みほ「笑ってはいけないあんこう祭り?」 (110)


みほ「大洗あんこう祭り?」

優花里「そうです! 毎年この時期になると、わくわくしますね!」

杏「そういえば西住ちゃんは、あんこう祭りは初めてだよね」

みほ「は、はい。どういうことをするんですか?」

柚子「おいし~いあんこう料理が振舞われるのよ」

杏「それも、実演で吊るし切りされたばかりの、新鮮なやつをね~」

桃「そのほかにもゲストとして有名人を呼んでトークショーをしたり、いろいろイベントがあったりする。このへんはまあお祭りの一般的な部分だな」

杏「ところが、今年のゲストはひと味違うんだよねえ」

みほ「? 誰なんですか?」

杏「学園艦の廃校を見事に阻止したということで、なんとわが戦車道チームがゲストとして、イベントに参加することになりました!」

柚子「もちろん、主役は隊長の西住さんよ」

みほ「ふええっ!?」

優花里「おおっ! 西住殿がお祭りの主役とは!」

みほ「そ、そんなあ……恥ずかしいよう」


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柚子「それだけじゃないわ。各学園艦の隊長たちも参加するの」

杏「まだ短期転校の期間は残っているからね。大洗女子学園の生徒として、みんなを呼ぶつもりだよ!」

桃「そこでだ。西住や他校の生徒たちには、事前に一度あんこう祭りを体験してほしい」

みほ「ふえっ?」

柚子「私たちは地元の人間だから、お祭りの段取りはある程度知っているんだけど」

杏「西住ちゃんや他校の生徒はきっと初めてでしょ? イベントの準備に追われて、お祭りそのものが楽しめなかったら本末転倒だからね」

柚子「来週、大洗に寄港するから、西住さんたちにはそこで楽しんでもらいたいの」

杏「地元の人たちも全面協力するよう、話はつけてあるからね~」

桃「イベントのリハーサルも兼ねてな。しっかりやれよ」

みほ「うわあっ! ありがとうございます!」


──1週間後 大洗某所


みほ「ここで待っててねって言われたけど……」

ダージリン「あら? みほさん」

みほ「ダージリンさん!」


ケイ「グッモーニン! ミホ!」

みほ「ケイさん!」

エリカ「遅いわよ」

みほ「エリカさん? みなさんも呼ばれたんですか?」

ダージリン「ええ。大洗のお祭りはわたくしも初めてだから、楽しみ」

ケイ「お祭りって言葉だけで、テンション上がるわ!」

亜美「みんな、ようこそ。よく来てくれたわ」

みほ「教官!」

エリカ「蝶野教官も、あんこう祭りに?」

亜美「ええ。この体験ツアーには自衛隊や戦車道連盟も協賛しているの」

亜美「みんなには、まずあんこう祭りの全体を把握というかたちで楽しんでもらって、そのあと温泉旅館でゆっくりしてもらうという1泊2日ツアーを企画したわ!」

みほ「うわあっ! 豪華です!」

ケイ「感謝するわ!」

ダージリン「わたくしたちのために……ありがとうございます」

亜美「ほら、あの看板を見て頂戴」




< 『歓迎 大洗女子学園 御一行様』 >


みほ「町の真ん中に、あんな大きく……!」

ダージリン「歓迎のほどがうかがえるわね……ん? となりの看板は?」


< 『ついに 大洗に やってきたわに!』 >


ケイ「ンフフッ! ……なによこの等身大パネル。昔のエリカ?」

ダージリン「すごく自信満々な顔ね……ウフフかわいい」

エリカ「ちょっと! 何でっ!?」

デデーン ケイ ダージリン アウトー

ケイ「!?」

ダージリン「!?」

典子「大洗へようこそ!」ダダダッ

妙子「アヒルさんチームは、バレーボールとあんこう祭りを応援しています!」ダダダッ

忍「そーーれッ!」


あけび「ソーーレッ!」

ケイ「い゛ッ!」スパーン
ダージリン「うあッ!!」スパーン

ダダダッ 

ケイ「あいてて……」

ダージリン「ううっ……」

みほ「えっ バレー部のみなさんがどうして……!?」

エリカ「なぜ……えっ何で? なんなの?」

亜美「あ、ひとつ言い忘れてたわ」

亜美「お祭りの日の間は、絶対に笑ってはいけないということがあんこう祭りの掟らしいの」

亜美「それで、もし笑うとこういう風におしおきがやってくるのが伝統行事のようね」

みほ「絶対ウソです……」

エリカ「どんな掟よ」

ダージリン「笑ってはいけないお祭りだなんて……」

ケイ「奇祭にもほどがあるでしょ」

亜美「場所は大洗(おおわらい)なのに、笑ってはいけないとはこれいかに、ってね! アッハッハ!!」


ダージリン「……」

亜美「……」

亜美「…………」

亜美「ごめんなさいもう1回やらせてもらっていい?」

デデーン 全員 アウトー

みほ「な゛っ!」スパーン
ケイ「な゛ん゛っ!」スパーン
エリカ「ウアア!」スパーン
ダージリン「アイイ!」スパーン

エリカ「……急に真顔にならないでください!」

タッタッタ ガラガラ

新三郎「おッ! 皆さんお揃いで!」

みほ「新三郎さん?」

新三郎「話は聞いてます。お迎えにあがりました!」


ケイ「わざわざ人力車で?」

新三郎「へぇ。主催者の計らいで、お祭りの会場までの道案内を仰せつかったんです」

新三郎「人力車の定員はだいたい2人ですが……あっしなら3人乗っても大丈夫ですよ!」

亜美「じゃあ新三郎さんの車には、あたしと、逸見さんとダージリンさんが乗りましょうか」

ケイ「じゃあ、あたしとミホは別の人力車?」

みほ「あ、後ろからもう1台……」

タッタッタ ガラガラ

優花里(パンチパーマ)「みなさん、おはようございます!」

みほ「優花里さん!?」

ケイ「ンフフッなんでwww」

エリカ「アンタフフッその髪型はずるいでしょ!」

デデーン ケイ 逸見 アウトー

ケイ「あっ!」スパーン
エリカ「うっ!」スパーン

亜美「それじゃあ車に乗りましょうか」ヨイショ

優花里(パンチパーマ)「西住殿とケイ殿はこちらへ乗ってください!」


みほ「だ、大丈夫……?」ヨイショ

ケイ「重くない……?」ヨイショ

優花里(パンチパーマ)「お任せください! 日々の鍛錬の成果をお見せします!」

新三郎「では出発いたしますッ!」

優花里(パンチパーマ)「パンツァー・フォー!」

タッタッタ ガラガラ…


──あんこう祭り 会場広場


亜美「ここがステージ会場となるわ。ほかにも、いろんなお店が出ているわね」

ガヤガヤ ワイワイ

みほ「うわあ、お祭りって感じの雰囲気です」

ケイ「にぎやかね~!」

亜美「それじゃ、ここに座ってね。きょうはイベント盛りだくさんよ」

ダージリン「ありがとうございます」

亜美「なんといっても『あんこう祭り』の名前どおり、メインイベントであんこうの吊るし切りショーが行われるのが特徴よね」


ガラガラ ガラガラ

ケイ「あっ、あんこうが運ばれてきたわ」

みほ「うわあ、大きい~っ」

エリカ「実物を間近で見ると、迫力あるわね」

杏「これが大洗名物のあんこう。見事なもんでしょ?」

みほ「あ、会長」

杏「さばいた後はおいしいあんこう汁ができるから楽しみにしててね~」

みほ「えっ? 会長がさばくんですか!?」

柚子「会長の包丁さばきは名人級なのよ」

ケイ「ワオ、ダイナミックな特技もってるわね!」

杏「まずあんこうのひれを落として~、それから皮を一気にビーッとはぐ!」

杏「この皮がいいんだよ~。人によっては、身よりも皮のほうが旨いというくらい」

エリカ「へえ~っ。こんな見た目からは信じられないわ」

杏「さらに、ここからエラやいろんな内臓を取り出して……おっ! これがアンキモだあ」

みほ「ぷるぷるしてますね~」

ダージリン「すごく大きいわ。反対に心臓はものすごく小さいのね」


桃「あんこうは深海魚だからな」

柚子「あまり動かない生き物の心臓は小さくなるんだろうね」

杏「さていよいよ出てきたのは……からだの両端にかけてぶわーっと薄く広がる部位、その名もズバリ『ぬの』!」

柚子「これは卵巣にあたるところね。ホラよく見てみると卵っぽいつぶつぶがあるでしょ」

桃「豆知識だが、あんこうのオスはとても小さく、食用にはならない。こうして私たちが食べるあんこうはすべてメスだ」

杏「最後に残ったのが……いわゆる身の部分。台身(だいみ)とよばれているよ」

柚子「あんこうの身は淡白で、その見た目からは想像もつかないほど上品な味わいです」

杏「白身魚の中では、フグに次ぐといわれているくらいだよ。ま、あたしの中では内臓もばっちり食べられるぶん、あんこうのほうが上だとおもうけどね~」

杏「というわけで頭と背骨だけが残り、あとは捨てるところなし! あんこうの吊るし切りでした!」

オオー パチパチパチ

ダージリン「お見事」

エリカ「大した腕前ね」

ケイ「お腹へってきたわ~!」


亜美「ハーイみんなおまちどう! できたてのあんこう汁よ!」

みほ「わあっ!」

杏「会場のみんなにも行き渡ったかなー? それじゃ、せーのっ」

『『 いただきまーーす!! 』』

みほ「あふ、はふっ……」

ケイ「……っぷは! うま~い!」

エリカ「おいしい……これが大洗の味」

ダージリン「上品な旨味とコクがあって……。それにいままで感じたことのない食感だわ」

杏「そうでしょ? あたしの野望のひとつは、あんこうの味を世界じゅうの人に広めることなんだ」

杏「パクッ……んん~っ! 皮はぷるぷるしてて、身はほくほく! アンキモがとろける~っ♪」

杏「これはまさしく、1匹で世界三大珍味を制覇できちゃうかもね♪」

桃「会長、おいしそうに食べますね。こちらもなんだか素敵な気持ちになります」

柚子「じゃ、次は桃ちゃんもやってみて」

桃「私がっ!?」

柚子「広報担当でしょ。名物をアピールする力って大事だよ」


桃「うぐ……わ、わかった」

桃「ムグ……もぐもぐ……」

桃「お、おいしい~っ! おいしいよ~っ! わ~!」

ダージリン「ンフッ」

デデーン ダージリン アウトー

ダージリン「ヒンッ!」スパーン

エリカ「どんだけ語彙がないのよ」

ケイ「見た目からは信じられないくらいのぽんこつっぷりね」

みほ「あ、あはは……」

柚子「桃ちゃん、ちゃんと食レポしなきゃ」

桃「そんなこと言ったって……」

柚子「こうやって……モグ……んん~っ! うわあ~っ! 海の運動会やああ~~っ!!」

柚子「って感じ。なんとなくわかるでしょ?」

桃「う、うん……」

桃「あむっ ムグ……モグモグ」

桃「ああ~っ、うわあ~っ……」



桃「……」


桃「ああ~、あ~……」


桃「……」





桃「わああ~~っ! 料理やあ~~っ!!」

デデーン 全員 アウトー

みほ「そんなッ!」スパーン
ケイ「うおっ!」スパーン
エリカ「だから語彙!」スパーン
ダージリン「いやあっ!」スパーン

エリカ「もっとこう……ないの!? 表現力というか……」

ダージリン「常識が1回転して、逆に新しいわね……」

柚子「ぜんぜんダメダメじゃない桃ちゃん」

桃「桃ちゃんとゆーなっ!」


杏「んじゃあね、か~しま、罰ゲームで誰かのモノマネでもやってもらおうかな~」

桃「そんなあっ!」

杏「まあ簡単なひと言でいいからさ。それじゃあ、カチューシャで」

桃「うう……じゃあ、やります……」


桃(声真似)『いくわよ! カチューシャ!』


エリカ「えっ じゃあアンタは誰なのよ」

ケイ「ンフハッ」

ダージリン「ウフフン」

デデーン ケイ ダージリン アウトー

ケイ「ウワオ!」スパーン
ダージリン「ああん!」スパーン

桃(赤面)「……///」プルプル

柚子「素でミスったね桃ちゃんフフッ……」

杏「ンフ……ゴホン! ちなみに、現実のあんこう祭りの吊るし切りショーは午前・午後とあるから、1日で2度おいしいチャンスがあるよ!」

パチパチパチ


亜美「次のイベントまで時間があるわね。せっかくの機会だし、いろいろ見てまわってみましょうか」

みほ「……」

エリカ「……ねえ」

ケイ「……ええ、そうね」

ダージリン「アレが、やってきたのよね……」

みほ「地元の人たちも全面協力って聞きましたけど」

ケイ「大洗そのものを巻き込むとか、アンジーやるわね……」

亜美「どこがいいかしらね……あ、あそこの店員は武部さん?」

沙織「みぽり~んっ!」

みほ「沙織さん? どうしてここに?」

沙織「そりゃだって地元のお祭りだもん! 積極的に参加して、協力しないとね」

沙織「ここでは大洗の商店街でおなじみの串カツを売ってるんだよ! ハイ揚げたてをどうぞ!」

みほ「わあっ、ありがとう!」

ケイ「サク……モグ……うん! 文句なしの味!!」

ダージリン「さすが老舗といったところかしら」

沙織「でしょでしょ? これでもっと大洗が好きになってくれたら、うれしいな!」

沙織「それからこれも持って行って! サービスだから!」

ケイ「へええ~っ。何かしら?」

エリカ「これは……なに? 絵ハガキ? 冊子?」


わたしのために串カツを

買ってくれてありがとう!

でも、カツをたくさん食べて

胃もたれとかしてない?

串カツを食べるときは
 
キャベツと一緒に食べるのが

オススメだよ!

わたし、キャベツの千切りも

得意なんだ

あなたの好みに合わせて

アレンジ料理も作れるよ?

でも、お部屋でお料理するなら

新しいエプロンも用意しなくっちゃ・・・

あ、やだもー!

ちなみにBDとDVD

絶賛発売中だよ!


デデーン 全員 アウトー


みほ「うええっ!」スパーン
ケイ「なにこれっ!」スパーン
エリカ「怪文書よっ!」スパーン
ダージリン「これが公式っ!?」スパーン

みほ「沙織さん……いいの? こんなネタ扱いで……」

沙織「懐かしいでしょ? あれから何年たっても作品が愛されるなんて、すごいことだよね!」

沙織「それに『やだもー』があたしの代名詞になったきっかけだから……嫌いになんてなるわけないよ!」

ケイ「けなげな子……」

亜美「武部さんって優しいわね。それじゃ、ほかをまわってみましょうか」

エリカ「あれは……プラウダ高校のブース?」

クラーラ「ズドラーストヴィチェ。みなさん」

みほ「クラーラさん!」

クラーラ「日本のお祭りって面白いですね。わたしはトウキョーでマグロの解体ショーを見たことがありますが、あんこうの解体ショーは初めてです」

ケイ「あっはは! あんこう解体ショーね! 言われてみればそうかも!」

ダージリン「ウフフ……。クラーラさんったらユニークな表現をするわね」


デデーン ケイ ダージリン アウトー

ダージリン「えっ」

ケイ「いまのもダメなの!?」

ケイ「んがッ!」スパーン
ダージリン「ああう!」スパーン

クラーラ「笑うと尻をたたかれる。不思議な風習のあるお祭りですね。他の地域にもあるのでしょうか?」

みほ「いえ、おそらくここだけです……」

エリカ「ていうかここですら違うわよ」

ダージリン「ところで、プラウダはここで何を?」

クラーラ「農作物を害獣から守るための、研究発表会を開いています」

クラーラ「特に最近はクマの被害が多いため、その対策に力を入れているという内容ですね」

みほ「へえ~っ」

クラーラ「地元のベンチャー企業などの協力で、凶暴なクマをすみやかに退治するための強力な麻酔薬を開発しました」

亜美「なかなか本格的ね。ちょっと見学してみましょうか」

クラーラ「スパスィヴァ。ではこちらのベッドを見てください」

みほ「?」


ダージリン「ベッド?」

ケイ「なんだかいくつか並んでいるけど……シーツがかかっててるわね」

クラーラ「はい。新薬の実験に協力してもらった人たちです。まず1人目が」スッ

ノンナ「ZZZ……」

デデーン 西住 ダージリン アウトー

みほ「うひゃあ!」スパーン
ダージリン「何でっ!」スパーン

クラーラ「よく眠っているでしょう? 試作品としてはなかなかの成功といったところでしょうか」

みほ「クマ用の麻酔を!?」

エリカ「いやいや人間に投与しちゃだめでしょ……」

クラーラ「この薬の素晴らしいところは、一度眠ったら何をされても絶対に起きないということです」

クラーラ「たとえば、そう」

クラーラ「こうやってノンナの脇腹をつっついても、全然起きません」ムニムニ

ノンナ「ッ!?」ビクッ!

クラーラ「くすぐっても、何の反応もありませんね」コチョコチョ


ノンナ「……ヒッ! ……ヒヒッ!」プルプルプル

ダージリン(小刻みに震えているわ……)

クラーラ「胸のふくらみをさわってみても、起きません」モミモミ

ノンナ「ヤッ! ンッ ンンッ!」モジモジ

みほ(クラーラさんも淡々と何をやって……)

クラーラ「もっと強くもんでみましょう」グニー

ノンナ「ホヒャッ!」ビクン!

デデーン ケイ 逸見 アウトー 

ケイ「してる! 反応してる!!」スパーン
エリカ「アンタやりたい放題ね!」スパーン

クラーラ「ノンナはぐっすり眠っていますね」

エリカ「いやいや普通に動いてたじゃない!」

ノンナ「……///」プルプル

クラーラ「???」

みほ「そんな無垢な目で見られても……」

クラーラ「この薬は強力ですから、ちょっとした刺激を与えてもまったく反応しません」


クラーラ「そう。たとえばこのように……」スッ

児玉「ZZZ……」

デデーン 全員 アウトー

みほ「理事長っ!」スパーン
ケイ「何でっ!」スパーン
エリカ「どういうことよ!」スパーン
ダージリン「うああんっ!」スパーン

クラーラ「熊のような大きさの男の人でも、薬の効果はバツグンです」

クラーラ「ですから、こうやって理事長さんの顔をハリセンでシバいても、起きません」スッ

(スパーン!)

みほ「!!?」

ケイ「ええっ!!?」

児玉「ッ!!」

クラーラ「……フフ」

(スパーン! スパーン!)

児玉「~~ッッ!!!」ジタバタジタバタ

ダージリン「ちょ、ちょっ……」


クラーラ「フフ、ウフフフ……」

(バシーン!!)

児玉「」ビクビクッ!

デデーン 全員 アウトー

みほ「めちゃくちゃアイッ!スパーン
ケイ「かわいそウッ!」スパーン
エリカ「なんなのオウ!」スパーン
ダージリン「やりたい放題アア!」スパーン

クラーラ「プラウダの科学力は素晴らしいです。何をされても起きないとは」

児玉「」ガクッ

クラーラ「さて、次……」スッ

カチューシャ「」ガタガタガタ

みほ(カチューシャさんだ……)

ケイ(めちゃくちゃ怯えてる……)

エリカ(あの子にはいったい何を……)

クラーラ「カチューシャ様も同様です。このように、ぐっすり眠っていますから」

クラーラ「あむ……ん……チュッ」ペロペロ


カチューシャ「ッ!!?」

クラーラ「んむ……んんっ……」ペロペロ

クラーラ「お顔を舐めまわされても、眉ひとつ動かしませんね」ペロペロ

カチューシャ「……イヤァ ウウ……」

デデーン 全員 アウトー

みほ「ヴイ゛ッ!」スパーン
ケイ「なんなのッ」スパーン
エリカ「アンタどーいうキャラしてあおッ!」スパーン
ダージリン「容赦なしン゛っ!」スパーン

クラーラ「んっ……れろ……」ペロペロ

ケイ「……」

クラーラ「ちゅ……あむ……」ペロペロ

みほ「……」

クラーラ「うんん……んま……」ペロペロ

エリカ「……」

クラーラ「オウイエース……イエア……」ペロペロ

ダージリン「……」

クラーラ「ンンー! イエース! イエエーーース!!」ペロペロペロペロ!!

クラーラ「スウウウウウーーーーーッッ!!」(洋モノ特有の息を吸う音)

クラーラ「シイイイイイーーーーーッッ!!」(洋モノ特有の息を吐く音)

カチューシャ「……グスッ ヒック……ヤメテエ……」

デデーン 全員 アウトー

みほ「長いっ!」スパーン
ケイ「長いわよっ!」スパーン
エリカ「なんで英語うおあッ!」スパーン
ダージリン「ひぐっ!」スパーン

クラーラ「ンッ……ぷはあ。ジュル……カチューシャ様は全然起きませんね」ニッコリ

カチューシャ「」ベットリ

クラーラ「これでわかっていただけましたか? プラウダの技術を」

亜美「すごいわねー! いいものが見られて!」

ケイ「どこが……」

亜美「それじゃ、次のイベントが始まるからそろそろ行きましょうか」

みほ「は、はあ……」

クラーラ「それではまた。アリ~ヴェデルチ~」


エリカ「そこはロシア語じゃないの!?」


──あんこう祭り ステージ会場


亜美「ここに座ってね。あ、ちょうど始まったみたい」

< 隊員たちの素顔に迫る! 大洗女子学園トークショー >

パチパチパチ

大河「みなさんこんにちは! 清く正しい王大河(おう たいが)です!」

エリカ「あの子誰?」

みほ「うちの放送部の子だけど……司会をやってるみたいだね」

大河「学園艦を救った大洗女子学園の戦車道メンバーたち! そんな彼女たちの日常は、いったいどんな姿なのでしょう!」

大河「さらに! 短期転校してきた他校の生徒の方々の素顔にも迫っちゃいます!」

大河「そこで、各学園艦の皆さんをお呼びしてお話を聞こうとおもいます! 拍手でお迎えください!」

パチパチパチ

ゾロゾロ スタスタ


亜美「お祭り当日は、あなたたちがああいう風にステージに上がってお話をするって流れだから。きょうは他の人によるちょっとしたシミュレーションよ」

ケイ「なるほど。実際の現場を見ておくのは大事よね」

大河「まずは大洗のカバさんチーム代表、カエサルさん!」

カエサル「よろしく」

大河「聞けばアンツィオ高校の副隊長、カルパッチョさんとは幼馴染だとか。彼女について何か特別な情報はありますか?」

カエサル「彼女の本名は『ひなちゃん』というのだが、私はその由来を知っている」

大河「ほほう?」

カエサル「これは昔、彼女のお母さんから聞いた話でな。ひなちゃんが病院で産まれ、看護師さんがその体をタオルでくるんだとき、布の合わさり方がちょうど和服のように見えたらしい」

カエサル「それでそこから、ひな人形が連想されたからだそうだ」

ペパロニ「へえ~っ。初耳ッス」

アンチョビ「確かにそういう雰囲気あるよな。お姫さまっぽい感じとか」

カルパッチョ「もう、たかちゃん……恥ずかしいよう」

アハハ ワハハハ


亜美「あんな感じで司会の人がお話を振るから、それにこたえる形ね。なんとなくつかめたかしら?」

みほ「うう……お客さんがいっぱいで緊張しちゃうかも」

大河「これは貴重な情報をいただきました! それでは、今度は別のひとのお話をうかがってみましょう!」

大河「サンダース大付属のナオミさん! あなたの隊長さんは普段どんな感じなんですか?」

ケイ(えっ? あたしのこと?)

ナオミ「そうだね。ケイ隊長のことをよく表した出来事があったんだけど」

ナオミ「今年のサンダースの修学旅行って、グアムだったの。それで飛行機で行ったのね」

ナオミ「2泊3日の予定で、とくに何事もなく無事に帰れるとおもったんだけど」

ナオミ「ケイ隊長が空港のゲートを通ろうとしたとき、麻薬探知犬が激しく吠えたらしいの」

ザワッ!?

大河「ほほう、それはどういうことでしょう? 気になりますねえ~」

ナオミ「すぐさま別室に連れていかれて取り調べ。それはもうすごい動揺が走ったわ」

ナオミ「でも隊長はすぐに出てきて、何もないから通ってよしとの許可がおりた」

ナオミ「安心したけど、なんで吠えられたの? ってクラスメイトが聞いたら」

ナオミ「ケイ隊長は恥ずかしそうに『靴下が臭すぎて犬が驚いた』って答えたそうよ」


ケイ「」

デデーン 西住 逸見 ダージリン アウトー

みほ「おおうっ!」スパーン
エリカ「ぎゃっ!」スパーン
ダージリン「ひどい!」スパーン

ナオミ「うわさによると、あの白いニーソが黒くなるまで遊びまくったとか」

ナオミ「それで常夏のグアムを過ごし続けたんだもの。無理ないわね」

アハハ ワハハハ

ケイ(赤面)「ちょっともうやめてよっ!」

大河「これは貴重なエピソードですね! 完璧に見えるケイ隊長の意外な一面が見られました!」

大河「お次は……聖グロリアーナのオレンジぺコさんにインタビューです」

オレンジペコ「よろしくお願いします」

大河「隊長のダージリンさんとは常に行動を共にしているということで、彼女の意外な姿を知っておられるのでは?」

オレンジペコ「そうですね。例えばダージリン様の手料理は、口にしたら頭蓋骨にヒビが入るくらいマズいです」


デデーン 西住 逸見 アウトー

みほ「うわうっ!」スパーン
エリカ「ウアッ!」スパーン

大河「そうなんですか? 優雅で何でもそつなくこなすイメージがありますが、意外ですね」

オレンジペコ「そうなんですよ」

オレンジペコ「その料理のマズさといったら、においだけで麻薬探知犬も激しく吠えだすレベルなんですけど」

デデーン 西住 ケイ 逸見 アウトー

みほ「えうっ!」スパーン
ケイ「むし返さなくてもいいじゃアッ!」スパーン
エリカ「ひどいウッ!」スパーン

ダージリン(赤面)「ちょっとペコおっ!」

オレンジペコ「先日、ダージリン様が『これは自信作よ!』と手料理を作ってアッサム様にふるまったそうなんです」

オレンジペコ「それで、味の感想を聞いてみたところ」

オレンジペコ「アッサム様は顔をしかめてひと言『キムチをドブに捨てたような味』という謎の言葉を吐いたそうです」

ダージリン(赤面)「」

デデーン 西住 ケイ 逸見 アウトー


みほ「ウエッ!」スパーン
ケイ「ウフフンwwwおなか痛いwww」スパーン
エリカ「どういう表現ウワオ!」スパーン

大河「ありがとうございました! 謎めいた雰囲気のあるお方でしたが、なんだか親近感のわくエピソードでしたね」

大河「ところで謎めいた……といえば継続高校の隊長さんはどんな人なのでしょう? 同じメンバーの方に聞いてみましょう」

アキ「はい。これはミカが小学校の頃の話なんですけど」

ミカ「!?」

アキ「ある日インコを飼ってる友達の家に遊びにいったとき」

アキ「そのインコにこっそり『人間に戻して』って言葉を覚えさせて、出入り禁止を食らったことがあったそうです」

デデーン 全員 アウトー

みほ「ひどい!」スパーン
ケイ「ひどすぎ!」スパーン
エリカ「発想がウッ!」スパーン
ダージリン「子供は時として残酷アア!」スパーン

アキ「ある日突然『モドシテ! ニンゲンニ、モドシテ!』って鳴いたもんだから、もうそれがトラウマで小鳥が飼えなくなっちゃったらしいです」

アキ「で、それ以来その子とは絶交なんだって」


大河「自業自得の見本みたいな話ですね!」

ミカ「」

アキ「『人は失敗する生き物だからね。大切なのはそこから何かを学ぶってことさ』って偉そうに言ってるけど、ミカの失敗からは何も得られないよ」

ミッコ「せいぜい『小鳥にアホな言葉を覚えさせてはならない』ってとこだな~」

アキ「こんなふうに、ミカがちょっと変わった感じなのはどうやら生まれつきみたいです」

アキ「そういえば最近もまたミカのおかしな奇行があったんですけど」

ミッコ「あーあったあった。トウモロコシの話だろ」

大河「トウモロコシですか? くわしく聞かせてください」

アキ「寄港先でミカがなぜかトウモロコシを持ってたから、それどうしたの? って聞いたら」

アキ「『橋の下で暮らしている人たちにもらったのさ』だって」

ミッコ「逆だろ。フツー」

ケイ「フフッ」

ダージリン「ウフフン」

デデーン ケイ ダージリン アウトー


ケイ「あっは!」スパーン
ダージリン「うあ!」スパーン

大河「ンフ……ンッフ なんでもらったのかが気になりますねフフッ……ほかにはありますか?」

アキ「あ、はいせっかくなのでもうひとつ」

ミカ「も、もうやめておくれ……」プルプルプル

アキ「うちの高校って貧乏で、ときどきフリーマーケットとかでお金を集めてるんだけど」

アキ「ミカが出品したのは、自分が小さい頃の、もう着られなくなった服だったんだ」

アキ「その結果」

アキ「買いに来たお客さんはオジサンばっかりだったよ」

エリカ「気持ち悪ッ!!」

ケイ「ジーーザス!!」

デデーン 西住 ダージリン アウトー

みほ「かわいそヴッ!」スパーン
ダージリン「いやあっ!」スパーン

ミッコ「ちょっと考えればどうなるか分かりそうなもんだけどな~」

アキ「あんなにおびえた顔したミカは初めてでした。でも自分の身は自分で守らないと」

ミカ「」


大河「いや~クールなイメージだった継続の隊長の、意外な面が見られましたね」

大河「……っと、お時間が迫ってきました。それでは最後はこの方にお願いしましょう」

まほ「はい」

みほ(えっ お姉ちゃん!?)

大河「大学選抜戦ではピカイチの活躍を見せた西住まほ選手」

大河「なんといっても最後の、空砲による奇襲! あれは見事なものでしたね」

まほ「ああ、私が直々に妹のケツをガン掘りしたところだな」

みほ「ングッ」

デデーン 西住 逸見 アウトー

みほ「そんな表現しないでっ!」スパーン
エリカ「戦車の話ですよねっ!?」スパーン

大河「やはり、姉妹の絆がなせるわざだったということですか?」

まほ「うん。年も近いし、昔はよく一緒に遊んだりしたものだ」

まほ「戦車に乗って遠出をしてアイスを食べたり、釣りに行ったり、毎日泥だらけになって帰ってきてはお母様に叱られていたな」

大河「ほほう。泥だらけとは意外ですねえ。現在のおふたりからはあまりイメージがつきませんが」


まほ「皆は意外に思うかもしれないが、昔のみほはもっと明るくて、エリカはアウトで、なんというか、おてんばなところがあったんだ」

大河「へえ~っ! 興味深いです!」

エリカ「えっ?」

デデーン 逸見 アウトー

エリカ「に゛ゃっ!」スパーン

ダージリン(息をするように罰を……)

まほ「その証拠がビデオに収められている。この画面を見てほしい」

みほ「!?!?」

ピッ ウイーン

──10年前 某所ショッピングモール

『みほ! 帰りますよ……みほっ!!』グイグイ

『やだやだやだーーーっ!』

『買って買ってかってようー!!」ジタバタ

『ボコのぬいぐるみ欲しいーーっ!!』ジタバタジタバタ

『だめです。もう何個もうちにあるでしょう! あんなにたくさん要りません!』


『お母さんのけちー!』

『けち住しほーっ!』

『けち住流の師範代ーーっ!!』

『ちょっ……! やめなさいそんな言い方!』

『けち住流は何も買ってくれないドケチ戦法だーっ!!』

『いい加減にしなさい! 置いて帰るわよ!』

『ふーんだ! うそだよそんなこと言ってー!』

『お母さんはわたしのことがすきだから ひとりで帰れないくせにー!!』

『なっ、なな……!!』カアア


ドッ ワハハハ! カワイイー!

デデーン 全員 アウトー

ケイ「じゃじゃ馬にもほどがあるでしょwww」スパーン
ダージリン「ウッフフwwwみほさんwww」スパーン
エリカ「なんなのよコレwww」スパーン
みほ(赤面)「……///」スパーン

大河「あっはは! みほさんの当時がわかる、貴重なシーンですね!」

まほ「フフフ……だろう?」


大河「それではお時間がきましたのでトークショーを終了します! それでは!」

パチパチパチ

ダージリン「……小さい頃のみほさん、クレヨンしんちゃんみたいだったわね」

ケイ「それも初期のほうよね?」

エリカ「けち住って……その理屈だとアンタの苗字もけち住じゃない」

みほ「……もうその話はしないでください」

亜美「それじゃ、次のイベントがあるまでほかを見て回りましょうか」

ケイ「……ん、あのテントは?」

カルパッチョ「いらっしゃいませ~♪ いかがですか~っ♪」

ペパロニ「おいしいパスタだよ~っ!」

ダージリン「あら、見覚えのある方々が」

みほ「アンツィオのみなさん、屋台を出してますね」

アンチョビ「おっ、いらっしゃ~い。ナポリタンはどうだい?」

カルパッチョ「できたてホッカホカですよ♪」

ケイ「おいしそうね~ひとつもらおうかしら! あ、このピザもいいわね! 追加でちょうだい」


ペパロニ「まいどっ!」

ダージリン「あなた……よくお腹に入るわね。さっきあんこう汁のほかに串カツも食べたばっかりなのに」

ケイ「うん?」モグモグ

ケイ「別によかやろ? 旨かもんは別腹ばい」

ダージリン「ウフフン」

みほ「ンフッ」

エリカ「なんで方言なのよフフッ」

デデーン 西住 逸見 ダージリン アウトー

みほ「ああっ!」スパーン
エリカ「ぐっ!」スパーン
ダージリン「あんっ!」スパーン

ケイ「ソーリーソーリー。気が緩むとつい出ちゃうのよね」モグモグ

優花里(パンチパーマ)「あ、ケイ殿。奇遇ですね」

ケイ「グブフォ」(噴出)

デデーン ケイ アウトー

ケイ「ア゛オ゛!」スパーン


みほ「……ゆ、優花里さん、さっきはどうもありがとう」

優花里(パンチパーマ)「いえいえお安い御用ですよ! ところでみなさんもアンツィオの料理を?」

ケイ「ゲホ……ええまあそんなところね」

優花里(パンチパーマ)「ここのパスタ、いいですよね! あ、ナポリタン3つください」

ペパロニ「はいよっ!」

ダージリン「3つも? なぜ?」

優花里(パンチパーマ)「せっかくですから両親のぶんも買っておこうとおもいまして」

ケイ「いい子じゃないオッドボール。優しいわね」

ダージリン「ご両親もお祭りに来てるというの?」

優花里(パンチパーマ)「ええ。あとからやってくるそうなんですが……あ、もう着いてますね。こっちにくる姿が見えます」

好子(パンチパーマ)「あら優花里。お友達?」

みほ「ウフンッ」

ケイ「ンハフフッ」

デデーン 西住 ケイ アウトー


みほ「うぐう!」スパーン
ケイ「ナ゛ア!」スパーン

優花里(パンチパーマ)「あ、お母さん。はいこれナポリタン買っておいたよ」

好子(パンチパーマ)「まあまるでプロの料理みたい! おいしそうね~!」

優花里(パンチパーマ)「ところでお父さんは?」

好子(パンチパーマ)「飲み物を買ってくるって言ってたけど……」

オーイ

好子(パンチパーマ)「あ、きたきた」

淳五郎「優花里、お疲れ様」

ダージリン「……全員パンチパーマね」

エリカ「どんな家庭なのよ」

ケイ「ンフッ! ちょっとウフフンやめてよもうwww」

デデーン ケイ アウトー

ケイ「無理! お尻が無理!!」スパーン

淳五郎「おっ、パンチパーマに興味がおありで?」

淳五郎「それならひとつパンチパーマの豆知識をお教えしましょう」


みほ「?」

エリカ「はあ」

淳五郎「パンチパーマは一度かけると、修復ができない強力なパーマです」

淳五郎「だから元に戻すには、新しく髪の毛が生えてくるまで待つしかありません」

淳五郎「ま、この2人はあと3~4か月はこのままでしょうな。ハッハッハ!」

デデーン 全員 アウトー

みほ「なんでううっ!」スパーン
ケイ「ひゃあアアン!」スパーン
エリカ「意味わかんなアア!」スパーン
ダージリン「イイッ!」スパーン
(※割とマジでそんな感じでした)

優花里(パンチパーマ)「それじゃ西住殿、私たちはここで」

好子(パンチパーマ)「お祭り、楽しんでいってね」

淳五郎「これからもうちの優花里をよろしく頼みます」

みほ「……は、はあ」

亜美「さすがアンツィオね~。グルメに関しては他の追随を許さないってところかしら!」

ローズヒップ「そんなことはありませんわー!! うちだって負けていられませんですのよー!!」


みほ「えっ!?」

ローズヒップ「いらっしゃいませでございますわー! おひとついかがでございますわー!」

ダージリン「ローズヒップ!?」

ローズヒップ「あっ、ダージリン様! ごきげんようですわー!」

ダージリン「このテントの校章って、うちの学校のよね……。どういうことなの?」

ローズヒップ「じつはわたくし、アッサム様と一緒にお店を出すことになりましたの!」

アッサム「ようこそ皆様」

ダージリン「まあアッサムまで!?」

アッサム「わたしたちはイギリス料理の応援大使として、伝統にのっとった食べ物を紹介しています」

アッサム「きょうは大洗の皆様に、イギリス料理はおいしくないというステレオタイプの認識を見直してもらうよう、こうして参上したのです」

みほ「伝統的って、たとえばどんなお料理があるんですか?」

アッサム「これなんかどうでしょうか。イギリス風ミートパイ『コーニッシュ・パスティ』です」

ケイ「へえ~っ。意外と大きいわ! パイっていう名前のイメージとは違って、見た目もサイズもなんだかオムレツみたい!」

アッサム「皆様もおひとついかがでしょう。切り分けてあげますね」


みほ「わあっ、ありがとうございます!」

ケイ「遠慮なくいただくわ!」

ダージリン「あら、これって……」

エリカ「モグ……中にはじゃがいもと、玉ねぎ、にんじん、それに牛のひき肉が入ってるわね」

ケイ「なんというか、ソース味の肉じゃがをパイ生地で包んだイメージかしら。うんうんイケるじゃない!」

アッサム「この味付け、ダージリンの好物なんですよ」

みほ「なるほどこのおいしさなら納得です! ダージリンさんは素敵な感性をお持ちなんですね!」

ダージリン「もう……みほさんったら」(※好きな食べ物:ミートパイ)

ローズヒップ「それから代表料理のフィッシュ&チップスもどうぞですわ。これもダージリン様は好んでよくお召し上がりになってますの!」

ケイ「おおっこれがあの有名な! さっそく……う~んこれもおいしい!」モグモグ

ローズヒップ「ダージリン様は、ミートパイやこうしたフライの料理がお好きでいらっしゃいますのね!」

アッサム「はい。ダージリンは好きなんです。パイやフライが」

ローズヒップ「なるほど~っ! パイやフライが!」


アッサム「はい。パイやフライが」

ローズヒップ「ダージリン様はパイやフライが!」

アッサム「パイやフライが」

ローズヒップ「パイやフライが!」

アッサム「ダージリンは」

ローズヒップ「ファイヤフライが!!」















デデーン ダージリン ファイアフライ

ダージリン「えっ」

~♪ジャンガジャンガジャンガジャンガ
~♪ジャンガジャンガジャンガジャンガ
(ナオミがファイアフライを駆るときのゴキゲンなBGM)


ナオミ(ガムを噛んでる) スタスタ

ダージリン「え……嘘……」サーッ

ナオミ(無言で素振り) ビュワッ!

ダージリン「ま、待って、待ってまってまって!!」

ダージリン「ねえなんで……なんでわたくしがこんな目に……」

ナオミ「……」

ダージリン「お願いよ何とか言って! わたくしあなたに何かしたの!??」

ナオミ「……」

ダージリン「……?」ビクビク

ナオミ「……劇場版で私のこと『17ポンド砲さん』って呼んだから」

ダージリン「」

ナオミ「オーケー? じゃ、いくよ。届けてあげるわ」

ダージリン「ああっ……何で、なんでよお……」ガタガタ

ダージリン「ナオミさんやめてお願いお願い頼むからやさしくしア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーッ!!!」バシーーーーン!!!!

ナオミ「フーーッ」


~♪ジャンガジャンガジャンガジャンガ
~♪ジャンガジャンガジャンガジャンガ
(ナオミがファイアフライを駆るときのゴキゲンなBGM)

ダージリン「……あっ ああっ……」ビクビクッ

ローズヒップ「おお……こんなダージリン様みたことありませんわ」

亜美「へえ~っ。 イギリス料理を見直したわ。もう安易にメシマズの国だなんて呼べないわね」

ケイ「そこ!?」

ダージリン「も、もっと気にするところがおありでしょう……」ガクガクガク

アッサム「ダージリン」

ダージリン「なっ なに……? アッサム……」プルプルプル

アッサム「なんですかその恰好は……みっともないですよ」

ダージリン「えっ」

アッサム「聖グロリアーナの生徒たる者、いかなるときも?」

ダージリン「」

アッサム「いかなるときも?」

ローズヒップ「いかなるときも?」


ダージリン「……」

ダージリン「…………」

ダージリン「ゆ、優雅ぁ……」

デデーン 西住 ケイ 逸見 アウトー

みほ「あああっ!」スパーン
ケイ「のおおっ!」スパーン
エリカ「ぐぎっ!」スパーン

亜美「それじゃお腹もふくれたことだし、ステージ会場に行きましょうか」

みほ(教官の心臓、強いなあ……)


──再びあんこう祭り ステージ会場


亜美「次のプログラムは……あ、これはみほさん喜ぶんじゃない?」

みほ「?」

亜美「毎年のあんこう祭りでは着ぐるみショーがあるんだけど」

亜美「きょうは特別にボコミュージアムからも出張してきて、限定コラボのスペシャル版ですって!」

みほ「うええっ!? ほんとうですかっ!?」


ケイ「うおッ!? ミホあなたそんな大声でるの!?」ビクッ

エリカ「あのヘンな熊のショー? どこがいいのよあんなの」

みほ「そんなことないです! ボコは素敵です!」

亜美「あ、そろそろ始まるみたいね。ハイこれ」

みほ「?」

ダージリン「これは?」

亜美「お客さんに持たせるペンライトよ。ショーの合間にこれを振って応援してね」

エリカ「小さい……これって低年齢向けのやつなんじゃ……」

ケイ「あたしたちもう高校生なんだけど、いいの?」

みほ「あ、もうすぐ始まるみたい! 楽しみ~っ!」

ダージリン「まあ、みほさんが喜んでいるから、いいとしましょうか……」


~♪ やってやる やってやる やあってやるぜ~

~♪ イ~ヤな ア~イツを ボ~コボコに~~


ボコ『おうっ! お前らよく来たな! おいらボコだぜ!』

みほ「生ボコだあ~~~っっ!! かわいい~~っ!!」キラキラ


ボコ『学園艦なんかボコボコにして、廃校にしてやるぜ!』

みほ「えっ」

ケイ「ホワッツ!?」

エリカ「ええっ!?」

ダージリン「どういうこと……」

ボコ『全国の学園艦は、み~んな廃校だあーーっ!!』

ボコ『まずは手始めに……この大洗女子学園を廃校にしてやるぜ!』

みほ「ボコ……なんでそんなこと言うの……」


 ──そんなこと、させないっ! 


みほ「!?」

梓「西住隊長が守った学園艦! 今度はわたしたちが守るんだっ!」」

あゆみ「お願いボコ、目を覚まして!」

優季「きっと、敵に操られてるんだよお~」

あや「だったら、ボコボコにして正気に戻すしかないよ!」


桂里奈「ショック療法だー! やったるぞーー!」

紗希「……!」

梓「みんな、いくよっ!」

桂里奈「おりゃあーーっ!」ゲシゲシ

あや「この、このっ!」ポカポカ

ボコ『ウグウッ! ギャアッ!』

ケイ「ラビットのチームのみんなが……どうして?」

亜美「大洗の生徒による一日限りの特別コラボショーよ」

亜美「悪の組織『ヤークニン』に操られて、廃校のことしか考えられない怪人『ハイコウダー』になってしまったボコを救い出すシナリオのようね」

エリカ「どこかで聞いた名前……」

ボコ『ウアア……何をするううっ……!』

みほ「ボコ、がんばれっ、がんばれーーっ!!」

ボコ『もっとオイラに力を!』

みほ「がんばれっ! がんばれーーーっ!! ボコーーーッッ!!」

ボコ『きたきたきたアアーーーーッ!! みんなの声援がオイラのパワーになったぜ!!』


ボコ『矢でも鉄砲でも持って来いってんだ! お前らまとめてやってやらアーーーっ!!』ガバッ!!

梓「キャッ!?」

あや「梓っ!?」

ボコ『オラオラオラーーーッ!!』ブンブン

桂利奈「あっ、あいいーーーっ!?」

あゆみ「うわわっ!? なんだかきょうのボコは強いよ!?」

あや「ど~しよ~~っ!?」

優季「想定外~~っ!」

トントン

梓「?」

紗希「……っ」

梓「紗希が何か言おうとしている!」

あや「わああっ!」

紗希「……」

紗希「……」


紗希「…………」















紗希「……ちょうの」

みほ「……えっ?」


蝶野正洋「ガアアッ!! デエエエエィム!!!」


~♪デデデデーデケデケデー
~♪デデデデーデケデケデー
(あのテーマ曲)

蝶野「アイ・アム・チョーノ!!」

蝶野「ガアルズエエェン、パンタアァ! 応援大使だ!!」

みほ「」
ケイ「」
エリカ「」
ダージリン「」


みほ「……ど、どうしてあの人がボコのショーに……!?」ガタガタガタ

亜美「そりゃあ応援大使ですもの。呼ばれて当然でしょ」

亜美「それに、実はボコの隠れファンだったらしいし、夢が叶って良かったわ~」(岩をも砕くような大ウソ)

エリカ「ええ~っ……」

ボコ『オイラに挑むとは命知らずなやつめ! さっそくお前から廃校にして……』

蝶野「何が廃校だオラアア!!!」バチーーーーン!!!

ボコ『グワーーーーッ!!!』ドンガラガッシャーーン!!

みほ「うわあ~~~~っっ!!」キラキラ

ボコ『オ゛……オゴ……』ピクピク

ボコ『』ガクッ

ダージリン「い、一撃で……」

あや「やったーっ!」

桂里奈「やっつけたーーっ!」

あゆみ「わーーいっ!」

梓「これで廃校はなくなったんだね!」


優季「蝶野のおじさん、ありがとう~っ!」

紗希「……」ニッコリ

蝶野「ガッ!! デエエム!!!」デーン!

ダージリン「ああなるほど、こういう……」

みほ「すごいすごーいっ!」

蝶野「……それにしても、妙だ」

蝶野「いつもなら楽にやっつけられるはずのボコが今日は強かった」

蝶野「これはおそらく、どこかでボコとつながっている奴がいるからだ」

蝶野「廃校に手を貸すやつを絶対に許すわけにはいかねえ!」

蝶野「そこでだ! いまから敵のスパイを探し出す」

蝶野「もしもボコを応援する道具を持っていたら」

蝶野「……そいつに制裁を加える」ギリッ

ダージリン「えっ」

エリカ「えっ?」

ケイ「あっ……」


みほ「」ガタガタガタ

蝶野「そこに座っているお前ら、手に持っているものを見せてみろ。……何だそれは」

ダージリン「……お、応援用のペンライトです」

蝶野「どっちを応援した?」

ダージリン「そっ それは当然……大洗女子の皆様を」

蝶野「……まあいいだろう。金髪の女の子に悪い奴はいないからな。次」

ケイ「イ、イエス……」

蝶野「どっちを応援した?」

ケイ「ラビットのチームを……」

蝶野「そうか。次」

エリカ「私も、そうです……」

蝶野「わかった。次はお前……」

みほ「」ガタガタガタ

蝶野「……どっちを、応援した?」

みほ「……」プルプルプル

みほ「……う、ウサギさんチームを」


みほ「」ガタガタガタ

蝶野「そこに座っているお前ら、手に持っているものを見せてみろ。……何だそれは」

ダージリン「……お、応援用のペンライトです」

蝶野「どっちを応援した?」

ダージリン「そっ それは当然……大洗女子の皆様を」

蝶野「……まあいいだろう。金髪の女の子に悪い奴はいないからな。次」

ケイ「イ、イエス……」

蝶野「どっちを応援した?」

ケイ「ラビットのチームを……」

蝶野「そうか。次」

エリカ「私も、そうです……」

蝶野「わかった。次はお前……」

みほ「」ガタガタガタ

蝶野「……どっちを、応援した?」

みほ「……」プルプルプル

みほ「……う、ウサギさんチームを」


蝶野「本当にそうか?」

みほ「は、はい……」ビクビク

蝶野「だったらお前……そのペンライトの手元を見ろ」

みほ「……?」

蝶野「手元の柄(つか)のとこに、ボタンがあるだろ。押してみろ」

みほ「は、はい……」ポチッ


>がんばれっ! がんばれーーーっ!! ボコーーーッッ!!


みほ「」

蝶野「……」

蝶野「…………」ズイッ(みほの顔ににじり寄る)

デデーン ケイ 逸見 ダージリン アウトー

ケイ「いっ!」スパーン
エリカ「があっ!」スパーン
ダージリン「ぴっ!」スパーン

蝶野「……お前」


みほ「違います!! 違うんです!!」

蝶野「上がれ。壇上に」グイグイ

みほ「イヤアアアアッ!!」グイィ

蝶野「おまえは自分の学校を廃校にさせたいのか」

みほ「違います!! 違います!! 何かの間違いです!!!」

蝶野「だったら堂々としてればいいだろ。なんでウソをついた」

みほ「だって、だって……」

蝶野「こっちへ来い。俺がお前の目を覚ましてやる」グッ

みほ「ウソ……」サーッ

蝶野「いくぞ」

みほ「やっ や゛だ゛あ゛あ゛……」ガタガタガタ


『待ったーーーーーーっっ!!!!!』


みほ「!!?」

バン!!

お銀(あんこうスーツ)「竜巻のお銀!」


フリント(あんこうスーツ)「大波のフリント!」

ラム(あんこうスーツ)「爆弾低気圧のラム」

ムラカミ(あんこうスーツ)「サルガッソーのムラカミ!」

カトラス(あんこうスーツ)「……生しらす丼のカトラス」

みほ「!?!?!」

ケイ「えっ 誰!? 誰!?」

お銀(あんこうスーツ)「西住さんを放してもらおうか。その人は、あたしたちに必要なんだ」

フリント(あんこうスーツ)「桃さんが無事に卒業できるまで、まだまだ活躍してもらわないとね」

お銀(あんこうスーツ)「ま、それが叶う最終話までどれくらい時間がかかるか、わからないけどね!」ドヤア

ラム(あんこうスーツ)「うほっ!」

ケイ「ウフフンッ」

ダージリン「ンフッ」

(すでに笑っていますが、引き続きお楽しみください)

カトラス(あんこうスーツ)「もちろん、タダでとは言わない」


ムラカミ(あんこうスーツ)「あんこう祭りにふさわしい……こ、この……あんこうスーツで、踊るから……か、勘弁してやってくれねえか?」モジモジ

お銀(あんこうスーツ)「照れてるんじゃないよムラカミ。こういうのは、ヘンな見た目ほど逆に堂々としていた方がお客さんに受けるのさ」

お銀(あんこうスーツ)「ま、これ以外に変な服を着た経験は……ないけどね!」ドヤア

ケイ(ドヤ顔と格好のギャップが……)

ダージリン(なぜかしら……あの人の言い回し……どことなく同じにおいがします)


~♪アアアンアン アアアンアン

~♪アアアン アアアン アンアンアン


お銀(あんこうスーツ)「あ~の子会いたや あっらなみ越えて~♪」

お銀(あんこうスーツ)「頭のあかりは あ~いの証~♪」

ラム(あんこうスーツ)「燃やして♪ こがして♪」

ムラカミ(あんこうスーツ)「ゆ~らゆらあ~~♪」バルルン バルルン

フリント(あんこうスーツ)「燃やして♪ こがして♪」

カトラス(あんこうスーツ)「ゆ~らゆらあ~~♪」ペターン ペターン

お銀(あんこうスーツ)「こっち来て アンアン♪ 逃げないで アンアン♪」


サメさんチーム『波に揺られて アン♪アン♪アン♪』ババッ!

~♪ デッデデー デッデデー デーデーデン!

サメさんチーム『……』

サメさんチーム『…………』ペコリ

ダージリン「意外と礼儀正しい……」

お銀(あんこうスーツ)「それじゃ野郎ども! 引き上げるよ!」

『 ヨーソローーッッ!! 』

ゾロゾロ スタスタ

デデーン 全員 アウトー

みほ「わああっ!」スパーン
ケイ「なんなのっ!」スパーン
エリカ「ああもうっ!」スパーン
ダージリン「ああううっ!」スパーン

ボコ『うっ ううう……』ムクリ

ボコ『オ、オイラは何を……?』

みほ「ボコ!?」


亜美「サメさんチームのまごころが、ボコの心を浄化してくれたのね! よかった~っ! 正気に戻ったことだし、これにて一件落着ね!」

エリカ「意味わかんない!」

亜美「このショーがフィナーレになるから、いちおうイベントはこれでおしまい。みんなどう? これで、あんこう祭りの段取りがわかったでしょ?」

みほ「え、ええ……」

ダージリン「もうツッコむ気力もありませんわ……」

亜美「それじゃ旅館へ向かうから……ここで車を待ちましょうか」

みほ「車って、もしかしてまた……」

優花里(パンチパーマ)「おまたせしました~」ガラガラ

ケイ「ンフフン」

デデーン ケイ アウトー

ケイ「ホワア゛!」スパーン

エリカ「いい加減慣れなさいよ……ってアラ?」

新三郎(大洗の制服)「どうもッ! おまちどうッ!」ガラガラ

デデーン 全員 アウトー


みほ「んああ!」スパーン
ケイ「何でっ!」スパーン
エリカ「意味わかんない!」スパーン
ダージリン「ああもうっ!」スパーン


タッタッタ ガラガラ・・・


亜美「こうして人力車でゆっくり移動してみると、大洗のいろんな風景が楽しめるわね」

優花里(パンチパーマ)「みなさんあの山を見てください。紅葉がとってもきれいです!」

みほ「あ、ほんとだ……」

亜美「大洗って素敵よね。観光にぴったりなところがたくさんあるって分かるでしょ?」

ダージリン「まあ、確かにそうなんですけど……」チラリ

典子「根性ーーっ!」タッタッタ

あけび「声出していくよーーっ!」タッタッタ

忍「いち・に! いち・に!」タッタッタ

みほ「わざわざ走ってついてこなくても……」

亜美「トレーニングも兼ねてってことで、向こうからの申し出らしいわ」

妙子「あ、どうぞおかまいなくー!」タッタッタ

あけび「それほど遠くありませんから、安心してくださーい!」タッタッタ


エリカ「ええ~っ……」

ケイ「まあ、いいけど……」

亜美「大洗の魅力はいまや、多くの人たちの心をもつかんでいるわ」

亜美「あ、あそこにヒッチハイクの旅行者がいるわね」

みほ「?」

役人「……」スッ

みほ「!?」

< → 廃校 >

デデーン 全員 アウトー

みほ「があっ!」スパーン
ケイ「目的地はどこっ!?」スパーン
エリカ「意味わかんない!」スパーン
ダージリン「ぴっ!」スパーン


タッタッタ ガラガラ・・・


──某旅館内 ロビー

亜美「さあ着いたわ。ここが大洗でもとくに評判だという温泉旅館『ほしいも』よ」


みほ「うわあ、大きい~っ」

ケイ「きれいなところね~っ!」

ダージリン「それじゃさっそくチェックインを……って、アラ?」

華「いらっしゃいませ。ようこそ」

みほ「あれ、華さんが受付に?」

華「わたくし、ここの旅館のお手伝いをさせていただくことになりました」

華「さっそくですが、当旅館のシステムについて……」プシュッ

(缶のコーラ)

みほ「!?」

華「これを飲み干し、最後まで1度もゲップをせずにご説明いたします」

エリカ「意味わかんない!」

華「グビッ ゴク ゴク……」

華「ぷはあ。露天風呂の使用時間は夜の10時まオ゛エ゛エ゛ッ゛」

デデーン 全員 アウトー

みほ「ううっ!」スパーン
ケイ「オウ!」スパーン
エリカ「ムチャクチャよ!」スパーン
ダージリン「あああっ!」スパーン


華「ゲフ……お部屋はあんこうの間をご用意しました。そこでごゆるりとなさってください」

亜美「さすがはここの若女将ね。立派な接客だわ」

ケイ「いやいやおかしいでしょ」

みほ(華さんのお母さんが見たらまた失神しそう……)

愛里寿「あ、みほさん。奇遇だね」

みほ「愛里寿ちゃん!?」

ケイ「どうしてここに?」

愛里寿「ここの温泉は有名。特に、お肌がつやつやになる美人の湯があるんだって」

みほ「へえ~っ」

愛里寿「それで、うちのババアの若作りのために一緒に連れてこられたの」

デデーン 全員 アウトー

みほ「言い方っ!」スパーン
ケイ「口が悪い!」スパーン
エリカ「ううっ!」スパーン
ダージリン「なあっ!」スパーン

愛里寿「寄る年波には勝てないのに、無駄なあがきだとおもわない?」


愛里寿「しかもデトックスだとか言ってサウナに長いこといたもんだからのぼせちゃってるし」

愛里寿「老いて弱った身体のくせに無茶するからだよ。しょうもないっ」

みほ「愛里寿ちゃん反抗期なの……?」

愛里寿「久しぶりに一緒にお風呂に入ったけど、年を取るとホントに身体って錆びつくんだね」

愛里寿「私の知らない間に、なんか乳輪が安いハムみたいな色になってた」

デデーン 全員 アウトー

みほ「んんーっ!!」スパーン
ケイ「なんてこと言うのよアア!」スパーン
エリカ「ああーッ!」スパーン
ダージリン「ひどいッ!」スパーン

千代「愛里寿、心配かけたわね。もう大丈夫よ」

愛里寿「お母様っ!」パアア

みほ「!?」

エリカ「!?」

愛里寿「私、もう気が気じゃなくて……とっても心配しました」

愛里寿「無理しないで……いまのままでもお母様はじゅうぶんキレイなんですから」ギュッ


千代「あらあらウフフ、フフ……ごめんね」

愛里寿「それじゃみほさん、またね」スタスタ

みほ「……」

ダージリン「……あの子、おそろしいわね」

ケイ「さっきのセリフ、台本だと信じたいわ……」

亜美「いやー、浴衣が似合ってたわね。さすがは島田流の家元」

エリカ「えっ そこ?」

亜美「あ、あそこにも浴衣姿のお客さんがいるわね。親子連れかしら」

みほ「!!?」ビクッ!

しほ「……」
常夫「……」
まほ「……」

エリカ「西住家が勢ぞろい……」

ダージリン「みほさんのお父様、初めて見ました……」

みほ「何で……何でみんないるの……」

しほ「いいお湯でしたね、あなた」


常夫「……」コクリ

しほ「久しぶりの温泉で、まほもリラックスできたでしょう」

まほ「うんっ♪ そうだねママ♪」

デデーン 全員 アウトー

みほ「こんなのおかしいよ!!」スパーン
ケイ「なんでよオオッ!」スパーン
エリカ「隊長おおっ!」スパーン
ダージリン「ああんっ!」スパーン

まほ「わあっ、エリちゃん」

エリカ「ブッッ!!」

まほ「エリちゃんやみっちゃんも、ここの温泉でポカポカしにきたの?」

デデーン 西住 逸見 アウトー

みほ「お姉ちゃんはそんなこと言わないっ!!」スパーン
エリカ「~~っ!!」スパーン

ダージリン「まほさん……脳みそのシワがなくなったかのような口調に……」

ケイ「ていうかあなたそんなにキャピキャピした話し方じゃないでしょ!?」

まほ「ほんとうにそうかな? ちょっとこれを見て」スッ

ケイ「?」



第8話のまほのセリフ:「私はお母様と一緒で西住流そのものです」
第10話のまほのセリフ:「みほはマニュアルにとらわれず臨機応変に事態に対処する力があります」


まほ「ホラ、たった2話の間で声が全然違うでしょ? いつの間に声変わりしたのかな?」

みほ「ムグッ」(唇を噛みしめる)

エリカ「ン゙ッ」(目をそらす)

ダージリン「唐突に何を」

まほ「ねえねえパパ~。パパってばあ」

常夫「……?」

ダージリン(その口調を貫くのね……)

まほ「パパって、どうしてママと結婚しようっておもったの?」

しほ「!?」

まほ「ひとから聞いたんだけど、パパのほうから結婚したいって言ったんでしょ?」

まほ「ママのどこがよかったの? 理由は?」

常夫「……」


常夫「…………」

常夫「…………ひ」

まほ「?」

しほ「……」ドキドキ















常夫「…………人助けで」

しほ「」

デデーン 全員 アウトー

みほ「ウソだーっ!!」スパーン
ケイ「もっとこうアア!!」スパーン
エリカ「なんでよオオオっ!」スパーン
ダージリン「ひンッ!」スパーン

亜美「アハッハッハッハ!! ウッヒャッヒャッヒャッ!!」


亜美「お腹がちぎれッ……ひッ 人助け!? 人助けなの!? ホヒャッヒャッヒャッ!!!」

しほ「蝶野あなた素で笑ってるんじゃないわよ!」

亜美「ンンッ フッ……ゴホン! そ、それじゃフフン部屋に案内するわねンフフ……」

エリカ(教官、まだツボにハマってる……)


──あんこうの間


みほ「つ、疲れた……」

エリカ「旅館の中でも仕掛けがあるなんて……」

ダージリン「わたくしたち、このままもつかしら……」

ケイ「まったくだわ」

ケイ「こいなん耐えきれん。うちらのケツば ふとう(大きく)なるわ」

みほ「ウフフン」

ダージリン「だからンフフッなんで方言を」

デデーン 西住 逸見 ダージリン アウトー

みほ「でーッ!」スパーン
エリカ「不意打ちっ!」スパーン
ダージリン「巻き込むのはやめてっ!」スパーン


コンコン

みほ「? どうぞ」

華「失礼いたします。みなさんの浴衣を準備いたしますので、サイズをうかがいに参りました」

みほ「あ、はい。じゃあ私はSサイズで」

華「かしこまりました。ダージリン様は?」

ダージリン「わたくしも同じく」

華「はい。ケイ様は?」

ケイ「あたしはMサイズでお願い」

華「はい。かしまりました」

華「それでは催眠ハンバーグ様は?」

エリカ「えっ」

デデーン 西住 ダージリン アウトー

みほ「ああっ!」スパーン
ダージリン「ううっ!」スパーン

エリカ「意味わかんない! 変な属性押し付けないでよ!」


華「しかし……逸見さんのネタキャラ扱いは他を圧倒しています。いままでの変遷ですが……」

< 小物 → ツンデレ → 催眠音声 → ハンバーグ → わに >

華「時間の経過とともにどんどんひどくなっています。こんなに報われない人も珍しいですね」

エリカ「やかましい!」

みほ「ンフフン」

デデーン 西住 アウトー

みほ「うわあうっ!」スパーン

エリカ「アンタも笑ってんじゃないわよ」

華「それで催眠ハンバーグ様。サイズは?」

エリカ「……」

華「催眠ハンバーグ様?」

エリカ「……」

華「お返事なさってください催眠ハンバーグ様」

エリカ「……」


華「催眠音声の聴きすぎで耳がバカになってるんですか?」

エリカ「ハアアッ!?」

デデーン 西住 ケイ ダージリン アウトー

みほ「ひどいよっ!」スパーン
ケイ「なんちゅうこと言ってウアア!」スパーン
ダージリン「なあっ!」スパーン

華「ねえお願いですから催眠ハンバ……」

エリカ「ああもうしつこいわね! Mサイズでいいわよ!」

華「かしこまりました。それでは浴衣はそれぞれこちらになります。ごゆっくりどうぞ」スッ

亜美「せっかくだし、着替えたらこのままお風呂に入りましょうか。みんな支度して頂戴」


──大浴場 脱衣所


みほ「はあ……」

ダージリン「みほさん浮かない顔ね」

エリカ「家族ぐるみで仕掛けられたらそりゃあ、そうよね……」

ケイ「まあひとっ風呂浴びてさっぱりしましょ」ヌギヌギ

みほ「ええ、はい……ってケイさん!?」


ケイ「?」

みほ「その……何をしてるんですか!?」

エリカ「素っ裸で鏡の前に……」

ケイ「何って……自分の身体をくまなくチェックするのが日課なのよ」

ダージリン「それにしたって……少しは隠そうとなさって!」

ケイ「女だけなんだし気にしない気にしない! さ~て体重はっと……」

ピピッ

ケイ「あっ! ふ、増えてる……」

エリカ「そりゃそうよ。きょうのお祭りでどんだけ食べたとおもってんの」

ケイ「うっわあ~っ……。こりゃしばらくハンバーガーはお預けね」


> 体重をキープする!

> してないじゃ~ん アウトー!


ケイ「!?」

デデーン ケイ アウトー


ケイ「えっ」

エリカ「誰!? 誰の声!?」

ケイ「えっ? ちょ、ちょっ!」

ケイ「あ゛が゛あ゛お゛っ゛!!」ビターーン!

みほ「す、素肌に直接……」

ケイ「あ゛あ゛っ……」プルプルプル

ダージリン「……ケイさん、おしりを突き出した形のまま崩れ落ちたわね」

エリカ「……同情するけど、ひどい格好だから早く立ち直りなさいよ」

ケイ「……ヘ、ヘイみんな……ちょっと見て……」プルプルプル

みほ「?」

エリカ「?」

ケイ「おしり丸出しのままこうやって顔だけ振り向くと」

ケイ「ンフフwwwカバさんチームのマークに見えない?」

デデーン 西住 逸見 ダージリン アウトー

みほ「痛ったあっ!!」ビターーン!
エリカ「アンタ何言っておおっ!」ビターーン!
ダージリン「巻き込まないでええっ!」ビターーン!




──再びあんこうの間


ケイ「ふう。さっぱりした~」

ダージリン「なんというか……ようやく旅館らしいことができたわ」

亜美「夕飯まで時間があるから、しばらくここでくつろいでて頂戴」

亜美「そうだわ。せっかくテレビもあるし、大学選抜チームとの戦車戦でも見返してみましょうか」

ケイ「オウ、劇場版のDVDね!」

ダージリン「紅茶のどアップから始まる映画って、そうそうないんじゃないかしら?」

みほ「こうして冷静になってみるとクラーラさん、前半では店舗に衝突した上ローズヒップさんとともに炎上」

みほ「後半ではカールの直撃を受けたりと、新キャラなのに結構ひどい目に遭ってる……」

ケイ「でも無事だったわ。戦車道は安全に配慮されている証拠ね!」

エリカ「それならなんでカチューシャ逃がすとこでプラウダのみんな死にに行くみたいなテンションだったのよ」

みほ「作戦名が『二〇三高地』だったからかな……?」

ダージリン「わたくし個人的には、エキシビジョンマッチのKV-2が気に入ってるわ」



何故か海から出現 → 町を破壊し尽くす砲撃 → 砲塔の重みでずっこけて自滅


ダージリン「出オチのなんたるかを心得ているもの」

みほ(カチューシャさんが聞いたら怒られそう……)

ケイ「あっ、ここって役人が出てくるところのシーンだわ」

ダージリン「いきなり校門に大量のテープ……ひどいことするわね」


『 桂里奈「KEEP OUTってどういう意味だっけ?」 』

『 あゆみ「体重をキープする!」 』

『 あや「してないじゃ~ん。アウトー!」 』

『 あゆみ「ひっどーい!」 』

アハハ ワハハハ

『 梓「そういうこと言ってる場合じゃないよ!」 』


エリカ「……お風呂場の声はこの子たちのセリフだったのね」

ダージリン「謎が解けたわ」


ケイ「いよいよ大学選抜チーム戦ね。作戦会議のシーンだわ」

ダージリン「各学校の隊長たちが一堂に会するところね」

ケイ「あたしたち本人が出るのを見るのはワクワクするわ!」

みほ「す、少し恥ずかしいですけど……」


『 アンチョビ「よし、作戦はどうする?」 』

『 ダージリン「行進間射撃しかないんじゃないかしら。常に動き続けて、撃ち続けるのよ」 』

『 エリカ「くさびを打ち込み、浸透突破でいくべきよ!」 』

『 ケイ「優勢火力ドクトリンじゃない? 1輌に対して10輛で攻撃ね!」 』

『 カチューシャ「二重包囲がいいわ。それで冬まで待って冬将軍を味方につけましょ! 殲滅戦は制限時間ないんだし!」 』

『 絹代「わたくし様々な可能性を鑑(かんが)みましたが、ここは突撃するしかないかと」 』

『 アンチョビ「とりあえず、逸見をアウトにしてから考えていいか?」 』


エリカ「えっ」

デデーン 逸見 アウトー

エリカ「えっ?」


エリカ「オ゛ッ!」スパーン

ケイ「これ、ここだけ合成!?」

ダージリン「ただの映画じゃなかったのね……」


『 ダージリン「それで、ここからが肝心なんだけど……作戦名はどうしましょう?」 』

『 アンチョビ「3方向から攻めるんだから3種のチーズピザ作戦!」 』

『 カチューシャ「ビーフストロガノフ作戦がいいわ! 玉ねぎと牛肉とサワークリームの取り合わせは最高よ! 』

『 ダージリン「フィッシュ&チップス&ビネガー作戦と名付けましょう」 』

『 エリカ「グリューワインとアイスバイン作戦!」 』

『 ケイ「フライドチキンステーキ with グレイビーソース作戦!」 』

『 杏「あんこう干し芋はまぐり作戦」 』

『 桃「会長も乗らないでください!」 』

『 絹代「あいだを取って、スキヤキ作戦はどうですか?」 』

『 まほ「好きな食べ物と作戦は関係ないだろう」 』

『 カチューシャ「じゃあ、何がいいのよ」 』

『 まほ「……」 』



『 まほ「ニュルンベルクのエリカアウト作戦はどうだ。これは3発からなる罰で」 』


デデーン 逸見 3アウトー

エリカ「えっ」

デデーン 西住 ケイ ダージリン アウトー

みほ「お姉ちゃンッッ!!」スパーン
ケイ「アオオ!」スパーン
ダージリン「ああ!」スパーン

エリカ「な゛ん゛っ゛!」ズパーン!
エリカ「で゛え゛っ゛!!」ズパーン!!
エリカ「ウ゛エ゛エ゛!!!」ズパーン!!!

コンコン スッ

華「失礼します。お食事の準備が整いましたのでお知らせに参りました」

亜美「ああ、ちょうどよかったわね。それじゃみんな移動して、ご飯にしましょ」

エリカ「ちょ、ちょっと待ってください……」プルプルプル

華「大丈夫ですか催眠ハンバーグ様?」

エリカ「いい加減その呼び方やめなさいよっ!!」




──大部屋 宴会場


亜美「みんなそれぞれにお膳が用意してあるから、そこに座ってね」

ダージリン「ありがとうございます」

みほ「うわあ、豪華なお料理……ってアレ?」

エリカ「……」

ジュワアアアア…

(なぜかエリカの分だけアツアツの鉄板にハンバーグ)

デデーン 西住 逸見 アウトー

みほ「っ!」スパーン
エリカ「っつ!」スパーン

ケイ「……まあ、これはこれでおいしそうだからいいんじゃない?」

みほ「エリカさん、あとでおかず分けてあげるから……」

エリカ「いいわよ別に……って、私たちのほかにもお客さんがいるみたいね」

ケイ「大部屋みたいだし、夕食はこうやってみんな集合するかたちなのかしら」

みほ「あ、あそこの隅っこで食事しているのって……」






役人「モグ モグッ ふう……」


デデーン 西住 ダージリン アウトー

みほ「なんでッ!?」スパーン
ダージリン「なんでいるのッ!?」スパーン

ケイ「ヒッチハイク、成功したみたいね……」

エリカ「誰が乗せてったのよ!?」

ケイ「で、こっちはこっちで……」チラリ

しほ「……」モグモグ

まほ「……」モグモグ

常夫「……」モグモグ

エリカ「隊長……家元……」

ケイ「フツーに食事してるわね」

ダージリン「……気にせずにいただきましょうか」

みほ「う、うん……あ、お刺身おいしい」

まほ「……」モグモグ

しほ「……ところでまほ」

まほ「はい。なんでしょう」


みほ(お姉ちゃん、口調は戻したんだ……)

しほ「その……学校ではどう? うまくいってる?」

まほ「え、ええまあ」

しほ「勉強で難しいところはない? いつでも言っていいのよ」

まほ「は、はあ」

しほ「あ、それからちょっと聞きたいんだけど……」

まほ「?」

しほ「まほには……いま好きな人とか……いないの?」

まほ「ングッ!!」

まほ「ゲホ ゲホッ! いきなり何を言い出すんですっ!」

しほ「親として当然の疑問です。気になるじゃない」

まほ「そんなこと聞くなんて、まるで普通のまともな母親みたいじゃないですか」

しほ「えっ」

まほ「えっ?」

しほ「……」


まほ「……」


しほ「…………」


まほ「…………」


しほ「……えっ?」

まほ「はっ?」

デデーン 全員 アウトー

みほ「うわあ!」スパーン
ケイ「にゃあっ!」スパーン
エリカ「ぎっ!」スパーン
ダージリン「ほおあっ!」スパーン

しほ「……そうですか。それならこちらにも考えがあります」

しほ「母親として、これでもまほのことは知っているつもりです。あれは中学校くらいの頃だったかしら」

まほ「?」

しほ「まほって一時期自分のことを『ぼく』って呼んでたわね。何かの漫画の影響?」

エリカ「えっ? そうなんですか?」

まほ「ちょっ! 急に何を……」

しほ「それから、ガンダムのアニメに夢中になりまくってたせいで」


しほ「ことあるごとに『もしも結婚して男の子が生まれたらぜったいヒイロって名前つける!』って言ってたけど、いまでもそうなの?」

まほ(赤面)「」

デデーン 全員 アウトー

みほ「お姉ちゃんwww」スパーン
ケイ「何の話www」スパーン
エリカ「何を聞かされてるのよwww」スパーン
ダージリン「ウフフンwww」スパーン
(※ちなみにまほ役の人の実話です)

しほ「さて。ごちそうも堪能したことだし、部屋に戻りましょう」

まほ「……え、ええ」

しほ「せっかくの旅行です。今夜は仲良く親子3人でYの字になって寝ましょうね」

まほ「いやいやどういう布団の敷き方ですか」

スタスタ スタスタ

亜美「わたしたちも食べ終わったら戻りましょうか。ゆっくり休んで頂戴ね」

みほ「は、はい。ありがとうございます」


──再びあんこうの間


みほ「お布団が敷かれてますね」

ケイ「あとは寝るだけってことねきっと」

エリカ「つ、疲れた……」

ダージリン「電気、消しますわよ?」

みほ「うん。おやすみ……」


『…………』


『…………』


 > ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!

みほ「!?」ビクッ!

エリカ「!?」ビクッ!

ケイ「オッドボール三等軍曹の声……」

ダージリン「ZZZ……」

 > ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!

みほ「大きい声……」


 > ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!

エリカ「しつこい……」

 > ヒヤッホォォォウ!人助けぇぇぇぇ!!

デデーン 全員 アウトー

みほ「やあっ!」スパーン
ケイ「でっ!」スパーン
エリカ「わああっ!」スパーン
ダージリン「うぐうっ!」スパーン


『…………』


『…………』


 > 大洗女子学園は廃校です


みほ「!!?」ビクッ!


 > 大洗女子学園は廃校です


 > 大洗女子学園は廃校で……ってなんだこの力士たちは?




 > ちょっ、何を……やめなさい!


 > 痛っ……! な、何枚目だ!? 前頭(まえがしら)何枚目なんだ君たちはっ!!


 > やめっ……! うわっうわあーーっ!!


 > 痛い痛いアアアッーーーー!!


 > ……


 > …………


 > ……でも、


 > …………嫌じゃ、なかった……


デデーン 全員 アウトー

みほ「どういうことですかっ!」スパーン
ケイ「何があったの!?」スパーン
エリカ「意味わかんないわよ!」スパーン
ダージリン「お願い寝かせてっ!」スパーン



『…………』


『…………』


 > こんな言葉を知っている?

エリカ「やっぱり来た……」

みほ「オレンジペコさんの声真似……」

 > こんな言葉を知っている?

ケイ「オウ……」プルプル

 > こんな言葉を知っている? ダージリン様の家では、カツ丼のカツが切られずに出てくるのよ

デデーン 全員 アウトー

みほ「ひどい!」スパーン
ケイ「食べにくすぎ!」スパーン
エリカ「どーいう家なのよオッ!」スパーン
ダージリン「ウソよおああっ!」スパーン


『…………』



『…………』


 > こんな言葉を知っている?

みほ「また……」

 > こんな言葉を知っている?

エリカ「しつこい……」

 > こんな大会を知っている? ダージリン様のファンクラブ内で行われる、ダージリン様のそっくりさん大会があるのよ

みほ「?」

ケイ「?」

エリカ「はあ?」

 > そこにダージリン様自身が「本人なんだから絶対優勝できる!」と意気込んで「田尻」という偽名で潜入してこっそり参加したの

 > その結果

 > ダージリン様は準優勝だったそうよ

ケイ「ぶわっはっはっはっはっはっは!!!!」


デデーン 西住 ケイ 逸見 アウトー

みほ「誰www」スパーン
ケイ「優勝したの誰www」スパーン
エリカ「なんでwww」スパーン

ダージリン(赤面)「……」

ケイ「ヒッ ヒヒッ 準優勝て……」プルプル

 > ひょ、表彰台の上でンフ、準優勝のトロフィー受け取ったダージリン様フフッwwwあんな顔いままで見たことがウフフンwwwフフフッwwwウハフフフフwwwwww

デデーン 全員 アウトー

みほ「反則!」スパーン
ケイ「笑っちゃ反則www」スパーン
エリカ「ずるいわよああっっ!」スパーン
ダージリン「なんでオオアッ!!」スパーン

 
『…………』


『………』


『……』


『…』


──翌朝

みほ「うう……」


ケイ「お尻が痛い……」

ダージリン「結局、眠れたのは明け方でしたわ……」

ガラリ

亜美「みんな起きてる? 支度ができたらロビーに集合して頂戴ね」

みほ「は、はい」

ケイ「ようやく、終わるのね……」

エリカ「さったと着替えて、出ましょ……」


──ロビー前


華「おはようございます」

みほ「華さんおはよう……ってアレ?」

まほ「……」

しほ「……」

常夫「……」

愛里寿「……」

千代「……」

役人「……」


ダージリン「みなさん、勢ぞろいですわね……」

華「皆様、本日はまことにありがとうございました」

華「旅館を代表いたしまして、ささやかながらプレゼントをご用意いたしました」

みほ「わあっ、大きな箱ですね!」

ケイ「すごいサイズだけど、いったい中に何が……ん?」



バン! バン!



エリカ「えっ!? 中から!?」ビクッ



ビリッ バリバリッ



ダージリン「ちょ、ちょっとどういうこと……」



ビリビリッ バリバリバリッ











アッサム(覆面)「ふう……」

デデーン 全員 アウトー

みほ「何でっ!」スパーン
ケイ「ホワイ!」スパーン
エリカ「なんでよ!」スパーン
ダージリン「どういうエエッ!?」スパーン

アッサム(覆面)「……」


ダージリン「……あ、あなた何てカッコしてるのよ」プルプルプル

アッサム(覆面)「……」

アッサム(覆面)「……」ズイッ(ダージリンににじり寄る)

ダージリン「ンンwwwやめてwww」

ケイ「なんで無言www」

デデーン ケイ ダージリン アウトー

ケイ「んがっ!」スパーン
ダージリン「オォ!」スパーン

みほ「あ、あのアッサムさん……?」

アッサム(覆面)「いまの私は、ただのアッサムではありません」

アッサム(覆面)「聖グロリアーナが生んだスーパースター『ダイナマイト朝武(あっさむ)』です」

デデーン 全員 アウトー

みほ「そんなっ!」スパーン
ケイ「真顔でwww」スパーン
エリカ「なんなのよ!」スパーン
ダージリン「ヒウッ!」スパーン

アッサム(覆面)「ダージリン。あなたは臆病だった私に戦車道を教えてくれました」


アッサム(覆面)「恐れを抱いた心では、小さなことしか成すことはできない」

アッサム(覆面)「友のため、自分のため」

アッサム(覆面)「それでは、ご唱和願います」

ダージリン「?」


アッサム(覆面)「1」


アッサム(覆面)「2」


アッサム(覆面)「3」


アッサム(覆面)「アッサム!!! アッサム!!!」シュバッ!

アッサム(覆面)「アッサム!!! アッサム!!!」シュバッ!

デデーン 全員 アウトー

華「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

しほ「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

まほ「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

常夫「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

千代「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

愛里寿「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!

役人「アッサム!! アッサム!!」シュバッ!


みほ「アハハwwwウフハハwww」スパーン
ケイ「ああwww」スパーン
エリカ「ダメwww」スパーン
ダージリン「ンッフwwwもう好きにしてwww」スパーン


――絶対に笑ってはいけないあんこう祭り 終了


結果(アヒルさんチームにお尻をシバかれた数)

・西住みほ 47回(担当:磯辺典子)

・ダージリン 45回(担当:佐々木あけび)
(うちナオミのファイアフライ1発を含む)

・ケイ 46回(担当:河西忍)

・逸見エリカ 47回(担当:近藤妙子)
(うちニュルンベルクのエリカアウト作戦3連発を含む)


──テーマ曲「Dreamriser」

唄:BC自由学園(マリー&押田&安藤)


~♪あいじゃす ふぃまい うい~ん

~♪あいじゃす ふぃまい しゃあ~いん

~♪尻にい~~ 災い~~♪


~♪笑っては ダメだって~ 最初から わかってた~

~♪理不尽な罰に~ 何度傷ついても~

~♪顔面を シバかれる~ クラーラが 舐めまわす~

~♪カチューシャの味わい 感じたくて~

~♪根性なんていつも~ 後付けだよ

~♪大人ぶった 予防線

~♪乗り越え~ていま~ ファ~イアフラ~イ~


~♪踏~み出した空に 走っていく光

~♪いちば~ん 先へ~ 目覚めるスピードへ

~♪敗れたダージリンの そっくりさんはだ~れだ~~

~♪もっと~ 強い~ 可能性になれ ダ~~イナマイ アッサ~~ム~♪


みほ「こうして、私たちのお祭り体験は終了しました」

みほ「後日、ほんとうのあんこう祭りは多くの人でにぎわい、過去最高の来場者数をたたき出したそうです」

みほ「ステージの催しはもちろん、周辺のお店も大いににぎわっていました」

みほ「全国から痛車のみならず、戦車を再現した車輛が並び、記念写真のスポットになっていました」

みほ「コスプレをしている来場者もたくさんいて、小さな女の子がわたしたちの制服を着ているところもありました」

みほ「そして何より、最終章2話の情報が出てきたのが、ほんとうに喜びでした」

みほ「日時までハッキリと決まり、新たな楽しみが増えました」

みほ「お祭り会場は人がいっぱいで大盛況。大成功を収めました」

みほ「その次も、そのまた次の年も、大洗がいっぱいになるとおもいました」

ザワザワ ワイワイ

沙織「うわあ~っ、すごい人っ」

華「わたくしたちのために、こんなに大勢のお客さんが?」

麻子「いや、これでもまだ少ない方だ。ネット中継があるから実際にはこの数倍の人が見ているぞ」

みほ「うう……緊張するなあ」

優花里「西住殿、大丈夫ですか?」

みほ「あ、うん……ありがと。怖くないよ。それに、みんなもいるから」

沙織「そっか。……それじゃ、いこっか!」

華「せっかくですし、手をつないでみんなで舞台に上がりましょう」ギュッ

優花里「名案です!」ギュッ

みほ「うんっ」ギュッ

『 それでは拍手でお迎えください! 大洗女子学園を救った戦車道チームの皆さんです! 』

ワー! ワー!

パチパチパチ パチパチパチ


おしまい

乙です


おまけの未公開シーン:酔いどれ教官

――旅館内 大部屋

みほ「ようやく寝られる……」

エリカ「なんなのよ一体……」

コンコン

ダージリン「?」

華「あのう……ひとつよろしいでしょうか」スッ

みほ「?」

ケイ「どうしたの?」

華「お客様の中に、ずいぶんお酒を召し上がられた方がいらっしゃいまして……」

華「それで、介抱するのを手伝っていただきたいんですが……」

亜美「うう~ん……」グッタリ

みほ「教官……!?」

エリカ「ってお酒くさい! どーなってんの!?」

亜美「だあ~いじょお~ぶよお~っ……酔ってないからあ~っ……」トローン

亜美「飲んだのは安全に配慮された特殊なバーボンだからぁ なんてね~~」ガシッ


ダージリン「えっ」

(がっちり)

みほ(ダージリンさんが捕まった……)

亜美「んああ~いいにおい~っ。若い子っていいわあ~っ」スンスン

ダージリン「ひいっ! やめてください! わたくしをガッチリつかまないでっ!」プルプル

亜美「……んん? ちょっと待って。あなた……Vガンダムにいなかった?」

ダージリン「は、はい……?」プルプル

亜美「よく見ると終盤のカテジナさんに髪型そっくりね!!」

ダージリン「知りません!!!」

デデーン ケイ 逸見 アウトー

ケイ「アア!」スパーン
エリカ「ああいっ!」スパーン

亜美「ねえ聞いてよ~聞いてってばあ~っ」

ダージリン「は、はい……」

亜美「恋愛の撃破率120パーセントってなによお!」

亜美「なによ撃破率120パーセントってえ!」


みほ「同じこと言ってる……」

亜美「それってつまり、5人に告白したら6人にオッケーもらったってことでしょお~っ?」

亜美「誰よその1人はっ! 呼んでないわよおっ!」

デデーン 西住 ケイ エリカ アウトー

みほ「うわうっ!」スパーン
ケイ「ぎゃっ!」スパーン
エリカ「にょおっ!」スパーン

ダージリン「いやあ……放してえ……」プルプル

亜美「はなしてほしい?」

ダージリン「お願いですから……」

亜美「わかったわ~はなしてあげる~」

ダージリン(ホッ)

亜美「むか~しむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが……」

ケイ「!?」

みほ「!?」

エリカ「!?」

亜美「だって『はなして』っていうから……お話がききたいんじゃないのお~っ?」

ダージリン「手゛を゛は゛な゛し゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛で゛す゛~~!!!」ジタバタジタバタ

デデーン 西住 ケイ エリカ アウトー

みほ「うわうっ!」スパーン
ケイ「ぎゃっ!」スパーン
エリカ「にょおっ!」スパーン

(ボツ理由:蝶野教官が酔いつぶれる姿が想像つかない)


おまけの未公開シーン:謝罪

亜美「みんなちょっといいかしら」

みほ「?」

亜美「この旅館にね、文部科学省のあの役人さんが来ているらしいの」

エリカ「っ!?」

ダージリン「まさかまた何か……」

亜美「ああいえむしろ逆ね。大学選抜戦の件で西住流の家元にお詫びがしたいって言ってきたのよ」

亜美「それで、それを見に行くから」


──旅館内 応接室


役人「……このたびは、機会を設けてくださり感謝します」

しほ「…………」

役人「では早速、謝罪文を書いてきたので読ませていただきます」

役人「今回、私こと辻廉太(つじ れんた)は、戦車道連盟の役員である西住しほさんに不快な思いをさせてしまい深く謝罪いたします」

役人「しほさんといえば、西住流の家元としても有名であり、とても優秀な戦車乗りとして評判ですが」


役人「娘の年の差は1歳しかない年子(としご)であることから、すました顔してやることはやってるとんでもないメスだなと確信していました」

エリカ「ブッ!」

ダージリン「ブフウ!」

ケイ「どセクハラよ!!」

みほ「お母さん、すごい顔してる……」

しほ「…………」ピクピク
(※すでに笑っていますが、引き続きお楽しみください)

役人「また、家元に就任して忙しそうだから、旦那とはずいぶんご無沙汰だろうなという発想から『アラいいですねえ』という感情の波が何度も押し寄せてきちゃって、ついついお尻を触ってしまったという次第でございます」

役人「一般的に、気が強い女はお尻が弱いというのが通説でありますゆえ」

役人「ああコイツもその例にもれず尻が弱点なんだろうな」

役人「目つきはキツそうだけど、夜は性の悦びで顔も尻もトロトロにふやけてるんだろうなと決めつけてしまい」

役人「それならちょっとくらいなでまわしても、まあこの程度の女なら大丈夫だろうという思いが先に立ってしまい、セクハラ行為に及んでしまったということであります」

エリカ「意味わかんない!」

ダージリン「何の話www」

ケイ「ぶっちゃけすぎでしょwww」

役人「ですが、毎日のようにそんなデカいケツを右へ左へと振りかざし、いい歳していっちょ前にフェロモンを出していやらしく男を誘う毒グモのような性欲を持った西住さんサイドにも問題があるのではないでしょうか」

役人「事実、しほさんは欲求不満のメスが出す独特のにおいで私を誘ってきました」

役人「こうなったら誰にも僕を止めることはできません」

役人「もう我慢の限界なんです!!」

役人「要するに今回の件は、逆にこちらも性欲による被害者であるともいえるわけですから、ここはひとつ50:50(フィフティ・フィフティ)ということで許してはいただけないでしょうか」

しほ「」ブチイ

しほ「どの口が言うとるんじゃああああいっ!!!」バチーーン!!

役人「グワーーーーッッ!!!」ドンガラガッシャーーーーン!!!

デデーン 全員 アウトー

みほ「ひどい!」スパーン
ケイ「ひどすぎ!」スパーン
エリカ「意味わかんなアア!」スパーン
ダージリン「ウアア!」スパーン

(ボツ理由:お察し)


以上です

ガールズ&パンツァー最終章2話の予定が公開されましたね
とても楽しみです


過去作↓

みほ「プロ戦車道1日訓練?」

みほ「未公開シーン?」

みほ「笑ってはいけない西住流?」

みほ「笑ってはいけない西住流の未公開シーン?」

みほ「○んしゃ道?」

みほ「ガンシャ・ウォー!」

みほ「逆ドッキリ?」

みほ「愛里寿ちゃんスイッチ?」

みほ「抜き打ちテスト?」

まほ「抜き打ちテストだと?」

みほ「ガールズ&ラーメン?」

乙です

面白かった乙!

さては現地民か!?あ、乙です面白かった

乙です
面白かった!

この間あんこう祭り初参加したせいか情景が浮かんで
よりリアルに楽しめた。超Good!
そして田尻さん準優勝さんの下りでミルクコーヒー吹いたw

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