【デレマス】優しさが生きる答えならいいのにね (29)

―‘まだ返事がないわ’琥珀の砂時計。人はこぼれた砂よ

―‘ねぇ、MarkⅡ’やさしさがいきる答えならいいのにね



愛梨「♪ララ、ラララ、ラララララ~」

かな子「あ、今度の新曲ですね」

愛梨「あ、はいっ!とってもいい歌なんですよ」

かな子「うんうん、歌詞もすごくいいですよね。『流星が降る度、いのちが生まれる』だなんてロマンチックですよね」

キャッキャワイワイ



モバP(以下P)「おーい、そこのお二人さん。ちょっと道を開けてくれないか?」

かな子「あ、はいっ!」ササッ

愛梨「///」コソコソ

P「ありがとう……すまんな。愛梨の新曲が好評で、色々やることが増えたから」

愛梨「い、いえ……その……」ドキドキ

P「また、誕生日までには休みを作っておくよ。じゃっ」ヒラヒラ



愛梨「あ……はい///」



―はい、おわかりかと思いますが

―私こと、十時愛梨はプロデューサーさんのこと……

―……好きです。心臓がドキドキして、息ができなくなるぐらい



―恋に溺れるって例え。今の私みたいなのを言うのかなぁ……

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1607386713

はい、十時愛梨誕生日SSになります

こちら独自の内容がありますのでよろしくお願いします

―でも……少しだけ気になるのは



タタタッ

千枝「プロデューサーさん!今日、千枝とお城のような建物で未熟なイチゴを食べてくれませんか?」

別P「お、千枝か。最近抱いてやらなかったからな。いいぞ、いつものホテルでな」

千枝「わーい!あ、危険日ですから、薬は飲まないで起きますね」

別P「こらこら」



ありす「……チッ!」

桃華「……チッ!」

別P「…………恐いから本気で舌打ちしないの」

ありす「私の時用にゴムに穴でも開けておきますか」

桃華「もちろん生でしていただけますよね?」

別P「怖い怖い……」





―ご覧のとおり、小さい子達とプロデューサーさん達との仲が良いことでも定評があるんです

―だから、私のプロデューサーさんも毒牙にかかってないか心配なんですよ……

かな子「だ、大丈夫ですよ」ギュッ

愛梨「ふぇ……え?」

かな子「愛梨さんの想いはきっと……あのプロデューサーさんに届くと思います!」

愛梨「……」

愛梨「えっと……」

愛梨「わ、私、かな子ちゃんに……その…プロデューサーさんが……えっと……」

かな子「はいっ!好きなんですよねっ?」

愛梨「……う、うん///」ドキドキ

愛梨「あ、あのね///……それでね、私っていつかな子ちゃんにその事を言ったんだっけ?」

かな子「え?」

かな子「えっと……」





かな子「いつも、愛梨さんのプロデューサーさんと一緒にいると」

かな子「小声で」



『プロデューサーさん……好き……』



かな子「って……愛梨さん?」

愛梨「」





―き、気がつかなかったよ……

―ぷ、プロデューサーさんは聞いて……ないよね?

―うん、今まで何も言われなかったから大丈夫だよね



―……きっと……多分

いいね、支援

かな子「あ……ひょっとして……」ピコーン

かな子「えっと……」アタフタ

愛梨「///」

愛梨「う……うん///」

かな子「ご、ごめんなさいっ!」

愛梨「あはは///……だ、大丈夫d」

ピーンポーンパーンポーン



かな子「あ……もうこんな時間なんですね」

愛梨「さ、最近は早くに暗くなるからね」

かな子「じゃあ、早く帰らないと」ゴソゴソ

愛梨「あれ?何か用事かな?」キョトン

かな子「えっと……」





かな子「期末試験です……」

愛梨「あー」

かな子「テスト期間中は勉強しないといけないから、クッキーもケーキも焼けないからストレスが溜まって……」

愛梨「あー、わかるな。気分転換に焼きたくなるよねっ」

かな子「はいっ……とりあえずあと数日ですから」

愛梨「頑張ってね」

かな子「はいっ!」



かな子「じゃあ、お疲れ様でしたーっ」バタン

愛梨「……」



―そっか……

―でも……かな子ちゃんなら大丈夫かな





愛梨「私も帰ろうっと……」バタン











「……うふっ」

バタン

愛梨「ふぅ……かな子ちゃんじゃないけど、私もレポートやらないと」

愛梨「よぉし!」



愛梨「うー、これ進まないよぉ」

愛梨「……少しだけなら気分転換してもいいよね?」スクッ



カチャカチャ

愛梨「えっと……シナモンはどこだっけ?」ガサゴソ

愛梨「暑いから一枚脱ごっと」ゴソゴソ



愛梨「オーブンに入れて25分っと……」ピッ

愛梨「ふぅ、暑くなってきちゃった」ゴソゴソ

ピーッ

愛梨「わぁぁっ!」

ガタッ

愛梨「♪会いたいから焼いちゃった」

愛梨「アップルパイの完成っ!」





愛梨「って、私いつの間に全裸に?!」

愛梨「あと、レポートも進んでないよぉ!!」

愛梨「そういえば……」

―プロデューサーさんとの初めての出会いの時も私って、裸だったんだよね……

―あれは初めて衣装を着た時だったな……



愛梨『わぁ……可愛いなぁ』クルンッ

愛梨『これを来てステージで歌って踊るんだぁ』ウキウキ

愛梨『……』

愛梨『想像したら、暑くなってきちゃった』ヌギヌギ

愛梨『衣装はハンガーにかけてっと……』

愛梨『じゃ、戻らないと』ガチャ



トコトコ



愛梨『ただいま戻りましたっ!』

P『おや、衣装に不具合は……って十時さんっ!?』

愛梨『え?』

P『し、下着姿で出てこないでくださいっ!』

愛梨『あ……』

愛梨『きゃっ!///……わ、私……』

P『とりあえず僕のジャケットですが……』バッ

愛梨『あ……』

―なんだろう……すごく安心する

―ただ、プロデューサーさんのジャケットを身につけているだけなのに……

―全身を抱いてもらっているみたいで……

―/////





ポヤポヤポヤポヤ

愛梨「うへへへ……」ジュルリ

愛梨「あ、いけないっ。お風呂お風呂っ」

チャポン

愛梨「ふぅ……」



―私はお風呂が好き

―温泉も嫌いじゃない……けど

―プールや海のように、伸び伸びと手足を広げたり泳いだりしないでスタイルで

―お風呂の中で縮こまってゆっくりしているのが……大好き

―まるで、昔々にお母さんに包まれていた時みたいな気分になれるから……

―水の浮翌力で体が軽くなるからっていうけど

―海みたいにゆっくりし過ぎると溺れちゃうわけでもなく

―温泉みたいに温度が自分で調整できないわけじゃなく

―温かい……人肌より少し上の温度で全身ゆっくりするのが好き



愛梨「はぁ……」

愛梨「でも、上がらないとね」ザバー

―結局、レポートは終わらせられたが、アップルパイは食べ切れないまま、明日の朝ご飯に決定



愛梨「……もうすぐ誕生日か……」



―何かいいことあるといいな



愛梨「おやすみなさい。プロデューサーさん」チュッ

―そうやって寝る前の儀式を行う

―ここ最近の日課だ

愛梨「……また、夢で会えるといい……な……」

スゥスゥ

―でも、次の日

―それは今まで生きてきた中でも最悪な日だった

―その日は昼からレッスンがあったので、昼前には到着していた

愛梨「おはようございます」ガチャ

愛梨「あ……あれ?誰もいない……?」

―珍しいなと思いつつ、机の上を見ると

愛梨「あれ?プロデューサーさんの鞄……かな?」

―中身が半分程食み出し、無造作に置かれていた

愛梨「えっと……中身が無くなるといけない……よね?」

―鞄の中に入れようとすると、やけに分厚い本がはみ出ていたのに気がつく

愛梨「何だろう……漫画の本っぽいけど」チラッ





コミックL○「やぁ」

コミックMate○「はじめまして」

デジタルぷにぺど○!「だいじょうぶ。こわくないよ」



愛梨「」

―次の瞬間、私は走り出してました

―わかっていたのに

―この事務所のプロデューサーさんは小さい子が大好きな人ばかりだって

―なのに



―期待して



―好きになって



―自分では押さえきれなくて







愛梨「はーっ、はーっ……うぷっ……」

―気がついたら、トイレで吐いていました

―まるで、そんな想いなんか流せと言わないばかりに



―あと、いっぱい泣いてました

―自分でまったく気がつかないぐらいに……たくさん……いっぱいに……

―レッスンの時間は過ぎていましたが、プロデューサーさんに会って真偽を聞きたくて探しました

―でも



「アップルパイですか?なら愛梨さんに……」

「こんなこと三村さんにしか頼めないからね」



―私が見たのは



かな子「ふふっ、誰に作ってあげるんですか?」

P「えと…………はい、好きな人にたべてもらおうと」



―プロデューサーさんがかな子ちゃんにお菓子作りを教わっている光景

―ただ、その会話は



かな子「もう、小さい子目当てにお菓子を作るだなんてダメですからね」

P「ははっ……でも近いものはありますから」

かな子「頑張ってくださいね」

P「ありがとうございます」







―どうやって家に帰ったのか覚えていない……

―でも気がついたら、アップルパイを作っている最中だった



愛梨「……私」

愛梨「……どうして」



―作り終わったパイは、今までで最悪の出来だった

―大好きなお風呂もまるで氷水に浸かっているような気分だった

―ともかく寒い、心の底から冷え冷えする……

―こんな気分は初めてだった

―まるで人生の終わりがきたような感覚……



―ふと気付く涙の感覚



愛梨「そっか……」

愛梨「私……振られちゃったんだ……」



―失恋がこんなに苦しいなんてまったく知らなかった

―ともかく知らないことばかりで体も気分も打ちのめされてしまい、お風呂から出てそのまま寝るのが精一杯だった

―翌日

―誕生日の日……でも

愛梨「くしゅんっ!くしゅんっ!」

―当然だけど風邪をひいてしまってそれどころじゃなくて

愛梨「今日……休むって連絡しないと」ピポパ

愛梨「うぅ……昨日も、レッスンを無断で……」

愛梨「着信…………」


愛梨「っ……」

―今はプロデューサーさんの名前を見るのも嫌だった

―あんなに……あの人の名前を見るのが好きだったのに

―今は……ただ……一人に……





ピンポーン

―ん……誰だろう

―ちひろさんかな……?

ガチャ

―そうやって、ロクに確認せずに開けたドアの先には



P「愛梨……大丈夫か?」





―今、一番会いたくない人が何か持って立っていた

―正直な話、風邪を理由に追い返してもよかったのだが

愛梨「……ゴホンゴホンッ!」

―弱っていた私はそれどころではなく

P「あー、とりあえず中に入るぞ。話は追って聞くから」

愛梨「……」

―とやや強引に入ってきた





P「とりあえず何か消化吸収のよいものを食べないと……食欲はあるか?」

愛梨「……」フルフル

―黙って首を横に振る私

P「……」

P「なぁ、愛梨」





P「アップルパイは食べられるか?」

愛梨「?」

―そうやってプロデューサーさんが出したのは

―形がやや不揃いなアップルパイ

―手作りでなければ出し選ないそれだ

愛梨「?」

―あれ……?

―たしか、プロデューサーさんはかな子ちゃんから習っていたけど、それってプロデューサーさんが好きな小さな子の為に……

P「なんだ。習っていたのは知っていたのか」

P「そう……です」





P「愛梨に……一番真っ先に味見して欲しくて……」

―えっと……?



P「とりあえず包丁を借りるぞ」

―そうやって、話の途中でプロデューサーさんは立ち上がる



―えっとつまり……どういうこと?

―熱で頭がうまくまわらない……

P「じゃあ……あーん」

愛梨「あーん」

―普段なら私がねだってもやってくれないのに、こういう時だけずるいなぁ

アーン

シャリシャリ

―んー、少し甘さが偏ってるし、シナモンが効き過ぎてるけど……



愛梨「おいしい……」

P「そっか……よかった」



P「本当ならもっと時間をかけて作りたかったけど、愛梨が風邪って聞いて慌てて作ったからな」

P「こんな形だけど……誕生日おめでとう」



P「それから……」

P「……」

P「愛梨、好きだ」

P「プロデューサーとしてでなく……一人の男として」

―え

―今……

―だって……プロデューサーさんは小さい子が好きで……

P「小さい子?」

P「あぁ……もしかして、オレの鞄の中にそういう本があったアレか?」

P「あれは麗奈のイタズラでな。どっかのロリコンPの荷物と取っ替えたらしい」

―え……じゃあ……

P「つか、愛梨もひどいな。ウチの小さい子が好きなプロデューサーはアイツぐらいだってのに、全員そういう嗜好にして」

―私の……勘違いってこと?

P「そういうこと……だな」

P「安心したか?」ギュッ

―そうやって私を抱きしめる

―その彼の温もりの中、自然と涙が出てくる

―この人は私が誤解しているにも係わらず……

―優しい気持ちで私を心配して

―その優しさに対する感謝と、私を好きだという嬉しさの両方が一緒に私の感情を刺激して涙が止まらない



―そんな私をいつまでも優しく抱きしめてくれていた

―いつしか私は泣きやみ、私からも抱き付いていた

―いつまでもこんな幸せな時間が続くといいなと思いつつ



クー



愛梨「あ……///」

P「……可愛い」

愛梨「」

愛梨「むーっ!」ポカポカ

P「痛い痛い!クッションで殴るのはやめて!」

愛梨「……ねぇ、プロデューサー……Pさん」

愛梨「こんな私ですが……」

―ゆっくりと近づく大好きな人の顔

―そして



愛梨「大好き……です」

チュッ



―そして私と彼は一つになった

愛梨「あ……そうだ。せっかくの私の誕生日ですから、お願いを聞いてくれませんか?」

P「お願いか?いいぞ。できる範囲なら何でも叶えるとしよう」

愛梨「なら――」







チャポン

P「何でもとは言ったが……」

愛梨「えへへ……少し狭いですね」

P「……」

P「一緒に風呂に入るとはな」

愛梨「一度試してみたかったんです」

チャポン

愛梨「恋に溺れた私を……ずっと抱きしめて……」

愛梨「一緒に浮いてくれる人を……」ギュッ

P「愛梨……俺でよければいつまでも……」ギュッ

愛梨「うれしい……」



愛梨「しあわせです……」

愛梨「もっと……私を……」

愛梨「愛してください……」

P「大好きだ……」

―いつかお風呂からあがっても

―この人と一緒に優しい時間をいつまでも……

―そして





愛梨「私も大好きです……」チュッ

―いつか、みんなの前で幸せだって言える時まで

―私だけのPさんを……独り占めさせてくださいね





おしまい

まず、愛梨。お誕生日おめでとう!



18歳越えキャラでは唯一、毎年祝っている気がするな

ともあれ、ありがとうございました

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