええのん?」
「ああ。補給物資が遅滞したらそれだけで瓦解する。街道の整備により兵站の負担をちょっとでも軽くする。
 街道整備の見込みと進捗は張紘と共有化するように。あいつなら、それに合わせて計画を修正するだろうしね」
「はいな、了解や。まあ、確かにおまんまがなかったら人夫も動かんわ」

にこ、と無防備に笑う真桜はううん、と一つ伸びをする。

「あんまり根つめるなよ?倒れたら元も子もないんだからな」
「大丈夫やでー。二徹や三徹かて普通やからな。むしろいつもよりお休み頂いてるくらいやよ。
 まあ、でも二郎はんが心配してくれてるからお言葉に甘えてもええかなあ」

にひひ、と笑いながらすりすりと身を摺り寄せてくる。うん、役得役得。
いやあ、おにゃのこの身体ってどうしてこんなに柔らかくて、あったかくて、素敵なんだろうね。
などと思いながら真桜の身体の柔らかさを堪能する。本当に役得様々、というやつである。

「いや、でもほんま今回はどうなることかと思っとったけどなあ。五斗米道の衛生兵ってやつ?
 あらすごいわ。どうしたってうちらの作業中は事故が起こるからなあ。
それがどうや、軽傷やったら気の力?って奴であっちゅうまに完治や。
 正直うちみたいな技術屋からしたら解せんねんけどな。まあ、気のどうたらこうたらはよう分からんわ。凪がおらへんかったら今でも胡散臭いと思ってたやろうな。
 せやからな、あの衛生兵、引っこ抜いてえや」

つんつんと俺をつついての真桜のおねだりである。
まあ、いつの世も……現代だって労災というか、事故っていうのは発生するものだしなあ。
そっからの復帰が早いとなれば工兵の士気も高まるってものか。いや、工兵に限らんだろうけど。

「一応、技術指導の打診はしているし、色よい返事も貰ってる。流石に華佗とかみたいな達人は無理にしても、治療の技術はある程度譲渡してくれるだろうさ」
「ほんま?いやあ、持つべきものは頼れる上司やわあ。ほんま、惚れ直したで!」

おどけてすり寄ってくるが、その瞳には真剣な光が宿っていたのを見逃さない。僅かに潤んでいる瞳を喜色で隠そうとする。
きっと、色んな現場で起こった事故を目の当たりにしてきたのだろう。
些細なミスで起こる事故。かつては何があっても自分の身一つであったのに、今となっては真桜のミスは即ち部下にその被害が及ぶのだ。
いっそ自分が傷ついた方が気も楽なくらいだろう。わかりみ。

「幸い張魯殿と華佗なんていう超一流の達人が来てくれているんだ。関係だって悪くない。だからまあ、大船に乗った気で任せろって」
「うん。二郎はんに任せたわ。よろしゅうたのんます」

いつになくしおらしい真桜をぎゅ、と抱きしめてやると、きゅ、と応じてくる。

「二郎はん……」

潤んだ瞳で俺を見上げて、そ、と目を閉じる。
そして、唇を重ねようとしたとき。

「やほー、二郎様ー!たんぽぽだよー!」

これは気まずい。実に気まずい。
ぎぎぎ、と軋んだ音をたてながら声の主に視線をやると、あちゃーという顔をした蒲公英と、ギロリとこちらを睨む翠がいました。

解せぬ。

わたわた、と慌てて真桜は場を辞し、取り残された俺の気まずさといったら、もうね。やめて!俺のライフはもうゼロなのよ!である。

だが、沈黙しててもしょうがないのでこの状況を変えようと口を開く。

「このたびは、馬騰さんは真(まこと)に残念なことに……」

言い募ろうとした俺に蒲公英が言葉をかぶせる。

「袁家家中においても同様。お悔やみ申し上げます。
 かの匈奴戦役よりの宿将、雷薄どのをはじめ有望な人材を喪ったというのは――」
「いや、ご当主を亡くされた馬家に比べれば。こちらこそお悔やみ申し上げる。
 本当に偉大な方だった。英傑、というのは馬騰さんのことを言うのだろうさ」

暫し、しんみりとした空気が流れる。うん、さっきまでのいたたまれない空気よりははるかにましだ。
いや、馬騰さんを悼んでいるのは本当だ。
本当に、益荒男というのは、武人というのは、馬騰さんのことなのであろう。そんな人だった。

「――にしても遠路はるばる感謝するよ。実際、馬家単独で函谷関に挑むかと思っていたからな」

実際、危惧していたのだ。馬家はその怒りのままに函谷関に押し寄せるのではないかと。
それに、袁家の呼びかけに易々と応じるかという懸念もあった。ある意味袁家の下風に立つに近しいからな。

「は、戦場が虎牢関と汜水関ならば、あの張遼と対する機会を失うかもしれないじゃないか。
 董家軍を討つのはいい。だが、張遼だけは私に討たせろ。父上の仇を、そのために私はここにいるんだ!」

その瞳には暗い炎が宿っており、思わず一歩後ずさってしまいそうになる。
はい、全力の翠の前ではクソ雑魚ナメクジだからね。仕方ないね。

「神速の張遼。いいだろう。そこについては馬家軍に任せるさ」
「ならばいい。陣構えとか、そんなのはどうでもいい。張遼を討つためならば馬家軍は最後の一兵まで火の玉となって燃え尽きることも厭わん!」

それだけ言って翠は踵を返す。
なーんかなあ。もっと明るく笑う女の子だったのになあ。などと思っていたら蒲公英が俺の耳元で囁く。こしょこしょと。

「ごめんね、二郎様。でも、お姉さまの手綱はたんぽぽに任せてね?
 今のお姉さまと遣り合えるとしたらそれこそ中華に三人といないと思うけど、なんか危ういんだよねー。
 それはそれとして、お姉さまが言った通り馬家は反董卓連合の主導権について袁家と争うつもりはないよ。
 だからまあ、色々大目に見てね?」

「こら、蒲公英!行くぞ!」

はーいと応えながら蒲公英は踵を返す。一度振り返り、にこやかに手を振ってくる。

反董卓連合。
漢朝でも有数の雄たる馬家が、主導権をあっさりと譲ってくれたことに俺は安堵する。
ここでごねられるとちょっとばかし面倒だったからな。

これでひとまず稟ちゃんさんに大きな顔ができそうだ。

いよいよ、反董卓連合の第一回の会議が開かれるのだ。
ああ、メイン軍師の不在が痛い!

風!カムバーック!

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案

思惑

もらったの
紀霊、李曼成と親しく語らい、錦馬超、馬伯瞻を伴い連合に合流す。

ご参考ください。
特に一ノ瀬の題名のアレっぷりに!

>>211
おーつー

反董卓連合~怨霊の牙~

乙でしたー
>>208
>>だが袁家とてそ、れらを無下にできぬ、できぬのだ。  これはケアレスミス
○だが袁家とて、それらを無下にできぬ、できぬのだ。  ですね
>>ただし参加の人員は二名のみ。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。  【ただし】だと条件の付け方が厳しめな印象を受けますね
○それも参加の人員は二名まで。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。  もしくは【ただし参加の人員は二名のみ。とはいえ諸侯と同じ~ でどうでしょう】
>>209
>>にひひ、と笑いながらすりすりと身を摺り寄せてくる。 【すりすりと】とあるってことはこれはにじり寄ってくるのじゃなくて体をこすりつける…マーキングっぽいものかな?
○にひひ、と笑いながらじりじりと身をすり寄せてくる。 一応≪距離を詰めてくる≫感じならこれで
○にひひ、と笑いながら猫のようにじゃれついてくる。  頭を擦り付けたり腕を絡ませたり太ももの上に乗ったりならこんな感じ?【体を擦り付けてくる。】とかもありかな?
>>正直うちみたいな技術屋からしたら解せんねんけどな。 喋り言葉としては有りでしょうけど一応
○正直うちみたいな技術屋からしたら解せねんけどな。  【解せん≒解せない】で否定が入って【ねん≒無い】でもう一回なので≪解せなくもない≫になって肯定になるので、もしくは【解せんのやけどな。】とかどうでしょう
>>わたわた、と慌てて真桜は場を辞し、 実際に擬音っぽい感じ≪ガチャガチャ、とノブを回す≫とか≪スパスパ、と紙を切る≫ではなく≪サクサクと話が進む≫とか【ちらちらと見え隠れする】のような副詞なので
○慌てた真桜はあたふたと場を辞し、  の方がいいと思います、もしくは【そそくさと】とかどうでしょう
>>210
>>だが、張遼だけは私に討たせろ。父上の仇を、そのために私はここにいるんだ!」  文章としては【、】と【。】が逆の方がよさそう
○だが、張遼だけは私に討たせろ、父上の仇を。そのために私はここにいるんだ!」  倒置法で【父上の敵を討たせろ】になるので【、】の方が自然かな

地位で見ると馬騰の部下っぽいものなあ…董卓。どこの誰に殺されるだけならまだしも自分の部下に、となると名に傷がつくどころじゃ無い(反逆させるほどの人望で、反逆される程の腕前ってこと)…そりゃあ全力で汚名返上しますわ
そういや五斗米道的に気の扱いってある程度系統立ってるのね…特殊な才能は必要なんだろうけど

>>212
どもです。
反董卓連合、はどっかで使いたいですね

>>213
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>地位で見ると馬騰の部下っぽいものなあ…董卓。
少なくとも派閥の構成員ではありますものねえ

>)…そりゃあ全力で汚名返上しますわ
翠ちゃんはそこまで考えてないような気もしますが、結果オーライ……っ!なのかな

>そういや五斗米道的に気の扱いってある程度系統立ってるのね…特殊な才能は必要なんだろうけど
凡将伝ではそういうことになっております
特殊技術みたいな。

彼岸でしたので、極楽浄土と天界でそれぞれの道を歩んでいるであろう兄姉達に弟か妹が出来た事を報告し、お父さんとしてそっちに連れて行かないよう厳命しました。
で、乙です。

二郎さんや、だからね嫁はちゃんと一人にしなさいとあれほど忠告しているのに。
具体的には幼馴染とかさ(押せ押せ)
来たな。天のパシリ。とりあえず、0.02ミリくらいの厚さしかない発言を皆でフルボッコしてやって。

>赤楽さんが張紘くんを見るとこうなるのかなって感じで腑に落ちた感すらあります
赤楽(徐庶)さんはもうすこし深く見て、張紘さんの立場と策を練った人物の意図も理解して、それでも抑えらない部分だけ理路整然と張紘さんを傷つけないように指摘するでしょうね。
つうか張紘、いつになったら「これ、俺の嫁」って義兄弟二人に紹介すんの?何度も言うけど絶対捨てるな、絶対逃がすな、絶対愛想つかされるな。
対外的な既成事実を作りなさいよ。

二郎さん、真桜さんのほてり(意味深)は後でちゃんと静めてあげてねっとwww

>>215
どもです。
諸外国のコロナの影響に戦慄しております。
やべえよ……。

>二郎さんや、だからね嫁はちゃんと一人にしなさいとあれほど忠告しているのに。
タグに、ハーレムって入れちゃったので……っ

>具体的には幼馴染とかさ(押せ押せ)
俯瞰者さんの推しについては、当初案では退場予定でしたので、えらく違いが出たなあとかなんとか

>来たな。天のパシリ。とりあえず、0.02ミリくらいの厚さしかない発言を皆でフルボッコしてやって。


>つうか張紘、いつになったら「これ、俺の嫁」って義兄弟二人に紹介すんの?
嫁さんの方が拒絶しているのを押し通す日が来るのか
さて

>何度も言うけど絶対捨てるな、絶対逃がすな、絶対愛想つかされるな。
どれもないかと思います。比翼連理とはこのこと。

>二郎さん、真桜さんのほてり(意味深)は後でちゃんと静めてあげてねっとw
ちょw

「ふむ、汜水関には張遼、呂布、陳宮が詰める、か。さっすが張家。きっちり調べてきたな」

手元の書類を火にかけて処分し、暫し思索にふける。詠ちゃんが汜水関にいないということはまだ月の身柄を押さえていないということか。
ならばさっさと攻勢をかけるべきかもしれないな、とぼんやり思う俺に声がかけられる。

「あの、二郎様。お食事、お口に合いませんでしたか?」

不安げに流琉が問うてくる。そんなわけないじゃん。

「いや、ちょっと考え事してただけさ。美味しいよ」

ほっとしたように流琉が笑う。流琉謹製のご飯がまずいわけがないのである。
――本来は戦場に於いては兵たちと同じ物を食べるのだが、今回はそうもいかない。
なんとなれば諸侯軍が集結しており、毒を盛られることも大いにあり得る。
なので袁家幹部は信頼できる料理人――流琉や凪も含む――により特別に誂えられた料理を、これも厳選された人物が配膳することになっていた。
これは七乃が強硬に主張していたことであり、袁家においては当然のごとく容れられている。
まあ、ちゃっかりとその食事を要求してきた華琳も流石と言えば流石ではある。なにせ今回の乱はそもそも宦官の動きがあったからな。
自分はそことは無関係というのを一緒の食事を摂ることで示しているのであろう。いや、勘ぐり過ぎかもしらんがね。
まあ、華琳のことだ。美味い飯が食いたいだけってのもあるだろう。あの子相手にするときは考えすぎたら負けである。多分。

「まあ、流琉のことも頼りにしてるよ。ほんとに」

流琉は美羽様の護衛を主任務として動いてもらっている。単体の武力で言えば袁家内部でも五本の指に軽く入るのだから当然だ。
それを感じているのか、真剣なまなざしで応えてくれる。いや、流琉はいつも真面目なんだけどね。

「はい、一生懸命、頑張ります!
 ――雷薄さんには、とってもお世話になりましたから!
 本当に、お世話になってたんです!
 ……本当に、色々と気にかけてもらってたんです」

そ、と目を伏せる流琉のまだ小さな身体をすっぽりと抱え込む。

「え?じ、二郎様?」

ぎゅう、と抱きしめてから膝の上にだっこしてやる。

「そうだな、頑張ろうな。俺だって雷薄には色々世話になった」

がしがしと流琉の頭を乱暴に撫で繰り回す。
ああ、あいつは本当に世話焼きだった。本当に助けられた。
実際、あの偉丈夫の後押しがあったからこそ、若僧の俺が紀家軍を上手く運営できたというのは確定的に明らかなことである。

「目にもの見せてやろうな。見せてやるとも。
 だからさ、頼りにしてるからさ。あんまり気張るなよ?いざって時に備えて、な?」

「は、はい……」

そんなふうに流琉を愛でていた俺の耳に、たん、たん、と。元気のいい、踊るような足音が聞こえる。そして。

「じろー!ひっさしぶりー!」

どーんといった風に突撃してきたのはシャオだった。

「あ、流琉もいたんだ、久しぶりだねー」

そんなことを言いながらよっこらせとばかりに俺の膝に昇る。
流琉と仲よく分け合う形である。
なにこの両手に幼女状態。

◆◆◆


女三人集まればなんとやら。
いや、幼女二人でも十分に賑やかである。その震源地が俺の膝の上であるからして、こう、なんだ。元気だねえとしか。

「ねえ、二郎。最近ご無沙汰でしょー?こう、身体が火照って、夜鳴きするのよねー」

不意にそんな言葉を投げかけてくるのだが……。
ちょっと待ってみようか。

「誰に仕込まれたそんな台詞。十年早いぞ」

「えー、祭に聞いたらこう言って迫ったら、よほどの甲斐性なしじゃなければ可愛がってくれるって言ってたよー。
 二郎は甲斐性なしじゃないからシャオを可愛がってくれるよね?」

「あのなあ……」

なに教えてんだあの熟女。つうかそんなノリなのか孫家ってば。
思わず天を仰ぐ俺を流琉が心配そうに見つめる。うん、お前は汚れずにいてくれ。
内心滂沱している俺はだから、更に接近する存在に気付かなかった。

「二郎、久しぶりね!
 ……ってシャオ!何してるの!二郎、貴方も!って。
ええと、二郎貴方疲れてるの?」

なんだこのカオス。
両手に幼女の俺を糾弾しつつ気遣うのは蓮華。そしてその後ろに控えるのはあくまでにこやかな笑顔の穏である。
……ぼすけてー。

しかし現実は非情、助けが入るわけもない。

「じゃあ、二郎、美羽のとこいくね!流琉もいこ?」

「え?え?」

どうしましょうと見上げる流琉に軽く頷く。
行っておいで、と。

たたた、と去る幼女二人を見送り、残された俺はどうしたらええっちゅうねん。
いや、シャオはあれで空気読んで出てったんだろうけどね。それともここまで全部ブック通りだったらすごい。フフ、怖い。

「……シャオが迷惑かけたかしら?」

気遣うような蓮華。その優しさがちょっと心に痛い!でもその好意に甘えちゃう!

「や、流琉も気を張ってたからな。ああして気分転換できるのはありがたいやね」

「あら、気分転換しないといけないのは二郎、貴方じゃなくって?
 いつもの余裕が感じられないわよ?」

いや、別にいつだって余裕綽々というつもりはないんだが……。

「そうかな?ま、とりあえずは参軍に感謝するよ、蓮華」

「ええ、他ならぬ二郎の呼びかけですもの。お呼びとあらば、即参上するわよ?」

いたずらっぽく笑う蓮華である。うはは。
そりゃあ、実にありがたいこって。

「にしても、まさかシャオまで連れてくるとは思ってなかったよ」

敵には神速の張遼、万夫不当の恋、そして神算鬼謀の詠がいるのだ。何があってもおかしくはない。

「あら、私は分のいい賭けは大好きよ?二郎はどうかしら?」

「賭け事をするならば胴元に限る」

くすくす、と蓮華が笑う。穏の笑みが深くなった気がする。

「そんな二郎だもの。大きく張るわよ。全力買いよ?
 そりゃあ、私とシャオが儚くなってしまったならば孫家は潰えてしまうわ。
 でもね、シャオは単に孫家の覚悟を表すだけじゃないのよ?」

純粋に戦力として動員しているのだと蓮華は笑う。

「正直、戦場に於いて既に私はシャオに及ばないわ。悔しいけどね。
 母様や、姉さまみたいにね。
重ねて言いましょう。戦場での煌きにおいてシャオは既に私を凌ぐわ。
 嘘だと思うなら前線に出してみたらいいわ。あの子、末恐ろしいわよ?」

マジか。
如南でのアレはてっきり穏あたりのフォローがあってこそと思ってたんだが。
まあ、用兵なんてのは生まれ持ってのセンスによるところが大きいからなあ。

――世に名高い「孫氏の兵法」その英訳題は「The Art of War」である。
つまり、戦争とは芸術、なのである。それはきっと凡人の理解が及ぶところではないのだろう。
つまり俺には分からないということである。

だから俺は。凡人たる俺は風に、星に、稟ちゃんさんに下駄を預けるのだ。
それが勝つためには最善だと思うから。俺が見込んだ芸術家に全幅の信頼を寄せることしかできないから。

そして目の前には戦争芸術家一族の当主が微笑んでいる。フフ、本当に怖い。

「だからね、二郎」

にこやかに蓮華が微笑む。今後ともよろしくと。
だったら俺にできるのは馬鹿みたいに首を縦に振ることしかない。

「そうですよ、二郎様」

穏がにこにこと蕩ける笑顔で迫ってくる。
自分たちは姉を、師をも切り捨てて俺に賭けたのだと。

「孫家は袁家と一心同体。それは、わきまえてくださいね?」

無論。

「ああ、無駄に孫家とことを構えるほど阿呆じゃないさ」

「そこまでは言ってませんよ?それに、そんなに他人行儀だと、哀しくなっちゃいますー」

いやんいやんと身を振るうそのしぐさにも目が釘付けになってしまう。主に胸部装甲あたりに。シェイクシェイク。ぶるんぶるん。

「……色々、変わってないわねえ……」

そんな蓮華の呟きは聞こえないふりをするに限る。うむ。
うむ。ありがたや、ありがたや豊穣の象徴よ……。

そして彼女らの隙をついてこの場から立ち去ろうと決意する俺であった。
いや、やろうと思えばやることいっぱいあるしね!

◆◆◆

「……ふう」

風が吹く。乾いた風が吹いている。黄色い大地を風が吹いている。

振り返ると、大軍。反董卓連合だ。そして眼前には汜水関。文字通り難関である。
いや、前も後ろもピリピリしてるね。当たり前だけんども。

しかし目にすると、あれだ。ため息が漏れるね。
ここからガチで恋とか張遼とか……詠ちゃんとかと命のやりとりをするんだから。
これまでの、野盗の類とか黄巾とかを相手していたのとは訳が違う。

そんな俺のおセンチな感傷をぶちこわしにする声が響く。

「七乃~、喉がかわいたのじゃ~。蜂蜜水を持ってたもれ~」

「えー今日はもう駄目ですよー。おしっこもらしても知りませんよー?」

「うう、七乃はこっちに来てから意地悪なのじゃー」

がくり、と崩れ落ちそうになりながら、それでも口に笑みが浮かぶのを押さえられない。

「ってなんで美羽様がここにいるんですか!危ないでしょう!
 きちんと陣にいてくださいな」

「退屈なのじゃー。いい加減、飽きたのじゃ。のう、シャオ、流琉?」

「そうだよー、とりあえず一当てしようよー」

「わ、駄目ですよ。お二人とも、二郎様を困らせては……」

きゃいきゃいと騒ぐ幼女三人に腰が砕けてしまう。
まあ、何があっても美羽様はお守りするけどね。

いや、いい感じで力が抜けた。
改めて汜水関を見る。
でかい。

「うん、無理だな」

俺ごときが見てもそんな、攻略案が出るわけもないよね。
まあ、なんとかするさ、なんとかしてくれるさ。

いや、メイン軍師が横にいないのがものっそい不安だけどな!

「さ、陣に戻りましょう。次に来るときは――」

きっと激戦になるだろう。血で血を洗うんだろう。それでも俺は、俺たちは止まれない。
もはや賽は投げられたのだ。

反董卓連合か、なんとも心が沈む響きだね、と苦笑しながらそれでも俺は止まらない。
なんとなれば、賽は投げられたのだ。

踵を返し、陣に向かう。

待ち受ける、参戦した諸侯を集めての会議に思いを馳せる。
まあ、なんとかなるさと苦笑しながら歩いているとぴとり、と貼りついてきたのが。

「二郎?あまり難しい顔をするでない。笑う門には福来る、なのじゃ」

気遣わしげに見上げる美羽様である。
あまりに可愛らしいので、えいやと持ち上げて肩車してやる。

「わ、高い。高いのじゃ……」

「あー、美羽、ずるーい、二郎!シャオもー!ってほら、流琉もおいで!」

シャオと流琉をそれぞれ両脇に抱えて。
なんだかその感触が懐かしく、笑ってしまう。

「ああ、美羽様可愛いなあ。あんなに無邪気にはしゃいじゃって……。ああ、美羽様のあの表情が見れたのはいいけど肩車している二郎さんが妬ましいぞーこのこのー」

幼女に囲まれ、七乃にこづかれ、なんだかもう抱いていた煩悶はどこへやら、である。

いやまあ、一人じゃないって、素敵なことよね。

よし、と気を取り直した俺でございました。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

一ノ瀬案
「凡人と汜水関」

まあ、今回はこれで決まりでしょ。
1話と繋がりますしね(慢心)

頑張るぞいっと。

乙っしたー

凡人策を浮かばず、作者題名を浮かばず

1話に戻って8回ループするのですねww

タイトル案
凡人、悩みを幼女にて解決する
戦場の三美姫
嵐の前の幼女

>>221
おっつおつー

見下ろすは汜水関、蠢くは連合軍

乙でしたー
>>218
>>内心滂沱している俺はだから、更に接近する存在に気付かなかった。  ちょっと違和感が
○内心滂沱している俺は、だから更に接近する存在に気付かなかった。  ≪裸≫と空目したことは関係ない
>>219
>>「孫家は袁家と一心同体。それは、わきまえてくださいね?」  【わきまえて】だと上から目線な感じがしますね二郎ちゃんが自分から言うならともかく
○「孫家は袁家と一心同体。それは、忘れないでくださいね?」  もしくは【覚えていてくださいね?】自覚を促す感じならこれ?【弁えていますからね?】自分たちは裏切らないよ、と釘を刺す感じならこうもありかな?
>>220
>>もはや賽は投げられたのだ。          この後でもう一回言ってるのが冗長くさいので言いかえを
○もはや止まることは、後戻りはできないのだ。 でどうでしょう

公園の花見が規制されるだって!?前日に花見しなきゃ…とか言ってるのをテレビで見てどういう顔をすればいいかわからなかったよ
コロナのせいで私の中で中国へヘイトが向いてます…これは凡将伝に対しても理不尽な難癖がつくフラグですよ

さて、胴元大好き二郎ちゃんと分の悪い賭けは嫌いな蓮華ちゃん。一皮剥けて好相性になったな
ところで流琉ちゃんはすでに男を知っているんだから体が火照って夜泣きするのなんざ十分理解してるのでは?(迷推理
華琳はいろいろと考えて一つの行動にいくつも意味を持たせてそうだけど多分そのうちの一つは二郎ちゃんの好感度稼ぎな気がする…多分まだ部下にするの諦めてないよ

>>222
どもです。

>」凡人策を浮かばず、作者題名を浮かばず
はっはは!喧嘩売ってんのかてめえ!
となる案件なので、秀逸な奴をオナシャス。頼んだよ。

って思ったらええ感じの奴を頂いてたー!
幼女だー

>>223

>見下ろすは汜水関、蠢くは連合軍
汜水、見上げてるんだよなあ……
いや、分かってるんでうよ

>>224
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
大事なことなので二回言った。

>公園の花見が規制されるだって!?前日に花見しなきゃ…とか言ってるのをテレビで見てどういう顔をすればいいかわからなかったよ
割と数日で事象が動いておりますね

>コロナのせいで私の中で中国へヘイトが向いてます…これは凡将伝に対しても理不尽な難癖がつくフラグですよ
やっべとうとう凡将伝も国際化かあ
恩恵とかあるんじゃろか

>さて、胴元大好き二郎ちゃんと分の悪い賭けは嫌いな蓮華ちゃん。一皮剥けて好相性になったな
これ、一方的に二郎ちゃんが胴元発想っす

>ところで流琉ちゃんはすでに男を知っているんだから体が火照って夜泣きするのなんざ十分理解してるのでは?(迷推理
<(_ _)>

華琳ちゃんはね、本当に恋愛弱者じゃ^

>>225
山の上から布陣を見下ろしてるように
脳内変換してくんろぃ

(連合軍を)見下ろすは汜水関、(汜水関を突破するべく)蠢くは連合軍  って意味かと思ってたもしくは
(戦場を)見下ろすは汜水関、(戦場に)蠢くは連合軍  とか

じろり、と俺は会議室に集った面子を見やる。
空席はもう上座の数席のみ。まあ、ぶっちゃけ麗羽様と猪々子、斗詩なんだがね。
美羽様は七乃の膝の上でうとうとと、おねむなご様子してるがまあ、七乃がいりゃあ問題はないね。十分以上だね。
曹家からは華琳と荀彧(ネコミミ)。華琳は悠然と瞑目し、ネコミミは何かぶつぶつ呟きながらも油断なく周囲を窺っている。その挙動は実に小動物であり、可愛さしかないね。
馬家からは翠と蒲公英(たんぽぽ)。翠も瞑目し、微動だにしない。蒲公英は……目が合うと手を振ってくる。ウインクは余計だと思います。だって応えちゃうもの。
苦笑して視線を移すと白蓮と……ありゃ韓浩か。久しぶりすぎるな。相変わらず表情筋仕事してねえなあ。あれで愉快な言動なの、白蓮は分かってるのかなあ。いあ、目配せ一つ。多分あれは通じてますわ。

そしてにこりと、蓮華と穏が笑いかけてくれる。うん、にへらと笑顔で返そう。返すしかないよ。
ちなみに劉焉殿の配下の厳顔については列席を許していない。劉璋ちゃんが人質だから観戦武官でよろしくとか言われても困るっつうの。
そっからこっちの情報を手札に何をするか分かったもんじゃないしね。

コホン、と咳払い一つ。横の稟ちゃんさんが鋭い目を向けてくる。いいじゃんかよこれくらいー、と思いながらもきりりと表情を引き締める。
まあ、傍目には変わらんだろうけどね。

目の端で末席の劉備と北郷一刀を見やる。あちこちきょろきょろしたり、キャッキャウフフと……って孔明がおらんのかいな。
いや、その方が都合がいいんだけどいいのかそれで。と思うが、二人までの出席となるとこの場に孔明は出せないな。
だって諸侯が連なるこの場でどちらが欠席するのも容認できんだろう。いびつな二頭体制だからなあ。
まあ、どうでもいいけどね。

と、扉が開き、そこから光輝が溢れる。
斗詩と猪々子を従えて麗羽様がいよいよいらっしゃったのだ。ステンバーイ、ステンバーイ。
豪奢だったその髪は短く揃えられたままだが、その高貴さを損なうことは全くない。
悠然と歩を進め、上座に位置し、口を開かれる。

「皆さん。この、わたくしの呼びかけに応じてくださって感謝しておりますわ」

満足気に笑い、麗羽様は言葉を続ける。

「今更自己紹介も必要ありませんわね。では、二郎さん、お任せいたしますわ」

はい、任されましたとも。

「議事進行する紀霊だ。議事録はここな郭嘉が記録し、結果をお知らせするとも」

稟ちゃんさんがぺこり、と僅かに頭を下げる。ちょっとその仕草が可愛いなあと思ったのは多分華琳あたりには見透かされてるだろうなあ。
まあ、日ごろからねえちゃんだの田豊師匠だのに圧迫面接24時だった俺が諸侯どもの視線にびびるわけもなく、ごく自然に話を進める。

「では最初の議題だ。
 反董卓連合。その総大将について、だが。
存念がある方は発言してほしい」

まあ、様式美ではあるが必要な手続きでもある。
揃った諸侯もやはりか、とばかりに表情を改める。そして互いに様子を窺う。
そりゃまあ、ここですんなりと麗羽様が総大将になったら袁家総取りってのが見えるもんな。
消極的ではあるが袁家の足を引っ張りたいというのが透けて見える。
この期に及んで、だが。

ニヤリ、と口が歪むのを自覚して俺は口を開こうとする。
そこに涼やかな声が響く。

「いいかしら?」

◆◆◆

反董卓連合。この集まった大軍の総大将が誰かという議題。
曹操は苦笑する。そしてなるほどと納得もする。あくまで袁家は諸侯の合意のもとに洛陽に寄せるのかと。
それならば今上帝に叛するも、袁紹を推したという一事で諸侯は袁紹を認めざるを得ない。
なかなかに考えているではないか。
だが、袁家の独走を望む者なぞいないのだ。それを分かっていながらどうするつもりやら。

内心冷笑すらしながら曹操は傍観を決め込む。この状況で自ら総大将を名乗るか?そんな無様を晒すなら興醒めである。
お手並み拝見とばかりににんまりと笑い、深く座する。
そんな曹操の思惑を破ったのはしっとりとした、それでいて活力に満ちた声だ。

「いいかしら?」

目を向けると、褐色の肌の少女が艶然と微笑む。南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操が目を奪われる。
紀霊が発言を促すとその笑みを深く、輝かせて高らかに謳う。その言は場に響き渡る。

「我らは袁紹殿の檄文によって馳せ参じた。なれば袁紹殿が盟主となるのが必定と思う。
 家格としてもそれが妥当。格と言えば馬家を差し置いての発言、ご寛恕願いたい。
 馬超殿、如何(いかが)?」

やられた、と曹操は内心歯噛みする。いや。ぎり、という音が自らの内部から発せられたことに気づく。
出遅れた!
曹操はその内心が劫火に侵されるのを自覚する。

「馬家に異存はない。一切を袁家に任せるに異存はないとも」

うっそりと馬超は応える。黒い炎が立ち上るのを常の曹操ならば感じ取ったであろうが、今はそれどころではない。
とんだ道化になってしまう。腹心と打ち合わせる暇すらなく状況は動いていく。

「公孫も異存はないぞ。これまで私心なく袁家が北方の護り手としていたのは周知のことだろう。
 その一翼を私も担ってきた。袁家の差配ならば安心して全力を尽くせるというもの、さ」

いっそ穏やかな口調の公孫賛の言葉が決定的に、流れは袁家のものとなる。
そしてこの場での動きこそが肝要であると知っていたのに、と曹操は自身のうかつさを悔やむ。
既に勝ったも同然のこの戦。
なれば論功行賞は戦働きのみで決まりはしない。むしろこういう戦略的見地での働きこそ貴重と思うはずなのだ。
孫権の言は計算づく。そして馬超と公孫賛の言は何も考えていない本音。実力者であるからこその重みを弁えているものといないもの。
それらが絡み合って袁家を押し上げる。
ならば、と曹操は腹を括る。

「そうね、麗羽が総大将で問題はないでしょうとも。
 だって麗羽は太尉の地位にあるものね。漢朝の軍権を司るのだから、麗羽の号令で我ら諸侯は動く。何もおかしくはないわ」

ざわり、と無言のままに場の空気がどよめく。
それは単なる袁家への追従ではない。

元来、諸侯が蓄える武力、兵力に関しては認められていなかった。それが黄巾の乱が起こり、領内安堵の為に黙認されていたのである。
それは灰色の利権構造(グレーゾーン)から諸侯の既得権益となりつつあったのだ。
曹操の言はその、手にした武力の指揮権を返上したに等しい。
更には軍閥として兵を蓄える諸侯に対する掣肘ともなる。きっとこの場にその既得権益の代表たる厳顔がいれば大いに異を唱えたであろう。

だが、実際には異論は表立っては出ず。
袁紹の、反董卓連合の総大将たること。更にはその指揮権についてが認証されたのである。

◆◆◆

ふむ、と郭嘉は満足げに頷く。
これまでのやり取りで掴んだのだ。把握したのだ。
脅威たる勢力はどこかというのが理解できたのだ。つまり、この段階において戦後を睨んでいるのは曹家と孫家。
袁家が政権を担う漢朝。其れを支えるであろうは馬家と公孫。

さて、と思う間もなく仕える主君は盟主として承認を得る。
曹操が提示した、諸侯の兵力に対する支配については一先ず棚上げされることになるであろう。
まあ、それもこの戦に勝ってからのことではあるのだが。

「ちょっといいかな」

発言したのは末席の義勇軍を率いる男。不思議な言動で支持者も意外にいると聞く。
警戒しつつ、出鼻をくじくべく口を開く前に男は言葉を紡ぐ。

「袁紹さんが総指揮を摂るのはいい。でも、どうやって難攻不落の汜水関、そして虎牢関を落とそうと思ってるんだ?
 その腹案を伺いたい」

「はあ?そんなこと、このわたくしが考えることではありませんわね」

ざわり、と空気が動く。
それに気をよくしたのか北郷一刀は更に切り込む。

「精強なる董卓軍。それに頑強なる汜水関、虎牢関。いったい盟主殿はどのような絵図を描いているのかな?」

いっそ穏やかな問いかけに袁紹は艶然とした笑みを浮かべる。
そして袁紹の覇気、光輝は場を多い、席巻する。

「そんなの決まってるでしょう?
 華麗に。優雅に。雄々しく!」

名門袁家の勝利にはそれこそが相応しいと袁紹は高く笑う。

はあ?と声を発する者、無言で頷く者、どう判断していいか分からずに左右を見渡す者、ニヤリ、と口を歪ませる者、無関心で心の炎を燃やす者。
それらすべてを無表情に郭嘉は拾い上げる。いや、このように各人の心底を揺るがし、反応を引き出す主君に内心舌を巻く思いではある。
そして満面の笑みの青年の器についても評価を上方修正せねばいけないであろうと。

「おーっほっほ!
 二郎さん、些事はお任せしましたわ。
 いいですこと、みなさん。二郎さんの言はわたくしの言。二郎さんの決定はわたくしの決定。
 わきまえてくださいましね。さあ、行きますわよ、猪々子さん、斗詩さん」

悠然とその場を去る袁紹を留める者はいない。
ある者は格の違いに打ちひしがれ、ある者はここで争うのは得策ではないと思い定め、ある者はいずれボロが出るであろうと見極め、ある者はこれでこそ我が主君と意気軒昂。

そして、場を任された凡人はその重責に気を引き締める。
だが、その口元は僅かに緩んでいるのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、なんだろうなあ
「華麗に、優雅に、雄々しく」
もしくは
「覇王、出遅れる」
珍しいですからね

ぼすけてー

乙っしたー

トップは方針決めるだけでいいのよ
その方針を実現するために配下がいるんだからね

タイトル案
大将の器(又は大将の度量)
凡人、君主の器に改めて感心する

うちのアホ社長に麗羽様の爪の垢煎じて飲ませたい

前から素朴な疑問なのですが、爪の垢煎じた奴って効くのかしらん?
ならアホ社長の私も麗羽さんの爪の垢貰って煎じてみましょう。ひょっとしたら効くかもしれんしwww
いやうちは経営方針はちゃんと私が示して、それに沿って役員は動いていますよ。

やっぱこいつ発言がペラいなー、天のパシリ。おま働いたことねぇだろ(設定設定)

で、乙でした。

>>231
乙の乙乙。
上意下達と横槍と
かな

乙でしたー
>>229
>>南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操が目を奪われる。 この書き方はもう一ノ瀬さんの癖みたいなものかな
○南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操も目を奪われる。 だったらあまり何回も指摘してもアレかしら
>>230
>>「袁紹さんが総指揮を摂るのはいい。 様を付けろよデコスケ野郎! 1領主の孫策が殿付けてたのにそれ以下のお前が何でさん付けしてんだこら
○「袁紹さんが総指揮を取るのはいい。≪執行≫なら【執る】なので細分化するならこれですね
>>そして袁紹の覇気、光輝は場を多い、席巻する。  多量で溢れてるよね
○そして袁紹の覇気、光輝は場を覆い、席巻する。  【覆いつくす】の意味ならこれですね
>>反応を引き出す主君に内心舌を巻く思いではある。  【内心】と【思い】が重複してますね
○反応を引き出す主君に内心舌を巻いた。       もしくは【主君に舌を巻く思いではある】ですかね

>>「華麗に、優雅に、雄々しく」  【華麗に】ってことは汚い事をしない≒降伏の受け入れやら途中の村への徴収()やらへの釘差しかな
【優雅に】ってことは食事や装備や寝床をしっかりさせる宣言かな
【雄々しく】は上だけじゃなく兵卒の士気を下げないことも重視してる、と
まあぶっちゃけここで袁紹様にあそこに囮を置いてここに伏兵させてとか言われても困るしね
それをなすだけの補給線がある以上この器の大きさは恐れるしかないわw>>ボロが出るであろうと見極め…(袁毛家臣団を見て)ウン、ソウダネ

>>232
どもです。

>トップは方針決めるだけでいいのよ。その方針を実現するために配下がいるんだからね
実際そうなのですよね。これは組織運営したことある人の金言や!

>うちのアホ社長に麗羽様の爪の垢煎じて飲ませたい
やだなあ、麗羽様に爪の垢なんてあるわけないじゃないですかー!

>>233
どもです。

>前から素朴な疑問なのですが、爪の垢煎じた奴って効くのかしらん?
漢方かな?別名じゃないっすかねw

>麗羽さんの爪の垢貰って
だから麗羽様に爪の垢なんて存在しません。ここ重要っす

>やっぱこいつ発言がペラいなー、天のパシリ。おま働いたことねぇだろ(設定設定)
そらそうよw
まあ、原作通りの描写で全然違う風景というのが凡将伝ですので

>>234
どもです。

>上意下達と横槍と
三次元の空間的題、ありがとうございます。これいいな。

>>235
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うへへ。

> この書き方はもう一ノ瀬さんの癖みたいなものかな
実は十二国記で見て痺れた表現なのですね。
小野主上がやるなら乗っかってやろうかというか、響きが好きなんです。
いえ、これまでの奴は不備として修正してますが、アリならこのままいきたい。
好きなんです、この表現。

> 【華麗に】ってことは汚い事をしない≒降伏の受け入れやら途中の村への徴収()やらへの釘差しかな
そんな細かいこと麗羽様が考えているわけない
配下が忖度するんですよ、まさに赤ペン先生みたいにね!
やったぜ

まあ今回の一刀君の発言は言い方はともかく内容はそこまでハチャメチャではないのでセーフ、ということで
周囲が袁紹の返答にざわつく様子からしてもどうやって攻略するつもりなのかの絵図面とは言わないまでも枠組みくらいは知りたいと思うのが人情だし
ただ根底に(多分横山版)三国志の知識があるから袁紹を見くびってるのがね…ぶっちゃけここにいる諸侯はこの一幕で一刀に対する認識がだいぶ固まりそう

>>237
原作再現イベントですよ!
趙雲スカウトもそうですけど、再現してますよね!
してますよね?

原作再現の難しさというかバタフライエフェクトは置いておくとしても
人の関わり方って難しいからね、原作の方では袁紹が盟主になるのに不毛なグダグダがあったからほぼほぼ全員が白けてたし、その状況から華麗とか優雅とか言っても、ねえ
そこを行くと今回の袁紹様はすごいスムーズにトップになったし頼まれれば糧食の手配もすると言ってるし(多分どこぞの義勇軍はこれ受け取ってるよね)光輝溢れまくってるし…
例えるなら襤褸切れ纏った老人がお金の無心に来るのと立派な袈裟を着た先祖の墓を建てた寺の坊さんが寄付を求めてくるのを同じ対応するのか?ってことよ
昔話に追い返された後立派な袈裟で歓待されたら袈裟だけ置いて帰った人がいたけどお前自分がどれだけ顔売れてると思ってんの?傲慢な自分を恥じれよ、と思ったね
原作では確かここまでほとんど関わりないけどここだと袁紹様(二郎?)の口利きで領地貰ったのよね?一刀(というか劉備)

麗羽様が斗詩と猪々子を伴って室を辞されてからも室内のざわめきは絶えない。
いや、俺もちょっと驚いている。まさかこの俺が丸投げされるとは……。それは俺の専売特許のはずだったのだと思うのだが、よく考えたら全然そんなことなかったね!
てか、無言の俺に少しずつ視線が集まる。まあ、ああまで言われた以上俺がこの場でもっとも発言権があるということなのだろう。
ちら、と横の稟ちゃんさんと視線を合わせると、こくりと頷いてくれる。
よし、なんかとちってもフォローは任せた。まあ、麗羽様の名代となればあまり無様は見せられないけどな!

よいしょとばかりに立ち上がり、す、と手を挙げる。
無言でそうしているうちに場が静まっていく。はーい、みんなが静かになるまで三分かかりましたー。

「それでは難攻不落の汜水関、それを落とす算段をしようじゃあないか。
 で、栄えある一番槍を望む勇者はいるのかな?」

ざわ、と声なく場がどよめく。
そりゃそうだ。誰だって手持ちの兵力、そのの損耗は避けたいとこだろうさ。
攻城兵器なんて持ち込んでるの袁家くらいだしな。ただの歩兵が万全の用意をしている要害に挑むとかどこの203高地だっつの。

「ふむ、では申し訳ないが先陣の誉は袁家が頂くとしよう」

稟ちゃんさんに目をやると微かに頷いてくれる。ヨシ!
そうさ。もとより。
もとより袁家単独での攻略が既定路線。そのための袁家総力戦。だから張紘だって前線に出ばる事態だし、虎の子の工兵隊も全力で投入なのだ。

「ちょっと、いいかな」

発言を求めてきたのは……天の御使い(仮)こと北郷一刀君である。

「俺たちは袁紹殿の檄文によって集まり、洛陽を目指す。
 でも、本当にそれは正しいんだろうか?」

まあ、正確には君のとこに檄文は間違っても届いていないはずなんだけどね。

「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
 彼女がそんなことをするはずがない。だとしたら……」

言い募る言葉に、俺は手を挙げて遮る。なんだかなあ。

「月とは俺も知己がある。ああ、腹心の詠ちゃん含めて親しくしていたよ。だから俺もこうなって残念で仕方ない。
 だが、洛陽が荒れているのは事実。目と耳で確かめた。
 今更。今更そこに疑念を呈すならば、洛陽が荒れていないという確証でも持ってくるのだな。話にならん」

残念ながら洛陽は暴政によって蹂躙されているのだよ。風がそう言っているんだからな。つまりはそういうことだ。

「先陣は袁家が受け持つ。後詰には馬家、曹家、孫家、そして公孫。
 他の方々には色々とご尽力願うことと思う」

露骨にほっとした空気が流れる。漲る闘志がひりひりと熱い。
前者は有象無象。後者は後詰を受けた信頼する勢力だ。
ふむ、と満足げに場をお開きにしようかと思ったが、また茶々が入る。

「待ってくれ!俺たち劉家……義勇軍も後詰に加えてくれ!
 そして作戦について腹案がある!」

えー。

北郷一刀君が示した案は、とりあえず昼夜構わずに攻めまくろうというものだった。
どうせ狭隘な関にはある程度の戦力しか展開できないから、絶え間なく攻めて消耗を誘おうというもの。

「却下」

稟ちゃんさんに目を向けるまでもなく言う。
だってそうじゃん。連携なんてどうせほとんど取れないぜ?夜にそんなスムーズに攻め手の交代とかできるとは思わんね。
しかも、そのどさくさにあの恋が出たらそれだけで潰走だ。
一軍の潰走で全軍が崩れるとかありえるからなあ。そんなリスクはご免である。
何か言い募ろうとする一刀君に畳み掛ける。

「意気はいい、少年。だが、そういうのはだな。せめて自軍の食い扶持の面倒を見てから言うんだな。
 つまりだ。十年はええよ」

純朴なんだな。かあ、と赤面し、着席する。よおし、いい子だ。
残念だったな。そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍有名を馳せるというのが筋書きだろうがね。
やらせはせんのだよ。
いや、そりゃあ関羽に張飛、伏竜鳳雛と手駒にできればえらいことになりそうなレアユニットがゴロゴロしてるけどさ。
その先を鑑みると、大人しくしていてほしいのよ。マジで。

「では、ひとまずこの場はこれでお開きということにする。じっくり英気を養ってくれ」

ちら、と横目で見ると稟ちゃんさんも頷く。うし、そこまでボロは出さずに済んだみたいだな。

まあ、手勢だけで恋とかと渡り合うことになると同意義ではあるがまあ、しゃあない。
いや、董家は精兵だし張遼とか泣く子も黙るけどね!
だからさ。

「稟ちゃんさん、黙ってくれててありがとうな。色々言いたいこともあったとは思うんだが」

毛ほども表情を変えずに応じる美少女。

「いえ。想定内です。もっと荒れることを想定しておりましたから。
 あっさりと場を治めた二郎さんには賞賛を惜しみませんよ。
 それと、北郷一刀、でしたか。ある意味彼のお蔭というのもありますね」

へ?

「彼の言う通り、董卓殿の人品は卑しからず。彼女が暴政を、というのはいかにも不自然です。
 それを、義勇兵上がりの成り上がりである彼が口にしたことにより、他の諸侯は与することもできず、結果封殺されることとなりました。
 いや、色々綱渡りではありましたが今はただ、ほっとしています」

な、なんだってー。

「……。
なるほど、狙っていたわけではないというのを確認できただけでもよかったです。
 なるほどなるほど。風が気に入るわけですね。まったく、手のかかることこの上ないですが……」

なるほど、わからん!

「ま、まあとりあえず真桜んとこ行こうぜ。攻城兵器がないと話にならんだろ?」

「ええ、そうですね。というか、正直攻城兵器が既に質、量ともに揃っているのでしょう。そういうところにしても、私からしたら色々と言いたいことはあるんですけどね」

浴びせられる稟ちゃんさんのお小言とか色々を背に、袁家技術部(出張中)に向かう。
どうせなら真桜にもこのガトリングお説教をお裾分けしてやるぜフーハハー!

◆◆◆

「さて、前線に張り付くことになってしまったのだけれども、穏はどう思う?」

ここは孫家に割り当てられた部屋。そこには孫家の中枢たる孫権と陸遜がおり、退屈そうに孫尚香が雑誌――阿蘇阿蘇――に目を通している。

「控えめに言って、ですが。
これこそ、もっけの幸い、というものですねえ」

くすくす、と陸遜は心底楽しげに笑う。ああ、あの紀霊の絵図に久方ぶりに現在進行形で触れたのだ。なんという悦楽かと。

「さてさて、現在反董卓連合の兵站は袁家が担っております。無論、これに返済の必要はありません。
 いやあ、十数万の軍勢を養って余りあるというのは分かっていても笑っちゃいますねえ」

そう言う陸遜の肌は桃色に染まろうとしている。
これは相当本気だなと孫権は気を引き締める。このさま――いっそ痴態とも言える――を主と言えども見せようとはせず、後日その結論のみで語るのが常の陸遜である。
それが、この場でその言を続けるというのはそれほどに一刻を争うこと、もしくは自分に生の感情をぶつけようという信頼の証であろう。

「実際、袁家の勝利は更に確かなものとなりました。
 それは戦場の勝利のみならず、戦後においてもそうです。
 蓮華様にはお分かりでしょう?」

こくり、と孫権は首肯する。

「ええ、そうね。あの北郷一刀はいい線を突いてたわ。彼がもし董卓と個人的な友誼を結んでいなければもっと面倒なことになっていたでしょうよ。
 そうね、そうよ。
 結局、袁家は一度たりとも屠られた家臣たちについて一言も発していないわ。あくまで兵を挙げたは民の為。暴政見過ごせず、君側の奸を除く。 
 まったくもって文句のつけようもない。
いえ、たとえ討たれた家臣の無念を、というのでも諸侯は付き従ったはずよ。
 なにせ、馬家なんて先代の復讐に燃えているのは見ても分かるしね。
 でも、これまた分かり易いその復讐をついに理由にはしなかったわ。
 そこは微妙だものね、兵を挙げる正当としては」

陸遜はにこにこと、満足げに頷く。

「そうです。袁紹殿の太尉、という地位はつまり軍権にあります。それを今回は諸侯の軍にも及ばせようという思惑でした。曹操さんがこれを幇助しましたね。
 ですが、宮中にて行われた非道、非合法なことに対する治安出動という面においては執金吾にその権はあります。これは現在董家にその地位がありますね。
 ですから、そこの、治安という面においては微妙なままに兵を進めるわけですね。
 これを機に既得権益として抱え込もうとしているのでしょうね。ああ、二郎さま、素敵です……。死線を潜り、腹心を喪い、それでも冷然と理路整然。
 ああ、私はこんなにも乱れちゃうのにぃ……。こんなにも貴方の憤りを理解し、それを鎮めるその心根に、めろめろですぅ」

言い募る陸遜に孫権は苦笑しつつもその言、確かなりと認める。
この腹心は、陶然となればなるほどその言は論理を飛躍しても尚、真実にたどり着くのだ。桃源郷にて未来を紡ぐ巫女のようなものである。
だから、確認する。

「では、前線で、行くわよ。孫家の武威を示すわよ?」

「ええ、それでいいですぅ。
 ――兵站も遠慮なくお世話になりましょう。
 二郎様は、怖いお方ですよ?
面子に拘る方には母流龍九商会を通じて貸し付けてらっしゃいますね。
 ええ、武具も含めて、ですね。孫家は虞翻さんのお蔭でそこまでじゃないですが、槍一つとってもその品質の違いは笑っちゃいますよ。
 そして、兵糧ですねえ」

くすくすと笑いながらも陸遜ははあ、と大きく息を。

「穏?」

「ええ、蓮華様。正直申し上げましょう。
 二郎様には逆らってはいけません。あの方は基本的に優しい方です。でも、ある一線を越えたら容赦しない方です。
 そこの取捨選択を、もう二度と誤りません。いえ、むしろ、もうあの方は一度でも期待を、思いを裏切られたら許すことはないでしょう。 
 それはとても哀しいことですが。あの方の闊達さ、鷹揚さはもうかつてのそれとはならないでしょう」

……それらの会話を孫尚香は全て耳に入れている。
そしてこの場に自分がいるということの意味を完全に理解している。
孫権と陸遜はこの場で何があっても退くつもりはないのだ。そして自分は退かねばならない。
そして、歴代孫家においても卓越した彼女らの定めた方向性、戦略。それを孫尚香は学んでいるのだ。
きっと例えばこの場に呂布が降臨したならば、孫権も陸遜もここで尽きるであろう。そして自分は彼女らの死を捧げて自分の命を購うのだ。

「そんなのは、やだなあ……」

常に闊達な彼女は思う。そして、その脳裏に浮かぶのは、いざという刻には頼りになる、最愛の青年である。

「二郎……、大丈夫、だよ、ね……」

聞く者とていなく、孫尚香の呟き、或いは祈りは虚空に飲み込まれていくのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!

攻勢!くらいの感覚なので、かっこいいやつオナシャス
長くてもむしろ大歓迎す

にゃーん

乙です。
久しぶりに題名応募に参加。
「実務者協議」「御前会議の後」「天を僭称せし少年、地を固める凡人に論破される」
なんか違う、なんか違うな。

「十年はええよ」
よく言ってくだされた。なんか二郎さんの凄みを見た気がする。

で、一読者の祈りでしかないのですが。死ぬなよ孫権、陸遜。無駄に死んでも意味がない戦いだぞ。生きて生きて生き抜いて、二郎さんの癒しになっとくれ。
そのためだったらハーレムも受け入れましょう(何様だコラ)
つうか、「放火魔」といじりたいから陸遜さんには生きていてほしいし、孫権さんの人柄は失うには惜しい。

わんっ!

>>243

わー、俯瞰者さんまで参戦しとーる。
【当然と、陶然と】でいこっかな。

充電するにゃん

感想返しはもちっとまっってほしいワン

わん。

乙でしたー
>>240
>>それは俺の専売特許のはずだったのだと思うのだが、 例えば【あいつは死んだはずだったのだと思うのだが】だと違和感が出やすいですかね
○それは俺の専売特許のはずだと思うのだが、     もしくは【専売特許のはずだったのだが、】、【専売特許だったと思うのだが、】とかどうでしょう
>>誰だって手持ちの兵力、そのの損耗は避けたいとこだろうさ。  ケアレスミスですね
○誰だって手持ちの兵力、その損耗は避けたいとこだろうさ。   向こうに張遼が確認されれば…喜んで飛び出しそうなのがいるけどね
>>241
>>そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍有名を馳せるというのが筋書きだろうがね。  これを捕らぬ狸の皮算用といいます
○そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍勇名を馳せるというのが筋書きだろうがね。  もしくは【有名になる】、【名を馳せる】ですかね
>>242
>>聞く者とていなく、孫尚香の呟き、 そこの二人が聞いてそうだけどね
○聞く者とてない、孫尚香の呟き、  【聞くものとていない】だと一人で呟いてる感じがするからこうかな?

>>今更。今更そこに疑念を呈すならば、 本当【今更】だよね。それをするなら袁紹にどうやって砦落とすの?とか聞く前にしないと…そもそも袁紹の檄文の正当性をその部下に糾弾するとか筋違いだし、せめて袁紹が来る前か出ていく前に言えよ(そもそもこの場で言うことか、のレベルだけど)
ところで尊敬する親を殺された馬家の姫様としてはその下手人を庇う男をどう見てらっしゃいますかね?
この戦争で孫家の二人が死んだら…袁家による庇護はより完璧になるからなあ…まあそのまま組み込まれる可能性も大だけどうまくいけば袁術との義姉妹の誓いとかできそうだし
家族が立て続けに死んでいきなり頭首にならざるを得なくなった幼い姫様の弱みに付け込むベッドやくざの愛人ルートもあるし

>>244
どもです。

>「実務者協議」「御前会議の後」「天を僭称せし少年、地を固める凡人に論破される」
この視点はなかった
参考させていただきます!

>よく言ってくだされた。なんか二郎さんの凄みを見た気がする。
割と、実務もやってるのですよ、これでもね
その上で、薄っぺらい意見とかは、やはり思うところはありますよね

>で、一読者の祈りでしかないのですが。
かしこまりー

>そのためだったらハーレムも受け入れましょう(何様だコラ)
やったぜ

>>245
>【当然と、陶然と】
これね、読み同じで変えてくるの、琴線なんだすよねえ
好きなの、こういうの

>>247
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
にゃん

>ところで尊敬する親を殺された馬家の姫様としてはその下手人を庇う男をどう見てらっしゃいますかね?
大丈夫!耳に入ってないよ!
ただでさえ不慣れな大人数の会議だもの!集中力なんて存在しないYO!

>家族が立て続けに死んでいきなり頭首にならざるを得なくなった幼い姫様の弱みに付け込むベッドやくざの愛人ルートもあるし
いったいだれのことなんだ……。
未登場キャラならどこでもいけますね!
オススメはやはり劉璋じゃなっく荊州方面かにゃ

「まあ、蛮喰商会についてはなんとかなったよ」

誉めれ、とばかりに魯粛は薄い胸を張る。それに応えて、おー、と感嘆するのは程立である。
ぱちぱち、と薄い音響。えっへんと反らされる薄い胸部装甲。
ほむ。とりあえず美辞麗句を注ぎ込んでいこうか。
てややー。

◆◆◆

「いやいや、鮮やかなお手並み、恐れ入るのですよ~」

くふふ、と軽く笑う程立であるのだが、魯粛の功績には舌を巻く思いである。
なんとなれば、何進亡き後の蛮喰商会をその影響下に収めたのであるからして。

……魯粛はその卓越した弁舌により、かつては一枚岩であった組織を切り崩していった。

曰く、何進はその権勢故に排除された。その旗下ににあった者はどうなるであろうか。
曰く、名門馬家当主。それに禁軍の指揮官たる朱儁すら問答無用である。賤業と言われる――無論魯粛はその重要さを認識しているしそれを相手に伝える――商人なぞ風前の灯である。
曰く、袁家は大幹部たる紀霊を始め商業に対する理解が深い。

ここで重要なのは嘘を混ぜないこと。そして誠心誠意語ることである。
魯粛は誠心誠意、芽生えていた危惧に疑念という肥料を与えていったのだ。
いや、自身のみならず係累にも手が及ぶなぞ、あり得る事柄である。
で、あるから。
なればこそ、有為の人材は一時身を隠すべし。
なに、その生活は母流龍九商会が保証するとも。そしてほとぼりが冷めればその地位は保障するとも。

魯粛にとっては実にやりがいがあり、手ごたえのない簡単なお仕事である。
なにせ、実際に危機感を覚えて身を隠す彼等が帰ってこようがこまいがどうということはないのだ。
別に母流龍九商会は洛陽の市場をこれから押さえようとは思っていないのだし。
まあ、それはいい。結果として洛陽最大の商業組織は魯粛の手に握られることとなったのである。
そしてその生業は開店休業。それは無理もない。何進の手がけた商組織だ。時の権力者には目を付けられて当然。
わざわざ賈駆に営業自粛の申請をするという念の入り様である。

結果、洛陽の物流は混乱する。
これまで、何進という圧倒的な権力者――それも商売のいろはを知り尽くしていた傑物――がいなくなればどうなるか。自由競争と言えば耳障りがいい。
その実態は、混沌の一言。何せ、まっとうな商売なぞしてもいつ取り潰されるか分かったものではない。で、あれば一儲けしてとんずらするのが効率がいい。
かくして物価は順調にに跳ね上がり、前線――虎牢関と汜水関である――への補給物資すら滞り、品質は劣化する。
それを問題視した中央からの掣肘が加わるという負のスパイラルである。

魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
自分は確かに洛陽の商流を手にした。だが、それがなんのためであるかという視点に於いては。

「敵わないなあ」

確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。
まさか、それが反董卓連合の論拠たる董卓の暴政に繋がるとは。
かつて郭図率いる義勇軍を堕落させた魯粛であるが、規模が違う。いや、敵わない。

「さてさて。細工は流々。後は……二郎さんに期待ですねえ」

悪い顔だなーと魯粛は思う。いや、自分が善良かといわれるとけしてそうではないのだが。
ともかく……と、思いに没頭しようとする思考を妨げられる。

「来客、みたいだね」

そ、と魯粛は室を辞する。
自分との繋がりは余り知られない方がいいであろうからに。

日陰の存在?

とんでもないと人知れず魯粛は笑みを深くする。
こんなに美味しいポジションなんてないさ、と。
魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。」

◆◆◆

「ふむ、少女よ。久しいな」

纏う空気にどことなく血と闇を漂わせる物騒な男。
張?が口を開く。本来であればそのような空気を纏うなぞ未熟の極みなのであろう。きっといかに血を浴び、幾つもの闇を抱えても、いや、それだからこそ闊達に明るく笑うべきなのであろう。

「おやおや、心ここにあらずといった感じですねえ」

そうとも、自分は姉に及ばないと自覚している。努めて無表情を気取っても、心の揺れを看破されてしまうのだ。
なるほど。自分はあらゆる意味で姉に及ばないと痛感する。

「否定はせんよ。どうにもいかん。自分では、な。
もっと無感動な人間だと思っていたのだよ」

張?は自嘲する。このように心が乱れるとは、と。

「おおう、これは思いもかけぬお言葉ですねえ。いやいや、世の中一寸先は闇とはこのことですねえ」

くすくすと笑う程立に流石の張?がなんとも言えない顔をし、苦笑する。
やれやれ、敵わないな、とばかりに。

「まあ、些事だ。忘れてくれ」

仕事の話をしよう。

そして張?は反董卓連合の様子を語って聞かせる。
その間程立は瞑目し、傍目には眠っているかのように身じろぎ一つしない。

「把握したのですよ。では二郎さんにお伝えください。
 『董相国、亡き者と思うべし』
 ……いえ、実際には軟禁されてるのでしょうが、ねえ」

変に希望を残せば紀霊は情に流されるやもしれぬ。
眠たげな顔に刹那苦渋。

「まあ、二郎さんの懸念は大体合ってるようですし、ね。
 少なくとも賈駆さんですら接触できないようですよ?」

無論賈駆はそのようなことを漏らしはしない。だが程立は言葉の節々、表情の一つ一つを積み上げて一つの結論を導き出していた。
即ち、董卓は何者かに拉致されている、ということ。
であれば董家軍が突如として叛乱を起こしたことも納得がいく。
いや、その結論に至った時は何とも悲惨なことよと程立は心から同情したものである。
そう、同情はしたのだ。

「二郎さんには重ねてお伝えくださいな。
 『洛陽は董卓の暴政に荒廃の一途』と」

「承知した。ではそろそろ失礼しよう」

見送ろうとした程立を留めて張?は聞く。

「そう言えば、ここの周りの狗は始末した方がいいのかね?」

「いえいえ、たまに遠吠えするくらいで実害はありませんので放置の方向でお願いします~」

軽く頷き、音もなくその身を消す。

「やれやれ、ほんとうにご苦労様なことなのですよ。なにせ」

函谷関を越えて大回りで動いているのだからと程立は苦笑する。
だからこそ馬家軍が函谷関に詰めては不都合であったのだ、などとは冗談にしても言えないことではあるが。
洛陽という一大消費都市への物流の流れをあえて閉ざさなかったのにはわけがあるのだ。そして。

「進むも稟ちゃん、退くも稟ちゃん。いよいよ稟ちゃんの本領発揮なのですよ」

その声は誰に届くこともなく。だが程立はくふ、と笑う。
傍に在らずともできることがあるのだ。あるのである。それでも。

「おうおう、そんなにあの青二才が恋しいかい。
 それじゃあまるで恋する乙女みたいじゃねえか」

「おお、宝譿。中々鋭いですねえ。どうやら、風は――」

本気でのめりこんでいるようだと、頭上の人形に語る。或いは自分に語りかける。

「困ったものですよ」

やれやれとばかりに頬を綻ばせて。

「処置なしじゃねえか」

「――全くなのですよ。
 これは責任とってもらわないといけませんねえ」

そしていつもどおり程昱はくふ、と笑うのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、なんだろうなあ
連関の理とか?

かっこいいやつオナシャス

乙です。

このシーン、話してる内容は悪辣なのにイメージ映像が風とこなただと思うと、途端にほのぼのしますよねww
無論、そのギャップも楽しいものですが


題案はシンプルに『わるだくみ』
少しこねくり回すなら、『悪巧みは蜜毒に似て』
とかいかがでしょう

>>252
乙ーん

【暗躍~情報戦と商流戦】

乙でしたー
>>248
>>いったいだれのことなんだ……。  えっ?もし反董卓連合で孫権と陸遜がお亡くなりになったら病で孫堅、地元の敵対勢力()で孫策、今回の戦争で孫権と立て続けで残された幼い姫様が継ぐしかないでしょ?
そうなったら圧倒的強者のベッドやくざな我らが二郎ちゃんに美味しく頂かれる薄い本が厚くなるのは必然じゃないですか(濁った眼
>>249
>>自由競争と言えば耳障りがいい。  【肌触りの良い】とか【舌触りの良い】とは言うけどね
○自由競争と言えば聞こえがいい。  耳に障る以上良くはならないので
>>かくして物価は順調にに跳ね上がり、 順調なのか(gkbr
○かくして物価は順調に跳ね上がり、  あれだね、商業を賤業とする思想とその中で大将軍まで上り詰めた何進という≪商人の英雄≫の存在、地方の大貴族といってもいい袁家と手を結んでこれから…ってところでこんなんされたらそりゃ商人はやってられませんわ
>>それを問題視した中央からの掣肘が加わるという負のスパイラルである。 二郎がいないので英語を言い換え
○それを問題視した中央からの掣肘が加わるという悪循環である。     一言加えるなら【掣肘により商人が減り、さらに物流が滞る、という悪循環である。】でどうでしょう
>>魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
自分は確かに洛陽の商流を手にした。だが、それがなんのためであるかという視点に於いては。

「敵わないなあ」

確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。  ここ2行目と4行目で言ってることほぼ同じなので
○「敵わないなあ」

魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。  ちょっと順番入れ替えてこんな感じでどうでしょう
>>魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。」  心の声が外に漏れちゃった感?
○魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。   たまにそういう描写するのもあるよね

いわゆる黒こなモード?商流を握って台頭したらいちゃもんすら無しでバッサリされるからね、仕方ないね。文句があるなら自分でこの地獄のような洛陽で商売すればいい(買駆が制御できないと判断したら潰されるけど)
張郃さんは…やっぱりあの人がお亡くなりになったことに悲しんだのかしら
物価は際限なく上がる…逆に言えば金の価値が下がる…インフレスパイラルか

>>253
感想ありがとうございますー

>このシーン、話してる内容は悪辣なのにイメージ映像が風とこなただと思うと、途端にほのぼのしますよねw
どもです。そこが狙いなので、本当に嬉しい。

>『わるだくみ』少しこねくり回すなら、『悪巧みは蜜毒に似て』
どちらも素敵。シンプル故に味のある前者、色気の漂う後者。
これは迷うやつです。参考させていただきます!

>>254
どもです。

>【暗躍~情報戦と商流戦】
ピリ、と作品を引き締めるスパイスになりそうな奴ですね。
これはよい。
映画みたい!

>>255
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

中々満点とはいかないなあw
さて

>いわゆる黒こなモード?商流を握って台頭したらいちゃもんすら無しでバッサリされるからね、仕方ないね。
覚悟完了されてるだけですね。鶏ガラのような体格だから無事であったということで一つ。

>張郃さんは…やっぱりあの人がお亡くなりになったことに悲しんだのかしら
思うところはあったのですね。
無感動と思い込んでいた彼が、雷薄の死に何かを感じたか、感じないか。
どちらにしても無念だと思います。前者ならば特に。

>物価は際限なく上がる…逆に言えば金の価値が下がる…インフレスパイラルか
これは間違いなく暴政ですね

そういえば古代中国の一般的思想では良き王が治めれば自然と天が味方して治まるんだっけか(公害が起こるのは王のせい、とかいうよね)

>>257
全然関係ないけど、現状の疫病はどうなんでしょうね。
イナゴはヒマラヤ山脈を越えられないと聞きましたが。

外出自粛のお供に凡将伝

続きはよということですね頑張りますw

「圧倒的ではないか、我が軍は!」

目の前の軍勢の威容を目にした俺のセリフです。まあ、人生で一度は言ってみたいセリフだよね。やったぜ。成し遂げたぜ。
いや、正確には攻城兵器群を見てのセリフなんだけどね。
とんてんかんてん、と槌音が響く現場にお邪魔している俺こと二郎と、リポーター……はしてくれなさそうだけど、美人さんな稟ちゃんさんです。はいどーもこんにちわー。

「何を言っているのですか。兵器だけで勝てるなら苦労はしません。
 ……まあ、圧巻というのは認めましょう。これだけの数の攻城兵器、流石に目の当たりにすると迫力が違いますね」

おお、稟ちゃんさんでもそうなのか。
ってそうよね。普通攻城兵器なんて見る機会ないもんね。
つか、なんでこんなにたくさんあるのさ。つまり哲学だね(違います)。
衝車、櫓、霹靂車。それらが所狭しと並び、現在も組み立て作業が続いている。

「数だけやないで!うちが徹底的に改良を加えたからなあ。当社比三割増しくらいの威力は見込んでるで!」

マジか。よくわからんけど凄そうだ。
いや、マジならすげえし。この時代、盛ったもの勝ちではあるとしてもね。多少はね。

「まあ、数が数やからな。
もうちょっとばかし待ってほしいんや。
あ、聞いてぇな。それでも組み立て速度はどんどん向上しとるで!
 ただでさえこっちでは組み立てるだけで済むさかいな」

ほむ。なるほどと聞けばこうだ。要は南皮にストックされていた攻城兵器の部品を輸送し、こっちでは組み立てるだけという某一夜城的な工程により驚きのスピード。
むしろフォード的な効率化かもしれない。
だってこんなこと言うのだもの。

「通常の三倍の早さで出来上がるからな!」

……真っ赤に塗った方がいいのかなあ、攻城兵器。染料あったかなあ。いや、張紘に言ったら用意してくれそうなんだけどもね。

「それは重畳。で、当初予定通りの戦力にするにはどれくらいかかりそうです?」

俺の謎な感慨など知ったことかとばかりに実務の打ち合わせに入る稟ちゃんさん。これは勝ち申した。奥義、丸投げの術発動!俺が何も言わなくてもあれこれが進んでいく。実にすばらしい。

「せやなあ。組み立てるだけなら一週間くらいかなあ。慣らし運転もしたいから、万全を期するならもう一週間は欲しいとこやね」

流石技術者。きっちりしてる。作戦上必要な日程を無視しているのがヨシ!
これが逆だとえらいことになるからね。

「まあ、突撃してる途中で崩れたりしたら目も当てられんからなあ。
 しかし、流石だな真桜。攻城兵器なんて中華広しと言えども、運用したことのある奴は少ないからな。頼りになるよ」

真桜は、むふんとばかりに、だ。その豊満な胸部装甲をこれ見よがしに突き出してドヤ顔で言う。いやあ、震度6くらいはあるんじゃないっすかね。
※個人の感想です。

「当然!当然や!
うちが一番、あの子らを上手く扱えるんや!」
「頼りにしてるよ。兵器の運用については、お任せするともさ」

ご満悦で現場に向かう真桜を見送る俺に、稟ちゃんさんが声をかけてくる。

「攻城兵器の整備で半月ですか。流石に十余万の兵を養っては袁家と言えども、負担は大きくありませんか?」

御懸念ごもっとも。でもね。

「なに、どうということはない。ここ数年は豊作続きだったしな。それに、だ。
 百万の民を十年食わせるだけの備蓄をしてきたんだ。十年以上かけてな。
 孫子曰く、食糧は現地調達に限るらしいけどさ。
そんな蝗みたいなことせんでもいいのさ」

ちょっと誇張はあるにしてもこんくらいの負担では小揺るぎもせんよ。つか、食糧の物価下落を防ぐために相当買い上げしてたからなー。
在庫一掃……とまではいかずとも、なんとかしたかったところだから渡りに船ではあるのだ。

「そうでしたね。糧食の提供。それにより諸侯への影響力を強めるという当初案ではありましたが、それをよしとしない方々もいるのでは?」
「まあ、そうよね。
それはそれでいいさ。領地からここまで運搬する費用も馬鹿にならんのにね。それは勝手にやらせるさ」

プライドって大切だからね!人はパンのみで生きていけないとかなんとか。
まあ、目端の利く者は上手いことやっている。やろうとしている。つまり、母流龍九商会から食糧を買い付ける、あるいは借り受けるのだ。
母流龍九商会を挟むことで一応袁家からの借りではなくなるという、多少苦しいがそれでも辛うじて体面を傷つけないやり方。
利子?格安ですが何か?

セットで真桜謹製の最新鋭の武器防具はいかがっすかー、ってもんである。
まあ、慌てる何とかはもらいが少ないってね!
じっくり腰を据えて万全を期するぜい。
勿論手持無沙汰な諸侯には簡単なアルバイトも斡旋してある。補給部隊の護衛という簡単なお仕事。
その任務に就いている間は食糧については無償提供するという条件故に結構人気なのだ。

「なるほど。そうであれば納得いきます。そして、であるからこそ、ですか」
「そうだ。そうなのさ。だから今更、軍閥なんぞ発生させねえよ」
「結構。董家軍と諸侯軍。二正面作戦。見事遂げて見せましょうとも」

ありがたや、ありがたやと稟ちゃんさんを拝むと、なんとも言えない表情を頂きました。
えへへ。

◆◆◆

「よりどりみどり……」

馬上の麗人が艶然と微笑む。その笑みは肉食獣の獰猛さ、そのものを具現化したようなものである。
笑いとは本来攻撃的な所作であり、目の前の獲物に牙を立てる前の予備動作である。
そして目の前には無防備と言っていい輜重部隊。襲ってくれと言わんばかりの獲物である。
護衛の兵もついてはいるが弛緩しきっているようにしか見えず、屠殺を待つ家畜にしか見えない。

反董卓連合。その兵站の多くは南皮からの物資に頼っている。現在も南皮から洛陽に向けての街道は日に日に延びており、時が経つにつれ効率がよくなっている。
だが、無論それだけではない。周辺からも食糧や日常雑貨は買い付けている。むしろ周辺の村落が売りつけていると言ってもいい。
それによりだぶついている物資が消費され景気を刺激していくのだ。
目の前の隊列はその一つ。比較的大規模ではあるが、今も伸張を続ける赤い街道からは外れている。
馬上の麗人――張燕――は満足気に頷く。
彼女がここにいるのは二つの理由による。
一つは洛陽におわす、やんごとなき方よりの命――ということになっているもの――が内々に届けられたこと。曰く、逆賊を討てと。
そしてもう一つは、手元に補給部隊の運行スケジュールが届いていたことによる。
中華でも屈指の政治能力と実務能力を併せ持つ人物――張紘――が立てたそれは、精緻かつ弾力的なものである。
計画そのものに揺れ幅が設定されており、それでいて反董卓連合全ての口を賄うだけの壮大な計画なのだ。これを目にした時、流石の張燕が唸ったものだ。すさまじい、と。
なぜそんな重要なものが彼女の手元にあるのか。袁家と不倶戴天の黒山賊の首魁たる張燕の手元にあるのか。

「まったく、食えないねえ……」

誰ともなく呟き、さ、と手を揚げる。

「旗を揚げな!」

ばさ、と黒一色の旗が掲げられる。
抵抗すれば死を。その旗にはそんなメッセージが込められている。
黒山賊の名の所以ともなった黒旗、それが翻る。

「野郎ども、稼ぎ時だよ!」

ジャーン!ジャーン!と銅鑼が鳴らされ、それを合図に五月雨のように統率なぞなく襲いかかるのだ。
それを張燕は悠然と見下ろす。柔らかい脇腹をたちまちに食い破る手勢に満足げに笑い、とどめとなる一撃を最精鋭の手勢を率いて。

「はははははっ……。さあさあ、慌てておくれ。あたしゃ気が短いんだ。
 すぐ楽にしてあげるからねえ」

千々に乱れた敵味方の間を縦横無尽に駆け、その勝利を決定的なものとするのに半刻とはかからなかった。

◆◆◆

――袁家が率いる兵は弱卒であるというのが諸侯の共通認識である。
なんとなれば匈奴に南皮の城壁を侵され、それ以後まともな戦もしていない。
此度の出兵にしても、董家軍と矛を交えずに砦の整備を優先しているのだ。

そして決定的なのは黒山賊。そう、賊ごときを相手取って誅滅できないのだ。
諸侯の指揮官は裏面で嘲笑う。賊ごときになにを手間取るのかと。三公を排出したと嘯(うそぶ)く名門が聞いて呆れる。
その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵っぷりであった。
だから、兵站を襲う賊の存在はもっけの幸い。降って湧いた幸運である。
元々兵站の守護に当たる諸侯は矜持が高く、実利に聡い。
だからこそ袁家の出した条件に飛びついたのだ。
曰く、兵站の警備は非常に重要であるからして、その食事の一切はその補給部隊から無償で拠出させる、と。
当座の食糧を母流龍九商会に借り換えることを拒んだ諸侯は奮ってこの任に当たった。
それも無理からぬこと。後方に於いて安穏と補給部隊に随行するだけでいいのだ。
それに携わらぬ前線の諸侯、或いはそれすら判断できぬ者に冷笑すら内心浴びせていたのだ。
そして、だからこそ。
「お、落ち着け!落ち着いて迎撃しろ!ええい!落ち着かんか!」
声を発する指揮官自体が狼狽しているのだ。
突如として降って湧いたこの災厄。黒山賊に対して護衛なぞ名目以上のなにほどでもない。
勢いに勝る黒山賊の一撃を辛うじて防ぎ切ったかと思えば、眼前には第二波が。

「多少は出来るようだが……。それが不幸さね!」

閃光が走り、どさり、と首が落ちる。
たちまちに潰走が始まる。

「野郎ども、かっぱぎな!」

ただ一撃で戦いの趨勢を決定づけた張燕は返り血を拭うこともせずに矢継ぎ早に指示を飛ばす。
降伏か死か。
死を選べばよし。降伏すれば身ぐるみ剥がすだけで済ます。それが黒山賊。それが黒旗の意味。
知らぬとは言わせない。

「全く、忙しいったら!」

ともすれば笑みが漏れそうになる戦果ではあるが、その物資や資金を輸送するように命じて、次の襲撃に軍を急がせる。
全く、人使いが荒いにもほどがあると張燕は内心毒づく。

「何だい、あれくらい突破できないのかい。歯がゆいねえ」

そしてその稼働戦力をぎりぎりまで酷使して反董卓連合の後方攪乱に努めるのである。
ただ、補給部隊の護衛に当たった諸侯がそれなりにまんべんなく襲われていたのに対し、不思議に義勇軍はその被害に襲われることはなかった。

◆◆◆

「むむ、我らよりも兵站を担当する兵卒の方が立派な装備をしているとは……」

「はは、愛紗。気にすることはないさ。襤褸(ぼろ)を纏っても心は錦!それに愛紗と鈴々がいるんだ。問題ないだろう」

「そうなのだ!鈴々がいるからお兄ちゃんはのんびりしていたらいいのだ!突撃!粉砕!勝利なのだ!」

まあ、いいかと関羽は思う。
実際凡百の賊が出ても自分と張飛の二名で当たるだけでカタはつく。
その認識ははてしなく正しい。例え数千の賊が襲いかかっても彼女ら二人で返り討ちにできよう。

それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。

「まあね、わざわざ虎穴に入ることもないだろうよ。別にあたしらは虎児なんて欲しくもないしね」

もたらされたのは兵站の運行スケジュールだけではない。おせっかいと言っていいメッセージも付随してあったのである。
曰く。

「劉には手出し無用」

とだけ。
そこまで言われて何かするほど張燕は好奇心があるほうではない。
なに、猫が死ぬのであればいいが。

「全く、食えないねえ」

劉家。それが果たして洛陽におわすやんごとない筋なのか、劉備なのか。
触れるなというのは優遇しろと言うのか、それとも触れないことで疑念を撒き散らすのか。

「ま、知ったこっちゃないさね」

せしめた物資の質と量に満足げに張燕は笑い指示を飛ばす。
いや、これはあの時の謝礼の一環なのだろうと笑う。

そして身の振り方について、思案にふけるのだった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は、「準備、後方、不穏」

うん、今ひとつなので案をオナシャス

>>265
乙乙の乙。

いやー張燕姐さん悪どいわー(棒読み)

んで、タイトル案は
兵站戦~その実は繋がりありて~
かな。

いやぁ不自然ですねぇなんでやろなぁ()

タイトル案は「敵と味方、あるいはその逆」

乙です

ほんと一石何鳥だよ、と言いたくなるくらいの一手ですよねぇ
楽して勝ち馬に乗ろうとする勢力には名実両方の痛手を、台頭させたくない勢力には疑惑を

題案は
『黒き燕は欲張らない』
なんて感じで

乙っしたー

文字通り「腹が減っては戦はできぬ」ですね
TOPの仕事は方針建てることと食わせること

乙でしたー
>>261
>>真桜は、むふんとばかりに、だ。 【むふん】って鼻息だよね、例えば【がちがちとばかりに緊張してる】とは言わないので
○真桜は、どうだとばかりに、だ。 もしくは【むふんと鼻を鳴らして】とかどうでしょう
>>262
>>二正面作戦。見事遂げて見せましょうとも」  【遂げてやろうじゃん】と言い換えられるなら
○二正面作戦。見事遂げてみせましょうとも」  ≪御覧じろ≫感を出すなら【遂げて魅せましょう】が好みです
>>263
>>手元に補給部隊の運行スケジュールが届いていたことによる。  予定は未定であって決定ではない(最終的に問題があるとは言っていない)
○手元に補給部隊の運行予定表が届いていたことによる。     十常待の顔は立てなきゃいけない、袁家とは仲良くしたい、両方やらなくちゃいけないのが黒山賊の辛いところだ
>>これを目にした時、流石の張燕が唸ったものだ。 さてこれについては流すべきか…
○これを目にした時、流石の張燕も唸ったものだ。 それにしても二郎から張燕とのつながりを聞かされた時はどう思ったのやら…というか二郎はどこまでの人にこのつながり教えてるんだろう
>>抵抗すれば死を。その旗にはそんなメッセージが込められている。  込めるっていうかまき散らしてるっていうか
○抵抗すれば死を。その旗にはそんな意味が込められている。     もしくは【この中華でその意味するところを知らない者はいない。】とか言ってみる
>>264
>>その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵っぷりであった。 喋り言葉ならいいんですが
○その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵ぶりであった。  地の文ならこっちの方が良いと思います
>>反董卓連合の後方攪乱に努めるのである。  【頑張った】と言い換えられるならこれでいいですが
○反董卓連合の後方攪乱に務めるのである。  【仕事をこなした】的な意味ならこちらですね…どっちだろう
>>襤褸(ぼろ)を纏っても心は錦! それを《天の衣》着てるお前が言うのか
○襤褸(ぼろ)を着ても心は錦!  もしくは【襤褸を纏えど心は錦】が正しい言い回しですが…【纏っても】だと難しい言い方しようとして変になるこいつらしさが出てるか
>>まあ、いいかと関羽は思う。 これだと本当は思うところがあるけど飲み込んだ感じが出てますがそんな感じはしないので
○まあいいか、と関羽は思う。 ≪まあ、(どうにかできるから)良いか≫と≪まあ(どうでも)良いか≫にニュアンスが変わりますね
>>それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。  一刀(関羽)視点から張燕視点に変わったので
○◆◆◆  これを入れた方が良いと思います

 それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。 
>>もたらされたのは兵站の運行スケジュールだけではない。おせっかいと言っていいメッセージも付随してあったのである。  梨園の誓いの二人には話してるだろうけど(一人で抱えるとか変なフラグたちそうだし
○もたらされたのは兵站の運行表だけではない。おせっかいと言っていい書き付けも付随してあったのである。        ていうかお前ら後方支援担当するのかw言ってたことの割と狡すっからいな

兵站護衛についたら黒山賊が襲ってくるのは分かる、俺たちもあいつらもどいつもこいつも運が悪ければ襲われる…ところでなんであそこの義勇軍だけ無傷なんですかねえ?(猜疑)
まあ関羽視点だと有象無象には襲い掛かっても自分たちには来ないあたり目端の利く奴だ、程度なんだろうけど
実際張燕さんなら一目であの二人の実力見抜いてただろうな、とも思うし

>>266
どもです。いつも一番槍ありがとうございます

>いやー張燕姐さん悪どいわー(棒読み)
さっさと退場するかと思いきや、独特なポジションになっておりますw

>兵站戦~その実は繋がりありて~
兵站戦はEですね!

>>267
どもです。

>いやぁ不自然ですねぇなんでやろなぁ()
あれれーおっかしいなあ


>「敵と味方、あるいはその逆」
ほむん。このエッセンスは使えそう。ありがとうございます。よきよき。

>>268
感想ありがとうございますー

>ほんと一石何鳥だよ、と言いたくなるくらいの一手ですよねぇ
ちなみに稟ちゃんさんの発案です。これには二郎ちゃんも苦笑い。
悪辣だな、くらいは言ってそう

>『黒き燕は欲張らない』
かっこいい。これかっこいいっすね!岸部露伴は動かない的なスタイリッシュを感じる!
これちょっといじりたいなあ

>>269
感想ありがとうございますー

>文字通り「腹が減っては戦はできぬ」ですね
なにせ兵站がないと悲惨です
気合い?2-3日で尽きますわな

>>270
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
中々無修正とはいかないにゃあ

>それを《天の衣》着てるお前が言うのか
不覚にもわろうてしまいましたわw

>…ところでなんであそこの義勇軍だけ無傷なんですかねえ?
あれー、おかしいなーふしぎだなー的なw

>実際張燕さんなら一目であの二人の実力見抜いてただろうな、とも思うし
そこらへんの危機感知能力はすごそうですよね
まあ、彼女からしたら、でかい博打には勝ってますからね
後はもう、仲良く喧嘩するくらいでよいのでしょう
はねっ返りを袁家の経験値として捧げるだけの簡単なお仕事(簡単とは言ってない)

さて、攻城兵器の組み立てを見るのも飽きてきた二郎です。いや、お好きな方にはたまらないんだろうけどね。
攻城兵器を駆使した攻略案は稟ちゃんさんと真桜が色々練ってるからやることないしなー。
かと言ってあまり麗羽様んとこ言ってても太鼓持ちと言われかねないし。いや、俺は気にしないけど、そういうわけにもいかんということで。これも心の贅肉的なものであろうか。
だってね。麗羽様から反董卓連合の総指揮代理的な立場を頂いたからにはこう、それらしく振舞わんといかんというか。かっこつけたいと言うか。
それでも積極的に今はすることがないのが実情。まさかに後方に下がって兵站の護衛とかもありえんしね。
いや、色々稟ちゃんさんの布石で後方撹乱が効いてるってのは知ってるがまあ、大勢に影響はない。
集まる食糧にも何の問題もない。実際食糧供給ルートは多岐にわたるのだ。だからどうということはない。事前の説明でもそうだったし、報告でもそうなっている。
まあ、被害者には同情するがね。かの張燕と補給部隊の護衛なぞという制限がある中で矛を交えるなぞ遠慮したいところだ。シミュレーションゲームで定番の、足の遅い補給部隊を守るというのは非常に難易度が高いのだ。

んで、何が言いたいかというと、だ。
同病相哀れむと言うかだ。俺よりも時間を持て余してそうな知り合いの無聊を慰めようとその部屋を訪れたわけだ。
出番がないことにかこつけてそこいらへんで暴れられても困るしな!

「春蘭ー。はいるぞー」

「お?」

戸を開けてそこにあるのはある意味完成された肢体。
その身は引き締まりつつも女性らしい柔らかさを損なうことなく輝きを放っていた。
まあ、なんだ。つまり着替え中だったのですよ春蘭は。これは間違いなく死亡フラグ。
ぼこぼこに叩きのめされて野良猫に齧られる未来が確定的に明らか。
まあ、それでも眼福ご馳走様である。ありがたやありがたやと拝むこと数度。考えてみたらありそうでなかったね。ラッキースケベ。あはん。
呆れたような声が届く。

「……何をしとる、二郎」

「いや、これから黄泉路に向かってもおかしくないからな。せめて感謝の心を明らかにすべきだろうと思って」

「相変わらず素っ頓狂な奴だなあ。ほんと。
 ほれ、戸を閉めて後ろを向いていろ。すぐに着替えを済ますからして」

慌てて戸を閉めて後ろを向く。サーイエッサー、である。

常ならば室内の光景に、想像と言う名の翼をおおいに羽ばたかせるのであるがあいにくそんな心の余裕はない。
ああここで儚くなってしまうのかとばかりに走馬灯が走るかと思っても別にそうでもない。走馬灯仕事しろ。そういやこれも見たことないね。なかったよね?

「で、何の用なのだ?」

嗚呼、どうしたもんか。いい考えが突如ひらめくこともない。これは詰んだ。詰んだぞー!

沈黙を決め込む俺に不審そうに春蘭が口を開く。

「妙なやつだな。用があったのだろう?口を開かんとどうしようもないではないか」

いやでもいつ命が潰えるかと思うとそれどころじゃあないのですよ。

「なにを私の顔色を窺っているのだ。ほれ、さっさと用件を告げろ!私とて暇な身ではないのだぞ!
 あ、いや。言っておいてなんだが、最近はかなり暇ではある」

暇なの俺のせいですよね。ますます死亡フラグが積みあがるなあ。
ええい、ままよ!

「いや、その、怒ってないの?」

俺の問いに全身で疑問を呈してくる。

「ほう?
 二郎、貴様は何を言っておるんだ?」

「いや、だって春蘭の嫁入り前の裸身をだな」

いや、眼福ではありました。ごちそうさまでした。

「……ああ。なるほどな。まったく。
 そんなことで私が二郎をどうこうする筈はないだろう?
 何よりこの夏候惇!見られて困るような身体を有してはおらん!」

いやいやいやいやいや。話のベクトルが違うだろうそれは。

「まあ、華琳様以外に見せるつもりもなかったが、あれは純然たる事故だしな。戸に鍵をしなかった私も悪い。
 だからそのように二郎があれこれ思う必要はないぞ?」

うんうんと頷く春蘭。
それにつれてぷるんぷるんとその存在を主張する胸部装甲にやはり目が釘付けになってしまう。
巨、でもなく、貧、でもなく。
均整がとれていながもそれは魅惑、蠱惑。
艶やかに俺を魅了するそれはやはり魔性のもの――なんて考えてたら目の前には獰猛な笑みを浮かべた春蘭。
ちい!ぬかった!

「ほほう。二郎はそんなにも私の身体に興味深々と見える。だったらそうだな。
一撃は覚悟しているのだろう?」

観念して俺は目を閉じる。
せめて、やさしくしてね、とばかりに。

そして審判が下される。

ぺちん、と鼻が弾かれる。
へ?と漏れる声を聞いたのか、おかしげに春蘭が笑う。

「はは、なんて顔だ二郎よ。
それとも、そんなに打ちのめされたかったのか?」

いや、そういうわけじゃあないけど。だって春蘭だぞ?

「……お前は一体私をどう思っているのだ」

目は口ほどにものを言う。名言であることだなあ。

「よし、喧嘩を売るなら高値で買おう。
そうだろう、二郎よ」

言い捨ててそこらへんにあった木剣を放り投げてくる。

構える暇(いとま)もあろうか。

「おりゃああ!死ねええええ!」

えええええええ。さっき言ってたことと違うーでもこれでこそ春蘭かぁ!

俺の脳天に死を告げる天使がこんにちわしようとする。それをしのいだとおもったらば、返す刀できっちりと首筋に斬撃が。いや、普通に一撃がめっちゃ重いのだが。
いやこれ、普通に死ぬだろう。そんなことを思う間もなく襲いかかる斬撃に戦々恐々である。
いや、死ぬし。マジ死ぬし。
あかん、マジ躱しきれん。後数合なく俺は死ぬ。死んでしまう。
時が揺蕩(たゆた)い、春蘭の繰り出す太刀筋がスローモーションになり俺を襲う。

だが、見えるのと、それをどうこうするべく動けるかどうかというのはまた別の話であり、俺は死を覚悟せんといかんのだろうなあと。

こん、と俺の脳天から響く音は果てしな軽く。

「ふ、ふはは!二郎よ。まだまだ未熟よな!は!」

目の前で可笑しそうに笑う美女をどうしたらいいものか。その、なんだ。困る。

「え。いや。なんだ。ありがとうございました」

きっとこれはありえないほどに貴重な経験。格上の武人と命のやり取りをして生き残ったという経験。

「ふん、私も身体が鈍りそうだったからな。いい気分転換ではあった。
 ……それにな、二郎よ。以前より腕を上げたな。
 うん、強くなった。本当に」

春蘭のその言葉が俺の胸に染み渡る。俺は、少しでも強くなったのだろうかと日々自問していた煩悶が。

「本当に?」

問う俺に、獰猛な笑みで春蘭が応える。

「勿論だ。今ここで討ち取ったならば華琳様の覇道に益するのではないかと思うほどに、な。
 それに」

くすり、と。
澄んだ笑みで。

「それにな、二郎よ。
お前の子を孕んでやってもいい。
そう思うくらいには、な」

いやあんたなんちゅうこと言うのん。

そんな俺に春蘭はにまり、と意味深な笑みを浮かべる。
はたして武人として出番よこせというのか、それ以外か。

混乱まっしぐらな俺を見て春蘭は苦笑する。

「なに、そんなに難しく考える必要はないのだぞ」

頭のいい奴は変に深読みするからな、などとぼやく春蘭である。
その苦労は分かるような、分からないような。

まあ、いいか。

と思っていたが、一部始終を知った稟ちゃんさんからは冷たい目線を頂きました。
ねえねえ、怒ってる?

「怒ってませんよ」

ほんとにござるかー?

「怒っていませんとも」

その日はこれ以降何言っても無視されたんですけど。けど!
さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作って貰いました。
今日はもう寝ようそうしよう。
流琉を抱き枕にしてっと。

おやすー。

本日ここまですー感想とかくだしあー

今回も題名募集しまくりんぐですよ本当に!
一ノ瀬案
「姉者、ちゃんとしようよ」
これ全く内容と関係ないし分かる人にしかアレだしね

頑張ってお盆までに、この章終わらせたいすなあ
本当はGWにいけるか、と思っていました
気がついたらおわってました

乙です

ここの姉者はほんとなー、男前ならぬ女前すぎてなー、惚れてまうやろーですよ、ええ
個人的には脳筋キャラってあんまり好きにはならないのですけど、一ノ瀬氏の脳筋は姉者といい猪々子といいほんとお気に入りです


さて題案ですが
『飾らない心と言、されど凡人に今は届かず』
とでも。
植物の春蘭の花言葉には飾らない心、というのがあるようなのでこんな感じに

乙っしたー

姉者の白い歯がキラリと光ったのが見えた気がするww

タイトル案「凡人、天国と地獄を垣間見る」

乙です。

とりあえず、黒山賊というか張燕さんの立ち位置がつかめた。(つかこの時代地味に張姓多いのね)張姉弟と張紘さんと張燕さんと他にもいたよね?張姓だけで会話文作ったら
絶対作者殺しになるね(確信)

で、ですな。
じーろーうー。ほら言わんこっちゃない。ハーレム受け入れましたからとやかくはないですが、腹上死すんぞ。
とりあえず、たんぱく質とアミノ酸は今のうちに蓄積してなさいよ。
春蘭さんは高級将校育成メゾットがない時代の将校の典型例だと思われ。文ちゃんは気性というか元々?後天的にはじろさんの薫陶で成長してますが。
でさ、愛人(稟ちゃん)に嫉妬されたからって春蘭さんおかずに他の女と致すんじゃないの。
同じ致すなら癒し系が(幼馴染)がいるでしょうが(しつこいくらい推し)


さて稟ちゃん、どこでこのやりとり知ったの?おぢさんには話してくれるよね?(こら)

乙でしたー
>>272
>>かと言ってあまり麗羽様んとこ言ってても太鼓持ちと言われかねないし。 【麗羽様とだべってる】可能性もあるけど
○かと言ってあまり麗羽様んとこ行ってても太鼓持ちと言われかねないし。 こうですね
>>それでも積極的に今はすることがないのが実情。 順番を入れ替えてみましょう
○それでも今は積極的にすることがないのが実情。 の方が良いと思います
>>慌てて戸を閉めて後ろを向く。サーイエッサー、である。  一応細かいことを言っておこう…多分二郎なら知らずに何となくこれ使ってそうだけど
○慌てて戸を閉めて後ろを向く。マムイエスマム、である。  女性相手なら本当はこれね…そもそもいうなら上官相手じゃないからこれも間違ってるけど
>>273
>>均整がとれていながもそれは魅惑、蠱惑。   なんかどこぞの完成生徒会長を幻視した
○均整がとれていながらもそれは魅惑、蠱惑。  でも【ながらも】だと相反する感じがするのよね…【均整がとれたその肢体は健康的でありながらも魅惑的、蠱惑的。】とか?
>>「ほほう。二郎はそんなにも私の身体に興味深々と見える。 【そんなにも~と見える】って違和感が
○「ほほう。二郎は随分と私の身体に興味深々と見える。   もしくは【二郎はそんなにも私の体に興味があるのか。】でどうでしょう
>>274
>>こん、と俺の脳天から響く音は果てしな軽く。   当たる寸前で一気に減速とかいつの間にか春蘭武人として一皮むけてない?
○こん、と俺の脳天から響く音は果てしなく軽く。  多分登場時だったら振りぬいてたわ
>>さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作って貰いました。   ≪ここではきものを脱いで、下さい≫
○さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作ってもらいました。  ここでの【もらいました】は動詞ではなく【作って】にかかる補助動詞なのでこうですね

ところで基本的には武人の二郎ちゃんがちょいと体を動かすことに怒るのはおかしい…おかしくない?怪我したりさせたりしたならともかく
二郎のことだからラッキースケベの件から洗いざらいゲロっちゃったんだろうなあwえっ怒ってない?アッハイ

>>276
どもです。

>ここの姉者はほんとなー、男前ならぬ女前すぎてなー
ありがとうございます。書いてて楽しいし、勝手に動いてくれるキャラです。

>個人的には脳筋キャラってあんまり好きにはならないのですけど、一ノ瀬氏の脳筋は姉者といい猪々子といいほんとお気に入りです
脳筋を前に押し出すと、ポンコツやら理不尽やらになり易いですからねえ
お気に召したようでなによりでございまする

>『飾らない心と言、されど凡人に今は届かず』
素敵!これは一ノ瀬には出せないやつ。

>植物の春蘭の花言葉には飾らない心、というのがあるようなので
しらんかった
これはちょっと覚えておこう

>>277
感想ありがとうございますー

>姉者の白い歯がキラリと光ったのが見えた気がするw
実際姉者はヒーロームーブさせたら映えるのですよ

>「凡人、天国と地獄を垣間見る」
一気にコメディ色が強くなりますね。曲もぴったしかもしれません

>>278
どもです。ご無事でなにより

>とりあえず、黒山賊というか張燕さんの立ち位置がつかめた。
オフィシャルには仇敵でございます

>腹上死すんぞ。
ま、まだ清い関係やし(震え声)

>春蘭さんは高級将校育成メゾットがない時代の将校の典型例だと思われ。
なるほど

>でさ、愛人(稟ちゃん)に嫉妬されたからって春蘭さんおかずに他の女と致すんじゃないの。
り、稟ちゃんさんともまだそんな関係じゃないし(そうならないとは言ってない)

>同じ致すなら癒し系が(幼馴染)がいるでしょうが(しつこいくらい推し)
アッハイ
善処しますw

>さて稟ちゃん、どこでこのやりとり知ったの?おぢさんには話してくれるよね?(こら)
これは赤ペン先生のこれですね
>二郎のことだからラッキースケベの件から洗いざらいゲロっちゃったんだろうなあw
まあ、後々尾を引いても困るから自己申告したんじゃないでしょうか

>>279
そして赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>女性相手なら本当はこれね
せやった。これはいけません……

>当たる寸前で一気に減速とかいつの間にか春蘭武人として一皮むけてない?
二郎ちゃんより強い、というのが基準にならないのが困ったとこですw
しっかり鍛錬されてますから、順調に強くなっていくはずです

>ところで基本的には武人の二郎ちゃんがちょいと体を動かすことに怒るのはおかしい…おかしくない?怪我したりさせたりしたならともかく
なるほどそうかもしれません
ちょっとあっちに投稿するときにいじろうかな

乙したー二郎もげろ

稟ちゃんさんかわいいなぁ

>>281
どもです。

もげたら困る人がおるがなw
そして稟ちゃんさんは実際かわいいですよね
実は当初プロットでは順当に曹家に就職する予定でした。
もしくは退場

風ちゃんが実は頑張ったのですよ
前も言ったかな?覚えてないや

>>「怒ってませんよ」
>>「怒っていませんとも」
念押しするくらい言ってるからね、これはオコッテマセンヨ。これで怒ってるように思うならそれはその人が怒られるような事をしたからですね、ハイ(無言の圧力に屈した弱い俺を許してくれ

>>283
しみじみ読み返すと稟ちゃんさんがカワイイヤッター
勢いで書いてるところあるからね、実際分かってないところありますよね……。
そして稟ちゃんさんは、どう考えても怒ってないですね。本人が言っているのだからこれは確定的に明らか。

ところでもの凄く下らないことに気付いたんだけどさ
ホウケイの持ち主の風って姓が程で名がイクって日本人だったら苛められそうだよね
下らないっていうか下ネタな話だけど

凡将伝では程立だからセーフw
まあ、宝ケイは思ってました
そうなるとネコミミもそうですよねw

「いやしかし、よおもまあ集まったもんやなあ。黄巾やあるまいし、あの数。
ありえへんやろ……」

寒風吹きすさぶ汜水関の城壁。その上。やがて訪れるであろう阿鼻叫喚の舞台。その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。
主将たる彼女の、いっそ軽率とすら言ってもいいこの動きに諫言する者はいない。彼女の身になにかあれば一気に守兵の士気は地に墜ちてしまうのだが。
だが。いや、だからこそ張遼は最前線となるそこに陣取り、酒を呷ってさえみせるのだ。
不安げな兵卒を目の端に納めながらにんまりと笑う。

「まあ、十万が二十万でもどうってこたあらへんわ。
 恋が、せやな。五回も出撃したら壊滅する計算やからな」

空元気も元気のうち、とばかりにからからと笑う。
その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。

……無論張遼とて自分の言を信じてはいない。いかに呂布が万夫不当といえど、あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。
敵兵は黄巾とは比べ物にならない精兵であるし、英傑と言っていい武将が幾人もいる。
それに、今の呂布は万全とは言えない。
いや、やる気は十分ではあるのだ。だが。

「おなか、へった……」

今日も今日とて無意識であろうに呟く呂布の姿が思い出される。ぐったりとその身を横たえて動こうとしない。
心配そうに周囲で陳宮があれこれと世話を焼くのであるがそれに対する反応も極めて薄い。

「詠はよくやってんねんやろうけどなあ……」

張遼は内心嘆息する。
必要なだけの食糧は届いているのだ。帳簿上は。
しかし、それは例えば砂混じりの粗悪品だったり、半ば腐りかけのものが混入されていたりするのだ。
厳密な数字は張遼も把握できていないが、体感で二割くらいは目減りしているのではないか。
飢える兵を見て人一倍――どころではない――健啖家である呂布であるが、その心根は優しいのだ。常の食事量を考えれば信じがたいほどに小食になっていた。

中々に明るい見通しのない現状に流石の張遼も気が滅入る毎日である。
だが、現状悪くはない。それでも悪くはないのだ。

――反董卓連合はその大軍で囲みながらも不気味に沈黙を保っている。この状況はけして悪いものではない。
そう思って張遼は苦笑する。
なんのことはない。今自分は時間稼ぎの為だけに兵を、将を死なせようとしているのだと。

この期に及んでもはや董卓の栄達、董家軍の勝利などという甘い見通しを描いてはいない。
自分に、自分たちにできるのは精々時間稼ぎ。
あの、心優しい少女が救い出される時間を稼ぐのだ。
きっと、きっと賈駆ならば董卓を救い出すはずだ。
……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。

そうだ、死んでしまったらばそれでおしまいなのだ。
ずき、と胸が痛む。
目の前で散った、益荒男の最期が脳裏によぎる。
そんなつもりはなかった。なかったのだ。
できれば董卓を救出するために力を、知恵を貸してほしかったのだ。
だが、それは叶わず。それでも踏み出した道を進むしかないのだ。

「後戻りはできんし……。
 やるだけのことはやるしかないわな」

皆が笑って暮らせる世の中。そんなのはやはり夢物語なのかなあという思考を軽く頭を振って追い払う。
そのような絵空事――語る彼らは本気だったみたいだが――に心躍らしていたのが馬鹿みたいだ。
いや、今でも呂布は「ご主人様」に執心のようだが。彼らも反董卓連合にいるというのに。
全く頭が痛い限りだと張遼は内心頭を抱える。こんなのは本来賈駆の役割のはずなのだが。

「まあ、ええわ。なるようになるやろ」

いっそ清々しいくらいに投げやりに張遼は呟き、実際的な防衛について思いを巡らせる。
張遼直卒五千、呂布、五千。そして汜水関と虎牢関に詰める守備兵が五万。
けして勝ち目がない数字ではない。
――だから、不可解なほどに動かぬ反董卓連合の動きはこの上なくありがたいのである。

◆◆◆

さて、船頭多くして船山に登るという言葉がある。けだし金言だと思う。
頭がいい奴らを集めたらそれで上手くいくかというとそうではない。目の前の状況を見て俺はその金言を思い出していた。

「だいたい、無駄に胸ばっかり大きくして!
 頭にいく栄養がそこにいってるからそんなにお気楽な調子なんでしょうよ!」

「あら~。これはこれで大変なんですよ?肩とかこっちゃいますしぃ。
 でもでも、殿方には喜んでいただけますけどねぇ」

ね、とばかりにこちらにふわりとした笑みを投げかけてくれる穏に俺の気持ちはどんよりと曇る。頼むから巻き込まんでくれよな。

「あのだな、仲よくせんでもいいから前向きな話をだな……」

「大体なんでアンタがこの場にいるのよ!残念な頭の中身のアンタがここにいても一つも役に立たないでしょうに!
 全く!作戦案を練ると聞いてやってきたら何よ。いちいち人の言うことに難癖つけてばっかりで!」

いやそれはお前の態度の方が問題だろうがと言いたいのをぐっとこらえる。ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。
解せぬ、なんで俺がこんな苦労をしているのだ。
いや、美少女に囲まれているという状況はある意味天国なはずなのだがね。

無言で天を仰いだ俺に、これまた稟ちゃんさんが視線で仕事しろと促してくる。厳しい。

――会議室には反董卓連合の中でこれは、と俺が思う人材を集めている。
稟ちゃんさん、ネコミミ、穏という綺羅星のような軍師陣。そして工兵を率いる真桜といった面子だ。
いざ汜水関を攻めるにあたっての作戦案を練ろうと思ったのだが、こんなにも足並みがそろわないとは思わなかった。これじゃ俺、この場から逃げたくなっちまうよ……。

あ、なんで伏竜とか鳳雛がいないかは察してくれ。

「もうちょっと前向きに行こうぜ。あの、難攻不落の汜水関。そして虎牢関をどうやって抜くか。
 君らのお知恵を拝借したいんだってば。
攻城兵器を運用する真桜もいることだし、結構現実的な検討ができるんじゃないかなあと思うんだが」

「アンタ、馬鹿?作戦なんて立てようもないでしょ?ほんと馬鹿なの?
 これだけの攻城兵器があって、作戦なんてあってないようなものよ!アンタとこの大将が言ったようにね、真正面からぶつかるしかないでしょ!
 それに私たちに攻城兵器の運用なんて経験あるわけないんだから、そこでなんか絡繰りをいじってるそばかすの無駄乳娘が仕切ればいいじゃない!」

お、おう。

「あらあら~。ご自分に攻城兵器の運用経験がないからって取り乱すことはないですよ~。
 そんなのある方がおかしいのですから~」

くすり、と穏が場を治めようとするがどう見ても火に油である。そんなに相性悪いのか君ら。

「二郎はん、帰ってええか?うち、ここにいてもしゃあない気がしてきたわ」

げっそりとした表情で真桜が耳打ちしてくる。いや、お前はいないとまずいだろう。俺攻城兵器なんてわかんねえし。

「全く。黙って見ていれば好き勝手なことばかり。見苦しいことこの上ないですね」

これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが口を開いたらますます場が荒れそうな言葉が紡ぎだされたでござる。
もうどうにでもなーれー。
き、と明らかに攻撃対象を変えたであろうネコミミが口を開こうとするのを見てなんとなくげんなりする。

「二郎殿。そもそも貴方の投げっぱなしな態度がよろしくない」

おおっと!ネコミミが口を開くよりも先に稟ちゃんさんに糾弾されたでござる。って俺?

「いいですか。貴方はこの反董卓連合を仕切らねばならない立場なのです。
 いえ。だからこそ汜水関を攻めるにあたってこの場にいる人材を選別されたのでしょう。
 ですが、われ関せずというのはいかがなものかと思います。それぞれ背負っているものがあるのですから」

この場で風下になんて、到底受け入れられないのですよと言われてはっとする。
そっかー。そうだよなあ。皆背負ってるもんがあるんだよなあ。

「お分かりになられましたか」

あいよ。俺が仕切らんといかんってこったな。
さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。

「では、二郎殿。貴方ならどう汜水関を攻めますか」

えー。

どう、汜水関を攻めるかって言われてもなあ。
そんな妙案とかあるわけもなく。

「別に二郎殿の案を実行するわけではありません。ごく当たり前のやり方で結構です。それを私たちが修正する。或いは代案を出せばいいのです」

なるほどね。具体案の叩き台をまずは造ろうってことか。
まあ、先ほどまでの罵り合いに比べたらいかにも生産的で結構なことである。
じゃあまあ、思う所を述べましょうかね。

「まあ、あれだな。純粋な力押し。これしかないだろね。折角攻城兵器を色々持ってきて、真桜が慣らし運転までしてくれてるんだ。使わない手はない。
 城門を破る衝車、城壁に乗り込む櫓車。それに霹靂車を組み合わせてなんとかするしかないだろう
 あとは董家軍の騎兵に蹂躙されるだろうから守備兵をたっぷりと付けよう!」

正直攻城兵器への攻撃が一番気がかりなんだよねえ、とか思ってたら真桜が思いもよらぬことを言ってくる。

「二郎はん、言っとくけど霹靂車な。門扉には使えへんで」

「え、なんで」

衝車より威力があるというイメージなんだけど。

「投じた岩が邪魔で衝車が使えへんくなる」

「あ……なるほど……」

なんだ、威力的な意味で一番数を揃えてきたのに無駄骨なのかな。流石に城壁を砕くのはしんどそうだしなあ。
などと思っていたのだが、ネコミミの冷たい視線が結構こたえたので話をずらそう。

「ち、近くに川とかあったら水攻めとかするんだけどなー」

「アンタ馬鹿ぁ?川どころか木一本たりとも生えてないわよ!」

はい。そうです。攻城兵器の材料となるのを嫌ったのであろう。周りは岩山で本当に木一本たりとも植生していない。

「周りにあるのは……土攻めとか意味わからんしなあ」

はい、ネコミミから更に蔑んだ目つきいただきました!ほんと嬉しくない!

「え~と、でも、それってありじゃないですか~?」

穏が何か言ってるのに縋ろう。とりあえず沈黙されたら心がストレスでマッハだ。

「ですから、敢えて汜水関の門扉に霹靂車で攻撃するんですよ~」

「いやだってそうしたら衝車どころか俺たちだって突入できないじゃん」

にこり、と穏が身を寄せてくる。うん。柔らかい。でかい!

「それが狙いですね~。だってだって。董家軍の本領は騎兵でしょう?
 こちらが門扉を使えないということはあちらも。
 まさか騎兵が汜水関に引き籠って勝てると思うほど相手も無能ではないでしょうし」

な、なるほど。相手の最大の長所を封じるってことか。

「それ、ええと思うで。二郎はん。ほんでな、さっき言ってた土攻め、アリやと思うわ。
 うん。ええ感じにいけると思うで」

真桜も賛同してくれる。ってか土攻めって何さ。いや、俺が口にしたことなんだけんども。
そうしてあれやこれやと数刻かけて打ち合わせは進んで。

「では。ご苦労様でした。どうやら汜水関を落とす方策が見えてきましたね。
 それでは明日戦場で」

稟ちゃんさんの静謐な声でこの場はお開きになったのである。
後は明日、攻めかかるだけってね。

準備は万端、というやつだ。あとは仕掛けをご覧じろ。

本日ここまですー感想とかくだしあー

ううむ。思ったより間隔が開いてしまった反省。
お盆に間に合わなくなっちゃう!

お題は募集しまくりでございます。

「開戦前夜」
「踊る会議」

はい、今ひとつなので、よろしくどうぞ。

>>291
乙ん。

んー、今回のも悩むねぃ。

【逆転発想~出足を挫くは兵法の基礎】

乙でしたー
>>287
>>その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。  【たはは、とばかりに】だと【たはは、(と言わん)ばかりに】になるんですが違和感があるので
○その上にて張遼は、呆れた、とばかりに笑う。笑うしかない。  空元気としてはこれかな?もしくは【たはは、と笑う】とか【たはは、と苦笑する】とかどうでしょう
>>その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 間違い?笑い声に勇気づけられたなら間違いではないですね
○その張遼の言に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 言ってる内容に勇気づけられたならこっちですが
>>あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。 間違いと言うほどではないですが
○あの――単騎で三万の黄巾を撃退した――時とは事情が異なる。 【撃退した】からスムーズに言葉が繋がる場所で言うなら【時】かな、と
>>「おなか、へった……」  この後の文を読むとこれってこの場にはいなくて張遼の回想というか想像ですよね
○『おなか、へった……』  最初は隣にいてつい声が漏れてしまったのかと思いましたが
>>……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。 【いさえいれば】ってちょっと読みづらい
○……生きていさえすればそれでいい、と張遼は思う。 もしくは【生きてさえいれば】でどうでしょう
>>張遼直卒五千、呂布、五千。  勝ったな、風呂入ってくる
○張遼直卒五千、呂布直卒五千。 《兵種、呂布》が5千もいたら戦争とかどうにでもなるよね
>>288
>>ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。  これだと≪出撃寸前だったため、息もぐっと≫に読みそうになるので
○ついでに出撃寸前だった溜め息もぐっとこらえる。  の方が良いと思います
>>289
>>これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが これはケアレスミス
○これまで沈黙を保っていた稟ちゃんさんが  ですね
>>き、と明らかに攻撃対象を変えた  表現としては
○キッ、と明らかに攻撃対象を変えた 刺々しさを出す意味でカタカナにして【ッ】で張り詰めた感じを出す…多分
>>さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。     これは【さて】と言ったのか言ってないのか、それと【俺に】にかかってるのが【頂きました】だと文脈が変なので
○気合を入れたとばかりに姿勢を正した俺は稟ちゃんさんからお題を頂きました。 もしくは【さて、と姿勢を正した】と【俺に稟ちゃんさんからお題を出されました】とかどうでしょう

関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
>>皆が笑って暮らせる世の中。 ○○「幸せ、というのが私にはよく分からない」「だが、不幸、という状態、或いは感情に関してはいささか含蓄があると思う」
攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ

>>292
どもです。

逆転発想はいいですね
裁判みたいw

>>293
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
絶対ほしい
前者はヴィンランドサガ冒頭で見て度肝抜かれた思い出があります
終わるんやろかあれ

>攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…
そらもう

>アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
これですよねw


civ6が無料だったのでダウンロードしてしまった
半日単位で時間が溶けますねこれw

>>294
割と元ネタあったりするタイトル多いんですがねー。
(今回のは言わずもがな)

両翼再びも実はとあるゲームの楽曲タイトルを捻ってるし

さて、というわけで汜水関である。嗚呼、汜水関である。
難攻不落の要塞にこれから挑むのだ。
ずらりと並ぶ袁家軍をはじめとした反董卓連合。
城壁の上には恋と張遼、陳宮もいるな。皆、流石の存在感である。のだが。
詠ちゃんがいないのはやはり洛陽から動けないということなんだろうさ。風よ、流石だ。パーフェクトだ。流石は俺のメイン軍師なのだぜ。

なんて思いながら城壁を見る。相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。
まあ、そして様式美的な舌戦が始まる。こちらの攻め手は人を罵ってナンボの陳琳だ。
いやあ、陳蘭と姉妹とは思えないほどにこう、舌が滑らかである。檄文を起草したのも彼女だしな。俺、陳蘭にあんなに挑発されたりこきおろされたら精神的に即死だわわ。

……。おお、いよいよ佳境か。
ヒートアップする陳琳の言は流麗にして荒々しい。そして平易にして過激。
つまり、めっちゃむかつくやつ。
煽りマスターかな?

「そもそも相国などという地位に鎮座する董卓とは何か。
 その生まれ卑しく、品格は怪しい。それをかの馬援将軍の血を引く名門馬家。その当代きっての英雄たる馬騰殿に取り立てられた孤児に過ぎない。
 なるほど、確かに才覚はあったのかもしれない。だがその人品はいかに。
 犬でも一宿一飯の恩を感じて尽くすというのに。忘恩なぞという可愛いものではない。
 恩を仇で返すとはこのこと。引き立てられた恩人を謀殺して栄達を図る。いや、かつてこれほどの邪知暴虐があったろうか。いや、ないと断言する。
 相国なぞという大層な地位を標榜する董卓はまさに君側の奸。それを除くべく――」

いやあ、相手を罵るときほどいきいきと輝くってのは人としてどうなんだろうなあなんて思いながらも目線は城壁の上の―――!

「凪!」

俺の声を受けて陳琳の近くに控えていた凪が弾丸のように飛び出す。
目指すは陳琳。そこに向けて物凄い勢いで迫る物体。ノーモーションで恋が投擲したそれはこのままでは間違いなく陳琳を絶命させるであろう。

「断空砲!」

凪の放った渾身の気弾がその槍の進路を逸らすことに辛うじて成功する。
それでもその威力は凄まじく、陳琳の頬を掠めて地に突き刺さる。

「ひい!」

腰の砕けた陳琳を凪が無言で背負って安全圏まで逃がす。ナイスだぞ凪。安全第一でヨシ!

そんな俺の思惑はともかく、その一部始終に周りはシン、と静まりかえる。
まあ、確かにだ。けして槍を投擲して届く距離じゃないっての。全く!あれでほんとに飢えてるのか?

「化けの皮がはがれたな!口上の途中で口を封じようとするなぞ非を認めたも同然!
 さっさと悔い改めて降るんだな!」

ある意味醜態をさらした陳琳に代わり俺が叫ぶ。
これで降ってくれたら楽なんだけどね。

「ふん、好き勝手言えるのもそこまでですぞ!」

ふんぞり返る陳宮が、手を振ると城壁に旗が翻る。そこに記されているのは漢。
錦の御旗、という奴である。
つまり勅が下されるということである。

「逆賊袁家誅するべし!そこな曹家、孫家!そして漢朝に連なる者ども!勅命ですぞ!
 ――袁家討つべし!」

は、チビのくせによーく響く声だことで。いや、マジで響き渡った。
ざわり、と背後の空気が動くのを感じながらも俺は悠然と歩を進めるのだ。
プランBだ!

◆◆◆

「え、どうしようご主人様、私たちこのままじゃ逆賊になっちゃうの?」

声がでけえよ。狼狽えるにしろもちっと静かにしろや。つか、そんな覚悟もしてなかったんかいとか、そっちに心が折れそうだぜ俺は。
全く。運がいいのか悪いのかあいつらはこのタイミングでここにいたんだよ。いたんだよなあ。ほんとは後方で兵站の護衛に専念してほしかったんだけども。
まあ、手柄ということではここが稼ぎどころだし、名を上げるところという読みは正しい。腹立たしいがな。

「二郎殿、勅命だそうですが」

稟ちゃんさんの問いに、歪んでいるであろう笑みで応える。

「なに、こっちにだってあるさ」

ぱちんと指を鳴らす。あまりいい音はしなかったが、うやうやしく書簡を捧げて歩を進めるのは春蘭である。
常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。いや、なんでって実は官位で言うと春蘭ね。相当上なのよ、偉いのよ。
そしてこの役割に相応しいのはその、声。

「勅である!密勅が下されている!君側の奸を除くべしと!既に何進大将軍より自らに変事あらば動けと命は下されている!
 貴様らこそが逆賊!名が惜しいならば直ちに降れい!」

烈火のごとく燃え上がる気迫が汜水関を揺らす。
さっすが春蘭、声でけえ。
いや、これ重要なのよ?

勅を以って勅を制す。
当然予想されていた逆賊認定スルー余裕です。

俺が準備していた切り札の一つだ。ちなみに春蘭が持つ勅は本物である。
いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。記念メダルをあげよう。

まあ、形式的なもんだけどね。それでもここで朝廷を軽視するわけにはいかん。世が乱れるもとだからな。
あくまでこっちのスタンスは君側の奸を除くこと。そしてその正当性は洛陽の困窮、そしてこの密勅。

悪いが、あらゆる面で完璧に勝たせてもらうぜ?ほんとごめんね。

「問答、無用なようだな!いいだろう、ここからが本当の地獄だ。
 じっくりと味わってくれ」

ば、と右手を上げる。

ジャーン、ジャーンと銅鑼が響く。
そして鈍い、重い音が。

「圧倒的だぜ?我が軍は!よ!」

汜水関、なんぼのもんじゃい!くらいは言っても大丈夫と真桜が言ってた。後、稟ちゃんさんも。
だからまあ、大丈夫だろうて……。

地響きを上げて攻城兵器が進んでいく。いやあ、壮観ですね実際。
恐らく、今現在で。この中華で攻城兵器を運用したことのあるのは袁家工兵隊のみのはずだ。匈奴はそんなもの使わないからな。
逆を言えば、先の匈奴大戦で彼奴らが攻城兵器を使用していたら歴史は変わっていたかもわからんね。
まあ、ネコミミには会議後に散々となんでそんなもん大量に保有しているんだと糾弾されたがね。
いや、匈奴が今まで使わなかったからと言って、これからも使わんってこたあないだろうと反論したら黙ったが。
頭のいい人は勝手に納得してくれるからいいね!

……実際千年を経たらそれが故に蒼き狼の末裔は世界史上最大の帝国を築くだろうし。

閑話休題(それはさておき)。

今回様々な兵器を持ち込んだ真桜だが、この戦に限れば主役は投石器である。そういうことになった。

「いよいよ、か。きちんと見せ場はつくってくれるのだろう?」

春蘭が獰猛に笑う。

「んー、とりあえず門扉から出撃する兵は春蘭と秋蘭、それに斗詩で受け止めてもらうことになる。
 そんでまあ、機を見れば敏に突出してくれて構わない。なんなら汜水関、落としてくれても構わんぞ?」

◆◆◆

呂布の牽制もあり、汜水関を守る董卓軍は退きながらも被害は軽微。
見事に退却を果たした張遼と陳宮の用兵は、実際見事と言っていいものである。

実にあっさりと汜水関を落とした前線指揮官たる夏候惇は、だから一言もそれを誇ることはなかった。

「フン。戦う前から勝敗は決まっていたということだろうが!」

それでも、築き上げられた土嚢の坂道を単身踏破し、一番槍を果たしたというのはいささか地味な展開であったこの戦いの彩ではあったのだが。
むしろ彼女はそれを耳にすると激昂したということである。

彼女を知る人は、それでこそと

お待たせいたしました
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名くださいよ……ほんともうね、羽化亜\場内ので
飲めば飲むほどええ感じという現状について、ご支援のほどオナシャス


つれええあわw

お疲れ様です ほんとお疲れ様です・・・

あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね

タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」

それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?

>>301
どもです。

>あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
ありがとうございますー!
そのためにいろいろと積み上げてきましたしね。

>タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
これはよきですね。ありがとうございます。

>それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
その通りでございまするw

乙でしたー
>>296
>>相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。  【相変わらず~変わらず】だと意味が重複して見えるので
○相変わらずそびえ立つ難攻不落は健在である。    あるいは【難攻不落は相も変わらずそびえ立っている。】とかどうでしょう
>>298
>>いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。 メタいこと言ってるな…そのこと知ってるの作中に何人いるやら
○いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを憶えてる人は偉い。 記憶してる、ですからこっちですね

>>常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。 くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
夏侯惇からすれば別に自分がちょっと目立ったといっても勝敗には大して意味ないからなあ、その状態に持って行った袁家工兵隊が本来受けるべき称賛を自分に向けられるようなこととか…ねえ
腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)

>>303
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少ない!やったぜ!
※ノーミスを目指しております

>くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
これは完全に同意ですね
きっと、はおーが自分好みの化粧を施してるんやろなあ
※眉毛統一はこの世界線ではないものとする

髪の毛を結い上げて冠装着して着飾ったらそらもうね、凄いよ多分
公式でやってくれないかなあ
やらんやろけど

>腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
あ、腹パンは幸子か。これはやってしまったか(棒)
土下座強要からの「ひっ」こそシオニーちゃんの真価よね(適当)

数年前に脈絡無く後輩に語ったけど(十分くらい)、ヒロインの属性があふれかえる昨今、
シオニー・レジスというキャラは空前絶後でオンリーワンな地位を築いたと思っております

シオニーちゃんは腹パンしたい派、痴漢して訴えますよされてから逆切れしたい派、桃鉄でリモネシアを独占した後キングボンビーで壊滅させたい派、たっぷりと水を飲ませてから土下座させておもらしさせたい派、男子トイレに行かせたい派、と多岐にわたるので
srwの世界の歪みを一身に受けたと言われたり彼女のせいで(現実)世界の(性癖の)歪みが生まれたと言われたり凄いお方ですよw

>>305
ヒエッ

乙です。

陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?おじさんびっくりだー
まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します(何様じゃ

恋ちゃん(呂布)のやった行為は覚えておきましょう。こちらでちゃんと教育しましょうかね。
あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
ナギー(おい)。一回「やあってやるぜ」って言って。もしくはクッソエロいチャイナドレス姿で演武するとか。

見ておられるかはわかりませんが、もし見ておられたら、支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
>春蘭さんの女官姿@フルおめかしver
私も見たいっす



さっちゃん(幸子)いじめんといたってね。個人的な癒しなんですよ。

分かる…あの子はすごいいい子
ただそれはそれとして苛めると輝く子でもある。罰ゲームで青汁一気とかバンジーのリポートとか見えない箱の中の蛇(毒無し)を当てるとかやってほしい

どもです。お疲れさまでございます。

>>307
>陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?
お姉ちゃんですね

>まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します
本格的なんはこれからですわw

>あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
何事も暴力で解決するのが一番、となったら最強は恋ちゃんですのよね

>一回「やあってやるぜ」って言って。
凪「へ……っ?や、やってやります!
 こんな感じでしょうか?」

>支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
見たいですねえw

某アニメの名台詞に「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というのがあるんだけど
これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
『僕は地獄に落ちるだろう…それを受け入れてるからそれにふさわしいだけの罪を犯すね』

語呂が良いからなのか作品が有名だからなのか結構いろんな投稿小説やらなんやらで見るけど作者はこの言葉意味を理解して使ってるのだろうか?

>>310
>「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
かっこいいですからね。断罪的な決め台詞としてはよきよきw

>これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
そこまで考えてないでしょうねえw
相手を処する時の口上ですしおすし
まあ、それを逆手にとってその場から去ってより邪悪、、巨悪になった時にブーメランはアリですねw

次回作でギミックに使ってみようかな

「汜水関が落ちたそうだよ」

その声に少女は肩をびくり、と震わせる。

「ああ、安心したらいい。董家軍に大した被害はなかったようだから」

クク、と言葉を紡ぐのは皇甫嵩である。目の前の少女――董卓――に笑いかけながら慰める。その笑みは爽やかではあるのだが、実質嬲っているのと同意である。

ここは洛陽の奥の奥。執金吾の地位をもって洛陽に広げる捜査の網も届かぬ地。
そこで董卓は監禁されている。そして、いまだ生かされている。
もとから線の細い少女であったがその顔色はより青白く、その身体はややもすると儚くなってしまいそうな印象を受ける。
だが瞳には確かな意思の力があり、臆することなく視線を受け止めていた。

「それにしても大ごとになっちゃったわね。それもこれも貴女のせいよ?相国様?
 貴女のせいで洛陽は荒廃し、諸侯は叛乱しているわ。
 ねえ、どんな気持ちかしら?貴女のせいで世は乱れているのよねえ。
 禁裏を血で染め、恩人を屠ってなお命を永らえているなんて……、可愛い顔して随分とえげつないわねえ……」

侮蔑の念を隠そうともせずに董卓を糾弾するのは李儒である。にまりと笑いながら楽しげに言の葉を紡ぐ。
だが、青白くも表情を変えない董卓の表情を見ていらだたしげに舌打ちを重ねる。

「ああもう!生意気なその顔を見られないようにしてやろうかしら!」

ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。

「その辺にしておくんだね。正直、見苦しいよ」

その言葉に李儒は黙り込む。自分との面会で複数の人物が来たのは初めてである。だが、中々に興味深い構図だと董卓は思う。
そ、と窺えば王允が後ろに控えている。だが口を挟む様子は全くない。
この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。叶うことはないことであろうが。

しばしの沈黙。それを破ったのは王允であった。初めて董卓に問う。
どうして生きているのか、と。この上は死で償おうと思わないのか、と。

「あら、的外れね。この子はね。命乞いまでしてるのよ。生き汚いったら!
 誇りとか、そういうのを期待するのが馬鹿よ。お馬鹿さんよ。
 ええ、そうでしょうよ。蝶よ花よと甘やかされてたんでしょうよ。
 だから死ぬなんて考えもしないのでしょう!そうよね!そうでしょ!
 死にたくないでしょ!死にたくないんでしょ?」

皇甫嵩がうんざりとした表情で口を開こうとする前に、董卓はその小さな身を折りたたむ。

「お願いです。殺さないでください。この身、如何様にもお任せしますのでお助け下さい」

その様子を見て李儒は愉快とばかりに大笑して場を辞する。

それでも董卓はその身を小さく折りたたんだままであった。

「――もう、李儒はいないよ?」

その言葉にも董卓は反応せずに、もっと身を小さく折りたたむ。
見ていられない、とばかりに苛立って吐き捨てる。どうしてだ、と。
苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。問う。

「お願いします。詠ちゃんや恋さん、霞さんにねねさんをお助け下さい」

ひとえに自らの責任により漢朝を乱したのだと訴える董卓。

「この身は如何様にも。ですから」

部下の助命を必死に乞う董卓に嗜虐心を刺激されて皇甫嵩は問う。

「へえ、どうやって?」

びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。
するとその眼差しは別人のように鋭い。

「この身、ご自由に。如何様にもしてください。
 ですが、命はお助け下さい」

「――質問に答えてないなあ。それじゃあ駄目だよ。流石に」

冷然と皇甫嵩は。だから分からぬ。理解できぬとばかりに問う。

「もはや君は死んだも同然だ。いや、今のうちに毒を呷るのがいいだろう。楽に死ねる。
 そうして命を繋ぐことに何の意味があるんだい?」

き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。

「私は死ぬわけにはいかないんです。だって。だって私のためにみんな。みんなが動いているんですもの。
 それは漢朝に対する叛の道。それは死ですら許されぬ反逆。どうして首魁たる私が死を選べましょう。
 ええ、そうですね。董家の乱は袁家により治められるでしょう」

それはいいのです、と董卓は儚げに笑う。

「ですから今はこの命を保たねばならないのです。私が今死ねば、皆に。そして付き従ってくれた兵達にも」

迷惑がかかると董卓は気弱に笑う。

「そして、私は責任を取らなければなりません。
 ですから死ぬわけにはいかないのです。
 だって、そうじゃないと。私の分まで人死にが出ますもの。
 私がいないと、困る人がいるって、思うんです……」

儚く笑う彼女に皇甫嵩は何とも言えない表情を浮かべる。

「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」

是、と頷く董卓に皇甫嵩は唸る。

「なるほど。今上陛下が君を頼りにしようとしたのが分かるよ」

そして納得する。李儒や王允が董卓を危険視し、除くべし、と動いたのは実に正しかったと。
ただし、惜しい、という気持ちもある。

「では、君の部下たちの助命のために一筆頼むよ。なに。僕とて漢朝が荒れるのを歓迎しやしないさ」

――助命嘆願。部下のそれを果たしたと確信しながらも董卓は表情を緩めない。
なんとなれば、だれか一人の気まぐれでそれらは反故になるのだからして。

そして、漢朝を覆う叛乱の首魁、元凶となるわが身を笑うのだ。
そんなに、大したもんじゃないのにと。

そして、万感を込めて、呟く。

「ごめんね、詠ちゃん……」

その呟きは、誰に聞かれることもなく消えていくのだった。

ほい、本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は「月詠の悲哀」

はい、雰囲気だけで内容がないよう。
よさげなのオナシャス。マジで困っております。

めでてえ内容でコラボできたらよかったんだけど、
当分辛気くさいかんじです、ごめんなさいね→俯瞰者さん

個人的に祝杯あげております
よりよい未来のために頑張りましょう!

>>314
乙ん乙ん。
月ちゃんつらたんよね…

しからば。

願いはか弱くも輝めく月光の如く

とまいろうか

乙でしたー
>>312
>>ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。  転換?乖離?…???
○金切声に眉を顰め皇甫嵩は口を挟む。         【耳障りな金切声で喚き散らされるその言葉に】とかも良いですね!!
>>この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。   ちょっとぶつ切り感がありますね
○この三者の力関係……それを親友に伝えられれば、と思う。 【……】より【――】の方が良いかな?どうかな?
>>313
>>苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。    どこで顔を伏せたのかな?
○苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓の纏う空気が変わる。 それまで弱弱しかったのがキリッとなる感じで
>>き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。  それまでの嘆願をそっぽ向いてやってたんなら董卓ちゃんなかなかになかなかだよね
○董卓は己が思いを皇甫嵩に示す。流石の皇甫嵩も一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。     それとも【董卓はその胸の内を皇甫嵩に明かす。】とかどうでしょう
>>「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」  大体【取る】でいいよ
○「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を取ると言うのかい」  もしくは【責任を負う】でどうでしょう
>>そんなに、大したもんじゃないのにと。   間違いと言うほどではないですが
○そんなに、大したもんじゃないのに、と。  それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?

まあ戦争中だから詠ちゃんの自由な手も目も耳も少ないんだろうけど…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ

>>315
どもです。

>月ちゃんつらたんよね…
つらたん祭りルートです……っ!
そこでも前を向く月ちゃんはやはり尊敬に値すると思うのアタイ

>願いはか弱くも輝めく月光の如く
詩的や素敵や
ただまあ、ネタバレ満載という感じもするw

>>316
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
至極まっとうなツッコミに一ノ瀬も苦笑い

>…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
実務を担っている詠ちゃんの悲しみが深まりますねぇ……っ!

>そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
彼らが飢えることはないですからね

「しかしまあ、まさか汜水関をどうするのかと思ったら。埋め立てるとはなあ」

その発想はなかったな、と苦笑交じりに頬を掻くのは北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。

「ええ、袁家が攻城兵器を持っているというのは知ってはいましたが、あれほどまでに鮮やかな運用。そしてこのような戦術。
 前代未聞と言っていいでしょう。
 ……お恥ずかしながら私も雛里ちゃんもこのような展開は予想だにしていませんでした。
 攻城戦には妙手なぞなく、衝車で門扉を破るか櫓車で城壁を制するかくらいしか本来ありえません。
 ……まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」

陰鬱に諸葛亮が応える。
その声に意外そうに北郷一刀は答える。

「え?でも汜水関や虎牢関という難攻不落の関を攻めるんだから、攻城兵器を準備するのは当たり前じゃないのか?」

道理である。だが、と諸葛亮は思う。
一体、なぜあんなにも大量の攻城兵器を袁家は準備していたのだと。

「攻城兵器。そんなものを諸侯が持っているのがおかしいのです。
 そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。
 匈奴は城邑を落としたとしても、略奪するのみですぐさまその場を去ります。ですから、本来攻城兵器なんて必要ないのです。
 騎兵に籠城させても強みを消すだけですし」

「朱里ちゃんの言う通りです……。もっと言えば、あそこまで鮮やかな運用を見るに、常から攻城兵器を使う想定をし、訓練していたのは間違いない、です。
 そこで問題になるのは、一体なぜ袁家は攻城兵器を準備し、運用する訓練をしていたか、です……」

ふむ、と北郷一刀は考え込む。
かの伏竜鳳雛が懸念を呈するのであればそれはきっと重大なのだろう。
そして袁家の思惑を推察する。

「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい?袁家はもともと攻城戦をするつもりだったって?」

是、と諸葛亮は頷く。

「はい。そうとしか考えられません。ひょっとしたら袁家は中華に覇を唱えるつもりなのかもしれません」

ふむ、と北郷一刀は頷く。なるほど。これからは乱世になるのだ。そう思う諸侯があってもおかしくはない。そういえば袁家なんて皇帝を僭称したっけ。あれは袁紹だったか袁術だったか。

「虎牢関が落ちれば、あとは無防備な洛陽のみです。ご主人様の仰る通り、手柄を。目に見える派手な武勲を挙げるには虎牢関の戦いにて戦働きする必要があるでしょう。
 ですが、いよいよ恋さんを相手取らないといけなくなります。
 万夫不当の飛将軍。恋さんは個人で戦局を変えるほどの武を持っています。ですから、それをどう防ぐか、がこの反董卓連合の焦点になるでしょう」

いっそ悲しげに呟く諸葛亮。そして鳳統に北郷一刀は問う。問わずにはいられない。

「なあ、ひょっとして朱里と雛里は。
 董家軍がどう出るかって読み切ってるのかな?」

諸葛亮と鳳統は、黙りながらも、是、と頷くのであった。

「乾坤一擲。それしかないでしゅ……」

「朱里ちゃん、噛んでるよ……」

「はわわ……。やっちゃった……。
 で、でも。それしかいないのです。
 結論としては袁家当主を討つ。これに尽きます。むしろこれ以外にこの状況。
 追い詰められたこの状況をひっくり返すことはできないと思います」

ふむ、と北郷一刀は思う。なるほど、大筋で三国志に準ずる展開なんだなあと。
ならばここで名を上げないといけないであろう。張飛と関羽という英傑がいるのだ。
なに、何せ呂布が相手となるのだ。きっと彼女たちに出番はある。
いや、むしろ彼女たち以外に万夫不当が止められるはずもないのだ。
それはそれとして思いついたことを今のうちに幼女軍師二人に問う。

「例えば、皇帝の身柄を確保して洛陽から物資と資金を略奪して、長安に遷都するとかってのは、どうだろう。
 いや、月がそんなことをするはずはないんだけどさ、ふと思って」

唐突なその絵図に諸葛亮も鳳統もその幼い身を震わせる。
なんとも鬼畜の所業。だが、有効ではあるのだ。

「あ、あわわ……。荒廃した洛陽を餌として退くのは本当に有効と思います。
 そこまでされたら、どうしようもないですね……」

嘆息する諸葛亮に鳳統も頷く。
そうなれば、荒廃した洛陽を前に諸侯は割れるであろう。
なんの旨みもない反董卓連合はその目的を果たすことなく解散されるはずだ。
いや、互いに争うかもしれない。
そこまでの未来絵図を示唆する眼前の青年の叡智はやはり天の御使いに相応しいだろう。

「でも、月がそんなことをするはずがない。そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」

むむむとばかりに考え込む。そんなの分かり切ったことなのに。

「きっと月さんは悪い人に捕えられているか、操られているんです。
 そうでないとつじつまが合いません!
 それに、董家軍は時間稼ぎを最優先しています。本来霞さんも恋さんも戦場を駆け廻る人です。
 ですから、董家軍のおかしな動きも、それで説明がつきます」

あくまで推論ですがと諸葛亮は嘯く。

北郷一刀は思う。月を救って、なおかつ義勇軍たる自分たちの名声を高める。どちらもせねばならないなあと。
そして、声望高まる機会はここに至りもたらされるだろう。

「……とりあえず、紀霊に会おう。なに、無碍にはされないと思うよ」

――なにせ万夫不当の呂布を封じるべく動くのだ。

張飛と関羽。

彼女らの武があれば流石の呂布も拘束できるだろう。
そして董卓の現状を聞けばいい。

だって。あの優しげな少女が漢朝を揺るがす動乱の元凶だなんて、ありえないことなのだから。
だから、できることをしようと決心も新たに、北郷一刀は張飛と関羽を呼び寄せる。

そして呂布と董卓を思い、心を震わせる。

そうだ。皆が笑って暮らせる世界。
だったら彼女たちを見捨てるわけにはいかない。

「愛紗、鈴々。頼まれてくれるか――」

決意を新たに、北郷一刀は口を開く。
彼がこの外史にその意思をもって介入を決意したその瞬間であった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回も迷走ですマジですよ

頑張るぞいっと。ねむい


アジアというか日本で孫とか愛でたい人は頑張れ
ひとさまに迷惑がかからない範囲でね(ブーメランはアリ)

にゃはむ

>>317
んんんー?
わたしゃひとっことも
月たん生存確定とかは言ってませんがねぇニヨニヨ

>>320
そして今回のは…シンプルに【天使(あまのみつかい)の決断】

乙でしたー
>>318
>>「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい? ちょっと違和感
○「――。つまり、朱里と雛里は、こう言いたいのかい? 少し前の黄巾の時にこういうのあれば、と思ったことは無いのか?…無いのか。たかが賊徒に苦戦するとかあっちゃ駄目だもんな
>>で、でも。それしかいないのです。  董家軍総勢一名、参上!
○で、でも。それしかないのです。   張遼(うちもおるで……おるで)
>>319
>>そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」  これってどこかの方言だとこう使うんだっけ?
○それなら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」  一応標準語ではこれが一般的、だと思います

>>北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。 何度読んでも違和感が消えないw本郷一党名乗れよwwwもしくは呼ばれて何度訂正しても頑なだったんならお前も劉備をご主人様って呼んどけよ
>>まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
>>そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。  城壁強化しても翻意、街道整備しても翻意、お前ら袁家が食糧増産しても翻意とか言うんだろ(決めつけ
そういや董卓の人物鑑定には随分と自信があるようだけどそんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
まあこの二人がいた方が被害が少ないことは事実だけど

夏侯惇、許チョ、典韋、趙雲、孫尚香、黄蓋、文醜、馬岱。ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!俺は麗羽様のそばに侍る、顔良もこっち来い
その他の有力武将は主君の警護に回れ、神速の動向に注意し、各自高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処せよ!(指揮権は軍師連中に丸投げ)
勝ったな、がははー風呂入ってくる。今日の晩飯はステーキ…はないからでっかい肉の丸焼きだ。この戦争が終わったら俺麗羽様に告白するんだ

乙したー

うん、気持ちは分かる
分かるんだけど、一刀君さぁ・・・ってなっちゃう

三国志パロ作品全般に言えるんだけど何故か劉備陣営好きになれないのです・・・・・・

本郷君のフラグよな
これだけの深謀遠慮、神算鬼謀の持ち主なら軍師が1から10まで説明しなくても軍師の思考以上に物が見える、と思われる
いざというときには軍師がいなくても本郷がいればある程度はなんとかできると誤解される
…!これが今はやり(?)の勘違い物か!

>>321
どもです。

月生存はなあ。
董家ルートではいけるんじゃがね
いつかやらんといかん董家ルート

>>323
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>そんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな

>呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
そこに気付くとはやはり天才か……。

>>324
パインサラダ食べるのを楽しみにして黒猫が横切り、下駄の鼻緒が切れているからセーフ

>>325
どもです。

>うん、気持ちは分かる
実際しゃあないとこは大いにあります。経験値も少ないし。
それもこれも紀霊って奴の仕業が影響しているんだ

三国志派生で劉備陣営が魅力的なもの。さて。
蒼天航路はかなり魅力的ですな。そのベースとなってそうな秘本三国志も中々。
え。趣旨が違う?どっちも名作ですよ。
後は秘本三国志の陳舜臣さんの諸葛孔明もアリです。月英さん異民族で実は美人説をぶっこいたのアレが走りじゃなかろうか。
それを龍狼伝がええ感じにアレンジしているような。

三国志ではやはり爆笑三国志シリーズが珠玉なのかなあ。副読本としては最強だと思います。

>>326
>本郷君のフラグよな
そうですねと言うわけにもいかないw

乙です。

まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ

二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
とはいえなぁ、「子龍は一身、之肝也」がどうにもこうにもひっかかる。
趙雲さんのことじゃなくて、呂布以下一騎当千の人物でも一対大多数に勝てるのか?春蘭さんもそうだよ。
ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
いいけどさぁ、食わせられんの?というか逆賊認定されている(公的に)人物ほいほい取り込むなよ。黙らせるだけの力あるのかいな。

……こっちの横家長男がやってることがブーメランwww

はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
いや普通本陣の守りは手厚く堅くが当たり前だし、どないかなるか。

>>328
どもです。

>まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
無言のガッツポーズ

>二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
まあ、ちゃんと、というのがどこまでかということもありますが

>ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
そこまで長期的視野ではないかと。
単純に助けたい!くらいのものじゃないっすかね。今は。
軍師は知らんけど。

>はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
ご期待くださいませませ。

パインサラダは南蛮ならあるか?クロネコ、と言うか猫って…俯瞰者さんの方でやってたし居るのか、下駄とか世界観ぐちゃぐち大丈夫、恋姫の世界だよ
>>ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな 二郎ちゃんも似たようなものだしセーフ。はともかくとして、実際に一度会って話したので、忌憚のない意見を聞いてみたいな、と。三国志知識だけなら董卓も呂布も糞だしその辺は完全にはとらわれてる訳ではないとして、武力は雑魚いの確定としてま、多少は頭の回る虎の威を借る狐だな、とか
俺の趙雲への勧誘を邪魔するとか空気の読めないモブだな、とか

二郎ちゃん本人は気づいてないけど稟ちゃんさんが気付いてるよ(厚い信頼
そうでなくても麗羽様の安全マージンを凡人を自称してる二郎が無駄になるくらいとってないわけない
実際にどの程度あの二人がやれるかは知らないけど二郎ちゃんにとって麗羽様と美羽様は何があっても守るべき至宝だから(適当
万夫不当の近くにいるのを許容する代わりに鉄壁といざというときの逃走経路と影武者と肉の壁その他諸々でガードしてるさ…七のんが

うう、がんばる
明日には更新したいでう

関羽、張飛という豪傑――いや、見た目はとびきりの美少女であるのだが――を伴い北郷一刀は歩を進める。
これまでついに一度として賊と干戈を交えることなくきた劉家軍であるが、収穫は大きかった。
付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、経験不足はいかんともしがたかった。
それが、今回の輜重の護衛においては望外に経験を積むことが出来たのである。
そこには一人の武人。その存在が大きい。
益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。

――厳顔が輜重隊の護衛に当たったのは無論訳がある。

劉璋が人質にとられており、それにより劉焉は反董卓連合に全く協力をしていない。
見ようによっては厳顔が反董卓連合にいるというのもむしろ董卓側に情報を流すためと思われても仕方ない。
だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。
なので郭嘉は、厄介な存在は一所にまとめてしまおうとばかりに劉家軍に同行させたのである。

――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。

まあ、なんにせよ、だ。厳顔という経験豊富な実戦指揮官の薫陶により、これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を抱えていた劉家軍はその弱点を克服しつつあったのだ。
ロクに組織というものを運用したことのない劉家軍の面々にとっては、厳顔の一言一言がまさに金科玉条。渇いた大地が水を吸うように教えを血肉としていったのである。

「いや、白蓮。済まないなあ」

にこやかに北郷一刀は謝辞を述べる。
公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。
持つべきものは頼れる友人であるなと。
いや、横にいる韓浩からは冷たい視線を貰うがそれはもう慣れた。どうということはない。

何にしても、董卓や賈駆を救わなくてはならないのだ。自然、気合いも入ろうというものである。

◆◆◆

どもです。二郎です。いやあ、汜水関は強敵でしたね。あれやこれやで割と大変でしたよ。ほら、門扉を物理的に閉じてしまいましたしねえ。

閑話休題(それはともかく)。
さて、いよいよ虎牢関攻略である。
基本的には汜水関と変わらない攻略を考えていたのだが、稟ちゃんさんから待ったがあった。
曰く、董家軍は決戦を挑んでくるであろうとのことだ。ほむほむ。

「董家軍は騎兵突破が持ち味。ですから時間を稼ぐにしても虎牢関に籠ることはないでしょう。
 虎牢関に籠るよりは乾坤一擲の博打に全力を尽くすかと」

穏もネコミミも、稟ちゃんさんのこの意見には同意した。
……極秘である情報。月が囚われているであろうとかそこいらへんは口外無用として伝えている。
前提としている情報に齟齬があったらいかんからね。中華最高級の頭脳といえども前提となる情報が違えばもたらされる結論は違うだろうし。

だからまあ、全力で董家軍が挑んでくるであろうというのが俺たちの予想だ。

無論、そうでなければまた土攻めをすればいいだけだ。なに、籠城した董家軍なんぞ物の数ではない。って穏が言ってたからそうなんだろう。多分。
だからまあ、野戦での決戦を前提に戦術を立案していたのだ。軍師陣がな!これは勝ったなガハハ。

んでまあ、決戦が予想されるから虎牢関攻略に関しては出し惜しみなく全力だ。
汜水関はあっけなく袁家単独で陥落させたから、手柄が欲しい諸侯軍はこぞって出陣の打診をしてきたんだけどね。
足手まといはいらんとばかりにばっさりと切り捨てた稟ちゃんさんカッコいい。気分を害した彼らのフォローはまかせろー。バリバリ働くぜ。多少は働いてるアピールしとかんとね。

で、まあ。陣構えはこうだ。中央の本陣。ここに麗羽様が陣取る。顔家と文家はここに控える最終防衛線だ。なにせここがやられたら負けだからして。
そして中央でそれを守るのは曹家軍だ。そして右翼に孫家を配し、左翼に紀家軍。
虎の子の騎兵の馬家軍と公孫家軍は温存、である。

これでいける、と軍師陣からはお墨付きをもらってるけどなー。できたらメイン軍師とぶっちゃけトークで確認したかったなあ。

「まあ、なんにせよ袁紹殿の首級さえ無事ならばこちらの勝ちは揺るぎないでしょう」

怜悧な稟ちゃんさんがそんなこと言うけど、逆に考えたら麗羽様が討ち取られたら負けってことですよね分かります。

「……ご自分のお立場をもっと考えてほしいですね。
 ああ、風ならばもっと上手いこと諫言したのでしょうが生憎私にそんなのは無理ですから直言ご容赦願いたいですね」

更に言い募ろうとする稟ちゃんさんの言を遮ったのは。

「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」

白蓮の口利きならば仕方ない。稟ちゃんさんともうちょっと語りたかったけどしゃあない。
しかしまあ、なんとも厄介なことだ。
つか、本来義勇軍とか相手する余裕ないくらいにクライマックスなのである。

◆◆◆


「却下」

関羽と張飛を恋に対して使ってくれという北郷一刀の申し出に対して俺は即座に返答した。

「な、なんでだ!鈴々と愛紗の武をもってすれば恋を止められるんだ。
 無駄な人死にを減らせるんだぞ」

言い募る少年の熱意やよし。でも駄目。

「総大将の守りをどうして他家に任せられるか、という話さ。
 袁家は武家よ。そこを察してくれたら嬉しいな」

稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。
即ち乾坤一擲。麗羽様を討ち取り刻を稼ぐというもの。流石に公言なんてできないけどね。
そしてその要は恋であろうというのも一致している。
どうしてそれを、内通の噂さえある義勇軍なぞという有象無象にゆだねられようか。
いや、義勇軍の風評は八割くらい俺のせいだけどね!

「なるほど君が言う関羽と張飛の武勇を認めるにやぶさかではないがね。
 だがまあ、これでも俺は恋と矛を交えたこともあるのさ。
 そして、だ。そこのお嬢ちゃん。張飛か。
彼女が産まれる前から俺たちは武を磨いてきたのさ。
 その子がおねしょをしているより前から俺たちが磨いてきた武というもの。馬鹿にできないと思うがね」

まあ、恋を力づくで、本気で押し返そうと思ったら、信頼する人財しか当てにできやしない。
だから。猪々子、斗詩。すまんが付き合ってくれ。
ちら、と視線をやると二人ともにこり、と満面の笑みで頷いてくれる。
これは俺もみなぎってくるね。
などと気合い充実な俺に北郷君が食い下がってくる。いや、頑張るねえ。だが無意味だ。

「で、でも俺たちは、俺は恋や月と親しかったんだ。だから、こんなのは何かの間違いかもしれないって説得できるかもしれない。
 無駄な血は流すべきじゃないだろう?
 話して分かるならば、それにこしたことはないはずだ!」

いやいや。話せばわかるとかそんな段階は終えているんだがね。
まあ、いい。俺たちのスタンスを示そう。

「猪々子!」
「あいよ!」

最も信頼するおにゃのこの一人に呼びかける。暇そうにしていたのが俺の呼びかけにたちまち全身に覇気を巡らせる。

「袁家、鉄の掟その壱!」

にまり、と猪々子は俺の呼びかけに応える。そして高らかに謳う。

「とりあえず、ぶっ飛ばす!話はそれから聞いてやる!」

「その弐!」

「戦いは数だよアニキ!」

「結論!」

「勝てばよかろうなのだぁ!」

いやっほうとばかりにハイタッチする俺と猪々子である。斗詩がぱちぱちと拍手しながら囃したててくれる。
なお稟ちゃんさんはため息、北郷君たちはあっけにとられてるね。フフン。

「ま、そういうわけだ。お帰りはあちら、ってな」

まともに議論する気はないのさ。一応面通しもしたから白蓮への筋も通したし、これでよかんべ。

◆◆◆

そしていざ出陣の時である。
眼前に揃った兵たちを煽る。
シンプルにいこう。いつものやつでもある。盛り上げていこう。

「俺たちは、強い!」

兵たちが唱和し、応える。

「俺たちは、強い!
 俺たちは、強い!
 俺たちは、強い!」

怒号は熱狂になり、奔流とすらなるだろう。
その熱は袁家軍より発し、たちまちに伝染すらしていく。

この勢い、無駄にしてはなるまいと稟ちゃんさんをちらりと見ればコクリ、と頷くのを確認する。

「全軍、進め!」

そして。

「猪々子、斗詩。済まんが俺に命を預けてくれ」

「アニキになら、よろこんで」
「今更ですよ」

そして俺は万夫不当の飛将軍に挑むことになるのである。
フフ、怖い。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、「前日」です。
はい、いつも通り今ひとつですね本当に。
手抜きと言ってもいい。

オサレな奴オナシャス。

頑張るぞいっと。

>>337
おっつんつん。
色々踏まえて
【弾丸論破~生兵法(ニワカ)は相手にならんよ!】
かねぇ

>>338
どもです。

ダンガンロンパはアリですね
にわかについてはねw
二郎ちゃんに還ってくるブーメランになりそうw

ほむほむ

おつしたー
話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
少なくとも哀家、馬家は止まれない

次は恋ちゃん、身の毛がよだつぜ

タイトル案は「もはや賽は投げられて」

乙でしたー
>>333
>>益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。  これだと劉焉と厳顔が横並びと言うか《劉焉&厳顔》な感じがするので
○益州の州牧たる劉焉の信頼も篤い武将、厳顔である。   こんな感じでどうでしょう
>>これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を 【、】の位置に違和感が
○これまで、経験不足というある意味どうしようもない弱点を の方が良いと思います
>>335
>>稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。 《摂政》を考えるとまつりごとは取るものなのか?(ぐるぐる目
○稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が取る戦術の予想は一致している。 【取捨選択】か【執政】か、軍事関係なら【策を採用】で【採る】もありかな?

>>付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、 名前の呼ばれてない人がいますねえ…一刀君の人物評としては魅力はあるけど能力は微妙なのかしら
>>だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。  はて?誰に配慮して【いかない】なのかしら。劉焉に配慮するなら手紙持たせて帰らせてこっちに与するならちゃんと表明しろ、と言うだけで良さそうだけど
むしろなあなあでこの状況だと武将一人拘束して劉焉が…それが狙いか?実際にやるかできるかは置いといて劉焉が後ろから反董卓連合を襲わない理由付けと劉璋の命の保証(迂闊に殺すと劉焉が反董卓に加わる可能性がある)と戦後の領地安堵の密約と…負けない戦い方してるな劉焉
で、二郎ちゃんとしても別に無理して欲しくもない土地に手を出さない約束すれば知り合いも安全だし背中もある程度気にしないで済む、と
>>――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
>>240>>「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
そのうえで向こうに欲をかかないようにする策も張り巡らせてる、と…二郎ちゃんがかき集めた手札で軍師連中が勝った後の算段を付けまくってやがる
これ厳顔は気にしないどころか下手したら上の方で話が本当に通ってると考えてるかもだけど劉焉からすればここまであからさまにされるとかきっついワナ
>>公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。 前回の会議では一応全勢力がそれぞれのトップ二人までだったのに何があった。汜水関攻略の功績があるからって独断専行すれば無用の軋轢が生まれるだろうし…
と思ったらばっさりやってんのかーい!?上下関係教え込むとしてはアリだけど…ああいや、袁紹の筆頭軍師が鞭をふるって袁術の右腕にして袁家筆頭武将が飴をやるのか、モチロン曹操とか孫権にはそれぞれの軍師を通じて配慮しておく、と…こわっ
>>「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」  何度でも言ってやるぜ!!「劉備軍がついに有名無実どころか無名無実になっちまったなアーーwww」
いや本気で、確かに袁家の頭はいないから頭が行かないのもギリギリ非礼にはならんけどもよ、袁家のトップと義勇軍のトップなんて重さが違うんだから今回に限って(限ってと入っていない)の全権代理人に頼み事しに行くなら劉備が行くべきだろjk
そしてこの交渉の場に伏龍鳳雛を連れて行かないとか随分とまあ(笑)

公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。一応袁紹の口利きで劉備が県令になったっぽいことが>>98で書かれてるし
まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!

>>340
どもです。

>話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
間違いなく知らないですね。だからこその言動ではあります。
いや、知らせてやる義理も義務もございませんが

>少なくとも哀家、馬家は止まれない
止まる訳にもいきません

>タイトル案は「もはや賽は投げられて」
シンプルにしてよきよきですね。これになるかな

>>341
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。

>…負けない戦い方してるな劉焉
割と奸雄であります。出目次第ではえらいことになります。

>公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。
普通に考えたらそうですものね。

>まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
それは海のなんとかさん並の眼力になるのでは(素朴な疑問)

乙です。
うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。腹くくってますね(褒め言葉)

「俺たちは強い」

前の凡将伝を読んでいないので既出ならこれ言えないのですが……
どこかで、どんどこ太鼓打ち鳴らしながら「取られた」と騒いでいる一団がwww
いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw

これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるwww
でもこっちはそもそものレベルがはるかに隔絶してますが。

で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)

いよいよかぁ。見たくないけど見なきゃいけないんだよな、しょうがない。原始的な闘争ってどれだけ命をやりとりするか、直視します。

>>343
どもです。

>うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
一応、彼らは彼らでベストを尽くそうと頑張っております。

>ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
>まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
これもその通りでございます。
なお、経験をさせないようにどっかの凡人が細工した影響もでかいらしいですよ!

>つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。
唐突な賞賛に小躍りしました。やったぜ。成し遂げたぜ。
まあ、ここら辺から二郎ちゃんは苦虫かみつぶす生活が続きそうですがw

>「俺たちは強い」
>いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
ぎりぎりルナさんは履修外なんすよ。いや、何冊か読んでお世話になった記憶はあるのですがそこまで覚えておりません
黄金のワイバーンの群れとか、ちゃらんぽらんなネーミングはかすかに残ってますがw
スラムダンクを想定してました

>これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるw
ガルパン、いいっすよね……っ!
でもどこ高校だろう。ノリ的にはドゥーチェかにゃ?そんなつもりはなかった。だが光栄ですうぇあ。

>で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
韓浩さんは遠慮した。まあ、主君を止めるか態度を改めるかのどっっちかしとけよ的なことはありますね
鉄拳制裁については……理屈と納得がないと表面上の謝罪で終わりそうです
韓浩さん、地味様の意思を尊重しているので、そこまで言うならしゃあないか的な妥協(妥協は多分雷薄さんあたりにため息交じりに仕込まれた)の産物かな


どんどこいきまう。

「来よったか!」

ガタ、と張遼は我知らず椅子から立ち上がる。
いよいよ、いよいよ勝負の。決戦の時が来たのだ。
ここは虎牢関の司令官室。ぐったりと空腹にへたりこんだ呂布と、伝令の報告にむむむと唸る陳宮のみがいる。
董家軍の、もっとも信頼できる幹部陣だ。本来ならばここには、彼女らを口やかましくまとめ上げる軍師と、それを困ったように包み込む総大将がいるのが常だったのだが。
だから、自分が総大将的な役割にいるのは落ち着かない。いや、向いていないのではないかとすら思ってしまう。
かつては、董卓と賈駆に好き勝手言っていればいい立場だったのに。いざそうなるとこんなにも自縄自縛になるものかと嘆息してしまう。
だが、ようやく決断を下すべき好機が来た。
いよいよ、反董卓連合が汜水関を出て進軍してきているという。

当然、汜水関の時と同じく橋頭堡なり、野戦築城しているであろう。
であれば時間が過ぎるほどに勝ちの目は失われていく。
未だまともに備えがない今こそが野戦にて乾坤一擲の機会。

と、言うよりそれしか董家軍の勝ち筋はない。ないのである。
時間をかければかけるほどに反董卓連合――袁家――はその陣容を文字通り分厚く整えてくる。
で、あれば野戦築城する陣地を確保すべく生身の兵が動く、今こそが好機。

まともに野戦を仕掛けることのできる機会は今を置いて他はないのだ。

「董家軍、出撃の時、というわけや!」

虎牢関という要害に籠るのを利点とさせてくれない敵に歯噛みしつつあった張遼は指示を飛ばす。
出し惜しみはしない。する意味が無い。

虎牢関には門扉を守る兵のみでの全力出撃。
それはともかくとして。まあ、まずは。

「ほな、皆な。腹いっぱい食べえや」

これまで飢えていた兵達に思う存分食べさせる。
いや、満腹の兵なぞ使い物にはならないが、まずは士気を上げること。そして、即刻ぶつかり合うことはないだろうという計算もある。
なにせ、払暁から日没までのみ戦闘すると伝えてきて、それを履行してきたのだから。
実際、色々な意味でありがたかった。
だが、それもこれまでである。

なんにせよ、落ち込んでいた士気をどうにか立て直して張遼は手元の軍勢を虎牢関より発したのである。

野戦であれば、一撃で逆転もありうる。ありうるのだから。

◆◆◆

反董卓連合の本陣。その最奥。急ごしらえの天幕とはいえ、そこは袁家当主が逗留するに相応しい豪奢なつくりとなっている。
だだっ広いその空間に悠然と袁紹は鎮座し、優雅に茶を喫する。

「落ち着いて、らっしゃるのですね」

声をかけたのは郭嘉。袁紹の傍らで対董家軍の方針を立案、統括する軍師である。
元々名家の出身であったがその地盤による栄達を嫌い、名を伏せて中華を放浪したという変わった経歴の持ち主である。
まあ、それで当初仕官を進められていた袁家に結局腰を落ち着けることになろうとは、と郭嘉は苦笑するしかない。
だが、その過程は間違いなく糧であり、それがなければ今の自分もないであったろうと郭嘉は確信している。
なにより自分とは全く違った視点を持つあの友人とは出会うこともなかったはずである。

などと、益体もないことを考えている郭嘉を見ておかしそうに袁紹は笑う。くす、と。

「何か粗相を致したでしょうか」

内心ちょっとだけ焦って郭嘉は問う。いや、ちょっと思いを馳せていただけでおかしな態度はなかったはずなのだが。

「いいえ。でも、心ここに在らず、といった様子がおかしくって」

ころころと重ねて笑う袁紹に郭嘉は憮然として応える。

「――落ち着いて、いらっしゃる」

くす、と袁紹は笑いを軽やかに重ねる。

「ええ、郭嘉さんにそう見えているのならば安心できますわ。
 だって、そうでしょう?総大将が慌てて、狼狽しているような軍が勝てるはずありませんもの。
 ええ、そうですわ。今私にできることは、こうしていることだけですもの。
 前線で槍を振るうことも、献策することもできない。
 それでも。この反董卓連合において一番重要なのは私ですわ」

だから、と袁紹は笑う。華々しく。

「如何に袁家が隆盛か、諸侯が如何に弱小か。この身で示すのが私のお役目ですわ。
 そう、戦わずして勝つ。それをこの身のみで強いられているのです」

だから、と笑う。豪奢で、華麗に、雄々しく、気高く。

「袁家軍については私の手を離れていますわ。既にね。
 だってそうでしょう?」

そして一際艶然と、光輝を放つのだ。

「だって、二郎さんが仰いましたもの」

任せてください。勝ちます。徹底的に。そしてその栄光は貴女に、と。

「だから、私はこうしているのですわ」

全身で語る、放つ。自分の仕事は戦の結果に対して責任を取ることである、と。
既に断は下しているのだ。誰に権限を与えるか、という。

「なるほど。では。私は、その二郎殿に引き立てられたのですから。これはいよいよ負けられませんね」

下手な冗談である。が、そのような戯言を口にすることを知れば程立や趙雲は瞠目したであろう。

「ええ、二郎さんが仰ってましたもの。進むも、退くも貴女次第と。あの二郎さんが全幅の信頼を預けているのですもの。
 くれぐれも変な遠慮なぞしないでくださいましね?
 貴女の献策に立ちふさがるものはこの私自ら裁きの鉄槌を下してやりましょう」

おーほっほと笑いは、高貴に響く。

「いいですこと?わきまえてらっしゃるわね?」

郭嘉は頷く。

「勝利こそ最優先。魂魄に刻んでおりますとも」

「よろしくってよ。その忠勤、嬉しく思いますわ」

袁家鉄の掟。その根底。
勝てない戦に意味はない。しない。だから袁家は最強なのだ。

◆◆◆

「で、うちらは何をしたらええねん」

怒気すら露わにして李典は郭嘉に問う。心底から彼女は怒っているのだ。
だって、李典は知ってしまったのだ。これからあの青年。自分を取り立ててくれた、かけがえのない青年。紀霊がその命を晒すのだ。
そのような無茶をしなくても、と李典は歯噛みする。例えば連弩だ。紀霊から示唆を受けたのは結構な前のこと。或いは、或いは。
思いつきでしかなかったであろう数多い兵器。その中にはきっと珠玉もあったはずなのだ。それを総動員すれば彼をそのような修羅場に立たせることもなかったのではないか。
そんな悔いが李典にはある。
実用化と量産化さえしていれば、と肺腑が焼ききれそうなくらいに燃え上がる悔恨。

だが、その思いは郭嘉には届かない。
たかが攻城兵器で戦局が移るものかと。いや、移るならば袁家の底知れない、無尽蔵な財源あればこそだ。
それにしたって、と内心苦笑する。

「あんたなあ、勘弁してや。うちらは、ほんまに頑張ってるし、お望みなら不眠不休待ったなしや。二郎はんが珍しくうちらに頼ってきたからな。
 ああ、知っとるわ。戦場で死ぬより過酷やよ。死に至るのは一瞬ちゃうし。
 つまり。ええか、二郎はんのためやったら袁家工兵は一日十二刻休まず職責を果たすで!
 なんなら一日四十八刻の任務も果たしたるわ!」

だから、と李典は訴える。

「二郎はんが何や身の程知らずなことをしようってのは分かってるねん。
 あんたが、だからつれないのも分かってるねん。
 何でもええ。うちに、うちらにできることは言ってほしいねん。
 後生や……」

嗚咽を交え、みっともなく哀願する李典に郭嘉は問う。

「どうしてそこまで紀霊殿に肩入れするのですか。
 貴女の才能については把握しています。どこでも、誰でもそれは評価するでしょう」

冷然とした郭嘉の言葉に李典は激昂する。

「あほ!あんたはあほや!アホ!うちはな!うちは!そんな大したもんやあらへんわ!
 阿呆!うちはな!本来そこらへんで野垂れ死んでるくらいにどうでもええ存在や!そんなもんや!
 うちがな、お役にたってるとしたら二郎はんのおかげや!
 やから!やから!
 うちかて分かるわ!あの呂布に二郎はんが挑むて!
 やから、うちはあんたの相手なんてしたないねん。そんな暇ないねん。 
 汜水関と同じく土攻めで虎牢関を落としたいねん。
 でもな、二郎はんはそうやないねん。 
 汜水関みたいに土攻めしたら楽やのに。そのためにうちは、うちらは頑張ってるのに」

幼子のように滂沱の李典。彼女の献身は報われないであろう。
だが、その想いは無駄ではない。

「分かりました。貴女の想い、把握しました。無駄にしません」

郭嘉は思う。
自分はどうにも、おかしいなと。
袁紹の想い。それは高貴であった。そして覚悟があった。信じる男に委ねて揺るがぬ思いがあった。
そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。

「まあ、それがどうした。と言うべきなのでしょうか」

既にあの青年に毒されているのかもしれない。
そして、既にこの戦に於いて勝利は約束されている。

後は。

「勝ち易きに勝つ。お見事です。後は貴殿の武勇、或いはそれ以外の何か。
 それを楽しみにしていますよ。
 なに、貴方が討死したって……」

袁家に勝利はもたらしますとも。
笑みなぞなく、真面目くさって郭嘉は思う。

願わくば、あの青年が呂布を打ち砕きますように、と。

本日ここまですー感想とかくだしあー

あうあうあー

題名は、本当に困ってるのです!
かっこいいやつたのみまするよう

お盆までにいけるかなあ

ぺきり、と骨の鳴る音が響く。

「うんとこどっこいしょ、と」

身体を精一杯伸ばし、固定する。背に暖かで柔らかい感触を感じながら精一杯伸びをする。
両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける。
はい、絶賛ストレッチ中な二郎ですこんばんわ。
ちょっと離れたとこでは斗詩と猪々子が二人組でストレッチをしてます。
まあ、袁家軍では割と一般的な準備運動だったりするのだが、特別ゲストの秋蘭は奇異なものを見るような、何とも言えない視線でこちらを見ている。

いや、そりゃあね?秋蘭みたいにいきなり身体をトップギアに入れられる人はいいよ?
でも俺なんて凡人なんだから、こうやってストレッチしてアップせんと実力をきっちり発揮できないわけで。
いや、まあ。多分この場でそんなものが必要なのは俺だけだと思うけどね?
何にせよこれから万夫不当の恋の相手をせんといかんのだ。斗詩と猪々子が文句ひとつ言うでなく付き従ってくれるのがありがたい。
しかしまあ、これで三人とも討死したら袁家崩壊だよなあとか益体もないことを考えていたら、ストレッチに付き合ってくれてる星が問うてくる。

「しかし主よ。てっきり汜水関に穴熊を決め込むと思っていたのだが。
 それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?精兵で圧殺すればよいのではないか?」

ふむ。そういやそこんとこロクに説明もしてなかったな。だというのについてきてくれる斗詩と猪々子に感謝だ。
……秋蘭も無関心を装ってるけど興味津々って感じか。
まあ、いいや。別に知られても問題はなかろう。多分。

「まず、だ。汜水関に反董卓連合の将兵全員を収容するのは無理だ。これが一点」

流石に十数万の兵を収容できないのだ。それに土に埋もれてるしな。門扉のとこだけ掘り起こしたのよ。

「そして汜水関の時と同じく野戦築城をしてはいるが完成には程遠い。つか、無理」

「ほう。それはどうしてか聞いても?」

「うん。ぶっちゃけ工兵隊は攻城兵器にかかりっきり。母流龍九商会から技師とか呼んでるけどなあ」

だって、攻城兵器。あれ、真桜がやり過ぎたのだ。でかいのよ。汜水関の門扉を通らないから一旦分解せんといかんの。ぜーんぶ。
それを再起動して実戦テストしてとか、万全を期したらどんだけ時間がかかるやら。
いや、時間をかけるのはいいのだが、流石に領地を放り出して参加している諸侯が文句の一つでも言おうというものである。
そして、最大の理由。

「なあ、今一番やられたら不味いのは何か、分かるか?」

さて、と小首を傾げる星の髪をわしゃ、と掻き交ぜて。

「一番怖いのは。恋が単騎で特攻してくることだ。それも夜陰に紛れて本陣を衝かれると、どうしようもない」

それだけは避けたかった。だから汜水関に籠らずに陣を布く。あくまで軍と軍の戦いに持ち込む。
これでも万が一に備えてはいる。麗羽様の本陣には流琉と華佗を。
美羽様のとこには凪と張魯さんを配している。
即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。
そして、いよいよ始まる。

「始まったか」

喧噪が風に乗って聞こえる。
いよいよだ。いよいよ軍と軍がぶつかり合っている。戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。

「ほう、四万弱、か。出し惜しみはないと見える」

鷹の目、とはこういうことなのだろう。
秋蘭、流石の眼力である。

ともあれ、まずは歩兵のぶつかり合いだ。
その喧噪を聞きながら俺は入念にアップを再開する。
なに、数の上ではどうあれ、曹家軍と孫家軍ならば支えるだろうさ。いや、支えてくれないと困るんだけんども。
俺にゃ無理だけどね!倍の兵と真正面からぶち当たるとか。

そんなことを思いながら
俺は入念にアキレス腱を伸ばすのであった。

◆◆◆

汜水関と虎牢関を守備する兵。それが怒涛となり前進する。四万の大軍に用兵なし。
ただ前進せよとばかりに真正面の敵にぶつかる。ぶつかる。
そして。

「やるやないか」

数の上では初手に於いてはこちらが上であるのにも関わらず。
真正面からぶつかり合って押し負けることなく、戦線を支えている。いや、このままであれば押し返すやもしれぬ。
で、あれば。

張遼は手を挙げ、振り下ろす。

「いったれー!」

銅鑼が響き、神速と謳われる張遼がいよいよ戦場に姿を現す。
ぐる、と左翼より出でて向かうは袁家本陣。
狙うは袁紹の首級一つ。

孫家軍の脇を掠めて陣を布く袁家に迫る。
涼州騎兵の本領を見よとばかりに駆けに駆ける。

「っしゃおらーー!」

だが、その突撃は勢いよく姿を現した軍勢に阻まれることになる。

張の旗を確認するや否や馬超は無言で出撃する。
言葉はいらない、最早いらないとばかりに。

「張遼!」

最早かつて交わした真名をすら呼ばずに突出する馬超に刹那、切なげに視線を送り馬岱は号令を下す。

「いくよ!」

馬家軍は一つの生き物となり動き出す。走り出す。一つとなって突き進む。そこには熱狂。
そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。
なんとなれば、馬家当主を喪った怨恨は馬家軍の末端まで刻み込まれ、焔となり吹き出でる。
だから、真正面からぶつかる。神速の張遼なにするものぞとばかりに我先に身を投じる。

よくも、よくもおめおめと我らの前に身を晒したなと。
なるほど、一番槍はお嬢に譲ろう。だが、彼奴らは殲滅してやる。涼州騎兵、舐めるな。

そして騎兵と騎兵が。精鋭と精鋭がぶつかり合う。
初撃は互角。流石に鍛えていると馬岱は内心感嘆しながらも姉の姿を見失わない。

「あああああああああ!」

羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。
張遼からすれば厄介なことに迷いなく張遼に向かい突き進んでいる。その勢いたるや。

「ちい、猪が……!」

罵るもその前進を止めることはできず、ついには眼前に。

「よくも!父上を!」

「あほんだらあ!」

ついには単騎で切り込んだ馬超の槍は張遼に向けられる。
二合、三合と切り結びながらも、矢継ぎ早に配下へ指示を飛ばす張遼こそ褒められるべきであろう。
だが。

「ああもう!うっざ!」

張遼の指示を上回り馬家軍はその勢いを増す。増していく。
打つ手全てに対応し、その裏を掻こうという悪辣な動き。放置すれば致命傷になる嫌らしい一撃。
薄い陣構えを突破しようと下知を下すも言葉一つで阻まれる。

「ここにいるぞー!」

そしていつの間にか馬岱は実際に分厚く防衛線を構築するのだ。

「ええい!うっとおしい!」

張遼は心底叫ぶ。全力で向かえば突破できるだろうに。馬岱ごときが敷く防衛線なぞ。だが。

「張遼!覚悟!死ねえええええええええ!」

その槍は度々張遼に迫る。流石に片手間に対応できるものではない。

「ああもう、やってられん!」

馬家の用兵は支離滅裂なのに、変に噛み合って結局は戦線を押し上げている。
単騎で突撃する馬超。そしてそれを援護しようともしない馬岱。だが、それは結果としてこの上もなく噛み合って張遼の意図を妨げ、戦場を混沌と化している。
そして馬超にかかりきりなれば戦局は馬家に。戦局を優先すれば手元の兵は馬超により切り裂かれる。
これではまるで。

「馬騰はんを相手してるみたいやないか……」

個人の武と軍としての武。それが絶妙に噛み合って匈奴相手ですら連戦連勝であったあの日。帰ってはこない黄金の日々。
それが馬家軍。その一員であったからこそ張遼はその厄介さに舌打ちする。
そしてその刹那の感慨すら読み取るか如くに馬岱は軍を操る。
馬超の影に隠れていた凡庸な係累。それが馬岱に対する評価であった。だが、そんな評を下した過去の自分を切り捨てたいとばかりに張遼は盛大に舌打ちを重ねる。

「く、ここまでやるか!やってくれるやないか!」

だから、後は頼む。馬家軍はせめてここに釘付けにしてやるから、後は頼んだ。

「恋!頼んだで!」

肺腑より絞り上げたその声は、万夫不当の飛将軍に届いただろうか。
どうあれ。その直後、真紅の呂旗が動きだすのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「開戦」です

よろしくお願いします。

乙でしたー
>>347
>>郭嘉は思う。      この後の言葉をわざわざ目の前で言うのは人の心が分からないにもほどがあるので
○道すがら郭嘉は思う。  (その場を離れる)を行間に入れる感じでどうでしょう
>>348
>>そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。     慕情があったのか無かったのか
○そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情、感謝……それだけではない。  色んなものが混ぜこぜになってそうかな【慕情か、感謝か、】だと一つを選ぶ感じがするのでこれでどうでしょう
>>349
>>両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける  えっ【やらしくも】?
○両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやわらかくもしっかりした身体に身を預ける もしくは【やあらかくも】とか言ってみる?
>>それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?     間違いではないですがこれだと【黄巾兵の万夫不当】のように読めるので
○それにいくら万夫不当と言っても黄巾を相手にした話だろう? 元黄巾の万夫不当とかいたら怖いなw
>>即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。   間違いではないですが
○即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉は頼もしいものだ。  ちょっとした好みのようなものですが
>>戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。  そんな【戦法;呂布】みたいなスタイルを?
○先鋒は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。  前衛と言うか先駆けと言うかそういう意味ですよね?
>>350
>>そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。  こええ…誤字じゃない可能性すらあるのがなお怖え
○そう、馬家軍は一塊の狂戦士と化して馬超に続く。  多分こっちでいいはず
>>羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。  怒りで頭に血が上ってるなら直線的なのは普通では?
○羅刹と化した馬超はその中を直線的に馬を走らせる。  【騎兵同士がぶつかった】=乱戦に掛けるならこの方が良いと思います
>>351
>>馬超の影に隠れていた凡庸な係累。  【影に隠れる】だと黒幕感が出るので
○馬超の影に埋もれていた凡庸な係累。 凡庸な係累ならこの方が良さそうかな?

麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど

>>353
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
よっしゃ。

>麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
どもです。
隙あらば全部持ってく麗羽様ですが、稟ちゃんさんは頑張りました。

>稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
ロジックだけでなくエモーションも持ち合わせた最強の軍師になってくれるはずですw

>馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
元々馬騰さんに目をかけられて幹部になってきたのに、それはないやろうと
そら馬家軍一万総火の玉です(全員気力170)

蒼天に翻る真紅の呂旗。
右翼よりその姿を現し、眼前の敵に相対する曹家と孫家を尻目に袁家本陣に向かう。
その戦闘には万夫不当。

なに、相手にとって不足はない。

「白馬義従、出るぞ!」

手にするのは兵卒が手にするのと変わらない普通の剣。
だが、それでいい。白馬義従の強さとは、平準されたところに真髄がある。一人の武勇に引きずられる類のものではないのだ。
そして白い奔流が頸木を解かれ、疾走する。

馬家軍のように真正面からぶつかるのではなく、途中で進路を変え併走する。
ニヤリ、と口を歪ませて公孫賛は先手を取る。

「挨拶代わりだ!撃てぇ!」

騎射。白馬義従が匈奴と互角以上に渡り合う所以である。
袁家本陣に直進するため本腰を入れての対応ができないのをいいことに、と陳宮は歯噛みする。
牽制に迫れば退き、こちらが引けば迫る。なんともいやらしいことこの上ない。
そしてまた牽制に一部隊を寄せる。どうせ届かぬだろうが、矢の雨の中進むよりは遥かにマシというものだ。
だが。

「甘い!」

牽制でしかないと見るや公孫賛はその部隊に寄せ、叩き潰す。

「各個撃破、とはこういうふうにやるのさ!」

あくまで袁家本陣への吶喊を最優先するのを見越し、ゴリゴリと消耗を強いてくる。その手際は熟練と言っていい。
そしてその損害が無視できぬほどになり、陳宮は舌打ちを重ねる。
いや、白馬義従を牽制しつつも損害を最小限に保つ陳宮の用兵は褒められるべきものであろう。例え白馬義従が呂布の武威を警戒して不必要に迫ってきていなかったとしても。
だが、その圧力により着実に進路は歪められており、このままでは袁家本陣への吶喊が果たせるかは微妙。いや、正直厳しくなりつつある。

「……公孫賛、片付ける?」

静かに呂布は陳宮に問う。アレが邪魔ならばアレを除けばいいのではないか、と。
一瞬その言葉にうなずきそうになりながらも陳宮は首を横に振る。

「いえ、いけませんぞ。それこそ彼奴らの思うつぼなのです。
 ……恋殿。行ってください。そして、袁紹の首級を」

その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。
自分たちが呂布の足手まといであると、ある意味軍師としては屈辱的なそれを認めて手元の戦力をもっとも効率的に運用する術を選ぶ。

「なに、公孫なぞ有象無象もいいとこなのですぞ。まともにやりあえば敵ではないのです!」

ちっちゃい体躯を精一杯踏ん反り返して陳宮は呂布を解き放つ。
軍団の長という枷を解く。解き放つ。最強を。

「……わかった。行ってくる」

そして呂布は単騎で進路を修正する。勿論立ちふさがる敵なぞいないも同然。

目標たる袁家本陣に狙いを定めて呂布は単騎で突撃を敢行するのだ。

「ちい、呂布には構うな!陣形を崩すな!」

流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。どちらに対応するか。常ならばそこに乗じて戦局をひっくり返されることもあったろう。
だが。

「大事ない。呂布単騎の突出は想定内。今は目前の敵軍に専念すべき」

韓浩の淡々とした進言が響く。全く、それほど大きい声でないというのに、痛いほどに耳に響く。不思議なこともあるものだ。

「そ、そうだな。こっからが本番だった。すまんな、狼狽(うろた)えた」

「いい。呂布はやはり埒外。アレと戦場で互角以上に渡り合う。そのことにこそ尊敬の念を覚える」

「はは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。じゃあ、呂布がいないんだ。彼奴の武勇に備えこれまでは沈黙していたが……」

にま、と公孫賛は笑う。手控えていた接近戦を、騎兵突撃を、そして騎射を組み合わせた白馬義従の本領を見せてやろうとばかりに。

「行くぞ!白馬義従は伊達じゃない!」

◆◆◆

単騎で恐ろしい勢いで騎馬が迫ってくる。言うまでもなく恋だ。
まさにそれは飛ぶが如く。飛将軍というのは言い得て妙だな。明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。人馬一体とはこのことか。
まあ、これからそんな化け物と遣り合わんといかんのだけどもね。
だが、此方も恋対策はしている。

「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」

いや、知ってるけどね。武力100だし。でもまあ、これくらいは言わんと恰好がつかん。

「陳蘭!」

最前列にて構えるは陳蘭率いる長弓隊。既に五千の兵が展開し。ざく、ざくと矢を地に突き立てて臨戦態勢。
通常ならばまだまだ射程距離外だが、虎の子の長弓部隊にとってはそうではない。

「なんと、まあ……」

流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。へへ、すごいだろう。いや、彼女なら可能だろうが、それを一般兵がやることに意味があるのだ。集団でね。
そして五千の弓兵はただ一人恋を目がけて矢を射る。ひたすらに。
もはやそれは矢の雨。或いは奔流。点でなく面で制圧するのが長弓兵の戦い。大体の位置に只管(ひたすら)矢を射る。

「……」

それらの矢が、恋には届かない。ただひたすらに飛ぶように馬を走らせる。手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが降り注ぐ矢の雨を全て弾き返しているのだ。
マジかよ。
いや、想定はしていたけど実際目にすると笑うしかない。
だから。

「秋蘭、頼んだ」

「任されようとも」

秋蘭は不敵に笑い、静かに弓を構える。

「唸れ、餓狼爪!」

一射で三矢。それを文字通り矢継ぎ早に三射。
山なりに襲いかかる長弓部隊と違い、限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。
眉間に迫る矢を掴み、その矢でもって続く二の矢、三の矢を弾く。
降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。

だが、そこまでである。フ、と笑う秋蘭。

「依頼は果たした。では私はこれで華琳様の処(ところ)に戻らせてもらおう」

いや、しかし呂布とは恐るべきものだな。或いは討ち取れるかとも思っていたのだがな――。
苦笑交じりに秋蘭は踵(きびす)を返す。
そしてその目的は果たされている。
確かに恋の身体には一矢たりとも届いていなかったが、見事にその乗馬の前足を打ち抜いていたのだ。
倒れ込む馬体から軽やかに身を躍らせて……。

「弓兵、下がれ!」

守備力なぞあってないような虎の子を下げる。ここで消耗させるわけにもいかん。そして。
ここからが本番だ。やっと恋をその身一つにすることが出来た。そして。マジか。いや、詠ちゃんに話を聞いたことはあったが半信半疑だったんだよなあ。

――まさか、本当に。
二本の足で走る方が速いとかどういうことだよ。

ぎゅん、と速度を上げ、土煙を背に恋が迫ってくる。なるほど。人中の呂布とはこういうことか。などと軽く現実逃避をしながらも前に出る。
猪々子と斗詩が付き従ってくれる。

「アニキ。やっぱアタイが前に出た方がいいんじゃね?」

猪々子の気遣いに首を振る。

「なに、たまには俺もいいとこ見せたいのさ」

どんどんと近づいてくる恋。その表情は相変わらず何を考えているか読めない。
まあ、それでも言葉が通じるだけありがたいとしよう。
だからまあ、まずは声をかける。

「恋!」

ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。
さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。

◆◆◆

さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。

「……ほしいのは袁紹の首級だけ。二郎を殺す必要は別にない。だからそこをどいて」

いやいやいやいやいや。

「――悪いがここは通行止めだ。大人しく帰ってくれよ」

ふるふると、どこか悲しそうに恋は首を振る。

「月のため。どうしても袁紹の首級がいる。だから、どいて」

「そいつはできねえ相談だな。そもそもだ。それが叶ったとして月が帰ってくるとも限らんだろうに」

流石に仮定の話とは言え麗羽様の首級云々なんて口に出せねえし。それに、月のことは、まあね。そうだよね。しゃあないね。

「それでも、いるの。だから、そこをどいて。袁紹一人で済ませるから」

一生懸命に語る恋に泣きたくなる。なんでだ。なんでこんなにも俺たちはぶつかり合わないといけないんだ。
やってらんないね。本当に。

「聞けないな。麗羽様をやらせるわけにはいかん。こっちは三人。まっさか、卑怯とは言わんよな」

斗詩と猪々子が臨戦態勢に入る。

「……どうでもいい。三人が三万人でも大差、ない」

「は、言ってくれる!恋よ、袁家を、舐めるなぁ――!」

そして三尖刀によるブーストを発動させる。吠えて、やる!

「トランザム!」

四肢に力が漲り時の経過が遅くなる。
漲る力に思いを込めて、叫ぶ。
先手、必勝!

「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

「対戦」

ほら今ひとつなのでs
よろしくお願いします。

乙でしたー
>>355
>>その戦闘には万夫不当。  まあ確かに戦闘中だけど
○その先頭には万夫不当。  一番前を走ってるのは、って意味だよね
>>その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。  ここで過去形って…お前、死ぬのか?
○その見切りこそが陳宮の真骨頂かもしれない。     間違いと言うほどではないですがこの方が良いと思います
>>流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 ここで【流石】と評されるほどには優秀なんだよなあ
○流石の公孫賛も狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 地味だけど(真顔)
>>356
>>明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。 全速力出したら遅いのが孤立するからなあ
○明らかに先ほどまで軍を率いていた時と速度が違う。 【引き連れてきた時】だとなんか違うよね
>>「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」   え、何?見稽古とか言うチート能力に開眼した?飛将軍の実力を貰うとか
○「見せてもらおうか、飛将軍の実力とやらを!」  【コートを脱いでください】と【コートを脱いで下さい】には実は大きな隔たりがあるのだ
>>流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。 総合力は別にして長距離に矢の雨(弾幕)を降らせる一点ではどこよりも上かもしれんね
○流石の秋蘭も感嘆する。この距離で届くのか、と。 夏侯淵個人では可能かもだけどこの人数による制圧射撃は、ね
>>手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが 呂奉先が使うから字を間違いやすいのかな
○手にした方天画戟。残像すら見えないそれが 馬への矢もすべて弾くとか人間業じゃねえな
>>限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。  ほぼほぼ水平なら打たれた側からすれば【・】ここまではいかなくても大分見づらいだろうに
○限りなく水平に襲い掛かるそれには流石の恋も……ってマジか。 微修正も混ぜつつ
>>降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。  両手放してってことはやろうと思えばこいつも騎射出来るんだろうな
○降り注ぐ矢を方天画戟で弾き返しながら、だ。  そういや奉天って中国の都市の名前なんだな…ちょっと昔だけど
>>ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。     【ん、とばかりに】とはいったい
○ん、と顔を向けた恋は義理堅く速度を落とし、停止する。  こんな感じでどうでしょう
>>さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
>>◆◆◆
>>さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。  呼びかけはしたけど声掛けは恋からだよね
○さて、とばかりに俺は恋に向き合うのであった。   いやまあ最初の【「恋!」】はあるけどあれは【さて、とばかりに】に合わないしね

公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、公孫瓚以外がトップに立ってもほとんどパフォーマンス落ちないだろうし
陳宮が被害を最小限に抑えてなお吶喊が厳しくなるとか状況的なものもあるとはいえ凄すぎる
恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
まあアイツラならそれでもみんなが笑って暮らせる世界のためにとかなんとか言ってどうにかしようとするんだろうが(どうにかできるとは言わん)

乙っしたー

どっかで聞いたセリフがちらほらww

タイトル案「対峙」

>>359
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。今回は多かったな。頑張るぞいっと。

>公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
強化しといてよかった白馬義従!です。

>冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、
作中少ないネームド軍団ですからね……
虎豹騎実装してないということは、作中最強軍団かもしれません

>恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
おっしゃるとおりここはしゃあないところです。

>どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
董家ルートでは初手最適解ができたはずなんですよね

>まあアイツラなら
ほんと、魏√での彼らの不気味さといったらなかったw

>>360
どもです。

>どっかで聞いたセリフがちらほらw
ナンノコトカナー

>タイトル案「対峙」
ほむ。対決よりよかですね。ありがとうございますー!

乙です。

嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が。
で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw

チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?

今回のクレームwwwwww
癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのw
しかも活躍までさせてさw
これも陳蘭ちゃんの愛のカタチ?

個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。


でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?

>>362
どもです。父上乙ですた。あっちにもちょっとしたら行きますのでお待ちくだしあ。

>嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が
やはり肉体言語ありきですよね。

>で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
ベストを尽くすということで一つ。少しでも勝率を上げないといけませんのでね。アスリートによればアップに30分以上かけるらしいですね。

>チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
中の人が示現流の道場で立木打ちを体験したくらいの関係ですw
猿叫については作品により表現が様々ですが、ここはやはり旧作をリスペクトな感じです

>癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのwしかも活躍までさせてさw
紀家は武家にて、彼女の掌握している部隊も同様。ガチ戦力で虎の子なのです。
呂布にぶつけようとするくらいには稟ちゃんさんからも戦力として計算されておりますん
ということで一つ。

>個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
ありがとうございますー!
彼女は本来楽しく技術開発してキャッキャウフフしてたい人生だったのですが、惚れた男が悪かった
研究開発以外のことも、考えないといけないという立場になってしまっております
それが、なんだかなあー、って感じと、惚れた男のためになるので嬉しかったりする真桜です

>でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
短期留学、かつ彼女の心根(呂布原理主義)は変わらないなら、かなあ

「ちぇすとおおおおおおおおおおおお!」

全力での俺の一撃。脳天目がけて三尖刀を振り下ろす。文字通りの全力全開の一撃。その一撃を恋は難なく躱す。身をよじるだけで。
うん、知ってた。

「ちぇいぃ!」

地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。

「秘剣、燕返し!」

流石に三撃を同時展開なんていう人間離れした剣技なんて俺にはない。これが精いっぱい。
無理やりな軌道での連撃は、だが恋には届かない。バックステップ一つ。なんつー超反応だよ!
全力の一撃であったので俺の身体は今度こそ完全に流れてしまった。

「……覚悟」

ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。このままでは間違いなく脳天からばっさりであろう。
が。

「斬山刀、斬山斬!」

恋の死角に回り込んでいた猪々子がその大刀を渾身の力で振り下ろす。
一か八かの大振りの一撃。

「――!」

サイドステップ一つ。恋の身には届かず、斬山刀は大地を抉る。
豪快に土煙が巻き起こり、視界が妨げられる。そしてそれを煙幕代わりに離脱しようとする猪々子を恋は逃がさず追撃。流石、速い!

「はぁっ!」

だが、土煙は猪々子の離脱用じゃあない。奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。
裂帛の気合いを響かせて双剣を振るう。

「やったか!」

確かに斗詩の双剣が恋の身体を捉えた……と見えたのだが、間一髪、紙一重で躱す。

「しぃっ!」

だが、斗詩の攻撃は連撃、そして相手を追い込む運足の妙が持ち味。更に舞うが如く追撃を加える。躱す恋の動きは斗詩とは対照的に野生の獣を思わせる。

「くっ!」

舞いながら、双剣の軌道を捻じ曲げ、恋の体幹部分。回避しづらい部位に斬撃を次々と繰り出すのだが、少しずつ恋が対応し始める。
流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。あの連撃は無酸素運動を続けるものだからそれほど長く続けることはできない。
だが、それで十分。斗詩は確実に獲物を追い込んでいる。
既に恋の死角を押さえた!五臓六腑に気合いを込めて、迸る裂帛の咆哮。

「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおお!」

俺が全力の一撃を振るう。完全に入ったと思ったのだが。

「これが当たらんのか!」

二の太刀も躱されてしまった。ぐぬう。

「どっせーい!」

猪々子によって再び抉られる大地。そして巻き起こる土煙。その中から斗詩が接近して連撃を加える。
次々と死角に回り込み攻撃を加える俺たちの動きはまさに三位一体。そのコンビネーションは恋を少しずつ、少しずつ追い詰めていく。無論、一度でもしくじれば即死につながるという危険極まりない綱渡りなのではあるが。

「うし!」

思わず歓声を漏らしてしまう。
紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。糸のように細いそれは確かに一撃が届いたという証。斗詩の双剣が届いたのだ。

「いける!」

恋に向けて幾度三尖刀を振るったか分からない。だが、今度は届く。その確信がある。
ここぞとばかりに斗詩が死力を尽くして恋を追い詰める。もう一筋、今度は恋の脇腹に紅い筋が。

「殺った!」

いかに恋の身体能力が化け物じみていても流石に三尖刀の全力の一撃を喰らえばひとたまりもない。はずだ。あの飛将軍に届く。俺の一撃が届く。そう確信してにやり、と口が歪むのすら認識しながら三尖刀を振り下ろす。

「な――!」

その腕から急速に力が抜けていく。いや、腕だけではない。全身を脱力感が襲う。くそ!時間切れか!
三尖刀がもたらしてくれていたブーストの効果が切れ、代わってその副作用が顕現してしまう。

「畜生!」

それでもなんとか、なんとかこの一撃だけはと振り下ろそうとするのだが。
恋は生まれた隙を見逃してはくれない。瞬時に間合いを詰め、蹴りを放ってくる。

「が、は!」

鈍い音が全身に響き、盛大に吹っ飛ばされる。

「二郎さん!」
「アニキ!」
斗詩と猪々子が悲鳴を上げ、すぐさま俺の前に立って恋に向かい合う。
二人とも乱れそうな呼吸を必死で整えようとし、それぞれの武器を構える。だが、一度切れた緊張の糸はもはやつながることは無い。

「……結構、強かった。でも、終わり」

奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。
風が仕掛けた洛陽での物流の混乱による飢餓。長弓部隊による面制圧。秋蘭による乗騎の射殺。
それもこれも全部恋の弱体化、疲労を誘うそのためだけに為されていた。あんだけ何回も奉天画戟を振るい、その足で全力疾走を続けて間違いなく消耗しているはず。だのにそれでも、三人がかりでも届かなかった。
だが。

「まだだ、まだ終わらんよ!」

切り札は最後に切るもの。主役は最後に出張るもの。俺たち三人が挑んだのも仕掛けに過ぎない。恋に更なる消耗を強いるための一手。いや、危険すぎると稟ちゃんさんには呆れられたけどね。
いやだって兵卒万単位で投入とかしたらそりゃ消耗を強いれるかもしらんけど乱戦で恋を捕捉するなんて不可能じゃん。だからこれしかなかった、と個人的には思っている。
そして、腹部の痛みに顔をしかめながらも、叫ぶ。いや、これアバラ何本かやられてるんじゃないかな。

「星!出ませい!」

痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。

「全く、無茶をなさる。出番があるのは喜ばしいのですが、正直肝を冷やしましたぞ」

真打、登場である。

手にした愛槍龍牙を一つしごき、高らかに名乗りを上げる。

「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!
 一手、馳走になる!」

◆◆◆

ようやっとの出番である。趙雲は軽やかに舞台に躍り出る。
不敵で無敵。そう嘯(うそぶ)く常と変らずに、笑みを浮かべ愛槍龍牙をしごきあげる。
だが内心穏やかではいられない。
何となれば主と定める青年、そしてその傍らにある二人は袁家の宿将たる人物。なぜ自分がその場にいないかと内心臍を噛む思いなのだ。
いや、理解はしているのだ。してしまっている。
過日見た飛将軍の武威。それは趙雲をして手の届かない所に感じられるほどに遠いものであった。最強を見せたかったという主の言を受けて尚、その隔絶した差に絶望さえ覚えたほどだ。だが。
お前ならば至ることが出来ると、閨で囁かれた時に趙雲は決意した。そして理解した。
自分の主は本気であの飛将軍、人中の呂布に克つことを求めているのだと。自分ならばできると本気で思っているのだと。
それを理解して後、趙雲は愛してやまなかった酒すら断ったのである。

多忙な紀霊や顔良、文醜とは中々手合せできなかったが、典韋や楽進、陳蘭と暇さえあれば武を競った。
仮想敵はあくまで呂布。
ついには眠っているときにさえ呂布と打ち合うほどに武を追求する。
だが、それでも。それでも呂布には及ばない。あの日あの時見た呂布に及ばないのだ。
だから、だから主はこのように策を重ねたのだと趙雲は理解している。無論、不本意ではある。このように策を重ね、消耗を強いて得た勝利に意味はあるのか、と。

「勝てない戦はしない。だから袁家は最強なのです。
 星、いいですか。そもそも貴方の武人としての誇りというものに私は何の価値も認めていません。
尊重くらいはしますがね。勝てないまでも負けないための策すら忌避しようというそれは百害あって一利なし。傍迷惑この上ないですね」

郭嘉は忌憚なく語ったものだ。自分に伝わると信じてだろう。そして自分がどのような思考回路で策を積み重ねるかを示して。
だが、と言葉を重ねる。そのような武人の誇りと言う奴すら自分は考慮して策を重ねていると。

「まあ、正々堂々と遣りあって袁家の武家三将と星、貴女が揃って討死しても構いません。それでも袁家は勝ちます。そのように策を重ねています。風と私がそうしているのです。ですから、貴女はお好きにしなさい。ええ、ご随意に」

甘えるな。

親友からのその言外の叱咤を趙雲は正しく受け止める。そして思い知るのだ。寄せられる期待の重さを。
紀霊自ら、他の二将まで動員して呂布の消耗を図るなぞ。いや、紀霊は笑っていたが。

「なに、恋の消耗を図るのはいい。だが、俺と斗詩と猪々子でかかるんだ。倒してしまっても構わんのだろう?」

冗談めかして笑ったあの声。
希代の演出家が拵えてくれた舞台なのだ。なにせ、黄巾の乱を率いたという三姉妹の舞台だって紀霊が助言を与えてからその飛躍が始まったと程立は漏らしていた。
だったら。
だったら、期待に応えねばならない。そして今の自分は程立、郭嘉の策を重ねて。
趙雲の目から見ても紀霊たち三人の連携は完璧であった。なのに呂布を討ち取るに至らない。だからこそ無様は晒せない。
最高の舞台をあつらえてくれたのだ。ならばそこにおいて蝶のように舞おう。そして蜂のように刺そう。

「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!」

そして、挑む。最強に。口元には優雅で、雄々しい笑みを。そして華麗な勝利こそが袁家にはきっと相応しい。

◆◆◆

先手を取ったのは趙雲である。猛る呂布が動くのを制するが如く槍を突き出す。舌打ちと共に呂布はそれを紙一重で躱す。

「はいはいはいはいー!」

連撃。けしてそれは神速ではないし洗練もされていない。
だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。いや、それを趙雲が許さないのだ。

闘いは傍目には一方的にすら映るほどに趙雲が圧倒している、ように見える。

それまでの、紀霊との戦いとは打って変わって防戦一方、それも心底嫌そうな表情の呂布が呟く。

「お前、気持ち悪い」

にやり、と趙雲は笑う。
ああ、そうであろう、そうであろうとばかりに。
呂布の武。それは天性のもの。野生の獣が獲物を襲うときに無駄な所作がないように、呂布の動きには全く無駄がない。
ただ、振るう一撃が最適にして最強。生まれ持った強靭な肉体と獣の本能こそが呂布を最強たらしめているのである。
それに対し、呂布を襲う趙雲の一撃はそこまで鋭くもなく、重くもない。だというのに防戦一方。じりじりと下がり、いらいらとした様子の呂布を翻弄するが如くまた槍を振るう。

◆◆◆

「なあ、アニキ。なんで呂布はやられっぱなしなんだ?
取り立てて速くもないし重くもなさそうな攻撃なのにさー」

怪訝そうに猪々子が俺に問いかけてくる。いや、答えてやりたいんだが今は呼吸をするのが精一杯。いやこれ何本肋骨持ってかれたのやら。蹴り一つでご覧の有様だよ!
代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。声と共に柔らかいものが震える感覚が多少なりとも痛みを和らげてくれる。気がする。いえい。

「文ちゃん、駄目だよ。二郎さんは負傷されてるんだから」

「あ、そっかごめんね、アニキ」

ひらひらと手の平を振って気にするなと伝える。

「あれはね、恐らくだけど。後の先。
 星さんは呂布が槍を振るうその予備動作を感じ取って先んじているんだと思う。
 私だって理論は知ってたけど、まさか完成させていたなんて……」

後より出(い)でて先に穿つ。まさにカウンターの極みである。そりゃあさぞかし恋はやりにくかろう。自分が攻撃しようと思ったら敵の攻撃が迫っているのだから。
いや、そっから躱したり打ち返したりする恋の化け物っぷりもすごいんだが。
ただまあ、基本的に本能で動いている恋に対しては鬼札だろう。つか、人の技が恋に対して有効なのだと思うと胸に熱いものがこみ上げるよ。

「なるほどなー。以前アニキが言ってた奴かあ。でもまあ、押してはいるけど星も見た目以上に消耗してそうだなあ」

猪々子の言う通りである。いかに後の先で主導権を握っているとはいえあの恋の相手を一人でこなしているのだ。心身ともに消耗は激しいはずだ。しかも決め手に欠けているときたもんだ。いや、そんな中きっちりと猛攻を仕掛ける星はすごいわ。

「うん、そうだね。このままじゃ、ちょっと厳しいかも……」

悔しそうに斗詩が呟く。だが、現状俺らにできるのは見守ることくらいだ。

さて、どうしたものかと思っていると、けたたましい銅鑼の音が響く。どうやらここではないどこかで戦局が動いたようである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

今回の草案は「VS呂布」でいs

よさげでかっこいいやつたのみまするよう

乙です

この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね


ということで題案ですが
『人技にて天才に挑む』
『星は昇りて、天に届くか』
みたいなかんじでー

>>369
どもです。

>この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
ありがとうございますー!気合い入れて作ったシーンなので嬉しい限りでございます

>いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
原作での星ちゃんは、どこか諦めている風すら感じさせるムーブですからねえ
このまま折れずに進んで欲しいところです

>『人技にて天才に挑む』
>『星は昇りて、天に届くか』
ほむ。詩的でよきですね
ストックさせていただきます!

乙でしたー。私はとても悲しい(ポロロン)
>>364
>>地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。  脳天めがけて振り下ろした↓反動だと横薙ぎ→は難しいかな
○地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。切り上げの一撃。 ↗か↖だと思うので…反動を利用しないなら人外の膂力で可能かもですが(全力全開からの急制動)
>>ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。 震えたの?
○ゆらり、と身を翻して恋が方天画戟を振り上げる。   それとも恋はバックステップしてたから【と距離を詰めて】とか【と歩を進めて】かな?
>>奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 それとも原作で奉天画戟って言ってる場面あったっけ?だとしたらごめんなさい
○方天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 一応モバゲの方の恋姫だと方天画戟なんだけど
>>流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。  【勢い弱まる】って文章としては勢い良いね
○流石に斗詩の連撃も勢いが弱まってくる。 この場合【流石の斗詩】と言うまでもなく【恋】は格上なので(呂布の前では)と前に付けるつもりでこれでどうでしょう
>>紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。 【目から滴が一滴】みたいな微妙な違和感が
○紅い線が一筋恋の身体に刻まれている。 もしくは【赤い筋が一本】とかどうでしょう
>>365
>>奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 確かこれについては随分前にも言ったはずなんだけど
○方天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 ましてや前回>>359も…
>>あんだけ何回も奉天画戟を振るい、 方天画戟がゲシュタルト崩壊しそう
○あんだけ何回も方天画戟を振るい、 この悲しみは月詠の幸せな未来でないときっと晴れないなあ(ゲス顔)
>>痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。  喋り言葉としてはこれでもいいっちゃいいんですが
○痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯の声を張り上げる。 の方が良いと思います
>>366
>>だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。 間違いではないですが文脈がちょっとゴチャットしてるような違和感が
○だが呂布はそれを躱すのに精一杯で反撃もできない。 もしくは【だがそれを躱すのに精一杯で呂布は反撃もできない。】の方が良いと思います
>>ただ、振るう一撃が最適にして最強。 前の文章が例えば【呂布の戦いには武の理が無い】みたいな否定のものならこれでいいんですが(ただ(し)、振るう~】みたいな
○ただ振るう一撃が最適にして最強。  そうではないので一息で言った方が良いと思います
>>367
>>代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 《出来る?》と言う問いに《出来る!》と言うのは答えですが
○代わって答えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 もしくは内心と言うか痛みに苦しんでる状況を考えれば
○俺が背を預けている斗詩が目くばせに応えてくれた。  阿吽の呼吸的な感じでこれもありか?

二郎は随分とフラグを建ててますなwお前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
多重次元屈折現象やらフラガラックやら運命好きね
人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね

乙です。一ノ瀬さんと二郎さんと文ちゃん顔ちゃんに。

感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。
皆さんお疲れ様です、かな?
でも、呂布対趙雲はまだ続いているからこの対決も期待かな。
つか、呂布さん。これ終わったら、おじさんがお腹一杯中華料理御馳走してあげるから、死ぬんじゃないよ。いいね。

二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
無茶しやがって。がまるっと当てはまる場面ですな。

>>371
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いつもより多いな(当社比)。頑張るぞいっと。

>私はとても悲しい(ポロロン)
出たなトリスタン!うっせえお前を犯人です(暗黒翡翠)。

>二郎は随分とフラグを建ててますなw
お守りみたいなもんですねw ないとガチダイスロールが発生しますのでw

>お前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
パインサラダがないからセーフ。

>人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
三国志を題材にしたらその瞬間呂布と向かい合わないといけないですものねw
まあ、当初プロットでは稟ちゃんさんも星ちゃんも陣営にいないはずだったのです。
どうやって勝つんだろう(ノープラン)
あ、普通にデッドエンドですねw

>>372
俯瞰者さん、どもです。

>感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。
やったぜ。何よりの感想です。嬉しいす。

>強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。皆さんお疲れ様です、かな?
今回に限っては、二郎ちゃんが一番身体張ったかもしれませんね。体当たりで恋ちゃんに挑んでくれましたw

>二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
あれ、痛いんですよね……っ。骨接ぐときは呻いてしまいましたわw

>武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
声援ありがとうございますー!

無茶もせなあかんタイミングと言う奴ですね。三尖刀については、ほぼ全て固定イベントです。
それで勝てるかはともかくないと普通に死ぬのですw

頑張るぞいっと。

つか、お忙しいだろうさなかに、ありがとうございますー!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いでございます

みんながんばろう

「なかなか、やるわね……」

くすり、と口に笑みを浮かべて曹操は薄く笑う。
戦場が供する喧騒を楽曲が如く、その音色を掌(たなごころ)の上で弄ぶ曹操。その讃辞は無論目前の敵兵に向けてのものではない。曹家一万、孫家五千。対するは五万という圧倒的な兵力を前に曹操は既に勝ちを確信している。
例えばこれを賈駆や董卓が率いていたならば話は別であるが、曹操自ら指揮をする曹家軍にとって数なぞ全く意味をなさない。少数を以って大軍を翻弄、撃破するその用兵の冴え。
それはこの瞬間は余技に過ぎない。

「楽しませてくれるものね……」

その視線の先にあるのは孫家軍である。
曹家軍一万と孫家軍五千。対する敵軍は五万。いささか兵数の差が大きすぎる。故に義勇軍を後詰、そして寡兵である孫家軍への編入を提案したのだが。

「お断りしますぅ」

陸遜に拒否されてしまった。曰く。義勇軍、我知らず。故に不要、と。

まあ、実にもっともな話ではあるのだが。
あるのだが。

「兵は孫家に押し付けて関羽だけ引っ張って来ようと思ったのだけれどもね」

そして関羽は客将として腕を振るうのだ。そして曹家軍の精兵を率いる喜びを知る。そしてこの自分の用兵の冴え。その命に従い、その指揮に心服するのだ。そのはずだったのだ。
それを。

「よくも台無しにしてくれたわね……」

だからこれは意趣返し。
曹操が相対するのは孫家軍。勿論直接矛を交える愚は犯さない。だから。
数十、数百の単位で孫家軍に敵軍を誘導しているだけである。陣の綻びそうな所に、陣形を維持する急所に、或いは伝令の通り道に兵を置く。
無論それは弱兵によるものではあるが、曹操が振るうそれは苛烈にして執拗。兵の逐次投入と波状攻撃の何が違うかと言うと、要は費やす兵数である。そしてそれは半ば無尽蔵に目の前にあるのだ。

「まだまだいくわよ?どこまで凌げるか、楽しみね」

不敵に笑い、曹操は戦場を支配する。そう、曹操によって戦場は支配されつつあった。

◆◆◆

「んー。中々にしつこいですねえ」

陸遜は小首を傾げて呟く。
いや、実際に執拗に妨害は続いている。正面の敵兵のみでなく、側面からの圧力にも対応せねばならない。それを孫家軍の首脳は理解しつつある。
……僚軍の不穏な動きに陸遜は即座に対応していた。いや、予測すらしていた。なんとなれば、あの紀霊が徹頭徹尾警戒する英傑。その為人(ひととなり)は彼の洞察――陸遜は紀霊の人物評について高く評価している――を閨においても根掘り葉掘り聞きだしている。
そして曹操から事前にあった提案。義勇軍の参戦について突っぱねた。一見穏やかそうな曹操の顔(かんばせ)に刹那浮かんだ凶相を見逃す陸遜ではない。なるほど。確かに理性的でありながらも激情家のようだと納得したものだ。
そしてその有能さについては語るに及ばず。前面の、ひたすら押し寄せる敵よりもむしろ側面より誘導されてくる敵兵の方が何倍も厄介である。

「でもでもー、無意味ですぅ」

陸遜は嬉々としながら矢継ぎ早に幾度目かの指示を飛ばす。臨機応変こそ孫家の本領。不安定な水上。風向き一つで変わる戦況。それに比べればなんとまあ読み易いことかと。

「穏、大丈夫?」

主の言葉に深く頷く。

「ええ、突如吹き荒れる東南の風と比べればどうということはありません。都合のいいことに、あれはこちらの弱点を的確に衝いてきます。

――故に備えは万全。
 ご安心くださいな」

その言葉に頷きつつも孫権は眼前の戦況、そしてそれを可視化した盤から目を離さない。自分の用兵の才は甘寧に、軍略の才は陸遜に遠く及ばずとも。せめて現状の把握くらいはせねばならぬとばかりに目を凝らす。
その様に満足げに視線を一つ。そして陸遜は再び曹操と向き合う。そしてくすり、と笑う。兵の数は少なくとも孫家軍は精鋭。江南の地を、流血でもって治めてきたのだぞとばかりにお返しに弓の斉射をくれてやる。なに、一度ならば誤射で済まされる。済まさせる。
そしてこちらには切り札がある。こちらが挑発に乗らなければそう看破するかと思ったのだが。
いや、それをすら見越しているのだろうか。

「あらあら~。まだやりますか。んー。孫家を甘く見たことを後悔させてあげちゃいましょうかしらねえ~。
あまりこちらにばかり構っていたら、お手柄は孫家総取りしちゃいますけども」

くすくす、と陸遜は朗らかに笑う。その笑みに艶の色が混じっていく。嗚呼、この戦場を今や陸遜は認識している。把握している。なんという悦楽か。
欲情し、恍惚とした貌の彼女はいよいよその思考を研ぎ澄ましていくのだった。

◆◆◆


「みんな、がんばってー!」

応!とばかりに野太い声が応える。
激励する声の主は孫尚香。寡兵を以って大軍に挑む孫家軍の消耗は必然。その、歴戦の精鋭をもってしてもこれほど絶望的に兵数が開いた戦いを経験したことはない。
だからこそ孫尚香は最前線にその身を置いている。兵を率いることは甘寧に任せている。だから、単騎での鼓舞と遊撃がその使命。
孫家の愛くるしい三の姫の鼓舞に孫家軍の兵士はその身に力が沸き立つのを実感する。

「孫家万載!孫尚香様万歳!」

轟く雄叫び。孫家軍はその精強さを驚くほどに継続し、敵の波状攻撃を弾き返す。

「全く、孫家の血筋というのは……」

甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。

一方孫尚香は治まらない。いや、このままではいけないという焦燥感すらある。だから更に前線に向かう。孫家の守護獣たる白虎に命じて前線に向かう。けして敵中に向かうなと姉から言われたことなぞ無かったかの如く。

「シャオの邪魔をすると、ひどいんだから!」

追走する周泰は嘆息する。或いは感嘆する。
そしてある時から孫尚香の動きの質が変わった。縦横無尽に駆け廻り、自陣を鼓舞する。そして敵陣を崩すのは変わらないのだが。

戦場を駆け、血に染まるほどに孫尚香は内より出でる本能に身を任せ、ついには敵陣に単騎で突撃する。
慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。

「ええい!流石に孫家の息女は、やってくれる!」

甘寧は一声吠えて苛立ちを解放する。そして淡々と戦線を復旧させる。なに、孫家の血筋によって前線がかき回されるのは慣れっこだ。そして腹立たしいことに彼女らの一手はこの上なく有効なのだ。

「あんなもの、真似できるはずもない……」

そんな甘寧の嘆息なぞどこ吹く風か。孫尚香は敵中枢に単騎で切り込む。そして返り討ちにしてくれんとばかりに取り囲む敵兵は端的に言って不幸だったろう。

「GAAAAAAAAAAAAAA!」

孫家の守護獣たる白虎が咆哮する。それは圧倒的な存在感。生物としての階梯の差。捕食者と被捕食者の差。圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に周囲の兵は白目を剥き、失禁し失神する。その咆哮はいともたやすくその戦意を刈り取り、恐慌を与える。

「やっちゃえー!」

再度、咆哮。

砕ける戦意、士気は地に墜ちる。
そこに押し寄せるのは孫家の精兵。
かくして虎牢関守備兵の主力は大崩れすることになったのである。

◆◆◆

「兵が、引いていく……」

銅鑼の音と共に董家軍が退却を始めるのを見て北郷一刀は誰にともなく、呟く。

「張、呂の旗は無事、か……。霞も恋も、生き残ってくれたか……」

その声に劉備がにこやかに笑う。

「うん、みんな無事でよかった!よかったね!ご主人様!」

「ですがこれより追撃戦があります……。翠さんも白蓮さんも機動力では大陸屈指でしょう。虎牢関に入るまでの追撃が心配です……」

「あわわ……大丈夫だよ朱里ちゃん。
白蓮さんは恋さんを深追いしないと思う……。
 殿に決死の恋さんがいたらそれだけで公孫の軍が瓦解するくらいの被害があると思うの……。
それより心配なのは霞さん……。きっと翠さんは、馬家軍は霞さんを討ち取るまで追撃をやめないと思う。
でも、神速と異名を取る霞さんなら、きっと逃げ切れる、と思う……」

頼れる軍師二人の言に頷きながらも胸を襲う焦燥に北郷一刀は今にも駆け出したくなる。そんな様子を見かねたか関羽が声をかける。

「よろしかったのですか?今の虎牢関ならばもぬけの空。我らのみでも隠密裏に落とすことは可能だったはず」

そしてその手柄と引き換えに董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。

「ああ、朱里も雛里も虎牢関を落とすまでは容易いと読んでいたけどな。その後がどうにも難しいんだろ?」

「は、はい!虎牢関に迫った時に翻る劉の牙門旗。それはとても目立ちますし、分かり易いお手柄ではあります。
でも、そうなれば帰るところのない董家軍は殲滅されてしまいます。それに、虎牢関に籠った状況で紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。
 いえ、白蓮さんならば仲立ちをしてくれるとは思うのですが、虎牢関を盾にしての交渉というのはいかにも悪手です」

「朱里ちゃんの言う通りです。そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。交渉は難航するでしょう。
 そして最悪、反董卓連合が私たちの籠る虎牢関を力づくで落としにかかる可能性だってあります。そうなれば結果は言うまでもありません」

苦渋の表情で暗鬱たる未来を語る軍師二人に関羽は黙らざるをえない。
だが、それでは誰も救えないのではないかと目で訴えかける。その視線を真正面から受け止めて北郷一刀は力強く頷く。

「大丈夫だ。なんとかなるさ。虎牢関に籠っても交渉材料には弱い。だったら、もっと凄い交渉材料を、武勲を手にしたらいい」

「ですが、一体、どうやって……」

関羽の疑問に北郷一刀は重々しく口を開く。

「なんとかなると、思う」

そして語る。伏せていた天の国について。自分がいかなる存在かということを。

「俺が桃香と一緒にいるっていうのは、きっと意味があると思うんだ。
 だから、皆の力をこれからも貸してほしい」

皆が笑って暮らせる世の為に、と劉家軍首脳はその団結を新たにするのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「趨勢」

はい、よさげなのを求めております

「董卓軍、袁本初への強襲を断念して兵を退き、天の御遣い、天の国を語り救済を改めて誓う。」

講談ならこれなんだろうなあ(他力本願寺)

乙でしたー…一応できれば奉天牙戟について回答願いたい…悲しいなあ
>>374
>>まあ、実にもっともな話ではあるのだが。 好みの話ですが大切な事だから2回言ったなら同じ行にした方が良いかと
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだ。  もしくは一回目は否定を入れないか
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだが。あるのだが。 まあ間違いと言うほどではないですが
>>376
>>甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 【そう思う】だと前の文にかかるので
○甘寧は最前線で剣を振るいながらそう呟く。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 もしくは【嘆息する】とかするか
○甘寧は最前線で剣を振るいながら思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。  後の文にかけるならこうですね

ちょっと風呂入ってきます…そのまま飯かな?

さて続きをば…ああそうだ前スレの685でも奉先については触れてたんですよ(にっこり
>>376
>>一方孫尚香は治まらない。 【気がおさまらない】という意味なら
〇一方孫尚香は収まらない。 【収拾がつかない】となるのでこれですね
>>慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。  そりゃそうだよな(納得)だけどそれって孫家軍が「やべえよやべえよ」ってなってるから状況としては尚香ミスってるよね
〇慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。彼女の進む先にこそ勝機があるとばかりに。   寡兵という状況でも引っ張られて勝利を確信できる、みたいな統率力としてはこうかな?
>>「GAAAAAAAAAAAAAA!」  ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
〇「牙呀荒昂鳴啼吼!」   使ってる漢字は適当ですが実際に使う場合は3,4つ【が】と【あ】を2つくらいがおすすめかな?【呀荒嗚呼嗚呼】とか【呀嗚嗚呼呼】とかって感じで
>>圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に ちょっと違和感が
〇圧倒的に立場の違うその存在からの咆哮に もしくは【立場の違う圧倒的なその存在からの咆哮に】の方が良いと思います
>>377
>>董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。 【採決】と考えるか【執行】と考えるか…
〇董卓一派の助命を、という案を採らなかったのは北郷一刀だ。 【採用】か…一番楽なのは【取らなかった】だけど

>>「うん、みんな無事でよかった!( ^ω^)・・・ウン!ソウダナ!
>>紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。 馬家のお嬢さんがものすごいいい笑顔で自分を指さすよ!よ!(もしもそれをやればほぼ確実に張遼を殺れてそれは本郷たちのおかげだと思うだろうしね!)
>>そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。 ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
ネームドはいないわ、董卓軍の大義名分は微妙だわ…董卓の人柄にひかれて部下になった人たちからすれば洛陽の現状は…ねえ。前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ

>>379
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>方天画戟
ですね。これは完全に辞書が悪い(他責)
読み返してもなんかスルーしてましたね。いやあ、申し訳ない。

>ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
ほむん。
文字化しない方がええかもしれませんね。これは迷ったんだよなあ。

>ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
彼らなら言うという確信がございます。苦労もしてませんしね。

>いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
お花畑でキャッキャウフフすればきっとおめめぐるぐるしてみんなしあわせ!

>前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
まさに、です。

「おお、効く効く……」

脇腹に当てられた掌からじんわりと熱が伝わってくる。少しずつだが確実に痛みが引いていき、呼吸のたびに激痛が走っていたのがどんどん楽になっていく。極楽極楽生き返るぅ。

「そうか、それはよかった。しかし、無茶をする。下手をしていたら死んでいてもおかしくなかったぞ?」

そう言って文字通り手当てをしてくれているのは華佗である。
普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。曰く、【気】のちょっとした応用、だそうである。【気】、半端ないって。そんなんできひんやん普通。
知ってたつもりだったが、実際自分の身で体験すると違うね。すごE。
これは習得に頑張ってもらわんといかんなと冗談混じりに言ったら、凪はえらく深刻な表情で頷いていた。いや、そんなに真に受けられても逆に申し訳ないんだが……。

閑話休題(それはともかく)。
……鳴り響いた銅鑼はどうやら退却の合図だったようで、恋も一瞬の隙を突いて戦場から離脱していた。流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。見事な逃げ足である。是非とも見習いたいものだ。
どうやら真正面でがっぷり四つに組んでいた曹家と孫家の軍が相手を潰走させたらしい。あれ、相当に数的不利だったはずなのだが。戦線を維持してくれたらいいか、くらいの割り振りだったのにね。詳細聞けば聞くほど華琳と穏がしゅごい。
もっと言うとシャオが頑張ったのがもっとしゅごいそうなんだが、意味が分からない。流石孫家の血筋ということだろうか。末恐ろしいことこの上ないやね。こわE。

馬家と公孫家は散々に追撃したらしい。流石に白蓮は引き際を心得ていたみたいだが、翠はもう、執念深く深追いしてしたたかに逆撃を喰らったそうな。まあ、想定内ではある。稟ちゃんさんの想定だけどな!

それはさておき、ちょっと心配なのは真桜である。えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。それ以来不眠不休で工兵を指揮し自らも攻城兵器の再組立てと調整に奔走しているらしい。いかんよ、きちんと休まんと。と苦言を口にしようとしたんだが。

「……いえ、好きなようにやらせてあげてください。私も真桜の気持ちは分かります」

ここで稟ちゃんさんのインターセプトである。
ほむ?そんなもんかね。
と、首を傾げていたら一通り治療が終わったらしい。

「二、三日もすれば違和感もなくなると思う。思うが、余り無茶はするなよ」

そう言って立ち去る姿はマジイケメンである。野郎、凪に気の応用を教えるのはいいが粉かけたら許さんからな。
そういや、あいつ女の噂聞かないな。どうなってんだろう。

などと小物丸出しの益体もないことを考えていたら音もなく近寄った七乃が耳打ちしてくる。

「そうか、真桜にゃ悪いが攻城兵器の出番はなくなりそうだな」

降伏の使者として張遼自らが訪れたとのことである。
まあ、籠られてもこっちゃ力押しで完勝しちゃうからなあ。妥当な判断だろうて。

◆◆◆

「なんや、恋の本気の一撃喰ろうたて聞いたから死んだかと思たらえらい元気そうやないか」

「ご挨拶だな。まあ、こう見えて不死身なもんでね。あれしきの怪我、どうということはないのさ」

「ふうん。別に強がりってわけやなさそやな。ま、ええわ。
 うちは七面倒くさい口上とかは苦手やさかい、単刀直入に用件を言うで」

まあ、用件自体は予想通りである。無条件降伏と言う奴だ。

「勝ち目があらへんからなあ。これ以上ついてきてくれた兵達を犠牲にするわけにもいかんわ。一か八かの博打にも負けてもうたしなあ」 

せやから、と苦い笑みを浮かべながら言葉を繋ぐ。

「これ以上の抵抗は無意味やろ。月と賈駆っちにもまあ、義理は果たしたわ」

いっそさばさばと、張遼は呟く。そこには深い苦悩の跡が見て取れ、揶揄なぞできようはずもない。

「やからまあ、あんじょう頼むわ」

「おうよ。悪いようにはせん。知らん仲じゃないしな」

「ん、おおきに……」

用は済んだとばかりに去ろうとする俺に、らしくなく弱々しい声が届く。

「なあ、月と賈駆っち。なんとかならんか?」

きっとそれをずっと聞きたかったんだろう。そのために彼女らは必死になっていたんだろうし。だが、その問いに対する答えは決まっている。既に決まっているのだ。

「ならんな」

「……そ、か」

最早、是非もなし。
ただし、このろくでもない事態を引き起こした奴についてはきっちり落とし前をつけてやる。

らしくなく、悄然とした張遼を室に置いたまま室を辞する。そして俺はぎり、と歯を食いしばる。
虎牢関を落としたことに昂揚なんぞ欠片も感じない。最高にくそったれな気分である。

後は、洛陽をどうするかだけだな。

こっからはマジで慎重にいかんと、なあ。

◆◆◆

さて、虎牢関を落としたら次は洛陽なのだが、一旦ここで足踏みである。なんせ董家軍の主力が降伏したんだから、これ以上干戈を交える必要はない。まさかに洛陽に攻め寄せるわけにもいかんからに。
虎牢関を落として一番助かったのは、洛陽とのやり取りにかかる時間が大幅に短縮されたことだ。メイン軍師たる風とのやり取りがスムーズになったのは本当に大きい。これには稟ちゃんさんもにっこりである。
ちなみに使者には毎回張?を派遣している。人材の無駄遣いと言うなかれ。ここのやり取りは本当に重要だから、万が一にも使者が途中でぶっ殺されたり買収されたりするわけにはいかんのである。
これが他の場合であれば何人も色んなルートで書状を送ったりするんだが、張?ならば問題はない。だって多分素で俺より強いしね。それに無論諜報畑だから色んな、俺の知らない機微にも通じているだろうし。うむ、餅は餅屋、である。

「随分と張?君を買ってらっしゃるんですねえ」

「うお!」

気配もなくいきなり耳元でふう、と息を吹きかけつつ囁いてきたのは七乃だ。前張家の当主であり、今も穏然と影響力を持っている。
と思う。
その隠密スキルは大したもんで、ここまで密着されるまでほんと察知できなかった。ガチで。
いや、俺の気配察知スキルが低いという説もあるけどね。

「脅かすなよ。寿命が縮んだかと思ったっての」

「おやおや。おやおやおや?
寿命が縮んだのはこっちですよ?まさかほんとにあの、人中の呂布と遣り合うとは思ってませんでしたからね。
いいですか?二郎さんは、二郎さんが思っている以上に重要人物なんですよ?死なれたら色々と困るんです」

にこにこしながらしなだれかかってその身体の柔らかさを伝えつつ耳をがじり、と齧るという高等テクニックを駆使しながらそんなことを言う。いやほんと、ごめんて。

「いやいや、俺もこんなところで死ぬつもりは全くなかったし。あれはあれで蓋然性があったし」

「ふうん?本気でそういうこと言ってるあたり救われませんねえ。美羽さまなんて、ほん  
 と、どれだけ枕を涙で濡らされたか。それだけでも万死に値しますよ?」

マジか。これは後でご機嫌伺いに行かんといかんなあ。嫌味混じりでもそういうことをきちんと伝えてくれる七乃にはマジ感謝である。流石袁家の諜報を一手に握っていただけのことはある。そういう機微は超一流だね。
いや、そういうのをきっちりしとかんと意外と組織の円滑な運用って難しいのよね。中元歳暮、年末年始の挨拶マジ重要ってなもんである。
とは言え、聞いてくれよ。

「だってさあ、恋を軍で迎え撃ったら見失って本陣への侵入を許したかもしれないじゃん。
 それに、あの子万単位で兵の相手できちゃうからな。常備軍たる袁家の兵卒をそんなとこで使い捨てにはできんて」

徴兵したら揃うってわけじゃあない。時間も金もかけてるのだよ、袁家の兵には。何せ常備軍なんだから。

「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。
 ま、そこは二郎さんと私の認識の差でしょうね」

「まあ、最悪俺が討死してても袁家勝利は揺るがなかったろうしな。稟ちゃんさんも保証してくれたぞ?」

「ほう。あの女狐がそんなこと言って二郎さんをけしかけたのですか。これはいいこと聞いちゃいましたねー」

「え?俺余計なこと言った?」

「いいええ。そんなことはないですよ?ただ、ですねえ。二郎さんの価値について見解の相違があるというだけです。そうです。この戦いだけであればいいでしょうが、二郎さんがいなくなっちゃったら、結構めんどくさいことになるんですよ?」

ああ、そっか。紀家の跡継ぎとかいないしな。そういや文も顔もか。いや、軽挙妄動しちゃったかもわからんね。

「……分かってなさそうですねえ、その顔だと。ま、いいです。所詮些事ですから、貴重なお時間ですものね。失礼しちゃいました!」

いやいやいや。

「いや、ちょうどいい。呼ぼうと思ってたんだ」

「おや?珍しいですねえ。ああ、戦(いくさ)の後は激しいですもんね。
じゃあ、ちょっと失礼して……」

おもむろに服を脱ぎだそうとするのを慌てて止める。

「違う、違うから!いや、別にそれが嬉しくないってわけじゃあないけど、そうじゃなくて!そうじゃなくってだな!本当に相談したかったんだってばよ!」

こっから先について、な。

一応稟ちゃんさんには確認したし、これから風からの添削も来るとは思うが。やはり謀略と言えば七乃である。にこにことしたままの七乃に、俺が思う所を語ったわけである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は
陥落

です

ええ感じのやつ、オナシャスる

乙でしたー
>>382
>>普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。 それが分かるとか医学の心得でもあるのか…抗生物質作らなきゃ!
○普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう少しすれば痛みも完全に消えそうである。  もしくは【もう一刻もすれば痛みも完全に消えるそうである。】素人診断するなら時間はふわっと、時間を指定するなら華佗の診察によるものにした方が自然だと思います
>>流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 【流石】が2階続くと違和感が
○恋に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。  もしくは【流石に全力で逃げられると、あの星でも】とかどうでしょう
>>えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。      間違いじゃないよ?あくまでも好みの問題で
○えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「この、どあほう!」ときたもんだ。 むしろ【こん……ドあほう!】とかの方が雰囲気出るかな?

>>「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。 あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ

そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…

>>386
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…
えへへ

>実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…
これはその通りですね

>基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw

>一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
ほむ。どちらも覚悟完了してますからねえ。

>両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
おとぎ話の主人公なら、それでも両方救うのでしょうけどね。凡人だからね。ある意味諦めてますからね。

>そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?

>そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
こわや、こわや……っ!

てすと
張?

てすと
張郃

「おや、虎牢関が落ちましたか。予想より早かったですねえ。
 しかし、二郎さん自ら矛を交えるというのはいただけません~。これ、誰もお止めしなかったのですか?」

小首を傾げる少女の表情は眠たげであり注意力散漫といった風ではあるが、それは擬態であろうと張郃は推測している。
なんとなれば目前の少女――程立――は単身洛陽に残り、後方より董家軍に有形無形の被害を与え続けていたのだから。まあ、その功績はごくごく限られた人物しか知ることはないであろうが。

「ふむ。紀家当主の強い意向とのことだったな。それに文、顔の当主までが賛同したならば否やはないだろう」

反対意見も根強くあったが、押し切られたというのが実際のところだと張郃は答える。

「それでは致し方ありませんね~。まあ、それは置いておきましょう」

そのような綱渡りをさせたのは自分にも責任があると程立は追及の手を緩める。内心忸怩たる思いはあるのだが、毛ほどにも顔には出さない。

「それでは参りましょう。護衛の方はお願いしますね?」

「ふむ。それは一向に構わんが……」

この期に及んで誰と会うのだという視線での問いにくふふ、と程立は笑う。

「今日は忙しいですよ~。まずは賈駆さんのところですねえ。それからはまあ。その後に決めましょうか~」

ふむ、と張郃は頷く。

「もとより異存はない。虎穴に入ったとしても、君一人くらいならばなんとでもしてみせよう」

「これは心強いですねえ。そのような事態は起こらないとは思いますが、その時はお願いします~」

にこやかに笑う程立。その胆力を目にして、張郃も感嘆の念を惜しまない。
そこいらの自称武人よりもよほど腹が据わっている。

「いえいえ、風は出が庶人ですから~。この程度は鉄火場とは言えません~」

頼りになる護衛もいますしね、と柔らかな笑みを浮かべて言う。

「そう言えば二郎さんと初めてお会いしたのも野盗に襲われて万事休す、という時だったのですよ。ええ。あの頃は毎日が生きるか死ぬかでしたねえ」

程立は刹那どこか遠くを見るような目つきをする。

「ふむ。鉄火場にて狼狽されるよりは余程いいな。では、参ろうか」

彼らが向かう先は紛れもなく戦場。血の一滴流れることもない戦場。だが、その結果いかんでは屍山血河が生じるであろう。

「はいはい、よろしくなのですよ~」

そのような気負いなぞ一切なく程立は含み笑いを一つ漏らすのみであった。

◆◆◆

「……そう、虎牢関が落ちたの」

賈駆は嘆息する。伝令より早くもたらされたその悲報。それが意味するところを解さないほど鈍ってはいない。

「どれだけ袁家の諜報力は凄いのよ。まあ、今更だけどね。虎牢関失陥については今初めて聞いたわよボクは」

その一言でも千金の価値がある。どうやら賈駆はここに至って情報を出し惜しみするつもりはないようである。

「ではでは、単刀直入にいきましょかね~。
 董卓さんはご無事ですか~?」

その言葉に賈駆は僅かに身を震わせながら首を横に振る。

ふむ、とばかりに程立は数瞬瞑目する。
双眸には深く隈が刻まれ、疲労の色がいかに濃くあろうとも賈駆の能力については高く評価しているのだ。
その彼女が、執金吾――洛陽の治安を司る役職である――の権限をもってしてもその足跡が掴めぬというのはどういうことかと。
そして、至る。

「――さて、かしこき方についても?」

その言葉に賈駆はバリ、と頭を掻きむしる。緑の黒髪が乱れるのを惜しいな、とあの青年ならば思うのであろうか。益体もないことを程立は思う。

「――初手でやられたわ。禁軍は皇甫嵩の手の内。禁裏にボクの手は及ばない」

「結構。ではこれにて失礼するのですよ~」

用は済んだとばかりに程立は室を辞そうとする。

「待って!」

「……何か?」

その、程立の問いに賈駆は口ごもる。

「え、その。ね。あの……」

いっそ優しい貌で程立は応える。

「後はお任せくださいな。ええ、後始末はきっちりと。それはもうきっちりと致しますから。
 ――二郎さんと、お会いする機会も作りましょうからに」

賈駆は瞠目し、しばし言葉を失う。そして辛うじて言葉を捻りだす。

「月を、よろしく。そして。
――二郎にも、よろしく伝えてちょうだい」

にこり、と無言で程立は踵を返す。ここからは時は千金に値するのだ。寸暇も無駄にできない。

「やれやれ、厄介なことなのですよ」

だがまあ、と思う。洛陽に踏みとどまっていたのは無駄ではなかったと。
矢継ぎ早に指示を出すそんな程立に張郃は無言で付き従う。寄り添う影のごとく。

◆◆◆

「なんと、虎牢関がもう陥落したというのか」

嘆息交じりに劉協は瞑目する。西の函谷関と並び称され、天下に鳴り響いた要害がこうもあっさりと落とされるものかと。

「まあ、それは気にせぬがよいでしょう。なにせ守護するのが董家軍。かの軍は騎馬を以って敵を討つが本領です。もとより拠点の防御については不得手極まる」

相性が致命的に悪かったと皇甫嵩は首を振る。
彼の後ろに控える王允と李儒は身じろぎひとつせずに皇甫嵩と劉協のやり取りを注視している。
今や賈駆がなりふり構わずただ董卓の行方を追うことに全力を尽くしている現状、洛陽に於いて漢朝を動かしているのはこの二人である。政務を劉協が、治安や軍事――と言っても洛陽に限られるが――を皇甫嵩が担っている。
お世辞にも大過なく運営しているとは言い難いが、それでもいいというのが両者の共通した認識である。あくまで董卓が相国として全権を担っている。暴政ならば董卓の責任、うまく回ったら自分たちの尽力の成果ということだ。

「しかし、袁家の怒りは予想以上のようでした」

いささか芝居がかった仕草で皇甫嵩は肩をすくめる。

「む。まあ、無理もないか。当主自らが身の危険を感じての逃避行。聞けばあの豪奢な髪をも自ら切り捨てたとか。いや、もったいないことだ」

劉協はかつて見かけた袁紹の、光輝を背負うが如くに輝いていたその容貌を思い出して惜しむ。

「それだけではありません。董卓の手の者が袁紹殿の逗留地を襲った際に、かの匈奴大戦よりの古参の宿将雷薄、更には袁家の幹部候補生が多数討死しております。
あれは、いかにもまずかった」

せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。皇甫嵩は刹那その秀麗な顔を歪めるが、気を取り直して言葉を続ける。

「そう、袁家は本気です。勅すら無視するほどに」

「うむ、そのことよ。何進より事前に密勅があったというが真だろうか」

劉協は懸念を口にする。切り札の一つであった勅命。それをすら袁家はものともしない。勅を以って勅を制するなぞ埒外にもほどがある。

「……なんとも言えないですね。ただ、先ほど程立という人物と話しました。かの怨将軍紀霊の腹心です。何とも読めない人物でしたが……」

茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。無論それは意図的なものだ。
こと鉄火場修羅場をくぐるという意味において、程立の経験は皇甫嵩を遥かに凌ぐ。火花が散るようなその戦場での一挙手一投足に至るまで細心の計算に基づくものである。例え傍目にはいささか呑気な小娘に見えようとも。
その程立をして最大の警戒を抱かせる皇甫嵩こそ傑物であったろう。失意のどん底にある賈駆から情報を吸い出して尚、傍らに張郃を控えさせていたのは故あってのことなのだ。
けして程立は相手を甘く見ない。俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。

「ある程度の流血はやむを得ないでしょうね」

その言に胡乱げに劉協は問う。

「いささか抽象的だな。袁家は何を求めている?まさか帝位なぞということはなかろうな」

「袁家は北方の防壁にして漢朝の藩屏。そこは揺るぎませんよ。ただ、袁術殿が輿入れする以上、帝位は……」

「劉弁のものとなる、か」

苦さを隠そうともせずに劉弁は口惜しそうに嘆く。あの惰弱、無能、無気力の凡人に帝位を、至尊の座を再び与えねばならないのか、と。

「ですが、劉協様におかれましては陳留王の地位を用意する準備があるとのことでした」

隠居隠遁の必要もなしということである。むしろ、これからも漢朝に影響力を保てるということ。

「ふむ、中々に殊勝ではないか。いや、漢朝の行く末を見れば当然の判断か……」

つい先ほどまでは偽帝として討たれる可能性すらあった劉協は安堵する。なかなか袁家も分かっているではないか、と。

「ええ。ですがここは一度お姿を隠すべきかと思います。邪知暴虐の董卓とは無関係であるということを示すためにも。あれと一連托生する気はないのでしょう?」

可笑しげに、唄うような皇甫嵩の言に内心苦々しいものを感じながらも劉協は頷く。

「そう、だな。一時の雌伏。致し方あるまいて」

返り咲く際には、と劉協は思いを巡らす。

なに、宮中は如何様にもなる。宦官勢力は曹操が押さえるのであろうが、それはきっと袁家の掣肘により大幅に打撃を受けるだろう。
ならば、地力に勝るであろう自分が主導権を握ることができるはずだ。

同床異夢。ほぼ同じ思惑を抱いているのを知ってか知らずか。皇甫嵩と劉協は比較的穏やかにその場を後にするのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「波紋」です

ええ感じのやついただけたら嬉しいんやなって

乙でしたー
>>392
>>せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。                    前の言葉からすると
○せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないならば次に繋げるための布石にするべきだ。それすらできないからこうなる。 雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
>>俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。    間違いではないですが好みとしては
○俯瞰し太極から見据えることこそが彼女の本領だからして。 とかどうでしょう

>>貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
つ【袁家二の姫と女郎蜘蛛】 彼女はきっちりと二郎が自分にとって特別だと気付いていますですよ
>>関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても中身は凡人認定するかっていうと…しないんじゃないかなあ?
>>茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。
真意を掴むのは容易ではなかった(掴めたものは真意とは言っていない)ですかね…見ているものが違い過ぎる凡人の考えを知らない以上彼女の目指すものを読み取るのは無理な気がする
李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…ここまで知って良いというか知るべき立場なのか…能力があるのは分かるけどそれはそれとしてクーデターまがいのことに積極的に与する程権力好きって印象もないし首脳陣には組み込まれてないと思ってたけど違ったのか

otuです
一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために

>>394
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
これはマジでそうです。

>水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても
たとえがすごいw
熱帯で妖怪見たり、医学部入ったりとかむーりー
敦盛踊れないし三河武士の頭領とかやってられないしw

>李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…
元から皇甫嵩の手飼いという設定、確かに解説していなかった気もします。どっかで付け加えておくか。

>>395
どもです。

>一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
え?!よりによって馬家に?
多分翠の政治力のアカンさを幼女が察してインターセプトするんじゃないかなあ……っ!
あえての突撃も面白そうではありますね

まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
皇甫嵩って自分の頭の良さに自信持ってそうだからいざと言うときの護衛役はいてもこういう時の相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で

>>397
どもです。

>まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
どちらかというと、何進はそれでもそれを重用しないといけなかったという。
うーーん、でも実務というよりつながりですかねえ

>相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
そういう感じではないっすね
おっしゃるとおりです
使い捨てのコマですわ

>水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
勘弁してくだしあw

「しかしまあなんだね。陳留王とはまた張り込んだねえ」

むしゃむしゃと茶菓子を頬張りながら魯粛は程立に問う。陳留王は権威がありすぎるのではないかと。なんとなれば国政に口を出すことを認めたも同然であるのだ。

「そですか?妥当なところだと思うのですが~」

くふふ、と陽だまりのような笑みを漏らしながら程立は応える。

「劉協どのを陳留王として封じる。これにより袁家が洛陽に兵を進めても至尊の座に座る彼は命脈を保つことが出来ます。彼が一番懸念していることはまあ、言ってみれば保身に尽きますから~。これに否やはないでしょねえ」

「そこだよ。紀霊さんにしては甘っちょろいんじゃない?」

どこか不満げに魯粛は程立にぼやく。魯粛としては地味な後方支援に徹しながら期待していたのだ。苛烈なまでの、怨将軍たる紀霊が本気になって動いた時の酷烈さを。かつて郭図率いる義勇軍を貶め、殲滅せしめたように。洛陽の奥底に潜む汚泥をきっと焼き払うと思っていたのだが。その一端を担っていたのは魯粛ではあるし、だからこそ洛陽に派遣されていたと思っていたのである。

「とりあえずは慎重にいかないといけないのですよ。洛陽を火の海にするわけにもいきませんしねえ」

やけに主君たるあの青年は洛陽が戦禍に巻き込まれるのを気にしていた。防ごうとしていた。ならばそれに至る可能性を排除するべし。

「ああ、ちらっと聞いたよ。洛陽を焦土として諸侯軍の消耗を図る。更には長安に遷都するって与太話でしょ?正気の沙汰とは思えないね」

やれやれとばかりに魯粛はそれを一笑に付す。

「まあ、正気の沙汰かどうかはさておき、なんとも嫌な一手ではありますね。無論前提として、玉体を手にしていないと意味はないのですが」

それもそうかと魯粛は頷く。故に劉協との交渉はこの上なく重要だったのだろう。そして禁軍を掌握する皇甫嵩とも。

「まあ、よかったんじゃない?禁軍は諸侯軍の進駐に対して無血開城するんでしょ?」

「ええ。どだい、正面から禁軍単独では袁家軍単独にすら勝ち目はありません。ですが流石に洛陽を袁家の手で攻め寄せるのはいかにも世間体が悪いですからねえ」

「あれ?勝てばよかろうなのだじゃなかったっけ?」

袁家鉄の掟的なものを思い起こして問いただす魯粛に程立は苦笑して返答する。

「いえいえ、ここに至って勝つのは当然なのですよ。そして当代の袁家当主からは勝ち方についてもご指定頂いていますしね~」

華麗とか優雅とか雄々しくとか。まあ、勝ち方を気にすることが許されるほど余裕がある、ということでもあろう。

「とすれば洛陽を灰塵に帰するわけにはいきませんしね」

くふふ、と笑う程立。そこを混乱に叩き落としておきながらどの口が言うのだろうか。脱力しながらも魯粛は更に問う。

「でもさ、皇甫嵩にしても劉協にしても傑物なんでしょ?まあ、そんなのが本気で抗戦するよりは取り込む方がいいってのも分かるんだけどさ。実際今の朝廷を牛耳ってる人らでしょ?
普通に考えて獅子身中の虫になんない?」

魯粛の問いにごもっともとばかりに程立は深く頷く。

「いやいや、魯粛さんのおっしゃる通りなのですね。ですが、それはそれで悪くありません。意外と袁家の戦略には合致しやしませんか?」

は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。

はあ?と魯粛は反射的に返すが、刹那考えてぐぬぬ、と唸った。

「なるほどねえ。そういや紀霊さんの戦略というか方針は三竦みだっけか。当初の目論みでは何進、清流派、そして宦官を率いる曹操さん。それが今回の件で変わったと。何進の位置に劉協殿。それに対して清流派、曹操さんの立ち位置は変わらずかあ。なるほどね。
ぶれないんだね、紀霊さんの戦略って」

なるほどと魯粛が頷く。揺るがぬその方針。それは簡にして単。故に強固。それが察知されても揺るがぬその重厚さよ。

「まあ、今回の乱で曹操さんの権力基盤になるだろう宦官勢力には掣肘が加わるか。となると、ちょっと三つ巴にするには宦官が弱くない?」

その言ごもっとも。しかし、と程立は苦笑する。

「傍目にはそうなのですがね。如何せん曹操さん、そして側近の力を加味すれば、それでも削り足りないのじゃないかと思ってらっしゃるみたいですよ」

「ふうん。私は曹操さんと会ったことないからよくわかんないんだけど、そりゃ厄介だねえ。
でもさ、ちょっと思ったんだけどね。曹操さんの優秀さを置いといたらさ、普通に考えて清流派と劉協さんに組まれたら結構厄介じゃないの?」

「まあ、そこでこれまでの布石が活きてくるのですよ。幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども袁家は北方の護りに専念してきました。もはや中央に対する権勢欲なぞないと認識されています。
つまり」

董卓亡き後の洛陽、ひいては漢朝は文字通り三つ巴に混沌とするであろう。いやさ、なんとなれば曹操がいない今こそが次の漢朝を手にする好機。
漢朝という極上の餌を前に、清流派を率いる皇甫嵩と劉協が手を取りあえるものだろうか。

「二虎、相喰らう、ってこと?」

にまり、とした程立の貌に魯粛は苦笑する。

「そっか、そうだよね。そうなってもいいし、三つ巴になってもいい。前提が違うんだ。もう、違っちゃったんだね。袁術様が入内される宮中をそのままに放置するわけがない。その嚆矢でもある、か」

そう。袁家は確かに武門。だがその、二の姫が入内するにあたり権力闘争に無関心ではいられないであろう。そしてそこには張勲が傍らにいるのだ。

「ああ、なるほどねえ。袁家はこれまで通り我関せずと思わせておいて後宮に鬼札を潜ませる、か。いやあ、程立さんも悪だねえ」

「いえいえ、それほどでもないのですよ」

袁家の外において張勲という政治的化け物の真価を察していたのは、水面下で暗闘を繰り広げていた何進くらいのものだろう。李儒ですら怪しい。

「まあ、どう転んでもいいようにするのが風達のお仕事ですので~」

その言葉を合図にやれやれとばかりに魯粛は重い腰を上げる。これからはまた、洛陽に集まり配分される物流を混乱させる簡単なお仕事が待っている。
正直気が滅入るその仕事についても、お役御免となるのは近いうちであろうが。

室を辞した魯粛を見送り、程立は顔を引き締める。

「あれで、身内に厳しい方ですからねえ、二郎さんは」

いっそ董卓一派を無罪放免するくらいに公私混同するのならばよかったのだが。
師匠筋の薫陶よろしくむしろ身内には厳しい処断を下すであろう。それはいい。
それはいいのだが。

「あれで、情に脆い方ですからねえ……」

どうせならば情に棹差して流されればいいのにと程立はくしゃり、と顔を顰める。
きっと余計なものを背負ってしまうのだろうなあと思うのである。

「或いはお側に侍っていた方がよかったでしょうか……」

あれで繊細なところもあるのだ。あの青年は苦悩するだろう。だがまあ、致し方なし。何事も万全で挑めることはないのである。

だから、責は果たした。洛陽進駐に於いて禁軍との武力衝突は避けられた。謀略の種も仕込んでいる。できることはしたはずだ。役割は果たしたはずだ。

それでも内心穏やかでないというのは。

「これが、心の贅肉というやつなのですかねえ」

やれやれ、と程立は肩をすくめる。どうにも仕える主に入れ込み過ぎているのかな、という自問と共に。
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立

そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。

最後ちょっとミスりましたが本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

「黒幕会議」

そこまで黒幕かなあ

乙でしたー
>>400
>>は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分   誰だお前?
○程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 まあ筆頭軍師なら彼女か
>>401
>>幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども これが来ちゃったかあ…難しい解説はググってもらうとして
○幾度も上洛して漢朝を縦にする機会あれども     ホシイママの書き方は一般的には【恣】(好き勝手に、ぞんざいに)【縦】(したい放題、勝手気ままに)【擅】【独り占め、自分勝手に】の意味を含むので一番近いのは【縦】かなあ?
○幾度も上洛して漢朝を思う儘にする機会あれども   そのものずばり《思った通りに》な感じで、もしくは【漢朝を思うがままにする】こっちはより独善性と言うか意味としては【(自分の正しいと)思うがままに】な感じですね

いっそ公私混同して、どうせなら情に流されて、と言う考え方が良いですね~二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?(それによってどれだけ多くの外側の一般人が切り捨てられるかを気にしなければ)
ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね、まあ二郎ちゃんとしてはどっちかと言うと殺すことで背負い込みたくないから生かす道を模索してるのかもしれんけど
そう考えると背負い込むというよりは囲い込むの方が近いか?沢山の人たちで手を繋いだ中で更に沢山の人を庇護しているというか…

>>404
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?
二郎ちゃん、愛されてますからねえ
知らぬは本人ばかりなり。なお知ったらもっと苦しむ模様

>ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね
これは正直そうですね。もっとお気楽に生きてもいいのに。
どの口がいうかというのは置いといて。。。
主人公してくれてます。

補足説明でもしとこうかな
【ほしいまま】が【欲しい儘】じゃない理由…なおこの説明は私の個人的意見によるものであり文部科学省その他による公式解答ではありません

例文として【パイを欲しいままにする】…食えよ。となります【欲しい】なら自分のものにすればいい
でも実際には【ほしいまま】は自分の好きなようにする、と言う意味が強く(もちろん独り占めにする意味合もありますが)【自分の物にする】と言うよりは【自分の物のように扱う】感じがするので【欲しい儘】だと意味がずれるんですね

で、【恣】は下心があるので【思い通りに、我儘勝手に】が強く出ます、また上の【次】は【欠】が屈んだ人、【二】が揃えるを意味するので【座ったまま部屋を片付けるようなぞんざいな】意味があります
【縦】は糸偏に従うで糸をのばすこと、ひいては伸ばす方向を決める意味も含み【追従させる】形になり【多くのものを】が強く出ます
【擅】は手偏があるので【自分の手で】ひいては【自分だけで、独り善がり】が強く出ます

ただメンドクサイのでそれぞれの持つニュアンスをそのまま抜き取って別の言葉に置き換えた方が楽です
きちんと文字の意味を理解したうえで使えば文章としての奥行とか厚みが出ますが…とりあえず例文でお茶を濁して終わります

董卓は洛陽を恣にする悪魔だ。……好き勝手、ぞんざいに扱う場合。感覚的には無駄遣いしてるニュアンスですかね
何進は漢朝を縦にする悪魔だ。……7好き放題、思い通りに扱う場合。感覚的にはワンマン社長とかの引っ張ってるイメージですね。大体助長になりますが
富も名声も擅にした天下の怨将軍だ。……一人で自由に、独占する場合。まあもう少し小さい範囲でまとめて【麻薬の流通を擅にするギャングのボス】とかでも良いのかな…他二つよりも使い勝手が悪いイメージ

>>406
あうあうあうあうあー

非常に繊細なご指摘感謝とともに、あれなんです。
今回のご指摘でちょっと気付いてしまったことがございまして。
ここだけの話ですが、凡将伝では一部システム的なアレがアレする登場人物がいらっしゃいます。

まあ、CPB(カリスマピーチビーム)とか一刀さんとかは優遇枠ですのですが。

他にメタ的視点とか持ってるのは韓浩と風ちゃんでしたのです。
まあ、どっちも微細なものでしたが。

これ風ちゃんは周回プレイしてますね。
なるほど、本来星ちゃんも稟ちゃんさんも二郎ちゃんとこに来ない予定でしたもん。
そらそうですよね。あの三人まとめて登用とか、ね。

ということになりまして。
納得しました。風ちゃん、頑張ってるんやなって。
幾つものバッドエンドを、なんとなく認識してはるんやろうね。

ということになりそうです。

これは本当に赤ペン先生のご指摘から派生いたしました。

ああ、風ちゃんが手腕を発揮してしまうw

それって前回の周回の時(多分曹操に仕えた)に「この人の下はもういいかな」ってなったってこと?…ブラックだったんやな

>>408
どっちかっていうと、他の周回に二郎ちゃんいないんで
「お、特異点かな?ついてったろ」
くらいの軽いノリじゃないかと

虎牢関を落とした後、反董卓連合は一度その軍勢を集結させていた。
その大軍を虎牢関に収容しきることはできず、洛陽まであと二日ほどという地点に拠点を築いている。圧倒的な戦力を背景に無言の圧力を洛陽に加えているが、なぜ攻め寄せないのかという不満が諸侯軍からは寄せられている。
その不満は諸侯軍がこれといった武勲を挙げていないということの裏返しである。
董家軍は中華でも屈指の強さを誇る軍勢であるというのは共通認識であり、そのような精強な軍団に手持ちの、さほど練度も高くなく数も多いとはいえない軍勢をぶつけるのに躊躇していたからこそ活躍の機会がなかったのである。
無論諸侯もそれを理解しているのだが。いや、だからこそ残されているであろう、武勲を立てる機会に群がろうとしているわけである。

「つか、ある意味、皆暇を持て余しているってことだよなあ」

誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。

「ご冗談でもそういうことを口になさらないでください。我らはあくまで後ろ盾すらない義勇軍。つけ入るすきをご主人様自ら作られてどうするのですか」

その言葉に北郷一刀は苦笑する。

「いや、ごめんよ愛紗。そういうつもりはなかったんだ」

そして内心感謝する。
何かと口うるさい彼女がそれでも付き従うのは万が一のことに備えてのこと。常在戦場とはよく言ったもので、彼女は常にその凛とした態度を崩すことはない。
むしろ、もっと楽にしてくれてもいいのになあ、と北郷一刀は思うのである。

「翠のとこに行くんだからそんなに気を張らないでもいいんじゃないの?」

馬家軍は反董卓連合においても有数の武家である。その武力は質も量も袁家をして一目も二目もおかざるを得ないほど。その馬家の本陣に向かうのだから、そんなに気を張る必要はないのに、と。

「いえ、だからこそお傍を離れるわけにはいきません」

その、いかにも暢気で、器の大きさを感じさせる言に関羽は首を横に振る。なんとなれば所詮自分たちは義勇軍。
有象無象を束ねている存在である。軽んじられるのは慣れているが、思う所がないわけではない。武門の名家である馬家が相手ならばなおさらのことだ。

舐められて、たまるか。

関羽の心境はこれにつきるのである。

◆◆◆

「ああ、一刀か。久しいな。うん」

北郷一刀は馬超のその言葉に、その様子に内心ため息を大きく吐く。
だって。もっと、もっと。
この子は元気で、全身でその清冽な気を発していたのに。見ていられない。見ていられないほどに鬱屈としているのだ、あの錦馬超が。
だからこんなことを言う。

「翠、翠だよな?」

「は?あたしはあたしだ。何を言ってんだよ一刀」

その声も弱々しく感じる。北郷一刀の知る馬超ならば、そのような妄言あれば刹那の間もなく鉄拳制裁が来たはずなのだ。だから、らしくない。後ろに控える関羽すら違和感を覚えるほどである。

「無理するなよ」

そして張りつめていた糸はその一言で崩壊する。

「は?あたしがなにを無理してるって?なに?あたしのなにを知ってるのさ。何でそんなことを言うのさ。
 いい加減なことを言うのだったら、一刀と言えどただじゃおかないぞ……?」

湧き起こる殺気は本気のもの。無言を貫いていた関羽が主を庇うべく前に出ようとするのを制して北郷一刀は言い募る。

「分かりはしない。
 でもな。
 翠がそんなんで馬騰さんが喜ぶのかな?」

その言葉に、名前に馬超は激昂する。

「ち、父上のことを!言うな!何も知らないくせに!」

反射的に出た槍を関羽が弾く。
それに一層激昂して言い募る。

「父上が、死んだんだぞ!あの父上が!それでなんの馬家軍だよ!
まだ、もっと!教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」

力任せの連撃。関羽は苦虫を噛み潰したような貌でそれを弾いていく。

「それでも、翠は今、生きているだろ!馬騰さんが今の翠を見てどう思うか考えろよ!
 そんな翠、見てられないよ。なあ。翠……」

「なんだよ!なんなんだよ一刀!お前は一体なんなんだよ!」

手にした愛槍――銀閃を取り落して馬超はこれまで抑え込んでいた悲嘆を吹き出す。
嗚咽を漏らす。
その馬超に、北郷一刀は優しく声をかける。

「なあ、翠。馬騰さんは凄い人だった。俺なんかが言っても説得力がないと思うけどさ。
 そんな俺でも分かるくらいに馬騰さんは凄かった」

その言葉に馬超はこくり、と頷く。

「だからさ、翠。馬騰さんの死にざま、ちゃんと、さ」

思えば、敬愛する父の死にざまを知っていなかったのだと馬超は愕然とする。

「そ、そりゃそうだけど……。でも、張遼は絶対に許さないからな!」

その、抗う声に北郷一刀は苦笑する。そんなこと一言も言っていないのに、と。

「いや、まあ、なんだ。話は聞こうよ、な?」

馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。
暫しの沈黙。そして。
伝えられる言葉。最期の言葉。

◆◆◆

「一刀、済まなかったな」

詫びる言葉。歩み寄りの言葉。
いくらか湿り気のある言葉。

「いや、いいんだ。それより、よかったな。霞と翠が仲直りできて、さ」

……一触即発、紆余曲折あったものの、馬超の、張遼との面会は最上の結果であったと言っていいだろう。

「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。でも、一刀が言った通り、父上はきっとそんなことを望んでないと思うんだ」

――万里を駆けよ。

その、馬騰の遺言はようやく愛娘に伝わったのである。

「一刀が言った、さ。憎しみは何も生まないって、こういうことなのかな。
 一刀の言う通り、確かに霞が死んでも父上が帰ってくるわけじゃあないし……」

未だ煩悶としている馬超だが、それでいいと北郷一刀は思うのである。だって。

「うん、そうだな。翠はそうやって笑ってる方が可愛いよ」

こんなにも馬超は輝いているのだ。鬱屈としていた先刻とはまるで別人がごとく。

「な、なななな!そ、か、可愛いとか、何を言うんだ!」

慌てふためく馬超を見て北郷一刀は思うのである。馬家軍を率いると言っても、やはりというか、年頃の少女なのだなあ、と。
そして思うのだ。きっと彼女の父たる馬騰もそのように、笑っている姿をこそ願っていたのではないか、と。

色々と抗議の声を上げる馬超と戯れながら、思う。皆がこのように笑えるならば、それはきっと素敵なことだろう、と。

◆◆◆

洛陽まであと二日ほど。虎牢関より先は遮るものもない。陣を構えて諸侯軍の集結を待つ。いやさ、流石に今いる兵力で突入というわけにもいかん。洛陽を舞台に手柄争いとかされたらかなわんからな。
専(もっぱ)ら最近は、逸る諸侯とか春蘭とか春蘭とか春蘭をなだめるのがお仕事なのである。あと春蘭な。
ええい、無思慮に洛陽につっかけて禁軍と遣り合うつもりかよ!
だが、そんな忍耐の日々もこれまでだ。

「うし、張郃ご苦労さん」

俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。

「どうやら禁軍と相対することは避けられたようですね」

背後に控えていた稟ちゃんさんの言う通り、風がやってくれました。これはファインプレーです。
押し寄せる反董卓連合軍に対して洛陽を、禁裏を守護する禁軍。その兵権を握っている――その兵権のありかは風がつきとめたものである――皇甫嵩と風が極秘裏に会談を行った成果だ。
見事無血開城をとりつけてくれた風には流石の一言である。

「禁軍とやりあうつもりはないし、洛陽を攻めて花の都を灰塵とするつもりもないからね。
というかそんなこと間違っても起こってほしくないっての」

俺が今一番恐れているのは洛陽が戦場となり、荒廃してしまうことだ。
史実……と言っていいか分からんが、俺の知る歴史的なものでは董卓が洛陽を焼き払った。長安への遷都と併せての焦土作戦は見事の一言だ。
荒廃した洛陽の再建は曹操も諦め、許昌に帝を招くこととなった。
だが、と思うのだ。果たして董卓の焦土戦術のみでそんなにも荒廃するものか。と。
そして、反董卓連合は収穫なく洛陽を後にするのだが、それまでの戦費の回収はどうしたのだろうか、と。
ぶっちゃけ、洛陽からの略奪で補填したんじゃないかなあなんて思ったりするわけである。そりゃまあそうであっても史書には残らんさね。
歴史は勝者が作るものだから。それはいい。俺の妄想である可能性も高い、が。
既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。そりゃ常備軍として給与が支払われている袁家軍とかと違って徴兵された奴らはなあ。

それはいい。そこいらへんの治安活動は手柄を必死に上げようとしていた義勇軍に任せている。単発で兵卒が起こすそんな事件に対応しきれるならばまあ、たいした求心力である。むしろ義勇軍内部からそういった不逞の輩が出ないかなあなどと思うほどだ。
そんときゃこれ幸いと処分してやるんだがね。

そんな風に暫し思考に耽溺していた俺なのだが。張郃は、にまり、と口を歪めながらとんでもないことを言ってくる。風の差配らしいのだが。マジか。
マジかぁ。

「まあ、洛陽の内実に関してはお詳しい方から聞くがよかろうと思いますな」

そして張郃の手振りでその人物を招き入れる。そして、その名前、その姿に自分の正気を疑う。背後で稟ちゃんの息をのむ音に辛うじてこれが夢ではないのだ、と思い知る。そう、張郃が招き入れたその人物―――。

「賈駆殿です」

緑の黒髪、狷介そうに見えてたまに見せる柔らかい笑顔を彩る鋭い双眸。董卓軍の軍師たる詠ちゃんその人が、そこに、いた。

◆◆◆

張郃に招き入れられ、賈駆はその場に身を晒す。
突き刺すような視線は郭嘉のもの。
それによって、却って賈駆は落ち着きを取り戻す。その顔に微笑みすら浮かべられるほどに。

「――久しぶり、だな」

無表情で、なおかつ鋭い視線を寄越す郭嘉と違って紀霊の言葉には様々な思いが込められている。それを嬉しく感じてしまうのはきっと人として駄目なことなんだろうな、などと賈駆は思う。

「ええ、ほんと。
ほんとに久しぶりね、二郎……」

ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか?
くしゃり、と刹那歪む彼の貌(かお)に自分はどう映っているのだろうか?みっともなく、荒れた顔で彼の前には立ちたくなかった。
――正直頬はこけ、目の下にはくっきりと隈が現れている。肌はかさつき、唇はひび割れて。
それを補うために慣れない化粧を今日は念入りに仕立て上げている。おつきの女官には保障されているが、佳人に囲まれている男にすれば見え透いているだろう。

漂う沈黙。それに身体の奥底から込み上げる激情に飲まれないよう、賈駆は懐より書を取り出す。

「洛陽、それと禁裏の見取り図、それに警備の配置図よ」

「な――」

絶句する紀霊と言葉を交わさずに畳み掛ける。

「洛陽の門扉を守る兵は皇甫嵩に掌握されてるわ。禁裏は言うに及ばないわね。でも、これがあればある程度渡り合えるはずよ」

その言葉に紀霊は瞑目する。
くすり、と漏れそうになる笑みを噛み殺す。思えば、目の前の青年の浮かべるこの表情が賈駆は嫌いではなかった。
自分や、配下の軍師には到底及ばないと苦笑する彼は。それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。そんな彼をからかい、彼と語らう時間は賈駆にとってもかけがえのないものであったはずなのだが。

だから、瞑目している彼に、問うてしまう。

「ねえ、なんで、こうなっちゃったんだろ、ね……」

それは彼女なりの、精一杯の甘えであった。

それを知ってか知らずか、見開いた紀霊の目。いつものようにへらへらとしてくれたらよかったのに。
見据えた目は、真剣そのもの。
だから、甘えてしまう。いつかのように。いつものように。

「ねえ、どうしたらよかったんだろう……」

それを、俺に言うか。今になって俺に言うのか。
そんな心の叫びを感じるくらいに賈駆は紀霊と通じ合っていたのだな、などとぼんやり思う。そして、ひび割れたような、途切れ途切れの叫びに身を引き裂かれる。

「言ってくれりゃ、よかったんだよ!言ってくれれば!なんとでもしたさ!したよ!
なんとでも、したさ……」

激した、或いは悲嘆にくれる紀霊の激情に言葉を喪う。なによりその熱さに。

「言ってくれれば、なんとでもしたさ。例えば、何進に内密に打診すりゃあ、月の参内を命じたろうさ。
そうなりゃ、漢朝総出で月の捜索さ。いかに漢朝の闇が深くても、それでも何進はそれをすら制してたんだ。
奴の一言あれば、あの政治的化け物が動けば!」

その叫びは賈駆の全身を打ち据える。

「そっか。そうか……。そうだよね……」

無論、賈駆とてそれは検討した。だが、万が一を考えてできなかった。親友たる董卓の身の安全を思うが故にできなかった。それが正しいと知っていても、できなかったのだ。

「ほんと、ボクって、ほんとに、馬鹿だ……」

その結果がこれだ。

「ボクって、ほんと、馬鹿……」

顔がくしゃりと歪み、嗚咽が湧き出ようとするのを必死に抑えて言葉を継ぐ。せめて、不様は晒したくない、これ以上。
これ以上。だって。

「……執金吾の権でも月の行方は知れなかった。だから、月は、月を浚ったこの度の乱の首謀者は」

畏れ多くもかしこき禁裏に。
それこそが賈駆が自ら足を運んだ理由。せめて、自分たちを陥穽に落とし込んだ首魁くらいは間違えなく伝えたい。

「悔しい。悔しいよ、二郎。
 月も、ボクも。一生懸命だったのに。頑張ろうとしてたのに。それでもきっとボク達は世紀の謀反人。悪逆非道の佞臣ってなるのが、悔しいよ」

伝えようとしたことを伝え、やはり甘えてしまう。言わずもがなのことをそれでも言ってしまう。そんな自分を馬鹿だなあと思っても、最早止まらない。それでも。

「それでも……好きだった。ううん、好きよ、二郎。
うん。愛してる……」

閨にて、幾度も囁かれた睦言。けして返さなかった男のそれに応え、こらえきれずに双眸から溢れる涙。

「好きよ、二郎」

だから。

ボクのこと、忘れないで……
精一杯の笑みを浮かべて賈駆はその場を去る。
くしゃり、としたそれ。柔らかな、透きとおったその顔を。紀霊は生涯忘れることはないだろう。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

仮題はなんだろな
「幸福な結末と別離」

もちっとなんとかなりませんか

乙でしたー
>>410
>>誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。  間違いではないのですがこの言葉はかなり強い印象を受けます(例えるならもしも二郎が呂布に挑むときに顔良をハブにしたりしたら柳眉を逆立てそうかな
○誰にともなく呟いたその言葉に関羽は諫言を以て応える。 関羽が柳眉を逆立てるような気迫で返答したら一刀がそれに苦笑で返したりできなさそうだし、そもそもご主人様相手に本気で怒れないでしょ(信頼感(笑)
>>411
>>教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」 【全部】だと既に【馬家を継ぐに値するだけの武を持っている】ように聞こえますが
○教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全然、伝えられなかった!」 【教えてほしいことがたくさんあった】ので自分がまだ未熟だと思ってたようなのでこの方が良いかな?
>>馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。   これだと(多分)看取ったはずだ、みたいな意味になるので
○馬騰さんの最期を看取った事には違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 下手人な事には違いないけど、みたいな意味で言うならこの方が良いと思います
>>伝えられる言葉。最期の言葉。                この前の文からするとこれ(馬家の天幕内で)沈黙、(その場にいた張遼から)伝えられる言葉になりそうなので
○一刀と共に張遼のもとを訪ねる。伝えられる言葉。最期の言葉。 どう書くかは置いておいて、張遼に会いに行く描写を入れた方が良いと思います
>>412
>>「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。  待って、ちょっと待とうか?君そんなにあっさりと許した感出すとか本当にどうしよう
○「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。張遼には思う所がないわけじゃない。 上で「張遼は絶対に許さない」とか言ってたのにもう真名呼びとかもう少しあるだろ?まさか張遼も義勇軍の大将の前で董卓の真実を語るわけないから何故そうしたのかまで話してないだろうし…えっ話したの?(そんなに口が軽いなら)裏切る前に馬騰さんに話して?どうぞ(馬騰→何進の直通ルートを横目に
>>413
>>俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。 まあ実際にそういう動作をすることもありますが慣用句なので
○俺は張郃が持ち帰った報に胸をなでおろしていた。   【内心】を入れなくても問題ないと思います
>>既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。  間違い?間違いじゃない?勝ってる側で糧食は袁家が持ってる諸侯軍から脱走兵って…中抜きされて食うや食わずなんて袁家が許さんだろうし
○既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の兵と思われる奴らが隠れて略奪暴行をしているという報告も上がっている。 そのあと何食わぬ顔で戻ってくるまでがセットで、な気がしますが
>>414
>>ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか? 間違いではないですが
○ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を。はたして、無味無臭に自分は発せられただろうか? 【果たして】は【発せられただろうか】にかかりますのでこの方が良いと思います
>>それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。  ちょっとひと手間
○それでもこの表情をするたびに、自分では思いもつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 まあ現代人の持つ視点とかがあるからねえ

まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
洛陽で袁家を襲うときにネームドを派遣しなかったとか、せめても言い含めなかったこととか流されるだけだったから仕方ないっちゃないんだが

天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね

>>417
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うむ。今回多いな。精進せんといかんね。
しかしお盆に間に合うかなあ。割とギリギリのスケジュールだなあと思ったり。

>まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
それな。
いやほんと、気の毒でしかないですが、目の前のことに一生懸命です
そしてもっと言うと、大戦略とかは彼女の不得手なとこじゃないかなって

>万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
ここで二郎ちゃんに泣きついてたらねえという董家√
6レスくらいでハッピーエンドですね(確信)

>天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
猪突猛進dす

がんばる

まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
戦術レベル、うまくいけば戦略レベルまで考えられるとしても国規模の大戦略レベルで考えられるかっていうと、ね
言ってしまえば全国展開してる大企業の一地方の重役レベルがいきなり本社のトップになったようなものだからね…地方レベルで考えても失敗するのは確定的に明らか

さて、天の御使いについての感想があまりにも雑だった気もするからもう少し書いてみるか
今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…そもそもなんで彼女は一人で鬱屈としてて、その状態で一刀と会おうと思ったのさ
親の敵を討って落ち着いたら喪失感が、とかでもなく。そんな状態の姉に対して妹が気を紛らわせようとするでもなく。こんな精神状態だから仕事じゃとじゃないなら一人にしてくれとお付きの兵に追い返させるでもなく。会うからにはと空元気でも虚勢でも張ることもなく弱弱しい姿を見せて。
どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。

>>419
>まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
州を回すくらいまではともかく流石に国家はね。
経験積めばまた別だったでしょうけど

>今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
からの
>前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…
上げて落とす!お見事w

>どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
これには納得です。
なるほどなあ。。。

「愛紗。お疲れ様」

北郷一刀は帰ってきた関羽をねぎらう。彼女は先ほどまで近隣の村落を巡り治安活動に励んできたのである。

「いえ、どうということはありません」

関羽の言は誇張でもなんでもない。あちこちと転戦しているのではあるが疲労の影すらなく平然としている。
いや、むしろ兵卒の群れに関羽という豪傑を宛てるというのが贅沢な話であろう。

「しかし、大忙し、だなあ」

彼の言に偽りはない。ここ最近――虎牢関が陥落し、洛陽まであと数日というところまできての足止め。それから劉備率いる義勇軍は東奔西走している。それまでの閑(ひま)さが嘘のように。

「略奪、暴行。ひどいものです」

関羽は吐き捨てる。彼女の言は嘘ではない。後方にいた諸侯軍が合流してこの方、治安や軍規は乱れる一方なのだ。
そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。

「ご安心ください。彼奴等の性根を叩きなおしてやりましたが……それだけです。命までは奪っておりませんし、致命的な怪我も負わせてはおりません」

数日悶絶する打撲くらいのものだ。骨を折ったりまでは及んでいない。言って聞かない相手にその鉄拳を振るうことに関羽は躊躇しなかった。切り捨ててしまいたいところではあったのだが、主たる劉備や、その軍師たる諸葛亮からも人死には避けるように言明されている。
関羽とて諸侯軍との関係を決定的に悪いようにしたい訳ではない。
例え正義がこちらにあろうとも、人死にが出てしまえばそれを口実に自分たちは不味い立場になるかもしれない。後ろ盾なぞない自分たちなのだ。
故に激発する可能性のある張飛は劉備や北郷一刀という安全弁から離すことは出来ない。
故に関羽のみが劉備一行と離れて行動しているのだが、それが自らに対する信頼の証であると関羽は理解している。
故に、だからこそ軽率なことはできない。例え目の前でどれだけの非道が行われていても、鉄の意志で関羽は激発をすることなく。だが、それでもその憤りは消えることはないのだ。

「どうして、このようなことに……」

関羽には理解できない。どうして同じ漢朝の民にあのようなことができるのか、と。

「――諸侯軍は常備軍ではありません。それが全てです」

静かに諸葛亮は応える。

「――っ。どういうことだ、朱里」

北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。

「諸侯軍の多くは徴兵された兵です。故に給与は支払われません」

反董卓連合。しかして完全に常備軍なのは袁家くらいのもの。いや、輜重に至るまでにそうである袁家がおかしいのだ。
つまり、袁家軍は真に戦うための集団。戦うが生業。よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。

「だったら!さっさと洛陽に入るべきだろう!」

諸葛亮の言葉を受けて北郷一刀は苛立ちを覚える。どうしてこのようなところで足踏みをするのかと。

「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」

未だ洛陽には禁軍がある。そして禁軍との交戦は袁家軍としては何としても避けたいはず。

「此度の反董卓連合。袁家は極めて慎重にその歩を進めています。ええ。持っている影響力からすれば臆病と言っていいほどに……。
あくまで漢朝の臣として。けしてその矩を越えぬよう。越えてはいないと示しながら手を打っています」

いっそ迂遠なほどである。迂闊と言ってもいいかもしれない。
極端な話ではあるが、袁家単独でも洛陽に迫ることは可能であったろうと諸葛亮は思うし、鳳統も同意している。極めて高度に鍛えられた常備軍と、何より攻城兵器群だ。かつて思った通り、事あらば洛陽、とは言わずとも攻城戦を想定していたとしか思えない。

「じゃあ、あの、何進が下したという勅も本物だって朱里は思ってるのか?」

時系列を考えればあからさまに怪しい勅であるのだが。

「はい。極めて怪しいと言わざるを得ませんが、真であると思われます。
あの、紀霊将軍は極めて遵法意識が高いように思われます。
ここで彼が手配したならばそうなのでしょう」

諸葛亮としては、その勅が正規の手続きにより下されたとは考え辛いと思っている。だが、何らかの抜け道によりもたらされたのかもしれない。その仮説も捨てきれない。

「うーん。あれで、やることはきちんとやってるってことか……」

北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。
が、やっていることは確かなのだな、というのは認めざるをえない。そしてそれは諸葛亮も大いに頷くところである。

「はい。紀霊将軍。恋さんと立ち会ったような武勇伝には事欠きませんが、真に評価すべきはその卓越した政治力ではないかと」

そう考えるとその手腕は恐るべきものである。
彼が武家筆頭となってから袁胤という不穏分子を除き、袁術という不和の種になりかねない人物を見事に駒として活かしている。
まさか入内させるとは。
袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。このままでは、袁家にあらんずば人に非(あら)ずというほどに権勢を誇ることすらありえるだろう。

「なるほどなあ。そんなのに董家軍みんなの命を乞う訳か。なかなか大変だ……」

苦笑する北郷一刀に関羽と諸葛亮は肩に入っていた力が抜けるような感覚を覚える。
見据える目標は困難。それでも気負わずに前を向く彼の言葉に決意を新たにするのだった。

◆◆◆


詠ちゃんが去ってから数日。洛陽に進駐するスケジュールは皇甫嵩とやりとりし、あらかた固まってきた。

「明後日だ。明後日。日輪が中天に差し掛かるころに洛陽に入る。そう諸侯軍に伝えろ」

そして、けりを、つけよう。

「諸侯軍には前祝として酒を配れ。秘蔵の火酒、全部配って構わん。ありったけを配れ」

そして。

「張郃。配下から選りすぐりをそうだな。百ほど選んどけ」

俺の言葉に張郃はニヤリ、と愉快そうに口を歪める。正しく俺の意図を汲んでくれたようだ。

「ほう。張家からということでよろしいのか?髑髏の面を集めなさるか。出立は?」

「払暁前。もっと言うと、一番鶏の鳴く前」

俺の言葉に稟ちゃんさんが問うてくる。

「それで、よろしいのですか。これまでの名声を地に落とされますか」

幾度か話し合ったことではあるのだが、それでも問うてくる。

「くどい。もう決めたことさ」

別に俺が手を下す必要はないというのはその通りだ。でも、さ。
更に言い募ろうとする稟ちゃんをどこか可笑しげに張郃は眺める。それに構わずに俺は言葉を続ける。

「殴られっぱなしは性に合わんからな。というよりだ。袁家は武家よ。
舐められたままでいられるかよ。このまま矛を収められるものかよ。
――玉無しどもと同じ空気を吸うのもこれまでだ」

そして。

「これは洛陽にて散った者たちの弔い合戦でもある。袁家に仇なすということの意味を教育してやろうじゃあないか」

なに、禁軍とは話が付いている。後宮に残っている男は宦官のみ。ちょっとしたお掃除。それだけのこと。
宦官の誰が悪くて誰がもっと悪いなんて知る術もないならばまとめてポイするのが合理的な発想というものさ。

「最優先は弘農王……いやさ正当なる皇帝陛下劉弁様の身柄。そして宦官は殲滅だ」

「降伏か、死か、ということですかな?」

「違うね。逃げる奴は宦官だ。
降伏する奴は狡猾な宦官だ。
抵抗するのは訓練された宦官だ。
悉(ことごと)く、殺せ。宦官は悪だ。ゆえに鏖(みなごろし)だ」

悪、即、斬。それを体現するだけのこと。

「承知した。なに。禁裏にて血の雨を降らすことに臆するようなものはおりません」

汚れ仕事は張家の誉。その判断はこの上なく正しいと言わんばかりに、恭しく張郃は一礼し、その身を闇に同化させる。

「何も二郎殿が手を汚すことはないでしょうに」

苦い声に苦笑する。

「怨将軍とか、英雄とか、そういうのは、いいのさ。
もとより身の丈に合ってなかったしな。だから、いいのさ。いいんだよ」

それに。

「そろそろ路線変更しようかなと思ってたとこだ。
そういうのは、もっとちゃんとした英雄が背負った方がボロが出ない。そして袁家、いやさ紀家には正真正銘の英傑がいるし」

一騎当千、趙子龍。

「天下にその名を轟かせるのは星の方が似つかわしい。そうだろう?」

「――貴方は!」

尚も言葉を重ねようとする稟ちゃんさん。
だが刹那の感情の爆発。その後に紡がれた言葉は別方向からのアプローチであった。

「では、譲られたその英雄の座。星はどう思うか。そして十全に槍を振るえるとお思いですか」

「う……」

流石である。そうきましたか。そして困る。
つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。そこはまあ、怨将軍だから許してほしいな。
とか愚にもつかないことを考えていたのだが、思わぬところから助け舟が出た。ようそろ。

「稟よ。主をそう苛めるものではない。主には、いやさ男には譲れぬ思いがあるものだ」

そして助け舟を出してくれたのは星でした。いやなんで君ここにいるのん。

「ふ。そう不可思議な顔をすることもないでしょうに。まあ、種明かしをすると簡単ですがな。張郃どのから聞いたからですな。風からの伝言通り護衛を兼ねて控えさせていただいただけのこと。
まあ、主には言いたいこともあるのですが」

それでも、と。ニヤリ、と。

「天下一を目指すというのはこの身が発した志。そのために主はその身を挺してまでも飛将軍と渡り合う機会を作ってくださった。
――もっとも、それでも。それでも討ち取れなかったわが身には忸怩たる思いがある」

暫し視線を地にやり、改めてこちらを見やる。

「紀家軍の指揮、承りましたとも。
下駄をはかせていただいたとは言え、一騎当千のこの身。けして禁裏、いやさ洛陽に余人を近づけませぬとも」

「……すまんな。星」

「何をおっしゃるか。嬉しいのです。
主に受けた恩は計り知れない。ようやく。
ようやくこの身で、この武で返すことができるのです。喜んで果たしましょうとも。
造られた英雄大いに結構。
もとより流浪の、一介の風来坊のこの身。望外の栄光。
見事果たしてみせましょうとも」

そして。

「それに主よ。それがしが聞きたいのはそのような謝罪の言葉ではない。感謝を、鼓舞をこそほしいものです。
と、女からここまで言わせる御身は相当に罪作りですぞ?」

艶然と笑む星。強張っていた思考が動き出す。そうだな。悲壮ぶるのは俺らしくない。
きっとね。

「星、ありがとう。そして何人たりとも洛陽に立ち入らせるな。
――頼りにしてるよ」

「承った。なに、はねっかえりを押さえるだけの簡単なお仕事だろう?」

不敵で無敵。一騎当千な星に見送るしかない俺であった。
あ、微かに。微かに苦笑する稟ちゃんさんを見れたのもすごい収穫だなとかなんとか。

うん、ありがとな二人とも。

それはそれとして。

けじめはつけんとな。

まあ、地雷原での綱渡りではあるのだが、ね。

後始末が、はじまる。

寝落ちしておりました

ここまですー感想とかくだしあー

今のところ無題でごんす

面白いからよし

>>426
ありがとうごぜえやす
えっへっへ

それはともかく、お盆には間に合いませんでしたね。
前後編に分けるしかないにゃー

乙でしたー
>>421
>>そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 これだと一刀が関羽に気遣うような視線が向けられてるように読めますね【(一刀が)そんな彼女に~】
○そんな彼女は気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 この後の言葉からすると【そんな彼女は(一刀の)気遣う様な~】だと思うのでこうですね
>>故に、だからこそ軽率なことはできない。 意味が重複してますね
○だからこそ軽率なことはできない。    意味を重ねるなら【だから……だからこそ】とかかな、と思いますけどそうする程でもないでしょ
>>静かに諸葛亮は応える。 関羽の「どうして」と言う問いに対するものなので
○静かに諸葛亮は答える。 答えを教えるということでこちらですね
>>北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。 これだと【だから】の掛かり先が分かりづらいので
○北郷一刀は問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。ならば、その理由を彼は知らずにはいられない。 でどうでしょう
>>よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 あ?何が限界だって?(チンピラ風
○よくもそのような集団を現界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 なお最近の造語なので【設立せしめた】の方が良いかな?むしろ袁家の凄さはそれを維持してることだと思うけど
>>「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」 ちょっと【おそらく】の意味が伝わりづらいので
○「おそらくですが、そのための交渉をしているのではないかと」 もしくは【「おそらく……ですがそのための】勿体ぶるというか思索してて考えをまとめる感じならこうですね
>>422
>>袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。 間違いではないですが【これまで以上に留まる】と【ことはない】で分けて読むと違和感が出てしまうので
○袁家の威光はこれまで以上に中華に響き渡るであろう。  書いて思ってけど威光って響くのか?【包み込む】?【照り付ける】?【示される】?いっそ
○袁家の威光はこれまで以上のものとなるであろう。    がすっきりしてて良いかな?
>>424
>>つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。    間違いではないですがこれだと前の文章に【つまり】がかかってるように読めて《?》となるので
○つまるところ宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 趙雲が槍を十全うんぬんかんぬんにかかると彼女も宦官皆殺しに関わってしまうけどそうじゃないでしょうし
>>下駄をはかせていただいたとは言え、 下駄って日本の物っぽいんだよなあ…恋姫世界ならありそうだけど…と言うか星の履いてるのが下駄っぽいっちゃぽいんだよなあ
○嵩上げいただいたとは言え、     もしくは【水増しいただいた】とか?まあ気にしなくても良い事か

>>切り捨ててしまいたいところではあったのだが、 劉備に最も近い位置にいるはずの彼女の思考回路が…お前、何で劉備が止めるのか分かってないだろ。あくまでも劉備が止めるからやってないだけだろ
>>北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。 一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
【凡人、終わり方を整える】と言うかこの場合は結び方?締め方?それにしても張コウ君が愉しそうだわw
喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…

>>428
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うほう。

>一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
熱いマジレスありがとうございますw
それもう星ちゃんとの一件から積み上がっている奴でしょうねw

>喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
ほんとこれです。
詠ちゃんはもう、このために頑張ってるし、月ちゃんはそれを分かってるから死ぬわけにはいかないのですよね

>そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
大体は送り届けて、いくらかは脱走かな
治安が・・・

高々義勇軍に「お前のところの兵士がチョーシこいて略奪してたから締めといたわwちゃんと見とけよなw」と雑兵を持ってこられた諸侯軍が何を思ったことやら(隙あらばヘイト稼ぎ

>>430
確かにw

「ぐぬぬ」

状況を考えると暗に命令されてた可能性も高いですね。つか、そうだろうなあ。
これはヘイトが充填されますよ!やったぜ!

乙です。残暑お見舞い申し上げます。

うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
で、こらパシリ。
嫌いなら帰れや。温い異分子が。消毒用アルコールと純粋次亜塩素と界面活性剤で消毒すんぞコラ。
二郎さんは「どうしてこうなった」を知っている側だからお前が董卓軍の助命嘆願しなくても最善をつくすだろうよ(一応オブラート包装)
ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
第一、使える人材を殺すなんて愚はぜったいやらない。ハーレムに引き込まれるヒロインは絶対出てくるけど(断言)
だからコラパシリ。黙って消えとけや。コラ。
つうか関羽さんを報いてあげて。劉備込みでも仕方ないからなんか報いてあげて。
おーいチョウコウ君。必殺仕事人の出番だぜい。思い切り目立ってちょうだいよ(応援)つうか大活劇期待。超々期待。

二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
幕僚幹部の誰かが文句言ってたとか?

強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?

(えっ!あのPをPだからって理由でひそかにPしてしかもPをPにPしたって?そりゃ責任取るよね)…一応裏ワザというか力業使いまくればあんなことやこんなこともできるけど一ノ瀬さんがどうするのかを邪魔したくないのでP音多めで

>>432
どもです。
お元気そうでなによりです。

>うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
屍山血河。まではいかないはず、はずです。

>ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
はい。とだけ。

>二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
二郎ちゃんには辛い展開が続きますが仕方ないっすね。

>つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
まあ、突然あっちこっちほっつき歩いたり、放浪したりするので紀家軍的にはいつものことじゃないかとw

>>433

>強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?
か、閑職とか。そんな二郎ちゃんのご希望ルートが通るわけがないですw
あっちの更新が一段落しましたら続きやりますので。

やってもた
書いてたのが消えた(本日1度目累計数えきれない)
ぴえん

キャストリアが来てくれたら(書き込みはここで終わっている)

なんとなく浮かんだ。

タイトル案 「収束への助走」

うーん……うーん……

>>436
>タイトル案 「収束への助走」
ほむん。刺さる。ちょっと検討させてくださいい。
何案あってもいいので、思いつきレベルでも結構なので投げてみて下しあ

あ、麹義さんはこの章のために南皮残留でした。
ここが終わったら完全フリー素材となりますのでよろしくお願いします。
幸せにしてあげてくださいませ。

田豊師匠も同様ですが、どっかで私塾兼道場とか立ち上げてそうですねえ。。。

「なるほど、明日、か」

劉協は嘆息する。
至尊の座に座るのも明日が最後と思えば、ため息の一つも漏れようというものである。
とはいえ、偽帝として討たれるという心配はない。袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。
まあ、劉弁は愚鈍にして惰弱。そして洛陽に攻め寄せたという後ろめたさもあるのであろう。皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。そしてそれは目の前で持参した美酒を楽しむ男にもあてはまる。
皇甫嵩。清流派の首魁にして禁軍を掌握する重要人物である。彼が禁軍を握っているからこそ、朝廷は平穏を保っていると言ってもいい。

「ま、仕方ないね。想定内の事態ではあるし、ね」

軽く肩をすくめる皇甫嵩。彼も袁家より、内々に三公の座を打診されている。状況が落ち着けば、現状よりもその影響力は大きくなるだろう。

悠然と酒杯を干す。その所作に劉協は湧き起こっていた焦燥を噛み殺す。まだ、皇甫嵩と遣り合うには早い。だが。

「陳留王たるわが身、宦官、そして清流派の首魁たる貴殿、か。
天下三分とはよく言ったものだな」

時さえあれば、皇族たる自分が敵対する二者を圧倒するのは自明の理。劉協にとって時間は味方なのだ。
それを思えば喉を潤す酒精が甘露に思える。いや、実際に銘酒なのであろうが。

「そうだね、僕もそう思う。なるほど、天下を三分にすれば即ち三竦み。容易に動けるものではない。見事、さ。誰が考えたかは知らないけどね」

ぐびり、と皇甫嵩は杯を干して笑う。

「でもね、その一角。宦官は明日未明に誅されるよ」

「なに……?
 なん、だって……?」

劉協は言葉を喪う。
何を言っているのだ皇甫嵩は。そんなことができるものか。

「どうやら袁家は宦官という存在を許さないみたいだねえ。いやぁ、怖い怖い」

くすくすとした笑みを深める皇甫嵩。

「き、聞いてないぞ!朕は聞いてないぞ!皇甫嵩!」

「そりゃそうさ、言ってないからね。そして朕とか言うなよ見苦しい。
君は結局偽帝さ。それを認めるのがそんなに嫌かい?」

劉協は言葉を失う。これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か!

「貴様――あ、ぐ、ぶぼ?」

ごぽり、と湧き出る真紅の塊に劉協は言葉を喪う。物理的に。
これは、なんだ。何故、どうして。どうして赤く、染まっているのか。

「まあ、そういうことさ。天下を分ける必要はない。乱れたその後は余計にね。だから、ゆっくり休んでくれたまえ。そして天下はきちんと僕が預かるからさ」

くそ、総取りかと劉協は血を吐きながら目の前で悠然としている男を睨む。せめて、呪われてあれ、と。

「ふふ、負け犬が吠えることもできずに倒れ伏すのを見るのは中々いいねえ。それも特等席ならなおのこと、ね」

宦官勢力が撃滅されたならば敵対するは劉協。そしてあの何進が恐れた才能とまともに組み合うほど皇甫嵩は愚かではない。そして、天下三分。そのうち二つが失われたならば。

「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」

計画通り、とばかりにその秀麗な顔を歪めて皇甫嵩は笑う。

「ただまあ、駒が足りないというのがねえ」

文武共に配下の人材については物足りないという言葉では全く足りない。
清流派、とは言え実務に耐えうる人材の少ないことよ。
ことに軍を率いることのできる人材なぞ皆無に等しい。

「いいさ、当てはあるしね」

細工は流々。皇甫嵩はにまりと笑い、室を後にする。
残された劉協は虚空を睨み掴もうとして、無念そのものであった。

◆◆◆

「陛下、お目覚め下さい。
 陛下……」

周泰は穏やかでいながら力強く声をかける。それは目指す相手にしか伝わらないという特殊な発声方法である。そして目の前の、健やかな眠りを貪る少年は不承不承、といった風に応える。

「ううん、なんだい。もう朝なのかい?もうちょっと寝かせてくれよ、まだ暗いじゃないか」

それに、と。
自分は陛下と呼ばれる立場にないから起きる筋合いはないかもね、と軽く主張すると同時に寝息を立て始める。

「ど、どうしましょう……」

禁裏の奥の奥、そして裏の裏。後宮より更に奥にある離れの一室。そこまでの道のり、その厳戒を潜り抜けるよりもこの、今の状況をどうしていいか分からずにあたふたと狼狽(うろた)える。

「なんだ、僕を殺しにきたのじゃあないのか」

不意に目前で寝息を立てていた少年――劉弁――は、のんびりとした声を上げる。

「お、起きていらっしゃったのですか!」

驚くのは周泰である。彼女からしても完全に寝入っていたはず。それが擬態ならば驚くべきものである。

「ううん、そうだね。そうだなあ、寝ていたよ。この上なく安らかにね」

面倒くさげに劉弁はぼそり、と。
曰く、何進が誅されてからこの方、いつ殺されてもおかしくないような空気。その中で過ごしていたというのだ。故に、安らかに眠れたのだ。それら不埒な塵芥を周泰が人知れず駆逐したのを――夜が明けて死体が発見されるまでは露見しないはずであるのだが――この少年はなんとなく感じ取っていたのであろう。
いわば小動物の生存本能にも近しいそれ。だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。
周泰は発する言葉を失ってしまう。

「で、お姉さん。僕は用無しになって殺されるってわけじゃないんだよね?」

その声に周泰は自失していた意識を引き戻して慌てて応える。

「は、はい!勿論です!陛下の御身を守護するべく使わされて参りました。
 陛下のご宸襟を騒がせ……」

「なら、それでいいよ。それで、僕はどこかに逃げるのかい?」

「いえ、外に出るのは却って危険です。臣がこの身に代えても御身を守護奉ります」

そうかい、と気安く劉弁は頷き。

「なら、もう少し寝かせてもらうよ。どうにも最近は寝たりなくっていけないからね。
 じゃあね、おやすみ」

言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。

周泰は知らない。これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。
徹底的に無能で、無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。それを遣り切る、ある意味での強さ。

そして、日が中天に昇り、すべてが終わり。それでも劉弁は呑気に惰眠を貪っていたのである。

そう、惨劇、阿鼻叫喚。これから起こるそれらを全て認識せず。劉弁はただひたすらに眠るのだった。

はい、再開です。頑張ります。
本日ここまですー感想とかくだしあー

流血の序章
血の前日


タイトル案はこんなとこです
いいの欲しいっす。。。

乙でしたー
>>438
>>袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。 【~して欲しい】は例えば【そのご飯を食べて欲しい】なら違和感が分かりやすいかな
○袁家からは内々に陳留王として政務に携わってほしいという打診を受けている。 形容詞の【欲しい】と補助形容詞の【~てほしい】の違いらしいですね
>>皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。  間違いではないですが好みの問題で
○皇族――それも優秀な――が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。 大事な事なので2回言ったのかもしれませんが>>皇族
>>これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か! 言葉は聞いたことあるよね…上偽帝とは呼ばれないって安堵してたし
○これまでそのような無礼な物言いを許したことはない。なんと不敬な! 最後は【何たる不敬か!】の方が良いかな?
>>「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」 この自尊心の塊みたいな男なら【転がり込む】は使わない気がします
○「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物の下へ収まるのさ」  これを取らぬ狸の三日天下と言います…イメージは偉そうな椅子に足組んで座って掌で玉璽とか転がしてる感じで
>>439
>>だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。 接続詞に違和感が
○だが、それを身に付けてしまうというのはどういう状況下であるのだろうか。 それとも【それを身に付けてしまうというのがどれほど異常な状況であるのか。】とかかな?
>>言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。 【沸き起こる】って圧力が強くて抑えられないような印象があってちょっと違和感が
○言い終えるとほぼ同時に健やかな寝息を立ち始め、周泰は目を白黒させる。 もしくは【ほぼ同時に漏れだした健やかな寝息】とかどうでしょう…前者は「グーグー」後者は「すやすや」のイメージです
>>これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。  【保身術】って意味は分かるんですが調べても出てこないっぽいんで
○これが劉弁なりの自衛方法。それは何進に仕込まれた護身術。  あと【保身】って身体よりも権力とかの印象が強い気がするので
>>無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。  【、】の位置に違和感が
○無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷を、ただ浮揚することで生き残る自己防衛。 適当に【保身】っぽいものを並べましたのでお好きな言い回しをどうぞ

それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら

>>441
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
再開でございます。

>これを取らぬ狸の三日天下と言います…
三日もつかな(ぼそり)

>それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
その座を勝ち取ることができるということを確信していらっしゃりますなw
自分はあいつらとは違う。上手くやれるというやつです。

>極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
それすら自分の手足として使いこなせるくらいの自信はあるかと

>そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら
自分が切り捨てられるとは思わないものです

三日持つっていうかそもそもとってすらいないから…

まあそりゃそうですけどw

――夜をこめて、鶏の空音は謀るとも
 よに逢坂の関はゆるさじ

かつて孟嘗君の配下が、虎牢関と並んで難攻不落を誇る函谷関を抜いた時の故事。
この時代、というか一般的に門が開くのは夜明け以降である。
そしてそれを示すのは一番鶏の鳴き声であり、孟嘗君の食客の一人が鶏の鳴き真似が上手かったからなんとかなったとかいう逸話である。
それにちなんで、あたしゃ函谷関よりもお安くないのよ、という清少納言のお言葉である。
いや、口説こうとしてこんなこと言われたらひくわー。間違いなくひくわー。
いや、意味は分かるよ?分かるけどどう答えたらいいのさ、という話である。そんな、普通の会話にそんなレベルの知識とそれを応用させての返答とか無理でしょ。俺は無理だ。
考えたら華琳とかネコミミとかはそこいらへんの要求レベル高そうである。下手な答えをするだけで好感度ダウンしそうな感じ。いまいちこう、俺を見る目が冷たいのはそこかなあ。くそ、文化人(インテリ)め!なんて時代だ!
などとぼんやりと考えている目の前で洛陽の門扉は音を立てて開いていく。
払暁にもまだ間がある未明のこと。別に鶏の真似をせんでも根回しさえしとけばこうやって開くということだ。そしてここからは速さが勝負。
ちらり、と振り返ると黒装束の軍団が控えている。彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。
フフ、怖いか?俺はちょっとだけ怖い。ちょっとだけよ。

「じゃ、いくか」

それを率いる俺はというと紀家軍の将らしく白装束である。黒を率いる白。うん、なんか小洒落たことを思いつくかなと思ったけど、そんなことは全然なかったぜ。俺の暗黒面(ちゅうに)は仕事をサボってるなあ。
見習いたい者である。
じゃなくて。

無言で付き従う髑髏の仮面兵団。うむ。呼んどいてなんだがね。改めて、ものっそい不気味この上ない。

……率いる俺がそう思うのだからまあ、恐怖というものを振りまくにはちょうどいいであろう。
きっとね、多分。おそらくメイビー。

◆◆◆

屍山血河が築かれていく。それは人の手によってもたらされている。その光景は控え目に言って凄惨、無惨と言えるであろう。
命乞いをする宦官。逃げ惑う宦官。立ち向かってくる宦官。そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。
髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。もはや虐殺と言っていい。
それらを睥睨し、ぴくとも表情を変えない紀霊。それをどこか可笑しげに眺めながら、彼は報告する。

「知恵の回る宦官は宮中に逃亡した模様です」

ち、と舌打ち一つ。

「いかがなさる?」

「疑わしきは、殺すべし。
 やるなら徹底的にやらんといかん。
 汚れは根こそぎ浄化するべし」

逡巡すら見せない。ここで後顧の憂いを断つ、とばかりに紀霊は命を下す。
にまり、と張郃は僅かに唇を歪ませて配下に命じる。

後宮のみならず宮中にも阿鼻叫喚が溢れる。溢れていく。
どれだけの返り血を浴びても張家の黒装束は其の色を変えない。ただ、死臭を纏うのみ。
官吏の幾人もが、ひげが生えていないというだけで冥府への旅路を余儀なくされる。
目端の利く者は、這い寄る死の気配から逃れるために局部を露わにして命を繋いだなどという話も残されているほどだ。

そして。

「な、なによ!私は一介の女官よ。どうして。あ!痛い!放しなさい!」

待ち人、来たる。

「逢いたかったぜ、李儒よ」

ぼそり、と呟く紀霊。そこには万感の思いが込められていても、声は枯れ果てている。
そして深く、ため息を。

その様に李儒は顔色を白くする。悟る。宦官誅滅。それすら欺瞞工作。その真意は宮中の奥にあり、手を出せない自分。それが主眼だと。

「な、なによ。どうするつもり?此度の董卓の暴挙については私のあずかり知らぬことよ。
私を責めるのはお門違いにも……び!
ぐ、ふ……。
が……」

容赦なく、幾度も加えられた鉄拳。
李儒は反吐と鮮血を撒き散らす。

「おお赤い赤い。
なんだなあ、中身は思ったより綺麗じゃないか。
もっとこう、どす黒い、名状しがたき何かが出てくると思ってたんだが」

倒れ伏す李儒に軽く――紀霊主観である――蹴りを加えてせせら笑う。

「な、にを。わた、しは。
漢朝の、た、めに」

抗う李儒の髪を掴み、倒れ伏していた顔を上に上げる。

「そりゃあ、ご立派なことだな。だがな、そんなことはどうでもいいのさ」

吐き捨てる。

「長かった。長かったぞ。こうして、お前と向き合える場。
俺がどれだけ逢いたかったか。少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」

くつくつ、と笑う紀霊に不吉なものを感じて李儒は。

「ま、待ちなさい。落ち着きなさい。わ、私を殺しても何も解決しないわよ。
そ、それに私は役に立つわよ。ねえ、それに、何でも言うこと聞くから。だから」

必死に媚を売る李儒に、いっそ穏やかと言っていい口調で紀霊は言う。

「何でも、って言ったか」

暫し瞑目し、食いしばった口からもたらされたのは、ただ一言。

「死、以外に貴様の出来ることはなさそうだな」

「ひ!嫌!死にたくない!逝きたくない!
た、助けて!お願い!」

お前が、手にかけた人たちは皆そう思っていたろうよ。

「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。
 渇かせてやろうか、飢えさせてやろうか。それとも永劫に痛み付けてやろうか。
色々考えていたがな。何も残さず無に還れ」

三尖刀を、一閃。
そしてこの日初めて紀家の白装束が朱く染まる。

「お見事。本懐を果たした気分はいかがかな」

「知るかよ。クソッタレな気分だよ」

だが、それでも。

「姐さんや雷薄。それに気のいいあいつら。みんな、死んだんだ。死んだんだぞ。
みんな死んじまったんだぞ!
それなのにさ、彼奴がのうのうと生きているなんて、おかしいだろう?
ああ、そうだな。気分爽快ってやつ。それを、多少の泥で濁らせたらこんなもんかな」

これで、前に進めるというもの。
嘯(うそぶ)く紀霊に笑みを一つ。それにしかめ面で紀霊が言う。

「何か文句でもあったら言っとけ。
 言いづらいなら七乃なり風にでも言っとけ。
 ため込んで、我慢して。それで、いいことなんてあんましないからな」

はあ、と遠い目をする紀霊に張郃は表情を改める。

「いえ、この身。
いかようにも使い潰してくだされば、と思いました、が。
 取り敢えず、どのようにお伝えしましょうか」

そうだな、と。暫し考えて。

「今回は、俺の私情で動いたところが大きいからなあ。
 まあ、いいや。」

紀霊は、笑う。

「復讐するは、我にあり」

その言葉を伝えられた彼女らは、共に微笑んだ。
その笑みの違いは、対面した張郃のみが知ることである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「復讐するは、我にあり」

もしくは、「朱く染まった日」

ええ感じのやつあったらオナシャス

更新乙ーい。

また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…

とりま今回のは
【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。

>>449
どもです。
嬉しいやつです。

>また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…
心のガソリンです。よろしくお願いします。

>【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。

>死装束を朱に染めて
これかっこいい。
今回じゃなくてもいつか使いたいです。メモらせてもらいますねっと。

乙でしたー
>>445
>>彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 今この場では率いてるのは二郎ですので
○彼らは張家の精鋭。そしてそれを統べる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 感覚的には(一時的に)二郎の右腕ポジ…あくまで、二郎より全員が下かな、と
>>見習いたい者である。  人じゃないので(多分二郎ちゃんが一番見習いたい相手は劉弁君?普通なら位に穴が開きそうだが)
○見習いたいものである。 何らかの物質なら【物である】ですが概念と言うか何かそんな感じなのでひらがなの方が良いと思います
>>446
>>そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。 この状況を印象付けたいのかもですが、ちょっと【いくのだ。】だと変なコミカルさが
○そのすべてが数瞬後には物言わぬ骸と化していくのだから。 前の文章の【凄惨、無残】にかける倒置法を使う感じでどうでしょう
>>髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。     【仮面を纏う】…仮面だと被る感じがしますが
○黒装束を纏った髑髏の面の集団による殺戮。 こんな感じでどうでしょう
>>447
>>少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」 李儒が欲しいだって?!
○少しは分かってほしいってもんさ、李儒さんよぉ」 補助形容詞なのでひらがなですね
>>「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。 闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
○「光射す世界に、汝ら闇黒、棲まう場所無し――。 (元ネタでは)闇黒そのものなんですね、じゃあ対象外ってことで、お疲れっしたーっす
>>それとも永劫に痛み付けてやろうか。 痛みを付ける?傷なら付けるものですが
○それとも永劫に痛め付けてやろうか。 と思ったら一応消えない痛みを残すとかの意味では存在するっぽい?まあ一般的にはこっちの方がなじみ深いかな、と(痛め付けるがなじむとかちょっと怖いなw)
>>これで、前に進めるというもの。   これはどっちの言葉か難しいな
○これで、前に進めるというものです。 (泥で濁らせたら云々と)嘯く紀霊に笑みを一つ(しながら言葉をかけた)のか
○これで、前に進めるというものさ。  (と)嘯く紀霊に笑みを一つ(投げかけた)のか…チョウゴウと雷簿の関係とか考えるとどっちのパターンでもそれぞれの言葉を発した感情とそれに対する受け取り方が色々あるから悩ましい
>>それで、いいことなんてあんましないからな」 間違いではないですが《あんま、しないからな》と読み間違えそうなので
○それで、いいことなんてあんまりないからな」 の方が良いと思います

死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ

>>451
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

いくつもなるほどですた。
じっくり検討させていただきます!

>闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
その場のノリで言っただけな台詞が二郎ちゃんを襲う!

>これはどっちの言葉か難しいな
二郎ちゃんと思ってましたが、含みができて、そのままの方がいいかもしれないなと思いました

>死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
ああ、これがあったか!これ使おうかな。使ったらやばいかな???

>董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
まあ、そうなりますよねえ。
何進は偉大だった

>紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ
愉悦というやつですね。
それはともかく、暴れん坊です。彼ら。

「やってくれたわね、二郎……」

日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。
その報せを聞いた曹操はぎり、と歯を噛みしめて呟いた。まさか、という思い。湧き起こる激情。

――時はしばし遡る。

◆◆◆

「華琳様!一大事です!」

曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。

「何だ、騒がしい」

このとき同衾していたのは夏候惇である。彼女が即座に起き上がり、曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。

「あんたはすっこんでなさい!一大事なのよ!」

尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。

「いいわ、桂花。貴女が一大事だと言うのだもの。よっぽどのことなのでしょう?」

情事の残り香。その色香にどきりとしながら荀彧は言葉を続ける。

「はい!」

そしてもたらされた情報は驚くべきものであった。

「なんと、宦官誅滅とは二郎め。
思い切ったことをするな……」

ふむ、と考え込む夏候惇を糾弾する声が起こる。

「あんた馬鹿?
いい?宦官ってのはね。華琳様の宮中におけるこれから政治的な後援者、後ろ盾になるはずだったのよ!
それが誅滅されてしまったらどうなるか!」

なんとなれば、曹操の出自は宦官なのである。その宦官は当然子をなすことが出来ない。そうしてとった養子、さらにその子。それが曹操だ。
であるからして、これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。そして曹操陣営は宦官勢力を友好勢力と見なしていたし、宦官にしても魚心あれば水心。他の勢力に比べれば気心もしれていようものであるからして。

「フン、なにをいまさら。これまでその宦官とやらが我らにどれほどのことをしてくれたというのか。第一、そんなもの一切なくとも華琳さまは飛翔なさる!
 少なくとも私はそう確信しているぞ」

言い争う配下。文武の要のそのやりとり。それに曹操はくすり、と笑みをこぼす。
ともすれば激発しそうな自分。そして、そうならないのは間違いなく、この二人の股肱のお蔭なのだ。

「落ち着きなさいな、二人とも」

それまでの激しい口論なぞ、毛ほどもなかったように二人は曹操の言葉に集中する。聞き入る。

「桂花、まずはご苦労様。
そして春蘭。貴女の言は薫風が如く心地よいもの。いつも以上に私を楽しませてくれたわ」

有難き幸せとばかりに、二人は曹操の前に膝をつく。

「でもね、桂花。無論、報(しら)せはそれだけではないのでしょう?」

曹操の笑みが深まる。

「は。袁家の一連の動き。夏侯淵将軍に――」

言い終わらぬうちに青い疾風が吹き込む。

「報告いたします。
袁家全軍、および公孫家、孫家が洛陽の城壁外に布陣を始めております。どうやら払暁よりも早くから動き出していた模様。
なお、四半刻もすればその陣構えは完了するかと」

怜悧な口調を崩さぬままに要点のみを主君に伝える。緊急と思えばこそ前口上も不要とばかりに簡潔に述べる。
曹操もそれを褒めこそすれ咎めるなぞしないであろう。それくらいの信頼関係はできている。
そしてその報に、言葉を失う。どういうことだと。

だが、ここにその例外がいる。

「ふむ、抜け駆けもここまでくれば見事なものだ」

誰あろう、夏候惇である。

「アンタね!何を呑気な!」

その言、即座に噛みついたのは荀彧である。これは彼女らの日常を再現しているようなものであろう。それにより、僅かに空気が弛緩する。

「兵は詭道なり。
騙される方が悪いと常々言っているのは貴様だろうに」

ギャンギャンと吠える軍師を半ばあきれたように見下ろして。
夏候惇はむしろ、不思議そうに問うのだ。
それに応える声は涼しく響く。

「まあ、姉者の言う通りではある。
それに、まだ我らはなにもしていないしされてもいない。これから如何様にでもなるだろうさ。
それはそうと姉者。流石に何か着るべきだと思うが」

ふむ、とばかりに頷き今更ながらに身づくろいを始める夏候惇。その様子にくすり、と笑って曹操は口を開く。

「秋蘭、まずはご苦労様。季衣は物見に残しているようね。いいでしょう。
そうね、初動はそれでいいわ。
 そして、実際に一杯喰わされてしまったのも確かなことよ」

だが、と曹操は不敵に笑う。

「この程度、窮地でもなんでもないわ。二郎がどのような絵図を描いたとしても私はその上をいきましょう。
 桂花、春蘭、秋蘭。まずは陣構えを!」

応とばかりに散る股肱の臣を満足げに見守り、曹操は誰にともなく呟く。

くすり。くすくす。

「ええ、二郎。
私を蚊帳の外においておくなんて――」

ひどいんだから。

薄闇に差し込む陽光を受け、その笑みは輝いていたのであった。

ここまですー感想とかくだしあー

題名はなんだろうなあ
覇王の目覚め
とかかなあ

おつしたー
何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ

タイトル案は「覇王のいぬ間に」で

乙でしたー 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
>>453
>>日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。  意味がかぶってるかなあ日が出るか出ないかの時が未明なので
○日輪がその姿を現すかどうかと言った未明のことである。 それとも【喫緊の問題も無く、久方ぶりにたっぷりと褥を楽しんだ、その未明のことである。】とかで曹操にとってまさに一杯食わされた感を出したりなんだり…どういう状況からの【未明】なのかを書くといいと思います
>>曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。     間違いと言うほどではないですが【目覚めたのは~声であった。】となるので
○曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声によってであった。 もしくは【曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声であった。】う~ん
○曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声によるものであった。  もしくは【曹操のこの日の目覚めは~】とかどうでしょう
>>曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。 【防ぐにようにで応じる。】?
○曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿で――応じる。 の方が良いと思います
>>尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。   【一大事】の内容を言い募るなら問題ないと思ったけどこれ【すっこんでなさい】の方か
○尚も言い争いを続けようとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。 【言い合い】とか【口喧嘩】とか【問答】も考えましたがちょっと違うかな…
>>そうしてとった養子、さらにその子。 間違いではないです
○それゆえとった養子、さらにその子。 【そうして】だと動機よりも手段の印象があるのでちょっと変更
>>これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。 久しぶりのケアレスミス
○これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとして想定するのは当然のこと。 もしくは【足掛かりとすることを】かな?

トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
自分だって袁家を怒らせないギリギリのラインで優位立てる状況ならするだろ?

>>455
乙ーい。

ちょいとひねって
【尊べ!電光石火】
といってみようかにゃ?

>>456
感想ありがとうございますー

>何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ
謀略というか、仕掛けた方が圧倒的に有利なんすよね
先手必勝は真理でございます

>タイトル案は「覇王のいぬ間に」で
覇王であったか。。。
覇王になりませんように。。。

>>457
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

> 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
わかりみw
でも使いたい!ちょっと考えます。

>トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
㌧でもねぇ
はおーが覇王になったらえらいこっちゃ祭りです

>この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
まさに曹家の大剣ですわ。ネコミミと仲良く?喧嘩する様は一生書いてられる。。。。

>あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね?

>>458
どもです。

>【尊べ!電光石火】
ひねった!ひねってきた!その捻りは想定外!



「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」

日輪が昇り、人が活動を始めるであろう時間帯。確かに日の出と共に起き、日の入りと共に床に就く生活が一般なこの時代――無論、贅沢に照明を使って夜を楽しむ者もいるが――では寝坊と言っていい時間帯である。

「愛紗、なんだ。まだ早いじゃないか。そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」

そう、慌てることはない。洛陽に兵を進めるのは日輪が中天に至ってから。大所帯という訳でもないし、最近は随分と統制も取れてきている。精々半刻もあれば準備は整うであろう。
それに、昨日はまあ、戦勝の前祝ということらしく大盤振る舞いがあった。それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ!
大いに飲み、食い、騒いだ。そしてまあ、すこしくらいは呑み過ぎてしまったのも確かではあるが。なにせ袁家秘蔵の火酒なるものはそれまでの酒と比べ、明らかに別物といっていいもの。喉を焼く感覚、まさに火酒であった。味見程度とはいえ、関羽もそれを味わっていたはずなのだが――。

「それです!洛陽への道がふさがれております!」

「なんだって?もう、敵はいないんじゃなかったのか!」

一体、誰が、と。
その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。

「袁家、でしょうか。それに追随する軍閥――白蓮さんあたりと見ました」

「そ、その通りだ。それに付け加えて、孫家だった」

牙門旗を確認した限りではだが、と関羽は毒気を抜かれたように呟く。

「もし、敵対する勢力であるならば昨夜、或いは日の出と共に私たちを含む反董卓連合はうち滅ぼされていたでしょう。もしくは、袁家が防衛戦を繰り広げていたはず。
 ですから、ことここに至っては袁家のみがそれを可能とするのです」

「え、でもなんでなの?なんで袁紹さんはそんなことするんだろ」

不思議そうに小首を傾げる劉備に諸葛亮は苦笑する。

「勿論、理由はありますし、推論はありますがそれはあやふやなものです。
 ですから、行きましょう。私たちが抱くその疑問は他の諸侯軍も持つものです。
 きっとその答えがあるはずです」

にこり、と笑う諸葛亮に北郷一刀は安堵を覚える。
なに、絶対無敵の軍師がそう言うならばきっとそうなのだろう、と。

◆◆◆

「さて、馬家軍か。どうなることやら」

公孫賛はわずかに苦笑する。公孫がその軍を展開するのはちょうど馬家軍の正面あたり。
袁家の差配に馬家が不穏な動きあらば抑えるのが役割となっている。

「……貧乏くじと思っている?」

すぐそばに控える韓浩が問うてくる。
くすり、と笑みが浮かぶのを制せない。なんとなれば戦場でそのような、彼女のような存在が脇にあったことなぞ、ついぞなかったのだから。

「いや、本懐だな」

感慨深く公孫賛は言う。
それは脇に参謀、或いは副将という存在がいるということだけではない。

「だってそうだろう?洛陽の無辜の民。その安寧を守れるのだろう?
 これほどの喜びがあるもんか」

――公孫賛は北方の弱小軍閥の出である。
常に匈奴の脅威に晒され、抗い、戦ってきた。
その戦いは常に受け身。侵入する匈奴に対する対処に過ぎない。

――天高く、馬肥ゆる秋。
それは公孫賛にとって、北方の漢民族にとっては戦慄の季節。匈奴が長城を越えてやってくる季節のことに他ならない。その文句は間違っても豊穣を祝う意味ではないのだ。

そして訪れる災厄。男は殺され、女子供は犯され、浚われる。
その惨状に幾度無念とわが身の無力を嘆いたか。

替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。

だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。

そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。

「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」

公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。

「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
 この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」

あくまで淡々と韓浩は呟く。

「お、おう」

常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。

「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」

是、と迷いなく韓浩は頷く。

「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
 ……愛されているようでなにより」

「な!」

かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。

どうやら、本心からの言葉だったようである。

……それはそれでなんだかなあ。

何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。

「――何か?」

「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」

まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。

単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。

それもこれも。

「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」

くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。

無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。

替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。

だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。

そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。

「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」

公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。

「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
 この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」

あくまで淡々と韓浩は呟く。

「お、おう」

常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。

「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」

是、と迷いなく韓浩は頷く。

「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
 ……愛されているようでなにより」

「な!」

かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。

どうやら、本心からの言葉だったようである。

……それはそれでなんだかなあ。

何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。

「――何か?」

「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」

まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。

単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。

それもこれも。

「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」

くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。

無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案は「地味様の憂鬱、或いは腹心との語らい」

そんな感じです

乙でしたー>>はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね? はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
>>460
>>「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」  補助動詞なので
○「ご主人様!桃香様!お目覚めください!一大事です!」 ですね(わかりやすい例文としては【上着を脱いでください】これを漢字にすると上着が欲しいことになります)
>>それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ!  ちゃんと仕事ができる程度には出してたと思うんだけど…大食漢の分とか水増し請求して睨まれたんじゃねーの?
○それまでは散々出し渋っていた兵糧のみならず酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ!  【拠出】だと出し合うことなので(まあ兵力は出してたんでしょうけど)袁家に集ってしかいないのに面の皮厚いっすわ。ちなみに兵糧は必要な食糧なので《食料だけじゃなくて嗜好品まで》って意味でこの方が良いと思います
>>その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。 【誰が?】という問いに対しては
○その問いに関羽が答えるより先に口を開くのは諸葛亮。 こうですね《袁家が?》という問いなら《是、と応える》のもありですが
>>462
>>「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。 反董卓連合に商会が商会として戦力出してるの?
○「なに、袁家の長弓兵も後詰に来ている。     普通に袁家が徴兵した(という建前の)一般兵でいい気がする(賤業の私兵とか諸侯勢力からいらんいちゃもん付けられそうだし)
>>463 丸っと重複してますね

>>夜を楽しむ者もいる…アッ(察し)モゲレバイイノニ
>>そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」 【よっぽど】じゃなくても寝過ごしたことを恥じろ。そもそも一大事って言われてんだろ山賊の奇襲報告だったらどうすんだよ
絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ

>>465
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ

> はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
ぐうの音も出ない正論ですw
でもネコミミの欠点ここなんですよねえ。。どう考えても。。。
はおーが覇王になれない一因ですわこれ
稟ちゃんさんと風ちゃんがいたら問題なく覇王になってたんだろうなあと。

>絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
普段飲んでない人間が蒸留酒飲むと頭痛いし吐き気もするしで、ある意味毒を盛ったのと変わらないっしょw

>そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?
「一理ある。だが新参かつ外様の自分は分をわきまえるのがよかろう」
とのことです。お堅い!

>地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
これはひどい案件ですわw
そしてそれを快く送り出す人の良さよ!
ねえ。。。

ざわめきが徐々に、だが確実に広がっていく。

日輪が昇り切り、前夜の狂騒の残滓を振り払ってのそりと起き出した諸侯軍は端的に言って戸惑っていた。
これよりは洛陽に進軍するのみ。もはや抵抗勢力はなく、進軍するのみ。だのに。
なぜ洛陽への道は既に陣構えを終えた軍勢によって塞がれているのであろうか、と。

「物流に難がある洛陽では反董卓連合の大軍を受け容れる余地がない」

袁家からはそのような事情を説明する書状が回されてくるが、それで納得する諸侯軍ではない。

「なるほど、確かに凄い人数だもんな。そりゃあ混乱するか。でもそれにしたらものものしくないか?」

北郷一刀は浮かんだ疑問を口にする。

「はい。確かにそうです。あれは、断固として通さないという袁家の意思表示がうかがえます」

「でも、何で袁家軍だけじゃなく諸侯軍も殺気立ってるんだ?」

膠着した状況が暫し続き、諸侯軍からは不穏な気配が立ち上る。そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。たまったものではない。
そう、たまったものではないのだ。

「それは……」

そして諸葛亮は口ごもる。果たしてそれを聞かせていいものか。

「朱里、分かっているなら教えてくれないか」

そう、言われてしまえば否やはない。

「……諸侯軍は常備軍ではありません。それが最大の理由です」

「どういうことだい?」

首を傾げる北郷一刀と劉備に鳳統が言葉を続ける。

「諸侯軍の兵力。それは正規の兵ではありません。極端な話、そこいらの農民、流民に武器をもたせただけというのが実態です」

まあ、それは自分たち義勇軍も変わらないのではあるが。

「戸籍のしっかりした民を動員すればするほど手元の領内の収入は減ります。そしてそれは動員された兵も同じく、です」

武具、糧食に費やされた軍費。それは諸侯の財政を圧迫する。誰がこのように大規模な出兵――それも長期間の、だ――を想定なぞしていようか。

「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」

この時代、進軍に伴う略奪は黙認されている。そして貧しい寒村ならばともかく、これから進軍するのは肥え太った洛陽である。どれだけの富が蓄えられていることか。そしてその富を分捕った後は領地に帰るだけなのだ。

「そんな……ひどい……」

劉備の悲しげな言葉にやはり言うべきではなかったか、と諸葛亮は僅かに後悔する。

「でも、じゃあ、どうして袁家は……あれじゃまるで洛陽を守っているみたいじゃないか」

北郷一刀の言は正しい。正しく袁家は洛陽を守護しようとしているのであろう。なぜならば。

「袁術殿が入内されます。故に洛陽が荒れるのは看過できないということでしょう。そして、兵を蓄えた諸侯軍は実に目障り。あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」

「そんな……乱暴な!」

もっとやり様があるだろうにと北郷一刀は憤慨する。
下手をすれば洛陽は火の海になるだろう。彼の知っている歴史と同じく。
その憤懣、或いは悲嘆。
だが、と思い諸葛亮は傍らの親友に問う。

「……雛里ちゃん、あれ、抜ける?」

こと、千変万化たる戦場の機微に関して諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。

「無理だよ、朱里ちゃん。中央に陣取る顔家軍の重厚さ。左右を固める孫家軍と公孫。どっちも陣構えだけでその歴戦が分かるよ。そこに遊軍として紀家軍。決戦勢力として文家軍がいるんだよ?しかも本陣は更に分厚い袁家旗本。
あれを抜くなら、倍は、欲しいな」

実際、反董卓連合と言ってもその内実は袁家軍単独でも成り立つもの。
そしてその威容があるからこそ大多数の諸侯を前にしても袁家軍は揺るがない。質、量ともに恐るべきものである。将帥も、兵卒も。

「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。
 桃香様、ご主人様。恋さんでもいない限り目の前の陣を突破することはまず無理でしょう」

「じゃあ、それが鈴々と愛紗ならどうだろう」

ふと、好奇心で北郷一刀はそう尋ねてみる。

「……何とも言えません。私からはなんとも。雛里ちゃん、どう?」

急に話を振られた鳳統は慌てつつも所見を述べる。

「あわわ……。駄目です。勝ち目はないです。
 まずもってお二人を前線に出したならば、敵はこちらの本陣を急襲してくるでしょう。
 と言って、どちらかお一人ならば星さんに足止めさせられます」

それに、あの呂布に手傷を負わせた顔良もいる。改めて袁家の分厚い陣容を再認識する。個の武勇でどうこうできるものではない。
いや、そもそも一騎打ちの優劣で戦場を語ってはいけない。そのような偶発的な状況を許すほど袁家は甘くないだろう。
少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。質も量もまるで足りない。将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。未だ中華に影響を与える打ち手としてはその前提とする力がまるで足りないのだ。
この場で、一石を投じるとすればせめて馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。

「あ……!」

そしてその、状況を動かすに足る陣営が動く。

「あれは……?」

北郷一刀の呟き。

そう。
曹家軍きっての猛将夏候惇。それが少数の手勢を率いて、陣取る袁家軍に相対する。
陣頭の夏候惇は高らかに口を開く。

「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!いざ尋常に応えられたし!」

そして状況を動かすのは曹操。夏候惇の口上を満足げに、不敵に笑いながら見守る。
その根底には怒りがある。

よくも自分をのけものにしてくれたな、と。
やられたままではいられない。それが曹操である。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名未定です

乙でしたー
>>467
>>そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。 間違いではないですが
○そう、諸侯軍からすれば上前をはねられたようなものである。  まあ好みの問題かな
>>そう、言われてしまえば否やはない。 《そうなってしまえば》と同じような使い方なので
○そう言われてしまえば否やはない。  の方が良いと思います
>>「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」 間違いではないですがこれだと《こっちに来い》感が強いというか罠をはって相手が掛かるのを待ってるような印象があるので
○「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち望んでいたのでしょう」 もっとSAGEしたいなら【進軍を舌なめずりしていた】とか?こいつどっちも糞とか考えてそうだしなあ…【進軍の時を待ちわびていた】とかどうでしょう
>>468
>>諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。 【譲る】だと上位者が下位者に。の印象があるのでちょっと違和感が
○諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も劣るのを自覚している。 もしくは【鳳統に一歩二歩及ばないのを】だと負けん気の強さが出るかな?【鳳統には引けをとるのを】だとガチで客観視してる感じが出せる…なおご主人様の寵愛を考えるとこうはできないだろうね
>>左右を固める孫家軍と公孫。   単騎?軍の体をなしてない寄せ集めの揶揄?
○左右を固める孫家軍と公孫家軍。 (精鋭で)数が少ないから【公孫】呼びなのかな?

>>あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」 本気でそれをやるなら食料に毒なり薬なり混ぜるだろうしそんなつもりが無いこと分かって言ってるのかねえ
>>「そんな……乱暴な!」 案の定推論を真実にして袁家に怒り向けてるしw董卓の治めてた洛陽を守ってるという事実から見直そうとは…しないんだなあ
ちょっとご飯食べてきます

さて続きを
>>468
>>「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。  ちょっと読みづらいような?
〇「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りだと思う。 の方が良いと思います
>>少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。 【歯噛みする】は慣用句なのでこの書き方だと≪内心はらわたが煮えくり返る≫のような…まあそれを知られたくないならありかもですが
〇少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は歯噛みする。   敬愛するご主人様に「できるか?」と聞かれて「できない」と答えるなら悔しそうな顔を隠す意味もないでしょうし
>>将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。             何かが足りないけど何が足りないのか
〇将帥の優秀さならば引けを取らない自負がある故にそれが残念でならない。 兵の質、量と将の量で大敗してるけどここだけは勝ってると(無い)胸を張ってそう
>>馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。 結構ひっ迫した状況なのに危機感というか緊張感が足りない気がする
〇馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことには話にもならない。 【も】を入れることで強調されるので…例えば≪戦いにならない≫と≪戦いにもならない≫だと後者の方が差があるような気がします

袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。

>>471
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
今のところ、はおーです。まだ。

>そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
これには笑いましたw
自分たちが世界の中心であるという万能感。若者の特権的なやつをこじらせてる感じですかね。
ここまであんまりいいところないですからねえ。。。

「ご報告申し上げます!今上陛下劉弁様ご無事!並びに紀霊将軍は宦官誅滅したとのことです!」

伝令の声に張りつめていた室の空気が僅かに緩む。

「ご苦労様です。下がってよろしい」

そして平淡に響く郭嘉の声が、盛り上がりかけた場を引き締める。
なんとなれば、まだことが終わったわけではない。この、本営にありて諸侯軍と対峙する彼らにとってはこれからが本番といってもいい。

「ふむ、まずは陛下のご無事を確保できたようですな」

口を開いたのは張魯である。彼が華佗と共にこの本陣にいる意味は極めて大きい。
張魯と華佗以外に袁家以外の人物となると、孫尚香くらいのものである。袁紹と、彼女を補佐する郭嘉。その護衛に楽進。袁術と孫尚香。その二人を典韋が守護している。まあ、袁術と孫尚香については孫家守護獣たる白虎に埋もれて安らかな寝息を立てているのではあるが。
ともかく、この場に五斗米道の二人がいるというのはこの上ない意味を持つ。漢中という要衝に根拠を置く五斗米道。南は劉焉、北は韓遂から有形無形の圧力を受けているその地、この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。
まあ、袁家の重要人物が負傷した時の備えという意味もある。なにせ、即死でなければどのような傷病であっても治してみせるという神仙の如き奇跡をもたらす、まさに神医なのだ。張魯も華佗も。

「当然ですわ。二郎さんが陣頭指揮されてるのですもの」

くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。その背には光輝すら幻視されるほど。

「なるほど。二郎君は随分と信用されているようだ」

あら。これは心外な、と袁紹は異を唱える。

「信頼ですわよ?張魯さん」

「これは一本取られましたな」

ひとしきり笑みを漏らした後に、問う。

「ここからが難しいところですな。諸侯はいずれも洛陽の財貨を当てにしているのでしょう。
 果たして、退けと言って退くものですかな?」

常に強大な勢力に脅かされてきた張魯としては疑問を呈さざるをえない。なんとなれば、利害、利益というものは道理や倫理を軽く踏みつぶすものだからして。

「郭嘉さん?」

袁紹はくすり、と笑って傍らの軍師に答えさせる。

「は。確かに諸侯軍は収まらないでしょう。ですが、それでも袁家軍と正面切ってまでの覚悟がある諸侯なぞおりません。
 いえ、この戦力差で暴発するような愚物があるのならばこの場で潰してしまうのが最善。
 そう、判断しております」

そう言いながらも郭嘉がその動きを読めないでいるのが曹家と馬家である。
前者はその計り知れない智謀において。後者はその果断なる蛮勇において、だ。もっとも、どのように動いても、必要とあらば叩き潰すだけの準備はしている。
郭嘉としてみれば、いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、抵抗勢力、反抗勢力は顕在化させておいた方がいい、という張勲の言。それを紀霊が容れたことによって、心ならずも。この上なく不本意ではあるのだが、大鉈を振るう機会を逸してしまっている。

それはいい。決まったことである。決まったことだ。
与えられた条件下で最善を尽くすのが軍師の役目、とばかりに郭嘉は思考を切り替える。
これより先において彼女の出番があるとすれば、最悪の事態が起こった時のみであろう。
だが、そうはならない。その確信がある。なんとなれば。

「曹家軍に動きあり!陣頭には夏候惇将軍!後詰に夏侯淵将軍!兵力は五百強!」

やはり。状況を動かすのは曹家軍かと郭嘉は深く頷く。

「郭嘉さん?」

袁紹の問いにも臆することなく応える。何を畏れることがあろうか。なんとなれば郭嘉は、考えうる最良の一手を既に打ってある。

「は。ご心配なく。
 なにせ、我が軍には一騎当千たる趙子龍がおります故に」

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
でもまあ、前とくっつけた感じにした方がよさそうですね。
次回、趙雲VS夏候惇
ご期待くださいませませ。

>>474
乙ーい。
そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。

乙でしたー
>>473
>>この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 この場合【それ(この勢力)を袁家が後ろ盾になるということを】となるとちょっと接続詞に違和感が
○この勢力。それに袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 の方が良いと思います
>>いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、 どんだけ潰したいんだよってくらい【ある】連呼してますがちょっと読みづらいかな
○いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかという思いもあるのである。そうではあるのだが、  この場合は郭嘉の心情が《やれるなら積極的にやりたい》のか《やれるならまあやってもいい(あるにはある)》のか《やれるならやりたくはないけどやらざるを得ない(ないではない)》のか

将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
>>くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。 あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。

>>475
どもです。

>そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
やっぱりそうですよねー
あっちと繋げていこうそうしよう

>んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。
洛陽入れたいなー血に染めてもいいなー
ヨシ!

>>476
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
言われてみれば確かにそんな感じですね。しかし英傑の対比に袁紹が出てくるのが珍しいことよ。。。普通は孫権だもんで

>尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
出ると負け軍師。。。
田豊と沮授の派閥が勝ってればなあ。いや、史実で曹操が負けると困るんですけどね

>あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
高笑いだけじゃないんです!しっとりできるんです!やはり麗羽様が出ると持って行きますね

えっ孫権?…こいつならできると知ってるから将を任せる。もし失敗するなら私が知らない何らかの要因があったせいだから私が悪い
多分これを無意識で行ってるタイプ

「な、なんだってんだ……?」

端的に言って馬超は混乱していた。なんとなれば、洛陽を守護するが如く袁家軍は布陣しているのだ。そして士気も高い。見ただけで分かる。あれを抜くとなると苦労しそうだ。そんなことを思うほどに。

「お姉さま、本気でそれ言ってる?」

呆れたような馬岱の台詞に馬超は柳眉を逆立てる。

「当たり前だろう!あれじゃあ、喧嘩を売られているようなものじゃないか!」

はあ。と馬岱はこれ見よがしに、ため息を通常の三倍くらいに増量して吐き出す。

「ええとね、お姉さまが本気でそう言ってるのはさ。たんぽぽも分かったよ。分かりたくなかったけど。
 うん。これには流石にたんぽぽもびっくりだよー。ほんとにね。
 だってさ、昨日、張勲さんが来てたでしょ?」

じとり、となんとも言えない馬岱の視線にさしもの馬超もたじろぐ。

「そ、それはもちろん覚えてるぞ。酒肴をたっぷりと持ってきてくれたことも」

戦場暮らしには慣れているとはいえ、袁家秘蔵の火酒に、戦場食とは思えない料理の数々であったと馬超は頷く。

「そうだよねー。お姉さま、それで気持ちよく酔っぱらってたもんね。むしろ酔いつぶれてた気配すらあったもんね。
張勲さんの相手とかぜーんぶたんぽぽに押し付けて、さ」

「な、なんだよ」

「ほんと、覚えてないんだなあってさ。
昨日張勲さんが言ってたじゃない。諸侯軍の不埒な動きに対するために洛陽へは入らせないって。
 それで、お姉さまが漢朝、官軍と相対するのはいかがなものかって言ったから、馬家軍は静観することになったじゃない」

ちなみにここまでの馬岱の言説は虚実入り混じったものである。

「そ、そうだったか?」

焦り気味の馬超の態度に、上手く思考誘導ができたかと思うが気を緩めるわけにはいかない。

「そうだったよ!
 ほんとにもー。ひょっとしたらと思ったけど、そこまで前後不覚になったのはまずいんじゃないかなあ。
 気を緩めすぎだよ」

尚も言いつのろうとする馬岱が口を開く前に馬超は言葉をかぶせる。

「む、曹家軍が動いたか」

若干以上の後ろめたさを隠すように、必要以上に声高に曹家軍の動きを口にする。

「なんだ。五百もいないぞ。だが、率いるのは夏候惇。それに……兵に混じって夏侯淵もいるな」

流石の眼力だ、と馬岱は内心で従姉を賞賛する。何かを糊塗するかのような態度さえなければ実際大したものだと感銘を受ける者も多かったであろうに。
そして張勲の言説通り、場を動かすのは曹家軍だったかと状況を認識し、覚悟を決める。
なんとなれば、内々に張勲の口から馬家軍は仮想敵として想定されているというロクでもない情報がもたらされているのだ。
これを目の前の従姉が知ったならばどうなるか。いや、普通に暴発するだろうなあと馬岱は思う。

「もー、どうにでもなあれ」

馬岱の本音である。が、状況はそれを許さない。

「あれは、趙雲か」

単騎で曹家軍に対峙する白装束の武将。それは。その人物こそは。

「うん。一騎当千、だね」

ごくり、とさしもの馬岱も生唾を飲み込む。
単騎であの呂布と渡り合い、退かせたのだ。呂布の武勇は涼州にて轡を並べた自分たちが一番よく知っている。あの、呂布だ。呂布なのだ。あの人外と言っていい、いわば化け物と単騎で打ち合い、退かせたなぞ。
実際ありえない。だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。
そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。

◆◆◆


「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!
いざ尋常に応えられたし!」

見事な口上である。なにより見事なのはその声量だ。戦場においては声量というのは馬鹿に出来ない。その指示を行き渡らせるに必須の、或いは将としての素質。

「問おう。何故に洛陽への道を閉ざすのか」

朗々と響き渡る夏候惇の声。だが、対する趙雲の声も負けてはいない。玲瓏たる響きは、質こそ違えど敵味方問わず浸透する。
夏候惇が雷鳴ならば趙雲は地鳴り。腹に響き、否応なく認識するそれ。袁家の古参は雷薄を連想した。そしてそれは正しい。

「おや、曹家には伝わっていなかったかな。
数万に及ぶ軍勢を容れる準備なぞ洛陽にはない。無用の混乱は求めるところではないだろう」

その言に夏候惇はにまり、と口をゆがめる。

「笑止!それならばそれで構わんとも!だがな!いささか勝手がすぎるというものだろうが」

趙雲は、それがどうしたとばかりに。

「は、既に諸侯軍のはねっかえりどもが凶行に及んでいるがな。それを知らぬとでも言うのか」

「知らんな。知っているのはそう、貴殿らがこともあろうに禁中にて血を流したことくらいか。宦官誅滅とはまた思い切ったものだ、な」

◆◆◆

「何だって!」

驚愕、それが激昂となる直前に馬岱は口を挟む。

「そっかー。二郎様ってば、ようやく仇を討てたんだね。よかったよー」

気勢を逸らされた格好の馬超は馬岱に問いかける。

「ちょっと待て、どういうことだ?」

馬岱は苦笑しつつも言葉を選びつつ宦官と袁家……紀霊との因縁を語る。
それを聞き、馬超はむむむ、と唸る。

「だからね、二郎様は本懐を果たしたんだよ。ようやくね。
うん。ようやっと、だね」

いつになくしおらしく、しんみりとした馬岱。その双眸には、涙すら浮かんでいる。
いつもおちゃらけている態度、へらへらとしている馬岱。だからこそ、その涙は馬超の胸を打つ。

「そうか……。そうだな。それは譲れない、よな」

自分とて父たる馬騰の復讐に燃えていたのだ。その心根は痛いほどに分かる。
そして、願わくばあの青年が、復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。
彼女は心の底からそう願う。

「それはそうとして、曹家は収まらんだろう。いや。だからこそ夏候惇が出たのか」

宦官をその支持基盤とする曹家。宦官を誅滅するということは曹家に喧嘩を売るに等しい。
洛陽という果実を目の前にしてお預けを喰らっている諸侯軍の不穏な空気を背負い、仕掛けるつもりかと馬超は訝(いぶか)る。仲間内で争っている場合かよと内心呆れる。
……この時馬超にこの場をどうこうしようという発想はない。それを認識して馬岱は内心安堵する。
これでよい、とばかりに。やりきった、とばかりに。

そしてこの場を支配する二人がどうこの場を動かすのかと無責任に好奇心を優先させることにする。元来、あれやこれやと思い悩むのは向いてないのだ。

◆◆◆

「ほう、曹家には順風耳がいるようだ。そしてそれはご不満かね」

あからさまに挑発混じり。
その趙雲の台詞に夏候惇は答える。

「正直、私個人としてはどうでもいい。主たる華琳様に乞うてまでこの場にいるのはな。
 一騎当千と謳(うた)われる貴殿と手合せをしたいからよ。かの万夫不当を単身追い返した貴殿と、な。
 まさか、否とは言わんだろう?」

ちゃきり、と七星餓狼を構える夏候惇。

「曹家の大剣たる貴殿のお誘い。
無論受けるとも」

くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。それを手にして構える。
ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。

「先手は、譲ろう。
いざ、尋常に」

◆◆◆


「よくぞ言った。では、遠慮せん!」

突風。或いは暴風であろうか。夏候惇の一撃を趙雲は辛うじて躱す。

「おおおおおおおおおおおお!」

雄叫びと共に繰り出される一撃には一見隙がありそうなものだが。

「ちいっ!」

必殺の斬撃が迫る。躱せば続いてまた必殺の一撃が襲いかかる。暴風のような連撃。それはいずれも、掠るだけで致命傷になりかねない。それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。

「なるほど、これは厄介極まりない!」

思わず愚痴と称賛の入り混じったものが漏れる。
自分の武が夏候惇に劣るとは思わない。少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。

「どうしたどうした!」

必殺の一撃。夏候惇は次々と斬撃を繰り出す。

「なんとぉ!」

心ならずも紙一重で躱す。そして僅かな猶予で反撃を図るも。
ぞくり、と背筋に悪寒が走る。

「おおおおおおお!」

刹那の硬直。それを見逃す夏候惇ではない。次の一撃を繰り出してくる。

「これは下がって、下がりまくるしかないか……」

誰ともなく趙雲は呟き、巧みな運足でその身を隠す。誰あろう夏侯淵から、である。
だが、それでも、だ。夏侯淵の視線は明確な殺意をもって趙雲を視線のみで貫く。
一矢一殺。
その妙技も恐るべきものではある。何せ人馬一体となったあの呂布をして愛馬を喪わせたくらいなのだ。そして趙雲は舌打ちを重ねる。
いっそ可視化できるくらいの殺意。全身を貫く射線。瞬き一つのうちに貫かれるという確信。一歩、二歩と技巧の限りを尽くして距離をとるくらいしか対策はない。

「正直、たまらんな……」

不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、夏候姉妹の連携は完璧であった。これが実戦ならば、と思うと暗鬱としてしまうほどである。

「はっはは!見事。小手調べでは失礼だな!ならば受けよ、必殺の一撃を!」

す、と夏候惇は腕を上げる。
それまで絶えず趙雲を捕捉していた殺気が霧消する。ほ、と息を吐くその瞬間に押し寄せる気迫。

「おおおおおおおおおおお!」

その艶やかな黒髪が逆立つのを幻視すらするほどの気迫。天を衝かんばかりの気迫と共に夏候惇は愛刀である七星餓狼を振りおろす。

「く!」

殺った。その確信をもって振るうその一撃。それを振り下ろそうとするその瞬間。悪寒が夏候惇の背筋を駆けあがる。咄嗟に斬撃の勢いそのままに前方に転げてその悪寒を躱す。

「小癪な!」

再び、必殺の一撃を放とうとするが。

「なんとぉ!」

確かに先手を取ったはずの夏候惇を趙雲の一撃が襲う。無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。

「面妖な……」

吐き捨てながらも、夏候惇は沸く。纏わりつく死の気配。ここまでの武芸者に会えたという幸運、更には矛を交えているという僥倖。
ニヤリ、と口角を吊り上げてただ目の前の獲物を屠るために全身全霊を特化していく。
我こそは曹家の大剣。ならば断てぬ者はなし。
乾坤一擲。例えこの身が儚くなろうとも、だ。骨を斬らせて命を絶つ。それこそがこの身の在り方。
趙子龍よ。
我が必殺の一撃、受けてみるか。

「姉者!」

そんな夏候惇の思考を断ったのは妹の叫び。窘めるような、それでいて必死な響きが夏候惇の物騒な思考を遮る。
そうだ。そうじゃあなかった。忘れていたわけではないのだが。
残念無念。しかして自分の存念よりも大事なことがある。あるのだ。

「ふ、はは!見事。流石一騎当千の異名は伊達ではないな!
本気で貴公と命のやり取りを楽しむ心算であったわ」

ふう、と一息吐いて趙雲は応える。

「ふむ。ご満足いただけたかな?」

ニヤリ、と双方が笑みを浮かべる。視線は互いに逸らさない。
そして数瞬の火花。だが、口を開いたのは夏候惇であった。

「馳走になった。
いや、かの万夫不当を単騎で退けた武威、確かなり。
 いやさ。いずれまた手合せ願いたいものだ」

ほう、と頷きながらも趙雲は構えを崩さない。

「ご満悦のようだが、それでいいのか?」

むしろ趙雲が訝しげに問う。

「なに、あれこれ能書きを垂れたがな。それもこれも貴公と遣り合っていたらどうでもよくなった。
第一、だ。我が主華琳様は賢明なお方だ。
どうして漢朝に弓引くことあろうか」

呵呵大笑して夏候惇は宣言する。

「これより曹家軍は洛陽の守護者となる。聞いたぞ、知ったぞ!
 無辜なる民を締め上げて私腹を肥やす、肥やそうとする者ども!
この夏候惇の目が黒いうちには好きにはさせんぞ!
命が惜しくないならばかかってこい!」

吠える夏候惇の気迫に圧されたのか、集う諸侯から異議が出されることはなかった。

――反董卓連合の、勝利が確定したのはこの時であった。というのが通説である。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
だって「星VS姉者」とかが原案なんすよ
ぼすけて

ぼすけて

>>484
ほいほい乙乙

【拳で語るは大義名分】といったところ?

乙でしたー
>>479
>>だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。 間違いではないですが好みの問題で
○だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられるわけがない。 否定からの肯定よりも肯定からの否定の方が印象が強いかな、と
>>そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。 引き裂かれた思いとか失恋っぽいw
○そして、趙雲に対する思考を清冽な声が切り裂く。 【引き裂く】だと《ビリッ》て感じですがこの場合は【切り裂く】で≪スパっ≫て感じの方が合いそうかな
>>480
>>復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。 復讐は何も生まない…だからお前はそんなものに囚われずに生きろ(親の仇を殺したらその子供がいたので言ってみる)
○復讐という不毛な感情から解放されてほしいものだ。 すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
>>481
>>くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。 【螺旋】って雑に言うとドリルみたいなものよね?…魔改造した?それともヒュンケルのブラッディ―スクライドみたいな動かし方を手元でしてるのかしら。大穴は螺旋をペイントしてるとか
○くるり、くるりと円を描く愛槍龍牙。    むしろ【くるり、くるりと愛槍龍牙で円を描く。】の方が良いかな?イメージは風車というか新体操のバトンみたいな?合ってるかわかりませんが
>>ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。 【見栄】は張るのが一般的かな(虚勢をはる。みたいな意味(見栄っ張り)です)多分感覚的には無いものを有るように見せる?
○ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見得を切る。 歌舞伎とかの《大見得を切る》から来るらしいですが大げさな声や動きで耳目を集めるというか…多分感覚的には大きいものをより大きく?
>>482
>>それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。 これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
○それを趙雲は軽やかに躱す。ただし辛うじて、だ。 もしくは【それを趙雲は辛うじて躱す。だがその顔はあくまでも涼やかだ。】先手を譲ったからには内心はどうあれ格好つけるかな?ということでこんな感じでどうでしょう?
>>少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。   これ最後のはちょっと後の夏侯淵の殺気に掛かってますよね
○少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは……。 単純に夏侯惇への称賛に繋がるなら【追い詰めるとは。】が良いと思いますが【……】を付けて含みを持たせて(何かある)と読者に思わせるのが良さそうかな?
>>483
>>不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、 【無敵】が本領とか【全知】が本領の伏龍じゃないんだから
○不敵で無敵を自負する趙雲ですら弱音を吐くほどに、  《私は不敵で無敵だ!》と思っててそうあろうとしてる。みたいな印象なので【自負】かなあ?
>>無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。  悲鳴を上げるから軋むんじゃない。軋むから悲鳴を上げるのだ(どやあ)
○無理やりに躱すその動作に頑強な身体が軋(きし)み、悲鳴を上げる。 冗談はともかく実際に《ミシミシ》とか《メキメキ》とか夏侯惇が聞こえたならこうで、前後逆にしないなら【悲鳴を上げるように軋(きし)む】こっちなら(音がしそうだ)と思ってる感じですね

拳っていうか剣で語ってた…で良いのか?(汗)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?

>>485
どもです。

>【拳で語るは大義名分】といったところ?
やだ、かっこいい。。。
ジャンプとかで連載されてる気分になってしまったのことですわよ。
こういうの、思いつかないのだよなあ。妬ましい。
折角だから熱い感じにしたいですね!

>>486
赤ペン先生いつもありがとうございますー!ほんと。

>すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
流石に草不可避w

> これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
これ、わざとぼかしてます。どこがキモかは解釈次第と。分かりやすい方がええかなあ。。。

>)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
これは、はおーも二郎ちゃんも理解の外じゃないかなあ。。

>実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…
これは一騎打ちをどう考えるかという読み手様の解釈次第と思ってます。
まあ、一騎打ちシーンはKOEI三国志で実際テストプレイしてるんですよね。無駄に。
三人まで参戦できるアレです。

>ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
当時のダイスロール判定がね。本当にね。

困ったものです

ああいや、この場合の主二人が知ってることっていうのは武人という人種は千の言葉よりもただ一合で分かり合うことがあるんだろうなあ…みたいな、自分とは違う考え方があることを知ってるというかそういう感じで

「はいはい、押さないでくださいねー。商品はたっぷりとありますのでー」

洛陽の市街は、端的に言って大混乱であった。これまでの禁足令が解かれ、それまで欠品続きで開店休業であった商店にも商品が溢れているのである。洛陽の民はここぞとばかりに商店におしかけているのだ。
無論、この機に乗じて不埒な暴利を貪る者や、正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。
なにせ、だ。どうせ物資はふんだんにあるのだからして、いずれは適正価格に落ち着くであろう。そして、不埒な商売をするような商店はしっぺ返しをくらうものである。とはいえ。

「はいはい、ちゃんと並んでね。並んでねってば。この、この!ええい!」

そのような道理なぞどこ吹く風と、店頭で魯粛に絡むような不埒者も出てくる。矮躯(ミニサイズ)な魯粛を与しやすしと見たか、掴みかかって店頭の商品を掻っ攫おうとする者も出てくる。

「てい、てい!てややー!」

掴みかかる巨漢すらを、魯粛は軽やかに叩きのめす。的確に加えられる打撃は見事なものであり、程立は感嘆の声を漏らす。

「おお、これは結構なお点前で~」

「や、それほどでもあるかなー。
まあ、実際これくらいできないと荒れた江南では生きていけなかったからねえ」

感慨深く呟く魯粛。片手間に数人の暴漢を叩きのめす。

「実際、本当に飢えた集団ならこうはいかないからねえ。流石に幾度も組み伏せられたよ。多勢に無勢ってね。
 女でよかったと思うのはそんな時さ。殺されはしないからね」

きゃらきゃらと笑うその表情に暗さはない。修羅場をくぐるどころか、身を浸していた凄味がそこにはある。

「でもまあ、元気すぎるのも困るなあ」

雲霞の如く湧き出る不埒者にさしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。

「ぐう」

「寝るなー!」

「おお、寝てました!」

実際どうしようもないのだ。ある程度の混乱は致し方ない。
ただ、自分がそこに巻き込まれるのは避けたかったのだが、そうも言っていられない。状況は加速度的に悪化していた。
そして混乱に立ち向かう魯粛とは違い、実際逃げるしか方策はないのではある。流石に圧倒的な数の暴力にそれすらも果たせそうにない。文武両道の魯粛と違って正真正銘無力であるので、いささかまずいことになったなあと思っていたのだが。

「噴(フン)!」

人とは、空を飛ぶものであったか。それも航続距離は凄そうだ。

「破!」

また一人、大空に飛び立った。まさか人の手によるものとは誰も思うまい。だが事実だ。
その異常事態をもたらした青年に程立は親しげに語りかける。

「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」

フン、と鼻で笑い張?は次々と不埒者を叩きのめしていく。その勢いに押されたか暴徒予備軍の不埒者たちは沈静化していく。わざわざ派手に吹き飛ばしたのはこの効果を狙ったものであろう。

「その軽口が叩けるのであれば加勢の必要はなかったか」

「いえいえ、実に助かりました。危機一髪という奴でしたね~」

呑気な程立の口調に張?は苦笑する。

「ですが、張?さんがここにいるということは」

「うむ。禁裏については片が付いた。万事滞りない」

それはなによりと程立は安堵の息を漏らす。万全たるべく動いてはいたが、実際に事が起こると、何が起こるか分からない。

「では?」

「うむ、張家の手勢は洛陽の混乱を収めるために動いている。私がここにいるのもその一環だ」

ふむ、と程立は頷く。恐らく民衆の暴動を防ぐべく、張家は奔走しているのであろう。その功績は大きいが、史書に記されることもないであろう影働きである。

「では、劉弁様はご無事で?」

「うむ。そうだな。だが、予想外の事態に混乱してはいるのだ」

張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。
程立は僅かに眉を寄せる。

「ほう、君が主体となっての排除劇ではなかったのか」

口を歪ませて張?は問う。

「いえいえ。劉協様と皇甫嵩さんの離間工作。それなりに布石は打っていましたが、まさかに……」

二虎競食の計とか色々考えていたのだが、仕掛ける前に結果が伴うとは。それも双方の退場という結果で。

「なんということでしょね~」

くふ、と一声笑って程立は思考を進める。茫洋としたその表情からは、何も読み取ることはできない。

「洛外については、稟ちゃんが上手くやってくれたようですし、ここからは時間との戦いですかね~」

実は程立と郭嘉は洛外においての諸侯軍への対応において意見が分かれていた。程立は袁家とその友好軍閥の武威を以って圧倒すべしと主張し、郭嘉はむしろ袁家単独で当たり、軽挙妄動する諸侯を炙り出し、殲滅すべしと主張していた。
そこで決を下したのは紀霊である。
人死には少ない方がいいというその言に郭嘉は大いに思うところはあったようであるが、一先(ひとま)ずはその方針に沿って動いてくれたようである。

「既に朝廷は紀霊殿が押さえた。軟禁されていた者も解放、或いは確保している」

ふむ、と程立は頷く。そして目線でさらなる報告を促す。

「ああ、無論董卓殿の身柄も確保しているとも」

にまり、と張?は歪んだ笑みを浮かべる。

「健気、であったな。いや、彼女を憐れんでいるのではない。それは彼女に失礼だろう。いや、立派なものであった」

狭い室内に監禁され、疲労の色が濃いながらもその瞳には力が宿って張?を見据えて貫く。静かで、それでいて真摯に響くその声。その声には自然と耳を傾けてしまう。
なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。

「惜しい、と思うのは感傷かな」

くふふ、と程立は笑う。

「まさか張?さんからそのようなお言葉が出るとは、ですね~。ただまあ、袁家には必要ないかと~」

穏やかな口調で程立は、ばっさりと切り捨てる。

「それに、二郎さんが決めたことを蒸し返しても致し方ありませんしね~」

くふ、と軽く。軽く笑って程立は身を翻(ひるがえ)す。
きっとあの青年はやると決めたことは全部やって、それで勝手に傷ついているに違いない。
泣いているかもしれない。喚いているかもしれない。それでもやらねばならないことはやっているであろう。
だから、自分が。紀霊の軍師たる自分の出番である。そう程立は思う。

「後はお任せしましたので~」

魯粛に言い捨てて禁裏に向かい歩き出す。
その歩みは、いつも通りであった。

>>487
青ペン流タイトル講座
1)印象的なシーンをひとつ見つけます
(今回は趙雲vs夏侯惇)→拳で語る
2)そこに至る経緯を探ります
(今回は何故袁軍のみで洛陽を制圧保護したのか)→大義名分
3)組み合わせます

ざっくりこんな感じ。
メインとなるシーンをひとつ見つけると楽しめます、はい。

◆◆◆

「ほいさ、任されたともー」

軽く応えながら、その責任の大きさよ。洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。

「って、張?さんもどっかにいっちゃうとか!」

まあ、程立の護衛と考えれば妥当ではある。あるのだが。

「何気に、めんどくさいことを押し付けられた気がしないでもないなあ」

まあ、信頼の証さとばかりに魯粛は思考を切り替える。

「ま、餅は餅屋と任されたんだから、見事やって見せましょう!ってね」

そう。洛陽の混乱が早期に治まったのは、魯粛の手腕に依るところが大きかったというのは定説であるし、事実でもあった。

◆◆◆

反董卓連合により――正確には紀霊により禁裏が制圧され、「正当なる皇帝」たる劉弁が無事保護されてより二日後。それまでは袁家のみが立ち入りを許されていたのだが、袁家に近しい諸侯も洛陽に入ることが許されている。
治安維持が名目であるが、慰撫を兼ねていることは明白である。人数にすれば万に満たないが、彼らは大いに羽を伸ばしている。無論、きちんと治安維持に努める者もいるのだが。

「はいはい、ちゃんと並んでねー。まだまだご飯はあるからねー!」

輝かんばかりの笑顔で声を張るのは劉備。

「あらあら、張りきっちゃって」

「なに、可愛いものじゃろうて」

その様子を温かく見守るのは黄忠と厳顔である。

「でも、中々できることじゃないわよね」

黄忠はそう言って目を細める。なんとなれば、劉備は乱れた洛陽。そこで困窮する民のために炊き出しを行っているのだ。それも、驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ!

「そうさな。わが身のみを考える者ばかりの世情で、あのような娘もいる。中々に捨てたものではないな」

そしてその劉備の炊き出しに黄忠と厳顔は深く関わっている。黄忠は荊州より運搬してきた糧食の一部を融通し、厳顔は関係各所への根回しと、作業に当たる人員への指示統括で、だ。

「ええ、そうね。ほんと、そう思うわ」

そしてその劉備がご主人様と慕う青年について自然と語り合う。

「不思議な男の子、よね……」

「然り。然りよな。
皆が笑って暮らせる世を、か。劉備にしろ、北郷一刀にしろ、ああまで理想に向かう姿は眩しいものよな」

ふ、と笑い合う。

「禁裏までもが血に染まる。劉姓として思う所もあるでしょうにね……」

「ほう、思う所があるのは貴殿ではないのかな?」

黄忠は厳顔の問いに曖昧な笑みで応える。だが。

「でもね、ああまでまっすぐに求められたら、ちょっとは心が動かない?」

貴女たちの力が必要だと、愚直なほどに。
北郷一刀、そして劉備から誘われたのだ。道を同じくしないか、と。

「まあ、今更地位や名誉を求めようとは思わぬが、な……」

流石に、と言うか、だ。

「せめて太守くらいになってから言ってほしいものだが、な」

恐れを知らぬとはこのことであろう。何となれば黄忠も厳顔も皇族と言っていい程に由緒正しい劉家に仕えているのだからして、と厳顔は苦笑する。

「あら、でも、あの子、ね」

くすり、と黄忠は艶やかに笑う。

「あの錦馬超にも粉をかけたらしいわよ?」

「なんと!」

厳顔は驚愕する。まさかに、名門馬家の当主に?

……正直その場で切り捨てられてもおかしくはない所業だな、と厳顔は言葉を失う。

「それでね、まんざらでもなかったって話よ?」

「なんと」

わけがわからない。厳顔は内心頭を抱える。馬家を背負う小娘はもっとこう、短慮で狭量であったと思うのだが。だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。

「天運の相、か」

「何、それ?」

かつて主君から聞いたことがある。天に愛され、竜が如く雲を集めるという英雄の相。人呼んで天運の相。

「いや、なんでもない。
 ……で、話題の北郷一刀は?」

劉備に給仕なぞさせてどうしているのか。

「さあ?何か気になることがあるとかないとか……」

可愛らしく小首を傾げる黄忠に厳顔は苦笑する。一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。
……まあ、黄忠がその、厳顔の内心を知れば「お互い様」と苦笑したであろうが。

なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。それは二人に共通した思いであった。

◆◆◆

「何も皆殺しにすることもないだろうに……」

北郷一刀は、呟く。
諸葛亮がもたらした情報。宦官を誅滅したというそれ。その非道、悪逆に彼は心を痛める。
なにも殺すことはないじゃないか、と。

諸葛亮にしてみれば、納得しかないのではあるのだが。
様々な逸話から察する紀霊の性質において、読み取れるのは激情。そして身内への愛情。
ならば、禁裏において武力を以って何進を排除した宦官。それを紀霊が放置するわけもないのである。
なんとなれば、彼が、否。袁家の幹部が溺愛する袁術が入内するのだ。気に入らぬからといって暗殺に走るような存在を、かの怨将軍が許すはずもない。まあ、それを進言して主の機嫌を損なう必要もない。これは自分と親友たる鳳統が把握していればいいことである。

そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。

「鈴々、くれぐれも気を付けてな」

「大丈夫なのだ。お兄ちゃんはどっしりと構えていてくれたらいいのだ」

気になることがあると言って、張飛と諸葛亮を引き連れて洛陽を巡っていたのだ。いや、密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、自信に満ちた彼の言うことにはなぜか頷いてしまう自分がいるのだ。
ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。袁家の助成にいち早く立ち、ことによれば馬家と矛を交える可能性すら飲み込んで至誠を尽くした彼女の、だ。
洛陽の困窮した民に炊き出しをしたいという劉備の願いは届き、そして。

「いや、確信はないんだけどさ」

それでも、必要であると断じたのだ。天の御使いたる北郷一刀が。ならば、と諸葛亮は思う。まあ、彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。

「お兄ちゃん!あったのだ!これだと思うのだ!」

そして北郷一刀は、とある涸れ井戸から玉璽と七星刀を発見する。

◆◆◆

「こ、これが伝国の玉璽……」

流石に諸葛亮も目にするのは初めてである。そしてその重要性を把握しているのはこの場できっと自分だけであろう。四百年にわたって連綿と続く漢朝。その権威を担うのがこの玉璽なのだ。
触れたいような、触れたくないような。その、内心の逡巡を身体は裏切る。気づけば両手を伸ばして。
それを見た張飛が無造作に放り投げる。

「わ、わ!」

取り落しかけて諸葛亮は必死に受け止める。

「ひゃ、ひゃう……。 
 ご、ご主人様。玉璽に七星刀。いずれもお金では買えない、秘宝です。どうするおつもりなのでしゅか……。
 あ、噛んじゃった」

はわわ、と狼狽える諸葛亮の様子に笑みを漏らしながらも北郷一刀は答える。

「そうだな。とんでもないお宝だ。漢朝にとっては特に、さ」

だから、さ、と北郷一刀は笑う。

「きっとさ、これだけの貴重なお宝だ。きっと月と詠を購えると思うんだよ」

「ご主人様……」

「流石お兄ちゃんなのだ!」

諸葛亮と張飛はそれぞれに反応する。そこに含まれる音響には差異があれども、共通するのは主への讃辞。

「早い方がいいでしょう。早速動きます。ええ、董卓さんや賈駆さん達はこのような……、このようなところで喪っていいわけがありません」

救わなくてはいけない。救えるかもしれない。救えるだろう。いや、救うのだ。
董卓を、賈駆を。呂布を、張遼を。

「細かいところは朱里に任せるから、さ」

頼んだ、と頭を下げる北郷一刀に諸葛亮は胸を熱く。
皆が笑える世を。きっと。

久々寝落ちしておりました
感想とかくだしあー

>>496
独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ…

【使徒が知る術もなき鬼神の想い】といった感じかな…

乙でしたー
>>489
>>正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。    これは《枯れ木も山の賑わい》みたいな意味で使ったのかしら?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれは徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。    意味としては《どうせ無駄》みたいなものだからこうかな?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だが例え徒花(あだばな)であろうと咲くことは出来た、そう程立は思うのだ。 今まではそれすらできないほど疲弊してたから《これもまたよし》みたいな感じでこうかな?
>>さしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 【どうしたものか、と。視線で問うてくる。】だとちょっとリズムが悪いかな
○さしもの魯粛も苦笑する。
どうしたものかと、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 もしくは
○さしもの魯粛も苦笑して、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。 それとも【苦笑しながら】の方が良いかな?
どうしたものか、と。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。
>>「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」 ケアレスミスですね
○「いや、助かりました。それともお見事なお手前と言った方がよろしいのでしょうか?」  【お点前】だとお茶の作法になるらしいので
>>490
>>「なんということでしょね~」  喋り言葉だし間違いではないですが
○「なんということでしょうね~」 の方が良いと思います
>>なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 申し訳ないがNTRはNG
○なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、賈駆の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 曹操からさんざん二郎がNTRしてる?先に唾つけただけだからセーフ
>>492
>>洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。 凹凸が無いとわからグシャ
○洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛もぶる、と身を震わせる。  むしろ【流石の魯粛も、ぶるっと身を震わせる。】とか?擬音無しで【流石の魯粛も一度大きく体を震わせた。】とかかな
>>494
>>だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。  馬騰さん亡き今、で考えてるのかもしれないけどそこには昔何進、馬騰、紀霊の繋がりがあったから迂闊な事すると大義名分振りかざされるぞ
○だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手中に収めることも容易であると思っていたのである。 慣用句としてはこうですね
>>なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。 つい先日まで戦争してたんだし禁裏は今も血まみれだろうし事ありまくりでは?
○なんにしてもまあ、戦は終わった。まことに結構なことである。  【怒号は聞こえず、徴兵される子供や、飢えて死ぬものもいない。】とか入れるのもありかな?
>>495
>>そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。 ちょっと【、】が多いかな
○そして、その北郷一刀は何をしているかというと、である。  まあちょっと憚られることをやってる感じを出すなら上の方が良いですが…ぶっちゃけ火事場泥棒と似たようなことだし
>>密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、 【密かに】なの?
○密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うところもある。あるのだが、 【が、】を一つの文で2回使うと違和感があるのでここは1回否定しない方が良いかな
>>ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 止めろ(迫真)何やってんだよ韓浩。そもそも初日の汜水関をどう落とす?の質問に反董卓連合は本当に正しいのか?と返したような輩に口添えしただけでもお前の株は下がり、その時に紀霊に会いに来たのが無位無官の風来坊で…っていう事の顛末は当然知ってるよな?報連相的に。袁家への恩と義理を考えたら恥ずかしくってとてもできることじゃねーぞ
○ちなみに、この混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。  「前回私は二郎に桃香の面会をお願いしたつもりだった、それを勝手に私が勘違いしたというなら、なるほど私の不徳だろう。だからこそこれ以上私は彼らに恥知らずな真似はしたくないのだ」とか真摯に断れよ。恩人に無礼を働いた友人から口添え頼まれてもっかい泥塗られて更にまた力添えとかどんだけ恩人を軽く見てるんだよ
>>袁家の助成にいち早く立ち、 これは経済的な援助ですね
○袁家の助勢にいち早く立ち、 肉体的な援助はこちらですね

>>張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。 www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ
>>驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ! そいつらは何を食うんだ?まさかこの後で袁家に事情説明してタカリに行くとか…他人の飯を使って人気取りとかしてるわけないと言い切れないのがこいつらの恐ろしいところ
>>一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。 子連れだからじゃないっすかね?未亡人なのかシングルマザーなのか知らんけど
>>彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。 あ、アンサートーカーで…まあ知ってしまうとSAN値チェックですが。なんせご主人様がゲーム感覚で生きてるってことだからな(リアルでタンス漁るのが日常の可能性もあるけど)
まさか公孫瓚前回一刀が紀霊に会いたいって言ったのを紹介してそれで終わりなわけないよね…100歩譲っても韓浩がそこに知らぬ存ぜぬするわけないし劉備を遠ざける理由ができたならきちんと報告するだろうし

今回はだいぶ地味様に辛辣な書き方をしてしまいましたが
①昔公孫瓚の紹介で袁紹のもとを訪ねる。要件は前に公孫瓚が友誼の証として贈った剣を「もとは自分のものだから返せ」と、糧食の融通と引き抜き勧誘
②戦時中に≪反董卓連合盟主の袁紹が総てを預けたいわゆる全権代理人の≫紀霊への口添えを頼まれたがそれによって今までと何かが変わったところは無い
現代風に言えば大会社の社長が社運をかけたプロジェクトのプロジェクトリーダーに抜擢した専務に共同開発してる会社(規模は普通)の社長が新進気鋭の会社の古参社員(役職不明)を紹介したというワケワカメな状態…てっきり画期的な案でも出すのかと思ったら自分たちをプロジェクトの中心に使ってくれという…みたいな?
③今回の件(表向き炊き出ししつつ裏で火事場泥棒)
とかなりアレなんですよね。もちろんそれ以外の時にはいろいろと持ちつ持たれつしてるし洛陽防衛線で借りも作ってるけど
私が思うに公孫瓚ってかなり損な性分してると思うんですよ。自己評価が小さいというか、何かをしてもらったらそれ以上に返そうとしそうだったり、自分がやったことに対するお礼は最低限でよさそうだったり
で、袁家はマンパワーが圧倒的だからぶっちゃけ義勇軍が力を貸しても袁家に対して恩返しにはならないわけで、今までに2回も迷惑かけたのと同じようなことをもう1回やるのかな? と疑問が生まれまして
100歩譲って公孫瓚が桃香への友情を重く見たとしても韓浩が袁家への恩義を説いて「どうしてもというなら自分たちが監督すべし」とか言ってきちんと力添えした責任を取らせないと(なおむしろやらかして公孫瓚と劉備の間に溝ができることを望む可能性
実際韓浩なら(、奴らならやらかす、袁家なら公孫を許してくれる)と踏んであえて監視網に穴開けそうなんだよなあ

gotoしておりました。
浮世絵はやはりよいものだなあと思いながら。
あとciv6とFGOのイベントと充実したシルバーウィークでした。

>>497
>独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ…
昨今は報連相が大事だということで、それはもちろんなのですが、
それはそれとして、独断専行も大事だったりしますよね。
結局結果が全てなんやなって(何かあったらしい)

>>499
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
さて、色々ありがとうございますー。
そして、

>www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ

                     , -‐- 、
                        f r ⌒ `
                      弋 、_
                      ≦ ≧  ̄ ミ  、
                    /     ,′  ハ  ヽ\
                 /       ,.l
                    ′ ./    / !     ト、 ',   ',
                オ  ,′  ./ |    l ヽ
               / i!  l   /- 、!    ム-‐ ∨  | l
                 i! {  | .,.ム ミ ',  .,'≠ ‐ 、',  | |   !!!!
.              __', l 弋 (・) ` ', / ´ (・) .ノ  ハ.リ__
                Ⅵ三|.}ハ刈 ー‐ ´ ∨   ー ´|  オ三Ⅳ
               ',-‐  l从. //ハ  i  //ハ ハ / }‐-/
                  : : : : |  、         ,  |′: :/
                  ヽ≦l  |.ヽ   ⌒  ィ:}  l≧.7
           、- ―― ´: : |  l: :|. ` . ー . ´. |:ハ .|、:`: . ―. .-. ァ
           ` 、 ―― ,゙オ  l: i!  . . . . .  l': :| | ヽ ― -- 、 ´
              ,′   \:|  |: |‐- 、 , - ‐.l : | | /     ',
                /:|  |: l       | : | |:`ヽ     l
             |       l: : |  l: l       l : l .l: : :l      .|
           l       ',ハ  !:.', :. .::  l: :| l: : /      ,′
              ',. -―― ‐  、.  Ⅴ  i!: :| |: :ハ
          /_ /     _.    .|   ハ 刈 !/: : ', D ,′
         /ォ´/ / ォー―: ´ヽ:` 、   `  、 : : ノlリ: : ο:}  ,′
        |`/ /:| || |:|. ',: : :Ⅶヽ \      <:.:.:.:.:./
        |: ¨: : |ノl,ノ:|. . ヽ :.:.:Ⅴ会、ハ. 、       `ヽ′  ,
         乂ニニニ乂. . . ..`.ヽ_Ⅵ_㍉∨: ヽ.      ヽ ム _
             / ハ          ` ーヽ       . .  ≧-、
       ___./__.',              :\    /. -‐ 、`ヽ ',
                ー―――――: : : : : ; ̄: :ヽ.._/-‐: :´: ー-.^´

これはやっちまったやつですね。書いた記憶あってどっかにしまいこんでるのか?
両者の死に様については発掘もしくは執筆してお届け致します。
このご指摘はありがたいw

そして地味様についてはね。そりゃストレスになるよなあというのが正直なところです。
色々と乱数処理したりしてみたのですが、カリスマピーチビームには勝てなかったよ。。。
頑張れ韓浩。
ということで一つ。

          ..  ---   、
       .  ´         ヽ
     /              \
   /    /              ヽ
  /     /   .i i   .|       │
  ,'    ,' /.. \|、 |i    l/ |      ',、\
  l   i  イ´  / l .! |  .,'|  .l  .|  l │
  |  .l  .|  ./  l/ l  / l ./ ヽ l   |  l あったよ!皇甫嵩のエピソード!
_.', r |  l./三三 |ノ  三三 ! / l  ,'ヽ |
!::::::ヽ| l  |///////////|〈 | /    少し時を戻そう

ヽ::::::::ヽ.|  l            U  / l 'i
 ヽ ̄ .l  |._   r ―--、  .  ' |  |    
  l /:|  l.:/l   ― <i´   l  l
 〈::|:::::::/l  |'| ヽ   |,、\:!ヽ   |  |
  \:/.::|  l へ\ l' .ヽ l::/   l  l

なのでちょっと勢いが落ちますがそこを挿入するとします
多分今夜

劉協君は>>438で描写されてるんだけどねwこれからに想い馳せてると思ったら…だから笑っちまったわ

                ,、r‐-――- 、

  も               , イ ヽ, ‐、  `ヽ`ヽ
                ̄7´/ ム  l\__ \ヽ ___             今
  う             ,イ ,'^== \{ ==ヽ   l iァ匕ノ
                    l / "  '‐'ー'  "ト  リ,r‐ァ"ヽ、         日
  飲              7l八       ノ ∨ム'.|~    \
               .//三|jーァ‐t―≠'//三、| \ \\       は
  ま.            └――'┤/ハ /〈/ ̄`¨¨`   ヽ  、 ヘ
                  レΓ|V 人        `、 ヽ,ハ
  ね                   入{ | /≧tz=、        ',  Ⅳ
                     ,ィ 込 マ_t_x┘         ', }
  え.               〈=ィ´ ; \, \∧         |リ
                   `'  ヽ、 ^ ̄ ̄ ̄>       l/
   °                  ~ー―‐''"´       /


イイ感じに酩酊なので(やや強めのチューハイ350ml2本+500ml1本)節酒することにする!
ここから焼酎が追い酒になるのをやめていきたいという熱い気持ち。
そしてやります。

>>439
の後に挿入するエピソードです。内容はネタバレというかやっちゃった案件なので皇甫嵩が死ぬお話ですね。
これは詫び石案件かもしれませんね。

「……始まったようだね」

風に乗って、喧噪――というには実態はもっと物騒なものだが――が耳に入る。
皇甫嵩は歩みを速める。起こっているであろう惨劇に巻き込まれてはたまらない。

向かう先は宮中の一角。かつて大将軍として辣腕を振るっていた、何進の別宅である。そこに、目的の人物はいた。

「ふむ、来客とは珍しい」

毛ほども動揺せずに華雄は皇甫嵩を迎える。
思えば軟禁生活も長いはずだ。だがその顔には生気――或いは覇気と言っていいもの――が満ちていて、流石の皇甫嵩が気圧されるほどである。
いや、だからこそだ。
だからこそ、このような逆境においても不屈。実に結構。もとよりその武。そして将としての才は確かなものである。あの馬家軍と遣り合って一歩も引かなかったのは――数の有利があったにせよ――伊達ではない。

「朝早くから済まないね。まだ寝ているかとも思っていたけども」

なにせまだ日が昇って間もない。軟禁生活であれば惰眠を貪(むさぼ)っていてもおかしくはない。

「フン、くだらん。あまり眠ると身体が鈍るからな」

事実、華雄はかつて何進に従っていた時と生活習慣を変えていない。そして覚醒しているその時間全てを鍛錬に費やしているのだ。

「まあ、元気そうで何よりさ。あ、これは差し入れってやつさ」

そう言って持参した酒を器に注ぐ。
なみなみと注がれたそれを華雄は一息で飲み干す。

「ふむ、五臓六腑に染み渡るとはこのことよな」

流石に軟禁生活で、酒なぞ呑めようはずもない。甘露とばかりに華雄はたちまち三度、杯を干す。
なに、毒ならば毒で構うものかとばかりに。

「して、今を時めく清流派の首魁が私に何の用だ」

「なに、簡単な話さ。
 僕に従え、ということさ。
 そうしたならば、君のこの境遇は終わる。
 君の武は腐らせるには惜しい。あの何進すら信頼してその背を預けたんだ。
 君も栄耀栄華の中枢にいたんだ。このままで終わるつもりはないだろう?」

にこり、と笑いながら空になった酒器に酒を注ぐ。それをまた一息に乾してなお、華雄は揺るがない。

「フン、口説き文句としては二流以下だな、皇甫嵩よ。
 そして、貴様と心中する義理も義務もない」

その言に気を悪くした様子もなく皇甫嵩は言葉を続ける。

「そうでもないよ。割とね、あるさ。あるとも。
 何進のような卑賤の輩が大将軍なぞという地位にあったのは間違いなく漢朝の汚点さ。
 だが、それでも彼奴(きゃつ)は大したものさ。
 今この漢朝が乱れているのは彼奴に飼い馴らされた官僚どもが、政権運営に協力していないというのが大きい」

皇甫嵩は肩をすくめる。
実際、やりにくいといったらないのだ。

「だから、君を従えるのには意味がある。何進の威を借るようで、腹立たしいがね。
 政治という奴さ」

フン、と華雄は一つ鼻を鳴らす。

「知ったことか、と言いたいところだがな。私としてもこの状況は不本意極まりない。
 まあ、それはそれとして、だ。
 貴様が何をどうできるというのだ」

清流派とはいえ、実際権力なぞ何もないに等しい。だから自分にすら声をかけたのだろう、と華雄は指摘する。

「ふ、それは認識が大いに誤っているね。
 聞こえているかな。いや、流石にこれは失礼かな。
 聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、煉獄が。
 それをもたらしている袁家は、残念なことにね。漢朝の権力に興味がない、ときたものだ。そして、袁家の描いた絵図は天下三分。
 即ち陳留王たる劉協、曹操率いる宦官。そして僕が率いる清流派。
 だがね、既に前者二つは亡き者となっているのさ」

つまり。

「僕が、僕こそが新生漢王朝の、担い手となる! 
 まあ、董卓が畏れ多くも相国なんて地位だったからね。
 そうだね。丞相くらいは、妥当だろう」

だから、と囁く。

「光栄に思っていいんだよ?この僕が直々に声をかけているんだからね」

華雄は暫し考え込む。
さて、なんと答えたものか、と。
そして口を開く。

「なるほど、これよりの漢朝は貴様が動かす。私にはその軍事顧問となれ、と言うのだな」

そうだ、と皇甫嵩は厚遇を約束する。

「残念なことにね、僕の手元に武張った人材がいないのが実際でね。
 まあ、主戦場は宮中さ。君には手間はかけさせないとも。
 むしろ君がいることで旧何進派閥を糾合しやすくなることは明らかだからね。
 軍権を預けよう。面倒だったら、好きなだけ棒を振っていてくれていいよ」

その言葉に華雄は苦笑する。そして答える。

「そうだな、貴殿の誘いはありがたいものだろう。武人としても、それ以外でも死んでいたような私にとっては救いの手だ。それは間違いない。
 だが。いや、だからこそ断る。断らせてもらおうとも。
 ……ほお、そんな顔もできるのか。
 なに、貴様のような小才子に付き合ってられんというだけのことさ」

ばっさりと華雄はその誘いを断る。

「なん、だって……?」

理解できぬと言わんばかりの皇甫嵩に苦笑し、続ける。

「一つ、言っておこう。貴様はな。貴様が謗(そし)る何進に遠く及ばんよ」

くつくつ、と艶(あで)やかに笑う。
その意味に気付かぬ皇甫嵩ではない。低い言葉で。

「……聞き捨てならないね」

その表情は憮然。そして瞳に宿るのは炎。
だが、華雄はそんなことでは揺らがない。

「ああ、分からないだろうな。きっとそれだけ格が違ったのだろうさ。
 皇甫嵩、貴様はな。背伸びしようが、逆立ちしようが何進には及ばんよ」

なんとなれば、地位や名声なぞあの男は歯牙にもかけていなかった。
いや、この上なく利用していたのだが。
いや、なるほど。
華雄は、至った。

「皇甫嵩よ、貴様は本当に、小賢しいだけさ。
 国というものを背負う覚悟も気概もない小物だ」

思えば、何進はその権力を目的にしたことはなかった。
それは、あくまでも手段であった。そのためであった。

「だから、私は皇甫嵩、貴様に従わん。まあ、分かり易く言うとだ。
 貴様は私の主となるに、不足、というやつだ。
 何より品性が下劣極まる。もっと言うと、生理的に無理だ」

その言葉に皇甫嵩は激昂する。

「な!所詮は、先の見えぬ者ということか!
 新たな漢朝の栄光、それを見ずに果てればいいさ」

吐き捨てる皇甫嵩に、苦笑する。

なんとも、陳腐なことよ。
それでいて華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。
これは思ったよりも。
思考が、鈍っていくのを感じる。

「今なら、今この僕に忠誠を誓えば」

目の前で囀る馬鹿者。
黒幕気取りの、凡骨には報いが必要だろう。
鈍った思考がもたらした結論は、簡にして単。
そしてそれは華雄の在り方。

「ぐ?」

無造作に、流れるようにその首を掴む。そしてそのまま締め上げる。

「あ!」

やめないか。やめろ。
言葉にならない叫び。そして散る紅い飛沫(しぶき)。

とすり、ざくり。
貫かれ、切り裂かれていく自分の肉体。

視界が紅く染まっていく。
嗚呼、なるほどと華雄は切り裂かれ、刺されたことを更に認識する。
だがその痛みは、衝撃は、盛られた毒のせいであろうか。さほどでもない。
ひどく、遠いことのように感じられる。
それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く修練されていく。

それがどうした。
この男を生かしてはおくものか。

ざくり。ごり。

また一つ傷口が増える。視界が白くぼやけていく。

いのちを

もやせ――

「貴様には分かるまいな。この私の、力。
 貴様みたいな俗物に、分かる、もの!かよ」

まっかに
もやせ

「ただでは死なんよ。貴様も連れて行く!貴様のような奴は!」

ごきり、と鈍い音が響き華雄の意識はそこで途絶える。

◆◆◆

華雄は五体から血を撒き散らしながらも満足げに笑っていた。

そして後世に大きな謎を投げかけることとなる。
なぜ皇甫嵩は華雄に殺されたのか。
なぜ華雄は死んだのか。

多くの歴史学者が様々な推論を立てることになるのだが。
一般的には、紀霊が将来の政敵を片付けたのであろう、というのが通説である。

本日ここまですー感想とかくだしあー
いやあ、やっちまいましたね。

もはや題名案さえも浮かばない!
ぼすけティ

>>507
まぁた難しいとこ丸投げ来たねぇ…
【清流濁流併せ飲み、流れるは濁りし血】
ってとこでまとめたいかな

>>507
原作では見られない華雄さんの美しく強い死に様、好きです…


題案は
『心火燃やして徒華ぞ咲く』
華雄さんですからね、徒花は徒華で行きたいなとか

乙でしたー
>>504
>>が満ちていて、流石の皇甫嵩が気圧されるほどである。 むしろ武人の持つ単純な気迫には耐性無さそうだよね
○が満ちていて、流石の皇甫嵩も気圧されるほどである。 戦争狂の朱儁とかは個人武力は大したことなくても耐性アリアリだろうけど
>>505
>>「ふ、それは認識が大いに誤っているね。 間違いと言うほどではないですが
○「ふ、それは認識を大いに誤っているね。 もしくは【その認識は大いに誤っているね。】とかどうでしょう
>>聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、煉獄が。    煉獄ってキリスト教由来なんだよなあ…
○聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、酸鼻の極みが。 【地獄絵図】だと音よりも映像っぽいし、【修羅場】、【陰惨たる光景】も…ここは死の臭いっぽくこれでどうだ
>>その表情は憮然。そして瞳に宿るのは炎。      誤用がそのまま認められたとか聞いた覚えもあるような
○貼り付けた笑みに罅が入る。そして瞳に宿るのは炎。 もしくは【その顔から余裕が失われる】とか【紳士然とした表情が歪む】とかどうでしょう
>>506
>>それでいて華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。     【陳腐なことよ】にはかかってない感じがするので
○それにしても……と華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。 皇甫嵩は大したことないけど、そいつの持ってきた毒は大したものだ。みたいな?
>>それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く修練されていく。 ケアレスミスかな?
○それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く収斂されていく。 【まとまること】を意味するので白一色に染まっていく。的な意味ならこうですかね

でも死んだ場所がもとは何進の別宅だからなあ…助平心出して結果として相手からの無理心中とかなかなかできないよね
解毒薬は持ってたんだろうけど勧誘に毒薬飲ませながらとかわけワカメだわwまあ仮にうまくやっても曹操相手にこいつじゃ小粒に過ぎるなw

>>508
どもです。
流石青さん、そのセンスは一ノ瀬に響き渡るでぇ。。。
いやまじで。
清濁流流の対比はお見事でございます。
なるほどなあ。なるほどなあ。
ね、簡単でしょとばかりに言ってたやつ、むーりーw

>>509
>原作では見られない華雄さんの美しく強い死に様、好きです…
何進ラスボス√では縦横無尽されてたのですが、こうなりました
魅力が少しでも伝われば幸いでございます

>『心火燃やして徒華ぞ咲く』
コフゥ
素敵すぎるこれはいけません、、、

>>510
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
く、ケアレスミスやってもた!

>でも死んだ場所がもとは何進の別宅だからなあ…助平心出して結果として相手からの無理心中とかなかなかできないよね
確かにw

>解毒薬は持ってたんだろうけど勧誘に毒薬飲ませながらとかわけワカメだわw
万が一の脅迫路線ですね。それで屈服させたらまあ、たしかに華雄さんなら言を翻すことはないでせう

>まあ仮にうまくやっても曹操相手にこいつじゃ小粒に過ぎるなw
なおその真価を把握しているのは二郎ちゃんくらいな模様

>>511
まーね、客観的に見てるからこそ見える
ちょっとした輝きってのは否定したくてもできないんだ
けどね?
でもそれを描いてるのはあーたなんだから
もっと自信持ちなさいなっと

乙です。まずは華雄さんにこちらに引っ越ししてもらいましょうかね(黙祷で冥福を祈りつつ)

まとめ読みで一番はかどりましたね。二郎さん以下ヒーローヒロインが輝いてます。そうキラめいてます(キラメンタル持ち?)
風ちゃんや、嫌がらせはやめてえな。郭商会商売あがったりやがなwなお胸を張って「不埒な商売はしていない」と言い切れる模様。

二郎さんの今回の行動(李儒滅殺)によって二郎さんの精神にあったなにか(上手いこと言えませんが)が解放されると良いですね。
死んだ人間は帰ってきませんが、いい意味で思い出に記憶に昇華されんことを。
あと、腹上死しない程度にハーレムライフを満喫してくだしあw

公孫家の白馬義従の成立秘話も出ました。弱小軍閥?二郎さんが無下にするわけなかろう?人材は弱小かも。ですが。

夏侯惇さん、完全に化けましたな。脳筋鍛錬の効果は彼女を裏切りませんでしたね。

張コウ君、お疲れ様でした。願わくば二郎さんの影の守護者になってほしいです。髑髏仮面の皆さんも今回はお疲れ様を。まぁ一杯やれやw


雑魚が何か見つけた模様ですが、何も言いません。つうか二郎さん雑魚の狙いをぶち壊すついでに攫っちゃいなYO!www


やっと麹義さんが幸せな日々を過ごせます。田豊さんの行動もこちらで小ネタにしてみましょうかね(自爆)


戦後の論功行賞と勢力変化に注目。あとはそうですな、そーろそろ麗羽さんに危機感持ってもらいたいかな。気づけば仲良し主従止まりなんて悲しい事態にならないようにね?

>>512
どもです。

>、客観的に見てるからこそ見える
それがデキる人の言うことだと思いました
妬ましいw

>もっと自信持ちなさいなっと
てへり。おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ

>>513
うおう、どもどもです

>まずは華雄さんにこちらに引っ越ししてもらいましょうかね(黙祷で冥福を祈りつつ)
ええと、よろしくお願いします。
彼女なりに満足な最期だったのかな、と思います。やりきったです、彼女。

>二郎さん以下ヒーローヒロインが輝いてます。そうキラめいてます(キラメンタル持ち?)
嬉しいやつ、ありがとうございますー。輝いてみえたのなら幸いです。

>風ちゃんや、嫌がらせはやめてえな。郭商会商売あがったりやがなw

                   o
                   ノ_\__

                 ,ィ7 ,'    `ヽ
                 .{〈〈 l 、  , }
                 Y⌒ヽ..`´ ノ

                 弋__ノ..‐ィ、':

                ,ィニ=、、_.. -≠!-// ':,
              lイ ( rソ} ) )¨'"´フ " __ ヽ、_
             弋ミ三ジ{ ̄`ヽ' -/,、` < `ヽ
                l lミ 、 V//彡、  ヽ  ヽ
                l lヾヾ_{/≠彡,   ': }   ':
               ,: lrメ=、  ィニ=、',   : .lノ  ':
               ,: ハ,.. - ,.--....._V  .: l   .! ぐう
              ,: / ',         ;   :,!   l
              l :  '.、__,.  、___, :  .l   .l
                、  :.v ⌒'    .ノノ  }   l
                   ヽ  :、..__ノ´'._ ィn,:'  ノ :   !
                  l  ; ィ-(ゞ)っジ,:  /<:   :、


>なお胸を張って「不埒な商売はしていない」と言い切れる模様。
風「つまり御社の荷は董家に納品させてはいけないということですね~」

>二郎さんの今回の行動(李儒滅殺)によって二郎さんの精神にあったなにか(上手いこと言えませんが)が解放されると良いですね。
一区切り、あります。やっと、って感じカモしれませんがが

>あと、腹上死しない程度にハーレムライフを満喫してくだしあw
やったぜ!俯瞰者さんからお墨付きいただいたやで!これはどんどこいっとかんといかんやろうなあw

>公孫家の白馬義従の成立秘話も出ました。弱小軍閥?二郎さんが無下にするわけなかろう?人材は弱小かも。ですが。
規模の拡大に人材の補充と成長が追いついておりません、地味様と韓浩以外w いないわけではないんですがw

>夏侯惇さん、完全に化けましたな。脳筋鍛錬の効果は彼女を裏切りませんでしたね。
脳筋鍛錬。。。powerワード頂いてしまった。これはどこかで使いたいやつ!

>やっと麹義さんが幸せな日々を過ごせます。田豊さんの行動もこちらで小ネタにしてみましょうかね(自爆)
はい。このためにエリア限定フリー素材とさせていただいておりました。ここから後は完全フリー素材となりますw
田豊師匠については、期待しかないです。期待しまくりです。楽しみです。うへへへ。

>戦後の論功行賞と勢力変化に注目。
はい。こっからそこらへんの戦後処理で一旦区切り、幕間いくつかやって最終章かなって

>そーろそろ麗羽さんに危機感持ってもらいたいかな。気づけば仲良し主従止まりなんて悲しい事態にならないようにね?
麗羽様のヒロインちからを信じましょう!

「はあ?」

思わず、それがどうしたと答えようとして自重しました。
二郎です。
二郎です。皆さまお久しぶりです。これまでも、これからも頑張っていこうと思っております。
それはそれとして、耳に入った情報から逃げたくて仕方ないのですが誰に回すこともできない案件であるのは確定的に明らかで結局俺が判断せんといかんということで頑張ろうと思います。
ぴえん。

「おや、聞こえておりませんでしたか?これは失礼いたしました。
ではもう一度ご報告いたしましょう。玉璽の所在が不明、とのことです」

淡々と稟ちゃんさんが繰り返す。
漢朝の権威を担保する玉璽。それがないとなれば結構な大ごとではある。あるのだ。稟ちゃんさんが、わざわざ俺に報告するほどには、だ。
なんとなれば、勅命を発するにも玉璽がないと話にならない。劉弁様の身柄を確保したアドバンテージが活かせない。
なので、困ったことである。
それはそれとして、現実見ると、こうなる。

「よく探せとしか言えないんだが」

そう言いつつも、これは見つからないんだろうなあと思う。多分どっかの井戸の奥に沈められてるんだろう。三国志的に考えて、三国志演義的に考えて。
そういやあったねそんなイベント。こうかはばつぐんだ。くそう。

「井戸の底を漁れとか言えないし、なあ……」

ぼそり、と呟く声を流石の稟ちゃんさんも聞いてはいないだろう。
つうか、洛陽に井戸が何個あると思うか!そんなんの調査とかやってられるかよ。

「まあ、ないなら仕方ないさね。ない物は造るしかないだろうよ」

いいさ、と俺は思いきる。

「散逸したと断じるしかないだろう。目端の利いた宦官かなんかが持ち逃げでもしたんだろうさ。
 とは言え、その発見を待ってたら国が動かん。発見者には厚く報いるとしよう」

それでいいか、と視線で問うと稟ちゃんさんは深く頷く。

「せっかく治まったんだ。洛陽の平穏を乱すような要因は潰しておこう」

風が上手くやってくれたのだ。これには感謝感激の十六連射である。雨霰(あめあられ)である。
外部から軍が進駐するのだからして相応に混乱やら反発やらがあると想定していたのだが、そのようなものは全くと言っていいほどになかった。
まあ、袁家にたてつく愚昧は、これまでの経緯でつぶされているはずだしね。
やったぜ。

なにも伊達や見栄で大兵力を動員したのではない。

俺は、本気で袁家単独で董家軍と、そして諸侯軍と遣り合うつもりだったのだ。
それだけの軍勢を動員した。無論それは抑止力を第一としていたのではあるが。それでもやるべきことはやった。と思う。
万が一にも逆らうアホな勢力がいたならば全力で、無慈悲なまでに叩き潰すはずであった。
それを見た諸侯が逆らう気を失くすくらいに苛烈に攻めたてる目論見であったのだ。

それが穏便に済んで、誰より安堵しているのだ。きっとね。
人死には、嫌だもの、な。

そんな俺に、とある申し出がもたらされる。
誰あろう白蓮からの、だ。

「北郷一刀が、会いたいらしい。なんとかならないか?」

俺は別にというか、会いたくないんだよ。
結構、本気で、だ。

「なんだよ、こっちはそれどころじゃないってのに」

つい、愚痴が零れる。なにせあれだ。新政権の一角を担うはずだった皇甫嵩と劉協という二大巨頭がいずれも死体で見つかったのだ。大混乱である。主に俺が。
七乃がなんか暗躍したのかとも思ったのだが鼻で笑われてしまった。
まあ、七乃がやる時は俺に隠し事はしないはずだしなあ。
ああ、どうせ禁裏になだれ込んだ俺の所業ってことになっちゃうんだろうなあ。積み上げた名声が台無しである。よ
かった、星がいてくれて。偶像的な英雄たる怨将軍はこれにてお役御免にするとしよう。

それはそうとしてどうしたものか。白蓮からのお願いとあらば無下にできないのではあるが気が進まないなあ。
つうか用件は何だっつの。それくらいは伝えろよとか色々と悶々としている俺でありました。そんな俺にまた厄介な報せがもたらされる。

「曹操殿がおいでとのことです」

げえ!華琳!

ジャーンジャーンと響き渡る銅鑼の音は幻聴である。多分。

「お忙しいようなら結構とのことですが……」

わざわざ出向いてきた華琳を追い返すとかどんな死亡フラグだよ!

「構わんさ。通してくれ」

気は進まないんだけどね。進まないんだけどね。ほんと。ほんと。ほんとに。
いや、ほんとに。

◆◆◆

「あら、二郎。私と会うのがそんなに嫌だったのかしら。ひどい顔をしてるわよ?」

「うっせえ、地顔だよ。ほっとけ」

け、と吐き捨てる俺にくすり、と華琳が笑う。

「珍しく荒れてるみたいね。ほんと珍しい。
でもね。私も荒れてるのよ?
 二郎。

二郎、やってくれたわね」

にこり、と笑うその華琳が纏うオーラに俺のやさぐれてた気分は一気に霧消する。いっそ可視化したらいいのに。覇王ビームみたいな。
そう思うほどに何か禍々しいほどに練り上げられた覇気を背負い、華琳はその艶やかな唇を再び開く。

「やってくれたわね。何を、なんて言わないわよ。
 ええ、今更何のことだなんて言わないわよね?」

ゴゴゴ、と背に太字の効果音を背負いながらの華琳のお言葉に思わず俺はへへー、となりそうになる。流石のカリスマである。威圧感半端ないね。
あれですよね。あれです。うん。宦官誅滅したことだよね。華琳の地盤となるはずだった宦官をぶち殺したことだよね。いや、怒るだろうなあとは思っていたけれどもいざ華琳を目の前にすると逃げ出したくなるなあ。
とはいえ、だ。

「分かってるさ。分かってるとも。
華琳」

はあ、とため息を一つ。

「だが、宦官については謝らんぜ」

何度同じ状況があっても俺は同じことを繰り返すだろう。宦官を決して許すことはないだろう。

「そのことを以って、不満はあるだろうさ。だがな」

それによって袁家に仇なすならば。全身全霊で叩き潰す。そう、今ならば圧倒的な力でもって叩き潰すことが出来る。例え華琳と言えども、だ。戦いは数なのだよ。
尚も言い募ろうとする俺の機先を制して華琳は鋭く切り込む。

「そういうことじゃないのよ。分かってないの?それとも分かってて、それで言ってるのかしら」

おファッ?

「……何がだ」

「一方的に私の権力の、飛躍の基盤になるはずだった宦官勢力を誅滅したわね?つまりそれは私と敵対するということでしょう?少なくとも世間はそう思うわね」

それで、と。言うが俺は割と混乱している。
効果が抜群だと思ったのは後日のこと。

「本気で私と敵対しようというのかしら?」

まさかね、とあくまで上から目線の華琳。どうやら宦官誅滅そのものについては不問にするということのようで。
まあ、あれだ。懐柔するなら受けてやらんこともない、ということだろう。実利を重視する華琳らしいことである。手土産次第ではあるのだろうけども。
やれやれ、困ったものだ。などと親友兼義兄弟の口癖を思い浮かべながら口を開く。
はいはい、そりゃもう準備してますよっと。

「司空の座を用意している」

三公。漢朝においての最重要な地位。こともあろうに売官のために空白であった地位でもある。そして麗羽様の英断で袁家がそれを購おうとした地位でもある。
司空とは法を司る地位。法家たる華琳には相応しいだろう。

「へえ……」

んでもって、色々と五月蠅い儒家――腐儒者とも言う――の相手をさせるということでもある。無論華琳はそれを察したであろう。

「いらんか?」

「まさか」

即答。

法を司るということは、様々な案件においてその法的判断をするという地位。これがどんなに重大な権限か。それが分からないわけがない。当然その地位を蹴るなぞなはいわな。

「でもね」

にこり、と。

「足りないわ」

え?
まじか。まじっすか。この答えはさすがに予想外。

「ええ。散々虚仮にされたのですものね。二郎は忘れているのかしら。貴方達が無事洛陽を脱出できたのも私のおかげでしょう?だのに二郎ってば隙あらば私を殺しに来るんだもの」

ちょっとひどいのではなくって?

そう目線だけで問うてくる華琳に何を言えばいいのだろう。んなこと言ったってお前、あれかなーりギリギリのタイミングだったぞ。

あわよくば、と仕掛けた仕掛けさえもな!
見事逆手にとってくれた。今や孫家に続く勢いのお手柄だ。なにせ不穏な動きを見せる諸侯軍を大人しくしやがったからな!さしもの稟ちゃんさんも悔しそうにしてたっけか。
まあ、春蘭がすごかっただけのお話である。
春蘭なら仕方ない。

「そう言えば、董家軍はどうなるのかしら。まさかに全軍誅滅なんてことはしないでしょう?」

軽やかに言葉を続ける。

「潔く降伏したものね。あれらも誅滅するのかしら?宦官みたいに」

きり、と心が軋む。
ぐ、と歯を食いしばる。

「んなことはしねえよ」

そんなことをしたら、だ。
自暴自棄になった恋一人でえらい被害が出るわ。
あれと遣り合うとかマジ勘弁願いたい。それに。

詠ちゃんとも約束したから、な。

「そうね。袁術殿入内。恩赦により董卓と賈駆の死罪でもって幕を引くというところかしら」

お察しの通りだ。そうなる。そうするしかない。

「哀れ董卓も賈駆も。
とことん利用されつくされる、というわけね」

そうだよ。
それでも。それでも、だ。董家の将兵を助命するにはこれしかない。詠ちゃんのあの泣き笑いの表情がまた俺を苛む。
それくらいは、したい。それくらいに、したい。
などとおセンチな俺なんて華琳は考慮するわけなかった。

「じゃあ、張遼を頂戴」

「なにい!」

「何よ。どうせ放逐するんでしょうが。だったら引く手数多よ。彼女には既に唾付けてるんだから。それくらいは骨を折りなさいな」

いや、確かに官職には留めておけないけどさあ。先を読み過ぎだろ。
ん?

「恋はいいのん?」

俺の好奇心からの問いなのだが。
は、と華琳は一笑する。

「いい?二郎。私はね。将帥が欲しいの。獣が欲しいわけではないのよ」

「お、おう」

果たしてこれが本音なのか、恋を手中に収めることに対しての各方面からの警戒を気にしたのかは俺には分からない。
ただまあ、勢いに押されたわけでもないのだが。放逐された張遼の進路については俺は口を挟まないことを確約させられた。

あれ。これって華琳のボロ勝ちじゃね?

これは。

七乃とか稟ちゃんさんとかメイン軍師にお説教受けるのかなあ。
というか、疲れた。華琳のマジ気迫とサシで向かい合うとかマジ勘弁願いたい。だって役者が違うし。

だから。

俺が申し込まれた面会に条件をつけるのも当たり前田のクラッカーってなもんである。

きっとね。

俺が北郷一刀からの申し出に付けた条件はただ一つ。

関羽のみ、目通りを許すというものである。

べ、別にあわよくばスカウトして華琳にお届けしてご機嫌をとろうとかこれぽっちも思ってないんだからね!

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は「訪問者」です
たとえ前にやってても私は謝らない

腹筋、三回だけしてください

俺は詳しいんだ。
俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ(錯乱)

>>519
確か以前に【はおー来訪者】ってあったよねぃ?
ならば今回は【覇王来襲者】が似合いそうな気がすんだけどどーよ?

>>521
覇王になったら詰むw
まだこれでも、はおー

>>522
んじゃ【はおー来襲者】で

>>523
それかー使っちゃうかー
ヨシ!
出し惜しみなしだ!
一度使ってるから、はおー来襲者2
でゆこう

劉備たちにもたらされたのは、何とも奇妙な報せであった。

「愛紗だけで……か?」

首を傾げるのは北郷一刀だけではない。劉備でも、北郷一刀でもなく関羽単独での面会の許可。それにさしもの諸葛亮と鳳統も整合性を見いだせない。
いや、そこに至った経緯を察するならばそれはすでに人外の域に達しているであろうけれども。

「愛紗ちゃん、お願いね!」
「任せたぞ!」

口々に激励の声が響き渡り、関羽は身を引き締める。
なんとなれば単身で敵地と言っていい場所に乗り込み、董卓たちを救わなくてはならないのだから。

「はわわ……。紀霊さんは温厚に見えて、実際は激情家なところがあります。くれぐれも短慮にはお気をつけてくださいね」

「あわわ……。お任せいたしました……」

関羽が手にする札は余りにも少ない。いや、実質二枚のみ。伝国の玉璽と七星刀。その二枚で何としても、と意気込む。

「しかし、持参せずともよいのでしょうか……」

果たして、玉璽と七星刀。それらを所持していることを信じてもらえるものかどうか。

「いや、それよりは交換条件なしに強奪されるリスク……危険性を考えた方がいいだろう」

北郷一刀の声に軍師たちも頷く。

「愛紗なら大丈夫だと思うけどさ。気を付けてくれよ」

何せ相手は宦官を皆殺しにすることを命じたくらいに、人の命を軽く考えているのだから。

関羽は、寄せられる期待と気遣いに熱いものを感じながら決意を新たにするのであった。

◆◆◆


「愛紗、久しいな」

「星か!いや、まったくだ」

旧友である趙雲の声に関羽はほう、と息を吐く。それで自分がどれだけ緊張していたかを認識する。
一騎当千。まさに昇り竜がごとく武名を高めている彼女が自ら出迎えてくれた。関羽はその友誼に感謝する。

「いや、しかし今を時めく星が出迎えなどとは大層なことだよ」

「なに、他ならぬ愛紗を出迎えるのだからな。まあ、一応腰の物を頂いておこうか」

「ああ、済まぬな」

愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青竜堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話かける。趙雲も親しげに、時にからかい、時に真剣にそれに付き合う。
そして豪華な扉の前で趙雲は顔を引き締める。

「さて、だ。主(あるじ)は多忙。そして厄介な案件と向き合って消耗されておる。くれぐれも短慮は起こすなよ?」

関羽はその声に気持ちを引き締める。

「そなたに感謝を。ああ、そうだな。失礼のないようにしないといけないな」

とは言え、だ。自分とて難儀な使命を負っているのだ。ここからは戦場。血を流さない戦場。いや、これは諸葛亮の受け売りではあるのだが。

「主よ、愛紗を連れてきた」

趙雲が静かに、それでいてよく響く声で室内に呼びかけると扉が重々しく開かれる。

◆◆◆

「星、ご苦労」

そこに男がいた。

どっしりと椅子に深く腰掛け、頬杖をついている。だが、どこか疲れているようにどんよりとした表情でどろり、と関羽を見る。いや、いつもが覇気に溢れているかというとけしてそうではないのだけれども。
代わって関羽を突き刺す視線が二対。けして友好的ではない。いや、殺気すら込めて関羽を見据える。
一人は幼女。蒼い髪を可愛らしいリボンで結び、棒状の得物を抱える。
一人は女戦士。銀の髪をざんばらにし、徒手空拳なれども気迫は恐るべきもの。油断なくこちらを窺う。引き締まった身体には幾条も傷跡が走り、その歴戦を物語っている。
反射的に関羽は身構えるが、手元に愛槍がないことに気づく。その認識が遅れるほどに彼女らの殺気は濃く、さしもの関羽も後ずさる。

「主よ、愛紗が委縮してしまっているぞ?」

ふ、と関羽の耳元に温かい息を吹きつけて趙雲は可笑(おか)しげに笑う。

ぞくり、と関羽は全身の毛が逆立つのを感じる。別に趙雲の息遣いそのものに何かを感じたわけではない。
なんとなれば、この関羽をして背後に立つ趙雲の気配に気づかなかったのだ。いかに目前の二人に気を取られていたとはいえ、不覚。そう、不覚である。

「凪、流琉。お客様、だぞ?」

その声。
そして、可視出来そうなほどに色濃い殺気を放っていた二人。それが紀霊の後ろに控える。

「まあ、なんだ。
これくらいに愛紗は評価されているということで、気を悪くしないでほしいものだな」

くすくす、と笑う趙雲に吠えようとして関羽は留まる。本題はそこではないのだから。

◆◆◆

「紀霊殿。お忙しいところ、貴重なお時間を頂きまして――」

「能書きはいい。何用だ」

関羽の声を遮る。その非礼に逆上しそうになるのを抑えて関羽は本題を切り出す。

「董卓殿、並びに賈駆殿の助命をお願いに参りました」

ギリ、と異音が響く。

「何を、言った」

振り絞ったような低い声に、そこに込められた気迫に関羽は怯まない。

「圧政、暴政。それにより洛陽の民は苦しんだと、そう聞かされておりました。ですが
実態はそうではない。そうでしょう?ならば!」

彼女らを誅してどうするのか!

裂帛の気合いと共に関羽は訴える。

「董卓、賈駆は極刑。これはもう決まったことだ」

うっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。

「なぜです!
彼女らは巷で言う所の暴虐なぞとは無縁!そして彼女らは泰平の世に向けて必要ではないのですか!」

うう、と苦しげに紀霊が呻く。よし、ここが攻めどころとばかりに関羽は言い募る。

「だってそうでしょう!賈駆は貴方と特別親しく!そして貴方はその決断を覆す権限がある!」

それに。

「密かに生き延びさせたとして、誰がそれに気づきましょうか」

そう、黙っていれば分からない。たかだか数人なぞ、だ。本気で権力者が匿えば追跡も追及も不可能。だからこそ、無駄に遵法な紀霊の心に楔を打ち込むのが自分の役割。希代の軍師からそう、任じられたのだ。

沈黙。そして激発。静かな。
破綻。

「――天知る地知る。君知る我知る。
いったいそのような秘密、漏れないわけがあろうかよ。
そしてお前さんは飼い主に報告するだろう?
そこに機密という響きが欠片ほどもあるものかと問いたい。小一時間問い詰めたい。そして、だ」

ぎり、と噛みしめた口元からは一条の紅い筋が落ちる。

「部下を、先達を、未来を担う幹部候補生を無為に死なせた。
いや、無為とは言うまい。
 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。ふざけるなよ。
 ふざけるなよ!武門を背負う俺がみっともなくも逃げ出してだ!生き恥晒しているんだ!
 ……ここで彼女らを許すなんてできない相談だ」

悲痛な声。それは関羽の胸を打つ。こんなにも彼は、彼らは。

「だから、無理な相談だ」

きっと劉備や北郷一刀ならば、言ったであろう。死んだ人よりは生きている人のことを考えようと。
きっと軍師たちは言を左右にして論点をずらしただろう。そんなことは重要ではない、と。所詮感傷であろうと。
だが、関羽は武人であった。劉備軍の中で誰よりも義を重んじる武人であった。だから反論できない。反論できないのである。むしろ共感すら覚えていた。
それでも、自分の任に忠実であろうと関羽は言葉を紡ぐ。

「それでも、なんとかなりませんか」

その食いつきに、決壊する。

「なるかよ!なるものかよ!
誰が!殺したくて殺すものかよ!ふざけるなよ!知った風な口を!」

どん、と荒い音を立てて紀霊は立ち去る。戸を蹴破らんとする勢いで。慌てたように護衛の二人が追随する。

「散々だったな、愛紗よ。
いやしかし、あれは悪手だろう――」

苦笑交じりに趙雲が関羽に声をかける。
目線で、どういうことだと問う関羽に、苦笑をより苦くして趙雲は答える。

「あれで主は情に弱い。
その主が董卓殿と賈駆殿の助命について考えなかったわけがなかろう。いや、人一倍悩んでいたよ。
そして、苦悩しながら選んだのだよ。それを、な」

「何故だ。紀霊殿は袁家でも有数の権力者だろう。何を遠慮するのだ」

違うのだ、と趙雲は悲しげに首を振る。

「結局、だ。彼女らの、特に賈駆のしでかしたことは大逆に等しい。
確かに主の権力であれば二人をかくまう。それは可能かもしらん。だが、それは禍根にしかならんよ。それとも劉家軍はそれを望むのか?」

そうではないだろうと問う趙雲に関羽は悄然と頷くしかない。

「いや、そうしょげるな。これで某(それがし)は感謝しているのだからな」

不思議そうな目を向ける関羽。

「なに、あれで主は情熱的でな。そして。いささか内罰的なところがあると言うかな。
 中々弱みを見せてくれん」

艶然と笑う趙雲に関羽は首をかしげる。

「夜は天下無双の槍捌きだからな、主は。この身を以ってしても翻弄されるばかりなのだ。いや、それはいいのだが、それで加減されるのはどうにも口惜しい。
 だが、あそこまで鬱屈としていれば、だ」

今宵は激しいであろうなあ。

「だから感謝したいのだよ。今宵は某が主と同衾するからして」

くつくつと、無邪気に笑う趙雲に関羽は激昂する。

「不埒な!破廉恥な!星よ!貴様の武人としての矜持はどこにいったのだ!」

その声に一瞬きょとん、とした後に趙雲は応える。

「何をそのように大層な。未通娘(おぼこ)でもあるまいに」

「ふざけるな!私とご主人様はそのような破廉恥な関係ではない!」

その気迫に流石の趙雲がよろめく。いや、それは発言の内容に対してかもしれないが。

「はあ?いや、愛紗よ、それは無理があるぞ?主従ともどもに彼に傅(かしず)いておって、それはないだろう。そっちこそ爛れた関係であったと思っていたのだが」

ぐぬぬ、と関羽は唸る。世間一般ではそのように見られているのであろうか、と。いや、確かに主君たる劉備、そして張飛は。いや、諸葛亮と鳳統もそうだろうか。
考えるほどに反論の余地がないことを関羽は自覚し、その顔色を白くしていく。

その様子に色々と察したのか趙雲が問いかける。

「ならば問おう。愛紗。貴殿はその武を何に捧げる」

「知れたこと。桃香様とご主人様に、だ。皆が笑って暮らせる世の中の為に、だ」

揺るぎなく関羽は応える。だが、趙雲はそれにどこか不満げである。

「愛紗よ、それは貴殿の言葉ではなかろう」

何故だろうか。その言葉が関羽の胸を打つ。

「私が知る愛紗はもっと、だな。自分の言葉で理想を語ったものだ。
 拙くても、それが貴殿の思いであり、武の根幹であったろう」

ぐ、と。
関羽は趙雲の言に反論できない。
なぜだろう。あれほどまでに信じていたものが、薄く。そして遠く感じられる。

「理想を語るのは大いに結構」

だが、と趙雲は艶然と笑う。そのままでは、な。

――理想を抱えて、溺死せんようにな。

けらけら、と軽く笑ってその場を去る

――その場に残された関羽は何も、言えなかった。
何も、言えなかったのである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、「VS関羽」かな
はい、それってどうなの案件ですね
かっこかわいいやつ、オナシャス

>>530
乙ーい。

【武神の嘆願 鬼神の逆鱗】かね

>>531
これはよい。。。
いちいち格好いいやつですね
ほんと妬ましい奴ですわこれ
パルパルパル

せめて、武神と鬼神について解説くだしあ
いや、聞けば分かるけどこっっちは浮かばないのです

オナシャス

>>532
武神は関羽の助命嘆願だねぃ
んで、鬼神はじろーちゃんの激怒をいみするんだよっと

>>533
よーは【関羽の嘆願 紀霊の激怒】という意味合い。

乙です

ふと詮無いことを思ったのですが、この世界だと後世で関聖帝君ならぬ趙聖帝君が存在していたりするんでしょうかね……やりそうだな二郎ちゃん


題案は…青ペンさんに勝てそうにないけどまあ賑やかしとして
『借り物の筏で大海の波は越えられじ』
とかなんとか

>>533
なるほどなあ
ヨシ!諦めが肝心!


>>535
どもです。

>ふと詮無いことを思ったのですが、この世界だと後世で関聖帝君ならぬ趙聖帝君が存在していたりするんでしょうかね…
どうだろ。関帝廟とか、発生起源がいまいちよく分かってないんですよねー
義理堅いから契約遵守で商売の神って、関羽さんも苦笑い案件じゃないのかなって
まあ、塩の密売とかやってたエピソード考えたらアリなのかな

>『借り物の筏で大海の波は越えられじ』
これは素直にかっこいいやつです
題名というより、本編で使う可能性が高いです
多分しれっと使ってますので、草でも生やしてくだしあw

お久しぶりです…リアルで面倒ごとがあったので最近目も通せずでしたわ
>>515
>>積み上げた名声が台無しである。よ ケアレスミスですね
かった、星がいてくれて。
○積み上げた名声が台無しである。  まあ文章からすれば改行無しでもいいかもしれませんね【星がいてくれて。】で改行するのもあり
よかった、星がいてくれて。
>>516
>>覇王ビームみたいな。 眼力で射竦められたならこれでもいいけど…多分ワンピの覇王色の覇気みたいなものよね
○覇王の波動みたいな。 イメージとしては【ゴゴゴゴゴ】ってなるDBのあれとかH×Hの蟲の王の垂れ流すあれみたいなそんな感じならこうかなあ?
>>517
>>当然その地位を蹴るなぞなはいわな。 イワナかあ…最近食べてないなあ
○当然その地位を蹴るなぞないわな。  漢字で【無いわな】にした方が読みやすいかな?

>>「そのことを以って、不満はあるだろうさ。だがな」 華琳アウフ!この先を言わせてたら誰も得をしない泥沼になるところだったわ…曹操にとっては実際大した問題でもないから軽く牽制のつもりだったんだろうけど二郎君にとっては譲れないからね、あと少し回転が遅かったらヤバかったわ
個々の恐ろしい所は二郎君には覇王色めいた覇気を出せないけど、曹操からすれば出さないだけに見えるアンジャッシュさよな…だからこそ二郎から覇気もどきも出ずに出てきた言葉に交渉の余地の少なさを察してしまった、と
交渉の場で手札を切ろうとしないやつには2種類いる…手札の切り方を知らない馬鹿と、交渉する価値を見出してないガンギマリ勢だ(なおそもそも手札を持っていないやつもいる)…そりゃ華琳も覇気切って「違う、そうじゃない」、「あなたから喧嘩撃ってきたのよね?」「まさか本気じゃないわよね」と立て板に水するわ
>>あれ。これって華琳のボロ勝ちじゃね? そうだよ(便乗 (なお当初の曹操の想定は考えないものとする。お前が宦官誅滅を謝ってたらもっとウハウハ濡れ手に粟やったんやで…いつもの二郎だったらまず謝って、それからこっちにも事情があったんだよ。とかしてくれたはずなのに
ぶっちゃけ軍師連中からすればどうやってあの曹操に元から出すつもりの司空と放逐予定の張遼で済ませたとか驚愕レベルよ。曹操が言ったようにさらっと殺しに来たり傍目には完全敵対みたいなことしておきながら…多分凛ちゃんさんは場合によっては自分が客将として向かうことも考えてたんじゃねーかなあ

こういうのは主人公が今までどんなことをしてきたとかそこから相手側がどう感じるかを妄想するのも楽しいなあ
>>526
>>愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青竜堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話かける。  【話】は名詞で【話し】は動詞なので
○愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青龍堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話しかける。 あと【青龍堰月刀】ね(ケアレス感)《昔話を話す》で覚えると間違いにくい?
>>蒼い髪を可愛らしいリボンで結び、棒状の得物を抱える。 リボン…髪結い?と思ったけどこれは床屋か
○蒼い髪を可愛らしい髪留めで結び、棒状の得物を抱える。 あとは【髪飾り】…日本語だと【手絡】と言うらしいですが【結び】と続いてるので髪留めに含まれるヘアゴムとかヘアピンに誤解はされないだろうしそこまでしなくても大丈夫でしょう
>>527
>>うっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。 【うっそり】ってぼんやりみたいな意味らしいのでちょっと違う様な
○のっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。 緩慢でとらえどころがない。の方がそれっぽいかな?と思います
>>528
>>それとも劉家軍はそれを望むのか?」 微妙!>>240で本郷君が自分たちを義勇軍って自称してるし【劉家】っていうとビッグネーム感が
○それとも本郷殿はそれを望むのか?」 >>298で大声で(多分劉備が)ご主人様呼びしてるし軽い探りも込めてトップが本郷な事をサラッと聞き出したりしてそう
>>529
>>その気迫に流石の趙雲がよろめく。 馬鹿な!エロ下種人公…じゃないエロ下主人公…でもないエロゲ主人公があんな美人に手出しをしないだと?
○その気迫に流石の趙雲もよろめく。 てっきり「これでお前たちは天の御使いの棒で誓いをした姉妹…これが本当の棒天の誓いだぜ」とかやってるものだと

>>劉備たちにもたらされたのは、 ここ【本郷たち】じゃないかなあ(劉備を本郷の下に見る目で)
躓き、倒れ、泥に塗れてなお妥協せずにその道をひた走るっていうなら彼らの言い分も馬鹿にできないんだけどねえ
本郷、劉備は綺麗なままで部下たちの手は返り血に染まってる感じがなんとも…でも状況というか境遇を考えれば劉備は手を汚したことがあるはずなんだよなあ
>>傾世元禳 …アッ察し

>>537
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
リアル乙です。
今回はどうもケアレスミスが盛りだくさんみたいで、お恥ずかしい!
チェック機能が息してない!

>この先を言わせてたら誰も得をしない泥沼になるところだったわ…曹操にとっては実際大した問題でもないから軽く牽制のつもりだったんだろうけど二郎君にとっては譲れないからね、あと少し回転が遅かったらヤバかったわ
はおー的にはジャブのつもりだったんでしょうね。今回はノリが違ったのですよねー

>二郎君には覇王色めいた覇気を出せないけど、曹操からすれば出さないだけに見えるアンジャッシュさよな…だからこそ二郎から覇気もどきも出ずに出てきた言葉に交渉の余地の少なさを察してしまった、と
流石のはおーでございます。
ぶち切れて、疲れて、ある意味賢者モードで、もう殲滅してもいっかなーまである二郎ちゃんの精神状態。こいつはやべぇぜと。

>交渉の場で手札を切ろうとしないやつには2種類いる…手札の切り方を知らない馬鹿と、交渉する価値を見出してないガンギマリ勢だ(なおそもそも手札を持っていないやつもいる)…そりゃ華琳も覇気切って「違う、そうじゃない」、「あなたから喧嘩撃ってきたのよね?」「まさか本気じゃないわよね」と立て板に水するわ
これで二郎ちゃん、交渉の余地があると思ってるんですよね。前提として自分の余裕のなさには気付いていません。ある時期のネコミミよりもギザギザハートですw
なにせむしゃくしゃしてますからね!
はおーマジはおー。場をきっちりたたみにきて、果たします。すげえ。ここで決裂内乱とかも要素としてはあったんですがダイスロールすら許さぬはおー。
ここらへんから、はおーはダイスロールの余地があんまりないほど最適解連発してくるので大変です。それでもまだ覇王ではない。

>お前が宦官誅滅を謝ってたらもっとウハウハ濡れ手に粟やったんやで…いつもの二郎だったらまず謝って、それからこっちにも事情があったんだよ。とかしてくれたはずなのに
事前の想定ではマジこれでしたねw
なお、まさかの自暴自棄モードw

>ぶっちゃけ軍師連中からすればどうやってあの曹操に元から出すつもりの司空と放逐予定の張遼で済ませたとか驚愕レベルよ。曹操が言ったようにさらっと殺しに来たり傍目には完全敵対みたいなことしておきながら…多分凛ちゃんさんは場合によっては自分が客将として向かうことも考えてたんじゃねーかなあ
これには納得ですね。本来稟ちゃんも覇王んとこ行くはずだったんですけどね。風ちゃんのインターセプトがなんか生えたw

>本郷、劉備は綺麗なままで部下たちの手は返り血に染まってる感じがなんとも…でも状況というか境遇を考えれば劉備は手を汚したことがあるはずなんだよなあ
>>傾世元禳 …アッ察し

それ以上いけないw
余談を挟もうそうしよう。



>>527

赤ペン先生が突っ込んでないけどちょいと気になった箇所。
『そして、だ。』が連続で使われてるんだよね。

>小一時間問い詰めたい。そして、だ
>彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。

二回目の『そして、だ。』は抜いた方が良さげー。

おお!たしかに
>> 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。 ここは
○ 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。それを、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。 とかの方が良いかもしれませんねもしくは【それを……何条以て】とか【それを!何条以て】とかでもいいかも

「おめでとうございます!華琳様」

曹操は腹心の声に軽く応える。
湯浴みをすませたばかりの金髪からはまだ僅かに湯気すら立ち昇り、軽く上気した様は色気すら感じさせる。

そして配下たちは曹操のもたらした報せに湧く。三公の座の一つである司空の地位。飛躍と言っても足りないくらいなのだ。いずれは、やがてはと思い描いていた。それがこうも早くに、だ。
数日前までは、袁家と事を構えるやもしれぬ、という絶望的な状況であったということが嘘のようである。
そう、袁家とはいずれ雌雄を決するというのは予想していた。だが、まだ早すぎる。早すぎた。
曹家が誇る夏候惇の武威、荀彧の知謀、そして文武において比類無き曹操という傑物。ありとあらゆるものを積み上げても時期尚早。
以前より曹家は――というより曹操が――袁家、特に紀霊に評価、或いは警戒されていた。粛清の余波で族滅すらありえたのだ。無論ただでやられる心算はなかったが。

割と曹家には悲壮感的なものが漂っていたというのが実情であった。
なんとなれば、曹家が権力基盤として当てにしていた宦官が物理的に一掃されてしまったのだ。累が及ぶであろうことは想像に難くない。

「流石華琳様です!」

その声を受けて曹操は笑みを深める。
四世三公。袁家が誇るほどにその地位は大きいのだから。

◆◆◆

「しかし、終わってみればあっけないものですね。もっとこう、大規模な戦闘があると思っていたのですが」

「姉者、洛陽でそのようなことがあったら洒落にならんぞ」

「秋蘭、それは分かっているとも。だがな、実にあっけないではないか。あれほどに禁忌と思っていたのだがな。こうも脆いものか、とな」

やれやれ、といった風に荀彧が応える。

「軍事的にはそうでしょうけどね、まかり間違えば逆賊になるのよ?
 たとえ一時権を握ったとしてもね。大義名分を得られたら討たれるだけよ。
 攻めるに易く、守るに難い。それが漢朝の首都たる洛陽の強み」

正当性こそが重要なのだ。その言になるほど、と夏候惇は頷く。

「確かに、洛陽の防衛とか考えたくもないものだ」

深刻そうに呟くその言を受けて笑いが弾ける。別に夏候惇としては冗談を言ったつもりはないのだが。

◆◆◆

「しかしそろそろ処刑の時刻か。
 実際哀れとしか思えんがな」

ずず、と茶をすすりながら夏候惇は呟く。
董卓が、董家が漢朝に仇なしていたというのは広められた言説であるが実態はそうでない。そして曹家軍首脳はそれを皆理解している。

「とは言え、仕方ないことだろう。
 洛陽どころか禁裏に血が流れたのだ。それ相応の結果が求められるというものであろうよ」

夏候淵の言葉は反董卓連合の共通認識に近い。
それでも惜しいな、と思ってしまう。

「そうだな、その通りさ。
 だが、それでも惜しいと思う。董卓、賈駆ともにな。
 あれだけの人材、求めても得られるものではないだろうよ」

実戦指揮官でもあるのだ、夏候惇は。そしてその評価は正しい。
漂う沈黙。

「いっそ認めたら良かったのにね。彼女らを殺したくないって。
 そしてかくまえばよかったのよ」

呟いた荀彧のそれ。

「それはそうだろうよ。二郎だからな。きっと殺したくないと思っていたろうよ。
 だが、その寛恕を受ける奴らがそれをよしとはせんだろうよ」

「分かってるわよそんなこと!
 あいつらが死にたがっているのはね!
 でもやりようはあるし、利用価値だってあったわ。
 囁(ささや)けばいいのよ、よかったのよ。
 殺さなくて済むってね」

それは悪魔の囁き。黙っていればわからない。
だからこそ曹操はそれを選ばない。選ぶことはできなかったのだ。

「残酷なことね、桂花。
 それを二郎が検討していなかったとは言わせないわよ」

瞑目していた曹操が口を開く。

「それを口にしたらね、引き返せないのよ。
 やってもやらなくてもね。
 むしろ、その話を持ちかけたらその時点で終わりね。
 だって無理矢理共犯関係に持ち込もうとするようなものだもの」

曹操の笑みは深まり、透き通っていく。

「だからね、私はそれを言わないし言えない。
 私が言った瞬間に共犯者となるのだから。
 そして言わない。絶対にね。
 それが優しさ、或いは厳しさというものよ」

やれやれ、困ったものねと首を振る曹操。
「まあ、そこまで私が譲ってあげているのだもの。二郎は応えてくれるわよ」

くすり、と微笑む曹操。

そして、その想定は覆されて尚、曹操は揺るがない。
彼女こそが紀霊も認める世紀末覇王なのだからして。

本日ここまですー感想とかくだしあー

はおーの時間

みたいな

はおー陣営も苦しいところではあるのですよね
なお二郎ちゃんの評価とか政権維持能力

ねる

>>544
乙ーん…ってまたむじゅかしいとこほを丸投げする!ww

【遥かなる治世~奸雄の旅路は未だ道半ばなりて】

乙でしたー
>>542
>>曹家が誇る夏候惇の武威、荀彧の知謀、  間違いと言うわけではないですが
○曹家が誇る夏候姉妹の武威、荀彧の知謀、 曹家トップ陣で彼女の名前が入らないのは可哀そうかな?という事で
>>やれやれ、といった風に荀彧が応える。 これは夏侯惇の疑問に対するものなので
○やれやれ、といった風に荀彧が答える。 の方が良いと思います

>>割と曹家には悲壮感的なものが漂っていたというのが実情であった。 なんとなくトン姉は楽観的だったんだろうなあ、という信頼がある…良い意味でも悪い意味でも。そしてそのおかげで曹操もあそこまで二郎に切り込めたのでは疑惑が
あれだよ…宦官が風説流布して董卓のせいで洛陽が荒廃してたことにしてなんか死んでた皇甫嵩に責任押し付けようず…確かあいつそれなりの地位についてたし行けるイケル
二郎ちゃんは凡人なんだから大局なんて見ずに目の前のことに必死になって良いんやで?国がどうのとか難しいことは天才の皆様に丸投げして自分は好き勝手やろう?漫画の主人公とかがよく言うじゃん「目の前の大切な人も守れない男に何が守れるっていうんだ!!」とかなんとか、ね?
大義名分が必要だっていうなら、逆に考えるんだ。大義名分も無しに権力をふるった紀霊を合法的に権力の座から遠ざける口実になる、と。責任を取って性行雨読の夢の生活のチャンスだぞ!

>>546
ちょ、最後!ww

誤字じゃないよ?産めよ増やせよ地に満ちよっていうし女性頭首とかいつ不測の事態があるかどころか妊娠中は行動制限付くから計画的にやらんとね(にっこり

>>548
いや、わかってるけどさあ!?ww

>>545
どもです。

>乙ーん…ってまたむじゅかしいとこほを丸投げする!
自分でできるならやっている!と開き直りですw

>【遥かなる治世~奸雄の旅路は未だ道半ばなりて】
奸雄の旅路というフレーズはよきよきですのでいただくかもしれません

>>546
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

> なんとなくトン姉は楽観的だったんだろうなあ、という信頼がある…良い意味でも悪い意味でも。そしてそのおかげで曹操もあそこまで二郎に切り込めたのでは疑惑が
確かに㌧姉は大丈夫だと確信してそう(直感A)

>二郎ちゃんは凡人なんだから大局なんて見ずに目の前のことに必死になって良いんやで?国がどうのとか難しいことは天才の皆様に丸投げして自分は好き勝手やろう?漫画の主人公とかがよく言うじゃん「目の前の大切な人も守れない男に何が守れるっていうんだ!!」とかなんとか、ね?
せやせや、と同意なのですが、握ってしまった権力とかこれまでのあれやこれやがそれを許してくれない。。。
いや、割と周りは許してくれると思うんですけどね

>責任を取って性行雨読の夢の生活のチャンスだぞ!
確かに晴れたからと言って二郎ちゃんは別に耕さないな
いや、ある意味耕すのか???
種まきだー!(ハイウェイスター的な)

>>ハイウェイスター的? よく分からない…無知ですまん
まさかハーヴェスターとは関係ないだろうし
そういえば二郎ちゃんの夢の生活は晴耕雨読ならぬ晴読雨読っていつだか言ってたっけ

>>551
どもです。
菓子なので省略しますが
seed というのは種まきで、つまりアレっていうことっていうw

>そういえば二郎ちゃんの夢の生活は晴耕雨読ならぬ晴読雨読っていつだか言ってたっけ
言ってますね。晴れてても働きたくないでござる案件ですね
そりゃ性交が優先っすわw

それはそれとして、ちょっとスランプでございます。
お話は出来上がっているのですが、文章がまとまらないのですよね。
まあ、波があるので致し方ないものとしております。

ひょっとしたら、気分転換にハーメルンで流行っている
RTA風の奴を投下するかもしれません

恋姫無双立志伝 袁家凡人√ はじまるよー

みたいな

割と今作、想定より最適解で歩んでるなーとかなんとか
暇があったら完結後か幕間にやるかもしれません
あっちでは絶対にやらない奴ですね

>>553
>恋姫無双立志伝 袁家凡人√ はじまるよー
となると現状ではifになる月詠生存√も出てくる可能性が微レ存?

なんかこのページが攻撃されてるとかなんとか出てきた
大丈夫かしら

>>555
スマホからはそうみたいっすねw
専ブラからは影響ないかな


今日はがんばる

「申し訳ない」

関羽は悄然として、頭(こうべ)を垂れる。実際期待外れもいいところである。それは彼女が一番認識している。だから、誰も彼女を責めない。

「いや、愛紗はひとつも悪くないさ。こちらの言い分を聞かない相手が悪いんだ」

「そうだよー。愛紗ちゃんはなにも気にすることはないよ」

口々に関羽を慰めるその言葉がかえって苛(さいな)むのだ。
結果が全て。それは過ぎし日に先達に受けた薫陶。あの、涼州の快男児が関羽に示したもの。
そして、手札を切ることすら叶わなかったのだ。その、忸怩たる思い。様々な要因が関羽を苛む。
――そう、玉璽と七星刀である。今、手札として活かさなければどうするのだ、と。
言葉にできない。だが、差し迫った焦燥さえ感じるのだ。取り返しがつかないのではないか、と感じるくらいに。

◆◆◆

「しかし、宦官だけじゃなくて皇甫嵩や劉協までも、かあ。
徹底しているなあ」

北郷一刀は思う。その道は血を流し過ぎているのではないか、と。
そして、血と恐怖で漢朝を掌握する存在の異名を呟く。

「魔王、か……」

きっと、向かい合うことになるであろう。そう、思う。
絶対に、相容れないであろう。そして、決意を新たにする。

「魔王、ね」

頑張らないと、と気を引き締める。いかに手元に張飛や関羽といった豪傑。そして諸葛亮や鳳統という軍師がいても、だ。

「皆が笑って暮らせる世の中の為に、だな」

◆◆◆

「あっけないもの、だな」

公孫賛は誰ともなく呟く。
今頃は董卓、賈駆、王允の処刑が淡々と執行されているはずだ。
裏事情を知る身としては思う所がないではないのだが、致し方ない。致し方ないというのが本音だ。頭を一つ振って気合いを入れる。
ヨシ、と声も高らか。配下にハイタッチで気合いが更に高まる。

戦後処理が終われば新体制の発表だ。なんでも皇甫嵩や劉協といった、新体制でも中枢に据えられたはずの人材が喪われているそうな。
青写真が無に帰り、組閣は難航しているらしい。

とはいえ、公孫賛はそれどころではない。なんとなれば、組閣に先んじて幽州の州牧として任命されることが通知されたのだ。
抜擢と言っていいだろう。地方の一軍閥でしかなかった公孫が太守になっただけでもとんでもないことではあるのだ。それが州牧だ。
中華で十三しかないその席に座り、責を果たすかと思うと乾いた笑いしか出ない。
いや、だからといってそれを返上なぞするつもりはない。今まで尽くしてくれていた部下たちには大いに報いてやらばければ。
そう決意する公孫賛ではあるがその顔色は冴えない。なんとなれば、彼女を補佐する韓浩から面談の申し込みがあったのである。
「話がある」ときたのだ。

◆◆◆

「お忙しいところ、お時間頂き感謝する」

いつもながらに淡々とした韓浩の口調に公孫賛は苦笑する。
いや、変わらないなあ、と。

「いや、他ならぬ韓浩なら、さ。いつだって時間くらい割く」

例えそれがどのような用件であっても、だ。
きっと袁家への帰参の件だろう。
はあ、と内心で公孫賛は人生最大級のため息を吐く。
いや、と思い直す。もともとキリのいいとこまでと言って貸し出されてきたのだ。いよいよ、これからこの世の春を謳歌(おうか)するであろう袁家に復帰するのはごく自然なことだ。
むしろ、韓浩のような人材が一軍閥の長であった自分に貸し出されていたのがおかしいのだ。

なんとなれば、韓浩は袁家における武家筆頭の紀家軍の幹部候補生……どころかれっきとした幹部である。それも上位の。
文武に秀でる彼女は紀家軍の、今となっては古参だ。
雷薄が横死した現在、客観的に見てその席次は非常に高い。具体的に言うとあの趙雲すら凌ぐ。
もっと具体的に言うと紀霊の横で補佐をするのが自然なのだ。ぶっちゃけ袁家の武家筆頭である紀家軍の№2が妥当な席次であるのだ。
実際、韓浩というのは破格の人材である。そう、公孫賛は思う。

平時、戦時共に痒いところに手が届く補佐ぶり。それにどれだけ助けられたか。
戦場で根拠地について憂いがないという状況。そして、戦場で副将と参謀を兼ねる彼女がいるという状況。
そのどちらも公孫賛は未知のものであった。韓浩がいたからこそ、だと公孫賛は思う。彼女がいたからこそ呂布の率いる軍にあのように一方的に押し込めたのであろうと。

そのような彼女を、だ。
ほいほいと貸し出すことのできる袁家という集団の奥深さに公孫賛は苦笑する。まあ、それはいい。

愛想がなくて、歯に衣着せない彼女。それはかけがえのない存在ではあったのだが。それも借り物。そして、きっと彼女は袁家にても栄達していくのであろう。それは最初から分かっていたことだ。分かっていたはずだ。
だから、気持ちよく送り出そうと決めていた。精一杯の感謝の念と共に。

◆◆◆

「ほんと、韓浩には世話になった。うん。本当に世話になった。州牧なんて地位に私が就くのも、だ。
割と全部が韓浩のおかげだと思ってる。ほんとに、感謝してる。
だから……」

言葉を続けようとする公孫賛に、韓浩は不思議そうに首を傾げる。
異議を投げかける。

「ちょっと待ってほしい。何か齟齬があるようだ」

言わせるなよ、とばかりに眉間に皺をよせる公孫賛の抗議なぞ、どこ吹く風とばかりに韓浩は応える。

「私が今日、お目通りを願ったのはそう。貴女にそのような表情をさせないためと言ってもいい。
 多分」

へ?と戸惑う公孫賛。
韓浩は優しく笑いかける。いや、それは錯覚であったのかもしれない。
だが、彼女の紡ぐ言葉は公孫賛の耳朶を打ち、心を震わせる。
それは誓いの言葉。覚悟の言葉。

「これよりわが身は、我が忠誠は御身のために。
そう。非力非才の身であるが、この忠誠を御身に尽くす。
この剣を受け取って欲しい。もしそれが御身の望まぬものならばこの胸を貫くべし」

片膝をついて韓浩は腰の剣の切っ先を自分の胸に突き付ける。
剣の誓い。
武人にとって神聖なそれであるということに気づいて公孫賛は震える。
何にであろうか。嬉しさ?戦慄?望外のこの状況に理解が追い付かない。
まさかに、夢ではなかろうなとばかりに軽く頬をつねる。痛い。痛い?痛いとも。

「わ、私なんかに、いいのか?」

お前はもっと、もっと大きく羽ばたけるだろう、と。

「繰り返す。我が忠誠は御身に。
もしそれが御身の望まぬものならば、この胸を貫くべし」

そ、それはまずくないか?
そう、口に出そうとする公孫賛の目の前の韓浩は、いつも通り静かに。

「既に袁家も了承済み」

最大にして唯一の懸念。それが消え、改めて韓浩を見据える。その眼差しはいつものごとく無表情。それが、何故だか嬉しかった。
そして韓浩の持つ剣を受け取る。

「州牧の地位よりも、韓浩を得たことの方が嬉しい」

後世に伝わる公孫賛の台詞である。

本日ここまですー感想とかくだしあー

ここまでで完結してもいいくらいやねんよ
題名募集しまくりんぐですよ本当に!

ほんと、ここで終わってたらあんなに荒れなかったわw
いや、別にええねんけどねw

それでも前に進む二郎ちゃんにご声援よろしくお願いします。

>>559
おつーん。

そうねー
白馬に寄り添う鉄仮面
…かな

乙(なのです。でち。ぽい)です。 元気ですよーっ!(某アントンボンバイエ風www)

速攻浮かんだ題名「幽州無敵ハクとカン。誕生編」「伯珪さん最高の日」なんとなーくごきげんさんに(某ファンキーFM風)
ただねぇ……
韓浩さん怖ぇぇよ。「いらんなら殺せ」って、地味様一瞬困っただろうなwwwつうか韓浩さん正座説教一時間案件です。ちゃんと地味様の思いを受け取るように(命令)

魔王ですか。クラスチェンジしました?(凡人→魔王)信長が第六天魔王でしたから、第七天魔王とでも名乗ります?二郎さん。
なお本当の意味での庶民には一切直接手を下していない模様。

関羽さんの胃腸とメンタルが気掛かりで……二郎さんがパシリからNTRるか掻っ攫うかすればまだ救いはありそうですが。

荒れようがどうしようがついていきまっせ、二郎の旦那(げっへっへ)声援ってこうじゃないよな。

>>560
どもです。

>白馬に寄り添う鉄仮面
仮面つけてへんからw
実際、付けたら暑いし重いし大変なんだろうなあ


>>561
どもです。gotoしておりました。

>速攻浮かんだ題名「幽州無敵ハクとカン。誕生編」「伯珪さん最高の日」なんとなーくごきげんさんに(某ファンキーFM風)
こいつはご機嫌なタイトルだぜぇ。。。

>韓浩さん怖ぇぇよ。「いらんなら殺せ」って、地味様一瞬困っただろうなwwwつうか韓浩さん正座説教一時間案件です。ちゃんと地味様の思いを受け取るように(命令)
まあ、様式美ということで一つ。
本来ならば真名がふさわしいのかもしれないですが、韓浩にはないし、移籍の方がむしろインパクトだろうかな、と
まー、長かった。というより当初は当然そんな予定ございませんでしたわね

>魔王ですか。クラスチェンジしました?(凡人→魔王)信長が第六天魔王でしたから、第七天魔王とでも名乗ります?二郎さん。
董卓が負ってた悪名を引き受けたことになります。これがどう出るかは不明です。影響ないかもしれません。

>関羽さんの胃腸とメンタルが気掛かりで……二郎さんがパシリからNTRるか掻っ攫うかすればまだ救いはありそうですが。
割とまだ正気を保っておりますが、それが彼女にとっていいことなのかどうかは割と謎っです

>荒れようがどうしようがついていきまっせ、二郎の旦那(げっへっへ)声援ってこうじゃないよな。
草w

>>562
だーってー
鉄面皮やとDISってる感じにしかならへんのやもーん
かといって氷ってほど感情がないわけでもないしさー

乙でしたー
>>557
>>公孫賛は誰ともなく呟く。  ケアレスミスですね
○公孫賛は誰にともなく呟く。 より丁寧正確に言うなら【誰に言うともなく】らしいです
>>ヨシ、と声も高らか。配下にハイタッチで気合いが更に高まる。         【配下とハイタッチ】じゃないかな?
○ヨシ、と声も高らか。配下と手を打ち鳴らし合うことで気合いが更に高まる。   あるいは【手を叩き合わせて気合が】とか?いっそ
○ヨシ、と声も高らか。配下と声を合わせて鬨の声を上げれば気合いが更に高まる。 イメージとしては皆で「エイエイオー」とかそんなのとか…どうかな?
>>青写真が無に帰り、組閣は難航しているらしい。 正確にはこれ【無に帰る(かえる)】じゃなくて
○青写真が無に帰し、組閣は難航しているらしい。 【無に帰する(きする)】らしいです
>>今まで尽くしてくれていた部下たちには大いに報いてやらばければ。 化ける?
○今まで尽くしてくれていた部下たちには大いに報いてやらなければ。 ですね
>>558
>>はあ、と内心で公孫賛は人生最大級のため息を吐く。         内心?実際に吐いた?
○内心で公孫賛は人生最大級のため息を吐く。             抑え込んだならこうで
○ふう、と公孫賛は人生最大級の溜め息を抑えきれずに漏らしてしまう。 何とか抑えようとしたけど…ならこんな感じ?
>>ぶっちゃけ袁家の武家筆頭である紀家軍の№2が妥当な席次であるのだ。          カタカナ警察だ!
○ぶっちゃけ袁家の武家筆頭である紀家軍の次席――紀霊の右腕――が妥当な席次であるのだ。 【次席】と【席次】を一緒に使いたくないなら席次代わりに【地位】とかどうでしょう
>>そして、きっと彼女は袁家にても栄達していくのであろう。            まあ【にても】でも意味は通じるっちゃ通じるんですが
○そして、きっと彼女は袁家にあっても……否、あってこそ栄達していくのであろう。 地味様の自己評価低いのもあるけど実際袁家にいた方が率いる軍勢とか得られる富やら何やらは、ね

>>だから、誰も彼女を責めない。 ~中略~ 口々に関羽を慰めるその言葉がかえって苛(さいな)むのだ。
本当こいつらは甘いよね、優しいんじゃなくて甘い。むしろこいつらは逆に優しさが無いんじゃないかってレベル…100歩譲って関羽が悪くないと言うなら続く言葉はちゃんと対策を取らなかった軍師連中が悪い。になるべきなのに
実際に意味があるかは別にして、七星刀も玉璽も出さずに一刀たち視点で悪辣冷酷非道な紀霊相手に言葉だけで助命嘆願とか本当はその気ないでしょ?
多分現代の中国や北朝鮮の国家代表に東京都知事が島の所有権を認めるように言う様なものだよ(適当
>>今頃は董卓、賈駆、王允の処刑が淡々と執行されているはずだ。 あれ?王允サン何かしたっけ…何進の部下だったような気がするけど処刑せにゃならんほどのビッグネームだったか
虎に翼とかいう形容詞があるが白馬に翼か…ペガサス?中国だと空飛ぶ馬っていうと天満よりも麒麟なイメージだが…(白馬に角だと処女厨なイメージがあるから無理だな)
公孫瓚に対する袁家の持つ印象がちょっと怖いのよね…いろいろあるから総合的には味方として見てるだろうけど某CPBとの仲の良さとそこからのお願いをガンガン通してくるのがなあ…みたいな
だからこそ韓浩が袁家の手を離れる時に密命を帯びてそうでもある(公孫にとって悪くなるようなことは言わないだろうけど)

>>563
>だーってー鉄面皮やとDISってる感じにしかならへんのやもーん
>かといって氷ってほど感情がないわけでもないしさー
やったぜ!
いつもそういう感じで題名苦慮している気持ちを共有できたぜ!
なお、本当に思いつかない模様

>>564
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ヨシ!
ここをキャンプ地とする!

>本当こいつらは甘いよね、優しいんじゃなくて甘い。むしろこいつらは逆に優しさが無いんじゃないかってレベル…100歩譲って関羽が悪くないと言うなら続く言葉はちゃんと対策を取らなかった軍師連中が悪い。になるべきなのに
修羅場くぐってないですもの。
それである程度上手いこときてしまった。成功体験だけが残っている。
二郎ちゃんがやったことでもあります。成長させないためにね。

>実際に意味があるかは別にして、七星刀も玉璽も出さずに一刀たち視点で悪辣冷酷非道な紀霊相手に言葉だけで助命嘆願とか本当はその気ないでしょ?
彼らはそのつもりがありました。でも、必死じゃない。どうしてもっじゃない。
まだ感傷の範囲。

>公孫瓚に対する袁家の持つ印象がちょっと怖いのよね…いろいろあるから総合的には味方として見てるだろうけど某CPBとの仲の良さとそこからのお願いをガンガン通してくるのがなあ…みたいな
だからこそ韓浩が袁家の手を離れる時に密命を帯びてそうでもある(公孫にとって悪くなるようなことは言わないだろうけど)

地味様が地方の不良だとしても、麗羽様以下はそれ以上の不良だからなあ
くらいの認識じゃないかなと思いました

もちとしたらあっちに更新頑張ります
頑張りたい



未来(反董卓連合の結成とその結果董卓が死ぬこと)を知っててそれを変えられなかったことの二人の思うところはどんなものかなかなか興味深いね
特に二郎は孝欣が出ないように備えていたのがまさかのアイドルという歴史の修正力というにもひどいアレを知っててこうなったんだもの…下手すりゃたすりゃ自分で自分が許せないかもしれん

一刀?董卓たちはいい子だけど自分の言うことを真面目に聞いてくれないから仕方ないよね?キチンと言う事を聞いてくれてたら助けられたかもしれないなけどなあ
呂布はきちんと聞いてくれるし一緒に昼寝もする仲だから助けられる…助けてみせるぜ!大切な人を取りこぼしたりするものか!みたいに盛り上がってるのかもしれない

>>566
まあ、二郎ちゃん的には主要キャラが女子な時点でね・・・
黄巾の乱については割と戦犯。なので珍しく頑張ってました。
一応責任とか感じてます。Pしちゃったな的な意味で。
まあ、黄巾の乱のアイドル親衛隊はね。わかるかそんなんw

反董卓連合については・・・世界の修正力とかそんなものは考えてないですね
固定イベントとかいうのも、いろんな要素が積み上がっての結果なので、しゃあないなって
実際黄巾の乱と違って発生しないルートも割とありますので

CPB陣営についてはおおむねそんな感じじゃないっすかねw
関羽さんはへこんでます
チャンスですね

さっき見たガンダム三国伝で劉備が「仲間を救うこと一つできずに民を救えると思えない!」とか言い出したwww
そしてそのあと「お前も仲間だ」で趙雲を袁紹から引き抜いちゃったよwいやまあ袁紹が趙雲に矢を射かけたからだけどそれも袁紹の命令を破ったからなんだが…
それ絵にしてもやっぱりたいていの三国志系のお話だと袁紹は暗愚に描かれるんだなあ

だって袁紹が順当に有能だと曹操引き潰されてそのまま中華統一しちゃうからね…
戦国系における桶狭間で消える今川みたいなもん

蓋開けるとどっちも普通に天下取ってないとおかしいレベルではあるんで、
それを超えた曹操/ノッブの豪運天才っぷりを描写側が表現できないというリアルパイセンステイ案件

袁家はいわば今川家みたいな位置づけじゃけぇ・・・
しかしノッブもほんとよく勝てたなと思います
さすがフリー素材

まあものすごく雑に言えばエジソンとテスラみたいなものか?もしくは藤井君の凄さを描写する前にきっちり他棋士の強さを出したうえでそれに勝つ藤井君のリアリティを出す…

リアル先輩がリアリティ後輩を素で殴る案件・・・w

リアル先輩「後輩なんですぐ死んでまうん?殺したかっただけで死んでほしくはなかった」な勢いで殴り掛かってるからね、仕方ないね…しかも日常茶飯事で
最近のアメリカ大統領選とかもなかなか

>>573
>リアル先輩「後輩なんですぐ死んでまうん?殺したかっただけで死んでほしくはなかった」な勢いで殴り掛かってるからね、仕方ないね…しかも日常茶飯事で
りゅうおうのおしごと!の作者さんの呟きは面白かったですね。

>最近のアメリカ大統領選とかもなかなか
ふっつーに売電さんが圧勝かと思ったらいい勝負してましたしね

まあ、マスメディアが作ろうとしている空気と実態のぶれは大きくなっていくのかなと
石破さんの持ち上げられっぷりとか、叩かれない二階さんとか
よくわからないですね

リアリティ殴りと言えばドラえもんのジャイ子の名前の由来が間違っても同じ名前の子がいじめられない様にってリアリティのない名前にしたとかなんとか
あと月(ライト)もあんなヤバいことする主人公と同じ名前は無いだろう的な
リアルDQNネームはそれ以上のものがごろごろしてる気もするけど

異世界転生ものって地名とか人名からの名前が付いたものって微妙に扱いに困るよなあ、と思ったり
唐辛子とかジャガイモとか…下手したら唐辛子を頼んだらわさびが出てくるとかありそう…面倒だからしないけど逆にその名前になった理由がなあ

でえじょうぶだ。
異世界ものは栗本薫せんせーが散々悩んではって、
ま、いっか
となったみたいなのでそういうことでいいと思ってますw

グインサーガでのウマは馬ではなく似た生き物とか当初は色々独自設定練ってらっしゃいました
伊達ではないとか伊達おらへんやんけとなってふっきれた感

というかあの方、設定色々考えるのに、作中ガバガバ管理すぎたのですよね
特に暦がひどくて、どういう仕組みか先生も分からなくなって、ファンがなんとか構築したというのですよね

なので私は深く考えませんw

次作は異世界物になるはずなので

まあそうね
DQのビルダーズにもジャガイモやトウガラシ出てきたしそこまで考える必要は無いか

サクナヒメ?とか言うのをちょっと知って調べてみるとなかなかおもしろそうだな、と思いつつ出ててくるパワーワードにもにやにやしたここ最近
兵士と農家をきっちり分けた為政者は偉大とか何とか…戦ってる時も田んぼが気になって身が入らないとか感想があってここの一刀がわざわざ分けられてるのを合わせるとか余計な事をしていたことにw
戦時にお隣が兵士として出陣したら肩身が狭くなりそうだよなあ(もともと住んでる一般農民とよそから来た義勇兵からの屯田兵(笑)の溝が埋まっても埋まらなくてもひどいことになるね)

ということを言おうと思ったらなろうの【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の該当箇所>>98がマルっと抜けてましたよ

>>579
クサナ姫、なんかよさそうですよね。
スイッチ持ってるしちょっと試してみようかなと思って・・・

               , ―==---
              / ,イ´
             l  /   __     Eヨ
        、    >  ̄ ̄マ二 ヾヽヾヘ  | |
        ヽ`ー‐´ /   |    \    | | | _____
     __,イ    |   | ∧   .|   `ー'7:::::::::::::::::::::::::::::、
い ヘ  ` ̄ ̄7    ∧  、A_イx |     |:|:::::::::::::::::::::::::::::::::
 た ヘ    /    //И / ´ ̄とつヽ____|:|:::::::::::::::::::::::::::::::::
、 た \  .| ∧ N彡` V     0',   |7 | `´ヽ_:::::::::::::::::::::::
..\ た .\´レ ', | トcっ   ,__ノヽ oイ  |' ./   ,イ::::`ー-=::::/
  \ た  `ー、ヾⅥo   |     | o/|  |ノ≦´ | |:::::::::::::::::::/
   /::`ヽ た た・・・ヽ゚   ヽ__ノ/  |/   } }:::::::::::::/
 /::::::',ヽ`ー--≠- /゚`> 、__/| / 〃     `ヾミ/
´::::::::::::::ヾヘ∧ / ./三三´: :|.   |./|  |>  /   ./三ヽ
:::::::::::::::::::::メ´/  /´  く´: : /   ∥ | L_ .|   /―---|
:::::::::::::::/:::::::|  | _/>: /       | |: :/ l  イ|―‐‐---|
::::::::::::´::::::::::::|ヽ { ',: : :/        レリメ !   |`ー .三三|\
`ー―――-∟\ヾ<   /    ,イ´ ,イ´|: ヽ  /   `寸Ⅵ .\
         / `ー、f ̄ ̄7二彡イ´   |: : : Ⅵ\    `´
        /     ゞ--‐'        |: : : :Y   \
         /      |:.:.:.:|        /: : : : |    \
       {ヘ       |:.:.:.:|      ./: : : : ;イ      \
       |: :ヽ      |:.:.:.:|、____/____ノ:|       ヽ
.        }: : :`ー、___|:.:.:.:|: : : :ノ: : : : : : : : : : :ム        }
       ヽ、___: : |:.:.:.:| ̄ : : : : : :_,,,-――` 、       |
            |: : :|:.:.:.:|: : : : -‐´         \     |
やってもうた!

駄目ですね。。。
こっそり更新しときませう。
これは恥ずかしいw

念のために向こうでも指摘したけどもしかしたらそれが向こうでの初感想だったかもw

>>581
ですです。
名前欄見て、変な声でたのと、本物か確信がこちらで確信になりましたw

ぶっちゃけ良い点はまだしも一言なんていつもこっちで言ってるから何も書くこと無くてアレになりましたw
基本こっちで言いたいこと言ってるからなあ

ちょっとリハビリにインプット生活です
鬼滅の刃、映画最高でした
FGOはどうかなあ

年末年始については、ちょっと公募に応募してみようと思っております
赤ペン先生の添削なしで完成度が上がるのかが心配ですw

内容は構想のあったヒーローものをやろうかと思ってます
1万字?
3エピソードやれば丁度くらいやろうという感じです

(´・ω・`)・・・・・・頑張れ!

チェンソーマンと呪術回戦を未見だった不覚!不覚ぅ!
どっちも最高!
チェンソーマンはドロヘドロみたいな世界観で単純にキャラが動き回るのが素敵!
呪術回戦はね、序盤に悪口雑言言いながらの目付きが最高!
一コマごとに目線と表情だけで演出してるのがワザマエ!

よきインプットしております

某所でやってた戦いの駄神アレスの「自分はそういう存在として求められている」って言うのがかっこいいと思った(小並感
最近深夜アニメでひぐらし見てて思ったんだけどなんで雛見沢村は鉄平に寛容なんだろ? 適当にいちゃもん付けてつるし上げたくならんのだろうか…北条とかどうせ碌な奴じゃないんだし(雛見沢特有の偏見

寛容というか、放置されてるのじゃないかなと思いました
まあ、園崎組からガチの人派遣したらそれで解決しそうな気もしますががが

いやあ、圭一たちがサト子庇って(鉄平を攻撃しようとして)児童相談所に突撃かましたことに物言い入れてたし
まあ時期的にたたりのちょうどいい生贄要員として残してた可能性もあるっちゃあるけど

あー、北条の困った輩ならいいやみたいな?
それはそれで闇が深いですね
雛見沢は一枚岩!とはなんだったのかw

謹んで本年の慶びを申し上げます

どうも御無沙汰してます
コロナで暇になったはずなのにやっぱり間に合いませんでした(
皆様もくれぐれもお身体にお気をつけて

あけましておめでとうございます
今年もよろしく

恋姫世界って中国以外の偉人も女体化してるのかしら

明けましたおめでとうございます!
山の神様と外泊してきました
今年に完結できたらいいな(フラグ)

>>591
どもです。
こちらも罹患はしてないですが、どうなんでしょうね
どっかでかかってる気もしないではないですが
それはそれとして、普通に病気になる可能性もあるので手洗いうがいで頑張るぞいっと。

>>592
赤ペン先生どもです。
こちらこそよろしくお願いします。

>恋姫世界って中国以外の偉人も女体化してるのかしら
卑弥呼さまがTSしているので、普通に女体になっていると思います
この時代って羅馬とかどんな時代だっけな。。。

重心が軽いのに、とても軽やか

しとやか、の方がええのかな

※備忘録

M1と同じネタはあかんやろって
※戯れ言

寝ようとおもってそりゃないよ
笑ってはいけないとの落差がひどいってば

重心が軽い【のに】、軽やか。だと【のに】に違和感が
全体見ないと分からんけど
羽根のように軽やかでいて、けれどそこにしとやかな佇まいがある。とか(こっちはふわふわしてるようでよく見ると柔らかくも力強い感じ)
羽根のような軽やかさはまるで重力を感じさせない、とか(こっちは何物にもとらわれない自由さとか気ままな感じ)
【しとやか】は淑女で使う字だから落ち着いてて、一本芯が通った花のような綺麗さと同時に力強さを秘めてる感じで

明けましておめでとうございます。
とりあえず、山の神様(奥様)大事で。


二郎さん?正月早々ヤリ過ぎでへばっているか、クッソ忙しい親友二人の邪魔してるか、闇勢力の蠢動に追われているか。
幼馴染連れて初詣&姫始めくらいやれっての(いい加減にしなさい)

>>597
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
参考にさせていただきます!
そして年末年始については、インプットに費やした感じです
そこそこアウトプットはしましたが・・・

頑張るぞいっと。

>>598
どもです

>とりあえず、山の神様(奥様)大事で。
いっやもう、最優先です
結局なんやかんやで病巣については根絶できなかったので
そしてこのご時世なのでオペも中々難しいらしいです
大丈夫だとは思いますが、気を抜いてはいけないという日々ではございます

>>598
更新についてはちょっと待ってくだしあw
お正月特典は無理でしたので本編でがんばります

補足 【重心】は重い軽いで測るものではなくて英語で言うところのバランスみたいなものなので【重心が良い=安定している】【重心が悪い=不安定】のように使うのが一般的ですね
不安定な姿勢をしてても重心が崩れない人はきっと体操選手もしくは武道家

>>601
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いちいち勉強になるなあ。。。

明日から例の奴やっつけてこちらに復帰できたらいいな!
唸れ私の肝臓!!!!

あれ、一日三千文字ってlこんなに辛かったっけ

ぐびー

あと、野村證券の担当者がむかつく
またご連絡しますといって連絡ないんやぞ
あかんやろ
あかんしてやろ

朗報
李岳伝の中の方、当方を読まれていた
嬉しいやつだ

ぽーさんと恋姫創作で語り合いたいw
めっちゃ語り合いたいw

ヨシ、頑張ろう

李岳伝、完結したもんねぇ…。
あれはあれでいい幕引きだった…。

あぁ、また時間見てサブタイ巡礼しなくては

>>607
けだし、名作でありました
北方謙三テイストがすごかったですよね
折角恋姫なんだからもっと四方八方手を出したらよかったのになとか余計なこと思いましたがw


ぐぬぬ、頑張って書いて一日2千字とか衰えているのかもしれない
がんばっていこう

全行程ボツにしてこれからやるぞやるぞやるぞ
応募に間に合うかは分からない

あ、二月になったらこちらガンガン再開しますのでよろしくお願いします。
出力エンジン、古バースト!

錆ついてそう>>古バースト…もしくは全力稼働と同時に爆発?

梨園の誓い 後漢末期の怨将軍紀霊と沮授、張紘が交わした義兄弟の契りの故事。当時袁家は善政を布いており、中央との結びつきも強くその隆盛は飛ぶ鳥落とす勢いであった。
けれどそれは袁家領内に限った事であり、袁家以外の領地では土地が荒れ、重税に喘ぎ、子が飢え死に、賊が暴れ、異民族からの略奪に怯えることが常であった。
そのため、世には終末論が広まり、天の御使い様が世の乱れを正し安寧に導く……といういわゆる救世主を求める一種の宗教が成り立っていた(一説には黄巾党の跳梁は長角がそれを自称したからというものもある)
それを認められなかった紀霊は「自分たちの行いは何の意味も無かったのか、天に助けを求めなければならないほどに我らは無力なのか」と嘆いたという。
その荒れていた紀霊を二人が誘って梨園にて開かれた酒宴の最中に行われたのがかの【梨園の誓い】である。
様々な演劇、講談などで人気の一幕であるが、実はその詳細は驚くほど不鮮明である。これは当事者たちの日記以外にそれに触れているものが殆ど無く、その日記も彼らが酔っていた成果支離滅裂な記述が多いためである。
故に梨園の誓いの演劇においては3人の義兄弟の誰が長男かは決めずに対等であることを除いて、一切の制約が無い。
その自由度の高さもまた、この演目が人気の高い理由だと思われる。

閑・地該監督作品【怨将軍流浪譚・諸国漫遊記】パンフレットより

う~ん、久しぶりにかいたけどなんかノリが悪い…けどデリートも勿体ないからいっちゃおう

>>610
爆発しそうです。
中々エンジンがアレだなあと思いながら頑張るます。

>>611
そっすか?割と面白かったですけど。
自分には書けないやつですので大変ありがたいです。
実際梨園の誓いが後世に伝わってたらこんな感じかなって。。。

まさに世紀末!

うーん、流石に慢心したか
今回は無理かな(弱気)

間違えた…閑・地該監督作品じゃなくて原作閑・地該【怨将軍流浪譚・諸国漫遊記】だった(どうでもいい設定)
関係ないけど話を盛るために梨についてちょっと調べてみたのだけど
梨って同じ品種だと子供ができないとか風吹くだけで実らないとか結構大変なんだと知りました
きっと演劇の梨園の誓いの一幕ではそれと平和を掛けた説得がなされたはず…李・博愛さんがやってくれる

詠と月の処刑は淡々と施行された。
極刑、それはどうしようもない。そして美羽様入内の恩赦で配下についてはその罪を赦されることになっている。
張遼は華琳が引き取ることになっており、恋は、まあ普通に放逐だろう。いかに万夫不当と言えど、召し抱えるリスクを負う者はいないはずだ。
とは言え、皇甫嵩と劉協が揃って横死しているなどとは、流石に想定外である。想定していた人事案がおじゃんだ。いやマジで。

「全く、厄介な」

ぼやく俺を責める者とていない。端的に言ってやさぐれている俺に声をかけるなぞ、ごく一部のみで……。

「やあ、二郎。ああ、機嫌は悪そうだな」

悪いよー。めっちゃ悪いよー。

どこか気遣うような声色で声をかけてきたのは白蓮だ。

「邪魔するぞ、と」

どっこいしょとばかりに不貞腐れる俺の前にある卓に腰掛ける。うむ。太腿からふくらはぎにかけてのラインが絶妙である。
これ、狙ってないんだろうなあ。狙ってたらすごいんだけどなあ。眼福というやつである。

「なあ、ありがとうな」

「ん?」

「いや、な。本当は今じゃない方がいいんだろうな、と思うんだ。だけど、私が、だ。地方軍閥の長でしかなかったこの私が州牧にまでなるのは、二郎のおかげだ。
 だから、ありがとうな」

よいしょ、と俺の膝の上に身体を移してそ、と体重をかけてくる。

なにこのかわいいいきもの。

「ま、まあ、あれだ。大変とは思うけどな」

太守からとんとん拍子に州牧だ。どえらいことではある。
そうかな?とばかりに白蓮は俺にしなだれかかって言う。

「官僚自体はそのままだからな。実際の運用は問題ないだろう。それに、頼もしい人材もいるしな。いや、韓浩はありがたい」

その声に俺に直訴してきた韓浩の言葉を思い出す。

「公孫賛殿は、地位以上の能力を持っている。彼女を州牧の座に据えるのは妥当」

ただし、と韓浩はぴくりとも表情を動かさずに言った。

「ただ、彼女はその性、誠実にして善良。これは個人としては賞賛すべき資質。ただ、為政者としてはいかがなものかと思う。
 故に私が補佐に付く。本格的に。
 率直に言えば、彼女の部下になろうと思う」

む?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。

「先ほども言ったが公孫賛殿はその性、善にして良。だが、裏を返せば脇が甘い。放っておけばいくらでもつけこまれるだろう」

だから、と。確信したかのごとくに吠える。吠えた。あくまで静かに。

「袁家、いやさ紀家には世話になった。
だが、公孫賛殿に私が仕えることには袁家にも利があると判断する。
そして、なにより、私があの御仁を支えたいと思っている」

淡々とした韓浩の訴え。それに俺は頷くことしかできなかったのである。

そんなことを思い出して頷く俺に。

「それに、桃香たちも手伝ってくれるしな」

これである。
なん、だと……?
なん、だと……!

◆◆◆

「俺たちは、無力だ……」

これまでになく、真剣な口調で北郷一刀は言う。

「結局、月も、詠も助けられなかった……」

刑死するのを歯噛みしながらただ見守ることしかできなかった。
刑場に乱入して彼女らをかっさらうという案も出たが、軍師陣の激しい反対で諦めざるをえなかった。なんでも、どうやっても実現は不可能とのこと。関羽と張飛の武勇、諸葛亮と鳳統の神算鬼謀を加味しても、無理だ、と。
そう、悔しげに、涙ながらに諫言する軍師たちに返す言葉を持ち合わせてはいなかった。

「痛感したよ。甘かった。俺の甘さがあったから月と詠を救えなかった。
 きっとさ、高い理想があるからさ。それをみんな分かってくれると甘えていたんだ」

だけど、と。

「理想だけじゃ駄目なんだなって分かった。
力がないと、駄目なんだ。
 でも力だけでも、駄目だ。月や詠みたいに、無実の人を犠牲にするなんて間違ってる!」

うんうんと劉備は熱心に頷く。
そんな劉備に優しげに微笑み、北郷一刀は言葉を繋ぐ。

「権力者が理想なくして力だけ持ってしまったら、こんな悲劇が繰り返される。
 そんなのは、駄目だ。絶対に駄目だと思う」

北郷一刀は胸に誓う。こんな悲劇、或いは茶番劇をもう、許さない。ただ、それには力がいる。それも相当の、だ。

「朱里、雛理。どうしたら、届く?あの、魔王って言われる紀霊。彼に伍するだけの力をどうしたら得られる?」

救える命を救わない。そんなことはあってはならない。
だから、最善を望む。今、自分たちには力が足りないのだ。
そう、力が、欲しい――。

◆◆◆

「把握した。主君たる貴女が決断した。否やはない」

淡々と韓浩は応える。
劉備が、その陣営が舞い戻ってきた。
そこに対して韓浩は無感動である。いや、無関心と言ってもいい。
なぜならば、彼らが飛躍するためにはまだまだ何もかもが足りない。それらを補うためには公孫賛を頼るのは必定。いや、それでいいと思う。
なんとなれば、伏竜と鳳雛と異名される軍師二人は。あの紀霊をして最大限に警戒するほどの逸材なのだ。
なればその二人が所属する陣営が想定内の範囲の行動をとるのはなんとも望ましいことである。その対照である陣営としては悩ましいのではあるが。

だが。

韓浩は、淡々と思う所を述べる。

「劉備なる在野の士が旧友と言う一点で士官を求めてきた。そしてその配下ともどもその能力に対して評価しているのはいい。だが、彼女らは一度公孫を見限ったということを忘れないでほしい。
 匈奴と相対して血を流した古参兵、そして幹部将校たちのことも思いやるべき。
 無論、この私も新参。故に――」

言い募る韓浩を公孫賛は押しとどめる。

「分かった分かった。桃香たちにはきっちり主従のけじめをつけさせる。それでいいだろ?」

こくり、と頷く韓浩に畳み掛ける。

「それに、だ!韓浩!お前が新参とか、間違っても口に出すなよ!」

裂帛の気合いをもって公孫賛は断じる。その語気はむしろ激昂。

「お前は!既に公孫の一員だ!」

その一言には万感の思いがある。あった。

袁家の軍制改革の一環として、最前線たる公孫には袁家の幹部候補生や、見どころのある兵卒が人事交流という名目で派遣されてきた。
僅かな時間の交流であったのがほとんどだ。それでも、同じ釜の飯を食った仲間という認識は袁家と公孫家に共通していた。なんとなれば、この二家の連携は他家の追随を許さないほどに。

そして韓浩である。

彼女は軍官僚として、お目付け役として袁家から派遣されてきた身だ。それに彼女特有の皆無に等しい社交性もある。
有り体に言って、受け入れがスムーズとは言えなかった。
それを覆したのは一重にその仕事ぶりだ。淡々と、だが、誰よりも公孫の発展のために陰に陽に尽力する姿はまさに無言実行。
ひと月もすれば彼女の仕事ぶりを認めない者はいなくなった。
兵卒と共に泥水をすすり、馬と共に眠り、駆ける。
公孫賛が得た白馬である。

「情けないことを言わせるなよ」

そして、だ。袁家の、紀家の重鎮として復帰するであろうと思われていたのに、だ。
あろうことか公孫に留まるというのだ。それも、帰る場所を捨てて、だ。
これに意気に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。

「だから、笑えよ」

公孫賛は、無表情な韓浩の頬をつねり、口角を持ち上げる。

「ほら、こうやって笑えばお前はとっても美人さんだぞ」

くつくつと笑う公孫賛に韓浩は抗議の声を上げる。

「ひょんなことをひってもよくわからひゃい」

「いいんだよ。なあ、私は、韓浩が公孫の、いやさ私のところに来てくれたことがとっても嬉しい。其れくらいは、伝わってるかな?」

頬を公孫賛に掴まれたままに韓浩は頷く。

「うん。うん。至らない身だが、よろしく、頼むよ。
 本当にありがとうな、韓浩。
 本当に、大事にするから」

どちらが主君か分からないほどに公孫賛は頭(こうべ)を垂れ、双眸から溢れる涙は止まらない。

これより以後、韓浩はそのけして長くはない人生。
それを公孫賛その人のために捧げるのである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

はい
やるとも。色々と。
頑張ります。

乙したー
ついに来ちまった
胃が痛いが見届けさせていただきます 

そして早速長くない人生ってなんだ、おい

>>619
どもです!

>胃が痛いが見届けさせていただきます 
細部では割と変更点もあるのですよね。
一ノ瀬的には。細かすぎて伝わらないかもですが。

>そして早速長くない人生ってなんだ、おい
伏線ってやつですかね(露骨)


>>618
乙ーい。
【地味様と鉄仮面~少しの戯れを添えて~】な感じで

>>621
どもです!
うわめっちゃ題名考えるの忘れてた!
案感謝です!
やったぜ!

乙でしたー
>>615
>>む?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。        これは実際には【む?】とは言ってないのかな
○どうするつもりだ?とばかりに首を傾げる俺に韓浩は言い募る。 ちょっと言い方が強いな…他の言い回しでもどうしてもちょっと詰問調っぽくなるし
○む?と首を傾げる俺に韓浩は言い募る。            【ふむ?】とか【うん?】とかでもいいけど【ばかりに】は入れない方が良さそうかな?
>>617
>>その対照である陣営としては悩ましいのではあるが。 これは劉備陣営に目を付けられたのが自分たち公孫陣営なのが悩ましいってことよね
○その対象である陣営としては悩ましいのではあるが。 【対照】だと比べるとかそんな感じなので多分違うかな
>>これに意気に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。 【意気に感じない】の言い方だと自分の中の【意気(意気込み、やる気)】でちょっと違和感が
○これに意気を感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。 【(韓浩の)意気を感じない者はいない】その思いが分からないやつはいない、ならこうで
○これを粋に感じない者はいない。公孫賛を筆頭に、だ。  ちょっと違う気もするけど《これで心が動かないやつはいない》みたいな意味ならこうかな?

ところで…某所が「今までの蓄えを根こそぎされて一般人は劉備に大半がついて行って丸裸なんですが彼らを推薦した袁家さん、どうにかして」と息も絶え絶えだと思うのですが、そこのところは
ぶっちゃけそれまではただの農民だった人たちも劉備に【お・ね・が・い♡(はぁと)】されたら一緒に屯田兵(笑)になって反董卓連合で徴収されたと思うのよね…まあ自分たちについてこない片田舎の一般人(袁家支配下)なんてむしろ袁家の重しになってくれればいいんだろうけど
というか無位無官だったころの劉備達なら義勇兵含めて公孫瓚が好きにしていいだろうけど今の彼女らを勝手に部下にしていいの?「故郷(くに)に帰るんだな、お前らにも家族がいるだろう」しないとあの地――ひいては袁家――に悪いだろうに
一所懸命じゃないけど仮にも一地方の県令を引っこ抜いて事後承諾は社会人としてどうなの?公孫さん…劉備?脳みそお花畑は評価できない存在なので端から×マークです

上の文書いてて思い出した
ぽこ(一ノ瀬さん)あなたの言う(今日か)明日(くらい)っていつの明日なの?(ねーちゃん感

>>623
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>ところで…某所が「今までの蓄えを根こそぎされて一般人は劉備に大半がついて行って丸裸ry
ほんとろくなことしねえな桃ちゃんはw
きっと沮授君以下袁家官僚団がフォローしているでしょう。地位を最低限にしててよかった案件ですね本当に。

>今の彼女らを勝手に部下にしていいの
配下の義勇兵はそりゃ解散でしょうね。国に帰るんだなが基本方針でしょうか。どうしてもついてきたいという人については・・・
きっと無事危険視されて適切に処理されることでしょう

>>624
ヒエッ
頑張ります。

まあ彼らがフォローするよね。任命責任的に
それはそれとして逃げ出した劉備一行には謝罪と賠償を要求しないと…今の上司は公孫瓚?じゃあその人に
ぶっちゃけその辺裏でなあなあにするのは良いけど表向きは劉備の求心力に傷をつけるためにもやって損はないからな

というかガチで劉備達が任されてた土地って劉備陣営メインが全員反董卓遠足してる間に問題起きなかったの?

>>626
一連について、沮授君が陳琳ちゃんにパワハラするエピソードが浮かびましたのでご報告申し上げますw
いや、パワハラするというか、頑張れというか?
後始末に東奔西走する陳琳ちゃんとか、素敵やん?

ダイジェストやってみますか

時系列は脳内補完オナシャス

沮授君「やれやれ、困ったものです。劉備とかいう怪しげな輩をどうしてそんなに二郎君は警戒するのか。
     まあいいでしょう。二郎君の勘は馬鹿にできないですからね。
     頼みましたよ、陳琳さん」
陳琳「どうして・・・」
※文家の軍官僚という花形ポストにて、お祈りされたからです
※普通に行政官の修行としてはまあ、軽めの追加ミッションです
※新規の県令のサポートというか、監査するだけですからね
※通常業務はあれこれとあります

義倉を解き放つ!

陳琳「は?」

領地の正丁に軍事訓練とかし出す

陳琳「はあ?」

反董卓連合に参加すべく旅立つ

陳琳「はああああああ?」
沮授「監督不行き届き、ですかねえ」
※そら沮授君にしたって、まさかまさかである

沮授「劉姓で、皇族に連なるとか大きく出ていたから、体制を重んじるのかと思っていました。
   大きく思い違いしていましたね。
   彼女らにとって、決まり事やらは、踏みにじることが権威の証という認識なんですね。
   なるほど。これは二郎君に謝らないといけませんね」
それはそれとして、陳琳ちゃんを詰める。そらもう詰める。詰め合わせ。

陳琳「ええと、ええと。義倉が空っぽになったのは軍事物資の流れをいじって補充して、
   それでも足りないのは黒山賊の被害ということにして・・・
   正丁がいなくなったのは流民や黄巾くずれの中で従順なのを配分して労働力を確保して・・・
   県令については権官として私が兼務する感じでふわっと体裁を整えて・・・
   これってどれか一つとっても汚職官僚案件だなあ・・・」
※結果にコミット!これには沮授君もニッコリ

戦後処理

陳琳「はあ?今更出奔した奴らが帰ってくる?
   それなりに流民も元黄巾も安定してきたってのに?
   困る。困るぞ彼奴らに居場所なぞあるものかよ」
※おめめぐるぐる

陳琳「ヨシ!慢性的な労働力不足なとこがあった!
   君らの故郷は黒山賊に焼かれたということで、鉱山送りだ!
   無駄に元気で思慮のない奴らにはお似合いだな!」
これには沮授君もニッコリ

ま、大体黒山賊が悪いよー
ということで一つ。

尚、あれこれのノウハウには知り合いの韓浩に頼った模様

陳琳「どうして・・・」
韓浩「乙」
陳琳「貴様なんぞに頼る日が来ようとは!!!」
韓浩「割とあれこれ言われていた気がするが」
陳琳「気のせいだ!」
韓浩「そう」
陳琳「そうだ!」
韓浩「ならよかった。流石は俊英、英才。私の教えることなど何もないだろう」
陳琳「ちょっと待て。いや、待て。待って下さいとでも言えというのか!」
韓浩「?必要か不要かということだけだろう」

こんな感じの二人ですとか、当初考えてたのと違いますがこの二人のイチャイチャは永遠に書いてられますね
ということで一つ。

乙でしたー
>>領地の正丁に軍事訓練とかし出す 一応本郷君が始めたのは屯田兵でついて来た義勇兵に開墾させてたことだから(劉備の魅力で元からいた農民に一緒に訓練しよっ(キラッ)とやってないとは言っていない)
>>反董卓連合に参加すべく旅立つ 別にそれ自体は良いのよ…問題は全軍出撃して防衛戦力が見当たらないことで(公孫瓚もそれを危惧して韓浩を残そうとしてたし)
劉備陣営に対する擁護に見せかけた泥掛け習慣ヨシッ…なおどうにも擁護のしようがない義倉開放――お前ら前任者が有能善良と認めておきながらそいつが【いざというときのために】って言って引き継いだだろう蓄えを何人気取りのための施しにしてんの?それだけの食糧があれば洛陽で苦しんでいるどれだけの庶民を救えたことか(初期ネコミミ感

劉備たちを召し抱えた流れを白蓮から聞いて俺は大いに項垂れる。がっくりだぜこんちくしょう。
そうかい、そうだよな。それこそが最善手だよな。やってくれるぜこんちくしょう。そりゃ伏竜鳳雛そろってりゃそれくらいは考えるか。
むしろ、韓浩が白蓮の腹心としているということが救いかな。

「まあ、そんなわけさ。あれで桃香たちは県令だったろう?それを私が引き抜く形になるからさ。そこの調整を頼みたくてな」

この通りだ、と白蓮に頭を下げられると、だ。

「白蓮に筋を通されると、な。
 その様子なら他も分かってるんだろ?」

白蓮は苦笑して。

「そうだな。桃香の地位は県令だった。そこに兵権なんてあってなきが如しだ。それでもあいつはやってきた。
 どっちにしても領地には戻れない。そうだろう?」

「そうだな。なに、暴虐たる董卓に対して兵を発したならばそれはまあ、なんとかなるさ。
 するとも」

実際、他の諸侯も手元の領地の統治を手放して出兵したんだ。
いや、その意味合いはかなり違うけどね。だからこそ、劉備ご一行を領地に戻すわけにはいかない。

「それは助かる。じゃあ、私が招請したってことでお願いしていいかな?」

苦笑。こんなに苦い苦笑もなかろうさ。それでも白蓮のお願いとあらば、だ。
白蓮の招請する奴らの経歴に傷はつけられないよな。
まあ、人材の質という意味では超一流だしね。よかろうもん。

「はいな。白蓮の配下。そこいらへんの経歴に瑕瑾すら残さんさ」

まあ、ありがとうと満面の笑みを見れただけでよしとしよう。
後は韓浩に任せよう。
あいつなら、万事うまくやるさ。きっとね。

……俺のその読みは半分当たり、半分外れることとなる。

◆◆◆

郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂、をだ。

「魔王、ですか」

禁裏を血に染め、政敵の悉くを葬り去ったが故にそう呼称されているとのことだ。あくまで一部ではあるようだが。

郭嘉はため息を漏らす。そんなものかと。
そしてどうしたものかと頭を巡らす。けして好ましい風評ではないのは確かなのだが。
そう思いながらその風評の対象である青年にちらりと視線を。

「――困ったものですね」

その呟きは果たして彼の耳に入ったであろうか。
常ならばお気楽な表情である彼は、いつになく憔悴しているように見える。これは好ましいことではない。
執務室には彼と彼女のみ。これが彼女の親友たちならば軽口をたたくなり、すっとぼけた発言で場を潤すのだろう。だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。センスもない。
それは彼女が一番自覚していることである。つまり。

――人としての魅力に乏しい。

これに尽きるであろう。口を開けば仕事のこと、或いは小言。分かっている、分かってはいるのだ。
あれこれと話題だって準備はしている。話題の飯屋だったり、流行りの服だったり。
まあ、その大半は阿蘇阿蘇から得た知識ではあるのだが。それでも彼が責任編集しているそれは格好の話題となるはずである。
それでも、彼を前にするとそんな事前準備は全て吹き飛んでしまうのだ。
だから、今も気の利いたこと一つ言えない。彼の親友――言わずと知れた張紘――からあれこれと助言すら貰っているというのに。
結局、こうなる。

「如何(いか)に未明に髑髏の兵を率いて洛陽を駆けて禁裏を血に染めたとはいえ、好ましくはない噂です。
ええ、実際もって好ましくはない」

分かっている。分かってはいるのだ。他に遣り様はなかったと。だが、それでも、他に遣り用はなかったのかと郭嘉は思うのだ。
だって貴方はこんなにも憔悴しているではないか。
だから、言い募る。

「二郎殿、もとよりです。貴方はその虚名を活かすためにあれやこれやされていたのでしょう。
それを、一夜にして台無しにするとはいかがなものでしょうか」

違う、そうじゃない。そういうことを言いたいのではないのだ。
そんな、そんな風に彼を糾弾したいのじゃない。そうじゃないのだ。

「大丈夫だ、問題ない。英雄たる怨将軍の役割たる英雄の座。
それは既に星が引き継いでいる。引き継いでくれる。
あの恋と伍したんだ。
だから、さ。怨将軍は廃業ってことさ」

もともと、でっちあげたもんだからな。
そう笑う彼の笑みはどこか透きとおっていて。郭嘉は胸が締め付けられるのを自覚する。
でも。だって、それでは。魔王なんて言われては貴方は。

「いいのさ。俺のことは、ね。いいんだよ。何と言われても、さ。所詮風評なんてそんなもんだしな。知らん奴らに何を言われても構わんさ。
 俺というものを知ってくれている人がいるから、さ」

その笑みは傍目にも痛々しくて、見ていられない。
そして、思う。
立場があるからだろう。そう、一度も彼は董卓や賈駆の処遇――死刑――に言及していない。

きっと。

悼(いた)んで、いるのだろう。彼女らを。そして。
傷(いた)んで、いるのだろう。彼の、心は。

なんとなれば、身内には甘い彼だ。彼女らを逆賊として処罰することに対してどれだけ慙愧(ざんき)の念があることか。

「だから、俺のことはどうでもいんだよ、ほんと。
 風評なんて、もっとどうでもいいさ」

その言葉と表情に郭嘉は、激昂する。そして溢れる言の葉。

「どうして、ですか」

「え?」

「そんなに、そんな貴方がどうしてそこまで傷つかなければならないのですか」

貴方は、こんなにも頑張っていて、そんなにも傷ついて。そんなのはあんまりだと郭嘉は理不尽に憤る。

「二郎殿はもっと、もっと……」

お気楽に笑っているべきなのだ。適当な戯言を口にして窘(なだ)められていればいいのだ。
そう、だから、こんなのはおかしい。こんなのは認めない。
欠けたものは、補えばいい。

「私では、不足ですか?」

いや、不足だろう。愛想なんぞないこの身だ。でも、それでも。見ていられない。こんな彼は見ていられないのだ。だから。

「え?」

口付けした。
戸惑う彼の表情が、何故だか嬉しい。

「貴方の空隙を、埋めたい。そう、思いました」

きっと、これは恋なんてものではない。
きっと、それは愛なんてものでもない。

同情とか、打算とか。きっとそんなありふれたものだ。

「私では、不足ですか?」

上手く、笑えているであろうか。郭嘉はそんなことを思う。
でも、だからこそ、精一杯にほほ笑む。

だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い音響と共に押し倒された時には、安堵を覚えたのだ。
とうに諦めていた、女としての悦(よろこ)び。

――郭嘉という人物が史書に記述が増えるのは、反董卓連合以後である。

「進むも郭嘉、退くも郭嘉」

変幻自在の用兵。
戦争芸術を仕立て上げる彼女は、後世において戦争の天才として語られることになる。
そのことを知る者は、未だいない。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、なんだろ
戦争の予感

とか

郭嘉

とか

常勝の天才

とか?

乙したー
どんどんフラグが積まれるよ、やったね浩ちゃん!(白目)

題名案は「魔王と呼ばれた男の真実」で

乙ですー
禀ちゃん可愛いよ禀ちゃん
こういう自分の恋心とかそういうものを打算とか言っちゃう不器用な子は堪らんのですよ


題案は
『凡人の心器、金継ぐを禀けしは』

せっかく結ばれたので真名を忍ばせたいと思ってこんな感じに
ひび割れ欠けた器なら金継ぎでより美しくすればいいのですよ、と
禀ける(うける)という言葉は命令を受ける、という意味らしいので、二郎ちやんの心を修復する天命を受けるのは、今は禀ちゃんなんですよー、という意味を込めまして

>>633
乙ーい。
そうね、既に出てるスタイルではあるけれども
『凜として慟哭~その心中慮るにあまりにも傷多くして』かな。

>>634
どもです!

>どんどんフラグが積まれるよ、やったね浩ちゃん!(白目)
そうだよ(便乗)
盛り上げていきたいですねえ(適当)

>題名案は「魔王と呼ばれた男の真実」で
かっこいい
海賊と呼ばれた男
みたいな!!!

>>635
どもです!

>禀ちゃん可愛いよ禀ちゃん
ようやっとここまできたか感もあり、感慨深いですよ

>こういう自分の恋心とかそういうものを打算とか言っちゃう不器用な子は堪らんのですよ
わかる!!!!!

>『凡人の心器、金継ぐを禀けしは』
これはよい
なんか、すごいいい

>禀ける(うける)という言葉は命令を受ける、という意味らしいので、二郎ちやんの心を修復する天命を受けるのは、今は禀ちゃんなんですよー、という意味を込めまして
なるほど、いけるな
ちょっと加工するかもしれませんが

>>636
どもです!

>『凜として慟哭~その心中慮るにあまりにも傷多くして』かな。
慟哭はいいな。すごくいい。


いろいろありがとうございますー!
久しぶりなのに即レス感謝!!!!!!!
頑張るぞいっと。


乙でしたー
>>631
>>郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂、をだ。 【、】の位置に違和感が
○郭嘉はその報告を目にして僅かに顔を顰(しか)める。定期的に集める市中の噂を、だ。 もしくは【……定期的に集める市中の噂、それは――】とかどうでしょう
>>だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。センスもない。 感覚…かあ
○だが、生憎郭嘉にそのような話術はない。面白味もない。 私、つまらない女なので。とか思ってそうよね
>>それでも、彼を前にするとそんな事前準備は  前の文で【それでも】は既に使ってるのでちょっと変えて
○それなのに、彼を前にするとそんな事前準備は もしくは【だというのに】とかどうでしょう
>>632
>>同情とか、打算とか。きっとそんなありふれたものだ。 これで全然良いのですがちょっと私の好みを
○同情とか、打算とか……きっとそんな薄汚れたものだ。 まあこんな世界だと打算で抱かれることととかありふれてそうではあるけどあえて彼女には卑下してもらいたい(にっこり)…そのあと丸ごと包まれて許されてほしい
>>だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い音響と共に押し倒された時には、  執務室で日の高いうちからとか爛れてるっすね…ぜひこれからの執務中に思い出して見悶えてほしい
○だから、怒号とも、嗚咽とも言い難い雄叫びと共に押し倒された時には、 【音響】だと声っていうより物音な感じがするしこっちの方が良いと思います

公孫瓚は二郎があいつら嫌ってる事とかあいつらが袁家嫌ってることとか気づいてないんだろうか…劉備>>公孫瓚>>袁家な感じで寄りかかってるというか、公孫瓚ってなまじ一人である程度何でもできるから人によりかかるのが苦手な印象があったけど大分二郎に甘えてるな(良くも悪くも
先に相談せずに引き抜きして事後承諾で更にその尻拭いまで頼むとかなかなかできることじゃな…これ二郎の影響だ―!?フラッと人材拾って来たり張魯さんを太守に推薦したりしてたからなあ
ところで髑髏の集団とか誰が見たんだろうか?禁裏は皆殺しだしそこいらの民草の目に留まるような隠形レベルの低いやつはそんなにいないと思うのだけど
郭嘉はこの何事にも理屈をつけたがる感じがとってもグッド、打算云々言っといて女の悦びで本気出すようになったり…良き
人間的な魅力は、うん、そうねえ…空気とか読まずに思ったこと口にしたりっていうと韓浩と馬が合いそう?まあ上司が自分に(能力的な意味で)自信がないくせに責任感はあるタイプとはすごい相性良いんだな、と

>>638
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回もありがたやー

>あいつら嫌ってる事とかあいつらが袁家嫌ってることとか気づいてないんだろうか…
二郎「個人の好悪を押しつけることはない(キリッ」
なお、愚痴る模様

>先に相談せずに引き抜きして事後承諾で更にその尻拭いまで頼むとかなかなかできることじゃな…これ二郎の影響だ―!?フラッと人材拾って来たり張魯さんを太守に推薦したりしてたからなあ
この視点はなかったですけどそうかもしれないwっっw

>ところで髑髏の集団とか誰が見たんだろうか?禁裏は皆殺しだしそこいらの民草の目に留まるような隠形レベルの低いやつはそんなにいないと思うのだけど
み、皆殺しではないです。宦官だけのはずです多分。

>郭嘉はこの何事にも理屈をつけたがる感じがとってもグッド、打算云々言っといて女の悦びで本気出すようになったり…良き
作中最大級にめんどくさ…攻略難度高いヒロインだなあと思います。実際どうしたもんかと思ってますが流れに身を任せたらこういうことになりました

>人間的な魅力は、うん、そうねえ…空気とか読まずに思ったこと口にしたりっていうと韓浩と馬が合いそう?まあ上司が自分に(能力的な意味で)自信がないくせに責任感はあるタイプとはすごい相性良いんだな、と
韓浩と組ませたら、めっちゃ言葉で殴り合いそうですね。そして周囲のどん引きをよそに本人達は別になんも感じてないやつ
絶対うまくいくけど、偉くなると周囲が忖度して破局しそう
対面して言葉で殴り合ってる限りは大丈夫と思います

難航していた人事は、決まった。いや、決めた。
まずは州牧からである。

ここは大きな動きはあまりない。ただ、動いた内容については各方面に相当に衝撃を与えたそうだ。

でも動いたのは幽州、荊州、益州だけなんだけどな。
まあ、その内容がびっくりどっきりだったのかもしれんね。

袁家は幽州の支配を手放し、公孫賛がその地位に。そして荊州は孫権。益州は劉表に。

益州を治めていた劉焉については隠居を命じた。だってかなり不穏だったからね、あの人。まあ、皇族たる劉焉を隠居させるとか俺の評判はますます魔王的な悪名一直線である。

そして漢朝の中枢の人事についてである。

まず、だ。麗羽様は大将軍として漢朝そのものを後見なさる。
三公に超越する大将軍の地位。実際麗羽様にふさわしい。

そして、司法を司る司空は先日交わした密約通り、華琳だ。
そしてあれこれ悩んでたけど太尉は白蓮に勤めてもらう。あれから韓浩とも話したけど、劉備とは離した方がいいってことになった。
いや、太尉についてはあれこれ悩んでたんだが、それで一気に片付いた。軍事に明るく、その心根についても疑う所はない。事務処理だってばっちりな白蓮は、思えば適材だよ。
内々に打診した時に白蓮はぽかんとしていたけどな!目が点とか呆然自失とかいうのはああいうことだろう。いや、可愛かったけど。可愛かったけど!
本当は斗詩か猪々子がよかったんだろうけどさ。
斗詩の、バランス的にありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。恋に手傷を負わせたことも含めて、北方の護り。これは斗詩に任せないといかん。師匠やねーちゃんがひっこむことも鑑みるとな。
そして猪々子は、禁軍の実戦部隊の掌握がその任。いざ変事ある時に宮中において戦力を確保するということ。つか、太尉という地位はほら、書類仕事も多いから……。

そして司徒は聞いて驚け、俺だ。
人事権を持つ司徒というのは三公の中でも特別な存在。実は司空や太尉に優越しているのだ。実際、俺の一言で華琳を罷免することも可能なほどの地位なのだ。
人事権というのはそれほどまでに、重い。まあ、これまでは骨抜きにされて追認のみの地位だったんだがな。
正直そんなめんどくさい地位はいらないんだけど致し方なし、である。

「はいはいー、どうにも表情が冴えないですねー」

けらけら、と七乃が揶揄してくる。
だってしょうがないじゃない。色々あんだもん。

「で、随分楽しそうだがそっちはどうなんだよ」

ぎろ、と見据える俺の目線なんぞどこ吹く風とばかりに七乃は微笑む。

「ふふ。荒(すさ)んでる二郎さんに朗報ですよ?お気にされてた魔王という風評。風説の流布。その中心を掴みましたー」

おお、流石は七乃。諜報戦では無敵だな!

「まあ、有り体に言えば亡霊のようなものですね。つまりは、皇甫嵩という中心を喪った清流派。その残党がしきりに蠢動してますね。
 まあ、流言としては極めて稚拙ですがねー」

断末魔と言ってもいいかもしれませんね。

くすくすと七乃は笑う。その透明な笑みが却って彼女の凄味を強調しているのを気づいているのだろうか。いや、分かってるんだろうなあ。

「まあ、いいや。その、なんだ。口幅ったいが、俺を魔王呼ばわりしてる奴ら。まとめてしょっぴけ」

俺の言葉に七乃は小首をかしげる。いちいち可愛いなこんちくしょう。

「えー?二郎さんはそういうの、気にしないと思ってたんですけど?」

いやまあ、知らん奴に何言われてもどうということはないぜ?
……知ってる奴に言われたらへこむけどな!

「俺がどうこう思う話じゃあないのさ」

そう、これは危機。或いは好機。

「王というものは、その呼称は劉姓にのみ許される称号。それを口にするものども。
 平地に乱を起こす不埒者。故に除かねばならん」

かつて隆盛を誇った呂氏。彼奴らは王を僭称し、滅びていった。
それほど王という称号は重いのだ。重いのである。
それを放置できんさね。

「王などという呼称を口にする者は放っておけんさ。
 その軽さが、危うい」

むしろ、清流派の残党を捉えるいい口実になるというものだ。

「はいはいー。了解しましたー。
 でも、いいんですね?」

ふと、真顔で七乃が問いかけてくる。

「大義名分は二郎さんにあります。
 それでも、これより二郎さんは怨嗟の的となるでしょう。
 誹謗中傷の恰好の」

は。

「それでいいのさ。悪評というものには使い様がある。
 それが袁家、いやさ麗羽様や美羽様に向かわないならば」

いくらでも魔王となろう。

「庶人の噂はどうでもいい。だが、士大夫のそれは許さん。そのように」

「あーもー。分かりましたけどねー」

何かものっそい不満そうな七乃であるが。なんでなのん?

「あのですねえ。
二郎さんがそのような悪名を背負うことに、あのお優しい美羽様がどれだけ!
お心をお痛めになるか!」

えー。

「でも七乃ってそんな美羽様見るのも好きじゃないの?」

ため息、一つ。
深く、響く。

「勘違いしてほしくないですね。
 そりゃ、私は美羽様の泣き顔も大好きですよ?」

ですが、と。

「本気で美羽様が傷つくことを愉しんでいると思うならばその認識は本気で不愉快ですね」

ばか。


正直、こたえた。

◆◆◆

「魔王、か……」

かしゃん、と音を立てて皿を重ねる。
だがそれでも、その音も彼女の想いを解き放ちはしない。

果たして、あの青年は。あんなにも泣きそうな顔をしていた彼は、その呼称に相応しいのだろうか。
むしろ――。

無意識のままに更に追加の皿を頼むのは、関羽その人である。
いや、あの場で。主たる北郷一刀の宣言。劉備の檄の前に異を挟むほど空気が読めないわけではないのだが。

かしゃん。

また、音が響き皿が重ねられる。

随分と重なるその音。
ここは洛陽の中にある酒家。公孫賛に教えてもらった、安くて旨い人気店である。

ふと、思う。幽州に張り付いている彼女がどうしてこのような店を知っていたのであろうかと。

「ご相席、願いまーす」

店員のその言葉に思わず是、と応じ、どっこらせとばかりに腰をおろす男と目が合う。

「げえ、関羽!」

関羽は言葉を失う。
なんとも気まずいことに、その男とは、紀霊であった。
つい先ほどまでの思索の対象たる青年。それが目の前に現れ、さしもの関羽も冷静ではいられない。

「あー、失礼するぜ」

ぼりぼり、と気まずそうに頭を掻いて紀霊がへにゃり、と笑う。

なんとも情けないその笑みに関羽は口ごもる。反応に困る。そして、かあ、と頬に血が昇るのを感じる。
だって。うず高く重ねられた皿は紛れもなく関羽一人の戦果。

「こ、これは……」

だがそれは乙女としてはなんとも恥ずかしく。いや、そのようなことを思うのもおかしなことではあるのだが、そこまで関羽に思考能力は残されてはいない。

「ふむ。
健啖家、と言う奴だな」

しみじみと、なにか感慨深げに頷く紀霊の言に関羽は言葉を失う。
というか、全身ゆでだこのように真っ赤に、羞恥に染まっていて。

「って紅いよ?赤いよ?朱いよ?変に暴走とかせんよな?まずは時に落ち着いてくれ」

なぜか目に見えて狼狽える紀霊を見ているとなぜか笑みがこみ上げてくる。

「あら可愛い」

くすり、と笑った関羽の表情を見て発したのは率直な思い。もしくは賛美の言葉。

「な、なにを言うのですか!」

「ん?いや、笑顔、さ。
いつもこう、眉間に皺を寄せた、こわーい顔ばっかりだったからさ。
 笑った顔がこう、ね。可愛いなと思ったのさ」

かあ、と更に上気する頬の熱さを自覚してしまう。

「まあ、いいや。とりあえず飯だ飯。ここ、旨いんだよなー」

美味さ、安さ、早さのバランスが高いレベルで結実していると力説されて関羽は戸惑う。

「んー。旨い!」

汁物と付け合せをいかにも美味しそうに食べる姿に関羽は違和感を覚える。

「貴方のような立場ならばもっと美味しいものをいくらでも食べられるでしょうに」

ずず、と汁をすする紀霊が、ん?とばかりに応える。

「まあ、あれだよ。市中視察ってやつだな。洛陽はまだまだ治安に不安があるからな。こういったとこで実際の空気を感じとかんとな。
いざというときに判断を誤るからな」

勿論報告書はあるけどやはり自分の目で見ないとな、と笑う紀霊に関羽はなんだか後ろめたさを感じる。

「それにまあ、宮廷料理みたいのは確かに美味いけどさ。こういうのが性に合ってるのさ」

貧乏性なんだよ多分。と笑うその顔。
そこには劉備のようなカリスマも、北郷一刀のような魅力もない。だのになぜ胸に響くのか。

「まあ、あれだ。不思議に思うかもしれんけどさ。
こういう庶民の食事は富裕層にとっては好奇の対象だからな。別に俺だけが嬉々として食ってるわけじゃないと思うぞ。
いや、心底楽しく食ってるのは俺くらいか。むむむ……」

あれこれと能天気に話す紀霊。
ふと気づくとその話に引き込まれている。

「ですから、星があそこまでメンマに拘るのは解せないと思うのです」

「然り。メンマがいかんとは言わん。だが、そこに拘泥するのは星の可能性を狭めているのではないかと俺も危惧していた」

方向性は、ともかく、だが。

「そういや、なんで関羽は劉備に従ってるのん?」

「それは無論、桃香様の尊い理想に感動したからです」

不意に問われても関羽は戸惑うことも狼狽えることもない。
それは、関羽にとって。とっても大事な。神聖なものである。

「ふうん……?」

だから、その神聖なモノに胡乱な視線を向ける紀霊に苛立ちを覚える。

「言いたいことがあれば言えばよろしかろう。回りくどいのは、貴殿に似合わん」

吐き捨てるその言葉になぜか紀霊は嬉しそうに笑う。

「そだよな。腹芸なんて俺には似合わんよなあ。
いあ、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」

ククク、と笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思いを馳せる。その関羽に紀霊は問う。

「劉備の、どこに惹かれた?」

単刀直入なその問い。関羽は苦笑する。言わずもがな、と。

「皆が笑って暮らせる世を創る。その理想です」

胸を張り、言う。

「この乱世、民を導くのは桃香様をおいて他にない。そう思いました」

ふうん。と紀霊はどこか濁った笑みを浮かべる。

「世は、乱れているのかい?」

「黄巾の乱。反董卓連合。乱れているでしょう」

そうかい、と紀霊は口を歪める。

「じゃあその二つが治まったらば、これ以降、どう乱れるって思う?」

その問いに関羽は考え込む。

「分かりません。ですが、きっと乱れる、のかと……?」

乱れるという前提。その根拠を関羽は知らないし思いつかない。
そのようないい加減なことを言っては主の見識まで疑われてしまう。

「いえ、失礼。
確かに現在乱れる要因は見当たりませんね」

尚も言い募ろうとする関羽に紀霊は言う。

「なあ、俺は思うんだ。人は、幸せだから笑うんじゃあない。
笑うから幸せなんだって」

唐突に放たれたその言葉。謎かけのようなその言葉。

「人はさ。飯だけで生きるわけじゃない。でもさ。為政者たるものはまず飯の確保をせんといかん。
言ってみれば為政者の役割は胃袋を満たすことだと思うのさ」

だから、さと苦笑する。

「脳髄まで満たすというのはさ、とっても傲慢だと思うんだよな」

「なんと!」

主を侮辱されたかと激昂する関羽。その激情は鎮火する。だって。
言葉の主はとても辛そうで。

「まあ、それは俺が凡人だからかもしれんね。胃袋と脳髄。ともに満たす。
俺にゃ無理だわ」

気弱に笑って席を立つ。その彼に関羽は問うた。

「なぜ、そのようなことを私に?」

「なんでだろうな。俺にも分かんねえさ。
きっと関羽が美人さんだから口が滑ったのだろうさ」

そう言って紀霊は立ち去る。ひらひら、と後ろ姿で手を振るその背中はどこか哀愁すら背負っていて。

それを無言で見送る。
そして、関羽の食事についても彼により清算されているのを知った時、なんともいえない表情を浮かべるのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は

「揺らぎ」

いや、マジで関羽ワンチャンあるなというきっかけです

乙でした
何かいいことでもあったのかい?僕が救うわけじゃないよ、君が勝手に救われるだけさ・・・あれ、勝手に立ち上がるだけだっけ
救う?掬う?巣食う?私が皆をスクッテミセル

乙です

改めて考えると、恋姫の関羽ってやっぱり蜀勢の中でも難しい立ち位置なんですよねぇ
惇姉みたいに愚直な武人として野生の勘を働かせて、自覚のないまま本質を見抜くには頭が働きすぎるし、
かと言って頭脳働きするにはメイン軍師二人が有能すぎ、
知勇兼ね備えた武将となるには、いささか行き過ぎた忠義が目を曇らせる、と
いやまあ人としてある意味当然の苦悩といえばそんな気もしますけどね、自分の立つべき場所、やるべきこと、なんてものは

さて題案ですが
『美髪公は盲たる忠を超え蒙を啓けるか』
とか

乙したー
愛紗がゆらゆらしとる、もっとばるんばr

・・・高すぎる理想は時として大切なはずの現実を蝕んでしまうのよね

題名案は「美髪公の戸惑い」で

スクッテミセルというか彼女の場合は「私が救ってあげなきゃ民たちがかわいそう」「私しか救える人はいない」みたいな感じかな
二郎が言ったようにこれから先大きな戦がないなら

>>646
どもです!

>何かいいことでもあったのかい?僕が救うわけじゃないよ
うさんくさい拝屋!うさんくさい拝み屋じゃないか!
足の速い詐欺師がすきです

>>647
どもです!

>改めて考えると、恋姫の関羽ってやっぱり蜀勢の中でも難しい立ち位置なんですよねぇ
真になって、桃ちゃんが出てきてぐっとヒロイン力が低下した感はありますよね

>惇姉みたいに愚直な武人として野生の勘を働かせて、自覚のないまま本質を見抜くには頭が働きすぎるし、
>かと言って頭脳働きするにはメイン軍師二人が有能すぎ、
>知勇兼ね備えた武将となるには、いささか行き過ぎた忠義が目を曇らせる、と
スペックは高いのにそれを活かせてない感・・・

>『美髪公は盲たる忠を超え蒙を啓けるか』
啓蒙はいいですね。ちょっとキープ

>>648
ばるんばるん!

>・・・高すぎる理想は時として大切なはずの現実を蝕んでしまうのよね
現実に対応する方便なんですよ、理想って

>>649
>二郎が言ったようにこれから先大きな戦がないなら
ありまぁす!(先行入力)
ダイス判定はほぼ終了しました
後は筆の滑りだけやなあ

>>645
更新乙ーい。
んー。
対比的な表現で重ねてみたくなったのよね。
とゆーわけで
『武神と凡人~理想と現実』
な感じでどないや!?

乙でしたー
>>640
>>斗詩の、バランス的にありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。  【バランス的にあり得ないほどの高スペック】って何ぞ?ゲームバランス?
○斗詩の、バランス型且つありえないほどの高スペックを考えれば匈奴防衛で南皮に配置せんといかん。 もしくは【まさに万能型の見本のような高スペック】とかどうでしょう
>>642
>>そして、かあ、と頬に血が昇るのを感じる。 慣用句で【血が上る】のは頭が基本かな…ただその場合怒りっぽいけど
○そして、かあ、と頬が紅潮するのを感じる。 むしろ【頬が熱くなるのを】、【頬が赤くなるのを】の方が良いかな?
>>643
>>汁物と付け合せをいかにも美味しそうに食べる  間違いと言うほどではないですが
○汁物と付け合わせをいかにも美味しそうに食べる こちらの方が一般的なようです
>>ずず、と汁をすする紀霊が、ん?とばかりに応える。 【とばかりに】は《言ってないけど言っているように》みたいな意味なので
○ずず、と汁をすする紀霊が、ん?と目を向け応える。 もしくは【心外だとばかりに】とか?《殺してやると言わんばかりに睨みつける》(殺してやるとは実際には言っていない)のように使いましょう
>>そこには劉備のようなカリスマも、      本来カリスマって何かを成し遂げた人が出すもので何も成し遂げてない場合どっちかっていうと詐欺師のそれに近いような
○そこには劉備のような人を惹き付ける魅力も、 一応魅力92あるから魅力が無いわけじゃないし≪二級フラグ建築士≫も持ってる…けど問答無用で人を魅了する程じゃないんだよなあ(劉備のように傾世元禳も持ってないし)はメタにもほどがあるか
>>644
>>いあ、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」 いあ!いあ!クトゥグア!ふんぐるい!
○いや、ほんと華琳が欲しがるのもなんとなく分かるわー」 話し言葉だから気にするほどでもないですが、もしくは【いやぁ、】とか?
>>笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思いを馳せる。 【思いを馳せる】は遠くにいる人のことを考えるときに使う慣用句ですね(精神的に距離がある?まあ否定はしませんが
○笑う紀霊になんと言ってやろうかと関羽は思案する。   【思索に耽る】だと没頭しすぎな感じもするし【思考を巡らせる】だと結論が決まってる場面だと違う気がするしこれでどうでしょう
>>だから、さと苦笑する。   この【、】には重みがあるなあ【だからさ、と】だと軽い
○だから、さ……と苦笑する。 むしろ【だから……さ、と】の方が良いかしら?

>>ばか。 この言葉に込められた、秘められた想いは妄想するだけで尊いご飯三杯はいける
>>美味さ、安さ、早さのバランスが高いレベルで結実している この言葉の違和感に気付けば関羽が一刀に報告して和解()ルートが?
弱者救済はいいんだけどね、問題は【私と一緒にいれば皆を幸せにしてあげる】が周りに伝播して【劉備しかこの乱世を収められる人はいない=他の人が治めてる民は不幸だ】みたいになることで
でもよく考えてみたら劉備の弱者救済って優秀な前任者が貯めてた備蓄を振舞って税金下げて。っていう典型的な【魚をあげる】方式だったか、多少は農徳新書も使って……前任者が使ってないわけないから劉備(一刀)の施策した【魚の取り方を教えた】方式って何かあったかな?

>>651
どもです!
どもです!
いつも感想ありがとうございます。

>『武神と凡人~理想と現実』
素敵!
ただ、この時期の関羽はまだ武神ではないのでどうしようかなってところでほんとうに勿体ないので珍しく(多分初)リテイクオナシャス
これいけそうなのよ、惜しいのよ
でも関羽はまだ武神じゃないし、武神になったらダイスロールやり直さないといけないのよ

>>652
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>ばか。 この言葉に込められた、秘められた想いは妄想するだけで尊いご飯三杯はいける
これはね。これだけはね。どうしてもやりたかった案件でございました。
七乃さんの思いというのは中々ね、出せないので。かつ作中最強キャラの一角なので。

>弱者救済はいいんだけどね、問題は【私と一緒にいれば皆を幸せにしてあげる】が周りに伝播して【劉備しかこの乱世を収められる人はいない=他の人が治めてる民は不幸だ】みたいになることで
うむ(満足そうな顔)

>でもよく考えてみたら劉備の弱者救済って優秀な前任者が貯めてた備蓄を振舞って税金下げて。っていう典型的な【魚をあげる】方式だったか
人は成功体験を無視できないのです、とだけ

>>653
しかたにゃいにゃあ
『武人と凡人~理想と現実』でどないや!?

>>654
やったぜ!

前半と後半がどっちも秀逸!
どっちか使いたい!そんときの気分!
前半かなあ。。。

頑張るぞいっと。

さて、反董卓連合。その一連の軍事行動を経て袁家内で最も声望が高まったのは郭嘉である。当主たる袁紹を補佐し、最上の戦果を挙げたのだからして。
本来……と言うかその役割には沮授が充てられるというのが大方の予想であった。
袁家を牛耳る立場にある紀霊の義兄弟。そして「あの」不敗の田豊の秘蔵っ子なのだ。当然参軍するのは沮授であろうと思われていたのだ。
だが参軍したのは郭嘉。
いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは実に妥当ではあったのだが、それは後知恵というものである。

「まあ、ねーちゃんと師匠の相手を稟ちゃんさんにさせるのも酷だろうよ」

どこかの自称凡人の言である。

そんな事情もあったのかもしれない。
ともかく、郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。もっとも、彼女は諸侯軍の誅滅が果たせなかったことが若干心残りだったようであるが。
そして、その郭嘉は現在。
親友たちと歓談していた。

「しかし、まさか稟がなあ。よくぞまあ、鼻血を吹かなかったものだ」

趙雲は感慨深げに頷く。いや、実際心配していたのだ。いざ、ことに及ぶ段において、だ。

「そですねー。少なくとも二郎さんは血の海の中で欲情するような性癖はないようですし~」

程立もうんうん、とばかりに頷く。

「ふ、二人とも!私をなんだと思っているのですか!」

さしもの郭嘉も声を荒げる。が。

「などと説得力に欠けることを言っており」
「稟ちゃんは可愛いですね~」

その無垢なる怒りはどこにも届かず、いいようにからかわれていた。
ひとしきりそのようなやりとりを終えた後。

「……で、実際、よくもまあ乗り切ったものだと思うのだが」

興味津々といった風に趙雲が尋ねる。
む、と口ごもる郭嘉。そして、ぽつり、と。

「その、二郎殿が、ですね。
あまりに痛々しくて。その、なんとかお慰めしたいと。その一心でしたので……」

見ていられなかった、と漏らす郭嘉を流石に茶化すことは出来ない。
なんとなれば、彼の傷心については彼女らにしても、心を揺らしていたのだからして。

「ですから、その。
あまり、常のようにその行為を……あ、あの。あのような行為。
はしたなくも甘美でそれでいて苦痛すら悦びに変換されるそのような行為。荒々しくも優しい二郎殿。そして……!」

ぷぴ。
破裂音、一つ。

「はいはいー。稟ちゃん、とんとんしましょうねー。とんとーん」

吹き出す鮮血に驚くこともなく対応する二人。

「うう、すみません……」

「それは言わない約束でしょう~」

その様子にけらけらと趙雲は笑う。
いや、いつもどおりだな、と。そして三人揃って袁家に仕えることができてよかったと心底思う。
知り合い同士で殺しあうというのはまあ、端的に言って好みではないからして。
ありえた未来ではあったのだ。幸運にもそうはならなかったが。

「しかしなんだな。これから先はどうするのだ。主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」

む、と郭嘉は唸る。確かにそうだ。勢い――と断じるのは甚だ不本意ではあるが――で身体を重ねたことはいい。望んでいたことだから。だが、そのような突発的な場合なぞこれから幾度あるのだろうか。
まったくもって厄介な体質である。

「そこはですね。風に腹案があるのですよ~」

くふ、と含み笑いをする程立。

「ほほう。長年の懸案事項であった稟の特殊体質が解決されるというのか」

感嘆する趙雲。その声に邪気がないから郭嘉は文句も言えない。

「……星の言い様はあまりといえばあまりですが、風。どういうことでしょうか」

くふふ、と笑みを漏らし。びし、と指を郭嘉に突き付ける。

「謎は大体解けたのですよ。結局稟ちゃんはあれこれ考えすぎなのですね~。
 稟ちゃんはとってもお利口さんだからこその不思議体質と申しましょうか~」

「つまり、どういうことなのだ?」

問う趙雲の言葉ににまり、と程立は笑う。

「あれやこれやを考えることのできる状態になければいいのですよ~」

「そうは言いますが、具体的には?」

郭嘉の問いに、くふ、と笑う。

「思考能力を奪う魔法の薬があります~」

程立がじゃじゃーんとばかりに取り出したのは……。

「酒瓶を取り出して、何を言うのですか!」

「おお、見事な突っ込みなのですよ」

程立が取り出したのは酒瓶。それも火酒、だ。袁家内で幾度も試作を重ね、そのまま飲むと、喉を焼くようなそれはまさに火酒。つまり蒸留酒、という奴である。
それを見て趙雲がなるほど、と頷く。

「ああ、なるほどな。酔っぱらってしまえばあれこれ妄想する余裕もなくなるということか」

「流石は星ちゃん。その通りなのですよ~」

「ちょっと待ってください色々おかしいしひどくはありませんか?」

とは言うものの、他に妙案なぞなく。

「……釈然としません」

だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。
――大好評であったようである。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案はいつも大変。
今回はなんだろうなあ

火酒

かな

火酒を活用してくれたら嬉しいですのでオナシャス

あと、色っぽい案件については基本的にカットということです。
必要なことは見せた。これ以上は弥山。

そういうことでひとつよろしくお願いします。
お察しください。
あっちにもアップはしないのでご安心ください。

むしろあっちにアップするべきか。

乙でしたー
>>656
>>いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは    北方と匈奴ってほぼ=で繋げていいよね?もしくは北方の匈奴みたいな
○いや、北方――匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にて睨みを利かせるというのは 【、】を使うと北方(民族)と匈奴の2種類への備えに読めるので
>>どこかの自称凡人の言である。 間違いではないです
○どこぞの自称凡人の言である。 分かっててぼやかす場合はこっちの方が自然かな?
>>郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。 【~して見せた】は実際に見せる場合なら使うのかな?
○郭嘉は見事にやり遂げてみせたのだ。 鮮やかな手並みを強調するなら【やり遂げて魅せたのだ。】とかもいいかもですね
>>程立もうんうん、とばかりに頷く。 頷く時点で【ばかりに】じゃなくてそのものずばりよね
○程立もその通り、とばかりに頷く。 もしくは【うんうん、と同意するように頷く。】とかどうでしょう
>>657
>>主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」 【焼き付く】って言うと壊れる方向なのにこの子の場合逆にその方が良い状態があるって言うのがw
○主を好きすぎて思考が”飛ぶ”状況なぞ中々なかろう」 いわゆるヒューズが飛んだおかげで逆に鼻血吹き出しスイッチが動かない。的な?
>>だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。 ええっ!普段は上司を馬鹿にしてるエリート部下をお酒で前後不覚にしてお持ち帰り、快楽堕ちさせて「これをばらされたくなければ次呼ばれたらすぐ来いよ」プレイをするだって?
○だが、普段は冷静沈着の鉄壁で殊色事なぞ話題すら許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定された睦言の合図。 【シチュエーション】は場面とか状況とか言い換えられるけどここはあえてお互いに分かったうえで行う…つまりお酒の飲める場所に誘うだけでゴールが決まった寸劇なのだろうさ(実際本当にお酒でべろべろになったとしたら二郎が弱みに付け込むとは思えないし

>>望んでいたことだから。 聞きましたw?望んでやったこと、じゃなくて望んでいた、って恋でも愛でもなく同情と打算で云々言っといてこれですよ
火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう
ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって?

>>661
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
そしてご指摘で気付いたけど稟ちゃんさん、これべた惚れですね。
もちっとクールということだと思ってたのですが。
これはいけません。
※いけなくはない

>火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう
ヨシ!ちょっと久々書こうかなと創作意欲に火酒です

>ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって?
悪じゃのう・・・w
ちょっとむっくりと来ました
きてますきてます。やりたいなあ。ちょっくら考えます。

>>658
ほむ?
思考を止めるは炎の酒
でいってみるぅ?

>>663
ありがとうございますー!
ちょっといじるかもですがこれは有り難く頂きます!

「まずは一献、どぞ~」

湯につかりながら程立が酒器に酒を注ぐ。
ふむ、とばかりに杯を干した郭嘉は思わずむせる。

「これは、風!これはなんですか!」

「おやおや~稟ちゃんは飲んだことがなかったですっけ?
 火酒、というやつですよ。
 二郎さんが現代に再現した神話の御神酒。
 酒精に火の気を与えて燃える酒となす。
 実際に火が付くのですし~。
 当然、神ならぬ人もその火に侵されます~」

くすくす、と笑う程立の言に納得する郭嘉である。
確かに喉を通ったのは炎。か、と燃え上がるがごとく血流は沸き立つ。

「まあ、ゆっくりと呑むがいいと思うぞ」

ニヤリ、と笑うのは趙雲。
これ見よがしにごくり、と火酒を飲み干して大きく息を吐く。
その吐息は酒精の主張が大きく、常の郭嘉ならば眉をひそめただろう。

だがしかし、頬を上気させた郭嘉は再び火酒に挑む。
ごくり、と飲み干すとそこから炎。滴る液体は熱をもたらす。内臓を焼き尽くしそうな熱量に目を白黒させる。
ほ、と漏らした息から火が付きそうだ。
ぬるめの湯がそれを助長する。かぁ、と血流に火が入ったようだ。
鼓動ひとつ。またひとつ。
どくり、と動く血流ごとに身体が火照っていく。熱くなっていく。

「湯とは火と水の相克。そして火酒も同様。水でありながら火を内包する大地の営み。
 理性を溶かす炎の液体。
つまり稟ちゃんの理性はこれより以降仕事をしないということですね~」

「うむ、予想以上に酔いが回ったようで何よりだな。
 …これでどうなるか、分からないのだがね」

「ま、なんとかなるでしょ~。
 本番はこれからなのですし~」

◆◆◆

どさり、衝撃一つ。
そして揺れる世界は彩りに薄い。
いささかばかりに酒精を取り過ぎたか。

「水を、お願いできますか」

真横にある人影。声をかけたが。

「いいぜ。任せろ」

くい、と水差しから液体を含み、注ぎ込む。
常ならばそんなこと許しはしない。
だが、ここに例外が存在する。

「二郎殿。いけません。いけません。
 駄目、駄目なのです」

注ぎ込まれたのは火酒。
世界は揺れ、今自分がどこにいるかも定かではない。
確かなのは唇を合わせた男の身体のみ。
ぎゅ、と抱きしめ、熱い炎を飲み干す。

喉を焼き、五臓六腑に火を付ける。目から炎、口からは煉獄。
そして至る思考は支離滅裂。

だから、嬉しい。
ここまでしてくれたのか、と思う。
ここまでさせてしまったのか、と思う。

合わせた唇からは悦楽の波が伝わり、自分の身体が女なのだと痛感する。
それが、嬉しい。好いた男が寄せる情欲が、嬉しい。

「ください」

溢れた思い。
前戯や口説きはもういらない。
今はただひたすらに蹂躙してほしい。

だから、達した。
一突きごとに達した。
尖りを突き込まれて、達した。
絶叫した。してない。わからない。
既にそれは夢うつつ。

愛しい男の身体を抱きしめたようでもあり、ただなすすべもなくされるがままだったようでもあり。

ただ、達していたのは確かなこと。

口を開ければ注ぎ込まれる炎。
その痛みに叫んだ、ような気がした。

現かまことか。
それすら混迷。いや。

確かなのは、男がいること。
惚れた男がいること。
愛しい男がいること。
男と肌を合わせているということ。

こちらの体温が高い。なのに熱さが押し寄せてくる。

絶頂ひとつ。

肺腑からの叫びを漏らした。叫んだ。
我を喪う。
それは、とてもとても気持ちがいいこと。

だから、日が昇り、覚醒したとき。
床にはひとり。

そして、郭嘉は初めて喪失と寂寥を知って、その涙で渇きを潤すのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー

あまりエロくなかったね
ただまあ、稟ちゃんさん、可愛いなって

乙でしたー
>>666
>>目から炎、口からは煉獄。  前にも書きましたが【煉獄】ってキリスト教圏の言葉(意味としては天国へ至る途中の浄化の場所)なんですよね
○目から火花、口からは灼熱。 【目から炎】って言うとなんか眼光(レーザー)っぽいのでチカチカと火花が散る感じで

受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな?
でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの?

>>667
乙ーい。
冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。
というわけで
冷凜なる心を火酒で焚いて

とでもしとこかー。

火酒で蕩かして とかもいいかもね(乗っかり感

>>668
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて

>受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな?
>でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの?
AルートとBルートありまして。
今回のはBルートでした。
Aだと朝を一緒に迎えますが、当然感想戦となって鼻血エンドというコメディなんですよね。
んで、そうなるだろうからということで去ったBですが、ちょっとおセンチなのであっちに出す際はAルートでやります

>>669
どもです!

>冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。
控えめにいって大好物です!!!
俺しか知らないあの子の痴態とか最高やん

>冷凜なる心を火酒で焚いて
よきです
火酒で焚くっていいですね。大炎上不可避

>>670
どもです!
仮採用でオナシャス

4月からは忙しくなりそうなのでちょいちょいペースを上げて本年中に完結としたいなあという願望

「断空!光牙拳!」

発した叫び、そして轟音。

「ふむ、凄いものだな……」

趙雲は感嘆の声を漏らしながら、見事にへし折れた丸太を確認する。
楽進の一撃。それは一撃で、一抱えもあるような太さの丸太をへし折ったのである。金色の光輝を背負うかのごとく吹き上がる気迫。いや。気の高まり。

「剛柔いずれも無手では、勝てんな」

負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。

「まったく、相対すれば厄介この上ないな。
無論、槍の一振りさえあれば負ける気はないが――。
 槍の間合いの外から打ちこむ気弾。そしてその乾坤圏だったか。おまけに間合いにもぐりこまれると打撃(シュート)に関節技(サブミッション)ときたものだ。
 全く初見殺しも甚だしい。」

肩をすくめて苦笑する。論評を受ける楽進は恐縮しきりである。

「い、いえ。まだまだ未熟な技ゆえ、そこまで評価されると心苦しいのですが……」

「なに、謙遜することはない。事実さ。
なればこそ主の身を預けられるというものだ」

典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。
紀霊の護衛の要は自然と楽進になる。無論趙雲とて紀霊の身を守るという名目で近くにいたいのではあるが。

「あ!
遅れましたが、執金吾へのご就任、おめでとうございます」

そう、すったもんだの末に趙雲は洛陽の治安の要たる地位に。
かの呂布を単騎で退けた武勇を恐れてか、洛陽の治安は一気に回復されたという。
それもあり、高まる声望は留まることを知らない。無論、阿蘇阿蘇(アソアソ)など、情報発信にも余念がないからでもあるのだが。それを知っているからこそ趙雲は苦笑する。

実際は母流龍九商会が裏の社会をも掌握したからというのが大きいのだろうが。

「なに、実務にはほとんど絡んでおらんよ。名誉職もいいところさ」

これは謙遜、或いは韜晦(とうかい)である。どこぞの凡人と違って彼女は生真面目な面があり、任された職責に全力で当たっていた。
無論、慣れぬ業務で不備などはあったにしても許容範囲。名ばかり司徒としてまともに席を温めない彼とは勤務態度に大きな違いがある。
そして楽進はそれを正しく認識しており、だからこそ一騎当千たる彼女の貴重な時間を無駄にすまいと知る限りを答え、出来る限りを示す。
なんとなれば、彼女たちは共通している。求めているのだ。最強を、至強を。

「と、すまんな。愚痴っぽい。
 ――そう言えば、関節技にしても、投げ技にしても見事に洗練されているのだが、それはやはり?」

いささかあからさまで強引な話題転換ではあるが、楽進はそれに喜んで便乗する。
彼女には政治めいた話題はよくわからないことであるし、自らが極めようとしている技については一刻ならず、一晩語っても語りきれないのだからして。

「はい。いずれも二郎様からご伝授頂きました!」

きらきらと輝く笑顔。その純粋さに趙雲はなんとも言えない表情を浮かべる。

「あの珍妙な技それぞれ全てを、か……?」

「はい。いずれも使いどころは難しいですが非常に理にかなっております」

「四十八手、だったか。裏も同数あると言うが」

趙雲は未だその全てを目にしたことはない。目前の楽進も同様だろう。
技とは秘すべきものだからして。

「はい。ですが、ある日ふと漏らしてらっしゃいました。
俺の殺人技は百八まであるぞ、と。
 恐らく、真に危険な技については封印されているのではないでしょうか」

むむ、と趙雲は唸る。やはり全貌を知る者は彼のみであるか。
その表情を見たのか楽進は慌てて取り繕う。

「その、二郎様は、仰ってました。俺は人は殺さない。その怨念を殺す。それこそが活人拳である、と。
 だからこそ、だと思うのです」

なんとも甘いことだ、と趙雲は笑うことはできない。
のほほんとして、ぼんやりとして。だらしなくにやけて。それが彼の本当の姿、なのだろう。
思えば自分も、だ。憧れの英雄たる姿を、その虚像を望み。或いは押しつけてはいなかったか?
ふと浮かぶその思いを振り払う。いや、自分の胸で泣き崩れる彼を見た、知った。そして、愛し合った。その絆は本当のものだ。だから、自分は強くならねばならない。彼の前に立ちはだかる困難全てをうち滅ぼすくらいには。
軽く首を振り、決意を新たに。

「なんとも主らしいと言えばらしいな。しかし、だ。あの技の数々は主が編み出したものか?」

「いえ、私が聞いたところによると」

――五輪の書。かの黄帝が記したという武術の真髄を記したと言う書。始皇帝の焚書を奇跡的に逃れた稀書。

「ただ、残念なことに書庫の不審火で喪われてしまったとのことです。ですから二郎様も、あやふやなところがあるとおっしゃってました」

「ふむ。神農の書といい、紀家の書庫が焼けてしまったのは惜しいことだな。健在ならば気の扱いについても、なにか指南書があったやもしれんのにな」

嘆息する趙雲に楽進は問う。

「そう言えば華佗殿に師事なさっているのでしたか」

是、と趙雲は頷く。

「まあ、今のところは瞑想して気の巡りを強めること以上はできんが。
 硬気功だったか?全身に気を巡らせればそれができるということだが」

今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。
楽進からしたらそれでも驚くべき成果なのだが。

「そう言えば貴殿も華佗殿に師事していたろう?
治癒、だったな」

「はい。生憎と相性がよくないようで、どうにも習得に手間取ってはいますが……」

心底無念そうに楽進は呟く。

「だが、まるっきり効果がないということはないのだろう?」

はい、と言って楽進は静かに気を練り上げる。先ほどとは真逆の、静かな気。溢れんばかりであったそれを内包し、整える。
無言で趙雲に手をかざし、無言で眉間に皺を寄せる。

「ふむ。温かいな」

趙雲の正直な感想である。

「今の私ではこれが精いっぱいです」

額に汗を浮かべ、息を弾ませながら楽進が応える。

「ふむ。ちなみに効果としてはどれほどのものなのだ?」

これは純粋な好奇心。いや、相性が最悪という彼女がどの程度の成果を上げているか。それは趙雲にとっても指針となるのだからして。

「はい。肩こりには効くそうです」

「は?」

「肩こりにはよく効くと、真桜が」

ああ、と趙雲は納得してしまう。
李典。彼女の体躯はそれほど立派なものではない。だが、その胸部装甲は圧倒的である。趙雲とて自らのそれに自信を持っているのではあるが、李典のそれは次元が違う。

「まあ、その、なんだ。道は遠そうだな」

「ええ」

笑い合う二人。

そして彼女らは地道を厭わない。そしてその目線は高く上げたままに。
きっと人は自分のためだけではこんなにも頑張れない。そして、共犯者の笑みを交わす。

千里の道、なにするものぞとばかりに。

本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「千里の道も一歩から」
うむ、ふつうだ。
タイトル案募集しまくりんぐですよ本当に!
ぼすけてー

こっからどんどこいきたいとこですね

しかし神農書に五輪の書
紀家の書庫は宝箱やー!

乙でしたー
>>672
>>負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。 これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?)
○負ける、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。     武人として、というかまあ単純に負けず嫌いもあるかもだけど端から負けを認めるのは矜持に反する(本気でやれば十中八九負けるかもだけどいざその時は何が何でも万が一でも拾ってやると思ってる?)
○負けないまでも、と言う呟きは彼女なりの矜持というものであろう。  絶対に勝てないような相手(例えば呂布とか)と戦うことになってもお互いに勝つ気で戦うぞ、と(ただし気恥ずかしいので大声はちょっと…)みたいな?
>>674
>>今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。 これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと?
○今は虫刺されを気にせずに済む程度だな、と苦笑する。  刺されないことなら【今は虫刺されに煩わされずに済む】とかどうでしょう

>>典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。 さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ
>>俺の殺人技は百八まであるぞ、と。 波動球かよ!?王子オリジナルと王家の三大とツープラトンを足せばそのぐらいになりそう
某努力家「武術の伝承とはすなわち、模倣から始めるのだ」暗闇の中を只進むのは無理でもか細い光でも光明があれば進める。(なお陽炎の可能性)
武人たちは学びあうことでより高みへ行くようで…その横で凡人はルート検索とか必要な物資調達してそう
紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん

>>676
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?)
負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり)
くらいのニュアンスなので、ご検討くださいませ。

>これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと?
後者の方ですね。
それでもすごいです感じ。

>さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ
ここらへんを読み取っていただけるとすごく嬉しいやつなのです。

>波動球かよ!?
今となっては昔のネタではありますがw

>紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん
オーパーツ的な知識を出すなら紀家の書庫が起源となるのですよねw
まあ、古代で中華と印度と羅馬はおかしいくらいに文明だったので、そういうことなんでしょう(適当)

「おや珍しい。これは明日からの天は、慈雨間違いなしですね~」

三公の筆頭たる司徒。その執務室は俺の戦場。そこに踏み入った俺にかけられたのは、腹心たるメイン軍師の無慈悲な言葉だった。やったぜ。

「ああ、最近埃っぽいし、そろそろ一雨ほしいとこだかんな」

軽口で答えて、どしりと司徒の席に座る。むむむ、しっくりこない。
何とも言えない、すわりの悪さを置いておいて報告書に目を通したりしなかったり。
生暖かい風の視線なんてまるで気にならない。暫しの沈黙。多分これ以上どちらも黙ってたら、どちらかが口を開くのであろうなあという微妙な間。その時。

「あー、疲れた。まったくやってらんないわね。って二郎じゃない珍しい」

やれやれ、といった風に登場したのは劉璋ちゃんである。

時は暫し遡る。

――劉璋ちゃんが俺に面会を求めてきたときには柄にもなく緊張したものだ。なんとなれば彼女のご母堂を――皇族にもかかわらず――強制的に隠居させたからして。
てっきりそれに対する文句というか弾劾の言葉を頂くのだろうと思っていたのだが。
もたらされたのは意外な言葉であった。

「へ?仕事がしたい?」

「そう。だから適当な役職を見繕ってほしいの」

「そりゃ構わんが……」

丁度人事案をあれこれ考えてたところだからタイミングもジャストではあったのだけんども。

「まあね。お母様の処遇については思う所がないわけでもないわよ。
でもまあ、仕方ないわ。
私だって馬鹿じゃないのよ?お母様がどんな動きをしていたかくらいは理解しているわ」

もにょもにょと言葉を濁して、その沙汰については納得してくれていたみたいだった。
いや、実際あれで韓遂まで呼応されてたら、結構面倒くさいことになってた。
涼州はともかく益州まで出兵とかやってられんしなー。
まあ、それはともかく、だ。

「皇族でございとふんぞり返っとくのは?」

実際、宮中に健在な皇族って今上陛下を除けば劉璋ちゃんくらいなのだ。
いくらでもちやほやされる夢の生活も可能なのだからして。
お気楽な俺の言葉に軽く苦笑。

「流石にそれは、ね。そこまで図々しくないわよ。
弁君……今上陛下に半ば弓引いたような立場だもの。
だったらきっちりと汚名は返上しないとね」

なんとも真面目なことである。劉璋ちゃん自身は軟禁されとっただけというのに……。

「まあ、それはいいとして何で俺のとこに?」

「そ。それは!」

口ごもる劉璋ちゃん。どことなく頬が赤らんでいるようにも見える。
ああ、なるほどな。今上陛下への直訴は立場上いかにもまずい。だからと言って事実上の最高権力者たる麗羽様ともコネがないし……。
三公で言えば白蓮は地方の軍閥出身だし華琳はまあ、宦官の系譜さ。なるほど選択の余地はなかったりする。まあ、きな臭い動きも七乃からは聞いているんだがね。

「清流派を率いるみたいな話も聞いたんだけど」

旗印を喪った清流派。その首魁に据えようという動きは割と活発で。立場としてはありえるなーと。それらをぶっちゃけトークで聞いてみたんだが。

「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。
結局お神輿になって利用されて、それだけでしょう?
 だからね。私はね。実務に携わりたいの。
皇族でございとふんぞりかえりたくないのよ。
 私がちやほやされるというのはつまり、漢朝が健在だからでしょう?その根幹を駄目にしたくない。いいえ、別に清流派にそれほど含むところがあるわけじゃないのよ。
 でもね。きっと私は何も知らない。だから派閥の領袖に相応しい判断なんてできはしない。ただの傀儡になるしかないの。
私は、皇族よ。皇族なの。でも、董卓や宦官の暴走を止めることはできなかった。
 皇族というのが尊重されるのは、それだけ重い責を担っているからでしょう?」

そう言ってくしゃり、と顔を歪めた。

「私はね。嫌なの。
もう、自分が足手まといだなんて、嫌なの。
だから、二郎にお願いするの。二郎なら、その、ね。信じられる、から――」

なんとも嬉しい評価である。
とはいえ、だ。劉璋ちゃんというのは実に劇物。扱いには苦慮するというか、だな。

「ん――。俺の部下的な地位でも文句は言わない?
 正直、劉璋ちゃんが自覚しているよりも君の血筋、立場というのは厄介でね」

俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。

「ええ、構わないわよ」

即答である。
苦渋の決断どころか、どこか嬉しそうな表情。解せぬ。
そんなこんなで劉璋ちゃんは中書令として、司徒府の内に入ったのである。ちなみに中書令は地位としては三公に次ぐくらい。
んでもって立場はまあ、政調会長?色々と、どこにでも首をつっこめるという汎用性の高い役職である。

んでもって現在に至るわけなんだが。
ぶっちゃけ司徒府において一番働いているのが劉璋ちゃんという嬉しい誤算。
その権限と血筋と俺のバックボーンを活かして、ずんずんとなんにでも首を突っ込み、納得いかんことには、無垢なる怒りをぶつける。
んで、官僚とかのその場しのぎの言い訳は過去の記録を確認したり、蔡邑さん――現在は太師として今上陛下と美羽様、あとたまにシャオと流琉を教育している――に裏を取ったり、八面六臂の大活躍である。
蔡邑さんも、あれで何進の下で実務をこなしていたからなあ。古典とか前例への理解では他の追随を許さないし。

ちなみに、思い立ったが吉日とばかりにとっこーする劉璋ちゃん。宮中において他に劉姓がいないということで破格の扱いを受けている。
非公式な場では、今上帝からは「叔母上」と呼ばれ、「弁君」と返すくらいである。多分、劉姓であるという以上に、だ。簡にして単な気性も今上陛下からしたら気安く、心強いからこその扱いなのだろう。
そして、それが故に宮中でも特異な立場を築きつつあるのだ劉璋ちゃんは。具体的に言うと、「劉皇叔」という尊称が定着しつつある。
うん、なんだそれ。マジかよと思ったものだが。いやまあ、今上帝に叔母上扱いされてたらむべなるかな。
ともあれ、それにより宮中のパワーバランスがよくわからんことになってたりするんだよね。俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。
だがこれは俺にとっても好都合である。権力のよくわからんスパイラル。それはいい。そこに麗羽様や美羽様が巻き込まれないのだからして。
まあ、実際漢朝に巣食う守旧派が標的にするのは俺しかいなくなる。いや、よかったよー。いくら七乃が頑張っているとはいえ、だ。陰謀の直接的な標的から麗羽様と美羽様は除外したかったからなー。

とかなんとか過去に思いを馳せてメイン軍師たる風と劉璋ちゃんの冷たい視線をやり過ごそうとする俺である。うん、おしごとしてないのは自覚しているのだよ。
ちら、と視線をやると劉璋ちゃんが苦笑している。あ、目が合った。

「やあねえ。今更二郎があちこちふらついてることを、どうこう言わないわよ」

「へ?」

なんとも意外なお言葉である。

「だって、そうやって二郎がふらふらしてるからこそ、私はここにいられるんだから、ね?」

「お、おう……」

そういや、そうだっけか。

「それを言われると風も弱いですね~。まさに二郎さんに拾われた身ですからね~」

まあ、劉璋ちゃんほどに極限状態――まさかの皇族行き倒れ疑惑――よりはマシだったけどな。

「え、そうなの?」

そこに食いつくのですか劉皇叔さま。

「はい~。賊に襲われてあわや!という時に颯爽と登場したのが二郎さんなのですよ~。風の心はその時に奪われてしまったと言っても過言ではありませんね~」

おい。おい。

「そうなの?そうよね。二郎って、そういうとこ、あるわよね。
ほんと、いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」

なんか、とっても居づらいので、とっととこの場からはおさらばだぜ!

世はすべてこともなし。
そんなこんなで年も暮れていったのである。

本日ここまですー感想とかくだしあー
題名はもっと欲しいんやで

どんどこいくぜ

乙でしたー
>>負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり) それなら【負ける、とは言わないのは】で勝てない(負けるとは言っていない)みたいな強がり感が出るかな?
>>678
>>強制的に隠居させたからして。    ちょっと違和感が
〇強制的に隠居させたのだからして。 の方が良いと思います
>>679
>>「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。    喋り言葉だからこれでも良いのかもしれませんが
〇「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になったとして、よ?私は一体何ができると言うのよ。 もしくは【なっても、ね?】とかどうでしょう
>>俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。 劉璋ちゃんが下で侍ってくっころプレイするだって?
〇俺ごときの下風に立てるかと断られるかもしれないと思っていたのだ。  もしくは【断られるとも思っていたのだ。】かな?
>>んでもって現在に至るわけなんだが。   上の文でも【んでもって】を使ってるのでちょっと言い替えて
〇そんなこんなで現在に至るわけなんだが。 とかどうでしょう
>>680
>>いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」   【平然としてる】は悪い印象がないので
〇いつもはこんなにのんびりとしてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」 もしくは【ぼんやりと】とかどうでしょう

>>俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。 でもそれ陛下が基本「よきにはからえ」だから実質のトップ(命令者)は…これは魔O(この文章は不適切と判断されました
女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうww
血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう

>>681
んむー。
殿中無双~劉の血を継ぐ者~
でいかがっしょい。

色々あってどんどこいけませんでした
敗北宣言はやるとして、どんどこいきたい

>>682
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうw
羞恥心!羞恥心!
とりま、逃げますよねw

>血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう
この視点。大事にしないとですね。
※認識外でした

「へえ、じゃあ翠は無事涼州の州牧様になれるのか」

「ああ、おかげさまでな。ようやく父上の跡を継げる。そう、ようやく、だ」

よかったなと北郷一刀は馬超を祝福する。いや、実に妥当な人事ではある。だが、なにせ涼州には韓遂という梟雄が居座っており、安定とは程遠い。

「大変そうだなあ」

北郷一刀としてはそう言わざるを得ない。
そしてその声にその場の全員が苦い笑いを漏らす。

「一刀だって大変だろう?幽州は涼州と同じく漢の北壁。
匈奴の相手は大変だぞ?」

しみじみと語る馬超。言動が危うくても、歴戦の猛将である。その武威、武勲はこの場の誰よりも大きい。

「ああ、そう言えば公孫賛殿の配下となるのだったわね。重責、大変ね。
でも義勇軍からしたら大出世じゃない。ここはおめでとうと言わせてもらうわね」

にこり、とほほ笑むのは黄忠。皇族筋の劉表に仕え、今回の反董卓連合においては兵数よりも兵站で貢献をしている。
彼女の主たる劉表は僻地とも言える益州――劉焉が聞けば柳眉を逆立てるであろうが――に赴任することになっている。

「紫苑も大変だなあ。娘さんもまだ幼いのに益州とは」

益州は半ば未開の地。匈奴とは異なるが南蛮勢力が跋扈し治安も落ち着かず、未だ知られない疫病も数多くあるというのが、この時代の認識である。

「そうなのよねえ。正直迷っているわ。ごめんなさいね、桔梗の前で」

「なに、子を思う親の心。気にすることはなかろうて。実際、過ごしやすいとは言い難いからな」

肩をすくめる厳顔である。
実際、過ごしやすいかと言われれば、だ。それに成都へ向かう道ですら未整備だ。
それはまあ、天然の要害たる益州の地の利を劉焉が十全に活かすために街道整備に慎重だからだったという面もある。だが、実際道を切り開くのも容易にはいかないくらいの地理条件なのではある。

「だったら、さ。うちにこないか?
いや、翠は流石に駄目だろうけどさ。紫苑と桔梗が来てくれたら、俺も心強いし」

実際、黄忠と厳顔という人材は得難い。軍務、政務に通じており、未だ若い自分たちにとって有益この上ない。
未熟ゆえの先達との軋轢を防いでくれるだろう。そんな諸葛亮の言葉を思い出しながら。
いつになく真剣な彼の目線に、柄にもなく頬が上気するのを自覚しながら黄忠は考える。悪くはない、と。

「そうねえ……。考えてもいいかしら、ね」

「本当か!紫苑が来てくれるなら千人力だ。桔梗はどうだ?」

「そうさのう……。実に魅力的な誘いではあるが、乗る訳にもいかん」

「なんでさ!」

その勢いに厳顔は苦笑する。全く、可愛いではないか。心が揺れるではないか……。

「わしは劉焉様の臣よ。じゃから行けんよ、行くわけにはいかん。
劉焉様を隠居に追いやった袁家のそのまた配下には行けん。それではあまりにも劉焉様がみじめというものじゃろう……」

だから自分も隠居する、と厳顔は笑う。

「親はなくとも子は育つ、とまでは言わんがな。
劉璋殿が益州の牧となる日を待つとするさ。いや、待つだけじゃがの」

呵呵大笑して厳顔は北郷一刀に向き合う。

「なに、そのような顔をするでない。お主の誘いは嬉しかったぞ?
じゃがまあ、通すべき筋があるというだけじゃ。お主の言っておったこと、忘れているわけではない。
 皆が笑って過ごせる世を。実に素晴らしいとは思うぞ?」

「だったら、さ」

「まあ、一刀もそこまでにしようよ。
私だって一刀の、桃香の築く世は見てみたいさ。でも、それなりにしがらみってのもあるのさ」

苦笑がちに馬超が割って入る。半ば自分が加われぬ詫びをこそ滲ませて。

「まあ、気が向いてほしいもんだ。
いつだって歓迎するよ」

その言葉に三者三様の表情を浮かべる。
くすり、と艶然たる黄忠。
むむむ、と苦悩する厳顔。
たはは、と苦笑する馬超。

――後日、黄忠は劉備一行に加わることとなる。

◆◆◆



呆然。茫然。その表情を浮かべる呂布に北郷一刀はかける言葉を見出すことは出来ない。
できるのはただ寄り添うことだけ。

「みんな……」

平坦な口調。それでもそこに込められた悲哀。それに気づかぬほど鈍感ではない。

「恋……」

ここはかつて呂布が屋敷としていた敷地。そこには古今東西の百獣が肩を寄せ合っていたのだが。

「みんな、どこ……」

辛うじて残っていたのは、ぴすぴすと鼻を鳴らしてぺろぺろと呂布の手を舐めるセキトのみであったのだ。
もとより、どこかしこから拾ってきた禽獣猛獣鳥獣家禽を養ってきたのは一重に呂布ただ一人の愛情であり、それが途絶えたからには。

「どこ……、みんな……」

呂布の悲嘆はどこにも届かない。嘆き、悲哀。それらの慟哭はただ虚空に吸い込まれていく。

「恋、ごめんな」

だが、傍らにある北郷一刀は詫びる。心から、詫びる。

「恋の家族、助けられなかった」

ふるふる、と呂布は首を横に振る。

「ご主人様のせいじゃ、ない……」

「それでも、救えなかった。救えたかもしれなかったのに、なにもできなかった!」

激昂する北郷一刀。その思いは呂布の心にしっかりと届いていた。

「ありがとう。あの子たちがどうなったかは恋には分からない。でも、ありがとう。
 きっとあの子たちのことなんて、誰も気にしなかったんだと思う。だから、ありがとう」

そして、その激情を呂布は好ましく思う。

「恋!そんな顔をするなよ。俺のとこに来いよ、セキトと一緒にさ!」

自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。
いや、きっとそれは感傷。自分はあんなにも大好きな人たちと一緒に歩んでいたのではないか。

「だめ。ご主人様とは一緒にいけない……」

呂布は悲しげに、それでもきっぱりと。

「なんでだよ!」

「二郎に、言われた……。恋が誰かに頼ったら、それが迷惑になるって……。
 二郎は詠と一緒で、いつも正しい……。だから、ご主人様に迷惑がかかる」

北郷一刀の怒り、それを嬉しく思うこと。それとは別に、呂布は悟るのだ。自分が彼の配下になれば、とても困ったことになるだろう、と。

「だから、行けない。恋はちんきゅーと、セキトと。それで、いい」

呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。

「でも、それでもさ。恋は大事な人だもの。困ったら、いつでも頼ってくれ」

「うん……」

そうして、その約束が大きな影響を持つことを、この時点では誰も知らない。

◆◆◆



さて、無事に年が明けた。
年越しには麺類だろうと凪にリクエスト出したり(あっさり希望が通った)、鐘を108回鳴らすとかいう意味不明なイベントにも皆快く付き合ってくれました。煩悩退散!
んで、年始の挨拶を今上陛下と美羽様にしたんだけどね。流石に三公の挨拶の時はしゃっきりされてたんだけど、さ。陛下。いい感じに舟をこいでらっしゃったなあ……。
うむ、その図太さたるや。……まあいいや。
俺が向かったのは新年会的などんちゃん騒ぎだからして。
いやあ、呑んだ呑んだ。お仕事もしたぜ?
一応三公の身で、こんな宴席に出てるのは俺だけだからして。表敬訪問というか、ご挨拶とかは何人相手したかとかはまるで覚えていない。多分横にいた風が把握してるだろう。それはともかく。

「あー、美味しい……」

凪の作ってくれた粥が実に美味しいのである。白粥なんだが、塩加減とかが絶妙なのです。
ずび、とその粥をすする。うーむ、この幸せ。とか思っていたら。

「何だ、二郎よ。随分疲れてるみたいじゃないか」

そう言って笑うのは華佗である。

「うっせえ。これでも気疲れとかすることもあるんだよ。この一杯のために生きてるって感じでこう、な」

頭脳とかまるで働いていない俺の台詞だから、説得力とか仕事していないというのは認識している。その場のノリで適当な言であるのだよ。まあ、そんなこと先刻ご承知だろうけどね。

「まあ、それについては何も言わんさ。実際世話になってるしな。ただまあ、これを飲んでみてくれ」

華佗が俺の盃に酒を注ぐ。

「そりゃ華佗の酒は飲まんわけにはいかんけどさあ、って苦っ!」

苦いだけではない。香りもなんかこう、漢方というか、不可思議な感じで。

「悪鬼を屠り、魂を蘇生させる。そういう酒なのだが……」

「不味い!もう一杯!」

屠蘇散というやつだな。新年だからって阿呆みたいに呑むのを防ぐにはいいだろうな。

「量を飲むものではないとしても、これは強烈だな」

正直口の中がこう、苦味とかでうにゃー、となる。

「へー、二郎がそんな顔するんだ。シャオも試してみようかなー」

うずくまる俺の背に抱きついて、そんなことを言う。というか、いたんかい。
いいぜ、これが美味しいと思うのならば、まずはそのふざけた幻想がぶち壊されるぞ。多分。
そして予想通りの反応である。

「なにこれ信じらんない。これって人が飲むものじゃないよー」

「えー?そうですか?私は結構いけると思うんですけれども」

ってマジかよ流琉。

「流琉ってこういうのもいけるんだ。でもこれが美味しいとか思わないでね。こんな味付けの料理とかシャオは食べたくないし」

「いえ、流石にこれが一般受けしないというのは分かりますけど、そこまでかなあ」

どうやら本当に人によるらしい。本業料理人の流琉であるから、聞き入るしかないんだよね。

「ま、二郎が口移ししてくれるなら甘露になると思うんだけどなー」

ちらり、とこちらに寄越す視線には年不相応な艶が含まれており。

「そういうの、人前で言うなって」

「ごめーん。最近ご無沙汰だったからね。うん。二人っきりの閨でお願いするねー」

ぽかり、と拳がシャオの脳天に振るわれる。

「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」

「やだー、流琉ってばひどーい」

きゃいのきゃいのと、なんだかんだ言って仲がよさそうでなによりである。

◆◆◆

「百薬の長。それでも飲み過ぎれば百害あって一利なし。そういうことだろ?」

ここまで香りがきつければ、新たに飲もうとは思えないからして。

「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」

「それは分かる。五斗米道の秘中の秘。それが惜しげもなく注がれてる。それくらいは分かるさ」

しらんけど。

「なに、そこまでたいしたことじゃない。一度漢中に戻らねばならんしな。
ここまで世話になった礼と思ってくれ」

「まあ、凪や星にも気ってやつの指導もしてくれてたみたいだしな。
ほんとに、ありがとな」

「いや、拙いながらも伝えることは伝えた。後は彼女らの意思だろうさ」

「それなら安心できるな。俺と違って才能と向上心に溢れてるからな」

実際、努力し続けることも才能のうちだとおもうのだよなー、とか思うのである。

「おや、主よ。才能の一言で片づけてほしくないのだがな」

おっとここで星のエントリーだ!ここまで大人しくしていたのに。
いや別に星の努力を見てないわけではないけどね。

どこか拗ねたような星が可愛くて尻を一揉みしてやる。うむ。
こら、と睨まれてもなあ。可愛いだけだぞ。

「いちゃつくのもそれくらいにしてくれよな。それ以上やるならおいらは帰るぞ」

「やだなあ、張紘。そりゃもう、ごめんなさいだよ。なあ、星?」

「無論だとも。
最近構ってくれなかった主にじゃれついていただけで、他意はない。うむ」

「それはともかく。趙雲さんよ、あんたの叙事詩(サーガ)。どうしたいかって希望はあるのかい?」

張紘の問いかけにニヤリ、と星は極上の笑みを漏らす。うむ。安心できん。
意外と星ってば、はっちゃけるからなあ。

「ふむ。腹案はある」

すちゃり、と懐から取り出したのは、蝶の仮面?

「これこのように、だ。仮面を纏ったならば。
 法で裁けぬ巨悪。それを糾すは正体不明の華蝶仮面。
 華麗、その一言がその存在を象徴するのだ――」

「却下」

びしり、とポーズを決めた星に無慈悲な俺の声が響くのだよ。

「なんと――!」

なんと?!じゃないっつの。

「あのなあ、法で裁けぬとか言うなよ、お前さん、執金吾だろうが。自分の職責を貶めてどうするんだってばよ」

「むむむ」

「なにがむむむだ。
却下だ却下。法で裁けぬ悪とかはもちっと治安が上向いてからだな。今はまだ漢朝の法治を讃えねばならんさ」

それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのに、と。

「こんなに、恰好いいのに……」

「怒るぞ!」

何か知らんけど蝶々的なマスクは没収である。はい、没収!
涙目で星はあれこれと訴えかけてきたけど知らん。

「無体な……」

はいはい、きっちり仕事してからそういうことは言いましょうねと。
しかし思うんだけどさ、この、蝶をかたどった仮面を装備してその素性が誤魔化せるとか本気で思ってたのかねえ。いや、まさかな。まさかに。

俺は手元でその、蝶をかたどった仮面を弄びながら大きくため息を吐いた。

あれ、俺って結構真面目にお仕事しているんだろうか。
くそ!なんて時代だ!

のんびりスローライフが最終目的だと心に誓う俺なのであった。

本日ここまですー感想とかくだしあー
いや、ちょっと最近忙しいし転勤ですよ
頑張るぞいっと。

乙でしたー
>>686
>>呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。         【、】の位置に違和感が
○呂布に残された家族はそれだけ、たったのそれだけなのだと北郷一刀も悟る。 さりげなく一刀君SAGEを含ませてみる。というか今回の反董卓連合の発端はお前が何進さん暗殺したからだからな?それさえなければどうにか軟着陸できたのに…悔い改めて
>>689
>>「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」   【実際】を2回入れるのを回避して…
○「ふむ。実際、な。煎じた生薬というのは疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」 生のままが良かったり炒るのが良かったり、煎じ方を知ってないとだけどね
>>690
>>それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのに、と。 これだと星が思ってる感じですが…理屈は二郎の方が通ってるよね
○それでも、星は不満げである。
理屈は分かってるはずなのだ、が。 (二郎の言う)理屈は分かってる【が(でもロマンを優先したい)】からこの後の文「こんなに格好いいのに」に繋がる感じかな?

>>自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。 この言い方だと今までそうなったことは無い、という風に読み取れるんですが…董卓たちは【大好きな人】じゃなかったのか【必要とされたことがない】のか…刹那で忘れたのか
>>「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」 待って?閨で誘うあれこれっぽいことを美羽様との話題にしてるの?いやまあ彼女も今や立派な人妻だから問題ない…のか?
それにしても劉表さんに辞表叩きつけるのは構わんが誰がそのことを説明しに未開の地益州まで行くんだ?まさか手紙一枚で済ませるような不義理かますんだろうか…上司(劉備)の上司(公孫瓚)の上司(袁紹)に丸投げすればいいか一つ借りだぜ(後々徳政令発布の予定を立てつつ)

正直ウマ娘にはまってて、バクシンss書きたい欲

乙したー
ウマ娘ええよなぁ

安寧の日々を求めているのに、なぁ?

お世話になっているバクシンバクシン雨バクシンやりたいですね
実際、FGOメインだったですがウマ娘8でFGO2ですわw

バクシンバクシンやりたい

まあ、まずは本作やってからの話ですけどね!!!
やります

3年かけて迷走せずにしっかりとブラッシュアップしたサイゲのすさまじさよ

てす

「忙しそうだねー」

ぎろり。むしろ殺意すら込められた視線が返答だった。
おお、こわやこわや……。

「なんだー、華琳はいないのかー。先触れは出してたのに、困ったものだなー」

仮にも俺は三公の筆頭だぞー。ぷんぷん。もっとあがめろー、うやまえー。
だが接待は勘弁な。華琳になにされるか分かったもんじゃない。
華琳がなにしてくるか分かったもんじゃない。
つまりここは逆境、華琳のとこですよ。体当たりレポが今始まるところですよ。

まあね、間違っても女子は派遣できんしね。
男子も魅了されて抱き込まれる未来が見えますのでね、俺が特攻するしかないってことですね。なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。
なーに、書類仕事は風ちゃんにお願いしてきたしね、何もこわくないね。
などと思っていた俺にネコミミの言がやってくる!
相変わらずとげとげしい!
でも、ギザギザ心根(ハート)よりは、うっせーうっせー、と言われた方が実際安心ではないだろうか。
名馬を盗まれた訳でもないしね。校舎には硝子なんてないしね。

閑話休題。

「あんたね……。
あんたのせいでしょうが!」

えー。

「これはしたり。と言わざるをえないな。司徒たる俺が司空たる華琳に面会を申し出る。
うむ。なにもおかしなことはないな」

むしろこれに異論とかあったら責任問題ですよ。

「その華琳様の時間を著しく拘束するだけのことをしてるって自覚があると、今分かったわ」

「さて、なんのことやら。それともなにか?
華琳は司空の職責に耐えないと。貴様(ネコミミ)はそう言うのかい?」

にひひと笑う俺である。実際楽しい。
そしてネコミミさんは今にも飛びかからんばかりに殺意を込めてにじり寄ってくる。
フシャー!という擬音がふさわしい激昂ぶり。いやあ、時に落ち着けよ。


「あんた、ねえ……。
いい加減にしなさいよ。本当に……」

まあ、ネコミミの言うことも一理あるのである。彼女の言う通り、華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。
ぶっちゃけ、麗羽様に歯向いそうな官僚たちを処分したのだよ。あくまで合法的にだけどね。
麗羽様が大将軍となり、俺を筆頭として三公が組閣された。それについて面白くない勢力は当然存在するわけで。
まあ、それでも職責を果たすならばそれでよかろうと思っていたが、意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。
いや、当然予想してましたけどね?風ちゃんとか稟ちゃんさんがね。
そしてまあ、要職に在(あ)って、害なす存在を一気に処分したわけですよ。リストラってやつですね。
いやね?別に全員司徒たる俺の職権で罷免してやってもよかったんだけどね。驚くべきことに皆さま脛(すね)に傷持つ身だったようで。いや、びっくりですよ。
はい、七乃が一晩でやってくれました。いや、長いこと仕込んでたんだろうなあと思います。フフ、怖い。
怖い。

「いえいえ、これくらい美羽様のためならお安い御用ですよー」

ルンルンと鼻歌混じりに、ですよ。笑顔とは本来なんちゃら。
反袁家的な官僚やら士大夫どもの罪状のリストを手渡す七乃は控え目に言って上機嫌でありましたのですよ。

そんなこんなで、である。七乃のおかげで合法的に麗羽様の顕在的、潜在的な政敵は一掃されたのでありました。
いやあ、大仕事でした。俺以外のね。
特に清流派と名乗る士大夫たちからな!あいつら、何が清流派だか。それが恒常化されていたとはいえ、汚職やらなんやら十分濁ってるだろう……。
いや、何割かは冤罪でも驚かんけどね。それにしたって物証なりをきちんと捏造してるんだろうなあ、七乃って。
うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。

閑話休題。

そんなわけで、だ。古今東西の政治犯が華琳とこに送られてるわけである。
更には執金吾として治安活動に――何だか知らんけど鬱憤を払うように――いそしむ星もどんどこ犯罪者、それも官憲と繋がってそうな奴を検挙しまくってるのだ。
いやあ、部下が頑張ってるって見てて楽しいですね。
任命責任、やったぜ。

うん、華琳たちが忙しいのは俺の、俺たちのせいだな。
ただでさえ、組織を掌握せんといかんのに送り込む案件。うむ。華琳とかネコミミをもってしてもオーバーワークになるのも致し方なし。けけけ。

さらに、だ。

「倉庫、足りないなら紹介するよ?」

俺のその言葉にネコミミが硬直する。

「あんた……」

影響力を持つ士大夫をどんどこしょっぴいたら、だ。何が起こるかというと、陳情工作である。まあ、袖の下とか賄賂とか時候の挨拶とか好きに言えばいいと思うけどね。
そこいらへんをさばくのも大変なんだろうなあと思う俺である。誰の賄賂を受け取って量刑を勘案してとか俺ならやってられないね。
まあ、三公。大人気の役職にはそれくらいの役得があるということである。それで私財を積み重ねまくったら司徒たる俺が普通に罷免するだけなんだけどね。いや、それが分からぬ華琳じゃあないと思うけんども。いや、華琳なら分からぬように隠蔽するか……?取り込むべき人材とそうでないカス。それの選別くらいはやってのけるだろう。
三公の一角とはいえ、俺と白蓮が麗羽様の派閥であるのは明らか。そして華琳は麗羽様の風下に立つことをよしとはせんだろう。そうなれば、だ。

「あの華琳が、だ。俺との約束をうっちゃって仕事に専念する。いや、職務に熱心なのはいいことさ。
しかし、内職をされては困るんだよね」

まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。

「それくらいにしてほしいものね、二郎」

軽やかな、鈴の音を思わせる声。
轟く雷鳴を思わせる声。つまり。

「やあ、華琳。
遅かったじゃないか……」

さて、ここからが本番だ……。

◆◆◆

「あら。二郎指定の時刻ぴったりのはずなのだけれども。まあ、二郎はそんなこと気にしないから問題ないわね」

いけしゃあしゃあとのたまう。ここいらへんの面の皮の厚さは、はは。
流石である。

「さて、大層忙しそうじゃあないか」

さてと、華琳がオーバーワークとか滅多にない。と言うか、意図的に華琳の業務を破綻させようとしてたんだが。
ちなみにこれは七乃と風の入れ知恵である。
こわやこわや……。

「ええ、忙しいわね。そして二郎を待たせてしまったのも確かなようね。ごめんなさいね。いつも約束の時間に遅れてきてたじゃない?春蘭や桂花がいつもおかんむりだったのよ?」

ええと、そんなこともあったかもしれない。割と時間にルーズだったかもしれない、なあ。

「曹家の文武の要を宥めるの、大変だったのよ?
 でも、それは過ぎたこと。結果として二郎を待たせてしまったのは事実よ。だからね」

ちゅ。

「これで、いいわね」

え。え?

「華琳様!そのような下賤な!汚らしい男にその唇を許されるなぞ!」

ネコミミの奏でる騒音。いや、役得と言っていいのかなあ、これ。背筋が寒くなるんですけど。

「さて、二郎。遅れて悪かったわね」

欠片(かけら)も悪かったと思っていない口調で華琳がそう言う。

「お、おう」

「ああ、安心なさいな。二郎が心配することは何もないのよ?そりゃあね。
各方面からの陳情やらなんやらでちょっと手間はとられたのだけれども。
それくらい捌けなくて何が司空か、よね」

「あ、はい」

なんだろう。一言ごとに追い詰められていく感じ。

「まあ、二郎が危惧するように。
 或(ある)いは期待するようにね。彼らを手駒にするというのも考えたのよ?」

「華琳様!?」

ネコミミの悲鳴じみた叫びを華琳は手を上げて制する。

「今、この時点で麗羽と敵対しようとは思わないわ。それどころでもないしね。
私と麗羽が争えば中華は焦土となるでしょう?」

「いや、俺としてはどこから突っ込めばいいか困るくらいなんだが」

つくづく自己評価の高いことだ。忌々しいのはその自己評価よりも俺は華琳を評価しているってことか。

「端的に言うわよ。私は、二郎が用意してくれた来客。その相手を春蘭に任せたわ」

なん……だと……。

はい。
復活のとき(掲示板的な意味で)
本日ここまですー感想とかくだしあー

乙したー
速報死んでてヒヤッとしたでござる・・・

ネコミミがイキイキしててかわいいね()

どもです!
ここが死ぬのは希によくあったんですよね
最近はなかったんですがw

乙でしたー。しばらくここが死んでたと思ったら今度はやる夫シェルターが?どうなってるのやら
>>700
>>華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。  でも彼女ならこの逆境をばねにして一皮剥けそうな安心感がある
○華琳の多忙さは俺の仕業、というか仕込みも一因だからして。 これ【も】ってことは表でも裏でも無茶振りしてるってことかな
>>意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。 【コトバンクより】労働者の争議行為の一。労働者が団結して仕事の能率を落とし、使用者側に損害を与えて紛争の解決を迫ること。怠業。サボ。
○サボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。     意味合い的に意図しないサボタージュは無いようなので…それにしても禁裏を大虐殺したと噂の奴が近くにいるのによくやるわ
>>特に清流派と名乗る士大夫たちからな! まずは清流派からキレイキレイしたってことかな?【特にこいつらからな】
○特に清流派と名乗る士大夫たちがな!  清流派の割合が多かった。とかの意味ならこうかな?【特にこいつらがな】
>>何だか知らんけど鬱憤を払うように  一応理由は分かるじゃろ…そこまでの事か?とは思うけど
○何だか知らんけど鬱憤を晴らすように 【気晴らし】とかのように鬱憤は晴らすものですね

>>なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。 ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
>>うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。 精力的に力を合わせるんですね、分かります
>>まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?㌧姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分を㌧姉が肥溜めにぶち込む感

>>705
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
結構長いこと繋がらなかったイメージですね
シェルターが落ちてるのか。なんでしょね。年度替わりかな?

> ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね
殺そうとしても素直に死んでくれないんだよなあw
むしろサイヤ人的に超復活しそうで困りますw

> 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ
今なら、今なら勝ち確定…のはずw
だからこそ、はおーもやらんわけですがw

>まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか
「へえ、そういうこと・・・」
こわや、こわや・・・

>そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?
どっちか片方ゲットしたら、もう片方も付いてくるバリューセットですねw

>そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?㌧姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに
なんだかんだで、㌧姉は曹家の大黒柱なんだなって

>曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分を㌧姉が肥溜めにぶち込む感
割と理想家なところありますものね
そして㌧姉のやらかし(?)はご期待くださいませませ。

怒髪衝天。
今の夏候惇を表現するならばその一言で全てが語られるであろう。そのように夏侯淵は思う。
怒気が一秒ごとに高まり、収斂されていく。そして爆発する。実に自然なことである。

「ふざけるな!」

怒りの鉄槌を振り下ろす。頑丈な樫の木で造られていた卓が、轟音と共に一撃で真っ二つになる。
そして、その怒気の発露に当然反応する者もいる。
驚きすくむ者、そして、その者達の随伴者――護衛――に至っては。

「そこっ!」

夏侯淵が放ったのは何の変哲もない銅銭だ。ごくごくありふれているものである。それが懐に、或いは髪留めに手を伸ばした輩を撃つ。

――指弾。かつて曹家に長期逗留していた、どこぞの青年が酒の席で戯れに語ったそれを夏侯淵は見事に実戦レベルにまで会得していた。
例え質量の小さい銅銭のようなものでもまともに直撃を受ければ、骨にひびが入るくらいには、だ。
当然その直撃を受けたならば。

カラン、と複数の刀子が落ち、響く。

そしていよいよ荒ぶる魂。

「貴様ら!薄汚い取引を持ち掛けるばかりか、華琳様との会談に暗器を仕込むなぞ!言語道断!
 貴様らには死ですら生ぬるい!季衣!七星餓狼を持て!」

はい、と駆け出す少女を見送り、夏侯淵は笑みを深める。

「ああ、そこで腰を抜かしている方々。失禁しないだけ貴君らは立派さ。
何せ貴君らは中華で五指に入る武人の怒気を受けたのだからして。
 だがその報いは受けんといかん。なに、そんなに震えることはない。これで姉者は優しくてな。
つまりこうだ。猶予は与えたぞ?」

にこり、と夏侯淵は極上の笑みを浮かべる。――この状況においてはこの上なく迫力があるのであるが、さっさと立ち去れという言外の意味。蜘蛛の子を散らすようなそれ。
夏侯淵はその様子を見ながら。

「姉者、あれでよかったのか?」

眼前に誰もいなくなり、問う。
その問いには憤然と。だが、きちんと応える。

「ふざけるなよ、ということだな。あのような奴らににどうして気を遣うことがあろうものかよ」

夏侯淵は苦笑する。それでこそ我が愛する姉である、と。

「だがな、姉者。あれはあれで利用価値もあったろうに」

多くは清流派。その影響力は無視できるものではない。なんとなれば、これまで宦官や、何進率いる汚職官僚の邪知暴虐に抗ってきた(とされる)のは彼等なのだからして。

「知ったことか!
 華琳様に面会するのに暗器を仕込むなぞ言語道断よ!」

「それは、そうだが……」

夏侯淵のその言葉に夏候惇は笑う。朗らかに、曇りなく。

「秋蘭。華琳様がこの場を任せられたのは私だ。
だから何も問題はない。ないとも。
変な腹芸が必要ならばあの陰険な軍師気取りが任じられただろうからな。
 だから、これでいいのだとも」

晴れやかに笑う夏候惇。ふむ、と夏侯淵は納得する。した。
主君たる曹操が確かに夏候惇に腹芸をもってして士大夫どもを取り込むことを期待するとは思えない。

「そう言えばその陰険なのは、二郎の相手をしているのだったか」

その声に夏候惇は柳眉を軽く逆立てる。

「うむ。いやさ、久方ぶりに二郎と語り合いたかったのだがな」

「おや、姉者はそこまで二郎に執心だったかな?」

「茶化すなよ、秋蘭。
二郎はそう、私と違ってどちらもいけるクチだ。
だからあの陰険(ネコミミ)が相手しているのだろうよ」

つまり、手練手管を以って取り込むべきはあちらだと判断しているということか。
夏侯淵は納得する。納得したのだが。

「しかしあれは果たして取り込めるようなものかな」

これは夏侯淵の本音である。過去幾度も、だ。冗談交じりにとは言え主君たる曹操の誘惑をにべもなく断った紀霊。彼がなびくというのは夏侯淵にとっては想像しがたい。

「無理に決まっているだろう」

あっさりと否定する夏候惇。

「私を含めて桂花や秋蘭もそうだがな。
誰に粉をかけられても論外だろう?それと同じことだ」

だったら余計に、と夏侯淵は首をかしげる。

「なに、二郎は本質では単純な男さ。あれを味方につけるのに一番いいのはな。
褥(しとね)を共にし、子の数人も孕むことさ」

からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。

「姉者。それは飛躍しすぎではないか?それに孕むと言っても、だ」

沈着冷静を以って知られる夏侯淵である。彼女の慌てように夏候惇は呵呵大笑する。

「なに、私は二郎を気に入っているからな。
苦ではない。それに、名門たる夏候家の跡継ぎ、考えぬではなかろう?」

「そうは言うがな、姉者。
二郎は、だ。
あいつは、ただ肌を重ねた女にそこまで甘くなるとは思わん。
 賈駆だって、だ」

「無論そうさ。心底敵対するならばいくらでも命のやり取りをするだろうよな。
賈駆は、そこまでいってしまったからな。あれは、そう。哀れな女よ。
 忠誠、友情、それに恋慕を天秤にかけるなぞ、正気の沙汰ではない。
 まあ、それはそれ、これはこれだ。
仮に私が二郎の子を産んだとて、華琳様と遣り合うのに一片の迷いもないさ。
二郎もそうだろう。その後、きっと二郎は苦悶するだろうがな」

かんらかんらと笑う夏候惇に、夏侯淵は問う。

「これは純粋な好奇心なのだが、その場合、姉者はどうなのだ?」

その問いにふむ、と夏候惇は考え込み。

「そんなもの、その時になってみんと分からん!」

それでこそだ、と夏侯淵もつられて笑う。

「そうだな。姉者の言う通りだ。ああ、その通りだ」

くつくつ、と。
その笑いは久方ぶりに本心から、腹から生じた笑いである。

夏侯淵としても、対峙するにも共闘するにも楽しそうなのだ。
少なくとも、彼と対峙するならばあの趙子龍が出張ってくるだろう。自分たち夏侯姉妹を単独で相手をして、負けないまでも勝ち目が見えなかったのは呂布を除けば彼女のみ。

「いかんな、姉者の熱にあてられたようだ。二郎と遣り合うのが楽しそうだと思ってしまった」

「ふふ、いいことだ。或いは秋蘭と矛を交えることになるかもしれんしな」

「おお、こわいこわい。精々姉者の言う陰険軍師に懇願しておこう。そのようなことがないように、な」

笑い合う彼女ら。
その無垢さを見れば、話題の男も考えを改める一助としていたかもしれない。

本日ここまですー感想とかくだしあー

やっぱ姉者やねん!


ゴールデンウィークまでに形にしたいs

ゴルシ

乙したー
姉者さん正しく忠臣ですなぁ

ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・?

>>711
どもです!

>姉者さん正しく忠臣ですなぁ
ぶれないですねw

>ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・?
色々と荒れそうではありますw
姉者がいけると思ったらいけるんじゃないかなあ・・・?

「やだなにこれ、すっごい美味しいんだけど!」

口にした料理。それは流琉と凪が腕を振るったという超豪華なものだ。
本当は超高級料亭とかでもよかったんだけど、そういう堅苦しいのは苦手ということでとある宿――と言っても結構高級なそれ――を借り切っての接待である。
無論そんな無茶を通せるということは母流龍九商会の息のかかった宿であり、従業員も全て信頼できる者である。と張紘が言ってたから大丈夫に違いない。
まあ、考えてみれば馬家は名門。そのご令嬢が高級料亭が苦手とかどうなんだろうと思うんだが。まあ、料理を次々とたいらげてく蒲公英――残念ながら翠は所用があるということで蒲公英のみの接待となっている――の所作にはごく自然な上品さがあり、馬騰さんの薫陶を思わせる。

「ふ……、流琉も凪も超一流の料理人だからな。つか、俺も二人の合作料理とかあんま食ったことないからそれ貰うな」

「あー!ひどいー!そこのお肉、楽しみにとってたのにー!じゃあ、そこのお魚の、目玉はいただき!」

「何と言う邪知暴虐。これは!宣戦布告!せずにはいられない!」

ちなみに、だ。料理を巡る戦い。
六勝五敗三引き分け。

ふ、大勝利である(迫真)。

「いやいやいや。
 蒲公英の七勝六敗一引き分けだからね」

「なん、……だと……!」

「という訳で戦利品としてこの杏仁豆腐は頂いちゃう!」

にひひ、と笑ってデザートの杏仁豆腐をかっさらって。

「んー!おいしいー!」

いや、蒲公英のこの表情を見れるならば、だ。見れたならば色々どうでもいい気がする。これも天性の愛嬌というやつだろうね。

「でもね、二郎様、ありがとうね」

デザートを腹に納めてから蒲公英がそんなことを言う。

「ん?」

「お姉さまに、馬家を継がせてくださって、ありがとうございました」

深々と、頭を下げる蒲公英。

「ん」

まあ、確かに涼州の安堵は最初期にしたけれども、それは余人をもって代えがたいというか、馬騰さんにもお世話になったというか。

「本来、董卓一味は涼州を預かる馬家によって掣肘すべきだった。
その責を果たせなかったことは苦渋の極みなんだよ。まして、それを討つのも馬家の務めのはずだった。
 うん、だからね。馬家は二郎様にとっても大きい借りが出来たんだよ。なかなか返せないような、ね。
 それを返すのは蒲公英の役目なんだよ」

「気にするな、とは言わんけどな。
 だがな、貸し借りとかそういうのはどうでもいいのさ」

ご指導ご鞭撻いただきたかった。素直にそう思わせる方だった。馬騰さんは。

「ちぇー、身体で返せとか言われると思ってたのになー。二郎様のけちー」

「いや、色々おかしいだろうそれ」

そんなこと言ったら馬騰さんが化けて出てきそうである。こわや、こわや……。

「あのな、涼州をきちんと治めるのが親孝行になるのだろうし、そのための援(たす)けは惜しまんよ」

「正論すぎるよ?もうちょっとこう、蒲公英が可愛いから攫ってやろう。その代りに涼州の面倒をみてやろう、がはははーとかの展開とかないの?」

「ないわー。ほんと、ないわー。そりゃ蒲公英は可愛いけどさ、それが理由で便宜を図ったらいかんだろ」

宦官どもとは違うのだよ、宦官どもとは!

「えへ、そっかー。そうなんだー。じゃあしょうがないよね。うん、それだったらしょうがないなー」

なんか急に上機嫌な蒲公英は置いておこう。

「えへへ、涼州に帰るだけでなく過分に糧食も貰っちゃったし、これは蒲公英は覚悟を決めるしかないよねー。ないよねー。うん、覚悟完了!
 あ、大事なことだから二回言ったんだけど?」

諸侯軍に対する糧食の支給は先日打ち切った。とは言え、恣意的な運用というのはいくらでもできるものである。
んで、馬家には数か月分以上の、ちょっと過剰なほどの糧食を支給してある。それに対する謝辞であろう。

「馬家は西方の、匈奴に対する壁だからな」

ここが崩れるとえらいことになるのである。だから、本気で頼りにしているのだ。そして。

「んでもって韓遂の相手、任せた」

今回の始末でも韓遂は処断できずに不安要素なままであるのだ。劉焉は隠居に追い込んだんだがなあ。

「うわーん!泣いてやるー!韓遂さんの相手ってどうせ蒲公英がするんでしょ!やだー!
 はあ、詠ねえさまがいた時は楽と言うかお任せっきりだったんだけど……ってやば!」

じくり、と苦いモノがこみ上げる。ちくり、と胸が痛む。

「ん、そだな……」

確かに詠ちゃんがいたならば、涼州は安泰だっただろう。あの、梟雄たる韓遂を向こうにして鼻歌混じりで領地運営をしてのける手腕は見事の一言。そして。

「洛陽は、さ。ほんとに見事に治まってたんだわ」

張紘、魯粛、そしてメイン軍師たる風からの報告。

「あんなにさ。あんなに追い詰められてて、さ。
 それでも。それでもきちんとやるべきことはやってたんだよ」

だからこそ宦官どもを許すことはできなかった。

「二郎様、ごめんなさい……」

「いや、いいんだ。もし、それこそ詠ちゃんが存命ならば涼州は安泰。だったら蒲公英を州牧として翠を太尉にできた。
 馬家の、だ。名門馬家の後継ならば実に妥当。現状の白蓮みたいに異論も湧かん。補佐に月をつければそれで済むしな。いや、月はむしろ司徒か司空だな。そしたら俺が楽できるし」

これは妄想。だが、ひょっとしたらありえたかもしらん未来だ。
くそ!なんて時代だ!
言っとくけどな!華琳に権力持たせるとか結構苦渋の決断だったんだからな!マジで!

「たはは、その台詞はお姉さまに聞かせないでね。お姉さまってば本当にお仕事しようとしないんだもの」

「む?俺も本気で仕事しないぞ?」

「それは袁家の官僚組織が整備されてるからでしょ?うちはそうじゃないんだよ……」

たはーと言った風にがっくしと。

「ん。じゃあ翠は今も書類に追われているのか?」

だったら俺とのアポを放り出しても仕方ない。いやさ。それならば天晴れ天下御免である。

「えーと」

対する蒲公英の表情は冴えない。

「なんだ男か」

「え?なんで分かるの?」

マジか。いやいやいや、あの翠が男とって、ありえんだろう。
しかしこれは大問題ですよ?あの翠が逢引とか、私、気になります!

「ええと、蒲公英の推測だから、ね?」

「よいではないか、よいではないか。あの翠が一体どんな男に引っ掛かったんだね?」

我ながらうさんくさい口上なんだが、蒲公英の答えに俺は凍りつく。

「多分、なんだけどね?一刀さん、と思うんだよ」

「なん……、だと……」

マジか、マジなのか。
そんな俺の表情を見たのか、蒲公英がフォローしてくる。

「いやでもね?ほら、一刀さんも桃香さまもいい人たちじゃない!
 うん、たんぽぽ、二郎様がそんな顔することないと思うんだけどなー!
 いや、そりゃあ二郎様とのお約束をすっぽかしたのはアレだけど、ほら、そこは若気の至りってことでひとつ!」

「蒲公英よ、一体何をそんなに慌ててるのかな?」

「いやいやいやいや。だって二郎様目が笑ってないもの。やだなー蒲公英もっとこう、にこやかな二郎様が好きだなーって思うんだよ。
 ほんと二郎様のその、無表情な顔とか見てたら辛いって言うか!」

ん。少し頭を冷やそう。確かにここで蒲公英に当たっても意味はない。八つ当たりにしかならん。
なにより、メンタルのタフさ加減では定評のある蒲公英がマジ泣き寸前ってのがなんかこう、後ろめたい。

「怒ってないよ?別に怒ってないよ!俺を怒らせたら大したもんだよ!
ほら、蒲公英!怒ってないから!」

「ほんとに……?」

「あー、怒ってないとも。平常心!平常心そのものさ!」

「……。
そっかー、よかったー。よかったよ」

「少なくとも俺個人の感傷、感情で馬家の当主に対して何か思うことはない。ありえない。
 馬騰さんにはお世話になったし、な」

「やっぱ怒ってるじゃない!」

「怒ってはいない。怒ってはいないぞ?苛立ちはあるが、な。聞く気はあるか?」

「ええと、分かっていると思うの。ほんと、お姉さまがごめんなさい。二郎様とのお約束をないがしろにするとか、本来ありえないのは蒲公英分かってる。
 ほんと。ごめんなさい。馬家と袁家が、ううん。袁家主導のこの流れに異議を唱えるようなものだもの」

「まあ、だからかも知らんがな。翠は反骨の気風。袁家が差配するこの漢朝、反感あってもおかしくはないかもしれん」

「それはあるかもしれない。んー。そこまでお姉さまを分かってる二郎様にはお姉さまをモノにしてほしいなあ。あ、勿論たんぽぽでもいんだよ?」

「そこで茶化すな」

茶化してるわけじゃないもん、とか言うのは無視する。

「翠の反骨、それはいい。それは気骨というものさ。
 だが、その判断を人に委ねるならば話は別さ」

「ん。……でも。
でもね?一刀さんも桃香様もいい人たちだよ?」

その言葉が俺を切り裂く。

「ああ、きっと俺よりいい人たちなんだろうさ」

「やだ、たんぽぽ別にそういうつもりでいったんじゃ……」

あたふたと慌てる蒲公英がなんかとても可愛らしく思える。

「勘違いするなよ、蒲公英。お前はそこを勘違いしてはいけない立場なんだぞ」

「へ?」

「言っておくがな、為政者に人格は必要ないと知れ。為政者は更に結果で人格を語られるもの。人格者だから世が治まるのではない。世が治まるのであればそれはその為政者は人格者となる。
 分かるな?」

こくり、と蒲公英は頷く。

「でも、認めたくないなんだよ。それを言うならば、叔父様よりも韓遂さんの方が涼州の為政者として相応しかったってことになるかもしれないじゃない」

なるほど。と言うか。

「そこは論点がずれてるな。翠と蒲公英。二人の想い。それだけで馬騰さんは州牧として望めないほどの方だったさ」

「うう、その物言いはずるいー!そんなこと言われたら、頑張るしかないし!」

うう、と涙目の蒲公英である。
こいつ、俺と同じくサボりたがりだが、俺より純情かつ真面目だからなあ……。

「なに、蒲公英一人くらいどうとでもしてやるから、さ」

まあ、翠はいつか暴走しそうだし、馬家の武威を思えば抱き込んでおいて損はないと言い訳する。
いや、俺はこの可愛い子がかなーり気に入ってる。多分、きっと、だ。姐さんも気に入ったはずだしな。

「そんときゃ、黙って俺に付いてこい!」

俺は、俺が好きな人たちと幸せになりたいんだ。
それを、言語化した方がいいんだろうなあと思いながら。

そんなこんなで夜は更けていきました。ということで一つ。
はい。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、なんだろうな。
「馬家懇親会」?いまいちだ。
浮かばないので助けていただいたら嬉しいやつです。

乙でしたー
>>708
>>からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。 まあ一度味方認定したらトロ甘になりそうよね、それでも最後の一線とか絶対に守るものとかは間違えたりしないけど
○からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵も絶句する。 これは夏侯惇があけっぴろげな事を言うのはいつものことだけどそれでも想定以上だったという事かしら?
>>715
>>たはーと言った風にがっくしと。    これは溜息ついてるのか苦笑してるのか
○たはーと遠くに目をやり、がっくしと。 もしくは【疲労困憊と言った風にがっくしと】とか【羨ましいとばかりにがっくしと】とかどうでしょう

この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。㌧姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう
馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない?
恩人に砂掛けるような奴は助けた亀に海に突き落とされても仕方ないんだよ、キビ団子をあげた犬に手をかまれて、鶴を助けたらその日の晩にやってきた美人さんに美人局されちゃうよ?
というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね!
馬家二の姫が覚悟を決めたかな?叔父様が治めてた涼州をそのままに守ってくれようとしてる凡人とせっかく受け継いだのに恋愛脳で現を抜かす姉さま…これには一刀もにっこり

>>717
まったムズいシチュだねぃ

『凡将と戯れるは西涼の華』
とでもしとこかー?

>>718
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
やったぜ!

>この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。㌧姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう
姉者は地頭よさそうなんですよね・・・。変にはおーに粉かけないだけで冷静にあれこれ対応してくれる印象です。
そらはおーも重用するよねって感じです。逆に重用するのは、粘膜関係だからじゃないと思うのですよ。

>馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない?
ほんと同じ脳筋でどうしてこうなった
原作の原作が影響しているのかなあ
キャラとしては大好きなのですけどねw

>というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね!
蒲公英は取り繕ってますがやばいです!いや、やばいやろ。。。

蒲公英の苦難はそれとなく始まったな感ありますね(適当)


>>719
どもです!
やったぜ!ありがとうございますー!

>『凡将と戯れるは西涼の華』
これはよきですね。流石です。仮採用あざます!

個人的には【言った風に】よりも【言わんばかりに】が好み
最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど
何であいつ引越ししないのかしら

>>721
>最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど
気軽に引っ越し出来ない層に共感してもらうため、とか?
ご近所は選べないですからねえw

なんか最近超不安定…不安定じゃない
ご近所じゃないんだよ、そこに住んでる有名人(主人公)に会うために遠方からわざわざ訪ねてくるんだよ…(なおどこそこの職業、という通り名なので住みかと恰好を変えれば大分ましになると思われる
しかも主人公は世界最強クラスだからその気になればどこだろうと生きていけるスペックはあるんだ(生活力は知らんが

>>723
興味出たので教えてくだしあ
チェックします

ふにょり、という擬音が一番ふさわしいだろうか。
だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。柔らかでいて、なおかつ圧倒的な質感。たわわに実った豊穣。その、人の世を明るく照らす希望を象徴するようなそれ。
人はパンのみに生きるに非ず。そう、物質的な豊かさのみならず、精神の豊かさすら満たしそうな、そんな神の存在を確信してしまうほどに完成され、未だ進化の可能性をも内包する存在がある。
人は生きるために五つの知覚を備えている。そのうちの一つ。触覚のみでここまでの幸福感を味わうことができるとは――。

「あなたが神か」

そう独白したのもやむをえないところである。人、それを現実逃避と言う。

「……貴方は一体何を言っているのですか」

その、状況としては、だ。俺が関羽を押し倒しておっぱいをわしづかみにしているという、なんだそれ。うん、神は死んだ。そしてこれは俺も死んだかもわからんね。

◆◆◆

「いや、正直すまんかった」

「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。ならば激突の件については私に非があるかと」

神妙ながらも微妙に含むところのあるような表情でそんな口上を述べるのは関羽だ。
うん、そうなんだ。洛陽の十字路を曲がったとこで、全力疾走してきた関羽と正面衝突して、だ。なぜか俺の両手は関羽の双丘に。それなんてエロゲ?な展開に頭が沸騰しそうだった俺である。
ただ、その相手が関羽という武の巨人――別に巨乳の人という意味ではない――である以上、六文銭を意識するのは致し方ない。いや、それすらも現実逃避であったのだが。
幸いにも、不幸な事故ということで関羽も納得してくれた。いや、やばかった。あそこで揉みしだいていたら、いかなる言い訳も通用しなかったであろうからに。
頑張ったな、俺。誰か褒めて。

「しかし、なんであんなに走ってたの?」

なんでも、老婆から荷物をかっぱらったごろつきを追っていたらしい。なんとも義侠心のあることである。ご丁寧にと言うか流石と言うか、そのごろつきの特徴まで観察していたのは流石である。

「まあ、しかしだ。そこまでその犯人の人相風体を把握しているならば後は官憲の仕事だろうよ」

「む、ですが……」

「なに、餅は餅屋、さ。どうせ初犯じゃないだろうしな」

微妙に納得していない風であるが。

「何だ、そんなに信用ならんかね、官が」

「はい。はっきり言って、ここのところの世の乱れ。それは官の不徳故でしょう。例え犯人の特徴を伝えても、検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」

政治不信。ここに極まれりだね。

「だったら、犯人を捕縛して官吏に突き出してもまともな処罰は望めないなあ。
それとも、私刑(リンチ)でもするかい?」

「む……。それは……。
いえ、正直そこまで考えてませんでした」

「まあまあ、義を見てせざるは勇無きなり、だそうですし~」

それまで黙っていた風が口を挟んでくる。ほんとはメイン軍師たる風と二人での会食の予定だったのだ。

「そろそろお料理も来ると思いますし、あまりここで深刻になる必要もないかと~」

そう、ここは超のつく高級料亭。
あれだ、翠と蒲公英の接待に押さえてた枠を消化しに来る途中で至福のおっぱいを堪能したというわけだ。ほいで、事故(セクハラ)のお礼――お詫びと人数合わせを兼ねてご招待したわけだ。

「いや、私はこれで失礼しようかと。
このような歓待を受けるいわれもないと思いますし」

戸惑う関羽である。キョドり具合が割と可愛い。
ちなみにここまで関羽を誘導というか、連行したのも風である。言葉巧みに誘い込むその手練手管に全俺が戦慄した。ほんま、風を敵にしたらあかんでぇ……。

「おやおや。本気ですか~?このような機会、望んで得られるものではないですよ?
 三公の筆頭たる方と、このような場で会える。
 そのことの意味、軽く考えすぎではないですか~?」

「紀霊殿の地位は、認識しています。だが、その地位におもねると思われるのは不本意ですね。
 あくまで私の主君は桃香様でありますし」

それを聞いた風がくすくす、と風が笑う。

「本気でそうおっしゃいますか?いや、正気ですか、とお聞きするべきでしたかね~」

ころころと鈴を転がすような声で……それ、挑発だよね。
ほら。ほらほらー。
怖い人が、視線だけで人が死ぬようなそんな目つきになりそうですよ。

「何が、言いたいのですか……?」

殺気すら纏う関羽の言葉を受けても、風は動じたりしない。当たり前だよね。そんな繊細さなんてないに決まってるもの。

「おやおやー。本気でお分かりでない。これはびっくりなのですね~。
 二郎さんに言わせると、あっと驚くだめごろう、なのです~」

「ためごろうだよ!」

「おお、間違えました!」

ちがう、わざとだ!

「いや、わけがわからないのですが……」

気勢を削がれたのだろうか。それでも関羽が戸惑いながらも問いかけてくる。

「おやおや、これは嘆かわしいですねえ。三公の長たる二郎さん。その方とお話できる機会の価値をお分かりでないと。
 いやしくも漢朝の一端を担うべき方の自覚、識見いかがなものかと。これはその上司の程度も知れますね~」

くふ、と含み笑いの風に関羽は激昂する。

「私のことはいい。だが桃香様を愚弄するのは許さん!」

その、殺気と変わりないほどの怒気を受けても、風にはまさに柳に風。

「さてさて、許してもらえないとのことですが、どうするのですかね~。手討ちですかねえ。こわや、こわや……」

ここで思い出したかのように俺を見てにこりと笑い――いや、可愛いんだけどね――、とてとてと俺に駆けより、陰に隠れる。っておい。

「風は二郎様の臣ですので、生殺与奪の一切は二郎様にお任せしてるのですよ。
風を討ち取りたいのであれば、二郎様を通してくださいね~。
無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」

そう言いながら、きゅ、と抱きついてくる風。あざとい!実にあざとい!キュンとするじゃんか!マジ俺チョロい!
つか、風は俺のメイン軍師なんだからそんなことするわけないじゃん。と、口を開こうとすると。

「――いえ、失礼をしたのは私ですね。できればご寛恕願いたい」

そう言って頭を下げる関羽に流石の風もびっくりどっきりであるようだ。

「いえ、程立殿の言、いささか耳に痛かったのは事実ですが、感じ入りました。武と文、道は違えどもその心根は同源。そして頭が冷えたのも事実です。
 そして私はもっと視野を広げなければならないと思いました」

だから、問わせてくださいと関羽は頭を下げる。

「紀霊殿は、どうも桃香様、そしてご主人様に辛く当たっている、と思うのですが」

ほお。

目線で口を開こうとした風を抑えて、俺が応えてやる。

「言ってる意味が分からんね。正直、妥当か、むしろ甘めだと思っているが」

「本気で、そうおっしゃるか」

「あ?
俺の言を聞かないなら、これ以上の問答は不要だな」

帰るぞ風、と言おうとしたのだが。

「まあまあ、二郎さん、時に落ち着いてくださいませ~。関羽さんも力を抜いてくださいな」

「んなこと言ったって、さあ……」

「くふふ、ここは風にお任せ願いたいのですよ~」

メイン軍師にそう言われてはいかんともしがたい。
フン、と拗ねてそっぽを向いてやる。

「さて、関羽さん。貴女(あなた)は一体どうしたら満足されるのでしょうかね?」

くふ、と柔らかい笑みを内包したまま風が問う。

「決まっている。桃香様、それにご主人様が正当に評価されることだ」

胸を張り。高らかに、誇らしげに関羽は宣言した。実に見事な胸部装甲である。李白か芭蕉がこの光景を詩歌にしたものを聞いてみたい。
問題は、この時代の詩才については華琳が図抜けていることか。などと思いながら風の切り返しを楽しみにしていたのだが。

「ぐう」

まさかのいびきである。
ダン!と卓を関羽が力任せに叩く。よく壊れなかったな、と思うほどの勢いである。

「おお!寝てました!」

これは確定的にわざとなんだろうなあ……。

「貴女は!真面目に人の言うことを聞く気があるのか!
自分から問うておいて!」

あー、これ関羽さん本気で怒ってますわー。
でも風ちゃんたら、毛ほどにも痛痒を感じていないみたいですわー。

「いえいえ、風は真面目ですよ?あまりにも眠たいことを関羽さんがおっしゃるので、睡魔に身を委ねただけです~。
 だって風や二郎さんは、そのような実体のない売込みにはうんざりしているのですよ。
 目立った武勲、功績のない貴女たちに報いる必要はないのですね~」

「話にならなん!桃香様のような方に相応に報わないなぞ、正気とは思えん!」

にまり、と僅かに風の口元が歪んだ。

「これはしたり、ですね~。課せられた職責。それを放り出すような人材。
言っておきますが、白蓮さんの強い援護と推挙がなければ幽州のいち官吏となることもできなかったのですよ」

くすくす、と心底おかしげな風。さしもの関羽も言葉を失う。

「ええ、先ほど官吏が信用できないとおっしゃいましたが、さて。
与えられた職責を放り出す官吏。これほど貴女の言う、信用できない官吏に当てはまる条件もないかと~」

その言葉に反論しようとする関羽を目線一つで制止して言を連ねる。

「そして、貴女が信用できないとおっしゃった官吏。その中で治安を担うのは星ちゃんなのですよ。
 星ちゃんが信用できないとおっしゃる。
いやあ、泣く子も黙る執金吾、鬼の趙子龍。
洛陽の治安を一身に担う星ちゃんの声望を貶めたいのか、それとも妬ましいのか判断に困るところではありますね~」

楽しんでそうだなと思ったのだが、眠たげな表情はむしろ苦みを含んでいて。

「論点をずらさないでいただきたい!」

「ずらしてなんかいませんよ?
結局は貴女が心酔している方を優遇しろと言っているだけです。
いやいや、まだしも宦官の方がマシじゃないですかね?
対価を用意するだけ」

対して貴女たちは恫喝だけでしょう?

「な!宦官以下だと言うか!」

激発したならば俺じゃあ関羽は止められないって知ってるくせに、風よ!
いや、それが狙いか?それは、それは許さんぞ?

「のっぴょっぴょーん!」

かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった!

「な、なにを……」

ここは勢いでたたみかける!

「関羽。貴様の忠誠はいい。だがな、それは何に対してだ。それを考えろ。
 劉備に対してか、北郷一刀に対してか、その思想に対してか。
 それとも、漢朝に対してか、な。
 正直、ね。お前さんの忠義、ブレすぎだと思うよ。いやさ、絞れていない、か。 
 何が大事か、考えてみろ。それができないとは言わせん。そんな奴が白蓮の下に就くなぞ許せん。
 いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧となるのだ。なったんだ。
 それに対して貴様らの価値は何だ。旧友以上の価値を俺に示してみろ。それならばいくらでも報いてやろう」

せめて、だ。せめて雷薄がいたならば白蓮の補佐に付けた。韓浩にはない武威。問答無用のそれがあった。いや、それを言うならば、もっとふさわしい人材もいた。白蓮の生真面目さ、韓浩の狷介さも優しく笑って、包んでくれるような人が、いた。いたんだよ。いたのだ。

くそ、未練か、後悔か。どうにも後ろ向きな思考になってしまう。くそう。

「はいはいー。とんとんしましょうねー。とんとーん」

ぺち、と頬に走る冷たい感覚が俺を現実に引き戻す。引き戻してくれる。

「風、すまんな」

「風は二郎さんの軍師ですから~」

くふふ、と笑ってしなだれかかる風の身体をきゅ、と抱きしめる。
肉付きの薄いこの身体で、頑張ってくれてるのだなあと痛感する。

「まあ、なんだ。俺は釣った魚には全力で餌をやるからな。欲しいものあったら言ってね。
 そして、だ。
 んー。いや、なんでもない。
主従ともに息災で、な」

たはは、と。ひらひらと手を振って詫びる。

「む、色々と反応に困るのですが」

「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」

そしてぐぬぬ、と唸る関羽である。

まあ、色々堪能したからこれでヨシ!としよう。

「くふ。忠義。それは思考回路を麻痺させるものかもしれないと風は思ったのですよ。
 関羽さん、どう思います?」

容赦ない。流石風は容赦ない。

その問いには明確に応えずに去る関羽。その悄然とした様子を見て思う。

――もうちょっと苛めたらよかったかなあ。わりとそそるやん!
いや俺にそんな趣味はなかったはずなんだけどね。
ないってば。

本日ここまですー感想とかくだしあー

関羽との語らいとかなんとか
題名を募集しまくりんぐですよ本当に!

>>731
そうなぁ…。
武人と軍師の禅問答~汝が忠義は何処を向くや

乙でしたー >>724【スライム倒して300年知らないうちにレベルMAXになってました】ですね…私はそろそろ切ろうかと思ってますが
>>725
>>だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。 【ポテンシャル】だと【まだ眠ってる才能】とか成長性のようなニュアンスがあるので
○だが、それは内包された真価を表現しきってはいない。     もしくは【価値】、【スペック】、【値打ち】、【あり方】とか?
>>726
>>「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。  公道とか私道の概念ってあるの?というか仮に私道だろうと十字路でぶつかるようなスピード出しちゃいかんでしょ
○「いえ、道を走っていたのは私の方ですから。  ついでに(人生の)道を間違えてますよHAHAHA。それとも【いえ、ぶつかったのは】とかどうでしょう
>>検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」 間違いと言うほどではないですがこの【そう、】に違和感が
○検挙に至らない。そう思ったのは事実です」  もしくは【そう思ったのは、事実です」】だと不信感に重みが出るかな?
>>730
>>「のっぴょっぴょーん!」

かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった! ごめん…ちょっと意味が分からない。空気を変えて話題も変えるならありだけどこの後真面目に話が続くと温度差で風邪ひいてコロナと間違われて白い目で見られそう
○「風。お前が俺だけじゃなく親友たる星まで愚弄されたと憤るのは分かるが言い過ぎだ。俺を止めたお前を今度は俺が止めるとか漫才じゃねえんだぞ」

心底疲れる。と深いため息とともに風の頭に手を置けばするりとその手を頬に誘導し、雰囲気を甘いものに一変させる……そのあまりの変わり様に流石の関羽も理解が追い付かないようだ。――ここだ。 風ちゃんなら二郎が明確に止める行動をとればそっち方向に180度逆走して慣性を置き去りにできると信じて
実際関羽もさっきまでの自分の言動が星を貶してた、だから程立が怒ってる、と言われたら剣は抜かんだろうし――その後の頭なでなでからのほっぺたすりすり?俺の趣味だよ言わせんな恥ずかしい
>>「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 困ることが必要な事…まあそれでもいいか?
○「知るかい。困って悩めよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 悩め若人。とか言ったのは誰だっけ?悩んで自分で答えを出すのが必要かなあ


>>「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません
>>無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」 多分ここで関羽の腑に落ちたんだろうね、自分が二郎を愚弄すること言ってたことを(なお星を信頼できないと言ったことには気づいていなかった模様)。それに対して風が「私の主を馬鹿にするお前の主の程度が知れる」って言ったうえに「自分は主の生殺与奪の権は主の物だ」と言い切られたらそりゃあ、ねえ
さっきまでバチバチに、というか一触即発だった相手が急にピンクな空気まき散らしてメス顔しだしたら普通はついていけない、うぶなねんねじゃなおの事よ…
あともしも>>「のっぴょっぴょーん!」 で行くならこの後の話>>「関羽。貴様の忠誠はいい。 の部分をもっと立て板に水な勢いで言ってほしいです
>>「関羽。忠誠はいい、それはいいのよ。でもね、それは何に対してだっつー話よ。それを考えて?
 劉備?北郷一刀?その考え方?
 それとも、漢朝に対して?
 正直、ね。お前さんの忠義、ブレッブレじゃん。いや、びしっと決まってない感じ?何が一番大事かがさぁ。
 それが決められないとか言うなよ。そんな奴が白蓮の下に就くなんて許さんからな。
 いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧になるんだ。なったんだよ。
 それに対して貴様らの価値は何だよ。旧友だからって白蓮に頼りっぱなしにしか見えないのさ。ちゃんと見せてくれたらいくらでも報いてやれるんだぜ」
こんな感じで

あ、いや【それを考えて?】より【その辺分かってる?】の方がらしいか
そういえば二郎ちゃんの忠誠は袁家と袁紹と袁術のどこに向いてるのか…袁紹を仰ぎ見て袁術を庇護してる感はあるけど

そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし

>>732
どもです!

いい感じですね。ちょっといじるかもしれません。

>>733
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
スライム、チェックしてないので見に行ってみます。ご紹介ありがとうございますー!

>「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません
やってみたいw
実装してみたいw

今回は色々と感想返しできない感じで検討案件ありがとうございました。

>そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし
アイドル活動もあるのでね。。。
あれ、帰ってんかって真桜案件じゃなかったっすけ(自信なし

本当だ。親友が惚れてる男のことを~でやってたわ
おいは恥ずかしか!

>>737
リカームばい!
(先行入力)

山の神緊急搬送
緊急オペ
虫垂炎?

赤ペンの姿か?これが…生き恥
山神さん大丈夫ですかねえ、病床が埋まってて一般も受け入れできないみたいなところもあると聞きますが

>>740
まだパンデミックじゃないから潜り込めました
オペして予後です
申し訳ないが今のうちにやっとかんと受け入れもできんことになるかもしれない
正直変異株の強さはマジやばいみたいなので、
万全でも感染しそうという危機感はあります

あ、ありのまま起こったことを話すぜ
俺は恥ずかしさに悶えていたと思ったら気づいたらリカームを掛けられていた
生きてはおられんごっとか合掌ばいなんてちゃちなものじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ

>>742
ザ・ワールドすらを越えてキング・クリムゾン!

そして時は加速する!

というわけで今日はやります

「いやあ、やっぱり凪の作る料理は美味いわ」

しみじみと李典が口にした台詞。それに全力で于禁が同意する。

「ほんとなのー。ますます腕に磨きがかかってる感じなのー」

赤くないし、辛くないもの。と于禁は内心で呟く。いや、それを除いても腕に磨きがかかっているというのは嘘ではない。

「そ、そんなことはない。まだまだだ、と自覚している」

楽進の言葉は謙遜ではない。まあ、比較対象が典韋であることを考えると比較基準がおかしいのだが。
とはいえ、年少とは言え料理の腕も、武も典韋に一歩どころではない差をつけられていると楽進は思っている。
前者はやはり専門の料理店である程度修行し、下地が違うと言える。後者については完全に肉体的な性能(スペック)の差ではある。だが、どちらにおいても現時点の話であり、日々研鑽を惜しまぬ楽進の未来は明るいであろう。それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。
そして、料理については。

「どっちもすごく美味しいよ?あとはまあ、業務用と家庭用の違いかな?」

と某青年はコメントしている。そう評された二人はそれぞれに奮起したものだが。

「にしても真桜、最近ますます忙しそうだな」

「せやねん。最近な、いよいよ兵装が一新されそうでな?その内容で侃侃諤諤(けんけんがくがく)なんよー。鎖帷子(くさりかたびら)か板金鎧(プレートメイル)かで揉めとってなー」

李典の漏らした言葉に楽進が柳眉を逆立てる。

「おい、それは機密じゃないのか!?」

それに李典はひらひらと手を振る。

「かまへん、かまへん。二人ともそんなん漏らせへんやろし、漏れても困らんしな」

「そうなの?次期兵装の内容なんて結構な利権の塊だと思うのー」

その言に李典は苦笑する。

「どっちもなー。
母流龍九商会の工房以外に作れんのや」

無論、一点ものであれば話は別である。が、数万に及ぶ兵卒に供給しようとなれば。

「なんとも、まあ。流石は真桜、といったところか?」

楽進は嘆息する。そう言えば昔から楽進の技術――という言葉では表現できない――は自分たちを大きく助けてくれたものである。

「ちゃうねん、ちゃうねん。そらな、うちかて母流龍九商会技術部部長としての矜持はあるし、それに相応しい腕も持っとると自負しとる」

だが、と楽進は語る。

「技術開発っちゅうやつはな、確信的な閃きも必要やねんけどな、それだけやったらあかんねん。
 ほんまに大事なんはな、地道にコツコツと続けて基礎を積み重ねることやねん。それが一番大事やねん。
うち一人やったらほんまたいしたことはでけへん」

その言葉に楽進も于禁も大きく頷く。

「確かにそうなのー。沙和がいくら色々と意匠をこらしてもお針子さんがいなければ、それを縫えなければ意味はないのー」

デザインの革新的なその発想で于禁は母流龍九商会の服飾部で優遇されている。阿蘇阿蘇への掲載も多い。
だが、実際に型紙から縫製するのは無論于禁ではないのだ。

「せやねん。金型一つ作るんでも、部品同士のすり合わせするんでもな。これがうち一人やったら……一生終わらんわ。全身覆う板金鎧とかどんだけの部品いるねん!頭おかしいんちゃうか!ってな。」

ここで某青年の布石が活きる。
似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。一つの製品の工程を分解し、それ専門の工員を育成するという未来の発想。
無論、当初は「安かろう、悪かろう」だった製品も、だ。数年も経てば工員の習熟度でそれなりの品質になる。そう、工程が10あって習熟に20年かかるならば10の専門工員に任せれば2年で熟練工員の出来上がりだ。極論ではあるが。
……無論それほど単純なものではないが、規模は力である。そんな感じで母流龍九商会はこの時代ではありでないほどの生産効率を実現している。そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。そして荒っぽい工員をまとめ上げた人物の貢献が大きい。いや、その人物がいなければここまではならなかった。一言で言うならば。

「張紘、パねェ」

まあ、そういうことである。

無論、現場を叱咤激励し、二徹三徹当たり前で陣頭指揮に当たっていた李典の功績も大きい。身を削るそれは自分の探究心もあるだろう。だが。

「ほんなこと言ってもな、二郎はんのためやもん」

その言葉に于禁は驚愕する。

「そらな、好き勝手に研究できるのは嬉しいし、楽しいで?でもな。やっぱ嬉しいのんは、うちらの考えた製品を、な?皆が使ってくれてたら、な?
それってとっても素敵やん?」

使われてナンボ。かつては諦めていたその思い。
そして舞い戻るのは。

「まあ、それもこれも二郎はんのおかげやねんけどな」

楽進はこの上なく理解している。彼の援助がなければ、細々と一点ものの自己満足の品を作るしかなかったであろうことを。

「そうだな。真桜の言うことはすごく分かる。私も、自分が考えた食材の組み合わせ。それが軍の献立に採用された時は本当にうれしかった」

大人数……軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。
だが、いや、だからこそ。そこに一つでも足跡を残すことが出来た時、楽進は感涙にむせび泣いたものだ。これで意外と楽進は負けず嫌いなのだ。いや、向上心があると言った方がいいかもしれない。ちなみに某青年にはないものである。

「何より、二郎様の為になると確信できたからな!」

ドヤ顔の楽進に于禁は内心苦笑する。だって彼女は今現在彼氏募集中なのだからして。

「凪はほんまがんばっとったもんなあ。料理屋借り切っての味覚調査とか普通自腹でやらへんで?いやあ、愛やね、愛!」

「そ、そこまでするの?!」

応えるのは顔を真っ赤に染め上げた楽進である。

「そ、その、だ。なんだ。そう。少しでも、二郎様の負担が減れば、と思って、だ。
 いやほら、戦陣での食事は不味いというのが相場だろう?そしたら、二郎様の軍。そこのご飯が美味しかったら、少しでも士気が上がるかな、って思って、だ。無論、典韋殿がいるから最低限の味は保障されているけれども、それでも私も、だ」

「真桜ちゃん、沙和げっぷがでそうなのー」

苦笑する李典。尚も語る楽進。于禁は思う。ああ、これが恋の力かと。そういったこととは縁遠かった二人がこうまで、と。そしてその思いは自らに。

「まあな、ほんま二郎はんは罪な男やで。なあ、凪?」

「い、いや。私は、だ。私のような武骨者が果たして二郎様に相応しいか。
 それでも、お傍にいたい。そう思うのは罪なのだろうか……」

深刻そうな楽進の様子に于禁はちょっと待て、と声を荒げる。

「凪ちゃん!待ってほしいの!
二郎さんなんて優良物件を掴んどいてその弱音は万死に値するの!家格よし!人格よし!
そこにきて凪ちゃんへの寵愛よし!これ以上何を望むのかと問いたいの!」

昂ぶる于禁の言の葉に楽進は圧倒されていた。

「凪ちゃんの言うことはいちいち贅沢なの。だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ?
それがこんなに!そんなに!」

言い募るうちに于禁は思う。これでは。
ふと、黙り込んだ于禁を見て李典が茶化す。

「なんや、沙和。えらい熱心やなあ。
さては二郎はんに懸想しとるんとちゃうか?」

「違うもん!
 ……でも、沙和にも縁談あるけど、比べちゃうもん。
 二郎様と比べちゃうもん。だって、それは仕方ないでしょ!
 仕方ないじゃない!凪ちゃんも、真桜ちゃんも幸せそうでさ!
 置いてかれた沙和は羨ましいな、って思うしかないじゃないの!
 持ち掛けられる縁談!相手を比べるのが二郎様で!だったら頷けないって当たり前でしょ!」

びすびす、と泣き出した于禁をよしよしと抱きかかえながら李典は楽進に目線を送る。

「真桜、そこからは私が。
 沙和。二郎様はその、なんだ。素晴らしいお方だ。だったら、その身を、心を委ねないか?」

おずおず、といった楽進の言葉に李典がかぶせる。

「正直、沙和はしっかりしてるようでアレやからな。ええ加減な男に引っ掛かるくらいなら、と思うんよ。
 あれでええ加減ちゃうよ?きちんと、その……可愛がってくれるんよ。
 せやない!せやなくて!」

くすり、と于禁は笑う。艶やかに。

「もう、真桜ちゃんと凪ちゃんがいつもそんなに言ってるから、他の人なんて眼中になくなるのは当然なの」

于禁が頷く前に李典は笑う。

「いや、助かったわ。沙和、ほんま助かったかもしれん。うちと凪の二人やったら連戦連敗やったからな!
 うちら三羽烏の連携あらば、一矢報いてお釣りがくるやろうて……」

なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては効果抜群であった模様である。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案はなんだろな
「三羽烏の語らい」
うん、微妙ですね、いい案よろしくお願いします。

お盆くらいにはあっちでやれるかなあ。

>>747
何を悩む必要あろかいな
こんなん【女三人寄れば姦しい、況んや恋話をや】で解決やん

>>748
その手があったか!

乙でしたー
>>744
>>それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。 ちょっと言い回しも変えてみるか
○それにどちらも既に常人の域を凌駕しているのだ。   【逸脱】はニュアンスとして好ましくない外れ方って感じなので【凌駕】とかどうでしょう
>>と某青年はコメントしている。 などと容疑者は供述しており、我ら独り身友の会によるシケイの執行が待たれる
○と某青年は述べている。    もしくは【との言が某青年から発せられた。】とか……むしろ【とは爆発すべき某将軍ののたまいである】とするべきか(懊悩
>>745
>>デザインの革新的なその発想で于禁は 上で言ってるように【意匠】で良いと思うけど
○趣向を凝らした革新的な発想で于禁は カタカナ警察としてはこんな感じでどうでしょう
>>似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。 固有名詞は卑怯だろうorz
○似非産業革命を目指した彼がもたらしたものは標準化、規格化、細分化による、未来における大量生産を可能としたオーパーツ(場違いな工芸品)ならぬ【場違いな工芸】であった。
>>そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。 多分概要を聞いた方は「言いたいことは分かるが言ってることが分からない」な顔になっただろうな
○そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員の質、量の平均化。  多分突出した個性はいらんと言いつつ上手くできた人を褒めちぎって全体を高レベルにまとめたりしたんだろうな…パねえわ
>>軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。 もう【料理法】とか【製法】でいいじゃん…良いじゃん
○軍規模の料理は典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝の調理法を会得しているというのも大きい。  【レシピは典韋の独壇場】だと料理法を独占して隠してるような感じだけど彼らなら広めて研鑽しそうな気もする…そこんところどうなんでしょう?
>>746
>>だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ? 別時空の鬼軍曹が憑依った?
○だっていつもの凪ちゃんなら自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ?  もしくは【凪ちゃんだったら】とか?喋り言葉としてはちょっと変かと思うけどわざとかしら?
>>なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては テニヌなら一人でも三人でコンビネーションできるからヘーキヘーキ
○なお、二段構えは完封されていたが、三位一体については     双璧とか阿吽というほどじゃなさそうだから言い換えが難しい…とりあえず【隙を生じぬ(隙が無いとは言っていない)二段構え】は破られるもの

>>赤くないし、辛くないもの。 赤い、けど辛くないとか言う情念を隠し味にした愛情料理という電波を受信した
青ペンさんはやっぱりセンスあるなあ>>恋話…セやろか?むしろ猥だn(黒ずんでいて読めない
メタ視点で言えばエロゲ世界な事もあって必ずしも1対1であるべし、とはなっていない(もともと一夫一婦制が浸透する前は云々、戦争で男の死傷率がかんぬん)から男に受け入れられるだけの懐(いろいろな意味で)があれば産めよ増やせよ地に満ちよでいけいけGOGOなんだなあ
特に恋姫世界だと彼女たちのような選ばれし存在が種を残そうと思える男って多くないだろうし

>>750
【あなたが思うより健全です】とでも返しておけばいいかな?
一応ココR板じゃないし、ね。

私は間違い探しのようなものだから知識があればやろうと思えばできることだけど
青ペンさんの軽妙でしゃれっ気のある題名のセンスは本当に脱帽ものだね
ところでフォード式流れ作業の大量制作で思ったんだけど阿蘇阿蘇の本ってもしかして活版印刷してたりする?
まあだとしても前にぶらり諸国漫遊してた時に袁紹様の絵姿を本に乗せるのってどうやったのかを考えると…版画でも使ったのかな

>>752
原作恋姫でのアソアソが謎なので謎です
量産して流通されるなら版画させたいとこですけどねー
ひょっとしたらタブレットかもしれない

終わりの始まりを始めないといけないんだけど
覚悟が決まらないというか、どんだけのクオリティを出せるかにびびっている
その当時のベストと勝負して勝つしないんだけど、気合いの噴射が足りない
絶対今の方がこなれた文章は書けるがあの当時の疾走感を抱きしめて

明日はやります

頑張ってくだしあ~
楽しみにしております

明日流行ります?(難聴

何が流行るんだろうw

「ふむ。
本日はここまでとする」

うず高く積みあがった書類の山。その中央で韓浩は、ぱん、と手を叩いて解散を告げる。

「しかし、今日持ち込まれた案件すら処理できておりません!」

文官たちの悲痛な声が上がるが、ぴくりとも表情筋に仕事をさせずに韓浩は応える。

「ここで夜通し作業しても貴方たちが疲弊するだけ。
どうせ明日もまた案件の山ができあがる。故に休むのも仕事の内」

さっさと帰れとばかりに手を振る韓浩に文官たちは不承不承に席を立つ。納得したとは思えない顔ばかりだ。それでいい。
明日以降はより一層の精勤が期待できると韓浩は軽く頷く。

「ふう」

すっかり冷めてしまった茶をぐびりとすする。来客用の高級な茶葉ではない。
かつて紀家軍にいたころに散々味わっていた安物である。その安っぽい味と香りにどこか安らぎを覚えつつ韓浩は脱力(リラックス)していく。
このように幽州の諸業務が滞っているのは別に韓浩が無能だからではない。無論配下の文官たちがサボタージュをしているわけでもないし未熟なわけでもない。なんとなれば袁家が州牧だったころからその面子はほぼ変わっていないのだからして。
ならば何故にこのように未決済の案件が増えたか。それは単に業務が増加したのだ。

「飽和攻撃。悪くない手」

ずび、と音を立てて再び茶を啜る。
そう、これはまぎれもない攻撃であると韓浩は理解している。あらゆる部門から上げられる報告書、稟議書、告発、意見書。かつてないほどに活発に幽州の行政組織は仕事を果たしていると言っていいだろう。

「しかし、厄介極まる」

ふう、と息を吐き、大きく伸びをする。文官の誰よりも書類の決裁をしていたのは間違いなく彼女である。韓浩の処理能力は沮授や張紘をすら凌いでいるかもしれないほどのものだ。
それでも積み重なった書類がなかなか減らないのには理由がある。いや、理由と言ってもたいしたものではない。印だけ捺(お)して済まない案件が多いこと、そして微妙に書類に不備があることが理由だ。
故に韓浩をはじめとする文官団の処理能力は飽和してしまっている。恐らく処理済みの書類にも不備がいくらもあるに違いない。
そしてそれにつけこんで地歩を増しているのが劉備一派である。少なからず予算、人事に侵食している形跡がある。

「流石は伏竜に鳳雛といったところか」

水鏡女学院きっての俊英。一人でも得れば天下に届くというのは伊達ではない。
その俊才二人が仕掛けてきた簡にして単なる攻撃。恐るべしと言っていいだろう。軍権こそ厳密に精査して侵食を許していないが、近頃は露骨に食指を動かしているようである。
まあ、この守勢もあとひと月もすれば収まるであろう。この窮状――と言っていいかはわからないが――について韓浩は隠し立てなく主たる公孫賛に報告している。併せて伝手を使って人材を某所より借り受けることについてまで認可を得ている。
そして某所の長たる青年からは魯粛、虞翻、于禁、秦松という人材の派遣があることが通達されている。
無論、旧主家たる袁家。その筋から人材を借りるというのはいかにも体面がよろしくない。まるで公孫賛は幽州を支えることができないということの証左のようで。
だが、公孫賛は極めて実務家であり、韓浩に対しての信頼も厚い。

「韓浩がそう言うならそうなんだろう。任せた」

絶大な信頼。その価値を韓浩は理解している。だからこそ最善手を選ぶ。自分の立場などはこの際どうでもいいのだ。
そして内心感謝する。紀霊の選んだ人材はいずれも珠玉。魯粛、虞翻がいれば公務は問題ない。于禁がいれば軍制も捗り、秦松は民政に長じている。韓浩の懸念がそれだけで晴れるというものだ。
実際、破格の援助と言っていいだろう。それだけ幽州の価値が大きいということ。そして公孫賛を大事に思っているということなのだろう。
だから、それまで潰れるわけにはいかない。そうして韓浩は決意も新たにする。紀家軍にて、今は亡き梁剛、雷薄に叩きこまれたその精神。諦めないこと、足掻くこと、泥臭くあること。

「無事是名馬とはよく言ったもの」

それを体現しているのが紀霊である。彼にかかる負荷は実際尋常ではない。それを上手く散らしているのは見事、と言ってもいい。
まあ、とは言え、である。通常業務を四方八方に丸投げする彼のやり方に対して思う所がないわけではないのだけれども、それを言うのは野暮というものであろう。

「ええやん、二郎に書類整理とか向いてへんしな。つうか、うちもアンタにまかせっきりやったし」

くつくつ、と笑いを含んだ声が聞こえた、気がする。懐かしい声。
脳内再生余裕という奴である。むしろ疲れからくる幻聴だろうか。それはそれで口元が緩みそうになる。まあ、実際かつての紀家軍の軍務は韓浩が一手に引き受けていたのだからして。
綻びそうになる頬を誤魔化すように茶を飲み干す。そう言えば雷薄は上品な喫茶では足りないとばかりに白湯(さゆ)をどんぶりに注いで飲み干していたものだ。まあ、その中身が度々酒精になっていたのはご愛敬というものである。
いけないな、とばかりに頭を軽く振り、韓浩は緩んでいた表情を引き締める。今の彼女は幽州の州牧代理。その信頼に応えねばならないのだ。

決意を新たにする韓浩に来客が告げられる。微かに眉をひそめながらも韓浩はそれに相対する。即ち、劉備一派に。

◆◆◆

「では、韓浩殿が桃香様のご意見を握りつぶしていたという解釈でよろしいですか」

諸葛亮の、挑発めいたその言葉にあえて頷く。

「そう。重要案件については公孫賛殿に許可を得る必要がある。そして公孫賛殿に報告するまでもない些末な案件は私が判断している」

それがなにか?と問う韓浩。

「そっかー。じゃあ白蓮ちゃんは知らなかっただけなんだね。よかった!」

「よかったならば重畳。ではこれで失礼する」

軽く頷き席を立とうとする韓浩に制止の声がかけられる。

「ちょっと、ちょっと待ってよ。
そうじゃないの!白蓮ちゃんにきちんと伝えてほしいんだけども」

「その必要があると私が認識すればそうする」

ぴしゃり、と。
流石の劉備が口ごもる。それを見て諸葛亮は口を開く。

「これはしたり、です。韓浩さんにどれほど権限があるか知りませんが、最近の政務の滞りを見るにつけ、その。公孫賛さんの信頼に応えられているかは一考の余地があると思うのですが」

くす、と内心で韓浩は笑う。そのような嫌味、皮肉、あてこすりは懐かしさを越えていっそ新鮮ですらある。

「ふむ。
私は幽州の州牧代理として公孫賛殿から全権委任を受けている。これは警告である。それ以上幽州の政治について語るのであれば、当方にそれ相応の準備がある」

「そんな建前ばかり言って、もう!」

「韓浩さんが手元で色々と握りつぶしているというのは分かっています。独断、過ぎませんか?」

激昂する劉備を諸葛亮が宥めつつも切り込む。
そして韓浩は顔色一つ変えない。

「言った通り、私の判断は公孫賛殿の判断と知れ。そしてこれ以上は時間の無駄」

「おや、これは専横にもほどがありますね」

くすくす、と笑う諸葛亮。その自信はどこから来るのだろうかと韓浩は内心首をかしげる。

「お伝えしたいことは北方の守り。それを担うのは貴女には荷が重い。そして桃香様は既に成果を上げられました。
ああ、白蓮さんのお手柄にしてもいいのですよ?
 つまりです。
 北方の脅威たる匈奴。桃香様は七度その長を捕えて七度解き放ちました。
 匈奴の恭順。対話による融和。貴女ごときが何を断じることができましょうか」

ふむ、と韓浩は暫し考え込む。……このような見え透いた挑発に乗る韓浩ではない。気になるのはその目的は何か、だ。一体何から目を逸らさせたいのか。
全盛期から程遠いとは言え匈奴の戦力は侮りがたい。
いや、それ以前に、だ。匈奴を討つに足る兵を与えたことはなかった。だというのに。七度に渡り討ち破るなぞ、白馬義従を公孫賛が率いても至難の業であろう。
更に腹立たしいのは、だ。今はまだそのような余裕がないのだが、対匈奴の戦略もぶちこわしにされたということである。基本、いくつもある部族。そこで対立する部族に援助を与えて相争わせるという絵図が崩れてしまったことになる。援助が漢朝から行ったと分からないように、母流龍九商会から黒山賊を経由するという手間暇かけた計画がぶちこわしである。
とは言え、まずは目の前の雑務に集中せねばなるまい。

「匈奴の長。それを討つほどの戦力を預けた記憶はない」

韓浩の言に諸葛亮はくすり、と笑う。

その笑みに韓浩は特に感慨もなく思考を巡らす。
軍権を自分の知らぬところで行使した?それはない。派兵には糧食、資金、武具が必要。その物資の動きは確認していない。圧倒的な書類の奔流においてもそれだけは見逃さない。他の政務が滞ってもそこだけは逃さない。
民間の協力者?母流龍九商会や黒山賊が見逃すわけがない。

「匈奴。埒外の蛮族と言えど、桃香様の大徳に触れ、感じるところがあったようです」

「成程」

つるんだか。そう韓浩は結論づける。七擒七放、なんとも華々しく盛ったことだ。おそらくは匈奴の有力部族に乗り込み口説き落としたのであろう。わざわざ討ち破った後に下したというのは、民に納得感を与えるためであろうか。
そして、だ。匈奴を従えた声望も厄介だがそれよりも厄介なのは、匈奴の騎馬軍が劉備の影響下におかれたということである。

「最早看過できない」

韓浩は結論づける。ここでけじめをつけねばなるまい、と。そしてここまでの暴走を許したのは自分の失策でもある。とは言え。
ちら、と周りを窺い、内心ため息を。
恐らくここで劉備を捕縛、処断するにしろ配下が従わない可能性は大いにある。そうなれば主の権威までが貶められてしまうであろう。

「韓浩さんはちょっと頭が固いかな、って思う。白蓮ちゃんと一度お話させてよ。そしたらきっと分かってくれるから。
 お話したら、きっと分かってくれるもん。だって私と白蓮ちゃんは親友なんだもん」

その言に韓浩は戦慄する。いや、恐怖を感じたと言ってもいいかもしれない。劉備は本気でそう言っているのだ。そしてそうなると思っているのだ。
いや、なるほど。あの青年が言い含めてきた懸念はこうか。このことか。
精神を落ち着かせるのに数秒、意識を切り替えるのに数瞬。そして刹那にて覚悟を決める。

「親友と言うが、非常に疑問を抱く。親友とは互恵関係にあるもの」

脳裏に描くのは共に笑い、泣き、互いに尊敬しあい、助け合っていた梨園の兄弟たち。彼等の在り様こそが正しく親友というものではないかと韓浩は思うのだ。

「貴女は一方的に主に頼り、奪うだけ。人、それを寄生虫と言う」

ちら、と後ろに付き従う関羽に視線をやる。気まずげに眼を逸らすその様子。なるほど、と。確か彼女は劉備に盲目的な忠誠を誓っていたはず。そこに楔を打ち込んだのはきっと彼だろう。
なれば、やることは決まった。

「違うよ!私だって白蓮ちゃんにいっぱい恩返ししてるもん!私はそんなに優秀じゃないけど、朱里ちゃんや雛里ちゃんはとってもすごいし、鈴々ちゃんや愛紗ちゃんだってすごいんだから!」

この人は本気でそう思っているのだろうな、と韓浩は思う。

「貴女は主の部下。忠誠を尽くすのは当然。勘違いも甚だしい」

きっと自分の言葉は彼女に届かない。そして、彼女の大徳とやらは凄まじく場を支配している。兵に捕縛を命じても動かない公算は高い。いや、この場に伏流鳳雛がいるということはもはや流れは決まっているのだろう。
だが、そうはさせない。させてなるものか。

「劉備、貴女は生まれてくるべきではなかった。貴女は争いと災厄を撒き散らす。
 そのような貴方を親友と錯覚しているのが主の不幸。その幻想、この手で打ち砕かせてもらう」

ちゃきり、と音を立てて韓浩は腰にあった剣を抜き放つ。この場で佩刀しているのは韓浩のみで。

「貴様っ!やらせはしない!」

徒手空拳であろうとも関羽の武威に疑いの余地はない。韓浩が武装していても届くわけもない。それは確定的に明らかなこと。
劉備の前に立ちはだかる関羽に一瞥。そして韓浩の口元は僅かに緩んでいた。

◆◆◆

悪くない人生だった、と韓浩は思う。

――韓浩の一番古い記憶は激痛を伴うものである。
炎で照らされ、男にのしかられ、腰を振られる。そんなものが一番古い記憶である。
激痛に助けを求めようと横を見れば、母親がありえない角度の首で。そして同じく男がその身体の上で腰を振っている。それが匈奴なのか、只の野盗だったのか、今となっては昔のことである。

そして当時では実にありふれた光景である。

自分は幸運であったと韓浩は思う。
男は殺され、女子供は犯され、攫われ、売られるのが世の定め。そこを救われたのだ。
そして、重ねて自分は幸運であったと韓浩は思う。

身よりのない女子など、身体を売るくらいしか生計を建てる手段はなかったであろう。
計数処理が得意であったことが活きて、紀家軍にもぐりこむことができたのだ。多くの出会いがあり、別れがあった。
そしてまた、繰り返すのだ。さよならだけが人生さ、とはこのことか。なるほど、たった今。腑に落ちた。

「ここまでの専横を許したのはわが身の不徳、無能故。だが、毒婦を親友と誤認する主の認識については諌めるものである。我が身と血をもって――」

どすり、と鈍い音。吹き出る血潮。喉にその剣を貫いて、更に首を切り裂く。
ごぼ、と口から血を吐きながら更に言の葉を紡ごうとする。

「む……、い……!」

場を沈黙が支配し。
そして韓浩の死に顔は満足そうな笑みを浮かべていた。

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は「諫死」なんだろうけど、題名でネタバレしたくないでござるよ
何かいいやつくだしあー

ちなみに紀家軍幹部はどうあがいてもほぼ死ぬイベントてんこ盛りだったの陳蘭ちゃんが生きてるのが奇跡。
当初案ではオリキャラは全員死ぬはずだったすね

乙したー
やっぱり退場だあああああああああ

でも、何より二郎と地味様動かすにはコレが効果テキメンなのよねぇ

話が通じないなら戦争しか無いのだ

このシーン来たかぁぁ…韓浩ぉ…
それが最善手なのは分かるけど死んでほしくなかったよ…


題案はやっぱりネタバレ気味だけど
「主よ、吾が血潮で紅蓮に染まり給え」
とか

主が白蓮なので、我が血を持って赤く染まりて二度と桃色には染まらぬように、みたいな感じで
血潮にすれば流血より熱血感がでるかなぁ、という希望的観測

>>763
どもです!

>やっぱり退場だあああああああああ
>でも、何より二郎と地味様動かすにはコレが効果テキメンなのよねぇ
むしろ地味様はこれがないとカリスマピーチビームに丸め込まれるまであるのですよね
そこを理解しているからこその韓浩の選択です。
一応というか、幾度も面接したんですがこれ以外の選択肢はないそうです

>>764
どもです!

>このシーン来たかぁぁ…韓浩ぉ…
旧作からのおつきあいですねありがとうございます。
割とお話の組み替えとか試みたんですが韓浩は納得してくれませんでした

>それが最善手なのは分かるけど死んでほしくなかったよ…
地味様との絡みは無限に書けるやつなので、本当に惜しい子を亡くしたな、と。
でも本人は納得というか満足して逝ってしまいました。

>「主よ、吾が血潮で紅蓮に染まり給え」
>主が白蓮なので、我が血を持って赤く染まりて二度と桃色には染まらぬように、みたいな感じで
>血潮にすれば流血より熱血感がでるかなぁ、という希望的観測
これは熱い。
地味様が白くてカリスマピーチビームさんが桃色ならば赤いというのは意味合いが出てきそうです。
これをベースに考えるかな・・・
この視点はありがたいやつですありがとうございますー!

そうねぇ…。
大義亡き動きは幽州の水面に石を投げた
とでもしましょか。

血まみれの話はタイトルとしては隠したいけど
けど劉備陣営が動いたことは何らかの形で表現したいし
って感じで

>>766
どもです!

>大義亡き動きは幽州の水面に石を投げた
ほむん
相変わらずのクオリティで妬ましいやで
青ペン先生の脳みそ食べたら語彙が増えるのだろうか

>血まみれの話はタイトルとしては隠したいけど
いっそ紅蓮の炎的な感じにしてやった方が逆にええかもしらんですね

白と桃色と紅で分かる人には分かるやつ
まあ、韓浩の真名なんてないんですけどね!!!

その報せはある晴れた日の昼下がりに届いた。

「母流龍九商会の使い……?なんだろう」

「知らんがな」

どう思う?って言われても俺にも見当がつくはずもない。
それに本来母流龍九商会からの使いがこの場に来ることが出来るはずもないのだ。なんとなれば、だ。太尉たる白蓮と司徒たる俺。三公の二人が歓談している最中に注進あるなぞ。
つまり、非常の時ということなのだろう。

「いや、すいやせんね。雲の上のお人のご歓談の邪魔をするつもりはなかったんですがねぇ」

にひ、と笑いながら通されたのは小汚い、隻腕の男。
いや、こいつは見覚えがある。入隊間もない紀家軍で俺と陳蘭の世話を焼いてくれた……。

「この書状を、ね。昔馴染みに届けてほしいって言われたんでさ。そいじゃ、そういうことで」

淀みない動きでその場を去る。何か言おうと思ったんだけど、何も思いつかなかった。
まあ、それはともかくだ。

「んで、どったの?」

軽く白蓮に尋ねた。が、だ。その顔を青褪めさせて。

「おい!」

ただ事ではないと声を荒げると無言で書を寄越してくれる。
ん、これは――。

「この書面を見ているということは私の命はないものと思っていただきたい」

そんな物騒な言葉で始まるそれ。それは正に韓浩の遺言と言っていい物であった。
まとめると二点。この書面が目に入る時は自分は生きてはいないだろうと言うこと。そして、それは劉備の暴走を留められなかった時であろうということ。看過できぬそれを止められなかったことを淡々と詫びるその文面は。
いかにもあの鉄面皮で真面目で冗談が通じなくて俺より古参で軍務に精通していて姐さんのお気に入りで雷薄とも仲が良くて古馴染みの幹部の生き残りで魯粛と並んで洗濯板で。

「おい、おい。これはないだろう。冗談にしてもタチが悪いぜ……」

思わずそんなことを言ってしまう。

「そ、そうだよな?悪い冗談だよな?なあ、二郎、そうだよな。
 韓浩にしてはがんばったんじゃあないか?これは盛大に笑ってやらんといかんと思う、よ?」

ぬるく、笑い合おうとしていた俺たちに急報が。

曰く。

韓浩、乱心、自害。穴を埋めるべく劉備が州牧代になる旨承認の書面。

「嘘、だろ……?」

茫然自失と言っていい。それも致し方ないと思う。俺だって詠ちゃんの死には平静でいられなかったもの。未だにたちなおってはいないもの。
だから、目を真っ赤に泣き腫らして俺の前で頭を下げる白蓮は凄いと思う。

「二郎、済まない!ほんとうに、すまない!二郎の信頼を無にしてしまった。
 でも、だ。未だに桃香が、って思う。何かの間違いじゃないかって思う。
 だから、だと思う。韓浩が自害したのはそんな私に喝を入れるためなんだろうって」

「だって、あいつが、韓浩が自害なんてするはずないだろう!それくらい私にだって分かる!
 ――だから、けじめは私がつける。つけさせてくれ」

「だが断る」

そう。あの劉備陣営相手なんだ。白蓮には悪いが全力でいく。全俺でいく。

「俺が出る。彼奴らの描く理想。その幻想を……まずはぶち殺す」

俺なりの宣戦布告である。

本日ここまですー感想とかくだしあー

前話については「紅蓮の炎」
こっちは「炎(ほむら)たつ」

それでいこうとなったのです。


ここまでまとめて、いよいよ最終章かなー

>>769
一応前の案を承けて
【投げ込まれし石は逆鱗を貫く】
と絡めてみようなか

>>770
韓浩ちゃんはいうなれば
【袁と公孫をつなぐ橋】。
だったのにそれを叩き落として
自分達で橋かけたから使ってね
ってそりゃじろーさんもキレるよ。
しかもあの子が生前唯一押し通した我が儘が
公孫の元にとどまる
だったはずだから…
じろーさんが怒髪衝天するのは宜なるかな。

乙でしたー
>>758
>>無論配下の文官たちがサボタージュをしているわけでもないし未熟なわけでもない。 ある意味公孫瓚の配下がサボタージュ(と言うのも烏滸がましい行い)をした結果ではあるが
○無論配下の文官たちが怠けているわけでもないし未熟なわけでもない。       それともあいついまだに「私たち友達(対等)だよね」とか言ってるのかな
>>759
>>流石の劉備が口ごもる。 いっそ縫い付ければ平和にならねえかなあ
○流石の劉備も口ごもる。 というか糞みたいな案件とか微に入り細を穿つ小事を大量に持ち込んだんだろうけどよくもまあかき集めたもんだわ
>>760
>>あの青年が言い含めてきた懸念はこうか。このことか。 間違いと言うほどではないですが
○あの青年が言い含めてきた懸念はこれか。このことか。 の方が良いと思います
>>韓浩が武装していても届くわけもない。それは確定的に明らかなこと。                     シリアスシーンにネタを持ってくるのはやめよう(迫真
○韓浩が武装していても届くわけもない。それは論ずるまでも無く、見るまでも無く明らかなことで。だからこそ―― ちょっと盛ってみる、ネタで言うなら「コーラを飲んだらげっぷが出るような」とか「風の強い日に~」とかも鉄板かね
>>761
>>炎で照らされ、男にのしかられ、腰を振られる。  のしをかられ?
○炎で照らされ、男にのしかかられ、腰を振られる。 【圧し掛かる(のしかかる)】の変化形なのでこうですね
>>身体を売るくらいしか生計を建てる手段はなかったであろう。 建設はちょっと違うので
○身体を売るくらいしか生計を立てる手段はなかったであろう。 多分《計画立案》で覚えると覚えやすいかも
>>紀家軍にもぐりこむことができたのだ。 間違いじゃないですけど、彼女の自己評価を考えるとむしろあってる気もしますけど
○紀家軍に身を置くことができたのだ。  【もぐりこむ】だとスパイっぽい気がして

実はもっと前から読んではいたのよ…胸が詰まって指の動きが荒れだったのをようやくちょっと回復して
いつだったか「私は幸せというものはよく分からないが不幸というものは知ってる」と言った彼女だけど公孫瓚との間にあったものは間違いなく幸せだったのだろうなと思うよ
それはそれとして6回も侵略されてたのを握りつぶしてた劉備陣営ぱねえっすね笑えない。お前ら本当にそんなに撃退してたんなら報告上げろや

さてと
>>769
>>それは正に韓浩の遺言と言っていい物であった。 間違いではないですが書状なので
〇それは正に韓浩の遺書と言っていい物であった。 でどうでしょう
>>「だが断る」 この後でイマジンブレイカーしてるし、こういう時は彼はいろんなものに肖って自分を奮い立たせようとしてるんだろうなって
〇「これは白蓮の部下の劉備の暴走で、それを止められなかった韓浩ももううちの部下じゃない…俺が手を出すのも口を出すのも専横というもので、そんなことはするべきじゃあない……だが断る」 元ネタでは相手の言うことに賛成しそうなふりをした後で【だが断る】なのでどれだけこの【だが断る】が自分勝手な我儘によるものなのかを逆説する感じが欲しいかなって

それにしても普通に考えれば鳴り物入り(笑)で引き抜きかけられた新人(笑)がNo2になれるわけないのに疑ってないあたりみんなCPBに脳が焼かれたんだなって
もし韓浩がガチの不慮の事故とか急病で逝去したとしても次の州牧代は公孫瓚の縁者かNo3やってた誰かがなるのが筋だろうがよ

>>771
どもです!

>しかもあの子が生前唯一押し通した我が儘が
>公孫の元にとどまる
>だったはずだから…
やっべこれは泣けるやつ。
やってることと言ってることはオーベルシュタインと近いのだが、
愛されガールになったのはなんでなんだぜ
あ、最初の上司がよかったからかな

>>772
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>というか糞みたいな案件とか微に入り細を穿つ小事を大量に持ち込んだんだろうけどよくもまあかき集めたもんだわ
今の日本の野党がよくやってるやつ!

>実はもっと前から読んではいたのよ…胸が詰まって指の動きが荒れだったのをようやくちょっと回復して
罪な女よな、韓浩(違う)
実際、幽州ジミーズに移籍して完結でもよかったんですが、回収していない案件もありましてね
そうなるとこうなる、のです

>いつだったか「私は幸せというものはよく分からないが不幸というものは知ってる」と言った彼女だけど白蓮との間にあったものは間違いなく幸せだったのだろうなと思うよ
じゃりン子チエ理論ですが、間違いなく幸せでした
あの、無感動無表情な韓浩が、悪くないまで言っているんですから

>それにしても普通に考えれば鳴り物入り(笑)で引き抜きかけられた新人(笑)がNo2になれるわけないのに疑ってないあたりみんなCPBに脳が焼かれたんだなって
CPBはほんと怖い
ダイスロール無効化とかしてくるもん
そんなんできひんやんふつう・・・

追記的なさむしんぐ

これ目の当たりにしてる(なおかつこれまでにじろーさんと顔を合わせて色々と話も聞いてる)関羽さんはどう反応するのだろうね…。

自分が持っている忠義と
彼女が持っていた忠義
どう比べるのだろう。

主の言う【みんなが笑顔の世界】をとるのか
はたまた…。

正直地味鉄コンビめっちゃ好きだっただけに辛い…。

>>773

個人的には
「これは白蓮の部下の劉備の暴走で、それを止められなかった韓浩ももううちの部下じゃない…俺が手を出すのも口を出すのも専横というもので、そんなことはするべきじゃあない……だが断る」
のあとに
『誰に喧嘩を売ったのか、誰を怒らせたのか、その身をもって知らせてやるさ、ああ、思い知らせてやるとも』
とか追加したいよね。
たぷんじろーさんならそのくらいいい放つ。
むしろ言わないと韓浩ちゃんが報われないまである。

>>775
>>776

>正直地味鉄コンビめっちゃ好きだっただけに辛い…。
書いてて楽しいコンビでした。
旧作でも当時絶叫が多数寄せられていました
愉悦、とかはなくって、ほんとにこういうシーンは書いててしんどいんですよね

>たぷんじろーさんならそのくらいいい放つ。
>むしろ言わないと韓浩ちゃんが報われないまである。
加筆するかもです。
ちょっと薄味過ぎたかもしれません。
難しいんですよね、ここらへんのさじ加減。

>>777
まあね、難しいよね。
でもさ。
雷薄の兄貴の時もそうだったと思うけど
やっぱりじろーさんには
【身内は全力で守る、身内に仇為したものは完膚なきまでに叩き潰す】
スタイルを堅持してほしいと思っちゃうんだなぁ。
怨将軍の名に懸けて、ね。

二郎君は賢くあってほしいけどあまり賢しさは求めてないのよね、個人的に
そのあたりは義兄弟に頼って本当にダメな時はあの二人がブレーキしてほしい
まあ二郎君も飛燕との面接のときみたいに個人の感情にはなかなか流されないけど…お前もっと個人的好き嫌いで物事決めろよ、駄目なら駄目って止めてくれる奴がいるんだから(隙あらば月詠関連でディスるスタイル

>>778
難しいとこです。
ほんと、。
まあ、やられっぱなしはよくないですよね

>>779
>二郎君は賢くあってほしいけどあまり賢しさは求めてないのよね、個人的に
>そのあたりは義兄弟に頼って本当にダメな時はあの二人がブレーキしてほしい
実際、ブレーキ踏むのは彼らくらいでしょうしね
ブレーキ握ってても他の子達はブレーキしないっぽいなあ・・・
アクセル踏みそうな人の方が多い気がするw

>お前もっと個人的好き嫌いで物事決めろよ、駄目なら駄目って止めてくれる奴がいるんだから(隙あらば月詠関連でディスるスタイル
これには一ノ瀬も苦笑いw
いあ、実際その通りですよねw
世間体ばっかり気にするな!みたいな
難しいとこですよね。二郎ちゃんは自分を信用してないからなあ
自分ほど信用できんものがあるかー!って

あっちやりつつこっちぼちぼちでいこうかと思ってます

誰が貴様を信用しろと言ったぁ―――!貴様の義兄弟を信用しろと言ったのだ!このっダボがあぁ―――!(JOJOの突然切れる悪党風に

逆に、身近に義兄弟がいない今だからこそ、かもしれませんね
考えたら好き放題やってた頃はめっちゃ近くにいましたものね
やらかしそうになったらどっちか止めてくれるだろうというのが無意識にあったのかもしれませんね

他のキャラでブレーキ踏んでくれそうなの、、、、
詠ちゃんくらいしかいねえなあ(目を覆う)

【お茶子】の名前の意味を知ってしまった…これ原作者は知らなかったんだろうけど知ってる人たちからすればアレだったんだろうなあ

なろうの超強い奴を表すランクでSSとかSSSとか出ることがあるけど
あれって一番下をIなりJなりに下げて一番上はA…せめてSランクにするわけにはいかないんだろうか
こいつはSランクの枠にも収まらない。的なあれなんだろうけどそんなあってないような枠(SSS)ならいっそ測定不可でXとかの方がむしろ特別感出そうだけど

>>784
ちょっと違いますがオーバーロードでもランクについて、
アルファベット表記しかねーのかーと頭を抱えてらっしゃいましたね
書籍では変更ありましたが

SSSとか盛りたい気持ちは分からんこともないっすね

椅子はまだ届かないです
バキッと折れる寸前w
代替椅子は板なのでお尻がいたいです

そーいやチャロンではSSの上はEx-sだったなー

あっちのサイトで、
「この作品最近更新ないしエタったかもね」
みたいなのがむかつくので幽州ジミーズのイチャイチャを書こうと思う。
思った。

ネタは出来たがくっそ忙しいのはどうしてなんだせ。
椅子!資金!暇!
全部くれ!

実際の制度的に考えると、最初からSSやSSSランクありきで制度を作るわけがないので、最初は例えばF~Sで作るわけじゃない?
んで、その枠組みで収まらない奴が出てきちゃったからSSを新しく制定するわけで。
そのときに例えば、Gランクを新たに制定して規格外の奴以外全部1ランク繰り下げね、ってなると、やはり反感買うのではないかなー、と思いますねぇ。

実質が変わらないとしても、名目として今までDランクだった人がEランクになるというのは、やはり本人としては格下げ感が否めない。
既に制度の中に入ってくれているメンバーから反感を買うくらいなら、上を増やしていくという選択になるのでは?

まあ、作者が本当にそこまでギルドや何かの来歴を考えてやってるかどうかは別だけど

納得ってかトップが更新するたびが他まで巻き込まれてランク変動するのは無駄にお金かかるだけだろうし
混乱も起きるだろう
Dランクの難易度の依頼だったのがEになるわけだけど
更新される前と混同される可能性もあるし
そんなことが何度も繰り返されるとどんどんややこしくなるだけだしな
どう考えても繰り下げのほうがおかしい

いや、そもそもがEから始まるなら最高はAだと思うんだよね
例えるならレベル1から10がEでレベル90から100がAみたいな?
そんな世界で測定できないレベル120とかをS認定するとして、じゃあどこからSSやらSSSやらに認定するかは知らないけど
じゃあ国にとってSランクに認定した人にはできなくてSSランク認定した人にはできる依頼って何よ?とかそんな疑問
魔王を倒せるパーティーがAだとしてソロで倒せてS?じゃあSSは何ができる必要があるのかとか
どっちにしても幽白みたいにピンキリあるけど全部Sでいいじゃん、という疑問

やはり富樫は天才
はっきりわかりますね!
ハンタの続きはよ

なんせ神様(閻魔翌様)の「お前は本来まだ死ぬはずじゃなかったんだ」をやった人だからね
あと水見式とか念の6系統とかそういう設定がすごく楽しい
そしてあの圧倒的な戸愚呂やアリの王メルエムで危険度はB+だったか…そんじょそこいらのSSSより圧がある気がする

>>790
トップ中のトップの依頼なんてそれこそ限られてるんだし
重要案件なんだから吟味して依頼出すだけでしょ
実際の依頼の大半は低ランクなんだから上を基準にコロコロ変えられるほうが混乱するだけ
SSがあってそもそも何は困るのって感じだろうし

> 魔王を倒せるパーティーがAだとしてソロで倒せてS?じゃあSSは何ができる必要があるのかとか
そんなのそれこそその作品によるだけでしょ
魔王が最強とも限らないし

いや、別に古龍でも魔王でも冥王でも英雄王でも界王神でも破壊神でもいいんだけど
Sランクには任せられないSSランクの重要案件か…世界を滅ぼす大悪魔の討滅とか?いやありえないけど
SSがあって困る理由?Sランクよりも頼んだ時に金がかかるんじゃね(適当
あと俺の論調だと最強の魔王をソロで倒せるSが最強ってことになってしまうんですがそれは…(そして最強を遥かに超えた超最強のSSランク…コントかな)

凡将伝だと、
S:100
A:90-99
B:75-89
C:60-74
D:45-59
E::30-44
F:15-29
G:1-14

かな

そうなると二郎ちゃんのステータスがやべー感じになるなw
絶対凡人ではない
数値よりはっきり見えてしまう
初期ステータスをもちっと低く設定すべきだったか???
でもダイスロールでキメたしなあ、、、

考え方が凡人だからヘーキヘーキ
ステータスでは誰かの下位互換だとしても袁紹様は袁紹様だと言うだけで袁紹様だから

間違えた
ステータスが程々でもその生き方とかそんな感じで英雄と言っていい袁紹がいるようにステータスが高くても二郎ちゃんは凡人な考え方と生き方してるからダイジョブダヨー

冨樫信者がキモいってことがよく分かった

神視点でもなけりゃ魔王が最強かどうかなんて分からないんだし
魔王倒した奴にSを与えたとして後からそれ以上に強い奴が出てきたりしてランク変動するのはおかしくないんじゃね
幽白みたいなピンキリなのに全部Sランクってほうがランクの意味はなくなってると思うけどな
依頼者からしたらピンキリなのに全部Sだと誰に頼めばいいか分からなくなるし
Sのピンが存在している時点でSの雑魚じゃ倒せない相手が存在してるんだから指標があまりに大雑把だと困るだろう

恋姫と無関係の話題出した俺が言う事じゃないけど
なんでそんなにこの話題に食いつく人多いの?そんなにSSランクが欲しいの?
あとSのぴんきりはそうねえ…そう言われるとその通りだわ、問題は規格外っぽい存在がそんなごろごろしてたら世界がヤバそうな事だが

欲しいとかじゃなくてあっても特におかしくないってことだよ
幽白の場合のランク分けは干渉したりする霊界からの判断だったし
霊界の最高戦力はAでまともに戦うとSの雑魚でもどうしようもなくて結界で魔界に隔離してるだけって状態だから
S以上ランク分けはしてもあんまり意味はないしオマケにしかならなかったけど

ランクと言えばなのはAAAとかS+とかSSみたいなタイプだったね

ちなみになのはのSSランクって何ができるとなれるの?
昔見た一期でAAAランク魔導師同士が戦えば、街が一つ消し飛びかねないとか言ってた気がするけど…やっぱり一つの次元を消し飛ばすとか?

あ、できればA

失敗した
できればA以上の認定基準みたいなのを教えてほしいです

さて、ランクですがちょいと考えてみました

国家が管理→そんなにランク分けにコストかけらんわ
S以上はもう同じということで一つ。
むしろ数パターンじゃないかな?
国家資格って別にランクつけないですよね?
三級から一級くらいじゃないですかね。
建築士とかそんな感じじゃないですか。
後、医師資格だってランク付けないですよね。

逆にランク付けをするのは営利団体でしょう。
むしろランキングで盛り上がるやつ。
日本で言ったら相撲、将棋や囲碁が分かりやすいかな。
厳密な格付けがタイトルの権威を裏付けるわけですわ。

まあ、話題に出てたランキングだと多分冒険者のランキングだと思うのですよね。
※それ以外に細かいランキングが想定なのは何か情報くだしあ

射幸心を煽るには細かいランキングが有効
そう考えたら色々と腑に落ちますね
ただしそれを観測する客に一定の知性や経済力が求められるのかな?

考えたことの7割くらいは書けたのでここまで
いやあ、楽しい思考実験だったす

赤ペン先生、どないでしょ。

後は国家が敵のランクを付けるのはそれによって被害が想定できるから
&
脅威度を観測する基準、単位がきちんと完成されている

これが両立されないといかんでしょうね

具体的には天災

台風→ヘクトパスカル
地震→マグニチュード&震度

疫病に関してはややこしい&政治的あれこれあるからなあ

ご存知かと思いますが、地震の指標に関して
震度:観測地での揺れの大きさ
マグニチュード:当該地震のエネルギー規模

なので実際の判断基準は震度のが参考になります
マグニチュードとか、2上回ったら1000倍になるとかいう基準じゃけえw
これ知らない人割といるよね
ニュースでそういう解説聞いたことない
震災(阪神以降)でもそれ報道してないよね。してた?
してたらソースくだしあ。その報道機関リスペクトするわ

>>801
どうです?
見解語ってくだしあー

それはそうとあっちをがんばる。
のは明日でいいか。

そうですねえ
基本ああいうのって冒険者ギルドだし、S級で言うと協会も実際どれくらい強いのか不明でも第7位のキングさんとかいるし
そのあたりになるとギルドにどれだけ貢献してるか(モンスターのドロップを納品とか)で順位決まってそう
モンスターだと単純な強さと別に人里に出た時の推定被害とかで決まってそうかな(例えるなら某桃色とか戦闘力とは別にS級認定なりそう)

>>810
そうなると、底辺を拾い上げるためにもランク付けてるという感じですかね?
射幸心煽るのと社会的地位を与える的な。

まー、実績に伴ってランキングとかワンパンマンの世界観の格付けは相撲に近いかな?
横綱は負けたらアカンやろ的な

もしくは最強が大関で埼玉がそれをふっとばして横綱として権威を回復とか、うん。ないですね。
そういうの、違いますもんね。

ちなみに二郎ちゃんなら、C-B級のモンスターを無理なく狩って安泰!
という絵図面を描きそうですね。

むしろ二郎ちゃんはE-Bのモンスターの気を付ける点とか倒すコツとかを子飼いから聞き取り調査してそれを配下の部隊に教え込みそう(自分は教導役として後ろで見てる)
そして「働かない無能はもういらない」と言われて追放されるんだ。最終的に帰ってきてと言われてももう遅いしてざまあするんだ

ところで>>798には某少佐のセリフで返せばいいんだろうか

>>804
普通に認定試験受けてとかじゃなかったか
空戦と陸戦と総合のランク分けだった気が
はやてが総合でなのはが空戦
はやては魔翌力が莫大でSSとかだからよーいドンで近距離から闘うとフェイトやなのはのほうがはやてよりは強いとかそんな感じだったような
距離がかなり離れてると広範囲攻撃で街ごと潰してはやての勝ち
AAAで5%しかいないとかそんな設定で戦力が貴重だから一箇所に集中されないように高ランクが集まったらリミッターつけないといけない決まりにしていたけど
StSはそれを逆手にとってリミッターつけりゃ集まれるんだからその部隊で○○しようみたいに考えてた話だったはず
なのははStSでアンチとか突っ込みどころがかなり増えたけどランクづけに関しては特に言われてなかったと思う

>>805
>>784のなろう云々の話から始まった話だからね
SSはおかしいみたいに対しての反論ってだけだから別にないって決めてる作品につけろとも思わないよ

なるほど、何かの実績での特注で付くんじゃなくて
ちゃんとSSランク認定の試験があってそれに受かると…なのか

あくまで試験だから特定の課題を達成する能力であって単純な魔翌力や戦闘力の強さじゃないみたいなことがStSの特典に書いてあったんだったかな
なのはは軍隊の要素が入っているからリミッターの要素の含めて戦力評価の目安としてランクが必要だったんだろうね
質量兵器が禁止されている世界だから少数の個人の戦闘力に全てがかかっているといってもおかしくない世界観だし

なのはに関してはE~Fが一般人、武装局員の大半がD~Cだから最初から>>784のようにのように1段階ランク下げてってのも可能だったと思うけど
オーバーSランクやらニアSランクみたいにSランクから大きく評価に差がでるみたいな設定にしてる(A~Sの間だけAAA+やS-があるとかやたら細かい)から
1段階下げてAを境目にするとトルプルエーがBBBとかBBB+みたいに見映えや表現的に微妙になるから不採用ってことだったのかもしれない

A、A+、AA、AA+、AAA、AAA+、S-、S、S+、SS、この後はおそらくSS-、SS、SS+、SSSみたいに続く事考えると
なのはは上位ランクになればるほど細かくランク分けしてるのがよく分かるな
Aランクでも細かかったのにSになるとマイナスまで出てきてランク分けしてるし

もはや1段(初段)から初めて数字をあげていった方が良いのではwと思ったら空手百段(自称)の某達人が頭に浮かんだ

なしてそこまで細かく区切るんでしょ
大物食いを分かりやすく演出するためかな?
格下にやられる視点とかがあったら凄いとは思います
逆ならともかく、めちゃストレスになりますものね

なのははまあこうかな?って説明はできるから(目逸らし
多分ロストロギアに対処できるのがA以上、単独でロストロギアに対処できるのがS以上とかだよ
ちなS以上はなのはS+、フェイトS+、はやてSS,ゼスト(確か精霊だかと合体してパワーアップ)S+、ルーテシア(虫の召喚士)S、シグナムS-

結構返しはあったけど結局【なろうのSSランク】であの作品ではこういう設定でSSランクだよ~みたいなのは無かったか
何故俺はあんな無駄な時間を(みっちゃん感

>>820
ソースが確認できたからヨシ!

どこで使うか知りませんけどw

真面目に付き合ったのに嫌味言ってくるのか
こっちが付き合って損したよ

>>822
損したんすか?

そりゃ時は金なりっていうからね>>何故俺はあんな無駄な時間を(みっちゃん感 これよ
というかまじめに付き合うなら例を出してほしいんだ、俺は例えばSランクで魔王倒せるならSSは何ができるんだ?と言ってるのに
そんなの世界観によって違うとか魔王が最強とは限らんとか言われても話をそらしてるようにしか聞こえないんだ
別に作品の名前を出して、とは言わないが【某作品では星を壊せてS,銀河を壊せてSS】とかが欲しかったんだ…いや銀河を壊すって意味が分からんが
なのはを出してくれた人はありがたかったけどあれは【なろう作品】じゃないから

まあそもそも恋姫二次の作品投下してる場所で恋姫と無関係の雑談に損得を見出そうとするのが間違いと言う前提もあるんだけど、言い出しっぺが言う事じゃないから言わない
そういや昔フジリュー版封神演義では打神鞭がBで雷公鞭が特Aとかあった気がするな

>>825
それを言ったらおしまいよ、とw

まー、面白いからヨシ!
書き込みが殺到して処理しきれんような状態じゃない限り、
大体面白ければオッケーですのことよ

あと二話であっちの投下完了するのです
頑張るぞいっと。

後一話
アレをもちっと練り上げてやったら予告通り八月からあっちでの投下が始まりますね

こっちに復帰はそれからですん

投下完了
疲れたですのわー

気力があったら、前話にて地味様と韓浩のlキャッキャうふふをやりたかったんdすけどね
ネタはあるんや!いくらでも!

まあ、完結に向けてごりごりやるほうがええのかな。。。
韓浩、惜しい人を亡くしたわ

ルックバック、読みました
あれは感性が若くて向上心あるクリエイターほどダメージすごいわなと
あれやるか普通?となりますね。
やるか、というかそこまでつきつめて表現できるのが凄い

思ったのは、手塚治虫という神がアレ読んだらどうすっかなーってことです。

多分、読んでもあまりなんも感じないと思うんですよ。
あの方、創作者としての悩みなんて「時間が足りない」くらいだし

世間の反応見て

「なんですか、こんなのが受けるんですか!
私ならこれよりもっといいもの描けますよ」

とか言ってマジのガチで翌日くらいに神クオリティのもの仕上げてきそうだなって

そこらへん、永井豪さんとか竹宮恵子さんとか萩尾望都さんみたいなレジェンドの反応見れたらいいな。

でも石ノ森さんの原稿をびりびりに破いたお方だし…
まあ負けず嫌いらしいので書き上げそうではありますな
確か手塚先生はスポーツ系の作品は苦手とかどっかで聞いた覚えがありますね

にしても俺のレス読み返すと飛影はこんなこと言わない、みたいなこと言ったり謎の雑談振ったりかなりやべーな

せやろか?

一ノ瀬はもっと錯乱してるからセーフ。

一ノ瀬さんはスレ主だからセーフ
掲示板規約に反しない限り独裁政権してもOKだから・・・たとえは出すとどこかの誰かの批判になる可能性があるので言わないけど

あそこは実力があるからセーフ
面白ければよかろうなのですよ
人格と作品は切り離そう(自分に言い聞かせる)

例えて言えば
板の各種規定が【憲法】で
スレ個別のルールが【法律】とか【条例】だね。
つまり【憲法に違反しない範疇なら法律や条例である程度規制しても問題はない】ってことやね。
@赤ペン占星術、これやったらどこの引用もなしで解説できるってもんでしょ?

流石は青ペンさん!例えが分かりやすい…でもなぜに占星術w
ところで一ノ瀬さんはどこの誰を思い浮かべたのかなぁ(にちゃあ

>>837
迂闊ですね

>どこの誰を思い浮かべたのかなぁ(にちゃあ
>(にちゃあ
答え合わせはできましたね(確信)

あっちでPV1だけど増やしてきたよ~

>>839
ありがとうございますー!
うれしい。。。

まさか最初に更新されるのがあれとはw

アレがあれしてあれなのかな?

あれ、順番通りですよね?

関係ないけどFGOはコヤンスカヤ爆死
石全部溶けたわ引退しません
リソースはウマ娘に比重だなあ。。。

設定資料集の更新(笑)は予想外だよぉ

>>837
sagaってなかったから先生が占星術に変換されたのかも

>>843
ああ、アレねw
やったぜ!
やはりここから始まる感があってええかなとw

ヒーローアカデミアのA組生徒の何人かってあの入学試験本当に上位20人になれたのか疑問になる個性もちいるよね
というか透明になれるだけ(初期)の個性とか機械相手にどう頑張ってたんだろう

放置して悪用されるよりは囲い込め理論かなあとか思ったり
敵に回すとかなりめんどいですよね

B組で良いじゃん、いいじゃん
むしろ普通科?の心操君とかの方がヴィランになったら怖い
あと雄英を落ちてほかの学校に行った奴もいた気がするんだけど…それってあのもぎもぎの奴より下だったってことだよね
そういやあそこ偏差値めちゃくちゃ高いって設定だった気がするんだけど…硬化する奴とかもめちゃくちゃ頭いいのか

ウルトラマンコスモスを下ネタにするとか頭の出来が違う人は本当によく思いつくものだ、と驚愕した今日この頃

字面かな?

やることが・・・やることが多い!
※リアルのお仕事のお話です

ぶっちゃけ去年までがボーナスステージだったんだよなあ。。。
がんばろう。

主人公と最初敵対してた奴(ヒロイン)が人間不信タイプで話を聞かなくてすぐに攻撃してきて、そのあと主人公にほだされて甘くなって赤の他人にも攻撃から始めないでその赤の他人が悪党で取り逃がす
そして主人公がそいつをとっ捕まえて逃がしたことを反省してるヒロインに「君は弱くなったんだじゃない、優しくなったんだ」とか言うのってなんかすごいもやっとする

なんとなく分かります
悪党による被害規模によるかもしれない
後はまあ、筆力というやつで納得感が得られるかどうかですね
多分いい話にしたいんだろうと推測します
アホか人を見ろボケとなってしまいそうですがw

取り敢えず今回の更新は明日で終了

最終章北伐編とか、前もやったら荒れるだろうなあとか思ってたんですけどね
とりあえずやらなあかんことやらなあかんからやったんですよね
そのうち一つが地味様とCPBとの別離
でもこれどうやっても単独では無理やなーってなってたんですよ
そこで韓浩が
「私にいい考えがある」
ときたもんだ

いや、ほんとそれしかないけどさあ・・・
という裏話でございました 

韓浩はAAキャストがながもんということで割と物語介入力があったんですよねー
これまで別になんもせんかったし望まなかったけど、最後の最後にこれだけは感

>>854

あっちでもついにあのシーンになっちまいましたなぁ…。

>AAキャストながもん
あー、ね。
そりゃ無口無表情系毒舌キャラになるわな
でもそうなりゃ強ち【鉄仮面】って評も
外れてない気がする

>>855
はい、ありがとうございます。その通りですね。
鉄仮面というか鉄面皮?
表情筋が仕事を放棄しておりましたな。
オリキャラについては、かなーり想定より皆動いてくれた感があります。
韓浩については、ここまで地味様と相性がいいとは思わなかったw
最終章北伐編については色々検討してます。どうなることやら。
前回はとにかく早く終わらせたい、終わらせなきゃの一心だったのですよね。
マジで書くのが苦痛になりかけながら無理矢理出力してた感。
今月はもちとお休みいただいてインプット色々して考えるかなあ。

前作からの人はネタばっれ質問ならこっちでやってくれたらいいのになあとかおもったり
でもこっちでおつきあいいただいてる方は前作知らんのかな
割と知ってる前提であれこれメタ発言しちゃってますがががががががががおがいがー

みなもと太郎さんがお亡くなりになった・・・だと・・・

「風雲児たち」は中高生の頃に知りたかった作品でした
日本史の勉強がどんだけ楽になったことか・・・

以上のやり取りはすべて実話であり私のフィクションは入っておりません だっけ?

DQとかFFみたいなゲームならそういうものって思えるけど
アニメの勇者パーティーみたいなので落とし穴とか部屋に閉じ込められるのとかに全員で引っかかるのって傍目にはすごいあほっぽいなあ、と
怪しいなあこいつ…みたいに共有しながら「あの部屋に秘密兵器があるのです」とか言われて皆で入って罠にかかるとか
しかも似たようなことを前に経験してたりするとおお…もう。ってなる

一蓮托生とはこのことw

関係ないけど
明日ワクチン接種してきます

筋肉痛克服くらいですた
次回の接種も予約取れてやったぜ!

やれたらやろう

スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています

何故一旦停止しないのですか

何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか
20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます
因果関係の調査は?

あなたのみならずあなたの周囲の人にも悪影響を及ぼす恐れがあります
とか書いておけば年齢制限(笑)以外特に何もしないタバコのような存在が普通にコンビニその他で売られてて規制しない国に対して何を期待してるのかね?

日本語が不自由やなって思いました
BOTかなんかですかね?
反ワクチンって外国勢力なのかな?
中々に興味深いなあ。。。

日本語は難しいからね、仕方ないね
「つまらないものですが」が謙遜を超えて失礼に当たるとか日本人でも面倒に思う言い回しが多すぎるんだよ
まあだからこそ面白かったりそういう言葉を使うか!と感心したりするわけですが

さいですなあ。
だからこそ楽しいと最近とみに思います。
まー、使いこなせる方はすごいなって。

再開はもちっと待って下さいね。
多分10月になったら仕事が楽になる。
早くリタイアするFIREになりてえなあ。

今さらなっがーら。

設定資料に誤字あったよー

張角が長角になってた。

マジすかw

充電期間のおかげでアイデアが降ってきた
もしくは電波を受信した
いやあ、無理に進めなくて良かったわです

それはそれとして、今月いっぱいは激務なので更新できそうにないです

はいなー
無理はしないでね

雑兵物語読了
なるほど
補給は現地調達、孫子なんだな
攻めかかる方がコストを軽く見積もるのは悪党時代からの伝統とな

なるほど、明治維新で警察は士族で軍隊は雑兵となると
そして日本軍は結局雑兵が兵卒であったということか
なるほど感がありました
名著でありました

戦は飢饉と思えというのは明言だな

SAOの再放送見たけどチート使ってるGMがむかつくからそれ以上のチート使って相手のレベル1に下げて嬲り殺すとかなかなかいい性格してるなキリト
お前の強さはゲームのバグから発生した前のゲームのステータス引継ぎ…このゲームで積み上げたものじゃないんだが
そのステータスの暴力で相手に最強武器だけ渡して決闘()するとか…まあ相手も糞な性格して糞な行動してたけどさあ

【急募】
山の神様の機嫌を上向かせる捧げ物

なんとかなりました

なお捧げ物の情報は随時募集しております

ハンカチとか石鹸とか…あとはアロマキャンドル?
シャンパンとチーズとかワインとクラッカー…お酒はいける口かは知りませんが

ありがとうございます!
やっぱ消え物が一番ですよね

スイーツを捧げてなんとかしてます
お酒は飲まないですねー
一口だけ味見、はたまにやってますが

そして月姫ゲット!
ちまちますすめていこう・・・

コーヒー紅茶緑茶で嗜好品があるならいつも飲んでるのとは違うものを一ノ瀬さんのセンスで見繕うのも良いかな
自分の好きな味があるとついついそればっかり買ってしまって冒険しなくなるから

あとはカップとか湯飲みもそれほど重くないからいいかも?…でもそれなら一緒にどういうのが良いか相談しながら買った方が良いかな

なるほどコーヒー紅茶、これだな!
フレーバーティとか試してみよう・・・
丸福コーヒーなら阪急にあるヨシ!

インプットやった
月姫はまだ

やるぞー
(今から始めるので今日投稿あるかは不明です)

うおおおおおおおおお
という気合いが出てきたぞ
おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ

「大変だよ!朱里ちゃん!」

あわわ、と足元もおぼつかなく駆け寄る親友に諸葛亮は気を引き締める。彼女は水鏡女学院不世出の才媛。
自分がいなければ間違いなく主席であったほどの、だ。

「どうしたの?雛里ちゃん」

そう言いながらもある程度の推論は成り立つ。この幽州を掌握するにあたって、諸葛亮は政務、鳳統は軍務という分担は実に自然に成り立っていた。
なんとなれば、軍務……特に戦術の閃きにおいては諸葛亮ですら鳳統には一歩以上譲るのだ。
で、あるからして。最優先事項である軍権の掌握について何らかの障害(トラブル)があったのであろうと推論(アタリ)を付ける。その推察は実に正しいが、それは彼女の想定を上回っていた。

「え?白馬義従が……?」

公孫の武威の象徴。地味とも普通とも揶揄されていた公孫賛。だがその実績、実力。それはこの中華でも有数である。
何となれば弱小軍閥の身で北方の護りたる幽州牧に抜擢されるほどに、だ。
そしてその名声、声望を高めたのが白馬義従。白馬のみで構成された騎兵。それはあの匈奴とすら伍し、むしろ正面から渡り合って圧倒するほどの強兵なのである。
その、北方の護り手たる白馬義従を掌握するべく鳳統は動いていたのだが。

「演習、だっていうの……?」

「あわわ、それも長期の、だよう。朱里ちゃん」

「でもいずれは襄平に帰還するんでしょう?雛里ちゃん」

「ちがうの……。
あわ……。このままじゃ、不味いよ……」

不在の白馬義従。その行方、その計画。その痕跡は公文書に残されていた故にあっさりと追うことはできる。出来た。だが、その所在地がなんとも。

「はわわ……。なんで?
南皮に、なんで?」

そう。白馬義従の目的地かつ現在の推定所在地は、袁家の本拠たる南皮なのである。

「匈奴の急襲を想定して、救援の演習らしいよ?」

「でもでもだって!州をまたいで兵を動かすなんて!しかも指揮官だっていないのに!」

言いながら諸葛亮は盛大に舌打ちをする。してやられた!
公孫家と袁家が癒着しているのは周知の事実。それに演習計画者はあの韓浩なのだ。袁家が断るはずもない。

「じゃあ、帰還を!即時の帰還、それも最大戦速で!それなら訓練に!」

引き込める。手元に在れば主人たる劉備の大徳でいかようにもなる。匈奴と死闘を繰り返した白馬義従が手元に並び立つというのはこれ以上ない宣伝にもなる。
まずは手元に戦力を!それでなくても一万の騎兵、重要さは言うまでもない。

「もうやってるよ!」

悲痛な叫びにさしもの諸葛亮も戸惑う。

「だったら、そんなに」

悲痛になることはないのではないかと。

「当初の訓練は二段階。匈奴に急襲された南皮への救援。次が要人警護。
 その完了時期はおよそひと月後なんだって」

その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。

「もしかしてその要人って……」

「うん。魯粛さん、于禁さん、秦松さんあたりらしいよ」

やってくれる!そういうことか!いや、そのあたりの人材の暗殺を警戒してのことか!今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。
まあ、送られてくる人材の排除については読まれていても仕方ないと思っていたのだが、備えの迅速さといったら!

「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」

「とうに発行してるよ。でもでもだって、こっちの呼びかけに一顧だにしないよ!」

――白馬義従。白馬で固めた公孫の最精鋭の騎馬軍団。実際に白馬であるのは最精鋭の五百ではある。だがそれでも陣頭に立つその威容はかの匈奴をすら恐れさせる存在である。
そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。匈奴と渡り合う。いや、匈奴を排除するための騎兵たちである。馬家と並んで対匈奴で伍することのできる騎馬軍。その強大さは言うまでもない。それを手中にすべく帰還を呼びかけたのだったが。
絶対に必要な地歩固めすら先送りにして、最も信頼する鳳統を送り出したのだ。いかに白馬義従を重視していたかが窺い知れるというものである。

◆◆◆

 さて、使者として全権委任を受けた鳳統は、袁家特有の盥回しの上で目的とされる人物との面会を果たしていた。

「おやおや。残念ですねえ。韓浩さんの立案した演習案。その前半は果たされました。
ですが後半がその要件を満たしていません。なんせ、守護すべき要人の到着が遅れていましてね」

激しく計画の実施を求めた鳳統。それににこやかに応えたのは沮授である。
所詮田豊の尻尾である。公孫の軍権の引き渡しを求めたのだが。

「いやですねえ。貴女、公孫の軍権、関わりないでしょう?
ここは公孫賛殿からの正式な命令書を待たないと色々不味いですよねえ」

にこやかに応えるその表情が憎らしい。
一万もの騎兵。滞在費用についても申し訳ないと言っても。

「ああ、そんなことですか。いや、正直彼らには我が軍の演習にご協力いただいてましてね。いやあ、流石は匈奴と渡り合った騎兵とばかりに勉強させてもらってますよ。
 え?摩擦?いやですねえ。二郎君が発案、実施した統合整備計画の折に、随分公孫軍とは連携しましたからね。
それに、中級指揮官は公孫にお世話になった者が結構いますから」

最前線で漢朝を守護する防人。勉強させてもらっていますよと爽やかに笑い沮授はその場を後にする。
彼にとっては鳳統の相手なぞ児戯に等しい。何となれば沮授は伏魔殿たる袁家中枢で長年過ごしてきたのだ。それも、あの「不敗の」田豊の愛弟子として。そして紀霊の義兄弟として、だ。いずれか一つでさえ受ける逆風がどれだけのものか。
にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。そして比較にならぬほどに逆風を受ける彼を守るために、どれだけの研鑽を重ねたろうか。
正しく沮授は田豊の一番弟子であり、紀霊の義兄弟であった。
そして田豊と麹義。偉大なる先達が隠居したままに沈黙を続けるのも沮授の差配。

「これは大したことではないのです。反董卓連合に於いて現役復帰されたお二方が隠居なさる。つまりそれだけ此度のことは些事。
そしてなにかあればお二方がいる。民心安らかになるこれ以上のことありましょうか」

幼くして田豊にその才を見いだされたその才。単身で劉備の動きを把握し備える。やがて来るであろう戦乱を見据えて。
そして、沮授はこれ以前も以降も、衆人の前で涼やかな笑みを絶やすことはなかったのだ。

――そして白馬義従。公孫の騎兵は正しき主に率いられることになるのであるが、それはまた別の話である。

本日ここまですー
感想とかくだしあー

まあ、こっからやっていきます
GWかお盆には完結させてたいですえn

久々の乙したー
復活じゃああああああああああ

いくらはわあわと言えども乗り越えてきた修羅場が違うんよなぁ
きっちり熨斗付けてお返しするんじゃ

>>887
どもです!

きっちり充電してきました!

久々は沮授くんからでしたぜ
ここからここから

度数の高い火酒が俺の喉を焼く。胃から逆流した炎が双眸から溢れそうになる。かまわず、重ねて喉を焼く。

「あららー、荒れてますねえ」

ひょっこりと姿を現したのは七乃だ。その笑みは深いような、浅いような。真意を掴ませない。凪いだ水平線のように得体が知れず、それでいて引き込まれるような。

「まあいいや。お相伴に預かりますねー」

そう言って手酌でぐびぐびと杯を重ねていこうとする。

「おい、おい。俺の分なくなりそうなんだけども」

「大丈夫ですよ。ほら」

指し示した先には大徳利を抱えた風と稟ちゃんさんがいた。

「おやおや、もうお始めですか~」

「全く、こらえ性のない!」

「稟ちゃんが言うとどこか意味深なのですよ~」

「ふ、風?!」

二人のやり取りに、吹き出してしまう。

「てーい」

むにゅ、と柔らかいモノが俺の顔面に押し付けられ、その柔らかさを更に主張する。

「もーう。駄目ですよ?近くにいる人を忘れて遠くを見ちゃうのは。
 それに、考えても仕方のないことは考えないに限りますよ?言うじゃないですか。
 下手の考えなんとやら、って」

 七乃の言に少し笑う。笑ってしまう。

「休むに似たりってか?なら問題ないな!いつも公務は開店休業だし!」

 言ったそばからぎゅ、と抱きしめられる。七乃の体温が心地よい。常より高いようなそれが、なぜだか嬉しい。

「胸を張るところじゃないでしょう……。ほら、風もいたずらしようとしない!
 ――この場でまで道化を演じる必要はないですよ?」

凛ちゃんの言が嬉しい。普段クールな彼女が俺を気にかけてくれるというのが、本当に嬉しい。

「あー。いや、俺が仕事しないのは本当だろうよ」

 照れ隠し。それを知ってか知らずか風が俺の頬を小さな両手で挟み、真正面から目をそらさず。

「くふふ。
二郎さんは非常の人なのですよ。組織する人なのですよ。運営する人ではない。それは別に欠点ではないのですね~。
 むしろ、袁家という強大な組織の中枢において、慣例やらしがらみを無視して断を下せる。くふふ。その価値、風達が分からぬはずもないのですよ~」

 待って!なんか思ってたのと違う。そういうのを求めていなかったというか、ねえ。

「そうですよ。お父様が恐れたのもその果断さゆえでしょう。きっとそうでしょうそのはずです。
ええ、ですからもっとどーんと構えててくださって結構ですよ?雑事は私たちにお任せくださいな」

 七乃、雑だな?!もっっと褒めて?モチベーションアップに努めて?

「そう、貴方は断を下せばよろしいのです。後は私たちが如何様にも」

え、なんかえらいハードルが高くなってないかい。そんなん言われたら気軽に断を下せないじゃないかと怯んでしまうぜ。
……違う。違うな。それほどに俺を信頼してくれているってことだろう。俺よりはるかに優秀であろう彼女らが、だ。だったら、だ。ここは気張らんといかんよなあ。かっこつけんといかんよなあ。

 とりあえず。

「劉備一党、処分する」

くすり、と。くふふ、と。そして表情を全く変えずに俺の言葉を三者三様に受け止める。

「あららー、穏やかじゃないですねー。罪状はどうするのです?」

「それは七乃に任せる。この件については幽州牧である白蓮の権限において俺に一任されている。適当にでっちあげてくれ。だが、韓浩は謀殺された。この線は譲れん」

断ずる俺にこれまた三者三様の目線をくれる。その目線をそれぞれ真正面から受け止めて。

「あの韓浩が乱心なぞするものかよ。あの韓浩が自刃したんだ。それはよっぽどのことだ。
韓浩は多分俺より生き汚いぞ?そんなあいつがなんで自刃したか」

きっとあの韓浩をして、命を懸けねば処断できぬと思ったのだろう。処断することに命を懸けるだけの価値があると思ったのだろう。
そうさ。紀家軍に連なる奴らは誰一人命を粗末にしたりしない。生きてるだけで大勝利。それこそが姐さんが俺たちに叩きこんだことだからして。

「では討伐の軍を出しますか?まずは糾弾なり事情の調査なりするべきと思いますが」

「そですね。軍を出すにも編成に時間が必要ですし~。使者を出すのはいいと思うのですよ」

ああ、そうよね。形式は大事よね。うん。

「おや、その様子では腹案があるようですが」

稟ちゃんさんの問いに応える。

「陳琳を派するつもりだ」

沈黙が広がる。その沈黙に台詞をつけるならば、「うわぁ……」というもの。

「……なるほど。本気で劉備一党と事を構えるつもりなのですね」

稟ちゃんさんの言に頷く。

「ああそうだ。まあ、あの陳琳を懐柔できたならばまだ一考の余地はあるが、な」

あの陳琳である。人の神経を逆なですることについては定評のある彼女。それの手綱を初見で握り、こちらと協調するサインを送れるのならば話は別だがな!

「承りました」
「承知です」
「了解なのですよ~」

それぞれの諾の返事に頷く。

「よろしい、ならば戦争だ。各員の準備、よろしく」

そして北郷一刀君。俺はこれから一切の自重を投げ捨てるので。

 もっとのんびりとしたかった俺の憂さ晴らし、八つ当たりをとっくりと味わうがよい。

本日ここまです

かんそうとかくだしあー

いけるうちにいっとかないといつ忙しくなるかわからん


>>886
待っていたぜぇ、この瞬間をヨォ!

さて、今回は
【残雪纏いし柳は鳳凰の羽ばたきすらいなす】
とでもしよか。

>>891
もいっちょ。
【打ち込むは小さくも鋭い楔】
でどないや!?

一応解説やで
>>892
まぁ、見ての通りやね。
沮授くんのやわらかーく受け流すところをピックアップ。

>>893
んで、こっちは反攻にへの下準備って意味合いも込めて陳琳お姉ちゃんをくさびとしてみたよ、と。

>>892
どもです!
お待たせしました!待っててくれてたと信じてます!

題名、めっちゃ考えてなかったのでありがたく咀嚼させていただkます!
せや、題名いるんやったわ。。。

乙でしたー
>>884
>>その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 所詮は雛よのう…という揶揄いは置いといて
○その、鳳統の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 ここは普通に名前かな?
>>今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。 公文書をちょっと調べればわかるようなことで裏をかかれるとか…
○今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮も歯噛みする。 伏せってるうちに飛び方忘れちゃったのかなw
>>「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」 これ【引き渡し】の【命令書】の送り先は袁家だよね?同格の相手に出していいの?
○「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの要望書は?」 白馬義従に対する帰還命令は上で言ってるので袁家に出すならお願いする形のこれかな?
>>そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。 輔弼(ほひつ)は、天皇の行為としてなされるべき、あるいは、なされざるべきことについて進言すること。特に大日本帝国憲法下において天皇に大権(天皇大権)の施行に過誤がないよう意見を進言することを意味した概念 。 ウィキより
○そしてそれに随行する一万余の騎兵も精鋭。 もしくは【随伴】、【随従】、【同道】、【付き従う】とかでどうでしょう…天皇は無関係ですし
>>885
>>にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。 間違いではないですが
○それをにこやかに。一度の弱音も吐かずに。 の方が良いと思います。ちょっと変えて【それを、にこやかに……一度の弱音も吐かずに。】とかでもいいかも?
>>幼くして田豊にその才を見いだされたその才。 才が重なってるので
○幼くして田豊にその才を見いだされた麒麟児。 もしくは【幼くして田豊に見いだされたその才。】の方がすっきりしてるかな?

久しぶりの更新…しかもすでに2回分こいつは読みごたえがあるぜ
韓浩を弑殺する前に最大戦力の白馬義従の状況を把握しておかないとかかなり行き当たりばったりに感じるのは俺だけか?
戦争なんて段取り8割だろうにそれ以前の問題だよ…そして柳に風とけむに巻くわれらが沮授…あなたにとっては役不足でしょうねえ、それを僅かばかりも出さないでしょうが
下手したら無能な味方とか足を引っ張ることばかり有能な味方とか袁家の為という大目標は同じでも小目標が違うから反目する味方とかとやりあってた男だからな
正面から絡めて使ってきてもそりゃ受け流されるわ

続きを
>>889
>>「まあいいや。お相伴に預かりますねー」 【ごしょうばん】なので
○「まあいいや。御相伴に預かりますねー」 こうですね
>>「おやおや、もうお始めですか~」    尊敬語としては【もう始められてますか~】が正しい気もしますが
○「おやおや、出遅れてしまいましたか~」 酒盛りの場になのか、二郎がやけ酒呑んでる所によりそうのになのか、は語らない方向でどうでしょう

乱暴に言うと二郎は「これやっといて~」と出来そうな人に丸投げして失敗したときに責任取って頭下げるのが仕事だからな…それをガチでやってくれる上司のどれだけ有り難い事か
あ~どうしよっかな~今忙しいんだよな~(ちらっとかやってくるあほは滅べ、部下に仕事割り振るならそいつができるというお前の判断に責任取れ
二郎がやると決めて二郎ができると見込んだならあとはやるだけだよなぁ…なんせわざわざ温厚な紀霊の逆鱗を逆なでしてくれたんだから相応の返しをしないと

赤ペン先生ありがとうございます!

本日はちょっと眠いので明日に更新おあずけということでひとつ
お話はできているといういつものやつではありますがw

眠いのす

やるわよ。

 ここは夜の国。蜘蛛の巣の深奥にて秘奥。そこに踏み入れる人物の表情は眠たげではっきりと読めない。
 実際大したものだと張?は内心でその人物の評価を一段ほど上に改める。口だけでなく、度胸も大したものだ、と。
 そう、そこは張家の本拠地。絡新婦(じょろうぐも)の巣の最奥。そしてその支配者はにこり、といつもの貼り付いた笑みである。

「ようこそ、と言うのもおかしな話ですから、さっさとご用件をどうぞ」

 にこやかに、だがどことなく素っ気ない問いである。だが程立は揺るぎもしない。ただ、くふふと笑みを漏らすのみ。

「これはどうも~。歓迎いただいているようで嬉しい限りです~。
 まさかまさか、張家の本拠地にお招きいただけるとは思ってもいませんでしたし~」

「いえいえ、仮にも二郎さんが最も信頼するらしい方ですし?
 何かの間違いがあってはいけませんからね。ええ、何かの間違いがあってはいけませんからね」

 ちらり、と張勲の視線が僅かに動く。その視線は虚空を貫くようであり、その実際は指示そのものであったろう。
 それが分からない程立ではない。が、そこは軽く受け流す。なに、前哨戦ですらない余技未満のやりとりである。
 張家の本拠地にての今は、ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。

「なるほど、流石に度胸は一流といったところですか。散々と注がれた毒が見事に散らされていますしね。
 しかして、その真意はどこにあるか伺っても?」

 その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。
なるほど、相当のやり手であるようだと気を引き締める。
 瞑目して不動。そのたたずまいに、手強いなと内心で警戒を更に一段階高める。

「改めて問いましょう。今回のご訪問はどういったご用向きで?」

 返答は沈黙。或いは呼吸。響く低音、すなわち寝息。むしろ鼾(いびき)。
 これには流石の張勲が戸惑う。

「ええ~、これどうしたらいいんでしょうか」

 取り敢えず眠気に有効な茶葉は実装している。あってよかったと推薦してくれた人物に何か進物でもせねばならない。そんなことを思っていたのだが。
 これが紀霊であれば遠慮なく頬をつねるなり、声をかけるなりしたろう。だがしかし、張勲はそこまで踏み込むことはしない。むしろできない。これは彼女の、どちらかと言えば踏み込んできた相手に対応するという姿勢(スタンス)が基本であるのが大きいのであろう。
 つまり、相性というものである。
 そしてその沈黙は一方的に破られる。他ならぬ程立によって。

「おお、寝てました!」

いけしゃあしゃあとそんなことを言う。さしもの張勲が毒気を抜かれてしまうほどにある意味図々しい。

「いやほんとに何しに来たんですか?」

 呆れ気味に問う張勲に程立は笑みを深める。

「それはもちろん、ご相談ですよ~」

「へえ?」

 仕切り直し、とばかりに表情を改める張勲に程立は笑みを深める。

「そですね。ざっくりと中華の行く末についてのご相談というか。と言いますか。
つまり、わるだくみのご相談です~」

「へえ……」

 まさかの言に張勲の目が細まる。程立の言が何を指しているか、こちらに何を求めるのか。
 常のお気楽な表情そのままに、絡新婦はその糸を張り巡らす。

「おお、こわいこわい。そのように警戒されるのも無理なきことですけどね~。
 むしろそれくらいでないとご一緒する気にもなりませんし~」

 茫洋とした表情はそのままに笑みを深める程立。

「まあ、ぶっちゃけた話をしますと。色々とお手を借りたいのですね。
 なにせあちらには伝手がないに等しいもので」

「あちら、というと……。
 ああ、やらかした彼奴らのことですか。
 こちらもそこまで入り込んではいませんよ?」

 やんわりと拒絶の意を出そうとした張勲だが、程立はそれを無視する。

「いいえ、これから無駄になるのですよ。下手に触れたら焼け落ちる。そういう相手です~。
 洛陽でご経験になった逆風。それがより激しくなって既存の網すら役立たずになる。
 いえ、裏返る可能性すらありますし~」

 ぴくり、と張勲の眉がひそめられる。
 洛陽にて、何進の支配にくさびを打つこともできずあったのは苦く、近しい記憶である。それが更に深まるとは。

「へえ、色々とお詳しいようで……」

 その言はある意味白旗に等しい。だが、意地や誇りを張る場面ではないという張勲の判断であり、それは極めて実務家のものであった。
 そしてその判断は程立と相性がいいものである。これは純然に偶然でしかないのであるが、幸運なことであった。或いは不幸なことであった。
 その心根はまだ歩み寄りのきっかけを得ただけでしかない。だが、彼女らの陰謀、悪意、執念は捻れ、絡み合い、鮮やかな紋様を描くことになる。

「ですから、燃やしちゃえばいいと思うのですよ~」
「おやおや、強引なことで。ですが無駄になるよりはいいかもしれませんね」

 くすくすと、くふふと、不穏な笑みは重なり深まる。そして絵図を描く。描いていく。
 馴れ合うのではなく、利用し合う。その理解は相互に共通しており、共犯を誓う。
 そして、彼女らの連携を知る者はいない。
 あえて政敵として対立することもなく、友として交流することもなく。
 無関係を貫く両者の思惑はこれ以後少なくない影響を与えることになる。

本日ここまですー
かんそうとかくだしあー

仮題は「わるだくみ」です

ようやっと分岐できましたわ
ここからは旧作と展開が違ってくるやつー
つまり、分かりますね?
誰がアレかって。そういうことっすよっていいながら前言ったもんねw
頑張れみんな

乙でしたー
>>900
>>ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。       自覚が2回続くとちょっとなあ
○ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを止めようとも思わない。 (まな板の上だなあ…こういうのも愉しいなあ)と自覚したのか
○ある意味まな板の上であるとも言える。それにくふ、と思わず漏れる笑みに自覚する。        (まな板の上だなあ、笑えてくる…ああ、自分はそういう人間だったのか)と自覚したのか
>>その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 ココの地の文はそれぞれの心情が誰の物かちょっと分かりづらいので工夫した方が良いかと
○その過程で張哈に退出を指示する。弟の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 上では程立が自覚してたので最初ココも程立の物だと思っちゃいました
>>これには流石の張勲が戸惑う。 お釈迦様でも判るめえ って何のセリフだっけ?
○これには流石の張勲も戸惑う。 ~もと書いておけば鉄面皮のあいつもにっこりよ
>>901
>>まさかの言に張勲の目が細まる。 そこまでじゃないかなあ…二郎と袁術を結婚させて袁紹を追い落としましょうとかならまさかだけど
○その言に張勲の目が細まる。   というか二郎の懐刀たる風ちゃんが言うことならむしろ納得まであるというか…風だけじゃ足りないし親友だろう凛ちゃんと力を合わせるだけでも足りなさそうな事っていうと…かなり限られる中でも最大級ではあるけどね

ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね
むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも?

>>903
赤ペン先生ありがとうございます!

>ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね
どうなるんですかねえ。とかいいながらルートはそこまで変わらないかな?
だって風だもの

>むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも?
意外となかったんですよね。
避けてたまでありますねこれは。

二郎…お前自分の右腕と諜報の要の間をもっと取り持っておけ
耳目と右手がばらばらとか縛りプレイだわ

>>902
この二人顔合わせたことなかったんか…。

ふむ。
しからば
【光と影の邂逅】とでも。

顔合わせたことはあったんじゃない?
多分馬が合わないとかそりが合わないとかそんな感じでお互いに避けてたんだよ

見知ってはいても、そりゃあね。
政敵ですものどう考えても。
肝胆相照らすとかはないですね。

普通にランチとか呑みにいくとかないっすね
なので風ちゃんお前やりおったな

頑張るぞいっと。

じゃあ【太極と闇の中の点は交わり】で
政敵…紀家と張家は袁術閥で同志ではなかったのか!?
二郎がどっちかというと陽の者なんでその支えとしてどっちかというと陰の側になってたからなあ、同族嫌悪ってやつだと思った
郭嘉は…たぶん袁紹の光が強すぎて光に飲まれて陽の側になったみたいな?まあどっちかというと、程度で

幽州への使者として選ばれたのは陳琳である。先の軍師陣の反応を見ても分かるように、常識的に考えるならば、使者として派するにはいささか以上に問題のある人物である。
いや、その能力には問題はない。疑念はない。頭脳明晰であり、幼くしてより名文家として知られている。容姿も眉目秀麗にて佳人と言っていいであろう。
怜悧たる印象を与えるその容貌は控え目に言っても七難を隠すほどのもの。
それでも、いやその容姿があるからより一層彼女のその特異性が活きるのかもしれない。吐く言葉は常に正論極まるもの。
だが。いや、だからこそ反感を買う。
本来であれば紀霊の守り役は陳蘭ではなく彼女であったはずなのだから。いささか守り役というには、主に頭脳面で難のある陳蘭が選ばれたのはその辺りに理由がある。
狷介、というのではない。傲岸でも不遜でもない。ただただ、その言動が人を苛立たせる。行いは品行方正清廉潔白。そんな彼女は今人生絶頂期にいたのかもしれない。
九卿たる大身に抜擢されたのはある意味妥当。そして、漢朝の威光を背負って使者となる。

控え目に言って険悪なその場。無論陳琳が恐れ入る訳がない。その必要もない。

「フン、どこの馬の骨とも知れぬ輩(やから)が州牧気取りとは片腹痛いな!」

その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。
そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。

「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。
大方(おおかた)貴様らに嵌められたのであろうよ。
奴らしくなんとも愚昧なことだ」

韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。
本当に、僚友として見てはいられなかった。あのような不器用な生き方、到底看過できるものではなかった。

「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに。そして貴様らの愚かさには呆れかえるよ。
あれをわざわざ謀殺なんぞしたのだからな」

その言葉に諸葛亮は声を大にして異議を唱える。
その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。
そして感情を言葉に載せるのだ。

「おお。このような、本当にお子様が代表して口を開くのか。開くのだな。
哀れなことだ。水鏡女学院の俊英。知っているぞ?確か伏竜鳳雛の片方でも得られたら天下を狙えるのであったか。
 笑止千万とはこのことよな。双方手にした結果がこれとは。この程度とはな。
ああ、劉備。貴様は誤った。配下を誤った。本当に誤った。
貴様のような鈍牛には韓浩のような、そこらへんに転がっているような凡才が相応しかったのだ。そうとも。あいつはそうだったよ。貴様らみたいな低脳にも親切だったろうよ。
つくづく思うとも。
貴様らは、身の程を知ればよかったのだ」

 視線は上に。言の葉は烈火。そして業火を招くのが陳琳である。当然それは周囲に延焼を。
そして。その身に怒りを込めて関羽が口を開く。

「そこまでです!
 流石に無礼が過ぎるでしょう!」

 燃え上がるような気迫である。それは効果覿面。

「ひっ」

その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。
それでも抗う。抗おうとする。

「こ、こんなこと許されると思うのか!貴様ら!」

「理不尽極まる。それは貴女でしょう?こちらが誠心誠意尽くして揃えた資料に目も通さずに!」

ふざけるな!ふざけるな。
その声に涙目になりながらも陳琳は叫ぶ。ふざけるなと喉を枯らす。

「匈奴!黒山賊!それに逆賊董卓軍だ!死線をくぐったあいつはそれこそ出世栄達思いのままだったのに!だからあいつは馬鹿なのだ!
 貴様ら、許さん!五体投地とは言わんでもそれらしい態度あれば手心加えてやったというのに!
 言い渡す!劉備!北郷一刀!死を以って償え!今ここでその身を散らすならば係累には容赦してやろうともよ!」

無論、その言い様を許す劉備陣営ではない。殺気沸き立つその場。覚悟なぞ決めるはずもなく、這う這うの体でその場を離れようとした陳琳を救ったのは爆音と轟音であった。

「火事だー!」

溢れる煙幕、震動。重なる火災。戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。そして気づけば、陳琳をはじめとした使節団は忽然とその姿を消していたのである。

本日ここまですー
かんそうとかくだしあー

いやほんと、すごく頑張った。
もっと陳琳ちゃんの呪詛は激しかったがマイルドセブン。

それでも人生は続くんやなって。

なお呪詛は関羽が被害被って可哀想なことにないrます
良心とか戦争には不必要だろうよね

ちなみに陳琳ちゃんの脱出は
またしても六ぞろだったので文句は認めないです

文句があるなら今すぐコカコーラの株価を三倍にしてみせろ!
ローソンの株価を三倍でもいいぞ!
ほら!やれるものならやってみろ!

つまりそういうことですので、飲料と買い物についてご配慮しろくだしあー

>>911
乙ーい。
さて、どうしようね。
無知蒙昧を咎める者~壱の矢~
とでもしようか。
弐の矢参の矢当然あるだろうし。

乙でしたー
>>910
>>その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。 これだと弓矢を射掛けるとか何らかの物理的な何かがあったように読めるので
○その場に陳琳はへたりこむ。武人の殺意。その威に晒されてへたりこむ。 それとも【武人の一喝。その覇気に晒されて】とか?実際関羽が殺意があったのかは分かりませんので

>>「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。
>>韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。
赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った
言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と
理路整然と頑固にその生き方を貫く愚鈍の生き方に、自分のことを棚に上げてもっと生きやすい生き方があるだろうと物知り顔で諭してる姿が目に浮かぶわ
>>「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに
まあ普通に考えたら耳に痛い諫言ばっかり言ってる愛想のない有能とか疎んじられるに決まってるよなあ…多分何度か「お前が捨てられたら私の下に置いてやってもいいぞ」とか言ってたんじゃねえかな
>>その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。
さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな
言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました

>>913
どもです!

題名は本当に助かります。

>>914
赤ペン先生ありがとうございます!

>赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った
お通夜ムードな中、一人ぷりぷり怒ってますね間違いない

>言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と
うざ絡みされてもふんふんいいながら真面目に付き合ってあげる韓浩はよくあった風景なのでしょうと浮かびました
まあ、お察しの通り聞くだけで聞き入れることはないでしょうけどもw

>さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな
>言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました
ぱっと見仲が悪そうに見えるんですが、実は・・・というやつですね
ありがとうございますた

>>910
あ。
なるほど。
最後の火災で龍鳳の仕込みを全部処分したのか。
…やりおる!

おっと、直し忘れ
>>910
>>その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。
>>そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。 【そして】が重複してるので
〇その言葉にその場にいた劉備配下が色めき立つ。そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状。
 しかし陳琳はまともに聞く気はない、その必要はないと切り捨てる。 【しかし】じゃなくて【されど】でもいいかな?

ついでにちょっと手直し、ところで>>戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。
これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは?

>>917
>これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは?
その通りですね
戸籍までやっちまえと風ちゃんは主張していたんですが
それはやりすぎだろうという舞台裏です

お話はできておりますが
出力するリソースをあれこれとリアルに奪われております
もちっとしたら余裕が出るはずなので少々お待ちくだしあー

「はあ?」

間抜けな声を発した俺を責めるものはいない。なぜならば、そこにいる者が皆絶句していたからだ。五言絶句。違うか。

「いやいやいや。いくらなんでもそれはないだろう。いや、確かに挑発も兼ねて陳琳を派遣したんだが……」

ないだろう。流石にないだろうよ。三公に次ぐ地位である九卿の一角たる陳琳に手を上げようとするなんぞ。しかも使者だぞ使者。使者を死者にしてやろうってか。うるさいわ。

「全くですよ。誠心誠意でっちあげようとしていた罪状と、その証拠がもう意味をなさないですねー」

けらけらと小気味よく笑うのは七乃。いや、精力的に頑張っていたらしいよ。そんな彼女の努力を嘲笑うかのように事態は動いたのだ。大きく。
いや、大きいよね?

眼前。
無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。

「陳琳。もう一働きしてもらおうか。
匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。これは確定事項。
ならばその嚆矢は……陳琳よ。誰の仕事か分かるな?」

化粧っ気もなく、憔悴した顔。だがその双眸には炎。青白く燃え上がるそれは見る者全てを焼き尽くすような熱。
その熱。その想い。激情が彼女の内包する才能を燃え上がらせる。食いしばるのはその烈火を漏らさぬためか、それとも。

頼んだ。

「これからは北伐である。近日中に今上陛下へと上奏するが……」

それを頼みたい、と言う。お願いしたい、と言う。頼む、と言う。

「明日には。明日未明には必ず」

頼んだ、と言う。

静かに。爛々とその眼を、その思い滾らせた彼女が俺に届けたその文。
後世、「出師の表」と呼ばれるものであった。

いや、俺からのリクエストなんだけどね。いくつかのキーワードをお願いした。それを見事にやり遂げた陳琳には賞賛喝采である。

「危急存亡の秋(とき)、ですか……」

稟ちゃんさんが微妙な顔で冒頭のキーワードを読み上げる。いや、いいでしょ。

陳琳筆のその奏上文。その一節を口ずさむ。それは正に名文にして名分。劉備ご一行の悪徳をこれでもかと指摘し、糾弾する。ご丁寧に七乃が用意していた罪状すら飲み込んでいるところに官僚的な美しさすら感じる。

「七つの大罪とはよく言ったものさ」

そこまで煽られたら誰だって燃える。俺だって燃える。
軽口。それにすら口を挟まない軍師陣。断を下すのは俺の役割。そうだ。戦争を始めるのは俺の役割。そしてメインシナリオの核を口に出す。こういうのは言ったもん勝ちなんだよ。

「我が率いるは五虎将軍。その五軍を以って討伐する。右将軍は白蓮。前将軍に猪々子。後将軍に斗詩。中将軍に星。そして左将軍が俺だ。留守は七乃、任せる。稟は全軍統括。風は俺の傍にて助言を」

そう。そして、だ。かの天の御使いたる北郷一刀。彼が持っているアドバンテージ。それが如何に無力であるかを思い知らせてやろう。ヒントはあったはずなんだけどね。

「おやおや。それでは全軍の責任者たる二郎さん。貴方の地位、称号はどうするのですか~?」

にこやかに聞いてくるメイン軍師に応える。

「おうよ。北伐。その軍を統括するこの身。夷狄をうち滅ぼすべし」

その称号。すなわち。

征夷大将軍、である。

本日ここまでー
かんそうとかくだしあー

今回は「五虎将軍」かなと想ったがネタバレだからそれは避けたい
「逆襲の陳琳」もなんか違うすね

どうしたもんかねえ

乙ですー

陳琳ちゃんが輝く輝くw
こういう局地的に輝く才能って、端から見てる分には清々しく眩しいですよねぇ

題案は
『激情才炎、猛き文にて狼煙を上げよ』
みたいな感じでいかがでしょう

乙でしたー
>>920
>>無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。 どちらかに統一した方が良いと思います
○無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようでもある。  もしくは【噛み殺しているようにも、打ちひしがれているようにも見える。】ですね
>>匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。    これだと九卿たるその身で匈奴を招き入れて、権威を蔑ろにしたように見えるので
○匈奴を招き入れたばかりか、九卿たるその身、その権威を亡き者とみた彼奴らを討伐する。 【ないがしろ(軽く見る)】と言うか【亡き者(ないもの)】と見たような気もするしこっちの方が良いかな?
>>頼んだ。

「これからは北伐である。 ~中略~ 明日未明には必ず」 ちょっと、ね?【頼んだ】が重複して……似たような言葉も連打してるし

頼んだ、と言う。
○頼みがある。

「これからは北伐である。 ~中略~ 明日未明には必ず」 【明日未明には必ず(出してくれ)】と頼んだようにも見えるので手直し

その応えに、万感の想いに。頼んだ、と言う。 
>>「七つの大罪とはよく言ったものさ」 七つの大罪(七つの罪源)は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作『修行論』に八つの「人間一般の想念」として現れたのが起源である。バイウィキ…ちなみに≪七つ≫になったのは6世紀に高慢を格上げしたものが最初らしい
○「七つの大罪と言ったところかね」  何が言いたいかと言うとこの時代だと【よく言ったもの】ではないだろうということです
>>夷狄をうち滅ぼすべし」 間違いではないですが
○夷狄を討ち滅ぼすべし」 討伐じゃない討滅するのでこの方が良いと思います

傲慢にも天子様を差し置いて天の御使いなどと詐称をし、強欲にも州牧の地位を簒奪しようと画策し、その補佐を務め袁家及び公孫家の信頼厚い韓浩を嫉妬に狂い暗殺し、自らの思い通りにならぬからと憤怒にかられ使者として送った九卿を亡き者にしようと弓を引き、怪しい術で誑かし天の意思だと嘯き色欲に惑わせ淫蕩に耽り、危急の時の為とした貯蓄を貪る暴食さ、剰え自らの罪に目も向けず漢が悪い、官吏が悪いと口にするだけの怠惰の極み、その果てには根拠も無く自分たちならもっと上手くやれるなどと言う虚飾虚栄に塗れた扇動でもって平和を乱す悪漢どもが、もはや貴様らを同じ人とは認めぬ、これより始めるは戦争に非ず、人非人に対する誅滅である!
適当に書きなぐってたら8つ入れてしまった…まあいいか、あんな連中。刹那で―――
ちなみに人非人は差別用語でも使われますが要は【人でなし】ですね、畜生道に落ちたとか外道の輩みたいな
戦争は講和もあり得るし人質取ったり捕虜交換したりするもの、誅滅は罪人を討ち滅ぼすこと…分かりやすく言うと一族郎党尽く皆殺し。な感じかな?

8つの場合だと【八つの想念】あるいは【八つの主要な悪徳】らしいけどあまり一般的では無いからなあ
ちなみに暴食は>>98の>>官庫を開いたことが大きい。二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。 これを論ったものです
貯蓄より備蓄の方が良いか…【危急の為とした備蓄を貪る浅ましき暴食を抑えることも知らず、】ちなみに浅ましいは卑しいとか下劣が本来の意味ですがダブルミーニングで(考えの)浅さも論ってます
ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが

>>921
遅れたぜぃ
【伍星、北への流れ星】
とでもしとくかい?

漫画でたまにある剣とか銃とか突き付けて「終わりだ、降参しろ」って言った後で隙をついて脱出されるのって
物語としては仕方ないんだろうけど五体満足の相手にそれってちょっともやっとする
せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの?
現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする

放置すまんでした。
ちょっと余裕が出てきました
いやあ、今期はしんどいなあと思ってたら想像以上でした

>>922
どもです!

>こういう局地的に輝く才能
このときのために存在していたのかとびっくりしたものですw

>>923
赤ペン先生ありがとうございます!

>ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが
ほんまや・・・
管理がガバガバだと自分でもびっくりです
飲酒運用はよくないですね!
もちっとしたら手を加えますありがとうございます!

>>926
>せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの?
うーんサツバツw

>現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする
それは思いますね。
どこでどうバランス取るかが難しいとこですが、結果逃げられたらね・・・w
慢心よくないですね(何かを思い出しつつ)

今日はやけにクソスレが上がるな

慢心せずして何が王か!って世界最古のお方も言ってるし
でもまあ、この世の全てなど既に背負っている!この3倍は持って来い。と言い切れる人だからこそ許されるものでもありますが

兵は神速を尊ぶ。
だから、さくっと一撃で劉備一味を討つ。その方針にメイン軍師他二名も賛同してくれた。
陳琳に作らせて俺が奏上した出師の表。それを受けて今上陛下も劉備一味に対してすんなり朝敵認定を与えて下さった。ありがとうございます。
ありがとうございます!

後は攻めるだけかと思っていたら、彼奴(きゃつ)等の動きは俺の想定を上回っていた。攻撃は最大の防御ということだろうか。やられたね。
こともあろうに麗羽様の専横を非難、俺の所業を糾弾。そして今上陛下は傀儡とまで言い放つそれはまさに宣戦布告。
各州牧に檄文を発し、反袁紹連合をでっちあげる。

更には今上陛下に皇帝の価値なく、袁家の傀儡であると弾劾。天の御使いたる北郷一刀がその手にある伝国の玉璽を劉備に与えて皇帝と為す。
これはあらゆる意味で、やってくれたものだよ。やってくれたなこんちくしょう。

「さてはて、です。
急展開にさしもの風も混乱しちゃうのですよ。
例えば何故国号を蜀としたとかですが、わけがわからないのですー。
漢朝の正当を継ぐつもりがあるのかさえ疑問になってきますよ」

漢朝の正当なあ。そりゃあなあ。あの面子ならば蜀になるだろうよ、とも言えず。

「知るかよ。天の知識なんて曖昧模糊なものを斟酌しているほどこっちもヒマじゃない。さくっと制圧するぜ」

劉備一味。だが、その動きは激しくあった。

「州牧、軍閥に檄文ですか……。断末魔としてもお粗末なものですね」

稟ちゃんさんの言うこと、まことにごもっとも。俺もそう思うよ。
全くもって、色々とおそまつなものだ。
まあ、当初の予定通りさくっと討ち取ればいいであろう。
そんな俺たちの前提をひっくり返す事態が起こったのだ。

涼州牧、馬超。出奔し、蜀に走る。

涼州牧たる翠。馬家という名家。馬騰さんという英傑が築いた漢朝での地位、立ち位置。その選択。
これにより俺たちの描く戦略は大崩れ。
中華全土を見据えるべく。あれやこれや大きく方針転換を余儀なくされるのであった。


◆◆◆

「お姉さま、本気?
たんぽぽとしては正気かどうかを確かめておきたいんだけどもね」

いっそ正気を失っていれば馬家全軍でもって制圧するのだが、と馬岱は内心の憤りを吐息にて。

叩きつけられる怒気と言の葉に馬超は視線を外す。いつもにこやかに自分を肯定してくれていた馬岱の怒りに思うところがないわけではないのだ。
彼女とてその意味が分からないわけではない。いや、その理解の度合いについては大いに論議の価値はあるだろうが。

「それでもお姉さまは行くんだね。」

ここで馬超を討伐するという選択肢も確かにあるだろう。
だが、錦馬超なのだ。犠牲がいかほどになるか。
というか、馬家軍総出でも討ち取れるかどうかは疑問符が付く。それほどに馬超の武は頭抜けている。
頼もしかったそれを、重荷に感じることがあろうとは。
だが、それでも。

「もう、しょうがないなあ、お姉さまは」

そして、だから。
馬岱に選択肢はあってなきがごとし。
それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。

「すまん!それでも、私は……一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。そう思うんだ」

馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。何を言っても届かない。どんなに頑張っても届かない。そんな存在なのだと痛感する。

「叔父様は!叔父様がいたらきっと怒ったよ!」

でも、言う。それでも、言う。
敬愛する馬騰の権威を借りてでも言うのだ。言わなければならないのだ。

「父上は!私に万里を駆けよと遺した!
だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。もう、決めたんだ」

言うべきことは言ったとばかりに馬超は愛馬に跨り駆けてゆく。
それを見送ることしかできない。
馬岱はそれでも泣かない。泣いてはならない。漏れそうになる嗚咽。漏れてしまうその声。

「もう、やだよう。こんなの、あんまりだよう。
助けてよ。もう、やだ……。やだよう……」

押し殺した彼女の嗚咽を、慟哭を聞く者はいない。そして縋るその声も。

「二郎様……。助けてよう……」

寄る辺ない彼女は縋ろうとする。そして縋るしかないのだ。逆賊となるのだ。馬家は逆賊となるのだ。当主のその行いによってだ。

「もう……やだよぅ……」

それでも。馬家軍に対する責任が馬岱にはある。兵卒に、士官に。苦楽を共にした彼等だ。助命嘆願は義務ですらあるだろう。だって、かつての叛乱とは違い、彼らに叛意はないのだから。

だからそれでも最善を尽くすのだ。

◆◆◆

「二郎様、ごめんね!お姉さまを止められなかった!」

てへ、ぺろとおどける。
それでも、込めた思いは本当に、本当に、だ。
申し訳ない。申し訳ないのだ。
ぐにゃり、と歪む紀霊のその顔。
彼の背負うものを知らない馬岱ではない。
ごめんなさい!咄嗟にそう叫びそうになる。でもそれはできない。きっとそんなことで馬家は許されない。許してはならない。
それは馬岱にも分かる。馬岱でもわかる。

泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。自分一人の命で馬家軍の兵卒。彼等の命が助かればいいなあ、と。

本日ここまですー
かんそうとかくだしあー

ここから、どんどこいくます
やるやで
やってやるぜ

>>929
ギル様めっちゃすき
名誉ウルク民を勝ち取りたいw

乙でしたー
>>931
>>馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。 【結局】のかかり方がちょっと違和感
○馬岱は、結局自分はおみそなのだと痛感する。 馬岱の独白と言うか自嘲なのでこの方が良いと思います

>>それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。 馬超の声が明るい…いやこの状況で明るく言えるなら分かってる訳ねーわ、草枯れる
>>一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。
お前の家族とお前の部下の【皆】がお前を笑って送り出してるならいいんじゃない(諦観)と言うかその為に袁家と傀儡の偽帝討つべしってどれだけの人の笑顔を歪めようとしてるのか考えないんだなあ
>>私に万里を駆けよと遺した!だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。 だからって鶏頭となるも牛尾となるなかれをブッチして牛頭から鶏尾になるのは想定外だったと思うなあ
と言うかしがらみか…お前がしようとしてるのは今までのしがらみをぶっちぎって新しい(愛(笑)の)しがらみに取り込まれに行ってるだけじゃねーか

おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが
ようやく逆賊董卓を打ち取って一息つけると思った矢先に率先して戦を仕掛ける輩に義を見るか……袁紹(紀霊)が立て直そうとした漢朝を無価値と見るのか
正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか
悲しいね、タンポポ…

>>932
乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。

決別~駆ける者と護る者~
とでもするか…

>>934
赤ペン先生ありがとうございます!
やったぜ!

>おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが
鬼滅構文に草w
でもまあ、狂乱こそが馬超の持ち味なんだってね
自重させようかと思いましたがそちらの方が違和感
※ダイスでもやってくれました

>正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか
>悲しいね、タンポポ…

馬超さんはそこいらへん気にするかというと、その、なんだ。
持ち味ですよね

>>935
どもです!

>乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。
そのつもりだったんですけど今日が早くも延期気味でござる。
明日はやる。

>決別~駆ける者と護る者~
決別!

これはよい感じの言葉チョイスですよ
お流石やでぇ

欠けてるから賭けちゃって駆け抜けた?

ご無沙汰してます
たんぽぽさんかわいそうだなと言うのが素直な感想ですが、
よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺?
とも思ったりもします

ところで凡将伝で虎と言えば真桜さん……、ではなくあの人だと思っておりますが、
単純なものなのに間に合いそうにないですすいません(泣
進まないので、せめて背景のような何かを計算してたら英雄ってすごいんだなと改めて実感

>>938
どもです!

>よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺?
そりゃ馬騰さんだから風下だったわけで、
まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。

>ところで凡将伝で虎と言えば
あの人ですね確かにw

>単純なものなのに
いやいや、ごゆっくりしてくださいませ

こちらもちょっと公私ともに多忙で(言い訳)
FGOのレイドも触ってないw

信者と雑談したいだけならSNSで専用アカウント取得したら?
「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね

さて。
俺の前には悄然と項垂れる蒲公英。もたらしたのは翠が出奔したというその報せ。
誰よりも早く伝えたのはほかならぬ蒲公英であったのだ。昼夜兼行の強行軍。幾頭も替え馬を潰したという――馬家の乗馬への扱いを知っているからこそその重大さが分かる――それ。
そのおかげで、恐らく翠が幽州入りするより早くその報は入ったはずだ。

「顔を上げてくれ、蒲公英」

そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。実際見てらんねえよ。
聞けば昼夜兼行する際もずっと自らに課してきていたらしい。おお、もう……。

「二郎様、本当に、ごめんなさい……」

気にするな、と。流石に言うわけにもいかないがどうにも調子が狂う、というか考えがまとまらない。
どう対応していいかも分からずに取りあえず別室に下がってもらい、傍らのメイン軍師に問うてみる。

「この始末、どうしたらいもんか」

俺のかなーり曖昧で範囲の大きい問いに、メイン軍師たる風はむぅ、と唸る。

「詳しくは稟ちゃんとも相談しなければなりませんが……。
そですね。ひとまず二郎さんがお気になさっているのは馬岱さん及び馬家の処遇と思いますが?」

そうだな、と頷く。実際どうしたもんかよ。

「ぶっちゃけ二郎さんのお好きにすればいいと思いますよ?
こと、ここに至っては些事と言っても差しつかえありません。
どのようなご処置であっても如何様にもなりますし、二郎さんはそれだけの地位にいらっしゃるのですから」

「んなこと言ったって、さあ」

まさかの、丸投げに丸投げで返されてしまった案件なんだぜ。
いや、言われてみればお説ごもっともなんだけどね。これが権力を手にするということか……。逆に怖いわ。
内心ブルっていた俺を知ってか知らずか言葉を重ねる。

「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと~」

 茫洋とした表情とは裏腹に、語る内容は待ったなしのガチ内容である。
 いや、流石メイン軍師である。こういうの本当にありがたい。

「と言うと?」

「ただでさえ不穏な涼州。ここで馬岱さんを処刑しちゃうとですね。ようやっと治まる気配を見せていたのが台無しになるのは目に見えていますから~」

韓遂がよからぬことを企むに決まっていると風はため息を盛大に。ああ、韓遂がいたね。いたよ。
いたよねぇ……。涼州、超やっかい!

「ん……。しかし蒲公英に何て言えばいいもんかね……」

まさか助命してやるから翠と戦えとか……言いたく、ないなあ……。

「もう、やだなー。そんなの、食べちゃえばいいんですよ」

耳元にふぅっと息を吹きかけて七乃が囁いてくる。
って全く気配を感じなかった。流石の穏行の技。あっさりと後ろをとられてしまっていたようだ。

「うお!
……って食べるとか何を言ってんだ?」

「えー?あちらは、もともと二郎さんを憎からず思ってたわけですしぃー。二郎さんも満更じゃなかったですしぃー」

けらけらと七乃は更に言葉を続ける。

「いやあ、愚姉の不始末から一族の安全を守るため、その身を捧げる名家の姫君……。これは人気が出そうですねえ」

「おい」

ちょっと待てなんだそのシナリオ。

「それだと俺がこう、だな。
地位を利用して馬家の姫たる蒲公英を手籠めにした糞野郎になりませんかねえ」

にこりとほほえみ、数秒沈黙。

「まあ、悪名の一つや二つ、今更じゃないですか?ほら二郎さんが女性にだらしないってのは、ほんとだしー。
よっ!この好色一代男!もげたらいいよと思われてしまえー!」

 フォローないんかい!

「もげてしまったら困る方が続出してしまうのですが、それもやむなしですね~」

ふ、風よお前もか。

「ま、世間的な体面とかはおいといて、です。中々に妙手ではないかと思うのですよ~。
 実際馬岱さんや馬家軍の皆さんが参軍するとしてですよ。
当然風当りはかなーり強いでしょう。
疑念の目を向けられることもあるでしょうし、むしろ何らかの害が与えられる可能性も大いにあります」

ふむ、と考え込む。蒲公英を守るためにも意味があるということか。

「つまり、だ。俺の庇護下にあるいうこと。これを示す。
それには最上、ということか」

「そですよ~。
例え馬岱さんの首級で馬家軍の皆さんを許したとしてです。
当の馬岱さんはともかくとしてですが、馬家軍の将兵の皆さんから感謝されるかというと……。
そうではないでしょね~」

けらけら、と明るく七乃が笑って。

「そんな馬家軍の将兵をあの韓遂さんが掌握するとか。
長安陥落くらいまでは覚悟しとかないといけないでしょう
いや、もっと迫られるかな?」

ふむ、と考え込む七乃である。
数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。その仮定がむしろ来たるべき運命(ミゼラブルフェイト)のような。

「しかしなあ、弱みに付け込んでどうこうするってのはちょっと……」

七乃は俺の言葉に失笑。そして後ろから抱きついたままで今度は俺の耳をがじり、と齧って。
ああ、と思いついたように笑う。

「ご自分からは言い出しにくいということですね?ご安心くださいな。
既にお姫様はご納得してますから。今は湯で身を清めているころですかねえ。
――無理を通すのが二郎さんのお仕事。そして道理を整えるのが私たちのお仕事でしょう?
いったい何を躊躇ってるんですか?」

真正面に回り込んだ七乃の笑みが、俺を刺す。

産まれたその時から袁家の闇に染まり、その闇を手繰ってきた彼女の言。
伝わる蒲公英の覚悟。
そして風が俺の背を押す。軽やかに、それでいてどこか真摯に。

「馬岱さんを助けたい。馬家軍も助けたい。更に涼州の安定も失いたくない。
その利があって尚、躊躇う。
そうすると、です。どれだけ自分に魅力がないかと思う人が出てくると思うのですよ」

蒲公英のこと、か……。
まあ、確かに蒲公英には失礼な話だよな……。

「まあまあ、後は当事者同士にお任せするとしましょう」

ぱん、と七乃が一つ手を打ち鳴らすとどこからか女官が出てきてあれよあれよと言う間に俺を誘導していく。お気張りくださいな、なんて声を受けながら通された室。
薄明りくらいの照明が入ったそこには、どこか不安げな目をした蒲公英がいた。

◆◆◆

「あ、二郎様……」

砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。小奇麗に着飾った姿は正に名家の令嬢に相応しい。
湯を使った後だからだろうか、どこか頬も上気している。

「に、似合わない……かな?
たんぽぽあんまりこういうのよくわかんないから、ね……」

てへへ、と照れるさまが可愛いぞこんちくしょう。

「ま、まあたんぽぽってばお姉さまみたいに手足長くないし、あまり見栄えはしないんだけどねー」

「卑下するこたあないさ。綺麗、だぞ?」

「わわわ、そ、そんなことないって。ここは馬子にも衣装っていう所でしょ?」

かぁ、と更に頬を上気させる蒲公英が可愛い。

「いやいや。こう、だな。
いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?

わたわたと狼狽える蒲公英をいじるのはとっても楽しい。
とは言え、だ。きちんとせんといかん。馬家の処遇、避けては通れない。
そんな俺の内心を読んだのか、きゅ、と袖を掴んでくる。
数瞬躊躇うが、言うべきことをまずは言う。伝える。

「馬家はお家断絶。
ただし、馬岱及び馬家軍の戦(いくさ)働き、それ如何(いかん)による。
 現状、馬岱は俺がその身柄を預かり、馬家軍はそれに準ずる」

まあ、翠がやらかしたことは蒲公英とその配下が購えということである。

「ふぇ?そんなんでいいの?
てっきりたんぽぽ、車裂きくらいはあるかなって思ってたんだけど」

まあ、そういう意見も袁家内であったというのは内緒だ。

「蒲公英の身柄は俺が預かる。そう言ったろう?馬家軍にしてもそれに準ずるともさ。
 ……それはそうと、よく頑張ったな」

じわり、と涙ぐむ蒲公英をやや乱暴に抱きしめる。

「よく、頑張った」

そう言うと、蒲公英はひし、としがみついてくる。

「ごめんなさい」

応えず、腕に力を込める。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ほんと、ごめんなさい。二郎様、ごめんなさい。
叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

「蒲公英は頑張った。俺がそれを知ってる。俺は分かってる」

ぎゅ、と蒲公英が俺の身体を掴む。骨が軋むくらいのそれは蒲公英の生きている証のようで、とっても、嬉しい。
だが、けじめはつけないといかんのだ。いや、不粋だろうが、それをはっきりと言わんといかん。
だけれども、できるならばもっと違う形であればよかった。できればよかった。

「……蒲公英、お前は、俺のものだ」

搾りだした声に蒲公英は応える。

「うん。二郎様。蒲公英は二郎様のもの。それでいいよ?ううん。それがいい。
 だって、ずっとそうなりたかったもの。
 だから、そうなって、こうなって、それでも嬉しいと思うの」

泣き笑いしている蒲公英。そ、と口づける。

「あ……」

かぁ、と頬を上気させる。そんな蒲公英がどうしようもなく、可愛い。

「お前は、俺のものだ」

こくり、と頷く蒲公英。
それがいじらしくて、可愛らしくて。
月並みな言葉を繰り返す。他に何も言えなくて。

「お前は、俺のものだ」

きゅ、としがみついてくる蒲公英。
荒々しく、或いは優しく。

「もっと、もっと早くこうなってたかった。ずっと、こうなりたかった。
 でも、好き。大好き……」

或いは、あったかもしれない。馬騰さんにゴリ押しされてお見合いする俺と蒲公英。そんな未来があったかもしれない。
静かに泣きじゃくる蒲公英。ぎゅ、と抱きしめる。
今だけは。今だけは、辛いことから目を逸らそう。

 嗚咽とも、嬌声とも。
 暗闇に全ては吸い込まれていった。

本日ここまで
かんそうとかくだしあー

タイトル案は
「馬家二の姫 その処遇」

うーん、業務連絡かな?
しっとりした感じのやつあればくださいませ。

12/30-1/1は更新できないのでそれまで頑張りたいです頑張るぞいっと。
なんとか春休み、もしくはゴールデンには完結にもってきたいんですね

>>945
ほーん。
しっとり、ねぇ。
陽の華が溢す泪~想いと願いと立ち位置と~

乙でしたー
>>まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。 馬超さんについての説明ですよ
>>「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね  作者に対して何か思うところがあるのかもしれませんが読解力が低すぎると恥をかくので冬休みの間にもう少し本を読むことをお勧めします
>>931で 泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 てっきり二郎(の周りの誰か)に拘束されたんだと思ったけど
>>941で そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。 とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな?
○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を見やり、それでも思う。 馬岱が自分でやったならこうかな
 そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた枷も外させる。
○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌めて、それでも思う。 兵士とかに頼んで嵌めてもらったならこう
 そう言って蒲公英が自ら望んだ枷も外させる。
○泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 話を聞いた誰かが「念のために」とか言って施したならこうかな?
 そう言って蒲公英が抵抗もしなかったその枷も外させる。 あと手枷は外して足だけ残すとかちょっとマニアックな気がするので両方外しておきますね…足枷残しとく?
>>「この始末、どうしたらいもんか」  雷門?
○「この始末、どうしたら良いもんか」 もしくは【どうしたもんか】…こっちだとちょっと軽いですが逆に軽くしようとしてるようにも読めるかな?
>>「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと~」   あげないよ
○「その上で私見を述べさせていただくなら、馬家の誅滅は悪手かと~」 【述べさせる】にくっつく形で使う場合はひらがなですね、あと【ます。】で硬い感じの後に【かと~】ってなると違和感が…少し好みを加えてみたり
>>942
>>けらけら、と明るく七乃が笑って。     実際に「けらけら」と笑う人は見たことないなあ…キン肉マンとかワンピースにはいるかな?
○けらけらと明るく笑ったかと思えば。 【がははは、と豪快に笑う】とかならありかもしれませんね。後の文で急に真顔になって考え込んでるので接続詞をちょっと変更
>>数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。 状況を思い浮かべると二郎の背中に抱き付いて耳元に口があるんだよなあ…顔見える?
○数瞬の真剣な気配に背筋が寒くなる。 見える位置取りだっていうならそれでもいいですが一応
>>943
>>砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。  手枷しかしてなかったのか足枷が見えてなかったのか…
○砂塵にまみれ、罪人のような風体だった先ほどとは打って変わって。 【手枷足枷を】っていちいち書くのもなんか違う気はするんで
>>いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?  ここは二郎に媚びへつらう為に扇情的な娼婦のような服を着る所でしょっ!!
○いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?」 実際どんな衣装着てるんだろう…何故か存在するパジャマみたいなやつかね?…あ、カッコ抜けてますよ
>>叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」 ほかのところでは基本的に入れてないし入れなくても良いかな
○叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」  最後は力いっぱい【ごめんなさいっ】とかもいいかも?

ちょっと飯食ってくるんで感想はまたあとで

本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ
二郎も(女として見てたかは置いといて)好ましく思ってた相手だしこんな形で抱くとか個人的な感情としてはやりたくなかっただろうに
というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって
二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど多分最終的には【タンポポを二郎が[ピーーー]選択をしたら二郎が気に病むから】が最大の理由なのでは
あるいは詠ちゃんの件で後悔してたのか

>>928みたいにただいうだけ言ってればスルーされるだけで済んだのに
>>1の上げ足取ろうとしたばかりに赤ペン先生に添削されてしまった>>940
スルーしてあげてよぉww

>>946
どもです!

>陽の華が溢す泪~想いと願いと立ち位置と~
相も変わらぬセンスに戦慄
これはよいものだ・・・

>>947
赤ペン先生ありがとうございます!
今年あと一回やれるかな・・・

>とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな?
自分でやってることです
二郎ちゃんの信頼を裏切って、これから起こることをなんとなく分かっている
※伊達のマー君の白装束とは違って本当に申し訳ないと思ってます

>本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ
これです。ほんとこれです。本当にこれなんです。

>というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって
言われてみればそうかもしれない。
なるほど、そういうことになるのですね。うわあ…。
言っても双方の合意というか割と気持ち的に関係を結んでいますからね・・・

>二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど
これですね。ここの読解がありがたい。

詠ちゃんはね、本当に惜しい人物でした
どうしようもなかった案件ではありますが

>>950
詠ちゃんおったらたぶんうまいこと
馬軍の取り成しとかできてたんやろなぁ…。
董軍と馬軍わりとちかしい感じだったはずだし

痛いなぁ…。
(わかってるのよ、処断しないと色々と成り立たなかったってのは…落とし前的にも建前的にも)

>>951
なお、董家陣営存命の場合馬騰さんいなければ普通に馬家が乗っ取られていたであろう未来しか見えない
多分馬家姉妹も納得の上で董卓をトップに賈駆が実権を握る感じだったであろう
馬超さんは戦場で馬家の誇りを示せてニッコリ

詠ちゃんが有能すぎるんや

あと詠ちゃんには野心もたくさんある
これは華琳様陣営以外では割とないものです
※蜀陣営は考えないものとする

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。

あけましたおめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。
今年のGWくらいに完結できたらいいなー

その後はオリジナルをやるのじゃ・・・
書籍化を目指すぞ
言うだけならタダだから言ってみます

ついでに漫画化とアニメ化と映画化も狙っていけ

ヨシ!
実写化も狙うやで!

忘れてた…ゲーム化も良いぞ!

挙げられたハードルをクリアしたい
頑張りますちょっと待ってね明日は頑張るぞいっと。

実写化?…ネギま…ルパン…ドラゴンボール・・・うっあたまが
金田一…銀魂…テルマエ…カイジ…そうだな!きっと大ヒット作品になることだろう

「ゆうべはお楽しみでしたね」

「うっさいわ」

ぽこり、と風のどたまに鉄槌を振り下ろす。

「おお、痛い痛い。
 風は主の暴虐に全身全霊で抗議する所存なのですよー」

わーわーと騒ぎ立てる――楽しそうに――風である。
色々と言いたいことはあるのだが、何を言おうかなあと思っていたら稟ちゃんさんが引き取ってくれた。

「風、いい加減にしなさい。ふざけている場合ではないでしょうに」

「おお、怖い怖い。まあ、それでは現状を整理しましょかね。
 蜀と名乗る不逞の輩。コナをかけた勢力は多々ありますが脅威になりそうなのはそこまで多くありません。
これは二郎さんが反董卓連合の後、諸侯軍の補給の梯子を外したおかげですね。
 まあ、それでも無視できない勢力はまだこの中華に残っております」

まあ、そうよね。黄巾の乱で認められた諸侯の私兵。それをゴリゴリと削る作業の途中ではあったのだよ。参勤交代とかやったろうかとか思っていたくらいに。

「脅威となりそうな勢力。蜀と連動しそうな順に行きましょう。
 韓遂、劉焉含む益州、曹家、黒山賊、孫家。あとは……有象無象の諸侯ですかね」

「西方はガタガタだな……。東方の諸侯にも睨みをきかさんといかんし、手駒が足りんな」

やはりここは当初の予定通り……。

「ここは孫家を使おう。流石に手が回らん」

ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。

「よろしいのですか?袁家単体で蜀を撃滅するという当初の方針を放棄することになりますが」

「構わん。お題目に拘っている場合じゃない。なに、俺の面子が潰れるくらいどうということもない。使えるモノは全部使う。全部、な」

出し惜しみなんてしている場合じゃあないのだ。彼奴らには、思い知らせてやる。誰に喧嘩を売ったのかをな。

「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」

「大人しく来ない場合はどうしますか?」

稟ちゃんさんの問いに俺は清々しく応える。

「長安失陥くらいは覚悟しとくか」

韓遂が本気で来たらそんくらいは覚悟せんといかん。長安を空にして焦土戦術とか色々と考えたりするが、現実的じゃないしなあ。まずは蜀を討つことに集中せんと……。

「そんな二郎さんにお客さんが来てますよ?」

どこからともなく現れた七乃がそんなことを言う。

「追い返せ、今は来客の相手をしている場合じゃない」

「あららー、名前くらいは聞いた方がいいんじゃないですか?」

まあ、七乃も今がどういう状態かって分かってるもんな。取り次ぎに来たってことはそれなりの存在か。
……華琳じゃありませんように。

「韓遂さんが涼州よりおいでですー」

なん……、だと……。

◆◆◆

「遠路はるばるご苦労さん。丁度俺もあんたに会いたいと思ってたところさ」

韓遂は目の前の男を改めて見る。
――今上帝は政務にまるで興味を示さず後宮に籠りっきりである。
自然、政治の全権は袁紹が握ることになる。そしてその袁紹が絶大な信頼を寄せているのが目の前の青年、紀霊である。彼が実質今の漢王朝を牛耳っていると言っていい。
無論それに対する反発も大きいのではあるが、表だって反抗する者はいない。
袁紹という後ろ盾、司徒という地位もそうなのだが。何より苛烈な宦官への粛清、弾圧――逃亡した宦官への捜査、取調べと言う名の拷問――の記憶はまだ新しい。
宮中を血に染めて全く揺るがぬその姿。一部で魔王呼ばわりされるだけのことはあるのである。

「涼州の一大事ゆえ。単身発った蒲公英の身も気になりますし、な……」

当然韓遂は馬岱の身の処し方については想定内。
いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。まあ、馬岱が容れられても容れられなくとも韓遂にとっては同じことではあったのだが。
紀霊が容れればよし、排除してもよし。
どちらにしても涼州の実効的支配権は韓遂の手に転がり込むのだ。後はどれだけ高値で売りつけるか、だ。

「……」

紀霊はばりばり、と頭をかき、はあ、とこれ見よがしにため息を吐き、懐から取り出した物を韓遂に投げつける。
すわ、暗器の類か、と身構えるも、緩やかな放物線を描くそれをぱし、と受け取る。

「これは……!」

流石の韓遂が言葉を喪う。

「おお、流石に見誤らんか。そうだ。見慣れている品だな。そう、涼州牧の印綬さ。
 それが欲しくて洛陽まで来たんだろう?くれてやるよ」

す、と表情を消して韓遂は問う。

「随分とあっさりしていますな?」

苦笑一つ。いや、それは笑みだったのだろうか。

「馬家はお家断絶まっしぐらさ。だったら涼州をまとめられるのは貴様しかいないだろうが。
 涼州は匈奴の盾となる重要な地域。荒らすわけにはいかん」

目を合わせることもなく、淡々とした言葉に激情が漏れる。

「……この私を駒扱いするか。舐めるなよ、小僧!」

裂帛の気合いに紀霊の横に控えていた護衛――典韋と楽進――が臨戦態勢をとる。その殺気は研ぎ澄まされ、物質化されたかのように韓遂を貫く。
が、幾多の修羅場をくぐった彼がそれごときで怯むはずもない。無手であっても、だ。

「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。
主の都合を洞察できないとはな」

傲岸不遜に吐き捨てる。その言に護衛の二人がたじろぐ。
武勇はともかく政治的なやりとりは彼女らには埒外。自分たちの行動で主に迷惑をかけたのか、と。

「二人とも、落ち着いてねー。
それと引き続き警戒よろしく」

紀霊の言葉に護衛の二人はさきほどまで放っていた殺気を霧消させ、彫像と化す。

「――。
一頭の虎と、一万匹のネズミ。殺しつくすのって、どっちが楽かな?」

ニヤリ、と笑う紀霊の凄味。言葉の寓意。
韓遂が内心で驚愕する。この私が気圧されるだと!

「虎が一頭とは限りますまい。涼州騎兵は一騎当千。いかがされる?」

その声に紀霊は苦笑する。

「だったら根切りしかないだろうさ。
涼州騎兵、その性質。ひたすらに叛であれば世の害悪。涼州を焦土とするさ。
韓遂よ。俺が農業に詳しいというのは衆知の事実。これまで中華を肥沃な大地としてきた。だったら……焦土にすることもできる、と。思わないか……?」

「な!」

「まあ、そうはならんと思っているよ。馬騰さんはそんな人じゃあなかった。
漢朝に叛いたのも一族郎党を道連れにしてでも諫言をするためだった。
少なくとも俺はそう思っているよ。ああ、惜しい人物を亡くした。心からそう、思うよ……」

重苦しい沈黙が落ちる。その沈黙を打ち破ったのは韓遂であった。

「……これは紀霊殿は冗談がお得意の様子。涼州騎兵は漢朝の忠実な臣ですとも。蒲公英は身一つでその忠誠を誓いましたがな。
ああ、蜀なぞという不埒な賊軍。度し難いというもの。涼州騎兵の最精鋭五百、ご用意いたしました。蒲公英はあれでその軍才はなかなかのもの。
 お役立ちになるかと……」

事実上韓遂が紀霊の軍門に降った瞬間である。

「ん、その忠勤。陛下にも伝えておく。ご苦労!」

言い捨てて去る紀霊の背を見ながら韓遂は思う。
流石に、義兄がベタ褒めするだけのことはあったな、と。

そして韓遂は涼州の牧にほどなくして任命されることになる。
馬超の出奔。更に馬岱の紀霊への従属。ともすれば崩壊しそうな涼州を支えたのは間違いなく韓遂であった。

本日ここまですー
かんそうとかくだしあー

俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ・・・

乙でしたー
>>961
>>ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。    間違いではないですが【ちろ】だと舌とか出してそう…いやん、なまめかしい
○メガネを光らせて表情の読めない稟ちゃんさんが問うてくる。 詰問するなら【ギラリ、と】そう来るか、と感心したなら【きらり、と】な気がしますがあえてここは真意を問うために無表情?でどうでしょう
>>「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」 【召還】は呼び戻すことなのでちょっと違いますね(まあ州牧とかきっちりと漢の臣としての職についてるならありかもですが)
○「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召喚しろ」 FFの【召喚獣】みたいに呼び出す、呼び付けるならこちらです(直臣じゃなくて陪臣みたいなものよね?)
>>962
>>いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。      間違いと言うほどではないのですが【使嗾】には悪事をけしかけるニュアンスがあり、馬岱を悪い方へ誘導したように聞こえます。が、馬岱からにしろ二郎からにしろこれは悪手とは言えないので
○いや、手の者を使い焚き付けることまでしたのだ。 良い事か悪い事かは置いといて小さい火を大きくするような事をしたならこのあたりでどうでしょう
>>「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。 これだと冷や汗一つは掻いてそう…傲岸不遜に吐き捨てるなら
○「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が知れる……。  の方が良さそうかな?あくまで好みのレベルですが

韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き
求めてた物が転がり込んできた時の激発による呼び水とか見るとこいつを義弟にした馬騰さんの(自分が間違えた時はこいつが止めてくれるだろう)みたいな心情まで伝わるようで良き
そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた

>>965
赤ペン先生ありがとうございます!

>韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き
書いてて私も「こいつめんどくさい!」とか思ってましたw

>そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた
そう考えると親戚のおじさんムーブに見えないこともないですねw

>>964
乙ーい。
義兄の幻影~護るべきもの~
でどうかの

>>967
どもです!

幻影いいなあ
これは使いたい
これはいいやつっですありがとうございます!
なんか馬騰さんと韓遂を示唆するような言葉ないかなあ。。。

「凄いな……」

積み上げられた食糧の山に北郷一刀は感嘆の息を漏らす。見渡す限り物資の山、である。しかもこれは多数ある物資貯蔵庫の一つでしかないのだ。

「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」

襄平だけで、である。

「あるところにはある、か……」

嘆息する。一体、義勇軍当時の切迫した食糧事情とはなんだったのだろうか、と思う。

「食糧だけではありません。武器、防具、それに金銭……。
膨大な量が確認されています」

ぺらり、と資料をめくりながら諸葛亮は応える。

「袁家の財、恐るべしというか、もうなにがなんだか分からないな」

たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。規模が膨大過ぎて実感がわかないというのが実際のところである。
そんな北郷一刀に諸葛亮は苦笑する。

「ええ、ですが。幽州のみでこれなのです。積み上げた袁家の財貨。敵に回すとなると……」

内心で諸葛亮は舌打ちする。まさかこれほどの蓄財があるとは思っていなかった。
流石常備軍を数万単位で運用できるはずだ。
いや、にしてもこれは想定外にもほどがある。
これほどの蓄財を、戦乱を経て可能にした袁家。その脅威に諸葛亮は内心舌打ちを重ねる。

「そっか、そうだな。ちょっと浮かれてた。ごめんな、朱里。引き締めてくれてありがとな」

「はわわ……」

先ほどまでの懊悩もどこへやら。諸葛亮は頬が上気するのを自覚する。
そして撫でられたところからじわり、と幸せな熱が広がっていくのも。恍惚感で思考が麻痺していくのをぷるぷる、と頭を振って防ぐ。

「お昼からの会議ですが、事前にご主人様にはご報告いたします」

劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。
泰然と、悠然と、どっしりと構えていてくれないと困るのである。

「お、なんかあったのか?」

「はい。まずはよい報せからです。ご主人様の呼びかけに翠さんが応じてくれました。
州牧の地位を投げ打って此方に合流してくれるとのことです」

「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」

北郷一刀の声に諸葛亮は深く頷く。馬超が出奔したというのは実に大きい。
州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。これにより蜀はその影響力を内外に示すことができた。馬超の動きなくしては多方面への呼びかけも所詮は絵空事であったのだ。
それが、だ。涼州の韓遂、益州の劉焉と劉表。荊州の孫家に洛陽の曹家。
さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。
いかに諸葛亮と鳳統の神算鬼謀あろうとも圧倒的な大軍を前にしては勝機も薄くなるというものである。
贅沢を言えば、涼州まるまる手にしたかったものだが。

「更に行方不明だった恋さんも此方に向かっているそうです」

万夫不当。単騎で三万の軍を撃退したという呂布の武、そして騎兵を手足のように操る将才――実際に指揮を執っているのは陳宮なのだが――。
飛将軍の武名は中華最大なのである。

「恋か!いや、久しぶりだなあ。ねねやセキトも元気だといいなあ」

なにせ呂布だ。北郷一刀は満足げな笑みを深める。そう、呂布なのだからして。

「……黒山賊とは相互不可侵、限定的な戦力の貸与、情報交換で合意できそうです」

兵力的には最大の勢力が黒山賊である。五万とも、十万とも言うその兵力。
そして、そもそも黒山賊と紀霊は不倶戴天の仇敵である。漢朝で紀霊の影響力が大きくなる一方の現状が好ましくないのは分かっていた。まあ、妥当な線であろうと諸葛亮は思う。
ここまでの情勢、非常に順調である。そう、順調なのだ。
だが、一手足りない。あと一手足りないのだ。
諸葛亮からしたら、あと僅か一手足りない。
例えば、孫家の当主が孫策であればこれを好機として大いに盤上をかき乱すことができただろう。
例えば、曹操が州牧や太守として地方に在ったならばこの状況を利用してのし上がることを使嗾すらできただろう。
そして、例えば劉焉が益州の州牧であれば、荊州や漢中を分捕りに出たであろう。その、一手さえあれば、と内心歯噛みする。

「そか、結構順調だな。これも朱里や雛里が頑張ってくれたからだな。ありがとうな」

「はわわ……」

きゅ、と抱きしめられて諸葛亮は恍惚とする。このまま耽溺したいが、報告はまだ終わってはいない。

「ご、ご主人様、いけません……。まだご報告がおわってましぇん……」

「朱里はかわいいなあ。そんなに肩肘はらなくてもいいんだぞ?」

「わ、わたしたち蜀は朝敵として討伐されるとのことでしゅ……」

うっとりとその温かさに身を委ねながらも諸葛亮は義務を果たそうとする。

「朝敵?今更って感じだけどなあ……」

それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。
それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。

「と、討伐軍が組織されます。総大将は紀霊」

その名前にぴくり、と北郷一刀は反応する。

「あいつ、か」

厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。

「はわわ……。はい。大きく五つの軍団にて編成され、その将を五虎将と称しています。
紀霊本人は征夷大将軍として討伐軍の全権を握っているとのことです。
北伐として陳琳が出師の表なんてもので上奏したそうです……が?」

どうされました?との言葉すら吐けない。
どんな時も悠然としていた自らの主が、その顔色を蒼白にしているのだ。

「朱里、朱里よ。お前、それ。
それ、マジか?」

「え?は、はい。確かな情報です。五虎将は紀霊、顔良、文醜。それに星さんと白蓮さんとのことですが……」

「なんだよ、それ!くっそ!畜生!そんなの、ありかよ!」

激昂する北郷一刀に、諸葛亮は何と言葉をかけたものかと戸惑う。
諸葛亮の知恵をもってしも彼が何故これほどまでに荒れているのかが分からないのだからして。

「朱里……!」

「はい!」

搾りだしたような主の声に諸葛亮は応える。

「朱里。朱里は諸葛孔明、だよな……」

「はい。そうです……?」

戸惑ったような諸葛亮と目も合わせず、北郷一刀は声を絞り出す。

「紀霊――魔王。奴は俺と同じかもしれない。――いや、きっとそうなんだろう。
 くそ!なんで気づかなかった!阿蘇阿蘇(アソアソ)!母流龍九(ボルタック)商会!ヒントはあったじゃないか!
 あったんだよ朱理!」

苦悩に吠える北郷一刀に諸葛亮は数瞬戸惑い、まぶたを閉じる。
そして数秒後、刮目し微笑する。

「なるほど。分かりました。今、理解しました。全てを。
 紀霊。それこそが発端にして元凶。
言わばこの世の歪み……。つまり、ご主人様の敵……」

くすくす、と諸葛亮は笑う。それまでの憂いを帯びた笑みではなく、満面の笑み。晴れ晴れとした笑み。

「朱里?」

その変貌に戸惑う声に諸葛亮は応える。
笑みを浮かべたままに。

「ご主人様。ご安心を。一切、お任せくださいな」

くすり、と諸葛亮は笑う。笑みを深める。深く、深く。より深く。
そして浮上し、破顔する。

「見ぃつけた……」

その言葉は闇に散じて、誰の耳にも届くことはなかった。

本日ここまですー

かんそうとかくだしあー

今回はきちんと案考えたのよ、題名案ね

「発覚」

ちょっと味付けあればよろしくお願いします。

またリアルが忙しくなる前にいけるだけどんどこいきたい!
こっから風ちゃんが頑張るはずなのだが
なのだが!

>>972
ふむ…。
【点と線~異世界の理が繋げた真相~】
でどうじやろ

乙でしたー
>>969
>>たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。 【たはは】と言ったのかな、言ってないのかな?
○呆れた、と言った風に北郷一刀は苦笑する。 この食料を溜め込まなければどれだけの民が救われたのか…僕は決め顔でそう言った
○たはは、と北郷一刀は苦笑する。      ただ単純に圧倒されてるだけで実感も湧いてないようですしこっちの方が良いかな?
>>劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。   幹部連中ならそれでも勝手に(こいつは私が守らないと駄目な奴だな(キュンキュン))とかするから大丈夫だろ
○劉備はともかく、天の御使いで実質的な代表である北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。 でもそれって根本的な解決になっていませんよね?最悪の場面で馬脚を現さないといいですね
>>「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」 間違いと言うほどではないですが
○「翠がか!いや、持つべきものは、だな!」  【、か!】って喋り言葉として違和感が
>>州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。 親友だった幽州牧を後ろから刺した奴がいるんですよ~
○州牧という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。 なぁ~にぃ~?やっちまったなあ!
>>さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。   前の文の【絵空事であった――それが――さらに】と続くので
○さらには黒山賊や東方の諸侯。それらへの働きかけにも俄然信憑性が生まれるのだ。 馬○な女が動いたことで他の奴等も動かせる可能性が上がったのでこんな感じ?
>>970
>>それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。   頭撫でるくらいならともかく抱きしめるとかよくこの場面でできるな
○それに再び諸葛亮はうっとりとしそうになる。そんな己に喝を入れながら続けて報告する。 【。】で区切るならこの方が良さそうかな
>>厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。 好みの問題ですが
○ご主人さまは厳しい表情も素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。 【情けない泣き顔でもご主人様は素敵だなあ】くらいにマイナス方面でも~ならともかく【厳しい表情】くらいだとこの方が良さそうかな
>>971
>>諸葛亮の知恵をもってしも彼が何故これほどまでに  董卓と買駆が処刑された時も悠然としてこれ幸いと呂布の心の隙間を埋めてたのに!
○諸葛亮の知恵をもってしても彼が何故これほどまでに 理解してる歴史知識と理解できないこの世界の常識にはビビらないけど理解できる自分が無関係な歴史のずれは怖い…普通だなw!

>>それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。 それ剛毅ちゃう、理解できてないだけや。王様に「おいおっさん」っていうあれや
>>くそ!なんで気づかなかった!阿蘇阿蘇(アソアソ)!母流龍九(ボルタック)商会!ヒントはあったじゃないか! バロック商会「そうだよ」ゴッドヴェイドゥ「しかりしかり」農徳新書の内容「ヒントは出していたのですが」
見つけたぞ!世界の歪み!…俺が、俺たちが。ガンダム(正義)だ!ですね分かります…いやそうはならんやろ何でそこが蜀になるのよ歴史の歪み筆頭そこやろ
一刀君が気にしてないからって他全員が気にしないかっていうとどうなんだろうなあ>>朝敵認定
ヒロインたちは一刀を信じるとして一般兵はどうなんだろうなあ(なお魅了 …完璧な対応ですね
ところで>>「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」 これ盛り過ぎじゃない?1か所でその量は…いや適正な量はどれだけよ?と聞かれると困るけど
10万の兵を10年…そんな蔵が他にも数か所あるとかで十分な気がします

>>973
どもです!

これでいいかな感がすごい。
いつもながら言葉のチョイスがオシャレすぎませんかねぇ

>>974
赤ペン先生ありがとうございます!

>それ剛毅ちゃう、理解できてないだけや。王様に「おいおっさん」っていうあれや
そこに気付くとは、やはり天才かw

> バロック商会「そうだよ」ゴッドヴェイドゥ「しかりしかり」農徳新書の内容「ヒントは出していたのですが」
見つけたぞ!世界の歪み!…俺が、俺たちが。ガンダム(正義)だ!ですね分かります…いやそうはならんやろ何でそこが蜀になるのよ歴史の歪み筆頭そこやろ

一応、二郎ちゃんが撒いてた餌はねw
なお、その筋の方が来てたら農徳新書見たら分かると思われます

>ヒロインたちは一刀を信じるとして一般兵はどうなんだろうなあ(なお魅了 …完璧な対応ですね
メタで勝ちを拾おうとする二郎ちゃんとは相性最悪とも言えますw
いや、本当に相性悪いんですよねどう考えても

>ところで>>「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」 これ盛り過ぎじゃない?1か所でその量は…いや適正な量はどれだけよ?と聞かれると困るけど
ええと、そりゃ盛ってますが盛ってません。
白蓮ちゃんさんはそんだけ頑張ってましたし、大事なのはインパクトですし。
ですが、あれですよ。ネタバレになるから開示できませんが、それでも問いましょう

「食料の備蓄は十分か?」

と。
正直二郎ちゃんに秀吉メソッドはやらせたくないDEATH

日輪がまだ地平線より上る前。払暁前。
いつもならば立ち上がり、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。
なんとなれば、だ。

「気が進みませんか~」

「起きてたのか、風」

すやすやと、先ほどまで寝息を立てていた風がそんなことを言う。

「そですね、起きていたとも言えるし、今でもぐっすりなのかもしれませんね。
 ええ、夢心地ということです~」

ふんわりと眠たげに笑い、俺の胸に飛び込んでくる。

「どうした急に」

すぐには応えず、ぐりぐりと頭を押しつけてくる。
こんなにひっついてくるのは珍しい。というか初めてじゃないかな?
思えば、風から部屋に来るのも珍しいことではあった。

「くふふ、たまにはいいじゃありませんか。
 常には抑えていた慕情が溢れてしまったということで一つ」

「いやそんな慕情とかあったのなら嬉しいけどね?
 というかそんなことを口にするのも初めてじゃね?」

「くふ、そうでしたっけ?
 これはいけませんね。思いを口にしないと伝わらないものもありますからね~。
 ええ、そうですね。
 そですね~」

ふわり、と立ち上がる。
一糸まとわぬその姿はある種の神々しさすらあり、息を呑んでしまう。

「幾百、幾千、幾億の夜を重ねてなお、やはり二郎さんなのですよ。
 ええ、そうです。そうなのですよ。二郎さんの横で見る月はとても輝いてます。
 二郎さんとご一緒させていただくお酒はとっても美酒です。
 だから、幾度でも選びます。それが二郎さんなのです」

いつもの、ある意味胡散臭さのある言葉ではなく、透き通った心を感じた。実際、いつもの風らしくない。
それでも、とても大切なものが含まれている。そしてそれはとても貴重なもの。ありえないもの。
何より、風が涙を。
抱き寄せ、その真珠に口づける。

「いつだって、俺のメイン軍師は風さ」

もっと気の利いたことを言えればよかったのかもしれない。でも、俺の肺腑から出たのはその言葉だった。

一瞬、きょとんとして。

「くふふ、ありがたき幸せ、というやつなのですよ~」

「そうかい、だったら嬉しいね。これからもお見捨てなきように頼むわ」

くすり、と笑みは深まる。

「こちらの台詞です~。
 ええ、二郎さんのために頑張っていこうと決意を新たにしております~」

常ならば胡散臭い、或いは真意が五里霧中な風の言葉だ。
だが今日のそれは、まごころ、のように感じた。

本日ここまですー

かんそうとかくだしあー

題名は「メイン軍師との語らい」

ですかね

はい。風ちゃんはね。そういうことです。
前にちょっとやりましたけんども。

「周回してます」

おやすみすやすやというのはRTAだったんですね(違います)
そしてここからガチで風ちゃんはやっていきます。
七乃さんの頑張り物語。
更に風ちゃんも頑張る物語であります。

頑張るぞいっと。

>>977
ふーむ。
褥を重ねて、想いを重ねて
としてみますか

かぜの止まり木になれるような変な男…受け入れる器というには穴が開いてそうだけどw
でも穴が開いてるからこそ風が通り抜けれる。的な

風ちゃん可愛いよ風ちゃん
自分にとっても最推しキャラなので今回の題案応募は気合を入れて

題案は
『真月麗しく、心そよ風に笑む』
などと。

貴方の隣で見る月は真に麗しく、貴方と共にある心はそよ風にすら笑む程に幸せである
その時表出したのは常は隠している『真』『心』であり、その言葉はきっと真実である

乙でしたー
>>976
>>いつもならば立ち上がり、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。   【立ち上がり】だと倒れてたような感じがするので
○いつもならば目覚ましがてら、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。 あるいは【いつもならば、起きて立木打ちをする頃合いなのだが中々そういう気にもならない。】とかどうでしょう

>>二郎さんの横で見る月はとても輝いてます。 【月が綺麗ですね】ですね分かります…「私は太陽の方が好きです」とか返したら嫌みが天元突破しそうwww「死んでもいい」はこの場では不適切だしやっぱりここは「星も綺麗ですよ」が良いのかしら?…駄目だ親友にそのものずばり星がいやがる!
ここは「心地よい風があればこそだよ」とか言ってみるか
>>「いつだって、俺のメイン軍師は風さ」 その返しは思いつかなかった!まさかここで自分がこの世界にとって異物であることを教えるとは…それでも普通の相手なら分からなくてきょとんとするだけのようなわずかなそれを
理解されなくても構わないような吐露を、風だからこそその言葉の意味を理解できて、でも理解したことを悟らせるでもなく…ああぁ~すきぃ~~
これまでしこしことカタカナ警察をやってた努力が望外の報われを受けた瞬間に絶頂不可避ですよ

嬉しい。
読み取っていただけて嬉しい。
感想返しはちょっと待って下さいませ。
いやほんと
嬉しい。

>>978
どもです!
しっとりとしててよきです

>>979
感想ありがとうございます。

>かぜの止まり木になれるような変な男…受け入れる器というには穴が開いてそうだけどw
割れ鍋に綴じ蓋という言葉が連想されました
いえ、特に深い意味はないんですけんども

>>980
感想ありがとうございます。

>風ちゃん可愛いよ風ちゃん
そうなんですよね。可愛いんですよ。
どうしたってヒロイン多いから出番があってもコミカル腹黒描写がメインになってしまうのですが
久々に可愛いところをみせてくださいました。

>『真月麗しく、心そよ風に笑む』
美しい。仮採用ということで一つ。
いや、分量的に他の話とがっちゃんこする可能性も高いですが

>>981
赤ペン先生どもです!

> 【月が綺麗ですね】ですね分かります…「私は太陽の方が好きです」とか返したら嫌みが天元突破しそうw
程昱になってしまうw

>まさかここで自分がこの世界にとって異物であることを教えるとは…それでも普通の相手なら分からなくてきょとんとするだけのようなわずかなそれを
>理解されなくても構わないような吐露を、風だからこそその言葉の意味を理解できて、でも理解したことを悟らせるでもなく…ああぁ~すきぃ~~
言葉にしないと分からないことも多いのですし、基本的に二郎ちゃんは言葉にするのですが。ここは言わないし風も何も言わないということです。
読み取っていただけて嬉しい限り。

>これまでしこしことカタカナ警察をやってた努力が望外の報われを受けた瞬間に絶頂不可避ですよ
これがあったからこその、一度だけ使えるやつですねw
いつもありがとうございます。

槍は獣の爪や牙の外から攻撃できて、斧は木を切り倒すのに有用で、剣は人を殺すのに適している
と言う話を聞いてそう考えるとモンスターが出る世界だと普通なら剣よりも槍の方が発展しそうだよなあ、と思った
まあスキルとか魔法とか色々あるから一概には言えないけど

「あ、すっげえ美味しいわこれ」

ずび、と音を立てて茶を啜る。これは流琉や凪と互角以上の勝負ができるかもわからんね。いや、ワンチャン上の可能性まであるぞ。いや、素材が高級ならば上をいく感があるな。
茶器の上品さと供される茶の野卑さと紙一重の力強さ。それらをこの菓子が包括して高いレベルに落とし込んでいる。そしてそれが全て供される茶の格を高めている。
流石だな華琳よ。

「当たり前でしょ!華琳様が手ずから淹れてくださったのよ!香りと味、そしてそれらを引き出す絶妙な温度。ああもう、もっと味わって飲みなさい!」

流石万能の天才華琳である。半端ない。戦慄すらするわ。

「ふふ、お口に合ったようで何よりだわ」

そしてこの顔である。いや、そりゃ美味かったよ?文句なしだけどさあ……。

「どうせなら秘蔵の酒の方に興味があったかもしれんな」

「あら、駄目よ。まだ熟成が足りないし、あれこれと試している最中だもの。まだまだ二郎に飲ませられないわ。そのうち助言は貰うかもしれないけどね」

と、言われてもなあ。俺の適当な知識が丸裸にされて美味しいとこだけもってかれそうではある。

「で、何しに来たの?と敢えて聞いておこうかしら」

にこやかなままに華琳は俺に問うてくる。こわいこわい。

「司徒が司空に会いに来る。なにもおかしなことはないな」

やめて。華琳の目力にヒュン、となりそうだわ。

「国難だものね。そして曹家の動きが読めない。そういうことでいいかしら?」

これには流石、と頷くしかない。
実際、華琳が蜀――と自称するテロ組織――に与するとは思えない。理性的に考えれば、だ。しかしながら、翠の出奔。これが痛かった。
後一手。一手あればこっちが詰みかねないというところまで押してくるのは流石に伏竜鳳雛コンビだぜこんちくしょう。
あ、ちなみに割と洒落にならない戦力を飼っている黒山賊からは呂伯奢――張燕の偽名である――から張紘宛に「これからもこれまで通りのお取引をよろしく」ってことで本人自ら挨拶に赴いてきたらしい。
いやまあ、こっちが不利になったら途端に裏切るんだろうけどね。韓遂と同じく油断できないことに変わりはないのである。
――閑話休題。

「二郎?」

現実逃避していた俺であるが、華琳の無慈悲な呼びかけがそれを許さない。くそ!なんて時代だ!戦うしかない!現実と!

「まあ、そうだな。正直不安さね。蜀と称する賊軍どもに華琳が加担する理由なんてない。利なんてないと思うけど、さ。
 華琳がその気になれば、と思うと怖くて夜も寝られんよ」

だから昼寝してるのさ、と自虐的に笑うと、華琳は茶化すでもなく問うてくる。

「二郎、一つ聞いておきたいのだけれどもね。速攻で幽州を落とすという当初の計画は頓挫しているわよね。あの馬超のおかげで。
 そして太尉たる公孫賛、更には三公の首座たる司徒。それらを空位にして国体の維持、どうするつもりなのかしら?」

そーだよなあ。普通そう思うよなあ。なに、腹案はある。

「権官を、設置しようと思う」

権官。正規の役職に対する代理職、或いは補佐職的なものである。有名なのは某学問の神――或いは雷神――だが遥か未来のことである。

「へえ……、意外とちゃんと考えているのね。程立の案かしら。それとも郭嘉?」

「俺が考えたとは思わないのかよ」

「あら、違って?」

「違うね、俺の発案さ。それを加味してくれよ」

俺の言に華琳は目を白黒させる。嘘でしょ、とか言うが嘘じゃないのよ。
まあ、蔡邑さんの知恵もお借りしてるがな!流石何進政権の知恵袋は格が違った!
とは言え……だ。

「ぶっちゃけ駒が足りん。前線も、後方もな。俺が思う総力戦には曹家の力が必要なのさ」

ここからが本題なのだよ。本題なのよ。

「あら、今を時めく袁家の陣容はそんなに手薄なのかしら」

ニヤニヤと笑う華琳。なに、君他人ごとと思ってやしない?それは違うぞ?

「華琳にしては安い挑発だな。俺は俺なりに最善手を打つ。それだけのことさ」

「へえ……。
 いいでしょう。で、誰が欲しいのかしら」

その余裕に苦笑する。
そしてメイン軍師との語らいを思い出す。

◆◆◆

「で、二郎さんの腹案をお伺いしたいのですが」

くすり、と笑う風に俺は答える。

「そうだな、ネコミミと秋蘭かな。華琳を中央に残すのは怖いけど、腹黒ネコミミがいなけりゃ軽挙妄動もないだろうしな。
 それに春蘭がいれば、そうそうおかしなことにはならんだろうて」

なにせ怖いのは華琳の動向だ。華琳の横にネコミミがいたら不安が心配で心労がMAXでどうしようもなくなることは確定的に明らかである。

そんなことは、風は百も承知だと思うのだが。

「くふ、慎重な二郎さんはなんとも魅力的ですね。
でもそれは、いささか以上に弱気すぎると思うのです~」

くすくすと笑みを浮かべる風の言に俺は考え込むことになる。

「だって、常から二郎さんはおっしゃってましたよね。
 ええ、当代一番の才能、英傑はどなたですか?」

そんなの。

「そりゃ華琳だろうよ」

魏の武帝、覇王曹操こそこの時代きっての英傑である。これは揺るぎない真実である。
今はまだ人材不足にて雑務で忙殺できているが、いつ飛躍するか分かったものじゃない。

いやまあ、目の前の愛しいメイン軍師を含めて華琳には一番割を食わせているという認識はあるんだけどね。

「じゃあ、最高の人材を使わない理由は、あっても弱いですよね~」

くふふ、と笑う風がマジで妖艶。くそ、そうだよな。その通りだよ。

「だが、だが。華琳を扱える自信なんてないぞ俺には」

その言葉に風は笑みを深めたのであった。

◆◆◆

応える俺の言葉に華琳は意外そうに応える。

「あら、私と秋蘭、ね……。てっきり春蘭と霞だと思っていたのだけれども」

「純軍事的にはそうかもしらんがね。ぶっちゃけるとその二人の手綱を取れる自信がないよ、俺は」

特に春蘭な!

「あら、そうかしら。まあ、それはいいわ。にしてもその物言い、よ。
 私の手綱、どうとでもなると思っているのかしら?」

ニヤ、と華琳は笑う。それが了承の合図だと気付いたのはネコミミの激昂を見てからだ。

「か、華琳様!このような汚らわしい男の要望をお受けになるのですか!」

ネコミミマジ涙目、である。そうだよなあ。華琳が俺の指揮下に入るとかどんだけ罰ゲームかって話だ。

「さて……、桂花。私は二郎と話をしているのよ?
 口を挟む資格がないと知りなさいな」

その言葉、酷薄なようで、ネコミミを守るものであることに誰が気付くであろうか。まあ、俺は見ない振りするけどね。

「はい、華琳様。如何なる刻、如何なる場合においてもこの身、この心は華琳様のものです!」

はいちょっと主旨が歪んで伝わってますねえ。

「あら、どうしたのかしら二郎?顔色が悪いのではない?
ああ、麗羽は脈絡もなく無茶を言うものね。嫌気がさしたらいつでもおっしゃいな」

いや、そりゃそうだけどってそうじゃなくってだな。
なにしれっと地雷仕込もうとしてるんですかー!やだー!
だから華琳と距離感縮めたくないんだよ。それを分かるんだよ!風!
まあ、俺のメイン軍師にそんな甘えは通じないのは知っているんだけんどもね。

「まあ、そうだな。華琳の動き如何でえらいことになるからな。知ってると思うけど」

華琳が本気で叛を選んだら詰むんだよなー。まあ、この場ではこれ以上どうしようもないさね。

「二郎?やけにあっさりと引き下がるわね。もっと此方に食らいついてくるかと思ったのだけれども」

「この場で俺が何を言ってもわりとどうしようもないだろう。だからさ、華琳に頼むのはさ。
俺より遥かに影響力のある人に任せようかなって、な」

俺の言葉に華琳はぴく、と不審げに眉を顰め、それから可笑しげに笑う。

「ああ、この場にいなくて私に意見できそうな人物。――春蘭のことね」

「――そうだ」

「あの子が私に意見するかしら?」

くすり、と華琳は試すように艶然と微笑む。

「そこはほら、俺が土下座してだな。俺の額が火を噴くぜって感じで」

「ばっかじゃないの?」

ネコミミにばーかばーかと罵られるのもどうでもよく。

「まあ、俺が持ってる曹家の伝手ってば春蘭しかないからな。ちょっと泣きついてくるわ」

「ええ、あの子を口説けるものなら口説いてみなさいな」

はいよ、とばかりに手を振り、場を辞する。
いや、春蘭相手ってこう、出たとこ勝負なんだけどね?

本日ここまですー
かんそうとかくだしあー

タイトル案は「曹家との語らい(ラストバトルに向けて)」
なのですが趣がないので、よきものを募集しますのでよろしくお願いします。

分かる人には分岐が見えるだろう

タイパクを連想する文章だなぁ
言うだけなら自由だしね(笑)

>>989
タイパクってなんですか?
いやマジで知らないのよ

乙でしたー
多分【タイムパラドックスゴーストライター】かな
今回の話はお互いの腹の探り合いで相手の狙いを読みつつ自分の狙いを悟らせないようにしてるから読者も言葉の裏を読まないと分かりづらい書き方してるからねえ
あの作品はそれぞれの人物の考え方を読み解かないと「なんでそういうこと言うの!?」ってなるとかならないとか

ネコミミよ…㌧姉は華琳の為なら死ねるけど逆に言えば誠実に向き合って華琳の為にもなることを提案すれば受け入れてくれるんだぞ
お前さんの上司は㌧姉を説得できるだけの話を持ってこれたならばヨシ!の精神だけどそのへん分かってるか?

>>988
乙ーい。
そうねぇ…。
【探り合い 殴り合い】
とでも。

そうそう、今回は特に間違いっぽいところは見つかりませんでした
ところでそろそろ次スレ立てた方が良いのでは?

>>991
サンクスです
あー、なんかチラ見した覚えはあります
あれジャンプだったのか

>ネコミミよ…㌧姉は華琳の為なら死ねるけど逆に言えば誠実に向き合って華琳の為にもなることを提案すれば受け入れてくれるんだぞ
>お前さんの上司は㌧姉を説得できるだけの話を持ってこれたならばヨシ!の精神だけどそのへん分かってるか?
憧れは、理解から一番離れた感情とかなんとか(うろ覚え)
やはりジャンプはすごいなと思うなど
ブリーチ、ナルト、ワンピースは再履修せんといかんなあと思っております

>>992
どもです!
ふみゅ
ふむ

いけるな・・・
いつもありがとうございます。

次スレの季節か、流石に最終スレになるはずですね
本当はGW目安でしたが、順当にいけばお盆、年末年始にはずれこみたくないなあ
頑張るぞいっと。

新スレ建てました
こっちは埋めてくだしあー

真・恋姫夢想【凡将伝Re】5 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1644754502/)

1000とっても特にいいことあるかどうかはキメてないですw
フレーバー的にちょっといいことあるかも感は、既に残量からして
望まれても無理なのですので

んる

最終決戦だけまだどうなるかフラフラしております
ダイスは振りたくない(これ大事)

ネコミミが実は㌧姉のことを憧れの目で見てるだって!?(大声で
まあ絶対に認めない、どころか無自覚ですらありそうだけど、華琳に重用されてる相手に対して嫉妬はもちろん自分ではできない支え方ができることを羨んでそうでもあるか

>>997
いやそうはならんやろw
㌧姉については本気で忌々しいのか、ある程度認めているのか
割とこれについても解釈は分かれそうでありますね

凡将伝のネコミミは本気で忌々しい説でもよさげではありますw
全方位にフシャーってなってる感じ?

きっと実務が激しすぎて心の余裕がないんだ
やっぱり曹家はBLACK勢力なんだ

二郎ちゃんは絶対移籍しないんだがそれの要素を分からないトップと軍師

皆ワーカホリックすぎでしょ案件

そういや袁紹にとっては劉備及び蜀の連中はどういう感じなんだろう
元々は自分の部下だった上に今は友人の公孫瓚のもとに言ってた韓浩を殺した奴らだしけじめはつけさせないと、くらいはあるんだろうか

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 20:39:11   ID: S:VYyDW6

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 00:10:30   ID: S:yZFfIZ

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3 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 05:40:50   ID: S:oU9Hv0

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